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2006-03-22 第164回国会 参議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十二日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十六日     辞任         補欠選任      白浜 一良君     浜四津敏子君  三月十七日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         弘友 和夫君     理 事                 荒井 正吾君                 谷川 秀善君                 簗瀬  進君     委 員                 青木 幹雄君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 南野知惠子君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 仁比 聡平君                 亀井 郁夫君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君    副大臣        法務大臣    河野 太郎君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局人事局長   山崎 敏充君        最高裁判所事務        総局経理局長   小池  裕君        最高裁判所事務        総局刑事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       竹花  豊君        金融庁総務企画        局審議官     畑中龍太郎君        金融庁総務企画        局審議官     谷口 博文君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  小貫 芳信君        法務省保護局長  麻生 光洋君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        農林水産省生産        局畜産部長    町田 勝弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十八年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十八年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (裁判所所管及び法務省所管) ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、白浜一良君及び白眞勲君が委員辞任され、その補欠として浜四津敏子君及び前川清成君が選任されました。     ─────────────
  3. 弘友和夫

  4. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 去る三月十六日、予算委員会から、三月二十二日の一日間、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  平成十八年度裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 荒井正吾

    荒井正吾君 自由民主党の荒井でございますが、予算委員会委嘱審査に当たりまして、これから法務委員会基本となります事項を法務省に幾つかお聞きさしていただきたいと思います。  まず最初は、いわゆる治安指数体感治安ギャップということでございます。実際の治安が悪くなっているのかどうかというのと、国民の方が感じる治安というのがギャップがあるんじゃないかという問題でございます。  日本の年間の検挙件数は約二百万件以上と言われておりますが、約半数が道交法違反でございます。残りのうちの六、七〇%は交通関係の業務上過失致死傷罪ということでございますが、この年末、新年で交通事故報道テレビでたくさんありまして、ああ交通事故が増えたのかなと思っていますと、その後のニュースで事故死者数が七千人を切ったと、大変頑張った報道があって、テレビの画面に出る交通事故印象と実際の件数とがなかなか一致しないなというふうなことを思った次第でございます。報道と実際の乖離があるんじゃないかということでございますが、安全神話が崩れたのかどうかということでございます。  治安指数的には良好なような指数が出ております。主要な犯罪認知件数は米国の約十分の一でございますし、人口比比率でも六分の一と、これは十年間変わらないという報告が犯罪白書でなされているわけでございます。  一方、犯罪報道好奇心中心であるような気が私はいたします。それと、犯罪白書その他で法務警察がされるのは、なかなか安心社会は壊れているよというような報道が多いんですが、これは増員要求のデモンストレーションじゃないかなという、ちょっと僣越ですけど、そのような印象を受けたこともありまして、そんなにデモンストレーションされなくても、やっぱり安心社会というのはみんな大事に思っているので、事後チェック型になってきたら法務省増員は必要じゃないかというふうに思ってはおるんですけれども、余り国民をむやみ、余計に脅かすこともないんじゃないかというようなふうにも思いますが、その辺りのことでございますが、安全神話が、その神話というのが実際を反映したものかどうかというのもありますけれども、正確な犯罪報道情報の提供が必要じゃないかというふうに日ごろ思っております。例として、精神障害者犯罪報道がありますが、その犯罪傾向が高いように認識してしまうわけでございますが、実際の犯罪比率健常者より低いという統計が出ているようにも聞いております。  犯罪報道の、あるいは犯罪認識体感治安にも客観性が必要じゃないかというふうに思うわけでございますが、全体として法務省はその犯罪認識国民にどのように持ってもらえばいいのかという点に、どう考えておられるのか、基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
  7. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生指摘のとおり、我が国治安の現状は大変憂慮すべき状況だという点は基本的に変わっていないと思います。体感治安は悪くなっておりますし、一言で申せば、赤信号が点滅している、危険水域を脱していないと言ってよろしいかと思います。  確かに、刑法犯認知件数平成十五年から三年連続して前年比で減少しております。平成十五年がピークでございますが、約二百八十万件、それから十六年二百五十六万、平成十七年二百二十六万と三年連続して減少しておりますけれども、しかし、依然としてもう戦後最高の水準にとどまっていると言っていいと思います。  また、凶悪重大な殺傷事犯でありますとか外国人犯罪も続発しておりまして、新聞報道されるのはそういう凶悪事犯であります。それは増えておる。また、検挙率改善の兆しは見えておりますが、いまだ国民安心、安全を確保する上では十分とは申せない。検挙率も、戦後最悪の数値は平成十三年の一九・八%、約二〇%でございました。その後、年々少しずつ改善されまして、平成十七年が二八・六%、四年連続して改善しております、警察官を増員しましたり、いろいろやっておるわけですが。  しかし、これはまあ改善しているというわけで、国民の身近に感じる例えば車上盗などはまだ警察が手が付かないと、やられる方が悪いと、まあ極論すればですね、そういう状況がございまして、国民皆さん安心、安全という点から見れば一層の改善が必要だというふうに思っております。国民皆さんの多くは治安悪化に対して強い不安感を抱いておられることは、世論調査を行いますと真っ先に治安が悪化したということがあるわけでございまして、無理からぬものがあると思っております。  法務省としては、毎年犯罪白書を公表しておりまして、もちろんその内容をホームページにも掲載するなどして広く国民皆さん犯罪動向処遇実情等について客観的データに基づく情報を提供してまいっておりますが、これについては、最近の治安情勢を踏まえまして、今後ともその内容等について検討を重ねて、国民皆さんに時宜にかなった情報をより積極的に提供する必要があるとは考えております。
  8. 荒井正吾

    荒井正吾君 今の大臣の御発言印象ですが、赤信号とか憂慮すべきという、まあ総論の御印象があるんですが、もう少し調べますと、増えているのは、交通事犯がやはり圧倒的に多いということと、凶悪事犯はそう増えていないと、それから検挙件数は低下していると、そこから体感治安に影響する窃盗事犯我が国多いというようなことでございますが、その世論印象からこう入ってその法務行政をするとともに、世論に対して客観的な情報認識して出すというのはとても重要なことだと思います。それと、情報統計だけじゃなしに、どういうケースでどういう手抜かりがあって襲われるのかと、社会防衛上の情報を出すというのも法務行政の大事な役割じゃないかと思いますので、この点についてはまた機会があればお聞きしたいと思う点でございます。  そこから、これは認知された件数世界でございますが、認知されない件数、暗数と言われる件数は、世の中に出てこない犯罪ということでこれも大事じゃないかと思いますが、その暗数はなかなか把握できないわけでございます。また、その暗数の中には被害者が具体的に特定されないというようなものもあるわけでございますが、この暗数の把握と被害者の特定されない犯罪について、法務行政上どのようなお考えをお持ちであるかもお聞きしたいと思います。
  9. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) ちょっと私、質問通告受けておりませんでしたんですが、暗数は相当あることは先生の御指摘のとおりでございます。で、これがなかなか把握し難いのも事実でございます。  先ほどの御質問に対する補足になりますが、今年の年頭訓示におきまして法務省幹部職員に対しまして、総理から指示のあった日本安全神話復活させる、今年はその元年にしようということを訓示いたしましたし、それに、その後の検察官会同におきましても、この治安体感治安が悪くなっているという実情を踏まえまして、事件の大小を問わず、犯罪に対して徹底的に立ち向かうように、治安回復元年にするように各地検の検事正等検察庁幹部にも訓示したところでございます。  ともかく、犯罪を見逃さない、細かな犯罪だからといって手を抜きますとそれが大きな犯罪のもとにもなるケースもございますので、徹底して今後ともやってまいる所存でございます。
  10. 荒井正吾

    荒井正吾君 最初の通告の仕方が悪かったかもしれませんので、大変失礼いたしました。  次は、犯罪の起こるメカニズム法務省としてどう認識されているかということでございます。  この法務委員会で、数国会前に当時の刑事局長は、触法審査のときに、法務省犯罪人を扱うんだと、犯罪を起こした人をどう処理するかというのが仕事だと。これは、刑法三十九条の触法については厚労省の方がむしろ実体的にやってほしいという意味かなというふうに感じたわけでございまして、ああ、法務省犯罪人しか扱わないのかというふうに思ったわけでございます。ところが、犯罪を起こして出獄された後はしたがって世の中に出るわけでございますけれども、また犯罪を、再犯率というのはやっぱり何%かあるわけでございますので、再犯をどう防止するか、あるいは医療と同じように犯罪をどう予防できるのかという点はやはり法務行政の大きな分野じゃないかと思ったわけでございます。再犯防止のためにも犯罪発生メカニズムの究明というのが不可欠じゃないかというふうに思います。  犯罪を具体的に起こすのは筋肉でございます。人を刺したり、何かこう物をしゃべって作業をするとかというのは筋肉ですけれども、筋肉、こう動くのは、刑法上は自由意思があると、こう信じられておるわけでございますけれども、最近では脳神経学で、その筋肉を動かす脳の指令があると、その脳の指令が、社会的に適合できないような指令あるいは抑制力のない指令が出ると筋肉が反社会的に動いてしまうという研究も行われておるわけでございます。  これはまあ自由意思があるのかないのかという大変哲学的な議論になるわけでございますけれども、あるいはその生理的なメカニズム犯罪が起こるということになれば、なかなかその、人間社会基本のパラダイムが変わってくるということで大変難しいことでございますが、最近では、一部の性犯罪者とか累犯窃盗者などは自制能力に問題があるという研究もされておるわけでございます。しかし、すべての人に犯罪因子はあるわけでございますが、その筋肉行為社会的に認められるか処分されるかというのはある面紙一重の差ではないかとも思われるわけですけれども。  先ほど最初に申しましたように、犯罪を起こした人だけを扱うんじゃなかなか世の中の、最初に申しました安心社会というのは築かれないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、事前防止手法開発も要るんじゃないかと思いますが、人権との関係どうするかと、なかなか大きな問題があるようには思いますが、犯罪が起こらないように、あるいは再犯を防止するための基本的な要素は何と考えておられるのか、そのようなことを研究されたことがあるのか、研究されているのかというようなことをお聞きしたいと思うわけでございます。
  11. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) 先生指摘のとおり、犯罪が起こすか、又は再犯等を防止するためにはそのメカニズムについての調査分析等を行いまして、その結果に基づいた対策を講ずることが重要であるものと考えております。  法務省といたしましては、犯罪動向等に関する調査研究を行いますとともに、その結果に基づきまして、犯罪をした者の改善更生再犯防止に資する効果的な処遇の在り方を検討し、その適正な実施を進めてきたところではありますが、最近の重大再犯事件発生を受けて高まった国民再犯防止を求める声にこたえるべく、再犯防止対策プロジェクトを立ち上げまして、継続的な再犯研究及び処遇効果の検証の導入等再犯防止等のための施策について鋭意検討を進めているところであります。今後とも、このような観点から犯罪に関する多角的な調査研究に努めてまいりたいと考えております。
  12. 荒井正吾

    荒井正吾君 恐縮ですが、ちょっと具体的なこうイメージがわかないように思うわけでございますが。  次に質問される前川先生と私、奈良の出身でございますが、千年ほど前に律宗というのが中国から来まして、世の中を、こう行動を律するような戒律というようなものが重要視された時代でございますが、明治時代にやはり外形的な行為をとらえて近代国家をつくってきたというような気がするわけでございますけれども、江戸時代はそうじゃなかったんじゃないかなという気はするんですけれども、もう少し内面に立ち入って犯罪人の心を探究する姿勢が政権の方にもあったようにも感じるわけでございますが。  法務省行政は、近代国家の手本になるような行政をそういう意味でもされてきたような印象あるんですが、犯罪がどう起こるかということは、これは法律世界だけではできなくて、生理学とか社会学とかいろんなのを法務行政の中に取り入れてこなきゃいけないように思うわけですけれども、法務省はやっぱり法律職の方が圧倒的に世の中のことを全部おっしゃる、どうもちょっと感覚がそうかなというところが出てくるというときもございます。この点について、やっぱり犯罪どうして起こるのかということが法務行政の中で是非主要な課題として追求していただきたいという御要望を大臣始め皆さんにお願い申し上げたいと思いますが。
  13. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生の御指摘は大変重要な点だと思います。  新しい監獄法が五月から施行になりますが、その法律に基づきまして、今まで例えば性犯罪者については性犯罪を起こす特殊な要因がございますので、幾つかの刑務所処遇プログラムを作って、刑務官法務教官と対話をするような形で処遇をしてまいっておりましたが、ただしこれは義務化されておりませんで、任意ベースであります。それから、覚せい剤についても行われておりましたし、この二つの項目につきましては義務化をするということでプログラム検討を行っております。大体性犯罪プログラムも仕上がっておりますし、覚せい剤の方も、施行五月に予定されておりますが、それまでには過去の経験に基づいてプログラムを仕上げる段取りができておるわけでございます。  被害者の視点も導入しようということで、犯罪被害者の方に、これも任意ですけれども来ていただいて、矯正施設で話をしていただくことをやっております。  それから、これは各刑務所等でやっていますが、宗教関係の方、教誨師に、各宗教各派いろいろございますが、お見えいただいて、これも任意でございますが、希望する者については、心の問題、宗教者のお立場から矯正に資するということでやっていただいております。今度、監獄法の改正によって義務化するのは当面二つでありますけれども、これからは、犯罪を犯した者に対する処遇については矯正、その心の問題、性格の矯正というふうに少しずつ力点が移っていくものと思っております。  再犯防止については、三ッ林先生主査再犯防止PTで多面的に御検討を願っておりますが、私は、三ッ林先生の今当面の一番大きい関心事は、刑務所出所者満期出所再犯率がほぼ五割でございます。少年院満期出所保護観察終了後、出た人たち再犯率がおおむね二割でございます。少年院が八割更生しているというのは驚異的な数字だと思いますけれども、しかし再犯率が二割あると。ですから、この方々の再犯を減らしていけば、ゼロにするのはなかなか難しいと思いますが、減らしていけば犯罪防止効果があるということは間違いないわけでございます。  再犯を犯す人たちの大部分無職者です、社会に出て。つまり、更生する人たちのかなりの部分は職を得ている人たち。つまり、社会へ戻って職を得られるかどうかがかなり大きい要素を占めているということに着目いたしまして、法律上は、国としては刑を、刑期を終えた人については、懲罰も加えたし、矯正もできるだけのことをしたということで手を触れられないわけですが、一時的に出所した人が滞留する場所があります、更生保護法人、全国百一か所ありますが。ここは半年、最長一年間いて、職を探したり、矯正教育に応じる人にはプログラムを施したりする。申出があった場合に利用してもらうだけで、大体全体の四分の一ぐらいですか、その更生保護法人に収容している人は。あと四分の三は社会にじかに出てまいります。  原則として、国としては、まあ悪い言葉ではありますが手を出せない状態なわけですが、しかし再犯防止犯罪を減らすためにはその満期出所者再犯率を下げる、そのためには職を、職業をつくり出すといいますか、民間協力者がいらっしゃるんですけれども、なかなか世間は厳しゅうございますから協力者が多くはありません。ですから、地方自治体とか民間企業と今いろいろ相談しておりますが、社会へ出所した人たちが職を得られる方策をいろいろ考えてみようと。  今の段階で具体的に申し上げられる結論、結果はございませんが、それに今一つ大きな重点を置いて再犯防止に取り組もうとしているところでございます。
  14. 荒井正吾

