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2006-03-29 第164回国会 参議院 総務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十九日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     神本美恵子君  三月二十九日     辞任         補欠選任      二之湯 智君     岡田 直樹君      神本美恵子君     那谷屋正義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        人事院事務総局        職員福祉局長   吉田 耕三君        人事院事務総局        人材局長     鈴木 明裕君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君    参考人        地方公務員災害        補償基金理事長  杉原 正純君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○通勤範囲改定等のための国家公務員災害補  償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  通勤範囲改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君、人事院事務総局人材局長鈴木明裕君、総務省人事恩給局長戸谷好秀君及び総務省自治行政局公務員部長小笠原倫明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  通勤範囲改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会地方公務員災害補償基金理事長杉原正純君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 通勤範囲改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  三月といいますと、いわゆる一つ年度の終わりということで、民間においても様々大変お忙しいだろうと思いますし、私が前、教職員でありましたけれども、学校でもいろいろとそのまとめをする段階、そして次の年度への準備、さらにはその計画に向けていろいろと大変忙しい中、国会も本当に同じような形で、私もこの二週間で五回ほど質問に立たしていただいておりますが、竹中大臣に至ってはそんなのまだまだ序の口よというふうに言われるかもしれませんが、しかし最後まで是非お付き合いをいただきたいというふうに思います。  ただいま議題となりました通勤範囲改定等のための国公災害補償法及び地公災害補償法改正案にかかわる諸課題について、竹中総務大臣並びに佐藤人事院総裁にお聞きをいたします。  最近の公務員を取り巻く環境を見ると、度重なる公務員バッシング給与の引下げ等々、様々勤務条件、服務の規則などますます厳しくなる中で、この災害補償制度職員やその家族にとっていかに重要であるかということ。特に、不幸にも職員が亡くなった場合には、その遺家族方たちにとってはこの災害補償制度というものが本当に有り難い、そしてこれからの人生に向けて勇気付けられる制度であるということはもう御承知だというふうに思います。  そういう中で、まず、人事院は昨年の三月の三十日及び十月十八日に、国会及び内閣に対して、それぞれ国家公務員災害補償法改正に関する意見申出を行っているわけでありますが、その趣旨及び概要はどのようなものであったのか、お願いいたします。
  8. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 先般私どもが行いました意見申出趣旨概要についてのお尋ねでございますけれども、まず三月三十日の申出についてでございますけれども、これは通勤災害補償制度における通勤範囲拡大がその趣旨でございます。  具体的に申し上げますと、まず第一点目といたしまして、これまで住居勤務場所との間の往復がいわゆる通勤ということになっておりましたけれども、これに加えまして、兼業を許可された職員が、その兼業先から本来の勤務場所、これは官署でございますけれども、そこに移動する間を通勤に加えるということ。それから二点目といたしまして、単身赴任者の場合でございますけれども単身赴任先住居から実家へ帰省する間の移動、それから帰省先から単身赴任先住居移動する場合、これも通勤範囲に加えるということでございます。  それから、十月十八日に行った意見申出でございますけれども、これは障害程度を決める障害等級表に関してでございます。これは、国家公務員の場合、現在国家公務員災害補償法の別表として掲げられております。これを人事院規則に移しまして、例えば労災保険でこの障害程度が変更された場合、それに機動的に対応できるようにしたいということが十月十八日に行った申出趣旨でございます。
  9. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 様々勤務形態多様化をしていく、そんな中でのニーズにこたえたものではないかというふうに思うわけでありますが、しかしその意見申出後、この法案国会提出までにかなり時間が掛かっている。五か月以上たっているわけでありますが、それは一体どういう理由なのか、お尋ねをいたします。
  10. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 手続関係でございますので、私の方から御報告申します。  今回の法律案の基礎となる意見申出、先ほどございましたように、労災制度改正の動向を踏まえて、昨年三月、十月にいただいております。ただ、人事院意見申出一般職国家公務員に係るものでございますので、国会職員とか裁判所職員、あるいは防衛庁職員といった特別職職員につきましても検討が必要であるというような状況になるわけでございます。  今回の意見申出でございますが、先ほど御説明ございましたように、国家公務員災害補償の基本にかかわる重要な内容を含んでいるということでございますので、特別職国家公務員に係る関係機関との調整、必要な検討を行ったと。あるいは、国の制度との権衡を図ることとなっております地方公務員災害補償法につきましても所要の検討を行ってきたところでございまして、今回、国及び地方を併せた法案という形で提出させていただいているものでございます。
  11. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 二回目の報告の十月十八日といいますと、昨年はまだ特別国会会期中でありまして、国家公務員給与法案等についてもその会期中に決まっているということで、こうしたことはできるだけ早い方が本当はいいのではないかなという思いをここで申し上げておきたいというふうに思います。  今回の通勤災害保護制度通勤範囲拡大にかかわる意見申出は、労災保険制度においては、既に今お話がありましたように改正法が成立しておるわけでありますけれども、それと同様の改正内容なのかどうか。違うとすれば、どこが違っているのか、あるいはまたそれはなぜか、そうしたことについてお答えをいただきたいと思います。
  12. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) お答えを申し上げます。  国家公務員災害補償制度は、民間災害補償制度であります労災保険制度と均衡を失わないように考慮すべきものというふうに法律で定められておりまして、今回の意見申出内容は、労災保険制度における通勤災害範囲改定と、次の点以外は同様のものとなっております。  具体的に申し上げますと、労災保険の方と国公災の方と違っている点と申しますのは、複数就業者就業場所から勤務場所への移動通勤とするかどうかという取扱いのうち、いわゆる違法兼業の場合の取扱いでございます。これは、一般職国家公務員につきましては、兼業について法令規制がなされておりまして、これに違反して兼業している場合には、そのようなその就業場所にいること自体が不適切であるということになりまして、その不適切な場所通勤の始点として評価するということは適当でないというふうに考えまして、違法兼業先から官署への移動は保護すべき通勤対象としないということにいたした次第でございます。
  13. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 国家公務員の場合、そうした身分ということの中で一定の制限はあるということかというふうに思います。  また、同じように、地方公務員災害補償についても今回は、今、国家公務員お話されましたけれども、それと同様、労災保険制度と異なる取扱いをすることになるのかどうかもお願いいたします。
  14. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 地方公務員災害補償制度でございますが、これは地方公務員法におきまして、「国の制度との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」と、こういうふうにされております。  地方公務員の場合も、地方公務員法等による兼業について法令上の規制が課されておりますので、これに違反している場合には、国家公務員災害補償制度と同様に、違法な兼業先から公署への移動は保護すべき通勤対象とはしない、この点について労災保険と異なる取扱いになっております。
  15. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ここ十年間の公務災害発生件数通勤災害を含めてでありますけれども、それはどのように推移をしているのか。また、公務上のものと通勤によるものとを分けて見た場合に、この十年間で通勤災害の占める割合はどのように変動しているのか、お願いいたします。
  16. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 一番新しいデータまでで申し上げますと、平成年度から十六年度までの十年間のうち、平成年度から十五年までの九年間はおおむね年間一万五千件から一万六千件の幅の中で、平均的に申しますと大体一万五千五百件ぐらいの件数推移してきております。しかしながら、平成十六年度は、国立大学法人化等により国家公務員災害補償法適用される職員数が減少したことに伴いまして、それまでの平均件数に比べて約二千件ほど減少して一万三千四百十七件というふうになっております。  なお、補償法適用職員数に対する災害発生割合という観点で見ますと、平成十六年度も含めまして各年度とも一・四%前後で推移しておりまして、その発生割合というところに大きな変化は認められないというふうに考えております。  また、公務災害通勤災害合計件数に占めます通勤災害件数割合につきましては、平成年度から平成十二年度までの間はおおむね一一%台でございましたが、平成十三年度以降は一二%台となりまして、さらに、平成十六年度は一三・五%というふうに若干増加しております。これは、平成十三年度以降の非公務員化等の動きに伴いまして補償法適用対象職員等変化が生じていることが影響しているものというふうに考えております。
  17. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ここ十年間でそれほど大きな変化はない、まあ母数母体数変化によって少し数値が変化をしているという、そういうことで理解をしたいというふうに思います。  給与法適用職員単身赴任者数推移について、人事院の方から入手した資料によれば、単身赴任手当が創設された一九九〇年のときが一万五千六百二十人、その後、増加し続けており、二〇〇三年には二万五千四十六人となっています。二〇〇四年以降は、今お話がありました国立大学法人化によって給与法適用が除外された関係でやや減少しているわけでありますが、社会全体の趨勢を見れば今後とも増加するものと考えられるところであります。  家族と別れての単身赴任生活は、幾ら単身赴任手当で補てんしても、あるいは今回の改正法案のように災害補償制度拡大すればそれで済むというわけではないというふうに思われます。そもそも、単身赴任職員に及ぼす影響や、それらの者の健康管理対応について、人事院はどのように日ごろ考えていらっしゃるのか、また具体的に何か対策を行っているのか、お尋ねをいたします。
  18. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 単身赴任者につきましては、別居生活による精神的負担あるいは家庭への責任が果たせないということの悩み、あるいは家事等負担あるいは健康管理不安等様々な不安や負担があるというふうに言われております。  このうち、特にその二重生活に対する経済的な負担家族の元への帰宅旅費というような観点から、単身赴任手当を創設しているところでございます。  それ以外の問題につきましても、人事院では、家族と離れる精神的な負担に対する心身健康管理食生活等変化に伴う生活習慣病予防というような観点から、人事院地方事務局等におきまして、適宜、各府省単身赴任中の職員対象とした単身赴任者生活管理研究会というようなものを開催しております。その中では、着任した地域に早くなじめるような地域の紹介や、あるいは単身赴任経験者による体験談を示しまして意見交換を行うなどを行っております。これによって心身健康管理あるいは生活習慣病等予防食生活栄養管理等につきまして職員に周知をしていると。そして、実際に調理実習等も行って充実した生活が行えるように配慮してきております。  さらに、心の健康づくりという面からは、地方事務局等におきまして専門精神科先生等を配置して心の健康相談室というようなものも開設しております。  今後とも、単身赴任者心身健康管理充実に努めてまいるとともに、単身赴任者地方管理職員層を中心に多いという実情も見られますので、各府省に対しましても心身健康管理生活習慣病対策等実施されるように働き掛けてまいりたいと思っております。
  19. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 大変きめ細やかな御配慮がされているんだなということを改めてというか初めて知りまして、温かいところだなというふうに思いまして、しかし、そのことは皆さん御存じなのかどうかということが一番これ大事でありまして、やはり単身赴任される方々がそのことをしっかり知っている、もちろん自分で知るということも大事ですけれども、やはりふだんからそういうことが知らされているということが大変大事ではないかなというふうに思います。  じゃ、次に行きます。  最近、勧奨退職年齢の引上げに見られるように、公務員在職期間長期化推進が図られつつあるわけでありますが、これらの状況の中で公務員高齢となっても生き生きと健康的に働くためには、まずは職員健康維持管理災害発生防止策を積極的に講ずる必要があると考えます。人事院として何か行っているものがありましたらお願いします。
  20. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) お答え申し上げます。  職員健康管理という観点でございますが、平成十四年度実施国家公務員死因調査を見ますと、死因の第一位はがんでございます。それから、三位が心臓病、四位が脳卒中というふうになっておりまして、いわゆる三大生活習慣病が上位を占めております。したがいまして、高齢者健康管理として生活習慣病対策というものが重視されるところでございます。  このため人事院では、各府省において定期的な健康診断実施するように定めまして、早期発見早期治療を求めております。四十歳以上の職員で見ますと、約半数の者が人間ドックを毎年受診しまして、一般健康診断と合わせますと、例えば胸部エックス線検査はほぼ一〇〇%近い受診率となっております。こうした受診率向上のために、今後とも各府省への働き掛けを行っていきたいと考えております。また、受診の結果、何らかの異常が認められた者に対しましては保健指導実施というようなことをやっております。  このほか、肺がん関係あるとされる喫煙につきましても、事務室会議室禁煙等内容とする指針の発出などの対策推進をしております。また、肥満やアルコール、脳卒中等に係る予防情報の提供ということによりまして、生活習慣病予防対策推進にも努めております。  今後とも、高齢者健康管理としての健康診断受診生活習慣病の知識の普及等に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、災害発生という観点から見ますと、一年間の災害による在職者千人当たり休業四日以上の死傷者数というのは、民間が二・六というのに対しまして公務は〇・六二と低く、また、年齢的に見まして特に高齢層災害が多いという傾向は認められません。  国家公務員安全管理につきましては、人事院規則等の定めるところに従いまして、危険作業に対する災害防止措置危険設備等使用制限及び検査実施等について安全管理基準の設定を行うなどの措置を講じております。特に近年では、各府省安全管理責任者等に対しまして、公務における災害の現状と事例を基にした防止策をお示しして安全対策の徹底を図るなど、安全管理対策充実に努めております。
  21. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 健康維持管理という意味で定期的健康診断などが行われているということでありますけれども、そうしたことの充実を、更に充実をしていただくことが大事かなというふうに思います。  今お話しされたほかに、最近特に、いわゆる精神疾患、メンタルヘルス問題や過労死問題が取りざたされているわけであります。これらは本当に勤務していたからそういうふうになったのかとか、あるいはその因果関係がなかなかはっきりしないということが多いわけでありますけれども、これらに対する対策をまずどのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  22. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 公務におきましては、精神及び行動障害によって一か月以上長期病休を行っている職員の数が、平成年度の千五十人から平成十三年度には千九百十二人に増えておりまして、傷病の別を見ますと、がんを抜いて一位になっております。この点から見ましても、公務における心の健康づくり対策が重大な問題であるというふうに認識いたしまして、各府省の支援のための対策を進めているところであります。  具体的には、平成十六年三月に、メンタルヘルス問題に対しまして、人事院、それから各府省人事当局、それから各職場の上司、それから各職員がそれぞれこういうメンタル問題に対してどういう行動を取っていったらいいのかと、それから、職員自身が、心が健康なとき、あるいは不健康なとき、回復したときのそれぞれの状況に応じた対策はどういうふうに取ればいいのかというようなものを盛り込んだ職員の心の健康づくりのための指針というものを発出しております。引き続いて、この指針を具体化するために、早期対応、それから治ったときの職場復帰等課題ごとにマニュアルを作成しまして、その内容を各府省職員普及を図っているところでございます。さらに、来年度は、円滑な職場復帰や再発の防止を図るために専門医を人事院に確保しまして、各府省で共同で活用していただくというようなことも考えております。  それから、平成十六年度に今先生御指摘のいわゆる過労死による公務災害として認定された事案は七件でございます。一般に、過労死の大きな原因として長時間勤務があるというふうに言われております。このため、公務においても超過勤務縮減等勤務環境の改善を進めることが重要でございまして、さらに、長時間勤務に該当する職員に対しましては、医師による面接指導平成十八年四月から各府省において実施することにいたしておりまして、今後とも、職場環境の整備、それから疲労の蓄積した職員への早期対応等を進めてまいりたいと考えております。
  23. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非、そうしたことをこれからも充実さしていただきたいと思います。  地方公務員災害、先ほどと違って地方公務員災害は、ここ十年間の公務災害発生件数、これも通勤災害を含めてでありますが、それはどのように推移をしているのか。また、公務上のものと通勤によるものと分けてみた場合に、この十年間で通勤災害の占める割合はどのように変動しているのか、お尋ねをいたします。
  24. 杉原正純

