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2006-03-14 第164回国会 参議院 総務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十四日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任      浜四津敏子君     魚住裕一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        総務大臣    菅  義偉君        総務大臣    山崎  力君    大臣政務官        総務大臣政務官  上川 陽子君        総務大臣政務官  桜井 郁三君        総務大臣政務官  古屋 範子君    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        人事院事務総局        総括審議官    出合  均君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君        総務省自治税務        局長       小室 裕一君        総務省情報通信        政策局長     竹田 義行君        総務省政策統括        官        清水 英雄君        厚生労働大臣官        房審議官     白石 順一君    参考人        日本郵政公社理        事        西村 清司君        日本郵政公社執        行役員      塚田 爲康君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (行政制度地方行財政消防行政情報通信  行政等基本施策に関する件)  (平成十八年度人事院業務概況に関する件)  (平成十八年度地方財政計画に関する件) ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として魚住裕一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 世耕弘成

  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会日本郵政公社理事西村清司君及び日本郵政公社執行役員塚田爲康君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、行政制度地方行財政消防行政情報通信行政等基本施策に関する件及び平成十八年度人事院業務概況に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 森元恒雄

    森元恒雄君 おはようございます。森元恒雄でございます。  今日は、大臣所信表明に対する質疑ということでございますので、所管事項全般につきましてお聞きをしたいと思います。  竹中大臣の登板を地方自治関係者あるいは放送通信業界方々期待と不安を持って眺めているというのが、まあ私、正直なところかなと思います。特に、大臣が就任早々三つ懇談会を立ち上げられました。検討をされておられるわけでございますが、そういう中で、今後大臣として何をおやりになろうとしてるのかということを、本当に関係者、かたずをもって見守ってるんじゃないかなというふうに思います。  懇談会あるいは審議会方式については、かねてその在り方をめぐっていろいろ議論があるわけでございますが、特に今回の懇談会については、世上いろいろ関係者の声聞きますと、極めて限られた少人数で、しかも非公開が原則と。会議の結果につきましても、ブリーフィング程度しか明らかにされないというような進め方をしておられるわけでございますが、これがまた不安を膨らませる一つの要因になってるんじゃないのかな、そういう進め方についていかがかなという気も私もするわけでございますが、この際大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 森元委員にお答えを申し上げます。  冒頭、期待と不安という御紹介ありましたけれども、是非私としては、不安を払拭して期待にこたえられるように、本当に全力を尽くしたいというふうに思っているところでございます。  何をやろうとしているのかということ、そして委員会進め方等々についてのお尋ねでございますが、私が指示して開催している懇談会というのは三つでございます。一つは、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、そして通信放送在り方に関する懇談会、そして郵便におけるリザーブエリア競争政策に関する研究会、これら本当に重要な問題であって、是非これらの議論を通してより良い方向性を出したいと思います。  私が何を考えているのかということでございますけれども、ちょっと正直に申し上げますと、何を考えているかということが明確にあるのであれば、懇談会をむしろ開かなくてもよいということなんだと思っております。是非、そういう本当にもうフロンティアのぎりぎりの難しいどれも問題だと思うんですけれども、私なりに、総務省として、また考えをしっかり持って、そしてそれを更にしっかりと制度化していくような議論に進めたいという思いでこの懇談会を立ち上げております。  少人数等々の問題でございますけれども、こういう研究会のやり方には幾つか私はあるんだと思います。しっかりと具体的なアクションプログラムとか制度とかつくる場合は、できるだけやはり現場の分かる関係者に入っていただいて議論をするというのが私は良い方法だと思います。  ただ、大きな方向等々については、ともすればこの利益相反が生ずるような当事者ではなくて、独立した中立的な専門家にお集まりいただく方がよいのではないかというのが私の思いでございます。もちろん、その場合も現場意見は聞かなければなりません。その意味で、昨日も御承知のようにヒアリングを行っております。また、通信についてヒアリングを二十二日でしょうか、行う予定にしておりますので、現場意見現場意見として必ずしっかり聞くようにということで指示も出してきているところでございます。  公開非公開、これもいろんなお考えあろうかと思いますが、私は、今回のように、いろいろ行きつ戻りつしながら議論を進めていくような場合には、会議そのもの非公開の方が思い切って議論をしていただけるのではないかというふうに考えているわけでございます。ちなみに、経済財政諮問会議は正にそのような意味非公開になっております。ただし、その場合も説明責任は果たさなければいけませんので、これは会議の後、座長ないしは私が記者会見を行いましてしっかりブリーフィングを行う。そして、数日後には議事要旨公開をしているところでございます。これは、私一人が決めるものでもなくて、また役所だけで決められるものでもございません。広く意見を聞いて、それを積み上げて議論をしていきたいと。  同時に、これはもう言うまでもないことでございますが、これは、こういう懇談会議論をする場であって、どういう政策をするかということは、これは行政府において、そして政策責任者である私が責任を持って決めていく。そして、立法が必要な場合には、これは当然先生方に御審議をいただくと。そのようなプロセスはきちんと大切にしてやってまいりたいと思っております。
  10. 森元恒雄

    森元恒雄君 まあ、大臣以下行政府方々がいろんな施策をお決めになり、また実行するに当たって、国民各界各層のあるいは専門家の声を幅広く聞くということは極めて大事なことだと思います。ですから、私は、そういう手順を踏む一つとして審議会なり懇談会があるということは、まあ特に問題もなければ、むしろ評価、積極的に受け止めていいと思うんですね。  ただ、問題は、往々にして、本来は役所意思決定をすべきところであり、また事実そうであるにもかかわらず、審議会等を隠れみのにして、そこで議論され答申を受けたからそのとおりやるんですと。まあ言い逃れと言ったら言葉が悪いですけれども、そういう手段、材料に使われがちなところが批判されるゆえんではないのかなと思います。ですから、今大臣もおっしゃられたように、決断する、決定するのはあくまで自分だと、責任自分にあるというお気持ちのようでございますので、そういうことをしっかりと踏まえてやっていただきたい。  もう一つお願いしたいのは、そのメンバーは一応もう選定して始まっているわけですから、これは今更どうこう申し上げてもしようがないんですけれども、やっぱり見方によっては偏ってるんじゃないのかなというような意見もあるわけでございますので、やっぱり今申し上げたように、プロセスは何も懇談会に限らないわけですから、もっと幅広くやっぱりいろんな声を聞きながら、じっくりといろんな角度から様々な問題点等を検討した上で一つ方向を出していただきたいと、これは強くお願いをしておきたいと思います。  その上で少し放送についてお聞きしたいと思いますけれども、今NHKの特に在り方が、不祥事、事件があったりしまして大変注目をされている、あるいはまた議論の対象になっているわけでございますが、懇談会でもこの放送についても検討されているというふうに承知しておりますけれども、日本放送におけるこのNHK公共放送であるNHK民放、二つ区別すればあるわけですが、これについてその各々の役割分担中心大臣としてはどう考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  11. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) NHK民放役割分担というのは、これはこの懇談会議論するときの一つの重要な出発点といいますか、共通認識を持っておくことが必要だと私も思っておりますし、そのように申してまいりました。  言うまでもございませんけれども、日本放送というのは、これは主として広告料収入財源としている民間放送というのが大変やはり大きな存在感を持っている。そして、受信料収入財源とするNHKが一方で非常に大きな存在感を持っている。この言わば二元体制の下でやってきたわけでございます。その二元体制が言わばお互いいい意味で競争し合って切磋琢磨して、日本放送文化をつくってきたと思います。私は、その意味では、日本放送文化というのは世界に冠たるものだというふうに申し上げてよいのだと思うんです。  民放においては、これは視聴者の嗜好でありますとか、それと、特にローカル局の場合は、地域に根差した放送の充実というのを努めている。一方NHKにおいては、これは放送法の第七条に示されているとおりでございますけれども、あまねく全国において放送、そして豊かで良い放送番組を提供する、放送技術研究開発にも努め貢献する、海外への情報発信、この海外の部分はまた後でいろいろ御議論いただくと思いますけれども、こういった公共性の高い役割を果たしてきたというふうに思います。そこで、例の懇談会におきましても、公共放送はこれは当然必要であるという認識で一致をしておりまして、そこを出発点にして議論をしていると承知をしています。  今後、放送通信の融合が進展する中で、私は、やはりNHK民放それぞれの特徴が発揮される二元的な枠組みというのは基本的に維持されるべきであろうというふうに思っております。その中で、新しい技術環境変化にそれぞれが最大限の力を発揮できるような仕組みをどうするのか、正にそのことを私としては議論をしたいと思っております。
  12. 森元恒雄

    森元恒雄君 NHKについてはこの際もう民営化したらどうかという声も一部にはあるわけですけれども、今大臣からは、公共民間二元体制NHK役割はしっかりとしたものがあると、これを堅持していきたいというお話でございました。  私も、日本放送実情を見るときに、これは日本からNHKをなくしたら一体どうなるんだろうかと、こういう気がします。それはどうなるのかという意味は、やっぱり民放は、民放の良さはあることは認めますけれども、その番組の質において、いま一つどうかなとかねがね首をかしげる面がございました。議論中心NHKにあるようでございますけれども、この際、できれば大臣には、この日本民間放送在り方、わけてもその番組の質について、私は併せてせっかく懇談会開かれるのなら真剣に議論していただきたいなと。  この際申し上げると、日本の場合は、ややもすると数字で数値化されることについては目標を設定しきちんと結果も評価するということをやってきておりますが、数値で表せないもの、しかし人間にとって社会にとって極めて大事なもの、そのことがややもするとおろそかにされてきたんじゃないのかなと、放送の面についてもその点が同じようなことが言えるのではないのかなというふうに思っておりますので、これも要望しておきたいと思います。  ただ、その中で、公共放送は堅持する、重要な役割を果たしていると、存在意義があるとおっしゃっておられるわけですが、しかし、この際、NHKチャンネル数は少し多過ぎるんじゃないかと、減らしてもいいんじゃないかというような声も一部にあるわけでございます。世界を見渡すと、アメリカは民放中心ですけれども、ヨーロッパはどちらかといえば公共中心ではないのかなと私は思っておりまして、ヨーロッパの主な国の実態と、実情と比べますと、決して日本NHKチャンネル数は多くないというふうに私は理解しておりますが、この辺について大臣としてはどうお考えか、お聞かせいただければと思います。
  13. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) NHKチャンネル数についてもいろんな御議論があると承知をしております。また、懇談会でも現実にいろんな立場からの議論が行われつつございます。  確かにNHKは、私、BBCとともに世界を代表する公共放送だと思います。これは国民にとってのアセットであって、ここをコンテンツも含めて本当に活用できるような仕組みを私としても是非つくっていきたいという思いがございます。しかし、一方で、御承知のように、NHK組織としてのガバナンスは本当にこれでいいのかと、こういう質問をすると国民の多くの皆さんはやっぱり大変今懸念を持っておられると思います。これは組織でございますから、やはりガバナンスがしっかりとするような仕組み考えなければいけない。その意味では、ガバナンスという観点から、規模が大きくなり過ぎていないのかというようなこれは御指摘が専門家の一部からあるということだと私は理解をしております。  それともう一つは、放送そのもの公共性を持っているわけでございます。これは、民放公共性を持っているわけでございますけれども、わけてもNHK公共性の高い、正に公共放送になっている。その二重の意味での公共性というのは一体どういうものなのかということは、私はやはり時代とともにしっかりと議論をされてしかるべきものなんだと思います。もちろん、今も放送法に基づきまして、放送全国普及、そして豊かで良い放送番組等、特別の使命が課せられておりまして、その使命の中で今日の波がいろいろとつくられてきたということは理解できるところでございます。  しかし、NHKが保有したメディアについては、これは決して、やはり環境変化とか消費者の、視聴者のニーズとか、一方でNHK財政状況ガバナンス等々を総合的にやはり勘案して、決して固定的なものではないという観点で見直していくという姿勢も私は必要なんだと思っております。そういう観点から、その懇談会においてもNHK保有メディア数在り方についてもしっかりと検証を進めていただいているところでございます。  ちなみに、NHK自身もこの平成十八年度から二十年度NHK経営計画におきまして、放送通信をめぐる状況変化に応じてNHKが保有する放送波在り方を見直すことも必要だという言い方をNHK自身、その経営計画の中でしておられるというふうに承知をしております。是非、これは国民にとって大変重要な問題でございますので、きちっとした議論を重ねていきたいと思っております。
  14. 森元恒雄

    森元恒雄君 そこで、今少しお話ありました国際放送ですけれども、日本の国として世界に向かってもっと情報発信、力を入れないといけないんではないのかということは、私も全くそのとおりだと思います。  それをどういう形でじゃやるのかということになるわけですけれども、今少し議論が出てますのは、NHK広告料の徴収を認めて、それを財源国際放送やればいいじゃないかということでございますが、この辺は、受信料基本としているNHK公共放送としての基本的な性格と矛盾しないのか。広告料収入となれば民放に一歩近づくことになるんじゃないのかと、あるいは、そういう形でやるなら民間放送の方もやらしてほしいという話も出てきやしないのかと。そういうことについて、大臣としてはいかがお考えでございましょうか。
  15. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 恐らく、NHKとこの国際放送議論をする場合の、恐らく多くの方の共通に、議論スタート台としては、先ほども申し上げましたように、公共放送は必要である、これは必要だという認識、そして一方で、正に国としての海外への情報発信というのはこれは極めて重要であり、今後ますます重要になるであろうと、これは何とかしなければいけない、これはもう重要な、共通、多分できる出発点なのであろうかと思います。  NHK、今現在どうなっているかといいますと、全世界に向けまして、主に受信料財源として、ラジオ国際放送、そして映像国際放送を展開しているわけでございます。しかし、残念ながらとやはり言うべきだと思うんですけれども、必ずしも十分にこのような国際的な情報発信役割を果たし得ていないというのが、残念ながらやはり今の評価ではないかと思います。  それで、諸外国におけます同様の国際放送規模と比較しても、決して十分と言えないのではないかと。これは、CNNBBC等々はちょっと別格でありますけれども、フランスフランス版CNNをつくるということで、もう会社を去年の末に立ち上げている。そして、アジアでも中国等々がそういった国際発信を強化しようとしている。その中で、やはり本当に国の戦略として情報発信をどうするかというのは、今大変私たちに問われている責務であろうと思います。  その財源負担をどうするかということもその中の一つ、もちろん財源だけではなくてもっと大きな枠組み議論しなきゃいけないんですが、財源ももちろんその中で重要になる。その必要なコストを、これ例えばですけれども、そういうことをやるとして、全額国内受信料で賄うことができるかというと、これはやっぱりちょっと無理があるのかなということになるんだと思うんです。国内で見ている人からお金を、受信料を取って、それで国際発信して、見る人が別にいるということですべて済ませられるのかなということについては、私はやはり無理があるんだと思うんです。  そういう観点から、諸外国の例も参考にして、これはやっぱり一部国費が必要だろうと思いますし、一方で広告料収入も否定する必要は必ずしもないのではないのかと。しかも、広告料を取る場合は、一方で公共性の話との矛盾、先生指摘されましたですね、しかし、これもいろいろこれから議論しますが、工夫の仕方で、BBC等々はそれは子会社で国際的なものをやってそこで広告料収入という仕組みをつくっているわけで、これはちょっと工夫の仕方があるのではないかということ。  それともう一つは、広告料というと民放広告料NHKが入ってくるのかということにもなるわけですが、しかし考えてみたら今度の広告料は、全部とは言いませんけれども、主にやっぱり海外からの広告料ですから、決して今の民放と直接競合するということにも私は必ずしももうならないのではないかというふうに思うわけでございます。そういう観点から、やはり幅広いちょっと議論をしてみようではないかというのが今の現状でございます。  一方で、言うまでもなくNHK放送法第四十六条に基づき広告放送が禁止をされております。そういう意味で、今後十分に議論すべき問題があるというふうに私たち認識をしているところでございます。  いずれにしましても、今のような枠組みの中で、ここは一つ重要問題であるからいろいろ議論をしてみたいというふうに思っております。
  16. 森元恒雄

    森元恒雄君 最近の目まぐるしい通信技術の発展があるわけですけれども、それを受けて放送にも新しい方式が可能になってまいりました。いわゆるIPマルチキャスト方式と言われるものでありますが、これを仮に認めていくというふうになりますと、既存の地上波による放送局枠組みに大きな影響を与えるんじゃないかと。いわゆる、今は県単位に免許を与えるというのが基本になっておるわけでございますし、放送局県単位営業活動をしておるわけですけれども、このIPマルチキャストはそういう県とか区域の限定は基本的にないシステムだと思います。  そういうことで、これを認めると既存放送局に多大の影響が及ぶわけですが、その辺の調整について今の段階で何かお考えがありますでしょうか。
  17. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 正に本当に難しい問題、しかし正面から取り組まなければ、考えていかなければいけない問題であるというふうに思っております。  今、委員御指摘くださったように、正に本当に技術面で、放送通信というのが技術面で融合していっているわけでありまして、IPですから、インターネットのインフラ、インターネットプロトコルの使えるインフラで、光ファイバー等の電気通信設備を用いてブロードバンド上で映像の放送と同じような、見る側からすると放送と同じようなサービスが可能になっていると。このIPマルチキャストを利用しました有線役務利用放送事業者というのは、四社既に登録をしておるわけでございます。  一方で、放送番組が、インターネットというのはもちろん圏域が基本的にはないわけでありますから、このインターネット技術を用いて全国放送番組が配信されるような、することになりますと地域に密着したローカルテレビ局の経営面に影響が及ぶと、そういうことを懸念する声も多くあるということは私も十分承知しているところでございます。  しかし、議論が行きつ戻りつするんですが、一方で、例えば今回、六月のワールドカップで、ある民放局がそこを放映権を持って放送すると。ところが、この民放局がネットワークを持ってない県が、例えば山梨県とか富山県とかそういうところがあるわけですね、そういうところは今度はIPを利用していろいろ、IPで配信するところにアクセスして当然やはりワールドカップを見たいというふうに思うんだと思うんです。そういう消費者視聴者の立場を考えますと、やっぱり今のままで固定的に考えることもなかなか難しいなというのが現状であろうかと思っております。  委員の御質問は大変その意味では難しい質問で、私として今後どういうふうにやっていけるのかということに関して完成した答えをまだお示しすることはできませんですけれども、正に技術が進歩したということのメリットを国民が真に実感できるようにしたい、これはやっぱり行政の側としては素直なそういう思いがございます。  一方で、そのローカル局の経営を混乱させてはいけないというやはりリアリスティックな、現実的な対処も必要だと思っておりますので、しっかりと良い結論が得られるように懇談会でも促してまいりたいというふうに思っております。
  18. 森元恒雄

    森元恒雄君 今、政府はe―Japanあるいはu―Japanですか、一生懸命推進しておるわけですね。その中で、ブロードバンドの利用環境といいますかインフラ基盤整備はかなり進み、料金も世界で一番安いというような大変いい条件がつくり出されてきました。しかし、問題はコンテンツ、そこの上を走る中身、内容の、情報の中身が余り十分でないと、あるいは政府、地方団体とのいろんな申請とか報告とかのやり取りもまだひとつ十分に使われ切っていないと、こういう利用の方の問題があるわけですが、そういう中でNHKの持っている過去に放送した番組内容、これは私は大変貴重な資料、財産だと思うんです。しかし、残念ながら民放との兼ね合いで、NHKにそれをいろんな面で多角的に使わせるのはいかがなものかというようなことで、たしか十億ですか、枠をはめておるわけですね。  しかし、これはNHKのものというよりも国民のもの、視聴者の本来ものであるわけでありまして、そこの枠組みを超えてやっぱり国民にもっと使ってもらうと、生かしてもらうというような工夫をする必要があるんじゃないか。NHKが独断でというか、独走的にそういうことをやるのはまずいというのであれば、そこは知恵の出しようで幾らでも仕組み考え得るんではないかと。このコンテンツをどう活用していくかということについて、御所見を承れればと思います。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、放送通信技術的に融合するようになってきて、やはり国民が最も関心を寄せているのは正に委員御指摘のようなコンテンツの問題であろうと思います。そのコンテンツを、特に映像情報に関して、だれがじゃコンテンツを一番持っているのかということになると、これはもう一も二もなくNHKだということになります。今NHKは、この民間放送事業者でありますとかインターネット配信事業者への番組提供とかというのは若干は行っているわけです。しかも、NHKアーカイブスにおける一般への番組公開というのも行っている。そういう形でいわゆる番組の二次利用は行われているわけでありますが、しかし、その規模が余りに小さい。これはもう御指摘のとおりであろうかと思います。もうこれはしかし、委員も言われましたが、国民共有の財産でありますし、この財産をやっぱりいつまでも眠らせておく手はない。これをどのように活用できるかという仕組みをつくるのが今回の懇談会のやっぱり非常に重要なテーマになるというふうに思っております。  実は、私先般NHKアーカイブス、川口にございます、そこをちょっと見学させていただいたんですが、ちょっと正直言いましてがっかりしたんです。これだけコンテンツがあるのにまだこの一角だけ、こういう形でしか見れないのかと。これは特に今後調査研究のいろんな報道情報があるわけですから、そういう対象になるわけですけれども、そういう使われ方ができるようになってないわけですね。娯楽番組等々も紅白等々が一部、まあそこへ行けば見れますよというわけで、これはちょっとコンテンツのアーカイブスとしては私はやっぱりもう非常に物足りないというふうに思うわけです。  やっぱり二つ問題があります。一つは、委員おっしゃったように、附帯業務として節度ある運用をしなければいけないという縛りがあるわけでありますので、これで金額的にももうほとんどできないような形になっている。この縛りをやはり今のままでよいのかということを真剣に考えて、一方でその新たな競争ルール等との関係で仕組みをつくらなきゃいけないというのが第一だと思います。  第二が、最近よく言われる著作権の問題であろうかと思います。著作権、著作隣接権、そういう問題についての整合的な議論をしていかなければいけない。その問題に関しては、私たちとしては是非もう正面から取り組みたいというふうに思っています。
  20. 森元恒雄

