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2006-04-13 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      太田 豊秋君     松村 祥史君      輿石  東君     足立 信也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 松村 祥史君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 足立 信也君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省海事        局長       星野 茂夫君        国土交通省政策        統括官      杉山 篤史君        海上保安庁長官  石川 裕己君        環境省地球環境        局長       小林  光君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会国土交通省総合政策局長竹歳誠君、国土交通省海事局長星野茂夫君、国土交通省政策統括官杉山篤史君、海上保安庁長官石川裕己君及び環境省地球環境局長小林光君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 大江康弘

    大江康弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の大江でございます。  今日はいろんな事情で順番が変わりましたことをまずお許しをいただきたいと思いますと、私が言う話ではないんですけれども委員会が円滑にいくように協力をさしていただきました。  そこで、今日の法案は、御存じのように、今外交防衛委員会の方で進められようとしております条約の締結ということの中で国内法を喫緊に整備をしていかなければいけないという、そういう法案であるというふうに承っております。  海ということで、私も出身が和歌山県なものですから、元々海洋県であります。よく林業県だとか農業県と言われるんですけれども、むしろ作家の津本陽さんに言わしめれば、昔から紀州は海洋藩であったと。あの雑賀一族が鉄砲を早々と種子島から持ってきてという話も、これは黒潮が三日、四日で、上げ潮、下り潮ということで、三日、四日で種子島まで行って帰ってこれるという。そんなことから、むしろ海を中心にして、港湾を中心にして栄えた、そんな藩であったということを津本さんがおっしゃられておるわけですけれども。  我々も全く海とは昔から大変慣れ親しんでまいりまして、和歌山の海を大臣御存じかと思いますけれども和歌山の海というのは、正に我々はきれいであるというのが当たり前だという、そんな子供のときからの意識もありまして、昨今いろんな環境変化で汚れてきておるにもかかわらず、私の地元の白浜は毎年おかげさまで、白良浜というあの海岸日本でも有数な海水浴場にも指定をされておりますし、そういう意味では他の海を抱える県の皆さんもそうですけれども、比較的海に対する思い、その思いからくる、やはりきれいにしなければいけない、汚しちゃいかぬという意識は比較的育ってきておったかなというふうに思いますけれども、昨今の、今言いましたように環境のそうした変化の中で、少し変化がいい方じゃなくて悪い方に変化がしてきておるということは非常に残念でなりません。  そういう中で、今回こういう法案が出されてきたということで、直接いろんなごみだとかということには関係はありませんけれども、大きく日本の、我々が海洋国家として生きていく中で、海をどういうふうに活用していったらいいんだろうか、海はやはりどういうふうにきれいに人間と共存できる中で保っていったらいいんだろうかということに対しては、私は間接的にはいい法案ではなかろうかなと、国内法整備ではなかろうかなというふうに思います。  そこで、ちょっと法案の中身に入る前に、最近、一つ二つ気になることがありますので、このことをお尋ねをしたいと思いますけれども、いわゆる四月の九日に起こりました高速船事故であります。これはさかのぼりますと、ここ何年かの間で幾つか起こっておりますけれども、それほどこんなに新聞をにぎわわすこともなかったし、我々も目に留めることもなかったと。それは恐らく今までも、これは鯨か何かと言われておりますけれど、ぶつかっておったんでしょうけれども、そんなに中に乗っておる乗船客にけがもなかったということが余り報道という部分に載ってこなかったので我々もそう関心も持たなかったんですけれども。ここ、今年に入ってからも何件か起こっておりますけれども、ちょっとこのことについて、国交省として把握をしておることについてちょっと説明をいただけますか。
  6. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいま超高速船水中生物らしき物体に衝突する事故ということでお尋ねがございました。  今のお話にございますように、実はこの種の事故、過去何件か起きておりまして、平成十五年から今日に至るまでトータル十二件の事案が発生をいたしております。経年で申し上げますと、平成十五年が一件、それから十六年が三件、そのうち負傷者発生一件ということですが、負傷者数は十名程度。それから、平成十七年に三件発生いたしておりますが、負傷者発生はゼロ件でございます。平成十八年に入りまして、今年の四月十日までの間にもう既に五件発生をいたしております。そのうち一件、これはJR九州高速船事例ですが、負傷者十名ということでございまして、今回の四月九日の事故、これは百名を超える大変大勢の方々が負傷なされた事故でございます。そういう意味では、この種の事例の中では極めて異例に大きな事故であったというふうに私どもとしては認識をいたしております。  それからもう一つは、実はJR九州事故事例にあります、従来それなりに有効性があるんじゃないかということで期待されていたアンダーウオータースピーカーという、いわゆる鯨が嫌う音を出すと、そういう装置を装着していた船が立て続けに接触事故を起こしました。そういうことで、実はJR九州事故後直後、先月二十日にこの超高速船運航に関しまして、きちっと見張りを徹底する、あるいは要注意海域というのを設定してしっかり安全運航に心掛けてほしいと、さらに翼走時においては万が一接触したときに事故防止するためにお客さんにしっかりシートベルト着用するように徹底してほしいという趣旨の実は指令指令というか指示を出して、関係JR九州のみならず、この超高速船運航する船会社すべてに対してそのような指導をしてまいったところであります。  そうした中で、今回の極めて大きな事故でございますので、私どもとしてはちょっと、より広範囲に、原因の究明は当然でございますが、それを踏まえたより広範囲安全対策ということを考えなければいけないということで、大臣の御指示もいただきまして、水産庁等にも御協力をいただき、学識経験者あるいはメーカーあるいはユーザーも集めた格好で、私ども国土交通審議官をトップとする対策検討会というのを急遽立ち上げることにいたしております。当面、緊急対策については一か月程度でまずやれることはすぐやろうと、その上で六か月程度検討を経て、技術的な問題その他もあるような中期的な問題についても整理をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、今回の事故に際しまして、かつてのシートベルト着用その他が本当に徹底されているかどうか、緊急立入検査を各事業者に行いました。事故直後でもありまして、実際のシートベルト装着率はほぼ一〇〇%というような極めて高い水準で励行されているという事実は確認されておりますが、今後とも事業者に対してはその点についてしっかり指導してまいりたいというふうに思っております。
  7. 大江康弘

    大江康弘君 局長、朝のモーニングサービスよろしく二つ目質問にもう先に答えていただきまして、安全対策は次に聞こうかなと思っておったんですけれどもサービスをいただきまして有り難いんですけれども。  これは、高速船というのは、三十五ノットということは時速六十五キロで走るという、かなり高速であるわけですけれども、今調べてみましたら、八つの国内航路が持っておると。そういう中で、特に今回は内航でありますけれども、南の方のところで起こり、それ以前は外航の釜山とのあの定期航路で起こったということで、これが今言いますように八航路で、これからどういうふうに起こってくるか。これは鯨にとっても、まあ鯨かどうか分かりません、鯨であれば鯨もこれ災難なんですよね、これ機嫌良う泳いでいるのにゴーンとぶつかってこられてですね……(発言する者あり)まあ和歌山はちゃんとしつけをしておりますから、来たらどけるようには言っておるんですけれども。  私は、やはり科学面、今局長が触れられた、電波を出すとか嫌う音を出すとか、しかし今回そういう科学面対応も機能しなかったと。これはまあかなり時間もあるいは費用も掛かる話だと思います、これ相手が動物ですから、やっぱりどういうふうなというこれからいろいろ調査もするんでしょうけれども、そうなってくればやっぱり行政面でどうしていくかという、今局長がちょっと触れられたシートベルトの話にもこれかかわってくるんですけれども。  もう一度この行政面での対応ということでお聞きしますけれども、これは飛行機なんかではやはり非常に危険だということが意識的に乗客に分かっていますから、もう最近はランプがつかなくても用がないときにはシートベルトをしておるというふうなそういう、乗客自体が自分でそういう判断をしてやるんですけれども、なかなか船というのは、我々あんまり乗らないんですけれども、なかなか船の上でシートベルトしてという、もっとこう船というのは開放感があるものですから、やはりそういうことをどう乗客意識付けていくかという、これやっぱり船の方も、乗せる側の方もなかなか指導しにくいんじゃないかというふうに思うんですけれども。  こういうことがどんどんどんどん報道されれば、そういう意識乗客にでき上がってきて自然と危ないんだなとなるんですけれども、もう一つやっぱりそこで行政がしっかりとそこに組み込んで指導していかなければ、なかなかやはりこういうことは、昨今の話ですから、そういう意識が育っていかないと思うんですけれども、そこの意識がしっかりと育つまでの間、もう少し強い指導が要るんじゃないかと思うんですけれども、その点だけ一点、ちょっと局長、聞かせてください。
  8. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいまお話しのとおりシートベルト、いざとなったときの事故防止するためにシートベルト着用というのは極めて重要でございます。それを現実のお客さん方にどこまでどういうふうにして徹底するのかというのは、私どもとしても、今回の検討対策の中で、それこそ一か月の間に結論を出す緊急対策として、私ども考え得る方策というのをきちっと打ち出していきたいというふうに思っております。  今、事業者側には、運航管理規程の中でいわゆる翼走時について乗客に対してきちっとシートベルトを装着するように促すようにという規定はあるんですけれどもお客さんそのものに対してシートベルト着用義務というのを制度上はっきりとしたものがない。いや、実はJR九州さんについては、現在運送約款の中でお客さんにシートベルト着用してくださいという規定を入れてございます。  そういうようなものも参考にしつつ、お客さんにしっかりシートベルト着用必要性について御認識していただくような対応というのを私どもとしては考えてまいりたいというふうに思っております。
  9. 大江康弘

    大江康弘君 ひとつ今後対応の方またよろしくお願いしておきたいと思います。  もう一点、ちょっと看過できない話で御質問を申し上げます。  今日は環境省の方からお越しをいただきまして、ありがとうございます。  昨年から日本海沿岸において、海岸において、非常に大量の薬の空き瓶だとか注射器だとかといった、いわゆる言われるところの医療廃棄物というものが漂着をしておるということで報道があったわけですけれども、去年の十月の二十八日の現在で確認されておるところの数字でも二万四千個以上といいますから、大変な数の廃棄物漂着をしておるということでありますけれども、こういう被害報告というのが実際こういう新聞報道のとおりなのかどうか、把握していることをちょっと教えていただけますか。
  10. 小林光

    政府参考人小林光君) 海洋汚染の中でもごみによるものと、こういうことでございますが、私ども昨年八月の中旬、正確に申し上げますと十四日の琴引浜が最初だったと思いますけれども、一時に大量の医療系廃棄物、こういったものが日本海沿岸の方に漂着をした、こういった報告を受けたわけでございます。  いろいろ御所管あるわけでございますけれども環境省といたしましては、関係各県に対しまして早速調査をお願いをするということをしまして、今お尋ね現状把握ということをいたしたところでございます。  私どもは、実は八月末までの状況ということで取りまとめました。その結果、漂着範囲は北は新潟県から鹿児島県までの範囲ということで、大変広範囲にわたってございますけれども、御指摘のとおり薬瓶あるいは注射器等々の医療系廃棄物、その時点では合計一万七千個という漂着確認をされております。また、それらの中には中国語表記のものがあるということも承知をしたところでございます。  その後、海上保安庁の方と連携をいたしまして、その後の状況、より正確な漂着物の数の数えということをやっておりまして、私ども承知しておりますところですと、今委員指摘のとおり、これは昨年十月二十八日の段階でございますけれども、二万四千個の医療系廃棄物漂着というのが確認をされているという状況でございます。  私自身現場に九月の中旬参りまして、自治体取組確認作業を見てまいりましたけれども、大変網羅的な、大変な御努力をされていただいたというふうに思っておりますが、そういったような状況にありました。
  11. 大江康弘

