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2006-04-11 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      家西  悟君     前川 清成君  四月十一日     辞任         補欠選任      前川 清成君     家西  悟君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       西川 京子君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        総務省自治行政        局長       高部 正男君        外務大臣官房参        事官       佐渡島志郎君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障に関する日本国カナダとの間の協定  の実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関す  る法律案内閣提出) ○薬事法の一部を改正する法律案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、家西悟君が委員辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障に関する日本国カナダとの間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長渡邉芳樹君外六名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 社会保障に関する日本国カナダとの間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 辻泰弘

    辻泰弘君 おはようございます。民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  本日は、日本カナダ社会保障協定に関する特例法案について御質問をさせていただきたいと存じます。  この協定も、既に六か国との協定が結ばれているということかと思います。今度で七か国目ということなのかと思うわけでございますが、まず、そもそもということでございますけれども、この社会保障協定なるものの起源といいますか、聞きますところ、百年ほど前にさかのぼるようでございますが、そのことについてまず御説明を賜りたいと存じます。
  7. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 社会保障協定起源につきまして、大変恐縮ながら正確な歴史的情報を持ち合わせているわけではございません。  なお、私ども、明治学院大学の岡伸一教授が書かれた著作を調べさしていただいたところによりますと、おっしゃるように、一九〇四年にフランス、イタリアの間で、社会保険に関する二国間条約として両国国民社会保険給付を保障することを目指して締結された条約があるということでございます。
  8. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、二重払い防止とか通算とか、そういうようなことまで規定したかどうかは分からないということですね。
  9. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 今引用いたしました書物におきましてはその内容、詳細は書かれておりませんものですから、よく承知しておりません。
  10. 辻泰弘

    辻泰弘君 そこで、今までに既に各国との協定締結し、一部発効しているわけでございますけれども、まず、日本協定を結んだ、締結した国々、それの発効状況、それと同時に、年金通算についての協定締結した国で、かつ既に発効している国がドイツアメリカとあるわけですけれども、その施行状況について御説明をいただきたいんですが、その後者のドイツアメリカ間については、請求件数裁定件数年金支給額平均支給額年金支払方式、どうなっているか、このことについて御説明を賜りたいと存じます。
  11. 青柳親房

    政府参考人青柳親房君) ただいま社会保障協定についての締結発効状況その他のお尋ねがございました。順次お答えをさしていただきたいと存じます。  まず、日本協定締結しております国の数につきましては、お尋ねの中にもございましたけれども、現在六か国、で、七か国目、現在カナダについて今回御審議をいただいているわけでございますが、そのうち、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカの四か国についてこの協定発効しております。  ドイツアメリカにつきましては年金加入期間通算を行っておりますので、その施行状況についてこの両国についてお答えを申し上げます。  まず、ドイツとの間でございますが、ドイツにつきましては、平成十二年の二月に協定発効しておりまして、今年の三月までの間に、まず、日本国民年金厚生年金に対します請求が百七十六件ございました。裁定されたものが百十二件、裁定されたものの年金総額は四千二百四十一万八千円、そして裁定された年金額の一人当たり平均は三十七万九千円、これらの金額は約ということで御認識いただければと存じますが、このようになっております。また、ドイツ年金について行われました裁定件数については、十七年三月現在で三百八件になっております。  続きまして、アメリカとの協定についてでございますが、これは、アメリカとの協定平成十七年の十月に発効しておりまして、今年の三月までの間の実績を申し上げますと、まず、日本国民年金厚生年金に対します請求が五十件、裁定が一件となっております。この裁定された年金額は約二十四万三千円でございます。また、アメリカ年金について行われました裁定件数は、発効が去年の十月ということですのでまだ詳しい数字承知しておりませんけれども、私ども業務センターを通じてアメリカの方に請求をしている関係上、請求件数については承知をしております。本年三月末現在で一万一千四百三十九件の請求があるということでございます。  最後に、年金支払方式でございますが、日本年金それから相手国年金ともに、銀行口座への払込み等によって行われております。
  12. 辻泰弘

    辻泰弘君 まあ、アメリカの場合は、かなり偏っているといいますか、日本人の方からの請求が多いという状況かと思いますけれども、それはそれなりに進行していると、このように思うわけでございます。支払方式も円で振り込みと、こういうことのようでございます。  さて、今回の協定並びに法案についてでございますけれども、今度の日本カナダ協定年金だけの協定になったわけでございます。昨年はベルギーフランスなどございましたけれども、その際には医療もあり、労災雇用保険ども加味されていたというところもあったわけでございますが、今回、年金のみになった理由というのについて御説明を賜りたいと存じます。
  13. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 日本カナダ協定につきましては、両国外交交渉の結果締結する運びになったわけでございますが、カナダにおける医療保険制度及び労災保険制度、これは国ではなく州が権限を有しており、連邦政府だけでこれらの制度を含めた社会保障協定締結することが不可能であったということから、カナダにつきましては対象としておりません。また、雇用保険制度につきましては、カナダがこれまで締結した諸外国との社会保障協定の中でカナダ雇用保険制度を含めてこなかったというのがカナダ側事情でございます。そうした先方の主張を受け入れまして協定締結に至ったわけでございます。したがって、雇用保険制度も今回の協定については対象としておりません。  以上でございます。
  14. 辻泰弘

    辻泰弘君 そこで、日本カナダ社会保障協定によって直接かかわりを持つそれぞれ両国人員見通し、そしてまた、今回の措置によっての負担軽減額、また遡及適用対象となるような方の数の見通しがあればお示しいただきたいと存じます。
  15. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 今般の日本カナダ社会保障協定におきまして私ども想定をしております対象者等につきましてお答え申し上げたいと思います。  現在、日本からカナダ派遣されている企業駐在員等両国年金制度に二重負担している者の数につきましては約九百人と推定しております。また、本人及び事業主カナダ年金制度に対して負担している保険料総額は年間で約三億円になるものと見込んでおります。  第二に、在日カナダ人負担軽減額につきましては不明でございますが、法務省の統計によれば、カナダから日本派遣されている企業駐在員等は百三十三人というふうに承知しております。なお、過去に加入していた期間通算することにより新たに年金受給権を取得することとなるであろう人数の推計につきましては、過去の加入記録についてのデータが十分取れないことから、残念ながら不明というふうに見ざるを得ないと考えております。
  16. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、カナダのサイドからする負担軽減額は分からないということですか。
  17. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 百三十三名という数値だけから考えましても極めて少額であり、日本国の方の負担軽減額の約三億円に比べて小さな数字になるのではないかと思いますが、その実態が必ずしも明らかでございませんものですから、その計算はしておりません。  一方、カナダに行っている日本人関係でございますけれどもカナダ在留民間企業関係者という中から、平成十七年現在で日本商工会、現地の商工会の調べによる割合を用いまして推計をさしていただいているということでございます。
  18. 山下英利

    委員長山下英利君) 少々お待ちください。ちょっと委員が替わりました。     ─────────────
  19. 山下英利

    委員長山下英利君) この際、委員異動について御報告を申し上げます。  本日、前川清成君が委員辞任され、その補欠として家西悟君が選任をされました。     ─────────────
  20. 辻泰弘

    辻泰弘君 今の御答弁の中で、極めて少額ということがございました。こだわるつもりじゃないんですけど、実は私、事前に御説明をいただいたときには一億七千万とか一億八千万という話は聞いていて、それが政府として出せないというのは、それは判断としてあるかもしれませんが、極めて少額ということでもないわけですよね、それだと。だから、そこの部分、どうなんですか。
  21. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 私申し上げましたのは、日本国と比べますとまあ少額であるということ、少し表現が過ぎたところはあったかと思います。  ただ、先ほど申しましたような商工会その他の実地の調査に基づいたベースがあるわけでございませんものですから、あえて答弁の中では数字については答弁を控えさしていただいたということでございます。
  22. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、遡及適用見通しはどうなんですか。
  23. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) おっしゃっておられるのが、恐らく過去の加入記録に基づいてどういうことになるかということだと思いますが、過去の加入記録につきましてのデータは十分取れないというのが実情でございます。
  24. 辻泰弘

    辻泰弘君 事前説明であったのが出てこなかったというのはちょっとあれですけれども、まあその点は問題点として申し上げておきましょう。  さて、もう一つ、今度は通算並びに二重加入防止といいますか、その期限を、派遣期間を五年で区切っているということになるわけですが、これは昨年のベルギーフランスも五年だったと思いますけれども、何ゆえ今回もカナダとの間で五年という区切りを持たれたのか、その理由について御説明を賜りたいと存じます。
  25. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 日本からカナダ派遣される期間につきまして、五年未満という方が約八割を超えているという、八割を超えているという実態調査商工会においてなされておるということも踏まえまして、今回も結果的には同じ五年というふうにさしていただいております。
  26. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、この期限というのはその国とその国との間で決めていくということになっていると。それでいいですね。
  27. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) もとより、個別各国ごと交渉でございますから、一つ一つ確認をしていくものであろうかと思います。  ただ、五年というのが一般に多いということも先生御承知のとおりだと思います。
  28. 辻泰弘

