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2006-03-28 第164回国会 参議院 財政金融委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     富岡由紀夫君  三月二十八日     辞任         補欠選任      秋元  司君     片山虎之助君      富岡由紀夫君     山根 隆治君      浜田 昌良君     山口那津男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         池口 修次君     理 事                 岩井 國臣君                 田村耕太郎君                 中川 雅治君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君     委 員                 泉  信也君                 片山虎之助君                 田浦  直君                 田中 直紀君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 溝手 顕正君                 若林 正俊君                 尾立 源幸君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 平野 達男君                 広田  一君                 山根 隆治君                 山本 孝史君                 荒木 清寛君                 大門実紀史君                 糸数 慶子君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君    副大臣        財務大臣    赤羽 一嘉君        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       後藤 茂之君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        防衛施設庁建設        部長       山内 正和君        財務省主計局次        長        鈴木 正規君        財務省関税局長  竹内  洋君        農林水産大臣官        房審議官     増田 敏明君        農林水産大臣官        房審議官     吉田 岳志君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  奥田 修一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、秋元司君及び浜田昌良君が委員辞任され、その補欠として片山虎之助君及び山口那津男君が選任されました。     ─────────────
  3. 池口修次

    委員長池口修次君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  関税定率法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省関税局長竹内洋君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 池口修次

    委員長池口修次君) 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 広田一

    広田一君 どうも、民主党・新緑風会の広田一でございます。  本題に入ります前に、税関事務所など庁舎耐震について気になる報道がございましたので、御質問をさせていただきたいと思います。  去る一月四日の読売新聞の報道によりますと、こちらにいらっしゃいます大塚委員の御地元でございます名古屋税関が入居いたしております名古屋港湾合同庁舎が、震度六弱の地震倒壊する危険性があることが分かったとの報道がございました。この指摘が事実なのかどうか。  そして、あわせて、この名古屋港湾合同庁舎というものは、東海地震などが発生した場合、大規模災害のときには救助救援拠点となる施設で、官庁の中でも最も高い耐震基準が求められるⅠ類に分類されているというふうに聞きますが、そのとおりでしょうか。併せて後藤政務官にお伺いしたいと思います。
  7. 後藤茂之

    大臣政務官後藤茂之君) まず、名古屋港湾合同庁舎耐震性が低いのではないかという指摘があった点でございますけれども、この名古屋港湾合同庁舎の建物、昭和五十六年のいわゆる新耐震基準が導入される前のいろいろ基準で設計されているわけでございますけれども、当時の設計基準では、震度強程度中規模地震に対して損傷しないということは確認をされておりますけれども、大規模地震、いわゆる東海地震レベル倒壊又は崩壊しないという確認はなされておりません。  このため耐震診断実施いたしまして、必要とされる現行の耐震性を満足しているのかどうか調査をいたしましたけれども耐震性を満足をしていないということが明らかになっておりますので、御指摘のとおり、防災拠点施設でありますし、東海地震地震防災対策強化地域にあるということから、一日も早い耐震化対策が必要であるというふうに考えております。  それから、後先になりましたが、構造体Ⅰ類であるのかどうかということについてのお尋ねに対しましては、この名古屋港湾合同庁舎といたしましてはⅠ類の対象となっております。
  8. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  政務官の御答弁で、耐震の方は満足していないというふうなお話と、一日も早い耐震補強を行いたいという旨の御答弁がございましたけれども、繰り返しになりますけれども、大規模災害のときに救助救援拠点施設がもし仮に倒壊し、使えないということになりましたらしゃれにもなりませんし、ましてや耐震機能が不十分なことが分かったまま放置されてそのような事態になれば、人災等のそしりも受けかねません。予算の制約があるのは重々承知をした上でございますけれども政務官の御答弁のとおり、一日も早い耐震改修等を実行していただきますように強く要望をさせていただきたいと思います。  あわせて、赤羽大臣の方にお伺いしたいと思いますけれども税関関係で申し上げますと、阪神淡路大震災のとき、神戸税関本館庁舎が強固な造りのため倒壊を免れまして本部機能が麻痺しなかったというふうに聞いております。公共施設耐震補強につきましては、いつ起こるか分からないというふうな観点からも、災害と時間との勝負という面もあるわけです。  先ほど御説明があったように、昭和三十年代から四十年代にかけて建築された庁舎などは、今の基準等から見ますと耐震基準を満たしていない庁舎が大量に存在すると聞いております。一般会計からの繰入れを廃止するなどの特定国有財産特別会計の見直し、これとも関係するかもしれませんけれども財政が厳しいときだからこそ、優先順位をはっきりさせながらの計画的な整備が求められるんじゃないか、こういうふうに考えますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  9. 赤羽一嘉

    ○副大臣赤羽一嘉君) 実は私も神戸市選出の衆議院議員でございまして、十一年前の阪神淡路大震災は正に被災地被災を体験しました。  今お話ありました神戸税関は大丈夫だったわけでありますが、神戸市役所の旧庁舎は、テレビでも御記憶あるかと思いますが六階部分がぺしゃんこになりまして、実は六階部分というのは水道局が入っておったところでございまして、市内の配管図が全く手元に残らなかったと。ですから、ライフラインである水道管整備というのの復旧は大変遅れたといった、私は大変今でも鮮烈に覚えている体験がございます。  そういった観点からも踏まえまして、今先生御指摘のように、特にⅠ類の施設耐震化というのは、財政的な状況はあるにせよ、計画的にまた可及的速やかにその耐震化を進めていくというのは大変大事だというふうに認識をしております。  そういった中で、政府を挙げて、昨年秋の特別国会でも耐震改修促進法という新しい法も制定をいたしましたし、今回の税制改正においても、耐震改修費用に関する促進税制というのも税制改正として新設をさせていただきました。また、避難所になる学校耐震化も進めようということで、いわゆる安全・安心な学校づくり交付金というものも創設をするなど、政府を挙げて耐震化を進めているところでございます。  この官舎に関する耐震化を進めるという意味では、今御指摘にありましたように、今回、特定国有財産整備特別会計制度改正を行わさせていただきました。この改正により、今まで全国の省庁不要不急になった財産、こういったものを売却処分することによって、それを財源にして必要な耐震性を備えた合同庁舎整備財源にできるという仕組みをつくらさせていただきました。これまで国土交通省営繕部整備した庁舎のうち三分の一程度耐震性が満たしていないという、そういった報告もございますので、今回、新しい制度改正が、まだ今審議をお願いしているところでございますが、実現次第、この新しい仕組みを積極的に活用することを検討してまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  10. 広田一

    広田一君 是非ともまたよろしくお願い申し上げたいと思います。  以上、耐震化についての御質問は以上でございますので、後藤政務官大変お忙しいときに誠にありがとうございました。  それでは、知的財産侵害物品取締りに関連してお伺いをしたいと思います。  財務省発表をいたしました平成十六年度の知的財産侵害物品輸入差止め状況によりますと、差止め件数は九千百四十三件で、前年比二三・四%の増加差止め点数は約百四万点で、これも前年比三四・四%と急激な増加となっております。こういった中でも特筆すべきことは、差止め件数の割合が、韓国仕出しが五〇・三%、中国仕出しが三六・七%と、両国で八七%を占めていること、同様に、差止め点数両国合わせて七八・七%を占めているということでございます。  これに対して、被害額もこれは中途半端ではございません。同じく十六年にこれは特許庁が公表したものなんですけれども模倣品被害経済的影響に関する分析調査報告では、中国、台湾、韓国、タイ、四か国で日本企業被害額といったものが利益ベースで一兆百五十三億円、そのうち韓国が千八百五十三億円、中国が五千六百二十七億円となっております。売上げベースで見ましても十七兆九千二百四十七億円の被害で、そのうち韓国が三兆五千二百二十八億円、中国が九兆三千四百七十四億円というふうになっております。  この後、水際対策強化についての議論を進めるわけでございますけれども、言うまでもなく、本を正さなければ根本的な解決にはつながらないだろうと思います。韓国中国からのこういった仕出し差止め件数並びに点数がなぜ被害額も含めてこれほどまでに両国に特化しているのか、多いのか、政府分析をまずお聞かせ願いたいと思います。
  11. 赤羽一嘉

    ○副大臣赤羽一嘉君) 今御指摘ありましたように、平成十六年における知的財産侵害物品輸入差止め実績、今御質問にあったとおりでございます。九千百四十三件のうち韓国からは五〇・三%に当たる四千五百九十八件、中国からは三六・七%に当たる三千三百五十八件でございます。  この内容を調べておりますと、偽ブランド品、いわゆる偽ブランド品商標権侵害物品が全体の九七・四%に当たります。そして、その輸送形態郵便物一般貨物ではなくて郵便物が実に九五・一%を占めておるわけでございまして、これは少量の物品を反復継続して送付することが可能であることから郵便物が利用されているのではないかと。  その背景分析というのはなかなか難しいものがあるんですが、実は私、これもちょっと個人的な話なんですけれども、二十年ほど前に三井物産の北京駐在をしておりまして、本社からカルピスと全く同じ商品が製造されているということで調査に行ってこいと言われまして、北京の郊外のもう本当に掘っ建て小屋みたいな工場のところに行きまして、そこで行ったら実際カルピスと同じ商品を作っている。私たちはその調査に来たというのに、そのカルピスを出してくれるんですよ。これはもう全く、知的財産権侵害ということに対する認識度が全くなかったと。  ですから、当時はそういったことで、平気で売れている商品だからまねしてみようみたいなことというのは多分多かったのではないかと思いますが、最近の統計とかジェトロの報告等々を見ておりますと、かなり被害を受けている企業我が国企業も、その業種いろんなところに拡大もしていますし、その扱いも高度技術化、大規模流通化もしておる実態がありまして、これは本当に何とか根本からその実態を把握していかなければいけないというふうに私も思っております。  後ほどの御質問にも出るかもしれませんが、この知的財産侵害物品水際取締りのための情報交換規定を盛り込んだ税関相互支援協定締結取組を推進するということで、これについては韓国とは締結済みでございますし、中国ともその最終段階にあるものというふうに認識をしております。  また、官民併せての知的財産保護官民合同訪中団等々にも参加をされておりますし、先ごろ行われた、これも後で御質問あれば御答弁大臣の方からもあるかもしれませんが、日中対話等々でそういったことをテーマにして真剣に議論を進めているところでございます。  以上でございます。
  12. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  赤羽大臣の方から、商標権侵害物品が圧倒的多数であるというふうな御紹介と、個人的なこれまでの御経験を基にされて知的財産に対する認識度の低さというものを感じたというふうなお話がございました。  こういったことも関係するかもしれませんけれども、もちろん韓国中国にしましてもただ単に放置しているわけではなくて、御承知のとおり、例えば韓国特許庁韓国偽造商品追放活動によりますと、知的財産についての適切で合理的な保護は個人の財産権保護すべき政府基本的責務であるとして、知的財産保護国家経済発展及び国家間協力強化の根幹になるということで知的財産権について活発な保護活動を展開していると、こういった報告をしたり、同じく中国商務部発表中国知的財産保護についても、同様な問題意識から取組をされております。  このように、両国とも知的財産権を重視してその保護活動は積極的にやっているんだというふうなことでございますけれども、先ほど紹介しました統計結果であるとか、赤羽大臣のこれまでの御経験からのお言葉、そういったことを踏まえて谷垣財務大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった両国取組についての実効性を含めてどのように評価されているのか、お伺いしたいと思います。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 韓国中国、それぞれ知的財産権等々の法令の整備とかそれから取締り強化、これは相当図っておられるというふうに私も認識しているわけです。  実は先日、ある知人の話を聞きますと、息子さんがソウルに旅行に行かれて、どこか私よく聞き落としましたけれども、お店でいろいろ買物していたら手入れだというんで、警察官だと思うんですが、ばっと入ってきて、そういうコピー商品みたいなものを押さえて帰った、その現場で遭遇したという話を聞きまして、実は私も何年か前にソウルで似たような経験をしておりますので、韓国当局におかれても相当こういう取締り強化しておられるんじゃないかと、私自身経験からもそういう印象を持っているわけでございます。  しかしながら、今のお話のように、まだまだ改善の余地があるというのが私は実態だろうと思っておりまして、昨年の六月の知的財産戦略本部が決定しました知的財産推進計画二〇〇五におきましても、「中国をはじめとする海外市場においては、模倣品海賊版により被害を受ける我が国企業があらゆる業種増加してきている。」と、こう書いてございまして、また更に一段この辺の取組強化していただかなきゃならぬと思っているところでございます。
  14. 広田一

