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2006-05-25 第164回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月二十五日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  五月二十四日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     神本美恵子君      浜田 昌良君     山本  保君      近藤 正道君     福島みずほ君      亀井 郁夫君     荒井 広幸君  五月二十五日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     大久保 勉君      鈴木  寛君     岡崎トミ子君      藤本 祐司君     内藤 正光君      小林美恵子君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 佐藤 昭郎君                 藤野 公孝君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 直嶋 正行君                 風間  昶君     委 員                 秋元  司君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 川口 順子君                 小池 正勝君                 後藤 博子君                 関口 昌一君                 田浦  直君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 南野知惠子君                 浅尾慶一郎君                 大久保 勉君                 岡崎トミ子君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 主濱  了君                 鈴木  寛君                 内藤 正光君                 広田  一君                 柳澤 光美君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 山下 栄一君                 山本  保君                 大門実紀史君                 福島みずほ君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣臨時代        理        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君        財務大臣    竹本 直一君        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        山谷えり子君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局特殊法人        等改革推進室長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        上田 紘士君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公益法人        制度改革推進室        長        中藤  泉君        内閣府市場化テ        スト推進室長   河  幹夫君        内閣府政策統括        官        高橋  進君        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        松山 隆英君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        財務省主計局次        長        松元  崇君        財務省理財局次        長        日野 康臣君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君        林野庁長官    川村秀三郎君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君    参考人        日本郵政株式会        社代表取締役社        長        西川 善文君        日本郵政公社理        事        山下  泉君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革  の推進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公益社団法人及び公益財団法人認定等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及  び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○競争導入による公共サービス改革に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、浜田昌良君、近藤正道君、亀井郁夫君及び那谷屋正義君が委員辞任され、その補欠として山本保君、福島みずほ君、荒井広幸君及び神本美恵子君が選任されました。  また、本日、藤本祐司君及び小林美恵子君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君及び大門実紀史君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案の審査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、日本郵政株式会社代表取締役社長西川善文君及び日本郵政公社理事山下泉君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 おはようございます。自由民主党の保坂三蔵でございます。  今日は東京は快晴でございまして、大変快い朝を迎えました。  衆議院で上がってまいりました行革関連法案参議院におきましてはおおむね六十時間に達しまして、鳥取県の地方公聴会を含めまして、衆議院の決定した案件につきましてより一層深掘りができました。これも、野党の民主党始め各党の皆様の御協力のおかげだと感謝をしているところでございます。  「月日は百代の過客にして行かふ年も又旅人也」、これは私が好きな芭蕉の「奥の細道」の序文であります。悠久の時の流れの中で、正に私たち人生は一瞬、星の瞬きとも言える短い時間でありますが、こんな時間の中に私は、希代の指導者として小泉首相と同じ時代に、そしてまた同じ政治の場で国民国家社会のために、また世の中の改革のために努力をする機会を得ましたことに非常に私は感謝をしております。  私が実は所属するグループは、小泉総理に一番抵抗した人たちが多く擁するグループでございまして、いささか複雑な心境であり、また郵政問題では後遺症が少し残っているかなというところはございます。しかしながら、私の選挙区は東京でございまして、東京及び一都三県は小泉改革の原点だと自認しておりまして、総理を信じて行動をともにしてまいりました。おかげさまをもちまして、昨年の総選挙また都議選なども大勝利でございまして、世論の支持を受けたものと、こんな思いでございます。  また、今月のアメリカの「タイム」なんでございますが、ここでも、世界を動かす百人という特集が組まれておりまして、この中に日本からはたった一人小泉総理が、また政治家として初めて登場しております。古い日本を壊した首相というキャプションなんでございます。この中で総理は、非常に面白いキャラクターだと、そしてテレビを活用して、まあハンサムで率直な一匹オオカミ、こういうイメージを国民に持たした、こういう評価がされているわけでございます。  考えてみれば、佐藤栄作総理そしてまた吉田茂総理、この両巨頭を後にいたしまして歴代三位という長期政権になりました。今日の率直な心境国民の前に御披瀝いただきたいと存じます。総理、お願いいたします。
  7. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 当初は、総理就任したけれども、三月もてばいいかなという感想がよく聞かれました。四月に就任いたしまして、九月に自民党総裁選がありますし、その間、七月には参議院選挙ですか、参議院選挙済んで九月に総裁選挙があるから、そのとき替えればいいなと思っていた自民党議員もかなりいたようでありますが、結果は、参議院選挙におきましても国民支持によって自民党勝利を与えていただきました。  その後、毎日毎日全力投球して、決められた任期までは精一杯頑張ろうということで改革に邁進してまいりました。気が付いてみたら五年が過ぎていたというのが率直な感想であります。これから、残された任期総理大臣の職責を果たせるよう、これからも全力を尽くす決意であります。
  8. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 同じ昭和十七年生まれの、しかも慶応大学出身小沢代表が登場しました。残された時間でございますが、総理の御健闘をお祈り申し上げます。  改革なくして成長なし、この言葉を持って五年前、勇躍として登場した小泉総理、あのころはバブル崩壊後、失われた十年、やゆされまして、航路なき海路を行く日本丸と、こういうふうに言われたわけでございますけど、よくぞ頑張って、そして日本に見事に活力を取り戻してくれたと思っております。聖域なき改革国民意識を変えました。また、私は時代も変えたと思います。  そこで、総理の口から、この構造改革成果について国民に御報告をいただきたいと存じます。
  9. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、新しい時代変化していく時代において自民党も変わらなければならないと、政権を担当している自民党がこの新しい時代に引き続き国民から支持を得ることができるか否かというのは自己変革に懸かっているんだと、今までのやり方では自民党通用しませんよということで私は自民党総裁選に立候補したわけでありますが、そのときの端的な言葉は、自民党を変える、変わらなければぶっ壊す、そこを外されまして、変えるというところを離されて、自民党をぶっ壊す、自民党をぶっ壊すというところだけワンフレーズで取られたんですよ。  実際、今までの自民党変化というのは皆さんも感じているところだと思います。その端的な例が、郵政事業民営化なんというのはとんでもない、暴論だと、ほとんど反対でした。だから、結局法案自民党が造反して否決されちゃいましたね。  しかしながら、このように、今まで自民党支持してくれる声を無視して政策は語れないと、自民党を熱心に長年支援してくれた支持勢力の意向に反して改革をやるなんというのは正に変人じゃないかと、そういう中で、与党野党反対論が多い中でこの郵政民営化、実現できた。誠に感慨深いものがあります。  そうすることによって、やっぱり改革していかなきゃならないなと。自民党歳出削減重要性認識して、予算要求、これは増税につながる、歳出削減、これは痛みを伴う。非常に難しい状況でありますけれども、今、増税の幅を少なくするんだったらば歳出を切り込んでいくべきだと、まだ切り込める分野があるのではないかと。めり張りを付けて、増やすべきところは増やす、となると減らすべきところも考えなきゃならない、政府与党一体となって改革を進めていかなきゃならないという意識変革がもたらされた、これが一番大きいと思います。  あとは、就任当初、景気が停滞しているから、借金覚悟でもっと予算を増やして公共事業を増やせ、あるいは減税しろと、これは今までの政権政党なり政界の、あるいはエコノミストたちのかなりの部分で言われたことであります。不景気のときに不良債権処理をすると、ますます不良債権は増えてくる、デフレスパイラルに陥ると。まず景気対策をやって、予算を増やして公共事業を増やして、景気を良くしてから不良債権処理を進めるんだというような声も聞かれましたけれども、いや、予算も増やすことはできないと、公共事業を減らす中でそして不良債権処理を進めていった。  様々な批判は浴びましたけれども、このような不景気の状態で不良債権処理を進めていけば、失業率は増える、企業倒産も増える、景気デフレスパイラルに陥るという予測は全部外れました。失業率は改善しています。倒産件数も減ってきている。今、景気回復軌道に乗っている。不良債権処理は目標を達した。  地域においても、一地域観光東京にはない、田舎には田舎の良さがあると。外国観光客も増えている。地域におきましても、特色を出していこう、それぞれの地域には特徴がある、違いがある、その違いの良さを知ってもらおうということで、一地域観光、あるいは全国的に規制緩和というのは無理かもしれないけれども、特別の地域に限って特区制度地域を振興をしていこうと。  具体的な例で言えば、民宿ではどぶろく造っちゃいかぬと、お客さんに出しちゃいけないというのも、それはある地域において認めようじゃないかといってどぶろくを認めたら、その地域民宿お客さんも増えて、地域も活性化してきたと。あるいは、ある学校では低学年から英語を教えたいといったら、よその地域からもその学校に入ってきたいと言ってきた。  あるいは、農業においても、輸入を阻止するばっかりじゃなくて輸出することも考えたらどうかと。最近は、日本のリンゴやイチゴやあるいはナガイモにおいても、高くても買いたいという外国が出てきた。お米でも輸入阻止ばっかりだけれども、お米でも、日本のお米は食べてみるとうまいと、外国に輸出しているような状況になってきた。あるいは、水産物でもそうです、ホタテガイにしても。様々の地域の物産においては、おいしければ売れるなと。おいしいものを作ろうという、農林水産業においてもやればできるんじゃないかと。農耕地においても法人をつくって休耕地を開墾したいという、農業を何にも経験してない人までもできるような体制にしたと。それがまた新しい農業に少し変化を起こしてきたと。守るだけじゃなくて攻めの農政を展開していこうと。様々な分野において私は意欲が出てきたと思います。  当然、まだ今のままがいいと、変えるのは嫌だということの批判なり反対が出てきておりますが、やっぱり時代の対応にいかに合わせていくか、変化に対応していくかということの重要性意識してきた企業個人地域も多いんじゃないでしょうか。まだまだこの変化に対応できず、自分たちは取り残されているなという地域企業個人もおられます。今後、そういう分野に更にこの景気回復の波が行き渡るように努力をしていかなきゃならないと思っています。  また、失業率が改善したといっても、いまだ職を見付けることができない人たちもいます。そういう点に対しては、より細やかな訓練なり研修なり、就職できる、仕事を見付けることができる対策も講じていかなきゃならないと思っております。
  10. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 総理、ありがとうございました。  国民にやればできるという、やる気を育てた、これは大変な意識変革であります。  今お話がありましたように、その中でも日本経済再生は目をみはるものがありました。ルックイーストという新しいまた部分での意識周辺国にも出てまいりました。日本経済再生の軌跡を、できましたらば与謝野経済政策担当大臣、簡単に御説明いただきたいと思います。
  11. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 日本経済は、小泉政権の下で非常に苦しい時期を乗り越えて、今大変順調な状況になっております。失業率も落ちてまいりましたし、有効求人倍率も一を超えてまいりました。加えまして、やはり個人消費設備投資、輸出、これが一つに偏ることなく、バランス良く日本経済の発展のために貢献をしていると。大変バランスのいい状況でありますし、一番大きな特徴は、財政出動によって有効需要をつくり出すという従来の財政考え方経済運営考え方から全く脱却をして、正に民間主導経済というものを定着させたというのが、この五年間の小泉政治の私は一番貢献であり、一番大きな特徴であると思っております。  したがいまして、薬に頼ることなく、自力で健康を回復したというのが今の日本経済の姿でありまして、いろんな学者の方、日銀の予測政府予測、こういうものをすべて総合しましても、大変手堅い経済状況というのがこれから相当長期間にわたって続くということが予想されているわけでして、これは五年間の苦労が正に実ったと、そういう状況であると私は思っております。
  12. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 ありがとうございました。  日ごろ大臣がおっしゃっている選択と集中、この実効性が実に見事に上がってきている、こんな五年間を顧みていただいたわけでございます。  しかしながら、現実には、物事には光が当たっている部分があれば影の部分がある。今国会でも格差論議が華々しく展開をいたしました。私も、この所得格差の論争では、優勝劣敗だとか、あるいはまた自殺者が増えた現象だとか、就学の奨励補助金等が多くなってきたとか、いろいろな現象がございます。  これらは、ある意味では、内閣府でも言っているように、所得格差は穏やかであるけど拡大している、こういう認識にあるわけでございますけど、もうそろそろやはり格差問題も正面から論じられるべき存在になってきたんじゃないかと、このように思うわけでございますが、この辺りの政府認識を承りたいと思っております。  また、安倍官房長官には、これは次の政権の政局にもなる大問題であるというような御見解もございましたが、引き続いてこの格差問題、将来にわたってどういう取組をしていけばいいか、御見解も承りたいと思っています。
  13. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 小泉改革成果については、小泉総理御自身から、また与謝野大臣から説明がございました。この五年間で見事に我々は日本経済を立て直し、正に自律的な景気回復軌道に乗せることに成功したというふうに思っております。  昨今、格差についていろいろと議論があるわけでございますが、私どもが改革で目指した社会というのは、頑張った人が、一生懸命汗を流した人が、そして知恵を絞った人が報われる社会をつくっていく。フェアな競争をして、公平公正な競争の中でお互いが切磋琢磨をしていくことによって経済の力を押し上げていく、国力を引き上げていく、それが私たち改革の目指すところでございます。  当然その中で勝つときもあれば負けるときもあるわけでありますが、大切なことは、勝った人たち、負けた人たちをそのまま固定化する、階級化させてはならないということではないかというふうに思っています。私は、だれでもがもう一度、また何回もチャレンジできる、また多様な生き方が認められる社会をつくっていくことによって、この活力は今後とも維持をしていくことができると、こう思っています。そのために再チャレンジ推進会議をつくりました。  一度例えば会社経営失敗した人ももう一度会社を起こそう、そういうことが可能な社会をつくっていく。会社を離職せざるを得なくなった人が、意欲を持っていれば、また能力があれば、もう一度職業訓練を受ける、あるいは資格を取っていくと、そして更なる意欲をかき立てていけば再就職が可能になっていく。あるいは、十八歳で受験に失敗しても、それが一生を決めない、そのような社会をつくっていきたいと、こう思っています。  先般、日曜日に、札幌において再チャレンジタウンミーティングを開いた際にも、そうしたいろんな経験を持った方々に集まっていただきました。会社倒産してしまったけれども、大変苦労して会社を起こして今大成功を収めている人もいました。また中には、非行に走って少年院に入ったけれども、すばらしい先生に巡り合え、また保護司の先生にも巡り合ったことがその後の自分人生を変えたという人もいました。  再チャレンジを成功させるためにどんな障害があるか、どんな支援が必要か、どういう考え方を変えていかなければいけないか、いろんなそういう意味においては示唆を受けたような気がいたしたわけであります。骨太の方針にしっかりと入れ込んでいくためにも取りまとめを急いでいきたいと、このように思うわけでございます。  大切なことは、頑張った人が報われる、しかし何回もチャンスがある、そして格差については、これは、政府としては顕著な格差は認められないということが私たちの方のこれは現在の分析ではありますが、しかし、格差を感じている人たち、あるいはそういう地域があるんであれば、そういう方々に勇気を与えていくのも政治の役割ではないかと、このように考えております。
  14. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 我が党の片山虎之助幹事長も、構造改革格差が広がるという論理は実は論理矛盾だと、こういうふうに指摘しております。しかしながら、マスコミなどでも二十年遅れのサッチャリズムなどと言われておりますけど、本家のイギリスにおきましても、所得格差は教育の格差につながるような論争が今でも展開されております。激しい競争社会の行く末は、新しい言ってみれば階級社会を生んでしまうんではないかという見解、危惧もございます。  そういう点で、格差を解消するためには、民間や国民だけが力を持つだけではなくて、その指導に当たる国も、いわゆるグローバルな中での日本という国も、国富や国力をしっかり蓄えていかなければこの格差問題はなかなか対応が難しくなってくる、こういう性質のものじゃないかと思うわけでございます。  国の長期債務が地方と合わせて一千兆になりました。これは国の、政府の短期証券も加えての数字でございますけど、いずれにいたしましても、このままいきますと、やはり一千兆円というのは、率直に申し上げれば、日本経済社会が奈落の底に、どん底に陥ろうとしたときに支えた実は功労者なんであります。しかし、この功労者も今になってみれば重荷になってきて、国の財政構造を圧迫して、硬直化しております。  そういう点で行政改革は、もうこれは何としても速いテンポで進めていかなくちゃならない、このように考えるわけでございますが、行革の関連法案の理念と目的について、もう一度国民の前で御説明を賜りたいと思っております。
  15. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 保坂さんは冒頭に、こうした大きな歴史的な変革といいましょうか、その中に、総理の下でこうした大きな改革に従事することの喜びをおっしゃっておられました。正にそうなんですね。  これは、明治維新でそれまでの鎖国を解いて、後れて西欧近代工業社会、これを目指した日本としましては、すべて官僚に任せたといいましょうか、中央に金と権力を集めて、それでもって追い付き追い越せをやってきたわけでございます。その結果、本当にあの当時としましては西欧の列強に追い付き、ロシアを負かすまでにもなったんですけれども、軍部の力が強過ぎたことと、それと、あの大正デモクラシーという形でかなり民が力を得始めたときにそれをつぶしてしまったのも、これまた日本の過ちであったと思います。  そして、あの敗戦を迎えて、そしてまたこの焼け野が原の中からまた立ち上がる、そのときもやはり同じ手段で、中央に金と権力を集めて、そして大変な効率良くこの日本の国を近代化に持っていきました。西欧に追い付きました。アメリカに次ぐ世界第二の経済大国に仕上げたわけでございますが。それはそれで良かったんでございますが、しかし一方、そうした形で政府に頼り過ぎたといいましょうか、ですから、一般の個人もあるいはまた地方もそれぞれの企業も、若干おんぶにだっこといいますか他力本願で、そこに依頼心が強くなってしまって、自己責任ということが若干薄くなってきたことも、これも事実でございます。  一方で、大きくそれぞれの個人地域企業が力を持ち始めまして、むしろそこに渡した方がこれからの新しい活力が出てくる。逆に、今まで官僚に任せておった点でだんだんだんだんと活力が薄れてきて、かつてのあの一〇%の高度成長が今やマイナス成長に時にはならんとし掛けたわけでございますが、しかし、ここでようやくこうした大きな改革の火の手が上がり始めた。それをリードしていただいたのが小泉総理だと私は認識いたしておりますし、そしてそれに大きな国民支持を与えまして、それがこの間の、形として現れましたのが昨年の総選挙だったと思いますね。  そういうことから、これで一つ、これの総仕上げといいましょうか、総仕上げじゃありません、これから始まるのかもしれませんが、ともかくとして、今までの官僚に頼っておったところをもう民に任してしまう。ですから、制度、政策金融につきましても、今まで官庁がそれぞれ金融の仕事をしておりましたところがありました。これも、もう一切官庁から外して全部まとめまして、それぞれもう民営化できるところは民営化していく、この形を取っておりますし、それから市場化テストといいましてお役所がしている仕事を民間に渡していく、これも競争入札をさせるんですからね、これも官から外していく。  いずれにしましても、そういう形で民の方に相当な力を持たして、そこに責任を持たせていく。これは、今委員もおっしゃいましたように、これは国民意識改革でもございます。もう自分たちで自由にやらしてほしい、その代わり責任を持つんですよと、こういう形がこの行政改革の大きな目的でもございます。  そういう理念に基づいて、この改革を何としてでも、これをやり遂げましたならば、日本の明治維新、そしてまた戦後のあの大きなGHQに指導された民主改革、しかし実際は中央集権であったと、これが初めてここに来て、平成の維新といいましょうか民主革命、新たな私は第三の一つの改革に進んでいく、それが今回の行政改革の理念であり、また目的であると思っております。
  16. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 ありがとうございます。  これは、今回の法案内閣が提出した法案ではありますけど、ただいま行革担当相からお話がありましたとおり、法案の生成過程におきましては、公明党さんと自民党与党が長い時間掛けまして深くかかわってまいりました。徹底した議論も尽くされた上でこの法案がまとまったという経緯を思い浮かべます。  明らかに目標値や、言ってみれば期限を明確にしました。その意味では、単なるこれはプログラム法ではないと私は思っております。その重みのある法律は、ここで成立いたしますれば、後々どなたが総理大臣に替わられましてもこの方向でいくんだというしっかりとした方向付けが明確にされるわけでございまして、この五法案の成立を私は期して待ちたいと思っております。  すべて国民に関係する行政改革ではございますけれども、とりわけ政策金融改革はこれはじかに国民の生活に影響してまいります。私、ここで改めて経済産業大臣にもお尋ねしたいのでございますけれども、メガバンク六行グループが史上最高の利益を出したということで、喜んでいいのか複雑な心境でございます。土砂降りの雨の中、傘をさっと引かれた思いはいまだに消えません。低い金利でお金を預けるけれども、いつの間にかまた住宅ローンは高くなった。これはもうリテールサービスというのは本当に体質が強化されないから、もうその面での強化というのはどうなんだろうかという国民の疑問もあります。  この中で、政策金融はもうずっとこの厳しい時代国民生活支えてきた言ってみれば柱であります。これが一本にまとまった結果、効率的になるとは言いながらもかゆいところに手が届かなくなっている。こういう国民の命綱を外されるような思いで中小業者、とりわけ零細業者、皆さん心配をしているわけでございますけれども、その辺りの懸念につきましては経済産業大臣の御見解を承りたいと思います。
  17. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 保坂議員は常々中小企業問題に大変な情熱を注いでおっていただく、そういう議員からのお尋ねでございますが、私は、今議員が御指摘のように、中小企業の皆さんが今度の改革によっていささかも困難に陥るようなことのないように、そして今議員からも御指摘がありましたが、嫌な言葉でありますが、雨が降っているときに傘を取り上げる、私はもう誠にこれ人道的にも言語道断のことだと思っておりますが、金融機関にはえてしてそういうことがあるということをしばしばこの問題に取り組んでいる最中にいろんな場面で伺うわけでありまして、大変残念なことであります。私は、そういう意味で、今後中小企業のための金融機関として新しく統合される新政策金融機関が中小零細業者の皆さんのためになるような金融機関であってほしいと心から願っております。  そういう意味で、これから具体的な制度設計に入っていくわけでありますが、当委員会におきまして与野党を通じて熱心な御議論をいただきました。私は、そうした議員各位の御意見を体して、今度の制度設計におきまして中小企業の皆さんが困るようなことにならないように、そして何かのときには頼りになることのできる金融機関であり続けるということが大事であります。改革を大いに断行して、そして統合された新しい金融機関がより安定感のある金融機関として国民の皆さんの期待にこたえる。  特に、中小企業の問題でありますが、議員も御承知のとおり、我が国には四百三十二万社の中小企業が存在いたします。保坂議員が特にお世話をいただいている東京の中小企業、これは五十万五千軒存在するわけであります。こうした皆さんが力を出していただくことが日本経済をより安定的に、そして我が国を大いに発展させる。  私はいつも申し上げておるんですが、これは私の希望で、願望でありますが、例えば四百三十二万社の中小企業、これをこの二つの企業のうち、一社一人の新たな雇用を創出していただくとすると、約二百万人の雇用がそこから生まれてくるわけです。いきなりそういうことは実現できなくとも、例えばその中から三十万人でも五十万人でも、やり方によってはそういうことが可能なわけです。それは地方に直結しているわけであります。  その重要性をかんがみて、今後中小企業に何が必要かというと、やはり金融なんです。その金融をどうするかということが大きな課題であると思っております。議員と問題意識を共有しながら今後の最終的な制度設計において万全を期してまいりたいと思っております。
  18. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 ありがとうございました。  農林漁業融資にいたしましても公営企業金融公庫にいたしましても、それぞれ政策を持った政策目標実現のための重要なツールでありますから、これっておろそかに扱うことはできないと思いますけど、とりわけ国民の大半は中小零細企業でございますから、この部分の方々の懸念というのはどうしても、今回の政策決定は官はあくまでも民の補完だと、こう一言で言い切らないで、やっぱり官も引かないんだよというような今二階大臣のお話のようなことを、内閣の責任者として、総理のお言葉から是非国民に安心してほしいというメッセージを送っていただければと願います。
  19. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは今、二階経産大臣もこの中小企業重要性を指摘されましたし、統合されたとしても必要な機能は残すということであります。今後、様々な変化に対応できるような、成長できるような融資の手法も、民間機関も今研究に取り組んでおりますし、政府の機関としてもそのような機能が補完できるように、国は国の役割、民間は民間の役割があると思いますので、その辺もよく見直しながら対応していきたいと思っております。
  20. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 今国会終わりますと、制度設計もう進んでいると思いますが、個別法もどんどん出てくると思います。どうぞ国民の願いを生かしていただきたいと思っております。  また、行革法の中で、資産、債務の改革というのがございます。  この中で私、国家はやはり無駄なとは言い切れませんが、余裕がある資産は売却していくとか、そういう新たな方向を明確にしたわけでございますけど、今テレビなんかで公務員宿舎の売却の問題が大分問題になっているんですね。青山の一等地に安い価格で公務員がいて、便利だとか少しぜいたく過ぎるとか、すぐテレビのお茶の間へ入ってくるとそうだそうだってなるんですけど、しかしそれ自体にもし目標があったらば、だれもそんなことは言わないわけですね。国家公務員がそこにいてくれれば安心というのを持つわけだ。東京都民だって、銀座四丁目にある交番をぜいたくだとか、どかせなんて言う人は一人もいませんよ。  そういうことを考えますと、都内にある二万戸を超える国家公務員の住宅、とりわけ都心三区の住宅を売却して遠隔地に持っていくというんですね、横浜のみなとみらいだとか米軍キャンプの跡地だとかで。これはまた、ラッシュアワーを激しくするだけですしね。それから、それだけは言うなよと言ったんですけど、そんなことをやったら喜ぶのは痴漢だけじゃないかなんてだれか言われましたけど。本当にそういうことが現実的に分かっているような状況の中で、皮相的に国家公務員の宿舎を売却することによって財政の負担を軽くしようというのは、ちょっと私はせつな的ではなかろうかと思うのでございますけど、御報告を願いたいと思います。
  21. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 現在の厳しい財政事情を考えますと、公務員宿舎のようなものももっと高度に活用して、そして不要な部分が出てきたらそれを売却し、そしてそれを国家財政の再建に役立てると、私はそれは基本方針だと思っております。  しかし他方、今、保坂委員がおっしゃいましたように、東京都心に住んでいる公務員、こういう人たちの中には、危機管理のときに何かこういう、そういう問題が起こったときに直ちにその部署に駆け付けなければならないと、こういうようなこともございまして、まあ今銀座四丁目の交番ということを言われましたけれども、やはりそういう職務をきちっと果たしていただかなきゃならないということもあるわけでございますね。  今、民間有識者に検討をお願いしておりまして、その辺りのことも十分踏まえながら、より高度な活用は何か、こういうことでやっていただいておりますし、また、国有地あるいは宿舎の管理の仕方についても、民間の考え方を取り入れながらもっと効率的にしていこうと思っておりますが、今委員がおっしゃった危機管理等々の面も十分考えて対応したいと思っております。
  22. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 公務員宿舎全部ではないのでございますけど、危機管理用宿舎、五棟二百七十二戸、これは、ここに入っている方々は、一朝有事の際にはすぐ官邸だとか自分の所属している役所へ行って防災の指揮官になんなくちゃならない。そういう立場の方々が入っている五棟二百七十二戸も、これも売却の対象になっているんですね。ですから、ちょっと私はその点では問題があると思って仕方ありません。  それから、東京にあるということを是非御認識いただきたいんです。  これは、東京で直下型の地震が起きる被害想定が出ましたが、一瞬にして一千四百万人の方々が足止めされるんですね。そのうち四百八十万人の方々が帰宅困難者になる。東京駅には十万人以上、新宿にも池袋にも十万、十万、渋谷にも十万、大勢の人がもうパニックですよ、駅に押し掛けて。その中に、実は国家公務員も一緒に行ってパニックに加わるんでしょうか。私は、それはおかしいと思うんですね。  東京都は、十万を超える職員に、災害時には非常配備態勢というのを、規定が、全部マニュアルができておりまして、すべて公務員として行動せよというランクが一、二、三、四、五。五までになりますと、全員の公務員が、まず家族の安全を確認した上で、次に都民のため、こういう態勢ができているんですが、どうも国の方はこれがないんですね。二万戸の国家公務員住宅に二・何人いましても五万人の国家公務員いるわけでございます。  そろそろ、そういう点では、東京という危ない非常に厳しい状況下の都市にあるという認識をお持ちいただいて、売却もさることながら、都心三区売却して五千億と言われている、今入ってくる収入。五千億って大きいですよ。しかし、考えようによりますと、日本橋の上の高速道路建て替えだけで五千億掛かると言っているんですから、考えようによれば、もっと小さいですか。
  23. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何通りもある。
  24. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 まあ三通りある。これは、ニッカ、サントリーじゃありませんが、三つあるんですが、いずれにいたしましても、そういうお金の価値はなかなか五千億だけの重みでは考えられないものありますけど。  しかし、公務員住宅が欲しいという都民の声、二十三区では、わざわざ地元に区の職員住宅を高いお金掛けて造るんですね。それで、そこに来てもらえば安心だというような公務員に対する信頼感がある。これは大事なことじゃないでしょうか。  計画見直しするに際しまして、この意識をどうぞ盛り込んでいただきたい、このように思います。もう一度。
  25. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 確かに委員のおっしゃるように、危機管理その他は私どももよく考えていかなければいけません。そして、ですから、高度に利用するということの中で、高度利用を考える中で、危機管理にもきちっと対応し、そして無駄なものは、不要なものは売却して国家財政再建に役立てると、こういうことできちっと考えていきたいと思っております。
  26. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この資産の売却、有効活用というのは、東京の一番土地の高いところに各省別々に低層の公務員宿舎を持つ必要があるかどうかということもあるんです。そして、現にある役所でも、例えば大蔵省、財務省、古い建物、一等地に七階建てでいいのかと。危機管理のためだったら各省が別々に持つ必要ない。今の官庁を改造するなり、そこへ泊まってもらえばすぐ駆け付けることができる。  だから、今のままはおかしいと。各役所別に公務員住宅持つ必要もないと。国家公務員全体として考えて、売れるべきものは売れる。公共施設として活用できるものは活用する。もっと土地の安いところで、集中的に今よりも高いビルを建てることによってコストも削減できると。  言わば、単に売却すればいいということじゃないんです。有効に活用しようと。民間に売却すればいいというだけでもない、公共施設として活用できるものは活用すればいいという、そういう全体を見直すべきだと、決して現状がいいと思ってないと、そういうことなんです。
  27. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 総理、交通整理していただきましてありがとうございます。  私も、全くそのとおりだと思います。売っちゃいけないという意味ではございません。高度化して効率的な使い方をする、それは今最も望まれている方向だと思いますが、公務員たたきだとか、あるいはまた公務員の責任がないとかいうような、言ってみればそういう皮相的な議論が、議論というよりも論評がテレビなどで躍っているわけですね。現場を見てこれはどうのこうの、そういうことが見るにつけまして、今度の行政改革は公務員の協力も得なくちゃならない、また公務員も責任を一層明確にして国民の理解を得る、こういう行政改革法案の行く末であってほしいと願っております。  次に、私は、政府が官製談合の防止策として公共工事の入札を原則一般競争入札にするという方向を打ち出しました。これは、過日の委員会でも取り上げられましたけれども、日本経済新聞社の調査によりますと、昨今、競争入札を一般にしましたので、落札率、予定価格の九五%から八五%まで下がったというんですね。総理のおひざ元の横須賀市では、電子投票による一般競争入札を実施したところ、最低価格八五%ぐらい落ちた。年間で四十五億円のお金が浮きましたと、計算上ですね。これを追加工事だとか子育て支援策なんかに回したと。これは知恵のあるやり方だと、こう今言われているわけなんです。しかし、じゃ予定価格というのは高過ぎるんじゃないですかという論議も出てまいります。それから、安けりゃいいのかという議論も出てまいります。  これは私の地元の台東区というところで、今度は平成二十一年にできる病院なんです。(資料提示)これは基本設計を入札で、一般競争入札に出しました。予定価格は三千六百万円でした。基本設計というのは、実施設計のおおむね三分の一か四分の一を占める。概要を決めるわけですから、実施設計はあとは下請にもできるような内容になってくるわけでございますけど、これを三千六百万円の予定価格でいたというのを八千三百円で落としたんです。(発言する者あり)いや、万円じゃないです、八千三百六十円で落とした。八千三百六十六円、けたが違うんですよ。八千三百六十六円。学生アルバイトの一日のあれにもならないですよ、これ、三千六百万で予定価格して。結局、予定価格の宣言をしてなかったものですから落とさざるを得なかった、公取にも相談したと。しかし、どうなんでしょう、これ。安けりゃいいんですかね。  例えば、先ほど申し上げたように、日経の記事ではこうなっているんですね。一般競争入札にしたことによって、国の公共調達は三十六兆円あると。おおむね半分は指名競争入札だから、これも一般競争入札で落札率を八五%まで落とせば、何と二兆円が浮きますよと、こういう言い方。消費税一%に近くなりますよと。しかし、安けりゃいいんですかね。私はそのことを思います。  名前をはっきり申し上げますけど、この会社は松田平田設計事務所。おかしいですよ。これは建築家協会もすぐ動いて台東区長に公開質問状も出した、世論もごうごうと沸いたんですね。だけど、公取はこれを、率直に言ってしようがないということで、契約をして、実際にはその契約はそのまま実施された。公取の御見解を求めたいと思います。
  28. 松山隆英

    政府参考人(松山隆英君) お答えいたします。  今御指摘の事案でございますが、個別具体的な案件につきましてのお尋ねですので、独占禁止法上の問題についてのお答えはちょっと差し控えさせていただきたいんですが、一般論で申し上げますと、採算を度外視した極端な安値受注が繰り返されまして、他の事業者の受注の機会を得られないような、競争事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合には独占禁止法上の不当廉売として問題になると、こういうふうに考えております。  そういうことで、低入札価格調査制度等に基づきましていろいろ情報提供も受けておりまして、そうした情報に基づきまして、私どもも、独禁法上の不当廉売に該当するおそれがあるという事案につきましては警告等を行うというようなことをしているところでございます。
  29. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 いや、私は納得できませんね。これはダンピングですよ。まあ不当廉売、公正な取引秩序を乱した、そう私はなると思いますね。  現実に問題になって、建築家協会がこういうことは自粛しよう、自分の首絞めるようなもんだということで自粛の通達まで出しているにもかかわらず、その後、業界にはやはりアウトサイダー的な人が出てまいりまして、例えば山口県が県立小野田高等学校建て替え工事で、予定価格のわずか二・二%、四十万円で塩見という会社が落札していると。前橋市でも斎場の改築で岡設計という、名前出さない方がいいかな、でも分かってもらいたいんだ。悪いとは言ってないんです、だけどどうも疑問があると。二・五%、六万四千円で落札。京都府立の医科大学の附属病院の外来棟の基本実施設計では、内藤設計が一二・八%で三千八百万、これは。一二・八%ですよ。浮いたお金は自治体がもうかったという判断のお金なんでしょうかね。  耐震強度偽装事件だって安かったんですよ。しかし、結果は何ですか。私は、そういう点で、私ども国対の、自民党の国対の脇先生やなんかが代表してあの品確法を通しましたけれどもね。やっぱり自治体も業界もこういう点は気を付けなくちゃいけないと思いますが、とりわけ公取は、今までほえない番犬と言われていましたけれども、随分頑張っていますでしょう。頑張っているんなら、こういうところにもう少しぐさっとはっきりとした意思表示をしてもらいたいと思うんですが、もう一回御答弁願えませんか。
  30. 松山隆英

    政府参考人(松山隆英君) 公正取引委員会といたしましては、繰り返しになりますけれども、基本的には、建設業におけるダンピング受注に関しまして、各発注機関等におきましても低入札価格調査制度等に基づきましてその排除が図られていると思いますが、独占禁止法で禁止されています不当廉売に該当するようなものに該当いたしますものにつきましては厳正に対処するということで、これからもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  31. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 くどいようですがね、これだけの、これ空から見るともっと大きいんですよ。百二十床のベッドがありまして、老健施設と病院が併設された見事な病院で、平成二十一年にできるんですけど、浅草ですよ。これが八千三百円で基本設計できるんですか。それをまた落札せざるを得なかった台東区という自治体の悩みもありますよ。それをやはり公正取引委員会が高い段階から、高いレベルから、おかしいと言うだけではなくて、しっかりとある程度その公正を、反対とは言えないとしましても、こんなモラルハザードした業者がばっこしているような業界になってはならない。建築家協会自体が言っているんですから、背中を押してやってくださいよ、頑張れと。もう一回お答えいただければ。
  32. 松山隆英