    辻泰弘君 そこで、具体的なことについてお伺いしていきたいと思うんですけれども、当初から五年以上カナダ派遣されるという方の場合、その場合の被用者年金加入ルール、そしてまた根拠条文、それをお示しいただきたいと存じます。
  29. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 例えばでお答え申し上げますと、日本からカナダ派遣される者の派遣期間が当初から五年を超えるものと見込まれる場合には、協定第五条第一項により、原則どおりカナダ年金制度のみが適用されることとなるというものでございます。
  30. 辻泰弘

    辻泰弘君 その場合、自分で選ぶならば、五年以上派遣される場合も日本国民年金に任意加入することは可能でしょうか。
  31. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 今般の協定両国年金制度の二重加入防止のための調整を行っているわけでございますが、これは強制加入についてのみのその適用調整でございます。調整の結果適用されないこととなった制度に任意加入するということまでを排除しているものではないと解釈しております。例えば、当初から五年を超えると見込まれる期間カナダに滞在し、カナダ年金制度のみ適用されることとなる者が日本国籍を有する場合は、日本国民年金に任意加入することも可能であるというふうに考えています。
  32. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、自ら申請をしなかったら、まあ企業からということになりましょうけれども被用者保険の二重加入ということも、これは法律的にはあり得るということでしょうか。
  33. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 協定発効後、二重適用調整を行うに当たりましては、具体的な手続として、調整を受けようとする者が、この場合、委員指摘のとおり、お勤めの会社がということが実態的だと思いますが、自国実施機関に対して適用証明書交付申請を行い、この証明書相手国実施機関に提示することにより相手国年金制度からの免除がなされると、こういうルールでございます。したがいまして、当該申請が何らかの事情で行われなかったというような場合には二重加入の状態は継続せざるを得ないというものでございます。
  34. 辻泰弘

    辻泰弘君 一方、当初五年以内で派遣だというふうに思われていたけれども実際五年以上になったと、こういう場合のルールはどうなっているのか、根拠条文も含めて御説明ください。
  35. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 協定第五条第二項の規定によりまして、当初予見できなかった事情により派遣期間が五年を超えることとなった場合には、本人申請に基づき、実施機関相互協議により、派遣元の国の制度のみ加入するという取扱いの一定期間の延長を認めることとしております。
  36. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、障害年金遺族年金にかかわることですけれども、これは法律の六条、七条、八条、十七条、十八条、十九条にかかわることかと思いますが、いわゆる支給要件にかかわることですけれども保険料納付済期間免除期間が全期間の三分の二以上なければならないと、こういう納付要件がある。また同時に、初診日死亡日についての規定を定めたいわゆる加入要件というものがあると、これについても配慮するという規定が盛り込まれているというふうに伺っておりますが、そのことについての御説明をお願いしたいと思います。
  37. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) ただいま委員指摘のとおり、国民年金及び厚生年金障害年金及び遺族年金につきましては、保険事故が発生した時点で保険料納付済期間保険料免除期間とを合算した期間が被保険者期間の三分の二を満たすこと、それから、初診日又は死亡日において国民年金制度又は厚生年金保険制度加入していたことといった要件を満たす場合にこれらの年金を支給することとされております。  今回の法案におきましては、日本年金制度への加入期間だけでは保険料納付要件を満たさない場合には、カナダ保険期間通算することにより納付要件を満たすようにすることができること、それから、初診日又は死亡日カナダ保険期間中にある場合には、日本年金制度加入中に初診日又は死亡日があったとみなすことといった趣旨特例規定を置いておるところでございます。
  38. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、年金通算を受ける場合のその要件ということになるわけですが、最低加入していなければならない期間というのがそれなりにあると思うんですね。カナダの方、日本の方とそれぞれあると思うんですが、それについて御説明ください。
  39. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 本協定上、カナダ年金につきまして事務処理煩雑化を防ぐ観点から、一定期間以上の保険期間を有している場合に限り年金加入期間通算を行うこととされております。  具体的には、カナダ年金を受けるための通算に当たっては、老齢保障制度、OASと言われますが、この制度からの給付を受けるためには一年以上カナダ居住期間がなければいけない、それから、カナダ年金制度からの給付を受けるためには一年以上のカナダ年金制度加入期間及び三か月以上の日本加入期間を有することを要件としているところでございます。  なお、日本年金につきましては、こうした要件は設けておりません。
  40. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一つ、今回の法律で少し、改めてこういうこともあるのかと思った部分でございますけれども、今回の法律によって支給する国民年金法による給付の額が他の国との間の社会保障協定によって支給される給付額よりも低いときには、この法律規定にかかわらず、他の国との特例法規定により支給する額を支給するんだということの規定が入っているわけですね。これは、少し細やかといいますか、難しい部分もございますけれども、このことについて御説明を賜りたいと存じます。
  41. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 少々込み入ったケースのお話でございますので、まず事例で申し上げたいと思いますが、国民年金の被保険者期間を十五年持っておられる方がカナダ保険期間ドイツ保険期間をそれぞれ五年ずつ有しておられるという、そういうある特定の個人がいらっしゃったと。  その方の障害基礎年金を支給する上では、例えばカナダとの間の協定上定められた期間案分の率、案分率と言っておりますが、それは十五年とカナダの五年とドイツの五年を全部足し合わせた二十五年を分母といたしまして、そしてカナダ部分の五年というものを比較いたしまして二十五分の五を支給する、こういうことになっておりますが、例えばドイツ、先ほどの例で言いますとドイツでございますので、ドイツの場合には日本の十五年と自国の五年分だけ、したがって分母が二十年になって、ドイツにいた期間が五年、二十分の五ということで当てはまる。  これはそれぞれの国との交渉で決まってきておりますが、カナダの場合は理論的な加入期間をすべて満たしたとした場合に、実際にカナダにいた期間がどのぐらいの割合になるかということを示しておりますし、ドイツのようなケースでは、実際にドイツ日本にかかわる加入期間だけを基礎として考える。こんなようなそれぞれの国との協定相手側主張、こういうものに配慮したバリエーションがあるわけでございまして、総じて申しますと、国民年金法上、定額を支給することとされております障害基礎年金遺族基礎年金につきまして、この定額にそれぞれの国の加入期間を案分して支給するということになるわけでございますが、実際に有している日本保険期間に応じた額を日本としては支給する、こういうこととなりますので、それぞれの協定対象国に所在していた期間というものによってどういう扱いになるかというのが、国と国との協定ごとルールが違っているというのが実情でございます。
  42. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、今までの年金通算があった協定にも全部盛り込まれていたということでしょうか。
  43. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) そのようになっております。
  44. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、効力発生のことについてお聞きしておきたいと思うんですけれども協定の十九条でございましたか、外交上の公文を交換した月の後、四か月目の月の初日効力を生ずると、こういうふうな規定になっているわけです。これまで、昨年の場合はたしか三か月だったと思うんですけれども、これは四か月になっているということはどういう背景があったのかということ。  それから、法律成立してから公文交換までの期間、どれぐらいと考えておられるか。政省令をお作りになったりする期間もあるのかもしれませんが、どのくらいで発効するということなのか、そのことについて御説明を賜りたいと存じます。
  45. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 社会保障協定につきまして、法律案成立後に御指摘のとおり政省令の作業などを行った上で、協定効力発生に必要な憲法上及び法律上の要件が満たされた、いわゆる国内法の整備がすべて終了した旨の記載のある公文両国間で交換することとなっております。  法案成立から公文交換までに掛かった期間は、日米協定の場合少し長くて一年一か月掛かったということでございますが、この日加協定につきましては、公文交換の後四か月目の初日としておるところでございますが、近年締結したものはおおむねこの公文交換後四か月目の初日という、このカナダ側主張している、こういうような同様のものが多いわけでございまして、それを受け入れた形でこの協定効力を生じるということになっております。  公文交換までに掛かる期月といいますのは、冒頭申し上げましたように、国内の政省令の整備、それから両国公文交換まで長い場合で一年一か月だったというふうに承知しておりますが、それ以降四か月ということで協定発効は予定されているというものでございます。
  46. 辻泰弘

    辻泰弘君 今まで、効力発生まで公文交換後三か月というのが多かったんじゃないんですか。それはどうですか。
  47. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 少し資料を今見ておりますが、法律の公布から公文交換までの期間ということでございますが、イギリスの場合は六か月、韓国の場合は七か月というふうに承知しております。
  48. 辻泰弘

    辻泰弘君 それはいろいろあるということだろうと思います。  それで、協定の内容を事業主、また年金の受給者に、遡及適用ということもつながってくるわけですが、そういった方々に広報、周知を図らなければならないと、こういうことがあろうかと思うわけですが、これについてどういう方針で臨まれるのか、そのことについて御説明を賜りたいと存じます。
  49. 青柳親房

