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2006-04-14 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十四日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 小池  晃君                 又市 征治君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    参考人        北里大学名誉教        授        井村 伸正君        東北福祉大学大        学院特別講座精        神医学教授    佐藤 光源君        くすり適正使        用協議会理事長        東京薬科大学薬        学部客員教授(        一般用医薬品学        )        海老原 格君        全国薬害被害者        団体連絡協議会        代表世話人    花井 十伍君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○薬事法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  薬事法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人方々から御意見を聴取いたします。  本日御出席をいただいております参考人方々を御紹介申し上げます。  北里大学名誉教授井村伸正参考人でございます。  東北福祉大学大学院特別講座精神医学教授佐藤光源参考人でございます。  くすり適正使用協議会理事長東京薬科大学薬学部客員教授一般用医薬品学)の海老原格参考人でございます。  全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人花井伍参考人でございます。  以上の四名の方々でございます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席を賜りまして、本当にありがとうございます。  参考人皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと思います。  なお、参考人質疑者ともに発言は着席のままで結構です。  それでは、まず井村参考人にお願いいたします。井村参考人
  3. 井村伸正

    参考人井村伸正君) それでは、着席のままで失礼いたします。時間の関係で一応メモを用意してきましたので、メモを見ながらのプレゼンテーションになります。  本日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。私は、厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会におきまして部会長を務めてまいりました。そのような立場から、一般用医薬品販売制度見直しに関しまして、検討部会報告書内容皆様方に御説明しつつ、今回の法律案について私なりの考えを述べさせていただきます。  まず、この検討部会検討経過でございます。  この部会は、一般用医薬品販売在り方全般見直しを行うため平成十六年の五月に設置されたものでございまして、メンバーといたしましては、医学薬学のみならず、経営学でありますとかあるいは法律学専門家、それから薬害被害者団体代表の方、それから消費者保護分野で活動しておられる方々、あるいはまた各販売業に従事している方々など幅広い分野方々に参加していただきました。  平成十六年の十月には、この部会の下に、さらに医学薬学などのいわゆる専門家だけの医薬品リスク程度評価情報提供内容等に関する専門委員会という専門委員会を設置いたしまして、リスク分類のためのより専門的な検討を十数回にわたりまして行いました。  結局、この販売検討部会は、一年半の間で実に二十三回にわたりまして部会を開いて精力的に検討を行ってまいりました。このような部会で濃密な審議をしたという例は余りないというふうに伺っております。  この意見の集約は、当然のことでございますけれども、いろんな立場方々がいらっしゃいますからなかなか容易なことではございませんでしたが、一つ一つ議論を積み重ねまして、最終的に委員皆様方のコンセンサスを得ることができました。昨年の十二月の十五日に報告書を最終的に取りまとめたわけであります。  まず、その報告書内容でございますけれども、まず、今回のこの制度見直しの背景となっている現状課題でございますけれども、大きく分けて三つ挙げられます。  まず一つは、国民健康意識の高まり、あるいはまたこの四月から導入されました薬学六年制の導入、このような医薬品を取り巻く環境の変化、これがまず一つでございます。  二つ目といたしまして、現行制度では、薬剤師などが医薬品販売に際して情報提供に努めることという努力義務が課せられておりますけれども、実際には、残念ながら店舗薬剤師が不在であったり、あるいはまた、薬剤師がいたとしましても購入者への情報提供が必ずしも十分に行われていないという実態が指摘されておりました。  三つ目といたしましては、医薬品販売業には、一般販売業薬種商販売業、そして配置販売業など幾つかの業態がございます。その業態によりましてそれぞれのいわゆる専門家資質がかなり異なっているということがございました。  このような三つの点が主な問題意識でございますけれども、より大きな視点でいえば、医薬品の適切な選択あるいは適正な使用、こういったようなものを確保することが重要であるという認識を持ちまして、この今回の販売制度改正検討に取り組んだわけであります。  このような現状課題を踏まえまして、いわゆるセルフメディケーション、これを支援する観点から、安全性の確保を前提とし、しかも利便性にも配慮しつつ、国民による医薬品の適切な選択、適正な使用に資するよう、薬局、薬店等において専門家による相談応需及びリスク程度に応じた情報提供などが行われるより実効性のある体制整備するということが今回の改正基本理念とされております。  改正の具体的な内容でございますが、これもまた大きく分けて三つの要素がございます。  一点目は、リスク程度に応じた情報提供相談体制整備二つ目は、各業態を通じて専門家資質確認のための仕組みを設けること、それから三点目は、医薬品販売にかかわる環境整備でございます。  言い忘れましたが、皆さん方のお手元には私ども検討部会報告書の要旨、項目だけでございますけれども並べてございます。その順序でお話をさせていただいております。  それから、まず一点目でございますけれども、このリスク程度に応じた情報提供相談体制整備でございますが、この前提といたしまして、リスク程度に応じ一般用医薬品三つのグループに分けるという分類を行いました。  現在の薬事法では、医薬品につきましては、リスク程度にかかわらず情報提供につきましては一律の扱いということになっておりますが、今回、このリスク程度に応じて情報提供の仕方に差を設けるということは、医薬品販売に不可欠な情報提供実効性を向上させるという観点から極めて重要なことであると考えております。このリスク分類作業は、非常にたくさんの一般用医薬品の主な成分について一つ一つ評価をするという大変な作業でございまして、先ほどちょっと触れましたが、医薬品リスク程度評価情報提供内容等に関する専門委員会という委員会がこの大変な作業を担当してくださいました。  具体的には、一般用医薬品としての使用経験が少ないなど安全性上特に注意を要する成分を含んでおりますA医薬品、これは法令の中では第一類というふうにされておりますけれども。まれに入院相当以上の健康被害が生じる可能性がある成分を含む、これをB医薬品、第二類でございますね。それから、日常生活に支障を来す程度ではないけれども体の変調でありますとか不調が起こる可能性があるという成分を含む、これをC医薬品、第三類とされておりますが、この三つ分類をいたしました。  リスク程度に応じた情報提供の具体的な方法についてでございますけれども、まず、この第一類医薬品とされておりますA医薬品、これにつきましては、一般用医薬品としての安全性評価が確立していないというような性質を持つものでございましたので、これを踏まえまして、薬剤師による文書を用いた積極的な情報提供、この積極的なというのは、購入者が何も希望しなくてもこちらからアプローチをして積極的に情報提供するという意味でございますけれども、この積極的な情報提供相談対応、これを義務付けるべきであるというふうにいたしました。  A医薬品を扱える専門家といたしましては薬剤師のみということにされているわけでございますから、特に薬剤師方々は、これから、医薬品全般にわたって自分たちが高度な専門性を有する職能として認められているということを十分に考えまして、その役割を果たしていただきたいなと私は考えております。  次に、B医薬品でございます。第二類。  これにつきましては、薬剤師又は、後ほど御説明申し上げますが、薬剤師以外の新たな専門家、これは、法律では登録販売者というふうになっておりますが、これが積極的な情報提供に努めるべきであると。つまり、努力義務ということになっております。ただし、相談があった場合には、これはこれに対応することは義務とされております。  それから最後に、第三類のC医薬品でございますが、これに関する積極的な情報提供に関しましては、これを努力義務として法令上規定するほどではないだろうというふうに考えまして、ただし、もちろん医薬品でございます以上、情報提供を行うことが望ましいわけでございますけれども、これをあえて努力義務としませんでしたのは、これまでのように一律の情報提供仕組みではかえって本当に必要な情報提供がなされないということがあるんじゃないかという考え方に基づきまして、情報提供を重点化してめり張りを付けることが重要だというそういう考え方に立ちまして、このような対応が適当だろうということになったわけでございます。もちろんこの場合も、相談があった場合には薬剤師などの専門家が適切に対応すべきであるということにつきましては義務としております。  二つ目ポイントといたしましては、各業態を通じて薬剤師以外の専門家資質確認のための仕組みを設けるべきであるということを報告書では提言いたしております。考え方といたしましては、店舗などの開設者、これは許可申請者ということになりますが、これにつきましては専門性に関する要件を審査するんではなくて、その開設者専門性に関する要件を審査するんではなくて、適切な情報提供相談に携わる者といたしまして一定の資質を備えた者がそこに設置されているということを確認する仕組みということにするとともに、各業態を通じてその資質確認のための仕組みを設けたいということになっております。  その資質確認方法でございますが、情報提供相談対応が適切に行われるということを的確に担保する観点から、講習などではなくて都道府県の試験が適当だろうというふうに考えております。また、試験内容につきましては、余りにも広範囲なものではなくて販売に即した内容、例えば薬事関連法規でありますとか、あるいはその薬の副作用内容など、こういったようなものを中心としたいわゆる実務的なものとするのが適当なんだろうというふうに報告書では言っております。  それから、今回この販売制度見直しを行うということになりますと、また、特にこの新しい試験制度を導入するということにつきましては非常に大きな変更になりますので、購入者やあるいはいろんな事業活動に混乱を与えませんように、新たな制度に円滑に移行することができるようにいわゆる経過措置を設けるということが必要であるという点では皆さん意見が一致しておりまして、その旨は報告書に記載されております。  三つ目ポイントでございますが、リスク程度購入者が判別できるような外箱表示、いわゆる薬の外箱表示、それからリスク分類ごとに分けた陳列法、あるいはリスク程度によって販売方法が異なることなどのような、医薬品を扱っているその扱い方につきまして店舗での掲示をすると、こういうふうにやっていますよという掲示をするというようなことにつきましては、購入者視点に立って医薬品販売にかかわる環境整備する必要があるんだろうということが報告書で挙げられております。これはまあ地味な項目ではございますけれども、とても重要なことだと考えております。  このように、法案では基本的な枠組みが定められまして、具体的な内容につきましてはいわゆる省令などで定めると聞いておりますが、是非販売現場購入をする人にとって分かりやすいものとなるように努力をしていただきたいというふうに願っております。  以上が販売部会としての報告書の主な内容でございます。  最後になりますが、今回の法案でございますが、この私どもがまとめました報告書、あるいはその報告書を作る過程での部会議論の結果を十分に踏まえたものになっていると私は思います。医薬品の本質として、効能効果だけではなくて副作用などのリスクを併せ持つものでありますから、適切な情報提供が伴ってこそ真にその医薬品は安全で有効なものとなります。  今回の法案は、国民の目線に立って、医薬品の適正な使用に資するよう専門家による情報提供が行われる、いわゆる実効性のある体制整備しようというものでございまして、現在の販売在り方をより良い方向に変えるまず第一ステップということになると考えております。  部会報告書をまとめた責任者といたしましては、是非、今回の法案をできるだけ早く成立させていただきまして、より良い方向に一日も早く動き出すようにというふうに願っておりますことを申し上げまして、私の陳述を終わりにさせていただきます。
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  次に、佐藤参考人、よろしくお願いいたします。佐藤参考人
  5. 佐藤光源

