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2006-07-20 第164回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年七月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十五日     辞任         補欠選任         野村 哲郎君     小野 清子君  六月十六日     辞任         補欠選任         小野 清子君     野村 哲郎君  七月十九日 辞任         補欠選任      松下 新平君     尾立 源幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 尾立 源幸君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 和田ひろ子君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    副大臣        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 正典君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        農林水産大臣官        房審議官     宮坂  亘君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (米国牛肉輸入問題に関する件)  (WTO農業交渉に関する件)     ─────────────
  2. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、松下新平君が委員辞任され、その補欠として尾立源幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩城光英

  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 農林水産に関する調査のうち、米国牛肉輸入問題に関する件及びWTO農業交渉に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。中川農林水産大臣
  6. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  委員長始め委員各位におかれましては、日ごろから農林水産行政の推進に格段の御理解と御指導をいただき、厚く御礼申し上げます。委員会の冒頭にお時間をいただきまして、初めに米国牛肉輸入問題につきまして発言させていただきたいと思います。  米国牛肉につきましては、食品安全委員会における科学的な評価を踏まえ、昨年十二月十二日に輸入再開決定いたしましたが、その後、本年一月二十日に、特定危険部位である脊柱を含む米国子牛肉が発見されたことから、米国牛肉輸入手続を停止したところであります。  政府といたしましては、この事態を受けて、これまで米国政府に対して徹底した原因究明再発防止策を求めるとともに、消費者等への説明を行ってまいりました。  具体的には、二月に米国農務省から我が国に対し提出があった報告書の精査結果を踏まえ、三月に日米専門家会合を開催し、その結果等について四月に全国十か所で消費者等との意見交換会実施いたしました。その後、米国側実施した対日輸出承認施設の再調査結果等について、五月に日米専門家会合を開催し、その結果等について、先月、再度、全国十か所で消費者等との意見交換会実施するなど、実務的な作業一つ一つ進めてきたところであります。  こうした過程を経て、先月二十日及び二十一日に開催された日米局長級テレビ会合において、輸入手続再開に向けて日米両国が講じる措置につきまして日米間で認識を共有するに至ったところであります。  その主な内容は、米国側は検査官に対する研修等の義務付けや抜き打ち査察実施などの改善措置を講じること、日本側は対日出荷再開前の現地調査実施輸入時の検査の強化、米国側による抜き打ち査察への同行等措置を講じることなどとなっております。  これを受けて、厚生労働省及び農林水産省は、六月二十四日から七月二十三日までの日程で、米国の対日輸出認定施設、三十五施設現地調査実施しているところであります。  政府といたしましては、この現地調査の結果を踏まえ、先般の局長級テレビ会合認識が共有された手続に従い、国民の食の安全、安心の確保を大前提に適切に対応してまいりたいと考えております。  続きまして、WTO交渉について御報告申し上げます。  WTO交渉につきましては、農業、非農産品、サービス、ルール等の各交渉分野で一括して合意を行う方式の下、本年中にこれらの交渉を終結させることを目指して、各種会合が重ねられているところであります。  このような中、私は、まず、先月の二十六日から七月四日まで、二階経済産業大臣とともにジュネーブに出張し、WTO閣僚級会合等出席してまいりました。  そこでは、農業及び非農産品関税削減等基本的ルールであるいわゆるモダリティー確立するため、精力的かつ集中的な議論が行われました。  我が国は、各交渉分野間のバランス、また、農業分野においても市場アクセス国内支持及び輸出競争といった三分野間のバランス、さらには、輸出国輸入国の間のバランスがそれぞれ確保されることを基本として対応してまいりました。  また、今回のラウンド開発ラウンドであることを踏まえ、途上国貿易を通じて発展を遂げることができるよう、積極的に交渉参加してきたところであります。  しかしながら、依然として主要国間の見解の隔たりを狭めることができず、モダリティー確立することはできませんでした。このため、ラミーWTO事務局長調整役となり、WTO加盟各国と協議を行うことによってモダリティー確立を促進することとされました。  私も、七月五日には、調整役として来日したラミー事務局長と会談を行い、我が国農業の現状やWTO交渉における主張説明し、それらを踏まえて意見交換を行ったところであります。  また、七月十六日及び十七日に開催されたG8サミットにおいてもWTO交渉について議論が行われ、議長サマリー貿易に関する文書において、今後一か月以内のモダリティー合意を促進するため、すべての国が協調して指導力を発揮し、必要な行動を取るようにすることとされました。  さらに、七月十七日には、ジュネーブにおいて主要国によるG6閣僚会合が開催されましたので、私も二階経済産業大臣とともに参加してまいりました。この会合においては、G8サミットでの議論も踏まえ、G6各国で精力的に議論を行っていくことで合意をしたところであり、七月二十三日から二十四日及び二十八日から二十九日に再度G6閣僚会合を開催することとなりました。  我が国としては、今後のこうしたプロセスにおいても積極的に関与していき、我が国主張ができる限り反映されたモダリティー確立され、今回のラウンドが成功裏に終結するよう、最大限の努力を注いでまいりたいと考えております。
  7. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 以上で政府からの報告聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 国井正幸

    国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  若干の時間、特にWTO関係、それから品目横断対策等について質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、米国牛肉輸入問題についてでありますが、結局、特定危険部位が混じってきたという事実があって今止まっているわけでありますが、これは率直なところ、私はやっぱり、アメリカの現場において事の深刻さを含めてしっかりとやっぱり認識ができてなかったんではないかなというふうに私は思っているんです。だから、結局やるべきことがやられていないということがこういうミスにつながったというふうに思いますので、今回は両国ともにしっかりとそれを検証する方向で今やっていますので、今、大臣お話にありましたように、正に適切に是非これ対処をしてもらいたいと、このように思っておりますので、これは要望しておきたいというふうに思います。  じゃ、質問に入らせていただきますが、ただいまも大臣の方から、WTO農業交渉の結果、さらにはこの一連ラミー事務局長来日の問題やら、あるいは十七日にジュネーブでの関係閣僚会合等が急遽開かれた問題等がありましたが、この中身についてもうちょっと詳しくお聞かせをいただきたいと思っています。  六月二十九日から七月一日まで、御案内のとおり、ジュネーブ閣僚会議があって、大臣も御出席されたようでございます。しかし、そこで残念ながらモダリティー確立には至らなかった、不調になったということでありますが、率直のところ、この要素一つだけとは限らない、複雑な要素が絡んでいるというふうに思いますが、今回の一連のこの交渉でなぜ不調になったのか、その主たる要因というのはどの辺にあるのか、大臣として率直のところどういうふうにお考えなのか、その辺をお聞かせをいただきたいと思います。
  9. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 国井委員の御指摘のような事実関係でございます。  本来、二〇〇一年の十一月にスタートをいたしまして、二〇〇三年の閣僚会合、これがまあ決裂をしたと、次は昨年の香港閣僚会合だということで作業をしてきたところでありますけれども、とりわけ昨年の初め以来、年末に向かってまとめなければと、ただし隔たりはまだ大きいということで、鋭意事務レベルジュネーブレベルあるいは閣僚レベルでもやってきたところでございます。  その間、以前はFIPsと言われる五つの主要国がある意味ではそれぞれの国々グループを代表するということで、とりわけ一昨年の七月のいわゆる枠組み合意、これがまあ大きなベースになったわけでありますけれども、ここは日本の入っていないFIPsという場で実質決められてきたということでございますが、私が経済産業大臣になってから以来、日本世界第二位の経済国家である、農業に関しては世界最大食料輸入国である、そしてまたG10というグループ、あるいは途上国に対する配慮というものを日本はどこの国にも負けない努力をしているわけでありますから、日本を入れないのはおかしいのではないかということで、G6という形で経済産業大臣ともに主要な会合メンバーとして加わることになったわけであります。  そこでの議論を聞いていますと、一つには開発ラウンドだと先ほど申し上げましたが、開発ラウンドといっても、御承知のように、百五十の加盟国のうち、ブラジルや中国といった大国も途上国であり、またシンガポールのような工業国家途上国であって、他方、一日一ドル以下、あるいは一年間の一人頭GDPが二百ドル、三百ドル、しかも輸出できる品目は全輸出量の九十何%を、例えばコーヒーだけに頼るとか、綿花だけに頼るとか、砂糖だけに頼るとかいった国々も一緒くたに途上国というふうになっているという、私はここが非常に大きな問題点だろうと思っているわけでございます。  G6の中で途上国と言われるのはインドブラジルであるわけでありますけれども、まあ果たしてインドブラジルがそういった国々を、もちろん配慮はしていると思いますけれども、真に代表しているかどうかという問題点があるわけでありまして、香港はもう既に当委員会でも御議論いただいて御報告したところでありますが、その中からいわゆる三角形という問題が出てまいりました。御承知のとおり、アメリカ輸出補助金の問題あるいは我々、EU日本、G10のようなマーケットアクセスの問題、それからブラジルインド等が大変かたくなな態度であります工業品途上国削減率の数字の問題というものが三すくみ、三角形になっているわけでありまして、この状況が香港閣僚会合でも、このときにはLDCの無税無枠という問題もありましたけれども、この三角形がずっと昨年来続いていたわけであります。  ここまで来ると相手が一体何を考えているかということはもうお互いに十分分かっているわけでありますけれども、そこを譲歩をするきっかけがなかなかつかめない。日本としても、交渉ですから、百点を取ろうということは、これは極めて難しいわけでありますから、柔軟性を持ってやっていかなければならないとは思っておりますけれども農業に関しましては純輸入国であり、我々はどうやってその市場を開放していくか、しかし守るところは守っていかなければいけないという立場でありますので、まず要求側が譲歩しなければ、我々要求される側がまず、はい、分かりましたと、じゃレベルを下げましょうということにはならないでしょうということでやってきているわけでございますが、四月末のモダリティー確立もできませんでした、六月末もできませんでしたということで、先ほど申し上げたように、ラミーさんに御登場願って、あくまでも農業のファルコナー、あるいはまたNAMAのステファンソンのペーパーをベースにして、そして、ラミーがリードするのではなくて、さっき調整役というふうに申し上げましたが、調整役、あるいは触媒という言葉も使っておりますが、ラミーさんが触媒になって二つのものをうまく新しいものにつくるような役割、あるいは今週月曜日のG6では、ヘルプという言葉も使っておりましたが、合意に向かって努力をするということでやってまいりましたけれども、今週の月曜日においても、短時間で実質的な議論もなく、二十三、二十四、あるいはまたその次の会合をG6でやりましょうということを決めただけでありまして、その間、もちろんラミーさんとのバイ会合、あるいは各国バイ会合、昨日も私、フランスの農業大臣と夜電話お話をいたしましたし、スイスともしょっちゅうやっておりますけれども。  そういった形の中で、まとめたいという意思は各国とも共有しておりますので、文字どおり限られた時間の中で、年内にやらないと、これはある意味で、これが決定的なタイムスケジュールに影響するのかしないのかという議論がありますけれどもアメリカの例の一括交渉権限が来年の七月で切れてしまうということもみんなで念頭に入れながら、とにかく年末に向けて、非常に厳しいタイトなスケジュールではありますけれども貿易が更に拡大をしていく、あるいは途上国プラスになる、真の途上国プラスになるという認識を共有しながら、精力的に、これから毎週私どもジュネーブに出張するということになるわけでございますけれども、当委員会での御議論も踏まえながら、守るところはきちっと守りながら、交渉の成功に向けて貢献していきたいというふうに考えております。
  10. 国井正幸

    国井正幸君 今、大臣からあらあらの話はいただいたわけですが、なかなかこういう委員会という公式な場ですから発言もしにくいところもあるいはあるんかというふうにも思いますが、私も一連報道等をずっと見させていただいておりまして、それぞれ、我が国が属するG10のグループ、あるいはEUだとか、G20ですね、ブラジルインド等の、あるいはアメリカとか、四極の構造があるわけですが、ここの中で、特にアメリカ先進工業国でもあり農業輸出国でもあるわけですね。  そのアメリカ関税削減率ではもう一番大きい削減率提案しているんですよね。九〇%から六五%削減しろという要求を突き付けておる。そういうことを言っていながら、逆に国内の、自分の国の補助金をどこまで削減するかということでの提案では一番低い水準なんですね。だからこれは、言っていることと、人に求める部分とおのれがやる部分と違うじゃないかと、こういうふうに受け止めるのはごくごく当たり前の話だというふうに思うんですね。  ですから、なかなか大臣も、こういう公式の場ですから、どこがどうだったというのはなかなか言いにくい、原因特定、これだけということではない、複雑な要素があるというのは私もよく分かりますし、言いにくい部分があるんかとは思いますが、やっぱりアメリカがどこまで柔軟性を持つかというのが大きな要素なんだろうというふうに思っているんですね。私どもは思いますし、大臣もある意味じゃ共通した認識おありかというふうに思います。  そこで、ラミーが七月五日に来日をされて大臣もお会いになった。さらには、今もお話ありましたように、十七日にも急遽行かれたというふうなことでありますけれども、そのラミーさんが調整役、あるいは触媒というんでしょうかね、そういうことでやってこられたわけでありますが、全部の国を歩けたわけではないというふうに思いますし、当然、今どきですから電話調整している部分等々もあるんかというふうに思いますが。  どうなんでしょうか、今の何かお話を聞くと、急遽行ったんだけれども日程だけは決まったけれども、余り中身は期待できないみたいな話にも受け止めたんでありますが、ラミー調整というのは幾らか率直のところ進んでいるんでしょうか、どうなんでしょうか。その辺は、大臣の感触として、率直のところどのように思いますか。
  11. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回、今週の月曜日、十七日に急遽行ったのは、これはG8サミットで、あるいはG8プラス主要途上国が入った会合等WTOについて議論になりまして、そして、そのG8プラスの方ではラミーさんも、それからインドブラジル、失礼、インドは入ってなかったと思いますが、ブラジル参加をしたと、ほかの途上国参加をしたという中で、WTO、とにかく十二月末までにきちっと終結をするためには現在の調整役としてのラミーさんが更に一生懸命やるようにという議長声明等が出されまして、そして一か月以内にモダリティーを決めるようにということも決定されたわけであります。それを受けてラミーさんが、急遽、じゃ月曜日にやろうと。私も率直に言って、そういう決定ラミーさんがしたということを、すぐでありますけれども、聞いたのが日曜日の夜でございまして、しかしここで日本が行かないということは大事な時期に参加をしないことになりますので、何としても行かなければならないということで、急遽、月曜日の朝ジュネーブに向かって参加をしたわけであります。G8での結果が大きかった、サンクトでの会議の結果が大きかったと思います。  確かに、先ほど申しましたように、内容は一か月しかないと。したがって、六月末の会合でも調整役ラミーとG6とでまず、基本的な三角形は全部G6のメンバーの中の話が中心になるわけでございますので、やれということをWTO貿易交渉委員会決定事項になっておりますので、それを更に加速しなければいけないというラミーさんの提案に対して先ほどのようなスケジュールを決めたわけでございます。まあスケジュールを決めただけではないかというふうに私も思うわけでありますけれども、しかし更に加速をしたと、加速をすることに合意をしたということでは意味があったわけでございますし、その後、その経過についてWTOの中で報告をして、了承されたということもあるわけでございます。  その中でラミーさんが、一連のG6との対話については、成果のあった部分もあるし、まあ今までと同じことを言っているような部分もあると。私も、これはまあ一対一の話ですから、ほかの国あるいはまた一般的に外にお話をすることは、これはラミーさんとの信頼関係においても避けなければいけないとは思っておりますけれども、私どもにも柔軟性はありますと、しかし、例えばアメリカの言っている国内支持は、今、国井委員指摘のように、実質的ではないのではないかとか、あるいはブラジルが言っているNAMA途上国のフォーミュラというのは、まあ私の所管外でございますけれども、少し高過ぎるのではないかとか、あるいは輸出が非常に強い国々がもう少し輸入国に対して配慮をしなければならないのではないかといったことを率直に、もう文字どおり事務方も入れずに一対一で率直に話をした。各国もそうだっただろうということで、それなりにラミーさんとしては、大変頭のいい経験豊富な方でありますから、各国の本音はどの辺にあるのかということを改めて知った、あるいは新たに知ったということでは、ラミーさんはやったことについては決して無駄ではなかったというようなことをおっしゃっておられました。
  12. 国井正幸

    国井正幸君 大変難しい中身を含んでいるというふうに思いますが、是非これまでの我が国の、あるいはG10の主張というものを基調にして、さりとてやっぱり交渉事ですから柔軟性を持つことは当然だというふうに思いますが、しかし我が国主張、あるいはその主張の骨格、これを失わないようにしていただいて、是非交渉を進めていただきたいと、このように思います。  そこで、これWTO交渉がどうなるか。まあ妥結をできるのか、また継続になっていくのか、いろいろあるというふうに思いますが、いずれにしても、はっきりしていることは、これ永久にこの交渉がまとまらないで決裂のままだということはおよそ考えられないわけですよね。いつの日か必ず何らかの動きが出るだろうというふうに思います。それはアメリカ中間選挙の後か先か分かりませんが、いずれにしてもあるだろうというふうに思います。  この一連WTO交渉の中で、我が国から見れば、やはり農業分野からすると関税を削減しろと、あるいはミニマムアクセスを含めたそういう輸入機会を、随分輸入しているとこっちは思っておるわけでありますが、先方からすりゃもっと輸入しろよと、こういうふうな要求が出ていることはこれ事実でありますんで、そのことを念頭に置いて国内対策を取っておくと、そういうことに備えてしっかりしたやっぱり政策のベースを作っておくということが非常に大切だろうというふうに思うんですね。ただ、これ交渉事ですから、そういうことをやると日本はまた別のことをやるんだからもっと譲歩してもいいんじゃないかとかなんとかなるから、これはなかなか難しい部分はあると思いますが、しかしやっぱり、さりとて、だんだん関税は下がってくるんだぞと、市場は開放せざるを得ないんだぞと、そういうことを前提にやっぱり国内の農林政策というものをしっかり立てておかなくちゃならぬのだろうというふうに思うんですね。  そういう中で、今回、先般成立をしたいわゆる品目横断的な経営所得の安定対策というものもそこから出てくるんだろうと、こういうふうに思うわけでございます。で、この経営安定対策がこれ、そういう意味ではどこまで有効になるかと、この政策がですよ。これはやっぱりどの程度対象者が、政策支援の対象者がどの程度の広がりを持つのか、あるいはその支援のレベルがどの程度まで行くのか、これにやっぱり率直のところ懸かっているんだろうというふうに思うんですね。  どんないい政策でも、対象者がごくごく一部で大した影響力がないというんでは、これはやっぱりあんまり意味がないことでありますし、さりとて、いや、対象者は多いよと言ってみても、それが実質的には意味を持たない低い水準であっては、これは何にもならないんだろうというふうに私は思っているわけでございまして、そういう意味で、これ事務方でも結構なんですが、今回の品目横断的な経営安定対策、これは、今の時点でいわゆる認定農業者、担い手あるいは集落営農の立ち上げ等々、いろいろやっているわけですね。これ、予算措置を講じるわけですよ、これからね。概算要求やるわけでしょう。もう、しかも、それの大詰めに来ていると、こういうふうな話聞いているわけでありますが、そのときに、どの程度の広がりを持てるのか、これは予算と直結する話になるというふうに思うんでありますが、面積のカバー率だとか、あるいは農業者数におけるどの程度がこの政策支援の対象になるのか、その辺ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  13. 宮坂亘

    政府参考人宮坂亘君) お尋ねの今回の品目横断的経営安定対策の面積におきますそのシェアでございます。  この点につきましては、近時、大変各地域におきまして担い手育成の機運が高まってきておりまして、現状で既に規模要件、今回の品目横断的経営安定対策の対象としての規模要件を満たすと考えられる個別経営なりそれから受託組織が、それぞれ認定農業者になる、また、あるいは一定の要件を満たす集落営農組織になるという可能性は非常に十分高いというふうに考えております。  このため、推計の方法といたしまして、物理的制約におきます特例を平均的に加味、具体的には、すべての地域の規模要件が一律に八割緩和をされたものと仮定をいたしまして、家族経営等につきましては、田又は畑の経営規模が都府県では三ヘクタール、北海道で八ヘクタール以上の経営体、また集落営農につきましては受託作業面積が十六ヘクタール以上の、作業受託面積が、それぞれ認定農業者なり、また特定農業団体等、一定の要件を満たすような集落営農になるということとの前提を置きまして、昨年、二〇〇五年の農林業センサスに基づきまして試算をしましたところ、現時点におきましてこれらの品目ごとの作付面積に対する割合につきましては、水稲で五割程度、それから麦で九割程度、大豆でも同じく九割程度、てん菜、また、でん粉原料用バレイショにありましてはほぼ十割というふうに推計をいたしているところでございます。
  14. 国井正幸

    国井正幸君 麦、大豆についてはこれ九割というのは高い水準だというふうに思うんですが、問題の水稲ですね、これがいまだ五割というのでは非常にちょっと低い感じ率直のところするんですね。  それで、なかなかこの、特に認定農業者はそれなりにそれでいいと思うんですが、しっかりやってもらって、これからも増やす努力はしていくわけでありますが、まあそれはそれでいいと。  しかし、現実に我が国の九割以上がいわゆる兼業農家なんですね、現実に。その大半をどうやってこの政策の対象者にするかということで集落営農というものを率直のところやっているわけですね。この集落営農がなかなか伸びないというところに、特に水稲の五割というものの原因もあるんじゃないかと私は思うんですよ。この伸びない理由をいろいろ私どもも今、国会閉会になりまして、地元へ行って聞いてきているんでありますが、どうもやっぱり経理の一元化を含めた実務的な縛りが非常にきついんですね、きつい。  私も実はたまたまこれ見さしてもらって、率直のところ驚いたんですよ。これ六月、今年の六月二十七日付けで経営局長が各農政局長、知事、あるいは関係団体長に出している品目横断的経営安定対策実施要領というのがあるんですね、あるんですよ。私どもが政策的に決めた、あるいはこの委員会議論した中でその経理の一元化という問題が出ていた。  経理の一元化というのはどういうことなのかと。これは農林省がホームページでも公開している、言うならば雪だるまと、これは雪だるまと言うんでしょうな、雪だるまという、これホームページでも公開していますね。ここの説明の中でも、経理の一元化というのは幾つかの要件、幾つかの要件というか、こういうことなんですね。経理の一元化というのは、集落営農組織名義の口座を設けるということ、口座を設けるという、これは交付金を受け入れる口座を設けると。それから農産物販売名義を集落営農組織とすると、当然販売名義がその集落営農の組織ですから。そして三点目は農産物の販売収入をその口座に入金する。当然その人の名前で出したんだから、集団の名前で出したんだから集団の名前で金が入ってくる、まあそれだけの話ですよと。支出面については特段の条件はありませんと、こう書いてある。  ところが、ところがね、今度こっちでは違うんですよね。言うなら、対象農業者の要件を満たしていることを証する書類の提出を求めるというふうになっている。それは別紙2というものにあるんだということで、この別紙2というのがある。なので、今度そこへ行って見てみると、その経理の一元化ということになりまして、今度は、一つは、次の(ア)及び(イ)に掲げる書類というのがありまして、(ア)というのは、当該組織名義の通帳の写しなど、当該組織の代表者名義の口座が設けられており、当該組織名義による農産物の販売収入が当該口座に入金されていることを証する書類。これはまあいいことなんですよ。いいというか、最初から付けられている条件だ。ところが、この(イ)の方が問題である。当該組織の営農等に係る費用、種苗費、肥料費、農薬費などが組織名義により支出されていることを証する書類が付いていなくちゃ駄目だというわけだ。こっちではなくたっていいというわけだ。  結局、実務的には、当初我々に説明してきていた中身以上に、実務面のこういう要領とか何かでは縛っちゃっているわけだ。だから、支出面は自由にやっていいよと言っていながらそういうふうになっていないというところが、現場なんかからすると、なかなかこの経理の一元化というのが条件をクリアできないことなんだというわけですよ。  これは、私どももその政策を決める場に、与党協議の場にもおりましたし、そんなはずはないと、我々はそんなことで決めていないんだと、農林省のホームページの中だってこうやって公開しているではないかと、こう言っている。しかし、そんなこと言ったって、こういう要領が出されてきて、このとおりにやりなされと、こういうことなんだからそうはいかないんですよというわけですよね。  だからやっぱり、実務的な決めをいろいろやられるのは結構だけれども、しっかりやらないと、これは会検も何もあるから、それはやっぱりしっかりやってもらうことは必要なんだが、その実務的な決め方が、最初決定をしたその大筋を覆すようなことであっては困るんですよ、これは。そうでしょう。  で、なぜ、なぜこの経理の一元化の部分で、せめてやっぱり交付金をもらう口座ははっきりしてくださいよと、現金でなんかやるわけにはいかないんですよと、口座振り込みなんだから口座をしっかりしなさいよと。そして、一体的にやるんだからそこの集団の名前で農産物は出荷してもらいますよと。当然、そこで出荷するんだから、そのお金は出荷した名義でもって入ってくるんだから、それは受け入れてもらいますよ、そういうことでしっかりこれはやってくださいよ、その他のことは余り細かい決めはしませんよと、こういうふうに決めた。ところが、そういうふうになっていない。  なぜ、じゃそこを決めたのかというと、私も前の委員会でも質問をしたと思いますが、やっぱり我々は、これ率直に反省するところは反省しなくちゃならないと思っているんですよ。役所はなかなか認めにくいかもしれないが、昭和四十年代の前半、全国一斉に共同利用施設としてのライスセンターができたんですよ、ライスセンター。つくったでしょう。これはカントリーだってパイロット事業でつくったはずなんだ。これつくりましたよ、我が県にもある。当時のライスセンターは三角屋根の大体みんな共通したライスセンターだった。これが見事に、やっぱり率直のところ失敗した、失敗したんですよ。しかし、今やっているライスセンターやカントリーは、私は率直のところ成功していると思っているんです。  考え方は、考え方は同じなんですよ、機械化貧乏にならない、共同で利用することによって効率的な生産を上げよう。着眼点は同じ。しかし、片っ方は失敗した、片っ方は成功している。何が違うんだ、何が違うのと。この教訓をしっかり生かすべきだということを私はこの品目横断的な政策を決める段階でも主張したつもりなんですよ。特に与党の自民党の政務調査会の中でもね。  これは言うならば、なぜ四十年代の共同利用施設が失敗したかというのは、荷受けが十分じゃなかったんですね。いいものを作って持ってきた人と、例えば倒伏して芽が出ちゃったようなものを持ってきた人がいる。それが荷受けが混じっちゃったんですよ。今はそれが、貯留瓶が一杯設けて、いいものはいいもの、悪いものは悪いもので分けて受け入れるようになった、あるいは水分計だとか何かも随分性能が向上した。だから、いいものを持ってきた人はいいもののような仕切りができるし、悪いものを持ってきたらば悪いもののような仕切りをするし、そこにやっぱり農業生産現場における公平性というものが確保されてきたので信頼というのが培われて、持っていっても大丈夫だということで今は成功している。当時は、おれが一生懸命努力して作ったやつがあんなやつと混ぜられて、結局仕切りで金になったときには安くなったんじゃないかと、そんなことできるかということでみんな失敗したんですよ。これは、農村の現場へ行けばそんなことは分かることなんです。  だから、ここでいわゆる経理の一元化といっても、お互いのその集落営農の中で何年間かやっている中で、お互いに信頼関係を醸成していって、ああこれでいけるねというところに来たときに、やっぱり経理の一元化に向けて一つ一つ積み上げていけばいいんであって、最初から全部懐を一緒にするがごときやっていったら、とてもとてもこの集落営農は立ち上がらぬということなんですよ。  だから、集団名義で農産物を出荷しても、Aさんという人とBさんという人がいる、Cさんもいる。そのとき、Aさんは何ぼのものをどれだけ作った、Bさんは何ぼのものを作ったということで個人別に分かるようにして、そしてその集団の名義でしっかり集めて出荷をすると、そういうことが保障されないと、全部最初から混じってしまうような話でやったらまたこの集落営農は失敗をするから、そういう細かい縛りをやったんでは駄目だということで、これはそういうことにしたはずなんだ。ところが、現実に現場に行く指導になったらば、今の要領のようなことで、その根幹を覆すような細かい縛りを付けるというのは不届き至極の話だと思っているんです。  こんなことは許される話ではないので、しっかりこれは、やっぱり今からでもいいから改めてもらわないと、ハードルが高くて、またそういう変な形では農業者の理解がすぐには得られないから、これはやっぱり政策的に広がりを持てなかったら意味がないから、これはやっぱり事務方として当初のことと同じようなことを現場に再度これは通達し直す、そういうことをやってもらいたいと思いますが、いかがですか、それは。
  15. 宮坂亘

