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2006-03-30 第164回国会 参議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      前川 清成君     家西  悟君  三月二十九日     辞任         補欠選任      家西  悟君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         弘友 和夫君     理 事                 荒井 正吾君                 谷川 秀善君                 簗瀬  進君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 南野知惠子君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 仁比 聡平君                 亀井 郁夫君    衆議院議員        法務委員長代理  渡辺 博道君        法務委員長代理  漆原 良夫君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君    副大臣        法務大臣    河野 太郎君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局刑事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  小貫 芳信君        法務省保護局長  麻生 光洋君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案  (衆議院提出)     ─────────────
  2. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案及び執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長小貫芳信君及び法務省保護局長麻生光洋君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案及び執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 谷川秀善

    谷川秀善君 どうも皆さんおはようございます。  ただいま提案をされております犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案執行猶予者保護観察法、これは衆法でございますが、につきまして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  この犯罪者予防更生法は、いわゆる刑務所に入っている受刑者を仮出獄をさせるという手続を定めるものでありますし、執行猶予者保護観察法は、刑は確定をいたしましたが執行が留保されているという方々をどう取り扱うかということであります。  私は、むしろこの執行猶予者をどう取り扱うかということは、これは非常に大事である、大事だと思うんですね。刑の執行を受けている人は、一応執行しているわけですから、その状況によっていつの時点で仮釈放をするかと、こういうことでありますが、執行猶予者は、刑は確定をした、ただ執行猶予すると、こういうことですから、全然取扱いが違うと思うんですね。むしろ、私はこの刑の執行猶予者をどううまくこう管理をするかということの方が非常に大事であってね。ところが、これが非常に今までの法律を見ますと、刑の執行を受けている人が仮釈放を受けるような取扱いよりも、非常にもっと有利に取扱いを受けておると。非常に私は矛盾があるなと常々思っておったわけです。  それと同時にまた、だからそういう人たち再犯を犯すといいますかね、という可能性も非常に高い。ある程度、その刑務所へ入れられると、ある程度矯正といいますか、教育も受けますし、いろんなことがやられると。ところが、執行猶予者は、判決は出たけれども執行猶予されているわけですからね、ずっと普通の生活をしていると。こういうことで、何とかできないかなと、このように思っておったところでございますが、それを変えよう、ある程度厳しくしようと、こういうことでこの法案が出されたのだと思っております。  そういう意味で、この仮釈放者執行猶予者は現在どう違っているのか、同時にまた、この改正によってはどう違うのか、御説明をお伺いいたしたいと思います。
  6. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、現在の状況でございますけれども、仮釈放者に対しましては一般遵守事項と申しまして、法律ですべての仮釈放者に対して科せられます遵守事項というものが定められておりますほか、一人一人の対象者に対しまして特別の遵守事項というものを定めることができることになっております。これに対しまして、保護観察付執行猶予者につきましては、いわゆる一般遵守事項しかございません。特別の遵守事項というものは定めることはできないことになっております。  また、一般遵守事項内容も異なっております。仮釈放者の場合は、転居又は七日以上の旅行をする場合には保護観察所の長の許可を得る必要があるのに対しまして、保護観察付執行猶予者の場合は転居又は旅行をする場合には保護観察所の長へ届け出るだけで足りまして、しかも一か月未満旅行については届出すら不要となっております。また、保護観察付執行猶予者につきましては、仮釈放者に課されます正業に従事すること及び犯罪性のある者又は素行不良の者と交際しないことという一般遵守事項が課されておりません。  このほか、保護観察期間中に遵守事項遵守しなかった場合の取扱いにつきましても異なっております。仮釈放者につきましては、遵守すべき事項遵守しなかったときに地方更生保護委員会仮釈放処分を取り消すことができるとされておりますのに対して、執行猶予者につきましては、遵守すべき事項遵守せず、その情状が重いときに裁判所執行猶予の言渡しを取り消すことができることとなっております。  今回の法案では、まず最初の方の転居旅行につきまして執行猶予者について届出制になっているものを許可制に改めると、それから、遵守事項につきましては執行猶予者につきましても特別の遵守事項を定めることができるようにすると、こういう内容でございます。
  7. 谷川秀善

    谷川秀善君 大分、仮出獄者に、何といいますか、近付けるというか、近付けてきているようなんですけど、このいわゆる一般遵守事項というのは、これはだれが考えても当たり前のことを書いてあるだけですね。特にどうこうということはないと思いますよ、この一般遵守事項というのは。あるでしょう。この善行を保持することなんて、こんなのこれ当たり前のことですがね、こんなの、あなた、遵守も何も。それで、これは仮出獄者ですか、は一定の住居に居住し、正業に従事すること、これもまあ普通常識で考えりゃ当たり前のことですからね、何もわざわざね。それで、犯罪性のある者又は素行不良者と交際しないこと、これは普通の人間やったら大体そうですよ、違いますか。  何か非常に前時代的というかね、現実に全然即してないことを何となく今度は執行猶予者にも広げると、こう言うているんですね。その住居を移転だとか旅行だとかいうのは、これは当然執行猶予者にも許可制にするとかいうのは、今まではあれでしょう、これ届出だけですね。届出をするだけ、それも一か月以上旅行すると、こういうことですね。一か月も旅行するというのは余り普通の人ではそんなにないですわね、大体一般市民生活を考えりゃね。だから、非常に何となくその前時代的なような気がするんですよ。  それで、これをまあ仮出獄者の方へ合わせると。こういうのは当然合わせてもらわないかぬと思いますし、特別遵守事項というのは、これは今ちょっと御説明受けましたけど、その特別遵守事項やったらそれぞれ個々人について違うわけだろうと思いますが、個々人についてどういうことを大体特別に守りなさいと決められるんでしょうか。
  8. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 特別遵守事項と申しますのは、先ほども申しましたように、その対象者の一人一人の問題性に応じて定めるものでございます。  例えば、対象者によりまして犯した犯罪がいろいろ違うわけでございます。例えば、殺人でありますとか、あるいは覚せい剤取締法違反でありますとか、あるいは道路交通法違反というようなものもございます。ですから、その対象となっている犯罪によってその特別に守らせる事項が違う場合もございます。  それから、本人の家族関係とかあるいはその環境のようなものもございます。例えば暴力団出身者というような場合、そのような場合についてはそういう者と接触しないというようなことが考えられるわけです。それから、性犯罪者のような場合につきましては、今回、私ども来年度から行う予定でございますけれども、性犯罪者処遇プログラムというものを受けていただいて、それによってその再犯に至る可能性を少しでも少なくしようと、こういうような試みを行いたいと。ということで、その対象者のそれぞれの個性に応じた遵守事項地方更生保護委員会が定めると、こういうことでございます。
  9. 谷川秀善

    谷川秀善君 この特別遵守事項というのはそれぞれ、今おっしゃったように、いろいろ条件も違うでしょうし、いろいろあると思いますが、これは今回は保護観察、いわゆる執行猶予者にも付けるわけですか。執行猶予者はこの特別遵守事項というのは今度の改正では要らない、要らないというか、いじってないんでしょうか。その辺、いかがでしょうか。
  10. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 今回提案されております執行猶予者保護観察法改正では、執行猶予者につきましても特別遵守事項を設定するようにしようと、こういう内容でございます。  で、それを設定するにつきましては、その執行猶予の言渡しをした裁判所の意見を聴いて保護観察所の長がそれを定めることにすると、こういう内容になっております。
  11. 谷川秀善

    谷川秀善君 それは非常に私は、そういうことを守ってもらうというのは執行猶予者についてもいいことだろうと思いますが、具体的にはどういうことを付けようと考えておられるんですか。同時に、その付けたことを遵守しているかしていないかというのをだれが、監視をすると言ったら語弊がございますが、チェックをするんでしょうか。
  12. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 特別の遵守事項として例えば考えられますのは暴力団関係者と交際しないことというのがございます。それから、先ほど申しましたけれども、性犯罪者やあるいは薬物依存者につきましては性犯罪者処遇プログラムでありますとか薬物関係処遇プログラムを受けてもらうこと。それから、ストーカーというような事案がございますけれども、こういうものについては被害者に付きまとわないことと、こんなようなことが考えられるかと思います。  それから、その遵守事項を守っているかどうかというのをどうやって把握するかという点なんですけれども、これは、保護観察というのは保護観察官保護司協働で行っているわけでございますけれども、日常的な接触の過程で何か問題がないかということを把握するということでございます。
  13. 谷川秀善

    谷川秀善君 今、保護観察官保護司がそれを、何といいますか、チェックをするというか監視をするということのようでございますが、それじゃ保護観察官は今全国で何人おられ、そして保護司全国で何人おられるのでしょうか。
  14. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 保護観察官でございますけれども、本年度予算定員は九百九十七名でございます。
  15. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) もう一度、大きく。
  16. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 保護観察官の本年度予算定員は、保護観察所保護観察官は九百九十七名でございます。実際にその保護観察の業務に従事しております者はそのうちの約六百三十名程度でございます。  それから、保護司でございますけれども、これは定員は五万二千五百名でございますけれども、本年一月一日現在では四万八千六百八十八人となっております。
  17. 谷川秀善

    谷川秀善君 大体、保護観察官が、これはいわゆる公務員ですね、職としてやっておられる方だろうと思いますが、これは九百九十七名、実際には六百三十名がそういう仕事に従事しておられる、こういうことです。そして、保護司さん、これはボランティアございますね、民間方々が、定数五万二千五百人で、現在は、十八年度では四万八千六百八十八人と。こういうことでございますが、これはとんでもないことですね。たった六百三十人で、そんないろんなものを注文付けて。  それじゃ、今、いわゆる執行猶予者は現在何人おるんですか。そして、仮出獄者は何人おるんでしょうか。
  18. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 仮出獄者につきましては約五千名程度、それから執行猶予者につきましては一万五千名程度であると思います。  ちょっと今正確な数字を調べておりますので、また後ほど御説明いたします。
  19. 谷川秀善

    谷川秀善君 まあ、ざっと仮出獄者執行猶予者で大体二万人おられると、こういうわけですね。その二万人の方々を、職としてやっておられるのが六百三十名、そしてボランティアといいますか保護司さんが四万八千六百八十八名。この保護司さんは、これはほとんどボランティアですからね。これはなかなか、実際は一生懸命やっていただいているんでしょうけれども、なかなか難しい。私の家内も、もう保護司何十年やってますが、大変ですよ、これ、いろいろ。それで、そうすると保護観察官が六百三十名、それで二万人が本当にチェックできるのかどうかというのは非常に私は心配をしておるわけです。  それで、特に保護司について、現在の状況、非常に何かだんだんだんだん保護司さん減っていくと、こう言ってますし、減っていくし、高齢化していくと。だから、一人当たりの分担が、それは地域にもよるんでしょうけれども、非常に、元気で働いているというと語弊がございますが、保護司に掛かってくると。そうすると、何件も持たなきゃいかぬ、案件を何件も持たなきゃ。中にはいろんな案件がありますからね、軽いのから殺人罪まで、いろいろございますからね。その点について、現在保護司の現状はどうなっているのか。  それで、大体私も調べましたが、平均年齢が相当上がっていると思いますね。保護司さんの平均年齢が相当上がっていると思いますので、その辺の状況と、大体これは定年というか、ボランティアですから定年というのはおかしいですけれども、大体どれぐらいで御勇退いただくのかという点をまとめて少しお伺いをいたしたいと思います。
  20. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、先ほどの数字の点をちょっと補充させていただきます。  保護観察中の仮出獄者の数でございますけれども、平成十六年末の数字でちょっと古くて恐縮でございますが、仮出獄者の数が八千九十六人、それから執行猶予者の数が一万五千六百八十七人でございます。  それから、今の保護司についてのお尋ねですけれども、本年一月一日現在で、先ほど申しましたように四万八千六百八十八人おられるわけですけれども、平均年齢が六十二・八歳でございます。そのうちの二五・三%の方が女性の方でございます。  職業の構成を見ますと、会社員等の方が三〇・八%、無職の方が二六・五%、宗教家が一一・〇%、それから農林漁業が九・七%、商業八%、教育関係者三・二%、その他一〇・八%と、こういう状況でございます。  年齢構成を見ますと、平均年齢は先ほど申し上げたとおりなんですけれども、五十歳未満の方が五・八%、五十歳から五十九歳の方が二六・四%、六十歳から六十九歳の方が四六・二%、七十歳以上の方が二一・六%となっております。  現在、保護司の任期は二年なんですけれども、七十六歳を超えて再任しないということになっておりますので、七十七歳が事実上の定年ということになっております。
  21. 谷川秀善

    谷川秀善君 今御説明をいただきましたように、大体主に占めているのは五十歳以上ですわ、大体五十歳以上ね。それはある程度納得はできるんですけれども、最近は大分高齢化してきましたから、皆元気ですね。それで、いろいろ保護司方々とお話をしてますと、七十六歳、私はまあこれぐらいが妥当やと思うんですけどね、ところが七十六歳でも元気な人はおる、おるんですな。そして、まだやりたいというのに首切られたとか、まあ、ありていに言いますと、そういう話もあるし、それから五十歳ぐらいでももうかなわぬから辞めたいという人もおられるようで、今おっしゃったように、七十六歳以上ぐらいは大体そろそろ御勇退いただくというのが妥当な線かと思いますが、この調査でも七十七歳以上でも四百四十一人おられるようでございますから、その辺のところはやっぱり臨機応変にその運用をしていただくということと、特にこれから団塊世代に入ってまいりますね。そういたしますと、大体六十歳ぐらいでお辞めに、定年になって辞めますね。こういう人たちがこれからねらい目ではないかと、ねらい目というのはちょっと語弊がございますけれども。  だから、やっぱりそういう人たちに積極的に社会にもう一度しっかり貢献してもらいたいということでお願いをしないと、どうもあれ見てますとね、保護司保護司をお願いしているような感じですよ、大体。その保護観察官なり保護観察所の所長さん、大体、地方余り実態に、御存じない。そうすると、大体どうしているかいうたら、その自治会の役員とか何か、くその役にも立たぬのをようけ任命するんですよ、本当に。その選び方が間違うとる、私から言うと選び方が間違うとると思いますよ。民生委員してた人をまた頼むとかね。そんならまた、役持ってる人はみんなもう重複してね、もう五つも六つも持ってはるわけ。そうすると、なかなか、保護司さんというのはちょっとほかの役と違いまして、実際に体を動かし、それでそういういわゆる犯罪者だとか、その就職の世話をしたり、いろんなことをやっているわけですよね、保護司さんがみんな、一生懸命やって。  だから、大分違いますからね、ちょっと選考の方法というか、御依頼をされる方法をお考えいただければなと思いますし、まあボランティアですからね、何もその報酬とかそういうことは余り望んではおられないと思いますが、手当はこれどういうことになって、やっぱり動けばお金も掛かるということだろうと思いますし、その辺の処遇といいますか、手当についてはどういうふうな取扱いになっておるんでしょうか。
  22. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、幅広い分野から多様な方に保護司さんになっていただく必要があるということにつきましては、私ども、誠にそのように思っております。現在は、先生御指摘のとおり、保護司さんが後任の保護司さんをまあ連れてくるというか紹介される例が多いようでございますけれども、そのようなやり方ではやはり限界があるというようなことも考えまして、地域のいろんな団体等からの御推薦もいただいて、多様な方を保護司さんになっていただくと、こういう仕組みを現在始めたところでございます。  それから、平成十八年度からはモデル庁というものを設けまして、公募制というようなことを考えております。この保護司適任者確保の問題も、大都市の場合と、何といいますか、田舎といってはあれですけれども、地方の場合とでは相当実情も違うようでございますので、各地域地域実情に応じて適任者確保に努めてまいりたいと思っております。  それから、保護司に対するその報酬でございますけれども、保護司は無報酬報酬を受けないということが定められております。ただし、保護司法によりましていわゆる実費というものの支給を受けるということが可能になっております。平成十七年度予算で申しますと、約四十億円がその実費弁償金というものの予算でございまして、平成十八年度につきましては約五十二億円が計上されております。
  23. 谷川秀善

    谷川秀善君 まあ、別に保護司になる人が収入を得ようとは私は思っていないとは思います。思いますが、それにしても皆持ち出しみたいな格好ですよ、実態は。だから、そういう意味で、それは保護司の数が定数だけでも五万人、大変な数ですから、これはいろいろな、幾らか手当を出すということになるとこれは大変な金額になるんだろうと思いますけれども、その辺のところはしっかり、やっぱり報いるものは報いるということでないと、これから私は成り立っていかないと思いますよ、正直言うて。本当にだんだんだんだんこういうなり手が少なくなってきているわけですから。  だから、公募制というのも、これも私は非常に、一大キャンペーンおやりになったらどうかと思います。公募したって私初めて聞きました。全然ポスターも見たこともないし、そういうPRをしているという状況、うかつかどうか分かりませんが、接しておりませんので、どこで公募しているのか。大体、公募の仕方も、それは大臣ね、非常に法務省地味ですよね。ぱあっともっと派手に、こんな保護司なんていうのは、派手に公募したら保護司のやっぱり宣伝にもなりますよ。そうすると、まあ保護司でもやってみようかいう人も、でもじゃ語弊ありますけれども、また増えてきますよ。特に団塊世代に入ってきますから、この辺でがばっと保護司を増やすということも、私はやっぱりこれは生きがいにもつながる大変いい仕事だと思いますので、是非その辺のところを、大臣、いかがですか。
  24. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、今有識者会議でも検討をいただいております。法務省としては、当面、特定の庁を決めまして試行してみようかということで検討を行っておるところでございます。  保護司制度は、もう先生方御案内のとおり、民間の正にボランティア、無報酬で働いていただくという方々でございまして、私は、全国に約五万人いらっしゃるわけですけれども、保護司方々が、大体お一人当たり一件、平均すると一件ぐらい事件をお持ちいただいているようでございますが、大変熱意を持って取り組んでいただいていることは、もう皆さんそれぞれの地域御存じ谷川先生の奥様が保護司をやっていただいているというのは、本当に有り難く思う次第でございます。犠牲的精神を持って情熱を持って皆さんやっていただいております。世界でも余り例を見ないんじゃないかと。先人が、これは明治以来ですが、努力をしてこういう制度を築き上げてきていただいておりまして、我が国の更生保護制度を根幹から支えている制度だと思います。  その周りに更生保護女性会女性会は約二十万人全国にいらっしゃいます。それから、BBSという青年男女支援組織、それから協力雇用主、働く場所を提供してくださるという方もたくさんいらっしゃいまして、そういう民間熱意を持った方々が支えていただいている。保護観察官保護司と連携しながらやっておるわけですけれども、実質上は保護司皆さん方の御努力によって更生保護の体制が支えられていると言ってよろしいかと思うわけでございます。  その保護司方々には、無報酬でございます、報酬はないわけですが、実費弁償といってもほとんどの方々が持ち出しでございまして、先ほど保護局長御説明申し上げましたが、四十億円、十七年度予算ですが、五万人で割りますと一人一年八万円でございます。今度三割増を認めてもらいまして、まあ九万円ちょっと、十万円弱になったわけですけれども、私どもの地元でいいますと町内会長さんの実費弁償が、まあどの町でも少なくとも二万円ぐらい月もらっておられます。地域によって違いがあるとは思いますけれども、もう何とも言いようのないぐらい微々たるものだということで、大臣折衝にまで持ち上げて三割増を認めてもらったわけですが、まだまだこれは、これでは少ないと。せめて実費ぐらい、例えば車代だとか、担当している人と外で食事することもあるだろう、家庭で呼んで食事していただいている方があるようですが、そういう実費ぐらいは国の方で差し上げられるというふうにしなきゃいかぬと思います。もちろん、保護司方々はその地域で、言ってみればしっかり根を下ろしていろんな活動をしておられる地域の名士の方々が多いわけでございまして、比較的経済的ゆとりのある方も多いわけでございますが、しかし、それは実費弁償金をこんなに少額に据え置くということの理由にはならないと思っております。  保護司の負担が、保護観察事件、犯罪者が増えておりまして、仮出獄者も増える、刑務所からの仮出獄者、少年院からの仮退院者、執行猶予保護観察中に、付された人の保護観察、それから家庭裁判所における少年の保護処分といったようなことで年々増加いたすとともに、また事件も複雑困難な事件が増えておるという実情でございますので、保護司先生方に対する実費弁償の手当は来年度予算では大幅に増額を求めてまいりたいと思いますし、また、保護司方々に、今まではそういう歴史的な経緯から保護司方々の組織の中から、中からといいますか、関係者の方から御推薦を願うということをやってきたんですが、社会も大分変化しております。大都市においては、新しいニュータウンができますと元の地域ではなかったところへたくさんの方が住まれるというようなことで、保護司不在の地域がぽこっぽこっとできたりしておるようなことでございますので、そういうところを状況を見ながら公募のような形で保護司を増やす。  今、九三%、充足率、定員に対してでございますが、一〇〇%まで持っていく。さらには、状況を見てもう少し保護司定員を増やすことも検討すべきだと思いますが、そういった辺りは全部、再犯防止チーム、三ッ林政務官のチームでも検討してもらっておりますし、また有識者会議でも様々な御議論がなされておるところでございます。
  25. 谷川秀善

