○
参考人(
生田正治君)
お答え申し上げます。
全般に関しまして私は全く楽観をいたしておりません。大変深刻なかつ真剣な取組を要すると考えております。
まず、
経営の内容を見てまいりますと、三
事業の
経営につきましては、
公社はスタート以来三つの
経営ビジョンを出しましてその実現に努力をしてきております。極力改革を前倒しいたしまして
経営改善努力の真っ最中でありまして、過去三年に限っていいますと、
政府に御
承認いただいている中期
経営計画を上回る実績を一応は上げてきております。
公社法という枠内で物を見る、そして
郵政事業の過去と今を比較する、こういう切り口から見ますと、改善は進んでおりまして健全性を増してきているわけでありますが、
公社法の枠は横に置きまして市場から眺めると、客観的に眺めるという手法を取りますと
経営は極めて厳しい、こう言わざるを得ないと考えております。
まず、一に
郵便は、先ほど御
報告したのは十六年度なんだけど、今の十七年度、この三月期でいきますと、
郵便は二十六億の黒字というんですが、一兆九千億も売上げを上げていて二十六億というのは、まあ言わばゼロと考えざるを得ないと思っております。
これは、収益面では減収幅が、いろいろな努力によりまして、ゆうパックを伸ばしたり、いろんな努力をいたしまして減収傾向には歯止めが大体掛かったわけでありますけれども、費用面で、マーケットにおける労働需給の逼迫によりまして労賃が随分上がっております。そういったことのプレッシャーによりましてコストがかなりかさんで所期の
利益が出なかったと、期待した
利益が出なかったということであります。三年間の累計の
利益は五百七十二億円となりまして、中期
経営計画の目標の五百億円を上回っておりますけれども、黒字構造への転換というのは今真っ最中でありまして、効果が出るのにはまだ多少時間が掛かりますので、まだまだ予断を許さないと、こういうことであります。
郵便貯金は、
金融環境が順調だったので一兆九千三百四億という黒字に、十七年度でありますが、なっております。一見、この額だけ見るといいように見えるわけでありますが、株価の値上がりによります金銭信託運用益が一兆二千四百億もありますし、また
資産の主力が預け入れ替え六か月後は自由という定額
貯金であるということでありますので、金利上昇期に入りまして、これも正に楽観を許さない。
簡易保険は、株価上昇によるキャピタル益が八千四百五十九億もありまして、
内部留保の積み増しが九千三百十八億と、一応十六年度よりもかなり良くなっているわけでありますが、商品メニューが貯蓄型と、ちょっとでも保障型の方にやろうと思いますと民業圧迫という大合唱が起こりまして全くできませんで、貯蓄型がほとんどでございますので、新規契約が激減現象にまだ歯止めは掛かりませんで、最盛期、年間新規契約
保険料一千億あったのが、今、半分ないしは半分以下になってきているという基本的な問題を抱えております。
三
事業とも
公社法の枠内では過去との比較では改善しているんですが、市場において同業他社と比較いたしますと、
利益率というものは大体二分の一から三分の一しかない。これが
公社法の枠を外していただきまして、
民営化で
経営の自由度を増していただくことによりまして、総資金は減っても
利益は十分に
維持あるいは拡大できると、早くそういう方向に行く必要があると、こういうふうに考えております。
先生御指摘の私自身の役割、使命をどう認識しているかということでございますが、三つ申し上げます。
一つは、アクションプラン、要するに今期の業績目標を立てております。あるいは、CSをやるとかESをやるとかJPSを進めるとか、いろんなアクションプランを持っております。それを貫徹することであります。与えられた
経営環境、
経営条件の中でベストの状態に改善しておくことが
民営化後の各社が発展していくジャンプの土台を固めるものだと認識しております。
二番目は、
民営化準備に関しまして、来年十月一日の民営分社化実施を確実なものにする。そのための
準備作業に万全を期する。
日本郵政株式会社準備企画
会社と十分連携いたしまして、これに最善を尽くしていこうと思っております。
三番目に申しますが、三番目が極めて重要だと私は考えております。あらゆる面でよく申し上げますが、私は
事業は人だと思います。やはり職員がやる気満々で、よく事態を
理解して前向きに対応して
民営化に入っていってくれれば
民営化はうまくいくと考えております。したがいまして、私ども幹部、
役職員、最善を尽くしまして、職員に
民営化の意義、可能性、具体的に何をやるのかということを
理解してもらいまして、できるだけ全員を前向きに明るく士気高く新
会社に移行できるように最善の努力をしていく、こういうことが使命として大変重要だと考えております。