    参考人杉原正純君) お尋ね地方公務員に係ります公務災害通勤災害発生件数について申し上げますと、ここ十年で見ますと、発生件数が一番多かった年が平成十五年度の三万一千九百三十七件でございまして、また、一番少なかった年は平成十一年度の三万二百十七件となっておりまして、若干年によりまして変動はございますけれども、ほぼ三万一千件前後で横ばいの状態であろうかと思っております。  また、そのうち、通勤災害割合ということで申し上げますと、その割合が一番高うございましたのは平成年度の九・五%、また、一番低かったのは平成十一年度の八・二%ということになっておりまして、これも若干の変動は年によってございますけれども、八%ないし九%程度推移しているものというふうに分析いたしております。
  25. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 数の、件数の多い少ないという問題はあるかもしれませんが、いずれにしても、ここ十年間の中での推移というのは余り大きな変化ではないというふうに今お答えいただいたのかなというふうに思います。  労災の場合に、労災保険範囲内で災害補償を行うとともに、災害防止施策等をも行っております。地方公務員災害補償基金においても、労災保険と同じように災害防止対策などを行っているというふうに伺っております。現在の施策内容及び労働安全衛生等維持向上のためにどのような拡充強化策が講じられてきたのか、お尋ねをいたします。
  26. 杉原正純