    谷川秀善君 数が増えるだけで機能が果たせるかという問題とは違うと思いますので、だから、数からいえば、今、仮出獄者執行猶予者の数から見ましても、そんなに保護司さんの数が足らぬということではないのではないかなと思いますが、実態をよく調べていただいて、実態は半分ぐらい働いていないんですよ。名前だけの保護司が相当おるはずです、これ。なかなか、これは法務省としては非常に、保護観察処分者は調べにくいと思いますけど、実際はそんな実態なんですよ。そうすると、しっかりやっている人のところの保護司さんのところへみんな負担が掛かっていると。だから、半分、まともに半分働いているかどうか、機能しているかどうかというようなぐらいだと、私はずっと実態をよく知っていますんで思いますので、その辺の精査も含めて、幾らぐらいの数があればいいのか。  だんだん今犯罪が増加傾向にございますから、その辺のところもあろうかと思いますけれども、その辺は十分機能的な役割が果たせるように、何もお金をどんどん使うだけが能やないと思いますから、その辺はよくこれからお考えをいただきたいと思いますが。  それと、保護司さん、大体主に保護司さんですよ、それと同時に、いろんなこまい、今大臣がおっしゃったように更生保護女性会だとか雇用主のいろんな団体だとか、いろいろございますが、中にちょっと特異なというか特筆すべきなのは、BBSというのがあるんですね。私も若い時分やっていたんですよ、BBSを。最近聞いて、まだBBSあるのいうて言っていたんですけれども。このBBSの活動がほとんど、余り知られていないです、実態としては。だから、このBBSは現在どれぐらいおられて、どういう活動を中心にやっておられるのか、その点お伺いをいたしたいと思います。
  26. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) BBSでございますけれども、先生御指摘のとおり、ビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズという意味でございまして、お兄さん、お姉さんのような立場から非行少年の良い友達となって、少年の更生を援助するとともに、犯罪や非行のない地域社会の実現を目指した活動を行っている青年のボランティア団体でございます。現在、全国で約五千七百人の会員がおられます。  BBS会では、保護観察に付された少年への相談活動とか学習支援を行いますともだち活動、あるいは保護観察所が行います社会参加活動への参加協力をいただきまして、多様な青少年健全育成活動をしていただいているところでございます。
  27. 谷川秀善

    谷川秀善君 最近は皆さんのそれぞれの勤務形態も違ってまいりましたから、昔は大体、地方へ行きますとお百姓さんが多かったから、大体昼間は割に、昼間とか夜とかは割に暇、暇と言ったら語弊がございますけれども、そういうことでそういう活動が割に活発に行われておったわけです。最近はサラリーマンが増えてまいりましたから、数からいっても、これ、それほど増えていないなという感じを受けております。  最近、ニート、フリーターが多いから、いろいろあるんでしょうけれども、しっかりこういう活動はやっぱりPRをしていただいて、知らない人が多いんではないかと。やっぱり最近の若者も非常にいろんな社会現象に関心を持っておりますから、そういう人たちにやっぱり再度PRをして、しっかり、青少年たくさんおるわけですから、そういう人たちの、何といいますか、相談相手になるとかいろんなことをやる団体ですので、この活動をしっかり加速させていただければなというふうに思います。  しかしながら、この保護観察制度を十分広めていきましても、最近見ていますと、やっぱり保護観察なり仮出獄者が非常に再犯を犯すといいますか、再び犯罪に走るというのが非常に増えてまいりました。それもしかも凶悪な犯罪を犯すということが増えてまいりまして、保護観察どうしているのかなというような疑問も起こってきているわけです。  そういう意味では、この保護観察機能は、多分保護観察、数少ないですね、千人足らずの保護観察官と、いわゆる主体を成している五万人そこそこの、近い保護司さんで保護観察制度というものを、日本の保護観察制度を運用していただいているわけでございますので、なかなか手が回らないという部分もあるのかも分かりませんが、この両者、官民で両者が相まって保護観察を進めていっていただいているわけでございますので、是非この保護観察制度がしっかりと機能するように、大臣、どういうふうに運営をしていけばいいかというふうにお考えでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  28. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生御指摘のとおり、保護観察対象者による重大再犯事件が相次いで発生したことにつきましては、誠に遺憾に思っております。  更生保護制度、官と民の協力の下で再犯を防止する、そして安全、安心社会を確保するという有用な制度ではございますが、社会情勢も変化してまいりましたし、更生改善を図ることが困難な対象者も増えてまいっておりますし、先生御指摘のとおり、国民が期待している再犯防止機能を十分に発揮していないんじゃないかという、そういう面もあることも事実であると思います。  今、有識者会議でも御検討願っておりますし、三ッ林政務官の再犯防止プロジェクトチームでも議論をいただいております。保護観察からの離脱を許さない、処遇の充実強化を図る、就労支援を強化する、こういったところが特に重要であると思っております。既に所在不明者の調査の充実などの緊急対策を講じておるところでございますが、先ほど申しましたように、有識者会議の議論とか三ッ林チームの検討結果を踏まえまして、保護観察制度全般を見直して、より実効性のあるものにしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 谷川秀善

    谷川秀善君 どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  それで、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案でございますが、これはいわゆる仮釈放をどうするかと決めるいわゆる地方更生保護委員会委員を増員をするという法案でございますが、犯罪がどんどんどんどん増える傾向にございます。同時に、刑務所もどんどん満杯になっておるようでございますので、そういう意味では、更生が十分うまくいけば、できるだけ、要件に合えば仮釈放をして社会に出てもらって、また社会人として働いてもらうというのは私は非常にいいことだろうと思いますが、どうもそれがうまく機能しているかどうか。  この仮釈放を受けた人がまた犯罪に走るというのが相当また増えてきておりますので、そういう意味では、非常にこの仮釈放を審査する更生保護委員会委員さんというのはこれからますます私は役割は重要になってくるのではないかというふうに思いますが、そういう意味では、この仮釈放の申請受理件数も最近増加しているのではないかなと思いますが、最近の仮釈放申請受理件数はどういう状況になっておるのでしょうか、お伺いをいたします。
  30. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 地方更生保護委員会が受理しております仮釈放申請事件の最近の十年間を見てみますと、平成七年は一万六千八百三十五件でございました。その五年後の平成十二年は二万百二十件でございました。平成十六年ではこれが二万四千百三十一件となりまして、この十年間で約四三%の増加になっております。
  31. 谷川秀善

    谷川秀善君 これは少年院の数字も入っているんですか。これは別ですか。仮退院というのは入っていないんでしょうか、どうでしょうか。
  32. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) ただいまの数字刑務所からの仮出獄の申請の件数でございますので、少年院からの仮退院の申請件数は入っておりません。
  33. 谷川秀善

    谷川秀善君 入ってない。
  34. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 入っておりません。
  35. 谷川秀善

    谷川秀善君 これも相当あるんですね、いわゆる少年院の仮退院といいますか、これも大体五千四百六十六件、これは平成十六年であるようですね。だから、これも審査するわけですね。そうすると、審査件数は相当な数になろうと思いますが、余り機械的には判断できないんだろうと。これも地方によっていろいろ異なっているのではないかと思いますが、大体私の調べたところでは、件数からいうと、近畿と関東、これで大体半数、約半数ぐらいあるのではないかというふうに思いますが、これは大体受理して実際結果が出るまでにはどれぐらいの日数が審査のために必要なんでしょうか。
  36. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 申請から決定までに要する期間につきましては、事案により異なりますけれども、短い場合で一月以内、長い場合では一年を超えることもございます。平成十六年におきまして終結いたしました受刑者仮釈放審理事件のうち、約八割は仮釈放申請によって審理を開始した後三か月以内に審理を終結いたしております。  それから、先ほどちょっと私、間違ったことを申しましたので、訂正させていただきます。  先ほどの仮釈放の件数でございますが、これは少年院からの仮退院の数を含んでおる数字でございますので、訂正させていただきます。
  37. 谷川秀善

    谷川秀善君 この仮釈放は、これは条件が付いておりますね。刑法二十八条では、有期刑では刑期の三分の一、無期刑では十年を経過した受刑者対象となると、こうなっておるわけですが、大体この無期刑で十年、これは高齢化して、まあこれは刑法の問題だろうと思いますが、高齢化してきますから、十年を経過してもその先相当あるのではないかなというふうに思います。だから私は、この仮釈放の条件が、これは将来の刑法の問題だろうと思いますけれども、ちょっと甘い、甘いというか、条件が甘いんではないかと、全般的に私そう思っているんでしょうけれども、いかがでございましょうか。
  38. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 法律上の要件といたしましては、委員御指摘のとおり、有期刑については三分の一、無期刑については十年を経過すれば仮釈放を許すことができると、こうなっておるわけでございますけれども、運用の実情を見てみますと、有期刑の者につきましては、例えば平成七年を見てみますと、刑期の九〇%ないし九四%を執行を終えている者が最も多く、それから次いで八五%ないし八九%であった者が二番目になっております。それから平成十六年について見ますと、執行済みの刑期が八五%ないし八九%であった者が最も多く、次が八〇%ないし八四%であった者となっております。また、無期刑についてこれを見ますと、平均受刑在所期間は平成十二年の場合は二十一年と二か月、平成十六年が二十五年と十か月となっておりまして、法律上の刑期の三分の一あるいは十年というよりは相当長くなっているのが実情でございます。
  39. 谷川秀善

    谷川秀善君 実際の運用は今局長がおっしゃったように相当刑期が進んでいると、もう九〇%近く刑を終えているということだろうと、無期刑についても相当年数がたっているということだろうと思うんですが、刑務所も満員やから、できるだけいいのは出てもろうてということは別にないんだろうと思いますが、実際はこれは、いわゆるあれですか、その一番眼目は私はやっぱり再犯のおそれがないことだろうと思うんですね、一番の審査する眼目は。ところが、刑務所へ入っていますと、特にという人以外は大体、何といいますか、矯正効果というのはある程度、その間は私はある程度出るんじゃないかというふうに思いますから、大体九〇%ぐらい刑期を修めると、大体ほとんどの人と言ったら語弊がございますが、仮釈放になるのではないかなと思いますけれども、大体申請を出した該当者が仮釈放になるのは何%ぐらいなんでしょうか。
  40. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 約九七%強であると承知しております。
  41. 谷川秀善

    谷川秀善君 やっぱりそうですね、大体申請が出ればよっぽどのことのない限り大体仮釈放許可が下りるということですね。ところが、それが大体、最近非常にその再犯率がといいますか、その仮釈放の人が罪を犯す率が非常に高い。再犯率は最近どれぐらい、仮釈放の人で再犯率はどれぐらいになっているんでしょうか。
  42. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 保護局では、保護観察の期間中にその者が何らかの犯罪を犯して刑を受けたとか処分を受けたと、こういうものを把握しております。それを再処分率と呼んでおりますけれども、これは約一・一%でございます。
  43. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうすると、余り再犯率は高くないですな、これ一・一%ということは。  これはあれですか、いわゆる、仮出所しますね、仮出所すると、その保護観察をいつまで付けるというのは決めるわけですか、仮出所のときに。これは刑期、例えば九〇%刑期が終えたと、それで仮出獄すると、そうすると、あとの残りの一〇%分、例えば十年なら九年で出れば一年分を保護観察というか観察をすると、こういう制度になっているんでしょうか、いかがでしょうか。
  44. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 仮出獄の場合は、残りの刑期が保護観察の期間となります。有期刑の場合、平均いたしますと約五・三か月ぐらいでございます。  先ほど御説明いたしましたとおり、保護局では、保護観察対象期間中しかその者の動向を把握できませんので、その間に犯罪を犯して裁判を受けたり、あるいは何らかの処分を受けた場合の率が一・一%であるというふうに申し上げたわけでございます。その後、犯して刑務所に再び戻っていく方も相当おります。  それから、執行猶予者の場合はその執行猶予の期間が大体三年ないし五年ぐらいと長うございます。したがいまして、執行猶予者について見ますと、その間に再犯を犯して処分を受ける者の割合は相当高くなりまして、たしか三割は超えていたというふうに思います。  その再犯の率というものを見る場合に、どこで見れば一番いいのかが私どもで今課題になっております。刑務所から出た人が何年以内に何割ぐらい戻ってくるかというのを再入率というような言葉で呼んでおりますけれども、これは矯正局の方で把握しておりますが、これは相当高い数字でございます。
  45. 谷川秀善

    谷川秀善君 だから、むしろあれですね、いわゆる仮出獄にしても執行猶予者にしても、だからその期間は割に、何といいますか、再犯をしないと、しないと言ったら語弊ございますが、再犯率はそんな上がらない。それ終わってから、まあ多分そうでしょうね、せっかく仮出獄したんですから、その間にまた犯罪を犯したらもうまた逆戻りだということで、ある程度自制が私は利いておるし、そして保護司さんなり保護観察所なりの役目もある程度果たせているというふうに思いますが、むしろですね。それから後が問題ですよね、それから後が問題。そうすると、大体、更生保護委員会で審査をするときに、一番大事な再犯のおそれがないというところの判断がこれは非常にまた難しいと思いますね。そして、結果的に見ますと、今おっしゃったように、それ以後の再犯率というのは非常に、非常にというか、その期間の間よりは非常に高いと。  これはやっぱり社会にも原因があるんでしょうし、いろんな条件も加味されてそういう再犯率が上がるのではないかなというふうに思いますけれども、この更生保護委員会で審査をされる場合に、再犯のおそれがないというのはどういう点で判断をされるんでしょうか。それと同時に、まあ反省だとかいろいろあると思いますけれども、一番の眼目は再犯のおそれでしょうから、その点はどういう、何か科学的知見でそれぞれおやりになるんでしょうか、いかがでしょうか。
  46. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 仮釈放許可の基準につきましては、刑法の規定で「改悛の状があるとき」というふうに定められておるわけでございますけれども、それを受けまして、仮釈放規則と通常呼んでおりますけれども、規則で四つの要件を定めております。その中に再犯のおそれがないことというのがあるわけでございまして、これが委員御指摘のとおり大変難しい要件であると考えております。  現在、委員会におきましては、受刑者本人の人格、それから受刑中の行状、それから受刑前の生活方法などの関係事項を調査いたします。それを踏まえまして本人に面接をいたしまして、そのとき、どういうことを話するのか、あるいはどういう態度を取っているのかと、そういうようなことから総合的に今判断をしているということでございます。  それから、特に犯罪の動機とか態様が特異であるなど、再犯のおそれについて特に慎重に見極める必要がある事件もございます。これらにつきましては、同じ委員が何回か会ったり、あるいは別の委員が会ったりするようなこともございますし、来年度以降は精神医学、心理学等の専門家から意見を徴するための予算が計上されておりますので、この制度も活用して仮釈放審理に活用いたしたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、結果的に安城事件のような重大事件が起こっていることは間違いございませんので、今後ともこの再犯のおそれという要件については、委員の判断能力をどうしたら向上できるかという点について一層研究を進めてまいりたいと思っております。
  47. 谷川秀善

    谷川秀善君 是非、今局長がおっしゃったように、何といいますか、心理学の専門家にもいろいろ立ち会っていただいて判断をしていただきたい。  大体、この更生保護委員さんの経歴を見てみますと、行刑関係者の方々がほとんどでございまして、そういう意味では、何といいますか、心理学者とかそういう人は別に入る必要はないと思いますけれども、そういう委員になる必要はないと思いますけれども、やっぱりしっかりとそういう知見を取っていただいてしっかり、再犯のおそれが少ないと、再犯のおそれがないということを是非担保していただきたい。それでもやっぱり犯す人は犯すわけでございますから、そういう意味では是非よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  法務省では更生保護のあり方を考える有識者会議というものをおつくりになっていろいろ議論をされておられるようでございますが、是非ここでしっかりと議論をしていただいて、これからの更生保護行政をどう守っていくか。捕まえて刑に服させるというのはある程度私は日本の法治国家としてはできていると思いますが、その刑を服さした後のフォローが余り、その前半よりは非常に欠けている部分が多いというふうに私は常々思っておりますので、是非そのフォローをしっかりやっていただくということが犯罪を防ぐということにつながるわけでございますので、是非よろしくお願いをいたしたい。  最後に、大臣更生保護に対する決意といいますか、お考えをお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  48. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生の御指摘、重く受け止めさせていただきます。  この有識者会議の設置そのものは、保護観察対象者による重大再犯事件が相次いだことを契機として保護観察の実効性について国民から厳しい目が向けられたということから、昨年の七月、様々な分野の有識者から構成される会議を立ち上げたわけでございます。昨年七月二十日の第一回会議以降これまで十一回開催しておりますが、昨年十二月には中間報告をちょうだいしました。先生方もう既にお読みいただいていると思います。  この中間報告につきましては、全保護司に配付すると同時に、パブリックコメントを約一か月間、に付しまして、国民の意見を聴く機会も設けました。現在はそれを基にして御検討いただいておりまして、本年五月に最終報告を提言をいただくというふうに伺っておるところでございます。  一方、三ッ林政務官を長とする再犯防止PTの方も頻繁に検討を進めております。先生御指摘の、刑の執行を終えた者、満期で出所した後の人たち、少年院を退院した後の人たち、現状では国として法的根拠を持って手が伸ばせない状態があるわけでございまして、そこからそういう人たち再犯を犯さないようにするにはどうしたらいいか、今真剣に検討をいたしておるところでございます。  先ほど説明がございましたが、五年以内の再入率は、刑務所で三〇%とかいうんですが、五年を超える者になりますともっと多くなります。まあ、いろんな数字がございまして、データベースをきちっとしようということで、これはこれで検討しておりますが、おおむね刑務所出所者の場合は再犯率が約五割、少年院の場合は再犯率が二割、少年院の場合八割も更生しているということはある意味ではすばらしいことだと思いますが、しかし再犯率がおおむね二割ぐらいあると。これを減らすためには、国としても地方自治体や民間企業等と協力してやるべきことがあるんじゃなかろうかと。  特に、そういうふうに再犯を犯す人のほとんど、大部分と言ってもいいわけですが、出獄後職がない無職者が大多数でございます。逆に、出所後職を得た人たち再犯率というのは極めて低いという事実がございますので、むしろその仕事をつくり出すと、そういうことが大事だろうと。これは民間の協力も要りますし、地方自治体の協力も要りますが、そういう面で協力してまいりたいと、再犯防止プロジェクトチームで検討を進めておるところでございます。
  49. 谷川秀善

