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2006-05-23 第164回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      輿石  東君     柳澤 光美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         工藤堅太郎君     理 事                 西銘順志郎君                 山内 俊夫君                 芝  博一君                 柳澤 光美君     委 員                 秋元  司君                 佐藤 泰三君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 中曽根弘文君                 山谷えり子君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 藤原 正司君                 松井 孝治君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 近藤 正道君                 木俣 佳丈君    衆議院議員        修正案提出者   大島  敦君    国務大臣        国務大臣     猪口 邦子君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        山谷えり子君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣国民生活        局長       田口 義明君        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        経済産業省商務        情報政策局消費        経済部長     谷 みどり君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○消費者契約法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、輿石東君が委員を辞任され、その補欠として柳澤光美君が選任されました。     ─────────────
  3. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事柳澤光美君を指名いたします。     ─────────────
  5. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  消費者契約法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣国民生活局長田口義明君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 消費者契約法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 秋元司

    秋元司君 自由民主党の秋元でございます。おはようございます。久方ぶりの質問やらさせていただきたいと思います。  まず、この消費契約法、私は、この法律自体大変事業者にとってはなかなか厳しい法律じゃないかなと実は思わせていただいておりまして、特に禁止規定を見ますと、事業者にとってはなかなか自由度がないのかなと、営業効率がないのかなという感を受けるんですけれども、ただ、今世の中で起きているいろんな事件等を見てみますと、この法律がしっかりと周知徹底されていないところに一つ問題があるのかなということも思うわけでありまして、この法律が存在する担保というのを今後どう取るかということが一つのかぎなのかなと思っております。  また、一方で思うんですけれども、特に訪問販売であるだとか又は通販とか、こういったものについては特別にクーリングオフという制度もあって、消費者として一方的に解約できるということがあるわけでありましてね、その他いろいろと問題視されるような事業、問題視されがちな事業においては、いろいろと法律又はその業界ごとのいろんな独自の、何といいますか、規定の中で禁止条項も設けられているわけでありますけれども、そういったことを踏まえた上で、あえて今回この法律を改正する目的と、そしてまたこの法律における特色、これについて大臣にお伺いしたいと思います。
  9. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 恐れ入ります。お願いいたします。  本制度目的でございますけれども、消費者契約法平成十三年から施行されています。これによりまして、被害を受けた個々消費者の事後的な救済が図られていますが、同種の被害発生拡大を防止するにはやはり限界があると考えております。このため、この改正法案の第一条の目的規定に明記いたしましたとおり、一定の消費者団体消費者契約法規定する事業者の不当な行為に対する差止請求権を認めることによりまして、消費者被害発生拡大の防止を図ろうとする、これがそもそもの目的でございます。  この特色でございますけれども、この制度団体訴権と称されたり消費者団体訴訟制度と称されていることに端的に表れているのですが、差止請求権個々消費者にではなく、第三者たる団体に認めたところにございます。個々消費者は、一般的には専門的な知識情報収集力あるいは交渉力の面でなかなか差止請求権の適切な行使がやりにくいのではないかと、そういうことが的確に行使されることを必ずしも期待できない場合が少なくないのではないかと考えました。このため、消費者全体の利益擁護の役割を担うことができるそういう実質を備えた適格団体差止請求権を認めることとしたものでございます。
  10. 秋元司

    秋元司君 団体に対して差止請求権を与えるということでありましょうから、実際被害を受けた人と、そして判決が出た後の利益というんでしょうかね、そういったものを被る人とが違うというそういった性質もあるわけでありますから、やはり私は、この適格消費団体消費団体というものをどういう形で認定をしていくのか、これが一番の私かぎなのかなと思っているわけでありまして、全般的に目的と特徴をお伺いする中に、とにかく一般消費者というのは余り情報がないですから、そしてやっぱり法律を余り知らないということの中に、団体が代わりにそれなり行動を起こすことはある意味意味があることではあると思いますので、そういった、私もこの法律自体につきまして非常に賛成な立場と、そういった意味から、今日は、今後これが正しく本当に実行されるのかどうか、ここがポイントでありますので、その点について以下質問をさせていただきたいと思います。  まず、適格団体についてなんですが、適格団体適格消費団体について漠然とイメージがあるんですけれども、実際問題、適格消費団体とはどういったものなのか、またこの認定要件も含めましてお伺いしたいと思います。
  11. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  適格消費者団体の定義でございますが、法案の第二条第四項に規定されているところでございますが、端的に申し上げれば、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体で、法定適格要件を満たすものとして内閣総理大臣認定を受けた者でございます。  この法定適格要件でございますが、法案の第十三条に列挙してございますが、主なものといたしましては、まず法人格を持っていると、具体的には特定営利活動法人又は民法の公益法人であること、あるいは団体目的消費者全体の利益擁護目的とするということ、さらにその目的に沿って活動実績があるということ、その他、人的、体制的、財務的な体制なり業務規程が整っていると、こういう内容適格要件として定めているところでございます。
  12. 秋元司

    秋元司君 今までは、消費者皆さん事業者から勧誘に付くだとか、又は、何といいますかね、強引に買わされるだとか、もう一つは最初あった話と実際は違うだとか、そういったクレームを、国民生活センターに恐らくクレームを入れるという、そして国民生活センターそれなり行動を起こしてくれるというのが今までのスタイルであったと思うんですが、まあ私もよく陳情を受けるわけでありますけれども、実際、センター電話してもなかなか具体的なところまでは進まないんですよね。それはやっぱりあくまで消費者と、何といいますか、事業者との関係なんで、最終的には損害賠償訴えてくださいなんといってなかなか進まなかったわけでありますから、そういった意味においては差止請求できる、この点が非常に今後いい展開になっていくのかなって、そんな気がいたしております。  ただ一方、何といいますか、こう言っちゃ言い方が失礼ですけれども、消費者も意外にずるいところがありまして、非常に都合のいいところがあって、まあ取りあえず利用してみようとかといって、そんなふうな傾向もありがちでありまして、実際問題、このクレームというものを、クレーム自体をどう処理をするか、それがポイントかなというふうにも思うんですが。  差止め、今回請求をするということでありますけれども、この対象となるのはどういったものが対象となるのか、契約条項も含めて、ちょっとその辺についてお伺いしたいと思います。
  13. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 本制度におきまして、本制度対象でございますが、消費者契約法規定されております事業者不当行為ということで、具体的には、不当な勧誘行為と不当な契約条項使用、これらが不特定多数の消費者に現に行われ又は行われるおそれがある場合に差止め対象となります。  不当な勧誘行為といたしましては、例えば、悪質な住宅リフォーム会社消費者の自宅に上がり込んで、消費者から帰ってくれと言われても契約するまで長時間居座って帰らないというような方法勧誘を行うものでありますとか、商品先物取引におきまして、確実に値上がりしてくると、値下がりすることはあり得ないというようなことで勧誘をするというもの、これらのものが例として考えられます。  また、不当な契約条項使用といたしましては、例えば、結婚式場予約時に、予約をキャンセルする場合、挙式日の何日前かを問わず支払済み予約金は返還しないという条項を含んだ契約を締結するというようなものでありますとか、スポーツクラブの入会時におきまして、いかなる理由があっても当社は一切損害賠償責任を負いませんというような条項を含んだ契約を締結するというようなものでありますとか、さらにはマンションの賃貸借契約におきまして、本件賃貸借契約が終了した場合、例えば畳や床材の変色といったような通常の損耗につきましても賃借人原状回復義務を負うというような条項を含んだ契約を締結するというようなもの、これらの例が考えられるところでございます。
  14. 秋元司

    秋元司君 確かに、今具体例にありました、よく不動産なんかは、私も学生時代そうでありましたが、大体アパートを契約すると、日本では礼金は別としまして敷金というのが掛かるんですよね。敷金というのは自分が住んで契約を解除したら返しますよということなんですけれども、大体、何というんですかね、クリーニング代と称して返ってこないというのが大半であったんで、私もそういうものかなというふうに思っていたんですけど、最近はいろいろなところで訴訟が起きていて、最近はもう全額お返しするというのも出てきているようでありますから、業界にとっては非常に混乱なんでしょうけれども、消費者にとっては正しい行為なのかなと、この辺が実は私複雑な気持ちであるんですけど。  そういったものが一つ一つ団体によって差止め請求するというと、ちょっとこれはこれで大変なことであるのかなという気もするんですが、それは常識な判断として今後推移していくんでしょうけれども、一つちょっとお伺いしたいんですけど、この推奨行為についてはどのような考えをお持ちですか。
  15. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  推奨行為と申しますのは、事業者消費者との間で締結いたします契約のモデルでありますとかひな形となる契約書式あるいは約款を第三者事業者に対し推薦したり提案したりする行為でございます。  このいわゆる推奨行為につきましては、消費者事業者間の契約を直接規定するものではございません。推奨行為の主体や程度には種々様々なものがございまして、これら推奨行為差止め対象といたしますと、事業者団体による自主的なルール作りなどまで萎縮させるおそれもございまして、事業者の正当な活動を害することのないようにする必要がございます。  そこで、もう一つ要因といたしまして、推奨行為自体差止め対象としなくても、推奨されました不当な契約条項個々事業者消費者に対して使用しようとする段階で差し止めることは可能でございます。  こういうような要因から、今回の法案におきましては、推奨行為差止請求対象にはしていないということでございます。
  16. 秋元司

    秋元司君 分かりました。  続きまして、やっぱりこういう民間団体ができるわけでありますから、非常に事業者からこの団体というのがややもすればねらわれるんじゃないかなというのを私はすごく心配をしているわけでありまして。  と言いますのも、これもよく私も陳情を受ける話でありますが、生活センターに寄せられてくるクレームの一端の、一つとして、何というのかな、同業者同士の、ライバル社同士の差し合いというんですか、そういうものだとか、又はライバル事業者に対する営業妨害目的としたクレーム等をだんだん消費センターに入れて、そしてまた、電話をするだけじゃなくて、場合によってはセンターだけれどもなんて言って、偽名を使ってライバル会社電話を入れるなんていう行為がよくあるような気がするわけでありますが、その適格要件というものをしっかり満たした上で団体というのが設立されていくんだと思うんですけれども、そういった事業者からの独立という面からどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  17. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 御指摘のように、事業者等からの独立性という点が適格団体要件一つの重要なファクターになってございます。事業者適格消費者団体に不当な影響を及ぼすことを排除いたしますために、この法案の第十三条第三項第四号におきまして、差止請求関係業務執行決定機関をまず理事会といたしました上で、特定事業者がこの理事総数のマジョリティーを占めないよう、理事構成適正化を図る仕組みといたしております。  具体的には、まず一つは、特定事業者関係者、これは特定企業グループのようなものを想定しておりますが、この特定事業者関係者理事総数に占める割合を三分の一以下といたしております。また、第二に、同一業界関係者理事総数に占める割合を二分の一以下に制限しているところでございます。その上で、理事会構成適正化を図った趣旨が損なわれないように、理事会決定方法につきまして過半数又はこれを上回る割合以上の多数決が必要としております。  また、事前請求をすること又は差止請求を提起するといったようなことの決定など、重要事項、これを適格団体決定する際の問題でございますが、重要事項委任、例えば特定理事常任理事会への委任といったようなことを禁止しているところでございます。
  18. 秋元司

    秋元司君 委任も禁止するということは、要するに、何ですか、常に理事会メンバーがそろわなければ、分かりやすく言うと会議が行われないという解釈でよろしいですか。
  19. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 理事会におきます重要事項委任を禁止する趣旨でございますが、これは、理事として選任された方々理事としての職責を全うして重要事項を直接決定していただくという趣旨でございまして、一部の理事の方に委任をしたり、あるいはよく常任理事会というような方が一部の理事方々決定をゆだねてしまうというようなことは禁止しているということで、理事会自体決定については全員がそろわなければいけないということではございません。
  20. 秋元司

    秋元司君 分かりました。  それで、正にその理事となられる方、どういった方がなるのか私もいまいち分からない部分があるんですけれども、立派な組織をつくるためにはそれなりの見識を持った方が集まっていかなくちゃいけないと思いますんで、こういった適格消費団体が設立をされるために人材をどういう形で集めるのか、そしてまた、今、内閣府として考えている形としてどういう方がこういったところの構成メンバーとなるのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  21. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  この制度におきまして適格団体が行います業務流れをまず考えてみますと、始めに消費者一般から広く被害情報を収集いたしまして、寄せられた各種多様な事案につきまして差止め必要性分析検討すると。その上で、差止請求をすべき事案でありますとか請求内容、どういう請求をするか、こういうことを決定すると。さらに、実際に相手方事業者に対しまして差止め請求を行いまして、差止め判決等が得られればその結果を消費者に広く提供すると、こういう適格団体としての業務流れがございます。  こういう流れを踏まえまして、広く消費者一般から被害情報の提供という形での参画を得ることがまず必要でございますし、また、そういう得られた被害情報を踏まえて、事案分析検討において専門家参画も必要となります。  そこで、この専門家参画につきましては、この法案におきましては大きく分けて二つのグループ専門家に御参画いただくということで、一つ消費生活専門家ということで、各地の消費生活センター等の現場で消費生活の実務に携わっておられる相談員方々、あるいは第二のカテゴリーといたしまして、法律専門家弁護士の方でありますとか司法書士の方といった法律専門家が加わっていただく。こういう方々が加わって差止請求に関する検討部門というのを構成していただいて、この検討部門参画していただくと。この方々専門的知識に基づいて必要な助言を得て、また意見を述べていただく、こういう体制が整備されていることが適格団体の重要な要件となっているわけでございます。
  22. 秋元司

    秋元司君 となりますと、それだけの専門家皆さんを集めて、そして活動するためにはそれなりの、財政的な面が非常に心配されるわけでありますけれども、当然この団体として活動していくためには、まあ団体はNPOだとか公益法人的な存在になるんでしょうけれども、公益法人であれば、それは公益法人としての寄附行為が認められるんでしょうが、いわゆる活動していく中に資金を集めるための寄附であるだとか、恐らく会費とか、何か事業をしたら事業費をその活動資金に充てるとかいうことになると思うんですけれども、その辺について財政面の、何というのかな、担保措置というのはどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  23. 田口義明

    政府参考人田口義明君) この法案におきましては、差止請求関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎と、これが適格要件一つに掲げられているわけでございます。  この経理的基礎というところですが、この趣旨は、適格性認定に関します有効期間が三年となっておりますので、この三年の間に例えば訴訟の途中で資金繰りが付かなくなるといったような懸念がない程度に安定的、継続的に差止請求関係業務を行うに足りる財政基盤、これを持っていただくということを求めているものでございます。  したがって、適格団体財政規模というのは、団体活動範囲でありますとか、想定される差止請求なり訴訟頻度等によって異なってまいりますが、適格団体がその活動資金をどう確保していくかという収入源の問題でございますが、適格団体におきましては、会費でありますとか寄附金収入に加えまして、例えばセミナーやシンポジウムの実施などによる事業収入確保等によりまして、これら財政基盤確保、維持するということが考えられるところでございます。  また、先ほど申しました専門家方々の御協力ということでございますが、弁護士消費生活相談員などの方々の御協力をボランティアで得るということも一つ方法として想定されるところでございます。  なお、民間団体がこの制度の導入に向けまして、適格団体を支援するための基金をつくりまして社会一般からの寄附金の受皿となる動きも見られるところでございまして、適格団体がこのような基金から支援を受けて活動するということも想定されるところでございます。
  24. 秋元司

    秋元司君 今のような言われたことがすべて実現をすれば可能だとは思うんですけれども、もうなかなか本当に資金というのはしっかり集まるものなのかなという懸念一つあるのと同時に、私が一番心配しているのは、先ほど事業者からの独立ということがあったんですが、やっぱり財政面、これは団体を運営することは厳しいですよね。  そうなりますと、こういった認定された適格団体に絞ってくるというのはやっぱり事業者だと思うんですよ。事業者寄附をするというのは当然、まあ何というんですかね、社会的に自分活動しているんだということをPRすると。中小企業であれば社長さんの思いということでも寄附があると思うんですが、そればかりじゃなくて、やっぱり多かれ少なかれ自分たちがもし何ぞあったときにという思いのために一部寄附に走るということもあるんじゃないかなということが一部想定されるわけでありますが、その辺、心配についてはありませんか。
  25. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 事業者から寄附金を得るということのゆえに適格団体活動公正性を失うことがあってはならないということは当然のことでございます。  そこで、この法案におきましては、適格団体収支あるいは活動状況等につきましてできるだけガラス張りにするということで情報公開を図っていくと。この収支計算書でありますとか事業計画書実績等につきまして備置き、一般方々への閲覧を行うというような形で、広く国民の方、消費者方々からの監視の下に置かれるということでございます。それによって、この適格団体活動公正性を保っていくという一つの手段としているところでございます。  もちろん、認定を行います内閣総理大臣監督規定というのがございますので、それによって適格団体適正性確保するというルートはもちろんございますが、また先ほど申し上げましたような情報公開を通じた適正化確保というような方策も講じているところでございます。
  26. 秋元司

