○円より子君 私は三十年近く様々な
女性たちから家族の問題や就職の問題の相談を受けてまいりました。今までに個人的なカルテは四千件ございますし、電話相談やいろいろ入れますと三万人以上の方の相談を受けて、そして、その方たちが母子家庭等でどういう働き方をしていらっしゃるか、合宿など子供たちも連れてやっているんですが、あるとき大変驚いたことがありました。
私は、女の人も自分の食いぶちは自分で稼げるといいと。もちろん子育ての期間ゆっくり休めるような
状況とか、ワークシェアリングや、そういった、時には少し
仕事を少なくしてという、いろんなそういう
意味での働き方、多様な働き方があっていいと思うんですけれども、なぜずっと
仕事を続けなさいよと延々と若い娘たちに言ってきたかといいますと、その三十人ほど全国から集まったちっちゃな会ですが、合宿をしたときに、もう本当に偶然なんですが、ある大きな一部上場の保険
会社に勤めていた二人が初めてその日、隣同士に並んだ、知らなかったんですね。
自己紹介をしたときに、片方は結婚しても妊娠、出産しても勤め続けた方だった、四十歳ぐらいの方です。片方は結婚、出産、そして夫の転勤で
仕事を辞めざるを得なくて、そしてその後、不幸にしてといいますか、まあこういうところで不幸とか価値観入れちゃいけないんですが、たまたまといいますか、離婚をなさって母子家庭になった。その二人が、えって、自己紹介したら同じ
会社だわと。
その
女性が、こちらは再就職したんですが、優秀な
女性だったらしいです。で、戻ってきて、東京に戻ってきたら、当時何とか再就職しなきゃ子供を食べさせられないということで、元の上司のところに行きましたら支店長になっていらして、君は本当に優秀だったし、しばらく休んでいても全く
能力は衰えてないんだから是非うちに来てくれと言われたんだけれども、正
社員じゃなくてパートなんですね。九時から五時とか、ほとんど変わらない
仕事なんだけれども、それ以外のことはできなくて、フルタイムパート、フルパートですね。そうしましたら、ちゃんとお互いが年収を言い合ったら、私がこの間言った非正規
雇用を入れると五割を切っているとか、
仕事によっては三七%とかそんなものですねと、そういう
数字がありますねと申し上げた。そのとき何と五分の一だったんです、再就職、同じ
会社にした人の年収は。
もう周りじゅうがみんなため息つきましたら、もう一人のある別な全く違う人が、私は再就職でスーパーマーケットに勤めて必死で二人の子供を育てていると。そしたら、君、君、ちょっとおいでと店長に呼ばれて、本当によく働いてくれると、残業も辞さずに。君だけ時給を上げてやりたいと、ほかの人には内緒だよと言われて、まあほかの人に内緒だと言われて自分だけ上がっていいのかしらと彼女はふっと思ったそうですが、それでも二人の子供を育てていますから、少しでも時給が上がればうれしい。ああ、みんながよかったわねと、そこまでの話で全員言ったんです。円さん、一体幾ら上げてやると言われたかと思いますかって、五円だって言われてね、みんなで、えって、そんなものなのと言ったら、それが世間の相場ですと言っていたら、本当そうですね、今度、春闘とかなんとかいろんなのを見ていましても、やっぱり時給五円なんですね、上がるのがね、今でも。それ、二十年も前のことなんですけど。
いかに私は非正規
雇用の人たちが恵まれない立場で、でも
能力もほとんど変わりなく必死で働いていらっしゃるか、ここの部分をちゃんとやらない限り、私は本当の
意味で、
仕事と生活の調和なんて言葉入れなくたっていいですよ、別にそんなことを入れても入れなくても、そこの
労働の
現場のことを考えない限りは変わらないと。ところが、
男女の賃金格差解消のためにというガイドラインが、正規
雇用の人たちだけの賃金格差の解消にしかずうっと
厚生労働省が取り組んでこなかったんだとしたら、政府は一体何をしていたのかということになりませんか。
大臣、いかがですか。