    参考人佐藤光源君) 東北福祉大学大学院精神医学講座教授をしておりまして、東北大学名誉教授佐藤光源でございます。  本日は、参考人として参議院のこの厚生労働委員会出席し、薬事法改正法案に関する意見を申し述べる機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。  私は、本法案に賛成でございまして、本法案違法ドラッグ規制に関する部分が一日も早く施行されることを願っているものでございます。  私は、平成十七年二月から十一月に掛けて六回にわたって開催されました脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会の座長を務めました。この検討会には、私のような精神医学専門家に加えまして、法律薬学専門家、あるいはマスコミ関係者薬物乱用防止現場で活躍しておられる高等学校の先生、さらに県の薬務課の課長さんなどが参加されておりまして、違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグ現状やその特徴を踏まえながら、その規制方法や効果的な啓発活動に関して様々な角度から議論を重ねてまいりました。この議論の成果は本検討会提言として公表されております。お手元薬事法の一部改正をする法律案参考資料の五十四ページに収められております。  本日は、この検討会での議論を踏まえまして、今回の薬事法改正について意見を申し述べたいと思っております。  違法ドラッグ麻薬指定されていないので、脱法ドラッグあるいは合法ドラッグなどと称せられ、多幸感を高める、あるいは幻覚を生じるものとして、インターネット上やあるいはアダルトショップなどで半ば公然と販売されております。その現状はこの参考資料の百二十三ページにございます。その有害性は、麻薬と類似していることが疑われるのでありますが、まだそれを立証できていないという段階にあるもので、麻薬等指定して取り締まることができないという現状にあるわけです。  違法ドラッグ乱用は、近年、青少年中心に拡大しつつあると言われておりまして、死亡事故を含む健康被害も発生しております。この違法ドラッグ使用をきっかけに麻薬覚せい剤等使用に移行してしまう乱用者の例も報告されております。  WHOが発行いたしました二〇〇一年の、つまりワールド・ヘルス・レポート二〇〇一という世界保健報告によりますと、精神作用物質、例えば麻薬やアルコール、たばこなどでございますが、その使用による精神及び行動障害というのは、HIV、エイズ、あるいは結核等と並んで国民健康寿命を損なう原因疾患の上位にランクされております。薬物乱用精神をむしばみ、長期にわたる障害や後遺症を引き起こすのでございます。  薬物依存症の治療にかかわる者としまして、乱用薬物対策重要性は幾ら強調してもし過ぎるということはございません。例えば、覚せい剤大変依存性の強い物質であります。依存を起こしますので、延々と乱用してしまう。そういう長期乱用の中で次第に幻覚や妄想を起こすようになり、現実見当あるいは現実認識が非常に悪くなる。誤った現実認識の下で行動いたしますから、犯罪や反社会的な行動に結び付いてしまうという恐ろしいプロセスが生じるのでございます。  違法ドラッグにつきましては、まだ覚せい剤ほどの被害報告はございませんが、既に精神医学関係学術誌や学会で急性中毒の症例が報告されております。違法ドラッグ問題が深刻化して手に負えなくなってしまわないうちに、早急に対策を講じるべきであります。その意味で、今回の法改正によってこれに関する規制を新たに設けるということは誠に時宜を得たものと考えております。  検討会結論というのは参考資料の五十三ページから六十一ページにございますが、特に重要と考えられる点を抜き出しにして御紹介をしたいと思います。  まず最初に、違法ドラッグ規制麻薬及び向精神薬取締法薬事法のどちらに入れるべきかということであります。つまり、麻向法か薬事法か、どちらで対応するかということであります。  これにつきましては、検討会でも種々の意見が提出されました。麻薬及び向精神薬取締法では、麻薬等指定された物質について厳しく取り締まることができますが、指定に当たっては、当該物質有害性、つまり依存性精神毒性等でございますが、これを立証する必要がございます。その立証のために指定までの時間が掛かるということがありまして、含有成分の異なる製品が次々と出現している違法ドラッグ現状において、機動的にこれを規制することが困難なわけでございます。  その点、まず第一に、違法ドラッグを無承認無許可医薬品として取締りを行ってきた従来の方法一貫性が保てるということ、それから第二に、目的規制体系により迅速かつ広範な規制を行えるということ、それから第三に、有害性が明らかになった場合でも、多くの場合はその有害性は向精神薬よりも少ない現状にありますので、向精神薬よりも軽い規制が適当なことなどから、薬事法による規制がより適当というふうに判断したわけであります。  なお、申すまでもありませんが、違法ドラッグ含有成分麻薬や向精神薬指定するほどの有害性があると立証された場合には、その時点で麻薬等指定し、厳しく規制するということでございます。そのために、違法ドラッグ成分有害性を積極的に調査することも検討会から提言されております。この三月末にも、厚生労働省の御尽力で、新たに三物質違法ドラッグ成分麻薬指定されたと伺っております。  それでは、薬事法体系の中でこのような違法ドラッグ規制をどのように組み込めばよいのかということが議論されたわけでございます。  薬事法では、人体に影響を及ぼすことを目的とするものを医薬品として取り締まることが可能でございます。これまで違法ドラッグ規制はこの薬事法に基づいて行われてきました。しかしながら、違法ドラッグの多くはビデオクリーナーとかあるいは研究試薬等と用途が偽装されておりますので、特に現場からは、目的にのみ着目した取締りではなかなか実効は上がらないという問題がございました。また、個人が外国から直接購入するという個人輸入規制する仕組みを持たないという問題もございました。  そこで、これらの問題を改善するために、第一に、違法ドラッグ成分をあらかじめ指定し、それを明示して、違法な成分が含まれているものを規制対象にするという根拠の明確化を行う。第二に、そのような成分が含まれていることが疑われる製品についても検査を命じ、その検査の間は流通を一時的に止める措置をする。そうすることで、規制できないでいるうちに売られている、健康被害を引き起こすような事態というのを避けるようにする。第三に、さらに、違法ドラッグについてはその販売等だけでなく個人輸入についても規制を行うという内容法的整備をすることが提言されました。  今回の改正法案は、この提言の趣旨を十分に反映するものとなっております。  なお、違法ドラッグ取締り啓発を効果的に行うためには、麻薬のように、その所持使用を禁じるべきではないかという議論検討会においてもございました。これにつきましては、薬事法の下でも違法ドラッグ販売使用目的での所持は禁止できること、それから、現時点麻薬相当有害性が立証されたとは言えない違法ドラッグについて個人的な使用やそのための所持まで規制するということは、有害性程度に応じた規制の均衡という視点からは困難であると考えられること、さらに、流通段階規制取締りの強化をすることにより興味本位やあるいはむしろ無規範考えによる違法ドラッグの入手や使用は相当程度抑制できると考えられるようなことから、現時点で直ちに法的な措置として必要だという結論には至りませんでした。  三つ目に、法律整備だけでは違法ドラッグ対策としては十分でないということがあります。  検討会では、法律整備のほかに、青少年違法ドラッグ乱用させないための啓発活動やあるいはインターネットを用いた不正な販売の監視に力を入れるべきだということが提言されました。特に啓発活動は重要でございまして、小学校から高校にかけての教育現場やあるいは地域社会において、違法ドラッグだけでなく広く薬物一般乱用に関する正しい知識や規範意識を根付かせることを第一とし、教育的な視点からの啓発を継続的に行う必要があると、そのための体制を整えるべきであるということも提言いたしました。また、違法ドラッグインターネット上で販売広告、宣伝されていることが多いわけでございまして、インターネットは、その手軽さや匿名性等の特性から、青少年違法ドラッグを安易に入手する手段として使われることが予想されます。国や都道府県がその監視を強化して、違法ドラッグの入手機会を減少させるように努めるべきであるということも提言いたしました。  最後に、今後、違法ドラッグ成分を速やかに指定して、また関係機関の緊密な連携の下で円滑にこの規制を実施し、関係ドラッグが青少年にこれ以上の害毒を、害悪を及ぼさないように努力いただきますようにお願いいたしまして、私の意見陳述とさしていただきます。  どうも御清聴ありがとうございました。
  6. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  次に、海老原参考人にお願いいたします。海老原参考人
  7. 海老原格

    参考人海老原格君) このような場で参考意見を述べさしてもらう機会をいただきまして、大変感謝しております。  私の範囲は、今、佐藤先生のところと違いまして、大衆薬との関係ということに絞ってお話をさせていただきたいと思っています。  今回の薬事法改正内容でございますけれども、基本的に、今よりはるかに進んでいるということで、結構なことではないかというふうに思っております。  まず、お手元に資料がございますので、これに沿ってちょっとお話をさせていただきますけれども、まず、一般の人と一般用医薬品との関係ということでアンケート結果の結果をここにお示ししてありますので、ごく一部ですけれども、お示ししてありますので、これをイントロダクションとしてお話しさせていただければと思っております。  まず、一番目と二番目、(1)、(2)は、くすり適正使用協議会として去年の十月に千六百人強の人を対象にいたしましてアンケートした結果の中から持ってきたものでございます。  まず、一般の人が軽い病気にかかったらどうするのかということなんですけれども、六〇%の人は大体大衆薬というか一般用医薬品を飲んで様子を見るということでございまして、六年前の同じようなアンケート調査がありますけれども、それと何ら変わっておりません。ずうっとこのままです。  それから二番目の、一般用医薬品によります副作用の経験でございますけれども、一六%の人が一般用医薬品副作用を経験したというふうに答えております。ただ、その中身は、重たいものはなかったということでございます。  こういう副作用に、経験した後どうするのかということを聞いてみますと、飲むのをやめるというのが六四%、それから医師に相談をするが三四%、これはマルチプルアンサーなので足しても一〇〇になりませんけれども、それから家族・知人に相談するというのが一八%、それから薬剤師相談するというのはずっと低くて一〇%ということでございます。ただ、この一〇%の内訳も、男性の方が女性よりも相談する割合は高いんです。  それから、(3)でございますけれども、これは大学の方でのアンケート調査の結果であります。去年の六月から七月にかけまして、薬局で一般の人が一般用医薬品を買うときの場合、そのときのアンケートでございます。七百三十一人に聞いてあります。  この一般用医薬品を買う場合、七九・三%、ほぼ八割の人は指名買いをすると、自分で決めて買うと、こういう状況になります。それは、そのように最大の要因と書いてありますけれども外箱表示を見てと、こういうのが圧倒的でございます。そのほかに、店頭の表示、それからブランドを信頼する、それから効き目がいいというふうに判断をすると、こういうのが続いております。  それから、購入した人の五九%の人は外箱表示を読みます。その半数以上は、読んだ結果、非常に役に立ったというふうに答えております。  ただ、外箱表示で重視される項目というのは、効き目、これが圧倒的でございまして八三・四%、それから用法用量が四六・二%とがたっと落ちますんですが、それからメーカー名が三一・四、成分が二七・七、使用上の注意が二〇・四ということでございますので、これをこのまま見ますと、安全性については余り見ていないんだなということが分かります。  それで、ここには書いてございませんけれども、同じアンケートの中では、副作用が発生した場合にはどこに相談をしますかという質問もあります。そうしますと、医師というのが半数以上で五二・六%です。それから次が薬剤師で二一・九%ということで、あとは家族、友人、それからメーカーという形になりますけれども、圧倒的に相談をしたいというのはお医者さんであります。  しかし、現実の一般人の行動というのは、何か薬に関する情報が欲しいなと思うと薬局の薬剤師さんを利用するという、そういう現実があります。統計的に見ますと、七四%、大体四分の三の人が薬局の薬剤師を利用するということでありまして、この点は、医師に対しては、この七四・二%に対応する医師は四七・六でございますので、圧倒的に薬剤師さんを利用しているなということが分かるんです。  しかし、今申し上げましたように、副作用が発生したらまずお医者さんのところへ行くということで、どうも副作用の情報の管理というのが一元化されていないというような形になるのではないかと思っております。  今回の薬事法改正の中身を見ておりますと、まず、私自身が一般の人となって病気になったと、軽い病気になったということでお店に行くというと、まず外側に何か、薬局でどんな人が働いているのかというようなことも分かるような表示がある、それから中に入って、陳列の状況、これもそれぞれ第一類、第二類、第三類ごとに分けてある、それから実際にその専門家なのかどうかということが分かるようなこともできているということですので、システム的には非常に、頭の中でイメージすると非常にいいのかなというふうに思ってはおります。  ここに、二番の一般人が安心できる医薬品ということでまとめてございますけれども、まずそういう医薬品というのはどういう要件があるかということでまとめてみたものであります。  一般人が信頼感を持って購入できる環境整備と。今イメージした話をしましたんですけれども、薬局の中身はどうなんだ、どんな人が働いているのか、どんなふうな陳列になっているかというのが分かるということも、非常にこれは整備されることが大切だということ。それから、専門家から個々の一般人の状況に対応した情報が示されるということ。そして、その示された情報でその当人、一般人が納得ができると。そして、買っていって自分が飲んだ後、何か体に不都合が生じた場合に気軽に相談できるということが分かる、又は相談に応じてくれるという、そういうことで初めて安心できる一般用医薬品なのではないかと。幾つかの要素が絡まって、初めてこういう安心できる一般用医薬品というのは存在するのではないかというふうに思っています。  特にこの中で私自身が注目しておりますのは情報、それから情報を提供するそういう人がどうなのかということではないかと、自分自身はそう思っております。  先ほどもお話がありましたように、医薬品というのは普通、物と違うところの点というのは、物プラス情報、もう一つ付け加えて言う方もいらっしゃいます、倫理観だという話がございます。医薬品というのは病人の方又は買いに来る購入者の方のために存在するのであって、その利便性のためにどういう医薬品を提供し、どういう情報を提供するかということが決まってくるということでありますので、どうしても情報ということは一番の最大関心事であります。  一般用医薬品につきましても、当然品質とそれから当該医薬品を用いたときの効き目と副作用に関する情報、これは使った後どんなことが起きたかという、そういう情報収集も含めて考えておりますけれども、そういったものについて絶えず整備しておくということ。そして、そういうものを基にして、ここに書いてありますように、エビデンスベーストといいましょうか、根拠がある説明をしていくということが大切ではないかと思っているわけです。  情報につきましては、一般用医薬品につきましては基本的に有効成分が複数あります。これがお医者さんの薬と違うところでありますが、ややもしますと、入っている個々の成分に着目をしたリスク分類ということはあり得ると思うんですけれども、それだけでは不十分で、やはり全体として一般用医薬品を使ったときの情報、こういうものを是非収集をする、又はそれを製造する企業の方で情報提供をするということが必要ではないかというふうに思っていますし、それからもう一つ、同じ成分一般用医薬品にもあると同時にお医者さんの薬の中にもあるとすれば、お医者さんの薬の方で何か副作用等の問題が起きたときには、それはすぐそれを含んだ一般用医薬品の方にも反映させるということは必要ではないかと、特に副作用の点は非常に問題ですので、そういうふうに思っております。  それから、情報を提供する側でございますけれども、情報をこれは知識として持っているだけでは全く意味がないわけで、それをどういうふうに活用していくか。個々の一般人にふさわしいものにして提供していくという、こういう技量が必要ではないかというふうに思っているわけです。単に情報だけ知っててどうなのかという話になりますと、それだと情報は生きてこないんじゃないかと思います。  例えば、一つの例として水虫、先生方には水虫にかかった方いらっしゃるかもしれませんけれども、水虫には幾つかの系統があるんですね、三種類ぐらいあります。指間型とか小水疱型とか角質増殖型と、こういうのがありますけれども、それぞれに対応する一般用医薬品というのはあるわけで、これを間違ってしまいますと治らない。せっかくいい薬だとしても、結果的には効かなかったということになってしまう。それはどうしてかというふうに考えますと、やはり情報を提供する人が買いに来られた人の状況を判断できるということも必要ではないかというふうに思っているわけです。  それからもう一点、一般の人というのは専門家と違いまして結構、用語ですね、テクニカルタームといいましょうか、そういう用語が分からない、特に副作用については分からないと思うんです。ですから、その中身を提供する専門家自身が正しく理解をして、それを一般人にとって平滑かつ分かりやすい言葉で提供をする、すなわち専門家と一般の人が情報を共有すると、こういう姿勢が求められるのではないかというふうに思っております。  さらにこれに、2)にありますように、情報の提供者は、その資質として、情報を十分に理解して、目の前の買いに来られた方の身体的、精神的な状況をある程度判断できるということが必要ではないかというふうに思っております。それともう一つは、やっぱりお客様と売る側ということでございますから、お互いのコミュニケーションがきちんと取れるということが必要ではないかというふうに思っております。  一般の人は、コミュニケーションに役立つと、例えば薬剤師さんとのコミュニケーションに役立つとして挙げております項目に、副作用可能性というのがあります。副作用可能性がこんなようにありますよということが非常に役に立ったと、こういう評価であります。特に、重篤度の高い副作用につきましては、一般人に、買いに来られた方に購入時によく説明をして予防型安全対策に役立てるという、そういうスタンスが必要ではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、情報をいつもきちんと最新なものを用意するということと、これは基本的にはデータベース化する必要があると思いますけれども、そういう情報をきちんと持つということと、それからそれを提供する人の資質ということ、これは薬剤師さん、それから登録販売者と二つになるわけでございますけれども、余り、この情報の提供者の中身とか質といいましょうか、そういったものは余り差があってはまずいのではないかというふうに思っておりますので、これはできるだけその差が縮まるような形にしていただきたいと思っています。  特に、一般の人はよく分からないんですよね、本当の意味薬剤師さんなのか、まあ今の時点かもしれませんけれども登録販売者なのかというのがよく区別が付きません。一緒じゃないか、専門家じゃないかというふうに思っておりますので、それがこの法律が通った後何か随分差があるようなことになってしまいますと非常に具合が悪いということになるので、そういった点を踏まえて、やはり資質という点をもっともっと重視していただければなというふうに思っております。  それから、もうちょっと時間いただきますが、その他といたしまして、健康に直接に関係する医薬品につきまして、今回の薬事法改正では、その適正使用を一般人に啓発普及するということを義務化というか努力義務にしておりますけれども、非常にいいことではないかというふうに思っております。私どもくすり適正使用協議会といたしましては、従来からこの薬の適正使用と、その名のとおりそれをいかに推進するかということをやっておりますので、その後ろ押しということになって非常に感激していると言ってもいいと思いますが。  もう一つ、ちょっとこれに付言させていただきますと、やはり大人になってからいろんな情報を得るよりも、やっぱり若いときから、ここに書いてございますように、健康を守る本質的な要因というのはやはり若年からの生活の行為と習慣を通して築かれます個人の責任の自覚ということがありますので、若年から、若いときからやはり薬の何たるかということを是非学んでいただくような、そういう啓発普及活動を是非その中に盛り込んでいただければ有り難いなというふうに思っております。  以上、私の方、大体申し上げたいことは、情報と情報提供する側。それからもう一つだけ、外箱の話を……
  8. 山下英利

