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2006-03-23 第164回国会 参議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         弘友 和夫君     理 事                 荒井 正吾君                 谷川 秀善君                 簗瀬  進君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 南野知惠子君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 仁比 聡平君                 亀井 郁夫君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君    副大臣        法務大臣    河野 太郎君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   園尾 隆司君        最高裁判所事務        総局人事局長   山崎 敏充君        最高裁判所事務        総局刑事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  小貫 芳信君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省刑事局長大林宏君及び法務省矯正局長小貫芳信君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 荒井正吾

    荒井正吾君 自由民主党の荒井正吾でございます。質問させていただきます。  裁判所職員定員法は、目的もない二条から成る簡素な法律でございます。この定員を法定する意味といいますか、立法府に持ってこられて定員の数だけを決めるというのは、どういう審議をすればいいんだろうかというふうにちょっと悩んだわけでございます。それで、法務省にもいろいろ、最高裁にもいろいろ聞きましたが、まず憲法七十九条では、最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成しと。員数憲法上出てくるということと、裁判所法がありまして、五条三項で、下級裁判所裁判所員数は、別に法律でこれを定めると、裁判所法組織を定めている法律のようでございます。憲法から員数法律になっている、立法府にゆだねているということでございます。  実際の立法府は、その都度法律審議して通すわけでございますので、定員管理とか予算管理というのはなじまない機能でございますので、こういう法律が出てきたときの審査というのをどのように、法的に出てくる、立法として出てくる意味をお伺いしたいわけでございます。  行政府の、予算がないと員数が決まってもしようがないので、予算統制は受けておられると。予算統制財務省がやっておる。しかし、行政管理局のある総務省定員管理は受けておられないと。どの程度定員が要るのかという評価は受けておられないということでございます。  立法府は、一方、定員管理能力予算管理能力もございません。行政的に、この員数の数だけじゃなしに、どのグレードの人は何人要るかという定数管理というのは、行政府では人事院がやっておるわけでございますが、あるいは定員配置行政管理局がやっているわけでございますが、それはこの立法府の権限に属していないようでございますので、それは最高裁司法の方に属しているのかなというふうに思います。  また一方、この法律でございますが、最高裁定員に関する、じかに関することでございますので、最高裁が直接立法府に持ってこられても、提出権の有無が最高裁に、こういう法律にはないのかどうかというようなことも考えたわけでございます。  立法府にゆだねられているということは、増員は、立法府が決めても予算付かないからできないわけでございますが、最近、公務員の五%削減というのを、これは内閣がやっておりますが、むしろ与党主導立法府議員立法でもしようかという勢いでしているわけでございます。そうすると、減員というのは議員立法でできるという理論的な背景になるのかなというようなことも、いろいろ法務省最高裁の方と議論をして、もう少し意味が、審議をどのようにすればいいかという意味がもう少し分からないところがあったわけでございます。  立法府にゆだねられたのをどういう審議をするのかという質問も変なんですけれども、提出される方として立法府に何を審議してもらってどのような判断をしてもらうというようなことを意識されているのか、その定員の法定ということに対する意味を、大変素朴な質問で恐縮ですが、お聞きさせていただきたいと思います。
  6. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) おはようございます。  参議院の委員会は和気あいあいで、衆議院から参りますとほっといたします。時には厳しいですけれども、衆議院はしょっちゅう厳しいもので。  大変、荒井先生質問意味の深い、難しい質問でございまして、お答えになるかどうか。  憲法三権分立を規定しております。司法権独立しておるということなんですが、その三権、それぞれ相互に牽制し合っているという面があることも御案内のとおりでございます。最高裁判所裁判官については内閣が任命と、そして国民審査がある。国民審査でその司法独立を担保と申しますか、している面があると思います。  定員の問題なんですけれども、司法権独立しているんだから司法が自由にやったらいいのではないかという見解もあると思いますが、しかし、司法権国権の一部でございますし、チェックは必要だと。定員等は、普通の官庁はそれぞれチェックする人事院その他あるわけですけれども、最高裁裁判所については法律で定めて国会チェックしていただこうという趣旨ではなかろうかと思います。  で、予算も絡んでいると思います。定員には予算が伴いますが、予算については、これは内閣、編成、専権が与えられております。国会承認となっておるわけですが、最高裁判所裁判所予算については独立機関としてこれは会計法にも規定がございます。減額する場合は理由を明記しろという規定がございます。それからこれは裁判所法にも、独立して国の予算に計上しなければならない、八十三条に規定がございます。  今までの財務省査定を見ておりますと、裁判所関係予算はほとんど満額認めておると、査定といいますか、減額はほとんどされていないというふうに承知をしております。最高裁の方ももっと思い切って予算要求したらいいんじゃないかというぐらいもう非常に謙抑的でありまして、減額されるのを恐れているというか、そこはよく協議しておるようなんですが、非常にコントロールされた要求をされて満額認めるという伝統になっておるようでございます。  そんなことで、定員についても先生国会審査する能力ないとおっしゃいますが、国会国権最高機関予算にしても何にしてもすべてチェックをしていただく立場でございますから、法律で定めて、定員管理というのは特に大事でございますので、国会で御審議願うというふうになっているのではないかと思っておりますが、お答えになったかどうか。
  7. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございます。  国会審査するといっても、その何人が何人になるというのが妥当かどうかという材料がないように感じたわけでございます。かくかくの背景があるからこのような人数が要るということを説明いただいて、あるいは資料を出していただいて審査するというような体ではなくて、これは調査室が調べた参考資料ですが、後ろの方に新聞の記事が載っていたりいろいろあるんですが、定員のこの増員妥当性という資料がなかなか見当たらなかったというような実感があるわけでございます。したがって、その定員妥当性を、抑制的になされるというのはあるんですが、むしろ情報を開示されて、かくかくの事情だからこのようなのは司法サービスの質の維持サービス維持に要るんだという主張がどこかにあってしかるべき内容じゃないかなというふうに感じたもので、こういう質問にさせていただいたわけでございます。  で、その定員の是非をどこで評価されるのか。司法権独立しているということでございますが、司法サービス評価は私、独立していないんじゃないかというふうに思います。三権のそれぞれの内容国民の目にさらされて評価を受けるという気風がもっとあっていいんじゃないかと。司法サービス内容についてももっと内容国民の目にさらしてほしい、この国会の場を通じて情報提供してさらしてほしい、それを吸収する意味が我々の機能としてあるんじゃないか、こういう思いで基本的なことをお聞きしているつもりでございます。  一方、この定員スケジュール増員スケジュールについては、事務局にお聞きいたしますと、平成十三年四月十六日に内閣の御照会があって、司法制度改革審議会という内閣審議会から求めがあって、最高裁事務総局裁判官増員の規模、増員スケジュール、その根拠を述べておられる資料があるわけでございます。  約五百人、今後十年間で裁判官増員が必要というふうに述べて、これが、そのスケジュール定員管理増員が進んでいくという御説明でございましたが、その資料を読ましていただいたんですが、普通の予算査定ならあの程度質問で五百人の増員はなかなか認められない程度の抽象的な説明のように感じたわけでございます。もう少し詳しい説明審議会にあったかもしれない。審議会査定機能がないわけでございますので、そこで通った、通らないというわけじゃなしに、参考までに聞いてもらったという程度でございますので、もし、その定員管理をどこにゆだねるかという体系的な話があるわけでございますが、そういう説明を具体的なしに定員管理をどこでしているのかということでございます。  検察官行政府の一員として総務省定員管理を受けておられるわけでございますが、検察官最高裁規則の中で統制されるというふうになっている。ところが、定員管理総務省管理を受けておられるというようなことで、定員管理を受けるということは、情報をそういう機会を通じて公開されるというふうに思われるわけでございますので、立法府定員、まあこれは管理かどうか分かりませんが、審議を受けるときにはこの司法サービス程度、最近の困難等資料を開示して審議を受けてもらったらどうかというふうに思うわけでございます。  このような三権の中の組織とか活動面チェック、それと三権同士お互い情報開示して、もう少しお互いに見詰め合いましょうというようなことは、外国に比べて、特に司法は立派にやっているからいいですよというような感じの印象もあるわけですが、この体系的な定員法位置付けというのをもう少し教えていただきたいというふうに思うわけでございます。
