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2006-03-28 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十八日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      阿部 正俊君     松村 祥史君      家西  悟君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 松村 祥史君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 前川 清成君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        外口  崇君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   増田 峯明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人に係る改革を推進するための厚生  労働省関係法律整備に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長青木豊君外六名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子でございます。  今般の法律では三つ研究所対象になっております。独立行政法人は、法人裁量権を認めることによって効率的で質の高いサービス、この場合は研究成果かと思いますが、こういうものをしっかりと出してもらおうというために行われるものだと考えます。  ただ、産業医学総合研究所、それから産業安全研究所について言えば、労働災害はこのところ減少はしてきておりますが、重大災害については昭和六十年ころを境にやや増える傾向にあることでありますとか、メンタルヘルス等については広く多くの人たちがこういう問題にかかわるようになってきたという新たな課題も出てきているかと思います。  この二つ研究所については、そういう意味では行政成果をしっかりと出していただかなきゃいけないわけですが、例えば、産業医学総合研究所において行われた研究において、それが具体的な成果として行政取組に結び付いたものとしてどのようなものがあるか、お答えいただけますでしょうか。
  6. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 産業医学総合研究所につきましては、労働衛生分野における調査研究ということを行っております。  例えば、今のお話にありましたようなメンタルヘルスに係ります職業ストレス関係では、その心身への健康影響への研究などをいたしまして、例えばそれは労働者疲労蓄積度自己診断チェックリスト作成行政としてはそういったものにつながるというようなことでございました。そういったものを公表いたしまして、ホームページなどで公表いたしまして大変な反響も得まして、ホームページの方も余りに多くてダウンをするというようなこともございました。  あるいはまた、産業医学総合研究所では、VDT作業に関連します健康障害対策研究などもいたしまして、そういったものについてのガイドラインを行政としてはその研究成果を踏まえて策定をするというようなこともいたします。  あるいはまた、防じんマスク規格等にも研究を反映させるというようなことで実施をいたしてきているところでございます。
  7. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 そういう具体的な成果につながっている研究がある一方で、研究テーマによってはいかがなものかというのも実は見受けられます。特に、基盤的研究の中で、例えば健康増進対策における飲酒位置付けということで最適飲酒量検討するとか、あるいは高年齢労働者の健康と生活の質の評価システム、これは本当にその産業医学総合研究所が行わなければいけないテーマなのかという点についてはやや疑問があるものでありますとか、あるいは非常に学究的で、私などの素人にはどうもこれの意味するところがよく分からないというような研究テーマもありまして、そういう意味で非常にたくさんの研究テーマ実施しているわけですが、それぞれのテーマについてどれだけ行政必要性との関連が精査されているのかということについてはやや甘いのではないかと感じられるところもございます。  独立行政法人になるとそういう意味法人裁量をより認めるということにはなりますが、そうはいっても何のための研究所かという原点を踏まえて行わなければいけないわけでありまして、こういう行政政策的必要性との関係において、特に基盤的研究テーマ設定の在り方についてどのような感想を持っておられるか、担当局長説明をいただきたいと思います。
  8. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 確かにこの基盤的研究につきましては、その性格上直ちに行政施策に結び付かない、少し将来を見越した研究ということでございますので、それ自身なかなか、御指摘になったような点もあろうかと思います。  いずれにしても、将来的にその安全性に関する基準の設定とか、あるいは健康科学対策の基礎となるべきものをきちんと研究していただくということだというふうに思っております。  そういう意味では、研究テーマ設定に当たっては労働者安全衛生対策に将来的に資するものに限ると、そういう観点から重点化を行って、本数も絞り込んで精査をして研究を進めていただくということにしたいというふうに思っております。
  9. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 今お話しされたような重点化で効率的な成果を実現するということも大事だろうと思います。そして、何よりも、特に産業医学総合研究所は場所的にも離れていて、行政サイドと十分なコミュニケーションが取れているのかという点については、私はやや弱いところがあるのではないかと思いますので、しっかりと行政政策的な必要性を常日ごろから研究所との間で十分意思疎通を図って、しっかりしたものにしていただきたいと思います。  で、この産業医学総合研究所産業安全研究所が今度一つ統合されて労働安全衛生総合研究所になるわけでありますが、この二つ研究所については場所的にもかなり離れている、人事交流も全くないということで、要は看板が一つになっただけで実態は何も変わらないということにならないように、そして、場所は離れていても、少なくとも一つ研究所でありますので、間接部門についてはできるだけ統合して簡略化をするということが大事であろうと思います。そして、今度、非公務員化をすることになりますが、重大災害原因究明等行政ニーズにしっかりとこたえたものになるようにしていただかなくてはならないと思います。そのような観点をしっかりと踏まえて中期目標を作り、行政として研究所に対する指導をしていただきたいと思います。  大臣のこの点での御見解を伺いたいと存じます。
  10. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 研究所でございますから、委員が切り出して御発言をいただきましたように、研究成果がしっかり上がっているのかということがまず第一であろうと。また、時代に合わせた研究をやっているのか、この御評価をしっかりいただくということが大事だろうと思っております。そういった意味では、両研究所ともある程度の御評価をいただけるものだろうと思っております。  しかし、時代変化の中で一つ機関にした。厚生省労働省一つ役所になった。一つ役所になったらどういう新しい分野をやるのか、どういうものを進めていくのかということが厚生労働行政の中でも当然問われてきた。今度の研究所もそういう意味では、そうした流れの中で両研究所一緒になったことによって新しい研究時代変化に対応したものになっていけるかどうか、そこが一番問われることになるんだろうと。そういう意味では、トップが一人になりますから、当然、そのトップがリーダーシップを発揮しながらしっかりやってもらわなければならないと、こう思っております。  一方で、独法化をした中で、やはり効率化を図るということが大きな目的でございました。そういった中で、今回、今御指摘いただきましたように、両研究所併せるという目的の中で、中期目標において、統合による効果を最大限発揮し、経費削減を図り、一般管理費について平成十七年度運営費交付金に比して一五%を上回る額を削減すると、こういう目標を立てております。やはり、これをしっかりやってもらわないと、何のための統合だったかという御批判もいただくことになるだろうと。そういった意味では、この二つの要請にしっかりこたえられるような研究所になっていかなければならないと、このように考えております。  また、もう一つは、これは国土交通省の中にも事故調査委員会なんというものを持っておりますけれども、やはり重大事故の発生が最近増えている、そうしたものにどう対応していくかという中で、災害調査についても研究所の専門的な調査能力を十分生かし、労働災害原因究明を行うことができ、迅速かつ適切な調査実施ができるような体制、これを法改正の中にも入れさせていただいたということでございますので、そういう意味では三つ目的をしっかり果たすようにやってもらわなければならないし、またやれる体制を今回御提案をさしていただいたと、このように考えております。
  11. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 民間では常に最先端技術機器等を使った事業活動が行われているわけでありまして、そういう場合の災害予防でありますとかあるいは働く人の健康確保というのは、そのような最先端にあるところの民間方たちノウハウを活用するということも大事だろうと思います。そういう意味で、今般、非公務員という職員の身分になることによって、そのような民間の方との人事交流であるとか共同研究が可能になるわけでありまして、より大きな高い成果期待されるものでありまして、研究所がしっかりとした成果を上げて国民期待にこたえることを心から期待をしているものであります。  次に、国立健康・栄養研究所についてお伺いしたいと思います。  この研究所は、古くからの歴史を持つしっかりとした成果を上げてこられた研究所だというのは十分承知をいたしております。ただ、そういう中で、かつての時代と現在とでは日本の国民栄養問題を取り囲む状況であるとか、あるいは健康についての問題が随分変わってきております。栄養過剰でどう国民の健康を保つかというような問題、あるいは広く民間で様々なそういうことに関心が持たれて、むしろビジネスとしてこういう問題について多く取り組むような流れも出てきているという状況をしっかりと踏まえて、私はこの問題に対応しなくてはいけないんだろうと思います。  この研究所につきまして、政策評価独立行政法人評価委員会から勧告方向性が詳細に出されておるわけでございます。この中でも、独立行政法人として真に担うべき事務及び事業特化重点化するということが言われております。この勧告方向性指摘されていることについてのお考えをまず最初に伺いたいと思います。  まず第一点は、勧告方向性の中では国民健康・栄養調査集計業務効率化がうたわれております。これは、法律に基づいてこの研究所調査を行うということになっております。外部委託をより活用するというようなこと等によりまして集計期間短縮化ですとか経費節減ということが言われておりまして、これは誠にもっともな指摘だと思いますが、厚生労働省としてはこの問題にどのように取り組むお考えなのか、伺いたいと存じます。
