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2006-03-16 第164回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      白浜 一良君     浜四津敏子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         工藤堅太郎君     理 事                 西銘順志郎君                 山内 俊夫君                 芝  博一君                 柳澤 光美君     委 員                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 山谷えり子君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 藤原 正司君                 松井 孝治君                 風間  昶君                 浜四津敏子君                 近藤 正道君                 木俣 佳丈君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    沓掛 哲男君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    副大臣        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        文部科学大臣  馳   浩君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        平井たくや君        外務大臣政務官  伊藤信太郎君        国土交通大臣政        務官       石田 真敏君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房皇室典        範改正準備室長  柴田 雅人君        内閣官房内閣審        議官       山浦 耕志君        内閣官房内閣審        議官       井上 源三君        内閣官房内閣審        議官       松井 房樹君        内閣官房内閣参        事官       安藤 友裕君        内閣官房構造改        革特区推進室長        兼内閣構造改        革特区担当室長  大前  忠君        内閣大臣官房        政府広報室長   谷口 隆司君        内閣統計制度        改革検討室長   川崎  茂君        内閣規制改革        ・民間開放推進        室長       田中 孝文君        内閣計量分析        室長       齋藤  潤君        内閣府政策統括        官        丸山 剛司君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        内閣沖縄振興        局長       藤岡 文七君        食品安全委員会        委員長      寺田 雅昭君        食品安全委員会        事務局長     齊藤  登君        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁刑事局長  縄田  修君        警察庁交通局長  矢代 隆義君        警察庁情報通信        局長       武市 一幸君        防衛庁防衛局次        長        金澤 博範君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        外務大臣官房審        議官       杉田 伸樹君        文部科学大臣官        房審議官     泉 紳一郎君        厚生労働大臣官        房審議官     黒川 達夫君        厚生労働大臣官        房審議官     白石 順一君        厚生労働大臣官        房参事官     藤井  充君        農林水産大臣官        房審議官     高橋 直人君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      柴田 耕介君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○内閣重要政策及び警察等に関する調査  (内閣官房及び内閣府の基本方針に関する件)  (警察行政有事法制基本方針に関する件)  (経済財政政策基本方針に関する件)  (規制改革行政改革構造改革特区地域再  生の基本方針に関する件)  (科学技術政策食品安全、情報通信技術政策  の基本方針に関する件)  (少子化男女共同参画基本方針に関する件  )     ─────────────
  2. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十五日、白浜一良君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。     ─────────────
  3. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房皇室典範改正準備室長柴田雅人君外二十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 内閣重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、去る九日に聴取いたしました国務大臣の所信に対し質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 おはようございます。自由民主党の西銘順志郎でございます。  官房長官始め関係大臣、また政務官皆様、副大臣、本当に御苦労さまでございます。時間がありませんので早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。  先週九日に日銀の金融政策決定会合で、これまで五年間にわたって続けてまいりました量的緩和政策解除決定されたようでございます。ゼロ金利政策は当面維持するとのことでございます。バブル崩壊後の多額の不良債権デフレに長年苦しんできた日本経済が立ち直った感があるわけでございますが、金融量的緩和政策解除に至るまでやはり日本経済、回復、安定をしてきたということでございます。これは小泉構造改革の五年間の成果ではなかったかというふうに私は考えておるところでございます。  この小泉構造改革を更に確実に継続していく上で、行政改革推進法案が、先週十日、国会に提出されました。推進法案には、政策金融改革独立行政法人の見直し、特別会計改革、公務員の総人件費改革政府の資産・債務改革と盛りだくさんでございまして、言わば小泉改革の総仕上げとも言える内容でございます。  そこで、官房長官小泉改革の最大の成果は何であったのか、そして、今参議院予算委員会予算審議が真っ最中でございますが、残された通常国会の中で是非仕上げておきたいテーマ、何としても仕上げておきたいテーマというのはどういうものがあるのか、官房長官のまず御所見を、決意をお伺いしたいというふうに思います。
  7. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 小泉政権が誕生したときの、そのときの現状認識といたしましては、正に今世界的な大きな変化の中で、その段階ではもう近い将来日本人口は減少に転じていくと。そういう中にあって、世界における日本競争力を高め、そしてまた人口が減少していく中においても社会保障制度はしっかりと守っていく、そのための財政基盤をしっかりとしなければならない、そうしたことを実行するためには構造改革が必要であると。民間ができることは民間にやってもらう、また地方のことは地方にという基本的な考えの下に、金融、税制、規制あるいは歳出、全般的な改革を推し進めてきたところでございます。  結果として、例えば企業の収益は五割増しになったわけでございます。そしてまた、有効求人倍率小泉政権が発足当時は〇・六だったものが一を超えている、また山ほど積み上がっていた銀行の不良債権にいたしましても現在は二・六%、正に正常化をすることができたと、こう思っております。また、国の財政状況について言えば、言わば、いわゆるプライマリーバランスにつきましても昨年度よりも今年度については四兆七千億円の改善も見られたわけでありまして、財政再建をしていくという方向にもしっかりとかじを切ることができた、このように思うわけであります。  しかし、今後更にまだまだ財政状況は厳しいわけであります。今後とも、デフレからの脱却、そして民間需要主導の持続的な成長と歳出歳入一体改革推進による財政健全化の両立を目指し、行財政改革など構造改革への更なる取組を進めていかなければならないと、このように考えております。正にまだまだ改革は道半ばであると、このように考えております。
  8. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 是非改革を続けていただいて、小泉後の総理にも改革を続けていただいて、しっかりと日本財政の立て直しをしていただきたいというふうに思います。  それでは次に、小泉内閣外交安全保障の問題について少しお聞きをさせていただきたいと思います。  小泉内閣で、構造改革を始めといたしまして、国内問題では、先ほど申し上げましたように、かなり大きな成果を上げてきているというふうに私は評価をいたしておるところでございます。小泉改革でなければできなかった、率直に評価をしたいというふうに思います。また、昨年は戦後六十年の節目の年でございました。振り返ってみますと、今日なお日本は北と南で外交安全保障面に関して大きな課題を抱えておるわけでございます。御案内のとおり、北は日ロ間の北方領土問題でございますし、南は沖縄の米軍基地問題、さらには東シナ海における日中間の境界と、これは尖閣を含むわけでございますが、資源開発の問題があるわけでございます。  本年二月に、七日でしたかね、北方領土返還全国大会には総理の御出席がいただけませんでした。代読のメッセージもなかったようでございます。プーチン政権の本当にあの強固な姿勢に対して適時適切な反論と政府の一貫した姿勢がなければ、一九九三年の東京宣言すら後退しかねないというような状況であるわけでございます。  また、普天間移設の問題にいたしましても、先月、私ども沖縄県選出の国会議員全員そろいまして、与党の国会議員がそろいまして、官房長官に要請をさせていただいたところでございます。やはり私は、沖縄県の県民皆さんあるいは名護市の住民皆さん理解をいただけないと、この日米米軍再編は大変難しくなってくるんではないかというふうな思いを持っております。そのことはやはり日米同盟にとっても決して私はいいことではないというふうに思いますので、これについても後ほど官房長官から御所見を賜りたいというふうに思います。  東シナ海の問題でございますが、これは日本の主権と立場をきっちりと主張をした上で日中間協力が進むような環境づくりあるいは外交努力が必要でございまして、現在、首脳間対話が閉ざされているという現状では日中両国の将来に大きなマイナスではないのかなというような思いをするわけでございます。  そういうことで、小泉内閣の五年間における国内の構造改革成果に比較して、外交安全保障面で少し停滞はしていないのか、停滞しているんではないかというような印象を受けるわけでございますが、官房長官の御所見をお伺いをしたいと思います。
  9. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 日本世界の中において、言わば外交また政治的なプレゼンス、経済においても、日本の存在というのはこの数十年で比べ物にならないぐらい大きくなっているんだろうというふうに思います。そういう中で、日々新しい経済的な課題安全保障課題というのは生じてくるわけでありまして、そうした課題に対して適切に対処していくことが大切であろうと、こう思っているわけでありますが。  そうした中で、小泉総理外交に対して、何か世界で、また例えばアジアで孤立をしているんではないかというようなことがよく言われているわけでありますが、何回もいろんな人たちからそういうことを言われると、そうかなとか思いがちなんでありますが、全く事実に私は反していると、このように思っています。  特に、日米関係についていえば、首脳外交がこれほど大きな意義、意味を持っている期間というのはそうなかったんではないかと、こう思うわけであります。首脳間の信頼関係が正に日米間のみつ月につながっている。この百五十年の中でも最もこれうまくいっている日米の今関係ではないかと、こう思うわけであります。例えば、それによって対北朝鮮への政策についても北朝鮮は、日本の拉致問題にも理解を示し、全く同じスタンスを取っているということにも表れていると、こんなようにも思うわけであります。  この日米同盟関係というのは、日本外交安全保障基盤でありまして、その基盤は極めてしっかりしていると、そしてさらに、この両国関係世界の中において活用していくということも十分に可能になってきていると、このように思うわけでございます。  その中で、小泉内閣は、北朝鮮の核やミサイル、拉致といった我が国に直接的な脅威を及ぼす問題のほか、国際テロ大量破壊兵器の拡散といった新たな脅威アフリカ開発といったグローバルな問題にも、国際協調も大切にしていくという観点から積極的に取り組んでおりますし、平成十六年末の津波災害鳥インフルエンザ対策についても世界の中で主導的な役割を果たしてきた、このように思っているわけであります。  また、安全保障面におきましても、言わば有事法制をしっかりと確立をしました。これは長年のこれは課題だったわけであります。これをしっかりと成し遂げた。そしてまた、アフガンの、現在、再建についても大きな貢献をいたしました。テロ等対策についても、テロ特措法を作り対応をしています。また、イラク復興支援についても、イラク特措法を作り、そしてイラク復興支援にも大きな貢献をなし、それはまた世界からもまたイラクからも中東からも大変な評価をいただいていると、このように思っているところでございまして、またさらに、安全保障面においては、しっかりと今後とも日本の安全のために努力をしていかなければいけない。また、小泉内閣の間にBMDに関して日米共同開発に着手をするという決定もなされたわけであります。日本の安全を守るということについては、勇気を持ってしっかりと政策を前に進めていると、このように思っております。  国際社会の責任ある一員として、我が国のこうした取組世界国際社会からも高く評価をされておりまして、英国のBBC放送米国メリーランド大学共同で行った世論調査におきましても、単独では日本は最も高い評価を受けているということでございます。  今後とも、日本世界と共有をしている価値、自由、民主主義基本的人権そして法律の支配、こうした価値世界平和裏にしっかりと広げていくという努力を今後とも行っていきたい、そしてそれをもって世界から高く評価をされる、私たち日本人として生まれたことに誇りを持てる日本にしていきたいと、こう考えております。
  10. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 官房長官は今お触れになりませんでしたけれども北方領土問題、これももう本当に長年の課題でございますし、昨今はこれは米軍再編問題が大変大きな話題になりつつあります。沖縄海兵隊グアム移転の問題、費用の問題等々もあるわけでございますが、そういう点に本当に政府に一生懸命努力をしていただいているわけでございますけれども事普天間の問題に関しましては一向に前進していないというのが私の率直な感想でございまして、是非官房長官地元住民が納得しない、納得できるような、あるいは名護市民が納得できるような形でこの再編問題をしっかりと進めていただくということを確約していただければ大変有り難いと。これは通告はしておりませんが、どういうような御感想をお持ちになられるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  11. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) まず、最初に御指摘のございました北方領土の問題につきましては、この問題を解決をして日ロ平和条約を締結をする、これは正に戦後残された大きな外交的な課題であります。我々もしっかりとこの問題に取り組んでいきたいと、こう思っておりますし、プーチン大統領に対しても、そのことがやはりロシアにとってもこれはロシアの未来を切り開いていくことにつながっていくということを理解させるべく、我々も今後とも外交的な努力を続けていきたいと思っております。  そしてまた、米軍再編の問題についてでございますが、この普天間移設につきましては、これは名護市民皆様に対して今までも誠意を持って説明をしてきたところでありますが、私ども西銘先生を始めいろいろと地元皆様の声も伺っているわけでございます。我々もしっかりとそうした皆様の声に耳を傾けながら、住民皆様の御理解を得るような形にしていくべくもちろん努力をしていかなければいけないと、今後とも誠意を持って説明を続けていきたいと、こう思っております。  いずれにいたしましても、この普天間の問題を解決をする、名護の方々の御理解をいただくということは、日米同盟をしっかりと安定的なものにすると、ひいては日本抑止力を高めるということについては極めて重要であると、こう認識を持っております。私も全力を傾けていきたいと、このように思っております。
  12. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 ありがとうございました。  是非頑張って、地元の意向が反映できるように安倍官房長官に頑張っていただきたいというふうに思います。  続きまして、これは領海侵犯の問題でございます。  これは平成十六年の十一月に、沖縄県の石垣島と多良間島間の領海中国原子力潜水艦が通過をいたしまして、海上警備行動が発令をされたわけでございます。多くの沖縄県民が大変不安な気持ちになりましたし、私も大変強い憤りを感じておるところでございます。  また、昨年九月あるいは今年の一月にも、中国海軍ソブレメンヌイ級駆逐艦我が国の主張する排他的経済水域に近いガス田付近を航行しているのが確認をされておるわけでございます。日中間緊張状態、大変憂慮される状態に、状況にあるんじゃないのかなというふうに思われます。  排他的経済水域における資源探査あるいは海洋科学的調査我が国の権利を主張するのはもう当然のことでございまして、我が国海域での資源探査海洋調査他国妨害警告等によって中止されるようなことがあってはならないというふうに思います。  そしてまた、他国違反行為を厳正に取り締まることはこれ当然のことでございまして、ただいま申し上げました最近の中国艦船動向等も踏まえて、安倍長官官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になられましたように、平成十六年の十一月には中国原子力潜水艦による領海侵犯が起こったわけでございます。ニューヨーク・タイムズに中国側日本脅威と思うような行為は一切やっていないという極めて軽薄な論説が出たわけでありますが、実際にはこうしたことも起こっているということでございます。  そこで、ただいま委員指摘のいわゆる中国違反行為に関し、我が国海域での資源探査海洋調査他国妨害警告によって害されることのないようにするという御指摘だったというふうに思います。我が国海域での資源探査海洋調査他国の侵害や警告により不測の事態に直面することが予測、予想されるときには、政府としては、事業主体及び関係機関と連携を取りつつ、安全確保のため所要の措置をとることとなるものと考えております。海上における安全確保については、第一義的に海上保安庁が対応し、そして自衛艦警戒監視活動により協力をすることになると、このように思っております。
  14. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 尖閣問題、今抱えておりますから、是非そういう面で政府が毅然とした態度を取られることを要望をしておきたいというふうに思います。  ODA改革についてお伺いをしたいと思います。  参議院は、せんだっても申し上げましたけれども、決算を重視する、そしてODAを重視するということでございまして、参議院国会史上初めて政府開発援助特別委員会ODA特別委員会が設置されたわけでございます。私も昨年、アフリカへ、初めて参議院ODA派遣としてエジプト、タンザニアへ行ってまいりました。そのときの感想を少し踏んまえて質問をさせていただきたいというふうに思います。  エジプトでは、大気汚染水質汚染についてモニタリングしておりますアレキサンドリア地域環境監視局に行ってきたわけでございます。日本無償資金協力によりまして機材が供与され、大気や水の汚染状況の測定、公害企業規制などで成果を上げているとのことでございました。しかしながら、私どもが見せていただいたら、やはり機材がほこりをかぶっていたり、あるいは常時使用されている形跡が余り見られないというようなこともあったかと思います。  我が国から提供された機材、本当にもう少し有効に活用していただきたいなというような思いもあるわけでございまして、無償資金案件につきましては、提供された施設や機材が受入れ国で十分に維持管理されていないということがかねてから問題になっております。無償資金案件につきましては、やはり事前、中間時、事後の評価を充実して、国民の血税と善意が無駄にならないように、政府全体での取組を強めていただきたいと要望いたしたいと思います。  去る二月の二十八日に有識者会議海外経済協力に関する検討会から報告書が提出されております。報告書では、ODA戦略性を一層高め、ODA政府一体推進するために内閣総理大臣を議長とする新しい閣僚会議を設けること、円借款の業務は国際協力機構、JICAに移管すること等を求めております。正にODA改革を具体化していく今正念場を迎えているというふうに思いますが、政府ODA改革における決意をお伺いをしたいと思います。
  15. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 参議院におきましては、従来よりODA特別委員会の設置、開催、そしてまた二度にわたるODA調査団派遣を行って、このODAがしっかりと実施されているかということについて調査をされているということに対しましては心から敬意を表したいと、このように思うわけであります。  ただいま委員が御指摘になられました海外経済協力に関する検討会報告書は、検討の前提となる情勢を基本的視点としてまとめたわけであります。我が国はなぜこのODAを行うのかという認識、目的をしっかりと書き込んでいるわけでありまして、その上におきまして、政府内体制の在り方、実施機関の在り方について提言が行われているわけであります。これらの提言は、先ほど委員が御指摘に、西銘先生が御指摘になられましたように、私たちの、国民の税金であるODAがちゃんと有意義に使われているのか、そしてそれがまた世界の理想に合致をしているのか、そしてもちろん、税金である以上、我が国の国益にしっかりとかなっているかという、そういう問題意識の上にこの提言はまとめられていると、このように思うわけでございます。  この提言を、報告書を踏まえまして、政府一体として国家戦略、国際貢献の観点から戦略的な海外経済協力の効率的な実施にふさわしい体制づくりをしっかりと行っていきたいと、こう思っております。  具体的には、海外経済協力の戦略的実施のための司令塔的な機能を果たす海外経済協力会議を設置をすることを検討しております。これは、今まで既にあった経済協力関係閣僚会議、これはまあほぼすべての閣僚が参加をする会議でございますので、ややもすると形式的にならざるを得ず、突っ込んだ、この国益に合っているかどうかという観点からそういう議論が行われにくい仕組みであったという反省から、少人数の閣僚における戦略的な観点から議論もできるこの会議を設置をすることを決めたわけでございます。今後は、この海外経済協力会議において、総理のリーダーシップの下、少数の閣僚で実質的な審議を行い、戦略をまとめるという機能を果たすものとしていきたいと、こう考えています。  また、実施機関については、JICAが円借款、技術協力及び無償資金協力を一元的に実施をするということになっております。言わば、それぞれの国の発展状況において切れ目のない援助を行うことが可能になってくるのではないかと、こう考えているところであります。
  16. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 ODAがしっかり相手国に喜ばれているというようなことも私どもはちゃんと見ていきたいというふうに思いますので、これからもしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。  官房長官、お時間もございますが、官房長官にはこれで最後の質問にさせていただきたいというふうに思います。  小泉総理のリーダーシップの下、観光立国に向けた取組政府を挙げて進められておるわけでございまして、これは小泉総理のセンスと独特の勘がなければできなかったことというふうに、この取組を大いに評価をしたいと思います。「住んでよし、訪れてよしの国づくり」というのが平成十五年に策定されました観光立国行動計画のサブタイトルでございます。私はこれを、訪れてよし、住んでよしの沖縄県というふうにして、国内外から多くの人に沖縄の歴史と風土と人情を見ていただいて、沖縄の良さに触れていただく。また、今大変増えているんですが、定年後、沖縄に住んでみたいなという方々が非常に増えておりまして、人口が増えているのは東京都と関東近辺と沖縄県だというような話も、沖縄県だけだという話もございますが、そういうことも踏まえて、沖縄はやはり観光立県でしっかりと頑張っていきたいというふうに思います。  小泉内閣で進められてきました観光立国政策の実績と展望について、官房長官、そして国土交通大臣政務官からも御意見を拝聴できればというふうに思います。
  17. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 小泉内閣におきましては、二〇一〇年までに日本への海外からの旅行者の数をこれは倍増させるという目標を立てました。それと同時に、世界から日本への投資を五年間で倍増すると、こういう計画を立てました。正に日本をしっかりと世界に開いていこうという宣言だったと、こう思うわけでございます。これは、何も日本の文化や伝統を捨てるということではなくて、むしろ日本の誇るべき文化や伝統に自信を持ち、それを多くの外国人に知っていただこうということにもつながっていくと、こんなように思うわけでございます。  この目標を設定をいたしました、これは平成十五年一月の第百五十六回の国会における施政方針演説において今申し上げましたように倍増するという目標を、指針を示したわけでありまして、これを受けまして、観光立国の実現に向けて観光立国関係閣僚会議を開催をし、関係行政機関が実施すべき二百四十三の施設から成る観光立国行動計画を平成十五年七月に取りまとめたわけであります。さらに、これらを含め、観光立国実現のための施策を効果的かつ総合的に実施するため、観光に関する有識者で構成する観光立国推進戦略会議を開催をし、国際競争力ある面的観光地づくりや外国人旅行者の訪日促進、国民の観光促進など、四つの課題と五十五の提言が平成十六年十一月に取りまとめられました。政府としては、これらの計画や提言に基づき、観光立国の実現に向けて強力に施策を推進してきたところであります。  こうした取組の結果、二〇〇二年に五百二十四万人であった訪日外国人旅行者数が二〇〇五年には推計値ベースで六百七十三万人と過去最高を記録するなど、着実に成果は上がっていると、このように考えております。  また、例えば、ただいま先生が御指摘になられました沖縄におきましても、沖縄の自然風土、独自の芸能文化などへの関心の高まりや、官民一体となったビジット・ジャパン・キャンペーンの展開などが背景となって、平成十七年の観光客数が対前年比六・七%増の五百五十万人と過去最高を記録しております、観光入り込み客数ということでありますが。観光立国の取組地域の活性化に大きく寄与しているものと、このように考えております。  今後とも、二〇一〇年に外国人旅行者数を一千万人とするという目標達成を含め、観光立国の推進に取り組んでまいりたいと、こう考えております。
  18. 石田真敏

    大臣政務官(石田真敏君) 国土交通省といたしましても、ただいま官房長官から御答弁されましたように、二〇〇三年に約五百万人であった訪日客数を二〇一〇年に一千万人に倍増させるということで観光立国の実現に向けて取り組んでいるところでございまして、そのためにビジット・ジャパン・キャンペーンの展開であるとか、国際競争力ある観光地づくりを積極的に進めているところでございまして、先ほども答弁ございましたけれども、着実に成果は上がっておりまして、昨年は推計値ベースで六百七十三万人と、過去最高を記録いたしております。  そして、本年は、昨年より更に高い目標を掲げまして、七百五十万人の訪日客数を確保したいということで頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。  そのためには、昨年七月に、訪日外国団体観光ビザ発給対象地域を全土に広げていただきました中国との間で、本年は日中観光交流年といたしまして、中国各地で訪日キャンペーンに取り組むことといたしております。  また、本年の七月には、日本におきまして、日本中国、韓国三か国で、初めてでございますけれども、観光大臣の会合を開催をさせていただくことになっておりまして、お互いの観光当局間の連携を一層深めると同時に、例えば日本からヨーロッパへ行けば各国を回ります。それと同じように、欧米から来ていただいた、アジアに来ていただいたときも、日本中国、韓国を回っていただけるような、そういうようなことを通じて観光客の増加を図っていきたいとも思っておるわけでございます。  そして、これらを推進する一方で、その受皿としてでございますけれども地方自治体の観光体制と同時に、民間組織による地域観光振興の取組に対する支援というのも行うことといたしておりまして、観光ルネサンス事業を平成十七年度から立ち上げておりまして、沖縄県でも取り組んでいただいているところでございます。  こういうような施策を通じまして、住んでよし、訪れてよしの国づくりに積極的に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  19. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 どうもありがとうございました。官房長官どうぞ、お時間でございましたらどうぞ。  続きまして、政策金融沖縄開発金融公庫の件についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  沖縄県復帰三十年を契機にいたしまして、沖縄振興計画が策定をされたわけでございます。四月からは十か年計画のちょうど半分、五年目に入るわけでございまして、その新しい沖縄振興計画が策定された背景といたしましては、それ以前の三次にわたる沖縄振興開発計画によって社会資本整備等における本土との格差は縮小いたしました。しかしながら、道路、空港、港湾等のやはり交通基盤の整備を始めといたしまして、多くの課題がまだまだあるわけでございます。本土から遠いということ、あるいは先ほど申し上げましたように米軍基地の集中だ、沖縄に集中しているというような事情等もございまして、自立への展望を開くに至ってないというのが現状ではないかというふうに思います。  そういうことで、新しい沖縄振興計画では、沖縄の特性を十分に発揮をいたしまして、沖縄自らが振興、発展のメカニズムをつくっていくことが期待をされておるわけでございます。そのために果たすその沖縄開発金融公庫の役割が非常に大きいというふうに私は理解をいたしておるわけでございますが、まず中馬大臣の御所見を、その件についての御所見をお伺いしたいと思います。
  20. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今回の行政改革推進法、これは今日衆議院における特別委員会も設置されるようでございまして、いよいよ本格的に御審議に入っていただくことになりました。  この改革の心といいましょうか、これは今までともすれば中央に頼りがちであった、いや自分たちでやれるというのに中央のいろいろな制約があった、こういったことをもう時代に合わせて、実力ができたところには個人も地域も、そしてまた企業にも自由にやっていただきたい、もちろんその代わり責任もしっかり取っていただきたいというのが心であります。ですから、そういうことで中央の権限を地方に、また官の仕事を民間へと、こういう形の流れの中でもろもろの改革を今提言をしているところでございます。  この政策金融につきましても、それぞれの成り立ちからそれぞれの省庁が責任を持った形で金融機関をつくり、そしてそれぞれのきめ細かく地域や業種や大小にかかわらずそうした金融をやってきたことは御承知のとおりでございます。  その中で、沖縄というところは、これこそ離島もありますし、それをただばらばらでやってはいけないということで一体化したこの沖縄公庫がつくられたわけでして、今回のことにおきましても、そういう流れの中でもう民間に移した方がいいものは、政策投資銀行や商工中金等はもう民営化することを決めました。そのほかの、しかし中小公庫やまた沖縄公庫も含めたそうした機能だけはやはり大事ですから、機能はちゃんと担保されつつ、そして、しかし機構としてはもう一体化していく。省庁のそれぞれの思惑といいましょうか、その形での金融機関ではなくて、総合的に政府が面倒見るところは一体化することにしたわけでございます。  もちろん、その中にこの沖縄公庫も入りましたけれども、しかしこれは今お話がありましたように十か年計画があります。平成二十三年まではそのままの形でやっていただいて、その後これを統合した形の中でもちろん機能を果たしていただくことになります。逆に、沖縄の方では今まで非常にきめ細かくやっていただいておりましたから、このことの機能を尊重しつつ、逆にこれから商工中金が離れる、そうしたことも含めて、沖縄のほとんどの町や村には沖縄公庫と郵便局ぐらいしか金融機関ないわけですから、そうしたことをきめ細かくやっていただくためにも、これを新たな組織の中でどう位置付けするか。これは法律を通しましてからの、個別法での制度設計になってまいりますから、その中でちゃんと位置付けはさせてもらいますが、その機能はしっかりと持たせていただくことをひとつ皆様方にも御理解賜りたいと思っております。
  21. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 政務官、ちょっと同じようなことになりますが、どうぞ御感想があれば、じゃ。
  22. 平井たくや

    大臣政務官平井たくや君) 済みません。先生は私の前任者ですし、沖縄の要するに経済の問題とか問題点、一番お詳しいわけですから、今さら申し上げることもないんですが、沖縄の厳しい経済状況を私も十分に認識しています。  先ほど先生もお話になりましたとおり、社会資本の整備の格差是正、それは非常に重要なことではあったんですが、新たに自立型経済の構築に向けて大きくかじを切ったということも事実であります。これからは県とか市町村が一体となって頑張っていかなきゃいかぬ、そのように思います。  そこで、沖縄振興開発金融公庫についてでありますが、私はやっぱりこの自立型経済を構築するためには、振興策と車の両輪のように機能をしなきゃいけないということが一点。それともう一つは、いかに沖縄の実態に即した対応を取るかということだと思います。その面でいえば、今回、沖縄新事業創出促進出資や離島活性化に向けての美ら島貸付の創設などをやっていくということになっております。政策金融改革を踏まえつつ、沖縄の振興に支障がないように十分に対応してまいりたいと思いますので、御指導のほどどうぞよろしくお願いします。
  23. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 ありがとうございます。是非一生懸命頑張っていただいて、沖縄公庫、やはり沖縄の振興策にとって大変なくてはならない公庫でございますから、お力添えをまたお願い申し上げたいというふうに思います。  後先になりますけれども、ちょっと順序逆になるかもしれません。沓掛国家公安委員長にお伺いをしたいと思います。  全国で八番目となる、何か特殊部隊、SATが沖縄県警に新設されたようでございます。御案内のとおり、沖縄県の海域というのは大変広いものがございまして、東西千キロ、南北四百キロというような海域がございまして、これは麻薬やけん銃の密輸など等々、たまにそういうものが出てまいります。そういうことで、米軍基地等も抱えておりまして、やはり米軍から発生する事件や事故等も後を絶たないわけでございまして、そういう意味でこのSATが沖縄に配備されたということだろうかと思いますが、沖縄にとっても大変重要な、治安の確保は大変重要なことでございまして、沓掛大臣の御所見を賜りたいと思います。
  24. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 特殊部隊、SATは、ハイジャック等の重大テロ事件や銃器を使用した凶悪事件等に際しまして、事態の鎮圧及び被疑者の検挙に当たることを主たる目的といたしまして、平成八年四月に警視庁、大阪府警察等七都道府県に編成し、事案が発生した際には状況に応じまして警察庁の調整の下で広域的な運用がなされるものでございます。  最近の厳しいテロ情勢の下で、沖縄県がSATが既に編成されている七都道府県から地理的に離れております。一番近いところは福岡県と思いますが、約千キロほど離れております。そういうような地理的な条件も踏まえまして、沖縄県警察にSATを編成したものであります。沖縄県における重大事案に対する警察の対処能力の向上に大きく寄与するものと考えております。
  25. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 ありがとうございました。  先ほど申し上げましたように、海域を含めますと恐らく日本一じゃないかなと思いますので、大変だと思いますが頑張っていただきたいというふうに思います。  まず、科学技術担当大臣にお伺いをしたいと思います。  産業の空洞が懸念される中で、地域産業の活性化や地域住民の生活の質の向上を図るために、地域における科学技術の振興を図る必要性が増大をしております。平成十六年十月に設置されました関係府省連絡会議等を通じて、知的クラスター創成事業や産業クラスター計画を中心に地域における科学技術振興施策が進められておりますが、その状況と今後の課題について松田大臣の御説明をいただきたい。  また、沖縄の方にも新しい科学技術大学院大学ができますので、そういうのも含めて大臣のあれがあれば、どうぞ松田大臣から。
  26. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 西銘議員御指摘のとおり、地域経済の活性化あるいは地域雇用の創造という意味では科学技術の果たす役割はとても大きいと。最近、これを科学技術駆動型の地域経済発展と私ども申さしていただいておるんでございまして、こうした観点から、政府としては、既にただいまお述べになりました知的クラスター創成事業やあるいは産業クラスター計画を始めとする関係各省それぞれいろいろな諸施策を進めておられます。  沖縄でも、御案内のとおり、経済産業省の沖縄型産業振興プロジェクトとか、あるいはまた内閣府主導で沖縄産学官共同研究の推進といったことなどが進められ、また今お述べになりました、沖縄には正に科学技術の最先端、最高の研究教育水準を有したものをつくろうということで、沖縄科学技術大学院大学設立構想といったものも進められつつあります。この点については、後から平井大臣政務官からもまた詳しく御答弁がありますが。  こうしたこのそれぞれ地域の大学と中堅中小企業の産学連携による多様で優れた実用化技術開発、特に地域の独自性、特殊性を生かした研究開発に対する支援等を積極的に推進しているところでございますが、私といたしましては、総合科学技会議を中心にいたしまして、こうした各省の政策地域にとって使いやすい、またより効果的なものとなりますよう、科学技術振興調整費を活用しつつ、それぞれの施策の連携強化といったことにも心を配っているところでございます。こうした各省の政策、そしてそれらを有機的一体化して科学技術駆動型の正に地域おこしを図っていきたい。  沖縄においても全くそういう趣旨で、むしろいろいろな御努力を今いただいているところでございます。一層、今後、先生の御指導もいただきながら、更に私としても強力にこういった政策を進めていきたいと、こう考えておるところでございます。よろしくお願いいたします。
  27. 平井たくや

    大臣政務官平井たくや君) 済みません、大学院大学の話も少しだけ触れさせていただきますが、昨年九月に推進の主体となる独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構を設立しました。昨年十二月の関係閣僚により、今後七年程度以内を目途に大学院大学の実現を期するということになっております。施設整備に係る予算等も確保させていただくことになっています。  私も今年一月に機構の第一回の運営委員会出席させていただきましたが、本当に、ブレナー博士を中心に世界で本当に素晴らしい人材を集めようということで、運営委員会の方も今燃えております。この大学院大学も、沖縄振興策、また沖縄の新沖縄情報通信産業振興等々、いろいろなプロジェクトと最終的にはシナジー効果を生み、全体として沖縄というものが新しい未来を切り開けるようになるのではないかと、そのように思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  28. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 平井政務官、昨今、地元の新聞でその沖縄科学技術大学院大学が本当にできるのかというようなことをおっしゃった記事が出ておりました。また、これだけ本当に、ベスト・イン・ザ・ワールドですか、ということで、これだけ優秀な方々を世界から集めてくるというのはこれはなかなか至難の業だと思いますが、その辺について少し情報があれば教えていただきたいと思います。
  29. 平井たくや

