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2006-05-18 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十八日(木曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      輿石  東君     柳澤 光美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 松村 龍二君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 柳澤 光美君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    参考人        鶴岡市長     富塚 陽一君        株式会社まちづ        くりカンパニー        ・シープネット        ワーク代表取締        役         社団法人日本都        市計画学会理事  西郷真理子君        東京大学空間情        報科学研究セン        ター副センター        長・教授     浅見 泰司君        福島大学人間発        達文化学類教授  阿部 成治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、輿石東君が委員を辞任され、その補欠として柳澤光美君が選任されました。     ─────────────
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会鶴岡市長富塚陽一君、株式会社まちづくりカンパニー・シープネットワーク代表取締役社団法人日本都市計画学会理事西郷真理子君、東京大学空間情報科学研究センターセンター長教授浅見泰司君及び福島大学人間発達文化学類教授阿部成治君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、富塚参考人西郷参考人浅見参考人阿部参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず富塚参考人にお願いをいたします。富塚参考人
  6. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) 大変恐縮ですが、座ったままで御報告申し上げます。  御紹介をいただきました山形県の鶴岡市長富塚陽一でございます。  今日は、当市におきます中心市街地活性化取組につきまして、特にまちづくり法改正との関連から御報告を申し上げる機会をちょうだいをいたし、誠に光栄に存じます。大変、役割を果たし得るかどうか非常に危惧しておりますけれども、精一杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  鶴岡市は、御高承のことと思いますが、日本海に面した山形県の西部に位置しまして、古来から庄内地方と称し、中心都市として酒田市とともにその役割を担ってまいりました。昨年十月一日に近隣の四町一村と合併をいたし、旧鶴岡時代人口十万人から十四万二千人、面積では二百三十三平方キロから千三百十一平方キロの、これは東北で一番、全国では十番目の広さになると、これ喜んでいいかどうかよく分からないんですけれども、大変重い責任を負わされたということでございます。新しい鶴岡市として発足をいたしました。  当市市街地基本的な原形は、一六〇〇年代の前半、徳川四天王の一人であります酒井忠次の孫に当たる忠勝公が入府してから形成をされまして、自来、庄内藩十四万石の城下町として、明治以降もその原形を色濃く残しながら、時代の変遷とともにそれなりの維持発展を続けてまいりました。  城下町としての原形を残し得たのは、まず維新当時に朝敵だった私たちのところも、西郷南州翁の大きな心遣いから戦火を免れましたし、その後大きな戦災や災害もなかったためでございますと同時に、市民は、古来の価値ある建造物などの施設を、それぞれの時代時代に合うように有効に活用し続けてきたことも大きいものではないかと存じます。  本市出身である藤沢周平氏は、鶴岡の町をモデルにした時代物の作品を数多く創作されておりますが、映画監督山田洋次さんのお話によると、藤沢作品を映画化することにしたのは、鶴岡の町には藤沢氏の作品を映像化し得る風情、人々の心がある、ただ建物はちょっとやっぱり改造されたところもあってこれは無理だけれども、それはセットで足りるので、結果的には大変いいところを残しているのでということで、御高承のように、「たそがれ清兵衛」など、多くの方々に楽しんでいただいてまいっております。  余談を申し上げましたが、本論に入らせていただきます。  初めに、最近におけるまちづくり取組の状況について申し上げます。  まず、本市におきましても中心市街地空洞化商店街の衰退など、いわゆる地方都市に共通する問題点程度の差はあれ徐々に進行してまいっております。人口の減少と世帯数の増加、世帯分離の進行と郊外移転による中心部空洞化高齢化商業は全市的に健闘はしておりますものの、中心商店街の停滞、衰微の傾向も際立ってまいりまして、今もなお続いております。  特に、後刻も触れますけれども、隣町の郊外都市計画条例白地地域店舗面積が四万平方メーターを超える超大型店平成十三年にオープンするなど、商業環境の甚だ大きな変化もございました。  そういうことも想定されましたので、市といたしましては、都市計画マスタープランの作成に取り組み、およそ五年の歳月を経て、平成十三年六月にまず取りまとめをいたしました。この都市計画マスタープランは、市民自由参加によるワークショップを繰り返し繰り返し行って意見を集約し、そこから問題点を探り出しながら一つずつ解決するという長いプロセスを経て策定したものでございます。  その基本的な理念、目標は、これは全国各地でも共通でありますけれども人口規模に応じたコンパクトな市街地形成とし、これが引き続き実施した線引き作業導入基本にもなったのでございます。そして、今申し上げたとおり、その後、線引き選択制になった都市計画法の下で、平成十六年五月には区域区分、いわゆる線引きを行い、線引き都市となったのでございます。  かように措置をいたしましたのは、農業情勢の厳しさが増す中で郊外での開発圧力が強まり、これまで代々守り継がれてきた農地農地法、農振法の規定だけでは到底守ることができなくなったこと、また農地が宅地化されましてそこに人口が流動し、中心市街地空洞化が進展する、こういうことに歯止めを掛ける必要があるということで、そういう問題意識を持って線引きを実施したところでございます。  元々私は、市街地、中でも中心市街地における都市中枢機能、それは城下町としての史跡も含めまして、とりわけ医療機能学術文化研究機能などは郊外地には出さない、それらの環境も美観、景観の要素も加えて再整備することを努めて貫く方針でまいりました。  その代表例を申し上げますと、五百二十床の総合病院平成十五年に中心市街地の中に建て替えをいたしました。当然、郊外への建て替えを要望するなど様々な意見もございましたけれども、大方の市民が歩いて通院できるように、また駐車場立体化などでこれも対処できる、そんなことで、今日では市民にも歓迎をされており、中心市街地活性化のための手法としての一例として、今日、参考資料をお配りをいたしましたけれども新聞報道を通しまして全国にも御紹介をいただいております。  また、平成十三年には、中心部に慶応義塾大学先端生命科学研究所を始め、昨年には東北公益文科大学という、これは私たち公設民営大学をつくったわけでありますけれども、その大学院を設置し、これまでにない新しい都市機能を配置いたしました。  新しい学術機関都市の中に配置することで、既存の学術機関山形大学農学部鶴岡高等工業専門学校にも活力を与えるようなことが期待され、学生市民の交流も生まれたり、公開講座などによって市民の生涯学習の機会が増える、あるいは深まるなど質の高い都市機能も育ちつつあります。特に、慶応の先端研では世界的な成果を上げていただいており、これは私どもの期待をはるかに超える成果を上げてくださっております。  さらに、国の御支援をいただきながら、シビックコア計画という事業の下に国の出先機関の合同庁舎の整備計画に取り組んでおり、そのほか、健康福祉センターあるいは藤沢氏などの文学館などを逐次整備してまいる方針でございます。  次に、景観形成の問題について一言申し上げます。  さきに申し上げましたとおり、計画作りを行うに際しまして市民自由参加ワークショップを実施し、議論を重ねていただきました。こうした議論の中で特徴的だったことの一つに、鶴岡人原風景道端から眺める山々風景、これも誇るべき無形資産であるということでありました。  その内容でありますけれども、元々中心市街地町割りは十七世紀につくられたのでございますけれども、その主な街路両方、まあ南北であれば、南の方にある山、北の方にある山、鳥海山、月山、母狩山、いろいろな名前があるわけですけれども、そういう山が同時に両方に位置しているような、そういう街路を造ったのでございます。いわゆる山当てとかいう、これは共通語かどうか分かりませんけれども、そのような手法での道路が造られている。そういう点では、どこを歩いても道の向こうに月山や鳥海、金峰などの山々が見えるという、そういう環境をつくっていると、そういうことであります。ここで育った私たちとしましては、道端から山々への眺望が非常に的確に見える、いかにも鶴岡市らしい景観であるということを誇りにしてまいっております。  そうしている間に高層マンションの話が持ち上がり、もう既に三棟が建っておりますけれども、これはそのままにしておいて果たしていいだろうかということでいろいろ議論をしました結果、やはり市民の御意見もそうでありますけれども本市では建物の高さを中心市街地から眺める山々の稜線六〇%程度以下にするという、そういう制限を行っていくということがいいのではないかということで、現在そのようなことで措置をし、人々の持つ原風景を守り、愛着の持てる町を持続させていこうというふうに思っております。  そのようなことで、一見、高層マンションの建設に水を差すようで時代に逆行するのかもしれませんけれども、それもほどほど、程度問題でありますので、その点については地方都市にとってダメージになることが避けられないという観点からこのようなことを措置いたしました。その点はこれからも更に守っていきたい。市民は、普通の住宅において風通しが良い、光が差し込む普通の住まいで構成される町が本当に住みやすく望ましいという、そのようなワークショップでの議論の中の印象付けられたところの結果もその反映でございます。  以上申し上げましたように、本市における取組といたしましては、郊外開発規制すると同時に、都市機能中心部に集積し、併せて良好な景観形成を図ることを基本としており、言わば標準的な施策の組合せでもあると存じます。特に得々と申し上げることでもないだろうというふうに思いますが、ただ、現行のまちづくり三法でありますと、こういう標準的な施策が必ずしもうまく働いてくれない問題があると。  先ほど最も顕著な例として申し上げました大規模小売店立地の問題でありますけれども、隣町の郊外には白地地域店舗面積四万平米を超える超大型店平成十三年にオープン、さらにその隣地には合計店舗面積二万平米を超える中規模店舗集積地開発されております。開発面積ではおよそ三十二ヘクタールという非常に大きな規模になると見込まれております。  そういう点では、大型小売店郊外に自立させる一方、市街地の中では中小小売店を保護するという、そういう一つ法的体系は理解し得ないわけではありませんけれども、現実にはその考え方は通らなかったということで、全くバランスが取れないという実態を我々は体験をしたわけであります。  そういう点では、これからも悩まなければならないというふうに思っておりましたけれども、このたびの改正におきまして、こうした点は大幅に改善されるということに相なって、私たちは本当に心から感謝をし、評価を申し上げたいというふうに思います。とりわけ、今般の都市計画法改正による都市機能適正立地の法案につきまして、都市計画区域白地地区においては大規模集客施設についていったん規制をする、地域の判断を反映した適切な立地を確保するという本当に適切なものと存じ、有り難く評価をしてさしあげたいと存じます。  さらに、若干付け加えてこの際申し上げたいことは、大規模集客施設につきまして、床面積一万平米を超える店舗等に限定するのではなく、中規模以上の店舗やその集積地につきましても適正に立地規制になるように私どもとしましても関係者に要請をし、また指導もしてまいりたいと思いますが、この点についてはその法的根拠整備について何とぞ御検討をいただければ有り難いというふうに存じます。  いずれにいたしましても、地元市町村長としては、責任を持って適正なまちづくりについて最善を尽くすということを踏まえまして、そのようなことをお願い申し上げる次第でございます。  次に、中心市街地活性化法関連で申し上げますが、これは先生方に申し上げるまでもなく、私たち古来文化伝統を守ることは本当に大切なことであります。そういう点では、最近の動向の流れは将来が危惧されることも少なからずあります。そういう点では、私たちはこの貴重なものを後世に引き継ぎ、活性化していくことが是非必要であるというふうに思いますので、これらの活性化のいろんなもろもろの措置につきましては、全国一律な規制規制緩和ではなく、きめ細かにそれぞれの地域の特性に応じて判断できるようにするという今般の中心市街地活性化法、そしてそれに伴って予算関連措置も講じられるという誠に手厚い配慮につきましては深く深く感謝を申し上げ、その趣旨は十分生かされるように最善努力をしなければならないというふうに思いを新たにしている次第でございます。この点も重ねて厚く御礼を申し上げたい。  終わりに、この総括をいたしましてですけれども、この三法の改正につきましては、国によります選択と集中が強化されるだけでなく、市町村におきましても選択の幅が広がり、様々な制度仕組みを使って地域の個性を磨いていく方向が示されたものと心強く思っております。  既に私たち鶴岡市では、中心市街地に元気なシニア活動拠点をつくるシニア向け集合住宅、それを民間の資金やノウハウを活用しながら整備しようという元気居住都心づくり、それから空き地の地権者まちづくり事業を行うことを前提に区画整理をすること、そんなこと。それからもう一つは、五十六店舗で構成される山王町商店街というのがありますけれども、このまちづくりに対してお互い責任を持とうと、もし仮に後継者がいなくっても貸店舗にできるように、その空間をちゃんとキープするように、そしてまた一階に店舗をキープするように、そんな申合せをしながら、お互いに、一定期間ナイトバザールというものをやりながら、多くの人たち地元のいろんなものを持ち込んでもらって、活性化について、また本当に愛情、愛着をわかすいろんな商店街活性化対策を進めるというふうな取組もしております。  懸命に努力をするつもりでございますので、今回の三法の改正につきましては本当に有り難く、また、是非そのようなことを実現さしていただくことを心から御祈念申し上げて、粗辞でありますが、これで報告を終わらしていただきます。  誠に御清聴ありがとうございました。
  7. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、西郷参考人にお願いいたします。西郷参考人
  8. 西郷真理子