    森元恒雄君 もう一点、技術の進歩によって、特に通信業界、世界状況はかなり様変わりしてきたんじゃないのかなというふうに思います。特に、電電公社をNTTに民営化し分社化した当時と今とでは、日本一つのモデルにしたアメリカにおいても状況は大きく変わっているように私は思います。  特に、IP技術の進歩によって、従来の分離からむしろ統合へというふうに流れが移ってきているんじゃないかと。AT&TとSBC、ベライゾンとMCIが合併し、またさらにAT&Tとベルサウスが合併するというようなことが発表されております。今までのような地域と長距離の統合というだけじゃなくて、固定と移動の統合というような局面も展開されております。ヨーロッパにおいてもほぼ同じような動きにあるんじゃないかなというふうに思います。  その中で、日本は依然として民営化当時の枠組みを維持しておるわけでございますけれども、固定と移動体の分離とか、固定も東西の分離とかいう形で今、日本は進んでおりますが、こういうことについて、状況変化について、これを踏まえて、今後日本においても通信業界の在り方、NTTの在り方についてどうあるべきかというふうに大臣としてはお考えになっておられるのか、もし御所見があればお聞かせいただきたいと思います。
  21. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 放送議論を受けて、今度は通信、とりわけその中核にあるNTTについてのお尋ねでございます。  アメリカの状況等々も今委員御紹介くださいましたけれども、各国でそれぞれの事情は少しずつ違うわけではありますけども、やはりネットワーク構造が変わっていると、そして競争の構造が変わっていると、技術の進歩がその背景にあるということで、今本当に目まぐるしいいろんな進展が見られているというふうに思っています。  アメリカの場合、一九八四年に旧AT&Tを一つの長距離会社と七つの地域通信会社に完全資本分離しました。私は実はその直前、二年間アメリカでちょっと留学して住んでおりましたもんで、そのころから物すごい議論があったということを記憶をしております。  しかし、長距離と地域というふうに分けるのは、かつての電話網の場合はこれは意味があったわけですけれども、IP網になるとそういう距離を分けるというのは全くと言っていいほど意味がなくなるわけでございます。そういう意味では、アメリカでもそういう事業を受けていろんな状況が進んでいる、ブロードバンドサービスのトリプルプレーにおけるケーブル会社との活発な競争を受けての合併が進んでいると。アメリカの場合ケーブルが非常に強いですから日本状況が違うわけですけれども、日本の場合は依然としてNTTが持ち株会社の下で市場支配力を有しているというのがこれは一つの大きな特徴になっている。それに対して、また競争会社からいろんな今意見も出されているというふうに承知をしています。  いずれにしても、日本とアメリカ、状況は違いますけれども、やはりかつての電話網から、メタルからIP網に変わってきたという意味では同じであって、距離を分けるということ、ないしは、今度はフィクスとモバイルもコンバージするような状況になってきておりますので、当然そういった時代にふさわしいやはり枠組みをつくらなければいけないんだと思います。  NTT、非常に強いという面と非常に縛られているという面が両方あるわけですから、そこをフェアに是非議論をして、そのための競争政策議論を進めていきたいと。今、そのための競争政策についての委員会もございますし、また懇談会でも議論をしておりますので、問題意識をしっかりと持って進めたいと思っております。
  22. 森元恒雄

    森元恒雄君 かつてはNTTは国家事業体というか、国家ですから独占事業体であったわけですから、民営化直後はガリバーでありドミナント的存在であったのは間違いないと思いますが、年数がたって、先ほども申し上げたように世界に、先端を行くようなIP環境が整ったということからしても、これまでの政策が成果を上げたということだと思うんですね。  私はそういう意味では、今まではそれでよかったし結果もいい結果が出てると思いますが、状況が少しずつ変わってるわけですから、少しその状況変化に対応していかないといかぬじゃないかと。NTTもいつまでも必ずしもドミナントではなくなっておるんじゃないか。有力な競争相手も出てきておるわけでありますし、あるいはまた、最後のよりどころはすべてNTT任せという中で、新規事業者の方々はいわゆるクリームスキミング的な事業展開をやっておるというような面も出ておるわけでありますので、私としては日本通信事業全体が、業界全体が世界の熾烈な競争環境の中で十分に太刀打ちできる、大きく発展できるような枠組みというものはどうあるべきかというのを念頭に置いてお考えいただきたいなと思います。  ただ、そんな中で、残念なと私は思うんですが、懇談会でもNCC系の方々からは、今の持ち株会社の下に分社している形をもう完全に資本分離をしてしまったらどうかと、すべきではないのかというふうな意見とか、最後の家庭、事業所との接続のところのアクセス部分についてはこれを完全に切り離して独立した事業体にすべきではないかというような主張、意見が出ておるというふうに聞いておるわけですけれども、これはちょっと世界の流れからしても反するわけですし、もう既に民営化されているNTTを更に完全独立しろなんということを政府は言える話なのかなというふうに思いますし、そのことがまたどういう意味を持っておるのかなということについてもいささか疑問に思うものでありますが、こういう出ている意見に対して、もし差し支えなければ大臣としての御所見を承れればと思います。
  23. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、委員がおっしゃったこのNTTの問題、通信の問題、NTTの問題を考えるときに、やはりグローバルな競争の視点が必要だというのは私も全くそのとおりだと思っています。やはりそれはNTTのためでもあり、また日本全体のためでもあるというふうな認識を持っております。  もう一つ懇談会の中にはNCC系の方というのは特に私はいらっしゃらないというふうに思っております。そういう特定の方ではなくて、基本的には独立した専門家であるというふうに認識をしております。一方で、今言われたように、競争事業者の方々がNTTの資本分離やアクセス網の分離を様々な場で御主張しているというのは私もよく承知をしております。NTTグループは電気通信市場において高いシェアを有して支配的地位にある。どの程度ドミナントかというのはいろいろ認識があるのかもしれませんけれども、そして加入者回線という必要不可欠な設備を有するということに対してNCCの方々が懸念を持っているということだと思います。  これはアメリカやイギリスでもそういった観点からいろんなこれまでも議論をして工夫をしてきたんだと思います。アメリカにおいては、先ほど言いましたように七つの地域通信会社と長距離会社を完全資本分離して、それが今非常に柔軟な合併、編成につながっているということ。イギリスの例でも、委員承知だと思いますけれども、BTのアクセスサービス部門を他部門から厳格に分離してファイアウオールを設けるような施策もいろいろ取られているというふうに聞いております。  しかし、その際やっぱりもう一つ重要なのは、ドミナントかもしれないけれどもユニバーサルサービスの義務も負っているわけですから、そこら辺はやはりフェアに議論をしなければいけないということだと思っております。  先ほど申し上げましたように、やはりNTT、大変大きな強いネットワーク、ドミナントな力を持っているわけですけれども、一方でその分自由が縛られているという面があります。私としては、そこに対してしっかりと競争が働くようにやっぱりしていくことが方向としては必要だろうと、その過程でNTTにもやっぱり自由を持っていただけるように私はやはりするという議論が必要だろうと思ってますので、そこはしっかりとバランスを取った前向きの議論をしていきたいと思っております。
  24. 森元恒雄

    森元恒雄君 先日、党の会議にもNCC系の一社の社長さんにおいでいただいていろいろ御意見をお伺いしたんですけれども、ずっと始めから終わりまで聞いていまして、そのときに出席した者の総括的な意見は、完全に資本分離して何をしたいのかというと、突き詰めてお聞きすると、自分たちが東なら東と合併するというふうなチャンスもあり得ると。何だ、それじゃNTTに取って代わりたいと、乗っ取りたいということですかと、それで終わったんですけれども。まあNCC系の方が言っておられる本音はそこら辺にあるんじゃないのかなというふうに改めて思ったりいたしました。  今の大臣の御答弁で、私はおっしゃられるとおりだと思いますので、やはり日本通信事業どうあるべきかという高い観点に立ってしっかりと公正公平な在り方議論していただければ有り難いなというふうにお願いをしておきたいと思います。  ちょっと話題を変えまして、地方行財政関係についてお聞きしたいと思います。  まず、今地方にできることは地方にということで、地方分権の流れを政府は進めておるわけですけれども、現状の、現実の地方自治は日本の場合、何が一番の課題だというふうに大臣としてはお考えでございましょうか。
  25. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 最近、特に地方の議会の代表者の方また首長さんとお話しする機会が多いですけれども、やはり皆さんが声をそろえて言われるのは、自由度の問題だと思います。やはり、まあ分権、地方自治、その言葉が示すように、自らがいろいろ決めて、自らが自らの責任において決めていくということが重要であって、そういうことができるような財源を含めた枠組みが必要だと、これはもう地方自治を考える場合の私は大原則であろうかと思います。  三位一体の改革等々で努力はしているわけですが、それでもまあ自由度が十分に高まったかというと、これはまだまだ、まだまだこれからだということ、これは地方の方、皆さんおっしゃいますし、私も全くそのような認識を持っております。
  26. 森元恒雄

    森元恒雄君 私も、今おっしゃられたように、一番のやっぱり問題点、課題はそこにあると思います。  日本の地方団体は、世界の主な国との比較で見ましても、単一国家の中ではもう圧倒的にたくさんの仕事を地方が担っている、仕事のボリュームにおいては一番先頭を行っている。しかし、中身はもうすべてと言っていいぐらいに事細かいところに至るまで中央省庁が決めて、単に地方団体はそれを実行している実践部隊にすぎない。まあ悪く言えば、国の出先機関的な役割しか果たしていないんじゃないのかなという気もするわけでございまして、仕事を移譲することよりも、やっぱり国の関与をいかに少なくしていくかということが最大のポイントではないかと、私自身は思っております。  ただ、これは国会が最高の意思決定機関、国のということでありますし、各省庁は所管している案件については無限大の責任を持っていると、こういう関係がある以上、この国の関与をどっかで断ち切る、あるいは限定するということは制度論としては非常に私は仕組みにくいところだと思うんですね。そうあるべきだというのはだれも言うんですけど、じゃどうしたらいいのかという踏み込んだ案が余り出てこないんです、今まで。  その辺について、もし大臣として何かお考え、こうやったらどうかというふうな御提案があれば是非お聞かせいただければと思います。
  27. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いや、これは本当に難しい御質問だと思います。  国会の先生方におかれても、また行政府においても分権、地方自治分権に総論として反対される方はほとんどおられないんだと思います。ところが、これはまあ行政の話で恐縮ですが、三位一体の改革で見るように、実際に各論に入ると、これまでやっぱり地方が自主的にやる方がいいと言っていた各省庁が、いやいやこの仕事だけはやっぱり駄目だと、手放せないということにもうほとんどすべてなってしまうわけでございます。これは、正に単一国家という言葉を委員使われましたけど、まあ連邦国家じゃないという意味だと思いますが、単一国家で国がそういう仕組みをやっている。自らの権限をある種手放すというような決定を自らがするという一つのまあ難しさにいろんな形で直面しているのだということだと思います。  ただ、一方で、その自由を持っていただくということと、やっぱりその意味では責任も持っていただくと。自由がない分、地方に何かあった場合は国が出ていろいろ助けるような仕組みになっていると。そこはやはり自由と責任というのを明確に今回改めて議論をして、その分地方も独立するけれども、国もその意味では自由を得るんだと、そのような形の前向きの議論ができないものかなというふうに思っているところでございます。
  28. 森元恒雄

    森元恒雄君 おっしゃるとおりだと思うんですね。ただ、やっぱり自由がなければ責任も負えません。負わされたんではたまったもんではないと、こうなるわけですから、やっぱりこれ不可分の関係にある。  それで、今もお尋ねしたように、問題はこの自由をいかに地方に与えることができるのかと。具体的にどういう形でやればいいのかというところが、答えがなかなかないんだと思うんですよ、まだ今の段階で。  去年の暮れで第一ラウンドが終わった例の三位一体の改革にしても、その発想は、お金の面でも自由度をできるだけ地方の方に大きくしようという発想で進んだ、そういうねらいであったわけですけれども、できた結果は、私は税源移譲はこれは一〇〇%評価できると思いますけど、その前提となった国庫補助負担金の改革については、残念ながら、今大臣がおっしゃられたような自由度を広げる、大きくするという意味では、どこまで本当にその目的が達成できたんだろうかなと。二分の一の負担割合を三分の一に切り下げたり四分の三を二分の一に切り下げたりと、そういうことをしただけであって、それは自由度は何も変わらないじゃないかということからすると、あの第一ラウンドはいかがなものだったのかな。そういう中で第二ラウンドを進めていけるのか、また進めていく意味はどこまであるんだろうかなと私自身もいささか疑問に思う点もあるわけですけれども、大臣としては来年度以降のこの三位一体の改革、どういうふうに取り組まれるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
  29. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 実は、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会をつくった大きな目的の一つは、今正に委員が御提起してくださったような根本問題を議論したいからだというふうに考えたからでございます。確かに、三位一体の改革、補助金に着目して、これを税源移譲する、それに併せて交付税改革をすると、これはやはり一つのやり方として大変意味のあるやり方であったと思いますし、その結果として、これは当初、本当にどれだけ税源移譲できるのか私も分からなかったわけですけれども、三兆円というその大きな数字を出して、地方に初めてこれだけの税源移譲をしたということは私は成果であったというふうに思うんです。  ただ、先ほどいろいろ難しいことがあったというやり取りをさせていただきましたけれども、その経緯でも見るように、やっぱり本当に国と地方の役割分担をどうするのかとか、国がやるべき仕事と地方がやるべき仕事についてどのような財政の負担が望ましいのかとか、それで地方が自立できるようにするためにはどのような税源配分が必要なのかというやっぱり根本論に今立ち返って、これは非常にやっぱり息の長い議論になるんだと思います。今すぐ実現できるのではなくて、十年後とか十何年後のある種の姿というのを描いて、じゃ、そのために今、つまり第二期としてどういうことから着手しなければいけないかという議論を私としては始めたいというふうに思っているわけでございます。  その意味で、この地方分権二十一世紀懇談会でやはりロングレンジの議論をして、そこから今に投影をさせて、どの改革とどの改革とどの改革を当面、この例えば三年間やりましょう、この五年間やりましょうというような議論に私としては持っていきたい。その中には、委員おっしゃったように、やはり自由度を確保する、そして自由と裏返して責任、これは責任だけではもちろんあり得ません、自由と責任はコインの両面である、そして国と地方の役割分担というのをどのようにして明確化していくかと、そのような議論がやはり私としては明確に入ったような形での長期の目標と、そして当面のプログラムというのを是非まとめたいというふうに思っております。
  30. 森元恒雄

    森元恒雄君 私は、三位一体のこの改革をめぐっての行政サイドでは省庁間の議論、あるいは我々自民党の中での議論を見ておりまして改めて感じますのは、今おっしゃられた国と地方の役割分担、それをブレークダウンした事務分担ですね、事務配分、これと財源負担の関係がしっかりと整理されてない、そこに大きな議論が混乱する、なかなかコンセンサスが得られない原因があるんじゃないかなというふうに思います。  それは何かといえば、五年前の地方分権一括法で、事務については法定受託事務と自治事務というふうに二つに整理したんです。で、自治事務は地方団体の本来の固有の仕事、法定受託事務は国の仕事だけども、実際にそれを実施するのは、執行するのは地方にやってもらった方が国全体として効率的だと、合理的だというもの、例えば最たるものはこの衆参の国会議員の選挙であります。選挙するために国政選挙の事務所を別途置くなんてそんな無駄なことはないわけですから、地方の選管事務局にやってもらうと、これは法定受託事務の最たるもの。  ですから、私は本来の考え方からすれば、そういうふうに事務を分けたんであれば、自治事務は地方の固有財源で、自主財源で全部負担をして執行する、法定受託事務は、本来国の仕事であればそのお金も本来国が全額負担をして、ただし執行は地方にお願いすると、こういうことであれば極めてこの事務と財源の関係がすっきりするわけです。  しかし、残念ながら今の地方財政法はそういう考え方に立っておりません。法定受託事務であっても実行するのが地方であればいったんそれは地方の事務になるんだと、こういう位置付けをしているんですね。ですから、それについて地方の財源を充てても理論的にはおかしくないという整理をし、片や国道や義務教育や生活保護のように国としても重大な利害あるいは責任がある分野については一定割合を負担しなさいと、こういうふうになっているものですから、事務配分と財源配分がクロスして、一本の筋の通った形になっていない。  特に、国と地方が、法定受託事務にしろ国庫負担補助事業にしろ、執行においても財源面においても共同で負担し合う、共同でかかわり合うような部分は、正に大臣のおっしゃる自由と責任からいくと、それに反するわけです。要するに、お互いに責任を持っている、お互いにかかわっているものですから、両方がもたれ合ってしまっている、ここをきっちりと整理することがやっぱり一番のみそではないのかというふうに思うんですが、是非、せっかくの懇談会で根本に立ち返って議論をされるんであれば、そこをしっかりとした理論的な枠組みをつくっていただきたいと思いますが、御所見いただければと思うんです。
  31. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今の森元委員の御指摘は、私は実は、今後懇談会でも議論されていくであろう一つの理論的な、論理的な考え方の中心の部分であるというふうに私は実は思っております。  要するに、委員がおっしゃることは、正にもう地方自治の御経験、自治省としての御経験を踏まえてですけれども、国の仕事であると、法定事務というのは国の仕事であると。国の仕事であるんだったら国が全部ちゃんと面倒見ろと、誠に分かりやすいし、そのとおりだと思う。これは自治事務であると、自治事務であるというんだったらこれは国が面倒見るんではなくて固有の地方税等々の財源でできるようにしろと、私はやっぱりこれが非常に分かりやすい一つ考え方なのだと思います。しかし、現実には、正にこの今の事務の区分と費用負担の在り方とが直接連動しないというような仕組みに現実にはなっているわけです。現実になっているにはなっているやはり長いいろんな経緯があったということも事実なのだと思っております。  先ほど私は理論的にはすっきりするというふうに申し上げましたけれども、これをすっきりさせるためには、そもそも国と地方の役割分担が本当に国の仕事なのか地方の仕事なのかという、これは御承知のようにやり出すとちょっともうエンドレスのような議論になってしまうわけで、その二〇〇一年の法改正のときも諸井会長始め皆さん物すごく御苦労されたと聞いておりますけれども、そういうやはり考え方としては非常に分かりやすい考え方ですけれども、現実の調整の難しさというのが私はあるのだというふうに思っております。  ただ、問題は、私なりに委員の御指摘は理解しているつもりでございますので、これは懇談会の中でも引き続きしっかりと議論をしてもらう必要がある、その非常に中枢の重要な点であるというふうに思っております。
  32. 森元恒雄

    森元恒雄君 もう一点、国の財政再建との関係で絶えず主要テーマの一つに挙げられるのがこの地方財政対策、特に交付税の削減ということでございますが、これは国から地方に移転している財源であることは間違いありませんけれども、それは表面的なことであって、交付税の本質は、本来地方税で完全に賄い切れ、また団体間の格差もそんなに大きく付かないような地方税制が仕組めるんであれば、交付税は要らないはずです。要するに、交付税は地方税の足らざる、機能的に足らざるところを補うための私は一つの知恵、仕組みであると思うんです。  したがって、その削減するかどうかということについては、やっぱりその地方の歳出の中身がどうあるべきかということが議論の対象であるべきであって、交付税を頭からどうするかというようなことは、これは後から付いてくる話、これは大臣もこの場でもそういうことをおっしゃったと思いますが。したがって、しかも、地方団体が今やっているいろんな仕事は、仮に国庫補助負担事業以外の地方独自のと見えている単独事業であっても、実際には、例えば警察官の定数一つ取っても、あるいは高等学校の学級編制取っても、事細かくさっきから言っていますように国が決めているんですね。国が法律で、政令で、省令で、通達で決めている、要綱で決めている。  それががんじがらめに地方を縛っているわけですから、そこのところが是か非かと、今の時代に、これからの時代にこれでいいのかということの議論を抜きにして、額が大きいからこれ何とかしないと国の財政が大変だって、そんな単純な話ではないわけでありますが、その辺について大臣としての御姿勢、お取組のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  33. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 現実問題としまして、歳出歳入一体改革を議論する経済財政諮問会議の場では、この地方交付税の本質というのを、残念ですけれども、まあ本当にきちっと理解をされずに、財政が赤字だからこれを削れと、公共事業を削れと、これを削れと、そして地方交付税を削れという議論がもう横行をずっとしてきております。私はそのたびに、正に委員がおっしゃったように、この地方交付税というのは、歳入として、地方の歳入として見る場合は、これは地方に固有の、正に共有の固有財源なわけです。これは固有の財源ですということ。そして、国から出す歳出としての地方交付税というのは、実はこれは正に中間支出であって、中間支出そのものを減らすということは政策論としてはやっぱりおかしいわけです。  国も地方も歳出をスリム化しなければいけません。現実にこの四年間、地方は非常に厳しい歳出削減を現実に行ってきました。で、先般の諮問会議で、私は自分なりの数字をめどとして出したんですけれども、これは、そこで改めて見るのは、いや、国は余り歳出そんなに減らしてないと、実は地方が減らしていて、この間の基礎的財政収支の改善に寄与したのは地方の歳出削減であったんだと、そのことは実は明確に申し上げた。その結果として交付税が減るということは、これはこれで財政の状況考えると悪いことではありませんと。しかし、交付税を減らすと、中間支出である交付税を減らすという議論だけはもうどうかやめていただきたいと。そのことを諮問会議ではもう何度も何度も申し上げているんですが、ほとんど一対nで、何か普通通信放送みたいですけれども、一対nで、そういう立場の主張するのは私一人であるというのが今まだ諮問会議での現状でございます。  しかし、先般も片山幹事長が予算委員会で正に今委員おっしゃってくださったのと同じ趣旨で御指摘をくださいました。そして今、森元委員が御指摘くださった。こういうやはり本質論を国会等々の場で国民に分かる形でしっかりとしていくということが本当に必要なんだろうと思っております。  この基礎的財政収支の黒字化に向けて今後やはりある程度数字の議論をしなければいけませんので、その場合に、間違っても中間支出であるこの交付税を削ればいいんだというような議論にならないように、総務大臣としてこれはしっかりとしかるべき場では発言をしていきたいと思っております。
  34. 森元恒雄

    森元恒雄君 分かりやすく言えば、交付税を削れということは、地方税を削れと言っているのと同じなんです。そう言っていただいたら一番分かりやすいと思うんですね。  で、あと一点だけ簡単にお聞きしますが、この地方の方が、今も大臣の答弁にありましたように、歳出の努力をこの間してきていると思うんです。にもかかわらず、懇談会では地方に対して破綻法制を新たに作るというようなことがテーマに挙がっていると思うんですけれども、それは、その理由ですね、私は破綻法制もし作るなら、国の方にこそ破綻法作らないといかぬじゃないのかと思うんですが、大臣のお考え、最後にお聞きしたいと思います。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方自治体の破綻法制についての議論をビジョン懇談会で行っております。  それについて、この破綻という言葉がちょっと強いものですからマスコミが面白がってそのことばかりを議論しているんですが、先ほど委員もおっしゃったように、これは自由と責任のコインの両面としての議論をしているわけで、自由度を高めるための議論議論としてもちろんしっかりと行っているわけでございます。その上で、やはり自治体にはその自由度を踏まえた上での責任を持っていただきたい。  改めて、今でもこれ御承知のように再建の法制があるわけでございますけれども、改めてこれを議論したいというふうに思いましたのは、実は今の仕組みそのものはフローの議論だけでございます。やはり、本当に再生することが必要になった場合には、もちろんそうならないことが重要ですけれども、まずやはりストックの議論も含めてしっかりと議論しなければいけないでしょうと、その議論をやることが地方のためだと私は思います。それが第一点。  第二点は、そういう仕組み議論することによって、言わば予防措置がしっかりと働くような仕組みがつくられる。破綻などされては困るわけでありますので、その予防措置がしっかりと、予防の仕組みがしっかりと働くような、そういう意味も込めてそういう議論をしているわけでございます。  意を体してしっかりと議論を重ねたいと思っております。
  36. 森元恒雄