    荒井正吾君 今の就労ということは大変どのような人にも大事かと思います。それから、犯罪を犯した人、また犯しそうな人にもとても大事かと思いますので、その点の御関心は大変貴重なものというふうに御拝聴いたしました。  ところで、犯罪を犯す人あるいは就労できない人というのは人間関係がうまくいかない人というような気がいたします。人間関係がうまくいかない大きな原因はコミュニケーション能力が若干欠けているというふうに言われることがございます。コミュニケーション能力はなかなか、最近では特に閉じこもりが多くて、少年犯が特にそうでございますけれども、逃避型の犯罪が増えているというのもそういう傾向の表れかというふうに思いますが、コミュニケーション能力を高めるのは就労して高めるというのもありますが、就労のためにも高めにゃいかぬというふうに思うわけでございますが。  そのコミュニケーション能力は、最近では側頭葉が、またちょっと脳の話ですが、大変関係していると。そのどこが働いているのかというのは大変最近分かってきて、脳のどこが問題かと、鍛えればいいかと。右脳と左脳の側頭葉大変発達が遅れているというか、そのコネクションが悪いとコミュニケーション能力が低いと。これは側頭葉音楽だとか言葉のつかさどる分野でございますので、その分野を違う面から、音楽とか文化的な面で鍛えるというのもその一つの大きな意味がある。あるいは動物との、ペットとのコミュニケーション人間力が回復できるんじゃないかと。これは文科省が最近やっています人間力をつくるというような方向とも一致するんじゃないかというふうに思うわけでございます。そういう面も実は法務行政の中での主要な分野だということを是非認識していただきたいというふうに改めて思うわけでございます。  次に、また基本的なことを一つ最初でございますのでお聞きしたいんですが、法務行政における犯罪に対する責任ということの考え方でございますが、最近の近代国家罪刑法定主義でございますので、犯罪責任の取り方を国家権力に委託したと、こういうふうに言われているわけでございます。そうしますと、犯罪人の処分は国民意思の代行だということになります。その責任の取らせ方については、国民意思とのコミュニケーションが必要な分野かと思います。ところが、その責任の取らせ方ということについて、だんだん、被害者が、立場も違いますし、国民のいろんな考え方が多様化している中で、責任の取らせ方で厳罰化保護化か、いろんな意見が分かれてきているわけでございます。  一方、報道機関は、自分で行為責任を取るべきだということで責任を自己規定されるような傾向があるんじゃないかと思います。例えば、子供犯罪子供に対する犯罪子供の自殺などに対しては、学校とか学校校長先生責任どう思いますかというふうに聞かれるわけでございます。これは、法務省は別に学校先生を呼んで事情聴取されるということは余りないように思うんですけれども、報道機関学校校長先生責任追及。それから、少年犯罪の親の責任法務省は親を事情聴取されるということは余りないように思いますが、マスコミは、親はどういう責任感じていますかというふうに聞かれるわけでございます。それから、イラクの人質なんかは、あれは自己責任でやるべきじゃないかということを官僚が発言すると、自己責任とは何だ、国家の責任じゃないかというような議論があるということ。責任論についていろいろ意見があるわけでございますから、その中では報道が、報復代行という言葉があるようでございますが、被害者とか世論の気持ちを受けて追及するというような傾向が強まって、これは健全な傾向かどうかというようなことでございます。  我が国責任感覚は、戦争責任については余り議論しない国でございますので責任論について何か余り追及してない国柄かなとも思うんですが、法務省の持っておられる分野犯罪に対する法的責任の在り方というのは、政治責任、道徳責任、いろんな責任のある中で、国家の基本的な責任の体系じゃないかというふうに思います。  それから、そのような中で、刑法三十九条の心神喪失者、心神耗弱者の、罪に問わない、減軽するといったようなことはどのように考えていくのかという課題も最近あります。逆に、そういう心神喪失者、心神耗弱者に対する差別じゃないかという意見も一部にあります。かつていん唖者の罪を軽減するという義務的条項が差別助長条項として削除されたという例もあるようでございます。  大変広範な議論を呼ぶ分野でございますが、最初でございますので、法務省責任に対する基本的な思想ということをお伺いできたらというふうに思う次第でございます。
  15. 大林宏

    政府参考人大林宏君) まず、形式的な規定から責任能力の問題について申し上げたいと思います。  今御指摘のとおり、刑法は第三十九条第一項において、心神喪失者の行為は罰しないと規定し、同条第二項において、心神耗弱者の行為はその刑を減軽すると規定をしております。つまり、責任能力がない者については心神喪失者としてその行為を罰しないこととし、責任能力が著しく減退した者については心神耗弱者としてその行為に対する刑を減軽することにしております。  このように、物事の是非善悪を弁別し、かつその弁別に従って行動する能力が欠ける場合には行為を処罰しないという、いわゆる責任主義に基づくものにつきましては刑法基本原則とされておりまして、ドイツやフランスなど諸外国においても同様の規定が設けられている国が多いものと承知しております。  また、責任能力という観点からしますと、刑法の四十一条において、十四歳に満たない者の行為は罰しないと規定をしておりまして、十四歳未満の者についても刑事未成年者、つまり責任能力がない者としてその行為を罰しないということにしておるところでございます。
  16. 荒井正吾

    荒井正吾君 いや、条文はそう書いてあるんですけれども、その裏にある考えをお伺いしたいということであったわけでございますが、お考えはないんでございましょうか。
  17. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 先生の御指摘の点は、非常に広いといいますか深い観点から御指摘だと思います。  一つ考え方としては、その賠償責任の問題が一つあろうかと思います。心神喪失者、いわゆる精神障害者による犯行によって本人が処罰を受けない場合に、例えばその民事責任はどうなるかという問題、同時に少年の場合も同様のことが起こると思います。刑事責任がないということで処罰を受けないと、じゃ親の責任はどうなのかと。これは一つは、刑事責任能力者に対する親の責任の問題も一つあろうと思いますし、それから、これまた非常に御指摘の点が広いんでどうお答えしていいか分からないんですが、例えば今おっしゃられている、そういう賠償の問題を除いて、例えば刑事責任を問わない本人についての責任がどうなのかという面につきまして、例えば心神喪失者等の問題あるいは耗弱者の問題については、先ほど御指摘もありましたように、この委員会でも御審議いただいたいわゆる医療観察法において医療の面から治療するという面で対応する部分もありますし、あるいは少年についても、当然今度は処遇という面において、例えば少年院等において処遇を行うと。そういう面で非常に広範な御指摘だと思いますけれども、ちょっと先生の、お答えになっているかどうか分からないんですが、そこをまた御指摘いただきたいと存じます。
  18. 荒井正吾

    荒井正吾君 いや、私のようなこの分野で大変初歩的な者が法務省刑事局長さんにこういう質問していいのかと思いながら質問しているわけでございますが、法務委員会のせっかくの質問の機会なので一生の思いに聞いておこうかなというぐらいに、野球じゃないですけど、そのぐらいの気持ちでお聞きしたわけでございますが、まあ遠慮されているのかもしれませんが、いろんな法務行政の中で戦前の思想検察のトラウマが、こう言っては失礼ですけれどもあるように思いまして、思想的な面に余り入られないような気風もあるような、抑制的というようなこともあるかもしれません。  ただ、こういうようなのは基本的な哲学の話ですので、哲学なしに取り締まったという先輩をむしろ糾弾する思想を持っていただきたいというふうにも逆に思うものでございますので、大変基本的かつ広範な質問といいますか問いでございますけれども、是非このようなものも、やっぱり三十年法務行政されていますと、どこか土台を求めて仕事される面が必ずあると思うんですけれども、土台の議論をどこかでしていただきたいというふうに、形式に流れないような法務行政に向かっていただきたいというふうに老婆心ながら思う次第でございますので、また機会があれば場所を構わずいろんな御議論をいただきたいというふうにお願いする次第でございます。  時間があれですので、最後になりますが、先ほど刑事局長おっしゃいました少年の刑事免責でございますが、十四歳未満の少年の刑事、触法ということで問わないということでございますが、これはどういうふうにこれから考えていけばいいのかという、少年法の、少年刑事免責の基本的な考え方を伺いたいと思う次第でございます。  最近の少年の刑事犯の傾向でございますが、交通関係の業務過失を除く刑法犯の約半数が少年の犯罪ということで、日本は大変優秀な犯罪の、効果がある国だと思いますが、この成人犯罪との比率が、この少年犯比率が高いというのが唯一と言っていいほど数値で劣っているような感じがいたします。  ところが、全体的な傾向では、窃盗とか横領とかの初発性非行と言われるようなものが多くて、統計的には凶悪犯は少ないというふうに出ております。凶悪化しているということでございますが、一九七〇年まで少年の殺人犯は二百件から四百件だと言われておりますが、最近は百件を切っている状況でございます。だから、想像が今までされなかったような犯行年齢の低さとか方法の残虐さとかいうことが報道で特に繰り返し強調されるわけで、厳罰化をしたらどうかという世論の声が沸き起こっているというように思います。  その犯罪傾向をもう少し探ってみますと、自分よりももっと弱いものを見付けて、それをいじめてうっぷんを晴らすと。社会的動機のない犯罪が、自己動機の犯罪が増えているようにも思うわけでございます。これは、犯罪を起こさなくても、学校で不登校者になるとか自閉症、自閉症は病気でございますけれども、コミュニケーションがないとか、閉じこもりがちになるということで、自傷する人もあるし、その犯罪という、他傷して犯罪に至るケースもあるわけでございます。傾向としては同じであるわけでございますが。  少年法の基本思想は、少年はいろんな、人格に可塑性があると、変わり得るものだということを信じて犯罪免責をしているというふうに聞いているわけでございますが、これは脳の可塑性を信じると、少年でなくても可塑をする人としない人というのがある程度分かれてくるようにも思うわけでございますが、ただ、ある程度教育効果があるということを信じて少年法の基本的な考え方が成り立っているように思うわけでございますけれども、その少年法の、対する基本的な教育効果といいますか、改善効果ということを基本的な思想にしているように思いますけれども、最近の傾向あるいは最近のいろんな科学の発達を踏まえて、少年法に対する、少年の、犯罪少年、触法の少年に対する扱い方という基本的な考え方というのはどうなのか、改めてお伺いしておきたいと思います。
  19. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 少年をめぐる問題は様々、先生の御指摘は極めて正しい、そのとおりだと思っております。  少年の健全育成というのを少年法はうたっておるわけでありますが、現実には少年院を卒業する人が毎年五万人と、非行少年はその十倍以上いるというわけで、一方において憂慮する状況にもあるわけです。  そういうこともございまして、このたび少年法の一部改正ということで、可罰年齢は下げないけれども、十四歳未満であっても少年院に送ることをできるようにしたらどうかとか、あるいは警察官、補導しておるわけですけれども、虞犯、触法少年に対し、警察官に調査権限、法的根拠を与えることをしたらどうかというようなことで改正をお願いしておるわけでございます。  少年に可塑性があるということは、少年院卒業生五万人のうち八割、四万人が社会で更生しているということからも明らかだと思います。親、何といいますか、少年が崩れていく原因の大きな一つが家庭にあることも明らかで、家庭のしつけが不十分になってきているといいますか、地震、雷、火事、おやじと子供が恐れたものがみんななくなった、特におやじが駄目になったという批判もあるわけでございます。  で、それからもう一つ社会というか隣近所、僕らの小さいころには子供が悪いことをしたら親でない者までどなったものです、おまえ何やってるって。そういう人のうちの子供については言わない、また自分のうちの子しかられると親のところへ文句言ってくる、うちの子をしかってなんて、そういう家庭が増えてきて、社会でのチェックが薄れている、まあ教育の問題もございます。  そういったことから、この少年法の目指す理念はもう非常に困難な状況に直面していると言っていいと思いますけれども、しかし私は、少年に可塑性があって、国や地域やみんなで努力すれば健全育成を更に進めることは可能だと思っております。  先ほどの、先生おっしゃったコミュニケーション能力がないということですけれども、少年院是非見学したら、実際見ていただきたいと思いますが、少年院で絶対にやっていることは集団訓練と基礎的なコミュニケーションです。半年間にわたってやっておりますが。  ああ、失礼しました。五万人と言いましたが、五千人。五千人で、一けた違いましたので、申し訳ありません。  集団訓練というのは、気を付けから始まりまして右へ倣え、まあ初歩の教練みたいなものですが、それで体で、その先生のおっしゃった脳は、体を動かすことによって訓練できるんですね。で、自分と他人との関係を体で覚えさせる、自己に目覚めさせる。それから、コミュニケーション訓練は……
  20. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 大臣質疑時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
  21. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 済みません。  人の言うことを聞いて、ペアをつくって、目をつむって聞かせて、それをオウム返しに答えさせる、その文章を長くしていくことから始めてということもやっておりまして、非常に今の少年院教育は様々な意味効果を上げていると思っております。  国としてできることを着実に実行していく。法改正についても、これは十四歳以下を処罰しても結構なんですが、国会でお決めになれば十二歳でも十歳でも、まあ体も成熟してきましたし、精神的にも環境の変化で皆ませてきていると思いますので、下げても個人的にはよろしいと思っております。  長過ぎて済みません。
  22. 荒井正吾

    荒井正吾君 御答弁ありがとうございました。  以上で終わります。
  23. 前川清成

    前川清成君 民主党の前川清成でございます。  杉浦大臣とは初めて議論させていただきますが、今日は、裁判員制度ですとか、法テラスですとか、あるいは犯罪者の更生プログラム、さらには出資法の上限金利の引下げ、いろんな点について大臣のお考えを承りたいと思っておりますので、どうぞ簡潔で、そして明確な御答弁をまずお願い申し上げたいと思います。  それで、昨日、ワールド・ベースボール・クラシックで王ジャパンが世界一になりました。大臣日本・キューバ友好議員連盟の会員というふうに承っておるんですが、昨日はどちらを応援されたのか、お伺いしてもよろしいでしょうか。
  24. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) もちろん、王ジャパンを応援いたしました。  私は野球少年だったものですから、日本の野球はここまで来る、まあ、それに先立ってメジャーで大活躍する選手が増えたことだけでももう信じ難いといいますか、ことでございまして、もうこれは日本の野球史上画期的でありますし、また子供たち、最近野球からサッカーへムードが移っているような感じもいたすわけですが、これで少年たちも世界の頂点に立てるんだという目標を自覚して、更に一層野球少年が増えるんじゃないかとも思います。  キューバはすばらしいチームで、プロはありませんが、実力からいったらキューバの方が上かもしれませんが、しかし柔よく剛を制すといいますか、ああいうものすごい選手たちを日本のチームがねじ伏せたということで、キューバが更に精神的に強くなって、次のクラシックでは優勝することも期待しておる次第であります。
  25. 前川清成

    前川清成君 ありがとうございました。  それでは次に、最高裁にお伺いしたいんですが、裁判員制度、これはいつから始まるのか、時期をお答えください。
  26. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。  裁判員制度は、裁判員法が公布された平成十六年五月二十八日から五年を超えない範囲内で、すなわち平成二十一年五月までで政府が政令で定めた日から施行されるという、このようになっております。
  27. 前川清成

    前川清成君 最高裁の広報を見ますと、裁判員制度が二十一年五月までに始まりますというふうな宣伝を大々的になさっています。日本語としては普通、始まるの場合にはいついつから始まるというのが普通の日本語だと思うんですね。この点、まだ時期が確定できないんでしょうか。後でも申し上げますが、大変大きなお金を掛けて広報するにもかかわらず、いついつまでに始まりますというのはちょっと広告の仕方として上手じゃないように思うんですが、最高裁いかがですか。
  28. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今申し上げましたとおり、その施行の日というのは政府が政令で定めた日からということになっておりますので、裁判所といたしましては、今の時点では今の委員の御指摘のような表現にならざるを得ないと、こういうことでございます。
  29. 前川清成

    前川清成君 大臣、ごめんなさい。通告してないんですけれども、最高裁が今のような答えですのでお伺いしたいんですが、法務省としては確定時期を当面定める予定はないんでしょうか。
  30. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 準備が整いませんと始められませんので、今一生懸命準備をしておるということでございます。現状でいつということは申し上げられない状況でございます。
  31. 前川清成

    前川清成君 最近、奈良の地裁が新築されまして、裁判員のその専用法廷もできたというふうに新聞で拝見をいたしました。  裁判員制度を実施するためにどのような設備をこれから建設していかなければならないのか、あるいは準備していかなければならないのか、その点をお答えいただきたい。
  32. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) お答え申し上げます。  裁判員制度を実施いたしますためには、裁判員裁判用の法廷や、それから裁判員が裁判官と評議するための評議室、あるいは新たに導入されます公判前の整理手続を実施するための手続室、それから裁判員等の選任手続を実施するための裁判員候補者の待機室、あるいは質問手続室等が必要となる次第でございます。
  33. 前川清成