    大江康弘君 これ、昔我々子供のときに浜、大浜という田辺に浜あるんですけれども、こういう台風とかあんなの来たら、実は小さい時分楽しみだったんですね。それは、海辺に何かいろんなものが漂着してきて、それを探しに行くんですね。それで、それを、子供ですから珍しいものが一杯、もうあの浣腸なんかのあのやつなんか水鉄砲代わりにして家に持っていって、よく母親に怒られたものなんですけれども、後で汚いものだったなということを理解をしたんです。それほど子供にとってみたらやっぱりそういうものが興味があるという。  ですから、二万四千個あるいは一万七千個という数というのは、これはもう半端な数ではないわけですね。そういう中で、自治体もこれ調査をしてくれ、何とかしてくれというような要請が政府の方にあったというふうに聞くんですけれども、こういうことに対する安全なんかの周知徹底って、こんなことは局長、あれですか、やっぱり環境省がするんですか。ここらちょっと教えてください。
  12. 小林光

    政府参考人小林光君) 廃棄物がございます場所の清掃等々の責任、管理というふうなことはまた地主さんにもあるわけでございますけれども、私ども承知しておりますところでございますと、今回の医療系廃棄物そのものに限りますと、注射針等によります二次災害発生といったことも懸念をされましたので、これは地元海上保安部地方自治体等情報を提供し、事故防止を今回については呼び掛けるといったような措置を講じたというふうに承知をしてございます。  また、環境省の側でも、先ほど申し上げましたような調査の際に、サンプルなんかも証拠として保存をするわけでございますが、滅菌処理をして保存をするようにといったような指示もしているところでございます。それぞれの御所管に応じてそういった手配がされたのではないかというふうに考えてございます。
  13. 大江康弘

    大江康弘君 ひとつ関係省庁自治体としっかり連携していただいて、やはり二次災害だとか、そういう子供等も含めてやはり被害のないような対応をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それで、この問題で最後に、いわゆる中国からということでありますからこれまあ中国から来ているんでしょうけれども、これは中国に対して、何かこういうことに対してしっかりそっちの方で来ないようにしてくれ等々、そういうような話合いを、話合いというよりも中国に対して抗議も含めてそんなことをされたのかどうか。これはどこになるのかな、これは環境省、ちょっと教えてください。
  14. 小林光

    政府参考人小林光君) まず、今回の事件、大変珍しいケースといいますか、廃棄物そのもの漂着日本全土にわたりますと大体十五万トンとか三十万トンとかいったようなことが言われておりまして、外国起源と明らかに分かるものはそのうちで重量ベースでいいますと二%とか三%、そういったようなオーダーでございます。今回は、そうした中で大量の医療系廃棄物が一時に漂着したと、これは大変珍しいケースでございます。  漂着しましたこの医療系廃棄物のことに関して申し上げますと、出所自身は不明でございますけれども、今御指摘のとおり、中国語表記のものが多くあったわけでございます。使われていた場所がどこなのか分かりませんけれども中国で生産された可能性が非常に高いというふうに私どもも考えておりまして、既に、昨年の九月の初旬でございますが、外務省を通じまして、外交の話でございますから、私ども環境省の方から中国政府に対して連絡をし、こういった事件が起きているということ、そして、その原因となります例えば海難事故だとか、あるいは不法投棄といったような事例中国政府として承知していないかといったような照会を行ったところでございます。ちなみに、具体的にこういった事例があった、原因となるようなものがあったという情報はまだ寄せられておりません。  それから、その取組、対外的な取組ということで、長くなって恐縮でございますけれども、今回の件も含めまして広く漂着ごみという問題は、これはやはりあるわけでございます。こういうことでございますので、昨年の十月に韓国で開催をされました大臣レベル日中韓の三国環境大臣会議、定例で開かれておりますが、そこで私どももこの漂着ごみ問題を議題にあえて取り上げさしていただきまして、三か国が協力してこの問題に取り組もうというような認識の共有を図ったところでございます。さらに、実務的には、日本、ロシア、韓国中国、この日本海沿岸ということでございますけれども、この四か国が参加いたしますところの北西太平洋地域海行動計画というのがございますが、これは実務的ないろんな海洋汚染防止プロジェクトなんかをするところでございますけれども、ここでも本年から海洋ごみを減らしていくプロジェクトというものに取り掛かろうということを決めたところでございます。  こういったような国際的な連携通じまして、この問題の改善というのを図ってまいりたいというふうに考えてございます。
  15. 大江康弘

    大江康弘君 もう御存じのように、今はもう環境問題だとか環境を良くするというのは、これはもうこれほどの大義名分はないわけですから、やっぱりしっかりと、予算面も含めてこれからも環境をしっかり守っていただきたい、また、このことについてもひとつまた今後対応を続けていっていただきたいということを要望をさしていただきたいと思います。  委員長、もう環境省いいので、もしよければ帰っていただいて結構です。  次に、この法案のことについてちょっと入りたいと思いますけれども、少し勉強したいと思いますので、この法案が出てきた背景、提出されたこの経過がどんなものだったかということをちょっと簡単に教えていただけたらと思います。
  16. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 海洋汚染対策につきましては、まず事前排出防止対策とそれから排出されてしまった場合の事後の対策、この両方を進めていく必要がございます。今回お願いしております法案関係で申しますと、有害液体物質につきましては、事前対策として、その排出の禁止とか輸送するタンカーの構造規制排出防止管理策、こういう事前対策については既に講じてきたところでございますけども、出てしまった後の防除対策については、有害液体物質ごとのこの防除方法等が確立していなかったため、もしそういうことが起きますと、海上保安庁による現場での個別対応にとどまっていたというまず状況がございました。  近年、この物質の性質に応じました防除方法確立等をしてまいりまして、船舶所有者による対応が可能になったということで、国際的にも有害液体物質による汚染事故対応体制を一層充実すると、こういう流れになっております。そこで、二〇〇〇年にOPRC—HNS議定書というのの締結が進んできたわけでございます。この議定書は、我が国における有害液体物質による汚染事故対応を図る上で極めて重要な意義を有するものであることから、我が国としても、議定書発効に遅れることなくこれを締結してその内容に対応した国内体制整備すると、こういうことが必要になっているわけでございます。  なお、このOPRC—HNS議定書というのは、締約国十五か国の締結発効要件を満たすことになっておりまして、その十二か月後に発効するとなります。現在、加盟国は十三か国に達しておりまして、本年前半には発効要件を満たして、二〇〇七年前半には議定書発効する見通しということで、我が国国内体制を是非整備していただきたいということでございます。
  17. 大江康弘

    大江康弘君 これ条約絡みですから、時間も掛かるというのは仕方がないと思うんですね。ただ、この条約が、これ日本が十四番目になるというふうにこれを聞いているんですけど、この議定書日本が調印をすれば十四、今十三か国があって、十四か国目になって、ドイツとか、まだそういうところが早く締結しよう、したいというようなことで、今局長がおっしゃられたように、十五か国というこの一つの基準を満たして発効していくという、そういうことも承ったんですけれども。  今前段申し上げましたように、このいわゆるOPRCですか、これが一九九〇年に採択をされていますから、今日こういう形でまた新たにこの有害液体物質ですか、HNS、これ組み込まれて、少しずつ広がっていってしっかりしたものになってはいっておるんですけれども、それでも一九九〇年に元のこのOPRCが採択をされたのから数えますともう十六年ですから、結構長い年月が掛かっておるなと、私なりにそう時系列で見ますと把握をしておるんですけれども、いずれにしても大事な法律であることには変わりません。  大臣、ちょっと少し順番が違いますけれども、先ほど私言いましたこの海洋のごみの問題もありますし、日本を、私は、海洋、海運国だなんて言いますけれども、とてもとても今の状態を見て、先般のあの海上物流の質問にもありましたけれども、どんどんどんどんとこの日本の港湾のコンテナ量が減ってきているという、そういうことからいいますと本当に海運国家かなという疑問を持つんですけれども、しかし、この海に囲まれた我々のこの地政学的な土地は、地理はこれ変えることができないわけですから、未来永劫海との共存、海のこのやはり環境をどう守っていくかということは我々に永久に与えられたこれ命題ではないかなというふうに思うんですけれども、今、今日こうして今局長が経過を言っていただいて、法律がこうして整ってきたと、そういうことを受けて、大臣、ちょっとお考えを聞かせていただいたら有り難いかなと思います。
  18. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今委員がおっしゃったように、我が国というのは四囲を海で囲まれた海洋国家でございます。海岸線の延長距離だけで取りますと世界で六番目、中国やアメリカよりもよっぽど海岸線は長い国家、これが日本。これはもう昔から、当たり前の話ですが、昔から日本はそういう国家であったわけでございまして、我が国は海によって本当に様々な利益を得ているわけですね。漁業はもちろんでございますけれども、今委員のおっしゃったように、海上物流が物流のもう大半を占めているわけでございまして、この物流が安全に円滑に行われていくということが我が国にとって極めて大事なことであるというふうに思っているところでございます。  そういう中で、今日委員から御質問ございました、一つごみの話でございますが、私も改めて、本当に漂流・漂着ごみというのがこんなにも多いのかということを改めて知ったところでございます。これにつきましては、一つは、これは発生源が非常に多様で原因者が不明でございまして、本来はこの発生源の人が責任があるわけでございますけれども、その辺が不明、処理責任がなかなか特定できないというふうな困難な問題があるわけです。また、自治体の方は自治体で本当にこれを処理するために大変な負担となっていると、こういう状況にあると考えているところでございます。  これまでも不法投棄の取締りとか、それから浮遊するごみ等の回収等、様々取組をしてきたわけでございますが、先ほど来御指摘ございます医療廃棄物の問題等、これはしっかり国際的な対応も必要でございます。今、環境省等、関係行政機関と緊密な連携を図って対策を進めているところでございまして、しっかりとこうした対策を進めてまいりたいというふうに考えております。  今回の法案有害液体物質防除体制の確立に向けた法案であるわけでございますが、先ほど竹歳局長から答弁がありましたとおり、そうした経緯の中で今回法律の改正をお願いをしているところでございます。有害液体物質だとか、それから危険物の排出等に対する防除体制、それを取り除いていく体制を確立することは海洋環境の保全のために極めて重要な課題だというふうに認識をしているところでございまして、この有害液体物質、危険物の事故に迅速かつ効果的に対処いたしまして、海洋汚染及び海上災害防止に全力を挙げてまいりたいと考えております。
  19. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  この法案が実はこうしてどんどん進んでいく後押しをしたというか原因というのが、実はお聞きしますと、去年の十月の二十七日に、HNS汚染事故への準備及び対応に関する調査研究委員会、これは業界とか関係者の皆さんで構成をされておる委員会だそうですけれども、そこで早くこの議定書締結しなさいよということが提言をされたと。そしてまた、その提言をされたということをこれまた後押しをしたのが実は去年に、あの尾鷲沖、そして宇部ですか、立て続けに起こったあの二つの海洋事故であったというふうに聞くんですけれども、これは特に三重は六名の方がお亡くなりになられているということで大変な事故だったんだなと思うんですけれども、これは何が原因でどうだったのか、ちょっと簡単に教えていただけますか、長官。
  20. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今先生御指摘の件でございますが、昨年の七月九日に、山口県の宇部においてエチレンのガスタンカーと貨物船が衝突をしてC重油が流出した、それからタンク内に圧力が異常上昇したことから液化エチレン約三十二トンが大気放出されたという事件でございます。  それから、十五日には、三重県の熊野市沖においてケミカルタンカー同士の衝突事故発生いたしまして、旭洋丸の積荷の粗製ベンゼンに引火をして炎上したと。今お話ありましたように、死亡者六名ということでございました。これらの事故につきましては、いずれも見張り不十分というのが事故原因だと考えております。  これらのものに対しましては、海上保安庁も出動いたしました。あわせて、独立行政法人海上災害防止センターが船舶所有者からの委託を受けて防除措置等を実施しております。  なお、これらの措置に要した費用につきましては、すべて船舶所有者が負担したものでございます。
  21. 大江康弘

