○松下新平君 間違いではないと私も思います。ただ、その後、林野庁の方ではその対応に苦慮されたという話もお伺いしております。
私がここで申し上げたいのは、私はこれは大きく二つの罪があると思っております。
一つは、あたかも
日本の
農業は
輸出でもうかっているんだということであります。現実は、申し上げたように
生産者の方は全くそういった成果は出ていないところもたくさんあります。もう
一つは、大多数が
国内向けの
農産品を提供しているわけでありますけれども、何か
攻めの
農業、
輸出でやっていないところは怠慢していると、そういった何かイメージも植え付けられるわけであります。
加治屋委員は、その
予算委員会の中で具体的に数字も挙げていらっしゃいます。立木価格、今から二十五年前ですけれども、杉の一立方メートル当たりが二万二千七百円、現在は三千六百円、六分の一であります。何十年もの間、育て上げて、それは下払いとか、いろんな
コストも掛かっております。その丸太の価格どころか、運び出す運賃、手間賃も出ないというのが、この杉、ヒノキでは今現状なわけであります。
それを、この話をすり替える、飛躍させてごまかして、この
日本の
農林業の本当の実態に目を向けない小泉
総理の
姿勢に、私は
農業に携わり、国政に携わる者として憤りを感じております。だからこそ、この
農林水産委員会、そして所管の
中川農林
大臣を始めとして、しっかりこの現状を踏まえていかなければならないと思った次第であります。
そこで、
木材の話をいたしましたので、若干
説明をさせていただきます。
これまでの経緯なんですけれども、
日本は世界有数の
木材輸入国でありまして、米材、南洋材はもちろん、ロシア材、欧州材、そしてアフリカ、南米と、正に世界じゅうの森から大量の
木材を輸入していることで知られています。御存じのように
木材自給率は一八%が現状であります。
拡大造林をした
森林はたくさんあるんですけれども、使われておりません。
森林、この豊かな
森林が残っているということは単純に喜ぶわけにはいかないわけであります。
日本の林業、林
産業を低迷させ、山村
経済にも悪影響を与えております。また、生物多様性の低下や土壌の消失など、
森林環境を悪くしている面もございます。
一方で、今回
輸出先となった中国の方は
木材不足が深刻化しておりました。元々中国は
森林が豊かな国ではなかったわけですけれども、今後見込まれる北京オリンピック、上海万博などの開催が建設需要を高めると予測されています。しかし、水源地に当たる奥地の
森林伐採が進んだ結果、大水害が発生しております。約二億三千万人が被災したとされるのは一九九八年の長江でありました。これを機に、中国政府は天然林の伐採を全面的に禁止したわけであります。そして、外材の導入に大々的に踏み切って、輸入という
意味では
日本を抜いて実質的に世界一に躍り出たわけであります。それにまた
日本は目を付けて
輸出をしようという試みをしたのがちょうど三年少し前でございます。二〇〇三年十月が本格的な
日本木材の中国
輸出がスタートした年であります。
やはり、これは宮崎の事例でしたけれども、この
貿易のトラブルというのはいろんなところで出ておりました。想定外の問題が次々と発生しております。この積荷の要領が分かっていなくて、傷が付いたり、ちょうど夏に伐採したものは含水率が高いわけでございますけれども、いろいろカビが発生したり、虫食いが発生したり、いろいろトラブルも出ております。また、中国の機械、これがなかなか充実しておりませんで、製材ということでは商品にならなかったという話も聞いております。
これは
一つの例を引き合いに出しました。中国側からはもうどんどん
輸出してほしいと言われるそうです。でも、その代わり、製材して
日本が引き取ってほしいということであります。いわゆるブーメラン効果ですね。これでは本末転倒なわけであります。一部商社の中には、営利目的のためにそれでも構わないということでそれをされているという話も聞いております。これは、小泉
総理あるいは
日本の農政が目指す
攻めの農政には当たらないと思っておりますので、この現実をしっかり見極めること、これは大切だと思っております。
幸い、川村
林野庁長官は南九州の出身で、宮崎にも生活をされていらっしゃって、そして宮崎のこの在郷のいろんな会合にもお出ましいただいて、南九州の実情もよく把握していらっしゃると思います。地元でもその
期待は大変大きいわけでございます。
質問といいますか、
是非この現状、小泉
総理が使われる悲観的なものからは何も生まれない、それは確かにそうでしょう。しかし、現実の
農業、林業に目を背けては何ら解決はいたしません。今まで先輩たちがいろんな作物ごとにいろいろ工夫して
事業を組み立ててきたのがこの
農業であり、この難しさであるわけです。小泉
総理の言うように、精神論だけで乗り切れたら我々政治家も要らないわけであります。そのことを
是非、川村
林野庁長官、就任されたわけですので、
是非お願いしたいと思っております。