  12. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 国民健康・栄養調査集計業務効率化についてでございますけれども、国民健康・栄養調査調査票チェックや複数のデータセットのマッチマージ及びID照合理論チェック及び政策ニーズに応じた集計、データベースの作成といった研究所がこれまで蓄積してきたノウハウにより行われるものと、ノウハウを必要としないデータ入力作業自体は分かれると思います。これまでもデータ入力については外部委託により行うとともに、高度集計解析システム活用等も行い、健康づくりに関する政策ニーズに適時に対応し、効率的に集計を行ってきたところであります。  今後とも、勧告方向性を十分踏まえまして、研究所の定める中期計画において、調査票のすべてを受理してから、これは数字の目標でございますけれども、原則七か月をめどとして集計を行うという、こういった目標を掲げることを踏まえて、こうした手法により更なる効率化を進めていきたいと考えております。
  13. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 この調査健康増進法におきまして研究所が行うということになっておりますので、研究所が行うこと自体は法に基づく業務でありますが、研究所でなければ行われないものはどこなのかということをしっかりと精査した上で、私はこの問題を効率的な調査研究につながるようにしっかりとした取組をしていただきたいと思っております。  次に、収去食品試験業務の見直しということが指摘をされております。  この収去食品試験業務については、現在ではこの国立健康・栄養研究所しか認められておらないわけでございます。で、登録試験機関を活用するというような形で広くこの業務を効率的に行う余地があるのではないかという指摘を受けておりまして、私もこの登録試験機関でやれない理由は一体あるのだろうかという思いがいたしまして、この点についての厚生労働省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  14. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 特別用途食品等の収去試験業務につきましては、健康増進法に基づきまして国の権限を行使して行う行政行為に付随した業務であります。その結果に基づき行政指導又は勧告、命令、許可の取消しといった不利益処分が行われる場合がありますことから、中立性公平性及び確実性がより強く求められております。したがいまして、収去試験については許可にかかわる試験等について十分な実績を積んだ機関において行うことが必要と考えられることから、厚生労働大臣が収去させた特別用途食品等試験は、現在、健康増進法において独立行政法人国立健康・栄養研究所に行わせるものと規定されているところであります。  一方で、特別用途表示許可試験にかかわる登録試験機関制度を収去試験業務についても導入することに関し検討を行い、次期中期目標期間終了時までに結論を得るべき旨の指摘を、議員御指摘のように、そういった指摘を受けているところでございます。登録試験機関許可試験実績を見ながら、中立性公平性及び確実性が担保されることを前提に、収去試験にかかわる登録試験機関制度を導入することにつきましては、次期中期目標期間においてこれは具体的に検討をしていきたいと考えております。
  15. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 重ねて技術総括審議官に伺いますが、研究テーマ設定につきまして、厚生労働省としてこの国立健康・栄養研究所にこれまでどのような指導をしてきておられますでしょうか。  といいますのは、先ほど取り上げました産業医学総合研究所、ここでも健康問題について比較的、当然のことながら取り上げているんであります。で、この国立健康・栄養研究所もそういう意味では同じような問題を取り上げている。同じ厚生労働省の中でテーマにおいて重なり合うところがあるのではないかと。そういうところを厚生労働省の中できちっと労働基準局との間でこれまで調整をしてきているというようなことがあったのかどうかということを、ちょっと通告していなくて恐縮ですが、伺いたいと存じます。
  16. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 実際、厚生省労働省一緒になるまでは、厚生労働省、例えば医系技官人事交流とかございましたけども、実際には研究所の中での連携というのは、今と比べるとこれはまだ、前はそれほど良くなかったと思います。  ただ、今は単なる人事交流だけじゃなくて、その業務内容についても、かなり一緒になって相乗作用というのが出ていると思います。例えばアスベストの問題一つ取っても、これはまあ環境省との連携もありますけども、厚生労働省内労働衛生部局健康部局との連携は前にはなかったような連携が見られております。また、栄養関係業務健康関係業務についても、具体的なその研究内容が、それぞれの、同じ省内ですから、より詳細にお互い分かるようになりましたんで、今までなかったような、重複を排除してむしろ相乗効果を求めていくというようなことはこれからどんどん進んでいくと思います。  また、独立行政法人勧告方向性の中でも、調査研究業務特化重点化ということを指摘されております。そういった中で、国立健康・栄養研究所につきましては、特にこの研究所が人を対象とした健康づくりのための栄養学的研究を総合的に行う、総合的というのは栄養だけじゃなくて運動も含めてということでございますけども、そういったことを行うことのできる我が国唯一試験研究機関という位置付けもされておりますので、そういった特性を生かしながら、産業医学、労働安全の分野とうまくすみ分けながら、しかも連携しながら、そういった研究を進めていきたいと考えております。
  17. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 この問題は突き詰めていくと行政担当にもかかわってくるんですが、労働基準局長の方に伺いますが、産業医学総合研究所、先ほど申し上げましたように、かなり一般的な健康のテーマ設定した研究等を行ったりもしておりますが、今後、研究等を行うに当たって、同じ省内にかかわっているこういう国立健康・栄養研究所とのテーマ調整等についても十分配慮をしていくべきだと考えますが、この点についての御認識を伺いたいと存じます。
  18. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 産業医学総合研究所、今度労働安全衛生総合研究所になるわけですが、これは言わば労働現場ニーズ、そういったものに即した研究を行っていくということでありますので、そういう意味では国立健康・栄養研究所とはまた違った独立性を持っているとは思います。しかし、一方で一般的な健康問題についての研究をなさるということでありますので、お互い研究成果が活用できれば大変結構なことでありますので、そういう意味相乗作用を持って研究ができるような形でいくのが望ましいだろうというふうに思います。  省内体制におきましても、省内組織におきましても、官房の方にそういった全体研究について考えるセクションもございますし、そういったことで、またその研究所同士におきましても必要な調整やら協議、相談というものができるだろうというふうに思っておりますので、委員が御指摘になったことも踏まえまして努力をしていきたいというふうに思います。
  19. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 しっかりお取組をお願いしたいと存じます。  また国立健康・栄養研究所に戻りますが、最初に申し上げましたように、この健康の問題というのは今や民間研究所、もちろん国立大学等でもそうでありますが、かなり広く取り上げられております。先ほど、人を対象とした健康づくりのための栄養学研究を総合的に行うという点ではこれまで我が国唯一試験研究機関というようなことで位置付けられてはおりますが、ただ、そういうことと、これからもこの研究所が国の税金を使って研究を未来永劫行い続けなければいけないかどうかということとは、私は少し別だろうと思うのであります。  特に今回、民間研究機関との、民間との共同研究であるとかあるいは人事交流であるとか、民間と様々な形での共同取組ができることにより民間ノウハウが提供されていくわけでありますので、そういう意味では、小泉改革の民でできることは民にという流れからすると、私はかなりの部分、この点では民間研究テーマそのものも担うことを移していけるのではないかというようにも感じている次第であります。  ただ、行政政策的にどうしても必要があるというようなことは、これは民間でやっていただくわけにもいきませんので、そういうテーマがあればこの研究所でやっていただくということになるわけでありまして、そういう意味で、健康だとか栄養問題についての行政政策というものが今何が問題かということと、かなり絞り込んで研究テーマ設定してやっていただくということなんだろうと思います。  そういう意味では、例えば高齢化が進む中である程度医療費の増大が避けられないと、そういう中でいかに生活習慣病を予防して健康増進することによって、結果として医療費削減にも貢献するかというようなことは行政として喫緊の課題だろうということも言えるかと思います。そのような行政上の必要性というのを厳密に考えながら、この国立健康・栄養研究所については中期目標設定して指導していただく。そして、目標期間中に真にこの研究所でなければやれないテーマは何なのかということをもう一度精査していただくと同時に、そういう民間研究機関への助力といいますか指導等も併せてやっていただくことが私は大事なことではないかとも思う次第であります。  今後、中期目標設定あるいは計画期間中の指導に当たりましての大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的なスタンスとして、今委員がお示しいただいた方向性で私はいいんだろうと思います。  国立健康・栄養研究所が行っている調査研究は、生活習慣病対策及び食品の安全・保健対策等にかかわる基礎的、応用的な研究であり、大学研究班や民間企業による研究とは継続性、確実性公平性中立性行政施策に直接反映されるという責任の度合いにおいて異なると考えております。  具体的な研究内容を見ると、平成十六年度では国民健康・栄養調査の高度化システムに関する調査研究食品成分の健康影響評価に関する調査及び研究、健康食品等の安全性情報ネットワーク構築プロジェクト研究等行政的な要素を持つ研究を行っております。さらに、健康食品に対する国民の関心が高まる中、健康食品安全性、有効性等に対する的確かつ迅速な情報の提供が求められており、その対応を科学的、公正に提供できる機関として研究所をしっかりやってまいりたいと、こう思っております。  一方で、民間企業は常に組織の改革というものを心掛けております。また、国におきましても中央省庁再編をいたしましたけれども、そろそろもう少し見直すべきではないかという議論が出始めてきております。地方におきましても市町村合併が進む中、道州制の議論がされるというように、常にやはり目的というものをしっかりしながら見直しをしていく、それが組織というものであろうと。  したがって、こういう独法化また非公務員化をしたからこれですべての組織の見直しが終わりという話ではない。中期目標を立てながら、その目的にかなう仕事をしているかどうかということが常に判断をしていかなければならないと思っております。  一方、しかし、研究でございますから、余りこればかり言い過ぎますと研究者がしっかり腰を落ち着けて仕事をしないという問題も出てまいります。  したがって、そこは私ども政治もかみながらやっていかなければならないんだろうと。私なり副大臣がやっぱり現場を見ながら、政治家の目でも見ながら、そして、今お示しいただいたように、両局長がしっかり調整をしながらやっていくというシステムを常にやっていかなければならないと、こんなふうに考えております。お示しいただいたような方向で私どももしっかり指導してまいりたいと考えております。