  8. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生がお触れになりました、なぜ必要なのか、その理由をもう少し詳しく御説明を申し上げて御審査願うということは大事だと思います。これは裁判所の方でなさるべきことでございまして、ここに事務総長が来ておられますが、まあ資料の作成は委員室でなさるんでしょうけど、資料室ですか、もっとよく御協力してよく御理解いただきやすい資料を、先生の御質問をお伺いしていると、作った方が良かったのかなという感じがいたします。  裁判所定員管理は、今ちょっとお伺いしましたら、総務省に服していないと、裁判所独自で定員管理をしておるということでございます。これ、司法権独立しているということからくると思いますが、今までむしろ定員が少ない、厳しい中でやりくりしておられるという姿は、私ども、裁判所を外から見ていて思うわけでございまして、もっと思い切って増員が必要じゃないかという感じはずっと一貫して感じておるところであります。  今回、判事員数を四十人、判事補員数を三十五人増加することをお願いしておるわけです、七十五名。先生がおっしゃった諸改革を推進する、まあ知財高裁も新設いたしましたし、そういう観点から、まあ裁判員制度導入等々ございます。裁判のスピードアップを図る観点から純増としてお願いしておるわけでありますが、長期的に見ますと、司法制度改革審議会でおおむね御理解が得られたとおり、十年で五百人ですか、という増員は必要なんじゃないかと、一応の目安としてあるわけでございます。  それに合わせまして、司法試験合格者も、私らのときは五百人でしたが、今はもう千五百人になっております。あと数年たちますと三千人合格まで持っていこうという数字の大体目安として合意を得ているところでございます。  そして、法曹教育法科大学院導入、質的な教育も強化するということで、全体として日本がまあ一口で言うと事後チェック型社会といいますか、に向かっておる、事前規制型社会から事後チェック型社会へ緩やかでありますが大きな転換を図りつつあるわけでございますが、それに応じて、やはりそうなりますと司法役割というのはますます大きくなってまいりますので、その社会的、国家的要請にこたえて裁判所も体制を強化していこうということでこの増員をお願いしているんだというふうに私は理解いたしております。
  9. 荒井正吾

    荒井正吾君 今教えていただいた中身で、例えば裁判所がどうして直接この法律国会審議されないのかと、その自身の、司法の重要な定員の話じゃないかと。定員の数を立法してもらうに当たっての説明を直接お聞きすると、法務省に、提出権内閣にある、それは委託されるということなんですが、こういうところまであるのかなという感じもするんですが。  委託されると、それを出すと、国会法案処理機関のように扱われることが多いので、大変形式的にこれ通されるのは国会としては若干不本意な状態だと言ってもいいんじゃないかと思いますが、定員だから、まあ議院内閣制与党がいろいろしてしまうということはあるんですが、これ与党も通っているのかなというようなこともあって、それともう一つは、要は盲点といいますかね、チェック盲点になっているんじゃないかというような関心でございます。  それと、ほかの国家公務員定員法でございますと、上限を決めて、あと政令で各省の定員を決めるということになっておりますが、この裁判官の実員をそれぞれ決めるというのは、まあ数も少ないし、若干独立した官職ということで、組織みたいなものだというか、職員の方は何人というより、定員を決めて政令で落とすというような手法があれば、実質上、最高裁配置とか決めておられるのであればそのような手法もあるんじゃないかなというようなことも感じましたので、この定員法のやり方、体系的な位置付けを、まあ今は人数が出てきて審査しているので、体系を審査しているわけじゃないんですけれども、そういう面もちょっと今後検討の、まあ法務省にお願いするのか最高裁にお願いするのかということでは、これ立法府司法府、行政府のそれぞれの見詰め合いといいますか役割分担、まあ法務委員会は思えば三権がそろう珍しい委員会だというふうにも思うわけでございますので、それぞれの組織チェックの仕方についての御検討司法行政の両方に御要請させていただきたいというふうに思うわけでございます。  もう一つの論点は、最高裁判所職員裁判官及び職員配置適切性が担保されているかどうかという点でございますが、その員数立法府で決めてもらうにしても、その配置最高裁で決められるというふうに理解されるわけでございますが、国民は公平に司法サービスを受ける権利があるということは基本的にあるんじゃないかと思います。  裁判の質については、裁判官独立性を担保する、それから能力維持に努める、あるいは三審制があるということで、それぞれ裁判の個別の審査の質は担保されて、しかし各地域受件件数が違うわけでございますので、裁判官の量的な処理の実数に差があるんじゃないかな、暇な人と忙しい人がいるんじゃないかなというふうにも思うわけで、これ公務員管轄を決めると常にそういうことがあるわけでございますが。その配置適切性というのは、資料にはそういうものがないわけでございます。これは最高裁内部管理で行われているんじゃないかと思うんですが、資料公開度が低いというか、今回はない。その判断が、配置については我々の判断及ばないですけど、ただ、全体のサービスの質をチェックする、評価をさせてくださいという観点からは、そういう資料も入っていた方がよかったんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  この調査室の作った資料では、弁護士さんの人口との関係が出てるわけでございます、何ページ目かに弁護士人口関係を見ますと、弁護士一人当たり人口というのは各地で随分差がございます。弁護士一人当たり人口は、東京弁護士会では千二百五人、十七年四月一日現在の。それから大阪では三千五十一人。それから多いところでは、青森県が一番多くて三万三千七百六十七人と、弁護士一人当たり人口というのは随分差があると。これは、それだけ余計に仕事をしているというわけでもないんじゃないかと思いますが、裁判そのもの人口当たり少ないんじゃないかと思いますが。そうすると、裁判官というのはこんな比なのか、需要にどのように量的に反映されているのかというようなことが十分な説明がないんじゃないかというふうに思います。  裁判官配置適切性をどのように説明されるのか、地域ごとの傾向というのはどうなっているのかというようなことは、もし簡単に御説明していただけるならお願いしたいと思います。
  10. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 裁判官配置を適切になされていると承知しておりますが、事務総長がお見えですから、なんでしたら後でちょっと御説明願うとして、その前の方の御質問についてお答えしたいと思いますが、法務省として、憲法解釈を述べる立場にはございませんけれども、裁判所法案提出権を認めるかどうかという点については、憲法上にはその明文の規定としてはございません、提出を認める。学説も、もちろん認めるべきだという説もありますが、一般的ではない、少数説だと承知しております。  最高裁には、憲法上、その専門性を尊重して、裁判に関する手続的、技術的な事項等について規則制定権を認めております、規則を定められる。これは一種の法律でありますが、認めておられます。その一方で、裁判所に係る事柄でも、国家機関の機構の根幹にかかわるものは国政全般への配慮の下に取り組むべき課題であるということでございましょう、法律事項になっておるわけでございます。  そういうふうに分けられていることを考えますと、仮に最高裁判所法律案提出するとすると、裁判所が自ら最高裁国会審議の場で説明を申し上げて、政治的なやり取りもあるということで、そういうことに関与することになりかねない懸念がございますので、制定権最高裁に付与するかどうか、法律で決めればできるかもしれませんが、慎重に検討される必要があると考えておるところでございます。  配分については最高裁の方から。
  11. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) ただいまの御指摘の裁判官あるいはその他の裁判所職員配置につきましては、基本的に事件数に応じて配置をするということでございますが、その事件数大変種類が多いということでございますので、どの事件をどういう割合で換算をしていくのかということにつきまして、それぞれの裁判所実情、あるいはそれぞれの地方における実情というようなものを勘案しながら、慎重にその換算率について検討をして、それに応じた配置をしておるというのが実情でございます。  この配置を考える際に、事件数動向をどのように読むのかということが大変重要になってまいります。  この点について、例えば倒産事件関係事件数動向について少し御説明をいたしますと、この倒産事件は、平成十二年に民事再生法が施行される、あるいは破産法の運用が大幅に再検討される、あるいは法改正の作業が進むというようなことで、これにあわせて長期にわたる景気の停滞ということの影響を受けまして、大幅に事件数が増加したわけでございます。しかし、その後、不良債権処理ということが進みまして、不況の進行が底を打つという要因が出てまいりまして、これに加えまして、裁判所の厳格な手続でなくても裁判所外処理していけるものはいこうというようなことで、平成十四年前後からは経済産業省が中心になりまして中小企業再生支援協議会というのをつくりまして、これも一定の成果を上げてきております。さらに、外資あるいは国内の金融機関が資金を倒産のおそれのある企業に提供していわゆる倒産ビジネスを営むという新しい現象も出てきておりまして、これらはいずれも事件数を減少させる方向に働いているわけでございます。  ところが、この倒産事件地域的な出方を見てみますというと、現在東京大阪などの大都市地域では企業法的整理事件が大幅に増加しておりますが、地方ではその伸びが顕著とは言えないという状況にございます。しかしながら、現在、弁護士の方々が全国倒産処理弁護士ネットワークというものを結成するなどいたしまして、全国的な倒産処理のレベルの向上ということに努めておりまして、司法制度改革動きと相まって全国的なレベルアップということも近く図られていくという動きがあるところでございます。こういうことで、地方倒産事件企業倒産事件につきましては、今後増加するという基調にあるものというように考えておるところでございます。  このようなことをかれこれ勘案しまして、事件動向などについても勘案した上で配置を考えていっておるわけでございます。
  12. 荒井正吾

    荒井正吾君 短い時間なので、具体的なことは分かんないんですが、もう時間ないので最後の御要望で締めくくらせていただきますが、管轄というのをあるとやっぱり密疎が出ると。暇なところへ行って、おいしい魚のある、お酒のうまいところへ行ってゆっくり仕事をするというのは、これは公務員のだいご味なので、裁判官検察官も例外じゃないと。そういう楽しみを厳格な定員管理で、定員配置で奪っちゃいけないというふうには思うわけですけれども、それはそれとして、管轄というのが今のIT時代意味が薄くなっているんじゃないかなと。巡回裁判ということじゃないんですが、行って、やっぱりいろんな訓練は件数の多いところ、手術でも、医療もそうなってきておりますが、集中的にトレーニングされて、裁判は現地行ってもう帰ってくると、まあ出張裁判ということになりますが。入管の方もそうですけども、そのようなことも、今後管轄というのを緩くお考えになっていただきたいと、遊撃隊というのをお考えになっていただきたいということでございます。  最後で、もう一分で終わりますが、手元に資料を配付いたしました。園尾局長が、事後チェック型になると司法はますます重要になる、頑張るぞと、こういう御発言をされて、大変感銘を受けたわけでございますが、では具体的にどのように頑張るのか、だれが頑張るのかということがもう少しはっきりしなかったもので、司法裁判官検察官弁護士さん、法曹の方だけじゃないだろうと、いろんな方がおられるんじゃないかと思って、資料はなかったんですが、こんなお手元のような資料法務省最高裁の人と相談して作っていただいたわけでございます。  見ると、とても種類が多いということと、思いのほか大変人数が多いというふうに、最後のADR関係の士さんの方はこの中に入れるかどうかはこれから議論になるところであろうと思いますが、予備軍というかそういう関係する人たち、あるいはこれ裁判員の方が出てくると、特定じゃないですけども、裁判員の方も支える人たちというふうになろうかと思います。こういうふうなので、どういう人たちが支えている、司法サービスを支える人は目立たなく地味に活動されておられるわけでございますので、どういう人がどういう機能があるか、それぞれがどういう関係があるかということはこれからますます気を配っていただきたい。特に、また事後チェックになると、出所後の更生とか刑務所の扱いとか、そういう現場のこともいろいろ出てくるわけでございますので、そのようなことも気を遣っていただく、支える人たちの仕事役割、負担、相互の関係などを十分吟味して扱っていただきたいというふうに思って、その取っ掛かりになるような資料を作っていただいたわけでございますが、これについての質問をするほどまだ勉強は進んでおりませんが、そういう面も気を配っていただくようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  13. 江田五月