    政府参考人(松山隆英君) 個別具体的な事案でございますので、具体的に独禁法上の問題について明確にお答えできませんけれども、一般論で申し上げまして、先ほどの繰り返しになりますが、採算を度外視した形で極端な安値受注が繰り返されまして、それが他の事業者の受注機会を減らすような、事業活動を困難にさせるという独禁法上の不当廉売に該当する場合には厳正に対処をするということで取り組んでまいりたいと思います。  今後ともそういう方針でまいりますので、御指摘の点も含めまして厳正に対処してまいりたいと考えております。
  33. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 堂々巡りしていてもしようがありませんけれどもね。三井住友銀行のメガバンクでさえも、ああいうふうに排除勧告出して、融資先の中小企業に金融商品を押し付けたというんでペナルティーありましたね、あの大銀行でさえもね。それから、橋梁事件では大手のメーカー、軒並み独禁法違反で刑事告発した。やっぱり、やっているなと思いますよ、やっと安心。これは、自由競争だとか市場原理というのはやっぱりモラルハザードが起きたらおしまいなんですよ。ここのところを是非御理解いただきたいと思っております。  いろいろお尋ねしてまいりましたけれども、大分時間がなくなってまいりまして、この次の質問者が待っておりますので、お許しをいただきたいと思いますが。  もう一つ私はお尋ねしたいのは──ちょっと座らしていただきます。
  34. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) どうぞお続けください。
  35. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 時間の関係で質問通告していた点を飛ばしまして、お許しくださいませ。  実は総理総理との論争の時間も余り私もありませんので、一つだけお願いがございます。かなりおせっかいというふうに取られるかもしれませんが、日本医師会の件でございます。  今回、会長が交代をいたしましたが、考えてみれば、社会保障制度そのものを守るために診療報酬に手を付けて、どの政権も手が付けられなかった、平成十四年にマイナス二・七%の診療報酬を引下げを行いました。このときは、患者の窓口負担を三割に上げたり、あるいはまた健康保険料の引上げをいたしまして、三方一両の損ということで、大岡裁きで医師会も納得したわけでございますが、二年後には一・〇%、また今年度は三・一六%と、立て続けに診療報酬の値下げを行いました。その上、保険と自由診療の混合診療、これは大分医師会も抵抗しておりますし、また株式会社の病院経営参入の問題、これは解禁の方向ですね。それから、診療報酬そのものを中立的な立場で決定する中央社会保険医療協議会の権限を縮小する提案をなさったり、全体的に低負担高福祉ではなくて低負担中福祉の路線にシフトしたかなというふうなニュアンスなんでございますが、何しろ毎年一兆円増える社会保障費の抑制から、診療報酬の総量規制までやらなくちゃならない、そういうところに追い込まれていることはよく分かります。しかし、これだけのことを立て続けにやりますと、さすがの二十六万の医師の頂点に立つ日本医師会も組織がもちませんね、組織は。  私は、このナショナルセンターの役割というのはもう一回考えていただきたい。重要なんですよ。医師は、二十六万人は、開業医もあれば病院医もあれば、いろいろな立場で、へき地の方がいれば大都市で頑張っている方もいろいろおいでになるかもしれませんけれども、日本医師会がおいでになって政府とあるいはまた患者側との話合いの場の中で、国民の医療というのはどういうふうに持っていこう、負担はどういうものと、サービスはどう持っていこう、こういう相互信頼の下で合意がなされて初めて協力をしてくれる方も協力をしてくれているんではないかと思うんですね。  私は、そういう点で、日本医師会とのけんか状態とは言いませんけれども、みつ月なと言うとまたいろいろ言われますけれども、信頼の場での協議をより復活していただきたい、このことが一つございます。  それからもう一つ、特定郵便局、全特でございます。郵政問題は私はまだ決着は付いておりませんけれども、やはり捨てるものは捨て、そしてまた、正すところは正して新しい世界一の郵政制度を維持していこうという試みはもう既にスタートいたしましたけれども、やっぱり現場で頑張ってくれている職員の方々や特定郵便局長さんなど、やっぱり私は理解者であり、協力者であらねばならないと思うんでございます。  そこで、代表的なこの二つのナショナルセンター、私は、総理、是非ここでメッセージをいただいて次のまた協議やあるいはまた協力の場を、門戸を開いていただきたい、このように思います。御見解を承りたいと思います。
  36. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 医師会と特定郵便局長等の関係者の皆さんは自由民主党に理解をいただきまして、選挙でもよく熱心に応援してくれる支持団体であります。確かにそういう支持団体の意向に反するようなことを小泉改革はやっているからけしからぬという声はよく聞きますけれども、私は別に敵視しているわけじゃありません。世界一長生きできる長寿国にした、これはもうお医者さんの皆さんの努力、多いと思います。医療に従事する方の御苦労、大変だと思います。そういう中で、この医療保険制度をこれからも永続していかなきゃならない、将来にわたって持続していかなきゃならない。  そういうことを考えますと、自分の収入はだれでも多い方がいいんですけれども、この医療保険を考えますと、なぜ三割の負担で治療なり医療を受けられるかというと、そのあとの七割は国民の税金と、それから病気にならない、なるにもかかわらず、保険料を負担してくれる方々がいるから三割負担、二割負担等で治療を受けることができるわけであります。  そういう中にあって、医療全体で考えますと、診療報酬を引き下げた、これは医師会の立場に立つと、これはけしからぬと。自分たちの仕事はこんなに大変なのに、収入をもっとふやせと。プラス三%を要求しているのに逆にマイナス三%とは何事だと怒る気持ちも分かりますけれども、それは、税金をこれ以上負担させるなと、増税は嫌だと、患者さんの負担ももう三割が限度だろうと。となると、やっぱり医療を提供してくれる医療関係者の今の収入を増やして国民の理解を得られるかどうか。  様々な医療提供者の側にも効率化、合理化できるところはあるだろうと。例えば、今診療報酬言いましたけれども、診療報酬でも、私は専門家じゃなきゃよく分かりませんから、どの病状によっても、一万件以上点数付けているんですよ。この診療は何点、まあ一点十円とすれば十点だったら百円、それぞれの点数を付けてこの診療行為を判断する、これはもう専門家に任すしかない。  そういう中で、今の診療報酬の中でもめり張りを付けていいんじゃないかと。例えば、小児科とか産科、医師が足りないと。そういう、自由市場経済の中で医療行為、医療の費用というのはかなり社会主義的、統制的な分野なんです。そういう点も考えまして、お互い、患者さんに負担してもらうのはこの程度だと、あるいは病気にならない人も保険料負担している、しかもこれは永続させていかなきゃならない。で、医療費は、これから高齢者が増えますから、どちらかといえば高齢者の方が病気にかかる割合が高いし、様々な部分が傷んできますから当然掛かります。するとこれ、税金を投入する、自動的に増えてきます、毎年毎年。  そういうことを考えて、医師会の皆さん方にもある程度診療報酬下げることも御理解いただきたいということでやってきたわけでありますが、私は決して敵視しているわけではないし、これからも、健康は何よりも大事な財産ですから、一たび病気になれば健康の有り難さが分かると。その治療しているお医者さんの重要性というのも私は十分理解しているつもりであります。そういうお医者さんが働きやすい、また良い治療行為ができるような環境をつくるためには、これからも協力していかなきゃならないと思っております。  また、郵政民営化に伴って、今まで、特定局長の皆さんの対応も大きく変わってくると思います。民間との競争にさらされる。競争というのはきついですよね。努力しなかったら民間にやられちゃう。今までよりも給料も減らされるかもしれない。あるいは、世襲だった局長の地位も世襲でなくなるかもしれない。あるいは、ずっと同じところに働けることができたのに、民営化によってある程度配置転換は覚悟しなきゃならない。それは嫌ですよ。現状が一番いいと思う人がたくさんいるんですから。  だから、これ変えるというのは大変なんですけれども、そこはやはり新しい時代に対応できるような体制を取って、そして利益を上げられるような民間会社としてやっていくことによって国民のサービスの向上に資していただきたいと。  現に、今まで民間の宅配業者も一生懸命頑張って、いつの間にか全国で品々を配達できるネットワークをつくっちゃった。しかも、なおかつ利益を上げている。税金も納めている。民間になったから民間のサービスができないとは限らないわけです。むしろ、夜間配達を始めたのも民間企業が先、新鮮な冷凍食品を配達できるようにしたのも民間企業が先なんです。当初は利益を上げられなかったけれども、今は利益を上げられるようになって、税金まで納めている。  だから、競争は嫌だ、今がいい、そういう時代じゃないと。やはり、どこに国民の要望があるのかと、そういうのをよくわきまえながら、立派な民間会社になってもらうためにも、公務員として特定局長としての立場がいいという気持ちは分かりますけれども、新しい時代に対応するためにそのような今までとは違った対応もしていただくように協力を求めていかなきゃならないと思っております。
  37. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 ありがとうございました。  郵政に関しましても、総理のおじい様の又次郎先生も、昭和大恐慌の後、電信事業が一向に進まないということで、身を挺して民間の力をかりようと。これはそんなにいい仕事ならというんで国はまた奪取したというような歴史があったようでございまして、七十七年後にお孫さんがこれを実現するという数奇の歴史を思い浮かべます。  しかし、お話がありましたけど、お医者さん、私たちにとりましては神の手ですよ。三師会の先生方、御協力され、医療ファミリーの人と一緒に協力され、私たちを救ってくれて、明日への糧を与えてくれるわけです。是非御理解いただきたいと思います。  もう一つ、総理に耳触りが悪いことを申し上げたいんでございますが、鬼手仏心という言葉がございます。鬼の手に仏の心と書きます。これは外科医の先生方がよく使うんですね。冷静な手で、そして心は仏様の寛容な心を持ち、また優しい慈悲の心を持って事に当たるという意味と私は理解しておるんです。非常にいい言葉だと思います。小泉総理にもこの言葉は是非また、含蓄のあるところでございますので、御理解いただきたいと思うんです。  地元の群馬県でも中曽根派と福田派が世紀の大和解をいたしましたし、やっぱり時代は変わってきておりまして、そこで、その中核にいる中曽根康弘元総理、大勲位とか、あるいはまた、総理が慶応大学の先輩として私淑した綿貫民輔先生、あるいはその御一行の郵政反対組の方々、こういう方々も含めて私はかつては一緒に、総理と一緒に頑張ってこられた方だと。総理の思う方向は実はよく、結論は出ました。しかし、ちょっと言いにくいんですけど、冷たいという印象が残るんですね。  総理は、芸術を愛し、優しさが本分ですよ。ですから、そういう点で、この鬼手仏心というところにもう一回、先祖返りではありませんけど、心を移していただくような心境は今ございませんでしょうか。
  38. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 鬼手仏心というのはいい言葉ですね。鬼の手、仏様の心。よく診療所なりお医者さん等がこう、考えなきゃならない言葉だと。私もその言葉、好きです。しかし、私は鬼でもないし、仏様でもないし、この言葉は銘記していかなきゃならないと思っています。  まあ余り今の政治というのは、支持者あるいは支持団体の意向ばかり聞いていきますと、多くの国民はどんな支持団体にも組織化されてない、どの政党の党員でもない、その方たちが圧倒的多数なんですね。自分の政党を支援してくれるから、自分選挙を応援してくれるからその人たちに手厚くやってあげなきゃいけないという、言わば鬼ではない、仏様の心というのは大事ですけれども、そればっかり手厚くなりますと、政治というのは全国民を相手にするものですから、自分を応援してくれない人たち自分の政党の党員でない人たち、この人たちが圧倒的多数であるということも忘れてはいけないんです。  だから、支援してくれた人にとっては、これだけ選挙を応援しているのに、これほど長年自民党を応援しているのに冷たいじゃないかというとなると、これが過ぎると、手厚く対応しようと、予算も付けましょうと、報酬も上げましょうと、現状を維持しましょうとなると、そうでない方の立場はどうなるのかということになりますから、それをよく見なきゃならない、全体を。それがやっぱり政治だと思うんであります。
  39. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 総理のプロセスはよく承知しておりますので、それが改革に成功したという判断だと思いますけど、これはまあ日本だけじゃなくてヨーロッパにもクールヘッド・アンド・ウオームハートという言葉があります。冷たい頭で、冷たいって、冷静な頭で温かい心、これはもう洋の東西を問わない真理だと思うんですね。ですから、まあ織田信長に人生を照らし合わせて考えられる総理でございましょうけど、やっぱり私は鬼手仏心、もう一回銘記していただきたいと思います。  それから、もう時間がありません。数分いただきましたので一方的にお話し申し上げますけど、靖国神社の参拝でございます。  これは私も、党内にいろんな意見ありまして、党を代表して今質問しておりますけど、私の意見でございますけど、この靖国神社の参拝でございますけど、考えてみますと日本の常任理事国入りを中心とした国連改革、まだ成功したとは言えません。その中で、やっぱりアジアの力というのは意外に冷たかった部分もあるんですね。これは何かなということを考えますと、私は、日韓、日中の関係悪化は全く無関係ではないように思えてどうしてもならない。やっぱり長い歴史の中で異常な今は事態だと。昨日、中国の外相と久しぶりに外務大臣お会いいただきましたので、また一歩前進はしましたけど。  私の一族も実は靖国に眠っております、靖国神社に。しかしながら、総理が公約にこだわられて今日まで靖国神社参拝、形は変えても行かれました。良かったと思います、私は。しかしながら、遺族会代表の古賀先生でさえも、A級戦犯の分祀を実現して、総理大臣はもとより天皇陛下にも行ってもらいたい施設になってもらいたいと、こうメッセージを送っているんですね。私もそろそろ潮どきではないだろうかと思います。  そこで、今年の八月十五日の終戦の日には、恒例の日本武道館での戦没者全国慰霊祭が行われます。ここに是非各国大使もお招きをして、平和の壮大な日本国民挙げての誓いにして、外国人、入ってないんですよ、遺族は五千人以上いますけどね。全体で一万人近い大集会ですけど、入ってない。  で、私は、総理のお気持ちというのはもう十二分に内外に伝わった、平和を愛する心は。でありますから、ここは最後の段階です。その日に総理は当然ここの主催者になられるんでしょうが、同時に、できましたら靖国神社のある東方の方を遥拝していただいて、今年は八月十五日は行くことを中断された方がいいんじゃなかろうかと私は個人的に考えるわけなんです。  分祀論は政治が宗教に介入するなと言われますが、既に戦争前にこの議論も行われておりまして、伏見稲荷の分祀の問題で東京の西東京市には東伏見神社というのがございます。分祀は、神学的な論争になってはしまいますけど、私はできないわけではないと思うんですが、このことはさておいて、取りあえず靖国問題でこれ以上日本はかたくなだと思われるような状況を私は脱した方がいいんじゃないかと。これは靖国神社に眠る二百何十万の英霊の方々もやっぱり望んでいるところじゃなかろうかと。冷静に皆さんがお参りしていただく、また優しさを持って総理がそれを見守る、こういう状況でこの八月十五日を迎えていただければと、これは私の個人的な見解でございます。  長時間にわたりまして御答弁ありがとうございました。次は、鹿児島出身の加治屋先生が御質問申し上げます。ありがとうございました。
  40. 加治屋義人

    加治屋義人君 おはようございます。自由民主党の加治屋義人でございます。  保坂委員の質問に関連をして続けさせていただきます。  まず、我が国の森林・林業問題について伺いたいと思います。  今回の行革推進法には国有林野事業の更なる改革が含まれておりますが、初めに、この国有林野を含め地域の森林整備を支えているのは森林組合であります。森林組合は、地域における造林、間伐、そして実際の森林整備の中核的な担い手となっていることは御承知のとおりであります。しかし、この森林組合、最近、森林所有者の不在村化、あるいは高齢化、世代交代が進んで自ら作業や経営を行うことができない森林所有者が増加しておりまして、地域における森林組合の重要性はますます高まっているものと思っております。  そういう中にあって、木材価格の低迷など森林・林業経営が大変苦しい状況にあるわけでありますが、地域における森林整備に重要な役割を果たしている、また国有林野の整備を実施する主体としても大変大きな活躍をしているこの森林組合について、国としてどのような育成策あるいは支援策を取っていかれようとしているのか、まずお伺いをしたいと思います。川村林野庁長官にお願いいたします。
  41. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えいたします。  森林組合についてのお尋ねでございます。  森林組合は、委員御指摘のとおり、森林所有者の協同組織といたしまして植林あるいは除間伐等の七割を実施しておりまして、我が国の森林整備の中心的な役割を果たしておられます。また、これも御指摘のとおりでございますが、我が国の林業をめぐる環境、これは木材価格の低迷等がございまして採算性が大幅に低下をいたしまして、極めて厳しい状況にあることは事実でございます。こういった中、森林組合の系統におかれましては、合併によります経営基盤の強化、また施業を集約化する等で事業の強化を図っておられますし、また組織管理体制の充実など、改革に向けた取組を進めておられます。  こういった森林組合系統の改革に向けた取組を促進するという趣旨で、昨年、通常国会におきまして森林組合法の改正が行われました。これによりまして、員外利用制限の緩和を通じまして、森林組合の森林施業の促進等の機能強化が図られるとともに、組織基盤の強化や適正な事業運営の確保を図ったところでございます。  また、今年度も予算面におきまして、一つは、施業・経営集約化総合対策事業におきまして森林施業の集約化を推進するための組合の定期的な経営指導に対する助成、二点目といたしまして、強い林業・木材産業づくり交付金等によります高性能林業機械の導入や作業道の整備、また三点目といたしまして、緑の雇用担い手育成対策によります新規就業者の育成のための研修の実施等に関する助成などを措置しております。  今後とも、一層この森林組合の経営基盤あるいは事業の強化、管理体制の充実が図られるように努力してまいりたいと思っております。
  42. 加治屋義人

    加治屋義人君 申し上げましたとおり、森林組合の弱体化というのは本当に心配をしておるわけでございまして、どうぞ一段の御努力をいただきたいと、そのようにお願いをしておきたいと思います。  次に、国有林野は国土の面積の二割、そして森林面積の三割、その多くが脊梁山脈あるいは奥地の水源地域に分布しておるわけでして、多くの公益的な機能の役割が求められております。そのようなことから、平成十年でございました、成立した国有林野事業の抜本的な改革で、国有林野事業は、木材生産を重視した管理経営から公益的機能を維持するという方向に転換をしていただいて、一般会計繰入れを前提として特別会計制度への移行、累積債務の本格的な処理、組織・要員の合理化、縮減、相当な改革に取り組んでこられました。  この改革に取り組んでこられてから既にもう八年たっているわけですけれども、この組織・要員の合理化、縮減、財務の健全化はどう推移しているのか、これ、林野庁長官にお尋ねしたいと思います。
  43. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えいたします。  国有林野事業についてのお尋ねでございます。これも委員御指摘のとおり、平成十年十月に成立をいたしました国有林改革二法に基づきまして、木材生産を重視しました管理経営の方針から公益的機能の維持増進を旨とする方針へ転換をしたところでございます。特に、一般会計繰入れを前提とした特別会計制度への移行、これが一つございます。それからまた、組織・要員の徹底した合理化、縮減などを柱としまして、抜本的改革に全力を挙げて取り組んできたところでございます。  具体的に申し上げますと、まず最初の組織・要員の関係でございます。当時、十四営林支局それから二百二十九の営林署があったわけでございますが、平成十六年三月末までにおよそ半分の七森林管理局、九十八森林管理署等に再編をいたしまして、職員数も、平成十年度の当初比でございますが、約半分に縮減するということがまず一点でございます。これを実現してございます。  それから、二点目の財政の健全化でございますけれども、新たな特別会計制度の下で自己収入の確保あるいは効率的な事業実施などに努めまして、平成十六年度には新規借入金がゼロとなりまして借入金の依存体質はなくなったところでございます。
  44. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  御答弁いただきましたとおり、国有林野事業ではこれまで改革を先取りした形で進めてこられました。ただいまの答弁を踏まえた上で少し質問をいたしたいと思います。  まず、国有林野事業特別会計については、法案第二十八条で、同特別会計の負担に関する借入金に係る債務の確実な処理その他国有林野の適切な管理運営のため必要な措置を講じつつ、その一部を独立行政法人に移管した上で、同特別会計を一般会計に統合することについて検討すると、こうなっております。  農林水産省では、総人件費改革、これについては去る四月の二十一日の行政減量・効率化有識者会議、ここにおいて、森林管理関係業務は独立行政法人化や業務のスリム化により約二千四百人の純減を検討すると、こういう回答をしたということであります。このことについては、既に抜本的改革努力をされてきた国有林野について更なる改革に取り組むものだと思っておりますが、本当に大丈夫なのかなと思う反面、中川大臣の御決断に本当に敬意を表したいと、そういうふうに思っております。  ただし、先ほど申し上げましたとおり、国有林野は、その多くが脊梁山脈に位置し、国土の保全、水源の涵養、様々な公益的機能の発揮に重要な役割を果たしておりますことから、今後この独法化や一般会計に具体的に取り組んでいかれる際には、このような機能の発揮に支障が生じないように、またこの国民共有の財産を次の世代に引き継いでいけるように十分検討をいただきたい。  今回の独立行政法人化と一般会計化を検討するに当たって、どのように取り組んでいかれるのか、またどう仕事を分担していかれようとしているのか、中川大臣にお伺いしたいと思います。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 森林の重要性、それから森林経営をめぐる厳しい状況、それから冒頭御質問のありました森林組合の重要性、これはもう加治屋委員と全く認識を同一にしているところでございます。  そして、今御指摘ありましたように、本法案の趣旨にのっとりまして人員の削減ということもやらせていただく予定にしておりますけれども、しかし機能そのものは低下をさせてはならないと。民間といいましょうか、独立行政法人で行われる森林の整備あるいは木材の販売等の業務は移行を検討しているところでございますけれども、他方、国有財産としての森林・林野の管理保全、国民の安全、安心の確保というものはもとより極めて重要でございます。  治山事業、保安林につきましては、今後とも国が責任を持って国有林の有する公益的な機能の維持増進が図られますように、平成二十二年までに適切に検討させていただきたいというふうに考えております。
  46. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  まあ我が国、台風、水害あるいは地震、そういうことを大変心配するわけでして、国民の安全、安心に欠かせない今お話ありました治山事業ですね、実は大変心配をしておりました。今大臣の方から国の方でしっかりやるということをお聞きいたしました。どうぞ引き続きお願いを申し上げたいと思っております。  次に、財源の問題についてお聞きしたいと思います。  今回の改革を進める上で、法第二十八条に、先ほど御答弁いただいた抜本的改革成果を踏まえるだけでなくて、債務の確実な処理、適切な管理運営に必要な措置を講じることが必要であります。現在も、公益的機能重視の管理経営に重要な経費や利子補給の財源について一般会計から繰入れがなされておりますけれども、一般会計化あるいは独立行政法人化を検討する場合にも、国有林野の公益的機能を確保する観点で必要な予算、財源の手当てについては十分対応すべきであると、そう思っております。  その点について、中川大臣のお考えをお聞かせください。
  47. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、法二十八条あるいは五十条に基づきまして、二十二年度末までに、国有林野特会につきましては、同特会の負担に属する借入金に関する債務の着実な処理その他国有林野の適切な管理運営のため必要な措置を講じていきたい、二十二年までに検討していきたいというふうに考えております。  このような債務の処理を含めまして、適切な管理運営に必要な措置を確保することは、今回の改革を進める上での大きな課題でございまして、独立行政法人への移管及び一般会計への統合までに鋭意適切に対処していきたいというふうに考えております。
  48. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  谷垣大臣に伺いたいと思いますが、お聞きいただいたとおり、国有林野の持つ公益性の機能、将来にわたって大変大切なことであります。国有財産としての価値の保持につながることは当然であろうと思っております。  国有財産管理と予算をつかさどる財務大臣に、同様に債務処理、管理運営、そのことについて御所見をお伺いをしたいと思います。
  49. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどから御議論のように、一つは累積債務を着実にこれは処理をしていかなきゃいけないと、それから国有林野の管理運営というのが適切でなきゃいかぬと。こういうことから現在も一般会計から特別会計に出しているわけでございますが、今度の法律の中で独立行政法人化と一般会計化というものを議論していくということで、詳細な制度設計はこれからでございますけれども、今、中川大臣からも御答弁がありましたように、一つは、森林の公益的機能、これはやっぱり日本の国土保全等々にとりましても極めて重要なことでございますから、それはきちっとやはり考えていかなきゃならないと思います。  もう一つ、私の視点からいたしますと、国民負担をこれ以上拡大させない、できるだけ国民負担を抑制していくという視点もなければならない、こういうふうに思っておりまして、この二つの観点からしっかり議論をさせていただいて良い方向をつくっていきたいと、このように考えております。
  50. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  次でございますけれども、公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案についてお伺いをしたいと思っております。  先般の当委員会では佐藤議員から指摘がなされております。公益認定委員会の認定行為は重要であり、本当に公益認定を受けられるのかと関係者の間で不安があると言われます。公益認定に当たって、公益認定の基準は法案に規定されておりますが、抽象的であって、このことが関係者に大変不安を抱かせているものと考えられます。  このことについて、先日、山口副大臣から、今後、公益認定等に関する制度や運営の在り方等の細部等を具体的にしていく際に、公益目的事業の種類あるいは公益認定の基準等の内容が広く関係者の方々に明確に理解されるような、そういう透明性のある仕組みを検討するとの御発言がございました。  関係者の方々にきちんと理解をしていただくためには、やはり通達あるいは通知の中で分かりやすく例示を示す必要があります。都道府県の関係者あるいはいろんなところからの要望も出ていると伺っております。これまで当委員会で食料や農林水産業、そして食育といった事項が含まれると答弁されておられますけれども、こうしたお答えになったものを始めとして、どういう事業が公益と認定されるのか、通達や通知の中で明確に関係省庁や都道府県に例示等を示すべきと考えますけれども、どのような手段あるいは方法で関係者に明確にお答えになるのか、御答弁いただきたいと、大臣の方によろしくお願い申し上げます。
  51. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) このたびの改革における公益法人、これまでの社団法人、財団法人等がございますが、こうしたものも明治二十九年以来百十年ぶりでございますが、これは各省庁が、主管官庁がそれぞれ認定をして、この法人を認めておりました。  しかし、これもいろいろと、もちろんその手続が大変、申請しようと思ったら大変だとか、基金を積まなければいけないといったことがある一方で、また各主管官庁がかなり恣意的に運用している面も、批判もこの委員会では出てまいりました。そういったことで、これを大幅に変えるのが今回のこの公益法人改革でございます。  今、そのときに公益認定をどうするかといったお話がございました。この農業関係、食料関係がどう読めるかといったこともございますので、ちょっと詳しく御説明させていただきますが、公益認定法人等の法案の別表各号、ここにどういうものが公益認定になるかということを掲げておりますが、公益目的事業は、不特定かつ多数の者の利益となることにつきまして、国民一般から納得いただける内容となるように、現行諸法律の目的規定を基にしまして、様々な御意見を勘案して策定しております。この御指摘の事項も踏まえまして、現在、一般に公益と考えられているようなものであれば、この別表各号のいずれかに該当し得るよう、ある程度包括的な定めとなっております。  実際に、個々の法人が行う事業が別表各号に掲げるいずれの種類の事業に該当するか等につきましては、事業の実態等に関する具体的な事実関係を踏まえて、ケース・バイ・ケースで国及び都道府県の合議制の機関において判断されることになりますが、この判断が国及び都道府県を通じて一律の基準にのっとって適切に行われるということは、今回の改革の趣旨である公益性を統一的に判断する透明性の高い仕組みをつくる上で不可欠でありまして、そのためには、御指摘のように、公益目的事業の種類や公益認定の基準等の内容を、国及び都道府県を通じて、法人の方々を始め関係者の皆様に的確に理解していただけるようにすることが重要であると、このように認識をいたしております。このため、公益法人認定法案では、新制度の施行後においては国の合議制の機関である公益認定等委員会、ここでやるわけでございますが、この判断を示した答申や勧告の内容を公表すること等の措置を定めております。  今後、新制度の施行に向けた準備を進めていくに当たりまして、分かりやすい資料の作成等によりまして積極的に周知を図っていく必要があると、このように考えております。関係者の方々に適切に情報提供を行うため、御提案の方法を含めた様々な方策につきまして、衆参両院の御同意をいただいて任命された公益認定等委員会委員とも御相談をしつつ、幅広く検討しながら実施していくことによりまして、国及び都道府県が歩調を合わせて新制度の施行開始に円滑に迎えることができるように努めてまいりたいと、このように考えております。
  52. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  教育問題で数点通告しておりましたけれども、時間のこともありますので、二、三点に絞って質問をさせていただきたいと思います。  まず最初は、構造改革の一環として教育特区を導入した自治体、これは全国に大変広がっております。内閣官房のまとめによれば、教育特区を導入した自治体が百四十団体を超えているんだそうであります。この教育特区について、質的な評価をどうお考えなのか、また教育の地方分権と関連して今後どのように進めようとお考えなのか、小坂文部科学大臣にお伺いをしたいと思います。
  53. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 構造改革特区制度は、各地方公共団体の創意工夫を生かすために平成十五年度から実施されているものでございます。  現在、教育分野でも様々な取組が進められておりまして、いわゆる特区の中でも教育関係の研究開発学校設置事業を利用いたしまして、具体的な例から申し上げますと、東京都の品川区では、小学校と中学校の九年間のこの義務教育期間を四、三、二に区切って、柔軟な教育課程を編成して小中一貫教育に取り組んでいる例や、あるいは千葉県の成田市におきまして、小学校において英語科を設けて実践的なコミュニケーション能力のある基礎教育力の育成に取り組んでいる例もあるわけでございます。また、このような英語教育に取り組む特区としては、成田市を含めまして六十三件も出ているようなところでございまして、国と地方公共団体の適切な役割分担の上で、こうした特区制度を活用して地方公共団体の創意工夫が生かされる、そして学校教育の活性化が図られることは大変望ましいことでありまして、私どもといたしましても、今後とも教育の構造改革の上でこのような特区も活用し、推進をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  54. 加治屋義人

    加治屋義人君 教育問題というのは大変難しいわけでして、考えるに、やはり一つには変化を嫌う教育現場の保守性、あるいは人づくりは物づくりよりもはるかに難しいよねと。三つ目に、教育制度改革成果は布石を、例えば小泉総理の下で今回の教育改革等も進められるわけですけれども、やはり布石を打って三十年、五十年掛かるよねと。教育というのはこういうものだろうと理解をしております。  教育を良くする条件や要素はいろいろあるんでしょうけれども、私は、一番のかぎを握るのは教師だと考えています。その人がどんな人物かを知るにはその友人を見れば分かる、その女性がどんな人か知りたければ母親を見よと、よくこういうことを言われます。いずれも友人や母親の影響が大変大きいことを強調しているわけでありますけれども、教師が生徒に与える影響力もそれに劣らない大きいものであります。高学年になれば教師の評価や批判力もできるんでしょうけれども、低学年の子供ほど善悪丸ごと教師を見習うわけでありますから、これまた責任重大。教員を増やすことも必要、あるいは三十人学級にすることも必要でありますけれども、最も大切なことは良い教師の育成こそが良い教育の決め手なのではないかと、私はいつもそう思ってなりません。  今回の教育基本法改正案の教育の目的、教育の目標を見てみますと、目標五項目のうちに知識に触れた部分は一項目、全体の九〇%以上は心や態度のことを言っております。知識面の習得だけならばさほど難しくないんだろうと思っておりますが、心や態度の習得になると、これはなかなか容易ではないと。それゆえ、教育行政の役割を担う文科省の責任もこれまた大きいわけであります。  小泉総理の米百俵、これは全国民が感動したわけですけれども、私の教育論などはそうだ、そうだと言うのは一人もいないわけでありますけれども、教育は実践あるのみと、こういう考え方でございまして、思い付きの域を出ませんけれども、例えば、一つに教員資格を医大並みの六年制にするとか、あるいは、まあ古い人間ですから、昔の陸大、海大を見習って徹底したリーダーの教員を養成するとか、新任教育を先輩教師が指導するというブラザー制度などどうなのかねと、いつもそういうことを思うところであります。  そこで伺いますが、良い教師とはどんな教師のことなのか、そしてそれをどのように養成をこれからしていくのかについて、小坂文部科学大臣に細かく教えていただきたいと思います。
  55. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 申合せの時間が過ぎておりますので、手短にお答えください。
  56. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 手短に、かつ細かく申し上げるわけでございますけれども、まずもって教職に強い情熱を持った先生というものが私は基本であろうと思います。その上で、使命感を持って、また教職というものに誇りを持って、更には子供たちに愛情を持って接していただけるような先生、そういう先生を私どもは求めてまいりたいと思いますし、それはすなわち豊かな人間性、社会性を持っている、そして子供たちを含めたコミュニケーション能力を持っている、そういう先生が求められていると思っております。  こういった先生方の養成につきましては、大学の教員養成カリキュラムを更に改善をする、また採用に際しては面接や実技試験を導入する、また初任者研修、十年目研修もまた導入したところでございまして、更には教職課程の水準の向上、教職大学院大学の設置等、いろいろな方策を持ちながら教員の養成に努めてまいりたい。中央教育審議会からもこのような意味の答申も受けているところでございまして、更に努力をしてまいりたいと存じます。
  57. 加治屋義人

    加治屋義人君 もう少しで終わらせていただきますが、ありがとうございました。ただいま小坂文部科学大臣に御答弁をいただきました。  日本を誇り高い国にできるかどうか、これはひとえに教育改革の成否に懸かっていると、私はそう考えております。我が国の教育改革はどうあるべきかについて小泉総理に最後にお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  58. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 良き教師が大事だと、特に子供にとって、教師によって学校へ行くのが楽しい、あるいは教師によって学校へ行くのが嫌だという子供も多いわけであります。それだけに、教師の質を高めていくというのは極めて大事だと思っております。  今御指摘の中で、教師を指導する教師、こういうのもやっぱり必要じゃないかなと、これからは。そして、経験を積んだ中に教師として優れた能力を発揮されている方もたくさんおられるわけであります。そして、何よりも教師として大事なのは、それぞれ個性があり、能力も違います、そういう生徒に対して、やろうというやる気を起こしてもらう。また、それぞれ人には良さがあるわけであります。その良さを引き出していく。そういう、生徒から慕われるような教師の育成に更に格段の知恵を絞り、環境を整備していかなきゃならないと思っております。
  59. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 おはようございます。公明党の風間でございます。  今日は、今ほど、自民党さんに時間多少いただきまして、大変御配慮いただきましてありがとうございます。テレビ中継も入っていますのでありますが、今までの審議で出てきた論点を整理をし、また確認の意味を込めて質問をさせていただきたいと思います。  今回の行革法案は、非常に、先ほども保坂委員がお話しされていましたが、単なるプログラムではない、しかし大掛かりなプログラム法案、規定でありまして、今後の方向性を決めていく大事な位置付けがあるんではないかというふうに思います。締めくくりの総括審議に当たりまして、総理に、ここまでの議論や今までの御自身の小泉改革振り返って、率直な御感想を伺いたいと思いますけれども。
  61. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一つの組織というのは、でき上がりますと必ず肥大化するといいますが、どの組織でも存在価値があるから現在あるんだと、廃止する必要はないと。そういう中で、ある組織はなくしていこう、あるいは運営を民間なり地方なり別の組織に移していこうと、あるいは統合していこうということになりますと、自分の今までやってきたことに対しての存在を否定されたような気持ちになるわけです。それを見直していく、現状維持じゃもう新しい時代に対応できないということで行政改革、今の組織の在り方を見直していこうと。  財政も、それぞれ予算を付けてくれれば、その予算を付けてもらった地域なり組織というのはそれは歓迎するんでしょうけれども、それを手当てをするのは国民の税金負担となると、これまた増税を考えなきゃいかぬと。それを、増税を少なくして機能をどのように伸ばしていくかと、そういうのが、これから簡素で効率的な政府をつくると、今回の行政改革方針もそれが主な趣旨であります。だからこそ、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にということで、今までの組織全体を見直していこうと。そして、昨年、国会では郵政民営化法案、否決されましたけれども、国民支持によってこれがよみがえったと。  やはり、一部の利益ではなくて全体の利益を考える、これが行政改革でありますので、今後とも民間にできることは民間に、地方にできることは地方にというこの方針を堅持して、個別の具体的な組織に当てはめて、より良いサービス、そして国民負担をどのように軽くしていくかという視点がこの行財政改革にますます重要になってくると思いますので、この法案ができれば、ああ、もう行政改革は終わり、財政改革は終わりというものではありません。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  今総理から、法案の性格付けについても若干お触れいただきました。マスコミは、この法案小泉改革総仕上げというような表現を使っているところもありますけれども、私はむしろ、この改革の正念場、スタートラインでないかというふうに思っています。山でいうと胸突き八丁のレベル。ですから、総理はまさかこれが、この法案成立が御自身の花道であるとは思っていないでしょうね。確認したいと思いますけれども。
  63. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政治の課題は常に多いんです。一つの課題、一段落すると、また別の課題が目の前に迫ってくる。政治に小休止なし、改革に終わりはないと思っています。ただし、政治家でも大臣でも総理大臣でも任期があります。その任期の中でできることを精一杯やるということだと思っています。
  64. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  最近は本当に子供さんが様々な被害者になって起こる凶悪犯罪がもう本当に多発しています。また、世間を騒がせた耐震偽装の事件についてもいよいよ詐欺罪での立件という段階に来ていますけれども、やっぱり国民の皆様方は、簡素で効率的な政府あるいは政治ということも大事だけれども、一方では安心、安全をすごく求めているわけであります。関心が高いということでありますから、だから、この安心、安全の政府ということが実現しない限りは国民支持、信頼は得られないんだというふうに思いますが、この点で、この法案とは直接的な関係はないけれども、しかし一方では、その安心、安全の国民の声について総理はどのようにお考えでしょうか。
  65. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 五年間で五%以上の公務員を削減していこうという方針でやっていますけれども、一律に五%各省庁の公務員を削減していこうということではありません。  今、風間議員指摘されたように、安全の分野、これについては、増やさなきゃならない点につきましては増やしていくと。ということは、五%あるいは一〇%以上減らさなきゃならない分野も出てくるわけであります。めり張りを付けて公務員も削減していこう、ある場合は増やしていこうと、しかし全体で考えてみれば、合わせてみると五%以上の削減ということでありますので、一律ではないということも御理解いただきたいと思います。
  66. 風間昶

