○ツルネン
マルテイ君 ありがとうございます。
では、私の方からも、三十六時間の記録も読みましたから、一言それについても私の立場からも話をさせていただきます。
今は
大臣の答弁の中でもありましたように、
一つ話題になったのは、この新
制度がスタートする時点では耕地
面積の大体五割が入るんじゃないか、あるいは
農家数でいえば三割。その試算に対して何回も話題になりましたとき、そのときの
大臣の答弁の中では、それについてこういう言葉も書いてありましたね。その数値は大まかな推定によるものであり、あくまでも幾つかの前提条件を置いて試算したものであるというような答弁もありました。それも強調しました。つまり、それは大きくこれからやり方によっては変わるだろうということ、私もそう
思います。
つまり、今後の時点ではその展開を私たちはだれも、与党も政府も私たち野党の方でもまだまだ読めないということは、それは今日の
審議の中でもたくさん出ていましたね。認定
農業者はこれからまだどのくらい増えるか、あるいは特に
集落営農に
参加する
人たち、あるいはその中ではいろんな特例もありますね。例えば、後で私は問題にしますけれども、
所得特例で
担い手になることも
一つの方法でありますね。こういうのはどうなるか、まだ分からないということですね。
次の
質問に入る前には、今も言いましたように、私の方から
一つ、私はすべてのことを、その前には私たち民主党は、御存じのように、この
法案に、政府案に対して反対の立場ですけれども、やはり私はいつも前向きに現実的に考えていますから、政府案の中にもメリットももちろんあります。そして、民主党の案の中でもそうです。
一つのメリットといえば、私から見れば、非常に
日本の
農業のこれからに対する高い目標を立てているということですね、高過ぎるということもありますけれども。やはり
農業再生に挑戦できるという
一つの夢が与えられているということ、政府は大志を抱いているというふうにも言えるんじゃないかなと
思いますね。これは確かにもし本当にそのとおりになれば、これは大きなものであります。夢を持つことは決して悪くないんですね。
しかし、デメリットも二つだけ、たくさん私たちはここでも
指摘していますし、これからも私は
指摘しますけれども、衆議院の
審議を聞いてから、デメリットは二つ、欠点というか、二つ言えば、
一つは、何回も問題になっているのはいわゆる
担い手だけが
参加できる夢というか挑戦ですね、ほかの、そこから外れている
人たちはこの夢に
参加できないということは大きな欠点であります。
それで、もう
一つは、画期的な
改革と言っていても、実際には、いわゆるゲタ
対策の
対象となる
品目は四つだけであって、そして、今までのその四つの
品目に、作物に対して国の方からも
支援もあったということですね。しかしそれでも、
支援があったにもかかわらず
生産がほとんど増えていないということもあります。だから、そういう
意味でこれはそんなに画期的なことではない。もちろん、前から準備された
一つの
対策ではありますけれども。
だから、恐らく政府が考えている、これは私の推定ではありますけれども、この今度の新
制度のねらいは、もっと
徹底的に
農地を
担い手、つまり認定
農業者とか
集落営農とか、そういう
人たちに集積して、そして国際化や高齢化の進展に備えることであるということ。しかし、果たして、この政府のシナリオのとおりになるのか、もちろん分からないということですね。
しかし、少しずつはこれは一般の農民の中でも浸透されているということの幾つかの兆しもある。さっきは同僚の
議員もこの新聞のアンケートも引用しましたけれども、例えばこの新聞の中には、別な
質問に対するアンケートでは、この
担い手限定をどう思っているか、非常に限られた人数ですけれども、その
質問に対しては適切又はやむを得ないとするいわゆる肯定的な回答は五五%あった、まあようやく半分を超えたという、やむを得ないという人も入れてですね、もちろんこれは北海道とかいろんなところで差がたくさんありますけれども、平均としては五五%。しかし、反面、その中では納得できないのも三割まだあるということですね。
本当にもしこの新
制度が成功すれば、確かに
改革にはなります。しかし、軌道に乗るまでにはかなりの時間が必要であると私も
思います。その間、恐らく大変な混乱が
農業関係者の中で起きると私も懸念しています。まさしく小泉総理がよく言う、痛みを伴う
改革にはこれもなるんじゃないかなと私は思っています。あるいは、達成しないうちに
日本農業が崩壊してしまう、そのような懸念をしているのは私だけではない、与党の
質問の中でもそのような懸念があったと私は
思います。
さらに、民主党の案のメリットは、これももちろん幾つもあります。それに一緒に私もかかわっていますけれども、その中で一番大きなのは、私たちは、この政府案と大きな違いというのは、言うまでもなく、小
規模農家も
兼業農家も
日本農業の再生に、その夢に
参加できる
制度になっているということですね。あるいは、
食料自給率に関しても、政府が十年間で四五%、民主党は五〇%、将来的には六〇%。これについても私は具体的な、民主党はどういう形でそういうふうに上げることができるかも、ちょっと後でそれも触れますけれども、しかし、これも
一つの目標、夢である。
しかし、マスコミでも皆さんの、あるいは
大臣の耳にも入っていると
思いますけど、私たち民主党の小沢代表が、この