    前川清成君 裁判所内の接見室を増設する必要はないんでしょうか。
  34. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判員制度が導入されますと、連日的開廷による集中審理ということが基本的な審理形態になろうかと思われます。そうなりますと、審理の前後に、あるいは休廷中ということになる場合もあるかと思いますが、弁護人と被告人とが裁判所の構内で接見する場面というものが多くなると考えられます。  裁判所といたしましても、このような構内接見が円滑に行われるようにするために、現時点における接見室の利用状況、あるいは連日的開廷が日常的に行われるようになった場合の見通しと、こういったものを踏まえまして、現在の施設で不足するようであれば計画的に整備していく必要があると考えております。  こうした観点から、現在、各庁におきまして、事件数、それから裁判所と拘置所の距離等、各庁の実情を考慮しつつ、また言うまでもなく弁護士会等の意見も聞きながら整備の必要性についての検討を行っているというところでございます。
  35. 前川清成

    前川清成君 裁判所の接見室について検討をするということですが、それはいつまでになさるんでしょうか。
  36. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今申し上げましたように、裁判員制度の導入のある意味では基本的な前提事項になりますので、それに間に合うようにきちんと整備をしたいと思います。
  37. 前川清成

    前川清成君 大谷さん、だから聞いているんですよ。二十一年五月までに実施するんでしょう。だから、それに先立って接見室が増設する必要があるかどうか検討して、それから後、建設する。で、二十一年五月を迎えるわけでしょう。だから、そのタイムスケジュールの問題で、いつまでに検討していつまでに増設して二十一年五月をどうやって迎えるか、そこをお答えいただきたい。
  38. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) それぞれ各庁の実情がございますので、今この場で更に細かいスケジュールを申し上げることについては御容赦いただきたいのですけども、最終的には今委員が御指摘のとおりのスケジュールで間に合わせなければならないということは十分認識しております。
  39. 前川清成

    前川清成君 大谷さんがおっしゃったように連日開廷になるわけですから、その点十分御配慮いただかないと、裁判所の設備の都合で裁判員制度がとんざしてしまうと、こういうことになりますので、よろしくお願いいたします。  それで、裁判所は今年度予算では十三億五千二百万円、裁判員制度の広報のために計上しておりまして、具体的には新聞や雑誌の広告、タウンミーティング、映画の作成、ハンドブックの作成、こんなことを明記しておられるんです、列挙しておられるんですけども、去年やったことと今年やろうとしていることを少し具体的に網羅的に御説明いただけませんでしょうか。できれば簡潔に。
  40. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 平成十七年度ということになりますけれども、今お話のありましたように、新聞・雑誌広告あるいはタウンミーティング、さらに先般、広報用の映画等を作成し、あるいはハンドブックというものを作成もいたしたところであります。  平成十八年度におきましても、基本的にはこういうツールあるいは媒体を使いながら更に広報を周知徹底させていきたいと、このように考えております。
  41. 前川清成

    前川清成君 もう少し具体的にお答えいただきたかったんです。例えば、これは今月五日の朝日新聞ですけれども、こういうふうに最高裁で全面広告が出ています。あるいは各種雑誌で広告が出たり、これも最高裁からいただいたんですが、こういうふうなのが出たりしています。  どういうことをお考えになっているのか、全体としての広報の戦略といいますか、そういうことをお答えいただきたいんですが。
  42. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判所といたしましては、まず裁判員制度そのものについてどういうものかということを国民の皆様に分かっていただくということが基本になることは言うまでもございません。この点について新聞広告等で広く人の目に触れるような形での媒体を使いながら広告を行う、宣伝を行っているところであります。  ただ、それと同時に、基本的な骨格だけではなくて、裁判員となられる方が具体的にどのような職務を行うのかということが、現状で世論調査などを見ますと、裁判をすることの不安などについて訴える方も少なくないという現状を踏まえますと、やはり重要になってくる。そうなると、裁判員についての役割の実像というものについてもきちんと広報すると、こういうことが必要になろうかと思います。  更に申し上げますと、裁判員として出頭するということについては今国民の側にいろいろな支障あるいは疑問等があると思いますので、広報活動を行う中でこれからきちんとそういう要望、不安というようなものを受け止めて運用等に反映させていくと、こういうことも考えなければならないと考えております。
  43. 前川清成

    前川清成君 大谷さんのおっしゃっていること、よく分かりますし、それに反対するつもりは全然ないんです。また、最高裁としては慣れないお仕事で御苦労されていると思うんです。ただ、全体として、ただ思い付きでされているのか、大きな戦略があってなさっているのか、そこを教えていただきたいのと、十三億円もという大きなお金を使われるわけですから、費用対効果で無駄はないのか、もっとより良い効果的なお金の使い方はないのか、その点をお答えいただきたいと思って質問していたんです。  で、お答えがないのでこちらから具体的にお聞きしますけれども、例えばこの三月五日の朝日新聞の全面広告、これ幾ら掛かっているんですか。あるいは、ここに、私ちょっと不勉強で存じ上げなかったんですが、これ長谷川京子さんという女優さんだそうです。どういうコンセプトでこの長谷川京子さんをお選びになったのか。あるいはここの、下に字がいろいろ書いてあるんですね。これを読者の皆さんが読んでいただけると、そこまで思ってこの広告をお作りになったのか、ちょっと具体的にお答え、今のこの三点に限って具体的にお答えください。
  44. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 前提としまして、最高裁としてはできるだけ多くの方々に裁判員制度を知っていただき、また制度の意義を理解していただくために、新聞広告やインターネット、それから雑誌広告といった広告媒体について、どのような立場でどのような方に目に触れるかということも総合的に検討した上で広報活動を行うことが重要であると、こういうコンセプトの下に約六億円で広告代理店と契約いたしました。  それから、次の御質問ですが、なぜ長谷川京子さんかということですが、やはりまだそこの制度についてはいまだ国民に広く定着したものとは言い難いところから、広告に著名なタレントに出演していただくことを検討いたしました。そして、長谷川さんは男女を問わず、また幅広い世代から親しまれる方であり、その長谷川さんに登場してもらうことによって、より多くの国民皆さんに裁判員制度に関心を持っていただけることを期待したわけでございます。  で、文章の点について最後にお尋ねがあったと思いますが、この点は広告の専門家等の御意見を伺いながら作成したものであります。ただ、一部の御意見として、字が小さくて読みにくいとか文章が分かりにくいという御指摘もないわけではありませんでした。したがいまして、今後の広報活動におきましては、こういった指摘を踏まえて、更に分かりやすく充実した活動を行っていきたいと考えております。  なお、最高裁では、広報に関しては有識者の懇談会を設けておりまして、大学の先生あるいは広告に実際に携わる方、それから作家の方等に逐一この広報活動については御意見を承っているところで、そういうものを参考にしながら次の広報戦略を考えていきたい、このように考えております。
  45. 前川清成

    前川清成君 最初の質問。最初の質問。
  46. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) トータルといたしまして約六億円で、先ほど申し上げましたような趣旨でトータルとして約六億円で広告代理店と契約をしたということでございます。
  47. 前川清成

    前川清成君 そうしたら、その六億円で広告代理店に丸投げしてるんで、例えばこれ一本幾ら掛かっているとかは御存じないという、こういうお答えですか。
  48. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 個別の新聞広告や雑誌広告等の費用につきましては、広告代理店が各媒体者と契約交渉するということになっておりますので、個別の契約に関するお答えについては御容赦いただきたいと思います。
  49. 前川清成

    前川清成君 いや、例えば新聞の全面広告を一本出せば相場で何ぼとかあるでしょう。何々という雑誌にこういう広告を出したら相場で何ぼとかあるでしょう。で、その六億円出して、合計でこれだけの広告してもらいましたと、それ合わせて損か得なのか、それぐらいの計算はされてるでしょう。
  50. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今、その平成十七年度の自体の数字は手持ちを、持ち合わせておらないのでありますが、平成十八年度の政府予算案の内訳で申しますと、新聞広告については三億四千万程度を計上しておりまして、その程度のことで実行したというふうに御理解いただきたいと思います。
  51. 前川清成

    前川清成君 いや、大谷さん、はぐらかさないでください。分かっておられるでしょう、僕の聞いている意味は。十八年度で三億何ぼ出すんでしょう。三億何ぼで新聞広告は何ぼ出るんですか、何本。で、普通、新聞広告はこれぐらいの量を出せばこれぐらいって決まってるでしょう、相場が。それと比べて損なんですか、得なんですかっていう質問をしているんです。
  52. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今申し上げましたように、新聞広告について三億四千万ということでございます。
  53. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 今の質問の趣旨をよく聞いて、一面広告幾ら掛かっているかということを答えられるんだったら答えていただきたい。
  54. 前川清成

    前川清成君 これ、通告してますよ。
  55. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 新聞広告について、一紙でどれぐらいのということでございましょうか。ちょっと、申し訳ございません、その御趣旨……
  56. 前川清成

    前川清成君 いや、通告してます。
  57. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) もう一度申し上げますけれども、新聞について平成十七年度……
  58. 前川清成

    前川清成君 もういいって、もう一度は言わなくて。ちょっと、委員長、これ速記止めていただけません。
  59. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) はい、速記止めてください。    〔速記中止〕
  60. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) じゃ、速記を起こしてください。
  61. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) ちょっと恐縮でございますが、新聞広告については五紙ということで、一面カラーで広告記事を二本ずつ掲載いたしましたということでございます。
  62. 前川清成

    前川清成君 五紙に二回ずつ全面広告ですか、それで五億円──三億円、三億四千万円。それは相場に比べて得なんですか損なんですか。
  63. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 相場に比べて得か損かということをお答えする私立場にないと思うんですが、少なくとも適正な価格でこれは実行されているというふうに承知しております。
  64. 前川清成

    前川清成君 大谷さんが今適正な価格だと明言をされました。適正な価格だという根拠を述べてください。
  65. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 適正な経理手続に従ってこの業者、広告会社とという契約をしたということでございます。
  66. 前川清成

    前川清成君 それは手続の問題でしょう。そうじゃなくて、金額が適当であるかどうか。手続が適正じゃなくて、金額が適当かどうか。もっとはっきり言うと、ぼったくられてないか。国民の税金の使い道としてきっちり検討しているのかどうか、そこを答えてください。
  67. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) コンペの結果この落札業者に決まったということでありますので、今委員の御指摘あるいは御懸念の点はないかと承知しております。
  68. 前川清成

    前川清成君 今のお答え、理解できません。
  69. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) 今承知しているところで御説明申し上げますと、これは、何社かでこの広告をどう進めていくかということについて提案をしてもらいまして、それでコンペをいたしました。それで、総額幾らという形で定めてございます。  今御指摘、一本幾らかということにつきまして、私今日準備が整ってございませんが、改めてその点、機会を与えていただきましたら御説明申し上げたいと思います。申し訳ございませんでした。
  70. 前川清成

    前川清成君 税金を使って、十三億もの税金を使ってこれだけの大々的な広告をなさるわけですから、言葉悪いけれども、最高裁が広告について素人だとよく分かりますよ。だからといって広告代理店に丸投げするんじゃなくて、新聞広告一本出したら大体どれぐらいが相場なのかって朝日新聞に電話一本掛ければ分かることじゃないんですか。それぐらいの具体的な努力もなしに十三億もの大きなお金を使うと、あっやっぱり最高裁に大きな予算は任すわけにいかないんだなと財務省もそう思うんじゃないですか。民間だったらもっと細かくお金の使い道は検討していると思うんですよ。  いかがですか、今のこの予算の使い道について、もっと厳しく支出金額について検討すべきだったと思いませんか。
  71. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) 広報についてたくさんの予算を取得したわけでございますが、今委員指摘のとおり、これからその適正な執行、それから価格について十分検討していきたいと思いますし、今御指摘の点につきましてはなお今までの経緯等も検討してみたいと、かように考えてございます。
  72. 前川清成

    前川清成君 十八年度予算で二億、最高裁ですけれども、二億四千百六十二万一千円を使って広報用映画を作成されるそうです。どういう映画を作るかというと、有名な、著名な俳優に出演してもらうと、こういうことだそうです。  二億四千万ものお金を掛けて著名な俳優に出てもらうということですが、これ具体的にはどなたに出ていただいて、どんな映画を作って、それによってどんな効果が期待できるんでしょうか。
  73. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今委員指摘の予算の額には、裁判員制度に対する国民の理解と関心を高めることを目的としたドラマ仕立ての映画のほかに、分かりやすいアニメーション版の広報ビデオ、さらに、映画の予告枠を利用したコマーシャルを作成、放映するための費用も含まれております。  このうちの映画についてのお尋ねでありますが、どういう俳優を選ぶのかということにつきましては、これは予算が成立した後に具体的に検討したいと考えておりますが、ちなみに、今年度作成しました「評議」というタイトルの映画では、中村俊介さん、榎木孝明さん、それから小林稔侍さん、藤田弓子さんといった著名で幅広い世代から親しまれるような俳優を起用いたしましたので、十八年度の映画につきましても、同じくらいに著名で親しみの持たれる、そういう方を選びたいと、このように考えております。  どういうコンセプトかということもお尋ねがあったと思いますが……
  74. 前川清成

    前川清成君 どういう効果が期待できるか。
  75. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 効果、はい。  基本的には、先ほど申し上げましたとおり、裁判の実像、それから裁判員の役割の実像ということをきちんと伝えるということが裁判所としての広報としては最も重要なことだと考えております。  まあそういう意味では、平成十七年度につきましては評議の実像を描くということに力点を置いたわけでございますが、そのほかにもいろいろと国民が具体的なイメージで知りたいという場面があると思いますので、そうした面にも光を当ててドラマ化したいと、このように考えております。
  76. 前川清成

    前川清成君 大臣、島耕作さんという方を御存じですかね。これは実は漫画の主人公の名前なんですけれども、最高裁はこの漫画の、島耕作という漫画に裁判員制度を登場させたりとかですね、あるいはこれは奈良の裁判所で配っているんですけれども、こういうカレンダーの裏に裁判員制度が始まりますと、こういうのを、あるいは新幹線の時刻表にも裁判員制度の広告を載せたりしていまして、いろいろ工夫されているなというのはよく分かるんですが、最高裁にお尋ねしますけれども、最も効果的な広報、これはどう考えればいいんでしょうかね。
  77. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判員制度というのは、司法制度と言うにとどまらず、社会制度としても大きな意義や影響を持っているものであります。したがいまして、広報活動も様々な観点から様々な媒体を活用してやはり総合的に行っていかなければならない、このように思うわけです。  そのような意味でいいますと、先ほども申し上げましたような、国民にきちんとした実像を伝えていくということが重要になるわけですが、具体的には、先ほどから話の出ているような様々な媒体、さらには、各種の説明会やフォーラムを含む幅広い伝達方法を用いて広報活動を展開、強化していくと、このように、ということになろうかと思われます。
  78. 前川清成