    参考人西郷真理子君) 皆さんこんにちは。御紹介いただきました西郷でございます。  私は、建築家まちづくりコンサルをやっているものでございます。本日、このような席でお話しさせていただくのは大変緊張しておりまして、うまくお話しできないかもしれませんけれども、これまで活動してきたことをお話しさせていただいて、御参考にしていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  私は、学生時代に歴史的な町並み大変興味を持ちまして、そういうところを訪れたわけです。そういう町を訪れたときに大変感じましたのが、やはりその町が、町並みが美しくて居心地が良くて住んでいる人たちが笑顔がいいというところは、町の共同社会というんでしょうか、コミュニティーというんでしょうか、そういったものがとてもよく根付いているというのをとても感じたんです。それで、やはりそういうコミュニティーという町の共同社会のようなものがきちんと機能することがとても大切だということを感じたわけです。それで、そのコミュニティーというのはある種の助け合いの社会であり、日本独特の協力の仕組みがあって、豊かさを感じる社会であり、安心、安全ではないかと思ったわけなんです。  それで、そのコミュニティーによる自立的な開発とか再生とかいうことをテーマに仕事にしたいということで、現在は中心市街地活性化とか商店街仕事をしているということでございます。私がお手伝いをしました歴史的な町並み川越、長浜、現在は、歴史的な町ではあるんですけれども本格的な市街地開発事業に取り組んでいる高松の丸亀町というところを参考お話をしたいと思います。よろしくお願いいたします。  お手元に資料をお配りいたしましたので、この内容お話をしたいと思います。  まず第一には、都市には中心が必要であるということですね。やはり町の中に中心があって、その中心行くと、市民誇りに思うような場所でしょうか、市民誇りに思い集まることのできる中心が不可欠であるというようなことを書いたわけなんですけれども。  私たちが例えば海外旅行に行ったときに、あるヨーロッパ地方都市に行って、真ん中におしゃれな広場があって、教会があり、そこにシティーホールというんですか、市役所があったりしまして、とてもいい雰囲気なんですよね。小さな地方都市でも、小さな劇場があって演劇をやっているとか、その広場ではお茶を飲んだり、おしゃれなブティックがあって、その町でしか取れない、取れないというか加工できないような、例えば銀細工の店があったりということで、大変町が魅力的でそこにみんなが行きたくなるようなものがあるというのを感じるわけなんですね。ですから、そういう意味でやはり都市にはきちんとした中心があるべきであるというふうに思うわけなんです。  それを例えば日本で考えると、ヨーロッパの場合は地方都市がとても魅力的であるということで、いろんな小さな町、五万人、十万人ぐらいの町でもとても魅力的なんですけれども日本の場合ですと何で地方都市が魅力にならないのかなというふうに感じているわけなんですけれども。例えば、四国高松中心部というのは、資料の六ページに高松資料がありまして、古い地図があるんですけれども、海から向かってお城がありまして、そのお城から真っすぐ伸びた、一応台地状の一番いい尾根上の道に商店主人たちを配置しまして、商都として発展させましょうというようなことを四百年前に当時のお殿様が、都市計画ですね、決めたわけなんですけれども、現在はその商店街が大変弱ってきてしまっているということで、それは本日の議論になっているような郊外店の出店なんですけれども、同時に、要するに郊外住宅地で空き家が出てきているということがやはり出てまいりまして、四国新聞の連載の中でもそういうことが明確になってきているわけなんですね。  郊外の町も衰退して真ん中も衰退するというようなことが始まってくると、町を支えていたそのコミュニティーそのものが衰退してきてしまっているんじゃないかということで、先ほど申し上げた、日本の持っていたいい町の仕組みというものがうまくいかなくなってくる。そういった意味で、都市にはとにかく中心をつくっていくことが必要であるということがあるわけです。  次に、じゃその中心再生はだれが行うのかといった場合に、いろいろ関係者がたくさんいらっしゃる中で、行政機関なり企業もあるとは思うんですけれども、私はやはりそこの町に住んでいる人たちが、コミュニティー中心になって再生することが必要であるというふうに考えておりまして、そのためのポイントとして三点ほど挙げております。  まず一点目ですね。町のイメージを共有して美しい町並みをつくる必要があるんじゃないかということです。  先ほど鶴岡市の市長さんもおっしゃっていたように、町の人たち自分たちの町に対してある一定イメージを持っているんですね。それは長く長く培っておられまして、例えば川越というところが四ページ目にあるんですけれども、ここでは日本の歴史的な都市と同じで、四間のところに商業があり、四間のところに住宅があり、八間から十二間の間に中庭があるというようなゾーニングをもう長い間行ってきたわけです。  ところが、これは別に何か決まっている制度ではありませんので、細長い敷地に対してようかんのような建物を造ると反対側駐車場になったりして歯抜けになっていくというような悪い土地利用が始まってきたときに、町の人たち町づくり規範というルールを作りまして、この元々持っていた町のルール自分たちルールであるというようなことをきちんと作ったわけです。それで、町並み委員会をつくりまして、町づくり規範を運用するというようなことをやっているわけです。これは、これを基に川越市は伝統的建造物保存地区というのを指定したわけですけれども、この基準の基にもなっているということです。  あるいは高松では、やはり先ほどのページを開けていただきまして、六ページ目ですけれども、今回、市街地開発事業に取り組んでいるA街区というところがあるんですけれども、これは都市再生特別地区の特区の手続を取りまして、これまでの斜線型の規定から、ここに書いてありますように、建物の壁面を決めていくというようなものを住民が提案をしまして決定を受けたわけでございます。現在はこれを丸亀町全体の街区で展開していくようなデザインコードを立案しておりまして、それを生かす地区計画を準備中ということでございます。  町のイメージを共有して美しい町並みをつくっていくような仕組みづくりが大切ではないかというのが一点目でございます。  次に、ではその場合だれが進めるかということなんですけれども、それは正にコミュニティー自身が主体となる。コミュニティーの主体ってどういうことかというのなんですけれども、アメリカのダウンタウン再生では比較的この辺りがすごく進んでいまして、ここに書いてありますようなコミュニティーに根差したディベロッパー、CDCとかCBDとか言われておりますけれども、そういったものが二十年も活動をしていて実績が多いということですね。これにはBIDと言われているような特別課税地区とか、そういういろいろな制度が複合してやっているんだとは思うんですけれども、それにしてもこういうコミュニティーディベロッパーが活動して町の再生を行っていると。  じゃ、日本ではどうかということなんですけれども日本伝統的にやはり町を運営していくような仕組みってあったわけで、それをうまく生かして、例えば長浜では、最近とても有名になっておりますけれども、黒壁株式会社が市民ディベロッパーとして活躍をしているということで、五ページ目にその写真を、資料を載せましたけれども、黒壁が空き地や空き店舗を買ったり借りたりしながら展開していって、そこには様々な組織がそれと同時にできてきて事業が成功している。  例えば高松ではエリアマネジメントを行うために本格的なまちづくり会社を、もうできておりますけれども、それでマネジメントプログラムを展開していきましょうということでございます。その資料は七ページをごらんいただきたいと思います。  まちづくりはプロセスで考えるということで、最初は余り、大きな組織だけだったのが、だんだんだんだん小さなNPOなんかができてきて町が活性化してくるということが言えると思います。  その中でも特に大切な、市民中心となって成立するディベロッパー、まちづくり会社ということで、それが成立する構造というのを七ページ目の方に整理をいたしました。初動期に企業やあるいは大きな組織は手を出さないようなところに投資をしまして、それをちゃんとリターンをします。その仕組みの中でこの事業が成り立っていくというようなことを行っているわけですね。  これは、例えば川越ではその昔はお助け長屋というのがありまして、メーンストリートで失敗した人たちがお助け長屋でもう一度チャレンジするというようなことも行われているということでのこのまちづくり会社の構造というのは、日本の元々持っていたものであるというふうに思います。  三点目といたしましては、事業スキームを工夫するということでございまして、土地問題というのは大変大きな問題でございますので、土地費を顕在化させないということで、地方都市においては特に一定活性化再生をしようと思うと土地の問題等が出てくるわけですね。  その土地を、丸亀町では土地の所有と利用を分離いたしました市街地開発事業のスキームを立案いたしました。土地の所有はそのままですので、まちづくり会社が建物を所有して全体のマネジメントをやっていくということでございます。権利調整の難しさを住民が自ら主役になることによって克服する工夫をしております。  このような住民、市民人たちが前提となってこのコミュニティー再生しようということをやるためには、大きな二つの前提条件があるかと思います。  三ページ目ですね。それは、今回法案にかかっておりますコンパクトシティーが実現されないと、やはりこれができないということですね。コンパクトシティーの実現ということはもうたくさん議論されているわけなんですけれども基本的にはやはり町の中に集合して住むというのは特に高齢者とか女性の人たちにとって大変便利であって、先ほどお話がありましたように、車を使って移動していくというのはやはり弱者にとっては大変不便ですので、そういった意味で高齢者、女性にも大変必要ですし、それから子供の教育にも必要だということもありますし、それから中小企業は集積することで効果を上げることができるわけですから、町の中に集積することでよりパワーを上げることができると。  それから、環境問題とかいろいろありますけれども、とにかく限られた資源を一定地域に集中させて魅力的な町をつくることができれば、本当に豊かな都市生活が実現できるというふうに思います。  郊外大型店がどんどん出てきてしまいますと、中心部の中小商業者が幾ら頑張っても太刀打ちできないというので、もう高松でも店舗数で〇・五%のところが売上げで二〇%持っておりまして、それが郊外の二種住宅にいるということでございますので、こういったことを是非コントロールをして、まちづくりをしなくてはいけないのではないかというふうに思っております。  第二点目といたしましては、じゃ、それを行っていくために、やはり初動期に公的支援を求めながら資金が地域循環をする仕組みが必要ではないかということでございます。  いろいろな都市開発事業を行うためには一定の支援があるわけですけれどもコミュニティー中心になることによりまして、こういった支援の事業を行うことができます。その結果として、基本的に補助金は税収で返ってくるということと、実は地域のお金を地域で投資をするということをやりたい、やるべきであるという動きはたくさんありますので、例えば高松でも地域人たちがファンドをつくり、それを再開発の中で投資をしていくというような仕組みもできてきております。  あるいは、中小企業が連携することによりまして、地場で取れた食材は地場で消費をするという仕組みが構築されつつあるわけですけれども、これらはすべて地域循環の仕組みでございまして、サステーナブルな考え方なわけです。ですので、基本的な地域循環の仕組みをどのようにつくっていくか、つくり上げるかということでございます。初動期の公的支援が効果的に活用され、その効果が市民のために戻ってくるということでございます。  今回の新しい法律に関しましては、都市計画の持っている用途地域の考え方をきちんと行うと、それから地域の意思決定による手続を行うということで、是非成立することを期待したいと思います。  先ほど来言っておりますように、日本には伝統的に市民が助け合って生活をしていくというものが長くあったと思うんですね。ただいま勝ち組、負け組という議論もありますけれども、やはり負け組ということではなく、その残りの八割、七割の人たちが助け合って協力し合いながら生活をしていくということが大切で、例えばビル・ゲイツが成功したとしても、やっぱり幸せを感じるのは仕事が終わったときのビール一杯を仲間と飲むということだろうと思うんですね。  ですから、そういう幸せな世界ができるようにするにはやはり都市の生活がきちんとできなくてはいけない。都市計画はそれをきちんとしていくための大きな手段だというふうに思いますので、是非法案の成立を期待したいと思います。  ありがとうございました。
  9. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、浅見参考人にお願いいたします。浅見参考人
  10. 浅見泰司