    谷川秀善君 終わります。
  50. 前川清成

    前川清成君 民主党の前川清成でございます。  先ほど来、日ごろ敬愛する谷川先生の御質問を、私と同じ問題意識を持ってお尋ねいただいているのではないか、そう思って拝聴させていただいておりました。国民の安全を守る、この点については与党も野党もない、国民の安全と安心を守ることこそ今政治に課せられた最も大きな課題だと私も信じています。  その点で、大臣、今、谷川委員の御質問に答えて、るる事情やあるいは経緯等を御答弁いただきましたけれども、大臣自身のお言葉で国民に向けた骨太のメッセージを、安全を守るんだという骨太のメッセージを是非冒頭お聞かせいただけませんでしょうか。
  51. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生御指摘のとおり、国民の安心と安全を守ること、国の責務は国民の生命、財産を守ることが基本でございます。我が国社会は法の支配に基づく、法の支配が貫徹している社会でございますので、法務省の果たす役割は非常に大きゅうございます。課題は多々ございますけれども、五万一千職員とともに全力を挙げて当たってまいりたいと思っている次第でございます。
  52. 前川清成

    前川清成君 それで、大臣、本題に入る前に少し余分なことをお尋ねいたしたいと思います。  今月二十七日に、東京高等裁判所が松本智津夫被告に対する控訴を棄却しました。このまま一審の死刑判決が確定すると、こういうふうな公算が大きいというふうに報道されておりますが、大臣在任中の死刑執行については結局どうなったのかと、結論をお聞かせいただきたいと思います。  就任時の記者会見で大臣自身はサインをしないと、こういうふうに明言をなさいました。しかしながら、直ちに、その日のうちに個人としての心情を吐露したというふうな弁解をされました。ただ、はっきり、死刑を執行しないのかどうかについては翌日の会見でケースによるんだと、こういうふうにおっしゃっています。  そこで是非、この機会に大臣の真意を明確にしていただきたいと思います。結局、大臣在任中、死刑執行はなさらないのか、そうじゃないのか、お願いいたします。
  53. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 就任時の記者会見のときの私の発言につきましては先生御指摘のとおりでございまして、個人の心情を吐露したわけですが、これは法の執行者たる法務大臣としての職務の執行について述べたものではございませんでした。したがいまして、誤解を与えるおそれがあると思いまして、直ちに訂正方の措置を講じたものでございます。  法務大臣の所信に対する質疑の際にも再三お答え申し上げておりますが、死刑の執行当たりましては適正適切に対処いたしてまいります。死刑事件はもうそれぞれ個性がございますので、適切に、適正に対処いたしてまいります。
  54. 前川清成

    前川清成君 大臣は、その就任時の会見で、トルコのような回教国ですらEUに入るため死刑制度を廃止したんですと、文明論的に言えば、方向とすれば、長いスパンを取れば廃止の方向に向かうのではないかという感じもすると、こういうふうに御発言になっているというふうに報道されています。  このとおりだとすると、大臣のお考えとしては、文明が徐々に高度化すればやがて死刑もなくなると、こういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  55. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 質問に答えた形で申し上げたわけなんですが、死刑問題は非常に難しいと思います。例えば、回教法では、トルコの例は希有の例でございまして、回教国では難しかろう。まあそういう質問があったから私なりの考えを申し上げたわけでございまして、文明の進歩とかそういうものと余り関係は、文明そのものの問題だと言ってよろしいんじゃないかということを記者会見のときに申し上げたわけでございます。
  56. 前川清成

    前川清成君 光市で母子の殺人事件が起こりまして、その御遺族の御主人がずっと、加害者である当時十八歳であった少年に対して死刑を求めています。  法務大臣としては、そのような被害者あるいは御遺族の心情、こういったものは十分お考えいただいている、御理解いただいていると、こうお聞きしてよろしいんでしょうか。
  57. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 被害者の心情はもう十二分に理解しているつもりでございます。私の先輩であり、親友の岡村勲弁護士が奥様を亡くされまして、被害者救済のために立ち上がられたわけでありますが、岡村先生の御意向を受けて、被害者救済制度の立ち上げのために、私も国会議員として微力を尽くさせていただいた次第でございます。  どの事件であれ、被害者方々、事件には必ず伴うわけですけれども、その心情は誠に理解できるものであって、きちっと国としても対応していかなきゃならないと思っております。
  58. 前川清成

    前川清成君 続いて、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいんですが、この犯罪者予防更生法の十六条一項、十六条一項は、「委員三人で構成する合議体で、その権限を行う。」と、こういうふうに書かれています。どうしてこの三人の合議体で権限を行うのか、その点、御答弁いただきたいと思います。
  59. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 仮釈放というのは、裁判で定められた収容期間が終わる前に、満了する前に被収容者を仮に釈放するという刑事政策上重要な意味を持つものでございまして、したがって、その決定については、合議体によって慎重な審理をする必要があるという考量によるものだと思っております。
  60. 前川清成

    前川清成君 合議体で慎重に審理をする必要があるんだと、こういうお答えでした。  ただ、今回の御提案ですが、委員の上限を十二名から十四名に引き上げると。これは、具体的に指摘させていただければ、関東地方更生保護委員会委員の人数が現在十二人、それを十四名にすると、こういうことなんだろうと思うんですが、十四名でありますと、三では割り切れない。三の合議体をつくろうとしますと、四余り二になってしまう。今回、近畿についても現在九人の委員数を十人に、こうなっています。この十も、やはり三余り一になってしまいます。どうして十五人というふうに提案なさらなかったのか、あるいは九ではなく十二人というふうに御提案なさらなかったのか。この十四人あるいは十人、これは増員の意味があるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  61. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) その場合には、一人の委員の方が二つの合議体に加わるという形でやっております。各地ともそういうふうにやっております。  正直に申しまして、定員増につきましては公務員の全体として厳しく制限されておるところでございまして、私どもとしては一名でも多く増員する必要があると思っておったわけですが、もろもろのそういう経過から、取りあえず十二を十四にするというふうにお決めいただいたわけであります。  これだけ増やしていただいたことによりまして、仮釈放審理事件は増加して、事案も非常に複雑困難化している事件が多いわけでございますが、この二名の増員によりましてかなり緩和されるんではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
  62. 前川清成

    前川清成君 この二名の増員でかなり緩和されるかどうか、この点については、大臣、また後で詳しく御意見をお伺いしたいと思っているんですが、その前に、予算定員の問題を今おっしゃっていただきました。私たちちょっと野党なのでよく分からないところが正直なんですが、今、十四名しか予算定員認められなかった、だから十四名出したんだと、こういうお話でしたが、先ほど麻生さんが保護観察官予算定数は九百九十七なんだと、それに対して実数は六百三十だと。これ差し引きしますと三百六十人、差があるんですね。  今のは、例えば、一人、二人というレベルの、一人、二人、三人というレベルの話なんですけれども、実際三人で合議することが前提になっている制度、それの増員に当たって予算というのはそれほど大きな障害になってしまうものなんでしょうか。
  63. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生の御指摘はある面もっともなんですが、今までも一人の委員が二つの合議体を兼ねるということは運用としてやっておりました。ですから、本当はもう少しいただきたいけれども、十二を十四にしていただければ関東については二人増えますから、一人当たりの担当件数もかなり減ることになりますので、その分だけプラスになることは明白でございます。  それから、保護観察官の数は、これちょっと事務方に説明さした方がいいと思うんですが、保護観察の業務に携わっているのは六百何人であって、そのほかの業務もやっておるんです、保護観察官は。そこはちょっと、あっ、いませんか、登録されていませんか。定員があるのに採用していないという趣旨ではございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  64. 前川清成

    前川清成君 今のあと一人、あと二人という話はちょっと私たち野党なんでよく分からないんですけれどもね、正直言って。  ただ、昨年、惨敗しました衆議院選挙で、私たち民主党は、税金の使い道をコンクリートから人に変えたいと、こういうふうに訴えました。選挙の結果はともかく、あの訴え自体は私は正しかったと今も思っています。  是非、この安全を守る、これが国の最も大事な責務なんだというふうに大臣自身もお考えいただいているわけですから、この安全を守る分野について、是非財務省との予算折衝においてもまた機会がありましたら御尽力をお願いしたいと、こういうふうに思います。
  65. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 応援をしていただきまして、有り難いと思っております。  予算全体から見ますと、治安関係についてはおおむね純増でございます。例えば、裁判官は七十五名ですか、検察官五十名、公安調査庁も増えておりますし、入管の方も百五十名増、純増でございます。法務省の中でも、法務局はこれは純減で、大幅減でございます。これは、コンピューター化が進みまして、支局の統廃合がかなり進んでおります。統廃合に伴う減と、事務の合理化に伴う減ということでございます。  最後、民間開放会議と随分激論いたしましたのは、公務員の純減を刑務所の中の公権力の執行者まで五%掛けろというような意見が出てまいりましたので、全体としてはアウトソーシングその他で公務員を減らすように努力いたしますが、しかし、公権力行使の部分は、刑務所を増やしているのであって増員は避けられないと、その部分を減らすわけにはまいらないということをよく御説明をして、これは御理解をいただいたという経緯がございます。
  66. 前川清成

    前川清成君 それで、地方更生保護委員の、今までから二つの合議体にまたがって仕事をしているんだというふうな大臣の御説明ありましたので、その点ちょっと御確認をさせていただきたいと思います。  これ恐らく、東北地方更生保護委員会の十七年度定数が五人ですから、これは一合議体で余り二になっているんだろうと、余り二の方は入れ替わりされているのかなと、こんなふうに思います。中国更生保護委員会定数は五なんですね。すると一合議体で、その一合議体について二人の方が入れ替わり立ち替わりなさっているんだろうと、こう思うんですけれども、今回、関東の場合は十四になりますので、余り二になりますよね。その余り二の方は二つの合議体またがって仕事をすると。だから、ある日はAという合議体で働いて、翌日はBという合議体で働くと、そういう形になるんでしょうか。    〔委員長退席、理事谷川秀善君着席〕  そうなるとしますと、合議体で判断をすると、こういうふうになっています、法律の建前で。すると、またがって仕事をする地方更生委員は二人分働かなければならないのではないかと、人の二倍働かなければならないのではないかと、それが物理的に可能なのかというのがそもそもの疑問なんです。
  67. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 運営の実態でございますので、ちょっと私、間違うことがあるかもしれませんが、例えば東北の五人でございますと、合議体二だと思います。お一人の方が両方へ加わるという形になっています。この委員先生方は、ほとんど平等に事件を担当いたします。東北が五百件であるとすれば、お一人百件、大体おおむね平等にタッチいたしますから、合議体に二つに加わる方は、合議に関しては倍になるということでございます。  ただ、運用を見ていますと、各地域とも合議は月曜日になさっているようですね、月曜日に。ですから、あとの日はといいますか、合議以外の時間は現場へ出掛けて面接したりなんなり仕事をなさるわけでございますが、ですから、月曜日の合議を例えば午前中Aという合議体、午後Bという、それは実際どうなさっているかは実にいろいろだと思うんですが、そういうようなことで、合議の部分についてはお一人の方に負担が掛かるというふうになるんだと思います。  ですから、今度は関東の場合も、恐らく合議体が一つ増えまして、合議体が一つ増えて、兼任されるお方が一人増えるのではなかろうかというふうに思っております。合議体が一つ増えることによってこの処理の件数が増えるというふうに相なるのではないかと推測をしております。  ちょっと実際の運用どうなりますのか、事務方に聞いてみないと分からない面ありますが。
  68. 前川清成

    前川清成君 手続のこととか細かなことは大臣、気にしていただかなくて結構でございます。それはそんなことを大臣に知っていただこうなどということは思っておりませんので。  ただ、大臣、この白表紙に添付されております地方更生保護委員会別の仮釈放申請受理件数、委員一人当たりの事件数という表を見ますと、関東地方更生保護委員会では一年間の仮釈放件数が七千百一件、委員一人当たり五百九十二件と、こういうふうに書かれています。    〔理事谷川秀善君退席、委員長着席〕  三人の合議体で判断するわけですから、自分が直接主査でない事件についても当然内容を知ってなければならないでしょうし、当然内容について検討なさってるはずだと思うんです。そういたしますと、委員一人当たりの事件数というのは、合議体である以上、この五百九十二ではなくて、五百九十二掛ける三である千七百七十六というのが正しいのではないかと私は思っています。すると、千七百七十六件もの事件をこの地方更生保護委員会先生方が、委員方々がどうやって処理をされているのかと。それはもう死に物狂いの努力をなさっても物理的に不可能ではないのかな。この地方更生保護委員会の三人の委員が合議で決める、このシステム自体がもう限界に来ているのではないかなと。十二人を十四人にすると、そういう小手先の改革ではなくて、もっと抜本的に見直さなければならない時期が来ているのではないかなと、私はそう思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  69. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 私は、八管区全部回りまして、八管区の更生保護委員会方々とも意見交換してまいりました、現場を見てまいりました。今後、検討すべき課題は多々あると思います。大変な業務量です、業務量は。業務量でございまして、よく耐えてやっておられると、正直にそういう印象を持ちました。ただし、使命感を持って、非常に士気が高い、一生懸命やっておられるという印象は受けました。  例えば、検察官に検察事務官が付いていますね、補佐の。この委員先生方は直接はいないんですね。保護観察官が付いてまして事前調査やるんですね。ですけれども、御自分で報告書を打っておられるんで、事務の補佐は付けた方がいいのじゃないかなという印象を持ちました。ただ定員の問題がありますし、ともかく業務は、もう仕事に追われて大変な状況だということは先生おっしゃるとおりで、今後検討すべき点はいろいろあると思います。  ただ、事件はお一人の委員に一つの事件、責任を持って調査するのを任せるわけですね。事前調査を保護観察官がやり、家裁の調査官みたいなものです、調査をした詳細な報告に基づいて委員検討する。全員がそれをやった上で、合議では、三人で合議するわけですが、記録をざっとごらんになるというよりも、一人の主任の人が自分の責任でこういうふうに判断したことに対して合議で議論して、それはおかしいじゃないのかという議論を十分やるということでございますから、件数として三倍持ったということではないと。  そういうことで、合議して判断することに使うわけですから、事件は一人の委員が責任を持って、事前の準備調査を保護観察官にやらせて、自分が責任を持って検討するということで、単純に三倍ではないと思っておりますが。
  70. 前川清成

    前川清成君 大臣、私は委員方々がそれぞれ熱意を持って仕事をしていただいていると思います。それを否定するつもりはないんです。ただ、人間の能力の限界もあります。既にそのシステムの堪え得る限界を超えた事件数が今地方更生保護委員会にかかっているのではないか、だから抜本的な見直しが必要ではないかと、こういうふうに申し上げているんです。  今、大臣の方から、三名は合議するんで、実際責任を持って判断するのは一人一件だというお話がありました。  確かに、決定に当たっては仮出獄許可決定書というようなものを起案するそうです。これについては委員三名がそれぞれ捺印する、そういう書式になっています。ただ実際は、大臣おっしゃるように、一人の方が起案されるんだろうと思います。一人の方が起案するとしますと、先ほどの関東地方更生保護委員会の例でただしますと、委員が一年間に五百九十二件、この仮出獄許可決定書を起案することになります。  この決定書の中には、更生の意欲であるとか再犯のおそれであるとか、あるいは反省の程度、そういった事ごとをお書き込みになられるんだろうと思うんですけれども、その委員の職務実態、この五百九十二件を一年三百六十五日を掛けて実は書き上げているのではなく、大臣がいみじくもおっしゃったように、私たち民主党でも関東地方更生保護委員会を視察してまいりました。そのとき伺ったんですが、大臣おっしゃったように、月曜日は合議に当てているそうです。火、水、木は刑務所へなど面接のために出張しているそうです。金曜日だけが在庁日だそうです。そういたしますと、この金曜日一日で年間五百九十二件の決定書を書いているということになります。  金曜日だけ、一日も休まなかったとして、年間に約五十日です。五百九十二件を五十日で割りますと、一日に十一・八四、約十二件。毎日十二件の決定を書かなければならない。四十分に一件の割合。裁判官が四十分に一件ずつ判決を書いていますというふうに説明を聞きますと、私たちはそれはちょっと手を抜いているのと違うか、そんなのは十分に審議してないんじゃないかなと、ただ印鑑を押しているだけじゃないかなと、そういうふうに疑ってしまいます。  同じように、地方更生保護委員会委員先生方が一生懸命仕事に取り組んでいただいているとしても、四十分に一件ずつ、それぞれの個性が別々の、経歴が別々の、その受刑者の更生意欲や反省の程度あるいは再犯のおそれ、こんなものを四十分で書き上げることが可能なのかどうなのかと、私はそんなことは物理的にあり得ない、そう思っています。大臣、いかがですか、四十分に一件です。
  71. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 実際の現場を私見ておりませんので、書いているですね、実際には、準備調査といいますか、保護観察官が家庭裁判所の調査官と同じように綿密になされておるようでございます。もちろん、委員先生方も、法律上義務付けられておりますから、本人に面接します。面接は最低二回やると。保護観察官委員が本人に会って実情を聴取すると、これが一番の肝心な点なんですが、その書類の処理については、金曜日だけじゃなくて随時やっておられるようですね、時間を見付けては。ただし、大変な量だと、私はその起案の補助者が要るんじゃないかと、正直に、なかなか認められないでしょうが感じたぐらいでございますが、大変な量であることは間違いないと思います。
  72. 前川清成

    前川清成君 もう少し、ちょっとシステムが限界に達しているのではないかということで大臣の御見解を伺いたいんですが、地方更生保護委員委員は現在五十三名ですが、そのうち四十三名が保護観察官の御出身だそうです。今大臣おっしゃったように、事前に、その審理に先立って、地方更生保護委員会の審理に先立って保護観察官による事前調査というのがなされています。  そうであるならば、保護観察官による事前の調査と保護観察官から出世した地方更生保護委員会委員による審理、これは審理の中身も全く同じじゃないのかと、屋上屋を重ねているもの、二重で不要なのではないかなと、こんなふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  73. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) そういう懸念はないわけじゃないと思います。有識者会議でも様々な議論がなされていると伺っております。  ただ、委員方々は大部分、保護観察官から就任される方が多いんですね。任期はございませんが、大体五十代後半から、要するに保護観察官の中で優秀な人を任命すると。大体検察官と同じで、六十三歳を超えますと任命しないと。任期はございませんが、大体そういう運用になっております。  ですから、委員方々は、ある意味では仮釈放その他長い間やってきた経験者であり、実務をよく知っている人たちであり、犯罪者の改悛の情なんかも、もういつも対面して話をしているわけですから、一番大事なそこの状況を把握するには、よその役所から来られた人だとか行政に携わっていない人よりもその核心については一番適任者ではなかろうかと。法務省でもよその部署から持ってくるわけじゃないんです、保護観察官を長年やった人の中から適任者を任命するというふうにしております。先生のような御指摘も確かにあることは承知しておりますし、有識者会議でもいろいろ議論されておると聞いております。  例えば一例ですけれども、月曜日に合議やるわけですから、非常勤の外部の方をその合議に参加していただいて御意見を伺うと。例えば、医者とか心理学者とか、そういうこともその中身について適正に判断するという点では適正なのではないかという議論もございます。これは有識者会議とかあるいは三ッ林検討チームで、その辺りいかにしたら適正な仮釈放を行うかということでございますので、その担保をするためにはどうしたらいいかという点は検討されるものと承知をいたしております。
  74. 前川清成

