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長谷川憲正君
大臣のおっしゃるような慎重な手続というのがこれから必要になると私も思っておりまして、安心をいたしました。その観点からいいますと、今回の
通信・
放送の
在り方に関する
懇談会の
報告書というのは、やっぱりできが余り良くないなというふうに思っております。
なぜできが良くないかといいますと、やはり私的
懇談会でありましても
大臣の
懇談会ですから、いろいろな
意見があるんだということをやはり基本に据えた上で
意見を出されるべきだと思うんですけれども、私が拝見をする限りではかなり一方的な
意見が多いなというふうに思うわけでありまして、大学の答案でもこういう答案は、まあ不可にはならないでしょうけど可以上の成績は付かないだろうなと、そういうふうに思うわけであります。
それで、具体的に中身に触れたいと思いますが、もう既にいろんな
委員がお触れになりましたけれども、例えば衛星
放送チャンネル、いわゆる
BSチャンネルでありますけれども、
削減を提言しておられます。しかし私は、今のような高度情報社会にあって必要なのは、やはり目指すべき
方向というのは多メディア多
チャンネルだろうと、技術も進歩しているわけですから。私は、
チャンネルを減らすということがさほど
意味があることだとは思えないわけです。
しかも今、アナログからデジタルへということで周波数が変更されていく、そしてテレビの
受信機もそれなりの変更をしなきゃいけない、買換えをする人も必要になってくる。一方でまた、
受信料の不払が増えて、確実な
受信料の
支払を
視聴者にお願いをしなきゃならぬ。こういう
状況の中で、
国民の
負担というのはいろいろあるわけですね。その見返りが
チャンネルの
削減なのかと。本当に
視聴者がそれを
納得しているんだろうかと。大体、既に指摘もありましたけれども、外国の
公共放送と比べて
NHKの
チャンネル数が多いという事実はないわけですね。
そういうことを考えますと、これもかなり一方的な御
意見であったんじゃないのかな。私は、問題は、
チャンネルが多い少ないというよりも、中身の充実だろうというふうに思うわけです。中身が充実をしていないのであればいろいろ批判をすべきだというふうに思いますけれども、
チャンネルそのものの問題ではないであろうというふうに思います。
さらに、この
懇談会では、
NHKの
FMラジオ放送の役割は既に終えたというような記述があるわけでありますけれども、これも
NHKのFMの受信者の人たちの
意見をどこまで聞いたのか。固定ファン層も多いわけですよね。独特のコンサートの
放送などもございますし、それから地方へ行きますと、FMといったって、やはり入ってくる
放送局の数も少ないという中で、私は別にこれをなくさなければいけない
理由は何もないんじゃないかというふうに思います。
それから、
受信料の大幅
引下げの提言がありました。他の
委員から引き下げるべきだという御
意見がありましたが、私は、
受信料を今引き下げて、結果として安かろう悪かろうみたいな
番組が増えることは
国民のために全く望ましくないというふうに私は考えます。下げることはもちろんいいことですけれども、
番組が充実をして、そして
NHKの経営体としての財政基盤も充実をした上で、なおかつ余裕があるのならそれは下げてもらいたいというふうに思いますけれども、今財政基盤が非常に問題になっている中で
受信料の
引下げというのが先に出てくるのは順番が逆じゃないかと。
受信料の
支払の
義務化の良しあしということもありますが、私は、そもそも今の
放送法の予定をしておる体制というのは、言葉では書いてありませんけれども、
支払は
義務化されているものだというふうに思っておりまして、今までの国会にも何遍かここの部分についてはきちんと書き直すべきだということで法案が提案をされて、国会の都合で流れていることがありますけれども、これは早くきちんとした
支払義務化を行って、その上で財政の基盤が確保されたら、それこそ
受信料の
引下げも考えていただきたい、こんなふうに思っているわけであります。
肥大化肥大化ということがよく言われるんですけれども、
NHKの収入、
決算書を拝見すると六千八百五十四億円、事業収入で六千五百億円
程度の規模でございます。世の中の大企業が一兆円ということを言われている時代に、私は
NHKの世の中での印象から比べると随分小さいなと思うんですね。ちょっと調べてみましたら、イギリスのBBCは七千四百億円、日本円に換算をして七千四百億円。
NHKよりも一千億円も多くの収入があるんですね。しかし、イギリスの人口というのは日本の半分以下ですよ。ですから、そういう中で私は、
NHKというのは決して大き過ぎるわけでも何でもない。問題は、やっぱり本当によく
国民に理解をされて、応援をしてもらって、そして更なる発展を求めていくということだと私は思っているわけであります。
今日も厳しい御指摘がたくさんございました。もう当然だと思うんです。こんなに次々と
不祥事が出てきて、それでようございますとはなかなか言えないわけであります。
ここは私は
会長に特にお願いをしたいわけでありますけれども、誤りは正すのにはばかることないわけでありまして、これだけしかられてしまうと、次にまたありましたとなかなか言いにくいかなという気がするんですけれども、そうじゃなくて、勇気を持って出るものはどんどん出しちゃうと。さっきも、うみを出したらというのがありましたけれども、私はこういう悪事、犯罪のたぐいというのは人間の世界ではなかなかなくならないと残念ながら思うわけです。人間でもおできができたり、年を取ってくるとポリープが出たりいろいろありますけれども、これもまた生理現象でありまして、そういうものを見逃さないということが大事なんで、私、こういうことにめげないで、どんどんどんどん立ち向かっていただいて、悪いものはつぶしていくんだと。だから、二度と出すなと言われて出さないとはなかなか言えないと思いますが、出さないつもりで、そして出てきたものは反省材料にして、より良い仕組みに改めていくということをますますおやりをいただきたいと思うわけであります。
私の持ち時間があと五分あるんでございますが、今国会最後の
委員会でもございますし、今
NHKの問題がいろいろ世の中からも注目をされ、今日も多くの
委員がいろいろな御提言、御指摘なさいました。それらを踏まえて、私、これもう事前にこんなことは通告してないんですけれども、全体を総括を勝手にさせていただいて、
会長、ひとつ正に日本の
公共放送を担う
NHKの
会長としての立場からの御決意を承りたいんです。
私は、直すべきところはどんどん直していただかなきゃいかぬと思いますが、
NHKというのは
公共放送をやる、そのためにできている、特に
放送法でそういうふうに組織された
放送局なんですから、役割を果たすことが大事なんで、悪いことさえしなきゃいいというんじゃないんです。世の中の例えに、沈香もたかずへもひらずなんという言葉がありますけれども、私、そういうことであってはならない。別の言い方で、寝てて転んだためしはないというのがあるんですね。だからもう、間違いを指摘されるのがいやだったらもう寝てるしかないと、こういう組織になっては困るんですよ。だから、本当に日本のこの
NHKが持っている役割、期待されている役割が十二分に発揮されるために、早くこういう
不祥事のことはもう始末を付けて、前を向いて元気を出して明るく頑張っていただきたいと、こう私は思うものですから、
会長の御決意を伺って、質問を終えたいと思います。