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2006-04-20 第164回国会 参議院 文教科学委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 啓雄君     理 事                 大仁田 厚君                 北岡 秀二君                 佐藤 泰介君                 鈴木  寛君     委 員                 有村 治子君                 荻原 健司君                 河合 常則君                 後藤 博子君                 中川 義雄君                 山崎 正昭君                 神本美恵子君                 西岡 武夫君                 林 久美子君                 広中和歌子君                 水岡 俊一君                 浮島とも子君                 山下 栄一君                 井上 哲士君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    参考人        帝京大学文学部        教授       大南 英明君        専修大学経営学        部教授      嶺井 正也君        全国特別支援教        育推進連盟理事        長        三浦  和君        日本発達障害ネ        ットワーク代表        全国LD親の会        会長       山岡  修君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出)     ─────────────
  2. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として帝京大学文学部教授大南英明君、専修大学経営学部教授嶺井正也君、全国特別支援教育推進連盟理事長三浦和君及び日本発達障害ネットワーク代表全国LD親会会長山岡修君の四名の方に御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日の会議の進め方でございますが、まず大南参考人嶺井参考人三浦参考人山岡参考人の順でお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。  それでは、まず大南参考人から御意見をお述べいただきます。大南参考人
  3. 大南英明

    参考人大南英明君) 御紹介いただきました帝京大学文学部大南でございます。この委員会におきまして参考意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  法案の改正にかかわる意見を申し上げますことにかかわって、若干私の経歴を紹介させていただきます。私は、現在は大学におりますが、今年で九年目でございます。小学校中学校特殊学級を十五年担当いたしました。それから、養護学校知的障害養護学校へ移り、東京教育委員会指導主事仕事をして、現在の文部科学省で十年仕事をしてまいりました。そして、また東京都へ戻り教育委員会で、公立学校教員としての最後は都立の養護学校の校長でございました。こういうことで、四十数年間、知的障害児教育自閉症児教育にかかわってまいりましたが、東京盲学校聾学校養護学校、あるいは特殊学級だけではなくて、全国各地盲学校聾学校養護学校、あるいは特殊学級を見る機会がございました。  そういうことを踏まえながら、今回の学校教育法改正に当たって、特別支援学校という形で新たな転換をしてまいるわけでございますけれども、各都道府県によって設置の仕方あるいは学校の運営の方法がそれぞれ特色があるということを踏まえる必要があるというふうに思っております。  それでは、お手元資料が配付してございますので、それに基づきまして話を進めてまいります。  まず、特殊教育から特別支援教育への転換ということでございます。  これは、先生方もう既に御承知のことと思いますが、特殊教育という言葉、五十年以上使われてきたわけでございますが、いろいろなところで特殊教育という、スペシャルエデュケーションの日本語訳ではございますけれども、特殊というところに違和感を感じておられた方々もたくさんおられたわけでございます。今回、といいますか、平成十三年一月に二十一世紀の特殊教育の在り方という最終報告が出されまして、その中で特別支援教育という言葉が使われてまいりました。この言葉特殊教育に代わる言葉として現在では全国各地で使われております。まだ今後、法が整備されることによって更に徹底をされるということになろうかと思います。  特別支援教育になりますと、障害のある幼児児童生徒一人一人のニーズに応じた教育展開をされていくわけでございますが、現在の盲学校聾学校養護学校あるいは特殊学級等がなくなってしまうという心配が一方であるわけですけれども、決してそういうわけではなくて、特別の教育の場は当然必要に応じて継続をしていく、そしてその上に障害のある幼児児童生徒一人一人のニーズに応じた教育展開をしていこうという、そういうことでございます。  お手元資料の三枚目にカラー刷り特別支援教育対象概念図というのがございます。現在の特殊教育対象となりますのは盲学校聾学校、それから小学校中学校の中に設置をしてございます特殊学級、さらには通級による指導というのがございますが、ここで七つの障害対象としてきております。そして、義務教育段階児童生徒の約一・七%の児童生徒対象としているわけでございますが、今後、特別支援教育転換をすることによって、現在通常学級にいるLDADHD、高機能自閉症等、この数が約六%程度ございますが、それを合わせた約七%から八%を対象にしていこうと、現在の特殊教育の五倍の児童生徒対象にして考えようという、非常にスケールが大きなものになってまいります。  二つ目でございますが、そのうちの、現在の盲学校聾学校養護学校特別支援学校にということでございますが、それが可能になることの意義といいますのは、まず第一点は児童生徒障害重度化重複化への対応でございます。  最後のページに重度重複学級在籍率の推移というのがございます。昭和五十五年から取ってございますが、昭和五十四年、この五十五年の一年前の年に養護学校教育義務制実施をされております。このことによって我が国の義務教育はほぼ完成をしたと言うことができるのではないかと私は思っております。  一番上の線が肢体不自由の養護学校でございますが、全体の四分の三、七五%が重複障害二つ以上の障害を併せ持っている子供たちであるという、そういうことで、ほかの障害につきましても大体三〇%から四五%程度重複障害子供たち在籍をしているということです。  それから、この特別支援学校は、これまでの盲学校聾学校養護学校のように障害別に分けた学校ではなくて、障害の枠を超えた学校として設置ができるようになりますので、児童生徒通学の便を有利にすることができるんではないかと思っております。例えば、盲学校聾学校は県によっては一県に一校ずつしかないという状況もございます。そういう点では、特別支援学校障害の枠を超えた学校設置することを可能にすることによって、幾つかの学校の中で、視覚障害子供も、聴覚障害子供知的障害子供、肢体不自由の子供たちが学べる学校をつくっていく、そのことによって通学が便利になる。  それから、小学校中学校等への支援充実でございます。現在も盲学校聾学校養護学校小学校中学校等支援を若干はしておりますけれども、専門性の高い教員がおりますので、その教員専門性を生かして小学校中学校等支援をしていくという、そういうことが必要になってまいります。  実は、そのことにつきましては、三番のところで特別支援学校役割ということを書いておきましたが、そのセンターとしての機能の中で小学校中学校等へ具体的にどのような形で支援をするかと、これは後ほどまた若干述べさせていただきます。  それから、特別支援学校、現在の盲学校聾学校養護学校ですが、これを今後、設置者がいろいろな形で学校のありようを変えていくと思われますが、その施設設備を有効に活用することができるのではないかというふうに考えております。  三番目が特別支援学校役割でございますが、障害のある幼児児童生徒への専門性の高い指導徹底をしていく、これが特別支援学校の大きな役割でございますが、その次にはそれを、二つ目役割としては、地域の特別支援教育センターとしての機能充実を図っていくことが大事であると思います。  小学校中学校等教員に対する支援がありますし、小学校中学校におります障害のある幼児児童生徒への指導あるいは支援ということもございますし、小学校中学校教員に対する研修に協力をしていくという。二番のところでも若干申し上げましたが、障害のある幼児児童生徒特別支援学校施設設備を活用していく、これは、特別支援学校にいる幼児児童生徒はこれは当然でございますが、幼稚園小学校中学校あるいは高等学校にいる幼児児童生徒特別支援学校施設設備が使えれば大変うれしいことだというふうに思います。  四番目は、小学校中学校等における障害のある児童生徒に対しての適切な教育実施をしていくということでございますが、現在、特殊学級全国小学校中学校の約半分の学校設置をされてございます。これが特別支援学校、さらには中教審答申の中で特別支援教室という形に目指していきますと、多くの学校といいますか、すべての小学校中学校特別支援教室設置をしていく、これは将来の夢といいますか構想でございますが、そのような形になっていきますと、障害のある児童生徒が一番身近なところで教育を受ける機会が確保できるということになろうかと思います。  二つ目は、特殊学級特別支援学級という形で今回の法改正の中で書かれておりますが、私は一九六〇年から特殊学級を担当してきましたが、その当時から、この特殊学級という言葉に対する、何というんでしょうか、違和感といいますか、少し別の言葉にしてもらえないだろうかという思い保護者の方から寄せられたことも記憶の中にございますし、今もそういうことを言われてきております。  都道府県によってはそれを条例等養護学級あるいは障害児学級東京の場合には心身障害学級という言葉特殊学級名称を置き換えております。実際は、例えば私が小学校に勤めておりました場合には平仮名でふたば学級という呼び方で、特殊学級という呼び方は実際にはほとんど使っていないといいますか、役所、書類を出すときに特殊学級ということを使うんであって、ふだんはふたば学級等の、愛称というんでしょうか、そういうものを使ってきたこともございます。  そういう点では、特殊学級特別支援学級名称を変えていくという、これも大変多くの方の賛同を得られることではないかというふうに思います。  そして、三番目は、LDADHDという新たな障害ということでございますが、もう十数年あるいはもっと前から研究はされてきた障害でございますが、学校教育の中で取り上げられてくる、さらには適切な教育展開をしていくというのはこれからの課題になろうかと思います。  それから、特別支援学校教員免許状でございますが、現在、盲学校聾学校養護学校の別に出されております免許状でございますが、これは幼稚園小学校中学校高等学校免許状を取った上で盲学校聾学校養護学校免許状を取るという、こういう二重構造に、二重構造といいますか、たくさん単位を重ねなければいけないということがございます。特別支援学校教員免許状についてもやはり同じような形で、専門性を確保するという点で単位を多く取っていただく、そのことによっていろいろな障害への対応ができるように考えていこうという、そういう構想が現在のこの特別支援学校教員免許状でございます。三つの種類に分かれていた免許状を一本化をしていく。特別支援学校という障害の枠を超えた学校の中で使えるようにしていこうと。小学校中学校等への支援をしていくには、やはり特別支援学校に勤務をされる先生方特別支援学校教員免許状を必ず取っていただくということが今後必要になってくるのではないかと思います。  二枚目のところで、課題をというのは、これまで特別委員会で検討してきましたメンバーの一人としては課題を出すのは何だということを言われそうでございますが、いろいろなところで考えてみますと、次の三つの点が大事な、今後の課題として出されるのではないかと思ってまとめてみました。  まずは、教員意識改革が必要であると思います。これは、先ほど申し上げましたように、現在の特殊教育対象である子供の五倍の児童生徒教育をこれから展開していくわけでございますので、小学校中学校高等学校、さらには幼稚園先生方障害に対する考え方を変えていただかないと、障害児教育専門家に任せればいいという、そういうことではなくて、私もそこに加わっていくんだという、そういう思いを持ってほしいというふうに思っております。それから、そのためには、まずは特別支援学校教員が、自分が専門とする障害だけではなくて、今後、特別支援教育対象となってくる障害についての理解認識を深めていくことが大切であるというふうに考えます。  それから、二つ目は、都道府県教育委員会あるいは市町村教育委員会特別支援学校設置を今後どのように考えていくのか。できるだけ早い時期に各都道府県ごとのプランを作ってほしいというふうに願っております。もう既に検討委員会報告をまとめている都道府県もございます。さらには、市町村では、特別支援学級、将来は特別支援教室でございますが、これをどのような形で設置をしていくのかという、その将来構想もそろそろまとめていただく必要があるのではないかと。  三番目は、中央教育審議会答申の中にも書かれてございますけれども、障害のある幼児児童生徒、あるいは障害のある方々に対する国民全体の理解認識を深めていく、こういう活動が大事になってくるのではないかというふうに思っております。  以上、時間の中で私の考えを述べさせていただきました。  どうもありがとうございました。
  4. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  次に、嶺井参考人にお願いいたします。嶺井参考人
