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2006-04-24 第164回国会 参議院 行政監視委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十四日(月曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  四月二十日     辞任         補欠選任      松岡  徹君     前川 清成君  四月二十一日     辞任         補欠選任      前川 清成君     松岡  徹君      吉川 春子君     紙  智子君  四月二十四日     辞任         補欠選任      田名部匡省君     広田  一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 太田 豊秋君                 中原  爽君                 岩本  司君                 浮島とも子君                 風間  昶君     委 員                 加治屋義人君                 狩野  安君                 後藤 博子君                 田中 直紀君                 橋本 聖子君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 小川 勝也君                 大塚 耕平君                 岡崎トミ子君                 芝  博一君                 広田  一君                 松岡  徹君                 渡辺 秀央君                 福本 潤一君                 紙  智子君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        国務大臣     中馬 弘毅君    副大臣        総務大臣    山崎  力君        外務大臣    金田 勝年君        文部科学大臣  馳   浩君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君    事務局側        常任委員会専門        員        西澤 利夫君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       安藤 友裕君        内閣官房内閣審        議官       伊佐敷眞一君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       上原美都男君        国家公務員倫理        審査会事務局長  川村 卓雄君        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        消防庁次長    大石 利雄君        外務大臣官房参        事官       佐渡島志郎君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        財務省主計局次        長        松元  崇君        文部科学省研究        開発局長     森口 泰孝君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        文化庁次長    加茂川幸夫君        経済産業大臣官        房審議官     西川 泰藏君        資源エネルギー        庁次長      細野 哲弘君        国土交通省総合        政策局次長    平山 芳昭君        国土交通省河川        局長       渡辺 和足君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省北海        道局長      吉田 義一君        海上保安庁総務        部長       春成  誠君        環境省自然環境        局長       南川 秀樹君    説明員        会計検査院事務        総局事務総長官        房審議官     佐野  洋君    参考人        日本銀行理事   山口 廣秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (中央省庁等改革及び行政改革実施状況に関  する件)  (独立行政法人現状及び見直しに関する件)  (特別会計現状及び見直しに関する件)     ─────────────
  2. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、吉川春子君及び田名部匡省君が委員辞任され、その補欠として紙智子君及び広田一君が選任されました。     ─────────────
  3. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官安藤友裕君外二十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、日本銀行理事山口廣秀君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、中央省庁等改革及び行政改革実施状況に関する件、独立行政法人現状及び見直しに関する件及び特別会計現状及び見直しに関する件について説明を聴取した後、質疑を行うことといたします。  それでは、まず政府から順次説明を聴取いたします。中馬国務大臣
  8. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 御説明に先立ちまして、初めにごあいさつを申し上げます。  我が国行政システムは、高度経済成長による高所得国家構築に寄与してきましたが、戦後六十年を経過し、最近では、急速な高齢化人口減少傾向経済国際化と東アジアの劇的な経済状況の変化、IT等情報化進展等により、その機能が低下してきていると言われております。  今後とも我が国国際競争力を保持し、所得面だけでなく、文化面精神面の豊かさや居住環境の快適さ、社会全体の利便性等を向上させていくためには、個人地域企業等がそれぞれの能力を最大限に発揮できるようにすることが重要であり、そのためにはこれまでの行政システム規制在り方を大胆に見直し、新しい視点で諸制度改革しなければなりません。  また、この改革は、国に頼りがちな我が国経済社会の構造を変革し、自立した個人地域企業等が主役となって自己解決能力の高い経済社会をつくり、個々の主体の自立に向けた意識改革を行うものであります。  このような問題意識から、政府は、その役割を見直し政府が行う必要性が減少しているものであれば、民間にゆだねるとともに、無駄を徹底的になくすことにより、その規模が大胆に縮減された政府を目指し、簡素で効率的な政府の実現を喫緊かつ最重要課題一つとして位置付け、昨年十二月二十四日に行政改革重要方針閣議決定するとともに、これを着実に実施するため、閣議決定内容法案化した行政改革推進法案国会に提出し、現在、国会で御審議いただいているところであります。  それでは、行政改革実施状況について御説明いたします。  近年、行政改革については、先ほど申し上げた行政改革重要方針、今後の行政改革方針、これは平成十六年十二月の閣議決定でございます、及び行政改革大綱、これは平成十二年十二月の閣議決定でございます、の三つの閣議決定を行い、広範な事項について改革を決定してきました。  また、こうした行政改革の諸方針については、定められた行政改革事項が着実に実施されることが重要であるため、行政改革実施状況についてフォローアップを行い、その結果を政府行政改革推進本部に報告し、公表することとされております。このため、毎年度末に行政改革実施状況を取りまとめているところでありまして、平成十七年度についても、去る三月三十一日、最新の行政改革実施状況を取りまとめたところであります。  具体的な内容につきましては、お手元の「行政改革実施状況について」、ここにお配りしております、ポイントだけですが、をごらんいただければと思いますが、例えば、特殊法人等改革については、百六十三の特殊法人等のうち百三十六法人について廃止、民営化独立行政法人化等措置特別会計改革については、十八年度予算において十三兆八千億円を一般会計等繰り入れ財政健全化に活用、総人件費改革については、国の行政機関定員を五年間で五%以上純減させるとの目標の策定、規制改革民間開放については、市場化テスト本格的導入を図るための法案の提出など、全体として改革が着実に進展している状況にあり、今後ともこうした改革を更に推進し、加速させてまいりたいと考えております。  御説明は以上でございます。委員長を始め、理事委員皆様方の御指導、御鞭撻をお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  9. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 次に、山崎総務大臣
  10. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 中央省庁等改革実施状況並びに独立行政法人現状及び見直しに関しまして御説明申し上げます。  まず、中央省庁等改革実施状況について御説明いたします。  中央省庁等改革については、国の行政組織並びに事務及び事業運営を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性機動性及び透明性の向上を図ることを基本理念として行われたものであります。  この基本理念の下、平成十三年一月に、一府二十二省庁から一府十二省庁中央省庁の大ぐくりの再編内閣官房機能の充実や内閣府の設置による内閣総理大臣補佐機能強化、副大臣大臣政務官の新設、本省に置かれる局・官房の数の削減審議会等整理など国の行政組織等減量効率化独立行政法人制度の創設や政策評価導入など各般にわたる改革実施されたところであります。  その後、さらに、新府省において組織統合に伴う運営・施策の融合化に努めるとともに、独立行政法人化を始めとする行政組織事務事業減量効率化推進し、課室の数の更なる削減、国の行政機関定員の縮減を実施してきたところであります。  今後、政府としては、中央省庁等改革趣旨に沿った組織制度運営が行われているか、与党における中央省庁等改革実施状況に係る議論を踏まえた点検を行うこととしております。  次に、独立行政法人現状及び見直しについて御説明いたします。  独立行政法人制度は、国が自ら直接実施する必要はないが、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業について、法人自律的運営により効率的かつ効果的な実施が可能となるよう、先ほど申し上げた平成十三年一月の中央省庁等改革において設けられたものであります。  平成十八年四月現在、政府全体で百四の法人が設立されております。  独立行政法人については、その適正かつ効率的な業務運営を確保する観点から、中期的な目標管理と第三者による事後評価の仕組みが導入されております。  具体的には、中期目標期間終了時においては、法人組織業務全般にわたる見直しを行うこととされております。この見直しに当たっては、総務省政策評価独立行政法人評価委員会法人の主要な事務事業改廃に関して主務大臣勧告を行うこととされております。  同委員会は、平成十六年度及び十七年度末に中期目標期間終了した五十六法人について、四十二法人への整理統合、おおよそ一万二千人の役職員の身分の非公務員化、その他の事務事業合理化などを内容とする勧告方向性指摘しております。これを踏まえて政府として決定した見直し内容に沿った措置を講ずる法案については、今国会において御審議いただき成立を見たところであります。  本年度は、昨年十二月に閣議決定された行政改革重要方針に基づき、政策金融機関類似融資等業務を行う法人を含め、特殊法人等から移行した独立行政法人等二十三法人について、業務を極力整理縮小する方向見直し推進することとしております。  また、同委員会は、毎年度、各府省評価委員会が行う独立行政法人業務実績評価の結果について、その厳格性信頼性を確保するため、政府横断的な観点から二次評価を行っております。  平成十七年度は、十八年度以降に中期目標期間終了する法人について、その見直しにつながる事項指摘等を行ったところであり、本年度も引き続き厳格に取り組んでまいります。  総務省としては、独立行政法人評価について、今後とも政策評価独立行政法人評価委員会機能が最大限発揮されるよう努めるとともに、独立行政法人制度の適切な運営に万全を期してまいります。  荒木委員長を始め、理事委員皆様方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  11. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 次に、谷垣財務大臣
  12. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 特別会計現状及び見直しについて申し上げます。  特別会計につきましては、我が国の厳しい財政状況の下、その在り方につき、従来から各方面より様々な御指摘や御批判が見られたところであります。このため、全特別会計を対象として、各々の設置趣旨にまでさかのぼるなどした上で、財政健全化への貢献国民への説明責任を十分に果たすこと等を念頭に徹底した見直しを行い、その結果を行政改革重要方針に盛り込んで、昨年十二月に閣議決定いたしました。これを着実に実施するため、本年三月に簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案国会に提出し、現在御審議をいただいております。  これら政府改革案においては、合計約二十兆円程度財政健全化への貢献を目指すこと、一覧性を持った形で国の財務状況説明することにより十分な説明責任を果たすことなどの具体的方針を示した上で、今後五年間を目途に、特別会計の数を現行の三十一会計の二分の一から三分の一程度に大幅に削減するなど特別会計自体統廃合も含めた踏み込んだ改革を行うこととしております。  平成十八年度予算においては、事務事業の徹底した見直しを行うとともに、剰余金積立金財政健全化に資するよう活用することといたしております。この結果、特殊法人等への財政支出については、全特別会計合計千九百九十九億円の削減を実現するなど徹底した歳出削減を行っております。また、財政融資資金特別会計積立金のうち十二兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れ、国債残高の圧縮を図るとともに、外国為替資金特別会計などから約一兆八千億円を一般会計に繰り入れることにより、合計約十三兆八千億円の剰余金積立金財政健全化のため活用しており、特別会計改革は着実に成果を上げているところであります。  さらに、この改革の道筋を確かなものにするため、特別会計統廃合一般会計と異なる取扱いの整理などを内容とする法律案平成十九年を目途国会に提出することとしております。  財務省としては、今後とも、改革案に沿い、引き続き剰余金等見直しの徹底、更なる歳出削減特別会計統廃合を通じた事務事業効率化を行うことなどにより、簡素で効率的な政府構築に資する実質的な効果を伴った改革とするよう一層の努力をしてまいる所存であります。  どうぞよろしくお願いいたします。
  13. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 水落敏栄

    水落敏栄君 自由民主党の水落敏栄でございます。  まず冒頭に、ただいま財務大臣から御説明がありました特別会計改革についてお伺いをしたいと思います。  特別会計は、母屋でおかゆ、離れですき焼きと、そんな言葉に代表されますように、省庁による無駄な支出が多いと批判をされてまいりました。今回の改革では、特別会計統廃合経理明確化事務事業合理化を行うことにより、財政健全化に総額二十兆円程度の寄与をすることを目標とすることといたしております。また同時に、国家公務員の総人件費改革では、平成十七年度国家公務員年度末総数を今後五年間で五%以上の純減とすることを目標としております。  特別会計事業合理化などによって、当然、国家公務員定数削減効果も期待されると考えられますけれども、特別会計改革国家公務員定数削減との関連についてはどのような御認識を持っておられるのか、また、逆に、特別会計改革国家公務員リストラ効果を持つがゆえに抜本的改革が困難である面がないかという点について、財務大臣にお聞きしたいと存じます。
  15. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今度の特別会計改革は、簡素で効率的な政府を目指すという、そういう行政改革の一環として特別会計事務事業効率化合理化を図ろうというものでございまして、直接公務員リストラ目的とするというようなものではないというふうに私は考えております。ただ、もちろん、事務事業整理して余分なものはやめていく等々のことをいたしますと、その結果として、改革後の業務、あるいは事務事業に見合った形で定員配分が行われていくということは、これは当然のことだろうと思っております。  その意味において、合理化効率化を、事務事業効率化をした後、それに応じた定員削減が求められる場合もあるということは、これはやむを得ないことだろうと思っておりますが、いずれにせよ、そういう目的を持っているものでございますからきちっと仕事を進めてまいりたいと、このように考えております。
  16. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  今回の特別会計改革によって、国営土地改良あるいは登記、特定国有財産整備などの特別会計については一般会計統合される方向と、このように伺っております。そして、これらの特別会計の所管する事業は、国として行う必要はあるけれども、区分経理必要性はないとされているわけでありますが、区分経理による受益負担明確性が失われることなどから生じる懸念は全くないのかどうか、このことについてお伺いしたいと存じます。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) そもそも特別会計というのは受益負担関係を明確にするということで設けられたものでありますから、それで、ただ、余りたくさんあり過ぎると全体がよく見えなくなるとか、あるいはその中で無駄な剰余金等々があって必ずしも資金が効率的に使われていないんじゃないか、等々のことがありまして今回の見直していこうということになったわけでございます。  したがいまして、その見直しに当たりましては、その特会を設けた趣旨は一体何であるのかと、それから受益負担関係がどうかと、それから一般会計繰入れとかあるいは特定財源といったものとの関係、それから他の一般会計歳出との関連性等々をよく検討しなければ結論が出ないというふうに思っております。  そういうことを考えて一般会計への統合をするということになった場合、それはある意味で、逆に言えば受益負担関係はどうかということも出てくるわけでございますから、今までの検討の過程では、例えば年金保険、こういう特別会計におきましては保険料収入年金給付あるいは保険金の支払、こういう支出受益負担が強く結び付いておりますので、やっぱりこういうところは区分経理を引き続きしていく必要があるだろうと、特別会計自体は置いておこうと、こういうことになったわけでございます。  ですから、今御指摘の点も、今後具体的検討を進めていくときには十分頭に置いていかなければいけないと思っております。
  18. 水落敏栄

    水落敏栄君 そうしたことで、国が直接行う事業でないと判断された特別会計については、独立行政法人化とかあるいは民営化を行う方向になるわけですけれども、これによって多くの独立行政法人が新たに生まれると、こういうことであります。  これらの独立行政法人に対しては国会による直接の統制が働かないというおそれもあるわけでありまして、そこで効率的な運営を行うようチェックしていく必要があると思いますけれども、総務大臣の御認識をお伺いしたいと存じます。
  19. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 御指摘のような場合、独立行政法人、新たに設立された場合でございますが、これは独立行政法人通則法に基づいて厳重にチェックしていくと、こういうふうな基本的な考え方でございまして、具体的には毎年度法人のいろいろやった業務実績等につきまして、まず担当の各府省独立行政法人評価委員会というところが評価をして、さらに、当方、総務省政策評価独立行政法人評価委員会政府横断的な立場から二次評価を行うというふうになっております。  そしてもう一点、毎年のそういったことだけではなくて、中期目標期間、大体三年から、三年、五年というのがあれでございますけれども、その終了時には組織業務全般見直しを行うと先ほども申し上げたところでございますが、そして政策評価独立行政法人委員会がその主務大臣に対して法人の主要な事務事業改廃、改めたりやめたりという改廃に関する勧告を行うこととすると、こうなっておりまして、そういう意味では非常に厳しいチェック体制だと言えると思います。  こういった取組方を通じて、今後、独立行政法人効果的にかつ効率的に業務運営をしていくように確保してまいりたいというふうに考えております。
  20. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  どうぞ国民の目線に立ってしっかりとやっていただきたいと、このように存じます。  先ほど、総務大臣から中央省庁等改革実施状況について御説明がございました。平成十三年にいろんな改革実施されたわけでありますけれども、その中の一つ内閣機能強化、そして副大臣制度あるいは政務官制度導入など、政治主導行政を確固たるものとするといったものがございました。  かつての政務次官は盲腸などとやゆされる声もあったようですけれども、中央省庁等改革で副大臣におなりになってその力はかなり強いものとなったと聞いておりますけれども、そこで、まず総務大臣の御経験から、今のお立場についての御感想、特に副大臣政治家として役所に対するリーダーシップというものについて実感をお聞かせいただければ有り難いと、このように存じます。
  21. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 私が副大臣を代表する形で御答弁するのが適当かどうか、あるいはまた、リーダーシップという言葉で、どういうふうにお答えしていいかという戸惑いもあるわけでございますが、私なりに申させていただければ、副大臣の仕事というのはいろいろあると思うんですが、一つは、まず第一はやはり大臣を補佐することであるというふうに思っております。また、もう一つには内閣の一員として政府の議論の中に参画すること、そして最後、一番委員も注目といいますか御関心があるというのは、政治家として、副大臣としてどういうふうに行動するのかと、こういう三つの仕事がというか、仕事の範囲といいますか項目があろうかと思うんですが。  具体的な話になりますけれども、副大臣という仕事、補佐するということからいけば、就任以来、昨年の十一月の初め、二日だったと思いますが、就任して以来、大臣から、おまえはこれ任せるからやってくれというようなことで、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会、あるいは、現在も続いておりますが、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、こういったところで出席して発言させていただいて、いろいろな議論に参画していると。  また、内閣の一員ということでいえば、やはり一番大きいのは、あの官邸で行われる副大臣会議で、それぞれの役所の立場もありますが、政治家として、副大臣の一員として自分の担当しているところはきちっとほかの省庁代表の副大臣説明させていただく、官房副長官もいらっしゃるわけでございますが、そういった中での議論に参画し、一つ政府としての政策方針についての意見あるいは実現に向けて努力するということもやっております。最近では、官房副長官の指示を受けて、少子化対策の取りまとめというものを総務省内でどういうことを考えられるかということを指示いたしました。  また、最後のこの一番難しいのが政治家として副大臣どういうふうなことをするかということですが、大くくりに言えば、やはり与党あるいは私の所属する自由民主党と政府との連絡役ということが一番重要ではないかというふうに思っております。そういった点でリーダーシップをどこまで発揮できるかということになるとなかなか説明が難しいんですが、どこまでが自分のリーダーシップなのか、どこまでが大臣リーダーシップの下なのか、あるいはその上の内閣全体の指示なのかということがございますが、いわゆる行政府に行った立法府の議員としての立場、すなわち選挙民に選ばれた議員であるという気持ちだけは内閣の一員になっても忘れないようにして行動していきたいというふうに思っております。
  22. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  政治のリーダーシップというのは本当に大切であると私も思っておりますので、今後ともどうぞ頑張っていただきたい、このように思います。  以上で、財務大臣総務大臣の質問ございませんので、委員長、もう退席していただいて結構でありますが。
  23. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) はい。では、そのようにしてください。
  24. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  さて、本日は、問題の解決には政治の強いリーダーシップが必要不可欠だと思われる問題点を幾つか取り上げてみたいと思っております。  まず初めに、東シナ海の排他的経済水域、EEZの日中中間線を越えて日本側にも広がってきている可能性大の東シナ海のガス油田の開発について質問させていただきたい、このように思います。  この問題につきましては、一年前の三月二十八日に開催された本委員会において、日本名、樫、中国名の天外天から平湖までを結ぶ油輸送管の敷設作業を行われている事実の確認。一九九四年、この平湖ガス油田開発に我が国政府機関である日本輸出入銀行から一億二千万ドルもの多額な資金を中国に融資しております。正にひさしを貸して母屋取られるでありまして、中国が中間線付近で掘削する油田は日本側にもつながっていることは当然予測できたはずで、盗掘されることは分かっていたはずであります。これが、共同開発に金を出すならともかく、日中友好の美名の下に中国側の言いなりになって融資をする、誠に残念なことで遺憾であります。このことも指摘をさせていただきました。そして、平湖に次いで、断橋、春暁と、順次、日中中間線で開発されていったわけであります。  また、日本側に資源があるか否かについては、二〇〇四年七月からノルウェーの探査船を用船して探査した結果、明らかに構造上資源が日本側の中間線以内に入り込んでいる、このことは中国にもう通報していると、昨年三月に質問した際に経産副大臣が答弁されておりますことから、政府も中間線の日本側にも資源がつながっていることは分かっており、我が国の資源が現在盗掘されていることも承知していると思っております。正に我が国の主権が侵害されていると私は思っております。  その後、二〇〇四年にガス油田開発をめぐる初の日中局長級協議が行われて、五月に入って二回目、十月に三回目、そして六年、今年に入って三月に第四回目の協議が行われておりますけれども、協議、交渉の御努力には大変感謝をいたしておりますが、国民の皆様には何ら進展していないように私は思われてなりません。  そこで、四回目に日中双方の提案がありましたが、このことについては後ほどお伺いすることとして、初会合から二回目、三回目の協議内容、あるいは交渉の経過について、簡略に御報告願いたいと思います。
  25. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  東シナ海におきます資源開発の問題につきましては、これまで御指摘のとおり四回にわたる協議を行いました。中国側の開発について、私どもの主張というのは、まず情報提供をしてくれと、それから一方的な作業の中止を求めると、こういうことでございました。同時に、共同開発による問題解決の可能性を含めて議論を行うということでございます。  御指摘の第一回目でございますけれども、平成十六年の十月ということで話合いが行われました。双方は、その時点では原則的な立場を述べ合ったと、こういうことでございます。両者の間には大きい隔たりがございました。それから、当方からは白樺油ガス田等の問題について情報提供を求めましたけれども、中国側からは、春暁構造における採掘は、中間線の日本側水域の資源に影響しないという説明を行ってきましたが、具体的な情報の提示はございませんでした。それが第一回目の概要でございます。  それから、第二回目につきましては、昨年の五月でございますけれども、やはり白樺油ガス田の問題について再度関連情報をくれということと開発活動の中止ということを強く求めましたけれども、中国側の同意は得られるに至りませんでした。また、その際、中国側から共同開発の基本的な考え方について提起がございまして、対象水域を中間線と沖縄トラフ、沖縄海溝の間にするといった考え方が示されました。当然ながら、これに対しては、私どもといたしましては中間線の東側だけを対象とする中国側の案は受け入れられないということを指摘をした次第でございます。これが第二回目でございます。  それから、第三回目は、昨年の九月でございますが、日本側から再々度、改めて情報の提供と一方的な開発作業の中止ということを求めたことに対して、中国側からは、自分の行っている開発というのは争いのない水域でやっているんだと、情報提供については共同開発の原則的な合意ができた後に検討し得るというような発言があったということでございます。日本側からは、さらに中間線をまたがる構造を対象とした共同開発を含む提案を行いましたが、これに対しては次回にしましょうということで中国側は持って帰ったと。  こういうのが一回目から第三回目にわたる協議の概要でございます。
  26. 水落敏栄