    参考人浅見泰司君) 東京大学浅見でございます。  このたび、意見陳述の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。私の方からは、都市計画役割ということについて少しお話をさせていただきたいと思います。  メモをまずごらんいただきたいと思うんですけれども、まず最初に、時代の要請と都市計画役割とございます。  最近、都市計画役割というのが大分変わってきているという感じがいたします。特に、人口が減少する時代に入ってきたわけですけれども、以前は都市計画というのは、いかに無秩序な市街地の拡大を抑えて何とか都市が機能するようにするかと、そういったことが非常に重要な役割として考えられていたわけです。ところが、市街地が縮小するという時代に入ってきたわけですね。こういたしますと、非常に大きく分散してしまった都市をそのままにしておくというよりも、ある程度効率的な都市構造を形成できるようにする、今まで以上の都市計画役割というのが求められるようになってきたということになります。  こういった市街地縮小の時代ということになりますと、縮小を考えて都市構造を考えていく、ないしはそれをコントロールしていくという仕組みが必要になるわけですね。こういった意味で、適切な都市構造に配慮したような都市計画の枠組みにしなきゃいけない、これが非常に要請されていた第一の課題なのかなという感じがいたします。  それから、最近、地方分権化が進んでおります。地域に近い、地元に近い、そういった行政単位へ権限移譲されていろんな工夫をしていくと、こういったことは非常に重要なことだと思うんですが、一方で、広域的な連携ですとか広域的な調整、こういった方策がややなおざりにされてきたかなという感じがいたします。  都市計画の場合、以前は、例えば都道府県ですとか国ですとか、そういったところが実質的に広域調整を行ってきたというようなことがございますけれども、だんだん地方分権化されてきますと、こういった機能というのがなかなか動かなくなるというようなことがございます。そういった意味で、広域調整の手続を明確に組み入れていく、こういったことが課題としてあったというふうに認識しております。  それから三番目に、地球環境あるいはエネルギー問題というのは、非常にこれは一九八〇年代以降、もう地球規模で大きな問題になってございます。こういったこと、社会全体として省エネに配慮した空間計画というのが必要になってきたわけです。そうなりますと、例えば、自家用車に頼らず徒歩ですとかあるいは公共交通、こういったことを重視した都市構造というのに再編していくということも非常に重要になる。そういった意味で、最近話題になっております中心市街地再生というのは大きな重要な方向だろうというふうに考えます。  以上考えますと、今回の改正の背景にありました時代的要請といいますのは、一つは適切な都市構造を形成するということ、もう一つは広域的な調整の手続を組み入れていく、この二つであろうというふうに考えます。  次に、都市計画の変化ということですね。時代的に都市計画の考え方ないしは制度がどういうふうに変わってきたかということを少し考えてみたいと思います。  まず、場への利便性から場での利便性と書きましたが、これは消費者の行動について考えてみたものです。消費者というのは、もちろん一番便利なところにショッピングに行くわけです。そのときに、昔では、いかに商店街に近いかという、むしろその場に行く利便性みたいなものが重視されていたわけですね。ところが、自動車が非常に普及した状況になりますと、その場までの利便性というのは必ずしも重視されずに、むしろその場での利便性というのが重視されるようになってきたということがございます。ですから、そういった意味で、以前はアクセスが良いからそこに行くんだということで、それが必然的に中心地に集まるようなことになってきたわけです。その結果、都市計画においても、中心市街地都市インフラを集中投資したというような経緯がございます。  ところが、先ほど申しましたように、自動車が普及したということと、それからもう一つは、郊外部でも、バイパス等がありまして、かなりその基盤整備も進捗してきたわけです。こうなりますと、自家用車で行くんであれば行った先でできることの利便性が多い方がいいと。たくさん買って車に載っけてくればいいということになります。そういったことになりますと、過去に行ってきた中心市街地での都市インフラの集中投資というのが下手にすると無駄になったり、あるいは郊外部でより広範囲に公共投資をしなければいけないという、ある種の公共投資の無駄みたいなことが発生するということがございます。こういったことに対して何かしら都市の側でコントロールする必要があるんではないかというのが一つございます。  それから二つ目に、大規模開発は計画的な良い開発だという思い込みという、ややちょっときつい言葉を書きましたけれども、以前、都市計画制度として作っていくときというのは、大規模開発というのを余り民間が行うというよりもむしろ公共的に、例えばニュータウンのような形で開発を行うということが想定されていたわけですね。大体、公団ですとか公社ですとか、あるいは自治体が行うような場合にある程度都市計画的に調整して、そしてそこを開発するというのが普通であったというふうに考えられます。ところが、民間が大規模開発のできる体力が付いてきたわけですけれども、そういう形で民間が自由に開発しますと、必ずしもその都市計画的な調整というのが行われないで、あるいは必ずしも重視されないで、そして開発されるというようなことが起きてまいります。  こういったことを何とかコントロールしなきゃいけないということですけれども、今回の法改正においては、市街化調整区域における大規模開発の場合、例外的な許可というのを廃止して、そしてむしろ地区計画で対応しようと。ですから、やはりちゃんと物を見ていこうという方向に移ったということで、これは非常に重要なことではないかというふうに考えます。  それから三つ目に、公共公益的な施設は良いものだという思い込み、また思い込みという言葉を書きましたが、思い込みというのは、実は以前は確かにそれが正しかったわけです。以前は確かに公共公益施設、これをなるべく不足していたのでたくさん造らなきゃいけないということもございました。しかも、こういった公共公益的な施設というのは、ある程度公的な意図というのは関与するというような前提があったので、計画的に立地するだろうというふうに思われてきたわけです。  ところが、先ほどの市長さんのお話にもございましたように、病院ですとか福祉施設が場合によっては大規模郊外に移転してしまうというようなことが現実に起こってきてしまうわけです。こういたしますと、こういった施設というのも非常に重要な都市施設であるんですが、都市構造を大きく変えてしまう懸念がございます。そこで、例えば今回の改正でも、市街化調整区域で、病院ですとか福祉施設ですとか学校等、こういったものが開発許可の対象に入れたわけですけれども、これは都市計画的には非常に重要なことであるというふうに認識しております。  二ページ目に参りまして、四つ目に、郊外では開発圧力が小さいはずだという思い込みというのがございます。これは、都市というのは中心で最も市街化密度が高くて、そして郊外に行くほどそれが低くなるということを前提にした都市計画制度というのができ上がってきたわけです。そこで、開発中心部で大きいですから、市街化区域内の規制力というのを主に検討していかなきゃいけないということで、そこの部分の制度というのは大分整ってきたということがございます。  ところが、それに対しまして非線引き都市計画区域、それから都市計画区域外、こういったところは普通は都市化はしないだろうというふうに考えておったわけですけれども、こういったところの規制力というのを余り重視しないで制度設計をしてしまったというところがございます。  ところが、最近その変化要因として郊外開発がかなり活発化してきたということになりますと、そこの部分の都市計画というのもより緻密に作っていく必要があるということになります。郊外部においてその規制力を適切に付ける必要があるわけですけれども、これは例えば今般、制限がなかった白地地域で用途地域指定を行って、そして地区計画によって許可をしていくという制度に移っていく、これは実際には都市計画におけるコントロールを入れていくということですけれども、こういった、以前必ずしも必要ではないと思われていたところの必要性を再発見したので、そしてそこにこういった規制を入れていくということを改正しようということになります。  ですから、こういった意味で、今回、大きな意味での広域的な都市構造を考える計画の枠組みというのが希薄だった部分を補強して、その枠組みをつくるための改正になったというふうに考えております。  最後に、広域調整ということについてお話をさせていただきたいと思います。  広域調整、最たるものを線引き制度といいまして、市街化区域と市街化調整区域を区分する、そういった区分なんです。ところが、場所によっては、計画をするのは都道府県だと、それに対して運用、実際には開発許可等を行うところですが、運用するのは市町村だというようなところもございます。これはどちらも公共的な団体ではございますけれども、計画主体と運用主体というのが一致していないので、そういったところでやや運用と計画に不整合が起きるというようなことが起きてきたわけです。さらに、都市計画区域外においては一体的なコントロールができなかったということがございます。  本来は、広域的な影響のある施設立地の適切性というのは、その影響圏の視野をもって判断しなければいけない。ですから、非常にこれ小さい圏域にしか影響がないもの、これは当然その小さい地域で考えていけばいいだろうけれども、非常に広域に影響あるようなもの、そういったものについてはそこの圏域の主体を含めて議論していく、調整していくということが必要だろうということになります。これについては、例えば広域的な視点を持った主体が権限を持って調整する。例えば、市町村ではなく例えば都道府県、都道府県ではなくて国という方法もあり得ます。それからもう一つは、関連主体と協議、調整する過程を義務付ける、その調整ルールを、今はないんですけれども、それを何か作るということが必要です。  今回の改正では、市町村都市計画決定において都道府県の協議、同意が必要だということなんですが、これは正に広域的な影響がある施設については都道府県というより広い見地から検討を加えるということがあるわけですね。さらに、都道府県は関連市町村から意見を聴取できるということですから、実際には関連しそうな、影響を受ける市町村意見も取り入れて協議が行われるということで、こういった広域調整の一歩として非常に重要な改正であるというふうに認識しております。さらに、都市計画区域外も準都市計画区域として指定できるということで、先ほどの都市計画区域外の一体的コントロールということも視野に入れるということになると思います。  何が広域調整の対象となるかということについては少し考える必要があるんですけれども、これについては、本来は公正な調整内容が判断できる手続というのが必要だと思います。今回は、それを大規模集客施設という形で定義しております。  大規模集客施設というのは、今回の改正法案では、床面積一万平米を超える店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場、こういったところというふうになっております。これは一つの決めでして、地域地域で若干、例えば市域なら市域とそれから商圏というのは一致するとは限りませんから、先ほど少し御発言があったように、そういったところは実態に合わせて運用で考えていく必要があるだろうというふうに思われます。  いずれにせよ、恒常的に大量の人が集まる場所というのは、これは都市構造に対する影響度が非常に大きいので、広域的観点を入れて都市計画改正をしていくということが重要だろうと思います。  ということで、以上、こういった都市計画役割というふうにして考えたときに、今回の改正というのは非常に重要な意義があるというふうに考えているという次第です。  どうもありがとうございました。
  11. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、阿部参考人にお願いいたします。阿部参考人
  12. 阿部成治