    政府参考人宮坂亘君) 御指摘の経理の一元化でございますが、そもそも経理の一元化を要件にいたしましたのは、集落営農組織が経営主体として将来にわたって安定的に農業経営を行っていくためには、集落営農組織全体の収益とかコストの現状等を把握をいたしまして、適切な営農方針を策定できるようにしておくことが必要との観点から要件としているものでございます。  その具体的内容は、今、国井委員指摘のとおりでございまして、集落営農組織名義の口座を設けて、対象農産物の販売名義を集落営農組織といたしまして、それから対象農産物の販売収入をその口座に入金すると、この三点がポイントでございます。ただ、支出面につきましては特段の要件はございませんが、構成員への配分とか営農の組織体として支出すべき事項につきましては集落営農組織で決めていただいて、それに従って支出をするということにいたしております。  一方で、共同で営農を行う実態がそもそも存在しないで形式的に組織名義の口座のみを設けて収入を個人に一〇〇%分配するような、そういうものは当然認められないと同様のパンフレットにも書いてございまして、実施要領上は、当該組織で決めました当該組織として支出すべき事項について、それがきちっと組織名義により支出されているものかどうかというものを組織名義の領収書等によりまして確認をするというふうにしているものでございまして、あくまでも組織として営農組織が営農のためにこういうものをこういうふうにして支出をしようということを組織として決めていただいたことが、そのとおりちゃんと支出されているかどうかということを領収書等で確認をするという趣旨のものでございます。  ただ、御指摘のように、一方で集落農業組織で決められるというふうにしておきながら、一方、要領の別紙の中で、御指摘のように、種苗費とか肥料費とか農薬費等というのが組織として支出すべき事項として例示として挙げているわけでございます。これがちょっと誤解を招いたということであれば、我々としてもそこのところ誤解のないように、あくまで趣旨としてはそういうことであるということの徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
  16. 国井正幸

    国井正幸君 やっぱり、前にも言ったと思うんですが、中山間地の直接支払、これ原則五割になっているんだ、原則五割という話。いや、それはもう実態で直してくれて結構だと、こう言っているわけ。前回も委員会で私質問して、だからその議事録を送ってやったんだよ。しかし、現場では絶対五割なんだよ。原則五割というのが絶対五割なの。あなた方が決めたことはえらいことなんだよ、本当に。だから、こういうことの例示になりゃ、このとおりなんだよ。いや、たまたま例示しただけですなんというわけにはいかないんだよ。大変これ影響力のあることだから、是非ここのところはお願いしたいと思う。  なぜそういうことにこだわるかというと、冒頭言ったように、どこまでこの支援対象者が広がるかどうかということが重要なことなんです。だって、米において五割程度でしょう。ということは、逆に言うと、五割は対象外ということは、五割の人たちはどういうふうに動くか分からぬということなんです。分からぬということなんですよ。  だから、ここは、米の生産調整を実効性あらしめるためにも、価格下落を防ぐためにも何としてもここにやっぱり入ってもらう形をつくらなくちゃならない、より多く。そういうことを考えたら、こういうつまらないところでハードルを高くして関所をつくったんじゃ駄目だと、こう思います。  時間もあれなんで、是非これはお願いしたいと思います。事務方でしっかり回答できるんであればそれで結構ですが、そうでない場合は、大臣、副大臣、政務官いらっしゃいますんで、これは政治家として是非判断をしてもらいたい部分があるわけでございます。  それは、今回基準を作りました。従来はだれでも同じ行為をしたら支援対象者になる。しかし今度は、担い手は、内地でいえば四ヘクタール、それから集落営農は二十ヘクタールというのが基準です。もちろん条件不利地域等々の補正はあるわけでありますが、一定の基準を作りました。その基準をクリアした者に対して支援をしますということなんですね。それはそれで決めたことですから、そういうことになろうというふうに思います。  そこで、集落営農二十ヘクタールと、何の制約もない内地での二十ヘクタールというのを前提でお話しさせていただきますと、一生懸命、じゃ、おれたちも何とか政策支援受けるためにも、効率のいい農業をするためにも集落営農を立ち上げようということで努力をしている人たちが一杯います。私の地元でもおります。しかし、それは規模要件として二十ヘクタールという基準があります。ずっと努力をしてきた、しかしこれは自分だけの努力では何ともならないんですね。相手の人を含めて初めてその規模に到達したときにそれが条件をクリアしたことになるわけですよ。二十ヘクタールまで基準ですが、十八ヘクタールまで積み上がった、あと二ヘクタール足らぬ、あと一人か二人入ってくれればなるんだ。しかし、残念ながらそこまで到達できなかった。じゃ、その人はオール・オア・ナッシングで、そこまで努力してきたが全部駄目なのか。まあ基準に到達しないから駄目だと言われれば駄目ですよね。  私は基準をぐずぐずにしろということを言っているわけではない。しかし、その場合、是非大臣、その便法と言ってはなんですが、例えば二十ヘクタールの基準だけれども十八まで積み上がった、で、何人かの人が構成員になっている。たまたまそこの中に認定農業者がいれば、その認定農業者にその集まってきたものを集約をして、そして個人経営体として何とかその人たちを全部を拾い上げる。あるいは認定農業者がいない場合は、ある特定の者に名義を集約することによってその者を認定農業者に仕上げて、努力をして積み上げてきたものを政策支援の対象者にする。ここのところを是非これはやってもらいたいと思うんです。そうでないと、一生懸命努力をしてきたが、十八まで来たが手が届かずに駄目になった、一切の支援がない、これでは農村現場はこれは大変な混乱をする。  努力をしてきた者に対して、便法を含めて、そういう意思を持って努力しているわけですから、その個人の経営体で何とか救い上げる、そういうことについて是非お願いしたいと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
  17. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) お答えします。  新たな経営安定対策の対象者要件につきましては、基本的なものにつきましては、加入申請期間満了時、つまり、秋まき麦を作付ける者については本年十一月三十日まで、それ以外の者につきましては来年六月三十日までにその要件を満たしておく必要がございます。したがいまして、対策の対象となることを目指す者は、この期日までに認定農業者又は集落営農組織いずれかの道を選択した上で経営規模等の要件を満たしておく必要がございます。  御指摘のように、集落営農の道を選択をいたしましてその要件を満たすべく努力を続けてきたものの、期日までに間に合いそうにない場合には、委員指摘のオール・オア・ナッシングをいかにして避けるかという点でございますが、まず第一番目には、主たる従事者として参加している者が認定農業者となり、その者に集落内の農地を集積する道、二番目には、集落営農組織を法人化をし、法人としても認定農業者の認定を受けるなどの道を選択することによりまして、それまでの八割の集積なり努力が無にならないようなことも可能であると考えております。
  18. 国井正幸

    国井正幸君 是非そこのところをお願いしたいと思うんです。今、副大臣お話しされたように、十一月三十日までに麦の場合はやらなくちゃならないということなんですね。認定作業が大体月に一回、場合によると二か月に一回ぐらいの実態がありますから、これは市町村長が認定するわけですから、ここをしっかりやってもらいたいと思うんです。  私の栃木県なんかでは、国でも定めてない、都道府県でも定めてないんですが、兼業農家は認定農業者にしないという市町村があるんですよ、現実に。昨日も私は栃木県の農務部長と話した、実務的にね。それは駄目だから、直してもらえるように指導してもらわなくちゃならぬよということで話をしました。そういうことで努力をしますということになっているんでありますが、是非この行政のルートの方でもしっかりやって、兼業農家だから認定農業者になれないなんて、そんなことを勝手に決めてやるのではなくて、今回の趣旨は、何度も言うようだけれども、口減らしをして対象者を減らすためにやっているわけではないんだから、これは。  そうでなくたって、民主党の先生方の前で恐縮だが、民主党では小沢党首はそうではない、えらいことを言っているわけだから、できるかできないかというのは別な話だが、そういうことを言っているわけでありますから。我々、これ与党として決めたことであっても、対象者をできるだけ少なくするなんという、そういうつもりでやっているわけではないんだから、しっかりそこのところは対象者を増やすように努力をしてもらいたい、そうしないと駄目だというふうに思っておるわけでございます。  それから、その問題は是非それでお願いしたいと思いますが、もう一つは、支援水準の話を是非聞かしてもらいたいと思っているわけでございます。これはゲタとナラシとあるわけでありますが、特に諸外国との生産の条件の補正の部分、これ等については、今の生産性、国内の生産費等を含めてやって一定程度出ているというふうに思いますんで、これはお聞かせいただく必要はないんでありますが、是非、六中三とか七中五とかいろいろありますが、このゲタの部分も毎年、結局理屈からすると、毎年その生産費を調査して、過去のあれにさかのぼってというやり方も、それは理屈としてはあるんでありますが、是非ここは大臣、一度決めたら三年とか五年とか、そういう単位でしっかりやってもらいたいと実は思うんです。  これは、我々は鳴り物入りでこれ言っていますが、現場へ行くと非常に厳しい評価なんですよ。率直のところ厳しい評価です。恐らく野党の皆さんからもこれから出ると思いますが、厳しい評価ですよ。要は、対象者を絞り込んだだけではないのか。対象者が絞り込まれて選ばれた人であるならば、今まで以上の支援水準があったっていいではないか。ところが、支援水準が今までと同じで対象者だけが絞り込まれたというんなら、一体何のための政策なんだと大変厳しい指摘があるのも事実なんです。  だから、そこの中で、しかし評価をしていただいている方というのは、これはゲタの部分が平均生産費でやっていますから、平均の生産費を上回る生産性の高い人たちからは、これで一定程度固定してくれるんであれば、我々は努力すればより所得が増えるな、そういう期待があるんですよね。しかし、それが毎年、馬の口の前にニンジンぶら下げるごとく、食おうとしたらまた今度動いていくというんではなかなかやっぱりそれは駄目だ。だから、せめて二年とか三年とかあるいは五年とかという形で固定するような、是非取ってもらえないかなと。そうすることの方が、農村現場におけるその努力、やる気、そういう部分にいい影響を与えるように私は思っているんです。なかなか難しい部分あるんかもしれないが、是非それについてお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  19. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 国井委員も私も政治家としてのやり取りということを前提にして、この法案の審議を長時間当委員会でやっていただいたときにも、この戦略目標というのは、やる気と能力のある一定基準を満たした農家、農業者、あるいは集団でもいいんですけれども、該当する方々に後押しをさしていただいて、そして、まあ乱暴な言い方ですけれども、目標を達成してよりもうかるように支援をしていこうということでございます。  他方、それは切捨てであって、そして対象者もあんまりメリットがないのではないかという現場の声があるとするならば、それは是非そうではないということを、我々は、実施後において、あるいは実施前が大事でありますけれども是非御理解をいただきたいと思うわけであります。決して排除するためのものではない、できるだけ入っていただきたいということが大前提でありますし、そして、入っていただいた以上は努力を更にすれば更に所得が増えるということにもなるということで、もちろん、国井委員、専門家としていろいろ御心配があることも我々は謙虚に受け止めなければいけないと思ってはおります。  そういう中で、じゃ、この格差是正対策を具体的にどういうふうに決めるのかと。言うまでもなく、これは緑の部分と、それから品質向上であるとか規模拡大であるとか、あるいは環境配慮であるとか、いろんなメリットを、インセンティブも与えるという意味が大きい。しかし、これは現在のWTO上は黄色ということになりますんで、ここはまあ慎重にやっていかなければいけない、対外的にはですね、ということはやっぱり我々としても考えていかなければいけないわけでありますが、国井委員おっしゃるように、毎年、規模を拡大して生産性が上がったら、そのたびに評価をしてどんどんどんどん直接支払が減らされていくと、何か努力したメリットがないのではないかということは、やはり最初に申し上げた戦略目標からいっていい方向にはならないんだろうというふうに思います。  他方、未来永劫、最初のときからどんどんどんどん品質向上する、あるいは規模拡大をする、収入はどんどん増える、と同時に、最初のときのベースをそのままぼんと未来永劫乗っけるというのも、これはあくまでも国民の理解をいただいた上での税金からの直接支払ということでございますので、それも未来永劫ということをきちっと決めるというのもなかなか難しいだろうということで、国井委員の御心配あるいはまた共有する目標の実現のために一体どのぐらいの期間を黄色の部分についてはある程度固定をしていくかと、何年にするかということについては、そういったいろんな条件を今考慮しながら検討をしているところでございまして、そこにはやっぱり、より農業者の実態あるいは心情を御理解していただいております当委員会委員の皆様方のいろんな情報等も参考にさせていただきながら、今検討をさせていただいているところでございます。
  20. 国井正幸

    国井正幸君 本来、産地づくり交付金等についてももうちょっと議論したかったんでありますが、時間の関係でこれで終わりますが、是非、やっぱりこの品目横断的経営安定対策については、米の生産調整がどこまで実効性あらしめることができるか、米価をどこまで安定させることができるか、これがやっぱり制度の根幹なんですね。そういう意味からしますと、非常に使い勝手のいい産地づくり交付金、これの予算確保というのは、これが一番大切だというふうに思います。  昨日辺りのニュースを見ても、来年度の概算要求基準が相当厳しくて、一般会計で四十六兆八千億とかというような総額が出ているようでありますけれども、大変、産地づくり交付金の予算化、大変だというふうに思いますが、是非、我々も努力しますんで大臣におかれても最大限の努力をしていただいて、農村現場が混乱しないように、そしてこの品目横断的経営安定対策がスムーズに導入されて多くの農業者に喜ばれるようになりますように特段の御努力をお願いして、私の質問を終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  21. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  大臣には大変お疲れのところ委員会に御出席をいただきましたが、正にWTO農業交渉米国産の牛肉輸入再開問題、誠にタイムリーな時期の委員会だったというふうに自負をさせていただいております。  しかしながら、今、国井委員からもるる指摘がありましたように、通常国会で成立させました新たな担い手の法案、国会が終わりまして地元に帰りますと勢いその話になるわけでございます。不安と期待、そして戸惑い、いろんな思いが交錯する中で、当委員会の主要課題は、その新しい法案がどういうふうになっていくのかということ、そして当該集中審議のテーマであります二点、おおむねこの三点に集約されるのではないかなというふうに考えているところであります。当然、関係のあるテーマでございますので、今日は、その主テーマにつきましては主濱委員と郡司委員がしっかり質問をさせていただきますんで、私は前座、露払いということで、若干の時間をいただいて駄弁を弄させていただきたいというふうに思っているところであります。  WTO農業関係者全員が注目しています。国内農業と密接にリンクをしていて、外国からの農産物がどういう具合で入ってくるのかがこれで決まるわけでありますんで、大変重要な課題であります。  実は昨日、旭川で北海道の農業者の集会がありまして、三千数百人の集会、その後デモ行進、残念ながら雨に打たれましたけれども、一緒に行進をしてシュプレヒコールを叫ばせていただきました。日本政府は妥協するな、輸出国の圧力に屈するな、上限関税反対、いろいろな訴えがありました。  しかしながら、これは相手のあることでございますので大変厳しい状況ではありますけれども、先ほどの法案では賛否について分かれましたけれども、このWTO交渉についての思いは中川大臣も与党席の委員も我々野党席の委員もほぼ同じ思いだろうというふうに思います。中川大臣が国を挙げて死力を尽くしての交渉をする姿、しっかり応援をさせていただきたいという思いは共通でございます。  さて、先立ちまして、もっと自由にならない課題があります。それは農業に付き物のお天気、天候の問題であります。通告はしていないわけでありますけれども、昨日大臣も地元に帰られて、特に畑作目の生育状況について御視察をされたというふうに伺っています。北海道は日照不足で各生産物の生育が遅れているということで大変深刻な課題となっています。特に、大臣の選挙区が一番影響が懸念されているという地域でもあります。  久しぶりに今日この委員会に参りまして同僚委員言葉を交わしておりましたら、特に東北地域でも同じ懸念が今持たれているということでございます。そして、役所の担当者にそれとなく聞きましたら、まだ統計情報が農林水産省本省に届けられている時期ではないという答えではありましたけれども、今の時点でのこの天候不良、日照不足に対する大臣の懸念あるいは感想について若干の披瀝をしていただきたいと思います。
  22. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 小川委員が御指摘のように、この農業というものの特殊性といいましょうか、尊さといいましょうか、これは自然、生き物を相手にして我々が生きていく上で必要不可欠なものを生産をする、これはある意味では、広い意味農業、広い意味食料確保という意味ではもうすべての生物、あるいは人類誕生以来の一番大きな課題であるわけでございます。  しかし、生物ももちろんいろんな状況によって変わってまいりますし、また大事なお天気もこれまた、現在もヨーロッパは猛暑にあるとか、あるいはアフリカは干ばつにあるとか、中国も水不足だとか、そして日本におきましても、この狭いと言われている日本も、今、小川委員からも御指摘いただきましたように、先週の日曜日、私の地元の一番ひどいところを見てまいりましたが、大量の雨によって畑地がもう地割れを起こしている、干ばつで地割れを起こすんじゃなくて、大雨によって地割れが起きていると。それから日照不足、低温という状況で、もう既に回復不能という地域もあるわけでございます。  東北地方も、多分、北海道がそうでありますから、平成五年の例を見ましても東北と北海道はやませなんかでも共通なところがあるわけでございます。  他方、九州ではもう長期間の大量の降雨によって農林水産物に、日々状況が来ておりますが、私の手元に最近来た、昨日時点でももう二百五十億円ぐらいの農林水産に対する被害がありますが、これはもう御承知のとおり、いったん雨がやんでしばらくたたないと本当の被害総額というのは分からないわけでありますから、ある意味では総合的かつできるだけ抜本的な対策というものもいつの時点で打たなければいけないかということも大事なポイントだろうと思います。  いずれにしても、生産に関係している皆さんはもとよりでありますけれども、これによって消費者に、例えば敏感に反応する野菜だとか魚介類なんかが既に乱高下しているわけでありまして、これはもう国民全体にとっての関心事項でありますので、政府全体として、とりわけ農林水産省、食の安心を担当する我々としては各地域の状況をきめ細かく情報を把握しながら、我々としてやれる対策をタイミングと同時に迅速にやっていくことが大事だろうと。それにつきましても、当委員会の各地を代表している皆様方の生の情報というものを、大変貴重だと思いますので農林水産省に適時にお知らせいただければ大変有り難いなというふうに思っております。
  23. 小川勝也

    小川勝也君 農作物が取れないあるいは作が悪いというのは大変これは重大な関心事でありますけれども、釈迦に説法ではありますけれども、十九年度から新しい法律の枠組みによる政策がスタートいたします。その基準年度となるのが十六年度、十七年度、十八年度ということでございまして、本年の作柄が十九年度以降に大きな影響を与えるということが農家の皆さんの大きな不安材料にもなっているところであります。これは、ただでさえ、この政策のスタートが不安だらけ、戸惑いだらけということにプラスする課題でございますので、大変深刻だろうというふうに思います。  これからどういった調査がなされて、どういった情報が集められて、どういった分析が加えられるかは分かりませんけれども農林水産省の各セクションではしっかりと把握をしていただいて、今後どういう措置が講じられるのか御検討いただく課題だろうというふうに思います。しっかりとした対策をお願いしておきたいというふうに思います。  さて、WTOでございます。  一番融通が利かない、人の手によって左右できないのが天気、天候であります。そして、次に難しい課題がやはり交渉事、相手のある課題でございます。そういう難しい二点から比べますと、法律を作るとか予算を獲得するということは、天変地異に比べればずっと易しい課題だろうというふうに言うことができます。しかし、この二十一世紀になっても予算編成、シーリング、各局の配分、そして数々のしがらみ。ただいまも、胸を張って通したはずの法律の中で、様々な問題点国井委員から指摘されました。何でもっといい法律案が、政策ができなかったのかなという、その思いをずっと引きずっております。持続可能な農業、そして農業分野において効率的な経営を目指す、これは当然のことでございます。  もっといい法律ができなかったのかなという思いは思いとして持ちながら、一つ大きな話をさせていただきますと、この前の法律案の審議のときに、自給率が上がる見通しが立たない。とりわけ、私たちの国の自給率が低い品目について、例えば麦、大豆、飼料、油の原材料菜種、これが増えない。なぜかというと、そこに内外価格差があるわけであります。内外価格差が小さくなれば私たちの国の国内で生産される農産物は増える。そして、内外価格差が広がれば、もっと別な言い方をしますと、外国からたくさんの食料、農産物が入ってくると自給率は上がらないわけであります。  ということは、国内農業を論じるときに、今正に議論のテーマとなっております農産物をめぐる国際交渉が枢要な課題になっているわけであります。ですから、農民の皆さんもプラカードを掲げて、一粒でも、少しでも国内に入る輸入農作物を少なくしろと、こういうふうに言っているわけであります。  しかしながら、行進をしながら考えたわけでありますけれども、どういった形で国際交渉が帰結をするかによって、国内政策を変えるというわけにはなかなかまいらないかもしれないけれども、ある程度基礎をしっかり固めて、そして、変動相場じゃありませんけれども国内の自給率を維持するという農業政策は私は不可能ではないというふうに思います。  国井委員から御指摘がありましたとおり、小沢代表は、先進各国中で食料自給率が低いままのうのうとしているのは私たちの国だけだ、こういうふうに事あるごとに申し上げているところでありますし、私たちも同感であります。様々なルールがあることは承知をしておりますけれども、国民の安心、安全を守るということ、そして独立国としての基礎的な要件であると考えます食料国内で自給するということ。付け加えますと、例えばシンガポールとかブルネイとかルクセンブルクとかリヒテンシュタインとか、残念ながら国内に、国民に供給するだけの食料を供給できない国はしようがないわけでありますけれども、私たちの国はこれだけすばらしい気候風土、農地を有しているわけであります。木材と併せて、できる限りの自給を果たしていくということが当たり前のことだろうというふうに思っているわけであります。  そういった観点から、無理を承知質問するわけでありますけれども、私たちの国でしっかりとした目標を掲げて国民に理解を求めて、国民の安心のために食料自給率を高める、食料国内産で確保するというためにフレキシブルな農業予算、これを獲得するとか、あるいは農林水産省内の予算をしっかりと見直して、安心、安全の食料自給にこれを大きく予算の編成替えをするといった考えというのはこれはできないものなのか、大臣のお考えをちょっと聞いてみたいというふうに思います。
  24. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、小川委員がおっしゃったように、先進国に限らず全世界じゅうを、自給率をある統計で見ましても、百八十という国をベースにして百二十五番目ぐらいと。先進国はもとより途上国の中に入っても我が国は自給率が低いと。大変そういう意味では脆弱な食料体制だということは事実でございます。のうのうとしているかどうかは別にいたしまして、そこはもう小川委員と全く同感でございます。  そして、我々は国内生産を基本として備蓄と輸入を合わせてというのが基本政策でございます。何でもかんでも日本が、今国民が求めている食生活を自給するという、一〇〇%自給するということはできません。したがって、何がしかの輸入が必要でございますけれども、しかし余りにも低過ぎるということは、これは国民的なコンセンサス、将来に対する不安はもう皆さんが持っていらっしゃるわけでありますから、一ポイント上げるというのは、これだけの人口あるいは高付加価値なものを求めている消費者に対して供給するということはかなりの努力が、一ポイントですら大変だというふうに思うわけでありますけれども、やっていかなければならないというふうに考えております。  そのやり方の一つ、根本は、やはり消費者に好まれるものをより作っていくということが一つ大きな柱だろうと思います。  今朝、テレビのニュースで牛乳をいかに消費者に好まれるかというのをたまたまやっておりました。生産者あるいは乳業メーカーが、例えば、太るということに懸念をしている二十代の女性向けに新製品を開発するであるだとか、牛乳というのは変質しやすい、その原因は酸素だからできるだけその製造過程において酸素を排除するとかいろんな実例を挙げて関係者が御努力をしていると。これによって消費拡大につながっていくと。やはり、現状を打開するためには当然関係者の努力というものが必要であり、それを我々が支援をしていくということも極めて大事だと思っております。  そういう観点から、限られた予算ではありますけれども、根本的に大事な問題、それから優先順位をきちっと付けてやっていくという判断、これは政府全体はもとよりでありますけれども農林水産省においても現在、来年度に向けての予算作業が既に始まっておりますけれども、とにかく今までのような固定的あるいは前例踏襲的あるいはまた緊急性、重要性という判断材料を軽視したような予算編成は、これは正に小川委員と私が共有しております目的に対してマイナスの力が働くというふうに考えておりますので、私は、今、役所全体に対して、効率的で、そしてまた重点的に我々の果たす役割をきちっとやっていけるような予算をやっていくと。  端的に申し上げますと、今までのような縦割り、従来型というものからできるだけ脱却した、しなやかでそして戦略的な予算編成を目指していきたいというふうに考えております。
  25. 小川勝也