    大臣政務官平井たくや君) 箱物はお金さえあればできるわけですが、人というのはやはりそれだけではできないように思います。  今、その運営委員会の方は、もうノーベル賞を受賞された先生方を中心に本当に前向きの議論をされています。来月、そして五月にもまた第二回目の運営委員会等々開きますが、まず我々は、施設整備も重要だと考えておりますが、その人材をいかにして確保するかということに全力を傾注してまいりたいと、そのように思っております。それさえできれば、この大学は世界でベスト・イン・ザ・ワールドと言われるような大学院大学になると確信をしております。
  30. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 私の持ち時間がだんだん少なくなりました。秋元先生、ちょっと食い込むかもしれませんが。  次に、統計改革についてお伺いをしたいというふうに思います。  櫻田副大臣、さっきからもうお待ちでございますから先に質問をさせていただきたいと思いますが、我が国の統計行政を見ますと、各府省がその所管行政に係る統計調査を実施する分散型統計機構を採用するということでございます。政府統計の総合的な調整機能と国勢調査などは、基本的統計調査を総務省が所管することになっております。  統計制度の見直しにつきまして、今、統計審議会の新中・長期構想に代わるものとして、各府省統計主管部局長会議等がございまして、統計行政の新たな展開方向というのがあるようでございます。また二つ目といたしましては、行政改革規制改革民間開放の推進の中で、統計事務の民間委託の推進調査結果の共有化、大規模統計調査の一元化が閣議決定等で強力に推し進められております。  そういう観点から、いろんな統計が各府省でばらばらになっているということでございますから、この政府部内での異なった組織で様々な統計改革、改善の動きというものがあるわけでございまして、この役割分担について櫻田副大臣、御説明をいただきたいというふうに思います。
  31. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 経済社会を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、今日、我が国の統計は時代の変化や新たなニーズへの対応が求められているところでございます。今後の統計整備に当たっては、個別の統計とそれを支える法制度の両面から改善を図ることが重要であると認識しているところでございます。  個別の統計に関しましては、基本方針二〇〇五に記載のある経済センサス、サービス統計、観光統計について、それぞれの関係府省において検討の場が設けられ、取組が着実に進んでいるものと認識しているところでございます。また、法制度に関しましては、司令塔機能の強化等について内閣府の統計制度改革検討委員会で検討が進められているほか、統計調査結果の多様な利用などの論点については総務省で研究会が開催されているところであり、両者で連携を図りながら検討を進めているところでございます。  委員指摘のとおり、このような統計改革、改善の動きを視野に入れつつ、関係省と連携を取りながら、整合性の取れた提言となるよう今後更に検討を進めてまいる所存でございます。
  32. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 統計について二、三お伺いしようというふうに思っておりますが、そろそろ持ち時間でございますが。  これ、国勢調査など、新聞報道等でしか分かりませんけれども、やはり個人情報保護という観点から、なかなか住民皆さんが応じていただけないとか調査協力していただけないというような報道等も新聞で見受けたわけでございますが、やはり統計調査というのは国の経済政策や社会政策決定の基になる大変大事な事業でございまして、国民や企業協力が得やすいような調査方法を導入することなども積極的に講じていただきたいというふうに思います。  これはもう最後にしたいと思います。観光統計の体系的な整備についてお伺いをしたいと思います。  統計改革の中で、いわゆる第一次委員会報告書政府統計の構造改革に向けてでは、我が国の観光統計の現状について、包括的な統計がなく断片的な情報にとどまっている、統一的な基準がなく統計間の比較が困難、公表の頻度や集計期間が一定でない等多くの問題を抱えており、政策立案の基礎となり得るような信頼できる統計が未整備であるというふうに指摘をされておるわけでございます。  私、観光リゾートを大きな柱と先ほども申し上げましたけれども沖縄県でちょっと聞いてみたわけでございますが、沖縄県では観光入域状況が毎月公表されておりまして、一月は何人だった、何十万人だったというような統計がすぐ出てくるわけでございます。  沖縄県では、やはり航空機と船舶だけしかないわけでございまして、大変計算、カウントがしやすいというようなこともあろうかと思いますが、これは観光客の中に混じってビジネス客もかなりいるんではないかというようなことも指摘をされておるわけでございます。混在率というのがあるようでございまして、三年に一度の実態調査に基づいて計算をされておられるようでございまして、この観光客とビジネス客の混在率、これは現在採用されているのは平成十五年値ということでございます。  東京とか、本当に、栃木県は日光とか、いろんなところの観光施設をたくさん持っているようなところは、陸地からやりますとカウントが本当に難しいんではないかというふうに私は思うんですが、ここをどなたか、どういうふうな統計の仕方をしているのか、御説明をいただければ大変有り難いというふうに思います。
  33. 柴田耕介

    政府参考人柴田耕介君) お尋ねがありました。まず、東京都と栃木県の関係を御説明させていただきます。  東京都及び栃木県から聴取したところによりますと、東京都におきましては、観光関連施設等に対する調査、これに基づきまして、観光地点の入り込み客数と宿泊施設に対する調査に基づく宿泊施設宿泊客数を基に平均の訪問観光地点数、平均宿泊日数等のパラメーターを活用いたしまして、東京都全体の観光入り込み客数を推計しているという状況でございます。平成十六年における都内在住者を除外いたしました観光入り込み客数は一億七千百万人、このうち外国人は四百十八万人、宿泊観光客数は二千二百七十五万人、このうち外国人は百六十一万人と、こういうふうになっております。  栃木県におきましては、統一的な方法がございませんで、各市町村が独自に集計した区域内の観光入り込み客数及び宿泊観光客数を県が単純に足し合わせておりまして、外国人、日本人の別のデータも把握しておりませんで、平成十六年におきましては、観光入り込み客数は七千百五十八万人、宿泊観光客数は八百七十一万人と、こういうふうになっている状況でございます。  このように、東京都においては都内における同一の方法によって一応推計、そういったことが行われておりますが、栃木県におきましては市町村が別々の基準になっているということで、これらを都道府県別に容易に比較するというようなことができないような状況になっております。  こういったことを勘案いたしまして、観光立国の実現を図る上からも、現状を的確に把握し、また各種観光施策の効果的な検証を確実に行うために、平成十六年の観光立国推進戦略会議、この報告書におきましても、観光の国際競争力強化のためのソフトインフラとして観光統計の体系的な整備を促進するということが指摘されているわけでございます。  国土交通省におきましては、これまで旅行消費額等に関する旅行・観光消費動向等調査を実施してきたところでございますが、先ほどの提言を受けまして、特に宿泊施設については、観光旅行者が長時間滞在するために詳細な調査が可能であり、また統計調査を円滑に実施するための組織体制も比較的整備されていること、また諸外国においても宿泊統計の導入、整備が図られていること等を踏まえまして、平成十八年度から宿泊統計調査の実施に向けまして現在予備調査を行っているところでございます。  これらを着実に実施することによりまして、早期かつ定期的に、また比較可能な観光統計の体系的な整備を実施してまいりたいというふうに考えてございます。
  34. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 もう政府の統計調査、本当に国の経済政策あるいは社会政策決定に大変重要なことでございますので、しっかりやっていただきたいということをお願いを申し上げまして終わります。  ありがとうございました。
  35. 秋元司

    ○秋元司君 自由民主党の秋元司でございます。  前回、前々回に続きまして質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  予定時間は十二時十二分となっておりますが、皆さん昼はいろいろあるでしょうから、なるべく十二時に近い形でいきたいと思いますので、どうぞ答弁の方も簡潔にひとつよろしくお願いしたいと思います。  まず一点目は、この内閣府が出されている毎年景気の動向、景気対策又は経済政策、財政政策の基準となるこの「改革と展望」について、またその「改革と展望」についての基本的な目安となる経済財政のモデル、いわゆるシミュレーションについて今日は何点かお伺いをさせていただきたいと思います。ちょっとオタク的な話になるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。  前回の参議院予算委員会のときにもこの質問をさせていただきました。今年の予算、緊縮財政とは言わないまでも、まあ比較的、一般会計は八十兆、そして国債も三十兆を切るという極めて小さな政府を目指した予算になっている。これについてはある一定の我々としても評価をさせていただいているものでありますが、その前提となる経済の動向、これをシミュレーションが導き出し方についていろんな学者の皆さんの見解があるわけでありますけれども、私が質問をしたときは、実は二〇〇五年版、ちょっと皮肉なんですけれども質問をした翌日に二〇〇六年版が発表されたんで、二〇〇五年版を中心に質問させていただきました。  そのときの内容としては、いわゆる、今回我が党でも議論をしましたけれども、この定率減税の縮小、廃止に基づいて又はたばこ税等の増税に基づいて、いわゆる家計の負担増を今回約二兆円ほど行ったわけでありますが、この二〇〇五年版の経済財政モデルで示されているシミュレーションとしては、名目GDPの一%相当額増税した場合におけるシミュレーションとしては、結果的にはまた経済が縮小傾向になる、その景気を悪化させて、またデフレも悪化させる要因になるんじゃないか、そしてまた名目GDPも押し下げる要因になるんじゃないかということを質問したわけでありますけれども、二〇〇六年版では実はちょっと関数を変えまして、消費関数を変更しまして、もっと、この減少幅がちょっと改善されておりますという回答が内閣府の方からあったんですが、この理由について御説明いただきたいと思います。
  36. 齋藤潤

    政府参考人(齋藤潤君) お答え申し上げます。  「改革と展望」の参考試算に用いております経済財政モデルでございますが、これにつきましては、様々な議論におこたえするため、あるいは基礎とする国民経済計算の改定等への対応のために累次にわたって拡充あるいは改定をしてきております。本年の参考試算に用いた第二次版と言っているものも、第一次版あるいは第一次改定版の後継のモデルでございます。  今お尋ねございました経済財政モデルにおきます特に消費関数の考え方でございますけれども、基本的な考え方としては、毎年度の平均消費性向が均衡消費性向と呼んでおります長期的な水準へ収束するという構造を基本としておりまして、この点は昨年の試算に用いた第一次改定版も、それから本年の試算に用いた第二次版でも変わっておりません。  ただし、本年の試算に用いた第二次版では、これに加えまして、消費には習慣性とかあるいは契約性がございまして、可処分所得の伸びの変化ほど短期的には消費は変化しないといういわゆるラチェット効果といったものを考慮するようにいたしました。このため、第一次改定版に比べまして短期的な可処分所得の変動の影響が緩やかに発現してくるという構造になっておりまして、第二次版の所得税の乗数も第一次改定版よりも初年度においては小さくなっているということでございます。
  37. 秋元司

    ○秋元司君 そのラチェット効果というやつを私はあんまり知らなかった、ラチェット効果でいいですね、存じ上げなかったんで。確かに理論的にくれば、理論的な話をすると、なかなか短期間においては一度味わった、何というんですか、ぜいたくというのはなかなか短期期間においては変わらないという話であると思いますから、それはそれとして理解をさせていただきますけれども、一方では、何か政府として数字のつじつまを合わせるためにやったんじゃないかなんという話も一部出ておりますので、そういった誤解がないように是非いろんな意味での情報公開をしていただきたいということが一点であります。  でも、私も昨日改めてこの数字を拝見させていただいて、見させてもらったわけですが、一年目は、確かにこの名目GDP、実質GDP、物価、それぞれこの下落の幅は昨年のモデルに比べると減ってはいるんですけれども、二年目、三年目になりますと、やっぱりこの第一次、昨年の出したモデルと同じ数字になっていくという傾向があって、結果的には、その名目GDPも実質GDPも、この減少幅というのは行き着くところは変わらないんじゃないかな、傾向的には変わらないんじゃないかなという思いがあるわけでありますけれども。  そんな中で、今消費税の話もちょろちょろ、来年以降の話出てきている中で、やっぱり今現在、まあ我が総理も言っておりますが、デフレ状況下だと、しかし同時に財政再建をしていかなくちゃいかぬという話をされていますけれども、そういった方面への影響というのを、今日は副大臣にお越しいただいておりますけれども、政治家としての見解も含めてお答えいただきたいと思います。
  38. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 御指摘のとおり、現在の物価動向を総合してみますと緩やかなデフレが続いているという認識でございます。設備投資の増加や個人消費の緩やかな増加などを背景として、景気というものは着実に回復しているという認識を持っているところでございます。  また他方、我が国財政は公債等残高が平成十八年度末には対GDP比で一四三・五%、いわゆる七百三十七・二兆円程度に達すると見込まれることなどからして危機的な状況にあることから、財政を着実に健全化していくための具体的な道筋を明らかにして、それを確実に実行していくことが経済財政運営の最重要課題であると考えておるところでございます。このため、本年六月を目途に歳出歳入一体改革についての選択肢及び改革工程をお示しし、経済財政諮問会議の場で精力的に議論しているところでございます。  いずれにしろ、財政健全化民間需要主導経済成長の持続なくしては不可能であることから、マクロ経済財政との関係に十分注意を払いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
  39. 秋元司

    ○秋元司君 ありがとうございました。  この政府債務の考え方につきまして、債務そのものの額を重視するのか又は対GDP比を重視して考えていくのかと、これは経済財政諮問会議でもいろいろと議論が分かれているという話がありますけれども、先日私が予算委員会で財務大臣あてに質問したときには、まあ個人的な見解であるけれどもという、またプライマリーバランスの黒字化以降、二〇一一年以降の話であるかもしれないけどという前置きがありましたけれども、やっぱり対GDP比率、これをどう圧縮するかということが一つのポイントであるという見解を示していただいたんです。その中で、やっぱり何というんですか、デフレ状況下と、景気が回復基調に今なったとはいえ、我々はどうしても二〇〇〇年のあの政府政策の失敗と言っちゃあれですけど、語弊があるかもしれませんが、あのことが頭をよぎってしまうわけであります。  私は、最終的にこの名目GDP、経済のパイをどう拡大していくかということについて、やっぱり経済政策というものを考えていかなくちゃいけないと、そう思う論者の一人でありますが、もっとも今この財政においてなかなか政府財政支出を出すということはできないということは前提に置いていますが、そういった局面において、どうですかね、副大臣、政治家として、本当にある程度増税局面に持っていくと必ずそこに悪影響が後々するんじゃないかと私は思いがあるわけでありますけれども、いかがですか。
  40. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 増税基調の前に、今政府で取り組んでいるのは歳出の削減に十分取り組んでおりますので、ひとつそれを踏まえながら長期的な視野に立って歳入の増加を図るための一つの政策の一つとしての増税ということもあろうかと思います。
  41. 秋元司

    ○秋元司君 分かりました。ありがとうございました。ちょっと時間もないもので、次のテーマに移らさせていただきたいと思います。  続きまして、先日、この委員会でも視察をさせていただいて、いわゆる特区によって今回認可されておりますこの大学の視察、LEC東京リーガルマインド大学を視察させていただいたわけでありますが、その際にいろいろと疑問に思う点がたくさん出てきてしまいましたので、ちょっと今日はこの場をおかりして何点か質問をさせていただきたいと思います。  まあ日本の大学、今学生も含めてよく言われることでありますけれども、本当に日本の学生は勉強しているのかということがよく言われるわけであります。ですからこそ、学生をどうやる気にさせるか、そしてどうモチベーションを上げていくか、これは今高等教育における課題であるのかな、そんなふうに思っております。  そういった中で今回、教育改革を進めているという方向性の中で、株式会社が直接学校経営をする、こういったことを認めた特区について私は個人的には非常に興味を持っているんですけれども、改めてこの目的についてお伺いしたいと思います。
  42. 大前忠

    政府参考人(大前忠君) お答え申し上げます。  株式会社が学校を設置することを認める特例措置でございますが、多くの地方自治体や民間事業者からの具体的な提案を受け、関係省庁とも議論を行った上で実現に至ったものでございます。  この特例措置を活用して、株式会社も大学の設置主体となり得ることによりまして、多様な資金調達が図られたり、多様なニーズに応じた大学教育が提供されることが期待されるものと思っております。
  43. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) よろしいですか。
  44. 秋元司

    ○秋元司君 はい。この設置の目的の中で、いろいろと議論はあると思うんですけれども、株式会社そのものが直接経営、学校法人を経営するということのちょっと説明をお願いできますか。
  45. 大前忠

    政府参考人(大前忠君) お答え申し上げます。  学校の設立主体でございますけれども、従来は都道府県などの地方公共団体のほか、私立の学校につきましては学校法人のみその設立にかかわることが認められておりました。これにつきまして、新たに株式会社が設立主体となることを認めるというものでございます。
  46. 秋元司

    ○秋元司君 そうしたことによる、今までの従来型と、今回、株式会社が直接経営をすることについてのメリットというのはどのように考えていらっしゃいますか。
  47. 大前忠

    政府参考人(大前忠君) 先ほどお答え申し上げましたことを繰り返す形になりますけれども、一つは、株式会社でございまして、株式を発行して資金を調達することができることになります。そういう意味での資金調達の多様化が図られるということがあると思います。  あとは、株式会社の様々な背景で設立されるものでございまして、そうした背景を踏まえて多様なニーズに応じた大学教育を提供することが可能になるものと思っております。
  48. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 別な観点から少し申し上げますが、社会が非常に多様多岐にわたるようになってまいりまして、今までの法学部とか工学部とか建築学部、農学部という形ではなくて、それ以上にいろいろな情報だとか、あるいは一つの都市計画にしましても下水だとか、それだけではなくて、それを総合的にした都市計画といったような講座が必要だのに、それが十分に機能されていないのが現在、大学でございます。  しかし、その専門分野で非常に大変な能力を持った方も出ておりますが、それは、しかし将来、大学生でない、大学卒じゃないということになってまいります。  それともう一つは、今の日本の大学設置法は大変厳密にといいましょうか、運動場が幾らないといかぬ、校舎がどれだけで、もうそしてそれの認可を得るまでには数年掛かりますよ。もうそうではなくて、その社会的なニーズにどうこたえていくかという中で、今回この特区、一つの限定した形の中でそうした大学設置法とかいうことではなくて、そこの自治体が認め、またそこでの手を挙げる、そうしたしっかりとした学校法人にも相当するような教育が施せるところは認めていいではないかということが今回のこの特区における大学の設置を認めたことになるわけでございまして、そういう形でこれが発足したわけでございます。
  49. 秋元司

    ○秋元司君 今大臣にお答えいただいたその方向性は私は面白い試みであって、非常に大学におけるこの硬直化した教育内容より、今あるあらゆる幅広い人材、特に現在活躍している人が講師になって大学に来てもらったりだとか、余りアカデミックな分野だけを追求しますと、現在の状況と違う形での生徒が生まれてしまってはこれは何のための高等教育なんだということもあると思いますから、それはおっしゃるとおりであると思います。  当然、今の大臣おっしゃられた、なかなか大学は認可が下りづらいという話がありましたけれども、今現在は比較的、事前チェックから事後チェック型に変わってきていると思うんで、その辺については多少幅があるのかなと思うわけでありますが、そんな中で、今日、文科省にもお越しいただいて、副大臣、馳副大臣にもお越しいただいておりますが、本来、文科省が考えると言っちゃ語弊があるかもしれませんが、大学教育の役割とか目的ということと同時に、今回、正に事後チェックということの中で、文部科学省が大学を、何といいますか、評価調査をされたんですね。その結果も併せて、大学の役割ということと併せてちょっとお答えいただきたいと思います。
  50. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) チェックについてはまた政府委員から答弁させていただきます。  そもそも大学の設置の目的ということについてお答えさせていただきます。  学校教育法の第五十二条、この目的を書いてございますので、まず読み上げます。「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」、こういうふうな大学の設置の目的が書かれておりまして、いわゆる資格試験予備校が技術や技能を習得するための明確な目的を持った学校であるのとは違って、やっぱり学生の人格の発展を促すとか、また一般社会人としての基本的なやっぱり素養を身に付ける、こういった要素が社会的にも求められているものだと、こういうふうに考えております。
  51. 秋元司

    ○秋元司君 恐らくそれが大学の役割であって、特に、何といいますか、日本の場合は小中高、どっちかというと管理教育の中にある中で、初めて大学に行って自由な選択幅が生まれる中に自分自身がどう授業を受け、又は授業、学問の追求のほかに様々なことを学ぶかという選択枠が与えられているんじゃないかと思っているわけであります。  で、文科省ですけれども、今の調査結果についてお伺いしたいわけでありますけれども、私も新聞でしか見ておりませんが、三月三日、文科省に今回調査した中で法令上より問題があると警告を受けた大学がこのLEC東京リーガルマインド大学とデジタルハリウッド大学で、あとほか何校かあったと思うんですが、この二校につきまして、何が、どういった点が今回問題ということで警告されたのか、そして同時に、今、先日、我々が視察させてもらったこの東京リーガルマインド大学における、何というかな、定員数と、それプラス退学者も出ているというふうに聞いていますけれども、この辺も含めてちょっとお伺いしたいと思います。
  52. 泉紳一郎

    政府参考人(泉紳一郎君) お答え申し上げます。  今委員指摘の三月三日の調査結果の公表でございますけれども、これは新設大学等に対する平成十七年度の年次計画履行状況調査というものでございます。その中で、株式会社立大学でございますLEC東京リーガルマインド大学とデジハリ、デジタルハリウッド大学等に対しましては、法令に抵触する、あるいはその疑義がある状況であるということで、強く改善を求める留意事項を付す方針を示したところでございます。  具体的に申し上げますと、LEC東京リーガルマインド大学につきましては、平成十五年度の認可の際から、資格取得に偏ることなく豊かな人間性を涵養する教育を行うこと、あるいは施設設備や図書の充実を図ることなどを求めてきたところでございますが、今回の調査結果におきましては、それらに加えまして、例えば、専門科目がこの大学の学校設置会社でございます株式会社東京リーガルマインドの経営いたします資格試験の予備校と事実上同一化されておって、正規の学生とこの予備校生が混在している、あるいは正規の学生が十分な学習相談が受けられずに、ビデオ授業等による一方向の知識の詰め込みの学習のみになっているおそれがある、こういったこと。それから、科目等の履修生というのがおるわけですけれども、この単位の認定方法が不適正な点が依然として十分に改善されていない。さらに、専任教員の教育研究上の責任体制等が本来の専任教員の役割、責任が果たせるかについて疑義がある。あるいは、教学面の重要事項が教授会の審議等に付されているかどうか疑問があるといった点が新たに問題として明らかになったところでございます。  また、デジハリ、デジタルハリウッド大学につきましても、平成十五年度の認可時から、教育課程を一層体系的なものにすることや施設設備の充実を図ることなどを求めてきたところでございますけれども、今回の調査結果といたしまして、学生に示す成績評価の基準が各教員の間で理解が異なっていて大学としての統一が図られていない。あるいは、シラバスなどの教務の面の重要事項等が学生に十分に明らかにされていない。さらに、多数の留学生を送るということを目標にしているにもかかわらず、海外の受入先の大学との調整がいまだに十分に完了していない。あるいは、現行の狭隘な校舎では教育上支障が生ずるおそれもあるため、入学者数を適切に管理するとともに施設の拡充を早急に行う必要がある等々の問題点が明らかになったところでございます。  それから、これらの大学の定員の充足状況あるいは退学者の状況でございますけれども、LEC東京リーガルマインド大学におきましては、学部、これは通学制のものと通信制のものとございます。通学制のものは開設二年目、通信制のものは開設一年目でございますけれども、合わせてトータルで退学者が約一割という状況でございます。定員充足率につきましては、全体として約四割、通学制の方はほぼ充足されておりますけれども、通信制の方は充足率が約一割という状況でございます。  それから、開設一年目になります専門職大学院がございますけれども、これについては、退学者はございませんけれども、定員充足率は約四割という状況でございます。  それから、デジタルハリウッド大学におきましては、学部、これは開設一年目、それから大学院は開設二年目でございますけれども、学部、大学院とも退学者は数名といった状況で、定員はほぼ充足していると、こういった状況でございます。
  53. 秋元司

    ○秋元司君 開設したばかりでありますから、これからいろんなことを学びながら発展的に頑張っていく、そういったことは当然理解をさせていただくわけでありますけれども、私も先般この大学を視察させていただいたときに感じたことでありますけれども、何というんですか、やっぱり、こう言っちゃ失礼かも分かりませんが、何か資格予備校としての色彩がどうも強いんじゃないかなという思いにもなりましたし、先ほど馳副大臣がおっしゃられたこの本来の大学の目的、役割ということを考えますと、大学らしい教養の教育だとか、又は学問研究とか人格形成のためのそういうコミュニティースペースの提供とかというところに甚だ疑問を持ったわけであります。当然、生徒さんの顔ぶれを見ましたけれども、隣に実は日大さんがあったんですけれども、こちらの大学生の顔を見ると、何か、大学なんだけれども、こちら側は受験生じゃないのかなと、そんな思いにもなりました。  数々のいろんな問題点も今文科省の方から指摘されましたけれども、こういった現実を見まして、中馬大臣、どのような御感想をお持ちですか。
  54. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今の改善の指摘事項、これが事実であるとするならばやはり少し問題であるなと私も認識は今いたしました。しかし、これは創設間もないということで、これの改善は是非やっていただきたいと思います。  一義的には、これは自治体が、自分たちの子弟のことも含め、またその町の発展のためにこうした大学を、特区を認めて、特区という形でも実施してほしいという一つの要望があっただろうと思いますし、そしてまた、これを別に株式会社であろうと学校法人であろうと、大学として認定するのは文部省でございますから、この両方に、一義的には私はもう少ししっかりといい大学になるように指導してやっていただきたい、そのように思う次第でございます。
  55. 秋元司

    ○秋元司君 おっしゃるとおりでありまして、やっぱり文科省もこれからしっかり指導していただきたいと思いますし、その指導を受けて、その株式会社立大学の皆さんは、やっぱりそのことを率直に受け止めて、しっかり改善すべきところは改善していきたい、私もそう思うわけであります。  そういった中で、実は私は、あのときの、何といいますか、視察の際に、何点か大学とのレクの時間がありましたんで、そのときにも質問させていただいたんですけれども、やっぱり私は、大学というのは人格形成の場という色相を教育ですから強く私は出すべきだと思っておりまして、いかにそんな知識ばかり詰めてしまっても、またいかにもうける技術だとかいろんなこと、生きていく経済的な利得の勉強をしたとしましても、そこに人格が形成されていなければ、それが結果的に犯罪行為になって非生産性を生んでしまう、非社会性を生んでしまう、こういったことにも私はつながっていくと思っています。  だからこそ、実は大学という場においては、今全人大学なんて言われている時代でありますから、人と人とのコミュニケーションが大変必要であって、そのためには、我々もう大学は卒業してしまいましたけれども、サークルであるとか部活動だとか、もう一つは、そういったのに入らない人も、授業は行かなくちゃいけないのは当然なんですけれども、多少のことがあって授業に行けなくても、みんなが集まるような、学食みたいな、そういうフリースペースがあれば、そこでいろんな人と人とのコミュニケーションをすることによってキャンパスライフを充実に過ごせるということに私はつながっていくと思いますので、是非そういった観点からも、これはもう文科省にも申し上げたいんですが、その今回の勧告を出された大学に対しても積極的に話をしていただきたいなと思うわけであります。  それで、今大臣の中にも、自治体、地方自治体という話もございました。この大学、特にLEC東京マインド大学は全国に今十一か所事業展開をしていらっしゃるんです。当然、自治体申請でありますからあれなんですけれども、最初から千代田区自身はこの全国規模になっていくということを承知の上で本当にこの特区計画を受け入れられたのかなと、ここをちょっと私は少し疑問に思っております。それと同時に、この自治体ということに関しましては、この法令上の問題が生じるような大学というか事業者を、何というのかな、全く実態を把握しないで自治体が安易にこの特区計画を作るとすれば、これは私はいかがなものかなと思うわけでありまして、改めてその自治体の責任ということについて大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  56. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 個々の事例につきまして私も細かく精査をいたしておりませんが、先ほども申しましたように、地域の振興なり、また子弟の教育のために必要だということで、何といいましょうか、申請をしてきたものと承知いたしておりますから、それが全国展開しているかはともかくとしまして、その自治体が私はやはり責任を持っていただくべきだと思っておりますし、それから、もちろんそれを合わせて、認定した文科省の方にもこの同じ形で、それをより良きものにしていただく。どうしても問題があればともかくとして、これが改善の余地があるんであれば、どんどんと改善を私は指導していくべきだと思っています。
  57. 秋元司

    ○秋元司君 その全国展開という話の延長でありますけれども、今でも実はこのリーガルマインド大学は、専任講師というより非常勤講師が非常に多いと言われて、やっぱり授業のカリキュラムの特性上、何といいますか、資格試験に合格するためにはそれなりの授業のコマ数を受けていかなくちゃならない、専門性を有するということの中で、いわゆる契約、何といいますか、契約社員というんですかね、契約講師的な方が、要するに常勤じゃない教授、講師の方が数多くいらっしゃるらしいんですね。そうなるとどうなるかというと、全国展開するとどうしても、そういう専任の教授さんというのはある程度キャパがあるんでしょうから、そんなに大学としてキープするのが難しいという局面もあるんじゃないかなということを私は個人的に感じております。  そういった中で、先日、同じように視察を行った際に、大学から、今後更に事業拡大をしていきたいという話もございました。そして、更に定員も増していきたい、ひいては私学助成金を受けられるような規制緩和もしてくれないかという話もあったり、ほかの意味での規制緩和ということもございましたけれども、そういった要望が、一応、我々委員会としては一応受けたんですよ。委員会として受けたというよりは、彼らの質問の中にあった、質問の要望の中にあったわけですね。  そういった中において、今回、今現在、結果的には法令上問題とされたこの事業者が、今、内閣府に対してもっと規制緩和してくださいよと要望が受けたときに、大臣としてはどう対処されるおつもりか、ちょっとその辺あたりをお伺いしたいと思います。
  58. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) そういう問題が、今回のこの指摘も含めて、それが余り改善されないままになお展開していく、そしてまたいろいろな国からの助成措置もといったときには、我々としても慎重に検討せざるを得ないと思います。
  59. 秋元司

    ○秋元司君 今日何点か申し上げたのは、別に私、特区制度そのものを別に反対しているわけじゃなくて、特区によって創意工夫をするという意義は私は非常に大事だと思っていますし、ある意味、地域のやる気を出させることは非常に必要であると私は思っております。  ただ、この特区とか規制緩和という話に連動してしまうんですけれども、やっぱり地域限定でいいものとか、また全国規模に広げていいもの、それぞれあると思うんですね。もう一つは、もっと極論を言うと、こういう特区とか規制緩和になじむものとかなじまないものとかいうものが私はあると思うんです。いわゆる規制が、緩和と規制強化と言っちゃ失礼ですけれども規制維持ですね、このバランスを持ってこの社会というのは成り立っていると思うんで、その点を私は非常に前々から指摘をさしていただいておりまして、今我が国のこの内閣の体制としては、規制緩和と、そして当然、官から民へという流れは当然あるでしょうから、緩和、何でも民に進めればいいということばかりが先行していまして、実は、もっともっとこれ時代の変化によってある意味規制を強化しなくちゃいけないんじゃないかなと思われる議論はそれを対象に議論する場がないもので、大臣のお立場としては規制緩和をする、民間開放していくという立場の大臣でありますから、その大臣にこういうことを言うのは大変恐縮なんですけれども、その点のバランスをやっぱりトータル的に考えていただきたいなと思うわけであります。  特に、今回は教育という分野でありますから、これは私は失敗は許されないし、もしこの是正勧告がなされ、警告がなされても改善できなければ、これ最終的にはこの免許を取り上げるというか認可取消しになるわけですから、そうすると当然、生徒の人はかわいそうなんですよね。卒業はできたとしても、振り返ってみれば自分の母校がなくなってしまうなんていうことは本当寂しい話なんで、教育においては失敗というものが許されないということで、是非今後とも慎重にしていただき、またこういう分野については特段の配慮をいただきたいと思っております。  それで、ついでで大変恐縮なんですけれども、この際、この特区制度そのものの運用について何点かお伺いしたいんですが、その覚悟と決意というものをお伺いしたいわけでありますけれども、やっぱりこの運用というのは公正で透明性のあるものにしていかなければならないと思っております。特に、この特区担当の部署と内閣府としては、取りあえずこれが特区になりました、なりましたって数をやっぱり並べると、おお、よく頑張っているなという評価になるわけでありますけれども、本来、この提案数の数を増やすことが規制緩和自体の自己目的になっては私はならないと思いますし、また、大臣、本当首振っていらっしゃるんで相当もう自覚を持っていただいていると思うんですけれども。  あともう一つは、内閣府は事業者に対してある程度内容の説明とか、こういうものですよという中立的な立場での助言をされること、また情報提供をされることはいいと思うんですけれども、事業者に対して提案とか要望を内閣府が早く持ってきなさいよと出すことは、これは私はいかがなものかなと思っております。  また、先ほどからの延長線でありますけれども、法令に違反がある、いわゆる法令遵守に問題があると言われている業者からの要望、今規制緩和さえすれば今出ている問題点はクリアになりますよと、だからこれを何とか規制緩和してくださいと、そういった要望は、取りあえずはこの特区制度を守るべきということの中でそういうことは一切受けないということをしっかりルール化すべきだと思うわけでありますけれども、以上の点いかがでしょうか。
  60. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 特区制度の目的やこうした現代的な意味でそれぞれの地域が自分たちのアイデアや自主性を生かしていく、それを御理解いただいていると思います。  ただ、この特区の提案をどんどん増やせということを目的にしているんじゃなくて、逆に、今私たちはまだまだ浸透していないなと思いますのは、特区という言葉を知っているという方でも半分ぐらいしかないんじゃないかと思いますし、中身まで理解しているというのは、八割ぐらいが知らないとおっしゃっているところが多いんですね。各自治体の長をお集めしてのいろんなことを聞きましても、十分にこれを活用したいけどどうしたらいいか分からないとか、まだまだ私は浸透していないと思っております。それぞれのところでかなりいいアイデアを持ちながら、それを具体的に提言するまたスタッフもいないといったところもあります。そういったところをいかに指導して、その町や村が自分たちの一つのアイデアと、またボランティア精神も含めて、そこでいろんなことが、全国的な展開ができないにしても、そこだけやるという、どぶろく特区的なそういう発想で村おこしをしてもらうことを私たちは願っているわけでございますが、そのところを、逆に、無理やり出してこいと言った覚えはありませんし、逆に、自由に出していただけるようなその政府広報といいましょうか、またいろんな会合において、各代議士の皆様方も、また参議院皆さん方も是非ともお願いしたいんですが、自分たちの町でもこういうことで一遍面白いアイデア出して自分たちの町を活性化しようじゃないかといったことの方法も含めて、この特区制度をそれぞれ町おこし、村おこしの手段に使っていただけたらというのが担当する私の気持ちでもございます。
  61. 秋元司

    ○秋元司君 是非、今大臣がおっしゃられたその方向性で頑張っていただきたいと思いますし、我々も当然それについて応援をさしていただきますし、本当に、これから道州制の議論もされていますけれども、やっぱり地域が特色を持って、又は地域のブランド性を高めるという意味でもこの特区というのはすばらしい制度であって、これからは国が画一的にいろんな政策を行うんじゃなくて、地域に合わせた様々な施策又は地域が自らの足で立つという意味においては、この特区制度というのは私すばらしい制度であると思っていますから、是非頑張っていただきたいと思います。  じゃ、大臣、どうぞ。
  62. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) ちょっと補足さしてもらいますが、これも近々こうして数年やってみたことの見直しをする時期に来ております。  そういう中で、ちょっと皆さん方にも御披露しますけれども、せっかく特区したのに、全国的に展開されたら自分たちの町の特色がなくなるじゃないかと、なるほどなと思いましたね。だから、逆に特区として置いておいてほしいんだという町もあります。  ともかく、そうしたいろんな、やってみての結果、こういう方式がいいんじゃないか、こういう形のものまでも特区にした方がいいんじゃないかとか、そうしたことも含めて、見直し作業の中で今委員の御指摘の点を取り入れていきたいと思っています。
  63. 秋元司