    ○風間昶君 国家公安委員長に伺いますが、今ほど触れさせていただきました子供たちが巻き込まれる事件、やっぱり社会的な背景があるというふうに思わざるを得ません。でありますから、その背景をどのように認識されていくのかということが非常に対策を立てる上で大事かと思いますが、どのように認識されていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  67. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) お答えいたします。  子供が殺害される誠に痛ましい事件が相次いで発生し、国民に大きな不安感を与えております。警察におきましても、関係省庁及び関係機関と連携しながら、児童の安全を確保し国民の不安感を払拭するための諸対策推進し、子供の被害防止に全力を尽くしているところであります。  子供たちが犯罪に巻き込まれる事件が多発する社会的背景としては様々な要因が考えられますが、一つには核家族化の進行のため地域社会の子供を守る機能が低下したこと、プライバシー意識の過度の高まりにより地域社会の公共的機能が薄れたこと、物質的に豊かになり情報のあふれる中で多様な価値観が生まれ規範意識が低下したこと、情報化社会の進展により児童性愛者が自己の欲望を肥大化することが容易になったり社会的不満が助長されやすくなったこと、外国人と共生する社会づくりが必ずしも十分になされていかなかったことなどが考えられます。  子供たちを犯罪から守るためには、子供の安全を社会全体で守るという意識を大人が改めて思い直して対処することが大事であると考えております。  具体的には、警察としては幼い命を奪った卑劣な犯人を全力を挙げて検挙して刑罰を科するほか、子供の教育、家庭、社会の在り方等、様々な課題に対し警察のみならず社会全体で総合的に取り組んでいく必要があるものと考えております。特に、昨年一年間においては防犯ボランティアが、一万人が二万人に増えるというような状態でございまして、このボランティア団体の多くは地域の安全は自分たちで守ろうという合い言葉で活動してくださっておりますので、こういう人たちのエネルギーを更に生かしていくなど、国民全体でこういうものへの対応ができるような組織づくり、指導、そういうことをやっているところでございます。
  68. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。  それでは、政策金融について伺います。  今回の法案の中で国民に直接的な影響が出るのは、やっぱり政府系金融機関の統廃合の問題だというふうに思います。それは、政府系金融機関によって多くの国民人たちのセーフティーネットが維持されているということに尽きると言っても過言ではないと思うんです。官から民へという総理のスローガンはよく分かるんですけれども、結局、利益優先の民間金融機関に金融危機が起こった場合などの最後の最後のところのセーフティーネット構築を期待しても、これは無理な感じがしますし、そういう意味からいうと、事業仕分の観点からしても、セーフティーネットの構築維持というのは国のある意味では重要な責務として行うべきことではないかというふうに思います。ふだんであっても新しいこの金融政策機関が無担保無保証の融資についてもきちんと相談に乗ってくれるかどうかということが一番国民の皆さん方にとっては大きな関心ではないかというふうに思うんです。  そうした観点からも新しい金融機関が本当にセーフティーネットとして機能するかどうかというのが一番の問題であって、新しい融資について貸出し条件をどのようにしてくれるのかなということが一番関心事項でありますから、そこのところをどのように考えていらっしゃるのか、大臣に伺いたいと思いますけれども。
  69. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 委員おっしゃるとおりでございまして、一つの大きな制度改革をしようとするときには、その対象になる方々は御不安に思われたりするわけでございます。  そういうことで、今回もそのことにつきまして、特にそうしました国民一般、国金ですね、中小企業金融公庫、農林公庫等ございます。それぞれの国民一般や中小企業者の方、そして農林水産業者の資金調達を支援する機能、これにつきましては、民間で対応が困難であると評価された必要最小限の機能に絞り込んだ上で、新政策金融機関、ここにしっかりと機能を残すことといたしておるところでございます。  この新政策金融機関の貸付利率、担保、保証人、こういった貸付条件については今後の詳細な制度設計を踏まえた制度の企画立案等の中で検討される事項であると考えておりますが、中小企業政策として担保や保証人に過度に依存しない融資を促進することなど、各政策の課題に即した政策金融の的確な実施を図るという観点にも留意しながら適切に検討されていく必要がある、そのような形で制度設計をさせていただきます。
  70. 風間昶

    ○風間昶君 要は、今大臣がお答えいただいたことがこれから詳細な制度設計ということであるならば、なおさらその透明性を高めていただかないと、国民にとってみたら、そのアナウンスがない中で、新しい金融機関が、今まで借りている人たちが金利が変わったり、あるいはこれから借りようとする人たちが新しい機関になったからということで、何といいましょうか、新規の貸出し条件が変わったりすることによって不安になったり、説明が足りないばっかりに混乱が起こってはいけないというふうに思いますので、この部分についてしっかり説明責任を果たしていく、その前に透明性をやっぱり高めるということが大事だと思うんですけど、そこがこの法案のポイントだと思うんです。ここのところを是非もう一回確認したいんですけど。
  71. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 委員御指摘のとおりでございまして、政策の企画立案や実施の過程における透明性、これが最大確保されまして、説明責任が果たされていくことが重要である、十分に認識をいたしております。  この法案におきましても、第五条第二号におきまして、「明確な経営責任の下で運営され、経営内容に関する情報の公開を徹底するものとする。」と、はっきりとこう規定をされております。こうした規定を踏まえまして、新政策金融機関としまして情報公開に取り組み、説明責任を果たしていくことが重要であると、このようにはっきりと申させていただきます。
  72. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  次に、商工中金と政策投資銀行については完全民営化を前提に改革することになっていますけど、完全民営化となると、基本的にはどんなところにも自由に進出するし、またもうかっていないところは引き揚げるということも自由であるわけでありますが、しかし、今まで果たしてきたこの商工中金の組合金融、あるいは政策投資銀行での地域金融、この機能を今後も果たしてもらわなきゃいけないわけでありまして、そういう意味で、先般、五月十二日にも二階大臣にもやり取りをさせていただきましたけれども、商工中金が行う代理貸付制度、これは個々の融資先に対する目利きやモニタリング機能というのをこの傘下の組合に担ってもらって、それによって組合の経営能力が向上していくわけでありますから、そういう実績があるわけでありますから、これは完全民営化されても維持しなければならない機能であるというふうに考えますけれども、認識は一緒だと思います。大臣、そこから先へ踏み込んでもらいたい。
  73. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  商工中金、中小企業組合とその構成員を対象とした専門の金融機関として今日まで重要な役割を担ってまいりましたのは委員から御評価をいただいているとおりであります。  そこで、御指摘の組合金融、中小企業と日ごろから密接な関係を持っておると同時に、組合の目利き能力といいますか、モニタリングの能力を活用して、今後も企業本来の能力を見極め、表面的な、いわゆる一般の銀行のこの検査あるいはまた評価基準のようなことだけではなくて、つまり財務状況だけにとらわれるんではなくて、この企業の将来性あるいは技術能力、そうしたものもきちっと見極めて、商工中金が果たしてきた今日の役割というものは相当評価されるものが出てきておるわけであります。  私は、こうした点から、今御指摘の組合金融の場合におきましても、今後十分その機能、経験を生かしてまいることができるような新しい組織になってもらいたいという希望を持っております。  しかし、私ども、商工中金の完全民営化ということにつきましては、閣議決定の方針どおり、小泉内閣としての改革の一つの目玉でもありますから、これはこれできちっと実行させていただきますが、その上に、この商工中金に今日まで頼ってこられた多くの組合及び一般の中小企業の皆さんに不安感を抱かせることのないような改革の実現を図ってまいりたいと考えておる次第であります。
  74. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  同様に、政投銀行の役割もこれ極めて重要で、出資、融資、長期の資金供給、そしてまた地域再生において、地方の銀行やあるいはその自治体と共同して行っているこの部分についても、是非その蓄積された、まあ正にこれは政投銀行の独壇場なわけです、地域再生に関しては。  そういう意味では、蓄積された知見、ノウハウを一体として今後も活用していくということについて、新しくなっていく中で、民営化されていく中でこれをきちっと担保していただきたいと思いますが、財務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今御指摘いただきましたように、政策投資銀行は地域連携等のノウハウを今まで積み重ねておりまして、それでその長所は、長所といいますか、メリットといいますか、出融資を組み合わせた長期の資金を提供すると、そういうことによりまして、おっしゃった地域再生とかあるいはPFI等々、非常に重要な成果を上げてきたと私は思っております。  そこで、完全民営化していったときにきちっと自立してやっていけるためには、その長所を一体として生かさなければ私は意味がないというふうに思っておりまして、それが果たせるビジネスモデルをきちっと確立していくということが大事ではないかと。そういうことをしながら、ベンチャー育成とか事業再生、そして御指摘の地域再生ができるような、出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーを供給していくことができるような仕組み、体制、法的手当て、こういうものをつくっていくということが必要ではないかと考えております。
  76. 風間昶

    ○風間昶君 今、大臣からもリスクの話が出ました。完全民営化なのにこの商工中金と政投銀行は特別扱いかなんという批判もありますけれども、しかし貸出し先がなくて消費者金融にじゃぶじゃぶ金貸している銀行と違って、一般銀行の貸付けリスクとこの今指摘したような特殊な事業のリスクとはもう質が違うというふうに思います。  かといって、政府が余り過度に支援してもモラルハザードが生じますから、一般銀行との条件が異なることになってもいけませんけど、一般銀行でできないこの分野への配慮について、是非とも二階大臣、谷垣大臣には御配慮をお願いしたいというふうに思います。  そこで、やっぱり大事なのは、資金調達方法や財務体質をきちっとするということが、極めてまたこれ、一方ではそれをやっていく上での底というか基盤で大事でございますが、これについて両大臣、簡単に伺いたいと思いますけれども、リスクに耐えられるだけの。
  77. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 詳細な制度設計はこれからでございますけれども、今おっしゃったように長期のリスクマネーを供給していけるような財務体質、資本というものもきちっとしていなければいけないでしょうし、それからその移行期、どういうふうにしていくか、政府保証やあるいはブランドの維持、こういうものをどう考えていくかということも必要だというふうに思いますし、それから資金調達をどういうふうにしていくか、これも論点整理の中でいろいろ指摘されておりますけれども、そういうことを含めて、あくまで完全民営化でございますが、制度設計をきちっとしていくということが必要だと思っております。
  78. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘のとおり、金融機関におきましては強固な財務基盤や安定した資金調達の道を確保することは極めて重要なことであります。その観点から、新しい詳細な制度設計におきましてはこの点を重視してまいりたいと思っております。  既に、衆議院特別委員会におきましても、この財務、資金調達面での不安がないように、各党から全会一致の附帯決議をちょうだいしておりますが、参議院の当委員会におきましても、しばしば各党から御意見をちょうだいしてまいりました中で、ここに焦点を当てての御意見はたくさんございました。そうしたことは、我々十分体して制度設計の完成に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
  79. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  もう一点、二階大臣、完全民営化すれば、将来株式上場にということも視野に入れなきゃならないわけでありますが、そのときに外資ファンドによる買収が当然危惧されるわけであります。そういう部分について、特に商工中金は組合出資の部分が二〇%ほどあって、これの議決権を重くするというのも一つの方法であると思いますけれども、政府として外資ファンドによる買収についてはどういうふうに対策を含めて考えていらっしゃるのか、端的に伺いたいと思いますけれども。
  80. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 大変重要な御指摘でありまして、私の手元にも、ファンドなどに買収されて利益優先主義になってしまってはならないと、そういう御意見をたくさん寄せられております。それは国民の皆さんの、あるいは中小企業関係者の率直な不安の声だと思っております。我々は、そうしたことに対して、行政改革推進法案において、中小企業等に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう必要な措置を講ずるものとすると、こういう枠がはめられておるわけでありますから、この枠の中でこうした問題について対処していきたいと思っております。  今後、詳細設計につきまして既に論点整理が進められておりますが、これはあくまでも法律案が御賛成をいただき、成立した後に対応すべきものでありますので、私どもは今準備はいたしておりますが、これから対応といいますか、結論に向けてまいりたいと思いますが、中小企業の皆さんに不安感を持たせることのないように、国民の皆さんからこれはおかしいということを言われるようなことのないように、外資ファンド等の問題については十分心得てまいりたいと思っております。
  81. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  もう一つ、政府系金融機関の中で公営企業金融公庫というのがあるわけでありますが、これは地方公共団体がやっているんですね。上下水道とか道路、交通、病院などの、要するに地域の住民の生活に密着した事業を対象として、貸付期間は極めて二十五年という長期間だし、低利な金利でありますし、安定貸付けなんですけれども、この廃止となる予定の公営企業金融公庫について、地方自治体にとってみれば、借りるところなくなるから銀行貸してくださいといっても銀行貸してくれない、そうすると結局、地方債出さざるを得なくなる。  これ、地方債の市場が今度またどういうふうになっていくのかということは議論しておかなきゃならない話だと思いますし、自治体が今度ある意味では破綻するというようなことをどう防ぐかということも含めて大きなこれ問題になりますから、この件について、まだ議論中だと思いますけれども、若干教えていただければ有り難いと思うんですけれども。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今回の政策金融改革におきまして、公営公庫に関しては大きく二つの方向を決めているわけでございます。一つは、廃止をして資本市場等を活用した方向に持っていく、これが第一でございます。第二としては、その移行期の財務基盤の問題も含めてしっかりとした対応措置を、その移行期の問題として取っていくということ、この二点でございます。  委員今御指摘のように、そうした方向に基づいて今制度設計をしているところでございますが、先般も地方六団体とお話合いをしましたときに、地方の関係者、やはりそのことについて大変いろいろ今御心配をしておられるというのはそのとおりでございますので、我々もしっかりと説明をしているところでございます。  これ資本市場を活用して、そのためには、まずはやはりしっかりと各自治体で工夫をしていただいて資本市場を活用していただくというのが基本の方向だと思います。しかし同時に、いわゆる共同発行するというのもその重要な選択肢の中に入ってくるだろうというふうに思います。その共同発行をどのような形で考えるのが良いのかどうか、そうした点を含めて、制度の中でしっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っております。
  83. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。  次に、特別会計改革について伺います。  塩川元財務大臣の例の、母屋ではおかゆを食って辛抱しようとけちけち節約しておるのに離れ座敷で子供がすき焼き食っておるという、これはもう本当に非常に分かりやすいインパクトを与えて、あの当時、そのことがあったのか、今回この法案の形になったのかなということも言えないわけではありませんと思いますが、日本のトップリーダーの一つにならんと欲しているかどうかは別にして挙げられている谷垣大臣に、谷垣流キャッチフレーズ、ちょっと御披瀝いただければ有り難いですけれども。
  84. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 塩川前大臣のキャッチフレーズはもう大変力を発揮しまして、今委員がおっしゃったように、あの言葉がなければ特会改革にこれだけ弾みが付いたかなと思います。  ただ他方、じゃ特会がみんな無駄遣いをして、離れですき焼きみたいなことばっかりのために特会があるのかというと、これは必ずしもそうでないわけでございまして、本来の目的は、負担とそれから給付といいますか、そういう収支を明確にするということで、塩川流に言えば、離れの子供たちに自立を促して、そしてきちっとやってもらうと、大人になってもらうと、こういう意味合いがあったんだろうと思うんですね。  ところが、そういう目的がありましたが、三十一も特別会計がありますとなかなか目が届かないところもあると。そうすると、目が届かないのをいいのに離れで勝手に無駄遣いをしているんじゃないかとか、それから、なかなか余り表に出さないけど収入がたくさんあって、実家に、本来実家の実力からいえば身分不相応なぜいたくをしているんじゃないかというような批判がありまして、改革をしようと、こういうことになりました。  したがって、今回そこを改革して二十兆ほど財政貢献をするようにしようというのは、これもやや塩川流にこじつけて言いますと、特会にいるのがみんな、離れにいるのがみんなどら息子ばかりだったとは言えないんですが、どら息子に孝行息子になってもらおうと、そして実家に、少し実家のためにも頑張ってもらおうと、キャッチフレーズになるかどうかは分かりませんが、分かりやすく言えばそういう趣旨なのではないかと思っております。  私たちも、できるだけこの問題を分かりやすく説明して国民に御理解いただく必要があるものですから、財務省のホームページ等々でも相当工夫をしまして、QアンドAとか特会の話、こういうものを、国民に分かりやすいものを一生懸命工夫しておりますので、どうぞそういったものも御参照いただければと思います。
  85. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  五年間で二十兆というこの目標を掲げた以上、残り六・二兆円をどういう、子供たち、兄弟含めて、親戚含めて捻出するのかということを例えにして、分かりやすい国民の皆さんに説明をいただければ有り難いというふうに思います。  どっちにしても国債残高圧縮するというのはもう優先順位としては極めて高いわけでありますから、そういう無駄遣いの廃止やってこそ次の税をどうするかという話になるんではないかというふうに思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。  もう一点、済みません。年金会計について、この特別会計の中には年金は非常に関心が高いわけでありまして、今回この厚生年金と国民年金の特別会計は統合することになっているわけですが、ところが政府与党のこの年金の議論は厚生年金と共済年金を一元化するという方向で話進んでいまして、この辺が国民から見て分かりづらい。特別会計は厚生年金と国民年金統合だけど、一方の議論、年金のありようについては共済と厚生年金の一元。これはどうして年金の一元化は現状でできないのかということを含めて、ちょっとその理由も含めて簡単に国民の皆さん方に発信していただきたいと思いますけれども。
  86. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただきましたように、十九年度に厚生保険特別会計、国民年金特別会計、統合いたします。一方で、今の議論でございますけれども、まず基礎年金という部分については共済も厚生も、また国民年金、同じ土台の中にある、ここだけは是非御理解を賜りたいと思います。  一方で、自営業者等が加入する国民年金も含めサラリーマンと共通の所得比例年金に一元化をすべきとの議論、これは承知しておりますけれども、この会計上の整理とは別に、年金制度の設計上の問題として様々な問題が今日までも言われてまいりました。自営業者等の正確な所得把握をどうするのか、必要経費の取扱いなど所得の範囲をどう設定をするか、そして、すなわちサラリーマンの事業主負担分、これを簡単に言えば倍、自営業者の場合は払えというのかと、そういった場合に国民年金の今の定額保険料に比べて多くが保険料負担が大幅に増加することになると。こんな問題があって、なかなか困難な問題であるという認識の中で、被用者年金一元化、厚生年金、共済年金の一元化を取り組んでまいり、去る四月二十八日にその基本方針を閣議決定をいたしたところでございます。
  87. 風間昶

    ○風間昶君 ちょっとこれ踏み込んでまた追い掛けて質問しますと時間なくなりますから、公益法人改革について伺います。  今回の公益法人改革は、もう明治以来の百年以上続いてきた制度改革でありますから、主務官庁を廃止するということは極めて画期的なことでありますけれども、総理もよくおっしゃっております民であっても公の部分を担うことはできると。この発想が民の側に今度は定着するかどうかというのは極めて大事なことでありまして、それが今回の制度がうまくいくかどうか、成功していくかどうかの分かれ目になると思います。  私事で恐縮ですけれども、犬のおまわりさん運動というのがあって、子供の通学路の安全確保のために犬飼っている人たちがその登下校に合わせて散歩をやるわけですよ。単純な運動なんですけれども、全国で五万人ぐらい、五万頭ぐらいか、参加しておりまして、地域によっては学校やあるいは商店街の皆さん方と連携取ってやっているんですけれども、いろんな様々なそういった運動が展開されて改革の実が上がっていくんだろうというふうに思います。  だから、そういう意味では、特にこの高齢社会の中で、今後労働生産人口が減っていく、そういうときに退職された方々がどのようなふうに活躍してもらうのかということは極めて大事だと思っております。  個人的ですけれども、総理御自身は退職後、何まずやりたいと思っていますか。
  88. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まだ総理辞めた後も国会議員ですからね、まだ考えてなかったんですけれども。総理辞めた後は一国会議員としてやるべき仕事はたくさんあると思いますので、退職してから、もし生きていたら何をやろうか、退職したときに考えたいと思います。
  89. 風間昶

    ○風間昶君 いや、分かりました。  我々のような団塊の世代が退職したらどう公の部分にかかわっていけるかということが極めてこれから大事なんですね、昭和二十一年、二十二年、二十三年、七百何十万人いますから。それで、ちょっと総理に伺ったわけでありますけれども。  リタイアした方々が社会貢献しようといろんな一般社団法人一般財団法人、あるいは従来からあるNPO法人について、どれがやりたい側にとってみれば使い勝手いいのかという、それに対するPRといいましょうか、参加の機会をきちっとつくってやることも大事じゃないかというふうに思うんです。そこは政府がつくるという話じゃないかもしれないけれども、でもそれはPRとしては大事な話なんで、そういうことでいうと、参加の機会をきちっと保障してあげるようなインセンティブをどうやってつくるかということがまず一つのポイントだと思うので、大臣、もしお考えがあれば伺いたいと思います。
  90. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 風間委員の犬のおまわりさん運動、私も聞いてなるほどなと思いました。最近テレビでやっています「ご近所の底力」、あれもやっぱり地域がひとつ自主的に自分たちの町を良くしていくという運動じゃないかと思いますが、こうした場合、NPOといいましょうか、この犬のおまわりさん運動がどういう資格を取っていらっしゃるかはともかく、そうした町の方々も法人格を取ってでもそうした公益を担っていただきたいというのが今回の趣旨でもございます。  そういう意味での今回の公益法人改革、これは主務官庁によるこれまでの許可制を廃しまして、登記のみで法人格を取得することができるようにするとともに、民間有識者から成る合議制の機関の意見に基づいて公益性を認定する仕組み、これを創設するものでございます。  民に公を積極的に担っていただく、こういうような環境整備でございますが、これを知らしめることでございますが、特に簡素で効率的な政府の実現を目指すことによりまして、公の領域の中で官が直接担う分野は小さくないことから、今後は一層民間の方々にも公を担っていただく、この必要がございます。  したがいまして、現在、公益法人にかかわっていない方、高齢者の方も含め広く国民に新制度の周知徹底を図っていくことが今のお話も含めて極めて重要であると、このように認識をいたしております。法案が成立した場合には、分かりやすいパンフレット等を作ったり、また説明会を開催して、積極的にこれを行いまして新制度の周知徹底を図ってまいりたい、このように考えております。
  91. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  ところで、既存の公益法人の中には、もう本当に家族二人とか三人、親子三人とかの中小零細企業を対象にして、けがの補償共済や福利厚生事業や災害防止事業と一体的に実施する団体があるんですね、財団あるんです。今回、この法改正で取りあえずは一般財団として存続していけますけど、今後の法案の規定で、もう一方にあります、今議論して進んでいきます保険業法の改正いかんでは、現在そういうことをやっていらっしゃる財団の業務ができなくなる可能性があるわけでありまして、この新しい制度ができていったときに存続が危ぶまれるような団体、公益的なものなら当分の間はやっぱり事業を継続できるような配慮が必要だと思いますが、この点について与謝野大臣、御見解を伺いたいと思いますけれども。
  92. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) お答え申し上げます。  公益法人の中には、我が国の経済社会において重要な役割を担っている法人が多数あるわけでございます。公益法人、すなわち財団法人、社団法人の行う共済事業については、今般の公益法人制度改革関連法案により、特例民法法人の経過措置期間終了、すなわち平成二十五年までには主務官庁の監督がなくなることから、それ以後も引き続き共済事業を行うのであれば、金融庁が所管する保険業法の規制の下で適切に実施いただく必要がございます。  いずれにいたしましても、保険契約者等の保護を十分に図りつつ、今後ともその有益な活動が適切かつ円滑に実施されるよう、よく御相談に乗ってまいりたいと思っております。
  93. 風間昶

    ○風間昶君 関連質問をお願いします。
  94. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  私は、実は、大体土曜日、日曜日、祭日を活用しまして、地元各市町の議員さんや支援者の方たちと一緒にずっとタウンミーティングというのを開いておりまして、県内を走り回っております。そこで今回の法案に関しましても割と具体的ないろんな質問などがございますので、総合的にはわたりませんけれども、幾つかそこでお聞きしたようなことをここでお尋ねしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  最初に、今、風間委員からもございました金融のことでございます。  政府系の金融機関の統合といいますか、廃止も含めまして、新政策金融機関というのができるということについて、一つ具体的な確認という形での質問をしたいんでございますが、特に我が国は京都議定書目標達成計画というものを昨年作られまして、言わば世界への約束であります六%の温室効果ガス、CO2の削減ということを政府の運動として進めているわけですが、これはやはり中小企業会社などにおいても、そういう効率的でまたガスなどを出さないような設備投資を一層進めていただきたい。言うならば、日本会社は世界でも最先端のそういうきれいな、クリーンな会社であると、こういうふうにしていく必要があると思っております。  これに関連しましては、国民生活金融公庫でありますとか中小企業金融公庫からいろいろな形で補助がされているわけでありますけれども、これは今度の新政策金融機関においても引き続き行われていくのかどうか。これについてお聞きしたいと思いまして、これはいろいろ各省が関係しておりますけれども、今日は経済産業大臣の松あきらさんにお聞きしたいと思っております。お願いいたします。
  95. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 地球温暖化の問題は非常に重要な問題であるというふうに思っております。我が国のみならず、地球規模で地球家族としてのこの問題を対処していかなければいけないというふうに私も思っているところでございます。  私ども経済産業省といたしましても、温暖化対策推進するその一環として、政策金融の活用を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫によりまして、高性能ボイラー等の省エネルギー設備の導入支援のための低利融資、これを実施いたしております。また、中小企業金融公庫によります太陽光発電設備あるいは風力発電設備等の新エネルギー関係設備の導入を支援するためのこれも低利融資を実施いたしております。このほかにも、先ほど山本議員も御指摘になられましたように、別途この問題に対処できるように補助金も導入をさせていただいております。  私は、日本の九九%は中小企業であると。その日本の土台を支えてくださっている中小企業の皆様が、このたびの政策金融改革の結果、一つに統合される、非常に御不安もあるかと思います。しかし、中小企業向け金融は新機関の重要な機能としてしっかりと引き継がれなければならないというふうに思っております。  お尋ねの地球温暖化対策を始めといたしまして、危機対応など民間では十分に対応できないそうした問題、あるいは政策的に必要なものにつきましては、引き続き新政策金融機関がしっかりと対応できますように全力で取り組んでまいる決意でございます。
  96. 山本保

    山本保君 非常に力強い答弁をいただきました。  それでは、もう一つ松副大臣に、先ほど二階大臣からもお話があったことなんでございますが、特に私ども公明党、中小企業の側に立つ公明党、庶民の公明党ということで松さんに入っていただきますので、今度、銀行の中でといいますか金融機関の中で、先ほどお話出ました商工組合中央金庫ですね、これが民間に、純粋民間に移行していくと。こうなりますと、これまで果たしてきた、会社が危機になったときに優先的といいますか非常に割安で効率的に貸してくださるというようなことがちょっと心配ではないかと先ほど大臣からもお話があったわけですが、松副大臣からも、ここについて、いざというときにきちんと応援をするという御答弁をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  97. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 山本議員御指摘のとおり、私も、商工中金に助けられた、危機を脱することができたという、そういうお話をよく伺っているところでございます。  いざというときの資金繰り、先ほども申しましたように中小企業にとっては入口も出口もすべて融資に懸かっていると言って過言でないわけでございます。このたびの商工中金、完全民営化をされるわけでございまして、中小企業のための金融機関としてちゃんと機能が残るのかどうかというふうに皆さん思っていらっしゃる。私どもも、そこいら辺はしっかりと、もう二階大臣も常日ごろおっしゃっておられます、そうした危機対応も含めて、中小企業のための金融機関となりますように、完全民営化後も積極的に活用されていきますようにしっかりとしたものにしていきたいと決意をしているところでございます。
  98. 山本保

    山本保君 どうぞよろしく、じゃお願いいたします。  そこで、法案とは直接かかわらないんですが、今のお話の中に、実は、中小企業に対する金融のいろんな環境といいますか状況によっていろんなことが判断されると、これはもう法律の中にも、そういう御答弁があったわけですね。  そこで、竹中経済ではなくて、今度は郵政民営化担当大臣として竹中大臣にお聞きしたいんですが、昨年のこの郵政民営化で郵便貯金銀行をつくりました。たしか地域密着型の銀行であると、こういうことで我々も賛成をしたわけでありますが、この銀行が小口の融資といいますか、中小企業ですとか又は一般の方に当然地域で貸出しをするということが、これはやっていただかないといけないのではないかなと思いますし、そういうお話もあったんじゃないかと思いますが、もちろん民間のことですからお答えにくいかもしれませんが、しかし、この銀行はたしか株は最後まで国が持っており、いろんなものについては総務大臣の認可が要るということになっていたと思います。民間ですから民間で決めるんですという答弁があるんじゃないかとは思うんですが、しかし、この日本状況でいいますと、やはりこういう場合は大臣又は役所の方がいろんな形で誘導していくだろうという想像もできるわけでありまして、この辺についてどういうお考えなのかお聞きしたいと思います。
  99. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私が答えるべきことは既にもう山本委員が今言ってくださった点もあるかと思うんですが、これあくまでも、言うまでもなくこれは民間の経営の下でどのようなビジネスモデルでやっていくのかということをお考えいただくというのが、やはりこれは重要な原則であろうかと思います。それにつきましては、どのような形で承継、実施計画を作るかという骨格を今年の七月に出していただくことにしておりますので、そうした中でいろんな議論が深められていくというふうに思っております。  ただ、仕組みとしては、委員言われましたように、これやはり地域への密着というのを強みに持っている金融機関でありましょうから、市場の中で競争をするからこそ自らの強みを発揮していただくことになるだろうと、そういうふうには私自身も思っております。  手続的にはできるだけ自由度を持っていただいて、それで民間の活力を発揮していただきたいということと、他の民間企業とのイコールフッティングをしっかりと保っていただかなきゃいけないということだと思います。したがって、新規の業務、今はそういう貸付けを行っていないわけでありますけれども、そういう新規の業務を行うときには郵政民営化委員会の意見を聴取の上、主務大臣が認可していく、そして段階的にやっていく。これは何度も郵政民営化法案のときに御答弁をさせていただいたとおりでございます。その趣旨にのっとって郵政会社には適切にやはり対応していただきたいし、この法律にのっとって我々も粛々と進めていくつもりでございます。
  100. 山本保

    山本保君 ビジネスの判断が優先するということかもしれませんが、やはり役所の認可をする、言うならこの銀行はお墨付きのある銀行だと思っておりますので、そういう国民の要望というものについてもよくその風通しを良くしていただきたいなということをお願いしておきます。  次、続きまして、総理にちょっと予定してなかったかもしれませんが、一つ事業仕分についてお聞きしたいと思います。  今、公務員改革ということで総人数なども減らそうということですが、ただ単にもちろん減らすわけにはまいりませんので、その中で本来国やまた地方がやるべき仕事と民間のやる仕事をきちんと分けていくということで、我が党が事業仕分という言葉で主張してまいりましたことが法案の中にも含まれております。  総理に、簡単で結構でございますが、この事業仕分の必要性について総理見解をお願いいたします。
  101. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、今まで役所がやっていた仕事、公務員がやっていた仕事、これ民間にできるかどうかというのは事業仕分です。国でやっていたことをそれじゃ地方にゆだねようか、この事業仕分がないと、どれが民間がいいか、役所がいいか、地方がいいか、国がいいか、難しいものですから、この事業仕分ということをやるために具体的にどうしたらいいか。まあいわゆる市場化テストでも、同じ仕事を民間にやってもらおうか、役所でやるか、これはどっちが効率的か、合理的かというのもこれから具体的にやっていくうちに慣れてくるでしょうし、あるいは問題も出てくるでしょう。  そして、公務員をここは減らそうという場合においても、じゃ減らす部分、どういう仕事の分野に向いているか。現在の公務員の中で民間に行く場合、あるいは公務員の中でも増やさなきゃならない分野がある。減らしていく分野の人をじゃ増やさなきゃならない分野に回す場合も、すぐにはできません。訓練なり研修なりが必要であります。  そういう点をやっぱり事業仕分というものはしっかりとやっていかなきゃこの改革はうまくいきませんので、その大事な仕分作業というものを今までの審議を踏まえてしっかりやっていきたいと思っております。
  102. 山本保

    山本保君 これまでは一律に何%カットというようなことが主に役所の場合は行われておりました。これはどうしてもどこがということを言いづらいところありますから、しかしここで仕分という形で中身をしっかり見ようということが法律に入ったということは、大変私ども評価しているところであります。  もう一方、実はここに法律にも実はあるわけですが、いわゆるITの機能といいますか機器を利用して仕事を進めておきませんと、人数が減ったけれども逆に大変な仕事が増えるということがあります。これは竹中総務大臣にお聞きしたいわけでございます。  今いろんな形で検討といいますか、調査を進めているとも漏れ聞いておりますので、こういう業務を、特に国の仕事の中でIT、コンピューターを入れることによってどれぐらい事業が削減するといいますか縮小されるのか、それについて現状と見通しをお願いいたします。
  103. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ITの活用は、言うまでもなく極めて重要でございます。そして、これまでも国税とか社会保険、特許、登記、そういうところに導入をして合理化、効率化には取り組んできたわけです。  そして、今後の問題として更にそれを進めようということで、実は平成十七年度末までに七十六の分野の業務、システムについて最適化計画というのを作りまして、この中で業務制度を見直して、そしてシステム、これはシステムの共通化、一元化等も必要でありますので、そういうことを取り組むということにしております。  その削減効果はどのぐらいかという直接の御質問でありますけれども、平成十八年度から五年間におけます国の行政機関の定員の合理化数というのをそういう先ほどの最適化計画の下で今検討しております。まだ精査中ではありますけれども、一万人弱程度の合理化数が見込まれるというふうに思います。これなかなか、小さないろんなことの寄せ集めでございまして、どのぐらい労働時間が減るかと、その労働時間が減った分、あえて人間に割り振ったらどのぐらいかということで、まあ一万人弱というふうに申し上げますけれども、この精査、更に進めていきたいと思います。そして、減量・効率化に取り組んでまいりたいと思っています。
  104. 山本保

    山本保君 いろいろ現場の方にお聞きしましたら、十何万時間とかなかなか難しい数字が挙がっておりましたが、今大臣から分かりやすく一万人という数字が初めて示されましたので、これは是非今後の計画の中でベースにしていきたいと思っております。また、このシステムというのが変わりますと、当然いろんな仕事のやり方が変わってくるはずなわけですから、単にコンピューター嫌いというんではなくて、是非これを入れていっていただきたいと思っておりますが。  もう一つ、これは局長ですかね。インターネットでいろいろ、これ現場の、特に建設関係とかいろんなところにお聞きしますと、今電子的な入札とかいろんなのが進んでいるんだけれども、いろんな役所によってコンピューターがばらばらだと、ソフトが。全部そろえなくちゃ、もう何百万と要るんですなんという話があるんですよ。これは地方での話なんですが、これは国でも、考えてみますと、たしか私もおりましたころに、全部省庁、会社が違っておりましたわね。これは一社だけ独占的にやっちゃいかぬという配慮もあったんでしょう。そのことが逆に大変そのバージョンが使いにくくなっているんではないかということなんですが、これは総務省として改善を図っていると考えますが、どうでしょうか。
  105. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。  各府省の電子申請システムを利用する場合には、電子署名の付与等を行うためのソフトウエアが必要なわけでございますが、そのソフトウエアのバージョンアップの対応が各府省で一部後れているところがあったということで区々になっていたということでございます。このため、一部の府省の電子申請システムを利用する場合、申請者側のパソコンのソフトを再度設定し直す必要があるというような状況が見られているということでございます。  この問題についての対応でございますが、政府は現在、電子政府の総合窓口というものをインターネット上に開設しているわけですが、その電子政府の総合窓口で各府省の電子申請を一元的に取り扱うというような方向で整備しているところでございます。これができますれば、原則として各国民、事業者からの電子申請はこの窓口から通じてやるということになるわけでございますので、これによってソフトウエアのバージョンアップということも一本化できるわけでございますので、御指摘のような不具合は今後解消されていくんではないかというふうに考えているところでございます。
  106. 山本保

    山本保君 これはもう大至急進めていただきたいと思っております。  じゃ次に、市場化テスト法案についてお聞きします。  先ほども実は保坂委員の方から、市場化テストではなく、いろんな入札で非常に不合理といいますか、私どもがお聞きすると不思議な入札があったという事例もいろいろ御説明ありました。  この市場化テストということで、本来役所がやっていました仕事に民間を導入しようではないかということで進めていると。その中でも、今結果を見てみますと、どことはあれですが、その役所の仕事について一円で入札があったということも報告をありますね、一円で入札だと。これなどは、こういうことがもしありますと、市場化といっても、もちろんビジネスの、大きなビジネスを持っているようなところが名前を売るためであるとか、又は将来、後からもうけましょうというような形でこういう形をしてくるなんということは、これは大変困ったことになるわけであります。  中馬大臣にお聞きしたいわけですが、これは先ほどの入札問題はちょっと別に、この市場化テストに関してだけでまず結構なんですが、今まで本来役所がやっていた仕事というものですから重要な仕事なんですから、これについては何かガイドラインを設けるとか、きちんと基準を作らないと心配だなという気がするんですが、いかがでしょうか。
  107. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほどもありましたが、低価格入札でございます、一円入札といいましょうか。御指摘のとおりでございますが、この場合には、複数年数の契約を前提といたしておりますこと、それから当初の契約期間が終了したからといって随意契約に移行するということではないことにしておりますから、そうした事態はこの今回の市場化テストでは想定し難いと一応は考えております。  加えまして、本法案では確保すべき公共サービスの質を明確にした上で、これを上回ることを事業の実施者に求めております。そして、価格のみならず質につきましてもしっかりと評価する総合評価入札を採用している。それから報告徴収、立入検査等様々な監督上の措置を講じることといたしております。こうしてサービスの質の確保のための仕組みを設けておりまして、この仕組みから考えましても、コストを度外視した入札はちょっと想定し難いんじゃないかと考えております。  さらに、十三条第一項で、低入札価格調査制度の活用によりまして、その価格では公共サービスの質の確保に問題があると認められる場合には、その事業者には落札できないことが明記されているところでございます。  市場化テストでは、こうした仕組みの活用によりまして、公共サービスによる受益者である国民の立場に立って、公共サービスの質の改善と経費の削減、これ実現すると言っている観点から、最も適切な者に公共サービスを担わせる、これが重要である、そのように運用してまいりたいと思っております。
  108. 山本保

    山本保君 確かに、コストということで、これも現場の方から伺いますと、物を作ったりそういうときには割とコストというのは明確なんですが、例えば先ほども出ました設計のように完全な頭脳労働のようなときコストというのが全く入っていないんじゃないかというようなこともよく聞きます。これはなかなか難しいわけですが、しかし、これにもきちんとした基準をやはり作っておきませんとしり抜けになってしまうという気がいたしますので、どうぞよろしくこの辺お願いいたします。  次に、公益法人改革につきまして、谷垣財務大臣にまず第一問ですが、まだこれからの過程であるとは存じておりますけれども、新しい公益法人、そしてその上にまた認定されますと税の優遇があると。この税優遇の中身についてとその範囲でございます。いわゆる損金算入というような形で今の特別公益増進、特増法人ですね、法人が受けているのと大体同じようなそういう優遇があるというふうに理解してよろしいのかどうか、もし御返事いただければと思います。  私の立場としましては、税金を官が集めて、それを補助金のような形で使うよりは、まず皆さん、国民が見ている場で動いている活動について国民のチェックを受けたということから、そこの税金を安くしていけば、結局同じことなんですけれども、その方が効果的、効率的であるということから是非進めていくべきだと思うわけですけれども、大臣いかがでしょうか。
  109. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、正確にお答えするのは詳細な制度設計を見てからということで今までずっとお答えしてまいりました。ただ、基本は第三者機関が公益性を認定するということであれば、税の立場からもその基本線を、それを尊重するというのが私は基本だろうと思います。  それで、今委員がおっしゃったように、民間にやはり公を担っていただく、そういう役割を果たしていただくために寄附文化というものも推し進めていく必要があるだろうということでございますが、ただ、先ほどから詳細制度設計、これを見てからと申し上げておりますのは、それが租税回避のようなことに使われてしまうと、またそこに批判が集まってまいりまして、せっかくの寄附文化も挫折してしまうということになりますので、例えば都道府県レベルで公益性認定の機関をつくっていただきますが、そういったものがどういう判断基準でおやりになるのかというようなこともひとつよく検討させていただかなければならないと思っておりますし、その上で、適切な情報提供といった税務当局による円滑な執行、こういった点からも一定の手続面を整備する必要があるかと思っておりますが、基本は、先ほど申し上げたようなことでしっかり対応したいと思っております。
  110. 山本保

