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2006-06-15 第164回国会 参議院 総務委員会 第29号 公式Web版

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  1. 政府参考人の出席要求に関する件 ○日本放送協会平成十六年度財産目録、貸借対照 (会議録情報)

    平成十八年六月十五日(木曜日)    午前八時三十分開会     ─────────────    委員の異動  六月十五日     辞任         補欠選任      小野 清子君     野村 哲郎君      木村  仁君     河合 常則君      椎名 一保君     水落 敏栄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 河合 常則君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 水落 敏栄君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      堀田  繁君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        総務省情報通信        政策局長     竹田 義行君        総務省政策統括        官        清水 英雄君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   増田 峯明君    参考人        日本放送協会会        長        橋本 元一君        日本放送協会副        会長       永井多惠子君        日本放送協会理        事        原田 豊彦君        日本放送協会理        事        小林 良介君        日本放送協会理        事        中川 潤一君        日本放送協会理        事        小野 直路君        日本放送協会理        事        衣奈 丈二君        日本放送協会理        事        石村英二郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書並びにこれに関する説明書行政制度公務員制度地方行財政、選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (日本放送協会の再生・改革に関する決議の件  ) ○郵政民営化時における新会社への雇用の承継の  保証に関する請願(第一七〇六号外九件) ○軽油引取税暫定税率七円八十銭の撤廃に関する  請願(第二八七三号外一件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査のため、本日の委員会内閣大臣官房審議官堀田繁君、総務省自治行政局長高部正男君、総務省情報通信政策局長竹田義行君及び総務省政策統括官清水英雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。竹中総務大臣
  5. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書について、その概略を御説明申し上げます。  本資料は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  平成十六年度の貸借対照表一般勘定については、平成十七年三月三十一日現在、資産合計は七千二百六十三億円、負債合計は二千六百八十七億円、資本合計は四千五百七十六億円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は六千八百五十四億円、経常事業支出は六千六百七十六億円となっており、経常事業収支差金は百七十八億円となります。これにより、経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は七十五億円となっております。  以上について、監事意見書においては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認められております。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。橋本日本放送協会会長
  7. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) ただいま議題となっております日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして、御説明申し上げます。  初めに、財産目録貸借対照表を御説明申し上げます。  一般勘定の当年度末の資産総額は七千二百六十三億円、一方、これに対する負債総額は二千六百八十七億円、また、資本総額は四千五百七十六億円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千八百五十四億円、経常事業支出は六千六百七十六億円でございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百七十八億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は七十五億円となりました。  このうち、債務償還に充てた資本支出充当は七十一億円であり、事業収支剰余金は三億円でございます。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。  以上について、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会運営に当たりましては、公共放送としての使命責務を深く認識し、不正の根絶に向けたコンプライアンスの徹底視聴者信頼回復に努めるとともに、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  以上です。
  8. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。増田会計検査院事務総局第五局長
  9. 説明員(増田峯明君)(増田峯明)

    説明員増田峯明君) 日本放送協会平成十六年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  同協会平成十六年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、十七年六月二十日に内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて十七年十一月八日内閣に回付いたしました。  検査の結果、平成十六年度決算検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件及び特定検査対象に関する検査状況一件でございます。  不当事項につきましては、いずれも職員不正行為による損害が生じたものでありまして、検査報告番号二百九十三号は、放送番組制作に当たるチーフプロデューサーが、複数の知人と共謀し、自己の担当する番組において仕事をさせたように装うなどして、知人銀行口座に振り込ませるなどした番組制作費を領得したものでございます。本件については、平成十五年度決算検査報告におきましても十六年九月末現在で判明していた状況を掲記しているところでございます。  検査報告番号二百九十四号は、音響デザイン担当職員が、番組テーマ曲等制作会社の社長である知人と共謀し、自己が作曲した音楽を同会社に依頼して作曲させたように装うなどして、同会社銀行口座に振り込ませるなどした番組制作費を領得したものでございます。  検査報告番号二百九十五号は、映像デザイン担当職員が、親族の者を映像デザイン制作委託業務に従事させたように装い、親族の者名義の銀行口座に振り込ませた番組制作費を領得したものでございます。  検査報告番号二百九十六号は、放送番組映像取材に当たるチーフカメラマンが、番組制作費請求決定者の印鑑を無断で使用し、取材協力者への謝礼を装って購入したビール券を領得したものでございます。  なお、これらのうち二百九十四号から二百九十六号の三件につきましては、十七年九月までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。  次に、特定検査対象に関する検査状況として掲記いたしました「日本放送協会における放送受信料契約収納状況について」につきまして御説明させていただきます。  日本放送協会放送受信料につきましては、平成十六年七月に同協会職員による番組制作費着服が発覚して以来、この不祥事理由とした受信料支払拒否保留が発生するとともに、受信契約を締結していない者及び不祥事発覚以前からの受信料払者が多数に上っていることが明らかとなり、国民受信料に対する不公平感が拡大してきております。  このため、受信料収入が大幅に減少することが見込まれ、今後、同協会公共放送使命を果たしていく上で支障を来す事態も予想されましたことから、受信料徴収について検査いたしましたところ、同協会では、契約促進に努め、信頼回復活動等を行っているものの、支払拒否保留の増加は続いており、その効果は現状では必ずしも十分なものとなっておりませんでした。  したがって、同協会において、更に一層の不祥事再発防止徹底や経費の削減を図るとともに、受信料負担に対する国民不公平感を払拭していくことが肝要であり、受信料制度趣旨について国民に更なる周知を図るとともに、未契約者について、その実態を効率的に把握する方策を検討すること、未払者について、更に効果的に受信料を収納する方策を検討すること、事業所について、受信機設置状況の的確な把握に引き続き努めること、真にやむを得ない場合は、最後の手段として法的措置の検討も視野に入れることなどの取組を進めていくことが必要であるとして、特定検査対象に対する検査状況として掲記したものでございます。  以上をもって概要説明を終わります。
  10. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 山本順三君(山本順三)

    山本順三君 おはようございます。自由民主党、山本順三でございます。  先ほど会計検査院増田局長の方からNHKのいろいろな不祥事についての詳細な報告がございました。平成十六年から十七年、十八年と、度重なるNHK不祥事というものが視聴者信頼というものを失わせしめた、これは非常に大きなゆゆしき問題であろうかと、このように思っておるわけでございます。  ただいま橋本会長の方から、視聴者信頼を取り戻すべく全力を挙げるというお話がございました。是非ともそういった方向努力をお願いしたいと思いますけれども、実のところ、会長からの先ほどのようなごあいさつ、何度もこれは聞かさせていただきました。そのたびに次から次へと不祥事が続発する、このことについて、私ども具体的に、例えば先般の報道局チーフプロデューサー空出張によって一千七百万円の着服事件が発生いたしましたけれども、その中身を一つ一つ精査させていただくと、とてもとても民間会社ではもうあり得ないような実態がたくさん出てくる。NHKとしての果たしてチェック機能が通常のとおり働いているのかどうか、いや、働いていないんだろう、そんな疑念すらわいてくるわけであります。  そういった意味では、これからNHKガバナンスをいかに強化していくべきなのかということも含めて、今後どのような形でNHK信頼回復をしていくのか、あるいはまた様々な不祥事再発防止策を考えていかれるのか、まずは橋本会長の所信をお示しいただきたいと思います。
  12. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 十六年度発生しました不祥事、あるいはこのたびの空出張含めまして、先般から我々行ってきました対策、大変不十分な点があったと深く反省しております。  この点につきまして、具体的にこの四月当初から、当然のことながらやるべき航空搭乗券半券の提出の義務化、これ四月から行っております。それから、新幹線等列車特急券使用済みの切符の添付義務化、あるいは出張旅費日帰り出張にも拡大する、こういう具体的なことも既に行っております。それから、一年ほど前から開発してまいりました新しい職員の名寄せにかかわる新経理システムがこの七月には完成しますので、これを使って管理者による業務管理徹底するということに行いたいと思います。  それから、あわせまして、これから外部監査法人による定期的あるいは抜き打ち監査、こういうものも加えてまいります。それから、現在このような詳細調査につきまして行って報告させていただいたわけでありますが、このような調査についても今後定期的に全部局に調査拡大してまいるというふうなことで行ってまいりたいと思います。  いずれにせよ、この不正防止不正根絶に向けて、改めて私いろんな点で問題がまだ徹底不足の点があったというふうに厳しく受け止めております。これについては私の責務として、最大の責務として果たしてまいりたいと思っております。
  13. 山本順三君(山本順三)

    山本順三君 平成十六年度の事業収入決算額六千六百六十七億円、これは予算額に比べまして百十九億円のマイナスというふうになっておりますし、また前年度の決算額と比較しても二十六億円のマイナスとなっておるわけであります。この理由たるや、恐らくNHKの様々な不祥事に関連して受信料の不払が増加してきたと、今や三割の人が払わないという非常にいびつな状態になってしまっているということはこれ事実であります。  そういったことの中で、NHKとしてこれから様々な努力をしていかれるということでありますが、実は今日のニュース等々でも、NHKの元バラエティー番組制作プロデューサー飲食費二百八十万円を制作会社から受け取る、その譴責処分をしたというような報道もなされておりますけれども、次から次に出てくるのは、これは逆に言えば、先ほど会長がおっしゃったように、不祥事をしかと発見していく、いわゆる再発防止策というのがしかと利いてくるということですから、一つ一つの事例に対して我々はもはやとやかく言う必要はないと思うんです。ただし、これからは絶対に起こさないんだというその事実が非常に重いことであろうと思っています。  そして、そのことについて、今ほど橋本会長から改めての決意表明がありましたけれども、今日は理事皆さん方役員皆さん方もたくさんお越しでありますけれども、会長気持ちというのがいわゆる理事なり役員皆さん方一人一人の気持ちとして伝わっていかなければならない、そしてそのことがNHK職員一人一人の気持ちに伝わっていかなければならない、そういうふうな対応策NHK内部でしかと機能するということが私は非常に重要だと思っておりまして、その機能ができなかったら、いかほどに会長努力をする、あるいはまた再発防止策を講じるというふうな決意表明をされても、それは残念ながら絵そらごとのようなことになってしまう危険性がある。その点についてくれぐれも、今後の対応策、期待もしながら、しっかりとした対応をしていただくようにお願いしたいと思います。  若干時間せっておりますので、質問通告の中でポイントポイントだけ選んで質問させていただきます。  今申し上げたとおり、NHK不祥事、そのことによって受信料、これの不払が起こる、それがNHK決算に大きく影響してくるということでありますから、そういった意味においては、今後NHKとしては抜本的な改革をしていく、そしてその改革視聴者皆さん方にしかと届く、届いたがゆえに信頼感を回復することができる、そして受信料の不払が収まって今後のNHKの言わば適切な運営というのがなされると、こういう流れだと思うんですね。ですから、NHK抜本改革というのは非常に大事なことだというふうに思っています。  ちょうど、竹中懇談会と呼んだらよろしいんでしょうか、通信放送在り方に関する懇談会、こちらの方が報告書を出されました。また、我が自民党におきましても、自民党電気通信調査会通信放送産業高度化委員会、こちらの方で今後の放送通信在り方についての報告がまとまりつつある、こういう状況でございます。ちょっと長いもんですから、片や一方竹中懇談会と、片や一方片山小委員会というふうに呼ばさしていただいてこれからの質疑を続けたいと思いますけれども、この二つ報告には、同じ方向を向いた報告とそれから全然違った対応と両方があると思うんですね。ですから、その中で何点か選んで竹中大臣考え方というものをお聞かせいただきたいと思いますけれども。  まず、受信料についてなんですけれども、受信料義務化あるいは罰則化、このことについては、実は懇談会についてもあるいは小委員会についても、やはり義務化はしなければならないだろう、そしてそれが十分機能しない場合には罰則化も図らざるを得ないだろうというような方向性が示されておるわけであります。  そして、もう一点、受信料に関連して申し上げますならば、受信料値下げという問題があります。このことについては、竹中懇談会の方では、NHKスリム化、あるいは徴収コスト削減することによって大幅な受信料値下げというものを図っていかなければならない、一方片山委員会の方におきましては、安易な引下げというものが番組の質の低下につながってしまう危険性がある、そこを注意しなければならない、こういうふうに方向性が分かれているところであります。  そこで、受信料義務化あるいは罰則化についての竹中大臣の御意見と、それから、片山委員会においては安易な引下げはいかがなものかというふうなそういう報告がなされておりますけれども、そのことについて大臣はどのようなお考えを持っておるのか、その所見をお聞かせいただきたいと思います。
  14. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 山本委員から二点御質問いただきました。  まず、竹中懇談会というよりは、正確には松原懇談会と言っていただく方が良いかもしれませんが、私の下の懇談会でございます。  まず、義務化罰則化の話でございますけれども、今の国民不満感、一番大きなところは、やはり払っていない人が三割もいるのに自分は払わなければいけないのかと、そういうところに一つ大きなポイントがあると思っております。しかし、この今のNHK受信料制度というのは広い意味での負担金でございまして、やっぱりこれはしっかりと負担していただかなければいけない、そして公共放送を支えていかなければいけない、そこがやはり根底であろうかと思います。その意味では、諸外国の例も参考にしつつ、これ、支払義務化というのは一つ方向であろうというふうに私も思いますし、これは懇談会、小委員会、やはり共通した考え方になっているんだと思います。ただ、罰則化についてはこれは少し別だというふうにも思います。国民のやはり理解を得てまず支払義務化をしてはどうかというふうに思います。罰則化はその先の更に話であると思います。  ただし、義務化を考えるに当たっても、今のようなNHKに対して国民がいろんな思いを持っている中で義務にすると、つまり国民負担義務を正にきつくするわけでありますから、それについては国民納得をしていただかなければいけない、その納得の仕組みは一体何なのかということなんだと思います。懇談会等々では、その意味ではやはり組織をスリム化してガバナンスを強化するという姿をちゃんと見てもらうことである、そして徴収料等コスト削減することであると。その意味NHKもしっかりと身を削って、そして国民負担を求める以上、一方で、金額の面でその負担を下げるということもやはり視野に入れなければいけないのではないか、そのような趣旨だと思います。これは一つのやはり国民の立場に立った考え方であると思っているところでございます。  同時に、それによって国民満足度が下がってはいけません。その意味では、NHK番組の質というのは当然のことながら重要であります。小委員会で、安易な引下げ、それが質の低下につながってはいけないと、これはもう全く私もそのとおりであると思っています。  したがいまして、そこは小委員会懇談会意見が違っているというふうには私は考えておりません。具体的な制度設計に当たっては、それがどの程度効果をもたらすものなのかということも踏まえて程度の問題をしっかり議論していかなければいけないと思いますが、要は、国民にやはり納得していただく、そのためにはNHKにもやはりしっかりとした改革の姿を見せていただかなければいけない。義務化は公平の観点からは必要である、しかし、国民負担を重くする以上、義務という形で負担を重くする以上、それに見合った形での何かのしっかりとした姿、その一つ受信料引下げであり、経営のスリム化であり、そういうことを抱き合わせでやらなければいけないのではないかと、私はそのように考えております。
  15. 山本順三君(山本順三)

    山本順三君 その点では私も同じような考え方を持っておりますので、まず国民あるいは視聴者信頼というものをしかと回復した上で、その次の段階として、じゃ何をすべきか。本当は基本的な受信料制度設計というものにもう制度疲労が起こっているんだろうというふうに思いますので、第一弾としてその義務化なり、あるいはそれが十分でなかったら罰則化なりというものを順次考えていかなければなりませんが、その前にやることがあるということでは、是非NHK側もその点御理解いただいて対応していただきたいと思います。  もう一点、実は両小委員会懇談会の中でチャンネル数削減の話が出てまいりました。これにつきましては、片山小委におきましても、BSラジオ削減する、数には言及しておりませんけれども、削減すべきだと。そしてまた、松原懇でございますか、BS二つFMラジオの三チャンネル削減する、八つから五つへというような、そういう話が出ております。  ただ、私思うんですけれども、チャンネル数NHK八局ありますけれども、これが本当に多いのかどうか、他国と比較してどうなんだろうかと。私どもも資料をいただいておりますけれども、これが決して多いという数字ではないだろうというふうなことも感じるわけでございまして、その点の議論というものをしっかりしていかなければならないと思うのと、もう一点、このチャンネル数削減というのが経済合理性のみで語られている、いわゆるコスト削減という観点からのみ語られているんではないだろうかという危惧を私どもは抱いております。  加えて、じゃ、三チャンネル削減した、その削減して空いた電波というものをどういうふうに利用するんだという議論というものが私どもの耳には十分聞こえてこない、こういうこともございます。よく言われておりますけれども、三つの公共放送の電波を削減して、そしてどうするんだと。今、民間放送番組の質の低下というのが多く言われておるわけでありますけれども、そういった民放を増やしていくのか、あるいはどうなんだ、そんなことをいろいろ考えますと、私は初めからチャンネル削減ありきという議論には大変な違和感を持っておるところであります。  そういった観点から、竹中大臣においては、このチャンネル数削減についてどういうお考えを持っているのか、それから、あわせてNHK橋本会長には、視聴者のニーズというものも当然考えなければならないわけでありますけれども、その点からこのチャンネル数削減をどう思っていらっしゃるのか、簡潔にお二人お答えいただければ有り難いと思います。
  16. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 今の御指摘の問題は大変重要な問題であり、また正直言って国民の御関心も大変高いのであろうというふうに思っております。  まず第一に、その懇談会での議論は、決してチャンネル数削減ありきであったということではこれはもう全くないというふうに私は理解をしております。もちろん、希少な電波でありますから、それを公共放送、常に申し上げますが、放送は民放も含めてすべて公共性がございます。その中で、特にNHKという公共放送の役割は何であるのか、そこの範囲をしっかり議論した上でNHKに真にやっていただかなければいけないことを考えていくという、この基本姿勢は私はやはり重要なんだと思っております。  その際に、やはりなぜそもそもこういう問題が生じてきたのかということになりますと、現実にNHKガバナンス等々に関して解決しなければいけない問題が生じているからであると思います。こういう問題が起きていなければ、議論はここまで煮詰めてやる必要は私はなかったのだと思います。  一方で、NHKに対しては、これは総理もおっしゃる国際放送への期待がございます。そして、貴重なNHKのアーカイブ、これを活用してブロードバンドビジネスもやっていただいた方が良いのではないかという期待がございます。  NHKガバナンスにはっきり言ってまだ問題があって、一方で広げていただきたい分野がある、電波にも希少性がある、公共性は何なのか、そういうことを考える場合に、実は経営資源の集中という意味から今の波の数を削減していただいて、そこで経営資源の集中を図っていただく方が良いのではないだろうかというのがこの懇談会の考えだと思います。その裏には、ブロードバンド、アーカイブの活用や国際放送に積極的に資源を傾けていっていただきたいという思いがあるものであるというふうに認識をしております。  もちろん、国民の期待はいろいろだと思います。NHKの質の高い番組、私もよく見させていただきますが、それに対して期待があるということも十分承知しておりますから、そうした点を踏まえて現実の制度設計をしなければいけないと思っております。  また、波の数が多いか少ないかというのは、実はこれ大変難しい問題だと思います。もっと多いところもあります。同時に、民放と公共放送の役割分担といいますか、日本は民放が比較的発達した国であろうというふうに思いますので、その中での相対的な位置付けを考えなければいけないという面もあろうかと思います。  そうした点を踏まえて、これはあくまで一つ懇談会意見でございますけれども、今申し上げたような点が問題提起されているというふうに認識をしておりますので、しっかりと適切に議論を進めていきたいと考えております。
  17. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) まず、公共放送の波、チャンネルの問題であります。  確かに我々、重なる不祥事の中でNHK自体の改革というものが必要だと、この点について重く受け止め、それに対する経営改善、経営改革を行っていきたいと、しっかりと行っていきたいと思います。  しかし、このチャンネルの問題につきましては、やはり視聴者本位、第一で考えるべきだというふうに思っております。まず、各国の公共放送の波の数、もう御承知かと思いますが、BBCは十七、あるいはドイツではZDFというのが八チャンネル、ローカル公共放送のARDと足すと十四という数がございますし、韓国KBSは十二というふうな数字の中で、十二でございますが、そういう中でやっている。必ずしもNHKチャンネルというものに対して数字だけで物が言えない。基本は視聴者の必要性、ニーズ、放送サービスの、視聴者サービスの低下につながらないように、これを基本として考えてまいりたいというふうに思っております。
  18. 山本順三君(山本順三)

    山本順三君 終わります。
  19. 柏村武昭君(柏村武昭)

    ○柏村武昭君 自由民主党の柏村武昭でございます。おはようございます。  本日は、今国会最後の総務委員会で質問の機会を与えていただきましてありがとうございました。  私は、先日、NHK予算の質疑をさせてもらいまして、そのときNHKの皆さんの御説明は、現在不払は止まりつつある、そしてこれからはどんどんどんどん受信料は復活してきて、一年間に百億、二年間で二百億というふうなプランニングも聞いたわけでありますが、私はその根拠は何ですかという質問をしました。ところが、残念ながら、その後も不祥事は引きも切らず、とどめはやはり空出張問題ではなかったかと思います。その後、また自民党の政調部会で、会長理事出席になって私は質問をさせてもらいまして、いつもいつも謝るよりは、やはりここはしっかりと線を引く必要があるんじゃないかと、だから、地方、中央問わず、全番組の旅費の精算とか出演料とか癒着はないか徹底して調べる必要があるんじゃないかと提案をいたしました。  ですから、私は今日は、橋本会長にお尋ねするんですが、今日この委員会の場において、もう十分内部調査も終わりまして、御安心ください、ガバナンスも強化、コンプライアンスも徹底されましてNHKの再生宣言をすることができますと、よって決算皆さん方承認してもらいたいと胸を張っておっしゃることができるかどうか、イエスかノーかでお答えください。どうぞ。
  20. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) イエスかノーかでなかなかお答えしにくい問題であります。  ただ、再生宣言ということでございますと、私やはり不正根絶に向けて責務を持っております。こういうふうな問題につきましては、大変NHKそのものの根幹にかかわる問題でございますので、不正根絶に向けてあらゆる努力を惜しみなく行っていくと、任してくださいということを申し上げたいと思います。
  21. 柏村武昭君(柏村武昭)