    広田一君 それに関連してお伺いをしたいんですけれども大臣おっしゃったように、いろいろ我が国としてもしっかりやってくれといったものを含めての御要請もしているということでございますが、政府についていえば、中国韓国模倣品海賊版問題に対する我が国政府の対応というふうなことをちょっと見させていただきますと、御指摘のように、侵害発生地域に対して、具体的な制度改善取締りの実効ある強化について閣僚レベルを始め様々なレベルで強力に要請するというふうに言っております。  具体的には外務省、文部科学省経済産業省国土交通省、こういった要請活動紹介されているわけでございますけれども、残念ながら財務省取組が載っておりません。こういったことをどうしてなのかなというふうに思ってしまったんですけれども谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども財務省として先ほど述べたような観点からどういった要請活動をしているのか、大臣自身も具体的な要請活動をされたことがあれば御紹介をしていただければと思います。
  15. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど赤羽大臣の方からちょっとお話をいたしましたけれども税関相互支援協定というものを結ぼうということで、韓国とはもう既に締結しているんですが、これは知的財産侵害物品水際取締り情報交換等々の規定を盛り込んだものでございまして、つまり知的財産等々についてもこれで情報交換してきちっとやろうということでありますが、中国との交渉も最終段階に来ているというところでございます。  それから、これも先ほど赤羽大臣の方からお話がございましたけれども知的財産保護官民合同訪中代表団というのがございまして、何度か行っているわけですが、これにも財務省として参加をしまして、いろいろ対話をしながら水際取締り強化要請しているというようなことをやってきております。  実は、この間の週末も日中財務対話というのを持ちまして、報道では人民元について話をしたということになって、もちろんそういう話もしたんですが、竹内関税局長にも一緒に行ってもらいまして、最近の我が国知的財産侵害物品水際取締り対策等々についても紹介をさせまして、水際取締りの意義も強調し、中国側にいろいろ呼び掛けたというようなことをやってまいりました。もしあれであれば、竹内局長の方から補足で説明をさせます。
  16. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 今お話がございました大臣の方の御指示がございまして、中国当局問題提起をさせていただいたところでございます。  また、実は、私、来週からまた中国でWCOという関税税関当局会議がございます。そのときには向こうの税関当局最高責任者とも会う予定でございますので、正に今日こういう国会で御議論があったということを踏まえまして、先方に私どもの懸念を伝えさせていただきたいと思っておるところでございます。
  17. 広田一

    広田一君 是非ともよろしくまたお願いを申し上げますし、アジア重視の外交を掲げられる谷垣財務大臣も、今後ともしっかりと御要請等をしていただければということを御期待を申し上げたいと思います。  それでは次に、平成十七年度改正実績についてお伺いしたいと思います。  十七年度改正では特許権などの侵害についての規定が盛り込まれたわけでございますが、これは、例えばあるハンドバッグの権利者見本を提供し、ロゴや材質、縫製などを申請して、輸入貨物で類似の疑いがあるものを税関で検査するというものでございます。  また、不正競争防止法輸入が規制されているもの、例えば一般市場で売られています紅茶の缶とそっくりな印刷をしたものが輸入されようとしたというふうな例がございますけれども、更に育成権者侵害に関しての手続も整備をいたしました。  この例を挙げますと、峰崎委員地元の北海道が育成しました小豆の品種が中国に持ち出されて栽培されて、我が国輸入されてしまったというふうな例がございますけれども、こういったことを受けての十七年度改正だったというふうに理解をしておるわけですが、実際にどのような体制を整えられて、実績等、具体的な取組をお示しをいただきたいと思います。
  18. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 今委員指摘のように、十七年度改正につきましては、見本分解検査、あるいは不正競争防止違反輸入規制品への追加、農林水産大臣意見照会制度が盛り込まれた等でございますが、お話のございました運用実績ということでございますと、まだ利用実績は上がっておりません。  また、不正競争防止違反物品につきましては、本年三月からの水際取締り対象ということでございまして、まだ日にちもたっておりませんので、今、これまでのところ輸入差止め申立ては来ておりません。  ただ、いずれにいたしましても、不正競争防止違反物品につきましては、これは経産大臣意見書を提出されるという仕組みになっているほか、農林水産大臣意見照会制度につきましても関係省庁との連携というようなことが必要でございまして、実績がないからということではなくて、私ども、こういう制度を有効的活用していきたいと思っておりますので、更に関係省庁との連携等を深めていきたいと考えているところでございます。
  19. 広田一

    広田一君 先ほど谷垣大臣が御紹介していただきました知的財産推進計画二〇〇五、ここにも書いてあるんですけれども、「ややもすれば制度改革自体が目的となりその実施に力を入れないこともあるが、特に知的財産に関しては単に制度を改革するだけでは不十分であり、制度実施により具体的な成果を出すことが重要である。」というふうにこの推進計画にもしっかりと書かれてありますので、是非このことにも御留意されて制度実施に当たられるよう強く要請をしたいと思います。  次に、このたびの法改正によりまして、知的財産侵害物品につきましては、輸入取締りに加えて輸出取締り制度整備されるようになります。この背景には、日本知的財産侵害物品流通中継基地となっているという指摘がございますが、実態はどのように把握されているのか、お伺いしたいと思います。
  20. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 今のお尋ねにございました、中継基地になっているということでございますが、昨年十一月に開催されました第二回世界模倣品海賊版撲滅会議というところがございまして、EUから知的財産侵害物品について、一般的にリスクが低いと考えられる先進国を経由いたしまして、原産地を先進国と見せ掛けるような取引が出てきていることが指摘されまして、その一例として、中国製自動車部品が米国からEUに入ってきたというような事例が紹介されているところでございます。  以上、私どもといたしましても、今のような実例もございますので、日本仕出し国として輸出されることや、知的財産侵害物品がでございますね、中継国として通過するということも考えられますので、今般の関税法改正案におきまして、知的財産侵害物品輸出通過税関における水際取締り対象としようと考えているところでございます。
  21. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  それでは、ちょっと具体的にお伺いしたいと思うんですけれども、今回、輸出規制の導入に当たりまして、各知的財産法において輸出侵害行為とされることが前提とされますけれども輸入規制には該当しまして輸出規制には該当しない例外となる権利関係の侵害物品等はあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  22. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私ども税関を持っておりますので、水際取締りということで、先ほどの知的財産推進計画なんかを踏まえまして、平成十五年以降毎年度法改正を行うというようなことをしているわけですが、今年の十八年度改正におきまして、今御審議をお願いしている改正におきましては、考え方として、それぞれの知的財産法において輸出侵害行為となるのであれば、それは水際取締りを行っていくという形にしていこうということで、今意匠法等の一部を改正する法律案というのが提出されているわけですが、それと平仄を合わせて関税仕組みも変えていこうということでやっているわけでございます。  それで、今おっしゃった知的財産侵害物品について、輸入してはならない貨物に該当する一方輸出してはならない貨物に該当しないとなっておりますのは、著作権、それから著作隣接権、それから回路配置利用権を侵害する物品がそういう範疇に入る、そういう範疇といいますか、それが挙げられるわけでございます。  これらについて今後どうしていくかということですが、これは輸出規制の対象とするか否かについては、それぞれの知的財産法の整備といいますか検討がこれから進んでいくと思いますので、それと平仄を合わせて私どもも対応するという方針でおるわけでございます。
  23. 広田一

    広田一君 まさしくそのような御答弁だろうなというふうに思っておったんですけれども、しかしながら大臣水際取締りの方の責任者というお立場からも、また経済閣僚のお一人としてもお伺いをしたいんですけれども、著作権等の侵害物品輸入差止め実績とか申立て件数なんかを見ますと、御承知のとおり、商標権に次ぐ多さであります。  これを輸出禁止対象から外すというふうになりますと、やはりまた、よほど相当な議論があったんじゃないかなというふうに思いますし、まさしく輸出取締り実効性を高めるためには、この著作権等の侵害物品取締りというのは避けては通れないというふうに、私、著作権については全くの素人なんですけれども、率直に思うわけでございますけれども省庁間のやり取りとしてどういった意見交換等があったのか、分かる範囲でお聞かせ願えればと思います。
  24. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 今お話しの件でございますが、私どもの基本的な考え方といたしまして、やはり権利法とか実体法とか、そこをする所管省庁におかれまして、やはりこれを輸出禁止するとか、そういう第一義的な判断をいただいた上で私どもとしては離れを造ると申しますか、水際というところで処置をするというのが多分法の基本的な考え方の一つだと思っているところでございます。  したがいまして、今回につきましては、経済産業省等から委員お話がございました著作権、著作隣接権等について侵害物品にするという御判断をされていないものでございますので、私どもの方としては、うちがしゃしゃり出てというような法体系はまだやってないわけでございますが、いずれにいたしましても、御指摘のように、私どもは、水際という非常にここから先はよその国というところで公権力が及ばない世界になっているわけでございますので、毎年毎年の税制、関税改正の中で知的財産立国としての実効性を高めるために、引き続き経済産業省や農林省等ほかの省庁もございますが、議論さしていただきたいと考えているところでございます。
  25. 広田一