  21. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 終わります。
  22. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 おはようございます。民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  今日は私、百分という初めてこんなに長い時間をいただきました。でも、三時間一分よりはましだと思いますので、どうか皆様お付き合いをいただきますように、よろしくお願いいたします。  この法案の審議に入ります前に、まず川崎大臣にお聞きしたいんですけれども、尊厳死又は安楽死について、川崎大臣のお考えをお述べいただきたいと思います。  先般、富山県射水市で起きました入院患者七人の人工呼吸器を止めて、その後七人が亡くなられていたという事件がこのところ連日報道されておりますが、いまだ我が国ではこの尊厳死、そして安楽死に関してきちんと決めた法律がございません。そのことも含めまして、大臣のお考えをまずお聞きしておきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  23. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 終末期医療については、人の生死に深くかかわる問題であり、国民の関心も高いことから、重要な課題であると考えております。  終末期医療の問題は、人の尊厳ある生き方を支えるという観点に立って、医療界の側面、それから法曹界の側面、この両面から真剣な国民的な議論が行われることが必要であると。このため、厚生労働省においては、患者の意思が尊重されるという考え方が医療現場に定着するよう、終末期における望ましい医療に関する研究を支援するとともに、終末期医療に対する社会的コンセンサスが得られるよう国民的議論の喚起や、終末期における医療提供体制の充実を進めてまいりたい、こういうことが模範答弁なわけでございますけれども、一方で、そろそろ踏み込まなきゃいけないんじゃないかと、こんな思いをいたしております。  過去の判例等を見まして、三つのケースに分けられております。一つは、積極的な安楽死、苦痛から解放するために意図的に死を招く行為、こういう範疇に一つ分けられる。二番目は、これは緩和ケアと多少つながりを持ってまいりますけれども、死期を早める可能性のある薬剤を投与することによって耐え難い肉体的苦痛というものを除去というか、少し緩和していく、こういう考え方。それから三番目で、治療行為の中止、いわゆる尊厳死、点滴の取り外し等の問題、回復の見込みのない末期状態、患者の意思、こういうものをやると、この三つに分けられます。  実は、このすべてのものを含めて医療界、法曹界、識者を入れながら議論を来年一杯までしてもらう話になっております。特に、今私が申し上げた一番目、二番目についてはなかなかそれぞれ価値観もありますし、また私の立場からもなかなか言いにくい問題でございます。しかし、三番目の問題、これは回復の見込みのない末期状態、この問題をどう判断をしながらやっていくかということになると、一つは、医師一人の判断であってはならないと思います。例えば、医療を行われる病院等の中で倫理委員会等を設けられて一つおやりになるのが一つ考え方かなと。もう一つは、患者さんの意思というものをどういう形できちっとさせるか、家族というものも含めてどうあったらいいかというものを考えてもらわなければならないのかなと、こんなふうに思います。  実は今回の問題も含めまして、この三番目の問題についてはそろそろ方向性を出していかなければならない、また、これが法律できちっとするのか、ガイドラインみたいなものでいいのかというものも含めて、今議論していただいている場で少し早目に結論を出してもらいたいということで今日、私、要請をし、また先ほどの記者会見でも少し議論として申し上げたところでございます。もちろん、我々が決めるものではない、法曹界なり医療界の専門的な方々がしっかり議論した上で方向性が出ると。しかし、その方向性がいつまでも時間が掛かるというのでは、今の医療の現場の置かれている実態からして遅過ぎるんではないだろうかと、こういう思いをいたしておりますので、今日は森委員の質問に対して少し踏み込んだ発言をさせていただきました。
  24. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。  大臣の方から一歩踏み込んで真摯な御答弁いただいたというふうに受け止めておりますが、私も尊厳死法に関する議連にも入っておりまして、この問題に関しては本当に軽々に議論することはできないんですが、しかしもうある一つの、一定の方向で結論を出し、きちんとしたものにしていかなければならない。さもなければ、他国では、既にオランダ、ベルギー等でも、これは積極的安楽死に関する法律でございますが、法律を制定しているところもございますし、我々立法府にいる者としてその責任を果たすという意味では、一層具体的な結果を出していくために努力をしていかなければならないというふうに思っております。  それでは、法案に関して質問をさせていただきたいと思っております。多岐にわたりますので、いろいろ順番等入れ違うかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。  まず、今回見直しの対象となった三つの独立の行政法人は、いずれも十三年四月に国の研究所の一部を独立行政法人化させたものでございます。そこで、まずこれらの機関独立行政法人となってどのような変化があったのか、また、移行後の五年間を振り返ってどのようなメリットが生じたのか、御所見を伺いたいと思います。
  25. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、二つの側面があると思います。研究成果がしっかり上がっているのか、また、時代変化に合わせた研究を行っているのか、この第一番目の評価。一方で、運営費交付金等について中期目標に定める効率化を図ることができたのかと。こういう二つの側面があると思います。そういった意味では、この数年間の流れの中で私どもこの三つ独立行政法人独法化の趣旨に沿いながら努力をしてくれたという評価はいたしております。  しかし一方で、もう一歩進めていくためには、一つ効率化観点から見れば統合という道を歩んだ方がいいであろう、また、研究テーマということから考えれば、厚生労働行政一つ役所にもなっております。厚生、労働両機関にまたがる課題というものをもう少し整理をしながら、両者にまたがるものをきちっと方向性を定めていくということが必要であろうと、こんな感じをいたしております。  そういった意味で、今日までの流れ評価しますと同時に、もう一歩進めるためには今回の改革をさせていただきたいということで御提案をさせていただいております。
  26. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう少し具体的にお答えいただきたいと思うんですね。  要は、この独立行政法人化に当たりましては、業務を効率的に行う、そしてその業務又は予算の執行等が透明性が確保されている、そして自己責任だと、経営責任が問われるんだ、自立的経営が行われるんだと、これらが独立行政法人化する最大のメリットであるということで政府は独立行政法人化を進めてこられたわけですけれども、それが果たして具体的にそういう効果があったのかどうかということについて私はまず検証されてしかるべきであっただろうと思いますが、具体的な財務、組織、人事面でのメリットは本当にあったのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
  27. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 最初に、国立健康・栄養研究所の例を紹介申し上げますと、独立行政法人になってから、まず理事長のリーダーシップが今まで以上に取れるようになりました、前でしたら所長なんですけれども。そうすると、プロジェクト研究というのを組みやすくなります。それで、その業務内容に応じて、内容、量、それから優先度に応じて、実際には公務員ですから定数のいろいろな制約はありますけれども、そういった中でも、プロジェクト研究という形を作ることによって、かなり研究部間の連携を取りつつ優先度の高いところに人員を集中させるということが可能となりました。また、研究員の採用も、原則として任期付公募制とかそういったことが取れるようになりましたので、そういった意味では仕事の内容はやりやすくなったと思います。  それから、経費節減は、これは独法に限ったことではありませんけれども、光熱水量の抑制とか、機関紙の電子メール化とか、定型業務以外の外部委託とか、所内文書のペーパーレス化とか、こういったことも理事長のリーダーシップの下で積極的に進めることができましたんで、こういった中で運営費交付金削減目標も達成できる見込みとなっているところでございます。