    ○秋元司君 ありがとうございます。  それで、ちょっと違った角度からの質問をさしていただきたいんですが、いわゆる今、国の政策、今まで我が国政策決定はどうするんだという議論をするときに、立法府があって我々議会は政府に対してチェック機能というのを働かしていただいているわけでありますけれども、同時に、余りにも議会が強過ぎて、官邸、政府の指導力がないじゃないかという話もあったんで、今は、現在、非常に小泉総理のリーダーシップの下に官邸主導でいろんな物事が決まっているなんていうことが言われて、議会人としては大変情けないなという気持ちも持っているわけでありますけれども、いずれにしましても、政府が様々な政策決定をしていく中の前提条件として、特に役所は審議会制度というのをつくっていらっしゃって、それで今回もこの特区については、いろんな学識経験者の方又はそのときに活躍している文化人の皆さんとか入れて一つの政策について議論をしていく。当然、この特区制度についても様々な議論をし、そして教育分野における特区制度を認可する、認可というんですかね、言葉は、認定するということについてそれぞれの委員のメンバーが集まって議論をしていくと思うんですけれども。  当然、これは出された結果が余りにもひどければ、我々立法府の方というか議会の方でおかしいじゃないかということは当然議論するわけでありますが、最近、どうしても政府と与党は一体となっているというこの議院内閣制ということもありまして、大体官邸で決まってくる流れは議会として必然的にあうんの呼吸で受け入れざるを得ないんじゃないかという雰囲気もあるわけでありまして、多少細かいことは議論をするわけでありますけれども、大まかな方針としてはそのとおり通っていくということもあるわけであります。  そのために、私は、選定される委員というのは、じゃどういう形で構成されるのか。  先日は皇室典範の有識者会議というのでも議論されましたけれども、同じように、私は、この特区を考える委員又はこの規制改革を議論する委員のメンバーというのはそれなりの私は民主主義的な要素を持っていいんじゃないかなと。それともう一つ、そこで議論されるメンバーというのはどういう意見を持って議論をされるのかと。もう一つは、そこで議論される委員のメンバーというのは、例えば今回の教育特区の話であれば、教育特区、株式会社の経営、直接経営ということに対して賛成の意見もあればまた慎重にすべきじゃないのという意見もあり、そういった方を同時に入れて議論をするという場が私は必要じゃないかと思っているわけなんです。  その中で、以前、これ二〇〇四年だったんですけれども、正にこの教育特区の中で、これ新聞報道ですから、ワタミフードサービスの渡邉社長さんですかね、本当は、彼は実際、今大学の理事長さんをやっていらっしゃるということもあって、まあ民間皆さん民間が比較的この学校経営するということに対しては非常に推進派の人であるというイメージがあったらしいんですけれども、彼が実際、自分が学校を、大学を経営してみて、株式会社が直接、株式会社というのは当然金を、資金調達する中に最終的には配当をしていかなくちゃならないわけでありますから、配当をするという行為自体がどうなのかなという話と、実際、学校法人であるならば寄附ですから、学校が多少利益が出ていったという仮定をするならば、そうしたらその利益というのはじゃだれに還元されるのかというと、学生に本当は還元されなきゃいけない、これが教育なんじゃないかなという議論の中に株式会社の直接参入はなじまないんじゃないかという提議をされたと聞いていますけれども。  そうしたところ、本来、この民間開放の委員として、委員というか、これには作業部会と書いていますからまあ委員という言い方をしますけれども委員に内定していたんだけど、ちょっと違う方向の発言したから、内閣府としては委員としてはふさわしくないから外れてくれ、辞退してくれということを言ったということがこれは記事になっていまして、結論ありきの審議会全体の体質というのはいかがなものかということをマスコミとしては訴えた記事になっているんですけれども、この点について、大臣、どのような見解をお持ちですか。
  64. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 私の就任以前の問題ですから又聞きにはなりますけれども、このことは例の規制改革民間開放推進会議、これで、今言いました特区においても株式会社も含めたそうしたものを大学に積極的に認定していくということももう決まったことであったわけですね。そして、それを具体化するための専門委員の中に今御指摘の方が一時何かノミネートされたやに聞いております。  しかし、その方は、もうあらかじめPTをつくるそのPTの目的に反対だという方をその専門委員にするのはやっぱりおかしいということで外されたと聞いております。
  65. 秋元司

    ○秋元司君 たまたま今具体例を示させていただいたんで、この方についてはこうだという話がありましたけど、全体的にやっぱり私は審議会の体制というのはいろんな意見を持った方を入れてそこで議論をする。そう言うと必ず言われるんですけれども、いや、一応公聴会で一応賛成も反対の意見も聞いていますと言うんですけれども、構成されるメンバーの皆さんの基本的に持っている、何というんですか、バックボーンというのは大事でありまして、幾ら公聴会で聞いてああそうですかじゃなかなか結論には私は至らないと思いますので。やっぱり、特に民間開放、まあ特区、これは確かに進めようと思えば抵抗があるというのは当然であって、これを中央突破していかなくちゃならないためには、まず先に進めなくちゃならないためにはそれなりの事務方としての苦労はあるのは承知しておりますけれども、やっぱり行き過ぎというのは私はよくないと思いますので、そのチェックのためには議会があるだろうというのは当然のことなんですけれども、それが今我が国現状ではなかなかその議会チェックがどこまでできるのかなということもありますから、たたき台をつくる段階でやっぱりしっかりしたものをつくっていただくというのも私は必要なことであると思いますので、是非、今後ともこの点について、大臣の責任としてしっかりよくメンバーを見ていただきたいと思うんですけど、いかがですか。
  66. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) いろいろの推進会議や、あるいはまた推進会議専門委員とか第三者会議有識者会議とかいろいろとして、たくさんの審議会等ができていることは御承知かと思いますが。  私自身も、かなり同じ方があっちこっちに名前だけ連ねている場合もありますし、それから、偏ってはいないでしょうけれども、幅広くマスコミの方々も学者の方々も、また実際経営にずっと携わってきてそれなりの成果を上げた方、私は幅広くなっていただいていると思っていますが、ともかく、これから新たになっていただく場合には、余り過去で何回もいろんなところにタッチした人でない新鮮な人を入れていきたいと私自身は思っておりますし、私も今度はあるいはそういう立場で何人かの方々を任命しなければいけない立場になりましたので、そういうことで今委員おっしゃいましたような形の、ひとつ幅広く、また多くの方々から信頼を得る方々を極力政府のこうした諮問機関の委員になっていただくように努力してまいりたいと思います。
  67. 秋元司

    ○秋元司君 ありがとうございました。是非御検討をお願い申し上げますので、応援させていただきます。よろしくお願いします。頑張ってください。  次に、テーマを移らさせていただきたいと思います。  今日は猪口大臣にもお越しいただきました。今日、私にとって唯一の大臣でございますから、是非よろしくお願いしたいと思います。  男女共同参画社会実現、そしてまた少子化対策という、ある意味、過去の我々の常識から考えていると、女性が社会進出をすると、それで少子化対策が止められるのかなという単純な疑問を思う方々も多いと思うんですね。しかし、それを打ち砕くために両方対策をするという大臣として今頑張っていらっしゃると思うんですね。  その中で、まず先に政府参考人から行きますが、この数年前に出された報告書、いつも私はこのデータを見て本当かなと実は思うんですけれども、雇用、少子化男女共同参画に関する社会環境の国際比較というこの報告書が出されているんですが、これについて簡単に解説をしていただけますか。
  68. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) お答えいたします。  男女共同参画会議の下に設置されました少子化男女共同参画に関する専門調査会において、女性労働力率と出生率の関係及びこれらに影響する社会環境を国際比較で分析し、昨年九月に報告書を取りまとめました。  この報告書によりますと、国民一人当たりGDP一万ドル以上のOECD二十四か国では、一九七〇年時点では女性の労働力率の高い国ほど出生率が低いという傾向がありましたが、二〇〇〇年時点では女性の労働力率が高い国ほど出生率が高いという傾向が見られております。また、女性の労働力率と出生率がともに上昇している国におきましては、両立支援等に係る社会環境、例えば施策ですとか制度ですとか価値観等が整備されているということが指摘されております。  以上です。
  69. 秋元司

    ○秋元司君 というデータが出ているというのが現実でありますから、やっぱり先進国といわゆる発展途上国とは違うし、時代も変化してきて、日本がこれだけ先進国となった今、それぞれの女性も男性もいろんな意味での社会的価値観も変わってきたのかということは、率直にこれを受け止めさせていただきました。  しかし、まあデータはあくまでデータですからね。やっぱりそれぞれ国が持っている文化というものは多少あると思うんですね。ですから、そういったことも含めて、これから、じゃトータル的にどうこの少子化問題と、そしていわゆる男女共同参画ですから、女性における社会進出というものをどう考えていくかという話になっていくと思うんですが、その辺、両方を加味しまして、まず大臣としての見解をお伺いしたいと思います。
  70. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 今局長から説明しましたとおり、この調査によりますと、女性の労働力率が高ければ高いほどまた出生率も高くなるというその二つの変数の間には正の相関、統計的に有意な相関が見られるんですね。ところが、これは最近においてということです。例えば、三十年前のデータを取りますと、これは直観的には必ずしもそうではないんではないかと先生おっしゃいますとおり、実は逆の相関が見られるわけです。  一九七〇年から二〇〇〇年までのこの三十年間の間に一体各国ではどういうことに取り組んで、その結果、女性が働けば働くほど子供がより良く、よりたくさん生まれるという結果を得たのかということを考えてみますと、この三十年間掛けて仕事と家庭が両立するような社会を築いてきたのだと思います。両立支援、ワーク・ライフ・バランスとヨーロッパでは呼んでいるようなんですけれども、そういう社会政策が充実していくプロセスがあったと。具体的には、保育関係の事業の拡充でありますとか、育児休業の取得の制度があってもその利用が普及していないという実態がある場合がありますけれども、その利用の普及でありますとか、あるいは男性も含めた、例えば長時間労働などの働き方の見直しが進んだというような様々な家庭と仕事、両方選択できる政策があったと。  日本の場合、実際には、先生御存じのことと思うんですけれども、七割の女性が第一子の出産前後に職場を退職しているわけです。残りの七割が育児休業制度を活用できていると。男性の育児休業制度の活用につきましては〇・五六%と。スウェーデンなどではこれはパパクオータがあるんですけれども、八割ぐらいに行っていると。  先生おっしゃるとおり、国情は違う、また過去三十年のそのプロセスというのも違うので、一律に海外の情報というものが、あるいは今この分析に見られます一般的な傾向というものが直ちに日本についてどうということではないとは言えると思いますが、しかし我が国世論調査を取りましても、今申し上げました家庭と仕事と二者択一ではなく、両方実現したいと、そのための支援が欲しいというような声が非常にパーセント、高く出ております。  それからもう一つパーセントとして高く出ますのは、やはり若い世代においてなかなか経済的な不安定感から結婚を先延ばしにすると、未婚、晩婚化ということにつながると、したがって経済的な支援を若い世代に寄り添うような形で示してほしいというような世論もございますので、少子化男女共同参画を担当します私といたしましては、この両立支援を徹底し、またさらに若い世代の声をしっかりと聞きながら、家庭と仕事を両立させたいと思う若い世代についてはそれが可能なような社会を築いていくための施策を推進してまいりたいと思っているところでございます。
  71. 秋元司

    ○秋元司君 明快な御答弁、ありがとうございました。  もうそれはそれで私は是非進めていただいて、主婦の、まあ女性の方でも家庭と仕事の両立、求めていきたいという皆さんについてそれが妨げられる要因があるのであれば、積極的にその両立に向けた施策づくり、またひいては予算づくりというのは大いにやっていただきたいと思うわけでありますけれども、ただ、どうしてもメディアを通して出ていくイメージ、男女共同参画といいますと、何か働く女性が格好良くて、逆に専業主婦になる人というのはじゃ女性としてどうなのって、何かそんなイメージが植え付けられていまして、特に私の世代ですよ、団塊世代のジュニア世代というのは、テレビで見ますと、ドラマで見ますと、やっぱり大臣みたいな家庭を両立しているキャリアの女性がみんなうらやましく思うわけですよ。  だから、もう大臣は実は非常にモデルとして本当に頑張っていただきたいんですけれども、ただ、そういう人が非常によく頑張っている、これが女性の新しい生き方ですよというイメージが先行して、じゃ子育てをするために保育園には預けないで家庭で子供を育てる、若しくは主婦業というのを、主婦業って、もう私も家内に任せっきりですけど、すごいあるんですよね、一日やろうと思えば、もう切りがないほどある。そういった仕事をしている女性の評価はどうなのかなということになって、何か税制改正でもそうでありますけれども、この扶養控除は縮小に行くとか、そんな変な方向になりまして、どうしても家庭で働いている女性に光が行かないわけですよ。  だから、どうしてもそういうイメージが先行すると、私も何か働かなくちゃいけないのかとか、新しい女性の生き方像というのは、とにかく働いて家庭と両立する人の方が格好いいのかというイメージに駆られがちなものでありまして、私もいつも党なんかでも反省しているんですけど、ついつい東京の立場から言うと待機児童をゼロにしなくちゃいけないから保育所つくれなんて言って、いつも保育所を考えろなんて言って、まあ東京都ではこの認証保育進めましたけれども、結果的には別に少子化という流れは変わらずに、相変わらず東京なんかは出生率低いわけですよ。  だから、やっぱりこの考え方、思想というものをこの数年、どうしてもこのキャリア女性、華やかであり格好いいというイメージが先行しちゃったんで、そういう、実際、女性がキャリアとして、又はどんどん働いていただくのは大いにこれは奨励する話であるんですけれども、そういう今むしろ両立をしてうまく本当にモデルケースとして、まあある意味、女性のかがみとしてなっている大臣の、人が、女性の仕事として主婦業、これは大事なんですよと、これはこれで大事なんですと、それは価値観の問題であると思うんですけど、そういうこともやっぱり褒めたたえて、主婦業としての仕事、子供を別に保育所に預けずに家で育てて、そして難しいいろんな様々な御近所のお付き合いもありましょうから、そういったことをしっかり家庭を守るという立場でやっていらっしゃる女性もこれは立派な仕事だということを、まあある意味強調していただくのは語弊があるかもしれませんが、そういう人にも光が行くような私は大臣の言葉とか、そういったものをこの共同参画社会実現というこの基本法の中にしっかりと植え付けていただきたいと思うんですけれども、この辺いかがですか。
  72. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 秋元先生、大変重要な御指摘くださったと思います。  私個人は仕事を続けてここまで来ましたけれども、出産、育児、やはり非常に大変な時期なので、御近所のいわゆる専業主婦の友人たちがもう夕飯を届けてくれたり、空飛ぶ夕飯というぐらいにもう感謝申し上げて、マンションに住んでいますから上の階から来たり、そんな地域での助け合いが本当に大事で、私を勇気付け、また物理的にも助けてくれました。今先生のお話伺っていまして、そういうときのことをまざまざと思い出したのであります。  私は、そういう意味では幸運でありまして、多くの方に助けられてきたんですけれども、社会制度としてそういう助け合いのネットワークをつくることができれば、もっといろいろな形でいろいろな立場にある女性、働く希望を持っている、あるいは働かなければならない、いろんな理由で女性は働いていますので、助かることになるのではないかと思うんです。  ですから、やはり働く女性のための様々な施策をしっかりと推進することは重要なんですが、最近いろいろな調査でまた分かりましたことは、いわゆる専業主婦の方が非常にまた不安感を抱えていて、また育児においても孤立感を深めていると。ですから、そもそも保育関係事業というのは働く女性のためだけではなくて、むしろ地域におけます子育ての支援のための拠点をつくっていかなければならない。で、保育園などは働いているといないとにかかわらず、不安があって相談したければ常にそこに来ることができる、また場合によっては一時預かりなどのそういう拡大的なサービスも提供する、そういう新たな地域におけます子育て支援のシステムの構築、これを少子化対策の大きな方向性として今議論しているところでございます。  既に、子ども・子育て応援プランといいます今実施しているプログラムがございまして、その中に地域におけます子育ての支え合いということはあり、そういう中でいわゆる専業主婦の方、在宅育児をなさっている方の知識や経験は非常に貴いものとして位置付けております。  また、いわゆる専業主婦の方が、では働かなければというふうな思いを抱く抱かないということではなく、いろいろな地域での活動に実は従事されているわけです。そのような対外的に御自身の経験や個性を生かしていくということは、これからの地域を維持していくためにも非常に重要であるわけです。  先ほど申し上げましたワーク・ライフ・バランスと言うときには、日本では家庭と仕事の両立と、やはりその部分がまだできてませんのでそういうふうな概念で言いますけれども、より広く世界ではワーク・ライフ・バランスですから、生活と仕事の調和ということで、その生活という部分に地域活動、NGO活動、そういうことも含まれるわけです。ですから、自分の所得の主たる源泉としての仕事とその他の活動ということが両立できる社会となりますと、いわゆる専業主婦の方々が地域において果たしている役割の重要さは、今後、地域におけます子育て支援拠点をつくっていくときに改めて確認されていくことと信じております。
  73. 秋元司

    ○秋元司君 本当に多岐にわたる御答弁ありがとうございました。是非今おっしゃった方向で頑張っていただきたいと思いますし、最近は私の友人の中でも、役人でありますが、子供ができたので育児休業取るっていう、そういった傾向も見られてきているんですよ。私も実はびっくりしたんですけれども、身近にそういう人間が出てきています。ただ、残念ながら、私の世代、結婚している人少ないんですね。同級生、サークル仲間が三十人ほどいますけれども、結婚しているのは三組だけです。三十四歳ですよ、この年齢でいない、これが現状でありまして、まあそういった意味でも、この少子化問題というのは本当に考えていかなくちゃならないかなと思っております。  もうお昼になりましたので、ここで質問終わりたいと思います。以上です。
  74. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  75. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、内閣重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 芝博一

    ○芝博一君 民主党の芝博一でございます。  安倍官房長官質問通告を私と併せて同僚議員とさせていただいておりましたけれども、昨夜急遽、衆議院の本会議官房長官が中座をされるということになりましたので、私の質問時間は少し変則になりますけれども、まずは官房長官にお尋ねをさせていただきたいと、こう思います。  総理が私的の諮問機関の皇室典範に関する有識者会議を立ち上げられまして、そこで女性天皇と女系天皇の導入を、そしてさらには長子優先を柱とする皇室典範の改定を提言されました。そして、それを受けまして政府が法改正に着手をされましたが、しかし、御存じのように、拙速な改定に反対する各界有志の皆さん方や、さらには国会議員の声の高まりと同時に、秋篠宮家の御慶事を迎えたことにより、今は、現在、慎重な対応が取られていると、こう解釈をしております。  そこで、今回の提言をされました皇室典範に関する有識者会議の有識者選考の経過と基準について、さらには改めてその構成人数と、さらには毎回政府側も多くの皆さん出席をいただいておりましたけれども出席構成者の数についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  77. 柴田雅人

    政府参考人柴田雅人君) お答えを申し上げます。  まず、皇室典範に関する有識者会議の選考の経過あるいは考え方から申し上げますと、皇室典範に関する有識者会議は、象徴天皇の制度が広範な国民の理解と支持を基礎とするものであるということから、皇位継承の問題につきましても幅広い観点から大所高所から御議論をいただくということで、これにふさわしい高い見識を有する十名の方々にお願いをいたしました。  それから、選考の過程でございますけれども内閣官房が適宜宮内庁と相談しながら候補者を絞り込みまして、最終的には内閣総理大臣から依頼をしたということでございます。  それから、政府側の構成ということでございますけれども会議の開催に当たりましては、まず必ず出席していたのは事務副長官、それから宮内庁次長以下、事務局は緊急の所用がない限りは全員出席しておりました。それから、官房長官、それから政務の副長官におかれましては、国会状況等により必ずしもすべての回に出席をされたわけではございませんけれども、できる限り出席をしていただいたということでございます。それから、総理につきましては、初回と最終回に出席をされております。
  78. 芝博一

    ○芝博一君 これは十人の委員、専門の皆さん方を有識者として選考いただいたということでありますけれども、宮内庁と相談もされたという御発言もいただきました。しかし、最終的にはこの十人に絞り込むまで、その十人に最終的に決定をする判断をしたのはだれがされたんでしょう。
  79. 柴田雅人

    政府参考人柴田雅人君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、絞り込むときには当然我々事務方も絞り込みの、何といいますか、材料をそろえたということは間違いございませんが、最終的に決定をしたときには、官房長官、そして総理に相談申し上げて、そして総理から依頼をしたということでございます。
  80. 芝博一

    ○芝博一君 最終的な部分の判断は官房長官という御理解をさせていただきました。  その中で、例えばこの有識者の中には、日本の歴史や文化に関する専門員の方がどのぐらい見えて、例えば、特に皇室制度の専門家がいたのかいなかったのか。  さらに、吉川さんが座長を務められておりますけれども、吉川さんの専門分野についてもお尋ねいたします。
  81. 柴田雅人

    政府参考人柴田雅人君) まず、有識者会議委員十人の中で歴史の専門ということでございますと、笹山先生が日本古代史の御専門でございます。それから、歴史や皇室制度に関しては、専門的な知識云々ということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、人選の方針が幅広い観点から大所高所の御議論をいただくということでございましたから、その一般的な意味での高い見識を期待したということでございます。そして、専門的な知見は別途ヒアリング、八名の方に五月の下旬と六月の上旬においでいただきまして、そこでヒアリングをして審議に反映をさせたということでございます。  それから、吉川座長の専門分野でございますが、一般設計学というふうに承知しております。
  82. 芝博一

    ○芝博一君 今お聞きをいたしますと、特に歴史とか文化等々についての専門家はお一人というような感覚を取らさせていただきました。果たしてこの人選でよかったのかなというのが私個人の思いでありますけれども、この吉川座長が答申、提言をされた後、歴史観も議論すべきだが、それは国会で議論すべき問題と発言して、有識者会議では歴史と伝統に関する検討を行いませんでした。  しかし、私は、皇室の本来の本質は歴史と伝統そのものであり、歴史と伝統を議論せずして今回の提言はなかったんではなかろうか、こんな思いをしているところであります。この見解について、官房長官の御所見伺いたいと思います。
  83. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 有識者会議におきましては、皇位継承の歴史について十分に認識を深めるとともに、男系継承の背景にあると思われる考え方を整理し、また認識した上で制度の検討を行ったということでございまして、それらの考え方の当否を判断したりあるいは優劣を論じたりすることは、特定の歴史観や国家観を否定することにもなるため適当ではないと判断されたものと承知をしております。  この問題については、国民一人一人の多様な歴史観、国家観を極力尊重しつつ、古来、男系継承が続けてきたという事実と、現行憲法に定められた天皇の制度の趣旨を基礎に検討を行うことが適当であるというふうに考えております。  もちろん、今までの歴史的な経緯についてはしっかりとこの有識者会議の方々は勉強をされたということでございますが、目的としては、皇位継承の安定を図るためにはどうすればいいかという観点から議論をしっかりとしたと、こういうことでございます。
  84. 芝博一

    ○芝博一君 今官房長官のお言葉の中にも、有識者の方はいろんな形で勉強を今回されたと、こういう話でありましたけれども、果たしてそれが事実なのかなという疑問を持っております。有識者会議の開催回数、これは十七回と聞いておりますし、それからトータルの時間も、開催時間のトータルも三十時間で約十か月、これで果たして、今官房長官が言われました百二十五代、二千年の歴史、伝統を持つ日本の皇室制度を本当に十分に議論できる時間と体制にあったのかというのは私、大変疑問を持っております。特に、有識者の皆さん方の認識、ある意味では全部同じではなかったと、こう思います。  有識者の皆さん方のトータルの、すなわち委員皆さんのトータルの出席率と個々の出席率が分かりましたら御報告ください。
  85. 柴田雅人

    政府参考人柴田雅人君) まず、トータルの出席率でございますが、公式会合は十七回やっておりますけれども、九一%、それから非公式会合、これは三回やっておりますが、公式会合と非公式会合を合わせますと九〇%ということですから、九割ということでございます。  それから、各メンバーの出席状況ということでございますが、全会、公式会合、非公式会合、全部出席をされた方は三名いらっしゃいます。それから、非公式会合は一回欠席がありますが、公式会合を全部出席された方が一名。それから、いろんな都合、事情がありまして、なかなか残念ながら御出席いただけなかった方で一番出席率が低いという方でも七割の出席率になっております。
  86. 芝博一

    ○芝博一君 本来、日本の国体を決定付ける大変重要な有識者会議の位置付けで今言ったような、ある意味では出席をすべてされなかった方もいることも事実であります。私も今言いましたように、時間からいっても認識からいっても十分に議論されたのかという疑問がありますけれども、このような状況の下、本当に十分な議論がされたのか、十分な時間が確保できたのか、官房長官、一言で御所見をお聞かせください。
  87. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) こうした有識者会議、諮問会議を開く際には、ほかの会議でもそうなんですが、なるべく多くの方々の日程を調整するよう心掛けるわけでありますが、しかし、そうは申しましても、なかなかすべての方々の日程をすべて調整し尽くすというのは難しいわけであります。もちろん、皇室典範の改正という重要性にかんがみまして、できる限り多くの方々が出席していただけるよう、また多くの方々もそういう認識の下に、結果として九割の出席率であったと、こう思うわけであります。  そういう意味においては、与えられた使命をよく理解をしていただき、しっかりとした議論をしていただいたのではないかと、このように理解をしております。
  88. 芝博一

    ○芝博一君 先ほどの報告にもありましたように、有識者会議とは別に、併せて識者のヒアリングを行っております。これは二回で約四時間三十七分に及んでいると思いますけれども、そのメンバーを見ますと、ほとんどが大学教授か、若しくは教授なんですね。いわゆる学者さんでありますし、学問の世界からこの議論はされたと、そんな推測をしております。しかし、議論されるべきは、今も申し上げましたように、日本の伝統や歴史、文化というものを外しては必ず、議論ができないと私は思っているわけでありますけれども、学者に絞ったこのヒアリング、そこについての見識、見解がありましたらお聞かせください。
  89. 柴田雅人

    政府参考人柴田雅人君) 確かに、この八人の方を見ますと、大学教授、助教授という方が、ほとんど皆そうでございます。ただ、それは最初からそういうふうに絞ったということではございません。このヒアリングの趣旨は、先ほども申し上げましたように、皇位継承問題について専門的な知見を有する方ということでございますから、既にそういう知見を何らかの形で明らかにされている方から、しかも様々な角度からお話を伺えるようにということで選んだ結果がこのような結果になったということで御理解をいただきたいと思います。
  90. 芝博一

    ○芝博一君 どうも私は結論ありきの形で人選されたんではないかなと、そんな思いを抱く一人でもあります。といいますのは、今言いましたように、広い分野、すなわち実社会で活躍するいろんな人々、例えば文化界であったり宗教界であったり経済界であったり、また司法や行政や立法等々の代表の部分、そのような部分の皆さん方のヒアリングも意見聴取もされていないというのに大変不満を持っております。  そこで、今後、官房長官はその所信の中で、皇室典範の改正問題は与党を始め国民各層における議論を見守りながら取り組むとしておりますけれども、果たしてこの国民各層における議論とは具体的にどんなことを対象に表しているんでしょうか。そして、見守りながら取り組むというその手法についてお尋ねをさせてください。
  91. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 法案提出に当たりましては、まず法案提出の段階で与党に御議論をいただきまして、与党の御了承をいただいて国会に提出をし、そして与野党の皆様に御議論をいただくという、こういう運びになるわけでありますが、現在、与党においてこの有識者会議の方々の報告書について御議論をいただいているわけでございます。その中で、種々の勉強会等々も重ねていただいているわけでありますし、また多くの方々の御意見にも耳を傾けていると、このように伺っております。  国民の各界各層というのは、多くの国民の方々がこの問題についていろいろな議論をされている、そのことを十分によく注視をしながら党内での、また与党での議論が進んできている、そういうところから総合的に多くの国民の声を吸収した中での議論になっていくのではないかと、このように思っております。  いずれにいたしましても、皇位継承におきましては、多くの国民の方々から賛同をいただける形の中でのこの皇室典範の改正でなければならないということでございます。そのことを踏まえてただいま与党で御議論をしておられる、これを政府としては見守っていくと、こういうことでございます。
  92. 芝博一

    ○芝博一君 官房長官、一点具体的にお聞かせください。  三権の長、この経験者がたくさんおられます。それはこの国のそれぞれの分野で、三権の分野で経験と、そして日本国全体を見回してきた見識のある方々だと思っておりますけれども、すなわち歴代の総理や歴代の議長経験者、また最高裁の長官経験者、その皆さん方から改めてヒアリング、お声を聞くおつもりはございませんか。
  93. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この皇室典範は、憲法の規定に基づき、国民の代表たる国会で審議、議決されるものであると、このように考えておりまして、政府としては三権の長から意見を伺うことは考えていないわけでありますが、党における議論の、また与党における議論の中ではそういうこともあり得るかもしれないと、こう思っておりますし、また国会で議論を進めるに当たり各界の方々の御意見を伺うかどうか、これは国会の御判断であろうと、こう思っております。
  94. 芝博一

    ○芝博一君 私は、是非三権の長の経験者の皆さん方も含め、また国民の声に耳を傾けた形で、国民が納得いただける、大多数の国民の納得をいただける結論、そして中身を見いだしていただきたい、内容を見いだしていただきたいと、こう思うわけでありますが、官房長官官房長官は皇位継承問題についてどんな基本認識をお持ちか、お聞かせください。
  95. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 皇位継承については、安定的な皇位継承が行われていくということが極めて重要でございます。今後の皇室の御繁栄、そして我が国の将来を考えた上において何とかこの皇位継承を安定的なものにしたいと、こう考えている、またそれは多くの国民にとって同じ思いではないかと、こう思っているわけであります。その中で、長い皇室には伝統、これは正に国民とともに歴史を紡いできたわけでございます。その歴史を紡いできた中心の糸であるのも私は厳然たる事実であろうと、このように思っているわけでございます。  繰り返しになりますが、その中でどのようにすればこの皇位継承を安定たらしむことができるか、これはもう長年の日本人の知恵と、そして今、二十一世紀に生きる我々が国民とともにしっかりと議論をしていかなければいけないと、このように考えております。
  96. 芝博一