    参考人杉原正純君) 現在、私ども地方公務員災害補償基金におきましては、お話しの公務災害防止事業といたしまして三つくらいのジャンルに分けて実施しておりますけれども一つは、公務災害防止に関します研修会といったようなものを開催いたしたりする活動を行っております団体に対しまして援助を行っております。それから、二番目のジャンルといたしましては、公務災害防止対策につきましての情報収集、発生原因の調査分析、あるいは防止対策の研究、策定といったような調査研究事業を行っております。三つ目のジャンルとしましては、こうした調査研究の言わば成果を普及しながら公務災害防止対策を更に推進していくような措置というようなことを実施いたしておるわけでございます。  当基金では、これらの公務災害防止事業平成年度から実施をいたしてまいりまして、これまで逐次事業費を増額して実施事業の件数も増やすなど、適宜拡充してきたところでございます。特に、近年におきましては、先ほど国家公務員についてもお話がございましたように、精神疾患対応しますメンタルヘルス対策といった関係の方策が大事だというようなことで、こういった面の公務災害防止事業に重点的に取り組んでいるというところでございます。  また、それまでは基金本部の、言わば直接やってまいったわけでございますが、それに加えまして、平成年度からは、各基金の支部が六十ほどございますけれども、これらの支部にも必要な事業費を配分いたしまして、それぞれの支部の実態に適応した事業を例えば任命権者などと一緒に行えるような、そういうようなことを図ってまいっておるところでございます。
  27. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 地方公務員災害補償基金が置かれている現下の厳しい財政状況にかんがみるならば、これは財政収支の均衡を図るために、本年四月から地方関係団体の負担金は四・六%引き上げられるというふうになっていますけれども、それらを充実強化を図る緊要性が増すばかりの災害防止対策が、結果的に手薄になることを心配をしているところでありまして、しかし、使用者が労働安全衛生等の確保のために総力を挙げることが、結果的には、費用対効果の面でも、有為なマンパワーの損耗等を防ぐ意味でも、最も効果的な手法であるというふうに考えるわけであります。  今、お手元に資料を配らせていただいたところでございますので、ごらんいただけたらと思います。  防止事業費と支出額に占める防止事業費の割合のところは強調する意味で一応配色をしてございます。なお、支出額に占める給付費の割合とそれから支出額に占める防止事業費の割合を足すと、ぴったり一〇〇にならない状況になっておりますけれども、これの部分については主に事務運営費と人件費だというふうに聞いております。  ここからもお分かりのように、かかる災害防止事業に回っている支出が十分であるかどうか、望まれている在り方等も含めてしっかりと議論を深めていく必要があるんではないかと考えます。今後、望まれる公務災害防止事業の拡充強化等に向けた地方公務員災害補償基金としての具体的決意を是非お示しをいただきたいと思います。
  28. 杉原正純