    山本保君 いろんな手続が必要だということはおっしゃいましたが、確かにその基本線を守りたいと、進めたいというお答えだったと思いますので、是非よろしくお願いします。  そこで、これに関連しまして、実はこういういわゆる公益法人改革の見直しの契機になりましたのがNPO法人であると思っております。三月の予算委員会でも大臣にちょっと短い時間で御質問したんですけれども、今度のNPO税制の、認定NPOに対する税優遇の中で非常に私は注目しておりますのは、八百万円未満の入金のような小さな地域のNPOであれば、五十人から一人三千円の寄附があると、そしてそのほかに匿名の寄附があると。匿名といいますと、名前分かんない寄附ですよと思うんですが、そうじゃなくて、名前ははっきりしていてもよろしいわけで、ただ、これを私がやったから理事長にしてくれとか、そういうことに介入しませんよということを匿名と言うと思うんですね。  ですから、こういう寄附が当然なければ動きませんが、そういう形の寄附が三分の一あれば、これまで全国二万以上あるNPOの中でたった四十ぐらいしか受けられなかった認定NPO、つまり税優遇が格段に増えるのではないかという施策が始まったと思っておるんですけれども、これについて現状を大臣の方から御説明いただきます。
  111. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今御指摘の小さなNPO法人への特例措置、どうするかということにつきましては、十八年度税制改正といたしまして、細目、昨年末の与党税制改正大綱に盛り込まれておりまして、それを反映した政省令を三月末に公布いたしまして、既に新たな制度が実施されているところでございます。  それで、これは総収入金額が今おっしゃった八百万円未満である等の要件を満たす一定の小規模NPO法人につきましては、いわゆるパブリックサポートテストの計算におきまして、寄附金総額から少額寄附金、これはその寄附金額の合計額が千円に満たないものでございますが、それから今おっしゃった匿名寄附金、こういったものを控除する計算をするわけですが、それは必要ないということにしまして、簡素な計算を可能にしようと。それから、その際、事業年度ごとにパブリックサポートテストの判定を行うといったことも不要としようといった措置が講じられているわけでございまして、既に三月末から実施しております。  さらに、こういったものをよく認識していただいて、小規模なNPO法人の発展といいますか、活動に役立てていただきたいと思いまして、政府としてもできる限り広報活動をして周知徹底をしていただくようにしたいと考えております。
  112. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  最後に、総理にお聞きします。  今、実はNPOとか公益法人の話がありまして、大変正に市民、国民の力ということを進めているわけですが、残念ながら、片方、公益法人といいますと、役所などから天下りの方がいて、そして随意契約というような形でそこへ非常に自分たちだけの利益を得ているのではないかという批判が実際あります、出てきております。こういうことは決してあってはならないことだと思いますし、国民の側も大変これは怒っていると思うわけでございます。  財務大臣にもお聞きしたかったんですが、もう時間がありませんので、総理、このことについてどのようなお考えでいるのか、お聞きしたいと思います。
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 山本委員始め、この委員会でもその問題、議論されておりますので、そのような疑念、不信を招かないようにしっかりした対応をしていきたいと思います。
  114. 山本保