    ○芝博一君 時間の関係上、官房長官、国民の多くは、こんな声が多いと思っております。伝統を守る方法というのはいろんな形である、そしてまだまだ議論する時間が残されているのにどうして政府はその決定を急いで決めようとするのか。ここのところに大変国民の皆さん方が懐疑的な思いを持っているわけでありますから、是非、国民各層の意見を聞いていただく、そして、継承だけがまず大事でありますけれども、その前提、基本には日本の伝統、歴史、文化の皇室制度を守っていくというこのことがなければならないと、こう思っておりますので、是非お聞き留めをいただきたいと、こう思います。  私の質問は前段、まずは終了させていただきます。
  97. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 民主党・新緑風会の柳澤光美でございます。  官房長官が四十五分までということでございまして、是非その以内に官房長官にいろいろお伺いしたいと。特に、新聞の世論調査等でも最も総理に近い断トツの人気でいらっしゃいますし、私の思いを込めて、是非日本現状認識と今後の在り方あるいは将来ビジョンについて、小泉内閣の一員という立場だけではなくて、個人的な思いも込めて率直にお話しいただければというふうに思っております。  最初に、議論になっております格差社会についてでございます。  小泉総理は当初、格差拡大は見掛けにすぎないというふうに断言をされていました。その後、能力や努力の差を反映する格差は正当だと主張されました。最近では、格差の固定化は望ましくないと多少軌道修正をされています。しかし、一昨日の読売新聞の世論調査では、八一%の人が所得など格差が広がっていると感じていると答えています。このことについて、安倍官房長官は格差というものに対してどのような今基本認識を持たれているのか、率直な見解をお聞かせいただきたいと思います。
  98. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 格差の問題については、これはなかなか人それぞれの受取方にもつながっていくわけでありまして、非常にこれもまた一概に論じるのは難しいと言ってもいいんだろうと、こう思うわけでありますが、小泉改革がスタートし、規制を緩和し、あらゆる構造の改革を進めてきたわけでありますが、その中からいろんな殻を突破して、またいろんな規制を突破して活躍をしている人たちが出てきたのも事実であろうと。そういう人たちは正にグローバルな活躍をしているということも言われているわけであります。  しかし、なかなかこういう改革を進める中において、特定の産業また特定の地域においては、そのような規制改革緩和が行われたことによってかえって状況が厳しくなるということも十分にあり得るわけでございます。それは、今までのやり方を変えているわけでありますから、ある意味では当然なわけでありますが、しかし、大切なことはフェアな競争が行われるのかどうか、頑張った人が、あるいは知恵を出した人が報われる社会をつくっていくというのが私たちの目標でございます。  そういう中で、フェアな競争が行われる中で活力が生まれ、その活力が日本経済を押し上げ、そしてまた日本の力を押し上げていくということにつながっていく、そういう改革を行ってきた、このように自負をしているところでございますが、大切なことは、その中で格差を固定化させない、いわゆる勝ち組、負け組を固定化させないことが大切であろうと、こう思うわけでございます。競争する限り、どうしてもそれは勝つ人もあれば時には負ける人もいる、それが未来永劫固定しない、もう一回頑張ればチャレンジできるという、もう一回チャレンジできる社会をつくっていかなければいけない。勝ち組、負け組で固定化される、階級化される社会をつくってはならないと、このように思うわけでございます。  いわゆるこの格差が、多くの方々から納得していただけるプロセスによって生まれて、納得できるものなのかということが大切なんだろうと思うわけでありまして、世論調査によっても国民の多くは格差があるということについては認めている人たちも多いわけであります。要は、それが余りにも広がらないということについては、我々しっかりとこれは留意していかなければならないんだろうと、こう思うわけでございます。  私の選挙区も山陰地域でありまして、山口県は山陰と山陽、もう名前が光と影になっているわけでありまして、我々はこの格差を、陰陽格差を何とかしたいというのが例えば私の地元の悲願でもあるわけであります。しかし、決して山陽側と同じような町をつくりたいというのではなくて、山陰には山陰の良さがありますので、ここをいかに伸ばしていくか。山陰地域に生まれた人たちにもちゃんと同じチャンスがある、頑張れば正当な活躍の場、結果が得られると、そういう形にしていくことがこれは政治の役割なんだろうと。  そしてまた、人は不幸にして病気になるときもあります。そういうときにはしっかりとしたこれは医療保険がある、あるいは介護保険がある、そして将来には年金がある。そして、不運にも生活の基盤が崩れてしまった人たちに対しては、しっかりとした社会保障のこうしたセーフティーネットもきっちりと構築をしていくことが大切ではなかろうかと、このように考えております。
  99. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 小泉総理と全く同じような答弁をいただいて残念に思っているんですが。  私は、先回の内閣委員会でもお話しさしてもらったんですが、UIゼンセン同盟といいまして、民間のあらゆる産業、業種が集まっているところの出身でございます。約三千組合ございまして、八十七万人、北海道から沖縄まで、コンビニもありますから事業所でいうと二十万近くなるわけですが、そこを本当に全国津々浦々、職場をずっと歩かしていただいておりまして、本当に涙が出るような場面、ずっとここのところ見てきています。サボっているんなら別なんですが、本当に休みも休まず朝から晩まで死に物狂いで働いている、それでもどうにもならない。しかも、それが休日提供であったりサービス残業になっている。もちろんボーナスが吹っ飛んでいますし、少しでも出ればめっけもの、あるいは大幅な賃金カットが行われる。さらに、職場をみんなで守ろうと希望退職に応じて仲間と涙ながらに別れて、その挙げ句が事業所閉鎖、店舗閉鎖が続く。  私は体感、体で感じるんですが、むしろ今、格差が固定するどころか、むしろ拡大してきているという感覚を持っています。特に大企業と中小、そして零細の間、あるいは業種間、業績のいいところと悪いところ、もちろんそれはそうなんでしょうけれども、あるいは取引関係でいえば立場の強い企業と弱い企業、働く者でも正社員と非正規、弱いところに全部そのしわ寄せが行っている。官房長官、勝ち組とおっしゃいますが、本当に私は勝ち組の方は一部だろうと、ほとんどの人が厳しい状況に置かれていると。  実は、昨日が賃上げ交渉の山場、いわゆる集中回答日だったんですが、自動車とか電機など大手、少し前進したというニュースもあってある意味ではうれしいんですが、今日の朝刊を見ると、朝日は、賃上げ好感、格差は不安、中小への影響は。読売も、中小企業への波及は不透明だと。あるいは日経も、勝ち組より強く。あるいは毎日は、ベアまだら模様、同業種でも格差。産経は、手取りアップ、実感乏しく、税、年金、保険、負担が増えるというような見出しにむしろなっています。  これ以上もう時間がないんでお伺いしませんが、ただ、格差の問題というのは、データを見て机上論で見るんではなくて、もっともっと現場にじかに入っていただく。確かにお忙しいのは分かるんですが、そんなことを是非大事にしていただきたいなというお願いをしておきたいと思います。  もう一つ、日本の将来ビジョンというか小泉改革についてもちょっとお伺いしたいんですが、先ほどの世論調査で、五六%の人が小泉改革が格差拡大に影響しているというふうに答えています。私自身もずっとその主張をしてきたんですが、小泉改革は強い者しか生き残れないという市場原理主義を、いわゆるアメリカンスタンダードですが、急激に私は入れ過ぎたというふうに思っています。その結果が、ジャパニーズスタンダードである人に対する思いやり、助け合い、そして血縁、地縁、職場の縁という、人間関係を大切にする日本の歴史と伝統と文化をかなり壊してしまったと。  もちろん改革は必要だったと思うんですが、改革にも変えていいことと変えてはならないことがあるというふうに言い続けてきました。この辺について安倍官房長官はどのように、このままアメリカンスタンダードを続けるのか。まあ皇室典範だけではないんですけど、日本の良さというのをもう一度取り戻す必要があるんではないかというふうに私は考えますが、どのようにお考えでしょうか。
  100. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私どもは、決してアメリカと同じような社会をつくろうというふうには全く考えていないわけであります。日本には日本の伝統があり良さがあり、そして培ってきた文化があるわけであります。その上において、この市場経済の中において日本競争力を持たなければならない、その意味での改革であろうと、こう考えているわけであります。  例えば、先ほど申し上げました医療の保険制度につきましてはアメリカは皆保険ではないわけでありまして、民間の保険を中心にしているわけでありまして、決して私はそうした、いわゆるこのセーフティーネットの仕組みの中においてああいう形にするのはいいというふうには思っていないわけでありまして、しっかりと公的な保険によってセーフティーネットが張られるという社会は、正に日本人古来からの助け合いという考え方の上に成り立っている保険制度ではないかと、こんなようにも思うわけでございます。  その中で、先ほども申し上げましたように、このグローバルな社会の中で競争に打ち勝たなければ、残念ながら日本においてもこれ生き残ることはできない。ということであれば、生き残れるようなこれは仕組みにしていくということではないかと、むしろしっかりと生き残っていく人が多くなるための構造改革ではないかと、こう思うわけでございます。  もちろん、格差が広がっているかどうかということについては、まあニートと言われる人たちとか、あるいはフリーターと言われる人たちが増えている、また特定の産業においてはなかなか厳しい産業があるのも事実でございます。そういうところにもしっかりと政治の光を当てていくことが大切でありますし、意欲のある人たち皆さんに対しては、しっかりとチャンスをある意味つかめる、同じように均等にチャンスのある、そういう仕組みにしていく、また支援をしていくということもとっても大切なことであろうと、このように思うわけでございまして、幸い現在も有効求人倍率は一を超えてきたわけであります。やはり、例えば失業率とか有効求人倍率というのは、どれぐらい痛みが出てきているかということを見る上においては、これは一番分かりやすい指標ではないかと、こう思うわけでございます。  そういう意味におきましては、小泉構造改革を進める中でも、痛みはある意味では改革の中においては最小限にとどめているのではないか。しかし、常にそういうところを注意をしていく、また光を当てていくという努力を政治はしていかなければならないということは当然のことではないかと、こう思っております。
  101. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 私はもっと、日本の良さでいくと血縁、地縁、職場の縁というネットワークが、今、家庭崩壊につながったり地域のネットワークが壊れたり、それからもう一つは企業の人間関係、いわゆる日本の労使関係が壊れてくる。その企業の在り方についても、経営者が本当に小泉改革の中で非常に市場原理至上主義に偏り過ぎた。ですから、例えば企業は株主のためにだけあると、株価をつり上げて時価総額の大きさを求めたのがライブドアの事件でありますし、利益だけ追求するという考え方が耐震強度偽装問題や東横インの条例違反にもつながっている。  で、私は、企業というのは株主のためだけではなくて従業員のためにもある、そして取引先、地域社会、国のためにもある、ステークホルダーはたくさんいるというふうに考えておりますが、官房長官はどのように思われますか。
  102. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 会社はだれのために存在するかと、こういうことでございますが、いわゆる株式会社について言えば、株主の出資により設立され、その経営によって株主が利益を得るための法的な仕組みであるということから、第一義的には株主のためにもあると言うことができるわけでありますが、しかし一方、株式会社は、その活動が顧客、従業員、地域社会、そして債権者等に重大な影響を与える場合も少なくないことから、社会一般にとっても重要な存在であり、その意味で株主のみならず従業員、債権者の利害関係人のための法的な仕組みであると言うこともできると、このように思うわけでございます。  また、企業の利益は他社との競争力の向上により増大するものであり、この競争力は優秀な人材があってこそ生み出されるものであります。したがって、企業経営の在り方としては、従業員を大切にするとともに、当該企業を取り巻く利害関係人の利益に的確に配慮し、当該企業の利益を最大化するという目的を志向すると、こういうことでございますが、要はやはり、日本にはかつて家族的な経営ということがよく言われていたわけでありますが、やはり従業員がいかに安心して心地よく仕事ができる環境をつくることができるかどうか、それによってやはり企業の活力も出てくるわけでありますし、結果として競争力も出てくるということではないかと、このように思うわけでございます。  つまり、常に従業員が経営者の経営によって不安にさらされている企業は、結果としては、もちろん株主に対しても、またいわゆる顧客の方々に対しても十分にこたえることはできないと、また存続することもできないのではないかと、そういう自覚をやはり経営者の方々にはしっかりと持っていただきたいと。  つまり、経営者、自分だけが利益を得ればいいんだと、自分だけが大金持ちになればいいんだという考え方はこれは明らかに間違いであって、それはやはりそういう富を生み出すのも従業員の協力があってみんなで生み出した富だという、これは認識を持つことが大切ではないかと、このように思っております。
  103. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 大変何か時間が押しているみたいですが、一点だけ、済みません。本当は時間取っていただいて……
  104. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 済みません、何か本会議が、衆議院の本会議でちょっと質問が当たっておりまして。
  105. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 そうですか。
  106. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 済みません、恐縮でございます。(発言する者あり)済みません、何か本会議早まったということでありまして、私の質問の方がですね。
  107. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 いや、私は四十五分までというふうにお伺いしていたんで、その順番で質問をさしていただいていたんですが。
  108. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 済みません、ちょっと。(発言する者あり)
  109. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 もしあれなら、一点はじゃ戻られたときに。
  110. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ちょっと衆議院に間に合わなくなってしまうんで、済みません。
  111. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 分かりました。大変残念なんですが。
  112. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 柳澤君。
  113. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 済みません。  じゃ次に、今、安倍官房長官も言われたように、本当に人を大切にするということがいろんな意味でおろそかになってきた。家庭が、いわゆる血縁でいえば家庭の崩壊、あるいは地域のネットワークの問題、あるいは日本の労使関係の中で、労使で生産性を上げてその中でお互いに助け合う、健康保険組合をつくる、厚生年金基金をつくる、あるいは共済会をつくる、その辺が全部カットになっていってしまうということも私は少子化にもつながっているんだろうというふうに思っているんですが、猪口大臣に少し少子化問題についてお尋ねをしたいと。  私は、内閣委員会に特別担当大臣ができるということは大変うれしいことだというふうに思っておりまして、ですから先回のときも食品安全担当になられた松田大臣にもむしろエールを送らしていただいて、本当に国民のため、国のために大事なテーマを突っ込んでほしいというお願いをしました。  実は私、参議院の、昨年、少子高齢社会に関する調査会に所属をしていろんな勉強をさしていただきまして、十一月には参議院の重要事項調査団の一員として、少子高齢化社会の実情を中心にノルウェー、フランス、ドイツを視察をさしていただきました。ここに報告書があるんですが、もうこれを述べていれば時間がありませんから。  ただ、もう大臣も十分御承知のように、行くたびに日本は本当に少子化とか男女共同参画が後れているなというのを痛感して帰ってくるわけであります。ノルウェーでは児童家族省という省ができていますし、フランスには家族問題担当大臣、ドイツは連邦家族省があり、この少子化対策あるいは男女共同参画に積極的に取り組まれている。  そんな中では、日本の場合にはずっと今まで少子化対策男女共同参画も兼務で大臣が置かれていたわけですね。今回それが猪口大臣が専任で就任をされたと。私は一歩前進だというふうに大変期待もしていますし、そういう意味では大変重要な役割だというふうに思っています。  先般、予算委員会等でも猪口大臣が出産の無料化の考え方を示されて、結果、これは予算編成後で残念ながら今回は実現はしなかったわけですが、私は、子供が欲しいと思っている親や人たちや、これから結婚されようと思っている若い人たちから非常に強い反応が出て、大きなメッセージになっているわけですね。そういうメッセージというのはもっと強く出していっていいだろうと。  ただ、少子化対策というのは確かに特効薬というのはありませんから、様々な対策を継続して積み上げていかなければいけないと。ですから、ここで本当に真剣にエールを送らしていただきたいと思うんですが、簡単にやめないで、来年の予算編成のときに少子化対策とか男女共同参画を予算編成の中に組み込むというぐらいの準備を進めていっていただきたいなと。もっともっと積極的に私は発言をされるべきだろうというふうに思っています。将来、日本であってもノルウェーのようにむしろ児童科学省を置くぐらいの位置付けにしないと、日本の根幹の問題にかかわってくるテーマだろうというふうにもとらえています。  そういう意味では、是非そんな期待を込めて決意をお聞かせいただければと思います。
  114. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 誠に柳澤先生、ありがとうございます。  私は就任以来、この少子化課題につきまして広くその重要性につきまして認識していただけますよう努力してきたつもりでございます。少子化対策の風を起こしていきたいと。そして、風を止めないように国民社会全体にお願いしたいと。それで、国としても地方自治体としてもあるいは民間企業としても、それぞれの地域でこの少子化対策の風をつかんでいただきたいと。きっとそれは我が国におけます社会政策の新たな充実の時代につながっていくんだろうと思うんです。  我が国は無資源国でありますから、やはり経済競争力を回復し確保しなければならないという、そういう課題はあると思いますが、構造改革の結果、余力を振り絞ることができるようになったかもしれません。その部分を是非、社会政策の充実に振り向けていただかなければならないと考えております。  私は、自分の大臣職において、そのように日本がこれから何らかの余力を持つとすれば、それを社会政策の分野でしっかりと受け止める。そういう、かごを編んでいると私いつも職員に言うんですが、そういう仕事を今しっかりしていると、しっかりしてやっていきたいと思っております。  少子化対策といたしましては、六月に少子化社会対策推進会議の議論の取りまとめを行うところとしているわけですね。そこにおいて更に深く少子化対策についての抜本的な考え方、施策の重要性、あるいは具体的な施策ということを取りまとめていく予定でございます。それはとても大きな深い議論を必要とするものでありますから、私は私なりに発信する機能も重要視しながら活動しておりますが、深く研究して分析して議論を深めて、各省と連携して調整して、そういう仕事の側面もとても重要なのです。今そのところを一生懸命やって、先生からいただきましたお言葉のように、この分野の重要性を大事に、そして広く分かっていただけるよう努力をしていきたいと思っております。  児童省その他の各国の取組ですが、私は、自分は、子供、女性、そして若い世代のために主として働く、そういう立場から物事を見ていくと決意しております。子供にとって良い社会というのは多分全員にとって良い社会なのだというふうに考えます。子供は皆、国の宝、社会の宝、地域の宝と言い切っております。そういう立場からこの大臣職をしっかりと日々務めていきたいと思っております。  出産無料化につきましては、先生よく御存じのとおり、出産育児一時金を三十万から三十五万円に拡大することとしておりまして、これはやはり出産無料化といいますか、やはり出産育児におけます経済負担のかなり実質的な軽減になると。例えば旧国立病院でのいろいろな平均で、一回の分娩に掛かります費用は三十四万円と出ていますので、三十五万円に引き上げるということはそういう意味で大きなやはり成果であるというふうに担当大臣としては考えておりますし、各省、厚労省などとよく連携して少子化対策、この分野、またその他、先生おっしゃいますとおり、総合的に様々な政策を組み合わせなければなりませんので、努力していきたいと思っております。
  115. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 時間がないんでできるだけ簡潔にお答えいただきたいと思うんですが、私は、一生懸命やられているのは分かりますし、いろんな声を集めたい、あるいは関係省庁も調整をしたい。ただ、特命大臣になられるということは、国を挙げてその政策を実現しなければいけない。そのために内閣府に位置付けられる。そのトップには内閣総理大臣がいらっしゃる。とすれば、省庁に対してももっと強いリーダーシップが必要だというふうに思いますし、あるいは担当大臣としてのメッセージをもっと強く出す、できるできないじゃなくて、思いを述べるということも私は大変大事なことだというふうに思っています。  そんな中で、この前の予算委員会で私ちょっと残念に思ったのは、出生率の問題に対して猪口大臣は、民主主義社会において結婚と出産は個人の自由な選択及び状況の結果であると考えていますと言いながら、出生率については数値目標を置くべきではないというふうに発言をされています。  私は、目標をやっぱり示す、できるできないじゃなくて、この辺まで上げたいんだという意味では、繰り返しの、改めての質問になって恐縮なんですが、なぜかというと、この後いろんな取組をされてきますよね。例えば、広範囲になりますけど、子供が欲しくても授からない夫婦に対して不妊治療をする、あるいは結婚ができない所得の人たち結婚できるような体制をつくろう、それから、生まれた子供たちの子育ての支援をしよう、保育所とか託児所もきちんとしていこうとすれば、出生率が上がらなければおかしいわけで、それが一つの、いわゆるお金を掛けて予算を組んで使うからには、結果が出る、そういう成果を上げるということをもっとしないと意義が出てこないというふうに私は率直に感じるんですが、その辺、やはり出すべきではないというふうにとらえているのか、どういうふうに考えられているのか、お聞かせいただけますか。
  116. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 予算委員会でも答弁申し上げましたとおり、出生率につきましては、やはりこれは数値目標のようなものを掲げる性格のものではないかと感じております。  他方で、やはり一・二九、そして下がり続けて三十年ということは、これは対策を講じなければならない。やはり少子化の流れは変えなければならないということは総理の施政方針演説の中で言い切っておられるわけですので、そのための政策を考えるわけです。    〔委員長退席、理事芝博一君着席〕  それで、数字といえば、これからのやはり五年間が本当に時間との戦いの重要な時期と思います。  それは、第一次ベビーブームのお子様たちの第二次ベビーブームの方が、あと三十代であるのが五年間ぐらいということです。ですから、この五年間で少子化対策について、子供が欲しい家族がそれを実現できるような、そして仕事と両立させるならば、そういうことが可能な展望を開いていかないと、第二次ベビーブームの世代の出生力を今後生かしていくことができなくなります。ですから、その場合は出生率が改善したとしても人口の絶対的な規模がなかなか維持していくのが難しくなると。ですから、目指すべき出生率ということでは私は議論いたしておりませんけれども、これから五年間が少子化対策として勝負であると考えております。
  117. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 官房長官がいらしたら、私は官房長官質問したいと思っていたんです。  やはり出生率の数値目標を掲げないで、むしろ掲げなければ少子化の効果があったかどうかという政策評価というのはどうするんだろうというぐらいの感覚でいるんですね。もちろん掲げにくいことは分かります。でも、上げなければ日本は大変なことになっているということをもっと明確にしていくと、それはやっぱり結果がそこに付いてくるというふうに考えています。これ以上言いませんけれども。  それで、実はお手元にちょっと資料を配らしていただいたんですが、三月の八日に厚生労働省が第三回の二十一世紀成年者縦断調査というのを発表しました。これは確かにサンプルも少なくて決してこのことがすべてというふうにはとらえていませんが、一番最後にありますように、調査目的は、調査対象となった男女が出産とか就業の実態及び経験年数、いわゆる二〇〇二年からずっとその人を追っ掛けているわけですね。どういうふうに変化を、結婚をしたのか、子供を産んだのかということをひっくるめて追跡調査をしておりまして、このことがやはり少子化対策の中にも大きな取組のモデルを出しているんではないかなというふうに思うんで、その点について何点か猪口大臣の考えをお聞きしたいと思うんですが。  これ、一ページ目は、仕事の有無から見た結婚の状況なんですが、男性は仕事が正規の場合には一〇・五%、非正規の場合には三・三%が結婚していると。その前に実は仕事があるかないかでは、仕事がある人は八・七ですが、仕事がないともう二・三しか結婚ができない。少子化には、もちろんフランスのように、今回行ってびっくりしたんですが、一・九一まで出生率が上がっているんですが、半分近くが事実婚で婚外子をもう認めている。そういうことで日本の場合にはまず結婚をするという意味でいくと、いわゆる、もう一つ大きく出ているのは、正規は一〇・五なんですが非正規は三・三だと。この辺、やはり雇用形態も大きく影響しているというふうにとらえているんですが、猪口大臣はどのように思われますか。
  118. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。  先生よく御存じのとおり、パートなどの非正規雇用が増加している、そしてフリーター、ニートのことはもうよく指摘されるとおりでございます。若い世代におきますそのような経済的な不安感ですね、これが結婚するという決断を少し先延ばしにしようという形で未婚化、晩婚化につながっているのではないかという懸念がありますので、少子化対策と直接関係ないのではないかと言われることもあるのですが、実際には若者の就労支援、もうこれは実に重要な少子化対策の柱であると考えております。    〔理事芝博一君退席、委員長着席〕  また、今御指摘のこの縦断調査に見ます正規社員である方が結婚しやすい結果となっているということにつきまして、正規雇用を若い世代において増やしていくということに少子化担当大臣としては熱心に関係各省と連携を深めながら取り組んでいきたいと考えております。
  119. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 是非その辺をお願いしたい。ですから、冒頭、官房長官にお尋ねしたのも、日本の良さというものを本当に根幹から戻していかないと、特に経営者の皆さんにもその辺を訴えていかないとなかなか変わってこない。  例えば、ここにはないんですが、もっとたくさん資料ある中のこれは抜粋なんで、夫が休日の家事、育児の時間が増えたらやっぱり出産が増えるとか、夫の仕事時間が減少した場合にやはり子供の生まれる数が多いとか、もう分かり切っていることが随分出てきます。特に今、日本の場合には働く時間というのが、休日がなかなか取れない、あるいは本当に長時間労働になる。しかも、私は去年厚生労働委員会でしたから問題提起したように、それがほとんど賃金不払になっているという問題も抱えているんですが、一方で、家に帰ってもこういうパソコン時代になると、家へ帰って、まあウィニーもだからやられるんでしょうけれども、仕事をしている、あるいは休みもする。それがほとんどまたサービスの仕事になっているんですけれども、その辺のところを少し変えていかないと、特に働く時間というのも非常に大きなウエートになってくるというふうに思っていますが、猪口大臣、どうですか。
  120. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) この調査によりますと、先生今指摘されたんですが、重要なデータがありますのでここで改めて私から申し上げたいんですけれども、例えば夫の一日当たりの仕事時間が十時間以上である、そういう夫婦の場合を考えてください。それは八時間を超えて十時間働いているという御主人の場合、その方の仕事時間が増加した場合は子供の生まれる場合が二二%、減少した場合は二八%なんですね。ですから、十時間も働いている人の場合は、その労働時間が減少した場合の方が子供が生まれているということですので、男性の長時間労働も含めた働き方の見直しはもう一つの重要な少子化対策の柱でございます。それを両立支援と、午前中議論しました、それとも関係があります。  あと、先生の御指摘くださいました男性の家事、育児参加でございますけれども、こういうデータがございます。夫の休日の家事、育児時間が増加した場合と減少した場合、どちらに子供がよく生まれるかということなんですが、これは増加した場合に三〇・四%、減少した場合には二〇・二%に子供が生まれているというようなことからして……
  121. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 この資料配らせてもらっていますので。
  122. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) そうですね。済みません。  こういうことからして、やはり固定的な性別役割分担、つまり女性は家事、育児をする、だんなさんは外で働くというようなことを超えて、男性も育児、家事にしっかりと参加していただきたいと男女共同参画担当としては思いますし、また先ほど申し上げておりますように働き方の見直し、重要と考えております。
  123. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 時間がなくなってしまいまして、実はこのデータまた見ていただければ面白いのが一杯出てくるんですが、これは抜粋なんですけれども、特に育児休業制度というのは大きな成果を上げているんだなというのもここから分かります。  育児休暇制度があると、女性の妻の場合は勤務を継続している方が七四・二になっていると。その育児休業制度が利用できない職場の場合には、あっても、二七・六%しか継続していないと。むしろ、利用しやすい雰囲気がある職場だと八五・七%の人が勤続を続けているというようなことや、出生率にも大きな影響が出てきている。このことがやっぱり大きなポイントになってくるだろうなというふうに思っています。  それ以外にもいろんな質問ちょっと準備していたんですが、私は、猪口大臣がこの後また企業関係を全国回られると。特に、この少子化の問題もひっくるめて、経営、いわゆる企業協力体制というのが非常にウエートになってくるんですね。特に、経営者以上に経営のトップの方の意識がどう変わっていくかというのは非常に大きいと。是非、大企業だけではなくて中小零細も含めてそこに強く訴えて意識を変えてもらうということが、ある意味では、冒頭、官房長官にもお願いしたように、今の経営者の方が本当に従業員のためというような意識が薄れてきて利益追求なんという、人を物のように扱ってしまうという辺りを本当にもう一度猪口大臣の方から、全国回る中で是非続けて訴えていただきたいというふうに思っておりますが、是非その決意を聞かせていただければと思います。
  124. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 今先生から御指摘いただきましたので、そのように努力したいと思います。  もちろん、すべての地域を回ることができるわけではありませんが、私が感じますのは、やはり民間企業地方自治体は非常に国よりも積極的に早く動くことができる、こういう特性を生かして一年でも早く良いことをどんどんやっていっていただきたいと思っているんです。  国の制度に既に上乗せして、育児休業について、例えば国の制度でしたら一年、それを上乗せして二年、三年許してやるというような企業は実際もう出てきているわけですから、そういうふうに現場の若い方たちが一日も早く助かるような動き方を官民一体、そしてもう国民全体の運動として強化して、是非、この少子化対策といいますか子育て社会というものを皆で実現していくための私は担当大臣ですから、先頭に立ってしっかり頑張る決意でございます。
  125. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 実は、官房長官が戻られてから積み残した質問を黒岩議員と調整して進めたいというふうに思っていますので、猪口大臣には本当に、私冒頭言いましたように、少子化対策あるいは男女共同参画社会の実現というのは日本の、これからの日本をどうしていくんだという根幹のテーマだというふうに思っておりますし、是非萎縮されないで思ったことをもっと言っていただきたいと思いますし、情報を取るだけではなくて、もっと強く発信をしていただきたいというふうに思うんですね。それは国民に対してもそうなんですが、特に今あったように経営者の皆さんに対してそのことをもっともっと強く訴えていってほしいと。それが今、日本にとって一番大事なんだということも併せてお願いをしておきたいというふうに思います。  ということで、終わります。
  126. 芝博一

    ○芝博一君 入れ替わり立ち替わり、官房長官の中座の関係で大変目まぐるしいところをお許しをいただきたいと、こう思います。  続きまして、私の方から、毎日各所で個人情報の流出事件が発生をしております。特に、最近における警察の捜査資料流出事件は大変国民の注目を浴びているところでありますけれども、まずこの件についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  岡山県警や愛媛県警での重要な捜査資料データの大量流出事件、これの最新の状況、概略で結構ですからお話しください。
  127. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 岡山県警察における事案につきましては、倉敷警察署の警察官が平成十一年九月ごろから平成十四年十月までの間に職務上作成した捜査資料等が、本年二月末ごろに自宅私物パソコンからファイル共有ソフト・ウィニーを通じてインターネット上に流出したものでございます。  愛媛県警察における事案につきましては、本部捜査第一課の警察官が平成九年ごろから平成十七年四月ごろまでの間に職務上作成した捜査資料等が、自宅私物パソコンからファイル共有ソフト・ウィニーを通じてインターネット上に流出したものであります。なお、情報の流出時期につきましては現在調査中との報告を受けておるところでございます。  この事案を受けまして、両県警におきましては、県民あるいは国民に対して事案の真相を説明し謝罪するとともに、諸般の情報流出した方々に対する対応等を今行っておるところでございます。
  128. 芝博一

    ○芝博一君 今概略を説明いただきましたけれども、岡山・愛媛県警等で捜査中の大変貴重な、そして秘密裏にしなければならない情報が流出したということであります。  私は、今回流出したこのデータの内容、今お話しをいただきました部分でありますけれども、例えばもう少し具体的に、種別であるとか件数若しくは人数等々が分かりましたらお教えをいただけませんか。
  129. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 岡山の事案におきましては、流出した資料といたしましては、犯罪発生時に現場に臨場しました記録とかあるいは事件関係者に関する捜査資料等でありまして、その中には、一千五百名程度、これを若干超える方の氏名等多数の個人情報が含まれてございました。そのように報告を受けております。  愛媛の事案におきましては、これは個人情報を含む多数の捜査資料等が流出をいたしております。これは、関係者の供述を記録したもの、あるいは捜査の結果をまとめたもの等、あるいは会議資料等でございます。その内容につきましては更に詳細調査中でございます。
  130. 芝博一

    ○芝博一君 今、その内容をお聞きしましても本当に貴重な内容だなと、こう思っております。  この情報が流出をしているわけでありますけれども、端的にお聞きしますけれども、この流出している情報、県警なり警察本部等々で回収は可能なんでしょうか。
  131. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 今インターネット上に流れておる情報でございまして、技術的になかなか困難であると承知をいたしております。
  132. 芝博一

    ○芝博一君 回収については、現実に、常識的に考えて不可能であります。  そうしますと、この流出した情報がこれから先二次的な被害を生んでいく可能性は大いにあるわけであります。で、二次被害者が発生する可能性もある。今少しお触れになりましたけれども、今、千五百人、それからもっと、それに匹敵するような捜査情報も含めて、この情報が漏れた人たちの名誉や人権を守るためにどんな対策を取るおつもりか。  あわせて、現実に二次被害が起こったら、北海道警の事件のように民事訴訟が起こりかねないという危険もあります。この訴訟に対してどう考えられていくつもりか、お聞かせください。
  133. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 岡山県警察におきましては、流出いたしました情報、これは当事者の方々に対しまして、個々具体的ないろいろの事情があろうかと思いますが、そこら辺も勘案の上で必要な説明を行いまして謝罪することといたし、一部謝罪をいたしております。その際に、情報流出によりまして先ほど委員指摘のように二次的な被害に遭われることがないようにということで、各種の事案を想定いたしましてアドバイスをするとともに、今後引き続きいろいろ助言、支援をしていくという旨を伝えておるところでございます。  愛媛県警察におきましても同様の方針で今対応をしているところでありまして、一部の関係者等に説明し、また対応しているところでございます。  さらに、両県警とも、事実確認あるいは相談の窓口をそれぞれ設けるということで公表いたしておりまして、そういったところでも対応さしていただいております。  賠償の関係につきましては、今後いろいろ検討される問題だと思いますけれども、これは個々それぞれの事情があろうかと思います。岡山、愛媛両県警において具体的な事案に即しましてこれは適切に対応されるものというふうに承知をいたしております。
  134. 芝博一

    ○芝博一君 まさしく言い訳のできない情報流出でありますから、二次被害を食い止めるための方策は誠意を持ってその関係皆さん方に必ず早急に行っていただきたい、このことを要望いたしますし、万が一訴訟等々が起こりましても、これも併せて、非はある意味では両県警、警察側にある、ここの部分は間違いないだろうと、こう思っておりますから、まさしくその原点を忘れることなく対処、これは一般の国民でありますから、していただきたいと、まずこのことを要望しておきます。  またあわせて、今回のこの岡山、愛媛の事件、警察当局はどんな方法、手段でこの流出事件を認知したのか、そして最初にそれを知ったのはいつごろか、お伝えください。
  135. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 岡山の事案につきましては、岡山県警において三月二日、愛媛県警にあっては三月五日の日にそれぞれインターネット上に捜査情報らしきものが流出している旨、外部からの通報を受けます。両県警において所要の調査を行いましたところ、確かに情報の流出があるということで確認したというふうに報告を受けております。
  136. 芝博一

    ○芝博一君 今、三月二日と三月五日に今回の件は認知をしたと、初めて知ったということであります。  ところが、今お手元に過去の、警察庁が通達を出しました情報流出防止に関する通達、これは古いものでは平成十五年の三月から過去三回にわたってそれぞれの項目に分けて通達が出ております。しかし、にもかかわらず今回のような流出事件が発生をしたわけであります。正に私は通達だけした、しかし徹底をされなかったという現実から見て、対策に甘さがあったと、こう言わざるを得ないわけでありますけれども、この点について国家公安委員長はいかがお考えでしょうか。
  137. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 警察におきましては、従前より情報セキュリティー対策について繰り返し指導してきたにもかかわらず、岡山県、そして愛媛県において情報流出事案が相次ぎ発生していることは、誠に遺憾なことだと思っております。全国警察職員の一人一人が情報流出の危険性を認識し、情報管理対策を徹底することが情報管理対策上何よりも肝要であると考えており、今回の緊急対策を徹底し、同種事案の再発防止に万全を期すよう督励してまいりたいと思っております。  特に、今回のいろいろな通達、指導におきましては回答を求めると、こちらから通達を出すというだけではなくて、必ず一人一人がそれを確認してその回答を出すということを指示いたしておりまして、これら等によって万全を期していきたいというふうに考えております。
  138. 芝博一

    ○芝博一君 正に改めて今までの対策においては甘さもあったと私は思っておりますし、そのこともお認めなんだろうと思います。改めて今回、十八年の三月七日付けをもって緊急の通達を出されました。今、公安委員長がお話をいただきましたように、これからも含めて、より強化された対策だと、こう聞いておりますけれども、この出された緊急対策の内容的なものを簡潔に、そして今少しお触れになりましたけれども、今までの過去三回にわたる通達とどこがどう違って強化されているのか、そこのところをお答えをいただきたいと思います。
  139. 武市一幸

    政府参考人(武市一幸君) お答え申し上げます。  警察におきましては、先ほども議員の方から御指摘がございました、従前よりコンピューターに記録された情報の適切な取扱につきましては、各都道府県に対し繰り返し指導をしてまいったところでございます。今回の緊急対策におきましては、執務室に存在するすべてのパソコン及び外部記録媒体、これにつきまして緊急点検を実施すること、さらに、プライベートで使用するパソコン及び外部記録媒体についても自己点検を実施し、ウィニーや捜査資料等の情報を削除すること、こういったことを内容といたしまして、これまで実施してきた情報セキュリティー対策を更に徹底するものといたしております。  それに加えまして、先ほど委員長の方からもお話ししていただきましたけれども、すべての職員に対しまして、公務に使用するパソコンあるいは外部記録媒体を許可なく庁舎外に持ち出さない、公務使用承認を受けていない私物のパソコン及び外部記録媒体で捜査資料等の情報を取り扱わない、そして、ウィニーが導入されているパソコンを使用しない、このことにつきまして自筆の確認書、自筆の確認書の提出を求めております。  さらに、念押しと言ったら変でございますけれども、自宅のパソコン及び外部記録媒体については自己点検をするなどして、その結果を報告していただくと、こういったことまで加えまして、職員一人一人について、情報セキュリティーの確保に関する自覚を強く促すという内容にいたしております。
  140. 芝博一

    ○芝博一君 今回の通達では確認書を取るとか、私物のパソコンにまで規制といいましょうか、いろいろなものの報告義務とか、等々も義務付けておりますけれども、大変踏み込んだ部分だと評価はいたしますけれども、ある意味では私物と公用のパソコン等との扱いの問題についても今後問題が発生しないとも限りません。細心の注意も払いながら、情報流出のないように取り組んでいただきたいと思います。  その中で、今回のこの両県警の流出にかかわった当事者の警察官、刑事の方、ここの二人への処分についてどういう方向で取り組まれるのか、ここのところをお聞きをしたいわけでありますけれども、私は、今までいろいろな形で通達が出ていても現場で徹底されなかった、ここが問題だと思っております。今回の分も含めて、ある意味では目に見える形で、全国二十七万人警察官にこの処分をある意味では認識をしてもらう、これも大事な部分だろうと、こう思っておりますけれども、当事者への処分等について、どんな考えを持って臨まれるのか、公安委員長にお聞きをさしていただきたいと思います。
  141. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) お尋ねの事案につきましては、現在岡山県警及び愛媛県警がそれぞれ詳細を調査中であるところであります。関係者の処分につきましては、両県警察において当該調査をできるだけ速やかに終え、その結果明らかになった事実に即して厳正に対処するものと考えております。
  142. 芝博一