  5. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 御紹介いただきました専修大学嶺井と申します。  私は、障害児普通学校全国連絡会という保護者当事者団体一緒活動をしております。その関係で、統合教育インクルーシブ教育が進んでおりますイタリアの事例などをこの間研究してまいりました。大学では教職課程を担当しております。  それでは、私の意見をこれからパワーポイントを使って紹介させていただきたいと思います。(資料映写)  今、大南先生の方からは日本のこれまでの障害のある子供たちに対する教育歴史を踏まえたお話がありましたけれども、私の方は少し視野を広げまして、国際的な流れがどうなっているのかというところからお話をさせていただきたいと思っております。  なお、今日、私、呼んでいただきまして有り難いんですが、かなり審議が進んだ段階で呼んでいただくよりも、もう少し前に、当事者方たちも含めて呼んでいただくと、より深い審議になったのかなと思っておりますので、御参考までに申し上げておきたいと思います。  私の今回の法改正への基本的な立場なんですが、私は、この間ずっと、ともに生き、ともに学び、ともに育つという、これは日本障害のある子供たち教育の中で培われてきた言葉なんですけれども、この立場に立って、障害のある子供たちだけではなくて、日本子供たち教育全体を考えてきました。そのことは国際的には私はインクルーシブ教育というふうに表現されてきたのではないかというふうに考えております。この点は、十二日の本会議で神本議員が質問されたことに対しまして外務大臣答弁をされた答えの中にも、国際的にはインクルーシブ教育だというお話がございました。それはお手元資料に掲載しておりましたので、ごらんいただきたいと思います。  私はこの立場に立って今回の法改正についての意見を述べさせていただきます。  インクルーシブ教育といいますのは、御存じのように、一九九四年にサラマンカスペインの古い町でございますが、そこでユネスコとスペイン政府が開きました特別なニーズ教育に関します世界会議採択をされたものでございます。そこのポイントは、非常に簡潔に宣言にも書かれておりますけれども、その宣言実施するための行動計画フレームワークというのがかなり長く書かれておりまして、各国政府にこういう点を踏まえてやれば実現するんだよというようなことが具体的に書いてありますので、私はそれを見ましたときに、ああ、非常に優れたものだなというふうに思いました。日本からも六名ほどの方が参加をされて採択に、採決にかかわっていらっしゃいます。  そこの基本的な立場は、特別な教育ニーズのある子供たち基本的には通常の、レギュラーと言っていますが、インクルーシブ学校にアクセスすべきであるというふうに宣言をしております。なぜそうなのかといいますと、できるだけ早いうちから障害のある子供とない子供一緒に育ち合う、そういうことがその後の共生社会インクルーシブ社会を実現していく上に不可欠なんだと、そういうことを提起したものでございます。  この提起につきまして、いろいろな評価があるかと思いますが、私が知っておりますのはイギリスの、先ほど私が日本の、障害児普通学校全国連絡会という会があることを申し上げましたけれども、それと大体同じようなことをやっておりますイギリスCSIEという団体がございます。そこの団体が出しましたパンフレットを訳したことがございます。「障害児とともに学ぶ」ということでブックレットで出したんですが、お手元資料に掲載をしておきましたけれども、その団体サラマンカ宣言を高く評価しておりまして、これは非常に、今後の障害のある子供たち教育の原則を規定したものだというふうに主張しています。  そのCSIEは、インクルーシブ教育につきましてはこういうふうに提起しています。障害や学習困難のある子供とない子供とがともに適切な支援網を得て通常幼稚園学校、カレッジ、大学で学ぶこと、これがインクルーシブ教育であると言っております。このCSIEは、ホームページ世界動向等についても詳しく報告を、資料等を掲載しておりますが、その中の一つに、幾つかの中に提言をしております。インクルージョンを求める十の理由教育インクルージョンの定義、なぜインクルージョンが必要かということを定義しております。その資料につきましては、お手元資料の二枚目辺りに列挙しておりますので、ごらんをいただきたいと思います。  さて、国際的に目を向けますと、今、御存じのように国連では障害のある人の権利に関する国際条約が議論をされておりまして、昨年の十月には議長草案が示されております。その資料につきましては、DPIのホームページ参考にさしていただきまして、二ページから三枚目に仮訳を掲載さしていただいております。  そこのところをかいつまんで申し上げますと、障害のある人たち教育一般教育から、ジェネラルエデュケーションから排除されてはならないと、そのためにはインクルーシブ教育へのアクセスが必要なんだと。ただインクルーシブ教育が実現するのではなくて、その子供たちニーズに合った合理的な配慮が必要だと。ニーズという言葉よりも、どうやら国連では合理的な配慮という言葉を使うようになってきているようであります。そして、そういう配慮をした上で、やむにやまれぬ理由があった場合に、どうしようもない場合には別の代替的な支援、例えば一般教育とは違う教育の場も考えられるということですので、基本一緒教育、その基本一緒教育をやるには適切な支援網と合理的な配慮が必要であるというふうに提起をしているかと思います。  さて、今回の改正案の基になりました、先ほど大南先生もおっしゃいました中央教育審議会答申でありますが、私は評価している部分としていない、疑問に思っている部分二つがございました。  評価できる点でございますが、一つは、先ほど大南先生もおっしゃいましたように、特殊教育、これは特別の場で行う教育であったものを特別支援教育へと転換をするんだと、一人一人の子供たちニーズに合った教育へと変えていくんだというふうに言われております。この点は私は評価をしておきたいと思います。ただ、もうちょっと具体的に中身を見ますと、うっと思うところがないわけではございません。その点についてはまた後で申し述べたいと思います。  それから、通常学級で今、文部科学省の調査でも分かるように、就学認定を受けた子供たちだけではなくて、多くの障害のある子供たちが学んでおります。そういう子供たちを含めた特別なニーズのある子供たちに対する教育支援視野に入ってきているのかなと、その点は評価したいというふうに思いました。  それから、学籍を通常学級へ一本化し、そして特別支援教室という固定的な学級ではない手だてを考える、この点も私は評価をしております。これも先ほど大南先生がおっしゃったところでございます。  そして、特殊教育学校総合化でございます。  しかし、疑問点ももちろんございます。特別支援教育は従来の特殊教育継承発展というふうにおっしゃっているんですけれども、場からニーズへの転換というのは私は大きな転換だというふうに思います。そこだと、単なる継承発展でいいのかなというのが一つの疑問でございます。  二つ目通常学級で学ぶ子供への支援視野に入ってまいりましたけれども、どうも答申を見ますと具体性がちょっと足りない。特に、そういう子供たちを引き受ける教職員への条件整備といったようなところにも踏み込みが足りないということで疑問符を付けております。  また、特別支援学校での教員免許を全員持たせるということでございますが、私は、従来、特殊教育学校専門性をうたいながら半数以上が教員免許を持たなかったという歴史を考えますと、この点は非常に大きな進歩だと思いますけれども、特別支援教育通常学校通常学級での教育視野に入ってくるわけですから、通常学校学級教員をしている先生たちにも是非特別支援教育についての知識やスキルを身に付けなければいけないのではないかと。そういう意味では、教員免許特別学校だけになってしまったということはやっぱり問題があるんではないか。中教審答申の中でも、たしか特別支援教育免許状というのが議論された経緯があるかと思います。その点が突っ込みが足りなかったのではないかと考えております。  それから、就学指導につきましてですが、この点が一番今回の法改正の中では焦点になってくると私は思っております。できるだけ多くの子供たち通常学級で学ぶようなことに世界的に見ても日本はなっていると思いますが、ただしそれは、就学を本当に希望したところに行けるようになっているかというとそうではなくて、いろんな状況の中で保護者当事者意見が進まないままに措置が行われていると。そういう中での制度的な問題が残されているというふうに思っております。この点については、答申は今後検討するというふうに言っておりますので、今後の検討に是非早急に手を付けていただきたいと思っております。  疑問点の続きは、もうお手元に私の方でこのパワーポイントにありますものは打ち出しておりますので、ごらんいただきたいと思います。これは重複しておりますので省きます。  さて、今回の法改正でございますが、いただきました資料等を見ますと、どうも中教審答申よりは後退しているんではないかなというふうに思っております。先ほど申しましたように、私は評価できる部分疑問点があると申しましたけれども、評価していたところが消えてしまって、しかも疑問点は残ったままというところが非常に後退しているのではないかというふうに考えております。  その後退点の第一点でありますが、先ほど大南先生も出されました資料では、「LDADHD・高機能自閉症等」というふうに「等」がそこに付いていたんですが、いただきました資料の、参議院調査室の資料の中では、十六ページになるんですけれども、「LD児等、発達障害児への通級指導」と書いてありまして、どうも通常学級にいる子供たちが発達障害のある子供たちだけを対象にしているようなニュアンスになってしまっております。LD子供たちに対する特別な配慮というのはもちろん必要でございますが、私はそこから漏れてしまうような傾向にある子供たちをどうしてくれるんだというところを是非強調したいと思います。中教審答申では発達障害以外の子供たちにも目配りがなされていたと思っているんですが、それが後退して、発達障害児だけになってしまっているような印象があります。そこを是非議論をしていただきたいと思っております。  二点目ですが、やはり特別支援教室であったのが特別支援学級へというふうに固定になったことでございます。これは恐らく財政的な問題を考えてということだと思いますけれども、現在も通級指導等では加配等でやっていらっしゃるわけですから、その点での十全な拡充があれば固定的な学級にする必要はなかったのではないかと思っております。この点は、日本特殊教育学会もかつて、学籍を一本化して、そして必要に応じて必要な手だてを受けられるような教室の方が望ましいという提言をされていたかと思います。中教審でもその点での議論があったのに、そこが踏み込めなかったのは残念でなりません。  それから、そういうものを踏まえまして、今後の審議への注文でございます。  一つは、通常学級で学んでおります認定就学者を含む身体障害知的障害のある子供ニーズに応じて必要な学習環境、支援、これができるように是非していただきたいと思います。現在は盲・聾・養護学校等だけの就学奨励しかございませんが、そういう就学奨励の在り方もこの際見直していただきたいと思います。  二点目ですが、就学措置に関しまして、この間もずっと学校保健法や学校教育法施行令が保護者や当人たちの意思を無視して就学を措置するための制度として機能してきた経緯がございますので、この点も是非具体的に検討していただきたいと思います。  三点目ですが、特別支援学校が新たに地域の支援センターになるという役割を担っておりますが、その条文に関しまして見ますと、小学校などの要請に応じて教育に関し必要な援助又は支援となっておりますが、これは学校の要請とは書いてありますけれども、当人や保護者たちが本当に望んでそういう支援を必要とするかどうかというのは、これは正に当事者性の問題であります。そこのところ、是非、当事者性が通るような形での議論をしていただきたいと思います。  四点目は、もう先ほど申し上げましたように、本来であればすべての教員障害のある子供たち教育について学ぶべきであります。今後、是非、教育職員免許法等の改正に関しましても、すべての教員が学べるような内容にしていただきたいと思っております。  五番目でございますが、先ほど紹介いたしましたように、障害者の権利条約が審議をされております。審議をされた暁には恐らく日本では批准という状況になっています。批准に際しまして、権利条約の方はインクルーシブ教育を原則として掲げているわけですから、当然国内法との整合性をどう付けるかということが大きな課題になってまいります。そういう意味では、是非今後、必要に応じて法を見直すというような、附則でありますとか附帯決議でありますとか、是非そういう措置をとっていただかないと柔軟に対応できないのではないかというふうに考えております。  参考までに、私が見てまいりましたイタリアの教育の例について幾つかの文献をそこに挙げておきましたけれども、実際に資料に紹介さしていただきましたのは、特殊教育総合研究所の事例を、論文を資料に載せてございます。私とちょっと意見の違うところがありますけれども、イタリアでは、通常学級在籍し、必要に応じてその子のニーズに合った手だてを特別の場でやっているというのが一般的であるというふうに紹介をされております。  最後になりましたけれども、今回の法改正で、ちまたでは今回の特別支援教育に関する法改正では、いわゆる発達障害と言われる子供たちだけが必要な手だてを受けられて、そうでない子供たち通常学級で学んでいる場合には無視されてしまいそうな傾向があると心配をしている向きが多々ございますが、是非そういうことがないようにしていただきたいというふうに思います。  私は今、特に障害のある子供たち教育ということで話をしてまいりましたけれども、実は障害がある子供とない子供が育つということは、障害のない子供たちにとってもその人間性や人間的な関係性をはぐくむ上で必要不可欠なことであります。障害のある子供たち教育の問題は実は障害のない子供たち教育の問題でもありますし、日本教育の全体の問題であります。ひいては、それは、今日本が目指しております共生社会の基礎をつくるものだというふうに考えておりますので、是非そういう観点で審議をしていただきたいと思います。  「参考までに その二」というのは、特に文部科学省日本では多くの子供たちが既にもう普通学校や普通学級で学んでいるんだよというふうによくおっしゃるんですけれども、であれば、それを原則として認めて必要な手だてをするというふうに方向転換をしていただければいいのではないかと思っております。  最後は急ぎ足になりましたけれども、私の意見とさせていただきます。
  6. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  次に、三浦参考人にお願いいたします。三浦参考人
  7. 三浦和