    委員長山下英利君) 時間が来ておりますので。
  9. 海老原格

    参考人海老原格君) はい。  外箱の話をいたしましたんですけれども、まず一般の人は外箱で判断をするということでございますので、外箱のこれからどういう表示をするかというのを含めて、そこについても重点を置いてほしいなと思っております。  以上でございます。ありがとうございました。
  10. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  次に、花井参考人にお願いいたします。花井参考人
  11. 花井十伍

    参考人花井十伍君) 私は、全国薬害被害者団体連絡協議会、略称薬被連ですけれども、の代表世話人をやっております花井といいます。  本日は、このような場で私たちの意見を申し述べる機会を与えていただきまして、本当に感謝いたします。  私の方から資料は二部でございます。一部目は、タイトルが「薬事法の一部を改正する法律に対する私たちの主張」という二枚物でございます。それからもう一枚は、薬害根絶、誓いの碑の写真でございます。  最初に、私どもの薬被連という団体について若干紹介させていただきます。  この薬被連という団体は、実は、その二枚組資料の一ページ目にございますとおり、十一の団体、九薬害によって、これ当事者のみの団体によって構成される協議会であります。したがいまして、このメンバーはすべて薬害被害に遭った当事者だけであります。この団体、九薬害十一団体の、薬害を二度と起こしてほしくないという、そういう思いを今日は皆さんに御理解いただければと思いましてやってまいりました。よろしくお願いいたします。  では、私どもの用意した資料でございますけれども、一番目から順番にお話ししていきたいとは思いますが、まず一番目ですが、これは今申し上げたとおり、私たちは、私たちが受けた被害、こうしたものがもう二度と起こってほしくないと、この一点につきまして一緒にやろうよということで結成されたわけであります。したがいまして、私たちの願いは薬害根絶と、ほかは何もないわけであります。この辺を御理解いただきたいと思います。  それから、二番目でございますが、これはもう先生方十分御存じのことなんですが、医薬品というのは一般の商品とは違うんだというところであります。一般の商品であれば、まあ売れれば売れるほどいい場合もあるわけですが、医薬品は、用法用量を決めた上で、有効性が安全性を上回った、そのリスクベネフィットを考量して、上回ったときのみ国が認可するという形になっているわけであります。  これは薬事法という、今審議されている法律で定まっているわけですが、やはりこの薬事法というものは実はこの薬害被害とともに歩んできたと言っても過言ではありません。特に、一九七九年の改正におきましては、スモン被害者の方々が全国運動をしまして、この救済法とともに薬事二法の改正というものをかち取っていったという歴史もあります。したがいまして、私どもからいえば、やはり薬事法がアップデートしていくときというのはだれかが悲しい目に遭ったときと。近いところでは、血液関連法案が、前回の薬事法改正ですけども、これもやはり、薬害エイズ、私もその被害者の一人でありますが、血液の安全性を確保するということで特生物という規定を置いたのもそういった薬害被害を踏まえたものであります。  したがいまして、今回の法律に関しましても、厚生労働省がこのような被害、教訓をどのように受け止めているかということが正にこの法律評価を分かつというふうに考えております。  これはお手元に配りしました二枚目の資料でありますが、これは誓いの碑であります。これは厚生労働省の正門の前、菅直人大臣のときにお話しして構想されまして、小泉純一郎大臣が決断されまして、そして宮下創平大臣が除幕したという、言わばここにおられる先生方の党、もう党を超えたそういう人たち、大臣と一緒に話し合ってやっと建立されたわけであります。  限られた時間ですけど、この碑文は読ませていただきます。「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」、こう書いてあります。これはもちろん厚生省がこのように書いているわけであります。  したがいまして、こうした精神、碑に刻まれた精神がいかにこの制度に反映しているかということを私どもはこの法律評価とするわけであります。  さて、その三番目でございますけれども、先ほどから参考人の先生方がある程度評価されているとおり、私どもも、この検討会、一年半の間一緒にずっとこれを見てきましたし、私どもの仲間も委員に加わっております。この検討会においてこの報告書をまとめるまでの数々の困難、又はそこにかかわった行政官ですね、現場の行政官ですね、この方々の苦労というのは私ども目の当たりにしております。正にこれは業とともにこの業を規制する法律ですので、やはり安全性、それから経済的な問題、そういったことも含めてそこで合意を得なきゃいけないと。もう幾多の困難を乗り越えていると、そういう意味におきましては、今日来られている先生方やまたそこにかかわった人たちの努力というのを本当に私ども評価しております。行政官の中にはもう正に体を張ってまでこれをまとめようとしているというふうに思うわけであります。  さて、では四番目ですが、じゃこの法律ですけれども一つだけやっぱり重大な懸念があるわけであります。これは昨日も先生方が議論されていた部分でありますが、配置販売業経過措置であります。  経過措置につきましては、もちろんいろいろな大改正の場合には経過措置がとられるということは私どもも理解するところでありますし、さらには、やはり一生懸命その業務をして生活をしている方々の生存というものも非常に大事だというふうに理解しておるので、経過措置そのものについては決して反対するものではございませんが、問題はこれが無期限であるという点でございます。  資料の二枚目の一番上にございますけれども、実は、この経過措置において無期限で販売可能な二百七十品目の配置販売医薬品、この中には、検討会で非常にリスクが高いと、二類の中でもリスクが高いとされている物質、括弧で例を挙げてございますけれども、燐酸ジヒドロコデイン若しくはエテンザミドなどという成分が含まれているわけであります。これは言わば二重基準ということになりますので、結果的にはダブルスタンダードがずっと残ってしまうというところが一体大丈夫なんでしょうかというところが非常に私どもは懸念を持っているわけであります。  私ども、もしこのダブルスタンダードが固定して、せっかくリスク分類をしたものが、このもう一つの基準が永続的にいくということになりますと、これはやはり、スモン被害やサリドマイド等いわゆる一般薬で被害に遭った被害者の思いからすれば、これはもう暴挙であると言わざるを得ないということでございます。  次、五ですけれども厚生科学審議会医薬品販売制度検討部会、これによっていろいろ議論されたわけでございますけれども、この中で幾つか省令によって定めようという部分があるわけでございます。  特に、第二分類分類されているものに関しましては、一般用医薬品全体四百八十五成分のうち四百七十四成分、要するにほとんどであるわけであります。こういった成分について、余り広くしますと、その販売形態が一般化すれば、さきの旧薬事法においても基本的には対面販売が要請されていたにもかかわらず、事実上それが遵守されないという実態を生み出してしまったということから考えまするに、やはり重点化した上でその情報提供相談応需若しくは陳列方法というのを定めましょうとしたのが本法であります。したがいまして、第二分類につきましても、本来ならばこの検討部会報告書内容どおり、原則オーバー・ザ・カウンター、OTCに準じた形で販売されることが望ましいというふうに私ども考えているわけですが、特にこのアスタリスクが付いた品目についてはやはり何らかの施策が必要ではないかと考えているわけであります。  これは、もしこの法律が成立しましたらまた行政官がそのルールを定めるということにはなるとは思いますけれども、そのルールにつきましては、先ほどから申し上げているとおり、幾ら法律を作ってもその実効性が担保されなければ何もなりませんから、厳格にここを規定していただきたいということを願っているわけであります。  それから、次の六番目でございますけれども、先ほどから言われているとおり、消費者にとって分かりやすい分類、つまり私どもまた先生方は、今正にこの当該法律のことを担当している者にとってはこの一類、二類、三類ということはもう自明なわけでございますけれども、やはり多くの消費者からすれば、この一類、二類、三類という新しい分類とそれに対応した専門家というこの新制度が、正に一般医薬品を使う国民の文化ですね、文化の中でこの安全性それから有効性を十分考慮して、先ほどからセルフメディケーションという横文字が使われておりますけれども、使われるという形を担保するためにはやはりこの表示在り方というのは非常に重要であります。この表示在り方につきましては、やはりもう一般消費者がすぐ分かるような形の表示というのを是非是非お願いいたしたいというふうに考えております。  さらに、この六番目において強調しておきたい点は、実は我が国には医薬品副作用被害救済基金という、世界でもまれに見るというふうに国も自慢をする制度があるわけであります。この制度におきまして、無過失であり、かつ無欠陥である、こういう医薬品によって不幸に副作用被害に遭った方に対して救済されるという枠組みがあるわけでございます。  しかしながら、この救済制度は、先ほど、スモンの運動によってかち取られた制度でありますが、長らく多くの国民にとって周知されない制度となっておりました。申請件数もなかなか伸びないまま推移しておりました。しかしながら、医薬品医療機器総合機構、こういう独立行政法人の設立を機にこの制度を周知徹底していこうという機運が高まりまして、かなり周知徹底をしてきたわけです。ここ一、二年でかなりの申請件数は増えてきているものの、まだまだ多くの国民は実はこんなすばらしい制度があるということを知らないでおるわけであります。  今回、せっかく表示ということを考えるんであれば、正に製薬メーカーがこの医薬品副作用被害救済制度の案内を、例えば文書を同封するなどしていただければ、一気に国民に周知が図れるというふうに考えております。この点につきましてさきに何人かの行政官に意見を聞きましたところ、添付文書自体は法律によって厳格に規定されているものの、中にそういう案内を業たる業者が入れることは妨げないんだと、だから、もし業者がよければそれはいいことだというふうに何人かの行政官が言っていたので、私は、ああこれはすばらしいということを思いましてここに載せているわけであります。是非、この点につきましては、正に先生方のお力があれば十分実現可能な点だと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、七番目でございますけれども、これはインターネット販売であります。  インターネット販売に関しましては、本法においてあえてインターネットという言葉は使っておりませんが、実は、陳列方法相談応需情報提供、そういった規定によっては、素直に法律案を読めばインターネット販売は不可能というふうに読めるのですけれども、どうも一番軽い、副作用が、危険性が低いというふうに言われている三類ぐらいは認めてもいいんじゃないかということが言われているようですけれども、特に一類、二類をやっぱりインターネットで買いたいという、まあ消費者のニーズというと消費者のニーズになってしまうんですが、売りたいという業者がおるわけです。  これ、一類、二類をもしインターネットで売ってしまいますと、今回の法律は台なしになるわけであります。相談応需若しくは情報提供ということはもう全部無効化してしまいますので、これではもう大変なことになってしまいます。したがいまして、これをどのような形で今回の法律の政省令で定めるかというのは正に行政官の腕の見せどころだとは思いますけれども、やはりこの一類、二類のインターネット販売ということは断固としてできない体制を取っていただきたいと考えております。  それから、最後になりますけれども、昨日これは先生が質問された中にも出ておったわけですが、せっかく法律を作りました。で、厚生労働省の医薬食品局の業務というのは警察行政でございます。国民の命を守る薬の番人というふうな位置付けで、その法律薬事法と。  実は、旧法におきましてもこの販売形態については十分取り締まる余地があったわけですが、旧法が最大の問題だったのは、脱法的販売が事実上野放しになったということにあると思います。したがいまして、今回法律でかなり厳格に定められれば取り締まりやすくはなると思いますが、その取り締まる側の体制の脆弱さというのは、これはまだ隠し切れないわけであります。本法ができてもその脆弱な体制はそのままになるということになります。こうなりますと、せっかく法律は作っても、制限速度を守らない者をだれも取り締まらなければ、これは法がないも同然になってしまいます。したがいまして、この取締り体制ということは重要ですので、もう必ず強化をしていただきたい。  さらには、相談窓口と取締り体制を連携させるということは非常に重要かと思います。これは医療法の議論の中でも一部されていることですので、是非この薬事法に関する取締りに関しましてもこの辺を十分考慮して、やはり強力な取締り体制を取ってこの新しい規定が実効たらしめるような形にしていただきたいと、このように思います。  私ども意見は以上でございます。ありがとうございます。
  12. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑の時間が限られておりますので、参考人方々には簡潔な御答弁をよろしくお願い申し上げます。  また、委員長の指名を受けてから御発言をいただきますようによろしくお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 西島英利

