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参考人(
海老原格君) このような場で
参考意見を述べさしてもらう
機会をいただきまして、大変感謝しております。
私の範囲は、今、
佐藤先生のところと違いまして、大衆薬との
関係ということに絞ってお話をさせていただきたいと思っています。
今回の
薬事法改正の
内容でございますけれ
ども、基本的に、今よりはるかに進んでいるということで、結構なことではないかというふうに思っております。
まず、お
手元に資料がございますので、これに沿ってちょっとお話をさせていただきますけれ
ども、まず、一般の人と
一般用医薬品との
関係ということでアンケート結果の結果をここにお示ししてありますので、ごく一部ですけれ
ども、お示ししてありますので、これをイントロダクションとしてお話しさせていただければと思っております。
まず、一番目と二番目、(1)、(2)は、
くすりの
適正使用協議会として去年の十月に千六百人強の人を対象にいたしましてアンケートした結果の中から持ってきたものでございます。
まず、一般の人が軽い病気にかかったらどうするのかということなんですけれ
ども、六〇%の人は大体大衆薬というか
一般用医薬品を飲んで様子を見るということでございまして、六年前の同じようなアンケート調査がありますけれ
ども、それと何ら変わっておりません。ずうっとこのままです。
それから二番目の、
一般用医薬品によります
副作用の経験でございますけれ
ども、一六%の人が
一般用医薬品で
副作用を経験したというふうに答えております。ただ、その中身は、重たいものはなかったということでございます。
こういう
副作用に、経験した後どうするのかということを聞いてみますと、飲むのをやめるというのが六四%、それから医師に
相談をするが三四%、これはマルチプルアンサーなので足しても一〇〇になりませんけれ
ども、それから家族・知人に
相談するというのが一八%、それから
薬剤師に
相談するというのはずっと低くて一〇%ということでございます。ただ、この一〇%の内訳も、男性の方が女性よりも
相談する割合は高いんです。
それから、(3)でございますけれ
ども、これは大学の方でのアンケート調査の結果であります。去年の六月から七月にかけまして、薬局で一般の人が
一般用医薬品を買うときの場合、そのときのアンケートでございます。七百三十一人に聞いてあります。
この
一般用医薬品を買う場合、七九・三%、ほぼ八割の人は指名買いをすると、自分で決めて買うと、こういう状況になります。それは、そのように最大の要因と書いてありますけれ
ども、
外箱の
表示を見てと、こういうのが圧倒的でございます。そのほかに、店頭の
表示、それからブランドを信頼する、それから効き目がいいというふうに判断をすると、こういうのが続いております。
それから、
購入した人の五九%の人は
外箱の
表示を読みます。その半数以上は、読んだ結果、非常に役に立ったというふうに答えております。
ただ、
外箱の
表示で重視される
項目というのは、効き目、これが圧倒的でございまして八三・四%、それから用法用量が四六・二%とがたっと落ちますんですが、それからメーカー名が三一・四、
成分が二七・七、
使用上の注意が二〇・四ということでございますので、これをこのまま見ますと、
安全性については余り見ていないんだなということが分かります。
それで、ここには書いてございませんけれ
ども、同じアンケートの中では、
副作用が発生した場合にはどこに
相談をしますかという質問もあります。そうしますと、医師というのが半数以上で五二・六%です。それから次が
薬剤師で二一・九%ということで、あとは家族、友人、それからメーカーという形になりますけれ
ども、圧倒的に
相談をしたいというのはお医者さんであります。
しかし、現実の一般人の
行動というのは、何か薬に関する情報が欲しいなと思うと薬局の
薬剤師さんを利用するという、そういう現実があります。統計的に見ますと、七四%、大体四分の三の人が薬局の
薬剤師を利用するということでありまして、この点は、医師に対しては、この七四・二%に
対応する医師は四七・六でございますので、圧倒的に
薬剤師さんを利用しているなということが分かるんです。
しかし、今申し上げましたように、