    ○江田五月君 裁判所職員定員法の一部改正案、これは、今も荒井委員から御質問ございましたが、非常に技術的な法律で、判事員数判事補員数の増加、四十人、三十五人ですから、これはかなりのものですよね。一方、しかし裁判官以外の裁判所職員員数は三人増加と。三人増加というんでは何が何だかさっぱり分からないと。しかし、この中には相当大規模な配置の変化、事務官を書記官にするとか速記官を書記官にするとか廷吏はどんどんなくしていくとか、そういう入替えをやって全体の差がわずかに三人ということなので、この法律の表面だけを見ていたんではよく分からないのだと思うんですね。  そこで、その裁判所における人的資源の配置、さらにその基にある今の司法の大きな変化、これが一体この改正案にどういうふうに表れているかということについて、まず法務省最高裁の方にお聞きをしておきたいと思います。  今、司法制度改革、これは幾つかの、幾つかといいますか、かなりの数の法律も既にできまして、これが実行の過程に入っているわけですね。例えば、ロースクールはもう間もなく最初の修了生というんですかね、出てくるということになって、さらに裁判員制度あともう三年少々でスタートをすると。あと何日かで来年度という年度が始まるわけですが、その年度にはいわゆる、従来司法ネットと言っておりましたが、正式には日本司法支援センター、現場では愛称が法テラスと決まったそうですが、こういうものも始まると。  実は、私ども民主党は、この司法制度改革についてはむしろ、もう出された提案をいいか悪いかチェックをするということを超えて、むしろ我々の方が司法制度改革の牽引車になって、言ってみれば、立法の過程の中で言えば与党的な立場で提案をして実行を迫っていくという、そんな気持ちで今日までやってまいりました。  私は、その司法制度改革は二つの必要性があったと。一つは、御承知のとおり、我が国は戦後、戦前と大きく制度を変えたわけです。憲法も全く新しい憲法にして、そして国民主権、民主主義、平和主義、基本的人権、こういった新しい制度でスタートしてきたわけですが、残念ながら司法制度については戦後改革というのは極めて不十分であって、その言わば、かなり後れましたが、完成をしなきゃならぬという意味で、国民主権の下の司法制度をつくる。もう一つは、時代が大きく変わってきた。ITといったこともあるでしょう、あるいはまた最近よく言われる事前調整型から事後チェック型へといったこともあるでしょう、そういう時代の変化に見合った司法制度にしていかなきゃならぬという、この二つの要請から司法制度改革やっていかなきゃならぬというところで、今もう改革の真っただ中にあるわけです。  来年度予算を編成する最中の昨年十二月に、超党派でつくった司法改革推進議員連盟というのがありまして、この議員連盟がこれは財務大臣に申入れをいたしましたが、今の法テラスの体制整備、裁判員制度の啓発活動の推進、ロースクールを含めた法曹養成制度の充実、ADRの更なる充実など、思い切って司法制度改革に本気で取り組むという、そういう予算獲得をしてほしいということを言ったわけですが、これは単なる予算だけじゃなくて、この数年にわたって司法制度改革をどうするかと、どれだけの意気込みを持ってどういう問題意識でやっていくかと、このことを問題提起をしたつもりでおります。  そこで、今この法律法改正案を出されるに当たって、司法制度改革の全体の決意の中でこの法案をどういう位置付けで出そうとしておられるのか、ちょっとざくっとした質問ですが、法務大臣、そして最高裁、今日は事務総長お見えいただきたいと言ったんですが、総務局長がお見えですので、お答えください。
  14. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 江田先生は、司法制度改革全般について、おっしゃったとおり先頭に立って御尽力いただいてまいりましたわけで、私は自民党の方でやってまいりましたが、心から敬意を表し、感謝しておるところであります。  先生おっしゃったとおり、司法制度改革は法制的にはほぼ仕上がっておりますが、実施はまあ法科大学院等着手したばかり、あるいはこれから着手するものとしては裁判員制度司法支援センター、ADRの拡充等々あるわけでございまして、正に真っただ中にあると言ってよろしいかと思います。そういう状況を踏まえてこれもお願いをし、この定員増も予算についても全力を尽くしてきたところでございます。  まず、その人的拡充につきましては、ここでお諮りしておりますとおり、裁判官の実質七十五人増、検察官は別途四十五人ですか、増員をお願いをしておるところでございます。定員五人の純増ですけれども、これ、政府全体で見ますと純増というところは極めて少ないわけで、大体おおむね各省庁とも純減であります。法務省は大幅増で三けたの増員、刑務所刑務官等増員が要りますので、独り勝ちと、内閣の中では、という状況でございます。人数的に二百八十三人の純増でしたけれども、法務省は、まだまだ不十分だと思っております。しかし、これだけ厳しく査定しているところから見るとまあまあかなと思っております。裁判所についても後ほどまたお答えあると思いますが、五人の純増というのは、これは政府部内との比較でまいりますと、合理化する反面大幅な増員を認められたということだと思います。  先生方の御要望に沿って予算面について若干御説明申し上げますと、まず日本司法支援センターの設立、運営に関してですが、百十三億余の要求をしたのに対しまして百二億七千七百万円認められました。これには、扶助協会が今年秋解散いたします。しかし、その分だけ、扶助協会の方へ付けておりますので、二十何億ですかね、それは丸々こちらへ参りますと、来年度からはその分がこちらに乗るということになります。それから、国選弁護費用も継続分が最高裁に計上されておりますから、ここに計上されているのは新規分だけでございますので、新年度予算としては相当大幅なといいますか、大きな予算を付けていただいたというふうに思っております。  これによりまして、本部と地裁の、百五十一ですか、現在、そこに地方支部を立ち上げるということは今年度中に実現することになるんじゃないかと思います。司法過疎地域等、そのほかも若干含まれておりますが、百五十一も、ほかにもちょっとありますが、初期のこのネットワークを司法過疎地域に特に配慮して全国に張り巡らすということについては、まだ時間が三年、五年掛かっていくと思いますが、スタートとしてはいい予算を付けていただいたと思っております。  裁判員制度の広報啓発三億二千万、法令国際発信には六千八百万、ADRの充実、活性化に二千四百万など、先生方の要望におこたえできる内容になっておると思っております。
  15. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) このたびの司法制度改革に臨む裁判所の姿勢について、まず御説明を申し上げます。  社会の複雑多様化と国際化が進展するにつれまして、法人、個人を問わず当事者間の利害の衝突が複雑、深刻化してまいりまして、透明なルールによって紛争を解決する存在である司法についての機能強化を求める声が高まっているという認識でございます。また、我が国が事前規制型社会から事後チェック救済型の社会への転換を図ろうとする最近の一連の諸改革の中で、事後チェック及び救済の中心的な役割を担い、かつ公正で透明な手続を有する裁判所への国民の期待は今後ますます大きくなっていくものというように考えております。  このような中で、このたびの司法制度改革が、司法を取り巻くこのような状況を踏まえまして司法機能の充実強化をするために、経済活動を始めとする時代の要請に応じた司法制度の整備、これらのニーズにこたえるに足りる法曹の確保、国民的基盤の強化という三つの柱に基づきまして司法制度全般の改革を図るものであるというような理解の下に検討をしてきておるわけでございます。  裁判所といたしましては、このような司法制度改革趣旨を実現するために、事件処理体制の一層の充実強化を図るとともに、既に導入されました制度について改革趣旨に沿った適正な運用に努めてまいったところでありますが、今後導入される新しい制度につきましても、その円滑な実施に向けて総力を挙げて準備に取り組んでいるところでございます。  今後もそのための努力を続けていくという所存でございますが、この増員の計画に関しましては、平成十三年の四月に、司法制度改革審議会の場において、裁判所の人的体制を充実させる方策について、訴訟の迅速化、専門化への対応等のため、今後十年間で約五百人プラスアルファの裁判官増員が必要であるというように述べてきたところでございまして、その延長線上で、平成十八年度につきまして、裁判官については七十五名という増員を求めておるところでございます。このような中で今回の定員法の改正をお願いをしておるというところでございます。
  16. 江田五月

    ○江田五月君 意気込みは分かります。大いに頑張っていただきたいと思います。私どももできる限りの支援をしていきたいと思っておりますが、ただ、やはり依然として、そうやってつくっていった後の裁判所の全体像というのは一体どういうことになっていくのかと、これが必ずしも定かでないような気がするんですね。  特に、この裁判所職員を増やしてくれという、毎年のようにこれ出てくるわけですが、全体に、例年、事件の類型を挙げて充実の必要を説明するというのがまあ常であったわけです。今ここに出されている来年度のものについては、民事と労働、さらに刑事事件の適正迅速な処理裁判員制度導入、医療観察事件処理と、ぽんぽんぽんとこう書いてありまして、去年の場合には、これ、去年といいますか、今年度ですか、これが倒産事件と知財と、そうやって個別の類型を挙げて言うだけで、少しずつ増やしていって、さてどこへ行き着くのかなと。今五百人の増員ということを言われましたが、どうも全体像がよく分からないと。  私ども、もう超党派といいますか、与野党挙げて、毎年毎年、法務についても司法についても、人的、物的充実の請願もみんなで採択をしておりまして、皆さんがやる御努力は多としながら、さはさりながら、やっぱりどういう裁判所の全体像に向かっていくのかということは、一体だれかが考えているのかどうか。裁判所の全体像というのは、恐らく裁判所は現実に事件に直面して毎日事務を取り扱っているわけですから、一定のものはお分かりになっている。しかし、やはり裁判所というのは、こういう裁判所になりましょうと言って、自らどんどんリーダーシップを持つ役所とはちょっと違う。そうすると、裁判所が現実に毎日の事件処理の中で得る様々な生きた情報をどこかで集約しながら裁判所の全体像というのを考えていかなきゃならぬ。  そうすると、これは法務省ということになるのかなという気もするんですが、今この時代の変化に伴って、例えばADRというのがもっともっと拡充してくる。そうすると、この細かな一つ一つ事件について全部裁判所が扱うんじゃなくて、裁判所は一定の方針、指針を出して、あとはそのADRの中で紛争を解決しろという、そういう仕組みもできてくるかもしれない。もうかなりできているかもしれません。あるいはまた、例えば心神喪失者、医療観察制度、あるいはDV、あるいは成年後見、あるいは性同一性障害者の扱いなど見ていくと、裁判所が社会に対して一定の後見的役割を果たしている。訴えられなければ何もしないんですよというよりも、むしろもっと前へ進んでいかなきゃいけないという、そういうような裁判所の全体像ということも出てくるかと思うんですが、こういう裁判所の全体像をどうやってだれがどこで考えているのか。これを法務大臣そして最高裁の方から御説明ください。長々とでなくていいですから、ぴたっと。
