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峰崎直樹君
委員派遣の御報告をいたしたいと思います。
今回は、去る十一月十六、十七日の二日間、沖縄県に行ってまいりました。
派遣委員は、
山本前
委員長、田村
理事、
櫻井理事、野上
委員、
平野委員、富岡
委員、山口
委員、大門
委員、
糸数委員及び私、
峰崎の十名であります。
派遣地におきましては、まず沖縄総合事務局、沖縄地区税関、沖縄国税事務所、国税不服審判所沖縄事務所、
日本銀行那覇支店から、それぞれ管内の概況
説明を聴取いたしました。
次いで、沖縄振興開発
金融公庫、同公庫の利用者である那覇商工
会議所、沖縄県中小企業団体中央会との
意見交換、地元
金融機関の琉球
銀行、沖縄
銀行、沖縄海邦
銀行、コザ信用金庫との
意見交換を行うとともに、関係機関等の視察を行いました。
加えて、今回は稲嶺知事を訪問し、県内情勢等について
意見交換をいたしました。
以下、
調査の概要について申し上げます。
まず、沖縄県経済の概況について申し上げます。同県は、総面積、総人口、県内総生産がそれぞれ全国の約一%となっていることから、一%経済と言われております。
産業構造面では、全国に比べて第二次産業、中でも製造業の割合が極めて低い反面、観光産業を中心とする第三次産業の割合が高いことが特徴で、本土復帰以降変わらない傾向にあります。雇用情勢などでは全国と比べまして若年者層の失業者に占める割合が高く、所得格差も高い水準となっております。また、
財政面では、県民総支出に占める
財政支出の割合が全国平均の約一・八倍と高くなっているなど、
財政依存型の経済構造となっております。
このため、沖縄総合事務局からは、地元の振興対策として、沖縄型の特定免税店の空港外への展開などによる観光・リゾート産業の振興、自由貿易地域への企業立地を促進するなど、沖縄の地理的優位性を生かした加工交易型産業の振興、名護市が指定を受けた
金融特区制度等を活用した
金融・情報通信産業の振興など、沖縄振興特別措置法を利用した様々な取組を、県や市町村などと連携を深めながら実施しているとの
説明がございました。
なお、
日本銀行那覇支店からも県内の
金融経済情勢につきまして
説明があり、業種別に見ますと、公共工事の減少等により建設関連では不振が続いているものの、観光が九・一一テロに伴う不振を脱して好調を維持、個人消費も堅調であることなどから、景気は全体として回復を続けているとのことでした。
次に、税関
行政についてでありますが、沖縄地区税関は本土復帰の際に設置されたもので、離島が散在する広大な沖縄県全域を管轄しております。最近の税関業務では、麻薬などの社会悪物品の取締り、テロ
行為の未然防止、知的財産侵害物品の水際取締りなど、適正な通関と手続の電子化など迅速な通関の両立が求められています。税関としては、厳しい定員事情の下で、IT化や民間の協力を得つつ、利便性の向上等を図っているとのことでした。
次に、税務
行政についてであります。
沖縄国税事務所からは、管内では規模の大きな法人が少ないことなどにより、全国と比べて源泉所得税や法人税の税収が低いこと、しょうちゅうブームを背景に泡盛の県外出荷が増え、課税移出数量が近年倍増していることなどの
説明がありました。なお、
平成十六年度の徴収決定済額は約二千九百三十一億円と、前年比で若干のプラスとなっております。
また、国税不服審判所沖縄事務所からは、同審査請求事件の
説明があり、
平成十六事務年度の発生件数が四十件、このうち三十四件を処理し、二件が一部取消しとなっているとのことでした。
次に、
金融についてであります。
県内に本店を有する
金融機関が、地銀、第二地銀合わせて三行、信用金庫一庫、労働金庫一庫、農林漁業系統
金融機関一団体であります。本土からは都市
