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国井正幸君 麦、大豆についてはこれ九割というのは高い水準だというふうに思うんですが、問題の水稲ですね、これがいまだ五割というのでは非常にちょっと低い感じ率直のところするんですね。
それで、なかなかこの、特に認定
農業者はそれなりにそれでいいと思うんですが、しっかりやってもらって、これからも増やす
努力はしていくわけでありますが、まあそれはそれでいいと。
しかし、現実に
我が国の九割以上がいわゆる兼業農家なんですね、現実に。その大半をどうやってこの政策の対象者にするかということで集落営農というものを率直のところやっているわけですね。この集落営農がなかなか伸びないというところに、特に水稲の五割というものの
原因もあるんじゃないかと私は思うんですよ。この伸びない理由をいろいろ私
どもも今、国会閉会になりまして、地元へ行って聞いてきているんでありますが、どうもやっぱり経理の一元化を含めた実務的な縛りが非常にきついんですね、きつい。
私も実はたまたまこれ見さしてもらって、率直のところ驚いたんですよ。これ六月、今年の六月二十七日付けで経営
局長が各農政
局長、知事、あるいは
関係団体長に出している
品目横断的経営安定対策
実施要領というのがあるんですね、あるんですよ。私
どもが政策的に決めた、あるいはこの
委員会で
議論した中でその経理の一元化という問題が出ていた。
経理の一元化というのはどういうことなのかと。これは農林省がホームページでも公開している、言うならば雪だるまと、これは雪だるまと言うんでしょうな、雪だるまという、これホームページでも公開していますね。ここの
説明の中でも、経理の一元化というのは幾つかの要件、幾つかの要件というか、こういうことなんですね。経理の一元化というのは、集落営農組織名義の口座を設けるということ、口座を設けるという、これは交付金を受け入れる口座を設けると。それから農産物販売名義を集落営農組織とすると、当然販売名義がその集落営農の組織ですから。そして三点目は農産物の販売収入をその口座に入金する。当然その人の名前で出したんだから、集団の名前で出したんだから集団の名前で金が入ってくる、まあそれだけの話ですよと。支出面については特段の条件はありませんと、こう書いてある。
ところが、ところがね、今度こっちでは違うんですよね。言うなら、対象
農業者の要件を満たしていることを証する書類の提出を求めるというふうになっている。それは別紙2というものにあるんだということで、この別紙2というのがある。なので、今度そこへ行って見てみると、その経理の一元化ということになりまして、今度は、
一つは、次の(ア)及び(イ)に掲げる書類というのがありまして、(ア)というのは、当該組織名義の通帳の写しなど、当該組織の代表者名義の口座が設けられており、当該組織名義による農産物の販売収入が当該口座に入金されていることを証する書類。これはまあいいことなんですよ。いいというか、最初から付けられている条件だ。ところが、この(イ)の方が問題である。当該組織の営農等に係る費用、種苗費、肥料費、農薬費などが組織名義により支出されていることを証する書類が付いていなくちゃ駄目だというわけだ。こっちではなくたっていいというわけだ。
結局、実務的には、当初我々に
説明してきていた
中身以上に、実務面のこういう要領とか何かでは縛っちゃっているわけだ。だから、支出面は自由にやっていいよと言っていながらそういうふうになっていないというところが、現場なんかからすると、なかなかこの経理の一元化というのが条件をクリアできないことなんだというわけですよ。
これは、私
どももその政策を決める場に、与党協議の場にもおりましたし、そんなはずはないと、我々はそんなことで決めていないんだと、農林省のホームページの中だってこうやって公開しているではないかと、こう言っている。しかし、そんなこと言ったって、こういう要領が出されてきて、このとおりにやりなされと、こういうことなんだからそうはいかないんですよというわけですよね。
だからやっぱり、実務的な決めをいろいろやられるのは結構だけれ
ども、しっかりやらないと、これは会検も何もあるから、それはやっぱりしっかりやってもらうことは必要なんだが、その実務的な決め方が、最初
決定をしたその大筋を覆すようなことであっては困るんですよ、これは。そうでしょう。