    水落敏栄君 そこで、一回目から三回目までの協議の内容をお聞きいたしましたけれども、報道によりますと、中国側の胡外務省アジア局長は、これまでの協議は有意義だった、共同開発について協議することで基本的に一致して、回を重ねるごとに少しずつだが進んでいると、中国側はこのように評価しておりますけれども、本当に前進しているのかどうか、全く疑問であります。ガス田開発の中止や情報提供を我が国が求めても、中国側は一切応じていない、これが現状だと思いますが、我が国の今までの協議に対する評価というのはどのようにお考えになっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  27. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) ただいま御指摘の点につきましては、中国による東シナ海の資源開発の問題に関しましては、日中首脳間で東シナ海を協力の海にすべきであるという認識を共有しているわけであります。これまでの協議において率直な話合いを続けてきていると、こういうふうに考えております。  その過程で、対話を通じまして解決するという共通認識の下、お互いの立場に対する認識が深まって、また共同開発の可能性を含めまして率直な議論が行われてきているというふうに受け止めてはおりますが、協議の頻度、それから深さともにいまだ満足できるものではないというふうに考えておりまして、先般の第四回協議におきましても中国側にはその旨を伝えているところであります。それから、四月に入りましてですが、私が中国に出張しました際にも、李肇星外交部長と会談した際にも、次の協議を早急に行うようにこちらから強く申入れをした次第であります。  いずれにしましても、引き続き対話を通じまして我が国の主権的権利を確保しながら共同開発の可能性も含めまして粘り強く協議をしていく、そして本件を解決していきたい、こういう考え方を持っておるわけであります。
  28. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  金田副大臣からお話をいただきましたけれども、もう少し詳しくお聞きしたいと思いますが、去る三月に行われました第四回の実務者協議で中国が新たに尖閣諸島を含む南北二海域での開発を提案しましたけれども、この協議の内容について御説明いただきたい、このように思います。
  29. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  三月の六日、それから七日、二日間にわたって北京で行われました最後の協議でございますけれども、基本的には双方の原則的な立場を中心に、非常に率直かつ突っ込んだやり取りが行われました。  中国側からは、東シナ海の北及び南の二地点で共同開発の提案がありました。他方におきまして、先方との申合せもございますし、またまだ交渉これから続きます。そういうこともございまして、提案の詳細にわたって申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、日本側といたしましては、中国側の提案についてはその中身をよく吟味していく必要があるとは思っておりますけれども、先般いただいた提案では、日本側の立場とは全く相入れないと考えられますので、中国側も逆に日本側の提案には問題があるということを申しておりますが、いずれにしても、双方引き続きそれぞれの提案をよく検討をして、次回の協議におきまして自分はこう思うと、こうしようという方に持っていきたいと考えております。
  30. 水落敏栄

    水落敏栄君 日中実務者協議の過程で双方声を荒らげた等の報道もございまして、大変御苦労されたことは十分理解できるわけでありますが、中国が日本固有の領土であります尖閣諸島付近を含む海域の共同開発を提案したことで、中国のしたたかさを私は思い知らされた感がいたします。東シナ海を中国の海とする中国の意図が明確になったと、このようにも思っております。  そこでお尋ねしますが、ただいまの御答弁と重なるかも分かりませんが、この尖閣諸島付近を含む海域の共同開発の提案については政府はどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたい、このように思います。
  31. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 委員指摘の点につきまして、外務省の考え方ということであります。  まず、中国側の提案の詳細につきましては、ただいまも答弁さしていただきましたように交渉中のことでもありますし、中国側との申合せということもございます。差し控えさしていただきたいと思いますが、尖閣諸島が日本固有の領土であるということは歴史的にも国際法上も疑いのないところでありますし、現に我が国はこれを有効に支配をしているわけであります。したがいまして、中国との間でも解決すべき領有権の問題はそもそも存在していないと、このように認識しております。  一般論といたしまして、このような我が国立場に相入れない共同開発には応じる考えはないということであります。
  32. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。正に副大臣御答弁、本当に心強く思います。  新聞報道にもあるとおり、中国が尖閣を持ち出してまいりましたのは、日本の拒否を織り込み済みであって、尖閣諸島の帰属を領土問題として日本に認知させるねらいがあると、このように分析しておりますけれども、私もそういうことは考えております。そのようにも思っております。  そして、中国は、尖閣諸島がアメリカの施政下にあったときは沈黙をしておりましたけれども、国連アジア極東経済委員会が一九六九年に東シナ海での石油埋蔵の可能性を指摘すると、七〇年に尖閣諸島の領有権を主張し、九二年には勝手に中国の領海法を制定して、東シナ海は中国の海、この既成事実化を進めているわけであります。また、二〇〇四年三月には、中国の活動家七人が魚釣島に上陸して沖縄県警に逮捕されておりますけれども、共同開発などと言いながら不法占拠をしないとも限らない、このようにも私は思っています。  我が国固有の領土であります尖閣諸島付近海域の共同開発について中国側の真意はどこにあるのか、これも重なりますけれども、金田副大臣の、お伺いしたい、このように存じます。
  33. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 中国側の真意ということでございますが、中国側の提案の詳細につきましては、先ほど申し上げましたように、申し上げることは差し控えさせていただきます。  なお、我が国といたしましては、中国側の提案については、まずその中身をよく吟味していく必要はあるわけでありますが、これまでの我が国立場とは相入れないと考えられる、また中国側は日本側の提案には問題があるということでございました。  いずれにしましても、日中双方が相手方の提案を引き続き検討して、次回の協議において互いの考え方を示すということになっておると、このように認識しております。
  34. 水落敏栄

    水落敏栄君 島根県の、問題になっております島根県の竹島もそうでありますけれども、我が国の領土が他国に侵されることは絶対許されない、我が国の主権は守らなきゃならない、こう思っておりまして、この共同開発は断固拒否していただくことを私は強く要望しておきたいと、このように思います。  そこで、尖閣諸島付近に関連してお聞きしますけれども、国連のアジア極東経済委員会が一九六九年に東シナ海での石油埋蔵の可能性を指摘し、尖閣諸島付近の海域は地質学的な特徴から資源の存在が期待されていると発表しております。そして、こうしたことから、一九六〇年代後半から七〇年代にかけて帝国石油を含む国内の石油開発会社数社が開発を申請しておりますけれども、政府は申請の扱いを留保してきた、保留してきたと聞いております。また、経産省は、昨年七月十四日に、東シナ海での開発を申請した帝国石油に試掘権を付与する際、尖閣諸島を含む海域については付与を見送った、このようにも聞いております。  そこで、二点お尋ねいたしますが、一つは、尖閣諸島付近海域の資源の埋蔵量について、これは試掘しなければ分からないと思いますけれども、アジア極東経済委員会指摘のとおり有望な鉱区があるのかどうか、あと一点は、七月十四日に帝国石油に試掘権を付与した際になぜ尖閣諸島付近海域は見送ったのか、この二点についてお聞かせいただきたいと存じます。
  35. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答え申し上げます。  今お尋ねの尖閣諸島付近の石油あるいはガスの埋蔵量でございます。  この付近を含みます東シナ海につきましては、結論から申し上げますと、今先生御指摘のとおり、相当量の石油天然ガスが賦存している可能性が高いものと我々も認識をしております。  今お話がありましたように、実際掘ってみないと分からないというところは事の性格上あるわけでございますけれども、平成六年に石油審議会の開発部会というところで、技術委員会検討いたしました。そこの技術専門委員会でのあくまでの推定でございますけれども、その結果、東シナ海の中間線、日本側及び沖縄周辺海域における石油あるいは天然ガスの埋蔵量あるいは賦存資源量というものは石油換算いたしまして約五億キロリットルぐらいあるんじゃなかろうかと、そういうような推定が出ております。  それから、二つ目に御指摘になりました帝国石油に対する試掘権の付与についての地域の限定のことでございますけれども、御案内のように東シナ海海域における鉱業権の付与につきましては、日中間の排他的経済水域、それから大陸棚の境界画定がなされていないということなどを含めまして、諸般の事情を踏まえまして、政府全体としては、総合的に検討をいたしました結果、昨年までは鉱業権の出願の許可又は不許可の処分をずっと留保してきたところでございます。  しかしながら、御案内のように、日中中間線の東側海域に影響を及ぼしかねない中国による探鉱開発に対しまして、我が国の主権的権利が侵害されないように適切に措置をしなくちゃいけないということでございまして、とりわけ北緯二十八度よりも北の日中中間線付近の海域につきましては、中国が、正に中国側の海域でありますけれども、現に開発を行っているということでございましたので、我が国といたしましても、日本海側海域での主権的な権利が侵害されないように適切に対応する、そういう緊要性が高いというふうに判断をいたしました。このため、昨年の四月、中国の設定した春暁鉱区などの五つの鉱区に対応する当該海域につきまして、試掘権設定の出願の手続を開始をさせていただいたところでございます。  したがって、この区域には、今、以上申し上げました理由によりまして尖閣諸島の周辺海域は含まれておりません。
  36. 水落敏栄

    水落敏栄君 多分そうした御答弁があると思っておりました。要は、中国との係争を抱えた海域だから殊更騒ぎを大きくしてはならないと、日中友好に差し支えると、こういうことだと思っております。  何度も申し上げますように、尖閣諸島は我が国固有の領土であります。我が国のEEZの内側にあるわけでありますから、申請があった場合は直ちに試掘権を付与していただきたい、このように思いますけれども、このことについては政府はいかにお考えでしょうか。
  37. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答え申し上げます。  尖閣列島が日本の固有の領土であること、これは先ほど外務大臣からも明確に御答弁がございましたように、歴史的にも国際法上も全く疑いのないところでございまして、現に我が国がこれを有効に支配しているところでございます。  それで、尖閣諸島付近、周辺の我が国領海内における鉱業権の付与でございますけれども、本件にかかわる様々な事情を勘案の上、これまでのところ鉱業権の出願の許可又は不許可の処分を留保をしてきているところでございまして、御指摘でございますが、現在のところにおいてはこうした整理に基づいて進めてまいりたいと思っております。
  38. 水落敏栄

    水落敏栄君 積極的な、あるいは前向きの発言ができないことはお察し申し上げたいと思います。  そして、別の見方といいますか、なぜ中国側が領土問題、領土論争に火を付けかねないやり方を提案したのか、これは既存のガス田開発を進めるための時間稼ぎではないかということであります。  中国は、白樺ガス田、春暁ガス田に日本円にして約千三百億円の投資をしておりまして、今月中にも生産を始められる状態であると言います。そして、白樺油田から樫ガス田を経由して中国浙江省の寧波にガスを送るパイプラインも昨年末に完成している事実がございます。領土論争になることをあえて持ち出して時間稼ぎをして生産を開始する、こうしたことが考えられますが、政府はこうした中国のやり方をどのように分析しておられるか。差し支えがあるかも分かりませんが、もう一度お尋ねします。
  39. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) なかなか難しゅうございますが、中国側の提案の詳細につきましては累次御答弁申し上げているとおりでございまして、つまびらかにすることは控えさしていただきたいと思いますけれども、中国側の提案、これはどうなんだということでございますが、委員指摘の中国の真意はどこにあるのか、その中身を私どもとしてもよく今吟味をしておるところでございます。  協議の内容、あるいはそれをどう評価してどういうふうに行くのかということにつきましては、大変申し訳ございませんが、私ども、まだこれからまた次の会合をやろうかというところでございます。日本側の交渉における手のうちを明かすことになりますので、答弁を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、委員御承知のとおりでございますが、尖閣諸島が日本の固有の領土であるということは歴史的にも国際法的にも疑いがないということで、現に私どもが、日本がこれを有効に支配しております。したがいまして、中国の間でも、解決すべき領有権の問題はそもそもないという前提で私ども話を続けております。
  40. 水落敏栄

    水落敏栄君 申し上げましたように、中国は時間稼ぎをしながら着々とその開発を進めているわけであります。  そして、我が国が主張するEEZの境界線、日中中間線の中国側で進めるガス田開発についても、我が国の資源の盗掘のおそれがあることから我が国が開発中止を求めても、日本と争いのない中国近海で行っていると激しく反対しているやに聞いております。中国がEEZの境界を日中中間線だと認めるならば開発海域は中国のEEZとなりますが、中間線を認めない現状では、いわゆる係争中の海域であって、そうであれば、関係国に合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を求めた国連海洋法条約に反する行為であることは明らかだと思っています。  したがいまして、中国が開発を中止せずに、また共同開発のめども立たないのであれば、我が国も試掘に向けた環境を整える、あるいは体制づくりをしなけりゃならないと思いますけれども、経済産業大臣政務官、小林政務官にお尋ねしたいと思います。
  41. 小林温

    大臣政務官(小林温君) お答え申し上げます。  東シナ海の資源開発の問題というのは、今まで委員が御指摘をいただきましたように、資源の確保というだけではなくて主権に大きくかかわる問題でございまして、委員のこれまでの積極的な取組に敬意を表したいというふうに思います。  その上で、中止あるいは共同開発という問題についても、一つには外交ルートを通じて問題の解決を図るべく努力をしてまいりましたし、これからもこの努力を続けていきたいというふうに思っているところでございます。  一方で、与野党におきまして議員立法も検討されており、又は国会法律案が提出されていることについても、私どもも承知をしているところでございます。  まだ国会審議がされているわけではございませんので、それに先立って政府としてコメントすることは差し控えたいというふうに思いますが、いずれにしても、政府としては、国会での御議論にも十分耳を傾けつつ、我が国の主権的権利を確保していきたいというふうに思っております。  そこで、試掘についてですが、試掘権者である帝国石油から具体的な計画について相談があった時点で政府として適切に判断するということになっております。現時点では帝国石油から試掘の実施に関する具体的な計画は聞いておりません。仮に、今後帝国石油が試掘を実施しようとする場合には、その時点での諸情勢も踏まえつつ、外務省、防衛庁、そして海上保安庁などの関係省庁とも連絡を密に取りながら適切に対応していきたいというふうに思っております。
  42. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  我が国の主権にかかわる問題だけに高度な政治判断が必要なんだと、このようにも思います。  そこで、中川前経産大臣の御決断で、昨年の七月十四日に帝国石油に試掘権を認め、一歩前進したと思いましたが、ただいま小林政務官お話しのように、帝国石油のこともお話になりましたが、帝国石油は、六か月以内と定めた事業着手の延期を、二〇〇六年二月二日、今年の二月に九州経済産業局に届け出ておりまして、翌日認可をされているわけであります。  そこでお聞きしますけれども、帝国石油が事業着手、試掘着手の延期をした理由と、今後の見通しについて教えていただきたい、このように思います。
  43. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  今御指摘がございましたように、試掘権者でございます帝国石油からは、二月の段階で、試掘に向けた総合的な地質検討などを行っているんだけれども、いまだ試掘に着手する準備が完了しないということで、試掘着手を延期する旨の申請をしたところでございます。御指摘のとおり、翌日、二月の三日でございますが、九州経済産業局長がその認可を行ったものでございます。  帝国石油側からは、もちろん試掘をしたいという気持ちは持っているんだけれども、現時点では試掘をすることがなかなか難しいと考えていると。ただし、状況が整えば直ちに対応できるようにもろもろの準備を進めたいと、こういうふうに申しておりまして、当方もそれを認識をしております。
  44. 水落敏栄