    前川清成君 私も、今おっしゃったように、一つ何かやればいいというんじゃなくて、様々な方法を考えていかなければならないんだろうと思っているんです。ただ、社会保険庁のパンフレットのようにならないようにだけは御注意いただけたらと、こんなふうに思っています。  それで、法務省法務大臣にお聞きしたいんですが、法務省もこの裁判員制度の広報に三億二千百万円を計上しておられます。法務省はどのようなことを、どのような広報をお考えになっておられるのかということと、もう一点、最高裁と法務省がそれぞればらばらにやるから、例えばすき間が生じるんじゃないか、重複が生じるんじゃないかなと、そんな心配もあるんですが、この二点お伺いしてよろしいでしょうか。
  79. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 法務省予算は平成十七年、約三億二千万円ですが、主な例といたしましては、ポスター、リーフレット等制作、掲示。ポスターは大分あちこち張られていますね。まじめな一歩ですか、随分あちこちございます。リーフレットも、持ってきましたが、いろんなのを配布させていただいております。それから交通広告、全国主要駅においてポスター掲示を行う。それから懸垂幕等の制作、広報ビデオ、これは野沢前法務大臣が出演いたしまして、約五万本、ビデオ、なかなか野沢法務大臣、貫禄のある出演をしておりましたが、全国に配布いたしております。かなりいいものができたと言われております。そんなものでございます。  平成十八年度予算では、国の行政機関、地方自治体に対する説明会、これは金額多うございません、約四百万。ポスター、パンフレットの作成、制作及び掲示、頒布、約二億一千万。交通広告、引き続き行う、これ約一億四百万。引き続いて行ってまいります。  重複しているんじゃないかという御指摘ございますが、これはまだ裁判員制度に対する国民の認知度は低うございますので、多少重複してもどんどんやると。日弁連、もっと熱心でして、日弁連は日弁連なりになさっておられます。どれぐらいの予算か分かりませんが、ともかくやっていくことが大事だと思っております。  法務省としては、三期に分けておりまして、第三段階に。十七年度は制度の存在意義等を周知すると。第二段階、十八、十九年度では、若い世代などの重点対象を中心とした広報。最終、第三段階は十九、二十年度ですが、国民全体を対象に理解を深め、参加意識を高めていただくような活動を行いますということで、法務省の中でも検事総長はわけても熱心でございまして、この間はテレビにも出演すると、講演にはあちこち出掛けていく。検事総長が陣頭指揮をいたしておりますので、各地検、高検等でも様々な説明会、何千か所ですか開催する等、積極的にやらせていただいております。  これからの三年間は第二、第三段階になりますが、制度の円滑な運営を、ともかく一番のかなめは裁判員制度に快く皆さんに参加していただくということでございますんで、ハードの方は何とか間に合うんじゃないかと思うんですが、期限までに。これはまだこれからの予算付け等ございますけれども、国民皆さんの理解と参加、参加が重要でございますので、力を入れてやってまいりたいと、こう思っております。
  80. 前川清成

    前川清成君 大臣がおっしゃったように、国民皆さんに参加していただくためには、やはり裁判の在り方自体も考えていかなければならないんじゃないかなと思っているんです。裁判員制度になって国民皆さんに毎日毎日来ていただくのに、裁判が五年も十年も掛かっていたら皆さんお困りになります。裁判員制度が始まると、やはり裁判も短期間で済ませる必要があるんじゃないかなと思っています。その点で、検察官の責任は大きくなるんじゃないかなと思っていますが、大臣、この点いかがでしょうか。
  81. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生のおっしゃるとおりでございます。  検察官の役割はますます重くなってまいると思います。もちろん、検察官が刑事裁判においては立証責任を負っておるわけでございます。裁判所や弁護人と協力しながら、裁判員裁判が迅速に行われるように、まずは公判整理手続を十分に活用する。これ、今試行をあちこちでやっております。可能な限り迅速な裁判を実現する、当然のことですが。  一方、裁判員の方々にとって分かりやすい立証を心掛ける必要がある。特殊な用語を用いて裁判員に理解してもらえない。実際裁判が始まりますと、裁判員が一致して検察官の説得に応じなければ、裁判官だけで決めるというわけにはまいらないでしょう。ですから、裁判員の方によく理解していただくような言葉を持つと、態度もそうですが、大事だと思います。そういう意味で、検察官の役割は非常に大きくなってまいると思います。
  82. 前川清成

    前川清成君 それで、大臣ね、裁判員制度が始まると、裁判の期間、これはどう考えればいいんでしょうか。どれぐらい、今のように五年も十年も掛かるという裁判はもうあり得ないと思うんです。じゃ三か月、四か月、これも困ると思うんです。二、三日で終わるのか、一週間程度掛かるのか、この辺の見込みや研究等はもう既に法務省でなさっているのか。なさっておられなかったら、なさってないで結構です。
  83. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 一般論としては、必要な審理期間は一概には申し上げられないということに相なりますが、先ほど先生申された刑事裁判が長引いているんじゃないかと、長く掛かっているんじゃないかというのは、もう一般にかなり誤解がございまして、特殊な事件、例えばオウムとか、あの何ですか、砒素を飲ませた事件とか、あれ全面否認で傍証ばっかりやっていますから、そういう特殊な事件を除きますと、一般の刑事事件は随分スピードアップされております。場合によっては資料を提出させますけれども、これは裁判の迅速化というのが司法改革の大きな一環でございまして、手続も整備し、迅速に行われるようになっております。  裁判員にお願いする場合には、仕事がおありになる、ともかく、家庭があるとかそういう方にお願いするわけですから、もう短期間に終結しなきゃならない要請はもう絶対でございます。ですから、できる限り短く、連日開催するとか、工夫をしていかなきゃならないと思います。そうしないと、あんな時間取られるのではもう嫌だと言って回避される方が増えると思います。一般的な事件については、これは数日の開廷で処理できるようになるんではないかというふうに思っております。
  84. 前川清成

    前川清成君 大臣、私も一応二〇〇四年七月まで弁護士をしておりましたので、よく分かっているんです。覚せい剤とか業過とかはほとんど一回で結審しています。ただ、それは裁判員制度の対象になりませんので、お伺いしているんです。  それで、二〇〇五年の十月一日に福岡市で裁判員制度全国フォーラムというのが開催されました。この中で、酒巻さんという京都大学法学部の教授は、裁判員制度は二、三日で終わる、裁判制度による裁判は二、三日で終わりますと、長くても一週間程度だろうと、こういうふうに発言をしておられて、その場に同席しておられた福岡地検の総務部長である矢吹さんでありますとか、福岡地裁の刑事部長の川口さんというのは特に異論を差し挟んでおられないんです。  ただ、私は本当にこの二、三日で終わるのかどうかが疑問に思っています。そこで、最高裁にお聞きしたいんですが、裁判が長期化する原因の一つとして、原因幾つかあると思いますけど、主な理由を何点か述べていただいて、理由は結構ですから、項目だけ述べていただけますか。
  85. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今委員がお話になりましたように、正にいろいろな要因が考えられると思うのですけれども、最大の要因は証拠調べ、つまり証人尋問あるいは被告人質問というものに非常に多くの公判回数を要したということが原因となっているということは間違いないものだろうと思っております。
  86. 前川清成

    前川清成君 例えば、あのサリン事件のように被害者がたくさんいて、その被害者それぞれの証拠調べをしなければならないと、これは必然的に長くなるんですけれども、やっぱり長くなるのは自白の任意性が争われる場合じゃないんですかね。いかがですか。
  87. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。  裁判所といたしましては、いつも例年長期化して継続している事件についてその原因を調査しているわけですけれども、それによりますと、最大の要因は先ほど申し上げたようなこと、あるいは鑑定に非常に時間が掛かっている、それから訴因が非常に多数である、被告人が多数であると、こういったものが大半を占めていると認識しております。
  88. 前川清成

    前川清成君 今のお答え分からなかったんですけれども、自白の任意性では特に裁判は長期化しませんというお答えですか。そういうことですか。
  89. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 失礼いたしました。  自白の任意性が争われ、そして被告人質問、さらに警察官、取調官、警察官、検察官の尋問等が行われることになれば必然的に先ほど申し上げたような回数が増えてまいりますので、そういった事件についてももちろん長期化する要因、危険性を秘めていることは間違いありません。  ただ、私が申し上げましたのは、それが全体事件の中で多くを占めているかどうかというふうに理解いたしましたので、申し上げただけでございます。
  90. 前川清成

    前川清成君 被害者の数が多いとか訴因がたくさんあるとか、これはちょっと私も今直ちに何かいい工夫があるかというのは思い浮かばないんですけれども、大臣、自白の任意性については、これは制度次第で、裁判員制度の裁判の席上、争点から除外するということが可能だと思うんです。  具体的にいいますと、取調べ過程を可視化する。それはビデオに撮っておくかテープに取っておくかすれば、自白の任意性について後日争われて、裁判員の前で言うた言わないという話を延々続けると、この作業をやらなくて済むと思うんですが、大臣、いかがですか。裁判員制度に備えて取調べの可視化等、刑事手続についての改革の必要があると私は思うんですが、大臣のお考えお聞かせいただいてよろしいでしょうか。
  91. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 公明党の皆さん方がそういう御主張をかねてからしておられることはよく……(発言する者あり)承知しております。公明党もそうおっしゃっています。民主党は党議としてお決めになっているかどうかは分かりませんが、公明党は党議として……(発言する者あり)そうですか、失礼しました。認識不足で謝ります。  司法制度改革審議会意見においても、被疑者の取調べの役割との関係で慎重な配慮が必要であるという御指摘もございますので、将来的な検討課題であると思っております。  法務省としては、取調べが果たしている機能の重要性を踏まえながら、刑事司法制度の在り方全体の中で、多角的な見地から慎重に検討してまいりたいと思っております。
  92. 前川清成

    前川清成君 大臣、慎重にというのがちょっと今気に掛かるんですが、いずれにしても大臣大臣お分かりいただけると思うんですけど、裁判員を毎日毎日裁判所に呼び出しておいて、延々言うた言わぬ、言うた言わぬの話を何か月も続けるわけにいきません。そんなことしたら、裁判員制度なんて吹っ飛んでしまいます。私たち民主党も、この取調べの可視化、これで余計な刑事裁判の手間が省けると思います。是非、慎重にとおっしゃらずに、大臣の在任中に積極的に御検討いただきたいと思います。  それで、裁判員制度について最後に質問したいんです。これ理念の問題になりますが、結局、最高裁が十三億も掛けて、法務省が三億も掛けて何を伝えようとしているのか。単にこういう制度ができましたというのを伝えるだけで足りるのかどうか。裁判なんて面倒くさいと、そんなの専門家に任しておいたらいいんだと、何で自分が余計なことに巻き込まれなければならないのか、多くの国民皆さんはそう思っておられると思うんです。  しかし、それだとこの裁判員制度は根付かない。なぜいろんな問題点を抱えながらこの裁判員制度をあえて導入したのか、その理念みたいなものを是非国民皆さんにお伝えする必要があると私は考えていますが、最高裁、いかがですか。
  93. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今の委員の御指摘は誠にもっともだろうと思います。負担を負っていただくためには、なぜこの裁判に参加するのか、参加する意義があるのかということを十分伝えなければならない、私どもそう思っております。  具体的に申しますと、やはり現代社会が非常に複雑化する中で、刑事裁判と国民との距離というのが次第に遠くなってきているのではないか。そこを裁判員として国民皆さんに入っていただいて、実際の裁判の中で具体的な手続あるいはありようというものを見ていただき、それを裁判の中に反映させていただくということによって、裁判がより国民に信頼されるものになります、身近なものになりますということを常にメッセージとしてお伝えしているつもりでありますし、これからもそういうことについてはきちんとお伝えしていきたい、このように考えております。
  94. 前川清成

    前川清成君 ちょっと時間の都合もありますので次の質問に移らせていただきたいんですが、二〇〇七年の一月に出資法の上限金利の見直し時期を迎えます。その見直しに必要な準備というのは法務省で行いますというふうに当時、十七年三月八日当時、予算委員会で南野法務大臣にお答えいただいたんですが、その後、金融庁では貸金業に関する懇談会というのを開催しておられて、貸金業者の代表であるとか学者を集めて勉強会をしておられるそうです。法務省はその後どういうことをなさっているのか。また調査研究のための予算、今年度予算に計上されているのか、この二点、大臣にお伺いいたしたいと思います。
  95. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 出資法につきましては、平成十五年のやみ金融対策法等で法定刑の引上げを行いました。そのときに、十六年一月の施行後、三年をめどとして必要な検討を加え、見直しを行うということになっております。  法務省といたしましては、刑事局及び民事局で起訴された事件その他の調査等を進めているところでございますし、また金融庁が始められました懇談会にも法務省が参加をしておりまして、いろいろな諸外国の実態調査その他について勉強をしているところでございます。  予算の方でございますが、特にこの法改正について予算を計上しているということはございません。
  96. 前川清成

    前川清成君 年末以来、グレーゾーンに関する最高裁の判決が相次ぎました。これを受けて与謝野金融担当大臣からはグレーゾーンを見直したいというような御発言もありましたし、また先日の財政金融委員会では出資法の上限金利は社会政策的に重要な規制だと、こういうふうな御発言がありました。  そこで、弁護士出身の杉浦大臣にお伺いしたいんですが、この二九・二%という上限金利、これについて大臣、どのようにお考えになっているのか、またグレーゾーンの撤廃についてどのようにお考えになっているのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 平成十二年の法改正には一議員としてかかわっておったわけですが、ともかくやみ金融、法外な、二九%はおろか、もう物すごい暴利をむさぼっておる。これは刑事罰の対象になるんですが、そのやみ金融をどうやって撃滅するかといいますか、つぶすかということは一方において考えなきゃいけません。  それから同時に、需要があるわけです、国民の中にですね。民法、利息制限法の利率を超えてでもお金が必要だという方々がいらっしゃる、こういう一方の状況も考えなきゃいけないわけでございまして、どこに線を引くかというのは大分あの当時議論したわけでございます。  この金利を下げたらいいかというと、必ずしもそうでもない。この金利の範囲内で、いわゆる町金業者と言われているんですが、まじめなと申しますか、地域に根差して誠実にやっている方々も随分いらっしゃるわけで、下げることによってそういう人たちをやみ金業者、いわゆる刑事処罰をする対象となる業者に追いやるということがあってもならないということで随分議論いたしまして、この二九・二%ですか、ここに線を引いたわけであります。  ですけど、このグレーゾーンというのは確かに問題であります。所要の検討を行わなきゃいけませんが、これについては資金需要の状況社会金融情勢、私はもっと一般の金融機関が無担保の消費者金融に力を入れるべきじゃないかと思うんですね。それがないからサラ金業者が繁盛するわけですし、やみ金業者も刑事罰を覚悟ではびこるということに相なると思うんです。そういう金融情勢、貸金業者の実態等を総合的に勘案して決める必要があると思うんですね。  最高裁でそのグレーゾーンの任意弁済かどうかで絶えず争われて、いろんな判例は出ておりますけれども、そこのところを明確にすることも大事でございますので、今後ともこれは金融庁中心に検討会やっておりますけれども、関係機関と協力しながら必要な検討は行ってまいるつもりでございます。
  98. 前川清成

    前川清成君 ちょっと私、今聞き違いだったらいいと思うんですが、今大臣が需要があるとおっしゃったのは、出資法の上限金利を超えて、それでも借りたいという需要があると、こういうふうにおっしゃったんですか。
  99. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) ええ、そういう方もおられるわけです。例えば、中小企業の方が金繰りに追われて、追われて手形を落とさなきゃいかぬということで手を出す方もおります。そういう、需要といえば需要であります。借り手がいるから貸手が出てくるわけで、それは全部じゃありませんけれども、需要がないわけじゃないと思っております。
  100. 前川清成

    前川清成君 大臣、それよく考えて、今の御発言、大変失礼ですけれども、今大臣がおっしゃっているのは犯罪ですよ、二九・二%以上の金利で金を貸すというのは犯罪ですよ。犯罪について需要があると、そうおっしゃっているんですよ。今のは大問題じゃないですか。  大臣、よく考えてください。大臣も弁護士をされていて、実務について御存じだと思います。二九・二%もの金利を払ってまで金を借りなければならない、それは金融政策の問題ですか。違うでしょう、それは。それは社会政策の問題じゃないんですか。二九・二%を超えた金に手を出さなきゃならないと、それに対して福祉が追い付いていない、そういう問題なんじゃないんですか。  二九・二%でも金借りたい人がいるから金を貸します、そういう需要があります、それを法務行政をつかさどる法務大臣が御発言なさるべきことなんですか。犯罪行為を助長しておられるんじゃないですか。大臣、いかがですか。
  101. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 言葉に不適切といいますか、説明不足があるとすれば訂正いたしますけれども、犯罪は処罰しなきゃなりません、犯罪行為は。ただ、その犯罪行為をする人間、やみ金業者が、そういうお金に手を出す人がいなければ成り立たないわけなんですが、現実にそういう方がいるからやみ金業者がはびこるわけだということを申し上げたかったわけでございます。
  102. 前川清成

