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2006-06-08 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  江崎 鐵磨君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        法務省民事局長  寺田 逸郎君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   舌津 一良君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君    参考人        社団法人日本建        築士事務所協会        連合会会長    小川 圭一君        尾竹一男建築研        究所代表     尾竹 一男君        財団法人日本建        築防災協会理事        長        東京大学名誉教        授        岡田 恒男君        日本福祉大学教        授        片方 信也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建築物安全性確保を図るための建築基準法  等の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会社団法人日本建築士事務所協会連合会会長小川圭一君、尾竹一男建築研究所代表尾竹一男君、財団法人日本建築防災協会理事長東京大学名誉教授岡田恒男君及び日本福祉大学教授片方信也君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、小川参考人尾竹参考人岡田参考人片方参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず小川参考人にお願いをいたします。小川参考人
  5. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 皆様、おはようございます。御紹介をいただきました日本建築士事務所協会連合会会長小川でございます。  本日は、こちらに伺いまして意見を述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  まず、団体自己紹介をさせていただきたいと思います。  名称のとおり、日本建築士事務所通常建築設計事務所と言われておりますが、事務所団体でございます。四十七都道府県の建築士事務所協会会員でございます。その構成員全国で約一万五千余社でございます。全国唯一建築設計事務所団体でございます。  団体設立目的といたしましては、私ども、建築基準法に従って、また建築士法によって通常行動しているわけですけれども、御承知のように、建築士法というのは、昭和二十五年、日本の戦後のまだ焼け野原の時代にできた法律でございまして、非常に不備があるというのが実情でございます。是非とも、建築設計監理を業としてやるには、より事務所に対応した法整備が必要であるということで、建築設計業法設立を目標に長年にわたりまして活動してまいりました。また、現在、建築士法五章の二の中で、「建築士事務所業務の適正な運営等を図ることを目的とする団体」として国土交通大臣から指定団体という指定をいただいておるところでございます。  今回の耐震偽装に関します一連の偽装につきまして、建築士というのは、本来国民生命財産、安全を確保するために作られた法律でございまして、この資格者がまるで逆の国民生命財産、安全を捨て去るような、奪い去るようなことをしたのは言語道断でございまして、極めて遺憾だというふうに思っております。  これに対しまして、今後このようなことを一切なくするにはどうしたらいいかということですが、簡単に言いますと、まずおかしなものを造らせないシステムを構築することだと思います。もう一つは、人間のやることですから、もしもできてしまった場合にはこれを救済する、これに尽きるんではないかというふうに考えております。  今回上程されております法案についても、その一環として、緊急の対応ということで、罰則強化情報開示というところが主なものだと思います。罰則強化は、業界にとりましては非常に厳しいものではございますが、消費者保護あるいは業界信頼回復ということからいきますとやむを得ないことだというふうに感じております。また、それとともに、建築主罰則強化が取り入れられたということは、私どもにとりまして、建築主に対しましてはどうしても弱い立場でございますので、大歓迎でございます。  また、情報開示につきましては、法律どおりですと、非常に細かな点まで規定どおりやられますと業務が非常に多くなるという懸念もございます。実際の法律の運用につきましては、業務円滑化が図れるようなことを考慮していただければというふうに考えておるところでございます。  この業務が非常に多くなるという点、一つ例を挙げますと、建築士事務所は所属する建築士の一年間の行動を情報開示して届出をしなければならないというところがございますが、これなど、何十人といる建築士がいろいろなチームがあってその中で動いているわけでありますが、その場その場の状況でちょっと二、三日ほかの仕事を手を付けたり、あるいは人の代わりにちょっと外へ出たりとかという場合が多々あります。これなど、正確に記述していくということは大変な作業量になってしまいますので、実効上支障がないことは法律実効性が図れるような中でうまく運用していただけたらというふうに考える次第でございます。  さて、今回の事件に対しまして、我が連合会といたしましては昨年の十二月に国土交通大臣に対しまして提言をいたしました。  まず、その基本認識としては、事件が起こった最大原因倫理観欠如がまず一つございます。それから、通常であれば設計監理を行っていく中で各部各所チェックが入るわけでございますが、このチェックが全部抜けてしまったというのが原因だろうというふうに考えております。このチェックが抜けた原因としては建築士法不備最大の問題だろうというふうに考えておりまして、これをいかに是正していくかということだろうというふうに考えております。  お手元に参考資料が配付してございます。昨年の暮れに提言しました提言案でございます。さらには、今年の四月にその中のどうしてもこれだけはやらなければならないという二点に絞りまして提言してございます。それも一緒にお配りしてございます。参考にしていただけたらと思います。  その暮れの提言でございますが、内容としまして、まず第一は事務所業務適正化、第二といたしまして倫理徹底違反防止等、第三は消費者保護、四番目といたしまして建築士管理建築士技術力維持向上、五番目として行政監督権限体制整備というふうになっております。  これは非常に多項目にわたっておりますので、より分かりやすく最も必須なものということで四月に再提言させていただきました。それがそちらにお配りしてございます。二点に絞りまして、管理建築士病院長並み管理責任を、併せて講習の義務化というのが一つでございます。もう一つ事務所登録時に建築士事務所団体加入義務付けという、この二点に絞っております。  御承知のように、建築設計監理というのは、かつては建築士一人でやっておったんですが、最近では住宅といえども建築士一人で行えるということはほとんどございません。主に、建築の意匠と、それから構造、設備、この三本に分かれております。それぞれが勝手に仕事をしたのでは建築設計としてはまとまりません。それぞれが勝手に穴を空けたりとか勝手に階高を変えたりとか、はりの大きさを変えたりしたんでは建物でまとまりません。そのために統括業務というのがございます。いろいろな専門家を統括して、なおかつ調整をして、その上で図面として整合性を取ってまとめていくというのが実際の設計の姿でございます。  建築士事務所の場合、他の弁護士とか税理士と違いまして、建築士では業を行うことができません。建築士を持っていて事務所登録をして初めて業が行えるという、士法でそのようになっておりまして、この登録をするときに、技術的な総括をする建築士を定めて登録しなさいと、これを管理建築士と呼んでおります。この管理建築士に対して、現在の士法ではほとんど責務がはっきりしていないのが実情であります。  この提言の中で、病院長、これ一般の人に一番分かりやすいだろうということであえて病院長というふうに挙げましたが、病院長の場合は、医療においても看護においても投薬においても、すべてに対して権限を持っております。もちろん、義務も持っております。このように、病院長のように、管理建築士に対して責務をはっきりさせなければならないだろうと。建築仕事が一人ではやれなくて、チーム組織体としてやっておりますので、法律も、組織体が何をしなければならないのか、何をしてはいけないのかというようなとらえ方をしませんと、どうしても抜け落ちが出てくるというふうに考えております。  もう一つ団体への加入義務化でございます。  さき姉歯構造士は、どこの団体にも属してなくて、自分の部屋に閉じこもってコンピューターをいじっていたと、結果として設計をやっておったということですが、構造をやっている人に聞きますと、入力のときには神経使うけれども、あとはもうゲーム感覚だと。出てくるのがオーケーなのかエヌジーなのかというところで、出てきたものを図面化していくというような感覚になっておるようでございます。  かつては、構造設計者というのは自分でいろいろな方法を使って応力解析をして、最も適当と思われる方法を使って応力解析をしておったわけですが、現在、コンピューターになりますと、ソフト内容は人が作ったものですから分からないわけでありまして、入力とアウトプットとそれしか、内容についてはよく分からない、なおかつそのソフトは現在百以上あるというのが実情でございます。非常に不適当なものを使っておかしなものができるということもあるわけでございまして。  それから、倫理観欠如というのもそのゲーム感覚の中で失われていくということもございます。これなどはやはり団体加入していただいて、会員となっていただいて、職業倫理徹底を図る以外にないだろうと。  また、通常どのようなことをしているか仲間内でいろいろな情報の交換をしながら外からの知識を得ないと、なかなか外の状況が分からない。ソフト内容などについても、いろいろな人の話を聞けば、あれはまずいとかいいとか、いろんな情報も入ってくるわけでして、そういう必要もあるだろうと。  また、現在のような日進月歩の社会情勢の中で法改正が非常に頻繁でございまして、これに追随していかないとまともな仕事が、業務ができないというのが現状でございます。  そのような点からいっても、ぴしっと技術者として押さえて技術の程度を上げていくためには団体への加入義務付け是非とも必要だというふうに考えております。  お話は以上でございますが、細部につきましては質疑の中でお答えしたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  6. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、尾竹参考人にお願いいたします。尾竹参考人
  7. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) 尾竹一男建築研究所代表尾竹一男でございます。  私は、一級建築士事務所設立いたしまして二十六年、現場実務を行っております。その中で、今回、六つの点について意見を述べさせていただければというふうに考えております。  まず、一番目としまして、我々建築士地位向上独立性確保についてでございます。  本来、我々の業務というのは、オーナーである施主の代理人たる業務委託行為として設計工事監理をすることが主たる業務でございます。設計施工の分離は当たり前でありまして、本来果たすべき役割建築士が行っていれば今回のようなことは防ぐことができたはずです。しかし、施工業者等に従属せざるを得ない立場の者や、施工業者による建築士事務所の併設もほとんどの場合行われている現状においては、建築士地位向上独立性確保されているとは言えません。弁護士公認会計士等に準ずるような建築士法人制度の新設が望まれます。  私は、今、既存にある建築士事務所等団体にはあえて属しておりません。新しい団体をつくることが望まれるというふうに思っております。  次に、指定確認検査機関制度の見直し。  小さな政府民間でできるものは民間での号令の下、建築確認業務民間開放が進められたのではないかというふうに考えるところもありますが、最高裁の判例でも行政業務であることは明白に言われております。  営利を目的とした株式会社への民間委託は、公正中立で厳格な検査を行う使命を全うできないのは当然でありまして、実際、私たち通常業務をしている中で、指定確認機関から確認申請手数料割引券が送られてきたりとか、他の営業活動をされているところも多々あります。そういうのを実際私も体験しておりますし、我々の仲間の中でも、そういった営業活動を受けている設計事務所というのは多いというふうに認識しております。確認検査業務民間開放自体を根本的に見直すべきだろうというふうに考えています。  例えば、検査済証中間検査完了検査合格証行政が発行する。建築確認中間検査完了検査において、特定行政庁指定確認検査機関建築士事務所、それぞれに役割分担を持たせるというふうなことを検討できないかというふうなことを考えています。中間検査実施というのもすべての建物について実施をすべきと考えておりますし、検査の精度もその役割分担を検討することによって上がってくるんではないかというふうに考えております。  三番目に、あえて申しますが、施主住宅販売業者建築士建設業者指定確認検査機関における保険加入促進加入、未加入表示。  私たちは、通常業務として、個人の住宅の場合なんかについては竣工一年後に、また共同住宅等の規模のある程度大きいものは一年後と二年後に自主的に瑕疵担保のための検査を実行しております。その実行をした上で不都合がある場合は、当然建設会社是正を指導しております。そうすると、その後ほとんどの瑕疵は発生しておりません。  しかし、その瑕疵担保責任を全うするというふうなことを考えるためには、各立場において保険加入促進、例えば契約書や広告において保険加入、未加入表示をすることが望まれます。  四番目として、住宅性能表示制度住宅性能保証制度というのが今、国でも制度として認めているものがございます。それを一本化することとノンリコースローンというローンの実現化というものが望まれます。  それぞれ目的の違う同様の検査をして制度実務をしているのが住宅性能表示制度住宅性能保証制度。これは中身は違うんですが、一本化が義務化されるということを検討できないかというふうに考えています。  それと、ノンリコースローン、これが実現することは建物健全化が進むというふうなことを期待できるというふうに考えます。これは我々の検査指定確認機関行政検査だけではなくて、自主的にそういった検査が回数は増えて行われる。ノンリコースローンの場合は、やはり銀行がお金を貸すに当たってどうしてもその担保が目減りしないような検査をしなきゃいけないというふうなことにならないといわゆるノンリコースローン自体実施できないだろうというふうなことを考えると、そういった点の実現というのはより健全化が進むと期待できるというふうに考えております。  五番目に、建設業法の抜本的な改正と元請ゼネコン責任というふうなことを考えておりますが、今回の行政処分で我々のような建築士や、元請建築士事務所建築士処分はとても早く行われました。  今までの多くの場合は、建設会社の手抜き問題というのが非常に大きい問題でした。今回もいろいろな見方の一つとして、今回の事件についても建築士事務所を巻き込んだ手抜きの一面がないかというふうなことを言い切れないとは限らないのではないかというふうな感じを持っております。  現在、偽装が行われた建物の、検査中の建物の中では、設計偽装のみならず、施工においても瑕疵若しくは偽装と思われるようなことが発見されているというふうな報道も聞いております。木村建設を下請として使っていた大手ゼネコンにも同様の事項があるというふうに聞いております。  今回は一部建設業法改正はあるものの、例えばリフォーム詐欺等を見越したような抜本的な建設業法改正と元請ゼネコン自体責任追及処分というものが一切なされてないというところにやはりそういったものを検討することが望まれるというふうに考えております。  もう一つ偽装ではないですけれども、退去命令を出さざるを得ないような建物への抜本的な支援。今回は住人への公的支援偽装を前提としたものに対して、限られるというふうなことで支援が図られたというふうに聞いております。  国民の安全を図るというふうなことを考えると、現在、かなりの数の退去命令を出さなければいけないような建物があるというふうに考えられます。特定行政庁によっては耐震相談耐震工事に対する補助や融資を行っているところもあります。  私は、今、応急危険度判定士という認定を受けております。毎回毎回いろんなレクチャーがあったり、現場があったりというふうなことで、私は神奈川県なものですから、神奈川県、静岡県というのは地震がまず間違いなくあるだろうというふうなところの中でそういったお手伝いをさせられております。予防という観点からも、国民の安全を図るより抜本的な支援というものを一緒に考えていただけるような形が必要ではないかというふうに考えております。  最後になりますけれども、国民の健全な住宅に住む権利というのは構造上の問題だけではありません。以前御検討いただいたシックハウスの件や住環境を取り巻く環境問題も手を付けたばかりであって、志半ばだというふうに考えております。是非、今後とも国民立場に立った法整備や法の改正を進めていただきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  8. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、岡田参考人にお願いいたします。岡田参考人
  9. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) おはようございます。岡田恒男でございます。  私は、長年、大学におきまして建築構造学、特に耐震構造の研究とか教育に携わってまいっております。大学を定年退職いたしました後は、現在、財団法人日本建築防災協会というところにおきまして既存適格建物耐震診断とか耐震改修普及促進に携わってきております。  今回の事件が発生いたしましてからは、国交省の御指示の下、違反のあった建物をどのように補強すれば元どおり安全になるかというような点につきまして、特定行政庁、自治体でございますが、これを技術的に支援しようということで、協会内に違反是正計画支援委員会というものを設置いたしまして、間接的ではございますが、被害に遭われた方々支援を申し上げているところでございます。  さて、御承知のように、我が国の建築物で一般的に言いまして耐震性に問題があるものは、一九八一年の建築基準法改正された以前に建設されたいわゆる既存適格建物に多いということでございまして、それ以降の建物耐震性というのは格段に向上しているからそんなに大きな問題はないだろうということで、既存適格建物耐震性向上することが最も重要で、かつ最も急がれている地震対策一つであろうと、こんな認識を持っておりまして、これは現在でも変わっておりませんけれども、そちらに力を入れてきたところでございます。  特に、昨年の十月には建築物耐震改修促進に関する法律強化改正されまして、この辺の耐震化も一段と進められる準備ができたと考えておりましたやさきに、構造計算書偽装事件という予想だにしなかった不祥事が起こりまして、ごく最近建設された建物の中にも問題があるものが含まれているということが判明したわけでございまして、これは建築構造専門としてまいりました一人といたしましても誠に遺憾なことでございまして、これはもう痛恨の極みと申し上げなきゃいけない事件であろうかと考えている次第でございます。  安全な建築を造ることを職務とし、かつそれを責務としていた建築士が、自分で自ら構造計算書をごまかすという、これは極めて情けない、特異な事件でありますけれども、二度とこのような不祥事を起こさないような対策を施すのは当然のことでありますが、このような不祥事を生む素地が建築界全体としてなかったのかという点については、これは建築界挙げて総点検を行う必要があると考えております。  もちろん、事件の発生直後からいろんな調査がされております。例えば、社会資本整備審議会建築分科会中間報告が二月に出ておりますし、構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会最終報告書も四月に出ております。この辺に事件の詳細な分析とか今後の対策についての多くの提言もされております。建築関係の各種団体からの意見書も多く出されてきております。  この辺の報告、提言を拝読いたしますと、共通していることは、直接の原因はもちろん当該者の職業倫理観の欠如ということから発したものでございますが、同時に、これらを取り巻く建築生産の仕組み全体にも問題があるのではないかということの指摘がなされていることでございます。  今回の建築基準法等改正案を拝見いたしますと、そのような提案を踏まえて、まず第一弾として建築基準法等改正、特に建築確認を厳格化し適正化しようというところに焦点を当てた改正によりまして再発の防止を図ろうとしているのだと理解できます。  本日、私は、建築確認の厳格化、特に建築確認における計算プログラムというものの位置付け、それから若干指定確認検査機関業務適正化などの改正案につきまして私の考えを御披露申し上げ、先生方の今後の御審議の参考にしていただければと、こんな気持ちで参上した次第でございます。  度々申し上げておりますが、今回の事件というのは、直接的には建築士構造計算書偽装し、それが建築確認の段階でも見逃されたというところから端を発しているわけでございますから、建築確認の厳格化をまず図るというのは、再発防止策としては最も直截的な手段であろうかと思います。今回の改正案には、指定構造計算適合判定機関というものを新設して、通常建築確認に加えて、構造計算については特に審査を厳格にしようという方策が述べられております。審査を厳格にする要点というのは、当たり前のことでありますけど、優れた能力を持った人間が十分な時間を掛けて審査する、これに尽きることでございますけれども、現実にはそういう人材の数にも審査をする時間にも制限がございます。  そこで、今回の改正案を拝見しますと、これ大きく二つに分けて、一つ大臣認定プログラムというのを新しく認定して、こういうものを使った構造計算については、同じプログラムによる再計算を行うことによって、もう一度計算をし直すことによって検査の手間を簡単にして、それ以外のものについては高度な専門家による審査を行うという二段構えになっております。私はこれは非常に現実的な提案ではないかと考えております。  ただ、具体化に当たりましては、例えば大臣認定プログラムをどのようなものにするのか、あるいは再計算した場合の審査をどの程度簡略化するのか、あるいは専門家による審査になった場合も、当然設計者は計算プログラムというのを使ってまいるでございましょうから、これらのプログラムをどのように評価するのか、認定するのかしないのか、この辺についての詳細な検討が今後必要だと私は考えます。  それから、改正案に盛り込まれております審査のための指針を作る、これも大変重要なことではないかと思います。これらの整備がされていけば、恐らく現在に比べて格段に建築確認の実は上がるのではないかと期待できるところでございます。  ただ、このような方策に対して、建築界の一部には若干の戸惑いもあるようでございます。それは、構造計算のプログラムを建築基準法の中で正式に位置付けるということ、あるいは建築確認のプロセスに再計算ということを取り入れるということなどから、建築設計行為というのが法律で強く制約されてしまうのではないかということの疑問から生じているのではないかと私は考えます。しかしながら、現在では、構造計算プログラムを使わない建築設計というのはもうあり得ない状況になっております。  それから、今回の事件というのが、構造プログラムを用いた構造計算書偽装して、それが見逃されたというところからスタートしているわけでございますから、計算のプログラムとかあるいはそれの使い方についてある程度の制約を加えるというのは私はやむを得ないことではないかと考えております。  ただ、これは不適当に使っている者に対する制約でありまして、これまでも今後も、適切に使っている人たちあるいは設計者に過度の制約を加えることになっては身もふたもないということになろうかと思います。したがって、こんな観点から、今後は具体的なシステム設計を行うことにより、さきに述べました疑問点などの払拭をする必要があろうかと考えております。  若干専門的になりますけれども、建築構造における計算プログラムの位置付けというものについて私のお話を申し上げたいと思います。  一枚だけ図を用意いたしましたので、これをごらんいただきながら私が説明をいたしたいと思います。  これは、構造設計の基本原理、それから建築基準法などの技術基準、それから構造計算プログラム、三つの関係を示したものでございます。本来、構造設計あるいは計算というのは力学とか地震学などの原理原則に基づいて行われるものであります。したがいまして、それがうまくいっているかどうかの判断は適切かどうかということになります。適切な設計がいい建築を生み出すということになります。  つまり、理にかなっているかどうかというのがその判定の原則でございますが、実際に設計をする人がすべて原理原則に立ち返って自分で行うというのはこれはもうできない相談でございますので、原理原則だけでは判断できない部分を補足したり解釈したり、あるいは取決めをするということから建築基準法などの技術的な法令というのが必要になってきているわけでございます。この場合は、判断基準というのは法律に合っているかどうか、適法であるかどうかということになります。  しかしながら、建築設計に係るすべての事象を法令で事細かに取り決めることはできません。不可能であります。そこで、設計者の判断にゆだねられている部分も多々ございます。  そこで、設計者というのは、適法か否かの判断に比べまして、やはり常に原理原則に戻り、適切であるかどうかという判断が必要とされます。このために設計者に高い専門性が求められるわけでありまして、同時にここが実は設計者の腕の振るいどころということになっているわけでございます。さらに、審査をする側の力量もここで問われてまいります。  その一例は、ちょっと難しい言葉を使わせていただきますが、適切なモデル化でございます。モデル化というのは、建物の骨組みなどを計算機のプログラムが認識できるように組み替えてあげる、あるいは翻訳している作業のことであります。図面をそのままコンピューターに入れればコンピューターが自動的に安全性を判断してくれるわけじゃございません。計算プログラムというのは、それでは最後に書いてあります、基本的には計算のための道具であります。結果の判断は、したがいまして、正確かどうかというところに尽きます。  計算のプログラムが適法かどうかということにつきましては、プログラム自体をあらかじめ評価することによってある程度これはできます。しかしながら、その結果が適切か否かというところはできません。建築確認に際しましても、結局、その割合はともかくも、その結果が適切なのかどうか、適法なのかどうか、かつ正確なのかどうか、この三つの判断が必要となります。基本原則に戻って、適切であるかどうかというところまで判断をする必要性の高いほど専門性の高い審査が必要だということになってまいります。結局、その度合いに応じた審査を行い、審査基準の整備をするということになろうかと考えます。  したがいまして、建築確認の簡素化というのを目指した今度の大臣認定プログラムというのは、かなり適用範囲を限定して、すなわち適用できる建物の形とかサイズとか構造形式などを限定することによって、基本原則に戻った判断ができるだけ少ない、言い換えるなら、逆に設計の自由度が制限されているというような計算プログラムにするのがよろしいのではないかと私は思います。  自由度のある設計をする場合には専門家による審査が有効に同時に機能するようなシステム設計がこれから必要になります。この場合に備えまして、多分、大臣認定プログラムよりは自由度の高いプログラム、現在使われているようなプログラムもそうでございますけれども、こういうものをどうするかという検討が早急にされるべきではないかと思います。  建築基準法の中の今度の改正案の確認制度のことだけにつきまして申し上げましたけれども、これ以外の、改正案に盛り込まれております指定確認機関業務適正化、厳格化につきましては、これは是非厳格に適用していただきたいと思います。  建築確認通常の商取引とは違います。安い、早いではなくて、丁寧、確実ということが重要であります。そのためには多少費用が高くなるかもしれません。時間も掛かるようになるかもしれませんが、この点につきましては是非国民の皆様にも御理解賜らなきゃいけない点ではないかと思います。  私は自分の目で指定確認機関実情を確かめたわけでございませんけれども、公開されている資料を見る限り、建築主事あるいは確認検査員一人が年間に審査する件数が余りにも多いように思います。これでは丁寧、確実な建築確認は難しいと思います。建築主事とか確認検査員の仕事の環境の改善というのが必要だと思います。そうでなければ、今後、構造を担当する建築主事とか確認検査員になろうという若手が出てこなくなるのではないかと危惧いたします。もちろん、情報の公開とか立入検査強化というのは必須でございますので、是非進めていただきたいと思います。  また、こういう制度の整備に加えまして、最も重要なのは結局は人の育成ではないかと思います。高度の専門性と高い倫理観を持った建築構造専門家と、同時に適切な審査ができる建築主事あるいは建築確認機関の育成なしには根本的な解決にはならないと思います。大学レベルでの教育から始まり、建築士の資格制度の在り方、研修制度等についての再検討が必要だと思います。特に、建築主事並びに建築確認検査員が建築生産の最新の情報とかあるいは高度な技術情報を取得できるための仕組み、例えばデータベースを構築しておいて、それを常にそういう審査をする側に提供するような仕組みの整備も今後重要ではないかと思います。  以上、今回の建築基準法改正案について私の考えておりますことの一端を御披露申し上げました。  なお、別途、私が今回の事件に関しまして建築専門誌から受けたインタビューの記事のコピーを配付いたしましたので御参照いただければ幸いでございます。  御清聴ありがとうございました。
  10. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、片方参考人にお願いいたします。片方参考人
  11. 片方信也