    参考人杉原正純君) 正に委員御指摘ございましたように、私どもは本来、実際に災害発生した後の事後措置をやっているわけでございますけれども、それでなくて、まずはできるだけ災害発生そのものを防ぐ、万一発生してもできるだけ軽度で済む、これが大事なことであろうと。言わば予防が最大の方策であるという認識を持っておることは共通の認識であると御理解いただきたいと思いますが、そのためにやっぱり公務災害防止事業実施するということは、お説のとおり、大変効果的な手法であると認識いたしております。  このため、基金におきましては、先ほども申し上げましたように、これまで必要に応じた各種の公務災害防止事業実施してまいりましたし、また必ずしも十分ではございませんかもしれませんが、その事業費も逐次拡充し、事業数も増やすなど内容充実さしてまいったところでございます。  また、四月から始まります平成十八年度当基金の予算でございますけれども、当基金の予算におきましては、公務災害防止事業につきまして一億七千万円余を予算的には計上いたしておりまして、メンタルヘルスに係ります調査研究事業などの四事業を新たに追加するなどいたしまして、更なる公務災害防止事業実施してまいりたいというふうに思っております。  今後とも、任命権者の行います労働安全衛生の施策と相まちまして、適時適切にできるだけ効果的な公務災害防止事業推進に基金としても努力してまいりたいと思っております。
  29. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 先ほどの資料につきましても、その数の大きさ云々はありますけれども、しかし着実にその支出額に占める防止事業費の割合が増えているということからも、私の方の質問の趣旨等々に沿っていらっしゃるのかなというふうな理解をして、今後とも是非その取組を強めていただけたらということをお願いしておきたいというふうに思います。  人事院は、休憩・休息問題については、先般、休息時間を廃止することとしたと聞いております。表に出せないような形での言わば非正規の休息時間にかかわる勤務時間の管理を厳密に行うのは理解できるわけでありますけれども、しかし、そうであれば、公務員の使用者たる立場にある総務省は、公務員過労死問題等に対応するためにも、超勤時間の縮減について実効性が期待できる具体策を掲げた上で各府省に徹底させるよう指導すべきではないかと考えるところでありますけれども、その決意を是非お願いしたいと思います。  なお、昨年の本委員会超過勤務解消策を総務省にただした際の答弁では、各府省との連絡を密にする、パンフレット配付で周知を図るなどという、まあ言ってみれば相手任せの、申し訳ないけれども、頼りない、大変頼りない内容でございました。  今回は二度目の質問ということもありまして、しっかりと腰を据えた答弁を強く求めるところであります。
  30. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 那谷屋委員から、しっかりと答弁しろという御指摘をいただきましたが、労働時間管理の厳格化、これは休息時間等の問題でやる。当然のことながら、一方で、超過勤務についてもそれなりにしっかりやらなきゃいけないという思いは私たちも強く持っております。  超過勤務、それに基づく過労の問題等々、これは働く立場の方々にとってもう本当に深刻な問題でありますし、実は我々使用者の側から、総務省、使用者の側から見ても、やはり公務能率をちゃんと維持するためには、そんな夜むちゃくちゃ遅くまでやっていたら、昼間やっぱりそれは能率下がるわけです。職員の健康が保持されないと、全体としての、使用者としての何か効率が落ちます。人材の確保もできなくなります。これは我々にとっても深刻な問題であるという認識は強く持っております。政府としては、国家公務員の労働時間短縮対策というのを平成四年からつくっているんですが、十五年にこれを改正して取組を進めております。  一方で、効率の良い小さな政府の実現ということを言っていますから、そのためにもやっぱり働いておられる方一人一人にしっかりと良い環境で、良いコンディションで働いていただかなきゃいけない、そういうことだと思います。幹部職員がコスト意識を持って職員のいわゆる勤務時間の管理に当たることを実現するように、一体となって取り組んでいただきたいと思います。  その十五年に決められた見直しの中では、例えばですけれども、月、金と休日を合わせた連続休暇の促進、ハッピーマンデー、ハッピーフライデーとか、超過勤務縮減キャンペーンの拡充をやろうとか、幾つかのアイデアがありますので、そこはやっぱり、それ一つ一つを丁寧に、なかなか打ち出の小づちもありませんので、丁寧に実現していく、エンフォースメントが大事だと思っていますので、そこは総務省としては是非しっかりとやってまいりたいと思います。
  31. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 認識は本当に同じものを持っているなということを、今改めてといいますか、私の方も理解をさしていただいて、やっぱり問題は具体的に何をするかというところではないかというふうに思います。今、ハッピーマンデー、ハッピーフライデーというような、標語じゃないんですけれども、そういった形の中でということもありました。さらに、例えば、これはまあ余りお行儀のいい方法ではないかもしれませんが、例えば超勤ワースト省庁とかそういう形でちょっと公表してみるとか、これがいいかどうかは別としてですね、そういうふうな方法で。  例えば今民主党が、これちょっと話違いますけれども、民主党が出しているいわゆる防止、地震の耐震診断をした結果、その校舎に、それに耐え得る、耐震化されているとかいないとかというそういったものを、校舎、市民から見てそれが分かるような形で公表しろというようなことを、そういうことを一応提案さしていただいているんですが、そういったことがいろんな場で、いいか悪いかというのはあるかもしれませんけれども是非そういうふうな、もう一工夫というよりももう一踏ん張り、総務省のリーダーシップをここで発揮していただきたいというふうに思うところであります。  次に、現在、少子高齢社会が深刻な問題となっている中で、育児、介護と職業生活との両立を図ることがますます重要になってきております。その方策の一つとして、短時間勤務制度の導入が望まれているところでもあります。人事院は、昨年の給与勧告の際の報告の中で、育児、介護を行う職員の短時間勤務について、検討を進め、成案を得ると述べておられるわけですけれども、その後の検討状況はどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  32. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 仕事と家庭生活の両立支援を進めていくことが少子化対策にとって重要でありまして、昨年六月のいわゆる骨太二〇〇五や、十二月の男女共同参画基本計画でも、職業生活と家庭生活の両立支援を図るため、環境整備の一環として、公務員について常勤職員の短時間勤務制度を導入すること等について閣議決定をされているというふうに承知しております。  人事院といたしましても、従来から職員健康管理、少子高齢化への対応というような観点から職員の仕事と家庭の両立支援策の充実を図ってまいりましたが、その方策の一つとして、昨年の給与勧告の際の報告で、育児・介護を行う職員が、職務から完全に離れることなく子育てや介護ができるような環境の一層の整備を図るために、常勤職員のまま短時間勤務をすることを認める短時間勤務制を導入するということを言及したところでございます。  短時間勤務制を実効あらしめるためには、職員が育児等のため一定期間短時間勤務を選択した場合に、その欠けた勤務時間を埋めるための後補充の仕組みということも整備していく必要がございます。こういった点も含めまして、今年の夏にその骨格を示せるよう現在関係者の意見も聞きながら検討を鋭意進めているところでございます。
  33. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 確かに短時間勤務になると、しかし業務はそのまま引き続き行われなきゃいけないということの中で、その後補充という問題。そして、その後補充をどういうふうな形で補っていくかというのは本当に難しい問題ではあるかというふうに思いますが、是非、家庭と仕事を両立する、そういう意味でも、また子育ても両立するという意味で、是非早急に結論を出していただけると有り難いというふうに思います。  最近、公務員型の特定独立法人の非特定独立法人化の動きが多く見受けられるわけでありますけれども国家公務員であった時代の災害により補償を受けている者が国家公務員でなくなった場合の補償はどういうふうになるのか、また、非特定独立法人になった後に国家公務員時代に災害を受けていたことが判明していたときの補償はどのようになるのか、よろしくお願いいたします。
  34. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 国家公務員災害補償法では、補償を受ける権利は、職員が離職した場合においても、そのことによってその権利が消滅あるいは減縮することはないというふうに定めております。これは、在職中に補償を受けていた職員が離職しても、引き続き補償事由が存する限り補償を受けることができるということを意味しております。  それから同時に、離職後に初めて離職前の公務上の事由が原因で発病をした場合であっても、そのことが公務あるいは通勤に起因する限りにおきましては、国家公務員災害補償法の補償の対象になるということでございます。  この国家公務員災害補償法の規定は、勤務先の機関がそれまで国の機関であったものが非特定独法となって職員公務員の身分を失った場合にも適用されるということでございます。したがいまして、国家公務員時代の災害により補償を受けている職員は非公務員化後も引き続き当該補償を受けることができるとともに、非公務員化後に国家公務員時代に災害を受けていたことが明らかになった場合にも、その災害に係る国家公務員災害補償を受けることができるという規定になっております。  ただ、これらの者の災害補償実施に当たりましては、これまで補償の実施を行ってきた実施機関、これは当該特定独立行政法人であるわけですが、その当該特定独立行政法人が非特定独立行政法人になったことによりまして実施機関でなくなるということになります。  そこで、いずれかの機関を補償の実施機関にする必要があるわけですけれども、非特定独立行政法人となる前の特定独立行政法人の事務を実質的に承継するにふさわしい機関として、その法人を監督していた主務官庁等を人事院規則で指定をして、それらの者の補償を実施させているというところでございます。
  35. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 まあこうしたケースというのは本当に種々様々あるというふうに思いますし、そのケースごとに、この制度の元々の趣旨というものにいつも立ち返っていただく中で、是非そうした災害に遭われた方たちにとって不利益のないようによろしくお願いしたいというふうに思います。  人事院は最近、二十数年ぶりに災害補償制度研究会を設置したというふうに伺っておりますが、その趣旨、目的は何か、具体的には何を研究、検討することとしているのか、お願いいたします。
  36. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) お答え申し上げます。  最近の国家公務員災害補償の動きを見てまいりますと幾つか気になる点がございます。まだ問題は必ずしも顕在化しているわけではございませんけれども、近い将来にも顕在化するのではないかというふうに私ども考えております。  具体的に申し上げますと、一つは、脳・心臓疾患、それから精神疾患等が増えているということがございます。これは、御承知のように、これは公務災害として認定する場合、大変難しい問題を含んでおります。それから精神疾患においては、そもそも発症自体をどう確認するかということが大変困難であろうかと思います。こういう疾患に対しての認定の体制というのはしっかり取れているのかどうか。  それから、今回の法案改正でもお願いしておりますように、通勤範囲が広がったということによりまして、職場の外での災害がこれから増えてくるんではないかと。遠方で起きた災害についてきちんとした対応が取れるのかどうか。これが二点目でございます。  それからもう一点目でございますけれども地方公務員の場合は災害を受けた職員からの請求主義を取っておりますけれども国家公務員の場合は使用者たる各府省が自らが災害を探知し、それが公務災害であるかどうかを認定し、それから補償を決定して、補償を受けるべき職員に対してそれを通知するという義務を負っております。ところが、最近大変定員事情が厳しいこともございまして、担当者の育成と、それから適正な配置というのが非常に困難になっております。それから、災害自体が非常に偶発的でございますので、ある担当者をその災害担当のポストに常駐させておくということもなかなかこれは難しい問題を含んでいるわけでございまして、こういう問題がございますので、今回研究会を設置いたしまして、今申し上げた問題を含めて災害補償制度の運用、運営面で問題はないかどうか幅広く御検討をいただいて、人事院といたしましても十分な対策を取っていきたいと考えている次第でございます。
  37. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございました。  確かに、今言われた脳ですとか心臓あるいは精神疾患というものが、正にその労務というか、その仕事に起因するものなのかどうかということを判定するのがやはり一番難しいんだろうというふうに思います。  私の知っている人の中で、これは民間の病院で警備をしていた人だったんですけれども、元々心臓を患っていて薬を飲んでいた人ではあったんです。しかし、そのときに急患が出て、そしてその急患を車に運び入れるのに、自分が勤務に就いたその途端にそういう事件が起こったために、何というか心の準備もできないままその人を車に担ぎ込んでいった。車に入れた瞬間にその人がそのままふうっと倒れて命を落としてしまったというような、そういうような例があります。この場合は一体、本当に公務災害対象になるのかどうなのか、まあ公務といいますか公務災害になるのかどうかというような問題ですとか、あるいは今本当に増えつつあるメンタル的なものが正にその仕事に、勤務に起因するものなのかどうかということは確かに難しいところだというふうに思うわけでありますが、こうした公務災害補償制度は、質問の冒頭にもお話ししましたように、最近の公務員バッシングや、ここ数年続いております給与の引下げ、あるいはまた、あれをしてはいけない、これをしてはいけないといった多くの制約などのために、日々職務に精励している多くの公務員の皆さんの士気の低下が懸念される中にあって、唯一と言っていいほど、唯一と言っていいほど職員の社会復帰やその家族生活の安定を図るための極めて大事かつ有意義な制度であります。  公務災害補償実施の総括的責任を有する人事院公務員全体の使用者たる立場にある総務省、それに地方公務員の補償の実施運営に携わる地方公務員災害補償基金は、各々職掌において公務災害補償法の立法趣旨、目的を改めて十分認識していただく必要があることを改めてここで申し上げておきたいと思います。  各職員の士気の高揚、その家族の福祉の向上のみならず、ひいては公務全体の円滑な運営のため、そしてその結果、やはり国民、市民により良い公共サービスが提供できるという、そういう観点から、今後より一層公正かつ迅速な災害補償認定、この災害補償認定、すごい時間掛かるわけでありますけれども、この災害補償認定を迅速に、そして公正に及び各種補償の実施に当たることを強く要請をいたしまして、若干といいますか、十分ほど早いわけでありますけれども、大変今日はいいお答えをいただきましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  38. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  この通勤拡大のための国、地方公務員災害補償法改正案、これに対して、公務員を保護するものでありますので、私は賛成いたします。  現在、小泉内閣のいわゆる構造改革は、公務員を減らせば改革であるかのような錯覚を振りまいて世論を誤導していると言わざるを得ません。しかし、麻生前総務大臣も繰り返し答弁しておられましたが、日本の公務員数はヨーロッパなどの諸外国に比べても格段に少ないわけです。  で、行革による公務員の削減などで職場環境はより厳しくなっています。公務員職場では長時間過密労働が広がって、公務員は肉体的、精神的ストレスを蓄積させて健康が脅かされています。私が埼玉県を調査いたしましたところ、ある市では、国保の窓口の職員が国の政策と住民の要求との板挟みになって、次々に自律神経失調症になる、こういう例も報告されました。  そこで聞きますが、国家公務員地方公務員公務災害通勤災害、二〇〇四年度でどれだけ認定されているか。また、それぞれ在職死亡は何名か、数字をお聞かせいただきたいと思います。
  39. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 国家公務員における平成十六年度公務災害及び通勤災害と認定された件数は一万三千四百十七件で、そのうち公務災害は一万千六百四件、通勤災害は千八百十三件となっております。それから、国家公務員の在職中の死亡者数でありますけれども一般職国家公務員平成十六年の在職中の死亡者数は六百五十一人でございます。この中には、一般職ということでございますので、国営企業、特定独法、日本郵政公社を含んでおります。
  40. 吉川春子