    広田一君 たてりからいえばそのような御答弁になるわけなんですけれども、こういうふうなせっかくの議論の機会でございますんで、率直にどういうふうに今思われるのかというふうなことを聞きたいわけでございます。  この知的、再度の御紹介で申し訳ないですけど、この推進計画二〇〇五でも、いろんな各種対策については、おっしゃったように、関係府省間で相互に調整を行うことと、また模倣品海賊版対策関係省庁連絡会議、こういったものを機動的に開催して政策調整を行うんだと、そういうふうに総合的に実施することが大事なんだと。  こういった観点から、著作権侵害物品輸出差止めとして財務省としてどういうふうに思うのか。水際取締り実効性を高めるために、画竜点睛にならないようにどういうふうにやるのかということは、私はやっぱり問題意識を持って取り組んで協議に臨むべきだろうというふうに思います。  この点について、大臣の御所見をいただければと思います。
  26. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員問題意識は、私どもも基本的に委員問題意識と共有しているところでございます。ただ、今局長からの答弁もございましたように、知的財産法自体のその実体法と申しますか、そういうところ、この分野大変進展が激しいところでございますので、毎年毎年やはり検討項目が出てくる、あるいは現在まだ十分検討できてない分野というのもあろうかと思っております。したがいまして、実体法とあんまり乖離ができても問題がございますので、よく私ども問題意識を持って経済産業省、あるいは文化庁もあるかと思いますが、協議をして、遺漏なきようにこれからも取り組んでいきたいと思っております。
  27. 広田一

    広田一君 是非ともよろしくお願い申し上げます。  次に、テロ対策についてお伺いをしたいと思います。  平成十七年度の改正で爆発物などが、今回の十八年度改正では病原体等が取締り対象となりまして、税関のテロ対策への取組強化されることになります。言うまでもなく、病原体は非常に不安定かつ危険であり、慎重な取扱いが求められるわけでありまして、よって保管体制を含めた万全の安全対策が第一義的に求められると思います。  これまでも、生物テロに結び付く疑わしいものについては、税関で発見、警察に通報、鑑定、こういった手順、手続を取ってるというふうに聞くわけでございますが、輸入が禁止される貨物に指定されることによりまして、税関が没収する権限を得るとも思われるわけです。  現在の保管体制と法制化された後の体制と比較をして、安全面、手続の迅速化などについてどのようになるのか、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  28. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 今お話のございました生物テロに使用されるおそれの炭疽菌等の病原体につきましては、厚生省の方で感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の改正案が今国会に提出されたところでございまして、これに合わせまして、関税改正におきましても輸入してはならない貨物に追加することにしたものでございます。  御指摘がございましたように、財務省税関におきましても、これまでもテロ対策の観点から、関係機関との緊密な連絡の下、通関検査体制の強化等の対策を実施しているところでございますが、特に今回の改正によりまして、輸入される貨物につきまして、税関の水際における一層機動的かつ厳格な取締りが可能となるということでございます。  ただ、仮に、当該貨物が生物テロに使用されるおそれのある病原体であるという疑いが判断される場合には、委員からも御指摘がございましたように、専門的な知見を有する関係機関、厚生労働省、警察、消防庁、防衛庁等と緊密な連絡をいたしまして、その中で、決して税関職員等に、あるいは関係者等に何ら被害が及ばないように適切な対処をしてまいりたいと思っておりますし、具体的なマニュアルとか、そういうものについても今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
  29. 広田一

    広田一君 局長の御答弁にございましたように、まさしく税関職員の方々の安全第一といったところを踏まえて対策を講じていただけるように要請をしたいと思います。  次に、麻薬対策についてなんですけれども税関における水際取締り強化として麻薬類を輸出してはならない貨物として規定してありますが、先ほどの知的財産侵害物品同様に輸出にも軸足を置いた施策を打ち出しているわけです。  これまでの出国のときは、航空旅客に対しては税関としてはほぼ実態としてはノーチェックだったわけでございますけれども、今後は新たにブースを設置したり人員を張り付けるなど、取締りをどのように実施していくのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  30. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 御指摘のように、今回の法律改正で麻薬類等を対象とした輸出してはならない貨物の規定を新設することになりました。これによりまして、関税法規定に基づく直接的な調査を行うことが可能となることから、より効果的な取締りを行うことが期待されるところでございます。  お話がございました航空旅客の輸出携帯品については、実はこれまでも空港内のチェックインカウンターや税関出国カウンター等におきまして必要な取締りを行ってきたところでございまして、今後は直接的な調査もできることになっておりますので、引き続き、空港内における巡回、航空会社への協力要請等を通じまして麻薬類に係る不正輸出取締りに一層努めるなど、更に効果的な取締り実施していきたいと思っているところでございます。
  31. 広田一

    広田一君 それでは、これまでの議論を踏まえまして、定員と組織体制についてお伺いをしたいと思います。  先ほど来お話がございましたように、我が国の出入国者数や航空貨物や海上貨物の取扱いを示す輸出入申告件数などという業務指標は大変高い伸びを示しております。これは、我が国の交流人口の拡大とか物流の活性化を示すものでありまして、ひいては社会経済の全体の活性化につながるものでございます。それに伴いまして、税関業務に携わる皆さんにはこれまで以上の業務量の拡大が求められるわけです。  さらに、これまで議論してきましたように、テロ対策であるとか麻薬対策、また知的財産侵害物品対策などは今後とも更に事件が悪質化、巧妙化、組織化することに伴って、対策の特殊性、困難性が高まることが予想されます。よって、これまで以上の対策の強化と積極的な取組が求められると思います。  このような状況を踏まえて、行政減量・効率化有識者会議においても、めり張りのある定員の再配置として、主な増員部門としては治安関係の中に税関が含まれているというふうにお聞きしますが、今後どのように定員確保、研修などの職員の質の向上、効果的な配置を進めていくのか、財務大臣の前は国家公安委員長をされておりました谷垣大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 日本だけではなく、いろいろテロや何かが起こってまいりますと、どこの国でもこの税関業務というのは増えてきている。それで、また複雑な事案、なかなか難しい事案も増えてきておりますし、テロ対策等は、これは単に日本にとって関係あるだけじゃなしに、国際的な連携というようなことも十分行っていかなければならないわけでございますので、税関としても、業務運営の効率化ということはもちろんやらなきゃならないんですが、定員の確保ということも引き続き極めて大事だと私は思っているわけでございます。  それで、この平成十八年度における税関の定員では、国家公務員の定員につきましては政府全体として五年間で五%純減ということで取り組んでいるわけですが、今おっしゃったように、治安とかそういう分野につきましては重点的に配分をしていこうという方針で、水際におけるテロ対策それから密輸取締り強化等々のための要員ということで二百二十人の新規増員を確保したということでございます。  それから、今後、そういったところの能力をどう高めていくかということですが、より高度な専門性を持った人材を育てていかなきゃならないということだろうと思います。したがいまして、そういった水際で侵害物品取締りに従事する職員であるとか、あるいは原産地規則に関する事務、こういうのも専門的知識がなければできないことでございますので、専門研修の充実といったようなことに今努めているわけでございます。  これ、なかなかこういった分野充実して、定員とかですね、行財政が厳しい折でございますので、相当努力をしなければいけないことだと思っておりますが、こういう流れの中で今後とも大いに努力をしていきたいと考えております。
  33. 広田一

    広田一君 大臣の方から大いに努力をしていきたいという御答弁があったわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、これからは税関職員の皆さんの業務量というのは、これは必然的に拡大をしてまいります。国全体は行革ということで純減というものを図っていかなければいけないということも私自身も十分承知をするわけでございますけれども、今後、テロ対策とか麻薬とか、いわゆる危険な業務等にも携わるわけでございますので、是非とも税関の現場の皆さん等の意見とかそういったものを十分踏まえて、吸収して、この定員の確保等に積極的に取り組んでいただきたいというふうに強く御要望しておきたいと思います。  それでは次に、関係機関との連携強化と情報管理体制についてお伺いしたいと思います。  これまで議論してきましたように、取締り強化に当たりましては警察や海上保安庁など関係機関との連携強化が不可欠でありまして、その一つが情報の共有でもあります。近年の社会悪物品の摘発事件には組織的な犯罪が散見されるというふうに聞きますが、組織犯罪に対する情報の収集、分析、活用は適切な管理の下で進めなければなりません。  その一方で、過日は海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」から秘密文書を含む業務用データがインターネット上に流出するという信じ難い事件が発生をいたしました。防衛庁では、秘密文書扱いについて訓令で厳しく管理し、秘密文書以外の業務用データを自宅に持ち帰ることも通達で禁止していたというふうに聞きます。昨年十一月には、自衛隊病院の患者の個人情報が流出したことが判明し、通達の再徹底を図ったばかりであって、この事件の発生には関係者のショックも大変大きかっただろうというふうに思います。  税関は、先ほど申し上げたように、テロ対策や麻薬対策上、秘密の重要度の高い情報を取り扱うと思いますが、事件を受けて税関の現場でどのような対応をなされたのか、これまでの情報管理体制と併せてお伺いしたいと思います。
  34. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 今お話のございましたウィニーに関する件でございますが、二月二十四日の内閣官房情報セキュリティセンターからウィニーに対する注意喚起を受けまして、直ちに情報セキュリティーの確保について各税関について周知徹底を図ったところでございます。その後、ウィニーの使用につきまして、業務で使用しているパソコンはもちろんのこと、税関職員の個人が自宅で使用しているパソコンについてもウィニーがインストールされていないことの事実を確認する等、情報セキュリティーの確保を図ったところでございます。  さらに、事務次官会議から内閣官房等の指示を受けまして、私物パソコンの使用状況調査を行ったところ、一部の職員におきまして私物パソコン等を業務で使用していたことが判明いたしました。このため、税関におきましては、自宅での使用を含め、個人が所有するパソコン及びパソコン用記憶媒体を業務で使用することは速やかに、もう既に禁止しているところでございます。
  35. 広田一

    広田一君 禁止をしているということでございますけれども、防衛庁の場合は再発防止策として職場に持ち込んでいる私有パソコンを一掃する、これはお話にあったわけでございますけれども、そうすれば、税関の場合、私有パソコンの持込みの実態といったものはどのように把握されているのか。  それと併せて、防衛庁の場合はこの再発防止策として私有パソコンを一掃するということで、報道によりますと四十億とか七十億とも言われるような多額の費用を掛けてパソコンを購入していくというふうな報道がなされているわけでございますけれども税関の場合同様な措置をとられるお考えなのかも含めてお伺いしたいと思います。
  36. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 税関実態でございますが、職員による確認を通じて行ったものでございますが、ウィニーをインストールしたパソコンは職員の自宅のパソコンを含めて発見されておりません。また、私用パソコンを利用していたのは六十八台だという報告を受けているところでございまして、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、自宅での使用を含め、取りあえず個人が所有するパソコン及びパソコン用記憶媒体を業務で使用することを速やかに禁止したところでございます。  それに伴いまして、業務にどの程度の支障が生ずるかということでございますが、当面のところそのような支障はまずは生じないであろうと思うところでございますが、ただ、いずれにいたしましても、この情報セキュリティーというものは非常に、鶏か卵という言い方も適当かどうか分かりませんけれども、非常に進んでおりますので、常に迅速かつ的確に対応できるように、予算措置も含めまして、日々これはもう真剣にやっていかなくちゃいけないことだろうと思っているところでございます。
  37. 広田一