    大江康弘君 要するに、ヒューマンエラーの一種だということになるわけですよね。そういうようなことが起こって先ほど私が申し上げたような流れにずっとなっていったということ、ある意味では一つの学習効果をしておるわけでありますけれども、気になるのは、まあまあ、これは尾鷲沖の中ですから内航の関係事故ということで、この内航船舶の事故というのが結構調べてみますと大変多くなってきておるということでありますけれども、いわゆる去年の七月の二十六日に長官の方から、内航海運の団体である日本内航海運組合総連合会ですか、ここに事故の未然の防止だとかいろんなことを、事故対策等について長官がいろいろ指示されたというんですけれども、これはどういうことなんですか。
  22. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 昨年の七月の十四日から十六日にかけまして、今お話がありましたような熊野灘の衝突事故を始め多くの衝突事故があった中で、その大半が内航船舶が関係しておりました。それで、七月十六日に実は全国海難防止強調運動というのを例年のごとく始めたわけでございまして、そこでも内航海運業者に対する安全運航指導徹底ということを、重点を置いて、視界不良時の見張りの徹底など、こういうものについて海上保安官が現地で直接指導するようにというふうなことを進めてきたわけでございますが、あわせまして、七月二十日には海事局長の方からも、内航組合総連合会に対しまして船舶の安全運航の確保に関して指導通達が出ております。そういう中で、実は七月の二十二日に更に犬吠埼沖で海難衝突が発生いたしました。  そういうことも受けまして、私どもの方からも、今お話がありましたように、日本内航海運組合総連合会に対しまして船舶の海難防止に関する文書を出しまして、会員に対して海難の未然防止、視界不良時の航行安全の確保について改めて十分に周知徹底を図ってほしいという趣旨の文書を出したところでございます。
  23. 大江康弘

    大江康弘君 そこで、長官、聞けば今回五百六十三種類のいわゆる有害液体物質というものが指定をされておるということなんですが、なかなか、我々すぐ頭に出てくるのは、ここにもあるように、ベンゼンだとかエチレンだとか、こういうことは子供のときに習ってちょっと頭に思い浮かぶんですが、なかなか五百六十三種類、これだけのたくさんの有害液体物質を扱うという、こんなことで日本は今我々の日常生活ができ上がっておるんだなということを思うんですけれども。  今回のこの法案を見ますと、いわゆる防除に必要な資材の備付けだとかいわゆる機械器具の配備、これは船舶所有者だとか施設管理者に義務付けておるんですけれども、これが元々の施行日であった平成の十九年の四月一日ですから来年ですよね、これが二十年の四月一日だということで一年延びておるという。これは延びた原因というのがどこにあるんかなと自分なりに考えますと、それだけ大変な作業だからそれだけの期間を与えますよということにも取れるんですけれども、これが一年向こうに延びたという、特にそれはどういうことなんですか。
  24. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今御指摘のように、船舶所有者に対しまして新たな義務を課すわけでございます。したがいまして、新たな義務を課すという意味で、十分な周知期間を設けることがまず第一に必要だと考えております。  あわせまして、その義務をしっかりと履行してもらうためには、要員の養成でありますとか、資材の購入でありますとか、やはりそれなりの準備期間が掛かるということから、平成二十年の四月一日から施行するということにしたものでございます。
  25. 大江康弘

    大江康弘君 これは基本的には、そうしたら、いわゆる新たなそういうことを課すということですけれども、国としては、結構これ、何というんですか、船舶所有者とか施設管理者に対してはかなりの負担を求めるんですけれども、これは最終的には自己責任というか、自己管理というか、国はそこまでは関与しないと。こういうことはあんた方しっかりしなさいよということなんですかね。
  26. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 環境問題に関しましては、国際的な一般原則といたしまして汚染者負担の原則というのがございます。海洋汚染防止法におきましても、その原則に従って、船舶所有者などの原因者に対しまして防除措置の実施、あるいはそれに要した費用の負担というものを義務付けているわけでございます。  従来からも、既存の重油などの防除に必要な資機材についての負担というものも船舶所有者が行っているわけでございまして、今回新たに設けられる有害物質等に関する資機材等についても、同様に船舶所有者の負担で整備すべきものであるわけでございまして、財政的な支援は考えておりません。
  27. 大江康弘

    大江康弘君 そこで、何かあったときにこの活動というか、その責任を果たしてくるのがこの独立行政法人海上災害防止センターですか、これがいわゆる対策のときに乗り出してくる機関だというふうに聞いておるんですけれども、このセンターというものの概略というのはちょっとどんなになっているのか、教えてもらえますか。
  28. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 現在、独立行政法人となってございますが、この海上災害防止センターは昭和五十一年に設立をされているものでございます。  センターは、油の流出事故等に際しまして、先ほど申し上げましたように、船舶所有者がまずやるべきことでありますけれども船舶所有者などの原因者からの委託を受けて、それに基づいて防止センターが防除措置を実施する、これがメーンでございますが、あわせまして、船舶所有者原因者が防除措置を講じていないというふうな場合におきましては、海上保安庁長官指示により、この防災センターが防除措置を実施するというふうなことについて主な業務としております。  センターは、その設立以来、先ほど申し上げました船舶所有者などからの委託により百二十四件の防除措置を実施してきておりまして、さらに、海上保安庁長官指示による防除措置としては十三件実施をしているところでございます。  このセンターは、そういう業務を行うために、オイルフェンスや油回収装置などの油あるいは有害物質防除に必要な資機材を保有して、契約に基づいて船舶所有者等に対して提供する業務というものも実施しております。このために、全国に三十三か所の資材基地を有しております。  以上でございます。
  29. 大江康弘

    大江康弘君 そこで長官、いわゆるこの法律が改正になる前に、実は政府が意見を聞いているんですね。この政策についてどうかという意見を聞いたときに、これは多いか少ないか、二人しかそういう意見を言わなかったということでありますけれども、それだけ専門性の高いことなのでなのか余り関心がないのか分かりませんけれども、その中で、いわゆる防除措置というものは公的な専門機関が取り組むべきであり、原因者にはその費用だけを負担させるべきであるという、こういう意見が述べられているんですけれども、今このセンターが扱っている業務、そういう中で、何か事故が起こったときに幾つかの会社と業務提携をされておりますよね。だから、センターがやる場合とその提携をしておるところがやる場合とという、ここらの絡みはどうなっておるのか。  それと、今言った、この二人のうちのどなたかが述べられた、やはり防除措置は公的な専門機関がしっかりやると、あとの費用は原因者がせいという、これは僕はもっともな考えかなとは思うんですけれども、その点はどうですか。
  30. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 事故発生した場合に、第一義的な責任者は、繰り返しになりますけれども船舶所有者原因者であるわけです。で、その人たちと契約を結んで専門的な能力を有しているこの海上災害防止センターが自らの資材を使い、かつ全国にある民間のタグ事業者あるいはサルベージ事業者などを動員していわば防除行為を行うということでございます。
  31. 大江康弘

    大江康弘君 これ時間ありませんからもうこれでやめますけれども、そういう一つの提言というものもしっかり受け止めてもらって、何が一番有効な手だてかということも考えていただきたいと思いますし、ひとつ海上保安庁に一点激励をしたいと思います、応援をしたいと思いますけれども、今年の予算で巡視船艇十六隻を整備する計画があったと。昨日ニュースを見ておりますと、二隻何か横浜港で竣工したということをニュースで見ました。ああよかったなと。それでも、前回も指摘しましたけれども、先ほどの尾鷲のあの事故のときに、海上保安庁の巡視艇が向かっておったらエンジントラブルで引き返したという。これは、だけど私は不可抗力だと思うんです。これはもうどうしようもない。人間がこれ止められないことでありますから、これはやっぱり我々政治側が反省をしなければいけない。そんな船を使わせていること自体がこれは国として恥ずかしいことでありますから。  ですから、こういうことも含めて、本当に海上保安庁として、マンパワーも含めて、こんな対応ができるのかどうか、ちょっとそこらの状態を聞かせていただきたいと思います。
  32. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 海上保安庁職員は一万二千三百人ほどおります。そういう中で、このような海洋汚染防止あるいは海上災害防止、海洋環境の保全というふうなことも重要な任務の一つでございますが、そのほかに、御承知のとおり海上犯罪の取締りであるとか領海警備であるとか海難救助あるいは海上交通の安全確保という、かなり多岐の仕事をしておるわけでございます。  そういう中で、今お話がありましたように、装備、人員についてこれを更に体制を確保していくということが大事なことだと考えておりまして、今お話がありましたように、予算面であるとか、これにつきましても十八年度予算は前年度と比べてかなり伸ばしていただきました。そういうことも今後とも引き続き頑張っていきたいと思っております。  なお、先生お話がありました、昨日テレビで就役した船は、あの二隻は不審船対応型の船として前から建設を進めてきたものがようやくでき上がって造船所から引渡しを受けたものでございます。
  33. 大江康弘

    大江康弘君 ということは、今年、まあまあ何年か掛かりますからね、あれなんで。  今日はもう大臣一つしか聞いていませんから、ちょっと大臣に申し訳ないんで一点。  いろいろもう多岐にわたっていますから大臣も大変ですけれども、この海上保安庁のそういう装備も含めて、人員も含めて、こういう状況ですから、ひとつしっかりとまたこの辺の体制もつくってあげていただきたいということをお願いをしたいんですが、大臣、どうですか。
  34. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今長官から答弁しましたとおり、海上保安庁の仕事、役割というのは本当に広範囲にわたっておりまして、またそれが今ますますその範囲が広がっている、また重要さが増しているという状況にあるわけでございます。それに比べて人員、装備等ともまだまだ不十分なところがございまして、十八年度予算では大幅に拡充をさせていただき、装備についても更新に入っていくための第一歩を踏ませていただいた予算になったというふうに思っているところでございます。  是非、委員の先生方の御支援もちょうだいいたしまして、私はもっと海上保安庁が果たしている役割というものを社会に対して知っていただく必要があるというふうに思っております。  正直申し上げますと、私も大臣に就任するまでは海上保安庁がここまで役割を果たしているということはよく理解しておりませんでした。どちらかというと、今まで海上自衛隊の方は、余り海上自衛隊と比較すると怒られますが、海上自衛隊の方はやっぱり防衛庁・自衛隊ということで非常に国民的な関心もいろんな意味で強かったですし、またそれを応援していく体制も相当あったと思うんです。  しかしながら、海上保安庁の場合は、割と海での非常に日常的には地味な仕事、また国民からはなかなか目の付かない、海ですから、仕事をやっておられるんですけれども、しかし一方で極めて重要な仕事を平時、常日ごろずっとやっているのが海上保安庁でございまして、そうした海上保安庁の役割をもっともっと啓蒙していく必要があるなというふうに私自身も痛感をしているところでございまして、是非先生方のお力添えも賜りたいと思っているところでございます。しっかりと、海上保安庁の人員また装備等の強化に向けて、しっかり取組をさせていただきたいと考えております。
  35. 大江康弘