    ○吉川春子君 死亡災害が二十二件あり、自殺者が百二十二人おり、長期病休者は〇一年で六千五百九十一人という数字ですよね。で、地方公務員もそうですけれども。  それで、国家公務員長期病休者の中で精神行動障害が増えてきているのではありませんか。地方公務員の場合でもそうだと思いますが、数字をお知らせいただきたいと思います。
  41. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 精神及び行動障害による長期病休者の実態でございますが、平成年度が九百十四人、平成年度が千五十人、それから平成十三年度には千九百十二人というふうに増えておりまして、比率で申しますと、長期病休者のうち、平成三年が一一・四%、八年が一四・九%、十三年度が二九・〇%となっております。
  42. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 地方公務員長期病休者の状況につきましては、財団法人の地方公務員安全衛生推進協会というところが調査しております。  これにつきましては全数調査がございませんで、都道府県、政令指定市及び任意の抽出の市町村ということを対象に行っています。それを前提にして申し上げますと、この調査によりますと、長期病休者のうち精神及び行動障害を原因とする者の数は、平成年度の場合でいきますと、一九九五年度でございますが、は千八百五十九人、直近の平成十六年度、二〇〇四年度につきましては五千五百三十四人となっております。
  43. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣にお伺いしたいんですけれども精神行動障害、こういう公務や職業生活に起因するストレスの増大が大きな背景となっていると思います。公務員のメンタルヘルス対策は、本人や家族はもちろん、職場、家庭においても社会においても重要な課題になっているのではないでしょうか。急増している下で抜本的な対策が必要だと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  44. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) まさしくストレス社会という言葉があるように、社会全体でこのメンタルヘルスのケアに取り組むことの重要性というのは本当に高まっていると思います。その中で、今日、今お取り上げいただいている公務員についても、まさしくそのような問題意識が必要だと思っております。  職員心身の健康を確保するということは、これは、先ほどと同じですけれども、使用者の側からいっても、もちろん御本人にとって重要ですけれども、使用者からいっても、勤務能率を増進する、そして活力ある行政を行うという意味で重要でございます。こういう観点から、国家公務員については、こういう心の健康づくりにつきましては、国家公務員福利厚生基本計画というのがございます。そうした基本計画等において幾つかの施策を推進しているところでございます。  例えば、職員一人一人の心の健康の保持増進、そういったことを周知するためのパンフレットをしっかりと作って配付する。心が不健康な状態にある職員への早期の対応、これは窓口、そして電話相談の開設等々。そして、円滑な職場復帰の支援、さらには再発防止、これは医師等と職場家族との連携を図る、先ほども御議論いただいた勤務時間の短縮、職務内容の変更等々、そういう項目がございます。そして、体系的な教育の実施、これはカウンセラー、研修会等々でございますけれども、そういったことを先ほど言いました福利厚生基本計画に基づいて推進をしているところでございます。  地方公務員の心の健康づくりについても、同様に、各地方公共団体が策定しております健康管理計画等々において同様の取組を推進している。  しかし、ますますストレスが高まっておりますから、今後とも、これらの取組を進めるということとともに、更なるいろんな形での心の健康づくりの施策を着実に増進していかなければいけないと考えております。
  45. 吉川春子

