○
国務大臣(
谷垣禎一君) 今、
岩井委員の御
質問を私、
問題提起を
十分正面から受け止められたかどうか自信がない点もあるわけでございますが、できる限り御
答弁をさせていただきたいと思います。
それで、まず冒頭、
PFIと
地域通貨の今日
的課題は何かというお問い掛けがございまして、
委員が大変御尽力された
PFI法に基づきまして、
政府としては効率的、そして
効果的に
社会資本を整備する、管理していくと、そして質の高い
公共サービスを提供する、こういうために
民間の
資金、能力を
活用しなければならないということで、
PFI方式の導入、これは積極的に進めていく必要があると思いますし、現にそういう方向になっているんではないかと思っております。
それで、
PFI事業を実施する際の今日
的課題につきましては、その大
規模な
事業規模等の
事業の特性に見合った
資金調達手法、それからこういったもののリスクについての官民の分担の適正な在り方は何か、それから
公共事業の
計画、設計、建設、
維持管理の各段階で
民間事業者が
創意工夫を発揮するその
機会をどうつくっていくかと、こういう点の
検討の必要があるというふうに承知をしているわけでございます。
いずれにせよ、今後とも、
民間事業者の経営上のノウハウあるいは技術、こういったもの、つまり
民間の
創意工夫をどう生かして
事業コストを縮減していくかと、
PFIの
活用を通じて
政府資金を一層有効に使っていくと、私
たちも模索をしなければならないと
考えているわけでございます。
それから、
地域通貨についてのお尋ねでございますが、前回、三月十六日も御
答弁を申し上げましたが、現在、
全国各地で
地域通貨が発行されて流通されているわけですが、これらにつきましては
参加者同士の物、
サービスの交換あるいは
ボランティア活動等に用いられて、
地域コミュニティーの
活性化、それから
委員もおっしゃいましたですが、
地産地消と、こういうものを目指して使われているというふうに承知しております。
それで、
一般的な
地域通貨の今日
的課題としては、先ほど
委員もお引きになりましたけれども、
総務省も参加しました新しい
経済活動を伴う
地域経済の
活性化に関する
研究会と、
加藤先生があの
座長を務められたものでございますが、この
報告書を拝見しますと、
地域通貨の
考え方はまだ
一般に広く浸透していないと、そういう
地域通貨の
認知度、
信頼度の問題が
一つあると。それから、人気のある商店に
地域通貨がたまって流通しないという
地域通貨の特定の個人や商店への
集中あるいは滞留の問題があると。それから、
地域通貨の交付の方法等、店頭におけるオペレーションの問題があると、こういう三点が指摘されていると、私もややにわか勉強でございますが、そういうことを一応勉強いたしました。
それから、
委員がお挙げになりました「エンデの遺言」でしょうか、あのオーストリアの実験例も、一年ぐらい行われた後、結局訴訟で違法であるということになったというふうに聞いておりますが、我が国でも、現在の紙幣類似証券取締法には
地域通貨が
一般的に換金が確保されたものである場合、またはどこでも、だれでも、何にでも利用できる場合にはこの法に抵触するというふうに
考えられるわけでございまして、この辺をどうするかという
議論もまた必要なところではないかというふうに思っております
それから、次に国の
財政状況について、まず
沖ノ鳥島に
日本国政府が今まで投じてきた費用が幾らで、それが費用対
効果でいうところの
効果は何かということでございますが、
沖ノ鳥島については国直轄の災害復旧
事業あるいは海岸保全施設整備
事業ということで、北小島や東小島の護岸整備などを実施してきているわけでございますが、
公共事業関係費としては累計六百十三億円の投資を行ってきたということでございます。
それから、この
投資額に対する
効果、いわゆる
値打ちについては、これはこの島が東京から千七百キロ離れておりますし、居住者のいない孤島であるという極めて特異な環境でございますので、海岸
事業における通常の費用対
効果分析というものにはなかなかなじまない面が率直に言ってあると思っております。
ただ、この島はもう私が申し上げるまでもございませんが、我が国の国土面積を上回る約四十万平方キロメートルの排他的
経済水域を有するといった極めて重要な
意味を持った島でございますので、今後とも適切な保全に努めていかなければならないのは当然のことでございますが、なかなかその
効果というのを一言で申し上げるのは難しいことではないかと思っております。
それから、その国の
財務書類における
貸借対照表上、
沖ノ鳥島については島の
土地そのものに客観的な価額を設定することができない。先ほど申し上げたようなことでございますので、護岸工事に支出された
公共事業費の累計額を取得価額とみなして減価償却費を控除した価額で計上しているということでございます。こういう取扱いは、
財政審等で会計学者やあるいは公認会計士といった専門家で、に
議論をしていただきまして、省庁別
財務書類の
作成基準というものを作っていただきましたが、それによってこのような扱いをさせていただいているということでございます。
それから、
河川が
青道等も含めてすべて
国有財産になっている理由は何かということでございますが、これは私より
岩井先生の方がよく御存じのことでございまして、私どもも
国土交通省にどういうことだと聞いてお答えをしているという、国会というのは知っている方が知らない者に聞くという
一つの例でございますが、