    ○芝博一君 警察関係の情報漏えいについては以上をもって終わらさせていただきますけれども、警察情報のみならず海上自衛隊でも情報漏えいがありました。また、政府の各機関でももろもろの情報流出がございます。現在、政府機関の情報漏えい、流出等々について政府のセキュリティー対策はどうなっているのか、安倍官房長官にお尋ねをしたいと思います。
  143. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 安倍官房長官に申し上げます。  先ほど官房長官、一時四十五分まで着席をされるということを理事会という公の場で確認をしておりました。ところが、時間前に何も言わずに中座をされました。これは、質疑者並びにこの委員会に対して極めて無礼だと、このように考えます。今後善処していただきたい。
  144. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほどは、衆議院の本会議の進行が予定より早まったため、途中で退席をいたしまして、大変失礼をいたしました。  それでは、ただいまのお尋ねでございますが、政府機関の重要情報の漏えいが相次いでいることについては、大変遺憾に考えております。情報漏えいの防止のためには、各省庁における情報管理を徹底することが基本であり、三月九日の事務次官等会議において、職員の一人一人にまで情報管理が徹底されるよう私から厳しく指示したところであります。  現在、各省庁ではこのような情報漏えいを防止すべく、職員が重要情報を許可なく持ち出すことの禁止、私物パソコンの業務利用の制限など、情報管理の周知徹底について取り組んでいるところであります。  今後とも各省庁に対して、情報セキュリティー対策の徹底を強化、強力に指導してまいる所存であります。
  145. 芝博一

    ○芝博一君 今後とも政府を挙げて、また警察当局も情報漏えいの防止に全力を挙げていただきたいと要望させていただきます。  続きまして、内閣府の総合科学技会議がまとめました第三期の科学技術基本計画と研究者の不正行為の防止についてお尋ねをさせていただきます。  まず大臣、二期十年の計画の投資総額、これは見込みでも結構であります、と、その成果並びにその成果に対する政府評価についてお尋ねをさせてください。簡潔に。
  146. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) お答え申し上げます。  第一期の科学技術基本計画では、平成八年度から十二年度までの五年間に約十七兆円、第二期の計画では平成十三年度から十七年度までの五年間に約二十四兆円との投資総額を掲げさせていただきました。投資総額の実績は、第一期は十七兆六千億円でございました。第二期では、実績値が二十一・一兆円となりました。厳しい財政事情を背景に、掲げさせていただきました投資総額には二期においては届きませんでしたけれども、他の政策経費に比べれば科学技関係予算は高い伸びを確保させていただいたと存じます。これには、科学技術創造立国の実現に向けて科学技術予算に特別な配慮がなされてきたことによるものと考えております。  一期、二期のこの計画の下で、日本の研究水準は着実に向上してまいったと存じます。これまでの累積投資の効果によりまして、研究論文における日本の地位は質量ともに向上しておりますし、また世界をリードする優れた研究成果が産業化に結び付くものも出現してきております。例えば、新しいがん治療方法であるとか、あるいはハードディスクドライブの小型化、大容量化を成し遂げた垂直磁気記録技術などといったことがよく例として挙げられております。  今後とも、御案内のように来年度から第三期ということになるわけでございますが、更に努めて世界最高水準の科学技術創造立国の実現に向けて頑張っていきたいと思っております。
  147. 芝博一

    ○芝博一君 今、政府評価についてもお触れをいただきましたし、お聞きをさしていただきましたけれども、すべて順調に来ていて科学立国を目指して頑張っていきますよという、こういうことだと思うんです。  反面、それは政府評価でありますけれども、国民の間には二期十年、今お話をいただきました莫大な投資額のその成果について、社会や国民へ成果が還元されていないという声があります。あわせて、国民への説明が足りない、こんな声もあります。そんな中で、これから第三期の投資目標を設定されて取り組んでいくわけでありますけれども、第三期の基本方針で結構です、具体的じゃなしに基本方針と、今この国民の皆さん方の評価、すなわち成果の還元と説明、この部分についてどう取り組まれるのか、簡潔にお答えください。
  148. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 委員指摘のとおり、近年の科学技術を取り巻く状況を見ますと、国内では少子高齢化の進行、あるいは国民の安全や安心への一層の期待、あるいはまた外を見れば地球的規模での環境問題など、様々な課題がございます。こういった課題に対応するために、科学技術の果たすべき役割はますます増大しておると存じます。  こういった認識の下で、第三期基本計画におきましては、その基本姿勢として、社会、国民に支持され、成果を還元する、成果を社会、国民に還元する科学技術ということを基本姿勢といたしております。一定の前提の下ではございますが、第三期計画期間中、政府研究開発投資の総額の規模を約二十五兆円とさせていただこうということで今基本計画を策定中でございます。その際、国民、社会に対してもたらされる成果に着目した政策目標を設定いたしまして、明確にどんな成果を上げるんだということもしっかり定める、そういった計画にいたしたいと考えております。  また、科学技術に関する投資の効果をより高めるために、言うまでもございませんが、選択と集中を一層徹底すると同時に、成果を本当に分かりやすく社会、国民に還元できるようにということで、イノベーションの創出と、イノベーションの一層の振興ということを大きな柱にいたしております。
  149. 芝博一

    ○芝博一君 成果の還元を優先的にやっていくというその意気込みを大いに評価させていただきたい、成果の充実を期待するものでもあります。  これは、少し単純にお聞きをしますと、今第三期の目標、投資目標額は二十五兆円、こういう形でありました。一期、二期もそうでありました。いろんな長期計画が多い中で、この科学技術の基本計画だけは一期、二期、三期と具体的に巨額の目標予算を明示されていますが、具体的な根拠はあるんでしょうか。根拠といいますか、理由があるんでしょうか。これを単純にお聞かせをいただきたいのと、あわせて、今回の第三期でも二十五兆円の巨額な投資がなされます。そうすると、研究現場では、ある意味では予算があるからという、緊張感が緩んでしまったり、また創意工夫が弱まったり、研究のための研究が行われたり、さらにはお金が掛かったり、類似の研究や実験が繰り返して、重複して行われるというような、そういう風潮が応じてこないとも限りません。  その辺の対策も含めて、二十五兆円の明示する理由もお聞かせをいただきたいと思います。
  150. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 先ほども申しましたけれども、この資源に乏しい日本の国が、先ほど申しましたような課題を切り開いて一層豊かな社会をつくってまいります上で、今ほど知恵の創造、大事なときはございません。そういう意味で、この知恵の根源になります科学技術、この科学技術の発展なくして日本の国の発展はないと存ずるわけであります。  このような考え方に立ちまして、昨年末の総合科学技会議の答申におきましては、厳しい財政事情の中ではありますが、来年度から始まります五か年の、第三期基本計画における五年間の科学技術への投資総額、一定の前提の下ではありますが、二十五兆円と掲げさせていただいたわけであります。科学技術創造立国を目指します日本姿勢を明らかにしたものであると、力強い旗印を、そういう意味で、内外に示すことができたという意味では意味があることと存じます。  委員御案内のように、今、それぞれの国、アメリカを始め先端国ももちろんですが、隣国、中国を始め多くの国でそれぞれが科学技術立国、科学技術への大きな期待を、国策上、重要な位置付けをいたしてそれぞれ進んでおりますことは御案内のとおりでございます。そういった意味で、日本もそういった旗印を内外に示すこともまた重要な意味があると存じております。  一方、この十八年度の、そういう中で、十八年度の科学技術振興費、振興費としては、昨年より若干の増をいただきました。科学技関係予算全体ではほぼ横ばいというのが十八年度予算の内容でありますが、いずれにしても、一般歳出が減少していく中で来年度の予算についても今申しましたような予算をお願いいたしておる、正に科学技術の振興は明日への投資として強い期待をいただいているものと、その責任を強く感じておるところでございます。  こうした中で、私といたしましては、正にこの第三期を受けて一層、世界最高水準だと、本当に世界最高水準の科学技術創造立国を目指して頑張っていきたいと、またいろいろ御指導も賜りたいと思っております。
  151. 芝博一

    ○芝博一君 是非しっかりとお取り組みいただきたいと思います。続いて、その……
  152. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 委員長、ちょっと今質問に答弁漏れが。よろしいですか、いいですか。
  153. 芝博一

    ○芝博一君 結構です。ちょっと時間の関係があります、結構です、はい。多過ぎるぐらいです、はい。  科学の研究、それでは続いてこの科学の研究において、昨今、隣の韓国でも日本でも、特にES細胞捏造の問題だったり、東京大学でもいろんな論文の不正の問題が発覚しております。これにはしっかりと厳しく対処しなければならないと、こう思っておりますけれども、現在、我が国のこの研究や論文に対する不正の現状と防止についてどんな取組をされているのか、総論で結構でございますので、お聞かせください。
  154. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 研究上の不正は、正に科学技術への信頼を損ない、科学技術の発展に重大な悪影響を及ぼすものでございまして、正にあってはならないことだと存じます。現在、先生御案内のように幾つかの問題が生じておりますのも一方で事実でありますが、その場合の対応の手続などについてそれぞれ見てみますと、定められておりません、大学であれ、いろんなところで。  そういった状況にかんがみまして、総合科学技会議は昨年末に基本政策をまとめましたが、その中で、研究上の不正に関する適切な対応についてを二月二十八日、総合科学技会議決定いたしまして、関係府省に意見具申をいたしました。その意見具申の若干の内容を申しますと、もちろん第一の問題は、研究に携わる者自らが自ら自分を律するというのが最も重要な点でありますけれども、あわせて、例えば大学や研究機関などの研究現場に対しましては、不正に関する調査及び処分の手続や研究費の取扱い等に関しあらかじめ規定を定めて関係者に周知を図るとともに、適切な研究活動についての指導と徹底を図れとか、あるいは研究費の提供を行う関係府省に対しましては、不正が明らかになった場合の研究費の取扱いについてあらかじめ明確に定めておくと同時に、研究費の配分先となる研究機関に対して関連の規定の策定及び不正の防止に向けた対応を強く求めることなどを決めております。  こういった関係各府省等のこの基本方針に従った適切な対応というものを強く期待いたしまして、総合科学技会議といたしましては、本年夏の平成十九年度概算要求に係るヒアリング時等において、今言ったような対応がちゃんとフォローアップされているかどうか、しっかり見定めていって不正を防止していきたい、そういうふうに考えております。
  155. 芝博一

    ○芝博一君 不正に関する部分につきましては、国家の威信にもかかわることでありますし、その科学技術の進展等々を大変後退させる、そんな大きなものでありますから、是非この防止策についても積極的に取り組んでいただきたいと、こう思っております。  時間の関係上、一点だけお聞かせください。  政府が進めている電子申請の部分でありますけれども、大変専用システムオンラインについては利用率が高いんでありますけれども、一般の国民が利用するといいましょうか、汎用的なシステムについての利用率は平成十五年度で〇・七%しか達成されておりません。これについて政府は、ITの新改革戦略等々で今後二〇一〇年度までに五〇%に引き上げると、こう明示をされております。これについては大変いいことだと、こう思っておりますけれども、私は大きな大きな問題が一つあると思うんです。すべてのオンライン化のシステムはできました。ほぼ完璧に、九七%、八%まででき上がっておりますけれども、専門業務以外の一般の国民の皆さんが利用するこの利用度が大変低い、だから二〇一〇年までに五〇%以上にするんだ、これはこれでいいと思いますけれども、国民の皆さん方がこのシステムを利用しようと思うと、何でその個人の認証をするかというと、住基カードであります。  この住基カード、今大変利用といいましょうか、発行率が低い。枚数も六十枚、七十枚、全国でですよ、こう聞いております。この住基カードが発行が普及しないと、ある意味ではこの目指す、国民が多くが利用する電子申請の五〇%達成は難しいと、こう思っているんですけれども、この根本になります住基カードの現在の普及枚数とそれを押し上げていく対策について簡潔にお教えください。
  156. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。  住民基本台帳カードでございますが、交付開始から二年を経過いたしました昨年八月末の時点で約六十八万枚の発行枚数にとどまっているところでございます。市町村によっては多いところもございますが、全体として大変低い水準ではないかというふうに思っておりまして、この普及が重要な課題だと認識しているところでございます。  そこで、私どもといたしましては、まず一つは多目的利用が大事だろうというふうに思っておりまして、先ほど言いましたように、市町村によっては普及が進んでいるところがございます。人口比で三割を超えているようなところもございますが、こういうところでは、例えば図書館のカードに使うとか、公共施設の予約でございますとか、印鑑登録証に使うといったような多目的利用が進んでおりますので、こういう事例につきまして他の団体にも紹介させていただいて、こういうものへの取組を支援してまいると、こういう形で普及を促進してまいりたいと考えております。  また、今御指摘ございました電子申請に係る公的個人認証のサービスの関連でもございますが、これも関係省庁と協力しながら普及に取り組んでまいりたいと思っておりますが、この証明書の利用範囲につきましてもその拡大に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。そのほか、写真付きの住基カードの公的証明書としての利用についてもその周知を図っているところでございます。  いずれにいたしましても、まだまだ周知の面でも十分じゃないと思われる点ございますので、関係省庁あるいは自治体と十分協力を取りながら最大限の努力をしてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  157. 芝博一

    ○芝博一君 これは、六十八万枚というのは発行をほとんどされていない、国民の総人口から見ると、そんなイメージであります。しかし、政府が掲げるオンライン利用率は、五〇%を達成するためにはどうしても国民利用を増やさなければなりません。そのためには、この住基カードの発行をより高めなければならない、これがもう大原則だろうと、こう思っておりますが、聞くところによると、まだまだ十分にこの両者の調整といいましょうか、協力関係が十分に構築されていない。だから是非、利用を上げるのも大事ですけれども、その基にある住基カードの普及徹底の部分についても是非この新しく策定される行動計画の中で具体的に明示をして、その実効性についても取り組んでいただきたい、そのことを要望いたしまして、質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  158. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 済みません、官房長官、大変御苦労さまでございます。済みません、先ほど質問を一つどうしても官房長官にさせていただくのが抜けてしまいまして、一点、実は自殺の予防対策の件でございます。  小泉総理も、一度負けてもまた勝てるチャンスがあればいいじゃないかと。また、同じように安倍官房長官もおっしゃられました。しかし、私は、本当に職場を見ていて、労働強化による精神的ストレスによるうつ病の問題あるいはいわゆる精神障害の問題、過労死の問題、過労自殺の問題、そして御承知のように日本では一九九八年から自殺者はずっと三万人を超えている。  私、当選させていただいて厚生労働委員会に所属させていただいて、このことを一生懸命訴えをさせていただきました。実はお手元にその参議院厚生労働委員会の自殺に関する総合対策の決議案、決議を配らせていただきました。これは、本当に私はうれしかったのは、この問題は党派を超えるということで、参考人質疑が行われたり、党派を超えてこの決議案を決定をさせていただきました。その結果、昨年の九月には内閣の官房副長官を議長とする自殺対策関係省庁連絡会議が設置をされまして、その後、私は二回会議を開いたということもお伺いしています。また、総務省の方もいろんな調査を、有識者調査等をやられて、こんなに厚い自殺の報告書も出していただいて、関係省庁にも自殺予防に関する調査結果に基づく通知が出されています。  で、いよいよ国を挙げてやっていただけるというふうに私は期待しておりますが、その政府全体の取組の概要がまとまったとお伺いしておりますので、官房長官の方からポイントを少し、時間がございませんので、整理をしてお答えいただければというふうに思います。
  159. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほどは大変失礼いたしました。  昨年の七月十九日の参議院厚生労働委員会において自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議がなされ、この中で、関係省庁が一体となってこの問題に取り組む体制の確保を図ること、さらに自殺問題全般にわたる取組の戦略を明らかにし、対策を重点的かつ計画的に作成することとされたところであります。この決議を踏まえ、政府において自殺対策関係省庁連絡会議や実務者級の幹事会による調整を経て、昨年の十二月二十六日に自殺予防に向けての政府の総合的な対策についてを取りまとめたところであります。この取りまとめに沿って、心の健康問題に関する相談体制の整備や自殺予防に関する正しい知識の普及啓発等を引き続き進めていくとともに、現在審議いただいております平成十八年度予算案においては自殺予防総合センターの設置などに取り組むこととしているわけでございます。  ただいま先生が御指摘になったように、自殺者は三万人を超える水準で推移をしております。ただいま申し上げましたような、この自殺の実態解明、予防のための正しい理解の普及啓発、相談体制の充実、自殺未遂者、自殺遺族等のケアなどから成るこの自殺予防に向けての政府の総合的な対策について取りまとめを行ったわけでありますが、特に、この中でも相談体制の充実についてはしっかりと力を入れていかなければならないと、このように考えているところであります。今後十年間で自殺者数を平成十年の急増以前の水準に戻すことを目指し、政府として総合的な対策推進してまいりたいと考えております。
  160. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  実は、先ほどの格差の拡大の件もそうなんですが、本当に勝ち組はわずかで、負け組はたくさんいる。その中でも死にまで行ってしまう、このことを是非取り組んでいただきたいと。  実はこの決議文の真ん中のところにその思いを込めさしていただいているんですが、ちょっと読み上げさしてもらいます。  多くの自殺の背景には、過労や倒産、リストラ、社会的孤独やいじめといった社会的な要因があると言われている。我々は、世界保健機構が「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題」であると明言していることを踏まえ、自殺を「自殺する個人」の問題だけに帰することなく、「自殺する個人を取り巻く社会」にかかわる問題として、自殺の予防その他総合的な対策に取り組む必要があると考えると。  これが一番ポイントでございまして、それがそういう意味では内閣官房、いわゆる内閣府にその機能ができたということは、私は大変期待をしております。特に、この問題は、本来法案にしようという議論もあったんですが、一日も早く手を打たなければいけないだろうということで、参議院の厚生労働委員会で決議をさしていただいた経緯もあります。  是非官房長官がリーダーシップを取っていただいて、省庁の少し壁を超えて、必要であればまあ予算編成をと、私はもうちょっと予算組んでいただきたかったと本音のところでは思っています。ただ、少し予算をかき集めてでも、必要であれば、あるいはもっとスタッフが必要であればきちんと付けるということをして、三万人を超える自殺者を一人でも減らす、あるいは、十倍以上いると言われるんですが、三十万を超える未遂者、あるいは家族とか関係者は恐らく百数十万人になるだろうと、それに対する充実を官房長官自らリーダーシップを取ってやっていただきたい。是非その決意ももう一度聞かしていただければというふうに思います。よろしくお願いします。
  161. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 確かに、委員指摘のように、この三万人というのは極めて高水準であります。その背後には多くの未遂者がいるわけでありますし、また、この自殺者が出ることによって、その家族は精神的にもまた経済的にも大変な打撃を受けることにもなるわけでございます。  まあ、実際、私の支持者の中にも、会社が倒産し、その方は大変まじめな方で、しっかりとこの債務は返さなければならないと、こう考え、種々の生命保険に入り、そしてその債務を果たすためにしっかりと遺書の中には細かい指示も書いて亡くなったわけでございます。この方は、お子様たちもおられ、この御遺族の方たちは大変な苦しみの中にあるわけでございます。  こうした自殺は、事前にやはり相談をしていただければ、また、あるいは医学的な相談をきっちりとしていれば防げたものでございます。そういう意味におきましても、しっかりと内閣官房におきましても対策、また対応をしていきたいと、先ほども申し上げましたように、以前の水準に戻すべく全力を挙げていきたいと、このように思っております。
  162. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 終わります。
  163. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 民主党の黒岩宇洋でございます。  私も、長いものでこの内閣委員会に約四年所属しております。ちょっと調べましたら、一番長いのは白浜先生、今いらっしゃいませんけれども、千七百六十三日。そして、二番目が西銘先生、千六百二十六日ですね。で、私が千四百九日目で三番目という、若輩者ですが古株になってしまいました。  そんな中で、この所信に対する質疑、毎回質問させていただいております。加えまして、私は無所属だったもので、この四年間内閣委員会に提出された法案はすべて審議に加わって、質問に立たせていただいております。そういった今までの議論も踏まえながら、今日はまず冒頭、松田大臣に、食の安全について、BSEの関連してお聞きしたいと思っておるんです。  この食品安全委員会ができるに当たって私たち最も注視していたのが、やはりリスク管理機関とリスク評価機関がきっちりと分かれる、そして食品安全委員会が独立性を保って、科学的知見によって判断をしていくという、こういう状況を何としても担保しなければいけない。かりそめにも政治に巻き込まれてはいけない。仮に政治に巻き込まれそうになったら、そのときこそ特命担大臣を置いてむしろ食品安全委員会をきっちり守っていただくんだという、こういう議論をして、そして国民の食の安全を何としても守り切るという、こういう発想から私たちは議論をしてまいりました。  しかし、今回のBSEのいわゆる特定部位、脊柱が混入した牛肉、米国産牛肉が結果的に我が国に届いてしまったという、このことを見て、私は大変ゆゆしい問題だと思っております。  そして、さらには、この米国産牛肉の解禁に当たっては、この二年ほど非常に食品安全委員会でも議論されてきて、専門調査委員会委員の先生にはかなり慎重な発言もあったと私は聞いております。そういう意味で、どこか米国のこの政治的な圧力を感じながら今回の輸入解禁をかなり早く認めてしまったと、その結果がこのたびのような脊柱混入ということにつながっているのではないかという、およそこういった視点から、私は、食品安全委員会の在り方、そして大臣の今後のリーダーシップの発揮の仕方についていろいろとお聞きしたいと思っております。  まず最初にお聞きしますけれども、第二十三条、食品安全基本法の第二十三条に規定されています、食品健康評価をこれ自ら行うこと。まあ、よく私たちは自ら評価と言っているんですが、今までこの食品健康評価自体が何件行われて、そのうちリスク管理機関からの諮問ではない、私が先ほど申し上げた独自の評価というのは何件行ったか、お答えください。委員長委員長
  164. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 諮問が来ましたのは四百八十三件で、二百十五件答申をしております。そのうち、自らは一件でございます。
  165. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私、食品安全委員会ができて一年たったときに、これ同じ観点で質問しているんですよ。正確な数字は私も記憶しておりませんが、多分その時点で三十数回食品安全委員会が開かれて、その時点では一回も独自評価がなかったと。しかも、その三十数回のうち二回は、評価すらすることなく、まあある意味雑談で終わったと。  このような状況で、私たちが期待した食品安全委員会、リスク評価機関としての責務を全うしているのかという。私、何せこの三年間でたった一件ですよ。このような状況で、本当に食品安全委員会が独立性を保って自らの意思で評価をしているとこれ言えるんですか。委員長、お答えください。
  166. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 自ら評価に関しましては一件ではございますが、それをもって独立性が保たれているとか保たれていないと言うことはおかしいと思いますし、それから、独立性に関しまして、それは趣旨だとおっしゃいましたが、私ども委員会、これは一番注意をするところで、かえって管理側とか、そういう間のコミュニケーションが悪いなと思うぐらい、全く中立にやっております。  以上です。
  167. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 わざわざ、この二十三条の第一項というのは、内閣総理大臣に意見を述べること。で、二番目にですよ、二番目に自ら食品影響評価を行うことと、こういう条文立てにしたわけですよ。その自ら評価がたった一件でしょう。これ、大いに私は期待を失っているんだと、そう思っているんですよ。  これ、更に話を進めていきますけれども、それでは、このたびの脊柱混入という、ここにはいろんな事実経過があるんですけれども、私ども同僚の衆議院の川内議員が、政府質問主意書で、事前の現地調査を行うのかと、まあこういう質問をしたと。で、これは閣議決定によって答弁書が返ってきまして、事前に輸入再開に当たっては輸入する前に調査を行うという、まあこういう回答が十一月十八日に下されたわけですね。  私は、少なくとも食品安全委員会委員皆様は、特に専門調査会の皆様は、当然、査察が行われてそれから順次その施設、施設から米国の牛肉が輸入されると考えていたという、こういったような発言も新聞なんかでも報道されているわけです。  で、一点お聞きしたいんですが、やはり安全委員会としても事前調査は行うんだと考えていたんではないんですか。このことについてお答えください。
  168. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) この前のときにもお答えいたしましたけれども、管理に関しましては、こういうふうにするとか、事前にするとかしないとかというようなことは私どものところではやりません。先生が今おっしゃいましたように、管理と評価を厳密に分けるという立場から、そこはやっておりません。雑談的にはそういうようなお話はありましたけれども、議事録に載っている範囲、会議の中ではそういうことはございませんでした。
  169. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 管理について聞いているんではないんです。認識について聞いているんです。  じゃ、委員長、寺田委員長としてはどう思ってましたか。少なくとも十八日に閣議決定の答弁書が出ているわけですよ。少なくともその時点では、その後、直後にはどう考えてたんですか。
  170. 寺田雅昭