  28. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほど、そのようなメリットがあったというふうに御説明がございました。私も実際、国立健康・栄養研究所、そして産業安全研究所、お邪魔させていただきました。国立健康・栄養研究所の理事長の先生には、本当に栄養学に関してのすばらしい御見識、そしてその熱意、国民の健康と栄養に関するその熱意というものが非常に伝わってきて、大変感動をいたしたところでございますが、しかし、こういう効率的、まあその経営責任ということについてはもっとシビアにやらなければ私はいけないと思っております。  お手元に配付した資料をごらんをいただきたいと思うんですけれども、今、経費削減目標の範囲達成の見込みであるということでございましたけれども、でもちょっとごらんになっていただきたいんですが、そもそもこの役員、独法化前は指定職ということで所長とかそういうものですけども、これ各法人見ていただいて分かると思うんですが、役員は軒並み増えているんですね。一人であったところが、まあ理事それから監事等を置かなければいけないこともありまして、増えております。産業安全研究所で見ていただけば、移行前はお一人だったわけですけれども、発足時、そして現在含めて四人。国立健康・栄養研究所も同じでございますし、産業医学総合研究所もそうでございます。したがって、役員が増えているということは役員の報酬も増えているということで、そういう意味ではこの経費は非常に増えている。まさしく、天下りの焼け太りというふうに一時期批判されたわけでございますけれども、この比較を見てみるとそれが実際に現れているんじゃないかと思いますが。  そして、国庫負担額ということに目を向けますと、その表、財務について、移行前、例えば産業安全研究所、移行前十一億五千八百万、発足時はそのようないろいろの経費が掛かりますので、実は十三億、増えているんですね。確かに、だんだん一生懸命いろいろ努力をされて、直近では若干減ってきてはおりますけれども、取り立てて移行前と比べて経費が少なくなった、国の支出金が少なくなったというふうに私は言えないのではないかと思います。他の法人についても同じであると考えますが、これでも独法化によってメリットがあったと言えるのでしょうか。大臣、いかがですか。
  29. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これはこれから議論するがんセンターの議論にもなるんですけれども、独法化をしたから、すなわちすべて人が減って費用が減るという話には私はならないだろうと思ってるんです。  言われたように、トップが経営責任を持ちながらしっかり仕事をやっていくこと、したがってその仕事というものがまず評価されなければならぬだろうと。がんセンターで申し上げりゃ、今かなり議論しているんですけど、私は増やすと、人を。がんセンターは人を増やさしてもらいます、独法化になったから人を減るという概念の中でこのがんセンターの独法化に私は臨みませんと、こういう発言をさせていただいております。そういう意味では、一つは御指摘のように増えてきているじゃないかという御指摘もあり、したがって、全体的に合併をすることによってもう少しスリム化しようという方向を選択をさせていただいた。  先ほど、どう評価しているんだという御議論をいただきました。一〇〇%正しければ今回の改革は要らない。今回改革をやらなきゃならぬということについては、やはりもう少し運営面で効率化を図るべきであろうか、こういう議論がされた結果であろうと思っております。  そういう意味では、今日までの歩みの中で足らざる面があったことは私自身認めておきたいと思います。
  30. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そうはおっしゃいますけれども、要するに独立行政法人化によって経費削減できるんだということがうたい文句だったわけです。いかにもそういう面で改革が進んでいるかのような宣伝に使われた部分もあるわけでございます。  そもそも、今回政府が自ら独立行政法人の在り方を見直したというふうにおっしゃるわけですけれども、私は、見直しに際しては、独立行政法人の存在そのものを前提とすることなく独立行政法人が行っている政策自体が本当に必要なのか、先ほども坂本委員の方からも本当に必要な研究なのかどうかと、そういう本質的な御指摘もございましたけれども、その政策自体が本当に必要なのか。そして、仮に必要だとして、本当に国の関与も必要かなどについても十分に検討した上で行う必要があると考えております。  このような検討は本当に十分になされたのかどうか。例えば、三つ研究所が行う調査研究業務民間や大学の研究機関等でもできるのではないかと思いますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。
  31. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 三つ研究所について、本当に民間や大学の研究機関でできないかという御質問でありますけれども、その前に、先ほどお示しになりました数字でございますが、これは、独立行政法人となりますことによって組織を一つ、費用あるいは組織、そういったものを独立化するということでありますので、最小の単位としてそういった組織を統轄する人たちが必要だろうということでありますし、経費的に見ますと、増えているものは、実はこの移行前の額に入っておりますところとは別から本省経費として出しておりました退職手当の額とか、そういったものを法人にしなくちゃいけないというようなそういったことで、見掛け上大きくなっているというようなものもございます。  基本的には、委員が御指摘になりましたように、できる限り経費縮減をして効率的な研究に臨んでいくということでありますので、私どもとしてはそういう考えで、ここ、平成十三年発足以来、経費の縮減ということで進んでまいりました。この間においておおむね二%程度の、十三年度に比して二%の縮減をするという目標はほぼ達成するということであります。そういう意味では、研究内容についても、独立行政法人評価委員会で各研究ともおおむね適正に業務実施してきたという御評価をいただいているところであります。  今御質問のありました、民間や大学の研究機関等々ではできないのかということでございますが、これは、産業安全研究所あるいは産業医学総合研究所において行われている研究は、労働災害の防止でありますとか職業性疾病対策について、その成果を安全衛生関係法令の改正につなげるとか、あるいは行政通達に結び付くとか、あるいはガイドラインの策定に生かすというようなことを目的として実施しております。また、労働災害の防止技術に関しましては、民間企業では開発が難しい高度の安全衛生技術あるいは研究のための大規模な設備が必要であるということなどから、採算が合わない研究を行っているところでございます。  さらに加えまして、労働災害原因究明についての調査、これに関しましては、製造技術等の企業秘密について知ることができることになりますんで、民間企業が行いました場合には企業秘密が外部に漏れる、そういうことを恐れまして調査への協力が得られないという懸念がございます。そういったことから、民間企業では行えない調査研究を行っているというふうに思っております。  また、こうした研究につきましては、労働安全衛生に関する実践的かつ専門的研究でございまして、学究的な研究を行う大学とは研究の性格を異にしております。  また、労働災害の防止についての研究を機動的に実施するためには、一定の設備あるいは長年の研究による知見の集積というものが必要でございます。個々の研究ごとに委託して活用するというような場合には、必ずしも機動的で質の高い研究を行い得ないというような場合も考えられるということで、大学でこれらを全部代替してできるというものではないというふうに思っているところでございます。
  32. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 何か余り私にとっては説得力がないといいますか、実際、産業安全研究所もお邪魔させていただいて、例えば機械を使った研究に関しても、基礎的なところをやっているんだから新しい機械をどんどん購入しなくてもいいんだとかというお話はいただいたんですけれども、どんどん技術は進歩しているわけで、産業の現場も進歩している中で、運営費交付金等でいただける研究所の費用も限られている。  そうすると、今はそういうふうな説明をおっしゃいましたけれども、実際のところ、企業の方も労災を、労働災害を起こしてはいけないわけですから、自分たちで自らその予防に関して一生懸命研究しているわけで、その中で最新の機器も導入されないまま、まあ一部導入されているところもありますけれども、その中で果たして本当に、こういうどんどん技術革新の進むこの現代の産業界の中で、労働災害の防止のために本当に必要な研究ができるのかなという疑問、本当に素朴な疑問なんですけれども、それは私は持ったということでございます。  で、今とにかくそういう意味で、それでも国が関与し続けると、関与し続ける必要があるのだと、そうおっしゃるんであれば、経営の更なる効率化に向けた努力が必要であるというふうに考えますが、しかし、今のところ、今回統合で若干役員の数は減りますけれども、先ほども述べたとおり、役員の数は軒並み増えているわけですね。役員の数を削減するには、今回のように法人の数を減らすことが早道だということは、さっきからおっしゃっていたとおりなんですね。であれば、類似業務を行う機関の更なる統合が必要であると考えます。統合によって庶務部門の合理化も期待できる。今回の独立行政法人改革は、各省が所管する独立行政法人ごとに整理をしておりまして、厚生労働省も所管の二法人統合をするということでございますが、私は、二法人と言わず、もっと統合によるスリム化を進めていく必要があるのではないかと思っております。  特に、独法の事務事業の改廃や統廃合は、類似の業務があれば府省の垣根を越えて業務内容に即した統廃合が行われるべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。さらに、府省をまたいでの独法の事務事業の改廃や組織の統合がなぜ行われていないのか、その理由をお答えいただきたいと思います。
  33. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 御質問二点あったかと思います。  過去なぜ府省をまたがる独立行政法人統合が行われてないかという理由でございますが、これは御指摘のとおり、組織論的には別に独立行政法人の合理化、効率化を図る場合、所管省庁の垣根を越えてやっちゃいかぬというものはないわけでありまして、適当なものがあればそれを推進すべきだと思っております。  現実に、これは中途でやらなくて済むようになったんですが、今回の見直しに当たっては、独立行政法人に関する有識者会議というのが政府レベルで在り方を検討したんですが、その中でも総務省の消防研究所と文科省の防災科学技術研究所統合すべきじゃないかというような指摘もあったんですが、結果的に消防研究所の方は廃止になったということで統合ということにはならなかったわけですが、今後ともやっぱりそういうものでいいケースがあれば、それは検討すべきだと思っております。  また、御指摘のように、特に研究業務なんかについては、やっぱり研究所の活性化ということを考えるとある程度の規模が必要ではないかとか、あるいは最近のいろんな発明というようなのは、異分野間の研究交流とか総合的な研究、それによって導き出されている場合が多いというような、いろいろな御意見も出てきております。正に、私どもとしては国会での御論議とか、あるいは正に中期目標期間が終了したときに、独立行政法人評価委員会、それが事務事業を踏まえた在り方を見直すとか、あるいは先ほど言いましたように、独立法人等の有識者会議、そういったところの御意見、御議論、そういったものを踏まえながらやっぱりそこはしっかり推進していく必要がある課題であるというふうに認識しております。