    ○柏村武昭君 余り力強い答弁ではなかったわけでありますが。  今日はせっかくの機会ですから、私が個人的に長年疑問に思って、どうも不明瞭だなと思うNHKの国歌・国旗に対する公式な見解といいますか、それを今日はきちんと聞いてみたいと思います。  私は、以前からNHKの国旗・国歌の扱いに対して疑問といいますか、釈然としない思いがあったんですね。例えば、皆さんも恐らく気付いていらっしゃる方多いと思いますが、昔は放送終了のときに、日章旗が翻って君が代の、まあ演奏だけですけれども、その絵が必ず総合テレビは入っておりましたが、今全く見ることがありませんね。あれはもう完全にやめちゃったんでしょうかね。この辺のところは方針が変わったのかなと。私は、これは大変大事なことではないかと。日付が変わるときでも結構ですし、節目節目に毎日流すべきではないか。外国なんかは、僕は行きますけれども、外国は堂々と自分の国の国歌・国旗を流しております。しかし、NHKはどうも後退しているんじゃないかという感じがありますが、どなたでも結構です、短めにお答えください。
  22. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) お答えいたします。  国旗・国歌の放送につきましては、現在総合テレビ、二十四時間切れ目なく放送しているということでございますので、放送設備の保守それから整備などのために夜間の放送休止あるいは減力放送を行う際に、これ原則月二回程度でございます、放送終了時と放送開始時に日の丸の映像と君が代の演奏を放送するということを基本にしております。教育テレビでは毎日放送終了時に放送をしております。それからラジオにつきましては、国歌を放送終了時それからあるいは夜間の放送休止の際に放送をしております。  日付変更時に放送してはいかがかという御意見も承りましたけれども、日付をまたいで番組放送するケース、これもよくございます。そういう意味で、放送終了時あるいは放送開始時の放送の節目で放送を実施するということがふさわしいと考えております。
  23. 柏村武昭君(柏村武昭)

    ○柏村武昭君 どっちにしても余り前進はしていない、後退しているという感じがします。  ついこの前まで日本じゅうが熱狂したトリノ・オリンピックを覚えていらっしゃると思うんですが、荒川静香選手の演技には感動いたしました。見事な金メダルを取ったわけでありますが、荒川選手が金メダルを取ったときに、彼女は感激の余り日章旗を体に巻き付けてリンクの中をウイニングランをしたわけですね。そのときにNHKの見ていた人は、あれっ、突然VTRに切り替わったというふうなことで、恐らく抗議がたくさん来たと思うんですね。  私はこれは意図的にやられたのかなと思っていろいろ調べてみたら、これは後で聞くと、どうせ説明されるから言いますけれども、国際放送に任しているんでスイッチングがそうなった、だから仕方がなかったんだと。民放は堂々と生で流しているわけですから、これはもう非常に対比がはっきりと出たわけですね。じゃ、VTRが流れたんなら、その後、ラジオみたいに、今リンク上では荒川選手が感動の余りウイニングランを日章旗を持ってやりましたという実況放送をしたってよかったんです。そういうこともしないで、これは国際放送に任していますからという。そのときに私は、これが初めてであれば、ああ、そうなのかと思ったんでしょうが、またやったかというふうな気持ちがあったんですね。  私は三年前にこの総務委員会で質問をしました。日本ダービーの番組について質問をしたんですね。日本ダービーを見ておりまして、私、馬が好きですから必ず見ているんですね。そのとき、NHKの映像について質問をしております。  ある有名なソプラノ歌手が君が代を独唱いたしました。そのとき、民間放送の各局は、翻々と翻る日の丸、あるいは一生懸命観客席で歌っている皆さんの顔、青空、そういったものを映しておりました。NHKはその君が代をバックに何を映していたかというと、何と馬のしりを映しておりました。これは私はびっくりしまして、すぐに決算委員会で質問をしました。そうすると、皆さんの答えは、帰って検討してお答えをいたします。次の日にいらっしゃいました。あれはたまたまそういう絵を撮っておりまして意図的なものではありません、委員の指摘は大変遺憾であります。遺憾なのは私であります。やっぱりこれは、ソプラノ歌手が堂々と君が代を歌っているんであれば、やっぱりどういう顔をして皆さんが一緒に観客席で歌っているか、日の丸が青空に翻る絵がどんなに美しいか、そういったことをやっぱり気にしなきゃいけないんじゃないですか。  それで、私は次の年の日本ダービーも見ていました。何とこそくなことに、この開会式の、次の年は、君が代の斉唱を外して映しておりました。それをBGMに馬の調子はどうか、そういったことばかりやっておりました。どういう根性なのか、私はあきれ返りましたけれども。  それだけじゃないんですね。去年の三月に放送されました「クローズアップ現代」、「国旗国歌で教師処分へ卒業式」。こういう番組では、卒業式で起立すべきかどうかに悩む教師の声を取り上げ、一方で強制する側の東京都教育委員会の役人にも見解を述べさせることで一応両論併記の形式を維持したんですが、最後に記者と司会者が問題点を確認するという内容だったんでありますが、この番組放送された後に東京都教育委員会から橋本会長あてに抗議の申入れがありましたね。覚えていらっしゃいますね。  これはどういうことかというと、やっぱり自分たちが思っていた取材と全然教育委員会、違っていたわけですね。結果として、強制をめぐっての都教育委員会と学校現場の教員との対立という印象を与える番組としたことについて抗議をしたわけですね。なぜ抗議されたのか。それは、番組の中で、国谷キャスターが都教委はなぜ強制してまで徹底を図ろうとしているんですかと繰り返し質問して、都教委の規制を強制と断じて、明らかに東京都の教育委員会が教員に国旗掲揚、国歌斉唱を強制していると印象付ける編集内容であったからだと私は思います。(発言する者あり)だから、そういうふうな考え方の人もいるんです。だから、ちょっと黙って聞いてくださいよ。
  24. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 不規則発言はやめてください。
  25. 柏村武昭君(柏村武昭)

    ○柏村武昭君 つまり、これを僕は見ておりまして、つまり、公務員である教員が法規としての性質を有する学習指導要領に従わないという根本的な問題点は全く指摘せず、賛成している大多数の教員の声も全く伝えない。そうでしょう。そして、これはやっぱり国歌・国旗に対して偏見を持たせるような番組づくりをしていると指摘されても仕方がないんじゃありませんか。  会長、副会長放送法第三条の二を御存じですね。あえて言いましょう。「政治的に公平であること。」、「報道は事実をまげないですること。」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と書かれているんですね。これに抵触するんじゃないんですか。日本はまだアメリカのようにフェアネスドクトリンを削除しておりません。ということは、公共放送であるNHKはこの公平の原則をしっかりと守るべき義務があるんじゃないんですか。  自主自律をいつも強調されていらっしゃる永井副会長さんから、NHKの国歌・国旗に対する明確な御見解をどうぞ。
  26. 参考人(永井多惠子君)(永井多惠子)

    参考人永井多惠子君) 国旗・国歌については多くの国民が受け入れていること、これは世論調査などでも明らかでございます。その背景には、日本人としての長い歴史を持っておりますし、それから平成十一年にはもちろん国会の審議を経て法律にもなっております。NHKではその前に、講和条約が発効されて日本が国際社会に復帰した折、昭和二十七年でございますけれども、まずラジオで、ラジオの終了時に君が代を放送しております。それから順次、総合テレビ、教育テレビなどでも放送をいたしております。  今いろいろ御指摘ございましたけれども、公共放送として、対立する意見については双方の意見をお出しするということで、公共放送として間違った放送をしているとは考えておりません。
  27. 柏村武昭君(柏村武昭)

    ○柏村武昭君 では、なぜ抗議されたんですか。なぜ都教委から抗議されたんでしょうか。私は見ていて、非常に偏った放送だと思いました。
  28. 参考人(永井多惠子君)(永井多惠子)

    参考人永井多惠子君) お答えいたします。  都教委から抗議されたことは事実でございますが、その一方で、また東京都の指導に対しては現在裁判も行われておりますし、教育現場からの反応ということも私ども放送では取り上げております。その双方をお出しして、あとは視聴者の的確な判断におまちするというところではないかというふうに思っております。
  29. 柏村武昭君(柏村武昭)

    ○柏村武昭君 私は、今日は事実をずっと列挙して、NHKの国歌・国旗に対する考え方、そして今までやってきたことを皆さんにお知らせいたしました。これで私は、今副会長がおっしゃったようなもう公平にやっているという考え方は非常に納得できかねます。今日は、その私が今までもやもやっとしたものが払拭できるかと思ったら、全然できませんね、それは。やっぱり、国歌・国旗はもう法律までなっているわけですからね。法律までなってて、国の誇りですよ、旗も歌も。そうすると、やっぱりそれを助長するような責務があるんじゃないんでしょうかね、NHKは、公共放送としてはですよ。私は、皆様のNHKとして頑張るんであれば、そういうことも含めて細心の注意を図ってもらいたい。  私は、NHKは、さっきも山本委員が言ったように、公共放送としてやっぱり必要な存在だと思っておりますし、チャンネル削減も必要ないと思っております。イギリスのBBCなんかに比べたら全然もう格段にチャンネルも少ないと思いますが、要するに、チャンネルの数じゃなくて中身の問題だと思うんですね、僕は。中身が大事です。だから、こういう誤解を招くような番組づくりには細心の注意を払ってもらいたいとあえて要望したいと思います。つまり、NHKを見た人はみんな、あっ、これはNHKが言っているから中立公平なんだと思うわけですよ。中立公平を標榜しながらマインドコントロールするというのは一番ひきょうなやり方である、そう思います。  だから、もう一回チェックをするべきじゃないですか、現場の人間も全部。私は三十数年キャスターをやっていた経験から申し上げておきます。だから、国歌・国旗の扱いが恣意的と取られることがないよう公共放送としての役割を果たしていただきたい。  NHKの体質改善と自浄努力が伝わってこない今の段階で決算を承認することには大変逡巡しておりますが、今日は公共放送として日本国の国旗・国歌に敬意を払っていただきたいということをお願い申し上げ、最後に橋本会長の国旗・国歌に対する明確な御見解、私の今までの不安を払拭するような見解を聞いて、終わりたいと思います。どうぞ。
  30. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) この国旗・国歌、これは日本を表すもの、代表するものとしてNHKとして現在放送に使用してございますけれども、今後も日本の代表ということで適切に対処してまいりたいと思います。
  31. 柏村武昭君(柏村武昭)

    ○柏村武昭君 終わります。
  32. 二之湯智君(二之湯智)

    二之湯智君 自民党二之湯智です。同僚のお二人の議員の質問の重複をできるだけ避けて質問をしたいと思います。  今月の六日に、前山口の放送局長のいわゆる出張旅費の不正処理と、こういうことで停職一か月の処分をされ、その後いろんな問題出てまいりまして、約二百人ほどがそういう不適切な経理処理をしておったということが産経新聞の五月三十日付けに掲載をされております。  私からすれば、天下のNHK職員が非常にみみっちい出張旅費のごまかしだとか、情けないことだなと、こういう思いをするわけでございます。  一方、NHK局長といえば、各地では名士ですね。どこへ行っても来賓として扱われると。なかなか局長さんもポケットマネーでそういうところへお祝い持っていったり会費を持っていくのも大変だなという同情はあるんでございますけれども、私はNHKの内部の規約は知りませんけれども、こういうことで、まあ裏金作りというか、多少そういうもので出張旅費を浮かさないといろいろなかなか交際費も出ないんじゃないかなと、こんな思いをするわけでございます。  いずれにいたしましても、こういう問題からコンプライアンスの徹底だとかガバナンスの強化とか、こういうものが今回のNHKの問題であったわけでございますけれども、話は公共放送在り方とかチャンネルを減らせとか、NHKの経営形態そのものの話にまで発展いたしまして、これはまあNHKの身から出たさびだと思いますので、是非ともしっかりとこれから頑張っていただかなければならないと思うわけでございます。これは別に答弁は必要ないわけでございます。  ところで、今日の新聞も出ておりますけれども、「爆笑オンエアバトル」、これは若者向けの恐らく番組だと思います。そこで、プロデューサーが約四か年にわたってこの番組と非常に深いつながりある会社から、DVDの制作をしていた会社から二百八十万円受け取っておったと、こういう事実が明らかになったわけでございます。  この問題で、昨夜、NHKは処分されたようでございます。新聞見ますと、譴責処分ということでございます。私は、それはどういう処分なのかは分かりませんけれども、恐らく厳重に注意したと、こういうことかなと思うわけでございますけれども、民間からすれば非常に軽い処分ではないかと思うわけです。  ところで、この問題については自由民主党の総務部会でも問題になりました。そして、我が党の参議院の片山幹事長も、この問題についての事実関係を究明するようにと、こういうことで強くNHKに言われておるところでございます。NHKは、これはアルバイトだったと、このように言っておりますけれども、下請会社との不透明な関係あるいは金の流れをほうっておくと今後またこういう問題が次から次へと起こってくるんではないかと、このように思うわけでございます。  こうした問題について、NHKは今後どういう透明性を確保していくのか、その取組をまずお聞かせをいただきたいと思うわけです。
  33. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) お答え申し上げます。  御指摘受けまして、今御指摘のプロデューサーの件、調査をいたしました。DVDの制作の構成、監修を行っておりますけれども、これは上司の許可を得て行っておりまして、このこと自体はNHKの規律に違反するものではないというふうに考えております。ただ、報酬の受け取り方として、今回、依頼の会社の方からこれを交際費として経理処理していたという点につきまして、社会常識から見て誤解、疑念を招く受け取り方であったというふうに考えておりまして、この点につきまして譴責処分ということを行いました。  それから、今後の対応でございますけれども、職員の業務外での、言わばDVD制作のようなノウハウを活用して外部からの要請に対応するということでございますけれども、ここに疑念を持たれるというようなことのないよう、今後適正な対応をしていく必要があろうかというふうに思っております。規定の見直しなど対応ルールにつきまして、外部の専門家の方の御意見も伺いながら、必要があれば検討してまいりたいというふうに考えております。
  34. 二之湯智君(二之湯智)

    二之湯智君 今ドイツはワールドカップのサッカーが行われておりまして、世界じゅうがサッカーに沸いておるわけでございます。当然日本も、NHKも民放もこういう放送、非常に取り上げているわけでございますけれども、トリノ・オリンピックもそうでございましたけれども、今回のサッカーの放送についても、もちろん放送の時間は非常に長いし、それと若干冷静な放送がちょっと欠けているなと。私は戦時中は知りませんけれども、まるで大本営発表のように日本のチームが世界で一番強いと、ブラジルでもクロアチアでも、まして豪州なんぞ敵ではないというような、そんな報道をしていまして、ああいう結果になりますと、日本の国民は失望は非常に大きいんですね。  ところで、六月九日金曜日、ちょうどワールドカップサッカーが正に開会直前のときに、NHKは「W杯開幕直前 大特集「いざ 夢の舞台へ」」と、こういう番組放送されましたですね。たまたま私、金曜日、地元に帰っておりまして家内とテレビ見ておりました。それで、チャンネルNHKに合わせましたら、何か、あれっ、漫才の番組かなと思いましたんですね。そうしたら、家内に聞いたら、いや、あれは次長課長というそういう漫才師やと、こう言うわけですね。これがワールドカップの特集の中に出てきて、何か珍説奇策を披露すると、こういうことなんですね。これは、ワールドカップとこの漫才師との関係が、それは漫才師が二人とも非常にサッカーに精通していると、詳しいと、かつて学生時代にやっていたと、こういう人ならともかく、何かちょっとちぐはぐな感じがしたわけでございますね。  よく言われているように、NHKはよく民放を意識し過ぎるとか若者に迎合しているとか大衆に迎合しているとか、何かそんなことを私思ったんですね。今NHKはそういう事態じゃないと思うんですね。ある程度もう少しまじめさを前面に出さなきゃならぬときに、こういう、私はその芸人がいいとか悪いと言っているんじゃないんですよ、ふさわしくない、もう少しまじめにこの問題を正面から取り上げるべきであったと。  なぜこの二人を出演させなきゃならなかったという、そういう必然性についてちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  35. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) ワールドカップサッカー開幕いたしまして、せんだっての日本・オーストラリア戦、大変よく見ていただきました。また、各試合、非常に幅広い年代の方、放送を楽しんでいただいております。  今御指摘の番組ですけれども、開幕直前に放送いたしました。開幕直前でございましたので、日ごろサッカーになじみのない方、そういう方に親しみやすい内容にしたいという現場の思いはあったようでございます。そういう中で、サッカー解説の方とタレントを起用したということでございました。  先生御指摘のように、これからもワールドカップの試合、生中継、ハイライト、様々な形で私ども放送してまいります。お話にありましたように、分かりやすく冷静な放送、これは中継放送のアナウンスであるとかあるいは解説であるとか、極めて大切なことであるというふうに思っておりまして、一流のサッカーのだいご味を十分に堪能していただけるように、しっかり取り組んでまいります。
  36. 二之湯智君(二之湯智)

    二之湯智君 今度の人事で大阪の放送局の局長が替わりましたですね。その人の抱負の中に、やはり地方の文化振興のためにNHKはその役割を果たしていきたいと、このようにおっしゃっていまして、私もそれについてはいい抱負を述べられたなと、このように思っております。  ところが、やはりNHKというのはどうしても東京中心というんですかね、そういう私はなりがちじゃないかと、このように思います。東京のニュースはすぐ全国ニュースになるんですね。ローカルのニュースはなかなか全国ニュースになりにくい。  これを一例申しますと、もう数年前、今から十年ほど前ですけれども、大阪が一生懸命オリンピックを誘致しておりましたですね。その途中から横浜がまた手を挙げましたですね。私はそのときに京都市の市会議長をしまして、政令指定都市の市会議長会行きましたら、札幌の議長が横浜の議長に対して、大阪はひどいですねと、一生懸命横浜がオリンピック誘致しているのに途中から大阪が手を挙げて邪魔をしていると。関西人から見たらとんでもない話だと。大阪は随分前から誘致活動をやっているのに、横浜が途中から、横浜市長が、あのスタジアムができたか知らぬけれども、そこでやりたいと。  これはNHKもそうなんですが、民放でもそれを放送しないから、大阪が一生懸命オリンピック誘致を東京に次いでやろうと、東京だけじゃなくて関西というところもあるんだ、日本にはと。それで、大阪を中心にやろうという報道をしないから全然分からない。しかし、横浜発、まあこれは東京発のニュースなんです、それはたちまち全国ニュースになってしまうんですね。だから、何か横浜が非常に同情的というか、大阪が非常に悪いと、こういう印象を与えたわけですね。  そのときに私は、ニュースというものは東京発のニュースだけでは日本は国民が誤解してしまうと、だからもう少し地方発のニュースをやはりもっと多くつくってもらわないといかぬなと。受信料は、恐らく東京なんかは絶対額は多いでしょう。しかし、まじめにNHK受信料を払っている契約率は、恐らく地方の人は相当パーセンテージは東京よりも高いんではないかと、このように思うわけですね。だから私は、そういう地方の人の思いをもっとNHKは酌み取って、できるだけ地方の文化を振興する、あるいは地方の番組を発信すると、そういう姿勢を示していかなきゃならないんじゃないかと。  そして、制作の面でも人事の面でもやや東京中心になり過ぎはしていないかと、そういうところにNHK職員のエリート意識あるいは特権意識が芽生えてきているんじゃないかと、そういうことが今度のいろんな一連のそういう不正の温床になっているんじゃないかと、私はそのように思うわけでございますけれども、これについてどのようなお考えを持っておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  37. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 御指摘のように、私どもにとりましても地方の文化、情報を発信するということは公共放送の非常に大切な役割の一つであるというふうに考えております。ローカル放送の充実、それから地域情報の全国向けの発信、こういうことについては努めているところでございます。  NHK、全国に五十三の放送局ございますが、報道室は七十四ございます。職員の五六%に当たる六千五百人余りの職員は本部以外の地方局等で勤務しているという状況で、東京偏重ということは私どもないというふうに考えているところでございます。例えば、地方局発の番組も、例えば放送文化基金賞でありますとか芸術祭の優秀賞でありますとか、そういうものを取る優れた作品というものも地方局から制作されております。  人事的に申し上げますと、地域サービスへの貢献ということは各職員の評価項目の一つとして挙げておりまして、これを評価に当たっては参考にするということも行っております。また、先生御指摘のとおり、人事交流なども十分図りまして、今後とも本部偏重にならないように十分留意してまいりたいというふうに考えております。
  38. 二之湯智君(二之湯智)