    大江康弘君 あと二つほど質問を残しておったんですけれども、今の大臣の答弁を聞いたらもうこれはこれ以上質問はできないなと、そんな感じがいたしますから、もう今日はこれでやめます。  ありがとうございました。
  36. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 自由民主党の藤野公孝でございます。  今日は御苦労さまでございます。  ちょっと資料を、資料といいますか、席上にちょっと。(資料提示)先ほど来、大江先生も大変いろいろ御勉強をなさっていて御質問いただいた件につきましても、お手元にその火災の、燃え盛っている現場等の写真をちょうだいしましたんで、皆さんにも是非と思いまして、臨場感を持ってちょっと質問をしたいと、こんな気持ちで。ただ事故がありました、件数が何件ですじゃ、ちょっと。  今回の法改正というのは正に、今まで油、いわゆる重油でありますとか潤滑油でありますとか、余り、汚染はあるけれども揮発、爆発、炎上といったような危険性のないものの油に、特定油と言いますが、そこでやっていた。今度は揮発性のある油、あるいはベンゼン、キシレン、先ほどおっしゃったような五百六十何種類にも及ぶ危険有害化学物質、こういうものに広げて海の汚染あるいは危険の防止を図ろうということの、大変そういう意味では大きくその対象が広がった改正でありますので、その辺のところについては大変今度はその責任、取り締まったり監視したり、責任が大きく広がってくるわけで、いいですねなんて気楽に言っておられないような大変な改正だろうと私は思うわけであります。法律できっちりこういうふうになっているのにどうしてこんな事件が後を絶たないんだなんてまたやられるような話を今やっているわけで、そうならないように頑張ってもらうためには大変な御決意があったと思うわけです。  現実問題として、このケミカルタンカーの事故というのは、具体的な数字はよく知りませんけれども、もう恒常的に何十件という単位で起こっているんじゃないかという気もするわけでございますが。そういう中で、しかも責任を内航という今非常に苦しんでいる業界に対して負荷を掛けていくわけですから、それは安全ですからやりたくないと、逃げられないことは分かっていても何とかと思うのがやっぱり業界の対応だろうと思うし、そういうときには、海事局長あるいは総政局長なんかいろんなところの、海上保安庁だけでこの辺の話はなかなかできないと思うんですけれども、やっぱりリーダー的に海運を説得して、しかもこの二〇〇六年にどうも十三が十五になって発効するよというところまで来て、これ嫌々ながらじゃなくてやっぱり先頭集団で頑張ろうと、ドイツも何かやれそうだと、アメリカはまだだけれども、とにかくやろうと。その辺のところというのは私は結構大変だったような気がするわけですね、余りにも広げちゃうから。  その辺につきまして、これは責任重大だと思うわけですが、この大変な御決意も含めて大臣に聞きたいところですけど、海上保安庁長官、直接の担当者としてその御決意なり抱負をお願いしたいと思います。
  37. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今お話がありましたように、我が国の周辺では多種多様の危険物質があるいは有害物質が海上輸送をされているわけでございまして、そういう中で、日本の周辺海域においては年間約三十隻から五十隻のケミカルタンカーの事故はほぼ定常的に発生をしているという状態でございます。それにより、海洋も汚染をされ、人命も失われているところであります。  また、我が国は、当然のことながら、海洋先進国として良好な海洋環境を守るということについても国際的な責務を負っているというふうに認識しております。そういう意味で、この議定書を早期に締結するとともに、これらの物質による汚染事故に迅速かつ効果的に対処し得るような国内の体制づくりということも必要だろうと考えてきたわけでございます。  今御指摘のように、それぞれの関係業界、これらは本来、本質的に防除についての義務を負うわけでございますが、若干なりとも手間と金が掛かるというようなこともあるわけでございます。そうは言ってられないというのが私どもの考え方でございまして、そういう中で船舶所有者等に対して防除措置を義務付けると、あるいは必要な資機材、要員の確保等を義務付けていくということでございますが、これにつきましては関係者のおおむねの理解は得られていると私どもは考えております。  この法案の成立後につきましては、私ども日本の周辺の美しい海をきちっと守るということも考えながら、関係機関とも連携を取りながら、現場の実施官庁として海上保安庁しっかりと対応してまいりたいと考えております。
  38. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 大変これから、先ほどの大江先生の御質問にもありましたように、これから周知期間を取って、準備期間を取ってその体制づくりということで、ひとつその辺のところをしっかり遺漏なきをよろしくお願いしたいと思うわけです。  もう一つの側面、今度は民間の側でございます。民間というか船舶所有者等の、あるいは海洋施設等の管理者の立場からすれば、責任は掛かってくる、いろんな計画は作らなきゃいかぬ、それからそのための要員の訓練、まあ何というんでしょうか、これはある意味じゃ専門的な知識も若干要るんじゃないかと思うわけですが、いろんなものを対象にされておりまして、基本的には引火性のものについては何か発泡、何というか、泡みたいなやつで上から押さえていってそれを囲い込んでいって、フェンスで、それで後何か吸い取るというようなのが、単純に言えばそんなパターンでどうも対応するようなことでありますが、いろいろ危ない作業というものを現場でやらなきゃいけない部分があるわけですが、こういうものを、内航だけとは言いませんけど、そういう海洋施設管理者のスタッフ等にどうやってこれから個々の専門的なそういう知識なり教育なり、応急措置は要るわけですから、ほっとくわけにはいかない、どっかに電話して来てくれだけじゃ済まないわけですから、ぼうぼう燃え盛るわけで、そういうところの操作だとか、いろんないい機械とか機材はできてるんでしょうけども、これをあと何年、二年ですか、さっき言いましたように、物すごくたくさんの対象の資機材をどうやって周知徹底していくのか、その辺につきましてちょっと、今の準備の、何といいましょうかね、状況、見通しについて御説明をお願いします。
  39. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今御指摘のように、数多くの有害液体物質がございます。それぞれの物質の性質についての知識、あるいはそういうものを除去するための方法について、それぞれの物質に応じたやり方、そういうふうなことの知識を有する要員というものを育成していかなければならないわけでございまして、そういうために、IMO、国際海事機関の訓練カリキュラムに準拠した所要の研修コースというものを整えまして、そのような必要な知識を持つ要員の育成ということを今後とも図っていきたいというふうに考えております。
  40. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 そのときに、先ほどの御質問ありましたけど、全部が自前でやるというんじゃなくて、海上防止センター、そことの契約とか、まあ民間もあるのかもしれませんが、その辺との兼ね合い、兼ね合いというか、そういうところとの連携というものについては、先ほどお答えありましたけど、私ちょっと十分理解できなかったんで、もう一回、その防除体制というのを、現実の問題としてどういう対応を取るかというのもお答え願いたいんですが。
  41. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 例えば、現在、油につきまして、重油について防除資機材の義務付けがなされているわけでございますが、一部の小型内航タンカーなどにおきましては自らの船の中にオイルフェンスなども備え付けております。ただ、大型タンカーのような場合には、むしろ船内には備え置くんではなくて、海上災害防止センターなどの第三者にまとめて資機材の備付けというものを委託をして、必要なときにその資機材を活用して防除に当たるというような形で進んでいるわけでございます。
  42. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 先ほどお手元にお示しした資料の二枚目が、実はもう有害物質の話ではなくて、木材の流出につきまして、特にこれ日本海側が多いんでございますが、ロシアの船からどんどん、荷崩れも含めまして、大量の流木といいましょうか、出て、これがもちろん船舶の航行にも重大な支障物であると同時に、漁場ですね、網ですね、こんなもの全部ぶち破って、もう漁業関係者もえらい目に遭ってるような事故が続出していると。単にごみというよりはこういう木材の問題、これは漁業関係者を含め大変深刻なわけでございます。  今回、第四十条の改正というのが、その辺、非常に御留意というか意識してくださいまして、この改正に合わせ、今回、私は非常に評価しておるわけでございます。この四十条の改正の趣旨及び同条に基づく船舶所有者に対する撤去命令等の適切な運用につきまして期待しているところでございますけども、その辺につきまして御答弁をお願いいたします。
  43. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 十七年度におきまして木材の流出事故、この提出されました資料にありますように、日本海沿岸でかなりの流出事故発生しております。  そもそも冬場、波の荒いときに、ロシア方面からの船でございまして、積付け状況が悪い中で波に洗われて木材の流出がなされるというケースが多いわけでございます。私どもも、ロシアの関係当局の方に対して、海が荒れているときはこういう木材運搬船を出航させないでほしいというふうなことも関係機関同士で要請をしているようなところがございますけれども、なおこういうものが後を絶たないというのが現状でございます。  今お話のありましたように、今回の海洋汚染防止法の第四十条の改正案でございますけれども、船舶が海難により有害液体物質等を積載したまま沈没し、積荷の抜取りなどが困難な場合など、船舶の沈没又は乗揚げに起因して海洋が汚染される場合などに海上保安庁長官船舶所有者に対して船舶の引揚げを命ずることができるようになっております。さらに、流出した木材を含め、廃棄物その他のものの排出により海洋が汚染されるおそれがある場合におきましても、海上保安庁長官が所要の措置命令を発することができるというふうになっているものでございまして、したがって、この条項を活用して一定の場合に対応が可能だと思いますけれども、この第四十条につきましては領海外で事故発生した場合には適用はございません。  また、この条文に基づきまして海上保安庁の方から船舶撤去等を命じたとしても、船舶所有者がPI保険などを付保してないという場合には実質的に回収が困難な場合もあるというふうなことでございますけれども、そのような制約もありますけれども、個別の事案の状況等を見ながら命令の適切な運用に努めて、少しでも海洋汚染防止を図ってまいりたいと考えております。
  44. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 大変、今回の改正でこういうのが入っているのも知らなかったよと言う人もあって、周知徹底も含めて、またこれからその辺のところについても頑張っていただきたいと思います。  先ほど、ごみの話は既に出ておるんですが、一言御答弁もいただいているんですが、ちょっときつい言い方して恐縮ですが、韓国からもう来てるのが分かってるようなときに、しかし現場を取り押さえているわけじゃないというふうなときに、まあ日韓のいろんなルートってあるんだと思うんですが、このごみ漂着ごみ対応を一歩進めるために、何か外交ルートも含めて、もう、いや、それ当然やってるよという話かもしれませんが、それだったらそれで教えていただきたいんですが、余りプログレスがないような気がちょっと、というか遅々として進まないというような気がして、何か言い逃れてそれで得していられるとたまったもんじゃないという気がちょっとするわけですけれども、くどいですけれども、この漂着ごみ、特に韓国日本海沿岸注射器だ何だいう話も先ほど出ましたけれども、しかも、何か向こうのハングルのあれが付いているようなのも大分あるとかと。  この辺について、本当にもう一歩進めるためにどういうことを今お考えになっているのか、済みませんけど、済みませんというか、突っ込んで、ちょっと事前には通告してませんけど、お願いしたいんですが。
  45. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) この漂流・漂着ごみでございますけども、外国由来のものが日本に着くのと同時に実は日本のものが外国に流れているという相互の関係がございます。ということで、元々だれが原因なのかという問題に加えて、そういう外国関係の問題がございます。  今年の二月十五日に構造改革特区推進本部で決定されました政府対応方針を受けまして、政府部内に漂流・漂着ごみ対策に関する関係省庁会議というのがつくられたわけでございますけど、そこでの中長期的なテーマ、なかなか難しい問題がございますので中長期的なテーマとして、この問題、対外関係も含めてやろうということになっております。  それから、これだけ大きな問題になっておりますので、実は国土交通省と韓国の海洋政策の担当の省との意見交換会の場がございまして、その場でもこの問題を提起して、今後相互に検討する必要があると、こういうような、今直ちのプログレスはないんでございますけれども、そういう方向で取り組もうということにしております。
  46. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 そういうふうに取り組んでいかれる今姿勢を力強く言っていただいたんで、それは、なかなか相手があることですから、こっちが思うようにはいかないかもしれませんが、逃がさないというか放さないというか、しっかり追及して頑張っていただきたいと思います。  最後に、大臣にちょっと二問お伺いしたいと思うんですが、私、今回のこの有害物質の汚染の問題というのを別の角度から、ひとつやっぱりテロという観点、まあ国の安心、安全もそうですが、以前映画か何かで見たことあるんですけれども、何か湾に浮かんでいる危険、ケミカルタンカーだかオイルタンカーだか分かりませんが、そういうものを何か飛行機で突っ込んでいって爆発させて、その港全体を麻痺させて、何というか、騒動というか騒乱状況を起こすというような、何かドラマだか映画だか見たことあるんですけれども、そのくらいやっぱり、それから沿岸のそういうタンクにぶつかっていってもいいわけですが。  要するに、テロのターゲットとして有害危険物質というものがあって、非常にそういう安心、安全というようなことから見ると、大変な危険性をはらんでいる一つ状況というのは、現に東京湾なりどこであっても存在している、コンビナートのところに皆ある意味じゃ存在しているわけで、先ほどの炎上する、これ何でしたっけね、苫小牧ですかね、こういう状況というのをもっと都会でやったら大変なことになるわけであります。  そういうふうなことから港の安全も、単に船舶の安全、汚染というだけじゃなくて、港の安全も含めた総合的な海の側からのテロ対策についての大臣のお考えなり御決意をお伺いしたいと思います。
  47. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) このテロ対策につきましては、国交省だけではなくて、もう当然のことでございますが、内閣を挙げて取組をさせていただいているところでございます。交通機関及び重要施設に対するテロ対策はもう最重要課題の一つというふうに認識をしておりまして、航空、鉄道等々、また原子力発電所の重点警備等、様々な警備強化をさせていただいているところでございます。  今委員の方から港湾についての、港についてのテロ対策についてお話がございました。委員も御承知のとおり、国際船舶・港湾保安法に基づく保安強化及び入港に係る規制を強化をさせていただいておるところでございまして、船舶の出入り管理だとか、また港湾施設における保安照明、監視カメラ、フェンスの設置、出入り管理等、相当強化をさせていただいているところでございまして、こうした規制をしっかり実効があるようにさせていただきたいというふうに考えているところでございます。  ただ、これ難しいのは、これは港だけの問題ではないんですが、このテロ対策でセキュリティーを強化をしていかないといけないという問題と、一方で、人流、物流の円滑化、また簡素化、効率化というものが言われておりまして、これをいかにバランスを持ってやっていくかというのが常に悩ましいところでございまして、そういうことにも配慮をしながら、このテロ対策については強化をさせていただいているところでございます。  また、今年の一月には、これは当然のこととして、こういうテロ対策というのは一つの国だけでやっていたら駄目なわけでございまして、各国との連携強化が必要でございます。この一月には、東京にG8メンバーや東アジアの主要国の交通セキュリティー担当大臣を招きまして、国際交通セキュリティー大臣会合を開催をさせていただきました。この会合では、海事、それから航空、陸上、それぞれ各モードについて具体的な方向性を声明として取りまとめをさせていただきまして、国際的な協調、連携をしていくことを確認をしたところでございます。  今後とも、関係省庁とよく連携を取りつつ、テロ対策を強化徹底し、国民の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
  48. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 最後にもう一問、大臣の御抱負をお伺いして、私の質問を終わりたいと思うわけです。  海上保安庁は、先ほど大臣もおっしゃいましたように、海だということ、ふだんの日常生活からちょっと離れたところでいろんな活動をしているということ、あるいは、ましてやしけだ何だというときには皆うちへ入っておるわけですから訳分からぬ、現場の中継もないというようなことで、本当に苦労して財産やあるいは日本の国の安全、航行の安全を守っている姿というのがなかなか見られない。昔は、灯台の灯台守なんかは映画でえらく、「おいら岬の」というやつで非常に感銘をみんな持って見たものですが、同じような苦労を別の形で今みんな最前線で命懸けでやっている。  どうも日本、まあ派手な航空なんというのは、航空局長に悪いですけど、スチュワーデスのちょっとこういうデザインが変わったらすぐ新聞に出るような、そういうだれでも知っている、事故が起こってもすぐ分かる、まあいい悪いも含めて人の目にさらされているわけですが、海運とか物流関係、プロプロの世界だということもあって、本当に、いや、生活やら産業を支えていますと何百回言ったところで何かぴんと来ない。  そういう中で、海上保安庁の仕事も本当に地味というか、物すごく大切なのに、私はもっともっと評価され、いい人材、若い人たちもどんどん手を挙げていくようなそういう職場で今後あってほしいと思うわけであります。  今申しましたテロの問題、それから東シナ海のいろんな海洋権益の問題、大陸棚の問題、どんどんどんどん今しかし関心は集まってきております。そういう中で、先ほど大江先生の方のお話にもありましたけど、私も知らなかったけど、行こうと思ったら船が駄目になったというようなこともあって、それは古いから、老朽化しているからというようなこともありましたが、まあそれはちょっと極端な例かもしれませんが、全体的に物すごく船齢が、これは内航海運の船齢が物すごくいっているんだけど、もっと内航海運以上に海上保安庁の方が船齢が進んでいるような感じが、老齢化しているような感じがしますが、そこで大幅な予算、今度御苦労なさって取られた。  こういうことを踏まえて、国民のPRが大事だとおっしゃいましたし、我々もしっかり財政当局に対しても応援していきたいと思いますが、もう一度、テロ対策、そういう権益の問題、大陸棚の問題含めまして、海上保安庁頑張れという気持ちでおりますので、大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  49. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) この巡視船艇とか航空機、これが昭和五十年代に整備されたものが大変多いわけでございまして、それがもう耐用年数超過しているものが実を言いますと約四割あるような状況でございます。大変老朽化、さらに旧式化しておりまして、海上保安庁が行っております犯罪取締りや救助活動に支障を生じておりまして、こうした状態を早く解消しなければならないと考えております。  また、今委員のおっしゃったように、海洋権益の保全というこれまた重要な役割を与えていただいておりまして、高性能化を図った巡視船艇や航空機の整備も急ぐ必要があるというふうに考えているところでございまして、こうした状況から、耐用年数を超過した巡視船艇約百二十隻及び航空機約三十機の代替整備を緊急かつ計画的に進めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。  ということで、十七年度補正予算と十八年度予算につきまして、巡視船艇二十一隻、それから航空機七機の代替整備を図るための予算が認められたところでございます。これは先生方の御支援のたまものでございまして、御礼申し上げたいと思います。  ただ、これで足りるわけではなくて、これは第一歩でございまして、十九年度以降においても計画的な代替整備に努めていきたいと考えておりまして、老朽巡視船艇、航空機の早期解消を図らせていただきたいと考えております。
  50. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 質問を終わります。
  51. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗です。お二人と重ならないように質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  今回の法案審議に当たりまして、海上保安庁の機動防除隊という存在を今回初めて恥ずかしながら知ったわけなんですが、この機動防除隊というのはどういう活動をする組織なのか、まず最初に御説明願います。
  52. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今御質問の機動防除隊でございますけれども、この機動防除隊は、油でありますとか有害液体の物質であるとか危険物などの海上災害発生した場合に、この防除措置あるいはこれらの措置に対して助言をする、指導をする、調整をするというふうなことをやる専門家の集団でございます。  平成七年に発足してございまして、以来、横浜に基地を置きまして、拠点を置きまして、全国に展開をして、全国で発生する、今申し上げましたような油流出事故などあるいはケミカルタンカーの火災事故などに対応しているものでございまして、平成七年度以来百九十八件、こういう機動防除隊が出動して対応しているところでございます。  最近でありますと、昨年の七月に、お話がありましたような尾鷲沖で衝突、炎上したケミカルタンカー旭洋丸、これが火災のまま陸域に漂着をしていくんではないかという非常に危険な状態になったわけでございますけれども、こういう場合にもこの機動防除隊が出動いたしまして、消火の作業を適切に実施させるとか、沿岸へのベンゼン等の有害液体物質の流出被害防止ということについて専門的な立場から行動を行ったものであります。
  53. 山本香苗