銀行二行が支店ないし貸出し業務のみを取り扱う事務所を開設しております。したがいまして、預金及び貸出金に占める地元
金融機関のウエートが高いのが特徴であります。なお、
平成十四年にコザ信用金庫と沖縄信用金庫が合併しております。
県内の
金融機関では琉球
銀行が十一年九月に公的資金の注入を受けておりますが、総じて地元機関はペイオフ解禁後も預金が順調に伸び、不良債権処理も加速するなどの
金融の環境は好転しているとの
説明が日銀支店からありました。
次に、沖縄県における政策
金融について申し上げます。
県内唯一の政策
金融機関である沖縄振興開発
金融公庫からは、沖縄復帰以来、本土六公庫などが行っている産業開発資金、中小企業資金、住宅資金の貸付けなどの業務を一元的、総合的に担い、政府の沖縄振興策を
金融面から支える機関として、これまで県内の経済振興や地域社会の発展に果たしてきた役割や実績などにつきまして
説明がありました。
また、公庫利用者との
意見交換におきましては、那覇商工
会議所、沖縄県中小企業団体中央会側から、同公庫は民間
金融との車の両輪であり、同公庫をこのままの形で残してほしい、地元民間
金融機関の預貸率が高く資金が逼迫しており、しかも本土からの資金調達もできない、公庫が一番地元の事情を把握しているなどの
発言がありました。
また、この問題に関し地元民間
金融機関からは、沖縄振興計画を推進する上で同公庫の存続が必要であるとの前提に立ち、その役割を、政策的なもの、公益性の高いもの、民間の対応困難なハイリスクな
案件に限定し、住宅や中小企業への融資は民間に任せるべきである、協調融資の際の担保の優先順位を同公庫より民間を上位にすべきであるなどの
意見が述べられました。
さらに、稲嶺知事からも、この問題に関し、同公庫が果たしている
金融セーフティーネットの役割を挙げるとともに、今後さらに、モノレールの延伸や駐留米軍用地の返還に係る跡地利用を始めとした大型プロジェクトへの対応など、同公庫の役割の重要性について指摘がありました。
次に、
金融に関連した名護市の
金融特区制度についてであります。
同特区は、国際情報通信・
金融特区構想の一部門でありますが、
金融業務等を営む企業を対象に税制その他の優遇措置を講じることにより、一大拠点として集積させ、雇用についても拡大を図ろうとする構想であります。このための企業誘致活動、インフラ整備、人材育成などの施策が進められており、昨年九月現在、同市において二十五社を誘致、雇用者数が四百五十九名に達しているとのことであります。
同市のマルチメディア館を視察した際、岸本市長からは、特区制度における税制上の優遇措置の適用条件が二十人以上の雇用であることと控除額が人件費の二〇%以内という制約があり、実際には適用が受けられていない、制度施行五年目に向け、適用条件を見直していただきたい旨の
意見が述べられました。この点については、稲嶺知事からも同様の指摘がありましたが、ほか、同特区がタックスヘイブンなどを懸念する余り制約が多く、更に規制緩和をする必要があるとの
意見が述べられました。
最後に、その他の視察先について簡単に紹介いたしますと、まず瑞泉酒造
株式会社は、琉球王朝時代の焼酎職の流れをくみ、首里での創業百年余となる泡盛製造のしにせであります。最近では、瑞泉青龍が全国酒類コンクールの泡盛部門で一位を獲得したことでも知られております。
また、バイオ二十一
株式会社は沖縄の素材を生かした基礎化粧品メーカーで、沖縄振興開発
金融公庫初のベンチャー企業向け出資を受けた企業でございます。
このほか、普天間基地移設予定地、二〇〇〇年の沖縄サミット開催会場となりました万国津梁館を視察いたしました。
以上、概略を述べましたが、おかげさまで有意義な視察ができました。今回の派遣におきまして
調査に御協力いただきました関係
行政機関、団体、
金融機関及び事業所の
方々に対し、この席をかりまして厚く御礼を申し上げ、派遣報告を終わります。