  34. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 やるんですか、やらないんですか。そのできない理由がよく分からないんですね。本当に行政改革、もうこれから法案の審議も本格化するんでしょうけれども、本当に、本当に行政改革をしてこの財政再建にも資するということであれば、今回、省庁をまたいでできるものは統合すべきであると考えますし、大臣にも今の件について一言お答えいただきたいんですけれども、厚生労働省も今回この二つ法人というだけじゃなくて、もっと踏み込んで統合できるものがあるんじゃないかというふうに検討すべきだったと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  35. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 総理も各所で御答弁されておりますとおり、行政改革に終わりはない、したがって今回私どもはこういう御提案をさせていただいた。また、他の政党から、いや、こういう行革をすべきだという議論も出ますでしょう、また与党の中でも議論出ますでしょう、それを踏まえながら着実にやっていく。  しかし一方で、こういうものをまとめるときに、ある程度タイミングもございます。そういう意味では少し早めてやったわけでありますけれども、そうしたものを踏まえて、今回は私どもとしてはやれるべきものをやったと。しかし、課題が残っていますねという御指摘に対しては、これから様々な御議論をいただきながら、またこの組織自体も、これで終わりという話じゃなくて、不断の見直しを行ってまいりますということを申し上げておきたいと思います。
  36. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 例えば、産業医学総合研究所はダイオキシン濃度の測定法の研究を行っておりますが、この研究成果評価できるものでございますけれども、これはなぜ産業医学総合研究所じゃなければならなかったのか。ダイオキシン類といえば、環境省の所管の国立環境研究所、ここがリスク評価と管理を研究しておりますので、その国立環境研究所とのすみ分けはどうなっているのか。類似の研究を行っている機関同士ということであれば、産業医学総合研究所は国立環境研究所統合というのは検討できないのでしょうか。この点についてはいかがでしょうか。
  37. 青木豊

    政府参考人青木豊君) ダイオキシン問題は、平成十一年に、国民の健康を守り環境を保全するため内閣を挙げて取組を強化しなきゃならぬということで、ダイオキシン対策関係閣僚会議が開催されまして、ダイオキシン対策推進基本方針が定めております。その中で、健康及び環境への影響の実態把握について各省庁が計画的かつ継続的に実態を把握するものとされていまして、環境庁、現在の環境省が大気、降下ばいじん、土壌、底質、生物など環境媒体や発生源についての実態を把握するとされ、労働省、現在の厚生労働省労働者の健康状況及び労働環境の実態を把握するとされたところでございます。  労働者の健康状況を把握するためには、血液中のダイオキシン類濃度の測定が不可欠であるということでございます。血液中のダイオキシン類濃度の測定を短期間で精度を保って測定できる技術が確立をしていなかったため、平成十三年度より産業医学総合研究所において血液中のダイオキシン類濃度の測定の研究を行って、平成十五年度にその血液試料十グラムでの測定を可能としたところでございます。この成果労働者の健康状況の把握に活用されているところでございます。  このように、政府全体としてはそれぞれのところでのすみ分けを考えながら研究を進めているということでございます。
  38. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 できない理由というのは幾らでもあるんですけれども、じゃ国立環境研究所との統合は困難という御見解なんですよね。  じゃ、それでは例えば大学の医学部や労災病院との連携はどうなっているんでしょうか。例えば、旧厚生省系の国立がんセンターなどでは、病院の中に研究所を設置して医療と医学研究を一体になって進め、両者が連携して業務実施しております。この旧厚生省系でできて旧労働省系ではなぜできないのかなというちょっと素朴な疑問が私は生まれておるんですけれども、この辺についてはいかがですか。
  39. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 労災病院、病院でももちろん病院で行う業務に必要な研究というのを行っているわけであります。労災病院関係では臨床医学研究が行われておりまして、一方、産業医学総合研究所におきましては、作業管理でありますとか作業環境管理を含めて総合的に職業性疾病の予防に関する研究を行っております。  労災病院でかかわっている研究というのは、労災病院での診療、治療等に寄与するために行われているものであるため、これに加えまして、こういった医学部門、産業医学総合研究所が行っている研究のうち労働衛生分野における医学的研究のみを取り出して追加して労災病院に行わせるというのは効率ではないというふうに思っております。  産業医学総合研究所におきましては、研究目的に応じて適切な研究成果を得るために、大学の医学部でありますとかあるいは労災病院と連携をいたしまして、様々な研究者との共同研究を行ったり、あるいは労災病院における症例の収集、そういったものも実施しているところでございます。  今後とも、研究目的に応じて必要な連携を図るようにしてまいりたいと思っております。
  40. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 だから、旧厚生省系では既にやっているわけですから、労働省系でなぜできないんだろうという素朴な疑問がございます。できない理由を探せば幾らでもあるわけですから、先ほども申し上げましたように、統合というのが一つはスリム化の大きな柱だと思いますので、できない理由ばかりを探さないで、どうやったらできるかという観点に立っていただきたいと思いますが、大臣、一言ありますか。これは政治のリーダーシップが必要だと思うんですよ。
  41. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いや、今回の独法化の中で、この二つをうまく統合しながら厚生労働省の正に行政目的にかなうようにしていこうということで考えた結果として御提案申し上げております。  今回、何で労災病院と一緒にしないんだと、こういう一つの御提案でございますが、それはまた次からの課題としてこれから勉強していくことになるだろうと、こう思っております。
  42. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 当面、これ以上の統廃合は期待できないということなんですけれども、それであれば、それぞれの独立行政法人としての業務効率を、業務効率化をより一層進めていく必要があるというふうに考えております。  今日は会計検査院にお越しをいただいているんですけれども、私、今回この法案の担当になりまして、この三つ法人だけではなく、様々な独立行政法人の財務諸表読ませていただきましたが、これはちっとも分からないんですよ。私、もちろん財務、会計の専門家じゃありませんから、おまえが知識がないから駄目なんだと言われればそれまでなんですけれども、要するに独立行政法人にするときに企業会計を取り入れたということでございますけれども、企業会計をよく見ている人に見せても何のことやらさっぱり分からぬということで、さっきも申し上げましたが、独立行政法人になるときに、透明性、そして経営責任ということが明確になる、これが独立行政法人化の一番大事なメリットであるというふうに言われたわけですけれども、それがさっぱりどうなっているのかよく分からない。  独立行政法人となってどの程度効率化がなされてきたかということを判断するためには、情報が正確に分かりやすく開示されていることが私は大前提だと思うんですね。  で、私のこの素朴な疑問に実は既に会計検査院がお答えいただいているんですね。これは、昨年の十月に、参議院の決算じゃなくて行政監視ですかね、のところからの要請を受けて、会計検査院が独立行政法人業務運営等の状況に関する会計検査の結果についての報告書というものをまとめていらっしゃいます。そこで、この独立行政法人の財務諸表とその会計又は様々なことに関して報告をされているわけですけれども、今日は会計検査院においでいただいているんで、このことについてまず御説明をいただけますでしょうか。
  43. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) お答え申し上げます。  ただいま委員おっしゃいましたように、私ども会計検査院では、昨年、国会法第百五条の規定に基づく参議院からの検査要請を受けまして、平成十三年四月に設立をされました四十五の独立行政法人業務運営等の状況につきまして会計検査を行いました。その結果については、今お話がありましたように、昨年の十月二十五日に独立行政法人業務運営等の状況に関する会計検査の結果についてということで国会の方に御報告申し上げたところでございます。  今委員指摘独立行政法人の財務に関しましては、私ども、今申し述べました報告の中で、運営費交付金債務の収益化の方法につきまして、大部分の法人業務のための支出額を限度として収益化を行う費用進行基準を採用しているということから、運営費交付金を効率的に使用したとしても、これによる節減分というのは運営費交付金債務に残されることになってしまうということで、中期目標の最終年度を除いた各年度におきましては財務諸表上に利益としてその節減分は計上されないという状況になっているということ。それからまた、法人の自己収入の会計処理の方法につきまして、その全額が費用に充てられたこととする方法を採用した場合には、自己収入からも利益が計上されないこととなるということで、法人の経営努力の成果が財務諸表に表示されない、そういう状況になっているということなどを検査の結果として記述しているところでございます。
  44. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 つまり、財務諸表を見ても、本当に経営責任が果たされたのか、そしてその各法人の経営状況がどうなっているのかというのは、財務諸表を見ても分からないということを会計検査院は御指摘されたわけですけど、それでよろしいですよね。
  45. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) おっしゃるとおりでございます。