    森元恒雄君 終わります。
  37. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。  先ほど、森元委員の方から質問の冒頭に述べておられましたけれども、私も、竹中大臣、大いに期待をしていると同時に若干の不安を持っている一人でございまして、是非この質問を通してますます期待を大きくしていただいて不安を解消いただくと、そういう御答弁をお願いを申し上げたいというふうに思っております。  そういう観点で、まず最初にお伺いをいたしたいのは、昨年の十月の二十七日、この総務委員会におきまして、公務員制度改革に関する決議が行われました。そして、その決議に対して、当時の麻生総務大臣、その趣旨に沿い努力してまいりたく存じますと、こういう発言をされておるわけですけれども、当然行政の継続性ということがございますから、後を引き継がれた竹中総務大臣もあの決議に対しては麻生大臣と同様の所見であるというふうに思っておりますが、見解をまずお伺いしたいと思います。
  38. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 昨年の十月二十七日、本委員会におきまして、公務員制度改革に関する決議がなされたと承知をしております。労働基本権の在り方等々に関すること、そして公務員総人件費の規模の見直しに関すること。その際、麻生前総務大臣から、その御趣旨に沿い努力してまいりたい旨発言させていただいたところでございます。  私としましても、本決議に盛り込まれた事項に配慮しつつ、これは内閣官房と連携協力をしまして、公務員制度改革の推進に努める所存でございます。
  39. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大臣から同様の答弁をいただきました。いよいよその決議がこの国会で活用される状況になってきたんではないかなと私は思っているわけであります。本日は、その決議の内容に沿って大臣考えを伺ってまいりたいと、このように思っているところでございます。  まず、先ほど大臣も言われました第二項目めでございますけれども、若干読み上げてみます。公務員総人件費の規模の見直しを検討するに当たっては、財政的見地のみならず、地方分権の推進や少子高齢化の進展などの情勢変化に対応した国、地方の公共サービスの適切な役割分担、公務労働の適切な配置については広く国民議論を行うように努めることと、こういう内容になっているわけでございます。  この基本的趣旨についてでありますけれども、これは私なりに理解をいたしますと、総人件費を見直すに当たっては、まず国の在り方や行政の在り方というものをきちっと論ずるべきだと。それによって総人件費、とりわけ人員削減等については職員配置等をその事務事業に見合ってやっていくべきだと、こういう趣旨だというふうに理解をしているわけであります。  そこで、竹中大臣にお伺いいたしますけれども、大臣は就任時の記者会見、あるいはその後の新聞インタビューで、私は小さな政府担当大臣だと、こういうふうに自負されておりましたけれども、大臣が今言われている小さな政府というのは一体どういう政府なのか、簡単にお述べいただきたいと思います。
  40. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 就任のとき、今御指摘ありましたように、私は小さな政府担当大臣であるという発言をさせていただきました。  そもそも、小泉内閣基本方針としては、小さくて効率的な政府を実現するというのが掲げられております。具体的に言いますと、これは改革をしようと、改革なくして成長はないんだと、そして民間にできることは民間でやろうと、地方にできることは地方でやろうと。正にそういう方針で取り組んでいるわけでございます。  そういうことを実現するのは具体的にどういう基本的な考えに基づくかということでございますけれども、これはやはり、より地方でできることは地方にという観点からいうならば、やはりより身近なところで判断するということが無駄ない、一番無駄をなくすことなんだと、そして住民の満足度も一番高まることなんだと。正に、受益と負担を非常に近いところで、住民に近いところで明確にやっていただこうというような判断があるわけでございます。  そして、そうすることによって、国と地方の重複行政がなくなって、それで効率化するということでございますので、その意味では小さな政府というのはやはり地方分権を進めるということと表裏一体である、私はそのように考えているところでございます。  小さな政府についての考え方としましては、以上申し上げたとおりでございます。
  41. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 地方分権と一体だという考え方を出していただいておりますので、その問題はまた後で議論をさせていただきたいというふうに思いますが、三月十日の本会議で、私は本会議質問をさせていただいたときに、これは竹中大臣ではなかったんですが、安倍官房長官と谷垣財務大臣にこの小さな政府問題で質問させていただきました。  私がそのときに申し上げましたのは、元々日本は小さな政府であると、その日本状況を改革して更に小さな政府にしていくということになれば、国民のニーズにこたえられなくなってくるんではないかと、そういうふうに申し上げたわけであります。  ただ、御答弁なり、あるいは小さな政府を目指す方針の目的等を骨太の方針等から読み解いていくと、まず一つには、現在の国、地方を通じる財政赤字が非常に巨額になっていると、これを何とか再建しなければならないということと、もう一つは、少子高齢化の進展に伴って今後の社会保障に係る経費が増大する、だから小さな政府にしていかなければならないと。この二つの理由が大きな理由として推測をされるというふうに思っているんです。  私は、まず第一番目の財政の健全化を図ろうというその政府の考え方については基本的には理解をいたします。ただ、二番目の社会保障に係る経費が増大をする、これを何とかしなければならないという目的については、政権を預かる政府としては、国民生活の安心、安全を守る施策を低下させるんではないかと。私は、政権を預かる政府としては、こういう国民生活の安心、安全を守る施策こそ最優先すべきではないかと、そういうところにお金を回していくという、きっちりとした予算を確保していくということが、これからますます重要になってきているんではないかなというふうに思っているんですが、その点の見解をお伺いしたいと思います。
  42. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、高嶋委員が非常に丁寧に骨太方針等々を読み解いてくださったんですが、私も、小さな政府というのはなかなか分かったようで分からない議論であるんですけども、要は、突き詰めれば、やはり私は二点なのだと思います。  公務員の数とか、それと歳出の税負担率とかで比べると、日本は決してまだ今の時点では大きい、諸外国に比べて大きいとは私も認識をしておりません。しかし、資産、ストックを見ればどうかと。国の持っている資産、負債、このストック面では、これは非常に大きなものを持っているわけです。このストックに関して、日本規模というのは非常に大きい。これはやはりスリム化していく必要があるでしょうというのは私は一つのポイントだと思います。  もう一つは、今の時点で政府の支出規模はそれほど大きくないわけですけども、高齢化、人口減少で、社会保障を中心にこれが、二〇一〇年代の初頭辺りから爆発的にこれが増えていくということが懸念されている。それに対してきちっと備えておかないといけない。実は、その背後にある考え方は、国民負担率が高くなればなるほど、高い国ほど実は経済活力がどうも低下してくるのではないだろうかという統計的な観察があると。実はこれも、そういう事実があるないは専門家によって意見が分かれるところではございますけれども、私自身は、内閣府等々での分析を通して、やはりこの負担が高くなると活力、経済活力というのはどうしても低下してくるという傾向にあるというふうな認識を持っております。  一方で、社会保障そのものについて、これは私が政府を代表してお答えする立場にはございませんですけれども、ひょっとしたら尾辻委員がお答えしたいかもしれませんですけれども、一般論として申し上げるならば、これは、安心、安全を守るための施策というのは、これはやはり国として極めて重要なものであるというふうに私も認識をしております。この安全、安心を守るための施策に集中的にできるだけお金を使えるようにするためにも、その他の項目について削減できる項目はできるだけ削減して、そして国民の税負担等々が重くならないようにしていかなければいけないと、そのように考えるわけでございます。  実は総務省も、消防の問題とか情報セキュリティーの問題で安全、安心に非常に強い関心を持って仕事をしておりますので、そういったところにしっかりと人もお金も使えるように、めり張りが利くような、そういう政策は私としても是非進めてまいりたいというふうに思っております。
  43. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 安心、安全問題と予算確保の問題、大臣、そういう方向でという見解でございますが、端的な例が一つあるんですね。それは、この間から問題になっております耐震強度偽装事件に絡んでいるわけでありますけれども、この問題が発生をいたしましたときに、民間の検査機関だけでなしに、自治体においても行政責任が問われるような状況になってきております。さらに、建築確認行政で人員確保の不十分であるということも明らかになってきたというふうに思うんですね。まあそのために民間の検査機関にもやらせるんだということになるのかも分かりませんけれども、しかし、この建築確認行政の自治体の責任にしていくわけにはいかない問題が私はあるんではないかというふうに思ってます。  なぜならば、国は建築基準法で自治体に建築確認等の事務を義務付けているわけでありますけれども、当然、先ほどの森元先生の話にもありますけれども、そういう事務を自治体にやらせていく場合は、当然財源保障というのは国でやるべきだというのが当たり前のことだというふうに思いますし、地方自治法でも第二百三十二条の二項に、不足する財源については保障する措置をとらなければならないと、こういうことになってるわけですね。  しかし、実際には、自治体で建築確認の事務を義務付けておりながら、その事務については手数料で賄うという仕組みになっているわけですよね。手数料で賄えない経費については、自治体は一般財源から持ち出してやらなければならないと。自治体も今赤字で大変ですから、そういう持ち出しの金がなければ人を縮小してやらなければならない、十分な検査ができないと、こういうジレンマに陥っていくわけで、ああいう偽装事件の要因にもなったんではないかというふうに思ってるんですけれども、こういう建築確認体制を幾ら充実せよといってもなかなか難しいというのが自治体の現実だというふうに思うんですね。  そういう観点で、大臣としては、自治体の建築の行政費についてきちんとこの財源保障を行っていかなければならないというふうに考えておられるのかどうか、その点の見解を伺いたいと思います。
  44. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 確かに、今回の耐震偽装問題を契機とした建築確認制度のこのケースというのは、先ほど来、森元委員も御指摘してくださいました国と地方の役割分担考える上での非常に重要なケースなんだと思います。  また同時に、この問題は、ちょっとこれは国土交通省ともしっかり議論しなければすべてお答えしかねる問題かもしれませんけれども、今、交付税の算定上、都道府県分の建築行政費におきましては、職員人件費始め所要の歳出を計上するとともに、毎年度の実態調査を基にしまして手数料収入というのを歳入に計上しているわけでございます。そして、結果として歳入が歳出を上回っているという状況、その意味では、委員御指摘のようにその分、何といいますか、国が保障してないという形になっていると。  で、耐震偽装問題を契機としまして、この建築確認制度の見直しにつきましては、現在、国交大臣の諮問機関でございます社会資本整備審議会におきまして多角的に議論されているというふうに聞いています。引き続き検討すべき課題の一つとして、その中の一つとして、国及び都道府県、特定行政庁における監督体制、そして審査体制の強化が挙げられているわけでございます。  この建築行政費に係る財源につきましては、やはり国交省における検討結果を踏まえて、また地方公共団体からの意見等も踏まえなければいけないと思いますけれども、我々としては総務省の権限の中で、責任と権限の中でそういったことを、今申し上げたようなことを踏まえて適切な算定に努めていきたいというふうに思っております。
  45. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 次に、十日に閣議決定をされて国会に提出をされましたいわゆる行革推進法案、この中で公務員の総人件費削減、五年間で国では五%削減、地方では四・六%削減という、まあ言わば一律削減的な提示をされているわけでありますけれども、私は、この考え方というのは、必要性の低下した政策の部分、事務事業の部分は削減をして、先ほどから言ってますように他の重要課題に回していくという、一般に言われるスクラップ・アンド・ビルドの発想ではなくって、やみくもにあらゆる政策を縮小していくというスクラップ・アンド・スクラップに通じるんではないかと。小泉総理は、何でもぶっ壊すのが好きだと、こういうふうに言われてるんですけれども、そういう部分も含まれているのかなというふうに思うんですが。  読売新聞の一月の二十日でしたか、「論点」に、元財務大臣の塩川正十郎先生がこのような記事を掲載をされています。  そこでは、公務員の人件費削減について次のように言っておられるんですね。削減だけではなくて、適材適所に配置が必要だと、これからは、必要でない事務事業から、シー、監査、監督ですね、とりわけ国の行政監察を強化しなければならないという視点で、そういう部分に、まあ浮いた人員っていうのはなんですけれども、余剰人員を回すべきではないかと、そのことによって国の統治システムの改変が必要なんだと、こういう主張をされておりまして、私もなるほどなというふうに読ましていただきました。  こういう考え方について、竹中大臣認識を伺いたいと思います。
  46. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) その塩川元財務大臣の記事そのものはちょっと私読んでおりませんですけれども、今お話を伺う限り、これはやはり正に適材適所で、まあ私たちはよくめり張りというふうに言いますけれども、それを付けることはもう極めて重要であり、それこそがまあ総務省、人員に関しては総務省が担うべき極めて重要な役割であろうというふうに思います。  委員御心配して、スクラップ・アンド・ビルドではなくてスクラップ・アンド・スクラップになるのではないかという御指摘でございましたけれども、我々としては、もうあらゆる施策を縮小させるとか一律削減とか、そういうことは毛頭考えておりません。まあ、厳しい状況の中で、しかもこれは公務員に対して世間の目、国民の目が大変厳しい中で、やはり国としても身を削るべきところは削らなければいけない、その思いは一方で強くございますけれども、しかし必要なことはやっていかなければいけない。まあ、今回の定員につきましても、めり張りを付けて、めり張りを付けつつ厳しく、そういう査定を行ったつもりでございます。  決して、繰り返しになりますが、国、地方通じた取組というのは、職員の一律削減ではなくて、そのスクラップ・アンド・スクラップにならないように留意をしつつ、めり張りを付けた定員の配置、それを行ってまいりたいと思っております。
  47. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 定員削減の手段としてこの間ずうっと用いられてきたのが、まあ小泉総理が言われる、民間にできるものは民間にという、基本的には公共サービスの規制緩和の方策が取られてきたわけですけれども、今までやられてきた中では民間委託、独立行政法人、まあエージェンシーですね、それからPFI事業、指定管理者制度、さらにこの国会には市場化テスト法、これらが法整備として進められてきているわけでありますけれども、しかしそのことによって国民が享受をする公共サービスの面が良くなったのか、それとも悪くなったのかという、そこの部分が一番国民は関心が強いんではないかというふうに思っています。一般的には、民間企業というのは利潤追求が目的ですから、安上がりと同時に、まあ言えばサービスも悪くなるのではないかという、こういう危惧があるわけでございます。  公共サービスというのは、国民の皆さん方が日常生活を過ごすに当たって必要不可欠であると同時に、個人の力では確保できない、そういう事柄というものを用意しているということですから、公的責任を伴っている公共サービスの質的強化というのはこれからもずっと求められていくべきものではないかというふうに思っているわけでございますけれども、そういう意味では、この良質かつ低廉な公共サービスというものをどう提供していくかということがこれからの非常に大きな課題になってきているのではないかと。安かろう、悪かろうではなくて、良いものを安くどう提供していくかということですが、ただ、これを両立をさせていくというのは非常に難しい課題だというふうに思っているわけです。  まあ、小泉改革の、この間の新聞読んでいましたら、振り付け師と言われるのが竹中大臣だと、こういう表現もございましたので、振り付け師である竹中大臣公共サービスの公的責任の問題と良質な公共サービスというのをいかに担保するお考えを持っておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。
  48. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 国民の生活の中で、公的なサービスというのはやはり大変引き続き重要な役割を多くの場面で担っていかなければいけないと思います。それに関して、その中で可能な範囲で民間活力を活用して、民間の知恵とそして民間の効率性、そういうものを持ち込むことによって良質の公共サービスをできるだけ安いコストで実現していく、この方向はやはり私たちとしても是非目指したいと思うわけでございます。  委員が御紹介してくださった独立行政法人、PFI、指定管理者の制度、そして今後進めたいと考えております市場化テスト、やはりそれぞれ民の知恵と活力、そういうものをできるだけ利用したいという、そのレベルはいろいろありますけれども、そういう方向なわけでございます。民間だからやっぱり安くなって、安くなるけれども悪くなるということにならないように、民間だからこそ良質のものを安いコストで提供できるような、やっぱりそこは仕組み方、進め方の問題であろうというふうに思います。確かに、単なるその民間活力というのを非常にずさんな形で導入すれば、これは民の悪いところだけが出てしまう可能性もあるわけでありますから、そこはその仕組み方に関してはもう万全の注意をしなければいけないということだと思います。  例えば契約で、例えばですけれども、分かりやすい例で、民間に契約でゆだねる場合には、契約の相手方をやっぱり適切に選定しなければいけないということだと思います。そういうノウハウをきちっと持って、責任あるそのガバナンスを持った会社にやってもらわなきゃいけない。  二番目としては、契約条件をやっぱりきちっとするということだと思います。価格を無理やりたたいたら、これはもうその反動というのは出るわけでありますから、そういった契約条件を適切に設定する、その仕組みをつくるということがやっぱり重要だと思います。  そして三番目には、履行を適切にチェックするということなんだと思います。それをチェックする仕組みをどう持っているか。そこはもう本当に仕組みの問題だと思いますので、きめ細かな制度設計の中でそういうことに知恵を出していくことが重要だと思っております。  ちなみに、地方団体の中ではこの民間委託を増やして、それによって財政の効率化を図るとともに、住民からは、やっぱりお役所仕事ではなくて民間にやってもらって良くなったというような事例も聞こえてまいります。だから、そこはやっぱりいろんな努力、工夫をしているんだと思います。そういう、その制度設計にしっかりと知恵を出していくということこそが必要なのではないかと思っております。
  49. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大臣の方からある程度具体的な話を伺いました。  私も、後段で言われた、一つはやっぱり質を低下させないためのチェック機関、まあ監視機能、これは、先ほど塩川大臣のことも、元大臣のことも紹介いたしましたけれども、やっぱりそういう監察、あるいはこの市場化テストでいえば監理委員会というふうに言っていますけれども、そういう部門というのはやっぱりきちっと機能させなければならない。そこにやっぱり行政だけでなしに国民の代表あるいは住民の代表もきちっと入って、公共サービスが民間でやっていることに対して低下していないかどうかということをきちっとチェックできるような状況をつくらなければならないということと、大臣がこれも申し上げられました契約の問題ですね。私はやっぱり、ILOの公契約の部分は日本は批准をしておりませんけれども、自治体や国が公の契約を結ぶときの一定の労働条件にまで配慮した、そういうやっぱり契約の結び方というものを、自治体であればこの自治体公契約条例というものを作ってやらしていく、一円落札なんかが起きるということのないようなやっぱりサービスをきちっとやらしてやっていくというような、そういう部分の改革というのはこれからも必要だというふうに思いますんで、その辺は地方自治体にも絡む部分ですから、大臣にもよろしくお願いをしておきたいというふうに思っております。  そこで、この決議の中で地方分権の推進も求めているわけであります。地方分権の推進が公務員の人件費と大きく関連するというのは先ほども大臣が言われたとおりであるというふうに思っておりまして、民主党はマニフェストで、地方分権の推進によって国家公務員の人件費を削減をするということを掲げてまいりました。先ほどの新聞の記事の中で塩川先生は、地方分権一括法を確実に実行すると、中央省庁関係で少なくとも二万人が不要になると、こういうふうに言っておられるわけですね。それともう一人、第二臨調で長年行政管理を担当されてまいりました稲葉清毅さん、この方も、昨年十二月の朝日新聞の記事で、公務員純減は定員管理手法だけでは困難だ、最も大きなかぎは地方分権の徹底であると、こう言っておられます。  この総人件費削減のかぎは、あの行革推進法案に出されている正に量的目標だけをするんではなしに、こういうやはり地方分権等を含めた行政の改革の中から生まれてくるんではないかというふうに思ってるんですけれども、そういう観点で中央省庁の構造を問い直すことと地方分権を実現するということに対する大臣の見解を伺いたいと思います。
  50. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほども一部御答弁させていただきましたけれども、やはり住民に一番近い、目に見えるところで、つまり受益と負担がきっちりと分かるようなところでサービスを提供していただくのが極めて良質なサービスを効率的に提供するということにつながるのだと思います。それが正に分権の趣旨でもあるというふうに思います。  昨年の十二月二十四日に閣議決定されました行政改革の重要方針の中の総人件費改革の実行計画がございますけれども、それでは国の行政機関の定員の三分の二を占める地方支分部局について、その業務全般にわたって民間にできることは民間に、そして地方にできることは地方にとの観点から抜本的な見直しを行うということにしております。  これを踏まえまして、平成十八年度におきましては、民間委託の推進でありますとかITの活用によって事務事業の見直しを行いまして、地方支分部局の定員について千七百二人、純減率〇・八%という純減を実現したところでございます。十九年度以降についても、やはりこの地方支分部局について抜本的な見直しを行う、そして地方公共団体への権限移譲も見直しの観点一つとして事務事業を精査していかなければいけないと思っております。そうすることによって積極的な改革が実現していくというふうに思っているところでございます。
  51. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 地方分権の推進を若干阻んでいる部分に、地方行革が足りないからだというような意見がよく聞くんですけれども、先日、経済財政諮問会議後の記者会見で与謝野経済財政担当大臣、仕送り先ではうな重だというふうに発言をされたようであります。これに対して全国知事会の福岡県の麻生知事、地方財政はうな重どころか麦飯だと、国の方が厚いビフテキを毎日食っているではないかと、こう反論をされておりました。まあ、そんなところで国と地方がけんかをしていただきたくはないんですけれども。  今日まで、地方の行革足らないというふうに言われているんですけれども、今日まで地方自治体の側は、市長会の会長も記者会見で言っておりましたけれども、市町村合併を始め定数の削減や給与の削減など、血のにじむような行革努力をしてきた、こう言われています。大臣は、この地方行革の推進状況をどう把握されているのかと。大臣も与謝野大臣と同じように地方自治体はうな重を食っているんだと、そう思っておられるのかという認識も含めてお伺いをしたいと思います。
  52. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 与謝野大臣の発言のその前後の脈絡とか真意とかというのはちょっと私には分かりませんけれども、まずこれは、仕送りを地方が受けているわけではありません。これは地方固有の財源で交付税という制度があって、もちろん今財源不足がございますけれども、仕送りではないと。そして、地方が厳しいその財政状況の中で地方行革を進めてきたというのは、これはもう紛れもない事実であるというふうに思っております。  そういう点も踏まえて、先ほども言いましたように、さきの諮問会議では、実は基礎的財政収支が大体この四年間で二十八兆から十四兆に半分になっているわけですけれども、一体だれが歳出を削ったのかということをお示ししたわけです。それによりますと、実は実質的な歳出の削減の実は非常に大きな部分が地方であって、むしろ国の方が非常に小さいということが明らかになっているわけでございますので、そういう事実について引き続きしっかりと説明をしなければいけないと思っております。諮問会議では、そういうことをもっと内閣府が、取りまとめに当たる内閣府がきちっとやるべきだということを私自身申し上げまして、その場におられた総理もそのとおりだと、そういうことを、明細をしっかりと示してくれということをおっしゃった経緯がございます。  地方行革については、例えば地方公務員、十一年間で二十四万人以上純減をしております。そういう事実も十分認識しておりますし、今後、新行革指針にのっとって更にしっかりと、いろいろそれぞれ独自にプランを出してくると思いますので、我々としてはその方向是非進めてもらいたいと思いますし、その助けになるようなことは積極的にやっていきたいというふうに思っております。
  53. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 大臣の方から地方行革の関係の状況を簡単に報告いただきましたけれども、人員削減の問題は二十四万人、言わばこれ削減というよりも純減をされてきているという部分、それともう一点、触れておられませんけれども、給与カットですね、これは人事院勧告で出された分以上に給与カットがやられておるところが約もう千五百自治体に上っているという状況がございます。これは平均大体五%程度、今北海道では一〇%カットをするんだという北海道庁、知事が表明されて、今これは組合と協議中でございますけれども、そういう事態になってきているという部分もございますから、かなり人員とそれから給与の水準、これは人勧以上に下がってきているということからいえば、総人件費というのはかなり削減をされてきているんではないかと、そういうことを是非諮問会議でも総務大臣として強く表明をいただきたいなというふうに思っているところであります。  そこで、地財計画の関係で、この総人件費の関係の集中改革プランに基づいて人員削減を給与関係費に反映をさせるということにこれなっているんですけれども、集中改革プランの報告を行わない自治体が出てきた場合、一体どのように給与関係費に反映させようと考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  54. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 平成十八年度の地方財政計画上の職員数につきましては、先日閣議決定されました例の行革の重要方針におけます四・六%以上の純減目標というのがありますが、これの目標を踏まえまして、その一年分に相当するその二万二千六百二人を純減しているところでございます。そこで、十九年度以降の地方財政計画につきましては、各地方公共団体が作成をします集中改革プランを踏まえて検討していきたいと思っているわけでございます。  お尋ねの集中改革プランがどの程度作られて、それがどの程度有用なのかという観点でありますけれども、合併市町村を含めて現段階で平成十七年度又は十八年度中に集中改革プランを公表するという予定の団体でございますけれども、全体の約九六%になるという見込みでございます。で、九六%でございますので、一応大勢としての判断には支障はないというふうに考えておりますけれども、これ、現在も進行中でございまして、その後も更に進行していくというふうに思っておりますので、引き続き、これが一〇〇%に近づくように我々としてはもちろんしっかりと働き掛けをしていきたいというふうに思っております。
  55. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いずれにしても、先ほどの例にもありますように、地方が相当な行革を続けているということですから、地財計画の縮小、削減というのは今後余り続けていっていただかない方がいいんではないかと、これはまあ御要望として申し上げておきたいというふうに思いますが。  それとの関連もあるんですけれども、昨年の十一月一日、これも朝日新聞なんですけれども、「私の視点」欄に元総務庁の事務次官で現在中央大学教授の増島俊之さん、次のような記事、投書、投稿をされておりました。総人件費にかかわる部分ですけれども、今回の純減は、地方公務員の定員にも連動すると、だが、国が純減率を当然のように振りかざして、典型的な自治事務の領域に強制してくるのは、上下、主従の関係から脱却が叫ばれる地方分権の時代に逆行するものだと、自治体は、断固として自主性を発揮をして、固有の事情に応じて判断すべきであると、こういうふうに言っておられるわけですね。私もそのとおりだというふうに思うんです。  今まで地方の自主的な行革によって、先ほども大臣から二十四万人という話がありましたけれども、昨年、一昨年ですか、平成十六年、地方自治体ではどれだけ純減を行ったかというと、三万三千人純減しているわけですね。これ、これからやっていくという、これから五年間の四・六%と比較をすると、四・六%を大幅に超える純減をもう既に平成十六年、まあこの十七年も達成すると思いますけれども、それ以上達成してきておる。言わば、四・六%を一年間に大体換算すると三万人、二万八千から三万人程度だと思うんですけれども、それからいうと五千人以上上回って、自主的に削減をしてきているという実績があるわけですね。  だから、そういう観点からいうと、総人件費改革で地方公務員の四・六%、まあ以上というあれが付いていますけれども、そういう削減方針を示すこと自体、この地方分権に逆行しているんではないかと、地方自治体の自主性を尊重すべきではないかというふうに思うんですが、大臣考え方はどうでしょう。
  56. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、増島教授の論文等々も引用くださいましたけれども、ポイントは、国と地方ともにしっかりと行革を進めて、削るものは削っていかなきゃいけないと、国民はそれを期待しているという事実があるわけでございますけれども、一方で、これ、地方は自主的な取組をすべきものでありますから、我々は決して強制しているわけではございません。この増島教授の言葉の中に強制という言葉が入っているわけですけれども、決してそのようなことではございません。純減実績四・六%、これを上回る純減をマクロ的な管理として国と地方のプライマリーバランス回復を目指す中で、更に小さな政府をつくっていく中で、その各団体における自主的な取組を要請しているというのが私たち基本的な立場でございます。  繰り返して言いますが、これは、我々としては、例の行革方針の、重要方針の中でも、この国と地方の関係、私たちはこう要請する立場であるということは明確に諮問会議においても主張して、住民の理解を得ながらやはりしっかりと進めていただきたい、画一的な取組を求めるものではない、それぞれの住民ニーズを踏まえて自主的な取組が行われなければいけないということで、それを要請しているという立場を我々としてはもうしっかりと貫いておりますので、地方行革に、地方の時代に逆行するというようなことでは決してないというふうに思っております。
  57. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私の質問では最後になりますが、是非大臣、強制はしていないということですけれども、ああいう法律で縛るということは、要請であっても自治体としては強制と、こういう受取方になりますので、その点は是非よろしくお願いをしておきたいというふうに思っております。  最後に、労働基本権の問題です。  この公務員の総人件費削減、これをやっていこうと思えば、配置転換あるいは給与の削減等々を含めた労働条件にかかわる問題が大きな課題になってきます。当然、そうなりますと、労働基本権の回復というのは避けて通れない最重要課題だというふうに思っています。  三月七日の参議院の予算委員会で、自民党の片山参院の幹事長、公務員制度改革の法案も出すべきだと、そういう質問に対して、中馬行革担当大臣、できたら今国会に提出したいと、こういう前向きな答弁をされています。  竹中大臣もこの政労協議のメンバーでもございますんで、是非この政労協議をスピードアップさしていただいて、関係団体との合意を図って、早急に労働基本権問題も含めた公務員制度改革の法案を提出をいただくべきだと思いますが、大臣としての見解をお伺いをして、私の質問を終わります。
  58. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 極めて重要な問題であるというふうに思っております。  そのさきの行革の重要方針におきましても、こうした問題について、労働基本権の在り方も含めて、これは内閣官房を中心議論するというふうになっております。私も内閣官房にしっかりと協力をして、そして今、政労協議の話ございましたけれども、職員団体等と十分に話合いを行っていくということが重要であるというふうな基本認識を持っておりますので、しっかりと内閣官房に協力をして取り組んでまいりたいと思います。
  59. 内藤正光