    秋元司君 さっきの、ちょっと人材の件に戻らしていただきたいんですけれども、実はここの委員会で言うことでもないわけでありますが、今、行政改革特別委員会で議論している公益法人改革ということも含めて、今いわゆる天下りの問題が非常にクローズアップされていまして、確かに、何といいますか、行政マン当時と同じ、それを超える給料が払われて、そしてまた天下った先も余り、第三者が見て本当に仕事しているのかなと思われているようなこういう中で、それなりの給料とそしてまた地位、ポストが約束されるという意味においての天下りというのは私はやっぱりこれは否定的に考えるべき話でありますけれども、しかし一方で、こういう何といいますかね、公益法人であるとか、今回この適格消費者団体であるとか、そういった公的な団体につきましては、やっぱり行政経験というのをある程度フルに生かした形で仕事ができる、もう一つは、ある程度定年退職後でもその知恵と経験というのを生かした形でできる仕事なのかなと思う節がありましてね。実はちょっとなぜここで触れさせてもらったかというと、私も何団体か頼まれて理事をやっている公益法人ありますけれども、今、公益法人等の改革が、今回法律通るか通らないか分かりませんが、恐らく通るんでしょう。  そうなったときに、所轄の役所がそれぞれ今自分が所轄をしている団体のヒアリングを取るということで、やたらめったらその構成員の理事だとか、そこに旧行政経験のある方がいたとしたら、何年から何年働いてどういう部署にいたかとか細かく聞いて、それは細かく聞くのはいいんでしょうけれども、それに対する何かああだこうだという注文が来るやに聞くわけでありますね。それは、天下りというものをこれからなくしていこうという方向性だという説明があるわけでありますから、それはそれでいいんでしょうけど。  例えば、正にボランティアでそういう行政経験のある方がそういったしかるべき公益法人等で働くといった場合について、それについてまで私は細かくああだこうだと注文することはなくて、やっぱり自分が、それはボランティア活動ですから、思いの中でそういった団体に入り、そしてまた周りから認められてそれなりの役職に就くということは、私はこれは自然の流れであるし、当然役人の方もこれは普通の人間としての普通の行為でありましょうから、そこまでとやかく私は言う必要はないんじゃないかと思っているんですが。  最近この天下りという問題が非常にクローズアップされていますから、ちょっとこの点について過剰になり過ぎているんじゃないかなという懸念があるわけでありますけれども、その辺についていかが思いますか。できたら大臣にコメントいただければと思います。
  27. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 先生の今の御議論、私もしっかりと伺って考えるところございます。  この消費者契約法の改正に係ります適格消費者団体のことにつきましては、今の局長答弁でもるる申し上げたところでございますが、基本的には消費者によって支えられている、そして恐らく活動の大半の部分がボランティア活動によって支えられる面も多いのではないかというふうに考えております。  そうなりますと、消費者行政に知見を持っていたり、また深い関心を有する公務員が、退職前あるいは退職後問わず、適格消費者団体活動に一市民として参加する、あるいは寄与するということは十分にあり得ると考えておりまして、適格消費者団体の性格を考えますと、今先生も御議論されましたように、財政面のことから見ても、いわゆる天下り問題のようなものが生ずるということは想定し難いと私は考えております。
  28. 秋元司

    秋元司君 ありがとうございました。  続きまして、同じくこの団体の件でありますけれども、ちょっと先ほど触れていただきましたが、少しダブるかもしれませんが、まさしく適格消費団体として認定するには、恐らく内閣府がそれを所管してそれなりに判断をしていくんでしょうけれども、まずそのためには、この適格要件自体がちゃんと第三者から見ても分かりやすいという面と、そして常にそういったものを満たした団体であるかということ自身も、事後チェックも含めて、非常に長い目で育てるという観点とチェックをする点、こういった両方をバランスを持って見守っていかなくちゃならないわけでありますが、そういったことにつきましてのチェック体制ですね、今後の。そして、この認定要件を認めるその判断の在り方とか、この辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
  29. 田口義明

    政府参考人田口義明君) この法律におきましては、適格団体認定された以後もその適格性が維持されますように、法案規定といたしまして、差止請求権を濫用してはならないといったような行為規範を法文に明記いたしました上で、そうした規範に違反していないか、あるいは適格要件に適合しなくなってはいないか等につき内閣総理大臣が所要の監督措置を行うということになってございます。  具体的には、適格団体から、訴訟前の請求でありますとか差止めの訴えの提起といったような主要な行為適格団体の主要な行為ごとに内閣総理大臣内容の報告を受けますとともに、必要に応じ、報告徴収でありますとか立入検査権限を行使いたしましてより詳細な状況を把握することとしております。その上で、違反行為適格要件への不適合が、これが仮にあった場合には、改善命令でありますとか認定の取消しといったような所要の措置を講ずることとしております。  また、先ほども少し申し上げましたが、財務諸表、事業報告書、寄附金明細、こういったような諸情報情報公開いたしますとともに、勝訴、敗訴を問わず、差止請求の結果はすべて公表するといったような形で情報公開を徹底いたしまして、適格団体活動国民に対しガラス張りにいたしております。またさらに、学識経験を有する第三者方々適格団体業務状況のチェックを行うというような仕組みも設けているところでございます。  こういう形によりまして、適格団体活動公正性、適切性が担保されるような様々な方策を織り込んでいるところでございます。
  30. 秋元司

    秋元司君 最近は、行政の方もハードルを低くして、何というんですかね、どんどん頑張ってもらって、それで事後チェックを重視してまさしくコンプライアンスをしっかり守らせるというところに力点を置いているということでありましょうから、正にこの事後チェックというのを本当にやっていただきたいと思うんですね。ですからこそ、まあ法律はそうなっているんでしょうけれども、この免許の更新制とかいうのもしっかりやっていただいて、とにかく先ほども申し上げましたけれども、競合事業者同士のこういう闘いに是非巻き込まれない、そしてまた、変な話でありますけれども、まあそういうことでないことを祈るわけでありますが、和解金目当てのために団体が走ってしまうとかいうことをしっかりと行政としてチェックをする、この体制の強化ということは常に心掛けていただきたいなと思うわけであります。  続きまして、この団体認定された後活動する中において、当然団体自身もいろんな情報を収集して、そしてまたいろんな消費者からの声を聞くという行動に走るわけでありましょうけれども、やっぱり独自ではなかなか集めにくい面として、国民生活センターとの連携を密にするということも私は一つの手段だとも思いますし、そして同時に、知り得た情報という、いろんな消費者からもいろんなクレームが来たり、そしてまたいろんな事例が来て、また消費者自身もいろんな人がいるでしょうから、そういった情報がこの認定団体にびっしり詰まるわけでありますけれども、個人情報保護という観点からどのように対処されるか、お答えいただきたいと思います。
  31. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  この法案の第四十条第一項におきましては、国民生活センター及び地方公共団体は、消費生活相談に関する情報内閣府令で定めるものを提供することができるというふうに規定しております。この規定によりまして提供する消費生活相談情報、具体的には国民生活センターで運営されておりますいわゆるPIO—NETと称しております情報ネットワークでございますが、このPIO—NETにより収集されました情報対象とすることといたしております。  このPIO—NETは、国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられます消費生活に関する苦情相談をデータベース化したものでございます。PIO—NETには、消費者からの相談につきまして、事業者名でありますとか契約金額等の苦情相談の概要が登録されておりますが、委員から御指摘のございました相談者の個人情報、例えば相談者の方の氏名でありますとか住所といったような相談者の個人情報は含まれていないということでございます。
  32. 秋元司

    秋元司君 是非、その点を本当にしっかりやっていただきたいと思いますし、特に団体等には、多分、事業者なるものが場合によっちゃ殴り込んでくる、殴り込みを掛ける可能性もあるぐらい悪質な事業者もいるわけでありますから、その辺を、しっかり個人情報を守るということを団体に対しても徹底していただきたいなと思っております。  次に、ちょっと訴訟手続について何点かお伺いをさしていただきたいと思いますけれども、この差止請求権というのは、これはもう先ほどからお話出ていますように、適格消費団体に認められた権利であると思いますが、ある団体がある提訴を起こした、提訴を起こして事件を、何というかな、ある団体がある事件を提訴した場合における既判力の範囲というのをどのように考えていらっしゃいますか。
  33. 田口義明

    政府参考人田口義明君) この差止め訴訟におきまして、判決が出た場合の判決の効果でございますが、ただいま既判力という御指摘がございましたが、この判決の効力の及ぶ範囲自身につきましては、これは当事者にのみ及ぶということで、既判力を第三者に及ぼすという取扱いにはしてございません。しかし、他方、この制度に本質的に由来する問題を十分考えておかなければいけないということもございますので、別途の手当てをさせていただいております。  この制度におきましては、適格消費者団体による差止請求というのは、当該適格団体若しくは第三者の不正な利益を図ることなどを目的とする場合にはすることができないというまず制約を一つ設けております。また、複数の適格団体によりまして同一事件、同じ案件に係る差止請求権の行使が行われた場合の対応でございますが、同一事件に係る差止請求権の行使につき仮に何らの制約も設けない場合には、消費者全体のための利益であるにもかかわらず矛盾する判決が併存したり、あるいは過大な応訴負担でありますとか訴訟不経済といったような様々な弊害が生じ得るために、これを排除して紛争の一回的解決を図る必要がございます。  こういう観点から、確定判決等が存する場合には、他の適格団体による同一事件に係る差止請求は原則としてすることができないという扱いとしておりまして、これによって紛争の蒸し返しを防止するということといたしているところでございます。
  34. 秋元司

    秋元司君 今おっしゃっていただいたように、やっぱり正に紛争の蒸し返しというのが本当に頻繁に起きて、事業者に対して異常なる負担が、過度の負担が掛かるということはやっぱりこれはある意味避けていかなくちゃならない点だと思いますので、この辺をやっぱりお互い団体同士が情報を共有してもらって、そしてまた政府としても、どういう、何というんですかね、事件が起きたのか、どういう裁判において判断なされたのかということをしっかりと把握していただいて、それをまた周知徹底していただく、このことが私必要だと思いますので、是非しっかりやっていただきたいなと思うわけであります。  次に、ちょっと、正に訴訟そのものと、何といいますか、訴訟そのものの議論のまた根幹にかかわるものだと思うんでありますが、私は余り裁判を、何でもかんでも裁判をするというのは余りいい形ではないんじゃないかなと思っていまして、恐らく今回のこの法改正の意味というのは、団体に対して差止請求権があるということが、何というのかな、ある意味意味があって、これが最終的に本当に裁判に行ってしまうようでありましたらみんなそれぞれやればいい話でありますから、ここに一つみそがあるわけでありまして、なるべくなら私は、裁判に行かず、団体が動いて事業者に対して注意、警告をしたならば、それに応じて反省すべき点は反省して、もし違法性があるならばやめますというふうになれば、今後ともほかの消費者に影響を及ぼさない、いわゆる予防的な措置にも私はなると思っておるわけでありまして、そういった意味における事業者との事前交渉というんでしょうかね、そういったことについてお伺いしたいんですが。  それと併せて、これよくある話なんですけれども、いわゆる仕事として正規に正しく法律に従ってやっている事業者は必ずあるわけでありまして、しかし、それがビジネスが面白いといって、えせ的に違法性を持ったいわゆる詐欺的にやる当然事業者もいると。そうした場合に、第三者が見ると、同じような仕事をやっているからいわゆる本物か偽物か区別付かないんで、同じような業態であり同じような商品というものを扱っているとすれば、それをすべて悪とみなしてくるというケースがありまして、そうなりますと、まともにやっている事業者から見ればえらい迷惑だということもあるわけでありまして、そういった中において、正に何というかな、決めて掛かるということじゃなくて、正にここが事前交渉という意味で、本当におたくらがやっている商売というのが、また販売方法というのは法律に違反しているか違反していないか、そういったことを議論する場というのが私は絶対必要であると思いますので、この事業者との事前交渉、繰り返しになりますけれども、この点についてちょっと御見解をお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事芝博一君着席〕
  35. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  この制度消費者団体訴訟制度と言っておりますが、何でもすぐに少し問題があれば訴訟に訴えるということを想定したものではございません。なるべく訴訟前の事前交渉の過程で解決をされるように持っていくということが重要ではないかということを考えております。  そこで、この法律案におきましては、適格団体差止請求に係る訴えを提起しようとするときは、まず、相手方事業者に対しましてあらかじめ請求の要旨でありますとか紛争の要点等を記載いたしました書面による差止請求をいたしまして、その書面が到達したときから一週間を経過した後でなければその訴えを提起することができないという取扱いにしております。これは、相手方の事業者に対しまして不当な行為が仮にあれば、まず事業者自ら是正していただくための機会を与え、紛争の早期解決と取引の適正化を図っていくと、そういう観点からこの仕組みを規定しているものでございます。先生御指摘のように、この規定によりまして多くの案件が効率的に解決し、また事業者にとっても応訴負担の軽減につながっていくと、こういうことを期待しているところでございます。  ちなみに、この消費者団体訴訟制度が大分古くから導入されておりますヨーロッパの諸国におきましてもこの事前請求のシステムというのが行われておりまして、多くの案件についてはこの事前交渉の過程で解決をされると。それで、どうしても解決がしにくい、言わばハードコア的な案件が訴訟に掛かっていくという、こういう取扱いがされているところでございます。
  36. 秋元司

    秋元司君 是非、今述べていただいたそういった解釈の下、この法の執行をお願いしたいと思います。  とにかく、余り事業者の方ばかりをかばうわけじゃありませんけれども、事業者としては一度レッテルを張られますとなかなか名誉回復に時間が掛かる。特に中小企業の場合は、一度張られたらもう復活が不可能であるというのが通例であると思いますので、この辺だけはしっかり事前交渉の中で現状把握、実態把握というのをしてもらって、その上でそれなり行動に行く、そういった団体の育成というものも考えていただきたいなと思うわけであります。  いずれにしましても、消費者自身が本当に賢くて、しっかりとした自分の意見を述べて、そして行動さえしてくれればある意味問題がないんでありますけれども、なかなか消費者というのはそこまで実際問題勉強もしませんし、私自身も契約書なんというのは余り読む習慣がありませんし、実際問題、よくクレジットカードの契約なんかしますと、わずかA4判の紙に小さい字でびっちり書いてあるんですよね。あれ読む人ほとんどいないと思うんですよね。そういう形で、実際、事業者消費者との契約を結んでいくということの中に、ある意味プロ的要素を持った団体が存在するのは意味があると私も思っております。    〔理事芝博一君退席、委員長着席〕  しかし、せっかく今回こういう形で法改正したとしても、果たしてこのことが広く国民に伝わっていくのかなということが非常に不安であると思いますし、同時に、消費者自身も事業者との契約についてはより慎重に、自分自身でまずは自己責任でもってやっていくべきだということも、常に、団体もそうでありましょうけれども、政府としてもやっぱり言い続けてもらわなくちゃいけない点があると思うんですが、その辺について、今後ともその啓蒙活動を行う、それを周知徹底するという意味で、政府としての取組を、じゃ副大臣、お願いできますか。
  37. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 私も全く同感でございまして、議員御指摘のとおり、この制度消費者に対しても事業者に対しても制度を十分周知すること、重要と考えております。  まず消費者につきましては、本制度適格団体に関する理解が深まることにより、個々消費者被害情報を迅速に適格消費者団体に提供したり、あるいは消費者個人の消費者契約に関する紛争の解決に本制度によって得られる判決等を活用することが期待をされます。また、事業者につきましては、本制度を適切に理解をしていただき、また適格団体に関する情報を適時収集することにより、適格団体との交渉に適切に対応することが可能となり問題の早期解決が促進をされると。  このように、本制度の円滑な導入、運用のため、制度の周知、広報は大変重要なものでございます。このため、本法案が成立後は、制度に関する説明会、シンポジウムを全国各地で積極的に開催するとともに、制度を分かりやすく説明したパンフレット等の、先ほど言った細かいんじゃなくて分かりやすい、見れば分かりやすい図で、そういう啓発等資料を作成して、これも多く配布をして、この制度の普及啓発を十分に図ってまいりたいと思っております。
  38. 秋元司

    秋元司君 ありがとうございました。  いずれにしましても、まず、日本人というのはどうしても自己責任というのを余り取らない民族でありまして、すべて何か人のせいにしがちという傾向もあって、最近株の世界でも、やっと総理も株は自己責任だということを明言しておられますが、せっかくこういった制度を、法改正を通じて、引き続き政府としても、まずは消費者自分がしっかり勉強してくれよということを訴えてもらって、そういったことの延長線の中に、いかがわしい業者についてはこういった形で取り締まりますよということをしっかり明記してもらうことを最後にお願い申し上げて、ちょっと時間が余りましたけれども、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  39. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) よろしいですか。
  40. 秋元司

