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鈴木寛君 民主党・新緑風会の
鈴木寛でございます。
引き続き
行政改革推進法について質問をさせていただきたいと思いますが、私も今、
松井議員の後半の
議論、正にその点がやっぱり全くこの
法案提出に当たって十分
審議、準備がされないままに今回の
行政改革推進法案が
提出をされているという、これは大変遺憾だなということを私も思っております。
例えば、今のIT調達の件についても、もう五年も前からあるいは十年も前からその問題が指摘をされ、参議院の決算
委員会などでもいろいろな
議論がなされ、
問題意識共有されてきました。恐らく小泉
内閣総決算の
行政改革推進法案では、こういうことが一挙に解決の糸口が付けられるんだというふうに多少は期待をいたしておりましたが、その点が全く抜けているということを私は大変残念に思います。
実は、
官房長官お見えでございますのでちょっと伺いたいと思いますが、四月二十九日の
日本経済新聞に非常にいい記事がございました。この一面の特集で、「まだ削れる」、「
財政」という特集がありまして、そこでは、
官房長官の地元であります
山口県の下関市、私も以前
山口県に勤務させていただいておりましたのでよくここには行きまして、非常にイメージがわくわけでありますけれども。要するにその記事で報じられていることは、JRの下関駅前に大きな看板を作るということになって、その落札額が千七百七十五万円、市が予定した価格の八二%の水準で落札ができたと、こういう記事であります。
日経新聞は、正にまだまだ二兆円ぐらいの皮下脂肪があると、こういうことの一例としてこの下関の例を取っているわけでありますが、こういうことができるようになったのは、実は下関市が電子一般
競争入札ということを始めることによって、電子一般になりますと、これ指名から一般ということがまず一つですし、それから電子になりますとなかなか、いわゆる談合に極めて近いグレーな情報交換というのがほとんどできなくなりますので、そういう
意味で、この電子
競争入札になったということが、これ下関の場合は四年になるんだそうでありますけれども、従来の九五%前後の落札率から、平均落札率から八五%に低下をしていると。これ大変いい話だと思います。
それから少し、下関の例の次に横須賀の例がございます。これは、
竹中大臣もいらっしゃいますけれども、私たち慶応湘南藤沢キャンパスもお手伝いをしながらこの横須賀の電子
競争入札についてはお手伝いをしたと。結局、横須賀は、電子入札をやった結果、例えば二〇〇四年度で四十五億円の予算が余って、そして三分の二は追加工事に回して、三分の一は治安や子育てなどの経費にも充てたと、こういう例がございます。
恐らく、正に今回の
行政改革推進法案で、あるいは我々が正に与野党を挙げてやらなきゃいけない行革というのはこういうことだと思うんですね。正に、
政府の公共調達、ここにいろいろな無駄があります。まだまだ削れるところがあります。例えば、あと一〇%この電子
競争入札を入れるだけで削れます。そこで浮いた貴重な貴重な税金を、例えば子育てとか、あるいは医療とか、必要なところに振りまける。それからもちろん、これだけの借金が国及び
地方で抱えられているわけでありますが、そこの返済に充てていく、あるいはそうしたプライマリーバランスの適正化に使っていく、こういうことをしていくのが私は本来の
行政改革だというふうに思っておるわけでありますし、私どももそういう
方針で民主党対案を出させていただいているわけであります。
そこで、今回の質疑に
当たりまして、私は是非このことをきちっと
議論をしたいなと、こういう思いで事務方の
方々といろんな
議論を始めました。
しかし、そこでまず
議論をしたいなと思ったことは、この日経の更にその後に、国と
地方合計の公共調達額は三十六兆円だということであります。
それで、ここから日経のいろいろな類推といいますか、累計といいますか、前提条件を置いた試算が始まるわけでありますけれども、国の直轄工事のデータから推計すると、約半分が指名
競争入札、十八兆円ですね。だから、ここは指名
競争から一般