    山本保君 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  115. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  116. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、浅尾慶一郎君及び鈴木寛君が委員辞任され、その補欠として大久保勉君及び岡崎トミ子君が選任されました。     ─────────────
  117. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  この行革関連法案も、参議院の審議ですが、四月二十四日の本会議でスタートしまして、今日は二十五日ですから、約一か月経過しました。その間、私、本会議総理に質問さしていただきまして、委員会の審議をお聞きしながら、最後に総理に何をお伺いしようかなと、こういろいろ考えてきたんですが、そんな中で、御承知のとおり、昨今報道されています社会保険庁の問題が生じました。  せっかく総理出席でございますので、この社会保険庁の問題についてまず二、三お伺いしまして、それから行革法案の方の質問をさせていただきたいというふうに思います。  もう社会保険事務所が、法律の規定に反して、本人の申請なしに国民年金保険料の免除や猶予手続という不正処理を行っていたという事実が発覚したわけであります。これは件数の多かった大阪だけではなくて全国的に行われていると、こういうことも報道されておりまして、法律を無視したこういった行為は、全く私も言語道断だというふうに思います。  社会保険庁は、これまでにも様々な不祥事がございました。年金保険料の流用とか年金個人情報の業務外閲覧とか監修料の問題等々でありまして、よく言われますように、社保庁の解体的出直しをという、その正にさなかに今回のこの事件が起こったわけであります。  しかし、私は、いろんな見方があると思うんでありますが、今回の事件はやはりこれまでとは少し異なっているなと、単に不祥事として片付けられない構造的な面も持っているんではないかと、こう思うわけであります。  社保庁は、平成十九年度の国民年金の納付率を八〇%にする、こういう目標を掲げて、各社会保険事務局や保険事務所で対抗グランプリと称して競わせていたと、こういうことも言われておりますし、今回の件に絡んでいいますと、分母対策という、つまり分母を小さくすれば納付率が上がるという意味での分母対策ということも公然と言われていたということであります。  ただ、どこかの新聞か何かのコメントに、大変失礼ですけど、できの悪い商品は売りづらいと、こういうコメントが出ていたように記憶しています。私は、やはり、この国民年金ですが、できの悪い商品とどなたかがおっしゃった。これは、実はこれから毎年小刻みに保険料は上がっていきますからますます売りづらくなるわけでありまして、私はここで総理にお伺いしたいのは、この国民年金制度のやはり根本的な改革を行わずに、こういう形でとにかく納付率を上げようじゃないかと、こういうことを繰り返していると、また同じような事件が起きてしまうのではないかと、こういうことを危惧しておりまして、この点について、まず総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  119. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国民年金も含めて、厚生年金、共済年金、ともに改革していこうということで与野党の協議会ができたんじゃないでしょうか。是非とも民主党もそれに応じていただければいいと思うんですが、なぜか民主党はなかなか応じていただけない。  これは、だれでも年金というのは重要な生活の糧になっています。その年金を給付される側にとってみれば、できるだけ額が多ければ多いほどいいと。しかし、若い人、将来、年金を受け取る時期になっていない若い方にとっては、保険料できるだけ低い方がいいという、いつの調査によってもそういう結果が、アンケート調査によってもそういう結果が出てくるわけです。  それだけに、老後にどれだけの給付がいただけるのか、それでは、いつもらえるか分からない若い世代の方々がどれだけ負担するのかと。これは国民年金も厚生年金も似たような形ですけれども、国民年金は事業主負担ですから、事業主負担というか自営業者でありますから、厚生年金、共済年金とは若干仕組みが違います。  そういう観点から、この問題を与野党で政争の具にせずに協議していこうと。時間を掛けてでも、この年金というものをより、国民が大事にしている社会保障制度であるからこそ、いいものをつくっていこうということで協議会は始まったんですから。私は、どこにそれでは国民年金の問題があるのか。また、民主党は、厚生も共済も国民年金も一元化を主張されていますけれども、政府与党は、まずは厚生と共済年金の一元化してからだという立場の違いはあります。しかし、その違いも、参加することによって協議して議論できるんじゃないでしょうか。溝をうずめることができるんじゃないでしょうか。  でありますので、(発言する者あり)国民年金どう思うかという質問に答えているんです。社会保険庁の不祥事どう思うかと質問されれば、それにはまたそれでお答えいたします。
  120. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いつもながらの総理の御答弁で、ただ、はっきり申し上げておきますが、与党野党、言い分はあると思いますが、私は、総理はこの国の最高責任者ですから、そして国民の年金をやはり安心できる制度にしていく責任はあると思います。だから、今回のことで申し上げますと、今も被用者年金の一元化のお話もございましたが、私は何かやり方もおかしいなと思うんですよ。  どういうことかというと、政府与党も被用者年金を一元化すると、こういうふうにおっしゃっているんですが、今度法案は、ねんきん事業機構という新しい、社会保険庁を改組して新しいものをつくると。ここは、厚生年金と国民年金の事務、取り扱うんですよ。ですから、総理はそういうふうに段階を踏んでという御意思が若干あるのかもしれませんが、今やっていることは、実は非常にちぐはぐなことをやっている。事務局をきちっとしないで一元化も何もないんじゃないでしょうかね。  ですから、まあ言ってみれば、何か継ぎはぎを順番に張って、今の年金制度をますますおかしくしてしまっているんではないかなと、私はそういうふうに思わざるを得ないんでありますけど、こういうちぐはぐさというのは総理は感じておられませんか。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ちぐはぐではなくて、社会保険庁を変えろということだったんじゃないんでしょうか。社会保険庁を現状のままでいいとは思わないから、これを解体的出直しをしようというものと、年金制度、厚生年金制度と共済年金制度、これをどう一元化するか、あるいは国民年金制度、すべて含めて一元化するかという問題は別の問題じゃないでしょうか。
  122. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 別の問題ではないと思うんです。  ですから、日ごろ国民の皆さんから保険料を預かる、そういう処理をして、給付が必要な人には給付をする、これが伴っていかないと、そういう事務局の機能が伴っていかないと、幾ら制度を一元化しましたと言っても、そんなの一元化と言わないでしょう。失礼ですけど、今回の政府がおっしゃっている被用者年金は、どうも単なる官民の格差の調整みたいな感じがするんですが。  それでもう一つ、総理に是非、この機会ですから申し上げておきたいのは、例えば、政府与党のこの被用者年金の一元化に関する基本方針というのが今閣議で決定されています。その中にこういうくだりがあるんですね。「将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し、同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保することにより、公的年金全体に対する国民の信頼を高める」、これも、我が党が、も同じようなことを言ってきたわけですが、そういうふうにうたっておられるんですが、実は実態は、御承知のとおりパート労働者とか派遣労働者とかいろんな方がおられまして、実際には正規雇用者と非正規雇用者で厚生年金と国民年金に分かれているとか、あるいは最近、特に経営の苦しい中小企業なんかは、経営者がもう偽装脱退しちゃって、本人が分からないうちに国民年金にされちゃっていると、こういう人もいらっしゃるわけですよ。ですから、被用者年金が何かまとまって一つの制度としてきちっと、まだ相対的にはそれは国民年金より機能しているかもしれませんが、実は被用者年金の中もこういうふうにどんどんどんどん今、簡単に言えば空洞化しているわけですよ。ですから、この閣議決定の文章のように、単に被用者年金を一つにしたって、この閣議決定の文章のようにはならないんですよ。  確かに、雇用の流動化というのは時代の流れかもしれません。しかし、間違いなくこれを加速したのは小泉改革なんですよ。ですから、光と影と、こう言われているわけですよ。私は、やはり総理に是非この影の部分をもっと真正面から見ていただきたい。そして、本当に年金抜本改革をやりましょうよ。さっき野党が参加してこないからみたいなことをおっしゃったんですが、私もあの会議に出たことあるんですけど、まあ我々もいろいろ言うんですけど、与党さんも一歩も去年のあれから出てこない。こんなことじゃやっぱり駄目だと思うんですよ。本当に国民のためにもう一汗総理にかいていただけませんかね。どうでしょう。
  123. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、まずは会議に出ていただいて協議していこうということであの会議をつくったと、これは御理解いただけると思います。  そこで、政府としては、国民年金と厚生年金、共済年金を一挙に一元化は無理だということをはっきり申し上げているわけです。民主党は、国民年金も厚生年金も一緒にしろと、共済年金も。そこは実際、国民年金と厚生、共済年金一緒にした場合、どういう問題あるのかということを議論すれば私はいいと思うんですよ。まず厚生年金と共済年金一元化して、それでは国民年金と一元化するためにどうするのか。給付は国民年金に合わせるのか、保険料負担は国民年金に合わせるのかで随分違ってきます。仕組みも違います。それを一緒にした場合の問題点が様々出てきます。それを協議の場へ出てきて主張されればいいじゃないですか。それから、それではお互い大事な社会保障制度なんだから協議していこうと。私は、そのための協議会ができたんだと思います。  よく例に出されますスウェーデンだって、与野党が一緒に何年も掛けてでき上がったわけですから、それを見習って、与党だから野党だから言って対立してもしようがないという、そういう形で、まず協議しようということでありますから、私は、今の問題点があるんだったら、場に出てきて議論して、どこが違うのか、どういう方向だったら一緒に行けるのか、それを含めて私は協議を始めていただきたいと思うんであります。
  124. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理は協議協議とおっしゃるんで、私ども、さっき申し上げたように出ましたけど、もうとうにあれは壊れていると思います。だから、今申し上げているのは、我々も一切話合いに応じないということじゃありません。総理がちゃんとレールを引いていただければいいと思うんです。  例えば、今回の件だって、社会保険事務所の方が本人に無断で免除にしちゃったということなんですが、あれ免除になった方も実際年金もらえるときはごくわずかの年金しかもらえないですよね。そうすると、例えば今のルールでいくと三分の一ですか、国庫負担金分だけですよね。そうすると、とてもとても老後の生活なんか間に合わないですよ。ですから、こういうことを繰り返していくと、やっぱり将来、生活保護の方がまだまだどんどん増えていくとか、よく言われる格差が、特に年老いた中でのそういう厳しいお年寄りが増えてくると、こういうことにつながるわけで、ここで総理は、おまえたちも協議に参加しろと、こう言って突っ張られるんですけど、私は、私個人の意見でいうと、突っ張り合っている場合じゃないと、総理がやはり責任者としてもっとリーダーシップを発揮してほしいと。このことだけちょっと申し上げて、行革法案の方へ入っていきたいというふうに思います。  今日は、ちょっと二、三点、重点置いて総理の御所見をお伺いしたいというふうに思っています。  最初に、朝もちょっとございましたが、事業仕分についてお伺いしたいわけであります。  朝、総理も答弁の中で、この行政改革を進める上で事業仕分は出発点だみたいな言い方をたしかされました。私は全くそのとおりだというふうに思います。ここをちゃんとやるかどうかで結果は全く違ってくると、こういうふうに思います。  ちょっと、一枚目の、お手元に資料行っていると思いますが、(資料提示)お手元にお配りしていると思いますが、これは、実は「構想日本」というところで今、事業仕分を幾つかの都道府県を中心にやっておられます。これは十五自治体の事業仕分を行った結果なんですが、ここでは、一番上に書いていますように、実際に事業の仕分を皆で議論して、要るもの要らないものと、こういうふうに振り分けていきますと、市町村の場合で約一三%、都道府県の場合で一〇%、これだけは要らないと、本来役所がやるべきじゃないと、あるいは、これは役所がやるべきじゃないという中に、民間でやった方がいいというものと要らないというものと二通りあります。約一割ですね。それから、他の行政機関の仕事を、まあやっちゃっている、やっちゃっているのかやっているのか分かりません、都道府県で三割あるし市町村でも一六あると。そうすると、本当に市町村がやらなければいけない仕事ということで見ると、七一%、約七割です。都道府県の場合、六割になると。  こういう結果が出ていまして、まあここから先、私の勝手な計算なんです。これを単純に国の一般会計と特別会計を合算して重複分除いた金額、約二百六十兆円だったと思いますが、これで計算して、一割が要らなくなるということになると二十六兆円という膨大な金額が出てくるわけですね。まあ、こうなるかどうか分かりませんが、これがやはり私は事業仕分の効果だと思います。  参議院参考人にお招きしたその「構想日本」の加藤さんのお話だと、要するに六十年間の間に行政組織のいろんなところにたまったあかを落とすんだと、あか落としなんだと、こういう言い方をされています。  総理、このあか落としをまずきちっとやっていこうと、こういう御意思はおありでしょうか。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 正に、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にということは、この現在の日本の行政機構、洗い直そうということであります。簡素で効率的な政府というのも、まああか落としと言ってもいいでしょう。あかもたまってきたでしょう、六十年間もやっていれば。役所がやるのが公の仕事、民間がやっている仕事は公じゃない、そういう考えではもう通じないと。民間でも公の仕事をできると。そういうものについては民間にゆだねてもいいのではないかと。公共的な仕事は役所がやらなきゃいけないという考えも、民間にできるんだったら公共的な仕事を任せていけというのも見直しの一つですから、事業仕分をしていくべきだというのが、行政改革法案のみならず政治考え方として私は妥当なものだと思っております。
  126. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっとお手元に、二ページ目の資料を開けていただきたいんですが、ただ、この間お聞きした説明によりますと、この事業仕分もやたら集まってやっても意味がないんだと。要するに、やっぱりやるためにはポイントがあるんだと、成果、きちっと効果を上げるためには。簡単に言うと、ここに書いていますけど、四点ぐらいあります、成功させるポイントということで記載していますが。  これは各都道府県の予算書をベースにして、一つ一つ要るか要らないかというチェックをしていくわけですが、まず事業の名称ではなく、具体的な内容できちっと判断すると。例えば予算書、国の予算書もそうなんですけど、予算書の名称は中小企業支援とか青少年育成とか、ここに書いていますように、非常にだれもが反対しづらい名称になっています。  しかし、中身をよく見るとそうじゃないものがあると。僕らに話してくださったときは、ある都道府県で青少年育成事業と、こう言っているんですけど、中身は何だと言ったら、子供を公園に連れていってポニーに乗せると。それで、県がじゃ子供をポニーに乗せなきゃいけないのかと言うと、いや青少年の育成は大事ですと担当者は言うと。そういう押し問答を繰り返しながら、無理にポニーをあえて役所の仕事で乗せることはないんじゃないかということを納得してもらうと、こういうふうにおっしゃっていました。  二つ目は、透明性を確保するためにオープンに公開の場で行うと。これは是非、私、総理にお願いしたい。これは密室でやると意味ないんですよ。みんなの前で分かるようにやると。そのときに参加する人はお役人だけではなくて、担当のお役人ではなくて、ほかの省庁のお役人とか自治体の方とかあるいは住民とか、幅広く入ってもらう。みんながそこで評価をすると。こういうことをやっていくと、これ、そもそもから議論をするということをやっていくと効果が出ると、こういうことなんですね。  これ是非やっていただきたいんですが、もう一つ実は効果がある。これがその下に、期待できることということでちょっと書かせていただきました。  オープンな場でやることによって担当のお役人の意識が変わってくる、正に担当の意識から国民の目に変わってくる。それから、ここが大事なところなんですが、やっている過程で国のいろんな規制とか基準の矛盾が出てくる、あるいは問題点が出てくると。これをなくしたら、ことによって、今度は事業の数だけではなくて質の問題ですね、質も縮小できるといいますか、そういうことが期待できるということであります。  これ前回もちょっと、三枚目ですね、お出ししたと思うんですけど、長野県の栄村というところですが、道路建設、例えば国の基準でやると十一・一万円掛かるのが栄村で実施すると一・九万円で終わると、これは一平米当たりですね。農地整備も、国の基準どおりやると百七十四万円掛かる、これが自分たちで判断をしてやると三十九万円になる、終わると。  こういう具合に実は中身も、質の面の問題も出てくるということでありまして、国の細かな基準を取り払ってもらえますと、それぞれ地方地方の知恵で無駄遣いをなくせると、こういうことなんですが、こういう国の基準の見直しも含めて事業仕分を是非実行していただきたい、こう思うんですけれども、総理の、ここまでちょっとお話聞いていただいて、御所見、お伺いしたいと思うんですが。
  127. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ただいまの直嶋議員の御指摘、私は、これはいい御指摘だし、この成功させるポイント、この各それぞれの点、もっともだと思っております。
  128. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 非常に簡素で効率的なコメントでございましたが、ところが、実は今回の法案見ると、この仕分をだれがどのようにやっていくかというのが全く見えないんです。確かに、法律見ると、例えば第二条に理念的に事業仕分について触れてますし、朝御議論あったように、特別会計のところも触れてます。しかし、実際には、国の膨大な事業をどういうふうにするのか、進めていくのかというところが全く書いてないということなんですけども。  私、今いろいろ申し上げましたが、こういうことも含めて、是非公開の場できちっとセオリーどおりやっていただくということで、(発言する者あり)そうですか。ちょっと、じゃ、お答えください。
  129. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今までのこの法案に仕上げる以前に、それぞれ行政改革の論議は政府の中でも、あるいはまた有識者会議、第三者の方々にどんどんとやっていただいています。  その中でいろいろとやっておりますのが、それが正に仕分でございまして、そしてここに重要方針からこの法案にまで仕上げてきておりますものの中で、例えばこの制度金融に、政策金融にしましても、これはもう時代が終わったから民間でいいじゃないかとか、これはやはり機能として残さぬといけない。これは仕分があってこそ初めてここまでのまとまりがようやくできたわけでございますし、また、今進めておりますこの総人件費改革の中の、各省庁に五年五%ということの、一つの部門までもかなり指定した形でお願いしております。  例えば、林野につきましても、これはいろいろ問題がありましょうけども、この部分は独立行政法人でやれるんじゃないか。これも相当な仕分といった仕事を各省庁なり各部門にやっていただいて初めて一つの答えが出てくるわけでございますから、その過程の中にすべて入っているということで私たちは考えております。
  130. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今大臣がおっしゃった話というのは、どういうところで御議論されているのかよく分かりませんが、私がさっき申し上げたように、公開の場でいろんな人が入って、これ要る要らないというチェックじゃないですよね。じゃないと思うんですよ。  だから、要するに私が申し上げているのはその部分なんですよ。そういうやり方でやっていっても、さっきから申し上げているように、効果出ないんじゃないですかという、まあ効果あるかもしれませんが小さいんじゃないでしょうかと、もっときちっと一つ一つを議論しながら本質からやっていくと、こういう手法でやっていただきたいんですがということを申し上げているんですが。
  131. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 例えば飯田さんのところでやっております有識者会議の中での作業も、大変な、今言いました各省庁と議論をしながら、ヒアリングをしながらそれぞれの部門について積み上げてきた形の仕分をしているわけでございまして、その結果が、この部門はひとつ市場化テストの対応にするというのもこれまた一つの大きな仕分じゃないでしょうか。  これも、それぞれ全部何か、ある審議会がやるわけでもございません。それぞれの役所の方に仕分をさせてこれも出してくる。そして、その結果の形としてこの仕分ができてくるわけでございまして、そのことが今回のこの法案にいろんな場面で仕分という形、言葉だけではなくて、こうした過程の中に出てきていることは御理解いただきたいと思います。
  132. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、今の大臣の御答弁の中に、それぞれの役所の中で仕分してもらったと。正にここが省庁主義です。それじゃ駄目ですよと言っているんですよ。財務省の仕分をするときはほかの省庁の方も入って幅広くやるんですよと、でないと効果ないんですよというのを今申し上げたばっかりじゃないですか。  それから、今の飯田さん座長の審議会の話は私も存じています。若干やっていると思いますね。  ただ、ここもちょっといいですかね、これ実は次のページちょっと見ていただきたいんです。これは民主党の、これ衆議院で出した対案の考え方なんですが、さっき申し上げたように、今ある事業の中で不要なもの、民間にゆだねた方がいいものをまず除くと。今審議会でおやりになっているのはここまでなんですよ。で、どれが市場化テストがいいかということで議論されている。まだ下が一杯残っておるわけですよ。  その中で、我々の場合は、補完性の原則に従ってできるだけ住民の身近なところで仕事をしてもらうということで、市町村になるべく、可能な限り、財源を移してでもやってもらう。それで間に合わないものは都道府県でやってもらう。これ、都道府県は将来広域組織になって州になるかもしれませんけど、いずれにしても広域の自治体でやってもらう、で、どうしてもできないものを国だということなんですが、もう一回そこで民間に持っていけるものはないかというチェックをして、最後に国が本当に必要なものを限定してやると、こういう考え方なんですよね。  だから、ちょっと大臣、申し訳ないんですけど、今のやり方は全くこれとは違うと。民主党のとおりやれと言っているんじゃないですよ、しかし事業仕分のセオリーに従ったやり方ではないというふうに。で、我々の場合はこういう考え方で今回の法案は組み立てさしていただいたわけですけれども、どうもそこら辺が政府の場合にははっきり見えないんですよね。大分違うんじゃないかと思うんですよ。  それで、今からでもいいから、例えば今日は谷垣大臣も御出席ですけど、特別会計のところも事業仕分の発想入っていますから、大臣はそれぞれ省庁でということを前回もちょっとお話しされていましたけど、それは省庁が主催をしてもいいですよ。しかし、みんなで集まって公開の場でやると、こういうことでないと本当の意味での事業仕分にならないし、特別会計の改革にならないと思うんですけれども、その点併せて、コメントあったらどうぞ。
  133. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今その仕分の仕方についてフローチャートをお示しいただきましたけれども、実は特会改革をやりますにつきまして私どももこういうようなフローチャートを作りまして、要するに全特別会計を対象にしまして、事業の必要性の減じた特別会計は廃止するんだと、それから、事業の必要性はあるけれども国が行う必要性の薄いものは民間にゆだねるか又は独立行政法人に持っていくと、それから、一般会計と経理区分する必要性の薄れた特別会計は廃止して一般会計の事業とすると、それから、事業類型が近似している特別会計は行政改革の効果を確実に出すことを前提として統合すると、こういう視点で、非常に似た手法だと私は思っているわけです。  それから、あとは事業の必要性等につきましては、財政審で個別特別会計のヒアリングを重ねたり外部の意見を取り入れながら見直した結果が今度の改革案でございます。その結果、現在三十一あるものを二分の一から三分の一程度に大幅に削減する、これはまだこれからの作業で、見込みでございますが。  それから、さっき二十六兆という数字をお出しになりましたでしょうか。私たちも、この結果、そのスリム化を徹底することによって二十兆の財政に対する貢献をしたいというふうに考えておりまして、考え方は極めて共通のものがあると思います。  それから、その上で、条文上、行革法の十九条三項に、特会改革の場合、事業仕分の手法を使えと、こう書いてございますが、これは第一義的には各所管している省庁がこの事業仕分の手法で更に見直すということだろうと思いますが、更に私どもはそれに加えて、予算、これから審査のプロセスがあるわけでございますから、予算審査のプロセスでもこういう事業仕分の精神というものを踏まえながらやっていきたいと思っております。
  134. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 似たような手法だと、こうおっしゃっていますけど、私は全く違うと思います。今のやり方でいくと本当に、申し上げておきますけど、効果出ないと思いますよ。で、相変わらずそれぞれの省庁で見直していくということになる。  例えば、今大臣がおっしゃった特別会計の話も、結局財政審という従来の審議会をベースにしながらやっているわけですよね。私が言っているのは、昨日実は参議院の議員会館でデモンストレーションがあったんですよ。私、残念ながらちょっと見に行けなかったんですが、この委員会があったものですからね。本当に公開の場でみんなでやるんですよ。そういうやり方、政府、お取りになっていないでしょう。それは国の事業は数が多いから大変だとか、いろいろ事情はあると思うんですよ。しかし、思い切ってやればいいですよ。でかい都道府県で五千ぐらい事業があるところでも二泊三日でやれるとおっしゃっていました。  総理、本当にちょっと御自身、一度チェックしていただけませんかね。私、全然違うことをやっていると思いますよ。ちょっとどうですか、決意を。
  135. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 第三者の目も入れてやることはいいことだと思うんです。  ただ、どういう事業かという点について、各役所、何千という事業あるでしょうから、これを全部一からやり直すという点については、まず役所で整理するのが大事でしょう。そして、都道府県ができるのか、市町村ができるのか、民間ができるのかと、まだ全然整理しないで第三者の目を入れるというのは、これはちょっとまた問題があるんじゃないかと。まず、整理するというのは、役所で整理してから第三者の目を入れるという方がいいんじゃないでしょうか。
  136. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、総理、それ手順が逆なんですよ。要するに、事業仕分、何のためにやるかというと、その事業をだれがやるかということを決めるためにやるんですよ。だから、総理がおっしゃったように、まず役所で整理して、地方へ行くもの、民間へ行くものと、これじゃないんですよ。みんなで集まって、これは本来ここでやるものなのか、地方でやるものなのかというのをきちっと議論するということなんです。順番逆なんですよ。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは全部の事業で、これは民間にできると言ったら民間に手を挙げてもらえばいいんです。市町村できると言ったら手を挙げてもらえばいいんです。それについて役所が仕分していくと、おれたちやる必要ないなと。どれだといったって、まず民間、これはできると言ってもらった方がいいんですよ、市場化テストでもそうですから。そういうことを今これからやるという考え方については私は異議はありません。
  138. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もうちょっと、時間があれですからこの辺でやめます。私はちょっと総理考え方には異議があります。  だから、確かに、おっしゃるように事業多いかもしれません。さっき申し上げたように、五千ぐらいになっても二泊三日でできるんですよ。それは一か月も掛ければ大体できるんじゃないですかね。いや、何か多いなと思うかもしれません。国の例えば二百六十兆円の中も年金とかなんかの資金ありますよね、健康保険の資金等。それ除くとうんと小さくなります。  まあ是非、ちょっと私が申し上げたことにも少し思いを巡らせていただいて、本当に効果あるやり方をお願い申し上げたいというふうに思います。  ちょっと時間の関係もありますので、次に入りたいと思いますが、二つ目は、この随意契約の問題について御質問させていただきたいと思います。  ちょっと済みません、次のパネル。これですね。(資料提示)  次の資料に入っていると思いますが、結局、衆議院も含めたこの委員会の審議のために政府からいろいろと資料を出していただきました。私、今回は、従来になくと言ったら失礼ですけど、非常に我々の要求資料に対応していただいたということで感謝も申し上げております。  その中で明らかになってきたことは、特に公益法人とかこういう独法とかの関係でいいますと、あの衆議院の予備的調査で明らかになったんですけど、早期退職慣行制度もあって、省庁から約四千の法人に二万二千人天下り行っていると。補助金なんかがトータルで五兆五千億円出ているということですが、まあ本当はもっと多いという説があります。  それから、随意契約についても調べていただきまして、この公益法人との関係でいいますと、二万七千件、一兆四千億円と、こういう結果が出ていまして、我が党の武正衆議院議員の分析によりますと、公益法人等へ発注されているもののうち、大体八割ぐらいが随契だと、こういうことも明らかになってきています。  そうしますと、まず随意契約の話で申し上げますと、これはもう申し上げるまでもなく会計法上は一般競争入札が原則でありまして、例外が指名競争と随契、特に随契はもう例外中の例外なんですよね。ところが、実際に、特定のところとの契約で八割が、あるいは七割かもしれませんが、七、八割がこれで占めてしまうというのは、これは、よく例外のない規則はないと言いますけど、例外が七、八割占める規則は規則じゃないと、こういうふうに申し上げてもいいかもしれません。  こういうルールの形骸化なんか見て、含めて、総理、どのように見ておられるか、お考えを伺いたいと思います。
  139. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この競争入札と随意契約の問題については、随意契約が例外であるという直嶋議員の指摘、これに沿って見直すようにという指示を既に出しております。  そして、今要求いただいた資料についても公開できるものをできるだけ公開するようにと、そして原則競争入札、それで、どうしても随意契約で駄目なものは、なぜ随意契約なのかと理由を示すということで、各役所見直すように指示を出しているところであります。
  140. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今指示出しているというお話なんですが、私はやっぱりルールとして、これも第一ステップかもしれませんが、きっちりした方がいいと思っています。  実はこの間、民主党として参議院に二本の法案を出させていただきました。一つは天下りの問題ですが、これちょっと後でやらせていただきたいと思います。もう一つは、随意契約については今総理のお答えにもありましたが、随意契約をした、あるいはもう一つ、指名競争入札も併せて情報公開を、会計法を改正してその中に義務化すると。契約の内容、それから理由、今総理がおっしゃった理由、それから、あわせて契約先にOBがいる場合はOBの数。  それから、これちょっと今からお話ししますけれども、実はIT調達というのがありまして、これは、またこれ社会保険庁の話で恐縮なんですけど、決算委員会で大問題になったんですが、三鷹の社会保険庁の契約が、実は随契の許されるものの一つとして長期継続契約というのがあるんです。これは家賃とか、そういうたぐいなんですが、その中に電話代というのがあるんです。電話代は随契で、継続だから継続でやっていいよということなんですが、電話代もまあ電気通信ですからITだと。ITの例えばソフトだとかハードウエアの開発も電話代だということにして、トータルでいうと一千億円ぐらいですが、契約をしていたと、社会保険庁ですよ。これは平成十五年度で、もう決算委員会で大問題になって警告まで出ているんですが、これが端的な例なんですけど、こういうものは、だからもうルールとして禁止しちゃうと、長期継続契約から除外すると、IT関係は。  それから、こういう問題があることについて国がきちっと、さっき総理がお答えになったように、改善をしなさいと、その責任がありますよということを法案にしてこの間出させていただきました。これは是非すべて必要な措置だと思うんですけれども、総理考え方は賛成ですよね。
  141. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その考え方はいいと思います。その法案出ているわけでありますので、よく検討して、今後改善すべきは改善すべきだと私も思っております。
  142. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 じゃ、簡潔にお願いします。
  143. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 随意契約は例外でありますので、まず、まあこれはだれが見ても随意契約で仕方ないなというものにやはり限定していかなきゃいけないと思います。  それで、多くの場合、ほかに競争ではできないからという理由で随意契約に入るわけですが、そういう場合でも例えば総合評価方式などの競争入札にできないか、あるいは企画競争というようなものでできないかというような、できるだけ競争の原理を取り入れるように、政府の中の議論もそういうふうにいたしておりまして、是非それを実現するように見直していきたいと思っております。  それから、透明化というのも、法案をお出しになった透明化も極めて大事でございまして、平成十七年度から、契約の相手方、契約金額、随意契約によることとした理由等について公表対象を大幅に基準を引き下げまして、各府省のホームページで公表しております。それから、平成十八年度からは、公益法人等との間の随意契約については、随意契約によることとした理由をホームページで詳細に公表するというように取り組んでまいりまして、今度民主党で取り上げておられる項目のほとんどの部分は既に公開対象となっているところでございますが、いずれにせよ、更にどういう公表内容が必要か等々について我々も検討したいと思っております。  それで、最後にIT契約で、確かに今まで、まあ確かに電話、普通の電話契約などは長期でできるということにして差し支えないと思うんですが、そういう条項を利用いたしまして、長期にわたってIT調達に係る契約などをやってきた例がございます。今は特に随意契約の見直しをやっておりますので、そういう中で、本当に今、法律上ございます、会計法二十九条の十二に長期継続契約が認められておりますが、本当にそういう契約形式でいいかどうかも我々よく検討してまいりたいと思っております。
  144. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今大臣から御説明いただきましたが、私も政府が今そういうことを取り組んでおられるというのは存じ上げています。ただ、さっき言いましたように、これは法律の中でルールとしてきちっとしましょうという話で、今政府がやっておられるのは、主計局長の通知だとか通達だとか、霞が関の皆さんの会合の場で確認されておやりになっているということでありまして、基本的に違うと。  それからもう一つは、さっきお話ししたように、OBの数も併せて公表してくださいということになっていまして、まあいずれにしても、今御趣旨は、この法律の趣旨は今大臣がおっしゃったことですから、是非法律に格上げして、一緒にどうですか、賛成してもらえますよね、当然。
  145. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いずれにせよ、御趣旨を踏まえて今実行に移しておりますので、その辺の利害得失もよく検討さしていただきたいと思います。
  146. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 何度も強調しますけど、きちっと法律で決めるということが重要であるというふうに思いますので、是非、法律を作って一緒にやりましょう。このことを御提案申し上げたいと思います。  それから、もう一つは天下りの問題なんですが、これちょっと総理のお考えと合わないかもしれませんけど、今度出さしていただいた法案に、もう早期退職慣行もやめましょうと。あとは前回出した法案と余り変わりません。公益法人等への天下り五年間、それから直接の企業への天下り五年間禁止と。これ、額賀大臣もお見えですけど、防衛庁は例の不祥事で今天下りは五年間自粛されてますよね。そういうことも実績として、国土交通省も併せて実績として出てきています。こういうことで、天下りについてやはりこれだけいろいろ調査で実態が明らかになってきたことを考えますと、きちっと規定すべきではないかなと、こう思うわけであります。  それで、これまでの議論を見てますと、総理はこの天下りの規制について発言は前向きにされているんですけれども、やはり憲法との、憲法の職業選択の自由との関係があると、官房長官も同じようなことをおっしゃっているわけですね。今の二年というのが職業選択の自由といわゆる公正確保というところの折り合い点なんだと、こういうようなことをたしか発言されていたと思います。  ただ、私は、例えば防衛庁の官製談合事件、例に挙げますと、結局、国家公務員法百三条の二項にその二年というのが書いているんですが、この事件を見ると、やはり二年では、あるいは直接営利企業だけへの天下りの禁止では公務の公正確保ができませんよと、にはならないですよということを証明したんじゃないかと思うんですね、昨今の事件で見ると。そう言っても間違いないと思うんですけれども。  やはりこれ、五年が絶対いいとは言いませんが、五年くらいに長く延ばすべきじゃないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、防衛庁は五年自主規制ですよね。これも早期退職の慣行をやめていこうと、これを三歳引き上げるのに五年かかるわけですね。これもできたらば、将来、三年じゃなくて定年まで働けるようにしていく方が望ましいという考えも承知しております。  それと、結果的に、この随意契約の問題も、天下りしてももう仕事取れないということならば、天下りする必要ないんですよ、もう。だから、コインの裏表じゃありませんけれども、どっちが先かじゃなくて、今言われたようなことをしていけば何の効果もないと。  そういうことで、この問題というのは、今、民間の方、官界の方、交流を深めていこうと。民間の方にもやっぱり公務員の仕事、どういうものか分かってもらうということについては、民間の仕事を辞めなきゃいけないのかどうかという問題もある。辞めなくても何年かは公務員の仕事できるんじゃないかと。公務員も民間の実務を覚えるために交流をしていこうというのもありますから、これを両面からとらえて、実質的に、随意契約というのは例外であると、天下りするから仕事取れるという実態面をなくすことによって、これもかなりの部分改善されるんじゃないかと思っております。  そういう中で、職業選択の自由もありますから、よくそういう問題も考えながら、将来定年まで働きたいという人については働けるような慣行にしていこうと、あるいは制度にしていこうという方が現実に円滑にいくのではないかと私は思っております。
  148. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理も前向きな部分もあるんですけど、私は、このコインの裏表から、両方からちょっと、やれることをきちっとやっていったらどうですかと。まあどっちが裏か表か分かりません。こちらの方はまあ総理もどうやら御賛同いただけるようなんで、問題はこっちの方なんですね。  それで、さっき私が申し上げたのは、昨今起きているいろんな官製談合事件なんか含めて見ると、憲法の職業選択の自由と公務の公平確保、公平確保するために二年制限しているわけですね、今。折り合いを付けて二年と決めたんだけど、実は二年では公平確保ができないということが明らかになったんじゃないでしょうかと、こういうことを申し上げたわけですよ。  結局、この公務の公平確保というのは、これはちょっと官房長官にお聞きしたいんですけど、いわゆる公共の福祉ですよね、言ってみれば。公共の福祉のために一定期間この権利をあるいは自由を制限すると、こういう考え方ですから、今言った二年か五年かという話は、これは結局、実態との関係で見た立法政策の問題になってくるんじゃないでしょうか。私はそう思うんですけど、官房長官はどうですか、この点。
  149. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど総理から御答弁申し上げましたように、防衛庁におきましては自主的に二年から五年ということで自主規制をいたしております。  政府としては、法律に二年から五年と書くことは、これはやはり職業選択の自由からして問題ではないかというふうに考えておりますし、またさらに、官民のこれは交流、民間から官の方に、あるいは官から民に、人材が回転ドア的にお互いに交流することによってそれぞれが力、ノウハウを増していくということも考えていくと、それに逆行する可能性もあるのではないかと、このように思っております。  また、定年まで勤められる体制をしっかりと、これはどのように構築をしていくかということの中で早期退職慣行を、これはなくしていく。基本的には、総理もそれはなくしていくべきだと。と同時に、やはり定年まで働ける体制をつくっていく。これは公務員制度全体を考えていくべきではないかと、このように考えております。
  150. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、私は、今官房長官お答えになった、もはや二年なんというのは、何といいますか、単なる飾りみたいな感じじゃないですか。実際に、例えばですよ、今国土交通省とか防衛庁は五年の自粛と、こうやっておるわけですよね。だけど、これ組織で決めているんでしょう。組織で決めて駄目と言っているんですから、これだって職業選択の自由を侵しているんじゃないですか。見ようによればそういうことになりますよ。侵害だと思いますよ。それやっているんですよ、今。組織として決めているんですから。個人が決めているわけじゃないですから。  だから、既に五年というのをやっているわけですから、私は折り合いが付く点は五年でもやれると思うんです。だから、さっき私申し上げように、これは立法政策上の問題ですよ。政治判断ですよ。政策判断ですよ。だから、官房長官にお願いしたいんですけれども、是非、これだけ様々に問題が出ているという実態を見た上で考え直していただきたいなと、こうお願い申し上げておきたいと思います。  ちょっと時間ありませんので、早期退職慣行の話に移りたいと思うんですが、一つは、先般の総括質疑で松井議員の質問に総理がお答えになった部分なんですが、今、早期退職慣行で、さっきおっしゃったように五年で三歳上げるという、これは実は公務員の皆さんの中で十級の課長以上の人が今対象になっていると。たしかあのとき松井議員も、離職者の数も示しながら、そうじゃなくて九級以下も考えなきゃいけないというふうに申し上げたところ、総理の方から、それは是非検討してみたいし、考えてみたいという御答弁いただきました。ちょっとそれがどうなっているか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  151. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 天下りの問題を考えるに当たりまして、早期退職慣行、これをやはり改める必要があると。これ先般も松井委員からも御指摘いただきましたし、それに対して総理からもそのとおりだと。現実に総理の御指示によりまして、今幹部職員の早期勧奨退職の年齢を五年間掛けて三年上げる、今大体半分ぐらいのところ、一・五年ぐらいのところまで引き上がっているわけでございます。  更に加えて、先般の答弁で、総理からも、やはり幹部職員だけでなく、国家公務員は特別の事情のない限りやはり定年まで活力を持って勤務できるように改革していくことが必要であるというような御趣旨の答弁がございました。それを受けまして、今、総務省も協力をしながらでありますけれども、中馬大臣の下で、公務員への人材確保、官民交流の面も考慮しながら、公務員人事の在り方全体の中で検討しているという状況でございます。これは鋭意我々も協力をしまして、中馬大臣を中心に検討をしているところでございます。
  152. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まだ検討しているというだけで、本当はこういう話というのは、総理がああやっておっしゃったことですから、ここら辺までならできているよとか、もうちょっと中間段階で御報告いただけると大変有り難いんですけれども、是非またそういう機会をつくっていただくようにお願いします。  それで総理、一つ早期退職勧奨についてやはり提案があるんですが、今もお話しのように、十級以上の方で年齢を三歳上げるのに五年掛かると、これは幾ら何でも時間掛け過ぎだと思うんですよね。今お話あったように、九級以下の方も同じように考えなきゃいけないということになってくると、ちょっと今のやり方ではやはり、百年河清を待つがごとしではないですが、時間掛かり過ぎると思うんです。  さっき法案出したというお話ししましたけど、私はやっぱりここで思い切って早期退職慣行というのを大胆にもっと規制したらどうかなと、もうやめると。じゃ、人がどんどん増えてくるじゃないかと、行き場のない人が役所の中に残るじゃないかと、こういう話になるんですが、これは今、人事院なんかでも複線人事というのを考えているみたいですね。要するに、みんなが同じように課長になって局長になっていくということになるから、そこからこぼれていった方は天下りしなきゃいかぬと。だから、どこかで例えば専門職制度をつくって専門職として活躍してもらうとか、そういう道を何か検討されているという話も聞いていますが、そういうやはりルートをきちっとつくっていかないといかぬと思うんですよ。つくっても、これはしかし時間掛かります、人事の話ですから。その間、何か考えなきゃいかぬですよ。  この間、松井委員が出した資料を見ると、大体十級で勧奨退職でお辞めになる方、これは平成十六年度で三百六十人ぐらいです。年間このぐらいの数になるんですかね。ですから、こういう人たちは思い切って、例えば今申し上げた専門職ということでそれぞれの役所の中でそういうスタッフ的に活躍していただくとか、あるいは今だと内閣府に預かって、今省庁を超えた仕事ってたくさんあるじゃないですか、この行革の方もそうですよ。例えば、そういうことも含めて内閣全体の強化のために力を発揮してもらうとか、具体的にそういうことをちょっと考えてみたらどうでしょうかね。でないと、これなかなかやはり改まっていかないと思いますし、これどうですかね。  ちょっともう私の時間なくなったんで、最後にこの御提案申し上げて、総理の御見解聞いて、私、終わりたいと思います。
  153. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 実態の慣行というのは私よく、詳しく承知しておりませんけれども、五年間で三歳引き上げるのも容易なことじゃないということは聞いているわけです。今の提案も含めてどういう方法がいいのかと、検討すべき御指摘だと思って、今後も検討していきたいと思っております。
  154. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう終わりますが、是非それ、総理がもちろん専門家じゃないからいろいろ難しくなるかもしれませんが、幸い竹中さんという方が総務大臣を今されていますし、是非この機会に具体化をしていただくようお願い申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  155. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  五月十四日、十五日の二夜にわたってNHKが小泉改革の五年を問うというスペシャル番組を放送しておりました。再放送もしておりましたので、国民の多くの皆さんがこの番組を見たということになりますけれども、総理はごらんになりましたか。──ごらんになっていらっしゃいません。残念でございますが、番組には小泉改革の五年を問うというその総括、点検をするということだけではなくて、あるべき社会像でありますとか、あるいは日本の進むべき方向というものについても大変大きな示唆を与えた番組だというふうに思っております。  その中で、第一部は改革は何をもたらしているのかということでしたけれども、小泉改革が進めた国土の均衡ある発展という従来の自民党の在り方を大きく路線を変更したということを跡付けをしておりました。一言で言いますと、小泉改革は地方の人口の少ないところについては切り捨てているのではないかという指摘がございました。  この中で大変興味深いシーンがありまして、昨年九月に初当選された衆議院議員の皆さんたちの地方を語る世話人会の発言、この中に、地方が均等に競争できる条件がそろっていない、機会に格差がある。また、いわゆる小泉チルドレンの一員である議員は、地方も含めて一緒に改革できるように本当にやっていかなきゃという、地方の人はみんなそういうふうに思えるメンテにはなっていない、このように語っておりますし、小泉改革は地方を置き去りにしているという、一年生議員からは大変苦渋に満ちた発言が聞かれたということでありました。  また、ベテランからは、黙々と額に汗してまじめに頑張って人生最後に評価されるならと考える一般の人々が鎮魂されていない、落ち着かない社会になった、自殺者が増えた、本当に正しい政治だったのかと語った後に、エコノミストも含めて市場へ偏り過ぎている、社会的な公平、公正をスポイルしているなど、様々な観点から感想が聞かれたわけなんですが、私、党が違っても同じような考え方だなということにちょっと驚いたわけなんですが、格差社会は確実に生じておりまして、今後の政治の大きな課題だというふうに思っておりますが、政治は、これらのことについての、まずどのような感想をお持ちになりますでしょうか。
  156. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は地方を切り捨てるという考えは全くありません。都会と地方が同じである必要はないと言っているんです。東京と地方が同じである必要はないし、地方には独自の特色あるはずだと、その独自のものを生かして地域の活性化を図っていくべきだと、そういうふうに言っているわけであります。  東京には東京の持つ良さがある、田舎には田舎の持つ良さがある。観光資源にしても、あるいは産業におきましても都会と地方では違います。土地の値段も都会と地方では違います。職業の種類も都会と地方では違います。様々な違いを認識しながら、違いを格差で駄目だととらえるんじゃなくて、違いの良さを発揮していく、これが各地域の特色をらしく出していく上において必要ではないかということを言っているんであって、私は市場原理主義でもありませんし、市場経済重視していくという、これはやはり必要でありますけれども、市場原理主義じゃありません。  すべて市場経済にゆだねるというなんということは一言も言っておりません。国がやるべき仕事、民間がやるべき仕事、先ほどから仕分という言葉がいろいろ言われておりますけれども、その仕分も大事でしょうし。私は、どの時代、どの国、どの地域にも違いがあっていいのではないか。持ち味、それぞれあると。その持ち味を発揮できるような環境をつくっていくというのが改革を進める上においても重要だと言っているわけでございます。
  157. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そうしますと、自民党の中でも総理改革の結果としての様々な受け取り方について理解してもらっていないということでよろしいんでしょうか。地方はそのように受け取っていない。同じ競争の土台にも立っていない、いろいろと格差もあるというふうに感じているという方が間違っているというふうに思われますか。簡単にお願いします。
  158. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 人間は様々ですから、そう感じている人もいるし、いや、やっぱり改革が必要だと言う人もいると思います。どの意見を多く取り上げるかによって違ってきます。改革に賛成の方、反対の方、様々いますけれども、選挙によって自由民主党、小泉改革支持してくれる人が多いという判断を下している結果を見れば、多数はやはり改革が必要だと思っているんでないかと思っております。
  159. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それはまず総理がいろいろと選挙戦までにおっしゃったことで、結果三分の二以上の議席ということで、しかしその後は様々に国民の皆さんの考えも違ってきているということについては、ひとつ受け止めておいていただきたいというふうに思います。  先日の党首討論の場合に、総理の子供の考え方について少し伺いました。連日、子供の目まぐるしい、大変心の痛む事件が報道されておりますけれども、子供を守るというのが私たちの最大のテーマではないかと思っております。国、自治体、地域ともに真剣に取り組んでいかなければならないと思います。しかし一方で、犯罪というのは社会のひずみであるということも私たちは肝に銘じておかなければならないと思います。  先週のこの党首討論で、小沢党首の教育の責任についての問いに対して総理の持論が展開されておりました。私は、教育の責任は第一に親にあると思っている。生まれた子に対してしっかり抱いてそっと下ろして歩かせる。子供は、自分が親から、家庭から、家族から、しっかり愛されているんだなと、口で言わなくても体全体で感ずること、これが大事である。早く自立しろと言うのはかえって不安になる、肉体的にも精神的にでもある。これは私たち大人もそうだということについておっしゃっておられまして、周りにいる人たちから認められないと大変不安になるということであります。精神的にも影響が出てくると、こういうふうにしっかりおっしゃっているんですね。  総理は、子供について大変温かいまなざしを持っていると感じました。学校教育についても同じだと考えられますか。
  160. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 学校教育も私はそうだと思っているんです。先生がまず子供の良さを引き出す、しっかりと受け止める。よく教師の役割、親の役割、分かりやすく言うと、七つ褒めて三つしかれと言います。褒めることを多くした方がいいと。分かりやすいですね。私はしかられてばっかりいますけれども。
  161. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 とてもいいお答えだというふうに思いますが、実はその数日後の文部科学省の発表で、問題行動を起こす児童生徒に出席停止、厳格な対応を求める、こういう報告書が発表をされまして、私は、新聞でも一面で大きく取り上げられましたので、文科省は子供のことが分かっていないな、問題行動を起こした子は学校に来なくてよいというふうに言うこの発想に大変驚きました。本当に褒めること大事だというふうに思いますが、褒めることができない子供たちかもしれません。  そこで、総理の持論とこれ異なっておりますけれども、どう思われますか。
  162. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、その学校教育、いいとは思っていませんね。  やはり、落ちこぼれる、あるいは落ちこぼれそうな生徒をいかにしっかり受け止めるか、これ、学校の大事な役割じゃないでしょうか。点数が悪い子は、点数が良くなるように分かるまで教えていくと。追い出すんじゃなくて、受け止めて、上に伸ばしてやろうという、そういう学校教育が私は必要だと思っているんです、それは公立でも私立でも。
  163. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 総理と意見が一致します、本当に。  ニート対策を実は政府は始めているわけなんですけれども、このニートの原因は、自己の存在価値というものを認めることができない、自信が持てない、こういうことが大きな原因だというふうに言われているわけですね。いさめと排除は紙一重、こんなふうにも言われておりますけれども、本人も、それを見ている子供も、学校先生の言うことをきちんと聞いて、認められない、これは総理の言うように精神的にも影響が出てくるというふうに思うわけなんです。  引きこもり、ニート対策にしましても、一方で増やす原因をつくっているのでは行政改革になりません、文科省。それで、政治は人の心を左右するものだというふうに思います。心がない、あるいは机上の空論、数字上の問題だけでいろんなことを考えてしますと、いろんなことは実を結ばないし、むしろ悪化してしまうということがあるだろうと思います。教育にも政治にも、総理の言われるように愛情が必要でございます。  文科省に伺いますが、この排除ありきという教育環境は、私は脅しにも等しいのかなというふうに思わざるを得ませんが、力でねじ伏せた学校教育は創造力を育てることにはなりません。総理の考えを尊重するためにも、文部科学省として、児童生徒の厳格化という問題について本人の存在を認めて慎重に対応すべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
  164. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 全く御通告がないまま御質問でございますので、私として答弁をさせていただきます。  総理が御答弁いただきましたように、問題行動のある子供に対する対応の仕方ということで、学校教育法の中で定められた枠組みに従って、他の児童生徒が通学に支障を来すような、そういう行動を取る子供に対して通学停止の処分を取ることができると、こういう定めがあるわけでございますけれども。  実際に学校現場においては、小学校ではほとんどの場合、何とかそれを先生が対応しようとして、正に愛情で抱き留めて、そして何とかその問題行動を停止させようと必死の努力をされております。その努力の範囲内で解決できるという問題については従来どおり学校現場ではそのような対応をされると思いますが、しかしながら、それでも手に余るような者について放置するということではやはり済まないわけでございますので、そのような場合、厳格な対応をしてもよろしいのではないかという有識者の皆さんの御意見が出まして、それを発表したというふうに聞いております。  私自身、文部科学大臣としては、やはり従来に先生方がそうやって対応されたような、そういう先生方の愛情を持って、また熱意を持って子供たちと接する中でそういった問題行動を是正できる範囲であれば引き続きそのような御努力をお願いしたい、こう思うわけでございますけれども、学校の現場も様々でございます。それぞれの学校の中で、どうしてもその問題行動のために他の児童生徒が学校に来れないというような状況になることは、やはりこれは考えねばなりません。そういった場合には厳格な対応もやむを得ないと、このように考えるところでございます。
  165. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、そういうふうに最終的に学校からほうり出された後はどのようになるんでしょうか。私は、こうした子供たちが本当は教育の現場からきちんと卒業して社会に出ていって、総理大臣のおっしゃったように、そっと抱き締めて、そして下ろして歩かせる。第一歩を踏み出そうと思っても後ろを向いたらスカートを踏ん付けている人がいる、何か前にそういうせりふ聞いたことがありますけれども、一歩踏み出せないんですよ。これが教育の現場であってはならないから、私は、学びというのは社会性を身に付けることだというふうに思いますので、徹底的に教育の現場でやはり愛情を持って最後まで責任を持っていただきたい。文科大臣、そのようにお願いをしておきたいと思います。
  166. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 今お話しになったような場合に、問題的なケースで最終的にその学校から通学停止という処分、あるいは退学という処分を受けた場合に、これは義務教育でございますので、もし義務教育段階であればですよ、義務教育の場合には、これは民生委員さん、それから警察、それから学校との間で相談をしていただく中で対応していくということになります。したがいまして、最終的に放置するということはございませんで、それにしっかり対応していくということになります。  その場合にも、やはり今、岡崎委員がおっしゃったように、基本的には愛情を持ってその子供の将来ということを考えて対応していくということが一番でございますから、民生委員の皆さんには大変な御苦労でございますけれども、そういった問題に日常的に対応されておられますので、そういう中で御努力をいただくと。そしてまた警察も、そういった問題行動に対して警察の持つ強制力と知見というものをアドバイスとして提供する中で対応していただく、これが今日的な対応だと思っております。
  167. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 警察なんて出されますと、私が求めているものではありませんでしたので、最後まで教育の現場で教育力を発揮していただきたいということを再度要望しておきたいと思いますが。  続けて、子供に対する政府の姿勢について、今度は内閣府に伺いたいと思います。  政府与党は今月中に新たな少子化対策を取りまとめる方針だと聞いておりますが、子供を産み育てたい、そうした希望を実現することができない、そういう大人たちが明るい展望を持てないでいるということが今大変残念な問題だというふうに思っております。しかも、人口減少社会になっています。  人口の面から申し上げているわけではありません。実は、今日、民主党はこれからシンポジウムを開きまして、今日、育ち育む応援プラン、民主党はチルドレンファーストということで、これが記者発表されるものでございます。民主党の少子化担当大臣男女共同参画担当大臣の小宮山洋子衆議院議員が中心となってできたものでございますので、後ほど猪口大臣にも是非お読みいただきたいと思いますし、総理大臣にも官房長官にも差し上げたいと思っておりますので、是非参考にしていただきたいと思います。後ほどそのことについても触れたいと思いますが、この民主党の未来世代応援プラン、是非子供第一主義でまとめていくという姿勢を内閣少子化担当大臣にもお持ちいただきたいと思うんですけれども。  格差拡大、将来不安の増大、またゆとりを失った教育という中で、これまでの政府与党政策を、小泉改革の負の遺産を含めて大きく転換することが求められている中で、ちょうど猪口大臣少子化社会対策推進専門委員会の中で、専門委員の皆さんから、自分たちの中身と報告書、これが全然違っているということで御批判をいただいたようでございました。八人の有識者のうち七人までが違っているということで連名で指摘をされている異例の事態になっているわけなんですけれども。  今月中の取りまとめについて、こうした専門委員会あるいは政務官会議、プロジェクトチームですね、そして自民党、公明党、実はこの新聞がありまして、ばらばらだということが書いてあるわけなんですね。構想ばらばら、政府委員ばらばらというふうにここに書いてあるわけなんですけれども、やはりしっかりとした理念を政権内部で共有をして、そして国民の皆さんの意見もしっかり聞いて政策を練り上げていくと、この手法を是非猪口大臣にはお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  168. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 岡崎先生にお答え申し上げます。  先生御指摘のところは、先週、経済財政諮問会議に私が提出しました資料についてだと思うんですけれども、それはどれか一つの報告書や提言を提出するという性格のものではないわけですね。少子化対策の抜本的な強化のため、一つがこの専門委員会の提言、それから、私は子育て支援につきまして地方重視をしておりまして、私が地方に出向いて県知事と政策対話を行った地方ブロックプロセスにて出てきた要望がございます。こういうものも反映させているんですね。それからまた与党の関係部会の提言など、そういうものに基づきまして、年齢進行順に、新たな主な施策を総合的、体系的に整理したもの、それが経済財政諮問会議に提出した資料でございます。  ですから、今後これは政府与党で協議を進めていくための参考資料でございまして、そのようなことは専門委員会の有識者の皆様も理解されているものと私は思っております。無論、私に直接抗議などをされているわけでは決してないんですね。  せっかくの機会ですから説明させていただきたいと思いますけれども、この専門委員会では、子ども・子育て応援プラン、これに掲げられた三つの検討課題というのがございます。一つは地域や家族の多様な子育て支援、それからもう一つが働き方にかかわる施策、それからもう一つが経済的支援、この三つの分野を議論したわけです。  いずれも少子化対策としては重要であるという、こういう認識委員は共通して持っていたと思いますけれども、この最初の二つですね、地域の子育て支援と働き方にかかわる施策を優先すべきだという意見が多かったんですね。これはなぜかと申し上げますと、予算の伸びが見込めない中では、これは、まずはこれらの二つの分野予算の伸びを確保することが重要だという、こういうお考えに基づいてそのような主張をされたのだと思います。私も含めて、この二つの分野は優先的に重要であると、そういう意見は共有しているわけです。  他方で、経済的支援も併せて重要だと考える委員の方々もいらっしゃるわけですし、そもそも世論調査をいたしますと、やはり必ず、ほとんどと言っていいほど一番に経済的支援が重要という答えが返ってくるんですね。それから、先ほど申し上げました県知事との政策対話においても経済的支援は重要だという意見でございますので、今後、私といたしましては、この三つの分野を総合的に相互に連関させながら、全体として拡充していくということに全力を挙げたいと思っております。  いずれにしましても、子供を産み育てやすい日本社会をつくっていくために担当大臣として全力を尽くす所存でまいりますので、よろしくお願いいたします。
  169. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 専門委員の方々が出された内容は、実は私ども民主党の内容と大変によく似ておりまして、私はそれは大変にすばらしいものだというふうに実は感じておりました。今、猪口大臣が一生懸命訴えられておりましたので、是非孤立することなく、総理、是非猪口大臣の後押しもしっかりとしていただきたいと思いますが、そのようにしていただけますでしょうか。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政府部内でいろいろ議論すると、意見が違うと、すぐマスメディアは対立というのは面白おかしく報道するんですよ。様々な意見を調整していくのが政府与党の仕事なんです。子育ての考え方少子化考え方少子化対策考え方、これも一様じゃありません。そういう中で、財源も考えながら、相互の意見、連関性を考えながらまとめていくと。その中でいろんな意見が出ますよ。意見が違う、面白おかしく対立だ、対立だと大臣批判している。面白いから書くだけであって、意見の違い、あるいはある面においての対立は何でもないんです、まとめていく過程なんですから。
  171. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非ともバランスの取れた政策でやっていただきたいなと思いますのは、私どもの子供第一の政策、この五年間進めてまいりましたけれども、その中で、子ども手当、義務教育の課程まででありますけれども、所得制限なしで一人一人の子供に一万六千円、そして幼稚園と保育所の一体化、またワーク・ライフ・バランス、仕事と家庭の両立支援、また小児医療の制度の充実ということで、将来的には未来世代応援基本法を作り、あるいは今本当に文科省や厚生労働省や内閣府といって縦割りでばらばらになっているものを、民主党は子ども家庭省という、一本化して子供のことを考えていく。是非私どもの政策も参考にしていただきたいと思います。  さて、一つ具体的な問題を指摘したいと思いますが、総理、今母子家庭の平均収入というのはどのぐらいか御存じでしょうか。一か月どのぐらいで生活していると思われますか。  いや、総理です。いいです。いいです。  それは、児童手当を入れますと、二百二十四万六千円ぐらいですね。これで国民年金一万四千百四十円、そして国民健康保険、これも納めますと、大体住宅費も払って十二万から十三万ぐらいで生活しているという状況ですね。  母子寡婦福祉法、この中で戦後ずっと母子家庭、一人親家庭でなさった方々は、連合会を中心にして仕事の手当てというか、雇用を生み出してきておりますけれども、是非総理に、今そのことを第一歩、もう少し進めるためには、こうした一人親家庭に対して最低雇用率の目標値をしっかり掲げる、あるいは所得保障を上げていく、こういうことをしっかりやっていただきたい、所得水準を上げていく、こういうことをして応援をしていただきたいというふうに思いますけれども、この点について前向きの御答弁いただけないでしょうか。
  172. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 事実関係だけ私の方からちょっと申し上げます。  一つは、女性の方の母子家庭の就職率は八〇%を超えていると、これは委員御存じのとおりです。一方で、パートが五割を超えておりますので平均収入は低い。この問題を一つの側面としてお取り上げていただいたと思います。  一方で、国の支援でございますけれども、十六年、十七年、十八年と毎年予算を増やしてきております。地方におきましても、就職相談、就業支援、このことに力を入れておりまして、平成二十一年度までに母子家庭就業・自立支援センターを全部、都道府県、指定都市、中核都市に設置するという目標を掲げてやっております。  今、数字を、目標の数字というのは、八〇%、八五という意味じゃないですね。多分障害者が一・八という民間の企業が付いているからそういうような数値目標を持ったらと。  実は、この問題について、障害者の方は、正直申し上げて身体にハンディを負っている、したがって自分のあれで変わらない。母子家庭の場合は、就職をする、その過程の中で再婚される、結婚されるというケースが出てまいりますので、そういう意味では数値目標として挙げるのは自分の都合によって変わってまいりますので少し難しいなと、こう思っております。
  173. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 結婚を前提に話をしておりません。一人親家庭として、パートで働き、また一日にパートを替えながら、別なパートとして働いたりして二重に働いている、そういう実態があるということを是非大臣は受け止めていただきたいと思います。  ですから、私は、最低雇用率、これはもう一〇〇%じゃなきゃいけないというふうに思っているくらいなんですけれども、働かなきゃ食べられません。ですから、そのことは大変大事だというふうに思っておりまして、是非目標値をきちんと定めて、仕事を失うことがないように是非政策の面でもフォローしていただきたいというふうに思います。  次に、この法律の中で、競争導入による公共サービス改革法案の市場化テストについてなんですけれども、この市場化テストといいますのは、官が独占してきた公共サービスについて、官と民とが対等な立場で競争入札に参加して、価格、質の両面で最も優れた者がそのサービスの提供を担っていくという制度なんですけれども、市場万能主義に基づく配慮を欠いた規制緩和には重大な限界があることがこの間よく分かってまいりました。耐震偽装事件の件しかり、規制改革とはやみくもな規制を撤廃ではないはずであります。  民主党の水岡議員がこのことをOECDの議論を踏まえて指摘しておりまして、OECDは規制を三つの分類にいたしております。経済的規制、社会的規制、官僚的形式主義の三つでありますが、このうちの経済的規制は、価格の決定、競争、市場参入、市場撤退、市場活動に関する決定に直接介入するような規制、OECDではこれを撤廃すべきだというふうに言っております。  一方で、健康、安全、環境などの公共の利益や、消費者や社会的弱者の利益を保護するような社会的規制につきましては、多くの場合、各国政府は引き続き規制を行っていかなければならないというふうに言っているわけなんですが、総理もこれと同じ考えでしょうか。
  174. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 同じ考えかともかく、できるだけ市場化テストによって効果的、効率的な事業の仕分、していった方がいいと思っているんです。
  175. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 OECDの規制改革の意味は、より優れた規制を実現するということと、規制の撤廃、緩和の両方を意味するというようなことを言っているわけですが、是非そうしたバランスの取れた形で行っていただきたいと思いますし、またILOの合同会議の結論文書というのもありまして、これも市民の生活にかかわりが深いものについては自治体によって提供されるものなんですが、民営化、分権化というのが公共サービスに与える影響というのは非常に大きいというふうに思い、ILOの場でも議論がされてきたわけなんですけれども、竹中大臣は、この水岡議員のILOでのこのことに関しての質問では、結論文書を尊重していくべきだということを言っております。  それは、自治体の説明責任、透明性、開放性、あるいは新しいより良い公共サービスの提供、良好な労働条件の維持、創設、すべての利害関係者との対話、すべての人のための機会の質の保障、こういうことを言っているわけですが、中馬大臣は、この基本原則はしっかりと踏まえるべきだとお考えですか。
  176. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 御指摘のILOの、二〇〇二年三月ですね、理事会で、結論を含む合同会議の議事録を各国の政府等に伝達されるようにすること、あるいは結論に表明されているILOの役割について今後の活動の参考にすること、こういったことが規定されておりまして、ILO事務局に求める旨を採択しております。そういうことですが、そういう採択でございまして、法的な拘束力はないと、このように承知をいたしております。  しかし、今御指摘のこの七項目のうちの、おっしゃいました分権化、民営化に係るすべての関係者間における社会的対話あるいは良好な労働条件の維持、創設と基本的な労働基準の運用の適用性、こういったことにつきましては、御指摘の基本原則でございますので、これを踏まえまして参考にしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  177. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 基本方針、実施方針、実施要綱など、具体的なところにはこれは生かされていきますでしょうか。検討していただけますでしょうか。
  178. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほど申しましたように、これは法的な拘束を持っているものではございませんが、私たちはこの意思等を大事といたしまして、参考にしてまいりたいと思っております。
  179. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非検討をしていただきますように要望をしておきたいと思います。うなずかれました。ありがとうございます。  この結論文書は、改革が成功したケースでは、広範な社会的対話、透明性、適切な監督の枠組み、オープンな契約取決めがありまして、従業員が守られるというようなことになっているわけなんですが、この社会的な対話といいますのは、別の部分では、分権化と民営化の計画、実施、評価の前提条件として、すべての利害関係者と対話をするというふうになっているわけなんですけれども、そのすべての利害関係者といいますのは、国民あるいは事業を執り行う責任者としての国や自治体、事業者、その下で働く労働者と、こういう人たちが全部含まれるという考え方でよろしいでしょうか。
  180. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) その対象としましては今おっしゃったとおりでございます。
  181. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非よろしくお願いをしたいと思います。  市場化テストによる総合評価制度、これ積極的な活用が必要だと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  182. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) お答えいたします。  この市場化テストの入札におきます総合評価制度、これの活用でございますが、今回の市場化テスト法案は、国民の立場に立って、公共サービスの経費の削減だけではなくてその質の向上、維持向上を目的といたしております。このために、本法案の第十三条、ここにおきましては、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を実現する上で最も有利な申込みをした者を落札者とする総合評価方式の入札を実施することを明記いたしております。
  183. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 その総合評価制度だけではなくて、更に進めて、男女共同参画であるということ、また障害を持つ人たちの雇用政策の充実であること、また下請企業の従業員の賃金の確保、こういうことが政策目標として実現していただきたいというふうに思いますが、積極的にこの入札活用ですね、これをこの中にこういう面を条件として入れていくということについてはいかがでしょうか。
  184. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 本法案の目的でございますが、国民の立場に立って公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革推進することであるということから、第十三条におきまして、先ほど申しましたサービスの質の維持向上及び経費の削減を実施する上で最も有利な方式の申込みを行った者を落札者とする、この総合評価方式の入札でございますが、御指摘の男女共同参画あるいは障害者雇用等に取り組んでいる事業者を入札評価等において考慮すべきという御意見であることは承知いたしております。  この点につきましては、これからの取組と公共サービスの業務の内容との関連とか、あるいは国民のため公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図るという本法案の趣旨、目的との整合性等を勘案しまして、入札参加資格や評価基準等において個別の公共サービスの内容等を踏まえて慎重かつ丁寧に検討されるべきものだと、このように考えております。
  185. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私がやはり申し上げたいなと思いましたのは、経費の削減、そういうような目標ですと、障害を持たれる皆さんたちの雇用制度というのについてはなかなか配慮できないことになってしまいますので、やはりともに生きる社会をつくっていくためには雇用政策を充実させることが大事でありまして、障害者雇用促進法では、国に対して、自治体に対しておおむね二・一%、民間企業に対しては一・八%というふうに法定雇用率として義務付けているわけなんですけれども、なぜ国や自治体の方が二・一%と高いんでしょうか。理由をお聞かせいただきたいと思います。
  186. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 民間が一・八、国等が二・一の目標を置いていますのは、一つは、民間におきましては納付と給付という制度がございます。すなわち、雇用率が低い場合は納付をしてもらう、また逆にパーセントが高くなれば給付を受けられると、こういうシステムになっている。  一方で、官におきましては、そういう制度を導入したらどうかという御提案をこの委員会等でもいただいたことは事実でございますけれども、官におきましてはまず率先してやろうと。それからもう一つは公表制度。二・一を割る官におきましては、やはり公表をしながら、そういうところに対してきちっとやってもらい、やっていこうと。これからは特に地方団体にもお願いをしてまいりたいと、こう思っておりますので、そういう意味では、率先することと、もう一つは納付と給付というものがない、そういった意味では二・一にさせてもらっていると。  一方で、民におきましては、三百人以下の企業についてはしておりません。結果として実は数字が相当下がってまいりまして、三百という基準を少し下げたらどうだというお話を厚生労働委員会予算委員会でいろいろ賜っておりまして、私どももそんなことも含めて今検討をさせていただいているというのが全体の流れでございます。  失礼いたしました。
  187. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣のおっしゃられるように、率先して自治体が範を示していく、このことを大事だと思いますし、是非この社会全体の公益的な水準というものが下がっていかないようにしていただきたい。民間が今一・八というふうに申し上げましたけれども、現実には一・六五で、しかも民間の方では、このきちんとした義務付けができないという場合には罰金を払って、そして雇用していないという現実もございますので、是非官と民との競争の中で、民になったときにこうした障害を持たれる方々が排除されることのないように、しっかりと自治体の方で範を示していただきながら引き上げてもいただきたいとお願いをしておきます。  次に、公共サービスの事業を落札するのが民間であれ官であれ、税金、公金を入れる、そういう公共サービスであることに変わりありません。こうしたサービスの実施に関して、国民や住民がしっかりアクセスできること、これが市場化テストによって後退してはならないというふうに思っております。  中馬大臣、この情報公開ということについてお答えいただきたいと思います。
  188. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 情報公開の件のお尋ねでございます。お答えいたします。  本法案は、民間事業者が公共サービスを適正かつ確実に実施することを確保するための様々な措置を講じておりまして、その一環として、御指摘の情報公開につきましては民間事業者は実施要領、これは第九条第二項第十一号でございますが、に基づいて、国に対して公共サービスの実施状況の報告を定期的に行うことが求められております。これに加えまして、国は本法案第二十六条に基づいて、必要な場合には民間事業者に対し報告を求め、あるいは立入検査などを行うことができる、このように規定いたしています。  このような形で民間事業者から国に対して報告された情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、これに基づきまして情報公開の対象となり得るものでございます。
  189. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何か、文章を読まれちゃったら意味がよく分からなかったんですけれども、市場化テストによって市民がこうした公益のサービスの中で参画していこうというときに、公共サービスの実施過程がブラックボックスにならないように、国民の知る権利ということが後退しないようにお願いしたいと思います。  よろしいですね。──結構です。(発言する者あり)じゃ、今もうほとんど確認ですよね。それでよろしゅうございますね。ありがとうございます。
  190. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 結構でございます。分かりました。
  191. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、今回の耐震偽装事件による大量の被害者が発生した背景についてお願いいたします。
  192. 尾辻秀久