    政府参考人青柳親房君) 協定内容についてどのような形での周知、広報を図るかというお尋ねがございました。  これまで、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカとの協定発効しておりますので、その例に倣いますと、例えば協定締結国ごとに協定の概要等を説明したチラシあるいは小冊子といったものを作成いたしまして、これを事業主等へ配布をしております。また、関係団体等の協力の下に、国内の事業主あるいは現地の邦人等に対して説明会を開催させていただいております。また、年金受給権者に対しましては、裁定請求事前案内のはがきあるいは受給者あての封筒といったようなものを活用いたしまして情報提供をさせていただいております。また、より一般的な手法といたしまして、当庁のホームページに協定の内容あるいは手続を紹介するようなコーナーを設けるということで対応させていただいておりました。  今年度中にフランスベルギー発効予定でございますし、今回御議論いただいておりますカナダ、この協定実施に当たりましても、事業主、被保険者、それから年金受給権者、こういった方々に対しまして必要な情報が提供されるように、積極的な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
  50. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、カナダの方の状況をお聞きしておきたいんですが、カナダ社会保障協定を結んでいる締結対象国ですね、これはどのぐらいになっているか、お示しください。
  51. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 平成十八年三月現在、カナダ協定締結している国の数ということでございますが、米国、韓国、EU加盟国、オーストラリアなど、計四十五か国と協定締結しているものと承知しております。
  52. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、日本協定締結の申入れ、交渉開始の申入れがあった国もあると思いますが、それの状況を御説明ください。
  53. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 我が国の方に数か国既に協定締結の申入れをしておられるところがございます。イタリア、それから現在交渉中のオーストラリアやオランダ、それからチェコ、スペイン、オーストリア、それからルクセンブルク、ブラジル、こういった国々が今のところ私どもの方に協定締結の申入れをされておられる国であると承知しております。
  54. 辻泰弘

    辻泰弘君 今おっしゃったルクセンブルクというのは、私がいただいた資料では昭和六十二年に申入れがあったということのようで、大分長く掛かっているようですが、こういうところというのは、時間が掛かるということは、それは当然あり得るんだと思うんですけれども、何がネックになって進んでないんでしょうか。
  55. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 本件は基本的に両国間の外交当局の交渉が開始されるかどうかというところが一番大きなポイントでございまして、申入れはしばらく前になされておりましても、その後の外交交渉というものが十分に煮詰まってないと、こういうようなところが少し時間の掛かっているところと承知しております。
  56. 辻泰弘

    辻泰弘君 内容的なことがよく分からなかったような気がしますけれども、まあそれはそれとして進めていただきたいと申し上げておきたいと思います。  そこで、年金協定より少し幅広くなるかもしれませんけれどもカナダ年金制度がそもそもどうなのかということも大事なポイントだと思うわけでございます。  そこで、日本の場合は皆年金である、公的年金は二階建てである、賦課方式である。負担は税も投入しているけれども基本的には社会保険方式であると。支給開始年齢六十五歳、最低加入期間は二十五年と。平均支給額は十七万とか、そういうことがあるわけですが、これらについてカナダの方はどうかと、このことについて御説明をいただきたいと思います。
  57. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 大づかみなところの御説明で恐縮でございますが、カナダ年金制度につきましては、全居住者を対象とした税方式で運営される老齢保障制度、OASと言われる制度と、被用者、自営業者を問わず所得のある者を対象とし、社会保険方式で運営されているカナダ年金制度が併存している、そういう体系であると承知しております。  老齢保障制度につきましては、カナダ国内に一定年数以上居住していることを条件として、六十五歳以上の者に給付が行われます。また、カナダ年金制度につきましては、年間で三千五百カナダ・ドル以上の所得がある十八歳以上七十歳未満の方が加入義務を有しており、六十五歳以上の方に対して所得比例で給付が行われているというものでございます。  最低加入期間というような形で日本のような制度は設けられていないということでございますので、少額年金も出てくると承知しておりますが、平均支給額につきましては、OASにおきましても、それからカナダ年金制度におきましても、それぞれ月額日本円にいたしまして四万円程度というふうになっておるものと承知しております。
  58. 辻泰弘

    辻泰弘君 今、少額とおっしゃったのは所得比例の方のことをおっしゃっているんですね。その基礎部分については税方式なわけですか、そこは確認させてください。
  59. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) おっしゃるとおり、税方式の部分につきましては、一定年数以上居住していた方につきましては定額の支給がなされるというものでございます。
  60. 辻泰弘

    辻泰弘君 今回、カナダ年金制度を調べさせていただきまして、手前みそかもしれませんけれども、民主党の申し上げておった制度にかなり似通った部分があると、精神を同じくするものがあると、このように思ったところでございます。  すなわち、基礎年金部分は税方式で支えるということでございますし、自営業者の方々も九・九%、被用者と同じ保険料率で負担をされている。自営業者の方は折半じゃなくて、自営業者がフルに負担されるということになるわけですけれども、そのことについても我が党の案についてのいろいろ御指摘もいただいたところですが、現実にカナダにおいては被用者の場合は労使折半だけれども自営業者はフルに負担をされていると。こういう中での税方式を基礎年金とし、上に所得比例の年金をつくっているという状況であるわけでございます。  そういった意味で、私どもの方針も一つの現実に行われている体系があるということで意を強くした次第でございますが、そのことについてもまた今後とも私ども取り組んでいきたいと思っているわけでありますが、そのカナダ年金制度で、今御説明もございましたように、やはり基礎部分が税方式で無拠出であるということになっている。そのことによって、やはりカナダの低所得である高齢者の方々がかなり相対的に手厚くなっていると、こういう指摘がございました。  これ国立社会保障・人口問題研究所の室長さんが書かれた本で、いい指摘をされていると私思ったんで、ちょっと引用したいと思うんですけれどもカナダに比較して日本の高齢者の低所得層は必ずしも経済的に恵まれていないと。現在の年金制度をもってしても日本の高齢者は社会の中で低所得である割合が高い。日本に比べカナダの低所得の高齢者層は比較的に良い経済状況である。カナダの研究者によると、一九七〇年代から二〇〇〇年にかけてのカナダ年金制度が大きく充実したことに関連している。そのような指摘がございます。  また、先ほど言いましたように、カナダのOASですね、これが無拠出である、そのことによって実質的にほぼ普遍的な制度になっているということ。日本に引き直せば、基礎年金が全額税方式で成り立っている、なるがゆえに無年金は生じない、低年金も生じない、基礎年金はフルに適用されると、こういうことを意味しているわけでございまして、そのことが高齢者の低所得層を生んでいないと。相対的なことではございましょうけれども、そういったカナダ状況につながっているということの指摘があるわけでございまして、私はこれは非常に傾聴に値することだと思うわけでございます。  また、同時に、カナダの公的年金制度日本の公的年金制度の大きな違いの一つは、カナダの公的年金制度の一階部分基礎年金部分ですね、それが高齢者の最低生活を保障するものとして明確に位置付けられている点であると。日本においては基礎年金は拠出を前提とする社会保険であり、高齢者の最低生活保障に関する位置付けは明確でないと、こういうふうな指摘がございます。  そして、結びとして、所得の低い高齢者の所得保障をどのように行っていくのかという観点が日本の公的年金の改革においてはいま一つ欠けているように思われると。そして、高齢化する日本の社会の中で、高齢者に対する最低生活保障をどのように社会が担うべきか、カナダ制度を参考にいま一度考えてみる必要があるのではないだろうかと、こういった結びになっておりまして、私は非常に的を得た御指摘であろうと思いますし、こういったことで国立の社会保障・人口問題研究所の方が書かれているのを私は意を強くした思いがいたしますが。  やはりこういった意味で、政府としては、おととしやったわけでございますから、すぐにこちらに行くよということはないのかもしれませんが、しかしこの部分、やはり大事な視点だと思うわけでございます。政府流に言えばまずは二分の一にしてというふうな話になるかもしれませんが、やはり基礎年金部分については税方式で賄って普遍的な制度として組み込んで、安定、安心というそういった老後の保障に結び付けるべきだと、このように思っておりますけれども厚生労働省としてのこの点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  61. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) もう委員承知のとおり、私どもの国の年金制度は自らの老後に自ら備えるという考え方を基本として、拠出制の社会保険方式の年金制度を設けております。そうした中で、全国民に共通の基礎年金につきましては、産業構造、就業構造の変化にかかわりなく安定的で公平なものとするように制度が仕組まれておるわけでございます。  さらに、所得の低い方につきましては、免除によって税により、最大税により三分の一なり、今後二分の一なりの給付が保障される、こういう形になっておるわけでございますが、全額税方式に、税財源で税方式という方途を取る場合には、こうした我が国の自助自律の考え方に立つ社会保険方式のメリットを放棄するのかどうか、あるいは生活保護との関係を御指摘のとおりどのように整理をするのか、多額の税財源について国民の合意が得られるのか、あるいはこれまで納付されてこられた被保険者の方々をどのように位置付けるか、医療や介護など他の社会保障財源との関係をどうするか、事業主負担を軽減するという政策にもなりかねないわけでございますが、事業主負担制度というものをどのように考えるか等々あろうかと思います。  税方式年金を採用しておりますOECDの先進国というのは、多くは北欧諸国、そしてカナダそれからオーストラリア、こういうように承知しておりますが、多くのOECD先進諸国におきましてはやはり社会保険方式が中心になっておるものと考えております。  なお、先ほどお話ございましたカナダのOAS、税方式の年金部分でございますが、二〇〇三年度の支出が二百十四億カナダ・ドルということでございまして、カナダにおけるGDP対比で約一・七%、一・六五%でございますが、そのぐらいの支出になっていると見ております。我が国の基礎年金、二〇〇三年度約十六兆円というものの国庫負担が仮に二分の一ということといたしますと、対GDP比で同じように一・六%ということでございますので、我が国における基礎年金、あるいはそれに代わるものとしての基礎的な部分年金を税方式にするということの国民経済上のマグニチュードというものがどういうものであるかというのは御理解賜れると思います。  そういうことでございますので、我が国の場合には社会保険と最低生活を保障する生活保護との組合せということで対応をしてきておりますし、今後とも、そういうものの活用ということを通じ、また着実に二分の一国庫負担を実現するということが低所得者の免除手続を通じて年金の保障につながる、こういう考え方で臨んでまいりたいと思っております。
  62. 辻泰弘

