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大江康弘君 これ、いつ終わるのか、それとも果てしなくエンドレスなのか分かりませんけれども、これ以上数字が増えないことを祈るわけでありますけれども。
長官、もう一点。長官、司馬遼太郎の「坂の上の雲」という本を読まれたことがあるかどうか分かりませんが、ある種、
国民書的な、そういう存在感のある司馬さんの本だと思うんですけれども。
この「坂の上の雲」、いわゆるこれは、あの坂の頂上に見える空の上に白い雲がなびいていく、その雲を望みながらいわゆる坂を上り詰めていくという、この明治の時代の近代化する日本を書かれたんですね。ところが、司馬さんは、あの坂の上を上り切ったときに果たしてそこからどんな日本が見えるかという、そこは書かれていなかった。どうも司馬さんというのは、明治の時代は
評価をするけれども昭和の時代は余り
評価をされておらないような、そういうことを私は司馬さんの本を読んで感じるんですけれども。
いわゆるその坂の上を我々が今上り上がった、そうしたら我々は一体、その坂の頂上の、頂から一体どんな姿を見たか。それは、正に我が日本が先進国を成し得た姿を見たんですね。ところが、この先進国が今、本当にこれから継続していくのか。これ、先進国を維持していくというのはなかなかしんどいんです。これ、いろんなシステムを維持していくということはしんどい。小泉さんが総理になってこの五年余り、
改革、
改革と言って、これは一方では当たっている部分もあるんですけれども、しかし私は、戦後六十一年、日本がやはりここまで来た、いや、それ以前にやっぱり日本がここまで来た一番大きな私は要因は、正に日本の
国民がお互いの信頼
関係というもの、人間の信頼
関係、あるいは
国民が政府を信頼する、政治家を信頼する、あるいは田舎に行けば住民の皆さんが正に、江戸時代の言葉ではありませんけれども、お上を信頼してやってきた、そういう信頼というもののこの
関係がしっかり構築されていたから私はやっぱり、いろんな要因があっても、やっぱりここが日本人というものがここまで上り詰めてきた私は一番の大きな要因だと思うんです。
ところが、残念なのは、この間、五月の二十九日に、この社保庁の不正免除問題が起こったときに、決算
委員会で我が党の
若林委員だとかあるいは松井
委員の質問の答弁に
大臣はこう答えているんですね。もうだれも信用できないと。「私が政治生命を懸けたら正しく
報告してくれるという人
たちを相手にしているんだったら、こんなこと私は申し上げません。」。そして、ここまで言い切っているんです。「正直言って一人一人が信頼できない。」、「それだけで私が信用できるかということになると、外部の目も入れなければならない」、これは後どうするかということの話ですけれども。同じような答弁を
若林議員のところにもしてるんです。「残念ながら、私も人を信じたい、人を信じたいけれども、この件については信じられない。」。
まあ、国のある省庁を束ねるトップの
大臣が、自分の部下や自分の職員を国会の質問の中で信じられないという、こんなことまで答弁しているような、本当に国の私は社会保険庁というこの
一つの組織というのは正常なのかどうなのかと、大変私は心配に思う一人であります。
大臣をここまで言わしめた、そういう原因をつくってきた。私は村瀬長官、今、辞めろコールいろいろあります、それは私は今すぐ辞めろという立場に立つものではありません。二年前に、平成十六年の七月ですか、総理に請われて、自らのポストを捨てて、やっぱり国のためにということでこの決断をされたということは、私はある
意味立派であったと思うんです。それだけに、この社会保険庁の問題に限らずいろんな問題が昨日今日、ここ一年、二年、私は長官がなったから起こったというふうには思いません。
だけど、ここまで
大臣が答弁をしなければいけないという今の実態の中で、果たして
国民が、商品としては全くいい商品でないと言われておる今の
国民年金の問題、こういうことをこれからやはりどんどんどんどん納付率を高めていかないけないときにこんな問題が起きたわけでありますけれども、どうします、これ長官、この信頼のないようなこういう中で一体長官はどうしていくんだという。長官に最後のこの質問ですけれども、これだけちょっと一回しっかり答えてください。