    ○山本香苗君 今長官に御説明いただきましたとおり、正にこの有害液体物質防除の際に機動防除隊の活躍というのは非常に重要なものだと考えられますが、今御説明の中にありましたとおり、平成七年発足時八人、そして平成十年に十二人まで増員をされたわけでございますが、その後増えていないわけでございます。  横浜一か所で全国で発生する有害液体物質防除事故対応するという形でございますが、本当にこれが実態として対応できている状況なのかどうか。私は体制の強化が必要ではないかと思っているわけでございますが、この点について御所見をお伺いするとともに、装備資機材につきましては平成十八年度予算において計上されているわけでございますけれども、それでどこまで対応できる形になるのか、不十分なところ、不備なところはないのか。今後の対応について率直な御意見を長官からいただきたいと思います。
  54. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今御説明いたしましたように、機動防除隊は現在のところ十二名の陣容でございます。十二名というのはどういう体制かといいますと、隊長、副隊長及び隊員二名、四名、これが三クルーと、三チームということでございまして、したがいまして、これで時間的には二十四時間対応できる、全国の各地で発生する海上災害に二十四時間対応できるという形にはなっております。  ただ、これが例えば同時多発的に起こるとか更に大きな事案が発生するとかいうふうなことになりますと、それはもっとチーム編成を増やした方がいいではないかという議論があろうかと思います。ただ、今現在のところは取りあえずそういうことで、三チームで二十四時間体制ということで臨んでいるところでございます。
  55. 山本香苗

    ○山本香苗君 資機材につきましてはいかがでしょうか。
  56. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 資機材につきましても、必要なものについては横浜の基地にある程度備蓄してございますけれども、これも様々な形の事故もございます、あるいは消耗品もございます。そういう意味で、それについての拡充ということについても日ごろからそういうことについて配慮して、この機動防除隊の対応能力の向上ということについては今後とも努めてまいりたいと考えております。
  57. 山本香苗

    ○山本香苗君 先ほど一番最初に御説明していただきましたとおり、機動防除隊というのは、いわゆる重油だとか有害液体物質が流出したときに現場に駆け付けて、現場で技能指導をするだけではなくて自らも防除措置にも当たるということでございますけれども、三隊十二名体制で、かつ横浜一か所ということでございます。  じゃ、具体的に二十四時間対応で大丈夫なのかという話の中で、例えば瀬戸内海で事故が起きたという場合どうするんですかとちょっとお伺いしましたら、実際、横浜なわけですよね、横浜から陸路羽田まで移動して、そして航空機で現場近くの航空基地まで行って、そこからまたヘリで現場に急行するという形になるとお伺いしました。東京湾とか伊勢湾だとか瀬戸内海、いずれも狭い内湾で、そして人口密集地が近く、大規模かつ長期的な、まあそこで起きた場合ですね、被害になってしまうと、早く対応しなくちゃいけないというものだと思うわけでございますが。  そこで、非常に素人的な考え方で恐縮でございますが、関西空港のところには海上保安庁初の空と海が一体となった、つまり保安基地と航空基地が一緒になった海上基地ができているとお伺いしました。機動防除隊の陣容を今後、先ほど大江理事の御質問の中にもありました調査会の研究の中にも体制強化しろと書いてあるわけなんですけれども、そういった陣容を強化していく中で、この関西空港海上保安航空基地に配置すれば、例えば関空より西の方、近場のところですね、瀬戸内海なんかは正にここで起きているわけでございますけれども、そういうところにはわざわざ陸路で移動してから何とかというわけじゃなくて、事故が起きたらぱっと、いわゆる同じところから航空機で現場に急行できるような体制になると思うんですが、いかがでしょうか。
  58. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今御説明申し上げましたように、機動防除隊は横浜にございます。  それで、全国展開する場合に特に航空機を使って全国展開をするわけでございます。羽田には最新鋭のジェット機が今ございまして、全国どこでも飛んでいける航続距離は持っているジェット機があるわけです。それから、横浜から羽田に行く場合も、陸路という話もありましたけれども、更に緊急な場合には横浜にあるヘリということも使うことも可能だろうと思っています。  ただ、そういうことで海上保安庁が保有する航空機を最大限に活用して全国で発生する事故対応するということになっておるわけでございますが、一方で、この機動防除隊というのは専門的かつ高度な技能を有するわけでございますので、横浜の防災基地には機動防除隊用の訓練施設というのが横浜にあるわけです。それから、この防除隊のように、高度な知識や技能を有する専門部隊というものは、その能力を維持する観点から見ると、一か所に集めておいた方が一般的にはその能力を維持するということから見るといいのかなと、こういう観点もございます。  そういうようなこともございますし、正直なところ一般論としても、厳しい財政事情もございます、新しい組織の要求といってもなかなか難しいというようなところもあろうかと思いますが、現在のところ、そういうことも考えますと、横浜の防災基地にある機動防除隊の能力を高めていくということでやっていくというのが当面のやり方だろうと思っておりまして、確かに関空では船と航空機が一体となった基地がございますが、直ちにそこに展開するというよりは、現時点においては横浜でしっかりと仕事をやっていきたいと考えております。
  59. 山本香苗