    辻泰弘君 今のは従来の政府の、厚生労働省の見解を改めて披瀝されているわけですけれども、突き詰めた話、社会保険方式を基本に据えて、基礎年金も基本的にはそれをベースにするということになりますと、結局現実問題として無年金、低年金というのも発生するということは避けられない部分があるわけですね、もちろん努力はするにしても。で、私どもは税方式によって抜本的に変えろと言っているわけですが、政府の方はそこも社会保険方式だと言っている。しからば、無年金、低年金対策をしっかりやっていればそれも一つの道かもしれませんが、現実問題としてそれが全然見えてこない、極めて乏しい現実と言わざるを得ないと思うわけでございます。  かねてより指摘しておりますように、最低加入期間も、今回のカナダを見ますと、基礎年金部分は十八歳到達後十年居住しているというのが最低加入要件、そして所得比例の方はないわけですね。日本の場合は二十五年ということで、国際的に見ても、時間がございませんから私で申し上げますけれどもアメリカが十年、イギリスが十一年、ドイツが五年、フランスはない、スウェーデンもなしでしょうか、こういったことで、日本の二十五年というのは、基礎年金入れたときにむしろ二十年から二十五年に延ばしたというふうなこともあったぐらいでございますけれども、もちろん短ければいいということではないんですけれども、しかし余りにも国際的に見てもハードルが高過ぎるということもあろうかと思うわけでございまして、そのことについては御指摘を申し上げておきたいと思うわけであります。  それで、時間も迫ってまいりましたので、最後のポイントで、これ、カナダも調べたんですけれどもカナダのことは必ずしもよく分かりませんでした。と申しますのは、標準報酬の算出上、通勤手当を日本は含めているわけですけれどもカナダの場合どうかということで調べてみましたが、いろいろ厚生省も調べていただきましたけど、カナダの場合はやはり車社会でございますのでオートモビールとかドライビングとかそういう言葉が出てくるんですけど、やはり日本で言う通勤交通の定期券的な、そういうふうなものが出てこなかったんで、これは対照はなかなかできないというのが結論でございますけれども、ただ、いずれにいたしましても、日本の標準報酬月額の算出のときに通勤手当が入っているというのは、これは非常に素人的に考えて意外なわけですね、所得税は非課税になっている部分がですね。このことの根拠は何か、これをまず簡単に御説明ください。
  63. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 通勤費の取扱いにつきましては、かねてより御議論のあるところでございますが、社会保険、労働保険通じまして、賃金、給料、手当、その他名称のいかんを問わず労働の対価として労働者が事業主から支給を受けるものすべてのものを報酬としてとらえることとしております。通勤手当の位置付けも、労働の対償として得る報酬の一つであるということの位置付けの下に、保険料の算定の基礎としているところでございます。  また、近年に至りましても、通勤手当を支給していない企業もあるという中で、不公平が生じないようにしていくためにも、従来の取扱いは維持せざるを得ないのではないかというふうに考えているところでございます。  保険料の賦課対象となる報酬に通勤費を含めているか否かについて、諸外国の例につきましては詳細は承知しておりませんが、私ども、今日まで少しずつ調べているところで申し上げますと、やはり通勤費を含めている国もあれば含めていない国もあると、こういう状況ではないかと思います。イギリスのように含めているところもあり、アメリカやスウェーデンのように含めてないところもあるというふうに承知しております。
  64. 辻泰弘

    辻泰弘君 私はその根源、根拠規定は何かと聞いたんです。そちらの方を言ってください、簡潔に。
  65. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 健康保険法二条第一項におきまして、本法において報酬と称するは事業に使用せらるる者が労務の対償として受くる賃金、給料、俸給、手当又は賞与及びこれに準ずべきものをいう、こういうふうにされております。
  66. 辻泰弘

    辻泰弘君 私が申し上げたのは、通勤手当がそれの、報酬の中に入るのは何で決まっているかということです。
  67. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) この法律基礎といたしまして、私ども法律解釈、通知、こういうものによって明らかにしているところでございます。
  68. 辻泰弘

    辻泰弘君 だから、それが何かを言ってくれって言っているんじゃないですか。ちょっとこれは無駄ですよ、時間が。速記止めてくださいよ。通告している話じゃないですか。
  69. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 大変恐縮でございますが、通知の具体的な年月日等々につきまして私ども今手元に持っておりませんので、御報告を後ほどさしていただきたいと思います。
  70. 辻泰弘

    辻泰弘君 おかしいですよ、これは。通告してますし、大事なところですよ、そんなの。(発言する者あり)
  71. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  72. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。
  73. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 大変失礼申し上げました。  昭和二十七年十二月四日付けの厚生省保険局健康保険課長からの疑義解釈の通知でございます。名前は「報酬の範囲について」ということでございます。通勤費につきまして回答をしていると、こういう通知でございます。
  74. 辻泰弘

    辻泰弘君 それちょっと読んでくださいよ、そこを。
  75. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) まず、照会でございますが……
  76. 辻泰弘

    辻泰弘君 照会はいいですよ。
  77. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) よろしいですか。  御来示の通勤手当はその支給方法として一応三か月又は六か月ごとに支給されているとしても、支給の実態は原則として毎月の通勤に対して支給され、被保険者の通常の生計費の一部に充てられているのであるから、これら支給の実態に基づいて当然報酬と解することが妥当と考えられます。
  78. 辻泰弘

    辻泰弘君 今のね、生計の一部に充てられているということが一つのポイントではあるんですね。  で、もう一つ聞いておきますけれども、先ほど支給していない企業もあると局長おっしゃいましたでしょう。これ、前には、どれぐらいかって割合を調べて言っておられますけれども、どれぐらいやっていますか。
  79. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 平成十一年の賃金労働時間制度等総合調査報告によりますと、通勤手当を支給していない企業が約一五%と承知しております。
  80. 辻泰弘

    辻泰弘君 ということは、支給しているのが八五%なんですよ。先ほど年金協定のときにですね、五年で区切るのは八割で考えたとおっしゃったじゃないですか。その八五%が支給しているわけだから、それを大宗ととらえるというのが論理的な帰結であるべきだと私は思いますよ。  それで、これは突き詰めたところ、労働の対価、対償なのか、勤務に伴う実費弁償なのかと、この部分に突き当たるわけなんですね。これは、まず昭和二十七年の十二月のあの疑義照会についての回答がその今の日本のこの部分規定しているというのは非常にお寒い限りで、私はそのこと自体本当に寂しいといいますか情けないというふうに思いますよ。  要は、税法上は昭和二十二年からそれが出発して、法律上じゃなかったんですけど、昭和四十一年に法改正をして非課税所得に位置付けたと。そして、ずっと増額をしてきて、今は十万円まで非課税というふうに認定されているわけなんですね。にもかかわらず、社会保険の方では、その通勤費という実費弁償の部分を所得に位置付けている、報酬に入れているわけですね。そこで非常にギャップができてしまっていると、こういう実態だと思うんですね。  例えば、十万円違うとどれほどランクが違うかといいますと、ランクだけ、等級がどれほど違うかだけ、これ通告してますから言ってください。
  81. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 厚生年金保険被保険者の報酬月額が十五万円の者、それから二十五万円の者の標準報酬月額等級、それを当てはめてみますと、それぞれ八級と十六級でございます。等級差は八級ございます。  また、報酬月額が四十五万と五十五万というふうにとらえてみますと、二十四級と二十八級で、級差は四等級でございます。  それぞれの本人負担厚生年金保険料額というものを見てみますと、十五万と二十五万の差でありますと七千八百五十八円、それから四十五万と五十五万の差でございますと八千五百七十二円と、こういうふうになっております。
  82. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、実費弁償的なものが報酬とカウントされるがゆえに、実質的には実入りがないのにかかわらず、それだけ八千円なり一万円近く天引きになってしまうと、こういう状況なわけですね。素人目に見ても非常に矛盾した考え方で、これについては答弁もあって、このような、いつまでもこのまま放置してよいのかどうかというのは十分検討しなければならないという政府委員答弁もかつてあったぐらいなんですね。  そこで、私は思いますのは、国税の方は時代の変化というものに対応してきているというふうに思うんですが、社会保険の方がその分全く対応できていないというふうに言わざるを得ないと思うんです。これはほかの行政の施策でもそういうところが私は本当にあって、前も予算委員会でも雇用対策基本計画のことを申しましたけれども、本当に状況に応じて機動的に対処しないということの本当に典型的な例ではないかと、このように思うんですね。  そこで、最後に大臣に、これは難しいことじゃなくて、非常に単純と言うと失礼ですけれども、普通の素人から見ても分かりやすい部分で、通勤費が、定期代が所得税法上は、所得課税においては非課税所得になっていて掛からない、しかし社会保険においては算定対象になっていると、この部分はやはりおかしいと。やはり労働の対償、対価ということで位置付けているからそうなっているんですけど、これはやはり勤務に伴う実費弁償だと思うわけでございまして、そういった意味で、大臣の御見解をお伺いして、このことについて、やはり時代に応じた、やはり課税と同じような形で持っていくべきだと。それなるがゆえに日本の場合は報酬比例年金と言っているけど、一般には所得比例年金と言っているわけですね。そこにもつながっているかと思いますが、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  83. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 委員がお調べになったように、国々によってもそれぞれのようでございます。一つは、委員が御指摘いただいた定期代、私もサラリーマンの時代がありますから、定期代と言うと極めて分かりやすいですねと。しかし、カナダに行くと車で通う人が多いから、これの通勤費というのをどう考えるかと、こういう問題が残されていることは事実だろうと。しかし一方で、税の上では整理したじゃないかという御指摘もあります。  したがって、私どもは検討すべき課題であるという認識はいたしております。私ももう少し自分自身が勉強してみたいと、こう考えます。
  84. 辻泰弘