    水落敏栄君 私も無理を承知でお尋ねをしているわけでありまして、日中間の協議がまとまらない、こうした理由とのことでありましょう。そして、日中両国は対話による解決を図っていくという方針のようでありますけれども、協議を重ねるだけで前進を図れるのか、今後事態が打開できるのか、私は甚だ疑問であるわけであります。やはり試掘に向けて早期に体制づくりをしなければならない、このように思っております。  そこで、我が党は、東シナ海の天然ガス田開発における安全確保を目的とする海洋構築物の安全水域に関する法案、仮称でありますけれども、これをまとめております。これは、国土交通大臣が掘削施設などの周囲五百メートル以内に安全水域を設定し、無許可の侵入者には一年以上の懲役や五十万円以下の罰金を科す内容であります。試掘が妨害を受けた際、海上保安庁などが加害者を排除する法的根拠を設定して、試掘に向けた環境を整えるのが目的であります。正に我が国の海洋権益を確保するため、我が国の主権を守るための法案であります。  そして、民主党さんもさきの国会で海洋権益関連法案を出しておられますので、野党の皆さんにも是非御理解をいただき御協力を賜りたい、このようにも思います。そして、早期に法案を成立させて試掘ができるようにしたいと願っております。  そこで、一般論で結構でありますが、こうした法案が成立した場合、先ほど小林政務官少しお答えになりましたが、一般論で結構でありますが、こうした法案が成立した場合、政府はどのように対応されていくのかお伺いしたい、このように思います。
  45. 平山芳昭

    政府参考人(平山芳昭君) お答えいたします。  今委員指摘のとおり、私たちも、海洋構築物に係る安全水域の設定等に関する法律案が現在検討されておりまして、議員提案としてこの国会に提出される準備ができているということは承知いたしているところでございます。  内容でございますが、今委員指摘のとおりでございます。周辺五百メートル、これは国連海洋法条約にも定められている距離でありまして、いわゆる国連海洋法条約に定めるところに合わせて法律案内容も設定されているわけでございます。  この法律できますと、いわゆるこの水域につきまして、関係のない者は入れない、国土交通大臣の許可がないと入れないという新しい規制が掛かるわけでございまして、当然でございますが、この法律案が成立した場合には、国土交通省といたしまして、関係省庁と連携いたしまして、この法律が実効性保てるようしっかり頑張っていきたいというふうに考えております。
  46. 水落敏栄

    水落敏栄君 まだ現実味を帯びていませんので、そうしたお答えしかできないだろうと思いますけれども、実際に試掘する段階になれば、台風のような自然の猛威とか、船舶の衝突事故とか、係争の海であれば、中国の民間の船舶による妨害とか、テログループによる襲撃だとか、多岐にわたって各種の危険に対処する必要があると、このように思っています。  試掘作業と安全の確保は民間会社によって行われると思いますが、国は少なくとも操業の安全に必要な情報の提供とか、海難救助、試掘基地周辺海域についての監視が必要になってくると思いますが、我が国は海上保安庁がその任に当たるのかどうかお伺いすると同時に、また、中国側が海軍艦艇を使って恫喝しても我が国は海上自衛隊に海上警備行動を命ずることができないのかどうか、併せてお伺いしたいと思います。
  47. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お答えいたします。  私ども海上保安庁は、海上の安全の確保及び治安の確保を任務としておりまして、具体的な業務といたしましては、領海警備、海難救助、海上交通の安全確保などの業務実施しております。したがいまして、仮に試掘が行われる場合には、事業の行われる主体、それから関係機関と連携を取りまして、海上保安庁としては、試掘作業の安全を確保するために、国際法及び国内法に基づきまして、警備の実施、付近を航行する船舶に対する情報提供等、所要の措置をとることになると考えております。
  48. 水落敏栄

    水落敏栄君 空からの監視は海上自衛隊と海上保安庁の航空機、海面の巡回監視は海上保安庁の巡視船で行うこと、こういうことで理解をしておりますけれども、そういたしますと、治安の維持、海上交通の安全確保、海難救助等々、海上保安庁の任務は現在よりも更に大きく広がっていくんだと、このように思っています。  今から一年前の五月末のことでありますけれども、対馬沖のEEZ内で違法操業しておりました疑いのある韓国漁船に立入検査をしようとした海上保安官二人が一時連れ去られるという事件がありましたけれども、この立入検査、実は深夜でしたね、調べてみましたら。ということは、我々が眠っている、国民が眠っている深夜にも命懸けで我が国の主権と安全を守って、暗い海で働く勇敢な海の男がいるんだと、このことを、私は本当に敬意と感謝をささげ、しかも感銘を受けたわけであります。  ところが、調べてみましたら、本年度予算で見ますと、自衛隊の予算は五兆円、警察は四兆円、消防は二兆円と言われる中で、海上保安庁はたった千七百億円。わずか一万二千三百人の少ない人員と老朽化した装備で多様な任務を行っている。東シナ海のガス田試掘作業の安全確保、あるいは海上警備に海上自衛官を使用できないとしたならば、もっともっと海保の充実を図る必要があると私は思っています。そして、適切な人員の確保と予算の増額を図るべきだと思います。  私は、別に海保から言われたわけでもないし、言えと言われたわけでもないし、お金ももらったわけでもないし、あるいは知人もおりませんけれども、これら申し上げたことについて、海保の充実強化について、海上保安庁はどのように対応していくのかお尋ねしたいと、このように思います。
  49. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、海上保安庁の業務あるいは任務を的確に遂行するためには、ただいまの委員指摘のとおり、私ども、人員、装備等といった体制の確保を進めていくことが極めて重要だと私どもも考えております。  これをやや装備面について具体的に申し上げますと、私ども、昭和五十年代に整備された巡視船艇、航空機、これらのものが老朽化しておりまして、おおむね全体の四割近くがいわゆる耐用年数を超えたという状態になってございます。したがいまして、私どもが行います海上における犯罪取締りあるいは救助活動に支障を来すという場面もございます。したがいまして、これを一刻も早く解消しなければならないと考えておるわけでございます。さらには、海洋権益の保全といった新しい課題もございますので、性能アップも図っていかなければならないというふうに考えております。  そこで、私どもとしましては、耐用年数を超過しております巡視船艇約百二十隻、それから航空機約三十機の代替整備を緊急かつ計画的に進めることとしてございます。この結果、十八年度当初予算と十七年の補正を合わせまして、巡視船艇二十一隻、航空機七機の代替整備を図るための予算はお認めいただいたところでございますけれども、現在の状況をかんがみますれば、老朽化という現状を考えますと、できるだけ早い、二〇一〇年代のできるだけ早い時期に代替整備を完了するのを目指しまして、十九年度以降も予算要求を行ってまいりたいと思っております。あわせて、人員につきましても引き続き要求をしていきたいと考えております。
  50. 水落敏栄

    水落敏栄君 日中中間線のあるその資源は中国のこれから十年分の資源があると、このようにも言われておりまして、そうした海上保安庁の警備に伴う船舶等の充実強化を図る、遅れるともう全く資源がなくなってしまうということも考えられるわけでありますから、是非ひとつ積極的に進めていただきたい、このように思っています。  次に、去る四月十五日でありますけれども、中国が、東シナ海の平湖ガス田拡張工事のために、日中中間線付近の海域で船舶の航行禁止通知を出していることが判明をいたしました。この航行禁止海域は我が国のEEZに深く入り込んでおり、とんでもないことだと思っておりましたところ、中国は、十八日になって、航行禁止海域を技術的な誤りがあったと修正したと発表しました。したがいまして、我が国のEEZの中国側の平湖ガス田付近の海域のみになってまずは安心したわけでありますが、実はこの航行禁止措置の通知は三月一日に出されておりまして、一か月以上我が国に知らされていなかったわけであります。係争中の海域であれば、国際法上からも我が国にきちんと説明して理解を得る必要があるわけで、それが放置されてきたことは誠に遺憾と言わざるを得ないわけであります。  そこでお聞きしますが、三月一日に通知されたことを我が国は知らなかったのかどうか、また、知った後どのような対応を取られたのか、外務省にお聞きしたいと思います。
  51. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  本件につきましての経緯は以下のとおりでございますが、私どもを中心に申し上げますと、まず三月の二十八日、確かに航行警報、向こうの航行通告、航行通告の日付は三月一日となっておりましたが、私どもが承知をいたしましたのは三月の二十八日でございます。水産庁さんから航行通告の発出がありますよという連絡をいただきました。  同日以降、海上保安庁さんの方から中国の海事局に対して事実関係の確認を行っていただきました。その結果、中国の海事局から海上保安庁に対してはいったん作業を行わないという連絡がありましたけれども、その連絡が四月の七日の時点になりまして、当該作業は現在中止しているけれども、期限内であればいつでも再開するという連絡がありました。十一日にそういうやり取りがありましたということを保安庁さんから私どもに連絡をいただきまして、これを受けて私どもも十三日に、作業の詳細についてきちんと、情報提供をきちんとしろという訓令を打ちまして、十四日に我が方の在中国にあります大使館から外交部に対して申入れを行いました。その後、北京と東京で累次、はっきり早く教えてくれということを申し入れました。  それを受けました十七日の深夜でございますけれども、今御指摘もございましたけれども、中国側から航行通告の作業範囲に関しまして技術的な誤りがあったということが説明があり、十八日の深夜には中国側の説明のとおり航行通告が修正されていることが確認をされました。  私どもといたしましては、たとえ技術的な誤りであっても今回のような事態が生じるということは、双方にとっては好ましいこととは思われません。我が国としては中国側に、こういうミスはもう二度としないでくれと、このようなミスが再度起こらないようにということを強く求めております。
  52. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。前にも申し上げましたように、中国は、東シナ海は中国の海と思って傍若無人な振る舞いをしているわけでありまして、こうしたことに対しては厳重に抗議をすべきだと思います。  本当に何度も申し上げますけれども、正に我が国の資源が盗掘されているわけでありまして、主権を侵されていることになるわけでありますから、もはや一刻の猶予もできないわけでありまして、早く試掘をすべきだと強く申入れをさせていただきたい、このように思います。  そして、中国が中国なら、韓国も誠に遺憾であります。  これまた御承知のように、海上保安庁が島根県の竹島付近を含む排他的経済水域、EEZ内の調査を計画したところ、韓国が強く反発したことであります。おかげさまと申しましょうか、外交努力によりまして、日本海で我が国調査船と韓国の警備艇が対峙する事態が一応回避されたことは評価できると思いますが、根本的な問題は解決していないと思っております。韓国側は、公海上での公船の拿捕などは国連海洋法条約違反との批判を国際社会から浴びることが分かっていたから合意をしたんではないかな、このようにも思っております。  そこで、まず基本的な認識をお聞きします。  島根県の竹島でございますけれども、歴史的な事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土であると認識しておりますが、改めて政府認識を金田外務大臣にお聞きしたいと思います。
  53. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 竹島の領有権につきましては、我が国立場は一貫しておるわけであります。政府としては、そうした周知の立場に立ちまして、我が国として主張すべきは主張をし、そして竹島問題の解決に引き続き最大限の努力をしていきたいと、このように考えておる次第であります。
  54. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  もう我が国固有の領土であるということは主張していかなければならないと思います。しかしながら、昭和二十九年七月から現在に至るまで、韓国は竹島に警備隊員、警察でありますが、これを常駐させるとともに、宿舎、灯台、監視所、アンテナ等を設置して設備を年々強化しており、韓国人の観光客も受け入れていると聞いております。  そこでお伺いしますが、我が国固有の領土である竹島を不法占拠しておる韓国に対し、我が国はどのような抗議、措置を講じてきたのか、また国際司法裁判所へ提訴したのかどうか、お伺いしたいと思います。
  55. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  竹島の領有権問題についての我が国立場、これは一貫しております。これまでもあらゆる適当な機会をとらえまして我が国立場を韓国側に申し入れる等、外交的な努力は継続中でございます。  御指摘のありました国際司法裁判所へちゃんとやったのかと、こういう御質問でございます。  これにつきましては、一九五四年の九月二十五日に、私どもの口上書をもって、文書をもちまして、竹島の領有権にかかわる問題について国際司法裁判所に提訴することを韓国側に提案をいたしました。それから、一九六二年の日韓外相会談、もう古うございますけれども、日韓外相会談の際にもこれを提起をいたしましたけれども、このいずれに対しても韓国はこれを受け入れずに現在に至っております。  国際司法裁判所と申しますのは、紛争の両当事者が裁判所において解決を求めるという合意があって初めて動き出す仕組みになってございます。仮に我が国が一方的に提訴した場合に、韓国には国際法上は応訴する義務はないということで、韓国側が自主的に応訴しない限り、司法裁判所の管轄権が設定されないということになっております。  いずれにいたしましても、政府としては、あらゆる可能性を検討しながら、竹島の領有権にかかわる問題の平和的な解決のために粘り強く努力をしていきたいと考えております。
  56. 水落敏栄

    水落敏栄君 本当に大変残念なことであり、また遺憾なことでもあります。お話しいただきましたように、国際司法裁判所に提訴しようとしても韓国側が乗ってこないと、こういうことでありまして、大変残念なわけであります。我が国の主権が侵されているのでありますから、毅然として韓国側に不法占拠を中止せよと、こう言ってほしいと思いますし、そうした外交努力をやっていただきたいと強くお願いを申し上げたいと存じます。  このほか質問もあったわけであります。内閣府の皆さん、あるいは財務省の皆さんにもおいでをいただいておりますけれども、時間が来てしまいました。残念でありますが、この辺で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  57. 芝博一

    ○芝博一君 当行政監視委員会では初めて質問させていただきます。民主党・新緑風会の芝博一でございます。  今日は、我が国のといいましょうか、政府の情報収集衛星を中心に、独立行政法人改革、さらには中央省庁等々の改革を含めて質問させていただきたい、こう思います。  今から八年前、九八年の八月の三十一日の正午過ぎ、北朝鮮から発射されました弾道ミサイル、すなわちテポドン、これが三陸沖に落下をいたしましたことは記憶に新しいところであります。この落下を受けて、当時の内閣は小渕内閣でありましたけれども、九八年の十一月に、我が国にも情報衛星の導入を決定をいただきました。日本の、私どもの情報収集について、衛星の導入について、それまでも議論がありましたけれども、ある意味ではこのテポドンの外圧によって導入が決まったという形でありました。  そのときに議論されたのは、高性能のもので、ある意味では金額的にアメリカの衛星を買えばいいじゃないか、いやいや、ここは日本の技術力を結集して国産でと、こんな議論もされましたけれども、政府は国産で導入をすると、こう決定をされました。その後、通常は七年間ぐらい掛かるこの衛星の開発を驚異の短時間、すなわちセンターが設置されてから三年弱で衛星の導入が、まさしく打ち上げをされました。  しかし、ここに至って、私はこの性能の問題、金額、予算の問題、そして技術の問題について今大いに問題がある、そんな認識の下で以下質問をさせていただきたい、こう思います。  まず、これまでに打ち上げられている政府の情報収集衛星の打ち上げ実績と、今日、今現在どのような形でこの衛星が運用されているのか、端的にお答えください。
  58. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星ですが、外交、防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的といたしまして、平成十年十二月にその導入閣議決定されたものでございまして、これまでのところ、平成十五年三月に光学一号機及びレーダー一号機の打ち上げに成功いたしましたものの、同年十一月に次の光学衛星及びレーダー衛星の打ち上げに失敗をいたしました結果、現在二基の衛星を運用中でございまして、これらを最大限有効に活用してまいっておる現状にあるということでございます。  以上でございます。
  59. 芝博一

    ○芝博一君 過去、一号機、二号機打ち上げたけれども、御存じのように、二号機は失敗、打ち上げを失敗いたしました。現在はその半分の二基で運用されている。  そこで、この一号機、二号機、すなわち衛星としては四基分だと思うんですけれども、これにつぎ込まれた費用、すなわち衛星自体と、そして地上の受信のための設備も含めて幾ら掛かったのか、掛かっているのか。そして、あわせて、現在も宇宙を、私どものこの地球上を衛星二基が飛んでいるわけでありますけれども、毎年毎年の運用費が幾ら掛かっているのか。さらには、HⅡ、それからHⅡAの二基のロケットの打ち上げ費用は幾ら掛かったのか、具体的にお答えください。
  60. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星一号機の開発等に要した経費でございますが、打ち上げに失敗いたしました衛星二基を含めまして、平成年度から十六年度までの総額で約二千六十七億円でございます。そのうち、ロケットの製作及び打ち上げの経費は約二百十億円でございます。  また、情報収集衛星二号機の開発等に要しました経費でありますが、平成十三年度から十六年度までの支出総額は約五百七十二億円でございまして、これに十七年度、十八年度予算額約三百三十一億円を合わせまして、トータルで約九百三億円となっております。そのうち、ロケットの製作及び打ち上げの経費は約百八十二億円でございます。  さらに、衛星の運用等に要しました経費は、運用準備及び施設整備等に係る経費を含めまして、平成十一年度から十六年度までの支出額で総計約八百七十六億円となっております。  以上でございます。
  61. 芝博一

    ○芝博一君 今、具体的に御説明いただきましたけれども、二〇〇一年度から今日までトータルで、総額すべて合わせて幾ら掛かっているか、もう一度お答えください。トータルで、総費用。
  62. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) ですから、一号機が二千六十……
  63. 芝博一

    ○芝博一君 だから、総額でと言っておるんだ。全部の総額。
  64. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) はい。
  65. 芝博一

    ○芝博一君 計算機持っておらぬの。
  66. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) 失礼をいたしました。  これらすべての総額でございますが、十八年度予算額も入れまして約四千九百七十一億円になります。  以上でございます。
  67. 芝博一

    ○芝博一君 十八年度入れて四千九百七十一億円の予算がこれまでつぎ込まれてきた、こういうことであります。  ところで、この巨額の経費に対して、今御説明がありましたように、当初の計画では一号機、二号機、しかし二号機は失敗をした。しかし、最初の計画で一号機、二号機とも成功していれば、一日一回はこの地球上の任意の場所を、すなわち撮影、見ることができた、こういうふうに聞いております。しかし、現在は二基であります。二基の場合は二日に一回しか地球上の地点を見れないとも聞いておりますが、実際の運用についてはどうなんでしょう。
  68. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  現在、内閣星情報センターにおきまして、光学衛星一基、レーダー衛星一基の合計二基を運用いたしておりまして、委員指摘のとおり、平成十五年十一月の打ち上げ失敗によりまして、当初の目標である一日一回地球上の任意の地点を撮像するということが可能な状況にはございません。このため、政府といたしましては、所期の目標でございます四基体制を確立すべく、本年度中に光学衛星一基、レーダー衛星一基を打ち上げることといたしておりまして、現在、その準備に万全を期しているところでございます。  以上でございます。
  69. 芝博一