    ○西島英利君 本日は、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。  座ってでようございますですかね、委員長。座ってでようございますか。
  14. 山下英利

    委員長山下英利君) どうぞ座ったままで結構です。
  15. 西島英利

    ○西島英利君 はい、ありがとうございます。  幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、まず井村参考人に幾つか御質問させていただきたいと思うんですが、これから先、町の薬局で様々な一般医薬品として薬が売られることになって、これが推進されるだろうというふうに思っておりますけれども、もう一つは、医療用医薬品が一般医薬品という形で、これも町の中で売られるようになってくると。こういう中で、一つには、よく昔から言われているんですけれども、診断が必要な場合には、これは当然医師の役割でそれをやらなきゃいけないと思うんですが、しかし、薬剤師さんなんかの専門家のアドバイス、これ正しく使えば、これは薬というのは非常に効果を現すわけでございます。  ただ、そのときに非常に重要な問題は、これは医者に掛かった方がいいよというふうな受診勧奨を直接に行っていくためにはどのような薬剤師さんの質というものが必要なのかどうか。今回のこの改正がそういうことに役立つのかどうかということを是非お聞かせいただきたいと思います。  今回の改正の中に、都道府県試験という形で、薬剤師と別な新たな専門家というものもこういうお薬が売れるようになるわけでございますので、そういうところに何か問題があれば是非お教えいただきたいなというふうに思います。  そしてもう一つが、第一類医薬品として位置付けられているもの、これはもう、今回はもう薬剤師さんが説明義務を負って書面で説明するということで、かなり状況としては厳しくなるわけでございますけれども一つの問題は、私も実は日本医師会の常任理事をしておりましたので、そのときにこういうものにかかわったわけでございますが、医療用医薬品から一般医薬品にスイッチする場合に、その医療用医薬品はある程度リスクがあるのでオーバーカウンターと。つまり、カウンターの後ろ側に置いて、直接買いに来られた方々の手に触れないような状況でというのが盛んに私は議論されたように思うんですけれども、今回、そのオーバーカウンターというこの言葉が厳密になられない状況のような気がするんですが、そこに何か一つ問題がないだろうかということを是非お教えいただきたいなというふうに思います。  そして、今回のように、この第一類医薬品、これが有効性と安全性のバランスということから、安全又は正しくその効果のある医薬品が使えるような状態になるのかどうか。これはもう簡単で結構でございますので、是非お聞かせいただきたいというふうに思います。  三番目でございますが、薬剤師試験を受けるためには、今までの四年制から六年制という形にこれはなります。この六年制になることによって薬剤師方々の役割というのは大きくやっぱり変わってくるだろうというふうに思うわけでございますけれども、この新しい役割を負っていくための、何といいますか、この六年制というのがどれだけ役立つようになるのか、役立つためにはどういうような内容のカリキュラムで教育しなきゃいけないのかと。これはもうできた問題でございますから、先生のお考えで結構でございます。  それはどうしてかといいますと、この中には臨床実習というのが当然入ってまいります。そのときに、私のこれは感じでございますけれども、いろんな添付文書を見てますと、いろんな俗に言う副作用というふうに一杯書いてございますが、その副作用の、言葉としてはお分かりになっていますけれども、実際それがどういうような状態なのかというのを本当に理解されているかどうか、ここにやっぱり大きな問題があるだろうと思うんですね。ですから、それを理解してもらうためにはどのようなことが必要なのかなということを、これは私見で結構でございますので、是非お教えいただきたいというふうに思います。  それから、佐藤参考人にお伺いいたしますが、佐藤先生は前から覚せい剤等々はもう非常に専門家でいらっしゃいます。今回、俗に言う、前から言われました麻薬とか覚せい剤、これは麻薬及び向精神薬の取締法等で取り締まられるわけでございますけれども、今回の改正では指定薬物という形で取り締まられることになるわけでございますが、この違法ドラッグがやはり覚せい剤予備軍的になっていくんじゃないかなと。ですから、やはりかなり深刻な問題であろうと私自身は考えているわけでございます。  ですから、そういう意味で、このレベルの規制で十分なのかどうか。先ほど佐藤先生のお話をお聞きしますと、検討会の御意見として先生おっしゃったように思います。ですから、佐藤先生個人専門家としての御意見をお聞かせいただければなというふうに思います。  と同時に、この違法ドラッグというのが、先ほど、まだいろんな副作用も含めた症例がそんなにないからということでございましたけれども、本当に麻薬、ヘロインとか大麻、LSDなどと違うとお考えになっているかどうか。今回の改正がそういう意味で、もし違うんであれば、この違法ドラッグ等の規制との関係において今回の規制がどれだけ役立つのかどうか。そういうことも是非お教えいただきたいというふうに思います。  取りあえずは、その二つをお二人に質問させていただきます。
  16. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 幾つか御質問がございましたんで、もし私が取り違えていたら御訂正いただきたいんですが。  まず、今回この法案でつくろうとしております専門家が本当に役立つかという、そういう御質問だったような気がいたしますけれども、大変シンプルに答えさせていただきますと、役立つためにそういう専門家をつくるということでございますので、十分役立ってほしいと思っております。そのつもりで専門家を規定しております。  それから、A類、つまり第一類の薬の取扱いでございますが、販売員のですね、これはオーバー・ザ・カウンターということに是非してもらいたいという、そういう考え方でございますので、二類、三類の場合にはいろいろとまた意見もございますでしょうけど、A類の場合には是非そのようにしたいということでございます。  それから三つ目は、薬剤師の何といいますか、これからの役割というようなこと、それから、薬剤師が問題となるとすれば、実際に副作用について説明はするけれども、その副作用の実態といいますか、その症状を知らないだろうという御懸念だろうと思います。その三番目につきましては、この部会とは余り関係がございませんので、私の私見を述べさせていただくことにいたします。  私も、薬学、特に薬剤師を養成するための薬学の課程を六年にするというところでは、かなり巻き込まれまして、いろいろと議論をしてきたわけでありますけれども、なぜ六年になったかというと、正に今、西島委員がおっしゃいましたように、もっと病気の本態でありますとかいわゆる病態生理でありますとか、そういったようなものについての知識を薬剤師が持つべきだという、そういう考え方が非常に強くなってきたと。それを持たなければ、この高度な医療の技術、知識が普及している世の中で薬剤師としてのその責任が果たせないんじゃないかという、そういう考え方が強くなったので、そこで、それじゃどういうことが実際にカリキュラム上必要なのかということを議論いたしまして、そこででき上がってきたのが、さっきちょっとお話に出ましたモデル・コアカリキュラムでございます。これを履修いたしますと、薬剤師は病棟で少なくとも二・五か月の病院の実習が課せられておりますので、かなりの病棟経験を積むことができるだろうと思います。そこで副作用の実態というようなものも実際に見ることができると。ものから読むんじゃなくて実際に見ることができるという経験を積めるだろうと期待しておりますので、相当改善されると思っております。  そんなところでよろしゅうございますでしょうか。
  17. 佐藤光源

    参考人佐藤光源君) ただいま二点を御指摘いただきましたので、順次お答えしたいと思います。  最初は、より強い有害作用のある麻薬とか覚せい剤乱用依存あるいは覚せい剤精神病というような深刻な事態になる薬物があるわけでございますが、そういった薬物乱用依存の入り口といいますか、ゲートウエードラッグになるんではないかということを御懸念いただいたわけで、これは、私どもも本当にそういう問題意識で、そういう深刻な薬物乱用依存を未然に食い止めるために、ゲートウエードラッグにならないようにという視点から実は検討したわけでございます。  今回は、この法改正が行われますと、まず麻薬覚せい剤と同程度有害性が立証され次第、もう麻薬覚せい剤指定になりまして、そして取締りもし、所持使用もこれ禁止されまして、厳密に対応できる、そういうことでございますし、あるいは有害性に関する科学的な知見が必ずしもはっきりしていないものについても規制の対象にすることができる。それから、乱用目的流通させようとしているものについてはその疑いがあるというだけでもう規制の対象にできる、そういうこと。あるいは、個人輸入を含めたものにも網を掛けられると。ですから、非常に速やかに、機動的に規制を掛けられるという点でゲートウエードラッグになる可能性をかなり抑えることができるというふうに考えております。  それから、個人的な意見からいいますと、御承知のとおり、覚せい剤というのは我が国の主要な乱用薬物であり、違法薬物でありまして、第二次大戦終戦後に市民の間へ放出されて、違法ではないころに物すごい乱用が起こったわけでございます。そういうふうな覚せい剤精神病者が精神病院にあふれたという時代がございました。しかし、そのときはそれが違法だということを、覚取法を制定することによって違法性を周知徹底させるだけでさっとそれが収まったわけですね。これはもう世界じゅう見ても例を見ない効果的なやり方であったわけです。  ところが、一九七〇年ごろから始まっています覚せい剤乱用は、これは悪いことだ、違法だと知りながらやっているものですから、幾ら啓発してもそれがうまくいかない。そういうふうで文化的な背景も、あるいは価値観の違いもありまして、興味本位、あるいは無思慮、無規範な、そういうふうな使い方が青少年の間にはやっている、一種の文化になっている。  これには、やはりこういう脱法ドラッグといってあいまいにほうっておくんではなくて、きちんと違法性を示して、薬物を乱用することの違法性というのをもう一度しっかりと示す必要がある。このことによってゲートウエードラッグとしての可能性を抑えることができる。実際に、有機溶剤乱用というのが、有機溶剤がゲートウエードラッグだったんですが、それが、学校教育での啓発とかそういうことで、数年前に比べると随分減っています。だから、それはやはり違法性の徹底と、これが非常に有効だろう。そういう意味法改正は私は効果的ではないかと思っております。  それから、第二点でありますが、違法ドラッグは本当に麻薬やヘロイン、大麻、LSDなどと異なるのかどうかというようなことでございますが、私は異なるものじゃないと思っております。要するに、麻薬覚せい剤と同程度有害性がある、蓋然性がある、疑いがあると。で、もしそれが立証されればもう、先ほど申しましたように、厳しく取り締まる、立証されなければ薬事法の違法薬として取り締まると。  こういうふうなことでございますので、速やかに対応できるし、それから、そういう同じぐらいの有害性があるかどうかを検証するためにこれを早く手を打つという、そういう法律でございますので、まあ違法ドラッグ規制に役立つんじゃないか、こういうふうに思っております。  よろしゅうございますか。
  18. 西島英利

    ○西島英利君 先生のお話をお聞きしますと、要はこういう形で脱法ドラッグとして指定薬物になった場合には速やかに症例を積極的に集めて、そして問題があるんであれば、これは麻薬覚せい剤等々の取締りの方へこれを移していくということがやっぱり必要だろうというふうに考えでございますね。  それと、もう一つだけお教えいただきたいのは、指定薬物に速やかに指定されると、まあ新たな指定もこれから出てくるだろうと思うんですが、その指定の際にどのような薬物を考えたらいいのか。その指定の薬物の性質をどう評価するのかということになろうかと思うんですが、それもちょっとお教えいただければと思います。
  19. 佐藤光源

    参考人佐藤光源君) どういいますか、違法薬として指定したと、これを直ちに検証を始めるわけであります。つまり、依存性あるいは中枢神経系の興奮抑制作用、あるいはその後遺症、そういったものを動物実験なんかできちんとエビデンスを出す、そして、これは同程度有害性があると立証できた時点で直ちに麻薬指定すると。それから、そうでない、それほどの有害性はないというときは、先ほど申しましたとおり、違法薬として対応していくということであります。ですから、今の話では速やかにそういうふうなエビデンスを出すという、そういう仕組み整備する必要がございまして、それも提言に盛り込んでございます。  それから、第二点の方は……
  20. 西島英利

    ○西島英利君 ちょっとよろしゅうございますか。  つまり、この脱法ドラッグとしての指定薬物という形に、要するに新たにどんどんどんどん出てくるはずでございますから、そのときにどうお考えになるかということです。
  21. 佐藤光源