    辻泰弘君 この点についてしっかりお取り組みいただくように申し上げるとともに、先ほどの資料についての、昭和二十七年のことについては、私は通告もしたし、夜、昨日私いただいているわけですからね、それがないなんということはあり得ないんで、その対応自体が私はやはり隠ぺい体質を持っていると、このことを指摘せざるを得ないと、このように思います。  以上で私の質問を終わります。
  85. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩をいたします。    午前十時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  86. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障に関する日本国カナダとの間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  日本カナダ社会保障協定特例法年金の二重払いなどを防ぐ当然の措置であり、賛成をいたします。  今回の協定年金のみの調整になっておりまして、医療などほかの社会保障制度対象としておりません。年金局長にお伺いしたいんですが、ベルギーフランスアメリカとの協定では医療や労働保険も対象にしていたんですが、今回、年金だけになった経過を御説明いただきたいと思う。
  88. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 御指摘のとおり、この日本国カナダとの間の協定につきましては、カナダにおきます医療保険制度及び労災保険制度については州が権限を有しており、連邦政府がこれらの制度を含めた社会保障協定締結することが不可能であったという事情のために対象とされておりません。  また、雇用保険制度につきましては、カナダがこれまでたくさんの国々と社会保障協定締結される中でカナダ雇用保険制度を含めてこなかったという理由で、カナダ側主張としては、同様に日本国との間でも雇用保険制度は外してほしいと、こういう強い御要請がございました。これにつきましては、今回含める可能性はないのかということで種々調整の場面もあったわけでございますが、最終的には、申し上げましたように、カナダ側の立場、主張を受け入れ、今回の協定対象としなかったという経緯でございます。
  89. 小池晃

    ○小池晃君 いろいろな事情はあったんでしょうが、医療連邦政府の所管でないということで対象となっていない、まあそういう国はほかにもあると思うんで、やはりこれから各国と結んでいく際にはどういう手段が必要なのか検討する必要があるというふうに思っております。  その点、やっぱり医療の問題で、これから出張、海外派遣というだけではなくて、リタイアした後に海外で長期に暮らされるというような方が増えてきております。そういう方にとって、やはり年金だけではなくて、医療保険の調整というのも非常に大事になってきているんではないかと。  今日ちょっと御紹介したい例はドイツなんですが、これ我が国とは社会保障協定結んだ国なんですが、医療保険が協定対象となっていないということがあって、医療保険に入れない経済的な不利益だけではなくて、市民的権利まで制限されたという実例であります。  今日は新聞記事もお配りしましたが、これ千葉県の習志野市に住んでいた八十七歳の女性です。夫が亡くなった悲しみをいやすために、二〇〇二年九月にドイツ在住の息子さんのところに半年行くという予定で当初訪問した。これ翌年の三月におふろ場で転倒して骨折して、帰国できなくなったそうなんですね。国保に加入されていたので海外療養費制度で治療を受けておられたけれども、高齢でちょっと心臓の機能も落ちたということで飛行機に乗ってはいけないということで帰国ができなかった。  滞在期間一年超えたために滞在許可申請ドイツ政府に対して行ったそうなんですが、ドイツというのは、何か健康保険に加入していないと正規の手続経て入国した人であっても不法滞在者と同じ扱いを受ける、そういうことになっているそうであります。  一方、習志野市の国保課、こちらはどう対応したかというと、二〇〇四年の七月に国保の保険の納付書が返送されてきたと。それまで保険料ちゃんと払っていたのに、返送されてきたということを理由にして住所を有しないというふうに判断をしたと。八月に被保険者資格を失効させたわけであります。  しかし、一方で、住民基本台帳には載せたままなんですね。選挙権もある。選挙はがき来ているんです。介護保険の被保険者資格は継続していて、介護保険料を払い続けていたというんですね、その後も。  これ息子さんは驚いて、習志野市からそういう連絡があったので、国際電話を掛け、一時帰国までして事情説明したと。どうしても帰れないんだと、治療が済んだらすぐに帰国するから国保の継続をしてくれというふうに頼んだけれども、聞き入れられなかったという話なんです。  国保資格を喪失したことによって、先ほど言ったように、この女性は不法滞在者と同じ扱いを受けて、人口千二百人の村に住んでいたそうなんですが、そこから一歩も出られないと。非常に不自由な生活を強いられ、病気も悪化をして、昨年十月にドイツで亡くなられたと。こういう実例なんです。  厚生労働省にお聞きをしたいんですが、これは元々六か月以内に帰国する予定でドイツに出掛けて、国内の住居も転出届も出してないという人で、これが病気や事故によるけがで一年過ぎてしまったと、こういうケースなんですが、こういうケースで国保の資格まで奪ってしまうということに問題はないんでしょうか。
  90. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 国民健康保険の資格についてのお尋ねでございますけれども、通常でございますと、一年を超えて海外に滞在される場合には、国内に住所を有しなくなるということで、国保の加入者とはしないと、このような取扱いをしているところでございます。  御指摘の事例につきましては、個別の事例でございますし、事実関係を詳細に把握はしてございませんけれども、国保における住所の取扱い、それから住民基本台帳における住所の取扱い、この食い違いがあったという御指摘でございますけれども、基本的には国保における住所の認定、これは実態に即して判断されるべきものでございますけれども、その点は住民基本台帳も同様でございますので、基本的にはこの問題につきましては、国保と住民基本台帳の住所の認定との間にそごが生じないように、市町村において関係部署間が相互に連携を取りながら住所の認定を行っていただくべきものであろうと思いますし、そういったことがなされていれば今回のような混乱は生じなかったんではないだろうかと考えております。
  91. 小池晃

    ○小池晃君 正にそごが生じているわけですね、このケース。ちょっと少し詳しく聞いていきたいんですが、総務省おいでいただいていると思うんですが、その自治体の関係部局が、例えばこの場合は国保課なんですが、ある関係部局が住所を有しないというふうに判断した、そういうふうになったとすれば、これはまず住民基本台帳の担当部局と相談をし、協議をして、住基台帳法に定める手続を経て住民基本台帳から削除をして、その上でその国保の資格喪失などの手続を行っていくというのが住基法が予定している手続ではないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  92. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。  住民基本台帳は、住民に関する各種行政事務処理基礎となるものでございますので、各市区町村におきましては、住民に関する正確な記録が行われますように、関係組織間の連絡を密にする必要があろうというふうに認識しております。  具体的にこの連携を密にどういうふうにしていくのかということについては、各市町村でいろんなやり方をしておられることと思いますけれども、いずれにしても、十分な連絡を密にして対処していただくことが必要であるんじゃないかというふうに思っておるところでございます。
  93. 小池晃

    ○小池晃君 国保制度と住基制度で別の住所認定が行われるということは、これは法の四条によって禁止されていることということでよろしいんですね。
  94. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 先ほど申し上げましたように、住民基本台帳は市区町村におきまして選挙人名簿の登録でございますとかその他の住民に関する各種行政事務の処理の基礎となるものでございます。このために、住民基本台帳法第四条におきまして、住民の住所に関する規定について関係法令ごとに個々ばらばらに住所を認定してはならないというような旨が定められておるというふうに認識しているところでございます。
  95. 小池晃