河川については自然工物でございまして、水系ごとに治水、利水対策を推進して広域にわたる水資源の開発及び利用を図る必要があることから、
河川に存在する公有地については
国有財産として国が所管していると。うなずいて聞いていただくと有り難いと思っておりますが、そういうことでございます。
それから、
河川はそういうことだが
道路はどうかということで赤道、いわゆる赤道についてのお尋ねがございましたけれども、いわゆる赤道というのは
道路法の適用対象外ではあるけれども生活
道路等として使用されていた
国土交通省所管の
国有財産、かつてはそうでございましたが、
平成十年五月二十九日に閣議決定されました
地方分権推進
計画に基づきまして、
平成十二年度から
平成十六年度にかけて基本的に
市町村へ譲り渡してきたというところでございます。
このため、
平成十五年度の国の
財務書類における
貸借対照表では、当該年度末時点で国の所有でありました赤道が計上対象となるわけでございますが、
道路を含む
公共用財産についてはその
公共事業費の累計額を取得価額として
貸借対照表に計上することとしておりますので、この赤道については取得価額はゼロということになっておりますので、
貸借対照表上における計上価額はゼロとなっております。これは、この扱いは、先ほど御
議論になりました
青道についても同様でございまして、ともに
公共用財産である
河川と
道路でこの
資産計上上の
考え方に違いがあるわけではございません。
それから、国の
バランスシートに
地方公共団体を含めるべきだという御
議論でございました。
これは、御指摘のように、国連の設定した基準に基づいて
内閣府は
国民経済計算というのをやっているわけですが、これは各国の
経済状況等の国際比較を行えるようにするという観点から、国によって中央
政府それから地方
政府、役割分担に違いがあるということがございますので、中央
政府、地方
政府、それから社会保障基金を合わせた
一般政府という概念をつくって、そして物事を整理していこうという
考えで成り立っているわけでございますので、中央
政府と地方
政府を含めたストックの
財政状況について、
内閣府
作成の
一般政府の
貸借対照表で開示されているということでございます。
他方、国の
財務書類における
貸借対照表は、
考え方が少し違っておりまして、予算執行に関する
説明責任を果たすという観点から作られておりまして、
財政活動の主体である国を単位として
作成すると、こういう
考えで作っておりますので、各々の趣旨、目的が異なっておりますから、一方が正しくて他方が間違っているというとらえ方は必ずしも適当ではないのではないかと
考えております。
なお、国と地方の間で整合性を図りながら公会計の整備について一層推進をしていくということは大事な課題だと
考えておりまして、
総務省や地方と連携を図りながらこうした課題にも取り組んでいきたいと
考えているところでございます。
それから、
貸借対照表上に計上されております
資産の
評価額等についての御
議論でございますが、
バランスシートから抜け落ちている
国有財産はないかということでございますが、
公共用財産につきましては、会計検査院の検査を経た上で国会に提出される決算書における
公共事業費の投資累計額を基に計上しているということが
一つ。
それからもう
一つは、
公共用財産以外の
国有財産、それから貸付金等の債権、物品の価額につきましては、
国有財産台帳など、法令の規定によって各省庁に整備が義務付けられている帳簿によって網羅的に管理されているところでございまして、
貸借対照表におきましては、会計検査院の検査を経た上で国会に報告されているこういう帳簿上の現在額を基に計上しているということでございますので、国の
資産としては適切に
貸借対照表上に計上されているというふうに
考えております。
それから、
バランスシートに記載する
資産は、売るつもりがあるかないかにかかわらず、どれだけの
値打ちがあるかを評価して、その
評価額を計上すべきではないかという御指摘がございました。
国の
財務書類の
貸借対照表では、
公共用財産のように時価を反映した価額で管理されていない
資産につきましては、
企業会計と同様に、取得原価、
公共用財産の場合は
公共事業費の累計額でございますが、そういう取得原価を基に計上すると。それから、
公共用財産以外の
国有財産のように時価を反映した価額で管理されている
資産についてはその価額を基に計上する、こういう取扱いをしておりまして、それぞれの
資産の性格に応じて適切な評価、適切な方法をもって評価を行って、その
評価額を計上しているところでございます。
こういう
考え方は、
財政審で会計専門家の方々による御
議論を経て取りまとめられた、先ほども申しましたが、その
考え方に基づいて行っているというところでございます。
それから、
内閣府
作成の
国民経済計算と
財務省作成の
財務書類では非
金融資産について計数が食い違うという御指摘がございました。
平成十五年末の
国民経済計算の
一般政府における
固定資産及び
土地の合計額は、御指摘のように四百五十四兆円となっておりますが、
財務省作成の方では、
平成十五年、
貸借対照表でございますが、
公共用財産以外の
国有財産及び
公共用財産の合計額は百七十三兆円となっておりまして、そこに二百八十一兆円の乖離があるわけでございます。この違いは、主に
国民経済計算上の
一般政府の
貸借対照表には
地方公共団体の
資産が含まれている、国の方にはそれが含まれていないということによるものと
考えております。
それから、