    参考人片方信也君) ただいま御指名を受けました日本福祉大学片方です。お手元に資料がございますので、適宜御参考にしていただきたいと思います。  建築確認検査民間開放等を定めるとする一九九八年の建築基準法改正に当たって、私は参議院国土・環境委員会意見陳述を行う機会を得ました。意見陳述では、民間の特定確認検査機関へその業務が開放された場合、市場競争が優先し、建築の申請について公共財としてチェックしなければならない業務が採算に乗りにくいとか多数の件数を処理するという理由などで十分に行われない可能性が排除できないという趣旨のことを指摘し、改正法案については賛成しかねるという趣旨のことを述べました。この考え方は今も変わっておりません。  構造計算書の偽造は、姉歯元一級建築士による直接のデータの改ざんにより行われたことが明らかになっております。したがって、構造計算を担当した当事者の社会的責任が問われることは当然であります。同時に、問題発生後明らかになってきたのは、マンションの建築主、元請の建設会社設計事務所、ホテルの場合は更にコンサルタント会社が安全性を犠牲にしたコスト削減の糸でつながっていたのではないかという疑惑です。改ざんの背景には、こうした業界体質の構造的問題があり、その構図が国民の前に明らかにされ、体質是正を迫るものでない限り不正行為の再発は防止できないおそれがあります。  民間確認検査機関が偽装を見逃したことの問題には二つの側面があると思います。  一つは、直接審査する確認検査機関が審査の十分な機能を果たしていなかったということです。確認審査において、構造設計構造計算の適合性をチェックし、建築物安全性を、利用者、住み手の生命、生活、財産の保全を支えるという基本的な視点で行うべきことは自明の理ですが、その原則に照らし合わせずに危険な不良資産を生み出してきたことは、国民への背信行為として許されないことであると思います。  もう一つは、確認検査の体制等に関する問題です。数多い計算プログラムに対応して計算結果を審査するには、通常、相応の専門的な技術者を配置し、計算結果の適合性を判断する体制の構築が求められることになります。建築物安全性確保する基本的な審査であるだけに、民間機関の体制整備は急務の課題であったと思いますが、制度改正後、国交省はこの体制整備についても民間機関任せにしてきたのではないでしょうか。これについての国交省責任は重いと思います。  今、建築行政の信頼は大きく揺らいでいますが、この信頼失墜は、建築行政が本来保持すべき公正中立の原則が崩壊しつつあることを物語っていると思います。  国土交通大臣は、建築確認制度は公の事務であり、行政の関与があることに変わりはないと言っておられますが、これは二〇〇五年の最高裁判決によった発言と受け止められます。確認検査制度が公の事務であるとする前提に立てば、その公正中立の原則を貫く具体策が求められたと言えるでしょう。しかし、事態は公正中立審査と言うには余りにもほど遠い営利優先の確認検査業務がまかり通っていました。公の事務であるというのは、本来、審査建築の社会資本としての蓄積やまちづくりへの貢献など、建築物の公共的な性質をゆがめることなく発揮できるように行われなければならないことを示すと思います。  さらに、公の本丸ともいうべき特定行政庁も弱体化してきました。建築指導の部署を担う専門的なスタッフが減らされ、役所の中からも民間依存へ傾斜してきました。多くの申請が民間機関に流れている現実は、建築行政を担うべき自治体の職制や職員にも民間機関への依存意識を植え付けてきたのではないでしょうか。別の言い方をすれば、これは自治体における建築行政も解体寸前であるということです。  九八年の改正で行われた建築確認検査民間への開放は何を意味していたでしょうか。それは確認検査を企業活動に変質させ、営利目的化することであったと言えます。この意味で、これは建築行政の基本的な原理の変更であり、民間への移行と自治体の建築行政の弱体化はその当然の帰結であるとみなせます。  確認検査は本来建築の質を規定する仕事であります。質とは、建築安全性とともに、建てられる予定の土地の条件、近隣住民の生活空間の在り方を含めた総合的な検討で達成されるものです。確認検査はそのために機能しなければならないもので、そもそも営利目的業務にはなじみにくい性質を持っていると見るべきです。  安全、健康、快適性は、個々の建築において確保されるとともに、地域空間としてもこれらの条件は総合的に確保されなければならない要件です。その原則を実現するのが建築制度や都市制度役割であり、そもそも営利を生むような業務ではあり得ないと言うべきでしょう。しかし、民間開放によってその本来の確認検査の公共的性質はゆがめられ、行政が示すべき公正中立のよって立つ土台がぐらついています。  今回の構造計算書偽装問題は、政府が推進してきた市場競争すべてよしの改革の流れに即した、安く、早くを競う民間開放体制により生み出されたことは明らかです。偽装問題に関する政府責任は、このように公正中立の原点をゆがめた点で重大であると言えます。  同時に、建築の在り方も変質してきたと言えます。九八年基準法改正を機に建築へのコマーシャリズムの浸透が一気に進行したと思われます。元都庁職員の鈴木繁康氏によれば、行政指導を完全に排除して、民間機関が都合のよい法令解釈をしつつ確認検査を行えるようにすることが必要とされ、また法令解釈も商品化の一部になったと指摘しています。  マンションなどが大量に供給でき、市場を動かしていくためには、土地開発や建築行為の規制緩和だけでなく、民間機関の制度運用により生み出される営利まで含めて建築物を商品として流通させる必要があったということでしょう。建築目的は、丸ごと市場競争の中で互いに売上げを競う消耗品に堕したかの感があります。  社会資本整備審議会分科会と構造計算偽装問題に関する緊急調査委員会が報告書をまとめております。両報告の比較した結果は資料四ページのとおりです。その中で、両者に共通する立場として、建築確認検査民間開放の肯定的評価があります。前者は民間開放は合理的な政策選択であったとし、後者は更に踏み込んで一定の成果をもって社会に定着し始めていると受け止めています。したがって、これらの報告は、そもそも建築確認検査民間開放については、民間開放そのものを反省の原点に位置付ける姿勢を全く示していません。しかし、その反省に立たなければ事態の根本的な解決はおぼつかないと言うべきです。  今回の偽装問題に関連して、この二月に私が代表を務める構造計算書偽造問題を考える会が建築関係者へ自由記述式のアンケート調査実施しました。対象は、京都府内の建築設計事務所建築会社等に勤務する建築技術者国交省及び自治体の建築関係職員一千七十人で、回答者数は百七十二名、約一六%となっています。  ここに調査結果の特徴を拾っておきたいと思います。  受け止め方では、今回の偽造はコスト最優先の下で必然的に起こったという印象を持っている人が多数を占めています。民間確認検査機関については、本来、人々の生命、安全を優先すべきところを利益優先で走ってきたことが不正を見逃すことになったとの指摘が多く見られます。建築技術者の在り方に関しては、業界全体の安易な金もうけ主義が構造技術者などの立場を追い込み、その体制が理性やモラル、倫理欠如を引き起こしているのではないかとの意見も多数見られます。民間開放の下で、自治体の技術力が低下し、無責任とも言える状態が体制化しており、民間開放への流れは建築行政の自殺行為であるとする声が強いのも特徴です。  再発防止策については三つの質問をしていますが、第一は、建築主設計者、施工業者の関係改善の問題です。  マンションのように建築主が優位に立つようなヒエラルキーを前提にするのではなく、良い建築物を造るという目標に向かって協働することが大切であるとする意見が多くなっています。特に、設計監理施工とは分離すべきとの意見が強くなっています。第三者によるピアチェック罰則強化を求める意見もありますが、それよりも、基本的には各主体の独立性確保建築設計事務所などの能力を高めることを課題とすべきとの意見が多いと思われます。また、住宅は、商品とは違って、家族が地域にかかわる原点であるとし、経済再生などに軽薄に利用されることがあってはならないとの指摘もあります。  第二は、確認検査制度に関する問題です。  建築確認の最終責任行政、自治体にあるという最高裁判決は当然と受け止めている人が大半です。これは建築が社会的な行為であるととらえている技術者が少なくないということを示しています。建築物の発生から消滅まで社会的なチェック機能が必要であり、公的機関が責任を持つべきであるとする意見はかなりの回答者に共通する認識ではないでしょうか。民間開放はこうした意味合いで間違っていたというのが多くの意見です。  一方、建築確認検査事務は、行政の代行として位置付けられている限り、現在の仕組みを前提として、行政民間機関の連絡体制などを強化する必要性を指摘する意見もあります。民間機関にチェックさせていても、最終的には直接行政チェックする必要があるのではないかとの意見もあり、現行制度においても基本的には行政役割責任を明確にすることを求めていると思います。  第三は、建築士資格制度に関する問題です。  建築士の資格更新制度について、建築士の社会的地位向上には必要として賛成の回答が少なからずあります。同時に、その方法が問題で、例えば現在問題とされている倫理観までは資格審査は不可能であろうとの指摘があります。また、資格更新制度は問題の解決にはつながらず、かえって技術者責任を転嫁するものであるという批判的見解もあり、意見分布は分かれています。意匠、構造設計等に細分化した新資格の創設を支持する意見もありますが、全体として見れば少数であると言えます。  アンケートの結果の冊子は私の手元に用意してございますが、ごらんになりたい委員の先生方はお申出いただきたいと思います。ここにございます。  最後に、市場原理に動かされ、住宅がますます商品化の傾向を強めていることについて、さきのアンケートの結果でも強い懸念が表明されています。今回の事件に関係している建築技術者、関係者が何よりも重要な安全を営利の犠牲にするという背信行為に落ちていることも市場原理優先の考え方が生み出したゆがみであることが明らかにされています。モラル、倫理観の低下もその流れにより引き起こされていることに懸念を示しています。こうしたゆがみは、当事者だけにとどまらず、建築技術者全体にかかわる社会的問題として深刻に認識されていることも重要です。  さらに、アンケートでは、建築は何を目指すべきものなのかという問い掛けが欠落しているとの指摘があります。さき紹介した住宅は家族が地域にかかわる原点とする意見は、モラル、倫理観の喪失にもつながっているコマーシャリズム蔓延による建築のゆがみを前向きに正そうとする見識の表明であると言えます。建築目的あるいは理念を明確にして、より良い建築創造を目指すのでなければ、建築に携わる技術者が創造に向かって国民の信頼を確保することは難しいということを私は強調したいと思います。  去る二月二十五日に京都自治体問題研究所など実行委員会主催で京都で行ったシンポジウムにおいて、その理念を明示する建築基本法、建築法の必要性が提起されました。この構想には、さきのアンケートの結果が生かされております。建築法の構想は次のとおりです。建築は、人間の生命と生活に資する。建築は、掛け替えのない土地を占有して機能し社会資本となる。建築は、技術と文化の総合的創造物である。建築は、コミュニティーと不可分の公共性を有する。建築は、風土と景観との調和において持続する。項目ごとの説明は資料七ページのとおりです。  都市制度建築制度は、本来このような理念、目標を達成するためのものであります。それゆえ、建築行政の本質は、それ自体営利の活動とは無縁でなければならないものと言えます。  以上で私の意見発表を終わります。ありがとうございました。
  12. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、大変恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願い申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 中島眞人

    ○中島眞人君 自由民主党の中島眞人でございます。  今日は先生方においでをいただきまして、大変貴重な御意見をいただきましたこと、厚く御礼を申し上げたいと思います。  ただし、私は最近思うんですけれども、日本社会というのが、従来はこんなことはないだろうという形の中で性善説でいろいろな法律体系も仕組まれてきておったと思うんです。ところが、それが崩れて、例えば証券業界においてのあの例の問題、また同時に、建築の中でもこのような偽装というような問題が出てくるということは、かつて日本人社会の中では想像もしたこともないような事件が起こってきている。このことに大変憂いを持ちながら、じゃ、果たして今回提案をしているこの法案が成立したことによって偽装という問題が皆無になるんだろうかということを思いますと、私は先生方のお話を聞いている中でだんだん不安になってくるような感じがしてならないわけでございます。  先ほど片方先生がおっしゃったのは、姉歯という建築士が起こした偽装問題は、背景には建築主、元請の建設会社設計事務所、こういう一つの、ホテルの場合にはコンサルタント会社の安全性を犠牲にしたコスト削減の糸でつながれている、ですから建築士だけの問題で解決できるだろうか、そういう問題を考えてみると、昨今、非常に憂うべき現象が起こっていることを直視しなければならないと思うんであります。  それと同時に、まず小川先生にお聞きをしたいんでありますけれども、確かに、姉歯氏のような一人でこれを下請でやっているような建築士設計事務所とでいえば、言うなれば、お互いにチェックをしていくという点からいけば、設計事務所というような一つの枠の中で行動していくということは、これは全体が責任を負っていくという形で必要かと思いますが、建築士で姉歯氏のような形で全くどこにも所属をしない建築士というのはどのぐらいの数がどんな率でいるのか、それをまずお聞きしたいと思うんです。
  14. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 小川でございます。  これは、私、統計持っておりませんので、どこでどのぐらいいるかというのはちょっと分かりません。  ただ、しかしながら、構造設計者設計における領域というのがひところよりは狭くなっている、持分が減っているという事実はあります。それと、バブル崩壊以後仕事量が減っている、両方と相まって、例えば今まで二、三人で事務所をやっていたのが、自宅に引きこもって一人でやっているという場合も私の知っている限りでは多々あるのは事実でございます。
  15. 中島眞人

    ○中島眞人君 というのは、五月三十日の日本経済新聞に、日本建築士連合会建築士に問い掛けをしているわけですね。  その問い掛けのアンケートによりますと、発注者から工事設計などについて過度なコストダウン要求を受けた経験があるとするアンケート結果を発表した。建築士に対するコストダウンなど無理な要求は全国的には珍しくない実態が浮き彫りになった。各都道府県の建築士会に各二十部の調査票を送って建築士に配布、四三%から回答を得た。その結果、二六%が過去三年間に発注者から常識を逸脱するようなコストや品質の低減の要求を受けたと回答していると。対応策は、性能を確保した上でできる限り努力したが三〇%と最も多く、法の範囲内で応じたのが二一%、無理を言う発注者とは縁を切るという方も一五%いた。ほかに仕事がないので仕方なく従ったと答えた建築士もかなりの数に上っていると。  そうすると、姉歯事件というのは突然ある日起こったんではなくて、姉歯事件というようなものを起こす要素というのは残念ながら我が国の建築業界全体の中に存在をしているんではないのか。この辺について四人の先生方から一言ずつ、あるんだ、あるいはそれは防げるんだというふうなことも含めてお答えをいただきたいと思います。
  16. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 確かに、先生の御指摘のとおりのことはございます。かつて施主というのは、自分建物でございますから、よりいいものをより安くと。これはもう何百年も続いてきたことだろうと思いますけれども、最近事業主という形で末端の消費者でない人が施主状況になった場合に、より売れるものをより安くとか、要求が違ってまいっているのは確かでございます。
  17. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) 私のところにもそういう要望は多々ございます。ただ、しない、やらないという意思をいかに出すかというふうなことだと思います。それと、やはり制度上の問題の中で、先ほども御説明しましたように、生活の糧をどうしても建設会社に従属したりとかというふうなことがあるものもあります。  それから、施工会社自体が設計事務所を持って設計施工をしているというふうな現実が多くあります。ですから、そういう意味では建築士立場設計事務所自体の立場というのを改善する方法論を構築しなければいけないというふうに考えております。
  18. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 私は実務をやっておりませんのであれでございますが、基本的に建築基準法のことを考えてみますと、単体規定と集団規定というふうに二つ分かれます。単体規定というのは一つ一つ建物をどうするかと。耐震の問題もそちらに入っております。集団規定というのは都市計画に関係するんですが。  その単体規定というのは、これ、規制でありますけれども、規制を守った方が得をするという考えででき上がっております。つまり、建て主が、耐震の問題でいうと、規則を守った方がいい建物ができる、耐震的なものができる。そこのところが、エンドユーザーでない建築主が出てきたときの問題というのが例えば今の集合住宅でこういう事件がたくさん起こったというところに現れているのではないかと推測いたします。小川参考人がお話しになったことと同じようなことでございます。  したがいまして、やはり建築行政も、エンドユーザーである建築主が出した確認申請と、そうでない確認申請には多少私は区別をしてもいいんではないかと思います。今回の改正案拝見しますと、中間検査につきましてはそこにアクセントを付けられている。こういうことをほかのところにももうちょっと出してもいいのではないかなというのが私の今の考えでございます。
  19. 片方信也

    参考人片方信也君) お手元の資料の六ページをちょっとお開けいただきたいんですが、第二段落目にその他偽装や、これは手抜きでありますが、手抜きの強要、教唆についてどうだったかというアンケートの結果をかいつまんで示しております。  ここにはやはり設計事務所建設会社等の関連について、法無視の段階には至らないまでも何らかのいろいろ働き掛けがあるということはアンケートの結果でも現れておりまして、これはアンケートにお答えいただいた関係者のおつかみになっていることでございますけれども、その範囲ということでありますけれども、やはり構造的にこの業界の、先ほど御指摘いただいたコスト削減の糸がやっぱり絡んでいるということが浮かび上がっておりますので、そこの体質改善を何らかの形で迫るという、そういうことでなければ、根本的なやはり偽装等の不正が発生する土壌をなくすことはできないのではないかというふうに懸念しております。
  20. 中島眞人

    ○中島眞人君 私、小川先生が先ほど話をしたように、建築士の中にも、建築士という国家試験を合格する、しかし何が専門であるかということは全然我々は分からない。  さっき病院の話を出しましたけれども、医師の場合も国家試験で医師の合格が出るわけです。しかし、医師の中にはそれぞれの団体が、例えば外科医の認定医あるいは産婦人科の認定医、小児科の認定医というような形で認定医資格証を出して、そして、何といいますか、病める人にはっきりそういうものを明示する。そういうのをやっぱり建築士会、主事の団体でも、倫理観を養成する養成するということは、じゃどういう手だてでやっていくのかという点で、そういう一つ方法などはお考えになったことがあるんでしょうか。  例えば、病院の場合は、病院の経営者は医者でなくてもいいんですね。しかし、病院の院長というのはもう完全に医者でなければいけません。ですから、その医者は、病院の中で患者に起こったトラブルというものは病院長が全部責任を負うと。これが言うなれば事務所役割という形の中で、一人ではいろいろな圧力を受けるけれども、そういうふうな形の仕組みを建築主事の側でもおつくりになっていかないと、だんだんコストダウンで、いわゆる報酬はたたかれる、そして法すれすれのことを要求をされるという形になってくると、私は姉歯氏だけでは済まないような状況が起こってくるんではないかというふうに思うんで、その防御策について、もう時間も来てしまいましたけれども、本当に、小川先生を始め一言ずつ、ただ倫理観を守るということだけでなくて、何かの、病院の問題を小川先生が出したものですから、そんな形で取り組んで、事務所の中でそういうものを置き、管理建築主事というようなものを置いて、それが責任を持っていくというふうな形、時間がありませんから、全員の先生からお聞きしたいと思いますけれども、小川参考人からその辺についてお聞きしたいと思います。
  21. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 現在、建築士という資格を持っている人の中で実際の設計をしていますのは約四分の一ぐらいです。設計をしている人たちも一人ではしていなくて、チームでやっておりますので、チームで受ける、チームでは何をしてはいけない、何をしなければならないというふうなとらえ方をしていければ、個人がやっている場合はいろいろ振れちゃうこともありますけれども、もっと的確に実態を把握して制御もしていけるんだろうというふうに考えております。
  22. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) 欧米ではアーキテクトとエンジニアというふうな使い分けをしているような場合があります。ですから、建築士というふうな形の中でも、やはり設計事務所として取りまとめていく上では、日本語で言えば建築家、いわゆるアーキテクトというふうな形で取りまとめるような資格みたいなものは必要かというふうに考えております。  それと、あと一つは、やはり弁護士とか会計士とかというふうなのと同等なような形での建築士の法人制度みたいなものをつくっていけたらどうなんだろうと。いわゆる今は株式会社の設計事務所というのが大半でございまして、個人責任が全うできないというふうなことも含めて考えると、そういった新たな建築士法人制度と、それをまとめていく新たな建築士事務所等団体というものが必要になってくるのではないかというふうに考えております。
  23. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 私は、今、中島先生がおっしゃったように、今は建築士は一応何でもできることになっておりますけど、実態は得意、不得意がございます。それが建築仲間では分かっております。ですから、構造計算が不得意な者はやらないという暗黙の了解があって進んできたわけでございますけれども。  例えば構造計算について申しますと、コンピューターが普及して、何か入れれば出てくるというようなところまでできてきますと、やはり建築士というのは私は一般の教養としてはすべてを勉強した建築士が必要だと思いますが、その中で、お医者さんのような、専門医のような、やはり自分専門は何だということがはっきり世の中で分かるような形にして仕事を進めていくということで、今までの暗黙の了解というようなことでは済まない世の中になってきたのではないかと思いまして、いろんなところで今議論が行われておりますが、専門性をはっきりさせるような制度設計が必要になってきたんではないかと考えております。
  24. 片方信也

    参考人片方信也君) 二つの点を申し上げたいと思います。  私は、既存の、小川圭一参考人が所属して連合会長をされておりますが、建築士事務所協会連合会長をされておりますが、それぞれの団体には会の目的等があると思います。詳しく精査をしているわけではありませんが、例えば建築士役割というのは、建て主、建築主に対してその要求に誠実に応じるといったことについては、恐らく他の団体についてもそういう目標をお立てになっているというふうに思いますが、しかしながら、そこでやはりお考えいただきたいなと私も思いますのは、その団体の中でもやはりそれ止まりと言ってよい面があると思います。  つまり、建築主といいましても、今回のように、住む人とそれから建てる人が違う場合がございます。その場合、一体建築主とはだれを指すのかということすら実は問題になってくるわけでありまして、私は、やはり建築というものは、住む人や使う人の、その人の立場で何を実現するかということがやはり物事を考える出発点であるし、また建築士としての仕事を全うする目標でもあるというふうに思っておりまして、そのことに研さんを積む、機会あるごとに研さんを積むという、そのことが倫理意識を高めることにつながるのではないかというふうに思います。  二つ目は、やはり教育現場ですね。これは岡田参考人もおっしゃいましたけれども、学校教育の中で建築とは何かということを、今申し上げましたような点を含めて教えているのかというと、やはりお寒い状況にあるのではないかというふうに思います。その点からも建築教育の再構築が求められているというふうに考えております。  研修という側面と教育という側面と、両面、この問題には絡んでいるというふうに思います。
  25. 中島眞人