    ○内藤正光君 こんにちは。民主党・新緑風会の内藤ですが、十二時半まで主に情報通信関連について質問をしたいと思います。  まずは、放送通信の融合について質問したいと思います。  冒頭は、国民が享受するメリットは何なのかについて大臣議論したいとは思ってはいたんですが、時間の関係もあり、また森元委員が既に質問をしたということもありまして、ネット放送に求められる公共性とは一体何なのか、それについて大臣にお伺いをしたいと思います。  といいますのも、放送で大事なものはやはり公共性です。一方、通信で守らなきゃいけないものは言うまでもなく通信の秘密。これがインターネットにより融合する。言葉をもう分かりやすく言えば、だれもが通信の気楽さでもって放送のような情報発信力を手にすることができるということです。これを可能にしたのがインターネット技術なわけです。  そこで、二つの点で考察をしてみたいと思います。  まず、インターネット。両面性を持っているわけなんですが、通信観点でインターネットを見たら、やはり通信の秘密を守らなきゃいけない。だから第三者の介入というのはあってはならない。片や、放送という観点で見た場合は、やはり公序良俗を守るということから、やはり第三者の監視なりが必要なんだろう。この両者はどうバランスを取ったらいいのか、大きな問題です。  そして二つ目の観点は、これまで電波の希少性だとか、あるいは社会的影響力の大きさ、そういった観点から、公共放送には高い公共性が法律で義務付けられていた、定められていた。ところが、じゃネット放送の時代になったらどうなんだろう、こういう疑問も出てくるわけです。もちろん前提としては、今後も地上波放送が主であり続けるかどうかによってこの回答は大きく変わってくるんだろうとは思います。  それを踏まえながらも、ちょっと大臣にお尋ねしたいのは、ネット放送に求められる公共性とは何なのか、そしてそれを守るために法改正や組織在り方も含め、どんな対応が必要になってくるんでしょう。お尋ねしたいと思います。
  60. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 通信放送の融合を議論する際にやはり議論しなければいけない最も重要な問題の一つが、今、内藤委員がお示しになった問題だと思います。本当に放送公共性通信の秘密の保持といいますか、それが実は、IPインフラの中で非常に質の違うことが実は技術的にはもう簡単にできるようになってしまったと。正に、今ギャオが大変話題になっておりますけれども、ああいう通信の手段で放送のようなことをするものが可能になっているわけでございます。  委員の御質問は、その公共性の担保をしからばどのようにするかということなわけでございますけれども、これは幾つか今法体系大変細かく分かれておりますけれども、現在四社がこのサービスを提供しておりますIPマルチキャスト方式によりますこの有線役務利用放送に関しては、番組の基準の作成でございますとか放送番組審議機関の設置等の放送法の規定が準用されるというようなものが常にございます。  今後インターネット放送がよりいろんな形で普及してくるというふうに思われますけれども、これに対しては現在の放送と同様の規律を課すべきという考え方がやっぱり一つにはあると思います。一方で、インターネットの特性から規律を掛けるべきではないという考え方、これはもう様々やはりあるんだろう、これはもう今委員がおっしゃってくれたとおりなんだと思います。  今後、こういう融合、連携が進展していく中で、いわゆるインターネット放送に対する規律をどうやっていくのかというのは、やはりもう少し社会的な影響力とかそういうものを見極めなければいけませんし、もう一つ、私、国際的な議論の動向も見守らなければいけないというふうに思っています。EUではテレビ指令の、TV指令の見直しとか、そういうことがEUでも議論になっているというふうに聞いておりますので、その国際的な動向、そしてやはり社会的な影響力等々をしっかりと見定めて、どのような枠組みで今おっしゃったような公共性の担保と秘密の保持というのをすみ分けていけばよいのかということを総合的に判断していく必要が出てくるというふうに思っております。
  61. 内藤正光

    ○内藤正光君 大臣放送法のその規定が準用されるということなんですが、現在のように放送局のような責任ある主体、そこがまずもって放送規定とかでしっかりと、国ではなくてその放送局がしっかりと検査する、チェックするならば分かるんですね。最初から国が関与していることは絶対あってはならない。ところが、ネット放送の時代になるとどういうことになるかというと、だれもが気軽に放送局を営めるんですね。そういう時代に公共性をどう守っていくか、私が問いたいのはそこなんです。責任ある主体が情報発信する場合は、そこが責任を持ってやってくれるんでしょう。しかし、ネット放送がこれからどんどん栄える時代にあっては個人でもできちゃうんですね、個人でも。そういう場合に公共性をどう守っていくのか、ここを考えていかなきゃ駄目じゃないんでしょうか。
  62. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 確かに、そういう問題が出てくるのだというふうに思います。いわゆるグラスルーツのといいますか、草の根の、私放送局、あなた放送局というのが現実には出てきて、今のように一種の許認可でライセンスを出してテレビ業界行っているというようなこととのガバナンスは、これはまあ全く違うガバナンスが必要なのだろうというふうに思っております。それをどのようにするかというちょっと制度設計について具体的なアイデアは、私、今の時点で申し訳ありませんが持ち合わせておりませんけれども、実は同じようなのが、実は今の市場における、証券市場等々における取引でいろんな人がそのマーケットの中に参加をして、かつての証券会社だけのようなある種の確立された主体だけではない人が入ってきて、それに対して証券市場等取引委員会のようなところがリアルタイムで全部チェックしていろいろ行えるようなシステムになってきたと。そういう経緯を踏まえますと、やはり今までのガバナンス仕組みとは何か違う仕組みが必要なのだというふうにも思います。  ただ、これはやはり民のルールでインターネットそのものはやってきて、そのアドレスの振り付けも正にそれでやっているわけですので、これまたガバナンスが、何か政府が主導してどこまでできるのかなという思いもございます。その答えはちょっと持ち合わせがなくて恐縮でございますけれども、やはり何らかの仕組みが必要であろうと。しかし、その仕組みガバナンス在り方というのはインターネットにやはりふさわしいものでなければいけないであろうと。そういう点を踏まえてちょっと、制度設計についてはいろいろ考えていかなければいけないというふうに思っております。
  63. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、まずは大前提として、国民、ユーザーの情報リテラシーを高めていくこと、これはもう改めて言うまでもないことなんです。そのほかに、国としてはどう対応を取るべきか。やはり私は、国とはあるいは政府とは一線を画した独立した第三者機関、そういったところが広く、インターネット上あるいはまた電波でも構いません、そういったところを行き来する情報について公序良俗だとかそういった様々な観点から監視をする、そういう枠組みが必要ではないかなと思いますが、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私、正に新しい、インターネットにふさわしい新しい仕組みと申し上げたのは、どういうものかはちょっと分かりませんですけれども、そういう、今の例えばいろんな、アドレスをいろんなことを決めるのもICANNという組織が、これはちょっと今までになかった組織ですね、こういうガバナンス組織というのはなかったわけで、これはその設立の経緯から、私の元同僚でもあります村井純さんとかからいろいろ聞いていますけれども、まあよくそういう自然発生的な民の工夫世界的な組織ができたものだなというふうに私いまだに思うんでありますけれども、そういうものでいろいろしていくというのが私はやっぱり一つの理想の形としてはあるのだと思います。  ただ、今後、これが本当にもうみんな放送局になれると、放送局のようなものになれるというのがどの程度でどういうものが出てくるのか、これはちょっとまだ私にも分かりません。そういう中で、一つの理想として、内藤委員がおっしゃったように、ICANN的な何かインターネットにふさわしい新しいガバナンス仕組みができてほしいなという思いは私自身もございますけれども、まあそこは少しちょっと見極めていかなければいけない問題なのではないかなというふうに思っております。
  65. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非とも、今懇談会議論されているかと思いますが、通信放送の融合時代にふさわしいその仕組みづくりも検討していっていただきたいというふうに思います。  続きまして、NHK改革について何点か質問をしたいと思います。  まず、二元体制の意義についてお伺いしたいんですが、大臣も、三月九日の予算委員会でしたか、質問に対してこう答弁をされております。公共放送は必要であり、民放との二元体制を前提に改革を議論すべきだというふうにおっしゃっております。そこで、まずお尋ねしたいと思うのは、公共放送の意義と役割、何なのか、二元体制の意義とは何なのか、大臣のお考えをお尋ねします。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほどちょっと御答弁したことと重なるかもしれませんけれども、これは日本の場合に即して具体的にお話しさせていただく方がいいと思いますけれども、日本放送を見てみますと、主として広告料収入財源とする民間放送がある、そして受信料収入財源とするNHK放送がある。そこがやはりいろんな意味で私は切磋琢磨して、国民のこういう番組を見たい、ああいう番組を見たいというニーズを満たしてきているというふうに思っております。  そういう意味では、二元体制というのは、民放の場合はやっぱり消費者視聴者の好みに対して非常に敏感に、まあそれがちょっと敏感過ぎるというような御批判もあるかもしれませんけれども、やるということと、それと地域性というものも重視している。公共放送に関しては、特に報道を中心に非常に国民から信頼の高い放送サービスというのを私はNHKというのは提供してきたんだと思います。その意味で、お互いが切磋琢磨する、そういう仕組みが私は国民には受け入れられてきたというふうに思うわけでございます。  特に二番目の、じゃ公共放送でございますけれども、そもそも、先ほども言いましたけれども、放送そのもの公共性を有しております。民放も含めて公共性を有している中で、その中でNHKが果たすべき更なるその公共性というものをどのように考えるかということでございますけれども、その放送の、NHK公共性について改めて実は懇談会議論しようというふうにはしておりますけれども、今の時点で、これは放送法の第七条に示されているとおりでありまして、あまねく全国における放送を行う、そして豊かで良い放送番組を提供する、放送技術研究開発を行い、それに貢献をする、海外への情報発信を行う、この海外については今また別の意味で問題になっているわけでございますが、そういった意味公共性の高い役割を果たしているというふうに思っております。  ちょっと、委員の御質問が二元体制評価NHK公共性評価でございますので、ちょっと全部お答えしているかどうかですけれども、おおむね以上のように考えております。
  67. 内藤正光

    ○内藤正光君 ただいまおっしゃっていただいた答弁で二点確認をさしていただきたいんですね。  二元体制の意義で、互いに切磋琢磨し合う、私はそれ大きなポイントだと思います。そこで確認したいのは、こう言う人がいるんですね。公共放送NHKは報道中心であるべきだ、やっぱり娯楽はいかがかと。私はそうじゃないと思うんです。NHKならではの娯楽というのはあっていいと思うんです。そして、民放ならではの娯楽、それらが互いに感化し合うことで娯楽も質が高められるんじゃないかなと思います。ですから、私はNHK民放もともに総合編集というのが大切なポイントではないかなと思いますが、大臣のお考えをお尋ねします。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 恐らく、御指摘のように、国民NHKでやっぱり紅白歌合戦やってくれる方がいいな、民放で同じ時間格闘技やっている、両方見れるのはいいなと思っている、そういう国民は確かに多いのだと思います。一方で、その割合が、報道的なもの、文化的なものと娯楽的なものの割合が今のままでよいのかというようなことをおっしゃる国民もいらっしゃると思います。そういう意味では、国民議論はいろいろあると思いますけれども、国民議論是非踏まえてその公共性議論を私はさせていただきたいというふうに思います。例えば、イギリスのBBCを見ても、やっぱりBBCというのはニュースもいいですけど、ドラマも面白いですね。非常に、何といいますか、本格的なドラマも楽しんでいると、そういう面もございます。問題はその割合等々、そういうものも含めて公共性在り方について改めて私としては議論をしていきたいというふうに思っております。
  69. 内藤正光

    ○内藤正光君 二点目で確認をしたいのは、公共放送役割というところで研究開発ということをおっしゃいました。聞くところによれば、NHKから研究開発部門を切り離すべきだというふうな主張をされている方もいるというふうに聞きますが、私はそれやっちゃうと研究開発力が極端に落ちるんではないかな。私も、多くの研究開発機関、私、理科系の人間ですからよく行くんですが、やはり今どこも基礎的な研究、そして開発、サービス、これを一連の流れで見ておかないとしっかりした研究開発できないんです。研究者もインセンティブわかないんです。ということで、私はやはり安易に研究開発とそれ以上の部分とを切り離すべきではないというふうに考えておりますが、大臣のお考えをお尋ねします。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この点では内藤委員も御専門家でありましょうから、その御意見はしっかりと是非賜りたいと思います。  実は、私の知る限り、この点でもまだいろんな御意見があるんだろうなというふうに思うんですね。内藤委員は以前NTTにいらっしゃったと伺っております。世耕委員長も同じでございますけれども。実は技術に関しても、放送技術の実はかなりの重要な部分がNTTの研究所で作られていると言う方もいらっしゃいます。これは、私は技術そのものの評価はできませんですけれども、それは正に今までの放送技術とこれまでの通信技術というのは、正にそれがマージしている、コンバージしているということの一つの証明なんだと思うんですね。いろんな映像コンテンツの編集する技術なんかも実はこれはNHKでやっている技術もあればNTTの技術がすごく大きいんだと言う専門家もいらっしゃる。  そういう方々から見ると、実は研究所そのものもいろんな意味通信の研究所と放送の研究所が一緒になるようなこともあってもよいのではないかと、私はそういう御議論があるのだというふうに承知をしています。  ところが一方で、やはり現場に近いところで、現場の声が直接反映されるところで研究開発が行われる方がよいのだという考え方もあります。これはNHKに限らず、今すべての製造業においても、総合研究所を独立させるべきか、現場に近いところに置くべきか、いろんな御議論があって葛藤しておられると思います。  まだ議論は途中段階というよりも、始まったばかりでありますので、いろいろこれからも専門家の御意見を伺いたいと思いますが、内藤委員の御意見は御意見として、それは一つの私は御見識だと承っております。
  71. 内藤正光

    ○内藤正光君 例えば、研究機関同士が連携し合う、それは一つの事業戦略としてあってもいいと思うんです。ただ、これを国が強制的に切り離すということとは私は別問題だと思うんですね。  もう一つ考えなきゃいけないのは、アメリカであれだけノーベル賞を輩出したベル研が、今見る影もない姿になってしまったわけです。そのこともしっかり踏まえなきゃいけないと思うんです。  改めて答弁をお願いします。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私も実は研究開発投資の経済分析というので論文を書いたことがございまして、その際に実はベル研の話というのは良くも悪くも物すごくいい参考例になりました。  今おっしゃったようなベル研が大変話題になっているというのは、これはもう雑誌レベルでもいろいろ、今、日本でも少し以前ですけれども紹介されまして、私も大変興味深いなというふうに思っております。そのベル研の問題がどういうところに本質的な問題があったのか等々、やはりもう少し精査をしなければいけないというふうに思っています。  研究というのをどのような形で、分散させる方がいいのか、集約させる方がいいのか。それと、まず研究のマネジメント、そして研究者のインセンティブ、考えなきゃいけない要因は非常に多岐にわたっているというふうに思いますので、ここはもう少し専門家議論を詰めてほしいというふうに思っているところでございます。
  73. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非そこは、経済的な観点だけじゃなくて、そういった研究開発の分野の専門家、そういったところの意見も十分に踏まえて慎重に議論をしていっていただきたいというふうに思います。  続きまして、受信料制度についてお尋ねをしたいと思います。  この受信料制度、いろいろな方がいろいろな意見をおっしゃっております。例えば、規制改革会議の宮内議長あるいはまた懇談会の松原座長も受信料制度は破綻しているとか崩壊しているというふうにおっしゃっている。そういったところから、やれスクランブル化、有料化放送だというような議論が出てくるわけなんですが、しかし私は、冒頭の話に戻るわけなんですが、受信料という、税でもない、スポンサー収入でもない、この受信料という民放とは全く異なる収入源、これは私は二元体制を支える基盤だと思っているんです。  まず大臣にお尋ねしたいのは、大臣は、受信料制度は、宮内さんだとか松原さんがおっしゃっているように、破綻しているという立場をお取りになるんでしょうか。
  74. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 宮内さんや松原さんがどういう趣旨で破綻しているというふうにお使いになったかというのはちょっと私もよく分かりませんですけれども、受信料制度というのが今のNHK体制の根幹を成している、受信料という名の負担金でありますけれども、これは根幹を成しているというふうに、私はもちろんそのように認識をしているわけでございます。  そして、この制度が三割の不払に象徴されるように、やはり国民から見て、NHKはきちっとその制度の上でうまく乗っかっているというふうには残念だけれども思われてないと。それを破綻と言うかどうかはともかくとして、やっぱり改善しなければいけない問題がある、これは私はそのように思っております。  制度そのものが、この制度そのものが役に立たないとか、そんなふうに私が思っているわけではございません。しかし、とにかく三割ですから、これは七割の人はやっぱり怒りますよ、何でこんなことになっているんだと。これを生み出したのがやはりいろんな不祥事であり、不祥事からくる不信であったということから考えると、この責任NHKに私はやはりかなり大きな部分はあるというふうに思っております。そういった問題はやはりきちっと解決していただかなければいけない。  これまでの負担金の制度というのは私はそれなりに機能してきたと思いますし、この今の問題でしっかり改良できるのかどうなのか、そこをやはり見極めなければいけないというふうに思っております。
  75. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、ちょっとまず確認をさせていただきたいのは、受信料制度、国からもまた商業ベースからも距離を置く、この受信料制度、これはNHK公共放送を支える根幹だという認識で、しかし、でも問題があるだろうと。じゃ、どういうふうに、その三割の不払がある、そういう問題を解決をしていこうかという、こういう議論進め方ということでよろしいですね。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 根幹であるというふうに思っております。そして同時に問題もあるというふうに思っております。  それが受信料の問題としてまず考えなければいけませんが、同時に、NHK全体のガバナンスの問題であると、ガバナンスの欠如から今回のような不払問題が出たというふうに私は思っておりますので、NHK全体のガバナンスをどうするかという問題も含めて総合的に考えなければいけない問題であるというふうに認識をしております。
  77. 内藤正光