    二之湯智君 東京発のニュースというのは、例えばどこかの踏切が、開かずの踏切がどこかの私鉄であって、それを小泉総理が何か注意したらたちまち高架工事に取り掛かるとか、何か東京で車が渋滞するとか、あるいは日本橋の橋が景観悪いといったら、何かそれは全国の記事になってしまって、何か五千億も一兆も掛けてそれを地下化しようかとか。  全国にそういう悩みは一杯あるわけですよ。だけれども、何か東京からぽんとニュースを流されると、それが全国ニュースになって日本の一大事みたいになってしまいまして、だからそういう報道はもう少し、地方にもいろいろな問題あるんだと、地方にももっといいところもあるんだということを、やはりこれはNHK公共放送としてこれから公平に放送をしていただきたい、それで公平に問題を取り上げていただきたいと、このように要望いたしまして、終わります。  ありがとうございました。
  39. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。三十分お時間をいただきましたので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  私も、この総務委員会に所属しましてからかなり年数がたってまいりましたけれども、毎回NHKの予算、決算、質問をさせていただいております。橋本会長に対しても、昨年就任早々、予算のところで、一番厳しいときだったと思いますけれども、質問をさせていただきました。永井副会長にも御答弁いただきましたけれども、そのときにもお話をしましたし、先日行われた今年の決算審議のときにもいろいろ不祥事が発生しているわけでありますが、今年の予算のときにはなるべく前向きな話をしていこうというつもりで質問に立たせていただきました。しかしながら、先ほどから自民党委員の方々からも指摘があったように、様々な不祥事が次から次へと出てきて、これいつになったら終わるんだと、そういう思いで皆さんおられると思うんですね。  この予算のときに、私、冒頭申し上げたのは、あのときに録画で放映がありました。深夜に、こんな時間にだれが見るんだということもそのとき言わせていただきましたけれども、まだ録画で放映をして国民に見ていただくという姿勢がありました。ところが、もう今回はそれもありません。ついにカメラ一台になってしまいました。  私は、本当にまじめにNHK国民に、反省し本当に再起していくんだという思いがあるのか、私はもう非常に疑わしくなってまいりました。毎回毎回、もう二度とこのようなことは起こしません、NHKは再起します、そのようなことを、答弁をいつもやはり聞きますが、答弁を聞いた翌週ぐらいにまた出てきたり、ついに今日はこの委員会の前日に、先ほどからそれぞれの委員からお話があったように、また不祥事が出てくる。何なんだというような思いが非常に強いんですね。怒りももう通り過ぎてちょっとあきれ返ってきているレベルにもう来ているんじゃないかな。  私は、そのNHKの姿勢を、本当にやる気あるのかどうかということをまず、質問通告しておりませんが、会長にそのことをまず聞いてからほかの質問に入りたいと思います。
  40. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 高橋委員御指摘のとおり、本来新しい時代に向けて本当に今後の放送界含めた大きな議論が必要なところで、NHKのこの不祥事の問題で皆さんに落胆あるいは大変御心配掛けている点について、私も大変申し訳なく反省しているところでございます。  ただ、私は、過去とはいえ、やはり組織の改革のためには出るべきうみは出すというふうな姿勢で徹底的にチェックを掛けてまいりたいと思っております。それから、今後の不正、不祥事につきましては、根絶に向けて更に一層いろいろ経理的なシステムの強化、あるいは職員、役職員の意識改革含めて業務指導を行い、また具体的には、いろいろ問題抱えている職場あるいは年代層、そういうところとの対話含めて、しっかりと改めてこのコンプライアンス強化、ガバナンス強化に向けて努力してまいるというふうに申し上げたいと思います。
  41. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 昨年のあの問題が起きたとき、昨年のときの予算の審議の後、永井副会長もいろんなところ出向かれて、国民と話すというようなこともやられました。どうも何かもうのど元過ぎたらという雰囲気が私は出てしまっているんではないかなというふうに思いますし、先ほどワールドカップのお話が出ましたが、今BS1と地上波とワールドカップの中継をしていますが、地上波もBS1も全く同じ番組なんですね。  そんな余裕があるんなら、この決算審議、衆参それぞれの、こんなまじめな論議やっているんだということをどっちかで流すということも考えてもいいんじゃないかなと思うんですね。別の番組やっているんならともかく、別の角度でワールドカップを中継しているんならともかく、全く同じ放送ですよ。それなら、なぜそういうNHKが本当にやる気があるんだというところを国民に見せないのか。自分のところが媒体を持っているのに、自分のところのそういう姿勢をなぜ出さないのか、私は大変疑問だし、その姿勢がだんだん落ちてきていることに対して私たち大変危惧をしております。済みませんと、頑張りますと、それはもう聞き飽きました。いつまでこんなことをやっているんだと、そのことを非常に私は憤りを感じております。  その中で、平成十六年度のこの決算ですが、平成十六年から、七月からいろんな不祥事が起きているんですね。ここまでずっとつながっているんです。まあ一万人も職員が、それぞれ非常勤も含めていろんな方がおみえになると思うんですが、それを管理するというのは大変なことだと、それは思います。当然、中にはいろんなことを考える人がいて、不正が出てくるというのは、これはどんな組織でもあることですから、これは仕方ないことかも分かりません。しかし、だらだらだらだら毎回我々が指摘するまで出てこなくて、この予算の審議をしたりした後に、私たちがその中で質問していたことに答えずに、翌週か十日ぐらいたったら全然人事を替えてしまったりとか、そんなことがもうずっと繰り返されているんですね。  私は、この予算の審議決算審議、非常にNHKとしては国会自体を私は軽く見ているんじゃないかなというふうに思うんですが、橋本会長、いかがでしょうか。
  42. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 私は、国会からいろいろ予算あるいは決算のとき、附帯決議として御意見いただいていますし、大臣意見、あるいは経営委員会からも御指摘、御指導をいただいているわけであります。これにつきましては誠心誠意努力している、まだまだその努力が足りない面につきましてはこれから強化して、できるだけ早く迅速にこういう不祥事根絶に向けて努力してまいりたいと存じております。
  43. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 平成十六年に不祥事が発覚しましたけれども、そのときに、七月に業務総点検実施本部というのが設置されて、八月にNHK業務点検・経理適正化委員会というのが設置されました。九月にコンプライアンス推進委員会とコンプライアンス推進室というのが設置されて、NHK倫理・行動憲章及び行動指針というのが策定された。一連のこういう問題が起きて内部的にそういう措置を取られた、このこと自体はまあ当然のことだろうと思うし、NHKとすればやる気があったんだろうと思うんですけれども、実質的にこれは効果あったんでしょうか。
  44. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 委員御指摘のように、十六年度、不正、不祥事発生直後から私ども様々なコンプライアンス上の施策を取ってまいりました。職員の意識の徹底ということにつきましても、倫理・行動憲章あるいは行動指針というものを策定して、役職員がそれに誓約するというようなことも行ってまいりました。また、職員研修、あるいは公金意識を高めるための受信料収納研修というようなことも広範に行ってまいりました。しかしながら、御指摘のように、今回また空出張という問題が発生いたしまして、このことを、こうした取組が、未然に防げなかったということについては痛切に反省しているというところでございます。  今後さらに、先ほども会長からもございましたけれども、職員の意識改革あるいは組織の体質の改革というものについて、役職員が話し合いながら抜本策を講じていきたいというふうに考えております。
  45. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 そのコンプライアンス推進室というのは、まず何をふだんやっているんですかね。どういう指導をされているのか。というのは、先ほど質問があった空出張の問題ですが、空出張された職員の方は、その方のコンプライアンス推進室の指導なのかどうか分かりませんが、十軒ぐらい、当時札幌の、札幌だったかどこかでお願いしますと頭下げに回っているんですね。回っている最中にその不正やっているんですよ。だから、泥棒がお願いしますと言っているようなものなんです。だから、何をやっていたのかという話ですよ。それを作りました、判こ押してもらいました、誓約してもらいました、それだけじゃないですか。結局、物に書いても部屋つくっても何にもならなくて、徹底されていなきゃ意味がないことなんですね。コンプライアンス推進室というのは何やっていたんですか。
  46. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 小野参考人、もし答弁続くようだったら前の列に座っていただいても結構ですから。
  47. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 先ほども申し上げましたけれども、私ども様々な施策をつくりまして、コンプライアンス推進室、職員の研修、例えば十七年度、十六年度の不祥事発生以来、二千数百人の職員の研修、それから先ほどの職員受信料の収納、あるいは不払対策といいますか、支払拒否をしておられる方のところへ伺っておわびに回るというような活動も延べ二万六千人以上の職員が参加してやってまいりました。  私どもとしては、当時から手を緩めることなく活動を続けてきたというつもりでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、なお空出張をチェックできなかったという点については痛切に反省しているところでございます。
  48. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 結局、二万何千人がそういうことをやったとか研修したとかいっても、結局はやっぱりトップの姿勢が下まで徹底しているかどうか、これだけ危機的な状況なんだよということがNHKの末端まで徹底しているかどうかだと思うんですね。  私も地元でNHKの記者の方や職員の方としょっちゅう会ってよくお話をします。彼らは非常にまじめにやっています。大変、自分たちの時間も犠牲にして夜遅くまで、朝早くからも仕事をしています。そういう彼らから見ると、トップの方の思いが全然分からないと。それが、今言葉ではるる出てまいりますけれども、そういうことが、先ほど地方の話もありましたけれども、地方の方に全然伝わっていないんですね。  私は、そういう部分にまず努力をすべきで、研修したとか文書を作ったとか、そんなことをやっている間があったら、NHKの姿勢をきっちりとやっぱり末端まで徹底させるという努力をやるべきじゃないんでしょうか。そのプロデューサーの方やアナウンサーの方がごめんなさいと言って一軒一軒幾ら回ったところで、これはまあポーズ的にはいいかも分からないけれども、はっきり言って意味ないですよ。収納する人は収納するプロがやりゃいいんですよ。だから、そういう、何か勘違いしているんじゃないかなと私は非常に思うんですね。  で、中にはもうNHK倒産の危機みたいな記事が出ているのもあります。私は、もうそこまでみんな危機感を持っているんです、周りは。ところが、内部の方が余り持っていない、相変わらず過去の遺産で食っているというか。私はNHK番組もすばらしいと思うし、よく見ますから、そのすばらしい番組をつくり続けていただきたいというふうに思いますけれども、このままではそれこそ本当に、倒産じゃないんですけれども、いろいろ八波を三波減らすという話も私は反対ですけれども、これもそもそもがNHKもう解体みたいなものなんですよね。  そこまで来ているという危機感が私はNHK全体にあるのかなと、非常にそこを懸念をしておりますし、新生プランというのを出されました。この中でも、自己改革というか、自らが改革をしていく、自らが姿勢を正していくという話がずっと出ていましたけれども、会長も言われたと思いますけれども、自らできるのかという心配があるんですね。それこそ外部からもう大胆にやらなきゃいけないと、そのことから、先ほど竹中懇という話がありましたけれども、そういうところからもいろんな意見が出たりしているんだろうと思うんですね。  この自己改革というのは可能なんでしょうか、会長
  49. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 私は、これは自己改革をしなければならないと思っておりますし、できると考えております。  ただ、やはり意識改革というのは大変、先ほども御指摘ございましたように、我々当然、現在この不正根絶に向けて努力している内容としまして、システム的なチェックアウトができるその体制、経理的な面と業務的な面と両方ございますが、これを行うと同時に、やはり職員一人一人が危機感を持った中で、NHK自体に期待を持っていただいている視聴者にこたえる、その気持ち徹底していかなければいけないと思っています。  この意識改革について大変努力が必要なところだと思っておりますので、こういう面で我々、私先頭に、役員も執行部も全力を挙げて邁進してまいりたいと思います。自己改革は可能だというふうに考えております。
  50. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 先ほども出た空出張の話なんですけれども、大体千七百万円ぐらい、千七百六十万円でしたですかね、空出張していたと、二百何回分。私、普通の会社というか普通の組織でいえば、そこにいなきゃ大体分かりますよね。仕事へ行っていて、行っていますという申請が二百何回も出ていて、いなきゃ分かりますよ、そんなのは、普通は。  で、説明によると、東京の方からも北海道の方からも指示が出されて、どっちからの指示でも行けたので分からなかったという話が出ていましたけど、普通考えられないですよね。仕事しに行っているはずの人がいないのに、これは普通ちょっとおかしいぞと。六年もほっておくというか、六年も分からなかったということ自体が私は不思議でならないんですよね。  なぜ分からなかったのか、そしてそのことに対して監査制度、何か変えられたんでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
  51. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 御指摘のとおり、なぜ分からなかったのか、私どもにもそういう悔いが大変残っているケースでございます。  一つ私どもとして反省しておりますのは、スポーツという専門的なジャンルを担当する人間でございまして、その人間が札幌放送局に一人しかいなかったということから、管理者としてスポーツは専門外であるということから十分な業務把握が行われていなかったという点が一つ、かくも長くチェックできなかったということの一つの原因かというふうに思っております。  それから、監査体制をどうしたのかということでございますけれども、その後、スポーツ報道センター、それから札幌放送局について緊急業務調査というものを行いまして、その際、外部監査法人の方から七名の方に参加をいただきまして、我々との合同チームで監査を、調査を行いました。  今後、こうした外部の方に入っていただいた監査体制というものを内部監査に併せまして一層強化していきたいというふうに考えております。
  52. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 そのままいていただいて結構ですが……
  53. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 小野参考人、前に座っていてください。
  54. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 内部監査制度も当然あると思うんですが、監査担当職員は何人おられて、どれぐらいの頻度でどの程度監査やっているんですか。
  55. 参考人(永井多惠子君)(永井多惠子)

    参考人永井多惠子君) お答えさせていただきます。  現在、NHKの内部監査を担当する職員は三十六人で、皆専任でございます。監査室はNHKの国内、海外の全部局の監査を一元的に受け持ちまして、内部監査は本部の部局と全国の放送局について毎年一回行っております。監査は経理とそれから業務と両方ございますけれども、今年度からは経理に重点を置いて監査をするという方向で仕事をしております。
  56. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 私は年一回というのは適度な回数だと思います。でも、それでなぜ、さっきの話に戻っちゃいますけれども、普通そんな年に一回監査していたら六年もほっとけないはずですよ。幾ら専門的なスポーツの担当をやられていたといったって、組織なんですから、それは幾ら何でもしょっちゅうしょっちゅうそんな二百四十何回も出張していて、年に一回監査していて何で分からないんですかね。そこに問題ありませんか。
  57. 参考人(永井多惠子君)(永井多惠子)

    参考人永井多惠子君) 実は、この者は日帰りというのが大変多くて、大変飛行機が短くかなり札幌でも東京でも行けるようになっておりまして、日帰りのことに関しては証憑というのがございませんで、それも一つの原因になっておりました。監査しようにもその対象の文書がなかったということでございます。  しかし、四月以降、このことが分かりましてからは、日帰りについてもしかるべき書類を作るようにいたしました。
  58. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 日帰り出張というのはもう今当たり前でして、私も昨日は地元へ日帰りで行ってまいりましたが、そんなのは当たり前なんですよ、今。  NHKのこれまでの姿勢というのは、問題が起きるとその問題は一生懸命やるんです。だけれども、ほかも結局おざなりで、また別のところからまた問題が噴き出してくる。全体的な、やっぱり先ほど申しましたように、ちゃんと一つ統一したものを早くつくらないと、いつまでやっているんだという話になるんですよね。  監査というのは私はもう当然あるべきで、三十六人という人数が日本全国、世界じゅうにいるNHKのそれぞれの部局を年一回監査というのはこれ大変な仕事で、物理的に考えてみても私は十分な監査できていないと思うんですね。はっきり言って、上っ面見るだけの監査で終わると思うし、監査入りますという事前通告もあったら、多分一週間か二週間一生懸命それぞれの部局で帳じり合わせしていて、はい終わりましたということで終わるぐらいの監査しか多分できないと思います。  私は、こういう部分の充実も当然必要だと思いますが、もっと大事なのは、お互い監視するという組織が私はいいとは思わないけれども、内部牽制システムというのはやっぱりきっちり、ないから二百四十二回もいなくても分からなかった。これ、お互いにおかしいじゃないかというふうなことが同僚が言えば、私はこれもっと早く分かっていたはずなんですね。この内部牽制システムというのが結局機能していなかった、そこに問題が非常にあると思うんですが、そのことはいかがなんでしょうか。
  59. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 答弁はだれがされますか。  小野参考人
  60. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 御指摘のとおり、内部監査、十分ではなかったということでございます。  先ほども申し上げましたように、その強化策といたしまして、今後、外部監査法人との連携というものを一層強化して、今現在やっております監査を強化する方向で検討していきたいというふうに考えております。
  61. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 今、それさっきの答弁に合っていませんよ。それはその前の質問ですよ。内部牽制システムをどうしているんですかという話をしているんですから、それは外部の監査法人と手を組むっていうのはさっきも言ったじゃないですか。もうこれ三回目ですよ、今の答弁は。
  62. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 内部統制ということに関してでございますが、現在COSOフレームワークという考え方を導入しようということで、現在、外部の専門家を入れつつ、各部局にCOSOフレームワークの考え方を導入しているところでございます。これを前倒しいたしまして、十八年度中にCOSOフレームワークの内部統制の考え方を全部局に導入すべく、前倒ししていこうというふうに考えております。
  63. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 何か、平成十六年に問題が起きているときにも、ちゃんとやりますと言っているんですよね。そのときにもう、そもそも普通の組織であれば内部牽制システムというのはあるんですよ。同じ職場にいたら、あれおかしいぞというのは、これは内部牽制システムですよ。そのこと自体が働いていないというのは、そもそも職場のいわゆる意識というのがなかったということだと思うんですね。  さっきの空出張の問題、もう二度と出ませんか。御答弁いただきます。
  64. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 出張に関しましては、十六年十一月以降、出張報告書というものにホテルの領収書等を添付するというふうに制度を改正いたしまして、それ以降十分チェックを、体制を整えたというつもりでおりましたが、先ほどもございましたように、日帰り出張についてそういうことをやっておりませんでしたので、今回、日帰り出張についてもそういうことをやるようにいたしました。  十六年の十一月以降の出張につきましては、今回の緊急業務調査に併せまして全部局でも調査をいたしました。
  65. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 いや、もう出ないかどうかの、イエスかノーかでいいですよ。
  66. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 御指摘の相互チェックの体制であります。  やはり私、今回ずっとこの不祥事というものを自分なりで分析して考えても、基本的には意識のところでチェックするといいますか、この意識が非常に欠乏している、欠落している職場というのがやはりあったと思います。特にそれが一つ、業務的には縦割り意識といいますか、そういう中で発生しているものもある。それから、一つ一つの業務をそれぞれ一人一人が分担して行うという中での意識もあります。そこで、できるだけ人のことについてはチェックしないという、そういう振る舞いが定着している職場もあったというふうに思います。  この点につきましては大変、特に金にかかわる業務といいますか、こういう点については経理的なチェックシステムとして、先ほど小野も言いましたが、COSOフレームワークを活用したそういう手法も導入するし、それからそれぞれ各職員を現場で管理する各階層の管理職、そういうものが業務チェックをする、あるいは同僚、部下、上司それぞれが縦、横眺めてお互いに不自然な、不正につながるおそれのある振る舞い方について通報するコンプライアンスの、そういう全体的な取組についてはやはり欠けていた、不十分な点があったという点で、これについては強化して、改めて外部の抜き打ち検査あるいは定常的な検査を含めて強化してまいりたいというふうに思います。
  67. 高橋千秋君(高橋千秋)

    ○高橋千秋君 結果的にイエスかノーかの返事はございませんでしたので、多分まだ出るというおそれがあるということを心配をされているんだろうと思います。もし出るおそれがあるんであれば、早いところそれを出してください。  そういう、もう今度の予算、決算のときにまた同じような、こんな、私はこういう嫌な質問したくないですよ。もっと前向きな話をしたい。だけど、毎回毎回こんな話をしなくても済むように是非やっていただきたいと思いますし、もう時間がないので終わりますが、先ほど放送がないということでありましたから、もしあれだったらインターネットの中ででも流すということも可能なんですから、是非そういう、自らこういう厳しい意見が出ているということを出していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  68. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫です。  今日は、NHK平成十六年度の予算審議、私は、お金の使い方、NHK受信料在り方について中心的にお伺いをしていきたいと思います。  まず、平成十六年度の事業支出六千五百九十二億円、私は残念ながらここの数字には正しく使われていないお金が計上されていると思います。  いわゆる磯野事件、二億円もの不正、着服平成十六年の七月に起きて、その後、NHKは、内部を調べて不正があるのかないのか総点検をした、その結果、その中で新たな不正は見付からなかったと結論付けているんです。でも、今年四月十一日に公表された報道局スポーツ報道センターのCP、チーフプロデューサー、約二千万円の空出張の着服。これ、いつ行われたかというと、平成十三年から平成十八年の四月にかけて、つまり今審議をさしていただいている平成十六年度の決算あるいは十七年の予算、決算、ここの数字には正しく使われていないお金が計上され、それが通ってきてしまったことが私は問題だと思います。  橋本会長にお伺いします。平成十六年度の決算、中でも事業支出、一円たりとも不正に使われたお金はないと自信を持って言えるんでしょうか。
  69. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) この決算、予算、まあ決算でいいますと、実際にこういう数字の中で出てきているものにつきましては、大変全体を財務的な扱いの中で行ってきて、財務処理を行ってきている数字でございます。  したがって、私としては、この十六年度決算に対する思いといいますのは、やはりそういうふうな大変厳しい財政状況を招いたNHK不祥事の問題というものを厳しく受け止めて、それに対するリカバリーを、いかに視聴者信頼を図り、また組織としても不祥事根絶するかというその思いを込めて、結果的には財政的な運営に現れてくるわけでありますけれども、そういうものに臨んでいきたいというふうに考えております。
  70. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 自信を持ってこの決算報告書出されていると思うんですけれども、なかなか正直に答弁にはお答えいただけない。  平成十六年のその磯野事件以降、主な不祥事だけで十三件起きていて、その十三件の不正に使われたお金、着服されたお金の総額は九千百二十二万円。相当な額です。  平成十八年五月の日付で、橋本会長のあいさつから始まる「みなさまの声にお応えして」という大変立派な「NHK視聴者サービス報告書二〇〇五」というのを発刊されていますが、この中で不祥事に対していろんな意見が出ているんですが、「みなさまからの声」を見ると、「まっすぐ、真剣。」を信じてきた、なぜこうなるのか、管理者が悪いのかという意見が率直に出ています。  この意見を載せたことは評価をしますが、管理者が悪いのかと視聴者が思った部分、つまり橋本会長には責任はないんでしょうか。いかがでしょうか。
  71. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 私は、この不祥事、あるいは不祥事だけでなく、そういう状況の中でNHKの経営を任されている、その中で不祥事を発生しない状況をつくっていかなければいけない、そういう経営の責任を担っている代表だというふうに考えております。  したがって、私にそういうふうな経営責任がないということではなくて、私は今後ともNHKの健全なる経営に向けて、これを実現する責任を一身に背負っているというふうに考えております。
  72. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 私がここで質問をさしていただいて以降、橋本会長はいつもおわびをしている姿勢を見ているんですね。それは非常に残念なんです。是非、今後おわびがないような、そういう責任を持って取り組んでいただきたいんですが。  本当にNHKは再生の姿勢を視聴者にお伝えしようとしているのか、自分たちの取組をどれだけ届けようとしているのか、その真剣さが残念ながらなかなか伝わってこない。昨年の九月、NHK新生プランを発表して努力していくと言った。でも、これを知っている人はNHKの世論調査でもわずか二九%。本当にそういうふうに自分たちが努力している姿を伝えようとしているのかがなかなか分からないんですね。  これまでにも、不祥事へのおわび、改革内容など、NHK放送事業者として広報番組を行ってきました。重立った番組で、「まっすぐ、真剣。NHK 平成十七年度予算と事業運営」二十五分番組、視聴率、関東で六・六%、「NHKは変わります 新生プラン」二十五分番組の視聴率は関東で五%、今年一月の「NHKはこう変わります 平成十八―二十年度経営計画」三十五分番組は関東で視聴率五・五%。  これは全国でどれぐらいの世帯が見た番組なんでしょうか。
  73. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 今お尋ねの番組、いずれもNHKの予算あるいは経営計画を視聴者の皆さんに御説明するための番組でございました。  委員が挙げられた数字、これはビデオリサーチ社の関東地区での数字でございます。ビデオリサーチ社の調査というのは全国の主要都市部に限られておりまして、全国をカバーしているものはございません。そういうことで、全国で何世帯がこれらの番組を見たのかというお答えは、そういう数字は持ち合わせておりません。
  74. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 民放では当たり前に全国での数字を出す努力をしています。それ、掛け合い方が違うと思います。  じゃ、NHKは一%は何万世帯が見ていると計算していますか。
  75. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) これはビデオリサーチ社の調査でございますので、ビデオリサーチ社、これは世帯の調査でございます。ビデオリサーチ社で一%当たりの世帯数、これは推定の発表はございますけれども、これもそれぞれの地区での数字でございます。
  76. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 NHKさんに事前に聞いたら、NHKは一%を大体十六万世帯が見ているという計算という答弁をいただいています。それで平均して計算すると、五%の視聴率は大体八十万世帯ですね。NHK受信料契約をしている世帯は四千三百万世帯あります。番組を通じてきっちりと自分たちの不正をただしていくという努力を見せる努力が余りにもないんではないか。  このおわび放送放送したとき、平日、どういう番組をやっていて、平日の番組の平均視聴率は大体九から一〇%です。九から一〇%の視聴者のセット・イン・ユースがある番組でおわび放送放送すると、その半分が逃げていくと。つまり面白くないんですよ。本当に面白い番組をつくって、自分たちが謝っているという姿勢を伝えようとしていない。私は、ここに、放送事業者として、自分たちの創意工夫で見せる努力をしていないというのが余りにも甘いんではないかということを指摘をさしていただきたいんですが。  今回質問するに当たって、NHKで働いている方、いろいろな方にも意見を聞きました。やっぱりまじめに頑張ろうとしている方はおられるんです。ただ、どんなに頑張っても、一部の人が不祥事を起こすと、今まで頑張ってきた部分がまた無に帰ってしまう。またゼロからの出発だ。それは職員の士気の低下につながる。職員の士気の低下というのは、そのまま制作者として番組の質の低下につながる。これがあったら、結果として、受信料を払っている視聴者が質の低下した番組を見せられる。こういう悪循環はあってはいけないんだということを改めて胸にとどめていただきたいんですが。  次に、お金の使われ方をお伺いします。  NHKは、関連団体との一定規模、三千万円以上の取引を公開しています。  では、公開している平成十六年度の関連団体との取引総額を教えてください。
  77. 参考人(衣奈丈二君)(衣奈丈二)