    ○中島眞人君 ありがとうございました。
  26. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党の山下八洲夫です。  四名の参考人の先生方、本当にありがとうございます。  貴重な時間でございますので、率直に四名の先生方に三点まとめて質問させていただきますので、また簡潔にお答えいただければ有り難いというふうに思っています。  まず最初に、姉歯の耐震偽装事件でこのように大きな話題になったわけでございますが、私も姉歯元一級建築士設計をされたあの図面というのを後から見させていただきました。素人でございますのでさっぱり分からないんですが、何かいろいろと当時お話をお聞きしますと、ある程度専門家設計士さんがあの図面を見ると、これは間違っているよ、偽装とは言わなくても間違っているよというようなことが一目で分かると、よくおっしゃる方、大勢いらっしゃいました。  特に、図面の例えば一階部分、二階部分、それから総合的に、これは例えば十階建てのマンションであるということを頭に浮かべながら見ますと、ああ、ここでは鉄筋が少ないなとか、そういうようなことは比較的分かるよというようなお話を伺ったわけでございますが、それぞれ専門分野の四名の参考人の先生方でございますので、その辺のことにつきましてどのような感想をお持ちか。  特に、なぜかと申しますと、建築確認でございますけど、民間確認検査機関にいたしましても、あるいは特定行政庁にいたしましても、結局は偽装を見抜けなかったというのがございます。委員会で審議をする中でも、時には、見ていなかったんではないかと、あるいは特定行政庁につきましては、もう構造なら構造を全然分かる人一人もいないんじゃないかとか、そういういろいろなお話も出ました。ですから、偽装を見抜けなかったんではないかというような意見も多々ございましたので、その辺についてまず一点お尋ねさせていただきたいと思います。  二点目につきましては、小川参考人尾竹参考人から先ほど触れられたわけでございますが、私もそういう点ではある意味では共通するところがございます。今日、資料をいただきました。小川参考人からも資料をいただいたわけでございますが、事務所登録時に建築事務所団体加入義務付け、私もこれは大賛成だなと。この提言につきましても、提言の中にも触れられていらっしゃるわけでございますが、私もこれについて基本的には賛成でございます。  ただ、一級建築士の試験の内容を見ましても、相当やはりハードルの高い難しい試験であるということは、あの試験制度を見ていきますとよく理解できるんです。そして、専門的な四分野に分かれてどれか選択するようにもなっていますから、そこで構造かあるいは意匠かというところ、ある程度分かれるのかなというような気もいたしましたが、いずれにいたしましても、相当ハードルの高い試験であるということだけは私も十分認識しております。  その上に立ちまして、今日はもう一級建築士だけでも三十万人以上いらっしゃると、このようなことも伺っております。そこで、例えば弁護士さんにいたしましても、あるいは公認会計士、税理士、行政書士、いろいろの士の業で、それぞれの、例えば弁護士会に強制加入でありますとか、司法書士会に強制加入しないと事務所を開設してその業を行うことができないと。当然、法人にいたしましても、こういう団体につきましては、たとえ弁護士法人とか司法書士法人とか、そのような法人で、木村建設の別会社と言った方がいいんでしょうかね、平成設計にいたしましても、当初は木村建設の社長の奥さんがあの平成設計の社長をなさっていたようでございますが、資格のない方は弁護士等にいたしましても法人を開設することができないと、このようになっていますが、設計事務所は資格を持っていなくても設計事務所を開設することができるのが今日でございます。  そういうところで、強制加入にしていく、そのことによりまして、先ほどもお話ありましたけど、倫理観を強めたり、あるいはそれぞれの研修やら検定もできますし、あるいはそういうことによって設計士さんの地位向上する。地位向上しますと、当然収入もそれに伴って高くなってくるんではないか。そうしますと、やはり、例えが悪いんですけど、弁護士さんにいたしましても、着手金は幾らですよと、こういう時代になっているわけでございますから、せめて構造なら構造で千平米なら千平米の構造設計をしますよ、だけど最低幾らですよ、一平米幾ら以上ですよと、そういうようなものもやっぱりその会である程度モデルを作ることもできるのではないか。そのことによって、もう一つ施工設計の分離もしやすくなってくるんではないかなというふうに思ったりしております。  そういうことを考えますと、すぐにはできないといたしましても、それぞれ既得権もございますので激変緩和期間は要るでしょう。五年掛かるか十年掛かるかは別といたしまして、仮称ではございますが、建築士の会のようなものを強制加入で行っていくと。そのことが将来へ向けてのより良い施工とそして設計その他の分離、監理もしっかりできるということになるのではないかというふうに思いますので、それについてのまた四名の参考人の先生の御意見を賜りたいというふうに思います。  最後に、簡単に申し上げますが、それこそマンションを買うということは、普通のサラリーマンにとりましては一世一代の大変高い買物をなさるんですね。四千万も五千万もする、そういう高い買物をする。だけど、マンションの場合はほとんど青田買いなんですね。まだ建っていない、しかもモデルルームを見て。そして、モデルルームといいましても一種類しかありませんから、例えば八十戸あればその中で十とか十五とか、いろんな部屋もあれば内容も違うんですね。だけど、一つのモデルルームを参考にして青田買いをすると。大変危険な買物であるわけです。  そこで、瑕疵担保責任がありましても、例えば弱電メーカーとかあるいは自動車メーカーとか、そういうところはメーカー会社、建設では施工会社といった方がいいんですかね、そこがしっかりしているものですから、販売会社がしっかりしてなくたってもクレームが付けばメーカーはみんな補償をなさるんですね。だけど、今回のマンションはそこの施工会社がふらふらしているから、それこそ木村建設がつぶれちゃった、あるいはヒューザーがつぶれちゃった、瑕疵担保責任十年あっても何の役にも立たない、一夜に何千万がゼロになってしまったと、こういう世界になってしまっていますので、せめて青田買いだけは、青田売りですか、青田売りだけはもう禁止をしていく、これぐらい思い切ったことをしてもいいんではないかというような印象を持っております。  それについての御意見を賜りまして、私の質問にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  27. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 小川でございます。  一番目の図面を見れば専門家は分かるのではないかという御質問でございますが、私は分かると思います。あのようにひどいものについては分かると思います。  簡単に言いまして、十階建ての建物があれば、十階と一階を比べれば、一階には約十倍の力が加わるということですから、当然目方も多くなりますし、柱もはりも大きくなって当然なわけでありまして、そのつもりになって見る気があれば、そういう意識があれば分かるはずです。事実、姉歯の件に関しましても、たった一件ではございましたが、横浜の事務所が発見をして自分の下請の構造計算屋に計算をさせたら、こんなものができたら大変だと言うんで、発覚する一年ぐらい前にERIの方に申し出ております。ですから、その事務所についてのものについては何も被害が出てないということがございまして、この辺は法整備をぴっしりさせて、統括建築士にそういう意識を持たせることが必要でしょうし、意識を持たないと技術的な能力も上がりませんので、そういうことだろうと思います。  二つ目の加入義務化でございますが、これは建築士の中で、先ほど申し上げましたように、四分の一ぐらいしか実際には設計とか監理の業に就いてない。一級建築士といいましても建築周辺の技術者の集まりでございまして、設計監理やっているのは四分の一ぐらいということになりますと、義務化とか規制を掛けるのは実際に業をしている人たちだけでいいんだろうというふうに考えております。したがいまして、業をする場合には事務所登録をしますので、事務所登録をした人たちに対して、建築士に対して義務化をしていけば実際の目的は達成できるだろうというふうに考えております。  それから、先ほど先生から御指摘ありました一級建築士の中では分離はしません。全部、五科目全部を受けて、それを受からないと資格が取れません。これはもう施工から構造から意匠から設備から、すべてが入っております。一応建前としては全部ができるんだという建前にはなっております。  それから、マンションの件でございますが、実際には青田売りは禁止すべきだろうということでございますが、現在、偽装されたマンションを見ても、賞に入ったりなんかしてまして、外見からでは分からないわけです。したがいまして、私が考えるのは、不動産の重要事項説明書の中にもっと構造的なものを入れたらどうなんだろうか。例えば、平米当たりの鉄筋量がどのくらいとか、地盤の地質調査図がどういうふうになっていて、それに対して基礎がどうなっているとか、そういうような基本的な構造を重要事項説明の中に入れていくとかなり分かりやすいと思います。とんでもなく違っているものについては分かると思います。  以上でございます。
  28. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) まず、第一番目の姉歯事務所の図面の件ですが、私も二、三見させていただいたところでは、疑念としてはすぐ分かるというふうな感じがします。しかも、当初、最初に偽装を行ったようなやつは、僕の感覚だと指定確認検査機関へ出して注意をされるだろうということを、SOSを出したような感じがしてならないような気がします。  要するに、圧力から逃れるために、これは善意での解釈ですけれども、分かってほしいというふうな幼稚な偽装であったというふうな感じを受けました。そこから後はどんどんどんどんエスカレートして巧妙になっていったというふうな感じはしております。割とそんなに経験がなくても、設計に携わっている人間であると、間違いとは言わないまでも、疑念というふうなものは抱くと思います。  それからもう一つは、団体加入義務化ということですが、団体加入することの必要性はあるというふうに考えております。ただし、建築士事務所としての新しい法人制度と新しい団体がセットで考えるべきであろうというふうに先ほどからも御発言させていただいておりますが、そういうふうな形での加入義務というのは必要であろうというふうに考えております。  あと三点目のマンションの青田売りの件ですが、よく見ていますと、やっぱり余りにも早いなというふうな感じはしております。重要事項の説明云々については、やはり契約をする段階になってから出てくるようなものですので、まず広告に対しての制限をしていくべきではないかと。広告の中でやはり割と親切なものを考えてあげられるというふうなことでいくと、まず一つ保険に入っているよというふうなことの表示というのも一つは必要であろうと。そうであれば、少なくとも瑕疵担保責任の全うはしてくれるんではないかというふうなことはあるんではないかというふうに思います。  ですから、先ほども申しましたように、保険加入促進加入、未加入表示というのはその辺でお話をさせていただいたつもりでおります。  以上です。
  29. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 図面を見れば分かるかと。まあ、分かるものもあるし、やっぱり分からないものも私はあると思います。私の話の中で申し上げましたけれども、計算が正しいかどうかというのと、法律に合っているかどうかというのと、もう一つ、その建物が本当に理屈に合っているのかどうかという三点から見なきゃいけませんので、余りひどいのは多分ぱっと見ただけでおかしいなということが分かるんじゃないかと思いますが、ぱっと見りゃ分かるからといって、建築確認というのはそうそんなに簡単にすりゃいいというふうに誤解されるのは私はむしろ心配でございまして、やはり建築確認というのはしっかり時間を掛けて、できる人がしっかり見るんだという大原則の下で議論をしていただきたいという気がいたします。  それから、二番目の強制加入については、やはり一人で仕事をするんじゃなくて、みんなで監視しながら、お互いに情報を交換しながら研さんしていくという仕組みはいずれにしても必要だと思いますので、それは全体としてあるところに加入することにするのか、あるいはそれぞれの専門分野でもそういうことが必要だと思いますから、是非みんなで監視しながらモラルを上げるというのはやってほしいと思います。  それから、マンションの問題でございますが、結局は、品質の管理に関する法律、品確法なんかもございますが、マンションを買うときに、性能が何らかの形で瑕疵担保も含めて分かるような仕組みをもっともっと充実していくことだと思います。  その中で一番分からないのが耐震安全性とか構造の問題であります。見ても鉄筋が入っているんだかどうだか分かりません。この意味でも必ず構造の図面とか構造計算書というのが閲覧できるようにして、これは一般の方が見ても分かんないでしょうから、構造専門家一緒に見てもらうとか、まあ見てもらえばこれはただというわけにいきませんから多少お金が掛かりますけれども、そういうことを専門家の知恵をかりながら買っていくと。  ぱっと見て、じゅうたんがきれいだから買っちゃおうかとか、広いから買おうとか、こういうことだけではないように、消費者が買えるような仕組み、消費者の方にも勉強していただきたいと思いますが、そういう仕組みも国とか建築界の中でこれからみんなで工夫してつくっていくという形が必要であろうかと思っております。
  30. 片方信也

    参考人片方信也君) 一番目の件ですが、私は雑誌上で図面は拝見をいたしましたが、日常私も実務はやっておりませんけれども、そこの分野にいる者としては判断できるレベルのものだというふうには思いました。  ただ、もう一つの側面がある。それは、認定プログラムに乗せて二通りの計算をするという、そして適と不適のものを、適のものだけを拾って差し替えるという、そういうことであったというふうに報道されております。これを考えますと、やっぱり認定プログラムがある種の、隠れみのという言い方がいいかどうかちょっと分かりませんが、それを過信するということによって、実際に行われた差し替えのような行為も含めて見逃されたということについては、やっぱり別の問題があるだろうというふうに思っております。そういう印象を受けました。  それから二つ目は、強制加入義務付けということですが、これはそれぞれの団体の決まり等もあるでしょうし、それから建築士自身の自主性もあることですので、そういうことを考えますと、義務付けがすべて良しというふうには言えない面があるというふうに考えております。  やはり、例えば、実際には規定上定められている設計料率に従って収入を得ることができないという、そういう状況が蔓延しておりますから、その事態をやっぱりどういうふうに改善するかということと、それから働きがい、その仕事を通して自分役割認識する、そういう職能意識といいますか、そういうものとはやっぱり深くつながっておりますので、やはり、そういう決められた料率よりもずっと低い設計料しか手にすることができないという状態は即刻なくすべきであるというふうに思っております。  それから、青田売りですね。青田売りという言い方は、主としてマンションの供給が過激化したときにといいますか、市場競争が激化したときに使われ出した言葉だと認識しております。ですから、そういう市場競争をあおるような意味での青田売りということの御指摘でしょうから、それは即刻やはり禁止すべきであるというふうに思います。ただ、購買する人に、住む人に、その人の求めに応じて必要な情報を提供するということは、これは大事なことですので、それはそれとしての仕組みを考えるという、それは義務付けというふうに言ってもいいかもしれませんが、そういう方向で検討すべきではないかというふうに思っております。
  31. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ありがとうございました。
  32. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  本日は、四人の先生方、大変にお忙しいところ、ありがとうございました。  まず、小川参考人にお聞きしたいと思います。先生はこのペーパーの中でも管理建築士につきまして病院長並み管理責任をという御提言をされておられまして、ほかのところでも同じような御提言されておられることは承知しております。  そこで、設計という行為と医療行為というものを比べたときに、例えばお医者さんが手術をする場合に、どういうメスを使うかとか、どういうやり方で手術するかというのは、これはそれぞれお医者さんが決めて、それによってコストも決まってくるということだと思うんですね。それは決して法律で決めているわけではないと。こういうやり方をやらなきゃいけないというのは事細かには決まっておりません。  設計という行為も、正に人の安全、命を預かるという意味では似ているようなところもありますので恐らくこういう比喩を使っておられるんだと思うんですけれども、設計行為ということにつきましては、かなり今回の改正案におきましても事細かに、構造耐力のところなんか特に大幅にボリュームアップしているような改正案にもなっているわけであります。  そこで、お聞きしたいんですけれども、今回の改正案で、方向としてはかなりそういう設計行為そのものをより厳しく規制していくということになると思うんですけど、そういう方向によって偽装をより防ぐことができるのか、また見抜くことができるようになる改正案になっているのかどうかという評価についてお聞きしたいと思います。
  33. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 今回出ていますのは、まず確認検査の厳格化、これもチェック一つでございまして、建築設計監理の場合には、まず設計事務所設計をやるわけですが、その中で構造構造専門の人がやります、設備は設備専門の人がやります、意匠は意匠専門の人がやる、それを全体で統括する責任者が全体の調整を取りながらやっていくわけです。この中で、その統括者がちゃんとしたものかどうかというチェック事務所の中でされているわけです。たまたま、先ほど申しました一社出たというのはその中でのチェックで分かったわけです。  それから、設計が終わりますと、今度は建築確認の方へ参ります。ここでもまたチェックがされるわけです。  それから、それが終わって、建設会社へ今度施工に入っていくわけですが、建設会社の中でも、ふだん数多く同じようなものをやっていれば、大体、歩掛かりと言いますけど、坪当たり鉄の鋼材量は幾らだとかコンクリート量は幾らだとか、そういうものを積算の段階でチェックをしていますし、実際に購入して施工をやっているわけですから、ここでもこれはどうかというのは分かるわけです。  また、設計監理の中で、監理者が見に行った段階で、通常的にこの程度のものというのは感覚として持っていますので、その中でも、これでいいのかということは、疑念がわいてくればチェックができるわけです。  そのように、建築設計監理というのは四重、五重のチェックがあるんですけれども、今回何もそのチェックが働かなかったというのが問題なわけでして、チェックをいかに有効に生かしていくかというのが今後については非常に重要な点だろうというふうに考えておるところでございます。
  34. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。  岡田先生にお聞きしたいんですけれども、いただいたペーパーにもございますが、建築確認が実際には許可のようになっているんじゃないかというように御指摘されていますね、このインタビューの中で。戦前の警察行政の下での市街地構造物法においては正に許可だったわけでありますけれども、戦後、GHQによって建築基準法ができて、民主化されることによってそれが建築確認になってきた。しかし、実際には、建築確認さえ通せば、工事現場でいろんな疑問を、今回の事件でもそうでしたけれども、疑問を実際に施工業者が感じたとしても、あるいは実際に働いている人が感じたとしても、建築確認通っているんだからということで何も顧みられることもなかった。という意味では検査自体も形骸化しているんじゃないかと。それだけ建築確認が非常に金科玉条のごとく扱われているんじゃないかという問題点も私はここで先生が言外に含まれているんではないかというふうに思うんですね。  建築確認が許可のように扱われているというこの現状につきまして、どういう問題点があるというふうにお考えでしょうか。
  35. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 私がそこで申し上げましたのは、建築確認が許可になっているというよりは、エンドユーザーとしての消費者が、建築確認を出すときは、もう建築確認通れば、今おっしゃったように、それを許可だと言うかどうかは別にして、そうすると、これは耐震安全性も十分見ていただいたんだという期待を持って出しているんだということを申し上げたかったんです。ですから、見る方も、やはりこれは単に法律に合っているんだとか計算が正しいんだということではなくて、やはり多少裁量性を持たして、これはいい建築なんだかどうだかということも含めて少し踏み込んでもいいのではないかというふうなことを私は申し上げたんでございます。  おっしゃるように、通ってしまえばもう後はどうでもいいじゃないかという風潮がまかり通っているんだとすると、これは決して僕はいい建築は生産できていないと思いますし、そうすべきではないと思います。
  36. 西田実仁

    ○西田実仁君 あわせて、先生は、人の問題、人の養成の問題を指摘されております。私もそのとおりだろうというふうに思うんですね。特に、具体的に、先生が講師もお務めになっておられる国土交通大学校におきましても、建築主事の皆さんへのこうした構造の研修という枠がございますが、非常にまだまだ足りないんじゃないかと、私はそういう問題意識を持っておりますが、先生、その点はいかがでございましょうか。
  37. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 構造だけじゃなくて、建築もほかの分野も全く同じだと思いますけれども、最近の建築技術とか学問とか、そういったものの進歩は大変激しいものがございまして、目覚ましいものがございますので、常に新しいものに付いていく努力を、これは造る側も審査する側もしない限りいいものはできないと思います。  先ほどからお医者さんの話がよくいろんな面で出ますが、よく私なんかも感じますのは、医学の先生方、いろんな研修会によく出られておりますですね。病院に行ったときに、学会と書かれて主治医の先生がいらっしゃらなくてがっかりすることがございますけれども、やっぱりよく勉強されていると思います。私は、常々、学生や一般の技術者方々にも、建築をやっている者もああいうことを見習ってもっと勉強しようじゃないかということを申し上げているわけでございまして、今お話にありました国土交通大学校、昔は建築大学校と言っておりましたが、主として行政方々の大体係長クラスぐらいになられた方の研修の制度でございますが、私も二十年ほど時々講義に行かしていただいておりますから、ああいう制度是非続けていただきたい。  その中で感じますのは、昔は半年とか一年ぐらい合宿して物すごい集中的な研修がされていたんですけど、だんだん現場技術者、地方の自治体の方が多いんでございますが、そんなに、人が足りなくなって半年も空けられてもらっちゃ困るとかいうことで、コースが一週間になったり二週間になったり、だんだん短くなっているんで、やはりそういうもの、人を育てるのは時間が掛かりますので、是非そういうことを、役所の人もそうですし、民間方々の研修というのも、今いろんな団体でも行われておりますが、もっともっと僕は高めていただきたいなと。結局は組織を動かす、制度を動かすのはもう人だというふうに確信いたしております。
  38. 西田実仁

    ○西田実仁君 尾竹先生にお聞きしたいと思います。  特にノンリコースローン実現化、私もこれ大変大事だというふうに思っておりまして、先日、委員会でも別の法案でございましたけれども指摘さしていただきました。  ここで先生にお聞きしたいのは、このノンリコースローン実現化することで建物健全化が進むんだというように言われました。そういう多分展開もあるんでしょうけれども、現実にはノンリコースローンないわけで、その関係ですね、どっちが原因でどっちが結果なのかという。建物健全化を進めることによって金融機関はノンリコース化をしやすくなるのか、それとも、やっぱりまずノンリコース化というのを何とか、難しいですけれどもやった方がいいのか、ちょっとこれはどっちもどっちかもしれませんが、是非お聞きしたいと思います。
  39. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) 最近、ノンリコースローンを適用したマンションの売買というものの広告を見ました。ですから、全くないというふうなことではないと思うんですけれども、やはりどっちが先かということと、今のマンション等についての担保価値が要望どおりにないんだろうというのが現実だと思います。  要するに、頭金なしで今マンションが買えるというふうなことが、当然今の状態でいけば六割とか五割とかになってしまう危険性があると。そうなると、それ以上の自己負担を持っている人じゃなければ売れないという結果になると思うんですけれども、本来、建物が長く健全であるためには、やはり途中でのリフォームだとか維持管理が必要になってくる。要するにノンリコースローンの幅がずっと来ていると、いわゆる返済が終わっていけばその後また借入れができて、基本的には修繕がしていけるというふうなことのメリットもあります。  ですから、私も幾つかの損保会社だとか銀行に声を掛けたことありますけれども、どこかが一個やってくれればやりますよと。だから、そのどこかが一個というのは何なのかなというふうな感じはするんですけれども、ですから、一つは、国家機関でお金を貸出しをしているようなところとか、それから、いわゆる質を上げるためには、一緒にお話ししましたように、住宅性能表示制度とかいわゆる住宅性能保証制度なんかも含めて検討して、健全な建物を造っていくことでノンリコースローンを普及を図るというふうなことを考えられた方がいいのかなというふうな気はしております。
  40. 西田実仁

    ○西田実仁君 片方先生にお聞きしたいと思います。  これ、ずっと意見陳述をお聞かせいただきますと、やっぱり諸悪の根元は民間開放であると、この確認検査機関の。という多分トーンがずっと貫かれておられるんだというように思うんですが、実際にその偽装を見抜けなかったという点では特定行政庁の中でも同じように、民間だけではなかったわけですが、これ、先生の御意見によりますと、やはりそうすると、特定行政庁建築主事も見抜けなかったのは、弱体化したのは民間開放したからだと、こういうことに多分なるのかなというふうに思います。  となると、じゃこれを直すには今のこの改正案ではなくて、また元に戻すというか、ということが一番いいという御意見になるんでしょうか。それをちょっと確認しておきたいと思います。
  41. 片方信也

    参考人片方信也君) 御指摘の点は九八年のときにも申し上げていたことですので、やっぱり基本的には建築行政というのは公の事務であるべきであるというふうに思います。  その原則を貫くということを明確にした上で、現実の民間機関等も含めた検査機関の位置付けをし直すという方向が実際には具体的な方向だろうというふうに思っておりますが、望ましい方向は特定行政庁確認業務というものを掌握するという方向がいいとは思っております。
  42. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日は、参考人の皆さん、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。  私、まず、小川参考人尾竹参考人にお伺いしたいというふうに思います。  建物の安全を確保するという点では、設計施工監理における建築士方々役割はやっぱり重大だと思います。今回の事件によりまして、建築士の社会的責務というのが大変問題になっておるわけでございますけれども、今回の改正案でも違法な点について罰則強化するというふうになっております。その点は大事なことなんだろうとは思いますけれども、ただそれだけでいいのかというふうにとらえなくてはならないと思うんですね。  そこで、例えば建築士職業倫理欠如だとか責任感の低下とかいう、そういう問題だけじゃなくって、そこの背景の問題、建設業界における多くの建築士が自律的に判断、指導できる実情にないということもやっぱり目を向けなくてはいけないというふうに私どもは思います。  元々、私どもは、建築士の独立した機能といいますのは厳密には保障されていないということで、建築士の置かれている実情是正こそ必要だということも主張してきておりました。  そこで、お伺いしたいんですけれども、お二人は建築士ということでございますので、建築士、社会的役割を発揮できない、そういった背景について、御存じの事例とか実例とかありましたら御紹介いただけるでしょうか。
  43. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 社会的背景、非常に難しい問題だと思います。  ここのところで非常にきつくなっているのは、仕事量がバブルのころから見ますと半減しているというのが現状だろうと思います。その中で、公共の仕事にしても何にしましても、入札で非常な、何というか、価格破壊が行われて、もう常識では考えられないような値段で落札されているという現状があると思います。  この辺の歯止めを考えませんと、建築設計事務所というのは、経営していく場合に人件費ですから、仕事をしていなくても人件費が掛かってしまうという現状があります。そうしますと、たとえ半分であってもゼロよりは入った方がいいというのが実情でございまして、この辺の中で単に競争、競争というだけでは問題がどんどん広がっていくということがあるだろうと思います。  ですから、最低制限価格を設けるとか、それから、設計というのは元々入札にはなじまないというふうに考えておりますが、最終の形がないわけですから、最終の形のないものを値段だけで決めるということ自体にも問題があるというふうには思っています。その辺を考えながら良くしていくような方法でやりませんと、このまま単に競争、競争でやっていたんでは事務所が相当淘汰をされて、数が適正になるまでは非常にきつい状態がこのまま続くんだろうというふうに考えておりまして、これは何とかしたいなというふうに思っています。  確かに、昨年、公共建築の品確法というのが出まして、それなども早く適用をしていただいて、適正な価格で設計の受注ができるようなことを考えていただけたらというふうに考えております。
  44. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) 罰則よりもある程度あめ玉が欲しいというのが我々設計事務所としたらばやはり当然なことだと思います。あめ玉というよりも、ちゃんとした形でやはり身分の保障と独立性確保するような設計料が欲しいというふうな形になっていくわけですけれども。  まず、設計事務所の数の中で、直接オーナーさん、いわゆる施主から仕事をもらっている設計事務所というのはかなり少ないだろうというふうに思われます。ですから、本来、建築士事務所業務というのは施主の代理人である、要するに業務の委託契約なんですね。ですから、それに基づいて考えれば、本来、その業務の委託を代理人として力を発揮できる仕事をちゃんと請け負える環境をつくるというふうなことが重要であろうというふうに思います。  現実的に我々が仕事をやっている中で、当然設計を我々がしていくわけですけれども、ゼネコンがやはり営業に来ます。そうすると、まず設計のお手伝いをさせてくださいという話が結構出てきます。まず設計のお手伝いをさせてもらうということは、既得権として工事が取れるというふうな問題と、いわゆる施工のしやすい設計ができるというメリットも、二つあるというふうには考えるんですけれども、その辺のところでやはりいわゆる設計料の少なさも含めていろいろとそういう働き掛けが出てくる事例はあります。  ですから、基本的には独立性を高められるような組織づくりも含めて進めていくことが必要だろうというふうには考えますし、あとはやはりプライドを持ち続けられるかというふうなところに限られてきてしまうのかなというふうな気はしております。
  45. 小林美恵子