  17. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) ぴたっとお答えするのは非常に難しい御質問でございますが、政府においては、法務省司法制度に関する企画及び立案に関することを所掌事項としておりますので、先生のおっしゃる趣旨は、政府としては法務省が責任を持って当たるべきことだと思います。  将来像がどうなるかということなんですが、漠と申せば、政府は小さなものにすると、しかし司法は大きくするというのはいかがか、まあ中くらいの司法にすると。要するに、小さくはできないと、しっかりした司法にしていかなきゃならないという将来像を描いて、司法制度改革審議会でずうっと議論されてきたと、私はそう思っております。いろいろな意味で、これから政府としても努力していかなきゃいけないと思います。  個人的感想を一言申しますと、国民の目から見ますと、やっぱり信頼できる、頼れる司法でなきゃいけないということじゃないでしょうか。そういう意味で申しますと、私、司法改革が始まったころ、橋本内閣のときですが、最高裁判所は前向きでした。今も前向きでしたけれども、改革をやろうというお気持ちになられた。そのお気持ちを幹部の方といろいろ話をしておって感じたことは、やはり裁判を行うのは裁判官です、最終的には。当時、今の最高裁の幹部そうだと思いますが、現在の裁判官の質、在り方について相当危機感を持っておられるなという印象を受けました。  私は古い人間ですから、私どもの同期は、戦争中、子供でした。就職、僕らの仲間は裁判官になっていますが、連中の話聞くと、裁判官の中にも戦争から帰ってきて、戦火をくぐり抜けて、戦争の惨禍を体験して、死中に活を得てきた方々がたくさんおられた、これは社会全部そうですが。その裁判官が非常に温情あふれるといいますか、寛大な裁判をなさったようですね。そういう先輩から受け継いで、受け継ぐにしても要素はあった、戦争中子供でしたから。  ところが、今の裁判官の若い方々は、この園尾さんもそうですけど、戦争を知らない、全く。戦後の発展の中で、まあぬくぬくととは申しませんが、素直に育ってこられた方々で、社会は激動の中にあります、競争が激しくて、企業倒産する、国際競争激しい。そういう激動の中で、本当に今の裁判所国民の目から見て頼りになる裁判所かどうか、信頼できるかどうかという疑念が若干、おおむね信頼できるけれどもプロの裁判官は。まあ分かりやすい言葉を使えば、裁判官は世間知らずじゃないかとか、例えば、そういう、何というか批判が出てくるような裁判所であることを心配されているような印象を受けました、私は。  ですから、そういう中くらいの司法を大きな司法にしていかなきゃなりませんが、もちろん弁護士検察官も大事であります、隣接業種も大事でありますが、特に裁判所裁判官がやはり三権の一翼を担っておられるわけですから、しっかりした国民から頼りがいのある質の高い、人格、識見ともに、そういう裁判所になっていってほしいと、こう思っております。  法曹一元という言葉がありますが、私はそうなっていくと思うんです、自然に。弁護士から裁判官になる、裁判官弁護士になる。自民党の改正草案からは弁護士の任期外しました、十年、短期任用も可。裁判官弁護士になって、また裁判官に戻ってくる、そういうのがあってもいい。経験を積んで、社会のことをよく知った方が裁判をやるのがいいわけで。  それから、裁判官も世間へ出る。例えば、司法支援センターは現職の裁判官、検事にどんどん入ってもらおうと思っています。弁護士になって仕事をしてもらおうと思っています。そういうことを通じて、司法に携わる方々が国民の目から見て信頼するに足る方々になってもらうことがやっぱりそのかなめではないかと私は思っております。
  18. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) 裁判所といたしましては、裁判所が目指すところといいますのは、やはり裁判所国民から申し立てられた事件について判断をするというところでございますので、そのような国民からの負託にこたえられる裁判所をつくっていくということでございます。  これにつきましては、まず、今法務大臣からもお話がありましたように、裁判官の資質についてしっかりとした向上策を更に講じていくというようなこと、それから、裁判官のその量的な側面につきましても、これを負託にこたえられるだけの、それだけの陣容を備えていくというようなことをやっていかなければいけないということで検討しているわけでございます。  そういうことで、平成十四年には、これから十年間ということを見越して裁判官の数を五百人プラスアルファという、そのような計画を立てたわけでございまして、その延長線上で努力をしておるわけでございますが、しかしながら、その後、裁判員制度の導入について立法がなされ、医療観察法、労働審判制度などの新たな制度の立法が続くというようなことで、裁判所に新たな負託が更に加わってくるというような状況にございまして、その変化もかなり急であるという認識をしております。  このような中で裁判所の将来像を描くためには、ただいまのグランドデザインということを考慮に入れておるわけですけれども、なお急激に動く状況にきちんとこたえるというために、この情勢に柔軟に対処する必要性も出てきておるということで、このようなことを併せながら、検討を進めておるという状況でございます。
  19. 江田五月

    ○江田五月君 言葉ではまあいいんですけどね。例えば、裁判所、確かに訴えがなければ裁判はないんだと、まあ不告不理ですかね。しかし、さはさりながら、やはり裁判所としてどういう世の中をつくっていきたいかという一定のものを持っておく必要があるんだろう。  園尾総務局長がぬくぬくと素直にお育ちになっているかどうかはよく分かりませんが、例えば私ども、私も裁判官やっていたことあるんですけれども、私どものときには、やはりいわゆる代用監獄というのはどうも自白偏重、自白に偏る傾向が出てくるからなるべく被疑者の勾留も拘置所へ置こうとか、あるいは少年も警察の勾留じゃなくて鑑別所へ観護措置で身柄を確保してもらおうとか、そういうような一定の方向を持ってそれなりにやっていた。  ところが、最近聞くと、被疑者勾留を拘置所にというのはもうほとんどない例外的なものであって、もうほぼ全部代用監獄、まあこれはこれからまた法案が出てきますけれども、そういうことになっているというようなことで、ぬくぬく素直がそれじゃ困るなという感じがするんです。  やっぱり裁判所として、どういう世の中をつくりたいかと。あんまり裁判所がどんどんどんどん前へ行くと困るんですが、やっぱり一定のものは持ってほしいなということを感じます。  今日はいろいろな質問は用意したんですが、どうもあんまり、どんどん時間がたつので、ちょっと最近気になることを伺っておきたいんですが、裁判所法務省もしっかりした役所だと思うんですけれども、しかし、例えば刑務所だとかあるいは検察庁だとか、それから裁判所からも情報漏えいというものが出てきたと。  新聞報道なんですが、二月に鹿児島刑務所、福岡拘置所の収容者、刑務官ら計五千七百人の個人情報が流出したと。宮崎地検に関する、これは容疑者情報が流出した。  これ一体どういうことなんですか。これも手短に、まず法務省の方は、これは一体どういうことでこんなことが起きたのか説明してください。
  20. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 大変遺憾な事態が発生いたしまして、本当申し訳なく思っております。  京都関係ですが、京都刑務所の職員を含む十二名、調査の結果十二名が関係しておりますが、職員平成十三年十月ごろから十六年十二月ごろにかけて、福岡刑務所ほか四庁で作成された処遇上の実例や内規文書等の電子データを研修あるいは執務の参考資料に使用したいなどとしてコンパクトディスク等外部記録媒体に複写したものを職員間でやり取りしておったわけでありますが、京都刑務所の職員が保有するCDに保存されていた約一万ファイルが流出したと。その情報の中には、被収容者三千三百八十人分及び職員二千二百八十三人分の氏名等個人情報の電子データが含まれていたものでございます。  検察庁、ついでに申し上げますと、宮崎地検の職員が、平成十二年の人事異動に際し、自己が担当していた事件の引継ぎのために作成した資料一通が流出したという事案でございまして、当該引継ぎ資料には交通関係の被疑者八名の氏名及び罪名等が記載されていたものでございます。  流出の原因については、いずれの事案もそうですけれども、その職員がファイル共有ソフトウエアであるウィニーを利用している自宅の私物パソコンに当該資料の電子データを保存していたところ、同パソコンがウィニー関連のコンピューターウイルスに感染したことにより流出したということでございます。
  21. 江田五月

    ○江田五月君 これはかなり重大なことで、しかも、今行政各部に及んでいる、恐らく行政だけじゃないんですがね。細かくこれから私どもチェックをさせていただきたいと思っております。  ウィニーをインストールして私物のパソコンに公の情報を入れて、このウィニーがウイルスに感染して流出していくということのようですが、自分が所管している情報じゃない情報もあるいはあるんではないかとかですね。  それから、先ほどの検察の場合は、これは私は事務官と最初聞いたんですが、よく聞いてみると検察官事務取扱検察事務官、ですから仕事としてはこれ検察官なんですよね。今日は問題の指摘だけ。  裁判所東京地裁でも個人情報が出たと。これは書記官の情報だということなんですが、私はどきっとしたのは、私どものころには、判決の起案なりあるいは翌日の事件のために記録を自宅に持ち帰って、自分で持ち帰る場合もあるし、役所に届けてもらう場合もある、自宅でいろいろやっていたんですよね。  今は裁判の記録は恐らくまだファイルにはなっていないと思いますが、しかし、こういう時代ですから、いずれ証拠関係にしても、あるいは事件記録にしてもファイル化されるということは当然予想される。そういうものを裁判官というのはやっぱり自宅に帰って夜中徹夜して起案するというのがどうも常でして、そうすると、裁判官のところからこの情報が出ていくということは、これは将来その危険性はやっぱりあるので、今から相当の対応、対策を取っておかなきゃいけないと思うんですが、最高裁、どういうような覚悟でおられるか、お聞かせください。