    ○内藤正光君 その点につきましては、私は大臣と同じ認識を共有していると思います。  それに加えて、今の受信料の徴収の仕方は昔と変わってないんですね。テレビ時代なんですね。テレビがある家庭に対して受信料を払ってもらう。ところが、ワンセグの時代、あるいはまた、これからネット、インターネットを使ってどんどんどんどんこの放送を流すことが許されるようになるかもしれない。そういった場合、テレビは持っていないという理由で、じゃ払わなくていいのかと、そうはならないんだろうと思います。  ですから、受信料の徴収の在り方も含めてこの受信料制度、しっかりと議論していかなきゃいけないと思いますが、大臣のお考えをお尋ねします。
  78. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員おっしゃるように、徴収の仕方そのものの工夫をしなければいけない、私はやはり正にそのとおりであろうと思います。  各国見てみると、いろいろ工夫をしていますですよね。これはもう委員承知だと思いますけれども、機器を、受像機を買うときにそれを徴収するような仕組みを取っているというような国もありますし、それぞれやはり工夫をしている、これはもう間違いないところだと思います。  NHKもいろんな工夫をしてきたんだと思います。ところが、今こういう問題がもう生じてしまっているわけですから、外国の例もやっぱり参考にできるところがあれば参考にすればよいというふうに思いますし、そこはいろんな工夫をして、国民にも納得いただける、そしてしっかりと財源が確保される、そのような仕組みを、ガバナンスを強化するという全体の中で私はこういう議論をしていきたいと思っております。
  79. 内藤正光

    ○内藤正光君 続きまして、政治的中立性という問題について議論をしてみたいと思います。  私たちは、よく公共放送のお手本として英国のBBCを引き合いに出して何かと研究したり議論したりするわけなんですが、私もBBCの歴史を勉強してみました。そうすると、やはりそこは政治介入との闘いであったと言い換えてもいいぐらいだと思うんですね。そのやはり根本的には、会長なりあるいはまた経営委員長が、たとえ時の政権、時の与党から選ばれた人であったとしても、そのポジションに就いた限りはということで、ジャーナリズムの精神にのっとって政治的介入と闘ってきた、これが英国BBCの闘い、歴史ではないのかなというふうに思っております。  ただ、それだけじゃないと思うんですね。制度的なやっぱり問題もあろうかと思います。イギリスは、言うまでもなく、今年がその年に当たっているというふうに理解しておりますが、女王から特許状をもらい、そしてそのときはかんかんがくがくの議論が繰り広げられますが、いったん特許状を得たら十年間は政治的な介入を受けることなくBBCはちゃんと経営に邁進できると。  翻って我が国はどうかなというふうに考えると、間もなくNHKの予算案が審議をされるわけなんですが、毎年審議されるんです。やっぱり、そこでどうしても、よくこういう声聞くんです。やはり予算というものが審議される以上、現場の自主的な自主規制というのは起こってしまうと。露骨に規制を掛ける人はいません、そんなのは、政治家で。やっぱり自主規制なんです、予算というものを意識して。やはりこれは、NHKの予算案が毎年国会で審議される以上避けられない問題なのかなというふうに思います。  そこで、一つ提案も兼ねて大臣のお考えをお尋ねしたいと思うんですが。  まず大前提として、日銀のように事業計画の国会報告を毎年行う、これは当然です。そのほかにも、経営委員会の強化だとかあるいはまた情報公開の徹底強化、これを前提としながら、私は、NHKの予算案の審議、これ廃止をするというのも一つの検討課題として議論していってもいいんじゃないかなと思うんですが、大臣のお考えをお尋ねします。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) こういう特殊法人といいますか、国が、公共性を持っているんだけれども国が直接やるのは適切ではない、だから一種の独立性をしっかり持ってもらって良い仕事をしてもらいたい、こういう機関というのは幾つか重要なものがあるわけでございます。  NHKの場合は、法律によって特別の使命を与えられていると。公共の福祉のためにあまねく全国において豊かで良い国内放送をするために、その使命を与えられている。そして法律による、これは先ほどから受信料、負担金の話をしておりますけれども、法律による契約締結義務に基づいて国民から徴収する受信料がその財源となっていると。そういう負担金のやはり問題が存在しているというふうに思います。このため、放送法において、NHKについて予算、事業計画及び資金計画の承認、NHKの経営方針その他重要事項を決定する経営委員の任命の同意等、国民の代表である国会が関与する仕組みを設けているということだと承知をしております。これは、したがいまして、その財源受信料であるということも含めて、その経営面でやはり国会から、国民の代表である国会が関与する仕組みになっている。  しかし、これはもう言うまでもありませんけれども、番組内容、放送の内容、番組内容については、これは独立性がしっかりと、これは当然保たれなければいけませんし、その保つという仕組みになっている。これは放送法の第三条にそのことが明記されているわけでございますけれども、今の私たち仕組みというのは、ただいま申し上げたような形で一つの整合的な仕組みになっているというふうに承知をしております。  NHKの問題を議論する中で、当然、NHKのその独立性とガバナンスのことが議論されましょうから、特に制約を設けずにこの懇談会では議論をしていただきたいと思いますが、基本的な法律の立て付けの考え方というのは今申し上げたような形になっているということでございます。
  81. 内藤正光

    ○内藤正光君 国のいろんな使命を負っていると、それでNHK公共放送を営んでいると。私は二つの点でちょっと考え直さなきゃいけないところがあるのかなというふうに思っておるんです。  例えば、国の使命を負ってやっている機関なんてほかにもたくさんあるわけですね。日銀だってそうでしょう。数ある独法だってそうでしょう。そういった点では、やっぱりどんな組織であれ、やはり何らかの役割は負っているわけですね。だから、それは私は理由にはならないんだろうと思う。  そして、もう一つ気を付けなきゃいけないのは、国の使命を負って公共放送を提供しているという考え方はおかしいんだろうと思うんですね。そうだったら国営放送になっちゃいますものね。国営ではない、国とは距離を置いた公共放送、これがNHKなんですよね。余りだから、そういうちょっと国の使命を担っているんだというのも、私はちょっと違うんじゃないのかなというふうに思います。まあそれはちょっと大臣のおっしゃったことに対しての意見なんですが。  それはそうと、やはり国会承認というのが、予算案のですね、やはり有形無形にいろいろな形で現場に、いろいろな規制という形で圧力となっているという現状があるわけですから、やはり今のこの毎年のように議論される予算案審議というのは一つのもう十分な検討課題、見直しに向けた検討課題として議論していっていただきたいと思いますが、改めて大臣のお考えをお尋ねします。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、内藤委員が御指摘になった点は、確かにこういった公的な機関を考えるときに常に心して見直しをしていくという心構えは、私は必要だと思います。  ちょっと今、ちょっと具体的に今言いますと、特殊法人なのか独法なのか特殊会社なのかですね、実はNHK議論に当たっては、こういうことを別にタブー視しないでNHK公共性とは何かということを見直してもらっているわけですから、こういった今言ったような問題についても私は議論をしていただければよいと思っています。こういうことについて議論するなというようなことは私は一切言っておりませんので、内藤委員と同じようなお考えの方がこの中のメンバーにいるかどうかちょっと私は承知をしておりませんけれども、そこは公共性、正におっしゃった使命ですね、そういうことを、そもそも論を是非議論、この中でしてもらいたいと思っておりますので、その中では私はタブーなく議論がなされていくであろうというふうに思っております。  後半の、委員がおっしゃった、それでもやっぱり国が関与するのが毎年あると報道の問題に影響が出るのではないだろうかと、そういう御懸念だと思います。これもまあ、しかし考えてみると、その使命、報道の使命というのと公共性というのをどのように考えるかという問題でありますので、私は懇談会で今のような議論もお伝えして、是非議論は私はしていただければよいというふうに思っております。  ただ、いずれにしても、先ほど言いましたように、放送法の第三条でそうした点についての根本的な考え方は示されております。委員の御懸念は、さはさりながら運用の中でいろんな懸念がないわけじゃないから、もっと工夫をしてみてはどうかということだと思います。是非公共性の、NHKにおける公共性とは何かということを考える中で議論をしてもらいたいと思います。
  83. 内藤正光

    ○内藤正光君 続きまして、電子申請の普及状況についてお尋ねをしたいと思います。  大臣も所信の中で、二〇一〇年には五〇%以上まで普及率を高めるとおっしゃっているんですが、ところがIT戦略本部の報告書にもありますように、全体では確かに高くなっているけれども、汎用的な電子申請システムに限ると一%にも達していない。事実、国際比較をしても日本はかなり出遅れているというのが実情でございます。実際、私も確定申告の時期ですからやろうとしたんです。今は小さな子供がいますから、なかなか家内も役所まで出掛けられない、じゃインターネットでできるって聞いたからやってみようと思ったら、その煩わしさにもうとんざしちゃったわけですね。やはり煩わしさが大きな理由ではないかなというふうに思いますが、ネット申請を普及させるためにどんな具体的な施策を検討しているのか、端的にお答えいただきたいと思います。
  84. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 確かに電子申請、御指摘のとおり、十六年度末で一〇%強ぐらいということになっております。まだそういう段階だということで低いと思っておりますが、ただ、有名な先行事例なんか見てみますと、特許申請とか通関とか、こういったものはもう九〇%から一〇〇%ぐらい近くまで行っているわけです。要は、国の電子申請の相手方になるようなところというのは、企業であるとかあるいは国家資格を有しておられる代理人であるとか、比較的電子申請が普及しやすいところだと思っております。  ですから、なぜこんなに普及率が低いのかということでいろいろ関係者方々から意見を聴取してまいりました。そうすると、まずやっぱりシステムのそのメリットが感じられないとか、あるいはシステムの存在そのものが知られていないという、そういうメリットなんかの周知がまだ徹底されていないというような意見があります。それから、余りにも厳格なシステムを構築し過ぎているというようなところがあって、電子署名をやたらと求めたり、あるいは添付資料の問題ですね、添付資料についてもなかなか電子化できないと、そういったところがネックになっているというような御意見がございました。  そこで、私どもとしては、これはやっぱり本来的に企業にその利便性を分かっていただければ普及は大幅に改善可能だというふうに考えておりまして、個々に、今申し上げたような、まず周知とか、あるいはメリットとかそういったものがやっぱり利用者に分かっていただけるような形で改善措置を講ずるとか、あるいは電子署名の問題なんかでも、例えば国家資格を持っておられる方が代理申請する場合は、基本的にインターネット上問題になるのは実際の発信者と受信者の関係でございまして、例えば弁理士さんとか司法書士とか社会保険労務士とか、そういった方々が代理申請する場合は電子署名は一々本人の電子署名を必要なくするとか、あるいは必要な添付書類も、そういう国家資格をお持ちになっている方々が、保存義務を課すなりして添付資料を簡素化、省略するとか、そういう個別具体的な改善措置を講ずるということと、もう一つは、やっぱりこういったものは目標を持って推進するという、そういうことが大事だろうと思っていますので、そういうような具体的措置と目標を盛り込んだ正に利用促進のための行動計画というものを今正に作成しようとしているところでございます。今後は、そういう行動計画に沿って、各省をいろいろ通じて推進方策を講じていきたいと思っております。
  85. 内藤正光

    ○内藤正光君 分かりました。  では、続きまして、大臣に独立行政法人制度についてお尋ねをしたいと思います。  今通常国会の大きな課題の一つが行革、その柱の一つが独法改革。中身を見てみますと、非公務員化というものが大半です。事実、この総務委員会でも、いつになるかは分かりませんが、独法関連の二法案が審議をされるわけです。  そこで、小泉改革の主要メンバーとしての竹中大臣に以下お尋ねしたいと思うんですが、公務員型独法とは一体何なのか。法律で規定されているんですね、通則法第二条の2に。こう書いてあるんですね。独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案した結果、何年か前、これは公務員じゃなきゃ駄目だということで公務員の身分を与えたはずですよね。ですよね。それを単に今回、民間にできるものは民間にといった程度の理由で非公務員化できるとは私は思えないんです。相当総合的に勘案したはずですから、公務員の身分を与えるに当たって。  一体、この条文に照らして考えたときに、いかなる業務内容の変化なりあるいは目的、業務内容だとか目的あるいは性質に変化があったからこそ今回公務員の身分を非公務員化するというふうに判断したのか、教えてください。
  86. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 独法化するときに、これは御承知のようにいろんな御意見がございました。独立行政法人につきましては、公共上の見地から、確実に実施されることが必要な事務事業を実施する法人であるけれども、国とは別の法人格、国が直接やるのではなくて別の人格でやる、それが独法をつくった、独法という制度をつくったもちろん趣旨なわけでございます。したがって、本来、その役職員の身分は私は非公務員とすることがむしろ基本なのではないのかというふうに思います。  この通則法では、今御指摘くださったように、公務員型の法人とする要件として、業務の停滞が国民生活云々というふうな条文が書かれているわけでございます。その必要性は、その法人の設立時のみならず、中期目標期間終了時の見直しにおいても検討を当然されなければいけないものなわけであります。  今回、中期目標終了時の見直しに当たっては、その業務を国家公務員の身分を有しない者が担う場合にはどのような場合に問題が生じるのかと、これどうしても公務員じゃなければいけないのかと、問題が生じるのかと、具体的かつ明確に説明できないような場合は公務員型の法人を非公務員型にするという基準で見直しを行ってきたというふうに承知をしております。  そこでの判断は確かに委員御指摘のように総合的なものでございますから、どこをどう判断したのかということについて個別になかなか、個別具体の基準でちょっと御説明することは難しいわけでございますけれども、今申し上げたように、どうしても公務員でなければいけないということを説明できるのかと、そう説明できない場合には非公務員化というような形で非公務員化が進められているということでございます。
  87. 内藤正光

    ○内藤正光君 大臣も先ほど答弁でおっしゃった、本来は最初から非公務員化にすべきだったと。そして、今回、一つや二つの独法の見直しだったらまだ理解できるんですが、ほとんどまとめて全部非公務員化。  となると、そもそも数年前につくった非公務員型の独法という制度設計そのものがいい加減極まりないもの、言葉を換えて言うならば、政治的妥協の産物だったんじゃないんですか。ということは、本来の姿に戻すだけの今回行為は改革でも何でもない。もしこれを改革と言うんだったらば、非公務員型の独法にこれからもつぎ込まれるであろう多額の運営費交付金の見直し、あるいはその先の民営化、そういったものを論じなければ改革と言えないんじゃないんですか。ただ単に公務員を非公務員化しただけだったら、本来あるべき姿に戻しただけじゃないんですか。違いますか。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 当時の議論としては、基本的にはやはり、その業務が停滞なく円滑に独法化できるかどうかということが一つの私は要件であったというふうに聞いております。  そういう中で、これは、独法化、公務員型で独法化をして、それでその後の業務の状況を見極めた上で、これは非公務員化でもやれるということでいろんな措置が講じられつつあるというふうに理解をしております。
  89. 内藤正光

    ○内藤正光君 多額の運営費交付金の見直しだとか、その先の、じゃ民営化というのは議論はしないということですか、考えてはいないということですか。
  90. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いや、これは常に中期目標期間終了時にはそれは見直していくわけでございます。これは中期目標を、業務の内容についても形態の在り方についても、これは常に見直していくというのがこれは基本的な姿勢でございますので、一回やってしまったら民営化しないとかそういうことでは、これはもちろんいろんなケースはあると思いますけれども、原則としてこれは今回もう今後の見直しはしないんだとか、そういうことではないというふうに思っております。
  91. 内藤正光

    ○内藤正光君 終わります。
  92. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  93. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、行政制度地方行財政消防行政情報通信行政等基本施策に関する件及び平成十八年度人事院業務概況に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。今日は、放送通信在り方について質問をさせていただきたいと思います。  時々思うんでありますが、質問の順番は早い方がいいなと、大会派の方に次から次へと予定している質問をされると大変つらい、今日もちょっとそんな雰囲気を持っておりますが、私はテレビ局に三十数年間在籍をしておりました。また、ニューヨークにおりましたときには、ちょうどインターネットが爆発を、大ブレークをして、新しいルールが次々確立されているのを目の当たりで見てまいりました。また、地上デジタル放送についても、アメリカの流れがほぼ決まった時期でございました。そして、帰ってきてからは、スカイエンターテイメントという当時十六チャンネル持っておりました委託放送事業者を立ち上げをさせていただきました。これは衛星でありますが、デジタル放送であります。  ですから、多少なりともテレビについては分かっているつもりでございますが、その私から見て、ちょっと最近の議論は少し不安だなと思うところがありますので、この放送通信在り方について、今日は集中的に質問をさせていただきたいと思います。  放送通信の融合ではなくて、在り方というのをあえて使わせていただいたのは、大臣懇談会でもそれはそういうことで融合と使われてないんだと思いますが、まだ融合というのはその概念があいまいで、はっきりしたものが明確にできてきていないと思います。ですから、あいまいなままに政策を積み上げてまいりますと客観的でなくなると、ある方向に偏ってしまうという心配がありますので、あえて融合は使わないで議論をさせていただきます。  この融合論については、またゆっくり大臣議論をさせていただきたいというふうに思いますが、私は、今一番ふさわしい言い方は融合ではなくて提携かなというふうに思っております。提携にいたしましても、これは国民の利便性を格段に向上させますし、経済効果というのも絶大的なものもありますし、ユビキタス社会もう来てますが、これの未来の動向を決めるのがこの放送通信在り方だと思っております。  今日は、これに集中して質問をさせていただきますが、本論に入る前に、最初に、竹中大臣の国会答弁について幾つか確認をさせていただきます。  最初に、先月二月十六日、先日ですね、二月十六日の衆議院の総務委員会で我が党の谷口委員の質問に対して、大臣はこう答えていらっしゃいます。  この重要な問題を理解していただくために、技術的など難しい話ではなくして、国民の目線で申し上げる、これは趣旨でございますが、と前置きをされて次のように答弁をされています。  そういう意味では、ワールドカップが今年あるわけでございますけれども、実は民放が放映権を取って、それが見られる地域と見られない地域がある、一方で、その放映権を今度は放送じゃなくて通信でやるところがあるらしいんですけれども、それは全国で見られますよね、こういうのは、何かちょっと国民から見るとしっくりきませんねと答弁をされました。  今日の委員会でも同じような趣旨の答弁をされておりました。また、放送通信在り方懇談会の一番最初のあいさつでも多分この話はされていると思います。  そこでお伺いします。ここで大臣が答弁で言われている、見られる地域と見られない地域とは具体的にどこを指しておられますか。
  95. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ワールドカップに関して例に出したり、まあポケモンの例を出したり、出させていただいていると思いますけれども、県ごとにそのテレビ局が見られる局と見られない局があるというふうに承知をしております。ワールドカップは、これテレビ朝日が放送されるという場合には、これはテレビ朝日の系列局がない、これは富山とか山梨だったと、まあ、ほかにもちょっとあったかと思いますが、そういうところでは私が申し上げたような問題が生じるのではないかなというふうに思っております。
  96. 澤雄二

    ○澤雄二君 おっしゃいましたように、ワールドカップの日本戦は三試合ございまして、一戦と三戦はNHKが中継をいたします。これ、全国フルカバーでございます。第二戦はクロアチア戦ですが、大臣おっしゃったように、テレビ朝日が放映権を持っております。確かに、テレビ朝日は全国四十七都道府県をカバーエリアとはしておりません。しかし、こういう大きなイベントになりますと、必ずほかのネットワークの局がこれを補完をいたします。ですから、放送されるときにはすべての県でこのワールドカップは見られると、そういうことになりますが、どうでしょうか。
  97. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) それは、現実にどういう形で放送されるかと、委員おっしゃったように、そういう大きなものについてはほかの放送局で見れるということももちろんあり得ようかと思います。まあ、そういうこともあって、私、ポケモンの例を出したりするわけでございますけれども、ポケモンについては、まあ、それは大きなイベントではないからということでありますけれども、やはり見られる地域と見られない地域がある。まあ一つの象徴としてポケモンやワールドカップを議論させていただいておりますけれども、個々の問題の細かな議論についてはいろんな、もう少しいろんな御事情はあろうかと思いますが、申し上げたいのは、視聴者から見るとやはりそういう問題が残るのではないだろうかということを申し上げたいわけでございます。
  98. 澤雄二

    ○澤雄二君 ポケモンは通常の番組でございますので、これは厳然とネットワークで見れるところ、見れないところがございます。ただし、大臣がおっしゃったのは、象徴的にワールドカップって取り上げられました。ワールドカップはテレビで見れる県と見れない県があるとおっしゃいましたが、これは認識の間違いです。ワールドカップはすべての県で見ることができます。日本戦すべて見ることができます。  それから、もう一つお伺いいたします。  その後に続いて、一方で、その放映権を今度は放送じゃなくて通信でやるところがあるらしいんですけれども、それは全国見られますね、こういうのは、何かちょっと国民から見るとしっくりきませんねというふうに答弁をされております。インターネットで配信をされるところがあるんでしょうか。
  99. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっとその発言をしたときに、事前にそういうことが進行してそうなるのではないかという情報が私の耳に入っておりましたので、それで例として出させていただきました。ちょっと今日は質問通告受けておりませんで、その後それがどうなったかと、まだ六月までに時間がありますし、どうなるかということはこれはよく見てまいりたいと思います。
  100. 澤雄二

    ○澤雄二君 これは放送通信の融合と大臣が言われていることを考えるときに大変な重要な問題でございまして、テレビにはできなくてインターネットでできるという象徴として大臣が言われたんだと思います。しかし、インターネットでワールドカップを配信するというのは、今のところ一〇〇%できないと思われています。それはなぜかならば、それだけ膨大な天文学的な数字を、放映権を獲得してもビジネスになると思う人がだれもいないからであります。ですから、私の取った情報では、もちろん今度の日本戦も配信される予定は全くありません。  一つ予定をされているのは、インデックスという会社がハイライトシーン、四分間であります、これを試合が終わった後にインターネットで配信をする。これは決まっておりまして、これはいろんなところに今営業活動をしています。しかし、これは生ではもちろんありません。それから、全試合を中継するわけでもありません。つまり、インターネットで配信をするということは、NHKやテレビ朝日が天文学的数字で手に入れた放映権を、その価値をほとんどなくすのに等しいからであります。  ですから、テレビでは見れない地域があってインターネットでは全国で見れるよというのは全く認識の間違いだと思いますが、どうでしょうか。
  101. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員おっしゃったように、同時生中継ですべての試合が見れるような、そういう仕組みにはまだなっていないというふうに私も認識をしております。  ただ、今インデックスの話、御紹介ありましたけれども、非常に簡略な形で後ほど見れるというのは、これはそういう方向に行っているというふうに伺っておりますし、まああえて言えば、今回のワールドカップとまた次のワールドカップで事態は大幅に変わっているでございましょうし、そういう問題意識を持って、接して放送通信考えていかなければいけないということはやはり重要であるというふうに思っております。
  102. 澤雄二