    前川清成君 大臣、よく考えてください。だれが借りたくて二九・二%を超える金利の金に手を出すんですか。そんな人、世の中にいますか。いたら御紹介ください。
  103. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) それは、どなたにしてもお金を借りる方はできるだけ金利の低いお金で融通を受けたいと思っていると思います、だれにしても。ただ、現実にある社会金融情勢とか貸金業者の実態、更に言えば金融機関ですね、全体の状況からして、そういう犯罪行為が起こっている現実はあるということを申し上げたかったわけです。
  104. 前川清成

    前川清成君 大臣、金利が低ければいいって、そんなの当たり前なんですよ。だれもが低い金利で借りたいんです。でも、せっぱ詰まったとき、金利について自由競争は働きますか。ともかく今日の手形を落としたいんですよ、そうでなかったら倒産するんですよ。そんなときに、ここの金利は六パーだけれどもここは一五%、ここは三〇%、そんなの考えている余裕なんかないですよ。だからこそ、ベニスの商人の例もあります、法律で上限金利を規制しているんじゃないんですか。だから、与謝野大臣社会政策的に十分意義があるんだと、こういうふうに明言されたんです。  法務大臣、この点、御理解にならないんですか。ならないのであれば、ちょっと誠に恐縮ですけど、法務大臣としての適格性に問題があると言わざるを得ないんじゃないですか。それだったら、社会政策的な立法は一切要らないということですよ。違いますか。
  105. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) そういうことを申し上げているつもりはさらさらないんですけれども。  そういう手形を落とすために高金利を借りる人は、じゃ金利を下げたらなくなるかといったら、それはなくなる保証ございますか。そういうことを申し上げただけで、ですから政策的に金利を定めるということは非常に重要だと思っております。そこを何%にするかですね、非常に重要だと思っております。
  106. 前川清成

    前川清成君 出資法の二九・二%という上限金利を引き下げれば、それ以上の金利で金を貸すことは犯罪でしょう。犯罪であれば、それを取り締まる責任者は杉浦大臣、あなたじゃないんですか。それをなくなりますかと言われたら困りますよね。大臣替わっていただけるんでしたら、僕、なくなりますということお答えできますよ。でも大臣、あなたが今法務大臣なんでしょう。  上限金利引き下げれば、仮に一五%に引き下げれば二〇%でも犯罪なんですよ。犯罪世の中になくなりませんと今大臣おっしゃっているのと一緒ですよ。それが、特に就任に当たって小泉総理から犯罪のない社会を目指せというふうな訓示をいただいた大臣本人の口から出る言葉ですか。少しちょっと使命感が足らないと私は思います。
  107. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) いや、申し上げていることを何か誤解されているようで心外でございますけど。  私は、先生がおっしゃるような趣旨で申し上げているわけではない。やみ金業者をともかく撲滅する、退治する、これはもちろん法務省も検察も警察と協力して全力を挙げてやっているところでありまして、そこの、それを、じゃ極論すれば一切なくすことが先生のおっしゃる社会政策的に見て妥当かどうかというのは慎重に検討する必要があるということを申し上げているだけのことでございます。
  108. 前川清成

    前川清成君 私が誤解しているというふうにおっしゃいますので、大臣、じゃ三度目に、三回目お尋ねいたします。  大臣、先ほどの御答弁で二九・二%を超える金利での貸金についても需要があると、こういうふうにおっしゃいました。  ちょっと法務省の役人、後ろちょこちょこすんな。大臣と話しているんや。  大臣の御自身のお口で二九・二%を超える金利についても需要があるとおっしゃいました。その点について、もう一度大臣の御本心、御趣旨を御説明ください。
  109. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 言葉が適切でなかったとすれば申し訳ないと思います。そういう被害に遭う方がいると言えば正確になるんじゃないでしょうか。
  110. 前川清成

    前川清成君 被害に遭うというのと需要があるというのは全く別ですよ。大臣、先ほど需要があると、だから二九・二%の金利の引下げについても慎重でなければならないと、そういうコンテクストでおっしゃったんですよ。被害に遭うというのと、そういうコンテクストでは全然おっしゃっていない。需要があるから国として、法務省としてその需要にこたえなければならない、そういうコンテクストでおっしゃったんじゃないんですか。今は全く違いますよ、それ。
  111. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) そういうふうにお取りいただいたとすれば誤解と言わざるを得ません。(発言する者あり)いや、そういうやみ金融の被害にある人がいるという趣旨で申し上げたわけでございます。
  112. 前川清成

    前川清成君 じゃ、大臣、お聞きします。  そのやみ金融の被害に遭う方がある。だから、どうするんですか、この二九・二%とグレーゾーンの問題。
  113. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) この金利は歴史的経緯があってだんだん下がってきておるわけですが、下げるべきだという議論もございますが、先ほど申し上げましたように、資金需要の状況、貸金業者の実態、町でまともに地域に根を下ろして地域の資金需要に応じている、やみ金融でない金融業者の方もいらっしゃるわけですから、その実態等を勘案して検討する必要があるというふうに思っております。
  114. 前川清成

    前川清成君 ちょっと時間の都合もありますので、一点御指摘したいんです。  大臣が今検討するとおっしゃったのは、地元でまじめに頑張っている高利貸しもある、そういう人たちのことも十分考えなきゃいけないんだと、こういう御趣旨ですよね。違います。  大臣大臣、でもね、大臣の口から今一言も消費者のことが出てこなかった。毎年九千人もの方が経済苦を理由に自殺しておられるんです。毎年二十五万人もの方が自己破産を強いられているんです。その人たちのことをどうするのか。二千万人もの方がサラ金から金を借りている。その二千万人の方は大抵低所得者の方、その低所得者の方々が自分の給料の中から三〇%に近い金利をサラ金にむしり取られている。一方で、サラ金は大もうけをしているんです。  消費者の視点が全然なくて、高利貸しの事情ばっかりおっしゃったじゃないですか。九千人も毎年自殺しておられるその人たちのことは考えなくていいんですか。いかがですか、大臣
  115. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) その点は正に社会政策的な問題として政治が考えなきゃならない問題だと思います。刑事政策とはちょっと次元の異なった問題だと思います。
  116. 前川清成

    前川清成君 ちょっと今の、刑事政策とは次元が異なって政治が考えなきゃならない、ちょっと理解できなかったんですが、まああんまり言葉のどうこう言うつもりはありません。ただ、大臣にお考えいただきたいのは、事業者側、業界団体だけを見る従来の自民党政治じゃなくて、声を出せない消費者の皆さん、借主の皆さん、そういう国民の側、市民の側に目を向けた政治、これから是非必要だと私は思っています。  それで、時間の都合もあります。最後にお聞きしたいんです。  一昨年ですか、民法が公布がされました。しかし、例えば非嫡出子の相続差別についてはそのまま改正がなされませんでした。また、選択的夫婦別姓についても法制審の答申から何年間もたなざらしのままです。例えば選択的夫婦別姓にあっては、個人の自立を尊重する社会にあっては認められて私は当然だと思っています。反対論者の皆さんからは、夫婦の一体性だとか、そんな意見が出てきます。しかし、夫婦の一体性なんというのは国家権力によって押し付けてもらうものじゃなくて、それはそれぞれの夫婦の在り方だと私は思っています。  そこで、この非嫡出子の相続差別の問題、選択的夫婦別姓の問題、そのほか民法を始めとする基本法について更に研究の必要はないのか、この点、大臣にお伺いいたしたいと思います。
  117. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) その点については、法制審の答申もございますが、様々な議論が行われております。家族、家庭制度の根幹にかかわる問題を含んでおりますもんですから、私どもとしては、大方の国民の理解を得て改正を行うということが望ましいと考えておるところでございますので、今後各方面での議論が一層深まることを期待しておる次第でございます。
  118. 前川清成

    前川清成君 河野副大臣、今の点いかがですか。政治としてのリーダーシップ、果たすべき必要はないですか。大方の理解と言ってたら百年河清を待つがごとし、これは政治のリーダーシップの問題だと私は思っております。副大臣、いかがですか。
  119. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 私は、法務大臣という前に、個人的には夫婦別姓、選択的に認めてもいいのではないかと思っております。  確かに、たなざらしになっている期間が長いわけですから、議員立法でもこれを実現したいという方もいらっしゃいます。国会の審議の入口というのはいろいろあってもいいのではないかと思っております。
  120. 前川清成