  22. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) ただいまの御指摘の事件は、東京地方裁判所民事部の書記官が部内検討用のメモを作成するために自宅に持ち帰りました執務関連の電磁情報を自宅のパソコンに入れておりましたところ、そのパソコンがウィニー関連のコンピューターウイルスに感染いたしまして、自己の個人的なファイルとともに裁判所の執務上使用したファイル約千個が外部に流出いたしまして、東京地方裁判所の民事部が民事執行関連の関係で執務上作成した文書を中心としまして、過去の決定例なども含めまして、住所及び氏名によって個人が特定できるものが約百五十名分流出したというような事態でございます。  私ども、このような情報、電磁情報が流出するということに備えまして、これまでもこのようなものを庁舎外にやむを得ず持ち帰るという場合にはパスワードを設定するというような方法を指示をしていたつもりでございますけれども、このような事態が生じまして、最高裁判所ではまず緊急に二月二十四日、全国の職員に対しまして、執務上の電磁的な情報をインターネットに接続した私物パソコンからこれが存在する場合には消去するということ、それから保存をしないということ、それからファイル共有ソフトを執務上の電磁的情報を扱うパソコンにはインストールをしないということの指示をいたしました。  これに加えまして、裁判所における情報セキュリティーの確保ということのために、改めて執務上使用する電磁的情報管理についての注意事項を全職員に周知するという体制を取りますとともに、今後、この情報セキュリティーの水準を確保するという目的での情報管理につきまして、これが適正に行われるように更に検討を続けておるところでございます。  ただいま御指摘のような問題意識を持っておりますので、それに対処ができるように対策を立てたいというように思っております。
  23. 江田五月

    ○江田五月君 こういうパソコン、コンピューターを使っていろんな処理をするというのは、これは時代の流れのある意味で必然でして、もうパソコン使っちゃいけないなんと言ったって、そんなこともう駄目ですよね。それは判決の起案だって恐らく今もう皆ワープロじゃないですよね、もうパソコンをどんどん使っておられるんだろうと思いますし、そういう時代の変化の中で、しかし情報流出というようなことが起きないように、締めるところはきっちり締めながら、しかし大いに新しい技術は使っていくという問題意識を持っていただきたいと思うんですね。  ですから、ウィニーはインストールするなという、まあ取りあえずはそれは仕方がないのかもしれないけれども、そういう意識じゃなくて、もっと何か前向きの問題意識がなければいけないだろうと思っております。  そんな中で一つあともう時間がほとんどなくなってきましたが、裁判員制度と今のデータとの関係について、これは私の問題はこういう問題意識なんです。司法研究、これは私なんかは懐かしい言葉なんですけれども、現場の裁判官仕事の量を若干減らして司法研究というテーマを与えられてそして研究する、その報告書が出てくる、これが法曹会というあれは財団法人かな、から出版されて、なかなか読みごたえのある研究報告書がずっと出てきてというようなものなんですが、この司法研究で国民の意識調査をされた。  その中で、量刑について裁判官と一般の国民の場合との比較がなされて、そしてそういう調査の、まあ細かなことはもう時間ありません、省きますが、そういう調査の結果、国民の方から、類似事件裁判例というのがやはり欲しいと。特に、裁判員制度が導入されて裁判員の人たちに量刑まで決めてくれというわけですから、そうするとやっぱり類似事件裁判例、量刑の言わばデータ化されたものが必要になってくるかと思うんですね。  今、この量刑のデータ化というのは一体どうなっているんですか。
  24. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今委員から御紹介ありましたとおり、今回のアンケート調査の中では国民の、回答者の約八割以上の方が量刑に際しては何らかの参考資料が欲しいということを言っておられまして、また各地で模擬裁判などをやりましても、裁判員役の方からは必ずそういう御意見が出ております。したがいまして、最高裁としましては、裁判員制度が施行されるまでの間にこの点についてきちんとした対応を取れるように検討をしているところであります。  具体的には、今お話のありましたようなデータシステム、これは具体的には、評議においてその事件で重要であると認定された量刑因子を取り出して過去の判決のデータの中から類似した事件を検索して量刑の参考資料としていただくと、こういうものをこれからきちっとした形で対応し、裁判員の施行までにはこういうものについて具体的な設計を進めていきたいと考えております。
  25. 江田五月

    ○江田五月君 現在でもこの量刑についての検索システムはあるというようにも聞くんですが、どういう形で存在しているんですか。
  26. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判官資料として検索に付するためのものというものもないわけではございません。ただ、これは罪種が限られておりまして、裁判員の事件すべてに対応するようなものでもありませんし、それから、裁判官資料ということですので、これが裁判員の量刑の際にどういう形で使われるかということについては更に抜本的な見直しをしなければなりませんので、今後そういうものをこれからつくっていきたいと、このように考えているところであります。
  27. 江田五月

    ○江田五月君 私も聞いてみたんですが、正にそういうことで、検索システムはあるんだそうです。あるけれども、それは個々の裁判所ベースぐらいですかね、にあって、その裁判所裁判官が自分の参考のためにアクセスできる程度のものであって、私が見られると聞きましたら、いやいや、外部の人はとても見れるようなものじゃありませんという程度ですから、裁判員に見せることができる、参考にしてもらうことができるようなものには恐らくなっていないんですよね。  昨日も前川委員の方から、裁判員制度導入についてどういう予算措置が今検討されているのかについてかなり厳しい指摘も含めながらいろいろなチェックもありましたが、今のような例えば量刑検索システム一つ取ってみても、相当これは練りに練ったシステムをつくらなきゃいけないんだろうと。一方でしかし、いや、裁判所の過去の例はこうですから裁判員の皆さん、こういうふうにしてくださいねと、それでも困るんで、参考にとどめると、しかし十分参考にはなると、そういうシステムをどうつくるかというのはこれからの大仕事だと思います。  そのほかにもまだまだ尋ねたいこともあるんですが、もう中途半端に尋ねてもしようがないので、時間若干残して終わります。
  28. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今日は裁判所職員定員法の改正の問題でございますが、その前提として、今政府は全体的には小さくて効率的な政府ということをキャッチフレーズの下に総人件費の削減の検討が進められておりまして、昨年十二月の閣議決定を受けて、行政改革の重要方針に基づいて衆議院行政改革推進法案、そろそろ本会議入るようでございますが、そういう法案が提出されているわけでございます。これはもう社会全体の動きの中で、やはりここでも議論になっていますが、事前規制型よりも事後チェックと、社会全体が大きく動いていく中で行政事務についても効率化を可能な範囲で図るというようなことだと思っておりますし、私どもも必要な取組と思っております。  ただ、その中で司法とのかかわりという問題があるわけでもございまして、まず政府側、法務当局からお伺いしておきたいのは、昨年末に政府が閣議決定したこの行政改革の重要方針における国の行政機関の定員の項目、どういう項目になっているかということとともに、今日は裁判所の問題を取り上げるわけでございますから、併せてもう一つ、いわゆるこの重要方針の中で、その中でも特別の機関の職員、つまり裁判所ですね、こういう含むその他の特別の機関の職員定員に関する項目はどのようになっておるか、それぞれお伺いしておきたいと思います。
  29. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 御指摘の部分は、「公務員定員の純減目標」という項目の中に入っているところでございますが、まず、国の行政機関の定員三十三万二千人でございますが、これを今後五年間で五%以上純減させる。このため、定員合理化計画、これは定員の一〇%以上を削減するという計画でございますが、この合理化計画の実施に当たって、「メリハリをつけつつ増員を厳しく限定し、これまでにない大幅な純減(一・五%以上の純減)を確保するとともに、以下の重点事項を中心に、業務の大胆かつ構造的な見直しにより、透明性の確保に配慮しつつ民間関係者」の「意見を聴く場を活用しながら、事業の要否及び主体について仕分けを行い効率化を図り、事務事業の削減を強力に進め、その結果を定員の削減(三・五%以上の純減)に反映させ、五%以上の純減を確保する。」、まず前段はこのようになっております。  それから、併せて御指摘のありました特別の機関の職員定員に関する項目でございますが、国会裁判所、会計検査院、人事院職員定員、以上合計で三万二千人でございますが、これについても、「各機関の特質等にも留意しつつ、行政機関に準じた取組を行うよう求める。」と、このようになっております。
  30. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう意味では、環境はなかなか厳しい中で、その中でどう本当に、先ほど社会が変わっていく、事前規制型から事後チェック型と、こういう中で、どういうふうにこの方針の中で位置付けていくかというのはなかなか難しい問題であるとも思います。  今回、この裁判所定員法におきましては、こういう方針もありながら、その環境の中で司法制度改革を進めていく中では増やさなくちゃいけないということで、増やす立場での提案がなされているわけであって、先ほど法務大臣からはなぜ七十五人を増やすのかということについて表明というか意見が述べられたわけでございますが、最高裁として、裁判所として、この七十五人の増員を図ると、これはどういう理由に基づくものかというのをある意味では明確にしておかなければこういう環境の中ではなかなか大変な状況であると、そういう御指摘も先ほどからあっておりましたが、ここの辺について、最高裁判所から、なぜ七十五人必要なのかと、今回。さらに、先ほどお話があったように、全体ではこれからまだ増員していく流れがあるわけですから、その人的な充実、なぜ図っていかなければならないのか、そして、この環境の中でどうやってこれを増やしていこうとなさっているのか、併せて最高裁から伺っておきたいと思います。
  31. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) このたびの司法制度改革は、ただいま御指摘がございましたとおり、事前規制型社会から事後チェック・救済型社会への移行を目指すための不可欠の前提である司法機能の充実強化を図ろうとするものでございまして、行政改革の遂行のためにも司法の充実が必要とされるというところにあるというように考えておりまして、裁判所としましては、その趣旨の実現のために、平成十四年度から計画的に増員を図ってきておるところでございます。  平成十八年度は、判事四十人、判事補三十五人、合計七十五人の増員を図るということにいたしましたが、その理由は次のとおりでございます。すなわち、まず第一に、民事訴訟事件が依然として高原状態にあり、特に医療、建築、労働関係等の複雑困難な事件が増加傾向にあるということ。第二に、治安対策の強化が進められます中で、刑事訴訟事件の新受件数が長期的な増加傾向にありまして、特に重大事件の早期解決が求められているということ。加えて、第三に、昨年七月十五日に医療観察法が施行されまして、本年四月一日には労働審判法が施行されるということで、さらに三年後には裁判員制度が導入されるという事態を踏まえまして執務体制の整備を図る必要があるということ。これらの事情を考慮したものでございます。  今後、事前規制型社会から事後チェック・救済型社会への移行が進むにつれまして裁判所に持ち込まれる事件も質量ともに増加するということが予想されるところでありまして、また今後の法曹人口の増加も事件の増加につながっていくものと予想されるところでございます。  そのような状況下で、中立公正な立場から、透明なルールに基づいて紛争の解決に当たる裁判所に対する国民の期待にこたえるためには人的体制の充実が不可欠であるというように考えておりまして、今後とも、裁判員制度の導入を始めとする司法制度改革の進展を踏まえまして、計画性を持って必要な人的体制の充実を図っていきたいというように考えておるところでございます。