    参考人三浦和君) このように参考人としてお呼びいただきまして、私これまで七十六年生きているわけでございますけれども、大変いい機会をいただいたことに感謝を申し上げます。  私は、小中学校に約十年、それから養護学校に約三十年、都合四十年ばかり教職に就いて、今は十六年ばかり、この名前のとおりの全国特別支援教育推進連盟、元は全国特殊教育推進連盟と言っていましたが、そこでやっております。この団体は、障害児者関係、教育関係の約二十団体が加盟している団体でございまして、もろもろ含めて今も現職的な仕事をしてございます。その観点から、この特別支援教育、また二十一世紀の在り方から特別支援教育に関係する在り方のところでも委員等を務めてきた関係から、七点ばかり課題を、課題といいますか、制度と今後の課題ということを組み合わせながら意見を申し述べさせていただきます。  一つは、これは当たり前のことでございますが、ただいま行っております特別支援教育の推進に当たって、各学校では、特別支援教育コーディネーターの指名とか個別の教育支援計画の策定であるとかセンター機能、この参考資料にも十ページのところに、調査室から出されていますところに細かく、十ページのところですか、にセンター機能の具体的内容が書いてございますが、そのように、学校としては校内組織体制の整備に向けてかなりの努力、取組をしている現在でございまして、早くこの学校教育法特殊教育特別支援教育という新しいものに明確に位置付けて、そして特別支援関係者の今までの願いをここで明確にしていただければと、かように思う次第でございます。これが一点でございます。  二つ目は、特別支援学校への転換という、今も嶺井先生からもお話がございましたが、特別支援学校への転換ということではいろいろな形での内容がありますけれども、私は、これまでの経験は、肢体不自由の養護学校で約三十年やったわけでございますから、したがいまして医療的ケアの問題にまでどっぷりとつかってきた教育を行ってきておりますし、その関係からいいましても、この特別支援学校への転換の大きなくくりというのは、先ほども大南参考人も申しましたように、盲・聾・養護学校幼児児童生徒重複化に関係してくることになるわけです。この重複化にどのように対応するかというのが、これが一つ特別支援学校への転換の命の一つと考えるわけでございます。これができないようであれば、これまでずっと何十年にもわたって、特殊教育からこれから特別支援教育になるであろうところまで私どもがやってきたものが、これはもう無に等しくなってしまう。  要するに、可能性を信じてこれまでもずっと深く重度化重複化対応し、また就学猶予・免除者を、私ども教員になったばかりは区の学務課にまで、このころは学事係と言っていましたが、学事係まで行きまして、そして就学免除がどうか、猶予がどうかやったわけです。そうしたら、区によっては学事係の中に名簿すらなかったという時代もあったんです。そういうものを、まず、合い言葉は就学猶予・免除をなくそうということから始まった。それから、重複化の傾向に向かって可能性を信じて、重度重複化をもっともっとその中で学校をそのくくりとしてまた育てていこうと、こういうことをやってきた次第でございまして、どうしても今後ともその重度重複化に向けて、しかも一人一人の教育ニーズに応じた医療的ケアも含めた適切な指導及び必要な支援を行うようにしていきたい、これがまさしくねらいであると。  それに関連しては、さらに医療的ケアを必要とする障害者への対応の強化を、これは調査室の四十四ページにその問題が書いてございますけれども、そこをやっていく。あるいは、特別支援教育指導の中核としての自立活動、この問題を、教職員一同がもっともっと研修をして、そこでもって例えば身体の運動であるとかあるいは健康の維持増進に関係することであるとか、そういうものを勉強していって進んでいく必要があると、こういうことを思う次第でございます。これが二点目。  三点目は、これはお願いにもなるわけですが、特別支援教育に係る人的な充実というものが不可欠であろうと、かように考えます。  十八年度には認められなかった第八次公立義務教育学校教職員定数改善計画については、是非十九年度には、特別支援教育充実するための重要施策として位置付けて、国会においても是非審議を賜りたい。現下の総人件費改革をめぐる議論の状況の中で、平成十八年度において新たな教職員定数改善計画が、策定が行われなかったということ、そして、現在は単年度限りで特別支援教育充実と食育の充実対応で三百二十九人の定数改善ということでございましたが、これらをめぐって、更に更にこの点は検討していただきたい、かように思うわけです。  それは、一つは、先ほども申したように、特別支援教育センターとしての機能というものが約六点にわたって幅広くあるわけでございますから、それらと、あるいはコーディネーターを設けていくこと。私は、後輩が、私が新採で採ったのが校長で何年もやっている人が後輩にいるわけです。それが小学校中学校にいるわけですが、小中学校の校長に聞いてみましたら、どうもやっぱり指導の問題、LD等の指導の問題とコーディネーターの問題と両方二つ重ね合って、そのままの状態でやるということは非常にしんどいという話をしておりました。  いずれにしましても、一つは、特別支援教育センターとして特別支援学校が行うわけですから、そういう人的な充実とか、あるいは小中学校において障害児学級のみならず学校を挙げて特別支援教育を推進するために、LD加配教員を始め、さらにそれを密度濃くやることが不可欠ではないかと、かように思うわけです。これが三点目。  四点目は、特殊学級が有している機能の維持と教職員配置との関連や専門性の確保に留意して、これらがどういう形で進んでいくかということ。  やはりここで提起されているように、特別支援教室、これは現在も仮称のままでございますが、特別支援教室構想を目指しているシステムを法令上に明確に位置付けるということが書いてありますが、中教審答申の中で、そのシステムを法令上に明確に位置付けることなどを更に今後とも是非検討していくと。  幸いなるかな、努力もあってか、通級による指導対象学校教育法の施行規則の中に改正として自閉症等も入れられるなど、そういう進歩も見られますし、いずれにしても、今後の特別支援教育課題は、小中学校における総合的な体制整備というのは不可欠であろうと思うんです。  これは何かというと、先ほどもございましたように、小学校中学校の教職員のやっぱり意識そのものが、特別支援教育というものを学校教育の中の一つのやはり大きな指導ポイントであるということを考えた上で学校経営なり学校機能なり学校活動なりをするかどうかにかかわってくるわけでございますので、そういう問題を含めてやる。そのためには、またさらに、研究開発学校やモデル校などの実践的研究を更にすると。  そういうことで、これが四番目のことでございます。  五番目は、やっぱりずっとつないで考えてみますと、教職員の専門性の問題というのは本当に避けて通れません。そして、しかも、特別支援教育をやるんであれば、これまでの研修あるいはこれまで集めてきた力だけでは通用しない、こういうふうに思います。  私も、過日、読売新聞で「教育ルネサンス」に取材を受けました。そのときに言ったことは、やっぱり教師力というのを付けないともう駄目だという話をしたわけでございますけれども、いずれにしましても、教員免許状の制度の問題は制度の問題として今提示されているように進めていくわけですが、問題は、重複の子供たちを担った場合に、特別支援教育免許状の場合にできるだけ、特別支援教育領域と言われている言葉がありますが、例えば盲教育と聾教育と肢体不自由教育三つとも分かるというふうな教職員をつくっていかなくてはならないと。  こういう意味では、多様な指導力と専門性の構築というものを考慮に入れながら、今勤務している教員が当該該当免許状以外に特別支援教育領域に関する科目を取得して免許状を増やしていくというような、そういう指導奨励がとても大事ではないかと。免許制度の見直しと同時に今のことをやはり念頭に置くことが必要であろうというふうに考えます。  六点目は、先ほど嶺井先生からお話がございましたが、特殊教育就学奨励費の堅持のことでございます。  これは、私も、去年はこの特殊教育就学奨励費のことで全国知事会に行ったり、あるいはいろんなところにお願いをして、公明党の文教委員会にもお願いをしたりと、いろんな形も取りました。それはなぜかというと、このことが、地方の中に入っていきますと、恐らく現時点では格差が生じた形で、地方、県と県との間では違った形の特殊教育就学奨励費が出てくるのではないかというふうに思いました。  それからもう一つは、今、特別支援教育にこれから進むであろうというときに、いずれにしても特別支援教育子供たちが増えこそすれ減りはしない、そういう現実の中で地方に渡すということになると、その辺の辺りでまた格差が生じるのではないかということなどをお話ししながら、この堅持をやっている。今年もどういうことになるのか、これは、就学奨励の問題というのは就学指導の問題とも折り重なることでございますし、障害がある子供たち保護者方々がどれほどいろんな苦労をしているか、特に、例えば肢体不自由の場合の通学の問題などという場合には保護者方々は大変な努力をしていることを目の当たりずっと見ております関係で、そのことについては是非堅持を願いたいと、かように思う次第でございます。  七点目は、先ほどからるるお話しいたしましたが、どうもやっぱり軸となるのは、障害者の理解支援のために、教職員はもちろんのこと、地域住民の方々等含めまして、日本の国全体の中で障害児者の教育、福祉、医療、あるいは職業、そういう問題についてどのように相互で支援をすることができるかどうかという心の問題がやはり大事なのではないかと。恐らく、特別支援教育、例えばインクルージョンの問題、話が出ましたけど、今インクルージョンをやったら果たして社会の中でそういう深みがあるかどうかという問題含めまして、これは私は早い、時期尚早にも感じます。なぜかというと、一つ一つ吟味しながら、特別支援教育を一方では進めていき、一方では社会方々がそのことに対して理解をしていくという姿を求めながら、そして相互に共通の理解を持ち、進めていくことが極めて大事である。  そのためには、文部科学省の方も今いろいろ考えておられるようですが、障害者の保護者を活用して、障害者の保護者方々社会的な活動を通して障害者の理解を進めていくような、そういう形の方法、そういう団体を育てていくような、要するに保護者役割をもっともっとやっぱり理解を伴う形で進めていく。学校教育との対比の上で保護者が動くのではなくて、共有者として保護者が次第にますます頑張っていただけるように是非できないものかと、かように思う次第でございます。  いずれにしても、一方では福祉教育の推進を図ることというのはこれまでもずっと述べられております。私も内閣府の障害者の施策推進本部の参与をさせていただいておりますけれども、内閣府の白書の中には必ず福祉教育の推進ということが申し述べられております。しかし、これは、福祉教育の推進というのは本当に幅の広いものでありまして、これらが具体化した形で進めていくためには相当の吟味なり相当の検討なりが必要であって、今後とも、この特別支援教育が二、三年で無事上手に展開できたら、是非とも全国的な立場で福祉教育というものについて、これは、これだったら小学校でも中学校でも盲・聾・養護学校でも一緒の場で福祉教育が論じられますので、こういう場をつくっていただけたら幸いだなという感じを深くするわけでございます。  今後とも、私どもは、特に特別支援教育の中で仕事を進める者としては、児童生徒障害重度重複化と、それから一方では忘れてならないのは交流教育というものでございます。この交流教育と、それからもう一つは共同学習ということが、これも新しく障害者の基本法に出ております。この問題は、今、例えば居住地の交流ということもあります。この辺の問題はやっぱり私は就学指導とかいろんなことを、その就学に関係すること等、教育等のいろんなことを考えますと、どうもこの辺の解釈の問題がやっぱりあるのではないかと。  私は、今やっていることの交流教育と共同学習をますます拡充しながら、きちんとした形で経験を伴った体験学習も含めて進めていくことが是であると考えますし、今後ともその方向性が見定めることが必要であると。私は、今も就学の関係とか理解、啓発に関係するものを文部科学省の指示も受けながら仕事をしております。パンフレットを作ったり手引を作ったりあるいはビデオを作ったり、いろんなことをやっております。その関係からいっても、ここでますます、今度は一方では軽度の子供たちのためには交流教育と共同学習を更に展開することが必要であると、こういうふうに思います。  私のしゃべりたいことはあとはありませんので、これで終わらせていただきます。以上でございます。失礼しました。
  8. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  次に、山岡参考人にお願いいたします。山岡参考人
  9. 山岡修