  193. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 済みません。
  194. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 指名を待って発言してください。
  195. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。済みません。  ここで指摘をしておきたいのは、耐震偽装に関する被害者の救済についてなんですが、公的なチェック体制を整備しないままに性急な建築確認の民営化を行ったこと、そもそも建築確認手続が十分な安全性を確保できるような制度となっていなかったこと、住宅という最も高価な商品について消費者保護が不十分であったことが挙げられておりますが、現在、国土交通委員会で建築基準法の改正案が議論されているさなかでございますが、この被害者の救済について、事件発覚直後の補正予算に五十億円計上した以後、根本的な救済策は見えてきておりません。  現時点で耐震に問題ありと発覚した建物で建て替え費用に対する補助、助成として考えられます利用可能な制度と、今の時点で判明している建て替え、改修に必要な金額は幾らか、お知らせいただきたいと思います。
  196. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 昨年の十二月の六日に政府としての支援策を取りまとめをさせていただきました。既存の地域住宅交付金制度等を活用しました支援スキームでございます。相談、移転から取壊し、建て替えに至るまでの総合的な支援策をワンパッケージで提示をいたしまして、今委員のおっしゃっていただきました補正予算でも認めていただきました。  この内容としては、居住者の移転費や仮住居の家賃軽減費用、さらには対象マンションの、これ、取壊しが必要でございます、除却費、さらには建て替え後の共同施設の整備費、さらには建て替えに掛かる新たな住宅ローンの利子相当分の軽減費用などに対する支援を盛り込まさせていただいているところでございます。  この危険な分譲マンション、全部で十一棟ございます。この十一棟につきまして、今、建て替え、十一棟のうち一棟において除却工事を今実施をしておりまして、七棟におきまして建て替え推進決議をしていただきました。この建物の取壊し、そして建て替えするためには、これは住民の方々の合意形成が必要でございます。地方公共団体と私どもしっかり連携を取って、建て替えが進むように今努めているところでございます。  費用でございますが、今、都市再生機構に入っていただきまして、一つの再建計画の素案を出していただいております。これ、各建物ごと状況が全く違いますので一つ一つは申し上げられませんが、大体平均して申し上げますと、住戸面積が三十坪、百平米程度の場合、一戸当たり、平均です、これは、あくまで平均でございますが、二千万円程度と見込んでおります。  ただし、この二千万円から、様々な工夫をしまして、例えば総合設計制度の活用等をしたりしたら追加負担が引き下げられます。さらには、新たなローンについては、利子負担相当分について所得に応じて百九十二万から最大六百三万円までの助成を行うことを決めさせていただいております。それによってまた負担額は下がってまいります。  さらに、これは個々の居住者の状況に応じまして更に追加負担額を縮小するために、例えば住戸規模、百平米ではなくって少し、八十平米ぐらいまでしていただくだとか、上層の階ではなくて下の方の階にしていただくだとか、そうした選択をすることも検討事項だと思っておりまして、そうすることによって負担額が更に軽減をしてくるというふうに考えているところでございます。  いずれにしましても、一番の被害者の方々でございます居住者の方々が早く新たな建物ができて居住の安定が確保できるよう、しっかり、国といたしましても、地方公共団体と連携を取りまして、支援策、支援をしてまいりたいと考えております。
  197. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣がまとめて全部おっしゃってしまわれたんですけれども、そこまで聞いてないところまでおっしゃってしまったわけなんですけれども、私は建て替え費用にどのぐらいかということをお聞きしたかったわけなんですが。  実は、偽装住宅を購入された方々は、全く毎日不安の中で生活をしておられるわけなんです。建て替え費用というものにも追い立てられ、これまでの住宅ローンにも本当に払い続けなければいけないという中で、大変に経済的な破綻を来している、生活は将来に対して何の希望を持つこともできない、そういう状態に置かれているわけなんですけれども、この被害者の抱える住宅ローンの金額の総額は幾らと把握していらっしゃいますでしょうか。  是非、その辺あたりと、それから、大体私の方で計算しましたのは、単純計算で総額では百五十億円前後というふうに思っておりますけれども、そのぐらいでよろしゅうございますか。
  198. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 強度〇・五以下のものは八十一億円でございます。
  199. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 とにかく、一人一人が二重のお金を払わなければならない状況で悩み続けて、私が先日伺ったときには本当に自殺者が出てもおかしくないというような、本当に悲壮な、そんな話しぶりでございました。是非とも、こうした一番不安な、財産価値のないものにお金を払い続けなければならない、見通しのない状態でローンを返済しなければならない、これを救済するためにお力添えをいただきたいと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。  これは一度も国会の中で前向きの答弁をいただいたことはないというふうに伺っております。もし何かあれば、それは一人一人の被害者に対してきちんとした説明がなされていないのではないかと思います。
  200. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 耐震偽装について金融機関の責任を問うということは不可能なことだろうと思っております。  しかしながら、実際購入された方々は大変お困りであろうということで、政府としても各金融機関にいろいろ要請をいたしました。今までのところ、全銀協、また信用金庫、信用組合あるいは農林中金、労働金庫、そろって今年の二月十四日に共同で声明を発表いたしまして、返済方法、金利、それから登記、登記の抹消関係等々、お役に立てるところはきちんとお役に立ちたいということで、自主的にいろいろやってくださることになりました。しかしながら、これ以上を求めるということは大変難しいことだということを是非御理解をいただきたいと思っております。
  201. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 苦しみの中で生き続けなければならない、是非とも心から、少しでも救える、そういう方策を更に考えていただきたいと、これは心からお願いをしたいと思いますが。  国土交通省は、昨日の二十四日、偽装物件に建築確認を出した民間の四つの指定確認検査機関の検査員十八人を登録取消し、業務禁止等の処分を行って、今後は検査機関の処分の検討に入るというふうに聞いております。つまり、検査機関に過失責任があるということが言われているわけです。  これまでやはり政府は、バブル崩壊に伴って債務超過に至った大企業が大規模な投機を行った、そしてバブルの崩壊に伴ってこうした放漫経営があった、金融機関の債権放棄には大変救済のための税制面での優遇を与えた、金融機関への資本注入も行ってきた。こういう中で、総額十二兆三千八百九億円にも上っていると。二〇〇五年の決算は軒並み史上最高の利益を生み出しているということでありまして、政治的な責任を超えた支援策を実施した経過ではないかというふうに思っております。  是非ローンの一部免除の要請、これもございますけれども、被害者救済にあらゆる努力のときに、そのローンの一部免債という点についてはいかがですか。
  202. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) お金を貸した方には多分過失もないと思いますし、また直接の責任はあるというふうにはとても言えないわけでございまして、返済の方法とか金利とかその他のことでいろいろ工夫することはできましても、元本自体を免除するということは理屈の上では非常に難しいことであります。
  203. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 非常に残念な答弁が続きましたけれども、是非この政治的な責任を踏まえるということを大臣認識をしていただきたいというふうに思います。  次に、改革といいますけれども、中身について心ある政策が必要だなというふうに思いますのは、最近の新聞で「「話が違う」憤る住民」、来年十月の郵政民営化に向けた動きを追いました先月の新聞記事の見出しでありますけれども、地元の河北新報、この中にも、郵便局再編案、東北百九局集配廃止という記事が目に留まりまして、現在四千七百局ある集配局をおよそ三千七百局に減らす方針だということでございました。ただでさえ地域担当が広い、再編で更に配達地域が広がって郵便サービスの水準が維持できない、こういう強い危機感が広がっているのは当然でございます。  あれだけ郵政民営化の審議のときに、私もここで加わらせていただきましたけれども、国民の利便性は損なわない、このようにおっしゃったんですよ、総理。是非、住民に話が違うという形で憤らせていいんでしょうか。──いや、総理に伺っています。
  204. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、郵政公社がその準備を進めていると思いますけれども、利便性、これは損なわないようにするという、これは原則であります。
  205. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、また更に私が質問をしたことをこの時点でも確かめておきたいと思いますけれども、ひまわりサービスあるいは窓口業務のこれは短縮、あるいは、もしかしたら閉鎖というようなことも言われておりますけれども、これは利便性の低下ではありませんか。
  206. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今、公社において郵便事業を効率化しなきゃいけないということでいろんな工夫をして、そして再編の話も出ているというふうに思います。  しかし、今ちょっと委員、話が違うというふうにおっしゃいましたが、これは話は全く違わないと思っております。  まず、利用者の利便について委員が今お尋ねになられましたけれども、窓口のサービスは続くわけです。これは、集配局が集配をやらないで無集配局になるというようなことをもちろん今考えておられるわけです。そして、物流を効率化するということを考えておられるわけですが、地元の窓口で切手とか郵便貯金とか扱うその窓口業務はなくなりません。したがいまして、その意味での消費者の利便は変わりません。また、郵便を全国一律に正にユニバーサルサービスとして届けるということも、これも全くなくなりません。  そして、ひまわりサービスについてでありますけれども、ひまわりサービスというのは、これは外務職員による高齢者への励ましのお声掛けとかそういうものでございますが、これについても、実は今回公社はこのサービス、ひまわりサービスも引き続き提供するというふうに言っております。  その意味では、正に郵便のサービス、窓口のサービス、そしてひまわりサービスを含めまして、そういう問題が生じないような形で物流のルートの効率化をしているというふうに理解をしております。
  207. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私が地元あるいはいろんなところでお聞きしているのでは、例えば北海道は、二十キロだったものが四十五キロという大変なところ、今まで自転車で行ったものが車になるということなんですけれども、おばあちゃん元気ですかって声を掛けるのもびゅんびゅん飛ばしていったり、あるいは道路が凸凹になっているのは、あれは自転車だからできたという、自治体の皆さんとの連携でサービスをしてきた、そういうものがやっぱりなくなってしまうのかなというふうに思っておりまして、声掛けでありますとか見回り、こういうようなものは、こういうふうな広範囲になって、あるいは車で、実は車の入っていないところ、それは自転車で行ったり歩いていったりしてサービスしていったわけなんですけれども、そういうことができなくなってしまうのだということが大変心配でございます。  今、力強い答弁をしてくださいましたので、是非サービスが低下にならないようにお願いをしたいというふうに思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  208. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林秀樹でございます。  いよいよこの法案も民主党としては三人目、最後のバッターになりました。私も当選してこの七月でちょうど五年になります。小泉総理政権を担当してから五年ということでございますので、この五年の評価と課題を踏まえまして、法案を広くとらえて質問をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、今の景気回復でございますけれども、バブル景気に並んだということで、ひょっとしたらイザナギ景気を超えるんではないかという状況まで今来ているというふうにされておりますが、今日も午前中、景気回復軌道に乗っているというお話がありました。私はそれを聞いて、国民の大半の方が全く実感ないんではないかなと思っております。  その意味において、小泉総理は今この件についてどういうふうに認識しているのか、自分自身がやってこられたこの五年間の改革等を踏まえてお答えいただきたいと思いますし、与謝野大臣も、もしよければ後でお答えいただきたいと思います。
  209. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が総理に就任してから五年間、どう考えているかという御質問だと思いますが、当時はやっぱり景気停滞で、悲観論がかなり国会でも取り上げられました。しかしながら、現実の姿を見ると、様々な経済指標、専門家、識者等の意見というのは、五年前から今を見ると景気回復軌道日本経済は乗ってきたと、しかしながらまだデフレ脱却には至っていないと、そういう評価をされているのが多数意見だと思っております。  もとより、小泉内閣が掲げた金融機関の不良債権処理目標も達成しております。この当時は、デフレの時代不良債権処理をしていくと失業者が増える、あるいは企業倒産する、景気はますます悪くなっていく、デフレスパイラルに陥るということでありましたけれども、結果を見れば、失業者も減っております。また企業の求人数、これも増えておりますし、有効求人倍率一以上というところに回復してきております。また、倒産件数も毎年減ってきておりますし、会社を立ち上げる数も増えてきております。そういうことから、私は、大方の識者が見ているとおり、景気回復軌道に乗ってきたんじゃないかなと思っております。  もとより、これだけではありません。悲観的な見方から、やればできるという意識の面の明るい面も大きいのではないか。また一方、フリーターとかニートとか、この景気回復軌道に乗ることができない人たちに対する対策が必要ではないかという声も出てきているのも事実でございます。そういう新しい時代変化に対応できない、あるいは改革によって今まで既得権を持っていた人の既得権が奪われる、そういう点に対しての批判も言われますが、私は、大方の見るところ、改革成果としての経済に対する好転、これは妥当な見方ではないかなと思っております。
  210. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 客観的指標とか識者の見方というのはいいんですよ。私が聞いているのは、国民の実感として本当に景気回復がこんなに続いているかということはないと。だから、そのことに対してどう認識しているかということを伺っているんで、そういうこれまでの答弁の中ではなくて、やっぱり国民の言わば感情を踏まえることが重要ではないかなということなんです、行政改革をこれから論じるに当たって。そこのギャップが私はこれからの日本の進むべき方向性として踏まえなきゃいけない重要な部分ではないかなというふうに思います。  この点については、いろいろ議論をしているとまあ時間は掛かりますけれど、大きな層を占める働く人はこの数年間ほとんど賃金上がっていないんですよ。それで、その中でも更に二極化している部分もありますし、今まで緑だった部分がやっぱり下がってきているというところもありますし、自営業者や中小零細、あるいは農業、あるいは漁業の方も大変な生活の中でやっぱりやっているという、その国民の実感と客観的の部分に大きな私はギャップがあるんじゃないかと、そのことがやっぱり政治として必要なんではないかということを申し上げたかったわけであります。  しからば、本当に基本的なことですけれど、行政改革の目的って何でしょうか、小泉総理
  211. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) やはり経済を活性化する、そして国民生活を全体的に豊かにしていくと、これが行政改革の一つの大きな目標であります。
  212. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私もそう思います。重要な視点というのは、国民の福祉の増大というんでしょうか、豊かにしていくという視点が常にやっぱり行政改革の中に含まれていないと私はいけないんではないかなというふうに思います。国民も取りあえずまあ合理化なり削減という言葉にはゴーサインしておりますけれど、じゃ、本当にその削減した後の姿がどうだったかということについては、私は、必ずしも国民が望んでいる方向性と今の行政改革の方向性が合っているのかどうかというのは、私は分からない部分もあるんではないかなというふうに思います。  今回も六十年に一度の大掃除というふうに言われた方がいますけれど、野党が指摘したとおりにその都度やっていれば、ここまでの改革をする必要はなかったわけですよね。指摘しても、いや、やむにやまれない事情があるんだと、いかにも合理的な理由を付けて問題を先送りし、結果的にはこれだけのあかがたまったような状況になって今日の閉鎖的な状況を迎えているということもやはり事実ではないかなというふうに思いますので、そういう認識が果たしてあるのかどうか、まず小泉総理に伺いたいと思います。
  213. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その時代その時代改革すべき点はあると思います。そういう中で、今までに有効だと思われていた機構ももう時代に合わなくなってきたんじゃないかということから、行政機構の改革におきましても、あるいは、必要だということで借金をしてきた、しかしながら、し過ぎた借金というのは将来の増税となって跳ね返ってくる、借金を抑えていかなきゃならない、そのためにはいかに無駄な部分を排除していくかという視点から様々の改革が必要であり、その無駄と指摘された部分にとっては不満でしょう。  デフレの時代でありますから、賃金は上がりませんけれども、物価は下がります。やっぱりインフレの時代の好景気景気回復軌道と、戦後初めてですから、この物価が下がる状況は。そういう中での景気の実感というのはやっぱり違ってくるんじゃないかと思います。
  214. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その上で、少し談合のことについて伺いたいと思います。  これまでも談合、天下りのことを様々な不祥事を通じて指摘してきました。しかし、なぜ今日までなくならなかったんでしょうか。その基本的なことについて、まず御認識を伺いたいと思います。総理
  215. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは一つの理由じゃないと思いますけれども、ある面においては助け合っていこうという面もあったんだと思います。強い企業だけが仕事取っちゃ、ほか、やっていけないじゃないかと。お互い分かち合いながら、仲間同士仕事を分け合ってやっていこうという、そういう慣例もあるんだと思います。決して、これは悪いと思ってやっているんじゃないと思うんですね。これがいいと思ってやっている方が多いんじゃないかと。最近、これ談合はよくないよと、費用の点からも、コストの面からも、国民の税金の面からもと。ようやく意識が変わってきているんじゃないかと。  お互い、強いもの、いいものをつくれるのだけが仕事を取っちゃったら、ほかの取れない会社はどうなるんだという面もあったと思うんです。ある面においては、コストだけ考えれば、一番コストを安くする会社が仕事を取ればコストは安くなります。しかし、ほかは、中小企業はどうなるのかと。ある程度中小企業にも配慮しなきゃならないと。地元はどうなんだと。一番優秀だけれども、コスト安い企業ばっかり仕事を取るのがいいのか、そうしたら地元のそういう競争に太刀打ちできない企業はどうするのかと。お互い助け合って、互助会みたいな、そういう慣例が大事じゃないかという意識も他面にはあったと思うんですね。
  216. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 確かに、戦後の経済成長の発展段階で、そういう、ある文化というんでしょうかね、そういうあった部分も私も認めると思います。  しかし、いまだに、今の御発言聞いていると、本気じゃないんじゃないかなと、しようがない部分もあるんじゃないかなと思っている感じは受け止めるんですが、今本気でしょうか、談合はやめた方がいいと思うのは。
  217. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だからこそ、今言ったように、ようやく意識も変わってきたなと、そして談合防止法も国会で審議されて談合を廃止していこうということでありますから、これは、談合はよくないんだというのも、いいと思っていた人もそうかなと意識は変わってきたと思います。
  218. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 実は、私も今回の官製談合の防止法案の、民主党側の議員立法のある分、責任者なんですけれど、昨年、小泉総理は、実は自民党に対して、官製談合の防止の規制強化をしろと指示を出したんです。しかし、自民党は動かなかったんですよ。(発言する者あり)  で、一月になって、これ本当ですから、ようやく防衛庁の、施設庁の問題が出てから、我々はすぐまた議員立法を出しましたが、ようやく与党の中でも、ああ、これやらなきゃいけないなと、火が付いたなといって出したんですけれど、いまだに議論されてないんですよ。  本当に本気なのかということを今お伺いしたかったのは、本気じゃないんじゃないかということをまた私、改めてこの中の責任者として感じているから申し上げているわけでありますんで、是非、まだ通常国会も残されておりますんで、与党案そして我々の案も聞いていただいて、是非この国会でこの官製談合防止法案、議員立法を、何とかして民主党、野党と調整しながら通すという、ちょっと御決意を伺いたいと思います。
  219. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 成立させるために与党出しているわけですから、是非進めて、国会運営ですから口は出しませんけれども、成立させていただきたいと思います。
  220. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 自民党の総裁としてのリーダーシップも是非発揮していただいて、やっぱり行政改革はできるところからやる、せっかく法案出しているんですから、是非とも民主党と調整をしてこの国会で何とか通していただきたい。そのことを再度お願い申し上げたいというふうに思います。  今回の法案の中で、簡素で効率的な政府を実現するための行革法ということになります。これまで小さな政府とずっと小泉総理は言っていましたけれど、なぜ今回、法案でこの小さな政府を下ろしたのか。これまで官房長官には伺っておりましたけれど、改めて、私は必ずしも小泉総理の考えの中には小さな政府という看板を下ろしたわけではないと私は思うんですけれど、改めて認識を伺いたいというふうに思います。
  221. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 小さな政府よりも簡素で効率的な政府と言った方が分かりやすいと思っているんです。だから、分かりやすい方がいいと。
  222. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 つまり、あれだけ小さな政府と言いながらも、簡素で効率的な政府の方が分かりやすいと、つまり小さな政府という看板を下ろしたわけではないという認識ですね。それでよろしいでしょうか。これは結構重要なところなんで。
  223. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、新聞とか識者は大きな政府、小さな政府で、もう分かり切っているという形で言いますけれども、一般国民からいうと分からないと言う人が多いんですよ。何で大きくて小さいのか、どれが大きい政府でどれが小さいのかと。形でこう見えませんから、すぐ。言葉として、それは肥大化した政府よりも簡素で効率的な政府と言うと、大きな政府、小さな政府よりも分かりやすいと私は思っているから、小さな政府よりも簡素で効率的な政府の方がいいと、そう思っているからあえて分かりやすく簡素で効率的な政府と使ったわけでございます。
  224. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私もちょっとますます分からなくなりましたけれども、要は、政府は小さくするだけが能じゃないと。やっぱり小さくすると必ずしもそれが国民の福祉の向上につながらないということもあって簡素で効率的な政府という、まあ中馬さんが今、担当大臣がうなずいていましたけれども、せっかくですから簡潔にお答えください。
  225. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 正に総理がおっしゃったとおり、効率の方をかなり重視したことも事実でございますが、小さいと言いますと、社会保障、そうしたセーフティーネット的なものまでも全部小さくしてしまうのかという誤解も若干あるやに思われまして、そういう議論もありまして、簡素で効率的なということに最終的にしたわけでございます。
  226. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その上で、行政改革というのは単なる削るだけが能じゃないと、小さくすればいいんじゃない。私が伺いたいのは、削減、合理化、大切です。しかし同時に、日本の未来のために何を投資すべきかということを併せてやらないと、やっぱりこの国は暗くなるんですよ。その部分が余りにも今この行政改革をやって少な過ぎるんではないかというのが私の思いでありまして、その一つが私は教育への投資ではないかなというふうに思っております。  教育に対する費用に対してはこれまでも議論させていただきました。OECDの先進諸国の中で初等中等教育はほぼ最低レベルであります。高等教育も非常に低い。これは一人当たりにすると少子化の影響が利きますのでそこそこ高いじゃないかといいますけれども、現実問題として、非常に低いということは事実ではないかなというふうに思います。  あわせて、今私は、所得格差が広がる中で教育負担が、私的負担が非常に増大しているんではないかということであります。私も実は、ちょうどこの四月に長女が大学を卒業して就職しました。そして、下の子が今大学の三年になりまして、ようやく子育ての、負担感ある子育ての時期を終えつつあるということで、この負担感がある感覚が薄れないうちにこの問題を少しやっぱり取り上げていきたいなと思いますので、ちょっとパネルを出していただきたいなと思います。(資料提示)  これ見ていただければ分かりますように、二十二年間の一人の子供に対して負担する費用でございます。一番左側が、幼稚園から大学ずっと公立行って、教育費は一千三百四十五万です。基本的な養育費が一千六百四十万ですから、公立にずっと行っていて三千万掛かるんです。一番右が結構多いパターンじゃないかなと思いますが、中学から私立に行って大学も私立に行くと。ここの議員の中にもそういうパターンの方がいらっしゃるかもしれませんけれども、そうすると三千八百万とか、医療大学に、医療系に限ったらもう六千万を超えると。これ、例え悪いですけれども、一人子育てするのにマンション一戸分の値段なんです。二人いれば二軒買わなきゃいけないと。これはちょっと例えがよくないんですけれども、分かりやすく言うために、やっぱりそのぐらいの負担感があるんです。  小泉総理は、別に大学行くだけが能じゃないと。はっきりそうなんです。私は子供に大学行けなんて一回も言ったことはありません。しかし、ここが問題なんですけれども、中学あるいは高校へ上がる段階で本当に何をしたいかということは分からないんですよ。だから、子供に対して親は一生懸命教育を、できる限りのことを、教育環境を整えよう、だからそれが家計に影響して、それを見た子供たちが、親は頑張っているというのが分かるわけですよ。そうすると、そこまで家計を、まあ負担を与えてでも本当にやるよりは、じゃ自分が大人になったときは少しその分、楽をしようとかという、そういう感覚にもやっぱりなるんですよね。ですから、結果的には、余裕のない人たちは塾にもやれず、結果的には途中段階でもうそういうふうにならないという子が、結果的には経済の負担能力によって出てくるという、この事実ははっきりやっぱりお認めいただいて、是非ともこの教育に対する負担に対して何らかの手だてをするということは、実は少子化対策であったり、あるいは未成年の犯罪防止であったり、そういうところにつながっている、これこそがやっぱり将来への投資という面で併せてやっぱり議論していくことが私は重要ではないかなというふうに思いますが、小泉総理認識について伺いたいと思います。
  227. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 教育は重要でありますし、小さなときから、学校にいるときから自分が何をやりたいかと決められる人は私はごく少数だと思いますね。また、そうなりたいと思っていても、中学、高校、大学へ入っていくうちに、また別の方に自分は向いているとか、自分が目指していた分野については自分は合わないんじゃないかと思ってくる人もいるし、学生時代から将来の目標をはっきり持っていけるというのは、これはすばらしい才能だと思うんです。  そういう方は少ないんじゃないか。だからこそ、学生時代から仕事に対する理解を持ってもらうというような習慣とか訓練が必要だということで、今、文科省もそういうのを取り入れていこうということで進めているわけですが、私は、教育の重要性から、今、教育を受けたいという人にとって、家庭が教育資金を出してくれないからといって学校に行けないということはないような制度になっています。希望者はすべて奨学資金なり学業資金、提供するような制度はつくらなきゃいかぬということで、今そういう制度になっております。  教育の重要性、これはいつの時代になっても変わらないし、また親御さんも教育に対する負担よりも子育てに喜びを感ずる、そういう面もあるんじゃないかと思いますし、そういう前向きの見方も必要ではないか。子供を教えるんじゃなくて、子供から教えられる面もたくさんあります。子供を持つ負担よりも子供を持つ喜びもたくさんあります。そういう点もやっぱり併せてこれから考えていかなきゃならない問題だと思っております。
  228. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 教育を受けたい意欲のある人は全部環境は整っていると、これはうそです。確かに大学に対して奨学金とか低利子での融資はありますけれど、要は、小学校から大体そういう環境になってきて、それに対しては余裕を持って教育環境を与えられないから、結果的にはもう行かないんです、そこまでは。そこの違いを是非分かっていただきたいなというふうに思っています。  先ほど、ですから、子供は何をやりたいか分からない、しかし将来の可能性を取りあえず広げていくためには、やっぱり勉強しておきなさいと言うわけですよ。そうすると、やっぱり塾に行かなきゃいけない、いい学校に行きたいという、これは親の気持ちですから、必ずしもそこは、私は、今の小泉総理との意見の違い、私はあると思います。    〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕  ですから、やっぱり将来への投資ということで、先ほど、その負担は逆に少なくすることによって、教育への投資を拡大することによって、私は、将来の社会的コストも逆に減り、犯罪も減り、そして日本の未来への投資になるという、そこの仕分をやっぱりしっかりした上で、私は政府としてやっぱりメッセージを出すべきだと思います。  国民も、必要で確実なリターンがあれば、負担する覚悟はあるんですよ。例えばフィンランドで、大学まで大体授業料はただである。もし、そこまで保障してもらう、あるいは子供の安全のためにスクールバスを提供してもらう、あるいは教職員を増やして三十人学級にして、そして塾に行かなくても済む、そういうことが明示されれば、私は、国民は極端に言えば消費税の二、三%出してもいいよというふうになるかもしれない。  そういう議論を併せてやっぱりやっていくことが、今、我々自身に明るさになり、将来に希望が持てる、そのことが子供にやっぱり伝わるという、そういう議論も併せてやっぱり是非していただきたいなというふうに思いますんで、小坂大臣、ちょっと、質問通告はしておりませんけれど、そういうことで、もし本当に簡潔に御発言があればお伺いしたいと思います。
  229. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 教育こそ未来投資である。正に資源のない我が国にとって人材こそ宝でございますから、その宝物のために今投資をすることが必要だということは私も同感でございます。  また、委員がおっしゃいましたように、できれば幼稚園から大学まですべての教育を国が保障する、そういう制度があればいいではないかと。これは確かに考え方としてはそういう考え方もあるかもしれませんが、それではそれを消費税で賄うとか、あるいはそういう税の負担をどのようにするかということに関しては、消費税で三%上げていいというふうにおっしゃる方が国民の中でどれほどいるか、その辺はなかなか疑問のあるところでございますが、そういったことを踏まえまして、私ども文部科学省といたしましては、先ほど委員の方からも御紹介ありましたが、幼稚園の奨励費補助金や私学助成、奨学金の事業など諸施策を通じまして教育費負担の軽減に取り組んでいるところでございます。  また、教育への投資は、先行投資という意味で、その水準の維持向上を図るために各種の施策も併せて行っているところでございまして、先ほど総理からお話がありましたように、今奨学金を無利子、また有利子のもの、合わせますと需要を賄っている状況にあることも事実でございます。しかし、そこまで至るまでの経過がどうであるかということについては、今ここではあえて申し上げませんけれども、委員のおっしゃりたいところは分かりますが、なかなか現実的には財政的な問題もあるということを御理解いただきたいと思います。
  230. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 要は、消費税、すぐ反対すると言いますけど、国民が本当に信じれば私はその可能性だって開けてくる。その議論さえしてないわけですよ。  要は、今の問題点の本質は、まあ私はいつも例えで言うんですけれど、マンションに住んで、三万円払ってでもいい管理費のマンションに住みたいのか、それでも三千円で休みの日はみんなで出てきて一緒に草刈りしたり、そういうマンションがいいのか、その本質的な中身の議論ができていない中で削減することだけに言われれば、国民は私はやっぱり元気がなくなる。あえてそういう何が必要なのかという部分をやっぱりしっかりと議論する必要があると思います。  今回の法案の審議の中で、フィンランドでは減税を公約に掲げる議員が落選する、あるいは労働組合が増税する、北欧ではという話を聞きますけれど、なぜ我々ができないのかと。それは、私は、野党もそうですけれど、やっぱり政治、行政に対する信頼度がないからです。だから、年金でもああいう問題ができるんです。そのことを我々自身がしっかり受け止めて、やっぱりこういう行政改革を本気でやるんだということをやる気持ちがなければ、私はこれからの日本は開かれてないというふうに思います。  その上で、この五年間の小泉改革ということであえて申し上げますが、パネルを、資料の三枚目の事後規制、事前規制のパネルを、資料をちょっと見ていただきたいというふうに思います。  日本は、これまでの経緯の中で事前規制が強かった国だというふうに思います。小泉総理は、このマトリックスの中で、日本は今どの方向に向いているのか、お考えをいただきたいというふうに思っております。  私は、規制緩和が悪いとは言っておりません。しかし、結果としてその方向がうまくいっているのかどうかというこのマトリックス、この資料は実は政府が使った資料でありますので、そこから抜粋したものでありますので、日本は今どこに向かっているのか、アメリカ型なのかそうじゃないのか、お考えを伺いたいと思います。
  231. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく私はアメリカ型にしようとしているんじゃないかと誤解か曲解する人が多いんですが、そうじゃありません。日本はあくまでも日本型です。民主主義も日本型の民主主義なんです。ですから、今、規制が多過ぎるから規制改革していこうと、構造に問題があるから構造改革していこうということなんです。どっちの国に向いているということでもございません。
  232. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そうですか。意外な答えだったのでちょっと私も答弁に戸惑いますが、この……(発言する者あり)
  233. 保坂三蔵