    参考人阿部成治君) 福島大学阿部です。本日は、お招きいただきありがとうございます。  私は、前任地の宮崎県都城市で旧大店法の商調協委員を務め、また商業近代化計画にかかわった関係で、以前からドイツにおける大型店規制を研究し、最近は大店立地法や宮崎市へのショッピングセンター進出を調べております。これらの経験を基に意見を述べたいと思います。  まず、ドイツの都市計画的な規制を説明します。  今回審議されている改正案は、用途地域を基礎に規制を行うという点でドイツの制度に類似しています。ドイツで日本の用途地域に相当するのが用途地区で、延べ面積が千二百平米を超える店舗を建築できるのは、日本商業地域に相当する中心地区と大型店のための特別地区に限られます。この規定が誕生したのは一九七七年で、そのときは基準が千五百平米でしたが、一九八六年に千二百平米に改定されています。お手元の資料にこれを定めた建築利用令第十一条三項を示しておりますので、ごらんください。  ドイツは、裁判が盛んな国で、この規定についても多くの判決がありますので、重要なものを資料紹介しています。これらはすべて行政法に関する最終審である連邦行政裁判所の判決です。  まず、上ですけれども、一九八四年に、規制は合憲であるという判断が出ております。このときはまだ旧規定の千五百であったんですが、延べ面積が千五百を超える小売店を用途区分として、用途地区ごとに許容用途を示したもので、合憲だと。これは、都市の秩序ある発展に対応した土地利用の確保のために適切かつ必要であるということでした。ただし、既存商店の競争条件の保護を直接目指す場合は問題となるということで、商業調整は許されないということを示しております。  その次、一九八七年ですけど、大型店という用途に関して、大型店という用途の下限は売場面積で考えると大体七百平米程度、だからこれよりも小規模なものを規制するのは問題だというふうに示しています。  その次はちょっと飛ばしまして、下の二〇〇四年、規制の目的についてですね。決定的なことは、営業が近隣の範囲を超えて、つまり大型店が広く影響して、それによってこれまで非常に適切に成長してきた町の構造を危険にさらして広範に購買力を奪って、その結果、その進出店舗から非常に離れた住宅地において、特に車を利用しない居住者層が依存している店舗が閉店するという、そういう危険を引き起こさないかどうかが、それが決定的だということを示しています。  つまり、ドイツの規制が守っているのは商店ではありません、住民です。住民が守られるのであって、その結果商店が守られるとしても、それは反射的利益にすぎないという判決であります。  その下に参考として示しておりますのは私が以前書いたものですけれども、ドイツは都心の歩行者空間の創造や商店街開発とか公共交通機関の維持等、商業空間への投資が非常に積極的に行われており、その成果を確保するためにも郊外大型店規制が必要だと考えられています。ドイツに比較して小規模な、特に交通関係は小規模ですが、小規模な投資しか行っていない日本が、ドイツで不可欠とされている郊外大型店規制なしに既存商店街活性化に成功するということは、私はまず無理だと考えていましたし、現在も無理だと考えています。  次のページに、ドイツの規制日本の旧大店法及び大店立地法と比較して示してありますので、時間がありませんので説明は省かせていただきます。ごらんください。  三ページ目ですけど、「宮崎市の市街化調整区域へのショッピングセンター開発許可」ということで、この説明をしたいと思います。  週刊誌にも少し載っているようですが、この件では商店街方々開発許可の審査請求を求めたが、却下されております。また、損害賠償裁判も提起されましたが、最終的に和解で終わりました。この表に、審査請求における請求者側の意見と市の弁明の論点を対比して示しております。  一般的には開発許可は都道府県の権限なんですけど、地方分権の流れの中で宮崎市は中核市となりまして、開発許可の権限を獲得しました。それで、私たち、下に書いている三名で開発許可までの経過を調べたんですが、なかなか調べても分からない点がありました。  今回の改正関連するということで二点だけ述べたいと思いますが、宮崎市が進出容認決定を行ったのは、庁内の会議なんです。残念ながら、そこで一体何をどう検討したかが全く分かりませんでした。市議会でも会議録を要求した議員が質問しているんですが、率直な意見交換を行うために会議録は作成していないという答弁が行われているだけです。  二番目ですけど、分からなかったのが、県と何を調整したのかが分かりませんでした。宮崎市は当初、市街化区域編入が不可欠だと述べて、その後も何回も県と綿密に協議すると触れています。一方、県議会では、県は、開発行為を宮崎市長が許可し、農地転用を農林水産大臣が許可したときに、県は大店立地法の届出を受理して検討するんだと説明しておって、非常に食い違いが大きくて、一体何がどう調整されたのか、突き止めることは全くできませんでした。  この表の下に、「宮崎広域都市計画区域の整・開・保」、いわゆる整備開発、保全の方針と示しておりますが、請求人側は、このショッピングセンターは明らかにこの整・開・保に反する、したがって都市計画法の第十五条、都道府県の都市計画が優先するという規定に反すると述べているんですが、宮崎市は、我々はマスタープランを改定した、これは整・開・保に即して主体的に定めたものである、そういうことであります。  このように、不明点が多いのは、市が密室で決定し、その後の総合計画や都市計画マスタープランの改定でも、もう既に結論が出た問題だとして、十分な検討を求める委員意見を拒否したためです。  今回の改正では、都市計画法三十四条十号イが削除されており、県が関与することになり、宮崎市が行ったような密室での決定ができなくなる点は高く評価されます。その他にも、先ほど浅見先生が説明されたようないろいろな広域調整の手だてがあり、全体的によく考えられた改正案だと思います。  ただ、いかにいい法律でも、実際の運用段階になりますと幾つか問題が出てくるというのは、これは常でありまして、幾つか心配点がありますので、今後の前向きな対応を期待して、ここでお話しさせていただきたいと思います。  ドイツと比較して一番心配している点は、規制する面積が大きいことです。ドイツが当初の千五百平米を千二百平米に縮小したのは、俗にカテゴリーキラーと呼ばれる狭い幅の商品に特化した専門店の進出に対抗するためです。カテゴリーキラーは既に日本各地で展開しておりまして、一万平米では、電気は何々、靴は何々、洋服は何々と、こういうふうな進出を止めることはできません。また、建築基準法は敷地を単位とした規制であり、複数の敷地にまたがってショッピングセンターが計画されるおそれもあります。これらの結果、規制値は一万平米であっても、幹線道路沿いに実質的に数万平米のショッピングセンターに相当する集積が生じるということは容易に起こり得るだろうと考えられます。  では、どのように対処するかですが、まず基準面積を下げることが考えられます。それに加え、もしできればということですけど、今回新設される開発整備促進区、これは地区計画ですから様々な取決めができるのではないかと思います。  ドイツでは、販売商品に着目した規制とか、市町村と進出店舗の契約というのが広く行われています。この地区計画を使用する際に、契約で商品を制限する等の試みを行って、どのようにすれば交通弱者である一般市民が買物を楽しめるか、試行錯誤していただきたいと強く希望します。この契約というのは、ちょっとよく分からない方もいらっしゃると思いますが、公害防止協定を考えていただければいいと思います。あのようなもので、ドイツでは広く活用されております。  最後に、街なか居住というのに関して少し意見を述べたいと思います。  最近、街なか居住が宣伝されて、人口増加が活性化の重要な指標と考えられ、商店主店舗とは別に住居を構えることが非難までされるという、そういう事態になっております。しかし、中心市街地人口が減少するということは、これはもう何十年も前から地理学等で指摘されている現象であって、九〇年代以降の日本における中心市街地衰退とは直接的な関係があるとは思われません。  もし人が住めば買物すると考えている人もいるでしょうけど、商品というのは一般に買い回り品と最寄り品に分けられまして、居住者が日常的に購入する食料品などは最寄り品で、中心市街地を特徴付ける洋服、装飾品、皮革・革製品などは買い回り品なんです。つまり、中心市街地というのは郊外に住む人がわざわざやってきて購入する商品の販売に特化した地区であって、都心居住者の日常生活には不便な面もあるんです。都心を最寄り品中心商店街にすることは中心市街地を否定することに通じかねないということで、私は人が住むことを最も強調する意見には首をかしげておりました。  実は、先日、佐賀大学の三島先生という方と一緒になったときに、三島先生が、人口が増加しても活性化するとは限らないと話されたので、その内容をちょっとお聞きしましたので、一部だけ紹介をさせていただきます。  実は、佐賀市の都心部は、この五年間に人口が五・八%増えております。三島先生によりますと、人口が増えたのは、街なかの土地所有者が土地を手放さざるを得なくなったことに起因しています。マンション業者が介入して安価で土地を手放し、又は運用を任せ、マンションができる。どちらかというと安くて立派なものができているので、そこに住むようになってきているようです。マンションではなく商業ではというと成り立たないのです。郊外にいろいろ大規模店舗があるので、商業化はテナントが見付かりません。郊外だったら行ってもよいという雰囲気です。人口が増えたらお店はできるかもしれないというのは気休めというか、甘い考えだということを佐賀市の実態は教えてくれます。以下略させていただきます。  残念ながら、人口中心市街地活性化基本計画でも重要な指標と考えられているようですが、確かに人口は必要なんですが、私は、街なか居住というときの街なかが中心商店街あるいは中心市街地活性化区域と同じだとは考えられません。もう少し外も考えるべきです。重要なのは都市全体の人口分布であり、その人たち中心に来るための交通機関の方がはるかに重要です。  中心市街地活性化区域といった狭い固定的な区域に対して人口指標を算出するのではなくて、各々の指標ごとに適切な範囲を設定して行うべきです。現在の中心市街地活性化区域は広過ぎるものが多くて、それが無駄な活性化プロジェクトを生んでいるおそれがあります。活性化区域の人口増加を指標とすると、区域設定を誤るおそれがあります。今後、対象区域を絞る一方で指標の扱いは柔軟に考えるべきです。  なお、私、都市計画法で一番大事なのは第一条と第二条だと思っているんですけれども、「都市の健全な発展と秩序ある整備」あるいは「健康で文化的な都市生活」、これを目指して全体的な、都市全体を見据えた活性化基本計画を望みます。  特に人口縮小に入るので、中心市街地活性化基本計画の認定に当たっても、活性化地区の人口とか、準工への特別用途地区、それも確かにあるでしょうけど、より都市全体の広い立場から考えて認定していただくことを希望して、発言を終えたいと思います。
  13. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、大変恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言願いますようお願いを申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 小池正勝

    ○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。  まず、順次御質問させていただこうと思うんですが、まず阿部参考人阿部先生からお伺いしたいんですが、今おっしゃった、非常にセンセーショナルなことをおっしゃられたんですけれども中心部人口が集まるのは必ずしも好ましくない、こういうお話をされました。  今、高齢化社会になってまいりまして、郊外のニュータウンに住んだ人も、むしろ中心部にマンションができると、そちらの方がかぎ一つで簡単に住めますし、公共公益施設中心部に集まっているから逆に中心部に住みたいという需要は非常に強いんですね。ですから、中心部にマンションができると、あっという間に完売してしまっているというのが幾つかの都市で聞いている例なんですけれども、それについて、阿部参考人は、正に今の特に高齢化社会の中で中心部に住みたいという意向が非常に強いという前提の中で阿部参考人はどうお考えになりますか。
  15. 阿部成治

    参考人阿部成治君) 私は人口を否定するものではなくて、何といいますか、指標を計算する区域を気を付けてほしいと。  商店街というのは人が歩くことによって非常に成り立つもので、例えば人は何メートルぐらい歩くだろうかと。私だったら一キロでも二キロでも歩きますけど、普通の人は四、五百メートルぐらいしかばあっと歩かない。その一つの、その路線が重要なんですね。そこの路線のにぎわいを非常に重視すべきであるのに、例えば百ヘクタールとか二百ヘクタールとかだだっと取って、その中に活性化予算をばらまくというのは非常に問題ではないかと。  具体的に、どれぐらい私言っていいでしょうかね、宮崎市でつぶれた活性化プロジェクトというのが二つあるんですよ。私、二つつぶれてよかったと思っています。あれつぶれなかったら、もっと中心商店街に対してマイナスがあったんじゃないか。だから、その辺の範囲設定を指標に応じてやっていただきたいという趣旨です。
  16. 小池正勝