    ○小池晃君 正におっしゃるとおり、関係法令というのは公選法、国保法、地方税法等々で、これ統一してやらないと住民に関する記録がめちゃくちゃになってしまうわけですから、前提としてこれは統一的に行うということだと思うんです。  厚労省にお聞きしたいんですが、これ国保法には、被保険者資格を有する国保法五条に該当するか否か、すなわち自治体内に住所を有するか否かということについては認定の手続を置いてませんね。これは正にその住民か否かの認定というのは一義的に地方自治法の定めによることになっていて、基本的には、具体的には住基台帳法の手続によるからということでよろしいですね。
  96. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま委員指摘のとおり、通常は国民と住民基本台帳の住所の認定というものは同一でございます、同一であるべきものでございます。したがいまして、繰り返しになりますけれども、本件の場合にはやはりその市町村、同一市町村の判断でございます。したがいまして、そこでの判断にそごがあったということは、これは避けるべき事柄であったと、このように考えてございます。
  97. 小池晃

    ○小池晃君 いや、そごが起きないように、まあ少なくとも住基と手続は連携して行うということがこれは法令上予定されていることだという解釈を厚労省としても持っているということでよろしいですね。
  98. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) そのように連携して処理されるべきものだと思ってございます。
  99. 小池晃

    ○小池晃君 そうすると、国保法は住基制度の認定と独立して住所の認定を行うものではないと、やっぱり連携してやらなきゃいけないということだとすると、習志野市はこの女性を住基台帳に記載をして、選挙権、介護保険の被保険者資格を有し、保険料まで徴収していた。で、一方で国保の被保険者資格を剥奪したというのは、喪失させたということは、これは違法ということになるんじゃないですか。
  100. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 御指摘の事例につきましては、事実関係、詳細に個別事例でもございますので把握してございませんけれども、国民健康保険における住所の認定に即しましては、これは国保法上の問題としてまず実態に即して判断する必要があるということでございまして、国保の住所と住民基本台帳の住所が異なることが直ちに違法であると、このようには考えてございません。  ただ、先ほどの住民基本台帳法の精神からいいまして、これはやはり連携を取ってそごがないようにすべきであると、このように判断しているところでございます。
  101. 小池晃

    ○小池晃君 連携、全く取れてないじゃないですか、このケースで言えば。そごが起こっているわけじゃないですか。で、深刻な被害が出ているわけじゃないですか。これを正しいと、これは適正な手続だったというふうにおっしゃるんですか。これは私、どう考えてもおかしいと思いますよ。  しかも、もう一つの問題というのは、これは住所を有するか否かについて一年ということを習志野市の担当者はこの御家族に言って、一年というのは法律で決まっていて例外がないんだと。  これは総務省にお聞きしますが、住所を有するという認定ですね、手続上、これはどういう要素を考慮するのか。例えば病気やけがなどの事情であるとか、あるいは居住したいという意思など主観的要素、主観的事情、こういったものは考慮事項になるのかならないのか。それから、一年といいますけれども、これは法令上の規定としてあるのかどうか、お聞きをします。
  102. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 住所の認定は市町村長がするわけでございますが、この認定に当たりましては、客観的居住の事実を基礎といたしまして、これに当該居住者の主観的居住意思を総合して決定するものと、かように考えているところでございます。  個々のケースにおきます住所の認定は市町村長が行うわけでございますが、私どもの方で昭和四十六年に一定の通知を出してございまして、今先生御指摘、一年というのはそのやり取りの中に出てきているものかというふうに思っておるところでございますが、この通知の中で一年の期間というものについて、法令上の明文の根拠はないというふうに考えておりまして、市町村長が判断する上での一つの考え方をお示しさせていただいたものだというふうに認識しているところでございます。
  103. 小池晃

    ○小池晃君 今お話あったように、いろんな要素を考慮して判断しなきゃいけないにもかかわらず、厚生労働省にお聞きしたいのは、習志野市は住所を有するか否かについて、一年間不在であると、期間だけを考慮して、考慮要素にして判断したと。これは問題じゃないですか。
  104. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) その一年という期間についてでございますけれども、正に私どもは、その住民基本台帳法上の住所の考え方、そこで今示されている、市町村長の判断として示されている事柄、これを踏まえて国保法においても同様の解釈を行っているところでございます。
  105. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、全くこれ法令上のその根拠はない、一年というのはね、ものなわけですね。  で、ちょっと大臣、今までいろいろと手続の問題について取り上げてまいりましたけれども、これ、そもそも海外療養費制度というのは海外で病気にかかった人を救済するための制度なんですが、それが病気になって帰国できなくなるとこれ適用されなくなるというのは、私は制度の抱えている矛盾点ではないかというふうに思っております。  こういう制度の在り方について改善の必要性があるのではないかというふうに思いますが、御意見をお聞きしたいのと、それからもう一つ、やはり広い意味でこれから団塊の世代の退職ということが起こってきて、国保の加入者が外国に長期滞在をすると。そうすると、高齢ですから、病気が悪化したり、あるいは病気になったりということで、こんなふうに帰ってこれないというようなケースも出てくると思うんですね。習志野市のようなケースも再度起こり得るのではないかと。これは、邦人保護という観点からもこれは看過できないのではないかというふうに思っておりまして、やはり今後の社会保障制度の在り方の検討あるいは国際的な協定の検討の際には、こういう事態が起こらないような配慮、検討ということをしていく必要があるのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  106. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今御議論いただきましたけど、まず原則は、国保の加入者が一年以内の短期の海外滞在や旅行等で外国で病気になった場合に給付を行うという原則はございます。  一方で、今のように例外的なケース、一年のつもりで行ったけども、そこで病気をして一年以上のその地域での滞在になってしまった、かつ病気療養の必要があると、こういうケースだと思います。一年以内の短期滞在中に病気になり、帰国が一時的に困難となった場合に、我が国の医療保険制度に即して合理的な範囲で海外療養費の支給が行われるべきものと考えております。
  107. 小池晃

    ○小池晃君 そんなにたくさん起こる事態ではないかもしれませんが、やはりこれからの国際化ということに際して検討しておくべき課題だというふうに申し上げたいと思います。  それから、無年金障害者の問題をちょっと聞きたいんですが、二〇〇五年四月から始まって一年たちます。現在のその給付金の支給決定の総数、内訳、学生、主婦別に示していただきたい。それから、不支給決定数も教えてください。
  108. 青柳親房

    政府参考人青柳親房君) 特別障害給付金のお尋ねについてお答え申し上げます。  直近の平成十七年の十二月末現在までの数字でございますが、まず特別障害給付金の受給者の数は五千六百二十人となっております。そのうち、学生の要件に係る方が二千八百二十二人、配偶者の要件に係る方が二千七百九十八人となっております。また、不支給の決定件数は五百八十一件でございます。
  109. 小池晃

    ○小池晃君 この数をお聞きすると、学生と主婦が大体一対一ぐらいなんですが、事前の話では主婦の方が多かったはずで、ちょっとやはり主婦のところで支給決定が遅れているのかなということと、何よりも全体が五千六百件と。  ちょっとお聞きしたいんですが、これ、当初対象者数は二万四千人というお話だったわけです。厚労省として今支給決定が四分の一にとどまっている原因についてどのようにお考えですか。
  110. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) この制度を導入するに際しまして、国会での御議論の中でも、私ども対象受給者数につきましては、二〇〇二年七月の無年金障害者に対するいわゆる坂口試案というものの中で、平成八年の身体障害者実態調査を基に、調査対象地区を決めて年金を受給していない障害者の方がいる場合の事例を調べまして、それをまた全体に置き直して推計した数字として今御指摘のありましたような学生が約四千人、専業主婦の場合が約二万人という見積りをさせていただき、それを基に、この二万四千人をベースに制度施行のための必要な予算を確保してまいったわけでございます。  まだ私ども、約六千件ということでございますが、本来受給できるのに申請していなかったり等々の事情にとどまっておられる方がいらっしゃらないかと、こういう姿勢で臨むべきであろうと思っております。可能な限り、引き続き実態を把握する、障害関係部局との連携を図る、関係者の方々に周知徹底に努めると、こういう基本動作で対応してまいりたいと考えております。
  111. 小池晃

    ○小池晃君 これは手続の簡素化、柔軟化などはしていただいたわけですが、これ、昨年九月の市区町村、県別の照会件数見ますと、かなりアンバランスがあります。例えば、大阪は一万三百八十四件に対して東京が二千四百四十三件あると。いろいろ事情を聴くと、大阪は障害者の皆さんに地下鉄の乗車パスを送るんだそうですね。そのときに、そこに一緒に特別給付金のお知らせをセットで送っていると、これが非常に効果的だということをお聞きをしました。周知の仕方をもっともっとやっぱり工夫する必要があるというふうに思うんです。  それから、今のお話の中で、平成八年の実態調査から二万四千人というふうに推計をしたということなんですが、既にこれ十年たちました。今年度、この身体、知的、精神も含めた実態調査を行うというふうに聞いておりますが、この調査は学生、主婦だけではなくて、無年金障害者の人数、生活実態、こういう全体を把握するための調査にする必要があると思うんですが、この点での御見解をお伺いします。
  112. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  障害者の所得などの生活状況につきましては、五年に一度、全国で障害の種類や程度、福祉サービスの利用状況等々を把握する調査実施しております。御指摘ございましたように、平成十八年度において調査実施することといたしておりまして、障害の種類、程度、原因等、日常生活、就業の状況、公的年金の受給状況等の調査を行うこととしており、御指摘の無年金障害者の方などの実態も把握できるものと考えております。
  113. 小池晃