    秋元司君 はい。
  41. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 民主党の黒岩宇洋でございます。  冒頭、猪口大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、猪口大臣は英会話教室って通われたことございますか。
  42. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 黒岩先生にお答え申し上げます。  通ったことはございません。
  43. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうでしょうね。うらやましい限りです、語学力のある大臣が。  私が実は今こんな質問をしたのは、二十年前、私田舎の高校から東京に出てきまして、まずアパートに掛かってきた電話がある英会話学校からだったんですね。合格者名簿でも見たんでしょうか、要は、約四十万円ぐらいでしたかね、授業料で、一年間、英会話学校に通ってみませんかと、あなたも国際人になれますよと。かなり私も浮かれまして、大学に入ったばかりでしたので、早速いわゆる消費者契約の手続に行きまして、すごく長い約款で何が何だか分からず私も読ませてもらいまして、なかなかお金の工面が大変なんで親にお願いして何とか入学させてもらった。結果的には、私も悪いんですけれども、なかなか通うのが続かなくて途中解約したいと思ったんですけれども、やっぱりここに途中解約ができないという条項が入っていたんですね。今考えると、これも不当契約条項なのかななんて思うんですけれども、当時やはりなかなか一人ではそういったことも訴えられませんし、その当時このような今回の消費者団体訴権なんというものがあればよかったななんて思いながら、今回のこの法案については非常に意義深いものだと思って、この先議論させていただこうと思っております。  さて、まずこの消費者契約法の一部改正案の前に、二年前に私この内閣委員会でも議論したんですけれども、当時の消費者保護基本法、これを改正しまして消費者基本法に改めたんですけれども、この消費者基本法を改正したことによってどのような効果があったのかという、このことも点検したいと思っているんです。  十七条で消費者への啓発、教育活動への取組について、こういったことがうたわれているんですけれども、実際にこの条文によってどのようなことが行われているのか、この点について、大臣、お答えください。
  44. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 黒岩先生御指摘のとおり、やはり消費者についての教育、消費者教育というのは非常に重要なことと私感じております。そして、御指摘の消費者基本法第十七条に定めてございますのは、啓発活動及び教育の推進でございます。消費者基本計画におきまして、消費者政策の重点事項として学校やあるいは社会教育施設などにおきます消費者教育の推進を盛り込んでいるところでございます。  これにのっとりまして、具体的には、内閣府と文部科学省との間で消費者教育連絡協議会を開催するとともに、都道府県や政令指定都市におきまして消費者担当部局あるいは教育担当部局、このようなところの連携強化、これを内閣府として要請し行ったところであり、また消費者教育を幅広くかつ効率的、効果的に実施していくために消費者教育の体系化のための調査を実施してきたところでございます。  また、やはり高齢者に対しまして特別の重点化が必要であると感じており、高齢者に対する消費者トラブルが深刻化していることから、高齢者への消費者啓発を推進するとともに、民生委員の方あるいは介護ヘルパーの方々、高齢者の周りの方々に対して高齢者の見守りを呼び掛ける、そういう啓発資料も作成したりしております。高齢福祉関係団体、たくさんございます、また都道府県、市町村等にそのような資料を配布しております。
  45. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 お聞きすると何か物すごい大変な多大な効果が現れているようなんですが。  ちょっとかいつまんで聞くんですけれども、例えばその連絡協議会というのはどのくらい開催されて、どのようなことが吟味されているんですか、これ一点。もう一つ、先ほど消費者教育の体系化を調査したとありますけれども、この体系化というのは具体的にどうやって行われているんですか。この二点お答えください。
  46. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) この連絡協議会は三回開催されたと承知しております。  また、調査を実施して消費者教育を体系化しなければならないということの努力でございますが、これにつきまして、まだ途上と答えるべきだと感じております。先生からこのたび冒頭におきましてこの特別な御質問をいただいたということで、この体系化につきまして、また様々な考え方も取り入れながら、一本化で体系化できるということではないかもしれませんが、消費者教育についてその分野の充実に私として積極的に努めてまいります。
  47. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、本当に正直にそうして答えていただいて結構です。まだこれ法改正して一年ちょいとかですから、そんなに最初に述べた、るるそんな多大な効果が現れているとは思えないんですよね。だから、私が指摘したいのは、一個一個目標に向かって着実に進めていただきたいと思っています。  そう言いながらちょっと確認しますけれども、これ例えば十八条で、消費者の意見を施策に反映させるとあるんですけれども、これ具体的にお答えいただきたいんです。消費者の意見を提出してみませんかというパンフレットを作成したと聞いています。これによって消費者からどのくらい行政機関に対して意見というものが提出されたのか、そしてそのことによって政府ないしは地方公共団体がどういった施策に反映させたのか、これについてお答えいただけますか。
  48. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) まず、御審議いただいておりますこの消費者契約法の改正案につきまして、この骨子を作りました段階でパブリックコメントにもちろん付してございまして、積極的に消費者の皆様の御意見をいただきたいと呼び掛けております。あと、その他、パンフレット等の作成は内閣府としてはいつも積極的にやるのですけれども、一般的に消費者の御意見、積極的に伺いたいと。  そして、このような法案審議をしております国会に対しても消費者は関心を深めているのではないかと思います。また、このような審議を契機にして、実際に関心を持っていただき、意見を寄せていただけるよう、担当大臣として努力してまいります。
  49. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 よく政府と議論するときにこの手のことって問題になるんですね。要は、どうやって意見を求めるんですかと。すると、パブコメを募集しましたとかホームページに記載してありますと。ただ、要するに一方通行で、こう投げ掛けるんだけれども、現実にそれを受け取って返ってきたかどうかの点検というのが僕は非常に甘いと思っているんですよ。今の話でも、パンフレット作成しました、提出しましたというところまでは聞いているんですけれどもね、実際にはなかなか意見としては返ってきてないようです、現実には。だからこの点、大臣、本当に様々な、いいですよ、この辺については答弁求めませんので、しっかりとしたキャッチボールを消費者とやっていただきたいということは、これ私の提案として今申し上げておきます。  そして最後に、この消費者基本計画を作ったと。これ、実はこの内閣委員会でも私の方から、これは議員立法でしたから提案者にも、とにかく数値目標というものをつくってくださいと、それによる事後評価というものをしてくださいと、そのことを我々この内閣委員会でも、やっぱり数値目標があって、それについてどのくらいの達成、進捗率があるのかというのを数字で見たいですねと話したんですが、現在のところ、この消費者基本計画を見ても具体的な数値というのは正直言って全くございません。年限が切ってあるだけですね。そういう意味では、私、なかなかこの消費者基本計画といいながら、その計画の達成状況が見えづらい状況になっていると私は認識しておるんですが、これについてどういうようにお考えか、そして今も私が申し上げた数値目標とかを盛り込む消費者基本計画を今後策定していかれるおつもりあるのか、これについてお答えください。
  50. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) この基本計画は、毎年進捗状況につきまして検証、評価、監視を行うこととなっていると認識しておりまして、その際に国民生活審議会の意見を聴くということになっております。  数値目標は、行政の仕事が適切に、また十分な効果を上げて達成されているかどうかをチェックしていくときに非常に重要な手法ではあると思いますけれども、なじむ分野となじまない分野があるかもしれません。消費者基本計画につきまして、多くの基本計画はできるだけ数値目標を盛り込むという流れが出ている中で、今後どう検討できるのか、これは政府内で私としてまた考えてまいりたいと思います。
  51. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 内閣府所管の障害者基本計画、こういったものも厳密な数値目標を掲げているんですよ。十年ごと、そして五年ごとの障害者プランについても、私たちは数値目標があるんで、ある意味、厳格な議論ができるんですね。この点は大臣、これはまあ提案にとどめておきますけれども、しっかりとまた内閣府の中でも議論していただきたいとお願いいたします。
  52. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) はい、分かりました。
  53. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 さて、本題の消費者契約法の一部改正案についてお聞きしたいと思います。  条文に沿ってお聞きしたいと思っておるんですが、やはりまず十二条の五項、いわゆる確定判決後の後訴の遮断効というこの項についていろいろとお聞きしたいんですが、またちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は大学に入学した際、第二志望校以下の大学に入学金又は授業料を払い込んだことはございますか。
  54. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 黒岩先生にお答え申し上げます。  そのようなことをしたことがございません。
  55. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 実は、私は、これも私もないんですよ。ないんですけれども、そのことを言いたいんじゃない、そのことを言いたいんじゃないんです。今は、私の二十年前か何かも、基本的には特に国公立の大学の入学発表日前までに授業料と入学金を納めるという、こういった言わば入学手続、契約によって大体払い込んだものは返らないというのが当然だったんですね。今これは少しずつ変わってきているんですけれども。  私が申し上げたいのは、なかなかこれで、いざこういったものの差止め訴訟とかしても確定判決にはいろいろなまだら模様があるんですよ。例えば授業料は返さなきゃいけませんよと、でも入学金は返さなくていいですよとかですね、中にはこれ返還するときに手続料というのを取る大学もあるんです。具体名は出せないんですけれども、例えばそれは何万円とか。要するに、あれですよ、返還してもその返還、例えば授業料が返ってきてもその返るための手続料を取るというところがあるんですね。  例えば、これ差止請求訴訟でも、じゃこの手続料を払わないよとか払いますよとか、微妙な確定判決には違いが出るわけですよ。だから、こういう違いがあるということを踏まえながら、じゃ一つ確定判決が出たからあとは倣えというようなことでいいのかという、この大きな着眼点から、私、何問か今から質問したいと思っております。  それでは、この五項に掲げられている請求内容が同一なものは確定判決が出れば、その後、他の適格消費者団体は提訴ができませんということなんですが、この請求内容が同一というのは、これは具体的にはどういったことまで、どういった範囲まで含んでいるんでしょうか、お聞かせください。
  56. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 後訴の制限についての御指摘なんですけれども、この請求内容の同一性につきましては、個別の事案ごとにやはり考えられるべきとしか申し上げることなかなかできないと思います。そして、社会的な事実関係の同一性と、そして差止請求の根拠となる法規への該当性の同一性が認められた場合をいうと、こういう観点から法的には議論せざるを得ないんでございます。  しかし、今先生が冒頭に御指摘されました様々な事例がございます。ですから、その確定判決が出た後も、あるいは、例えば口頭弁論が終息した後に生じた新たに発見された手法ですね、そういうものについては、事業者の手法ですね、例えば手続料を取るというような新たなことについては、これにつきましては個別の事案ごとに考えられなければなりませんけれども、その考えるときに重視される側面となるのではないかと思います。
  57. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、最初事務方に聞いたときにはしゃくし定規に、今大臣のおっしゃった社会的事実関係の同一性と法規への該当性の同一性が認められる場合と、こんなんじゃさっぱり分かんないですね。それで今、大臣、もう少し踏み込んでいただいたんですけれども、例えば大臣のおっしゃった勧誘行為であれば、その文言だとか態様だとか消費者契約の種類、内容といった、これを個々別々に判断するという、こういうことでよろしいですね。請求の同一性ということは、今申し上げた個々別々に判断するということでよろしいですね。
  58. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) どの程度細かくかということについてはやはり個別に判断しなければなりませんが、一般的にやはり総合的に判断するという観点に立たざるを得ないんではないかと考えております。
  59. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 今、後ろから総合的とか言う声が聞こえたような気がしたんですけれどもね。総合的はいいですよ。でも、最初個別具体的にとおっしゃったじゃないですか。そうだと思うんですよ。一くくりに同一だなんということはないでしょう。やっぱり個別個別にその事例によって判断するわけですよね。
  60. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 個別の事例ごとにということですが、その事例についてやはり総合的に考えるということではないですかね。ほかの類似の事例が出てきましたときに、総合的に、個別事案について考えるわけですが、その個別事案について様々なその個別事案を構成している要素につきまして総合的に考えるという趣旨で申し上げました。
  61. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 個別と総合というのは相対する概念なんで、でも、今の答弁をお聞きすると、後ろいいです、後ろ、呼んでないんだから。ちゃんと局長いるんですから。個々別々、それを一個一個総合的に判断するというと、判断の結果というのはかなりまたいろいろなあれですね、枝分かれ、場合分けで、かなりあれですよね、多様な判断結果が出ますよね。大臣のお言葉で答えてください。
  62. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) でありますから、個別事案ごとに考えるんですけれども、その事案を構成している様々な要素がございますね。ですから、それは総合的に、例えばある構成要素の一点だけが違うので、これはまた新たなる訴訟行為として追行するかというような判断にはなかなかならないんではないか。まあ似通った個別の事案であるというふうな判断であれば、確定判決が下された後に、それはもう先生もよく御存じの、事業者に対する過大な応訴負担でありますとか訴訟の不経済という観点から、これはやはりできるだけ一回的解決を、第三者である適格団体にその差止請求権を付与するわけだから、そういう観点で構成されているわけですので、そのように運用されるものと考えております。  また、重要なことは、これ本当に日本では新しい制度、画期的な考え方なんですね。ですから、どういうふうに社会の中で定着していくかは非常に重要なものとしてみんなで見守っていかなければなりません。その中で、的確な活動をする適格消費者団体情報公開もしながら、この改正案の本来の趣旨を実現していくようになると期待しております。
  63. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、時間に制約があるんで過不足なくお答えいただきたいんですよ。  繰り返しますけれども、個々別々の文言だとか態様だとか種類だとか、これ法規の同一性というのは、これは条文立てがありますから分かりますよ、類型化の仕方というのは僕にも分かる。  ですけど、事実行為として行われる勧誘の少なくとも文言だとか態様だとかその種類だとかってこれだけ挙げたわけですから、これは個別の事例を総合的にするということは掛け合わせの事例が増えるわけですから、数学的に考えても当然答えの結果というのは多様になるというのが論理的帰結じゃありませんか。大臣、この点についてイエスかノーかでお答えください。
  64. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 細かく考えれば、黒岩先生のおっしゃるような、何といいますか、事例の比較というのは出てくるかもしれませんけれども、いや、総合的に、訴訟追行をする場合においては新たなる訴訟としてそれを追求していくかと、差止請求権を追求していくかということについての判断としては総合的に適切に判断するとしか一般論としてはなかなか申し上げにくいところがございます。  この改正法案のその考え方の本質を国民社会として理解し、合意し、そのような運用がされていくことが重要ではないかと思っております。
  65. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 重要なのは、実質の今の消費者がどういう状況に置かれているかなんですよ。先ほど私は大臣にお聞きしましたけれども、大臣は幸か不幸か英会話学校にも行かれなかった、で、入学金も払い込んでないと。そのほか、でも実は世の中には物すごい多様なこの勧誘行為があるんですよ。私も受けたことがある。これはとても一律にくくれるようなものじゃありませんよ。  法規的という部分は、これは分かると言っているんです。でも、今は事実行為として言っているわけでしょう。今もう何十万件、何百万件という苦情が殺到している。その苦情の背景には実は更に大きな様々な不当な勧誘行為が行われているんですよ。この多種多様なものに対してそんなに一くくりにできるというそんな答弁でよろしいんですか、政治家として。これ国民へのあれですよ、大臣としての責任あるお答えですよ。そんな簡単にくくれるんですか。
  66. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そのすべてをくくると申し上げているのではなくて、個別事案ごとに考えられるべきであるというふうに申し上げているんです。
  67. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや納得のいく答弁いただきました。これは総合的に判断できるわけじゃなく、個別事案ごとにきっちりとそれは判断するという。これはもうかなり、この請求の同一性というのは、これはかなり狭まりますね、今の答弁で。これあんまり広く取られちゃったらたまったものじゃないわけですよ、全く後に提訴できなくなるわけですから。やっぱりそんなに広くは取らないという、そういう判断でよろしいですね。よろしいですね。
  68. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 個別事案ごとに考えられるべきであり、しかし、その個別事案を構成する要素についてはその個別事案ごとに総合的に考えるということでお願いいたします。
  69. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 せっかく、私が念を押したときにはうなずいていたじゃないですか。  私の言っている意味は御理解いただけましたよね。いただけたかどうかだけちょっと御確認ください、御確認してください。
  70. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 今答弁申し上げたとおりでございます。
  71. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 先に行きますか。  それで、じゃ、先ほどから何度か出てきている紛争の一回的解決を目指すというこの趣旨があるんですけれども、この一回の確定判決で他の訴訟にも要するに効力、影響を及ぼすということに問題点はないんですか。
  72. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 同一事案につきまして、他の適格団体差止請求権を行使できることともしいたしますと、先ほど申し上げたような訴訟の不経済でありますとか、過大な応訴負担でありますとか、あるいは矛盾した判決が併存するというようなことになりかねないということから、正に個別事案ごとに判断したその結果の差止請求権が勝訴しその差止めがされた場合には、それを一回的な紛争の解決として、同一事件の取扱いについての制限は、これは設けているということでございます。
  73. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 的確にお答えいただきたいんですけれども、私は問題はないのかという、これ確かに私、漠たる聞き方だったんで私が悪いんですけれども、要するに紛争の一回的解決、要するに一回の確定判決に倣えということですよね。  ということは、倣うに相当たる判決でなければいけませんよね。この一回判決というのは、今言ったように、他の適格消費者団体も倣うに相当たる判決だという、こういう認識ですよね。これをお答えください。
  74. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 相当たるということで、はい、そのとおりだと考えております。
  75. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうしますと、物すごい矛盾が生じるんですよ。  いみじくも大臣、今回の十二条五項二号のその制度趣旨に、一点にですよ、大臣こうおっしゃいましたよね。矛盾する判決の排除をするという。この矛盾する判決というのは、じゃ具体的にどういうことですか。
  76. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 矛盾する判決というものは、同一の事案に対しまして結果の異なる判決が出るということです。
  77. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうでしょう。同一の訴訟案件に対して、片や原告が勝ったり、片や原告が負けたりするという、こういう判決が生じるという、そういう意味ですよね、矛盾する判決というのは。そうでしょう。  ということは、判決というものはそもそも、矛盾かどうかはともかく、結論が異なることを想定しているという、こういう判断でよろしいですね。
  78. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) いずれにしましても、そのような矛盾する判決が出るような事態となりますれば、この団体訴権の考え方は、政策的に差止請求権第三者であるそういう特定団体に付与するわけですから、政策的に付与するということの制度の特性にかんがみますと……
  79. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、聞いたことに答えてもらえますか。
  80. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) ええ。これは制度として成立しなくなります。ですから、やはり矛盾する、万が一も矛盾する判決が併存することのないよう、紛争の一回的解決という制度設計でございます。  判決そのもの、一般論として、個人間の紛争解決の場合においてそれぞれ判決内容が出るということは、それは一般論としてはあり得ることかもしれません。しかし、この団体訴権制度というものは、そもそも被害者ではない第三者団体に、政策的に、しかも事業者を差し止めるという非常に大きな権力を付与することでございますので、そこにつきましては、やはり一回的な解決によって、その政策の方針、これは差止めすべき事業内容なのかどうかということについて判決が出て、それがまた実効性を持つと。つまり、その事業は差し止められるという結果を得ていくことが重要ではないかと考えております。
  81. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、本当に私がお聞きしたことに的確にお答えいただきたいんですよ。私は、例えば先ほど秋元委員は既判力の効果という表現を使いましたが、私はこれ使っていないでしょう。それは政府の立場に立っているんですよ。これは政策的な意図でこういった、要するに、民事訴訟ルールを曲げたなんて私は言っていないんですよ。その立場に立ちながらも、今私が持っている疑問について晴らしていきたいという、そういう思いなんですよ。  そこで、何度も申し上げますけれども、矛盾する判決の併存することを防ぐと言う限りは、判決というもの自体が、何度も言いますが、矛盾かどうかはともかく、結論が異なる可能性というものを想定して今御答弁の中でも用いられているわけですよね。これについてもイエスかノーかで結構ですから、お答えください。
  82. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そのような事態が懸念されますので、このように規定してございます。
  83. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 だとすると、これは矛盾する判決でなくて正に矛盾する答弁でありまして、失礼ながら。結論が異なるようなものが判決であると、そうおっしゃっているわけでしょう。ならばですよ、一回切りの判決というものが右へ倣えたるに相当たるものだということとは大いに矛盾を生じるではありませんか、そごを生じるではありませんか。これについて、どう論理的にお答えいただけますか。
  84. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そもそもこの適格消費者団体は、消費者全体の利益を図るということが大きな課題でございます。ですから、特定被害について考えるということよりも、消費者全体の利益を図るということです。  それから、先ほど申し上げましたように、政策的に付与された権限でございますので、消費者全体の利益につきましては、それがどういうものであるかということについて政策的には一つの結論を得て、そして実効性を確保することが重要であると考えているところでございます。
  85. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣ね、後でこの質疑の記録、読んでくださいよ、本当に。やっぱり、私が質問したことに対してどう答えているかという。質問したことに答えてもらわないと、何で政府を代表して大臣に出てきていただいているか。  これ、とにかく大臣、今言った消費者利益だとか政策的なこと私一切聞いてないんですよ。だれもが聞いて分かる同じ言葉で私は議論を交わしたいわけです。  ですから、何度も申し上げますが、判決というものに対しては、結論がAとかBで異なることがあることは認めた。そうしたら、異なることを前提とした判決が、というよりも、判決はそういうもんですよ、一般論も法律論も含めて。そうしますと、その一回切りの、一回切りの判決がAと出た。これに対してすべて右へ倣えだという、こういう条文立てですよ、これ間違いなく。  これは、今言った判決に対する矛盾ということを想定していながら、この条文立てということは、明らかに矛盾ではないですか。そのことについてちゃんと答えてください。
  86. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 先ほど一般論として、判決の結論が個別事案について異なることが一般論として、かつ私人間の紛争の解決であり得るということを私は述べましたが、この団体訴権の場合におきましては、例えばある勧誘行為があったとします。それが違法であると、差し止めなければならないという訴訟がなされ、そして判決が出たと、そして事業者はそれに従わなければならないというその結果を得るためには、もしここに複数の判決の結果が出た場合に、どれに従えばよいのかということについての解決ができなくなりますから、実効性が得られないということになります。  それから、そもそもの大前提の制度の新たなる側面、これは黒岩先生は御理解十分にされていらっしゃいますが、申し訳ございませんが、もう一度私として説明させていただきたいんですけれども、適格消費者団体は相互に情報交換しながら、そして訴訟を追行するその団体が十分な情報を持って最適のその追行行為ができますように、訴訟ができますように、そういう立場で消費者全体の利益を代表して訴訟を起こすという、こういう考え方なんです。  ですから、もちろん純粋に理論的に考えれば、例えばAという団体が起こした訴訟による得られた判決と仮に同じ訴訟を起こせば、Cという団体が起こした場合には、仮にそういうことが可能だった場合に別の結論が得られるという、理論的にはそういうことは言えるかもしれません。しかし、実態としては、そのような能力を例えばCの方が高く持っている場合に、Aが先に訴訟を起こしたということであれば、CはAを援助しながら、助けながら、Aが消費者全体の利益のために最適の訴訟の闘い方ができるような体制を組むという、こういう論理構築になっています。  ですから、理論的に純粋に考えれば、それは私は非常に誠実にお答え申し上げているんですね。二つの矛盾した判決が出る可能性はあるけれども、実態運営の制度の設計の全体の要素を考えていただければ、特に訴訟追行におきます適格消費者団体間の連携と相互の助け合いですね、あるいは情報交換、これも盛り込んでおりますので、結果的には別の団体が仮に起こしたとして別の判決が得られるというようなことがないという実態を得ることがまた重要であり、そのように適格消費者団体間は連携し協力し合わなければならない。それが消費者全体の利益という観点から今のような構築をしているということでございます。
  87. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、もうちょっと長くて、私の頭では理解できなくなってましてね……
  88. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そんなことないですよ。
  89. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 あのね、十二条五項の制度趣旨に、先ほどおっしゃった過大な応訴負担だとか訴訟不経済と言うなら、これは私は論理的には分かりますよ。ですが、三つ目の、とにかくこれ第一のあれとしてですよ、少なくともこれ、本会議での芝議員への答弁ですよ。真っ先に矛盾した判決の併存排除という、これはね、どなたがこの文言を書いたのか知りません。いや僕、大臣がしゃべったんだから大臣が考えたと思いますよ。こんな論理矛盾、私、本会議の答弁でもかなり珍しい答弁ですよ。そうでしょう。  矛盾した、これ、こんなこと言われた日にゃ、AかBかあり得るという、でももうAが出ちゃったらですよなんて言われたら、やっぱり適格消費者団体だってやってられませんよ。そうお考えになりませんか。AもBもあるけれども、たまたまAが出ちゃったらAに従えよと言っていることですよ、これは。これで消費者団体納得すると思いますか。
  90. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 申し訳ございませんが、本会議での答弁は、時間的な制約もあり、短く申し上げたのだと思いますが、本来……
  91. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そういう問題じゃない。長い短いじゃない。