    小川勝也君 また、先ほどの国井委員に引き続いて、通常国会で成立された法律、あるいはそのときの議論、頭から離れないわけでありますけれども、今のその国際貿易体制の中で日本農業食料事情を考えたときに、やはり生産効率を上げて農業の競争力を高めていくしかないという結論が今回の法案につながったんだろうというふうに思います。  競争力の中にはクオリティーということもあるわけでありますけれども、今、市場経済の中でおおむね求められているのは価格競争力であります。残念ながら、外食とか加工品が多く食されている昨今でございますので、例えば農産物Aと農産物Bと見える形で選択をするというケースであれば、国内農産物は高い競争力を持つだろうというふうに思います。しかし、加工されて食べ物になって出てきたときに、その差異を一々感じられるという消費者はまれであると言わざるを得ないんだろうというふうに思います。  そんなことにも起因をして、日本全体の農業生産に対して生産物価格を下げていくんだというメッセージを送ったのが通常国会で成立した法律案なんだろうなというふうに私は理解をしております。家族経営よりも効率的な集落営農そして法人化、その先には、この委員会でも度々のキーワードになっております株式会社の参入。農業者は運動体の中で他産業並みの所得を確保したいというふうに言っています。  しかしながら、今、世の中は二極化社会でございますので、いわゆる労働者の中でも低所得層の方々に照準を合わせたときに、いわゆる効率のいい農業経営体が高額ではない労働者を雇用して農業生産を上げる、これが近未来想定される姿なのかな。そして、たまたま昨日だかおとといだかの新聞を見ましたら、介護分野で外国人労働者の受入れをまた枠を広げるということでございます。効率だけを求めていくと行き着くところまで行くのかな。  話が脱線いたしますけれども委員会で視察にお邪魔をいたしました水産加工工場、ここで働いている方々は多国籍の外国人の方々でございました。農業分野でも残念ながら研修生受入れということで、外国人の研修生がワークしている姿もあるようでございます。農家戸数を減らし効率を上げていくというその先にあるものは、その終点まで行ってしまうと、どうもそういう姿を、大臣は違うかもしれませんけれども、何とか会議の経済界の方々は想定しているのかな、そんな思いがずっと頭から抜けないわけであります。  どこかで家族的経営、もちろん農家の方にも御努力をいただかなければなりません。しかしながら、一時期失敗だというふうに多くの方が思ったように、北海道だからといってアメリカ型の農業経営は無理なんであります。そしてEUも、先進国ではありますけれども、フランスを先頭に農業を綿々と守り続けているんであります。私たちの国も、ルックアメリカではなくて、ルックヨーロッパでしっかりとしたWTO下における日本農業というのをどこかで再スタートを切っていかなければならないのかな、多分与党席におられる皆さんも同じ思いだろうというふうに思っているところであります。  さて、BSEのことで少しだけお伺いをしたいというふうに思います。  アメリカの脊柱が混入をしていたということがどの程度の意味を持つかということは別といたしまして、私は、金子先生、プリオン専門調査会の前委員、前メンバーの先生でございますけれども、この先生からお話を伺っている中で、非常に感銘を受けた言葉がありました。  まず、自分たちの仕事として日本国民にリスクを与えない、これは第一番目の仕事である。しかしながら、科学者の一員としてこのBSEという病気を地球上からなくすためにはどうしたらいいのか。この病気がずっとあり続けることによっていつまでも不安がぬぐい去れないわけであります。安心、安全の食生活というキーワードにもあるように、できる限りそのBSEという病気を牛世界からなくすことができれば、そういうふうに考えたときに、世界各国から科学的ではないという評価も受けたかもしれないけれども、全頭検査は正に意義のあることだ、こういうお言葉をいただいたわけでございます。  そういった意味で申し上げますと、アメリカ合衆国ではアメリカ合衆国内の検査方法で、アメリカ人も食っているんだから何の問題もないだろう、これは主張としては至極当然だろうというふうに思います。しかし、今のいわゆるところの肉骨粉の処理方法を見ていますと、ちょっとBSE撲滅からはほど遠いのかなというふうに思わざるを得ない状況でございます。  そういった意味も含めまして、日本国のこの基準からすると、世界標準というのが、アメリカ合衆国だけではない、日本輸入している国も含めてその基準の違いから正に清浄国と言っていいかどうか、あるいは本当に安心というふうに言っていいのかどうかというふうに、私は疑問がぬぐい去れないわけであります。そういった意味での合衆国そのほかの国を含めた、本当に牛肉の安全という認識についてどういう思いを持っておられるかということと、改めて全頭検査の意義について、この二点についてお伺いをしたいと思います。
  26. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、小川委員が御指摘のように、各国によって、例えばイギリスのように何万頭も出たという経験のある国、あるいは日本のように、絶対大丈夫だと思っていたのが二〇〇一年の九月の十日に発生をして衝撃を我々は受けたわけでございます。また、アメリカ新大陸は大丈夫だろうと思っていたら、アメリカ、カナダでも発生するようになったということでありますし、また、小川委員指摘のように、アメリカ人は、自分たちは毎年三千数百万頭も屠畜している、日本は百二、三十万頭ではないかと、我々が食べている量の方がはるかに多いんだと。しかも、発生事例は向こうは三頭で、日本は二十七頭だという数字自体は間違っておりませんし、まあアメリカ人が牛肉を一杯食べるのはアメリカ人の御自由でございます。我々もアメリカに行くと、多分親切だと思いますけれども、おいしいアメリカ産ビーフをごちそうになる、あるいは食べなければいけないという機会もあるわけでございます。  ですから、アメリカにはアメリカのルールあるいはまた食文化というものがありますから、小川委員が御指摘のように、それをけしからぬということは言う必要はございません。他方、日本には日本の経験なり食文化、そして二〇〇一年九月以降の専門家の皆さんの御判断によるルールというものがあるわけでございますから、これを日本側に文句を付けるということも、これは同じようにあってはならないことだろうというふうに思っております。  しかも、米国牛肉輸入するとき、あるいは同時に禁止になった日本産をアメリカ輸出するときには、やはり最終的には合意でありますけれども輸入する側に買ってもらえるように、ルールは決めたけれども買ってもらえなきゃしようがないわけでありますから、買ってもらえるようにするためにはやはり輸入国側の意見というものをよく聞いてやるべきだろうと。現に、そういう形で二十か月以下あるいは特定危険部位除去、日本からアメリカに対して、あるいはアメリカから韓国に対してそれぞれルールが個別にあるというのは、これはある意味では当然だろうと思います。そういう形できちっとルールをやっていくということを今後ともきちっとやっていかなければならない。  その上で、日本というのは、全頭検査というのはOIEでは必ずしも求められておりませんけれども、二十か月以下については地方自治体の判断で、しかしそこは国も応援しますと、少なくとも三十か月以下は全頭検査にしましょうという現行のルールは、やはり国民に対して、OIE基準より厳しいもの、また合理性云々という御指摘も今ありましたけれども、とにかく国民の皆さんの安全プラス安心に貢献をしているということは事実だろうというふうに思っております。  そういう意味で、我々は、ルールをきちっと専門家の御判断で評価をしていただいて、それをきちっと管理をしていくということはもとよりでございますけれども、さらに、食べるというのは単に胃袋を満足させて必要な栄養素を取るだけではなくて、やはり食文化と申し上げたように、満足あるいは安心といったかなり、何といいましょうか、心の問題も、あるいはまた健康とか、そういった面も大事でございますので、そういう面も、我々は大いに国民のニーズというものもできるだけお聞きしながら、我々の食品行政、食品安全行政を進めていきたいというふうに考えております。
  27. 小川勝也

    小川勝也君 先日、デモ行進のときに、なるべく輸入農産物を食べないでほしいと、こういう農家の皆さんの主張がありました。  私は、自慢をするわけじゃありませんけれども米国産の牛肉は食べないことにしておりますし、あるいは、一部の果物を除いてはなるべく輸入農産物は買わないようにしております。しかしながら、クオリティーが近づいてきますと、価格の面がボリュームが増えてくるわけであります。特に、中国では、日本の商社が運んだ種をもって日本向け輸出用農産物が作られているという情報がいろんな方面から入ってくるわけであります。  最後の質問はちょっと面白い質問なんですけれども大臣も今、アメリカに行くと牛肉をごちそうになるという話がございました。総理が、卒業旅行じゃありませんけれども、プレスリーやら何やらでアメリカに行ったときに牛肉をごちそうになったという新聞記事がありました。そこに和牛って書いてあったんですね。ちょっと話が違うぞと、アメリカのビーフが和牛なのかと。これがもし本当ならば将来的に大変大きな問題となるんではないかというふうにとっさに判断をいたしました、私は。そして、理事懇談会のときにも造詣の深い加治屋理事ともその話をさせていただきました。  どういったいきさつでアメリカに和牛があるのか、そしてどういった位置付けで、今後日本に入ってくる懸念なんというのはあるのかないのか。その総理大臣アメリカで食べた和牛について解説をいただきたいというふうに思います。
  28. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も、新聞報道等で、ブッシュ大統領と小泉総理との間で和牛に関する会話があったということを承知、興味深く聞きました。総理の答えはベリーグッドだったと。ベリーグッドというのはどういう意味か、デリシャスとベリーグッドとどう違うのかという問題がありますけれども、とにかく食べたということについての会話があった。しかも、それは和牛あるいはコーベビーフというふうに言われたということであります。  事実関係を申し上げますと、今から十年ほど前に日本から和牛の生体をアメリカに、生体若しくは精液で輸出をされて、それを現地で交配して和牛的なものが育っているということは事実だろうと思います。したがって、いわゆる和牛系の肉質を持った牛があるいは牛肉アメリカにあるということは、これはまあそういった経緯から否定はできないだろうと思います。  これは、コーベビーフということになりますと、今度は地理的な問題になってまいりますので、日本WTOでは余り主張しておりませんが、ヨーロッパが非常に主張しておりますGI、地理的表示からいって、コーベビーフというのを、北海道でコーベビーフなんというのはこれは怒られるわけでありますから、ましてやアメリカにコーベなんというビーフがあるということは、これは神戸の皆さんから見れば大変大きな問題になるのではないかという地理的表示の問題がございます。  他方、農林水産省としては、生物についても各国も今真剣にやっております知的財産権をきちっと守っていこうということでありますので、早急に和牛の固有の優良なDNAをきちっと確定をいたしまして、これは和牛であって、日本産の、日本にその育成者権あるいは特許権、その辺を今検討しておりますけれども、排他的な権利を生産者あるいはまたそれを作った人のために確保するということが大事だろうと。農林水産物についても知的財産権の保護と保護の上に立った振興というものを今進める検討を省内でやっているところでございます。  それから一点、さっき私は二十か月、三十か月と申し上げましたが、ちょっと間違っておりまして、二十か月以下だけではなくて二十一か月以上についても自主的に全頭検査をやっているというのが──二十一以上は義務でやっているということでございますので、訂正をさせていただきます。
  29. 小川勝也

    小川勝也君 国際ルールの中での知的所有権、財産権の主張ということは今後も大変大きな課題になってくるんだろうというふうに思います。  北海道でも有名に今なっております夕張のメロンとか、あるいはデンスケスイカ、あるいは鹿児島の黒毛和牛なども大変これ汗水の結晶でございます。そういったものが海外で安易に生産されるという状況が起こらないように、様々な対策を先んじて講じていただきたいということも付け加えさせていただきたいというふうに思います。  以上で私の質疑は終わります。
  30. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  中川大臣には度重なるWTOの対応の出張、本当に御苦労さまでございます。今お話を聞けば、今月末までずっと毎週出掛けられるようでございます。本当に御苦労さまでございます。  早速質問に入らせていただきます。  最初に、米国牛肉輸入再開についてお伺いをいたします。  私は、政府には国民に安全な食料を供給すると、こういう責務があると考えております。そして、国内牛肉の安全は、一つにはトレーサビリティー、それから肉骨粉の飼料としての規制、それから三つ目にはBSEの全頭検査、それから四つ目が特定危険部位の完全なる除去、こういった四つのことによって国内産の牛肉の安全は守られていると、こういうふうに思っております。  この四つに着目をいたしまして、この視点から質問をさせていただきたいと思います。  まず第一番に、トレーサビリティーの関係ですけれども米国のジョハンズ農務長官が四月の六日に、牛などの家畜の飼育場所を特定する全米動物個体識別システム、これを導入するという方針を発表されました。このシステムの概要についてまずお伺いしたいと思います。また、いつごろから稼働するのか、実現するのか、こういうことにつきましてもお伺いをいたします。
  31. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 現在、アメリカにおきまして導入が進められております全米家畜個体識別システム、これは、問題となるような家畜伝染病に感染している家畜をできるだけ早くトレースする、あるいはまたどこの農場で飼われたかというふうなことをトレースするということが目的でありまして、システムの一つの目標としましては、こういったことを四十八時間以内にきちっと把握できるようにするというのがねらいになっております。  その中身でありますけれども、今現在、三つの要素につきまして準備を進めております。  一つは、各農場ごとの登録でございます。二つ目が、家畜の個体あるいはロット、一つの群でありますが、それごとに識別番号をきちっと付けていくということ。それから三つ目が、家畜が移動します際にその移動の記録を付けていくという、この三つの要素によりましてシステムが構成されておりますが、昨年の五月にこういったことを導入するということにつきましてパブリックコメントがアメリカで行われまして、その内容を踏まえて、今、先生がおっしゃいましたように、今年の四月にその実施計画が発表されたわけでございます。  このシステムの下で既に農場の登録などは開始されているというふうに承知をしておりますが、アメリカ政府の意向としては、二〇〇七年、来年の早い段階までにシステムを利用可能にしたいと、そして二〇〇九年の一月までにはすべての、これは任意になっておるんですけれども、目標としてはすべての生産者にその参加を促すようにしたいというふうに、そういうことを目標にして今準備をしているというふうに承知をいたしております。
  32. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  これ是非とも実現をしてもらいたいなと、こういうふうに思っているものでございます。  次に、今度は飼料規制について関連してお伺いをいたしますが、食品安全委員会米国牛肉に関するリスク評価によりますと、アメリカでは九七年の八月に哺乳類由来たんぱく質の反すう動物への給与を法律で禁止しているわけであります。しかし、この反すう動物由来たんぱく質を豚とかあるいは鶏、この飼料に給与することは禁止をしていないと、これは皆さんお分かりのとおりでございます。さらには、養鶏の残渣あるいは鶏ふん、残飯、こういうふうなものを牛に給与することも禁止をしていないと、こういう状況であります。  これらをひっくるめまして、米国会計検査院では、二〇〇五年の報告、昨年の報告では、米国食品医薬品庁の飼料規制は改善されている、しかしその実効性に限界が見えており、引き続き米国内の肉をBSE蔓延のリスクにさらしていると。まあいずれ米国内の牛はBSEの蔓延リスクにさらされていると、こういうふうなことを述べているところであります。  そして、食品安全委員会のリスク評価も、米国では、現在の飼料規制の下では一定割合で交差汚染が起こる可能性が今後も残ると考えられると、こういうふうに述べているところであります。そして、このリスク評価の結論の部分への附帯事項の補足の③で、米国及びカナダでのBSEの暴露・増幅を止めるためには、SRMの利用の禁止が必須であると、牛飼料としての禁止のみならず、交差汚染の可能性のある他の動物の飼料への利用も禁止する必要があると、こういうふうに言っているわけですけれども。  それで米国の飼料規制につきまして、日本政府としてどのような要求をしているのか、現在も含めてどのような要求をしているのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  33. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 米国の飼料規制につきましては、今、先生いろいろと御指摘をされましたように、食品安全委員会の昨年十二月の答申の附帯事項におきましても、このSRMの利用禁止、この利用禁止という意味は反すう動物だけではなくて豚や鶏への使用も含めての禁止ということを指摘をされておりまして、この点につきましては、昨年十二月十二日にアメリカ牛肉輸入を再開をします際に米国側に、食品安全委員会の答申でもこういうふうに指摘されているからということで強くその配慮を要請したところでございます。その後も機会あるごとにアメリカ側には伝えておりまして、例えば四月の十三日はこの飼料規制の強化につきまして、十三日に中川農林水産大臣からジョハンズ農務長官に直接お伝えもしております。様々な機会をとらえてこれまで要請をしてきたということでございます。  現在、日本向けの三十五の施設につきまして調査が行っておりますけれども、その調査団とは別に、米国におきます飼料規制の現状なり遵守の状況の実態につきまして調べるため、私ども農林水産省の方で調査団を派遣をして、そこで情報収集を行っているところでございます。これからもこのアメリカの実態がどうであるか、それから、当然日本と比べましても、今の現状の飼料規制というのは日本に比べれば問題が多いわけでありますので、その改善を要求していきたいというふうに思っております。
  34. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。ここ、まあちょっと遠因にはなるんですけれども是非とも必要な措置だと私は思っておりますので、今後とも働き掛けをお願いしたいと思います。  次に、BSEの全頭検査に関連してでありますけれども米国日本に対して再三にわたり早期の輸入再開要求してきているという状況でございます。それから、米国牛肉の安全には全面的に自信を持っていると、こういったような政府高官のお話もされているところであります。さらには、その米国牛肉輸入を期限までに再開しない場合の日本に対する制裁法案の提出、これがなされているところであります。  しかし、今私が思うには、今アメリカがやることは、自らのその牛肉の安全性を証明することであるというふうに思っております。このためにはやっぱり、先ほど申し上げましたトレーサビリティー、さらには飼料規制、あるいはBSE検査、SRMの確実な除去、これがもう不可欠だと、これを着実にやることが必要だというふうに思っているところであります。  それで、このようなときに実は米国はBSE検査の縮小を発表しているわけであります。理由は、米国でのBSE発生率が極めて低いと、こういったような理由になっているところであります。  しかしながら、一方におきまして歳出削減の圧力が高まっている、あるいは、畜産業界から、新たなBSE感染の感染牛が発見されますと牛肉の消費や輸出に悪影響を与えると、だから拡大調査を中止せよと、こういったような声が上がっていたと、こういうことも報道されているところであります。もしこのことがもう本当に事実だとすれば言語道断と、こう言わざるを得ないと思っております。  さらには、米国で三例目のBSE感染牛が発見されたわけですが、このアメリカにおけるBSE検査の縮小について、十分の一ぐらい、頭数的には十分の一ぐらいに減ったんでしょうか、この縮小についていかがお考えでしょうか。  さらに、米国に対して拡大調査実施など、米国牛肉の安全確保などの要請は今でもしているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  35. 中川坦

    政府参考人中川坦君) この米国のサーベイランスにつきましても、先ほどの飼料規制と同じでありますが、食品安全委員会の答申の中の附帯事項でも拡大、継続ということが大事だということが指摘をされております。これも踏まえまして、これまでも機会あるごとに米国政府に対しまして特段の配慮ということで伝えてきたわけであります。  この拡大サーベイランスは二〇〇四年の六月からスタートいたしまして、当初一年から一年半の予定ということでやっておりましたけれども、現在、アメリカにおきましては、これまでの結果について専門家の意見を聴くと、そういうことを、ピアレビューをやるんだということを既に明らかにしているところというふうに承知をいたしております。  農林水産省といたしましては、米国牛肉輸入再開に当たりまして、消費者の回復を図るという意味でも拡大サーベイランス、今やっておりますこの拡大サーベイランスの継続が大変大事であるということをこれまでと同じように繰り返しアメリカ側には要求していきたいと思っております。
  36. 主濱了

    ○主濱了君 是非とも予算の獲得、まだこれは予算の方は決定はしていないというふうに聞いておりますけれども是非とも働き掛けをお願いをいたしたいなというふうに思います。  次に、特定危険部位の除去に関してなんですが、米国牛肉の骨の混入が散発をしているということでございます。これは特定危険部位ではないということでありますけれども、これは輸出違反ではあるわけであります。  ずっとこう挙げますと、タイソン・フレッシュ・ミート、これは四月でありまして、台湾向け、スイフト・ビーフが三月に香港向け、それからカーギル・ミート・ソリュージョンというのが四月にこれは香港向け。三大食肉メーカーがすべて輸出条件違反をしていたと、こういうふうに報道をされているところであります。さらに、五月には、ハリス・ランチ・ビーフ・カンパニー、これは香港向けですが、ここでも違反を行ったと、こういうふうに報道されております。  このように度重なる輸出条件違反の発生、輸出条件の遵守というのはもうアメリカにとって、アメリカの精肉会社にとってはもう二の次の問題であるのか、あるいは条件遵守できる体制が整っていないのか、いずれにしても構造的問題かなとも、こういうふうにも考えられるわけであります。  まず、この香港あるいは台湾に対して輸出条件を守らなかった食肉メーカー、これを日本への輸出施設として認めるか否か、これについて端的にお伺いをいたしたいと思います。
  37. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、先生おっしゃいましたように、骨片が肉に入っていた事例というのはこれまで香港向けで三例、それから台湾向けで一例確認をされております。  これらの事例につきまして、香港、台湾あるいはアメリカ政府に事実関係を照会をしているところでありますけれども輸入国側、台湾なり香港側としましては、輸入牛肉輸入対象外としている骨片が混入していたと。これは、輸入条件はボーンレスミートとなっておりますので骨が抜いていると。これ自体、解釈が輸入側とアメリカ輸出側では少し違っておりますけれども輸入側、香港や台湾から見ると、そのルールに決められたことに違反しているんだということで、当該施設、四施設からの輸入停止措置を講じたということだというふうに私ども承知をいたしております。  これらの四例、いずれも輸入国側としましても、その入っていた骨片というのはSRMではないということから、食の安全ということではなくて、ルールの決められている、そのルールの解釈から見てどうかという問題だというふうにしてこの問題を今取り扱っておるところでございます。  いずれにしましても、これは輸出国輸入国との間のルールの適合ということでありますので、我が国アメリカとの間で合意されているルールとはまた違います。現在私どもは、先般の日米共同記者発表に従いまして、調査団を送りまして、日本の目でその三十五の施設についてチェックをしているところでございまして、日本側現地調査によってそれぞれの施設が問題はないというふうに判断された、そういう施設から輸入手続再開の対象にしたいというふうに考えております。
  38. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  ただ、やっぱりこれは輸出条件違反という一つのルール違反であります。これは、何といいますか、安全性に影響がないとはいえ、そういうふうなずっとレベルの低い輸出条件違反をやっているわけでありますので、この点は十分考慮されるべきだと私は思うわけであります。  次は、国内のそのBSE検査を二十一か月以上としていることの見直し、これについてお伺いをしたいと思います。  今年の四月の十四日、郡山食肉衛生検査所で二十か月齢の乳牛がBSE一次検査で陽性を示したわけであります。この際、石原事務次官が十七日の記者会見で、仮に二十か月齢の感染が見付かった場合、これまでの国内対策を見直さなければならないし、対日輸出条件にも影響があると、こう発言をしたということでございます。  これはBSE検査の二十か月齢以下への引下げの見直しの可能性、これを示したのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  39. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 議員御指摘の事務次官の記者会見での発言は、あくまで仮定でのお話に対して一般論としての考え方を述べたものと承知をいたしております。すなわち、仮に御質問にあるようなリスク評価の前提につきまして新たな科学的知見が得られた場合には、必要に応じリスク評価を実施し、その結果によってはリスク管理措置を見直すことがあると考えております。
  40. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  結論部分だけいただければ、いずれ見直す可能性はあると、こういうふうにとらえさせていただきます。この件について、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、後でもっと触れる機会があればまた触れたいと思います。  次は、いよいよ今回の日米合意内容について一点だけ触れさしていただきたいんですが、この日米合意の中の米国側措置についてであります。  対日輸出ができる製品のリストを当該施設のマニュアルに記載するというふうにあるわけであります、アメリカ側の措置としてですね。対日輸出ができる製品のリストを当該施設のマニュアルに記載すると、こういうふうにあるわけですが、まず疑問に思うのは、今までこれが記載なかったのか。要するに、この会社は、この工場はどういったような製品を日本輸出ができるかということが分かっていなかったのかという一つの疑問があります。  それから、じゃ、それを記載したといたしまして、実際に食肉処理現場でマニュアルはどのように利用されるか、活用されるか。  この二点について端的にお願いをいたします。
  41. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 日本輸出をされます、アメリカから輸出をされます牛肉というのは二つの主要な条件がありまして、二十か月齢以下の牛由来のものであるということと特定危険部位がすべて除かれているということであります。この二つの条件、あるいはまた、そのほかにほかの肉とは識別をされているというのもありますけれども、こういった条件がそれぞれの食肉処理施設におきましてきちっとこの今申し上げた条件どおり行われるように、それぞれの施設におきましてはQSAマニュアルというものが作られております。これはもう輸入再開された、最初の、昨年の十二月十二日以降ずっとそうでありますが、今回、一月二十日の事案を踏まえまして、そういった条件の更に細かく、それぞれの施設において、自分のところは内臓を出さないけれども肉だけ出す、あるいは別の施設は肉も出すし内臓も出すと、それぞれの企業の、あるいは施設の方針がありますから、それぞれの施設が具体的にどういう部位、どういうものを出すかというところまでその輸出可能のリストとして品質マニュアルの中に細かく書いていこうというのが今回の措置でございます。  そういうことによって、より一層この品目リストを使いまして、これはアメリカの農務省のAMSというところも持っておりますので、一つは、日本向けに輸出をしたいとなりますと、その輸出の申請書の中にその部位が書いてございます。その部位と、それからAMS、アメリカ農務省の担当部局が持っておりますそのリストと照らし合わせて、一つ一つそれぞれが適合しているかどうかを調べるということが一つであります。それから、日本の水際の検査におきましても、日本側もあらかじめこのリストを持とうとしておりますので、日本としてもまたチェックをすると、ダブルチェックをしていくことによって間違いをなくしていこうというのがねらいでございます。
  42. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、今度は消費者の反応につきまして、これ大臣にお伺いをいたしたいわけなんですが、これ最近のアンケート調査二つ、一つは朝日新聞なんですが、これは六月の二十八日に掲載されたものでありまして、これによりますと、輸入再開に反対をするというのが五二%ありました。それから、賛成が三七%。それから、再開されても米国牛肉を食べないというのが七一%、このうち女性は八一%というふうなことになっております。さらに、その二日前、読売新聞なんですが、輸入再開に反対をするというのが七一%。それから、賛成が二九%。それから、輸入再開されても食べたくないというのが六〇%。  こういうふうにかなりの人が輸入再開に反対、さらには再開されても食べたくないというふうな結果が出ておりますけれども、このような結果、どのようにお考えになるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  43. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 消費者の皆さんが安全、安心なものを求められるというのは当然のことだろうと思います。したがって、我々は専門家の先生方に御判断をいただいたリスク評価に基づきましてリスク管理をやっているわけでございますが、昨年十二月の再開、そして一月二十日のああいう事態の発生ということで一時輸入停止をしているわけでありますが、再発防止それから原因の究明という観点から日本側あるいは日米側、日米として、そしてアメリカ側がそれぞれやるべきことをやってきているわけでございます。その間、国民の皆さんにも二回御説明をさせていただき、食品安全委員会の方にも御報告をさせていただいているところでございます。現時点で米国での施設等に政府から査察に行っているところでございまして、これも我々のルールに基づいて米国と協議をしてやっている作業でございます。この結果については、帰国し次第内容を検討し、そしてまた国民の皆様方に御説明をすると同時に、次のステップにどういうふうに入っていったらいいのかということになるかと思います。  我々としては安全ということを大前提にするということは言うまでもございません。消費者の皆さんがこれだけのアンケート、いろいろございますけれども、今のアンケートを前提にいたしますならば、再開反対が多いということは、我々としてはルールどおりにやってその結果を次の段階でどういうふうに判断するかというわけでございまして、これをきちっと御説明をするということは我々の大事な仕事だというふうに思っております。  安全であることはもとよりでございますけれども、できるだけ安心していただきたいというふうに思いますが、最後、食べるか食べないかというのは、そういう安全なシステムが動いている上での御判断でございますので、そこは、消費者の皆さんに対して無理やり食べろとか食べるなとかいうことを我々リスク管理機関としては申し上げる話ではございませんし、その食べたい、食べたくないについてはあえてコメントは差し控えたいと思いますけれども、しかし、この我々のやっている作業、あるいはまた今後のやり方、次の作業によっては、国民の皆さんに対して安全に対する信頼を高めていくような努力というものは常にしていかなければいけないというふうには考えております。
  44. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、BSE、もうちょっと質問したいんですが、午前中最後の質問にさせていただきたいんですが、厚生労働省及び農林水産省はこれまで二回、国民との意見交換会を行ってきたわけでありますが、その概要、この概要をなかなか見ることができませんですが、その概要と、そして特に国民の理解を得られたと感ずることができたかどうか、この点について大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 折に触れて、今、主濱委員指摘のように、大事な作業が終わった段階では、全国十か所の、まあ代表的な地域でございますけれども、御説明をし、またいろんな御意見もいただいたことも、我々としてももちろんそれを無視するということはいたしませんが、我々としてあくまでもリスク管理機関としての作業を粛々と進め、それを国民の皆さんに御説明をするということが目的でございまして、これを今後ともやっていかなければなりません。いわゆるリスクコミュニケーションというものも極めて大事であるということは我々重々認識をしているつもりでございますので、今まであるいはまた今後もこういう手続というものを取っていかなければならないというふうに考えております。
  46. 主濱了