    参考人(衣奈丈二君) お答えいたします。  十六年度のNHKと関連団体の取引総額は一千四億円でございます。
  78. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 事業収入の六分の一に当たる額が子会社、関連団体との取引に使われている。  関連団体とのこの総取引の中で、競争契約は幾らで、随意契約は幾らですか。  ちょっと前にいてください、時間がもったいないので。
  79. 参考人(衣奈丈二君)(衣奈丈二)

    参考人(衣奈丈二君) ただいま申し上げました一千四億円のうち、お尋ねの競争契約は十六億円、残り九百八十八億円は随意契約でございます。
  80. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 随意契約が九百八十八億円、競争契約は十六億円。放送法NHKは基準によって業務を委託することができるようになっていますが、業務委託基準だと原則は競争契約です。これほとんどというか、ほぼ随意契約なのはなぜでしょうか。競争契約との違いを端的に御説明ください。
  81. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 衣奈参考人、少し質疑が続くようですから、もう前へ座っていてください。
  82. 参考人(衣奈丈二君)(衣奈丈二)

    参考人(衣奈丈二君) はい。  関連団体につきましては、公共放送にふさわしい番組制作あるいは取材、また放送設備の維持若しくは管理、さらに公共放送あるいは受信料といったNHK制度又は業務、こういったものに関して優れたノウハウや技術をNHKから承継もしております。NHKと共同して公共放送事業を遂行していくということをしております。このNHK公共放送としての役割を果たすためにこれらの技術やノウハウを活用することが不可欠な場合が多く、結果として御指摘のようなことになっております。
  83. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 今の説明を聞いて、なるほど、だから九百億円随意契約でいいんだと納得した人がどれぐらいいると思いますか。  随意契約九百八十八億円のうち八百八十五億円が、番組制作で公共サービスの質を確保するため、子会社、関連グループ、関連会社に随意契約番組制作業務を丸投げしているんですね。  平成十六年度、NHKは子会社にどれぐらいの番組制作を外注していますか。額とパーセントを教えてください。
  84. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 十六年度の実績値でお答えいたします。  関連団体への番組制作の外注比率、三九・九%でございます。これにかかわります委託の経費、四百四十一億七千万円でございます。  関連番組制作する番組には、NHKが企画立案してその制作を委託している番組、「きょうの健康」などです。それから、NHKが関連団体を通して企画をコンペ方式で募集する。その二種類がございます。
  85. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 子会社には三九・九%、四百四十一・七億円の外注をしている。  じゃ、子会社以外、NHKが直接外部のプロダクションに委託している率とパーセントと額をお教えください。それだけで結構です。
  86. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 関連団体を通して外部プロダクションから、今申し上げました企画提案のコンペ方式、それで募集しているもの、これは一〇・八%でございます。
  87. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 聞いていることが違います。NHKが子会社じゃなくて外部のプロダクションに直接外注している率と額をお教えください。
  88. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 今、番組につきましてNHKが直接発注をしているものはございません。  ただ、今回組織改正をいたしまして、この六月でございますけれども、編成局に新たにソフト開発センターというものをつくりました。そちらの部署で外部からの提案募集から内容管理まで、関連団体を通さずに実施できる体制をつくりました。そうした体制の中で、これから効率的な番組づくりあるいは品質の維持、そういったことを検証しながら企画コンペ、そういったものを増やしていくかどうか検討してまいりたいと思っております。
  89. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 つまり、NHK番組制作を外部に委託するときには全部子会社だと。四百四十二億円を使って全部子会社に出していると。  これ、随意契約率何%ですか。
  90. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 番組制作でございますので、基本的には番組制作は競争入札ということよりも、提案のテーマでこれを、企画を取ると、そこの競争をやるということでございますので、いわゆる競争入札にはなっておりません。随意契約でございます。
  91. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 子会社に随意契約で一〇〇%番組を発注していると。外部プロダクションには発注していない。でも、子会社から、子会社を通じて外部プロダクションに更に再発注、再委託をしているのが一〇・八%、約五十億円あるんですね。  これ、何で子会社通すんですか。子会社通さないで直接外部プロダクションに委託すれば経費は安くなるんです。つまり、お金を正しく無駄なく使うという方法を、あえて子会社を通すことで経費を高くしていると思えるんですけれども。  それともう一つ、公共サービスの質を確保するのは子会社でしかないんですか。今、民放の外部プロダクションもドキュメンタリー番組、賞を取ったり相当いい制作会社がたくさん出てきているけれども、ここは公共サービスの質が確保できないと、だから随意契約で全部、九社しかないんですが、番組制作をつくっている子会社は、そこに丸投げをすると、四百四十二億円。  これ、会長、どういうことでしょうか。会長にお伺いします。
  92. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 最近、プロダクションで、NHKが掲げている公共放送らしい番組というふうな番組、こういうものに大変我々、ニーズにマッチした番組をつくる制作力というのは大変向上してきているというふうに考えております。これは、これまで子会社を通じてそういうプロダクションにお願いしてきた、共同制作をお願いしてきた、そういう効果もあろうかと思います。  そういう点をかんがみまして、これから直接こういう発注ができるような体制というものを整えてきているところで、十八年度もそういうものを志向しているということでございます。
  93. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 橋本会長に改めてお伺いします。  公共放送らしい番組とは何でしょうか。
  94. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 公共放送らしい番組というのは大変定義というのは難しいと思います。公共放送そのものという定義が放送法にあるわけでもございません。  そういう中で、我々考えていますのは、やはり現在、NHKに対して期待を寄せられているいろんな多様な御意見ございますけれども、そういう中でNHKとして取り上げていきたいテーマあるいは演出手法、そういうものを総合的に考えた総称だというふうに考えていただきたいと思います。
  95. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 矛盾があるんですね。会長自らが公共放送らしい番組をつくると御答弁して、じゃ公共放送らしい番組とは何ですかと。定義が難しい。その定義付けさえもしないで、子会社NHKが発注する番組制作全部を丸投げする。その理由は何かと。それは、子会社は公共サービスにふさわしい番組をつくれるからという理由なんです。私、この理由納得できないと思います。  今、私たち民主党なども国会で主張しているのは、無駄遣いをやめましょうと。中でも随意契約、天下り団体先を解消していきましょうと。衆議院の予算委員会の予備的調査では、一年間で天下り団体に交付された補助金というのは約五兆五千億円。先日財務省が発表したのは、中央省庁など政府機関が所管公益法人、天下り先企業と結んだ契約のうち競争入札を原則とする国の会計原則から逸脱した随意契約が〇五年度二兆二千億円あったことが明らかになった。政府はこの七割を競争契約に切り替えられるとしています。この方向には私も賛成です。  でも、この天下り団体、随意契約、この国と天下り団体先との契約というのはNHKも全く同じ構図に見えるんですね。番組制作を請け負う子会社、エンタープライズ21を始めとする九社の社長、役員、ほんの一部を除いて、ほんの一部を除いて全部NHKからの天下り。その重立った業務の番組制作、その外注先はどこかというと、全部NHK本体からです。で、原則である競争契約というのはほとんど行われていない。その理由付けも、今の会長の御説明で私は納得できない。  じゃ、これ、受信料というのは正しく使われているのかどうなのか。NHK本体では不祥事が起きている。じゃ、子会社では起きない。何を担保にそう言われるのか。お金の流れが不透明だから、契約、入札額が不透明だから、それが適切に民間とイコールフッティングで使われているかどうか明らかにならないのは当然だと思うんですね。  この私の指摘、橋本会長、適切ではないと思いますか。橋本会長に聞きます。
  96. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 関連会社でございますけれども、外部のプロデューサーの皆さんに番組をつくっていただく場合に、番組制作というのは紙の上のことだけではございませんで、そうした皆さんの力量というものが大変大事でございます。そういう意味では、日ごろそういうプロダクションの皆さんと一緒に仕事をしている関連団体がかかわるメリット、それから関連団体そのもの、それぞれノウハウを持っておりまして、そうしたことを通じてこれまでやってまいったということでございます。
  97. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 次に、受信料、その契約率についてお伺いをしたいんですが、今NHKさんが発表している平成十八年の世帯契約率七九・二%。つまり、今もう実際に契約をしていない人が二割いるという実態。そこに更に契約をしていながら不祥事に端を発して未払の方たちを分子から引く。契約対象世帯で実際に払っている世帯は今何%ありますか。
  98. 参考人(小林良介君)(小林良介)

    参考人(小林良介君) 世帯契約率につきましては、十七年度末では七八・八%を推計してございますけれども、今御指摘の実際にお払いいただいていない方を除いた場合の契約率、支払者率といって申し上げた方がよろしいと思いますけれども、それは推計値七〇・七%でございます。
  99. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 七〇・七%、つまり、三世帯に一世帯がもう受信料というのを払っていない実態、やはりここは大変ゆゆしき事態だと私は考えております。  実は、これ、会計検査院も指摘をしているんですね、この平成十六年度のNHK決算報告書検査したときに。  会計検査院にお伺いします。平成十六年度のNHK決算検査報告で、NHKの未契約者数はどれぐらいと報告されていましたか。
  100. 説明員(増田峯明君)(増田峯明)

    説明員増田峯明君) 私どもが十六年度の決算検査報告におきまして今お尋ねのケースについて記述しているわけですけれども、十六年度末で未契約件数は九百二十二万件であるということで記述しております。
  101. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 九百二十二万世帯の人が契約をしていない実態。  さらに、会計検査院にお伺いをいたしますが、じゃ、この契約をしていない方、それと契約をしていながら払っていない方たち、その方たちを合わせて、NHKは本来幾ら分の徴収できる額を徴収していないと推計しましたか。
  102. 説明員(増田峯明君)(増田峯明)

    説明員増田峯明君) お答えをいたします。  今お尋ねの点につきましても検査報告で記述しているわけですが、私ども会計検査院におきまして、十六年度中の通年の未契約者数を推定するなどいたしまして、これを基に未契約者に係る年間の受信料相当額を千二百十億円と算定いたしました。これと、それから契約者に係る十六年度中の未収納額三百四十億円、この二つを合わせまして受信料未収納額を千五百五十億円ということで算定をして報告しているところでございます。
  103. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 ありがとうございます。  NHK平成十六年度の事業収入は六千六百六十七億円、その四分の一の額に当たる千五百五十億円がNHK受信料として徴収できていないという実態平成十六年度にもう指摘をされているんです。指摘をされているにもかかわらず、不祥事が相次いでいる。さらに、未払が増えて、この額ってどんどん増えてきているんだと思います。  私は、こういう事実を、どんな努力を行ったかということもお示しされないで、未払の方には民事手続を取っていくんだという方向だけを示すというのは、これは国民の理解が得られると橋本会長は胸を張って言えるんでしょうか。
  104. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 得られるかどうかということよりも、私の務めとしましては、御理解を得る努力を続けていくということでお答え申し上げたいと思います。
  105. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 得る努力は当然行っていただきたいと思うんですけれども、その得る努力というのは、契約をしていて払ってない方には法的手続を取る、契約していない方にはどうだと、ここでもう不公平感があるんですね。そして、今もう三世帯に一世帯が払ってない。千五百五十億円も本来だったら事業収入として入ってくるべきものを、御自身の努力が足りないのか、それとも御理解が得られないのか、実際に事業収入としては得られていない。  そんな中、改めて出てきているのがNHK受信料義務化という話なんです。先ほど大臣は、義務化でその受信料の額を下げることができるんではないか、それも一つ考え方だと思いますが、私、そこに到達するまでには余りにも大きな問題が山積していると思います。不祥事の問題もそうです。あるいは子会社、関連会社、グループ会社の問題もそうです。随意契約、お金の使われ方、いろんなものを今クリアにしなければいけないのに、残念ながらNHKさんの姿勢で見ると、その場その場で起きた不祥事対応するので精一杯で、それ以外のことにはなかなか手が回らない。  このことに対して、橋本会長は何かお感じになっていて、どこをどう変えなければいけないとお考えになっているんでしょうか。
  106. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) この不祥事の問題から端に発しますコンプライアンスあるいは組織内のガバナンス、マネジメント、こういう問題については、これは本当に実際にこれから手を尽くしてとにかく改革してまいる、強化してまいる、この不祥事根絶に向けて一生懸命努力してまいりたいと思います。  一方、この受信料の払っていただけない方々に対する努力というものも、我々当然ながらこういうふうな努力も御説明しながら、しかし一方、公共放送の公平的な負担ということを御理解をいただく努力、これも続ける、並行して続けていく必要があろうというふうに考えております。
  107. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 済みません、通告していないんですが、大臣にちょっとお考えをお伺いしたいのですが。  三世帯に一世帯が受信料を払っていない現実とか、あるいはグループ会社との随意契約一〇〇%に近く、そのお金が本当に正しく使われているのか分からないまま当たり前に毎年度行われてきている実態ですとか、まだまだ改革すべきところは一杯ある中で、やはり義務化というのは一足飛びで踏み越えられるものではないんだと私は考えているんですね。だから、是非、拙速に義務化をしてしまえという議論に進めていただきたくないと御要望申し上げるんですが、今の質問、一連をお伺いになっていてどのようにお考えになるか、感想をお聞かせください。
  108. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほどの高橋委員の御質疑、そして今の蓮舫議員の御質疑、大変良い御質疑、重要な御質疑をいただいたというふうに私も拝聴しております。  通常、これだけやはり問題が出てくると、組織の経営としては、この事態を改善するために私たちはこうする、だから大丈夫だという、そういうものをやっぱりお示しいただくわけですよね。で、聞く方は、なるほどそうか、それなら大丈夫だというふうに納得をして、そこでやっぱり改革というのは進んでいくわけですが、残念ですけれども、これで大丈夫だというものはお示しいただいてないと思います。そして、恐らく国民に聞いて、これで大丈夫と思うかと聞いたら、イエスという答えはなかなか返ってこないと思います。  御努力をいただくというのは当然だと思いますが、やっぱり今の枠組みの中で自己改革だけでやっていただくにはかなり限界があるというふうに私は感じております。だからこそ、実は経営資源の集中をする方が良いのではないかとか、ガバナンスのために経営委員会の組織を強化する方がいいのではないかという抜本的な枠組みに関して、これ、与党の委員会でも、さらには私の懇談会でも意見が出されている。そして、民主党さんにおいても同じような議論がなされているのだと思っております。  ここは、したがって、その枠組みを変えるその中で支払義務化というのもやっぱりセットとして議論しなきゃ意味がなくて、義務化だけというのは、これはあり得ない話だと思います。ガバナンスを強化して、そしてその枠組みを変えて、そしてNHK自身にはやっぱり今まで以上にもちろん頑張っていただく、そうしますから国民の皆さんもこういった負担については御理解をいただきたい、そういう方向に持っていく必要があるというふうに総務大臣としては考えております。
  109. 蓮舫君(蓮舫)

    ○蓮舫君 ありがとうございました。  どうぞNHK役員、トップの皆様方には現場で汗をかいている方たちにしわ寄せが行くような改革は行わないでいただきたいと改めてお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  110. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 民主党・新緑風会の藤本でございます。  今日の議論、一連、ちょっと聞いておりましていろいろ考えるところがあるんですが、今、竹中大臣がおっしゃったように、ガバナンスの問題というのが本当に明確に示されているかといえば、やっぱり示されていないと思うんですが。そのガバナンスの中のシステム、仕組みの問題だけではなくて、やっぱり、先ほど橋本会長もおっしゃっていたんですが、いわゆる意識の問題といいますか、企業文化というんでしょうかね、風土といいますか、そういうところも抜本的にやっぱり見直して変えていくような努力が必要なのかなというふうに思っています。  高橋委員が先ほどいろんな牽制システムの話をされましたが、昔は、例えばだれだれさんがこんなことをやっているよとかですね、そんなことを会議とか面と向かって言うと何か言い付けてるみたいで、それに対して抵抗があって言わないというような企業文化が圧倒的に日本の場合は多かったと思うんですが、最近ではもうそんなことは全くなくて、むしろ目の前で、その人がいようといまいと、何かおかしければだれだれさんがこういうことをやってるんじゃないかとかということを明確に言うことがむしろ緊張感を持たせる企業経営になるし、牽制システムになるんだろうと。そういうところが多分全くなされていなかったのかなというような気がしてならない。仕組みの中だけでやっていても、システムだけではやはりそれが全部解決するようなことにはならないので、そういう企業文化というのを考えていかないといけないのかなというふうに思って、ちょっと聞かしていただきました。  あと、やはり受信料の問題が一番大きいわけなんですが、受信料の問題についても、この間の平成十八年度の予算のときもそうだったんですが、いわゆる受信料徴収に行く収納者以外の方にも一生懸命こう役員の方も回ってもらっているという話はしましたが、それだからといって、じゃ受信料払いましょうというような気分には多分ならないんだろうと思いまして、前回私も質問した後にいろんなところからメールをいただいて、一番多かったのが実は、私もある意味驚きであり、ある意味当然かなというふうに思ったのが、何で受信料を払わなきゃいかぬのだと、見てもいないNHKに何で受信料を払わなきゃいけない、その仕組みがよく分からないと。それを徴収に来た方々に聞いても、いや放送法で決まってるからですとしか答えない。放送法で決まってるからですと言われると、何か罰則があるように思われて払っていたんだけれども、今回罰則がないことが分かったから払わなくてもいいじゃないかという話になって、でもちゃんと聞くと、何で払わなきゃいけないのかの説明を受けられないということなんですね。  ですから、私が一々そのメールに答えて、こういう意味ですよという話をするんですけれども、やはり徴収に来る方、お願いに行く方なんかがその辺の公共性は何なのかということとか、NHKはどういう役割でどうやって成り立っているのかというのを多分、外部委託をして徴収をしたりする部分もあったりすると、そこのところがもうみんなこう本当に理解をして多分受信料をお願いに行ってないんじゃないかというところがやはり大きな問題なのかなというふうに思っております。  ちょっとこれ通告を具体的にはしてなかったんですが、その受信料の収納に当たられる方、お願いする方にどういうような形で中身というか教育ですね、をされているのか、お答えいただければと思います。
  111. 参考人(小林良介君)(小林良介)

    参考人(小林良介君) 委員御指摘の委託しております契約収納活動をしております者が、地域スタッフと称しておりますけれども、それが全国に五千七百名おります。それ以外にもちろん現場では各視聴者の皆様のお訪ねするのは営業職員等もやってございます。そういった中で、特にメーンはその地域スタッフでございますけれども、これにつきましては今委員の御指摘のことを含めまして、常に直接現場で最前線で視聴者の皆さんと接するという重要な役割を持っておりますので、正にしつけ、マナーから始まりまして公共放送意味合い、受信料制度の持つ意味については本来徹底的に教育訓練しておる、それから送り出しているというシステムを取ってございます。  ただし、そうでありますけれども、委員御指摘のように中にはそういうことも間々ございます。そういう意見もいただいております。そういう点については更なる徹底を図っていきたいというふうに努力をしておるところでございます。
  112. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 やはりその受信料徴収された、来た方のところにいろんな質問をしても答えてもらえない、何かこの辺が分かったら払ってあげるよみたいなことを言う方がいるというふうな話も一部メールでいただいたりもしていますので、NHKの役割とか受信料意味合いとか、それをやはり徹底して教育をしていただくということがまず必要なのかなというふうに思います。これは職員の方々皆さんに、委託の方だけではなくて、やはりそれを理解してもらうという、理解するというところからやはり始めていかないといけないのかなというふうに思いがありますので、是非その辺はよろしくお願いをしたいなと思います。  先ほど高橋委員から、今日のこの審議内容がテレビで放映されないということについて指摘をされていましたが、同時に今日は午後に予算委員会で総理入りで多分重要なテーマ、村上ファンドに関連したテーマで質疑があるんですが、これもテレビ入らない。テレビ入らないというか放映されないということなんですが、これだけ国民的な、いい意味でも悪い意味でも国民的な関心の高いテーマに関してもテレビで放映していただけないということです。前回の平成十八年度予算のときもできるだけ皆さん国会の中継などもいろんなチャンネルを使って放映してほしいというような指摘もあったかに思いますが、それが具体的になされていないということでございまして、番組の中身について我々がとやかく言うことではなくて、キャスティングがどうのとかそういうことを我々が言うことでは絶対ないと思う。それは政治の介入だと思いますので私は言うつもりはございませんし、福井総裁の顔を映そうとおしりを映そうとそんなのどうでもいいことなんですけれども、正にそういう編成権というのは多分これNHKがお持ちになっているんだろうと思いますが、これを流さなかった理由というのは多分あるんだろうと。ちょっとそこをお聞かせいただければと思います。これちょっと通告してなくて、今日の今日の話なものですから通告しておりませんが、是非お答えいただきたいと思います。
  113. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 総務委員会審議、大変重要であるということは私どもも認識をしております。  今回の中継に、放映につきましては、十六年度の決算審議であるという……
  114. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 予算委員会流さないということ。今日の午後のこと。予算委員会
  115. 参考人(原田豊彦君)(原田豊彦)