バランスシートに
年金債務を負債計上していることについての御
議論でございますが、国の
財務書類における
貸借対照表では、我が国の公的年金
制度が各年の保険料収入でその年の給付費を賄うという、いわゆる賦課方式の
財政運営を基本としておりますので、将来の年金給付に係る
債務全体をその負債として計上する扱いとはしていないんでありますが、ただし、我が国の公的年金
制度におきましては、将来の年金給付の一部に充てるため一定の積立金を保有しておりまして、その積立金が
資産サイドに計上されております。この積立金は、将来の年金給付以外の目的のために取り崩すということは想定されていないものでございますから、こういうことの対応上、負債サイドにも同時に所要の
積立金相当額、
平成十五年度末で百四十三兆円になりますが、これを
公的年金預り金として計上する扱いをしているわけでございます。
この点も、公的年金の積立金見合いの額を負債に計上するという
考え方も、
財政審等々で御
議論をいただいて、その扱いにのっとっているわけでございます。
それから、
PFIで
公共事業を実施して
景気刺激を図るべきではないかということでございますが、
我が国経済は今民需主導の景気回復が続いておりまして、今後とも、
一つは公共投資依存から脱却して構造
改革を推進して
民間主導の
経済成長を図る必要があるということがございます。それから、我が国の
社会資本整備は格段に進捗してきておりまして、
人口減少社会ということが来ることを踏まえますと、引き続き既存ストックの有効
活用、あるいは新規投資の抑制というのが必要ではないか。それから、国の長期
債務残高を様々な変動リスクに対応可能な水準に引き下げていく必要があるわけですが、
PFIの導入によりましても、国が負担すべき部分を
民間が代わって負うというわけではなくて、将来の国の
財政負担が発生するといった点にも留意する必要があるというふうに
考えております。
それから、
委員の御主張の中に、国が
PFIをやるに当たって、国が金利を負担しないということがポイントであるという御
議論がありまして、そのような
PFI事業を
選択する必要があるというお
考えでございました。
この点は私まだ十分理解ができていないのかもしれませんが、
PFI事業者の
事業費支出と、それからその対価収入との間にはどうしても時間的なずれが生ずるだろうと思うんですね。そうすると、
資金調達コストというものが発生いたしますので
事業者は何らかの形で金利相当分を対価に含めるんじゃないかというふうに
考えられまして、結局国が対価を支払う場合には実質的に金利相当部分が負担になるのではないかというふうに、そこはどうも
委員のお
考えと違うようでございますので、また他日でもゆっくりその辺を御教示いただきたいと思うわけでございますが、一応現時点での私どもの
考え方は以上のようなことでございます。
それから、
財政再建に当たっての
債務のとらえ方についての御
質問ですが、OECD発表の数値によりますと、二〇〇四年末の
日本のグロス、総
債務残高、これは
GDP比約一六〇%であるのに対して、そこから
政府の保有する
金融資産を差し引いたいわゆるネットの
債務残高は
GDP比約八〇%に、まあすぎないと言っていいかどうか分かりませんが、そういうことでございますので、
GDP比八〇%ということであれば、それにより我が国の
財政状況は危機的と言うには当たらないんじゃないかという指摘があることは私も承知しております。
ただ、このネット
債務残高の
考え方でありますが、先ほどの
年金債務をどうするかということと関連してくるわけでありますけれども、
年金積立金についても
政府の保有する
金融資産として差し引かれて、このOECD数値のものによるのは差し引かれて
計算しているわけでございまして、先ほど申し上げたように、完全な賦課方式によって公的年金を運営している国々とは異なりまして、
政府が将来の年金給付のために保険料を財源として
年金積立金を持っていると。これが
GDP比約四割に当たるものを持っているわけですが、これは年金以外のために、つまり借金を返すために充ててよいものではございませんので、国債や地方債の財源だというふうにカウントすることはできないというふうに思っておりまして、これを差っ引いて、つまり結局、
財政が利くかどうかというのは、どれだけ最後国債や地方債を返さなきゃならないか、最後は税金という財源で返さなきゃならないかと。その財源がどれだけあるかということが問題であるとすれば、今のようなネットで
議論することはこの年金の取扱いということで私は問題がある、やはりグロスで
考えるのが正しいのではないかというふうに
考えているわけでございます。
それから、
PFIについては海外の
先進事例も調査してしかるべき
検討をすべきだという御指摘については、私どもそれは努めなきゃならぬと思っております。
先ほども申し上げましたように、
民間事業者の経営上のノウハウあるいは技術、こういう
創意工夫を生かして
事業コストを縮減していくという、各国でどういう工夫があるかということは私どもも十分研究して
PFIによって
財政資金の効率的な使用ということに努力していきたいと
考えております。
しかし、これは個別の
事業に
PFIをどう使っていくかということはまず
事業実施官庁の方で御
検討を、私どもも決して後ろ向きでいるわけではありませんので、まず
事業実施官庁で
事業の性格に応じて十分御
検討をいただきたいと思っております。
うまくお答えできたかどうか分かりませんが、以上、一応
答弁とさせていただきます。