    前川清成君 一つの考え方としては、保護観察官保護観察官的な専門的知識や経験に基づいて事前調査をするのであれば、今度は別の視点で、一般教養といいますか、スペシャリストに対してゼネラリストが審査をする、そういう制度の立て方もあるのではないかと。専門家の間違いを広く教養に基づいて審理すると、そういう立て方もあるのではないかなと思いますので、また御検討をお願いしたいと思います。  それで、私は、大臣の御発言について揚げ足を拾うというような気持ちは全くないんですが、ただ、今大臣が肯定的におっしゃった事柄がこの有識者会議の中間報告の中で非常に批判的に書かれている点がありますので、御指摘を申し上げて、その点の御意見を伺いたいと思います。  今、大臣の方は、地方更生保護委員会委員保護観察官から出世してきて、優秀な人が出世してきた、だから長い間の職務上の経験とかがあって判断できるんだと、こういうふうにおっしゃいましたが、この有識者会議の中間報告の中では、少し読ませていただきますと、仮釈放の審理の実情を見ると、必ずしも明確とは言えない基準の下、職務上の経験と勘に依拠して判断が行われている、詳細な理由も示されていない、実質的な再審査の機会もないから判断過程の透明性を欠き、判断の正当性の担保も十分と言えないと、こういうふうな大変厳しい指摘があります。  大臣として、この中間報告書の地方更生保護委員会実態に対する批判をどのように受け止めておられるのか、ここで、この中間報告書が否定している判断の透明性であるとかあるいは判断の正当性の担保、この点についてどのようにお考えになっているのか、お伺いいたしたいと思います。
  75. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 中間報告書、承知しております。そういうような御意見が強うございまして、今様々な角度から検討されておるところでございます。その結論を五月ごろ、最終提言ちょうだいするということでございますので、それをちょうだいした上でしっかりと対応措置をとりたいと思っております。  ただ、その現状ですね、現在の委員の在り方、保護観察官の事前調査、そういうものを見ますと、確かにそういう御批判はあり得るんですけれども、保護観察官は家庭裁判所でいえば調査官のような役割であって、あらゆる場面から調査すると、詳細に調査をして、それは刑務所がこの人を仮釈放したいということを言ってきてから調査するわけですが、その詳細な調査を基にして改めて別の委員が責任を持って審査し、そして合議でまたチェックするというシステムを取っておるわけでございまして、そういう批判があることは承知しておりますが、そういう実態から見て、改善すべき点はもちろんあるわけですけれども、おおむね私は、適正な仮出獄の手続が行われてきておるというふうに私は思っております。大変な仕事ですけれどもよくやってくださっておると思います。
  76. 前川清成

    前川清成君 大臣が、おおむねよくやっているし、皆さんよくやっていただいていると、こういうふうに御発言になるのは、やはり法務省のトップというお立場になられたゆえの御発言かなと。しかし、この中間報告書の方は、法務省のトップという視点ではなく国民の目から見た視点で書かれていますので、もう一度虚心坦懐にお考えいただけたらと思います。  それで、今回の犯罪者予防更生法の提案理由の中で二つ提案理由を挙げておられますが、二つ目は、最近における仮出獄者による重大再犯事件を契機としてと、こういうふうにお書きになっています。  これは、先ほど麻生さんがおっしゃっていた愛知県の安城市の事件だろうと思うんですが、この最近における仮出獄者による重大再犯事件を契機として、この日本語にはどのような意味があるのか、どのような思いを込めておられるのか、少し詳細にお答えいただけたらと思っています。
  77. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 昨年二月に安城市におきまして、仮釈放中の者が幼児を殺害したという痛ましい通り魔事件がございました。私の選挙区、昔選挙区だったところ、私の自宅のすぐ近くです。大変な衝撃を地域社会に与えました。  更生保護施設は豊橋だったそうなんですが、豊橋、東三河の方でも、もう全国的に衝撃的だったんですけれども、特に東西三河ではもう連日報道されまして、一体どうなっているんだということを私もいろんな方から聞かれたわけでございます。  あの事件、ほかにも幾つかありましたが、契機となって、ともかく仮釈放が安易になされているんじゃないかと、その在り方に問題があるんじゃないかという強い御指摘が各方面からございまして、仮釈放の審理を適正に行わなきゃいかぬと。仮釈放審理件数は年々増えているし、事案の内容も複雑困難化しているけれども、しかし適正にやらなきゃいかぬということはもう当然のことでありますから、法務省としても検討を始めようということで、ややちょっと遅れたわけですが、七月に有識者会議を開いて、この問題も含めて更生保護の在り方全体を見直そうということで、立派な先生方にお願いをして有識者会議を立ち上げた次第でございます。  今回お願いしている、委員の人数を二名増員する。実際には関東二名、大阪一名、近畿一名増員するわけですが、これによって委員お一人の件数が軽減されると、増えた分だけですね、ことは間違いございませんので、仮釈放審理体制の充実に資するんじゃないかというふうなことでお願いしておるわけでありますが、この改正もこの事件を契機として対策の一環としてお願いしようということになったわけであります。
  78. 前川清成

    前川清成君 私もあの安城市の事件は大変衝撃を受けました。ちょうどあの三か月ほど前に、私や荒井先生は奈良県選挙区から来ているんですけれども、富雄北小学校で小学校一年生の女の子が殺されてしまうという事件があって、それからおよそ二、三か月後にこの事件が起こりましたので、私は当時、予算委員会で南野法務大臣にもお尋ねをしたかと思います。  それで、要するに、今大臣がおっしゃっていただきましたけれども、この今回の十四名にするという御提案ですが、提案理由書に沿って申し上げれば、一つは、近年、受刑者数の急増を背景にして仮釈放事件が増加していると、その結果、委員の負担も過重になっている、平たく言えば忙しくて困ると。こういうことと、二番目には、安城市の氏家事件を再び起こしてはいけないんだと、青山翔馬君の悲劇を再び繰り返してはいけないんだと、この二つが今回の御提案の理由ではないかと、私はそう思っています。また、今の大臣の御説明もそうではないかと理解をさせていただきました。  それで、私たちは今、大臣とは違って法務行政に責任を取る立場ではありませんので、委員の方が忙しいかどうか、それよりも関心があるのは、国民の安全が守られるかどうか、青山翔馬君の悲劇が再び起こらないかどうかと、この点が何よりも気になるところでありますし、心配しているところなんです。  そこで大臣、お伺いしたいんです。委員の数を十二人から十四人に増やすと、この改正で安城市の事件は再び起こらないんでしょうか。少し私は、その提案理由と選択された政策との間にそごがあるのではないかなと、こう思っているんですが、いかがでしょうか。
  79. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 犯罪が行われる原因というのは様々でございます。将来、こういう事件がこの増員によって防げるかどうかと言われますと、仮釈放の事務が適正に行われると、今までよりはですね、それは間違いのうございますので、願わくば、仮釈放の実務が適正に行われて、あのような、結果といたしますと仮釈放を許すべきではなかった事案と言えるのかもしれません、そういう事案を減らしていくということに役立つのではないかと思っております。  ただ、刑期を終えて出る人についてはこの制度は全く働かないわけでありますから、それは別の問題として、三ッ林先生のチームに満期後の再犯対策、どうしたらいいか、今様々に検討をしていただいているところであります。  これは様々な原因で起こるわけですから、もう本当に国挙げて、地域や全員で力を合わせて防衛していくということだと思いますが、国としてやるべきことはもうありとあらゆる角度から検討しようというふうに思っております。
  80. 前川清成

    前川清成君 是非それは三ッ林先生の御検討を期待したいとは思うんですが、大臣、私が実は申し上げたかったのは、地方更生保護委員会の人数の問題で、人数が足らなかったから氏家容疑者が発生してしまったのではなくて、システムの問題を見直す必要があるのではないかと、このことをお尋ねしたかったんです。  報道によりますと、この氏家容疑者というのは、刑務所に入っている間、豊橋支所に入っている間、あるとき突然殴り掛かって暴行事件を起こして、十五日間懲罰房に入れられたことがあると。それ以来、周囲の受刑者からあいつは切れると、危ないやつだというふうに見られて敬遠されていたと、こんなふうな報道があります。切れたら危ない、刑務所でも敬遠されていたその氏家容疑者が、案の定切れてしまって幼い男の子を殺してしまった、これが氏家事件の本質ではなかったのかと。  そうだとすれば、地方更生保護委員会定数の問題ではなくて、むしろ刑務所に問題があったのではないのか。刑務所の方で見抜けなかったのか。刑務所処遇の在り方、体制の在り方、そこもメスを入れておかなければ、青山翔馬君の悲劇をまた繰り返してしまうことになるのではないかなと、こう思っているんです。大臣、いかがでしょうか。
  81. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) お尋ねの氏家容疑者についてでございますが、豊橋刑務支所に収容中、工場における作業時間中に他の受刑者の言動に立腹し、同受刑者の顔面をこぶしで殴ったことにより懲罰を科せられたということの事実はございます。当初十五日間ということが、懲罰中の言動良好により十二日間に短くなっております。また、その後、氏家受刑者がほかの受刑者から敬遠されるようになったという事実は承知しておりません。  確かに刑務所の方から地方更生保護委員会仮釈放の申請を出したわけでございますが、その際にも、主査委員による面接において特に本人に精神的な問題があるようには認めることができませんでしたので、地方更生保護委員会において、当時精神的状況については特段の問題はないと把握をしておりました。
  82. 前川清成

    前川清成君 今現在進行中の氏家容疑者に対する刑事事件ですので仮定的なことを申し上げるべきではないのかもしれませんが、青山翔馬君の頭に刺さったナイフは取っ手まで刺さっていたと、で、下あごまでナイフ、刃渡りの先の部分が達していたと、こういうふうな事件だそうなんです。しかも、いきなり通り掛かりの赤ちゃんに対してこのような加害行為を起こしていますので、恐らくですが、普通の精神状態の者であれば考えも付かないような犯罪ではないかと、そんなふうに私は思っています。  それで、今、河野副大臣おっしゃったように、豊橋刑務所支所からも仮出獄許可申請書が提出されている。ということは、仮出獄の要件であります刑法二十八条の改悛の状があると、すなわち再犯のおそれがないということを刑務所でも認定してしまった。また、その事前調査を行った保護観察官も見落としてしまった。で、三人の地方更生保護委員委員も見落としてしまったと。  これは、地方更生保護委員委員は一年間に五百件も六百件も、あるいは合議の検査を入れれば二千件も担当しなければなりません。だから、それはたまには見落とすことも、あってはいけないことでしょうが、あるかもしれません。ただ、刑務所、毎日接している刑務所がどうして氏家容疑者の異変に気付かなかったのか。やはり刑務所の精神疾患等に対する備えといいますかシステム、これに今問題が、いや、現在の刑務所には問題があるのではないか、そう思っているんですが、今の刑務所に改善すべき点ないんでしょうか。
  83. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 刑務所の中の処遇が適切かどうかという問題だと思います。  刑務所の中では作業に従事させるとかいろいろしておるわけですが、教育的な働き掛けというのは、現行法の下では法律上の根拠に基づいて義務化することはできないようになっております。もちろん、いろんなプログラムを作りまして受刑者が任意に参加するという形で様々な指導プログラムを行っておりますが、どうしても受講しないという受刑者に対して強力に働き掛けることが困難な状況にございます。また、指導プログラムにつきましても、科学的で標準的なものが存在していないんじゃないかという有識者会議での御指摘もあるわけでございまして、確かに十分とは言い難い面もあったと言わざるを得ないと思います。  この点につきましては、本年五月に施行予定の新しい監獄法では、受刑者全般に対して、その者にふさわしいといいますか、適したといいますか、矯正処遇を受けることを義務付けることになっております。そして、処遇プログラムについても標準的なプログラムを作成して指導を行うこととしておりまして、これによりまして、受刑者の本当の改善更生を図るための処遇をより効果的、義務化ですから積極的に実施できるようになると思いますので、推進してまいりたいと思っております。  既に性犯罪プログラムにつきましてはでき上がりまして、五月以降、施行することになっておりますが、そのほかの、麻薬とかあるいは犯罪組織集団、まあやくざに対するあれだとか、あるいは犯罪被害者の視角も取り入れて矯正をやっておりますけれども、そういったものも義務化して収容者を処遇する面で改善更生を、更生改善を図っていくようにしたいというふうに思っておるところでございます。
  84. 前川清成

    前川清成君 処遇プログラムの問題は、大臣、後で是非詳しくまたお教えいただきたいと思っているんですが、私は、今の氏家容疑者の場合は処遇の問題ではないと思っています。氏家容疑者が、例えばですけれども、殺人で服役していたと、で、刑務所内の処遇プログラムがうまくいかなくて、出て、また人を殺してしまったと。これは、大臣刑務所内の処遇の在り方だと思うんです。  そうじゃなくて、氏家容疑者の場合は窃盗と住居侵入だったと思います。ところが、出て、このような、考えも付かないような凶悪殺人犯罪を起こしてしまったと。むしろ私は、毎日氏家容疑者に接していながらその異変に気付かなかった刑務官の資質の問題ではないかなと、そう思っています。刑務官が、氏家容疑者には精神科医の診断を受けさせる必要があると、こういうふうに思い付かなかったのかと。あるいは、思い付いたんだけれども、今の刑務所としては容易に精神科医の診断を受けさせることができないのか。むしろその点に検討すべき課題があるのではないかと私は思っています。その点いかがでしょう。
  85. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 様々な面があると思います。十分に御意見も踏まえて検討していきたいと思っております。そこは三ッ林チームの課題でもあると思います。
  86. 前川清成

    前川清成君 通告していないので誠に恐縮なんですが、三ッ林政務官、先ほどから何回も何回もお名前が出ております。その刑務所の、今私が申し上げた刑務所の問題ですね、特に、この氏家事件を再び起こさないということで刑務所の在り方、この点も今政務官のところの検討課題に入っているのか入っていないのか、その点だけで結構ですが、お答えいただけますでしょうか。
  87. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) 私が担当しておるのは主に再犯防止をいかに進めていくかということを幅広く検討するというふうなことが中心となっておりまして、その中には、やはりその中の精神的な問題等に関しての検討というのも含まれて進めているというふうに思っております。
  88. 前川清成

    前川清成君 是非、この氏家事件について詳細に検討をお願いしたいと思います。  更生委員たちの、地方更生委員の三人のミスだったのかと、保護観察官の見直しだったのかと、あるいは刑務所が悪かったのか。翔馬君の無念さ、あるいは御遺族の感情、これだけの問題ではなくて、再び同じ事件を起こさないんだ。奈良の富雄北小学校の事件、そしてこの安城市の事件、その後、栃木県でも下校途中に小学校一年生の女の子が殺されてしまいました。また、広島でも、性犯罪の前科を持つと、そういうふうに報道されているペルー人の男性によって小学校一年生の女の子が殺されてしまいました。また、今朝の新聞によりますと、川崎市でマンションの上の方から男の子が投げ落とされたのではないかなと、こんなふうな報道もありました。子供たちが被害者になってしまう、そんな事件が相次いでいます。この悲劇を繰り返さないためにも、是非この安城市の事件は詳細に御検討をお願いしたいと思います。  それで、次の質問に移りたいんですが、昨年、刑事施設法の審査に当たって、当時の渡辺委員長に引率されまして、私たちは府中刑務所を視察してまいりました。そのとき、私が個人的に最も驚きましたのは、処遇困難者と言われる方々の存在を知ったということです。  全く、そのときの説明をすべて覚えているわけじゃありませんが、要するに、日本語での会話が成り立たない、二十四時間一室に閉じ込めておかなければならない、で、部屋の中でずっとわあわあわあわあ言うてはる、そういう人たちが今刑務所の中にいる。これを府中刑務所の方では処遇困難者と呼んでいるんだと、こんなふうな説明を受けました。  ついては、大臣、この処遇困難者、法務省の方ではどのように定義付けておられるのかと、そしてそのような処遇困難者が全国刑務所に何名程度存在するのか、この点お伺いしたいと思います。
  89. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 処遇困難者の確たる定義があるわけではございませんが、例えば、精神疾患によって集団処遇になじまない、そして刑務所の規則を守らせることができない、あるいは困難、そうしたことで刑務官の職員にかなりの負担になっているような受刑者処遇困難者と呼ぶことが多いわけでございます。  平成十八年一月末日の数字でございますが、心身の疾病あるいは障害があるために継続的な医療措置を要する患者が九百八十六名となっております。また、出所時に何らかの精神障害を持っているために、いわゆる精神保健福祉法第二十六条に基づく都道府県知事に対する通報を行った受刑者は、平成十六年で千百五十八名でございます。平成十六年の出所受刑者総数が二万九千五百三十三人でございますので、総数に対して約三・九%になっております。
  90. 前川清成

    前川清成君 この処遇困難者ですが、満期になるとどうなるのか、お尋ねいたします。
  91. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 刑期が満了すれば、本人の帰住環境の調整状況のいかんにかかわらず刑務所から釈放せざるを得ません。刑務所からの満期釈放者で適当な引受人がない場合でございますが、更生緊急保護制度の枠組みでの対応のみとなっております。
  92. 前川清成

    前川清成君 要するに、刑務官でさえ対応できない。朝から晩まで一室に閉じ込められて、わあわあわあわあ言うてはる。私たちから見たら非常に怖い、いつ殴り掛かられるかも分からない、場合によっては命を奪われるかもしれない、そういう処遇困難者が九百八十六名、あるいは千百五十八名もいらっしゃる。  この人たちに対する何らかの法的な対応、法律の制定も含めて政策が必要ではないのかなと、こう思いますが、大臣、いかがでしょう。
  93. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生のおっしゃるとおりでございます。更生保護法人が満期出所者を一時滞留するのに、全国で百一か所ありますが、利用されておるわけでございます。これは本人が希望した場合のみでございまして、しかも、期間も六か月まで、延長しても一年という限られた期間しか預かれない。その間、保護司さんですとか女性会ですか、それからBBSといった人たちが、あるいは協力雇用主が協力をして、職を探したりなんかしておりまして、全受刑者、出所者の四分の一ぐらいが利用しているようなんですが、そういう制度しかございません。それも、一定の時間が来るともう手を放さざるを得ない。  その中には、例えば性犯罪ですとか麻薬犯罪者のように世間が嫌う人たちは、周囲の環境対策もあってそういうところに受けてもらえない場合もございます。ですから、有識者会議でも議論されていますが、公的な保護法人が要るんじゃないかと。要するに、民間更生保護法人が受けてもらえない人を受けて、職を世話したり面倒を見る施設が必要じゃなかろうかという御意見もございます。  さらに一歩進んで、保護司さん、保護処分、保護観察処分を満期後も一定期間掛ける、これには判決が要りますから、刑のほかに保護処分ということで、一種の保安処分になります。自由を奪うことになりますから法改正が必要になりますけれども、そういう立法論も考えたらどうだという御意見もございまして、先ほど申し上げましたが、国が地方自治体と協力して職をつくるということで、もう戻ってくるのを防ぐということと併せて、そういった立法問題も視野に入れた検討も三ッ林チームでお願いすることに相なっております。
  94. 前川清成