    参考人(原田豊彦君) 今日の午後のことでございますか。  予算委員会につきましては、これも私どもこの場でも何度もお答えしてまいりましたけれども、重要な法案についての総括質疑などルールを定めまして放送してきたところでございます。その中で今回そういう判断になったかというふうに思います。
  116. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 多分これ聞いても永遠に分かんなくなってしまってかえって混乱すると思いますのでこれはやめますけれども、編成権はNHKがお持ちになっている。これ公共的役割だという、公共性だということをもう再三言っているにもかかわらず、国民の皆さんの関心が非常に高いこと、しかも編集することなくそのまま流していただければありのままが流れるという、そういうものに対しても後ろ向きだということで、それで公共放送在り方公共放送としてのNHKなんといってもだれもこれ理解、納得できないんだろうというふうに思っております。  ですから、正にその公共性というところについても非常にあいまいになっている。いつもいつもこの公共性の議論があるんだけれども、いつも納得できるような回答をいただいてないというところもやっぱり大きな原因で、ここのところをやっぱり明確にしていかないといけないんだろうなというふうに私は思っております。この番組を流せということではなくて、その辺のやっぱり基準というのを、公共性というのは何なのかというのはNHKなりにもやはり考えていただくべきだろうというふうに思います。  そこで、その公共性についてちょっとお聞きしたいんですが、竹中大臣にお聞きしたいと思いますが、通信放送の融合ということで今言われています。正に、今までは、NHKの公共性とはとか、放送の公共性とはというような話は出ていたんですが、更にこれ発展していきますと、通信通信の世界があって、放送放送の世界があると。これがある部分、全部が一体となるわけではないんでしょうが、一応融合という言葉を使っていらっしゃいますので、そのオーバーラップする集合の部分がどんどん拡大をしていって、放送通信、そして融合している部分というのが一つのまた新しい枠組みができてくるんだろうというふうに思うと、更に公共性というところが複雑になってくるというふうに私は認識をしておるんですが。  その前提となる放送通信の領域の重なるという部分、これの概念的なことを、ちょっと言葉で表すのはなかなか難しいかと思うんですが、竹中大臣にお聞きしたいと思います。
  117. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 大変重要でありながら極めて難しい問題でございます。  先ほども蓮舫委員のお話の中にもありましたが、まず公共という言葉を使う場合、私自身思い付くのは、公共財、公共サービスというのはどう定義されるかということになると、これは、委員も経済お詳しいですから、御承知のとおり、アダム・スミスがどう定義したかとか、マスグレイブがどう定義したかとか、そういう議論があるわけですが、これ、要は決着が付かないわけです。要するに、同時消費性とか非排除性とか、いろんな問題を挙げることができるわけですけれども。  ただ、そういう抽象的な議論と、一方でNHKの議論をする場合に、報道、災害放送、これは極めてNHKらしい公共的なものだというふうに思う。一方で、NHKが今公共放送として放映している巨人・阪神戦、そしてワールドカップ、これは民放でもできるし、どこまで公共放送なのかなというような声は当然のことながらある。したがって、概念の話とそれと実際の話とを少し分けて考えなければいけない、そういう性格なのだと考えております。  まず、放送そのものは、これはそもそも放送の公共性というのは、貴重な資源である電波を利用して非常に社会的影響力が大きい言論、放送機関としての影響力の大きい世論形成、民主主義の基礎を築くと、そういった意味での広い意味での公共性というのが、これ、よく議論される一般的な私たちの考え方なんだと思います。  じゃ、通信についてはどうかというと、通信というのは、例えば電気通信事業というのは、これ、電気事業、ガス事業と同様になりますけれども、私たちの生活において必要不可欠なサービスを提供する公益事業であって、そして憲法で定める基本的人権の一つである通信の秘密に直接かかわるという意味で、やはりその意味での公共性というのは持っているということなのだと思います。ただ、一義的には放送としての公共性、そして通信としての通信の秘密、それはやはり一つ考え方の軸として厳然として残るわけです。それが一緒になるとかいうことでは私はないと思っています。  通信放送の融合で私たちが現実に議論しなければいけないのは、例えば伝送路が融合する、今まで電波で、電波というのは放送のためにあったと、しかしこれ、携帯電波で通信でも融合している、同じくIPでも、IPインフラというのは今までインターネットで通信だと思っていたけれども、そこでも映像が流せて放送と同じようなことができる、そういう融合があるだろうし、また、事業者が、今までは放送事業者、通信事業者だと思っていたけれども、それも別に兼務できるよねという意味での融合、そういう現実の問題に私たちは直面をしているということだと思っております。  ちょっと、前広の議論が多くなりましたが、その中でやはりNHKの公共性ということを考える場合は、今申し上げたような一つの社会変化を念頭に置きながら、放送全体は公共性を持っている、その中で、公共放送たるNHKはBBCと並ぶ世界に冠たる公共放送です。そこで、一体何をどういうことに特化していただいたらよいのか。報道と災害放送、これはもうNHK是非期待したいと、そういう思いは皆さんすごく持っていると思います。一方で、巨人・阪神戦をどこまでやっていただく方がよいのかな、悪いのかなという問題もございます。  私自身、この間から若干思うところあるのは、私は、ちょっと私的な話で恐縮ですが、NHKの「大草原の小さな家」というのは物すごく好きな番組で、アメリカでもレーガン大統領が家族そろってあの番組を見ましょうと、リトルハウス・オン・ザ・プレアリーを見ましょうということで、彼の人気がすごく高まった一つのきっかけになって、NHKらしいいい番組だなと思っていたんですが、実はあれ、アメリカの民放のドラマなんですよね。今、「チャングムの誓い」という人気のドラマがありますが、あれは韓国の民放のドラマなんですね。  そういう意味では、私たちが期待している公共性の中には、非常に複雑な要素が入っているんだと思います。NHKにいいドラマをつくっていただきたいし、NHKのいいドラマを見たい、やっぱり公共放送だという思いがありますけれども、それは本当にどこまで本当の公共放送じゃないとできないのかと、民放でもやっているではないかと、「大草原の小さな家」そうだったじゃないかと、そういう要素も踏まえて考えなければいけない。その中で、なかなか定義はし切れないんですが、やはりNHKガバナンスの問題、それで経営資源の集中の問題というもう一つの制約要因が出てきている中でこの問題を議論していかなければいけない状況に置かれていると認識をしております。  正面からお答えをしていないと思いますが、公共性に関する一つの枠組みについて、私の思いは以上のような点でございます。
  118. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 やはりちょっと公共性についてなんですけれども、以前、竹中大臣通信放送在り方に関する懇談会第五回の懇談会後の記者会見で、国際放送に関連してなんですが、NHK改革の中で、海外向け国際放送という重要な役割をNHKが担わなければいけないんではないかと。それは正に国策としてやるというか国の情報戦略としてやるという、そういう意味公共放送たるNHKが担うべき役割は大きいというのが竹中懇の構成員の方々の議論の背景にあったというふうにお答えになっています。そのときに、記者の追加質問で、国策的な面とその一方で放送局としての独立性という相反する議論があると思うんですがという質問に対して、大臣、正に国策的というのは公共性の話なのだと思いますというふうにお答えになっていらっしゃるんですが。  これでふと、ちょっとよく分からなくなってしまったのは、国策と公共性というのが同一視されているのかなと。もしそうだとすると、解釈によっては、時には国策、時には公共ですというような話になってしまうと、国の意向でそれこそ放送する番組の中身とかそういうのが決まってしまうことにもなりかねない。むしろ、公共放送としてのNHKの存在が危ぶまれるような状態になってしまうのかなというふうに若干懸念されるものですから、国策と公共性というお話を竹中大臣がおっしゃっていますが、その国策と公共性との関係性というか、その辺りちょっとお答えいただきたいと思うんですが。
  119. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) これも厳密に言えば大変難しいあいまいな問題だと思いますが、私がそのとき申し上げたかったのは、国策として情報発信をするというのは、正にそれは国益にかなう情報発信という意味だと思います。国が、公共的主体たる国が国益を考えていろんなことをやらなければいけないというのは、これは当然のことながらございます。その国益の中に情報発信というのは、当然のことながら私は入ってくると思います。だからこそ、フランスも最近になって同じようなことに大変力を入れているし、元々イギリスもそういう観点から力を入れているんだと思います。  国と言う場合、これは常に我々の議論の中で出てくるのは、国というのは正に私たちが考える国家と時の政府というのと時に混同する場合があるわけですが、決して時の政府のためにやることではこれは全くない、そうであってはならないと思います。しかし、それを超えた国家としての利益、国益というのはやっぱり厳として存在するわけで、その国益のためにやると。そういう意味で、それは公共的な要請であると、私はそういう趣旨から申し上げたつもりでございます。
  120. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 非常に今の御説明は私としてはよく分かったと思いますが。  実は、通信放送在り方に関する懇談会の松原座長が、今年の二〇〇六年の一月十九日、これ、新聞でインタビュー記事なんですが、こういうことを載せているんですね。特殊法人のNHKは政策遂行のために政府がつくったもので、政府からも中立というのは自己矛盾だというふうに言っている。政府から中立的な立場だというふうに私なんかは考えておったんですが、政府から中立というのは自己矛盾であるということを松原座長がおっしゃっているんですが、橋本会長NHK政府から中立的な立場ではないんでしょうか。
  121. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) NHKは、視聴者の方々から直接受信料をいただいているということで、大変ポピュラリティーのある、そういう公共的な報道機関だというふうに思っておりまして、政府から設立されたということではないと思います。当然、放送法NHKというものはこういう性格だということはうたわれておりますけれども、今、松原委員長ですか、おっしゃったような意味でのそういう、政府がつくったというふうなものではないと思います。元々、社団法人から発達した組織というふうに考えております。
  122. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 私もそう理解をしておったんですが、竹中大臣、正にこれは懇談会竹中懇談会というお話で、松原座長を任命されたのは竹中大臣だという認識なんですが、松原座長がこのように一月に言っていることに対しての大臣の御見解はいかがでしょうか。
  123. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 発言そのもの、私ちょっと直接は聞いておりませんが、松原座長のいつもの議論の内容から考えまして、基本的に松原座長がおっしゃりたいのは、NHKというのは、その報道の内容ないしは編成の在り方というのは正に国家の権力から独立していなければならない。独立と言うか中立と言うかはともかく、独立していなければならない。しかし、その存立の枠組みそのものは国が定める法律によるところに基づいているわけでございます。これは特殊法人でございます。NHKに自由があるといっても、もうこれで解散して今日からやめようということはNHKにはできません。これは、そんなことは法律でできないわけです。これは国が法律でちゃんと縛って、NHKは存在し続けていただかなければ困るということで、そういう枠組みをつくっているわけですから、そういう意味で完全な自由があるというわけではもちろんないわけです。  しかし、ここは、政府から番組の編成、報道に関しては独立で絶対なければいけないから、その意味でそこのバランスを保つのがそもそも大変難しい問題であると。矛盾という言葉をどういうふうに使われたのか知りませんが、私は、矛盾というのはそういう意味では大変難しい、だからこそ配慮しなければいけない、そういう趣旨で松原座長はお使われになったのではないかと思います。  これは、編成、報道については中立、その独立というのは、これは懇談会の中でももう重ねて議論されてきたことでもありますし、我々が踏まえなければいけない当然の基礎、前提であると考えております。
  124. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 竹中大臣、御自分でおっしゃった話でないので、これ多分、話をしていても水掛け論になってしまうと思いますので。でも、相当これは、何といいますかね、誤解を招くような発言になっているなというふうに思いますので、その辺りは、この懇談会の中でどういう議論がなされたかなというのは少し気になるところではありますが、今の橋本会長並びに竹中大臣の回答であるならば、ある意味理解を十分できるかなというふうに私は思っております。  時間がなくて、実は公共放送、公共というところについてまだまだいろいろお聞きしたいところがあるんですが、もう一点、ちょっと別の質問を、一つだけ確認をさせていただきたいので別の質問に移らさせていただきますが。  放送波、波ですね、の削減についてなんですが、これはやはり竹中大臣懇談会の中で波の削減を八波から五波にするということを言われている。そこについてちょっとお聞きしたいんですが、まず二〇一一年がデジタル元年だというふうに言っておるわけなんですが、清水統括官にお聞きしたいんですが、二〇一一年までのいわゆる放送のデジタル化のスケジュール、これをちょっと再度確認をさせていただきたいと思います。
  125. 政府参考人(清水英雄君)(清水英雄)

    政府参考人清水英雄君) 放送のデジタル化について、二〇一一年の七月を目途にして、デジタル放送は、現在、順次、それぞれ可能なところがデジタル放送始めておりますが、二〇一一年の七月の時点で、まだ具体的にどこからどう、あるいはどういう順序でどういうふうにというふうには定めておりませんが、アナログ波を停止していくということがデジタル波のスケジュールとなっております。
  126. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 アナログ、例えば衛星でいえば、アナログ衛星ハイビジョンは平成十九年、来年ですか、二〇〇七年の十一月末で終了するというふうに理解をしておるんですが、それでよろしいんだろうと思いますが。この通信放送在り方に関する懇談会NHKチャンネル削減のところを読みますと、ちょっと私、理解不可能だったところがあるのでお聞きしたいんですが、衛星ハイビジョン放送が二〇一一年に停波されることを勘案すればという表現があるんですね。二〇一一年に衛星ハイビジョン放送が停波されると、ここちょっと意味が分からなかったんですが、NHKの問題ですので、橋本会長、これどういう意味か理解できますでしょうか。
  127. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) これは、私というよりも、電波行政の話なんで総務省さんの方がよろしいかと思いますが、私の理解で、フルデジタルに変わるときをもって地上も衛星も両方ともデジタルというところを目指すという政策方針ということで受け止めております。
  128. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 清水統括官に、同じことですが、お聞きしたいと思いますが。
  129. 政府参考人(清水英雄君)(清水英雄)

    政府参考人清水英雄君) ハイビジョン放送チャンネルにつきましては、放送普及基本計画の中で、まず、今、NHKの第三番目の衛星としているチャンネルについて、ハイビジョン放送の普及という役割というところから免許をしているところでございまして、その役割が終わったときにその時点での判断がされるという形になるかと思います。  現実的に、今衛星第一波、第二波等をハイビジョンで進めていくという方針で進んでいる中での判断になろうかと思います。
  130. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 済みません。衛星ハイビジョンが二〇一一年にこれ停波されるんですか。単純なちょっと質問なんですが。
  131. 政府参考人(清水英雄君)(清水英雄)

    政府参考人清水英雄君) 衛星系による協会放送全体を見直すものとするという形になっております。
  132. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 そうすると、停波されるという、ここで言い切っているのは必ずしも正確ではないという理解でよろしいんでしょうか。
  133. 政府参考人(清水英雄君)(清水英雄)

    政府参考人清水英雄君) 正確かどうか、どういう表現に、その表現ぶりのところ、その表現が確実かどうかという点についてはちょっと私としてつまびらかではありませんので御返事するわけにはまいらないところでございますけれども、現在の時点では、当該放送の必要性、周波数事情その他の事情を勘案して二番組を超えないことを前提に衛星による協会放送全体を見直すものとすると、こういうような形で放送基本計画を決めているところでございます。
  134. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 竹中大臣、この懇談会の内容は多分もう御承知のことだろうと思うんですが、このチャンネル削減について、方向性というのがあるとしても、こういう事実関係がちょっと、言い切っているところが本当にそうなのかなというと、そうでもなさそうなところがあって、これ、読む方としてはこれがすべて正確だというふうに思ってしまうんですが。  例えば二〇一一年の完全デジタル化の段階でBSを今三波あるところを二波にするとか二波以内にするとかという話は聞いたことがあるんですけれども、この衛星ハイビジョン放送が二〇一一年に停波されることを勘案すればというこの表現は何か正確じゃないと思うんですね。大臣、これについてはいかがでしょうか。
  135. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) これは、松原座長、皆さんがおまとめになったことですので、これを私がどう読むかということになろうかと思いますが、ここはその意味では、正確かと言われると、一つの想定としてお書きになっているということだと私は理解をしております。
  136. 藤本祐司君(藤本祐司)