    ○澤雄二君 将来そういうことが起こり得るということならば私も納得をいたしますし、同感でございます。  ただし、大臣は、第一回のその懇談会の席でもこれを話をされていまして、つまり、象徴的に放送通信の融合ということを考えるときの象徴的な話で、今日もされておりました。まあ国会の場はともかくとして、その懇談会に出られている方、テレビのことをよく御存じの方はほとんどいないと僕は思っておりますが、そういう方たちの会合でございますので、もし何か次の機会に、あのことについての真意はこういうことだという説明をいただければ有り難いなというふうに思っております。  それから、続いてお尋ねをしますが、次は二月三日のこの参議院の総務委員会における私の質問に対する大臣の答弁についてお伺いをいたします。  私は、大臣に、融合をどのように認識をされていますか、どんなイメージを持たれていますかという質問をいたしました。で、大臣は、答弁の中でCDのことを取り上げられました。CDの売上げはこの七、八年で激減した、事実であります。これは、ネットで音声情報が配信されると、想像以上に音声情報配信の速度が進んでいった、そして、今度は間違いなく音声ではなくて映像、画像情報についても同じことが起きるという問題意識を世界じゅうが持っていると言われて、その後、その映像、画像情報として放送に言及されるわけでありますが、これはよろしいですね、こういうことで。
  103. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まあ、CDの売上げの減少の理由というのは、もちろんそういうことだけではなくて、いろいろあるというふうに承知をしております。  しかし、時代の流れということをお話しするコンテクストにおいては、要するにネット配信というのがますます重要になってくると思いますし、その中で、多分アイポッドとウオークマンの話もさせていただいたかと思いますけれども、そういうデジタル化された情報が特にネットを活用して、音声であれ映像であれ、今後様々な形で広く流通するようになってくるであろうし、そういうことを見据えて、日本放送業界にも通信業界にも新しいビジネスチャンスを見いだしていただきたい、それが消費者が求めていることでもある、そのような認識は持っております。
  104. 澤雄二

    ○澤雄二君 今大臣の言われたことについては、全く私も同感でございます。  で、一言確認をしたいんでございますが、ここで大臣はあえて音声情報と言われました。で、大臣委員会でも答えられている国民の目線ということでいいますと、音声情報というよりもむしろCDが売れなくなった、それは音楽が売れなくなった、音声情報ではなくて、ということの方が国民の目線だというふうに思います。  で、このことは、大臣の御認識を質問させていただくときにすごく大事なことなので実はあります。といいますのは、音声情報としてCDとインターネット、IPを比較されました。そして、映像情報として放送テレビとインターネット、IPを比較されています。で、同じことが映像情報にも起きるだろうというふうに答弁をされています。  で、この認識は果たして正しいんだろうかということであります。つまり、CDは音楽だけではなくて、もちろんいろんな情報が入ったCDが売られています。しかし、売上げが激減したというのは音楽であります。それから、そのコンテンツは音楽だけでありますから、一種類でありますね。しかも、そのコンテンツが入っているのは一枚の小さなディスクであります。つまり、生ではない。ライブではない。  で、もしあえて、どうしても音声情報とIP、インターネットを比較されるならば、CDではなくて、ここはラジオ放送と比較されるべきだったんではなかろうかと。で、ラジオ放送だとすると、逆にこれは、聴取者というのは現在増えてきております。  で、放送も、これはテレビ、ラジオもそうでありますが、音楽だけではありません、放送情報というのは。ありとあらゆるコンテンツを含んでおります。しかも、生、ライブであります。そして、すべて放送するための伝送路も持っています。この伝送路、放送に限って言えば、通信は今、今はですよ、足元にも及ばないキャパシティー、能力を放送は持っています。  で、このことは後日また議論させていただきますが、幾らCDが売れなくなったからといって、音声情報と画像情報というくくりだけで放送がインターネットに乗っ取られるんではないかと、そういう議論は少し無謀ではなかろうかと。実は、私は大臣大臣になられる前から竹中ファンであって、その頭脳明晰な論理構築は自分でも勉強したいなと思っていたんですが、この議論はちょっと余りにも無謀な議論じゃないかなって思っておりますが。
  105. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 音声情報全般についてもう少しコンシステントな議論をすべきではないかという御指摘でございましたら、それはもうそのように思います。  確かに、音声情報、ラジオ等々いろいろありますから、そのことそのものを、全体としての議論をしているわけではございません。確かに、非常に象徴的な部分について、方向を分かりやすく御理解いただくためにそのような議論をしておりますので、議論全体としてはコンシステントなより議論をしなければいけないというふうに思っております。  ただ、もう一つ申し上げれば、CDがなぜ売れなくなったかということに関しても、やはり、今CDそのものが一種の規制価格の中にあって、考えてみたらタイタニックのDVDがいろんな形で売られていくようになっていると。そうすると、今度、CDだけがかつての固定の価格で売られていると。そういう中で、つまり新しい技術体系が変わる中で、従来のシステムでやっていたことがCDの売上げを下げてきたという意味では、私はやはり一つのシンボリックな状況なのではなかったのかというふうに理解をしております。  音声情報全体について議論をするということでは、確かに御指摘のとおりであろうというふうに思っております。
  106. 澤雄二

    ○澤雄二君 確かに、CDの売行きが激減したというのはシンボリックなことでございます。  ただ、余りにもシンボリックであるがゆえに、逆にそれが放送通信の融合だという例え話の中で言われますと、余り詳しいことが分からない人はそういうものかと思ってしまいます。これは大変な誤解で、CDが売れなくなったことと放送通信の融合、連携とは全く関係がありません。ですから、その辺のところもうちょっと、どういうふうに考えられてそういうことを言われたのか、教えていただけますか。
  107. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 全く関係がないとは実は私は考えておりません。ストレートに議論するんであるならば、音声情報全体をもっとコンシステントに議論すべきではないかという御指摘でありましたら、私はそのとおりだと思います。  ただ、デジタルな革命の中でレコード業界、CD業界という業界が、しかも非常に華やかな業界で、気が付いてみると、七年ですか八年ですか、四割ぐらい売上げが減っていたということは、これはメッセージとしては厳しく受け止めなければいけないというふうに思うわけです。  放送通信についても、技術面でこれはもう我々も分からないことがたくさんあります。この瞬間も技術は動いておりますから、だから、だからこそコンシステントな議論というのはなかなかできない。で、専門家の方も、実は気が付いてみると、御指摘のように非常にシンボリックな議論を積み重ねて議論をしておられる方が多いというのも事実だと私も思います。  しかし、全く関係がないと考えるかというと、そこはやっぱりデジタルな技術でどんどんどんどん新しいものが出てきて、そしてそれに合わせてライフスタイルがどんどん変わっていく中で、その枠組みそのものを常に見直さなければいけないという意味では、私はやはりその示唆するものがあるのではないかというふうに思っております。
  108. 澤雄二

    ○澤雄二君 大きなくくりでデジタル化という意味では大臣おっしゃったとおりだと思います。ただし、放送通信の融合、連携ということを考えるんだったら、やっぱりCDのディスクが売れなくなった理由ではなくて、それは比較は、音声情報ならばラジオとすべきだというふうに私は思っております。  次の質問に参ります。  これは内藤委員も質問されたことでございますが、少し言い方を変えて質問をしたいと思います。  放送通信の融合についての基本的な考え方について伺います。応用問題はともかくとして、基本的に今大臣が若しくは懇談会がどのように考えているかというのが分からないために通信業界も放送業界も実は大混乱を今しております。それで、非常にベーシックなことをお伺いをしたいと思います。  大臣は、懇談会の趣意書に、それからまた別の場所の発言でも、元々放送通信はシームレスだったという御発言をされています。で、一つ一つ確認をしたいんですが、私は元々シームレスではなくて、元々放送通信というのは厳然と区別されていたというふうに考えております。  で、これはもう釈迦に説法でありますが、放送は一対n、ある意味では不特定多数に対する情報伝達であります。一方、通信は一対一でございます。ですから、電気通信事業法で通信の秘密が位置付けられております。この場合、融合ということをもし言われるとすると、先ほど内藤委員も同じような質問をされておりましたけれども、通信の秘密というこの規定をどうされるのか、どうやって守られるのか、若しくは通信から通信の秘密という規定を外されるのか、若しくは放送の中に一部そういう概念を取り入れることを考えておられるのか、その辺をお聞かせください。
  109. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、私が考えていることが分からないので現場も混乱しているというお話ですが、それはまあ現場はどうしたらいいかという思いいろいろあると思いますけれども、それは私が何か考えて、何を考えているか分からないから混乱しているというよりは、私が問題提起してさあどうしますかということに関して社会全体としての解がないから混乱しているのだろうというふうに思います。私が何か解を持っていて、それを隠しているから、ないしはそれが外に出ないから混乱しているというよりは、私も分かりません、しかし、問題、解決すべき問題がありますよねということを申し上げているわけで、そういう問題が提起されているから確かにそうだと、問題はあると、それをどのようにしていったらいいかということに関して一生懸命皆さんが、私を含めて解を見いだそうとしているということなのではないかと思っております。  それで、シームレスの問題でございますけれども、まず、ちょっとあれですけれども、私の認識としては、私は元々放送通信がシームレスだというふうに発言はしていないと思います。これ、放送放送、正に一対nです。通信通信、一対一です。それはそれぞれの役割があって、それぞれ果たさなければいけない機能がございます。一対nだから公共性というのを果たさなきゃいけないし、一対一だからその通信の秘保というのを果たさなければいけない、これはやっぱり厳然たる機能があると思います。  私がシームレスだというふうに申し上げているとすれば、それは技術体系が変わったので、消費者から見ると、利用者から見るとこれが放送なのか通信なのか分からないような状況が出てきている。一対nで、例えば希少な電波を割り当てて、その希少な電波で一対nに対しての放送が厳然とした一つの区分を持っているときは、私はそれはそれで分かりやすかったと思います。しかし、一対一であるはずのインターネットで、IP網で一対nと同じようなことができるように技術的に融合してきたということを私は申し上げているわけで、そこが技術的にシームレスになっているというのがポイントなのだと思います。  そういう、技術的にシームレスで同じようになってきましたから、利用者から見ると、これは放送なのか通信なのか、多分ギャオを見ている人は、これは放送、これは何だというふうに考えてないと思います。そういう状況が出ているというその事実を私は申し上げているわけでございます。  だからこそ、じゃこれをどうするかという最後の問題に行きますけれども、やはり通信の秘保、要するに秘密を守るというのは、やはり保秘義務というのはあると思いますし、放送公共性というのはあると思いますし、それをそれぞれの役割の中でどのような仕組みを作っていったらいいかという正に大問題に私たちは直面しているんだと思います。  インターネットを使っても、実際一対nなんだからやっぱり公共性があるだろうと、だから放送と同じような一つの規律を課すべきだという議論議論として分かります。一方で、これはインターネットなんだから、個の自由な発想を止めるようなことはしない方がよいのではないかという議論議論で分かります。しかし、我々はやっぱり社会のルールを作りますから、どこかで折り合いを付けて結論を出していかなければいけない、さあそれをどうするかという大問題に直面しているという認識でおります。
  110. 澤雄二

    ○澤雄二君 大臣の言われたとおり、問題提起をされて、さてその解決どうするんだというんで混乱しているところ、確かにあると思います。ただし、今も大臣話されたことが具体的に頭の中にどこまで描かれているのか。それが、例えば先ほどの質問にもありましたけども、IPマルチキャストの分野にそういうことを考えておられるならば、放送業者もそれから通信業者も割合きれいに整理して物事を考えていくんだと思うんです。でも、IPマルチキャストでもなさそうだぞと。もっと先に放送全部がインターネットに代わるというようなことを座長はおっしゃっていますし、一体どの辺までのことを考えておられるのか。  で、これは、遠い将来の話、十年先、二十年先の議論というのは非常に重要な議論も一杯ありますが、今回は取りあえず六月の骨太方針に何を入れられるかという具体的なテーマが今そこに来ていますので、これは割合、具体的にちょっと考えを示していただかないと混乱が続くかなと思いますが、どうでしょう。
  111. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いや、正にそのことについて何らかの目安をできるだけ早くお示しをしたいと思いまして、集中的に議論をしていただいております。そのための関係者ヒアリングを行っております。しかるべく時期、時点でいわゆる論点の整理のようなものをしなけりゃいけないと思いますが、まだそこまでも行っていないんです。  これは、もう中身は全部御存じですからお分かりいただけると思いますけど、本当難しいです、これ。それぞれ何か案が出たら、それに対する批判というのは多分幾らでもできるんだと思うんですけれども、それ、本当にどこで折り合いを付けてやっていくかと。そのことについて、決してそんなに何か月も時間を掛けられる状況でもないと思いますので、しかもこの議論はやはり不断に六月以降もしていかなきゃいけない議論なんだと思います。  しかし、今まで必ずしも十分な正面からの取組がなかった中で、何とかその最初の一歩を踏み出したいと思っておりまして、そのための努力を今しているところでございます。できるだけ早く何らかの問題の提起ができるように、それは努力をしたいと思っております。
  112. 澤雄二

    ○澤雄二君 誠に様々な問題、大臣がおっしゃるとおりで、一つ一つが物すごく難しい問題でございます。ですから、どういうふうに懇談会でまとめられるのかというのも大変関心がありますし、注目もしたいというふうに思います。で、できるだけ様々な問題を国民の皆さんの目の前で少し議論をしたいなと思ってます。  今日はあと一つだけ質問をさせてください。  放送というのは、言うまでもなく一億三千万同時に送れるメディアでございます。こんなメディア世界じゅうにほかには存在しません。インターネットがこれに取って代われるだろうかということでございます。  今、インターネットの最速の伝送路というのはFTTH、ファイバー・ツー・ザ・ホームでございます。これは大体、昨日総務省からいただいた資料によりますと、全体のブロードバンドの中の二〇%がこのもうFTTHになっている。これはすばらしいことだと思います。ただ、これは企業とかそれから事業所ですとか役所とか、そういうところも全部入っていますから、実際の家庭でいうともう少し少ないのかなという気はします。  それで、個人世帯は四千四百万世帯と言われています。通信放送に取って代わるためには、最低条件このFTTHを各家庭が備え付けなければ通信放送に代わることはできないと私は思っていますけど、一体これ、どれぐらいをめどにそうなるとお考えでしょうか。
  113. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 正直言いまして、電波が全くなくなって、もちろん電波でもインターネットできるわけですけども、それでその他のものに置き換わるというようなことは、これはちょっと多分考えられないのではないかと思います。  ただ、今でもその電波の欠如する部分についてIP網で放送の機能を担っているところは現にあるわけでございます。これはもうよく御承知のとおりでありますし、地上デジタルも最初は地上波デジタルというふうに言っていたわけですけれども、今では地上デジタルというふうに言うというふうに認識をしております。その意味では、正にどの程度の役割を担うかはともかくとして、そういうIP網が放送に関しても重要な役割を既に担いつつあるというのも、これは技術面では認めなければいけない現状であろうと思っております。  その意味でちょっと澤委員の難しい質問に、私は技術専門家でもございませんからきちっとお答えできませんですけれども、やはり波の、いわゆるテレビの業界で言うところの波の役割というのは極めて重要であると、これはもうだれも否定し難いというふうに思っております。むしろ、波をもっといろんな形で活用できるじゃないかという専門家意見も御承知のとおりたくさんあるわけでございます。そういうことを軸にして、現実的な是非議論をしていきたいと思っております。
  114. 澤雄二

    ○澤雄二君 放送の波が非常に重要だと言ってくださっただけでかなり安心される方がたくさんいるんだろうというふうに思います。  これからも機会に応じて議論をさせていただきますので、どうかよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
  115. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  大臣にまず、岩国市の住民投票について伺います。  三月十二日に米空母艦載機受入れの賛否を問う岩国市民住民投票が行われ、九割近い反対票で、また当日の有権者の過半数が反対でありました。六十年余り米軍基地と暮らすことを余儀なくされてきた岩国市民が、政府の基地強化に反対の意思を明確にしたもので、市民の良識を示した歴史的な勝利であります。  しかし、これに対して、住民投票を行うこと自体がけしからぬという意見がありますが、これについて大臣はどうお考えですか。  憲法九十五条は、一の地方公共団体にのみ適用される特別法は、住民投票によって過半数の同意を必要としています。学者の間では、直接民主主義について、国政レベルに比べ、より積極的な位置を与えるという見解が有力です。私は、その住民自治の趣旨からいっても、岩国市が住民投票を行って住民の意思を聞いたということは当然のことだと思うのですが、大臣の見解を伺います。
  116. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 岩国の結果というのは、私ももちろん承知をしております。  現行の制度の上では、この一般的な住民投票についての法律上の規定はないわけでございます。しかし、地方公共団体が、住民の関心が高くて、そして地域においても影響が大きいと認める事案につきましては、その意向を問うために条例に基づいて任意に住民投票が行われていると、そういう仕組みであるというふうに承知をしております。  こうした住民投票、したがってその地方公共団体の判断に対する法的拘束力は有しないわけでございますけれども、その結果をどのように受け止めるかということ、これはこれで重要な問題であると思います。それぞれの地方公共団体において、そうした問題を適切に判断をしていかれるというふうに思っております。
  117. 吉川春子

    ○吉川春子君 住民投票を行ったこと自体がけしからぬという考えには、大臣はくみしないというふうに受け止めていいわけですね。
  118. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは条例に定めて、その地域の判断でおやりになっていることだと存じます。
  119. 吉川春子

    ○吉川春子君 憲法の地方自治の本旨に基づく地方自治法の理念からして、岩国市民の意思は十分に尊重されなくてはならないと思います。  戦前の不幸な歴史の反省から、地方自治の確立が戦後の日本の民主化にとって不可欠な要素として憲法第八章が加わりました。それが地方自治の確立の核心だと思います。  私は、もう一問、竹中大臣、米軍再編は住民の安心、安全、福祉に直接かかわっているわけで、地元自治体の意向を無視して米軍の再編、基地の強化、恒久化を押し付けることは許されないのではないかと思います。こういう計画は政府において住民の意思を尊重するならば撤回すべきと思いますが、その点はいかがですか。
  120. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 米軍再編の問題は、ちょっと私、政府を代表してお答えする立場にはございませんので、直接のコメントは差し控えさせていただかなければいけないと思います。  地元で、地元の方々の間でいろんな御意見があると。国としてはしっかりと説明責任を果たさなければなりませんし、地方は地方で地元のためにいろんなことをお考えであるというふうに思っております。担当部署においてこうしたことを踏まえて適切に対処されていくものというふうに考えております。
  121. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、昨日、予算委員会で防衛庁長官にも申し上げたわけですけれども、この計画は撤回すべきだというふうに考えております。  それで、指定管理者制度と雇用の問題に次に移ります。  政府の総人件費削減政策の下で、地方歳出見直しで二〇〇六年度の人員は二万二千六百二人という大幅削減になっています。小規模の市町村では、今でさえ職員はぎりぎりになっている、これ以上辞めさせられないという声のように、住民サービスを行うためには公務員をこれ以上削減できません。しかし、地財計画では、民間委託を、三千四百十七人の削減を見込んでいます、地財計画ではですね。指定管理者が導入されて、各市町村では、今、保育所、学童保育など公の施設まで株式会社にゆだねるという動きも出てきています。  まず最初に、厚労省に伺いたいと思いますが、厚労省は既に二〇〇〇年に保育所設置基準を緩和して、保育所の運営を株式会社に認めるということをしましたけれども、各地で大変なことが起きています。西日本最初の株式会社経営の認可保育所すくすく保育園は結局どうなったのか、てんまつを報告していただきたいと思います。
  122. 白石順一

    政府参考人白石順一君) 御質問の株式会社立の認可保育所は神戸市のすくすく保育園のことかと思っておりますが、ここにつきましては、平成十三年の七月に認可を受け開園をいたしました。その後、平成十六年に神戸市が監査をしましたところ、平成十三年度から十五年度までの三年間に、本来区分経理すべき保育所の会計から総額四千九百万円の資金が本社の方の経費に流用されていたということが明らかになりました。それを受けまして神戸市は指導をいたしまして、その結果、約二千九百万円につきましては保育所会計に戻されたものの、残りにつきまして戻す見通しが立たないという状況になったことから、昨年の十月に運営主体である当該株式会社の方から廃止承認申請書を提出を受けまして、市としても、今後この保育園が安定的な運営を続けていくことが難しいという判断の下、廃止という方向で今調整が進められておるというふうに伺っております。  なお、付言いたしますと、神戸市からの報告によりますれば、この廃止に当たりまして、入所児童につきましては近隣に新たに開きます認可保育所への転園等々により対応してあるというふうに承知しております。
  123. 吉川春子

    ○吉川春子君 当初、神戸市が認可した当初、延長保育など保育サービスの充実を掲げて鳴り物入りで開園しました。ところが、露骨な営利優先でまともな保育が保障されていませんでした。  これは、新聞報道等によりますと、職員は全員一年契約、交通費は上限が一万円、会社の利益が出ないとボーナスの保証もない、二年で保育士が二十二名園を去り、入れ替わりました。確かに、四月から子供たちはほかの園に移されるわけですけれども、保育所も全員変わり、本当に子供たちも父母も不安で一杯だというこういう状況です。  もうからなければ住民サービスなど投げ捨ててしまうというのは全く無責任そのものですね。保育をビジネスにしたらやっぱりこういうふうになるんじゃないですか。保育の運営費は約八割が人件費。営利をそこで上げようとすれば人件費をぎりぎり削るしかありません。人が人を育てる保育の仕事は営利を追求したのではできないものですね。営利の市場となると、予算や人員、設備などの企業の低い水準に引っ張っていかれて、保育全体の質が切り下げられるんじゃないですか。だからこそ、今までこういう仕事は自治体とか社会福祉法人が担ってきたわけですね。埼玉でも指定管理者に学童保育とか保育がゆだねられようとしていますし、神奈川でもそういうところが出てきています、四月からですね。  で、厚労省、もう一つ聞きますけれども、要するに、営利会社にこういうものをゆだねるということは、結局は保育の質を下げる、あるいは労働条件の切下げをもたらすということではないんですか。どうですか。
  124. 白石順一

    政府参考人白石順一君) 主体を問わず、このような不適切な経理、運営がなされているということは問題であろうかと思いますけれども、そのこととは別に、私どもといたしましては、いずれの園におきましても、保育園におきましても、職員の配置基準であるとか、あるいは様々な運営の基準等々によりまして、最低基準というふうに称しておりますけれども、保育の質というものについては担保をしつつ運営していただくということを考えておりますので、仮に民営化に伴いまして人件費が削減されるそのこと自体が直ちに質の低下になるというふうには考えておりません。あくまでも最低基準を遵守して良い保育を行っていただければ、それは公立、私立を問わず好ましいことだというふうに考えております。
  125. 吉川春子