    ○山本香苗君 確かに、訓練が必要で日々やらなくちゃいけない、現場で活動することもありますので日々訓練が必要で、そういった横浜の訓練基地が近いところで行う、そこで能力を上げていくというのが当面のやり方として適切であろうとは思うんですけれども、将来的なところも踏まえて一度是非検討していただきたいと思っております。  また、最近は、映画やテレビドラマ等であの「海猿」というので非常に有名に、海上保安庁の役割が広く知られるようになってきていると思います。中でも、救援活動を行う特殊救難隊というものにつきましては、私もいろいろと海上保安庁のことを知ろうと思っていろんな本を探したんですが、その中で初代特殊救難隊隊長さんだった方の本を読ませていただきまして、それには詳しく、ヘリと連携したつり上げ救助だとか転覆漁船の船内から生存者の方を救出する生々しい体験だとか、そういうものがあって、本当に日々危険な任務を行っていらっしゃると。そういうのがあの「海猿」の中でも出ていまして、非常に若い人でもああいう仕事もあるんだということを知ったということで関心も高まっているわけでございますが。  機動防除隊の方はどうかといえば、この特殊救難隊と同じように危険な、常に危険と背中合わせで任務を行っていると。ただし、先ほどの大臣のお話にあったように地味なところでもあると、余り知られていないというところであるわけなんですが、先ほどお話にも出てまいりました、昨年の三重県沖での事故でも、ベンゼンタンカーとケミカルタンカーが衝突したときに火災が起きて六名の方がお亡くなりになったと。このときに特殊救難隊だけじゃなくて、いわゆる機動防除隊も出ていたと。で、出てて、火災が収まった後、瀬取りしなくちゃいけないということで、何か聞くところによると、船からまだガスがちょっと漏れているような、シューシュー音がするような、ベンゼンガスが、これ発がん性もありますし引火性も高いものでありますけれども、こういうものが出ているような中に乗り込んでいってどれぐらい残量があるのか調査しなくちゃいけない作業もされたというふうに伺っております。  ほかにも引火性や、また爆発の危険性があるアンモニアガスが充満しているような船内の中に、防護服なんか着るわけですけれども、入っていかなくちゃいけないと。そういうふうな非常に危険な任務を行っていらっしゃるわけです。  にもかかわらず、聞くところによりますと、機動防除隊の方には特殊救難隊にあるような危険手当のようなものがないと。危険手当という形で特殊救難隊に付いているわけではないですけれども、そういったことが調整されたような形での支給がなされているとお伺いしましたが、機動防除隊の方にはないと。いろんな無駄な手当はどんどんどんどん切っていっていただいていいと思うんですが、こういう危険な任務に対してはそれなりに報いるような形を考えなくちゃいけないんじゃないかと、危険手当みたいなものを支給すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今お話ありましたように、海上保安庁というか、海上保安官は様々な形で危険と隣り合わせの仕事をしているわけでございまして、このような防災事業だけではなくて、あるいは先ほどお話がありましたような特殊な人命救助でありますとか、また一昨年になりますか、韓国の違法漁船に飛び移っていくような、深夜飛び移っていくような危険な作業などをいろんな形でやっているわけでございます。  そういう中で、特に、極めて特殊な、極めて危険な作業というものについては、今御指摘のような手当でありますとか調整額などがあるところもございます。あるところもございますが、この機動防除隊につきましては、そういう意味では特に、機動防除隊だからといって特に何かあるわけではございません。  ただ、このような危険物の除去作業が相当大掛かりになると、言わば災害応急作業手当というのが相当大掛かりになった場合には支給される制度はございます。ただ、これは大規模な事故発生などに伴って海上保安庁災害対策本部が設置された場合であるとか、相当多数の死傷者が発生した場合で連続二日以上当該作業に従事していたとか、かなり要件が厳しいわけでございまして、こういう場合には、これは機動防除隊だからということではなくて、その危険な仕事に従事した保安官に支給される災害応急作業等手当というのがございますけれども、恐らく非常に支給される要件が厳しいわけでございます。  いずれにしましても、一般的に、繰り返しになりますけれども、大変厳しい環境の中で危険な作業をやっている海上保安官のそれぞれの業務の特色に応じて、海上保安庁職員の処遇改善ということについては一つ一つしっかりとやっていきたいと考えております。
  61. 山本香苗

    ○山本香苗君 いろいろ御答弁いただいたんですが、なかなか言いにくいところだと思うんですけれども、是非、大臣、横で聞いていらっしゃいましたので、御検討いただきたいなと思います。  石川長官就任されてから、老朽化した装備の実態を知るために全管区を回られたというふうにお伺いしております。そんな中で、さび付いていたりだとか、穴が空いている船艇があったとか、さっきのお話じゃないですけれども、海難現場に向かう途中で巡視船のエンジンオイルのパイプがひび割れしてて引き返さざるを得なかったとか、ヘリコプターが雨漏りするとか、いろいろあったわけでございますけれども海上保安庁の船舶、航空機の整備がこのようなお寒い状況では、いろんな形で法律でこれやれ、あれやれと言ってもできないわけであります。  先ほど来いろんな御質問ございましたけれども、予算委員会におきまして、長官の方も、耐用年数を超過した巡視艇約百二十隻、航空機については約三十機の代替整備等を計画的かつ緊急に行いたいと考えておりますというふうに御答弁されておりました。  そこで、北側大臣にお伺いしたいわけでございますが、長官は現場状況をはっきり見られて、踏まえて、大変厳しい財政事情だと先ほどから何回も言っていらっしゃるわけですが、でも計画的かつ緊急に整備したいという強い決意を述べられておられました。大臣としては、緊急的かつ定期的に、先ほどは第一歩なんだというふうな位置付けをされたわけでございますが、今後どういう具体的な計画で、また何年でこれを整備していくとお考えなのか。防衛庁の方では中期防とか何とかという形で計画的に年次計画を立てているわけでございますが、そうしたところまで踏み込んで今回出して、獲得していくという手もあると思うんですが、北側大臣の力強い御答弁をお願いしたいと思います。
  62. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃったような状況でございまして、これは計画的に整備をしていかないといけないというふうに考えておりまして、この二〇〇六年度予算で、昨年の補正も含めまして、これは第一歩。で、二〇一〇年代のできるだけ早い時期に代替整備が完了することを目指したいというふうに考えているところでございます。  今、中期防のお話もあったわけでございますが、先ほどの大江委員の答えにも関連するんですけれども、中期防の方は、確かに計画的にということもあるんですが、一方で、どんどんどんどん自衛隊の装備というのは強化されてくる、それをきちんと財政的に歯止めを掛けておかないといけないというふうな意図もあるわけですね、中期防の方は。だから、むしろ財政当局との関係でそういう中期防を作っていただかないと、どんどん増えていくじゃないかというふうな面もあるわけでございます。  海上保安庁の方は、そのような段階にまだ至っていないという状況でございまして、まずはこの海上保安庁の持っている役割というのを、これはもう財務当局はもちろんなんですけれども、国会の先生方始め国民の方々によく理解をしていただくこと、そしてその装備が極めて今古くなっていて、その代替が緊急性を帯びているということをよく御理解をしていただくことがまず大事であるというふうに考えているところでございます。しかしながら、しっかり計画を作って前に進めさせていただきたいと考えております。
  63. 山本香苗

    ○山本香苗君 是非、大臣に頑張っていただきたいわけでございますが、財政状況が厳しかろうと必要なものはやっていかなくちゃいけないわけでありまして、これから大幅に整備を進めていくわけでございますが、そこで従来と同じやり方でやっていたら駄目だと思うんですね。従来のやり方ではなくて、是非、そういった国民の皆様方にも分かりやすい、また信頼を得るためには、コストの低減だとか無駄をなくしていくというところもしっかり踏まえたような形で装備の整備、調達をしていかなくちゃいけないと思うんです。  そういう意味では、最近いろいろ言われますが、ライフサイクルコスト管理手法というものを導入していったらどうかと思います。また、行政評価法ができまして、今、事前・事後評価というものをもっと目に見える形でという形が取られているわけで、なかなか見えないところもあります。まあ防衛庁がやっていることが決していいかどうか分かんないんですが、今国会に提出する法案でこのライフサイクルコスト管理手法というものを導入することになっております。  是非、そういう形で、今までと同じような形で、お金が掛かるよという形の説明ではなくて、こういう形で整備をしていきますと、その代わり、その中でこういうところの今までと違ったところは切っていって、分かりやすい形にしますという形での整備を是非、北側大臣にお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  64. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 先ほどの巡視船艇百二十隻、航空機約三十機の代替整備が必要と申し上げましたが、これ、じゃ全体でどれぐらい予算規模必要なのかというと、三千五百億規模必要なんですね。(発言する者あり)いや、もう海上保安庁並びに国土交通省の予算としては極めてこれはでかい予算でございまして、当然のこととしてコスト低減に努めることが重要であると思っておりますし、今委員のおっしゃったライフサイクルコストをしっかり考慮した評価をしろということも非常に重要であると考えておるところでございます。  全体としてのコスト低減にしっかり努めてまいりたいというふうに考えております。
  65. 山本香苗

    ○山本香苗君 最後に、四日の閣議後の記者会見で、北側大臣が随意契約はあくまで例外という原則を踏まえて見直しを続けていきたいというふうな御発言をされておりましたけれども、最後にこれだけ確認して終わります。  海上保安庁におけます随意契約の実態はどうなっているのか、また海上保安庁におけます随意契約も今回見直すようなことになるんでしょうか。
  66. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 契約のお話がございました。  海上保安庁におきましては、まず物品等の調達に当たりましては可能な限り一般競争入札ということをやってございますが、例えば巡視船艇でありますとか航空機などにつきましては、その性能、装備などにつきましては言わば秘密を要するものという形になります。それから、航空機の部品でありますとか、こういうものについては製造メーカーが極めて少ないというふうなことがございまして、そういうふうな事情がありますので、海上保安庁の本庁の契約の金額ベースで申し上げますと、一般競争入札が四二%でございますが、随意契約が約五八%という数字で、随意契約というのがかなりの比率になっております。その事情は今申し上げたような事情でございますけれども、そうでありますけれども、やはりその契約の透明性あるいは競争性ということを確保するという観点から、現在でも可能な限り複数の者から見積りを取るというふうなこともやっておりまして、なお一層、今後ともこのような契約の競争性の確保あるいは透明性の確保ということについては努力をし、工夫をしていきたいと考えております。  そのうち、具体的な話で恐縮でございますが、随意契約のうちに、最近問題になっております所管公益法人との随意契約というものがどうだという議論がございます。海上保安庁関係では、実は日本水路協会との随意契約が二件ほどございまして、七百万と四百万でございますが、この随意契約については見直していこうというふうに考えております。  いずれにしましても、一般競争入札を原則としてまいりますけれども、やむを得ない場合には随意契約ということでなりますが、その場合にあっても公正かつ厳正な手続の下で的確な契約をしていかなければならないと考えております。特に、先ほど大臣からもお話がありましたように、今後従来よりもかなり多い量の契約ということを実施していかなければいけませんので、私ども海上保安庁は警察機関でもございますので、いやしくも他から指を指されるようなことのないような適正な契約ということをやってまいりたいと考えております。
  67. 山本香苗