副作用が発生したらまずお医者さんのところへ行くということで、どうも
副作用の情報の管理というのが一元化されていないというような形になるのではないかと思っております。
今回の
薬事法の
改正の中身を見ておりますと、まず、私自身が一般の人となって病気になったと、軽い病気になったということでお店に行くというと、まず外側に何か、薬局でどんな人が働いているのかというようなことも分かるような
表示がある、それから中に入って、陳列の状況、これもそれぞれ第
一類、第二類、第三類ごとに分けてある、それから実際にその
専門家なのかどうかということが分かるようなこともできているということですので、システム的には非常に、頭の中でイメージすると非常にいいのかなというふうに思ってはおります。
ここに、二番の一般人が安心できる
医薬品ということでまとめてございますけれ
ども、まずそういう
医薬品というのはどういう
要件があるかということでまとめてみたものであります。
一般人が信頼感を持って
購入できる
環境整備と。今イメージした話をしましたんですけれ
ども、薬局の中身はどうなんだ、どんな人が働いているのか、どんなふうな陳列になっているかというのが分かるということも、非常にこれは
整備されることが大切だということ。それから、
専門家から個々の一般人の状況に
対応した情報が示されるということ。そして、その示された情報でその当人、一般人が納得ができると。そして、買っていって自分が飲んだ後、何か体に不都合が生じた場合に気軽に
相談できるということが分かる、又は
相談に応じてくれるという、そういうことで初めて安心できる
一般用医薬品なのではないかと。幾つかの要素が絡まって、初めてこういう安心できる
一般用医薬品というのは存在するのではないかというふうに思っています。
特にこの中で私自身が注目しておりますのは情報、それから情報を提供するそういう人がどうなのかということではないかと、自分自身はそう思っております。
先ほ
どもお話がありましたように、
医薬品というのは普通、物と違うところの点というのは、物プラス情報、もう
一つ付け加えて言う方もいらっしゃいます、倫理観だという話がございます。
医薬品というのは病人の方又は買いに来る
購入者の方のために存在するのであって、その
利便性のためにどういう
医薬品を提供し、どういう情報を提供するかということが決まってくるということでありますので、どうしても情報ということは一番の最大関心事であります。
一般用医薬品につきましても、当然品質とそれから当該
医薬品を用いたときの効き目と
副作用に関する情報、これは使った後どんなことが起きたかという、そういう情報収集も含めて
考えておりますけれ
ども、そういったものについて絶えず
整備しておくということ。そして、そういうものを基にして、ここに書いてありますように、エビデンスベーストといいましょうか、根拠がある説明をしていくということが大切ではないかと思っているわけです。
情報につきましては、
一般用医薬品につきましては基本的に有効
成分が複数あります。これがお医者さんの薬と違うところでありますが、ややもしますと、入っている個々の
成分に着目をした
リスク分類ということはあり得ると思うんですけれ
ども、それだけでは不十分で、やはり全体として
一般用医薬品を使ったときの情報、こういうものを
是非収集をする、又はそれを製造する企業の方で
情報提供をするということが必要ではないかというふうに思っていますし、それからもう
一つ、同じ
成分が
一般用医薬品にもあると同時にお医者さんの薬の中にもあるとすれば、お医者さんの薬の方で何か
副作用等の問題が起きたときには、それはすぐそれを含んだ
一般用医薬品の方にも反映させるということは必要ではないかと、特に
副作用の点は非常に問題ですので、そういうふうに思っております。
それから、情報を提供する側でございますけれ
ども、情報をこれは知識として持っているだけでは全く
意味がないわけで、それをどういうふうに活用していくか。個々の一般人にふさわしいものにして提供していくという、こういう技量が必要ではないかというふうに思っているわけです。単に情報だけ知っててどうなのかという話になりますと、それだと情報は生きてこないんじゃないかと思います。
例えば、
一つの例として水虫、先生方には水虫にかかった方いらっしゃるかもしれませんけれ