    ○小池晃君 せっかく議員立法でつくった制度ですので、きちっと生かされるように、周知されるように引き続き御努力をお願いしたいというふうに思います。  終わります。
  114. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、日本国政府カナダとの間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案について御質問をいたします。  日本締結した国はこれまでで六か国、一方、締結日本側に申し入れている国は八か国あると聞いております。そのうち、ルクセンブルクからは、一九八七年に申入れを受けていながらいまだに締結されておりません。このように、締結数が欧米諸国と比べて少ない理由、そして締結が遅れている理由は何でしょうか。
  115. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 年金を中心といたしまして、各国との社会保障協定につきましては、一九六〇年代後半以降、我が国政府として、ドイツアメリカ等の年金当局との間で二重加入問題等について意見交換を始めるというところからスタートしてまいりました。  相手国制度改正等の事情もあって、継続的な交渉にならなかった国も途中の事態としては発生いたしましたし、また私どもの方の年金制度の大きな改正が数度にわたって行われたというような様々な事情もあり、最初に締結に至りましたのは、ようやく平成十一年になりましてドイツとの間で協定締結に至りました。その後、十二年にはイギリス、十六年にはアメリカ合衆国、韓国、十七年にはフランスベルギー協定締結を進め、今回のカナダを含めて七か国に至ったわけでございます。  これまでも、既に締結の意向を示されておられる他の国々の中でまだ協定締結に至っていない国々もございますが、基本的には、これは相手国事情と我が国の事情の中で外交交渉の下で選定され、具体的に協定締結され、その結果として今御審議いただいている特例法をお願いをしている、こういう関係にあろうかと思っております。
  116. 福島みずほ

    福島みずほ君 ノウハウも蓄積されていると思いますので、今後はスピードアップしてやってください。  今回の協定で締約国が七か国目となりますが、締結申入れを受けている国、ルクセンブルク、オランダ、イタリア、フィリピン、オーストラリア、ブラジル、チェコ、オーストリアで掛け捨てとなっている二重負担保険料は幾らぐらいになるのでしょうか。
  117. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 今御指摘いただきました七か国、まだ、協定締結に向けた交渉を開始したいという意向は示されましたが、具体的な動きにまで十分行っていないところにつきましては、私ども二重負担状況を含めまして、こうした協定締結に向けた動きをする中でその実情を更に把握してまいりたいと思っておりますので、現時点で正確な二重負担の数値、金額というものは持ち合わせておりませんが、今おっしゃられたところ、ちょっと順不同でございますが、滞在する邦人数というものが基本的には承知しておるわけでございまして、ルクセンブルク三百四十九人、オランダ五千八百人余り、イタリア五千七百人余り、それからオーストラリア二万六千人、チェコ一千百人、オーストリア一千名余り、こういうような状況は私ども承知しておりますので、協定締結に向けた準備活動の中で更に調査をしてまいりたいと思っております。
  118. 福島みずほ

    福島みずほ君 経済的にも人的にも交流の度合いが高いアジア諸国における社会保障協定について、交渉はどのような状況でしょうか。交渉が進まない理由はどのように把握していらっしゃるでしょうか。
  119. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) アジア諸国との関係でございますが、御承知のとおり、我が国は既に韓国との間では社会保障協定締結ができたところでございます。  これ以外のアジア諸国との協定につきましては、そもそも社会保障協定の前提となる社会保障制度協定締結にふさわしいほど十分に発達していないという状況のところ、中国などもそうだと聞いておりますが、例えば社会保障制度があっても外国企業駐在員への適用免除されているという国々もあるというようなこと、また我が国経済界の方からも二重負担に伴う負担軽減という御要請なども必ずしもないというような実情の中で、今検討対象となっている欧米諸国と比べまして現時点でまだ具体的な交渉等の検討の対象とはなってきていないというものでございます。
  120. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、人数も多いですし、交渉をできるだけ進めるようよろしくお願いいたします。  前回、在日韓国・朝鮮の人たちや無年金問題についてお聞きをいたしました。今日改めてもう一度お聞きをいたします。  この間答弁がありましたけれども、そもそも完全な無年金状態に放置をされている在日韓国・朝鮮の人々は、川崎厚生労働大臣の御指摘のとおり、難民条約批准以前は在日外国人は適用対象外でありました。入りたくても入れなかった。排除してきたというのは国の方ではないでしょうか。この十年以上棚上げしている政府の責任は重く、即刻問題に対処すべきだと考えますが、大臣いかがでしょうか。
  121. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 前にも申し上げましたけれども、今、福島委員が言われましたとおり、国民年金においては、昭和五十七年の難民条約の批准以前には、在日外国人の方々を適用対象外としておりました。  同条約の批准に伴って、外国人への適用拡大を行い、他の制度も含め、将来へ向かってのみ効力を発生することと整理をいたしました。一定年齢以上の在日外国人の障害者や高齢者の中には年金受給権を得られなかった方々もいるという状況でございます。年金等の受給権を有していない在日外国人の障害者や高齢者が様々な御苦労を抱えていることも事実でございます。  こうした方に対する福祉的措置については、昨年四月一日より施行されている特定障害者に対する特定障害給付金の支給に関する法律附則第二条の検討規定趣旨に、社会保障制度や社会福祉制度全体の整合性などにも十分留意しつつ、様々な議論を踏まえて引き続き検討すべき課題と、こうして整理をいたしております。鋭意検討を続けてまいりたいと考えております。
  122. 福島みずほ

    福島みずほ君 検討してくださるということで大変有り難いんですが、どのようなスケジュールで今後どのような場で進められるのか、具体的に回答してください。
  123. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、立法府その他関係者の方々における御議論、これは私ども大変重要であると考えております。  さきの特別障害給付金の支給に関する法律も、御承知のとおり議員立法として成立したという経緯もございます。また、その附則二条は直接的には障害者の方についての規定でございますが、併せて法律案可決の際に附帯決議もいただいております。そういうものも、全体を含めながらでございますが、社会保障制度全体の基本ルールあるいは生活保護も含めた社会福祉制度全体との整合性などにも留意しながら引き続き検討すべものであり、政府として立法府の動きや関係者の方々の御議論というものを十分留意しながら適時適切に対応してまいりたいと思っております。
  124. 福島みずほ

    福島みずほ君 政府はなかなかぱっと動けないので議員立法でやれという趣旨なのかどうなのか、という意味ではないのかもしれませんが、鋭意努力をしているという、もう少し厚生労働省として前向きに立法府の中の議論も踏まえて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  125. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) もとより私ども政府といたしましては、立法府におけます会派を超えた様々な御議論、その動向というものに十分注意を払って適切に対応してまいりたいと思います。
  126. 福島みずほ

    福島みずほ君 立法府としても頑張りますが、是非、厚生労働省としての議論ももっと進めてください。  次に、前回もちょっと積み残した問題を聞きます。韓国の遺族による慰霊巡礼について鋭意協議を続けていると以前答弁がありました。しかし、この問題は一年以上協議が続けられております。また、韓国の遺族らが外務省へ申し入れてからはそれ以上の年月がたっております。こんなに時間が掛かる問題ではないと。慰霊巡礼ができない理由、障害は何でしょうか。いつ可能になるのでしょうか。
  127. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 御説明を申し上げます。  御質問がございました韓国人の……
  128. 山下英利

    委員長山下英利君) 起立してください。
  129. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 失礼いたしました。  御質問のございました韓国人の御遺族によります慰霊巡拝につきましては、昨年の五月に朝鮮半島出身の旧軍人軍属及び旧民間徴用者等の遺骨の問題に関する第一回日韓協議の場で、厚生労働省さんが実施しておられます我が国戦没者の遺族の慰霊巡拝への参加を念頭に置きまして、人道的見地から日本政府に対し韓国人犠牲者遺族の海外激戦地追悼巡礼の実現に向けた支援の要請というものがなされた経緯がございます。その後、同様の要請が様々な機会に提起されております。これを受けまして、当省といたしましては韓国側の要望、それから対応方針等々を踏まえまして、内閣官房とそれから厚生労働省さんとも相談をしながらどういう対応が可能か検討を行っているというところでございます。  現時点におきまして具体的な実施日程というものはまだ確定をしておりませんけれども、先日もお答えを申し上げましたが、私どもといたしましても巡礼の早期実現に向けて韓国側政府の要望、考え方というのをよくお伺いをしまして誠実に協議をし、検討を進めていきたいと思っております。なるべく遠くない将来に実現するように精一杯頑張りたいと思っております。
  130. 福島みずほ