  92. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) いえいえ、私が申し上げました、今この委員会はそういうためにあるんじゃないですか。こういう議論を深くできるためにですね。先生の御指摘を受けまして、今私がるる答弁申し上げたわけです。ですから、本来そういうふうに答弁書も作成すべきと考えます。  つまり、本来は適格消費者団体が相互に協力しながら、どの消費者団体がやったとしても同じような結論が得られる水準にまで連携し、協力し、その最初に名のりを上げて訴訟を起こしている消費者団体に支援を与えなければならないと、したがって、実質的には限りなく別の判決が出ることはあり得ない状況をつくっていくと、それが正に矛盾した判決が出ないようにしていくというその方法論だと思います。  先生の御質問を受け、また私の答弁申し上げていることも含めて、そのように適格消費者団体が相互に協力しながら、消費者全体の利益の擁護のために最善の働きができるというような実質を得てまいりたいと考えております。
  93. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 委員の皆様にもこれお伝えしたいことは、これは衆議院の答弁で、済みません、持ってきていないんですけれども、局長答弁でしたかね、裁判というのは勝つものは勝つし、負けるべきものは負けるという、こういう答弁があるんですよ。これはまあある意味強弁なんだけれども、それならそれで論理性はあるんですよ、論理性は。だから一回の紛争解決だと、確定判決に従いなさいと。これは少なくとも、強弁であろうが何であろうが、論理的には整合性が保たれているんですよ。  ですが、大臣は、これは本会議だけじゃありませんよ、今日も使っているんですよ、事前に。この言葉を使っていますよ。裁判の、判決の矛盾の併存は排除すると、使っているわけですよ。これを十二条五項第二号の制度趣旨とすることは論理的にあり得ないと言っているんですよ。これもう残っていますからね。  こんなことだとすれば、今申し上げたとおり、これは何を意味するかということは、もうしつこいようですけど、AやBもあるけれども、最初に出たやつに従いなさいということでしょう。最初に出たというだけですよ。一回的解決じゃないです。これだったら最初解決ですよ、最初解決。勝つものが勝つ、負けるものが負けるなら一回ですけれども、これは最初で解決しようということですよ。こんなことがあり得るんですか。それでよろしいんですか。
  94. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 私、答弁申し上げたつもりなんですけれども、最初に確定判決を得るプロセスにおいて、その時代の適格消費者団体の能力の粋を集めてその訴訟は追行されるべきであると。そして、そのような連携と協力関係、そしてそのような働き、そしてそれをまた情報開示しながら、市民の英知も集めながら追求していくと、そういう考え方であります。  ですから、理論的には、すべての訴訟において個別事案につきまして、先ほど申し上げた、一般的には別の判決、裁判の結果というのは出る可能性があると申し上げたことではございますけれども、この適格消費者団体訴訟行為につきましては、そもそも、数限りあるそのときの日本社会におけます消費者全体の利益を守るという目的を掲げて活動をしている適格消費者団体が、そのような判決結果が、その訴訟追行する適格消費者団体の原告としての適格団体の側において追求できるよう総力を挙げるということで御理解いただければ有り難いです。
  95. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、まあ御理解はできないですね、今のをお聞きしても。  今のところでも重要なことを大臣はおっしゃっていて、適格消費者団体はできるだけのことをやれと、それでかち得なかったものは駄目だという、こういう論理でしょう。だけど、この後議論の中に出てきますけど、適格消費者団体だって、先ほどの秋元議員とのやり取りでもありましたけど、財政的基盤だとかいろんなことも考えても、これは物すごい限界があるわけですよ。それをそこまでおっしゃって、やれることはやりなさいと、そうして実力でしっかりやってかち取りなさいと、駄目だったらもう二度目はないですよという、こういう言い方でしょう。これは、ちょっともうこの十二条五項二号でここまで手間取ると、もう一晩たっても終わらないので、取りあえずね。  ただ、今のとにかく議論については、理論的には判決というものはAなりBがあると、それについては若干の矛盾も感じるというところまではお認めいただいたようですし、また別の機会に議論は譲りますけれども、とにかく十二条五項二号の制度趣旨が矛盾判決の併存を排除するなんてことはね、こんなことを言ってしまっちゃったんですよ、もう。これはもう論理的にあり得ないことですからね。言っちゃいけないし。そのことは大臣、とにかく胸に刻んでおいてください。  じゃ、そうしますと、これ一つお聞きしたいんですけれども、この条文をきっちり読み込むと、例えばある団体、A団体が確定判決等を取ったと。まあ負けたとしましょう、原告側が。そうしますと、例えば同時に別の裁判所でB団体が裁判を行っていても、確定判決が出ますから、この確定判決に影響を及ぼされて、B団体はこれは棄却されるわけですよね。訴訟が棄却されるわけですよ。A団体が確定判決取りました。途中で訴訟を行っているB団体が棄却されると。  さあ、その次に、これ重要なところなんですけれども、A団体認定が三十四条一項四号で取り消されたと。取り消された場合は、これは十二条の五項によると、今度はB団体の取った棄却確定判決が生きまして、これによって、今度はこの判決によって十二条五項二号により再訴ができなくなるという、こういう理解でよろしいんですね。  局長でも構いませんよ。
  96. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そのような考え方での設計であると考えております。──違う、済みません、ごめんなさい。
  97. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 駄目、駄目、駄目、駄目。
  98. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 済みません、違った。
  99. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それは……
  100. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) できます、B団体、ちょっと質問の趣旨を取り違えていまして、済みませんでした。ちょっと資料を見ていましたんで。
  101. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、私ね、それ、これで再訴できないとなればですよ、もう明らかに条文立ての不備としか言いようがない。
  102. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) B団体が再訴できる、再訴……
  103. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、局長
  104. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  十二条五項二号本文では、既に確定判決等が存する場合とされておりますが、この既に存する確定判決等が具体的に何なのかという御質問だと考えております。この既に確定する確定判決等は、紛争の一回的解決を図るというこの規定趣旨に従いまして、この第二号本文に該当することによって差止請求の制限効の発生原因となった実体判断を伴う確定判決等のみがこれに該当いたしまして、この当該確定判決等の制限効に基づく後訴の棄却判決、前の訴訟判決が確定したために後の訴訟、後、係って、係属していた訴訟が棄却されると。この棄却判決はこれに含まれないということでございまして、お尋ねの事例でございますと、一番最初のA団体に係る確定判決等のみを、これが既に存する確定判決等に当たるということでございます。
  105. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 確認ですけれども、今私が事例で出したこのB団体のこの棄却された訴訟というか、訴訟の棄却というのは、この十二条五項第二号のイに当たるんですか、違いますか。
  106. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答えを申し上げます。  イには当たりません。ここで後の訴訟が前の訴訟判決が確定したために、言わば自動的に後の係っている訴訟が棄却をされると。この判決については既に存する確定判決等には当たらないということでございます。  したがいまして、第二号のただし書に基づきます差止請求の制限効を解除するための認定取消しに係る訴訟等もまた、これがまず問題になるところでございますので、先生御指摘の確定判決があるために後の訴訟が棄却をされると。これは後の訴訟の、それ以後の訴訟が制限される原因になる訴訟にはならないということでございます。
  107. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 さすがに理解不能になってきましたね。  分かりました。またそのちょっと答弁を精査して、また法律専門家皆さんにも議論していただこうと思いますけれども。  ただ、大臣、私はかなり分かりやすく、A、Bのたった二団体で、しかも前後ということで事例示して、それについての答えが間違っているわけですよ。──いや、いいえじゃなくて。もう、私は決して大臣を困らせるなんて思っていないですし、元々質問通告した中での、ここでの日本語の中で理解、やり取りできるように丁寧にしたつもりなんですけれどもね。こういうような状況だったら、これ、基本的にはこの後、私、いろいろと申し上げたいんだけれども、本当に分かりづらい条文立てになっていると思います。様々な閣法も今まで議論してきましたけれども。何か、なかなかこれだけ読んで、消費者適格団体が、じゃ、どうやって訴訟起こすとか云々というときに本当に理解しづらくなっているということを申し上げて、これ、この後かみ砕いて、皆さんに分かるような形で、きちんとした説明内閣府の方でしてください。  このぐらいにとどめておきますが、簡単なさっきの事例で、ケース判断で、イエスかノーか間違っているようじゃ、これ、私はちょっと心もとないと思いますんでね。  じゃ、済みません、十二条の五項から次、六項に移ります。  これも大変重要な条文ですね。要は、五項で後訴の遮断効を求めて、これについてのいわゆる例外規定だということで認識しておるんですが、ここに書いてあります確定判決等が成立後に生じた事由、成立後に生じた事由があれば、これは五項の例外として差止請求をもう一回行えるという、こういう内容になっています。  じゃ、この後に生じた事由というのは、もうこれ、具体的にどういったものを想定しているか、お答えください。
  108. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 具体的にということでございますが、例えばその後、同じような勧誘行為でもあっても、他の地域で拡大して行うようになった場合もそうでございますし、やはり社会的な状況変化、そういう中で、消費者利益を一方的に害すると認められるように、そのような社会的情勢の変化の中で至った場合、まあ業界の慣行等が変化して消費者利益のこれは利益に反するというような社会的な通念が認めるようになった場合、まあ多々あると思います。
  109. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、一つ一つ具体的にお聞きしましょう。  今、他の地域という表現があったんですが、これは勧誘行為等が他の地域で行われた場合というような、そんな事例付けがされておったようですけれども、例えば、じゃ、ある地域で今度は契約条項大臣、これ通告したまま聞きますんで、契約条項について差止請求がなされて原告敗訴の場合、その後、他地域で同じ契約条項、全く同じ契約条項について、これ差止請求権を行使することというのはできますか。  大臣、これ通告したまま読んでいますよ、私。
  110. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 他地域ですね、他地域で拡大されている場合、これにより当該勧誘行為が不特定かつ多数の消費者に対して現に行われ、又は行われるおそれがあると認められる場合に至っていると、そういうことであれば再訴は認められることになると考えております。
  111. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 同じ契約条項でも再訴はオーケーですね。もう答弁いただきましたので、ありがとうございます。  では次に、先ほど大臣がおっしゃられた、社会的状況変化という言葉が、文言使われましたけれども、これよく社会問題化するとかいう言葉を一般的に使いますね。これちょっと厳密にはなかなか定義は難しいんですけれども、先ほどおっしゃった社会的状況変化というのは、例えば、そのときはちっちゃな問題だったけれども、その後、多数の被害者が出て社会問題化するというようなときの社会問題化した場合は、後に生じた事由と理解してよろしいですか。  もう、ちょっと後ろやめてくださいって。もう通告したままですって、これ。
  112. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 失礼しました。  社会的問題となるということはどういうことかということにもよりますけれども、当該契約条項に関する問題が単に顕在化しただけの場合であれば再訴は認められないと考えております。
  113. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 単に顕在化というのはこれはどういうことで、単に顕在じゃない、複雑に顕在なのか。単に顕在化はどういうことで、それ以外の場合というのはどういうことが考えられますか。
  114. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  事実関係といたしまして、この不当な行為とされているものが従来と同じ形であるときに、それが単に、例えばどこかで大きく取り上げられたから、これが口頭弁論終了後の新しい事由であるというわけにはまいらないと。  例えば、不当な勧誘行為が、従来は一部地域で極めて零細に行われていたような場合に、まだこれが不特定多数の消費者利益を害するというところにまでは認識されていなかったというようなことでまず前の訴訟が敗訴になってしまったと。で、それが確定してしまった。しかしながら、例えば、それをいいきっかけに、その事業者がより幅広い地域でその活動拡大して地域的にも広がる、やり方もかなり激しくやると、そういうような形で不当な勧誘行為をより強力な形でやったがために、その問題がいわば社会問題となり不特定多数の消費者利益を害するというような事態になるということですと、これは新たな口頭弁論終結後の事情と、事由ということに当たり得るというふうに考えます。
  115. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと局長に確認します。  不特定かつ多数のときは、言葉に言及する気はなかったんですけれども、ちょっと確認なんですけれども、不特定かつ多数、これの定義を簡潔にお答えください。
  116. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 不特定多数と申しますのは、特定されない多数の消費者という意味で、端的に申しますと、被害が広がる蓋然性が認められるかどうかということでございます。被害が広がる蓋然性が認められるということでありますと、不特定かつ多数の消費者に対して云々ということになり得るというふうに考えております。
  117. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ありがとうございます。  私の認識と全く同じで、その局長のお言葉を、今、その前の答弁で理解すると、零細という、こういう概念をおっしゃいましたね。これは多分、人数的とか空間的な概念だと思います。ですけど、不特定かつ多数というのは、たった二人だろうが特定されていなければ不特定かつ多数ですから、そうすると、本当の零細の状況でも、当然、この条項に、団体訴訟差止請求対象になるわけですよ。なるんです。それがどんなに広がろうと、これ正直申し上げて、この後、答弁求めませんけれども、今の答弁すごく有り難かったのは、そうなりますと、大体の事案は後に生じた事由になりますよ。だって、時間、経年変化があれば、零細から、要するに規模的概念でいったらちょっと広がることなんというのは当たり前ですからね。そうすると、これが後に生じた事由だったらほとんど再訴オーケーということになりますね。これは、今後様々な適格消費者団体はこの答弁を基に、十二条六項の規定で再訴に道が開けたということで感謝いたします。  どうするかな、もう一問行きましょう、もう一問。  じゃ、この後に生じた事由で新たな証拠が発見された場合、これは後に生じた事由になりますか。大臣、これ質問通告してありますんで。
  118. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) なりません。当たりません。
  119. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、またちょっと事例で確認しますんでね。  新たな証拠の発見が後に生じた事由にならないと。ということは、それを基に確定判決後の差止請求はできないという、こういうことですよね、こういうことですよ。  そうしましたら、じゃ、あるA事業者がリフォーム工事契約等でかなり問題のある契約行為を行っていたとしましょう、A事業者が。それに対して、まずB消費者団体、これは関東地方ということにしましょう。まあこれもちょっと年限切ります。例えば、平成十七年の九月から平成十八年の二月のこのA事業者契約関係に基づいて、その被害事例に基づいて十八年の六月に提訴したと、B団体が最初に提訴した。じゃ、今度は関西地方のC団体がこれより後れて十八年三月から六月の被害事例に基づいて十八年の九月に提訴したと、後れてC団体が提訴しました。ではB団体訴訟で、十八年の十一月にB団体請求を棄却する判決がなされました。最初にB団体に確定判決が出ました。今回の法案だとこの時点でC団体請求というのは棄却ですね、この時点で棄却、ジ・エンドです。  ただ、この法案がなければ、例えばC、まあこうするとちょっと矛盾か、この条項がなければ、例えばC団体訴訟の途中に、例えば十八年十二月にA社の勧誘マニュアルを入手したと。これは私新たな証拠の事例で言ってるんですけど、勧誘マニュアル。これは完全に不当な勧誘、そして不当条項も入っている、こういう勧誘マニュアルという証拠が発見されたと。本来ならば、このC団体というのは、この新たな証拠でそれこそ勝訴できる可能性はかなり蓋然性が高いんですけれども、あくまでも、先ほどの大臣の答弁によれば、この勧誘マニュアルなる新たな証拠が出ていても、これは後に生じた事由ではなく、C団体は提訴ができない、これでよろしいですね。
  120. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そのとおりです。
  121. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これね、皆さんお聞きになって分かると思うんですけれども、かなり厳しい要件ですよ。やっぱり、今言った適格消費者団体というのは、それなりのまた能力の違いもあったりしますし、その経過の中で欲すべき勧誘マニュアルやそういった契約書とかが出てこない場合も多いんですよ、今までの。これ弁護士さんから聞くと、なかなかこれを入手するというのは本当に大変だそうです。いざこれが入手できたら、もう正に宝の山に当たったようなものが出て、でも、この条文立てでは、もう確定判決が出ている、負けたんだと。同じA団体ですよ、同じA団体が同じことをやっている。その背後にある勧誘マニュアルが手に入った、でも駄目。これは相当私は要件としては厳しいと思いますよ。いかがですか、大臣。いや、ここ大臣です、ここ大臣
  122. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) ちょっと、先生の具体的なその事例の説明を細かくフォローし切れたかどうかちょっと自信ないんですけれども、そもそも、先ほど申し上げたように、適格消費者団体は最善の情報とお互いに持ち得る能力でその証拠の収集等にも当たると、そして得られたものについてはお互いに協力し合うということで、最良の消費者全体の利益を擁護するような判決結果を得るよう努力するというのが制度のそもそもの趣旨でございます。  そして、そう申し上げた上で、新たな証拠が発見された場合と同様に、他の団体が証拠を持っていただけということではこれに該当しないのですが、なお、このような他の団体が有用な証拠を持っている場合においては、本制度において通知、それから報告制度に基づく適格消費者団体間の連携強化により、訴訟当事者である適格消費者団体の当該証拠を提供することが可能になっているという形でございます。
  123. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 六十分の時間でこれ切りますけれども、今最後におっしゃったところ、二十三条のところだと思いますけど、可能になっている程度ですよ。そんなことを言ってるんじゃない。新たな証拠が現に見付かったんだということが後に生じた事由にならないというわけでしょう。それまでの、要は、社会変化についていえば、局長は、零細なところから広がったと、これだけでも後に生じた事由って言ってるわけですよ。しかし、この新たな証拠というのは、もうこれ決定的な、裁判における、訴訟における決定的なものなわけですよね。これはもう後に生じた事由としか考えられない。だって、後というのは時間的な概念ですからね。  これ、済みません、午後に回します。取りあえずこれ六十分でいったん切りますんで。
  124. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  125. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費者契約法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  126. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 では、午前中に引き続き、あと三十分、大臣お付き合いください。  十二条という一つの条文で一時間掛かってしまったんで、ちょっと先を急がせていただきまして、三十四条、これもこの法案で大変重要な論点でございまして、認定の取消し等を規定した条文なんですけれども、そこでお聞きしたいんですが、三十四条一項の四号、ここにあります「利益を害する内容の和解」、この「利益を害する内容の和解」をしたときにはこの適格消費者団体認定を取り消されてしまうという、これ非常に重みのある条文なんですが、この利益を害する内容の和解というのは具体的にどのような内容を指すのか、お答えください。
  127. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 黒岩先生にお答え申し上げたいと思います。  まず、消費者契約法上、違法な契約条項であることが明らかであるにもかかわらず、例えば一部の契約条項についてのみ使用しない、そういうふうに取り決めてしまい、他の契約条項については使用することとする内容の和解、こういうものが消費者全体の利益を擁護するという法の趣旨にかんがみまして、こういうことは利益を害する内容の和解と考えられると思います。
  128. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、これ、現実リアルに考えて、そんな和解をする適格消費者団体って本当に想定できるんですかね。明らかに消費者契約法に違反していることは明確な部分ですよ。その部分について、一部はじゃ差止請求しませんよということでしょう。こんなこと本当に起こりますか。
  129. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) ですから、そのような消費者全体の利益を明らかに害すると考えられる和解をした場合には認定の取消しにつながるということでございます。
  130. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私は、こういった和解というものを、認定の取消し、これは通謀しなくても、事業者側と通謀しなくても取消しだという、こういう政府見解を私も聞いておりますので、これはかなり過度なものだなと思っておるんですよ。  今日午前中の議論にもあったんですけれども、二十三条によって実際に和解する事前に全部の適格消費者団体にその内容等は通知するということになっていますよね。こういった要はクッションを置いていながら、今大臣がおっしゃったようなそんな明らかな法律違反のそういった条項に対する和解という、この和解についてはこのぐらい狭い範囲で考えてよろしいんですね。これが大臣のおっしゃる利益を害する内容の範疇でよろしいですね。
  131. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 先生の御指摘のとおりのことを私は申し上げました。
  132. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それでしたら、割と範囲が狭いという意味では非常に私にとっても納得のいく答弁なんです。ただ、この和解というのはそんなに今言った白か黒かはっきりするようなものじゃありませんよね。  また大臣にお聞きしますけれども、大臣、高級布団をローンで買ったことございますか。
  133. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そのようなことはございません。
  134. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それはもう賢明な消費者です。  これ、世の中には悪い業者がいまして、モニタリング商法というのを御存じですかね、モニタリング商法。要は、高級布団を買ってくださいと、その代わり、これは月々使用するモニターなんで、モニター料をこちらから払いますよと。例えば月々一万円のローンなら一万円のモニター料を払いますという、こういう商法があるんだそうです。現実には、これはあれですよ、売り切って、ローン会社と契約しちゃったら、その業者はそのまま逃げちゃうんですね。その布団を買った人間というのは、モニター料一切もらわれずにその負債だけが払い続けると。こういった事例で以前訴訟を起こしまして、結果的には、要はもうこれ以上ローンを払いたくないよと、一切の支払を拒否するという、そういった内容訴訟だったんですけれども、途中から、ある程度の範囲まで払うという、こういった和解をしたという、これ事例があるんです。これが非常に消費者にとって不利じゃないかという、そんな議論も起こった事例があったんですね。  これは大変複雑で、これは実際には当の弁護団とすれば、もうその時点で考えられる最善の努力をしたということも私当事者の弁護士さんから聞いておるんですけれども、こういったことでも、不利であるという、こういうような利益を害する内容の和解ということになるんでは、非常にこの和解というものがしづらくなるんですけれども、こういった事例とかには、この三十四条の一項の四号というのはどういうふうに適用されるんでしょうか。
  135. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  議員御指摘のケースは、ダンシングというモニター商法の事例でございますが、この場合、個々消費者がそれぞれ個別に訴訟を追行する訴訟とは異なりまして、この消費者団体訴訟制度におきましては、ある適格団体が和解をしようとする際には、他のすべての適格団体に対して和解の内容を事前に通知することによりまして、適格団体同士が当該和解の内容の適否等について消費者利益の観点から意見交換をする機会が確保されております。  他の適格団体がそれを受けて意見を述べるというようなプロセスになるわけでございますが、こういう他の適格団体の意見に真摯に対応するなどの相互チェックの過程と事業者等との真摯な交渉、これを適切に経た上で和解をすると、そういうものである限り、その時点における適格団体としては最善の早期解決の方法ということで、消費者全体の利益擁護が適切に図られるというふうに考えられますので、これをもって認定取消し云々が問題となることはないものと考えております。
  136. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 結論として、認定取消し云々がないというのを聞いて、これは安心しました。  ただ、前段で、その各適格消費者団体との情報交換というところをお触れになりましたけれども、ちょっと今三十四条からと言ったんですが、今の二十三条に戻って、私とすればその情報交換というものが本当にどこまで適正に的確になされるのかということについて疑問を持っております。  お聞きしますけれども、今局長のおっしゃられたこの二十三条の四項十号ですね、和解するときにはその旨を全適格消費者団体に通知しなければいけないという、これが後訴遮断効の不都合を回避するための手段として、制度として二十三条に設けられているわけです。この趣旨は私も理解できるんですけれども、具体的に和解内容というのは期日ごとや代理人間の交渉ごとに刻々と変わっていくものですよね、現実にはそういうものですよね。  具体的にどの程度内容を通知しなければいけないのか、これ私の質問です。どの程度内容を通知しなければいけないのか。和解期日があるということは事前通知はできるでしょう、これは期日ですから、これはできますよ、そこまでは私も分かります。しかし、和解期日前にあらかじめ和解条件を他の団体に提示しておくということは、まず今言ったように不可能であり、なおかつ和解交渉の性質上こんなことは到底できないと、適当ではないという、この疑問点について、大臣、お答えいただけますか。
  137. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) まず私から、そして局長も答弁をいたしますが、先生御指摘のとおり、過度に詳細な内容について正確に通知又は報告しなければならないとすると、紛争の早期解決、阻害される可能性もあります。また、先生のおっしゃるような、どこまで詳細にということについて、これにつきましては和解の本質的な事項を更に詰める必要があると考えております。それを内閣府令で定めることとしております。  具体的には、じゃ具体的には、局長やりますか──いや、でも、いいですよ、これ読めばいいんでしょう。じゃ続きます、済みません。  例えば、他の適格消費者団体に対する通知事項として、相手方である事業者等の名称、請求の要旨及び当該事業者等と裁判上の和解をする旨、停止又は予防の対象となる事業者等行為などでございます。  また、内閣総理大臣に対する報告事項としては、今申し上げましたことに加えまして、当該行為の停止又は予防に必要な措置の内容、例えば具体的な契約条項の変更内容、それから和解の履行を確保する方法、例えば違約金条項の盛り込みなどですね、このような当該和解の内容の細目に関する事項、こういうことが該当すると考えられるわけでございます。
  138. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 二点お聞きします、今の点で。  内閣府令で定めるというのは、これどこかの条文に入っているんですか。
  139. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 入ってございます。
  140. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ごめんなさい、二十三条のどこですか。
  141. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 二十三条の四項にございますが、適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、他の適格団体に通知するとともに云々ということで書いてございます。
  142. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 はい、分かりました。  それで、今の具体的な細目とかそういったところまで踏み込んでしまうと、これ、本当に交渉ですからね、和解の場合。どこまで条件を譲ってどこまで譲らないのかという、これは非常にデリケートに、しかも刻々と変わりながらやっていくわけですよ。その手の内を全部これを示さなければいけないということですか、内閣府令で定めて。
  143. 田口義明