    ○藤本祐司君 もう時間がありませんので、これ以上この話はしませんが、この報告書を見る限り、今の段階でのNHKチャンネル削減とかの問題も、いろいろ詰めていくとなかなか誤解も生じているような中身というのもあるのかなというふうに正直思うところであります。  例えば、NHKの総合放送、総合テレビにおける報道、教育、教養、娯楽番組の比率とか、そういうのは民放と比べても、民放の方が教育番組とかの割合が高かったということに対して非常にみんな驚きだったというような、民間企業に比べてNHK総合が教育、教養番組比率が低いということに対して大変驚いているというような話があるんですけれども、大体それも各民放各社の自己申告で、ある程度の基準はあるんですが、これ自己申告でしか成り立っていないわけなんですが、それによってNHKの方が低いよと言われても多分NHKさんかわいそうだなと私なんか思うんですけれども、明確な基準が線引きできないようなものを基にこの放送波を削減するとかという議論をしているというのは、ちょっと短絡的な感じがしてならないものですから、ちょっとここの中身についても大臣、まあこれは懇談会が出された報告書だというふうに思いますけれども、中身もっと具体的に精査をして、慎重に考えていただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。  終わります。
  137. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 公明党、澤雄二でございます。よろしくお願いをいたします。  最初に、竹中懇ですか、松原懇ですか、の報告書の内容について一つだけ確認をさせていただきます。ソフト・ハード分離のことでございます。  私の認識としては、あの報告書は分離というよりもむしろ一致の方向を打ち出しているというふうに認識をしておりますが、それでもあの報告書の中には、通信放送の融合に対応して法体系を見直すとか、先ほども大臣ちょっと言われましたけれども、プラットホームとか伝送路とかコンテンツによって法体系をつくると。それは水平分離の法体系ということでございますから。それから、NHK改革の中では、娯楽・スポーツ部門を切り離すとか、見方によっては将来、ソフト、ハードを分離するということを書いてあるんじゃないのということを心配される向きもあります。  同様の質問は衆議院の総務委員会で松原座長にもされまして、松原座長は明確に、私どもが民間の事業者の、とりわけ地上波に関しまして先生がおっしゃるようなハード・ソフト分離といったような方向性は全く打ち出しておりません、いわゆる先生がおっしゃったようなハード、ソフトの分離をまず民放の地上波に関しては考えていないということでありますと明確に答弁をされております。  今日は大臣出席でございますので、大臣から同様の答弁をいただけたらテレビ文化を守るために皆さん更に安心されるんではないかと思うんで、御所見をお願いいたします。
  138. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) ハード、ソフトの問題は澤委員にもいろいろ御指導をいただいたところでございます。この点に関しては、今御紹介くださいました松原座長の発言、これもそのとおりでございます。全く本報告書でハード・ソフト分離を打ち出しているものではなく、将来にわたってもハード・ソフト分離を考えていないと、この松原座長の私は発言のとおりであろうと思っております。  とりわけ今回、御承知のように、基幹放送の概念の維持や放送規律の確保等を前提と、このことを明記をさせていただきました。もちろん、今でも例えば衛星放送とか有線テレビというのはそういうふうな形になっているわけですから、そういうことを全く否定するということではないわけでありますけれども、しかし、特に地上波に関しては、もう松原座長もおっしゃっているとおり、私が今申し上げた正にそのとおりでございます。
  139. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 日本のテレビ文化を守るためにソフト、ハードは一致でなければいけないと私は思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次にお伺いしたいのはNHK受信料のことでございます。これも大臣に質問させていただきますけれども、懇談会報告書では、受信料支払については、まず支払義務化する、その先に罰則化も検討するというふうに考えて報告書は出されています。私は、支払義務化罰則化というのは、これは国民にとってもしかしたら最悪の事態を迎えるかもしれないというふうに考えております。  なぜかということを少し説明をしたいと思いますが、確かにNHKは、先ほどから議論されていますように、今、ガバナンスとかそれからコンプライアンス、いろいろ問題があって改革しなきゃいけないことたくさんあると思うんですが、そのことを除くと、NHKは世界の国営放送、公営放送の中で、もしかしたら一番うまくやっているんではないかなというふうに私は考えております。その最大の理由は、罰則化義務化がないのに受信料が実は七割も回収されていることであります。  三割が払っていないじゃないかという意見もありますが、逆を言えば、罰則化もないのに七割も回収しているというのはある意味奇跡かもしれないというふうに考えます。じゃ、なぜこんなに七割が回収できるかということでございます。世界各国の公営放送、国営放送罰則化をしても九割ですよね。それから、今日もさっきちょっと議論がございましたけれども、ホテルですとか会社だとかのテレビの台数を入れると、実際七割じゃなくてもしかしたら五割かもしれないというのがあるんですが、それにしても世帯でいうと七割、一般家庭の世帯で七割、これはすばらしいなというふうに思われるんです。  なぜ七割払うかという話に戻りますと、これは、NHKというのは視聴者がある意味スポンサーなんですね。ですから、スポンサーである視聴者納得しない番組放送すると払ってもらえなくなるという一面がございます。ですから、NHK番組制作者は何を考えて番組をつくるかというと、一方で公共放送というすごい壁があって、これをどうやって守るかというのと、一方でいい番組、面白い番組をつくってある程度視聴率を取らないと支払ってもらえなくなるというせめぎ合いの中で今NHK番組というのはつくられているんだというふうに考えています。ですから、NHK番組というのは、ある種民放にとっても大変ライバルで、緊張感のある番組がたくさん出されていると私は考えています。  これが、義務化罰則化になるとどういうことかということでありますけれども、私は支払義務化をするというのは罰則化と同意語だと思っているんです。なぜかならば、今支払っていない三割の方たちが契約義務支払義務にしたからといって払うかと。払わないんじゃないかと。そうすると、せっかく支払義務化をしたのに、まだ三割あるということになったら、もう瞬く間に罰則化の方へ動いてしまうんじゃないか。そうすると、支払義務化をするということは罰則化につながっていくんではないかというふうに考えます。  この支払義務化罰則化、なぜ考えられるかという最大の理由はフリーライダーですよね。つまり、受信料を払っている人と払っていない人の不公平があるじゃないかと、これを解消しなければいけないということでありますが、ただ、今言いましたように、支払義務化したからといってそのフリーライダーがなくなるかといったら、私は回収率の改善は余りなされないんではないかというふうに考えています。  そうすると、罰則化に動くとNHK番組はどうなるかであります。私は世界のテレビを見てまいりました。先ほどからBBC、少し話題になっていますが、BBCの番組は世界で一番つまらないテレビ番組だと言われています。ドキュメンタリーは別であります。突出しています。同じようなことはフランス、ドイツの国営放送についても言われます。そうすると、NHK罰則化に走ると、つまり、NHKに同じことが起きるんじゃないか。つまり、今までは視聴率を取らなければ、面白い番組を撮らなければ、見てもらえる番組をつくらなければ聴視料が入ってこないというせめぎ合いの中で制作者は一生懸命つくっていた。それが、そんな努力をしなくてもお金は、言ってみれば、無尽蔵とは言いませんが入ってくる。  そうなると、一番最初に申し上げた、日本の国民というのは最悪の事態を迎えることになるんじゃなかろうか。見たくもない、面白くない番組が二十四時間何チャンネルも流れている、なのにお金は払う、それは義務化されている、しかも、払わなければ罰則まで付いている。これは多分最悪だと思うんですね。これは、社会主義国家で国営企業というのがどんどん破綻していったということがありますけれども、同じことが起きるんだろうと。ただし、NHKは破産しないですよ。破産しないからお金が幾らでも入ってきます。ですから、そういうことひとつ考えていただきたいということでございます。  それから、一つ付け加えて申し上げたいのは、受信料値下げということが前提にくっ付いています、支払義務化については。ただし、申し上げたいのは、今NHK、六千五百億の受信料収入があります。これは税金一銭も払っていないんですよね。ですから、民間企業の売上げにしたら莫大な売上げを実は持っていて、僕は、六千五百億というのは多分巨大な受信料収入だと思っています。先ほどから議論されていますが、これをうまく使えば、別に支払義務化罰則化して受信料を更に一兆二千億も回収しなくても受信料値下げはできるというふうに考えています。  ここは後でちょっと議論したいと思いますが、どうか大臣、この支払義務化、それは多分罰則化につながっていくと思いますんで、壁はたくさんあるとおっしゃっていますが、多分そうはならないだろうと思っていますので、ちょっと慎重にそこのところ検討していただきたいというお願いでございます。  御所見お願いします。
  140. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 今の澤委員の御指摘は、一つの御見識として大変理解できるところが私自身もございます。澤委員の主張は、要するに、これはやはり番組をつくる側と見る側の間の一種の緊張関係をいかに保っていくかと、それがないと良い番組をつくれなくなるのではないかという、そういう非常にテレビマンを長くやっておられた方としての大変深い御見識であろうかと思います。  今までは、その意味では非常に緩やかな、要するに契約義務化されていたけれども支払義務化されないという非常に緩やかな中で、非常に微妙ないいところでバランスを保っていた。私は、それはそれで大変NHKはよく頑張ったし、すばらしいことだったと思います。  ただし、これは私の認識でありますが、残念ながら、そういう古き良き時代の、まあ古きと言うとしかられるかもしれない、良き時代の一つのバランスは崩れてしまったのではないかと。今の緩やかなプレッシャーの中で、緩やかな国民との間合いの間で、きちっとしたガバナンスを発揮することが残念ながらNHKはできなくなってしまった。そして、それに対して、申し訳ありませんが、いまだにこうやればうまくいくというようなものが示されていない。  そうであるならば、もう少し強いプレッシャーといいますか、強い間合いに移行せざるを得ないのではないだろうか。それが一つ考え方として義務化なわけですが、当然のことながら、そうする以上は別のプレッシャーをNHKに持っていただくようにしなければいけないわけです。それは、経営のガバナンスの強化であり、また番組のクオリティーチェックの仕組みづくりを同時にやっていくと、新しい均衡に行くということが私は求められているというふうに認識をしております。  しかし、それは新しい均衡でないといけないわけで、一方だけが突出すると、支払義務化だけ、罰則だけが先行するとおっしゃるようにバランスが崩れるわけで、これは最悪というか今より悪くなる可能性がある。そういうことを視野に入れながら現実的な均衡を探らなければいけないというふうに考えております。  もう一度申し上げますが、今までのままでやれればそれはそれで私はよいと思いますが、現実問題としてそれがやれなくなっているのではないか、そのように認識をしております。
  141. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 コンプライアンス、ガバナンスの強化、制度改革、もう是非やらなきゃいけないというのは、この後も申し上げますが、全く同意でございます。ただし、その緊張感を保つために義務化というのは、イコール、結び付くのかな。番組をチェックする機関っておっしゃいましたけれども、番組をチェックする機関をつくればつくるほど番組は面白くなくなります。これは長い間制作者をやってきた者の実感でございますんで、その辺もよく考えていただきたいなと思います。  NHKに対して質問をしなければいけないんでここで切りやめますけれども、あの報告書の中には、一定の割合でコンテンツを外部調達をするとか、NHKのスポーツ・芸能セクションの切離しとか国際放送だとかって、報告書、書かれています。メリットもありますが、重大な問題、一杯はらんでいますんで、よく御検討をいただきたい。  私は、小泉改革というのは、やはり小泉総理と竹中大臣とのコンビで初めてできたというふうに考えております。もう間もなく、もしかしたら大臣お辞めになるかもしれない、分かりませんが。九仞の功を一簣に欠くことがないように、ここはよく慎重に検討をしていただきたいというふうに思います。  それでは、NHKに伺います。  先日、緊急に業務調査をされました。出張に関することがメーンだというふうに聞いておりますが、この中で、全放送局、全部局に対して出張旅費調査をした結果、全部で二百四十八件、戻入が必要だとか精算がやり直しをしなければいけないという事案が見付かりました。なぜこういうミスが出たのか、そしてなぜこのミスがチェックできなかったのか、お答えいただけますか。
  142. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 大変数多くの、いわゆる不正経理とまではいかなくても、その手続、不完全なものというものが数多く洗い出しました。これはやはり、その日その日、あるいはその業務の案件ごとの手続が完全に施されなかった点、徹底してこれについてはここで完結させるという意識のところが欠けていたものがあろうと思います。そういうものが度重なるとやはり不正につながるというふうな点で大変厳しく、私は、こういう点もしっかりと、一つ一つの出張の後処理、業務の後処理、こういうものを当人あるいは上司も含めてしっかりと完結するように、これからそういうシステムを各部門、全国に徹底するように努めてまいります。
  143. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 今の会長の回答をもう少し具体的に分かるように質問をしたいというふうに思うんですが、分かりやすい例として、北海道の空出張もそうですが、いろいろなNHKの精算がうまくいっていない、いろいろな不祥事がたくさん起きるということは、いろんな原因があるんだと思うんですが、その中の一つ、例えばこういうことがあるからこれが発覚しないんだというお話をしたいと思います。一つの例であります。  分かりやすい例として、この今回の調査の中で、スポーツ報道センターの中で航空券の立替え精算、これを一回は航空券を買ったときの領収書でやった、約一か月後に、クレジットカードでそれを買ったんでそのクレジットカードの控えで精算をした、その二重精算を認めてしまったということがございますね。なぜこんなことが起きたかというのはもう時間がないんで聞きませんが、ここにそのときの書類がございます。一つは領収書で精算をして、一か月後にクレジットカードで精算をしているわけでございます。私、前職、民間放送におりましたが、民間放送ではこういうミスは考えられないんです。なぜかということを検証させていただきました。  一つ分かったことは、事前に出張稟議を出します。その出張稟議に基づいて出張報告書を同時に出して、精算、立替え精算をいたします。そのときに、この書類を見ると三人の方がチェックをされています。三人の方がチェックをされていますが、最初の出張のときの稟議書と全部終わった報告書と、そしてすべての経費を精算した、それをチェックする方は現場の上司お一人なんです。あとの二人の方は、現場の経理と、それから経理局の審査部門なんです。現場の経理に行ったときには、出張報告書はもう付いていません。宿泊代だとか旅費だとか食事代だとかというのを別々のルートで精算をされていきます。ですから、現場の上司のチェックが通ってしまったら、あとは何が起きてもだれも再チェックはできない仕組みになっています。  これは恐るべきことなんです。なぜかならば、私も現場の上司で一杯判こを押してきました。超多忙であります。チェックなんかできないんです。だから、前職の会社では何をしていたかというと、私は報道でしたが、報道業務部というのが徹底的にチェックをするんです。言ってみれば二番目のチェック機関、その二番目のチェック機関がNHKになかったんです。だから幾ら言われても次から次へと起きてしまう。  このシステムを変えないと今後も起きると思うんですが、会長、どうされますか。
  144. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 今委員御指摘のとおり、先ほど御指摘がありましたように二重支払ということがチェックできませんでした。この原因につきまして私どもも様々反省をしておりますけれども、まず第一に、やはり職員自身の公金意識が十分でなかったということがあろうかと思います。それから、今御指摘のように管理者による業務、経費の管理という部分が徹底されていなかったということがあろうかと思います。それから、経理のチェック体制、こういう点につきましても、今後改善すべき点、御指摘のとおりだというふうに思っております。  今後、再発防止に向けて、この辺のチェック体制につきまして改善を加えていきたいというふうに考えております。
  145. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 是非、業務部門でのチェック体制というのを強化されることを最後に望んでおきます。  会長もさっきおっしゃいましたけれども、抜き打ち検査という話がありました。私、抜き打ち検査というのは生徒を信じない先生がやることだと思っています。そんなことを会社でやったら、コンプライアンスなんか上がるどころかむしろ下がりますよ。つまり、経営者が社員を信じていない証明なんだから。だから、そういうことはおやめになった方がいいと思いますし、コーポレートカード導入、個人精算という話もありますが、これもコンプライアンスを下げますから、これも僕はやめた方がいいと思います。  それから、外部の方を導入するよりも、僕は、いろいろ今回お話を伺っていて感じたのは、中のそのことを決める方が何か月か外国、外国じゃないや、民間企業に行かれた方がいいんじゃないかと。  こういうことがありました。説明に来られた幹部の方にこの問題でいろいろ聞いたときに、もう訳分かんなくなっていましたから、出張規程どうなっているんですかと聞いたら、その幹部の方は出張規程って何ですかって言われたんです。いや、例えば宿泊代はどうなっているんですか、規程ではって聞いたら、今それは全部実費精算になっています、一緒に来られた方が思わず、違いますとおっしゃいました、役職によって上限が決まっているんですと言われました。  ですから、これは幾らやっても駄目だと。ですから、もうそういう人たちを外部の会社に行かせて何か月か研修して、民間企業というのは一体どうやっているかというのを徹底的に学習をされた方がいいと。そうしないと、NHK改革なんかできない、口先だけで終わっちゃうと思います。  出張に関してもう一つ伺います。  出張のその規程を見せていただいたときに分かったんでありますが、NHKには日帰り出張の規程があります。その日帰り出張の規程は、どうすればもらえるかといったら、局舎を出て四時間以上、都心でもですよ、外で働けば日帰り出張手当がもらえるんです。こんな規程は民間放送にはありません。民間放送は五十キロとか六十キロとか、以遠に行ったときに初めて日帰り出張が認められます。民間放送だけじゃなくて民間企業にもこんな規程はないと思うんです。この規程、今後どうされますか。
  146. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、現在、NHKの方では日帰り出張の日当というものは四時間以上ということで支給をいたしております。それから、連続十時間以上ということになりますと別のランクで支給されるということでやっております。  今御指摘のように、時間で支給している企業、調べておりますけれども、距離を支給基準としている企業の方が多いという結果が出ているということでございます。両方を支給基準に、距離と時間を両方使っているという企業もあるように聞いておりますけれども、御指摘のように、社会状況、業務実態等を勘案しながら今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  147. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 検討ではなくて、こんなものはもうこの場で即座にやめますというぐらいやらないと、NHK改革なんか絶対できないんですよ。みんなに言われているじゃないですか。四時間、外の喫茶店でお茶飲んだって千円もらえるんですよ。(発言する者あり)
  148. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 静粛に。
  149. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 時間がないんで次へ行きますけれども。  せんだって、十七年度決算審議があったときに問題になりました。それは、十六年度末の数字が出たときに、十七年度予算の受信料収入がもしかしたら五百、下手をすると一千億まで足らなくなっちゃうかもしれないという大騒ぎがしたことがございました。もう三月末の数字まとまっていると思いますので、十八年度予算の収入の見通しどうなっているか、一言だけ、プラスかマイナスか、幾らかだけお答えいただけますか。
  150. 参考人(衣奈丈二君)(衣奈丈二)

    参考人(衣奈丈二君) お答えいたします。  十七年度末予算を提出しましたときに比べて、未収の件数の解消は若干進んでおります。一方、私どもの不祥事によりまして四月に発覚いたしましたこの影響が見込んでおりました支払再開数、これの増加に影響を若干及ぼしてきております。支払再開の件数は、十七年度後半、五期―六期、四か月ほどの件数よりも半分の四万件規模にペースが落ちてきております。  このため、十八年度での受信料収入を、現在のところ収入予算五千九百四十億円をどういうふうに見込むかということにつきましては、予断を許さない大変厳しい状況で推移していると認識をしております。
  151. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 今日、時間ないからやめますが、僕は決算のときの質問で、四月の半ばには五百四十億という数字が出ていたでしょうという質問をしたはずです。僕はもっとほかのことも分かっていましたが、やめました、質問。ですから、今予断を許さないではなくて、幾らマイナスになると見込んでいるんですか。数字が出ているでしょう、数字だけお答えください。
  152. 参考人(衣奈丈二君)(衣奈丈二)

    参考人(衣奈丈二君) お答えいたします。  現在、十八年度予算の見込額をこの時点で確実に申し上げる段階に実はございません。今申し上げましたとおり、未収件数の改善の進んでいるプラス要素と、それから現段階で四月に発生いたしました不祥事マイナス要素、これの双方の影響がまだ確定的に金額レベルではじける段階に至っておりませんので、NHK信頼回復を果たして十八年度予算を達成したいという気持ちに変わりはございませんが、現段階で確実な見通しをこの場では持っておりません。
  153. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 お配りしている資料受信契約の推移というのがございます。一言だけ申し上げます。  これで十七年度の、例えば五期、十二月―一月というところを見ますと、受信料契約支払拒否が三万件減ったというのがこの下に下がっている棒グラフでございます。しかし、下の棒グラフを見ると八万件、これは再開といいますか、支払契約を新しく取ったというのが八万件、で、なお三万件しか減り方が少ないということは、八万件新しく取っても五万件支払拒否が増えたということでございますので、しかもここに来て不祥事でこの数字がどんどん悪くなっておりますから、多分、相当頑張っていただかないと、十八年度決算も厳しいんではないかと言われるとおりだというふうに思います。  どうかその見通しが立ったところで、去年のようにそれをお隠しになるのではなくて、ある程度の額が出たところで必ず公表をしていただきたいと、そのお願いを申し上げます。  時間がないので一言だけ申し上げますが、受信料徴収コストという紙をお配りをしております。書いてあるとおりでございます。この中の職員の人件費というのが、これも職員です、地域スタッフ、これは集金をしている人たちでございますけれども、この人たちの平均年齢聞きましたら四十九歳、平均年収聞きましたら五百万円を超えています。主婦のパートが一日五時間、六時間働いたって月十万円稼ぐのが難しい時代に、集金をしていて平均四十九歳の方が五百万以上の年収というのは、まだこれは考える余地があるんではなかろうかと。  それから、契約収納対策費というのはプロモーションやキャンペーン費用でございます。先ほど、同僚議員から質問がございました。これ、まさか内部に発注はしていませんよね。随意契約じゃなくて入札にしたらこれももっと下がる、百億円って考えられません、額として。ですから、NHKの六千億の使い道というのは、まだまだこれから削減が見込めるんだろうというふうに考えておりますので、どうかよろしくお願いします。  最後に質問をしたいのは受信料値下げでございますが、やっていただきたい。でも、そのときに、全体を下げる前に、ひとつ高齢者と生活保護世帯を除く低所得者層、今この世帯は次から次へと来る負担増にもう耐えられなくなっています。  御高齢の方は回収率がいいというふうに聞いています。
  154. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 時間が参っております。
  155. 澤雄二君(澤雄二)

    ○澤雄二君 はい、分かりました。  回収率がいいと聞いています。ですから、その人たちを、回収率がいいからそこから取るんではなくて、その人たちを、恩返しをする意味でも、またNHKの評判を高めるためにもそのことを是非検討をしていただきたい。そのことをNHKとそれから総務省にお願いをして、質問を終えます。
  156. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  竹中大臣、お伺いします。  NHK予算は、放送法が制定された一九五一年以来、国会で審議が行われてきました。放送法三十七条、五十三条の十によると、NHK予算を経営委員会で決定して総務大臣に提出し、総務大臣は電波監理審議会に大臣意見を諮問し、答申を得て、内閣を経由して国会提出、国会で審議、そして承認。本来はそれで十分なはずです。しかし、現状は、NHK予算を国会に提出する前に自民党の部会、政調会、総務会での了承を経ないと国会に提出されない仕組みになっています。  国会審議前に自民党の政調会にかけられるようになったのは一九五八年から。六〇年には同党通信部会にかけられるようになり、前田会長の六三年、通信部会、政調会、総務会にNHK会長出席するという慣習ができ上がった。これは、「NHKに明日はあるか」、小田桐誠さんの著書に書かれています。  慣習的にそのように扱われてきたということなのでしょうか。
  157. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) その事前の御説明の話でありますけれども、言うまでもなく議院内閣制の下で、政府、与党一体となっていろんな意思決定をしていかなければなりません。そうした意思決定が行われ、政策が遂行される制度となっておりますことから、NHKの予算承認に関する件についても、これまで与党へは事前説明を行ってきたと。  だから、慣例としてやっているのかということに関しては、そのとおりだと思います。予算等の理解を深めていただくために、政府、与党一体となって政策を遂行するためにそのような御説明が行われているというふうに承知をしております。
  158. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 慣例としてということは、法的根拠はないということですよね。
  159. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) これはあくまでも御説明でありまして、法令上、与党との合意が求められていると、そういう性格のものではございません。
  160. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 橋本会長にお伺いいたします。  NHK平成十八年度予算の国会提出までの経緯、そちらからいただいた資料によりますと、NHK理事会提案、経営委員会議決が一月二十四日、同日に総務大臣に提出、法的には総務大臣が電波監理審議会に諮問、答申を経て閣議決定、国会提出となるはずです。しかし、法的な手続ではない慣例的ということで、自民党総務部会・電気通信調査会合同会議、一月二十六日と二月二日、自民党政調審議会二月二日、自民党総務会二月三日を経て、二月十日に閣議決定と。NHK資料にそうなっております。  国会提出前のその自民党の重要会議にNHKの幹部が出席されて予算説明を行ったわけですけれども、その席でどのような御意見が出されたのでしょうか。
  161. 参考人(中川潤一君)(中川潤一)