    前川清成君 大臣、私、ちょっとここ区別して是非御理解いただきたいんですが、刑務所から出ましたと、でも仕事がない、だからまた犯罪を犯してしまったと。そういう方は、例えば人を殺してはいけないとか他人の物を取ってはいけないという社会のルールを理解できますよね、理解できる。その人たちに対する対応と、朝から晩までわあわあわあわあ言うてはる、言葉は悪いですけれども、社会のルールを理解できないであろう人たち、精神疾患等によって社会のルールが理解できない人たち、もちろん人権も十分尊重しながらですけれども、私たちの安全を守る、そのための新法も含めた新しい制度、新しい枠組みが必要ではないかなと、こういうふうに申し上げているんです。いかがでしょう。
  95. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 社会から隔離するということですね。三ッ林主査を長とするチームでは、諸外国でそういうことをやっている例があるかどうかも含めて調査もし、検討してもらうことに相なっております。こうなりますと、一種の保安処分と申しますか、何といいますか、全く新しい立法が要ることになると思いますですが、検討はするつもりでおります。
  96. 前川清成

    前川清成君 隔離まではいかずとも、少なくとも治療あるいは保護、そういったものが必要ではないかなと私はそう思っています。  それで、仮出獄の要件について保護観察に絡んでお尋ねしたいんですが、仮出獄が認められるのは、先ほども申し上げましたが、刑法二十八条で改悛の状あるときと。すなわち再犯のおそれがないときですが、氏家容疑者でさえ再犯のおそれがないと、こういうふうに判断されて、仮出獄が許されました。ところが、仮出獄が許されない者、これがいます。  先ほど、ちょっとうろ覚えですけれども、半数、半々ぐらいだというふうに麻生さんお答えになっていたんじゃないかなと思うんですけれども、この仮出獄が許されなかった、だから満期で釈放された者というのは、更生施設等で、刑務所等で再犯のおそれがないというふうには認められなかった者ですから、仮出獄が認められた者に比べてより更生が困難ではないかなと、こう思います。  ところが、仮出獄が認められた者に対しては保護観察という制度によってその本人の立ち直りがサポートされます。更生がより困難だと思われる満期で釈放された者については保護観察は付されません。この点、実は制度としてアンバランスになっているのではないかなと。私はこれは南野大臣にもお尋ねしたことがあるんです。杉浦大臣におかれましては、この点、どう考えておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  97. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 刑期満了後の人に対して義務を課するということは自由を奪うことになりますから、これについては、もし行うとすれば、立法措置をとってやらなきゃいけない。慎重の上にも慎重に検討する必要があると思いますが、私ども三ッ林主査のチームでは、その問題も含めて検討していただくということに相なっております。
  98. 前川清成

    前川清成君 確かに難しい問題だと思います。その刑期が終わって、本来自由の身になったにもかかわらず何らかの制約を課すというわけですから、これまでの刑法の理論とは違ったまた新しい考え方も必要だと思うんですけれども。ただ、本人のためにも、本人の立ち直りをサポートすると、そんなような視点も含めて何らかの新しい工夫が考えられないかなと、私はそんなふうに思っておりますので、また是非、三ッ林先生のチームで御検討いただくようにお願い申し上げます。  それで、執行猶予者保護観察法についてお尋ねをいたしたいと思います。  この執行猶予者保護観察法の提案理由の中には、保護観察付執行猶予者の所在の把握が十分とは言えない状況にありますと、こういうふうに書かれています。また、有識者会議の中間報告の中にも、少し読ませていただきますと、「保護観察対象者の中で、改善更生の可能性が低く、重大な再犯に及ぶ危険性が最も高いのは、保護観察を離脱して所在不明になった者である。」と、こういうふうに書かれています。  現に、執行猶予者ではありませんが、氏家容疑者についても、一月二十七日に出所し、一月三十日にはいなくなったと。そして二月四日には犯行に及んでいます。やはり所在不明者については危険性が高いのではないかなと、こういうふうに思われますが、今回の改正、この執行猶予者保護観察法改正において、この所在不明者に対してはどのような対応がなされるのか、お伺いいたします。
  99. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 今回の改正によりまして、保護観察付執行猶予者につきましては、短期間の旅行をする場合についても所在の把握が可能になると期待されております。また、本人の改善更生を妨げるような環境への転居あるいは旅行を未然に防止することも可能となります。本人の生活実態の把握とそれに応じた指導をより適切に行うことができると考えておりますので、結果として所在不明となる者が減少することを期待しております。
  100. 前川清成

    前川清成君 先ほど谷川先生の御質問の中にもあったと思うんですが、七日間の旅行を、七日間以上の旅行について許可制にしたからといって、本当に所在不明者がいなくなる、少なくなるのか。所在不明者についてだれが捜しにいくのか。どのように把握するのか。悪いですけれども、例えば人を殺してはいけないとか人の物を取ってはいけない、そのルールが守れずに刑事の判決を受けた、その人たちが七日間の旅行については届出しなさいというルールを守れるのか。余りにも観念的ではないかと。  所在不明者について犯罪を犯す危険が高いと、こういうふうに判断するのであれば、その真正面から向けた対応が必要ではないかと私は考えますが、副大臣、いかがですか。
  101. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 今度の改正によりまして、許可を得ずに例えば旅行に行ったような場合は、遵守事項違反に該当することになります。その情状が重い場合には、保護観察所の長が執行猶予の言渡しの取消しを検察官に申し出ることになりますので、これまでにない、こういうことをやると執行猶予が取り消されるよという心理的な抑止力が働くと思っておりますし、この十二月から一月にかけまして、警察の協力をいただきまして、所在不明になっておりました者の調査を行いました。二か月間で警察からの連絡により九十八名の所在が明らかになっております。こうしたルールの改正をして、執行猶予の取消しにつながる違反だよということになるということを、そして警察の協力を得て九十八名の所在が判明しているという事実がございますので、心理的な抑止力として力があるのではないかと思っております。
  102. 前川清成

    前川清成君 河野大臣は安上がりの方法でということで抑止力を選択されたのかもしれませんし、九十八名という実績を今強調なさいました。九十八名が、所在不明者が見付かったということですが、そもそも所在不明者が何人いるか、副大臣、認識しておられるでしょうか。
  103. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 済みません。平成十八年一月末日現在でございますが、仮出獄者のうち所在不明の者が五百四十三名、保護観察付執行猶予者の所在不明者が八百八十一名、合計千四百二十四名でございます。
  104. 前川清成

    前川清成君 中間報告ではもう少し人数が増えていまして、そのまま読みますと、現状において約六万人の保護観察対象者のうち、所在不明になっている者は成人のみでも千五百人、少年も含めたら二千人と、こういうふうに書かれています。二千人のうちで九十八人が見付かったということですから、余り大きな効果を上げているというふうには言えないんじゃないかと私は思います。  だから、結局、この執行猶予者保護観察法にしても、犯罪者予防更生法にしても、何か役所の言い訳づくりのための、安城市の事件が起こりました、それについて何やってんねんと。あるいは監禁幼児の事件が起こりました、それについてどういう対策取ったんやと。それに対して、言い訳づくりのような安上がりの改正が二件出てきたのかなと、そんなイメージがぬぐえないんです。やっぱりその点、副大臣、いかがですか。
  105. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 警察との協力関係ですが、これ私官邸におったので見聞きしておったわけですが、あの事件の直後、行方不明者が多いということが問題になりまして、これは総理直々の指示で、省庁の垣根を越えて探せと。警察も事件が多いし大変だろうけれども、これも大事なんだから、保護観察所はそんな手足がないんだから警察がやるべきだという強い指示で協議が始まりまして、年末から具体的に実行できるようになったものでございます。  この保護観察付執行猶予者に対する法改正も穴が空いていたところをふさいだわけでして、これもし特別遵守事項に反すればもう執行猶予取消しという処分があります。九十八名は恐らく全部仮出獄は取消し、保護観察執行猶予は取消し、すぐ実刑に服するように手続が取られたと思いますが、まだ見付かっていない千人を超える人たちに対しても、警察の協力でびしびし見付けて措置をとっていくということに相なると思います。  そういう意味での、何といいますか、政府を挙げて措置をとり出したという意味で、抑止力として働くということも期待しておるわけでございます。
  106. 前川清成

    前川清成君 今回、七日間以上の旅行については保護観察所長の許可を要すると、こういうふうになりましたが、保護観察所の人員でありますとか体制でありますとか予算からして、この七日間以上の旅行についてすべて許可を与える、そういう判断をする、そのことが物理的に可能なんでしょうか。
  107. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 法律でお決めいただければ、もうやらなければなりません。可能かどうかは別にして、ともかくやる責務を負うわけでございます。
  108. 前川清成

    前川清成君 先ほども、地方更生保護委員会のときにも申し上げました、一生懸命やるんだけれども人間の能力を超えてしまう。それだったら、もうただ単に書類が目の前を素通りしていってしまうだけ、それではどうなのかな、こんなふうに私は思って、今の質問をさせていただきました。  また、今回の御提案によりますと、五条の二項によって特別遵守事項の決定に当たっては裁判所に意見照会をするというふうになっています。  まず、法務大臣の方に、どうして裁判所に意見照会をするのかということと、最高裁の方に、すべての事件について意見照会を受けてそれに回答することが可能なのか、裁判官の執務体制や裁判官の人数からして可能なのかどうか。この二点をお伺いいたします。
  109. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 保護観察付執行猶予者に対しても特別遵守事項を定めるような法改正をしていただきますと、特別遵守事項違反を理由として執行猶予の取消しを求めることが可能になります。これが決められますと、執行猶予とした裁判所の判断を覆すことになりますので、特別遵守事項の設定を保護観察所の、長だけの判断で行うことは相当ではないと思われます。  しかしながら、特別遵守事項保護観察における処遇の根幹を成すものでありますから、処遇に直接の責任を負うこととなる保護観察所長の、長がこれを定めることとした上で、これを定めるに当たっては裁判所の意見を聴くことが妥当である、そういうふうに考えられた結果、このような議員立法になったと考えます。
  110. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) まず、執行猶予が言い渡された事案のうち、保護観察に付されるというのはその大体一割弱という事件でございますので、事件数の面から見て特段問題があるということはないと承知しております。  それから、体制のことをもう少し一般的に申し上げますと、裁判所がその保護観察の言渡しをする場合には、証拠調べの結果に基づきまして、被告人の改善更生のために保護観察所からどういった面での適切な指導を受けることが必要かという点について具体的に検討した上で刑を現在言い渡している実情にございます。そして、特に遵守しなければならないと考えられる事項、例えば暴力団とは縁を切ることと、こういった事項を法廷において被告人に説示すると同時に、その説示内容保護観察所に伝えるという運用をこれまでも行ってきたところであります。  したがいまして、今回この法律が成立した場合には、そういったこれまでの運用を踏まえまして特別遵守事項に関する意見を述べていくことになると思われまして、裁判所として適切な対応を取ることは可能ではないかと考えております。
  111. 前川清成

    前川清成君 先ほど保護観察官の人数というのが、あちらこちらにいらっしゃる方もあるので、実働は六百三十人だというようなお話がありました。これに対して、中間報告書にあるんですが、保護観察官が対応する仮出獄の申請受理件数が一万八千幾ら、保護観察対象事件が六万八千幾ら、環境調整事件が五万二千幾ら、合計で十三万九千七百七十六人になります。そういたしますと、アバウトで一人の保護観察官がおよそ二百人の対象者を指導監督しているということになります。  先ほどの議論にも似通ってくるんですが、一人の保護観察官が二百人の例えば執行猶予者でありますとか仮出獄してきた人たち、そんな人たちを指導監督することが可能なのかどうか、これをお伺いしたい。  同時に、ちょっと時間がなくなってきましたので、併せてお尋ねいたしますが、そもそも保護観察官というのはどういう仕事なのか。この二点、お伺いいたします。
  112. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 二百二十件というのは、一年間に保護観察官一人当たり取り扱う事件数が二百二十件でございます。常時取り扱う件数はおよそ百件程度だろうというふうに推測しております。  前川先生お尋ねの件でございますが、これは確かに大変な数でございまして、担当している保護観察官は非常な努力をしているというふうに認識をしております。しかし、それが不可能かといえば不可能ではないんだろうというふうに申し上げたいと思います。  保護観察官の職務内容でございますが、保護観察対象者に対し地域社会において指導監督、補導援護を行っております。また、矯正施設、被収容者の出所後の引受け環境の調整、犯罪予防活動、保護司及び各種民間団体の育成などの広範な事務に従事しております。
  113. 前川清成

    前川清成君 その常時百件が可能かどうかと。私も弁護士のころは百件ぐらい常時事件を処理していましたので、それは仕事内容というか、によっては可能なんだろうと思うんですが、ただ、この中間報告書の中でも、保護観察官は本来果たすべき仕事を果たしてないんじゃないか、そのケースワーカーであるべきなのにワープロワーカーになっているんじゃないかと。要するに、百件もあると、副大臣おっしゃるように、やろうと思えばできる、やろうと思えばできるんだけど、そのために、ただ、よく分かりませんが、本人に会わない、書類だけ、判こ押して済ませていく、そういうやり方になっているのではないかと。  そうなると、本来、保護観察官保護司さんとは別に保護観察官という特別職を置いている存在理由がどこにあるのか、その点を是非お尋ねしたいと思って今の質問をさせていただいたんですが、この点いかがでしょうか。
  114. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 確かに、常時百件というのは大変な数だと思いますが、適切にしっかり一線で頑張っていただいているというふうに承知しております。
  115. 前川清成

    前川清成君 是非、この点についても、また三ッ林政務官のチームで御検討いただくのかもしれませんが。──はい、大臣
  116. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 事件は、保護司さんが付きますから、一件についてお一人。ですから、保護観察官の方は百人の保護司さんと連絡取りながら面倒見るということで、我々弁護士みたいに自分で事件を追っ掛けているというわけではない。その御指摘は、先生が指摘された御指摘は、要するに保護司任せになっているんじゃないかと、もっと保護観察官ちゃんとやれと。  実は、保護司さんの中からもそういう批判がありまして、全部預けられて保護観察官は何もやってくれないじゃないかと、そういう批判もあるわけでございまして、そこを官民協働で適切にやるということで、検討すべき課題はありますが、実際としては、今の状況百件ぐらいでしたら何とか回っているのかなというふうに思います。
  117. 前川清成

    前川清成君 要するに、私が今申し上げたように、保護司さんとは別に保護観察官という専門職が付いているわけですから、保護司さんの係長で保護観察官があるわけではありませんので、その保護観察官の専門的な知識あるいは経験等が生かされるような執務体制が整っていなければ、保護観察官という職を置いている意味がないのではないかなと、こういうふうに思っています。それで、中間報告書は、実は保護観察官に対しても大変厳しい指摘があります。  そこで、お伺いしたいんですが、この保護観察官というのは本当に今私たちが当然のように期待しているような専門的な知識や経験を兼ね備えているのか、有しているのか、この点を伺いたい。あわせて、保護観察官というのはどのような試験を経て採用されているのか、この点もお伺いいたしたいと思います。
  118. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 保護観察所の職員につきましては、人事院の行う国家公務員採用試験のうちⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種試験の合格者の中から採用をしております。その後、一定の経験を積んだ職員の中から保護観察官に補職しております。保護観察官の大多数は人事院が行うⅡ種試験、行政区分の合格者から採用し補職しているのが実情でございます。  また、平成十八年度の実施分からは、行政区分試験の選択科目に人間科学系の選択科目、心理学、教育学、社会学を新たに加えることとなりましたので、こうした分野に素養がある者も合格者リストに載ることになります。  さらに、地域社会におきまして犯罪者処遇に携わる保護観察官につきましては、心理学、社会学、教育学等に基づき保護観察を実施することなどが求められておりますので、こうした更生保護に対する熱意、人間処遇に対する関心、意欲を有する者の採用に努めているところでございます。
  119. 前川清成

    前川清成君 今の副大臣の御答弁にもありましたが、要するに、保護観察官というのはその専門、専用の試験で採用されてきているわけではないということなんですね。  大臣が家庭裁判所の調査官になぞらえて先ほど来御答弁していただいています。家庭裁判所の調査官であれば、調査官の試験を受けて採用されてくる、だから試験に合格して裁判所に採用されたら調査官になる。ところが、保護観察官については国家公務員の試験に合格して通ってくるわけですから、場合によっては厚生労働省に行くかもしれないし防衛庁に行くかもしれないし法務省に行くかもしれない。しかも、法務省に採用されても、それは登記所に行くかもしれないし入国管理局に行くかもしれないし保護観察官になるかもしれない。専門的な知識や経験が期待されているにもかかわらず、その任用の過程が、採用の過程がそれにそぐわないのではないかなというふうな私は疑問がありますし、中間報告書も恐らくそんなふうに考えていると思いますので、この点もまた御検討をお願いしたいと思います。  それで、時間があとわずかになってしまいましたが、どうしてもこの点をお伺いしておきたいことがあります。  十八年度から刑務所内で性犯罪者に対する更生プログラムが実施されると、こういうふうに伺っています。この点、何度も申し上げますが、荒井先生や私の選挙区である奈良で大変悲しい事件が起こりました。それを契機にこの更生プログラムを作っていただいたと思うんですが、その性犯罪者更生プログラムについては認知行動療法を採用したというふうに報道されています。犯罪者の認知のゆがみを正す、それによって再犯をなくすんだというふうに説明されているんですが、少し分かりにくい。その認知のゆがみだけが犯罪の原因なのか。  認知行動療法について詳細に御説明いただきたいのとともに、時間がなくて恐縮なんですが、併せてリラプスプリベンション技法というのも採用したというふうになっています。この認知行動療法とリラプスプリベンション技法、この点について御説明をいただいて、性犯罪者更生プログラムの概要を御説明お願いできませんでしょうか。
  120. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) お答えいたします。  ただいま先生の御質問の中の認知行動療法についてですが、これらは刑務所における性犯罪者処遇プログラムとしてアメリカ、イギリス、カナダ等諸外国で効果があると認められておるものを基礎としておりまして、リラプスプリベンション技法も活用したものとなっております。  そして、それぞれのものについて御説明いたしますと、認知行動療法は、性犯罪の原因となる認知の誤りやゆがみに気付かせ、これを変化させることによって問題行動自体を変容、また改善させようとする心理療法の一種であると言われております。  そして、具体的な例を言いますと、小児のわいせつ事犯者には、相手は子供だからどうせすぐに忘れる、若しくは子供がよいと言ったから触っただけで、これは犯罪ではないというふうな認知のゆがみを持っている場合があり、またそのような、事実と異なっていることを本人に理解させ、その上で、そのような考えが性犯罪を容認し合理化する態度につながり、ひいては性犯罪につながるというふうな事態を低減させていくことを説明し、本人が主体的に変えていこうというのを手助けしていこうというふうな療法であります。  次のリラプスプリベンション技法とは、再発予防法ともいうふうに言われておりますけれども、受刑者ごとに性犯罪につながった要因を幅広く検討させるとともに、問題行動に至った過程を詳しく分析させ、なるべく早期にその過程に自ら効果的な介入をすることによりまして問題の再発、つまり再犯を未然に防ぐためのスキルを身に付けさせる技法であります。  これの具体的な療法の内容を申しますと、強姦事犯者の場合、事件につながった可能性がある要因としましては、職場での人的なストレスでありますとか、それらによりましていらいらしていて、落ち込んでいたなどの感情が元にあると。まず、そういうふうなものが事件のきっかけに、影響しているというふうなことも気づかせ、また、それに対する早期の本人自身による対応というふうなもの、対人スキル等の向上等、そういうふうなものを身に付けさせるというふうなことを目的として行われるものと言われております。
  121. 前川清成