    小林美恵子君 やはり独立性を高める、そこがやっぱり重要なんだということでございますね。  それで、次に片方参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今回の事件といいますのは、結局、やっぱり建築確認検査、ここが根本的に問われているのではないかというふうに私は思いますけれども、先生の今の御意見の中でも、建築行政で行われてきた規制緩和について大変御意見をいただきまして、私も同感だなというふうに思っておるところでございます。  それで、先生、九八年の建築基準法の審議の際にも、建築確認検査業務民間開放は市場競争が優先し、本来期待されるべき建築確認業務役割が変質させられるといった御趣旨の問題も指摘されておられました。  そこで、改めてお伺いしたいと思いますけれども、建築物といいますのは一般的な耐久消費財ではない、建築確認検査業務というのは公的性格が本当に重要だというふうに思いますけど、この公的性格についての御意見をお伺いしたいと思います。
  46. 片方信也

    参考人片方信也君) この偽装問題について、先ほど紹介した別のシンポジウムがやはり京都でありました。これは科学者関係の団体のシンポジウムだったんですが、そのときにこういう質問を受けた記憶があります。  建築というのは耐久消費財と比べてみるとどうなのかというようなことと関連して、その検査については車検のような方法でいいのではないかという考えもあるのではないかというような御指摘がありました。  その問題とちょっと関連があると思いますので、車は純然たる今は商品としては流通しております。どこでも走れる、地球上なら言ってみればどこでも走れるわけですけれども、建物というのは、御承知のように、特定の土地と必ず結び付いて機能を発揮するというものでございます。これは、私どもが提起させていただいた建築法の考え方の中にも二項めのところに盛り込んでおりますけれども、そういう特徴を持っています。土地に結び付いて機能するということは当然のことですが、それを利用する人、住む人に役立つということと同時に、その周辺の言わばまちづくり、まちづくりの一角を担うことになります。空間を占めると言ってもいいんですが、少し難しく表現がなってしまいますけれども、そういうことがございます。その意味で、単に建築物は、住む人、使う人にとって機能すると同時に、周りにとっても大切な役割がありますので、その意味で元々公共的な性格を持っている、そういう存在物であるという認識が成り立つのではないかというふうに思っております。  したがって、その成り行きをコントロールする、これは規制をするという意味合いだけではなくて、いいものを造り出していくということは、これは公共の利益であります。その公共の利益を実現するためには、これは公共の利益を行う業務それ自体を営利活動とするということには元々なじまないという性格を持っていると考えるべきではないかというのが一般の耐久消費財と住宅とかいった建築物の基本的な違いであり、またそれへの規制の考え方の違いにもなるということの説明であります。  以上です。
  47. 小林美恵子

    小林美恵子君 極めて公共的な性格のものであるというお話でございましたけれども、そういう公共的なもの、建築確認検査業務に関しまして、いわゆる営利企業の指定確認検査機関に開放したということは大変重大ではないかと私は思いますけれども、こういう営利企業の指定確認検査機関で果たして安全が担保されていくのか。また、地域のまちづくりにかかわる条例や集団規定の指導、調整も含めてしっかりと行われていないなどの問題が生じていますけれども、こういうことも含めて、こういう民間の機関に期待ができるのかというふうに思うんでございますけれども、こうした民間開放をしてきたことにつきまして、この間、あの事件発覚してから幾度も審議をしてきましたけれども、政府大臣の答弁は間違いがない、間違いがないという御答弁がずっと繰り返されておるわけでございますけれども、私はここの本質をしっかりと顧みなければ、見直さなければ抜本的な見直しにならないというふうに思うわけでございますけれども、この指定確認検査機関問題について、改めて尾竹参考人片方参考人に最後にお伺いしたいと思います。
  48. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) 私も民間指定確認機関公正中立を保つことの無理というのは非常にあるというふうに考えております。ですから、そういうふうな意味では、今のまま確認申請を指定確認機関で受け付けるというのは僕はどうかなというふうに考えております。やはり確認業務自体は私は行政に帰属する問題だというふうに考えていますので、ですから、そういうふうな意味では行政のお手伝いをするというふうな形での、ある意味では外注組織みたいな形になっちゃうのかもしれないですけれども、そういった使われ方というのはあるんではないかなというふうな気はしますけれども、まず最初に民間に開放されたことが起きた時点で我々はちょっとびっくりしたというのが正直なところです。実際、うちの事務所でも、行政に出しているのと民間確認機関に出しているのと半々ぐらいの比率になっています。行政に出しているものもありますし民間に出しているものもあります。  それと、我々の中でのうわさの中では、民間で出したときには、先ほど片方先生が安くて早いというふうな話はあったですけれども、高くても早いというのが現実なんです。ですから、そういうふうな意味では、早く下ろすときには高くても民間に出すというふうなのは割と通性になっています。それと、実際こういう事件が起きる前に、幾つかの検査機関、今回話題にのっていた検査機関に出せば早いぞというふうなうわさは実際私どものところでもありました。  ですから、そういうふうな意味では、やはり統一性を考えることも含めて、私は今のままの状態で民間確認検査機関があること自体は不自然だというふうに考えております。
  49. 片方信也

    参考人片方信也君) 二つの点を申し上げたいと思います。  一つは、民間指定確認検査機関の中立公正性への担保が可能なのかどうかという点ですが、残念ながらやっぱり現状ではそれは、その可能性はないというふうに判断せざるを得ません。  私は、そもそも建築確認業務、単体規定によるチェック、集団規定によるチェックということがございますが、この二つというのはそれぞれ二本柱であると同時に、建物でいえば一つ構造を支える大事な二つの柱です。ですからそれを、そのような観点に立てば、それはいつでも必ずどこかできちんと統合されている必要があるということですね。したがって、例えば民間確認検査機関の場合は地域になかなか詳しくない、地域の実情に詳しくない。場合によっては当該の建物の申請が周辺住民にいろいろな影響を与えるのでクレームが出る場合も結構起こる。そのときに、そのクレームの持っていき場所に住民の方々が右往左往するという場合も生じるほど、この指定確認機関方々が地域の実情に即した、そういう確認業務を行っているかということについては大変疑問の多いところです。それはやはり建築確認というものを、二つの柱を総合的に行うということが抜けているからであるというふうに思いますので、そこの原点を見据えるということが第一点です。  もう一つは、それは一体どこができるのかという問題です。そのようなことができるのはやはり私は地域を支えている、同時に地域の人々のために働かなければならない自治体の業務だろうというふうに思います。とりわけ、建築業務がこの間弱体化してまいりましたから、その弱体化した建築業務をどう強化するか、専門のスタッフをどのように強化するかという方針を明確に国としても立てまして、そして自治体の建築行政の立て直しに貢献するということが今強く求められているというふうに思います。
  50. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございました。
  51. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  参考人方々、私が最後でございますので、もうしばらく。本日は御苦労さまでございました。  まずは小川参考人にお伺いをいたしますが、先ほどの意見陳述の中にもございましたが、団体加入義務付けの問題について問題を提起されておりますけれども、建築士だけでは百万超えるんですかね、おられるのに、非常に組織率が少ないというのを連合会の会長としてどのようにお考え、なぜそのように連合会に参加をしてくることが少ないのか。先ほどの説明では、例えば罰則強化だとか消費者の保護だとか情報開示だとかといろんなことを言われましたが、もし連合会に参加をしておればこのような姉歯事件みたいなことは起きない、そういうのをやはり保証するのが連合会だというふうに理解をしていいのかどうかが一つと、それから、なぜ組織者が少ないのかというのをお答えいただきたいと思います。
  52. 小川圭一

    参考人小川圭一君) 組織率が百万人といいますが、頭から数えて百万人になっておりまして、相当亡くなっている方もおりますし、それから建築以外をやっている方もいまして、現在ですと一級建築士だと二十五万ぐらいだろうというふうに言われています。その中の設計監理をしている人が仮に二割とすれば五万人ぐらい、二割五分として六万ちょっとというようなのが実情だろうと思います。事務所登録が現在十三万ちょっとだというふうに思いますが、その中でも実際に動いている事務所がどのぐらいかというのになりますと、半分なのか六掛けなのか、この辺もはっきりしませんけれども、いずれにしても割合としては非常に少なくなると思います。  したがいまして、組織率、今十何%ですが、実際にはその倍くらいになっているのかなというふうには思っております。リタイアした人が、何か仕事でも引っ掛かればいいというようなことで登録をしたり、それからまた、大きいメーカーなんかですと全国各地でやっていますので、一つの会社が幾つも登録しているというようなことで数が増えているという実情があります。サラリーマンをやりながら事務所登録をしている人もいますし、うまくいけばアルバイトで仕事できればというようなこともございます。そういう問題が組織率が低いというのの一つの要件、あると思います。  それからもう一つは、建築士会それから建築協会事務所協会というふうに会が分かれていまして、かなり重なり合ったようなことをしていますので、どっかに入っていれば何とかなるというんで、そこでばらけているということも一つ原因があると思います。  もう一つの、何でしたか、再発防止ですね。再発防止は、やはり事務所加入をして、例えばモラルの意識とかそういうものというのはびっしりとやっていかないと、野にいて一人で単に仕事の中へくるまっていたんでは、なかなかそんな余裕もなくなりますし、情報も入りませんし、なおかつ非常に法律が変わったり技術が変わったりというのが頻繁でございますので、中に入ってやってないと非常に変な道へ入っていってしまうと。情報も入ってこない。仲間内の情報交換というのも相当大きなことだと思いますし、それから義務化になれば、それの義務を、辞めさせられることによって業ができなくなりますから、これも非常に大きなペナルティーになって抑止の効果があると思います。保証というわけにはいかないと思いすけれども、よりいい方向に前進するだろうというふうに思います。  そういうものを重ね合わせて、チェック機能を重ね合わして抑止をしていくというような方法なのかなというふうに考えております。
  53. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、尾竹参考人にお伺いをいたしますが、先ほど問題を提起をされました中に、地位向上独立性確保と。前回のときも環境問題について常に消費者の立場から御発言いただいたと思いますし、やはりこの独立性確保というのは今の建築士にとって最も大事なことではないか。今回の姉歯事件を考えてみると、そこら辺りの欠如というところがやっぱりこういう事件を発生をさしたのではないかというふうに思います。そして、それはやはり消費者の立場、同時に消費者の利益や権利をきちっと守るというのが建築士側の問題意識でなくてはならないと私は考えておりますが、その点の認識はいかがでございましょうか。  二つ目の問題として、五点目に言われましたいわゆる元請、ゼネコンの責任の問題について、丸投げの問題についてお伺いをいたしますが、結局、建築するときは、施工というのは大手ゼネコンの名前がばんと出て売りに出していくと。その大手ゼネコンを信用して消費者は買っていくと。しかし、実際に建築仕事をしていくところは下請の業者で違うというようなことがあるわけでございまして、そこは少し、どのように私どもは考えればいいのか。やはり下請制度問題そのものをもう少しきちっと今回の場合は丸投げ問題を含めて考えていかなくてはならないと思うんでありますが、その点、いかがでございましょうか。
  54. 尾竹一男

    参考人尾竹一男君) まず一つは、建築士というか建築家の地位向上というふうな形で言っているときに、私の事務所は株式会社等の法人にあえてしておりません。個人事務所にしております。というのは、これは自分に対しての戒めもあるんですけども、個人責任を全うするというふうなことを常に自分に言い聞かせるために、税務署は逆に言えばなぜ法人にしないという言い方をうちの検査に来たときに言いますが、あえてそれはしないんだというふうなつもりで私は設計事務所の運営をしております。  それと、あとは、一つは今言ったような法人をどうするかという制度の問題と、いわゆる独立性も含めて地位向上の中では、やはり新しい団体、組織、要するに今既存にある団体、組織には私は一切入っておりません。それは理由がございます。ある意味では魅力がないというふうな点がまず、一言で言ってしまえばそれまでなんですけれども。ですから、そういった新しい団体、それは先ほども申しましたように建築士事務所の法人化の制度と一体とした、ある意味では弁護士公認会計士等の組織と準ずるような団体のつくり方というのが必要ではないかというふうに考えております。  それと、ゼネコンの一括下請の件ですが、一つは、やはり我々がやっているものでも、本来、ここの大手ゼネコンに頼んだのに、大手ゼネコンの制服を着て実際違う会社の人間が来ているというふうなことはあります。ですから、そういうふうな意味では、そこの中でいかに責任取っていくかというふうな問題が明確にされてない。  ですから、請負契約書の中でもあくまでも元請建設会社の書面なんですね。ですから、そうであるんならば、建築士もそこにかかわった者の名義、名前を明記しろというんであれば、大手ゼネコンであっても、取引関係のある下請ゼネコン、若しくはそういったところにかかわる、監理にかかわる人間たちの明記も、やはり同じように今回の改正案の中に盛り込むべきであるんではないかというふうには考えます。  それと、今回の偽装事件自体の中でやはり図面が偽装されて施工されましたけれども、実際、建物まで、図面どころではなくて、それ以上に瑕疵なり偽装が見付かっているというふうな話も聞きます。  そうしていったときに、今までの状況の中では、建設会社に対してのいろいろな検討というのは、木村建設のことはあるかもしれませんけれども、そういった意味でほかの、設計事務所でいけば元請の設計事務所の証人喚問等も含めてありましたけれども、そういった御検討がどうもなされてないのかなと。それは、まだその辺の検査結果が明確になってないからこれからの問題なんだというふうなことで私は期待をしているんですけれども、やはり同じように、建設会社に対しても、設計事務所、要するに建築士と同じような検討をしていくべきではないかというふうに考えております。
  55. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ありがとうございました。  次に、岡田参考人にお伺いをいたしますが、今回の事件を考えてみますと、やはり建築確認業務というところが大きな一つのポイントであったろうと私は思っておりますが、これだけ多くの物件を年間に検査をしなければならないという、人手の問題、費用の問題ありますが、やはりここの制度のところを私は見直していくべきではないかというふうに思うんですが、その点、先生、いかがお考えでしょうか。
  56. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 今回の改正案にも出ておりますけれども、基本はやはり、私、申し上げましたように、ある程度人手を掛けないと、時間を掛けないと無理だと思います。世の中の要求は早くさっと見てくれという、気持ちは分からないでもありませんけれども、本当に建築設計、複雑でございますので、特に安全性の問題というのはなかなか分かりにくい。先ほど、図面ぱっと見れば分かるやというすごい方もいらっしゃるし、すごいのもある。本当にすごいのはもうどうしようもないと思いますが、やはり本当のところは時間を掛けてしっかり見ないと分からないと思います。  私も今回に関係して少し私の協会で幾つか再計算したり見せてもらいましたけれども、まあ一目で分かる、怪しいなと思うのがないわけじゃありませんけれども、やっぱり本当のところはしっかり見ないと分かりませんし、仮にちょっと変だと思っても、人のやったものを中も見ないでおかしいというのはなかなか言い切れませんから、これはやはり建築確認のところで確認検査の方にしっかり見ていただき、特にちょっと変だと思うのは時間を掛けてやるしか僕はないんだろうと思います。  時間を掛けるというのは当然お金が掛かることでございますから、やはり安全はただじゃもう買えないということを御認識いただいて、もちろん、その中でできるだけ早くする方法を考えなきゃいけませんから、それで考え付いたのが、限られたものについては再計算しようという、これは大胆な、思い切った方策だと思いますけれども、そういったことを考えながらも、やはり時間が掛かるんだと、もう見ても分かりませんからという前提で時間を掛けて僕はやっていくしかないので、ゆっくり、しっかりという見方をする方策をもうみんなで考えるしかないと思います。
  57. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ありがとうございました。  では、最後に片方参考人の方にお伺いをいたしますが、建築士の資格制度の問題について、このような事件が起きた場合、資格制度の在り方の問題もやはり検討すべきではないかというふうに私自身考えますが、やはり再点検をし直して、資格問題について再考すべきではないかと考えるんですが、先生はいかがでございましょうか。
  58. 片方信也

    参考人片方信也君) その問題につきましては、アンケートの結果、紹介いたしましたように、非常に意見が分かれているという状況があります。専門分化が進んできたというのはこの建築業界の、あるいは建築設計を含めたそういう生産体制全体の傾向であり、一種の到達であるというふうに思いますが、同時に、ますます建築というものをやっぱり総合、トータルに把握しなければいけないという必要性がその一方で高まってきているというふうに思いますね。  そういうことでいいますと、単純に意匠、構造、設備等に専門分化するというその方向は多分望ましい方向ではないんじゃないかというふうに思います。仮にそうだとすれば、もう一度それを総合するような職の分野を作らなきゃいけないというような奇妙なことになりますから、元々やっぱり建築という仕事はトータルに考えるという、そういうことでありますので、単純に分ければよいということでもありませんし、どうあるべきかということについてはこれから議論をしていく必要があるというふうには思っておりますが、この方向はよいというふうに、私、今特定の意見は、アンケートの結果を見て、持ち合わしておりませんので、その紹介だけにとどめておきます。
  59. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  60. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼申し上げさせていただきます。  参考人方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。今後、皆様方の御意見委員会の審議の中で十分に活用していきたいと存じます。  委員会代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  61. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会法務省民事局長寺田逸郎君、文部科学大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君、国土交通省総合政策局長竹歳誠君及び国土交通省住宅局長山本繁太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  63. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 中島眞人

    ○中島眞人君 自民党の中島眞人でございます。  私、今回出されている法案の条文等についてはかなりの方々から質問がされております。それで、私は、やっぱりこれらの問題の社会的に起こっている現象面から、まず国土交通省はどのように受け止めているかというふうな問題をお聞きをしていきたいと、こんなふうに思います。  姉歯元建築士が関与した物件のうち、九十八物件については偽装が判明していると。そしてまた、姉歯氏が関与していない物件についても北海道や福岡県において偽装確認されて、問題は広がりを見せる一方であります。そして、一番やっぱり信頼されるべきであろう独立行政法人である都市再生機構が八王子に造ったマンションが耐震強度が欠けているという問題までもついに出てきた。こういう問題の一つの流れをどのように今、国土交通省としては受け止めているのか、まずその辺からお聞きしたいと思います。
  65. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、今御指摘いただきました都市再生機構の八王子の分譲住宅の件でございますが、都市再生機構の前身でございます住宅・都市整備公団が分譲いたしました住宅において瑕疵が発生いたしましたことは誠に遺憾でございます。多くの居住者の方々に御不便や御迷惑をお掛けしている現在の状況を一刻も早く解消する必要があると認識しております。本来、都市再生機構において保存しておくべきであった構造計算書を紛失したこと、それから紛失した構造計算書の再計算に当たってもミスが重なったということで、誠に遺憾なことだと考えております。  国土交通省としましては、この機構に対する信頼を回復して、問題を早期に解決するということを強く求めるとともに、この具体の案件につきましては、機構の行った設計につきまして第三者の審査、機構の計算書の復元、それから改修計画の立案について第三者の判断を仰ぐということを含めて、具体的な方策をきちんと検討するように要請したところでございます。
  66. 中島眞人

    ○中島眞人君 いや、姉歯建築士の問題でこの日本全体が大きな激震が走ったと思ったら、いわゆる公的な、国が関与している、国が直接なら信頼できると言われる独立行政法人の、これが造ったマンションまでも、いわゆる偽装とは言わないにしてもこれはミスがあったということは、これはだれを信頼していいのか、そういう国民の気持ちは日に日に私は募っているだろうと思うんです。  そこで、午前中、参考人からのお話を聞いていると、私は、今日国土交通省がここに出された法案を通したからといって、言うなればこのような事件が絶滅できるとは信じ難い、そんな感じを実はいたしているんです。はっきり言って、余りにも建築業界を取り巻く情勢というのは価格破壊が進み過ぎている、そして、例えば入札九八%、九五%、これは確かにおかしいでしょう。この点を談合だ談合だと、談合もあったんでしょう。ところが、私の山梨県辺りの状況を見ると、大手ゼネコンが来て六〇%、六五%で、まあ言うなれば、一般流に言えばたたいて落札している。そのときに、設計業者に対しても、県はしかるべき形で公正に設計業者に契約をして、設計に対する金額が出ている。六五%、六〇%になったとき、県としても、あるいは国、公共機関にしても、これではできないと、赤字になるのが当たり前だと。さらに、その六〇、六五%で取った工事を今度は地元の下請業者にこれを投げていく。だから、山梨県でも起こっているのは、いわゆる橋脚の部分へ本来はコンクリートを入れなきゃならなかったのを石ころを入れたと。最近はいい情報がすぐに流れてきますから、早速情報が入って、それを調べてみたら、確かにそのとおりコンクリでなくて石だったと。  私は、この建築基準法の条文を一つ一ついわゆる大学の講義を聞くような気持ちで聞いておったんですけれども、現実問題としてはコストが削減、言うなれば経済設計、経済施工とは言うけれども、言うなれば手抜き工事をある面では黙認しているんではないか。例えば、設計業者に出した金額と六〇%、六五%で出てきた金額というのは分かるわけですから、役所はこれは適切な値段ではないと。しかし、マスコミはそういう状況を見て、例えば十億でできるものを六億でできたからそれだけ税金が四億もうかったと、こういう論調の方へ何か流れが向いていて、そういうことに対して毅然たる、いわゆる県がつくった、国がつくった工事というものは、言うなれば責任を持った優良工事、安心、安全な建物であると。  そういうことに対する自信、勇気というものが私は国土交通省並びにいわゆる公共機関に欠けているんではないのかというふうに私は思うんですけれども、反省してみていかがですか。
  67. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のように、公共投資が激減する中で競争は大変激しくなっております。国土交通省発注工事の入札におきましても、この低入札調査対象となる入札が急激に増加しております。数字で申し上げますと、平成十六年度は約五百件でございましたけれども、平成十七年度には千件と二倍になっております。同じような状況は、地方自治体発注工事についても増加傾向にあるものでございます。  今御指摘ございましたように、いわゆるダンピング受注につきましては、工事の手抜き、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすく、公共工事の品質確保という問題だけではなくて、建設産業の健全な発展という観点からも排除すべきものと考えているわけです。  このため、毅然と取り組めというお話でございましたけれども、国土交通省では、従来実施していた対策に加えまして、主に大規模工事を中心として重点的なダンピング対策を四月十四日に取りまとめたところでございます。今後は、こういう対策を都道府県等関係機関とも連携して強力に推進して、問題があった場合には、建設業法に基づく措置とか指名停止を行うなど厳正に対処していきたいと考えているわけでございます。  また、昨年四月から施行されました公共工事の品質確保促進に関する法律に基づきまして、価格だけでない、価格以外の要素も考慮した総合評価方式の普及拡大ということがダンピングの防止という点からも非常に重要であると考えておりまして、政府としましても、総合評価方式の拡充等を柱とする入札契約の改善に全力で取り組んでいるところでございます。
  68. 中島眞人