  32. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まあそのとおりだと思っておりますし、充実を図らなければならないと思っておるんですが、その一方で、やはり数だけの問題ではないんだろうなとも思いますし、最近様々な判決が地裁段階、高裁段階である。そのたびに何か話題になるのは、裁判所によって、同じような問題が全く違った判決が地裁段階である。それはそれでそれぞれの判断でございますから、それはそれでいいのかもしれませんが、国民から見ていると、一体今の裁判官の質、本当にちゃんとなっているんだろうかというような疑問もある意味では抱かざるを得ないときもあるわけですよ。そういう問題を考えると、大事なことは何かというと、その数を増やすことも大事ですが、どうやってこの質の確保という、まあある意味では優秀な人をどう確保するかという問題、これどうやって取り組もうとなさっているのか、もし何か方法あるんでございましたら、お伺いをしておきたいと思います。
  33. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) 大変重要な点の御指摘でございますが、裁判所としましては、国民により信頼される裁判所の実現に向けて、それにふさわしい資質、能力を備えた必要な人数の人材を確保していくことが重要であるというように考えておりまして、そのための取組を強めておるところでございます。  すなわち、まず、司法修習生からの優秀な人材の採用に力を入れるということはこれまでやってきたところでございますが、最近では弁護士からの任官も推進するということで、優れた人材の確保に努めてきておるところでございます。  また、裁判官の指名に当たりましては、平成十五年五月に下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置されまして、裁判官にふさわしい人材であるかどうかについて、学識経験者等から成る委員会において審議が行われるということになっておりまして、この点からも裁判官の質の確保が図られることになっているものというように考えております。  さらに、裁判官任官後には、日ごろの執務を通じての研さんのほかに、判事補の人材育成の一環としまして、裁判所外部の多様な経験を積んでもらうために、民間企業における研修、行政機関への出向、在外公館勤務、海外留学等の機会を与えておりまして、さらに昨年からは、二年間にわたって弁護士として法律事務所に勤務してもらうという弁護士職務経験の制度もスタートさせたところでございます。  今後とも、裁判官の視野を広げ、識見を高めるためのこれらの施策を更に推し進めるように努力を重ねていきたいというように思っております。
  34. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、その点が本当にこれから大事になっていくなということも感じましたし、また法務大臣の方から、弁護士裁判官、この交流の問題も先ほど御指摘もありましたし、是非そういった面も進めていただきたいと、こう感じておりますし、そしてなおかつ、もうこれ裁判官だけ増やしてもこの司法制度改革はうまくいくわけではなくて、司法を支える人口をどれだけ増やしていくかというのが正にこれから司法制度改革が本当にうまくいくかどうかの一番のポイントになっていくんだろうと思います。  平成十三年に司法制度改革審議会の意見書を出されて、それからもう五年でございますから、人的基盤の拡充、どんななったかなということを御質問、今からするわけですが、お答えはいただこうと思うんですが、何か荒井先生が、こういうのを作っていただいて、これを見た方が早いんじゃないかなと一瞬思いながらも、まあせっかく質問通告しておりましたので、どう変化したのか、この図表に基づいても結構でございますが、御説明をいただきたいと思います。
  35. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) それでは、十三年六月に審議会の意見書出ておりますので、その後の十四年度の定員と、それから今法案として御審議いただいております十八年度の定員要求の数、それを比較するという形で答えさせていただきたいと思います。  裁判官につきましては、十四年から十八年まで四年間ということになりますが、三千九十四人から三千三百四十一人と二百四十七人増加でございます。それから、検事については同じく千四百十四人から千五百九十一人、百七十七人の増加です。それから、弁護士につきましては、これはちょっと違いまして、平成十三年十二月末時点の登録された会員数平成十七年十二月末時点での会員数を比較いたしました。この四年間で、一万八千八百九十七人から二万二千五十九人と、三千百六十人増加しております。
  36. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 お答えをいただきながら、そして荒井先生提出の図表を見ながら、何を感じているかというと、今おっしゃった、単に裁判官弁護士、検事だけの問題ではないんだなと、支える層の問題は。つまり、全体的に、そのすそ野の部分である人たちをどう充実させていくのかというような問題もあってみたり、また、行政内部の問題ですけど、内部もどういう支え方をするのかというような問題が本当に必要なんだなということも感じながら、これを見ると、これを見るとというのは私の資料ではなく荒井先生資料でございますが、本当に民間、そしていわゆる裁判所関係、それぞれに、ある意味では、増えているということが、逆に言えば、いろんな改革やりましたが、その中でも司法制度改革については間違いなく前進をしている改革、そして支える人も増えてきていると、社会も事後チェック型への変化を起こし始めているというのが今の現状ではないかなというようなことをちょっと感じた次第でございました。  ここで、法務大臣にも是非、これから司法制度改革、仕上げていく中の柱の一つが、正にこの司法を支える人的体制の充実でもございますし、是非とも、今後この問題、更に取組を、目を、ある意味では裁判官、検事、弁護士というところだけでなくすそ野も含めて、是非視野を広くして、この支える人たちの層の拡充へ取り組んでいただきたいと思いますが、それも含めて、法務大臣から、この人的基盤の充実について御答弁をいただきたいと思います。
  37. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生のおっしゃるとおりでございます。人的基盤が非常に大事でございまして、強化するように努力してまいります。  荒井先生のいただいた表、分かりやすくてすばらしいものでございますが、司法法制部長は、裁判官検察官弁護士増員の状況をお話ししました。これからここ四、五年、もっとスピードアップして量は増えてまいります。と同時に、質も良くしなきゃならない。再三御指摘のあったとおりでございまして、この法曹三者はかなめでございますので充実してまいりたいと思います。  と同時に、司法書士から始まりましてずっと士族が半分ぐらいございます。これは、実はADRの拡充ということで、弁護士司法書士から始めたんですが、これを士族ずっと広げていく。あっせん、調停ができるように、これは将来非常に大きい役割を果たしていくと思うんです。そういうこと。それから、保護矯正行政では保護司さんですね。これは民間の方です。ボランティアでございますが、この役割も非常に大きいと思います。  そういった、何といいますか、法曹三者周辺、隣接あるいは関連の民間の方々の量、質を強化し、その連携を図っていく。そういう意味では、日本司法支援センターはこれらのすべての横の連携を図って緊密なネットワークをつくっていこうという組織でございますので、日本司法支援センターの果たす役割も大きいと思います。  そういった様々な角度から、国民の期待にこたえる中くらいの司法を形成していくと、大事な時期に差し掛かっておりますので、一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
  38. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 早いけど終わりましょうか。終わります。
  39. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、本来でしたら最後に質問するところを、実はODAの方に行って質問しなきゃいかぬものですから、仁比先生に御無理言いまして、先に質問させていただきます。簡単に終えたいと思います。  この法案でございますけれども、これにつきましては、判事判事補を増やすということですけれども、基本的には賛成でございますけれども、一、二点、お尋ねしたいことがございます。  一つは、判事の増加については、今度、裁判員制度によって、義務教育程度にしか教育を受けていない人間を教育しなきゃいかぬということでも人が増えるし、それからまた、知的財産権など新しい分野がどんどん増えてくるというようなことがあるわけでございますから、そういう意味で、どうしても増やさなきゃいかぬだろうと思うんですね。  それで、さっき話が出ましたけれども、弁護士などをどんどんどんどん入れていかないといけないんじゃないかと、特に知的財産等については古い判事さんは役に立たぬのじゃないかと、役に立たぬと言っては失礼ですが、元々理科系が嫌いだから法科に進んだ人間が判事になっているというわけですから、なかなか難しいと思うんですけれどもね。  そういうことから、やはり専門の弁護士になってもらうということでは、弁護士の任官というのが、制度はできましたけれどもまだ非常に少ないですよね、数が。こういうのもどんどん増やしていってもらう必要があるんではないかと思うんですね。  これからも、もちろん法科大学院大学ができ、司法試験合格者もどんどん増えますから、そういう意味で、これからこういった判事判事補関係の人員構成というのはどの程度の規模にまで増えていくのか。それについて、今、減せ減せというふうになっていますけれども、司法については別で、司法がちゃんとしなきゃいけないんで、国民がどんどん荒れてきて、事件どんどん起こせば起こすほど司法は人が要るわけですから、司法の方は減すといってもそうはいかないわけでございますけれども、そういう意味では将来の人員構成はどんなふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  40. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) ただいまの裁判所裁判官の人員構成ということでございますが、私ども、裁判員制度の導入、それから知的財産権訴訟、医療関係訴訟、建築関係訴訟等のように専門的知見が必要な専門訴訟に代表されるような複雑困難な事件、こういうようなものについて、審理の体制を強化をしていかなければいけないという状況に置かれておるというように認識をしております。  そういたしますと、まず相当数の裁判官増員が必要なわけでございますが、その裁判官の構成としましては、本来であれば職務権限に制約のない判事増員を図りたいというところでございます。この判事への任官は、しかしながら、弁護士任官等の制度がございますけれども、これがまだ今動き始めておるというところでございまして、これが今後更によく動くように努力をしたいというように思っているわけですが、当面の判事の給源としては、このほかに判事補からの任官者を考えなきゃいけない。しかも、現状ではそれがほとんどであるというような状況にございます。そういうことで、現実に判事補から判事にどれだけ任官ができるかというような現実的なことを考えまして、判事増員数を四十というように算定をしたものでございます。  そういたしますと、全体として裁判官の数を七十五人というような数でもって確保していかなければいけないということですので、残る三十五人については、これは司法修習を終了した者から判事補として採用するというように現在の当面の策として考えておるところでございます。  判事判事補の将来の人的な構成につきましては、判事の必要員数が各種事件数動向司法需要に左右されるということなどから一概に言うことはできませんが、判事補につきましては将来の判事となるべき資格を有する者の動向などを考慮して増員を図り、判事についてはその充員状況を見てできる限り充実をさせていきたいということを考えておるところでございます。