    ○主濱了君 じゃ、BSEは途中なんですが、午後もちょっとやらせていただきますが、午前中、これで終わりたいと思います。
  47. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  48. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査のうち、米国牛肉輸入問題に関する件及びWTO農業交渉に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  49. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、引き続き中川大臣にお伺いをいたしたいと思います。  三月までプリオン調査会の専門委員でありました山内一也東京大学名誉教授の御発言についての感想といいますか、これをお伺いをいたしたいというふうに思います。  それから、これに関連しまして、厚生労働省農林水産省には、このたびの輸入再開米国牛肉を安全と判断した理由についてお伺いをしたいと思います。  まず、この山内先生の御発言の報道の内容ですけれども一つは、米国牛肉のリスク評価では、特定危険部位除去の実態など不明な点が多いためリスクを評価することは困難としたのが私たち科学的な結論であると、まずこう言っております。  それから、輸出条件が遵守されると仮定すれば国産とのリスクの差は非常に小さいとしたが、これは科学的ではないと、こう言っております。  それから三つ目、昨年十二月の米国牛肉輸入再開は、農水省、厚労省が政治的、経済的に判断、それを科学的根拠に基づいて輸入再開したと科学者に責任を押し付ける形で対外的に説明したことが消費者の混乱を招いたと、こう言っております。  それから、両省が米国牛肉輸入停止を解除するときには、今度こそ自らの言葉で安全と判断した理由を国民に明らかにしなければならないと、こういうことをおっしゃったと報道されているところであります。  ひとつこれに対する御感想ですね、これを中川大臣にお願いをいたしたいと思います。
  50. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 山内先生の新聞記事、四月七日の記事だろうと思いますが、山内先生は食品安全委員会プリオン調査会のメンバーでいらっしゃったわけですね。ですから、御自身が長期間にわたって大変鋭意リスク評価をしていただいたという中で、その主要メンバーのお一人であったわけであります。  その答申は、今、主濱委員が一部おっしゃいましたけれども、結論としては、この条件が遵守されれば日米の間のリスクの差は非常に小さいというのが結論であったわけでございます。その間、いろんな御議論があったであろうことは私も承知をしているところでございますが、とにかく山内先生も構成員となられた食品安全委員会の結論はそういうことでありまして、我々としては、それに基づいて、それを担保しながらという前提でリスク管理をさせていただいているわけでございます。  したがいまして、一点目と二点目について、その新聞記事で山内先生がおっしゃったことについては、私としては特に、だから食品安全委員会の結論が変わってしまうのかということとはまた別の次元として、我々としては、あくまでも食品安全委員会の答申というもの、もちろん附帯意見とかいろいろ付いておりますけれども議論の過程で山内先生がどういうふうにおっしゃったかということも含めて、我々としては、それはそれとして、結論を我々は遵守をしていくということ、附帯意見については、もちろんそれを受けてアメリカ側にもいろいろと要求をしているところでございますので、一点目、二点目については、あえて申し上げるならば、自分の御意見と仮に違う結論が出たということをおっしゃりたいのかどうか分かりません。我々は答申に基づいてリスク管理をきちっとやっていかなければいけないというふうに考えております。  消費者の皆さんに混乱を招いた理由は、リスク管理機関はリスク評価委員会の前提に基づいてやっているということが消費者に混乱を招いた一つ原因であろうというような三点目の御指摘につきましても、何も責任転嫁をするつもりは毛頭ございませんで、我々はリスク評価、食品安全委員会の示された内容に基づいて作業をやっていて、したがってそれと違う形のものが輸入されようとして、それが日本の水際で発見された、したがいまして、その結果、日米の約束が守られなくなったわけでございますから、だからリスク管理機関として輸入手続をストップをしたということでございます。その根拠がリスク評価機関の決定に基づくEVプログラム違反であるということでございます。したがって、責任転嫁ではございませんで、リスク評価機関のお仕事、リスク管理機関の仕事、それぞれがこれは別であるわけでございます、別であるところに意味があるわけでございますから、そういう手続を取った根拠は何かと言われれば、リスク評価機関の決定に違うことがアメリカ側で行われたからリスク管理機関として作業をした。作業決定したのはだれかといえば、厚生労働大臣と私ということになるわけでございます。  四点目の説明をもっとしなさいということについては、今までもしてきたつもりでございますけれども、今後も、今回のリスクコミュニケーションを二回やったということを午前中申し上げましたが、折に触れて国民の皆様にきちっと説明をしろという御指摘については、そのとおりだろうというふうに考えております。
  51. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  最初に申し上げましたように、これは日本国内だけでなくて、食の安全あるいは牛肉の安全という観点から、トレーサビリティーあるいは飼料規制、そして全頭検査、特定部位の完全除去、これをひとつ今後ともきちっと対応していただきたいと思います。  それでは、次、もう一つのテーマでありますWTOの方に移らせていただきます。  WTOの閣僚級会合につきまして、中川大臣は、決裂したわけではないが、これ以上交渉するには無理がある、意味がないという認識に至ったと、こう述べられております。途中では、ブッシュ大統領が譲歩の姿勢を示したり、あるいはブラジルインドがやっぱり譲歩の姿勢を示したり、EUが譲歩の姿勢を示したり、さらに中川大臣柔軟性を示す案を持っていると、こういったような発言をされたり、うまくいくのかなというところもこれあったわけですが、結果的には今のような状況に至っているということでございます。  この際、交渉の雰囲気、それから経過、さらには、その結果でも合意を見るに至らなかったその結果について御感想をお願いをいたしたいと思います。
  52. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 冒頭、国井委員の御指摘のときも、少し長くでしたけれども経緯を申し上げましたが、カンクン、香港と、香港は多少前進いたしましたけれども、残り一年というところで、ラミー言葉をかりれば、まだ半分ちょっとしか進んでいない、六〇%か六五%だと言っておりました。したがって、更に頑張っていかなければならない、首都ベースあるいは閣僚ベースでどんどん政治判断も必要だということをみんな確認をし合って作業を進めて、四月末がああいう形になったわけでございます。  六月末につきまして、いよいよと思って臨んでいたのは私だけではないと思いますけれども、G6の場でいわゆる三角形を中心にした議論が全く平行線であったと。そして、グリーンルームという非公式の三十か国ほどの会議も、G6がまとまらなければグリーンルームの会合なんかまとまりっこないじゃないか、まして百五十全体がまとまるわけがないからしっかりやってくれと。G6とファシリテーターのラミーに任せるということで、我々G6のメンバーでも実質一日半ぐらい、それ以外に参加した閣僚はほとんど一回きりの会合で終わってしまったわけであります。そういう意味で、私は決裂ではないと。しかし、多くの国々は、一回発言して、あとはもう任せるから七月末までにG6プラスラミーでやってくれということになったというわけでございます。  その間、各国はここ一年間を振り返ってみてもいろんな提案を、決して後ろ向きではない提案を出してきていることも事実であります。去年の秋もEU提案を出しました。それから、十月にはアメリカ国内支持を中心に提案を出してまいりました。G20が一応全体を見た、つまり、輸入国側のインド輸出国側のブラジルが同じグループにいるということもあって、両方に配慮したような、まあ途上国に有利といえば有利なんですけれども提案も出してまいりました。我々日本も、マーケットアクセスを含めてG10としての新たな柔軟性提案を出しております。  ただ、それでは不満だということと、タイミングがうまくかみ合っていないので、場合によってはEUのように、いったん出したものはみんないただき、そしてもっと出せと、こういうことになりますと、仮に私がEUの立場であれば、せっかく出したのに、それはいただきで相手は動かないで、もっとやれもっとやれというのは、これはおかしいではないかと。その理屈自体は分からないではないわけでありますけれども、ということで、みんなで一、二の三で出そうよということを私が提案したこともございますけれども。  それにいたしましても日本としては、私は日本の代表として行っているわけでありますから、午前中も申し上げましたように、要求する側が譲歩を示さないまま提案を出して、はい、分かりましたと言って我々が譲歩をしてまとめるということは、我々は、これは経済交渉ではありますけれども農業を含めてみんなこれ国民あるいはまた議会が関心を持ち、その総意をもって交渉に臨んでいるわけでございます。アメリカももちろん選挙を控えてそういう立場にある。EUも二十五か国という参加国、微妙に立場が違いますので、それの中でのマンデートの範囲内で交渉をやるということでそれぞれの、いろいろと立場があるわけでございまして、そういう中で各国、とりわけG6がさっき言った三角形の中でがちんとぶつかったまま動いていないと。  しかし、今年末までにまとめないと、例えばアメリカの期限が来てしまうとか、あるいはもう当分、二、三年は駄目ではないかとか、これはラミーさんなんかが時々言うことでありますけれども、そういうことになると、これは全体としての貿易の拡大、あるいは途上国の発展、さらには車の両輪でありますけれどもマルチよりもバイのEPAの方に関心が行ってしまうということは、余りにも行き過ぎるということは果たしていいことなのかとかいろんな問題点がございますので、何とか今年、年内にまとめようということで、G8のサンクトペテルブルグの会合でも、G8あるいはG8プラスでもこのことが確認をされたところでございまして、したがいまして残された時間は大変短いわけでありますが、一か月以内ということになりますと八月中、八月中は普通はよほどのことがない限りヨーロッパの人たちは長期のバカンスに入るわけでありますけれども、そのことをEUラミーさんに聞いたんですが、今回は特別だと、バカンスはその後にしてこれに専念しようではないかという強い意志を聞いたときに、やはりEUを始めとして各国が何とか十二月中までに、まあ日本だけじゃないでしょう、守るところは守り、譲るところは譲って交渉をまとめたいという気持ちは変化がないというふうに認識をしております。
  53. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、各論といいますか中身について入って、お伺いをいたしたいと思います。  まず、関税削減についてお伺いをいたします。  G10の提案は、一般品目につきましては各階層を四つに分けている、七〇%以上、七〇から五〇、五〇から二〇、そして二〇%未満の四つに分けておりまして、これを、七〇%以上については四五%の削減をすると、こういったような案になっております。  それで、この一般品目の最上級階層であります七〇%以上の関税に対するその四五%削減の考え方、この基本的な考え方をお示しをいただきたいと思います。
  54. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) お答え申し上げます。  昨年十月、G10といたしまして最上位階層の境界は関税率の七〇%であると。それから、関税削減率委員指摘のとおり、四五%という考え方を含む市場アクセスに関する提案を行ったところでございます。これらは最上位階層に各国とも一定数の品目が入るような水準を踏まえた境界値ということで設定をしていまして、国内の状況を踏まえながら階層方式によって実質的な市場アクセスの改善を行うという水準としてG10の協議の中で設定したものでございます。  以上でございます。
  55. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  G10の協議の中でと、こういうことですが、それでは具体的に日本関税種類は一千三百二十六品目あると、こういうことでございます。この七〇%以上の最上位階層に分類されるのは何品目ありますでしょうか。そして、できれば代表的な品目を示していただきたいと思います。  そして、G10提案なので、これは試算済みと思われると、こういうふうに思っているんですが、このG10の案が採用された場合に代表的な品目輸入量がどの程度増加するのか、関税がどこまで下がってどの程度増加するのか、あるいは生産や消費にどの程度の影響を及ぼすのか、これについて概略お示しをいただきたいと思います。
  56. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) お答えいたします。  最上位階層の境界をG10提案では七〇%以上とするとしておりますけれども我が国の場合、御指摘のように一千三百二十六品目ございますけれども、このタリフラインの中でこれに該当するものが百三十八タリフラインがございます。例えば、主なものでは米でありますとか、これは従価税換算率では七七八%、それから小麦では従価税換算で二五二%というようなことになります。全体ではおおむね、全体が千三百二十六でございますので、全体数の一〇%程度に当たるということになります。このほか、米、小麦の調製品とか、あるいは乳製品、砂糖、でん粉のたぐいがこの中に含まれてくるわけでございます。  それから、委員質問の影響ということでございますが、一般論として申し上げれば、関税削減によりまして輸入後の価格が国内価格を下回ることになった場合、輸入品と国内産品の品質が同程度のものであるとすれば、その価格差の程度によって輸入量が増大する事態も想定されるところでございますし、また、重要品目に指定して関税削減の幅を小さくした場合には、関税割当て拡大を通じて一定程度の輸入量の増大が見込まれるところでございます。  具体的にということでございますけれども、どの品目についてどの程度輸入が増加するか、また、国内生産への影響につきまして、交渉の結果によるところが大でございまして、現時点では予断することは大変困難かというふうに考えております。
  57. 主濱了

    ○主濱了君 確かに難しい面はあると思います。ただ、言えることは、G10の提案というのは比較的穏やかな提案なわけです。そのG10の提案であってもかなりの日本は痛みを伴うと、こういうふうに私は思うわけであります。  まず、この痛みを世界各国にきちっと説明をしているかどうかということ、それからもう一つ大事なことは、この痛み、この痛みというのは非常に大きい痛みだと思うんですよ。例えばこれ、四五%関税を削減するという大きな問題だと思うんですが、このことを国内関係者、関係する農家あるいは稲作農家、そういうところにきちっと説明をしているか、この痛みをですね、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  58. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) お答え申し上げます。  WTO農業交渉におきましては、我が国は、柔軟性があり、かつバランスの取れた貿易ルールの確立を目指しております。我が国農業に対する影響をできるだけ小さなものにするということでG10として提案を行い、交渉に臨んでいるところでございます。  このような中で、我が国は、米国等の輸出国に対しましては、実質的な痛みを伴うオファーを行っている輸入国提案輸出国の要望とは同列に議論できるものではないと、まずは要求する側が譲歩すべきであるというふうな主張をしているところでございます。  また、農業交渉の結果につきましては、国内農業や国民生活に直接かかわるものでございますことから、交渉の状況あるいは我が国提案内容等につきまして、農業者は言うに及ばず、消費者の方々、経済界の方々、マスコミ関係者等に対しまして、東京あるいは地方での説明会あるいは意見交換会など行っているところでございますし、大臣出席のタウンミーティングにおきましても積極的に情報を提供すると同時に意見交換等も行っているところでございます。  今後とも、WTO農業交渉の状況等につきまして、更に適時的確に農業者の方々、消費者の方々を始め、広く国民の皆様にお伝えするように努力してまいりたいというふうに考えております。
  59. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。正にそのとおりだというふうに思います。  それでは、引き続き、今度は重要品目の数についてお伺いいたしたいんですが、今G10は十五ないし十と、こういうことで提案をしているところですが、この重要品目の数が一〇%未満でもし合意された場合、これはどの分野にどういったような影響が出てくるのか、これについてお知らせをいただきたいと思います。
  60. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 昨年十月のG10の提案では、関税削減方式が定率カットの場合にはタリフラインの一五%、階層内に柔軟性のある関税削減方式の場合にはタリフラインの一〇%ということを提案しているところでございます。  この一〇%を切った場合にどのような影響があるかというような御質問でございますけれども、この影響を考える場合に重要品目の数だけではなかなか決まってまいらないわけでございまして、重要品目の具体的な取扱い方あるいはその関税削減率等々によっても大きく左右されるわけでございます。このため、重要品目の数が一〇%未満の場合の日本農業に与える影響につきましては、今後の交渉によるところがまた大きくありまして、現時点においてはなかなか予測することも難しいということを是非御理解をいただければと思います。
  61. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、もうちょっと質問を変えまして、仮に重要品目と重要品目の取扱いが日本あるいはG10の主張どおり合意された場合、正に今提案しているわけですから、そのとおり合意された場合、具体的にといいますか、米の関税が幾らになって、そして外国産米の流通がどの程度になるのか、そしてその結果、日本の稲作農家がどうなってくるのか、どのようにこれを想定されているのか、お伺いいたします。
  62. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) ただいまお米についての御質問ございましたけれども、米、大変重要な、我が国国内農業にとって重要な品目でございます。その扱いにつきましては、この交渉モダリティーの結果を見てどのような扱いをしていくのかということになろうかというふうに思います。それで、できるだけこれに対する影響が少ないような対応をしていくという答弁をさせていただきたいというふうに思います。
  63. 主濱了

    ○主濱了君 具体的な提案をされていますよね。例えば、七〇%以上のものについては四五%削減しましょう、そして重要品目の場合は今は一般品目の二分の一にその削減幅を縮めましょう、こういったような具体的な提案をされているわけですが、それで、あとそれにスライド制というのがかかわりますけれども、今のケースで米の関税は七七八%がどのような関税になるのか、これだけでもお示しをいただきたいと思います。
  64. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 七七八%、従価税換算率でなるわけでございますけれども、米につきましてどのようなモダリティーの中で扱いをしていくのかということが、いろいろな諸条件を見て考えていくわけでございますけれども、現時点でどうするのかということは申し上げられないところでございますけれども、重要品目について、仮に関税率の削減の幅を、半分を中心にスライド方式でやっていくということになりますと、この関税率の半分を上限にするということも抽象的といいますか、機械的にはなりますけれども、具体的なお話としては答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。
  65. 主濱了

    ○主濱了君 なかなか、これ、もし動き出しますと、本当に日本の例えば稲作農家というのは大変な壊滅的な被害を受けるかもしれないわけですよね。本当にこれ、今からずっとお話をしていかないと、あるいは相談をしていかないと、後では取り返しの付かないようなことになってしまうと私は思うんですよ。今のような態度では、本当はやっぱり農政というのを本当にお任せできるかどうか、非常に疑問に感ずるところであります。  これはおいときまして、一歩進めさせていただきたいんですが、モダリティーにおきましてその重要品目の数が合意された場合、これは幾らとは言いませんが、合意された場合、国内においてはその重要品目をどの品目にするのか、これは決定する必要があるわけであります。それで、何を重要品目にするかというその判断基準、あるいはその決定手続、これについて現況、どのような検討をされているか、お伺いをいたしたいと思います。
  66. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどの主濱委員の御質問にも関連するかと思いますが、今、佐藤総括審議官からお話あったように、重要品目を何にするかということは決めておりません。もちろん、米、あるいは麦、乳製品、その他、国内的に大事だと、重要だということは重々認識をしておりますが、WTOで決められるルールの中で、それに入れるか入れないかということは、今、一切私どもは決めておりません。  なぜ決めていないかというと、もちろん交渉上の問題であるからということで、この場でも、公でございますからということがないわけではございませんけれども、もっと大事なことは、主濱委員が重要品目の数というふうにおっしゃいましたが、重要品目は数と扱い方と両方がセットになっているわけでございます。二年前のジュネーブでの枠組み合意では、重要品目という扱いは認めると。しかし、それは関税の削減を小さくすると同時に、関割り、TRQの拡大とセットでやるということになって、もう決まっているわけでございます。  したがって、麦の場合にはもう九〇%輸入でありますから、これを例えば一〇%関割り拡大しなさいというと、もう一〇〇%輸入、もう国内の需要に対して一〇〇%輸入ということになってしまいますから、これは、麦については、はっきり言って、できるだけ関割りの拡大は小さくしたいというのが私どもの率直な気持ちです。ここまで言うこと自体、かなり思い切ったことを私は言っちゃったなと思っております。  米につきましては、いろんな御意見があります。TRQの拡大を増やさないようにしようという御意見もあります。それから、関税率をできるだけ、七七八%から下げ率を、日本提案でも四五%ですから半分近くまで下がるわけですけれども、午前中あったように、アメリカは九〇%、最高位階層だと九〇%削減しろということになると七八%になってしまうということになります。それと関割りの拡大と、まあ九〇はさすがに私どもはのめるわけがないわけでありますが、提案としては現に出ているわけでありますけれども。  どういうふうにしていったらいいのかというのは、私は時間的にもまだあるんだろうと。つまり、重要品目の数と扱いをめぐる交渉が我々は今一番大事な交渉だと思っております。これと上限関税の導入、導入しないの問題。そのルールが決まった後、さて日本としてどういうふうにしましょうかと。これはあくまでも譲許表の世界になるわけでございますから、今回、米を念頭に置いてどっちにするとか、麦を念頭に置いてどっちにするとかいうと、米の輸入をねらいたい国、麦の輸入をねらいたい国、一杯あるわけでございますから、こっちが守りたいということは向こうは攻めたいということでございますから、その辺も含めて、決めていないというのはこの場で申し上げるのを控えるという意味ではなくて、その重要品目の数と扱いをどういうふうにしていったらいいのかということがポイントだということで、是非とも御理解をいただければというふうに思います。
  67. 主濱了

    ○主濱了君 いや、何回も申し上げておりますように、この決定、要するにWTO決定したことは、もうすぐの、実際に今稲作をしている農家に直接影響を及ぼすんですよね。ここのところを十分考えなくちゃいけない。ですから、決まりました、はい、やってくださいじゃ、これ駄目なんですよ。やっぱり相談していかなくちゃ私はいけないというふうに思うわけであります。  この観点から、米は重要品目に該当すると考えてよろしいでしょうか。
  68. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、政治的に日本で一番大事な作物であるということは、日本だけじゃなくて世界じゅうが知っております。極端に言うと、米だけ守れればいいんだろみたいなことを言う人すらいるわけでありまして、もちろん米も守らなければいけませんし、ほかにも政治的に大事な、あるいはまた地域特産の、沖縄のサトウキビとか、そういうものもあるわけでございますので、どうやってそれらを守っていったらいいのかということでございます。  それと、WTO上のルールとして認められるTRQの拡大と関税の削減の、何というんですか、幅を小さくするという組合せの中でどういうふうにやるかということを、もうかなり数学的に細かいところまで閣僚レベルでさえやっておる。多分、気合みたいな世界に入ってまいりますから、私も時々こんがらがっちゃうこともありますし、各国も、そういう人も時々いるぐらいのことを実はともすればなりがちになるわけでございまして、重要品目をどういうふうにするかと、どういうルールにするかによって、さっき申し上げたように、どっちにしろ、削減率は減るかもしれませんけれども、関割りの拡大は伴うということになるわけで、ましてや、アメリカやG20提案は、関割りの拡大を仮にしない、つまり関税削減率をもう一般並みの削減率でもいいですよといっても、関割りの拡大は消費量の、アメリカですと三%、母数を置いて、それに計算式を乗っけろみたいな、もうめちゃくちゃな提案をしているわけでありまして、仮にですよ、そういうものが仮に決まったときに、さて、それぞれの日本で重要だと思っているものをどちらに入れるかというのは、正にこれはそれが仮に決まったときの判断だろうと思います。  しかし、主濱委員が御指摘のように、いきなりある日突然、さあ、こう決まったからどっち選ぶということでは、日々、農業者の皆さん、大変関心があり、不安を持っていらっしゃると思いますので、我々としても、一つの方向性が見えた段階といいましょうか、あるいはまた、逐一、関係者の皆さんの御意見も重々拝しながら、あさってからのジュネーブ出張に臨んでいきたいというふうに考えております。
  69. 主濱了

    ○主濱了君 今、大臣、正に大事なことをおっしゃったと思います。今の世界の潮流からいきますと、いずれにせよ、これは関税の引下げあるいは関割りの拡大、どっちかになるわけですよ。そうしますと、これはもう今のままの農業ではいけないわけですね。ですから、このことをまずは農家の皆さんにしっかりとお話をする必要があると思います。決まってからじゃ、やっぱり遅いと思うんですよ。今の段階から言っていかないと、後で間違いなく来ることなわけですから、これは今の段階からお話をしておくべきだと、その点については私お願いをしておきたいと思います。  先を急ぎますけれども、米を重要品目に指定しないと、こういう報道がありますが、これいかがでしょうか。
  70. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一切決めておりません。
  71. 主濱了

    ○主濱了君 六月十九日、朝日新聞に掲載をされておりますが、抗議はしましたか。
  72. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これに限らずいろんな報道が、もう日本のマスコミだけではなくて、例えばファイナンシャル・タイムズであるとかヘラルド・トリビューンであるとか、私の発言がとんでもない逆になって世界じゅうに報道されて、時にはアメリカを喜ばしたり、あるいはアメリカを激怒さしたりということがもうここ一年非常に多いわけでございまして、これは今から考えれば農家の皆さんに大変心配を与えるような、しかも日本を代表する新聞の報道でございますから御関心を持っておられる方がいらっしゃるということでございます。  そういう意味で、抗議はしていないと思いますけれども、きちっと、そうではないと、何も決まっていないと、何がベターかということを折に触れて農家の皆さんに私ども説明をする必要は、今の主濱委員の御指摘を受けて、そうすべきだというふうに私自身今思っているところでございます。
  73. 主濱了