    ○芝博一君 当初の四基体制が二基になっている、だから能力的にも二日に一遍の撮影しかできない。大変我が国の情報収集能力は世界の先進国と比べても劣っている、こんな現実だろうと、こう思っております。早急にこの当初の目的に近い四基体制を立ち上げなければならないと、こう思いますけれども、今、本年度にもそれを補完すべく二号機の打ち上げをと言われました。具体的に日程が決まっていましたらお答えください。
  70. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星の光学二号機及びレーダー二号機につきましては、所期の目標でございます四基体制を早期に確立すべく、本年度平成十八年度中にその打ち上げを予定しているところでございます。具体的な打ち上げ日は現在調整中でございますが、現在、光学二号機を夏ごろ、レーダー二号機を冬ごろと想定をいたしまして、関係機関と調整を行ってまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  71. 芝博一

    ○芝博一君 そうすると、レーダー機と光学機の衛星を別々に打ち上げると。今までは一基で二つを打ち上げていたわけでありますけれども、分かれて打ち上げるということでよろしいですね。
  72. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) そのとおりでございます。
  73. 芝博一

    ○芝博一君 そうしますと、どんなものにも寿命があろうと、こう思います。一号機の光学衛星一基、レーダー衛星一基、これの寿命はどうなっているのか。どの衛星にも寿命は来ると思います。現実的に今回っている衛星の寿命と、そしてその一号機二基の更新をどうするおつもりかもお答えください。
  74. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  現在運用中の情報収集衛星の設計寿命は五年でございますので、この情報収集衛星の切れ目なき運用を確保いたしますために後継衛星の研究開発を着実に実施しているところでございます。  以上でございます。
  75. 芝博一

    ○芝博一君 衛星の寿命は五年、予想よりも大変短い期間でありますけれども、それを、衛星の軌道に乗せてやって情報を収集していくためにも、今後、ある意味では五年ごとに衛星を打ち上げなければならないと、こんなことになるんだろうと、こう思っております。その中で二号機が失敗したわけでありますけれども、その失敗をして、本年度に二回に分けて打ち上げるということでありますけれども、大変大きな痛手だと、こう思っております。  その中で、もう少し具体的にお教えください。情報収集衛星の機能、すなわち光学衛星とレーダーで二つの衛星があるとお聞きしましたけれども、どれぐらいの物体を識別できるのか、判別できるのか、その能力と、そして衛星が回っているような、いわゆる、概略で結構でございますけれども、分かりましたらお教えください。
  76. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  現在、内閣星情報センターでは、写真に類似した画像を撮像します光学衛星と電磁波を活用した画像を撮像いたしますレーダー衛星、それぞれ一基ずつを運用しているところでございます。それらの地上分解能でございますが、光学衛星が一メートル程度、レーダー衛星は一メートルから三メートル程度となっているところでございます。  以上でございます。
  77. 芝博一

    ○芝博一君 写真判別の光学衛星と、ある意味ではいろいろ悪条件の中でも撮影ができるレーダー衛星が、二基が、そして写真判定の光学衛星は、衛星から地球上の一メートル四方の物体が識別できる、レーダー衛星については一メートルから三メーターまでの部分で識別ができると、こういうお答えでありました。ところが、日本の衛星はそうでありますけれども、アメリカの最新の衛星は、何と光学衛星で識別性能は十五センチ、十五センチの物体が今衛星から判別できる、こんな時代に入っています。あわせて、政府の衛星だけじゃなしに、商業衛星でも六十センチになっているわけであります。  二基体制、四基体制が二基、ここの後れ、あわせて、この性能の分野でも大変劣っていると私は断じざるを得ないと思うわけでありますけれども、この性能向上について具体的にどんな取組をされているんでしょうか。
  78. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星でございますが、外交、防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報収集を行うというその導入目的を達成するべく、性能面での必要な能力向上に努めてきているところでございます。ちなみに、平成二十一年度に打ち上げを予定いたしております光学三号機でございますが、地上分解能を現行衛星よりも大幅に向上させるべく、現在その開発を進めているところでございます。  以上でございます。
  79. 芝博一

    ○芝博一君 光学の、後から打ち上げるロケットの部分において、衛星の部分において、その性能向上は至上命題であります。まさしく一刻一秒を争う情報が、細かい部分で取ってやっていくときに、是非ともその部分の努力を続けていただきたい、こう思います。  ところで、今申し上げましたように、二〇〇三年の十一月に打ち上げたHⅡAロケットは失敗をいたしました。この失敗について、責任体制はどうなっていたのでしょうか。特に、この衛星につきましては、内閣官房から当時の科学技術庁、さらには通産省、そして郵政省に予算支出権限を委任して、その三省庁が所管のそれぞれの独立行政法人業務委託契約を結んで、それから三菱電機にそれぞれが発注をされておりました。正に、国があって、内閣があって、それぞれの省庁があって、独立行政法人があって、三菱電機と、四重構想で発注されていて打ち上げられたわけでありますけれども、現実には失敗をいたしました。  そのときの関係するこれらの省庁、改めて、多くの予算が無駄に、露と消えたわけでありますから、どんな処分がなされたんでしょう。そこのところをお聞かせください。
  80. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) お答え申し上げます。  まず、全体の責任体制のところでございますけれども、文部科学省につきまして簡単に御説明をさせていただきますと、今先生から御指摘のございましたように、ロケット、HⅡAロケット六号機の打ち上げ業務でございますが、内閣官房の方から支出委任を受けました文部科学省が宇宙開発事業団、当時は宇宙開発事業団でございましたが、と委託契約を締結して実施されたものでございます。この宇宙開発事業団は、更に株式会社のロケットシステムを通じるなどによりまして各製造メーカーとの契約を行って業務実施してきております。  そして、打ち上げに係る責任体制でございますけれども、現在では、今JAXA、宇宙航空研究開発機構になってございますが、ロケットの製作の発注と打ち上げの実施を行い、株式会社ロケットシステムがロケット製造の取りまとめの実施を行い、各メーカー、三菱重工業、川崎重工業、IHIエアロスペース、石川島播磨重工業、NEC東芝スペースシステム、こういう各会社がロケットの各システムの製造の実施を行っていると、そういう状況にございます。  それで、処分等のお話ございました。これにつきましては、平成十六年六月、失敗して翌年でございますけれども、当時、河村文部科学大臣から、打ち上げの実施者でございました宇宙航空研究開発機構理事長、山之内でございますが、口頭で厳重に注意を行ってございます。それからJAXAにおきましては内部規定がございまして、関係する役員に対しまして厳重注意処分等が行われてございます。また、こうした処分のほかに、JAXAの関係役員が自主的に給与を返納したということでございます。またさらに、文部科学省の独立行政法人評価委員会平成十五年度評価結果を出しまして、それを勘案いたしまして関係役員等の手当に反映をさせてございます。  以上でございます。
  81. 芝博一

    ○芝博一君 今処分についてもお聞かせをいただきましたけれども、口頭で大臣理事長に注意を促すとか、給与の返納とか手当の返納をしたと、こういうことでありますけれども、使われた、損失をした予算といいましょうか費用はそんなもので当然足るわけがありません。大変莫大な金額が投入されたけれども、今申し上げましたような四階層のような発注形式を取って打ち上げられたHⅡの二号機が失敗をしたことも事実であります。  先ほど、冒頭にお話もしましたけれども、正に七年ぐらい掛かるだろうと言われている衛星の開発が三年も掛からずに打ち上げられた、このことも事実だろうと思っておりますが、ここに技術開発のある意味ではミスがあったんではなかろうか、こんな思いもするわけであります。  ところで、打ち上げが失敗したこの二号機の費用、先ほど説明いただきました。この二号機の費用負担についてのルール、契約はどうなっていたのか、どこがどう責任を、いわゆる費用負担をしたのか、そこのところを御説明ください。
  82. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) お答え申し上げます。  今御説明申し上げました責任体制とほぼ一体のことになるわけでございますけれども、費用につきましては内閣官房予算を計上いたしまして、その支出委任を文部科学省が受けてございます。その文部科学省から宇宙開発事業団と委託契約を締結しておるということでございます。そして、宇宙開発事業団はロケットシステムを通じまして各製造メーカーと契約をして必要な額を支払うと、そういう体制になってございます。  なお、ロケット打ち上げの世界的な契約慣行というのがございまして、打ち上げを失敗した場合でございますけれども、相手方に故意のある場合を除き損害賠償の請求は行わないものと、こういうことになってございまして、本契約もそのようになってございますので、その契約に従って必要な額を支払っていると、そういう状況になってございます。
  83. 芝博一

    ○芝博一君 今御答弁いただきましたように、これは国際的なルールといいましょうか、ロケットの失敗については故意を認められない限りは当然ながらその費用負担は全額するんですよと、こういうことだろうと、やむを得ぬだろうと、こう思ってはおりますが、いずれにいたしましても、失敗が許されないぐらいの緊迫した状況予算の使用状況の中で、是非とも、今後の打ち上げについては私は失敗が許されない、こう思っているところであります。  今少し冒頭にも、先ほどからも今後の計画もお話をいただきましたけれども、改めて、二号機は本年度と聞きました、寿命の関係もあります、三号機以降の打ち上げ計画は具体的にどうなっているのか。そして、本年度予算、これは二号機の二つの衛星だろうと、こう思いますが、その予算額と、あわせて今後の具体的になっている計画の総予算の見通しが分かりましたらお教えください。
  84. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星につきましては、所期の目標でございます四基体制を早期に確立いたしますために、本年度、つまり平成十八年度に光学二号機及びレーダー二号機を打ち上げる計画でございます。また、これらの衛星よりも地上分解能等の衛星性能を向上させました光学三号機を平成二十一年度に、光学四号機及びレーダー三号機を平成二十三年度に、それぞれ打ち上げるべく研究開発を進めているところでございます。  情報収集衛星に係る本年度平成十八年度予算額は約六百十一億円でございまして、このうち情報収集衛星システムの開発に係る予算額が約四百十億円でございます。  来年度以降の情報収集衛星システムの開発に要する予算につきましては、厳しい財政状況や今後の衛星開発の進捗状況等を踏まえまして、関係機関と更に調整を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  85. 芝博一

    ○芝博一君 今具体的な本年度予算もお聞かせをいただきましたけれども、計画があるけれども、これからの予算見通しについては、関係省庁との関係もありますから、今具体的に御答弁をいただけませんでした。  当然ながら、財務省と当局等々、政府等々の調整が要るものと、こう思っておりますけれども、先ほど質問させていただいた中でも、一号機、二号機だけでもトータル四千九百七十一億円等々が掛かっているわけであります。今後もこれと同じぐらいの数が、回数が打ち上げられると今も説明をいただきました。今まで一号機、二号機に掛かった予算以上に今後とも掛かるという解釈でよろしいでしょうか。その辺の数字が具体的にお答えいただけなかったら、今まで一号機、二号機の四千七百億円以上にも掛かりますよという判断か、いや以下ですかという部分だけでもお答えいただけませんか。
  86. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) 将来の衛星の開発の見通しにつきましては確たることは申し上げられないわけでございますが、基数が同じならば大体同じぐらいの予算が掛かるんではないかというふうには思っているところでございます。  以上でございます。
  87. 芝博一

    ○芝博一君 予算が立たずに計画が立つのかという思いもするわけであります。ある意味では、具体的な計画があってそれに掛かってくる予算というのは必然的に裏付けされてくるものだろうと、こう思っておりますが、ある意味では今、先ほどからも申し上げましたように、日本の、我が国の情報収集能力は非常に後れている、技術が程度が低い、そして片肺飛行であるということも踏まえて、ある意味では思い切った形で予算要求をしていくべきだろうと、こう思うわけであります。  そこの決意についてもう一度お聞かせください。
  88. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) 私どもとしては、一つでもいい衛星を入手すべく、毎年の予算要求を全力でぶつかってまいりたいと思っております。  以上でございます。
  89. 芝博一

    ○芝博一君 それでは、予算の問題は別にして、次に進ませていただきます。  この導入をされました我が国の情報収集衛星の目的、これは外交、防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等危機管理のために必要な情報の収集を主な目的として衛星を導入するとなっています。今現在、この目的は達成されているんでしょうか。端的にお答えください。
  90. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えを申し上げます。  情報収集衛星につきましては、定常運用の開始から既に二年を経過いたしておりまして、現在までのところ、衛星のフル稼働を必要とするような情報要求が各利用省庁から寄せられておりまして、それらに対し所要の成果物を作成の上、配付しているところでございます。  また、情勢に応じまして緊急撮像を行ったり、撮像の結果得られました重要な情報につきましては、必要に応じ官邸へ報告させていただいているところでございます。  このように、情報収集衛星は、現在二基体制ではございますが、効果的かつ効率的に運用をされておりまして、政府の情報収集手段として大いに成果を上げているものと考えている次第でございます。  以上でございます。
  91. 芝博一

    ○芝博一君 今、もろもろの要求に対して、情報収集をして、配付もして、効率的に運用されて成果も上げている、概要的にはこんな御答弁をいただきました。  それじゃ、改めて詳しくお聞きいたしますけれども、この衛星を運用している部署、ここの部分をどこが運用しているのか、そしてその衛星が撮影をする撮影対象の選定方法、これはどうなっているのか、お答えください。
  92. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  衛星の運用、管理と撮影対象の選定につきまして、内閣内閣官房副長官を委員長とします情報収集衛星運営委員会設置されております。この委員会におきまして、情報収集衛星の運営並びに撮像対象の選定も含めました画像情報の収集及び配付その他の利用に関する基本方針を決定しております。この運営委員会の下に、内閣情報官を幹事長といたします情報収集衛星運営委員会幹事会というものが設けられております。この幹事会におきまして、具体的な撮像の対象、優先順位、画像の配付範囲等につきまして、運営委員会の基本方針に基づきまして決定をすると、こういう仕組みになっております。
  93. 芝博一

    ○芝博一君 今、内閣の下に内閣星情報センター設置をされて、今私がお尋ねいたしました衛星の運用、選定等々については、運営委員会、これは官房副長官がヘッド、委員長として設置されていると、こういうことでありました。この運営委員会の構成メンバー、副長官がヘッドとはお聞きいたしましたけれども、どんな人数で、どういう人たちで構成されているんでしょう。
  94. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) 運営委員会の構成でございますが、委員長事務内閣官房副長官、委員といたしまして内閣危機管理監、安全保障危機管理担当の内閣官房副長官補、内閣情報官、内閣星情報センター所長、警察庁警備局長、防衛庁防衛局長、公安調査庁次長外務省国際情報統括官、以上が委員となっております。
  95. 芝博一

    ○芝博一君 この運営委員会、今お話を聞きますと、副長官の下に内閣官房と防衛庁、警察、外務省、公安調査庁、この形で構成をされていると答弁をいただきました。なぜ、私はほかの省庁が入っていないのか、非常に疑問に思うわけであります。安全保障や外交、防衛の問題からは今の四省庁、いわゆる五省庁も含めて、これは当然だと思っておりますが、それ以外の省庁が入っておりません。  ところで、導入当時の九八年、導入決定時の九八年、関係省庁が提案をした情報収集衛星の利用計画があります。これによりますと、今言われた四つ、五つの省庁以外に、例えば環境庁ですと地球環境の観測のために利用したいよ、国土庁ですと大規模災害のための情報を把握するために使いたい、農水省も食料生産状況や干ばつ、大洪水等々の情報にも使いたいという十二省庁の利用計画があります。この利用計画の現状をお教えいただけませんか。内閣官房、全体を。
  96. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、衛星につきましてはいろいろな目的での使用が考えられますし、実際に使用されていると承知しております。  私どもで直接所掌しておりますのは、この情報収集衛星に限られるわけでございますけれども、この情報収集衛星は、平成十年十二月の閣議決定におきまして、御指摘のとおり、外交、防衛等の安全保障に並びまして、大規模災害等への対応等の危機管理のためと、こういうふうにうたわれておりまして、大きな目的として安全保障と大規模災害が並んでおります。それ以外の分野につきましては、私ども直接所掌しておりませんのでお答え申し上げかねますけれども、この大規模災害につきましては、関係省庁に利用機関となっていただいておりまして、実際に衛星情報の利用を開始した省庁もございます。
  97. 芝博一

    ○芝博一君 私は余り、安全保障、外交、防衛等々についての活用は多いけれども、大規模災害等への対応のために画像の提供や活用が本当に行われているのか、そこのところ、非常に疑問を持っているわけであります。今日、国交省と消防庁からもお越しいただいておりますけれども、今まで大規模災害等の画像を提供してもらったり、活用したことの実績はあるのでしょうか。端的にお答えください。
  98. 渡辺和足

    政府参考人渡辺和足君) 旧の国土庁の大規模災害部分につきまして、国土交通省の所管に今なっておりませんで、その部分につきまして、今内閣府の方の所管で防災担当の方になっておりますので、私どもの方の所管といたしますと、地震でありますとか火山でありますとか、私どもの担当する分野ということでお答えをさしていただきたいと、こう思っております。  衛星が打ち上げられて運用を開始した以降につきまして、これまでの災害では、私ども国土交通省におきましては、災害対策用のヘリコプター、また道路とか河川の固定カメラがありまして、管理用の固定カメラがありまして、それによりまして画像で対応しておりまして、これまでのところ、私ども国土交通省から情報収集衛星の画像の提供をお願いしたという実績はございません。  今後、大規模災害につきまして政府一体の対応が必要だと、こう思っておりますので、関係機関と連携して図ってまいりたいと、こう考えております。
  99. 芝博一

    ○芝博一君 消防庁。
  100. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) 消防庁におきましては、これまで地震災害の際の情報収集衛星による画像の提供を受けているところでございます。具体的には、福岡県西方沖地震の際に画像の提供を受けております。
  101. 芝博一

    ○芝博一君 今消防庁は地震等々の災害の提供を受けていると、こう御答弁いただきました。しかし、国交省、国土庁も含めて、以前の管轄部分も含めて、現実的に大規模災害は地震だけではございません、台風、水害等々も含めて、その活用、情報提供受けたことがないと、こう私は答弁から取りましたし、そんな情報も得ているわけであります。  先ほどから内閣官房の方では、この衛星の目的は外交、防衛、安全保障の分野と、もう一つの大きな分野として大規模災害への情報提供するんだという大きな二本柱がありますけれども、実際的には、大規模災害はごく一部、ごく最近の活用でしかないんじゃないんでしょうか。その辺はどうでしょう。
  102. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  情報収集衛星の入手いたしました情報を利用する官庁の範囲につきましては、先ほど御説明申し上げました運営委員会において決定することにしております。その決定に際しましては、安全保障あるいは大規模災害を所掌しているかどうかという、情報を利用する立場にある省庁であるかどうかということが一つの判断基準になります。  他方、安全保障関係を大きな目的としております情報収集衛星でございますので、秘密保全を厳格にする必要がございまして、そのための体制を利用機関において整備していただくということにしております、これも運営委員会の決定に基づいてでございますけれども。その運営委員会の決定しました秘密保全のための体制が利用機関申請、新たに利用機関になりたいという省庁において整備されているかどうか、これを厳密に点検して、大丈夫だということになりまして初めて運営委員会において検討し、利用機関として認めると、こういう手続になっております。  これまでのところ、そのような手続を経まして、先ほど申し上げました運営委員会の構成省庁に加えまして、消防庁、経済産業省、国土地理院、海上保安庁が利用省庁となっております。国土交通省につきましては今のところは利用省庁となっておりません。今申し上げましたような手続を踏んで、国土交通省において情報衛星を利用したいということでございましたら、運営委員会において検討をすることになります。  それから、先ほどお話のございました旧国土庁、現在の、現在内閣府防災担当に事務が引き継がれていると承知して、防災関係については事務が引き継がれていると承知しておりますが、ここの部署につきましては、大規模災害発生時等に官房を含めまして関係職員が画像を利用できるよう平時から必要な手続を既に整えているところでございます。
  103. 芝博一