    広田一君 ありがとうございました。  日々やられるということでございますので、ただいまの答弁を踏まえてしっかり対応していただければというふうに思います。  それでは最後に、マレーシアとの経済連携協定に関連してお伺いをしたいと思います。  昨年十二月に我が国とマレーシアとの経済連携協定が締結されました。今回はそれに伴う規定整備というものが行われるわけでございますが、このことに関連してお伺いをいたします。  去る三月七日の経済連携促進に関する主要閣僚打合せで大きく四つの合意がなされました。それを平成十六年の今後の経済連携協定の推進についての基本方針というふうに比較をしますと、相手国に応じて柔軟に協定の内容を変更するということ自体はこれまでの方針とは大きく変わらないというふうに思いますが、変更点としてあえて挙げるとすれば、これまで日本政府はEPAを締結することを重視してきたのが、FTAのみにすることもあり得るというふうにしている点ではないかなというふうに思います。  まず、この柔軟路線、スピードアップ重視によって、EPA交渉からFTA交渉、その他に変更する対象国は具体的にどこなのか。多分、こういった変更をしたというのは、交渉過程において包括的なEPAの締結が難しいというふうに判断されたからだというふうに思いますので、具体的に挙げることができればお示しを願いたいと思います。
  38. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 三月七日、委員指摘のように、関係主要閣僚非公式打合せというのがございまして、私もそれに参加をしたわけでございますが、委員がおっしゃったように、EPAあるいはFTA、もう少しスピード感をやっぱり持たせられないかということで、少し工夫をしていこうということが主なることだったわけでございます。  そこで、今までEPAに力を入れてきたけれども、FTAをもう少し活用できないかというのが主な眼目ではないかとおっしゃいました。それも一つでございます。それから、やはり手法でも少し考えなきゃならないところがあるんじゃないかと。  例えば、今まで、まずEPAを結ぼうということになりますと、まず相互でいろいろ研究会みたいのを設けてやるわけですが、研究会で一からやっていくとなかなか進まないということがありまして、国によっては、今までこういうモデルでやってきたから、こういうモデルをまずたたき台にしてやらないかと言った方が早く進む場合もある、そういうようなことも、そういう手法も工夫しようということでございました。  それから、EPAだけじゃなくFTAだけでやるというのはどこの国なんだということでございますが、これは、FTAのみとする、やっていこうというのは、これは相手国との経済関係に応じて、相手国とも調整して後決定されることでございますので、現時点で具体的にここの国はFTAだけでやるんだというようなことをまだ申し上げる段階のところは、申し上げられる国は今のところはございません。
  39. 広田一

    広田一君 手法を工夫したというふうなお話もあったわけでございますけれども平成十六年のときの基本方針等を踏まえて私自身が思いますに、他国との経済関係とか日本企業の利害に応じて柔軟に望ましい形の協定を結べば、日本の利益になるという意味で今回の打合せの合意事項というものは評価できると思うんですけれども、しかしながら、その一方で、EPA締結に時間が掛かるということとか、マスコミ報道等では中国韓国の動向が気になって対応したというふうな報道があるんですけれども、こういったことは賢明な政府の皆さんにとっては想定内のことではなかったのかなというふうに思います。  といいますのも、むしろこういったハンディとかマイナス要素以上に、東アジア諸国における日本企業の現在の国際分業ネットワークの現状とか直接投資の多さからも、日本企業のコストダウンとか収益向上、ビジネス環境の整備、こういったことを目指すために、ひいては、先ほど御紹介した政府の基本方針にも掲げる東アジア共同体の構築に資するために、東アジア諸国とは質の高い、百二十点満点というふうに言われるかもしれませんけれども、EPA締結をしていくことが優先されるんだというのがこれまでの政府の方針ではなかったかというふうに思うわけですけれども谷垣大臣のこの点を踏まえての御所見をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は、EPA、FTAみたいなものは積極的に特にアジア諸国とは進めなければいけないと思っておりますし、スピード感も必要だと思っております。中国韓国と比べると、日本が遅れているかのごとき議論もありますが、私は、今まで締結した協定の数で見ますと、えらく違うというわけのものでもないんだと思うんですね。ただ、やっぱり一種の、何というんでしょうか、モメンタムというのか、やっぱりやるぞというときにやらないとなかなか進まないことがございますので、EPAというようなことで多角的にできれば一番それがいいんでしょうけれども、それぞれの実情によって物、投資、人の移動、知的財産権、協力、いろんなものがありますけれども、物で行けるところはまず物で行こうというようなことで、できるだけ、何というんでしょうか、できるものはつくっていくということで具体的に議論をしていきたいと思っております。
  41. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございました。
  42. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎ですが、今日、農業のいわゆる関税の問題について集中的に少しお話を伺ってみたいと思っております。  そこで、まず最初に、日本の農業の付加価値産出額、これは一体、最新の情報ではどのぐらいになっているのか、副大臣、よろしくお願いいたします。
  43. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 峰崎委員にお答えいたします。  我が国の農業の総生産額、GDPにつきましては、国民経済計算、内閣府によりますと、平成十六年で約六兆九千億円となっております。一方、農業を含む全産業のGDPは四百九十六兆円ということでございます。
  44. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、私ども聞いている限りでは、GDPの一%、おおよそというふうに理解しているんですが、それはそれでよろしゅうございますか。
  45. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 先ほどの数字で割りますと、私どもの求めました割合では一・四%ということでございます。
  46. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 多分それは農林水産全部合わせた産出額ではないかと思うんですが、その点、農業だけというのは出てまいりますか。
  47. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) ただいま申し上げましたのは農業だけということでございます。
  48. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、今度は予算をお聞きしますが、日本の農業に掛けている予算は、国のレベルでは幾らの予算、それから都道府県レベルでは幾らなのか。それから、一国全体で見たらどのぐらいなのか、市町村も入れて。このおおよその、推計値になると思いますが、どのぐらいの金額になっていますか。
  49. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 国のレベルにおける農業関係の予算につきましては、平成十七年度の当初予算で二兆二千六百十一億円となっております。また、都道府県レベルにおけます農業関係予算につきましては、平成十五年度決算で二兆三千八百九十億円となっております。さらに、市町村レベルにおけます農業関係予算につきましては、平成十五年度決算で一兆三千七百八十四億円となっております。  以上を単純に合計いたしますと六兆円程度になると推計をされますが、予算の重複等が含まれておりまして、この点は留意が要ることかと存じております。
  50. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、付加価値を生み出したのが六兆九千億、約。そして予算は六兆円掛けていると。これには人件費入っていませんね。  それで、人件費についてお聞きしますが、日本の農業に従事している国家公務員、それから地方公務員の数とその人件費は大体どのぐらいになると推計されていますか。
  51. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 平成十七年度末におけます農政関係に従事する国家公務員の定員数は、農林水産省全体から林野庁、水産庁の職員を除いた分で二万三千三百八十一人であります。また、平成十七年度予算におけますその人件費は二千四百二十八億円でございます。  一方、平成十七年度におけます農政に従事する都道府県及び市町村の職員の定数は、それぞれで四万六千人、市町村の方が約三万四千人で、合計約八万人でございます。都道府県、市町村の総人件費にそれぞれの農政に従事する者の比率を掛けまして農政に従事する者の人件費を推計いたしますと、都道府県が約四千四百億円、市町村が約二千五百億円で、合計六千九百億円と試算いたしております。
  52. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 国の方が二千三百二十八億円、都道府県が四千四百億、市町村が二千五百億とすると、これ約一兆円になるんじゃないですか。あるいは九千三百億ぐらいになるんじゃないですか。ちょっと数字が何か合わないような気がするんですが。
  53. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 六千九百億円は都道府県と市町村の合計でございます。
  54. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 はい、分かりました。  そうすると、今足してずっと二と三、今ありました、農業予算を含むと六兆円。そして、日本の農業に従事している国家公務員の人件費入れると、国及び地方公務員を合わせると約九千億。そうすると、日本の付加価値額と、農業予算と農業に従事している人の人件費を合わせるとほぼ同じになっちゃうんです。  そこで、さらにお聞きしますが、農業に関して税制上の優遇措置はどのぐらい実はこの単年度で掛けているんでしょうか。──質問、ちょっと。時間がもったいないですから。  農水省から来たデータを見ますと、四十六億というふうに聞いているんですが、実は今皆さんのところに、お手元に配った一番上の表を見ていただきたいわけです。  農業が生み出す所得に対して国民がどれだけ負担を分担しているのかということについて、平成七年度について、平成七年度というのは一九九五年度です、大分古いんです。  私は、このいわゆる奥野さんと本間さんが書かれた「農業問題の経済分析」を読んで唖然とした数字であるがゆえにこれを実は出してきたわけであります。直接補助金や減反制度の維持のために中央、地方純計で六兆一千二百十六億円、当時。農業農村整備事業関係費、財政投融資を含んで、これが一兆三千百九億円、これは平成九年度です。優遇税制はどうもけたが二けた違うんですが、四千八百六十九億円なんです。  これ何で調べているかというと、非課税等特別措置あるいは租税特別措置ということで四十六億かもしれないけれども、本則で、例えば軽油の税は農業関係は無税です、そういうものが全部本則で入ってきて、そういうものの優遇税制はどのぐらいあるのかということを、この段階において実は推計したのが四千八百六十九億なんです。けたが二けた違います。  これは、農水省は、これ計算しないと出ないんですよねということで持ち越しになっていますから、後で結構でございますので、現時点において優遇税制はどのぐらいの金額になっているのかというのを教えていただきたいと思います。これは、奥野さんと本間さんが書かれた中から私が引用しています。  それから、輸入規制に伴う消費者負担による所得保障が九千三百億と。合わせて八兆八千四百九十四億円というふうに出て、農業が生み出す付加価値額が七兆五百四十八億円で、差引き、付加価値よりも農業に関係する財政や税制で予算上措置したものの方が多いんですよ。  これ、三浦副大臣、これ農業というのは産業として成り立っているんでしょうか、どうなんでしょうか。
  55. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) この奥野、本間先生の資料でございますが、試算に基づくものと理解をしております。  しかしながら、私が私見として考えますのは、農業は現状においては産業的役割を十分に果たしているというふうに私自身は感じております。
  56. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この掛けた費用よりも、いいですか、掛けたコストよりも産出額が少ないということが起きているわけですよね。そうすると、掛けた予算をそのまま何も、お金を農業に使わないで、それぞれの人にお支払いした方が早かったんじゃないんですか、これ。そういうデータになっているんじゃないですか。  それで、先ほど何度もGDP幾らか、日本の農業の予算は幾らか、従事している国家公務員の問題幾らなのか、税制は幾ら掛けているのかということで、まだこれは先ほどの数字は、最新の情報については関税化でどのぐらい守られているのかということについて私聞いていませんから、それを加えると、先ほどの付加価値六兆九千億円をはるかに凌駕しちゃうんじゃないですか。そうすると、掛けたコストよりも付加価値額が生み出されたものが少ないという結果になっていると、これはどう見ても産業としてはこれ成り立っていないというふうにしか見られないんじゃないかと思うんですけれども、改めて三浦副大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  57. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 農業予算の中で、いわゆる農村の振興に結び付くもの等々が含まれております。この部分もいわゆる直接補助等には換算をされているわけでございまして、すべてがいわゆる農業生産に直接回ったものということをこの推計から読み取るというのは無理があるのではないか、その点御理解いただきたいと思います。
  58. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 農業の多面的機能の貨幣評価というのが出てますよ。これ三菱総研で何兆か出てますよね。これも計算の仕方によって幾らでもあるんです。  私が聞きたいのは、こういういわゆる市場外の問題と、その市場の問題とはやっぱりきちっと分けて考えないと、要するに経済的に、産業という以上は、要するに投入した労働力、投入した資本、そういったものが付加価値を生み出して、それは投入したもの以上に実は生み出さなきゃいかぬわけですよね。貨幣で計算できないものがあるんですよというふうになってくると、じゃ貨幣でできないもの以外のところには経済外的、要するにプラスの作用もあるし、例えば農業がもたらすいわゆるマイナス要素もあるわけですよね、当然のことながら。例えば、ふん尿を垂れ流すとか、いろんなもの出ていますよ。そういうことを含めて、それはそれでまた別途考えなきゃいけないので、今の大臣お話についてはちょっと私はややいただけないなというふうに思っています。  ただ、農業を僕は大切にするべきだという考えは持っていますから、今の現状は余りにもひどくありませんかということをまず冒頭、私は皆さんにお話を申し上げたわけであります。  さて、そこで、今日の本題に移るわけでありますけれども、要するに今度は関税化をしたり、あるいは納税者が負担をする農業への補助の支払というのは、OECDが開発したPSE、生産者支持推定量というのがあるそうであります。このPSEの定義というのは、そこに四角の囲みに書いておりましたけれども、内外価格差掛ける生産量プラス納税者が負担する農家への補助・支払と。納税者が負担する農業への補助・支払が、先ほど言ったような六兆九千億円を超えるようなものになってくるわけですね。  そこで、各国のPSEの状況で、日本とアメリカとEUを取り上げてみました。一番新しい二〇〇四年のPSEは、日本は四百八十七億ドル、約これ五兆五千億ぐらいでしょうか。米国はそれよりちょっと少ないんですよ、四百六十五億ドル。EUは非常に大きくて一千三百三十四億ドルです。そのうち、消費者の負担割合というのは価格支持なんですよ。要するに関税なんですよ。これが日本は九一%、約五兆円と言われているんです。そして、アメリカは三五%、EUは五四%。  下は、同上の、同じ消費者負担割合で、今から二十年近く前はどうだったのかというと、日本はそのときも九〇%。ほとんど要するに価格支持政策で頼ってきたことが変わっておらぬ。ところが、アメリカやEUは減り始めているわけです。特にEUなんかは八五%から五四%、価格支持政策から所得支持政策へ移っていっているわけです。  これを我々はきちんとやらなきゃいけないんじゃないかというふうに思うわけでありますが、大臣、この各国のPSEの状況を見てどのように考えられるか、ちょっと御意見をお聞かせください。
  59. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 関税や補助金によります農業に対する国民の負担につきましては、関税あるいは国境措置の面では我が国の農産物の平均課税率は一二%という試算がありますので、為替あるいは国際価格の変動等、農産物の、また加えて品質の格差といった問題がありまして、不確定要素に基づく問題が幾つかあります。  また、補助金などの面では、その内容が農業以外の分野に裨益する場合が多々あるということで、計量的にこの補助の問題を試算を行うことは非常に困難であるというふうに理解をいたしております。
  60. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 昨日も農水省の人が私の部屋に来て、そのやり取りをさせていただきましたよ。  要するに、アメリカから安い牛肉が入ってくる、オーストラリアから入ってきたときに日本関税が掛かっていて、これを関税をなしにしたら一体どういうふうになりますかねというのは、それは恐らく高級牛肉が、日本の和牛の高いのと、恐らくそれはいろんな意味で変化してくるんだろうと思うんです。そういう意味での差というのはもちろん私もあると思っているんですが、問題は、やっぱり国民にとって高い、関税率が非常に高いもので実は私たちの価格が形成されているわけです。そうですね。  そこで、各国の政策比較というところを見てください。関税率が一〇〇〇%を超えているのは二つ、雑豆とコンニャクイモと。コンニャクはたしか一七〇〇%、十八倍ぐらいだと言われています。五〇〇%から一〇〇〇%の中に米と落花生が入るんですよ。落花生というのは千葉県の特産でしたかね。米は入ってくるんです。これは八〇〇%取っています。それから、三〇〇%から五〇〇%の関税がバターと砂糖だと。二〇〇から三〇〇%は小麦、でん粉、生糸などが入ってくるということで、要するにずっとこれ高いものを買わされているわけです。  問題は、これを下げたらどうですか。ところが、今度与党の出された直接支払における政府案というのを見ると、このことについては実は内外価格差というものはほとんど変えようとされていないんですね。何をされているかというと、政府は農家の保証価格と国内の市場価格の差を補てんするという所得政策をやろうと。  これでは消費者には何のメリットもないし、農家にとっても、私は自民党案で唯一評価していいなと思っているのは、その直接支払の対象となる農家は経営規模が北海道で十ヘクタール、都府県では四ヘクタール。この基準がいいかどうかは別にして、そういう特定農業団体又はこれと同様の要件を満たす組織と、経営規模は二十ヘクタールと。  要するに、こういう農業を専業にするところの人たちに集中的にやろうというのはいいんだけれども、でも、いかんせん、いわゆる保証価格のところまでしか保証しない、内外価格差の一番の根っこのあるところの価格まで下げないという考えになっているわけですよ。  私は、ここまで下げないと日本の農業の構造改善は進まないんじゃないかと思うんです。と同時に、これこそが、ドーハ・ラウンドの中において、あるいはガット・ウルグアイ・ラウンドもそうだったんです。日本の農業の中で絶えず米の問題を聖域に持ち出して、そして、これだけは守っていかなきゃいけないということでミニマムアクセス米入って、関税化したけれども、ミニマムアクセス米入った途中で、ああ、これは大変だと、食料自給率ますます下げてしまうということになっちゃったわけですよ。  三浦副大臣、ここは、いわゆるドーハ・ラウンドを含めて、今の政府が考えているやり方、私は、これ私の個人的な見解になるんです、民主党の考え方にもなっておりませんから。だけど、とにかくこの関税のところまで全部下げたと。どのぐらいのその価格、いわゆるその効果があるんでしょうかね。どのぐらいの金額的にそれは下がることになるんでしょうか。おおよその金額で結構です。
  61. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) ちょっと、今その試算を持ち合わしておりません。
  62. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それで、いわゆる、奥野先生とか平成七年に調査したときに、輸入規制に伴う消費者負担による所得保障は九千三百億です。先ほどのPSEのところの金額でいうと、おおよそ約五千億ですよね。多分それぐらいよりももうちょっと私は大きいんじゃないかと思っているわけです。  そのいわゆる価格が下がることに対して直接所得保障をすることによって、所得保障することによって、今二種兼業農家は所得どのぐらいありますか。二種兼業、零細な農家で、そういう人たちの所得はどのぐらいあると思いますか。
  63. 池口修次