    ○山本香苗君 終わります。
  68. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  69. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、輿石東君が委員を辞任され、その補欠として足立信也君が選任されました。     ─────────────
  70. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 休憩前に引き続き、海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今回の法案の改正は、二千年の危険物質及び有害物質による汚染事故に係る準備、対応及び協力に関する議定書の批准に伴う国内体制整備でありまして、今回のその法改正案の内容を見ますと、海洋汚染防止、海洋環境保全、海上輸送安全確保からも必要な措置だと私も思います。しかし、何点か確認をさしていただきたいというふうに思います。  まず、環境省にお伺いいたしますけれども法案にあります有害危険物質の対象、そして環境大臣が未査定液体物質と査定する際の基準といいますのはIMOの国際基準に合致したものになるでしょうか。決して日本がその基準から後退することはないですよね。
  72. 小林光

    政府参考人小林光君) お答え申し上げます。  まず、結論の方から先に申し上げますと、今御指摘のとおりでございまして、国際標準に沿ってやっていきたいというふうに考えてございます。  まず、既にもう規制区分が定められておりますような有害物質、これにつきましては、既に現行の海洋汚染防止法におきましても有害液体物質というようなことで政令で定めておりまして、これはIMOの方で定めております物質と完全に合致をしていると。  で、御指摘の点は、さらに未査定の物質、これは環境大臣がどういった規制区分にするのかを決めさせていただく、まだ国際的に仕分の決まっていない物質、こっちの方は大丈夫かと、こういうことが残るわけでございますけれども、これにつきましても、実はその査定をするための手順というものが国際的に決まっておりますので、これにのっとってきちっとやっていきたいというふうに考えてございます。  また、ちなみにその結果は国際的にも通報されますので、日本のやり方に間違いがあれば後で正されるということも考えられます。そういうことで、しっかりやっていきたいというふうに考えております。
  73. 小林美恵子

    小林美恵子君 分かりました。  では次に、油や危険有害物質排出防除措置として、法案には、一定の海域を航行する船舶所有者は、資材、機械器具の配備、必要な知識を要する要員の確保とあります。  この場合、一定の海域とはどこに当たるのですか。それと、その海域に限定するのはなぜでしょうか。
  74. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) まず、法案では、今までの重油などの場合と同様に、有害液体物質排出があった場合に直ちに船舶所有者等が所要の防除措置を講じなければならないというふうになってございまして、この義務につきましては、海域の区分なく、船舶の大きさ等に左右されずに、全国一律でこの義務が課されるものであります。  ただ、有害液体物質につきましては、引火性や毒性を有するものもありますので、法案では、今御指摘のように、一定の海域を貨物として有害液体物質を積載して航行する船舶の船舶所有者に対して防除資機材の準備、あるいは防除に関する必要な知識を有する要員の確保を義務付けているわけでございます。  それでは、義務付け対象になる海域についてでございますが、これにつきましては、船舶交通がふくそうして、都市機能が臨海部に集中するなど、事故発生した場合に著しい影響が生ずる可能性が高く、また閉鎖性海域であって、有害液体物質排出があったならば海洋が著しく汚染されるおそれがあると、そういうふうな海域として、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の三海域というふうにすることとしてございます。
  75. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、要員の確保についてでございますけれども、午前中の審議の中にも出ておりましたけれども、危険有害物質もこの点を、何といいますか、防除するというのは相当な専門的知識が必要かと思いますけど、その要員の確保というのは現行体制はどうなっていて、今後どのように確保されていくお考えでしょうか。
  76. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 要員の確保でございますけれども法案にありますように、一定の船舶の所有者に対して防除に関し必要な知識を有する要員の確保ということを求めているわけでございます。これは、有害液体物質の性状あるいは特性あるいは物質に応じた防除の方法などに関する知識を有する要員が必要であると考えているわけでございまして、そういう要員を育成するためにIMO、国際海事機関の訓練カリキュラムに準拠した所要の研修コース、これにおいてその育成を図っていくこととしております。
  77. 小林美恵子

    小林美恵子君 今そういう人材がいらっしゃるのかどうか、その点はいかがですか。
  78. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 有害液体物質によってその知識を有している者の数というものは千差万別だと思います。
  79. 小林美恵子

    小林美恵子君 いずれにしましても、こういう防除措置で訓練も行って確保していくという御答弁でございました。  私はお聞きしましたら、この間の二〇〇一年から二〇〇五年までの間でいわゆる海洋汚染防止等の法令違反というのが一千五百五十七件あったというふうにお聞きをしました。今のお話でも、まだまだ体制上も本当に十分確保していかなければならないというふうに思いますけれども、そこで大臣にお聞きをします。  この海洋汚染防止法等によりまして海洋汚染事故が本当になくすことができるか、油によるもの、油以外のものによるもの、それぞれその事故をなくすための政府対策は万全ということが言えるでしょうか、いかがでしょうか。
  80. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今回の改正によりまして、有害液体物質等の排出により迅速かつ効果的に対処するための体制が整備されるというふうに考えているところでございます。また、海上保安庁では巡視船艇、航空機を動員するほか、大規模な流出事故においては関係機関総動員で防除作業を実施することとなっておりまして、適切に対応できるような体制が整えられるというふうに考えております。
  81. 小林美恵子

    小林美恵子君 では次に、海洋汚染に関連いたしまして、私は北海道知床で発生をいたしました油が付着した海鳥の大量死について、まず環境省にお伺いしたいと思います。  この事案について、掌握されている実態、原因、そして対応について、簡潔に御説明いただけるでしょうか。
  82. 小林光

    政府参考人小林光君) 本件につきましては、本年二月末から北海道斜里町周辺の海岸におきまして、油まみれの海鳥の死骸が発見されたと、こういうことでございます。北海道の網走支庁、そして斜里町、環境省など協力いたしまして、海岸の巡視、死骸の回収ということに当たっております。現時点でおよそ五千羽の死骸が回収をされているということでございます。この回収の一環といたしまして、鳥の種類、そして数等々についても確認を行っております。かなり腐食が著しいので確認できないものもございますけれども、そういったような状況にあります。  原因でございますが、直接の原因は油の付着によりますところの溺死というようなものがほとんどだというふうに推察されておりまして、鳥インフルエンザ等々ではないことが判明をしてございます。  またさらに、その背景にございます油の流出がどこであったのかというようなことでございます。  鳥の種類などから考えますと、サハリンの東辺りにいた鳥ではないかというふうに考えられているわけでございますけれども、そういった部分について海上保安庁の方でもいろいろお調べをいただいておりますし、国外の状況についても、外交ルートを通じましてロシアに情報提供を、お持ちの、サハリンの東ということでございますから、お願いをしているところでございますが、まずロシア極東において油流出が発生した海難事故あるいは陸上施設からも油流出事故といったものがあったという報告は受けていない、こういう状況でございます。  今後とも、外交ルートを通じまして、こういった今御指摘の油汚染の原因把握といったようなことについて解明に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  83. 小林美恵子

    小林美恵子君 その油ですけれども、北海道からの報告によりますと、船舶から出るC重油が濃厚だという報告があったというふうに思いますけれども、それは事実ですか。
  84. 小林光

    政府参考人小林光君) 重ねてのお尋ねでございます。  私も実は北海道へ行ってまいりまして、そういったような話も聞きましたし、私どもの方の分析でもそういったC重油という結果が出てございます。まずそこは間違いがないのかというふうに思っております。
  85. 小林美恵子

    小林美恵子君 船舶から出されるC重油が原因ではないかというふうに報告があるということでございますけれども、改めてそういうものに対して国交省としてはどういうふうに対応されてきているのでしょうか。
  86. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 海上保安庁としてどうしているかということにつきまして御報告いたしますけれども、今お話がありましたように、大量の海鳥の死骸が漂流していると、漂着しているという情報があって、直ちに私どもの方も航空機を沿岸に飛ばし、巡視船艇を海に出し、いろいろと調べておりますけれども、現在のところ、浮いた油、浮遊油などは確認できておりません。  それから、私どもの方も、私どもの方の関係のロシアの関係当局等にも問い合わせをしているわけでございますけれども、現在まで有効な情報というものはございません。
  87. 小林美恵子

    小林美恵子君 油が付着をしたいわゆる海鳥が、死骸があったということでございますから、やっぱり何らかの原因があるんだというふうに私は思うんです。ですから、徹底して、どこからの原因なのかという点は国交省としても調査を是非進めていただきたいというふうに思います。  そのことに関連をしまして、改めて、こういう油による事故が起こった場合の油回収船のやっぱり充実というのが私は重要になってくるのではないかなというふうに思います。  そこで北海道からも、自治体である北海道からも、今回の事件を通して改めて油回収船の配備が求められています。現在、日本には海上保安庁が保有する油回収船は三隻だと私はお伺いしておりますけれども、北海道には全く配備をされておられません。北海道に行こうと思いましたら、お聞きしましたら、新潟から二日間掛けて出港するんだそうでございますけれども、現地からはそれでは間に合わないんだというふうに強い要望でございます。  ここで私は大臣にお伺いしたいと思います。是非、こういう北海道の周辺海域に油回収船の配備、こうした要望が出ているわけですから、この要望についてはしっかりと検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  88. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今委員がおっしゃっている大型しゅんせつ兼油回収船でございます、今三隻ございまして、これは海上保安庁ではなくて港湾の方で管理をしている船でございます。今、新潟港、名古屋港、北九州港にそれぞれ一隻配備をしておりまして、我が国沿岸での油流出事故に対して、全国を出動からおおむね四十八時間以内でカバーする体制が構築をされているところでございます。  これだけではなくて、北海道におきましては、オホーツク沿岸に大型油回収資機材が配備をされておりまして、それらを搭載可能な巡視船の配備、これは海上保安庁です、巡視船の配備を行っているところでございます。  油流出事故発生しましたならば、大型しゅんせつ兼油回収船及びこの大型油回収資機材を搭載した巡視船を総動員しまして、地方公共団体等の関係機関と連携しまして対処をしてまいりたいと考えております。
  89. 小林美恵子

    小林美恵子君 現地からは油回収船そのものを配備をという要望がございました。是非それにこたえていただきたいというふうに思います。改めてお聞きしたいんですけど、いかがですか。
  90. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 先ほど申し上げたように、この油回収船というのは大型しゅんせつをするのと兼ねた油回収船なんですね。それが三隻あって、先ほど申し上げたところに配備をしているところでございます。  北海道においては資機材、大型油回収資機材が配備をきちんとされております。それを搭載可能な巡視船も配備をされておりまして、それで対応することが可能というふうに判断をしております。
  91. 小林美恵子

    小林美恵子君 なかなか現地の要望におこたえにならない、残念でなりません。改めて現地の皆さんの御要望を強く、私は大臣がこたえるよう求めたいというふうに思います。  それで次に、残りの時間を使いまして、四月九日に起こりました鹿児島での高速船衝突事故について質問をします。  まず、あの事故で負傷された皆さんに心から私はお見舞いを申し上げたいと思います。  それで、午前中の審議の中でも、この超高速船の衝突事故につきましては、二〇〇三年度からいきますと十二件と、そして今年に入ってから五件あったというふうに御報告がございました。今年三月はJR九州船でも事故が起こりまして、その件に関しまして、それを一つの機にしまして国交省としても通達を出されているかと思います。  その通達について、午前中の審議でも少しばかりお話がございましたけど、三点あるかと思いますが、三点簡潔にお答えいただけるでしょうか。
  92. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今御質問ございました、先月二十日付けで出しました通達で、文書による通達でございますが、超高速船、いわゆるジェットフォイルを運航しているすべての会社七社に対しまして、三点、一点は見張りを徹底すること、二点目が目撃情報等の収集、分析及び要注意海域を設定し安全運航に努めること、三つ目が翼走時におけるシートベルト着用周知徹底、これをきちっと図ってほしいと、この三点について関係事業者指示したところでございます。
  93. 小林美恵子