    ○理事(保坂三蔵君) 答弁じゃないです。
  234. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 答弁じゃないです、私の……(発言する者あり)はい、質問。  この左側を見ていただきたいんですけれども、これは識者の書いた現象であります。つまり、事前規制を弱めて事後規制も弱めるとどうなるか。適切な社会ルールが生まれないと弱肉強食の密林法則がばっこする、被害者に対する適切な対応措置がとれないと不公平感と不信感が高まり社会が不安定に、結果的に被害者や社会のコストをかえって高くする可能性がある。正にこれこそが耐震偽装であり、ライブドア事件、まず小泉改革の本質ではないかなというふうに思います。  これは、政府で使った資料の中で、結果的に、規制を弱くして、さらに事後の規制も弱くすれば結果的にこういう現象があるということを当てはめると、正に今は日本というのはこういう状況になってはしないかということから考えると、私は、結果的に事前規制を弱めて事後規制も弱める方向になって、事前規制を弱めれば必ずしも政府の仕事は楽になるわけではない。やっぱり一方で事後の規制もバランスを合わせてやるということが日本の将来にとって必要ではないかという認識の下で、小泉総理はひょっとしたら事前規制弱、事後規制も弱に行こうとしているのかなということを伺ったわけでありますので。  私は、アメリカ型とか言うつもりはありませんけれども、事後の規制もきっちりやる、だから証券取引等監視委員会とか食品安委員会とか、そういうきちっと事後の規制もやるところを合わせてやるということが必要ではないかなというふうに思いますが、確かに増やしてはいますけれども、私は必ずしもそこのバランスが合っていない、だからこういう問題が起こるんではないかということを申し上げているわけですが、御見解があれば、じゃ。
  235. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは必要な規制はしなきゃいけないと、安全面についての規制はするべき点はしなきゃいけない。  同時に、耐震偽装についても小泉改革のせいにしておりますけれども、これは民間に審査を任せたからと。役所でも審査しながら見抜けなかったんですから、必ずしもそうとは言えないと。じゃ、今までの民間の検査機関を全部官に戻せばいいのかと。そういう議論は出てこないでしょう。
  236. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう問題じゃないですよ。
  237. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それなのに、何で耐震偽装が出たのも小泉構造改革のせいにするのかというのは、私は理解に苦しむ。じゃ、全部官でやらせればこういうの起きないかというと、そうじゃなかったでしょう。  私は、そういう意味において、必要な規制はしなきゃいけないけれども、規制が大き過ぎるからこそ規制改革の必要が叫ばれて、その点はよく事業について点検していかなきゃならないと思っているというのは民主党も主張していることでしょう。
  238. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今委員もちょっと指摘されましたように、従来は事前にかなり強い規制をして、そのために事後のチェックを余りしていなかったという点はあったことも事実だと思います。  しかし、こうした規制改革の中で、事前のやつはもうかなり自由に任していくということになってまいりましたから、そうしますと、従来の形だと両方弱くなってしまいますから、逆にこれは規制を強めていかなければいけない、事後チェックをですね。そういうことから、独占禁止法等の公正取引委員会審査機能、これの見直しとか強化、それから証券市場の監視機能の強化など監視体制の整備、消費者契約法の改正など、安全、安心のための新たなルール作りなどにも今取り組んできたところです。  それが少し遅れたことで若干問題点を起こしたところはありますけれども、やはりそうしたことを今後は事前の規制を緩めるんであれば事後のチェックはかなりきっちりして、やっぱり公の責任はこれはあるわけでございますから、実際行うのはそれは民間にやらしても、その責任体制、これはやはり公的な立場でしっかりとやっていかなければいけない。そういうことが今後の課題であると思いますし、私たちはその形で制度設計といいましょうか、今回の法律行政改革もやっていっているつもりでございます。
  239. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それが妥当な答弁だと私は思いますし、そういう方向に行くべきだと思います。  別に民間による検査を否定しているわけではありません。要は中身なんですよ。それでも自分の責任じゃないと言うのは、私はやっぱり責任放棄だと思いますよ。それは政権でいる以上、私の責任じゃないと言うのは。事実、こうなっているわけですから。それはやっぱり非常に不適切な発言だと私は思いますので、結果責任としての政治の責任を果たしていないということは事実だというふうに思います。  その上で、じゃ次に、社会保険庁の不正免除の件について伺いたいというふうに思います。  まず、川崎労働大臣に伺いたいと思いますが、発覚した日の記者会見で、職員の独り善がりな判断、公務員がルールを違反して、それが上の命令とはあり得ないということをおっしゃられました。組織的な行為ではないという認識を示されたんですけれど、いまだにそれはそういう認識でしょうか。
  240. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 昨日、厚生労働委員会が開かれましたので、様々な答弁をさせていただきました。  事実関係だけ申し上げます。  二月に社会保険庁本庁において、業務統計リスト、チェックしたらコンピューターで引っ掛かりました京都事務局において、免除件数に異常な数値が出た。したがって、その後、京都事務局の実地調査に入った。三月の段階で、申請の意思表示がないままに免除等の手続を進めているという実態が判明をいたしましたので、それに対する修正、また職員の処分を行ったところでございます。    〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕  一方で、このような事案が他にないかということで、他の四十六都道府県の事務局に問い合わせをした。六事務局から返事があり、電話等で申請者の申請意思を確認した後、書類が来るまでに一部処理をしてしまったものがある。したがって、それはならない、当然申請書類を待って、それをもってしっかり処理をするように、こういうことを行いました。  しかしながら、事案が出ました大阪におきましては、ないという返事であったと、ないという返事が返ってきた。それが五月の十七日になって出てきた。その後、長崎等、また今日の新聞でもいろいろな報道がなされているところでございます。  したがって、一つの事案が出て、本省が調べたことに対して、事実関係を明確に連絡してきたところ、全く連絡せずに、特に、調べるべきこの局長が、分からないでやってきたのか、自分が隠ぺいしようとしたのかよく分かりません。しかしながら、もうこの人に大阪を任せておくわけにいかないということで更迭を命じたと。したがって、事案としましては、本省ぐるみですかと聞かれたから、そうではないと思うという回答をしたわけです、質問に対して。  しかしながら、現地の局長若しくは所長がかなりの可能性でかみながら、正に法律違反の行為を行った、ゆゆしき事態だということで、全局長を集めて全体的な会議を開きながら、一つ一つを詰めていかなきゃならぬ。三度にわたって調査をしながら、それでもないという返事をして、また昨日の夜の段階になってやっぱりありましたというような返事をした地域もあるわけですから、残念ながら、私も人を信じたい、人を信じたいけれども、この件については信じられない。一件一件、やはり村瀬長官自分の目で確かめてきちっとしなさいという指示をいたしているところでございます。
  241. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今言うと、やっぱり組織的な行為であったということをお認めになったという発言だというふうに思います。それがやっぱり普通の反応だというふうに思いますけれど、余りにもちょっと違ったんで、三万七千件の不正処理を個人の担当ができるわけがないですよ、そんなもの。それにもかかわらず、こういう発言がその日に出てくるということ自体が私はちょっと信じられないというふうに思います。  その上で、社会保険庁の長官、来ていらっしゃると思いますけれど、いらっしゃいますか。──いや、社会保険庁長官に昨日お願いしたはずですけれど。おかしいですよ。(発言する者あり)
  242. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  243. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記起こしてください。
  244. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 大分その後の質問の項目が変わってしまいますが、今日はテレビも入っていますし、他への影響もありますんで、進めさせていただきたいと思います。  こんなに重要なことを長官自ら出てこないというのはおかしいし、私は通告のときに申し上げましたので、事実関係は確認させてください。昨日の質問を受け取った方はそれを知っているはずであります。  その上で、なぜ、じゃ、このような不正な免除が見抜けなかったのかということについて、社会保険庁の立場からお伺いしたいと思います。
  245. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 手続にもし間違いがあれば申し訳ございません。おわびを申し上げます。  その上で、私の方からお尋ねにお答えをさせていただきたいと存じます。  なぜこのようなことが見抜けなかったのかというお尋ねでございました。この問題につきましては、まずは私ども、先ほど大臣から御答弁をさせていただきましたように、まずは三月の時点で同様の事例があったことについて、これを踏まえて全国の事務局に照会を掛けて、同様の事例がないかということについて調査をさせていただきました。この時点では、これに対して、大阪その他の地域からは該当事例はないという返事を受け取っております。また、五月にこの事例が再発をしたものでありますから、再度全国の事務局に同様の事例がないかということについて照会を掛けさせていただきました。また、京都の事例が発生したときには、本省からも職員が参りましてこの調査をさせていただいております。  二回にわたりまして、私ども、そういうことで全部の事務局に照会を掛け、調査をしたにもかかわらず、再度、再々度こういった事例が起きたということにつきましては、大変に庁としての、組織としてのガバナンスが機能していないということについておわびを申し上げなければならないというふうに考えております。申し訳ありません。
  246. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いや、だから理由を聞いているんですよ、なぜそういうことが見抜けなかったかと。今、社会保険庁に与えられている最大の使命は信頼回復なんですよ。そのために村瀬長官は来たわけでしょう。そのために、こういう不正行為をするということ自体が私はもう開いた口がふさがらないというか、こんなことやったらもう、すぐ分かるじゃないですか。これを三万七千人、大阪だけでやるということ自体が私はやっぱり信じられないんですよ。  村瀬長官に伺いたかったんですけれど、高い目標を掲げてやるというのはそれは重要ですけれど、何がその後に起きるかというところも含めて私は預かった責任の、責任者としての問題はあると私は思います。これは余り言いたくなかったんですけれど、やっぱりある意味で、損保ジャパン、今、金融庁、ありますよね。保険料を立て替えていたとか保険金の大量不払とか、ある部分そういう体質があるんですよね。今回の事例を見ると、ある部分同根の問題ではないかなと。ただ表面的な実績をつくれば何とかしのげるということが仮にあったとしたら、私はそれは彼、長官にそういう意思はなかったと思いますけれど、結果的に自分が育ってきたそういう経験とかノウハウとか、そういう部分がいきなり適用すると、結果としてこういう事例がやっぱり出るということについて、私はそのやり方に問題がなかったかということについて反省を促したいということを聞きたかったんで、今日は是非長官に事実関係を伺いたかったということでありますんで、もうこれ以上聞いても出てこないと思います。  その意味で、今回の問題の本質は空洞化対策のある部分の私は限界ではないかなというふうに思います。これで更に徴収を強化すれば逆に国民のある部分の御理解を得られない部分もあるかもしれませんし、私はひとつ大きく今後のやっぱり対策を考える時期に来ているんではないかなというふうに思います。  冒頭、直嶋委員の方から、この年金問題について、やっぱり抜本的に改革すべきだということがありました。私は、やっぱりこの空洞化問題は全くもって止まってないと。いつも納付率と免除者を入れた実際の納付率を比べると、もう既に五〇%ぎりぎりなんですよ、実質、対象者の。今回のこの流れを見ると、もう五〇パー切っているぐらいの状況なんです、この空洞化。早くこれを手当てしないと無年金者がどんどんやっぱり出てくるというこの現実に対して、私は是非ともやっぱり年金の抜本改革をこれからやるべきだと思いますし、小泉総理、そういう協議会があるじゃないかという話がありましたけれど、与党は余りやる気がそれは感じられない。  ですから、私は、先ほど小泉総理が、秋、総理を終えられたら国会議員になる、私は社会保障協議会の中の筆頭の理事か何かやって是非引っ張っていただきたいと思いますが、その意欲があるかどうか。ちょっと、やっぱり有言実行で、そこまでおっしゃるんだったら中で改革してくださいよ。どうですか。年金制度の改革のリーダーとして自民党を引っ張ってください。
  247. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政府としては、まず厚生年金と共済年金一元化しようと。この一元化だって、長年できなかったことをようやくまとめてやろうとしているんです。ところが、民主党は、これは国民年金も一緒にやろうと言うから、これはまず一元化してから国民年金というものを考えようということで今協議しようというんだけれども、民主党入ってきてくれないから。  私のことについて、私……(発言する者あり)だから、そういう問題があるから、一元化の問題が出てきて与野党の協議会ができたんでしょう。そこに議論乗ってこない、というよりも乗ってきた方がいいじゃないですか。  そういう中でやはり、総理辞めてから私に、何だって、理事をやれって。(発言する者あり)総理辞めれば余り口を出すなという意見の方が多いんじゃないですか。(発言する者あり)だれか言いましたよ。中国では、総理指導者辞めたら後の政治に口出さないのが慣例だと。そう言うから、それを私はよく参考にしようというふうに話しているんです。余り総理辞めてあれこれ出しゃばるのもよくないでしょう。
  248. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 でも、やっぱり言ったことがそのとおりになってなければ、是非、出番は一杯あると思いますよ。きっとこの行政改革推進法案だってそのとおりにならないかもしれない。是非、その都度また意見を出していただいた方がいいんじゃないでしょうか。  で、パネルを。その意味でちょっと、もう一枚の、前へ戻っていただいて。(資料提示)  これ、今回の公務員五%削減の今の現状がどうなっているかということでございます。御案内のとおり、もう説明するまでもなく、まあ今日はテレビ中継を見ておられる方もいらっしゃるんでお話ししますと、約八十万人ぐらいいた公務員が、今三十三・二万人になっているということです。  ちなみに、この三月期に一番もうけた日本の括弧付きの企業でいえば郵政公社ですね、一兆九千億円。トヨタをはるかに上回る利益を出した郵政事業でありますけれど、竹中さんはたしか国営は効率が悪いとか、あるいは損が出れば国民負担になると言いながらも、一兆九千億の利益ですから、国民は多分不思議に思っているかもしれない。しかし、この郵政現業でしたって、料金収入で運営は、税金の投入はゼロですから、公務員を削減したからといって国の負担が減るわけでは全くない。いかにも負担が減るような感じで私は、小泉さんは国民を説得されたような感じもします。  一方、独立行政法人を減らしながら、最終的には三十三・二万人になりましたけど、更にこれで五%削減するということで、今お話を伺っていると、多少独立行政法人化をして、とりあえずここの行政機関から外して五%削減をしようかという動きもあるみたいですけれど、そういうことも含めてお認めになられるんでしょうか、小泉総理。  じゃ、中馬さんいかがですか。簡単に。
  249. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 総人件費改革でございますが、御承知のように五年で五%という純減目標をかざしております。  御指摘の独立行政法人化につきましては、例えば国立高度専門医療センター、森林管理分野などについてもこれから、これを対象にいたしておりますが、定員純減を行うことを予定しておりますけれども、これらについても経営の自主性を生かして国民サービスの質を一層向上させ、自己収入の拡大や業務の効率化等につながるものでございますから、また非公務員化することによりまして、より民間に準じた経営努力が可能となるものでございます。そういうことから、簡素で効率的な政府の実現という政策目的にもちろんこの独立行政法人化もかなっていると、このように考えております。  加えまして、独立行政法人等につきましては、国家公務員の人件費削減に準じて、十八年度以降五年五%以上の人件費純減を基本とした、取り組むことにしておりまして、国の財政負担が変わらないという御批判は当たらないんじゃなかろうかと思います。  今、たまたまそうした形で一部、まだ途中経過でございますが、今後はそういう形で非公務員化もしてまいりますし、それがまた場合によっては完全な民営的な形になっていくわけでございまして、そういうことも御理解賜りたいと思います。
  250. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 余りよくちょっと分からなかった部分もあるんですけれど、要は数合わせの削減だけはするべきじゃないなということが私の趣旨でありますけれど、もう一方のパネルを。  では、じゃ、どこを削減すべきかということの中で、私は今回のこの社会保険庁の不祥事を、またまたということでありますけれど、ここは国税と年金、社会保険を一元化して一つの歳入庁として、一回もう社会保険庁は解体すると。ここまで同じような不祥事を繰り返していれば、私はもう解体的出直しじゃなくて、一回解体して出直しをすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか、小泉総理
  251. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この社会保険庁は平成二十年に廃止するということを決めているわけです。そして、あの社会保険庁解体の議論の中でもこの歳入庁の話も出ました。しかしながら、国税庁とこの社会保険庁、保険関係というものを一緒にしたらどうかということでありますが、これについて、今後の検討課題としては認めますけれども、まずは二十年にもう廃止すると決まっていますから、社会保険庁、それを見てからでいいのではないかと、私はそう考えております。
  252. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その意味では、二十年過ぎて、後は国税庁と一緒にして歳入庁ということも考え方としては理解できるし、そういうことも選択肢の一つだろうというふうにお認めになったということでありますんで、あえて谷垣大臣には聞きませんので、今の答弁をいただいて、次の最後の、最後というか、テーマに入りたいと思います。  天下りの件について一つ伺いたいと思います。  私も、あるひょんなところから、あっ、こんなところにも天下りがあるのかということで気が付いて、その事例についてお伺いしたいと思います。  一つは、国立病院の民間移譲ということで、これまでの行財政改革の中で国立病院を再編成しようと、ある部分を民間に移譲しようということであります。これまで、どのような法人にどのような条件で、そして移譲先を決定する際の売却先の決定はどのような手続を経るのか、簡単に概略ちょっと言っていただけますでしょうか。
  253. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 概略ということでございますので最初に申し上げますと、一番最初に、昭和六十一年に行政改革の一環として、国立医療機関と、機能の質的強化を図るため経営移譲及び統合による再編成を進める。残念ながら施設の引受先がなかなか現れなかったということから、平成八年に国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律というものが作られました。  それによりまして、地方公共団体に対しましては、職員を五割以上引き継いでもらうときには無償でそのまま仕事を継続してもらおうと、また民間におきましても同じように職員を採ってそのまま仕事を引き継いでもらう場合は九割引きで売ると、こういう法律構成になっております。職員を引き継がない場合は四割五分引きで売却をすると。こういう一つ一つの売る要件が定められた法律をお作りいただいたわけでございます。  それに基づきまして、十八年三月現在で七十か所売却をいたしました。地方公共団体三十四か所、日赤、済生会、厚生連九か所、医学部を置く大学等を設置する学校法人五か所、社会福祉法人十四か所、医師会五か所、その他公益法人三か所の、すべてで七十か所でございます。
  254. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 分かりました。  申し上げたいのは、地方公共団体は無料で売却すると。民間に対しては九割引き、一割引きじゃないですよ、九割引きで売却をするということであります。  その売却先の決定は、私が聞くところによると、何かコンペ方式とか入札方式をせず、すべて厚生労働省の権限でできるということを伺いました。九割引きの国有財産を厚生労働省だけの判断で売却をするというのがこれであります。  そして、私は聞いたんですけれど、売却先に、じゃ厚生労働省等から天下りありますかという問い合わせをしました。そしたら、文科省からも厚生労働省からもありませんという結果を伺いました。  それで、ちょっと調べたんですけれど、ちょっとパネルを、最後のパネルを見ていただきたいんですが。(資料提示)  例えばこの国際医療福祉大学、天下りはないと言われながらも、実際に調べてみたら、見てください、これ。医務局長から事務次官まで、これ一部の幹部の方だけですけれど、医療行政に携わる厚生労働省からこれだけの方が天下りしているんです。そして、大学の認可をする文部科学省から何と事務次官と教育助成局長が天下りしているんですよ。政府はないと言っているんです。これが一つの抜け穴でありまして、いったん公益法人に行った上で天下りをしているということで、データとしては出てこないんだろうというふうに思います。  しかし、しからば、こういう九割引きで、売却先のこういう大学に対して一方でこれだけの天下りがしているということは、私はやっぱり不適切なやり方だというふうに思いますし、様々な不透明の中からそういう売却が行われているんではないかという疑義を呼ぶんではないかなというふうに思います。  例えば、この熱海病院でありますけれど、二百七十床ぐらいある、診療室が四十ぐらいある八階建ての病院であります。これの時価がお幾らぐらいだと思いますでしょうか。十五億七千万です。私はちょっと専門家じゃないから分からないんですが、余りにもちょっと低過ぎるなと。これは時価であります。時価ですよ。これで九割引きのさっきのを適用すると、実は三億五千万でこの病院を買えるんです。それがこの熱海病院であり、元専売は必ずしも国立ではないんですけれど、そういう状況が出ていると。  そしてまた、今、国立の、国府台だと思いますけれど、千葉県市川市にある、売却先が医療福祉大学ではないかということで昨年ずっともめていまして、地元の方からこれはおかしいんじゃないかということで、実は、じゃコンペ方式を年末に取ったら、その結論も出さない。今度は第三者方式でやろうといったら、その結論も出さない。今日まで売却先が決まっていないという状況ですから。  私は確かに、今の天下りですと、民間営利法人に対する天下りは禁止しているんですけれど、民主党は公益法人も含めて今回法案提出をしたと。その事例の一つとして例えばこういうことがあるんではないかということを見ると、私は明らかにここはおかしいんではないかということを含めて、民主党の案を出させていただいたということに対しまして、小泉総理、どうですか、ちょっと、これは余りにもちょっと天下りとの関係に疑義を思われても仕方ないという認識はお持ちでしょうか。
  255. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) お話を聞いた限りでは適切ではないなと思う点も随分あります。しかし、実態どうなのか私もよく分かりません。買手がないのかどうか、そういう点もありますし、地元では国立病院じゃない場合も病院は残してくれという声が強いわけです。移譲先探してもなかなか出てこない、残してくれという場合にはどういう方法がいいかと、いろいろありますから、よく事実を把握して、適切でない点は正していかなきゃならぬと思っております。
  256. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 じゃ、川崎大臣、もし御見解があれば、こういう事象に対して、担当大臣、責任者としてどういう御認識なのか。
  257. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 過去の事例で疑義を招くようなことがあったかどうかは私が調べてみます。  それから、国府台につきましては、民間の識者を中心にしながら、もちろん厚生省の人間はかまないで、きちっとしたことを行って、かつ国民の皆さん方から疑義を招かない透明な方法でやらなければならないと、こう思っております。  一方で、総理が先ほど申し上げましたように、実際問題、病院の経営はなかなか難しい。特に、今回、ずっとこの七十の病院をいろいろな形で再編統合してきました。また、売却をしてきた中で、基本的には不採算な部門を売却してきたことは事実でありますから、現実問題、その病院の経営がどうなっているかということも調べてみたいと、このように思っております。
  258. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 是非、そういう認識で、疑義が持たれないようにしていただきたいと思います。  今の制度は、こういうことを、じゃ売却先に天下りいませんかと聞いても、役所の答えはいませんということなんです。調べてみるとこれだけの人が、一部調べただけでこれだけの人が出ているというこの今の仕組みそのものが、やっぱりこの間、過去からのずっと指摘のように抜け道がしっかりあるということに対し、しっかりやっぱり法律でくさびを打つということが私は必要なことだというふうに思いますし、こういう方たちが必ずしも本人の意図で行っているわけじゃないかもしれませんけれども、やっぱり早期の退職の勧奨制度みたいなのは廃止してこういう疑義は招かないようにしていかなきゃいけないと思いますし、国有財産ですから、厚生労働省だけの判断ではなく、さっき言いましたように、第三者の識者をこれからは入れるというふうに言いましたので、是非そういうやり方をして疑義を招かないようにしていただきたいなというふうに思っているところでございます。  もう残り一分になりました。まだまだお聞きしたいこともあるわけでありますけれども、是非、この行政改革推進法がその趣旨にのっとってしっかり対応されることをある部分やっぱり期待したいと思います。  あと聞きたかったことでは、政府系金融機関の統合については、やはり中小零細企業に対してしっかりとした配慮をした制度設計していただきたいということを再度申し上げたいと思いますし、本当の意味での行政改革というのは、私はやっぱり政権交代でしかできないんではないかな、その受皿になるために一生懸命頑張るということをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。  以上です。
  259. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  締めくくり総括ということで、今日も朝から、官から民、民間にできることは民間にという話が、答弁が続いておりますけれども、私はずっと議論を聞いておりまして、そんなにきれい事なのかなという疑問を持っております。  官から民というのは、まあ何のことはなくてですね、裏を返せばただの一部の企業のもうけ話だったりすると、そんな話がごろごろしているわけでございます。しかも、ただ仕事を待っているならまだかわいいところあるわけですけれども、政府会議に、審議会や有識者会議に直接入って参加をして、そして仕事が出るような方向を、そういう政策決定にも関与していると。このこと大変おかしいなと思っているところでございます。  例えば、お手元に資料もお配りいたしましたけれども、今回の行革の中心を担っている有識者会議、行政減量・効率化有識者会議というのがございますけれども、この座長はセコムグループの最高顧問をやっていらっしゃる方でございます。  今、セコムは刑務所事業に大変力を入れております。またセコムには、元法務省の名古屋管内の刑務所の責任者の方も天下りをしていると。そんなこと含めて、大変刑務所事業に力を入れているわけですけれども、この会議で刑務所のPFI事業化、つまり民間運営でございますね、また業務の民間委託を提言をしております。セコムはもう既に山口県の美祢の刑務所のPFI事業を五百十七億で受注をしておりますし、二号刑務所の事業にも入札参加をしているところでございます。市場化テストモデル事業にも入札参加をしています。  私、申し上げたいのは、こういう具体的に利害関係のある企業の最高顧問がこういう政府会議の座長を務めていると、これはさすがに私問題だと思いますが、総理のまず所見を伺いたいと思います。総理にお願いいたします。
  260. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在、飯田氏が行政減量・効率化有識者会議の座長として様々な提言をしてくれておりますし、それは、民間の経営している経験を生かして、民間にできることはこういうものだという見識を発揮されているんだと思っております。こういう事業が正規の手続で関連の会社なり民間に事業委託されているという点についてどうかと聞かれても、不正でない限り私は問題がないと思っております。
  261. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、申し上げているのは、専門家はほかにもいらっしゃいます。こういう直接利害関係のある人が入るのはいかがなものかと。もちろん、この有識者会議で直接仕事の発注したら、これはもう問題どころか汚職事件になります。こういうことに対して何も感じられないというのが私問題だと思います。  しかも、これはこの行革の有識者会議だけではありません。今回の行革の目玉の一つでもございます国有地の売却、これも有識者会議が組織されております。国家公務員の跡地利用の有識者会議でございますけれども、ここにも、早稲田の先生でございますけれども、森ビル・アカデミーヒルズの会長をやっていらっしゃいます。森記念財団の会長もやっておられます。これは知っている人はみんな知っているんですけれども、森ビルと大変関係の深い方が座長をしていると。  さらに、驚くべきことですけれども、常識外れだと思いますが、三井不動産の直接こういう仕事をやっている不動産投資サービス本部長、三菱地所のビル事業本部長まで委員に入っていると。この森ビルと三井不動産、三菱地所というのは、もう国有地を売却受けていろんなところで開発事業をやっているところでございます。  どうしてこういう、正に生臭いといいますか、直接仕事をやっているような人たち政府の有識者会議で国有地売却の方向を決めると、これも私は大変問題だと思っております。  もう少しちょっと具体的な話をいたします。国有地がこういう一部の企業や団体の、何といいますか、もうけの基になっている事例でございます。  私は当該委員会でこの問題を取り上げてまいりましたけれども、どういう話か紹介いたしますけれども、まずこの大手町、これは東京千代田区の大手町の国有地、合同庁舎跡地でございます。これは二〇〇五年の三月に国から都市整備公団に売られた土地。どういうわけか、すぐ十一月には都市整備公団から、都市再生機構から大手町開発というところにすぐ売却されております。つまり、随契で売ったわけですけれども、都市再生機構に随契でまず売ってあげると。非常に随契ですから安く買えるわけですね。それがそのままトンネルになって大手町開発というところに譲渡されたわけです。  大手町開発というのは、この開発に絡む、あるいはそこに土地を持っている企業が作った有限会社でございます。そしてこの土地が今そういうふうに売られているわけであります。  この大手町の開発全体を企画立案してきたのが、この大手町まちづくり株式会社というところでございまして、社長が日本経団連の事務総長、取締役に三菱地所の社長が入っております。  何をやろうとしているかといいますと、経団連会館、日経ビル、JAビル、これをこの合同庁舎跡地に移転をすると、次々に建て替えをしてやっていこうという、そういう開発事業でございます。  それだけではございませんで、総理が本部長をやられております都市再生本部で、この大手町開発は国家プロジェクトに指定されました。そのことによって容積率が、今、七〇〇%だったわけですけれども、一遍に一五九〇%、二・三倍にアップをしたわけでございます。つまり、床面積が倍になって、ここに建物を建てたら、こういう経団連とか日経とかが、ここに等価交換で入ってももうけられると、大もうけできると、こういう仕組みになっているわけでございます。これは国が容積率の緩和でそういうことを可能にしてきているということです。  この大手町開発の、実はまちづくりビジョン委員会というのがございましたけれども、それに、先ほどの有識者会議の座長さんもずっと絡んでいたということでございまして、まあ国有地売却、不必要なところを売却するのは反対ではございませんけれども、こういうふうにもうけの場として、もうけの道具として使われていると。しかも、国が容積率を緩和して手品のような仕掛けで、随契で安く買わせてあげて、さらに容積率を緩和して手品のような仕掛けを使って大もうけできると、こんなことが行われているわけでございます。  こういうことをやってきた人たちが、先ほど言いました国家公務員の移転の有識者会議の中心を占められていると。この会議は、国家公務員の宿舎の跡地だけじゃなくて、後々国有地全体の活用の委員会に発展していくということも決められているようでございます。  いずれにせよ、こういう人たちがどうして政府の中心の会議に入っていろいろ決めるのかと。これは私、もうここまで来ると利害の抵触に該当するんじゃないかと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  262. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、私はその事実関係よく承知しておりませんが、地域再生していこうということで、いろいろな実務を知っている方の意見を伺うというのは大事なことだと思います。  しかしながら、どの点が利害に抵触しているのか、今私がお話を伺った限りでは分かりません。
  263. 大門実紀史

    大門実紀史君 調べていただきたい。総理、御存じなければ、その座長さんは総理と懇意にされている方でもございますから、調べていただいて、こういうことが有識者会議の……(発言する者あり)いや、いいんです、私が質問しているんですから。有識者会議のメンバーとして妥当かどうか。ほかの有識者会議もそうですね。あの規制改革・民間開放会議もそうです。私から言わせれば、いろんなことを、自分たちが仕事を受けるためにそういう方向を出していると、このことだけはきちっとしていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)時間がないので結構でございます。  次に……
  264. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 指名はまだいたしておりません。
  265. 大門実紀史

    大門実紀史君 次に、私は、全体として申し上げれば、今回の官から民というのは、何のことはないと、もういわゆる平成の殖産興業ではないかと、官業の民間への払下げと、これが中心になっているということを全体として指摘をしておきたいというふうに思います。  この官から民を考える上で、私、どうしても看過できない問題として、前回も取り上げさせていただきましたけれども、官から民の最大事業が郵政事業の民営化だったわけでございます。その方向がどうなるのか、あるいは郵貯銀行がこれからどうなっていくのかと、これが今問われているところでございますけれども、本当に郵貯銀行が、午前中も話、保坂先生からありましたけれども、土砂降りのときに傘を取り上げるような、そんな大銀行になってしまうのかどうかというようなことも問われているわけですが、この点で今注目されているのが、日本郵政の西川社長の進退問題、責任問題でございます。  簡単に申し上げますと、とにかく、三井住友銀行が、取引先の中小企業の弱みに付け込んで金融商品、もうからない金融商品を押し付け販売したということで、今年の四月に金融庁から業務停止命令を受けた事件でございますけども、これは金融庁も、当時の経営陣の責任を明確にしなさいと。つまり、当時の経営者、頭取は西川さんだったわけですね。だから、西川さんの責任も含めて金融庁が明確にしなさいというふうに言っております。三井住友自身も、西川さんの役員報酬の返還なども検討していると、そういう処分も検討しているということでございます。また、被害者の方々、西川さん相手に今裁判の、訴訟の準備もされているということでございます。  私は、こういう方がスタートしたばかりの日本郵政の社長にふさわしいのかと、あるいは郵貯銀行のこれからの方針を打ち出す方としてどうなのかということを疑問に思っておりまして、五月の八日のときに私、伺いました。まず、被害者の方々に西川さんはおわびすべきだと。しかし、あなたは一切おわびの言葉を言われませんでした。ただ知らなかったと、遺憾だと、そればっかり繰り返されるわけでございます。そして、私はもう潔くお辞めになるべきだというふうにも申し上げましたけども、それについても一切お答えしないといいますか、これからまだ頑張っていきたいというふうなことを言われたわけでございます。  その後、いろいろ動きもございますけども、心境変化といいますか、今日はせめて、テレビの前ですから、被害を受けられた方たくさんいらっしゃいますから、せめておわびの一言も言われるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  266. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  私の頭取在任中に御指摘のような事態が起きたということにつきましては誠に遺憾に思っておりますし、また、この取引の相手方となられましたお客様に対しましては、当然のことながら申し訳ないことであるというふうに思っております。  以上です。
  267. 大門実紀史

    大門実紀史君 やっと被害者の方におわびの言葉が出たと思いますが、それならばもう潔く日本郵政の社長も、その方がもう何かここまで来るとすきっとしていいんじゃないかというふうに思いますんで、御決断をお願いしたいと思いますけども。  時間があればいろんなことを申し上げたいんですが、要するにあなたは、二〇〇〇年の十二月に既に、住友銀行と当時のさくら銀行が合併するときに、公正取引委員会から今回のような事件を起こすんじゃないかという指摘をされていたわけです。そのときあなたは、そんなことないように法令遵守に最尽力を尽くしますと誓約をされていたにもかかわらず、その翌年から今回のような金融商品の取引先への押し付け事件、押し付けを始めて、すぐそういうことをやられていたわけですよね。ですから、私は二重に責任が重いということも指摘しておきたいというふうに思います。もうきっぱり辞任されるべきだというふうに重ねて申し上げておきます。  そこで、問われるのは、政府の任命責任ということも私はいい加減にできないと思います。  西川さんは、社長就任を要請されたのは、総理から要請されたわけですけども、これは〇五年の十一月十一日だということでございます。それを西川さんが受諾されて内定をしたということになったわけですけども、公正取引委員会がその後、十二月二日に、今回の事件で三井住友に独禁法違反だということを勧告しております。さらに、十二月二十六日に審決が下ってます。つまり、三井住友も認めたわけですね、認めたわけです。そのときあなたはまだ、西川さんはまだ三井住友の特別顧問だったわけでございます。で、正式に社長に就任されたのが今年の一月二十日と。これは、創立総会で取締役に選任をされて、竹中大臣がその認可申請を認可されたと、こういう形になります。その後、取締役会で代表取締役にあなたが選ばれたということです。  私は、竹中大臣にお聞きしたいんですけども、昨年の十二月の時点で、十二月の時点で、三井住友が公正取引委員会からの独禁法違反の勧告に対してそのとおりですと審決を受けているわけですね。その当時の責任者が西川さんであるということは、竹中大臣、当然御存じだったというふうに思います。知っていて、一月二十日の前に知っていて、なぜ一月二十日に認可されたのかと、正式に認可されたのかと。私は、竹中大臣は元金融担当大臣でございますから、コンプライアンスに非常に努めてきたということもおっしゃっていました。ならば、なぜそのときに内定を取り消すというか、正式就任をお認めにならないという決断をされなかったのかと、その点お聞きしたいと思います。
  268. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  三井住友銀行、これは日本を代表する金融機関でありますから、その金融機関が優越的地位の濫用の事案によって金融庁から行政処分を受けたと、これはもう大変遺憾であるというふうに思っております。  西川氏は、既に同社を退社しておられますけれども、当時の経営者であったと。今後、同行、今業務改善計画を作成中と聞いておりますけれども、その同行の諸問題に対してこれは真摯に対応していただきたいというふうに思います。  しかし、一方で、郵政のこの経営者、大変重要な役割を担っております。その業務を遂行するにふさわしい経営者が就任されるということが期待されているわけでございます。西川氏は金融の専門家としてこれまで民間の大企業を経営してこられた。また、郵政民営化自体、大変難しい金融の問題を中に秘めております。そうした意味で、この知見を評価して就任をお願いしたものでございます。  西川氏におかれましても、民営化会社の経営を引き受けられた以上、今回の問題も一つの糧として、経験として、公正な立場で経営に臨んでいただける、そして結果を出していただけるというふうに思っております。
  269. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は西川さんの知見を活用してもらうべきではないと。  この郵貯銀行は三井住友みたいになったら困るわけですよ。サラ金と一緒に手組んで、今はもう消費者金融で大もうけして、その点でも金融被害者を増やしているんですよ、三井住友というのは。そんなことを一生懸命、そういう能力があった方ですよね。どうしてそんな方に期待をするんでしょうか。もうちょっときちっとした、知見にはコンプライアンスも入ると思います。そういう点で、もう同じ答弁だと思いますから答弁は求めませんけれども、このことは鋭く問われていますよ、官から民の今後についてですね。  だから、こんなこともけじめ付けられないで、何が偉そうに官から民ですか。何になるんですか、こんな官から民というのは。ちゃんとした、国民のためになるような、郵貯銀行もつくらなきゃいけないわけですから、けじめを付けられない、けじめを付けるべきところはきちっと付けるということをしないで小泉内閣の官から民も知れたものだということを申し上げて、私の質問を終わります。
  270. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  会期末まであと一か月を切っています。医療制度改悪法案、共謀罪、教育基本法改悪法案が審議中です。そして、明日、国民投票法案も上程されると言われています。拙速に、また横暴にこのような法案を強行採決されないように望みます。  話し合っただけで罪に問われる共謀罪が先日強行採決されなかったことは、本当に良かったと思います。共謀罪について国民的な懸念が高まっています。いったん中断をして、外国の適用例も含めて調査をすべきです。総理、強行採決をすべきではないと考えますが、いかがですか。
  271. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 強行採決というのはどういうのか分かりませんけれども、審議は十分にされて、そして議員が、委員も参加され、採決をしたんですよ、あの、まあ強行採決と言っている厚生労働委員会の。あれは、その後、整然と本会議も行われて賛否の討論までしたじゃないですか。審議を重ねて賛否の討論をして、どうして強行採決なんですか。
  272. 福島みずほ

    福島みずほ君 共謀罪ですよ。
  273. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) あっ、共謀罪か。共謀罪は、これは、これから今話し合っているところでしょう。強行採決、強行採決、してないんですよ。
  274. 福島みずほ

    福島みずほ君 すべきでないと……
  275. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それで、共謀というとちょっと言葉は悪いけれども、話し合えば罪になるという法案じゃありませんから、国際社会の中でテロ対策とか組織犯罪とか、そういうものを国際連携の上においてこの犯罪を防止しようという条約ですから、それを日本としては国内でもきちんと整理して、そのような国際社会の結論に沿った法整備をする義務があるんです。  ですから、その中で今、与野党相談しながら、お互いの修正点を探りながら今協議中ですから、それを私は委員会にああやれこうやれと言う立場じゃありませんけれども、十分話し合って、結論は、やっぱり最後は意見が違った場合は賛否で問わなきゃいけないでしょう。私は、十分審議して、そして最終的には結論を出していただきたいと思っております。
  276. 福島みずほ

    福島みずほ君 現代版治安維持法とも言われている共謀罪を成立させた首相として小泉総理が歴史に名を残さないようにしてください、いかがですか。というか、じゃそれはよろしくお願いします。あっ、じゃできれば。
  277. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、これ基の法案には自民党と公明党と民主党と共産党が賛成しているんですよ。その趣旨に沿って国内の法整備をしようとするんですから、そんな無実の、ただ相談しただけで逮捕する、そんな法案じゃありませんよ。
  278. 福島みずほ

    福島みずほ君 政府が出した法案は二度与党によって修正をされています。問題がある法案で、とても成立はできない、そう思います。  小泉首相政権を終わられるときに、現代版治安維持法を作った総理、この男、凶暴につきと国会を終わった総理として終わらないように強く要望をいたします。  教育基本法が特別委員会で議論されています。五月二十四日付けの毎日新聞の投稿を御紹介します。  この国には四季があり、美しい山河は人々の営みに恵みを与える瑞穂の国だった。だが、山々は開発の波と外国産木材に押され荒れ放題になっている。共同体が維持できず、集団移転を余儀なくされる集落が数多くある。また、慣れ親しんだ商店街は寂れている。愛すべき郷土は今ここにありますか。教育の憲法とまで言われる法を論議するよりも、愛されるべき郷土をどう取り戻すか、真剣に取り組むべきことが重要ではありませんか。  そういう投稿です。これはそのとおりです。  愛情表現の仕方はいろいろあります。今の日本の現状をそのまま褒めそやすという愛情もあるかもしれません。しかし、国が間違った方向に行こうとするときに、そのことをいさめるのも愛情でしょう。愛情は人の心に自然にわいてくるものです。一つのタイプの愛国心を強制することは間違っています。おれを愛せと愛国心を法律に明記すべきではないと考えますが、いかがですか。いや、総理、お願いします。総理
  279. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは今、国会で審議している点でしょう。自由民主党、公明党、民主党も対案を出された。そして、政府は、郷土に対する愛、日本国に対する愛、そういう態度を養う。民主党は、愛国心を涵養する、愛する心を養うと。それは、郷土に対する愛着、国家に対する愛着、いわゆる愛国心というのは自然な感情であると。  こういう点についてはそれぞれの考え方あると思いますけれども、国会でよく審議して、教育の重要性国民にも理解をしていただき、家庭教育、学校教育、社会教育、多くの国民が教育の重要性認識して、立派な人材を育てると。その基本的な法案ですから、是非とも審議していただいて、しかるべき結論を出していただきたいと期待しております。
  280. 福島みずほ

    福島みずほ君 与党案では教育の目標の中に入っています。法律に書けば、これは評価の対象になります。小泉首相の愛国心と私の愛国心と、どっちがAかBか、そんな議論はできません。国の愛し方は人様々です。密室の中で子供に教え、評価する、これは間違っていると。評価ができない。それは教育基本法に書くことによって強制になったり評価につながる、この点はいかがですか。──いや、いいです。総理です。
  281. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 教育基本法に人にどの程度愛国心があるか評価せよなんというのは一言も書いてありません。
  282. 福島みずほ

    福島みずほ君 現に、指導要領に書いてある現在で、多くの学校で愛国心を通知表にきちっと評価をすることが盛り込まれました。日の丸・君が代、国旗・国歌法が国会で成立をするときに、強制をしませんとあれだけ繰り返し答弁がありました。しかし、法律に規定をされれば、実際には強制、評価が起きています。だからこそ書くべきではない。書くことによって強制や評価が起きると。それは小泉さんが、自由人である小泉さんが最も嫌うことだと思います。このような教育基本法を、改悪法案を成立させないように、問題があるということを申し上げます。  次に、米軍再編問題について質問をいたします。  グアムへの移転費について、七千百億円で日米合意をしています。外国の軍隊が外国に基地を造るのになぜ日本国民の税金を使わなければならないのか。税金を使うことは明確に間違っています。在日米軍再編全般について日本が負担する経費について、大まかで結構です、試算がありますか。総理
  283. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本の安全をどのように確保するか。日本は他国から侵略されないように、ふだんから攻撃を受けないように準備をしておかなきゃならないと。自らの国は自らの力で守っていかなきゃならない。その際に、アメリカと協力しながら日本の安全を確保しようと。  いかなる政策も、福祉も教育も、平和が確保されないうちにその施策は展開できません。そういうことから、日本政府としては、日本とアメリカとの間に日米安保条約を締結して、侵略しようとする意図を持っている国に対して抑止力を維持しなきゃいかぬ。もしも日本を攻撃するんだったらば、日本はアメリカと一緒になって日本を防衛すると。そういう中で、アメリカと日本におきましては、日本がもし攻撃されたならばアメリカ政府はアメリカを攻撃されたと思うという、日米安保条約を締結して日本の安全確保を図っているわけであります。  その際に、アメリカが攻撃されても日本はアメリカと一緒になって戦う義務は負っていませんけれども、アメリカが日本防衛のために基地を、その基地を円滑に運営するために基地を提供する、そのための適切な負担はするということであります。  試算については、まだ実際に額としてどのぐらいになるか分かりません。抑止力維持と沖縄の基地負担の軽減のために、今まで沖縄に基地を置いていた米軍基地も返還、一部返還されます。人員も八千人グアムに移転いたします。人も土地も、米軍再編、これは日本の安全を考えながら、今考えて協議をしておりますし、今後地元の理解を得ていかなきゃなりません。  そういう中にあって、私は、安全を確保するためには代価を払う必要がある。その代価がどの程度かというのはこれからよく精査して、国民に理解を求めながら、日本の安全を確保しながら様々な政策を展開していく、それが政府の責任だと思っております。
  284. 福島みずほ

    福島みずほ君 非常に問題です。在日米軍基地のことについて日米で合意をした、しかし大まかであっても試算はない。ということは、五兆円になるかもしれない、八兆円になるかもしれない、十兆円になるかもしれない、底なしです。分からない、今計算していない、だったら一体幾らになるんですか。  今、行政改革推進法案について議論をしています。けちけちけちけちして公務員の数を減らすとやっています。しかし、幾ら掛かるか今の段階で試算すら言えない、大まかにも言えない、だったら底なしですよ。国民の税金をどう使うか、幾らになるか分からない、こういうことを今政府が言うことは無責任です。  ローレス国防副次官、守屋防衛事務次官は、グアム移転費を除き二兆円掛かると言っています。これはイメージだというふうに国会で答弁していますが、イメージで人の税金、国民の税金を使っていいのか。国会に対して説明はありません、まだ何の閣議決定も何の説明もありません。試算は分からない、していない、こんなことに納得がいくわけはありません。守屋さんとローレスさんは同じく、グアム移転費を除いて二兆円ということで一致しています。恐らく二兆円か三兆円掛かるんでしょう。これは巨額のお金で、問題です。  次に、思いやり予算について示します。  駐留米軍の兵力と受入れ国負担ですが、現在で日本は五十億ドル、大体六千億以上を思いやり予算を払っています。ドイツと比べてみてください。日本は、米軍は少ないのに思いやり予算が断トツ、ほかのすべての国を合わせた金額よりも高い金額になっています。なぜ日本がこのような思いやり予算を負担し続けているのでしょうか。一四年に移動するということになっていますから、思いやり予算を払いつつ在日米軍基地で三兆円の負担をしていく。巨額のお金を日本は税金で負担することになります。  小泉さんの政権下で、医療制度の改悪法案、今議論中ですが、介護保険、特養老人ホーム、ホテル代払え、光熱費払え、食費を払え、そうなりました。障害者自立支援法案で一割負担せよと、そうなりました。医療制度改悪法案では、高齢者、病院に入ったらホテル代払え、光熱費払え、そうなります。  米軍に対しては、ホテル代もそして光熱費も負担し続けている。でも、特養老人ホームに入っている人、高齢者で病院に入る人、三万から五万の負担、ホテル代払え、光熱費払え、これはおかしいです。福祉を切り捨て、国民の福祉を切り捨てて負担増にしながら、なぜ大金持ちのところに思いやり予算を払うのでしょうか。これは納得がいきません。  グアムの移転費についても、この金額で二十五・五億ドル、住宅建設費で、額賀防衛庁長官は上限八千百六十万円、住宅建設費だけで八千百六十万円、額賀防衛庁長官はこれは上限額だと答弁をしました。でも、上限でもこんな金額を負担して本当にいいのでしょうか。四つぐらいベッドルームがあるような豪邸になるのではないかという試算もあります。  国民には負担を強いて福祉の切捨てをして、なぜこんな多額の負担をやるのでしょうか。子供の文房具代を払わないと言いながら、お父さんが友人にごちそうをする、豪遊するようなものではないでしょうか。  次に、官から民へ、民営化の問題について質問をします。
  285. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 答弁しなくていいの。
  286. 福島みずほ