ども、水虫には幾つかの系統があるんですね、三種類ぐらいあります。指間型とか小水疱型とか角質増殖型と、こういうのがありますけれ
ども、それぞれに
対応する
一般用医薬品というのはあるわけで、これを間違ってしまいますと治らない。せっかくいい薬だとしても、結果的には効かなかったということになってしまう。それはどうしてかというふうに
考えますと、やはり情報を提供する人が買いに来られた人の状況を判断できるということも必要ではないかというふうに思っているわけです。
それからもう一点、一般の人というのは
専門家と違いまして結構、用語ですね、テクニカルタームといいましょうか、そういう用語が分からない、特に
副作用については分からないと思うんです。ですから、その中身を提供する
専門家自身が正しく理解をして、それを一般人にとって平滑かつ分かりやすい言葉で提供をする、すなわち
専門家と一般の人が情報を共有すると、こういう姿勢が求められるのではないかというふうに思っております。
さらにこれに、2)にありますように、情報の提供者は、その
資質として、情報を十分に理解して、目の前の買いに来られた方の身体的、
精神的な状況をある
程度判断できるということが必要ではないかというふうに思っております。それともう
一つは、やっぱりお客様と売る側ということでございますから、お互いのコミュニケーションがきちんと取れるということが必要ではないかというふうに思っております。
一般の人は、コミュニケーションに役立つと、例えば
薬剤師さんとのコミュニケーションに役立つとして挙げております
項目に、
副作用の
可能性というのがあります。
副作用の
可能性がこんなようにありますよということが非常に役に立ったと、こういう
評価であります。特に、重篤度の高い
副作用につきましては、一般人に、買いに来られた方に
購入時によく説明をして予防型安全
対策に役立てるという、そういうスタンスが必要ではないかというふうに思っております。
いずれにいたしましても、情報をいつもきちんと最新なものを用意するということと、これは基本的にはデータベース化する必要があると思いますけれ
ども、そういう情報をきちんと持つということと、それからそれを提供する人の
資質ということ、これは
薬剤師さん、それから
登録販売者と二つになるわけでございますけれ
ども、余り、この情報の提供者の中身とか質といいましょうか、そういったものは余り差があってはまずいのではないかというふうに思っておりますので、これはできるだけその差が縮まるような形にしていただきたいと思っています。
特に、一般の人はよく分からないんですよね、本当の
意味で
薬剤師さんなのか、まあ今の時点かもしれませんけれ
ども、
登録販売者なのかというのがよく区別が付きません。一緒じゃないか、
専門家じゃないかというふうに思っておりますので、それがこの
法律が通った後何か随分差があるようなことになってしまいますと非常に具合が悪いということになるので、そういった点を踏まえて、やはり
資質という点をもっともっと重視していただければなというふうに思っております。
それから、もうちょっと時間いただきますが、その他といたしまして、健康に直接に
関係する
医薬品につきまして、今回の
薬事法の
改正では、その
適正使用を一般人に
啓発普及するということを
義務化というか
努力義務にしておりますけれ
ども、非常にいいことではないかというふうに思っております。私
ども、
くすりの
適正使用協議会といたしましては、従来からこの薬の
適正使用と、その名のとおりそれをいかに推進するかということをやっておりますので、その後ろ押しということになって非常に感激していると言ってもいいと思いますが。
もう
一つ、ちょっとこれに付言させていただきますと、やはり大人になってからいろんな情報を得るよりも、やっぱり若いときから、ここに書いてございますように、健康を守る本質的な要因というのはやはり若年からの生活の行為と習慣を通して築かれます
個人の責任の自覚ということがありますので、若年から、若いときからやはり薬の何たるかということを
是非学んでいただくような、そういう
啓発普及活動を
是非その中に盛り込んでいただければ有り難いなというふうに思っております。
以上、私の方、大体申し上げたいことは、情報と
情報提供する側。それからもう
一つだけ、
外箱の話を……