    ○芝博一君 今お答えをいただきました部分で私はどうも理解できない部分があるんですけれども、昨今の情勢から見ても、大規模災害、地震等々を含めて、これは国土交通省、国交省がある意味では中心になって動いていただかなければならないと、こう思っているわけでありますが、その国土交通省は、今現在でも要求もない、撮影要求もなければ対象になっていない。しかし、衛星の目的利用は大規模災害の対応を二つの柱に挙げているわけであります。  今お話しいただきましたように、秘密保全施設が整備されていないからこの運営委員会にも入っていないんだと、こういうことでありますけれども、秘密保全施設とはどんな内容で、私は、今後、衛星の目的からも含めて、秘密保全施設があるかないかは別としても、関係する省庁運営委員会に入れていくべきだと、こんな思いをしているわけでありますけれども、その辺の御見解をお聞かせください。
  104. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) 運営委員会の構成委員につきましては、情報衛星全般にかかわる省庁に限定しておりまして、先ほど申し上げましたようなところに限られております。これはもちろん未来永劫に変わらないというものではございませんので、運営委員会にその時々の状況に応じて改めて検討するということであろうかと思いますけれども、現状では先ほど申し上げました構成者になっております。  他方、利用機関は範囲はもっと広うございまして、先ほど申し上げましたような消防庁を始めといたしました省庁が利用機関に既になっておりまして、国土交通省につきましては、いまだ利用省庁になっておらないということを申し上げましたが、現在、事務的には、利用機関になりたいという希望を寄せていただいておりまして、事務的な詰めの作業を行っているところでございます。事務的に秘密保全等々の点が確認されますれば、運営委員会におきまして利用機関として正式に決定され、情報衛星の入手しました情報を利用していただくということになろうかと思います。  この運営委員会自体を広げることにつきましては、情報衛星の扱います情報のごく一部を扱う省庁を全体の運営をつかさどります運営委員会の構成メンバーとすることについては、効率的な運営委員会の運用という観点から適当ではないのではないかと。他方、利用する立場にある省庁は、もちろん活発に利用していただくことが重要でございますので、利用機関になっていただき利用していただくと、こういう考え方で臨んでおります。
  105. 芝博一

    ○芝博一君 考え方として、内閣官房は、利用していただくのなら、受け身の部分じゃなしに当初の目的は安全保障と大規模災害と、こうあるわけであります。全体論として、当然ながら、秘密保全施設も整備していく、要求のある省庁には積極的な対応をしていっていただいて、大規模災害への対応をもっともっと充実をしていただきたい、こう思います。特に国土交通省からはそういう要求が出ているということでありますけれども、早急にそこのところを整備をいただいて、大規模災害への情報収集等々に是非とも力を入れていただきたい、こう思います。  ところで、これらの集められた画像情報、今提供等々については一部言及もいただきましたけれども、原則的には取扱いはどうなっているのか、その公開性はどうなっているのか、お聞かせをいただきます。
  106. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  情報収集衛星におきまして、利用いたしまして入手しました情報につきましては、先ほど来御説明しておりますとおり、利用機関に配付をいたしましてそれぞれの利用機関において活用しているというふうに理解をしております。  一般への公開につきましては、情報収集衛星が安全保障に関する情報を取り扱う関係上、情報収集衛星の性能及び運用実態が明らかになるおそれがあるという観点から公開しないという方針を取っております。
  107. 芝博一

    ○芝博一君 当然ながら安全保障や外交のところの部分については公開は難しいだろうと、こう思いますけれども、今申し上げましたように、大規模災害等々については関係省庁への情報提供だけに限らず、やっぱり公開をこれからも検討していただくべきだろうと、こう思っておりまして、例えばそれをNPOが活用するとか、いろいろな形の活用方法があろうと、こう思いますので、是非検討をいただきたい、こう思います。  次に、この衛星の発注に絡んでの話でありますけれども、情報衛星の発注で国と受注メーカーとの間に独立行政法人、すなわち三つの独立行政法人一つの公益法人が介在をしていることは先ほどお話を申し上げました。  ところが、メーカーへの指導監督業務という名目で、この四つの独立行政法人に総額五十億円が国から補助金として交付をされています。この四つの行政法人とは、宇宙航空研究開発機構、JAXA、そして新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDO、情報通信研究機構、NICT、そして財団法人の資源探査用観測システム研究開発機構、JAROS、この四つであります。  この四つは、先ほどからも大臣から特別行政法人等と公益法人見直しを言われましたけれども、昨年の一月末現在で四つの法人に対して国からの天下りの役人が常勤役員が約半数の十四人、そしてOB等も含めてでありますけれども十四人。この国家プロジェクトに対しての天下り法人先が中間利益を得ていたという構図だろうと、こう思っております。これは、すなわち国の補助金となっているわけでありますから、私に言わせれば、国費がある意味では無駄に使われていたんではないかという指摘があります。  ここの部分につきまして、この発注方式は今でもそんな形で発注をされているかどうか、明確にお答えください。
  108. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えを申し上げます。  現在の情報収集衛星の開発でございますが、平成年度に着手をいたしまして、限られた期間内で自主開発を行うために、既に衛星開発に実績のあります省庁がその得意とする分野ごとに責任を持って開発を行うことといたしまして、各省庁は更に実績のある独立行政法人等にそれぞれ開発を委託する形で行われてきたわけでございます。  各独立行政法人等におきましては、技術開発やプロジェクト管理等を自らで行っておりまして、各省の厳正な指導の下で情報収集衛星の開発に必要な経費のみを適切に執行いたしておりまして、委員指摘のように国費が無駄に使われているということはないものと承知しております。  なお、開発体制といたしまして、平成十三年度に私ども内閣星情報センターが設立されましたことから、これ以降、開発に着手いたしました光学三号機以降の情報収集衛星についてでございますが、これまでの各省を経由する方式ではなくて、内閣星情報センターが一元的に宇宙航空研究開発機構等の独立行政法人に委託すること等によりまして開発を行うこととしているところでございます。  以上でございます。
  109. 芝博一

    ○芝博一君 私の説明に、国費が無駄に使われているという端的な言い方をいたしましたけれども、そんなことはないと、こういうことでありますけれども。  これは、内閣官房、最初の、今申し上げました方式が、二〇〇三年ごろからはJAXAだけに限って上限付き概算契約方式を採用している、こういうことを聞いております。まさしく、今私が指摘申し上げたことが不適当といいましょうか、良くない、そんな思いがあるからこそ契約方法を今変えているんじゃないんでしょうか。そこのところをしっかりお聞かせください。
  110. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをします。  情報収集衛星は高度な技術を要するシステムでございまして、開発中に予測が困難な開発要素が多く出てまいりまして、当初から契約金額を確定する方式の契約が困難でございます。こういうことから、情報収集衛星に関する契約につきましては上限付きの概算契約方式を採用さしていただいているところでございます。  さらに、この契約の締結に当たりましては、内閣星情報センターといたしましては、宇宙航空研究開発機構等の開発機関による見積りを過去の実績と比較する等によりましてこれを精査し、必要に応じ査定するなど、適正価格の算定に努めるようにいたしております。  また、契約の精算に当たりましては、内閣星情報センターの職員を開発機関に派遣をいたしまして、その実績を確認し、仮に余剰が生じた場合はこれを返還させる等の取組を行っているところでございます。  内閣星情報センターといたしましては、今後とも、情報収集衛星の適正価格による契約を図ってまいる所存でございます。  以上でございます。
  111. 芝博一

    ○芝博一君 今、予測的な形の契約内容から、あわせて上限付き概算契約に変えている、いろんなチェック方法を、チェック体制をしいて適正な価格を算出していると、こんな話をいただきました。これは当然のことであります。  しかし、それでもまだいろんな問題がある。例えば、受注した側の業者にコストダウンの意識がなかったり、ある意味では、水増し請求されて請求が来るというのがある意味では上限付きのこの契約制度の盲点でありますから、それも分かっていながら、今後は、内閣官房とある意味では受注側、業者と直接契約をする、これも一つの方法だろうと思っておりますけれども、そんなことも検討するやに聞いております。  いずれにいたしましても、適切な運営、契約方法をこの際改めて要望をしておきたいと、こう思います。時間の関係で次に参ります。  今お話がありました宇宙航空研究開発機構、JAXAは、情報収集衛星を運用する現在は内閣星情報センター、ここに職員を出向させております。しかし、この職員はJAXAの職員であって、現在のところはJAXAを休職扱いとした上で、まずJAXAの管轄省庁であります文科省の職員、すなわち文科省の国家公務員となってそこから情報衛星センターに出向をしております。  何が起こるかといいますと、JAXAにいたときの方が給料がいいわけであります。国家公務員となって給料が減った分を、現在JAXAは国からの補助金の国費を減額分の給与補てんに充てている、この実態がありました。これはまさしく問題だろうと、こう思います。二〇〇四年度は、二十四人に四千八十五万、二〇〇一年度から述べ七十八人に一億三千万のお金がJAXAから給与補てんとして払われておりました。私は、この問題に国家公務員法の違反、倫理規程等々の違反等々があるんではないかと、こんな危惧をするわけであります。  端的に言えば、JAXAから派遣されて国家公務員となって給与が下がって、しかし国家公務員が国からの給与のほかに他の法人から減額分の給与を受け取っていた。そして、身分はというと、片一方では国家公務員でありながら、片一方では非公務員立場があったわけであります。この点について問題はないのか、文科省にお聞かせをいただきたいと思います。
  112. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) ただいま先生御指摘ございましたように、宇宙開発利用という高度な専門知識を必要とする分野におきまして、JAXAの職員を出向の形態で国に受け入れてきたところでございます。その際、現給保障の観点から、出向元法人であるJAXAにおいてその差額を補てんしてきたということでございます。  しかしながら、この給与補てんに関しましては、平成十七年五月に国家公務員倫理審査会によりまして適当ではないと、こういう意見が取りまとめられたところでございます。これを踏まえまして、給与補てんを行う出向につきましては、関係省庁等におきまして検討を行い、交代期を迎えた職員から順次解消するということにしたところでございます。  その結果、JAXAにおきましては、給与補てんを伴う内閣星情報センターへの出向者は、平成十七年四月の当時は二十二名でございましたが、平成十八年の四月現在では十五名となっておりまして、今後順次解消していくということにしております。  なお、内閣星情報センターの職務には衛星の運用など、JAXAにしかない高度な専門性も要求されるところでございまして、こうした高度の専門的な知識、経験を有する職員の採用につきましては、必要に応じていわゆる特定任期付職員制度を活用することなどによりまして、給与補てん問題も解消していくということにしておるところでございます。
  113. 芝博一

    ○芝博一君 文科省からその経緯と現状、そしてこれからの対応等々についてお話をいただきましたけれども、大変私は問題はまだあると思っています。改めてこの問題について、国家公務員倫理審査会の御見解を端的にお伝えください。
  114. 川村卓雄

    政府参考人(川村卓雄君) お答え申し上げます。  独立行政法人や特殊法人から国に出向してきました職員が国家公務員となりまして給与が下がる場合に、差額の補てんを出向元の法人から受けることにつきましては、倫理審査会におきまして検討いたしまして、その結果、国家公務員倫理法等に照らしまして、職務の公正さに対します国民の疑惑や不信を招きかねず、適当ではないという結論に達しております。  したがいまして、その旨昨年の五月の二十日に国家公務員倫理審査会事務局長名で各府省に通知したところでございます。これを受けまして、各府省におかれましては、独立行政法人等から国に出向中の職員に対します出向元法人によります給与補てんは、交代期を迎えました職員から順次解消することとしたというふうに伺っておるところでございます。
  115. 芝博一

    ○芝博一君 問題はある、適当でない、検討すべきというところでありますけれども、答えは今お聞きしましたように、交代期を迎えた職員から順次解消をすること。現在でも十八年度は十五人でありますからまだ残っているわけであります。残っている人は、旧態依然としてその差額を国家公務員でありながら法人から受けている、これが続いているわけであります。果たしてこれで本当に独立行政法人なり国家の行革を進めていく気があるのかどうか、私は大変疑問に思うわけであります。即日に実施をすべきとこう思っておりましたけれども、十七年の十二月二十日に各省庁の人事担当課長会議があって、交代期を迎えた職員から変えていこうと、こんな生ぬるい答申になっております。  そこで、総務大臣にお聞きをさしていただくわけでありますけれども、独立行政法人の二〇〇四年度の給与の調査によりますと、国家公務員を一〇〇とした場合、独法の給与水準は事務・技術系で一〇七・一、研究職で一〇三・二となっています。公務員より高い実態がある。特に、JAXAでは一二三になっているわけであります。ここが今言いましたような問題点が起こってくる原因だろうと、こう思うわけであります。  にもかかわらず、まだ完全に解消されていない。こんな実態があるわけでありますけれども、出向職員の給与の補てん問題について大臣の所感と、そして独立行政法人見直していく中で、この独立行政法人が全体が非常に給与が高い、この水準を見直すお気持ちがあるかどうか、その御決意をお聞かせください。
  116. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今委員指摘独立行政法人の職員の給与の問題でございますが、これは御指摘のとおり高めであるということは事実でございますし、一々数字は申し上げませんが、JAXAの方ではそれも中でも高いと、こういうのは事実でございます。  そういった中で、今出向職員の問題と、それから独立行政法人本来の職員の給与の問題というのを分けて考えさせていただきたいと思いますが、独立行政法人の問題からいたしますと、JAXAも含めてでございますが、一般的に言いまして、専門知識を有する方が非常に多い、また確保する必要もあると、結果的に職員の学歴構成が高くなっている。あるいは、事務所が大都市に所在しておりまして調整手当の支給割合が高くなっている。あるいは、離島、辺地、このJAXAの場合ですと種子島とか臼田、これはパラボラのあるところでございますが、そういった職員に対して特別な地域の特地勤務手当が、支給していると。こういったことで高くなる基本的な条件というのがあるということは御理解願いたいと思いますが、そういった中で、本来の独立行政法人の職員の給与水準でございますが、基準としては法人の業績などを考慮しつつ労使交渉を経て各法人が定めると、こういう仕組みになっております。ただ、それだけではなくて、当然のことながら、その際公表することを通じて透明の確保を努めるということにしております。  そういった中で、政府の取組でございますけれども、いわゆる給与水準の抑制についての行政改革重要方針、これは昨年、平成十七年の十二月、閣議決定したものでございますが、独立行政法人については、今後五年間で五%以上の人件費の削減を行うということを基本として取り組むようにという点と、それから国家公務員の水準を上回る給与水準の適切性に関し厳格な事後評価実施すると、こういうふうな方針を定めておりまして、各法人がこういった政府閣議決定重要方針に基づきまして適切な給与水準の確保に向けて取り組むというふうなことをしていただくよう促進してまいりたいというのが現在の政府の考え方でございます。
  117. 芝博一