    ○中島眞人君 私は、今話を聞いていて、そういう形で今価格破壊が行われている、そして、様々な問題を惹起している問題の歯止めになりますか。  それと同時に、もう一つ。今朝、参考人にも私は聞いたんだけれども、いわゆる過度のコスト削減というのが建築士に、日本建築士連合会がいわゆる一人一人の建築士にアンケートを取ってみた。それによると、これは民間ですよ、その結果、二六%が過去三年間に発注者から常識を逸脱するようなコストや品質の低減の要求を受けたと答えている。対応策は、じゃ、どうしましたかといったら、性能を確保した上でできる限り努力したが三〇%と最も多く、法の範囲内で応じるが二一%、無理を言う発注者とは縁を切る、一五%、ほかに仕事がないので仕方なく従ったという答えも多数を占めていると書いてある。だから、こういう問題が、民間の中では公共工事にかかわる問題より以上にそういう問題が起こっていると思うんですね。  我が党の筆頭理事やっている脇先生たちが率先して品確法というようなものを作った。そういう中で、国民の皆さん方にも、ある面ではやっぱり談合とかあるいは高過ぎるとかという問題についてはこれは世論がすぐに反応するけれども、しかし、安物買いの銭失い、何でも安く造り上げればいいんだというような風潮を、やっぱり安全と安心という面から強く指導していかないと、この問題、私はこの泥沼から抜け出ることはできないだろうというふうに思うんですよ。再度。
  69. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のように、公共工事につきましてはやはり安全、安心ということできちっとしたものを造っていかなくてはいけないと考えております。我々としましては、できる限りの施策を推進しまして、このダンピングのこういう低価格に基づく品質の悪化とか労働条件の悪化、こういうことに対してきちっと対応していきたいと考えております。
  70. 中島眞人

    ○中島眞人君 だから、それを排除していきたいと思うけれども、それをシステム化するその対応というものを作る用意が、ただ口だけではなくて、それをシステム化していく行き方というのは考えなければ、依然として私はこれは起こってくると思いますよ。  特に山梨県辺りで、私の地元、政務官は私の隣の長野県、長野県はどうか知りませんけれども、山梨県なんかでははっきり言って毎月四社ぐらいの零細中小建設業者がどんどん倒産している。それは工事量がない。さらに、これはやってみても赤字だ、しかしそれでも仕事をやらなければ、自転車操業でやらなければいけないから、悪いとは知りながらもそういうものに手を出していくと。  これをやっぱり、日本の国土や、そして日本国民の皆さん方が安心して住める住居を造っていく、そういう役所はもっと毅然とした態度で、いわゆる地方自治体に対しても、談合を許せとは言っていない、高価格で落札しろとも言っていない、しかし基準を割ってまで発注することは相ならぬというマニュアルを作っていかなければ私は解消できないと思うんです。もう一回。
  71. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 一つには、具体的に申し上げますと、例えば工事の品質を確保するために新しい対策として、現場にモニターカメラの活用等による発注者の監督検査強化でございますとか、それから下請業者への適正な支払確認のための建設業法に基づく立入調査強化、それから前の工事を安くたたいて取って後の工事で取り返そうというようなことがないように、前の工事と後の工事の関係、こういう関係のある工事については前の工事の単価による後工事の積算とか、発注者としてできる限りのことはやっていきたいと考えております。  それから、今御指摘のように、システムとして考えなくてはいけないということです。各県の中核となるような建設会社が実は毎日一つずつ倒れるぐらいの勢いで今倒れているわけです。そういう中で、特に例えば職人の問題につきましても、アメリカなんかですと下請専門工事業者の見積りを基に入札が行われるということです。底抜けの競争というのはないわけですけれども、そういう点からも、やはり職人さんを育てていくという意味からもシステムとして取り組んでいきたいと思っておりまして、近々建設産業のそういう研究会を立ち上げまして、学者の方、それから現場の方の意見もいただきながらそういう改善に取り組んでいきたいと考えております。
  72. 中島眞人

    ○中島眞人君 政治歴の長い田名部先生から先ほど、役所が作った見積りが高くしてあったんじゃ駄目だぞと、そういう御指摘もありました。反面、そういう問題もやっぱりチェックできるような形も取っていかないと、これは本当に国民に安全、安心、そしてそれに携わる業界も安心して生活をしていくということができない、こんなふうに思えるんで、より積極的にひとつ取組を強く要望しておきます。  さて、今度の改正について、地方公共団体から、私は地元の県からどう思うという意見を聴取しましたら、地方公共団体から、指定民間確認検査機関の法的責任の明確化について要望が出ている。現行法上、指定確認検査機関偽装等を見逃して確認を下ろした場合、その賠償責任を地方公共団体が負うことになってしまうおそれが高いが、この点を法改正をして指定確認検査機関責任が明確になるような措置ができないのかと、そういう心配をいたしておりますが、このことについてお答えをいただきたい。
  73. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今御指摘いただきましたとおり、自治体から、指定確認機関が行った確認検査に関して当該機関に法的責任があることを法律上明確にするようにという御要望をいただいております。  今回の改正案におきましては、公共団体からの御要望を踏まえまして、指定確認機関責任を明確化するために、まず賠償責任能力、この点に着目しまして、審査に誤りがあった場合の賠償請求に対応するため、指定確認検査機関の資本金、賠償責任保険加入している場合はその保険の金額等の要件について強化することを一つ法律でお願いしております。それから、二番目は、指定確認検査機関が締結しております保険契約の内容など、損害賠償に関する事項についてお客様に情報開示するという規定を盛り込ませていただいております。  今回の改正案ではその二点でございますが、第二弾の措置に向けまして、指定確認検査機関責任を更に明確化する観点からどのような措置が可能であるか、引き続き検討してまいりたいと思います。
  74. 中島眞人

    ○中島眞人君 地方がそういう形で、心配事が心配に終わらないように、ひとつ配慮していただきたいと思います。  そこで今度は、私は、最もやっぱりこの件について重要なことは、全く分からなかった犠牲者になった消費者です。消費者をどう守っていくのか。そして、よく瑕疵担保責任の履行を確実なものにしようと。保険会社は不法建築なんかにはこれ出しませんわね、保険金を。だから、そういう点で、建築業者が今普通の公共工事でもそうですけれども、建築業者が何社か連帯保証人のような形で、いわゆる公共工事の場合やっているような方式を取っていけば、仲間まで裏切るようなことがないだろうと、これも一方法じゃないのかなというふうに考えるんですけれども、そんな方法も検討したらいかがかと思うが、いかがでしょう。
  75. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 非常に大事な御指摘をいただいたと思います。  社会資本整備審議会では、住宅の売主の責任ですね、瑕疵担保責任、これは法律で強制的に民法の特例として義務付けておりますけれども、それが現実に履行されないのでは意味がない。今回のヒューザーのように倒産してしまってですね。その場合に、瑕疵担保責任がきちんと履行されるように担保する措置を検討すべきだということを中間報告では御指摘いただいておりまして、取りあえずといいますか、今回お願いしております法案の中では、賠償責任保険加入しているか、加入していないかということを契約の前にお客様に説明を義務付けるといった措置を講じているわけでございますけれども、さらに、これをどういうふうに進めるかということを今研究会を設けて検討しております。  検討する中で、もちろん中核の制度としては、賠償責任保険どうあったらいいかということが中心になるんですけれども、そのほかの瑕疵担保責任の履行を担保する措置、保証とか同業者間のいろいろな助け合いとか、そういったようなことがどこまでできるのかも含めて検討してまいりたいと思います。
  76. 中島眞人

    ○中島眞人君 これはいっときも早く、少なくとも前の不法建築でローンが残っておる、新しく造っていくものにも住宅ローンがある、二重である負担を現状のままではせざるを得ないような状況になっていくわけですよ。だから、この場合、保険加入しろといってみても、保険会社だって、昨今見て分かるように支払を渋る保険会社は一杯ですよ。何か欠陥があったら払わない、向こうも商売ですから。  だから、そういう点で、私はさっき言った一例は、公共工事の場合なんかは一つ工事を取ったときには幾つかの会社がいわゆる連帯保証すると、そうすると仲間につけてもやっぱり悪いことできないと。そういう、日本の国というのは本来性善説なんで、こういうようなことが起きるということを想定したことはなかった。ところが最近は、証券業界とかあるいはこの問題とかというふうに予想もしないものがどんどん出てきている。それに対抗していくためには、どちらかというと役所は書いた文書、作った法律というのはやっぱり甘いんですよ。だから、そういう点で、そういう悪いものはみんなで、いわゆる業界なら業界で防いでいくという一つの姿勢も醸成をしていかなければいけないと。  もっと地方建設業界の実態を申し上げたいことが一杯ありますけれども、私はその前に、小中学校の耐震問題を、もう時間が来ましたから、お聞きをします。文部省来ていますか。  地震での災害が世界的に増えています。日本も例えば私どもの山梨県におきましては、東海地震、南関東直下型地震等々、地震のクモの巣だと言われるくらい日本列島は地震。この間の新聞で見ますと、それでいながら、小中学校の耐震診断並びに耐震化率はどうも低過ぎるんではないのかと思うんですけれども、その辺についてお聞かせください。
  77. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) まず、先生お尋ねの公立学校施設の耐震化現状でございますけれども、今年の四月に実施いたしました公立学校施設の耐震改修状況調査を行っておるわけでありますけれども、その結果によりますと、公立小中学校の耐震化率は、いわゆる今年の四月一日時点で五四・七%ということでございます。これは前年度に比べますと二・九%の増ということになっておるわけでありますけれども、いずれにしても残りの半分近くが耐震化が十分に進められているということは言えないということは十分認識しているところでございます。
  78. 中島眞人

    ○中島眞人君 もう時間が来ました。  ともかく、子供が余りにも、もろもろの事件を見たように、子供の命や子供の生き方が余りにも軽々しく扱われている。そういう中で、せめて公的な小中学校、学校くらいやっぱり安全だと、子供が学校に行っていても安全だと言われるような、前年度に比べて二・何%増えたからなんて胸張っていたら駄目ですよ。  そういう点で、耐震化の問題については私は何をおいてもいわゆる一〇〇%、早急に実現するようなことを強く要望しておきますけれども、お答えありますか。
  79. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) そういうようなこともございまして、私ども、今後の推進方策として次のようなことを考えているわけでございます。  まず第一に、耐震化を推進するためには耐震診断をまずやらなければいけないということで、これは国土交通大臣の大変な御協力も得まして、国土交通省所管の補助事業を活用するなどいたしまして、今年内に公立学校施設の耐震診断を完了するように求めているところでございます。  さらに、現在、各都道府県の教育委員会の担当者を対象とした会議を行ったり、あるいは個別にヒアリングを実施して耐震化促進するように強く要請をしているところでございます。  また、今回の耐震改修状況調査の結果の公表に併せまして、先ほどコスト縮減の話もございましたですけれども、私ども、お金の掛かる全面建て替えというような方法から、いわゆる今いろいろ技術開発が進んでおりまして、耐震補強という方法を加えた改修方式に重点を移すようなことで、より効率的に進めるようお願いをしているところでございます。  また、文部科学省でも予算の執行におきましては、耐震化を推進するような事業に重点的に配分するということにしております。中でも緊急度が高いものあるいは必要性の高いものについて重点を置くという方針で予算の配分も行っていくということにしております。  このようなことによりまして、地方においても計画的に耐震化が進むよう私どもとしても最大支援をしていきたいというふうに考えております。さらには、予算の要求におきましても、十分な予算を確保するよう最大限努力を今しているというところでございます。
  80. 中島眞人