    参考人佐藤光源君) これは二つございます。一つは、明らかに乱用を目指して発売されているあるいは製造されている、こういう目的がもう乱用以外にないというような場合が一つです。それからもう一点は、先ほどから言いますように、麻薬覚せい剤と同等の有害性が疑われると、その可能性があるというものが規制の対象薬になります。  そういうことでよろしゅうございますか。
  22. 西島英利

    ○西島英利君 是非、こういうものに対しての、また新たな物質指定して云々と、こう指定薬物する場合のガイドライン的なものを是非今後お示しいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。  それからもう一つ、これも結構薬局なんかで販売されているんですが、前は一般用医薬品として扱われていたものがいつからか健康食品という形で扱うようになってきたと。例えば、中国からどんどん輸入されてきましたやせ薬、あれは要するに医薬品としてでなくて健康食品になってしまって、そしてもう死亡事件まで起きたということもございますが、それに対して何か御意見等が、井村参考人、ございましたら、これはなければ結構でございますけど、何かありましたらお教えいただきたいと思います。
  23. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 私にとりましては余り易しい質問ではないんですけども、私の個人的な見解では、それはもちろん薬事法に照らしまして違法なものだというふうに判断されるのは当然だろうと思いますが、大体、余りにも健康食品というものが安易に取り扱われているなというのが個人的な感想でございまして、この辺についてはこれから先かなり注意をしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。
  24. 西島英利

    ○西島英利君 ありがとうございました。  以上でございます。
  25. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  今日は四人の参考人皆さん、ありがとうございました。限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。  最初の質問は、井村参考人海老原参考人に同じ質問をしたいと思います。  一つは、先ほど参考人の方からも御指摘があったんですが、今度三段階リスク評価をして分類をするということなんですけど、これはやや第二段階のところに集中し過ぎてて、何かこう第二段階がもう二つに分かれてもいいような感じが私はちょっと、大変僣越ですけどもするんですね。お尋ねしたいのは、だから、この分類の仕方がこれでよかったのかどうか、再検討の余地はないのかどうか、法律が成立したらもう一度念のため見直してみようというお考えがないのかどうか、これをひとつお尋ねしたい第一点であります。  それから第二点は、販売対応する方、専門家を配置してきちっとリスクコミュニケーションをできるようにしようと。これはそのとおりだと思うんですけど、従来からの薬剤師さんと比べてこの新たに登録される方とのギャップがちょっとあり過ぎるんじゃないかと。どの程度の教育とか前提条件を考えての登録販売員としての専門家なのか。下手をするとどちらにも失礼なことになるのではないか。やっぱり専門家という以上はそれなりの資質をきちっと担保しなければいけないので、そこをどう考えておられるか。これが二つ目。  それから三つ目は、当然これはリスクコミュニケーションのための専門家ですから、事業主ではなくて実際に対面して販売する人、店であれ在宅であれと私は考えるんですが、そういう考え方でよろしいのかどうか。  この三点、それぞれにお尋ねしたいと思います。
  26. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 一番簡単にお答えできることから申し上げますと、専門家というのは確かに対面販売に従事する人間であるということになっておりますので、それは間違いございません。  それから、一番最初の御質問で、三分類したけど二類が多過ぎるんじゃないかというお話でございました。もちろん、部会議論の中ではこの辺につきましてもさんざん議論をいたしました。最終的にああいう形がいいだろうというのが結論でございまして、二類がかなり、種類が二類としては多過ぎるんじゃないかという、先ほどちょっと花井参考人からお話がございました、その二類が四百七十四成分というのはちょっとそれは間違いでございまして、二類は二百成分になっておりますが、確かにそれは多過ぎるという御意見もございました。そこで出てきましたのが、その中でも情報提供が特に求められるものといたしましてアスタリスクが付いている医薬品が選ばれていったわけでございます。  私といたしましては、さんざん議論をした挙げ句の結論でございますので、差し当たってはこれは妥当な結論だろうというふうに信じておりまして、すぐこれが見直しの必要が出てくるとは思っておりませんが、しかし、その議論の中でも出てまいりましたけれども、三類から二類へ、あるいは二類から三類へ、あるいは例えば二類から一類へというような、それは実際に起こってくるいろいろな事象を考え合わせて、移動させることが適当だなんということももちろんあり得ないことではございませんので、その場合にはもちろん見直していかなきゃいけないと、そういうふうに考えております。  それから、専門家のレベルについての御質問がございました。  旧法でございますと、一律に一般用医薬品に関しましても薬剤師情報提供するということが努力義務という格好であったんでございますけれども、それが実態といたしましては実はされていないケースがあるということでございまして、それが問題になって今回の改正の出発点の一つにもなってるんだろうと思います。その点を何とか改善したいということで、そこでリスク分類をまずして、そしてリスク程度に従ってその情報提供程度も変えようと。そうすると、それが実効が出てくるんじゃないかと、実際にすべてについてやるべきことがやられるんじゃないかという、そういう期待でこのような取決めをしてきたわけでございます。  専門家資質でございますけれども、一応、薬剤師は別にいたしまして、登録販売者資質に関しましては、報告書では試験を、都道府県の試験をしようと。それで、その試験のレベルとしては、これもまたさんざん議論をしたんでございますけれども、現在の薬種商の試験がこれ都道府県のレベルで行われてます。それにも問題がないわけではございませんが、一応そのレベルで、ただし実務に関するようなことを試験するというようなことでいかがであろうかというのが一応結論になっているように思います。  そんなところでよろしゅうございますか。
  27. 海老原格

    参考人海老原格君) 三つのうち一つリスク分類について第二分類が、第二が多いんじゃないかということでございますけれども、私としては、とにかく今までない、一歩前進ということでございますので、これは一類になった、二類になった、三類になったということでそれは固定するものではなくて、絶えず情報収集をして、それで再評価を加えて分類を変えていくということが、そういう仕組みがありますので、それで対応できるので十分ではないかと思います。たまたま第二類として多くなったというだけではないかと、私はそのように感じております。  それから、専門家の配置で、リスクコミュニケーションということで、従来の薬剤師登録販売者との間で随分とギャップがあるんじゃないかという話なんですが、それは朝日先生が御指摘のとおり、私はそこにギャップがあると思っておりまして、一般の人から見ると、薬剤師であろうと登録販売者であろうと、それは対面して情報提供をしてくれる人というふうに、同じ考えだと思いますので、私は、私、資質としてはやはり薬剤師に近い常識なりそういったものを持っておるべきではないかというふうに考えております。  それから、対面して販売する人かどうかと、そこはおっしゃるとおりだと私は思っております。  以上です。
  28. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  時間の関係で次進みますけど、是非井村参考人には法律の書き方のところをちょっと見直してみてほしいんですよ。一般医薬品の区分の中に第一分類、第二分類、第三分類というのが書いてあるんですけど、第一がいろいろ詳しく書いてあって、第二は一を除くものとか、第三は一と二を除くものとかいう法律の書きぶりになっているんです。だから、こういうふうに書いちゃうと何かちょっと変だなという感じがあるということだけ指摘しておきます。是非法律の書き方がこういうふうになるのかもしれませんけど、気になってますので、意見だけ述べておきます。  それでは次に、佐藤参考人に、学会の大先輩に質問をするので緊張しますが、二、三お尋ねしたいと思います。  一つは、この薬物あるいは薬物に近い物質の問題で、乱用という言葉と依存という言葉と中毒という言葉が出てきまして、なかなかうまく整理できてない、時々ごっちゃにした議論があるので、できれば、簡単にというのは難しい注文かもしれませんけど、少し言葉の使い方というか、概念について少しお教えをいただきたい点が第一点でございます。  それから第二点は、このいわゆる違法ドラッグにしろ、覚せい剤麻薬にしろ、それから一般の医薬品にしろ、結構ダブって、重複して、あるいはあるときはこれをやったけれども、次はこれをやるとかいう形で使われ方が結構あるんじゃないかと思うんですね。そうするときに、対応する法律がそれぞれ別々では具合悪いんじゃないかという気がしてならないんですね。つまり、ある人があるときは覚せい剤を使ったことがある、今はたまたまいわゆる違法ドラッグを使っている、しかし次はということもあり得るんじゃないかと。そのときに、それぞれの法律がばらばらに対応しててどうなんだろうかという気がしてならないんですが、ここはどうでしょうかと、これが二つ目。  それから三つ目は、私単なる取締りの強化と啓蒙だけではなくて、何らかの支援というか治療的サポートというか、いうものが必要なんじゃないかと思っているんですが、その点について何か御示唆があれば。この三点お願いします。
  29. 佐藤光源

    参考人佐藤光源君) それでは最初からちょっとお答えいたします。  第一は、物質乱用依存それから中毒のディフィニションといいますか、定義をどういうふうにするか、あるいはどう考えるかということでございます。乱用、アビューズというこの言葉は医学用語としてはまだ定義がはっきりしておりません。つまり、WHOのICD10にいたしましても、アメリカ精神医学会のDSM―Ⅳ―TRにしましてもどうもはっきりしていない。そして、しかしながら、日本における一般的な理解として、乱用は、本来の目的にたがう、本来の目的とは違う使用法をいうと。例えば、目的もあるいは使い方も、本来は注射なんかしちゃいかぬものを注射してみるとか、そういう使用方法も本来の目的とは違うふうな使い方が乱用であるという、そういう使い方として、目的方法の異常として規定しているというふうに考えております。  それから、依存は、これは中心となるのは精神依存で、もうそれを薬を求めるという、渇望といいますか、これが非常に強くて、自分ではやめようと思いながらやってしまうという強迫的な使用、これが中心になっている。ですから、そういう強迫的な使用、これの根元にある薬物への渇望というのがこれがはっきりした場合には依存といっていいだろうと。精神的な依存の部分とそれから身体的な依存がございますが、身体依存についてはそれをやめると身体症状が離脱症状として出てくる。これを身体的な依存というふうにいう。  それから、中毒でございますが、これには急性中毒と慢性中毒があります。その物質が取り入れられて生体内で、そして脳に働いて、あるいは身体に働いて非常に有害な症状が出てくる。それはその物質が引き起こしている中毒症状というふうに理解しております。慢性中毒というのは乱用が何回も何回も慢性化して、その結果起こる脳の障害あるいは身体障害に起因するものが慢性中毒の概念であって、覚せい剤精神病というようなものは、これは繰り返し使った結果の慢性中毒というふうに考えられております。  以上のように乱用依存、中毒は急性と慢性というふうに御説明をしておきたいと思います。  それから第二は、マルチプルアビューズといいますか、多剤を同時に乱用している場合に、例えばA、B、Cという三つの違法薬を乱用している。それぞれについて対象とする法律が違う。これを、じゃ三つ法律をどういうふうに使い分けるかと。それよりも一括して違法薬として対応した方がいいではないかという御意見で、私は誠にそれは現実的な話だろうと思いますけれども、ただ、日本は幸いにして現在、そういうマルチプルアビューズ、多剤の乱用というのは比較的諸外国に比べると少ないという現実がございます。あるのはアルコールと乱用薬との併用ぐらいでして、マリファナと覚せい剤麻薬と同時にやっているというケースは比較的まれであります。ですから、今のところその中の一番重い、規制薬として最も違法性の強いものについて取り上げてそこで対応していくということで現在のところは対応できるのではないかと。  ただ、諸外国のようにもっともっと乱用が一般化してきまして、例えばアメリカなんかは日本の乱用よりも十倍以上でございますので、そういうふうな汚染が進んでいくと、これは今先生おっしゃったように、統一して対応することを将来的には考えていかぬといかぬではないかというふうに思いました。  それから第三の、取締り啓発だけではなくて、治療的なサポートが要るんではないかと。これはもう私、精神科医といたしましては正にそうだと思っております。つまり、乱用して、あるいは依存というふうに、自分じゃやめようと思いながらやってしまう、そういうふうな背景には非常に大きなその心理的な要因がございまして、それに対する心理社会的な介入というのが大切でございます。予防的にも大切でありますし、それから、いったん乱用依存に陥った方々を、それをやめてノーマライズしていく、一般社会でまた元の社会的な機能を回復していくように支えていくという、そういう治療的な介入というのも非常に重要だと思います。  ただ、現実を見ますと、非常に、薬物依存、あるいはアルコールも含めて、もっともっとそういう介入が医学的にも精神医学的にももっと研究されていかぬといかぬし、ガイドラインなんかももっともっと実践に移されなければいけない、そんなふうに思っております。  以上です。
  30. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  時間がなくなっちゃって申し訳ありません、花井参考人に。  先ほど七点にわたって意見を述べられました。特に幾つかこだわっておられた点があったと思いますが、この法改正に当たってどうしてもここはもう一遍強調しておきたいという点がございましたら、あと二分ぐらいありますのでどうぞ。
  31. 花井十伍