    前川清成君 本当はこの更生プログラムについてもっと詳しくお教えいただきたかったんですが、残念ながら時間も来てしまいました。  ただ、最後に、私たち民主党、今は野党ですが、この安全の問題、これは本当に政治の最も大きな課題だと思っています。そのために、是非、建設的な議論をこれからもお願いしたいと思います。  本日は本当にありがとうございました。
  122. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 委員長、一点訂正。  先ほど、九十八名発見したものを全部、すべてが取り消したというような発言をしたようでございますが、取り消していないのもいるようですので、後ほど、調査いたしまして正確な数を御報告させていただきます。
  123. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  124. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案及び執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  125. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今日は、犯罪者予防更生法並びに執行猶予者保護観察法のそれぞれ一部を改正する法律案に対する質疑でございます。  午前中から質疑を続けておるわけでございますが、まず最初の方に、こういう改正案を出す背景と経緯のようなことを整理してお伺いしていきたいと思いますので、まず受刑者数の推移というのをお聞きしておきたいと思います。  過去十年間、受刑者数がどのように推移しているのかと、また受刑者が増大しているわけですけれども、その背景はどんなものがあるかということについて御説明をいただいておきたいと思います。
  126. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) お答え申し上げます。  まず、受刑者数の推移でございますが、既決収容者数は平成八年末には四万五百十五人でありましたところ、平成十七年末現在では、約二万七千八百人、六九%増の六万八千三百十九人と大きく増加しております。この増加は、新受刑者数の増加と平均刑期の長期化によるということでございます。この増加の背景事情でございますが、人間関係あるいは社会環境の変化、あるいは社会における規範意識の低下、国際化の影響、経済情勢等々の様々な事情が複雑に絡み合いまして犯罪件数の高水準化と犯罪の質的な悪質化、巧妙化等を招いているというふうに考えているところでございます。  以上です。
  127. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 当然、受刑者が増えていっている経過の中で、仮釈放審理事件数も当然増えてきているんだろうと思いますが、この仮釈放の申請件数でございますが、過去どれくらいデータがあるか分かりませんが、どういうふうにこれも変化していっているのか、数字を教えていただきたいと思います。
  128. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 過去十年間における仮釈放審理事件の事件数の推移について申し上げます。  平成七年が一万六千八百三十五件、平成十二年が二万百二十一件、平成十六年が二万四千百三十一件となっております。
  129. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうなると、例えばこれも午前中少し議論がございましたが、関東地方更生保護委員会において、過去十年間、委員一人当たりの事件数の推移がどうなっているのかということを報告していただきたいし、また本案の提案理由にもなっておりますが、仮釈放審理事件が複雑困難化していると、当然受刑者というか、それも様々な背景の中で、背景がいろいろある方たちがある意味じゃ受刑者となり、今度は仮釈放という問題ですから複雑困難化するのは当然のことでございますが、やはり一番皆さんが疑問に思っているのは、地方更生保護委員会委員を増員することだけで本当に、こういう件数の増加とともに、もう一つの要素である複雑困難化に対して取り組めるのかという疑問があるわけでございまして、そういう意味では、数とともに是非報告していただきたいのは、この複雑困難化という問題に対して現状どのような取組をなさっているかということでございます。
  130. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、関東地方更生保護委員会におけます委員一人当たりの事件数につきまして御説明申し上げます。  平成七年は四百十五件、平成十二年は四百九十一件、平成十六年は五百九十二件を委員一人当たりが担当しております。  次に、この複雑困難化に対する対応でございますけれども、凶悪事件あるいは保護環境が劣悪な事案などの複雑困難な仮釈放審理事件につきましては、仮釈放の申請前から地方更生保護委員会の事務局に置かれております保護観察官による調査の充実を図っております。  そのほか、仮釈放審理におきまして、刑事事件の訴訟記録を閲覧したり、主査委員によります複数回の面接あるいは複数の委員による面接を実施するなどいたしまして、審理の適正と充実を図っているところでございます。  委員の増員によりまして、仮釈放審理事件の負担がある程度は軽減されることが見込まれますので、これによって生じました余力を複雑困難な事案に振り向けて仮釈放審理の充実を期することが可能になるものと考えております。  また、審理の適正を期する上では、増員のみではなくて、委員の専門性を高めることや、事案に応じまして精神医学や心理学などの専門家の意見を聴取することも重要であると考えております。これらの点につきましても努力してまいりたいと考えております。
  131. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そこで、根本的なことを局長に聞いておきたいんですけど、これ、仮釈放制度の意義というのは何なのかということをちょっと聞いておきたいということと、それから、今お話あったように、複雑困難化する中でいろいろ大変なんでしょうけど、仮釈放というのは、申請して許可までの手続がどうなり、その期間、例えば最長のものでどれぐらい掛かっているのか、最短だったらどれくらいで終わるのか、平均どんなものなのか、こういった点も是非教えていただきたいと思います。
  132. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、仮釈放制度の意義でございますけれども、この制度は、矯正施設に収容されております者を刑期の満了前に一定の条件の下に釈放いたしまして、残りの期間を保護観察に付することによりましてその者の改善更生と円滑な社会復帰を図るという刑事政策的な意義を持っているものでございます。  手続でございますけれども、まず、矯正施設の長から仮釈放の申請がございます。これを受理いたしますと、地方更生保護委員会におきましては、委員を指名いたしまして仮釈放の審理を開始いたします。指名された委員は、関係資料を検討するとともに、原則としてこの対象者と面接をいたしまして、仮釈放に適するかどうか、仮釈放するとすればいつがいいのか、仮釈放するとすれば仮釈放中の期間中に守らなければならない遵守事項をどのようなものにすべきかと、このようなことについて検討いたします。これを踏まえまして、三人の委員構成いたします合議体におきまして最終的な審理を行いまして仮釈放の許否などを決定するわけでございます。  申請から決定までの期間は、事案によって異なりますけれども、短い場合で一か月以内、長い場合で一年を超えることもあります。ちなみに、平成十六年について調査してみますと、一月以内に終わっているものが一四・六%、二月以内に終わっておりますものが三六・八%、それから三か月以内に終わっておりますものが三〇・八%ございますので、八割以上の事件が三か月以内に終結していると、こういうことでございます。
  133. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そして、やはりそうなると、地方更生保護委員会委員がどんな人で、どういう人がやるかというのが大事になるという問題が起きてくるわけで、これも午前中少し話がありましたが、この保護委員会委員、五十三名のうち四十三名が保護観察官の出身であるという話もありましたが、一体これ、委員というのがどのような手続でだれが任命していくのかということを報告していただくとともに、言わば委員はこの保護観察官だけでなく、例えば検察庁、刑務所、少年鑑別所、言わば内部の人だけで構成されているんじゃないかということなのかどうかと。それがいいのか悪いのかという論議はもちろんありますが、その点どうなっているのか教えていただきたいし、また、年齢構成的にはどういう人たち委員として当たっているのかと。任期三年でございますが、これ、再任は可能だということで大臣から午前中答弁あっておりましたが、六十三歳ですか、これをめどに考えるみたいなこともありましたが、さらに給与水準、また、女性委員というのがいるのかどうか含めて御答弁いただきます。
  134. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、任命でございますが、地方更生保護委員会委員適任者のうちから法務大臣が任命しております。この地方更生保護委員会の組織に関する事務は法務省の保護局が所掌しておりますので、その事務的な手続は保護局で担当しておるところでございます。  次に、委員構成でございますけれども、御指摘のとおり、現在五十三名おりますけれども、保護観察所長の経験者が四十三人、それから検察庁の出身者が五人、刑務所長経験者が一人、少年鑑別所長経験者が一人、人事院出身者が二人、総務省出身者が一人という実情にございます。  それから、年齢構成でございますが、今年の一月一日現在で六十三歳が五人、六十二歳が十六人、六十一歳が十一人、六十歳が十二人、五十九歳が四人、五十八歳が三人、五十六歳が一人、五十四歳が一人となっております。委員適任者である場合には再任によりまして二期務めている場合もございます。  それから、給与でございますけれども、地方更生保護委員会委員一般職の公務員でございますので、基本的には行政職俸給表(一)の適用を受け、この表の九級から十級の俸給を受けております。したがいまして、級に幅がありますけれども、俸給月額はおおむね五十万円前後となっております。  それから、女性委員ですけれども、平成十七年度末におきまして常勤委員のうち女性委員は三名となっております。
  135. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これも様々議論はあると思うんですけど、その地方更生保護委員会委員構成がこれでいいのかどうかという問題はやはりあると思います。大臣は、そういうことをいろいろ、例えば仮釈放する人たちをきちんと知っている人たち、言わばいろんなところで体験した人たちがその任務に当たるというのは一つの方法だという見解を述べられましたが、その人たちだけでいいのかという問題は残るような気がいたしております。  そういう意味では、この保護委員会委員にやはり民間人という問題も検討の視野に入っていいのではないかと思いますが、現実にこういった保護委員会委員民間人というのを任命した事例はあるのかないのかということもお聞きしたいし、さらに、やはり今後民間人という問題含んで考えるべきだと私は思いますが、この点についてどうお考えかを、見解をお聞きしたいと思います。
  136. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 今の御質問に対するお答えの、先ほど給与のことにつきまして行政職俸給表(一)の九級から十級と申し上げたと思いますが、十一級、九級から十一級でございますので、訂正させていただきます。  それから、民間人の関係でございますが、過去四十年にわたりまして調査いたしましたところ、地方更生保護委員会の常勤委員に公務員OB以外の民間人を登用した例は見付かりませんでした。現在は公務員OBの方にお願いしておるわけですけれども、これは職務の内容や処理すべき事件が膨大であることなどから、刑事政策あるいは更生保護制度に対する経験、知識が必要であること、それから何分にも五百件近くの事件を年間処理しなきゃならないということで行政事務に高い処理能力を有することが必要であると、こういうことから公務員OBの皆様方にお願いをしているのが実情でございます。  民間人の登用についてですけれども、同様の御指摘はこれまで何回も触れられております有識者会議の中間報告の中にも触れられておりまして、更生保護官署出身者以外の者からの積極的な登用について意見が述べられております。  私どもといたしましては、あくまでも、何といいますか、適材適所という考え方でやっておりますので、今御説明いたしました勤務の実情でありますとか、あるいは待遇でありますとか、あるいは三年の任期制でありますとか、そんなことを前提にいたしまして、適任者がおありになれば委員になっていただくことについては何の支障もないものと考えております。
  137. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、これ、その審理の過程の中で、いわゆる被害者の方の意見がこの仮釈放の問題について求められるということはあるのか、現実にそういうことをやったことがあるのかどうかということもちょっとお聞きしておきたいのとともに、もう一つは、これ十八年度予算でございますが、外部の精神科医の意見を求める経費を盛り込んだということを午前中これ局長答弁をされていたわけですが、制度そのものは元々この外部の精神医学とか心理学の専門家を求めることができる制度になっていると思うんですが、これなぜそのことをわざわざ十八年度では特にということを言わざるを得ないのかと。ある意味では、これまで、そういう制度にはなっているが、外部の専門家の意見というのは本当に聞いたことがあるのかなという疑問をちょっと抱きましたが、実際はどうしているのかをお聞きしたいし、せっかく予算を組むわけですから、十八年度から、いろんな経験を踏まえて、したがってこれは当然活用していただくことになるとは思うんですが、まず、過去どうだったのかということについて御報告願いたいと思います。
  138. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、その被害者方々の御意見を聞くのかという、こういうお尋ねでございますけれども、仮釈放審理に当たりましては、事案に応じまして被害者方々から御意見を承ることにいたしております。被害者感情調査というようなことで呼んでおりますけれども、そのようなことは現実に行っております。  それから、必要があると認めるときに精神医学、心理学等の外部の専門家の意見を求めるという点でございますけれども、これはこれまでも現実にも行ってまいりました。ただ、多くの事件についてこれをやっているかというと、そういうことではございませんで、ごく限られた運用であったというのが実情でございます。  そこで、平成十八年度予算におきましては、性犯罪者のうち精神医学的な所見を必要とする事案について地方更生保護委員会委員が精神科医に定期的に意見を求めて仮釈放審理の参考とするための経費といたしまして、新規に約二百万円が計上されたところでございます。これを活用いたしまして、今後とも充実した仮釈放審理に資するため、事案に応じて外部の専門家等からの意見を積極的に活用してまいりたいと思っております。
  139. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題、法改正が出されたことも、また今、中間報告の話がありましたが、有識者会議を設けた点も、何がきっかけかといえば、これもやはりあの愛知県の安城市の事件、正にこの事件がいわゆる仮釈放の在り方含めてどうなのかということを問い掛けた問題でございまして、正にある意味では仮釈放はなぜ認められるかというと、再犯のおそれがないと認められるからそれを理由として仮出獄許可するわけでございまして、ところが現実に全く違う事実が起きていることが今回の事件の反省でございまして、結局、再犯というものを結果起こしてしまったと。あってはならない事件が起きたわけでございまして、そういう意味ではこの事件をどう認識し、二度とこのようなことを起こさないためにどういった取組をしなければならないのかと。もちろん今回法改正に臨むのも一つの在り方だと思います。その第一歩だと私は思っておりますが、そのことを含めて現場としてどう考えていらっしゃるのか、保護局長から答弁をいただいておきたいと思います。
  140. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 御指摘の安城事件につきましては、仮釈放中の者によって人命が失われるような重大な事件が起こったことにつきまして、誠に遺憾であり、重く受け止めております。  地方更生保護委員会におきましては、安城事件のような仮釈放中の者によって人命が失われるような重大な再犯事件が発生いたしました場合には、委員会の審理に問題はなかったのか、それから保護観察の実施状況はどうであったのかというような点につきまして調査を行っております。  そのようなことの再発防止、再犯防止の観点から、地方更生保護委員会保護観察所としていかなる方策が必要なのか、これからどうすればいいのかという点について検証いたしまして、その後の仮釈放審理や保護観察の実施に反映させるように努めているところでございます。  安城事件につきましては、仮釈放審理で御指摘のようにその再犯可能性について見抜けなかったという点がございましたし、これにつきましては、その仮釈放審理の充実という点につきまして努めてまいるところでございますし、それから、安城事件の場合は、刑務所出獄になりましてから十日足らずの間に所在不明になってこのような事件を起こしております。そのような観点で、所在不明者の調査について強化しなければならないということで幾つかの施策を実施してまいりました。  それから、仮出獄者につきましては、何といいましても住むところと、それから仕事を見付けることが大事であります。この安城事件の人の場合も、仕事が見付からなかったことが一つの不安材料でもあったようでございますので、そのような就労支援策につきましても、厚生労働省と協力いたしまして強化してきたところでございます。  以上のような点も含めまして、重大な再発事件が起こりました場合には、検証を行って様々な施策を行うとともに、地方更生保護委員会それから保護観察所の業務につきまして、例えば全国単位で行いますような研究協議会あるいは会同等におきまして、事例に基づいて様々な指示を行いまして問題意識の涵養と対策、方策の共有に努めているところでございます。
  141. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 こんなことを申し上げるのも、その中間報告が結構厳しい形で、これも午前中前川委員が指摘されてたんですけど、私もえらいこの中間報告というのは厳しい指摘しているなと思ったのは、例えば、今審理の在り方どうなんだということを申し上げたんですけど、仮釈放の審理の実態そのものについても、これ前川委員が読み上げてましたけど、何と書いてあるか、必ずしも明確とは言えない基準の下、職業上の経験と勘に依拠して判断が行われと、詳細な理由も示されず、正当性の担保が、ちょっとこれむちゃくちゃに厳しい話になっているわけですね。  そういう率直な評価をしていくことも大事だと思うし、ただ、こういう厳しい指摘があっている以上、やはり、もちろん私は今回人数を増やすということは、事件が多くなっているいろんな現状の中で第一歩とは思いますが、さらに、やっぱり審理の在り方含めての御指摘をこれだけいただくんであれば、たださっき民間委員をと申し上げたのは、ある意味ではこういう明確化させる上で、かえって外部の方を入れることによってそういうことの透明性の確保とかいろんなことができるんじゃないかと、そんな問題もあると思うんです。  したがって、やはりこの制度、システムそのものを抜本的に見直せというところまで私は申しません、前川委員のように。システム全体を見直せという意見もそれは出てきて結構でございます。ただ、少なくとも今の在り方これでいいのかという問題についてはやはり深く掘り下げて、もちろん五月に一つの回答が出てくるんでしょうが、正にその回答が出てくる前にこういった厳しい指摘を受けた以上、今の地方更生保護委員会の在り方そのものをもっともっと深く掘り下げる必要があるんではないかと思いますが、これも局長の答弁をいただいておきます、大臣ではなく。
  142. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 有識者会議の提言につきましては、こういう会議が立ち上げられた経緯からいたしまして相当厳しい意見をちょうだいすることになるものとは思っておりましたけれども、現在その中間報告という段階でも相当厳しい意見をちょうだいいたしました。それは真摯に受け止めまして、検討を続けているところでございます。  今回、委員の増員をお願いいたしまして、それだけでこの問題が解決できるとは決して思っておりません。ただ、委員の増員によりまして、午前中来申し上げておりますように、委員一人一人の負担が若干軽くなることによって審理がより充実したものになるのではないかと思っておりますけれども、それとは別に、委員の能力の向上とかいろいろな点について努めてまいりたいと思いますし、有識者会議の提言につきましては、これも先ほど来お話が出ておりますけれども、五月に最終提言をいただくことになっておりますので、それに向けてと申しますか、私どももそれを待つまでもなく様々な点を検討して、最終的に提言をいただいた場合にはこれを最大限尊重して真摯に取り組んでまいりたいと思っております。
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 さて、保護観察制度の問題でちょっとお伺いしたいんですけども、この保護観察制度の意義について、これは保護観察制度とはどういうものかというと、罪を犯した者を改善更生して社会復帰をさせるという福祉的機能があるとも言われています。もう一方で、再犯を防止して社会の安全に寄与する。言わば取締りと本人の更生、まあ二面性を持ちながらあるのがこの保護観察制度なんだろうと思いますが。  さて、これは大臣の見解を伺いたいんですけども、大臣は一体この社会福祉的な機能を重視をされるのか、若しくは再犯防止みたいな刑事司法的な機能を重視されるのか、どんな考えをお持ちでしょうか。
  144. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 双方あると思うんですけれども、当面です、当面、私どもが直面している治安状況の悪化という点にかんがみますと、やはり改善更生、社会復帰もさることながら、犯罪者及び非行少年が再犯をしないように更生改善を図るということに力点を置いてこれから検討を進めてまいりたいと思っております。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その意味で、これも有識者会議の指摘の中で、今は六万人の保護観察対象者がいて約二千名が所在不明となっていると。ただ、これはなぜ所在不明になるのかという問題について、遵守事項違反というのがあると。これに対する措置が積極的に行われていない結果、保護観察という制度はあるんだけども、その保護観察の心理的強制力が十分に作用しないと。したがって、形は保護観察というのがありながら、全くその保護観察というのが再犯防止に役立ってないような状況になっていると、そういう対象者がいるんだというような指摘を率直にしているんですが、これについて、この指摘についての見解を伺っておきたいと思います。
  146. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 御指摘のとおりだと思います。検討を始めて分かったことが、保護観察の下に置かれている者が千四、五百名行方不明だということが判明したわけなんですけれども、もし仮出獄中の者であれば遵守事項違反でありますから、これは取り消して刑務所に戻すべき違反行為なわけでございます。保護観察中の者については、今度法を改正いたしますんでそこまでまいりませんが、そういう状態を結果として制度として放置している。そういう人たちがまた再犯を犯す可能性もあるわけで、この問題というのは、この保護観察制度検討再開においても決してゆるがせにできない問題だと思います。  総理の指示で警察の協力を得られるようになったと、これは大きいと思います。先ほど警察からの連絡による所在判明者九十八名と申し上げましたが、このうち仮出獄者は五十八名でございます。執行猶予者三十名、そのうち仮出獄を五十六名取り消しました、五十六名。死亡が一名、お一人は亡くなったようですが、保護観察を継続した者が一名でございます。  なお、さっきちょっと数字、手元にございませんが、何百人という仮出獄中の者が所在不明になっておるわけでして、それを、本来ならば仮出獄取り消して収容すべき人がほとんどだと思いますね、こういう状態を現実問題として許している。どこに原因があるのか、警察の協力をこれからもっとどんどん進めてまいりますから成果が上がっていくと思うんですが、ほかに問題はないのか、保護司先生方保護観察官の連携に問題がないのかどうか、そういう点は更生保護有識者会議の議論も踏まえながら真剣に取り組んでいかなきゃならない問題だと思っております。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そこで、やはり大事になってくるのは、保護司の問題も大事ですが、日本のこの更生保護制度の一番の特徴は、やっぱり保護観察官、それからその保護司という民間方々、これが協力体制でやっていることが一番の特色であり、他国に例を見ない。ある意味では、地域が機能すれば本当にそのシステムはいいシステムなんですが、なかなか今はそれがうまく機能していないところもあるし、そういう意味では、これも言わば一つの見直さなければならない時期に来ているような気もするんです。  その中で、やはり今一番大事になってくるのは、この保護観察官という方たちがどういう形でなり、どういう人たちがなっているか。また、この人たちがどういう素養を持ち、臨むのかと。意欲はあったとしても、そういう資質の問題というのは極めて大きな問題だと思うんです。  これも有識者会議の指摘、この有識者会議というのは平気で厳しいことを随分言っておりますが、例えばこの保護観察官の問題にしてみてもかなり厳しいんですよね。保護観察の、いわゆる生身の対象者を相手とする保護観察の現場における仕事に意欲のある者を採用する仕組みには必ずなっていないとか、直接のその対象者と接触する機会が極端に少ないとか、まあ言わば厳しいことを随分言っております。専門性もまだ不十分だというようなことも言っている。  そういう意味では、この採用の在り方ですよね、これも午前中議論があっておりましたが、この辺も含めてどういう方たちに保護観察官になっていただくか、またそういう保護観察官をどう確保していくかというような問題を含めて、これは現場から聞いている採用の実情を含めて、この採用の在り方ですよ、保護観察官の、これを伺っておきたいと思うんです。
  148. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、保護観察官は、犯罪者予防更生法上は、地方更生保護委員会の事務局と保護観察所に置くとされておりまして、「医学、心理学、教育学、社会学その他の更生保護に関する専門的知識に基づき、保護観察、人格考査その他犯罪者更生保護及び犯罪の予防に関する事務に従事する。」と、こういうふうに定められておるわけでございます。この保護観察官保護司協働保護観察を行っているのが我が国の特徴なわけでございます。  保護観察官がこういうものとして期待されておりますので、それにふさわしい適性と能力を持った者を採用するのが望ましいわけでございますが、採用につきましては、先に御説明があったと思いますけれども、通常の国家公務員の試験のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の職員の中からこれを採用いたしまして、その中から適した者を保護観察官に補職をしていると、こういう状況にございます。  そういう状況につきまして、その有識者会議の中間報告の中でもいろいろ厳しい意見をちょうだいいたしておりまして、例えば家庭裁判所の調査官と同じような研修をしてはどうかとか、あるいは採用も特別の採用試験をつくってはどうかと、このような御指摘もいただいております。その点につきましては、何といいますか、職員の規模の問題とか、いろいろそのハードルはあるんですけれども、検討しなければならないことと考えております。  それはそれといたしまして、やはりその採用に当たっては、やはり適した者を採用し、研修で育て上げていくというのが今の実情でございまして、保護観察官につきましては、早い者で二年目から保護観察官に補職いたしますし、まあ遅い者はもっと掛かるわけですけれども、その者に階層別研修といいますけれども、中等科研修、高等科研修というようなまあ段階を追って、初等、初歩的な研修からベテラン職員を対象とした研修を行って、能力のアップを図っていると、こういう状況でございます。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ちょっと、どんな研修をして、もう少しその研修の中身少し教えてくれます。やっぱりその研修の中で、例えばやはり生身と接するという部分、まあ後ろで控えていてかどうか分かりませんが、言わば現場を知るような研修までおやりになっているのかどうか、そういうところをやらせればその人が適性があるかどうかも見えてくると思うんですよね。だから、どんな研修なのかをちょっとお聞かせ願います。
  150. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 研修では、もちろん関係法令というようなことについての知識を深めるようなこともあるわけですけれども、例えばカウンセリングの技法のようなものについても行います。そういうことで、御指摘をいただいているような人対人との間で必要な能力の向上にも役立つような研修を行っております。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ともかく今のこの保護観察制度を見ていると、結局、日常的にいろんな役割を果たしている、いわゆる対面者との面接指導をやるのは保護司の役割になり、本来は保護司というのは保護観察官で十分でないところを補って保護観察所長等の指揮監督を受けて保護観察所等の事務に従事するものと規定されているんですよね。実際は、本当はこの保護観察官が主役でなくてはならないのに、現状はどうなっているかというと、保護司がどちらかというともうその役割を必死になってやっていただいているというのが現状だろうし、その辺が、これも有識者会議が指摘した過度の保護司への依存というような指摘につながったんだろうと思うんです。  そういった意味では、やはりこういった機会に何が大事かというと、言わば今の現状を位置付けて、日本はこれまで、冒頭申し上げましたように観察官と保護司という民間との協働体制でやってきたと。でも、どちらかというと、いつの間にか民間へ依存する部分が高くなり過ぎてしまって、その中でシステムとしてきちんと機能できなくなりつつあるものが生まれているんではないかという危惧をしていると。したがって、これに対してどう臨むのかということになれば、官民の在り方含めてもう一度そこを根本的に見直さなくちゃいけないし、そのために法的に改善するものがあればやらなければならないと思うんです。  今日の審議している今回の改正というのは正に前進の第一歩だと思っています。ただ、これが決して、これですべての問題解決するより、正に第一歩を始めたところであって、一番大事なことはそういった問題だと思いますが、大臣にこの問題どう対応していくのか伺って、質問を終わりたいと思います。
  152. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生の御指摘のとおりだと思います。中間報告においても、御引用いただいたような厳しい指摘が多々あるわけでございまして、ともかく私どもとしては、五月の提言を受けましてしっかりやってまいりたいと思います。  とりわけ、保護観察官の在り方が中心的なテーマになると思います。で、官もしっかりさせると。民間保護司その他の協働体制、これは世界に冠たるものですから、これを更に進めるためには官がしっかりしなきゃいかぬと思うんです。  これ、事業は人なりでございまして、少年院を私たくさん回ってみてびっくりしたんですね。実にいい成果を上げています。卒業生のうち再犯率が二割というと八割更生しているんですね、あんな悪い環境に戻っていっても。これは人でございまして、法務教官というのは、これは大変倍率が高くて、特別試験でやっているんですが、すごく優秀な人が入ってきているんです、ここ十年。ちょうどバブルがはじけて就職難になったことも若干影響していると思うんですけれども、若くて優秀な方々法務教官あるいは技官に入ってきてくれます。そういう方々が第一線の少年院教育を実に情熱を込めてやっておるということが大きな成果につながっていると思うんです。  それで、保護観察官制度については、もう中間報告で御指摘の点、先生方の御指摘の点、保護司さんからも御指摘を受けておるわけでありまして、様々ございますので、提言を真摯に受け止めまして、根本的に検討するという方向でやってまいりたいと思っております。
  153. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  154. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  私は、保護観察所実情の問題を中心に今日お尋ねしたいと思います。  私が初めて保護観察所を尋ねましたのは、担当しておりました少年事件で家庭裁判所から保護観察という審判が出て、その少年に付き添って保護観察官に面会をしたのが初めてだったんですが、その際に、その少年や家族に対して人間としての力をむき出しにして説諭をされ、そして保護司さんへの紹介、あるいは保護観察とは何かということを語られるそのお姿に大変感銘を受けたことがございます。幸い、その少年は再犯を犯すこともなく立派に成人をしたわけですけれども、対象者一人一人の人生に深くかかわって正面から向き合っていかれている保護観察官あるいは保護司皆さんに、今回の二つの法案の審議に当たって改めて心から敬意を申し上げたいと思います。  今日も様々な角度で議論がされてきているわけですけれども、その中でも、保護観察所とその保護観察所構成する保護観察官の集団が更生保護の言わばかなめの役割をこれまで果たしてきたし、また果たしていく役割、必要性がますます重要となっているということなのかと思うんですね。保護司さんからも、何かあったらすぐ保護観察官へという要望も強まっているとお伺いをしています。  そこで、まず大臣に、保護観察所あるいは保護観察官の役割についてどのように御認識をされているか、お伺いしたいと思います。
  155. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 保護観察官保護司は、保護観察官は官の立場で、保護司さんは民間の立場で、協働して犯罪や非行をした者の保護観察の実施に当たっておるわけでございます。世界にも類を見ないすばらしい制度だと思いますけれども、現実の犯罪や非行をした者の再犯防止につきましても大きな役割を果たしているというふうに認識しております。  ただ、先ほど申し上げましたように、そういう、皆さん一生懸命やっていただいているのに、例えば安城の事件のようなものが起こるということが契機となって更生保護に関する有識者会議を立ち上げたわけでありますが、現在の制度の中にも検討すべき様々な問題はあると思っておりますが、これを、有識者会議の御提言を契機にして、更に実効が上がりますように努力していくことが大事だと、こういうふうに思っております。
  156. 仁比聡平