    福島みずほ君 私の質問は、できない理由は何か、障害は何か、いつ可能になるのかということについてちょっと真っ正面から答えていただいていないというふうに思います。この一年間の間なぜできなかったかという理由をお聞きをしたわけです。ですから、──いや結構です、できるだけ早くそれは取り組んでくださるようお願いいたします。  昨年六月から始めている遺骨に関する調査について、今年一月から改めて自治体や宗教団体などに依頼がなされました。この調査期限はいつで、今後どのようにまとめられるのでしょうか。まとめられているならその結果の概要を教えてください。まとめられていないなら何が障害となっているのでしょうか。
  131. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) お答え申し上げます。  朝鮮半島出身の旧民間徴用者等の御遺骨につきましては、今委員からもお話しございましたように、昨年六月二十日付けですべての地方公共団体と宗教法人に対しまして遺骨に関する情報提供依頼を行っておるところでございます。これまで韓国側に対しまして地方公共団体及び企業から寄せられました情報分として八百六十八体の遺骨の所在に関する情報を提供したところでございます。  本年一月二十三日付の調査依頼の御指摘もございましたけれども、これは昨年十一月の第三回日韓協議の場で、埋火葬認可の記録も含めまして御遺骨の実態調査を更に徹底してほしいという旨の要請が韓国側からなされたことを受けまして、昨年六月二十日付けの遺骨の所在に関する情報提供依頼の中におけます埋火葬認許証に関する部分に注意喚起をするために、改めてすべての地方公共団体に対して再度調査を依頼しているものでございます。  国とその地方公共団体との関係がこの問題につきまして指揮命令関係にございませんために、今回の情報提供も含めての依頼という形で情報提供をお願いをしているものでございまして、随時これ受付をしております。したがいまして、必ずしも期限を定めているものではございませんけれども、各公共団体におかれましては誠意を持って対応していただいている、そういうものと考えております。  提供された情報につきましては、日韓協議を区切りとしまして、日韓協議の場で韓国側に提供していくということとしているところでございます。
  132. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇〇五年八月時点では八百六十八人分の情報が集まったと発表されました。私の印象では、だらだらやっているというか、その後ばしっとやって、きちっと集計して、ぱっと発表というよりは、何かだらだらだらとやっているという、まあそういう印象がちょっとあるんですね。ですから、その後、集計されていないということで、調査をやるのだったら、全力を挙げてばっとやってすぐ集計をするというふうにしないと、いつまでも、本当に少し、ちょぼちょぼちょぼとしか出てこず、実態が把握できないというふうに思います。ですから、この点については、八月時点の情報以降は発表がありませんので、厚生労働省、まあすべての省庁挙げてきちっとやってくださるようお願いいたします。  次に、この調査結果に基づいて、二〇〇五年十二月二日付け、外務省発表の朝鮮半島出身旧軍人軍属及び旧民間徴用者等の遺骨の問題に関する第三回日韓協議概要によれば、早ければ二〇〇五年内に実地調査を開始するとあります。既に調査は何件、どこでどのように行われているのでしょうか。
  133. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 御指摘調査につきましては、第三回の日韓協議におきまして韓国側と調査の基本方針について合意がなされたところでございます。  現時点でございますけれども、この調査実施に向けまして、その具体的な方法について実際に遺骨を保管している寺院が加入しております宗教団体と調整を行っているところでございます。したがいまして、まだ具体的実施には至っておらないところでございます。できるだけ早く調整終えまして、調査に着手したいと考えております。
  134. 福島みずほ

    福島みずほ君 なぜこういう質問をするかというと、時間がもう本当にないからです。二〇〇五年内に実地調査を開始するとありますが、もう二〇〇六年の四月になっております。ですから、できるだけ早く実地調査を開始してください。  次に、外務省より、朝鮮半島及び中国からの徴用者を雇用した企業に対して遺骨調査実施されました。この点について、企業からの回答状況はどうでしょうか。例えば、麻生鉱業は調査に含まれているでしょうか。含まれていないなら、名簿及び情報の提供はあったでしょうか。含まれていないなら、なぜ含まれていないのでしょうか。
  135. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  政府といたしましては、平成三年及び四年に、韓国政府に対しましていわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿を提出をいたしましたが、この中には朝鮮半島出身者を雇用していた約六百強の当時の企業名が掲載されていることが確認されております。  外務省といたしましては、それらの六百強の企業のうち、現存いたします企業又は当時の企業の業務を引き継いだ企業百二十五社に対しまして一昨年の九月より実態調査を順次依頼をしております。  現在、今日この時点におきまして、当該百二十五社からの調査結果の回収を鋭意進めておりますが、御協力いただいた企業との関係もございまして、個別の対象企業を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、現時点で既にほぼすべての企業から回答をいただいております。その結果、計百四十七体の遺骨の所在に関する情報が寄せられております。  政府といたしましては、今後とも当時朝鮮半島出身の民間徴用者等を雇用していた企業が新たに判明しました場合には、追加して実態調査を依頼する方針でおります。
  136. 福島みずほ

    福島みずほ君 遺族の人たちがどこどこに自分の親は行ったけれども、それはどうなっているんだということが非常にあるので質問しているからです。  企業名をなぜ明らかにできないのか。例えば麻生鉱業はなぜ公表できないのでしょうか。
  137. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) ただいま御説明申し上げましたが、調査に御協力をいただきました企業さんとの関係もございまして、個別の企業を明らかにしないという方針でおります。
  138. 福島みずほ

    福島みずほ君 官製談合のときも個人情報で駄目だという答弁がおかしいという指摘をいたしましたが、この点についても私たちは実態を明らかにし、できるだけ遺骨を遺族に返すということをすべきだというふうに考えておりますので、今日の答弁には納得をしておりません。今後も質問をしていきます。  ちょっと時間が来てしまいましたので、一問だけ聞いて終わります。  厚生労働省は、ロシア政府から受け取ったソ連抑留者で朝鮮に移送された者の名簿について照会を行っております。この中に朝鮮半島出身兵士も含まれるという認識はありましたでしょうか。
  139. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 厚生労働省といたしましては、ソ連邦抑留者で朝鮮に移送された者の名簿、これは昨年四月に受領したわけでございますが、これにつきまして、この名簿をロシア語から翻訳をいたしました。そして、全体をチェックしたところ、名簿に朝鮮半島出身者ではないかと思われる方が含まれているということを把握をしておるところでございます。
  140. 山下英利

    委員長山下英利君) 福島君、時間です。
  141. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。  当時、創氏改名である人もいると思います。けれども、ロシア政府からもらった名簿、モンゴル政府からもらった名簿、ソ連抑留者で朝鮮に移送された者の名簿、この中に日本人と朝鮮半島の人たちがいて、みんなはその名簿をきちっと精査し、やってほしいということを日本の遺族あるいは日本の人たち、朝鮮半島の人たちは望んでおります。  この点についてはまた質問を続けていきます。
  142. 山下英利

    委員長山下英利君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  社会保障に関する日本国カナダとの間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  143. 山下英利

    委員長山下英利君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  145. 山下英利

    委員長山下英利君) 次に、薬事法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。川崎厚生労働大臣
  146. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) ただいま議題となりました薬事法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  国民の健康意識の高まりや医薬分業の進展等の医薬品を取り巻く環境の変化、店舗における薬剤師等の不在など制度実態の乖離、薬学教育六年制の導入に伴う薬剤師の役割の変化等を踏まえ、医薬品の販売制度を見直すことが求められております。  また、違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグについては、乱用による健康被害が発生しており、かつ、その使用が麻薬、覚せい剤等の使用のきっかけとなる危険性があるにもかかわらず、人体摂取を目的としていないかのように偽装されて販売されているため、迅速かつ実効ある取締りを行うことが困難となっております。  このため、今回の改正では、医薬品の適切な選択及び適正な使用に資するよう、医薬品をリスクの程度に応じて区分し、その区分ごとに、専門家が関与した販売方法を定める等、医薬品の販売制度全般の見直しを行うとともに、違法ドラッグの製造、輸入、販売等を禁止すること等により、保健衛生上の危害の発生の防止を図ることとしております。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、一般用医薬品を販売する際には、その副作用等により健康被害が生じるリスクの程度に応じて専門家が行う情報提供を重点化するなど実効性のある仕組みを設けることとしております。具体的には、特にリスクが高い医薬品を販売する際には薬剤師による情報提供を義務付け、リスクが比較的高い医薬品を販売する際には薬剤師又は医薬品の販売に必要な資質を確認された者が情報提供に努めることとし、また、リスクの程度にかかわらず、購入者から相談があった場合には情報提供を義務付けることとしております。  第二に、医薬品の販売は、各販売業を通じて薬剤師又は医薬品の販売に必要な資質を確認された者により行うこととするため、薬剤師以外の者で医薬品の販売に従事する者の資質を確認するために都道府県において試験を行う仕組みを設けることとしております。また、購入者や事業活動等に無用の混乱を与えずに新たな制度に移行できるよう必要な経過措置を講じることとしております。  第三に、違法ドラッグ対策に関し、幻覚等の作用を有する一定の薬物を厚生労働大臣が指定して、その製造、輸入、販売等を禁止するとともに、指定した薬物である疑いがある物品に関し、検査を受けることを命ずることができるようにすること等所要の措置を講ずることにより、迅速かつ実効ある取締りを担保することとしております。  最後に、この法律の施行期日は、医薬品の販売制度の見直しに係る事項については、一部の事項を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日とし、違法ドラッグ対策に関する事項については、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  147. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  148. 山下英利

    委員長山下英利君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  薬事法の一部を改正する法律案の審査のため、来る十四日午後一時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十七分散会