    参考人花井十伍君) 先ほど幾つか指摘した点は、総じて言えば、この法律がある種の厳密性を欠いている部分があるというふうに私は考えたわけです。しかし、言い換えれば、これはある種の行政的裁量権が大きいとも言えるわけであります。したがいまして、この法律をもし、行政側が提案した政府案でございますから、これを成立させて、これを施行していこうということであれば、私どもは、一番最初に指摘した、国が責任を持って医薬品安全性を確保していくんだということの意味において、かなり重い十字架を背負ってこれを運用するというふうに理解するわけであります。  したがいまして、細かいことは繰り返しませんが、国として、もしこれを、制度を、新しい制度を動かすということであれば、それなりの覚悟と責任を持って省令その他を定め、運用していただきたいと、このことに尽きると思います。
  32. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。
  33. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  参考人皆様には、貴重な御意見いただきましてありがとうございました。  私は、まず井村参考人にお伺いをしたいんですが、先ほど花井伍参考人の方から御指摘がございました「資格のない配置者に無期限で配置できる体制を認めることには強く反対します。」ということで、二ページの上のところですね、配置販売者の場合に、この第二分類、ここでは二類って書いてありますけれども、そこにアスタリスクが付いた成分が含まれているんじゃないかと、そういう御指摘がございましたが、この点に関してどのようにお考えになっているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  34. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 資格のない配置者というお言葉でございますけれども、これはまあ早く言えば、この法律で定められました経過措置についての御質問だというふうに考えてよろしゅうございますか。
  35. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 はい。
  36. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 先ほどもちょっと私、意見陳述で触れましたけれども、今回の改正に関しましては、特に登録販売者に対して試験を課すという、そういう形になっておりまして、これが非常に、その登録販売者になろうとする人たちに対してはかなりな強いインパクトを与えてしまうのではないかという、そういうおもんぱかりをせざるを得ないというのが私ども考え方でございまして、まあそれも含めまして、とにかくそういうところで混乱が起きないようにということで経過措置を定めるという、それだけを報告書の中には書かせていただきました。  部会では、その内容について細かく、例えばその経過措置はこうでなければならないというような、そういう議論は一切しておりません。経過措置を置いた方がいいだろうという、そういう結論をしただけであります。  それで、それに従いまして、旧法によって販売のできる配置販売業者が残ってくるわけでございますが、それに関しましては、まずそうすると、アスタリスクが付いている医薬品もその売れる品物の中に含まれているじゃないかという、そういう御質問だったと思いますが、確かにそのとおりでございます。ただ、今まで、配置販売業者の販売の歴史は非常に古くて、その過程でずっとそういうものが売られてきていて、そこで特に非常に問題になるような、それによって起こる障害みたいなものがほぼないということが一つの理由になっているようには思いますが、いずれにいたしましても、行政の方ではそれを勘案いたしまして、これから旧法に従って営業をしていく配置販売業者に対しては、旧法の条文を、たしか三十四条だったと思いますけれども、わざわざ改正いたしまして、配置者の資質を向上することを努力義務として課していると思います。たしかそれは変更されていると思うんでございます。  さらに、私の考え方といたしましては、花井参考人が先ほどから申されていることとほぼ同じになってしまうんでございますけれども、この形でしばらく法律が運用されるということになりましたときには是非、この努力義務を課した内容が実際に本当に行われるように、実行されるように、厚生労働省として何らかの支援策をきちっと取るということが必要になるのかなと思っております。そういう形で是非安全性を担保したいということでございます。  それでよろしゅうございますでしょうか。
  37. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。  もう一問、井村参考人にお伺いしたいんですが、相談応需なんですけれども、これは薬局、薬店が開業されている時間内のことでよろしいのか、時間外でも問い合わせがあったときにはきちんと相談応需に応じるべきだというようなお考えでしょうか。その点をちょっとお聞きをしたいと思うんですが。
  38. 井村伸正

    参考人井村伸正君) これは私の個人的な見解になってしまいます。つまり、部会議論でそこまでは余り議論をしておりませんが、当然のことながら、医療の一翼を担うという形になります、実際に医療人という規定にはならないかもしれませんけれども、医療の一翼を担う登録販売者、これに関しましては相当の倫理観を持ってもらわなきゃなりませんから、できるだけ、たとえ時間外でも無理がなければ相談に応ずるという態度が望ましいというふうに私は考えております。
  39. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これは薬剤師であっても登録販売者であっても特例販売者であっても同じように対応すべきだということでよろしいんでしょうか。
  40. 井村伸正

    参考人井村伸正君) はい。薬剤師はもちろんそういう態度でいてほしいと思っております。
  41. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、佐藤光源参考人にお伺いをしたいと思います。  なかなか薬物依存からの社会復帰あるいはお薬の再使用を防止するというのは大変なことかなと思うんですが、これまでのそういう社会復帰あるいは再使用の防止の比率といいますか、どの程度まで皆さんそういう薬物依存から脱却されているのか。そしてまた、現在抱えている課題というものがあればお教えいただければと思いますが。
  42. 佐藤光源

    参考人佐藤光源君) どの程度の治療効果があるか、あるいは回復した、回復できる可能性は何%ぐらいあるかという数字は非常に難しくて、明確なお答えはできません。  というのは、この違法の薬を使うということは犯罪でありますので、なるべく隠そうとするわけです。ですから実態が分かりにくい。ですから、どれぐらいの乱用者がいて、どんなふうな治療を受けるとどういうふうに回復するかという、それを客観的にとらえることが非常に難しいんです。  で、我々の精神科領域で対応してきたそういう対象だけについて申しますと、かなり対応の仕方によって依存から脱却できる方もいるわけでありますが、しかしながら、脱却できるまでには随分の紆余曲折を経た後でございます。つまり、一回でぱっと治ってしまうというんじゃなくて、何回も再使用しながら次第に遠のいていって薬から離れる、あるいはアルコールから離れるというふうな形で治っていくわけであります。  ですから、今御質問の何%というのはお答えできませんが、回復可能であることは、これはお話ししておきたいと思います。  それから第二点ですけれども、どんな問題があるかということでありますが、これは第一には、薬物依存あるいは物質依存についての現在の医学的な知識を普及啓発して世の中で知ってもらうということが大切だと思っております。  薬物乱用というともう犯罪者というような扱いでありますし、その背後にあるものとか、あるいはそういう方々乱用依存から抜けて社会参加するまでの支援はどうか、先ほどの御質問にもございましたが、そこら辺に対応するには精神科医の、あるいは精神科関連の領域の職責の人たちがもっともっと十分この病気を理解して支援していくという、そういう正しい知識の普及啓発というのが一つあると思いますが、これがまだできてない。  これは日本だけでございませんで、アメリカ精神医学会の治療ガイドラインが今度できて、今年我々出しました。その中でも、この薬物乱用についてのガイドラインだけ出てないんです。向こうでまとまってないんですね。それほど問題は複雑なんです。  けれども、やはり、先ほど言ったように、専門家がもう少ししっかり取り組んでガイドラインを出して、一般の方々に普及啓発できるようなものを作って取り組んでいく、これができてないというのが今の問題点だと思います。
  43. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 もう一問、佐藤参考人にお伺いしたいんですが、世界の中ではそういう薬物の規制に非常に、何といいますか、規制の緩いといいますか国と、規制に厳しい国とがありますよね。マリファナとか吸っていても構わないとか、そういうお国の考え国民考え方規制を厳しくする国の考え方というのは、何かどういう違いがあってそういうことが生まれてくる、起こってくるんでしょうか。
  44. 佐藤光源

    参考人佐藤光源君) 国による違いというのは様々な理由がありまして一概には申せませんが、一つは文化的なこともございます。  例えば覚せい剤、アン・メタンフェタミンという覚せい剤につきましては、アメリカでは昔から普通のドラッグストアで売られていたというようなことがございまして、非常に一般市民にもなじみがあるんですね。なかなかそれは違法であるというふうに認識が深まらないという、そしてまた州によっても違う。そういう薬物に対する伝統も違いますし、許容度も文化的にも違いますし、様々な要因があるということは言えると思います。それから、罰則についても国によって随分違います。それから、この違法薬物に対する対応も違います。  しかしながら、日本は、例えば今データがございますが、違法薬物の生涯経験率の国際比較というのがございまして、生涯のうちでどれぐらいの頻度で乱用するかということでありますが、アメリカの場合は四六%、随分、二人に一人近くが乱用した経験を持っているぐらいポピュラーな文化です。ところが、日本では〇・八%なんですね。ですから、十何人かに一人しか乱用の経験がない。そういうふうな国による違い、許容の違いというのがございます。  ですが、今アメリカへ行って、御承知のように、もうちょっと夜歩いていると乱用者にぶつかるというそういうふうな文化と、今、日本のように麻薬対策あるいは違法薬物対策がしっかりしていて水際作戦もかなりできていて、こういう〇・八でとどまっている国とは随分違いますが、言えることは、この〇・八を維持して、もっと低くするということでありまして、そういう点でこの薬事法改正、今回の改正は非常に役に立つというふうに思っております。
  45. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、海老原参考人にお伺いをしたいんですけれども、先生のいただいたペーパーで、二枚目の方の(3)の2)ですけれども、情報の提供者は、その資質として、情報を十分に理解していること、目の前の一般人の状況をある程度判断できることとありますけれども、これは目の前の方のどういうところを、高齢者とかお若い方とかいろいろあるんでしょうが、これはどういうところをポイントにして判断できることを求めていったらいいんでしょうか。
  46. 海老原格

    参考人海老原格君) これ、書いてありますことは、先ほどちょっと西島先生の方からもお話があったと思うんですけれども、例えば同じ風邪を引いたとしても、AさんとBさんとで違うんですよね。例えば熱があるとか頭が痛いとかくしゃみが出る、それぞれ違いますよね。それぞれやっぱりそれに合った一般用医薬品というのがございますので、それが判断できるという、要するに風邪だということでこれということではなくて、風邪にもいろんな種類があるのでそれに、種類に対応した一般用医薬品をちゃんと渡せるようなそういう判断ができるという、そういう意味でございます。
  47. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 例えば、高齢者の方には少し丁寧にとか、そういう意味ではなくて、個人の体質とか体格とか、やせているとか太っていらっしゃる方はこのぐらい、量とかの問題とかですね、そういうことでよろしいんですか、そういう年齢的な問題とかという意味ではなくて。
  48. 海老原格

    参考人海老原格君) 渡辺先生がおっしゃるように、もちろん年齢というのも関係します。それ以外に、ちょっと私申し上げたのは、同じ病名であっても程度が違うというのもありますので、そこまで判断ができるようにしてほしいなということでございます。
  49. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それから、その他の一番下の方に書かれてあったんでしたけれども、若年、それも小児のときから薬の教育を通して普及啓発することが望ましいというお話がございました。これは、我が国ではどういうふうな形でやっていったらいいのか、あるいは諸外国で参考になるような事例というものがあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  50. 海老原格

    参考人海老原格君) まず、諸外国の話からさせていただきますと、一番多分進んでいる国はフランスではないかと思っております。フランスは、小学校、中学校、高等学校と、日本と学制がちょっと違いますけれども、三段階にわたりまして薬教育をしております。その根本は、実はここに書いてありますけれども、健康を守る本質的な要因というのは個人の責任の自覚、これをさせるということで、そういうことをやっております。  翻って日本を見ますと、今薬の教育というのは、これは文部科学省の所管になりますけれども高等学校から始まります。中学校、小学校はないんですけれども、昔は中学校まであったんですけれども、だんだんそれが高校になってしまいましたんですけれども。  やっぱり病気になってから初めて医薬品に接するということではなくて、よく申し上げますのは、水泳だとか自転車と同じで、もういったん若いときに基礎とか、医薬品はどういうものか、どういう本質を持っているんだということを分かってもらうだけで、それがいざ病気になってお薬を買う又はもらうときに非常に参考になるということでございますので、是非これは進めていただければなと思っております。まあ、日本では個人的なレベルでやっているというのが実情だと思います。
  51. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 井村参考人にお伺いしたいんですが、今回の薬事法改正とは直には絡まないんですけれども、日本においては、がんの緩和医療等に医療用麻薬を使う、医療用の麻薬を使う場合があるんですけれども麻薬とか何かに対して、一般の方々はこれを余り使うといけないとか、ドクター側の方にも少し外国と比べると抑制的に使うというようなことがございますけれども、こういう医療用麻薬、やっぱり緩和医療にとっては大変重要なことでありますけれども、先生は、こういう今の日本の使い方と、やっぱりもっときちんと痛みを取るためにどのように教育をしていったらいいとか、その辺、何かお考えありましたら。
  52. 井村伸正

    参考人井村伸正君) それはどうも私がお答えすることではないような気がしますけれども個人的な考え方としては、是非的確に利用していただいて、患者の苦痛を取るということは絶対必要だと思います。私自身もかなり高齢でございますからいつそういう身分になるか分からないなと思いますけれども、自分がそうなったら恐らくそれを望むだろうと思いますし。  ですから、それは、特に医療関係者の教育、そういうことについての教育をこれから是非やっていただいて、うまく使えるようになっていただきたいなと思います。
  53. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 終わります。
  54. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  井村参考人に、検討部会長であられましたので、質問したいと思います。  この検討会が、現行薬事法では薬剤師の下での販売というのを義務付けていた医薬品を新たに薬剤師とそれから試験によって資質が確認された者の下での販売を可能にするということにしたわけですが、この趣旨、どんな議論が行われたのかについて御紹介願いたいと思います。
  55. 井村伸正

