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参考人(
門脇功君) このような
機会をいただきましたことに対しまして、心から感謝、御礼を申し上げる次第でございます。
私は、いわゆる現場の者として、この
経営所得安定対策等大綱等への
取組を御紹介申し上げ、そして取り組んでいる中での
課題と思われますことについて述べさせていただきたいと、そのように思っております。
どこの馬の骨が話をするのかということになりますので、私とロケーションについてちょっとお話をさせていただきます。
私
自身は、三・五ヘクタールの水稲を一人で
経営をいたし、耕作をいたしております。農協の
経営管理委員会会長ということを務めさせていただいております。
住所地でございますが、岩手県奥州市、今年二月二十日に広域合併をし発足したほやほやの市でございますが、農協の方は平成十年七月一日に、書いてございますように一市三町一村の広域合併をしました農協でございます。
経営管理
委員会制度の導入は十七年六月二十九日でございまして、役員につきましては、女性二名の
経営管理
委員を含めまして二十六名、それから業務執行役員、いわゆる理事でございますが、五名、監事は六名というふうになっておりまして、職員は五百四十七名、十年の七月合併でございますが、九百数十名の職員から現在こういう職員になってございます。
組合員の数は、団体を含めまして一万八千四百。
販売高につきましてはごらんのとおりでございますが、米が百十億という正に米単作地帯でございます。三年前から販売高二百億を割れてしまっておりまして、その主たる要因は、生産高は伸びておりますが、畜産を除きまして
価格の
下落ということで、どうにもならず、二百億を切っております。
基礎
条件でございますが、下の表にもありますけれども、全国のキャパシティーの中で岩手がありまして、ふるさとはどれぐらいの位置かということで書いてございます。パーセントで書けばよかったなと今思っておりますが。専業
農家、第一種、第二種ございますが、ここの数の合計と組合員数の数、これは戸数でありますし、組合員でありますが、大体組合員と戸数は一致するんでありますけれども、家族組合員等々ございますので、千ほどの違いあるというふうに御理解をいただきたいと思います。
農協自体につきましては、第二次
農業振興計画、「大地に命を・
農業に夢を」を掲げまして、販売を核とした事業運営をするのだということをいわゆるビジョン・ミッション、目標にいたしてございます。
それで、安心、安全も含めまして、売れる
農産物ということを言われるわけでありますが、こうすれば売れるであろうというものについては、これはいわゆる実験の段階といいますか、であろうととらえておりまして、私どもは、今までお世話になっております卸を始め実需者の皆さんから、前年の秋に来年の欲しい、いわゆるいろいろな形、天日干しもあれば、栽培形態、農薬の使用量、いろいろございますが、それらのメニューに基づきまして注文によって作る、そして完売をする、そして米
政策改革大綱にありましたように、売り切って次の年のいわゆる数量配分を少しでも多くいただくという戦略で実はやってきております。米卸等々の需要に基づきまして八十万俵の注文があるわけでありますが、生産調整等々の
関係で七十三、四万俵しか作って納めることができないという。新潟のコシヒカリに次ぐ岩手いわゆるひとめぼれでございますが、
日本穀物検定協会の食味ランキング連続十年の特A評価という地帯でございますので、いいものを
国民、
消費者の皆さんに是非届けたいという思いでありますが、今の制度ではなかなか達成することができないという
条件も
一つございます。
二ページに入りまして、「
集落営農組織等
担い手育成に向けて」でございますが、政経一体、あるいは政経不可分という言葉が以前から使われておりまして、農協は
農業部門の経済の部門だろうというふうに過去から
認識をいたしておりまして、地方自治体と一緒になって
農業の
振興、
推進に尽力をしてまいっております。そういう
意味で、今回も一緒になりましていろいろと
施策を進めておりますので、その御一端を御紹介まず申し上げたいというふうに思います。
①でございますけれども、生産調整
支援策と。
水田農業推進協議会、これはいわゆる新しい市ができましたものですから、五市町村の