    ○主濱了君 米が重要品目に指定されないということになりますと一般品目扱いになります。そうしますと、先ほど最初に申し上げました七〇%以上の階層に区分されますから四五%削減と、関税が四五%削減と、こういったような一般的な取扱いになると思います。こうなった場合は、当然その先は予想されますけれども、安い外国産米が日本に流入をする、そして日本の稲作農家というのは壊滅的な打撃を受けると、こういったようなシナリオが予想されるわけであります。でも、これは何もしない場合であって、そうであってもきちっとした対策を取ればこれはいいわけですよね。  そういったようなことからも、これは今の段階から、そうであるかないかは別として、きちっと相談をしていかなければいけないと、このように思うわけですが、この点についてひとついい御答弁を、相談をするということについていい御答弁をいただきたいと思います。
  74. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 現段階で交渉の結果どのぐらいの、日本農業の場合にはどれだけ下げを、マーケットアクセスをオープンにしろという要求を、抵抗するかという立場でございますんで、それがどの程度のものになるかということ、そしてそれが日本農業あるいは各農家に影響を及ぼすから今からそれについて対策をきちっと考えておこうというのは、私は交渉上公にすることは決してプラスになると思っておりませんし、したがってそのことを具体的に省内で考えているということではございません。  ただし、どういう結果になったとしても日本農業を守る。小泉総理から私に与えられているマンデート、まあ権限というのは、交渉にできるだけ参加をして守るところは守る、そして交渉を本来の開発ラウンドを含めてきちっとやって参加をして貢献をするようにと。と同時に、日本農業もきちっと守るのは当然であるという御指摘でございます。  今から十三年前のウルグアイ・ラウンドのときを振り返りましても、あれが細川内閣で決定されたときは自民党は野党でございましたけれども、その後、半年後に与党に復帰をして、そしてこの日本が受け入れた新しい貿易ルールの中でこれでは日本農業はやっていけないということで、例の総額六兆百億円、国費で三兆弱のウルグアイ・ラウンド対策というのを、これは私どもが対策を取ったわけでございますけれども、これも交渉決定した後の作業でございます。  そういう意味で、我々はとにかくこの戦いを交渉の中でとにかくやっていくんだということで、しかし最終目標は日本農業者に壊滅的な、あるいは大きな打撃を与えないということが大前提でやっていくということは間違いございませんし、その件については折に触れて農家、農業者の皆さん方に説明をしていかなければならないというふうに考えております。
  75. 主濱了

    ○主濱了君 終わります。
  76. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。  今日は閉会中の審査でございます。したがいまして、与野党の理事の方々、大変な御努力をされて、当然テーマが定められているわけでありますけれども、そのテーマに先立ちまして一つ別な質問をさせていただければと思っております。  それは三浦大臣の地元でございますが、熊本県の川辺川ダムについてでございまして、この事業がどのようになっているかはもう既に御案内のとおりだと思いますけれども、私ども民主党は常々、このダム事業につきまして四つの目的があるというふうに言われているけれども、そもそもダムそのものがなくても四つの事業そのものはでき得るんではないかということを主張をしてまいりました。  先般、裁判等の結果が出されまして、総理は引き続き建設をするんだという話もされておりますけれども、農水省の関係につきましてはダムによらずともできるという案が出されているというふうにも聞いております。  先般、熊本県が仲立ちになりまして、何がしかこの考え方がまとまった、あるいはまだ完全にそこまでは行っていないという報道がなされておりますが、このことについて、機会がございませんでしたので、この機会に大臣の方から農水省の現在の見解をお聞かせいただければと思っております。
  77. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 川辺川農業水利事業につきましては、いわゆるダムを造るか造らないかということが一つのポイントであったわけでございますけれども、昨年十二月にダム案とダム以外案を提示いたしました。しかし、それでも御地元の方での総意がまとまりませんでしたので、今年の五月になりまして、知事等からの要請に応じまして既設の導水路活用案、つまり既にある企業の導水路を利用した案というものを提案をいたしまして、これはダムに依存しないものでございます。  関係者が鋭意御地元で御協議をしていただきまして、七月十四日には深夜までの御議論があったというふうに聞いておりますけれども、県の方から、一日も早く農家に水を届けるという観点から、ダムに水源を依存しない案である既設導水路活用案に絞り込むという整理がなされました。これは決定ではございません、整理が県の方でなされたということでございます。関係市町村の合意には至っておりませんので、今後、国といたしましても、県、市町村と協力して、事業費負担など懸念された問題の解決も含めて国としても地元と協力しながら努力していきたいというふうに考えております。
  78. 郡司彰

    ○郡司彰君 今日は、この問題で時間を割こうというふうに思っておりません。現在の農水省、大臣の考え方をお聞きをしておきたいというふうに思いますが。  全国各地でこうした事業が長年にわたって計画をされまして、つまり、私も現地の方にも伺いましたが、五木の子守歌で有名なところはもう既に役場その他が全部移転をして別なところに造られております。そこに至る間には、もう地域の中で肉親あるいは親戚を含めて大変なそういういさかい事が起こるんですね。既にその場を離れている方もたくさんいらっしゃると思うんです。  私の県でも三十二年間やったダムが中止になりましたけれども、役人の方々は毎年のように替わりますから余り関係ないんですよ。ところが、そこに住んでいる方々は移住をしたり大変な思いをして、終わってみたらば工事がなかった、いさかいだけが残った、地域だけがなくなった。こういうことがあるものですから、私どもは、このダムについての問題は今日やりませんけれども、少なくともこの間のいろいろ迷惑を掛けた方々には、この工事の流れの中で、工事の進捗のときに、あるいは終わってからも十分な地域的な配慮をしていただきたい、そのことを要望として申し上げたいというふうに思っております。  次に、今日のテーマでございますBSEの問題に入らせていただきますが、牛肉輸入再々開ということになっておりますけれども、明日まで三チームで三十五か所の施設調査をするということでございますから、報告をいただいて審議をするということにはならないわけであります。  私どもは二十三日に戻ってくるというふうに聞いておりますけれども、戻りましたらばいつごろ報告が出るんでありましょうか。そして、その報告は前回と同様な形なんでありましょうか。あるいは、私どもの方で、衆議院の方でも要請をしておりましたけれども、詳細にわたっての報告をきちんと出していただけるんでありましょうか。あるいはまた、この間、相手方のそのマニュアルというものを言葉にしては聞くわけでありますけれども、詳細について手にしていないというようなこともございましたけれども、その辺のところについて現段階でお話しできることについてお話をいただければと思います。
  79. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 現在、アメリカに行っております現地調査団でありますけれども、六月二十四日から七月二十三日まで三十五のすべての対日輸出認定施設について厚生労働省農林水産省、両省の専門家によって今調査しているところでございます。  予定されたスケジュールどおり今のところ行っているというふうに聞いておりますので、昨日までの段階でその三十五のうちの三十二の施設までについて調査を終了したということでございます。  この調査終了後、我々日本政府としましては、米国側の検査体制なりあるいは対日輸出プログラムの有効性を検証した上で、それから具体的にこの現地調査の中で不適合がなかった施設について速やかな輸入再開手続ということになるわけでありますけれども、その際の調査報告書につきましてはできるだけ情報の盛り込んだ形で公表したいというふうに思っておりますが、まだ具体的にそこのところにつきましては、今三チームに分かれて現地でやっておりますから、それぞれの調査の事柄について一応全体集まった形で統一を取らなきゃいけませんし、調査報告書がどのような形になるかということにつきましてはまだ現在具体的にお話しできる段階ではございません。  いずれにしましても、こういった調査の結果というのはできるだけ情報公開に努めたいというふうに思っております。
  80. 郡司彰

    ○郡司彰君 また戻りまして、報告が出ましてから再開までの間にこうした機会があれば、沿いました形で質問させていただきたいと思いますが。  これは別に通告をしておりませんが、事実としてこの間、十四日に米国産の牛肉加工品がほかのものに混じって、七面鳥とか豚ハムの間に混じって七キロほど混入をしていたというようなことがございまして、農水省の方は、それはけしからぬぞというふうな形でもって出荷施設の方の点検等を命じたというふうになっておりますけれども、このことを云々することではなくて、私どもの常識からすると、日本の商慣行の中で余りこういうことは起こらないのかなと。まあアメリカという国は非常に大きな国でございますから、七キロ程度、一箱ぐらい入っても余り問題にならないのかもしれませんけれども、すべからくこういうようなことが、一つ一つの積み重ねで前回のような形になってくるんではないかということを危惧をしておりますので、細心の注意で報告を受けるとともに、今現在も別な形でこのような混入などがありますようでありますから、注意をしていただきたいなというふうに思っております。  それから、BSEといいますか、牛肉輸入の問題にかかわって別な視点でちょっと質問をさせていただきたいと思いますが。  私自身はそう特に思っているわけではございません。しかし、論調として度々出てまいりますのは、別にその輸入再開を望んでいるのはアメリカだけではなくて日本の農水省も望んでいるんではないかというような話が時に聞かれます。理由というのはどういうことなんだというと、関税収入が落ち込んでいて、それによって行うべき事業が行えない。しかも、それを行う機構というところには大変に天下りの方が多くいるんだ、こういうような形の論調というものがあって、時折、新聞にまでには余り出ないかもしれませんけれども、マスコミ、テレビ等でも騒がれ、週刊誌等には書かれております。  私は、農水省がやっている事業がそんなことがあっては困りますし、もしそうでないとすると、やはりきちんと私どももその辺のところを質問で確かめ、安心な行政というものを確認をしていきたい、そのような観点から幾つか質問をさせていただきたいと思っております。  まず、平成三年度から輸入が行われているようになっているわけでございまして、この間の関税収入、税率、関税率等も変わっております。それに伴って収入、それから使途について概略お説明をいただけませんでしょうか。
  81. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 牛肉関税率なり関税収入のお尋ねでございます。  まず、関税率から申し上げますけれども輸入が自由化された平成三年度は七〇%でございましたが、段階的に低減いたしておりまして、平成六年度は五〇%、その後、平成七年度からいわゆる農業合意実施によりまして毎年漸減いたしまして、平成十二年度は三八・五%となり、それ以降はずっとそのままの三八・五%が現在続いているというところでございます。  次に、牛肉関税収入についてでございますけれども輸入数量の増加などによりまして大体一千億円を上回る水準でといいますか、額で推移をしてきております。ピークは平成四年度の一千五百七十七億円ということになっておりますが、平成十六年度は米国牛肉輸入停止の影響もございまして七百八十五億円というのが関税収入というふうになっているというのが事実でございます。
  82. 郡司彰

    ○郡司彰君 使途。
  83. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) この関税収入につきましては、これは自由化によりまして我が国の畜産が影響を受けるということで、子牛の価格低落の事業を始め、各種の畜産、何といいますか、牛肉生産体質強化のための畜産振興事業といった形で各種の事業に使われております。例えば、BSE関連につきましても、肉骨粉の処理でありますとか、さらには畜産環境の整備事業とか、いろんな形でこの事業としては使われているというところで、もろもろの畜産関係の事業に使われているというふうに御理解いただいても間違いないんではないかというふうに考えております。
  84. 郡司彰

    ○郡司彰君 この牛関収入を特定財源として牛肉子牛等対策というものを行っているということになるんだろうと思いますし、畜産関係の予算のうちで、この牛肉子牛等対策というのは大体七割ぐらいというふうに聞いております。大変な大きなウエートを占めているわけでございますけれども、これはどのようなところがどのような事業を具体的に行っているんですか。もう少し細かく教えてください。
  85. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) この牛関財源を、関税収入を財源とする肉用子牛等の対策、これは自由化の影響に対処しまして、経営の安定と国産牛肉の安定供給を図る、これが目的でございます。  具体的にどういうことかということでございますけれども、まずは、肉用子牛の価格が低落した場合に生産者に対して生産者補給金を交付する事業が一つ、一種類ございます。それと、肉用牛の経営安定なり生産振興対策、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、肉骨粉の適正処理のための対策、あるいは畜産環境対策、畜産振興事業、こういったことを内容としているというところでございますし、また、先ほど郡司先生からお話ございましたけれども、この機構の事業の実施に当たりましては透明性を確保するということで、審査あるいは評価あるいは公表という格好で透明性を確保するように努めているところでございます。
  86. 郡司彰

    ○郡司彰君 大きく言うと補給金を支給をする、これは協会を通じて行う。この農畜産振興機構が行うものは、ほかに食肉の買入れ、いわゆるその他の事業というふうに分類をされて紹介をされることが多いわけであります。この十七年、十八年度の予算についてはいただいております。十六年度についてはほかの資料で私の方も見さしていただいておりますが、給付金は年によって違うんだろうと思うんですよ。今のように入ってこない時期と、大量に入ってきている時期とも違うんだと思うんです。  しかし、この十六年度で見ると給付金が百八十億円、その他の事業が六百四十五億円ですか、ぐらいということになっていて、先ほどのいろんな論調があるという中の話は、その他の事業ばっかりお金が使っていて、そのその他の事業というところに何か天下り先のうまいものがあってというような書き方をしているんですね。私は、これはけしからぬと思います。  けしからぬというのをちょっと説明していただけますか。
  87. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 最近、雑誌等に、今、郡司委員お話しのような記事がございました。これは事実無根であるということで、私どもとしては抗議は申し上げたり、正確な情報提供ということには努めているところでございます。  先ほども申し上げたとおり、私どもは、この関税、いただきました関税我が国の畜産の体質強化と、あるいはいい食肉の安定供給というところに使うようにしておりますし、収入が減る中で効率的な、重点的な使い方というところに意を用いているというところでございまして、決してこの大切な関税収入が無駄に使われることのないようしっかりと管理をしている、これからも管理をしていきたいというふうには考えております。
  88. 郡司彰

    ○郡司彰君 もう少し細かく説明をいただいた方が、本当は理解をし、誤解が解けるんではないかと思います。  機構にどのような数の方々がいて、本省の方からどのぐらいの方が行っているかということは、こちらの方でも分かりますからあえて聞きませんけれども、適宜、誤解だとすればきちんとそういうものを、反論といいますか、行っていただきたいなというふうに思いますし、今日はちょっと別な視点で質問をさせていただきますが、この補給金というのが肝心な事業というふうに生産者の方から見るとなるわけでございます。保証基準価格、それから、当然それに対する売買価格、市場の価格ですね、そういうものがあって、下回った場合にはその補償を行うんだと。しかも、それプラスもっと低い数字として合理化目標価格というようなものもあろうかと思いますけれども、この関係についてちょっと御説明をいただけますでしょうか。
  89. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 肉用子牛の補給金の制度について、どういう制度かということだろうというふうに思います。  これは、合理化目標価格というのは一つあるわけですけれども、これは、この合理化目標価格というのは、輸入牛肉輸入ですね、輸入と対抗し得る我が国の子牛の価格水準というふうにお考えいただいて結構だろうと思います。ここに品質格差等も概念もありますけれど、基本的には外国産と真っ更で国産が対抗し得るところが合理化目標価格というところでございます。  そこに、自由化の影響によりまして我が国の子牛価格が下がった場合に、その合理化目標価格までの間は十割補てんをこれはします。更にその合理化目標価格を下回った場合には、今度はその下回った額の九割分を補てんをするということで、合理化目標価格まではこれは自由化の影響ということで十割補てんだけれども、合理化目標価格を更に下回った場合は、これは拠出は生産者も拠出する基金を積んでおるわけでございますけれども、九割まで補てんすると、そういう仕組みになっているということでございます。
  90. 郡司彰

    ○郡司彰君 今現在はアメリカからの輸入が止まっております。したがいまして、牛肉そのものの売行きも、総量としても減っているのかもしれませんが、逆な見方をすれば国産の牛肉について言えば幾らかいい時期だと、まあそういうふうにも見えるわけですね。  そういうところでもって昨年については支出がないと、こういうような状況になっているんだと思いますが、今の関係からすると、売買価格があって、補償をする基準の価格、これは再生産の価格に近いんだと思いますね。それから、合理化目標価格というものがある。で、努力をすると保証基準価格は下がってくる、合理化目標価格に近づいてくる、これが一緒になるとまあ効果が上がったというような形で外国産の牛肉と対抗できるような国内の肉生産ができ上がってくるというふうに単純に言えばなるんだというふうに思うんですが、そういう意味で今この現在ちょっと特別な時期かもしれませんが、この間の大枠の保証基準価格と合理化価格、どのような推移がなされているか。つまり、この行ってきた一兆円を超えるこの間の対策が実を結んでいるかどうかについてお聞かせをください。
  91. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 子牛の保証基準価格なり合理化目標価格の推移ということでございます。  これは、その時代時代によりましてこの事業の適正な執行という観点から中身の見直し等も行っておりますし、例えば和牛といいましても、最初は黒毛和種と褐毛和種というのを一緒の価格であったものが、平成五年には黒毛と褐毛を分けるといったように分けられております。最近では、平成十二年に乳用種と交雑種、これを分けるという格好で、現在では五種類につきまして、国産子牛を五つの種に分けまして保証基準価格なり合理化目標価格を決めているということでございます。  今は保証基準価格は、例えば一番高いもので今子牛が五十万を超えているような黒毛和種ございますけれども、保証基準価格は三十万四千円になっておりますし、合理化目標価格は二十六万七千円というふうになっております。ちなみに、一番安いというのが、これは乳用種でございますけれども、保証基準価格が十三万一千円、一頭当たりです。合理化目標価格は八万円ということになっておりまして、それぞれ五種類ごとに単価が違うということでございます。
  92. 郡司彰

    ○郡司彰君 それは分かります。質問をしているのは、暦年で見て一兆円幾らの対策費を講じてきて、結局のところ、国内の肉生産農家はほかの外国からの輸入肉に対抗し得るような、そういう体質に近づいていますかということです。  つまり、その保証基準価格と合理化目標価格が細分化していろいろ対策を打っているのは分かりますが、総体としてこの事業を行ってきていつの時点でか輸入牛肉に対抗できる肉になるんだということのために行っているんでしょうから、この三年度から今まで十七年度まで行ってきて、そのような成果として上がっているんですかということをお聞きしているんです。
  93. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 先ほどのちょっと答弁の中で保証基準価格、乳用種についてちょっと言い間違えたかもしれませんので訂正はしておきますけれども、保証基準価格、十二年度十三万一千円が十八年では十一万と、あるいは合理化目標価格が平成十二年度は八万と、十八年も八万ということになっているということで、ちょっと訂正をしておきます。  それと、きちんとなっているのかということでございますけれども、これはその価格だけではなくて、我が国の場合、国産の牛肉というものについて、例えば乳用種についても国産若牛といったような、そういうネーミングをするとか、乳雄の肥育牛について何といいますか消費拡大というのか、宣伝をするとかという中で少しずつその評価を高める中で、何といいますか、国産牛の構造の強化ということには寄与していると思っています。  それともう一つ、どのぐらい、何といいますか、体質強化が図られているのかということにつきましては、飼養規模も近年増えてきておりますし、生産コストそのものは基本的には下がる傾向になってきているというふうに思いますが、この子牛価格等につきましては、そういったものが外国産の影響を緩和するという制度でございますので、この数字だけの動きから見ると極端には動いていないということが言えるかと思います。
  94. 郡司彰

    ○郡司彰君 私、冒頭、なぜこの問題を取り上げているかというと、アメリカ牛肉輸入再々開に当たって、いろんなことを言われていることもあるけれども、まずは自分たちの国の牛肉をみんなが買ってくださって、輸入の再々開があろうと国内の牛の方がみんな喜んで買うのならばそれはそれでいいんだと思うんですよ。  そういうふうな形にするために、今まで、平成三年度輸入牛肉がなってからずっと対策をやってきて、一兆幾らですか、三千億ぐらいのお金をつぎ込んできているわけですね。しかも、そのお金は牛関収入で賄っているんですよ。  つまり、安定して牛肉輸入されて消費者のところに入るということが前提で、その対策のお金が潤うだろうと、こういうふうに取られかねないというか、実際そうなっているわけですね。実際そうなんですよ。七〇%のとき、三八・五%になったとき、それは若干その時期によって上下はあるけれども、それなりの牛関収入が入ってきて国内の対策を行えるような形になってきているんですよ。  しかし、考え方によるとちょっとおかしいんではないかと。本来は別々に行ってもいいかもしれない。もしかすると、牛関収入がなくてもやらなければいけない対策はやらなければいけないというふうになってくるんだと思うんですね。  そういうふうな観点からいうと、私は、合理化目標価格というものにやっぱりどれだけ近づけるか。十七年度、昨年度に基本方針を作って、二十七年度の十年間で二割低減をしますというような形になっているわけですね。これ、なっていますよね。こういうふうな形の中でいうと、今までの三年から十七年まではどういう成果があったんですか。  今、最後のところでおっしゃいましたけれども、若干低減されているんだと思うんですよ。その低減されている理由は何かといえば、これは簡単で、あちらこちらの生産農家がつぶれて、それがやっている人のところに集まって、結果として規模拡大になって労賃分が低減をされたんだろうと思っているんですよ。  私は、これからやらなければいけないのは、労賃の部分ももちろんある、規模拡大もやっていかなくちゃいけない、しかし、基本のところは飼料の関係だろうというふうに思っているんです。  この飼料の関係をどうするかというふうなことになると、これは畜産予算だけではなくて、午前中の担い手の話の中にも出てきた地域づくりの関係とかそういうふうなところで、耕畜連携その他という日本農業の形を変える枠組みの中できちんとやっていかなければ本当はいけないんじゃないかなと、こういうふうな感じがしておりまして、牛関収入を当てにしながらこの対策をずっとやっていく、とらえ方によっては、マッチポンプじゃないか、何か輸入肉が入ってこないと困るから輸入を再開しろというような論理の中で使われるような形の対策というのはちょっとかわいそうだなと、こういうふうな感じがしているんです。  大臣、ちょっとお尋ねをしたいと思いますが、私は、つまるところでいうと、幾ら労賃が下がっても幾ら飼料の問題を頑張っても、つまるところ、アメリカとかオーストラリアの肉に対抗できるような肉の生産がこの国でできるのかというと、どこかで歩留りがあると思うんですよ、どこかで。それまでこの対策をこの形でやっていくのかというのが一つ。  それから、そのどこかで歩留りがあるというのをどういうところでもって見定めていくのか。今見定めて国の農業政策をやっているのか。そうなった場合に、この国で生産された牛肉を消費者に選んでいただくというのは、嗜好の問題ですよ、あるいは味の問題ですよと、いろんなことがあるかもしれないけれども、国としては、値段的にはかなわないけれども、きちんとこの国の中に牛肉、畜産を位置付けていくという考え方がどの段階で、どのような考えでお持ちなのか、もしございましたらばお聞かせください。
  95. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 言うまでもなく、牛肉というのは日本の食生活にとっても重要なたんぱく源であり、また多くの国民が親しんでいる重要な品目だというふうに思っております。したがいまして、先ほどの関税率七〇%、五〇%、今は譲許で三八・五ですか、というふうに長い間の、もう四十数年来の、私が聞いたところでは、河野一郎農林大臣のときに大変激しい交渉をやって以来ずっと続いて、昭和六十二年ですか、牛肉・かんきつのああいう形、現在の基本的な制度があり、そしてウルグアイ・ラウンドを経て今回になっているわけであります。  そういう意味では、畜産、牛肉というものを日本としては国産でできるだけやっていきたいというふうに考えておりますが、今、郡司委員指摘のように、消費者の判断というものもあり、私は、今回のアメリカの問題にかかわらず、やはり国産牛、とりわけ和牛というものが消費者、これは日本の消費者だけではなくて、先ほどのブッシュ大統領の話じゃございませんけれども世界じゅうの人たちにすし、あるいは牛肉等、日本の食材あるいは料理といったものが好まれているわけでございます。ですから、価格だけではないというふうに思いますけれども、また、安全性とか、あるいは顔が見えるとか、いろんな要素があると思いますが、いずれにしても、オーストラリアの粗放型の生産、あるいはいわゆるグラスフェッドではなくてグレーンフェッド的な生産であっても、日本に比べればはるかにコストが安いわけであります。  ですから、我々としては、同品質のものであれば当然消費者は安いものというふうに思いたくなるわけでございますので、我々としてもコストの低減に向けまして努力をし、酪肉計画では平成二十七年度までに二割の削減ということがございますけれども、つい最近まとめました我が省の新戦略の中では、すべての農業生産について五年間で二割コスト削減をしようという目標を立てて、関係の皆さんにも御努力をいただくスタートを切ったばかりであるわけでございます。そういう努力をしながら、しかしそれだけでは、関税も含めて守っていかなければいけない部分があるということでございますので、体質を強化するために、今御議論いただいているようないろいろな支援制度というものもそういう目標に向かってまだしばらくは必要であろうというふうに考えております。  したがいまして、まあ財源確保のために、あるいは天下り確保のためにという報道も一部ある、私もあんまり信用してないマスコミではありますけれども、その記事を読んだことがありますけれども、それは、そのために米国牛肉を一日も早く解禁するんだということは、少なくとも農林省、政府にはそんな考えは毛頭もないということをこの場ではっきりと申し上げさせていただきたいというふうに思います。あくまでも食の安全、安心とルールにのっとってこの作業を進めさせていただいているということでございます。
  96. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣の後段のところは、特に当たり前としてそのようにもうなっていかなければいけないことで、私どもも当然そうあるべきであろうと思っているんです。例えば本省の方からお辞めになった方が機構の方に行かれたりなんかするというのは、それはだれかやるんならば専門的な知識を持っている人がやった方がいいということもある。今の事務次官までのいろんな競争の中でそういう人が出てくるんだとすれば、それはそれで私は一定程度それは構わないと思うんですよ。だけど、誤解が及んでいるとすれば、それを払拭するような話はきちんとこちら側から、農水省の方から出していかなければいけないというふうな思いで言っているということもあります。  それから、大臣、今WTOの話、これからまたさせていただきたいというふうに思いますが、私は、この補給金というシステムも、時によって国内支持その他の関係も含めて、国境措置、これ変わってくるだろうと思うんですよ。このままやれるかどうか分からないと思うんですよ。二十七年までに二割コスト削減というのは目標として掲げた。そこまではまずやるにしても、未来永劫、これ期限が決まっていない特定財源のやり方でありますから、いつまでもこれやっていけるんだというふうに思っている方はいないかもしれませんが、そんなことではもう生産者の方も困ってしまうんですよ。いつまで、どこまでやると私たちの国の牛肉生産農家は生き残れるんだということがやっぱり示されないと、夢がなくて未来がなくて希望がなければ、やっぱり、規模拡大にはなった、それはなぜだといったら、みんながやめてそれを引き取ったからだということの繰り返しにしかならないんで、この辺の国境措置との兼ね合いで、この補給金という制度がまあどの辺まで続くかというのは今は言えない。しかし、一定程度はどこかのところに収めてやらなくちゃいけない。それよりも、今のこのシステムで牛肉輸入が再々開されたらば、また今のうけに入っている国内市場も少し波乱含みになってくる。この、これから農業を、特にこの畜産を、あるいは肉用牛をやろうという人たちに対して、二割削減をしろというこの十年間の目標だけで希望にはならないと思うんですよ。  その辺のところについて、何かプラス、削減をするということに夢を与えるようなこの政策というものは出てきているんでしょうか。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) コストを二割、五年、十年ありますけれども、コストを二割削減したそのメリットはどこにあるかと。今の郡司委員お話ですと、それはそのまま消費者にとんと乗っかって、消費者が買う牛肉が二割下がったと。それは消費者から見ると、農家の皆さん努力して安いものを、安くておいしいものを作ってくれましたねだけでは、今御指摘のように、生産者のメリットにはならない、意欲につながらないわけでありますから、そのコストを下げた部分、つまり努力によって浮いた部分、これは何も生産者だけではなくて、流通関係の皆さんも、あるいは加工、販売の皆さんもみんなで努力をしていかなければなりません。そして、その利益は、もちろん消費者の皆さんはもとよりでありますけれども、何よりも生産者、実際に努力してそこに至った皆さん方にも適切に配分されることが意欲につながっていくんだろうというふうに思いますので、そこはやっぱり生産者の皆さんの御努力に目に見える形で還元することも大事だろうというふうに考えております。
  98. 郡司彰