    前川清成君 今日は、本来はもう少し、開かれた裁判所の在り方ですとか、あるいは犯罪者の更生プログラムについても質問をさせていただきたいと思っていました。その関係警察庁にもお越しいただいているんですが、誠に申し訳ありませんが、予定の時間が来てしまいました。これで質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  121. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  122. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  123. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。  まず初めに、少年の更生保護について法務省にお伺いいたします。  今国会に少年法の改正案が提出されておりますが、少年犯罪の凶悪化あるいは凶暴化を受けまして、二〇〇〇年十一月に少年法が改正されました。その改正の折に、公明党は、少年鑑別所、少年刑務所、家庭裁判所など現場視察をいたしまして、刑務官あるいは裁判官、調査官、保護司などの関係者の方々の御意見を伺った上で、少年の更生・社会復帰への支援拡充等に関する緊急提言を行ったところであります。本日は、このときの公明党の提言が現在までにどのように施策に取り入れられてきたのか、その取組につきまして、予算措置も含めて、何点かにわたりお伺いいたします。  まず、非行を犯した少年の社会復帰をスムーズに行い、その後の再犯を防止するため、自宅に戻れない少年等を対象に、社会生活に戻るまでの中間施設としての現在の更生保護施設の機能や役割を大きく拡大したグループホームの創設を公明党として提言いたしました。現在、このグループホームの創設についてどこまで取組が進んでいるのか、お伺いいたします。  また、このグループホームはどれだけ効果を上げていると認識しておられるのか、法務省にお伺いいたします。
  124. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 御提言をいただきましたグループホームの創設につきましては、非行をした少年の円滑な自立更生のために大変有効な方策であると考えております。更生保護施設の中には、少人数で家庭的雰囲気の中で保護を行っている施設もございます。その運営状況にかんがみますと、グループホームの運営も更生保護施設と同じような困難な問題があると考えられ、現在のところ、非行をした少年を対象としたグループホーム制度はできていないのが実情でございます。  そこで、現時点におきましては、まず、更生保護施設において保護を必要とする少年を一層積極的に保護し、十分な処遇が実施できる体制を整える努力をした上で、グループホーム制度の可能性について更に検討を加えていくこととしたいと考えております。
  125. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 また、グループホームが創設されるまでの経過的な措置として、更生保護施設に対する公的支援を拡大するとともに、この更生保護法人の法的根拠となっております更生保護事業法の改正を公明党として提言いたしました。改正事項、拡充施策として提言したものは、主なものとして次の四点でございます。  一、更生保護施設を宿泊施設から更生改善教育のための処遇施設へと法的転換すること、二、宿泊施設だけではなく、通所可能な施設としても位置付けること、三、更生保護施設の委託費基準を見直すこと、四、少年専用施設を増設し、専門職員を配置することでございます。  これらの対策は現在までにどのように前進しているのか、また来年度予算案でどのように措置されているのか、四点、それぞれについてお伺いいたします。
  126. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) まず一点目の宿泊施設から処遇施設への転換についてでありますが、平成十四年に更生保護事業法等の一部が改正され、更生保護施設に対し、宿泊所や食事の提供だけではなく、改善更生のために必要な教養訓練や社会生活に適応させるための生活指導など、各種処遇についても国が委託できるようになりました。平成十四年度からは、こうした処遇を実施するための人員が確保できるよう、全施設において職員定員一名の増員が可能となる国の委託費の増額が認められております。  さらに、平成十七年度におきましては、収容定員二十一名以上の更生保護施設において夜間宿直二名体制が実施できるよう予算措置し、平成十八年度政府予算案におきましては、収容定員二十一名以上の更生保護施設について就労支援の業務を担当する賃金職員一名の増配置がなされるようになっております。  二点目の通所施設としての位置付けについてでありますが、同じく平成十四年の更生保護事業法等の一部改正により、通所施設について、更生保護施設等に委託できる枠組みがつくられました。これにつきましては、民間団体と協議を重ね、平成十七年度から更生保護施設における通所処遇を試験的に実施しているところでございます。  三点目の更生保護施設の委託費、施設整備事業に対する補助金についてでありますが、平成十八年度政府予算案における更生保護委託費は、御提言をいただきました平成十二年と比較いたしますと約四億一千万円の増、昨年度と比較いたしますと約三千万円の増の約総額で三十二億五千万円が計上されております。また、施設整備事業に対する補助金につきましては、厳しい財政事情の中、平成十二年度以降、年間二ないし五施設程度の建て替え等に要する金額を計上しているところであります。  最後に、四点目の少年専用施設の増設等についてでありますが、設置場所や運営方法等、様々な課題があることから実現されておりませんが、御提言をいただいた後、既存の少年専用施設における処遇の在り方に関する研究会を実施するとともに、処遇マニュアルを策定するなどいたしまして、職員の能力の向上に努めております。  当局といたしましては、今後とも更生保護施設がその処遇機能を一層充実できるよう様々な支援を強化してまいりたいと考えております。
  127. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 公明党は、その提言の中で、さらに、少年たちが入所中の作業、教育プログラムについて、農作業やあるいは動物を飼う、動物の飼育など命を育てる作業に従事することや、福祉施設でのボランティア活動など、心のケアに高い効果が期待できることで注目される活動を組み込むように求めました。  現在までにこれらの施策はどのように実施されてきたのか、来年度予算案ではどのように措置されているのか、また、こうした活動は効果を上げていると思われているのか、その認識をお伺いいたします。
  128. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 少年院におきましては、御提言を受けまして、農園芸作業や小動物の飼育など命を育てる作業に従事する、あるいはまた介護サービス訓練、更には老人ホームや障害者施設でのボランティア活動などに従事させまして、心のケアの高い効果を期待できるということで実施中でございます。  ちなみに、十六年のボランティア活動の実施状況でございますが、老人ホームでのボランティア活動、延べにして千五百十四名が参加し、さらに障害施設のボランティア活動には五百六十九人が参加しているところであります。  また、平成十六年からは、生命の尊さ、あるいは相手の気持ちを理解する心をはぐくむことが大事だといたしまして、更生支援パートナードッグ計画ということが予算化されまして、犬の飼育や犬と触れ合う機会を取り入れたプログラムを策定して実施しております。このパートナードッグ計画につきましては、十八年度においても予算措置を得た上で、継続実施を予定しているところでございます。  効果のほどはという御質問でございますが、今統計的な数値取っているわけでございませんので、一点だけ、このパートナードッグプログラムに参加した少年の感想をかいつまんで御紹介申し上げて、効果に関する答弁に代えさせていただきたいと思いますが、この少年の感想では、自分も犬もなれなくて不安であったと。犬がほえると、そういうときにはえさを与えてほえないことにすることに一生懸命であったと、しかしそうやっていると常に要求ぼえがだんだんエスカレートしてくることが分かったと。そういうことで、いろいろ教官の指導も受けて、最終的にはこの犬にとって一番いい方法は何だろうかと自分なりに考えて実施できるようになりました。最終的には、生きているものとかかわることはこんなに自分の心を動かしてくれることなんだなと思いましたと。今は寂しいけれども、本当にルナと生活できてよかったですと、こういう感想を寄せてくれているところでございます。
  129. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 こうした少年たちが矯正保護施設から出所しても、仕事に就くことができなければまた犯罪や非行に走ることになりかねません。再犯防止の観点からも、少年たちにとっての居場所また仕事の確保というのが大変重要になってまいります。  そこで、公明党の提言では、少年の職場・雇用確保について、協力雇用主への公的支援や国、地方自治体、経済団体、企業等の協議機関の設置などにより、働く機会の保障に官民協力して取り組むことを要請いたしました。幸い、保護観察機関の呼び掛け等によりまして協力雇用主も増えました。また、ハローワークとの連携の強化を図るなど諸対策が講じられてきております。  出所後の少年の就労支援策について、現在までにどのような対策が講じられてきたのか、また来年度はどのように取り組まれるのかをお伺いいたします。
  130. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 非行をした少年の多くは、その非行歴のゆえに社会から排除されやすく、就労経験が乏しいこともありまして職を得ることが非常に困難となっております。また、保護観察対象者全般を見ましても、無職の者が増加傾向にあることに加え、その再犯率が職のある者と比較いたしますと著しく高い状況にございます。御指摘のとおり、就労を確保することが極めて重要な課題であると考えております。  そこで、当局といたしましては、非行をしたことを承知の上で雇用していただいております協力雇用主の拡大を図ってきております。平成十七年四月一日現在で、御提言をいただきました平成十二年と比較いたしますと約一千三百増の約五千七百の事業主の方々に協力雇用主になっていただいております。  また、これまで以上に就労を支援していくために、法務省では、厚生労働省と協議いたしまして、刑務所出所者等総合就労支援対策を策定いたしましたが、これは非行をいたしました少年にも適用していくことといたしております。例えば、来年度からは、保護観察対象者等を試行的に雇用した事業所に対する試行雇用奨励金の支給、就職時に保証人のいない保護観察対象者等に対する身元保証の支援策などの対策を厚生労働省と連携して実施いたしまして、その就労を一層確保していきたいと考えております。  なお、来年度政府予算案におきましては、法務省における就労支援対策の経費といたしまして約二億三千万円が計上されております。
  131. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 さらに、公明党の提言では、少年院及び少年鑑別所など少年事件にかかわる職員体制の拡充及び見直しを求めました。  少年院及び少年鑑別所などの職員体制の拡充及び見直しについて、これまでにどのように実現をされてこられたのか、また来年度予算ではどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
  132. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 少年院と少年鑑別所の職員体制の拡充、充実についてでございますが、平成十三年から平成十七年度までの五年間におきまして、少年院では、法務教官百十一人、看護師二人の計百十三人の増員、少年鑑別所は、法務教官六十五人をそれぞれ増員していただいたところでございます。  さらに、平成十八年度政府予算案におきましては、少年院関係では、法務教官三十人と看護師一名の計三十一人の増員、鑑別所におきましては、法務教官十八人の増員をそれぞれ計上しているところでございます。
  133. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、法務大臣に、少年の改善更生について二点お伺いいたします。  少年に対する保護観察についてまずお伺いいたします。  昨今の少年非行に関する報道等を見ますと、少年を取り巻く家庭環境等が複雑で問題も多く、少年が非行に走った理由が理解できるものがある一方で、一見何の問題もなさそうな少年が突然理解不能な理由で凶悪な事件を起こすといったケースもございます。  このように様々な理由で非行に走った少年の立ち直りを助けるために保護観察の制度があるわけですけれども、外部と遮断された少年院における教育とは異なりまして、この保護観察制度というのは誘惑の多い社会の中で更生を図るという体制でございます。それには少年の強い意志と周りの理解、支援がなければ大変困難なことだというふうに思われます。  一体どのようにして少年に対する保護観察の効果を上げようとしておられるのか、また、その結果、どのくらいの少年が更生しているのか、法務大臣にお伺いいたします。
  134. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 保護観察、少年の保護観察につきましては、少年の問題性をグループ別に類型化して、シンナーとか暴走族とか、各類型ごとに共通する問題性等に焦点を当てた処遇を行いまして、保護観察の実効性を高めるよう努めておるところでございます。  また、少年に対する保護観察処遇の一環としまして、老人ホーム等での介護補助、公園の清掃等の社会奉仕的活動を始めとして、スポーツ、創作体験活動等々、様々な社会参加活動に参加させることで、その精神面の成長、社会性の発達を促すということをやっております。  ただ、調べましたら、この社会奉仕活動はこの保護観察処分少年のうち、まだ一割に満たない数しかできておりません。これは義務化できない性質のものですから、保護観察所の方で勧誘をして参加させるというふうなことでやっておりますから、本格的に実施するためには一種の保安処分と申しますか、裁判所の決定で義務化するとか、それにはやっぱり法の改正が必要かもしれませんが、そういう強制力を義務化した形で行っていないという制約がございますが、参加した子たちは非常に、子たちにはいい影響を与えているというふうに聞いております。  これらの保護観察処遇を通じまして、家裁での決定で保護観察に付された少年のうち約八割の者が保護観察の成績が良好で保護観察を行う必要はないと認められ、保護観察を解除されております。二割の者が解除されていないということでございます。  別の方にも御答弁申し上げましたが、少年の、その何といいますか、社会復帰といいますか、何と申しましょうか、社会復帰と申しましょうか、少年がまともになる率というのは非常に高い。少年院の教育も、先ほど矯正局長申しましたが、法務教官に若い優秀な人がなってくれまして、非常にいい教育を行っておりまして、少年院の教育においても社会復帰の実を上げておるということが顕著に認められるところでございます。更に一層法務省としても努力してまいりたいと思っております。
  135. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、この保護観察制度をしっかり支えてくださっている保護司の方々の活動の基盤整備について、これも大臣にお伺いいたします。  保護司は、様々な問題を抱えた保護観察中の少年に対して、自宅に招いたり少年を訪問したりして生活の状況を小まめに掌握して、立ち直りに必要な指導を始め、少年院に収容されている少年の出所後の環境の調整や相談、少年の非行防止のための地域活動など、極めて困難な活動に従事しておられます。保護司の方々は、民間人としての柔軟性と地域の実情に通じているという特性を生かして、保護観察官と協働して更生保護の仕事に従事しておられます。その役割と責任は大変重く、精神的、時間的、経済的な負担は極めて大きいと思われます。  近年、少年非行が深刻な様相を呈している中、保護司の活動はより一層困難になり、その負担もますます増加しております。少年の立ち直りのための保護観察制度を担ってくださっている保護司の処遇改善や保護司活動に対する支援を十分に行っていく必要があると私は考えております。また、保護司の高齢化及びなり手不足も憂慮されておりまして、今後保護司にふさわしい人材をどのように獲得していくか、これが大きな課題となっております。  この保護司の活動を支える基盤整備の方策について法務大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
  136. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 保護司は無給のボランティアでありますが、大変大きな役割を果たしていただいておる、地域に根差した活動をしていただいているというのは、先生指摘になられたとおりでございます。また、近年、保護司の負担がますます重くなってきておるということも先生のおっしゃったとおりでございます。したがいまして、保護観察の充実強化のためには保護司活動の基盤を整備することが必要だというふうに考えております。  今年度の予算におきまして、保護司の職務が困難化しているという事情にかんがみまして、保護司に支給する実費弁償金を対前年比三割増となる約五十三億円を計上したところでございます。実費弁償、わずかである、月額にして七千円足らずだ、ガソリン代にもならないと保護司の方々から伺っておったところでございまして、まあ若干はそれに報いることができたかなと、来年度予算においてはもっと大幅な増を要求したいと、こういうふうに思っております。  また、保護司にふさわしい人材の確保も重要でございますが、今までは保護司会、保護司の代表者等を通じまして、言わば縁故採用と申しますか、縁故をたどって保護司になっていただくというのが多かったわけでございますが、現時点では充足率九三%、なかなか保護司になっていただける方を確保するのは難しいという状況がございますので、もちろん保護司会ともよく相談してまいりますが、例えば公募制を導入するとか、一部で試みにやろうと思っておりますが、いろいろと検討してまいりたいと思います。  また、保護司の研修を強化する、充実すると。保護司の観察処遇にもいろいろ複雑な要素が加わってまいりましたので、処遇に必要な知識、技術等を身に付けていただくために研修を充実しようというふうに考えております。一部にはこの保護司についての広報活動が足りないんじゃないかという御指摘もございますので、それにも力を入れてまいりたいと、こう思っております。
  137. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 先ほど裁判員制度の広報周知につきましては同僚議員から質問がありましたので少し省略させていただきまして、この裁判員制度の導入に伴いまして、取調べの可視化を進めることが必要だと考えられますけれども、これまでも供述調書の信用性、任意性が裁判で争われ、それが裁判長期化の一因と指摘されてまいりました。  二〇〇九年から裁判員制度がスタートいたしますが、国民が参加する裁判で自白の信憑性が争われ、そのために裁判が長期化するというようなことになりますと、裁判員となる国民の方々が長期間にわたって裁判に拘束されるといったような結果が生じてまいります。また、ひいては裁判員制度自体に問題が生じかねません。  この可視化につきましては、二〇〇四年の刑事訴訟法の改正の際に衆参の法務委員会で附帯決議がなされました。それは、可視化を含めた取調べの在り方について見直すようにという附帯決議でございました。また、二〇〇四年、自民党、公明党の与党司法制度改革プロジェクトチームは次のように合意いたしました。それは、取調べ状況を録音、録画する制度の採否を含む捜査、公判手続の在り方全体を見直すための検討を開始すると、こういうことでございます。  こうした附帯決議や与党合意に対して、法務省はこれまでどのような検討をされてきたのか、内容も含めてお伺いいたします。
  138. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 法務省におきましては、御指摘のような決議をも踏まえて、取調べ状況の録音、録画等の制度につきまして、その導入により取調べによる真相解明が困難になるのではないか、あるいは関係者のプライバシーを害するという事態が生ずるのではないかと、あるいは、こうした制度を既に導入している国が多いことはもう御指摘のとおりでございますけれども、それではどのような捜査手段により一部で危惧されているその真相解明というものがなされているものかどうか、それから、今御指摘のありました裁判員制度を控えて、自白の任意性、信用性を短時間で分かりやすく立証するための方策としてどのような手法がやっぱり考えられるのかなどについて今多角的な観点から調査検討を重ねております。  さらに、最高裁判所法務省及び日本弁護士連合会による刑事手続の在り方等に関する協議会やその下に置かれた三者による研究会において報告や意見交換等を行うなどして、取調べの録音、録画制度に関する検討を行っているところでございます。
  139. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 是非積極的に進めていただきたいと思います。  次に、日本司法支援センターについて大臣にお伺いいたします。  現在、国民の皆様の間には法的解決を必要とする問題やトラブルが多発しております。こうした状況の中で日本司法支援センターが今年十月から業務を開始し、こうした国民の抱える不安やトラブル解決のための適切な制度や相談機関の紹介などの情報提供を全国各地で行うということは大変心強いことでございます。  この日本司法支援センターが国民の方々の期待にこたえ、真に役に立つものとなるためには、相談窓口を有する関係機関、団体と連携協力して広くネットワークを構築し、利用者のニーズに即した相談機関を適切に紹介できる制度を、体制をつくることが極めて重要となってまいります。  十月一日のスタートまであと半年余りを残すだけになっておりますが、この日本司法支援センターの準備状況はどうなっているのか、また、今後どのように準備を進めていくのかについて法務大臣に伺います。また、今後も予算措置を伴う人的、物的体制の充実、特にスタッフの拡充を考える必要があると思いますが、厳しい財政状況の中、平成十八年度の日本司法支援センター関連の予算に関する評価及び今後の予算確保の決意を大臣にお伺いいたします。
  140. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生御案内のとおり、四月十日に設立をいたしまして、十月に業務を開始する予定で準備を加速させております。  先生の御指摘なさいましたように、各種業務を円滑に遂行していくためには、現に相談窓口業務を担当している関係機関、団体、全国で調査しましたら一万ございます。一万ございます、窓口は。そういうところと緊密な連携関係を構築することが極めて重要でございます。  今日も経団連の理事会に参りまして二百人を超える方に御協力をお願いしてまいりましたが、各地、今のところ、地裁のある五十一に支部を設け、地方本部を置くと。新年度は取りあえずそこからスタートすることにしておりますが、そこの協議会に、各地の協議会に地方公共団体、関係各省庁、関係諸団体、経済団体、労働団体等々、士族もそうですが、協議会に御参加いただきまして、運営についての御意見を伺い、協力関係を構築するというふうにしてまいる所存でございます。  予算としては、本年度予算では百二億円計上させていただきまして、法律扶助協会の業務は全部引き継ぎます。それに加えまして、相談窓口業務始め、司法過疎対策犯罪被害者支援業務等の各種業務を幅広く行うこととしておりまして、取りあえずは五十一支部で発足いたしますが、次年度以降、司法過疎地を含めて全国にネットワークを広げていく、各種団体の窓口との提携関係を強めていく、国民から愛される頼りがいのある、相談だけで逃げない、最後まで、弁護士も多数雇用いたしますので、面倒を見る駆け込み寺的な組織として発展させてまいりたいと、こう思っております。
  141. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございました。  終わります。
  142. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日は、初めにカネミ油症事件被害者の救済問題についてお伺いをしたいと思います。  現在、与野党を問わず各党で様々な議論がされていますが、そこで重要な問題の一つが国の仮払金の返還問題です。予算委員会で、中川農水大臣は民主党の犬塚議員の質問に答えて、患者さんの今の事情も考慮して、債務免除の適用の検討を含めて、できるだけ政府としてよく相談をしてやっていきたいという旨の答弁をなされました。油症被害者は、四十年近くたった今もなお有効な治療法は確立されず、心身ともに多大な苦痛に苦しみ続けています。多くの被害者が経済的にも苦境にあり、加えて同じように米ぬか油を使った家族の中でも被害認定にばらつきがあって、未認定の被害者の方々も数多く残されています。さらに、世代を超えた被害も指摘され、苦しんでいます。こうした中で、この上返還問題まで子や孫に引き継がせられないと、この被害者の方々の声、この切ない強い思いに政府として是非こたえていただきたいと私も思うわけです。  農水省から資料として仮払金を受けた原告の状況を出していただきましたので、お手元にお配りをいたしましたが、農水省と法務省はこれまで共同して調停や即決和解に取り組んでこられて、その中で拝見をしますと、一陣、三陣の原告のほぼおおむね三分の二以上の方々が履行延期あるいは分割払、こういう対応を受けていらっしゃいます。現在の債務者五百十人のほとんどがその履行延期、分割払を受けていらっしゃる、こういう状況にあるようですが、ここからも被害者の苦境がうかがい知れるように私は思うわけです。  これまでの経過の中で、被害者や相続人と直接向き合ってこられて、被害者やその家族がどんな今実情にあると見てこられたか、国会、この場で答弁できる限り是非農水省に御紹介をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  143. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) お答え申し上げます。  カネミ油症の患者の皆様が現在なお受けられております苦しみまた御苦労については、大変お気の毒であるというふうに思っております。このカネミの仮払債権につきましては、国の債権でございまして、債権管理法に基づきまして管理することが義務付けられておりますが、債権管理法では、債務者が無資力又はこれに近い状態にある場合や、債務者が債務の全部を一時に履行することが困難である場合、こういったときには履行延期や分割払を認めることができることとなっております。  農林水産省といたしましては、このような債権管理法の規定に基づきまして、個々の患者さんの収入や資産の状況、これを把握いたしまして、例えば生活保護を受けている患者さんやこれに準ずる程度の生活状態にある患者さんにつきましては、履行延期を認めるなど、患者さんの事情を十分考慮しながら債権管理法の事務を進めてきているところでございます。
  144. 仁比聡平