    参考人(中川潤一君) お答えします。  毎年、そういうことは慣例として行っておりますけれども、それは様々な御意見が出ます。予算の御説明でございますから、その予算、収入と支出、そういったものが妥当かどうか、あるいはその支出は主に重点的にどういうものに使うものなのか、それからまた、今地上デジタルの普及を、それから設備計画を一生懸命やっておりますので、そういったものは果たして大丈夫なのかとか、様々な御意見を賜っております。
  162. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 様々なということで具体的には中身ははっきりおっしゃらなかったわけですけれども、私は、今大臣が言われましたように、これが法的な根拠がなくて慣例的なものだということであれば、やっぱり事前に与党に御説明される中で様々な圧力的なことがないとも言えない、あるとも言えない、そういう疑いを持たれるようなことになると思いますので、橋本会長、こうした慣例はおやめになった方がいいのではないかと私が思うのですが、会長はいかがお考えですか。  いや、ちょっと、これはそれこそガバナンスの問題ですから、会長
  163. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) NHKの予算あるいは決算、こういうものにつきましては、特に現在そのガバナンス、コンプライアンス、こういうものが問われている、あるいは、財政的な状況についてもいろいろ御意見を十分伺う必要がある、あるいは我々としても十分説明、それに対して御説明していく必要があろうというふうに考えておりますので、必要な慣例ということでこれからも、これは対象としてはもう視聴者の方々も含め、あるいはマスコミの方々を含め、いろいろ各層各分野の方々にも説明は尽くしてまいりたいというふうに思っております。
  164. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 会長、ごちゃ混ぜにしないでほしいんですけど、私が申し上げているのは、予算を国会に提出する前提として、そういう慣例的な与党の重要会議でのその御説明はおやめになった方がいいのではないかと申し上げたんであって、国民各層、共産党にも説明していますと昨日おっしゃられていたんですけれども、そういう意味じゃないんですね。その事前の手続としてこういうことをやるのはやめた方がいいというふうに申し上げました。  それで、橋本会長はこの当委員会におきましても、政治家の圧力を受けないと答弁されてきました。これは言うはやすいが行うは難いことだと、今日の委員会審議を聞いていてもその感を強く私は持ちましたし、国会自身も自制が必要だというふうに思います。  もし政治家の不当な圧力があったときに、それを跳ね返すというシステムがあるんでしょうか。それとも、その個人的な人格とか力強さとかにゆだねられているのか、それはどうなんですか。
  165. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) これは、放送の自主自律というのは、私はその業務に当たる個々の人間の自己規律だというふうに考えております。したがって、日常的にこの規範というものをいかに守るかということが、やはりこの組織全体の自主自律というものにつながってくるものだというふうに考えております。
  166. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 そういうことが個人の自己規律にゆだねられていると、正に現状そうですよね。しかし、それではその個人がまた別の個人に代わったら、それが働かない可能性もある。やはりNHKの中立公正を担保するための、何というんですかね、そのシステム、そういうものが必要なのではないかと、強く私は思います。  もう一つ伺いますが、三月三十日の当委員会自民党委員の方が、NHKのETV番組自民党幹部の圧力で改変された実態を裁判で証言した幹部職員に対して、これは永田浩三衛星放送局統括担当部長、当時ですね、NHKの公式見解と異なる証言をしたと、NHKはどういうけじめを付けるのかと、議事録に残っていますけれども、こういう質問をされました。橋本会長は、証言が伝聞に基づくということで、根拠がない、遺憾だ、人事上の扱いについて適切に対処したい、このように答弁されていますね。  そこで聞きますが、あなたの当委員会での答弁の意味は、NHK職員NHKの公式見解以外の内容を裁判所の公判廷であっても述べてはいけないということなんでしょうか、それとも、証言したこと自体許せない、遺憾だということなんでしょうか、伺います。
  167. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) この問題につきましては、私は、前半の証言の内容そのものが、我々考えています、私どもが把握していることと違うという点を遺憾だということで申し上げておりますし、それから人事上の措置につきましては、これは人事の問題として適切に的確に対応するということで申し上げたわけであります。
  168. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 もう一度聞きますが、NHK職員NHKの公式見解と違うことを裁判所の公判廷で、宣誓するわけですよね、証人として述べること、そのことは別に悪くないでしょう。それから、その裁判所の証人として出廷すること、それも悪くないことですよね。その辺は、その点はどうですか、それに限ってお答えください。
  169. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 裁判所の法廷でそのような表現をする、その本人が、その本人が経験し、また知見した中で表現することは、これはその自由があろうと思います。
  170. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 内閣府、お見えになっていますでしょうか。──はい。  伺いますが、公益通報者保護法が二〇〇四年六月に成立いたしました。この法律において、内部告発者の保護、労働者の解雇等の不利益扱いについてどのようになっていますか。その法案の内容、その点をお示しいただきたいと思います。
  171. 政府参考人(堀田繁君)(堀田繁)

    政府参考人堀田繁君) 本年四月一日より施行されております公益通報者保護法は、事業者による法令違反行為を発見した従業者がその事実を通報した場合に解雇等の不利益な取扱いを受けることのないようにするとともに、事業者の法令遵守を促すことを目的としております。  通報者の保護につきましては、法は、通報先に応じた保護の要件を定めておりまして、その要件を満たした通報を行った従業者に対しまして、通報を理由とした解雇の無効、減給、降格、その他不利益な取扱いの禁止を規定しております。
  172. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 橋本会長、内部告発をするということは大変勇気が要ることなんです。私利私欲からはとてもできないことですね。こうした人を保護する法律を国会は作りました。野党も共同して対案を提出いたしました。  私は、今回、NHKはこの法案の立法趣旨を踏みにじった疑いがあるのではないか、このように考えています。くだんの番組制作し、裁判所で証言し、あるいは内部告発を支援して活動している人物を制作現場から外すというNHKの今回の人事は、内部告発を行った労働者に対して報復的人事を禁止している法律に違反する疑いがあるのではないかということで、市民、ジャーナリストたちが五月三十一日、報復的な人事異動に抗議するとの声明をNHKに手渡しています。  マスコミは権力に対して距離を置いて批判的立場から報道する、それが使命だし命ではないでしょうか。権力に屈服してマスコミの役割は果たせない、これは共通認識があると思います。国民はこの点について大変不信感を持っていると思うのです。会長、どうですか、この問題について。  いや、こんな問題、会長以外に答えられないでしょう。
  173. 参考人(小野直路君)(小野直路)

    参考人小野直路君) 先ほど来話題になっております今回の両職員の異動でございますけれども、今御指摘のような処罰的な意味合いは一切ございません。NHKにおきましては、プロデューサーを務めた人間を制作現場とは別のセクションで新たな経験を積ませると、あるいはその経験を新たな組織で生かすというための異動を行うこと、しばしばございます。今回の異動もそうした異動の一環でございます。  先ほど御指摘のような、通報を理由とした不利益な取扱いを行わないということ、当然でございますし、裁判の証言に干渉があってはならないということも当然のことと考えております。
  174. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 NHK会長の諮問機関であるデジタル時代のNHK懇談会は、四月二十一日に中間報告を発表しました。その中で、公共放送NHKに提言では、制作現場の創造性と組織統治の明確化と題して、組織統治は視聴者にとって分かりやすいものであると同時に、番組制作現場の創造性を刺激し、その自由を保障するものでなければならないと、このようにしています。こうした職場環境をつくることが必要ではないですか。会長、いかがですか。
  175. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 番組は当然ながら職員の自由な創造性の下でつくられるべきだと、我々もそういうものを阻害しているわけではなくて、できるだけそういう環境を整えてまいりたいというふうに思います。  しかし、いろいろ組織の改革ということは必要であります。今回、いろいろ各部門をフラット化して命令が行き渡りやすく改革する、あるいは番組制作につきましても非常に効率的に行う、あるいはいろいろ番組の企画ですね、そういうものについても非常に一元的な管理がしやすいようなそういうふうな職場環境というものを、総合的にガバナンスとして物を眺める、そういう手法も必要かとも思っております。
  176. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 私は、報復人事だという答弁をなさらないとは思いますが、その疑いが限りなく持たれているんだということを指摘して次の質問に行きますが、竹中大臣竹中懇談会の最終報告について伺います。  NHKのFM放送は、総合音楽波として優れた音質を生かした多彩な音楽で音楽ファンにこたえています。「ラジオ深夜便」もFMで聞けるんですよね。また、災害などの臨時には地域情報波としてきめ細かな情報を提供し、BS2は難視聴対策にも欠かせないものなんですね。  NHKのFM放送BS2の果たしている役割は公共性を持ったものであり、削減などということは実態を理解していないと思います。NHK番組から娯楽性が失われれば、これは受信料のやはり徴収低下ということにつながっていくのではないでしょうか。「チャングム」や「大草原の小さな家」をさっき例に挙げましたけれども、こういう優れた番組、民放がつくっている外国の、日本の民放も優れた番組つくっているということと、NHKが引き続きスポーツや娯楽の番組を提供し続ける、優れたもの一杯つくっているんですよね、NHKは、私もたくさん見て勉強しておりますけれども。そういうものを民間にゆだねる、もうかる分野、花形の分野、民間にゆだねるという発想がどうも背景にあるような気がして不安でなりません。  こういう、局を削減するとか娯楽やスポーツはNHKに関係ないんだというような考えは是非改めていただきたいと思います。大臣、どうですか。
  177. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) それぞれの波、チャンネルがそれぞれの役割を持ってつくられ、そして国民に受け入れられてきたということは、私もそのとおりだと思っております。しかし、同時に、NHKの中で、先ほどから、今日ずっと御議論いただいているように、三割の方が受信料支払を拒んでおられて、そしてNHK全体に対するやはり問題が存在するという認識を国民がそういう形で示しているというのも我々は受け止めなければいけないんだと思っております。  今のような波でしっかりとガバナンスを発揮して、そして何も問題なくやってくださるんであれば、それはそれで私は一つの良い方向なのだと思います。残念ながらそういうふうには現実なっていない。そういう中で一つの、一つ考え方として経営資源を集中してはいかがですかという提言がなされたものだと認識をしております。しかし、視聴者の立場は重要であります。今の問題提起を受けて、総務省としては、しっかりと国民の声にも耳を傾けながらどうするかということを検討してまいりたいと思っております。
  178. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 吉川春子君、時間が参っております。
  179. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 時間が参りましたので、しかし、この竹中懇に対して橋本会長のコメントを一言、どう受け止めているかだけ、簡単にお願いします。
  180. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 新しい通信路といいますか伝送路といいますか、デジタル技術の進歩によって新しい社会に変わってくる、その中で、やはり通信放送を有効に活用した社会というものを目指していると、そういう社会に向けての御提言がまとめられているというふうに受け止めております。当然、その中で扱われておりますNHKのこのガバナンス、コンプライアンス強化、あるいは経営の改革、改善、こういう点につきましては、我々当然ながら痛切に感じているテーマ、重要なテーマでございます。改革、改善を自らの手でしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。
  181. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 終わります。
  182. 又市征治君(又市征治)

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は今国会最後の総務委員会でありますので、NHK決算に入る前に、地方六団体の地方共有税構想などの意見書について竹中大臣に一点お伺いをしておきたいと、こう思います。  一昨日のこの委員会で、大臣は、六団体の主張する国税のうち地方交付税相当分は交付税特別会計への直入にせよという点については総務省として同じ立場だというふうに御賛同されました。また、交付税の法定率を引き上げよという点も望ましいというふうに御確認をいただいたわけでありますが、是非この立場を堅持をいただいて、七月に延期とも伝えられます経済財政諮問会議に臨んでいただきたい、こういう思いであります。具体的には前回言いましたから詳しく申し上げませんが、法律に定める六団体の意見書が出た以上、この夏に政府だけで交付税について何か決めるんではなくて、まずは地方とのテーブルに着くことが相互信頼のためにも非常に大事なことだろうと、こう私は思います。  諮問会議の場で六月七日に一度六団体から意見書の中身を聞いたのでしょうけれども、あれだけ交付税を目の敵にしてきた一部の委員から何の反応もその後聞こえてこないわけでありまして、どうも聞きおいただけで無視して交付税削減の既定路線で走ろうとしているんではないかという、こういう疑念さえも出されておる、こういう状況があります。  考えてみますと、本来、諮問会議というのは法律上の機関でも何でもないわけであって、ここで重要事項を事実上決めてきた小泉内閣のむしろ政治手法にも問題があるわけですが、他方で、歴史ある地方の代表も発言を保障されている地方制度審議会については全く軽視されている、こう言わざるを得ない状況に私はあるように思うんです。こうした時代だからこそ、自治体は地方自治法に基づく意見書という最後の宝刀を抜いた、こういうふうに見ざるを得ないわけで。  そこで、大臣は財政当局の合意がなかなか困難だということをこの間おっしゃいました。地方の声を背景に、それを是非克服していただきたいという、これは地方六団体の皆さんの共通の声だろうというふうに思います。内閣として正式に、あるいは少なくとも総務大臣として、この意見書について、じっくりと七項目について逐条的に六団体と意見交換を是非されるべきではないだろうかと、このように思いますし、以上申し上げた点について、大臣の決意を含めた見解をお伺いしておきたい。
  183. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 十二年ぶりの意見書でございます。意見の申出でございます。これは地方の決意というのを非常に重く受け止めて、我々は対応するつもりでございます。先般、閣議で私の方からそのような申出があったということを閣議報告をしております。政府全体として、この申出に対しては適切に対応してまいらなければいけないと思っております。  加えて、いろんな形でのテーブルに着いて話し合えと、これはもう御指摘のとおりだと思います。諮問会議の運営内閣府、内閣官房でいろいろやりますので、私は要望する立場でございますけれども、要望すべきことをしっかりと要望してまいりたいと思います。また、六団体と総務大臣の協議等々もタイミングを見て是非しっかりと対応していきたいと思っております。
  184. 又市征治君(又市征治)

    ○又市征治君 是非その点強くまた改めて要請をしておきたいと思います。  さて、NHKの二〇〇四年度決算についてですけれども、この年は、既にもう多く出されているように、チーフプロデューサーによる横領が発覚をし、受信料支払保留・拒否が急増する、こういう中で、一九五〇年の設立以来初めての前年度割れと、こうなって、NHK監事からも極めて憂慮すべき事態だとされた内容でありますから、これはもうこの決算、承認しかねるというのはこれはもう冒頭に申し上げておきたいと思います。  それとは別に、今日も出ておりますが、今NHKについては総務大臣の私的諮問機関である通信放送在り方に関する懇談会、以下松原懇談会というふうに略させていただきますが、猛烈な攻勢が掛けられているというふうに言われております。これについて我が党の重野衆議院議員が衆議院で質問をいたしましたが、橋本会長は、NHKはBBCやドイツなどと比べて保有する電波の数も財政規模も特に大きくはない、こういうふうに答弁をされました。先ほどもそういう御答弁ございました。また大臣は、受信料義務化について、国民は今のままでは受け入れない、納得できないと思う、これも御答弁がございました。この二点は、私はいずれも正しい事実あるいは冷静な判断である、こんなふうに思います。  そこで、チャンネルの内容の面から、以前の経験を会長にお伺いをしておきたいと思うんです。たしか一九九三年ごろだったと思うんですが、NHKはAM第二放送削減する案を出された、こういうふうに記憶をします。このときの視聴者の反応はどうだったのか。そして今継続をされているわけですが、この点について少し紹介をいただきたい。あわせて、現在のこの松原懇NHKチャンネル削減論に対する会長のお考えも併せてお伺いをしておきたいと思います。
  185. 参考人(中川潤一君)(中川潤一)

    参考人(中川潤一君) 先生御指摘の件は、平成五年二月にNHK将来構想というものを発表しましたけれども、その中で、メディアを取り巻く環境も大きく変化してきており、今後の音声メディアの進展、技術開発の動向などを十分見極め、現在の音声三波を再編成し、一波削減する方向で検討するというふうにこの中で申し上げました。  これは、当時いろいろな拡大ということが言われておりまして、メディアの拡大路線をこれ以上求めないんだということで、できるだけスリムな経営を目指したいということで、ラジオ第二放送を一波削減したいというふうにいたしまして、そういう考えでございました。ただ、これを発表しました後、視聴者から様々なあるいは大変多くの反響をいただきました。例えば語学番組や株式市況、それから気象通報といったものをラジオ第二放送ではやっておりますけれども、こういったものを廃止するのかということで、困るという非常に多くの声が寄せられまして、NHKとしましては、そういった不利益が生ずることであれば、まだ当面は一波を削減する状況にはないというふうに判断いたしまして、二年後の平成七年一月に公表しましたNHK中長期経営方針で、当面は音声三波によるサービスを継続するというふうに改めて方針を変えて御提示しました。  現在、それから十一年がたっておりまして、いろいろなデジタル化も進んでおりまして、放送通信の環境も大きく変わってきております。例えばインターネットから様々な音楽をダウンロードするということもできますし、それはもちろん語学でも利用できます。そういったことの中で、今年一月に私どもが発表しました三か年の経営計画、この中でも、視聴者の方々の御意向を十分踏まえて、あるいは実態を踏まえた上で今後検討してまいりたいというふうに申し上げたところでございます。  それから、波の削減でございますが、これにつきましては、今いわゆる松原座長の懇談会で、報告書で話題になっておりますのは、テレビの方は衛星放送の波を一波残してあとは削減したらどうかと、こういうことでございます。  これについては、衛星放送そのものは、例えば衛星一が衛星放送の普及の役割というのがございます。衛星二は難視聴解消の役割がございます。それからまた、ハイビジョン放送はハイビジョン放送の普及という役割がございます。こういう放送普及基本計画の上での役割を十分踏まえまして、例えば衛星一は内外総合情報波というふうにやっておりますし、それからハイビジョンはできるだけ高画質、高音質の優れた……
  186. 又市征治君(又市征治)

    ○又市征治君 中身はいいです。
  187. 参考人(中川潤一君)(中川潤一)

    参考人(中川潤一君) はい。ということをやっておりまして、そういうことでありますので、私どもとしましてはできるだけ、さっきラジオのところでも申し上げましたような、視聴者の方々の意向も十分踏まえながら今後検討されるべきことだというふうに思っております。
  188. 又市征治君(又市征治)

    ○又市征治君 分かりました。  NHKとしては幅広い意見を聞いて、社会的に必要な番組は、例えばそれは視聴率が低くても提供すべきで、そのため現在のチャンネル数は維持したいという、こういう方針ですね、簡単に言うと。  こうした意見は、NHK独自に懇談会をつくっても聞かれておりますね。四月のその中間報告の冒頭に、基本的立場の①というところに「公共放送と民主主義」という一節があります。恐縮ですが、五行ほどですから是非読み上げて紹介をしてください。
  189. 参考人(中川潤一君)(中川潤一)

    参考人(中川潤一君) 読み上げます。  これは四月に出されました私ども会長の諮問機関としてございますデジタル時代のNHK懇談会というところの中間報告でございまして、その骨子の部分でございます。「「デジタル時代のNHK懇談会」の基本的立場」としまして、その①で「公共放送と民主主義」という記述がございます。  「公共放送は、健全で、多様・多彩な活力のある民主主義社会には不可欠であり、NHKがそうした公共放送として再生することが何より大切である。 外部からの不当な干渉を排し(自主)、みずからを律すること(自律)は、公共放送NHKの生命線であり、組織・制度や職能を明確にするとともに、常に点検を怠らない努力が必要である。」と。  以上でございます。
  190. 又市征治君(又市征治)

    ○又市征治君 そうしますと、その自主自律というのは理事者が外に対して守るだけのものなのかと、こう聞きたいわけです。  先ほど吉川委員からもお尋ねがありましたETV番組、従軍慰安婦問題への政治家の介入をめぐっては裁判が進行中でありますが、三月三十日のこの委員会質疑がありました。進行中の裁判に国会議員が触れるというのはいかがか、できるだけ避けるべきだろうと私は思いますが、どうしてもそれに関する会長の発言に私も大変疑念を持っていますから、バランス上、若干お伺いをしておきたいと思うんです。  私は、一社員の法廷での証言に対する経営者の態度について絞ってお伺いをしておきます。  法廷で原告証人となった二人の職員について、橋本会長は、三月三十日、先ほども吉川さんが触れられましたけれども、おっしゃっている議事録を見ますと、大変、根拠がないことについて証言したということに対して大変私、遺憾に思っておりますと答弁された後、続けて、また、この職員についての人事上の扱いについては適切に対処したいと、こう述べられたわけですね。これは大変問題ですよ。  しかし、裁判で証言するのは市民としての権利、義務であって、これは当然だとあなたもお認めになっている。しかも、この二人は犯罪事件の被告でも何でもないわけですよ。仮に偽証があれば、これは法廷が裁く問題。三月の会長発言は、余りにもそういう意味では六月の異動人事を予想させる答弁ではなかったかと、こう疑われてもしようがない。だから、放送関係に詳しい東大教授など三百七十五名から成る抗議声明が出される。このこと自体が大変重大な問題だと思うんです。  職員の法廷での証言に対してトップが人事をちら付けたということは、今後他の職員などのいろんな部面におけるこうした問題でも大きく束縛することになるんではないのか。外部からの不当な干渉を排し自らを律するという方針は、全職員がトップの意思どおり口裏を合わせて一枚岩たるべし、そういう意味でないわけでしょう、これは。自主自律とおっしゃっているのは。むしろ職員一人一人に、理事者の意思、意向に反する発言であったとしても、自主自律の市民的権利を保障することで初めて達成できるんではないかと、こういうふうに私は思うんです。  この点について会長のそれなりの御見解を伺っておきたい。
  191. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 御指摘のとおり、私、この自主自律というのは各NHKの中で働く一人一人が心の中に持つ規律だというふうに考えております。当然ながら、そういう意味で、一人一人が自主自律の振る舞いをするという中で、しかしNHKとしての公共放送の組織体というものを動かしていってほしいというふうに考えております。  私も、先般申し上げた、この裁判につきましてはNHKとしてのまとめというものを裁判所に積極的に協力して提出しております。その中の内容と証人の発言というものが一致していない点、この点が私が申し上げている遺憾だと言っている点でありまして、人事の件とは全く切り離して考えております。  人事については、今回、その両名が所属する組織というものが、組織全体の効率的な運用、フラット化の目的、こういう中で組織を改正してまいりました。そこに所属している部局というものが、この二人だけではありません、ほかの人間も含めて、なくなったわけですから、新たに適材適所、異動していただいたということでございます。それぞれ両名の知見、資質を生かした職場に配置してもらったというふうに考えております。
  192. 又市征治君(又市征治)

    ○又市征治君 これは大変生意気ながらあなたへの忠告ですけれども、議事録を見ていますと、あなたの発言の中に適切に対処するということがよく出てくるんですね。全然適切でないんですよ、これ。そういう意味では、先ほど私が読み上げた議事録のこのくだりからいうと実に適切でなかった。そのことについての釈明を求めようとは思いません。しかし、やっぱりそうしたNHKの事実に対する立場の問題を述べた、その直後に続けて、人事については適切に対処するなんと言うのは極めて適切さを欠いている、こういうことだと思うんです。だから、誤解を得てあちこちから批判を受けていると、こういうことなんですよ。  つまり、私、何を申し上げたいかというと、今日随分と出ました。これは先般から、予算のときも出ました。受信料保留であるとか、あるいは拒否者の中には、確かにいろんな不祥事に対してまたかまたかと、そういうことで増えていることももちろん事実です。そのことはあってはならないからこれは厳しく批判をされなきゃならぬ。そのために一生懸命なさっているでしょう。しかし、それだけではなくて、こうしたNHKの政治的中立性に疑問を抱いている人々、こういう人たちがいるということもよくしっかりと受け止めていないと、そのために先ほど申し上げたような三百七十五名から成る有識者の抗議文が、抗議声明が出されている、こういうことがあるわけでありまして、これはやっぱりしっかりと対処をしていただかないと、皆さん方の何か不祥事に対することだけの対応では駄目だと、こう申し上げなきゃならぬと思います。  最後にいたしますが、いずれにいたしましても、それはもう行くところどころで皆さん方は今、もう針のむしろに座っているような思いでたたかれっぱなし。大変でしょう。しかし、出すべきうみはしっかりと出していただいて、そして、そのことでNHKをやっぱり再生をする、こういうお取り組みをなさっている、こういうふうに私は確信をいたしております。しかし、その取組が職員を萎縮させたり、あるいは士気を低下させては何にもならない、こういうことだろうと思うんです。  したがって、前にも申し上げてまいりましたが、質の高い放送番組をやっぱり編成をし、国民信頼を取り戻すことを通じてNHKの再生というのは私はなし得るんだろうと思います。そうした一層の努力を心から私も期待をいたしたいと思いますが、その点について最後に会長の決意を含めての御見解をいただいて、終わりたいと思います。
  193. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 私としても、全NHKの職場、創造力を持って、モチベーションを高めて将来に向けて頑張っていただかないと、一丸となってやっていかないといけないと思っております。私、その意味では先頭に立って職務を果たしてまいります。また、視聴者に対してもそういう姿をしっかりと説明して訴えてまいりたいと思います。
  194. 長谷川憲正君(長谷川憲正)