  41. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今お話しのように、判事補なり判事教育というのは非常に大切だと思いますので、特に分野が広くなりましたから大変だと思うので、専門性をある程度固めながらしっかり教育してほしいし、それから判事補の採用は今度三十五名ですけども、司法修習生からの採用ですから、これについてはかなりたくさん採って、それで競争させて、それからいいのを判事にするということも必要でしょうし、それについては十分考えてほしいと思います。  それから、判事判事補についてもう一点お聞きしたいのは、もう判事の給料は高いわけですが、事務次官、ほかの省庁の事務次官と同じような待遇を受けている方が、判事が二百十九名おられる。それに対し検事は六十七名ということで非常に少ないんですよね。もちろん、裁判やるには判事の方が数が多くなきゃいけないからということかもしれませんけども、この辺についても、判事になると定年も長いわけですから、その辺りで給与の問題なんかも、どんどんどんどん定年まで上がっていくんじゃなしに、ある程度年を取ったら抑えていくということも必要でしょうし、そのことから、こういった判事についての処遇についてはどう考えているのか。もちろん、弁護士関係あるから、弁護士になれば良かったという人が多いのかもしれないけど、そういうことがあろうかと思いますけども、それについての考え方をお尋ねしたいと思います。
  42. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) ただいま委員から判事の給与の現状についてお話ございましたが、その状況といいますのは、裁判官の職責の重要性あるいは裁判所組織の特質によるところが大きいのではないかと考えております。つまり、裁判所におきましては、ピラミッド型の組織とは異なりまして、個々の裁判体がそれぞれ独立して事件の審理、判決を行うという、そういうことで司法権を行使しているという、そういう特質がございます。で、個々の裁判体それぞれが非常に重い職責を担っているということでございます。  で、判事の中でも、これはかなり年齢も経験も幅がございまして、例えば事実審の最終審と言われております高等裁判所裁判長を務める判事というのもいるわけでございまして、こういう裁判官というのは特に重い職責を担う裁判官ということになります。こうした判事につきましては、当然その職責の重さに応じた資質、能力の持ち主でなければいけませんし、それなりの経験も必要だということではございますが、同時に、それにふさわしい処遇を行う必要もあろうかというふうに思っているところでございます。その結果として、委員が御指摘になられました高い格付の給与を与えているという、そういう状況でございます。  それから、もう一つの問題は、全国均質の司法サービスを提供しなきゃいけないということになりますと、今申し上げました裁判官、やはり全国に相当数配置しなければいけないという、こういう要請もございますわけで、そうしたことから、高い格付の裁判官が相当程度数が出てまいるという、こういうことでございます。  検察官との比較もお話しになられました。もちろん、私ども、検察官の状況を詳しく知っているわけではございませんが、まず数もかなり違うという問題、それから委員おっしゃられました定年も、検事は六十三歳ですが判事は六十五歳ということで違うということもございますが、まあ何といいましても、先ほど申し上げました、検察庁というのは恐らくピラミッド型の組織を取っておられるんだろうと思いますが、裁判所の場合はそういうのとちょっと違いまして、まあ言ってみれば平たい台形のような組織構造になっているという、こういうところがあるのかなというふうに思っております。  日本社会が、先ほど来話が出ておりますが、事前規制型から事後救済型へと変貌を遂げてまいります中で、裁判所あるいは裁判官に対する国民の期待が今後ますます高まってまいりますので、こうした期待にこたえて、裁判官はきちんと職責を果たすために十分な研さんをこれ積まなきゃいけないというふうに思いますが、同時に、裁判官につきましては、その重責にふさわしい処遇が得られますよう、国民の皆様方の御理解を得るように努めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  司法関係非常に大事ですから、是非とも頑張っていただきたいと思うんですが、もう一点だけ、時間がありますので、ちょっとだけお聞きしますが、特に昨日から問題にしておりますけれども、裁判員制度ですけども、随分高い金を掛けて裁判所やり直すということになっておるわけでございますけども、今回のこの裁判員制度というのは日本の司法制度を大きく変える、百年に一遍、それ以上のものかもしれません。それだけの大きな改革が行われようとしておるわけでございますけども、これに対する理解は、昨日私自身言いましたように、本当に理解されていないと。国会議員にも理解している人何人おるんだ、私も理解していなかったものですから、申し訳ないんですけれども、そういう意味では、国民的に理解を得るというのがなかなか大変なことだろうと私は思うんです。  そういう意味で、国民に分かりやすく、従来の制度ではどういう問題があったのか、どこが問題なのかと。で、裁判員制度によっては、そういうことについてどういう形で解決できるのかという辺りのことについて、是非話していただきたいと思うんです、大臣に。  それから、陪審制度か参審制度かでいろいろ議論されたんですけれども、どちらにも属しないような新しい制度をつくるんだということで考えられたようですけど、昨日言いましたように、ドイツやフランスでは、特定の資格を持っている人間がなっていると。日本では義務教育以上というと、日本国民だれでもということですから、本当にひどい人でも裁判員になれるわけでありますから、そういうことで、こんなふうにまで国民参加ということで、そういう美名だけにとらわれてこの制度がなったんではないかと思って非常に心配しておるんですけども、このように対象範囲を広く取っている国がほかにもあるのかどうか、それを含めましてお話をいただきたいと思います。
  44. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 裁判員制度の導入についてはもう様々議論があったところでございますが、基本的には、司法権の行使について国民が参加すると、もうそういう時代になったんだということが根底にあると思います。  いわゆる先進国と言われる国の中で国民司法に対する参加を決めてない国は、もう日本以外にはないと承知しております。英米法の国は陪審制度でございますし、大陸法系、ドイツ、フランス等は参審制でございますが、いずれにしても、素人である国民が刑事訴訟手続に参加してその司法の決定に参画するという組織を取っておるわけでございまして、日本でも前々から議論があったところですが、この司法制度改革を機に導入を図るべきだということで検討を進めてまいったものでございます。  それに加えまして、裁判に対する国民の側からの批判も、ここのところ随分言われるようになりました。刑事事件について言えば、量刑が軽過ぎるとか、交通事故なんか最近すごく刑が高くなってきましたけれども、軽過ぎるとか、変な裁判をすると。  例えば、一例を挙げますと、小田急の高架工事ですね、あれを地裁の裁判官が仮処分、差止め命令を出した、工事やっとる、やっておるこの、まあ高裁でひっくり返りましたけどね。これは司法制度改革をやっている最中に裁判がありましてですね、何という裁判だという批判がございました。  まあそういう裁判、ほかにもございますが、出てまいりまして、裁判所判断はちょっとおかしい、国民の常識、良識を反映させるものにした方がいいぞという議論があったわけであります。で、そういう要するに国民主権といいますか、国民司法参加、同時に国民の良識、常識を裁判に反映させるのが必要ではないかということから私はこの裁判員制度の採用がなされたというふうに理解をしております。  それから、後の方の問題でございますが、裁判員の選任方法ですけれども、英米法では一般の国民の中から選んでおります。フランスは参審制ですけれども、日本と同じように一般の国民の中から参審員を選ぶと。ドイツは推薦制で、市町村で推薦されてきた人を選考委員会で選考すると、選考方式を取っております。まあ国によって様々でございますけれども、日本のような選び方をしている国も主要国であるということは承知いたしております。
  45. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  どうも済みません。もう司法の変な裁判をするということがありましたけれども、そういうことのないように裁判所も頑張ってもらわなきゃ困りますし、まあ国民参加ということでいいことですから、ただやり方をよく考えてもらわなきゃいかぬ、大きな問題ですから、引き続いてまた質問させてもらいますけど、よろしくお願いします。  済みません、どうも。
  46. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  ただいま亀井先生の御質問に対する御答弁の中で、大臣が個別の裁判の判決を取り上げて、これの是非について大臣としての御答弁として意見を言われると。これは、憲法の定める司法独立に対する重大な侵害ではありませんか。私は聞いていて大変憤りを覚えました。  今日はこの裁判所定員法審議ですけれども、裁判所司法独立と、そしてこの予算定員の、裁判所予算定員の問題がどうしてこういう形で議論をされるのかという提起も与党先生からもあった中で、内閣の一員として、個別の裁判例を取り上げて先ほどのような御答弁をされる。これは、大臣憲法に対する認識を私疑わざるを得ない気持ちになったんです。厳しく抗議をしたいと思いますし、大臣、先ほどの、先ほどの御答弁の真意、違うんだというのであれば、端的にそれをはっきり今お答えいただきたいと思いますが、いかがですか。