    仁比聡平君 分割払の中でも、月千円というような本当に涙ぐましい条項もあるようです。今御紹介をいただいたような被害者状況というのは、債権管理法の債権免除の要件とされています無資力かつ弁済の見込みがないという要件にもほぼ当てはまるのではないでしょうか。この厳しい被害者の置かれた状況の中で仮払金の返還を厳しく求めるとするなら、それは極めて酷なことであり、人道的にも許されないことだと私は思います。  これまで、農水やあるいは訟務の現場の皆さん被害者と直接向き合って対応してこられたその判断が現状のこの数字に表れているわけで、ここをしっかり踏まえて財務当局にも適切な理解が得られるように、大臣にも是非御尽力をいただきたいということを今日は強くお願いだけ申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  前回に続いて、次に、やみ金、日掛け金融被害の問題についてお伺いをいたします。  日掛け業者の刑罰対象金利が二〇〇〇年に一〇九・五%から五四・七五%に引き下げられた後、現場で特に大きな問題となっていますのが、保証料名目での暴利、この実態です。これは貸金業者、日掛け業者が、貸付けに当たって第三者である保証会社との保証委託契約を借り手側に強要をして、その保証料と称して金員を納めさせるわけです。先日、熊本クレジット・サラ金・日掛被害をなくす会の弁護士さんや司法書士さんたちに私も実態を伺ってまいりましたけれども、現場では、実質年利に計算をしますと、最低でも五%。五%から一五%、中には二五%に当たるような保証料を納めさせる、そういう例もあるようです。それをほぼ一月ごとの借換えのたびに繰り返すということによって、五四・七五%はもちろんのこと、一〇九・五%をもはるかに超える暴利をむさぼるわけですね。  それなら、この保証会社というのが一体どんな実態にあるのか。ほとんどの場合、保証の審査はやらない、代位弁済もやらない、保証料の取立ても貸金業者が代行をして、その貸金業者の窓口やあるいは担当者がそのまま直接受け取って、その先は一体どうなっているのか分からないという実態にあるわけですね。  例えば、東北の元日掛け業者店長の告白というのがあります。これによりますと、貸金業者と保証会社の内部取決めがあるというんです。それは、保証料名目で借主側から取ったその金額の九〇%の枠内でのみ、代位弁済の形を取って日掛け業者の方にバックする、残りの一〇%は保証会社の利得にする、取り分にする、それ以上は代位弁済はもちろん何もやらないと。結局、保証会社を名のっているけれども、リスクは全く負わないという仕組みになっているというわけですね。  同様に媒介手数料という名目で、同じように実質年利一〇九・五%を超えてしまうような、そういう金員を取るという被害もあるようですが、これらはいずれも法を潜脱して暴利をむさぼる手口にほかならないと思うんです。  刑事局長にお伺いをしたいのですが、これは出資法五条七項のみなし利息に当たるわけですから、厳しく処罰をすべきではありませんか。
  145. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 犯罪の成否は、法と証拠に基づき個別の事案ごとに判断される事柄ですので、お尋ねにつきましても、一般的に犯罪に当たるか否かにつきお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。  ただ、あくまで一般論として申し上げれば、仮に保証料といっても名目にすぎず、日掛け金融業者が保証業者と共謀して出資法の上限金利を潜脱する目的であり、実際には金融業者が保証料を取得するなど、保証料が、出資法第五条第七項の金銭の貸付けを行う者がその貸付けに関し受ける金銭と認められる場合、あるいは貸し付けられた金銭について支払を受領し、又は要求する者が、その受領又は要求に関し受ける元本以外の金銭と認める場合においては、出資法違反に該当することもあり得ると思います。  今御指摘のような事案、具体的事案ごとだと思いますけれども、今のような潜脱目的ということが証拠上認められれば、そのような認定されることもあり得るかと、こういうふうに考えます。
  146. 仁比聡平

    仁比聡平君 日掛け以外でも同様の被害があるんですよ。  福岡クレジット・サラ金被害をなくす会という会の相談統計によりますと、福岡県知事登録(1)、福(1)と呼ばれる業者関係の相談が、昨年、〇五年は何と三百五十四件に上っていて、このうち保証料名目での被害が二月以降の十か月間で百六十六件にも上っています。ここに、その会の方々が実態を明らかにした業者の一覧表、私、手元に持っていますけれども、これを拝見しますと、ずらっとこの業者と保証会社と称する名前が並んでいて、実質年利で換算しますと、一〇五四%から五二一四%、こんな暴利の金員を借主から取り立てているわけですね。  これは正に手口を替えたやみ金にほかならないと。実態をつかんで、厳しく摘発、処罰をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  147. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 先ほど申し上げましたとおり、犯罪の成否は法と証拠に基づき個別の事案ごとに判断されるべき事柄ですが、日掛け金融業者であるか、通常の貸金業者であるか否かによって出資法第五条第七項の適用が異なるものではありませんので、先ほど日掛け金融業者について申し上げたところは通常の貸金業者についても同様に考えられます。  一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、法と証拠に基づき出資法違反として取り上げるべき事案があれば厳正に対処するものと承知しております。
  148. 仁比聡平

    仁比聡平君 実態をしっかりつかんで、ここを効果的に摘発をすると、処罰をするということをやらなければ、こういうやからは根絶できないということをしっかり踏まえて対応いただきたいと思うんです。  貸金業にかかわって、どうしてこんな無法が起こるのかと。本来、利息制限法の上限金利、私はこれだって市中金利に比べて高いと思いますけれども、これを超える高利は民事上無効なはずです。ところが、こういう実態がある。  その民事上の効力というのは一体どうなっているのか。まして、出資法五条や附則八条以下の日掛け、こういう特例の要件を満たさない業者の請求の効力は一体どうなるのか、民事局長にお尋ねします。
  149. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) これは今おっしゃいましたように、日掛け貸金業者の特例の要件というものが決められておりますので、この要件を満たさない場合には、これは利息制限法に戻りまして、その利息制限法に定める超過利息分の合意というのは民事上は無効ということになるわけでございます。
  150. 仁比聡平

    仁比聡平君 一〇九・五%を超えれば、これ全部無効でしょう、ですね。貸金業法の前回の改正で。違いますか。
  151. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 貸金業法自体は私どもの所管法でございませんので、その解釈について申し述べる立場にございませんけれども、ただいま申しましたように、そもそも貸金業法の要件に当たらない場合には、それは元々利息制限法の世界に戻ってまいりまして、で、利息制限法で超えておれば、これは全部無効だということになるわけでございます。
  152. 仁比聡平

    仁比聡平君 利息制限法を超えた部分が一体どうなるのかと、超えたらどうなるのかと。今日午前中に同僚議員からもお話がありましたけれども、ここにグレーゾーンの問題があるわけです。このグレーゾーン、貸金業法の規制法の四十三条の適用を厳格に限定するという最高裁判決が相次いでいる中で、無効なのに弁済とみなすというこのグレーゾーンが許されない被害を生んでいるということだと思うんですね。  私は、このグレーゾーンをなくし、特例は廃止するということを強く求めたいと思うんです。そもそも、どうしてこんな日掛け業者に現在では五四・七五%、こういう高金利が許されているのか。八三年の法改正時の日掛け特例を認めた趣旨、当時は一〇九・五%を認めたわけですが、この趣旨についてお答えください。
  153. 大林宏

    政府参考人大林宏君) お尋ねの日賦貸金業者の特例については、昭和五十八年に成立した出資法の一部を改正する法律附則第八項において、日賦貸金業者が業として行う金銭の貸付けにおける利息の契約の締結又はこれに基づく利息の受領については、当分の間、出資法第五条第二項の特例として年一〇九・五%を超える場合に処罰することとされたものと承知しております。  このような特例が認められた理由につきましては、日賦貸金業者が、主として物品販売業等を営む小規模の者を貸付けの相手方とし、返済期間が比較的長期で、貸付けの相手方の営業所又は住所において自ら集金する方法により取り立てる方法による貸金業を行う者であり、貸付けの相手方の便宜のため返済金の集金に相当の日を掛けることとなるため、従来の上限金利を引き下げれば営業が成り立ち得ない事情、実情にあって、当時の資金需要にこたえる上で問題があると考えられたことなどによるものであると承知しております。
  154. 仁比聡平

    仁比聡平君 今刑事局長が御答弁になられたような趣旨を裏付ける事実、これが当時国会で示されたでしょうか。私は、ここの立法事実というのが全く示されてないと思うんですね、当時の会議録も振り返ってみましたけれども。  貸金業規制法のその四十三条について、当時の提案者は規制を導入するためのあめだという趣旨のことを述べていらっしゃいます。日掛けの特例も、根拠が実はない妥協の産物だったのではないでしょうか。私は、現在の日掛けの実態というのがそれを示していると思うわけです。  日掛け特例、附則の八条以降には、先ほど御紹介があったように、三つの要件が定められています。貸付けの対象は物品販売業、製造業、サービス業を営んで、かつ従業員五人以下の小規模事業者に限ること、二つ目は、返済に当たって百分の五十日以上借主のところに行って集金をすること、三つ目が返済期日は百日以上とすることの三つです。ですが、これはほとんど守られていないというのが実際ですね。  お手元の資料に熊本県の経営金融課が昨年七月に金融庁の貸金業制度等に関する懇談会に提出をした報告書、これをお配りをいたしました。金融庁はここに報告されている実態についてどのように受け止めていらっしゃいますか。
  155. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  委員指摘のように、昨年の七月二十九日に開催をされました第六回の貸金業制度等に関する懇談会におきまして、熊本県など四都府県から貸金業者に対する監督の実態についてお話をいただきました。  このうち熊本県からは、一つには日賦貸金業者に対する特例金利の適用要件をめぐる実態、あるいは保証業者と資金需要者との間で締結される保証契約の実態、さらには業務停止に係る調査の段階で廃業してその後別の名義で申請する例等について御説明がございました。  この当懇談会におきましては、貸金業制度をめぐる実態の把握のため多数の関係者から現在ヒアリングを行っているところでございまして、金融庁といたしましては、熊本県からの発表、御意見につきましても十分参考にしながら、今後更に貸金業をめぐる諸問題について議論を深めてまいりたいと考えております。
  156. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、勉強して考えてまいりたいという事態ではないということを私は申し上げているんですよ。  一月の最高裁判決で、返済期間や集金日数の要件を満たさないとしてダイヤモンドリースという業者の請求が否定をされました。金融庁は、この業者が九州で、自分のところは要件を守って経営しているんだと豪語してきた業者だということを御存じですか。  一月で借り換えさせるわけだから、百日の返済期間というのは到底守られないわけです。熊本に行って聞きますと、八代の店舗から四十キロも離れた人吉近辺、そういうところに住んでいる借主にどんどん貸し付けて、もし集金に行くとしたらガソリン代だけで赤字ですから、集金する業者はまずいないと言うんですね。司法書士さんが業者に法律を守る気はあるのかと、こう聞きましたら、ぶっちゃけないですよと、平然とうそぶいている、そういう実態があるわけです。貸付け対象に至っては、小規模業者以外に貸し込むのはもう今や当たり前のことで、例えばサラリーマンだと○○商店、農業をやっていると○○米穀販売店、ファミレスのパート主婦だと○○食堂、こういう業種を契約書に、日掛け業者の方の指示で書かせているわけですね。  熊本県の報告書は、表現こそ抑えてはいますけれども、私が今申し上げた実態をすべて指摘をした上で、二ページ目のところですけれども、こう言っています。日掛け特例は交通、返済手段が発達した今日においては資金需要者の利益に合致していないと思われることから検討が必要である。これつまり、特例廃止してくれっていうことじゃないんですか。県がここまでおっしゃられるというのはよほどのことだと思います。  この報告書に添付されています資料の苦情相談受付件数というのを見ますと、県に直接来たものだけで年間四百件から六百件、県消費生活センターが受け付けたものになりますと何と三千件から四千八百件、こういう膨大な被害が寄せられているわけです。こういう実態を踏まえて、日掛け特例は廃止すべきだと思いますが、金融庁、いかがですか。
  157. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えをいたします。  貸金業をめぐる諸問題につきましては、先ほど申し上げましたように、貸金業制度等に関する懇談会において幅広い観点から勉強しているところでございます。この日賦業者に関する問題につきましても議論をしているところでございまして、ただいま委員から御指摘ございました熊本県からの御指摘、すなわち集金要件あるいは借り手の要件、これが今日の社会経済情勢から乖離しているんではないかという御指摘もございました。  他方におきまして、この日賦業者側からは日々の売上げから返済されるために、信用が低くても借りられる、あるいは日々返済をするために計画的な返済が可能となると、そういった存在意義を主張する意見もございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、この日賦の問題、金利の問題含めまして、幅広い観点から懇談会において議論を進めてまいりたいと考えております。
  158. 仁比聡平

    仁比聡平君 今お話があった業者から主張されている存在意義というやつですね、午前中も需要という問題について議論がございましたけれども、その業者がそういうふうに言ってきているというのは、それはそうなんでしょう、事実そうなんでしょう。それを金融庁が、あるいは政府がどう受け止めてとらえるのかということが大事なんじゃないですか。信用が低くても借りられる、毎日返すから、だからこれ計画的に返済できるという、それで五四・七五%だとか、あるいは保証料含めて一〇九・五%をはるかに超える、こういう利息を取ってその店の営業が成り立つはずがないじゃありませんか。そこを金融庁がどうとらえるのか、政府がどうするのか、そこが今問われていると思います。私は、熊本の報告書でもう一つ重要だと思いましたのは、三ページ目の(4)行政処分についてというところですが、県もそういう認識に立っていますから、ですから、例えば業務の停止を命ずる前提として手続を始めようとするわけですね。ところが、調査に入る、聞き取りに入る、あるいは弁明の機会を通知をすると、すぐに廃業の届出をしてくる。そして、その廃業の届出をした業者が改めて別の名義で登録を申請してくる。だから、弁護士が介入をしたりあるいは警察が摘発をしたりすれば、その業者は何か影も形もなくなって別の名前で改めて活動し始めるというようなことになっているわけですね。こういう潜脱を許さないためにも、特例そのものを廃止するという決断を私はすべきときだと思います。  大臣、聞いておられてどんなふうに思われるでしょうか。前回、副大臣が金融庁の判断に従うという趣旨の方向を御答弁されたわけですけれども、私は事は現実に起こっている悪質な金融被害に刑罰法規をもってどう対処すべきか、こういう問題を多く含んでいると思うんですね。金融庁だけに任せることはできない問題だと思います。高金利を許さないという思いについて、今国会でも、首相もあるいは与謝野大臣も答弁をしてこられているわけですが、日掛け特例は廃止をするべきだというテーマについて政治家としての思いをお聞かせいただきたいと思います。
  159. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 先般も御答弁申し上げましたとおり、貸金業者が市場の中でどういう位置付けにあるのか、あるいは法で定めた例と実態が合っているかどうか、御判断をされるのは金融庁でございますので、我々法務省は、金融庁がこの特例は廃止すべきだと判断された場合にはそれに従うことに、後藤田政務官との意見交換でそういうことを明言をしております。法務省が貸金業の市場での実態を判断するという立場にはございませんので、金融庁の判断をまちたいと思います。
  160. 仁比聡平