    ○吉川春子君 地方公務員災害補償基金審査期間について聞きます。  申請手続に至る準備、支部審査、本部協議、支部審査、本部審査会など、非災害性の認定に要する期間が数年に及ぶことも少なくありません。これでは救済機関としての役割を果たしていないと思います。被災者の救済という基金の役割からいっても、迅速、公平、公正な公務災害認定が必要です。基金の本部協議とされた事案について、処理期間の標準はどの程度と考えていらっしゃいますか。
  46. 杉原正純

    参考人杉原正純君) 迅速な処理ということが最も大事な対応であるというふうに認識いたしまして、最近におきまして特に力を入れているわけでございます。  今お話は、本部協議におきます処理期間をどう考えているかというお尋ねでございましょうか。  本部協議事案とされておりますのは、脳・心臓疾患事案あるいは精神疾患事案等のいわゆる疾病事案の中でも特に大変複雑困難、判定がなかなか困難な案件が多うございます。いろいろ個別具体的な職員の業務内容でございますとか業務環境を調べましたり、あるいは家庭その他の私的な状況等の詳細な調査も必要でございますし、また十分な複数の医学的な判断なども求めたりする必要がございますので、事案のその複雑さ、難易度がそれぞれございますものですから、一律にどれだけの期間というふうに処理期間を設定することにはなじみにくいというふうに考えております。  さはさりながら、認定事務の遅れといいますのは、これは請求者に不利益を与えるばかりではなく、諸資料が散逸するというようなこともございますと適正な認定事務に支障を来してまいる問題も発生するわけでございますので、先ほど申しましたように、基金としましてできるだけ早期に事務処理できるような体制整備が重要だと認識しておりまして、今申しましたような標準処理期間というのは、特に本部協議の案件につきましては設けておりませんけれども、当面の目標といたしましては、本部における処理につきましてはおおむね一年以内ということを努力目標として認定事務の迅速化に努めております。  同様に、支部におきましても平素から事案処理の進行管理に十分注意して、実際に調査などを担当する任命権者あるいは所属部局に対しましても、事前にいろんな研修を行うなどして問題意識を高めていただきまして、担当者の言わばパワーアップといいますか、能力・知識向上をも図るというようなことで迅速な処理に努めるということに努力しているわけでございます。  本部協議事案につきまして、ちなみに平成十六年度で申しますと、一年以内に処理いたしました案件が全体の約三分の二、六三・三六%でございましたが、平成十七年度、これは昨年の十二月までの九か月間でございますけれども平成十七年度はこれが八一・三%と、ある程度は迅速化が図られていると思っておりますけれども、今後とも、更に労災国公災状況を十分眺めながら、更なる迅速な処理に当たってまいりたいと、努めていこうというふうに努力しているところでございます。
  47. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が限られていますのでちょっと飛ばしますけれども、疲労性疾病の認定処理の長期化原因は本部協議の義務付け等にありました。疲労性疾病に対しても標準処理期間を設定するなど、迅速に判断を行うように改善しなければなりません。腰痛、頸肩腕症候群などについては本部協議の義務付けを廃止して支部で判断できるようにしたのではありませんか。
  48. 杉原正純

    参考人杉原正純君) 一般案件につきましては、もちろん言わば標準処理期間というのを各支部にもお願いをいたしましてできるだけそういうことで努めていただくようにしておりますが、大変困難案件につきましては、なかなか一律に処理期間を設けるというわけにはまいらないものですから、努力をするということでお許しをいただきたいと思いますけれども。  今ちょっとお話ございました腰痛あるいは頸肩腕症候群の本部協議という絡みでございますけれども、これらは当初からすべての事案を理事長に協議するという体制にはなっていないわけでございまして、その限りでは最近改正したというものでございませんが、ただ、これらも、実際支部として大変判断が困難であるというような場合、あるいは類似事例がどうなっているだろうかと、やはりその間の均衡、公正を図るという観点から当然本部にも相談が実際参ります。まずは、例えば電話で参ったり、あるいは今で言いますメールで来たりしますけれども、それだけでは十分分かりませんから、そうしますといろいろ資料を整えていただきまして、本部と支部の間で十分協議して適正な判断をしていくというような対応を取っているところでございます。
  49. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、本部協議の義務付けを廃止していると、前から、ということですね。ちょっと確認だけで結構です。
  50. 杉原正純