    委員長池口修次君) 三浦副大臣
  64. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いいです。一番、私のつかんでいるあれでは、兼業の零細農家は七百九十二万円という数字を聞いています。そのうち、稲作でどのぐらい収入があると思われますですか。
  65. 池口修次

    委員長池口修次君) 三浦副大臣
  66. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これも、じゃ私の方で答えましょう。十二万円なんです、十二万円。そうですね。七百九十二万円で、うち稲作から入ってくるいわゆる純収入が十二万円と、こういうふうに平均値が出てきているんです。  私が言っているのは、こういう専業農家、専業農家はむしろそれよりも所得低いんですよ。つまり、専業農家で規模の大きい農家よりも、兼業農家で二種兼業の人の方の所得の方が多いんですよ。いわゆる雇用者所得に、生産性が高まって、そしてその時間、労働時間が短くて済む。だから、土曜日、日曜日にトラクターとか何かやって、あとは適当に時間を取ってやれば、今の農業は立派にやっていけるようなものになっているわけですよ。これは、本州のいわゆる兼業農家のところは随分そういう農家が多いですよ。こういう農家は、私は、逆に言えばもう賃貸で出したらどうですかと。その直接支払をすることによって、この方々がその賃貸で支払って、いわゆる地代をもらって、そして大規模化したらいいんですよ。  私も前にも予算委員会質問したことありますが、日本で一番大きい田んぼの面積というのは、今十一町歩ですよね、一つの面積で。こうなると、もう完全直まき方式で、そして、あのときはヘリコプター使っていたかどうかは分かりませんが、種まきやそういうものも全部実は機械化が進んで非常にコストが下がってくるんですよ。  だから、土地利用型の農業におけるいわゆる競争力というものをしっかりと確保するためのいわゆる土地の集積、そしてそこにおける直接支払を導入することによって農業の構造改善というのはしっかりと私は進むと。私はそのことを、やはり今の農業について、これ一面だけですよ、後でまた二面、今から何年前なんていう話していますけれども、このことをしっかりやらないと農業に未来はないんじゃないかと思うんですよ。どうでしょうか。
  67. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 今現在のWTOの交渉とも深く関連をする部分かなと思いまして、若干その部分も触れさせていただきたいというふうに思いますが、交渉におきましては我が国の主張が最大限とにかく反映をされなければいけない。現在の状況でいいますと、上限関税を阻止し、重要品目を確実に担保していくという方向でありますが、構造改革は構造改革で一方で進めなければならないという状況にあるのかというふうに感じております。  WTOにおけます国際規律の強化に対応をしなければならない。そして、すべての農業者を対象としながら、品目別に講じられている対策を先生御指摘のように見直しをし、施策の対象を担い手に絞った上でその経営の安定を図る政策に現在転換をしつつあるわけでございます。十九年の導入に向けまして今回、今国会に法律も提案しているところであり、この点は十分に進捗を図っていきたいというふうに考えております。
  68. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 三浦副大臣農林水産委員会ではないんだから、ここの議論がある意味では集中しなくてもそれは仕方ないのかもしれませんけれども、しかし副大臣あるいは政務官大臣と同じようにこれ議論をかみ合わせてやらないと意味がないと思うんですよね。今私の質問したことにはほとんどまともに答えておりません。  私が言っているのは、要するに、八〇〇%にもなんなんとするお米、あるいは三〇〇%、五〇〇%、乳製品やいろんなある、それをとにかく一〇〇%まで下げましょうと、そして下げてその分を直接支払に回して、そして土地を集積させながら農業構造改善というものが一層進むんじゃないのかと、こういう私は考え方を持っているわけです。  その意味では、今のドーハ・ラウンドやあるいはこれからの、さっきFTAの問題ありましたけれども、とにかく日本が国際的な自由貿易あるいはWTOを結ぶときに絶えずこのいわゆる農業の高関税の問題がネックになってくるというのが今までの例なんですよ。  そこで、谷垣大臣も、後でこのいわゆる高率の関税をどのように下げていくかと、ここをしっかりさせれば自由貿易のやっぱり世界における私はリーダーになれると思っているんですよ。それをやっぱり進めなきゃいけないと思っているんですが、もう一つ私は、今の話をすると、何でも生産性を高めて、規模を高めていけばいいというふうに思っているわけではないんです。  私は、実はこの食料自給率というときに、穀物自給率とカロリー自給率以外に付加価値自給率というのを入れてもらいたいと思っているんですよ。何かというと、今でもたしか価格でいったら自給率八割ぐらい行くんですよ。要するに日本の農業の持っている輸出競争力、これはよく総理がおっしゃっています、そういうものも含めて多様な農業がそこで成立して、片方は土地生産性が非常に高い土地集約型の農業をやる、片方は有機農法をやるかもしれない、あるいは果樹に特化するかもしれない、そういう形で結果的に、私は、その付加価値自給率を一〇〇%以上にするということが私は今日本にとって非常に重要なんじゃないかというふうに思っている一人なんです。  そのことは、時間がもう二十分までですからありませんので、そこで谷垣大臣にもお聞きしたいんですが、そういう意味で、この農業における高率関税、もちろん今WTOやFTAでネックになっているのはこれだけじゃありませんよね。例えばフィリピンなんかへ行くと、雇用の問題なんかがどれだけ入れるかがネックになったりしていますんで、それはまた別問題として、ただ、途上国と議論するときは必ずやはり農業問題が出てくるんですよ。だから、早くそこのところを理論的にきちんと整理をして、国際的な自由貿易体制をしっかりしいていくということが私は非常に重要な今戦略的な課題じゃないかと思っているんです。  次の総理大臣候補と思われている、私も四人の中では一番谷垣大臣がすばらしいんじゃないかなと思っている一人なんですが、谷垣大臣、ここはしっかりとやはり、日本の農業の在り方を構造改革するためにこの高率関税の問題をどのように扱っていったらいいのか、御所見を伺いたいと思っております、どうぞ。
  69. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この問題は今、中川昭一大臣の下で三浦副大臣等々も懸命に取り組んでおられますので、余り横から勝手なことを申し上げてはいけないと思っております。  ただ、農業の場合は、先ほどからの御議論でもありますが、多面的な機能もございますし、それから今構造改革の努力もいろいろやっておられます。今度の法案も担い手に向けてどうやって所得保障をしていくかというようなことも取り組んでおられますので、そういうことも十分視野に入れていかなければならないと思っておりますが、他方、今委員お話しのように、WTOやいろんなEPAの動きの中で日本が取り残されてしまっても困るわけでございます。  ただ、なかなかこれ一般論として言いにくいのは、個別品目ごとに置かれている状況が相当違いますので、個別品目ごとにやっぱりよく見ていかなきゃいけないんではないかと、こう思っておりまして、大変一般論的な御答弁でございますが、よく農林水産省とも協議をさせていただきたいと思っております。
  70. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最後に、私は、今いわゆる米なんかは例外的に高い関税率を認めさせようとしているんですけれども、どうもその例外を設けるのは多分にいわゆるこの関税の高いものをどのぐらいの率で下げるかというところの例外だとかなんとかということが議論されているのであって、どうも今農水省が進めようとしている流れからいくと、やがて米が今度は八〇〇%が六〇〇になるかもしれない、七〇〇になるかもしれない。しかし、やがてはこれずんずんずんずんそのことによって、あのウルグアイ・ラウンドのミニマムアクセスと同じで、必ずその高額関税を認める代わりにそれに対応するお米を輸入しなきゃいけないと、もう絶対的に。そういう形になっていくと、何だかかえって食料自給率を高めていくのに逆行するようなことになりはしないかなというふうに思えてならないわけです。  そこら辺が非常にパラドックスがたくさんありますので、今日はそのパラドックスを全然十分答えておりませんし、私のように北海道にいて、もう何十町歩もあるような田んぼを耕している人たちを相手にしているのと、本当に一町未満の非常に零細なところの農家を抱える方と考えが違うのかもしれませんが、やはり冒頭申し上げたように、産業として農業が存在する以上、私は、やはりその意味で付加価値をより高めていき、そしてドーハ・ラウンドをしっかり乗り切っていくために日本が本当にリーダーシップを取っていかなきゃいけない、そういう大切な時期に来ているんじゃないのかということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。     ─────────────
  71. 池口修次