    政府参考人田口義明君) この問題につきましては言わば二つの要請があるということでございます。  裁判上の和解をしようとするときのこの通知、報告の仕組みでございますが、このねらいとすることは、他の適格団体による連携、牽制が実効性を持つようにするということが第一でございます。  他方、ただいま議員御指摘のとおり、和解というのは非常に弾力的で、交渉の中で進められるということですから、過度に詳細な内容についてまで正確に通知、報告をしなければならないとすると、紛争の早期解決が阻害されるおそれがあるということもございます。  この二つの要請をうまくバランスを取るという観点から、先ほど大臣がお答え申し上げましたような通知事項を今後府令で規定をするということを考えている次第でございます。
  144. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 確かにその相反する二つの要請というところは分かるんですけれども、今、三十四条、取消し云々というところでは、その和解内容がやっぱり不利だととらえられるような、そういうような状況になっては困ると。安易に認定取り消されては困ると。そうなると、じゃそれを防ぐにはどうするんだといったときに、二十三条があるとなったわけですよ。  そうすると、今の要請の過度の通知内容を出しちゃいけないというんだけれども、結局それをしないことによって出せないとなると、結局事前チェックが働かなくなって、いざ和解してしまったらやっぱりこれ不利じゃないかという、こういう懸念を私は申し上げているわけですよ。  これについては、今のは二十三条の趣旨の二方向からですけれども、私は今三十四条一項四号からのフィードバックした話をしているわけですよ。そうすると、私の当初申し上げた疑問というよりは不安は全く払拭されないんですけれども、いかがですか。
  145. 田口義明

