○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。
今、鳥インフルエンザの被害が世界に拡大をしておりますが、この鳥インフルエンザのウイルスが変異をしまして、人から人に感染をする、いわゆる新型インフルエンザの流行というのが今大変心配をされているわけでございます。
そこで、その流行時に、真っ先にその患者といいますか、感染源と向き合ってその人たちの、市民の命を守ると同時に、自分の身をも守らなければいけない救急隊員、
消防隊員の
対応について今日は伺いたいというふうに思います。
四十年ぶりに新しいインフルエンザが人類を今襲おうとしています。今この鳥インフルエンザが恐れられている理由は、これまでのインフルエンザのウイルスというのは弱毒性といいまして、つまり弱い毒性であった。だから
余り感染の度合いも低かったし、それから症状も呼吸器系にとどまっていた。ところが、今出ている鳥インフルエンザのウイルスは強毒性で血流でもって全身に感染をする、つまりSARSと同じような症状、SARS以上の症状が出るというふうに言われています。したがって、感染率も高いし、致死率も高い。致死率は一〇%ぐらいではないかということも
想定をされております。ちなみに、今鳥インフルエンザのウイルスに感染した人の致死率は五三%でございます。
お手元に資料をお配りしていますが、この写真の人はベトナムの青年であります。この方は鳥インフルエンザに感染した人でありますけれ
ども、生還をしました。しかし、この写真見て分かるように、今度のインフルエンザの患者というのはこれまでのいわゆる流行性感冒と同じだと思ったら間違いだということがこの写真で分かります。専門家の医者も、インフルエンザと思うと間違いですよということを警告をしております。
ですから、厚生省は十一月に行動計画を出しましたが、その行動計画の中でも、感染率二五%で三千二百万人が我が国で感染をする、最大六十四万人が死亡するというふうに
想定をしております。太平洋戦争で亡くなった民間人の数が八十万人でありますから、
厚生労働省が
想定している六十四万人というのは、これは我が国にとっても大変な事態だということが想像できるわけでございます。しかし、この六十四万人、三千二百万人は、もしかしたら
想定としては低いかもしれないという可能性があります。
そこで、二枚目の資料を見ていただきたいわけでございますが、日本は罹患率を二五%というふうに
想定をしております。アメリカは日本の
人口密度の十分の一でございます、それが三〇%。カナダは百分の一です、それが三五%と
想定をしています。感染率は
人口密度に比例して大きくなりますから、日本の十分の一、百分の一の国が日本よりも高い感染率を
想定しているのに、日本が二五%、これはちょっと合理性に欠けるんではなかろうかというふうに思います。
それから、もう
一つ客観的な
数字があるんですが、これまで人類を襲ったインフルエンザというのは一九一八年のスペイン風邪というのが最悪でございました。これは日本も襲われました。で、四十万人亡くなっています。先日の予算
委員会でこのときの感染率は幾らでしたかと伺ったら、
厚生労働の副
大臣は四二%というふうにお答えになりました。
ここでちょっと考えていただきたいんでございますが、スペイン風邪は弱毒性であります。したがって、感染率もその毒性も弱い、それが四二%でした。それからもう
一つ、当時の
人口は五千五百万人、今一億三千万でございます。
人口密度に比例をするとすると、今の通勤通学のラッシュというのは一九一八年当時とは全く比較にならないぐらい大変なことになっています。その現在が二五%で、どうして一九一八年の五千五百万のときに四二%行ったんでしょうか。これも合理性がないんではなかろうか。つまり、もっともっと感染率は本当は高いんじゃないかということが心配の
一つでございます。
ですから、国立感染研究所の情報センターがシミュレーションをしました、試算をしました。今の
人口密度で通常の通勤通学をしたら、今度のインフルエンザの感染率はどれぐらいになるかという試算をしました。最大で六六・四%でございます。日本の
人口の六六・四%が感染をして、致死率一〇%、とても計算もしたくないぐらい怖い
数字でございます。
それで、肝心なのは、じゃこの流行は一体、本当に来るんだろうか、来ないんだろうかということでございますが、これは専門の先生方もそれから
厚生労働省も一〇〇%来るというふうに認めています。いつ来るのか。鳥インフルエンザは世界じゅうに蔓延をしましたから、新型のインフルエンザのウイルスが現れるのはもう導火線に火が付いたと言われています。実は、今年の一月までは、この鳥インフルエンザのウイルスは鳥の体温四十二度で最も増殖をしていました。それが一月にトルコで感染をしました。そこで死んだ人のウイルスを検出したときには、三十六度で一番増殖するウイルスにもう変異をしています。つまり、ヒト型にもうそこまで近づいています。ナイジェリアでたくさんのインフルエンザが出たと言われています。あそこは内乱がありますので、WHOが満足なサーベイランスができていません。飢餓があるので、死んだ鳥をたくさん人が食べているそうであります。これはもう感染しているとしか思えないんでございます。
先月、先々月から、ドイツを始めとしてヨーロッパで飼い猫に感染したというニュースが広まっています。哺乳類に感染する数が増えれば増えるほど、このヒト型のウイルスが出てくる可能性が高くなります。ですから、ドイツでは飼い猫を外に出したらそれだけでも罰則だといって取締りを始めているぐらいでございます。
こういう中で
質問をさせていただきますけれ
ども、もう本当にこのヒト型が現れて、これが大流行期に入るというのは時間がないかもしれません。日本の国立感染症の先生、著名な方二人いらっしゃいますけれ
ども、一人は、一人出たら大流行期になるのは日にち
単位だとおっしゃっています。もう一人の方は、一週間から十日だと言われています。それで、この大流行期が来たらどうなるかと、いろんなことがあるんですけれ
ども、今日、
総務大臣がいらっしゃいますので、今財政再建一生懸命行われていますが、もし大流行期に入ったら、これは第一
生命の総合研究所の試算でありますけれ
ども、最初の一年でどれぐらい経済に被害があるかというと、GDPにして四・二%、額にして二十兆円が被害を受ける。つまり、今一生懸命やっている財政再建なんかはあっという間に飛んでしまうわけです。
ですから、できるだけ今のうちに被害を少なくするという対策を講じなければいけない。今、日本は
厚生労働省ですから、公衆衛生の分野でしか対策を練っていません。アメリカ、ヨーロッパは国家の危機対策として、大統領、総理
大臣が陣頭指揮でこの対策に乗り出しています。日本もそうすべきだと思います。
そこで、お尋ねをいたします。先ほ
ども言いました。真っ先に感染源と向き合うのは救急隊員、
消防隊員でございます。かつて一九一八年のスペイン風邪のときに、新聞にこういう記事が載っていました。上野駅に、東京で火葬に付すことができないので
地方で火葬にするためのひつぎが上野駅で埋まったそうでございます。この対策は東京都の行動計画は進んでいるんです。同じようなことが起きるかもしれない。今度どうするかというと、東京都の公園に穴を掘って埋めるというのが今の東京都の行動計画でございます。仮埋葬しよう。だけど、一体だれが埋めるんだ。まさか
消防隊員を使うとは思いませんが、そういうことも
想定をされているわけでございます。
それで、最初の
質問ですけれ
ども、今治療薬として最も効果があるというのはタミフルと言われています。しかし、このタミフルは予防薬としても効果があるんではないかというふうに見られています。ですから、各国の研究所の先生方が実験するときには予防薬として今タミフルを飲んでいるそうでございます。ですから、この流行期に入る前に、救急隊員、
消防隊員を守るために予防薬としてタミフルを各
消防署に備蓄されるようなお考えはないでしょうか。