    政府参考人(寺田雅昭君) 閣議決定のとおり、そういうふうにやっていただければ結構だと思いましたし、まあそれ以上のことはちょっと。
  171. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうですよね。事前調査していただければ結構だと思っていたわけですよ。当然ですよ、こういう閣議決定の答弁書が出たわけですから。で、結果的にはこれが変更されて、そして事前調査なくして我が国に米国産牛肉が事実行為として輸入されたと。  さて、この政府の方針変更について、大臣、いつお聞きになりました。いつお知りになりましたか。
  172. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 私の記憶では、十二月十二日に農林省及び厚生省が輸入再開の決定を行った際に、両省から連絡を受けた事務方から報告を受けたというふうに了知しております。
  173. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、中川農林大臣予算委員会でも答弁しているんですが、この十八日の答弁書を出した後に、要は二十二日、十一月二十二日の日米協議で幾つかの新しい事実が分かったので事前調査をしないことにしたと、こう答弁しているんですよ。そうしますと、その十一月二十二日から十二月十二日の間、これ二十日間ですよ、この間何にも知らされないんですか、食品安全担当大臣が。これ、いかがなんですか。
  174. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) まあ、先生御案内のように、輸出プログラムの遵守ということを前提に評価をいたし、それが守られるということでありますれば、私としてはそれを見守っていくということになるわけでございまして、そういう意味で両省において、リスク管理側においてしっかりと対応されておられるということで、私としては十二日に知ったと、こういうことでございます。
  175. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大体十二月十二日というのはどういう日ですか、お答えください。
  176. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 十二日の日はたしか輸入再開の決定が行われた際ではなかったかと思いますが、農林水産省及び厚生省、厚生労働省において輸入再開の決定が行われた際に私は知ったということでございます。
  177. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 まあ言葉が悪いんですけど、二十日間も放置されていて、何の連絡も受けず、さあ輸入再開決まりましたってときに知らされたと。こんなことで、食品安全担当大臣としてこれ責任全うしていると。というよりは、リスク管理機関に対して、これリスク評価とは別にしても、これどう考えてもおかしいじゃないですか。本当に十二日に知らされたんですか。
  178. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 事実の、事実の、事実の答弁ですので、先ほど申したとおりでございます。  先生おっしゃるように、もう先生御案内のことなんであれなんですが、両省において御担当いただいておりますので、その間、私として、先ほど来から何遍も申し上げておりますように、正に両省において適切に対応されておられたわけでございますので、その間はもちろん特に何も申し上げなかったということでございます。
  179. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、お聞きしますけど、十二日に知らされたと。どういう手続で、どういう形態で、どういうルートで知らされたんですか、お答えください。
  180. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 先ほども申したんですが、両省から連絡を受けた事務方より報告を受け了知したものでございます。
  181. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 その事務方への連絡というのは具体的にはどういう方法で行われたんですか。
  182. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) ちょっと今聞き取れませんでした。済みません。
  183. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 両省からの事務方への連絡というのは具体的にどうやって行われたんですか、教えてください。
  184. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 事務方への連絡ですので、ちょっと事務当局から答弁させますが、よろしゅうございますか。私ですか。
  185. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣
  186. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) はい。十二月十二日、農林水産省、今般の輸入再開に当たり、米国及びカナダにおける輸出──十二月十二日、農林水産省のプレスリリース時にこのことが発表され、その連絡があったということでございます。
  187. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 プレスリリース、十二日のプレスリリースで、要するに閣議決定した答弁書を変更したということがプレスリリースということは、これ何か、あれですね、当然文書で残ってますね。残ってるんですね。
  188. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) はい、プレスリリースのときに連絡を受けたということでございます。
  189. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、ちょっと重要なことですからね、厳密に詰めますよ。  これは音声で聞いたんですか、事務方は。それとも、何か紙媒体で見たんですか。
  190. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) プレスリリースのときに農林水産省が御配付になったその紙を受け取ったということだそうです。
  191. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、一末端の記者さんと同じ扱いですか、大臣。閣議決定をしたものを変えたんですよ。そのことの大臣が知る経緯というのが一記者さんと一緒ってことですか。
  192. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) ちょっと今記憶が、済みません、不明確だったものですからちょっとあれですが、もう一度言い直します。  十二月十二日、農林水産省がプレスリリースを行いました。そのプレスリリースの事前に連絡を事務当局は受けたと、それを私は報告を受けたと、これが答弁であります。
  193. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 答弁違ってるじゃないですか。つい今のまま、これ議事録残ってるんですよ。そんなことで委員会成り立ちますか、ころころ変えて。委員長、こんなんじゃやってられないですよ。  もういきなりあれですか、もうこうやってころころ変えていいんですか。ここは参議院内閣委員会なんですよ。
  194. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 答弁を変えたつもりはありませんが、もう一度正確に申しますと、十二月十二日に農林水産省がプレスリリースをいたしました際、その事前に、その事前に御連絡を事務当局を受けたと、連絡を受けた事務当局から私は報告を受けたと、これが事実でございます。
  195. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 とにかく、何度も言いますけれども、プレスリリースの事前に報告を受けた。
  196. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) はい。
  197. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、その報告を受けたということは、事務方に、だから、事務方にどういうルートだったかと言ったら、プレスリリースって答えたんですよ。  じゃ、その、まあ先に進めなきゃいけないんで、じゃ、プレスリリースの前に事務方から報告を受けたということは、事務方に両省から何か連絡行ってるんですね。これはどういう形で行ったんですか。  もう事務方いいですよ、もう。
  198. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) プレスリリースのこの紙を事前に農林水産省から事務方が受け取ったと、それを私に報告があったと、こういうことでございます。
  199. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 紙はちゃんとあるんですね。ちゃんとあるんですね。何月何日、これこれ、かくかくしかじか。当然その紙はありますよね。
  200. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) はい、紙はございます。
  201. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いみじくも、私が先ほど申し上げた、食の安全を守る特命担大臣へのこの大事な閣議決定変更の連絡がプレスリリースと、最初はプレスリリースの際と明言していますからね、後で議事録をちゃんとごらんになってください。まあ、それを百歩譲って、その事前でもいいですよ、プレスリリースの前の紙切れが事務方に投げられ、そこから、事務方から連絡、これは本来どうなんですか。せっかく内閣府に大臣を置いているということは総合調整でしょう、大臣ごとの、大臣同士の。これ、農水大臣や、そして厚労大臣から直接きちんとした文章で直接渡される、こういった内容のものじゃないんですか、閣議決定の変更というのは。
  202. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 私は、黒岩先生おっしゃるその意味が、私としては一生懸命やっておるわけでございますがね。  御案内のとおり、先ほどは冒頭、先生もおっしゃっておられました、リスク管理機関、リスク管理の問題はリスク管理機関が責任を持って行うと、そういうふうに分担関係を決めて、それぞれそこに緊張関係を持ってやっていこうというような御趣旨のことを冒頭おっしゃっておられました。そういう仕組みができておると、私もそう了解しております。  リスク管理機関において、それぞれ責任を持ってやっておられるわけでございまして、そういう意味で、リスク管理機関側で決められて、そして御報告を受けたと、こういうことでございます。その御報告は、向こうがお決めになって、リスク管理の問題ですから、リスク管理の問題ですから、事前に私に了解を求めてという立場に私はあるとは思いません。  したがいまして、リスク管理側でそれぞれお決めになって、そしてこういうふうにしたということを御報告なさるときに、そのプレスリリースの紙が事前に事務方に届けられ、そしてそれを私が了知したと。了知したということによって、事務は円滑にその間進んでおるわけでございまして、私はこれで、そのどうして黒岩先生がこのことについて何度もお聞きになるのか、もう少し御理由が分かればお聞かせいただけると有り難いし、あくまでもこれはリスク管理側の問題でございまして、リスク評価、あるいはそれを超えて総合調整にかかわることだと、総合調整の上でこうすべきだというようなことでございますれば、私はそのことについてしっかりお答え申し上げたいと思うんでございますが、あくまでもこれリスク管理側の問題でございまして、私に事前に了解を取らなかったとか、そういうことがおかしいということならば、そういうことではありません。リスク管理側の問題でございますし、ということではないかなと私は理解させていただくのでありますが、よろしくお願いをいたします。
  203. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、もうリスク管理とか評価という矮小化した話じゃないんですよ。そのことだけ言っても、それをおしなべて食品安全のために特命担大臣が置かれている。そしてさらに、この問題というのは物すごい大きいことなわけですよ。  これ、官房長官にせっかくいらっしゃるんでお聞きしたいんですけれども、いいですか、閣議決定、これ、官房長官も、そして松田大臣も、これ署名しているわけでしょう。その閣議決定の、これは中川大臣の苦しい答弁によれば、趣旨は変えていない、変えていないと。閣議決定違反じゃないと言っているわけだけれども、しかし事実行為としては変えたと、十二月二十二日の日米協議をもって変えたと。これ閣議で決定したことですよ。それを、今リスク管理機関のことは勝手にそれを任せると言っている、そういう答弁なわけですけれども小泉政権小泉内閣というのは、そんなに総合調整がなっていないんですか。一体感がないんですか。官房長官官房長官も、これ今、小泉内閣の一員として松田大臣は述べている、このことに対して、官房長官、どういうようにお考えになっているか。
  204. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この閣議決定について申し上げますと、当時の農水省と厚生省の、当時の認識と考え方を内閣として是としたものでございますが、その後、この考え方、言わば認識が変わった。その、どうして変わったかということにつきましては、統一見解で申し上げさせていただいたとおりでありますが、しかしこれ変わったことについて、院に対して、これは御連絡、また御説明しなかったのは大変遺憾であったという認識でございます。  そして、それと同時に、これはやはり松田大臣、これはリスク評価をする責任者の立場でございますから、当然そうした認識の変化が出たのであれば、今後はしっかりともう少し前広にちゃんとこれは御報告をしなければならない。つまり、農水省、厚生省から、そういう認識の変化があればしっかりと報告することになっていくと、こう思っております。
  205. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 官房長官、とにかく閣議決定という重いものを、その間も、十一月二十二日から十二月十二日の間というのは閣議開かれていますよね、当然。そのときにも何の説明もなく、リスク管理機関のトップ、そして食品安全委員会食品安全担当のトップですよ、その間の相互の伝達というのが、今、松田大臣がおっしゃったのは、いいですか、プレスに発表するその前だからとペーパーを投げ込んで、その事務方が持ってくる。こんなことで一体となった内閣としての仕事が遂行されているとお考えですか、官房長官
  206. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) リスク管理側はリスク管理の責任者としてしっかりとリスクを管理していたと、このように認識をしておりますが、しかし当時のこの閣議決定との関係について申し上げますと、当時の厚生省、農水省の認識を、また考え方を示していた、その考え方が変わったわけでありますから、この答弁書を出した相手である委員に対して説明すべきであったと。  そしてまた、当然、今後はしっかりと連絡を緊密にして、そういう考え方等の変更があれば当然これはしっかりと連絡をしていくということになっていくと、このように思うわけでございます。
  207. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 堂々巡りになるんで、ある程度のところで切らなきゃいけませんけれども、これね、多分この議論を聞いていれば、本当に知らされたのかと。閣議決定の変更ですよ、このことを二十日間もほったらかして、ペーパーで事務方、これは考えられないですよ。  私らは、やはり一月三十日か、三十一か、衆院での松野議員の質問に対して、やっぱり慌てて昼間、政府の見解、統一見解というのを出したわけですよね。それがどうもやはり急場しのぎで出しているようにしか思えないわけですよ、今の松田大臣の答弁を聞いていると。で、輸入再開の決定の日に知らされたと。でも、おかしいじゃないですか。じゃ、あれですか、十二日の決定、十二日のプレスリリースの前に、結果、もう十二日の日に知らされたわけですね、午前中に。そういうことでしょう。
  208. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) そのとおりでございます。
  209. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 まあ、結局その日の、その日ですからね、前の日でもないんですよ。プレスリリースするもその日、直前に知らされたんでしょう。こんなこと考えられないですよ、常識的に考えて。  それだったら、(発言する者あり)そう、松田大臣、あなたの方から当然、農水大臣や厚労大臣にそのときそれなりの何か苦言を呈したりしたわけでしょう。──後ろに聞くことじゃないでしょう。
  210. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 先ほど来から申し上げておりますが、リスク管理の問題でございます。  したがいまして、農林水産大臣及び厚生労働大臣が御判断なさったことについて、特にそのときにはお聞きいたしておりません。
  211. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 本当、食品安全担当の特命大臣ではなくて、単にリスク評価機関の何か事務方をつかさどるような、そんな大臣になってしまったような気がして、私は本当に今まで何のために、この基本法の策定から食品安全委員会のこの権限を保つとか、こういうことを我々、与野党ともにきっちりと国会で論議してきたんですよ。それが、せっかく作り上げたのに、政府内にいて、内閣にいて、その力を持っていながら何にも使ってないじゃありませんか。
  212. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 委員長
  213. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと待ってください。答弁いいです。  で、私は、この前の方でも聞きましたけれども、私たち努力して、内閣府設置法上の勧告権というものを大臣にお与えいただいたわけですよ。これはもう伝家の宝刀だ。これは、じゃ、聞き方として、どういう場合に抜くと想定されますか。  これは内閣設置法十二条によれば、それは必要があると認めるときはとしか書いてないですよ。これは私、事務方に聞いたら、もうペーパー一枚ですよ。どういう場合だと聞いたら、法律のとおりと来ました。法律のとおりですよ。これが立法府から行政府に対する問い合わせの答えなんですか。こんなことを、大臣大臣の部下、職員がやっているんですよ。  どういう場合だったらこの勧告権が出るんですか。それは、いろんな食品安全の専門家なんですから、こういう場合というのは想定できるでしょう、大臣、お答えください。
  214. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 黒岩先生に申し上げますけれども、正に脊柱が入っていたと、すぐ輸入を停止されました。今、食の安全が保たれております。私は、食の安全を担当する大臣として、何か今一大事が起こっているような話をされているわけではないと思いますが……
  215. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 していますよ、何言っているんですか。閣議決定の変更ですよ。
  216. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) そういう意味で、どういうことなのかなと思っておりますが、まああえて申しますと、あの脊柱が混入していたという当日は、直ちに私は、リスク管理上問題ありということであるかもしれないということで、この点も既に御答弁申し上げたかと思いますが、それぞれ対応いたしました。  現在、そういう意味で、何か私が、総合調整を行うべき緊急事態にあるというふうには私は思っておりません。正に食の安全は保たれておりまして、今正にリスク管理機関である両大臣は一生懸命、正に米側とやっておられます。今それをしっかり見定めて、見極めておりまして、今日、今の段階で私が食品安全担当大臣として、今お聞きしますと勧告とかいろいろお言葉が出ておりましたようですけれども、そういう事態にはないと思いますし、ということだと存じます。
  217. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、物すごい答弁をお聞きして、私びっくりしていますよ。一大事じゃない。今、BSEに関連して、ずっと国民は食の安全に対して物すごい不安で、物すごい一大注目のことなんですよ。  これ、大臣、いいですか、科学的知見というものは安全を担保しますけれども、国民の安心を担保するのが政治家の仕事なんですよ。これはずっとこの議論をしてきたんです。安心を与えるのは、これは科学ではできないんですよ。これは政治だとか行政がしっかりとしなければいけない。  今の大臣のいろんなプロセスを聞いていると、これはもう、国民からすれば、ああ、自分の食の安全を身を賭しても守ってくれる人なんだなと、大臣なんだなと、とても思えないわけですよ。一大事なんですかと、こういうことを今ここに問うている。ここに問うているということは、私たちの後ろの国民に言っているわけですよ。
  218. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 委員長
  219. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いいです、いいです、もう。さすがに。  それで、とにかく今日の答弁で、この大事な閣議決定の内容の変更について知らされたのが、プレスリリースの当日に事務方に紙で投げられたという、これは物すごい事実を知りました。これは今後、私どもの同僚がまた再度この事実関係もきっちりと大臣の方にお聞きすることになると思います。  今日は与謝野大臣をお呼びしておりますんで、官房長官には別の質問があったんですけれども、このBSEのところで御答弁いただいたんで、ありがとうございます。  松田大臣も、安全委員長も、どうもありがとうございます。御退席されても結構でございますんで。  じゃ、済みません、与謝野大臣、お忙しいところを財政金融委員会の方からおいでいただきまして。  ちょっと前の方でつっかえていまして、じゃ、与謝野大臣、これ冒頭申し上げたんですが、私もこの四年間にわたって内閣委員会に所属しておりますもので、経済財政担当大臣経済財政諮問会議についてのいろんなやり取りをしてきたものでございます。そこで、冒頭、与謝野大臣にお聞きしますけれども、この諮問会議が五年間果たしてきたこの役割、そしてその仕事ぶりというのを大臣なりにどう評価しているか、お聞かせいただけますでしょうか。
  220. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 経済財政諮問会議は、総理のリーダーシップを支える知恵の場として、関係閣僚や民間議員等の現場感覚や経済に関する深い洞察力を活用しつつ、具体的な建議を行い、いわゆる骨太方針の取りまとめ等、我が国経済財政政策のかじ取りを担ってまいりました。  諮問会議は、年の前半に議論して策定した基本方針に基づき、年の後半に具体的な予算の議論を行い、それを踏まえて予算編成を行うなど、経済政策と財政政策の一体化に取り組んできております。また、郵政民営化の基本方針を策定し、郵政民営化の実現に結び付けたり、政策金融改革基本方針等をとりまとめ、行政改革の重要方針の閣議決定に結び付けるなど、構造改革推進に着実に寄与してまいりました。  今後とも、開かれた議論を活発に行いつつ、構造改革取組を強力に進めてまいりたいと考えております。
  221. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大臣、ペーパー読むのは今日やめませんか。これもう正に所信に対する一般質疑なんで、細かな数字とかどうとかなんという気はないんですよ。むしろ、これからの経済財政の在り方等、こういった辺りを大臣の忌憚ないところも聞きたいです。特に、もう政策のプロとして、与謝野大臣、今牽引しているわけですからね。  それでは、大臣大臣大臣名で二月一日にこの経済財政諮問会議における課題と。この中で、やはり改革していかなけりゃいけないと、会議自体も。改革しなければいけないと、そういう形で文言が入っています。課題の中で、この政策決定プロセスの改善という、政策決定プロセスの改善という言葉もあるんですね。これ、大臣、どこら辺をやはり改善していかなきゃいけないのか、これ端的に、今までのその評価を更に改善していくというのはどうやって改善していくのか、それをお聞かせください。
  222. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私も党の方におりまして、経済財政諮問会議の様子をずっと見ておりましたが、やはり政府と与党というのは、やはり議論がちょうどタイミングよくかみ合っていかなければならないと思っております。  そういう意味では、党の意見も最終的には聞きませんと政府の方針は決められないわけでございますから、やはり政策決定プロセスとしては、諮問会議がどんどん物を進めるという中でも、やはり与党、あるいは国会の考え方等も十分頭に入れながら物を進めていかなければならないというふうに思っていました。また、今もそのように思っております。
  223. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 この諮問会議って、よく新聞に出るんですよね。民間議員と大臣がもめたとか、だれとだれがかなり論争したとか。やっぱりそのぐらい、あれですか、もめるぐらい正面衝突で議論しているんですかね。
  224. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 諮問会議の議事録というのは全部公開になっておりますので、委員が想像されるよりもはるかに学問的、学術的で、アカデミックな雰囲気で議論が行われております。
  225. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、それは私の想像したとおりですよ。そう想像していますんで。  それで、ちょっとここら辺の、一つ私、この審議に当たってというところに、最初にこれ第一に、第一に、景気回復基調の維持強化、デフレ克服に向けて、政府、日銀が一体的に取り組むとともに、国民、市場の信頼性を高め、リスク要因を極力抑制する。これ第一にこの文章が掲げられているんですね。  さらっと読むと気付かないんです。これをよく読むと、私、これは日銀に量的緩和を解除するなと言っているとしか読めないんですよ、これは。まず、景気回復基調の維持強化ですからね。政府、日銀が一体となって国民、市場の信頼性、元々ゼロ金利政策でよかったものを量的政策という過去に例のない政策を取ったということは、これは更に金融機関に対する信頼性を高めようという、こういう政策意思があったわけですよ。だから、この信頼性を高めとあえて言って、リスク要因、多分このリスク要因というのが私は解除のことを指すんじゃないかと思うんですよ、極力そのリスク要因を抑制すると。  これ、私は量的緩和の解除をするなと、私、この二月一日、冒頭に牽制しているというふうに取っているんですね。これについていかがですか。
  226. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) むしろ、読むんでしたら、量的緩和を促しているというふうに読んでいただきたいと思います。  これはどういうことかと申しますと、政府と日銀との関係は日銀法の中に書いてありますが、やはり日銀の独立性ということも書いてあります。また、日銀の金融政策の目的はやはり物価の安定だということも書いてございますけれども日本銀行法第四条では、政府経済政策との整合性ということも図っていかなければならないと、そういうことも書いてありますが、国語学をやるわけではありませんけれども、一体的に取り組みということは、お互いに整合的にやっていこうという意味でございます。国民、市場の信頼性を高めというのは、政府側としてはやはり財政規律を重んずると、そういうことが大事ですよということを言っているわけでございます。リスク要因を排除するというのは、そういう例えば財政規律が失われた場合、突然金利が上昇するというようなリスク要因は排除していこうという一般的な決意を述べた文章であるというふうに御理解いただければと思っております。
  227. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 量的緩和を促すというやっぱり趣旨なんですよね。諮問会議の幾つかの議論を見ても、よく竹中ラインと与謝野ラインで政策が違いがあるという表現があるんですけれども、量的緩和に限っては両方とも私は続けるべきと、まだ解除するんじゃないという、要するに解除については慎重姿勢だったと私は思っておるんですよ。  それで、この冒頭に政府、日銀が一体的に取り組むと、これ掲げているんですね、諮問会議として。先ほどの量的緩和解除について、竹中大臣はそのこと自体は否定はしないけれども、日銀が説明責任を果たしていないという、これかなり踏み込んだ表現ですよね。そうなりますと、せっかく大臣名でこの課題という文章を作って、政府、日銀一体となってと第一に掲げている、このことが損なわれているんじゃないですか、この竹中大臣の発言は。いかがでしょうか。
  228. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 他の閣僚が言ったことについて私が解説する立場にはございませんが、日本銀行は量的緩和解除をしますときの文章は相当詳細にわたっておりますし、また量的緩和政策解除の後も緩和政策自体を続けるというメッセージは国民あるいは市場によく伝わったものと私は考えております。
  229. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと分かりづらいですけれども、時間もないので少し話、進めますが。  平成十六年度、多分、与謝野大臣が自民党の政調会長の時代に税制改正大綱という、これ与党でまとめられて、この大綱には、平成十九年度を目途に、消費税を含む抜本的税制改革を実現すると、こうあります。  小泉総理は、参予算委員会で消費税率について、私の首相在任中は上げないと、来年度も、私は首相を辞めているが、この環境にはないだろうと、これは政治的判断だと。これ簡単に言いますと、引上げは早くても二〇〇八年度以降になるということですね。二十年以降ということですよ。  そうしますと、総理は別に議論をすることは否定していないんですよ。ですけれども、少なくとも大綱では、これも消費税上げるとは書いてないですよ。ただ、十九年度に消費税を含むということは、消費税の上げることを可能性としてはうたっているわけですね、税制大綱は。しかし、総理はそのことは政治的には十九年はないという、否定しているわけですよ。これは総理とこの税制大綱の意思がそごを来しているんじゃないでしょうか。大臣、そこら辺ちょっと教えてください。
  230. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 我が党の税制調査会というのは大変権威のある調査会でございまして、党の中ではなかなかここで決めたことには抵抗できないほど専門家もそろっておりますし、信念を持った方々がそろっている調査会であります。ここではもうそういうふうに決めてあるわけですし、また昨年の暮れの自民党の税制改革大綱も同じ、ほぼ同じ文言を引き継いでおります。そういう方向に向かって着々と進んでおりますし、十六年十一月、十二月に書かれたその文章は、やはり国民の基礎年金の二分の一を国庫負担とすると、そういうことを前提、そういうことがやっぱりどうしても必要なことだということを頭に入れながら書いた文章だというふうに私は理解をしております。
  231. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、その大綱、これ十五年の暮れにまとめられたわけですけれども、そのときと今言った税制の環境とか経済環境も変わって、十九年度という部分の消費税についてはこれは変わったと、正に小泉総理が言うように環境にはないという、こういう判断でよろしいですか。
  232. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) そうではなくて、政府の方の骨太方針は次のように書いてございます。平成十八年の年央、まあ六月、七月の話でございますけれども、年央までに歳出歳入の一体改革の選択肢とその工程をまとめると、そして十八年度中に中身を決めると、こういうことが書いてございますので、いつ法案提出するとか、いつから増収措置をとるとかということは別にいたしまして、選択肢を決め、その選択肢の中からこの選択肢を選ぶという作業は平成十八年度中、来年のすなわち三月末までにやるということは骨太方針に明記してあるわけでございます。
  233. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 大事なところなのでしつこく聞きますけれども総理は、十九年度は消費税率上げる環境にはないんだということを断言している。今の大臣、与謝野大臣の御答弁を私なりに理解すれば、十八年度中の取りまとめ、これ年央ですから六月ぐらいに一回、歳出歳入の一体改革の取りまとめをして、議論をして、十九年度に消費税率を上げる可能性は少なくともあるという、こういう理解でよろしいんですね。
  234. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先のことまでは予測はできませんが、一応十八年度中に方向性は決めなければならないというのが骨太方針の中に明記されていることでございます。
  235. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 可能性を否定されない、されていないということがよく分かりました。  最後に、幾つも逆に聞きたいことがあるんですけれども、分からないことも多いので、経済のいろんな姿勢で。それで、先ほど量的緩和に触れたんですけれども、今とにかくゼロ金利は維持するという、このゼロ金利政策解除については与謝野大臣はどういうように見解を持たれているか、これをお聞かせいただけますか。
  236. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 日銀の当座残高を三十数兆まで増やすとかゼロ金利とかというのは、世界金融、先進各国の金融政策の中では異常なことだろうと私は思っております。  この一つの量的緩和政策解除したということは、正常化へ近づくためにその第一歩であると私は思っております。  ただ、我々としては、本当に物価の動向がどうなるのか、日本経済がどうなるのかというのはまだまだ見なければならないという立場でございまして、そういう意味では、いずれゼロ金利という異常な状況から日本経済が脱却をするという時期が来ると思いますけれども、今にわかに予断を持ってその時期を明示するということは私の能力ではできないというふうに御理解をいただければと思います。
  237. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ゼロ金利の状況というのが世界的に見ても異常であるという、そういう御認識いただいたことを、非常に踏み込んで、ありがとうございます。  もう質問はしません。なかなか私なんか新潟の地方ですと、やはり景気、景況感も良くないですよ。経済もまだまだ不安があります。その点、大臣のリーダーシップできちんとした経済を確立していただいて、そして格差のない、そんな日本社会に導いていただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  238. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間でございます。  先ほど同僚議員も議論をされておりましたけれども、この一連の情報漏えい問題について官房長官是非伺いしたいことがございます。  これ振り返ってみますと、たしか経済産業省原子力保安院の情報が、昨年でしたでしょうか、あれは七月でしたでしょうかね、あって、大変あのときパニック状態にいろんなところがなったわけでありますけれども、そのように、もうこのところテレビ番組の出演者の個人情報まで流出してしまっている、あるいは役所においてはもう陸海空自衛隊の機密事項の漏えい、情報流出、あるいは警察の問題、あるいは法務省の刑務所の個人情報等々、えらいそういう意味では情報漏えいが相次いでおるわけでありますけれども、この一連の事態を受けて、官房長官が一週間前に事務次官会議で、先ほど厳しい訓示をされたということでありましたけれども。  まずお伺いしたいんですけれども、私の知る限り、官房長官が事務次官会議で御出席して発言されるということは極めて希有なことだと思いますけれども、これ初めてのことだったんでしょうか、まず官房長官伺いたいと思いますけれども
  239. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 官房長官が事務次官会議で発言をするというのは、最初にあいさつではそれぞれ官房長官が出てあいさつをするわけでありますが、基本的にはまれでございまして、しかし全くないわけではないということでありまして、平成八年の十一月に行革会議の発足に当たっての発言、梶山官房長官でありますが、その後、財政構造改革の実現に向けてやはり次の年の二月二十七日、そしてまたさらに構造改革推進について梶山官房長官はその年の六月の五日、何度か官房長官国会延長、予算要求、省庁再編に向けて等々での発言がございました。    〔委員長退席、理事芝博一君着席〕  そして、福田官房長官は新官邸での初会議において発言をしたわけでありまして、そして今回、私が情報管理の徹底について発言した次第であります。
  240. 風間昶

    ○風間昶君 それほどですから、珍しい何かがあったときにやられるということであるんだろうなというふうに思いますから、今回の一週間前の官房長官の訓示というのは極めて、それだけ政府が重要な関心を持って臨まれたということであるんだろうなというふうに思います。  そこで、どんなふうな訓示をされたのか、明らかにできる部分があれば教えていただきたいと思いますけれども
  241. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今回の訓示につきましては、総理から私に対して、この漏えいについてしっかりと各省庁に今後漏えいのないように徹底させるようにという強い御指示がございまして、この御指示を受けまして、情報漏えいを防止するため、二月二十七日の事務次官等会議におきまして二橋官房副長官より対策の徹底を指示さしたところでありますが、さらにその後も重要情報の漏えいが確認され、誠に憂慮すべき事態と考えたため、改めて私からも事務次官等会議の場でいま一度職員一人一人にまで情報管理が徹底されるよう指示したところであります。
  242. 風間昶

    ○風間昶君 正に機械やネットワークなどのハードの問題よりもむしろ、当然大事なんですけれども、ソフトとしてのある意味では綱紀粛正、公務員の方々の綱紀粛正という観点からも、極めてそういう意味ではソフトの面での強化というのは必要なことだというふうに思います。  それについても、私は今、公務員制度改革がこれからも議論されていくと思いますけれども、公務員の方々の採用においては、人事院において、情報工学関係、IT関係の出題が十分ではないけれどもなされておりますし、採用後の研修においても、総務省が直接的には御担当でありましょうが、大体二十四時間から三十時間ぐらいの研修をカリキュラムで訓練されているというふうに聞いております。  そういうことも含めて、職員の方々の資質の向上について、きちっとやはり官房長官の、官房長官の下でやるかどうかは別にして、官房長官としてはどのようにその資質向上を考えているのかということについて、お考えをお聞きできれば有り難いなというふうに思います。
  243. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま風間先生が御指摘になられました、各省庁の職員一人一人がしっかりとした知識を持つことが肝要であろうと、こう考えております。政府といたしましても、情報セキュリティー対策を進めていくためには必要な知見や専門性を有する人材を確保育成していくことが重要であると認識をしております。  人材の確保に関しては、国家公務員採用Ⅰ種試験等において情報工学系の専攻者を対象とする試験区分を設け、情報セキュリティー分野に対応できる職員の採用を行っているところであります。また、研修については、各府省横断的に、セキュリティーに関する法制度、ウイルス対策、不正アクセス対策等を内容とする情報システム統一研修を実施するなどして情報セキュリティー対策、セキュリティー対策に関する知識を習得さしているところであります。  今後とも、人材育成や職員のセキュリティー意識の向上方策を推進していきたいと、こう考えております。
  244. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。    〔理事芝博一君退席、委員長着席〕  もう一点、済みません、官房長官、記者会見に行かれる前にお聞きしたいことは、昨日、官房長官が国民の皆様方に広くウィニーの使用しないでねということを呼び掛けたわけでありますが、夜八時半に総理が記者会見をされたときにもやはり国民の皆様方に不使用を呼び掛けられたわけでありますけれども、そのときに、記者の方からの質問だと思いますが、ウィニーの使用を法律で規制するかどうかについて質問があったときに、総理は、専門家の間で検討してほしいというふうにお話しされておりますけれども、昨日の夜のことですから今日どうこうということはないにしても、当然指示がまた官房長官の方に下りると思うんですけれども、この部分についてはどういうふうに、今考えられていることがあれば教えてください。
  245. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今確かに先生が御指摘になられましたように、ウィニーという、特定のソフトウエアの使用について、私の方からも、また総理の方からも国民に対して申し上げたというのは確かに異例なことでございますが、これはウィニーを介しまして情報流出事案が多数発生しておりまして、特に、政府機関だけではなくて、学校、病院、企業等における個人情報の流出、パソコン利用者本人のプライバシーに関する情報の流出等の形で既に国民の皆様の生活にも悪い影響が出てきている。国益を損なっているのみならず、国民の生活にも大きな影響が出てきているということにかんがみまして、私どもといたしましては、つまりこれを使うなということではなくて、このウィニーを使うと情報は漏えいしますよと、情報漏えいを防ぐためにはウィニーを使わないということしか、ウィニーを使わないというのが一つの手段ですということを申し上げたわけでございます。  そこで、では、ウィニーという民間のこのソフトを使うか、使わせないということについて、この是非も含めて、これは有識者の方々に御議論をいただきたいと、こう思っております。
  246. 風間昶

    ○風間昶君 はい。官房長官、お時間でしょうから、どうぞ。  そこで、今官房長官からもそのようなお話があったわけでありますけれども、ソフトウエア全体の概要というよりも、むしろソフトウエアによるこの情報流出が、いろんなところから発信されているんだと思うんですけれども、どのぐらい起こっているのかということを現時点でやはり内閣情報、何ですか、官房情報セキュリティセンターがその私は集約をする役目だと思っておるわけでありますけれども、そうでないって言えばまたちょっと議論しなきゃならないんですけれども、どの程度この情報流出が起こっているのかということを把握されているのかどうか、まず教えていただきたいと思います。
  247. 松井房樹

    政府参考人松井房樹君) 内閣官房情報セキュリティセンターでございます。  当方で確認できた範囲で申し上げますと、昨年四月以降、このウィニーの使用を原因とする情報流出事案は、官民合わせて約八十件ほどございます。このうち、国の機関に係るものにつきましては、本年二月に判明いたしました海上自衛隊の業務資料の流出など八件を確認しているところでございます。
  248. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。分かりました。これからまたちょっと議論をしていきますが。  今日は、警察庁関連のこのことについて、先ほど官房長官が、事務次官会議で一週間前訓示をされた。その訓示を受けて、警察庁としては、一週間経過しているわけでありますけれども、どういう対策を講じていられるのか、まず伺いたいと思います。
  249. 武市一幸

    政府参考人(武市一幸君) お答え申し上げます。  去る三月九日の事務次官等会議におきまして、内閣官房長官からなされました情報管理の徹底に関する発言につきましては、これを私ども真摯に受け止め、警察庁からすべての警察職員における情報管理の徹底について鋭意取組を進めるよう、全国警察に通達を発出したところでございます。  また、警察庁におきましては、今回の情報流出事案を受けまして、緊急対策として、三月七日付けでございますが、職場に存在するすべてのパソコン及び外部記録媒体について緊急点検を実施する。あるいは、職務上使用する私物パソコンはもとより、専ら私用として使うパソコンについても、ウィニーのようなファイル共有ソフトを削除させ、これを確認する措置をとる。そして、すべての職員について、ウィニーが導入されているパソコンを使用しないと、こういったこと等、情報管理対策の徹底につきまして自筆の確認書の提出を求める、こういったことなどを定めた通達を発出しておりまして、今回の内閣官房長官の発言を踏まえ、本件緊急対策を適切に実施するよう、併せて指示をしたところでございます。  これらにより、緊急対策等を確実に履行していくことによりまして、この種事案の再発防止に万全を期してまいりたいと考えております。
  250. 風間昶

    ○風間昶君 岡山県警における、署員の私有パソコンから多くの個人情報が流出したり、あるいは愛媛県警から未解決の殺人事件の捜査資料を含む事件関係者の個人情報が流出しているということから、それぞれの県警本部において対応を今されているようでございます。  特に岡山県警は、今お話があったように、私有、私の持ち物としての私有パソコンを今年の七月までゼロにするというふうにしましたけれども、個人情報の持ち出しについては所属長の許可があれば可能となる現行の内規は変えない方針だというふうに伝えられておりますから、このことについて、じゃ警察庁としてはどうするのかという問題があります。  それからもう一つは、愛媛県警全職員、二千七百名ぐらいいらっしゃるんでしょうか、の方々に、そのウィニーのファイル交換ソフトを使わないとする誓約書を書いてもらうというふうに発表したわけでありますけれども、確認にしますけれども、それぞれの県警がやっている、今進めていることと、今回の事務次官会議での官房長官から全省庁の職員の方々の情報管理についてきちっとやっていただけるようという訓示の分と、今緊急対策として警察庁は全国都道府県県警に出されたパソコンの緊急点検、あるいは私用で使わない、あるいは対策としてまた都道府県警に出したわけでありますから、何か知らぬけど、都道府県警はそれぞれ問題が起こった事案に対して対策をしている形になっているわけでありますけれども、このことと、警察庁が出した緊急対策と、どういうふうに考えていったらいいのか。  私は、全国で岡山県警やあるいは愛媛県警がやっているような誓約書書いてもらうとか、あるいはその私有パソコンをゼロにしていくということを全都道府県警におしなべてやるべきだと思っておりますが、まずはその事実関係と、どういう方向でいくか、教えてもらいたい。
  251. 武市一幸

    政府参考人(武市一幸君) お答え申し上げます。  警察庁におきましては、訓令あるいは通達という形で厳格な情報管理の基準を定めまして、都道府県警察に対してその徹底を指導するという、こういう立場でございます。例えば、公務で使用するパソコン及び外部記録媒体につきましては庁舎外への持ち出しを制限いたしておりますし、許可を受けて持ち出す場合であっても、保存する捜査資料等の情報を必要最小限にする、あるいはこれらの暗号を推進すると、こういったことを定めているわけでございます。  各県ともこういった通達に従って適切にそれぞれ対応していくというふうな枠組みになっておりまして、これからも都道府県警察を私どもとしては指導を進めてまいりたいと考えております。
  252. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  そうすると、岡山県警の指示した私有パソコンをゼロにするという話じゃ警察庁としては出さないわけですね。  それからもう一点は、愛媛県警の職員の方々に誓約書を何項目か、二項目ですか、外に持ち出さない、公務の部分は、それから、私有の、私物のパソコンであってもソフトを、交換ソフトを入れないという二項目が愛媛県警の誓約書でありますけれども、これも、ですから全国都道府県警には落とさないということですね。それで理解していいんですか。
  253. 武市一幸

    政府参考人(武市一幸君) 例えばパソコンの調達に関しましても、これは制度的には都道府県警察の方で地方の経費でやることになっておりますので、警察庁で一律的にやれという指導はいたしますけれども、それが直ちに実現できるかどうかということについては都道府県警察のさらに判断が加わるものだと考えております。
  254. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、これまた都道府県警間の格差があって、広域的な犯罪が起こったり、あるいはいろんなことが起こった場合に、今問題になっていることの再発防止の観点からすると、これはちょっとちぐはぐでないかと私は思うんですよ。  この問題に関しては、情報の流出防止や、あるいは犯罪被害者保護の観点から、全国一律にきちっと厳しく規制していくことが大事ではないかというふうに私は思うんですけれども、そうでないみたいですから、国家公安委員長、ここはどういうふうにしたらいいんでしょうかね。
  255. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 三月七日、局長連名通達で出しておるのは各都道府県警察の長に全部出しておりますので、このいわゆるいろいろ今委員申されたようなことについては、全国一律、一様に指示、指導しているものでございます。  今局長おっしゃられましたのは、これは地方警察は国の機関そのものではございませんので、いわゆる各省庁が出先の機関のように指導、すぐ行くと指導し、直ちにそれが命令という形で行くものではないと。あくまでも、地方はそれぞれ地方の管区警察、まあ例えば宮城県なら宮城県警察があり、更に公安委員があって、そしてまたこちらの方では全国一律にいろいろ見ている警察庁、更に国家公安委員会というのがあるものですから、一応指導的な通達としてそういうものを全国には出して、そのように施行する、執行するように一律で指導しているわけでございます。  その効果等については、今言ったように、国が直接全部管理しているわけではありませんので、予算やその他については、それぞれの県においてそういうものが実施するに当たっては地方の公安委員会又は県、その管区警察があるという、そういう意味だというふうに思います。
  256. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、それはそれとして私、分からないわけじゃないんですけれども、それは組織機構上やあるいは予算の配分の話じゃなくて、むしろ犯罪被害者防止とか、あるいは流出していかないように個人情報を保護するという観点では、やっぱり国家公安委員会若しくは警察庁から指示、通達を出したことが中身の上で都道府県間に格差があってはいけないと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
  257. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) これは、一応いろいろそれぞれの個人個人からちゃんとウィニーが入っていないということを証明したものを出させたり何たりするのは、これは全国一律の指示でございますから、それはそれぞれきちっと行われていくということになると思います。
  258. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  それから、これは私の考えですけれども、ウィニーはウィンドウズでしか使用できないわけでありますから、やったことがあるのかどうか分かりませんけれども、マッキントッシュではこれは起動しないんでしょうか。ちょっと私、専門的でないんで分かんないですけど、分かる人がいたら教えてください。
  259. 松井房樹

    政府参考人松井房樹君) 委員指摘のとおり、ウィニーはウィンドウズというOSで動くだけでございますので、マッキントッシュでは動きません。
  260. 風間昶

    ○風間昶君 何が言いたいかというか、今ウィンドウズもマックも互換性が進んでいるわけでありますけれども、このウィニーはウィンドウズでしか動かないということであるならば、インターネットに常時接続する機種は、逆にマックに限定するといったことを含めた改革もある意味では逆発想で必要かなというふうに思っていまして、リスク管理からすれば、すべてのパソコンがネットワークにつながっているというのは不必要だし危険ですらあるんでないかというふうに思うわけであります。  つまり、いやこれはちょっと考え方が違うと言われればそれまでかもしれないですけれども、ネットワークにつながらないパソコンというのも必要じゃないかなと。つまり情報の金庫という観点からすると必要ないかなというふうに私は思うわけでありまして、そういう意味では、だから全く国家の国益に反するような機密条項を含めた政府部内における情報管理の向上についてきちっとやっておくということが大事なんではないかと思いまして、これについて内閣官房としてどのような対応、対策を取っていくおつもりなのか、伺いたいと思いますけれども
  261. 松井房樹

    政府参考人松井房樹君) 委員指摘のとおり、ウィニーはウィンドウズというOSでしか動きませんので、ウィンドウズ以外のOSを使うことはウィニーによる情報漏えいを防ぐ方法の一つではあろうと思います。また、重要な情報を扱うパソコンを不必要にインターネットに接続させないことも情報漏えいを防ぐための大変重要な対策であると考えております。  しかしながら、今回の一連の政府機関の情報漏えい事案につきましては、職員が職務上の情報を私物パソコンで取り扱い、その中にウィニーが入っていたことが原因でありまして、政府機関のパソコンのOSをウィンドウズ以外のものに替えれば直ちに解決するものではないというふうに考えております。  また、このため、私どもとしましては取るべき対策といたしましては、先ほど官房長官も申し上げましたとおり、各省庁における職員の私物パソコンの適切な管理など情報管理の徹底が重要でありますから、官房長官からその指示が行われたところでございます。  なお、ネット接続の問題につきましては、各省におきまして、取り扱う情報の重要度等に応じまして、それぞれのネットワークをインターネットに接続できないような設計や、あるいはそのような運用を行っているというふうに認識しております。
  262. 風間昶