    政府参考人田口義明君) この和解の場合の和解の方針等の通知でございますが、その通知を契機といたしまして適格団体間で意見交換がなされると、それによって適切な和解に到達をするということをねらいとしているわけでございます。したがいまして、そのような適格団体同士の意見交換、あるいは連携、牽制と、そういったような過程を経た結果、和解が結ばれるということであれば、それは消費者にとっても得るところの大きい和解ではないかというふうに考えられますので、それが事後的に結果として消費者に少し不利だったんではないかとかいう話によってこの認定の取消しにつながるような話にはならないというふうに私どもは考えております。
  146. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 その意見交換の意義があるという、それは分かるんですけれども、裏を返せば、このことによって、せっかく通知がなされても要は和解や控訴断念を阻止できるわけじゃありませんよね、できませんよね。意見を述べる程度ですよ。そうなりますと、消費者に不利益な和解等を事前に防止するという趣旨が、これはもう全くもって貫徹されないわけですよ。この点について、いかがですか。
  147. 田口義明

    政府参考人田口義明君) ある団体差止め訴訟を提起して訴訟が行われると、その過程で和解交渉も行われるということで、その和解が結ばれるに当たっては、先ほど申し上げましたような通知、報告のシステムによって連携、相互牽制を図るという趣旨でございますが、そういう形で他の適格団体協力する、あるいは連携をするというやり方は一つ方法でございます。  他方、ただいま議員が御指摘になりましたように、最後のその拒否権みたいなものですね。どうしてもこれは不利に、差止め訴訟を提起した団体がどうもいってしまうんではないかと、そういう御懸念がある場合に防ぐ手段がないのではないかという御質問でございますが、こういう場合には、いち早く訴訟を提起した他の団体訴訟追行の状況につき何らかの懸念がうかがわれるというのであれば、その訴訟が係属している裁判所に同一事件につきやはり他の適格団体訴訟を提起するということで必要的併合につながると。そういう過程で、ともに、消費者利益にかなうような結論に至るようにともに努力をすると、そういう方法も他方であるのかと思っております。
  148. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 その必要的併合も衆議院の答弁で見ましたけれども、これ専門家弁護士皆さんなんかにも議論いただいたんですけれども、現実にそんなところでもう一度提訴するところもないし、それ本当に必要的併合になるんですか。
  149. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 同じ裁判所に同一事件につき提訴があれば、これはこの法案におきましては併合しなければならないという規定がございますので、必要的併合ということで併合されることになります。
  150. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 とにかく、そういったもう一度同じ裁判所に提訴しなければいけないという、こういうことを踏まえながら、踏みながら、その不利な和解にならないようにとか、ここまで消費者団体が相互牽制してやらなきゃいけないという、そういうことですよね。いや、もういいです。これ本当、大臣もお笑いになっておりますけれども、これ大変なことですよ、当事者からすれば。まあ今日はちょっと時間がなくて踏み込めませんけど、九つとか十、今想起されている適格消費者団体の今の規模等から考えて、こんな、今局長が言っているのは正に机上の空論で、そこを相互牽制しながら、じゃだれかがやったら、じゃそれはまずいからなんといって実際に提訴するなんということはこれ考えられないですよ。  済みません、もう時間ないんで先に進みますが、じゃ、これ今とにかく三十四条一項のことをやっていますので、この不利な和解とか、こういったことをだれが認定するんですか。大臣
  151. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 適格団体認定につきましては内閣総理大臣になりますので、内閣総理大臣がその消費者団体が適格に活動しているかを判断いたします。
  152. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 この三十四条一項四号の消費者利益を害する内容の和解かどうかを内閣総理大臣が判断するんですね。大臣大臣
  153. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) まず、内閣総理大臣適格消費者団体認定いたしますとともに、認定後も適格な活動がなされるよう指揮監督権、済みません、各種の監督権、監督措置を講ずることとされています。済みません、ちょっと言い違えました。監督措置を講ずることとされています。その意味で、消費者の利害を害すると、利益を害する内容の和解活動がある場合においては認定の取消し要件となります。そういう形でのチェックが利くことになると考えられます。  他方で、この制度全体の趣旨についてでございますが、午前中からも先生の御質問に対して答弁させていただいておりますとおり、国民社会のその時代のこの消費者利益の擁護についての全体的なその水準によって守られるという感じがしております。  各適格団体が相互に協力しながら、まあ相互牽制ということ、場合によって必要になるわけですけれども、連携し、協力し、知恵を出し合いながら消費者利益のための最善の努力をするということの上に成立するわけですから、それが不当な和解かどうか、それはそういう社会の、国民世論の反応も加味されるのではないかと、実際の場面では、考えます。
  154. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと答弁、本当長過ぎて分かりづらいんですけれども、要は、今申し上げたとおり、この三十四条四号で、その認定の取消しの権者は内閣総理大臣ですから、この利益を害する内容の和解についてもこれは内閣総理大臣認定するということでよろしいですね。
  155. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) はい、そのとおりでございます。
  156. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そのことですね、そういうことなんですけれども、そうしますと、内閣総理大臣がこの和解内容やその後の訴訟追行行為について消費者利益に反するかどうかを判断するということは、証拠関係や裁判官の心証を予測することが必要になりますよ。これが実際に、まあ総理大臣が一々やるとは、ないことは分かりますけれども、この内閣府を含めた行政としてこういうことを行うことができるんですか。
  157. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 内閣総理大臣は、この法律の下では、まず法で定めます適格要件に照らして適格消費者団体認定しているわけでございますので、まず適格団体の入口の段階でその団体の状況をつかんでおります。また、その適格性認定後もその適格性が維持されるよう、各種の監督措置を講ずることとされているわけでございます。  このため、内閣総理大臣は、ある適格消費者団体が、例えばどのような役職員でありますとか専門家の下にどのような業務を遂行しているのかについて、個別事件への対応も含めまして一元的に把握しているところでございます。  また、当該適格消費者団体に関しまして、一般消費者方々やあるいは事業者方々から様々な情報提供も想定されるところでございますし、官公庁等への照会等も可能なわけでございます。さらには、報告徴収、立入検査等の権限、監督権限によりまして、適格団体理事会の議事録の入手でありますとか役職員へのヒアリング等を通じまして、団体の意思決定過程についても把握し得る立場にあるわけでございます。  こういうような方法を通じまして、内閣総理大臣適格消費者団体による不適切な差止請求権の行使に対しまして、迅速にその実情を把握して、適切な対応を行うということが可能になるわけでございます。
  158. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 局長、もう長過ぎます。考えたらちょっとルール違反ですよ。私、十三条関係だけ局長答弁ということであれしていたんですけれども、もう最後、時間がないんで、大臣。  じゃ、今のだって、個別事案を一元的に内閣総理大臣が管理するなんかできるわけないでしょう。それで、更に言うと、これ、裁判所を通じて行われた行為に対して裁判所の判断とは別なところで適格消費者団体の裁判上の行為についての適否を行政府が判断するんですよ、しかも行政府の長が。これ、三権分立に反するおそれはないんですか。
  159. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) この適格消費者団体の考え方、制度設計は、先ほども答弁させていただいているんですけれども、政策的に特別に認定された適格団体に付与される権限でありますので、そういう意味での制度の特殊性ということはあるわけです。  一方で、消費者全体の利益を擁護するという制度趣旨に照らして、適格団体が的確に活動するということの要請は強いわけです。その何らかの保障を内閣総理大臣が一元的に、今先生御議論のところを、個別事案への対応、情報についても把握するということで確保しようとしているのがこの制度全体の設計の趣旨でございますので、お願いします。
  160. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、実は、今のも分析すると、物すごいことを言っているわけですよ。  いいですか、三権分立について踏み込んだ質問をしているときに、今の政策的判断というのは元々は十二条五項についての、いいですか、十二条五項についての民事訴訟の原則を曲げてないということに対しての一つの理由で政策的判断だと。そこまでは認めましょう。三権分立について、政策的判断だから侵してもいいみたいな、まあそこまでは言ってないか、でも、そうやって、三権分立を侵すおそれはないんですかというその答えが政策的判断だからですよ。こんなの立法論でも法律論でもむちゃくちゃな答弁ですよ。  時間がないんで、これで終わりますが、質問、半分もできなかったんで、次回もう一回立たせてもらいますので、よろしくお願いします。
  161. 白浜一良

    ○白浜一良君 いろいろ議論はされておりますが、最近は悪徳業者もたくさんいまして、消費者皆さんが大変被害を被っているという事例がたくさんあるわけでございまして、そういう面では、本法改正案の中で消費者団体訴訟権、訴訟制度を導入されるというのは大変意義があるわけでございますが、しかしながら、消費者団体皆さんからも様々な申入れもございますし、要望もございます。  そこで、何点か確認の意味で御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点目は、これはよく言われることでございますが、同一事件の後訴を制限する内容になってございますが、しかし、関係団体皆さん方からは、こういうのは海外には例がないという御批判、それから紛争の蒸し返しになる、訴訟が利用されるという、そういう懸念があるということでございますけれども、それはもう民事訴訟法の一般原則によって棄却されると、わざわざそういうものを入れる必要はないと、こういった意味の御指摘があるわけでございますが、今回、そういうふうないわゆる後訴を制限する要素を入れられた理由、局長で結構ですから、これは分かりやすく説明していただかないといけませんので、御説明いただきたいと思います。
  162. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  この消費者団体訴訟制度は、そもそも通常の民事訴訟、個別の消費者が提起する訴訟等、個別の訴訟とは全く異なりまして、言わば公益のための、消費者全体の利益のためという公益的な目的のための訴訟でございます。これに伴う、こういう性格によるものでございますので、同じものについて何度でも訴訟を提起できるということに伴う弊害を排除する観点から、できる限り紛争の一回的解決を図る必要があるということで、この同一事件の取扱いの規定を設けているところでございます。  ただいま委員から御指摘のございました、一つはヨーロッパで例がないではないかという御指摘でございますが、ヨーロッパにおきましても、例えばイギリスにおきましては、適格団体差止め訴訟を提起する前に行政庁との事前協議を義務付けておりまして、不適切な訴訟が事前に排除される仕組みを設けております。こういうような形で弊害の起こらないよう種々の工夫がなされているところでございます。  それから二点目に、民事訴訟法の一般原則によって対応できるのではないかという御指摘でございますが、信義誠実の原則等を定めます一般条項でございます民事訴訟法の第二条の個々事案ごとの個別具体的な適用にゆだねるということではなくて、請求権の行使が制限される場合とその例外事由を法律において明示的に規定し、法的安定性を図るということをねらいとしてこういう取扱いを定めたところでございます。
  163. 白浜一良

    ○白浜一良君 まあ、今の説明聞いて、そうだと思う人は少ないでしょうね。  要するに、消費者団体はやっぱり消費者を守るためにいろいろ頑張ろうとされているわけでございまして、何かそういう動きを制限されると思ってしまうわけですよ。だから、大丈夫ですよと思えるように説明してあげることが一番大事でございまして、例えば一例申し上げます。  例えば、訴訟を起こしたと。後できないわけですね、整理しなければいかぬわけですね、後で起こる訴訟は。それで裁判になって、それなりの結果が出たと。ところが、その事例においては全然問題を指摘されなかったけれども、それ以後もっと悪質化された形で同一業者が同じ商売で被害を大きくしたと、こういうことも考えられるわけで、そういうことはちゃんとできるようになっていますよと、心配要りませんよと、こういうことを言ってあげないと、何か一つ先例を作られたら後はもう全部泣き寝入りだと、こういうイメージ持たれることが皆心配されているわけで、そういうことを的確に言ってあげるべきなんですよ。どうですか。
  164. 田口義明

    政府参考人田口義明君) この同一事件の後訴制限につきましては、原則そういう形で請求はできないということでございますが、例外事由を、先ほど申し上げましたように、幾つか規定しております。その中で、例えば十二条第六項の口頭弁論終結後の事由に基づく場合には、同一事件であっても後で請求ができますという例外規定がございます。  ただいま委員から御指摘のございましたこの悪質な行為が前の訴訟の確定判決後に大きく拡大をしているというような事由がございますれば、それは口頭弁論終結後の事由に基づくということは十分あり得るわけでございまして、新しい事態が展開されるということであれば、それは同一事件であっても後訴は制限されないと、こういう例外を設けておりますので、それに該当する事例というのは、委員御指摘のような事例も含めまして十分あり得るというふうに考えております。
  165. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことも含めて説明することが大事だと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。  二点目は、これも先ほどから出ている問題でございますが、今回の差止請求対象の範囲でございますが、法律によりますと、消費者契約法第四条、それから八条から十条に規定する不当な契約条項使用を現に行い又はおそれあるときと、こういう範囲を決めていらっしゃるわけでございますが、これももっと広範囲にしたらどうかということで、一つは、不当な契約条項が盛り込まれている住宅の賃貸借契約に見られるモデル契約書などいわゆる推奨行為差止請求にすべきだと、こういう御意見も強くあるわけでございますが、こういう範囲の問題は今後検討されるのかどうか、お答えください。
  166. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 推奨行為につきましては、幾つかの理由から今回の法案におきましては差止請求対象にしなかったということでございます。  その主なものとしては、推奨行為といっても非常に種々様々なものがあると、あるいは、消費者事業者間の契約を直接規定するものではないというようなこと、あるいは、そこ、推奨行為の段階を差止め対象にしなくても、個別の事業者がその契約条項を実際に使用する段階で差止めをする、請求することができるというようなこともございます。  要は、推奨行為みたいなもので不当な行為があった場合にそれが効果的に差止めが行われるということでございまして、推奨行為につきましては今回の差止め対象とはしておりませんが、行政なり国民生活センターがその差止め判決等の結果を一元的に集約して広く周知公表する仕組みも設けられておりますので、こういう仕組みと併せまして、不当な契約条項が効果的に排除されるような形で運用されていくように私どもも努力したいと思っております。  そういう意味で、まずは個々事業者に対する差止請求判決内容の周知公表措置の効果等を十分見極める必要があると考えておりますが、今後、本法の施行状況を踏まえました見直し作業の中で必要に応じこの点につきましても検討してまいりたいと考えております。
  167. 白浜一良

    ○白浜一良君 おっしゃるとおりで、これは取りあえず今回の改正案でございますから。しかし、悪徳業者というのはもういろんな形で消費者だまして商売するわけでございますから、この推奨行為そのものもそういう実態に即してきちっと範囲の一つとして今後検討してもらいたいと、このように思うわけでございます。  もう一つは、民法上の詐欺とか強迫行為、こういうものも対象にすべきじゃないかと、こういう御意見もあるわけでございますが、この点はいかがですか。
  168. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 民法の詐欺、強迫でございますが、この詐欺、強迫につきましては、契約当事者が対等であることを基本にして、消費者契約だけではなくて、事業者間の契約も含む一般的、抽象的な規定になってございます。  一方、消費者契約法は、消費者利益擁護目的として、消費者契約に限定して言わば悪質性の高い事業者不当行為を具体的、明確に類型化したものでございます。したがいまして、消費者契約法規定する行為をこの制度対象とする場合には、どのような行為差止請求対象となるのか、この点の予見可能性が非常に高いわけでございます。  適格消費者団体が行使する差止請求権は社会的にも経済的にも重大な影響を及ぼし得ることにかんがみますと、差止請求対象は具体的、明確で予測可能性の高いものである必要がございますので、これを消費者契約法規定する不当行為として民法の詐欺、強迫は差止請求対象に含めないこととしたところでございます。  なお、差止請求対象範囲の在り方については、現行の消費者契約法規定されております不当行為の類型につきまして、消費者被害の実態等を踏まえまして必要に応じ見直すなど、引き続き検討してまいりたいと考えております。
  169. 白浜一良

    ○白浜一良君 今おっしゃったように、そういう不当行為の類型を見直す範囲の中で、実際もう被害に遭われているケースを的確にやっぱり取り上げるというのが大事でございますから、しっかりやっていただきたいと思います。  それから三点目に、消費者団体、この場合は適格消費者団体ですか、そんな財政に余裕があってやっていらっしゃるわけじゃないんですね。ですから、いろんなボランティアで成り立っているケースが多いわけでございますが、そういう意味で、片面的敗訴者負担ですか、負けたときぐらいは被害を与えた方がちゃんと費用を出せと、こういう、取り入れてはどうかと、取り入れてほしいと、そういう要望も一つあるわけでございますが、この点はいかがですか。
  170. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  適格消費者団体が勝訴した場合に限って敗訴した事業者等弁護士費用を負担させるいわゆる片面的敗訴者負担制度につきましては、負担の公平化の観点からの問題がございますなど、我が国の司法制度の在り方そのものにかかわる問題であり、その導入の適否については慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。
  171. 白浜一良

    ○白浜一良君 これはここの問題だけじゃなしに司法制度全般の問題なんですが、そういう要望もあるということをどうか念頭に置いて今後の検討一つにしておいていただきたい、言っておきたいと思います。  それから四点目には、これも何回も取り上げていると思いますが、損害賠償請求が今回は当然ですが含まれていないわけでございますが、不当な利益を剥奪せよと、こういう、悪徳業者に対しては当然の要求だと思うんですが、この問題、今後どうですか。
  172. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 二点御指摘をいただいたかと思います。  一つは、まず損害賠償固有の問題でございます。  損害賠償の問題につきましては、被害を受けた個々消費者個人が自ら有する損害賠償請求権との関係をどのように整理するのか、あるいは、本人の知らない間に団体が提訴をして敗訴した場合の本人の不利益をどう考えるかなどの困難な課題があり、少額多数被害救済のための手法など、司法アクセスの改善手法の展開を踏まえつつ、今後その必要性等を検討してまいりたいと考えております。  もう一つの問題は、ただいま先生から御指摘のございました不当利益剥奪を目的とした団体訴訟制度についてでございます。  この点につきましては、参考になるものといたしましてドイツに例がございまして、二〇〇四年七月にドイツの不正競争防止法が改正されまして、事業者が不正競争行為により得た利益を剥奪し、これを国庫へ返還するよう請求し得る権利を適格消費者団体事業者団体に認めるという、こういう制度が導入されたものと承知しております。  このような制度につきましては、ドイツの国内におきましても、団体による威嚇、制裁的な制度が適当なのかどうか、あるいは、国庫への利益返還は請求権の濫用を防止する効果があるわけでございますが、一方で、団体のインセンティブがそがれるのではないか等々、様々な評価、議論があるところでございます。また、判例の積み重ねもこれからと聞いておりますので、それらの動向を踏まえながら慎重に考えるべきものと思われます。
  173. 白浜一良