で、なぜ、なぜこの経理の一元化の
部分で、せめてやっぱり交付金をもらう口座ははっきりしてくださいよと、現金でなんかやるわけにはいかないんですよと、口座振り込みなんだから口座をしっかりしなさいよと。そして、一体的にやるんだからそこの集団の名前で農産物は出荷してもらいますよと。当然、そこで出荷するんだから、そのお金は出荷した名義でもって入ってくるんだから、それは受け入れてもらいますよ、そういうことでしっかりこれはやってくださいよ、その他のことは余り細かい決めはしませんよと、こういうふうに決めた。ところが、そういうふうになっていない。
なぜ、じゃそこを決めたのかというと、私も前の
委員会でも
質問をしたと思いますが、やっぱり我々は、これ率直に反省するところは反省しなくちゃならないと思っているんですよ。役所はなかなか認めにくいかもしれないが、昭和四十年代の前半、
全国一斉に共同利用
施設としてのライスセンターができたんですよ、ライスセンター。つくったでしょう。これはカントリーだってパイロット事業でつくったはずなんだ。これつくりましたよ、我が県にもある。当時のライスセンターは三角屋根の大体みんな共通したライスセンターだった。これが見事に、やっぱり率直のところ失敗した、失敗したんですよ。しかし、今やっているライスセンターやカントリーは、私は率直のところ成功していると思っているんです。
考え方は、考え方は同じなんですよ、機械化貧乏にならない、共同で利用することによって効率的な生産を上げよう。着眼点は同じ。しかし、片っ方は失敗した、片っ方は成功している。何が違うんだ、何が違うのと。この教訓をしっかり生かすべきだということを私はこの
品目横断的な政策を決める段階でも
主張したつもりなんですよ。特に与党の自民党の政務
調査会の中でもね。
これは言うならば、なぜ四十年代の共同利用
施設が失敗したかというのは、荷受けが十分じゃなかったんですね。いいものを作って持ってきた人と、例えば倒伏して芽が出ちゃったようなものを持ってきた人がいる。それが荷受けが混じっちゃったんですよ。今はそれが、貯留瓶が一杯設けて、いいものはいいもの、悪いものは悪いもので分けて受け入れるようになった、あるいは水分計だとか何かも随分性能が向上した。だから、いいものを持ってきた人はいいもののような仕切りができるし、悪いものを持ってきたらば悪いもののような仕切りをするし、そこにやっぱり
農業生産現場における公平性というものが確保されてきたので信頼というのが培われて、持っていっても大丈夫だということで今は成功している。当時は、おれが一生懸命
努力して作ったやつがあんなやつと混ぜられて、結局仕切りで金になったときには安くなったんじゃないかと、そんなことできるかということでみんな失敗したんですよ。これは、農村の現場へ行けばそんなことは分かることなんです。
だから、ここでいわゆる経理の一元化といっても、お互いのその集落営農の中で何年間かやっている中で、お互いに
信頼関係を醸成していって、ああこれでいけるねというところに来たときに、やっぱり経理の一元化に向けて
一つ一つ積み上げていけばいいんであって、最初から全部懐を一緒にするがごときやっていったら、とてもとてもこの集落営農は立ち上がらぬということなんですよ。
だから、集団名義で農産物を出荷しても、Aさんという人とBさんという人がいる、Cさんもいる。そのとき、Aさんは何ぼのものをどれだけ作った、Bさんは何ぼのものを作ったということで個人別に分かるようにして、そしてその集団の名義でしっかり集めて出荷をすると、そういうことが保障されないと、全部最初から混じってしまうような話でやったらまたこの集落営農は失敗をするから、そういう細かい縛りをやったんでは駄目だということで、これはそういうことにしたはずなんだ。ところが、現実に現場に行く
指導になったらば、今の要領のようなことで、その根幹を覆すような細かい縛りを付けるというのは不届き至極の話だと思っているんです。
こんなことは許される話ではないので、しっかりこれは、やっぱり今からでもいいから改めてもらわないと、ハードルが高くて、またそういう変な形では
農業者の理解がすぐには得られないから、これはやっぱり政策的に広がりを持てなかったら
意味がないから、これはやっぱり事務方として当初のことと同じようなことを現場に再度これは通達し直す、そういうことをやってもらいたいと思いますが、いかがですか、それは。