    参考人杉原正純君) すべての案件を本部協議にするという義務付けではございません。困難案件とかいうことでございましたり、あるいは向こうから相談したいということは当然ございますから、それは十分相談するということでございます。
  51. 吉川春子

    ○吉川春子君 資料を私お配りしましたが、時間がなくなりました。  資料一は地方公務員過労死、過労自殺の公務上の認定の件数なんですけれども、見ていただきますと、二〇〇二年、二〇〇四年と比較しますと、非常に自殺の件数が増えていると、そういう資料です。もう一点の方は、地方公務員災害補償基金が被告となった行政訴訟の敗訴件数なんですけれども、時間の関係で私の方が申し上げてしまいますが、これは災害補償基金が敗訴したのが四割に及んでいるんですね。つまり、基準をもっと広げて的確に判断すれば、公務員の方が裁判に訴えなくても、裁判というお金もエネルギーも掛かると、そういう時間も掛かるところに訴えなくても四割の人は救われているんじゃないかという、こういう資料をお渡しいたしましたが、最後に大臣、お伺いしますけれども是非認定の基準を広げていただいて、わざわざ労働者の方が裁判に訴えて、裁判で勝たなければお金が下りないなどと、認定されないなどということがないように是非改善をしていただきたいと思います。その点をお伺いして、終わりたいと思います。
  52. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 大変重要な数字を挙げていただいていると思います。  基金としては当然、非常に一生懸命中立的な立場でお仕事はしてくださっていると思います。ただ、やはりせっぱ詰まって裁判まで起こさなければいけないということは、それはそれでやはり大変な御事情だろうということは我々も十分に理解しなければいけないと思っております。引き続き、基金におかれては、そういう責任の大きさをしっかりと御自覚いただいて、中立的な立場で真摯に御対応いただきたいというふうに思っております。
  53. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。     ─────────────
  54. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、二之湯智君が委員辞任され、その補欠として岡田直樹君が選任されました。     ─────────────
  55. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  本論に入る前に、人事院総裁お見えですから、一つ意見を申し上げておきたいと思います。  私は、十四日のこの委員会で、今の官民の賃金引下げ競争、賃金デフレスパイラルをどういうふうに思うか、こういうふうにお聞きをしました。そのとき総裁は、この春の民間の賃上げには期待をする、このようなことを御答弁なさったと思います。  しかし、聞くところによりますと、二十日の日に人事院の研究会で官民給与の比較方法の変更案が出されたというふうに聞きます。これは政府・与党の要求であるとか、一部のマスコミの論調に追随をして人事院の権能放棄、低賃金化に手をかすことになるんではないのかと私は危惧をいたします。  この件はまだ流動的だというふうにお聞きしますから今日は質問いたしませんけれども人事院民間給与実態調査というのは、公務員労働者の労働基本権剥奪の代償として行う以上、労働者側の同意性も重視をしながら、長年の検討の上に確立をしてきた同種同規模の民間職場の正社員を対象とした比較方法に基づいて行われるべきものだろう、このように思います。くれぐれも将来に禍根を残さぬように、一言申し上げておきたいと思います。  さて、この公務員災害補償法案についてですが、民間労災保険法により細かい改正は省令で実施しているのに、公務員の場合は一々法改正で機動性を欠くために、今回から人事院意見申出に従い、国家公務員人事院規則で、地方公務員は総務省令で扱うことにするという案ですから、手続が速やかになるという点で前進であります。そして、通勤災害範囲拡大をする、こういうことになっているわけですが、そこでまず第一番にお伺いしますが、赴任先と帰省先との移動となると、職場を含めていろんな具体的なケースが出てくると思いますが、今回どういうものが認定されるようになるのか、端的に御説明を願います。
  56. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 具体的な例といたしましては、単身赴任をしている職員が、金曜日の勤務終了後に勤務先の官署からいったんその赴任先の住居に戻って帰省の準備をしてから帰省先住居家族が居住している住居に向かう場合の、その赴任先住居から帰省先住居への移動、あるいは日曜日に帰省先住居から赴任先の住居へ戻ってきて月曜日の出勤の準備をするという場合における、帰省先住居から赴任先の住居への移動というものを通勤として扱うということでございます。
  57. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、今、公務職場で非常勤職員が増えているわけですね。これらの人々への公務災害補償、この適用はどうなるのか。国と地方それぞれの立場でお答えください。
  58. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 国家公務員災害補償制度におきましては、災害補償法の規定に基づきまして、常勤職員、非常勤職員いずれにつきましても補償法の適用対象とされております。
  59. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 地方公務員に関して御説明いたしますと、非常勤の地方公務員のうち、学校医あるいは消防団員といった方はこの地方公務員災害補償法以外の法律で別に補償制度を定めております。それ以外の非常勤の地方公務員につきましては、この法律の六十九条というところに基づきまして、各地方公共団体が定めた条例により公務災害補償実施されていると、そういうことになっております。
  60. 又市征治

    ○又市征治君 そうすると、念のためにお伺いしますが、法律のみでは公務災害補償適用されない人たちがいる、非常勤の場合に。まあ総務省が通達で、条例できちっと決めなさいよと、こう言えば私は済むんだろうと思うんですが。しかし、ここら辺の非常勤職員に関して条例のあるところ、ないところ、そういう比率だとか、どのぐらいこういうことの申請だとか適用がされているかというのは、実態、御承知ですか。
  61. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先ほど申し上げましたように、地方公務員災害補償法六十九条の中で、各地方公共団体が条例で非常勤職員に関する公務災害補償制度を定めなければならないと、こういうふうになされております。  したがいまして、言わば法律で各地方公共団体に義務付けておるものでございますので、私どもとしては、各団体はその制定義務を履行されているというものと認識しております。すべて、すべからく。
  62. 又市征治

    ○又市征治君 是非民間を含めて非正規労働者の処遇、正社員との格差が今日随分言われているときですから、少し、この労災補償も重要な一項目だと思うんですよね。  そういう点で、できれば私は自治体の調査などというものをしっかりやっていただいて、それは義務付けになっているんだとおっしゃるけれども、非常勤職員がこういうものが適用になるなんて思っている人はまずほとんど少ないだろうと思うんですね。実際にやられているかどうか、そういう調査なども是非この機会にお願いをしておきたいと思うんですが、それはいいですか、調査は。
  63. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今、現在のこの条例に基づきまして非常勤職員公務災害補償制度を定めているというのは、地方公務員災害補償法が制定以来同じ仕組みになっておりまして、私どもとしては、以来、基本的には問題なく各地方公共団体は条例に基づいて公務災害はされていると思っております。  また、今回の制度改正に伴いまして、私どもとしては条例案の通知、速やかにさしていただくことにしておりますので、その点もよろしくお願いします。
  64. 又市征治

