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伊藤基隆君 もう少しその問題の所在を深刻に受け止めていただく必要があると、
経営学に偏重していて、それが大変
早期退職者が多いという問題についてもう少し深刻に受け止めるべきだと私は
思います。
さて、
人事院総裁と
総務大臣にお答えいただきたいと思うんですが、少し議論を含めてお聞きしたいと
思います。
かつての年功序列、終身雇用が日本型労働慣習とされた時代とは現在の若者の意識が大きく変化して、必ずしも学校を出て就職したら生涯一企業で
仕事をするというライフスタイルばかりでなくなったという
事情はよく
承知しております。トラバーユ、デューダ、リクルート等の言葉を耳にするようになってからもう十年以上の年月を経ているように
思います。特に若い人々は再就職、転業の機会が増えて、二度三度と転職することに抵抗感が薄れ、若年労働市場の流動化が起きていると
思います。
国家公務員に任用された者もこうした環境とは無縁でありませんから、当然に私
どもの世代とは意識が違う。最近では司法
試験の
制度が変わり、法科
大学院に入り直して法曹資格を目指すという新しい動きができたようですが、元々
国家公務員の若年層の
離職率というのは近年相当高くなっていたのではないかと
思います。
海外で勉強し資格を取った者の転職、再就職の機会が増えることは、ある意味では自然な流れですが、問題は民間人、私人の行為ではなく、税金で雇われた
公務員であるという点です。利益の追求を
目的とした企業ではなく
公務員を目指そうと思った段階、あるいは難関と言われる
公務員試験を突破して各
省庁に任用される段階で、だれもが公、いわゆるパブリック、全体の奉仕者、
公務、国、
国民というものを意識した上で職業の選択を行ったことについては疑う余地はないと
思います。これが実際の
仕事に就いてわずか数年で志を変えてしまう現実を直視しないわけにはいきません。
平成十七年に
内閣官房
行政改革推進事務局
公務員制度等改革推進室が、各
省庁の
若手職員に対するヒアリングの結果についてという冊子を作成しております。各
府省に現在勤務する
若手職員百十四名と
早期に
退職した元
職員十二名から、日ごろの
業務を行った上で問題意識を聴取しまとめたというものであります。
これによると、
若手職員の
意見として、
現状の閉塞感について次のように述べています。定員の大幅な削減や
業務量の増大により、雑務に追われ、政策をじっくり考えたり勉強する余裕がない。
公務員バッシングで
公務員を見る
国民の目が極めて厳しくなり、昔と違って尊敬されない職業になっている。それもあって、
公務員という職業に誇りを持てない。
留学から
帰国した者に対する処遇を見ると、せっかく
留学で身に付けた知識が生かされているとは考えられない。それもあって、
職員が自分自身に対する評価、期待に疑問、不満を持つことがあるという
意見が記載されております。
職員の養成では、
留学については、もっと多くの者を
派遣して国際感覚を養わせるべきである。また、Ⅰ種だけでなく、Ⅱ種、Ⅲ種の
職員も
留学に数多く行けるような工夫について検討すべきであるとの
意見が述べられております。
次に、
早期退職者の
意見としては、
早期退職の
理由として、
海外での
留学生活を通じ、自分にとって
公務員よりもふさわしい選択肢、外資系企業などを見付けたり、転職すれば今の何倍もの
給与を得られる
可能性があるということにも大きな魅力を感じたという記載があります。
さらに、その他として、
留学から
帰国後すぐに
退職する者に対しては、
留学費用が税金で賄われていることにかんがみ、一定のペナルティーを科すべきである。自分も
帰国後すぐに辞めてしまったが、それを許す今の
公務員制度は甘いと感じているなどという全くなめた話もあります。
ということもあって、かなり
若手職員の本音が書かれているように受け取られる
内容の冊子です。今何とか法が出ておりますが、根幹はここに問題があるんじゃないですか。
こうした時代の流れ、このように変化する若者の意識の中で各
省庁は日々の
業務に当たっているわけですが、まずは自らの組織が健全に運営されなくてはならないはずです。将来を託す
若手職員に対して希望の持てる、魅力のある職場を提供することもできずに、
国民のための
行政が執行できるはずはありません。
本
法律案は
早期離職者に対して
留学費用の
償還を
制度化するという技術的な
内容ですが、問題の本質は、
国家公務員の任用、
研修、
職務の仕組みが
制度疲労を起こしていることだと言い切っても過言ではないかと
思います。飛行機の金属疲労を修理しなければ、やがて墜落事故につながります。国も
行政の中枢組織である
中央官庁の
制度疲労をこのまま放置すれば、やがては国自体が大きな事故に直面することになるのではないでしょうか。
単に
留学費用の
償還というだけじゃなく、今日の
公務員制度全体からの観点で、
早期退職者の問題をどのようにとらえ、解決のために何が必要か、どう取り組むかについて、
人事院総裁と
総務大臣から御見解をお伺いします。