    ○吉川春子君 指定管理者になれば、例えば二割運営費を削減するわけですよ。そして、株式会社はその中から利益を上げなきゃいけないわけですよ。今、公立でやっていたって超過負担で大問題になっている。それを株式会社に任せて、しかも委託費を下げていったら、それはいい保育なんかできることないですよね。私はもうそれは大間違いだと思います。  それで、総務省にお伺いいたしますけれども、今総務省が進めている指定管理者制度、これは指定が広範囲な分野に広がって、公務員、非常勤職員、外郭団体職員などの雇用が大きな問題になっています。  で、北海道の新十津川町では、公立保育所が指定管理者に指定され、地公法第二十八条一項四号をもって地方公務員が免職されています。これはどういう事例だったのでしょうか、教えてください。
  126. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生のお話を踏まえまして、本日、新十津川町の方に電話でお聞きしましたところ、同町では四つの保育所を一つに統合いたしまして、民間の学校法人を指定管理者として委託するということになっております。その際、保育士の方の一部の方につきまして、まあ分限免職という扱いをするということで、先月の二十八日に、三月三十一日をもって分限免職とするような予告を本人に対して文書で行ったというふうに承っております。
  127. 吉川春子

    ○吉川春子君 その結果、保育士七名が三月三十一日をもって免職になるということですよね。
  128. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) そのように承っております。
  129. 吉川春子

    ○吉川春子君 竹中大臣、一般論としてお伺いいたしますけれども、今まで自治体直営でやっていたいろんな施設を指定管理者へ移行すると。その結果、職員が余るわけですね。どこかへ移さなきゃならない。で、地公法第二十八条第一項四号の運用はその場合どのようになされるべきであるとお考えですか。
  130. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生御指摘の地方公務員法の規定によりまして、地方公共団体が職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じたような場合には、任命権者の御判断によりまして本人の意思に反して職員の分限免職処分を行うこともあり得るものというふうに考えております。
  131. 吉川春子

    ○吉川春子君 福岡高裁昭和六十二年一月二十九日の判決で、過員整理と配置転換努力義務についてどのように判示されていますか。
  132. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 御指摘の判例でございますが、該当部分を読みますと、任免権者において過員整理のための分限免職処分を回避するための措置として余剰人員の配置転換を命ずる義務があるとすることは、任免権者の人事権、経営権を制肘することを認めることになり妥当でなく、ただ、過員整理の必要性、目的に照らし、任免権者において被処分者の配置転換が比較的容易であるにもかかわらず配置転換の努力を尽くさずに分限免職をした場合に権利の濫用となるにすぎないと判示されていると承知しております。
  133. 吉川春子

    ○吉川春子君 一般的に労働者を民間企業で解雇する場合に、裁判所が示した整理解雇の四要件というのがありますね。その中の一つのそれをしなければ倒産してしまうのではないかという要件は公務員の場合は当てはまらないと思うんですけれども、その他の三つの要件についてはやはりきちっと守るべきだというふうに判示されているわけですね。つまり、今読み上げられましたけれども、任免権者において被処分者の配置転換が比較的容易であるにもかかわらず配置転換の努力を尽くさずに分限処分にした場合に権利の濫用となると、このように言っているわけです。  大臣、今のいろいろなやり取りを前提にしてお伺いしますけれども、指定管理者で株式会社等が保育所などを運営するというふうになってきた場合に、具体的には保育士などが余るわけですね。そうすると、その場合にその人を十津川、新十津川町では分限免職にしてしまったという例なんですけれども、まあそれは今やり取りしましたので個別の例でなくてもいいんですが、要するにそういう場合に保育士など、いろいろな公務員の場合があり得ますけれども、そういう人たちをちゃんと、仕事が一杯あるわけですから、配置転換するなりいろいろな方法で最後まで雇用をきちっと守らなければならないと、これが裁判所の考えなんですよね。ですから、こういうことをきちっと総務省においても行われるべきだというふうにお考えだと思いますが、確認のために大臣に伺います。部長じゃなくて、大臣に伺います。
  134. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今公務員部長から丁寧にお答えさせていただいたとおりだと思います。法律上、分限免職処分にすることができることは認められていると。しかし、それが、事情を考慮して、権利の濫用になることがあってはならない。もう正にそういうことなのだと思っております。  そうしたことについて、職員の雇用の問題につきましては、各地方公共団体の判断により、今申し上げたような制度枠組みの中でこれは適切に対応していただくものだというふうに思っております。
  135. 吉川春子

    ○吉川春子君 その指定管理者制度が条例化されて、そして具体的にこの四月、もう動き始めているところもありますけれども、これからどんどんそういう形で動いていくわけですね。そうしますと、そこに株式会社なり新たなほかの団体なりが参入してきますと、地方公務員が、正規の職員に限らないわけですけれども、取りあえず正規の職員でも余ってきて今度のように分限免職されるという事例が起きてくるわけですね。そうすると、その指定管理者制度というのは地方公務員を解雇する道具にされかねないと、こういう大変な事態に立ち至ってくると思うんです。  ですから、指定管理者制度というのは決してそういうことをねらいとしてやっているものではないでしょう、大臣。この点について十分御注意いただきたいと思いますが、もう一度どうですか。
  136. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 言うまでもなく、この指定管理者制度といいますのは、住民ニーズが多様化していきます中で、民間事業者が有するノウハウをまあいい意味で活用したいと、そして効果的、効率的な公的な施設の管理を行いたいと、それが目的でございます。決して雇用をどうこうするためにこういうことをやるわけではないわけで、これは正にニーズが多様化する中でしっかりと良いサービスをしたいというために公的管理者制度というのはあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、権利の濫用となってはこれはいけないわけでございますから、各地方公共団体の御判断でこれは適切に対応をしていただきたいというふうに思っております。
  137. 吉川春子

    ○吉川春子君 最後に一言お願いします。  であるならば、やはりその指定管理者の導入、一斉に全国の地方自治体でやろうとしている、それが住民のサービスの質を下げたり、ましてや公務員の分限免職などということにつながってはならないよという、こういう通達を出して雇用と公共サービスの質を守っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  138. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は必要な助言はしなければいけないと思っております。しかし、先ほど申し上げましたように、これは、雇用の問題はまず地方公共団体においても最も重要な問題の一つでございますから、これはやはり法の趣旨を体して適切に対応していただけるものというふうに思っております。  これは、我々として対応すべき問題が生ずるならば、これはしっかりと助言をしていかなければいけないと思っております。
  139. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  140. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  九日の大臣所信で述べられた施策、例えば郵政民営化、市場化テスト、そして地方分権を言いながらも、今朝来出ていましたが、自治体職員の定数も、要請というまくら言葉を付けながら四・六%純減の上積みを強要するなどというのは、残念ながら地方住民の暮らしを一層苦しめる内容と言わなきゃならぬ、私はそんなふうに思います。  加えて、大臣が自治体の破綻法制の検討などというのが伝わるから、余計に、そういう意味では今日、与党からさえも期待と不安があると、こう述べられているわけでありまして、そこで所信に対して幾つかの点で質問をしてまいりたいと、こう思います。  最初に、大臣に自治を守る基本的なスタンスについて伺いたいと思うんです。  二月三日の日にも私、大臣に質問いたしましたが、この冬は気象庁が二十五年ぶりに「平成十八年豪雪」と命名したほど大被害が出てしまったわけですね。自治体が長年単独事業で行ってきた高齢者、障害者などの個人宅の雪下ろし支援、この費用を総務省が初めて特別交付税の対象に加えたことは歓迎をしたいと、こう思いますが、わずか八億円程度で済んだようですけれども、豪雪の被害は雪下ろし中の死亡が百四十人を超える、こういう状況で昭和五十六年の豪雪を超えた、こう伝えられております。  まあ惜しむらくは、これがもっと前から措置されておれば何人の人命が救われたかと、こう思うと大変残念だ、こう言わざるを得ないわけでありまして、特にこの犠牲者が六十五歳以上の人が三分の二を占めたということが今年の大きな特徴でありまして、地方財政が逼迫する下で、過疎地、高齢化が進んだ地域社会の悲鳴が聞こえてくる、こう言わなきゃならぬと思うんです。  しかし、他方で政府は合併した市町村には財政優遇措置をばらまきをしてきた。合併の特別交付税だけで三か年で三千六百億円余りで、これと単に比較するのはいかがかとは思いますが、言ってみりゃ豪雪のこの支援の問題の四百五十倍以上に上る、これが小泉内閣のメーンの政策だ、こう言わざるを得ないわけですね。まあ雪下ろしによる死亡者数というのは、私は、行政サービス、福祉切捨ての象徴に過ぎない、こう思います。  合併で役場が地域からなくなる、職員が大幅に減る、除雪、雪下ろしの援助もなくなる、今後郵便局もどうなるのかと、こう大変国民が不安を持っている。これでは過疎地域はますます荒廃するばかりじゃないか、そういう心配が地方にあることは事実であります。  そこで、竹中大臣総務大臣という職責は、地方自治を守り、住民の安全、安心を守る自治体をバックアップをする、そのためには政府の中で他の閣僚と対立してでも奮闘すべきポストだというふうに私は思うんでありますけれども、合併及び公共サービスの縮小によるこうした住民生活のデメリット、地域格差の拡大というものをどう防止をされていこうとするのか、こうした山村過疎地の自治体に対して、機械的な類似団体比較などによって職員を削減するのではなくて、地域格差の再分配機能としての地方交付税をやはりきちっと措置をするなど、こんなことが必要だろうと思うんですけれども、こうした地方自治体サポートのまず決意についてお伺いをしておきたいと思います。
  141. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほども少し申し上げたと思いますけれども、又市委員、今、他の閣僚と対立してでもと、実際そういうふうになっております。諮問会議での議論等々少し御紹介をさせていただきましたが、やはり本当に交付税の意味についてなかなか実質的なところ御理解いただきにくいところが、これは民間議員に対してもございまして、そのことに対してはもう毎回毎回大きな声で発言をさせていただいております。  交付税をどうするか、その決意ということでございますけれども、これは、地方というのは本当に自由度を持って自立をしていただきたいと思います。必要な行政サービスというのは、やはり当然これは地方においてしっかりとやっていただかなきゃいけないわけでありまして、そういう意味で地方交付税が果たしてきた役割というのは大きいと思いますし、それにさらに今の今回の三位一体の改革を踏まえて、地方が更に自立できるような仕組みについて私はこう考えたいというふうに申し上げているわけでございます。  その中で、国と地方が合わせて大変な赤字を抱えているというのも、これも紛れもない事実でございます。それを二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス解消に向けてこれまでも努力をしてきたし、更に努力をしていかなければいけない。これは地方も頑張る、国も頑張るということだと思います。  そういう観点で、国も地方もやはり納得ができるような形でしっかりと行財政のスリム化を行っていきますけれども、それにおいても地方が更に自由度を高めて、そしてしっかりとしたそのための財源を確保して、地方の行政が、行財政サービスが行われていくように、これは責任を持ってトータルの設計をしていきたい、そのように考えております。
  142. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  次に、最近十数年来、我が国では税が所得再分配の役割をほとんど果たしていない。辛うじて社会保障が再分配の役割を果たしているように思えるわけです。格差社会の拡大の下で、教育、保育、医療、介護など、公正で良質な公共サービスが維持拡充することこそ必要であり、切捨てというのは正に論外だろうと、こう思います。  ところが、自治体は、官から民への掛け声の下で、先ほどもちょっと出ましたが、民間委託などでサービスの形だけは維持しようとしますけれども、受託する企業の側は経費を一円でも削ろうと、こうするわけでありまして、不安定・低賃金雇用に置き換えるなどで従業員の賃金は低く抑えられる、そして事故やサービスの低下が起きている、こういう事例がたくさんあります。それもうまくいかなければ、倒産や事業廃止、こういう格好になって公共サービスの質が著しくおとしめられる、こういう傾向もあるわけで、こうした公共サービスの質の問題を抜きにして自治体に定数削減の数値目標だけを押し付ける、そうしたやり方というのは、地方分権を無視をして、今おっしゃったけれども、現実問題としては自治体サービスの本質を誤るものだ、私はこんなふうに思うんですが、この点についての見解をお伺いします。
  143. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 又市委員おっしゃいましたように、公共サービスの質が重要だと、これはもう当然のことであろうかと思っております。一方で、公共サービスの民間委託等の推進を行っているわけでございますけれども、これは決して公務員数の削減だけを目的としているものではございません。公共サービスそのものが効率的、効果的に提供されるようにという観点から行うものでございます。  幾つかの自治体でアウトソーシング等々非常にうまくやって、経済的にも効率化をされた、そしてサービスが良くなったというふうに住民からは言われている、そういう自治体も現実にあるわけでございますから、そこは正に住民の厳しい監視を受けながら、きっちりとしたサービスの提供、それを効率的に自治体には行っていただきたいというふうに思っております。  これから更に少子高齢化が進んでいく中で、先ほども申し上げましたように、これやはり後世代に負担を残さないように効率的にやっていかなきゃいけないというのも、これもやはり我々の世代に課された厳しい課題であろうかというふうに思います。  そうした観点から、簡素で効率的、効果的な行政を実現したいと、そのための重要な手段の一つとして、こうした民営化、民間委託という手段がうまく活用したいというふうに思っているわけでございます。同時に、こうしたことがうまく進んでいるかどうか、適切に評価、管理していくということは、これは当然重要でありまして、そのような仕組みについても我々は要請をしているところでございます。
  144. 又市征治

    ○又市征治君 一部でうまくいっていることがすべてではないわけでありまして、ホリエモンを一生懸命持ち上げてみたけれどもやっぱり駄目だったという例もあるわけでありますから、是非そういう点は、光の面と影の面を両面見ながら適切に対応していただくようにお願いしておきたいと、こう思います。  次に、三位一体改革と称して、三兆円の税源移譲と四兆円の補助金カット、五兆円の交付税カットというのが行われてまいりました。一昨日、片山元総務大臣、テレビ番組で、当時大臣として主張した、当面、国対地方の財源比率は五対五という目標は今も変わっていない、こういうふうに述べておられるわけですが、竹中大臣も同じ考えというふうに受け止めてよろしいかどうか。また現在、多分五・五対四・五ぐらいの比率になっているんだと思いますが、これはあくまでも当面という目標であったわけですね。これはいつまでに、じゃ五対五まで持っていこうという決意なのか。この点をお伺いしたいと思います。
  145. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 片山提案、私も諮問会議で、片山、当時の総務大臣から直接御提示をいただきましたので、そのときから大変関心を持っておりますし、よく記憶をしております。  サービス、国民へのサービスの還元の割合が国と地方、国対地方は四対六になっていると。ところが、国と地方の税源配分は六対四だと、当時六対四だったと。それで、五対五にするということを目安にしようというふうに片山大臣が提起をされました。これはやっぱり非常に分かりやすいし、六対四、四対六の間をちょうど取って五対五というのは、私は大変メッセージ性のある、その政策的な方向性を示すものであったというふうに思っております。その後、先般もテレビで御一緒に御発言された中で、今四・五対五・五だというふうな発言も片山大臣、たしかしておられたと思います。  その後、実は国税も今税収が増えておりますので、最終的に今何対何かということはまた少し精査をしてみなきゃいけないと思っておりますが、私自身の考え方も当然、地方の税源を充実する方向で改革を進めているし、そこは重要だと思っておりますので、これ、片山大臣のおっしゃっていることは一つの重要な目安であるというふうに私自身も考えております。  問題は、先ほど言いましたように、数値的なものが、今国税も増えておりますので、現実に五対五と言うべきなのか、ひょっとしたらもう少し言うべきかも、もう少し強く主張するべきかもしれませんし、それをどのぐらいのタイムスパンで考えていくかということについては、これは国と二十一世紀分権ビジョンの懇談会の中でも当然に議論をしていただきたいと思っておりますので、その中で更に議論を煮詰めたいと思っております。  いずれにしましても、片山提案、国、地方五対五という方向、この地方の税源の充実の方向というのは、これは私も当然更に進めなければいけない方向であるというふうに認識をしております。
  146. 又市征治

    ○又市征治君 形の上で三位一体と、こう言いながらも、現実問題としては、片山さん自身も言っておりましたが、やっぱり地方への現実問題としては負担転嫁もあると、こういうことを言っているわけで、そうではなくて、大臣先ほど来からおっしゃっているように、地方自治体の自由度を高めるという立場での自主財源、これがやっぱり少なくとも当面は早期に五対五ぐらいに行くように更に一層の努力を要請をしておきたいと、こう思います。  そこで、もう一つお伺いをしますが、これ私、前から申し上げてきたんですが、国直轄事業負担金という名の上納金、年貢米があるわけでありまして、以前から地方六団体、地方分権推進委員会などで廃止あるいはせめて地方と個別に協議してからにしてくれと、こう要望されてきている。ところが、依然として一兆数千億円のこうした、国の直轄事業といいながら自治体から金をまだ吸い上げる、こういうことがあるんですね。  ちなみに、古い資料で、平成十三年ですけれども、府県土木費の一二%、河川費でいうたら一八・一%、合わせてこの十三年度でいうならば一兆五千億余り。国の直轄事業といいながら、実は府県から金を取っている。こういうばかげた話あるんで、地方分権のメニューの中でいうならば、とっくの昔に廃止されなければならない、こういうものなんですが、この点は、正にそれこそ分権改革をやろうとしている総務大臣の立場からいって、これはいつまでに一体全体これ廃止をされていくつもりでおいでになるのか、どういうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  147. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この問題も先般、御議論の対象に一つなっていたと思いますけれども、建設事業に係るこの国直轄事業負担金は、これは事業からの受益に着目をしまして、そして事業が実施される団体とその他の団体との公平を図るという観点から徴収されるものでございまして、まあ趣旨そのものは必ずしも不合理とは言えないものというふうに思います。  しかしながら、その維持管理費に係る国直轄事業負担金については、これは私たちも問題があるというふうに考えているところでございます。公共施設の維持管理費は、本来、この当該施設の管理者が負担すべき問題であると、そして地方公共団体が行う事業について、国は、これは一般的に維持管理負担金を支払っていないということとのこの均衡を勘案しますと、やはり見直しに取り組むべきであるというふうに思います。これ、御承知のように、地方分権推進計画においても段階的縮減を含め見直しを行うこととされているわけでございます。  このため、総務省としては、維持管理費に関する国直轄事業負担金については今後廃止する方向でこれを段階的に縮減するようにということで各省庁に申入れを行っているところでありますけれども、残念ながら見直しは行われていないという状況にございます。そのいつまでに何ができるかということについて、引き続き我々としては関係省庁に申入れを行っていきたいと思いますけれども、全体のこのビジョンの中でも少し議論をしてみたいというふうに思っております。
  148. 又市征治

    ○又市征治君 議論してみたいではなくて、地方分権を言う以上は、総務大臣の立場からいうならば、こんなのはやっぱり、正に一番冒頭に申し上げたように、府省、他の府省と対立してでも、これは地方の自治体の立場に立たないと。事業はお願いしました、ここで直轄事業をやってくださいと。受けました、ところが実はこういう負担金が後から付いてきますよなんというのを後から言われる。こういう現実にやっぱりあるわけでありますから、これは今もおっしゃったように、やっぱり廃止の方向を明確にしたら、それこそ大事な、いつごろまでになくしていくと、三位一体改革とこれ一体のものですから、そういう点でいうならば、やっぱりきちっとやっていただくように今日は求めておきたい。改めてまた論議したいと思います。  時間がなくなってきたんですが、人事院お見えですから、若干お聞きをしておきたいと思います。  現在、大企業や銀行の方は過去最高益で決算を迎えようと、こういう状況にあるわけでありますが、私に言わせるならば、正に労働者の犠牲によるリストラと企業支援の金融政策によるものではないかと、こういうふうに思います。政府が公共サービスを削り、公務員の定数と給与を削減しようという動きというのは、更なるこの民間の、そして日本全体の賃金引下げのスパイラルを呼ぶことになるんじゃないか。人事院勧告なるものが、民間を調べて勧告をしているけれども、これがまた中小零細などに大きな波及効果を持っている。こういうことからいって、そのことが危惧されるわけです。  今のようなこの経営者側主導の低賃金政策、とりわけ賃金二重構造を起こすような、こんなことが随分と広がってきている。その意味で、日本社会の格差拡大がますます広がることについて、総裁としては、これは勧告の内容では違いますけれども、どのようにこのこうした事態について認識をなさっているのか、見解を伺っておきたい。
  149. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人(佐藤壮郎君) 確かに、委員御指摘のように、近年、民間企業においては非正規職員の割合が非常に増えております。また、最近の厳しい経済状況を反映して、正規職員においても給与の抑制が続いているということがございまして、その結果、人事院勧告も平成十四年以来、まあ平成十六年は横並びで、失礼、ちょっと違いますけれども、マイナス勧告が続いているわけでございます。  一方で、本年の春闘におきましては、景気が回復傾向にあることを背景として、各企業の労働組合が賃上げの要求を行っているところでございまして、現在妥協に向けた交渉が行われているわけでございまして、人事院としてもその動向を注意してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、国家公務員の給与につきましては、いわゆる民間準拠が基本でございまして、この民間準拠による給与勧告は、民間給与の決定に際しては、時々の経済状況、それから労働市場、それから労使交渉の結果等を勘案して民間の給与が決定されるというものでありまして、市場原理が働かないあるいは労働基本権が制約されている公務員給与を定める場合に、この民間に準拠することが最も合理的かつ国民の理解が得られやすいと考えております。  しかしながら、御指摘のように、この民間企業の決定プロセス基本的な部分でもし変化があるようでございますれば、人事院といたしましても、その動向を注意しつつ、必要な検討をしてまいりたいと思っております。
  150. 又市征治