    仁比聡平君 今回の二つの法案を取りましても、保護観察付執行猶予者特別遵守事項をどのように定めていくのか、あるいはその特別遵守事項を定めた後も、執行猶予という制度が元々、実刑を科さずに、その者の自覚と意欲に期待をして社会内での更生を図っていくという在り方を踏まえた心理的な強制力をどのように働かせていくのかということが大事になるんだと思うんです。  午前中、この特別遵守事項を定めた場合に、これに違反をしたという件について議論がございましたけれども、執行猶予を取り消すという運用を行うに当たっては、その情状重きときという要件がございまして、これは従来、そんなに件数が、実務的に行われてきたというものではないのではないかと私は思っておりますし、手続的にも検察官の申出が必要となると。そういう中で、そういうケースについて保護観察官がどのように対応をすべきかというところは、これはかなり現場では苦慮をされるんではないかと思うわけです。  あるいは、所在不明者の調査の問題でも、昨年来この実務が現場で行われてきて、保護観察官方々には大変な御苦労を掛けているとお伺いをしておりますし、今後、仮に所在不明者を警察との協力で引致をすることができたとしても、その後に留置をすることができる機関というのは限られていて、その後どういうふうにこの方々処遇していくのかということについても大きな課題が残されていると思うわけですね。  あるいは、仮釈放の審理の適正化に当たりましても、今日も大臣保護観察官による入所直後からの、刑務所への入所直後からの環境調整あるいは事前調査、この成果が適正に活用されることを期待される趣旨の御答弁がありましたが、そういう意味でも保護観察官の任務というのはこれまで以上に極めて重くなると。加えて、昨年からは医療観察制度の施行が行われていると。  近時の社会内処遇状況、とりわけ今日も語られました再犯の問題も含めて、今後の保護観察所の役割についてどのようにお考えか、保護局長にお尋ねをしたいと思うんです。特に私、そういうふうに考えてまいりまして、処遇困難な対象者、ここに保護観察官あるいは保護観察所がどう取り組むのか、そこがやっぱりかなめとして大事になっているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  157. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 御指摘のとおり、保護観察対象者によります重大再犯事件が起こったことなどをきっかけにいたしまして、様々な施策を行ってまいりました。また、今回の法改正で新たな業務が増えるのではないかというような御指摘は午前中からもいただいております。  私どもといたしましては、保護観察対象者の改善更生を図ることによって対象者再犯を防止し、それによって社会の安心、安全を実現するということは大変大事なことであり、そこに幾らかでも寄与できる保護観察所及び保護観察官の役割というのは非常に大事なことだと思っております。  その中で、保護観察官はやはり保護司とともに保護観察対象者に直接向き合って、対象者状況に応じて適切な指導監督、補導援護を行うことによって再犯を防止していくということで、それによってその改善更生を促していくということが国民の期待にこたえていくというものであるというふうに考えております。
  158. 仁比聡平

    仁比聡平君 局長に、併せて保護観察官の人数とそれから一人当たりの取扱件数、これは平均値ということですけれども、数字を改めて御紹介いただきたいと思います。
  159. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 平成十六年で見てみますと、一年間の全国保護観察事件の取扱件数は十三万九千十七件でありました。これを、午前中も御答弁いたしましたけれども、実際に保護観察等の業務に従事しております保護観察官約六百三十名を前提にいたしまして一人当たりの取扱件数を出してみますと、約二百二十件と、こういう数字になります。これは一年間の取扱件数ですけれども、それでは常時どれくらいの事件を担当しているのかと申しますと、常時大体一人百件程度の事件を担当しているという状況にございます。
  160. 仁比聡平

    仁比聡平君 前川委員質疑の中でも随分触れられましたけれども、この百件という数字はそれ自体として大変過重なものなのではないかという御指摘もあっております。  また、私、東京保護観察所も訪ねさせていただいたのですが、そちらでは多いときには保護区によっては二百人を超える取扱いをせざるを得ないという時期があり、もちろん当局も改善を図られる中で平均的に百件、百人ですが、今でも百五十から百六、七十というような件数を御担当されていると、そういう実情にあるとお伺いをしているわけです。  もう一点、実情を御紹介していただきたいと思うんですが、医療観察制度の施行に伴って導入をされております社会復帰調整官、この皆さん全国四十か所の保護観察所で一人配置になっていると思います。たった一人でこの調整官としての仕事をされてるということなんですけれども、どんなお仕事をされておられるのか、そこでどんな御苦労があるのか、お聞かせください。
  161. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) お尋ねの社会復帰調整官につきましては、いわゆる心神喪失者等医療観察法に基づきまして保護観察所が行う処遇等に従事する職員でございます。平成十七年度におきまして全国に六十三人が配置されておりますが、御指摘のとおり、社会復帰調整官の配置が一人である役所は、保護観察所は四十庁ございます。  社会復帰調整官の仕事ですけれども、審判中の対象者生活環境の調査、それから入院中の対象者生活環境の調整、通院中の対象者の精神保健観察、それから指定医療機関、都道府県、市町村等の関係機関相互の連携確保等の業務に従事することとされております。社会復帰調整官は、これらの業務におきまして、対象者の元に自ら赴いて面談を行って、継続的な医療が受けられるように必要な指導をいたしましたり、あるいは家族との関係を調整するとともに、指定医療機関の医師と協議いたしましてその治療状況を確認したり、さらには保健所等の地域関係機関の担当者とケア会議を開催して処遇方針の統一を図るなど、地域における処遇のコーディネーターとして広範囲の業務を担っております。  ちなみに、昨年の七月に法律が施行になりまして、現在まで三百二十二件の申立てがなされております。
  162. 仁比聡平

    仁比聡平君 この医療観察制度実情をちょっと私も勉強させていただきますと、病院の方の受入れの体制の関係で、ただでさえその調整官の管轄範囲というのは一つの保護観察所ということですから大変広いわけですが、その中には病院が準備できなくて大変遠いところの入院先に今局長御紹介になったような調整等に赴かなければならない、その間も当然一人なわけですから、他の事案に対する責任も当然負っておらなければならないというような実情にあると伺ったわけです。ちょっと前後したかもしれませんが、この調整官の実情がそういう状況にある。  先ほど御紹介いただいた保護観察官の数だけでは語れないお仕事実情や御苦労がおありなのかと思うんですが、局長から御紹介をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  163. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 保護観察官につきましては、先ほど申し上げましたように、一人当たり常時約百件の保護観察事件を担当し、約八十人の保護司の方を担当している実情にございます。個々の保護観察事件につきましても、例えば家庭の教育機能が弱まっているとか、地域社会の連帯感が希薄化しているとか、そういう社会的な情勢を反映いたしまして処遇が難しくなっているという状況にございます。  それから、加えまして、最近、保護観察所におきましては、覚せい剤事犯者に対する簡易尿検査の実施をいたしております。それから、平成十八年度からは、性犯罪者が及ぼす被害の重大性にかんがみまして、性犯罪者処遇プログラムを実施することにいたしております。それから、先ほど委員の方から御指摘がありましたとおり、所在不明者の所在調査の強化も行っております。このようなことから、保護観察官仕事は量的にも質的にも負担の大きいものになっているのが実情であると思います。  それから、一点ちょっと訂正させていただきたいんですが、さっき社会復帰調整官の関係で申立ての件数を三百二十二件と言いましたが、申立ての件数は二百九件で、生活環境調査とか生活環境調整とか精神保健観察のその事件を一件一件として数えた場合の件数が三百二十二件ということでございますので、申立ては二百九件でございます。訂正させていただきます。
  164. 仁比聡平

    仁比聡平君 保護観察官の職務の実情というものをもっと社会的にもあるいは政府の部内でも御理解をいただかなければならないのではないかと思います。私も伺ってびっくりしたんですが、所在不明者の調査の関係では、保護観察所は二十四時間体制を取らざるを得ないということですね。警察が二十四時間体制で動いていて、所在不明者はいつ発見されるか分からないわけですから、そのときに即時に対応しなければならないと。そうすると、保護観察官が携帯電話をずっと持ってその対応をせざるを得ないということで、その職務からは解放されない状態に事実上なってしまうと。四月からは全国の所在不明者の発見の通報が東京の保護観察所に集中をされるようになるということで、なかなか厳しい状況が私はあるのではないかと思うんです。そういった極めて厳しい繁忙の中で個々の対象者への処遇を万全ならしめようとして頑張られるという御苦労は、本当にいかばかりのものかと思うわけですね。  社会復帰調整官の方々は八割が休みもまともに取れないというような実態だというふうにもお伺いをしたわけですけれども、法務省としてこの保護観察官やあるいは調整官が置かれている状況について、このままでいいと思ってるのか、あるいはどうすべきだと考えていらっしゃるのか、その問題認識をお伺いしたいと思います。
  165. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 御指摘の保護観察官につきましても、また社会復帰調整官につきましても、処遇困難な事件の増加あるいは事件数そのものの増加に対しまして、専門性を持って一層適正かつきめ細やかな処遇に当たることが必要であると考えておりますけれども、これにつきましては、御指摘のとおり、非常に厳しい状況にございますので、必要な体制の整備にも努めてまいりたいと考えております。
  166. 仁比聡平

    仁比聡平君 午前中も審議がございましたけれども、人間が人間を相手にして、それも大変処遇が困難な対象者を相手にして立ち向かっていかなければならない、向き合っていかなければならないという仕事である以上、適正な規模というものをちゃんと科学的に検証する必要があると思います。是非そういった検証の上で、できる限り現場の負担を軽減するという努力を是非していただきたいと思うわけです。  そういう意味では、人員を増やす必要が私はあると思うんですが、行革の推進の関係で職員定数の五%純減というお話があって、そこにかかわって、法務省がマスメディアなどでゼロ回答だというふうに非難される向きがある。あるいは法務省を名指しをしてゼロ回答だといって非難する向きがある。私はこれ大変不愉快に思ってるんですね。不当なことだと言ってもおかしくないと思います。保護観察に関して言いますと、保護観察所が担うべき役割をちゃんと吟味をすることなしに画一的に合理化を迫るというのは、これは極めて不当なことではないでしょうか。  実際、法務省仕事というのは国民の目からは見えづらいところがあるのも現実なのかと思いますが、だからこそ、その職務の重要性、そして職場の実情を各方面に対して、特に財務当局に対して、腹に落ちるように理解を求めていただきたい、更に努力をいただきたいと思いますが、局長のまず御認識をお伺いします。
  167. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず、簡素で効率的な政府の実現が求められておりますので、更生保護官署におきましてもできる限りの業務の効率化を図っているところでございます。一方では、御指摘のように、保護観察の充実強化は我が国の安全、安心な社会の実現に必要不可欠なものであると考えております。今後とも必要な体制の整備に努めてまいりたいと思います。  ちなみに、平成十八年度予算では、保護観察官、こういう厳しい状況の中で保護観察官四十五人の増員が認められておりまして、定員合理化計画によります減員分二十四人を除きましても、二十一名の純増となっております。
  168. 仁比聡平