関係で
水田農業推進協議会が
五つありますので、これを一本化まずしていかないと調整が取れないということで進めておりますし、広域の共補償、市、受益者、
JAによる合同事業の実施をいたしております。
新しく出てきます
産地づくり
対策への
対応も今から取り組まぬといかぬということでおりまして、これらについても手を掛けております。
品目横断的
経営安定
対策への
取組につきましては、出荷用麦、
大豆対象一〇〇%を目標にしたい。これは今年にやっておかないと、いわゆる過去の
作付面積という
要件が出てまいりますので、ですからこの辺は、取れる、取れない、一方には
品質、数量という問題もあるわけでありますけれども、今年度は取りあえず作付けをしないといかぬということで、実は
取組をせざるを得ないという
状況でやっております。
集落ビジョンと整合する
担い手への水稲でございますけれども、これは六〇%程度でございまして、百
集落が今名のりを上げておるという
状況であります。
十八年度においていわゆる生産
条件格差補正
対策交付金該当実績確保につきましては、これは今申し上げました、作っていかなければならないということでありますが、ただ、今現場で思っておりますことは、この過去の実績と
品質、数量、
品質とのバランスがどういうふうに変わるんだろうと、どっちにシフトしていくのか、そのことによってころころ毎年変わっていくのか、この辺が物すごく気になっておるということであります。
それから、
地域づくり啓発運動でありますが、東北
農政局の平野局長さんが突然二回おいでになりまして、いわゆる安定
対策につきまして局長さん自ら一から十まで説明をされまして、何とか
農業者の皆さんに啓発をしてほしいということがございました。
私ども、どうしたらいいか、理論では幾ら言っても、分かったつもりでも分かってもらえないと、もっとストレートに入る方法がないかということで、お配りしておりますが、「なんじょすっぺ、おらほの
集落営農」と、こういうことであります。「なんじょすっぺ」というのは、どうしたらいいだろうというのが「なんじょすっぺ」、「おらほ」というのは自分たちの方という
意味でありますが、これを県内の劇団と提携をしましてやっております。協賛とございますけれども、これは名前だけの協賛でございまして、費用はうん百万農協の持ち出しでやっております。
それから、もちろん県、市町村
関係と一体での
説明会等々は何回となくやってございます。
それから、水路等々の問題等いろいろ入れておりますけれども、うちの方の胆沢平野
土地改良区においては既に、アドプト
協定と申しまして、民間活力の導入をやってございます。
それから、持続性の高いいわゆる
環境負荷軽減のことにつきまして、これはエコファーマー等、当然やっております。
ここに人間性の回復と涵養とありますが、これは食育
基本法の方にも
関係があるかもしれませんけれども、当
委員会等々においては
関係がないかもしれませんが、昨今にぎわしております非常に殺伐とした子供たち等々の事件、事故が多過ぎます。やはり
農村社会という今現在あるところというのは、人間性の回復なり涵養、子育ての場としては絶対
日本人にとって必要なものであろうかと思います。グリーンツーリズム等々ございますが、こららを包括して、もっと実効性のある強力な体制といいますか
仕組みを構築するべきであろうというふうに思っております。
それから、総合力を発揮した相談活動体制でございますけれども、書いてありますとおりに、設置をいたしております。もちろん中央会等々もありますし、県でも派遣をしていただいておりますが、万全の体制をしいておるつもりでございます。
三ページに参りますけれども、さらに、それだけではなかなか進まないということで、
JAのプロパーで運転資金あるいは資本整備資金というものを創設いたしておりまして、一件五百万までと、金利は短プラでございまして、運転資金は一年償還、施設については十年償還というふうにしております。また、新たに信連、農林中金等からも制度が出てまいりました。
それから、物流
改革による新たな生産資材購買
システムということでございまして、これは農協からもう一括、いわゆる新しい
集落営農等々になりますと伝票が一枚になります、