    委員長池口修次君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、富岡由紀夫君が委員辞任され、その補欠として山根隆治君が選任されました。     ─────────────
  72. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。今回、関税定率法の改正は我が党賛成でございます。ずっと反対をしてきましたけど、歴史的に賛成に今日は回ります。  今、農業のお話ありまして、私も思うこと一杯ありまして本当は議論参加したいんですけれども、まあ別の機会にしたいと思いますが、今回のマレーシアとのEPAとの関係で農業問題、具体的なことだけ確認させていただきたいと思います。  今回のマレーシアとのEPAが日本の生産農家にどういう影響を与えるのか、農水省の方から教えてもらえますか。
  73. 増田敏明

    政府参考人(増田敏明君) 大門委員質問に答えさせていただきます。  マレーシアとのEPA交渉に当たりましては、農林水産業の多面的な機能や食料安全保障の確保、我が国農林水産業の構造改革の努力などに悪影響を与えないよう十分留意し、農林水産物の関税交渉等に取り組んできたところでございます。  その結果、マレーシアとの協定におきましては、我が国の基幹品目や地域の重要品目などにつきまして、個別品目の事情に応じ関税撤廃の例外品目としたり、経過期間を設定するとともに、関税撤廃、削減により輸入が急増し、国内で影響が生じた場合に発動できる二国間セーフガードを確保するなど、国内農林水産業への悪影響が極力生じないよう措置したところでございます。
  74. 大門実紀史

    大門実紀史君 熱帯果実について若干心配な声が出ていますが、いかがですか。
  75. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) 我が国の果実生産に対する影響についてのお尋ねでございますが、マレーシアとの交渉に当たりましては、マレーシア側の理解を求めながら、国内果樹農業への影響を極力回避するよう粘り強く交渉を行ったところでございます。この結果、センシティブ品目でございますパイナップルにつきましては関税撤廃等の対象から除外をいたしました。  また、国産果実との競合が少ない熱帯果実につきましては、即時、関税撤廃を行いましたけれども、マレーシア産の生鮮果実の多くの品目につきましては既に特恵関税が適用されておりまして、実質上、無税又は低税率のものが多うございます。さらに、植物検疫上の理由から輸入が禁止されているものが多うございます。  以上のことから、今回のEPAによります国内果樹農業への影響は少ないものというふうに考えてございます。
  76. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。  例えば、沖縄でマンゴーを生産していますけれども、沖縄のマンゴーとマレーシアのマンゴーというのはもう種類が違って、沖縄のマンゴーは高級品といいますか、差別化しているわけですよね。関税ゼロでもそういう差別化戦略を取ったものは日本の中で競争力が十分あるというところで、いろいろ農業の在り方のいいヒントになるというふうに思います。  もういろいろ議論ございましたので、アジアの話のついでにODAについて、谷垣大臣に、残った時間、幾つかこのほか話題になっていることも含めてお聞きしたいと思います。  一つは、草の根無償資金協力というのがございまして、先日、私、ODA特別委員会でこの草の根無償資金協力というのはNGO、各国の途上国のNGOがいろいろ頑張っておられるんですけれども、そういうNGOを通じて無償資金の協力をするんですが、今までは保健とか教育とか環境分野で、いわゆる物ですね、機材とか建物を直すとか、そういう物的なものにしか支援は行いませんということでしたけれども、この前、ODA特別委員会で麻生大臣と金田副大臣が、これから、私が提案したのは人材育成ですね、そういうプログラムにも、ソフト部分にも出すべきではないかと申し上げたら、検討していくといいますか、具体的にもう上がってくれば審査していただけるということに前進したわけですけれども、これは具体的には現地のNGOから現地の大使館に行って、大使館から外務省の本省に行って、案件がですね、で、財務省の主計局に回ってオーケーサインが出るという仕組みらしいんですけれども財務省の方もそういうふうな変化があるということを踏まえていただいてこれから案件の審査にかかわっていただきたいのと、谷垣大臣として、そういう物だけではなくて、特にこういうNGOの無償協力というのはそうなんですけれども、人材育成プログラムとかそういうソフト部分に、もちろん審査はきちっとやって、何でも出すわけじゃありませんが、これから重要になってくると思いますが、まず谷垣大臣のお考えを聞きたいと思います。
  77. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ODAに対する基本的な考え方というとちょっと大上段に振りかぶるんですが、いつぞやロンドン・タイムズに記事がございまして、要するにODAをやるときに、先進国が釣った魚を分けてやるというようなことよりも、むしろちゃんと釣れる、魚を釣れる釣りざおを分けてやった方がいいじゃないかというような御議論が載っておりまして、私、全く同感なんです。  ですから、それはもちろん円借款のような場合にも長い目でクレジットカルチャーみたいなものを育てていくとか、物を渡す、金を渡すというだけじゃなくて、それを運用していく能力といいますか、そういうようなものがやはりこれから大きな意味合いを占めてくるんではないかと私は思っております。  ですから、今のお話のように、我が国から例えば機材を供与する、それで事足れりというようなことでは効果的な支援につながらないと、私もそれはもっともだと思います。それが有効に活用されていくためには、人材育成その他のソフト面からの支援ということが大変重要であると思っております。  それで、今の我が国のODA援助形態別に見ますと、今御指摘のありました草の根等の無償資金協力、無償資金協力のほかに技術協力として現地での技術協力プロジェクトとか、あるいは途上国からの研修員受入れ事業、こういったことがJICAなどを中心にいろいろ行われているわけでございますけれども、単に機材を供与して終わりというだけじゃなしに、NGO等々がどうそこにかんでいくかというようなことも織り交ぜながら私どもも査定をしていくと、そういうことが大事ではないかというふうに思っております。
  78. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  この問題は今後、今話題になっておりますけれども中国とのODA考える上でも重要になってくるんではないかと思います。その中国の問題で、今いろんな議論がありますけれども谷垣大臣のお考えを、この前中国行ってらっしゃいましたんで、それも含めてお聞きしたいと思いますけれども。  中国への円借款は段階的に減らしていくと、五年ぐらいをめどに、ゼロにしていくという、新規案件はゼロにしていくということですけども、で、無償と技術協力、今申し上げた人材育成とか環境分野の方にシフトしていくという方向が出ておりますけれども、これ、私は妥当な方向だと思っております。  これは中国側としてはこの方向にはおおむね合意しているような話を聞きましたけれども中国側は今のところどういう対応なんでしょうか。
  79. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 中国向けの円借款につきましては、中国経済発展が大変なものがございますが、それによってやはり援助需要も大きく変化しているんだろうと思います。また、我が国の国内のいろいろな見方もございますので、二〇〇一年策定の対中国経済協力計画というのがございますが、それに沿って、従来のような沿岸部の経済インフラ中心の支援から、内陸部を中心とした、今おっしゃった環境とかそれから人材育成等の分野へ対象の絞り込みを行ってまいりまして、その結果、規模は大幅に縮減してきているのが現状でございます。  それで、今後の中国向けの円借款につきましては、二〇〇八年に北京オリンピックがございますけれども、それまでに新規供与を円満終了するという方向につきまして、昨年四月ですか、日中外相会談で共通認識、日中の共通認識になっておりますので、政府としては今後ともこれまでの日中間の協議内容に基づいて協議を進めていくということでございます。  それで、今おっしゃった技術協力や無償資金協力については、外務省等の所管でございますが、これはさっきからの御議論のような環境保全とかあるいは感染症ですね、こういった日中両国が直面する共通の課題に資する案件、それから日中両国民の相互理解あるいは交流の増進に資する案件を中心に、日中関係全体の中で実施していくというふうに理解しております。  この間の週末も中国に参りまして、中国側からは、年度末までに来年度の円借款が決まらなかったことについては非常に残念だという表明がございましたけれども、先ほどの全人代でいろいろ決まった中で、やっぱり環境面等々に重視しながら経済発展を進めていく、エネルギーの効率性等々も重視して進めていくという方針を取られたようで、金人慶財政部長からも私に全人代の議論の御紹介がありましたけれども、そういう中でも特に環境面あるいはエネルギーの効率性というような面では日本からのその技術的な支援、こういうようなものを非常に期待しているという御表明がございました。
  80. 大門実紀史