    ○郡司彰君 最後になりますけれども、最後って、この関係はですね。私やっぱり、先ほどから言われているような、余り芳しくない論調というのは、牛関収入でこの事業を行うというところにストレートに来ているんじゃないかと思うんですよ。私は、やらなければいけない事業は牛関収入があろうがなかろうがやらなければいけないことなんですから、特定財源でやるというのは、これは非常に分かりやすいんですけれども、しかし、先ほどの国境措置の問題その他も含めて、もう少しこの畜産というものを別な形で、先ほど言った飼料をこれからどうするかというのが一番低減のポイントだと思いますんで、そういう意味では誤解を与えないような財源の在り方とか、あるいは機構への一般会計からの在り方などについて考えていただいた方がよろしいのかなということをちょっと申し添えまして、あとの時間をちょっとWTO関係についてお聞かせをいただきたいと思います。  まず、大臣、私はいつも大臣はベストドレッサーではないかというふうに思っておりまして、今日はたまたま上着を脱いでおりますけれども大臣の上着、背広にはポケットは大体幾つぐらいあるんでございましょうか。
  99. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今着ている背広は、このパッチポケットを含めて六つございます。
  100. 郡司彰

    ○郡司彰君 思ったより数が少ないんで安心をいたしました。ラミーさんがおいでになったときも、ポケットにいろんなものは入っているんだというようなことでございますけれども、一番手を入れやすいところに一とか八とかという数字が入っていると大変でございますんで、その辺は一五という数字だけ入れておいていただければなというふうに思っております。  実は、院の派遣で六月の終わりのころにニュージーランドに行ってまいりました。そこで、相手のニュージーランドの議会の与党、野党の議院運営委員会のような形の方々とお話をする機会があったんですが、そこにたまたま見たことのある顔の方がおりまして、ちょっといただいた紙を見たらばティム・グローサーという名前が書いてありました。ああ、これはティム・グローサーさんには国対の話や議運の話ではなくて別なことを聞かなければいけないなということで、ちょうど時期も六月の末でございましたので、どのような見通しをお持ちですかという話をいたしました。途端にそれまでと表情が変わりまして、十五分ぐらい、大分慎重な言い回しで言っておりました。  結論からいうと、中間選挙もあって、日本もということも付け加えましたけれどもアメリカがどれだけ譲るかではないか、しかしながら六月末も七月末も難しいなというふうな見通しを何げなくおっしゃいましたし、中川大臣については非常に有能な大臣だというような話もされておりましたですね。  そういうふうなところで、私の方の最初の質問は、一番最後の質問と多分同じになるんだと思いますけれども、デッドラインは来たのかと。もう六月末で、あるいは七月末まで頑張る、ラミーさんもおいでになる、大臣の方は、主役は私たちだと、そういうような発言もございましたし、石原次官の方も二度三度難しいという話をしておりますけれども、このファストトラックの関係も含めて、四月が六月になり七月になってモダリティーが決まって、それから譲許表の問題その他で本当にいつまでならば間に合うんでありましょうか。
  101. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ティム・グローサーは、今のファルコナーさんの前の同じニュージーランドの大使であり、農業交渉グループの議長でありましたので私も大変よく存じ上げている方であります。今年の春のニュージーランドの総選挙で国会議員になられて、今活躍されているということでございますが、グローサーさんは議員になられてから、もちろん御関心は大変あると思いますし、功績も非常に大きいと思いますが、多分、ニュージーランド国内からジュネーブその他を見ていらっしゃるんだろうと思います。  そういう意見を言う人もいると思いますけれども、私ども当事者、ラミーさんであろうがファルコナーさんであろうが、今まで遅れに遅れておりますけれども、先ほど申し上げたように、アメリカの都合かもしれませんが、TPA、トレード・プロモーション・アクトが切れるのが来年の七月ということで、それまでにまとめるためには年内、十二月末が最終合意ですね。つまり、これもアメリカの都合でありますが、年内にまとめないと、アメリカのTPA関連の法案は百八十日以内に国会に提出しなければ駄目だというルールからいたしまして、逆算すると一月の初めになりますということをみんなが了解して、年内ということで努力をしましょう、もちろん早ければ早いほどいいということでありますが、今はもういつになると駄目になるかという方に考えが行っているわけでございます。  十二月末までに最終合意をするためには、いろいろな条文の作業あるいは譲許表の作成等々、これは百五十か国が参加している作業でありますから、これも大変な時間が掛かりますねと。前は七月にモダリティーを決めて十二月までと半年近くを計算しておりましたけれども、そんなこと言っていたら間に合わないので、この作業ももうできるだけ詰めてやろうということでやってまいりますと、今回の今週月曜日の作業というものはかなり厳しい状況になっていたところに、G8という我々のいわゆる最高のボスたちの会合が同じようなことでしっかり閣僚あるいはラミーさん頑張ってくれということを合意したわけでありますから、G6の大統領や総理大臣EU委員長たちが、あるいは各国の大統領たちが確認をしたわけでありますから、改めて我々はねじを巻かれたという認識を持っているわけでございます。  したがいまして、十二月末までにすべての事務的な作業、つまり条文案ができ上がるという作業を逆算していってどのぐらいになるか。その逆算の作業の更に前になると、今度は譲許表の作成というものの作業にまたしばらく時間が掛かりますねと。  これ、譲許表作成に当たっては、日本の場合ですと、単に日本WTOに出すだけではなくて、アメリカのここのところはおかしいじゃないかとか、豪州から日本のこの部分についてはこうしろとかいった個別のまたやり取りもその間あるわけでございますから、これもほうっておけば大変な時間が掛かりますけれども、ぎゅうっと短縮してやらなければいけない。  それをやる前としてモダリティーというものを作っていかなければいけないということでございます。今度、逆に言いますと、G8、サンクトのG8から一か月以内にG6で大きな問題点を解きほぐして、一か月以内にWTOのTNC、貿易交渉委員会報告をしなさいというのが今回のG8のマンデートでございますので、八月の半ばまでにそれをやって、そしてモダリティーを作っていくということ。  今、逆算とこれからの話を両方ちょっとややこしくお話をして恐縮でございますが、いずれにしても、そういうどうしても掛かる物理的な時間というものを考えますと、本当に年内に交渉を終了するためには、先ほども申し上げましたように、異例なことでありますけれども、本来ならば長期間バケーションを取る人たちも死に物狂いでやるという意志、つまり、年内に何とか終結をさせないと、アメリカの都合だけではなくて、もう一般の人たちも、一部の国、地域では、もう無駄な、こんな無駄なエネルギーをいつまでも展望が開けないのに注ぎ込んでいるんだということを言う人たちも少しずつ出てきておりますけれども、我々は守るところは守りながら何とか交渉妥結に向かって全力を尽くしてやっていきたいというのが、月曜日段階でのG6プラス・パスカル・ラミーの共通認識でございます。
  102. 郡司彰

    ○郡司彰君 二十三日からまたということでございますし、先ほど来からの答弁の中でも、私も、この委員会もインターネットでももう全国に流れておりますし、聞こうと思えばだれでも聞けるわけでありますから、大臣も答弁のしようがないというのも十分分かっておりますので、その問題について余り今日は触れない方がいいのかと思っております。  しかし、幾つかの点でお聞きをしたいと思いますが、情勢から見ると、アメリカ中間選挙もありますし、それからブラジルだって大統領選挙もあるし、日本も総裁選挙もあるし、まあいろんなことがあってなかなかうまくいかないだろうとか、アメリカの議会も青の政策その他でも相当いろんなことの文句を言っていますから、なかなか難しいんだろうと思います。  そこで、大臣言葉じりをとらえているつもりはございませんが、ワールドカップでブラジルとオーストラリアに負けまして、今度は負けないぞというような話をされたというふうに言っておりますけれども、全然違う、ただの遊びとして言ったんだと思います、私はそうは思っておりませんが。  例えば、今度の交渉で、勝つ、負けるというふうなことでいうとどういうことなんだろうかというのが一つ。それからもう一つは、この交渉合意に至らなかった場合に、日本は悪かったのか良かったのかという判断も、それは農水大臣のときと経産大臣のときとあるいは総理大臣のときと微妙に違うのかもしれませんが、どういうふうな感覚をお持ちでしょうか。
  103. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回のドーハ開発ラウンドというのは、冒頭御報告申し上げましたように、農業、それから非農産品、サービス、ルール、貿易円滑化、開発、環境、その他一杯あって、年内にすべてのものを一括して受諾をすると、部分合意では駄目だということになっているわけであります。  じゃ、全体として勝ったというかプラスになった、交渉に勝ち負けというのは、まあサッカーの話をしたのはあくまでもあの時期だったものですから、いい例かどうかは分かりませんけれども、とにかく日本として、国益として、貿易立国としてということになりますと、より輸出が増える、投資が増える、あるいはまた日本の優秀な人材が世界じゅうで仕事が活躍ができる、さらには、開発ラウンドでございますから、真に困っている途上国に対して日本が貢献ができるということだろうと思います。  貿易、いわゆる工業と農業農産品につきましてだけ、物の部分だけに関して言えば、輸出がより増える、あるいは付加価値の高いものがより売れるということになるわけでありまして、付加価値の高いものは一部農産品にもございますけれども、圧倒的に貿易の九割は工業グループでございますから、そちらの方でのプラス要因が大きくなるわけで、じゃそっちの方がトータルとしてプラスになればいいのかということになりますと、じゃそこで取るということになると、交渉でありますから、じゃ譲るのはどっちかというと農業ということになるわけで、しかも、農業はよりマーケットを広げましょうというその広げ方をどういうふうにするかということでございますから、もちろん日本アメリカ輸出したいものについての関税が下がればそれは輸出できるでしょうけれども、規模、けたが違うわけでございます。  したがって、我々が交渉が成功したというのは、単に数字上、トータル一本の数字でプラス何億ドルとか何百億円とか何千億円というだけではなくて、バランスの取れた、各セクターそれぞれが譲るところは譲りながらぎりぎり守る、攻めるところもそこだけ攻めてあとは関係ないやということではなくて、各セクターがそれぞれバランスを取って、全体としてほどほどのところでプラスになっていくということが一番大事なポイントだろうと思います。  確かに、経産大臣のときと農水大臣ではポジションが全く違うわけでございます。しかし、我々もがちっとゴール前にただ十一人がそろって、ただ飛んでくるシュートを防いでいるだけではなくて、カウンターアタックをして少しでも点を取りたいというふうに思っておりますので、これは点の取られ方、何点取られるのが負けで何点取られるのを防ぐのが勝ちとかそういう次元ではなくて、点を取ることも農業においても重要なポイントであろう。  アメリカ国内支持はどう見ても柔軟性にまだ欠けているとか、あるいは一部の国々輸出国貿易はおかしいとか、輸出補助金はおかしいとか、途上国でも真に困っているところに対しての支援をするべきであるとかというところで、香港においてもある程度の会議のリードをすることができましたし、大詰めに当たりましても、我々としては、単にざんごうにこもるだけではなくて、積極的にG6、あるいはまたグリーンルーム、WTOの全体会議の場でやることによって、農業の場合にはどちらかというと守りのポジションでありますけれども、そこでも思い切って我が国主張を更に各国に理解をしてもらいながら、トータルとして設定した目標に向かって実現できるように、今後、本当に短い時間でありますけれども、集中的にこの交渉に臨んでいきたいと思います。  是非、郡司委員の御指導も引き続きよろしくお願いします。
  104. 郡司彰

    ○郡司彰君 交渉をしている最中に次のような話をするのは不謹慎なのかもしれませんが、要するに、アメリカを見ていますと、WTOも一応一生懸命やるけれども、どうもFTAの方にシフトしているんではないかというような感じもしないわけではありません。  日本もそうしろという話ではなくて、あるいは凍結に至るかもしれないというような中で、FTAあるいはEPAということについてもこれから積極的にやっていかなければいけない。場合によっては、WTO交渉交渉として、もう初めからすみ分けのような感じで、EPAというものもきちんと位置付けてやるというふうなことにもちろんなってくるんだと思いますが、たまたまニュージーランドに伺ったついでに、ついでにと言うと怒られちゃうんですが、マレーシアの方にも伺いました。一番新しいEPAがちょうど締結をされ、今月の十三日から何か発効するようなことで聞いておりますが、マハティールさん、一線から引いておりますけれども、現地ではこのごろ、EPAは結んだけれども実はマレーシアに何にもいいことないというような発言を国内で大分されているようでありまして、EPAは私たちみたいな国には一つもいいことはないんだというような話をしているということであります。  WTOの中でも、余り話題になりませんけれども、例えば新青の政策でアメリカがいろんなことを言ったりもしています。それから、G20の方では、緑の政策と言うけれども、ウルグアイ・ラウンドのときには、どうも私たちのような途上国は使えるような緑の政策なんてほとんどないと、そういうものを拡大をしろとか類型をもっと変えるべきだというような話があるというふうに聞いておりますが、この辺のところについては日本の考え方というのはどういうことなんでありましょうか。
  105. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) FTA、EPAというのは、もう御承知のとおり、ガット二十四条に基づきまして、地域貿易協定、RTAとか二国間のFTA、EPAというものが補完するものとして認められているわけであります。現在、幾つになったんでしょう、百八十か百九十ぐらいのFTAが世界じゅうに結ばれているわけでございますが、これはあくまでもWTOのルールに基づいて、そして二国間でやるということですから、一般論としては一長一短がありますねというふうに言えるんだろうと思います。  やはり共通ルールでやっていく、特に今回のラウンドのように途上国、真の意味で困っている途上国に対して配慮をしましょうということは、私はやっぱりこれは、そういう意味ではこのラウンド是非成功させなければいけないというふうに考えております。はっきり申し上げて、こういう場で言っていいのかどうか分かりませんけれども、G6というのは世界を代表しているとは私は思っておりません。日本食料輸入国としての立場として参加しております。  ブラジルインド途上国と言いましたけれども、午前中も申し上げたように、もう世界最高の競争力を持ったブラジル農業、あるいはブラジルNAMAで反対しておりますけれども、航空機産業は持っているわ、製鉄業からエネルギー産業から、もうすばらしい産業を持っている。中国だってそうであります。まして常任理事国で核兵器まで持っている国が、さっき言ったように、二百ドル、三百ドルの国と同じですというのは私はちょっといかがなものかなというふうに思っているわけでありまして、しかしEPAの方が二国間ですから非常に短期で、しかもセンシティブな問題、メキシコ、シンガポール、マレーシア、タイのときにもいろいろありましたけれども、確かに二国間ですから、ある意味では二次元で済むわけでございます。WTOの場合は百五十次元でございますから、そこだけでも決定的に違うわけであります。  しかし、他方、二国間ではなかなか解消できない、特に貿易歪曲的な側面、例えば今御指摘のありましたような国内支持については、二国間であんたのところの国内支持をやめなさいなんという議論は余りできないわけでございますし、例えば輸出競争なんかでもなかなか二国間では、専ら関税と、あるいは人と技術、投資等の拡大をどうしましょうか、あるいは除外しましょうとかいう議論でありまして、やはり全体の世界の、特に貿易歪曲性を低めるという観点からはやっぱりWTOの役割というものが大きいといいましょうか、基本にあるということであろうというふうに考えております。  アメリカが、これだけやってももうどうしようもないから、もうそれよりもEPAの方に行こうよというのは、一つは、さっき申し上げたように、何年間もやってもう全然膠着状態だというのが一つあるんだろうと思います。それからもう一つは、アメリカ農業でやられているのが国内支持でございますから、これはEPAでは余り、あんたのところの国内補助金を減らしなさいなんという議論は余りないわけでございまして、そういう意味で、アメリカに限らず一部の人たちは、もうWTOよりもEPAに走った方がいいと。これはある意味ではブロック化につながってしまう。特に、バイだけではなくて、例えばASEANとEUとか、ASEANとNAFTAなんということになりますと、これは完全にブロックの話になってまいりますので、これはそもそもガットができたときの趣旨と真っ向から反するということにもなりかねませんので、そういう意味で私は、WTOの新ルールも大事、それから、日本としては貿易立国としてFTA、EPAに乗り遅れるということのハンディキャップもあるわけでございますから、両方とも大事だというふうに私は考えております。
  106. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣が先ほどからG6という話をされておりますけれども、元々日本が加わらないで始まったようなところに、大臣の方から、きちんと入れるべきだというような経過で入ったということも聞いております。  いずれにしましても、また二十三日以降続くわけでありますんで、あんまり内ポケットなどを付けた服を着ていかないように是非頑張っていただくことをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  107. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  WTOについて質問をいたします。もう前段に幾つか重なるような質問が出ておりますので、重複する部分は省くようにいたします。  このWTO交渉が今非常に難航しているということでございますが、米国、またEU、そして途上国の各陣営が三すくみの対立に陥っているという結果によって六月末の閣僚会議でも物別れに終わってしまったと。一般、いわゆるマスコミ各紙によると、どの社説を読んでも大変残念な結果であるというような論調でございました。しかも、米国、またブラジルではこの秋に選挙が控えているという中で、保護主義の動きが一段と強まっているかのような推測という、予測があるわけでございます。しかしながら、自由貿易のルールの信頼感がこのままで喪失されてしまう、そういった危機感もこのサミットの中で出たわけでございます。  私も、各国が目先の利害にとらわれることなく、この貿易の障壁となっているような関税補助金に関する共通のルールができた方がよりその恩恵というものはあるんだろうと、そういう認識に立っております。その意味では、WTOのこの交渉が八月中旬にしっかりと大枠合意ができるように各国首脳にも要望したいわけでございます。  質問通告では、最初に大臣交渉のこれまでの評価をお聞きする予定でございましたが、幾つかもう出ておりますのでそれは省きさせていただきます。  今、関心事項としては、このサミットでの声明を受けて一か月以内に大枠合意をすると。先日のジュネーブ会合におきましても、この七月に集中的に協議を行う。つまり、今週末二十三、二十四日、また二十八、二十九、あるいは引き続き三十、三十一日と、こういう集中的に協議を行うということでございます。  ただ、基本的にアメリカの出方が分からないのでどうなるかは不透明だという向きが主ではございますが、報道によりますと、アメリカには譲歩の用意があるという観測というか憶測なんですけれども国内補助金を百五十億ドル削減と、七〇%削減、つまりG20に近づけるような内容となっていると。一方、市場アクセス分野におきましても、EUがG20平均削減五四%に近づける用意があるというような発言も会議の場でしているということで、アメリカEUがそれぞれG20提案に近い数字を落としどころに交渉を進めるという予測あるいは観測もあるわけでございますが、そういったときに日本がどういう対応をするのか、細かいはなかなか今交渉事ですので答えはできないとは思うんですが、どういうシミュレーションをしているのか、その辺りお答えできる範囲で答えていただければと思います。
  108. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、谷合委員がおっしゃったように、まずEUは、いわゆるG20提案という、国内支持マーケットアクセス提案がありますが、EUは、最初の自らの提案からG20の方にマーケットアクセスを近づけるということをいろんなところで言っているようであります。  それから、今、谷合委員がおっしゃった、アメリカの方は、国内支持、これは、G20は七五%削減と、貿易歪曲全体ですね、について七五%削減ということでありますが、正式には、去年の十月にアメリカが五三%削減、二百二十六億ドルですか、という提案をいたしました。それがアメリカの公式の提案なんですけれども、ここに来て、つい月曜日の段階では、交渉内容は余り外には申し上げられませんけれどもアメリカは自分のところは動かないで輸入国側に対して更なる柔軟性を求めるというふうなことを言い続けておりましたが、ここに来て、きちっとしたものではありませんけれども、今、谷合委員がおっしゃるように百五十ぐらい、つまり七〇%削減ということになるんだろうと思いますが、そういうふうな話がちらちらと聞こえてきております。正式に私は聞いておりませんけれども、今日も一部の新聞、日本の新聞にも出ておりましたし、アメリカEU等の新聞にもそれでいいんだとだれかが言ったみたいな報道が出てきておりまして、これは本当にそうなのかなと。今まであれだけ、ロブ・ポートマンあるいは今度替わったスーザン・シュワブ、こういう人たちが激しく譲れないと言っていたことが、そういう報道が聞こえてくるということは、正直言って我々としても注意深く情報収集しなければいけないというふうに思っております。  日本、とりわけ農業に関してはEU、もちろんG10が我々の同じ属するグループでありますけれどもEUあるいはインド等と、農業に関しては同じような立場のグループとよく連絡を取り合いながら、またアメリカのその報道の真偽についても今は非常に情報をよく集めて分析をしなければならない。日曜日からの交渉でございますので、耳をそばだてて、目をよく見開いて、世界じゅうでいろんな情報を集めて分析をして対策を考えて、状況がどうなっていくかということについていろんなことをこれから判断をしていかなければいけない大事な時期ではないのかなというふうに思っております。
  109. 谷合正明

    ○谷合正明君 アメリカ補助金の話が出ましたけれども、二百二十六億ドルだとかいろいろ数字が出たということで、今日もこのネット中継をアメリカの大使館の方が見ているかもしれないので何とも言えないんですが、年間で二百億ドルがアメリカ国内支持として大体出されているんじゃないかと言われますので、本当に痛みがあるのかどうかというのをしっかりと見極めながら、日本としては最終的には、今回の交渉基本線というか最低守らなきゃいけない線というのがありますので、多様な農業の共存が可能になるように、つまり上限関税の断固阻止ということをしっかりとかち取っていただきたいと思うわけであります。  次に、このWTO交渉が三年近く延び延びになってきたという中で、この交渉の長期化が一体日本農業にどういった影響を実際及ぼしてきたのかといったところについて、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
  110. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 今回のドーハ・ラウンドにつきましては、二〇〇一年の十一月から正式に立ち上がっておりまして、当時、二〇〇四年の末までに交渉を終結するというようなことがあったわけですが、それが何回か、例えば香港会議でございますとか四月の閣僚会議でございますとか、委員指摘のとおり延びてきたわけでございます。  この評価というのはなかなか難しいわけでございますけれども一つには、国際的な農業をめぐる新しい秩序というのが不安定といいますか、決まらない状態にあると。もちろん、その結果が一番大事なわけでございますけれども、決まらないということで、いろいろな経営上の長期的な見通しをどういうふうに立てるのかというような問題が農家の経営にとってはあろうかというふうに思います。もちろん、先ほど申しましたように、交渉の結果が大事でございますので、日本農業に影響のできるだけないような形で委員指摘のような上限関税の、入れさせないと、あるいは重要品目の適正な数の確保、それから適切な取扱いの確保等々につきまして力を用いて交渉してまいりたいと考えております。
  111. 谷合正明

    ○谷合正明君 それで、これも前提の話ですけれどもWTO交渉が更に長期化する、あるいは決裂して二、三年延びると、あるいは凍結みたいなことになったときに、これがまた今後日本農業にもたらす影響というのはどういうようなものがあるんでしょうか。
  112. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) ただいまの御質問でございますけれども、私ども、先ほど大臣が申し上げましたように、今回の七月の交渉、これに大変期待をしておりまして、全力を挙げて交渉参加してまいるつもりでおります。また、交渉に入るG6の国々につきましても大変高い意欲というものを持っておりまして、現在のところ期限内に交渉が妥結するように努力してまいるという考えでございます。
  113. 谷合正明