    ○芝博一君 ありがとうございました。  独立行政法人の位置付けだけ申し上げますと、国の行政を代わってサポートするという、これが本来であろうと、こう思っております。それが、国家公務員よりも独立行政法人の方が職員の給与が高いというのはまさしく本末転倒だろう、そのことをしっかりと見直していただくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。    〔委員長退席、理事風間昶君着席〕
  118. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。  本日は、文化芸術における人材育成、特にバレエに焦点を当てて質問をさせていただきたいと思います。  今後の日本を考えていくとき、あらゆる分野で人を育てていくこと、そのことがとても大切であり重要であると考えております。特に文化芸術のようなソフト面で人材を育てていくことは、時間も掛かることであるがゆえに、なお一層力を入れていくべきではないかと考えております。しかし、文化芸術について多くの方がその重要性は認めるものの、いざ具体論の段階では現実の財政措置まで結び付いていかないのが現状でございます。現在の財政が非常に厳しい状況であることは理解できるものの、必要な部分には適切に財政措置を講じていかなくてはなりません。人間が人間であるために不可欠なものが文化であり芸術であると考えております。その文化芸術を担っていく人を育てていくために、人への投資を行っていくべきです。そのために、何よりもまず文化芸術立国を実現するという強い決意が求められると思います。  そのような視点から、独立行政法人日本芸術文化振興会の運営されている新国立劇場のバレエ研修所についてお伺いをいたします。  現在、新国立劇場にはバレエ研修所、オペラ研修所、演劇研修所があり、それぞれの分野の人材育成のための研修を行っております。このバレエ研修所ができたとき、日本のバレエ関係者はとても喜ばれました。私も大変うれしく、そのとき私も含め多くの方々が想像したのは、イギリスのロイヤルバレエ学校やフランス、パリ・オペラ座バレエ学校のような専属のバレエ団と一体となった、そのためにダンサーを養成するという学校でした。当然、そこでは学校と一体となったバレエ団ができるものと考えておりました。しかし、実際にはそのような想像とは異なり、研修所を修了した人が入るバレエ団はありますけれども、海外のバレエ学校と一体となったバレエ団とは異なり、雇用体系がシーズン契約や登録ダンサーという形であり、いわゆる劇場専属のバレエ団、バレエ学校という形にはなっておりません。  海外のバレエ団では、一概には言えませんが、生活に心配することなくバレエに専念していく環境が整えられております。しかし、日本ではまだまだ一般のバレエ団などではアルバイトをしながらバレエを続けることが多いのが現状で、バレエに専念できる環境は整えられてはおりません。生活に心配があるようでは一流の芸術家を生み出すことはできません。もちろん、その分、芸術性が厳しく問われることは言うまでもございませんが、世界第一級の公演を行うためには劇場専属のバレエ団、バレエ学校が必要であります。世界的な水準を持つバレエ団を持つことにより、それが日本のソフトパワーとなり、顔となっていくことができると私は確信しております。その重要な役割を果たすのがこの研修所であり、また新国立劇場のバレエ団だと考えております。  多くの方は海外に行かれたときに、アメリカであればブロードウエー、ロシアであればボリショイ劇場、フランスであればパリ・オペラ座、またイギリスであればロイヤルオペラハウスなどを訪れます。日本からのみならず、海外の旅行者のたくさんの方々も劇場を訪れております。言わば劇場はその国の顔のようなものでございます。しかし、残念ながら、この日本の方でも、海外の劇場には行ったことがあるという方はいるんですけれども、日本で新国立劇場にまだ行ったことがないというお話も伺います。私は、この新国立劇場も日本の顔となるべき劇場であると考えております。  そこで、細かく言えば、まだまだバリアフリーなどの問題も使い勝手の問題もございますけれども、私たちが海外に行ったとき訪れるような、新国立劇場というハードは既に整ってできております。残る課題はソフトであります。文化立国、観光立国という観点からも、世界的な水準のバレエ団を持つことは大きな意味を持ってくると考えます。  新国立劇場もできてから十年となります。次なる十年に向けて、今後の構想として、世界に向かって日本の文化を発信するという意味で、劇場専属の研修所に合わせて専属のバレエ団としていくべきではないでしょうか。  独立行政法人制度は、その主務大臣が定めた中期目標を基本として、独立行政法人が中期計画を策定し、それを執行するという制度になっております。日本芸術文化振興会の中期目標では、伝統芸能の伝承者の養成及び現代舞台芸術の実演家その他関係者の研修の項目の中で、「伝統芸能の伝承者の養成及び現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修については、その対象とすべき分野・人数等について、関係団体の要望、外部専門家等の意見等を踏まえつつ、計画目標を設定し実施すること。」とされています。  今年度をもってこの中期計画期間が終了いたしますが、今まで述べてきたような観点から、今回、中期目標が終わり、次回の中期目標の設定に当たっては、専属のバレエ団を置く、若しくはそのための調査研究を行うこと等を規定していくべきだと考えますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。
  119. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 浮島委員の今お話を聞いておりまして、一言一言私は共感をするところが多いというふうに思って聞いておりました。  やはり、私も就任をいたしましてからいろいろな機会に申し上げておりますけれども、文化力というのは、その国が国際社会にあって評価をされるその基になるものだと、経済力よりも文化力がその国を、国際社会における評価を高めることにつながるというふうにも思っておるわけでございまして、委員が今一言一言おっしゃることが全くごもっともだと、こういう気がいたしました。  独立行政法人日本芸術文化振興会の中期目標の策定に当たりましては、独立行政法人評価委員会評価や各方面の御意見を踏まえて、文化立国の実現に資するように適切に判断をするというのが立場でございます。  また、御提案の劇場専属のバレエ団につきましてはまだ日本にはないと承知をいたしておりまして、新国立劇場が設置されて約十年を経過した実績を踏まえて、今後、日本芸術文化振興会において検討をしたらということでございます。  このことにつきましては、本来的にはまずこの日本芸術文化振興会において主体的に判断するべき課題であると、このようにも考えるところでございます。その際、検討されるべきものがどういう基準で検討されるかといえば、一般論として申し上げるならば、専属バレエ団を維持するための経営上の見通し、すなわち財政基盤及び公演、事業の計画等の現実性といった問題、それから民間のバレエ団への事業の影響ということで、国立でやるがゆえに民間のバレエ団に対する圧迫になるようなことはやはり避けねばならないということからすると、民間のバレエ団の意見、そしてバレエ界における認識の高まりというものがひとつ必要だということは考えるわけでございます。  ただ、私は個人的に申し上げるならば、今委員がおっしゃったように、やはり日本も国立の劇場にバレエ団、あるいはオペラを公演するための十分な施設というものがなければいかぬと思っているわけでして、オペラの施設の方はだんだん整っておりますから、そういう意味では新国立劇場にはバレエ団が専属であってもいいのではないかというふうにも思います。  今後、この中期計画の策定に向かって、私もしっかりともう少し勉強させていただいて意見を取りまとめたいと思っておりますが、委員の御質問は深く心に残ったというところでございます。
  120. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  今大臣もおっしゃったように、文化力、これがとても重要になってくると思いますので、既にもうハードはありますので、これからは本当にソフトに力を入れて、また民間の方々ともいろいろ検討会を持ちながらいい方向に進めていっていただきたい、そう切に要望させていただきます。    〔理事風間昶君退席、委員長着席〕  また次に、現在のバレエ研修所についてお伺いをさせていただきます。  日本芸術文化振興会の中期計画の中には、現代舞台芸術の実演家等、研修の実施に際しては、対象とする分野、人数等について関係団体の要望、外部専門家等の意見を踏まえつつ行うものとするとあり、オペラが中期目標の期間中に二十五名、そしてバレエが十六名程度とされております。このバレエ研修所の研修人数枠は一期八名、応募年齢は十七歳から十九歳となっており、既に一定のレベルにある人でプロを目指す人を採用することとなっております。ここにおられる研修生や講師の方々はレベルも非常に高く、頑張っておられるということは承知しております。  しかし、私は、もっと本格的に一流の人材を育てることができる体制を整えていくべきではないかと思うのです。  その一つに、この研修生の人数がございます。現在一期八名となっておりますが、この人数は余りにも少ないのではないのかなと思います。これは海外のバレエ学校の人数で、十七歳以下の子供たちもこれには含まれておりますけれども、例えばイギリスのロイヤルバレエスクールは生徒数が二百五名、教員数が二十三名、フランスのパリ・オペラ座バレエ学校は生徒数が百四十名、教員数が二十八名です。このように国際的に比較すると、新国立劇場の八名というのは、十七歳から十九歳に限られてはいたとしても、少ないのではないでしょうか。例えば、またパリ・オペラ座バレエ団に関して申しますと、この学校を卒業した後、バレエ団で仕事をしている人数は、エトワールからカドリーユ、これは主役をやる人からその他大勢の方でございますけれども、百五十一名という方が専門で仕事をされております。  まだ様々な意見があり、日本は欧米と違って、バレエが生まれた欧米と違ってそのような環境が違うという考え方もあるかもしれません。ですが、私はそのようなことは必ずしもないと考えております。  その理由として、例えば今バレエ人口、これはどのくらいいるのかでございますが、正確な人数ははっきりいたしませんが、おおむね十二万人以上は確実にいられると考えております。社会法人日本バレエ協会に所属されている方が平成十六年で二千三百七十七名、平成十八年現在で約二千七百名です。このほとんどは指導者あるいは先生方です。この先生方が教えている教室が、平成十六年度の数ですけれども、東京で約六百三十か所、関西で約三百四十か所でございます。一つのバレエ教室でバレエを習われている方が平均して約五十名程度と言われておりますが、単純な計算で、東京で約三万一千五百人、関西で約一万七千人、全国で約十二万人ぐらいの子供たちがバレエを習われていると言われております。  また、それだけではなく、バレエ協会に所属されていない学校も、教室もたくさんありますので、実際にバレエを習っている方の数はもっと増えると考えております。加えて、以前バレエを習っていたという方、また、今お母様方のママさんバレエ、あのバレーボールでない、踊る方のバレエも大変人気になって、そのような意味からしましたら、日本のバレエ人口は他国と比較して少ないとは言えないと思います。  また、最近ドラマでバレエの物語が取り上げられておりますけれども、私がそのときにちょっとショックを受けたのは、その主役を演じている女の子の子供のころの夢が、イギリスのロイヤルバレエスクールに行きたい、イギリスのロイヤルバレエ団で踊りたいというものだったんです。私は、このようなたくさんの子供たちが日本でバレエを習っている、バレエを習っている子供たちが、日本にこれだけ立派な新国立劇場という劇場ができたんです。ああいう例えばドラマに対しても、新国立劇場の研修所に行きたい、将来新国立劇場でプリマになりたいと言われたいと心から願っている一人でございますけれども。  日本芸術文化振興会の中期計画は本年度終了し、独立行政法人評価委員会評価を受け、来年度以降、新しい中期目標と中期計画が策定されることと思います。その策定に際して、このバレエ研修所の人数を増やし、バレエ分野での世界的な人材を更に育成していくべきではないかと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
  121. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 今委員の御指摘をいただきましたことは、先ほどの専属のバレエ団をつくるというよりはむしろ現実的にはすぐ対応できることではないかなという気がいたします。  新国立劇場で実施をいたしております実演家の研修につきましては、関係団体の要望、それから外部専門家等の意見などを総合的に勘案して、独立行政法人日本芸術文化振興会の中期計画において人数等が定められているというふうに承知をいたしております。  現在、オペラ、バレエ、演劇の三分野で研修が実施されているものと承知をしておるわけでございますが、バレエ研修所につきましては、平成十三年四月に開設して、御指摘のように定員八名ということでございます。二期、二年でございますから、現在も八名研修を行っているということでございます。講義、舞台実習などの研修を実施して、これまでに二期の研修を修了したというふうに理解をいたしておりますが、この二期の研修修了に至るまでも、この十六名の皆さんの実演研修の場所においては結構苦労しながらやっていらっしゃるというふうに理解をいたしております。  そんな意味で、これから場所もしっかり確保しながら、それから予算面の充実ということも図りながら、研修生数の拡充について、指導者をしっかり確保して、まあ解決すべき課題は数多くあるとは思いますけれども、まず、日本文化芸術振興会が中期計画を策定する際に主体的に判断をするということでございますが、私としては、この主体的に判断をされる際に、今委員が御指摘のような見解を踏まえて、やはり今後国立劇場で研修所出身のバレリーナが踊る機会が増える、そして国内各地に中核になっていく、それがまた将来は専属のものにつながっていくということも考えれば、ここで前向きに定員の増加を考えてもらいたい、このように考えて、そのような私の意見を持っていることを伝えておきたいと、このように思います。
  122. 浮島とも子

    浮島とも子君 前向きな御答弁ありがとうございます。  人を育てていく、本当にこれは時間とお金が掛かることでございますけれども、環境が本当に必要でございます。どうか全力で力を注いでいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。  次に、東京芸術大学についてお伺いをいたします。  本格的な、今大臣もおっしゃったように、本格的なバレエの教育をしていくためには、若いときから私はその才能を伸ばしていく必要があると考えております。先ほども挙げさせていただきましたが、イギリスのロイヤルバレエスクールは、十一歳から十八歳までの八年間、徹底的な英才教育を行います。その目的は、世界的に有名な英国ロイヤル・バレエ団にスムーズに入ることができる実力を付けさせることにあります。その間、一般科目の授業は大学受験レベル、いわゆるAレベルまでしっかり行います。普通の高校に行くのと比べ、何の経歴上のハンディもありません。人材を育てるというのであれば、このような本格的なものにできないかと思います。  新国立劇場のバレエ研修所は十七歳以上で既に実績がある人を対象としており、高校生の場合は学校に行って研修所に行くという生活をしなくてはなりません。その意味で、日本にも学業とバレエを一体的に教える学校を求める声が関係者の中から起こっております。その要望が形となっているのが国立バレエ学校、仮称ですけれども、設置に関する請願、この請願は第百五十九回国会と今国会に提出をされております。  そこでお伺いしたいのですが、国立大学として芸術系の大学の最高峰と知られている東京芸術大学には美術学部、音楽学部とありますが、舞踊科はありません。芸術の大きな一部分である舞踊がないのはなぜでしょうか。  また、今後舞踊科を作る予定の有無を含め、過去から現在まで検討状況について大臣にお伺いしたいと思います。  そして、バレエも含めた東京芸術大学附属舞踊高等学校の設立も今後お考えいただきたいと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。
  123. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) ただいま委員が御指摘になりました国立大学法人東京芸術大学でございますけれども、明治二十年に東京美術学校、東京音楽学校として設立をされ、そして昭和二十四年に東京芸術大学、このようになって、平成十六年、国立大学法人というふうな歩みをしてきているわけでございまして、その歩みの経過から音楽と美術を中心としているわけでございまして、かつては舞踊などの舞台芸術分野について舞台運営や演出技術などに関する大学院等の構想がされたことはあるというふうに聞いておりますけれども、専門家教員の確保が困難なことや厳しい財政状況等の理由から、その後具体的な検討は中断をされているというふうに聞いております。  また、舞踊などの演技者の育成のための学科等につきましては、その教育研究の性格上、一定規模の学生集団が必要でございます。そういった観点から、学科等の規模も大きくならざるを得ない。また、大学としては、新たな設置を計画的に進めるに当たって、そういった面での検討が十分にまだできていないということでございまして、現在新たな設置は考えていないと聞いております。  なお、附属舞踊高等学校の設置等につきましては、本来その所属する学部等の教育研究上の必要性から設置されるものでありまして、これまで検討されたことはないというふうに聞いております。  大学における学部等の整備については、まず大学における整備の意義や必要性等の検討が必要と考えておりまして、文部科学省としては、大学の意向や検討状況等を踏まえて今後適切に判断をし、また対応してまいりたいと考えているところでございます。
  124. 浮島とも子

    浮島とも子君 先ほどの御答弁と違って後ろ向きな御答弁でちょっと残念なんですけれども、舞台運営、あと演出技術は総合芸術の分野に入ると私は考えております。  私が今お伺いし、お願いを申し上げたのは、絵を教えるなどの美術分野、また音楽を教えるなどの音楽分野、踊りを教えるという観点から舞踊科をということでお願いを申し上げました。もちろん、舞踊には日本舞踊を始めたくさんの分野がございます。様々な分野がございますが、また指導者の育成等、様々な問題もあるとは思いますが、是非とも前向きに検討をしていただけるよう全力でお願い申し上げたいと思います。  最後に、文化庁が行っている芸術家の海外派遣留学制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。  芸術の各分野においてその専門性を深め、芸術的感性を涵養するために海外の一流の機関で学ぶことは大きな意義があると思います。しかし、海外留学で養ったものが帰国後十分に生かされているのか、また生かしていく場があるのか。実際、どのようになっているのかを把握し、今後の施策に生かしていくことも併せて必要だと考えております。  そこで、この海外派遣留学制度の沿革、研修に派遣した延べ人数、帰国後の職場についてお伺いをさせていただきたいと思います。そして、この制度が日本の文化水準の向上に資するためには、どのような効果がもたらされているのか、適切な評価を行っていくべきであると思いますが、文化庁の御見解をお伺いいたします。
  125. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 芸術家の海外派遣留学制度について御説明を申し上げます。  文化庁では、舞踊、美術、演劇等の新進芸術家を対象にその専門分野について海外での研修機会を提供しておりますが、これは新進芸術家海外留学制度と申しております。この制度は、実は昭和四十二年に創設されたものでございまして、従前の芸術家在外研修制度を継承、発展させたものでございます。その後、派遣分野、派遣人数、期間等の拡充を図りまして、平成十七年度について申し上げますと、九分野百七十名を派遣してございます。このうち舞踊関係、舞踊分野は十五名含まれてございます。また、これまでの派遣延べ人数でございますが、二千二百五十六名、このうち舞踊分野二百九十七名が含まれておりますが、こういった実績にございます。  帰国後の活動状況についてもお尋ねでございますが、そのすべてを実は把握をしておるわけではございません。例を申し上げますと、具体名で支障があるのかもしれませんが、著名な例で申し上げますと、バレエの森下洋子さんがこの留学経験を基に更に研修を積まれまして、バレエ界において中心的な活躍をされておるのは周知のことでございます。こういった例を始めとしまして、多くの方々が帰国後、プロの芸術家として活動を続けておられます。このことが本制度の意義、我が国における文化水準の向上に一定の役割を果たしてきたという考え方を持つ根拠でございます。  ちなみに、最近の十年間について申し上げますと、十年間に派遣されましたバレエ舞踊家三十九名ございますが、このうち三十四名が現在もプロとして活躍をしておるというデータを持っておるわけでございます。  また、評価についてもお尋ねがございました。  一般に、芸術文化に関する評価には大変難しい面がございます。評価手法、評価者の確保等々課題があるわけでございますが、ただ、御指摘のように、評価の重要性は私ども認識をしておりまして、これを踏まえて、帰国後活躍中の若手芸術家を選抜して発表の機会を提供する事業を行っております。これは平成十七年度から行っておるものでございまして、新進芸術家育成公演事業と申しておりますが、こういった事業実施することによって評価の要請にこたえてまいりたいと思っておるところでございます。
  126. 浮島とも子

    浮島とも子君 日本には才能があるダンサーもたくさんいらっしゃいます。なかなか職業に結び付いていかない。  私も先日、あるお医者様にお会いをしました。そしたら、お医者様が、浮島さん、たくさんダンサー知っているでしょう、ちょっとボランティアで悪いけど踊ってくれないって言われたんです。私はそのときに先生に逆にお伺いしたのは、先生も小さいときから御自分に投資をされて勉強されて大変でしたよねと。大変だったんだ、塾に通ってお金も掛かったしと。そうですよね、今お医者さんになられたんですから私が病気になったときにボランティアで診てくださいと言ったら、ちょっと驚かれました。そうやって、お医者様、そして弁護士さん、皆さん投資をされて、二十歳を過ぎると就職口がございます。でも、芸術に携わっている方々は一生懸命自分に投資して勉強しても、二十歳を過ぎたら就職口がないというのが現状でございます。  私の京都の知っているバレエ団でも日本の作品、代表的な作品をたくさんやっておりますけれども、この日本の顔となる文化、そしていろんな物語もたくさんございます。どうかこの国立劇場、新国立劇場が日本の顔として世界に、日本に、もちろん日本に、そして世界に誇れるような劇場を造っていくため、また子供たちを育成していくために私も全力で闘ってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  質問を終わります。  ありがとうございました。
  127. 紙智子

    紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  道路建設などの公共事業の進める際の自然環境保護や地域住民への説明在り方についてお聞きします。質問時間が短いものですから、答弁は簡潔にお願いをいたします。  お配りしておりますちょっと資料をごらんいただきたいと思うんですが、これ、北海道北見市市内の南部の丘陵地帯に長さ十キロの北見バイパス建設が計画をされて、橋梁工事が一部開始をされております。総事業費で四百四十億円、一メートル当たり四百四十万という巨額の道路工事で、トンネルで五本、橋梁で八か所というものです。ちょっと見にくくて申し訳ないんですけれども。  道路予定地は自然の姿を強く残した自然林と清流が流れている区域で、北見市内部にありながら非常に貴重な自然が残されている場所です。バイパスはこの丘陵地帯を貫くように計画されているんですが、予定地からは国の天然記念物のオジロワシの営巣が見付かりました。  環境省に最初お聞きしますが、事業用地から希少猛禽類の営巣が見付かった場合、大規模な工事からこれを保護するために、環境省は「猛禽類保護の進め方」を定めていると思いますが、どのような措置を求めているでしょうか。
  128. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) お答えいたします。  私ども、「猛禽類保護の進め方」という指針をまとめまして公表しております。  ポイント四つございます。まず第一に、その猛禽類の繁殖活動の保護を中心に考えるということでございます。二つ目は、その保護でございますけれども、現地調査調査内容の解析、保護対策の検討実施、そしてモニタリングでフォローアップするという順番で行うこと。また、三つ目といたしまして、具体的な対策検討に当たりましては、現地調査で得られました猛禽類の行動圏全体を把握した上で、対策のプライオリティーを付ける観点から、営巣中心域、そして採餌場所などの高利用域などの利用区域ごとに保護、配慮の指針を適用していくこと。三つ目に、様々な個々の事情ございます。個々の事案ごとに専門家の指導、助言を求めるといったことでございます。  私ども、事業者の方にこの活用をお願いしておりますし、環境省としても適宜助言を行っているところでございます。
  129. 紙智子