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  本日のNHK決算審議、朝早くから十二時を過ぎてまでということで、大臣以下政府の皆さんも、また橋本会長以下NHKの皆さんも大変御苦労でございますが、もうしばらくお付き合いをいただきたいと思います。  私は、最初に総務省に質問をいたしたいと思います。  イギリス政府は、たしか今年の末にイギリスの公共放送でありますBBCの免許、特許状と言っているようですけど、十年に一遍のこの特許状の改定を行うということで、既にもう長年にわたって国民視聴者意見をいろいろと聞くというようなことを進めて、大変慎重な議論をやってきているというふうに伺っております。先ごろ政府の最終案も出されたと、こういうことなわけですが、このBBC改革に関する英国政府の取組の実態について、まずは総務省からお聞きをしたいと思います。
  195. 政府参考人(清水英雄君)(清水英雄)

    政府参考人清水英雄君) 先生御指摘のように、イギリスの文化メディアスポーツ省の方が、二〇〇六年末のBBC特許状が切れますので、これについて約三年近くの時間を費やしましてBBCの在り方国民的議論の中で展開したということがございます。  その中で、具体的には、国民意見募集というのを二〇〇三年の十二月ぐらいから始めまして、その後、政府による世論調査ですとかあるいは文化メディアスポーツ大臣の独立諮問委員会による公開セミナーを実施したりしまして、ホワイトペーパーの素案になるグリーンペーパーを作ってパブリックコメントをして、これが二〇〇五年ぐらいでございます。その後、そのパブリックコメント等々を踏まえながらホワイトペーパーというのを二〇〇六年の三月以降、三月から四月にかけて作成、公表をしております。  主なプロセスの中でのホワイトペーパーの中では、今までBBC経営委員会というのがございましたが、これをBBCトラストという形にいたしまして、その中で中期経営目標あるいはその戦略の設定、それから公共価値テストというような形での新サービスの承認を行う等々を行ったほかに、BBCの公共目的、これを六項目ほど定めまして、市民社会の維持、教育、文化の促進等々、そういうものを明示したり、次期特許状期間までは現行の受信料制度を維持するとか、あるいは、これは大きなポイントだと思うんですが、インターネットを利用してBBCのオンラインサービス、これを行うことをラジオ、テレビと並ぶ第三の業務の柱とする等々の改革案が盛り込まれているというふうに承知しております。  今後、英国ではそのパブリックコメント等、これらの意見を取りまとめて、その結果を踏まえて最終的な特許状案を作成して議会へ提出する運びになる、そういうふうに承知しております。
  196. 長谷川憲正君(長谷川憲正)

    長谷川憲正君 どうもありがとうございます。  私が、イギリス政府のこの取組、BBCの特許状改定に当たっての取組について今御説明を求めた趣旨は、これ竹中大臣にお伺いをさしていただくわけですけれども、先ほど来取り上げられております大臣の私的懇談会であります通信放送在り方に関する懇談会、先日報告書をお出しになりました。私も読ませていただきましたけれども、対象が通信から放送へと極めて広範であるにもかかわらず、検討された期間は、まあ仕方がなかったんでしょうけれども、わずか半年。そして、その間、業界の意見は聞いておられますけれども、視聴者、利用者、国民意見の聴取がないと。  私はもうその点において、イギリスの政府の取組の仕方、公共放送というものの在り方を議論するその姿勢といいますか、やはり常に国民の視線というものを意識をして、国民意見を聞きながら物事を慎重に進めようという、この態度には大いに学ぶべきものがあるんじゃないか。それに比べると、今回は私的懇談会ということではありますけれども、余りにも拙速であり、そしてまた一方的であるんじゃないかという気がして仕方がないわけであります。  私は、国民NHKだというふうに思うものですから、そういう意味では、今後でも結構ですけれども、この報告書の中で提言されたいろいろな提言がございます。こういうものについて、改めてパブリックコメントを求めるとか国民視聴者の意向調査を行うとかして今後の政策に反映をさせるべきだというふうに思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  197. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) 今、BBCの例を御紹介くださいましたが、私も実は同じ思いでおります。  これは何度か委員にも御答弁させていただいたかと思いますが、今回の懇談会では、基本的に非常に今大きな時代の転換点を迎える中で、どういう方向性を目指すべきなのかということについての方向の議論をしていただいているわけでございます。これを踏まえてしっかりとした制度設計に掛かっていかなければいけない、そういうことだと思っております。その段階では、当然のことながら、制度設計をこういう審議会に諮問するという問題も物によっては出てくるでございましょうし、その過程でまたパブリックコメントを求めるというのも、これは当然に出てまいります。  しかし、一体何を諮問したらいいのかと、どういう方向で、どういう問題意識で議論をしていただく諮問をするのか。それにはやはり大きな方向付けが必要でございます。今回の懇談会は、その非常に大きな方向付けに当たる部分だと思っています。  これから五年の後に完全デジタル元年を迎える。今後、おおむね私の意識としては、まあBBCは三年と言いましたけれども、五年掛けて通信放送全体の大きな改革をしていかなければいけない、その入口でございますので、この半年でもちろん全部決まったわけでは全くありませんし、むしろ一つの問題意識を提示していただいて、方向を提示していただいて、そしてこれから詳細な審議会への諮問等、パブリックコメント等を含めた制度設計の議論に移っていくと、そういうことだと認識をしております。
  198. 長谷川憲正君(長谷川憲正)

    長谷川憲正君 大臣のおっしゃるような慎重な手続というのがこれから必要になると私も思っておりまして、安心をいたしました。その観点からいいますと、今回の通信放送在り方に関する懇談会報告書というのは、やっぱりできが余り良くないなというふうに思っております。  なぜできが良くないかといいますと、やはり私的懇談会でありましても大臣懇談会ですから、いろいろな意見があるんだということをやはり基本に据えた上で意見を出されるべきだと思うんですけれども、私が拝見をする限りではかなり一方的な意見が多いなというふうに思うわけでありまして、大学の答案でもこういう答案は、まあ不可にはならないでしょうけど可以上の成績は付かないだろうなと、そういうふうに思うわけであります。  それで、具体的に中身に触れたいと思いますが、もう既にいろんな委員がお触れになりましたけれども、例えば衛星放送チャンネル、いわゆるBSチャンネルでありますけれども、削減を提言しておられます。しかし私は、今のような高度情報社会にあって必要なのは、やはり目指すべき方向というのは多メディア多チャンネルだろうと、技術も進歩しているわけですから。私は、チャンネルを減らすということがさほど意味があることだとは思えないわけです。  しかも今、アナログからデジタルへということで周波数が変更されていく、そしてテレビの受信機もそれなりの変更をしなきゃいけない、買換えをする人も必要になってくる。一方でまた、受信料の不払が増えて、確実な受信料支払視聴者にお願いをしなきゃならぬ。こういう状況の中で、国民負担というのはいろいろあるわけですね。その見返りがチャンネル削減なのかと。本当に視聴者がそれを納得しているんだろうかと。大体、既に指摘もありましたけれども、外国の公共放送と比べてNHKチャンネル数が多いという事実はないわけですね。  そういうことを考えますと、これもかなり一方的な御意見であったんじゃないのかな。私は、問題は、チャンネルが多い少ないというよりも、中身の充実だろうというふうに思うわけです。中身が充実をしていないのであればいろいろ批判をすべきだというふうに思いますけれども、チャンネルそのものの問題ではないであろうというふうに思います。  さらに、この懇談会では、NHKFMラジオ放送の役割は既に終えたというような記述があるわけでありますけれども、これもNHKのFMの受信者の人たちの意見をどこまで聞いたのか。固定ファン層も多いわけですよね。独特のコンサートの放送などもございますし、それから地方へ行きますと、FMといったって、やはり入ってくる放送局の数も少ないという中で、私は別にこれをなくさなければいけない理由は何もないんじゃないかというふうに思います。  それから、受信料の大幅引下げの提言がありました。他の委員から引き下げるべきだという御意見がありましたが、私は、受信料を今引き下げて、結果として安かろう悪かろうみたいな番組が増えることは国民のために全く望ましくないというふうに私は考えます。下げることはもちろんいいことですけれども、番組が充実をして、そしてNHKの経営体としての財政基盤も充実をした上で、なおかつ余裕があるのならそれは下げてもらいたいというふうに思いますけれども、今財政基盤が非常に問題になっている中で受信料引下げというのが先に出てくるのは順番が逆じゃないかと。  受信料支払義務化の良しあしということもありますが、私は、そもそも今の放送法の予定をしておる体制というのは、言葉では書いてありませんけれども、支払義務化されているものだというふうに思っておりまして、今までの国会にも何遍かここの部分についてはきちんと書き直すべきだということで法案が提案をされて、国会の都合で流れていることがありますけれども、これは早くきちんとした支払義務化を行って、その上で財政の基盤が確保されたら、それこそ受信料引下げも考えていただきたい、こんなふうに思っているわけであります。  肥大化肥大化ということがよく言われるんですけれども、NHKの収入、決算書を拝見すると六千八百五十四億円、事業収入で六千五百億円程度の規模でございます。世の中の大企業が一兆円ということを言われている時代に、私はNHKの世の中での印象から比べると随分小さいなと思うんですね。ちょっと調べてみましたら、イギリスのBBCは七千四百億円、日本円に換算をして七千四百億円。NHKよりも一千億円も多くの収入があるんですね。しかし、イギリスの人口というのは日本の半分以下ですよ。ですから、そういう中で私は、NHKというのは決して大き過ぎるわけでも何でもない。問題は、やっぱり本当によく国民に理解をされて、応援をしてもらって、そして更なる発展を求めていくということだと私は思っているわけであります。  今日も厳しい御指摘がたくさんございました。もう当然だと思うんです。こんなに次々と不祥事が出てきて、それでようございますとはなかなか言えないわけであります。  ここは私は会長に特にお願いをしたいわけでありますけれども、誤りは正すのにはばかることないわけでありまして、これだけしかられてしまうと、次にまたありましたとなかなか言いにくいかなという気がするんですけれども、そうじゃなくて、勇気を持って出るものはどんどん出しちゃうと。さっきも、うみを出したらというのがありましたけれども、私はこういう悪事、犯罪のたぐいというのは人間の世界ではなかなかなくならないと残念ながら思うわけです。人間でもおできができたり、年を取ってくるとポリープが出たりいろいろありますけれども、これもまた生理現象でありまして、そういうものを見逃さないということが大事なんで、私、こういうことにめげないで、どんどんどんどん立ち向かっていただいて、悪いものはつぶしていくんだと。だから、二度と出すなと言われて出さないとはなかなか言えないと思いますが、出さないつもりで、そして出てきたものは反省材料にして、より良い仕組みに改めていくということをますますおやりをいただきたいと思うわけであります。  私の持ち時間があと五分あるんでございますが、今国会最後の委員会でもございますし、今NHKの問題がいろいろ世の中からも注目をされ、今日も多くの委員がいろいろな御提言、御指摘なさいました。それらを踏まえて、私、これもう事前にこんなことは通告してないんですけれども、全体を総括を勝手にさせていただいて、会長、ひとつ正に日本の公共放送を担うNHK会長としての立場からの御決意を承りたいんです。  私は、直すべきところはどんどん直していただかなきゃいかぬと思いますが、NHKというのは公共放送をやる、そのためにできている、特に放送法でそういうふうに組織された放送局なんですから、役割を果たすことが大事なんで、悪いことさえしなきゃいいというんじゃないんです。世の中の例えに、沈香もたかずへもひらずなんという言葉がありますけれども、私、そういうことであってはならない。別の言い方で、寝てて転んだためしはないというのがあるんですね。だからもう、間違いを指摘されるのがいやだったらもう寝てるしかないと、こういう組織になっては困るんですよ。だから、本当に日本のこのNHKが持っている役割、期待されている役割が十二分に発揮されるために、早くこういう不祥事のことはもう始末を付けて、前を向いて元気を出して明るく頑張っていただきたいと、こう私は思うものですから、会長の御決意を伺って、質問を終えたいと思います。
  199. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 長谷川委員から大変NHKを力強く奮い立たせるお言葉、賜りました。  NHK、いろいろ一昨年来、もう二年近く不祥事以降たちましたけれども、この中でまず気を付けたのはやはり番組視聴者の方々から納得される番組ということを目指して、番組を基本的に御納得いただき、御理解をいただき、信頼を回復してこようということで、組織全体一丸となって努力してまいりました。また、これに併せまして、不祥事撲滅の作業も進めてまいりました。この点については大変不十分でありますが、番組についてはもう胸を張って皆さん方に自信を持ってお届けするということを続けてまいりました。  これからも、また新しいデジタル時代になる、こういう世界につきましても、いろんな視聴者の多様な御意見にこたえれる公共放送としての役割を果たす。NHK放送機関であります。当然頼りになる、また皆さんを力付ける、楽しみも提供する、そういう公共放送としての多様な活動を放送を通じて一層頑張ってまいりたいと思います。  よろしくお願いします。
  200. 長谷川憲正君(長谷川憲正)

    長谷川憲正君 終わります。
  201. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  202. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、小野清子君、木村仁君及び椎名一保君が委員を辞任され、その補欠として野村哲郎君、河合常則君及び水落敏栄君が選任されました。     ─────────────
  203. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  204. 那谷屋正義君(那谷屋正義)

    那谷屋正義君 私は、民主党・新緑風会を代表して、日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を是認することに反対の討論をいたします。  二〇〇四年は、芸能番組制作費の不正支出を始め、数々の不祥事が発覚した年であります。これら一連の不祥事の発覚により、NHKの業務監督の在り方や役職員の倫理、公金意識の欠如などの問題を顕在化させ、NHKに対する国民信頼が大きく損なわれることとなり、その結果、二〇〇四年度末には七十五万件近い受信料の不払、保留が発生することとなりました。  このように、国民NHKに対する厳しい批判が起こっているにもかかわらず、NHKは、NHK問題の集中審議を行った衆議院総務委員会の中継を行わなかったり、当時の会長以下役員の出処進退の時期を間違えたり、さらにその対応を誤ったりと、国民の声に真に向かい合う姿勢を示すことはありませんでした。その結果、国民視聴者の不信感はますます増大し、受信料収入は二〇〇三年度から六十八億円の減収、予算に対しては百四十億円の不足というNHKの経営基盤を揺るがす深刻な事態となってしまいました。そして、不祥事発覚から約二年を過ぎようとしている現在においても、いまだ国民視聴者の不信感は解消されず、受信料の不払・保留は百二十万件近くに上っており、受信料制度への国民信頼を大きく損ねているとも言えます。  また、NHKは、事件の発覚を受けて、コンプライアンスの徹底、つまりは法令の遵守規定の厳格化を図り再発防止に全力を傾注するとは言っていますが、その後もなお職員不祥事が続発しており、NHKのコンプライアンス活動が不十分であったことは明白であります。  このように、多くの不祥事の発覚と、それに対する対応の誤りから多額の受信料減収を招いた二〇〇四年度決算を是認することは残念ながらできません。  しかしながら、多様で良質な番組を全国あまねく提供する公共放送は引き続き重要なものであり、NHK国民信頼を早急に回復する必要があります。そのためには、全役職員が高い倫理観と使命感を持つ組織を確立し、経営委員会機能拡充などによりガバナンスを強化するとともに、情報公開の積極的な推進、そして何より報道、娯楽、教養など、多様で質の高い番組国民に提供することが求められています。  NHK受信料は、公共放送を守ろうという国民視聴者との信頼関係の上に成り立っている世界にも誇れる制度であります。この制度の下、民間放送との二元体制を維持していくことが我が国の放送文化の発展に資するものと考えます。  NHKは、国民の声に真摯に耳を傾け、犯した過ちを猛省するとともに、そのことを教訓として、国民の理解と信頼を回復できるようあらゆる努力を行い、自らの力により改革・新生を実現していただきたい。ひいては、その成果こそが放送文化の一層の発展に寄与するはずであることを申し添えて、私の反対討論を終わります。
  205. 吉川春子君(吉川春子)

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、NHK二〇〇四年度決算の承認に対し反対の討論を行います。  反対の理由は、二〇〇四年度におけるNHK執行部の重大な誤りによって受信料収入が対前年度決算比で六十八億円、対予算比では百四十億円の大幅減収となったことです。  二〇〇四年七月に発覚したいわゆる芸能プロデューサーによる不正経理問題に対するNHK執行部の対応の誤りが視聴者の批判と不信を強め、NHK受信料不払件数を急増させました。翌年一月に発覚したETV二〇〇一「問われる戦時性暴力」番組への自民党政治家による政治介入事件に対して、NHK執行部はその解明に背を向ける態度を取り、受信料の不払件数を更に増加させ、NHKの経営基盤を揺るがす事態になっています。二〇〇四年度におけるNHK執行部の誤りはNHKに対する国民信頼を深く傷付け、今日に至るNHK財政の困難をつくり出していることを指摘しなくてはなりません。  また、発覚した空出張など一連の不祥事徹底した解明を行わなければなりません。NHK執行部が誤りの深い反省に立って、NHKが政治から独立し、国民視聴者信頼にこたえる公共放送として再生の道を歩むことを強く求めて、討論を終わります。
  206. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  207. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  209. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 行政制度公務員制度地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査議題といたします。  内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
  210. 内藤正光君(内藤正光)

    ○内藤正光君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による日本放送協会の再生・改革に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     日本放送協会の再生・改革に関する決議(案)   日本放送協会は、国民視聴者信頼の回復に向け、NHK新生プラン等により、改革への道を歩み出してはいるが、国民視聴者の不信感は、いまだ解消されたとはいえず、更なる再生・改革への努力が必要である。   参議院総務委員会は、一連の不祥事発生以降、NHK予算等の審議に際し、会長を先頭に組織をあげて、信頼回復へ向けてあらゆる方策に取り組むことを求める決議を再三にわたり行っているが、ここに改めて、公共放送としての使命を全うできるよう、協会及び政府に対し、次の事項についてその実現を求めるものである。  一、協会は、会長を先頭に全役職員、組織をあげて、再生・改革に向けたあらゆる方策に取り組むとともに、その取組の状況を広く国民視聴者説明し、信頼の回復に最善を尽くすこと。  二、協会ガバナンスの強化のため、経営委員会は執行部から独立した最高意思決定機関として、国民視聴者信頼確保の視点に立って、執行部に対する目標管理・業績評価等を適切に行うとともに、体制の充実に積極的に取り組むこと。  三、公共放送と民間放送の二元体制が、放送の多様性・多元性を確保し、番組の質的向上に寄与してきた現状にかんがみ、公共放送の維持運営のため、国民視聴者との信頼関係に基づき負担される受信料制度の枠組みを維持し、我が国の放送文化が発展していくよう努めること。  四、協会は、公共放送を守るための特殊な負担金としての受信料の意義について、理解の向上に努め、契約率と収納率を高めていくことにあらゆる努力を講ずるべきである。あわせて、受信料制度について、公平負担の観点から国民視聴者の理解が得られるよう、抜本的な対策の検討を進めること。  五、協会の保有するチャンネル数については、その削減も含めて様々な議論がなされているが、それぞれのチャンネルの特性と、総体としてのサービスが国民視聴者の期待や社会の要請にこたえているかについて、十分な論議と検証を行った上で総合的な判断を行うべきである。また、番組については、公共放送としての役割から、娯楽、スポーツも含めた多様で良質な番組からなる総合的な編成を維持していくべきである。  六、国際放送については、在留邦人への情報提供、海外における我が国に対する理解促進の手段として、その充実強化に積極的に取り組むこととし、運営主体、運営に要する財源の在り方について、早急に検討を進めること。  七、放送通信の連携したサービスとして、インターネットを通じて協会の保有する放送番組等の積極的な利活用を図る観点から、その制約について見直しを進めるとともに、経費負担在り方について、早急に結論を得るよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  211. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) ただいまの内藤君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中総務大臣及び橋本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中総務大臣
  213. 国務大臣(竹中平蔵君)(竹中平蔵)

    国務大臣竹中平蔵君) NHKにおいては、一日も早く国民視聴者信頼を回復し、健全経営を確保できるよう、引き続き最大限尽力されることを期待しております。  政府としても、ただいまの委員会決議につきまして、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  214. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

  215. 参考人(橋本元一君)(橋本元一)

    参考人橋本元一君) 日本放送協会平成十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきまして、ただいま御審議、御議決を賜り、厚く御礼申し上げます。  今後の業務運営に当たりましては、御審議の過程でいただきました御意見趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの委員会決議につきましては、これを十分尊重し、視聴者の皆様の信頼に速やかに回復し、デジタル時代の公共放送使命をしっかりと果たしてまいる決意でございます。  本日は誠にありがとうございました。
  216. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 日本放送協会及び会計検査院の方は退席していただいて結構です。     ─────────────
  217. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) これより請願の審査を行います。  第一七〇六号郵政民営化時における新会社への雇用の承継の保証に関する請願外十一件を議題といたします。  まず、理事会において協議いたしました結果につきまして、専門員に報告させます。高山専門員。
  218. 専門員(高山達郎君)(高山達郎)

    ○専門員(高山達郎君) ただいま議題となりました請願につきましての理事会における協議の結果を御報告いたします。  理事会におきましては、第一七〇六号外九件の郵政民営化時における新会社への雇用の承継の保証に関する請願及び第二八七三号外一件の軽油引取税暫定税率七円八十銭の撤廃に関する請願はいずれも保留とすべきものと決定いたしました。  以上でございます。
  219. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) それでは、理事会において協議いたしましたとおり、第一七〇六号郵政民営化時における新会社への雇用の承継の保証に関する請願外十一件は保留といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  221. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  224. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 委員長(世耕弘成君)(世耕弘成)

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会