    仁比聡平君 前回と今回にわたってこの実態を私なりに事実に基づいて明らかにしてきたつもりでございます。大臣もあるいは同僚議員の先生方も初めて聞かれたということもあるかと思います。そういう意味で、金融庁がしっかり実態を把握していただいて、法務省も一緒になってこの日掛けの被害を根絶するという立場でしっかり臨んでいただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。
  161. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。  大臣、もう少しですから、ひとつよろしくお願いします。  何点かお尋ねしたいと思いますけれども、今回の法務省の予算の中で、特に裁判所の施設費の大幅増加が目に付くわけでございます。裁判所の施設費が二百二十二億ということですが、去年は百十六億ということでございましたから、何と七六%の百億円が増えているということでございますけれども、この施設整備費の増加について、多分裁判員制度の導入等によるものだろうと思いますけれども、お答え願いたいと思います。
  162. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) 今委員指摘のとおり、平成十八年度予算におきまして、裁判所の施設費は二百二十二億二千三百万円ということで、前年度予算と比べますと大幅増加になっております。そのうちの二百十五億円余りが施設整備費でございまして、前年度当初予算と比べますと、約百十五億以上の増加となっております。  この施設整備費には、裁判所の施設が古くなったこと、あるいは狭くなったことに対応するための施設改修費のほかに、平成二十一年の五月までに施行される予定になっております裁判員制度の施行準備の経費が含まれてございます。その制度を施行するためには、裁判員、裁判用の法廷、評議室あるいはそれに関連する施設を全国の裁判所に整備する必要がございますが、庁舎の改修、増築等によりましてそういった施設を整備していくことになります。これに必要な経費が計上されているためにこの費目が大幅に増加しているわけでございます。  この予算をお認めいただくことによりまして、予定では静岡地裁等の二庁の建て替えあるいはさいたま地裁等の十四庁の増築等に取り掛かることができまして、大体三十八庁で施設整備が進むという心積もりになってございます。
  163. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今のお話ですと、三十八庁が建て替えということだったんですが、中身をもうちょっと知りたかったんですよね。便乗建て替えもあるんじゃないかと思うんだけれども。そういうことで、もうちょっと中を詳しく分けて話していただけませんか。
  164. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) 施設の中のものでございますが、一番大きいものは、先ほど申し上げましたように裁判員用の法廷等でございます。これは、壇上に裁判官三人のほかに六人の裁判員の方が立ち会われると。それから、そういったメンバーが評議、裁判について合議をしなければいけませんが、その評議室というものがございます。それから、今度の裁判員制度では、事前にいろいろ手続について当事者間で進行していくというその手続のための部屋、それから裁判員を選定するためにはたくさんの方にお越しいただきまして、そこでお待ちいただいた上でいろいろ御質問をして裁判員を選任していくということになります。こういった部屋は今までの刑事手続ではやっぱりございませんでしたものですから、これで大幅な庁舎のスペース、施設あるいはその備品等が必要になってくると、こういうことでございます。
  165. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 金額は幾ら。金額を聞いている。
  166. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) 金額、そういったものにつきましては、今のところ、先ほど申し上げました金額につきまして相当額ありますが、今後トータルの額につきましては、それぞれの施設施設の状況あるいはその、等を踏まえまして更にトータル額を検討していくということになってまいります。
  167. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今のお話を聞いてますと、いい加減な格好で予算を組まれているんだなという感じがするんですね。聞いてみても分からぬわけでしょう、何かいろいろ検討してこれからやるんですと。そういう予算を提案しているんですか。もうちょっと、出すんであれば、具体的にこれだけだからこれはこうだと、それが予算でしょう。実績聞いているんじゃありませんよ。そういうやり方で局長、やっていいと思われますか。その辺、お考え、どういう格好で組んでるのか教えてください。
  168. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) 今、委員指摘のところ、幾つかあると思います。その一つのユニットとして裁判員を、一庁の、庁についてどういう形で整備していくかと。これが、その庁によって状況が異なりまして、非常に狭隘な庁ですと増築ということがございます。少し余裕のあるところですと中の改修ということになります。一庁一庁診断をして、その中身を決めていくことになります。  それで、先ほどの三十八庁につきましてはそういった診断をしまして、あるものについては増築、あるものについては改修ということで積算をいたしまして、狭隘化あるいは古くなったということの手当て等も併せまして、一つの庁を取りますと、古くなったこと、狭いことのほかに、その裁判員の対応のための手当てをするという複数の要因が入った整備計画ということになります。それがそういう額になります。  それから、あと、今後、平成二十一年ころに予定されておりますので、二十年ころまでに引き続き裁判員制度に向けていろいろ整備が必要になりますが、そのものにつきましても、今申し上げましたような個々の裁判員のユニットに対する対応の費用のほかに、その当該庁の施設の古さ、あるいは狭さといったことも勘案しながら予算計画を立てていく所存でございます。
  169. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 何か分かったような分からない、全然分かりませんが、今の説明では、いい加減な説明ですけれども。  いずれにしても、二十一年の五月までには裁判員制度を取るんですから、施設をちゃんと造らなきゃいかぬと思うんですが、そのためにはどの程度金が掛かるんですか。そのためには、これから年度計画に、去年の十七年度は何もしなかったんですかね、今度十八年度からやるんだということですか。そうすると、あと十九、二十しかありませんよね。そういうふうな状況の中で、この金額がトータルどの程度、この裁判員制度を取るために庁舎の建て替えを含めて要るんですか。
  170. 小池裕

    最高裁判所長官代理者(小池裕君) 誠に申し訳ございませんが、トータル額というところについて今日、具体的な、クリアカットな数字ということを申し上げることは、先ほどのような事情で申し上げることはできないのですが、もう少し補足させていただきますと、平成十七年度までの施設等の予算の中で、七庁について既に施設整備を進めたところがございます。新聞等で裁判員法廷が完成したという報道がされたものがございます。そして、平成十八年度で予算をお認めいただきますと三十八庁について整備が進む、合わせますと四十五庁ということになります。そして、残る庁についてどの範囲で裁判員するかという問題も一つのテーマでございますが、あと、平成二十年度までで言いますと、大まかに言いますと三か年ございますが、その間に遺漏のないように予算を手当てをお願いしつつ、きちんとした効率的な執行をしてまいりたいと、こう考えております。
  171. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 抽象的に言えば全部分かるんだけども、私は前もって通知してどのような格好で要るんですかということで聞いているはずなんですよね。だから、もう少し具体的に、予算なんだからね、予算なんだから金額はどの程度要るんだということぐらいは説明できないでどうするんですか、局長。めくら判ばっかり押してるんですか、そうじゃないでしょう。だから、その辺を正確に答えてもらわなきゃ私は困ると思うんですけどね。その点についてはまた、まあ今言っても、ないものはしようがないからね、仕方ありません、また教えてください。  それはそれとして、次に移りますが、この裁判員制度の導入については、去年の四月に調査した世論では七〇%の国民が、世論調査したらですね、七〇%の人が裁判員になりたくないと、こう言っているわけですね。このことはどういうことなのかと。やっぱり、みんながこんなに嫌がっている制度を今法務省は裁判官や弁護士や、一緒になって進めようとしておられるわけでありますけど、なかなか難しいんじゃないかと私は思うんです。  そういう意味では、この施設については金掛ければ部屋はできますよ。だけど、それをちゃんと運用していくにはやはり人の問題だと思うんですね。何かこれは、陪審制度でもなく参審制度でもなく、最も新しい制度を日本で採用するんだというふうなスローガンで始められたんだそうですけども、本当に難しいと私は思いますけども、こうした国民の消極的な姿勢の背景には何があって、どういう理由があるんだとお思いですか。
  172. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 裁判員制度は、もう先生、申し上げるまでもなく、国民の健全な常識を裁判に反映させる制度でございます。司法改革全体の中でもいろいろと議論をして今のような形になったわけですが、先生おっしゃったように、国民世論調査をいたしますと、裁判員になりたくないという数字が七〇%ぐらいに達しているというのも事実でございます。  裁判員制度を実際実施するに当たりましては、ハードの面、裁判所がいろいろ御説明していましたが、ハードの面の整備と同時に、やはり国民皆さんがもし無作為抽出で選ばれた場合には参加すると、していただくと、国民各界各層の方々が裁判員裁判に御参加いただくということが大事であって、その準備に相当時間が掛かるんじゃないかと、そういうような調査結果を見ますと、そういうふうに思っております。  背景はいろいろあると思いますが、一般的には日本の司法文化といいますか裁判制度というのは、英米法と違いまして仲間が仲間を裁くという文化、伝統は日本の司法の世界には歴史的にございませんでした。戦前、一時陪審制を導入した時期がございましたが、根付くことなく、大正デモクラシーの時代ですかね、消滅して、戦後はあの占領下にあっても導入が検討されなかったぐらいでございます。  じゃ、国民皆さんに関心がないのかといったら、そういうことはないと私は思っております。裁判の結論がおかしいとか刑が軽過ぎるとか、裁判についての様々な国民の批判が寄せられております。プロフェッショナルによる裁判制度を日本はずっと取ってきておるわけですが、いわゆる先進国と言われる国の中で国民参加の制度を持っていないのは日本だけだとされておるわけでございます。まあ、大陸法系における参審制、英米法系の陪審制、いずれかのシステムを導入している国が多い。途上国でも導入しているところございます。で、日本の場合は参審制、大陸法系の制度を模範として裁判員制度をつくり上げたわけでございますが、非常にこの日本の場合、戦後、高学歴社会になっております。それから、まあ民主的、日本の民主主義も年を追って成熟してきているというような事情がございますので、私は国民皆さんも選ばれれば参加してやろうかという気持ちになっていただける素地は十分あると思っております。  一つには理解不足。まあ、有罪無罪の判断、その理由を聞きますと、有罪無罪の判断が難しそうだとか、人を裁くということをしたくないという気持ちで参加したくない、余り参加したくないと答えている方が多いようでございますが、ある意味では裁判としての参加仕方を真剣に考えておられる証左とも取れないこともございませんし、また、まあ裁判員は裁判官と同一の権限で裁判手続に参加するわけでございますが、裁判員に期待されている一番のものは、それぞれの人生経験、御経験に基づいて事実の有無を判断、有無などですね、それからその刑の重さ軽さ、そういうものを判断していただくという役割が主であって、法律の解釈などはプロの裁判官が行いますし、手続的なことは、これはプロの裁判官が御説明するということでございますので、そういう実情を、裁判員の役割を十分御理解いただければ、そういった方々、今は七〇%、逡巡しておられる方々も前向きになっていただけるんじゃないだろうかというふうに思っております。  環境整備が必要でございまして、一月には日本商工会議所、東商の役員会、今日は経団連の理事会、それぞれ三百人近い、全国からの役員がお集まりで、例えば裁判員休暇、年次有給休暇以外に、年休以外に裁判員休暇という制度も御検討願えないかと。つまり、裁判所に呼び出されるわけですが、それが休暇として扱われるかどうかによって違いますという面がありますから、それもお願いいたしました。そういった環境の整備を、御参加いただくという点からいろいろと考えていけば、まだちょっと時間が三年ぐらいありますので、精一杯努力していきたいと、こう思っております。
  173. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  これ非常に大変なことだと思うんですね。だから、陪審員制度ならまだね、罪か罪がないかだけ決めるだけで、量刑までやらないからね、陪審の場合は、まだ気が楽だけれども。参審になって、しかも義務教育を出た程度の人がですよ、量刑まで決めなきゃいかぬと。しかも、その義務教育しか出ていない子が、人が、裁判官と同じように対等に決めていくというのは、それはそういう知恵もあるんでいいじゃないかと言われれば、それは有り難いような有り難くないような、それはみんな困っちゃうのが実態ですよね。  そういう意味では、まあ制度を実施するというんだけれども、しかし法教育をしていかなきゃいけないと思います、国民のね。ところが、そのためにはどうしたらいいかということが非常に大事なことで、そのためにも経費が要るだろうと思う。予算なんですから、聞きますけれどもね。まあ、そういう意味では、そういった経費をどの程度織り込んでいるのか。さっき、PRの関係についてはやったと言われましたけれどもね。しかし、PRの問題についても、読ませてもらいましたけれども、一つもよく分からぬところがたくさんあるんですよね、私にもね。私は義務教育よりもうちょっと上まで行っていますけれどもね。  まあ、そういうことで、いろいろ難しい問題があるんですが、こうした法教育の問題については法務省だけじゃなしに文科省とも連絡取りながらやらなきゃいけない問題だと思いますけれども、この問題についてはどういう連携取っているのか。そしてまた、どういう、どの程度の予算組んでいるのか、考えているのか、お願いします。
  174. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 法教育につきましては、法教育推進協議会というのを設けまして、そこで御協議願いながら進めておるところでございます。この協議会には文科省からも御参加いただきまして一緒に検討していただくと。で、その中身について文科省の方でいろいろ措置をしていただく、反映さしていただく方もお願いをしておるわけでございます。  予算でございますが、平成十八年度政府予算案におきましては、法教育推進に関する経費は総額約千九百万円となってございます。  まず、推進協議会、法教育推進協議会開催経費として五百六十万円。それから、法教育教材改訂経費として八百三十九万円。で、法教育につきましては教材を作っております。中学三年向けの、今手元へ持っておりますが、こんなのを作っておりまして、必要があれば委員会の御許可を得て配付するようにいたしますが、幾つかの中学校で試行的に使っていただいております。これは教師の教材でございまして、ここから適当なものを教師にピックアップしていただいて、例えば町内会規約を作ることをやろうとか、そういう教材でございます。これを改訂するということを考えておりまして、その必要な経費が八百三十九万円。それから、広報用パンフレット作成経費、パンフレットもいろいろ用意してありますが、必要ならばお配りいたしますが、これが百五万円。それから、シンポジウム、協議会の定めるところに従ってシンポジウムを何か所かでやっております。これに二百九十三万円。それから、説明会、法教育説明会実施経費、説明会もやっておりますが、その経費として六十九万円といったところで、総額千九百万円計上いたしております。
  175. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 もう大臣もなかなか大変だろうと思いますけどね。今も、さっきもPRの問題でいろいろ問題になりましたけどね。例えばこれを読んでみましても、指名されたら原則として義務だと書いてあるわけですね、裁判員制度はね。だから皆怖がっているんですよね。そうじゃない、義務じゃない、義務は義務かもしれないけれども、断ることのできる義務だというところが全然書かれてないからね。抽せんで当たったら大変だという気持ちを国民はみんな持つと思うんですよね。幾らこんな分厚い資料を作られても。  私は、やっぱり一番大事なのは、みんなが当たっても断ろうと思えば断れるんだとか、そういうところから入っていかないとこの制度はうまくいかないと思うし、そういう意味では、この裁判員制度も個人の良心の自由の問題を規制するような格好でやるんであれば、これは憲法違反の問題も出てくるわけですよね。憲法違反の問題については、この制度取り組むときに、第三十回の司法制度審議会ですか、そのときには最高裁は、憲法違反の疑いがあると、この制度についてはね、あるところで言っておったのに、いつの間にか一緒になって憲法違反じゃないと言っていますけどもね。必ずこの問題は憲法違反があれされる時期が来ると私は思うんですよね。だって良心の自由が規制されるんですからね。そういう制度が認められちゃおかしいじゃありませんか。  そういう意味で、これについて、憲法違反の問題について大臣どう考えるか。大臣は弁護士ですから、前もって聞いてなかったけど、ちょっとお答え願いたいと思います。
  176. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 立法の過程で様々な議論があったことは承知しております。ただ、この裁判員制度におきましては、まあ憲法において司法権は裁判所に属するとなっております。もちろん、その裁判員も権限としては裁判官と同等の権限で参加するわけですが、しかし裁判官が全員そろって意見がそろえば、数で、多数決では、裁判員だけの多数決ではできない仕組みになっております。つまり、裁判所、裁判官の意見が必ず反映されるというシステムを取りまして、裁判官、所の憲法上認められた地位は害されないというふうにしております。で、結果として裁判官と裁判員が共同してよく協議をし、議論をして、適正な結論を導き得られるような仕組みを考えられているということから、私は憲法違反の問題にはならないというふうに思っております。
  177. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今日は時間がないのでこの辺でやめますけれども、私自身、これをきっかけにして初めて裁判員制度を少し勉強して驚きました。こんなに大変なことなのかということがよく分かりました。私自身が国会議員でありながらほとんど勉強しなかったと。これまで教育関係中心にやっていましたけれども、この問題は全く不勉強だったんですが、国会議員全員分かっていると僕は思わないし、そういうことですから、これから大事だろうと思いますけれどもね。  私これからも、せっかく法務委員にしてもらったんで、時間があるたびに続けてこの裁判員制度、勉強したところを質問してまいりますから、大臣、よろしくお願いしたいと思います。  さっき言った、じゃ、憲法違反の問題は判事の問題じゃなしに、一般国民が拒否できないのかと。一般国民が良心の自由はどうなるんだということで、おかしなことになるんじゃないかということでお聞きしたんですけれどもね。  そういうことで、これからまた機会があるたびに聞かしていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  時間になりましたので、今日はこの辺で終わらしていただきます。今日はありがとうございました。どうも。
  178. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 以上をもちまして、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  180. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取します。杉浦法務大臣
  181. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでございまして、以下その要点を申し上げます。  第一点は、裁判官につき、判事の員数を四十人及び判事補の員数を三十五人増加しようとするものでございます。これは、民事訴訟事件、労働関係事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るとともに、裁判員制度導入及び医療観察事件処理の態勢整備を図るなどのため、裁判官の員数を増加しようとするものでございます。  第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三人増加しようとするものでございます。これは、民事訴訟事件、労働関係事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るとともに、裁判員制度導入及び医療観察事件処理の態勢整備を図る等のため、裁判所書記官等を百五十一人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を簡素化し、効率化すること等に伴い、裁判所事務官等を百四十八人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三人増加しようとするものでございます。  以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。  以上です。
  182. 弘友和夫

    委員長弘友和夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十三分散会