    参考人山岡修君) それでは、御紹介いただきました全国LD親の会の会長日本発達障害ネットワークの代表をしております山岡と申します。本日は、このように貴重な場を設けていただきまして意見を申し述べさせていただく機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。  LDという言葉をもう今は御存じいただいているかもしれませんけれども、私、新聞記事のピックアップというのをよくインターネットとかでするんですけれども、昔はレーザーディスクというのが出てきて、LD親の会と言うと、レーザーディスクですかと言われてしまったんですね。最近、盛んにLDと打つと新聞記事たくさん記事が引っ掛かってきて、いよいよ国会で審議が始まったかと思ったんですが、どうもライブドアをLDと訳す新聞社が多くて、私は非常に迷惑をしているところでございますけれども。この問題も片付きつつありますので、是非教育の問題を議論していただきたいと思っているところでございます。  全国LD親の会といいますのは、一九九〇年に組織いたしまして、各地域で活動するLD親の会の全国組織でございまして、約五十の団体が加盟しております。お手元の方に、私どもで発行しました冊子をお手元に置かせていただいていますが、LDADHD、高機能自閉症の基本的な理解を示すような冊子を発行したり、いろんな活動をしているところでございます。  もう一つは、日本発達障害ネットワークという団体を昨年立ち上げたんでございますが、これは昨年の四月に発達障害支援法という法律が、議員立法でしていただきまして施行になりましたが、ここに関連する自閉症、LDADHDなどの当事者団体、これに加えまして、学会とか職能団体も含めて全国団体が十一、それからエリア団体が三十二加盟しております。こちらの団体は、前の厚生労働大臣でございます尾辻先生に会長になっていただきました発達障害支援を考える議員連盟、先日総会をしまして百三十六名の先生が御参加いただいたんでございますが、こういった議員連盟とも連携を図りながら、発達障害に対する理解支援の向上に取り組んでいこうとしているところでございます。  前置きが長くなりましたけれども、三名の先生方からお話ございましたけれども、特殊教育から特別支援教育への転換ということでございます。大南先生から五倍に増えるんだということをおっしゃっていただいたんですが、お手元資料の方にちょっと表しておりますけれども、一つは、大きなことは、この特殊教育に対する考え方を大きく変えるんだというのが、実はこの五年前の二十一世紀の特殊教育の在り方に表されておりまして、基本的には従来は障害の種別と程度に応じて特別の場を設定して支援をしておりましたが、これからはその一人一人のニーズに応じて支援をしていくんだということで、基本障害モデルからニーズモデルへの転換だというふうに言われております。  それと、その五倍に増えるんだということだけではなくて、従来はこのLDADHD子供たちというのは約六・三%いるというような推計値があります。要するに、四十人学級でいうと二人とか三人とかいておかしくないんですね。すべての教室にいると思っていただいてみますと、従来の特殊教育というのは、通常学級にはそういう子供たちはいないという前提でおりますから、一律一斉の授業をしています。これからはそうではなくて、各教室にそういう子供がいるんだという前提で、すべての先生がそういう子供たち配慮とかをしながら進めていく必要があるということでありまして、これは特殊教育という一部の世界のものではなくて教育全体の問題、変革なんだというふうにお考えいただきたいと思います。  それで、その特別支援教育基本的な考え方や理念というところで、私は三つ、ここで一ページのところで取り上げているんですが、一つはそのLDADHD、高機能自閉症をその支援対象に加えるんだというところであります。先ほどもお話が出ておりますが、日本特殊教育、レジュメでは一・六となっていますが、一年進みますと一・七四%、全児童のですね。アメリカは一一%であります。イギリスは約二〇%がそういう困難を持っているのではないかということで対策を進めております。この差というのは、アメリカとの間の九%ぐらいありますね。これ何かというと、日本教育ではこの軽度の発達障害子供たちに何の手だてもしないままずっと進んできたということなんですね。放置されてきたということであります。ですから、文部科学省報告書を見ましても、LDADHD、高機能自閉症等への対応というのは喫緊の課題というふうに取り上げております。  私、民間企業に勤めておりますが、喫緊の課題と言われますと、何か月か以内に対策を打たないと会社がつぶれてしまうような表現なんですね。ですから、この問題については真剣に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  それから、二つ目のこの特別支援教育の考え方としましては、一人一人のニーズに応じた指導、必要な支援をしていくんだというところであります。これは、同じ障害名、従来の知的障害でもそうですし、身体障害でも同じなんですけれども、同じ障害名であっても一人一人の持っている特性が違います、ニーズが違います。これからは一人一人のお子さんのニーズやプロフィールに合わせて適切な支援をしていこうという考え方であります。これも従来の教育の考え方とはかなり大きな転換だと思います。  それからもう一つは、三つ目は乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行おうということが挙げられております。これも、私たち保護者は、学年が替わるたび、学校が替わるたびに積み上げてきたものが全部つぶれてゼロからスタートするんですね。先生が替わるたびに一から説明しなくてはいけないということで、これらについては一貫した支援を行うということが一つと、手だてが用意されておりまして、引継ぎをうまくしていくというふうな道具をきちっと用意するということだと思います。  それで、この特別支援教育転換というのは、従来のいろんな制度と違うところというのは、最初からパーフェクトでスタートすることは多分無理だろうと思います。ですから、今回の中教審答申も、今回の法律の改正案も、完全な形で完成版で出ているわけではないということですね。ですから、ある意味でいくと、いろいろ不十分な点とか御不満のような点もあるんですけれども、それは特別支援教育と今三つ挙げたような高い理念に到達するための一つ段階だと考えると、合格点といいますか、だと思っています。後で申し上げますけれども、もしここで止まってしまったら、これ合格点ではないんですね。この制度とか箱を用意して、その後にソフト面でありますとか、次のステップ、次の検討を進めていくという一段階としてはすばらしい大きな一歩を踏み出したというような法案だというふうに思っております。  それで、今回の改正点でございますけれども、資料の二ページ目にちょっとまとめてございますが、既に多くの先生方が説明をされておりますので、特に私のところに関係があります二番目のところを中心に御説明申し上げます。  今回改正のところでは、中教審答申では三つありまして、盲・聾・養護学校の見直し、これを総合化して特別支援学校に移行というところであります。それから三つ目のところでは、教員免許制度の見直しのところで、これも総合化というふうな案になっております。  この二つ目でございますが、さっき嶺井先生も御指摘されましたけれども、特別支援教室という構想があったんですけれども、これは中教審でもいいシステムということで認めながら、すぐにここに行くのはいろいろ難しいものがあるねというところを言っております。基本的には一段階ステップを踏んでからこの構想を目指そうというところであります。  お手元資料でいきますと、四ページのところを開けていただきますと、この中教審答申の中で、最後のページにこの特別支援教室への構想についてのステップのところが載ってございまして、現状、通常学級があって、それから通常学校の中では特殊学級通級による指導がありますと、そこから特別支援教室に移行。特別支援教室というのは、簡単に言っちゃうと、通級特殊学級総合化するような形で特別な場を設けようというものでございますが、ここに一気に行くのではなくて、特殊学級通級を弾力化をして、それからさらに特別支援教室構想を目指そうというものでございました。  実際には、今回の中でいきますと、学校教育法施行規則の改正がございまして、四月一日に既に施行され、LDADHDが既に通級対象に加わっております。更にその弾力化を進めていくということだというふうに思っています。  五ページの表をちょっと開けていただきたいんですが、五ページの中で、ちょっとパワーポイントから写してきたので分かりづらい表でございますが、これ三つに分かれておりますけれども、十七年度までの制度というのがありまして、今通常学級というのは、一週間二十八時間あるといたしますと、特別な場での指導は一応ゼロでございます。それから通級教室というのは、横長に線を引いています、四角を作っておりますが、三時間から八時間の特別な指導ができますと。それから、特殊学級基本的には固定学級で、二十八時間固定でございます。  これ時間軸を縦に取りますと、子供たちニーズというのは、週に一時間指導してほしいという子供から三時間欲しいというお子さん、それから十時間、いや二十時間欲しいんだというお子さんもあると思うんですけれども、現在の制度は、通級は三時間から八時間、それから特殊学級は二十八時間ですので、制度に大きな落差があります。その落差がある中で、子供たちはその今の制度に合わせてどっちかを選択しなくちゃいけないんですね。  特別支援教育の考え方の中でいくと、本来は子供たちニーズに制度を合わせるべきだというのが私たち保護者の考えでございます。これでいきますと、一番下の表でございますが、子供たちニーズが連続性があっていろんなニーズがある以上、時間軸という面で見ても、こういうふうに柔軟に一時間から二十八時間までいろいろ対応できる特別支援教室という構想を是非進めていただきたいというふうに思っております。  手元資料で二ページにちょっと戻るんですけれども、この三つ改正の中で、答申の中で三つ案が出ている中で、実はこういうハード面のことは整備されていくだろうと思うんですが、先ほど申し上げましたように、この特別支援教育というのは非常に高いハードルといいますか、長期的に取り組んでいくものと考えますと、幾つかのソフト面といいますか、そういうものを充実させていく必要があるということでございます。  三ページの方に移りまして、では、じゃソフト面って何だということであります。さっきも申し上げましたとおり、今回の改正案特別支援教育の理念を実現していく第一歩と考えますと、ここで止めてしまっては駄目だと。どんなことが必要なのかといいますと、この五番のところに「特別支援教育の理念実現に必要な拡充すべきもの」というふうに書いてございますが、先ほどもいろんな先生方おっしゃっていますけれども、元々そのLDADHD、高機能自閉症という軽度の子供たちというのは特別支援教室ができたとしても基本的には通常学級にいるんですね。ですから、通常学級の先生が通常の時間に理解をしたり配慮をしたりということが必要でございます。ただ、今の先生方はそこまでしろというふうに言われておりませんし、そういう教育も受けてきておりません。ですから、先生方教員になるときの中でこういう障害児に対する教育をしていただくとか、あるいは担任の先生一人では駄目なので、学校の内外から支援をするようなシステムをつくるということが大事でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、この子供たち通常学級の中だけではなくて必要に応じて特別な場での指導が必要でございまして、必要に応じ特別な場での指導というのができる制度をつくっていただきたいということであります。  それから、一人一人に合わせた、ニーズに応じた一貫性のある教育ということについては、今、個別の指導計画とか個別の教育支援計画というものが用意をされています。これ、計画といいますけれども、プランをして、そして実行をして、それを見まして、それから次のステップに行くというプラン・ドゥー・シー・チェックという一つのサイクルが大事でございまして、教育の中でもこういうサイクルを適用していくということが大切だというふうに思っております。  それから、ソフトという意味でいきますと、実は今回、制度の中でいくと、特別支援学校をつくるとか教員免許状改正ということが目立っておりますが、実は七十五条の改正のところでいきますと、通常学級の中で、学校の中でこういう子供たちへの支援をしていくんだということが学校教育法の中で初めてうたわれています。従来、七十五条というのは特殊学級のところだけだったんですけれども、前段のところでうたわれておりまして、こういったものを言葉だけではなくて拡充させていくことが先ほどから申し上げておりますような特別支援教育の理念とか基本的な考え方を完成させていくものだというふうに思っておりますので、法律の改正だけではなくて、それからの施策で是非拡充していっていただきたいところでございます。  最後に、六番目としまして、三名の先生方とダブるんでございますが、特別支援教育の理念実現に必要なことということで申し上げておきます。  先ほどもお話出ておりましたが、第八次の教員定数改善計画、昨年いったん見送りとなりまして、その中でLDADHD通級に対して二百八十二名の人員が単年度で確保いただきました。しかし、子供たちは一年だけではないわけでありますから、是非十九年度から五年間で、定数改善計画をまた復活していただきましてこの子供たちに対する教育に必要な人員を配置していただきたいと思っております。  二番目は、重なりますが、通常学級の中での特別支援教育、これからは大事でございまして、これに必要なことを是非国として積極的に取り組んでいただきたいということでございます。  それから三つ目は、四月一日の学校教育法施行規則の改正で、通級対象として、従来、情緒障害というあいまいな言葉の中に実は自閉症とそれから緘黙とかのやや精神的な疾患をお持ちになったお子さんとの二つの種類が入っていたんですけれども、今回の改正で自閉症ということが単独できちっとうたっていただきました。ただ、これは今のところ通級だけなんですね。ですから、特殊学級あるいは養護学校においても自閉症というものをきちっと位置付けていただいて、それに適した教育をしていただきたいということを思っております。  四つ目でございますが、先ほども申しましたけれども、特別支援教室構想というのが中教審でも更に検討することが適当となっております。こういうものは余り時間を置かずに、迅速に次の検討をやっていただきたいというふうに思っております。  それから、最後でございますが、さっきと重なりますけれども、特別支援教育というのは、こういった今回の法律の改正は第一段階というふうに考えておりますし、その法律の条文の中にはいろんな意味が込められております。それを更に事業として、あるいは必要な法律の改正も含めて、特別支援教育が掲げる理念や基本的な考え方を実行していただくようにというふうに思っております。  最後でございますけれども、私、LDADHD、高機能自閉症の子供たちを持つ親の会におりますけれども、この子供たちは一見変わっております。見たところ、やる気がないと見られたり、実はだらしないとか、母親のしつけが悪いんじゃないかというふうに思われることがあります。学校の先生も対応に困っておられることがあると思うんですけれども、よく考えますと、一番困っているのはこの子供たちであります。この子供たちは、やる気がないとかそういうふうに見えることもございますけれども、実は僕も勉強できるようになりたい、私も褒められたいという気持ちでおります。大きくなると、私も仕事をしたい、恋人も欲しい、結婚もしたい、家も持ちたいというふうな夢や希望を持っているわけでございます。  しかし、残念ながら、今の体制でいきますと、そういう子供たちが疎外されて、不幸にして二次的障害に陥ったケースもあります。是非、数年前にイギリスでブレア首相が就任されたときに、私は感動したんですけれども、私はやりたいことが三つあるとおっしゃいまして、一つ目は教育だ、二つ目教育だ、三つ目は教育だとおっしゃったんですね。それほど教育というのは大切であります。  実は嶺井先生もおっしゃいましたけれども、この特別支援教育、決してLDADHDや高機能自閉症の子供たちのためのものだけではありません。こういう一人一人に対してきちっとニーズに応じて教育をしていくということは、実は障害のある子供だけではなくて、本当はすべての子供に適用されることでありますし、その一人一人のニーズに応じて適切な支援をしていくということ、これは今学校教育が抱えておりますいじめや不登校や学級崩壊あるいは学力低下というような問題の解決にも必ずつながるというふうに私は思っております。  そういう意味も含めまして、将来の国を支える子供たちでありますし、もう一つ、軽度の子供たちというのは、きちんと対応して教育をしていけば、将来税金を払ってくれる、自立をして、人たちに育っていくんですね。ところが、誤ると、将来たくさん税金掛けなきゃいけないような対策を打たなければいけなくなると思います。現在、財政事情厳しいかもしれませんけれども、長い目で見て投資効果の高いことだと思いますので、是非国として積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  10. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  以上で参考人の皆様からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  各参考人にお願い申し上げます。  御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いをいたします。  また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔な御答弁をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもおはようございます。  参考人の皆様方、本当に御苦労さまです。  先日、学校視察などを行ってきたんですけれども、やっぱり現場の大切さや大変さを痛感いたしました。また、何か障害を持っている子供たちと接したんですけれども、明るく前向きに生きている姿がとても印象的でした。また、障害を持っていてもいろんなことに努力し頑張っている姿を見て、今後将来こういう方々があらゆる社会、一般社会においてやっぱり働ける場、そしてまた活動できる場が開けることを本当に僕らやっぱり大人社会が頑張らなきゃいけないなというのを痛感いたしました。  御質問なんですけれども、済みません、限られた十五分の時間で手短にストレートな御意見をお伺いしたいんですが、特別支援学校の形態については地域の実情に応じて設置者が判断することになっておりますが、今回の法案について特に評価する点、あるいはまだまだ不足している点について、各参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  12. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) それでは順次、大南参考人から。
  13. 大南英明