  46. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 つまり、そういう状況の中で、どのようにこの独立行政法人のこれまでの評価をなさったのかというのが私としては非常に疑問に思うところなんですが、どうなっているんですかね、これ。いかがですか。これはまあ独立行政法人全体のことなんですけれども、総務省はお答えできますか、これ。
  47. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 私ども、ちょっと独立行政法人通則法そのものを維持するという立場なんで、その評価そのものの仕方についてはまた別途のセクションがあるわけなんですが、ただ、一般論として申し上げますと、なかなか、これは政策評価にも通ずる話なんですけれど、独立行政法人評価するに当たっても、その評価基準というものができるだけ客観的であればいいんですけど、そういった評価基準そのものが現実には相当難しくて、なかなかこれからまだ研究課題になっているというような状況で、そういうことを進めながらやっぱり評価をより客観的、合理的にしていこうという段階であるというふうに認識しております。  また、企業会計基準の話については、これは私どもは、もう基本的に民間で用いられている企業会計基準というものをできるだけそのまま独立行政法人にも適用されるようにということでいろいろ基準を作ってやっているところでございますが、いろいろ会計検査院等の御指摘については若干その認識の違いがあるようでございまして、要は、企業でもやっぱりそういうことが認められていると、企業会計基準自体にも認められている範囲での、言わば何と申しますか帳簿の付け方の問題であり、そこは、それはそれでまた我々としても検討してまいりたいと思っているところでございますが。  いずれにしても、財務状況を透明化するというのは、これは先生御指摘のとおり、やっぱりこの独立行政法人制度が本来の法律の趣旨に沿って運営されるかどうかのかなめの一つの仕組みだと思っておりますので、そういう問題認識では、この各省における運営状況というものはやっぱり重視していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  48. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 この会計検査院の報告を見ますと、経営状況がはっきり分からないと言っているだけじゃなくって、この報告書の百八ページのところなんですけれども、この今回の三法人に当てはまるわけではないんですけれども、例えば運営費交付金の算定、イというところなんですが、「運営費交付金の算定の際に控除した自己収入の額が実績額と相当かい離しているものが見受けられたりしていて、独立行政法人によっては、結果的に法人運営に要する資金に余裕が生じる場合があると思料される。」。  私はこれは、こういう御指摘があるということは、実はこの独立行政法人のこの財務諸表の作り方、この会計の公開の仕方、これはそもそもの問題がある。よく分かんないお金をプールできる仕組みがそもそもあるんじゃないかっていう、そういうふうにも思えたりするんですけど、私のこの疑問は、あれでしょうか、的外れでしょうか。会計検査院、もしコメントいただけるようでしたら。
  49. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) お答えをいたします。  今先生がおっしゃいましたように、私どもの報告の中では、自己収入の運営費交付金算定上の取扱いにおきまして、自己収入の額を経費の見込額から控除している独立法人があったり、あるいは、ある一方でまた控除していない法人があるということとか、それからまた、その運営費交付金の算定の際の自己収入の額が実績の額と大きく乖離している、そういった事態があったということを記述しておりまして、結果的にこういうことはその法人運営に要する資金に余裕が生じる場合があるだろうということを報告の中で記述しているところでございます。
  50. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、本来こういうことが前提としてあるわけですから、きちんとこの四年間なり五年間の評価というものをもっとやってから様々なことを考えるべきであったろうなというふうに思っておりますが、今後も一つ一つ独立行政法人について厳しく調査をしていきたいと思っております。その中でまた新たな問題も見付かってくると思いますので、予告しておきます。済みません。  で、これはやっていてもしようがないんで、次。財務状況は必ずしも明確ではございませんが、もうこう言わなけりゃいけないところは何か変だなと思うんですけれども、さっきも、先ほどもお示ししたとおり、個々の法人独法化によって軒並み役員が増えているほか、職員数も大きく増えているところもございますが、業務効率化にはこうした人員の削減が不可欠であると考えておりますけれども、今後の見通しを伺います。今回の法人に関してでいいですけど。
  51. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 今回、正にお配りになった資料にもございますが、人員につきましては、統合して円滑に研究を進めていくという観点で、当面、人員について統合後、直後に効果が現れるというものではございません。役員につきましては、八名から三名削るというようなことで直ちに統合効果が出てまいりますけれども、職員についてはそういうことはございませんが、当面の業務として統合時の継続業務がございますので、そういった事務を処理し、それは一時的なものでございますので、それが終われば将来にわたってその縮減をするというふうに考えております。  そういうことで、統合効果を職員の縮減ということにも結び付けていきたいと思います。当面、向こう五年間で六名だったかと思いますが、縮減するという予定でおります。
  52. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 人件費のことを考えた場合に、常勤職員もさることながら、非常勤の職員の存在も見逃すことはできませんが、今回の三法人についてはいずれも発足時に比べて非常勤職員の数、増加しておりますが、その理由をお述べいただきたいと思います。各非常勤職員の出勤状況、人件費はどうなっているのでしょうか。  そして、これがよくいろいろなところで批判の対象になっている、まあ実際どうなっているのか私もよく分かりませんが、非常勤職員の募集に際しては、縁故に頼ることなくきちんと公募をされているのかどうかということで、縁故採用じゃないかという御批判があるわけですけれども、まあそんなことはないと思いますけれども、確認のために伺っておきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  53. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 各独立行政法人の非常勤職員につきましては、それぞれの独立行政法人、大変規模の小さいものでございまして、少人数で運営されている研究所でございますので、定型的な業務を非常勤職員に担わせるということによりまして、正規職員の負担を軽減させて研究所効果的な運営に寄与しようということでございます。  で、その非常勤の出勤状況でございますが、週五日勤務とか、あるいは週三日、あるいは週四日勤務というふうになっておりまして、日給又は時間給で採用しております。  また、非常勤職員の募集につきましては、公共職業安定所やインターネットを通じて募集を行っているところでございます。
  54. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いろいろな御報告をいただいた中で、産業安全研究所だけを取り上げるのは大変悪いんですけれども、この非常勤職員の勤務状況について、なぜ必要なのかというメモもちょうだいいたしました。お一人は何か電話番のためにいるというところがあるんですね。  で、私も実際お邪魔させていただいて、ほかの職員、一般業務を行うほかの職員は電話を取らないのかしらと、その電話を取るためだけの職員なんて本当に必要なのかどうかというふうに、それほど忙しい職場でもないようにお見受けしましたけれども、何でそういう人を雇う必要があったのかなという疑問があったんですけれども、いかがですか。
  55. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 産業安全研究所の非常勤職員については、電話交換業務担当している者もおりますが、これはこれのみを担当しているわけではございませんで、給与支払業務等をしながらそういったことをやるということになっております。  で、非常勤職員につきましては、これもやはり先ほど申し上げましたように、非常に小規模の法人でございますので、定型的業務をやってもらうということで効率的な業務運営をするということでやっております。しかし、先ほど常勤職員についても申し上げましたが、できるだけ効率的に業務を進めるという意味におきましては、非常勤職員につきましてもできる限り縮減をしていくということで考えていくべきものというふうに思っております。
  56. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 次に、人件費のもう一つの大きな柱である退職金について伺いたいと思います。  独立行政法人の財務諸表を見ますと、退職金引当金が計上されておりませんが、その理由をお述べいただきたい。そして、実際の退職金の算出方法はどのようになっているのでしょうか。
  57. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 退職金につきましては、独立行政法人通則法で、その業績が考慮されるものでなければならない、あるいは役員に対する報酬等に支給基準を定めるというふうなことでなっております。また、これについては、独立行政法人評価委員会において業績に応じて決定する業績勘案率について審議、決定を行うこととされているということでございまして、そういったことからも適切に定められているものと考えております。
  58. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 支給基準というのは国に準じた形でということになっていると思うんですね。ほかにも質問ありますから次に進みますけれども、次の質問で基本的なこともお答えいただきたいと思うんですが、さっき御答弁ならなかった部分。  今回の三法人じゃないんですけれども、同じ厚生労働省の勤労者退職金共済機構というのを見ますと、十六年度に千六百八十二億円もの繰越欠損金が生じているんですね。その欠損金が非常に巨額だと私は思うんですが、年々減少してきているとはいっても、本当にこんな巨額の欠損金を抱えている法人であることに間違いはないわけですね。  しかし、十六年度に退職した理事は、約六年間の勤務で二千五百二十二万円もの退職金を受け取っていたんですよ。六年も理事をやっていたということは、その欠損金に対しても相当な責任を持つべき立場にあると考えておりますが、そのような方でもそういう巨額の退職金をもらうことが妥当と言えるのかどうか、その現行の退職金支給規程の妥当性というものについて、私は御質問をさせていただきたいと思います。