    ○白浜一良君 今答弁されましたが、一般的な意味での損害賠償請求権というのはまあそうなんでしょう。ただ、後者の、おっしゃったように、この悪い商法で上げた利潤、それを奪うことも悪徳行為を抑止する意味では大変大事なことでございまして、その辺、今ドイツの例をおっしゃいましたけれども、今後検討をされたいと、このように要望をしておきたいと思います。  それから五点目に、適格消費者団体認定有効期間でございますが、これ一応三年とされていると。しかし、訴訟を考えたら、実際訴訟されるということを考えたら三年というのは短いんじゃないかと、こういう声をよく聞くんですが、これはいかがですか。
  174. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 認定の更新制でございますが、これは一定の期限の到来ごとに内閣総理大臣適格団体適格要件への適合性を改めて審査することによりまして、適格団体業務の適正な運営を確保し、国民制度に対する信頼性を維持しようとするものでございます。  この法案におきましては、審査を受ける適格団体側の負担等を勘案しつつ、こうした趣旨を実現するために三年ごとの更新制としているところでございます。
  175. 白浜一良

    ○白浜一良君 適格団体消費者団体の負担を勘案して三年とおっしゃいましたけど、その負担を勘案したら三年は短いということを私は言っているので、そういうことを言っているんですよ。まあこれはこれで一つ法律の条文になっていますからそれとしても、これはこれから滑り出すわけで、実態に即して検討をしていただいたらいいと思いますけれども。  三年ごとの認定をされるわけでございますが、大変実効性のある優良な団体は、何回か更新されたら、運転免許証と一緒で、今運転免許証は優良やと何年かな、三年が五年になるんですかね、というように、そういうちょっと弾力的な運用をも含めて今後考えられたらいいと思いますが、いかがですか。  要するに、何回も更新するのはもう手続が大変なんですよ、それは。そういう面で、優良な団体に関しましては何期かで認定期間を長くするというような、そういうことも弾力的に運用をされるべきだと思いますが、いかがですか。
  176. 田口義明

    政府参考人田口義明君) ただいま優良ドライバー制度のような仕組みをという御指摘でございますが、何度か更新を認められるなどの実績のある適格団体についても、役員や専門委員でございます弁護士等の方々の交代を契機といたしまして活動が沈滞化するといったような可能性は否定し切れないところでございまして、消費者全体の利益擁護という公益性を有するこの制度の信頼性を確保するためには、三年ごとの再審査という制度の根幹は維持すべきではないかというふうに考えております。  ただ、御指摘の、この仕組みに柔軟性をという点でございますが、この法案におきましては、更新の際の申請書類につきまして、既に内閣総理大臣に提出済みの書類の内容に変更がないときは、その添付の省略を認める措置を設けているところでございます。行政といたしましても、こうした措置を適切に活用いたしまして、適格団体の負担の軽減に十分配慮してまいりたいと考えております。
  177. 白浜一良

    ○白浜一良君 柔軟に、消費者を守るためにそういう働いていただいているわけでございますから、やりやすいように柔軟に運用をしていただきたいと、このように思います。  それで、今五点申し上げましたが、そのほかにも何点か確認をさせていただきたいと思いますが、裁判管轄、これ全国で訴訟を起こせるようになったんですね。それは、被害者は全国に及ぶわけでございますが。ということは、まあどこでも起こせるという、これ逆になってしまうわけでございまして、訴訟が起こったら当然いわゆる整理はされるんでしょうけれども。そういう訴訟を起こせるというのは、何か客観的なそういう基準とかそんなものはあるんですか。
  178. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 裁判管轄につきましては、政府案におきましては、普通裁判籍、被告の本店所在地を基本といたしまして、営業所所在地までを含めるという法案であったわけでございます。これにつきまして、衆議院におきまして、管轄を定めております第四十三条の第二項に追加修正がなされたところでございますが、差止請求権要件規定しております第十二条第一項から第四項までを引用して、不特定かつ多数の消費者に対する事業者等不当行為があった地、又はそのおそれを推認させる事業者等の不当な行為があった地、こういうものを含めるということで、行為があった地というのが加えられたわけでございます。    〔委員長退席、理事芝博一君着席〕
  179. 白浜一良

    ○白浜一良君 いや、それは分かってますねん。それ分かっているから聞いているんです。だから、そういう訴訟を起こせるその範囲を広げられたということはいいことなんですけれども、逆にそういう、どこでも起こせるんですけれども、被害者がいらっしゃるところでは。いいことなんですけれども、そういう、何というか、逆に言うと、こういう例えば被害者の人数とかそういう基準があるんですかということを聞いているんですが、衆議院で修正されたことは大変前進したわけですけれども。それを聞いているんです。
  180. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 衆議院で修正が加えられたのは、この不特定多数の消費者に対する事業者等の不当な行為があった地ということでございますが、この不特定かつ多数というところの意味合いではないかというふうに考えておりますが、この不特定かつ多数というのは、同種の被害が拡散していく場合を念頭に置きまして、特定されない相当数にこういう被害が拡散し得るというそういうケースにつきまして、個別の事案に応じこういう行為のあった地を裁判管轄として含めるということでございますので、その個別の事案への該当性がそれぞれ判断されることになるというふうに考えております。
  181. 白浜一良

    ○白浜一良君 もっと簡単に言うてくれはったらよろしいのに。要するに、人数的なそういう基準はないと、不特定のそういう被害者がいるということなんですよと、そういうことなんでしょう。──うん、分かりました。  それから、今回、国民生活センターとか消費者生活センターがございますね。そのPIO—NET情報、これを適格消費者団体が提供されるということになってございますが、また、提供する情報内容は今後お決めになるということでございますけれども、地方自治体の持っている情報というのは、これはそれぞれ市町村、都道府県、条例で情報公開条例がございまして、範囲がそれぞれ決まっていますね。ということで、政府としてはどのような範囲で、この情報の公開というか、考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思いますが。
  182. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 国民生活センターでありますとか地方公共団体が必要な限度において適格消費者団体に対して消費生活相談の情報を提供できるというふうにしているわけでございます。  その提供する情報内容につきましては、国民生活センターで運営しておりますPIO—NETに盛られている相談情報を提供するということを考えているわけでございます。このPIO—NETの情報におきましては言わばそこに盛り込まれる情報がパターン化されておりまして、事業者名を含む情報でございますが、他方、個人情報は入らないというようなことで、そういう両面を踏まえましてPIO—NETの情報を提供をするということを考えているところでございます。
  183. 白浜一良

    ○白浜一良君 何か分かったような分からないような話でございますが。  情報の交換というのはプライバシーの問題がございますから、そういうことは配慮しなきゃなりませんが、大変大事なので、消費者団体皆さんがその活動に資するような適切な情報の提供をしっかり配慮してやっていただきたいと、このことを要請しておきたいと思います。    〔理事芝博一君退席、委員長着席〕  それから、三十六条ですか、適格消費者団体の政党又は政治的目的のための利用禁止という条項がございますが、これも大変大事なことでございまして、消費者を守るべきそういう団体活動特定の政党とか政治目的で利用されてはならないということは当然でございますが、実態面においてこれはどういうことを指しているのか御説明をいただきたいと思います。
  184. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) この三十六条の規定趣旨は、適格消費者団体が政治色を強め、業務の公平性、信頼性を損なうことがあってはならないということでございます。  例えば、消費者政策に関する提言や意見表明を行うことについては、その提言や意見表明を超えて特定の政党や候補者の支援と同視できるような場合には、同条に言う政治的目的の利用にしてはならないに該当し得るものと考えられます。しかし、消費者政策に関する一般的な幅広い提言や意見表明までが制限されるものではないということでございます。
  185. 白浜一良

    ○白浜一良君 これは、まあ本当に実態面で非常に大事なことでございまして、これ適格であるかどうかというのはこれ一つ見ても私は分かると思うんで、大臣、たまには答弁していただいて、厳格な、そういう特定の政党とか特定の政治目的でこういう消費者を守る運動が利用されてはならないと、そのためには厳しくそういう監視していくというぐらいは言ってください。
  186. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 先生御指摘のとおり、政治色を強めたり、又は政治的な目的に利用されることは絶対あってはならないと考えております。今副大臣も答弁申し上げましたとおり、同視できるような内容ということだと思うんですね。特定の候補者あるいは特定の政党の支援、明らかにこれは応援的な内容団体として掲げているんではないかと、そういうふうに同視できるような場合には政治的目的に利用してはならないというこの条文に該当すると考えられ、また法全体の趣旨をよく適格団体に当然ながら理解していただき、認定されて、先ほどから答弁申し上げておりますとおり、政策的な観点から差止請求権を付与されているという自覚を持って、このようなことはないようにと考えております。
  187. 白浜一良

    ○白浜一良君 ないようにということじゃなしに、そういう適切な運営をしてまいりますと、こう言っていただくべきだと思います。  それから、いわゆる消費者団体同士でいろんな情報交換をされるんでしょうけれども、極めてプライバシーとか秘密保持ということも一方で大事なわけになるわけでございますが、この点はどういう関係になるでしょうか、局長
  188. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 法案の第二十五条に秘密に関する規定がございます。二十五条におきましては、「適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、差止請求関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」というふうに規定がございます。  この第二十五条に規定いたします秘密というのは、一般に知られていない事実であって、本人が他に知られないことにつき客観的に相当の利益を有するものをいうというふうに考えております。具体的には、差止請求権の行使に必要な消費者被害に関する情報収集等を行う過程で知り得た消費者の一身上の秘密でありますとか、家計経済上の秘密等がこれに該当するものと考えられます。  また、適格消費者団体による情報管理が適切になされることが大変重要でございます。このため、法案におきましては、差止請求関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法が適切に整備されていることを適格要件として規定しているところでございますが、より具体的な基準を行政手続法に基づく審査基準という形で策定したいと考えております。
  189. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ大変難しくて、それなりのいわゆる情報交換は消費者団体同士で、必要な情報交換は当然あるでしょうし、一方で秘密保持ということもこれは大事だと。  だから、また今難しいのは、持っている情報が、パソコンのソフトにもよるんでしょうけれども、本当に流出してしまうという、一方的にですね、そういう危惧、情報管理上のリスクというものもあるわけでございまして、それも含めてきちっと、ガイドラインをきちっと情報交換をされるという一方にニーズがあって、一方で秘密は保持しなきゃならないという、その辺のガイドラインをしっかり具体的に策定すべきだと思うんですが、これいかがですか。
  190. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  その審査基準を言わば具体的、明確な形でガイドラインとして定めるべきではないかという御指摘でございますが、行政手続法におきましてはそういう趣旨の審査基準をきちっと定めるようにと、それで定めた上でこれを公表するということが規定されておりますので、私どもその趣旨を踏まえて、できるだけ明確な審査基準、ガイドラインとして策定したいと考えております。
  191. 白浜一良

    ○白浜一良君 しっかりお願いしたいと思います。  最後に、猪口大臣に、これは要望というか要請だけしておきたいんですけど。  適格消費者団体認定されるんでしょう。それから、これは先ほど言いましたように、弁護士さんもボランティアでやっていらっしゃる方もいるし、そういう方で構成されているケースが多いんですよね。ですから、財政的なゆとりは全くないわけでございます。それで、当然NPO法人にされているケースもあるでしょうが、この善意の寄附を受けやすくするためにはいわゆる寄附控除の制度があった方がいいんですよ、間違いなしに。これ国税庁が決めているんですけれども、一杯NPO法人ありますけど、認定NPO法人、そういう寄附の優遇制度を持っている、まあ極めて限定された数しかない、これは当たり前なんですけれども。  だから、これは猪口大臣の範囲のお仕事じゃない、財務省になるんでしょうけれども、そういう適格消費者団体認定される場合は、これは消費者を守るための団体、本来はですね。ですから、財務大臣とも掛け合っていただいて、そういう優良な団体は、そういう認定のNPO法人に寄附しやすいような、そういうふうにしてあげてほしいということを、まあ財務省の権限ではございますけれども担当の大臣猪口大臣なんで、私のこれは個人的な考えなんですが、そういうふうに要請されてはどうかということを、将来の問題としてですよ、そのことを要請して、またお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  192. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 白浜先生より本日いただきました今の御意見につきまして、私として大切にしてまいりたいと考えております。  また、この制度全体の趣旨にかんがみて、さらにこの制度が社会に着実に定着した後どのようなことが考えられるのか含めて、しっかりとこの定着に、この制度のまずは社会におきます定着に努力してまいりたいと考えております。
  193. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) よろしいですか。
  194. 白浜一良

    ○白浜一良君 はい。終わります。
  195. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  最初に、申し訳ありません、管轄裁判所のことを、到着で直ちにで大変恐縮でございますが、まずこのことから入っていきたいというふうに思っています。  衆議院で、管轄裁判所、事業者等行為地、行為があった場所、これを盛り込んでいただきました。私、賛成でございます。そういう立場に立って、そういうことであればお聞きしたいことがありますんで今日お越しいただいたんですが、消費契約の類型の中には不当勧誘と不当条件と大きく二つありますが、不当勧誘の場合は、それは正にその言葉どおり、その不当勧誘のあった場所ということでいいんですが、不当条項の場合は事業者消費者が離れていると、そういうことが往々にしてあります。そういう場合は意思表示を郵送するなりやるわけですけれども、消費者がその不当条項を受け取った場所、つまり消費者が居住している場所、ここも行為があった場所、事業者行為があった場所と、こういうふうに私は解釈すべきだと、隔地者間の契約の意思表示の場合は、意思表示が到着した場所も行為のあった場所というふうにみなすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  196. 大島敦

    衆議院議員(大島敦君) 御質問、誠にありがとうございます。  衆議院で修正をさせていただきまして、先生御指摘のとおり、原案ですと、これは衆議院の内閣委員会でも相当議論をさせていただきました。問題を起こした業者、事業者が問題を起こした地域から移ってしまいますと、その登記を移された地が裁判を起こす地域になっております。先生の御指摘というのは、さらにその事業者が郵送等によって不法な行為を行ったその地が裁判所、裁判を提訴できるかどうかという御質問だと思います。  私たちとしては、政府案ですと、管轄裁判所として事業者等の普通裁判籍と営業所等の所在地を管轄する裁判所を認めることとしていたところでありますけれども、しかしながら、衆議院における審議を通じて、これまで、事業者等が不当な行為を行った後に営業所等を移転した場合には当該行為地を管轄する裁判所に訴えを提起することができず、消費者被害拡大を未然に防止するという本制度の実効性確保の観点から必ずしも十分でないことが明らかになったところでございます。  そのため、衆議院における修正により、管轄裁判所について、消費者契約法規定する不当な行為があった地を管轄する裁判所も管轄裁判所として認めることといたしました。そして、本修正案により、管轄地として追加された事業者等行為があった地とは、具体的には、差止請求対象とされるところの事業者等が不特定かつ多数の消費者に対して消費者契約法規定する不当な行為を現に行った地又はそのおそれを推認させる不当な行為を行った地を意味するところでございまして、先生御指摘のとおり、遠隔地契約においては事業者等の意思表示が到達した地が行為があった地となり得ると考えられます。  その地を管轄する裁判所が管轄裁判所となるかについては、さきに述べたとおり、その地が事業者等が不特定かつ多数の消費者に対して消費者契約法規定する不当な行為を現に行った地又はそのおそれを推認させる不当な行為を行った地に該当すると判断されるか否かによりまして、先生の御指摘いただいたとおり、その事業者の意思表示が到達した地も行為があった地となり得ると考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
  197. 近藤正道

    ○近藤正道君 ありがとうございました。  結構でございます。この一点をお聞きするために来ていただきました。ありがとうございました。お引き取りください。  次に、先ほど来御議論がありました確定判決等による後訴の遮断効の問題について私もお聞きをしたいというふうに思っています。これは、既判力の問題ではなくて、消費者契約を実効あらしめるために特別につくった制度だということでありまして、蒸し返しを防止するということなんですが、しかし私は、これを、法案を見たときにやはり、こういう制度を設けたということは評価いたしますが、少し狭いなという思いがいたします。  ですから、蒸し返しではない合理的な理由がある場合とか、あるいはなれ合い的な場合は、私は例外として大きくやっぱり再訴の道を開いておくべきだと、こういうふうに基本的に思っています。そういう意味では、大変、非常に厳格過ぎるんではないかな、こういうふうに思っています。  まず、十二条五項の二号の問題でありますが、先ほど、いったん確定判決が出ますと、後の訴えが遮断をされてしまうということです。しかし、先ほどの大臣の答弁では、これはあくまでも同一の裁判に限るんだということでございます。同一の裁判というのはどういうことかという説明について、社会的な事実が同じことが一つと、もう一つ法律的な構成が同じだと、こういうことをおっしゃいました。これは間違いないですよね。  そういうことになりますと、社会的事実が大きく違う代表的なケースとしては、日時そして場所、この二つが大きく違うような場合、例えば一年ぐらいずれているとか半年ぐらいずれているとか、あるいは関西と関東だとかですね、日時、場所が違っている場合には法律構成が同じであっても同一の裁判とは言えないんではないかと。その場合には遮断効は働かないんではないかと。先ほどの黒岩議員と猪口大臣との議論を聞いていて私はそういうふうに整理をさせていただきましたが、それでよろしいでしょうか。大臣に聞いているんです。
  198. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 口頭弁論終結後におきまして……
  199. 近藤正道

    ○近藤正道君 そういう話ししているんじゃない。
  200. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) ではなくて……
  201. 近藤正道