    大門実紀史君 今おっしゃいました〇五年度の円借款の先送りといいますか延期といいますか見送りについて、金部長から遺憾の意というか、そういうのがあったわけですね。  それは、先ほど言った全体の流れは、方向はそうなっている、ほぼ合意している中に、急に先送りされたということに対しては相当強い不快感があったような気がするんですけれども、その辺は金さんはどういうふうにおっしゃったのかということと、谷垣大臣はどういうふうな、今回の先送りについてどういうふうにお答えになったのか、もう少し詳しく教えてもらえればと思います。
  81. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 金人慶さんからは、今申し上げたように、年度内に決まらなかったのは遺憾であると、こういうことでございましたので、私からは、三月までの供与決定、日本政府としても目指してきたんだけれども、外務省を中心として調整してきたんだけれども、四月以降にずれ込むことになったと。  それで、政府としては、今後、日中関係の今後の状況も踏まえながら外務省を中心に鋭意調整を進めていくということを申し上げて、それから、対中国円借款については、先ほどのような議論の流れを踏まえて進めていくという政府方針に変わりはないということを申し上げたということでございます。
  82. 大門実紀史

    大門実紀史君 今回、その円借款が年度内閣議決定見送られたというその背景でございますけれども、この間の日中関係のいろんな問題があって与党の皆さんからも強い意見が出たということなんですが、割と、言ってしまえば、実務的なものではなくって、政治的な判断で先送りになったというふうに思いますが、これは谷垣大臣自身としてはいかが思われておられるんでしょうか。
  83. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は、二国間関係、いろいろございますけれども、大きな方針としては、先ほど申し上げたように、北京オリンピックまでに新規供与は円満に廃止していくという双方の合意があるわけですから、それに従ってやるべきことをやっていくと。もちろん、日中間の今の状況等もいろいろ見ながらという前提はございますけれども、そういうことではないかと思っております。
  84. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうすると、外務省が判断といいますか、与党の中の、与党といっても公明党さんは違う意見があったようでございますけれども、そういう、今回延期をしたと、閣議決定を見送ったということの政治的な効果といいますか、向こう側は余りインパクトとしてとらえていないということでございましょうか。
  85. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 向こう側のとらえ方というのは、私、金人慶さんじゃありませんから一〇〇%は答えられませんが、ただ、遺憾の意を表明されたということは、やっぱりインパクトを持ってとらえておられるんではないかと思います。
  86. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっとしつこいようですけれども、今、ただでさえ日中関係冷えておりますけれども、この延期そのものが更にちょっと雲行きを怪しくするといいますか、関係改善を遠のかせることになったというふうなことなんでしょうか。
  87. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は必ずしも関係改善を遠のかせることになったとは思っておりませんで、私自身の日中関係の見方といいますのは、非常に、今も、貿易を考えましても、香港を含むと対米貿易よりも日本にとっては大きなものになっているわけですね。  それから、特に私の分野でいいますと、アジア金融危機以来、ああいうことが起こったときに、また起こったときに、これだけ中国が大きくなってまいりますと、ああいうことが起こってきたときに日中間の連携が取れないような状況であったらなかなかアジア金融危機の再発は防ぎにくいと、私どももそういうふうに思っておりますし、中国側も恐らくそういう認識があると思います。  したがいまして、どういうことをやったらいい、そういうことに向けて、アジア金融危機を二度と起こさないようにはどうしたらいいのかというようなことについては共通の理解と共通の利益がやはり存在しているという状況だと思いますので、まあ二千年の歴史がある長くて深い関係ですから、時にやはりいろいろ波風が起こることは、私はこれはあることだと思っておりますが、そういう大きな長い流れを考えれば乗り越えていけるというふうに思っております。
  88. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、去年、中国のODA視察行って、在り方そのものはこのままでいいのかといういろいろ問題意識を持っているんです。  ですから、全体として、円借款が、向こうの合意の上で数年間でゼロにしていくというのは妥当だというふうに思うわけですが、そういう流れが国同士であるときに、何か小手先で、余り、何か急に、そんなに私は効果ないと思うんですけれども、そういうことをやるべきじゃないと。やっぱり国同士の、もっとどんと構えて、抗議することはするならするということを、こういう形で、延期という形でやるべきではなかったというふうに、今日は、外務省に言うべきことですけれども、思っておるわけですけれども。  そういう点では、日中関係、正すべきところは正しながら大事にしていってほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  89. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  私は、今日は、農産物の関税引下げ、そして撤廃による国内産業への影響についてまずお伺いしたいと思います。  日本・マレーシアのこの経済連携協定におきまして、日本による市場アクセスの改善として、先ほども出ましたが、マンゴーやパパイヤなど五つの熱帯果実の関税が即時撤廃されることになりました。このEPAにつきましては、フィリピン、タイとは既に大筋合意済みであり、さらに、インドネシア、またASEANなど全体とも交渉中になっていますが、東南アジア諸国とのFTAの締結が続けば、今後、熱帯産品の輸入増加が見込まれることになると思います。  そこで、タイとのEPAでは砂糖の取扱いがポイントになりまして再協議の対象となったと聞いておりますが、沖縄では特にマンゴーやパイナップルなど熱帯果実が今盛んに生産されていますし、しかもサトウキビは沖縄の主要産品でもあります。ですから、今後のこの交渉において、競合する品目としてやはり栽培しているその地域の実情に配慮していただきたいと思いますが、この件についての御所見をお伺いいたします。
  90. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど来の御議論のように、EPA交渉ですね、FTA交渉等々を積極的に推し進めるというのは我が政府の立場でございますし、これを今政府一体となってやっているところですが、今おっしゃったような農林水産物の関税交渉に当たりましては、まずその物資を所管する農林水産省が今いろいろ御努力をされているわけですね。  具体的に申しますと、多面的機能というものがそれぞれ農産品は持っておりますし、農林業は持っておりますし、それから食料安全保障というようなことも考えなければいけないと思いますし、さらに構造改革の努力というものと整合的なものでなければならないだろうと。そういう辺りを十分配慮されながら農林水産省が調整に努力をしておられるわけでございます。  財務省としても、この税関関税政策持っておりますので、そういった農林水産省とも十分連携を取りながら経済連携協定が国益にかなうものになっていくようにしなきゃいけないということで、私どもは具体的には、各農林水産物の国内における重要性というものを考えながら、必要に応じて例外品目とか関税割当てを設定すると、あるいは二国間セーフガードの導入というようなことを農林水産省と協議をしながらやっていくということではないかと思っております。
  91. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、税関の諸問題についてお伺いしたいと思います。  近年、我が国におきましては、出入国の客数の増加、あるいは輸出入申告件数の増加、あるいは社会悪物品、そして先ほどもありましたが知的財産侵害物品、あとまた偽クレジットカードなど密輸入事件が増大、さらにそれらが悪質化、組織化している状況において、またさらに治安、テロ対策への積極的な取組と、税関業務がより困難に、そして特殊になっている現状を見ていきますと、そこで働いている税関の定員の確保は不可欠であるというふうに考えます。  財務省は効果的、効率的な税関の業務運営を行うためにどのように工夫がなされてきているのでしょうか、お伺いいたします。
  92. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 今、確かに委員指摘のように、税関業務が増大かつ複雑、困難化する中で、税関におきましては、不正薬物、銃砲等社会悪物品知的財産侵害物品あるいは爆発物等テロ関連物品水際取締りの一層の強化に努めているところでございます。  こうした中で、税関といたしましては、通関情報システム、NACCSと申しますが、の機能の充実、あるいはまた大型エックス線検査装置及び後方散乱線エックス線検査装置の増配備等、あるいは今年の七月に予定しております税関機構の見直しなどによりまして、業務運営の効率化及び税関機能の強化に取り組んでいるところでございます。  また、お話のございました定員の確保でございますが、平成十八年度におきましては、国家公務員の定員について、政府全体としては五年間で五%以上の純減に取り組むという中でございますが、治安など、政府として重要施策に重点的に定員配分するとの方針の下で、水際におきますテロ対策、密輸取締り強化等のための要員としては二百二十人の新規増員を確保したところでございます。
  93. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 先ほど谷垣大臣からもございましたが、税関職員の定員なんですが、それについてお伺いしますけれども、二百二十人が新規増員されたというふうに御答弁ございました。  定員合理化計画によりますと、その中で百六十五人が削減されて、結果的には五十五人の純増にしかなっていかないですね。今後、厳しい状況の中で、確保した定員をどのような観点から配置をしていくお考えなのか、特に東シナ海などの取締りのために要員をどのように配置していくのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  94. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 確かに御指摘のとおり、結果的には五十五人の純増にしかなっていないわけでございますが、私どもといたしましては、税関職員の配置に当たりましては、従来より、事務の重点化、先ほども申し上げました機械化等により事務の効率化を図っているわけでございます。そういう中で、毎年職場の実態を踏まえて見直しを行ってきたところでございます。  今後とも、引き続き限られた人員の中で、お話のございました東シナ海などの取締りを含めまして、各事務部門の全体を通じた適切な要員配置に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  95. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 日本にとっても本当に重要な海域でありますこの東シナ海を担当しております沖縄地区税関では、昨年の七月の人事異動によって八名の職員が削減されたと聞いております。  定型の事務量だけで人員配置を査定されていきますと、様々な業務を一人の職員が処理しなければならなくなるような、そういう配置では、職員の業務に対する士気や使命感を低下させるおそれがあると思います。国民の安全、安心に関してもやはり税関業務というのは非常に重要であると考えますので、今年七月の人事異動では是非沖縄税関の職員の増員をお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  平成十八年度の税関の関係予算では、沖縄地区税関に大型監視艇の配置が決定しています。これは、重要な海域である東シナ海の洋上取締りについては国益を守るという、そういう観点から取締り強化しなければならないと考えます。大型監視艇の配置により、どのような取締り実施されようとしていらっしゃるのか。広大な海域を担当することからも、職員を十分に配置すべきだと考えますが、再度財務省の御見解をお伺いいたします。
  96. 竹内洋