    ○中島眞人君 終わります。
  81. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党の佐藤雄平でございます。  今日は建築基準法改正についてでありますけれども、その前にこの二、三日、大変な騒ぎになっているシンドラー社のことについて、それぞれお伺いをさせていただきたいと思っております。  ちょうど先週は住生活基本法、そして今週から建築基準法と、正に国民の、またそこに住む住民の皆さんの安全、安心をいかにして法律によって担保していこうかという議論をしているさなかにこのような大変痛ましい事故が起こってしまいました。  今、この質問の席に立っておりますと、ちょうど二年前の今ごろだったと思うんです、六本木ヒルズでこれまた同じような痛ましい事故がありました。自動回転ドアに挟まれて溝川涼君という子供が亡くなってしまいました。あのときは、国交省の皆さんも十分御承知だと思うんですけれども、何となくその背景があのときの背景と非常に類似しているなと、そんな気がしてなりません。  二年前、思い出していただきますと、二年前もいろんな事案があったんです、いろんな不都合があったんです、いろんな故障があったんです。しかも、その前年のときに社会資本審議会の安全委員会で自動回転ドア、これだけいろんな故障、事案を起こしているんだから、何かこれに対する改善対策はないだろうかと、審議会が一つの安全対策の方向性をお出しになったんです。ただ、残念ながら、そのままずっと放置していたら、あの溝川君の事故が起きてしまった。だから、今回もいろいろ新聞記事を読んでいる中で、故障、十七都道府県、件数は二百七十件と、これは昨日今日の話じゃなくて、ずっとこれ累積していたんですね。  ですから、私は、どうも日本法律というのは、事があって初めて気が付いて改正しよう、改善しようというふうなことになってしまっているんじゃないかなと、そんな思いがしてなりません。いろいろ法案、皆さんと審議をしておりますけれども、何かやっぱり思い出してもらうと、事案があって初めてそこで改善案を出すと。もっとその事前にも、そういうふうな予兆があるものに対して、何でその前に一つ法改正でも改善策でもそういうふうなことができないのかなと、そんな思いに実は駆られております。  ついては、このシンドラー社についてお伺いします、この事故について。  まず、社会資本整備審議会、ここでいわゆるエレベーターそれからエスカレーター、このような昇降機等についての今までその審議会辺りで問題視はされてなかったのか。  そしてまた、これは建築基準法の中では多分設備という部分に入ると思うんですけれども、今までの建築基準法の中でこのような設備に関する設計安全性担保、そしてまた今改正案の中でそのようなところはどのようなところに触れているのか、この件について。  そして、さらにまた、このような事案が起きたとき、事案というのは事故じゃなくて故障が起きたと、不具合が起きたと、これはマンションにしてもホテルにしても、これはどこにまず通報するのかと。  しかも、それはもう民間の管理会社がやっていると言えばそれまでの話ですけれども、そのような事案の中の行政的な責任、束ねるところというか、このことについて、そういうような事案がどんどんどんどん起きている、管理会社は分かっていても、管理会社からいわゆるどこに通報して、住民の安全を担保する、それに対しての勧告をするとか、そういうふうなシステムというか、それはどういうふうな形になっているのか。  まず、このことについてお伺いしたいと思います。
  82. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、六月三日に、東京都港区のシティハイツ竹芝におきまして、男子高校生、市川大輔さん、十六歳が、十二階のエレベーター出入口で挟まれて亡くなられるという痛ましい事故が発生したことは誠に遺憾でございます。亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  今幾つかの御指摘をいただきましたけれども、シンドラー社のエレベーターでこれまで不具合が報告されたというケースは、例えば横浜市緑区の東京工業大学のすずかけ台キャンパス、そのほかにも宮城県の県営住宅、長崎県の県営住宅、さいたま新都心の合同庁舎等に関しても報道されております。  これらのトラブルと今回の事故の関係については、今回の事故原因、今鋭意調査中でございますので直ちに判断することは難しいわけでございますが、国土交通省としましては、昨日、特定行政庁に対しまして、第一に、シンドラーエレベータ株式会社からリストの提供を受けましたこの竹芝の事故機と同型のドア安全装置、制御装置等を有するエレベーター十三台、これについて直ちに緊急調査をすると、その結果を六月十六日までに報告されたいということ。それから、第二に所有者からの定期検査報告というものがございます。たくさんの方が御利用になる建築物等について特定行政庁に定期検査報告を求めておりますけれども、この報告書、あるいは国、特定行政庁などからの計画通知にどういう設備を持っているかというのがありますので、それでシンドラーエレベータ株式会社製のエレベーターを掌握して、それについて調査をした上で、六月二十八日までに報告をされたいということをお願いしたところでございます。  さらに、社会資本整備審議会建築分科会の中に建築物等事故・災害対策部会というものがございます。これを来週六月十五日に、夕刻になるんですが、開催いたしまして、これらの状況を報告するとともに、対応方針について御検討いただきたいと思っております。  なお、個別具体の不具合とか、いろいろな問題が生じた場合の対応のシステムでございますが、今度のような共同住宅を例に取ってみますと、シティハイツ竹芝の場合は、設置管理者は港区長でございますが、港区が指定管理者として財団法人港区住宅公社を指定しておりまして、この四月から財団法人港区住宅公社が管理責任を有しております。  エレベーターに不具合がありますと、エレベーター管理の責任者、これ平成十八年度はエス・イー・シーエレベーター株式会社というところが管理を受託しておりますけれども、このエス・イー・シーエレベーターの管理、それから設置責任者でありますシンドラーエレベータ株式会社の東日本事業本部といったところとやり取りをしながら管理者が責任を持って対応するということでございますが、これが建築基準法の規定に違反するといいますか、設備の設置とか管理が問題があるという場合は、特定行政庁がこれを調査してしかるべき措置をとるということになります。本件の場合は東京都でございます。
  83. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 局長、事前にこのような事案が報告されてればこれは防げたかも分かんないんでしょう。  ですから、今局長からの答弁の中でシンドラー社の報告の話がありましたけれども、現実問題として、二百七十件、シンドラー社に限ってあったというマスコミの報道があります。この二百七十件については、これは管理会社それから監督する立場特定行政庁、これには報告されているんですかね。
  84. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 日常的な不具合あるいは過去の事故等について特定行政庁にどこまで報告があったかというのが今つまびらかではありませんが、先ほど言いましたように、シンドラーエレベータ社が設置したエレベーターについて特定行政庁調査をお願いしておりますので、整理でき次第また報告させていただきたいと思います。
  85. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 私、その不具合という言葉は大嫌いなんですよ。航空機の事案のところもみんな不具合不具合って、具合が悪いと言う。具合が悪いというのは何か、何で具合が悪いんだろうというふうなところまでなかなか行かないで不具合不具合と。この新聞にはちゃんと故障と書いてある。だから、不具合だから極めて軽微だと思っちゃって、ついつい追及しないこともある。これが故障だというふうなことになったら、どっかやっぱり欠陥があるんだと。  だから、この辺の名称はもう少し、人命、財産にかかわることなわけですから、何というのかな、表現を変えた方がいいんじゃないかなと思うんですね。航空機のときも、本当に、去年もう私も嫌になっちゃうぐらい言っても、みんな不具合不具合と言って、故障とか極めて事故に近い事案があるのに不具合という表現している。私はもう本当に不可解ですね、こういうふうな表現を。  ですから、やっぱりこれは、何らか、本当に同じことを二年に一回、毎年やっているようなんで、事前に防げる方策というのを本当にきちんと、安全審議会でもどういうふうな答申というか話が出るか分かりませんけれども、行政が中心になってどんどんどんどん進めてもらって、やっぱり責任の所在がどこなんだというふうなことを明確にしていってもらいたいと要望しておきます。  次に、建築基準法大臣にお考えをお伺いしたいと思います。  去年から、カラスの鳴かない日はあっても姉歯の出ない日、記事になんない日はなかったぐらい、本当に国民の皆さんは心配でしようがないと、安住するところがないと。正に、安全神話が日本の国で崩れたような気がしてなりません。  それは私は、その前提として建物、建造物に対する、やっぱり国民ひとしく、役所も当然でありますけれども、認識が必要であろうと思うんです。  東京をそれぞれずっと歩いてみますと、歩道、車道のもう一体となってビルが建ったり家が建っているんです。しかしながら、日本の民族性というか、日本の国家というのは私有財産制をずっと旨にしてきて、これは私の建物だ、私の家だ、私のビルだということで、個人のものだと思っているケースがうんと多いと思うんです。特に、田舎の場合はそういうふうな、個人だから決してこれは公共的なものとは違うんだよという感覚を持っている人が多い。ところが、この東京、狭いところ、しかもまた市街地に来るともうほとんどが公共物と接しているわけです。ですから、正に家もそれから建物も、私の建物も、私は公共財と、公共物という認識を持たないと安全はこれはなかなか確保できないんじゃないかなと思うんです。  そういうふうな意味合いから、今度の事件にしても、たった一人あの建築士が云々だけれども、その人がやっぱり公共財を造っているんだというふうな意識でもきちっと自分倫理観として私は持っていれば、こういうふうな問題もある意味では防げたかなと思いますけれども。  まず、建物、建造物に対しての公共財だという一つ認識を私は持っているんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  86. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) おっしゃっているとおりだと思います。  住宅にせよ、その他の建築物にせよ、公共的な性格、社会性というのを有しているというふうに思います。単にその住宅建築物の所有者、個人財産という側面だけではなくて、公共的な側面がある。地震になりましたら、地震で倒壊しましたら、それは隣の家にも当然影響を与えるわけでございますし、前の道路をふさいでしまいましたら緊急車両が通れなくなるわけでございます。また、家が火事になりましたら延焼することだってあるわけでございまして、そういう意味で、建築物というのは、今先生がおっしゃったように、そういう個人の財産という側面とともに、社会性、公共性を有しているというふうに考えているところでございます。
  87. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 もう正に大臣のおっしゃるとおりなんです。一軒の家が火事になった。それが倒壊した、道路が寸断される。そうすると、救急車も消防車も通行できなくなっちゃう。それによって尊い生命が間に合わなくなったというふうなこともあるかも分かりません。ですから、それを法律的なバックボーンで守っていかなきゃいけないのがこの基準法なんです。ですから、私は、人の財産生命を守る、ある意味で最も大事な法律建築基準法じゃないかなと、そんな思いをしております。  そして、いろいろ、その改正についてさかのぼって、平成十年の建築基準法、これを見てみますと、本当にこれは日本のための私は建築基準法を作ったのかなと疑いたくなるようなことが実はたくさんあります。  平成十年の建築基準法の三つの柱、一つは今まで仕様規格から性能規格に変えたということ。それからもう一つは今度の民間建築確認機関を作ったと。そしてもう一つ、これもう最悪なのは、私は、性能水準について、国民生命財産保護のため必要最低限のものにする。一時、私はこの法案見て最低限じゃなくて最高限のものにするとの印刷の間違いじゃないかなと思うぐらいだったんです。何でこのような、三つの、決してある意味では私は歓迎されない今の最低限というふうなこと、このようになってしまったのかなと。  この間の姉歯事件のときも、私は質問をさせてもらったときに、民間にさせるというのも、これもうなぜだという話をしましたら、大臣から、事案も多いし、これいわゆる民間も十分できることであるというような答弁もいただきました。しかし、あれ冷静に考えてみると、この辺の状況というのはスーパー三〇一から始まったアメリカの構造協議がどうも何か背景にあるような気がしてならないんですけれども。  まず、平成十年の建築基準法改正の三つの事案、この背景は、どういうふうな背景の中でこの三つの事案になったのか、これについて御説明願いたいと思います。
  88. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 昭和二十五年に建築基準法が制定されましてから長い年月がたっているわけでございますけれども、その中で様々社会情勢の進展に伴って基準法も改正してきているわけですが、御指摘いただいた平成十年の改正は、非常にその中で大きな改革だったと私ども認識しております。  三つ御指摘いただいた大きなテーマがあったわけですけれども、いずれも基準法が抱えていた大きな課題を解決するための方策であったわけですけれども、この基準法改正のきっかけとなりましたのは、具体的に改正しようと動き出させたのはやはり平成七年の一月十七日の阪神大震災の経験だったと思います。  阪神大震災を経験をいたしまして、建築行政としては、もちろん一番の正面の課題は昭和五十六年に設定した新しい基準法の耐震基準は現実妥当性があるのかどうかという検証でございます、まず。それを、あれ一番の震度ですと震度七まであったわけですが、直下型で。その震度七があったところも含めて建築物がどういう被害を受けているかということを学会の協力も得て調査をいたしまして、最終的な結論は五十六年の新耐震基準は現実妥当性があると、これは改正する必要はないという結論をまず出したわけでございます。  その上で、しかし建築基準法で定めている耐震基準を具体的に建築計画あるいはその施工、実際に建築活動の中に実効性のある形で実現するという部分に課題があるというのがそのときの阪神大震災を経験して、検証しての結論でございます。これが、三つの十年改正一つのテーマであります中間検査制度の導入でございます。建築計画が適法、新耐震基準を満たしているものであっても、そのとおりに施工されていないものがあると。結果として、新耐震で造った建築物が座屈しているものが出てきたということでございます。それが一つのテーマになっている。  もう一つは、建築計画あるいは中間検査完了検査といい、検査確認業務が地方公共団体仕事の執行体制が行革の中で拡充するというのが非常に難しいために、付加される仕事に対してこっちの執行体制が非常に脆弱であると、そのことが入口の確認検査中間検査完了検査もなかなか的確に行えない理由になっていると。しかし、事柄は、明確に客観的に基準法上定められている建築基準関係規定が適合しているかどうかを専門的、技術的に確認することなので、これは民間機関でもその能力があるものはできるのでやっていただこうというのが二番目のテーマであります民間建築確認検査民間開放でございます。  それで、三つ目が、これは阪神がきっかけで課題になったということではなくて、長い間建築の基準として材料とか寸法とか仕様とかで建築基準をがんじがらめに規定するということではなくて、本来、建築基準が実現しようとして求めている性能で規定をして、その性能基準がクリアできるんであればいろいろな材料とか工法とかを許容できるような新しい建築基準の体系に入っていこうと。  この三つの課題を掲げて、平成七年の秋から検討を始めて、九年の春まで掛けて検討をした上で結論を得て改正をしたと、そういうふうな経緯でございます。  なお、先ほどの御質問のところでちょっと私聞き間違ったかもしれませんが、平成十年の改正で最低基準の性能規定を設けたということではございません。元々、建築基準法が第一条で定めておりますように、「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と。これは二十五年に制定されたときからこういう考え方で建築基準法が制定され、運用されてきているということでございます。
  89. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 二十五年からということでありますけれども、二十五年と、もう六十年近くたっているわけでございます。世の中の情勢も本当に大変化して、日本も豊かになっているわけであります。そういうふうなことを考えると、この最低基準なんというのは直した方がいいんじゃないですか。  それからもう一つ、仕様規格といわゆる性能規格、仕様規格というのはある意味ではブランドというか、これを使いなさいということがあった。それが今、性能規格になると、基準を満たしていればと。まあ薬でいうと、ブランド品とゾロというようなことにもなるのかなと思いながら、私はやっぱりこの三つの柱というのがきちっとしていないと同じようなことが起こってしまう。これ残念ながら、今度の耐震偽造問題も平成十年の法改正建築基準法改正、まあ本人の道徳心とか倫理性は別としても、ああいうふうなことがやっぱり一つの背景になって起こってしまったということは私は間違いないと思うんです。だとすれば、この三本柱、建築基準法の私は三本柱、これはもう極めて安全、安心に大きく影響するものであろうと、そんな思いをしております。  今それぞれ答弁がありましたけれども、その中でも私は日米構造協議というのは非常にやっぱりこれ影響しているのかなと思うんです。そして、これもずうっとひもといてみると、一九九四年にアメリカ側から対日政府要望書、住宅分野要望に建築基準の見直し、性能規制化の迅速化、きちっとこれ明記されている。九七年に外国貿易障害報告書、米政府日本が基準を性能規定に基づくものにし、輸入木材を差別的に扱わないよう断続的な努力をするよう厳しく監視していくと。そんなことも何回か日米構造協議が重ねられている中で、九八年の実は建築基準法。  ですから、私は、どうも一つのこの法改正のバックボーンが阪神・淡路の大震災というふうなことがあったと。これに対して大変だ大変だ。だとすれば、私は、やっぱり建築の基準というのは厳しいものにしなきゃいけないし、安全性も最低限のものから最高限のものにもうしなきゃいけないだろうし、何で仕様規定が性能規定に変わるのか。この辺についてはいろんな異論がある。今半分は私も認めなきゃいけないかなと思うのは、民間確認検査機関を導入したと、これも結果的には今日の問題の大きな原因になっているんです。  この辺の背景、これについての局長の御見解はどうですか。
  90. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 性能規定化について、米国からの圧力で行ったという御指摘でございます。  米国と日本の間では、昭和六十年ごろから米国産の林産物、木材の対日輸出の観点で、日本建築基準、特に防火基準でございますけれども、がこれ障壁であるという向こうの主張がありまして、協議を行ってきたということは事実でございます。  ただ、この建築基準の性能規定化につきましては、材料とか仕様を詳細に規定する建築基準から、建築物が持つべき性能を規定する建築基準に移行して、設計の自由度を高める、あるいは建材や技術の国境を越えた流通ですね、国際的な流通の円滑化を図るという観点から、実は国際的な動きとしては欧州ですね、欧州の経済共同体が国境を越えていろいろ資材の流通を円滑にするという観点から一九八〇年代ごろから進めてきておりました。  実は、旧建設省はこの問題に早くから取り組んでおりまして、一九八二年、昭和五十七年から総合技術開発プロジェクトで、これは防火に限ってでございますが、建築物の防火設計法の開発という総合技術開発プロジェクトに取り組みまして、これは昭和六十一年まで行いました。この間、実は昭和五十九年にはECEで、欧州の経済委員会ですが、性能型のモデル建築規制要綱を発行しておりますし、昭和六十年には英国が性能型の建築規則を制定したり、欧州でそういうのが進んでおります。  その中で、日米間の林産物協議では、平成二年に日米間で交わした合意内容に、材料の規制により木造建築物を建てやすくするなどの観点から、建築基準の性能規定化を推進することを掲げております、先ほど御指摘いただいたとおりでございますが。これは、当時既に、今申し上げましたように、日本国内において防火基準の性能規定化に向けた技術的検討が行われていたことを踏まえてのことだという、合意に盛り込まれたんだということでございます。  もう一つ、平成八年の日米首脳会談でも性能規定化を進めるということを橋本首相がクリントン大統領に対して発言しておりますけれども、これは既に、先ほど来引用していただきました平成十年改正の根拠となる審議会の検討を、平成七年に審議会に検討がもうかなり進んでいるという状況を踏まえてのことだったということを御理解いただきたいと思うんです。
  91. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 これは、日米のある意味では通商交渉とか外交交渉の中でのいわゆる極めてレベルの高い政治的な問題も十分含んでいた話かなと思いますけれども。  ただ、BSEの問題と同様に安全、安心、そしてアメリカ、諸外国と日本はやっぱり国土が違うんだと、地震大国であり、台風もしょっちゅう来る国であるというふうなことで、世界の基準が日本の基準じゃなくて、やっぱり日本の基準は日本の基準としてきちっとしたものを作っていかないと、私はもう国民の皆さんがずっといつも何か不安にさらされているような状況になってしまうような気がしてなりませんので、この辺は十分頭に留めておいていただきたいなと思っております。  次に、本改正案についてでございます。  本当に本改正案を作る前提となったのは、去年からの耐震偽装問題であります。その中で、どうしても国と特定行政庁、いわゆる地方自治体との構図というのが、お互いに、地方自治体からすれば法律を作っているのは国じゃないかと、何で我々にその民間確認検査機関の様々なことについての責任があるのかなと。  特にまた、これは姉歯問題で、いわゆる被害者などの対応に対してどっちが負担をするかというふうなことで、最初は国が四五、地方が五五であった。石原慎太郎知事から、冗談じゃないよ、あれは国の責任だということが功を奏したんだかどうか分かりませんけれども、結果的には五〇対五〇で被害者側の対応をしようというふうなことになった。  私は、その中で、特定行政庁と国、国が作った法律が、特定行政庁民間確認検査機関の様々なことに対する責任があるということで今日あるわけですけれども、本法案改正のときに、特定行政庁、それからまた地方自治体、これとどのような相談をなさって、またその特定行政庁、地方自治体からどのような要望があったか、しかもそれを本法案にどのように取り組んだか、この件についてお伺いしたいと思います。
  92. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今整理していただきましたとおり、今回事案に関連して国と特定行政庁との関係で課題となりましたのは二点ございまして、まず第一は、何といっても危険な分譲のマンションに住んでおられる方々に対してどういうふうに対応するかという緊急対応の問題でございます。  この点につきましては連絡協議会を設けまして、具体の問題でございますので、関係する危険な分譲マンションが賦存する特定行政庁と国とで非常に稠密に当初から協議を進めて、総合的な支援策をつくり、その執行に当たっても緊密に協力して進めているところでございます。  それから次に、制度についてでございますが、今回の事件が、姉歯建築士が行った偽装指定された民間確認検査機関だけでなく特定行政庁においても見過ごしていたということで、昨年の十二月に体制を組んで建築確認検査事務の総点検を行ったわけですが、国と都道府県が指定した民間確認検査機関の総点検の後に、偽装を見過ごした特定行政庁審査の事務、直接国の点検本部とやり取りをさせていただきまして、どういうところでどういう問題点があるのかというのを公共団体と非常に稠密にやらせていただきました。  その結果を社会資本整備審議会建築分科会の基本制度部会に御説明して、御検討いただきながら中間報告をまとめていただいたわけでございますけれども、この基本制度部会の委員として、東京都、それから大阪府の建築行政責任者にまず委員に入っていただいております。  その上で、特に建築確認検査事務を、実務をやっている公共団体方々、課長さんクラスですが、方々にお集まりいただいて、地方公共団体のワーキンググループを設置いたしました。そのワーキンググループによって、公共団体における確認審査制度の在り方、それから、公共団体指定確認検査機関の関係、その関与の在り方、それから地方公共団体建築士建築士事務所への指導監督の在り方といったようなことについて具体的な御議論をいただきまして、その結果は基本制度部会に報告した上で中間報告に反映させていただいたところでございます。  それから、中間報告を最終的に出していただく前の段階で審議会はパブリックコメントを募集しておりますけど、その中でも特定行政庁から数十件の御意見をいただいております。  それから、中間報告の案につきましては、今年の二月九日ですけれども、特定行政庁、都道府県、政令市の担当の方集まっていただきまして説明会を催して、意見もいただいております。  いただきました意見として主なものをちょっと御紹介いたしますと、特に指定確認検査機関に対する監督の強化の問題ですけれども、今回国会にお願いしております改正案のとおりに特定行政庁による指定確認機関に対する監督権限強化を行ってほしいと、自分たちの知らないところで民間機関が自分たちが本来やるべき事務がぽんとやられるという、で、結果の責任が公共団体に帰属するという最高裁の小法廷の決定というんでは責任は全うできないと。だから、個別具体の確認事務について監督権限をきちんと強化するという方向は賛成であるという意見と全く逆ですが、特定行政庁による指定確認検査機関に対する建築確認の取消し権限が今ございます。計画の概要を民間機関が特定行政庁に通知しまして、特定行政庁が見ておかしいと思ったら、これは法律に適合してないという通知をすれば、民間が出した確認が失効するという制度がございますけれども、そういう制度はもうやめてほしいと、民間がやったことはそれで終わりにしてほしいと。あるいは、そういうふうな形で指定確認検査機関が行った建築確認とか検査についての責任を公共団体が負わないようにしてほしいと、我々と関係ないことにしてほしいという意見もございました。  これらのことをワーキンググループで論議をした上で、今回の中間報告案については、指定確認検査機関に対する監督権限強化の方針で報告をして、その余のことは引き続き検討しようということで整理されているわけでございます。
  93. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 地方の声はおよそ分かりました。  その中で私は、今局長からの答弁の中でも、行政庁は全くもう関係なくしてほしいと、この気持ちのやっぱりその背景というのはこういうところにあって、この間の最高裁判所の判決で、責任行政庁にあるということになりました。  彼らから言わせると、こういうふうなことを言ってきているんですね。民間確認機関の違法性を判断するのに、確認証書を交付した旨の報告書と建築計画の概要書、これだけではとても違法性は判断できないって言っている。だから、もっとやっぱり詳しいものを特定行政庁に出してほしいという要望だと思うんです。だとすれば、我が方も責任を持つよということかなと思うんです。その件についてはどのような見解をお持ちですか。
  94. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 非常に具体的な御指摘がありました。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  今の点は非常に大事な点でございますので、先ほど申し上げました公共団体等のワーキンググループとの論議を踏まえまして、民間確認機関が具体に申請図書を審査した審査の概要を公共団体に、特定行政庁の方に渡すと、計画の概要だけではなくて、法適合性をどこをポイントにしてどういうふうに審査したかというのを渡していただくと、それをベースに違法性を判断するということを今回の案ではお願いしているところでございます。
  95. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 特定行政庁の意向を本当に十分、いわゆる特定行政庁責任だというふうなことになっているわけですから、要するに、法律をつくるのが国で、それで特定行政庁責任だというふうなことですから、特定行政庁、正にその現場意見を本当によく取り入れてやっていただかないと、私は、この法律も功を奏するというか、もう二度とこういうふうな事件が起きないようになる法律にならないと思いますんで、是非御考慮願いたいと思います。  次に、民間確認検査機関、これについてお伺いいたします。  今日の午前中の参考人質疑の中でも、民間確認検査機関というのは、これもやっぱり株式会社で、商売やってるわけです。そうすると、様々いろんなマスコミの資料を見ると、これみんなやっぱり民間確認検査機関も営業に走らなきゃいけないんですね、仕事を取るために。様々な事案がどうしても出てきているんです。  一つこれは四月二十八日の、産経新聞がずっと連載している話です、これ。ゼネコンに検査を回してほしいと営業でどんどん回っている実態。そして、厳しい指摘をすると申請者がよそに行ってしまうと、こんな話があったり、国会に参考人招致されたERI社長の鈴木氏は民間確認検査機関の過当競争の実態をこう証言している。これも大変な問題なんです。後でじっくり質問しようかなと思っている。検査する側がされる側に頭を下げるという。これは、検査する側の株式を検査される側が持っている実態というのがあるんですよ。こういうふうなことでは、なかなかやっぱり中立公正を保つということ、本当これできるんだろうかなと思うんです。  ですから、私は、この民間確認検査機関について、いろいろ姉歯の事件から質問をさせてもらっている中で、民間確認検査機関、これだけのやっぱり需要があるから特定行政庁だけでは無理だというのは分かります。だから民間確認機関に開放したんだと。今、民間確認検査機関の方が約全体の六〇%の仕事を請け負っているというふうな実態を見ると、まあしようがないのかなと思うんだけれども、しかしながら、国民の安全、安心、生活の基本、これをきちっと担保しなきゃいけないわけだから。となってくると、今日の、繰り返すけれども、さっきの参考人の話じゃありませんけれども、一般の商売とは違うんだよという話なんです。普通の商売とは違うんだよと、確認検査機関は。  そうすると、どこかでその過当競争、そしてまた検査する側の株式を検査される側が持っているなんてこういうふうなこと、これについての改善策というか、中立公正を担保する、どこかこれ、この基本法の中に入れておかないと、これがまた同じようなことが起きないとも限らないわけでありますので、この件についての御所見、考え方をお伺いしたいと思います。
  96. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この民間指定確認検査機関制度の実際の運用についての非常にポイントを指摘していただいたと思います。  現行制度では、今の観点から、公正中立な機関として仕事をしていただかなきゃいかぬという観点から、元々この指定の要件として幾つかのことを定めております。特に、この機関の能力という観点からは、法律上の適合判定資格者を一定数確保してなきゃいかぬというのが一番枢要な要件でございますが、さらに経理的な基礎についても記しておりますし、それから特に、確認検査に従事する者は守秘義務を直接課したみなし公務員と法律上しておりまして、そういった意味で、厳格な措置を講じた上で公正中立性を担保するというふうにしております。  この民間確認検査機関が行う仕事も、基本的にはサービスでございます。しかし、サービスの中身は建築基準関係規定に適合しているということを的確に判断するというサービスをするわけでございまして、それを非常にスピーディーに丁寧にやるということ自体はもちろん歓迎されるわけですけれども、今御指摘いただいたような過当競争の中であるいは顧客と癒着をしたり、あるいは本来のサービスの目的である安全性審査をおろそかにしたりということがあってはならないわけでございまして、そのためにどういうことをするかということが非常に大事でございます。  まず、法律の今回の改正案では、先ほど言いました指定要件ですね、判定員の原単位とか、これも厳格にしたいと思っております。それで、経理的基礎についても厳格にしたいと思っております。それから中立性ですね、役員とか資本関係についても、現在持っている基準よりも更に厳格化したいと思います。  その上で、特定行政庁が個別の建築確認の事務について立入検査をしたり、問題があれば指定権者に報告をして処分をするといったようなことを今回の改正ではお願いしているわけですが、さらに、私ども問題意識を持っておりますのは、多分その部分を指摘されたんだと思いますが、元々指定をした国土交通大臣と都道府県知事が立入検査してやっているわけですけれども、これまでの立入検査のときの検査の視点は、当初指定した要件ですね、能力を引き続き備えているかどうかということを中心に精一杯やってきたわけですけれども、今度のように個別具体の事務で過失、おろそかなことがあるということにかんがみて、個別の確認事務を監督する特定行政庁だけではなくて、そもそも指定権者が民間機関に対してどういうふうな立入検査時に検査をしたらいいのかというそのことは、御指摘を踏まえてきちんと抜本的に見直したいと思います。  サービス産業、サービスの企業についてISOの考え方があります、サービスの品質管理の考え方がありますので、そういうふうなことがこの民間確認検査機関の仕事にどこまで適用可能であるのか。それを横で見ながら、それを念頭に置いて、具体的な仕事を適正にやってもらうために、指定権者が検査をする方法として合理的な方法があるんじゃないかという視点も入れて、今、立入検査の検討会では勉強しているところでございます。
  97. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 これに関連する話でございます。  民間確認検査機関の資本について、これも産経かな、これ。検査する側がされる側に頭を下げる、こんな現象がなぜ起きるんだろう。理由の一つは出資にある。民間検査機関は検査を受ける側の建設、住宅業界などから広く出資を受けているのだ。建築基準法は、建設や設計工事監理、不動産、住宅など、制限業種が民間確認検査機関の五〇%以上の株式を有することは禁じている。ただし、確認検査機関に監視委員会を設置をすれば、合計三分の二未満まで保有が可能である。実際に制限業種に該当する数社が六割超の株主になっている検査機関も存在すると、こういうふうな事実があるんです。となってくると、もうさっきのまた中立性とか公平性というのは極めて問題。ですから、基本的には四九・九%というふうなことになっているけれども、やはり監視委員会が置ければ三分の二まで。  しかも、これも後でずっと連動しながら質問をしようかと思ったら、住宅性能評価機関、これも同じ株主がもうほとんどなんです。民間検査機関と住宅性能評価機関、これが九割が同じ会社がやっている、持っている。そこに監視委員会がまた、今度は逆に監視委員会の監視をする人がその民間確認検査機関の株主であったりしている。この辺はもう本当にどう説明しようとも、まあ一般の方から見たらば、ぐるになってというふうなことを非常に疑念を持たれる状況だと思うんですけれども、この辺についての所見、感想。今度の法、将来的にわたって今後もまた建築基準法改正をすると思うんですけれども、この辺の考え方があったら教えてもらいたいと思います。
  98. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の事案を契機に、民間確認検査機関の中立性をきちんと確保する必要があるということは認識を更に強くしているわけでございます。  姉歯元建築士偽装に関連して、これ特に資本関係があったから甘かったというケースは全くないんですが、しかし国会の審議とか社会資本整備審議会の審議を通じて、この中立性は強化すべきだということを御指摘いただいておりまして、私どもとしては、まず法律上、民間確認検査機関の役員がお客様、お客様というのは設計とか施工監理とか、そういった仕事をする業界と資本関係を持っちゃいかぬということは言っているんですが、さらに親会社ですね、ホールディングカンパニーが確認検査に利害を有する建築関連の業務を兼業してはならないという規定を今度の改正案に入れさせていただいております。  それからもう一つは、現在、今の出資関係ですね。  出資関係については、法律で中立でなきゃいかぬと定めた上で基準を設けて運用しているわけですけれども、そのときの二分の一未満、五〇%未満というこの数字は更に引き下げたいと思っております。それで、監視委員会を設けた場合の数値も例えば二分の一未満にすると。一つの会社が監視委員会を設けた場合でも支配することはできないという形にするといった形で措置したいと考えておりまして、そこは今検討しているところでございます。
  99. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 これも、だから監視委員会のメンバーが監視先の会社の株式をお持ちになっているという会社があると、この件についてはどんな感想ですか。
  100. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今、基準では、指定確認検査機関の監視委員会に関する規定設けておりますけれども、その中では、監視委員会仕事の性格から、まず弁護士会から推薦していただいた弁護士、それから消費者団体から推薦していただいた方、それから建築関係の学識者、それからこの企業の監事あるいは監査役で構成するとしておりまして、監視委員会は四半期ごとに監査をして、監査終了後にその結果を指定権者に報告するということを義務付けているんですが、そういう意味で、監視委員会の関係会社の役員は監事、監査役は入っております。その監事、監査役が株式を持っていることはあり得るかなと思います。
  101. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 あり得る、あり得るでいいんですかね、監事、監査役。だけど、それを設置することによって、現法からいくと三分の二まで資本をいわゆる発注者側が極端な話持ってもいいという話になるわけですよね。  それで、しかもその監視委員民間確認検査機関の株を持っているといったら、本当に監査きちっとできるのかなと私疑うんですけれども、そういうことなんでしょうね。極めてこの辺は検討の余地があるんじゃないかなと提言しておきます。  それで、次に、この確認検査機関と住宅性能評価機関、これ先ほど繰り返します。これ局長ね、住宅性能評価機関百八のうちに九十五の機関は確認検査機関を兼務している。逆に、百二十四のうちの九十五が住宅性能評価機関であるということなんです。こういうふうなことというのは、これはどのようにお考えですか。
  102. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 実は、今回、指定確認検査機関構造計算の偽装を見逃したという、最低基準である建築基準法の基準をクリアしてないものをクリアしているというふうに確認済証を出してしまったというケースを私たち今取り組んでいるわけでございますけれども、それは基本的に最低基準を定めている。したがって、確認済証をいただかなければ着工しちゃいかぬという強烈な規制しているわけでございますけれども、それが建築確認の事務なんですが、実は住宅性能評価は、その中にもちろん建築基準法で定めている基準に係る部分も一部ございます。しかし、大部分は住宅性能評価機関で評価してもらって性能を表示する各項目はすべて基準法プラスアルファの部分でございます。だから、住宅の質を良くするという観点から、プラスアルファの部分を、しかも必要的に必ず一そろいの性能については評価してもらった上でこれをお客様に示して取引をするというシステムでございますので、仕事の中身が全く違うんで、しかし能力は建築基準関係規定がベースになりますんで、基本的に、実は正直に申し上げますと、私自身、もし違う機関がこれをやっているんであれば、あるいはこれを発見できたんじゃないかというふうに考えて、そういうことも可能じゃないかということを内部で相当論議をしているんですが、やっている性格がそういうものだということなんで、全く別の機関にやらせなきゃいかぬというところまではまだ判断できていないところです。  特に、今回、誠に情けないことなんですが、札幌の浅沼建築士がやった七件について、建築確認でも見過ごして性能評価でも見過ごしたというものがあるんですが、その五件までは確認機関と性能評価が違うんですね。両方の機関が見過ごしているということなんでですね。  要するに、基準法の確認を間違いないようにしなきゃいかぬということを今回お願いしているんですが、その上で性能の方はプラスアルファなんで、今の枠組みでやるということだと考えているんですけれども。
  103. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 時間がなくなってきたんで、ちょっとはしょっていきます。  今の局長のプラスアルファなんですね。私は、建築基準法を客観的に見たら、これはみんなやっぱり安全が担保されていると思うんです、それが最低であろうが最高であろうが。  その中で、そこの建築基準法とはちょっと違うんだけれども、宅建取引法の中で耐震性重要事項説明書というのがあるんですよ。宅建業法では、不動産の売買契約を交わすときに売主は重要事項説明書について説明することになっていると。  そして、その中身が、建築基準法では、比較的頻度の高い中小地震に対して、建物に被害がほとんど生じないこと及び極めてまれにしか起こらない大地震に対して、建物が倒壊せず人命を保護することを目標にしておりますと、云々と書いてあって、建築基準法は最低基準です。その後、建築基準法に合格した建物だからといって安心できる保証はないことを御理解ください。この最後に、そこに今度、品確法は住宅性能表示制度があり、耐震等級いわゆる建築基準法と同じレベルの強度、それから耐震等級二、建築基準法の一・二五倍の強度、耐震等級三、建築基準法の一・五倍の強度という三つの等級を設けております。これからが大変なところだ。したがいまして、耐震性に優れた住宅をお望みでしたら、耐震等級二あるいは耐震等級三をお勧めいたしますって書いてあるんですね。  そうとなると、これは何か私は、建築基準法国民に対して、一般の人に対してこの建築基準法の中にのっとってやってるからといって、このまた案文が、宅建法の中でやったら極めて何か愚弄するような文言じゃないかなと思うんですけれども、これについてはどういう見解をお持ちですか。
  104. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) これは、もう少し丁寧に説明する必要があるかなと思うんですが、耐震基準の性格は、端的に言えば、耐震基準は震度五強程度で経済的な価値が損なわれない、びくともしないと。しかし、激烈な大地震、震度六強とか七が来た場合は、命を奪うような大崩壊は生じないけれども経済的な価値はなくなってしまうということは事実なんです。これはやっぱり理解してもらわなきゃいかぬということです。その地震力を更に上乗せしたのが、一・二五倍にしたのが等級二で、一・五倍にしたのが等級三ということは事実なんで、やっぱりきちんと理解してもらうということは大事なんで、いろいろ努力していきたいとは思うんですが。  それから、先ほどちょっと御説明した浅沼建築士がやったもののうち、七つのうち、確認と性能評価が違うのは四つと言いましたけど、三つ、三つの機関は別々の機関がやっていたということでございます。失礼、五件と言いましたけど、四件、大変失礼しました。
  105. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 次に移らしていただきます。  第三者機関、まあ本法の改正一つの目玉は第三者機関を置いて更にチェックをしていこうということだと思うんです。しかし、これ、全国それぞれ各地方を見てみますと、この間事務方の説明によると大学の教授とかそういうふうな名前が挙がりました。第三者機関ですから客観性を担保する意味合いからかなと思うんです。  しかし、これ冷静に考えた場合、東京中心の関東とか、それから名古屋地区とか大阪のいわゆる大都市であればそれはもう十分充足することができるのかなと思いますけれども、これは現実問題として地方の都道府県、それだけの見識者というのは集められるかどうかという話だ。結局は、またやっぱり県庁か国交省かどこか分からぬけれども、そういう人のOBに第三者機関に入ってもらうかなと、知見者に、というふうなことになるのかなと思うんです。  そうなってくると、私は、現実問題として、この第三者機関もつくることは非常にいいことなんだけれども、どのようにして地方は人をそれだけの見識者を見付けるか。そしてまた、これ場所によってはいろいろその申請が多いところと少ないところあるから、つくった限りはそれ維持しなきゃいけない。それはだれが維持していくのか、県が維持していくのか。県なんかは、どこの県だって今貧乏しているからとてもそんな余裕がない。  それから、もう一つは、確認検査機関とこの第三者のいわゆる指定構造計算適合性判断制度に基づいた第三者機関の関係をどういうふうにしていくのか。そして、万が一これが、第三者機関が事件を起こしてしまったときの責任の所在、これはどこになるのか。この件についてお伺いしたいと思います。
  106. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず最初の点ですが、大都市と地方部で仕事する環境は非常に違いますんで、これは一言で申し上げまして都道府県ときちんとよく相談をして具体的な方策を見いだしていきたいと思うんですが、大都市は……
  107. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 人、人だ、人、人。
  108. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) ですから、大都市はそれぞれあり得ますけれども、例えば地方部の場合はブロックで機関を設けたり、あるいは全国で第三者機関を用意をして、そこを指定してもらって仕事をお手伝いするというような方式も含めて都道府県とよく連携をしてやっていきたいと思います。その際、社団法人の日本建築構造技術者協会などもございますんで、そういったところとよく協力をして、この適合性判定のための体制の整備をしていく考えでございます。  それから、性能評価の仕事をしている機関がこの第三者機関になり得るかということでございますけれども、これは、この構造計算についての判定員たり得るような専門的な能力を持っている者であれば、両方の指定を受けて仕事をすることはあり得ると思います。  それから、第三者機関の判定が間違った場合の責任関係はどういうふうになるのかという場合の御指摘ですけれども、これは第三者機関がオーケーと出してくれば建築確認を出す、確認済証を出すわけですが、それが結果として法律に適合していなかった場合は、基本的には確認済証が違法であるということで確認済証を出した確認機関が責任を問われることになります。これは事実でございますが、しかしそれは行政の方の内部関係でございますんで、最終的に実際に判定を間違った第三者機関に対して確認機関が費用を求償するという形になると思います。外部的には確認済証を出したところが責任を取るということになります。
  109. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 責任の所在は特定行政庁、基本的には県であり大きな市である。それで、第三者機関のメンバーがいないのは、日本の、さっきの建築関係の業界、ここからいろいろ派遣するんだかどうか、相談しながらというけれども、これは都道府県とか市町村側からすると、やっぱり極めてドメスティックでございまして、東京から来るのを余り好まないんです、悪いけれども。ですから、どうしてもやっぱり自己調達したいというふうなことになってくるんで、この辺はやっぱりまだ相当、その第三者機関をつくるに際しては地方自治体との本当に綿密な御相談をしてもらわないと、私はなかなか、だれだれ教授が来る、だれが来るなんといってもそうは簡単に受け入れるような状況じゃないと思いますし、そこでまた、場合によっては県庁の役人がつくるかという話になる可能性も十分あるんで、この辺も非常に微妙なところがあるんで細心の注意、注意というか、の中で進めていただきたいなと思っております。  もう時間なくなりましたけれども、建築士の問題、これ最後に、申し訳ないけど、させてもらいます。  建築士のやっぱり倫理、モラルハザード、こんなものを向上するについて、本当はやっぱり基本的には、これも参考人の中で建築士本人の問題であるというようなこと相当あったので、本人がきちっとしていればこういうふうな問題も起きなかったわけでありますけれども、それについて今度の建築基準法の中でどういうふうな対応、対策を考えているか、これをお伺いしたいと思います。
  110. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘のとおり、今回の構造計算書偽装問題の直接の原因が、本来法令を遵守すべき資格者である建築士職業倫理を逸脱して構造計算書類の偽装を行ったことにあるわけでございますので、建築士の社会的責任の自覚、職業倫理意識の向上を図るというのは正面の課題であると思います。  方法論としては、建築士団体などの場を通じてお互いに連帯して、自己啓発、継続教育、あるいは専門性の向上を図るということが重要であると思います。  今回の改正案では、まず職責の規定を入れさせていただいています。品位を保持し、実務に精通するとともに、公正かつ誠実に業務実施すべきであるという意味の職責の規定を新たに設けさせていただいております、改正案ではですね。その上で、日本建築士連合会などの関係団体で、今現在も倫理規程を定めていろいろ努力をしていただいておりますけれども、今回の事件を契機に更にこの部分の努力を、社会的責任の自覚と職業倫理意識の向上といったようなテーマに取り組んでいただくように、協力して前に進んでいきたいと思います。
  111. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ありがとうございました。
  112. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。よろしくお願いいたします。  まず初めに、今回のこの耐震偽装事件の基本的な認識につきましてお伺いしたいと思います。  今回の一連のこの耐震偽装事件を受けまして、今建築基準法改正、また建築士法又は建設業法、宅地建物取引業法、様々な法改正の検討が行われているわけでございますけれども、そもそも今回の耐震偽装事件というのは、こうした法改正をしているんですから法に何らかの欠陥というか足りない面があったかということなんだと思いますけれども、もうちょっと根元的な問いとしてお伺いしたいのは、法律に大きな欠陥があってこうした事件が起きたのか、それともやはりその法の執行体制そのものに大変な問題があったのか、両方なんでしょうけれども、基本的な認識として、まず大臣にその辺をお聞きしたいと思います。
  113. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) まず、現行の建物ができ上がるまでの法制度の基本的な枠組みがどうなっているかと、そこの考え方がどんな考え方なのかということについてお話をさせていただきたいと思いますが。  まず、建築基準法において、建築主側に、この基準に適合する建築計画を立案していただいて実行する、その直接的な義務を課しております。まず、だから一義的に義務を負うのは、法令に従った建物ができ上がることについて一義的に直接の義務を負っているのは、まず建築主であるということでございます。その上で、二番目に、建築士法におきまして、これは業務を独占しているわけでございますけれども、建築士という資格者のみが設計工事監理を行うことができると、こういう規定になっているわけです。さらに、建築基準法におきましては、行政側が公権的にこの建築基準関係法令に適合しているかどうかということを確認検査すると。こういうふうに三つの基本的な枠組みに従って建物チェックというのがなされている。  まず、建築主に一義的、直接的な義務がある、法令に適合していく義務がある。そして、建築士法でそういう専門建築士のみが設計工事監理ができる。そして、行政側は公権的にこの法令に従っているかどうかチェックをしていくと。このような基本的な枠組みになっているわけでございますが、この制度の基本的な枠組みということはこれからも私は維持していっていいんではないのかと、この制度の枠組み自体に何か問題があったということではないというふうにまず考えております。  その上で、今回の事件では、建築士が、専門家である、また資格者である建築士職業倫理を逸脱して構造計算書偽装を行い、元請設計者もそのことを見過ごしてしまったと、さらには、確認する側の指定確認検査機関、そして特定行政庁までがこの偽装された構造計算書を見抜くことができなかったということでございます。  それを受けまして、今回、改正案では、建築確認検査の厳格化をしっかりやらせていただこうということでございまして、一定規模以上の建築物につきまして第三者機関による構造計算適合性判定の義務付けをしたと。さらには、三階建て以上の共同住宅について中間検査義務付ける等の建築確認検査の厳格化をし、またその他の様々な改正もしているわけでございますが、残された課題がまだありまして、特に建築士制度に係る課題につきましては、専門分化の問題を始め、また団体への加入義務付けの問題を始め、そうした様々な課題、今並行して議論をしておりまして、この夏までには取りまとめをしたいと思っておりますが、そうした建築士制度に係る課題につきましても抜本的な見直しをこの夏までに取りまとめて、させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  114. 西田実仁