    ○小池正勝君 それでは次に、富塚参考人さんからお伺いしようと思いますが、今コンパクトシティーという言葉がはやりでございまして、四参考人の皆さんとも恐らくこれに反対される方はいらっしゃらないと思うんですが。  そこで、そのコンパクトシティーであれば、正に中心部に公共公益施設を持っていかなければならないんですが、そのときに、富塚参考人は正に実践しておられたわけですけれども、先ほどのお話では、病院とか学術研究機能というのを中心部に配置したんだと、こうおっしゃられました。慶応大学ですか、を誘致したというお話までされまして、大変すばらしい業績だなと思いまして、敬意を表したいと思うんですが。  その際に、中心部にしたい、コンパクトシティーにしたいということは恐らく異論はないんだけれども、いざやろうと思うと、中心部というのは地価が高いとか、地権者さんが多岐にわたっていて大変だとか、地元調整が難しいとか、そういう何かかんか理屈を付けて、結局できませんと、こういう話になってしまうのが多いんですけれども、正に富塚先生が実践をされたわけですけれども、こういった問題をどう克服されたんでしょうか。
  17. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) 大変高い評価をいただいたようですが、条件は極めて順調に整ったというのが本当の気持ちでございますけれども、既にある公共施設が、例えば今、慶応の大学の話がありましたけれども、あれは元々野球場を造ってあった場所なんですが、これが非常に老朽化しているし、これはもうスポーツ施設は一か所に統合しようと、集めようと、その跡を公共的に使うという趣旨で導入したとか、土地の利用の転換を図ることを中心としてまず進めてまいっております。  これから、さらに、いろいろお話があったように、利用密度が疎になってる地域が出てきていますので、その辺はだんだん理解を求めても応じていただけるのではないかという感じがありますので、計画的に順次、中心市街地部分については協力していただくようなムードづくりをし、逐次進めていきたいと思っています。  今のところ激しいトラブルとかいうのはなくて済みましたし、病院の建築場所も、大変、昔の沼地なんですけれども、これを免震構造の建築工法を導入していただいて、これなんかも十分成り立つというふうになりましたし、なかなか民間では免震工法で何かを造るというのは極めて厳しいことだったと思いますが、それも可能であったという、ある意味では、大変、そんなことを申し上げて説明になりませんけれども、かなり時期的に熟度を高めつつあるところを逃さずにやってきたというつもりでございます。あくまでも、無理はしなかったけれども、熟度が高まりつつあると、それをチャンスを逃さずに頑張ってきたというつもりで御理解いただければ有り難いと思います。
  18. 小池正勝

    ○小池正勝君 次に、西郷参考人さんにお伺いします。  先ほど高松の丸亀町の再開発お話を例に引いていろいろ御説明を賜ったわけでございますが、この丸亀町の再開発というのは、先ほど来お話が出ていますコンパクトシティーというお話の中で、中心部に公共公益施設を引っ張ってこようと、逆に都市要素をこっちに内向きにベクトルを変えようじゃないかと、こういうふうなことを皆さんはおっしゃっているわけですけれども、正に丸亀町の再開発にはそういう話はあるんでしょうか。
  19. 西郷真理子

    参考人西郷真理子君) 丸亀町の開発は、そこに住んでいる商店街というか、住民の方が中心でやっていらっしゃるので、市の公共施設というのはないんですね。ただ、長い間つくってきている商店街なので、公共施設コミュニティー施設自分たちで持っていらっしゃるんですよ。ですので、今回の再開発では、低層の三階までは商業施設なんですけれども、四層にコミュニティー施設自分たちで設置しております。それは、一つはホールのようなもので皆さんが使えるものと、あとは何というんですかね、NPOの人たちとか地域人たちが使えるような施設をその四階のところに設置してあります。上は住宅です。
  20. 小池正勝

    ○小池正勝君 先ほど西郷先生がおっしゃられたんですが、仕事、勝ち組、負け組というのがあるけれども、勝ち組になってビル・ゲイツがいいんじゃなくて、最後の一杯のビールがおいしいんだと、こういうことをおっしゃられたわけですが、それを都市計画に引き戻したときに、居酒屋があって、住宅もあって働くところもあってと、要するに用途純化をしないような形のまちづくりの方がいいんじゃないかというお話になると思うんですが、正に今の用途地区、日本都市計画は用途地区一杯規定しているわけですけれども、そんなことしないで雑然とした町の方がいいんじゃないかと、その方が人間らしいんじゃないかという趣旨のことをおっしゃったんではないかと思うんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  21. 西郷真理子

    参考人西郷真理子君) おっしゃるとおりだと思います。ですので、総合的に町が魅力を持つためには、余り用途を分化しないでその決断をコミュニティーにゆだねた方がいいんじゃないかというふうに思います。
  22. 小池正勝

    ○小池正勝君 それでは、もう一度阿部参考人にお伺いしたいんですが、阿部参考人は先ほど宮崎に大変詳しいというお話がございました。  そこで、宮崎で都市計画というとだれもが言うのは、都城の都市計画全国ただ一つの無線引きといいますか、非線引きというか、未線引きというか、線引き撤廃したんですね。全国ただ一つの例なんですが、ああいう全国ただ一つ線引きを撤廃したということについて、評価はいかがでしょうか。
  23. 阿部成治

    参考人阿部成治君) 私は、実は線引き撤廃するとき都市計画審議会の委員をしていたんですけども、いろいろ実際書いていますけど、あのとき審議会をたまたま授業の都合で出れなかったんですけど、ほっとしました。賛成にも反対にもしたくない。というのは、もう農村地域があのままではいけないといいますか、コンパクトシティーの定義もなかなか難しいんですけど、そこはこのままでは疲弊するというのは分かっていて、市街化区域が設定できないのかと市の人に言っても、もうできないと、今の基準ではできないと。本当、何とかしないといけない。制限を撤廃したらまた問題が起きるというのは、当時はだけど余り分からなかったんですけど、問題が起きるとは。だから、今日は授業で審議会に出られなくてよかったなという感じでした。  ただ、後から調べてみますと、逆に人口が減って困ると言ったところの人口が増えるんじゃなくて、結局は旧市街化区域のすぐ周りに人口が張り付いてしまったので、これはちょっとやっぱり問題だったんじゃないかと思っています。
  24. 小池正勝

    ○小池正勝君 終わります。
  25. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党の佐藤雄平でございます。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  四参考人、本当にありがとうございました。今、この二つの法案のそれぞれ質疑をしている中で、どうしても理解できないことが二つほどある。それは、この都市計画法改正といいながらも、基本的には市街地を再び活況のあるまちづくりにする、戻すということが都市計画法のこれは改正の目的であります。そういうふうな中で今お話を聞いていて、正に先駆者だなと、鶴岡市長、思いました。しかも、「たそがれ清兵衛」の話を聞いて、私自身会津出身でございまして、誠に感銘をさせていただきました。  まず冒頭、富塚市長にお伺いいたします。  この城下町まちづくりというのは、非常にこれ難しいと思うんです。それは、昔のままの、鶴岡なら鶴岡の様相を残しながら、また会津若松なら会津若松の城下町を残しながら、また新しい機能的な合理的なものを求められる。いつもその市長さん等は、まあ我が会津若松の歴代市長は悩んでおったんです。しかしながら、今お話を聞くと極めてスムーズに進んでいる。正に市長さんの人徳かなと思いながらも、しかしながら、私はもう相当やっぱり御苦労なさっていたと思うんです。その御苦労。それは、先ほども申し上げましたように、やっぱり旧市街地をどうしても残しておきたいというその町の方がおると同時に、要するに城下町というのは極めて不合理にできていますから、お城に攻めらんないようにできているんです。ですから不合理なんです。しかしながら、若い者、それから郊外から来るお客さんというのは、やっぱり合理性を求めて、その城下町まちづくりについてもっとここを簡素化しろとか撤去しろとか、そういうふうなことがあったと思いますんで、まずそのことをお伺いするということで。  次に、西郷浅見参考人には、今度の二つの法改正の中で、背景が、どうしても郊外大型店が出た、それは大店舗法があって、大店舗法の後、いわゆる平成十年にまちづくり三法ができたんです。その大店舗法というのは、その昔、中心街に大型店が行った、そのときに地元の商工会、商工会議所と調整して商調協というので調整をして、その地元のむしろ商店街の意向を聞きながら大型店立地したんです。それが平成十年の実はその三法の改正によって郊外にどんどんどんどん出ていってしまって、そのとき本当にやっぱり郊外に出ていったことは、単に大型店立地法ができたから出ていったのか、それとももっと商店街努力しなきゃいけないことがあったんじゃないかな。  一つ活性化法案というのがありました。ややもすれば、私は法律を見ていながら、いわゆる活性化法案がむしろ機能しなかったんじゃないだろうかと。いろんな議論の中で、どうもその大店立地法ができちゃって郊外に行ったことが町並み中心がシャッター通りになったことの大きな原因だとは言うけれども一つの原因ではあろうけれども、もう一つはやっぱりあの活性化法の活用に問題があったんじゃないかなと。この二つを両参考人にお伺いして。  阿部参考人は福島大学教授ですから、福島県の悩みを一番御存じだと思う。湯川村の話、また伊達町の話、そういうふうな中で、今、福島県条例を作って、ただ十月から施行ということで、今、多分に町も県も御苦労なさっていると思うんです。  この両法案を見ながら、今その福島の市街地の地図を見る。そうすると、教授の行っている福島大学も十年前、これもう郊外に行ってしまった。県立医科大学も行ってしまった。全く空洞化している。これが、福島市が中心になって、今度それぞれこの二つの法案を活用して中心市街地活性化しようというふうなことをするときに、もう既にいろんな団地のところに商店街がもう張り付いていますよね、蓬莱団地にしてもどこにしても。それで、もう生活の一つのパターンができちゃっている、福島の郊外は。今度の法を活用しながらもう一回戻ってこないかなというふうなことで努力したときに、果たして戻ってくるんだろうかと。戻ってくるには何が足りないだろうか。そういうふうなことでもありましたら、ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。  よろしくお願いします。
  26. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) 大変、会津若松の状況につきましては私も大変敬意を表しますし、今の市長さんも大変積極的で明るく、私たちにとっては魅力的な市長さんでありますんで、大変すばらしいお話と思います。  今のお話のことのごく端的に言いますと、先ほど申し上げましたとおり、まずまちづくりにつきましては市民との、何というか、ワーキンググループとかトーキングを盛んにやって、今日後ろに担当者も来ていますけれども、とにかくワークショップを開いて一生懸命いろんな人の意見を聞くということをベースにしてきているというのが一つ最近の私たち。だから、私が良かったというより、私が楽になるのも、もしかするとそういうワークショップの丁寧さもあるんではないかというふうに思いますし、あと、伝統的に鶴岡の場合は、古い施設は会津若松のように極めて、一部のものは別ですけれども、現代に使うという、そういうやり方をしているわけなんです。古いお屋敷の中にもちゃんと新しい部屋がくっ付いていたり、そうしますと、山田監督がこれは映像にならないわというのは、それはもっともなんです。古いお屋敷の中に突然何かすごい近代的な西洋の花があったり、様々なことをしていますんで、現代に使っているというところに市民性の一つ伝統があるんではないかと思います。  それと同時に、基本方針としては、これを私が特に得々申し上げることではありませんけれども、昔から、まあこの際、文教都市でいくかと、教育文教都市でいこうかということと、やはり福祉的な観点から健康に対してはよくよく丁寧にやっていこうよという大きな柱に沿うて象徴的な施設整備しているということでありますので、その辺は大方伝統的に市民のコンセンサスを得てきているのではないかと。これ、決して私の自慢でも何でもありません、市民がそういうことで今まで、いいな、それでいいなと言ってきたおかげだろうというふうに思いますので、どうも先生の答弁にはならないと思いますが、会津は確かに古いものがあって立派に保存されていてうらやましいなと思うこともあります。ですが、うちの方はそんなにたくさんはないので、現代風に、決して改造はしていませんけれども、それを有効に使おうという感じでおるということだけで、説明になりませんが、おわびをしながら答弁させていただきます。  ありがとうございました。
  27. 西郷真理子