    紙智子君 ちょっと確認なんですけれども、環境省のマニュアルですと、この営巣中心域から半径一・二キロの環境の改変を避けるように努めるべきというふうにされていますよね。一言、確認だけ。
  130. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 具体的な目安でございます。実は、このオジロワシにつきましては、私ども、具体的な目安をいまだ持っておりません。御指摘のとおり、例えばイヌワシですと営巣中心域の目安としては巣から半径一・二キロメートル程度とか、あるいはクマタカですと巣から半径五百メートル程度持っておりますけれども、オジロワシにつきましては、サハリンとの間を行き来しているということもございまして、特に具体的な数字は示しておりません。
  131. 紙智子

    紙智子君 オジロワシも非常にデリケートな動物ということになっているわけですね。それで、北見バイパスのルートは、トンネルの入口から巣まで七百メートルくらいと、それから生活上の重要な場である止まり木、えさを捕るところは工事箇所のトンネル坑口から最も近いところで四百メートルと、こういう至近距離にあるわけです。  北海道局に聞きたいんですけれども、なぜこのルートを選んだんでしょうか。
  132. 吉田義一

    政府参考人(吉田義一君) 北見道路についての御質問でございますけれども、北見道路は国道三十九号の北見市内の交通混雑の緩和でありますとか市街地で多発している交通事故の低減等の効果が見込まれているところでございます。さらに、北海道の中で……
  133. 紙智子

    紙智子君 なぜこのルートを選んだのかということです。
  134. 吉田義一

    政府参考人(吉田義一君) はい。で、そういう中で、経済性でありますとか、それから自然環境への影響、これをできるだけ少なくするということで、総合的に今のルートを選定したところでございます。
  135. 紙智子

    紙智子君 今、環境の問題というふうに言うんですけれども、今言いましたように、貴重な猛禽類がいるということの中で、その今言った理由がそうなんですか。選んだ理由なんですか。理由になっていないですよ。
  136. 吉田義一

    政府参考人(吉田義一君) 先ほどからオジロワシについてのお話ございましたけれども、オジロワシにつきましては、平成十六年の三月にその営巣を私ども確認しておりまして、その後、学識経験者等の御指導もいただきながら調査をしておりまして、委員指摘のように工事箇所から七百メートル離れた箇所で営巣が確認しているところでございます。  工事との関係につきましては、学識経験者などから、繁殖箇所が、営巣地付近で利用している生活上重要な場所である止まり木とか採餌場は工事箇所から最も近いところで四百メーター離れていると、で、四百メーター離れていれば必要な影響軽減策を取ることによりまして工事で繁殖活動を阻害することはないという御指摘をいただいているところでございます。  私どもとしましては、今後とも、学識経験者等の御指導をいただきながら、工事の騒音でありますとか振動軽減対策としまして、基本的にトンネル掘削工法を機械掘削としまして騒音、振動等の発生を抑制すると、さらに工事の騒音の軽減としまして、工事箇所の坑口部への防音囲いを設置する、あるいは消音装置付きの換気送風機の導入などを検討しているところでございまして、更にこういうトンネルの掘削時期につきましてはモニタリング調査を継続しながら検討していきたいと考えております。
  137. 紙智子

    紙智子君 学識経験者と言うんですけれど、猛禽類とか鳥類の専門家、いないじゃないですか。で、非常に影響を過小評価していると思うんですよ。  この区域の重要性というのは、実は北見の環境白書というのが出ているんですけども、この中でも、十一万都市で、北見市の中心から約三・五キロのところに国指定の天然記念物で絶滅危惧ⅠB類であるオジロワシの営巣があることは世界でも類を見ない極めてまれなことだと高く評価をしているんですね。ほかにもオオワシやクマゲラなどの天然記念物が発見されていると。食物連鎖の頂点にある希少猛禽類が生息するということは、それだけ豊かな自然が残されているということなんですね。北海道自然保護協会の意見書でも、植物相が極めて多様で貴重だと、北見市で最も良好に残された自然だというふうに指摘しているんです。それなのにどうしてこのルートなのかと。で、区域を少し外せばカラマツの人工林の区域があるわけだし、住民の人たちは仮にバイパスを造るにしてももっと別のルートにしてほしいということで二〇〇三年の時点に求めているわけですけれども、開発建設部は一ミリたりとも変更しないと言ってかたくなに説明を拒否したわけです。  昨年、私が現地に行きまして住民への説明を求めてようやく、当初は二十ルートあったと、その後、十ルートに絞って検討したというふうには言っているんだけども、しかしなぜこのルートが一番適切なのかということで、選んだ理由については今に至るまで住民に説明がないわけですね。で、資料も出てないと。きちんと情報を示して十分納得得られるように説明をすべきじゃありませんか。
  138. 吉田義一

    政府参考人(吉田義一君) 先ほどもお話しさしていただきましたように、この北見道路につきましては、この北見の市街地の交通の円滑化を図るというそういうバイパスの機能、さらに北海道の横断自動車道と一体となりまして北見・網走圏の高速交通ネットワークを形成する自動車専用道路でございます。したがいまして、この北見道路の始点、終点は決まっているわけでございまして、そういう中でこれをどう結ぶかと。できるだけ経済的に、しかも自然環境に対する影響が少ないというルートを選んだところでございまして、さらに、先ほど委員指摘のようにトンネル、五か所のトンネル、それから橋梁等、そういう工法を取ることによってできるだけ自然の改変面積、土地の改変面積を少なくしていると、そういうふうにしてこの道路のルートを計画しているところでございます。
  139. 紙智子

    紙智子君 なぜ造らなきゃならないかという理由が希薄なんですね。  で、皆さんが出しているパンフレットがあるんだけど、このパンフレットを見ても、交通渋滞が起きているからなんだというところがあって、その使っている写真というのは現地の人から見るとこれは全然違うよと。実はこの先にはスーパーがあって、そこに曲がるために道路を、車待ちしているやつを、その写真を撮って使って渋滞しているなんという話をやっていると。全然日ごろ渋滞なんかしていないという話出ているわけですよ。それから、十のルートを最終的に検討しながらなぜ自然の豊かな区域をあえて選んだのかと。こういう疑問を残したまま事業を進めるべきではないと思うんですよ。  それに、北見は本当に夏は暑くなって冬は冷え込むんです。マイナス二十度、三十度ってなるんですけども、そういう冬場は橋の上とかトンネルの入口とか山間部の日陰というのは凍り付いて特に注意が必要だというふうに開発局も言っているわけですよ。それなのに、どうしてトンネル五本も造って橋が八か所だと、造らなきゃならないルートを取ったのかと。公有地が取得しやすかったというふうな理由を言う人もいるんだけれども、それだけではもう納得できないと。ほかのルートも含めてやっぱり検討結果を示すべきだと思いますし、データを示さないで結論だけ大丈夫というのは、これはやっぱりやめてほしいという声があるわけです。この点どうですか。
  140. 吉田義一

    政府参考人(吉田義一君) この北見道路の事業実施に際しましては、環境影響評価法に基づきまして、平成十一年から平成十三年に手続を行いまして、住民意見それから知事の意見、環境大臣の意見を踏まえまして、平成十三年の四月から五月に環境影響評価書を公告縦覧しているところでございます。  さらに、この道路の事業実施に際しましては、野生の動植物への影響に配慮した整備を行うために、平成十五年の十月三十日から、北見道路の整備における環境保全対策を考える懇談会、これは動植物等の学識経験者、さらに地元の市長さん、それから町内会の連合会長さん、こういう方にも参加していただいて懇談会を設置しまして、有識者等から御意見をいただき、環境保全対策を検討の上、取り組んでいるところでございます。  今後とも、有識者などの御意見をいただきながら、環境に配慮しながら、事業を進めてまいりたいと思っております。
  141. 紙智子

    紙智子君 当初は、住民への説明といっても町内会長しか呼ばないとか、本当に知らせる範囲も狭かったということがあるわけですよ。何でちゃんと質問したことに答えないのかという住民の皆さんからの声もあるわけです。やっぱりきちっと説明もするし、住民の納得のないまま事業を続行するのは本当に問題だというふうに思います。  もう一つ、副大臣にお聞きしたいと思っているんですけれども、建設省の道路審議会が道路政策変革への提言という、こういうのを、これインターネットで取ったんですけれども、出して、二十一世紀に求められる新しい政策像を出しました。これは、国民との対話を行う国民参加型の新たな方法を使って検討を進めたというのが特徴だと思うんですね。  そこでは、道路政策に情報公開を一層進めるとともに評価システムを導入して、この評価手法は、幅広く意見を取り入れる、可能な限り客観的な方法として構築が必要だというふうに明確に指摘をしているわけです。これが求められている方向性だというふうに思うんですね。  この北見バイパスは、今年ちょうど事業評価の年で事実上初の事業評価になるわけです。国土交通省の実施要領によりますと、必要に応じてその見直しを行うほか、事業の継続が適当と認められない場合は事業を中止するというふうになっているわけです。だから、事業の進捗状況やコスト縮減、代替案の立案とか、こういう観点から評価するものだと思うんですけれども、そもそも四百四十億円掛けてこんなのを造る必要があるのかという疑問視もされているものなわけです。  是非、環境へのマイナス影響なども評価に入れてほしいと思いますし、早急にバイパスに関心を持っている住民団体などの意見を聴いて再評価の作業に着手してほしいというふうに思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。
  142. 松村龍二

    ○副大臣(松村龍二君) お答えいたします。  先生おっしゃいますように、事業をしっかり評価して道路建設を進めるということで、北見道路につきましては、平成年度事業化いたしましたので、事業着手後十年を迎える場合に、国土交通省所管公共事業の再評価実施要領に基づきまして、今年度事業評価を行う予定でございます。現在、事業評価実施に向けまして、データの収集など鋭意準備を進めており、準備が整い次第速やかに手続を進める予定であります。  また、事業評価に際しましては、地方公共団体の意見を聴くとともに、学識経験者等から成る第三者委員会で幅広い審議をお願いしております。議事の公開はもちろん、また、その議事の状況も公開するというようなことで、十分に住民の意見も聴くというふうな形で公明正大に事業の再評価を行ってまいる所存でございます。
  143. 紙智子

    紙智子君 最後に一言。  本来、この事業評価も受けていない工事がどんどん進められるというのはおかしいことだと思うんですね。評価結果が出るまで工事は差し止めていただきたいということを強く要望して、私の質問を終わります。
  144. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私は、独立行政法人日本スポーツ振興センターのサッカーくじ、totoについて質問をさせていただきたいと思います。  サッカーくじ、いろんな議論を経て導入されたわけでございますが、このくじの売上げ、販売が始まった二〇〇一年、この時点では六百四十二億円ございました。しかし、これがピークでございまして、それ以降は毎年減少の一途をたどっております。昨年の売上実績は百四十九億円、大変な落ち込みでございます。  ところが、日本スポーツ振興センター、ここは、今年度の売上げを昨年より百十五億円も多く、つまり七五%アップ、こういうふうに見込みまして二百六十四億円、これを見込んでいるわけでございます。コンビニやインターネットでのくじの売上増加、これを期待しているようでございますが、サッカーくじはいろんな論議の中で導入されましたが、発売以来ずっと減り続けてきている。この見込み、昨年実績に比べて七五%も高めの見通し、この達成見込みは非現実的ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  145. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、スポーツ振興くじ、導入時六百四十三億円につきまして、十七年度百五十億円をやや下回るというところにまで落ち込んできているということで、これは、当初予定いたしましたスポーツ振興のための財源確保という観点からいたしますと、くじの減少に伴って助成額も十分に確保できていないという状況にあるわけで、非常に残念に思っているわけでございます。  このため、この十八年度から、いわゆる第二期と申し上げたいと思いますけれども、その第二期におきましては、このスポーツ振興くじの売上げを向上させるために、コンビニエンスストアにおきます一般販売でございますとか、また、昨年から一部導入しておりますけれども、インターネットにおける販売など、買いやすい販売方法の導入をいたしましたし、また、多様な購入者のニーズにこたえるという観点から、額は少のうございますけれども当たりやすいというようなくじを導入するなど、多様なくじの種類についてそろえたというようなことで、このような改善策を講じているところでございます。  このような新たな購入の方法、ルートでございますとか、また、新しいくじにつきましての認知度というものを高めていくことができますれば、十八年度の御指摘のような目標の達成というものは可能ではないかと考えておりまして、日本スポーツ振興センターを始め関係者においては、懸命なそのための取組がなされているものでございます。
  146. 近藤正道

    ○近藤正道君 百四十九億円の実績しか昨年はなかったのに、これを一挙に二百六十億円台に見込んだ根拠を具体的に聞かせていただきたいんです、一般論じゃなくて。
  147. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) その売上目標につきましては、その実施主体でございます日本スポーツ振興センターにおきまして、民間企業の協力を得ながら、先ほど申し上げましたような販売方法の工夫やくじの種類の多様化などの改善策を踏まえまして、この販売の形態ごとの目標額といいますか、そういうものを積み上げて算出したものと承知しております。  少し具体的に申し上げますと、従来から行っています一般の販売店、まあ特約店と申しますか、そういうところにおきましては約百十億円。それから、一般販売を開始いたしましたコンビニエンスストア、これにつきましては約九十五億円程度。それから、インターネットにつきましては、従前に加えましてクレジットカードにおける販売を可能にしたということもございまして、この販売ルートにおきましては約六十億円程度ということで目標を積み上げているところでございます。
  148. 近藤正道

    ○近藤正道君 文字どおり、捕らぬタヌキの皮算用、本当に甘い皮算用だというふうに思っています。  サッカーくじの売上げの半分はくじの当せん者への払戻金に充てる、こういうシステムになっているわけでございます。システムの開発や広告宣伝費などの運営費が百二十億円ほど掛かるということで、この百二十億円から、この大体倍ということで二百六十億円を出したと、こういうふうにしか私には考えられません。とても確たる根拠のある数字だというふうには思っておりません、思われません。  このサッカーくじの実施業務というのは、二〇〇一年度から〇五年度まではりそな銀行に委託をしておりました。今年からは独法で直営方式に変えるようでありますが、今までここで委託をしておったと。  ところが、りそなに対する業務委託に伴う費用については、りそな銀行に二〇〇三年度から二〇〇四年度では半分程度業務委託費の返還しかできていないと。二百二十億円、遅延損害金を含めますと二百七十億円程度債務が残っていると、こういう報道がなされておりますが、これは事実でしょうか。
  149. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  若干数字につきましては私どもも承知していないといいますか、数字を報道されているわけでございますけれども、平成十五年度と十六年度につきまして、これは平成十五年度が七十三億円の未払、そして平成十六年度が七十一億円の未払というものが生じているということで、この二か年間で百四十四億円の未払が生じているということでございます。以上の数字については承知しているところでございます。
  150. 近藤正道

    ○近藤正道君 報道では、二百二十億円、遅延損害金を入れると二百七十億円ぐらいになるんではないかと言っておりますが、これは違うんですか。
  151. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) 二百二十億円台の数字として私どもが承知しておりますのは、このスポーツ振興くじが平成十三年度から五か年間の期間でりそな銀行に販売、売りさばきですね、券の売りさばきを委託いたしました。そのときに、いわゆる初期投資といたしまして、コンピューターのシステム……(発言する者あり)はい、の初期投資が三百五十一億円ということになっておったわけでございます。それを毎年返済していくということになっていたわけでございますけれども、十六年度末におきますその債務の残りというものが二百約四十億円程度というふうになっているということで、この二百二十億円程度という数字はその数字ではないかというふうに承知しております。
  152. 近藤正道

    ○近藤正道君 額について多少違いがありますけれども、いずれにいたしましても、りそな銀行の業務委託費、これがかなりの部分未払になっているということで、報道によりますと、りそな銀行がこのうちの百四十億円程度について五月中旬までに支払うよう催告をしていると、これが入れられない場合には提訴も辞さずと、こういうふうになっているようでございますが、五月中旬というともう間もなくでございます。どう対応されるんでしょうか。
  153. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  現在、日本スポーツ振興センターが十八年度以降の、今年度以降のくじの売上げの中から返済するということを基本方針といたしましてりそな銀行と協議しているところと承知しております。この両者間の協議が調い、解決されるということを期待しているところでございます。
  154. 近藤正道

    ○近藤正道君 解決されなかったらどうなるのかと、それを聞いているんですが、どうぞ。
  155. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 当然、平成十八年度以降の売上げの中から返済をするということを前提にしながら今両者間で協議をし、当然、提訴という事態を避けるようなことができないかということでの詰めた議論をしております。  ですから、今の段階で提訴になったらどうするのかとか、払えない場合にはどうするのかということは、いろんな事態が想定されると思いますけれども、余りこういう場で私どもの文部科学省の方からああだこうだと詰めて答弁するのはしづらい段階であるということは御理解いただきたいと思います。先生のおっしゃることはよく理解はしてやっております。
  156. 近藤正道

    ○近藤正道君 サッカーくじを経理いたします投票勘定の累積欠損金、十七年度末で二百四十六億円程度、こういうレベルに達しております。しかし、独法内のほかの事業からの補てんは行うことができない、そういうシステムになっておりますし、また国による補てんも現行制度では想定されていない、こういう状況でございまして、もしこのサッカーくじの事業で累積赤字を埋められない場合、どう対処するのかということでございます。  国民負担になるおそれがないのかどうか、大変心配もしておりますし、文科省の評価委員会、これを見ますと、サッカーくじの在り方について抜本的な見直しが必要ではないかと、こういう厳しい評価もなされております。この独法の官業体質を批判する声も出てきておりますし、また官だけ太って大変なこれは貧乏くじだという、そういう厳しい批判もなされております。  もうここまで来ますと、今後、サッカーくじそれ自身を一体どうしていくのかと、こういう問題ももうこれ避けて通れない、こういう事態になってきているというふうに思います。どういうふうに皆さんとしては御答弁をされるのか、お聞かせをいただきたい。
  157. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 当然、これは区分経理の中での処理ということになっておりますから、日本スポーツ振興センターの方から、じゃ何とかしますよということは想定されていないんですね。当然、同じように、国費を投入して補てんするということも想定されていない。法律上で言えばそういう経理状況になっておりますが、これは近藤先生御指摘のとおり、売上げのこと、今後のことを考えたら、あらゆる事態は想定して対応しなければいけないのは当然というふうに、責任は我々文部科学省としても感じております。実は、私も参議院時代に修正案の提案者としてかかわった者の一人として責任は痛感しております。  そんな中で、今まず五月のこの調整を、何とか提訴という事態にならないような今調整を水面下でしているのは事実です。それを踏まえて、まずやはり平成十八年度から始まった、二期のこの売上げをしっかりと伸ばしていくことを前提に取り組むと、こういう言い方でしか申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  158. 近藤正道