    ○又市征治君 時間がなくなってきたので、最後に質問を一つだけにしたいと思いますが。  今、この公務員バッシングが非常に強められている。こうした、私流に言わせるならば、小泉構造改革への庶民の不満や批判をそらさせるスケープゴートの役割を押し付けられているんじゃないのか、そういう側面もありと、こう思うんですけれども、こういう中にあって、総裁としては、逆にこの公務員の士気をどう高めていくのか、どのような策をお考えになっているのか、あるいはまた公務員が果たしている役割国民にどう理解してもらうような努力をされているのか、この点最後にお聞きをして、終わりたいと思います。
  151. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 佐藤人事院総裁、簡潔にお願いします。
  152. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人(佐藤壮郎君) 確かに、最近公務員バッシングが非常に激しゅうございますけれども、私どもといたしましては、大多数の公務員は全体の奉仕者として真摯に業務に励んでいるということを確信しております。  この実態をいかに国民に対してお知らせする方法があるのかということでございますけれども、なかなかこれ難しゅうございますけれども、人事院といたしましては、積極的に公務の実態について報道発表をする、あるいは報道各社の論説委員方々に職場訪問をしていただいて、公務員に対して正確な報道をしていっていただくということが重要でないかと考えております。  それから、いわゆる士気の高揚でございますけれども、これもなかなか特効薬的な方策というのは難しいわけでございますけれども、基本的には、私は公務員一人一人が全体の奉仕者として働くことに誇りを持つと、そして各府省の人事当局もそれに対して評価を行い、また国民の皆様にも公務員の業務の重要さについて御理解をいただくということが大変重要ではないかと考えております。  で、その方策としては、今実施しているものといたしましては、人事院総裁賞がございまして、これは長年目立たないところで一生懸命働いてもらってくれている公務員についてこれを表彰するということでございまして、これについては新聞各社報道をされておりまして、大変士気高揚にも資するものであるというふうに考えております。  それからもう一つは、やはり……
  153. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 簡潔に御答弁願います。ちょっと時間過ぎております。
  154. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人(佐藤壮郎君) はい、失礼。国家公務員の大多数を占めるⅡ種、Ⅲ種の登用でございます。これについても、登用の促進について諸施策を講じてまいる所存でございます。
  155. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  朝来の質問ずっと続いておりますので、大臣始め政府の皆様はお疲れだと思いますが、もうしばらくお付き合いをいただきたいと思います。  今日は三月の十四日であります。何が関係あるのかと言われるかもしれませんが、郵政民営化法案が参議院の本会議で成立をいたしましたのが十月の十四日、今日で早くも五か月たったということでございます。  朝来の御質問、総務大臣の所信の各項目について質疑が行われておりますが、行政改革の推進が第一項め、地方分権の推進が第二項め、情報通信政策が第三項めということで、いろいろと議論が重ねられておりますが、私は、第四番目の項目、郵政行政について、正にその十四日にふさわしい質問をちょっとさしていただきたいと思います。  私ども、郵政民営化に反対をしてまいりました。五か月前に法律は成立をいたしました。今、総務省を始め関係のところでいろいろな準備が行われていると思います。大臣の所信の中でも、四、郵政行政のところに、郵政行政については、郵政民営化法等にのっとり、十九年十月の民営化に向け、新会社への円滑な移行のための諸準備を着実に実施するということをおっしゃっているわけでありまして、最終的に国民の皆様により質の高いサービスが提供されるよう努めてまいりますと、こう述べておられます。  それで、私は、法律それから政令、省令等きちんと守りながら作業を進めていただくのはこれは当たり前のことだと思うわけでございますけれども、同時に、さきの通常国会でいろいろ議論されましたこと、引き続いて総選挙の後開かれました特別国会での議論、こういったものもきちんと踏まえて作業をしていただくことが何よりも大事だと思うわけであります。  と申しますのは、法律はやはり今読み直してみてもやはりできが悪いと言わざるを得ないわけであります。もう心配の種は一杯残っているわけでございまして、そのことは法律が成立をしたからといって消えていない。  したがって、唯一私どもがすがれるものは何かといいますと、国会の審議の中で政府が答弁をなさったこと、そしてまた参議院の本会議で付けられました附帯決議であります。これは、私どもが付けた附帯決議というよりも、与党の御提案で付いたものでありまして、いろいろな方々がやはりそんなに心配ならばやはりこういうものを決議として付けておこうということでお付けになったものだと思うんです。  で、これらにつきまして、小泉総理は九月二十九日の参議院の本会議でこう述べておられます。政府側の答弁は、当然これを遵守するんだと、で、附帯決議についても、国民の懸念や不安を払拭するその趣旨を重く受け止めて最大限尊重すると、こういう趣旨の発言をしておられるわけでありまして、是非そのようにあってほしいものだというふうに思うわけでございます。  そこで、大臣にお伺いをするわけでありますが、そういう大事な政府答弁であり、附帯決議だというふうに思いますので、これはもう是非守っていただかなきゃいけないわけでありますけれども、実際の民営化の準備をしておられるのは公社であり、そしてまたこの一月に発足した郵政株式会社ということになるわけでございまして、当然その下部機関だから知っているだろうというふうな話ではなく、また紙を何か渡したからというふうなことではなくて、これらを守るようにどのような御指導をなすっておられるのか、できれば大臣から御答弁をいただければ有り難いと思います。
  156. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員おっしゃったように、我々、まあ本当に真剣に、真摯に国会答弁させていただいたつもりでございますし、また本当にいろんな議論の末にあの附帯決議をいただいたわけでございますから、この我々の国会の答弁、そして附帯決議と、これはもう本当に大切にして、そして実行に移していかなければいけないという強い気持ちを持っております。  まず、郵政公社、そして日本郵政株式会社においても、このことは当然十分に御理解をいただいているものと承知をしております。これはもう総裁のいろんな御発言でありますとかもそうでございますし、例えば日本郵政株式会社のその事業計画の中にもこれまでの国会における御審議を踏まえるということを明記しておられて、そのことは既に十分理解いただいているものと承知をしております。これはもう政府としてもそのことを最大限尊重してまいるというふうに申し上げているわけでございますので、その姿勢を貫きたいと思います。  具体的な指導でございますけれども、既にそのことは、先ほど言いましたように、その事業計画等々でも明記をさせているわけでございますけれども、これまでも一月二十五日に政府としてこの基本計画を定めまして、そして日本郵政株式会社に実施計画を作成するように指示しております。この実施計画の認可に当たっては、御指摘の国会における答弁とか参議院での附帯決議を十分に尊重して、そしてその趣旨が生かされるように適切に対処してまいりたいというふうに思っております。今、そういうもう手続にこれから入ってまいりますので、我々としては、認可がございますから、その中でまずもってそれをしっかりと守らせていくという決意でございます。
  157. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 大臣から大変心強いお話を承りました。  今日は公社からも参考人の方に来ていただいておりますので、二つほど質問をしたいと思いますので、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  私の聞くところによりますと、公社では現在全国にあります集配特定局を千局も減らす計画だと、こういうふうに聞いておりますが、これは政府答弁、附帯決議の中で現に存在する郵便局のネットワークの水準を守るんだと言っているような趣旨に反するように思いますが、いかがでしょうか。
  158. 塚田爲康

    参考人塚田爲康君) 公社におきましては、現在全国に四千七百局ございます集配拠点の再編を検討しておりまして、三月末までには成案を得るように鋭意取り組んでいるところでございます。  この再編の検討に当たりましては、集配及び郵便内部の事務を集約するわけでございますけれども、基本的には郵便局の窓口は引き続き存置するということでございまして、郵便、郵便貯金、そして簡易保険の各サービスを提供するということによりまして郵便局ネットワークは現行水準を確保するということにしておりますし、また郵便集配サービスにおきましてもお客様にこれまでと同等の品質の高いサービスを提供するということを基本としておりまして、したがいまして、この再編は、国民の利便に支障が生じないよう郵便局ネットワークを維持し、郵便、貯金、保険と各サービスを確実に提供するというこれまでの政府答弁や附帯決議に反するものではないと考えております。
  159. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 違うんですよね。そんな簡単なものであれば私も腹は立たないわけでありますけれども、これ、大変なことですよ。単に郵便局が集配をやっていた、集配業務をやめて窓口だけは残ります、そういう簡単な話ではないんですよ。  そもそも集配郵便局、この場合は過疎地を考えておりますけれども、集配特定局があるところというのは昔から栄えてきた地域なんですよ。その大事なところに集配局というものがあって、無集配局というのは更に離れたところにあるわけであります。そこは言ってみればその地域の中心の地域でありまして、経済活動も十分に行われるような地域にあるわけであります。そこから集配機能がなくなってしまう。届けに行くんだからどこにあってもいいじゃないかと。聞くところによりますと、何か三十キロ圏ぐらいのところを一か所でカバーするというようなお話もあるようでございますけれども、それはむちゃくちゃでございまして、もう街の灯が消えたようになりますよ。  先ほどの質問でも過疎地、これもう切捨てになるじゃないかという話がありますけれども、それを加速させることになりますよ。皆さん方は会社じゃなくて公社なんですよ。公務員ですよ。全体の奉仕者として地域の発展のために尽くさなきゃならない人たちが、なぜそんなこと考えるんですか。これはもう私は、民営化になったんだからもうけ仕事にしなきゃいかぬ、新しい会社にもうかる体制をつくって渡してやらなきゃいかぬ、そのことの一心の結果がこういうことに出ているんだというふうに思うわけであります。  サービス落ちないと言いましたけれども、具体的にそれじゃ申し上げますよ。集配特定局と無集配特定局では、窓口といっても取扱いの中身が違うんです。集配特定局では、土曜日も日曜日も時間外窓口というのがあって、いつでもお客さんが来たときに応対できるようになっているんです。無集配はそれ、ないんですよ。三十キロも遠くの方まで大事なときにやっぱり飛んでいかなきゃならぬ。そんなことが地域の皆さんに知れたら、これ簡単にオーケーするとは私はとても思えないわけですよ。  それが、民営化になって、竹中大臣審議のときに言っておられましたけれども、ああ良くなったと、公社のときよりももっと良くなったと言ってもらおうと思っているやさきに、何だ、やっぱり会社になったら駄目じゃないかと。こんなことでは、私は民営化というのはいいスタートが切れないと非常に危惧しているわけであります。時間がありませんので御答弁は要りません。  次に、もう一つお尋ねをいたします。  公社は同じく特定局長の定年を、今六十五歳になっておりますが、六十歳に引き下げると。それから、地域に根っこを張っている不転勤を原則としてきた無集配の特定局長も転勤を原則に改めるということだそうでございますが、これは政府答弁や附帯決議に反しないんですか。
  160. 西村清司

    参考人西村清司君) ただいま御指摘の郵便局の在り方についての改革でございますけれども、これは今度の民営化、また分社化によりまして窓口の郵便局の在り方が大きく変わってくるということを踏まえて、将来の郵便局の姿ということで、今改革を検討している案でございます。  御指摘の定年についてでございますけれども、特定郵便局長の定年、現在は国家公務員制度の下で特例定年として六十五歳ということにされておるわけでございますけれども、分社化になりますと、郵便局は、今の集配業務が郵便会社に分離されてまいりますので、ある意味全国一律に同じような窓口の業務を行う郵便局というふうになってまいります。そうなりますと、やはり同じ業務を行う郵便局の局長の定年というのは、やはり会社の中では一律にしていくべきではないだろうかということで、他の職員と同じような定年制度の下で運用していくべきではないかと考えております。  ただ、六十歳という仮にその定年を定めるといたしましても、民間会社には、高齢者等の雇用の安定に関する法律という法律によりまして、年金の支給開始年齢の引上げスケジュールに合わせて段階的に六十五歳まで雇用の確保を維持するということが義務付けられております。また、民間状況も踏まえまして、六十歳時点での再雇用で継続的な雇用というものを確保していきたいというふうに考えています。さらに、現在、局長として、国家公務員である局長として六十五歳の定年制度の下で勤務されている方々には、必要な経過措置を講じることによって雇用、勤務条件といったものにも配慮していきたいというふうに考えております。  また、転勤についてでございますけれども、適材適所あるいは有能な人材の確保といったことは非常に重要な課題でございますけれども、これまでも不転勤とは言われておりましたが、これは制度として公社として持っておったものではございません。現実にまた特定郵便局長さんでも、転勤というのは現実に行われてまいっております。ただ、今後は、より適材適所を徹底をし、また有能な人材を活躍する道を開くといったことも含めまして、転勤ありといったものを原則として運用していきたいというふうに考えております。  ただ、そうは申しましても、これから新しい郵便局会社の郵便局となってまいります郵便局は、正に窓口を拠点として営業を行っていかなければいけない郵便局でございますし、また、その窓口の郵便局に対して寄せられております地域の皆様からの信頼、あるいは長年のつながりといったものが窓口の郵便局にとっての最大の経営の資源ということもございますので、そういった郵便局長の転勤といいましょうか、人事配置につきましては、引き続きこれまでと同様、地域への密着性といったものも尊重しながら、営業力の確保、また地域とのつながりの維持といったものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  161. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 冗談じゃないですよ。原則不転勤というのと原則転勤と全然違うわけですよ。今までは地域に根差して、あなたがここの最初で最後の城ですよと言い渡して仕事をしてもらっているから、みんな一生懸命やるわけです、ごまかしが利かないから。だからいい仕事ができるんです。そこでいい仕事ができている人をほかのところへ持っていって、いい仕事ができるなんて保証は全然ないんです。  気象の世界でも、気象予報士という方いらっしゃいます。これはもう専門家ですから、日本全国の気象のことはよく分かります。しかし、それぞれの港へ行ったら、ここのことだったらどこの気象予報士にも負けないという漁師さんが必ずいるんですよ。そこでずっと仕事をしているから、命懸けで。特定局長もそうなんです。一所懸命なんです。一か所に命を懸けて仕事をしているんですよ。その人たちに不安を与えて、民営化のいいスタートなんか切れるわけないでしょう。ましてや、六十五歳という約束でやってきた人たちに、これから六十歳です。民間が今六十五歳に延ばしていこうと、ヨーロッパなんか六十七歳にしようかと言っているときに、何を考えているのかと私思うわけであります。  もうければいいんですか、皆さん方。それが、これは郵便会社というものができちゃって、もうからない会社だから、こういうことをやらないとやっていけないんですというならば設計図が悪いんですよ。元の民営化そのものがおかしいということになってくるわけでして、私は非常に心配をしているわけでございます。  生田総裁は民営化の議論のときにもさんざん言っておられましたけれども、民営化をするんであれば三つの条件があるんだと。それは、経営体である公社、会社になっても今よりももっと良くなること、そして何よりも使ってくださる国民、利用者の皆さんに今よりももっといいサービスができること、そして働いている人たちにも今より以上に夢と希望を与えることができること、この三条件だと生田総裁いつも言っておられるわけですよ。そのとおりになってないじゃないですか。  私は、民営化そのものに反対でございます。しかしながら、五か月前に法律が通って、もう民営化という形が決まって今準備をしている。そうであるならば、やっぱり円滑に進んでもらいたい、本当に国民の皆さんから国会で一体何をやったんだと指弾を受けないようなやり方でやってもらいたい、強く望んでいるわけですよ。私はそれは、野党だから言っているんじゃないんです。与党の皆さんも同じ気持ちだと思うんですよ。だからこういう附帯決議を付けていただいた。政府だって同じ気持ちだと思うんです。竹中大臣の先ほどのお言葉もそうですよ。円滑にこのままうまく成功させたいと思うからそういうことをおっしゃってるんで、どうもそういう親の気持ちを子供として公社は理解しておられないのではないか。総裁の言っていることと実際にやっておられることが一致をしていないということを私、大変に残念に思うわけであります。  会社になっても大事なことは、皆さん方、株式会社になったって国がしっかりと株主として株を持つ会社になるわけですから、しっかりと公の精神を持って、公務員ではなくなっても公務員と同じように全体の奉仕者だという誇りを持って、そして経営は柔軟に、本当に成果の上がるような民間のやり方そのもので足軽にいろいろなことをおやりになる、それが行くべき方向ではないかと私は思うんですけれども、皆さんのやり方を見ていると、今の御答弁を聞いてもそうなんですが、残念ながら御答弁は極めて官僚的でございます。役人だなと思うわけでありますが、どうも目指しているその気持ち、心の方は、何かもうけ、もうけという民間の一番悪いところだけを取り入れているのではないかという気がして仕方がありません。  今検討中というふうに伺っておりますので、私は、これからでも遅くないので、十分に皆さん方よく議論をしていただきたいし、関係者からも十分意見を聞いて、理解と納得を得て、そしてみんなで、よしやろう、一致団結してスタートが切れるような形にしていただきたいと思う次第でございます。ちょっと言葉が荒くなったかもしれませんけれども、それは御勘弁を願います。  私、こんなところで言うべきことじゃないかもしれませんけれども、今日の三月十四日というのは私の父親の祥月命日でございます。私の父親は簡易保険の外務員をしておりました一介の郵便局員でございます。そういうことを思うと残念でたまらないんですよ。生々と発展できる、地域の人にもっと喜んでいただける、みんなが喜べる民営化というものを是非目指していただきたい。そうでなければ、やはり法律そのものを改正をするということを私はこれからやらしていただこうと思っております。  以上をもちまして質問を終わりたいと思います。
  162. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 両件に対する調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  163. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 平成十八年度地方財政計画について政府から説明を聴取いたします。竹中総務大臣
  164. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 平成十八年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。  極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、累次の経済財政運営と構造改革に関する基本方針等に沿って、歳出全般にわたり厳しく見直しを行い、その抑制に努めております。一方、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額を確保することを基本としております。  引き続き生ずる財源不足については、特例地方債の発行、一般会計からの加算等により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにしております。  さらに、三位一体の改革による国庫補助負担金の改革に対応し、所得譲与税による税源移譲の措置を講じております。  以上の方針の下に、平成十八年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十三兆千五百八億円となり、前年度に比べ六千百七十九億円、〇・七%の減となっております。  以上が平成十八年度の地方財政計画の概要であります。
  165. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 次に、補足説明を聴取いたします。山崎総務大臣
  166. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 平成十八年度の地方財政計画につきましては、ただいま総務大臣から御説明いたしましたとおりでございますが、なお若干の点につきまして補足して御説明させていただきます。  地方財政計画規模は八十三兆一千五百八億円ですが、その主な歳入について御説明いたします。  地方税の収入見込額は三十四兆八千九百八十三億円で、前年度に対し一兆五千七百九十四億円、四・七%の増加となっております。  また、地方譲与税の収入見込額は、所得譲与税の増一兆八千九百三十五億円により総額三兆七千三百二十四億円、前年度に対し一兆八千九百五億円、一〇二・六%の増加になっております。  次に、地方特例交付金につきましては、税源移譲予定特例交付金の廃止による減六千二百九十二億円等により、総額八千百六十億円、前年度に対し七千二十億円、四六・二%の減少になっております。  地方交付税につきましては、平成十八年度の所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ法定割合の額の合計額十二兆六千百三十七億円から精算額八百七十億円を減額した額十二兆五千二百六十七億円に、平成十七年度以前の地方財政対策に基づき地方交付税法の定めるところにより平成十八年度に一般会計から加算することとされていた額五千百二十九億円、通常収支の補てんに係る国負担分の臨時財政対策加算額七千二十九億円、恒久的な減税による地方交付税の減収を補てんするための交付税特別会計における借入金一兆千六十一億円を加算する等の措置を講ずることにより、十五兆九千七十三億円を計上いたしました結果、前年度に対し九千九百六億円、五・九%の減少となっております。  国庫支出金は、三位一体の改革に伴う廃止、縮減等の影響を含め、総額十兆二千十五億円で、前年度に対し九千九百五十二億円、八・九%の減少となっております。  次に、地方債につきましては、臨時財政対策債二兆九千七十二億円を含め、総額十兆八千百七十四億円、前年度に対し一兆四千四百四十五億円、一一・八%の減少になっております。  次に、主な歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費についてでありますが、職員数につきまして、四・六%以上純減するとの目標を踏まえ、二万二千六百二人の純減を行うとともに、地域民間給与の適切な反映等を内容とする給与構造改革に取り組むことにより、その総額は二十二兆五千七百六十九億円で、前年度に対し千四百七十一億円、〇・六%の減少となっております。  次に、一般行政経費につきましては、総額二十五兆千八百五十七億円、前年度に対し一兆九千億円、八・二%の増加となっております。このうち国庫補助負担金等を伴うものは、社会保障関係経費の増等により十兆七千二百八十六億円で、前年度に対し七千八百五十八億円、七・九%の増加となっております。  国庫補助負担金を伴わないものにつきましては十三兆四千七百八十五億円で、前年度に対し九千七百二十二億円、七・八%の増加となっております。なお、平成十八年度においては投資的経費(単独)との一体的乖離是正分一兆円を増額計上しており、これを除いた場合は十二兆四千七百八十五億円で、前年度に対し二百七十八億円、〇・二%の減少になっております。  また、国民健康保険関係事業費につきましては、都道府県財政調整交付金の増千三百八十一億円等により、総額九千七百八十六億円、前年度に対し千四百二十億円、一七・〇%の増加になっております。  公債費は、総額十三兆二千九百七十九億円で、前年度に対し八百二十四億円、〇・六%の減少となっております。  投資的経費は、総額十六兆八千八百八十九億円で、前年度に対し二兆六千三百二十二億円、一三・五%の減少になっております。このうち、直轄事業負担金につきましては、一兆一千二百六十九億円で、前年度に対し八十二億円、〇・七%の減少、補助事業につきましては、五兆六千七百九億円で、前年度に対し二千二百四十億円、三・八%の減少となっております。  また、地方単独事業につきましては、前年度に対し二兆四千億円、一九・二%の減になっておりますが、一般行政経費(単独)との一体的乖離是正分として二兆円を減額計上しており、これを除いた場合は、前年度に対し四千億円、三・二%の減になり、地域の自立や活性化につながる基盤整備等を重点的、効率的に実施することとしております。  公営企業繰出金につきましては、総額二兆七千三百四十六億円で、前年度に対し千三百十三億円、四・六%の減とする中で、地方公営企業の経営基盤の強化、上下水道、交通、病院等生活関連社会資本の整備の推進等に配慮することとしております。  以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。
  167. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  168. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹中総務大臣
  169. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた改革の一環として、個人の所得課税に係る国から地方公共団体への税源の移譲を行うための個人住民税の税率の見直し、定率減税の廃止、土地及び住宅に係る不動産取得税の税率の引下げ措置の延長、平成十八年度の固定資産税の評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整、地方のたばこ税の税率の引上げ、所得譲与税の増額等を行う必要があります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  その一は、個人住民税の改正であります。個人住民税については、所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲を行うため、個人住民税の税率を見直し、道府県民税所得割の税率を四%、市町村民税所得割の税率を六%とすることとしております。また、定率減税については、廃止することとしております。これらの改正は、平成十九年度分の個人住民税から適用することとしております。  その二は、土地税制の改正であります。不動産取得税については、土地及び住宅に係る税率を本則四%から三%に引き下げる措置を平成二十一年三月三十一日まで延長することとしております。また、固定資産税及び都市計画税につきましては、商業地等に係る条例減額制度を延長するとともに、負担水準が低い土地についての負担調整措置を見直し、負担水準の均衡化を一層促進する措置を講ずることとしております。  その三は、地方のたばこ税の改正であります。道府県たばこ税につきましては千本当たり百五円、市町村たばこ税につきましては千本当たり三百二十一円、税率をそれぞれ引き上げることとしております。  その四は、所得譲与税の改正であります。平成十八年度の所得譲与税は、総額を三兆九十四億円とし、都道府県に対して二兆千七百九十四億円を、市町村に対し八千三百億円をそれぞれ譲与することとするほか、譲与基準を見直すこととしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。  引き続き、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、平成十八年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成十八年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、法定加算額、臨時財政対策のための特例加算額、交付税特別会計借入金及び同特別会計における剰余金を加算した額から、同特別会計借入金償還額及び利子支払額を控除した額十五兆九千七十三億円とすることとしております。  次に、平成十九年度から平成三十三年度までの間における、国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入れに関する特例等を改正することとしております。  また、平成十八年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するとともに、算定を簡素化するため補正係数の見直しを行うこととしております。  あわせて、今後十年間における特例措置として、退職手当の財源に充てるため、地方債を発行できることとしております。さらに、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備に係る財政上の特別措置を引き続き講ずることとし、また、児童手当の拡充に伴い児童手当特例交付金を創設することとしております。  そのほか、地方公務員共済組合の事務に要する費用に係る地方公共団体の負担の特例を、平成十八年度においても適用することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  170. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  なお、地方税法等の一部を改正する法律案の補足説明につきましては、理事会において、本日の会議録の末尾に掲載することといたしました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会