食料自給率に対しては五〇%とか六〇%とかそんなことじゃなくて、一〇〇%にしましょうというふうな発言もしているんですけれども、しかしそのような夢を恐らく皆さんがこれは不可能じゃないか、しかし私はやはり夢があってもいいんじゃないかなと
思いますから、そこまですぐ達成できなくてもということです。
話がそこからちょっと先へ進みますけれども、私の
日本農業に対する夢、夢というか実現したい願いというのは、何回もこの場でも私は話したことがありますけれども、有機
農業を
日本の
農業の軸に持ち上げること、これも多くの人は、まさしく本当にそんなことになるかと思っているかもしれません、今は一%ぐらいの程度ですから。
しかし、本当に可能かどうかというのを、
一つの確かめる方法としては、前から知っていたキューバという国では、世界で今有機
農業は一番進んでいるという国がありますから、私たちはゴールデンウイークにそこに視察に行きました。有機
農業の視察に行きました。
その視察に対する、ちょっと五分、六分ぐらい、ここではどういうことを私たちはそこで発見しましたかというのを報告しますから、後でそれに対して
大臣のコメントを求めます。有機
農業の
理解者でもあると私は見ていますから、このキューバのことはどの程度
日本では参考にできるかということについてもちょっとお聞きしたいと思っています。
私たちは十四名で行きました。国会
議員は私を含めて私たち三名だけ、
あとの人は、有機
農業あるいは
日本の
農業の詳しくよく知っている
関係者で行きました。一週間そこで回りました。
向こうでは、
農林水産省というよりも
農業省というのがあります。その
農業省の幹部が、
局長とか
部長たちはずっと最初から終わりまで、まず私たちが見たいところを用意してくれて、そしてずっと最初から終わりまで私たちに付いていってくれました。案内してくれました。だから、向こうは
農業省が一緒にやってくれたものであります。
その中で、私は、キューバのように国を挙げて有機
農業に挑戦すれば、私のこの夢、あるいは私たち有機
農業者、
関係者の夢は決して不可能ではないということを確信しました。
キューバでは、現在は野菜の大半が有機栽培によって栽培されています。九〇%くらいと言われています。
一つの理由は、化学肥料や化学農薬を原則として使っていけないということでもあります。あるいは、手に入らないということもあります。しかし、それでも
生産量は、一ヘクタール当たりは慣行
農業と同じ程度に達成しているということ、全然減っていないということですね。そして、
農業者の
所得も一般公務員よりも高いということはよく言われました。だから、それを誇りを持ってみんなやっているということですね。そして、私たちも見て回っていくときは、この野菜も見掛けも本当に良く、味もすばらしかった。虫にも全然食われてないということ。つまり、農薬なしで農産物が立派に育つことが私も再確認できたということであります。
例えば、その中では、病害虫防除に対して、
日本と同じですけれども、いろんな新しい技術もどんどん発見されていますね。
日本でも使われている天敵昆虫とか、あるいは向こうでよく使われているのは混作栽培、つまり、例えばトマトとレタスの混作とか、ニンジンとキャベツの混作とか、ほかの野菜とヒマワリの混作とか、そこで虫を迷わせるというやり方あるらしいですね。一緒にやるということですね。
あるいは、向こうではよく使われているのはニームという木がありますね。
日本でもこれは少し今販売されているらしいですけれども、このニームの木から作られた天然殺虫剤もあります。これは
日本では認められていないらしいですけれども、これもよく向こうで使われています。あるいは、いろんな微生物を使ってバイオ農薬を使っています。しかし、これは化学農薬ではないんですね。
日本でも今は有機栽培には幾つかのこういう微生物農薬も認められているということでもあります。そして、向こうでは肥料としては、もちろんこれはすべては有機肥料で、特にコンポストなどで使っているというのはミミズのふんであります。これを非常にたくさん使っているということですね。もちろん、ほかにもふん尿とかも使いますけれども。
とにかく、この一週間の間では、私たちは多くのファームや試験場を見学したときは驚きの連続でありました。つまり、亜熱帯気候のキューバでは有機
農業ができるのなら
日本でもできるはずと私は
思います。
なぜキューバではここまで有機
農業が成功したか、皆様の中でも幾らかそれは耳に入っていると
思います。
つまり、ソビエトが崩壊するまでは、すべての農薬とか化学肥料はソビエトから輸入されましたね。崩壊した後は全部輸入はストップされました。しかし、そこではもう危機に瀕していましたから、だから農薬と化学肥料はないんだから、有機
農業に頼るしかなかったんです。そこで、十年間余りではその危機に瀕した
農業を再生することができたということですね。
残念ながら、
日本の
農業は現在八百種類の農薬に依存していますね。一ヘクタール当たりの農薬使用量は世界一と言われています。私が願っていることは、キューバのように
日本でも何らかの危機によって農薬や化学肥料が使えなくなること、それなら
日本も恐らくキューバよりももっと短い時間で有機
農業に転換できるようになると思っています。
一週間の視察をこんな短くするのは非常に難しいんですけど、これくらいだけでもどういう視察であったか分かったかと
思いますから、これを例えば
日本ではどのようにモデルとしては生かすことできるか、とにかくこれに対する
大臣のコメントをお願いします。