    参考人大南英明君) 特別支援学校の在り方は、例えば現在の盲学校聾学校知的障害養護学校、肢体不自由養護学校、病弱養護学校のように障害別に今後も続けていく、そういう形態もあると思いますし、知的障害養護学校盲学校を併せた学校をつくっていく、あるいは京都市のように、総合養護学校と呼んでいますが、肢体不自由、知的障害、病弱の子供たちが同じ校舎で学べる学校をつくって、現在もうスタートさせておりますが、それぞれの都道府県設置者が考えている最も子供たちにふさわしい学校をつくっていかれるのが私はよろしいんではないかというふうに考えております。
  14. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 障害種別を超えた総合的な学校にするということについては賛成であります。ただし、そのことによって規模が拡大して、地域から離れるような学校であっては困ると思います。むしろ、分散化するような方向でやっていただければいいのではないかと考えております。
  15. 三浦和

    参考人三浦和君) 通学上の便利さが学校を統合することによってあるという、これまで遠かった子供たちが近いところで特別支援教育を受けるという、最大のことだと思います。  以上です。
  16. 山岡修

    参考人山岡修君) 私は、じゃセンター化のことを申し上げます。  養護学校にはこういう特別支援教育に関するノウハウがたくさんございます。それを、地域の小学校中学校ではなかなかノウハウがないところでございますので、センター化ということで地域の学校に対する支援だとか相談業務とかを是非やっていただきたいという意味で、大変評価をしております。
  17. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございます。  大南参考人三浦参考人にお伺いしたいんですが、今までの盲学校聾学校養護学校ではどこが不十分だったのか、そしてまた特別支援学校になるとどこが期待できるのか、お伺いしたいと思います。
  18. 大南英明

    参考人大南英明君) 先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、盲学校聾学校は多くの県では一県に一校しかございません。ですから、寄宿舎に入って勉強しなければならない。これ低学年あるいは幼稚部でいいますと、幼稚園段階からそれをせざるを得ないという、そういう状況が長い間続いていました。そのことが許容されていた時代もかなりあったと思いますし、専門的な教育を受けることによって家庭から離れることを否定はしなかったわけですけれども、しかし時代が変わってきて、家庭からということが基本になってきますと、やはり通学できる範囲で盲学校聾学校設置をしていければ一番これは理想ではないか。  それから、養護学校につきましては、先ほど重複障害のところでお話ししましたが、例えば知的障害養護学校にも肢体不自由を伴う、あるいは病弱を伴う児童生徒が学習をしています。一方では、肢体不自由の養護学校にも知的障害を伴う子供たちが学習をしている。そういうことを考えますと、例えば県内に知的障害と肢体不自由の学校が五つあったとすれば、現在は基本的には障害別通学をしなければならない。ですから、うちの近いところに肢体不自由の養護学校があっても知的障害であれば、その学校を越えてバスで例えば九十分掛かるところまで通わなければならないという、そういう実態がございますので、できるだけ児童生徒が通いやすいことを考えれば、障害を超えた学校設置した方が私は望ましいのではないかというふうに思います。
  19. 三浦和

    参考人三浦和君) 今の話にダブると思うんですけれども、盲・聾学校においては、専門性を構築するという意味では大変一つの明快な形のものがあった。ただし、広がりがないために、今言ったように学校一つしかないというような形で行きにくいと、こういう問題が一つ。  それから、重複化への対応が、どちらかというと単一の障害の、盲なら盲、聾なら聾という視点でそこを突っ込んでいる。言語指導とか、そういう形のようにして突っ込んでいくけれども、じゃダブり、重複であって盲であるという場合のことについては極めて後れた形の指導を、私も目の当たりに見たことありますけれども、あったという、それが解消されるだろうと、今度は。いろんな人たちが出くわせばですね。  以上でございます。
  20. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 嶺井参考人にお伺いしますが、日本は国際的に後れているということですが、日本と同レベルの先進国はありますか。また、改正案は不十分だとはいえ一歩前進と受け止めることができると思うんですが、嶺井参考人にお伺いしたいと思います。
  21. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 後れているという中身は、ちょっと申し上げたいと思いますが、イタリアもそうなんですけれども、障害のある子供たちがかなり通常学校通常学級で学んでいるということについては結構進んでいるんではないかと思います。ただし、それがどういう形で進んでいるかということが問題でありまして、これは、この間のいろんな国際的な権利条約の流れからしますと、やはり当事者保護者意見というものが基本的にベースにあって、それに対してフォローしていくという制度にはなっていなくて、どちらかというと流されてやってきたという、そこが後れているのではないかというのが考えております。  私がモデルとしていますのはイタリアの例でございまして、イタリアでもまだ障害児学校が少し残っておりますが、特殊学級はなくなっております。通常学級に籍を置いた上で、必要があれば特別支援教室的なところで学べるようになっているという、そういうことを私はずっと考えてまいりました。  以上です。
  22. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 山岡参考人にお伺いしたいんですが、LD等軽度発達障害子供、そしてまた特別支援教育対象となりますが、自分の子供障害児だということをやっぱり認めたくないですよね、保護者方々は。そういった保護者に伝えたい点、また一般の保護者に訴えたい点をお伺いしたいと思います。
  23. 山岡修

    参考人山岡修君) 特に軽度の発達障害子供でいくと、本人も認めたがらないし、保護者が認めたがらないケースがあると思います。  実は、従来の障害児教育は一・数%ですから、本当にみんなとは違う世界だったと思うんですけれども、このLDADHD子供たちが入ってきて六%、七%というふうになってきますと、結構周りにいるということになってきます。  これは卵が先か鶏が先かになりますけれども、こういうふうに世の中が、こういう違ったものが周りにいてそういうことを認めていくんだといいますか、違ってもいいというような考え方が広がっていくこと、そして子供たちも、そういうことに対していい教育を受けれるんだということで、いい教育をしないと駄目なんですけれども、ここに行くといい教育が受けれる、効果があるんだというものにしていくこと、そして世の中が変わっていくこと、それが両方で整っていくんだというふうに思っております。
  24. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 山岡参考人にお伺いしたいんですけど、通級指導の拡充により、今までの特殊教育とは余り関係がなかった一般の教員専門的な知識が必要になると思うんです。そういった部分で、通常学級特別支援学級教員に対しての期待することは何ですか。
  25. 山岡修