    ○近藤正道君 後の話ししているんです。
  202. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) そうですね。  判決が確定した後、地域的に被害が広がっていくような場合におきましては、不特定多数に拡散した被害発生しているという場合におきましては、後訴、個別の事案ごとに考えられるべきであると、そして社会的事実関係の同一性ということを申し上げましたけれども、その社会的事実関係の同一性は必ずしもなく、裁判を再び起こすことが可能と考えます。
  203. 近藤正道

    ○近藤正道君 よく分からないんですが、特別の制度として設けられたことは分かるんですけれども、しかし蒸し返して裁判を起こされると困ると。だから、いったん確定判決が出たら同一の裁判については再び裁判を起こせないと、これは分かるんです、一般論として。  ところが、じゃ同一の裁判かどうかということについて一体何を基準に判断するんだというふうに質問をしたときに、皆さんは、それは個別事案ごとにあって、それを総合的に判断するんだと、総合的な判断のときに社会的事実が同じかどうか、これが一つ。もう一つは、法律的な構成が同じかどうか。  そこで私は、社会的事実が同じかどうかというときに、大きなポイントはやっぱり日時と場所だろうと。だから、大きく時間がずれているようなとき、あるいは場所が全然違うところで行われたようなときは、これは全く別の事件ということでもう一度裁判を起こせるでしょうと。さっきの黒岩さんと大臣とのやり取りはそういうふうな形で整理していいんですねと、そういう質問をしているんですよ。──いやいや、大臣ですよ。イエスかノーか答えてください。
  204. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 極端に離れていれば別事件と考えられることもあろうかと思いますが、しかしながら、原則としてまず個別事案ごとに考えられるべきであるということと、社会的同一性、社会的事実関係の同一性ということについては、それを個別事件ごとにやはり考えるということではないかと思います。
  205. 近藤正道

    ○近藤正道君 個別的事案ごとに考えるというのは分かるんですよ。だけれども、どこかで線を引かなきゃならぬわけでしょう、社会的事実として同一性があるかどうか。その場合、一番常識的に考えるのは、時間的に接近しているか離れているか、場所的に接近しているか離れているか、そこで判断するのが常識じゃないですか。  だから、時間的にも場所的にも大きく違った場合には、これはもう別の裁判だ、訴えだという形でもう一回裁判を起こす道を開いてもいいんじゃないですか。それは蒸し返し裁判ではない、もう一度裁判をやり直す合理的な理由のある正に典型的なケースではないか、そうしないとおかしな結果になりませんかということを聞いているわけ。私は今初めて言っているんじゃなくて、先ほど来の黒岩議員と猪口大臣との議論を聞いていると、そういう形にしか整理できませんよ。じゃ、局長、整理してください。
  206. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  本件で問題とされます社会的事実関係の同一性というものの内容でございますが、この消費者団体訴訟制度で争われておりますのは、事業者の行う不当勧誘行為あるいは不当条項契約条項、それの同一性、問題としている同一性でございます。例えば、勧誘行為の場合であれば、勧誘の文言、態様が一つのパターンとして同じかどうか、あるいは当該消費者契約の種類、内容、そういったようなファクターが出てくると思います。  そういうものを総合的に考えまして、例えばこの電話機を付けると料金が安くなりますよという形でいろいろなところで勧誘をしてそれを売り付けるというような形ですと、それが一つの類型として、この社会的事実関係の同一性ということの判断がされる対象になるわけでございます。ですから、同じ商品を同じようなセールストークで売り付けると、そういうようなものの同一性を総合的に判断するということでございます。  そういう場合に、日時、場所が離れているときにどういうふうに評価するかと。通常は、日時、場所が大きく離れていれば、通常は別事件ということになるかと思います。
  207. 近藤正道

    ○近藤正道君 はい、分かりました。  是非そこは、つまりいったん確定判決が出ますと後の裁判が遮断されるわけですから、消費者にとっては極めて重大な問題なんですよ。だから、どういう場合ができるのかできないのか、これは最終的に判例の積み上げになると思うんだけれども、やっぱり行政としてはきちっと分かりやすい基準を設けて私は示すべきだと、こういうふうに思います。  いずれにしても、日時、場所が大きく違えば、それは別の裁判だということが今分かりましたので、それは一つ納得をいたしました。  次に、私はそもそも、これは今言ったように蒸し返しと、もう一つはなれ合い、これをやっぱりどうバランスさせるかという問題だと思うんですよ。  ですから私は、先ほども黒岩議員と大臣とのやり取りがありましたけれども、是非、確定判決は裁判だけに限定すべきだと。この確定判決等というのが問題なんで、等の中に和解だとか調停がここへ入るわけで、これ正に当事者間でやるわけですから一種の随意の相談ですよ。だから、ここは正になれ合いの要素が非常に入る。こういうのはむしろ排除して、確定判決だけに限定した方がいい。何でこんなものまで入れるのか、和解だとか調停まで。  先ほども黒岩議員の話の中にありましたけれども、裁判というのは、最初は証拠はない中で、みんな物すごく苦労しながら、和解をやったり調停やったりして一歩一歩進みながら本丸を攻めていくわけですよ。そのうちに証拠は出てくるわけです。そういうみんな努力をして、今の団体訴権などという制度もやっと、やっと日の目を見てきた。そういう歴史的な経過があるために、こういう形で変に、いったん確定したら後の裁判は全部遮断だということに対して消費者は非常に危惧の念をやっぱり持つわけです。ここはやっぱり誤解を招かない意味で、私は確定判決の等の等なんかやっぱり取るべきだと、私はそう思う。  現にこれは、前に審議会がありましたけれども、審議会の中ではこういう議論は余りなかったと。ところが、この審議会の答申終わった後、どこかから突然こういう話が出てきて、確定判決のみならず、訴訟時の和解だとか調停まで全部確定判決の等の中に入れちゃえと。いったん約束したら、裁判所で決めたら、後の裁判は全部遮断してしまえと。これは実に消費者にとってはやっぱり私は窮屈な制度になったと、こういうふうに思うんです。  この見直しというのは、やっぱり今後検討できないんですか。今できてもいないのに見直しというのも変な話だけれども、どうですか。
  208. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  この消費者団体訴訟制度、公益的な目的のための訴訟でございますが、そういうものについて、確定判決があっても同一の事案について他の団体適格団体請求権を行使できるといたしますと、度々申し上げておりますように、矛盾した判決の併存とか過大な応訴負担、訴訟不経済、紛争の蒸し返し、こういったような弊害が生ずることとなるわけでございます。  こういう弊害を排除する観点から、できる限り紛争の一回的解決を図る必要があるということで、確定判決等があった場合の同一事件の取扱いの規定を設けているところでございまして、これはこの制度の特性に由来する制約だと考えております。  こうした取扱いを行わない場合の先ほど申し上げましたような弊害というのは、確定判決の場合に限らず、裁判上の和解など、確定判決と同一の効力を有するものの場合についても同様に生じるところでございまして、第十二条第五項第二号におきましては、裁判上の和解等の確定判決と同一の効力を有するものを含む確定判決等があった場合の同一事件の取扱いの規定を設けたところでございます。  それから、もう一点御指摘ございましたが、国民生活審議会の報告書ではこういう点の内容はなかったのではないかという御指摘でございますが、今回の法案は、申し上げるまでもなく、国民生活審議会の専門の検討委員会でおまとめいただいた内容を踏まえて策定をしているところでございます。  昨年の六月にまとめられましたこの検討委員会の報告書におきましては、消費者団体訴訟制度における訴訟手続の在り方といたしまして、既判力の範囲については、当該事件の当事者限りとし、いわゆる同時複数提訴の可否について特段制限されないというのが民事訴訟法の基本原則に整合的としつつも、こういう民事訴訟法の基本原則によった場合には、他の団体による紛争の蒸し返し等の懸念がありますことから、一定の不適切な訴えの提起自体を認めない仕組みを導入するなど、所要の措置について検討する必要があるというふうに指摘、記載されたところでございまして、今回の同一事件の請求制限は、この指摘を踏まえ、本制度法案として具体化する詰めの作業を行った結果、所要の措置として取りまとめたところでございます。
  209. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間がありませんので最後の質問いたしますが、後に生じた事由、これも先ほど来大変議論になりました。この後に生じた事由の一つのケースとして、黒岩議員が新証拠の発見という話ししましたよね。最初やったときにはそれがなくて負けちゃったと。その後、重大な、決定的な証拠が出てきたと。この場合どうなんですか、これは後に生じた事由ですかと言ったときに、大臣は、それ自身は後に生じた事由ではありませんと明確に答弁されました。  されましたけれども、私はあえてお聞きするんですが、この新しい、新証拠が活用できる余地というのはどういう場合なんですか。例えば、新証拠が出たために不特定かつ多数の要件がこれによって満たされるというようなときには、これは後に生じた事由になるんですか。新証拠はどういうときに生きてくるんですか。それだけちょっと聞かせてください。
  210. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) その新証拠が例えば新たな事実に関する証拠として利用できるような場合、そう考えることができると思います。そうであれば、その新たな事実を主張するとともに、その証拠を利用して他の適格団体が同一事件に係る差止請求をすることができるということですね。
  211. 近藤正道

    ○近藤正道君 そうすると、新たな証拠もケースによっては、後の、後訴の遮断を突破して新たな裁判を起こしていく理由になる場合があるということはお認めに、じゃなられますね。局長、どうですか。
  212. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 例えば、従来、A地域で不当な勧誘行為を行っていて、そこで確定判決で敗訴で確定をしてしまったと。その後、更にB地域に拡大をして不当な勧誘行為を行ったと。そういう事実がございまして、それが、新たに出てきた例えば勧誘マニュアルが他のB地域にも拡大された勧誘行為に関する証拠となるような場合、こういう場合には新たな事実に関する証拠として利用できるということではないかというふうに考えております。
  213. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  214. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 最後の質問になります。手短に幾つかですね、まず一番目の質問でございますが、適格消費者団体への資金面での支援につきまして質問をさせていただきたいと思うわけでございますが、この適格消費者団体訴訟が行われれば行われるほどいわゆる持ち出しということで、先ほども資金面で寄附がしやすいようにとか、これ衆議院でもお話があったわけでございますが、更に進めまして、地方公共団体では財政支援措置として消費者訴訟支援制度消費者個人に対しては公益性のある消費者訴訟を自治体が資金面、情報面で支援する制度があるようでございます。  やはりこれに、これは地方自治体の制度でございますので、国の制度ではないとしても、是非、やはり今回、法の体系がこういう形で団体訴訟を認めるという観点からしても、やはり消費者団体も付加してもらうと、自治体にですね、そういうことが大事ではないかと思うんですが、大臣、一言。是非、大臣に一言。
  215. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 木俣先生にお答え申し上げます。  地方自治体におきまして、消費生活条例等においていわゆる消費者訴訟援助制度を設けている場合が多いのでございます。制度内容は自治体ごとに異なりますけれども、制度趣旨としては、被害を受けた消費者が、消費者トラブルの解決に当たり訴訟にゆだねるしかない場合に、資力が乏しく訴訟費用を準備できないがゆえに泣き寝入りに陥ることを防ぐということでありまして、訴訟費用を当該消費者個人に一時貸し付けるものであるというふうに理解しております。
  216. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いえいえ、じゃなくて。
  217. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 済みません、続けてよろしいですか。  一方、消費者団体訴訟制度は、被害を受けた消費者個人ではなく第三者たる適格団体請求権を認める制度であり、財政基盤を備えていることを請求権を付与する要件としているところであります。したがって、いわゆる消費者訴訟援助制度を本制度に即座に利用することは難しい面があると思われます。
  218. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 どうぞお座りください。  通告、一応これはしてありますので、念のため申し上げますけれども。  確かに適格団体自体が資力があるという前提があるかもしれませんけれど、やはりかなり持ち出しになるだろうということだと思うんですね。更に言えば、今推測するに十ぐらいの団体適格団体になるということで、もっともっと広げた方がいいという観点も含めて、やはり地方自治体が消費者個人に対して訴訟を側面的に情報面、資金面でサポートするといういい制度なものですから、是非団体まで広げてくれということを、是非これは大臣のイニシアチブで広げていただきたい、頼みますということを言っていただきたいということなんですが、イエスかノーかで手短にお願いします。
  219. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 先生からの御意見いただきましたので、私として、それを受け止めていきたいと、まいりますが、制度といたしましては、先ほど答弁いたしましたようなことでございます。  もちろん、自治体あるいは消費者センターの有する例えば情報でありますとか情報面でのサポート、自治体は本制度あるいは適格団体活動を住民に周知する上で重要な役割を担っております。また、法案が成立し、制度の詳細が明確になるとともに、適格団体認定を目指した動きが進むものではないかと考えております。各地方の事情に応じて環境整備が行われますよう努力もいたしますが、また、そのように展開することが期待されるところであります。  以上を踏まえまして、政府といたしましては、本制度に対する理解と協力を得られますよう自治体に対して所要の要請を行っていくところでございます。
  220. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今のは、最後の結論が要請をしていくということでございますね。初めから言っていただければいいんですが。  次に、損害賠償制度について同僚議員からもお話がございましたけれど、確かに今回の契約法は、団体訴訟ということで一歩も二歩も進んだものだと思います。ただ、差止めということにとどまっておりまして、やはりこの損害に対する賠償、これをどのように求めていくかということが非常に必要であるということを強く思います。  これは公取なんかも、いわゆる審判、審決出ても損害賠償をこれは別途しなければならないという、非常に面倒くさいということも含めて、是非、先ほどお話もいただきました。また衆議院の方でも、山口副大臣から是非早急に検討を始めていきたいという前向きな御答弁もいただいております。特に、今国会にいわゆる犯罪収益吐き出し法案、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案ですか、これが上程されているということもかんがみながら、是非、団体訴訟、損害賠償に対するこの制度もより前向きに進めていただきたいと、念押しでお願いしたいんですが、どうですか。
  221. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 損害賠償訴訟制度につきまして、その導入について現時点で具体的なスケジュールがあるわけではございませんが、度々答弁しているところでございますけれども、司法アクセスの改善の手法の展開を踏まえつつ、その必要性等も検討してまいりたいと考えております。
  222. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 もう一つでございますが、最後の質問になりますけれども、確かにこの団体訴訟制度ができたということで非常に進んだということは先ほども申しましたけれども、ただ、その一方で、例えば景品表示法とか特定商取法とか、こういったいわゆる特定法律について団体訴訟ということが認められておりません。特に、いわゆるリフォーム詐欺とか、それからまたクーリングオフの詐欺とか、いろいろあるわけでございますけれども、こういったもの、いわゆる消費者団体に対する、消費者センターに対する相談のうち、二〇〇四年度では八〇%がいわゆる特定商取法ですね、これに関するものであるということから考えますと、適用を広げて、こういった特定商取引法についても適用をさせるべきだと思いますけれども、お答えいただけますでしょうか。
  223. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 悪質な事業者を市場から排除し、消費者利益を保護するとともに、公正な取引の発展を促進するということは極めて重要なことと考えております。  特定商取引法は、平成十六年の改正におきまして、行政規制が強化されますとともに、契約の取消しやクーリングオフなどに関する民事ルールが強化、整備されたところでございます。当面は、この改正法の執行をしっかり行いながら、その成果を見極めていくことが重要と認識をしております。  経済産業省といたしましては、行政規制につきましては、行政処分など法執行を大幅に強化してきております。また、民事ルールにつきましても、その普及、活用促進のための啓発に取り組んできております。  今後とも、この改正法の成果を見極めつつ、消費者トラブルの実態を踏まえまして、必要に応じて特定商取引法を見直していく所存でございます。団体訴権の導入につきましても、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
  224. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 必要に応じてというか、非常に必要だというふうに考えておりますので私申し上げておりまして、是非、大臣に、所管の法律ではないわけではございますけれど、例えば景品表示法なんかも、以前も、例えば有料老人ホームとか、そういう高齢者に対しての非常に不当な表示をして勧誘をなんということも、私も随分おったことがございますけれども、そういった意味でも、横断的な法律を今回作られるというのは意義が深いと思いますけれど、いわゆる縦のラインですね、特定の商取引、こういったものに対しても網を掛けていかなければ、結局、PL法その他もろもろでも、どちらかというと産業界寄りというのか、訴訟が思うように行われてないと。私もどういう立場で言えばいいのか分かりませんけれど、実際、これ、できたはいいけれど、そのできたという効果にとどまってしまって、結局その効果がどれほど出てくるかということを考えますと、今部長の方からもお話がありましたけれど、大臣が全体を統括する、消費者事業者関係を整理するという意味で、是非、一個一個ジグソーパズルをはめるようにこれからやっていただく決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  225. 猪口邦子

    国務大臣猪口邦子君) 恐れ入ります。  まず、この法案、我が国で初めて団体訴訟制度を導入しようとする画期的なものでございまして、この制度の導入、運用、実績、これが見えてきますと、ほかの法律につきましても検討をしていただけるよう、ほかの法律における類似の考え方の検討に恐らく参考になるのではないかと思っております。  ですから、私といたしましては、この法案成立を可能にしていただき、そして社会の中に着実に実施していく。それをもって、どのようなことが消費者の全体の利益を擁護していく上で可能なのかということを社会全体で見ながら、他の法律についても参考にしていただくということではないかと思い、この現法案の着実な社会への定着と実施ということに心を込めて努力してまいりたいと思っております。
  226. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 終わります。
  227. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十一分散会