    ○近藤正道君 答弁の趣旨は分からぬわけでもありませんけれども、しかし、もうこれ数年にわたって甘い見通しとそして厳しい決算状況、この乖離はどんどん広がるばっかりですよ。そして、売上げ見通しも、こんなもの突然、どこから考えたって履行不可能、実現不可能、こういう数字を出して、累積赤字だけがどんどん膨れ上がっていく、そして今度は裁判だと。もう八方正にふさがり、四面楚歌じゃないですか。これもうやめることも含めて、私は本当にきちっとやっぱり説明責任を果たすべきだと。ここまで事態が進んでいるわけですから、しっかりとした説明責任、確たる根拠、理由を示す、そういう時期ではないかと、こういうふうに思いますが、もう一度、最後の御答弁、お聞かせください。
  159. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 先生の御指摘をしっかり胸に刻んで対処するようにいたします。
  160. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間でありますので、終わります。
  161. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 皆様、御苦労さまでございます。  早速でございますが、今日は日本銀行にも来ていただきました。日銀の旅費等の過払いについて報道がなされております。この件につきまして、どのような現状であるか。まず、会計検査院は、今日は会計検査院の方からこの日銀旅費の件でお話を──会計検査院、おりますか。はい。  会計検査院にお尋ねいたします。この日銀の旅費の過払い等の件で、どのような内容指摘なのか、教えてください。
  162. 佐野洋

    説明員(佐野洋君) お答えいたします。  日本銀行の旅費の支給に関しましては、本年一、二月の本店及び一部の支店の実地検査の際に、出張者である職員から領収証等の証拠書類を提出させないまま、航空賃の実費精算を行っていないなどの不適切な取扱いが見受けられましたことから、引き続き検査を実施しているところであります。  日本銀行では、この検査結果を受けまして、本院の要請により、本店及び他の支店も含めまして、出張一件ごとに出張時に実際に要した航空賃を特定するための内部調査実施していると承知しております。
  163. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これにつきまして、日銀はどのような今調査を進めていらっしゃるんでしょうか。
  164. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたしますが、まずその前に、今回の問題につきましては、先生方にも大変御心配をお掛けし、また世間もお騒がせしているということでございます。まずもって、おわび申し上げたいというふうに思っております。  調査につきましては、実は現在、事実関係を鋭意調べているという段階でございます。これから、私どもの感じといたしましては、六月ごろをめどに一応の調査結果を固めることができるんではないかと、そのように今考えておるところでございます。  以上でございます。
  165. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今予想される、あるいは今分かっている範囲で、どのようなところが問題だったんでしょう。
  166. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  先生、重々中身を御存じということのような感じがいたします。実は、問題発生の原因を今の段階で明確にはまだつかみ切れておりません。ただ、実は日本銀行では、航空機を利用して国内出張を行う場合、運賃につきましては基本的には事前に普通運賃などを基準に支給してしまいます。その一方で、事後的には出張者から領収書などの提出を求めないと、そのような扱いになっておりました。  こうした扱いを長きにわたって続けてきた結果といたしまして、出張旅費を支給する側でも、またそれを受け取る側でも、航空運賃につきましては定額支給であるといった認識が実は広がっていたということがあるようでございます。結果としては、このことが今回の問題発生につながった面もあるのではないかと、かように考えております。
  167. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 会計検査院にお尋ねしますが、今のようなやり方を、最初に渡しちゃって、そして実は割引券とか買ってもその差額、これは戻さないし領収書もないと、こういうのはいわゆる他の関係する国の役所、国の役所等々ではこんなことは当たり前に行われているんでしょうか。
  168. 佐野洋

    説明員(佐野洋君) すべての実態を把握しているというわけではございませんが、実は昨年、財務省及び厚生労働省におきまして一部にそういう取扱いがございましたので、それを指摘し、返還し、是正させたという事例はございます。
  169. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今、是正し返還させたというお話がありました。  実は、今日は、行政改革委員会が参議院の本当に重要な役割でございます。私、特別委員会設置して行革五法案をやらなくても、この委員会を随時開けると、このような形にして議論するべきであったのではないかという意見も一方で持ちますが、それだけに、委員の先生方にも、そして各役所の皆さんにもお聞きをいただきたいんですが、今のようなところで、国の制度の問題点でございます。  これは、地方自治法二百四十二条によりまして、いわゆる住民訴訟というのが認められています。今言いましたように、問題点を検査してくれ、その結果問題があったら返還要請したりあるいは訴訟まで起こせると、こういったことでございます。しかしこれは、首長は首長で昨日のように選び、議員は議員で選ぶという、それぞれが分離している制度の地方自治の下で行われる、そういった前提に立っております。国の場合は議院内閣制でございますし、直接に内閣である議員を我々が選んでまいりますので、直接にそうした訴訟制度、これを認めておりません。  これは、法学者等を含めまして学説分かれるところでございますけれども、私が申し上げることはまだ少数説と言ってもいいんだろうというふうに思います。  それはどういうことかと。公金の検査請求訴訟制度、言ってみれば、住民訴訟制度というものを国レベルに設ける国民訴訟制度でございます。国民自身が直接会計検査院に対して違法な疑いのある財政支出の検査を要請し、その検査結果に基づいて、措置に不服があるときは、当該、それに当たる財政行為の差し止めなどを求めて訴えを提起することができるということでございます。  こういうことを、今日の中馬大臣が冒頭に我々に説明した資料の中にこう言っているんです。改革というのは、国に頼りがちな我が国経済社会の構造を改革し、自立した個人地域、企業などが主役となって自己解決能力の高い経済社会をつくり、個々の主体の自立に向けた意識改革を行うものである、こう、意識改革であるということを国民の皆さんにも求めるものであると、こういうことを一方で言っているわけです。  つまり、小泉内閣の中身というのはこういうことです。国民に求めると言いながら、実は相変わらずお上意識なんです。もう一方で国民に、おかしいのではないかという手段を提供してこそ本来こうした行政改革財政改革、その上での増税の議論というのは、賛否別としてあるのでありましょう。こういった問題点が、NHKも我々の受信料で成り立っている、こういったことをずっと考えていくと、旧道路公団の談合、防衛庁による組織ぐるみの官製談合、こういったことが収まらないのではないでしょうか。  こういった問題点について、二十六日からの特別委員会においても、またこの委員会においても、提案を具体的に要旨、骨子として委員の先生方にお出しをさせていただいて、是非とも参議院としてのお立場としてこれらが立法化できるようにいろいろな意味での御議論をお願いしたいと、このように思っている次第でございます。  そういったことによって、今日は内閣総務省も来ていただいています、二十六日、行革特別委員会にそうしたことを総理にただしますので、その準備を併せてお願いしておきます。こういうことが起こってくるということです。  じゃ、解決策を持たないのでは我々もならないわけです。そこで、環境委員会でも提案をしておりますけれども、パーチェシングカードなんです。日銀さん、パーチェシングカードというのがあるんです。購買調達カードといいます。アメリカ政府では五割程度、三百万円以下はクレジットカードで調達して、今の場合旅費ですが、それによって旅費を支給するんです。一人一人が、それぞれが、いわゆる日本でいいますと支出負担行為の分任というものの権限を委譲してもらって、会計責任者でなければ払えないお金をそこに申し込むわけですね、出張する人が会計責任者に。そうじゃないんです。あらかじめ安いとか便利がいいとかそういったものをちゃんと、税金を大切に使う視点からもデータがそろっております、その中で、自分が分任された、日銀の口座にある、日銀の会計にあるカードで自ら購入してもいいです、一括購入してもいいです。明確にどこに幾ら使ったかということが出てくるわけです。  そして、今、請求書取らなかったと言いますが、自動的にクレジット会社から請求書は来ますし、最初に予算を立てるという会計制度の意識の転換なんです、ここも。事後監視や、その御本人の役人の皆さんのもう創意工夫や意識、これが変わっていく、やる気につながっていくという意味でも、その一つの、あなたにこの責任を与えますということなんです。これでアメリカ政府は、紙、こういったものの改革一つで、約、一枚当たりのものについてのそうした経費などで六千円から七千円経費を浮かしてます。日本の会計検査院に当たるGAO、多大な評価をしているわけです。先ほど言いましたように、三百万程度のものでは大体五、六割やっているんです。州もやっているんです、購買カード。様々なクレジット会社がやってます。そこにアウトソーシングするだけなんです。自らシステムを立てる必要はありません。  そして、そこから来る請求書やら何やらで日銀の会計担当の方が事後チェックをしっかりするということです。更に会計検査院が入っていくということなんです。透明性の担保なんです。同時に、そのデータが進めば、どこどこの飛行機会社で大阪便は安いというのが分かります。一括購入や割引購入が可能になるんです。税金が生きる道ではないでしょうか。  既にそういうことがあるということで日銀さんがいらっしゃるのに、世界の経済だ、日本の経済だということを呼んでいらっしゃるということに私は首をかしげざるを得ないんですよ。中国だけですよ、やってないのは。いわゆる常任理事国で言ったら中国、まだこの制度導入してません。日本も一部始まりました、役所で多少ね。徹底してやってない。徹底してやっていないから私は問題だということも言いますが、どうか、もう一方で、国民が自らこれは違法性があるんじゃないかと請求できる制度というものを会計検査院に対して行う、そして会計検査院はそれに基づいて、もちろん順番を決めていくというようなことを含めて対応していくという具体的な中身を二十六日に出さしていただきますので、委員の先生方とともに是非とも御検討いただきたいというふうに思います。  さて、そこで次の課題でございますけれども、グリーン購入、今日は自治省に特に来ていただきました、総務省の皆さんに来ていただきました。こういうこともあるわけです。これは、会計検査院はどのように解釈するかということではなくて、むしろこれ政策の妥当性ですから、この委員会の問題なんです。国では、グリーン購入というもの、鉛筆一本にいたしましても環境に優しいものを買いましょうということで、項目を全部挙げました。ほとんどのものを挙げた。そのものを買いましょうということで、グリーン調達は大体高く付きますけども、中央省庁レベルではこれはほぼ達成されております、その目標は。  ところが、地方に行きますと、このグリーン購入というものは努力規定にしたんです。議員立法でございました、これ。国にはそのように義務をして、環境の下で人間は生きていくしかないんだから、高い安いという目先の問題ではなくて、環境と共生していくという重要性から、これは国会議員皆さん自らが作った法律でございます。  しかし、地方においてはそれを義務にいたしました。国は、これは義務です。地方は努力にしたんです、失礼しました、努力にしました。その結果、何と、市町村段階で申しますと七二%の市町村が、これらの、買いましょうというそういう計画の策定をしていないということです。七二%策定していない。  何を申し上げたいか。全部交付税でお金が行っているんです。どれぐらい行っているかと。この間の委員会で御答弁をいただきましたけれども、かなりの金額が行っているんですね。努力でありながら、これは非常に必要なことだからということでグリーン購買については交付税措置をしているんです。企画振興費という中で、県にありましては約二千三百万円、市町村にありましては四千九百万円の予算のうちの、内数でこれを認めているんです。県は、標準団体が、百七十万の県庁が団体、標準としてみますが、それで大体交付税措置しているのは企画振興費という中の環境行政経費、この経費で二千三百万。市町村になりますと環境保全対策経費、こういう名目で、その中に含まれて四千九百万、全体が四千九百万です。その中の項目に入っているんです。この交付税を措置しながらやってないんですよ、努力でありながら。努力だからということかもしれません。高く付きますし、予算が高く付くから、掛かるから嫌だというお気持ちが、これが、調査でございました、環境省の調査です、今年発表しました。人手が足りない。  ところが、今やりましたようなパーチェシングカードというものを、海外でも使っておりますが、そういうものをやることによってコストダウンし、透明性が図られ、その余力が財政再建に向けられたり、グリーン購入の割高というものの購買に向けられる。いろいろな工夫の余地があるはずなんです。それこそ地方自治団体が、正に自治体主権の発想であります。それがなかなかうまくいっていないというのが現状なんです。  そこで、改めて総務省にお尋ねするんです。私が今言ったようなことで、この交付税措置に盛り込んでいるということは、努力でありますが、使われるという前提でこれは交付しているんでしょうか、どうでしょうか、そこの考え方を整理してください。
  170. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) グリーン購入についてのお尋ねでございますが、ただいま委員からも御指摘ございましたように、現在、地方公共団体におきまして環境物品調達方針を策定しておりますのは約三割の団体でございます。これにつきましては、今御指摘ございましたように、都道府県分、市町村分とも、これは環境対策経費の中で包括的に基準財政需要額として単位費用に積算基礎として入れておるわけでございますが。  したがいまして、これは、今御指摘ありました、例えば市町村ですと人口十万人の標準団体で四千九百万余りの費用が積算されておりますけれども、内訳の細かい積算は示されておりませんが、環境保全対策費という正に環境対策全般に係る需要費についてそれだけの額が措置されておりまして、その中には、ただいまの方針策定費以外も、簡単に申しますと地域環境基本計画の策定費、環境学習の推進、緑化推進、水辺環境の整備、地球温暖化対策等々、万般の地方公共団体が取り組む施策について所要の経費を積算しております。  交付税は、御案内のとおり、補助金と違いまして、地方公共団体が現在の社会環境の中で当該団体として標準的な行政として行うに必要な経費を見ておりますので、あくまでもこれは標準的な経費としてこのようなものが所要であろうということで見ております。  したがいまして、交付税は、その需要額を、いろんな費目のものを合算しましてトータルの基準財政需要額が出てまいりまして、そこから当該団体の税収を、地方税収の一定割合のものを基準財政収入額としまして、その差し引いた差額が交付税で配分されるわけでありますので、当該団体に配分された交付税の、渡された額のうち幾らがその分ということはもちろん特定できないわけでありますし、交付税として地方団体に交付されたものは当該団体の地方税と同じように当該団体の判断で使えるということでございますので、そこは補助金と違う点は御理解いただきたいと思います。  しかしながら、今委員からも御指摘ございましたように、この環境のためのグリーン購入、政府としましても積極的にこれを推進するということで、政府としては、平成十五年に閣議決定された循環型社会形成基本計画において、計画の目標年次である平成二十二年度までに、すべての地方団体が組織的にグリーン購入を実施するようになることを目標に掲げてございます。  また、このため、環境省では今年度、地方団体向けのガイドラインを作成するというふうに聞いておりまして、私ども総務省も、ただいまのように交付税措置もしておりますことから、地方団体においてこのグリーン購入を推進していただきますように、いろんな会議、地方団体のお集まりいただいた会議の場などを通じまして、グリーン購入の推進について呼び掛けて要請をしているところでございます。
  171. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 このように、お金は行っているけれども、それは自由な使い方で、回り回って環境に使われるということもあるでしょう。  しかし、我々は今、国も地方も、やはりその意味においては、国に押し付けたり、ちょっとややもすればそういったところ行き過ぎているんじゃないか。まして、逆に言えば、我々も地方に多大な主権と、期待を持っています。そうすると、この交付税の単位費用などということも含めて、お互いの税金であります、これらをどのように活用するかということはもう一回原点に立ち返って考える必要があると思います。  経済産業省に来ていただいております。経済産業省は、先ほど言いました、既にアウトソーシングして世界各国が使って、私はアメリカに賛成する部分を半分ぐらい、反対する部分は半分あるんですが、このパーチェシングカードというのは非常に実績を上げている。なぜこれをやらないで独自システムを三、四十億掛けてやるんです、あと二年後に。両方をなぜ比べてみないんですかと。  総務省に来ていただいたのは、特区でパーチェシングカードとそれから中央省庁でやった、経済産業省を中心にしてやっている会計システム、両方テストベッドで実験したらいいんじゃないですか。国でもやってみたらどうですか。そうして比較考量をしなければ、ここにいる委員の皆さんがどっちが優れているか分からないし、どっちが透明性があって談合防止になったり安くなるか、そして自然環境にもペーパーレスでつながるか、インターネットでも入れる、こういったことの比較考量する材料がないということは、これ自体、行政監視あるいは行政評価政策評価すべてにかかわる根本をここに集約されているような気がします。  どうですか、経済産業省、省庁でこれを実験するつもりありませんか。そして、時間がありませんので、総務省は特区でこういったことを両方、経産省がやるものとそしてパーチェシングカードのものを実験をしてみる。どっちをやれって言ってんじゃないんです、私。どっちって言ってない。実験をして国民にその説明責任を果たしたらどうだと、こういうことを、御意見を伺いたいと思います。  答えが出ない場合はまた次回にさせていただきます。
  172. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
  173. 西川泰藏

    政府参考人(西川泰藏君) お答え申し上げます。  委員御提案のパーチェシングカード、これによりまして物品購入に伴う支払業務の一部代替は可能かと考えておりますけれども、例えば、法令上義務付けられております相見積りを取る、そういった業務、必要なわけでございますが、そういったところの支援機能というのは含まれておりません。  また、物品購入後、クレジットカード会社に公金を支払うために、まず、そのクレジットカード会社が支払金額等の情報を各省庁に通知し、次にその当該省庁が支払に必要な情報を、官庁の事務データ通信システムというのがあるんでございますが、そこに入力すると。その二段階の手間が掛かることになるというふうに承知いたしております。  一方で、私ども経済産業省が政府のCIO連絡会議の決定を踏まえまして現在開発いたしておりますシステム、このシステムではパソコン上に物品及びその価格の一覧を表示するいわゆる電子モール、それを導入することといたしておりまして、これを利用することによりまして、職員は画面上で最も安い物品を直ちに識別でき、なおかつワンクリックで当該最も安い物品の購入手続が完了いたします。このことによりまして、物品購入において最も手間暇が掛かると言われております相見積り業務、これの大幅な効率化が図れるようになるというふうに考えているところでございます。  また、こういった情報は自動的に官庁会計事務データ通信システムに送付されますので、支払手続でございますとか、あるいは公金支出、そういったところまでがワンストップで行われることになりますものですから、また、購入情報、これを把握し、あるいは透明性を確保するという上で、購入者でございますとかあるいは購入品目あるいは価格、そういったいわゆる購買情報、これを自動的にデータベース化する、そういった機能も有しておりますものですから、こういった私どもが目下開発中のシステムを霞が関の全省庁導入されるようになりますことで大幅な業務効率化が図れることになるものというふうに考えているところでございます。  現在開発中のシステムは、繰り返しになりますけれども、見積り業務から発注、契約、支払、購買情報管理までの全業務を言わばワンストップ的に処理できる、そういったシステムの開発を目指しておりますものですから、委員御提案のパーチェシングカードが提供し得る機能も私どもとしましては包含しているというふうに考えているところでございまして、これが実現することによりまして購買業務の着実な合理化が図れるものというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  174. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 高部自治行政局長、簡潔にお願いいたします。
  175. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 地方公共団体がクレジットカードを利用して決済するということは、現行の地方自治法上禁止されていないところでございます。  パーチェシングカードシステムというのは、必ずしも明確でない部分ございますけれども、地方団体で特区的にやったらどうかということでございますが、現行制度上、法律上禁止されていないという状況でもございますので、これらは地方公共団体からの御要望を踏まえて、こういう課題があるというようなことも明らかにしていただいた上で検討させていただくような問題ではないだろうかと考えているところでございます。
  176. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 終わります。
  177. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会