    参考人山岡修君) 通常学級で、特に大きな専門知識があるわけでなくできることというのは、こういう子供たちがいるということが分かっていただくことですね。そういう発達障害が遠因にあって、例えば字がうまく書けない、計算ができない、サボっているわけではないということですね。そういう理解をまずしていただくことが第一。  そうすると、その上で、もう少し通常学級の先生とかにも専門的な知識は付けていただきたいと思っておりますので、それらは研修をしていただくとか、あるいは教職、普通の免許のところで、ある一定の時間障害について学んでいただくとか、そういうことをしていただくことによって、子供たちはどんどん良くなってまいります。  子供たちは、軽度の子たち、特にそうなんですけれども、学校の先生から怒られ、友達からも仲間外れにされ、家庭でも怒られるということになりますと二次的な障害を起こすケースもあるんですね。ですから、学校の先生が、今までは障害があると私の受持ちじゃないということで、どこか特別な場へ行ってくださいという形だったんですけれども、そうではなくて、この子供は私の担任の生徒なんだと、私が対応しなくちゃいけないんだという気持ちで是非接していただければというふうに思っております。
  26. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございます。  先ほどから参考人の皆様方が言われるところが、やっぱり生まれたところで近所の幼なじみと一緒学校生活を送るのが理想だと僕は思うんですよ。しかし、実際には障害のため、市町村教育委員会での判断で離れた盲学校聾学校養護学校を指定されることがやっぱり多いわけです。幼なじみには入学通知が来るのに自分には来ない、障害があるためにほかの学校に行けないというのは、こういうのはやっぱり残酷だと思うんですよ。  そしてまた、今回の法改正により、小中学校においても特別支援教育を行うこととなります。これを機に、すべての就学予定者は普通の小中学へ入学することを原則としつつ、それができない特別の事情がある場合、障害程度に応じて普通校の特別支援学級特別支援学校に行くという選択をさせることが理想と考えますが、最後に各参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  27. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 大南参考人から、簡潔にお願いします。
  28. 大南英明

    参考人大南英明君) 基本的には、私は障害程度に応じて通常学級に籍を置いていくというのは基本に考えたいと思います。  ただ、諸外国を見ても、特別な教育を行っている学校への就学率というのは日本は少ない方なんですね。例えばイギリスは一・五%ありますし、ドイツは四%もありますし、アメリカ合衆国は〇・六%。我が国が〇・五%ぐらいですので、これはやはり必要に応じて特別な場でということは考える必要があるだろうというふうに思っています。
  29. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 基本的に賛成でございます。御指摘のとおりだと思います。  今おっしゃいましたけれども、その必要に応じてというのは、本人や保護者の必要に応じてというのが原則ではなかろうかと思うんです。今はそういうふうになっていないところに制度的に大きな問題があると考えております。
  30. 三浦和

    参考人三浦和君) 先ほどからお話をいたしましたように、漸次ということであろうと私は思います。今ここでそのことをインクルージョンという形で即座に、例えば明年度とか明後年度にやるとなったら、恐らく今度はそこの中で課題が必ず出るだろうと思います。それほど障害児教育というのはそう簡単にさっとやれるものではないという、深みのある教育であるということを認識しなければならないと、かように思います。  以上です。
  31. 山岡修

    参考人山岡修君) 長期的には賛成でございます。  ただ、要するに、どういうときにその特別な場でということでございますけれども、長い目で見て、その本人にとって何が必要かということをきちっと判断をしていただいて、その上で必要に応じて特別な場で指導できるというのが一番良いというふうに思っております。
  32. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 短い時間でしたが、ありがとうございました。
  33. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 四名の参考人の皆様、本当にありがとうございました。  時間もございませんので早速質問させていただきたいと思いますが、嶺井参考人にお伺いをいたします。  先ほどのプレゼンテーションの中で、障害のある人の権利に関する国際条約のことについてお話をいただきました。時間の関係でさっと飛ばされましたが、私が漏れ聞いておるところによりますと、この議長案に対して日本対応といいますか反応というものが少し残念な対応で、そして、と同時に、この会議あるいはこの作業グループに参加しておられる他の国からも、正に障害のある人の権利、とりわけ教育充実を国際的にリードしていこうと、そういう観点からはいかがかという声もあったやに聞いておりますが、この問題、ずっとフォローされておられる嶺井参考人に少し詳しい状況と、そして参考人の御意見日本はこの問題にどう取り組むべきか、お答えをいただきたいと思います。
  34. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 今回の問題につきまして、直接私がその場で確かめたわけではございませんので、私もまた聞いた限りでございますので、その観点からお話をさせていただきます。  ただ、この間、国際的な動きに対しましてはやはり少し消極的な対応があるかなと思っておりますのは、一九九三年に障害者の機会均等化に関する国連決議の中で教育の条項が議論をされたときにも、統合教育を原則とするということに対して日本の方からそれでは困るといったようなクレームが付いたという経緯がございました。それは文書等で確かめることができます。  同じようなことが今回の権利条約に関しましても言えるかなと思っております。特に、障害のある人たち教育一般教育に含めるということについてクレームが付いたと、外してほしいというのが日本側の代表だったという、代表だったか関係者だったかはちょっとはっきりしませんが、そういうことを漏れ聞いております。それはやはり大きな流れとしましてのインクルージョンについての非常に大きな無理解があるというふうに考えております。
  35. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ありがとうございました。  嶺井参考人に更にお伺いしますが、その無理解というのを、これ、どのように日本全体のコンセンサスにしていくか。とりわけ、私はやっぱり、政府内でのコンセンサスづくりというものにどのような問題があり、そしてそれをどうしていったらいいのかというのも私自身も考えているわけでありますが、その点について参考人から、何かお考えがあればお聞きしたいと思います。
  36. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 子どもの権利条約が批准をされまして、子どもの権利委員会から日本政府に対しまして勧告等がなされております。そのときにも、できるだけインクルーシブ社会にしていくようにという勧告がございました。しかし、それがなかなか実現をしない、今回の改正案にも反映されないということを見ますと、やはり国際的な権利保障の流れについて政府として積極的にどうかかわっていくのかという基本的な姿勢が問われているのではないかと思います。  改めて、国連等でどういう議論がされているのかということを正確に外務省等でも伝えていただき、日本側の意見を大きな流れの中に持っていくようなまとめにしていただきたいというふうに考えております。
  37. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 今の点は、むしろ我々にボールをいただいたというふうに受け止めまして、これからの質疑等々で更に頑張ってまいりたいというふうに思いますので、また御指導をお願い申し上げたいと思います。  続きまして、山岡参考人にお伺いをしたいと思います。  実は私も、議員になる以前は大学で教鞭を執っておりまして、まあ今でも執っておりますが、私が以前担当しておりましたゼミナールに実はLDの学生さんがおりました。大変に苦労もいたしましたけれども、私自身も大変に勉強になりましたし、あるいはゼミのほかの学生も非常に成長をして、そこで特に頑張ったといいますか、そのゼミをまとめていこうとして頑張ったリーダー的な学生は大変に今、社会的にNPO活動あるいは社会活動で大きく貢献をし、例えば万博の試みなどにも重要な位置を占めるようなことに成長しておりますので、そういう意味で、今回の学教法は主として初中等段階の話ではありますけれども、さらに、その高等教育段階、あるいはその以前である就学前教育、そこも含めて、インクルージョンといいますか、インクルーシブ教育というのは私は非常に重要な課題だということを肌身で痛感をしたわけであります。  そういうことを本当に実り多きものにしていくためにも、私も当時、正に学生を指導する中で気を付けたといいますか心したことは、やはりそのLDないし、まあ私の場合はLDの学生でありましたが、に対して、やっぱり本当に人を張り付けて、まあ私自身ももちろん目配りをさせていただきましたけれども、完全に一対一で、マンツーマンで、もちろんゼミは一緒にやっているわけでありますが、マンツーマンでケアをするといいますか、サポートをするということが正に私はかぎだというふうに感じたわけであります。  山岡参考人にお伺いをしたいのは、特別支援教育、正に通級でやっていくといったときに、しかもそれが六から七%いるといったときに、通級の中でもう一人きちっとマンツーマンで対応する体制とかが不可欠だというふうに思いますが、正に親の立場から見て、そのことがどういう意義があり、またどういう必要性があるのかということについて、私どもに補足的に教えていただけることがあれば、先ほども御説明いただきましたが、補足していただければというふうに思います。
  38. 山岡修

    参考人山岡修君) アメリカで特別な教育支援を受けている人たちは一一%いまして、一一%のうちの約半分、五・五%がLDというカテゴリーであります。じゃ、その子たちがすべて通級のようなところに行っているのかというとそうではなくて、通常学級にずっといながら、個別の指導計画のような計画の下で支援を受けているケースもあります。  ですから、六・三%の子たちがすべてが通級に行くわけではないと思うんですけれども、ずっと一〇〇%通常学級にいながら、今、鈴木先生がおっしゃったようないろんな支援を受けていくわけでありまして、場合によっては、例えばTTのような形で、先生が教室に入り込んで御指導いただくのが効果的なお子さんもいます。  それから、あるお子さんにとっては、やっぱり一対一の指導で抜き出しをしないと効果が上がらないお子さんもいますし、あるいは小集団のような形、やはり社会性を身に付ける上では、大集団では無理で小集団の中で身に付けるようなこと。ですから、そのお子さんに合った方法、教科によってはお一人だとか小集団がよかったり、あるいは一斉の授業をやっている中に一人補助の先生が付いてたまに支援をするというような、いろんな方法が考えられるということであります。
  39. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ありがとうございました。  できれば全員の参考人にお答えいただきたいんですが、大南参考人三浦参考人嶺井参考人山岡参考人の順番でお答えをいただきたいと思うんですが、あと五分ということでございますので、もうお二人に限らざるを得ないんですが。  今日、四人の参考人の皆様方から共通して出たお話は、要するに、その特別支援教育に一歩踏み込むけれども、要するにそのための体制が全く不十分であると。皆さん理想は同じ、恐らくここにいるメンバー全員同じだと思うんですね。しかし、そこの理想にどれだけ早く近づいていくかと。先ほど三浦参考人からも段階的にというお話がございました。これは、すべての方がやっぱり段階的にせざるを得ないと、現状と理想のギャップを見たときに。  そこで、最も重要になるのは、正にその教職員を含めた体制、人的体制の問題だというふうに思いますが、今回、先ほどもお話がございましたように八次定数改善が見送られました。そして、一年間の手当てということでも、私は本当の必要な人的体制に比べるともう全然焼け石に水に近い状況ではないかというふうに思います。  特に、大南参考人三浦参考人学校現場の責任者として長年の経験をお持ちでございますが、どういう考え方で定数というのは算定をしていったらいいかと。今まではどうしても財務省の圧力がありますので、そういう数字が表に出ないまま何か結論がぽっと出てくるわけですね。今日は財務省も文部科学省もおりませんので、本来はやっぱりこれぐらい必要なんだということの考え方について御指導いただければと思います。  では、大南参考人三浦参考人の順番で。
  40. 大南英明

    参考人大南英明君) まず一つは、先ほど特別支援学校役割のところで二つ大きく申し上げたわけですが、それぞれの学校にいる重度重複障害子供を含めたすべての子供にこたえられる教員を配置をする。私は、人数だけではなくて、やはり専門性の高い人、ある意味でいえば免許状をきちっと持っている人を確保できるようにしていただきたいと。  それからもう一つは、新たに法令が改正されることによって、小学校中学校あるいは幼稚園高等学校への支援が必要になってきますので、その支援ができるより高度の専門性を持った教員の養成とそれから配置ですね。ですから、今いる人数で全部やりなさいというのではなくて、小中学校への支援については、そこに必ずプラスされる人数が必要だなというふうに思っております。
  41. 三浦和