    ○風間昶君 そういう意味では、IT立国を目指す以上はネットワークの安全確保というのは非常に国家存立の基盤であるわけでありまして、そういう意味では、だから全く新しい発想の国産で基本OSを、オペレーティングシステムをつくるということについてやっぱり考えるべきじゃないかと思いますけど、松田担当大臣はそれについて興味ありますか。
  263. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 風間委員言われるように、ITがもう本当に社会経済活動の中で大きな、もう不可欠な基盤となってまいりまして、ITを安心して利用できる環境を整える、とっても大事であります。  そういう意味で、この総合的なセキュリティーのもっと中長期的な戦略というものも必要だと考えておりまして、この間作りましたIT新改革戦略の中でも、情報セキュリティーのリスクをゼロに近づけることを目標とした技術の開発等を推進するということを今後の五か年計画の中でうたっているわけでございまして、それを受けて、現在、現在正に、これも私、科学技術担当大臣として所管さしていただいているんですが、総合科学技会議で第三期の科学技術基本計画というものを今、もうすぐ閣議決定させていただく段取りでございますが、その中にこの情報セキュリティー技術の高度化というのを入れておりまして、安全なシステムアーキテクチャーと基本ソフトウエアに関する研究、脆弱性をなくす高信頼ソフトウエア開発環境構築のための研究開発、情報セキュリティー評価技術に関する研究といったような点を重要な研究開発課題として取り組むこととしておりまして、委員指摘のような基本的なソフトウエアについても研究を続けていくと、そしてできればといった考えを持っております。
  264. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。e―Japan戦略の担当でもあります大臣からそういうことで決意を伺ったことでは非常に有り難いことであります。  また元に戻りまして、先ほどのこの情報漏出した中には犯罪の被害者やあるいは捜査中の事件の関係者の情報も含まれていると思うんですよね。そういう情報がこのネットを通じて広範に流れるということになると、その人たちの損害も計り知れないわけでありまして、今出ている、情報が流出された方々の被害者のケアをどうしていくのかというのもまた一方で大きな問題でございまして、これは政府として、国家公安委員長としてどういうふうにケアを取っていくのかということで、具体策なかなか難しいかもしれませんけれども、ちらっとお考え教えてくださいませんかね。
  265. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) まず、岡山県警察におきましては、流出した情報の当事者の方々に対して個々具体的な事情を勘案した上で必要な説明を行い謝罪することとし、一部の方には謝罪したとの報告を受けております。その際に、情報の流出により二次的な被害に遭われることのないよう、各種の事案を想定して必要な助言、支援をしていく方針であるとの報告を受けております。  愛媛県警察におきましても、一部の方には謝罪したとの報告を受けているところでありますが、現在もなお流出情報の全容解明を鋭意進めているところであり、その解明結果を踏まえて個々具体的な内容や当事者の事情に即して適切に対処していくものと承知しております。  なお、現在までのところ、情報が流出したことにより当事者の方が新たな被害を受けたという報告は受けておりませんが、これから適切に対応していきたいというふうに考えております。
  266. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  ちょっと話を今度変えまして、残された時間で食品安全の問題についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども。  今、化粧品に使用されるアルコール類の中で非常に分子量が小さくて感触が良くて、保湿剤やあるいは保存や乳化剤として使われている製品がたくさん出回っているわけでありますけれども、その物質がプロピレングリコールといってアルコールの一種なんですけれども、これ物すごいいろんなところに使われております。クリームや乳液、それから食品では生めん、めんが乾くのを湿度を保つために生めん、あるいはギョーザの皮、イカの薫製などで湿気を保持する、かんからかんに乾かないようにするということで、このプロピレングリコールというのが使われているんですね。全く無色無透明、無透明というか無色透明、無臭でやや粘っとしたとろみ性のある液体なんですけれども。  これについて実は、東京都消費者センターが調査したところで、めんの中に最大で四%近いこのプロピレングリコールが使用されていたと。この四パーというのが実はくせ者で、実は高いらしいんですけれども、実際にそれで、それが消費者センターが調べて四パーになっていたんですが、プロピレングリコールはいろんな作用があるらしくて、いい作用ばっかりでも実はないようでありまして、この辺の治験が十分まだ得られていない。環境にセンシティブな人たちは、発がん性があるだとか、あるいは染色体異常を起こして不妊の原因にもなるというようなことも巷間言われておりますから、ちゃんとした治験をやっぱり出すことが大事なんでありまして、このことについて厚生労働省の方にきちっとしてもらいたいと思うんですが、お伺いしたいと思います。
  267. 藤井充

    政府参考人(藤井充君) まず、食品添加物のことについてお答えをさせていただきたいと思います。  食品添加物につきましては……
  268. 風間昶

    ○風間昶君 もう時間ないからね。聞いたことに答えてね。
  269. 藤井充

    政府参考人(藤井充君) はい。食品衛生法に基づいて人の健康を損なうおそれのないものとして厚生大臣が定めたもの以外を使用を禁止をしております。プロピレングリコールについてもその毒性等を検討をいたしまして、人の健康を損なうおそれがないものとして厚生労働大臣、当時は厚生大臣でありましたが、が定め、食品添加物として使用を認めているものでございます。
  270. 風間昶

    ○風間昶君 すごいんですよ。歯磨き、シャンプー、化粧品、乳液、各種クリーム、ファンデーション、口紅、マスカラ、アフターシェービングローション、マウスウオッシュ、育毛剤、そのほかにさっきのうどん、そば、ギョーザの皮。いや、私悪いって言っているんじゃなくて、これだけ便利に使われているんだけど、本当に巷間言われている発がん性や不妊の問題になるんでないかというふうにおそれを持っていらっしゃる方いるから、ちゃんと治験を取ってくださいとお願いしたんですよ、今厚生労働省さんに。
  271. 藤井充

    政府参考人(藤井充君) 現在、プロピレングリコールにつきましては、御指摘がありましたように、発がん性でありますとか不妊性であると、そういう示唆をする報告がないものと承知をしております。  また、国際機関の方でも安全性評価がされておりまして、そこの段階でも発がん性等について問題の指摘はなかったというふうに思っておりますが、今後そういう新たな治験が出てまいりましたら、食品安全委員会にリスク評価をお願いをいたしまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  272. 風間昶

    ○風間昶君 いやいや、だから使われていて、今その報告ないけれども、巷間言われているんだから、それをちゃんと否定するようなものをやっぱりちゃんと出さないと、後で問題になったときに、安全だということで今使われているけれども、一方では、巷間言われているということは、国民の安心の部分で安全と安心の乖離があるということは間違いないわけでありますから、ここをちゃんと担保していく。国民の安心をどう担保するかというのがまた松田大臣の役割でもあろうかと思うんですけれども、そういうリスクコミュニケーションを推進していくことが必要だと思いますけれども大臣に最後決意伺って終わりたいと思うんですけれども
  273. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 風間委員おっしゃるように、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、安心、安全ともに大事でございまして、今おっしゃったように、評価そのものを一方で進めていきながら、またそれぞれについて国民との間に、関係者の間でリスクコミュニケーションしっかりしていくということは私どもとても大事だと思っておりまして、今の食品添加物などについても適宜食品安全委員会としてもリスコミに大変御尽力いただいておりますけれども、今議員の御趣旨を踏まえまして、更にそういった点にも配慮していきたいと、またリスコミについても充実していきたいと、そんなふうに考えております。
  274. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  275. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。  まず初めに、警察庁にお伺いいたします。  訪問看護、介護等の際の車の駐車許可についてでございます。がんで末期状態になったときには、自宅に戻り、家族や親しい友人とともに過ごしたいと、最期のときは自宅でと願っておられるがんの患者さんは多いのではないでしょうか。  昨年十月の厚生労働省のがん対策アクションプログラム二〇〇五では、がんの在宅療養、終末期医療の環境基盤整備をがん対策の柱の一つに掲げております。また今年の四月一日からは在宅の末期がんが介護保険の対象に追加されることになっておりまして、自宅で最期を迎えることを後押しする方向付けがなされております。こうした流れ、またニーズから考えまして、今後自宅で終末期の看護、介護を受ける人が増えていくことは確実ですし、また、こうした末期がん患者の方々の在宅看護を二十四時間体制で実施しているクリニックが現実に幾つもあり、また今後も増えることが予測されております。  ところで、こうしたクリニックで現在一番困っている、大変困っている問題があります。何だとお思いでしょうか。それは訪問看護の際に使う車の駐車の問題でございます。駐車の許可を受けるには現在二つの方法があります。一つは、一回一回の訪問先ごとに管轄の警察署に駐車許可の申請を出して許可証交付をしてもらうと。もう一つは、数か月間の期限を限って、訪問先ごとに看護スケジュール表を提出して、そのスケジュール表に従った駐車許可証が警察署から交付されると。この二つの方法でございます。  スケジュールどおりに看護が実施されている限りは問題ないわけですけれども、何分相手は末期の患者さんですからいつ容体が変わるか分かりません。容体の急変で緊急の看護を求められた場合、先ほど述べた二つの方法により警察署で許可証をもらっている時間的な余裕は到底ありません。患者さんの命が掛かっているこうした場合に、やむなく近くに緊急に車を駐車して、そして看護し終わって戻ると駐車違反のステッカーが付けられているということが間々あると言われております。ある看護師さんは、この二年ぐらいの間に三回もこうした駐車違反で罰金を払ったそうでございます。  四月から末期がんの介護保険の適用が始まりますけれども、こうした末期がん患者さんに対するホームヘルパーの訪問介護についても全く同じ問題が出てくると思います。警察庁は訪問看護や訪問介護における駐車許可をどのように出されているのか、また緊急の訪問看護及び訪問介護の際の車の駐車許可問題についてどのように考え、また対応しておられるのか、お尋ねいたします。
  276. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答えいたします。  警察署長によります駐車の許可でございますが、これは駐車する場所と時間を特定してこれを許可することになるわけですが、お話ありました訪問看護あるいは訪問介護は、通常は事前の計画に従いまして実施されておりますので、あらかじめその場所、日時等を一覧表にいたしまして許可の手続を取っているということでございます。  それで、お話にありましたように、訪問看護事業、寝たきりの老人のほか難病患者の方々、訪問看護、必要とされる方々も対象としておられまして、時には緊急を要する場合もあるわけでございます。これは、駐車許可は、ほかにも例えば冠婚葬祭ですとか引っ越しなどで急にその必要が生じて事前の手続が取れない場合もあるわけでございますが、警視庁等での取扱いを見ますと、取りあえず口頭の連絡をしていただきまして、それによりまして警察署において駐車の許可をしていると、こういうことでございます。  社会生活におきましては正に様々な事態があり得るわけでございますので、実態に即した処理を行うとしますと、やはり基本を踏まえつつも柔軟な対応が求められるわけでありまして、このような対応をしていると、このように承知しております。
  277. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 緊急の場合には口頭であるいは電話で許可を出していると、柔軟な対応をされているというお答えでしたが、実は現場では決してそうではありません。  私はその現場の方々のお声を聞いてまいりましたけれども、実際には、例えば昼間でさえも、緊急対応で警察署に電話すると、何で必要なんだとくどくどと聞かれると。いろいろと説明しなければならなくて時間ばかり掛かると。で、結局らちが明かなかったり、あるいは部署が違うといって電話を回されたりする。まして深夜などは人も少なくて、担当の交通係でない人が電話に出たりいたしますともう話が通じない、結局許可が出ないと。やむを得ずともかく車を駐車して看護に走ると。こういう事態のようでございます。また、新しい患者さんがクリニックに急に来られて、今日から訪問看護をしてもらいたいと、こういうふうに依頼された場合などには、事前に許可証がありませんので交付も認められないわけですけれども、ともかく、今のお答えでは、ちゃんとやっているんだというお答えですけれども、この一刻を争う緊急のときは十分現場では対応できておりません。現実に駐車違反で何回も罰金払っていると、こういう事態でございます。  そういうことで、沓掛大臣是非一度、こうした実態がどうなっているかということを是非見ていただきたいなと思うわけですけれども、国は一方で医療政策で末期がんの在宅ケアの推進を言いながら、他方でこうした緊急時の駐車問題が障害になりまして適切な訪問看護や介護の足を引っ張っていると、こういう実情にあると言わざるを得ません。訪問看護や介護には車は不可欠でございます。急変しやすい末期がんの患者さんなど、ほかにも難病の方もいらっしゃいますけれども、そうした訪問看護や訪問介護については、これまでの駐車許可のやり方だけではなくて、何らかの新しい対応が必要ではないかと。例えば、身体障害者の方々には車で一目で分かるようなステッカーが交付されております。こうした訪問看護や介護用の車にも同じような一目で分かるステッカーなどを付ければ、住民の方々の理解も得ることができ、また申請しなくても適宜駐車が可能になるということになります。  訪問看護あるいは介護のための車は言わば救急車に準ずるような働きをしているものでありますので、こうした国としての支援が不可欠だと思いますが、是非、沓掛大臣、御検討いただき、実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  278. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 今、浜四津委員からいろいろ御指導的お話をお聞きいたしました。  寝たきり老人の方や難病のため在宅療養されている方を対象とする訪問看護あるいは介護事業等は公益性の非常に高い事業であり、また駐車の許可時間以外の時間に駐車しなければならない緊急の事態が発生する場合もあるものというふうに私も理解いたしております。このような緊急な場合に都道府県警察において適切に対応するよう、今委員おっしゃられたようないろいろなお話がございましたが、そういうことも踏まえながら、引き続き警察庁を督励していきたいというふうに思っています。  東京都等の警察等ではかなりいろんなこともされているようですけれども、そういうこともいろいろ実態を踏まえながら検討してまいりたいというふうに思います。
  279. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございました。  それでは次に、男女共同参画推進について猪口大臣にお尋ねいたします。  一九九九年に男女共同参画基本法が制定、施行されました。男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮することができる社会を国として目指すということが明確になりました。この基本法の制定を受けまして、この六年余りで社会全体に男女共同参画という言葉の理解度が飛躍的に進んだと考えております。  まず、この男女共同参画社会の推進と、我が国が直面する最大の課題である少子化との関連についてお伺いしたいと思います。  かつて少子化の要因の一つとして女性の高学歴化、社会進出が挙げられておりましたが、しかし、OECD諸国では女性の社会進出が進んでいる国ほど出生率が高いという結果が出ております。様々な少子化のアンケート調査の結果、子供を産まない、産めない理由として、一つは経済的問題、二つ目は仕事と育児の両立ができないことが挙げられております。日本は昨年のOECDの報告でも、仕事と子育ての両立が最も困難な国との報告が出ております。男性も女性も、また仕事も子育てもという男女共同参画が進まなければ、幾ら児童手当などの経済的支援を充実させても少子化に歯止めが掛からないことはヨーロッパ各国の取組から実証済みと言えると思います。  大臣、実は一昨日、羽田の全日空に視察に行ってまいりました。ここでは女性の客室乗務員、数多くおられますけれども、また管理職の方々と懇談してまいりました。約四千人の女性客室乗務員の二六・七%に当たる千百四十七人が結婚しておられます。そのうち、出産後も復職して子育てをしながら働いている乗務員は、四割弱の四百三十四人にも上っております。全日空側の説明では、結婚、出産後も、本人が希望すれば一〇〇%復職できる体制を取っているということでございます。また、女性の復職が航空運送業務の基本品質や顧客満足度を高めることにつながっていると。つまり、それは女性、子供のためという点ももちろんありますけれども、出産して育児しながら仕事ができる体制を取ることは企業にとってもプラスだという認識を示されました。子育てしながら働ける環境をつくることに社挙げて努力しているとの印象を受けて帰ってまいりました。  日本の多くの企業が同じような意識と取組をすれば、もちろん幾つかの企業ではもう既に取り組まれているところもありますけれども、数多くのところではなかなか進んでないのが実情でございます。是非大臣、こうした企業への説得をお願いしたいと思います。ともあれ、少子化対策の観点からも一層の男女共同参画推進への取組が必要と考えますけれども、今後国として具体的にどのように取り組まれるのかをお伺いいたします。
  280. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) ありがとうございます。浜四津先生より今大変重要な事例の御紹介もいただきまして、正に今御紹介いただいた事例が示しますとおり、男女共同参画を進め、女性が子育てしながら、また男性もですけれども、子育てしながら働き続けることができる社会をつくることによって出生率も上がっていくと考えております。  今御紹介いただきました調査結果は、男女共同参画会議の下に設置されてます少子化男女共同参画に関する専門調査会というところの報告書で分析しました結果、女性の労働力率が高い国ほど出生率が高いと。そして、日本の場合は、三十年間、女性の労働力率の伸び率が非常に小さいわけですね。そして出生率も下げ止まらないと。そして、その逆の国、つまり労働力率を急激に上昇させながら出生率も回復してきている国の特徴は、今先生御指摘のとおりの様々な両立支援、仕事と子育てが両立できる支援、それから実際には男性も含めた働き方の見直しが進んでいる。そして、最も根本的には保育所の整備などが進んでいるというところでございますので、男女共同参画推進を進めながら少子化対策も進めるという観点で頑張っていきたいと存じております。
  281. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、職場のある地域に保育施設の設置を進めることを支援していただきたいという観点から大臣にお伺いいたします。  国では、現在、子育て支援、少子化対策の一つとして、企業内の保育施設の設置を推進しております。子供を連れての通勤は大変な苦労を伴うとも思われますけれども、一方で、職場の近くで預けられれば安心、子供との時間を共有したい、一緒にいたいと願う父母にとっては大変心強い取組と考えております。それをもう一歩進めて、企業の枠を超え、また民間あるいは公務員の枠を超えて一定の地域内に保育施設をつくると、こういうことを是非国として支援していただきたいと思います。  一昨日の羽田の視察で、全日空の視察の後、私は、国土交通省東京航空局、いわゆる羽田の管制塔を視察いたしました。羽田では、管制官として多くの女性が働いておられます。その管制官の四割が女性だそうでございます。多くの方々の命を一身に預かるという重圧の中で不規則な勤務をこなして活躍しておられます。彼女たちの上司はこう言っておられました。せっかく難関を乗り越えて管制官の資格を取り、経験を積んで羽田の管制官として勤務しているのだから、結婚しても出産しても継続して勤務してほしいと希望している、しかし、実際にはなかなか両立は難しく、いつ人手が足りなくなってもおかしくないということでございました。最近結婚をした管制官の女性から、子供を産みたいけれども今の状況で休みを取るのは難しいとの切実な声があるということも伺いました。  実は羽田では、現在、全日空を始めとする民間航空会社と国土交通省東京航空局の職員らの間で羽田の地域に保育施設をつくる検討が行われていると伺いました。しかし、ここに大きな壁があります。二十一世紀職業財団の補助を受けて保育施設をつくると、民間会社の従業員は利用できますけれども、雇用保険に加入していない管制官は利用できないという課題があるということでございます。  これは余りにも縦割りの発想で、現場のニーズと懸け離れていると言わざるを得ません。民間航空会社や空港ビル内の事業所、また東京航空局などがそれぞれ各自で保育施設を設置することは不可能に近いわけで、それよりも、この羽田地域に勤める人であれば民間でもあるいは公務員でも、だれでも安心してお子さんを預けられる保育施設があれば、仕事と子育ての両立が更に進むことは確実でございます。日々空の安全と快適を担っている管制官の女性の方々を始め、また民間の航空会社の客室乗務員などの方も時間的に非常に不規則な仕事をしておりますので、近所の保育園に預けるということではとても仕事との両立ができない状況にあります。こういう人たちのために、地域内保育施設のモデルケースとして、羽田に羽田空港関係で働く女性たちがだれでも使える羽田の保育園を民間と国が協力して設置を推進していただきたいと思います。  そうした現場のニーズにしっかり合ったきめ細かな施策こそが求められると思います。例えば、文部科学省に保育施設をつくって、そこには文科省の職員だけではなくて他省の職員も、また国会議員や秘書も、あるいは民間企業の従業員も使えるという例が現にあったわけでございます。  大臣、何らかの形でこうした形態の地域内保育施設、特にモデルケースとして羽田の保育園設置を後押ししていただければと思いますが、いかがでしょうか。
  282. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 今、浜四津先生御指摘のところは、企業内託児所の地域的なネットワークという考え方でございますね。私の大臣室にはいろいろいい考えがたくさん全国から寄せられていまして、このような考え方もよく寄せられる意見の一つではありますが、今羽田のケースにつきまして特別に先生からそのような御指摘ございましたので、是非この地域のことについて更に勉強しまして、一般的に企業内託児所の地域的なネットワークという考え方につきましては積極的に検討していきたいと考えております。六月の推進会議の取りまとめに向けて今様々な意見について議論を深めてますので、その中でまた議論を展開させていただきたいと思います。
  283. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございます。  沓掛大臣、失礼いたしました。私の質問は、大臣に対する質問は終わりましたので、よろしければどうぞ御退席ください。  それでは、続きまして、昨年末に策定されました第二次男女共同参画基本計画について猪口大臣にお伺いいたします。  まず、男女共同参画推進する上で重要な考え方であり視点であるジェンダーについては、まだまだ社会全体に広く浸透し、また正確に理解されているとは言い難いのではないかと思います。  先日、お話を伺いました実践女子大学の鹿嶋敬先生はこう言われました。ジェンダー自体には、いい悪いという価値判断を含むものではないと。すなわち、ジェンダーの中で服装など社会的なコンセンサスがあるものは普通のジェンダーであり、これとは異なって、例えば男は仕事、女は家庭、男性は理論的、女性は感情的などという男女共同参画の基本的考え方である個性と能力を発揮する上で制約となっているもの、こうしたものを悪玉ジェンダーと考えてよいということでございました。  しかし、社会一般では、この普通のジェンダーと悪玉ジェンダーが混同され、ジェンダーという視点が正しく理解されずに、誤解され、曲解され、殊に教育現場などで数々の混乱が指摘されております。それは例えば、過激な性教育と結び付けられてジェンダーが議論されたり、あるいはひな祭りや端午の節句の否定や、人間を中性化することを目指しているだとか、あるいは小学校高学年で男女が同じ部屋で着替えること、修学旅行などで男女が同じ部屋で宿泊することをジェンダー論者は考えているなどという誤解や、あるいは公共施設における表示、例えばトイレなど、男性はブルー、女性はピンクといった色を変えることもいけないんだというような誤った理解、本来の目指すところとは全く異なる、男女共同参画の趣旨とは異なる誤解がまかり通っております。  こうした現場の混乱や誤解、曲解ゆえに、ジェンダーの考え方や用語そのものを否定し、使用しないという動きが広まることは適切ではないと私は考えております。もう既に世界で広く理解され、使用されているジェンダーの考え方を一般の国民の皆様、特に男性の方々に正しく理解していただけるよう国として一層の努力が必要と考えますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  284. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 先生御指摘のとおり、この男女共同参画の基本計画におきまして、このジェンダーに関する様々な現場の混乱があると指摘されておりますことにつきまして対応いたしたつもりでございます。  具体的には、ジェンダーにつきまして社会的性別というまず訳語を確定しまして、そして注においてきちっと定義をしまして、また、男女共同参画社会を形成する上で阻害要因とならないものにつきまして、別途注に、今先生が御指摘されたようなこと、例えばトイレの表示が色違いがあっても、別にそれは、そのことをもってジェンダーの問題の議論するのは適切でないというようなことも含めまして注に明記いたしました。  さらに、私といたしまして、現場での混乱がなくなりますよう、大臣による男女共同参画研修会をすべてのブロックで展開するという努力の今さなかにございます。半分ぐらいのブロックを今もう往訪しております。そして、その行く先々で多くの方々が集まってくださいます。行政職員あるいは地方議会の皆様、そして理解を深めてくださっていますので、第二次基本計画の閣議決定をもちましてこの問題につきましては解決が見られたと考えております。
  285. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございます。  次に、女性学、ジェンダー学について大臣にお聞きいたします。  男女の性差がもたらす様々な文化的、社会的問題を学術的な視点から多角的に考え、考察を加え、さらに、男女共同参画の視点から様々な制度や習慣を見直す女性学は、男女共同参画を正確に理解推進する上で大変意義あるもので、更に充実させるべきものと私は考えております。  そのような観点から、第一次基本計画においては女性学が明記されていたものと考えますが、第二次計画ではこれが明記されておりません。第二次基本計画には、高等教育機関において、男女共同参画の正確な理解を図るため、男女共同参画に資する調査・研究の充実を促すとありますが、この調査・研究に女性学、ジェンダー学が含まれていると考えてよいのでしょうか。また、多くの大学や研究機関で実際に取組が進んでおります女性学、ジェンダー学の今後の推進についてどうお考えか、お伺いいたします。
  286. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 御指摘の第二次基本計画におけます男女共同参画社会の形成に資する調査・研究は幅広い学問分野を対象とするものであり、女性学やジェンダー学も含まれます。  女性学、ジェンダー学は、女性の視点やジェンダーの視点に立って学際的に研究を進める大切な学問であると考えております。これらの学問分野において、男女共同参画社会の形成に資する調査・研究が進むよう期待しているところでございます。
  287. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございます。  次に、ポジティブアクションについて大臣にお伺いいたします。  我が国は、基本的な人間の能力がどこまで伸びたかを示す人間開発指数、HDIは百七十七か国中十一位でございます。が、政治や経済活動への女性の参画を示すジェンダー・エンパワーメント指数、GEMは八十か国中四十三位と大きく落ち込んでおります。十分な教育を受け、能力はあるにもかかわらず、女性が政治、経済活動でその能力を十分に発揮できていないことが数字で明確になっているところでございます。  このような状況を受けて、第二次基本計画においては、二〇二〇年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度になるよう期待し、各分野における取組を促進するとの目標が掲げられております。この目標を達成するためにはポジティブアクションを今後一層積極的に推進する必要があると考えますが、どのように進められるのか、大臣にお伺いいたします。
  288. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 御指摘の点は大変重要なところでございます。  第二次基本計画の中に盛り込まれています数多くの重要な施策、推進目標の一つでございます。二〇二〇年まで三〇%というのは、私たち二〇二〇・三〇と呼びまして、積極的に推進する必要があると考えております。国の審議会等の委員、既に三〇%超えました。地方議会等におきましても、あるいは地方自治体におきます審議会等におきましても、是非そのよう努力していただきたいと思っております。また、現行の三〇%に代わる新たな数値目標を検討する、そのような作業を進めていきたいと思います。それから、国の側におきまして女性の国家公務員の採用、登用等を目標を決めて促進したいと考えております。  私は、国としてはこのような分野において率先垂範ということをしっかりやっていくことが重要であると考えており、そのように推進してまいる決意でございます。
  289. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 心強いお答え、大変ありがとうございます。  次に、リプロダクティブヘルス・ライツについて政府の見解をお伺いいたします。  男女共同参画推進するために、女性の生涯にわたる健康支援は大変重要なことでございます。中でも、妊娠、出産の際の健康支援が重要だと考えております。  女性の生涯にわたる健康、殊に妊娠、出産に関する女性の権利として国際的に広く理解されているリプロダクティブヘルス・ライツについて、日本ではほとんど理解が進んでいないのではないかと危惧いたします。このリプロダクティブヘルス・ライツについて政府の見解を伺うとともに、広く啓発、啓蒙を進めて国民の皆様理解を広める必要があると考えますが、政府としてはどうお考えでしょうか。見解を伺います。
  290. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) お答えいたします。  リプロダクティブヘルス・ライツ、日本語にいたしますと性と生殖の健康・権利は、一九九四年にカイロで開催されました国際人口開発会議において採択されました行動計画において提唱された概念でございます。また、一九九五年の第四回世界女性会議におきまして採択されました北京宣言及び行動綱領におきましてもこの概念が明記されたところでございます。  これらの国際文書におきまして、リプロダクティブヘルスとは、人間の生殖システム、その機能と活動過程のすべての側面において、単に疾病、障害がないというばかりでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあることを指すとされており、リプロダクティブライツはリプロダクティブヘルスを得る権利とされております。政府といたしましてもこれらの文書の採択に加わったところでございまして、平成十七年十二月に閣議決定されました第二次基本計画におきましては、生涯を通じた女性の健康支援の分野の目標部分にこれら国際文書の記述等を引用し、記述しているところでございます。  政府は、男女の、特に女性の生涯を通じた健康を支援するための総合的な対策を今後推進してまいりたいと考えております。
  291. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 最後に、大臣にもう一問お伺いいたします。  配偶者からの暴力対策についてでございます。  女性に対する暴力、殊に配偶者に対する暴力の根絶は、男女共同参画の観点からも、また社会全体の暴力を根絶させるためにも必要不可欠と考えております。配偶者に対する暴力や子供に対する暴力などの家庭内の暴力は大変根深い問題で、現れるのは氷山の一角と言われております。  国は配偶者からの暴力対策についてDV防止法の制定及び改正を軸として取組を進めておりますけれども、DV被害者の支援は、被害者の保護、法的手続、精神的ケア、さらに、将来にわたる自立支援など多岐にわたり、また時間の掛かることも多いため、まだまだ十分とは言えない現状でございます。被害者の視点に立って更にきめ細かい施策が望まれるところでございます。しかし、被害者支援のみではDVを防止することはできません。DVに対する理解を社会に広めるとともに、加害者への教育を始めとする防止策に積極的に取り組む必要があると考えますが、最後に大臣にお伺いいたします。
  292. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 配偶者からの暴力は犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であります。  第二次男女共同参画基本計画におきまして、もちろん被害者を救済しなければなりませんので、被害者の相談、一時保護、あるいは自立支援、そういう取組を盛り込むと同時に、今度は予防啓発プログラムというものの作成、そして予防のための取組、これを国民各層に広報啓発するという観点を盛り込んでございますので、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  293. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございました。終わります。
  294. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  今日、初めて三十分を超えて三十五分の質問時間をいただきまして、本当にありがとうございます。  最初に、猪口大臣に一つだけお聞かせをいただきたいというふうに思っています。  男女共同参画社会推進のために本当に頑張っておられるというふうに思いますし、出産費用の無料化など少子化対策についても、まあ結論はともかくとして、今大変頑張っておられる。今日は私は四番目の質問でありますが、それぞれの質問に対する答弁、大変歯切れが良くて積極的に決意を述べられておりまして、本当に私は敬意を表しております。  また、第二次男女共同参画社会基本計画につきましても、様々な議論を経て取りまとめに頑張ったということもマスコミを通じて承知をしております。私もさっと見させていただきました。今ほど論議もありましたけれども、方向としていいものが出ているんではないかと、こういうふうに思っております。  そこで、一つだけ改めてお聞かせをいただきたいんですが、この第二次基本計画の中に、今ほども論議がありましたジェンダーの概念、これが盛り込まれることになりました。ジェンダーの視点、このことがはっきり据えられております。このことにつきましてはいろいろ論議がありまして、ジェンダーという概念そのものを取ったらどうかという、そういう議論もあったやに聞いておりますが、猪口大臣思いもありまして、これがしっかりと据えられたと。先ほどの御答弁では、この問題にこれで決着が付いたと、そういうふうに申されておられますけれども、このいろんな議論の中でこのジェンダーという概念、これはもうその訳語も定義も明確に述べられておりますが、ここに大臣がこだわってこれをきちっと残すと、そしてこのジェンダーの平等についてこれから頑張っていくというふうにほかのところでも申されておりますが、このジェンダー、ジェンダー平等、ここに大臣が頑張っておられるこの思いをひとつお聞かせをいただきたいと、こういうふうに思います。
  295. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 御質問ありがとうございます。  固定的な性別による役割分担、このようなことはやはり克服していかなければならないという思いがございました。例えば、まあ男性の方は非常に立派で頼りがいがあるから責任ある仕事、ああ女性は補助的な仕事と、そういうことを女性として言われるべきではないと。それぞれの個性、それぞれの立場、それぞれの能力、そういう観点からいろいろと発展していくべきであると考えます。  また、教育現場で、女の子だからあなたはプラズマ物理学は向かないわよというようなことが言われることはあってはいけないと。ですから、性別による固定的な役割分担ということを乗り越えていくと。その上で、例えば私もひな祭りをずっと祝ってきました。大切な日本の伝統文化、たくさんあります。何ら男女共同参画社会形成において阻害要因とならない部分もございますから、そういうことにつきましては、しっかりとまた説明して分かっていただくということを心掛けました。  今回の基本計画の改定におきましては、まず基本法の掲げる目標を一層着実に推進すること、そしてまたジェンダーという概念をめぐっての現場にある混乱と言われますことにつきまして、これを鎮めていくこと、この二つを考えました。  そして、今現在のところの御報告を申し上げますと、私、責任者として先頭に立って、先ほどもお伝えしましたように、大臣による男女共同参画研修会を各地に赴いて行っております。もう予想を超える熱心な参加者の姿勢、そして私も自分の言葉でしっかりと説明し、寄せられる質問、疑問につきましても誠実にお答えすればやはり分かってくださると、そこにやはりこの日本の市民社会につきまして私も深い思いをいたしながらこの行脚を続けております。これからまだ半分のブロックが残っております。誠実に実施していきたいと考えております。
  296. 近藤正道

    ○近藤正道君 頑張ってください。これで大臣に対する質問は終わりますので、どうぞお引き取りください。  次は、先ほど来も議論がありましたアメリカ産輸入牛肉に脊柱が混入していた問題について質問をさせていただきたいというふうに思っています。  今週、香港でもアメリカ産牛肉に骨が混入しているということが確認をされました。この香港に牛肉を輸出している工場は日本へも牛肉を輸出しているところでありまして、昨年末に農水そして厚労が査察で問題なし、こういうふうに評価をした、そういう工場でございます。  アメリカの調査報告書では、日本向けの牛肉に脊柱が混入したのは人為ミスだと、こういう例外的なケースであると、こういうふうに言っておりますが、ところが香港でもこの骨付き牛肉が見付かったと、正に点が私は線になったんではないか、人為ミスだとかあるいは特殊のケースと、こういう言い分は通らなくなったんではないかというふうに思っておりまして、アメリカの牛の管理、ここに正にそのシステムあるいは構造的なやっぱり欠陥があると、こういうことが私はかなり明らかになったんではないかというふうに思っております。  今日は、松田大臣大変お難儀でございますけれども、食の安全担当の特命大臣として、この香港でも同様なケース、しかも日本の管理部門がお墨付きを与えたところにまたこういう問題が出た。正に構造的な問題ではないかという、私はそういうふうに思っておりますが、大臣はいかがでしょうか。
  297. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 近藤委員おっしゃるように、香港政府は今の事態を受けて牛肉輸入を一時停止されたということでありますが、当該加工場は米国政府より日本向けの輸出認可を受けた指定牛肉加工場であると、これもそのように聞いております。  まずは、本事実の事実関係、あと、それ以上まだ明らかにしておりません。きちっとどういうことなのか明らかにされることがまず重要だということで、その情報を今待っているところでございます。  いずれにしても、このアメリカの牛の管理体制の問題というのは、いつも申し上げておりますけれども、当然のことながらリスク管理機関において対応していただくべきものでございます。もちろん、食品安全担当大臣としていつも申しておりますけれども、食の安全あるいは食の安心といったことについては細心の注意を持って当たっていく、その考え方には毫も私自身としては、正に細心の注意を持って当たっているつもりであります。  そういうことでございまして、今先生御案内のとおり、先般米国政府より調査結果・対策報告書が提出されて、これに対してリスク管理機関側で照会がなされ、現在、米国政府からの回答を待っていると、こういう状況でございまして、したがいまして、現時点において何かアメリカの管理体制についてどうかという御質問でございましたけれども、私としては正にリスク管理側の対応を今正に見極めさせていただいていると、こういう状況でございます。
  298. 近藤正道

    ○近藤正道君 食の安全担当特命大臣として、皆さんは文字どおり国民の注視の中でああいうリスク評価をした。しかし、あれは大前提として輸出プログラムが完璧なものである、これが大前提なんですよね。これが、先ほど来議論がありましたけれども、見事に裏切られた。    〔委員長退席、理事芝博一君着席〕 しかも、日本だけではない、香港への輸出についてもやっぱり問題があったと。日本政府がいったんお墨付きを与えたところだ。こういう立て続けに事実が、あってはならないことが立て続けに起こったということの中で、正に直観的に食の安全担当大臣としてどういうふうに思っておられますかと、私はそういうふうに聞いているんですよ。どうですか。
  299. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) ですから、正に先ほども申しましたけれども、輸出プログラムの遵守といった点について現在、何度も繰り返し恐縮でございますけれども、それを前提にしてリスク評価をさせていただきました。したがって、その遵守、大前提でございます。その遵守は正にリスク管理側で今一生懸命対応しておられるところでございます。それがしっかり行われる限り、あのリスク評価は生きておるわけでございまして、そういう段階でございますので、私としては、何度も同じことを繰り返して恐縮でございますけれども、リスク管理側がしっかり対応していただくように常にお話を今いたしております。同時にまた、それを今正に厳しくと言うとあれですが、見極めさせていただいているというのが私の立場でございます。
  300. 近藤正道