  47. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 私は、そういう批判が国民の中にあるという趣旨で申し上げたわけでございまして、裁判その、裁判そのものを……(発言する者あり)変な裁判という点は表現として適切でないと思いますので、撤回いたしますが、国民の中に様々な裁判に対する批判があるという一環として申し上げたつもりでございます。
  48. 仁比聡平

    仁比聡平君 先ほどの御答弁は、裁判員制度との関連でなされました。  裁判員制度、つまり重大刑事事件についての国民の参与、関与と先ほどの御紹介のあった裁判の例、全く違うじゃありませんか。それに、先ほどは、国民の中にそういう意見があるということではなくて、大臣御自身の認識として語られたように私は伺いました。改めて厳しく抗議をしたいと思います。  法案の中身に入るわけですけれども、今、大臣の御答弁にもあったように、私は国民にとって裁判がどう担われているのか、ここを十分に伝える、あるいは国民の中に裁判がどのように担われているのかが伝わるということはなかなか難しいことだというふうに感じております。  裁判は、裁判所の建物が裁いているわけではもちろんありませんし、法律の機械的な適用で済むことでもありません。私自身の経験で申し上げましても、司法修習に入って裁判の実務にかかわるようになって、改めて裁判が人間の力によって支えられている、支えられているんだということを再認識をしたように思うわけです。事件に対しても、あるいは当事者に対してもそうですけれども、裁判官やあるいは裁判所職員が言わば全人格をもって、とりわけ裁判官はその全人格をもって法と良心に基づいて一つ一つの物事を裁いていく、この人間の力によって支えられている、担われているということがしっかり国民の中に伝わることが大事なのではないかと思います。  そういう意味では、大変基本的な御質問になるかと思いますが、最高裁として、そのような裁判の中での人間の役割、どんなふうに考えていらっしゃるか、お願いいたします。
  49. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) 裁判所が人によって担われ、人によって支えられているということは私どももそのとおりであると考えておりまして、裁判官を始めとするすべての裁判所職員が、司法制度改革審議会意見書でも指摘されておりますとおり、国民に身近で早くて頼りがいのある司法の実現を目指して日々努力を重ねているところでございます。  裁判所機能の特徴は、個々の裁判官独立した判断を下し、その独立した判断が確定いたしますと国家意思となるという点にございます。裁判所国民から評価される優れた仕事をするためには、正に個々の裁判官国民から評価される優れた裁判を行うという必要があるわけでございまして、その意味で、裁判所は他の組織にも増して個々の裁判官のマンパワーによるところが大きい組織であるというように認識をしております。  裁判官は、複雑困難化が日々進行しております事件処理について国民から評価される優れた仕事をするというために、日々研さんを重ねておりまして、一件一件の事件処理に心血を注いで職務に当たっておりまして、その個々の裁判官の努力とその独立した判断を支える裁判所職員の努力の総体として裁判所国民から信頼される存在になるというように認識をしておるところでございます。その意味で、裁判所は個々の裁判官とそれを支える裁判所職員の良心と意欲と献身的な努力によって支えられているというように認識をしておるところでございます。
  50. 仁比聡平

    仁比聡平君 その裁判官あるいは裁判所職員の実態がどうなっているかということについて、よく処理事件数で物事が語られることがございます。例えば、平成十七年度の民、刑事あるいは家事、少年等々の既済事件が五百三十五万件におおむね上り、これ裁判官一人当たりにもし引き直すとすれば約千六百五十件になるというような形で衆議院でも御答弁があってるように思います。  ですが、私はこのようにその数だけでその裁判を語るということはいかがなものかと思っているんですね。事実認定の問題にしても、あるいは訴訟指揮あるいは法解釈の複雑さ、事案の軽重、規模の大きさ、様々な点で考えてみて、それも軽重といっても一件一件が国民にとっては一つ一つ重大な裁判であるということを考えたときに、数だけでは語れない、その裁判官の職務の実際あるいは御苦労についてお伺いをしたいと思います。以前、日弁連は週八十時間の仕事裁判官が行わざるを得ないというような実態も調査をしたことがありますが、いかがですか。
  51. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) 裁判官の負担は基本といたしましては事件数に比例するものでございまして、事件数を基準にして業務量というものは検討しておるところでございますが、裁判所に提起されます事件はその一件一件に個性がありまして、また関係者の思いが込められているというものでございまして、裁判官としましては、一件一件の事件についてその紛争の実態に即した適正な解決のために日々職務に打ち込んでおるところでございます。そういう意味で、日々の裁判官の職務の大変さが単に事件数のみでは語れないということは、正に御指摘のとおりであるというように考えております。  民事訴訟事件を例に取りますと、いわゆる単独の事件から公害訴訟等の大規模事件や医療関係訴訟等の専門的知見を要する事件に代表される複雑困難な事件まで様々な事件類型がありますが、その中のどの一件一件にも関係者の様々な気持ちが込められておりまして、こうした事件処理するために、裁判官は、開廷日には開廷前の担当書記官との打合せに始まりまして、ほぼ終日、間断なく法廷に入って審理やあるいは弁論準備手続なども行っておるということで、さらに空いた時間には和解も行っておるというのが通例でございます。そのために、一人でじっくりと記録を精査しまして判決を起案する、あるいは判例等の調査を行うというのは、一般職員でいいますと勤務時間外や休日ということも多くございまして、裁判官は平日帰宅しました後も夕食を済ませてからまた持ち帰った記録の検討を始めましてそれが深夜に及ぶということも少ないことではございません。さらに、夜間の令状当番あるいは迅速な判断を求められる仮処分事件を担当する場合など、通常の勤務時間という概念を超えて集中的に取り組む必要が生じるということもございます。  裁判官の職務はおおむねこういうものであるというような認識を持っております。
  52. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございました。  私自身の経験としても大変つらい経験がございまして、まだ三十代の、期の近い裁判官が、大変新進気鋭でエネルギッシュで期待をされていた裁判官でしたけれども、在職死をされるということがございました。裁判官が、個々の裁判官は、表に語りはされないかもしれないけれども、大変な御苦労の中で事件に向き合っておられるということを国民的にもっと理解をするべきだということを思っております。  このことは裁判所職員に関しても言えることでございまして、二〇〇三年に裁判所職員で構成をされます全司法労働組合の皆さんが、繁忙実態の告発、これは怒りの連判状というふうに表題が付いておるんですが、膨大なアンケートを集められたことがございます。少し御紹介をしますと、山梨のある支部の会計課の方は、ここ一週間に五日間で二十時間の残業をしている、夕食も十一時過ぎになり、体力も限界だ、休めば仕事がたまるし、どうしたらいいのだろうか。あるいは、前橋家裁管轄のある支部の方は、午前三時に起きて報告書の作成、これって異常じゃないのか、超勤の申請はできるのでしょうか。あるいは、宮崎の日向の方は、無駄を省けばもっと仕事量を上げられると言われるが、当事者から過度の迅速化に苦情が出ている、相談業務をもっと丁寧に応じてあげたいですという声があります。福井地裁管轄のある方は、電話を切ったらまた電話、当事者対応が終わったらまた当事者対応、それらがない合間に必死で事務処理をしていたら、あっという間にお昼、あっという間に夕方になる、息が詰まり、もう死にそうですと。  裁判にかかわる裁判官裁判所職員の皆さんは、大変過密で長時間の勤務の中で、極めて高い責任感と誇りを持ってこれまで頑張ってこられていると思います。ですが、皆さん人間でございますから限界があります。精神疾患によって長期療養を余儀なくされている方が増えていると、私お伺いをいたしました。  そこで最高裁に御紹介をいただきたいと思いますが、平成十年以降の年度中の休職の発令数、これは一般職員でどのように推移をしているのか、この推移はどのような方々なのか、御紹介ください。
  53. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) ただいま委員のお尋ねは病気休職の数ということであろうと思いますので、その数をお答えしたいと思います。  病気によって引き続き九十日を超えて欠勤した場合に発令されるわけでございますが、平成十年度は六十五、平成十一年度六十三、平成十二年度七十三、平成十三年度七十四、平成十四年度七十、平成十五年度九十三、平成十六年度百十四という、こういう数でございます。  これ、職員全体の中でこれくらいいるということでございまして、特定の特徴のあるということはございませんものですから、どういう人というお問いについてはちょっと答えられないというところでございます。
  54. 仁比聡平

    仁比聡平君 事前にお伺いをいたしましたら、九十日病気休暇を取っても改善をされないという方々がこの休職の発令の対象となっていくというふうにお伺いをしました、うなずいていらっしゃいますけれども。つまり、三か月休みを取っても改善をされない、職場に戻れないから休職発令になるという数字が、昨年度で言いますと百十四あるということは、この周りにどれほど多くの方々が困難を感じていらっしゃるかということだと思うんですね。  平成十六年百十四のうち、精神疾患を原因とした発令数は七十八であるというふうにもお伺いをいたしました。これがもちろん、仕事かあるいはプライベートな事情なのかは分析はされておられないと思いますけれども、私はここの数字にも裁判所職員が置かれている実情があると思うんですね。ここに五%の純減というようなことを言うのか。もし政府が、裁判所に対しても同様に五%純減を求めるかのように言われているような報道もあるわけですけれども、もしそんなふうになっていくとしたら、私は司法独立に対しても、あるいは現場の実情に対しても大変重大な問題だと思います。  今日もお話がいろいろありましたが、司法改革の一連の改革の中で、これまでの裁判所に加えて新しい仕事というのが増えていくわけです。これは、政治やあるいは社会的な要請として、裁判所の適正で迅速な判断を私たちが求めるという、そういう決断をし、国民的にお願いをしているということであって、ここで人を減らすなんということは絶対にあり得ないということを強く思います。  我が党は、一連の規制緩和や行政のスリム化を万能のように言う小泉内閣の方針には反対ですけれども、政府の方針からしても、司法の容量、つまり人員は拡大をしなければならない、そうしなければ適正で迅速な裁判の実現はできないと、裁判官職員の皆さんが高い責任感と誇りを持って仕事ができるように我が党も全力を尽くすという決意を申し上げまして、質問を終わります。
  55. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 委員長より申し上げます。  先ほどの杉浦大臣の発言中、不適当な言辞があるとの御指摘がありました。  委員長といたしましては、後刻速記録を調査の上、適当な措置をとることといたします。  本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時一分散会