    参考人三浦和君) 先ほどもお話しいたしましたけれども、段階の問題もさることながら、結局、こんなお話を聞いたことがあるんですね。  三十人学級の中に一人ないし二人の障害があって、要するに特別なニーズを必要とする子供がいた場合の配慮の点はどうかという問題。例えば、その特別なニーズを持った人たちが五、六人から十人集めちゃうというのは特殊教育ですよね。そういう子供たちの場に教員の定数はどうかと。例えばそういう問題の比べ方。  だから、どうしたって、特殊教育特別支援教育の場合の教員定員は、今足した分だけでも五倍、例えば四倍ぐらい掛かるんだよと、こういうことですから、そういう推し測り方を。そこへ、例えば今もいろいろ、段階的と私が言っているのは、必ずそこには医療的ケアの子供がどんどん入ってくるんですから、だから、一つ学級学級そのものも医療の方にどう考えるかという問題にまで入るんだと僕は思うんです。  だから、今の条件に近いようなことで小中学校も変わらずに、大体、ほとんど変わらずに皆やっていったらやっぱりどこかで無理が生じるだろうと。抜本的に、やっぱり教育の問題というのはもう一度子供一人一人のニーズに本当に対応するときにはどうだかということで考えて大人を配置しないといかぬという、私はもう固い信念ぐらいまでになっております。  以上でございます。
  42. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 まだ時間ありますから、一分ずつで。
  43. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 根本的な教育制度の組替えをすることによって、条件整備の仕方はいかようにも工夫できると私は思っています。今の枠組みだとやはり追加を取るしかない、もっと違う根本的な議論が必要じゃないかと考えています。
  44. 山岡修

    参考人山岡修君) ただ人数を増やせばいいということではなくて、恐らく、私民間企業に勤めているんですが、ここ十年ぐらい、人数は増えない、予算は減らされる、でも売上げ上げろという世界で生きておりますので、工夫ができるんじゃないかというふうに思っております。
  45. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 どうもありがとうございました。
  46. 山下栄一

    ○山下栄一君 今日は四人の参考人先生方、本当に貴重な、短い時間の中でございますけれども、御意見賜りまして、感謝申し上げております。  正に教育を受けているなという感じがするわけですけれども、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  条件整備の面で、理念は分かったと。しかし、特に人的な、専門性を持った人の配置、施設整備もあるわけですけど、特にこの人的な配置の面での抜本的な取組がないとなかなか理念はあっても進んでいかないということは審議の中でも、今日の御意見ちょうだいしても実感しておるわけですけれども、今、山岡参考人もおっしゃいましたが、限られた財政の中で、限られているけれども、余りにもこの分野における予算の配分の優先順位が低過ぎたのではないかという、こういうことは指摘できると思いますし、特別枠をつくってでも、一般歳出の全体的な削減の中で、これは違うんだという、そういう取組が国においても自治体においても必要な、そういう時代なんだということを今回の法律の理念転換は示そうとしているというふうにとらえたいわけですけれども。  私は、これは国民の支持がないとこの特別支援教育というのは進んでいかないと。先ほどからも教えていただいておりますように、世界的な人権の保障の流れからこの部分はエアポケットのように後れておるんではないかということを私も実感しております。  その国民的な支持を広げるために、この特別支援教育というのは学校を中心にやっておるわけですが、様々な連携が特に大事な分野ではないかと。教員免許の観点も大事なんですけど、地域に様々な、NPOも含めまして人材がいらっしゃると。それをやはり地域ぐるみで特別支援教育を支えていくんだという、そういう流れが必要であろうと。  そういう意味で、私はこの特別支援教育コーディネーターというのは非常に大事な役割ではないかと。これは特別支援学校だけじゃございません。一般の、一般といいますか、通常学校でもそうだというふうに思います。  このコーディネーターが問われる、要求される能力というのは、私は教員免許がなかったらいかぬというものでもないんではないかと。学校においても校内委員会をつくっていく必要あると思いますけれども、そのかぎを握るキーマンとしてのコーディネーターというのは、地域のことがよく分かってなきゃ駄目だと。そして、福祉との連携、医療との連携、場合によっては就労支援の、労働との連携、そういうことをよく分かった上で、そして、なおかつ保護者や生徒の気持ちもよく分かると、それは教員免許が必要なのかと。まああった方がいいかも分かりませんけど。そういう観点からのコーディネーターのとらえ方も必要ではないかというふうに思っておるわけです。様々な経験がだけど大事だと。御自分のお子さん、また身内でそういう方がいらっしゃったというふうなことも含めて、こういうコーディネーターの位置付けをちょっとやはり重視して、どんな人がふさわしいかということはいろんな議論があっていいのではないかと、こういうふうに考えておるわけです。これが一点です。  もう一つは、地域の連携という意味で、教員OBや福祉施設での御経験ある方、場合によっては看護師、保健師のOBの方も含めまして、こういう特別支援教育における地域の人材、まあ支援員と言ってもいいのかも分かりませんけど、教員サポーターといいますか、そういう方々を登録して、そういう方々に応援していただくと。特に発達障害対応のためにはこういうことが特に必要ではないかというふうに思うわけですけれども、この二点、それぞれの参考人の皆さんに御意見ちょうだいしたいと思います。
  47. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) じゃ、大南参考人から。
  48. 大南英明

    参考人大南英明君) 今、先生が二点についてお話しになったわけですが、これまで特別支援教育の中で考えてきているコーディネーターというのは、学校小学校中学校あるいは盲・聾・養護学校で一体、学校から地域なり関係機関に発信をしていく、そのまとめ役を考えてきたわけですが、今御指摘のように、地域の中で医療、福祉、保健、労働等に非常に造詣の深い方がコーディネーターとしておられれば、その方と学校とがうまく連携を取っていけばまさしく地域ぐるみのことができるんではないだろうか。  この考え方の一つとしては、東京都の検討委員会が出しました報告の中では、エリアネットワーク構想というのがございます。東京都を十幾つかのエリアに分けて、その中で教育と福祉と医療、保健が連携をしていく。ただ、これ教育委員会が出しているものですので、先生が御指摘のような形のコーディネーターではなくて、やはり学校の中にいるコーディネーターが外へ向かってということでございますが、その逆の立場が当然あっても大変学校としては喜ばしいことだし、特別支援教育の推進には役立つんではないかというふうに思います。
  49. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 国民的な支持を広げるためにということを最初におっしゃいましたが、そのことについては、まず私は、だからこそ子供同士が一緒に学び育つという関係をつくった方が、そこから共生社会が広がっていくというふうに思いますので、是非、早くからそういう育ちの場を設定することは大事だろうと思います。  もう一つは、やはり高齢化社会と言われる中で、私たち自身が様々な障害を持つようになってまいります。私たち自身の問題としてこれをどう考えるんだということを問題提起していく必要があるんじゃないかと思います。  御指摘の点ですが、私はやっぱり学校の中のコーディネーターは、障害がある子供の姿と、その子供と周りの子供たちの人間関係、それから学級の様子などを知った上で、なおかつどういう手だてが必要かということを考えるとしますと、やはり私は教員免許が必要だろうというふうに考えております。  それから、最後におっしゃいました地域支援員、これは従来、これまでも様々な形で開かれた学校づくりという中でやられておりますので、その充実発展をしていく中に入っていけばいいのではないかと判断しております。
  50. 三浦和

    参考人三浦和君) ただいまのところと同じなんですが、地域支援人材をつくっていくということは大変大事だと思う。  二、三日前に、ちょっとあれですが、銀行の方で、要するに、私立学校に助成をする銀行がありまして、そこに委員として出たんですが、その方、定年を迎えたら必ず学校子供たちのためにやるんだということを楽しみにしているということ、そういうように登録制、そういう方々が一杯いるんだな、最近はいるんだなと、この団塊の世代の方は。だから、登録制か何かでもってどんどんそういう開拓を一方で、学校の先生になるとかなんとかじゃなくてやることが必要だと思うんです。そういう人材をNPOの方々がやっていけば、どんどん増えるんじゃないかと。  それからもう一つは、やっぱりコーディネーターのところ、私ちょっと迷うのは、確かにいわゆる会社の方でいろいろと営業をなさった方などはこういうところについては非常にうまい方が一杯いると思うんです。ただ、教育世界というのは、教育のそのほかの担任の先生方との連動で一体どういうことを、うまくいろんなことをやっちゃったからその人がいいというふうにはなりにくい。どうもその学校一つの特異なる言わば姿があるんですね。ああ、だからそこがちょっと心配ですけれども。でも、そういう開拓もできれば。  以上でございます。
  51. 山岡修

    参考人山岡修君) 大変いい御質問をいただきまして。この子供たちの場合、教育だけではないということですね、福祉、就労、医療ということで。  実は文部科学省平成十五年から特別支援教育体制推進事業を行っておりまして、十七年度からは厚生労働省が発達障害支援の事業をやっております。これが多少連携が取れておりまして、いずれも地域での、厚労省の方も発達障害支援コーディネーターのような相談員のようなものをつくろうということを考えております。  それから、厚労省の方では、三、四年前から発達障害支援センターといいまして、各都道府県に一か所ぐらい地区をつくろうとしていまして、こういったような、一つの省庁だけでなくて、文部科学省、厚生労働省、いろんな省庁が重なってこういった支援の体制をつくっていくことが大事だというふうに思っております。
  52. 山下栄一

    ○山下栄一君 教員免許の件ですけども、教員の資質向上が叫ばれておるわけですけど、私は、教育実習なんですが、これは別に特別支援学校教員免許だけじゃなくて、基本的に教員免許を取る場合に、こういう障害を持っておられる方に対する理解を、教員になる人がやはり基本的に現場で経験があった方がいいのではないかと。限られた単位数の中ではあるんですけど、私は、教育実習というのがますます重要な時代になってきている、現場における臨床的なことを抜きに教員免許というようなことはなかなか難しい、そういう時代じゃないのかなというふうに思っておりまして、この教育実習の在り方ということも教員免許制度そのものの中でちょっととらえ方を大幅に拡充するようなことで考えるべきではないかなというふうに思っております。  教育実習の場が、もちろん通常学校でも発達障害の方もいらっしゃるでしょうし、特別支援学級もあるでしょうし、通級指導もやっておられる、また養護学校等のそういう特別支援学校でもいい、場合によっては、先ほど山岡さんがおっしゃったように発達障害支援センターでそういう経験を、教員免許の、教育実習という形がいいかどうか分かりませんけど、経験してみると。場合によったら作業所等に経験をすることも踏まえて教員免許も考えるというふうなことも非常に大事な時代になってきたのではないかというふうに考えておりまして、ちょっともう時間がなくなってしまいましたですけど、大学の先生どちらかと三浦先生にお願いしたいと思います。
  53. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) どちらに、大南先生ですか。
  54. 山下栄一

    ○山下栄一君 大南先生で。
  55. 大南英明

    参考人大南英明君) 教育実習の期間については、現在、教育職員免許法で決まっておりますが、例えば私が今勤めております大学では、二年生の時期から八王子市等の市の教育委員会学校インターンシップという契約を結んでおります。それで、一週間に一回なり二回、曜日を決めて小学校中学校へ出掛けていく、あるいはその中にいる障害のある子供支援をするとか、そういう教育実習プラスアルファの部分でやっておりますが、今の御指摘の点は是非今後の教員養成の審議の中で取り上げられると大変うれしいことだというふうに思います。
  56. 三浦和

    参考人三浦和君) 教育実習の期間と機会というのは大変大事であるということ、今、同感でございます。この期間と機会というのが、今はっきりとした、明快な形で教育実習やってない。教育実習の期間になったからという、いわゆる機会も期間も本人がどうだというよりも、これをやらないと免許状取れないからというような感じになってしまう。ただ、一方では、大学、私も教えたことは随分あるんですけれども、その教育実習やった後、学生は一生懸命勉強する。気持ちが全然違っちゃうんですね。そこで、やっぱり教育実習はもう少し長いともっと目覚めるだろうと。  それからもう一つは、昔、私は師範学校出なもんですから、半年以上教育実習なんです。本科三年というのは、もうほとんど行って、来たらあと免状もらって行くという、その代わり、子供と接して自分が今まで勉強したことがそこで、あっ、足りないなということが分かるんです。だから、これは今のはしようがないけど、四年間でよくまあ免許状を渡せるなと思って感心しているんですけどね。  以上でございます。
  57. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日はどうも参考人の皆さん、ありがとうございます。  最初に大南参考人にお聞きをいたします。  今日は各委員から、やはり教員の人的体制なしにこの課題が進まないんじゃないかということが出されておりますし、先ほどもお話がありました。それで、大南参考人中教審特別支援教育特別委員会にも所属をされていたわけで、当然その議論の過程では、教員定員の配置というものは言わば前提としての議論があったんではないかと思うんですが、その辺の経過と、結果として十分な配置がされてなかったことへの御意見、それから、先ほどは特別支援学校のいわゆるセンター機能についての人的配置の必要性を述べられましたけども、いわゆる特別支援教育、小中学校等における、ここでの人的配置の必要性についてはどういうことをお考えか、まずお聞きしたいと思います。
  58. 大南英明

