○辻泰弘君 先ほど言いましたように、現に介護保険移行後のその影響、それから制度
改正による影響というのを出しておられるわけなんですね。その残りのその他の増ということで、
目的が違うとおっしゃるけれども、じゃ、今度のための
目的にやればいいわけですからね。
その点については、やはり私は、今回のことは、実は結論的にはそれこそあながち違うものじゃないのかもしれませんけれども、しかし、やはり前提としてとらえている数字というものをやはり私は問題があったというふうに
指摘しておきたいし、是非直近の数字を使ってやれるように、制度
改正のその除去をする
技術も磨いておいていただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。
それから、同時に、いつも今回の議論でも
医療給付費でとらえているところがあるわけですけれども、やはり一部負担、
患者負担の
部分がトータルとしての国民
医療費になっているわけで、やはり本来はそこに着目をしてその中で考えていくべきことであるにもかかわらず、
医療給付費がずっと走っていて、私、予算
委員会で質問する前までは国民
医療費が出てなくって、
医療給付費五十六兆で、国民
医療費六十五兆そのとき教えてもらいましたけどね、それぐらい国民
医療費というのが後になっている。そのこと自体が、公的財政というものがかかわる
部分だけ追っ掛けていてそこからすべてを考えているということの証左でもあるというふうに私は思います。
そういった
意味で、やはり国民
医療費というトータルでとらえると、国民
医療費自体も対象はどうかという議論はありますけれども、しかし、ともかく
医療給付費でとらえるのではない、国民
医療費全体でとらえると、この姿勢を持ってやっていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。
それから、次に移らせていただきます。
私自身は、
医療のことというのは非常に大事なものだと思って、社会保障共々
一つの私の政策的なライフワークだと思っていますけれども、実は十年ほど前に私自身が物したものがありまして、そこで書いていることをちょっと申し上げたいと思うんですけれども。
本来、国民の健康回復、
保持のためにこそあるべき
医療は、必要に応じてすべての国民が等しく他の要因からは何の制約もなく質量ともに最適かつ最高の給付を最適時に受療できることが理想であり、求むべき姿でもある。しかしながら、我が国
医療が国民皆保険制度の下にあり、あらゆる
医療給付が最終的には国民負担につながるものである以上、国民負担の総量により
規定される財政の面からの制約を受けることは必然やむを得ぬものであり、その限られた条件の下において国民にとり最良の結果をもたらす選択肢を導いていくことこそが政策担当者の責務であろうということを、実は一九九六年八月に、全くだれの目にも触れませんでしたけれども、私が書いた論文の中にちょっと書いておるわけでございます。そのときの私なりの考え方、それ、ほぼ変わっていないということになるわけでございます。
そこで、そういった立場から今回の改革というのを総合的に見せていただきますと、私の立場では、
一つの側面として、やはり改革なき負担増ではないかという側面が
一つ、それからもう
一つは、
医療提供
体制の充実が不十分であるということ、このことをまず総論として申し上げなければならないと思うわけであります。
ただ、一定の評価はすべきと私自身思うことは、これは私個人の見解になるかもしれませんけれども、都道府県の責任を明確化していこうということは、私はそれなりに評価すべきものである、今まで余りにもその
部分が明確でなかったということがあると思います。知事さんも、はっきり言って全然その辺の意識がない方が多かったということがあったと思います。
それから、健康保険と言われながら実は
医療保険になっているじゃないかと、健康の
部分が忘れられているじゃないかということがかねて言われてきたわけですけれども、そういった
意味での健康重視、健診重視という姿勢というのを私は一定の評価はできると思って、やり方はともかくとして、また議論するにしましてもですね。
それから、これもいろいろ議論はあるかもしれませんけれども、やはり
医療あるいは
医療保険も聖域ではない。やはり見直しやいろいろチェックというものは、それはあってしかるべきことであると。そういう