    参考人西郷真理子君) 私が思いますのは、この中心市街地の問題というのは大変根が深くて大きな問題で、戦後日本がつくってきた価値観である矛盾が出てきてしまったので、それを転換しない限りなかなかできないと思うんですね。ですから、そういう意味では、すぐ効果が出るというのはなかなか難しいんじゃないかなというふうに思っています。  中心市街地再生ということでいえば、国交省の方ではもう一九六九年に市街地開発事業をつくっておりますし、それから商業近代化地域計画というのは一九七〇年ですから、中心部再生というのは三十年間掛けてきてながら有効な手段が見えない中でやっていますので、そう簡単にはできないんじゃないかということがあります。  日本の国民性と言っていいかどうか分からないんですけれども、大変熱しやすく冷めやすくて、細かいことを大変気にするというのはこういう都市をつくっていくときには必ずしもプラスに働かない、マイナスになってしまっているというのはすごく現場で感じております。  そういう中で、一九九八年の法律改正から現在までのことをどう考えるかということでいえば、一点目は、日本は土地本位制と言われているぐらいに土地をやはり物すごくある意味、地主さんは土地に執着しますし、金融機関は土地がないとお金は貸さないし、それから事業スキームを組み立てるときに、いろんな人たちが入ってくる事業は意思決定が良くないので信用力がないという形で、町の中で中小の人たちがいろいろやろうとするときには阻害が大変多いということですね。その阻害要因を解決しながらやっていくには時間が掛かりますので、一九九八年にできまして、今二〇〇六年で、八年ですぐまだ結論が出てないんじゃないかというのは、そんなことは全然なくて、もういい結論がどんどん出てきているので、九八年の法律というのは私はよくできていると思いますし、今回法律改正はそれをもう一歩というふうに考えております。  もう一方で、商業の問題でいいますと、商業は大変グローバル化しておりまして、もう物すごいわけですよね。それで、例えば野菜に関していえば、以前はカリフォルニアで取れたブロッコリーをろう付けしてスーパーマーケットで売っていたわけですよ。ところが、それを消費者が、要するに赤道直下来るわけですから、もう物すごく薬品漬けにされるわけですよね。それを消費者の人たちが、そんなものはもう要らないよ、百五十円のブロッコリーよりも地元で取れた名前の書いてある二百円のブロッコリーがいいですよというふうに変わってきているわけですね。そうすると、商業がグローバル化されつつも、消費者や生活者は的確に判断するようになってきたと。グローバル化の中で安い商品を供給するために大規模面積が必要であるというやり方から、やはり自分の欲しいものを適切に得るには、決して大規模なものではなくて、適切なその生産者との交流で商品を得られるというふうな形に今変わってきているんですよね。  そういう中での一つ、あるそのピーク時に、ちょうど一九九五、六年から二〇〇二、三年の間にわあっと出ていったんですよね、大規模のお店が。だから、それが今は転換期にあるというふうに思いますので、いろんな要素がかみ合ってきている話だというふうに思います。
  28. 浅見泰司

    参考人浅見泰司君) 今回のその郊外のショッピングセンター等の問題ですけれども、三点ほど御指摘したいと思います。  まず第一点なんですけれども、やはりその商業の形態というのが変わってきたなと思うんですね。以前は、どちらかといいますと、高容積のデパート的な感じのものというのが多くのショッピングの中心的な場所だというふうに考えられてきたわけですが、現在のショッピングセンターというのは、例えば容積率でいいますと一〇〇%にも満たないような非常に低容積でかつ大型のものということになります。ああいったアメリカ型のショッピングセンターという、ああいった商業形態というのはやはり最近に出てきたと。だから、そういったその商業形態の変化というのが大きいのかなという感じがしております。  第二点目なんですけれども、これは別にショッピングセンターが外に行ったというだけではなくて、実際には人口郊外に行っているわけですね。そして、いろんなその諸施設郊外に行っていると。ですから、郊外における商業需要というのは当然あるわけで、それをどう吸収するかというのを一つの解としてああいったものがあり得たということは指摘できるんだろうと思います。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  三点目なんですけれども、実際にはそのあおりもあって、中心市街地というのは疲弊するというところもあったわけですけれども、やはりその中心市街地における、先ほど努力というふうにおっしゃったんですが、そういったものをもう少ししていく必要がある、ないしはそれをサポートできる仕組みというのが必要じゃないかというふうに思います。  具体的にそれについて申し上げますと、一つは、地区の魅力付けを創造できる人材みたいな、地域における人材みたいなものが、必ずしもどこにでもいるわけではなくて、こういった方々を育て、そしてそこで活躍していただけるような、そういったことというのは今後必要だろうというふうに考えます。  それからもう一つは、実際に例えば空き店舗なんかできたときに、そこを放置するということが地域に迷惑になっているんだという意識をもう少し持たせるような、逆に言いますと、そこに例えば高いビッドを出して地元に貢献できるような人が現れたら、そういった不動産はどんどん借りていただけるような、そういった仕組みを少し入れていく必要があると思います。  それから最後に、ある意味商業調整ということになりかねないわけですけれども、やはりこういった大規模な集客施設立地というのを審査する場合には、その審査自体を公明正大な、透明な手続で行われると、これを今後運用で確かめていく必要があるというふうに考えます。
  29. 阿部成治

    参考人阿部成治君) 福島県の条例の話ですけれども、確かにいろんなところで話題になっているようですが、実はあの条例はまだ今年の十月にならないと発効しないはずなんですけれども、もう既に何かいろんなところに効果を及ぼしているようで、この都市計画法改正も多分可決されて施行されるまでは大分掛かるでしょうけど、その間にも効果を福島県の条例のように及ぼしていただけるといいなというふうに思っております。  それで、福島県の場合ですけれども、伊達と湯川が非常にクローズアップされたようなんですけれども、やっぱり大切なのは、何が起きるか分からないということを考えて事前に対処しておくことが重要なんじゃないかなと。条例があるから都市計画法の方はもう無視するとかじゃなくて、両方を使っていただく。  特に湯川なんですけど、あれはかつて会津若松の広域都市計画区域の調整区域だったんですよね。それを、もうここは開発がないからといって線引き外して、独立した、まあいわゆる白地といいますか、そういう都市計画区域にしてしまった。もうそれしてなかったらこういう話にはならなかったわけですけど、たまたま農地転用ということで一体どうなるのか、私もちょっと実際タッチしておりませんので、どういうふうになるのかよく分かりません。  その事前の備えということで、私強調したいのは、準都市計画区域ですね。実は二〇〇〇年の都市計画法改正のときに、福島市長が衆議院か参議院かに参考人として来まして、準都市計画区域は是非活用したいと述べたんですよ。だけど、結局活用していないんです。今回は活用しやすくなるということなので、こういうのもやっぱり活用して、二重、三重に備えることが大事だと思います。
  30. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ありがとうございました。
  31. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  本日は、四人の参考人方々、誠にお忙しい中、ありがとうございます。  まず初めに、順次お聞きしたいと思います、富塚参考人にお聞きしたいと思います。  大変に興味深い幾つかの具体的な事例を挙げていただきました。  二つお聞きしたいと思います。  一つは、市民の参加ということを大変に丁寧になさって、その積み重ねの上で今のこのまちづくりがあるということが強調されておられました。よく聞くということが大事だと先ほどもお話しされていました。その上で、市長としてのメッセージというか、こういう町をつくりたいというそのメッセージをどう共有していくのかというところに、どんな御努力をされてあるいは御苦労されたのかということをまずお聞きしたいと思っております。  あわせて、二つ目ですけれども、これは具体的な話です。山王まちづくり協定というんでしょうか、先ほどお話しいただきました、空き店舗になって後継者がいない場合、空き店舗のままにしてはならないというようなお話だったかと思います。実質的なある意味で私権の制限をしているのか、ちょっとその辺の、具体的にもうちょっと教えていただければと。  この二点、お願いします。
  32. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) 最初のお尋ねでありますけれども、先ほど申し上げておりますように、市民との対話については余り、大変生意気な言い方ですけれども、役職の堅苦しい人は参加しないと、もう若い係長が中心になって何でもざっくばらんに話し合うというそういうスタイルでやってもらっていると私は理解をしています。立派な審議会の会合のようにというよりは、もっとざっくばらんにふだん着のまんまで、それぞれ、何人も何人も都合のいい人が来てくれるというようなそういうフリーな立場での、大体そんな、担当がこの人が主任だったりしますので、私たちはそれをまず状況を見ながら判断をしているというような状況です。  ただ、あと方針につきましては既に公約とかいろんなところに申し上げておりますので、町はやっぱり中心部はしっかりやろうよ、機能は充実強化していこうよ、いろんな方針はもう大体広報やらいろいろ計画のサイドで申し上げておりますので、私は随分理解はしていただけてるかなというふうに思いますが、同様に職員もその趣旨で頑張ってもらっていると思っておりますので、私が直接汗を流してというよりも、大変怠け者風で格好悪いんですけれども、よくみんなで協力してやっていけているというふうに申し上げておきたいと思いますので、ちょっと答弁になりませんけれども、よろしく御理解いただきたいと思います。
  33. 西田実仁

    ○西田実仁君 もう一つ、山王まちづくり協定のお話ですね。
  34. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) 山王町ですね。  それは、実際に今のところまだケースは出ていませんけれども、とにかく従来のような都市計画街路を入れて町を改造するというようなことはやめようと。もうお向かいさんにすぐ声が届くような状況にある商店街ですから、それを尊重しながら、お互いに近隣関係を大事にしながらやってきたところでありますし、ですから、やっぱり一つ共同体としての、まあ紳士協定といいますか、そういうことで申合せをしているので、先生のおっしゃるように、逆からいえば権利を制限しているというふうに言えなくはないとは思いますけれども、そこのところは、長年の間ここで私たちも育ってきたし、みんなと親しんできたし、今日、ここにございますようにナイトバザールというのを、この表をごらんのとおりですけれども、もう市民は楽しみにしながら、この人たちと一緒に商店街で交わっているというそういう関係もありますので、今のところトラブルはないと思いますが、実際にそういうことはないとは限りませんけれども、今のところ順調に理解をしていただけていると。全国的にはどうかは知りませんが、県内では唯一ではないかというふうに思います。  在来の狭い街路でも、歩道の安全性を考えるとかしながら、お互いにおはようといって声を掛けて確認し合える関係というのは非常に私はいいのではないかというふうに思って、尊重していきたいと思っていますが。
  35. 西田実仁

    ○西田実仁君 そういう意味では大変に新しい試みであり、また、今市長がおっしゃったような共同体、コミュニティーをまた再興していくという意味でも大変重要なことではないかと、私も今お聞きしていて思いました。  次に、西郷参考人にお聞きしたいと思います。  実は私、出身というか地元は埼玉でございまして、川越はもうしょっちゅう行きますし、またいろんなところで、子供たちも喜んであの町を歩いたり、大人も子供も菓子屋横丁へ行ってお菓子を買ったりとか、大変に歩いて楽しいまちづくりになっているというふうに私も常々思っております。しかしながら、これは実は旧まちづくり三法の下でもこうなっているわけでありまして、そういう意味では旧まちづくり三法の中で川越のようなまちづくりができるわけですよね。  ただ、今その改正をして新しい三法を作ろうとしているわけでございますので、この新まちづくり三法に更に旧に加えて積極的な意味合いを見いだすとすれば、どういうところにあるのか。つまり、川越でも今、改正する前からできているわけですので、一生懸命やってできているわけですが、そのことをちょっとまずお聞きしたいと思います。
  36. 西郷真理子

    参考人西郷真理子君) 今回上程されております都市計画法に関しては、先生方もおっしゃっていますように、やはり川越においても郊外大型店の問題がありますので、それをきちんとコントロールできるようになっているということで言えば、まちづくり三法の段階よりバージョンアップというと大変あれですけれども、そういう内容になっているというふうに感じております。  あと、まあ中心市街地法を含めてなんですけれども、コントロールするということとそれでは町の中が本当にそれで良くなるのかというのがずっと議論であるわけですね。それは、私は様々なチャレンジが可能なように法律体系がよりなってきているというふうには理解しております。  ですから、今までですと、もうこれしかできないんですよみたいな話で、それに入らないところは全部切り捨てられてきたわけですね。川越に関してでも、やはり町の人たちがやろうと思うところは制度に乗らないところもたくさんありまして、それは自分たちでやってきたということがありますね。  今回、ですから、川越なんかでも、次のテーマはやはり、商業活性化したわけですけれども住宅をちゃんと入れていきたいというのは町の人たちは思っているわけですね。ですから、埼玉近辺で活動しています大きなディベロッパーが高層のマンションは造っていますけれども、それ以外で住民の人たちが町家型でいい住宅を入れたいというようなことも考えているようなので、住民サイドでのそういうある種の私が申し上げているディベロッパーのようなものが、川越一つのチャレンジとして今回の御支援の中で可能なんじゃないかなというふうには思っております。
  37. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。  続いて、浅見参考人にお聞きしたいと思います。  先ほどのお話の中で最後に人材の話をされました。正に、まちづくりにおける人材をどう育てていくのかということは大変大事な面だというふうに私も思っております。  今、既に西郷さんのような何かカリスマ的な人ももちろんいると思いますけれども、カリスマはそんなに一杯いないわけでありますので、カリスマでない普通の人でもまちづくりをしっかりできるような、そういう人材をどう育てていくのか、どうしていったらいいのか。これは、必ずしも社会人だけではなくて、子供のころからの教育も含めて、もし御所見があればお伺いしたいと思います。
  38. 浅見泰司