    小林美恵子君 じゃ、その通達について少しお伺いしますけれども事故を起こした、私は鹿児島商船の事故対策の担当者の方にお伺いしました。船舶免許の取得の際に、衝突回避義務を訓練で修得するそうでございますね。そういう訓練をして修得しても、海面上の物体を回避することは難しいんだと。ですから、私は、要注意海域での設定、そして基準航路の変更等についてはやっぱり国がしっかりチェックしなくてはいけないんじゃないかというふうに思いますけど、その点についていかがですか。簡潔にお答えください。
  94. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 船の安全運航事業者の責務でございまして、それに対応できるような要員の訓練、それに見合った運航方法といったようなものを安全管理規程においてしっかり策定をいたし、それをちゃんと守っていただくと、こういうことが大切だろうと思います。現実の回避その他の問題につきましても、やはりその実力に合った安全運航管理規程というものを設定していただいて、確実に安全を確保するということで指導してまいっているところでございます。
  95. 小林美恵子

    小林美恵子君 安全管理規程というふうにおっしゃいました。先ほど通達のところにシートベルトの話がございましたけれども、今回シートベルトがなかなか着用されてなくて、多数の負傷者を生み出したというふうに言われてもいます。そのシートベルト着用は、国の運航管理規程の作業基準例としてはありますけれども、あくまで例であって、結局、実際は運航業者任せになっているというのが、私は今回の多くの負傷者を生んだ要因の一つでないかというふうに思います。この点はいかがですか。
  96. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 御指摘のように運航管理規程につきまして、私ども、どういう内容を盛り込むべきかということで一定のひな形を示しております。それに基づいて各事業者さんは運航管理規程を現実に制定しておるわけでございまして、ただいま事例がございました鹿児島商船、これにつきましても、運航管理規程上、私どもの標準として示したシートベルト着用についての記載がなされているところでございます。
  97. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、この件に関しまして最後に大臣にお伺いをして質問を終わります。  今お話がございましたけれども、しかし通達は出すけれども、今の御答弁でいくと、結局は事業者任せというのが今回の事故の根本要因だと私は思います。  要注意海域の設定やシートベルト着用の問題、さらに、最近出ておりますけれども高速船のいわゆる衝突の衝撃を緩和する装置ですね、これは前方だけでなく側面、後方にも設置すべきだという指摘がございます。そういうことも含めまして、事故防止被害の軽減のためにも国が責任を持ってこの対策に踏み出すべきだと思いますけど、どのように踏み出そうとしているのか、最後にお聞きして質問を終わります。
  98. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) この四月の九日に起こりました超高速船事故につきましては、百名以上の方がけがをされました。非常に重大な事故でございまして、重く受け止めているところでございます。  この事故を受けまして、これは私の方から指示をいたしまして、国土交通省の中に、国土交通審議官をヘッドといたしまして、省内の関係局長、それから水産庁にも入っていただきまして、あと学識経験者、それからメーカー、運航事業者等にも入っていただいた超高速船に関する安全対策検討委員会というのを立ち上げました。早速、明日に第一回目の検討会を行うこととなっているところでございます。  この一か月間で緊急にやるべきことについては取りまとめをしたいと考えておりまして、そして夏前までには中間的な取りまとめを行うということとしているところでございます。  この委員会におきましては、シートベルト着用の義務化を含むハード面、それからソフト面、それから総合的かつ効果的な方策を検討してもらいたいというふうに考えております。事故原因、今回の事故原因につきましても徹底して究明し、それを踏まえて、有効な再発防止策と被害軽減策についてしっかりと取組をさせていただきたいと考えております。
  99. 小林美恵子

    小林美恵子君 終わります。     ─────────────
  100. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、太田豊秋君が委員を辞任され、その補欠として松村祥史君が選任されました。     ─────────────
  101. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  昨年十一月十三日に発生をしました、中国吉林省にある中国石油吉林石化公司の石油化学工場爆発がありました。爆発では、有害物質のベンゼンが同省の松花江に流れ込み、水道供給が停止するなど被害が出ております。そして、下流のロシア領のアムール川でも深刻な状況となっております。  一部報道によれば、アムール川から流れ出たベンゼンがオホーツク海に出て、海流に乗り北海道へ到着するのではないかと言われていますが、現在の状況はどれくらい把握されているのでしょうか、お伺いをいたします。  また、ベンゼンの持つ性質から北海道への漂着は余り想定できないかもしれませんが、例えば有害物質が北海道に漂着するようになれば大変な問題となります。このような場合、どのように対応されようとしているのか、お伺いをいたします。
  102. 小林光

    政府参考人小林光君) 昨年十一月に発生しました中国の工場の事故によりますところの汚染と、こういうことでございます。  環境省におきましては、外務省を通じまして情報収集に努めておりますほか、オホーツク海の今御指摘ございました海流の状況等についても専門家から直接意見を聞いたりしてございます。  現状の把握状況でございますけれども、ロシアから得ました状況では、汚染された水は既にもちろんアムール川の方に流入をしてございます。一月下旬に河口近くに達したと考えられてございますが、その時点で相当程度希釈をされておりまして、一月下旬段階でニトロベンゼンの濃度、環境基準、これはロシアの環境基準でございますが、と同じレベルまで低下していたということでございます。さらに、今日、日ロの専門家の環境関係会議を外務省で行っているところでございますが、最新時点のロシアからの情報では、はるかに濃度が下がっているというふうに聞いてございます。  以下、専門家に私どもが聞いたところでございますけれども、アムール川結氷をしておりますけれども、春になりますと解けるということで、その海流に水が混じってくると、こういうことになるわけでございます。アムール川の後、サハリンの北を通って、今度は東側を南下して北海道の方に海流が南下してくる、こういうことになるわけでございまして、今年の秋ごろにその河川水自体は北海道に到達する可能性があると、こういうことになろうかと思っております。  ただ、今もう委員指摘のとおりでございまして、大変長い距離を移送されておりますし、またベンゼンの性質ということもございますので、よもや日本にまで到達するということにはならず、大幅に希釈をされてしまうというふうに考えてございますけれども、私どもといたしましては、河川の氷が解けた後の状況についてモニタリング等の情報収集をする、そしていよいよ本当に危ないということになりましたら、関係機関と連携して、それに対する防除措置についても検討してまいりたいというふうに考えてはございます。
  103. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今回提出をされました法案では、新たな船舶所有者に対して資機材の義務付けを課していますが、海運業界の経営環境を考えた場合に、原油価格の高騰に伴うコストや安全対策に必要なコストについては、適切にやはり運賃に転嫁させる必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  104. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今回、いわゆる安全あるいは環境対応ということで海運事業者に新たな負担が掛かってくるわけでございますが、私どもとしては、やはりこういうコストについては、しっかり運賃あるいは用船料の体系の中に組み込まれてしかるべきものだというふうに認識をいたしております。  ただ、運賃、用船料そのものは市場の中でその価格は形成されるものでありまして、私ども行政としてどうしろこうしろということはなかなか申し上げにくいんでありますが、やはりこういう状況の中でこういうコストは掛かっているんだと、それは絶対必要なコストなんだということを是非荷主ないしはオペレーターに理解していただくと、そういう場面では行政として果たす役割があるんだろうということで考えておりまして、その面で努力してまいりたいと思っております。
  105. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ケミカルタンカー等による事故は毎年多発、多数発生をしているようでありますが、このような事故の中には、船員の居眠りなどが原因だと言われておりますけれども、これはケミカルタンカーを始めとするタンカー船員等の過酷な労働環境が影響しているのではないかと思うんでありますが、そういう意味では労働環境の改善を図るべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
  106. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいまお話ございましたケミカルタンカーでございますが、通常の貨物船に比べて、いわゆる荷揚げの過程ないしはタンクの洗浄といったような労働が船員の仕事として付加されてまいりまして、そういう意味では大変厳しい労働環境であるということは御指摘のとおりであります。  ただ、私どもとしては、やはりその労働時間、そういったものをきちっと守っていただくことが安全運航上必要だということで、そうした労働実態に合わせた船員の定員、これをしっかり確保していただくということで過重な労働というのを防止することができるのではないかというふうに考えておる次第でございまして、そういう意味で船員の定員の確保ということについて、これは経営実態が大変厳しい状況ではございますが、はっきり申し上げて船の安全については、単なるオーナーだけではなくてオペレーターも、あるいは場合によっては荷主も安全上やっぱり責任があるんだということをしっかり理解していただいて、必要な定員が確保できるよう、両者に対してもお話を申し上げているところでありますし、今後とも対応していきたいというふうに思っています。
  107. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 要員の確保についてお伺いをいたしますが、防除措置等3において、「排出油等の防除に関し必要な知識を有する要員を確保しておかなければならない」とありますが、必要な知識を有する要員の数はどれくらいと考えられておりますか。
  108. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 必要とする要員の数でございますけれども、先ほど申し上げましたように、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海を航行する船舶、それで有害液体物質を貨物として搭載する船舶、こういう船舶がその航行中に事故を起こした場合に、迅速に対応をするために必要な人数というふうに考えております。  逆に言いますと、これらの船がこの海域において運航している間、常時事故に迅速に対応をすることができる者の数ということがいればいいと考えておりまして、ある意味では、最小限でいえば常時一名おればいいと考えております。
  109. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の中で、船長らは危険物の排出のおそれがあるときは最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならないとしていますが、ここで排出のおそれという表現がありますが、おそれは個々人の判断に任せるということでしょうか、それとも何らかの例示を示すのでしょうか、お伺いをいたします。
  110. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) この排出のおそれがあるということにつきましては、正に現場状況その他で判断されるものでございまして、船長が自らの判断でおそれがあると判断したときに通報していただくということになろうかと思います。
  111. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 独立行政法人の海上災害防止センターの業務等において、緊急に排出油等の防除のための措置を講ずる必要がある場合において、一定の要件を満たすときは、独立行政法人海上災害防止センターに対し排出油等の防除のための措置を講ずるべきことを指示することができるとありますが、この一定の要件とはどのような要件なのでしょうか。また、具体的な定めを行うのかどうか、お伺いをいたします。
  112. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 海上保安庁長官によります海上災害防止センターに対する指示でございますけれども、今回の改正法の海洋汚染防止法の第四十二条の二十六の規定に基づいて、緊急に排出油等の防除のための措置を講ずる必要がある場合であって、一つが、船舶所有者等の原因者が所要の措置を講じていないとき、又は船舶所有者原因者に対して所要の措置を講ずることを命ずるいとまがないとき、このようなときに海上保安庁長官海上災害防止センターに対する指示を行うということでございます。  それで、船舶所有者原因者が所要の措置を講じていないときという場合には、海洋汚染防止法第三十九条第三項に基づき措置を講ずるべきことを命じた上で、それでも原因者が措置を行わないという場合に発動するものであります。  それから、船舶所有者原因者に対して所要の措置を講ずるべきことを命ずるいとまがないときという場合につきましては、最近の例でいいますと、平成九年に日本海発生いたしましたロシアのタンカー、ナホトカ号、これの重油流出事故に際しまして、海上保安庁長官から指示をし所要の防除措置を実施されたということでございます。
  113. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 この法律の持つ性格上から考えまして、法律が成立をした場合、二〇〇七年四月一日から施行されるようでありますけれども、施行することにより今後どのような効果があるかお伺いをして、質問を終わります。
  114. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今回の改正によりまして、有害液体物質や危険物の排出等に対処するための対応資機材の配備や、所要の訓練、研修を受けた要員の配置が進むものと考えております。我が国の周辺海域では年間三十隻から五十隻前後発生しておりますケミカルタンカーの事故に、これでより迅速かつ効果的に対処し得る体制が整備されるものと考えております。  また、あわせて、今も御質問ございましたが、座礁や乗揚げ事故有害液体物質排出されるおそれがある場合の海上保安庁長官による措置命令を新設をいたしまして、被害の未然防止も図ることができるというふうに考えておるところでございます。  この法案が成立をしましたならば、この法律を適切に運用いたしまして、有害液体物質や危険物の事故に迅速かつ効果的に対処をして、海洋汚染及び海上災害防止に努めてまいりたいと考えております。
  115. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  116. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会