意味からの、言葉はともかくとして、
医療費の適正化といいますか、そういったものの模索というものはそれなりに必要なことだと思っているわけでございまして、そういった面でのことは、私はそれなりに評価すべきものもあるかと思います、方向性はともかくとしてですね。
しかしながら、私として反対するポイントとしては、今回の改革に向けて、あれだけ国保の
部分についての一元化ということを坂口
大臣のとき以来ずっとおっしゃっていたにもかかわらず、国保の一元化に向けた抜本改革というのは全く今回はないわけでございます。それと連動して、未収金対策というものもない、財政基盤が全然
確立されていない国保であるわけでございます。
もう
一つのポイントは、老人保健拠出金、退職者給付拠出金等の被用者の
部分の保険者並びに被保険者からの不満といいますか、右から左に保険財政の三割、四割いってしまうという、この
部分についての不満を払拭する、そのことが若干の御努力のかいが見えなくはないんですけれども、しかし本質的にそれに至っていない。後でそのことを議論したいと思いますが、その点もやはり問題点として残っていると思います。
それから、IT化、包括化、ジェネリック等々、いろいろなお取り組みもありましたけど、実は当初言っておられた割に進んできていない。もちろん、それぞれ固有の克服すべき課題もあるわけですけれども、しかし、そういうこともしながら進めてこられるのが、遅々として進んでこなかったじゃないかということがあるかと思います。
それから、たばこ税の増税などはある程度許容すべしということを私ども申し上げましたけれども、そういったことも対策としては十分入っていないということを言わざるを得ません。
また、
医師の不足、偏在について、
医療対策協議会に丸投げするだけで国としての答えを出していないというふうに私は思わざるを得ないし、
医療スタッフの労働環境改善などについての答えも出していないと、このように思わざるを得ません。そういった
意味では、私としては、トータルとしてはやはり反対せざるを得ないというふうに私個人の考えとして思っているわけであります。
そこで、近年、高齢者の負担というものが非常に連続して求められているということがあるわけでございます。この二年ぐらいを振り返っても、それ以前もありますけれども、この二年だけを見ても、年金課税の強化があった。介護保険料の引上げがあった。年金課税強化に伴う介護、国保の保険料の引上げが今日も進められようとしている。定率減税の廃止がある。そして、今回の
医療費の負担増があると。こういうことでございまして、本来、今回の
審議に当たって、この
厚生労働省がかかわったいろいろ制度
改正に伴うそういった年金生活者等々にかかわる負担がどうなっているのかと、これらを加味した分析の提示が所得階層ごとにあってしかるべきだったと私は思っておりますけれども、それが残念ながらそういった形で提示はされていないわけです。
ただ、断片的にいろいろと伺ってみますと、例えば、単身の高齢者の方だと十七万ぐらいの年金額で年額七万二千円ぐらいの負担になるとか、二十万ぐらいの年金の高齢者の単身だと年額十二万ぐらいだとか、あるいはまた別の試算を見ますと、夫が二百五十万、妻が八十万の年金生活だとした場合には十万ぐらい年額負担が増えるとか、こういうことがあるわけで、それも本当は
厚労省としてしっかりといろんな種類を出していただきたかったと思いますけれども。
いずれにしても、この近年、高齢者に対して非常に負担が増えてきている、そして今度の、今回の一割から二割の負担である、また現役所得並みの方には現役の三割負担を求めると、こういうことになっているわけですけれども、非常に連続して短
期間に負担を求めているということについて、非常にやはり私は短
期間に求め過ぎだということを思うわけでございます。
とりわけ、罹患率が高い健康弱者という、性格といいますか、そういった特質があるわけですから、現役並み所得者に現役並み負担ということを求めていいのかという、その点についての合理性も問われるべきだというふうに思うわけであります。
そういった
意味で、
大臣に
一つお聞きしたいのは、近年のこの高齢者に対する負担の急増といいますか、まあラッシュですね、このことについてどうお考えか、御判断、御見解をお伺いしたいと思います。