    参考人浅見泰司君) 人材の育成の件なんですけれども、確かに現在、人材育成がなかなか難しいというのは事実だと思います。これは、一つにはそういった人材が実際に生かされる場がなかったということもあると思うんですね。やっぱり我々はそれを業としていけばそれなりにプロになっていくというところがございます。そういった意味では、ポジションが人をつくるというようなことを少し積極的に取り入れてもいいんではないか。  ですから、具体的に言いますと、例えば中心市街地におけるオーガナイザーといいますかタウンマネジャーといいますか、そういったような仕組みを少し積極的に導入していくということが必要なのかなという感じがいたします。  そういった人材というのは、実は非常に難しいのは、ある一つの専門性だけを持っていてできるというものじゃないと思うんですね。そうではなくて、ある程度チームでやっていく、ないしは多分野の知識を持ってやっていくと。カリスマであれば、もしかすると多分野の知識の権化みたいな方がいらっしゃるかもしれませんけれども、実際には難しいとすると、そういった形でチームでサポートするようなことも併せて考えていくという必要があると思います。  人材育成というと、すぐに例えば社会大学院とかそういったことに話が行きそうなんですが、私はやっぱりこういったかなり実務に近いことですので、実務をしながら人を育てるという発想をもうちょっと取っていくべきではないかというふうに考えております。
  39. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。  最後に、阿部参考人にお聞きしたいと思います。  先ほども佐藤先生からもお話ございましたが、郊外で、例えば調整区域において大規模な集客施設が既にある、あるいは公共施設も既にある、そういう中で、町中を開発をしていくとなると、やはりアクセスを良くするとか郊外に住んでいる人が中心市街地に行きやすいようにしていくというようなことも大事になってくると思うんです。何もないところに絵をかくわけではもちろんありませんので、既にある現状の中で中心市街地活性化するときにどういうことがポイントになるのかということをお話しいただければと思います。
  40. 阿部成治

    参考人阿部成治君) 何がポイントになるかと、そうですね、今のお話でも交通のことに触れられたと思うんですけれども、私は非常に交通が大切だと思います。  実は以前、都城にいたときに、都心で商店街で買物している人の追跡調査というのをやったことがあるんですね。どこかから出てきた人が一体どこに行くかと、どういう関係があるかと。そういうふうに追跡していくと、まあよその店に行く人もありますが、そのまま自宅に帰る人は意外と少なくて、結構バス停に行く人が多いんですね。だから、その辺からもやっぱり交通というのは大切だなということで、一つの重要なポイントだと思います。
  41. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日は、参考人の皆さん、貴重な御意見をいただきまして本当にありがとうございます。  私、まず阿部先生にお聞きしたいと思いますけれども、今回、まちづくり三法の改正案が、三法といいますか、都市計画法中心市街地活性化法ですから二法ですよね、二法の改正案が出されたわけですけれども、そうした背景には、この間、中小四団体が、三法は、当初期待されたが効果は得られず、全国中心市街地活性化するどころか三法制定時よりも寂れていると、見直しの要望が出されていたわけですね。  私どもは、この三法の下で町が寂れてきた、どおんと大型店がどんどん出店して小売の商店が衰退をしていって町が荒廃していくという、その根本の要因に、アメリカの市場開放要求の下、政府の規制緩和策、大店立地法による商業調整の禁止と都市計画法での郊外開発促進策があったからだと考えています。  そこでお聞きするんですけれども、先ほど先生、ドイツのことを大分研究されているようでございますけれども、ドイツの場合はアメリカから大型店のいわゆる規制緩和を求められるような圧力があったのでしょうか。
  42. 阿部成治

    参考人阿部成治君) 結論から言うと、ございませんでした。  実は、一九九〇年の日米構造協議、私はこれが日本中心商店街をこういう状況にしていった最も根幹だと思っています。まちづくり三法というのはちょっと余り私好きじゃないんですけど、都市計画法はもっと古い法律でございまして余り三法と一緒にしてほしくないんですけれども。  一九九〇年の日米協議なんですけど、アメリカとドイツはやはりドイツの方が輸出を出し、で、アメリカが一九八五年のボン・サミットのころにドイツに対して非常に規制緩和を要求したということは知られています。その結果、八六年に都市計画関係の法律が改正されました。かなり幾つかの点で規制緩和をしているんですけれども、しかし、事、大型店に関しては規制が強化されています。なぜなら、法文の中に、居住地近くにおける供給のための、供給構造を考えなさいというのが入ったし、同じ八六年に先ほどの千五百から千二百への改定がなされたんです。  だから、アメリカはどうしてドイツには要求しなかったかというと、もう事は簡単で、自分のところもそういう規制をやっているからドイツに要求することはできなかった。我が国も今回の改正でドイツの仲間、仲間入りといいますか、そちらの方に入るわけですから、これでもしアメリカが何か言ってきたら、ドイツにお願いして二国で闘いましょう。
  43. 小林美恵子

    小林美恵子君 要するに、ドイツではいわゆるその都市計画の中で居住地近くの、何というか、供給の問題とか、それから面積店舗面積ですね、それが一千二百平米に規制しているというとこら辺が歯止めを掛けているということになるんですよね。  それで、もう一つ関連して阿部先生にお伺いしますけど、先ほども阿部先生は、日本大型店床面積の一万平米について随分御意見をいただきました。私ども都市計画区域内に五〇%を出店をする、いわゆる三千平米超一万平米以下ですか、そういう大型店舗の規制もやっぱり必要だというふうに考えるわけです。  ドイツの場合は、先ほども一千二百平米とありましたけれども、先ほどの御説明の中で、何ですか、裁判で、用途の下限は売場面積の七百平米程度と判断されたと、こういうふうに、いわゆる面積一定、何といいますか、狭い単位で規制しているという点の、それはどういう理由からなんでしょうか。
  44. 阿部成治

    参考人阿部成治君) ちょっと私の説明がまずいところがあったかもしれませんけど、まあとにかく用途だから規制してよいという、そういうことなんですね、基本的には。  それで、用途というのは、ただ単にもうどこでも面積をぱちぱちっと切ればいいんじゃなくて、何か典型って、そういうグループがあって、このグループとあのグループは違うからここに境目があるという、そういうことだったんですけれども、このときの裁判ではいろいろ調べているらしいんですけど、住宅地にある小規模な近隣店が一体どれぐらいの規模かというのをいろんなところで調べて、実際に日常生活に不便にならないためにはどれぐらいかと。例えば百五十から四百とか、二百から六百とか、そういうふうないろんなデータが出てきたそうなんです。それで下限は七百ぐらいだろうと、だから大体この辺に切れ目があると、そういうことでありまして、だから用途ということの概念ですね。そういうことだと理解していただければいいと思います。  もし、特別用途地区は今回も残っているということなので今後活用されることが考えられますが、そのときもできるだけそういう現状を調査してから実情に合った規制をしていただきたいものだと思っております。
  45. 小林美恵子

    小林美恵子君 次に、浅見参考人にお伺いしたいと思いますけれども、先ほどの御説明の中に、大型店立地に関して、透明性、公明正大な点が必要だというふうにおっしゃられたと思うんです。そういういわゆる透明性、公明正大性を担保するためには何が必要かという点をお伺いしたいと思います。
  46. 浅見泰司

    参考人浅見泰司君) 公明、公正あるいは透明の手続ということですけれども、まず透明であるということでいきますと、やはり実際のその協議におけるいろんな議論の過程というのが明らかになるということが重要だと思うんですね。先ほど密室協議みたいなことをお話がありましたけれども、そういったことではまずいだろうと。  それからもう一つ、その公正だとかいうことでありますと、やはり例えば仮に規制することになるのであれば、その理由が明確であると。例えば、都市構造を大きく著しく壊すんだとか、あるいは近隣に対して非常に著しい住環境の低下を招くんだとか、そういった理由が明確であるかどうか、こういった点をチェックする必要があるんだろうと思います。逆に言いますと、そういった審査をした上で、万が一、例えば業者に異論があるような場合に、それを少し裁定するような仕組みというのがあってもいいのかなという感じがしております。
  47. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございます。  次に、鶴岡市長にお伺いしたいと思います。  今回の法案に、都道府県知事が市町村都市計画決定などに対する協議、同意を行う際に関係市町村から意見聴取ができるとあり、要するに広域調整が位置付けられているというふうに思うんですね。  市長さんというお立場から、こういう都道府県知事からのいわゆる広域調整といいますか、この点については何か御意見が、意見とかお考えとかありましたら教えていただけるでしょうか。
  48. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) 実態的にはかなり市町村合併が進んでおりますので、県と市町村の関係は幾分ずつは変わってはいると思いますが、なおなお合併のできないところもございますし、先ほどのお話は私はごもっともだというふうに思います。  問題は、具体的な意見の開陳の仕方、実態をどれだけ踏まえた上での考え方であるかどうかと。抽象論議は幾らやってもしようがないと私は思っていますのでそういう話合いは余り乗りたくないけれども、我々はこういう状況にあるのでこういうことだああいうことだというふうに、お互いに具体的にデータを中心とした議論をしてもらうことを望みます。
  49. 小林美恵子

    小林美恵子君 もう一つ市長さんにお伺いしたいと思うんですけれども、この間、郊外大型店が出店ラッシュをしてきたわけですけれども、いわゆる、何というか、私どもの表現でいきますと身勝手な出店、また身勝手な撤退ということで、町に対しては大変影響が大きいというふうに思うんですね。そもそも、私は、町というものは大型店が発展すれば町が発展するものではないというふうに思うんです。  そこでお聞きしたいんですけれども、いわゆる郊外大型店が例えばなくなっても町が寂れるというふうにお考えかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  50. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) それは具体的にどうなるかということは、先生のお尋ね私も正確にはお答えできませんけれども、問題はしかし、私たち隣村のセンターを見ますと、予想したほどの売上げはなかったのではないかという感じもいたしますし、現実に私なんかもそういうところには全然依存しておりませんし、多くの人はやっぱり身近な商店で充足していると言うていいのではないか。ただ、若者たちがドライブを兼ねながら行くというそういうパターンが多いんではないかというふうに思いますので、それはできるだけ、今のところはもう撤去するわけにいきませんので、可能な限りの共存をしていくように配慮はしていく必要があると思っています。
  51. 小林美恵子

    小林美恵子君 大きな大型店よりもそういう身近な商店というのが重要だというお話で、私も大変共感するところでございますけれども。  それで、共存共栄というお話がございました。  そこで、私はこの点につきまして阿部先生に最後にお聞きしたいと思いますけれども、いわゆる共存共栄といいますか、大型店もそれから商店も住民もやっぱり共存共栄でみんなで進めるまちづくりと、この最大のポイントとなるのは何になるかという点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  52. 阿部成治

    参考人阿部成治君) なかなか難しい質問でありますけれども、そうですね、ドイツのまちづくり日本まちづくりを眺めていて一番違うなと思うのは、向こうは時間を掛けて議論をしているということなんです。一度やってしまうと、後に戻せることもありますけれども、もう戻せないこともある。時間が掛かることはマイナスではあるけれども、大きな失敗はしないでしょうかね。  実は、先ほどお話しした宮崎市のショッピングセンターなどは、この二つの条件が満たされればショッピングセンターは出店させませんと言ってその期限を切ったんです、市長は。その期限に、まだ決まっていないからと言って認めて、その数か月後に二条件満たされたんですよ。もう商店街人たちは、一体何だ、あの市長はと非常に怒っていましたけれども、やはり議論して、議論の場を設けて、その議論を公開していく、これが非常に大事ではないかと思います。
  53. 小林美恵子