  59. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 勤労者退職金共済機構でございますが、これは中小企業の勤労者、労働者のための退職金制度を独自で中小企業事業主が持つことができない場合に、共同して退職金制度を確立していこうということで制度化されているものでございますが、この機構における累積欠損金につきましては、平成十五年十月に独立行政法人化されたわけでありますけれども、それ以前の特殊法人時代から引き継いだものでございます。独立行政法人化後は、役員の指揮の下で累積欠損金の計画的な解消が図られているところでございます。  今委員もお触れになりましたように、具体的に申し上げますと、平成十五年十月の独立行政法人化時点では三千二百五十一億円でございました累積欠損金について、平成十五年度に五百四十九億円、平成十六年度は四百二億円解消ということで順調に解消されてきているところでございます。  この勤労者退職金共済機構におきましては、平成十七年十月に累積欠損金解消計画を策定いたしまして、累積欠損金の具体的な解消年限あるいは中期目標期間中の解消目標額、年度ごとに解消すべき累積欠損金の額として目安額を設定したところでございます。これらにつきましては、政策評価独立行政法人評価委員会におきましても、積極的な取組姿勢が顕著な独立行政法人評価を受けているところでございます。  したがって、御指摘のように、累積欠損金を抱えていることから報酬を支払わないということが適切ではないかということでございますが、そういったことは当たらないんではないかというふうに思っております。
  60. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先ほどの質問に私はお答えいただいたと思ったんですけれども、そもそもこの独立行政法人の財務諸表に退職金引当金が計上されていないんですよ、退職金。私は、答え、私が言いますからいいです、それ。退職金引当金は計上されていないんです。  なぜかというと、退職金に関しては、これは運営費交付金がそれに充てられるわけですよね。要するに、退職金が必要になったときには国からその額はしっかりもらえるわけです。だから、引当金として計上する必要はないんですね。ないんです。だから、どんなに高い退職金が必要であっても、それはもう別に経営努力の結果生まれなくても、退職金がこの額必要だと言えば、それはもうそのまま国からもらえるんですね。もらえるんですよ。  私は、このように欠損金が発生しているにもかかわらず退職金をもらえるということ自体、経営責任を果たそうとするということにならないんじゃないかと思うんですね。民間では役員の退職金は利益処分です。利益処分ということになります。つまり、もうかっていなきゃ退職金出ないんです、役員は。赤字や多額の繰越損失を計上している場合は役員への多額の退職金の支給は株主総会での了解が得られません。独立行政法人も同じような仕組みを取り入れるなど、もっと経営に責任を持たせる方法を講じるべきではないでしょうか。
  61. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 一般論というか、独立行政法人通則法の立場からということで御答弁申し上げますと、これは、先ほど厚労省からも御答弁ありましたように、元々役員、職員の方でしょうか、今のは。役員ですね。役員の給与と退職金というようなのは、その役員の業績を考慮して決めるということが通則法五十二条、六十二条で規定されております。それから、役員の給与それから退職金等の報酬等はその法人事務事業実績を考慮するということ。これも法律できちんと書かれております。  ですから、その趣旨は、正に先生御指摘のとおり、やはり独立行政法人がうまく成功するかどうかは確かに経営者側の経営感覚と申しますか、そういうことがやっぱりかなめの制度になっておりますので、そこはあくまで能力主義と申しますか実績主義のそういう支給基準、支給の仕方になるということはやっぱり法律上求められているということでございます。  また、法人事業実績というのは、これは各省に置かれています独立行政法人評価委員会というのがやっぱり第三者的、客観的な立場。その中に、先ほど帳簿の話も出ていましたけれども、公認会計士の方なんかも相当含まれているところが多いわけですが、そういった専門的な知識も踏まえて客観的にやっていただくと、こういう形になっておるわけでございまして、ちょっと個別の法人についてどうなっているかということは私どもの方からは完全に把握していないところでございますが、少なくとも通則法の趣旨というようなのはそういうことになっているということでございます。
  62. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 一般論としてそういう通則法にそう書いてあるとはいってもですよ、本当にそれでいいんですか。大臣から御答弁をいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  63. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 民間に照らして考えれば、引き継ぐときに一回整理しちゃうんでしょうね、民間なら、借金を。そして、新しい経営者はその負資産を負わないで別会計でやっている。そして、その中で業績上がって借金返済に、別勘定にしておいて、返せるだけのものになれば、その評価は当然下されるものだろうと、こう思います。  一方で、公的な例えば病院とか、これは市民病院、県立病院も含めてです、あります。そこの理事長になっていただく方、院長になっていただく方、経営責任を引き受けていただく方が、赤字であるがゆえにボーナスはなし、退職金はなしということになれば、これは引受手がなくなることは事実だろうと。  そういう意味では、公的性格というものと、民間の収益を上げればたくさんボーナスもらえる、退職金もらえるというものと必ずしもイコールにしてやっていけというのは無理なことであろうと私は思います。
  64. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今言ったような様々な問題があって、要はそのそれぞれの、全体としての独立行政法人の退職金等の処理に関して、引当金は要らない、そして必要なものは国からもらえるという問題点もありますし、そしてその基準に、計算の基準についてもそれぞれの今度は独立行政法人が勝手に作っていて、そして業績評価といいますけれどもね、今まで一・〇が可もなし不可もなしですよね。〇・九になったのは一回だけ、あのロケットの打ち上げに失敗したところだけなんですよね。だから、本当にその評価というものが妥当なのかどうかという問題もありますし、とにかく効率的に経営責任が図られるんだというのとは、この独立行政法人というのは全く違うんじゃないかなと。  なかなかお答えいただいてないんですけれども、この六年間の勤務で、六年ですよ、六年で二千五百二十二万円もの退職金がもらえるということ自体、これは一般の庶民感情からしますとやっぱりおかしいんじゃないかと私は思います。  こういうのはほかの法人でもたくさんありますが、まあでも退職金ばっかり言ってられないので次行きますけれども、その人件費以外の業務経営の効率化として、各法人の契約の在り方というものがあると思うんですね。国の機関であった場合は会計法により、契約は原則として競争によることとされており、随意契約は百六十万円未満の物品購入など例外的な場合しか認められておりませんが、独立行政法人となって会計法の適用は受けなくなりましたけれども、各法人の契約は引き続き国の例に倣って競争の利益を得られるようにしているのでしょうか。また、実際の入札における随意契約の割合は、独立行政法人化前と比べてどうなっているんでしょうか。その状況を伺いたいと思います。
  65. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 数字は後から局長から答弁させますけれども、実は国立病院機構の問題について、新聞にも載りました。また委員会でも御質疑をいただいて、たしか参議院の予算委員会だったと思いますけれども、この問題についてやはり厚生労働省の基準に合わせる、私の命令権が、先ほどから議論しておりますとおり、どこまで及ぶかは分からないと、命令という言葉は使えないかもしれないけれども、私の責任でやりますと御答弁申し上げました。  で、この間、理事長とも話合いを持ちまして、国の基準に合わしてほしいと、四月から改正できるものは直ちに改正してほしいということで、当時御指摘いただいた駐車場等の問題はすぐに処置するように指示をいたしたところでございます。  多少問題が残っておりますのは、医療を担当される人たち、また放射線技術者、そういう技術者からいって使い勝手という問題があって、でき得れば同じ機械を導入したいと、しかし、それはもう透明性、公平性が求められる機関としてはできるだけ避けてほしいと、それも避けてほしいということで、この一、二年の間ですべてのものが厚生労働省として同じ基準に、まず国立病院機構合わせてもらうようにいたしました。当然、他の機関においても厚生労働省の基本的な原則に合わせながらやってもらうということで指示をしているところでありますので、多分、厚生労働省の基準と少し甘い運用がされていたことは事実だろうと思います。これは直させていきます。
  66. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 具体的な数字についてお答えいただきたいんですけれども、要するに独立行政法人化になって、かえってそういうものが不透明になって、さっき言ったように一般的な報道されている言葉を使いますと天下りの数が増えた、そして契約の状況はこんなもんだということで、本当に果たして独立行政法人化して良かったのかどうかというのは全然分からないんですよね。  厚生労働省の件はまた後でお答えいただきたいんですけれども、今日、文部科学省にもちょっと来ていただいているんですね。私は、これはその独立行政法人化してむしろ悪くなったという一例としてお示しをさせていただきたいんですけれども、この間同僚の山根議員が予算委員会で質問しましたけれども、皆さん、これ何だか分かりますか。(資料提示)これは、この間から問題になっておりますセンター試験のときにリスニングテストに使われたセットです。うちの愚息も今年受験生だったものですから、これは我が家から持ってきたものですけれども。  で、これが十六億円ですかね、十六億幾らかなんですがね。で、六十一万台と。総額十六億円。まあ一個二千円、その分が受験料に上乗せされたということで、この契約についてちょっと文部科学省にお聞きしたいんですけれども、この十六億円の契約はどのような形で行われましたでしょうか。