    参考人井村伸正君) それは、この改正議論が起こるきっかけになったんだろうと思うんでございますけれども、先ほどから何度も申し上げましたが、まあ現行と言った方がいいですね、現行の一般用医薬品販売に関しましては、先ほども申し上げましたように、一応薬剤師あるいは薬種商が販売をするときに購入者に対して情報提供をするということが努力義務になっております。どんな薬であろうと同じように努力義務になっているわけです。結果的にはそれが十分に行われていないという実態があるという、まずその実態が先にありまして、それを何とかもっと実効性のあるものにするというのがこの新しい部会ができるきっかけだったというふうに私は聞いております。  で、そのためにはどうしたらいいか。それは、一律に同じような情報提供をするんじゃなくて、当然医薬品にはリスク程度に差があるだろうから、そのリスク程度によって医薬品をできるだけ分類してみようと。その分類をしたときに、それぞれについて、そのリスク程度に応じた情報提供の仕方もあるだろうということになっていったわけであります。
  56. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  それで、検討会報告では、店舗販売業者や配置販売業者にも今お話あった薬剤師登録販売者の設置を義務付けたわけですが、経過措置についてはこう書いてあるんですね。「購入者事業活動に無用の混乱を与えないよう、新たな制度に円滑に移行できるように何らかの経過措置を設けることが必要である。」と。これは、正にその新しい規制、新しい体制をつくると、旧制度からそこにスムーズに移行していくようにするということを提言されているんだと思うんですが、新制度に移行しない部分が残る、新制度に移行しない部分も残りますよというふうにはなかなかこれ読みにくいと思うんですが、そういう議論が行われたのか行われなかったのか、そこについてはどうでしょうか。
  57. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、部会ではその経過措置が必要だということは当然のことだというふうに考えまして経過措置を設けましょうという結論になっただけでございまして、その経過措置がどんなものであるべきかということについては特に議論をしておりません。
  58. 小池晃

    ○小池晃君 もう一つ、今回その販売従事者については試験資質を担保すると。この試験在り方は都道府県でいいのかという、いろんな議論あるわけですが、いずれにしても試験を受けた人が従事をするというのが前提議論ではないかと思うんですが、検討会の中では試験を受けない人が従事をし続けるというようなことを想定した議論というのはあったんでしょうか。
  59. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 今申しましたように、その点についての議論は十分しておりません。
  60. 小池晃

    ○小池晃君 それから、重ねて井村参考人にお伺いしたいんですが、配置薬によっては重篤な障害はほぼないというふうに先ほど発言をされたんですが、配置薬によって被害が広がったスモンの問題についてはどのように説明をされるんでしょうか。
  61. 井村伸正

    参考人井村伸正君) スモンが配置薬によって起こったのか、それともスモンが起こった原因の一つに配置薬があったのか、それは恐らくその後の方のことだろうとは思います。それで、私は、それはもう非常に重要な副作用をもたらしたものだと思って非常に残念に思っております。
  62. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私はその配置薬が原因で起こったんだという言い方をしているわけではないんで、先ほど重篤な障害は配置薬ではほぼないというふうにおっしゃったんでね。
  63. 井村伸正

    参考人井村伸正君) はい、そう聞いております。
  64. 小池晃

    ○小池晃君 そういう点でいうと、実際には配置薬を通じてスモンの被害を受けた方もいらっしゃるという事実をどのように御説明されるのかなというふうに思ってお聞きをしているんです。
  65. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 私は、特に説明はできませんが、それは極めて重大な副作用であったなとは思っております。  しかし、それ以降、非常にそういうことについての世の中の関心が高まった以降、特に非常に重大な副作用というのが配置薬によって起こったという、そういう報告がほとんどないという、そういうふうに私は聞いております。
  66. 小池晃

    ○小池晃君 花井参考人にちょっとお伺いしたいんですが、薬被連からは、今回の検討部会にも参加をされてきて、ずっと議論にも加わってこられたわけですけれども、今回、先ほど問題点として指摘されたような、経過措置といいながら、実際は旧制度に移行するための経過措置だけではなくて、そのまま旧制度のままずっとこう進んでいけるような仕組みが残されたこと、で、その中で無資格者が事実上事業が続けられるような構造が残ってしまったということについては、議論に参加していてそういったことを想定されたのか。こういう法案が国会に出てきたことをどのようにお受け止めていらっしゃるのか、その点についてお伺いしたいというふうに思います。
  67. 花井十伍

    参考人花井十伍君) 私どもの薬害被害者の代表検討会に参加していたわけですが、その議論の中での認識の中では、やはり今回のような経過措置になるとはゆめゆめ考えていませんでした。  なぜそう考えていなかったかといいますと、実は、検討会においては各業種の代表者も入っておりまして、しかもそれを形式的に、従来のように行政が高圧的に事務局案を押し付けて、それによって制度をつくろうということではなく、それぞれの業種の言い分も十分聞き、また非公式にもいろんな意見交換をして取りまとめたものであったわけですから、まあ、おおむねコンセンサスが得られていて、何かそのような大胆な経過措置が必要となるというふうにはちょっと考えていなかったと思います。  したがいまして、これは私どものすべての団体とも話しましたが、これはやっぱり驚いたというふうに言っております。
  68. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  引き続き、ちょっと検討会での議論についてお聞きをしたいんですけれども報告書では、Bグループについては、井村参考人にお伺いしたいんですが、Bグループについてはオーバー・ザ・カウンターにするよう努めるとして、さらに、そのアスタリスク付いたものについてはBグループの中でもリスクが高いということで特段の扱いをすべきだというふうにされていると思うんですが、どのような議論、どのような合意がこの点でなされているのか、お聞きします。
  69. 井村伸正

    参考人井村伸正君) それも先ほどもちょっと申し上げましたと思うんですけれども、その件に関しましては非常に時間を掛けて議論をいたしました。  それで、オーバー・ザ・カウンターにすべてするということは、販売をする側からいたしますと、かなり店舗内容について無理が来るというような主張も盛んに出てまいりまして、オーバー・ザ・カウンターにしなくても情報提供者が購買者に積極的にアプローチができるような、そういう陳列であればオーバー・ザ・カウンターという格好になっていなくてもいいんじゃないかということで落ち着いたわけであります。
  70. 小池晃

    ○小池晃君 それから、対面販売の原則との関係インターネット販売についてちょっとお伺いしたいんですけれども、この報告書では、Cグループの医薬品については一定の条件の下での通信販売のようなものも許容し得るという旨の記載があると思うんですが、このCグループについてそれを認めるということと対面販売原則ということの関係についてはどのようにお考えでしょうか。
  71. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 原則は原則でございまして、対面販売医薬品の場合には望ましいということはだれでもそのとおりだと考えるわけでございますけれども、現在既に、例えば薬剤師が電話で相談を応需することによってある一定の時間帯では医薬品を売ることができるという、そういう措置がとられておりますので、そういうものをここで切ってしまうという形にならないというように配慮をしたものだと私は思っております。
  72. 小池晃

    ○小池晃君 インターネット販売の問題については、花井参考人の方では、一、二類は断固認めるべきでないという今日意見書を出されておられますけれども、今のその実態ですね、かなりもういろんな形でこう出てきているような気がするんですが、実態についてちょっとお知りのことをお話しいただきたいということと、この一、二類の販売ということについてのどういう問題点が懸念されているのかという点について、ちょっとお聞かせ願えますでしょうか。
  73. 花井十伍

    参考人花井十伍君) 私の知見を超えるちょっと御質問が入ったんですけれども、医療用医薬品を含めて、実はネット上の販売というのはかなり行われていますし、それから治験薬という言い方をよくしますけれども、事実上医薬品になっていなくてもネットではもう国境を越えますので、様々な物質購入可能になっているという実態は非常に憂慮しております。  今回、一類、二類ということに限定しまして書きましたのは、もちろん医療用医薬品は言語道断だと思っているんですけれども、今回、論点が言わば一類、二類としましたのは、先ほど海老原参考人の方も、一般の国民利便性という感覚からいえば、インターネットの有用性というのは非常に支持されていて、これを全般的に全部駄目だということになると、逆に国民から何をやっているんだと、不便だという意見になってしまって、事実上本当にやっぱりリスクをコントロールしなきゃいけない部分が無効化するおそれがあるんではないかということで、一類と二類についてはやっぱり断固禁止するというめり張りを付けて、インターネット一切許さずというような制度設計は結果的にはうまくいかないんではないかと考えていることがあります。  加えてですが、私どもは薬害被害者ですので、医薬品に対する危なさというのは身にしみているので、一般の方々のこのアンケート結果というのはよく分かるんですが、やはりもう心配でならないわけであります。そうした視点から、せめて一、二類は断固とやっていただきたいと、こういうふうな意見をまとめたわけでございます。
  74. 小池晃

    ○小池晃君 先ほど、花井参考人、やっぱり原点は薬害根絶で、こういう施策なり法律なり作る際に、やはり繰り返されてきた薬害の被害をどのように総括して出されたものであるかというのが決定的に重要だというお話があったと思うんですね。  その点で、先日、内閣府が広告で、「ひろがる、NIPPON構造改革」と、構造改革の何が一番うれしいというのは、コンビニで薬の一部が買えるようになったということを大々的に宣伝をいたしました。皆さん方の抗議で撤回した部分もあるやに聞いてはおりますが、こういう広告に表れている今の日本の、これは薬事行政というより、内閣府ですから政府全体の姿勢だと思うんですが、この点についてお考えのことがあったら是非御披瀝願いたいというふうに思います。
  75. 花井十伍

    参考人花井十伍君) またちょっと私の知見を超えることだと思いますけれども一つは、やはり規制緩和と言うときに、最も政府を小さくした場合に、でも必ず残す部分というのは、例えば警察官であるとかそういったものになると思うんですけれども、私ども薬害被害者は、やはり薬事法とこの医薬品安全性のコントロールというのは、これは正に厚生労働省の中で一番中心となる重要なお仕事だというふうに考えております。  したがいまして、規制緩和の是非というよりも、やはりもしこのような厚生労働省の最も重要な国民の命を守るという部分を削ったり、若しくはそんなのもっと自由にしようということをもし規制緩和と呼ぶとすれば、それは私ども薬害被害者の考え方からは随分遠い考え方ではないかというふうに思います。
  76. 小池晃

    ○小池晃君 それから、実際に法律をどう実施するか、担保するかという体制の問題が非常に重要だということが花井参考人意見最後に述べられているんですが、その専任体制の強化あるいは苦情窓口の設置等の問題で、具体的にこういう施策がなければ実効ある制度にはならないんだという点での制度的な御提言、具体的にあればお聞かせ願いたいというふうに思います。
  77. 花井十伍

    参考人花井十伍君) 一つ目は、先ほどの質問とも関係するんですが、結局、人的リストラが行政、地方公共団体の方で行われていまして、その人的リストラをする部分、してはいけない部分というのがあるというふうに私ども考えております。その一つがやはり薬事監視体制における人材であります。こうしたものについては、制度設計というよりもやはり十分な人的体制を確保していただきたいというのが一点であります。  それから、制度提言と言うほどの大それたものはございませんが、先ほどちょっと触れましたように、市民の苦情窓口、これは言わば告げ口のような形にもなろうかと思います。業界間でもお互い監視し合うようなことがあるのかもしれませんが、やはり市民が苦情を言って、それが、本当に苦情がそのとおりなのかどうかというのを実際、査察というんですか、立入検査をして、そして速やかに様々な行政指導を行うということをうまく、例えば医療法上でありましたら病院評価機構のような、ああいう似たような何か仕組みをつくって、正に医薬品販売の仕方を市民の目で評価していくと。そういう動きとそれから規制当局が連携しますとかなりうまい制度ができるのかもしれないなと、そのように漠然とは考えております。
  78. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  今回の法案の問題点の一つとして、私ども配置販売業についての経過措置配置販売業自体は非常に重要な役割を果たしているし、一定の経過措置というのはそれは当然あってしかるべしだというふうに考えておりますが、事実上永続的に旧制度のまま業務ができる、無資格で仕事ができる仕組みが残るというのを果たして経過措置と言うんだろうかという疑問を抱いておりました。その問題が検討会では正に議論されなかったということが今のお話を聞いてよく分かりまして、そういった法案が出てきているということについては非常に改めて重大な問題点だというふうに認識をさせていただいたというふうに申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  79. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市でございます。  しっかりとしたいい薬事法改正案作ろうということで御努力いただいていることに心から敬意を表したいと思います。  時間的な制約もございますので、先ほど来から問題になっています配置薬販売経過措置の問題に絞って御意見をお伺いしたいと思うんですが、その関係から、井村参考人花井参考人に絞らしていただきますが。  まず一つ、配置薬の問題でございますが、私自身が富山県出身でございまして、かつ父親が配置薬をやっておった、こういう経緯がございますから、いささかその問題については承知をしておる、こういう立場で今度のこの法案作りにもいいものをしっかり作っていくために参画をしたいということで、この厚生労働委員会に、ここに参加をさしていただいています。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  そのことをまず申し上げながら、したがって、日本の今の古来の置き薬システムというものについて、若干、花井さんの方から出されている、短い文章ですから入口がちょっと違うように思うけれども出口が大体一緒じゃないかと思うんですが、その点について少し誤解があるのか、あるいは認識の違いがあるかなと思いますから、ここらのところをしっかり詰めていきたいと思うんですが。  いわゆる富山の薬屋さんだとか奈良の薬屋さんと、こう言われるんですが、御承知のとおり、山間へき地、あるいは今日都会部でも本当に独り暮らしのお年寄りあるいは独り暮らしの障害者の方、こういったところなども一軒一軒訪ねて、昨日もちょっと申し上げたんですが、地域によればお医者さんとお坊さんと薬屋さんと、こう並び称せられるぐらいにむしろ信頼関係ができておって、年に三回ないし四回家庭訪問を定期的に行って、むしろ座敷まで上げていただいて、いろんな、そういう意味では薬の効能の話はもちろんのこと、家族の健康状態だとか心の健康の問題であるとか、あるいはちょっとそんな状況ならばお医者さん行ったらいいよという、そういうことまで含めていろんな様々な話をして、最後に薬を入れ替えて、そしてその問題は次回にはお金をいただくと、こういうシステムですから、まかり間違ってここに何か間違いがあれば、お金をもらうどころか、もう商売が成り立たないという、こういうものを長年ずっと続けてきている。こういう業者が今全国で約一万人、もし仮に五百戸ぐらい平均で回っておられるとするならば、これ大変大きな話で五百万世帯、こういうことになるわけでありまして、大変な役割を、社会的な有用性を果たしている、こういうことだろうと思います。  そういう努力を一方でやっている。片や、私は、この業界、こっちはけしからぬ、こっちはいいと言っているんじゃなくて、一方で町のドラッグストアはどうか。これは、この法案作るためにいろいろと、薬剤師がいないではないかとかといろんなことを言われてまいりました。私もその指摘は前に申し上げたことあるんですが、もちろんきちっとしているところも多数あるんでしょうけれども、しかし、町のドラッグストアで、実際行ってみれば、薬剤師を置くと定められているけれども薬剤師さんいない。いないだけではなくて、いても、単に店員の人が対話もないまま店頭に山積みされている薬を、これを欲しい、そのまま、はい、どうぞという格好で売っている。こういう格好もこれまた存在をする。  もう釈迦に説法ですけれども、薬は効能効果と一方でリスクを持つ。ひどい話が、昨日のお話じゃありませんが、食間にと言ったら、食事食べている最中に飲むのが食間だと間違っている人もいたり、風邪薬には少し睡眠薬が入っているから、風邪も引いていないのに眠るために二服も風邪薬飲んで寝ますなんという若い人がいたりと。こういう問題がやっぱり起こっちゃいかぬわけでありまして、そういう意味では、やはり薬は対面指導販売というのが原則だということなんだろうと思うんですが、こういう点で、むしろおっしゃっていることは、この対面指導販売をもっときちっといずれにしてもやるべきだというふうにおっしゃっているんじゃないかと思うんですが、花井さん、そして井村さんの方から、それぞれこの、今のこうした配置薬の現状と、さらにドラッグストアなどのこういう状況というものを含めてどのようにお考えか御意見をお伺いしたいと思います。
  80. 花井十伍