    政府参考人竹内洋君) 税関では、水際におきます社会悪物品等の密輸取締りを行っているわけでございます。特に、洋上での取引や、取締りの手薄な地方港をねらった悪質、巧妙化する密輸事犯に対応するため、監視艇を配備いたしまして、海上巡回などによる取締りを積極的に実施しているところでございます。  沖縄地区税関におきましては、東シナ海海域における取締り実施しているところでございますが、実は、現時点では那覇港を出動拠点とします大型監視艇、これは三十メートル型でございますが、これを配備し、海上における監視、取締り実施しております。  これに加えまして、石垣港を出動拠点とする大型監視艇、これは三十五メートル型でございますが、これを平成十八年度末に増配備することとしておりまして、これによれば、同税関が管轄いたします広範囲な南西諸島海域、特に沖縄本島から遠隔な先島諸島海域における監視、取締まりの強化が図れるものと期待しているところでございます。  税関の人事配置につきましては、申すまでもなく、極めて厳しい財政事情の下ではございますが、税関業務の実態に即した人員配置に努めてきたところでございまして、石垣税関支署への先ほど申し上げました大型監視艇の配備に当たりましても、監視艇を活用した取締り実施に支障を来すことのないよう、今後適切に配慮してまいりたいと考えているところでございます。
  97. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 政府は行政改革推進法を提出して、五年間で五%以上の公務員の定数削減を提案されています。しかしながら、先ほど申し上げましたけれども、治安を担当する税関の職場にあっては一律的な削減は到底なじまないものというふうに考えますが、この五年間で五%以上の純減をどのように受け止めて、そして、中期的にこの税関職員を確保するため、どのように要求していこうとされているのか、財務大臣にお伺いいたします。
  98. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、糸数委員がおっしゃったように、今後五年間で五%の純減を達成していくというのは、これは相当厳しい目標でございまして、よほど腹を入れて、覚悟を込めてやらないと、なかなか必要な業務を賄い得ないという厳しい目標ではないかと思いますが、今の厳しい行財政状況から見ると、やはりこの厳しさにも耐えていかなければならないのではないかと思っているわけです。  そういう中で、税関業務に見ますと、先ほども答弁したところでございますけれども税関業務というのは、一つはやはりテロ対応というようなものがしばらく前よりも格段負荷が掛かってきておりますし、それから知的財産権侵害物品というようなものを扱いますにつきましても専門知識等々がやはり要求されるということがございます。そういう中で、国際的な環境がよっぽど劇的に変化をしない限り、中期的に見れば、税関、治安を含めた、その中でも税関に掛かる負荷というのは、私はかなりあるんだろうと考えておかなければいけないことだと思っております。  ですから、その答えは、めり張りを付けるということに結局ならざるを得ないわけでございますが、こういう税関を含めた治安面には、人員配置上も考慮するということは政府部内の中でも一定の理解がございますので、そういう中で税関の業務がおかしくならないように努力をしていかなければならないと考えております。
  99. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 先ほど申し上げましたけれども、特に沖縄に関しましては、東シナ海に対するあらゆる取締りに関してもやはりその人員の配置ということは特に御配慮いただくようにお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  次は、普天間飛行場代替施設の関連経費についてお伺いしたいと思います。私、去る二十二日の当委員会でも御質問いたしましたが、納得のいく答弁が得られませんでした。再度御質問いたします。  普天間飛行場の辺野古沖への移設に関する普天間飛行場代替施設関連経費のうち、ボーリング地質調査の業務委託についてお伺いをしたいと思います。  これは防衛施設庁の山内建設部長がお答えされましたが、在日米軍の再編協議が最終的な取りまとめの段階にあるなどの理由で、三月十六日の、那覇防衛施設局が移設に伴う各種業務調査の契約を解除したことを明らかにいたしました。その際にも申し述べておきましたが、この契約解除の時点で、従来の辺野古案は事実上消滅したということです。  そこで、財務省にお伺いいたします。一九九九年の辺野古沖への移設を閣議決定して以降、今回の契約解除に至るまで、普天間飛行場代替施設の関連経費として総額でどれだけの予算を投じてこられましたか。これは歳出ベースでお答えをお願いいたします。
  100. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) 平成十一年十二月に御指摘の普天間飛行場の移設に係る政府方針が閣議決定されておりまして、それ以降、普天間飛行場代替施設に関しましては、現地技術調査、それから環境影響評価、基本検討等に要する費用を見積もりまして予算に計上しているところでございますが、平成十三年度二億八百万、十四年度三億二千百万、十五年度十三億八千七百万、十六年度十八億八千六百万、十七年度二十七億三千八百万円ということでございまして、これを単純に合計いたしますと六十五億三千九百万という数字になります。
  101. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 このような多額の予算が無駄になったわけですが、何事においてもやはり地元住民の理解と協力が得られないと事をなし得ないというその典型的な例だと思います。  併せて言わせていただきますと、日米の合意が先行するのではなくて、やはり地元住民との合意こそが最優先されるべきだと思います。今回の在日米軍の再編協議におきましても同様でありまして、地元住民の声を無視いたしますと同じような結果を招くおそれがあることを指摘して、次に伺いたいと思います。  契約解除の問題に話を戻しますが、山内建設部長答弁によりますと、契約を解除したのは、現地技術調査、環境影響評価、そして基本検討の三業務に係る二十件と、これを十三社としてその契約額がおよそ二十六億七千万円だと言われております。  問題は、この契約解除のうちの現地技術調査の地質調査の分でありまして、この地質調査が四件、海象調査として一件の計五件、四社でその契約額が約八億四千万円だとしておりますが、この地質調査というのはボーリング調査が主でありまして、これ移設先とされました海域の六十三地点を掘削して地質の調査を行うものであります。ところが、度重なる台風の接近や住民による工事の阻止に遭ったということで、一地点のボーリングも実施できなかったという状況でありますが、その上、この在日米軍の再編協議が進んで、辺野古沖案が見直されるという事態にありながらも、強行に工事を進めようとして夜間作業などを試みたというその結果です。  このようなボーリング調査に対する判断ミスはその大きなツケとして回ってきたわけですが、那覇防衛施設局ではこの予算面を危ぶむ声が上がっていたはずで、報道によりますと、業者からの請求額に那覇防衛施設局幹部は愕然としたということが報道されておりました。報道等では、約八億四千万円の契約額が実際には約二十八億円にも上がっているというふうに指摘されております。  これ、二十億円も超過をしているわけですが、そこで財務省にお伺いします。このような事態を招いていることについて、財務省は御存じでしょうか。
  102. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) お話のような報道があることについては承知しております。  ただ、いずれにいたしましても、正に執行の関係でございますので、事実関係につきましては執行官庁お尋ねいただければというふうに考えております。
  103. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 結局のところ、防衛施設庁とそれから那覇防衛施設局は予算の裏付けもなく再契約という、これは財務会計上の手続も取らずにむやみに工事を進めていたということになるわけですが、まず、大変基本的なことをお伺いいたします。  工事が何らかの形で遅れる、例えば台風の影響で工事ができなくなったり作業が大幅に延期されることになって、契約内容も見直さなければいけないような事態が発生したときに、工事の追加等があった場合にどのような手順を踏むべきなのか、財務省にお伺いいたします。
  104. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) 一般論として申し上げますと、当初予定していなかった事業を行う場合、あるいは事業に要する経費が増額が見込まれるような場合につきましては、契約の変更あるいは新たな契約ということを締結していただく必要がございます。その際の手続につきましては、会計法令等に定めがございますが、こうした契約の変更等が予算措置の範囲内であるか等について確認するということの手続を取っていただくということになるわけでございます。
  105. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 再契約の措置を講ぜずに業者に対して工事を引き続きさせていたという、これは単なる口頭での約束で作業をさせていたということになるのでしょうか。これについてはどなたの指示なのか、どなたがその責任を負うのか何一つ明らかにされておりません。  この問題は防衛施設庁自体で解決するつもりなのか、請求額も示さずに会社側と内々に協議をして、幹部職員として処分して終わらせるようになるのか、これはとても大きな問題であります。この問題の経緯の詳細を明らかにして、どこに問題があり、どのように処理したのか、これを明確にすべきだと思います。  最後に、防衛庁に伺いますが、事の詳細を明らかにして、どのように処理して、どのような措置を講じたのか、明らかにしていただきたいと思います。
  106. 山内正和

    政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。  委員指摘の普天間飛行場代替施設に係ります地質調査四件及び海象調査一件の計五件、契約額八億四千万円の業務委託契約につきましては、去る三月十六日、那覇防衛施設局において契約を解除したところでございます。  本件につきましては、委員指摘のような様々な報道がなされているところではございますが、現在、契約を解除したことに伴いまして、受託者との間で既に履行した部分の委託料について公式に協議を行っている段階でございます。  したがいまして、先般も御答弁さしていただいたところではございますが、御質問の費用の額を含め、協議内容の詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、委員指摘の点につきまして、現在はまだ、まだ会社との間で協議を行っている段階でございまして、具体的にあるいは検討する、あるいは申し上げられる段階にないということにつきまして御理解を賜りたいというふうに思います。
  107. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 やはり事をうやむやにしてはいけないと思います。この予算の執行に関しましては、やはり大変重要な問題でありますし、適切に予算を執行していくという、その点から考えましてもこれは重要なことであるということを指摘して、質問を終わりたいと思います。
  108. 池口修次

    委員長池口修次君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  関税定率法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 池口修次

    委員長池口修次君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、櫻井充君から発言を求められておりますので、これを許します。櫻井充君。
  110. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各会派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和ある対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。    なお、関税の執行に当たっては、より一層適正・公平な課税の確保に努めること。  一 急速な高度情報化の進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況にかんがみ、税関の執行体制の整備及び事務の一層の情報化・機械化の促進に特段の努力を払うこと。  一 最近における国際化の進展等に伴い税関業務が増大し、複雑化する中で、その適正かつ迅速な処理の重要性に加え、麻薬・覚せい剤を始め、銃砲、知的財産侵害物品、ワシントン条約該当物品等の水際における取締り強化に対する国際的・社会的要請の高まりに加え、FTA(自由貿易協定)の進展による貿易形態の一層の複雑化の様相にかんがみ、税関業務の特殊性、国際郵便物の通関手続を含めた今後の国際物流の在り方等を考慮し、税関職員の定員確保はもとより、その処遇改善及び機構、職場環境の整備・充実、更には、より高度な専門性を有する人材の育成等に特段の努力を払うこと。  特に、国民の安心・安全の確保を目的とするテロ・治安維持対策の遂行や、知的財産侵害物品、偽造通貨・偽造カード等不正商品水際取締り、更には、通関手続の適正化・迅速化を一層図っていく観点での所要の措置の実行に当たっては、その重要性に十分配慮した業務処理体制の実現に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  111. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいま櫻井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 池口修次

    委員長池口修次君) 全会一致と認めます。よって、櫻井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、谷垣財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣財務大臣
  113. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
  114. 池口修次

    委員長池口修次君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  116. 池口修次

    委員長池口修次君) 独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。谷垣財務大臣
  117. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま議題となりました独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、独立行政法人酒類総合研究所がその業務を一層効率的かつ効果的に行うことができるよう、民間及び大学等との人事交流等の連携を促進するため、本法律案を提出した次第であります。  本法律案の内容は、独立行政法人酒類総合研究所を特定独立行政法人以外の独立行政法人、いわゆる非公務員型の独立行政法人とするとともに、同法人の役職員の秘密保持義務等について所要の措置を講ずるものであります。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  118. 池口修次

    委員長池口修次君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会