    ○近藤正道君 今日は、管理部門の農水、厚生の担当の方も来ておられますけれども、今アメリカの方から調査報告書が来ている。これについて皆さんの方もいろいろ質問をして、それに対してアメリカの方から再回答がある。この議論がしばらく続くんだろうというふうに思いますが、今回香港でも同様な事態が発生してしまった。今ほど言いましたように、私などはこれは単なる例外的な事例ではなくて構造的なやっぱり問題、ここで露呈したんではないかと、こういうふうに思いますが、こういう事態で安易な輸入再開なんて絶対認めるべきではない、徹頭徹尾調査をすべきだというふうに思いますが、事態の推移のいかんによっては対日輸出プログラム、この見直しということもあり得るんでしょうか。
  301. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 二月十七日にアメリカの方から、成田動物検疫所で脊柱が発見されたことにつきまして報告書を受け取って、私どもはそれに対しまして今お話しのように質問状を先方に出していると、その答えを今待っている最中でございます。その途中で今回の香港の事案が起きたわけですが、ただこれは、日本と香港政府のそれぞれのアメリカ牛肉に対する輸入条件はやっぱり若干違いがありますので、全く同じことが香港でも起きたというふうには私どもちょっとそこまで言えるかどうかよく分かりませんけれども、いずれにいたしましても、現在は日本で起きたことの原因の究明と再発防止策について、これからアメリカ側、アメリカのその答えを待ってから、それからきちんとした本格的な調査に入ると、こういうことになるんだろうと思います。  したがいまして、今の段階でプログラムそのものについてどうするんだというお話はちょっと私ども今云々できる段階ではないと思いますけれども、ただ今回のことはよく私ども大臣申し上げておりますが、ルールそのものではなくてルール違反があったということでありますので、ルール違反があったことそのものをもってルールそのものが駄目だという話まで至るかどうか、今そこまでの話はないんではないかというふうに私ども現在のところは見ております。
  302. 近藤正道

    ○近藤正道君 皆さん質問すれば、結局今の段階ではそういう答弁しか来ないんだろうなと、こういうふうに思いますが、しかし、これだけ問題になった中で、二度にわたって言わばルール違反があったということを見ますと、私はそのルールそのものの設定も含めてもう一回見直しということもやっぱり真剣に考える、そういうときではないか。そうでなければ、やっぱり国民は納得をしないというふうに思うんです。  そこで、松田大臣のところにまた話が行きますけれども、私も前回のこの委員会で寺田委員長に来ていただいていろいろ質問させていただきました。今日の先ほどの黒岩さんの話ともかかわるんですが、あのときも寺田委員長は、事前調査があるというふうに思って答申をしたけれども、結局何の連絡もなかったという話をしておりました。今日は、寺田委員長だけではなくて、松田大臣も全く知らされてなかったということが分かりまして、改めて食の担当大臣というものの位置というものは、まあ言葉は悪いですけれども、こんななのかなという思いがしてならないわけでございますが、いずれにしましても、大臣は今は管理部門がどうするのか、それを見守るというのが大臣の基本的なスタンスかもしれませんけれども、しかし事と場合によってはやっぱり再評価、これは自ら再評価することも含めて、そういうこともやっぱりあり得ると、そういう私は皆さんの断固とした決意というものはやっぱりちゃんと示しておくべきではないか。    〔理事芝博一君退席、委員長着席〕  私、前回、結局、食品安全委員会は管理部門にいいように利用されたんではないかと、言葉は悪いけれども、そういうふうに言わさせていただきました。今日の私は松田大臣の答弁などをいろいろ聞きながら、改めて私はいいように前回は利用されたんではないか、そういうふうに言われてもしようのない事態が前回起こったと、そこにまたその香港の問題が加わった、こういうことでございますので、もう仏の顔も何度までというわけではありませんけれども、場合によっては我々としても断固とした態度を取ると、こういう意思表示ぐらい、今日できませんか。
  303. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) お答え申し上げます、近藤委員に。  輸出プログラムの遵守を前提にリスク評価を御依頼いただきました、リスク管理官庁から。したがって、食品安全委員会としてはそれを前提にリスク評価をさせていただきました。その輸出プログラムの遵守の点で問題があったわけであります、今回。それを前提に評価をさせていただいた評価そのものに問題があったわけではないと、まずこれは事実だけの、事実をまた重ねてお話ししているわけでございまして、したがいまして、輸出プログラムの遵守に輸出管理側で問題ありとおっしゃれば別でございます。今、その点を一生懸命、原因究明も含めて、先ほど来から答弁ありますように精査しておられます。したがいまして、私としては、それを今注意深く本当に見守らさせていただいているわけでございます。これが今の私の立場であります。  御理解いただきたいと存じますが、食の安全、食品の安心、そのことについて私はおっしゃること何にも、そのとおりだと思います。国民もそれを願い、したがって是非そうありたい。また、現にそれによって輸入は停止されております。そういう意味では、安心してくださいと、米国産、この牛肉の輸入については安心してくださいと、今入っておりません、市場には回っておりませんと、安心してくださいという意味では安全、安心が保たれておりますので、私としては今申したとおり、輸出プログラムの問題、そこに今正に細心の注意を払って、両大臣も今一生懸命やっておられます。それを今しっかり見守らさせていただいておるということでございます。御理解をいただきたいと思いますが。
  304. 近藤正道

    ○近藤正道君 お言葉ではございますけれども、私はこの問題を、今回の問題が出てきたんで急に言ったわけではありません。私も間もなくこの委員会所属二年近くになりますけれども、私がこの委員会に所属されたころから、例のこのBSEの問題はかかっておりまして、当時から、食品安全委員会がなぜ存在するのかと、そして食品安全委員会は本当に独立して科学的に調査ができる体制になっているかどうか、このことについても議論がありました。  確かに、プリオンという高度に専門的な分野、人が足りないという問題はある、あるから、時と場合によっては食品安全委員会の専門家が同時に管理部門の専門家に、スタッフになることもそれはごくごく例外的にあるのかも分かりませんけれども、しかし、管理部門と評価部門というのは違うわけだから、体制を明確に異にしてやっぱりやらなきゃならぬと、つまり警察官と裁判官が同じ人が兼ねるなどというふうな誤解を持たれては困るというような話もしながら、本当に食品安全委員会は独立してるんですかと、ちゃんと物を言ってるんですかと、そういう質問をずっとやってきた、その延長で今の質問をしているわけですよ。  今回のそのアメリカの牛肉の問題についても、皆さんとこの食品安全委員会の専門の人たちが事前にその管理部門の人たちと一緒になって、アメリカでいろんなことをやっているわけですよ。まあ、それ自身私はおかしいと思うけれども。事実上一体となってやっておって、そしてこういう結果ですよ、これ。しかも、今言ったように、安全委員会のメンバーはほとんど重要なことは知らされていない、後でプレスリリースで教えられる、大臣からしてそうだと。  こういうことを見せ付けられれば、私らはやっぱり、もっとはっきりしっかりしてくださいよと、国民に向かってもう許さぬと、いい加減にしろという怒りぐらいあらわにして、今度やったら本当に伝家の宝刀抜くよと、皆さんだって権限として自己評価だとかあるいは勧告権持ってるんだから、そういうことを、刀のさやに手を掛けるぐらいのことを皆さんやったっていいじゃないですか、それ。そのぐらいの気合を、気迫を示しながら、もう許さぬと、そういう大臣決意ぐらい示したらどうですか。
  305. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 決意を示しているつもりでございますけれども。  ですから、先ほど来から言葉繰り返して恐縮ですけれども、リスク管理側の輸出プログラム遵守といった点について、しかと原因が分かり、それに対する対策が万全であるかどうか、今質問もやり取りされ、今正に答えを待っておられる、米側からの答えを待っておられると、今日そういう段階でございます。正に近藤委員御案内のように、食品安全担当大臣は法律上しっかりとした位置付けがございます。おっしゃるとおり、総合調整をする立場から勧告権もございます。それもよく承知いたしております。  しかし、今日現在、正に輸出プログラムは本当に守られると私が確信する限り、それに基づいてあの評価はでき上がっておるわけでございますから、あの評価自身が今問われておるわけでないことは近藤委員もお認めになっておられると思います。したがって、今、食品安全委員会にまたこの評価をやり直せとか言う立場に今ないことも御理解いただけると思います。  私は、そういう意味で、リスク管理側の今お取りになっておられることについて、食品安全委員会はもちろん、事務局を通じて、しっかりと見極めさせていただいているつもりであります。
  306. 近藤正道

    ○近藤正道君 さっきから堂々巡りしているようですけれども、私は、香港の問題が出た、そして更に加えればアメリカでは三頭目のBSEが出たと、こういう新たな状況の中で、もう少し国民の前に、正に食の安全を守るために担当大臣は体張ってると、そういうところをやっぱり見せるべきだということを実は申し上げているんですよ。  大臣は、予算委員会でも、二、三日前だったでしょうか、同様の質問があったときに、二回も三回も、今の時点では再評価ということは考えていないと、管理部門を見守ると、前提として今の段階ではということを三回もおっしゃった。ということは、今後の事態によっては、自ら評価あるいは勧告権の行使、こういうこともあり得るということを言外におっしゃっているんですか。どうでしょう。
  307. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 近藤委員のお気持ちも、御質問されておられるお気持ちもよく分かるんでございますが、また答弁しておる方の気持ちも分かっていただけるのではないかと思いますが。  正に、何度も同じことを申すことになりますので、審議の都合もおありかと思いますんで、本当に恐縮でございますが、近藤委員のお気持ちもよく分かると。私の気持ちも、まあ、よくでなくても結構かもしれませんが、それなりに分かっていただくと有り難うございます。
  308. 近藤正道

    ○近藤正道君 分かりました。分かりましたというのは、了解したということではなくて、分かってないんです、分かってないんですけれども、これ改めてまた議論をしなきゃ、今日は、実は沓掛大臣にもお越しいただいておりますんで、せっかく来ておられるのに何も言わないと申し訳ありませんので、松田大臣のやつはまた後でまた引き継がさしていただいて、沓掛大臣の方に質問を移らさしていただきたいというふうに思います。  有事法制担当大臣ということで、前回所信を述べられました。イラク特がございまして、今までこの委員会で議論することがありませんでしたけれどもイラク特が廃止になりまして最初の委員会でありますんで、国民保護法あるいは国民保護計画のことについて、もう時間が押し迫っておりますが、基本的なことをお聞かせをいただきたいというふうに思っています。  二年ほど前に、ちょっと前に、国民保護法が成立をいたしまして、その後、今日に至るまで、都道府県や市町村で国民保護計画作りが進められております。それは、指針として国民の保護に関する基本指針、こういうものが法の制定を受けて内閣府の方で作られて、これを一つの指針にしながら都道府県、市町村で今、国民保護計画をやっています。  そういう言わば各論の議論が全国各地でいろいろ起こっているわけでございますが、その中で出てきている議論として、国際人道法、これは戦後、ジュネーブ条約四つプラス二つの追加議定書、これで構成されておりまして、一般的に国際人道法と言っております。戦時の場合のいろんな取扱いを決めているものでございますが、その国際人道法の規定や趣旨がこの国民保護計画の中で余り生かされていないと、こういう議論があります。  そこで、冒頭、この国民保護計画作りにおける国際人道法、日本は批准をしているわけでございますが、この国際人道法の位置付け、そしてその基本的な役割等についてお聞かせをいただきたい。
  309. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 国際的な武力紛争において適用されます国際人道法には、武力紛争の影響を受ける住民の保護及び武力紛争の結果生じる傷病者、死者等の人道的取扱いに関する規定が含まれていることは今委員おっしゃられた内容のとおりでございますが、これらを的確に実施するため、国民保護法では、住民の避難、避難住民の救援、安否情報の収集、提供、赤十字標章等の交付等、特殊標章等の交付等について個別に規定されておりますが、さらに法の第九条第二項におきまして、国民保護措置を実施するに当たっては、国際人道法の的確な実施を確保しなければならないという規定がございます。さらに、基本指針におきましてもこれらの点について具体的な定めを設けております。指針では、第一章の国民の保護のための措置の実施に関する基本的な方針におきまして、高齢者、障害者等への配慮及び国際人道法の的確な実施という形で表題で入れ込まれております。それを説明させていただいた。  そこで、国民保護計画の作成も、これ委員おっしゃられます国民保護計画の作成も、国民保護法及び基本指針におけるこれらの定めに基づいて作ることになっておりますので、これらを通じて国際人道法の的確な実施が確保されていることとなるものと理解しております。
  310. 近藤正道

    ○近藤正道君 この国民保護法が論議になったとき、言わば有事立法の論議ですよね、私は議員ではありませんでしたけれども。このときは、作ることの是非、そのことについて総論的な議論があったけれども、その国民保護計画の中身についての議論は果たして十分になされたかどうかというと、私は多少疑問符を持っているんですが、今、都道府県、市町村で国民保護計画作りの中でこの国際人道法の観点が十分に盛り込まれていないんではないかという、そういう声というのは上がってきていますでしょうか。  実は私は選挙区は新潟なんですが、新潟県では、そういう県で作るときに、計画を作るときに、いろいろパブリックコメントだとかいろんなことをやりますが、その際に、国際人道法のその趣旨が余り生かされていないという声を私は幾つか聞くんですが、全国的にどうなんでしょうか、そういう声は上がってきていますでしょうか。
  311. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 国際人道法上の中身についてしっかり取り入れていかなければならないということは基本方針として指導いたしておりますので、そういう範囲でいろいろ皆さん理解いただけているんだというふうに理解しております。  個々の具体的な問題で今委員のおっしゃられたようなことは直接私は聞いておりませんが、全体としてこの国際人道法の趣旨は生かされているというふうに思っております。
  312. 井上源三

    政府参考人(井上源三君) 今大臣がお答え申し上げたとおりでございますけれども、現在都道府県におきまして国民保護計画の作成を作業をしていただいているところでございます。それに当たりましては、協議会というものがございまして、その中で様々の方々に御意見をいただくということにしております。  また、案ができた段階でパブリックコメントでもってインターネット等を通じていろんな方々から御意見をいただくというふうな作業を進めていただいておるわけでございますけれども、基本的にはこの国民保護法、それで基本指針につきましては、先ほど大臣の答弁にもございましたとおり、国際人道法の規定を十分踏まえて規定をされているところでございまして、おおむねそういうことについては御理解をいただけているのではないかというふうに理解をいたしているところでございます。
  313. 近藤正道

    ○近藤正道君 私もそんなに勉強しているわけじゃないんですけれども、いろいろ言われますと、十分に踏まえているかどうかという観点から見ますと、私は踏まえられていないんではないかと、今現在そう思っています。  これは、この後、場合によっては質問主意書とか、そういう形でいろいろ質問をさせていただきますが、今日はそのうちの一つだけ聞かさせてください。  国際人道法のジュネーブ条約の第一追加議定書の第五十九条で、当局は相手方の、相手の攻撃が禁止される無防備地域を宣言することになっていると、こういう規定がございます。この規定については全く皆さんの基本指針の中に入っていないと私は思うわけでございますが、この規定に基づく具体的な手続、その際の地域自治体の役割等に関する規定を基本指針にやっぱりしっかり盛り込むべきではないか。今日はその一点だけ聞かしていただきたいというふうに思います。
  314. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 無防備地区の宣言を行うには、委員十分御承知のとおりだと思いますが、すべての戦闘員の撤退等の要件を満たす必要があります。戦闘員の撤退等は、武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開、その他の行動に関する事項でございます。  戦闘員が撤退するかどうかということは、これはこちらの方のいわゆる武力攻撃の、どうするかというそちらとの関連でございまして、戦闘員の撤退等はそちらの方にかかわるウエートがあるというふうに思っております。  無防備地区の宣言は、国民の生命、身体及び財産を保護する観点から、国民保護措置に関連はありますものの、もちろん関連はあるわけですが、いわゆる侵害排除措置との関連がより深いと考えられることから、国民の保護に関する基本指針ではなく、事態対処法第九条第二項の武力攻撃事態等への対処に関する基本的な方針で定めることが適当であるというふうに考えております。  委員御承知のように、そちらの方ではこういうふうに規定しております。いわゆる対処基本方針の第九条では、政府は、武力攻撃事態等に至ったときは、武力攻撃事態等への対処に関する基本的な方針を定めるものとすると。そこの二項の三で、対処措置に関する重要事項ということで、そちらの方でそのことが決められるウエートが高いので、そちらの方で決められていくというふうに理解いたしております。
  315. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  316. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 最後の質問になりますけれども、無所属でございます木俣佳丈と申します。  まず、官房長官質問をさしていただきたいと思いますけれども、今日、同僚議員からもいろいろ御質問ありましたODAのことでございます、経済協力でございます。  参議院は、我が院は、決算重視、ODA重視、そしてまたその外交ODAから縛るというか、最大の武器であるこのODAをどうするかということをやはり真剣に考えていくというのに特色を持たせようというのが参議院だと今理解しておる次第でございますが。  一昨年も私もODAのミッションに参加させていただきまして、今日いらっしゃる鴻池先生を団長にしながら、対中援助についていろいろな考察をし、〇八年から円借款については要検討というような流れができたかと思っております。  こういった中で、特に私もNGOでかつて働いておりまして、ワールド・ビジョンというところでございますけれどもODAの中において、やはりシビルソサエティーがどんどん大きくなっている中でNGOの役割というものが非常に私は大事であるという観点から、本日は幾つか質問をさせていただきたいと思います。  今般、平成十八年二月の二十八日に、安倍官房長官に提出されました海外経済協力に関する検討会、この報告書についてでございます。この報告書を拝見いたしますと、我が国海外経済協力の基本戦略、方向性を示す海外経済協力会議、仮称を内閣に設置することを提案しているということは今朝も議論があったわけでございますが、その中を拝見いたしますと、実施団体、実施機関という中にこういうくだりがございまして、海外経済協力の実施に際しては、オールジャパンの原則に立ち、我が国の産官学が有する優れた技術やノウハウや人材等を最大限生かせるような包括的な協力を進めるべきであると指摘をされております。  ただ、残念ながらこの中に、やはり米、英、オランダ、その他先進DAC諸国を見ておりますと、やはりNGOのポーションというものが高いということから考えても、NGOの記述がない、NGOの役割というものが明記していないというのは甚だいかがなものかと考えておるわけでございますが、NGOの位置について是非お聞かせいただければと思っております。
  317. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 海外経済協力に関する検討会報告書では、より良いODAの実施のためには、NGOを含めた幅広い国民参加の推進が必要不可欠であるとの基本的認識に立ち、NGO等の参加を得たODA総合戦略会議の有益な貢献に言及をしております。  政府としても、NGOによる国際協力活動は、開発途上国の住民の多様なニーズに応じたきめの細かい効果的な援助といった観点から極めて重要であると考えており、NGOとは頻繁な意見交換を行っております。  この有識者会議検討会におきましても、NGOの代表からもヒアリングを行っていたわけでございまして、今後JICAがODAを一元的に実施することに伴いまして、NGOを始めとする幅広い国民の方々からの様々な意見を踏まえながら、我が国が有する優れた技術、知見、人材及び制度等が途上国の開発に役立つよう、効果的な援助実施体制の在り方について検討をしていく考えでありまして、当然NGOにもやはり重要な役割を担っていただかなければならないと、こう考えております。
  318. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございます。NGOについて力強い御意見をいただいたと考えます。  ただ、その実施機関の中で、例えばアメリカ、まあ後にまた質問をいたしますけれど、アメリカの全体予算の中で二一%、オランダでも二三%、こういった割合がNGOの割合でございます。まあ我が国は二・数%ということを考えますと、で、これはただ単にNGOに全部投げればいい、こういったことではないと思います。戦略的に考えた場合に、私もワールド・ビジョンにいましてワシントンにおりましたけれども、いろんなその情報をNGOが拾い上げて、下院議員、上院議員にロビーを掛けていく、またその生の情報が非常に有益に米国の外交戦略、外交政策に反映されるという点からすると、まだまだこの割合が少ないということでございまして、是非この報告、これは最終かと思いますけれども、これを更に進めた形でNGOの役割について外務省に御指示をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。長官、最後に。
  319. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいまNGOの比率について米国との比較を今お伺いをしたわけでありまして、やはりもっともっと大きな役割を担っていただく必要があると、こう思うわけであります。  我々としても、この新たにいわゆる司令塔としての会議ができ、またそして実施機関としてはJICAができて、JICAに有償、無償、そして技術協力を一体化していくわけであります。そしてまた、最初に申し上げましたように、やはりこの司令塔の場において大きな戦略を考えていき、そして実施の機関としてシームレスなこの援助を行っていくということでございますが、そうした中において、しっかりとした役割を担っていただくためにはどうしたらいいかということもしっかりと検討していきたいと、こう思っております。
  320. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございました。  今お話をさせていただきましたこの比率でございますけれども、アメリカ、オランダ等々この先進諸国においては、NGOをどう使うか又はNGOにどう主導的な役割を果たすかということを非常に考えているようでございます。ただ、まあ我が国の援助額の中でのNGO割合というのが二・数%ということでかなり低いわけでございますが、この理由について政務官から是非お聞かせいただければと思います。
  321. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) 木俣議員にお答えいたします。  この二・数%ということなんでございますけれども、このOECDの統計によりますと、我が国ODAに占める自国NGOの支援額の割合というのは、二〇〇四年二・七九%で、DAC諸国平均二・二六%よりは高くなっているということでございます。また、この統計の在り方、またその自国NGOに対する比率ということについては、それぞれの国での今までの文化的あるいは歴史的な背景の違いというものもありますので、まあ単純なその数値の比較ではいかないという面もあるかと思います。  いずれにしても、政府としては、このNGOによる国際協力活動の重要性というものを十分認識しておりまして、そのことにかんがみまして、政府全体のODA予算の状況が厳しい中でございますが、今後ともNGOに対する協力に努めてまいりたいと。  で、まあ少し余談になりますけれども、先日、リベリアに参りまして、このリベリアにおいてNGOの活躍、まあ特に木俣議員もかつて御活躍なさったワールド・ビジョン・ジャパン、またピースウィンズ・ジャパンが大変目覚ましい活躍をしているということに対しても、深く敬意と感謝をささげたいと思います。
  322. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 続きまして、NGOのこの支援予算というのが、今政務官おっしゃったように伸びているわけで──官房長官、もしお時間であれば、どうぞ御退席を。伸びているわけでございますけれど、決算額と比較しますと、まあ少し使い残しというのがあると思いますが、これが一〇〇%使われていないこの理由をどうお考えになりますでしょうか。
  323. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) 政府としましては、国際協力活動におけるNGOの役割というのは高く評価してございますし、NGOの活動に対しても積極的な協力を行うために、今の問題についてもNGOとも協議をしつつ、ODA予算の充実と予算の執行に努めてまいりました。  それで、今御指摘のように、今、日本のNGOの発展途上国の地域において行う事業の資金協力の予算額は、平成十四年度には二十億円であったものの、平成十七年度では二十八・五億円まで順調に増加しておりますけれども、ただ、執行率、御存じのように、平成十六年度予算でもう九四・一%に達しております。しかしながら、NGOの関連予算の執行率が一〇〇%ではありませんので、更に委員指摘のように執行率を向上させるために、政府は更にNGOと緊密な協議を通じて制度の周知や改善というものに努めてまいりたいという所存でございます。
  324. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 特に、これはNGOの方々から聞こえてくるような話でありますけれども我が国外務省としては、やはりNGO、日本NGOの能力ということを、まだまだではないかというやはり、確かに今、歴史的背景からしてもまだまだというところはあるかと思いますけれど、少し過小評価をされているというようなことを聞くんですけれど、それがひとつ、いろんな予算の未消化とか、そういうのにもつながっていないのかなというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  325. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) 私が政府全体を代表できるかどうか分かりませんけれども、私自身は、NGOというものの役割は非常に大きいと思いますし、また諸外国における日本のNGOの目覚ましい活躍やその精神性の高さ、またそのことが日本という国あるいは日本国民のプレゼンスなり尊敬や評価というものに大きくつながっているということを高く評価しております。  その上で、このNGO予算というものが、いろんな財布があると思いますけれども、外務省からの財布もありますし、JICAからの財布もありますし、また民間からの財布もありますけれども、いずれにしても、いい意味でシームレスに、地球社会の改善のためにNGOが力一杯働けるような、予算面も含め、制度の改善も含め、努力をしてまいりたいという考えでございます。
  326. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 例えば同じ団体、先ほど来からワールド・ビジョンの比較でございますが、日本とアメリカのこのワールド・ビジョンのジャパンとワールド・ビジョンUSAというものを比較しますと、大体予算額で、日本が二十九億円、アメリカの場合が大体一千億円という、こういう差でございまして、約四十倍とは行きませんが、それに近い差があります。  やはりこの大きな差というのは、マンパワー的なものももちろんあったり、そういった人材開発がされていないということもあるかもしれませんが、それ以上にやはり、実施事業に対してのいわゆる間接費、運営管理、マネジメントフィーというものが国際水準、基準に沿って出されていないというような向きもあるということを聞くわけでございまして、やはり、財政力の基盤がない中、さらには、例えばアメリカにしても、品目でいうとこういったものはマネジメントにかかわるものでも出しますよというようなことがあったりとか、さらにはイギリスなんかでも、一〇%とか八%とか、全体事業のこのぐらいの割合であれば運営費ということで出しますよというような規定があったりとか、又は国連のUNDPとかUNHCR、こういったところでもやはり同じように比率で例えばある程度は出せますよというようなことからかんがみますと、こういった運営費がないことが、結局、事業費としては使えるけれども、しかし事業をやる上のいわゆるサポートオフィスの費用が出ないということが、いま一つ伸びないということを考えるわけなんですが、いかがでございましょうか。
  327. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) 委員指摘のように、確かに、事業をするには、直接事業費だけでなく、管理費、マネジメントフィーが掛かるわけでございまして、その点、外務省も今理解を深めているところでございまして、日本のNGO支援、無償資金協力では、現地での事業経費に加えて、事業を実施するために不可欠なNGO本部の人件費等、事務局経費を資金協力の対象としました。  また、平成十六年度からは、NGO側からの要望も踏まえまして、現地事務所の常勤スタッフの人件費も一部資金協力の対象にするなど、今御指摘のように、内容の充実に努めているところでございます。  いずれにしましても、政府としては、NGOによる自主的、自律的活動に対する適切な協力の在り方を考えていく中で、今後ともNGOへの人件費等、事務局経費への資金協力の在り方についても更に検討を深めてまいりたいと思います。  ただ、一方で、今、国全体の財政事情、またその税金の使い道に対しては国民の厳しい目や判断もございますので、そのこととのバランスも取りながら、しっかり詰めてまいりたいというふうに考えております。
  328. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今のお話の中で、かなり運営費、管理費でも改善があるんだというお話がございました。  昨日も書類を、今日もいただきまして、ざっと見るわけでございます。間接費が割合が高いもの、タイのあるエイズ予防の無償のプロジェクトだと四〇%行っているんだというような記述もありますけれど、ただ、どうも四〇%もマネジメントで掛かるのはちょっとおかしいと思うんですね。  というのは、費目を見ますと、細かい話ですが、要は輸送費とか、これは多分そういった避妊具を送る費用とか、こういったものも間接費の中にこれ含まれているんではないかというふうに思ったり、さらには対象外、それから本部管理費のうち事業に関係しないものは対象とならないというふうになっておりますから、ですから、今言ったようなバックオフィスのその管理費は基本的には入らないというのが恐らくは外務省の認識だと思うんですね。  ですから、ちょっとその辺改善がされてはないと、まあ改善は大分されたかもしれないけど、まだまだ改善をしなければならないと思うんですが、いかがですか。
  329. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) 委員指摘のように、この件はなかなか難しい面もございまして、例えば一つのNGOで複数のプロジェクトをしている場合、今日例えばここに付いている電気代はどっちに何%使ったかとか、これなかなか算出できないわけですね。  それから、一つのNGOで複数のプロジェクトをして、同じ人間が複数のプロジェクトにかかわるかもしれないわけですね。そうすると、どっちの部分が何%と、それはずっと監視して計数処理もできないということで、国民からやっぱり納得のいく形で、これは本当にこのプロジェクトを進めるのに不可欠な本部経費あるいは管理経費であるとはっきり認定できるものからまず管理費として認めていくということでございまして、委員指摘の問題点についてはよく認識しておりますので、今後、NGOの諸団体とよく緊密に連絡を取りながら、国民の納得が取られる形で合理的な判断をしていきたいというふうに考えております。
  330. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今、最後に、国民の納得がいくその税金の、血税の使われ方ということでございますけれど、やはり今例えば世界銀行とかそういう国際機関でも、私は直接やっぱりかかわってまいりましたので、うちじゃもうとにかくうまく効率的に使えないから、頼むからやってくださいよというような感じで、実は援助の正に民営化というのか、効率的な民営化というのがこの十年ぐらいもう進んでいるわけなんですね。  ですから、やはり今の、例えば一兆弱の事業予算のものを二倍、三倍の価値で使うやり方というのは非常にあります。ですから、もっともっとNGOの方を向いて、まあ成長が遅いかもしれませんが、より育てていくような気持でやっていただければというふうに思うわけでございます。  もう一つ、会計の単年度制によって、例えば三年掛かって一つの農業プロジェクトをやるのが一年ごとにぶつ切れになってしまうとかいうような向きがあると。これが一つ伸び悩み又は使い残しの一端にあるというような、こういった意見があるわけでございますが、これについてはどのようなお考えをお持ちですか。
  331. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) 委員御存じのように、日本の予算の単年度主義というのは、このNGOの問題だけでなくて、すべての予算に通じて適用される原則ということでございます。その税金の中から払う部分についての御質問だと思いますけれども、しかしながら、御指摘のように、単年度主義の弊害というものも多々あるわけでございまして、それを改善するために、現行の制度においても、複数年に及ぶ案件については、案件の持続的効果が高く次年度も継続することが望ましいと判断される場合には、当該案件の進捗状況も踏まえて審査を行って、次年度の申請を優先して検討するということも行っておりますし、ちょうどそのリベリアのワールド・ビジョン・プロジェクトについても、第一次から第四次まで、特に二次から三次は同じ井戸、トイレの設置の事業に継続して予算をお付けしているということでございます。
  332. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 大変心強い丁寧な答弁をありがたいと思います。是非、そのように御指示いただきながら、よりNGOが活躍できるようにお助けいただければと思っております。  時間はまだありますが、最後の質問にしたいと思います。  日本のこのODAを、例えばミレニアム開発目標でGNI、国民総所得の〇・七%、これはDACの目標でもずっとあるわけでございますが、二十年ぐらいそういうことを言っているかもしれません。こういうことを言ったり、それからまたアフリカ援助を三年間で倍増とか、こういうことを言われる中でございますが、是非、NGOのその予算というものをアクションプラン的に、数値目標というか、全体の例えば一〇%まで、又は一五%まで、是非、何年ぐらいでやるというようなことをお考え、今この場でお答えもちろんいただけないとは思いますけれども、御検討をやっぱりされていく、いただきたいなと思うんですが、検討課題に、是非
  333. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) 議員の高邁な理想とそれに対する行動力には深く敬意を表するところでございますけれども、貧困問題等のこの開発課題への取組を始め、我が国が国際貢献を行う上で、このODAに期待される役割というのは非常に大きくなって、これは更にもっと大きくなっていくと思います。  こういう考え、認識から、今御指摘があったように、昨年四月のアジア・アフリカ首脳会議において、小泉総理よりミレニアム開発目標に寄与するためにODAの対GNI比を〇・七%の目標達成にするという目標を立てたわけです。これを達成するという観点から、我が国にふさわしい十分なODAの水準を確保していくと。そして、私もアフリカを担当しておりますけれども、今後三年間でアフリカ向けODAを倍増すると。そして、その中身ですけれどもアフリカは特にいろいろ厳しい状況もありますので、贈与を中心にするという考えで進めていることを表明したところでございます。  これを踏まえて、昨年七月のG8、グレンイーグルズ・サミットでは、ODAの中期的な目標として、今後五年間のODAの事業量について百億ドルの積み増しを目指すことを表明しております。これは、この額というのは贈与のみでなくて、円借款や債務救済等のODAのあらゆる手段での取組を含んだものでございます。  なお、今御質問がありました、我が国がその〇・七%をいつ達成するんだと、このことについては現在まだ留保していると、具体的な日取りは決まってないけれども、一日も早くしたいというのが政府努力目標でございます。  そしてまた、平成十八年度の政府ODA予算、一般会計については七千五百九十七億円、これだけを取りますと、対前年比マイナス三・四%でございますけれども、十七年度補正予算で三百四十五億円を見ておりますので、政府ODA予算については七千九百四十二億円ということになりまして、ほぼ前年並みの水準を維持できたというふうに考えてあります。いずれにしても、財政状況厳しい中で、国際公約の実現に向けて努力していきたいというふうにあります。  アクションプランがあるのかどうか……
  334. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 NGOに対して。
  335. 伊藤信太郎

    大臣政務官伊藤信太郎君) ああ、そうですね、NGOに対してアクションプランがあるのかということでございますけれども、まあ質問のお答えで何度も申し上げておりますように、NGOとの非常に度重なるいろいろな協議会、またNGOの事業の広報の在り方、NGOの関係予算の具体的な改善などをその議題としておりまして、そのことを図っていくということ。そしてまた、最近、政府とNGOの連携の成功例といいますか、いい例といたしましては、あのパキスタン地震の際に政府が緊急無償資金協力で供与した緊急支援物資を被災地で展開していた日本のNGOが配布に協力した例や、あるいはジャパン・プラットフォームが関連国際機関、現地地方政府と連携し、政府資金を活用して被災者越冬用のキャンプ・ジャパンを成功裏に運営した例があります。  いずれにしても、政府としては、制度面での改善や事業における連携について今後ともNGOの諸団体と綿密に協議して、幅広く改善し、未来に向けた展開を進めてまいりたいというところでございます。
  336. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ちょっと意見だけ述べさしていただきたいんですが、基本的にやはり五百兆のこの経済力の中で一兆円ぐらいの還流をするなんというのは僕は当たり前の話だとつくづく思って、常に思っております。さらに言えば、やはりナイン・イレブン以降、九・一一以降、これはもう各国、援助で何とか貧富の格差、正に格差の社会をなくすんだということで、右肩上がりで全世界挙げてやっている中で、日本だけが結局下がっていくという事態は非常に、これは知られていないかもしれませんが、ゆゆしい事態だと私は思っておりますので、是非、予算も含めて、または効果的な、何というんでしょうかね、政府広報というのか、ドラマでもつくっていただいて、こんなふうに外務省の、又はJICAの方々も頑張っているんだというような、いいドラマでもやって、是非もう少し増やしていただきたいというふうに思いますし、先ほどのあの比率というのは、NGO比率ですね、これも是非御検討いただきたいと思って、終わります。  質問を終わります。
  337. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十六分散会