○
国務大臣(
北側一雄君) ただいま議題となりました運輸の
安全性の向上のための
鉄道事業法等の一部を改正する
法律案の提案理由につきまして御
説明申し上げます。
昨年四月の西
日本旅客鉄道株式会社福知山線における列車脱線事故、三月の東武鉄道株式会社伊勢崎線における踏切事故、また、
我が国航空運送事業者における管制指示違反等の安全上のトラブルを始めとして、最近、運輸の分野における事故、トラブルが多発をしております。これらは、運輸事業者における安全最優先の
意識の形骸化、経営部門と現場間及び部門間の意思疎通、
情報共有の欠如等に起因するヒューマンエラー等が背景にあるとも言われており、その
対策とともに、開かずの踏切
対策の促進や事故等の原因究明のための国の
調査機能の充実が喫緊の課題となっております。このような状況を受けまして、鉄道、航空、自動車、海運の各分野の運輸事業者における輸送の安全を確保するための取組を強化するとともに、あわせて、踏切道の
安全性の向上、交通の円滑化や運輸の安全に関する国の組織体制を強化する必要があります。
このような諸課題に対応するため、このたびこの
法律案を提案することとした次第です。
次に、この
法律案の概要について御
説明申し上げます。
第一に、輸送の安全の確保を法の目的として追加するとともに、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の
安全性の向上に努めることを運輸事業者の責務として規定することとしております。
第二に、運輸事業者は、輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項等を定めた安全管理規程を定め、
国土交通大臣に届け出るとともに、安全統括管理者等を選任しなければならないこととしております。
第三に、
国土交通大臣は、毎年度、輸送の安全にかかわる
情報を整理し、これを公表することとするとともに、運輸事業者は輸送の安全にかかわる
情報を公表しなければならないこととしております。
第四に、
国土交通大臣は、安全管理規程のうち輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項に係る
報告の徴収又は立入検査を適正に実施するための基本的な方針を運輸審議会に諮り、定めることとしております。
第五に、
国土交通大臣は、平成十八年度以降の五か年間において改良することが必要と認められる
一定の踏切道について指定するものとするとともに、
国土交通大臣が定める踏切道の改良の
方法に歩行者等立体横断施設の
整備を追加し、鉄道事業者等に対し歩行者等立体横断施設
整備計画の作成等を義務付けることとしております。
第六に、
国土交通大臣は、鉄道事業者等に対し、踏切道の改良に関し必要な勧告及び
報告の徴収をすることができることとするとともに、いわゆる連続立体交差事業に係る無利子貸付制度を創設することとしております。
第七に、海難審判庁は、審判開始の申立てに至らなかった海難の
調査結果等を踏まえ、
国土交通大臣又は関係行政機関の長に対し、海難の発生の防止のため講ずべき施策についての
意見を述べることができることとしております。
第八に、航空・鉄道事故
調査委員会は、航空・鉄道事故に伴う被害の原因を究明するための
調査及び被害の軽減のため講ずべき施策についての
国土交通大臣に対する勧告又は建議を行えることとしております。
その他、これらに
関連いたしまして、所要の規定の
整備を行うこととしております。
以上がこの
法律案を提案する理由でございます。
この
法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。