    仁比聡平君 実際に現場の責任と役割が社会的に大変大きくなっている中で、来年度定員の問題、確かにおっしゃるとおりなんでしょうけれども、それでは現場の矛盾は解決されないし、そして社会的な要請にこたえることはできないと私は思うんですね。局長、そこまでしか今日はここの場ではおっしゃれないのかもしれないんですが、是非大臣に、今日午前中の御答弁もございました、法務省の現場のこの責任をしっかり果たしていく上で、今日もるる議論があった、この責任を果たしていく上で、是非関係各方面に、私たちの総意を代表して頑張っていただきたいと思いますが、一言。
  169. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 御激励いただきましてありがとうございます。  今度の件では大分抵抗勢力と言われたわけでありますが、必ずしも実態はそうではなく、マスコミの報道の仕方がおかしいんで、関係各方面に理解を得られたと思っておりますけれども、治安にかかわる部分については必要なものは必要ということで頑張ったわけであります。  法務省の方でも、できる限り業務の効率化を図ると、アウトソーシングをしていくということはもう徹底してやっております。しかし、例えば刑務所、少年院等の公権力の行使の部分でございますとか、もちろん判検事、それからこの保護観察官も純増でございます、二十一名純増ですが、公安庁も純増、法務省の中で純減は法務局と本庁でしたかね、本庁、あとは純増、特に刑務所等は大幅増でございます。全省庁の中で三けたの純増を実現したのは法務省だけということでございました。各方面の理解を得られたと、こう思っております。  今後とも、治安の維持、再犯の防止、国民生活の安心、安全はもう最優先事項でございますので、法務省は現業官庁でありますので、本省はたった千人、あとは刑務所、少年院、検察庁、法務局、入管等々、現場官庁であります。五万一千人、五万人現場で国民と対面して仕事をしておるわけですが、我々一丸となって頑張ってまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
  170. 仁比聡平

    仁比聡平君 あと、保護観察官の専門性の問題やあるいは更生保護施設についてもお尋ねをしたいと思って準備をしておりましたけれども、大臣の御決意を伺って、時間参りましたので終わりたいと思います。
  171. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、今朝から非常に真剣な質問が繰り返されておるわけでございますけども、この問題について質問は出尽くした感がありますけども、二、三聞いてみたいと思います。  今大臣が言われたように、非常に人員面でも厳しい中を頑張っているんだということですが、頑張って増やさなきゃいかぬということはある意味では残念なことなんですけども、しかし国民の安心、安全が一番大事なことなんですから、是非とも頑張っていただきたいと思うわけでありますけども。  そこで、地方更生保護委員の問題でございますけども、今回の増員要請ですけども、どうしても犯罪者が増える、そうするとどうしても受刑者が増える、そうするとまた仮出獄者も増えるという形で、どうしてもこの地方更生保護委員が忙しくなっちゃうということになるわけですね。何か平成七年に一万三千件だったのが十六年には一万八千六百件になっているということで、一・四倍になっているというような数字が示されておるわけでございますけども、今回の増員で少しは緩和されるということで、関東地方で従来は一人当たり五百九十二人が五百七人に申請人員が減ると、近畿地方でも五百三十人が四百七十人に減ると、少し楽になるんだということですけども、こんなことでいいのかどうなのか、大変な負担になっているわけですけども。  そういう意味で、適正な審理が可能な人数は二百人なのか三百人なのか四百人なのか、そういう意味では大臣の立場では答えにくいかもしれませんが、個人としてでも結構ですけども、そういう形でどの程度の人数が本当に理想的なうちに審理ができるんだというふうにお考えか、お教え願いたいと思います。
  172. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 私も就任してまだ半年足らずで、現場のことをそんなに詳しく知っておるわけじゃございません。視察は精力的にやりましたですけれども、何人が適正規模かということは現場の人にちょっと聞いてみたらいかがかと思いますけれども、また件数だけで推し測ることは必ずしも適当ではないと思うんですね。軽微な事件もあるし重大事件もありますし、ただ今回は三人の委員の増員をお認めいただくようにお願いしておるわけなんですが、これによりまして関東地方更生保護委員会で二人、近畿地方更生保護委員会で一人増配置が可能となります。両方の委員会全国の平均的な担当件数にまあ近づく、少し近づくということで、ある程度の負担軽減につながるものと思っておる次第でございます。  今回の委員の増員は、もう先ほど来ずっと議論いただいているように、事件の増加、複雑困難化に対処して、より適切な仮釈放審理を実現するためでございます。治安の回復を図るための方策の一つとしてお願いをいたしておるわけでございます。  以上ですが、先ほど所在不明者に対する措置で仮出獄者だけ申し上げましたが、執行猶予者四十名ですけれども、そのうち執行猶予の取消し及びその手続中の者が十七名、死亡が四名、保護観察を継続した者が十九名という数字に相なっております。
  173. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 なかなか大変な仕事だと思いますけども、この仕事は、考えてみると、刑務所に入っている人間を一日でも早く社会に出して社会復帰させようということで行われておるわけでありますから、手の届く範囲だけでやればいいんじゃないかという考え方もあるかもしれませんけども、やはり社会的には大変意義のある仕事ですから、しっかり頑張っていただきたいと思うわけでもあります。  それから、地方更生保護委員の問題ですけども、これにつきましてもいろいろ議論に出ておりましたが、五十三名中ほとんどもうOBの人が多いという実態ですね。実際にそういうことから経験と勘を基にしなければなかなかできない面があるということもあるのかもしれませんけども、もうちょっと透明性の高いものにしていく必要があるだろうと私は思うし、そのことについては例の中間報告書にも詳しく書いてあるとおりでございますけども、大臣も、この答申が出たらこれを真摯に受け止めてやるんだというようなお話もございましたから、頑張っていただきたいと思いますけども。ただ、役所のOBばかりではなしに、やはり一般の人も入って考えていくということが大事だろうと思うんですけれども、そういう意味では、この地方更生保護委員の選任の方法だとか、あるいはこれの人たちの審議の仕方ですね、そういうことについて何か変えていくことができるんじゃないかと思うんですけれども、こういうことについてはどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。
  174. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先ほど来御意見をちょうだいし、私からも意見申し上げましたが、有識者会議でもう様々な御議論いただいているところでございます。  外部からの、更生保護官署出身者以外からの積極的な登用ですとか、民間人の審理への参加でございますとか、様々な御意見をちょうだいしておるところでございますが、五月には最終的な提言をいただくことになりますので、是非それを真摯に受け止めまして進めてまいりたい。  例えば、先生御関心をお持ちの裁判員制度も、プロの裁判官と、アマチュアのといいますか、素人の国民が協働していい裁判をやろうという制度でございます。この更生保護委員会の審議も、その更生保護に対する経験、見識、行政事務に対する高い処理能力、刑事政策全般についての同じような経験、知識、処理能力等を有する保護観察官出身の委員を中心とする官の人と、やはり民間のお医者様ですとか心理学者だとか、そういう専門的地位の方々の御意見を伺いながら審理していくということは一つ考えられる道だと思うんですけれども、いずれにしても、有識者会議の提言が間もなく出ますので、それを真摯に受け止めて制度の改善に取り組んでまいりたいと思っております。
  175. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今言われたように、一般から採用する場合、例えば保護司の経験者だとか、そういう人たちたくさんいるわけですから、そういう方をどんどん活用していかれたらいいんではないかと思いますので、十分検討願いたいと思います。  もう一つお聞きしたいのは就労支援の問題なんですけど、やはり保護観察中の者の再犯率というのは有職者と無職者では随分差があるということで、私は五倍ぐらい差があるんだと聞いておりますけれども、これについてもちょっとお話を聞きたいんですが、そういう意味では社会に戻って職が早めに得られるかどうかということが更生の一番大きなポイントになるんではないかと私は思いますけれども、そういう意味ではもちろん刑務所の中でもいろいろと就労指導をしているわけでございますけれども、出てからどうするかということでいろいろな支援策を講じておられますけれども、それについての詳しい内容と、どういうふうな効果が出てるかと、その辺をちょっとお話しいただきたいと思います。
  176. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 退所者にとりまして職を得るということが非常に大事であるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、法務省では、厚生労働省と協議いたしまして、刑務所出所者等総合就労支援対策というものを策定いたしました。この二つの役所で、主としまして、まず一番目として、矯正施設、保護観察所などと公共職業安定所が一層の連携を深めて的確な就労支援を実施すること。それから二点目といたしまして、刑務所出所者などの就労意欲を喚起し適切な求職活動ができるようにするための矯正施設内及び保護観察における指導と援助を強化すること。三点目として、雇用先の拡大及び就労を継続させるための環境を整備することなどの施策を平成十八年度から実施していくことといたしております。  具体的には、例えば刑務所とハローワークとをインターネットテレビ電話で結んだ遠隔企業説明会、これを行う。それから、出所者などを試行的に雇用した事業所に対する試行、トライアルですね、トライアル雇用奨励金を支給する制度を設ける。さらには、就職時に保証人のいない人に対する身元保証の支援策などについて厚生労働省と連携して実施して、刑務所出所者等の就労の確保に努めてまいりたいと考えており、これによって就労が一層確保できることを期待しております。
  177. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今の説明についてちょっとお尋ねしたいんだけれども、補助金を出しているんですよね、今はね。補助金を出しているんでしょう。金額は幾らなのかどうか。それで、どの程度の人にどれぐらい出しているのか、今の抽象的な説明だけじゃ分かりませんので、その辺を具体的に。出ていった人のことですからね。
  178. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) このトライアル雇用の部分は厚生労働省の所管でございますので私ちょっと数字持ち合わせておりませんが、身元保証の関係では、千七百人に対して三千四百万の予算を計上しております。
  179. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 厚生労働省のことだから知らぬということで、これも役所の縦割り行政そのものですね。やはりその辺までよく見て、どういうことになっているかは目を光らせていく必要が私はあると思うんですね。よそのことだから知らぬというんじゃなしに。これもよく勉強をしておいてほしいと思いますけどね。
  180. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 済みません、資料見付かりましたので御説明いたします。  まず、今のトライアル雇用奨励金の支給ですけれども、これは月額五万円でございます。一千五万円を計上しております。
  181. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ちょっと済みません、今五万円は聞いたから分かったけど、あと、何人ぐらいにどの程度今やっているのかというのぐらい分からないんですか、全然。
  182. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 平成十八年度から新しく始める事業でございまして、今申しましたように、対象人員六十七名を予定しておりまして、一月五万円の奨励金を考えております。予算としては一千五万円ということでございます。
  183. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 随分わずかなことで、一千万ぐらい、六十七名しか対象にならないような制度は、あるのかないのか分からないような制度だと私は思いますけどね。こういうことについてもやはり本気になって考えていく必要があるんじゃないかと思いますけどね。これについて、突然ですが、大臣はどうお考えになりますか、就労問題について。
  184. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 新年度から始める初年度事業ですからそれぐらいの規模なんでしょうけれども、できる限り、小さく生まれたわけですが大きく育てていきたいと、こう思っております。  この厚労省との提携も、安城の事件を受けて、官邸の方で、縦割りじゃなくて連携して再犯防止に当たれという強い指示で、警察と法務省との提携とか、厚労省と法務省の提携が始まったわけでございます。  法務省としても、何回かここで御説明したと思うんですけれども、独自に働き場所をつくり出すのに国としてできることはないかということを真剣に考えておるところでございます。地方自治体と提携したり、あるいは民間企業の協力を得ながら、満期出所、特に少年院を卒業した人たち再犯率二割ですが、そういう人たち再犯に導かないためには、就労場所を確保するということが非常に大きい課題だと思っておりますので、努力していきたいと思っております。
  185. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 しっかり頑張っていただきたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、刑務所にいるまでは手続が非常に充実されておるのが実態で、さきの裁判員制度もそうですが、刑務所から出た後のフォローが必ずしも十分じゃない。しかも、やっている人も、そう言っちゃなんだけれども、表で日が当たるところというよりも、日が当たらない仕事ということで非常に気の毒だと思いますけれども、頑張っていただきたいと思いますが。  特に後のフォローが大事なんで、そういう意味で、保護観察中のフォローについて、よその国ではGPSを採用して二十四時間見ているという国もたくさんあるわけですが、日本ではこういう問題まだやっておりませんけれども、GPSの採用の問題やらあるいは保護観察員の、保護司の増員について是非ともやってほしいと思うけれども、それについてはどのようにお考えか、大臣からお答え願いたいと思います。
  186. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 治安回復を図るためには、保護観察中の者による再犯防止対策を緊急に進める必要がございます。そのため、保護観察の充実強化のための要員を、平成十八年度予算では四十五人の保護観察官の増員を計上しているところでございます。先ほど来御議論いただいたように、保護観察の充実強化は我が国の安全、安心な社会の実現に必要不可欠なものでございますので、今後とも一層効果的な保護観察の在り方を検討してまいりたいと考えております。  一方で、保護観察の充実を図るためには、人生経験が豊かで地域実情に詳しい保護司方々の協力を得ることが極めて重要でございます。しかしながら、近年は地域社会の変容等を背景にいたしまして、保護司適任者確保は一段と難しくなってきております。法務省としましては、保護司方々の日ごろの御労苦に報いるためにも、保護司活動を強力に支援してまいりたいと思っております。  実費弁償も今年は三割増にさせていただきましたが、来年度においては更に増額を要求してまいりたいと思います。また、これまで以上に保護司活動の支援を進めてまいりますが、地域関係団体と連携するなどして、より幅広い層から人材の確保も図っていく必要があるものと考えております。地域によっては公募も導入することも検討いたしております。  GPSの活用についてお尋ねございましたが、諸外国の一部においてGPSを活用した処遇を実施していることは承知しております。しかし、プライバシーへの配慮その他検討すべき点が多いものと考えております。三ッ林政務官のチームでこの点は十分に検討していただくことに相なっております。
  187. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 どうもありがとうございました。  時間がちょっと余ることを予定して今日は最高裁の方も来てもらっているんですけれども、この前から裁判員制度の問題についていろいろ聞いておったんですが、持ち時間も少ないものですから、今日いただいた、ちょっとだけお尋ねしたいのは、この前もちょっと言いましたけれども、この裁判員制度については、PRの問題もいろいろありますけれども、国民に義務だという格好の面が強く出過ぎているというように私は思うんですね。だから、非常に抵抗感が強い、七〇%の人たちが反対しているというのが実態ですけれどもね。  そういう意味で、最高裁が第三十回の司法制度改革審議会でわざわざ事務総局の総務局長が来て、派遣されて、憲法上疑義を生じさせないためには議決権を持たない参審制をということが考えられるというようなことも言われているということは、最高裁としてはいろいろと疑問を持ってやられたんだと思うんですね。ただ、最高裁として今、憲法違反だとは言えないと思いますけれども、しかし、そういう中でこういうことをやってこられて、しかもPRの文書見たら、もう義務だ義務だばっかりであって、断ることができるということは何も書いてないですね。しかし、良心の自由が片方であるわけですから、そういう意味では憲法違反になる可能性だってあるわけですから、その辺のところを含んだことも考えてほしいと思うんだけども、最高裁としては、この問題あのとき何でわざわざ来て説明したのか、その後の状況等についてちょっとお話し願いたいと思います。ちょっと声が悪くて申し訳ないんですけどもね。
  188. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 委員御指摘の司法制度改革審議会における意見といいますのは、憲法上の疑義に関する論議を回避するためには評決権を持たない参審制とするのが無難であると思われることを、あくまでも一つのアイデアとして述べたものでございます。  したがいまして、その際にも、合憲性の点は、第一次的には立法機関において、最終的には司法権の行使の主体としての最高裁判所によって判断されるべき事柄である旨をお断り申し上げておりまして、最高裁として参審制等の合憲性について何らかの見解を示したものではないということは御理解いただきたいと思います。  また、現在どうかということもお尋ねがあったかと思いますけれども、もちろん最高裁といたしましても、広報活動を行う中では一方的に出頭してくださいということだけをお願いしているわけではありませんで、法律上これこれこういう事由がある場合には辞退ということも可能ですということも併せて国民の皆さんにはお知らせしているところでございます。
  189. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民の皆さんにお知らせしていると言うけども、最高裁判所の作ったPRの文書を見たけども、どこにも書いてないんだよね。だから、そういう意味では、その辺よく注意しながらやってほしいというのが私の意見です。  これに対しては、大臣はこの問題もう大臣になる前からタッチしておられたんだけども、どうお考えか、お話を伺いたいと思います。
  190. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 裁判員制度は国民に相当の御負担をお願いする制度でございますが、その負担が過重なものとなったり、思想、良心の自由などを侵害することがあってはならないことも当然でございます。  ただ、今の時点では、広報、できるだけ御理解いただこうということで、内容の御理解いただくのに力点が入っておりますが、法律には、やむを得ない事由がある場合には裁判員になることを辞退することを認める制度もございまして、そういう説明も、私もこの間、宮崎のタウンミーティング、御説明いたしましたが、裁判員となることは、また、国民の負担を軽減するための様々な手当ても設けられていることでございますので、裁判員となることが義務としても、国民の思想、良心の自由を侵害することはないと思っております。  現段階におきましては、裁判員制度については、国民の皆さんの不安を取り除くことができるように一層工夫を凝らした広報に取り組んでまいりたいと思っております。
  191. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 まだこの問題、二十一年からの実施ですから時間がありますから、だから、今まだ作っていく法律がたくさんあるわけですから何聞いてもまだ分からぬというのがあるんだけども、そういう状況の中での広報活動ですから、大変だろうと思うけども、憲法違反にならないように諸準備を整えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  終わります。
  192. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  193. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  194. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。
  195. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案及び執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案及び執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、両法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 国民の安全と安心を守ることこそが、政治の最も基本的な役割であることを改めて確認し、国民の安全を守るための施策に関しては十分な財政措置を講ずること。  二 刑務所内における矯正教育を更に徹底させて、犯罪者更生プログラムを完成させるとともに、受刑者らが出所後、再び犯罪を犯し、国民の安全と安心を妨げることのないよう、再犯防止のための施策を一層向上させること。  三 地方更生保護委員会における仮釈放に関する審理が、合理的で、かつ透明性が高く、犯罪被害者はもとより広く国民の理解を得られるよう、改善と改革を試みること。  四 保護観察を離脱して、所在不明になった者に関しては、改善更生の可能性が低く重大な再犯に及ぶ危険性が高いことが懸念されることに鑑み、所在不明者への抜本的な対応策を迅速に検討すること。  五 「更生保護のあり方を考える有識者会議」の最終報告を尊重しつつ、今の時代に適応した更生保護のあり方を検討し、更なる改善に努めること。  六 保護観察官の専門性を高める施策を講ずるとともに、その大幅増員も検討し、併せて、保護司制度の発展になお一層配慮すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 全会一致と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、杉浦法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。杉浦法務大臣
  198. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  199. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会