集落からの注文がですね。個人、構成員は何十人あっても、そういうところに一括資材を購入して、どうしても資材を安くしたいという願望が出てまいります。一方においては、組合員であっても、いわゆる組合員というのは出資者であり、農協の運営者であり、利用者であるわけでありますけれども、全国津々浦々自由主義経済、市場原理経済に染まっているといいますか、この中にあっては、そういう組合員であっても農協といえども高きゃ買わないよ、安けりゃ買うという現状でございますものですから、これらに、いわゆる新しく出てくる
集落営農なり法人に対しての便宜を図るということで、倉庫用のハウスを貸し出して一括注文いただいて安く納入するとか、いろいろな
システムを講じております。
最後に生産現場での
課題でございますけれども、いわゆる米
政策改革大綱が出されそうだ、出されるの辺りから、先ほども申し上げました実需者からの注文というのは八十万俵あります。ですから、それをどうやって実需者に
対応するかということで、生産力を上げるしかないということでやっておったわけでありますが、ここに来ていろいろな制約が出てきましたものですから、これをどうやっていったらいいかということが、必ずしもこれが
集落営農なり
法人化されたあるいは特定
農業団体であればきめ細かい
対応ができるということにはなりません、ということを現場としては申し上げたいと思います。
それから、現在の
政策等をツールとしてどう活用するか。いろいろな制度がございます。
農地流動化から始まって、まつわる制度が一杯ありますが、これのどれとどれとどれを組み立てて、どうやったらいいかということについては、物すごい高度な判断が必要、知識と判断が必要であります。これらはやっぱりもっともっと、何といいますか、簡略にあるいはもっと丁寧な御指導をいただけるような
仕組みが必要だというふうに思っております。
それから、一定
規模の確保ということでございますが、中核的
農家と
集落経営体との優良
農地の取り合い、始まっております。いわゆる貸しはがしであります。農協としましては、中核的
農家の方を説得して
集落型の方へという勧めをやっておりますが、正直、これが妥当なのか後で間違ったとなるのか、はっきり決断できないながらも、全体を何とかしようという感覚の中でやっているというのが現状であります。
しかしながら、数年経ずして崩壊のおそれがあるのではないか。やろうとしている、いわゆるこの大変革、
農政の大変革期にジャパン・ドリームということでやろうと、つかもうという勇気ある人というのはほんの一握りです。それから、
条件不利地帯はもう初めからやりませんから。やろうということは相談はします。じゃ、やっぱりこの方がいいねと、バラ色な夢はかきますが、じゃだれがやるのということになると、だれも手を後ろにして踏み込もうとはしません。
ですから、それらこれらで四割は決まります。あとの六割というのは、やはり
日本人の特性かもしれません、あるいは東北人なのかもしれませんが、実際どのようにこの制度、
政策が生かされてくるんだろう、マーケットの方はどういう反応をしてどういう
価格を出してくるんだろう、それに対してまたさらに国はどういうふうな、その辺少し見ないうちはどっちにも行けないね。ですから、相談もビジョンも作るし計画も作ってはいるが、本腰でやろうとしないというのが六割。これが現状なわけであります。
時間になりましたんですが、それからもう
一つですね、⑥でありますけれども、ここのところ、今申し上げましたので、⑦の会計、いわゆる企業会計でというのは何だろうと思われると思いますので、これをお話しして終わりにさせていただきたいと思いますけれども、この企業会計、会計の適正をこれ否定するものではございませんで、いわゆる企業会計ができるようにしなさいということが明示されてございます。そうしますと、家族
経営と違いまして、時間外労働とかいろんなことが出てきた場合に、全部百分の十二だ、百分の二十五だ、これをやっていかなきゃなりません。労働
基準監督署に堪えられるようなすべてのことをやらなきゃなりません。これではとても四町や二十町の
規模で堪えられません。というのが現状であります。
もっと言いたかった次第ですが、話し下手で、時間になりましたので、ここで終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。