    ○谷合正明君 続いて、先に進みますが、EPAの交渉についてでございます。  EPAの交渉で、先ほども質問が出ましたが、このWTO交渉の凍結あるいは難航によりまして個別のEPA、FTAの流れが加速されてきたわけでございます。しかしながら、例外の多い二国間の貿易協定だけでは世界経済の健全な発展というのは望めないわけでございます。特に今回のドーハ・ラウンドというのは発展途上国の開発支援に光を当てた国際貿易体制の構築を目指してきたわけでございます。  かつて東アジアEPA構想が打ち出されたこともございますが、そのときは農林水産大臣が、農水省としてはEPAも積極的に行わなければならないけれども、次々と新しいものを行えばいいというものでは、事務的にも経済政策からいってもどうかと思うというような指摘もされているわけでございます。  ちょっと、大臣、今いらっしゃらないので飛ばしますが、EPAの交渉の進め方について先ほどお答えいただきましたが、今話題となっているのがオーストラリアとのEPAの交渉でございます。これはまだ共同研究というような段階かもしれませんが、これを、この共同研究を踏まえて交渉開始の是非を判断するということでございます。オーストラリアのような農業国についてはアジア各国と同じように論ずるわけにはいかないということは一目瞭然なわけでございますが、現在オーストラリアとの政府間の共同研究の状況、それとオーストラリアとの交渉開始についての農林水産省としての考え方を聞かせてください。
  114. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、我が国にとりましてオーストラリアというのは米国、中国に続く第三位の農林水産物の輸出国でございます。輸入農林水産物の大半は牛肉とか小麦とか乳製品、砂糖といった我が国農業や地域経済にとって大変重要な品目となっているところでございます。  豪州との間では昨年十一月から政府間の共同研究が行われているところでございます。この共同研究は、昨年四月に行われました首脳会談におきまして両首脳が農業の取扱いには非常に難しい問題があるとの認識を共有した上で、EPAのメリット、デメリットを含め両国の経済関係強化の在り方を政府間で研究していくことで一致したことを受けまして行っているものでございます。豪州とのEPAの交渉を行うか否かにつきましては、この共同研究の結果を踏まえまして判断をするということになっております。  いずれにいたしましても、我が国農林水産業に悪影響が及ぶことのないよう、共同研究におきまして首脳間で共有した認識を踏まえまして農林水産物の取扱いにつきまして明確にする必要があるというふうに考えているところでございます。
  115. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう一度WTOに戻しますが、国民の理解についてということについて質問いたします。  よくこの委員会でも大臣は、今回のWTO交渉というのは国民の後押し、国民の総意をもって交渉ができているとおっしゃっているわけでございます。外務省が平成十五年時点で、今から三年前でありますが、WTOに関する意識調査を行いました。このときは、このWTOのこの交渉について関心を持っている者、持っていない者というアンケートを取ったんですが、六三%の方が関心を持っていないというように答えております。  それから三年がたちましたけれども、国民の総意で交渉ができているという御答弁もあるんですが、最近のWTO交渉について、国民のその理解がどのように変化してきたのかと、その辺りどう把握されているのか、質問させていただきたいと思います。
  116. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 確かに谷合委員おっしゃるように、今でも、WTOの仕事をやっていますとかWTOへ行きますと言うと、WHOと区別が付かないというようなことに出くわすことが時々あるわけで、その六十数%の方がよく分からないとおっしゃっているのは、今でもこのWTOそのものについてはそうだろうというふうに思います。しかし、連日WTOの報道がなされているわけでございますので、そういう意味では、今大詰めに来ているんだなという認識は多くの国民の方々に持っていただいていると思います。  私がよく申し上げますのは、私は、八六年から始まりまして九三年までやりましたが、前のウルグアイ・ラウンド、あの最後の段階を私もかかわっていた経験からの比較でございまして、あのときは私は党の農林部会長を最後やっておりました。あのときは、とにかく農林に関心のある与野党のはっきり言って一部の議員、それから農業関係者、それからごくごく一部の農業を研究されている専門家の先生方、それ以外の人たちは農業に関して無関心というよりも、むしろ、例えば当時の経済界の人たちは、何でタイの十倍、あるいはアメリカの七倍の米を無理やり我々は買わされなければいけないんだとか、そういう単に価格だけの比較優位論でもって、しかも農業というのは、ちょっと乱暴な言い方をすれば、国にがっちり守られて、制度面でもあるいはまた予算面でも守られて、そして水際を遮断をしているというのはけしからぬというのが当時の一般的な農業交渉に対する見方が多かった、そういう見方が多かったというふうに考えております。  その後、これはWTOとか我々が努力したというよりも、午前中も申し上げたと思いますが、自給率の問題に対する国民の不安、したがって関心の高さ、あるいは食の安全、安心、あるいは先ほど谷合委員もおっしゃいましたが、多様な農業の共存、あるいはその基となります自然条件の違いを守り、そしてみんなでそういうものを守っていこうという関心が高まって、急速に高まってきていると、ここ十年ぐらいの間に。それがWTO交渉にとっては我々の立場として極めて大事な支えになってきたということが、ウルグアイ・ラウンド交渉のときと今回の交渉と全く違うわけであります。  私は、前回の農林水産大臣のときから定期的に消費者の代表の皆さん方と懇談する機会がございます。マスコミの皆さん方とも懇談する機会がありますけれども、特に消費者の皆さん方はそういった観点から自給率の問題、あるいは安全、安心の問題、あるいはフードマイレージの問題、地産地消の問題という観点から是非守るところはしっかり守っていただきたい、もちろん日本の生産サイドを御努力していただきたいということも要望いただきますけれども日本の大切な国土、そして食料というものを守っていただきたいと、むしろ激励をいただく方が多いというようなことが私にとりましては大変有り難いことであり、また、したがいまして、何も一部の経済セクターのためにやっているのではなくて国民全体のために交渉に臨んでいるんだという責任の重さも痛感しているところでございます。
  117. 谷合正明

    ○谷合正明君 ウルグアイ・ラウンドの反省に基づいて、特に国民の後押しが大事だということで、それに取り組まれる大臣お話を聞いて大変感銘というか、うれしく思ったわけでございます。  なお一層の情報公開というものをしていただきたいと。特に、このWTO交渉、分かりづらい面がございまして、それを逐一そのすべてを明らかにするということが情報公開につながるかというのは必ずしも言えないかもしれませんが、国民が関心を持っていただくようなアピールをしていただきたいと。  先ほどワールドカップの話が出ましたけれども日本はワールドカップでは負けたけれどもWTOでは負けないと。中田頼みであったわけです、日本のサッカーは。それをもじって、今、中川頼みだと。ただ、ピッチ上であおむけになって倒れる中川大臣は見たくありませんので、是非勝っていただいて。そのためにはサポーターが必要だと、国民のサポートが必要でございますので、その広報活動をしっかりと充実していただきたいと思います。  次に、最後になるかもしれませんが、開発パッケージについてどういう支援を決めているのか、進めているのか、そこについて質問をいたします。  ドーハ・ラウンドは、ガットが先進国が中心となって行ってきた貿易自由化から一転して、これは開発支援に光を当てたものでございます。特に、世界農業者の九割近くが発展途上国に住んでいると。そのうち五十八か国が世界で最も貧困な地域に住んでいて、三十億人以上の方がそういった地域に住んでいると。そういう地域では約半数の方が農業セクターに従事しているというような統計を出している学者もおります。  先ほど外務省のアンケートを出しましたが、国民の六割の方は先進国は途上国配慮すべきというように答えておりまして、日本の国民性だと思いますけれども、そういう途上国配慮ということについては非常に理解のある国民性でございます。  日本としましても、昨年から開発イニシアティブの積極的展開を図ってまいりまして、例えばLDC、後発開発途上国の原則全産品に対する無税無枠の供与と併せて人材育成などを取り組んでいると思うんですが、そういった開発パッケージが今具体的にどう進んでいるのか、その点についてお伺いいたします。
  118. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 我が国は、今回のWTOラウンドを通じまして途上国の開発を進め、自由貿易体制から更なる利益が得られることを目的に、昨年十二月、香港閣僚会議におきまして、小泉総理の指示の下、また中川大臣の強力なリーダーシップの下に途上国の生産現場から輸出先の食卓までの一連の流れを包括的に支援をいたします開発イニシアティブを打ち出したところでございます。  その内容としましては、LDCに対し原則無税無枠、九七%でありますが、その市場アクセスを供与していくこと。二番目に、今後三年間に貿易・生産・流通インフラ関連での、無償、有償を含めまして合計百億ドルの資金協力を行い、また、農林水産分野も含みます合計一万人の専門家などが盛り込まれております。  農林水産省としましては、開発途上国においては農林水産業の振興が極めて重要であると認識の下、開発イニシアティブを踏まえ、南南協力、いわゆる先発LDCから後発LDCに対する協力の支援でありますが、これらを通じました売れる農林水産物作りに向けた人材育成の支援やLDC産品に対します原則無税無枠の供与を行っていきたいと考えております。
  119. 谷合正明

    ○谷合正明君 時間が参りましたので終わりますが、いずれにしましても、WTO交渉日本のやはり主張を、多様な農業の共存、あるいは今、開発の支援もありましたが、市場原理だけでは片付けられない、外部性を包括したような市場主義経済というのも、やはりWTO農業交渉の中にしっかりとその原理を働かせていくのが私は日本の責務だと思っておりますので、是非頑張っていただきたいと思います。  私の質問は終わります。
  120. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  私の方は、BSEに関する質問、特に確認するような質問、多いかと思いますけれど、再びの質問もあるかも分かりませんけれど、お答えいただきたいと思います。  最初に、対日輸出プログラムの遵守についての質問をいたします。  今回、米国牛肉輸入手続の再開に向けた措置ということで、条件が整えば再開するという判断に至った、これもういろいろ質問も出ておりますが、これは米国側がどのように改善、強化されたという認識でこの再開が決まったのか。今年一月、再禁輸措置からこれまでの経過含めてお伺いいたします。
  121. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 事の発端は、一月二十日に特定危険部位である脊柱を含む米国産の子牛の肉が発見されたということでありまして、まずは、アメリカ政府に対しまして徹底した原因究明と再発防止を求めてきたわけであります。  具体的には、その回答といたしまして、二月の十七日にアメリカ側から報告書が出されました。その報告書日本の側で精査をいたしまして、質問もいろいろいたしまして、そのやり取りの後で、三月に日米両方の専門家が集まって会議を開き、その結果について消費者の方々との意見交換会を行いました。ただ、この報告書は、その当該事故を起こした二つの施設についての調査であり報告書でございましたので、それ以外の三十五の対日認証施設の状況がどうなったのかということをアメリカ側に問題意識として投げ掛けました。それを踏まえて、アメリカ側でこの三十五の認定施設の再調査を行いまして、その結果が出されました。それを五月にまた日米間の専門家会合を開催をして、いろいろと意見交換をしたわけでございます。そして、六月にその結果も消費者の方々を始め関係者の方々に情報提供するとともに意見交換もいたしました。  こういうふうに一つ一つチェックをしてきたわけでありますけれどもアメリカ側が三十五の施設を見て、多少の問題はありましたけれども、そういった点も五月の末までに改善をされているというところまで来ましたので、今度は局長級の会議を六月の二十日、二十一日と開催をいたしまして、輸入再開手続に向けて、アメリカが講じる措置日本側が講じる措置というものについて、それぞれ確認し合いますとともに、それからアメリカ側の三十五の施設について、改めて今度は日本の専門家が行って、きちっとしたルールが守られるかどうかといった点について今確認をしているところでございます。  ですから、こういったことがきちっとそれぞれ確認をできた段階で改めて、アメリカ側にシステムとして問題がないということであれば、それぞれの施設について、問題のないものについては輸入を再開をしたいというふうに思っているところでございます。
  122. 福本潤一

    ○福本潤一君 たしか十二月の時点では、ボーン付き肉ということで輸入禁止になったんだと思います。また、今の経緯を経てそういう形での対応をされるという中、六月二十四日から七月二十三日実施しております日本向け認定施設現地調査、これの概要についてお伺いいたしますが、具体的に、対日輸出プログラムを遵守しているかどうかということをどういうふうにして確認するのか、またどのようになれば問題ないと判断できるのか、これを説明いただきたいと思います。
  123. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 三十五の対日輸出施設につきまして、厚生労働省農林水産省、それぞれの役所から専門家を派遣をいたしましてその施設現地調査を行っているわけでありますが、具体的な手順としましては、一つは、それぞれの施設がマニュアルを持っております。午前中も申し上げましたが、日本向けの牛肉というのは一定の条件を満たさなければならないわけでありますけれども、その条件を満たすためのマニュアル等がきちっと整備をされているかどうかということを確認をいたします。これは主として書類でもってそれぞれの手順などがきちっと書かれているかというようなことの確認であります。  それからもう一つは、現在日本向けの牛肉の処理は行われておりませんけれども、デモンストレーションなどを含めまして、それぞれの施設の従業員が現場できちっとそういった手順に従ってやれているかどうかというふうなことの確認も行っております。  それから、具体的な調査のチェックの項目でありますけれども、これは農林水産省厚生労働省で役割分担をしながら調べておりますが、農林水産省としましては、例えば施設が受け入れる際の牛の月齢がきちっと生産記録で確認できるか、あるいはA40といったような成熟度を基準にして判別できるかといった、そういう牛の月齢確認、あるいは職員の人たち、役職員はみんなそういうルールをきちっと知ってなけりゃいかぬわけですが、そのための研修がきちっと行われているかどうかといった点について一つ一つ確認をしているところでございます。  こういった点で特段問題がなければその施設については問題がないと、適合しているというふうに判断をしたいというふうに思っております。
  124. 福本潤一

    ○福本潤一君 あのとき、輸入禁止になったときは、中川大臣もたしか当時、これはアメリカ側の責任であるというお話もされたことがあるように覚えておりますけれど、今回私の方に例えば電話があって、直接、アメリカ側の責任だったらなぜ調査に行くメンバーの費用は日本側が出すんだというような話まで、やはり具体的に見ている人はいろいろ厳しい話をされるものだなという話も私も直接農水省に問い合わせしたことございますが、今回、もし不適合のある施設というものが発見された場合の措置、これはどのようになるのかと。要するに、不適合のあった施設というのを輸出禁止にするのか、それとも全体についても見直し、それをするのかということもお伺いしておきたいと思います。
  125. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 冒頭、委員がおっしゃいましたように、まず日本向けの肉がきちっと条件に整っているかどうか、これはEVプログラムがきちっと遵守されているかどうかということでありますけれども、それは当然アメリカの制度でありますから、一義的にはアメリカ政府がまずそのアメリカ施設がきちっと行われるかどうかということを責任を持ってやるということでございます。  これはこれまでも二回意見交換会をしたというふうに申し上げましたが、そういった意見交換会の場で、日本日本としてきちっと再開の前にそれぞれの施設を見てきてもらいたい、見てくるべきだというふうな御意見もいろんな方からいただいたわけであります。そういうことも踏まえて、今回三十五の施設を全部見ようということで行っているわけであります。  それで、具体的に、去る六月の二十一、二十二日の日米間の局長級協議の中で、現地調査のところ、それから輸入手続の再開に当たってが規定をされておりますけれども日本政府としましては、まずアメリカの検査体制及び対日輸出プログラムの有効性を検証した上で、最初の現地調査において、現在行っているものでございますが、その調査において不適合がなかった施設について、速やかに輸入手続を再開するとなっております。  したがいまして、今回行っておりますこの調査でもって、アメリカの強化された、前回の一月二十日の事故を踏まえていろいろ強化措置がとられておりますが、そういうものも含めてこのシステムがちゃんと有効に働くものだということをまず検証することが大事でありまして、その上で個別の施設ごとについて問題があれば、その施設、その問題のある、不適合のある施設については、それは、ちょっと引用いたしますと、米国政府は、日本政府と協議後、それら施設を遵守施設とするために必要な是正措置を確認をすると。これら是正措置実施された後、日本政府は通知を受けて確認を行う機会が用意される云々と書いてありまして、まずは個別具体的な施設の不適合があればそれを是正してもらうということが、それがない限りはその施設からの輸入は認められないということになります。
  126. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、施設単位のチェックという形で対応、入っていくような状況でございましょうが、この日本側措置として、プログラムの中に「日本側が行う通常の査察」というふうに書いております。これはもう一個あるAMSやFSIS、これが行う「抜打ち査察に同行し、」という、査察に同行というのと通常の査察という二種類のことを書いておりますので、この違いは具体的には何かで現れるんでしょうか。
  127. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカのAMSは、認証施設に対しまして少なくとも年二回は通常の査察をこれまでもしております。これからもしていくことになっております。それに加えて、この前、先般の事故を踏まえて強化策の一つとして、アメリカアメリカで、アンアナウンストって書いてありますが、事前に通告をしない、そういう査察もそれに加えるということでございました。日本も、貿易が再開された後でありますけれども、通常の現地の査察というのも行いますけれども、それに加えて、アメリカが行う事前通告なしの査察に日本側参加をしたいと、同行したいということで意向を伝え、そういうことをこれから将来やっていこうということになったわけでございます。  ですから、査察といいますか、チェックは事前に相手方に知らせて行うものと、それから、そういうものを通告なしに行うものと二つございます。当然、通告なしに行うものというのは、事前に査察をしたらあらかじめ準備をされる可能性もあるのではないかという懸念にこたえるために、そういうこともあえてこちら側から日本も同行してみたいということで申し入れたものでございます。
  128. 福本潤一

    ○福本潤一君 査察、チェック、なかなか大変な状況あるかと思いますけれど、きちっとした国民の安全に対する対応として施設チェックしていただければと思います。  同時に、厚生労働省にもお伺いしておきたいんですが、日本での水際の検査強化ということでございます。「輸入業者の協力を得て全箱確認を行うこと」というふうに書いています。これ、具体的にどういう作業を行うのか。さらには、この全箱確認というのは、川崎厚生労働大臣が全箱検査というふうに言っておられました。この違いも含めてお伺いしたいと思います。
  129. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 米国牛肉輸入手続を再開した場合の輸入時の検査体制の強化ということでございます。  今回の一月二十日の事件を受けまして、米国の方の改善措置としましては、各施設日本に向けて輸出できる製品リストを施設ごとに整備するということになっております。そのリストにつきましては米国農務省の方から我が方も提供を受けるということになっておりますので、対日輸出認定施設ごとの輸出可能な製品のリストというのを活用しまして、必要に応じて、輸入された製品が本当に日本に向けて輸出可能な製品かどうかということをまず衛生証明書等により確認するということが一つございます。  その次のステップといたしまして、輸入業者の協力を得まして全箱確認を行うということも含めまして、現物検査における、実際開こん数を増やすなどしてSRMの混入などについての水際での検査の強化をするということとしております。  全箱確認につきましては、輸入届出が提出された際に輸入業者に対しまして全箱確認を行う旨指導いたしまして、それを受けて輸入業者が保税倉庫におきまして目視により行うということになります。その上で、輸入業者から確認を行った旨の報告があったものにつきまして手続を進めるということになりますけれども関係の事業者に対しましては、説明会等の機会を通じまして具体的手順等につき協力を求めているというところでございます。  また、川崎大臣が全箱検査ということを六月二十日の会見で言っておりますけれども、これは六月二十一日の日米共同記者発表の資料におきます全箱確認と同様の趣旨のものでございます。
  130. 福本潤一

    ○福本潤一君 確認と検査、同様の意味で使われたということでございますが、目視でも分かるような異常でしたから禁止に入ったわけでございまして、もう検査といいますと、また我々の方から見るとエライザ法とか何とかブロット法とかやられるのかなというふうにまで思うところがございますので、そこらのところをきちっとした対応をしていただければと思います。  そういう全箱確認する場合、検疫体制、人員、予算、これは拡充は必要ないんでしょうか。
  131. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 輸入食品の安全確保対策ということで一般的なことを申し上げれば、現在、厚生労働省におきましては全国三十一の検疫所に食品衛生監視員を配置いたしまして、輸入届出書の審査ですとか貨物の検査などを行っているところであります。  今般の米国牛肉輸入についての水際での検査強化につきましては、その日米の六月二十一日のところにありますように、当面の間、業者等の協力を得てやるということで、一時的なものではございます。しかしながら、輸入食品、全般的に非常に増加しておりまして、十六年度で百七十九万件ございましたのが十七年度で百八十六万件と七万件増加しております。そういう中で、この検疫所の食品衛生監視員につきましては、平成元年、全国で八十九名あったものを順次増員を図っておりまして、平成十八年度におきましても輸入食品の検査体制強化のためということで十四名の増員を図りまして、現在三百十四名の体制としたところでございます。  また、予算の面でございますけれども輸入食品の監視に必要なモニタリング検査等の経費ということでございますけれども、国の予算全般が対前年度マイナスという中でありますけれども、平成十八年度におきまして対前年度六千万円増ということで、十八年度におきまして約十九億三千万の予算措置をしておりまして、検査体制の強化に努めているというところでございます。  引き続き、輸入時の監視体制の充実強化に努めてまいりたいという具合に考えております。
  132. 福本潤一

    ○福本潤一君 じゃ、続いてリスクコミュニケーションについてもお伺いしておこうと思います。  今、リスクコミュニケーション、現地で行われておるということで、これ意見交換会で主な意見、消費者からどのようなものが出ておるか、どういう出席者を選んだかということも含めてお伺いしたいと思います。
  133. 中川坦

    政府参考人中川坦君) リスクコミュニケーション、意見交換会でございますけれども、一月二十日にこの事故が起こりまして以降、先ほども申し上げましたが、節目節目で二回、それぞれ全国十か所で行っております。  消費者を中心とした意見はどうであったかというお尋ねでございますけれども、再開、輸入再々開に慎重な対応が必要であるというふうな意見が多くは消費者の方から出ていたというふうに記憶をいたしております。それから、国民の生命を守るという真摯な対応で米国側と協議をきちっとしてもらいたいですとか、あるいは、先ほどもちょっと申し上げましたが、再開に当たってはあらかじめきちっとアメリカ側の施設を事前に確認をしてもらいたい、あるいは日本の水際の検査体制についてもきちっとした対応をしてほしいというふうな御意見が多かったかというふうに記憶をいたしております。  それで、それぞれの過去二回行いました意見交換会全国で合わせますと、報道関係者を除きまして大体毎回千二、三百人程度の方が御出席をいただいておりますけれども、このリスクコミュニケーションの参加の、何といいましょうか、募集といいましょうか、そのやり方でありますが、基本的には、できるだけ関係者の方々、いろんな方が幅広く御出席いただくということがねらいでありますので、あらかじめ場所と時刻、時間をお知らせをする、そしてオープンにして出席者を募集をいたします。定員を超えるような場合には基本的に先着順で出席者決定をいたしておりますけれども、ここのところ二回の各十か所の募集におきましては、それぞれ応募された方がその会場の定員の中でありましたので、希望された方は全員御出席をいただいているという状況でございます。  それで、具体的には、これは差し支えなければということで職業を書いていただいたり、そういうこともいたしておりますが、消費者関係の方が全体の四割、それから食品事業者などの方が三割です。ほかに生産者の方が一割、地方公共団体等の職員の方が二割と、大体こんな比率でございます。  これは大体毎回同じような傾向になっておりますので、参加者ということであれば今申し上げたような構成になっておりますが、これはあくまでも結果でございます。
  134. 福本潤一

    ○福本潤一君 そのほかにも各種アンケートをされているようでございます。  このアンケートを見ると、七、八割の方々は食べたくないと、アメリカ輸入されてもというような方がおられるようでございますし、かつて農水省が食品の安全、安心というような言葉を言いますと、安全と安心は違うんだという言い方をされる方おられました。私の方は安全と安心は相関するんだというような答弁した記憶がございますけれど、安全だと科学的真実として言われても安心できないという現状が生まれていますので、今後、消費者に理解を求める取組もしていっていただければと思います。  最後に、中川大臣にお伺いしたいと思います。  今回、このリスク評価における結論の附帯事項にこういう文章ございます。リスク管理機関である厚生労働省及び農林水産省輸入再開した場合の輸出プログラムの遵守の確保について責任を負うことと。これを求められておるわけですが、この農水省、厚生省のリスク管理機関としてどのように今後責任を果たしていく、また、きたという認識をお伺いしたいと思います。
  135. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二〇〇三年の十二月に米国産のBSEが発見されて輸入禁止をして以来、日米、とりわけ日本側で様々の作業をしてきたわけであります。とりわけ、リスク評価機関であります食品安全委員会の専門家の先生方の長期間大変な作業をしていただいた上で、十二月の八日でしたか、答申をいただいたわけでございます。  我々は、管理機関として、それを前提に作業、行政を進めていくわけでございます。そういう意味で、我々は一月二十日に、まあアメリカ側が日米の約束と違うことをやったということで、水際でそのことを発見し、輸入を停止したわけでございます。その後、原因究明、再発防止というための作業をやってきたわけでございまして、現在アメリカ現地調査をやっているところでございます。  我々は、今、福本委員がおっしゃるように、食の安全というものに対しての責任、また国民の皆様に対して安心して食について行動を取っていただけるように努力をしていくのが責務でございますので、今後も緊張感を持ってリスク管理機関としての仕事をしていかなければならない、またリスクコミュニケーションも同時に大事なことであろうというふうに思っております。
  136. 福本潤一

    ○福本潤一君 全力で取り組んでいただけたらと思います。  このリスクと評価ということで……
  137. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 時間が参っておりますので、手短にお願いします。
  138. 福本潤一

    ○福本潤一君 リスクとハザードという結論を言いたいんでありますけど、リスクとハザードという二つの対応した概念がございますが、危険という意味、それがあっても現実に危険が起こるかどうか分からぬときにハザード、危害が及ぶと、災害が起こったというところの現地調査も、例えばイギリスとかアメリカで結局そのBSEが人間に発病するという現実、実態の調査もやはりやっておかないといつまでも安心はできないと。まあBSEを撲滅するぐらいのそういった発想も持って取り組んでいっていただければというふうに思います。  以上で終わります。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、七月十日に米国から輸入された箱入り米国産七面鳥肉等、これに牛肉加工品、ローストビーフですけれども、混載されていた事例についてお聞きしたいと思います。  米国政府は、これについてはささいな問題だとしているんですけれども、確かめてみますと、この米国牛肉輸入禁止措置がなされた二〇〇三年の十二月以降、米国牛肉及び牛肉加工品の輸入が今回を入れますと四回繰り返されているんですね。本来、この米国農務省の食品安全検査局、FSISの輸出証明書が添付されなければ輸入されないはずなんです。それが四回も違反して繰り返されているということは、これ、ささいな問題じゃなくて重大な問題だと思うんですね。違反された輸出施設の名前も明らかにすべきだし、どうして輸出証明書が添付されたのか。これどういうふうに調べていますか。
  140. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回の事例についてまず申し上げますけれども米国産の七面鳥肉とそれから豚のハムのコンテナに、今、先生がおっしゃいましたが、ローストビーフが一箱混載をされていたということでありまして、そのこと自体は大変遺憾なことだというふうに思います。  この件につきましては、FSIS、米国農務省の食品検査局が現在日本側の要請を受けて調査を継続しておりますけれども、まずFSISの方から連絡がありましたのは、当該牛肉加工品は加工工場のベルトコンベヤーから七面鳥の箱がパレットに搭載をされる際に不注意で混載されたものというふうな報告を受けております。  しかしながら、この輸入が認められていないものが日本向けに積み出されたということは、これは事実であります。米国政府に対しまして、このことにつきまして必要な改善措置をとるようにということはもう既に申入れをしております。  今回、全体でいきますと、七面鳥の肉が箱では千二百箱余ありました。それから、豚のハムが二千箱余ありました。これが一つのコンテナに入っていたわけです。これを、その中に一つの箱があったということで、これは日本の水際で一つのコンテナに入っていた約三千箱のものを見ている中で違反が見付かったということでございまして、水際できちっとやっているということの証左にもなりますけれども、まず、アメリカ側でこういう事故が起こった、間違った処理がされたということに対しては、冒頭も申し上げましたが、大変に遺憾なことでありますし、その原因がどこにあったのかということは、今、至急調査をするようにということで要請をしたところでございます。  委員指摘のように、過去三回ございました。それぞれその都度、こういうことについては十分注意をしてもらいたい、改善措置をしてもらいたいということはこれまでも言ってきたところでございます。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 輸出証明書が添付されなければ、これそういうふうにならないはずなんですけど、どういう仕組みで、向こうは間違ったという話なんだけど、証明書が添付されなかったわけじゃなくてされていたわけですよね。それをだから確認しているはずなんだけど、それがどうしてそういう事態、数の問題じゃないと思うんですね、そこがちょっとよく分からないし、そこはどういうふうに解明されているんですかね。
  142. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 詳細はまだよく分かりませんけれども、向こう側の証明書の中にローストビーフ一箱とあって、それに証明をしていたわけではないんです。つまり、七面鳥の肉が千二百何十箱と、それからハムが約二千箱ということについて証明をしたと。そのときに、トータル三千箱あるものについて一つ紛れ込んでいたところを確かにアメリカ側の検査官は見付けてなかった、見落としたというのはあると思いますけれども、その違反物品を証明したわけではございません。
  143. 紙智子