    参考人花井十伍君) 大変深いお話だと思うんですね。又市先生おっしゃられること、非常によく分かります。対面指導販売というのは非常に重要であると。で、現行法においてもそれは求められているが、実際はならないと。  この配置販売の実態を理解する上で、今おっしゃられたような配置販売業者については、実はおおむね、むしろ今すべてのこの資質ですら定量化し、そしてその定量化した上でレギュレーションを決定すると、こういう制度依存せざるを得ないのが今の日本で、例えば職人の伝承、若しくはそういった文化的な良いものはなかなか定量化せずに、やっぱり一つのレギュレーションというルールでやってしまうというところの問題というのは十分理解しているわけであります。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  したがいまして、そのいい伝承とかそういう文化というものの中で担保されている安全性というのは本当は非常に重要だと考えております。で、私どもが懸念しているのは実はそうではなくて、むしろそれを利用した、ビジネスモデルとした例えば都市部で企業に、企業の事業所に薬箱を置いて、しかもそこで採用する営業マンを大量に採用し、さらにその営業マンは離職率が非常に高かったり、次々入れ替わると。こういうことにこの経過措置が大きな影響を及ぼすんではないかというのが私どもの懸念でありまして、先生御指摘のようなところとはいささか私ども問題意識はやっぱり異なっているということを申し上げておきたいと思います。
  81. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 私も配置に関しましては、今の花井参考人と全く同じような見解を持っております。  それで、先ほど片やドラッグストアはというお話がございましたんですけれども、そういうそのドラッグストアの現実の姿が今回のこの法案改正の出発点だというふうに私は理解しておりまして、実際に努力義務が課されているにもかかわらず、実態としてはほとんどそれが非常に行われていない状態であるということであれば、それがもっと対面販売という意味で行われるようにしていこうではないかというのがスタートラインだったというふうに理解しております。
  82. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  先ほども申し上げましたが、置き薬業者というのは今約一万。まあ、従事者含めて二万、零細な話だと思うんですが。片や薬局、薬店、薬種商、約七万六千ぐらいだろうと思います。  今回の試験制度の導入に際して、先ほどから出ておりますように、長年の一定の経験を持った既存の業者については経過措置が取られて、そのまま仕事を続けることができるような仕組みができていると、混乱を避けるためということなどございまして、ただしその販売できる内容は旧来の二百七十成分と限定をする、こういうことにされておりますね。  で、先ほどから井村参考人からもお話がございましたけれども平成十六年の医薬品による副作用ではないかという疑いを持った届出がされた件数が全体で二万五千件あるようでありまして、そのうちの一般薬の副作用の問題についていえば三百件と。こういうことの中で、配置薬に起因しているんではないかというのが十四件であった。これは昨日も報告がございました。いずれにいたしましても、それは軽微で、全部全快をしたという御報告があったわけでありまして、そうすると、この二万五千との関係でいうと、むしろ、そういう点でいえば大変懸念をされている問題があるわけですが、非常に少ない、こういうことになるんだろうと。そういうふうに、大変少ないんだろうと思うんです。  問題なのは、私は、いずれにいたしましても、配置薬であれ薬局であれ、あるいはお医者さんであれ、どうであろうとも、やっぱりしっかりと薬の安全性の問題の徹底検証というものが元々一番問われている、こういうことが一番問題なんだろうと、こう思うわけであります。  そこで、先ほど花井さんからもちょっと出ましたけれども個人の事業者、先ほど私申し上げたような業界の実情から、余り問題はない、そんなにないんだと。問題なのは、今度の制度を利用して、大きな法人などが悪用して無期限に無資格者を雇用吸収して、対面指導販売ではなくて事実上の売り込みと。訪問販売でもうもうかれば何でもいい、こういうやり方を取ることをどう規制をするか、ここのところが非常に大事ではないかということで、私もこのことについては全く同感でありまして、昨日もこの点については、厚生労働省は具体的にやっていく場合に、このことの規制は、指導はしっかりすべきだ、この点を申し上げておるところでありますが、この点について、改めてもう一度、花井さん、井村さんの方から。
  83. 花井十伍

    参考人花井十伍君) おっしゃるとおりでございます。制度設計ですから、まあ私ども制度設計上は素人なんですけれども、例えば、ある資本額とか従業員数とかで区別してもいいですし、まあ法人か個人かになりますと、法人かというのは、小さい法人もありますから難しいかもしれませんが、そこは行政官のいろんな知識をもってすれば、今おっしゃられたところだけをクリティカルに整理して、経過措置をある程度限定的にするということは十分技術上可能だと思うだけに、どうもそれができない理由というのはちょっと分かんないという、こういうことでございます。
  84. 井村伸正

    参考人井村伸正君) 今の配置の販売員といいますか、配置者の問題でございますけれども、それが法人であろうと個人であろうと、私はそれは、その辺の事情は余りよく分かりませんが、だけれども、とにかく薬を販売に行って、そしてその購入者と相対する人というのは、それはやはりある特定の、一定の資質を持っていなければ困るだろうというふうには思います。  したがいまして、たとえ経過措置が今取られてこのまま先に進むといたしましても、先ほどもちらっと申しましたが、国としては、この配置の旧法に従ってこれからも販売ができるという人たちではあるけれども、その人たちの資質をやっぱりこれから先担保していくという、そういう政策を是非取らなきゃいけないだろうというふうに思います。  で、これは絶対必要なことで、私は今薬剤師の生涯研修の仕事にも携わっておりますけれども、およそそういう薬にかかわる人たちというのは、生涯勉強をしていなければ恐らくその仕事ができないはずだというふうに理解をしておりまして、その配置の方々も研修を是非お受けになると。で、努力義務が課せられておりますから、法人であろうと個人であろうと、業者は努力義務があるわけでございますから、是非その研修を企画されましてやっていただきたいと。それに対して国は、それが本当に実際に行われるようにという、そういう支援を是非これから先考えていただきたいというふうに思っています。
  85. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  実は私もその点は昨日も申し上げて、大臣の方から答弁もございましたが、現実に置き薬業界では、今度新しくやられるとすれば、試験合格者も、あるいはこの経過措置者も含めて、都道府県とやっぱり密接に連携をして、恒常的な講習によって販売員の資質の向上を図っていくと、このことをやらなきゃいかぬと、また現実にやられていると。昨日も四十七都道府県でやられていると、こう報告がありました。私は、だから、逆の意味でいうと、運転免許でさえ三年に一遍ちゃんと講習を受けなきゃ免許は更新されないのであって、先生おっしゃったように、本当にきちっと、ずっと資質向上の努力は、新しいまた副作用の問題が起こってきたり様々出てくるわけですから、そういう知識をしっかりと身に付けていく。そういうことでいかなければ、それはもう社会的な要請だ、業者の皆さん方の自助努力というのは大事だということは申し上げて、この点は厚生労働省もしっかりやるべきだ、こういうふうに申し上げているわけで、できるならば、言ってみれば、そういう業界でもあるいは都道府県でも、そうした定期的な、恒常的な講習システムというものをつくり上げて、そしてその中で、それを受けていれば試験も受かっていく、そして試験が受かったからそれで終わりではなくて、ずっとその後も講習はちゃんと続けれるような、こういうシステムをつくっていくということが非常に大事ではないかということを実は昨日私も申し上げました。  ただ、そこで、経過措置の問題について、これを何か、年数か何かで区切るというのは、私これは無理があると思うんですね。  ということはどういうことかといいますと、これは私の経験で申し上げますと、先ほど一番冒頭に私、父親が置き薬屋をやっていたと言いました。その後を継いだのは私の兄でありまして、この兄が途中で突如として心筋梗塞で亡くなりました。だれも後を継ぐ者がいない。これは富山の売薬さんなんてそういうこと結構あるわけです。家族で伝承していく、こういうのが随分あるわけです。  じゃ、そうすると、この試験制度の問題で、そのまますぐにやりなさいと言われたらどうなるかと。現実にそこで途切れてしまう、こういう問題が持ち上がります。  そうすると、結局、今現実的にやられている問題は、その息子さんなら息子さんが、あるいは親戚の人が後を継ぐという場合に、他の同業者に助けを得ながら、指導してもらいながら一緒に回っていく、そういう格好の中で一定の資質を上げながら自立していくという、こういうことがあるわけですね。そういうことというのは家業的に継いでいるという、こういうケースが多いですから、そうするとやはりこういう経過措置というのは必要だと。これを何か年限切って全部、あるとき突如として試験に全部切り替えろと言ったら、そういう人たちはもう家族じゅうが路頭に迷うという問題が起こってくると。  こういう問題が実はこの業界にはあるわけでありまして、私自身も大変に困って、自分自身で仕事辞めて、兄の家族の面倒を見にゃいかぬかと、そんなふうに思ったら、私の弟がその後を継いでくれるという状況がありましたからこれは私自身はその道を継ぎませんでしたけれども、そういうことがこの業界にはあるということを御承知おきもいただきたい。  ただ、問題は、さっき花井さんがおっしゃったように、私は一番の大事なことは、対面指導販売というこの原則が崩されて、単に対面だと称して各戸軒並みに薬の売り込みに行くという、こういうやり方が取られることはこれは避けるべきだし、このことは厚生労働省はしっかりと監視をすべきだと、そのことを府県と協力して監視すべきではないかと、こんなふうに思っているわけでして、この点で花井さんと余り違いがないんではないかと思うんですが、そこのところを最後、御意見をお聞きをしておきたいと思うんです。
  86. 花井十伍

    参考人花井十伍君) 制度設計上の総合的な議論はもう私はちょっと超える話ですので。  ただ、一つだけ指摘しておくとすれば、やはり国が責任を持って資質向上に努めるとおっしゃっているわけですね。この資質向上をすれば実は試験に受かるんじゃないかという語義矛盾があるんじゃないか……
  87. 又市征治

    ○又市征治君 そうですよ。
  88. 花井十伍

    参考人花井十伍君) そうですよね。  ですから、本当の意味で、国が資質向上した結果、最終的には新制度の資格を取れていくようにするんだということをまず前提としていただけたらと。昨日までの国の答弁、ちょっと私も傍聴で聞いている限りは、どうもそこはかなり控え目な御答弁をされていて、そこが非常に懸念を持っていたわけであります。  したがいまして、やはり資質向上というときに、本当にそれを国が、例えばそういうのは比較できないですけれども、昔の司法修習制度は、国が試験を受けるために例えば弁護士をやるという感じでありますけれども、まあそこまで極端ではないにせよ、そういうふうに国がそこまで責任持つのかどうかという問題はやはり言えるんじゃないかと。  それからもう一点、やはり先ほどから先生ともうこれは全く問題意識が共有していますが、法人事業者で大規模でそれによってビジネスモデルとして考えているということをやった場合の、これについては、やはり期限を設けることが困難だということとの整合性を取った上で、制度設計十分可能ではないかというふうに考えるわけであります。
  89. 又市征治

    ○又市征治君 両参考人、ありがとうございました。  終わります。
  90. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会をいたします。    午後三時三十五分散会