    ○西田実仁君 今御丁寧に御説明いただきましたが、正に一義的な義務建築主にあると、そしてそれを職能者である設計士が専門に請け負って、それが更に法令に適合しているかを確認機関が確認をすると、こういうことであります。  私は、建築確認という制度になっている以上、これは戦前は建築許可だったわけでありまして、戦後に建築確認になった最大の理由というのは、やはり職能者である設計士の皆さんの責任と、あるいは排他的、独占的に業務を営んでいるという両方の面が大変に大きい。  これ、夏までに建築士につきましてはいろいろと整備されてくるということでありますが、私はやはりこの建築確認ということの意義をしっかりと見詰めていく必要があると思っておりまして、どんなに厳しくいろいろ規制をしても、最終的に、本当の安全を守っていこうと思うんであれば、ある意味で建築確認申請をする建築士のところで自律的にきちっと安全を守っていくというふうにしていかないと、これはやはり安全文化そのものが崩れてしまうんじゃないかというふうに私は思っているわけであります。  そこで、一つお聞きしたいんですが、この建築確認、あくまで確認であるにもかかわらず、どちらかというと許可のように実態的には扱われているんではないかというふうに思うわけであります。  例えば、確認申請をして、そして確認済書が出されて、それに対して工事検査をして工事検査済書が出され、そしてその工事検査済書を受けて不動産登記あるいは抵当権の設定というのが本来行われなきゃいけない一つの流れだというように思うんですね。  しかし、実際には、住宅ローンなんて組めば、私もそういう経験二度ほどございますけれども、実際には建築確認が出た時点で住宅ローンなんかもう組まれているわけでありまして、ここで、今日法務省さんにもお越しいただいておりますので一応確認でございますけれども、今日来られていますよね。建築物の抵当権の設定につきましてはどの段階で、今私が申し上げたとおり建築確認確認済証が出た時点で抵当権が設定できるものなのかどうか、ちょっとその辺、法的に簡単に御説明いただけますでしょうか。
  115. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 不動産登記の立場から申し上げますと、建物というのは、一般的に取引の対象になっているかどうかという面から認定をいたします。  これは、具体的には表題登記というものを登記官の権限においてするわけでございます。これは、そういう相対的には別の概念でございますので、必ずしも建築基準法上の今おっしゃられましたような確認済証あるいは検査済証が交付されているかどうかということとは直接にはリンクしないわけでございます。  ただ、一般的に申し上げますと、事実の問題としては、確認済証が交付される段階ではまだ建築工事に着手されるという程度の段階でございますので、この段階で建物ができたということで表題登記がされることはほとんどありませんし、検査済証が交付される段階では大方建物として完成していることが多いものですから、表題登記ができるということが事実としてはございます。  それで、今おっしゃいました抵当権の登記といいますのは、この表題の登記がされた後に更に権利者の手によって保存登記がされ、それから担保ができるということで抵当権の設定登記ができますので、登記ができるのは相当後の時点というように御理解を賜りたいと思います。
  116. 西田実仁

    ○西田実仁君 実際に、法的な効力ということと別に今私が申し上げたような実態があるのは、結局、金融機関による抵当権の設定という、あるいは住宅ローンを組む場合には、決して融資対象の不動産そのものを厳密に審査しているわけではないわけでありまして、実態としてはですね、ほかに債務弁済に使われないように縛っているだけのものでありまして、融資対象の不動産そのものを評価をして、あるいは審査をして、そしてそれに対して融資をする。日本の古来からのものでいえば質ぐさのようなものとして融資しているわけじゃないということで、今申し上げたような実態にもなっているんじゃないかと思うんですね。  その点について、ちょっと後ほどまたノンリコースローンのところで触れさせていただきますが、先ほど私が法律制度としての問題とその執行の問題というお話をさせていただきましたが、法改正後の執行体制ということで先ほど佐藤先生からも御指摘ありましたが、もうちょっと詰めてお聞きしたいと思います。  先ほどの適合性判定機関についてでございますけれども、これは、先ほど局長の御答弁ですと、日本建築構造技術者協会方々にも協力していただいてという御答弁ございました。この社団法人におきます専門家である建築構造士というのは、全国で大体私の知っているところでは二千五百人ぐらいじゃないかと思うんですね。そうしますと、県によっては一名ないし数名しかいないんじゃないかという、先ほど佐藤先生の御指摘はそういうことも含んでいたんだと思います。  そういう資格の保有者の現状からしますと、やはり全体で、事前にお聞きしたところだと年間八万五千件ぐらいがこの判定機関に掛かるということを見込んでおられる、そして県によってはこの社団法人の建築構造士は一人あるいは数名しかいない、こういう状況の中で本当にこれで執行ができるんだろうかという、制度は整ったけれども執行体制が追い付かずにというのは、平成十年の改正のときに、先ほども御答弁されていました、それを直すために民間開放したという話もございましたが、今回についてもそういう心配を持ってしまうんですけれども、本当にこれは大丈夫なんでしょうか。
  117. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 構造計算適合性判定員でございますが、建築に関する専門的な知識及び技術を有する者として、その要件を国土交通省令で定める予定にしております。  具体的には、大学、短期大学又は高等専門学校において建築構造を担当する教授若しくは助教授、それから試験研究機関において建築構造分野の試験研究の業務に従事し、高度の専門知識を有する者、それから建築構造設計に関して相当の実務経験、十年以上の実務経験を有し、専門的な知識を有する構造設計者や、その要するにOBといいますか、社団法人日本建構造技術者協会建築構造士、それから各都道府県の建築士事務所協会に所属し、耐震診断業務などを行っている建築士、こういった方々を想定しております。  それから、今御指摘いただきましたけれども、構造計算適合性判定を必要とする対象物件数は年間八万五千件、月間で約七千件程度と見込んでおります。  この審査体制でございますが、建築構造専門家が詳細なチェックを行うということになりますと、一件当たり二十時間から三十時間程度必要でございます。それから、電子データを併せて提出していただいて入力データを確認した上で再計算をするという場合には、一件当たり四時間から六時間程度というふうに見込んでおりまして、これをベースにして積算しますと、構造計算適合性判定員が週一回八時間程度審査を行うとして必要な人員は、約千五百名程度の構造計算適合性判定員が必要になると見込んでおります。  ところで、現在、社団法人日本建構造技術者協会会員数は約三千六百名でございます。それから、建築構造専門とする建築士全国で約一万名と推定しておりまして、構造計算適合性判定の事務処理体制としては必要な人員の確保は可能だと、適合性判定機関の設置は十分に可能だと考えております。  いずれにしても、構造計算適合性判定員をきちんと選任できますように、社団法人日本建構造技術者協会などの関係団体としっかり協力をして体制の整備を進めてまいる考えでございます。
  118. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非これがちゃんと執行できるような十分な体制をお願いしたいと思います。  時間がないので、ちょっと早口で先に進ませていただきますが、住宅性能保証制度の活用につきまして、また住宅性能表示制度の活用も併せてお聞きしたいと思います。  これは、今回の事件のような被害者を出さないように消費者の方々を、しっかりと住宅の購入者を守っていくということから、現行の住宅性能保証制度を拡充して、住宅の売主等の瑕疵担保責任の履行確保法律義務付けるべきであると、こういうことはもう既に我が党も申し入れているところでございまして、そのための賠償責任保険制度をどうするのかと今鋭意検討されておられると思います。  またあわせて、この住宅性能表示制度、これも先ほど基準法プラスアルファという局長のお話ございまして、見るとこれ二種類あるんですね。設計住宅性能評価書というのと建設住宅性能評価書という二種類あって、それぞれ法律に基づくマークも違っているんです。名前が非常に似ているんですけれども、いろいろ複雑でして非常に分かりにくいと正直言って思います。今は任意ですけども、これは我が党としましても、施工段階の検査確認も含めた住宅性能表示制度に変更して、新築住宅への義務付けを図るべきであると、こういう主張をしているところであります。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  これら、それぞれまず分かりにくいということで、何か一体化してもっと消費者に分かりやすくした方がいいんじゃないかという気もしますし、そして、それを義務付けるということも含めてこれはしっかりと取り組むべきであると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  119. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 住宅性能表示制度は、住宅の性能に関する共通のルールを設けまして、第三者機関が設計図書の審査現場検査を行った上で性能を客観的に評価、表示するものでありまして、消費者による性能の相互比較を可能とし、住宅の品質の確保や消費者の保護を図るものでございます。  また、御指摘いただきましたように、設計段階と完成段階のそれぞれの時期におきまして住宅の性能を評価、表示することができますように、設計図書の審査による設計住宅性能評価と施工時と完成時の現場検査による建設住宅性能評価の二種類の評価書を用意しております。分かりにくいという御指摘でございますけれども、消費者の皆様、それから住宅生産者の皆様に制度の趣旨について十分御理解いただけるように工夫して努力したいと思います。  この二つは、設計の方は、個人が工務店に住宅を注文する場合に、事前に設計住宅性能評価で性能を確認して、ああ、これですかと、これでお願いしますということで注文をして、完成後に実物を見て性能を確認できるというふうに使われます。それに対して、建て売り住宅とかマンションを購入する場合、これは主として建設住宅性能評価、これは、現場をきちんと見て、完了時点でも見てもらって、それで性能を評価して取引をするという性格でございますんで、これ御指摘に沿って、分かりやすく、理解してもらうように努めてまいりたいと思います。
  120. 西田実仁

    ○西田実仁君 この住宅性能表示制度は、国交省といたしましてもこの目標値を上げていこうということで御努力されていると思います。  今、もっと分かりやすく、住宅購入者に分かるようにというお話がございましたが、今後、この住宅性能表示制度につきましては、施工段階の検査確認も含めてこの制度を充実させていくという方向にしていくべきではないかというふうに思うわけですけれども、その点、もう一度お願いいたします。
  121. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、施工段階をすべて含めて新築住宅について義務付けるというところまでは、確かに理想的ではあるんですけれども、この住宅性能表示が基準法プラスアルファという元々の性格だということ、それから、当然、住宅性能表示をしていただくためには費用も掛かります、お客様に負担していただくことになりますんで。これは直ちに義務付けというのはなかなか難しいんですが、大事な課題ですんで、しっかり検討していきたいと思います。  それからもう一つ、この普及ですね。制度の普及については、今現在で、平成十七年の暫定値が出ているんですが、一五・七%です、新築住宅の。実は、この制度を導入したときは、初めての市場に立脚した政策で、消費者に分かりやすく、消費者保護の観点で、しかも消費者主権を貫徹することで住宅の質を高めていこうということで、非常に意欲的に、できるだけ早く半分まで持っていきたいということで今努めているんですが、今現実にはまだ一五・七ということです。御指摘を踏まえて努力することで普及を高めていきたいと思います。
  122. 西田実仁

    ○西田実仁君 最後に、教育ということについて二つほどまとめてお聞きしたいと思います。  改正法によってこれをより執行体制をきちっと担保していくという意味合いからも、午前中の参考人の方にも御質問申し上げたんですけれども、例えば特定行政庁建築確認を行う建築主事の皆さん、あるいは確認検査員の皆さん、こうした方々の研修ということについてはまだまだ不十分だと思います。  特に、国土交通大学校におきまして、建築確認を行う特定行政庁職員が参加すべき研修項目というのは、例えば東京校でいえば全部で百六コースあるうち、構造設計に関する講義は二つしかないわけでありまして、しかも大変に期間としても短いと。特定行政庁のスキルをもっとアップしていくためにも、もうちょっと、特におひざ元の国土交通大学校におきまして構造設計に力を入れていくべきではないかというのが一点。  それからもう一つ建築士の学校教育課程におきまして二年間のインターンというのがございますけれども、これ実際にいろんなことをお聞きしますと、実は単なる営業販売もやっているんじゃないかと、それも実務経験と認めているんじゃないかというような指摘もあります。こうしたことが本当にこれでいいわけではないわけですけれども、改善していくという、この二つの点につきましてお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 国土交通大学校での研修の充実でございますけれども、特定行政庁建築主事のスキルを高めていくという観点から非常に大事な研修機会だと思いますので、しっかり充実し、維持していきたいと思います。  それからもう一つ、インターンの制度でございます。建築士の資質、能力の向上につきましては、建築分科会中間報告で、引き続き検討すべき課題として指摘されておりまして、大学等の教育機関での教育課程、それから職能団体を通じた継続教育、倫理教育等の充実について検討が必要であると指摘していただいております。  それから、建築士の試験において、受験資格として二年間の実務経験を求めております。建築士の資質、能力を向上させる観点からは、教育課程だけでなく実務の経験についても、御指摘いただきましたように適切なものであることは必要でございます。  したがいまして、これらの点も含めまして、制度の在り方についてきちんと検討をいただいた上で所要の見直しを行ってまいる考えでございます。
  124. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  125. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  建築基準法にかかわりまして、私、今日はまず港区でのエレベーター事故問題で質問をさせていただきたいと思います。  まず、亡くなられた市川大輔さんの御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。  この事故は、改めて建築物、設備の安全が問われるもの、また建築基準法令でも安全が義務付けられていたものでございました。  そこで、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、事故の原因究明は捜査当局が明らかにされていくのでしょうけれども、一体この責任というのはどこにあるのかと、国交省としてはどういった責任があるとお考えでしょうか。
  126. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) まずは、本当に痛ましい事故が起こってしまったわけでございます。この事故自体は当然極めて遺憾なことというふうに言わざるを得ません。  まずはこの事故そのものの事故原因、これをできるだけ早く明らかにしていくことが私は最も大事だと思っています。捜査機関が入っておりますが、捜査機関だけではなくて、港区としっかりと連携取りまして、私どももこの事故原因について早く明らかにすべく努力をしていきたいと思っております。  それと、まだその事故原因について確定しているわけではありませんが、このメーカーですね、シンドラーという、シンドラーエレベータ、このシンドラーエレベータのエレベーターにつきまして、やはりいろいろなところで使っておりますので、それを早く確定をさせてしっかり点検をしていくことが大事だというふうに思っております。
  127. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、ちょっと局長さんにお伺いしたいと思いますけれども、シンドラーのこのエレベーターでございますけれども、点検を指示をされているというふうに先ほど大臣も御答弁がございましたけれども、全国で、先ほどの議論の中でも同機種のものが十三台あると。そして、それ以外のものについても調査をしていくということでございましたけれども、その調査対象となるのはどれぐらいあるのでしょうか。  もう一つお伺いしたいんですけれども、その十三台の同機種が使われているところの施設を一覧表を見ますと、例えば区立でありますとか身障者のセンターでありますとか、今回のようないわゆる公共住宅、都営住宅であったり、総合技術教育センターであったり、地域の福祉センターであったり、郵便局であったりと、とにかく公共の施設が随分多いことになっていると思います。  私、改めて、公共施設の建築確認というのはきちんとされているのかどうか、この点も局長にお伺いしたいと思います。
  128. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、シンドラーエレベータ株式会社製のエレベーターの賦存量でございますが、業界シェアがおよそ一%とされておりまして、それから掛けてみますとおよそ七千台ぐらいではないかと推計しております。ただ、特定行政庁からの報告を待っておりますので、整理できたらまた報告したいと思います。  それから、今回事故を起こしたものといろいろな設備が全く同じものを使っているのが十三台ということで、リストをシンドラーからもらったんですが、非常に公共建築物が多いということについては、これは更に実態解明を整理をした上ではっきりした段階で御説明いたしますけれども、今推測でいろんなことが語られておりますけれども、公共が競争入札をします。したがって、価格を安くして札を入れて普及させているということもあり得るとは思いますけど、これは定かではありません。ですから、定かになった段階できちんと報告させていただきたいと思います。  公共団体あるいは公共施設についての建築基準法が求める規定適合性については計画審査で的確に行われているという認識でございます。
  129. 小林美恵子