    ○紙智子君 今年一月の二十日に成田で発見されて脊柱が入っていたと。何でこんなことになったんだということで、二度とそうならないようにということでやっている最中にまたこういう事態になるということはどういうことなのかなというふうに思うわけですよ。  それで、輸出証明書が添付されていたわけじゃないと。ということは、添付されないで入ったというのは、どういうことで入ったのかなというのがこれまた不思議なわけですよね。これについて、やはりきちっとそういうことでもって輸出をした施設についても名前を明らかにすべきだと思うんですけど、これどうですか。
  144. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回の事件、まず冒頭のところ、どうして入ったのかは今正に原因究明をしているところでございます。それから、これは入ったというよりも水際で見付けて止めているわけでありまして、その企業がどうであったか、今回のこの施設は先ほどから出ております三十五の対日の牛肉輸出認定施設ではありません。七面鳥なり豚のハムを加工しているところでございますけれども、まあそれはともかくといたしまして、原因はどうであるかということはきちっと確認をしなければいけません。  それから、この企業の企業名を公表すべきではないかという御質問でありますけれども、この時点で企業名まで公表することにつきましては、一つはいろんな情報公開法の世界でのルールからいいまして私どもは現在これをやるということは考えておりませんし、それから、まずは当該、当事者に、その当該企業に対してこういうことを公表するということであれば、その意向といいましょうか、まずは相手方にそのことについて受け入れるかどうかということを確認する手順がございます。  ですから、今はそれもいたしておりませんが、直ちに公表するということは私ども適切じゃないというふうには考えております。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 そういう企業の名前を明らかにしないという問題はほかの問題でもあって、これ自体も非常に問題だなというふうに思いますけれども。いずれにしても、これ究明をきちっとして、どういう訳でそうなったのかということについてはできるだけ早くこの委員会にも提出をしていただきたいと、資料をというふうに思いますけど、よろしいですね。  それじゃ、次にお聞きしますけれども、今回の米国への事前査察についてです。それで、二十三日までということなんですけれども、この事前査察に当たって、私、前国会でも質問したんですけれども、ノンコンプライアンスレコード、食肉処理場におけるBSEの対策の言ってみれば違反、それを記録しているものですけれども、これについては十分読み込んで査察を行っているんでしょうか。
  146. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 現在、日本側米国で行っております対日輸出認定施設に対する現地調査でございますけれども、過去のBSE関係規制に対しますノンコンプライアンスレコード等の状況を踏まえて、各認定施設における対日輸出牛肉の処理のためのSRMの除去、分別管理、内部監査などの手順の文書化の状況ですとか実施記録等について調査を行いまして、米国における対日輸出プログラムの遵守体制の検証を行っているところでございます。  また、施設におけるBSE関係規制に関しますノンコンプライアンスレコードにつきましても、過去のものだけではなくて、直近の発行状況や改善状況についても確認をしているところでございます。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 過去のものもちゃんと見ているということですか。
  148. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) その施設が過去にどのような指摘を受けたかということも十分踏まえつつ、直近のものについてどのような、指摘を受けていないかどうかと、受けているのであればどのような改善を行ったかということで確認をしているというところでございます。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 ノンコンプライアンスレコードから違反が常習的に行われていたということで繰り返されてきたと。やっぱりその根本問題といいますか、ポイントというのがある程度こう明らかになってくると思うんですね。  それで、どこがどのように問題でそういうことが繰り返されたのかと。そこをどう改善しているのかということ、当然やっぱり査察の際のポイントになるというふうに思うんですよ。その点はどういう点というふうにごらんになっているんですかね。
  150. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 今回の事前調査につきましては非常に幅広くやっておりますので、その議員御指摘のノンコンプライアンスレコード等についても、過去のそういう指摘を受けたところが、この施設が過去にどういう点で受けたかということも事前にちゃんと持っていて、先ほど申し上げましたけれども、現在一番直近でそれを受けていないかどうかということについて聞いておりますし、また全般的な判断として、特定危険部位の除去ですとか、とにかくHACCPプランに基づきますきちっと手続を取っておるかと、また文書に残しておるかどうかと、また輸出プログラムに基づくいろんなマニュアルをちゃんと整備しているかどうかということについて、チェックリストをもって細大漏らさずチェックしてきておるというところでございます。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 先日ちょっとそのことについて聞いたんですけど、いや、そういう視点ではというふうに言われていまして、いや、本当なのかなと思って、今。間違いないですか。
  152. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) そういう視点でということになりますと、ちょっとそこのそういう視点がどういうことかちょっとあれですけれども、そういう過去のものから、また現在どのような対応を取っておるかということを含めて、幅広く調査をやっておるというところでございます。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 韓国が同じように今、査察を行っているわけですね。それで、韓国と日本でいうと、認定されている施設というのは重なるところがかなりあるということで、そういう中で日本の認定施設のうち七施設、これを韓国は韓国への米国産の牛肉輸出不適合の施設だということで指摘しているわけですよね。  聞きますけれども日本の査察で現時点で、あした、あさってまでですよね、現時点で不適合な施設が出ていますか。
  154. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 現在まで三十二施設一応見たというところまでは先ほどもお答えいたしましたけれども、それぞれ三つのチームに分かれてやっております。それ、どういう視点から見るか、もちろんあらかじめきちっと確認をし合って行ったわけですけれども、いったんそれぞれ分かれて行って見てきた者が一堂に会しまして、それからそれぞれの施設で確認をといいますか、見付けたこと、あるいは疑問に思った点について二十一日に今度アメリカ政府とそれぞれ具体的に確認をするという行為を経た上で日本に戻ってきまして、そしてそれぞれの問題があった場合には、その問題があったところをこれはどのくらいのところに位置するかということも含めて日本側で判断をしたいというふうに思っております。  ですから、端的に言いますと、今、委員は不適合といいますか、そういうものがあったかどうかという御質問でありますけれども、それに端的にお答えすることは、まだそういう判断ができる状況ではございません。日本調査団が戻って、そしてきちっとした判断をしたいというふうに思っております。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 日本に帰ってくるまでは、一度もそういう点では向こうではやり取りないんですか。
  156. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 現場現場で相手方に質問をしたり、どうだという意見交換も含めてそれはしておりますけれども、最終的に、途中の段階はともあれ、最終的な判断というのはやはり日本に戻ってきてきちっと全体像をとらえた上で最終的には大臣まで御報告をして判断をすべきものだというふうに思っております。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 同じBSEのその対策をめぐる問題で、韓国にとっては施設からその米国牛肉輸出するには問題があるというふうに言って日本には問題がないと言うことはちょっとあり得ないなというか、おかしいなと思うんですよね。戻ってきてから判断するということで、今のところはよく分からないという状況だと言うんですけれども。  それで、食べるのは同じ人間が食べるわけですし、多少韓国と日本で食事事情が違うかもしれないといっても、そのBSE対策ということについてはどういうリスクがあるかということではそんな違いがないと思うんですよ。だから、そういう中で、韓国では七施設が不適切という中で日本は全然ないのかなというのは率直に言って非常に疑問に思うわけです。日本政府の査察がそういう意味では米国に対していささかも甘いものであってはいけないと思いますし、そこのところはしっかりやっておられるんでしょうか。
  158. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず最後のところは、当然日本日本の視点でもって食の安全をきちっと確保していく、消費者に信頼を、安心をしていただくというそういう視点からそれぞれの調査団の団員はきちっと対応しているものというふうに思っております。出発に当たっては、当然きちっと見てくるようにというのは私からもそこは指示もしてございます。  ところで、韓国との関係で先生いろいろとおっしゃいましたけれども、このことにつきましては実は韓国政府アメリカ政府から正式な情報というのは残念ながら我々得られておりません。で、七施設というのも、アメリカのある私企業の経営者が記者会見をした中で、韓国は三十七施設見てきた中で七つ問題視をしておるというふうなことが記者会見で言ったということが報道されているわけでございます。その際に、あくまでもこれはその報道の中身でありますけれども、韓国が問題にしているのは、カナダからアメリカに入ってきた牛由来の肉とそれからアメリカ由来の肉がきちっと区別をされてないということが一つ問題点指摘点であったというふうに報道されております。  この点がそうだということであればということで申し上げますけれども日本の場合はカナダからは一定の条件で適合したものは入れております。貿易はしております。それに対しましては、韓国はカナダからはまだ全然輸入を認めておりません。したがって、アメリカから入ってくる肉にカナダ由来のものが入っているということはそれ自身大きな問題になります。日本の場合は、カナダからの牛がアメリカに入った場合もそれが、カナダは個体識別制度がありますから、その識別制度によって二十か月以下ということがきちっと特定をされれば、その牛をつぶして肉にして日本に入ってくる、特定危険部位は当然除く。それが二十か月ということが確認できているということであれば、ルールとしてはおかしいことではありません。  そういったふうに、カナダと韓国、カナダと日本、あるいはアメリカと韓国、アメリカ日本というふうに、それぞれルールといいましょうか輸入再開に当たっての条件が違っておりますので、それぞれの輸入国側から見てルール違反であれば当然問題視をしていかなければいけないというふうに思っております。  そういう意味で、繰り返しになりますが、日本は、アメリカ合意したそのルールがきちっと守られるようにという視点で、今現地の三十五の施設を見ているところでございます。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 何となく逃げられている感じがするんですけど、要するに、日本に帰ってくるまではよく分からないということ自体も私は非常に問題だというふうに思うんですよ。だって、ノンコンプライアンスレコードの中身を読んでいきますと、結局、実際に違反が繰り返されている中身というのは、例えば危険部位の部分が全部取り除かれていないとか、それから、背割りだとかということでのこぎりで切っていくんだけど、これ一回一回本当は消毒したり洗ったりして次のところにというふうになっているのに、それをそのまま洗わないで次々とやっていっている違反が繰り返されているとか、そういうことが実際に載っているわけですよ、同じ工場の中でですね。  そういう問題が何で起こるのかと。どこに問題があってそういうことが起こったのか。それがもう繰り返されないようになったのかどうなのかということをちゃんと点検しているのかなというふうに思うわけですよ。それは、されているのかされていないのか見て分からないのかということなんですよ。そういうことがちゃんと点検されているのかということを私はお聞きしたかったわけですよね、繰り返されないように。どうですか。
  160. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 先ほど申し上げましたように、委員指摘の過去の部分で繰り返しているというところでありますけれども、そういうことが現在どうであるかということで、直近のノンコンプライアンスレコードの状況も聞いて調査をやっているということでありますので、もし繰り返すようなことがあれば、ノンコンプライアンスレコードがたくさん出ているということになろうかと思いますけれども、そういうのも含めて現在調査をやっているというところでございます。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 余り納得いかないんですけれども、次に行きます。  抜き打ち検査、査察についてなんですけれども、六月二十一日の日米共同記者発表で、米国農務省による抜き打ち検査の同行という項目がありますね。先ほど福本先生が質問されていて、ちょっとそれを聞いていてもう一度確認したいと思ったんですけれども、その抜き打ち査察というのは二種類あるという話されましたよね、先ほど。言われませんでしたか。
  162. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 査察が二種類です。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 査察、二種類、抜き打ち。  それで、その抜き打ち査察ということ、記者発表の中で、同行するという項目、この抜き打ち査察というのは相手方に全く連絡することなく査察をするということなんですか。
  164. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 言葉としましては、事前に通報しない査察ということにアメリカの文書でもなっておりますから、常識的には事前に通告をしないということだと思いますけれども、この具体的な抜き打ち査察の方法なり手続につきましては、これからアメリカ側ときちっと詰めていくと、実際に日本もそこで同行していくということになりますと、そこのところはこれから詰めをしていかなければいけないというふうに思っております。  二種類あると申し上げたのは、通常、AMSというアメリカ農務省の認証を担当している部局が、査察をする際に、普通は事前にいつ行くということを通知をして行く、それが従来の仕組みだったわけですけれども、一月のあの事故を踏まえまして、さらにその監査といいましょうか査察というか、そういうチェック機能を強化するという意味で事前アンアナウンスト、事前に相手方に知らせない査察も導入することとしたということでございます。その事前に通報しない、細部はまだ分かりませんけれども、それに日本参加をしたい、同行したいということで今申入れをして、実現を努力しているということであります。
  165. 紙智子

    ○紙智子君 これからアメリカとの間で詰めていくということですよね。
  166. 中川坦

    政府参考人中川坦君) はい。
  167. 紙智子

    ○紙智子君 つまり、事前に通告をしないでいきなり入ると、こういうやり方をアメリカがやろうとするんだけれども、これに一緒に日本も同行させてほしいと。これは、アメリカ側はオーケーと言ったわけですか。
  168. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 基本的に、抜き打ち査察に同行するというところはアメリカ側と合意しております。その具体的な実施についてはこれから細部を詰めていかなければいけないということでございます。
  169. 紙智子

    ○紙智子君 これも、私は本当にそんなできるのかなというふうに思うわけです。  というのは、二月にアメリカに行って農務省と話をしたときにそのことを聞いたんです。抜き打ちということでなぜできないんだと、やらせてもらえないのかというふうに言ったら、いきなりはできないと、突然訪れてすぐドアを開けることはできないんだという回答だったわけですよ。それはなぜかというと、結局、米国の食肉処理場というのはすべて民間企業で、企業秘密で守られているわけですね。だから、相手に事前に連絡することなく査察をするということは、企業側がじゃ受け入れるのかということがあるわけですよね。  だから、アメリカの農務省が、いや、いいですよと言ったとしても、じゃ企業はそれを受け入れるのかなということも含めて、本当にそれ実効性があるのかというのを思うわけなんですけど、その辺はどうですか。
  170. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカ農務省が抜き打ち査察をやると、これはまずジョハンズ農務長官が、たしかこの事故が起こった直後に既に長官自身がおっしゃったことの一つだったと記憶をいたしておりますけれどもアメリカ農務省は輸出証明プログラム、EVプログラムという一つのシステムを所掌している役所でございます。そのEVプログラムのいろんな実効確保の中で、これまでも年二回少なくとも査察をするというふうなこともきちっとルールとして決まっておりました。ですから、手法は今回違いますけれども、担当している役所、しかもその責任者が今回、査察、抜き打ち査察をするということで既に公式に表明をしているわけでありますし、日米間でもそういう約束を今回したわけでありますから、それが当然適切な査察ができるようにその実現をきちっとやっていくというのは、アメリカ政府としての務めでもあると思っております。
  171. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり抜き打ちのその査察というのは、だれが来ようと来まいと日常的にどういうふうな処理の仕方をしているのかということをやっぱりきちっと点検するということから必要な意味を持っているというふうに思うんですよね。  だから、それがそうじゃなくて、その私が二月に行ったときのやり取りの中でも、米国がやっぱりここ、ここ、ここと言ったところで抜き打ちでやりますよというところについていいという話であれば、これは抜き打ちとは言わないんじゃないかという話になったんですけれども、そこのところは、もし今言ったようなことだとするとこれは抜き打ちとは言えないわけで、そこのところは国民に対してもやっぱり誤解を与えないようにするべきだと思うんです。大体国民の理解というのは一般に、抜き打ちといったらやっぱり全く通告なしにいきなり入るということでもって効果があるというふうに思っているわけですから。そこは大丈夫ですか。
  172. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まずは、アメリカ農務省が、アメリカ政府が自らの監査、査察のシステムの中に従来の、通常の査察に加えて新たに抜き打ち査察というのを導入するということをこれははっきりと表明をしたわけです。今度はアメリカがやるというその抜き打ち査察日本も同行したいということを申入れをし、そこはアメリカ側も了承をしているわけです。  その際にアメリカは、USDAがどこをやるということをまずは判断をして、そしてそれに日本が同行するということが基本とは思いますけれども日本も、これから先、将来いろんな事柄から判断をして日本がこの施設を見たいんだという日本側の要望をアメリカに伝えて、そして、それを相手方に知らせないで査察をする、抜き打ち査察をするという、そういうことも含めて我々としてはアメリカ側に具体的な条件、その他、実施方法を協議をする際には申し入れていきたいというふうに思っています。
  173. 紙智子

    ○紙智子君 具体的な煮詰めがされた場合はきちっとそれも明らかにしていただけるんですね。  それじゃ、次に、六月二十二日のプリオン専門調査会で吉川座長が次のように言っています。今回の違反事例が構造上の問題なのかどうか、もし構造上無視できない違反であればリスク評価は成り立たないというふうにおっしゃっているんですね。これ極めて重大な発言だ、重要な発言だというふうに思います。  それで、もう少し詳しく言うと、吉川座長は、私、最後に二つ触れておきたいんですけれども、あのとき評価した者として、リスク評価が無効になる場合があるということを附帯事項で書いたわけですと。EVプログラムを遵守させるという前提で評価するという選択を選んだわけで、そうすると、構造上無視できないエラーというものがあれば評価は成立しないことになると思うんです、最初に起こってしまったエラーが構造上の問題だったのか、それとも特別な事例で起こった個別事例のエラーなのかということは非常に重要な問題で、それはアメリカ側にも日本側にも十分認識した格好で、アメリカ側の原因追求というのはUSDAとOIGとダブルチェックのような格好で行われてその報告が出てきたわけで、アメリカ側は個別事例として起こったエラーであるという総括をしたわけですけれども日本の管理側としてそれを受け入れたのかどうなのか、それは今度の検証も含めて明確な結論を出す必要があると思うんですというふうにおっしゃっているんですね。  これに対してどんなふうに受け止めておられるのか。これ、大臣、どうでしょう。
  174. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 吉川座長がおっしゃるまでもなく、一月二十日の出来事というのは、EVプログラム違反ということで輸入をストップしたわけであります。EVプログラム違反ということは、いただいた答申は、EVプログラムが遵守されれば日米のリスクは非常に少ないという答申をいただいているわけでありますから、EVプログラム違反ということは、これは日米の間にリスクが大きくなったということでストップをし、原因究明と再発防止のための作業をしているところでございます。  米国側は、他の日本向けの施設につきまして四月から五月にかけて再調査をして、この条件の適合性に影響を及ぼすような事実は発見できなかったというふうな報告を受けているところでございますが、いずれにいたしましても、現時点で日本政府アメリカの三十五施設を今査察をしている最中でございますから、正にEVプログラム違反にならないということを前提にチェックをしているところでございまして、帰ってきて最終報告を私が受けるというところに今向かう作業をしているところでございます。
  175. 紙智子

    ○紙智子君 大臣の見解は、要するに構造的な問題ではないということなんですか。
  176. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 構造的であろうが、何ですか、個別であろうが、EVプログラム違反になれば、これは一月二十日にやったようにリスクが日本と同程度ではないということになるわけでありますから、構造的であろうが個別的であろうが、EVプログラム違反ということはあってはならないということでございます。
  177. 紙智子

    ○紙智子君 前国会で、予算委員会で農水大臣にお聞きしたわけですけれど、そのときにノンコンプライアンスレコードをお見せして、原本は読まれてなかったわけですけど、その後お読みになりましたか。
  178. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 原本は読んでおりません。
  179. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり読まれるべきだと思いますね。  私は、あれを読まなきゃやっぱり実態が分からないし、それで実は、全部その資料を分析も含めて本にして、多くの人たちに、やっぱりまだ知らない人たくさんいますからということでやったんですけど、改めてこれ読んでみますと、やっぱりそこから、いろいろな今まで積み重ねてきたそういう違反記録から浮かび上がってくるものがあるわけですよね。やっぱり私は構造的な問題があるというふうに思っているわけです。  この米国の処理場というのはすべて企業経営ですね。そして、五つの、五大パッカーと言われる大企業によって経営をされていると。企業秘密で守られているわけです。その一日の処理頭数は、多いところでは五千頭という巨大な処理場も多く存在しているわけですね。そして、その処理のスピードというのは、それだけの規模ですから、もう何秒間に一頭とかという形で物すごい速いスピードで処理をされているわけです。  さらに、食肉処理で利益を上げていくということで、実際そのために低賃金で働く労働者を多く雇用している。どんどんどんどん労働者が入れ替わって安い賃金で働けるようなふうにしていますし、移民労働者に依存しているわけです。それで、なかなかだから言葉も通じない状況というのがあって、英語が通じないというのは、先日、衆議院の農水委員会でやっぱり閉中審査やられていて、そこで赤松副大臣が答弁の中でも次のように述べられていますね。私は、スイフト社とカーギル社、二社に行ってまいりましたけれども、そういった幹部に対する問い掛け、また現場の作業員、これはなかなか、仕事中でありますし、言葉が、英語が通じない、スペイン語のみというところもあったりしましてというふうに答弁されているわけです。英語が通じないわけなので、職場教育といってもこれはなかなかままならないということがあるんだろうと思いますし、処理スピードを落とさないためにも、なかなか労働争議ということになったら困るということで労働組合はつくらないと、労働者は極力短期雇用ということで熟練労働者が形成されない仕組みになっているという、そういう問題もあるというふうに思うんです。  そういう中で、同じような違反がこの間やっぱり繰り返されてくるというふうになっていると思うんですね。これについてはどう思われますか。
  180. 中川坦

    政府参考人中川坦君) ヒスパニックといいますか、移民の労働者が多いということは私ども認識をしておりますし、今回行っております調査団も、単に英語だけではなくて、例えばスペイン語でもって従業員にきちっと意思疎通ができてルールが理解されているかどうかというふうなことは確認をするようにと、そういう問題意識で調査も行っております。  そういう意味で、私ども、単に英語だけとかそういうことではなくて、いずれの状況であっても、要は肉がきちっと日本向けにルールどおりのものが処理されているかどうかということを見るのが今の調査団の目的でありますから、そこのところはきちっと見るようにということで今やってきているわけであります。
  181. 紙智子

    ○紙智子君 大臣はどのように思われますか。
  182. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ですから、今、専門家が、厚労省と農水省の専門家が見に、査察に行っているわけでございますから、プロが行っているわけでありますから、そのプロの報告を待ちたいと思います。
  183. 紙智子

    ○紙智子君 私は、やっぱり日本の国民の安全を最優先に考えるのであれば、こういう今までの問題点ということもしっかり見ていただきたいと思いますし、日本向けの牛肉処理施設というのはやっぱり別ラインを設けさせて間違いが起こらないようにさせるということですとか、それから処理スピードも、先日、参議院の農水委員会で、日本からアメリカに出しているHACCP対応の工場を栃木に見に行きましたけれども、あそこはもう本当にゆっくり、本当に一つ一つ丁寧に処理して、解体から洗浄から含めてやっているわけですけれども、そういうことから比べてみても、物すごいスピードで一頭一頭の処理がされていて、これじゃとてもじゃないけれども危険部位なんて取り除けないよと、実際見てきた方の感想もそういう話ありましたけれども、そういうことからいっても、処理スピードも落とさせるとか、ゆったりとした食肉処理ができるようにするとか、こういうことを米国政府に対しても要求すべきだと思うんですよ。  それから、当然全頭の検査を求めるべきだというふうに思いますし、それをやっぱり要求すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  184. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) さっき紙委員が、米国の食肉施設は全部民間だと、御指摘のとおりでございます。我々は、自由経済の中で法律に基づいて、そして特に食の安全については、アメリカに対して日本要求どおりにやってもらいたいということで再開をし、それにもかかわらず一月二十日にああいう出来事があったわけでございます。  その時点では、アメリカ施設あるいは公務員含めて、EVプログラムについて、結局はミスというか、違反をしたわけでございますから、再発防止に向かってアメリカ側も努力をしておりますし、日本側としてもそれを査察に行っているわけであります。  私はプロでございませんからよく分かりませんけれども、スピードが速いとか遅いとか、あるいは移民だからどうだこうだとか、そういう次元ではなくて、きちっとアメリカ側も日本との約束に合った形で食肉を輸出しなければ大変なことになるということは、ある意味ではアメリカ側も思い知ったんだろうというふうに思いますので、我々としては、再発防止という観点も含めて今査察をしているところでございます。  移民の人が大勢いるとかスピードが速いとかだけで何か日本の食の安全が侵されるというような御議論というものは、それだけでは私は、紙委員の御意見にはそれだけでは私は意見を異にするわけでございます。
  185. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 時間が参っております。おまとめ願います。
  186. 紙智子

    ○紙智子君 私個人の意見じゃなくて、やっぱり多くの国民の皆さんの大きな不安にこたえていくということから、やっぱり中川大臣大臣なんですから、大きな権限を持っているわけでね、これからの対処どうするのかということが懸かっているわけですから、そういうことで判断していただきたいと思います。  最後に一つだけお聞きしたいんですけれどもWTOの問題なんですが、二十三日からまた会議ということで先ほど来お話があって、米国が譲歩した場合、今度はボールが日本に投げられてくるということで、そこでどういうふうに対応するのかということが非常に問われてくるわけですけれども、最後に、やっぱり私自身は、本当に日本が半端な譲歩なんかして、それで何とかまとめようということは絶対しちゃいけないというように思います。もちろん、そのまとめるために努力しているんでしょうけれども、しかし、上限関税の問題にしても、生産者の人たちから見ればもうびた一文これ以上は、関税だって下げるのも大変だし、そういう状況の中でやっぱり妥協なく進めてほしいという思いでいると思うんですね。  そのことについての、最後、大臣の決意といいますか、お話しいただいて、質問を終わりたいと思います。
  187. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 中川大臣、手短に願います。
  188. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本提案は既に、先ほどから議論あるように、日本提案ですら最上位階層を四五%削減しますという提案をしているわけであります。  そして、交渉ですから、譲るところは譲るということで、びた一文とか一粒たりともとか一グラムたりともとか、そういう気持ちでは参りますけれども、我々は守るところは守る、しかしその範囲内で譲るところは譲るという姿勢でやっていかないと交渉はまとまっていかない。これは何も日本だけの話じゃございません。すべての参加国に要求される最低かつ最大のモチベーションであろうというふうに考えております。
  189. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会