    参考人大南英明君) まず第一点目の人的な配置を含めた条件整備の件でございますが、これは、審議の過程の中では話としては出てまいりまして、現在こういう状況なので、これを更に進めるためにはこれぐらい人数は、具体的な人数は出ておりませんけれども、より多くの人的な配置が必要であろうという話は出ておりましたが、最終的には、条件整備答申の中に入れるというのはどうもふさわしくはないだろうということで、今回の答申の中には出てないわけです。  それから、二点目の特別支援学級特別支援教室への人的な配置でございますが、まず特別支援教室が目指すところでいきますと、先ほど山岡参考人が図を出されておりましたが、一週一時間程度から二十八時間程度まで非常に幅のある教室を用意をしていかなければならない。としますと、一つは現在の特殊学級に配置をされている教員プラスアルファぐらいのところで教員が配置されることが必要だろうと。今一学級八人で一人の教員しか配置されていませんので、複数の学級で複数人配置をされるようなことが考えられる。  それから、通級による指導が現在行われておりますが、これも人数がかなり多いところで、一人の教員がかなりの人数を負担しなければならないということがあるわけです。それから、東京のように交通機関が発達しているところでは児童生徒が移動してまいります通級による指導というのは可能なんですが、交通機関が発達をしていない、人口の集約していない地域では、むしろ児童生徒が動くんではなくて教員が動く巡回による指導、訪問教育とは違うんですけれども、児童生徒学校にいて教員が動く、これに対して新たに教員を付けていくことが私は必要なんではないだろうかというふうに思っております。
  59. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございます。  次に、山岡参考人三浦参考人にお聞きをいたします。  先日、NPO法人の大人のADD&ADHDの会というのがアンケート発表されていたのを非常に興味深く読んだんですが、既に大人になられているADHD等の方なんですが、学校に通うのがつらいと感じたことがあるかということに八四%の方がそう答えられ、そのときに先生は理解してくれましたかというのには、九二%が理解してくれなかったと、こういうふうに答えておられまして、先生の理解がちょっとしたことでもあれば随分違うんじゃないかなということはここからも見て取れるんです。  同時に、これで興味深かったのは、ADHD等の診断を、要するに気付いてから、それから診断を受けるまでの期間が平均で四十一・四か月ですから、三年以上掛かっているんですね。この人たちは既に一定の年齢になっていますから、今とは少し状況は違うのかもしれませんけれども、なかなか親が認めたくない、本人も認めたくないとさっきお話ありましたけれども、そういうことも少し表しているんじゃないかなという気がしております。  一方、今回そういう人たちをきちっと位置付けるということでの前進はあるわけですが、これも全国LD親の会が二〇〇四年十月に出されたいろんなのを見ていますと、プライバシーへの配慮がないと。懇談会で保護者の承諾なしに先生が子供の診断名を出してほかの親に子供の話をされてしまったというような苦情といいますか、出ております。ですから、特別な配慮はしてほしいけれども、ほかの親や子供に知られたくないという、こういうお気持ちもここにはあるんだろうと思うんですね。  ですから、今回、LDADHD子供たちに特別な支援をする場合に、それを言わば知られるということも出てくるわけですね。これは根本的にはやっぱりいろんな社会認識が上がらなくちゃいけないという土台はあると思うんですが、しかしそれを待つわけにはいかないわけで、うまくこのことが機能していく上で、親の側、そして学校の側で具体的配慮をしたりする点で何が必要かということをそれぞれからちょっとお聞きしたいと思います。
  60. 山岡修

    参考人山岡修君) まずは、おっしゃったとおり、先生が理解できない。例えば忘れ物が多いとか、それからだらしないとか、授業に集中できないとかいうところの背景にADHDがあったりするわけですけれども、その背景にあることが分からないので、ふざけているんだとか、辛抱が足りない、家庭のしつけが悪いということに、誤解を受けるわけです。そうすると、先生は立たせるとか叱責に入って、かえって逆効果になってしまうと。まずは先生がそういったものが背景にあってそういうふうなことになってしまうということを理解してあげること。  それと、今おっしゃったように、クラスの中で、例えば目が悪ければ眼鏡掛けるじゃないか、あるいは背が低ければ台に上がって物を取るじゃないかと、それと同じなんだよと。要するに、この子供たちは、今は学校の先生はすべての子に同じように手を掛けることが公平と言っていますけれども、そうではなくて、必要な子にはちょっと手を掛けてあげる、それこそが公平なんだということで、クラスの中でもそういういろんな違いのある子がいるということがあって当然だし、そういう子に必要であれば助けてあげようねというような雰囲気をつくっていくことが大事だと思います。  それから、学校の中で、保護者も実は認めたがらないことが非常に多くあります。そこのところが非常に難しいんですけれども、今おっしゃったとおり、社会全体での理解というのを高めながら、並行して進めていくしかないなというふうに私は思っています。
  61. 三浦和

    参考人三浦和君) 子供と会うとき、あるいは子供と話をするとき、子供の目の高さに合わせることということがよく言われますね。教師と子供との関係も密度の濃い形でどうつながるかということの姿形というのがやっぱりあると思うんですね。それと似たように、親御さんと、今度は親御さんとの理解者であろうとする人たちがどのような形で接触するかというのも大変大事なことで、これなんかもやっぱり、丁寧な言葉ばっかりお互いに使っていると丁寧な形でしか付き合えないと。ぞんざいな形がいいかどうかはこれも別ですけれども、いずれにしても、何といいますか、同じ目の高さ、同じ心の高さというか、同じ気持ちという、そういう共有する場がどうであるか。  それから、どんなことをお互いに経験したか、特に経験の仕方というのは私はとても大事だと思うんですね。あなたと似たような経験を私もどこかでしていますということが言い切れるか言い切れないかによって親御さんとの関係は成り立つと思う。全く知らない人とはつながらないと、こういう形。私はそんな気持ちで、分かったような分からないような言い方しましたけど、分かってください。  以上でございます。
  62. 井上哲士

    ○井上哲士君 分かりました。  次に、嶺井参考人にお聞きをいたしますが、最初のお話の中で、今回LDADHD等を支援対象として位置付けたけれども、まだまだ範囲が狭いではないかというお話があったかと思います。  諸外国のいろんな施策とも比較しまして、さっきもありましたように、すべての子供に、教育というものは一人一人ニーズに合ったものにするというのは必要なんですが、特に今回のことで言いますと、まずはここまでは広げるべきだというようなことが諸外国との関係も含めましてありましたら、お話しいただきたいと思います。
  63. 嶺井正也

    参考人嶺井正也君) 障害の種類とか程度とかいう問題よりも、私が申し上げましたのは、先ほどもありましたように、地域の学校で、兄弟と一緒に入りたいという子供たちがいろんな形で学校に入っているわけですね。その中には身体障害の子もいれば、発達障害の子もいれば、知的障害の子もいると思うんです。そういう願いが受け止められるような通常学級のシステムにしてほしいということが基本でありまして、こういう障害があるから特別支援教育が必要なんだということではなくて、基本的に場を共通する中に手だてを受ける、そういう要求があったときにこたえるような柔軟なシステムにしていただきたいというのが私の基本的な願いです。
  64. 井上哲士

    ○井上哲士君 次に、大南参考人三浦参考人にお聞きをいたしますが、特別支援学校でどういう教育課程を今後していくのか、構築をされていくわけですが、私も京都市がやっている総合養護学校なども見てきたわけですけれども、既に個別指導計画というのも作られ、そして障害の種別の違う子供たちをグルーピングをしまして、クラスとは別に授業はグルーピングでいろいろやるということがやられておりました。それはそれで必要だと思うんですが、ただ、場合によっては、どうも担任の先生がいても週のうち半分も授業を見ないというようなこともあるようなことがありまして、結果として一人一人の発達をトータルにきちっと見るということがおろそかになるんじゃないかというような声も先生方からはお聞きをしたわけですけれども、そういう今後の教育課程の在り方についてどうお考えか。  あわせて、その個別指導計画も、幾つか聞きますと、長期目標、短期目標というのがあるんですが、短期目標の中で具体的に分かりやすいことが余りにも強調されて、どうも総合的な発達がおろそかになるんじゃないかと、こういう声もお聞きしたんですが、その辺の今後求められる教育課程の在り方等について御意見をお聞きしたいと思います。
  65. 大南英明

    参考人大南英明君) まず第一点ですが、学年にもよると思うんですが、低学年のうちはできるだけ特定の教員が特定の子供にかかわる時間を多くしていく、学年が進むあるいは発達が進んでいきますとほかの教員のかかわる時間を増やしていくという、こういうことが私は指導基本になっていくんではないかというふうに思います。  そのベースになりますのが、今先生が個別の指導計画というお話をなさいましたが、今後考えられるもっと大きなプランといいますか計画は、個別の支援計画という構想がございます。  これは、障害が分かった時点から学校を卒業した後までの長いスパンで、例えば、大南障害が分かったのが二歳の段階だとすると、まず医療が私の医療の支援計画を作ってまいります。それから、両親が保育所へ入れたとしますと、これで福祉がかかわって私の療育計画を、あるいは保育計画を作る。そして、学齢が近づけば、教育がかかわって、学校へ入った後どうするか。で、学校へ入りますと、今度はそこで個別の教育支援計画。まあ支援計画が変わるわけではなくて教育という言葉が入るわけですが。そして、今度は卒業する時期になりますと、例えば労働関係機関とかかわって、最後に卒業した後、今度は私は労働関係機関の支援を受けながら仕事をしていくという、そういう非常に大きな個別の支援計画、それを基にしながら個別の指導計画が作られていきますと、先生が御心配になっております、例えばコップから水をこぼさず飲むという、本当に具体的で、このことが一体将来の何につながるんだという、先生方心配をお持ちかもしれないんですが、それは私の個別の支援計画の中の日常生活の基本的な動作をマスターするという中のほんの一つであるという、そういうふうな理解ができてきますと、個別の支援計画を基にいい教育ができるんではないかというふうに思います。
  66. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) では、三浦参考人、簡潔にお願いいたします。
  67. 三浦和

    参考人三浦和君) 発達をトータルに見ることができたかどうかという、見てなきゃこれは本当にお粗末の限りだと思いますね。この場合には、やっぱり計画と指導の実際と評価という三つのサイクルをきちんと、その担任の集団がきちんと持っているかどうかにかかわってくると思うんですね。  そういう計画がどれだけできるか、そういう気持ちがどれだけできるかということと、特別支援計画を立てること、あるいは、要するに計画を立てることが、幾ら立派な計画を立てても、それを実際にどの場で、どういう時間帯で、どんなふうな周りの支援も受けながらやるかというのは、そんな指導構造指導そのものの構造をどれだけチームで、チームティーチングといいますけど、その集団の教師がどれだけ練っているか、そういう問題が大変大事なのではないかと。  最近は、そういうところが、どちらかというと、やっぱり大事なのはその教師集団がどれだけ綿密な形で連携を取っているかということが、私も最近現場を離れてよく分からなくなっているんですが、多少その点が不足しているのかなと思ったりもするんですが、いかがなもんなのでしょうか。もう少し今度、もう一度この機会にのぞいてみたいと思います。  ありがとうございます。
  68. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。
  69. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  参考人の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  次回は来る二十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会