    小林美恵子君 的確に行われているという認識だということでございますけれども、しかしこういう事態が起こったことでございます。ですから、そのことをしっかり受け止めていただいて、原因の究明、早急な調査そして安全チェック体制、しっかりと取っていただきたいということを強く要望しておきたいというふうに思います。  次に、改正案の問題にかかわりまして順次質問させていただきます。  前回に引き続きまして、私、建築確認民間開放による特定行政庁の問題ですね、これを少しお聞きしたいと思いますけれども、民間開放によって建築確認特定行政庁から民間検査機関に随分シフトされてきたことは前回、私も大阪府で九〇・一%になったということを申し上げました。今日の参考人意見資料を見ますと、大阪市で九六・二%、神戸市で九八・八%、京都市で九七・一%と記述がされておられました。こうしたことから、特定行政庁、人員も体制もやっぱり弱体化していると。神戸では、せっかく役所に申請に来た業者に逆に役所の方が民間検査機関を勧めたという事態もあるというふうに報告を聞いておりますけれども。  結局、私、大臣はよく民間開放間違いないと繰り返し答弁をされておられるわけでございますけれども、一点お聞きしたいと思いますけど、特定行政庁の人員が減少してきている、体制が弱体化しているということはやっぱり事実ではないかと思うんですけど、大臣はどうでしょうか。
  130. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 建築行政の職員数が減少傾向にある、まあ平成十六年はまた増えているんですけれども、減少傾向にあるというのはそのとおりであるというふうに思っております。  ただ、私ども、そういう意味で、それぞれの地域において住宅建築物安全性確保することはこれはもう地方公共団体の大切な仕事でございますので、それに必要な体制整備や財源の確保はしっかりやっていただく必要があるというふうに考えているところでございまして、この体制確保につきましては、本年二月に地方公共団体に対し、的確な建築行政実施できるように必要な執行体制を確保してもらいたいというふうな通知もしているところでございます。  今後とも、よく特定行政庁、地方公共団体と連携を取って、地方公共団体のこうした建築行政職員の確保に遺漏がないようにしっかり連携取ってやっていきたいと思っております。
  131. 小林美恵子

    小林美恵子君 連携取ってやっていきたいという答弁でございましたけれども、私、改めて現場実情紹介させていただきたいと思うんですけれども。  この間、大臣も減少傾向であるということは御答弁がございましたけれども、その上に、この間の建築基準法の頻繁な改正への対応でありますとか、建築行政で扱うようになった耐震改修促進法、建築リサイクル法、省エネ法、マンション管理適正法等、とにかくそういう対応で現場の皆さんは確認検査以外の業務が増えているというふうにおっしゃっておられます。実質的には、そういう中で確認検査に職員を配置できない状況になってきているんだと、こういう現場の実態というのはどういうふうにお受け止めになられるでしょうか。
  132. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築行政現場が、本来建築行政職員でなければできない課題にしっかり取り組んでいただくということが非常に大事だと思います。  御指摘いただいた課題、例えば耐震改修既存不適格の建築物をきちんと今日の新しい耐震基準に合わせるというのは、建築行政の本来の仕事でございます。省エネにしても、あるいはハートビル法に基づいてきちんとした建築物を造っていただくという指導の仕事も本来の建築行政仕事ですんで、そこに力を集中するために、民間でもできる建築確認検査業務指定機関にやっていただこうというのが今度の民間開放のポイントですんで、そこのところを勘違いをして、建築確認民間にやってもらったんだから、もう建築部局の職員は減らしていっていいんだというのはとんでもない考えでございますんで、そこのところを間違っていただいちゃ困るということで、公共団体ときちんと協議をして、体制をしっかりして、本来建築行政が担うべき仕事をしっかりやっていただくということで進んでいきたいと思います。
  133. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、本来建築行政が担うべき仕事をしっかりしてもらうというふうにおっしゃいましたけれども、それは大事なことだというふうに思います。  ただ、今問題になっておりますのは、この間、審議の中でも幾度も御答弁されますのは、民間検査機関も見逃した、特定行政庁もあの偽装を見逃した、このことが問題なんだと思うんですね。ですから、この見逃したことが、どういうことで見逃したことなのかということがやっぱり問われなくちゃならないというふうに思うわけです。ですから、局長がそれ以外のことをおっしゃるというのはいかがかなと私は思うんですけれども。  この特定行政庁においてチェックが行われていなかったということは、本来公務としての責務からしますと、国民の信頼を裏切るあるまじきものだと私も思います。仮に人数が少なくなってもやらなくっちゃいけない、そういう責任が公の役割としては絶対あるというふうに思うんですね。  しかし、その背景として、緊急調査委員会報告でも、確認する側の技術レベルが申請者に追い付かず、審査の形骸化が誘因された、建築基準法の規制が自由度や合理性の向上に向けた性能を検証する方向に進んで、確認において必要な高度な工学的判断のできる人材を育てる仕組みが不十分だとも指摘しています。  同時に、建築確認検査業務が営利企業も含む民間開放が進める中で、特定行政庁業務量の増加に反して、担当職員の増員が行われない、減らされているということも緊急調査委員会は言及をしていることは私は重大だというふうに思います。  その上に立って、今回の改正案では、特定行政庁民間検査機関に立入検査権限を付与されることになっております。それは大事なことだというふうに思いますけれども、そのことを考えますと、大臣、知事に通達をお出しになったというお話もございましたけれども、やはり通達だけではいけないといいますか、特定行政庁強化について国としての対応もやっぱり必要だと思いますけど、この点いかがでしょうか。
  134. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 特定行政庁審査能力を向上していく必要性は、もうおっしゃっているとおりだと私も思います。  そういう意味でしっかり、特に構造面においてはそうだと思うんですけれども、人材をしっかり育成していくこと、さらに、人員の面でもやはり強化をしていただく必要が私もあると思います。  この問題については、先ほど申し上げたように、各地方公共団体には通知をさせていただきましたが、是非、国といたしましても、関係省庁ともよく連携取りまして、この建築行政に与えられている役割が非常に大きくなっている中で、しっかりその人員について確保ができるように連携を取らせていただきたいと思っております。
  135. 小林美恵子

    小林美恵子君 是非、人員の確保ができるように力を尽くしていただきたいというふうに思います。  次に、私は、いわゆる民間検査機関について質問をさせていただきます。  今回の改正案でいきますと、いわゆる民間検査機関の要件強化として公正中立が盛り込まれています。具体的にどのようにこの点で強化されるのか、簡潔に教えていただけるでしょうか。
  136. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 公正中立性に関する規定でございますけれども、現行でも、機関は、代表者それから担当役員が関係する個人、企業、団体等が設計工事監理施工等を行う建築物に係る確認検査を行ってはならないとしておりますし、確認検査員及び補助員は、その者が関係する個人、企業、団体等が設計工事監理施工等を行う建築物に係る確認検査に従事してはならないとしておりますし、それから、設計工事監理施工等の業務を兼職する役職員の割合、これらの業務を営む法人の保有する株式の割合を原則として二分の一未満としなければならないこととしております。  今回の改正におきまして、指定確認検査機関の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある親会社が、設計工事監理施工等の業務を行ってはならないことを法令上明確化するとともに、役職員あるいは出資割合の制限についても大幅に強化したいと考えております。
  137. 小林美恵子

    小林美恵子君 今御答弁いただきましたけれども、実は大阪の実例でございますけれども、私が手元に持っていますのは大阪のある自治体の二〇〇三年、二〇〇四年度の建築確認申請の処理の実態なんですけれども、ハウスメーカーなど制限業種の企業から出資を受けた民間検査機関がハウスメーカーからどれだけ申請を受けているのかという割合が示されているんです。それを御紹介しますと、なんと六四%に上ります。これでは、先ほどの議論もございましたけれども、公正中立というのはなかなかいかないというふうに思うんですね。  今局長が御答弁いただきました方向で行きますと、こういう状態というのは本当に正すことができるんでしょうか。
  138. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 確認検査業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものとしてどのような出資割合の要件を規定すべきかにつきまして、御指摘も踏まえて、公正中立の観点から、今後、有識者等の意見もお聞きしながら検討していきたいと思います。
  139. 小林美恵子

    小林美恵子君 指摘を踏まえて検討するという答弁でございましたけれども、それならもう一つ踏み込んで私はお願いしたいと思います。  今日の午前中の参考人の御意見でも、いわゆる民間確認検査機関が偽装を見逃した側面に、営利を伴う市場原理優先の体制により犠牲にされてきたと。確認検査は営利目的業務にはなじみにくいと。これを生み出してきた政府責任は、公正中立の原点をゆがめた点で重大だと指摘をされました。私は、公正中立というふうにおっしゃいますならば、この点、真摯に受け止めていただいて抜本的に見直していただきたい。我が党は、営利を目的としない非営利にするべきだということを提言をしておりますけれども、このこともしっかりと受け止めて検討していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  次に、もう一つお聞きしますけれども、民間検査機関が行った建築確認に関しても、先ほどからも出ておりますけど、最高裁判決が昨年六月に示された、建築確認についての特定行政庁民間確認検査機関の責任の明確化、確認を行った機関に法的責任があることを明確に図るよう要望が出されています。特定行政庁からも民間検査機関の責任を明確にしてほしいとの要望があり、つまりこれは公の事務を民間に任せ、確認済証まで発行させるという仕組みが根本的に矛盾しているからこういうことになるんだというふうに思うんですね。  私は今回の改正案でここのところもしっかりと正していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  140. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 若干の誤解があるかと思うんですが、昨年六月に最高裁小法廷が行いました決定は、建築確認は地方公共団体の事務であると、事務の帰属は地方公共団体であるということを前提にいたしまして、指定確認検査機関建築確認について国家賠償訴訟の被告適格が公共団体にあることを示したものでございます。指定確認検査機関の被告適格を否定したものではもちろんございません。  仮に、指定確認検査機関が行った確認について公共団体が国家賠償訴訟を提起されまして賠償責任を負うこととされた場合であっても、当該地方公共団体は国家賠償法の規定に基づいて当該指定民間確認機関に対して求償をすることになると考えられます。当該機関は責任を免れるものではございません。したがいまして、地方公共団体に国家賠償訴訟の被告適格があることと指定確認検査機関確認済証を発行させることは矛盾があるものではないと考えます。  私どもとしては、今回の改正案の中では、指定確認検査機関がその本来の責任を全うできるようにするために、まず、審査に誤りがあった場合の賠償請求に対応するために資本金、保険金などの要件を強化します。それから、指定確認機関が締結している保険契約の内容など、損害賠償に関する事項の情報開示させます。  こういう指定確認機関責任を明確化するための措置を講じることとしておりますが、更にこれを進めるためにどのような措置が可能か、引き続き検討をしてまいる考えでございます。
  141. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、本当に最高裁判決に則するならば、地方自治体がすべて責任を持つべきだというふうに思います。そのためにも、民間検査機関は地方自治体からの委託に基づいて検査業務を行う、確認申請は地方自治体が受け付け、必要に応じて審査民間検査機関に委託する、確認済証などは地方自治体が責任を持って発行するべき、我が党の提言なんでございますけれども、このことを申し上げまして、今日の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  142. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  建築士制度についてお伺いをいたします。  提出法案には職責に関する規定が設けられていますが、現行法においては別の条項にあった規定とほぼ同じ内容でありまして、単にスライドさせただけのことのように思われますが、他の法律の類似規定を合わせた形式的な改定なようですが、そうでなければどのような意味が込められているのか、なぜ職責の問題についてこのようになっておるのか、お教え願いたいと思います。
  143. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築士の行う設計工事監理業務の結果建築される建築物は、国民の生活の基盤としての役割住宅とか社会経済活動の基盤でありますことから、建築士国民生命及び財産の保護という重要な使命を担っていると考えております。  しかしながら、今回の事件の直接の原因は、本来法令を遵守すべき資格者である建築士職業倫理を逸脱して構造計算書類の偽装を行ったことにあることから、建築士の社会的責任の自覚など、職業倫理意識の向上を図っていくことが重要であると考えたところでございます。  このために、今回の改正案では、第二条の二といたしまして、「建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」こととする規定を新たに追加して建築士の職責の明確化を図っているところでございます。
  144. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 建築士構造計算によって建築物安全性を確かめた旨の証明書を設計の委託者、建築主、元請の設計者に交付する規定は責任の所在を明確にする上で有効なものと考えられますが、この証明書はどのように活用されることを想定しているのでしょうか。  また、下請によって構造計算が行われた場合、その証明書は建て売り住宅の購入者、賃貸し住宅の入居者等の関係者に対して提示され、閲覧、内容確認等を行うことができるような運営がなされるのでしょうか。その点はいかがでございましょうか。
  145. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の構造計算書偽装事件によりまして、建築物構造安全性に対する国民の関心が高まりまして、構造計算の重要性が広く認識されたところでございます。  元来、建築士は適法な建築物設計する義務がありますが、仮に建築士建築物安全性を確かめないで、又は安全性を有していないことを知りながら安全なものとして依頼者に構造計算書等を引き渡してしまった場合には、依頼者はもちろんでございますが、物件の購入者などの関係者に対しての広範で多大な損害を与えてしまうことになるわけでございます。  このため、今回の改正案では、建築士に対しまして構造計算により建築物安全性を確かめた場合の証明書の交付を義務付け、これに違反した者は一年以下の懲役又は百万円以下の罰金刑に処されることとしております。これによりまして、構造計算を行った建築士責任が明確化され、構造安全性がより確実に担保されることになるものと考えております。  今回の改正案では、構造計算を行った建築士を含め、担当したすべての建築士について建築確認申請書及び建築計画概要書に氏名等の記載を義務付けることとしております。さらに、構造計算適合性判定の義務付け等の措置をお願いしております。  今御指摘ありました構造安全性の証明書の交付対象でございますが、設計の委託者、設計を委託した者に対して証明書を交付を義務付けております。したがいまして、建て売り住宅の購入者あるいはその賃貸住宅の居住者等に閲覧することは制度上は想定してないわけでございますけれども、先ほどちょっと長いこと説明しました措置で、構造安全性の的確な確保は図られるものと考えております。
  146. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 建築士がその構造計算書によって建築物安全性を確かめるというような証明書の問題でございますので、その点ははっきり今申し上げられたようにきちっとしておいていただきたいというふうに思うんです。  それから、現行の制度では、建築士業務に関する禁止規定はありません。ただ、第十八条の一項において、「建築士は、その業務を誠実に行い、建築物の質の向上に努めなければならない。」と規定をしてあります。第十条の第一項で、懲戒、戒告、業務停止、免許取消しについて規定をしております。  提出法案では、第二十一条の二項から第二十一条の四項で禁止規定を追加されていますが、このような禁止規定を設ける趣旨についてお伺いをいたします。
  147. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の改正案におきましては、何といっても建築士に対する国民の信頼を回復すると、回復した上で維持していくということが一番大事なことなので、このいろいろな禁止の規定をわざわざ法律に規定することをお願いすることになったわけでございます。  じくじたるものがあるわけでございますけれども、まず二十一条の二、非建築士に対する名義貸しの禁止、これ今まで規定ありませんでした。悪いことしちゃいかぬという規定はなかったということでございますけれども。ですけれども、非建築士等に対する名義貸しの禁止を規定していただきます、今回。無資格者による違反行為を助けるために名義貸しをすると、そういうことで建築士が無資格者と結託して違法行為をすることを明確に禁止するという規定を設けようとするものでございます。違反の場合の罰則は一年以下の懲役又は百万円以下の罰金です。  それから、二十一条の三では違反行為の指示等の禁止です。悪いことをしろという指示しちゃいかぬという規定でございます。建築士は、設計又は工事監理に関する知識、経験を有しているだけでなく、建築基準法等に基づく手続の代理なども行うことが可能なわけでございまして、違反建築物建築など違反行為についての指示、相談等をやろうと思えば容易に行い得る立場にあるわけです。こうした違反行為を明確に禁止する規定を設けようとするものでございます。  それから、二十一条の四は信用失墜行為の禁止ですが、建築士は社会の信用を得られてこそ専門職業家としての建築士の社会的な地位確保されるわけでございますので、信用失墜行為を明確に禁止する規定を設けようとするものでございます。
  148. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 建築士は、一回の建築士試験に合格をすれば永久に資格が与えられることになっています。資格問題については、今日、私、参考人にもちょっと質問をしたところでございますが、やはり今日、建築に関する技術や工法、それから素材、材料、設備等の変革、高度化は著しく、知識や経験において一定以上の水準を維持しなければ建築士としての職責を果たすことが難しい場合も出てくると思います。  そのような意味では、資格の更新について検討が必要ではないかと考えますが、見解はいかがでございましょうか。
  149. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この建築士の免許の更新制の問題につきましては、社会資本整備審議会中間報告では、建築技術の高度化、複雑化に的確に対応し、建築士の能力の維持向上が図られるための一つの方策として、建築士免許を更新制とすることが考えられるが、期間の経過を理由に資格を喪失させることとなるため、他の資格制度とのバランスを考慮し、その必要性について検討する必要があるとされております。  免許のうち現行の制度のうち更新制となっているものは運転免許それから海技士といった免許で、いずれも体の機能の低下をチェックすると、体の機能の低下に着目した制度となっております。  こうした論点を踏まえまして、建築士免許の更新制について引き続き検討していく考えでございます。
  150. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり、事件、事故が起きたわけですから、やはり資格の問題について一回当たればそれでいいという問題では今回の場合なかったと思うんですね。ですから、でき得れば国土交通省においても資格の問題についてはどうかひとつ具体的に検討いただければと、御要望だけ申し上げておきたいと思います。  建築士がその業務におけるミス、それから能力不足や不適切な判断等によって顧客や第三者に対して損害を与えた場合賠償責任が生じますが、建築物建築費が高い場合や人命への損害を与えた場合など、賠償金額が建築士の賠償能力を超える場合も考えられます。そのため、賠償責任保険はありますが、加入義務付けられていないため、損害賠償責任を十分に果たせないという可能性も出てまいります。しかも、賠償保険制度は故意や重過失が免責事由になっております。  これらの問題について、情報開示をするなど早急に検討が必要ではないかと思うんでありますが、見解はいかがでしょうか。
  151. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この問題につきましても審議会の中間報告で御指摘をいただいておりまして、建築物設計に係る損害賠償責任保険について、任意の保険制度があるものの、保険金の限度額が一千万円から五億円程度と十分とは言えないこと、それから加入率が低いこと、故意や重過失は免責事由となるといったことから、消費者の保護を図るため、建築士事務所による損害賠償責任保険への加入など、損害賠償責任の履行の実効担保する、確保するための措置を講じる必要があると指摘されているところでございます。  これを受けまして、今回の法案では、保険契約に関する書類を新たに閲覧対象として追加すること、それから情報開示のために、設計などを依頼しようとする者により建築士事務所の選択が可能となるように、保険契約に関する書類を新たに閲覧対象に追加する措置をお願いしたところでございます。  この情報開示から更に進んで、保険への加入義務付けるということにつきましては、損害賠償に必要な保険金の支払の安定的な確保といった多くの課題がありますほかに、御指摘いただきましたように、故意、重過失に起因する瑕疵については、モラルハザードの問題など責任保険では対応が難しいという課題でございますので、慎重に検討する必要があるわけでございます。  住宅瑕疵担保責任の履行の実効確保するための措置につきましては、研究会を開催して検討を進めております。この結論を得て所要の措置を講じたいと思います。
  152. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいまも質問いたしましたが、賠償責任保険内容について検討課題があるものの、現行制度の下で建築士事務所に対し保険への加入保険金額の引上げなどを働き掛けるなど、早急に取り組めることがあると思われますが、国としてはどのような取組をお考えになっているのでしょうか、お伺いいたします。
  153. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 非常に大事な課題であると考えております。  建築物に欠陥があった場合の損害賠償額は相当の額となりますので、建築士事務所の支払能力に比べて負担が非常に大きいものになります。こうした状況から、現在既に、日本建築士事務所協会連合会日本建築士連合会、それから日本建築協会がそれぞれの会員向けサービスとして任意の制度を持っておりますけれども、これを周知して加入を呼び掛けております。引き続き、これらの関係団体を通じた保険加入促進を働き掛けるとともに、会員以外についてもその加入が増加していると聞いておりますので、こうした会員以外の建築士事務所等に対しても周知に努める必要があると考えております。
  154. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 提出法案の二十四条の五第三号で保険契約書類を閲覧させることとなっていますが、建築士事務所が受託した多数の物件において瑕疵があった場合、支払うべき保険金額が高額になってしまう場合もあることはさきに指摘をいたしましたが、加入をしている保険金の額を確認しただけでは設計等を委託しようとする人にとっては必ずしも安心できるものではありません。少なくとも、手持ちの仕事量の状況に関する情報を併せて開示しなければ加入保険金額の評価は適切に行うことができないと考えますが、見解はいかがでございましょうか。
  155. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘のとおりでございます。  今回、新たに閲覧対象としました損害賠償保険契約に係る書類でございますが、これと併せまして、事務所業務の実績、それから事務所に属する建築士の氏名及び業務の実績、それから事務所業務及び財務に関する書類を閲覧させなければならないとしておりますので、これによりましてこの建築事務所がおよそどの程度の仕事をしているのかということを知ることができるようになります。それから、財務状況についても把握ができますので、設計等を委託しようとする者が、これらの情報を基にしてしっかりした建築事務所を選択することが可能になると考えているところでございます。
  156. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 業務の一括下請、いわゆる丸投げについてお聞きをいたします。  参考人からもこの問題については考え方についてお聞きをしたところでございますが、例えば分譲マンションを例に取れば、建築主、分譲業者は大半がゼネコン施工というブランド名をアピールをして販売促進に生かして、実際の施工業者である下請業者は大型物件の受注実績を上げられるなど、供給側はそれぞれメリットがありますが、しかし消費者側から見ると、実績と信用のある大手業者の施工という安心感から購入することを考えられますが、実際ではそうではないという問題が発生をいたします。  このような一括下請の抱える問題点について、国としてはどのように認識され、今後どのような対応を講じようとするお考えなのでしょうか、お伺いいたします。
  157. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) まず、現行の建設業法の考え方を御説明いたしますと、民間工事におきましては、発注者の書面の承諾があれば一括下請は違法なものではございません。これは、発注者保護の観点から発注者の信頼を裏切る行為である一括下請負を原則として禁じているものの、保護される対象である発注者自身が一括下請負を承諾している場合にはこれを禁じるまでもないとの考えによるものです。  しかしながら、今御指摘のございましたように、分譲マンションの場合には、発注者とエンドユーザーである住宅の購入者が異なるわけでございまして、こういう場合に一括下請負を認めると購入者の信頼を裏切るんではないかと、損なうのではないかとの指摘がございます。  このため、消費者の利益を保護する観点から、まず情報開示の在り方も含め検討することが必要であると考えておりまして、当面の対策としては、分譲マンションの広告における表示内容適正化について不動産業界の自主ルールを定めてもらうよう不動産公正取引協議会連合会等と相談しております。それから、制度自体の在り方も含めて検討する必要があると考えておりまして、今月から開催予定の建設産業政策研究会においてこの問題について検討していきたいと考えております。
  158. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  159. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十七分散会