    福島みずほ君 いいです。──じゃどうぞ、答弁、はい。短くお願いします。
  287. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 福祉切捨てなんていうのは曲解ですよ、誤解です。非武装中立の社民党とは違うんです、政府は。何にも自衛力を持たなくていいと。  しかし、日本は今、十八年度予算でも、国民の税金を一番使っている分野社会保障ですよ、二十兆円を超えているんですよ。国民の税金二十兆円、最大のお金を福祉分野に置いているんです、社会保障分野に。防衛費は五兆円行っていません。いかに日本政府は福祉に重点的に国民の税金を使っているかお分かりでしょう。  それは、全部防衛力は、アメリカの基地も要らない、自衛隊も要らない、それでどうして安全確保できるんですか、いざというときに。そういう立場の人と、勝手に福祉切捨て、福祉切捨て。それは防衛を、安全保障確保しなかったら福祉もやっていけないんですよ、教育もやっていけないんですよ。その辺をよく考えてくださいよ。  ドイツにしてもフランスにしても中国にしても、防衛には熱心に力を注いでいるじゃないですか。日本だけ非武装中立というわけにはいかないんです。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理、よく聞いてください。私が議論をしたのは、思いやり予算の金額が外国と全く違うこと、グアムの移転費で七千百億円使うこと、どうも試算として全部合わせて三兆円ぐらいの試算があるのではないか、それはおかしいぞと。現に国会で、あなたの政権下で成立した法案で負担増になっていることは事実です。それは違うだろうということを申し上げたのです。  官から民へ、民営化の問題についてお聞きをします。  五月二十二日、横浜地方裁判所で、横浜市立の四つの保育園の廃止について違法であるという判決が出ました。その理由は、利用している、サービスを受けている子供たちと親に着目をしたものです。  これについては、子供と親の特定の保育所で保育の実施を受ける利益を尊重する必要があると。その同意が得られない場合には、その利益侵害を正当化し得るだけの合理的理由とそれを補うべき代替的な措置が講じられることが必要であるというふうに言っています。  つまり、サービスを利用する側の国民が必要だと。官から民へで公立保育園を廃止して、あっという間に民営化をした。子供たちは、先生が全取っ替えになって、ショックを受けてチック症状になったり、非常に困ってしまった。そのことは違法だと裁判所は断定し、慰謝料請求を認めました。  この判決を総理がどう受け止められますか。慎重にやることが必要、民営化を見直すということが必要だというふうに考えます。官から民へ、そして民営化の中の視点で一番欠落しているのはそれを受ける国民の視点です。医療、保育、教育、受ける側にとって公共サービスは人間関係、信頼関係です。それをずたずたに切っていくわけで、現場は悲鳴を上げています。  行政改革推進法案に社民党は反対です。なぜならば、国民にとって必要な公共サービスとは何か、どんな公共サービスが生きていくのに必要か、そのことについての考慮がないからです。命を殺すことにお金を使うのではなく、命を生かすことにもお金を使うべきです。  この横浜地方裁判所の判決を、総理はどう受け止められますか。
  289. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 申合せの時間が迫っております。端的にお答えください。
  290. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私、横浜市長じゃないんですよ。今の出来事は横浜市のことでしょう。その判決もまだ読んでいませんし……
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、質問通告しています。
  292. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは横浜市長に聞いてください。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 そうではなくて、これ、官から民へ、民営化の中で起きていることについて裁判所が、受け手側の子供、受け手側の同意とか、同意が取れない場合は、その人たちが、民営化することの合理性が必要だと、慎重にやらないと問題だということにポイントがあるわけです。  官から民へという、民営化できるものは民営化で明らかに欠落している視点がある。政治は人が涙を流さないことにあると。公共サービスを必要としている人はたくさんいます。公共サービスを受ける側の視点が、この官から民へ、民営化できるものは民営化に欠落して問題であると。涙の分かる政治政治家がやらなくてどうするということを申し上げ、私の質問を終わります。
  294. 荒井広幸

    荒井広幸君 国民新党・新党日本の会の荒井でございます。  今日も一日お話を聞いていまして、いろいろな角度があるわけでございますが、総理と二度ほどこの委員会でさせていただいております。  早速ですが、総理、二九・二%という、いわゆる貸金業、そこで大変な事件が起きております。二千万人が貸金業の皆さんに借りているんです。二千万人です。二百万人が多重債務ということです。これ、大変な大きな問題で、この間も事件があったわけです。  総理、二九・二%、これが今の上限ですが、これを本則二〇に戻す。規制強化も必要だと先ほどおっしゃいました。どうですか、そうされると、かなり生活している人たちの負担は軽くなるんですよ。もう、借りてまた借りてということが、もう自分のお金以上にどうしても生活が苦しくて借りざるを得ないということになりますから、そういう方々を救う一つの手だてとしては二〇%に下げる、これを英断されたらいかがでございましょうか。小泉総理、いかがでございますか。
  295. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 詳しいことは与謝野金融担当大臣に話していただきますが、これは、私も二十年ぐらい前でしたかね、大蔵委員会の理事をしていたころだったと思うんです、利息制限法と出資法の問題でかなり議論された問題なんです。刑事罰科すのとそうでない。で、金利は借りる方にとってみれば低ければ低い方がいいんです。で、制限しちゃった。それよりも高い金利で貸した業者、貸金業者、刑事罰を加えろ、それはいいんですが、その法律を超えてでもどうしても借りたい人がいるということで出資法と利息制限法の間に二重金利を設け、間をグレーゾーンと呼んだんです。その中で、刑事罰受けるのとそうでない、これをどこまで下げるかが問題だったんです。それで、やむなくグレーゾーンというものをつくったんですよ。これは、いまだにその議論は行われて、そして貸金業、違法、暴力団によって迷惑を被っている人がたくさんいる。これは問題であります。  で、こういう法律があるにもかかわらず、返さなくてもいいにもかかわらず、返すために自殺したり、取立てに遭ったり、非常なむごい目に遭っている方もたくさんいるんですよね。だから、何とかこの問題についてすぱっと割り切れる対策できればいいんですけれども、そういう法律の問題と、実際には法律を超えてでも借りたいという人もいるということから、なかなかすぱっと割り切れない問題があると。  現状について与謝野担当大臣よく詳しく知っていますから、もしこれ以上どういう対策がいいかお聞きしたかったら、与謝野担当大臣からお願いします。
  296. 荒井広幸

    荒井広幸君 総理、正規従業員は三百万人減少しているんです。パート労働者という人が二百万人増加して、しかも賃金格差というのは広がっている。この五年間、いいことだけじゃないですよ。  そして、就学援助を受けている小中学生という方々は四割増えているんです。百三十三万人。私立学校の、私立高等学校です、これは私立高等学校先生方が調査したら、去年の暮れなんです、三か月間学費を滞納して学校に行けないという人は一校に十四人いらっしゃるというんですね。そして、自殺者は三万人で推移をしておりますし、先ほど来からも議論がありました、大臣の皆さん方御努力はいただいていますが、貯蓄を持っていない世帯が二三・八%に上がっているんですよ。ところが、貯蓄している人たちの貯蓄残高は上がっているんです。貯蓄を持てない人がどんどん増えて、持っている人は残高増えている。こんな分かりやすい二極化ないじゃないですか。ジニ係数というようなことばかり、総理、引っ張って説明しても、これはどう説明できますか。  そして、生活保護の世帯、これは総理になってから二十五万世帯アップです。何と人口では百四十二万三千三百八十八人、十六年度ですから今増えていますよ、ますます増えている。人口の一・一一%の方が住宅、生活、医療、こうした生活保護を受けているという厳然たる事実です。だから、やむなく取り崩して、そしてサラ金に借りに行き、あるいはやみ金に借りざるを得ないという、この血も涙もあるような政治をやってこの五年間いなかったのかと私は言いたいんです。  総理、二九・二%を下げたからすべての解決ではありませんが、日弁連も被害者連絡会の方も、それは有効な手だてだと、自分たちと同じような人をつくらないためにも有効なんだと言っているんです。本当に、総理、そういうことをやってもらいたかった。ですから、これからやるということには大変不満であります。  さて、そこで、公金、先ほど来から天下りの話やら、そして随意契約もありました。一方で、一般競争入札をやっても談合というのがあります。  その談合ということで、この間、私はこの場で総理に御相談をいたしました。国民の税金でございます。国民の税金、自らのお金が国の、政府予算や特殊法人や様々なところで無駄に使われていると。だから年金も払いたくない、収入も減っているから年金さえ払えない、そういう人たちの願いにこたえるためには、自分の払った税金がきちんと、違法性があるといったら会計検査院におかしいから調べてくれと言える、それぐらいの法律を作らないでどうされますか。  お手元に出した資料を総理大臣の皆さんも委員の皆さんももう一回お目通しください。配付をさせていただいております。これは、参議院の法制局とそして日弁連と、いろいろと御指導にあずかって作った法案の骨子です。  総理、この間は総理は本当に寂しい話でした。後ろ向きな話いただきました。今日の議論を聞いてても、もうひとつ、国民が参加する政府というのをつくらなければ本当に実効の上がる幸せのサービスや行政改革、それできないんじゃないでしょうか。  総理、もう一度お尋ねします。  国民の税金が、自ら不正に使われているということになったらそれについて申し出られる、この仕組み、おかしかったらばそれについて裁判もできる。総理は国会議員や国会や党がこれをやることだと。国会議員や党はもっと大きなことをやるべきですよ。こういう国民のチェックの目を制度の中に取り入れる、国民が目を光らかすから抑止力になる、総理、いかがでございましょうか。いま一度お尋ねします。検討してください。
  297. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 正に、税金が無駄遣いされていないかどうかというのは、国会の仕事だと思うんであります。国会議員がこういう質疑の中で、どこに無駄があるか、政府はこういう分野に金を使うべきだ、使うべきでないと。そのために国会があり、政党があり、国会議員があるんじゃないですか。そのほか会計検査院もあります。様々な制度。  私は、民主主義というのは代議政治ですから、国民の様々なそういう疑問なり不満に対して選挙で選ばれた国会議員が、今言ったように、どこ無駄がある、政府にただす、これが委員会の仕事ですよ。もちろんこれだけではありませんが、そういう権利を国会議員は持っているんですよ。有効に活用していただきたいと。国民に成り代わって、今そういう気持ちを持っておられるというのを、こうやって政府の各大臣を相手に政党なり国会議員がそれぞれ質疑を応じて問題点をただしていく、そう思いませんか。
  298. 荒井広幸

    荒井広幸君 総理、思えないんです、それは。  お手元の資料、総理もごらんください。この委員会の今度の法律、先ほど来からの議論を聞いてまいりますと、まず国と地方とこの役割を分担をしてから、そして国の一つ一つの業務、サービスを提供を受ける住民の皆さんの側から一つ一つ見ていかないとできないということが議論で十分にされているんです。ところが、今度の法律は全くそれがない。ないのに判断しろと言っている。全くこれは判断できないんです。  そのときに、総理、今総理がおっしゃったような、お手元の資料を皆さんごらんください。私が、これも役所も大変だったと思いますが、役所にお願いしましたが、不十分な資料です。これは、国の予算がどうなって人員が張り付いているかだけです。これが県や地方自治団体や特殊法人にどういうふうにお金が流れて、どう使われて、国民の皆さん、住民の皆さんの幸せにつながっているかということを検証するための資料をお願いしましたが、全くその検証の資料になっていません。トータルコストで判断できないんです。ですから、先ほど来から、午前も午後もその指摘が随分あったわけです。判断できないものを今判断しろといったら、決めたんだから、後になって法律を作ります、目標を立てました、あのときこの国会で決めたから言うことを聞けといって白紙委任状を出すような話です。こんな欠陥法案に賛成するわけにいきません。  そうなりますと、総理、何万という膨大な資料、役所でさえ調査していないというような状況で、どうして国会がこのお金は不正だと監査できるんですか。国民に参加いただいて、国民に、チェックして、抑止力を働かしてもらう。国民が参加して国民が主役になる政府、これこそが行政改革の目的だと思います。簡素で効率的な政府というのは手段です。手段でこんな議論ばかりしていても話になりません。  それでは、総理、そして今日は西川さんにもお越しいただきました。先ほど来もお話がありました。そのノンバンク、貸金業に銀行業界が運用で利ざやを稼ぐためにどうしているかといえば、我々は百万円銀行に預ければ今大体普通預金で二十円だけの利息を年に一回もらいます。ささやかな庶民の願いです。たった二十円です。それを長期プライムレートという金額で、銀行はそれをノンバンク、そこはお金を集めませんから融資をしていただきます。貸金は幾らで借りるか。二・四%が長プラですから、大体二・四で二万四千円で貸すんです、銀行は、やみ金に、あっ、やみ金じゃなくて、貸金ですね。そうしたら、その貸金は、二九・二%ですから二十九万二千円で貸すんですよ、消費者や中小企業の方に。二十円しか利息がもらえない人たちが、借りる側になったら二十九万二千円で利息を払い、銀行はその間、きれいを装って二万四千円以上の利ざやを稼ぐ場合があるんです。こういう仕組みが市場の失敗じゃないですか、竹中さん。金融市場というのはこういう一面を持つんです。  そして、これがうまくいったかどうかは、総理と竹中さんが指名した西川郵政社長、次期社長が、自分のところ、これを俗な言葉で言います、あなたの会社はうちから融資を受けていますね、お金貸していますね、だから金融派生商品も付き合いで買ってもらわないと融資できませんなということの抱き合わせを、融資を言った。それを我々、郵政を反対する皆様方が、そういうことが起こり得るから郵政を民営化するのは反対である、庶民のための銀行をつくれ、それに特化する改革ならまだしも、今度融資してどんどんもうけて、そしてもうけるためには銀行同士の闘いで、郵政銀行も闘いますから、結果はまた悲劇を生んでくるという現状に回り回って行くんです。総理、そのときの貸し渋りと貸しはがしをしたそのバブルの全銀協会長が西川さんでありますし、西川さん自身の三井住友もそういう事件を起こしていたということです。  私は、こういう失敗がある、その教訓を学びながら、生活をしている人を守っていくという観点に立って、どうしてこの法案には、生活弱者、金融弱者の皆さんに頑張ってもらって、そして頑張る人はもっと良くなる、みんなが底上げして良くなるような、その視点が欠落しているんでしょうか。五年間やっててこの法案は何なんでしょう。私はそこを言わざるを得ないんです。  そして、いただいている時間がいつも少ないので、総理に後ほど承ります。これ、今朝の新聞です。これにこれだけ生命保険のものが並んでおります。眼鏡で見なけりゃ分かりません、小さく書いてあります。職業では制限させていただきますと書いてあります。簡易保険だけが職業で差別なくだれでも入れます。最近は民間も五十五歳からリタイアした人のための保険は入れるような工夫がされていますが、それはもう微々たるものです。  働いている世代こそ生命保険に入りたいわけです。それは世界で日本の郵政しかありませんでした。民間になりましたから、簡易保険業法が、これが物の見事に保険業法に変わります。簡易保険法が保険業法に変わりますから、倒産しないようにやってくれと。倒産しないためならそういう人を排除していいということになります。これを審査の段階でアンダーライティングというんです。どんどん入れない人が出てくる。生活者を守るセーフティーネットを壊して、そしてサラ金などでまた利ざやを稼いでいこうやとも言わんばかりの市場に世の中をつくり変えてしまって、だれが幸せを感じられるのか。ですから、我々は反対をした。その反対が今、物の見事に西川さんのいろんなことで出てきているではありませんか。  総理総理にも理がありますでしょう。しかし我々にも理がある。そして国会で審議をすべきだった。ところが十分な審議とは言えない。こういったことを考えていくと、助け合いの仕組みである郵政というものがいま一度必要になってきているということなんです。  時間がありません、一つだけ。これは会計検査院長、郵便局は税金で職員を賄っていますか、この一点だけはっきりしてください。
  299. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 日本郵政公社の職員の給料には一般会計からの税金は投入されていないと承知しております。
  300. 荒井広幸

    荒井広幸君 ありがとうございます。  税金を投入されない形があっていいんです。切手代、はがき代でやりくりしていたんです。民営化しても何の税金に跳ね返らないから、今度の法案で二十兆円削減しましょう、公務員を切りましょうなどというばかなことを言っている。国民の皆さんも我々も目が覚めてきました。中身を議論してこそ本当のことができるということです。残念ながら、小泉総理に私はその点、強く批判を申し上げます。  そして、結びになります。退職金です。  総理も我々も、地方分権をやっていこうということです。その地方分権をやるときに、首長さん方が実は退職金の問題全く触れてこなかった。知事さんで一期四年やると四千万円です、一期ごとです。市長さん、二千百万円です、一期四年ごと。町村長さん、千七百万円です。  お手元に資料を配付させていただきました。  総理、やっぱりこの審議会動いていませんでした。そういうことを審議会で諮りませんでした。一割だけです。皆さん、お手元に資料がございます。残念ながら、自治省も調べていませんでした。首長自らの退職金は自らチェックするということに甘かったんです。  総理、改めて退職金の問題について御見解をお尋ねします。
  301. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、市長にしても知事にしても、決めるのは市議会であり県議会だと思います。  そこで、平均の知事の退職金が四年で四千万円ということでありますが、これはちょっと多過ぎるのじゃないかなと私は思っています。総理大臣も、五年務めて私の退職金は幾らぐらいだと聞いたら、約六百八十万円だったと。これを参考にすれば、知事が四年で四千万円、これはちょっと多過ぎるのじゃないかなと。県議会も市議会も住民も、よく考えていただきたいですね。
  302. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 時間が参っております。おまとめ願います。
  303. 荒井広幸

    荒井広幸君 賛成いたします。やっぱり地方が主役にならなきゃならないんだから、地方が自らに厳しくなるという意味では。長野県では出したら議会がそれに反対をいたしました。そういう事実もあるんです。ですから、どうぞ大いに議論をしていただくようにお願いをしたいと思います。  終わります。
  304. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 他に御発言もないようですから、五案に対する質疑は終局したものと認めます。  小泉内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。中馬、谷垣両大臣安倍官房長官を除く他の大臣の方々も御退席いただいて結構でございます。  これより五案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  305. 広田一

    ○広田一君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案に対し、反対する立場から討論をいたします。  しかしながら、討論は簡素で効率的に行いたいと思います。  小泉政権は、民間でできることは民間に任せ、効率化を図るとしてきました。しかし、その民間の中に実は官僚の天下り団体が多く含まれており、効率化どころか無競争の随意契約が結ばれていることが国会審議を通じて発覚をいたしました。その金額は平成十七年だけで約一・四兆円にも上ります。  なぜこのようなことがまかり通るのか。それは、随意契約で法外な契約を結ぶ見返りとして天下りを受け入れさせるというしがらみの構図が存在するからでございます。このような政府の入札及び契約の実態、そしてそこに絡む天下りを是正することこそが行政改革の本丸であります。しかし、政府案にはそのための規定が盛り込まれていません。  それに対して私たちは、天下り規制法案、随意契約等透明化法案を提出しました。これらの審議を通じて国民の求める真の行政改革を実現していく決意であります。  本来、行政改革は、私の郷土の偉人、坂本龍馬が言ったように、日本をいま一度洗濯をする覚悟で取り組まなければなりません。しかし、政府案は単なる削減数値目標ありきであり、公正で国民に安心、安全な社会を提供するこれからの公共サービスの方向性を示していません。そして、その削減目標すら根拠は希薄であり、説得力に欠けることも明らかになりました。  さらに、政府案には地方分権の視点が欠落をいたしております。  地方に権限、財源、人材を移すことが財政を健全化させるとともに、行政サービスの質を高め、住民の満足度を向上させるという認識が足りません。よって、国と地方の役割、事務事業の聖域化なき見直しがなされておらず、あるべき政府の形が見えてきません。  以上の理由などにより、私たちは本法案には賛成することはできません。本法案の審議を通じ、政府行政改革は残念ながら看板倒れであることが明らかになりました。徹底した地方分権なくして真の行政改革はなし得ないのだということを最後に強くお訴えして、私の討論を終わります。
  306. 風間昶

    ○風間昶君 私は、与党を代表いたしまして、内閣提出の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案等の行政改革関連五法案について、賛成の立場から討論を行うものであります。  自由民主党及び公明党は、小泉政権の成立以来、約五年間にわたり一貫して無駄のない政府の実現を追求してまいりました。我が国の公的債務の残高が依然として高水準であることに加え、少子高齢社会に突入し、人口減少という事態に直面している現在、将来の国民負担を少しでも減らしていくためには、更に徹底した行政改革を進め、行政経費を可能な限り抑えていくことが極めて緊急の課題となっております。  こうした中で、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案は、新たな変化に対応する政府を構築するために、資金の流れの改革、仕事の流れの改革、人と組織の改革をそれぞれ推進し、行政をスリム化し、民間の活力を増進する、そして政府は安全、安心など、政府としてやるべきことに集中してしっかりその役目を果たすという明確な理念を打ち出しております。  平成二十年度において政策金融機関の統廃合を行う、今後五年間で国家公務員の定員を五%以上純減させる、特別会計の業務を徹底的に見直し、特別会計の数を二分の一から三分の一にする、国の資産、債務をしっかりと管理、圧縮する、これら本法案に示された改革は、いずれも実現には幾多の困難が伴い、またその実現のためには国民の皆様の御理解と御協力が是非とも不可欠であります。  そうした観点も踏まえ、本法案においては政府の事務事業の透明性を確保した上で、国家公務員がやるべき仕事、地方公務員がやるべき仕事、民間に委託すべき仕事、廃止すべき仕事など、その内容や性質に応じて分類、整理して、国家公務員の仕事を整理合理化する事業仕分の考え方法案の随所に盛り込むなど、透明かつ民主的な行政改革推進を担保するものとなっております。  簡素で効率的な政府を一日も早く実現し、我が国において、活力にあふれ、自信と誇りに満ちた社会を築くためには、本政府案を迅速に可決いただき、改革の実を上げるよう、政府努力を促していかなければなりません。  本委員会の審議においても、法案に示された改革の具体的な方向性については、野党も含め基本的には大きな反対はありませんでした。したがって、本法案を直ちに成立させ、あとは着実かつ迅速に詳細な検討を進めていくことが求められているわけであります。  本委員会においては、官製談合やいわゆる天下り、随契の問題なども議論されてまいりましたが、与党としては、これらの問題の重要性について十分認識し、責任ある立場で真正面から取り組み、正に対応しているところであります。本法案と併せ、国民から信頼される政府の実現につなげていく必要があると考えております。  次に、公益法人改革関連法案について申し上げます。  本法案は、官から民への流れの中で民間団体が自発的に行う公益的活動の発展を促進するものであり、内容も登記により法人格を簡便にできるようにするということで、透明な手続を確保し、行政改革に大きく貢献するものとして、賛成するものであります。  次いで、競争導入による公共サービス改革に関する法律案、いわゆる市場化テスト法案についても、国による監督、中立的な第三者機関によるプロセス全体のチェックとサービスの質の向上等を図るための具体的な枠組みが設けられているところであり、これらを通じて公共サービスの適切な提供が担保されるものと考えており、賛成であります。  いずれにしましても、民主主義のモデルとなるこの国の形をつくり上げるべきと考えております。  また、政府におかれましては、今後の改革推進は困難を伴うものでありますが、行政改革の具体的な推進により、一層尽力していかれることを期待いたしまして、私の賛成討論を終わります。
  307. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  行革関連の全法案反対の討論を行います。  反対する理由は、結局、今回の法案国民の安全や暮らし、中小企業の経営を支える公的部門を削減し、国民サービスを切り捨てることになるからであります。  政府は、民間でできるものは民間でと言いますが、民間企業はもうからない仕事はやりません。また、民間企業がやる場合には、受けるサービスによって価格の差が生まれます。つまり、お金を持っている人ほどいいサービスが受けられることになります。貧富の格差がサービスの格差につながるということであります。  こういうことをまともに吟味もせず、何でも官から民へと叫ぶ背景には一体何があるのか。本日の質問でも指摘したように、今関連企業は官業の民間開放で五十兆円の市場になると、マーケットになると大はしゃぎをしています。結局、ビジネスチャンスを狙っている財界の要求ではございませんか。政府系金融機関の統廃合、民営化も、大銀行がかねてから言っていた低利で貸し付けている政策金融機関を早急に何とかしてほしいと、そういう要望にこたえたものではありませんか。今回の行革推進法の本質は、官業の民間企業への払下げにほかなりません。  国民の皆さんの願いは、税金の無駄遣いをやめてほしい、行政の効率化を図ってほしいということにあります。何でも民間でやってくれとはだれも言っておりません。政府がまず取り組むべきことは、天下りや官製談合による税金の無駄遣い、非効率な行政運営に徹底的にメスを入れることです。アメリカ海兵隊のグアムへの移転での三兆円だの、米軍住宅一戸八千万円だの、アメリカの言うことなら幾らでもお金を出す、こういう姿勢こそ真っ先に改めるべきであります。  格差社会が深刻化する下で、福祉の充実、公的な教育の充実に対する国民の願いはむしろ強まっています。今回の法案は、その願いを真っ向から踏みにじるものであるということを申し上げ、反対討論といたします。
  308. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府提出行政改革関連法案反対の立場で討論を行います。  政府案に反対する第一の理由は、小泉政権の総仕上げである簡素で効率的な政府を実現するための行政改革が、福祉を削り、社会公共サービスを解体し、国民の財産を売り払う一方、自己負担や不公平税制を拡大させ、ツケは国民に転嫁しようとするものであることです。  第二は、貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小企業への公的融資の縮小、失業率がいまだ高止まりする中での労災保険法の規定による労働福祉事業並びに雇用保険三事業の廃止を含めた見直し、雇用保険法による国庫負担の廃止を含めた検討、労働者派遣事業や有料職業紹介事業の下での労働者の無権利な実情の中での公共職業安定所の職業紹介、職業指導業務等の民営化、国立がんセンター等の統合、独立行政法人化など、国民生活に密接な分野公共サービスの解体の方向性が盛り込まれていることです。また、国有林野事業特別会計、農林水産省統計や食糧管理事務、北海道開発局などがねらい撃ちされていることも看過できません。  第三は、政府の責任と役割、公共サービスの質と量について十分な議論を行い、国民にとって必要な事務事業は何かを精査することが先決であるにもかかわらず、根拠のない数値目標を掲げ、公務員の純減や総人件費削減が自己目的化されている点です。  第四は、公正労働基準も、雇用継続と均等待遇の制度設計もなく、市場化テストは賃金、労働条件の切下げ合戦になることが危惧され、サービスの質の保障も、職員、利用者、国民、住民の意見反映の場もないことです。  第五は、公益法人改革については、準則主義で簡単に非営利法人を設立できるようにし、主務官庁制度を廃止する等の点では一面評価できるものと言えますが、税制支援措置が明らかでなく、天下りの問題も解消されておらず、自由な市民の公益活動を促進する観点からは極めて不十分な水準にとどまっていることです。  最後に、父母や職員に十分な説明や話合いのないまま強引な手法で横浜市が市立保育園を民営化したことについて、横浜地裁は違法と認定しました。利用者や職員を切り捨てる官から民へではなく、天下りの禁止、特権的なキャリア制度の見直し、公務員の労働基本権確立、政官業の癒着構造の打破など、原点に立ち返った改革こそが必要であることを強調し、討論を終わります。
  309. 荒井広幸

    荒井広幸君 私は、会派を代表し、国民新党・新党日本の会を代表し、公益法人制度改革三法には賛成、かなめとなるいわゆる行政改革推進法案反対とします。  第一の理由は、その名前のとおり、簡素で効率の政府とは手段であり目的ではありません。数合わせのみが強調され、国民への必要サービスの向上という質の充実の観点が明らかに欠落しております。また、行革の推進に当たって、国民が主役であり、国民の参加を得ながら進めるという当然の観点が抜けております。  第二に、地方分権を進める内容が不十分です。国の役割や地方の役割が何であるかという根本的整理をしないまま、単にプログラムだけを決めているわけです。  法案の基本理念の中で、政府及び地方公共団体の事務事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分ということがキーワードとされておりましたけれど、その仕分の前提となる政府の事業、事務、その一覧すら示されませんでした。遅まきながら、不十分ですが、五月二十二日夕刻に我々の求めで出てまいりました。これでは深みのある法案審議ができず、私ども政党も政治家国民の皆さんに説明責任を果たす判断ができません。  小泉内閣は、政府がやってやるといった従来の親方日の丸の古い考えです。官でも民でもない、今後ますます重要となる公、つまり助け合い、共助の役割に十分な価値を与えることなく法案が構成されています。官民の二分法では諸問題を解決することはできません。格差社会解消のためにも、思いやり、助け合いによる公の考え方とそのシステムを取り入れた改革手法の必要性が今こそ必要です。  日本の郵政とは正に公を形にしたものでありました。  そして、公務員にやる気が出るプラス思考の対策が抜けております。定年まで働ける制度づくりと弊害の大きい天下り禁止などにも具体的内容が盛り込まれておらず、反対します。  この法案が成立すれば白紙委任となり、今後、政府の説明責任に対し免罪符と作用することからも、反対です。  また、いわゆる公共サービス改革法に、市場化テスト法案と呼ばれていますが、そのように郵政民営化の延長にあるものとして、反対いたします。  先ほども述べましたけれども、国や地方自治団体の機能や役割について十分な検証を経ないまま欧米流の市場化テストという手法を導入することは、心が通う、そうした本来のすばらしい行政を達成することにはつながりません。国民の福祉の切下げと安心、安全の確保に支障を来す懸念があります。  年金通帳や公金の監査訴訟制度を提案しました。そういったことを小泉内閣はこの五年でこそ本来やるべきだったと思います。  国民新党と私ども新党日本の提案は、多くの国民の皆さんに必ず支持されることを確信して、小泉内閣行政改革関連法案反対する反対討論を終わります。
  310. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより順次五案の採決に入ります。  まず、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  311. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、佐藤君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤昭郎君。
  312. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 私は、ただいま可決されました簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について留意し、その運用に万全を期すべきである。  一、行政改革において事務・事業の仕分け、その見直しを行うについては、国民生活の安心と安全を確保するという政治と行政の基本的責務にかんがみ、事務・事業の廃止、地方又は民間への移管を行うに当たっては、検討のプロセス及び結果を開示すること。  二、政府は、総人件費改革の一環としての行政機関の定員の純減に当たって、政府全体としての配置転換、採用抑制等により、職員の雇用の確保に万全を期するとともに、配置転換、研修の実施等取組の具体化に当たっては、関係する職員団体等の意見を十分に聞き理解を求めるよう努めること。  三、新政策金融機関の組織設計・運営に当たっては、国民一般、中小企業者及び農林水産業者向けの融資の政策目的の差異や業務の態様の違いを踏まえ、それぞれの資金需要に質量ともに的確に応える組織とするとともに、専門的能力を有する職員を窓口配置するなど、利用者の利便性の維持・向上に努めること。  四、新政策金融機関において、国際協力銀行が果たしてきた資源・エネルギー確保や国際競争力確保等の機能を引き続き適切に果たすため、信用の維持と業務の積極的展開が可能となるよう体制を整備すること。  五、商工組合中央金庫の完全民営化に当たっては、政府出資の相当の部分の準備金化等による強固な財政基盤及び当分の間の金融債発行の継続等による円滑な資金調達の基盤を確立し、完全民営化後も中小企業者の資金調達に支障が生じることのないよう制度的に措置すること。  六、日本政策投資銀行について、完全民営化後も地域再生等の分野で出融資一体で中長期資金を供給できるよう、また、その信用力を維持し、安定性のある株主構成とすること等によりその信頼性等を活かし、企業価値を最大化するよう、財政基盤や円滑かつ多様な資金調達基盤の確立等を含め、所要の制度的措置等を講ずること。  七、内外の金融秩序の混乱、大規模な災害等に対処するために必要な金融については、新政策金融機関の機動的な対応を可能とするとともに、完全民営化後の機関も引き続き積極的な役割を担えるよう制度上明確にし、万全を期すこと。  八、特別会計改革に当たっては、その歳入、歳出及び資金の状況予算書上明確になるようにし、もって国民に対する説明責任を十分に果たせるようにすること。  九、公立学校の教職員の純減においては、少人数教育実現に向けたこれまでの努力を踏まえ、教育水準の維持向上がなされるよう適切な措置を採ること。  十、一連の行政改革実効性を確保するためには、公務員制度の改革が不可欠であることにかんがみ、政府は、国民の意見やILO勧告等を踏まえ、これからの公務と公務を担う公務員の範囲・在り方についての総合的な検討を踏まえて労働基本権の在り方について関係者との意見交換を行うとともに、幹部公務員の育成の在り方を含め、能力・実績主義の人事管理の徹底を図り、併せて再就職管理の適正化を図ること。  十一、公益法人の理事について所管する官庁の出身者が占める割合は理事現在数の三分の一以下とするとする閣議決定を厳格に遵守し、適切な公務員の退職管理を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  313. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  314. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中馬国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中馬国務大臣
  315. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  316. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 次に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  317. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  318. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  319. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川敏夫君。
  320. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、ただいま可決されました一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案外二案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)   行政改革を進める上で、「民間が担う公益」の重要性がますます増大することを踏まえ、政府は、公益法人制度改革関連三法の施行に当たっては、その健全な発展を促進するという今回の改革の趣旨を十分踏まえるとともに、次の事項に留意し、適切な措置を講ずること。  一、本法の立法趣旨や新制度の内容について、公益法人の関係者等を中心に周知徹底するため、必要な措置を講ずること。  二、公益認定等委員会に関しては、中立性・独立性に配意するとともに、専門的知見に基づく判断を可能とするよう、その構成等に万全を期すること。また、事務局については、委員会を適切に補佐し、認定の審査及び事後の監督に遺漏なきよう、その体制の整備に努め、事務局長等の人事については委員会と相談して対応すること。主務官庁による許可主義を廃止した今回の制度改革の趣旨にかんがみ、公益認定におけるその影響力の排除に留意すること。  三、公益認定の制度を統一的で透明性の高いものとするために、都道府県に対して情報提供等を行い、全国を通じて適切な公益認定が行われるようにすること。なお、現行の公益法人が新制度下で公益法人に移行するに際しては、これまでの活動実績を適切に評価するなどの配慮を行うこと。  四、制度の運用に当たっては、積極的な情報公開による法人の自己規律の向上の意義を踏まえるとともに、公益社団法人の社員名簿の閲覧等については、個人情報の保護が十分になされるような運用を行うこと。  五、本法に基づく政令及び府省令については、本委員会における審議を踏まえ、また、公益法人等の関係者を含め広く国民から意見を聴取して、立法趣旨に適合するよう適切に制定すること。  六、新制度の施行に伴う税制については、現行の公益法人が新制度に移行するに際して、十分な時間的余裕をもって判断できるよう、早急に検討を行い、施行までに必要な措置を講ずること。    その際、一般社団法人及び一般財団法人に対する法人所得課税の在り方に関しては、共益的性格の法人の会費の扱いなど、当該制度に包含される法人の多様性に配慮した適切な税制の導入を検討すること。また、公益社団法人及び公益財団法人に対する法人所得課税及び寄附金に係る税制に関しては、適正な規律の下、民間の担う公益活動の促進及び寄附文化の醸成を図る観点から、適切な税制上の措置を講ずること。  七、新制度への移行に際して混乱を生じないよう配慮しつつ、本法の施行状況変化が生じたときは、広く国民の意見を聴き、直ちに見直しを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  321. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  322. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中馬国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中馬国務大臣
  323. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  324. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 次に、競争導入による公共サービス改革に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  325. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、山下君から発言を求められておりますので、これを許します。山下栄一君。
  326. 山下栄一

    山下栄一君 私は、ただいま可決されました競争導入による公共サービス改革に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     競争導入による公共サービス改革に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について留意し、その運用に万全を期すべきである。  一、官民競争入札等の結果、民間事業者が落札した場合の公務員の処遇については、雇用の確保に配慮し、政府部内での配置転換と新規採用の抑制による対応を基本とすること。その際、公務員の不安やこれに伴う士気の低下を来さないよう、各大臣等任命権者が責任を持って円滑な配置転換に取り組むとともに、政府全体としての対応が必要な場合には、今後設置が予定されている国家公務員雇用調整本部の活用を図ること。  二、官民競争入札等における落札事業者の希望と本人の同意を前提に公務員を退職し落札事業者の下で業務に従事することとなった者が、公務への復帰を希望する場合には、各大臣等任命権者は、その者の退職前の公務員としての勤務経験と落札事業者の下での勤務経験とを勘案し、公務への復帰希望について十分に配慮すること。  三、本法の施行に当たっては、競争導入による公共サービス改革によって公共サービスの質の維持・向上及び経費の削減を図るという理念と趣旨にかんがみ、総合評価方式の積極的な採用等によって、公共サービスの質の維持・向上の実現を図ること。  四、国立大学法人については独立行政法人制度と別途の制度を創設した趣旨を、文化芸術や科学技術の振興については長期的かつ継続的な観点に立った対応が重要であることをそれぞれ踏まえ、各業務の特性に配慮し、本法に規定する手続に従いつつ、慎重かつ適切に対応すること。  五、官民競争入札等監理委員会は、公共サービスについての国民の意見を反映できる幅広い関係者によって構成することとし、委員の人選に当たっては、委員会の公平性、中立性を確保できるよう十分配慮するとともに、積極的・能動的な運営を行うこと。    また、専門性に富んだ多様な人材を確保して、事務局体制を充実・強化すること。  六、本法の対象となる公共サービスを選定する仕分け作業において、官民競争入札等監理委員会による十分なチェックが行われるような制度運用を行うこと。  七、本法第三十四条に規定する地方公共団体の窓口業務を民間事業者が行うに当たっては、当該業務が住民の個人情報を取り扱う業務であることに十分留意し、個人情報の保護等に万全を期すこと。また、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置について、事業開始後も指導・監督を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  327. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいま山下君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  328. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、山下君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中馬国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中馬国務大臣
  329. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  330. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) なお、五案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  331. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会