競争に変えられると。それが九五%だから、要するに、下関にしても横須賀にしても大体八五まで来ていますから一割カットできると。したがって、十八兆円の一割、一・八兆円、要するに約二兆円が浮く計算だと、こういうシミュレーションをしています。それで日経は、これは机上の計算と言い切れるだろうかと、こういう非常にいいプロポーザルといいますか、問題提起をしていただいているわけであります。
こういうことを、これは
日本経済新聞がいろいろな前提を基にやったわけでありますけれども、私は、例えばこういうことについての試算を
政府からきちっと聞きたい。
政府なりに、あるいは
政府は圧倒的な情報を持っておられますし、それからそれを調査する権限も持っておられるわけでありますから、しかも今回、正に
行政改革推進本部というものがつくられているその
意味は、こういうことを国及び
地方、あるいは各省庁にまたがる話を全部統合して束ねて、これが三十六兆円なのかあるいは三十七兆円なのか、あるいは三十四兆円なのか、そしてその中で、一般
競争入札でこの部分がこういうことができるという、そういう
議論を持って私は今
国会に臨まれているはずだと思って伺ったところ、結局こういう数字は全然把握されてないんですね。
少しだけ
総務省を持ち上げておきますと、
地方の分についてはそういう総計がございました。だから、
地方分について、例えばこれと同じようなことができれば、
総務省からいただいた数字に一割掛けていけばそういうことが出てくるんだなということは分かりましたが、肝心の国の部分ですね。で、これについては結局、私は、行革
推進本部の
皆様方は本当に一生懸命頑張っていただいていると思いますし、その御
努力については多としますけれども、結局、従来の役人のおきてに従ってやっぱりまだ
仕事をされていると。すなわち、いや、その話は
財務省ですと、あるいはその話は国土交通省ですと。で、今度国土交通省に行くと、結局この話を私たち事務所でいろいろ担当の方に、いや、私はこれは行革
推進本部の特にこの
分野の方にお伺いをすれば、お一方来て、補佐の方ぐらい来ていただいて、そこで
議論すれば話が付くんだと、こういうふうに思いました。私も霞が関離れて七年になりますから、縦割りぶりというのは大分直っているだろうと、
小泉政権になって特にこの五年間で大分直っているだろうと思ったら、全く直っているどころか悪化しております。
この三十六兆円、あるいはそれを、この今の日経の出された机上の計算を、
議論を深めるのに結局延べ二十人を超える担当官が入れ替わり立ち替わり来て、それで最後結局、
政府の、特に中央
政府のいわゆる公共調達については全貌は分からないという状態なんです。
財務省の方にも来ていただきました。しかし、
財務省が把握しておられる数字は結局国際的に入札のところで評価をしている
政府調達に係る部分、ここはもちろん把握をされているということは分かりました。しかし、皆さん二十数名を、来られる方を、全部足しても三十六兆円にならないんですね。結局やっぱり例えば公益
法人のところが抜けていたり、それから一定水準以下の入札の部分についてはだれも把握していなかったり、まあ要するにこういう問題提起をしても数字すら把握していないと。
そういう問題は従来から指摘をされておりましたけれども、今回この
法律を出す、しかもわざわざ
行政改革推進本部というものをつくってこの
議論に臨む以上、やっぱり私は、そこを変えることが私は最大の
行政改革だと、こういうふうに改めて痛感をしたわけでありますけれども。本当にこの縦割り弊害除去と、ここからやらないと。どんな
法案を出してきても、あるいはどんな
審議を重ねても、私は建設的な
議論というのは深められないと。まして、この
法律ができてそれを実行していく、前回も
松井議員が中央省庁再編のときにいろんな
議論をしたと、で、いろんなメニューが出た、しかし十年たってみて何も変わらなかったではないかと、これも二の舞になるんではないかという問題提起させていただきましたが、正にそのことを私は懸念をするわけでありまして、正にこの縦割り除去の問題、
官房長官あるいは
行政改革推進本部の担当
大臣であります
中馬大臣、それから良くも悪くも縦割りの弊害を常日ごろ感じておられる
財務大臣から御見解を伺いたいと思います。