    ○又市征治君 私これ取り上げたのは、必ずしもきちっとやられてないというケースを聞きますから、今日はここではそれ以上申し上げません。是非そういう状況など、非常勤の皆さんにも気配り、目配りをしっかりされるように、法的にはなっているとおっしゃるけれども、実態的にというのは問題がありというふうに私は思いますから、申し上げたところです。  そこで、次に移りますが、先ほど来出ているわけですが、メンタルヘルスの問題の増加は公務員も同じでありまして、地方に絞ってお伺いをしますが、自殺による適用申請の数、あるいはそのうち公務として認定された人の数というのはどういう傾向にあるのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  65. 杉原正純

    参考人杉原正純君) 地方公務員につきましての今お話しの自殺によります公務災害、まず申請の状況でございますけれども、直近の平成十六年度でございますと申請件数十六件ということでございまして、例えば五年前の平成十二年度の五件に比べますと十一件増加いたしております。また、そのうち、審査の上、公務上であるというふうに認定された件数でございますけれども、これは平成十六年、直近は四件でございまして、五年前は六件でございました。
  66. 又市征治

    ○又市征治君 事前に資料もいただいて見たんですが、申請は事実上随分と、十六年度はちょっと減っていますけれども、全体的には増加傾向ですよね、五年連続で見てみますと。そして、実際上公務災害と認定されているのは大体約四分の一ぐらい、こういう傾向が出ていると思うんです。  そこで、自殺の場合、公務上と認定されるまでかなり長期間を要しているわけですね。平均どのぐらい掛かっているのか、そしてこの遅れている原因、あるいはこれを短縮をする策についてどのように検討されているのか、お伺いしたいと思います。
  67. 杉原正純

    参考人杉原正純君) 確かに自殺に絡みます案件は大変内容が複雑でございますし、医学的にもいろいろな方面からの検討を要しますものですから、時間が掛かるという実態にあることは率直に申し上げざるを得ないと思います。  平成十六年度で申しますと、平均処理期間でございますけれども、合計、申請から最後の決定までに二年八か月でございまして、これはまあ平均でございますが、一番長く処理が要した期間は四年五か月という例がございます。そのように大変長うございますものですから、これはすべての公務災害補償について共通でございますけれども、認定事務の迅速かつ公正にということは本当に一番大事な眼目でございますので、種々努力をしてまいっております。  精神疾患に特に起因いたします自殺の関係につきましては、先ほど申しましたような、御案内だと思いますけれども職員の個別具体的な職務内容でありますとか、あるいは業務環境がどうであったかと、また家庭その他の私的な状況がどうであったかというようなことを十分調査いたしまして、あわせてそれらを踏まえたまた医学的判断を複数のお医者さんから求めたりいたします。どうしてもある程度期間を要するのが出てくるのは残念ながらやむを得ないことであろうと思っております。  さはさりながら、迅速な処理が必要でございますので、本部におきましては具体的には次のような方策を取っておるわけでございまして、一つは本部、支部を通じまして進行管理をしていく、逐一お互いに連絡を取りながら進行管理をしていくと。そうしまして、本部から例えば支部への資料要求に当たりましても、期限を設定していつまでに出してくれということを厳に徹底していこうと。また、支部からの事前協議も早め早めに対応していただくようにお願いしております。  それと、どうしても人間が処理しようという話でございますので、担当の職員専門的な研修あるいは医学的な知識も含めました担当者の能力の言わばパワーアップといったことにも努めると。  それから、こういう行財政環境厳しい時期でございますので、なかなか増員というわけにいきませんが、人材を重点的に配置、あるいは知識、経験の豊かなOBを活用するといったような方策を講じております。  一方、支部におきましても、同じように進行管理に十分留意され、実際に調査などを担当いたします任命権者あるいは現場の職場や所属に対しまして、十分事前にその認識を深めていただくというような知識向上策を講じたり、それぞれにまた期限を厳守いたして資料提出をお願いするようにという指導を行っておりまして、基金としましてもできるだけ早期に事案を処理していきたいと思っておるわけでございます。  ちなみに、先ほど平成十六年度自殺案件が本部の結論まで二年八か月という平均を申しましたけど、途中経過でございますが、平成十七年度ですと二年二か月ということに若干の改善は図られたものと思っております。
  68. 又市征治

    ○又市征治君 いずれにいたしましても、過労やトラブルなど職場に起因したメンタル疾患や自殺の予防策というものはやっぱり強化をしていく。それ自体がなくなることを祈りますけれども発生した場合はやっぱり速やかに、遺族のことを考えますと速やかに処理されるようにより一層の努力というものをお願いをしておきたい、こう思います。  まだ本当は質問する予定幾つかあったんですが、人事院総裁、せっかくお見えいただいて、聞くことがありましたのでそちらの方に先に移りたいと思いますが、公務職場における女性の職場進出の問題について、これは時間がなくなってまいりましたから、人事院総裁総務大臣に端的にお伺いをしておきたいと思います。  男女雇用機会均等法も現在改正案がかかっておりますけれども、今回禁止される間接差別の限定列挙の中に転勤という条件が入っていますね。つまり、転勤条件がいまだに女性の進出、昇進のネックになっているわけで、まだまだ夫中心の職場選び、妻は子育てで転勤しにくいからだと、こういう傾向があるわけですけれども、そのような女性のために地域限定の通勤可能な範囲での幹部登用という道も考えられるんではないか。こういうことなどもむしろしっかりと、指導といったらおかしいですが、考えて促進をするように努力をすべきじゃないかというのがあります。  この点については総裁から、また、この点についての使用者側としての総務大臣の見解についてもお伺いをしておきたいと思います。
  69. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 業務運営、人事の適材適所の観点から、やはり組織にとってある程度の転勤というのはこれは必要不可欠であろうかと思います。しかしながら、一方で、家庭事情等から転勤しにくい人たち、特に女性でございますけれども、こういう人たちに対しても能力、適性に応じて昇進機会が与えられるべきということもこれまた当然のことでございます。  これらの点を考慮いたしまして、御指摘のような地域限定あるいは通勤可能な範囲での転勤についても、人事院といたしましては各府省の人事管理の中で適切に対応していただきたいというふうに考えております。
  70. 竹中平蔵

    ○国務大臣(竹中平蔵君) 女性国家公務員の登用というのはこれは重要な課題であると思います。そのために各府省において計画的な取組も進んでいると思います。一方で、国の機関、国民に均質のサービスを提供するということからいきますと、全国各地に人がある程度異動しなければいけないというのもやっぱりどうしても必要なこととして出てまいります。一方では、しかし職員の立場から見ると、家庭と仕事の両立という大問題があると。  こうしたことを踏まえまして、ブロック別の採用とか現実には行われておるようでございますし、今人事院総裁が言われましたように、そうした事情を様々考慮して適切な人事管理を行っていただくということはこれは必要なことであると思っております。
  71. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  通勤範囲改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  72. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十四分散会