    小林美恵子君 大変貴重な御意見、ありがとうございました。  少し早いですけど、今日は質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  54. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  今日は大変御苦労さまでございました。  まず、富塚市長にお伺いをしたいと思うんですが、市長お話を聞きながら、まちづくりというのと併せて人づくりをどのようにやっていくのか、人づくりにはやっぱり大きな目標が必要だと、市としては文教都市というものを目指していこう、やっぱりそういうコンセプトというのは非常に私は大事なことではないかと、このように思っているところでございまして、逆に、歩いていけるまちづくりもついでにつくろうと、こういうことになると、私は簡素で非常に機能的な都市ができ上がってくるのではないか。道路にいたしましても、水道にしても、下水にしても、いろんなインフラを考えてみると、そこに投資する必要がだんだんなくなってくる、そこのところを違う方向へ新たな開発ができていくというふうに思うんです。  そのときに、市長が考えられたんでしょう、郊外での開発規制緩和、それから都市機能の集積、景観形成、高さの制限などというふうに言われまして、これはかなり市民として抵抗のあったところではないかと、このように思うところですね。その抵抗のあったところをどのようにしたかといえば、ワークショップのところで十分意見を聞きながらやってきたと。だとすると、そのときに、市の役割というんでしょうか、こういう開発をしていく、町をつくっていく場合の市の役割というのはどういうふうにお考えになったんでございましょうか。
  55. 富塚陽一

    参考人富塚陽一君) 大変難しい御質問で、果たして十分お答えできませんけども、とにかく若い職員を中心としたワークショップは活発にやってもらいました。それで、実際は、先ほど西田先生のお話にも関連もいたしますけども、例えばここの山王町の協定ですね、これも関係の住民の自発的な意思によって協定ができ上がってきて締結をしているということでございます。それはちょっと申し上げておらなかったんですけども。  とにかく自主的に一定の方向性を見いだすまでにやっぱり辛抱強く待つのが必要ではないかと。あんまりスローガン風に一つ一つ挙げられるとドラスチックに聞こえますけども、全部ありなんです、本当は。すべてありで、それは、中心商店街にも住民の住まいを造るようなことも考えるけども、そこでできる限り人口を増やそうなどという意図が強烈にあるというわけでもない。高齢者の方々がそこで介護サービスも受けられながら生活できる民間のマンションなんというのを造ったらどうというようなそのようなことも、まあいろいろ施策は複雑にありますけども、これですべてを律する、これですべていくという、そういうことではなくて柔軟に対応する、それぞれの地域の特性に応じて柔軟に対応するという姿勢を私は貫いていきたいと。  大型店も絶対に拒絶するわけではありません、決して。ほどほどに共存できるようなことをみんなで考えていったら、可能であればそれはそれでいいのではないかというふうに思いますので、余りにもこれかあれか、あれかこれかというふうな議論が多過ぎると思うんで、私はやっぱり市町村長の立場も、勉強しなきゃいけませんけども、お国でも相当御理解をいただいているようで、お互いに胸襟を開いて実態に即して具体的なことを協議しながら必要な支援をいただくということは大変有り難いのではないかと。  お答えになりませんけども、私はそんな堅苦しいことを考えているんでなくて、もっと住民と一緒に柔軟に現実的に対応するようにしようというふうに思っていますので、申し訳ありませんけども、答弁になりませんね。
  56. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 私は、今日の国民の生活を大きく変えていったというか、非常に問題になっているところは、一つは持家制度があると思うんですね。都市づくりと持家制度。ここのところがやはりかなり都市開発とのかかわりの中で、新たに開発をしていかなきゃならないというような要求というのが出てくる。これが一つ。それからもう一つ、やっぱり冷蔵庫と自家用車は大きく我々の生活を変えたんじゃないかというふうに思いますね。そのことがまちづくりも私は変えていると思うんですよ。そこで、そういうような新しく家庭の中がいろいろ変わってくると同時に町も変わってきていると。  そこで、西郷先生にお伺いしたいんですが、なぜ都市が魅力がなくなってきたのか。どういうふうに新しく、地域住民の方が集まって一生懸命何とか活性化するようにやっていこうと、こういう努力をしているその中にあって、先生、いろいろ研究されているようでございますんで、なぜ都市が魅力がなくなってきたのか。
  57. 西郷真理子

    参考人西郷真理子君) 私は、何というんですかね、町の固有性をうまく表現するような仕組みが今やっと出てきているんですけれども、それまでなかったように思うんですね。ですから、それまではあるこういう一つの価値観でつくろうと。その価値観は何かというと、やはり近代的なある価値観ですべてをつくろうとしていたと。  先ほど来ドイツのお話があると思うんですけれども、ドイツ、要するに十九世紀につくった都市に対して国民が大変そこに自信を持っていると、その都市文化に対して。ヨーロッパはそういう国なわけですね。ですから、都市イメージがつくりやすいし、そこに近代的な要素を入れるにしても、必ず歴史的な町がきちんとできている中での近代化の要素なのでうまく調和すると。  日本の場合は、十九世紀につくった都市というのは歴史的な町並みですので、そこに近代的な要素を入れていくというのはとても難しかったということがあると思うんですね。ですから、ちょっと比喩としてはあれですけれども、女性が洋服で、長いロングドレスに髪をロールにしていたのがショートカットにしてミニスカートにしても何の問題もないんだけれども日本髪を結って着物を着ていたのに、日本髪はそのままで洋服を着てしまったというところがあると思うんですね。  じゃ、そのときにどうしたらいいかということでいうと、正にいろんな場所で自分たちの町の良さを住民の人たちがしっかり考えるということで、そのツールをどういうふうに用意していくかという話だと私は思うんですね。ですから、正にそれが始まってきたんじゃないかと思います。  ですから、今回の制度でも地区計画という制度をいろいろ多用するようになっていますけれども、正に住民自身が自分たちの町の都市計画自分たちで考えて提案していくということが大切で、それをきちんとやっていくと多分魅力は出てくると思うんです。  歴史的な町に行きましても、例えば表はシャッター通りでも一歩入るとそこには魅力的な中庭があって、そこで四季折々の催物があって、そこでおいしい食材もあるというようなことが実は行われているんで、それがもっと町の中に出てくるような仕組みづくりではないかなというふうに思います。
  58. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 それでは次に、浅見参考人にお伺いしますが、今、都市開発をやっていく場合、各民間の企業も大きな力を持ってきておるし、大型な開発もやってきていると思うんですが、ともすれば民間というのは利益を追求する余り公的なものがだんだんだんだん薄れてくるのではないかと。  したがって、やはりこういう五十年も百年も先の都市計画を考えていく場合には、ある程度公的なものというのはちゃんと規制をするというと今の世の中ちょっと抵抗がありましょうが、規制をしたり許可をしていく場合、しっかりやはりどういう条件で許可をしていくなどということは大変必要なことでは私はないかと思うんですね。そうすることが、一回つくって大型店を自由に出させて、もう一回また市街地に持っていこうなどという政策を考えなくていいというようなことをやっぱりやっていかなきゃならないと思うんですが。  これからますます人口が減少していく時代というのは、都市空間が、言うなら住宅居住空間というのが非常に広くなってくると私は思うんですね。そのことは大変いいことではないかなというふうに思うんですが、ある程度私はもう一回市街地に取り戻すためにはどのような方策を考えたらいいのか、そしてやはり都市中心というのはやっぱり活気あるものにしなきゃならないというふうには思っているんですが、そのためにはある程度公的な規制も必要ではないかと考えているんですが、先生の御見解はいかがでしょうか。
  59. 浅見泰司

    参考人浅見泰司君) 実際、例えば民間開発がともすると利益追求型になりやすい。元々利益を追求しなければいけないという主体ではあるわけですけれども、そのときに、町として考えるときに、町の長期的な発展に資するものとそうでないものとがあり得て、例えば売ってしまって、そのまま後は知らないよということではなくて、ある程度その後の発展にも資するような開発をする、そういった意識をさせるということが重要だと思うんですね。  その意識をさせるということなんですけれども、例えば現在の都市計画仕組みですと、ある敷地を開発するときに、その敷地の中についてのいろんな議論はするんですけれども、その周辺との関係の議論というのはないわけです。それはやはり現在の都市計画においてはまだ弱い点だろうというふうに考えます。  幾つか方法があるんですけれども、例えば現在、周辺に対して貢献をするという行為があり得るわけですね。典型的には、都市計画の場合は公開空地などでそれが認められているわけですけれども、もうちょっと違った意味での、ソフトな意味での貢献というのも少しカウントしてあげるということがあってもいいんじゃないか。逆に、周辺に対してある種の迷惑といいますか、掛かるようなそういった開発の場合に、それに対してある種のペナルティーを科すような仕組みがあってもいいんではないか。これはもしかすると規制なのかもしれないし、ある意味では若干の税制みたいなものとか、そういったものを使うということがあるんだと思います。  そういったコスト意識ないしは、逆にリターンの意識ですね、こういったものを持たせていくことによって実際に少し地域のことを考えた開発、それが結局企業のためにもなるし、地域のためにもなるということになっていくんだと思うんですね。ですから、そういった仕組みというのを入れていくということが今後必要だろうというふうに考えます。
  60. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後に、阿部先生にお伺いしますけれどもお話を聞く中で、住民を守る視点というのが大きく欠落している、そのことがやはり政策を誤る一つの大きな原因になっているんじゃないかというようなことをおっしゃったと私は思うんですが、やはりドイツの経験と今度の法案改正に伴うこれから我が国がやろうとしている改革というのは明らかに違いがあると思うんです。  そのときにやはり、その法案を考えてみたときに、一体住民をいかにして、どのようにして守ろうとしているかという視点がないというのは、案外日本人が考えるというんでしょうか、まだまだそこまで物事を考えていない。公的なものを考える、何といいましょうか、訓練というのが非常に少ないのか、経験が浅いのかなというようなふうにちょっと先生のお話を聞きながら思ったんですが、いわゆる住民の視点を欠いているというようなところ、どういうところが問題なのかを先生にお教えいただきたいと思います。
  61. 阿部成治

    参考人阿部成治君) 住民の視点を欠いているという話ですけど、そうですね、私、実はドイツの幾つかの都市のニュースを毎日チェックしているんですけど、結構いろんな住民がユニークなことをやっていて、それで、個人名で登場してくるんですね。行政の人も、日本であれば何々課長さんがこう言ったというんですけど、そうじゃなくて、個人名でだれだれさんがこう言ったと、そういうことで出てきて、ドイツって非常に個人が強い国だなという印象を持っています。  それで、何かあると結構いろいろ行動して、時々、そうです、例えばひどい交通事故があると、住民がそこに座り込んで車を止めて、何か、まあ一日ぐらいですけれども、そういうことをやったりとか、確かに住民がそういう自分の考えることを外に表現しようということはドイツの方が強くて、しかも個人性というか、自分がやるというか、流れるんじゃなくて、自分が思うことはできるだけやっていこうと、そういう点が非常にあると思います。  ただ、最近、日本でもだんだん住民が意見を言うようになってきまして、おとといのここの場でどなたかがNHKの「ご近所の底力」に触れていらっしゃいましたけど、「ご近所の底力」は既に二回、店舗がなくなって困っているところというのをやっているんですね。それ、なぜか知りませんけど二回とも千葉県なんですけど、一回目が習志野で、二回目が千葉市稲毛区なんですけれども、だんだんそういうふうな番組も出てきたので、これからは強くなるのではないかと期待しています。
  62. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  63. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言お礼を申し上げさせていただきたいと思います。  参考人方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見を賜りましたこと、感謝を申し上げます。今後、皆様方の御意見委員会の審議の中で十分に活用させていただきたいと存じます。  委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十分散会