  67. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) この英語のリスニング試験に係るICプレーヤーの製造メーカーについてであります。  まず、その選定経緯について申しますと、製造メーカーの選定につきましては、競争的な要素を導入する観点から、十五年十月にICプレーヤーの製造に実績のある大手メーカー五社に基本仕様を提示して提案を求めたわけでございます。このうち三社から提案があり、基本内容を審査した結果、いずれも基本仕様を満たし必要な技術水準をクリアするということで、その上でコスト面で最も低廉な提案をされたメーカーを選定したわけでございますが、しかしながら、この具体的な契約の在り方につきましては、そのリスニング試験というものは大学入試センター試験の一部でございます。他の試験と同様に、厳重に秘密性を確保することが必要でございます。特にその音源機器につきましては、そのICプレーヤーとそれから試験問題を録音している音声メモリー、これを一体のものとして今製造しているということから随意契約としたわけでございます。  これにつきましては、仮にメーカー名が公表された場合には、その当該メーカーに対する不当な働き掛け、あるいは試験問題の漏えいのおそれ、試験の妨害等が懸念されます。また、こういう懸念が持たれること自体によって試験の公正性に対する信頼が損なわれると、そういうことも危惧されるわけでございます。  このようなことから、関係規則にのっとりまして随意契約によることにしており、製造メーカー等については明らかにしないということにしているところでございます。
  68. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 随意契約にされた理由をるる述べられたわけですけれども、この契約書を見させていただきました。不具合について、これ第十一条なんですけれども、これを読んでも不具合が起きた場合の、どういうんですかね、数値というんですか、このぐらいの不具合が生じたときにはどうするのか。要するに、不良率の規定というのがこの書面に全く見受けられないんですね。甲は、本装置を使用した結果、本装置に不具合が生じたと認められる場合、当該不具合の数量・内容につき、結果発生後速やかに乙に対して書面にて報告するものとして、乙は当該報告を受理・確認するものとする。当該確認後これが著しく多発したと見られる場合は、甲及び乙は別途協議の上対応を審議するものとするというのがこの第十一条なんですけれども、不良率の規定がないんですけれども、これなぜでしょうか。
  69. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) 今回、たくさん不具合が発生をしたということに大変私ども遺憾に存じております。  ただ、具体的な不具合の発生等につきまして、今回初めての試験ということでございます。当然受験生の緊張が極めて高いということから、操作の手違いによるトラブルと、そういったことも考えられます。現在、その入試センターにおきまして、メーカーとともに具体的な発生原因等を検証中でございます。  私どもといたしましては、今回のリスニング試験を初めて導入をすると。そういうことの中で、具体的に様々マニュアルを用意し、受験生に対する呼び掛けも行い、万全な準備を期したわけでございますが、そうはいいましても、やはり初めてのことでございます。そういった観点から、具体的な検証経過を踏まえて、言わばそのリスニング試験というものをきちんと改善をしていこうということもございます。こういった観点で、現在は私どもの方でICプレーヤーの試験実施準備、そのための検証を行っておりますけれど、そういったことを踏まえて今後ともその改善を図っていきたいと思っております。
  70. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 質問にお答えください。  不良率の規定がないのはなぜかというふうに質問したんですけど。
  71. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) 今回の試験、先ほどお答えしたとおり初めて実施をするものでございます。これにつきましては、様々な、言わばその機器そのものの不具合、あるいはただその不具合といいましても、それに係る操作上のミス、様々それに係るいろいろな、受験生の方の周知の問題、そういったこともございます。やはりそういったことについては、やはり今回私どもとしては初めて実施をするわけでございますので、現実にそういうことの中でメーカー共々、あるいは入試センターの方、そしてまた関係をする大学におきまして万全な準備をしたわけでございます。そういう中で、私どもとすれば、できるだけきちんと機器というものが作動して動くように準備をしたわけでございますが、そういったことも考慮いたしまして、この点で不良率というような規定がないものと考えております。
  72. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 普通はこういうものであれば、民間であれば不良率、数値、数量の表記があるべきなんですよ、契約書の中で。  で、今初めてだ、初めてだというふうにおっしゃいましたけど、このリスニング機器は、不良品が人体に影響を及ぼすものじゃありませんよ。でも、人生に影響しかねないものでありますね。だから、どんなふうに検査をして、全数検査は命じたんですか。全数検査、命じたんですか。BSEの全頭検査じゃないですけど、全数検査命じたんでしょうか。
  73. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) この準備段階におきまして全数検査、三回実施をしております。そういったことの中で、私どもとしては、またその逆に不良が仮に発生をした場合に備えましても、言わば再テストをするための機器も別途用意してございます。そういった意味では、現実にその一回目の試験で不良が発生した受験生に大変申し訳ないことをしたと思っておりますが、一方では全数検査を行い、その上で、仮に万が一の不良の発生に対して再試験用の機器を用意したということが私どもの準備態勢でございます。
  74. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 全数検査と言っていらっしゃいますけれども、本体、メモリースティック、電池、イヤホン、それぞれ全数検査をしたんですか。そしてさらに、その各装置を使用状態にしてセットした後で全数検査はしたんですか。全部やったんですか。
  75. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) まず、本体につきましては三回行いました。それから、メモリー自体については、これは一回しか聞こえませんので、一回行いました。それから、電池そのものについては、もうこれは検査をしておりません。  もう一回お答えします。  本体そのものについては三回全数検査をいたしました。メモリーにつきましては、これは基本的にメモリーがありますので一回検査を行いました。そして、その電池そのものについては、これはまあ市販品でございますので、電池については検査はしておりません。
  76. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先ほど初めてだ、初めてだっておっしゃいましたね。こういう場合、民間で数量表記、不良率についての規定と、そして相手に対してその罰則の規定というものを契約の上でやる、これは民間では常識ですよね。この契約書じゃ、どういうふうに責任取るかは明確じゃないじゃないですか。対応を協議するものとする、何も責任問えないじゃないですか。つまり、担当者がこのことを契約で盛り込まなかったということは、民間企業でいえばこれは懲戒免職に値するんですよ。
  77. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) 大学入試センターは、これまで既に三十年間、共通一次試験時代を含めて実績を持っているわけでございます。この大学入試センターの行っております共通試験といいますものは、これは言わばそういう民間企業で行うような言わばものではなく、あくまでも初等・中等教育に対する影響も考慮し、大学入試ということの言わば基礎的な学力を見るという観点から広く、まあ基本的に独立行政法人である入試センターにおいて行っているものでございます。  私どもといたしますれば、そこにおいて最も大切なことは入試を円滑に行うということでございます。その意味で、今回は不良の発生ということはないようにできるだけ努めたわけでございますが、万が一不良が発生した場合については、言わば予備機を用意いたしまして再試験が確実に行えるようにしたというふうに考えております。  今後、私どもといたしますれば、先ほどもお答えしましたように、現在、大学入試センターとメーカーにおきまして、具体的にどのような原因で不良が発生したのか、これを現在検証中でございます。その上で、来年度の試験に向けまして万全を期していく、そういったことが一番大切なことではないかと考えております。
  78. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 かような状態であるということがよく分かったかと思います。経営責任とは何かというものが改めて問われるものではないかと思います。他省の話でありますけれども、独立行政法人の行った一つの例でございますので、私はあえてここで参考にさせていただきました。  次の質問に移りたいと思います。  それで、今回は、非公務員化する、非公務員化するということは大きな柱ですけれども、まず非公務員化することのメリット、そしてこれまでの経緯、運営費交付金の算定方法又は国の関与の度合いがどのように変化するかということについて伺いたいと思います。
  79. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 非公務員化のメリットでございますけれども、一番のメリットは、公務員でなくなることによりまして人員についての流動性が出てまいります。その組織の中の人員が、今も独立行政法人としてプロジェクトチームでいろいろ努力しておりますけど、それがより柔軟に組織の改編がやりやすくなって、優先課題に対して人員が振り向けやすくなるということがあります。それからまた、役職員の非公務員化によりまして、大学や民間研究機関との共同研究とか人事交流が今までよりも更にやりやすくなって、一層質の高い研究成果期待されるという、そういうメリットが期待されます。  あとは、非公務員化によって経費がどうなるかということでございますけども、非公務員化自体は直接経費の節減には直接的には結び付かないわけでございますけども、そういった意味で、運営交付金の算定ルールが直接変わるわけではありませんけども、全体的な流れの中で中期目標に沿って計画的に節減を続けていくということはこれ共通しておりますので、そういった中で努力していくことになると思っております。
  80. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほど非公務員化経費削減されるのかという、まだ問い後にしようかなと思ったんですけども、削減されないという御答弁がありましたね。削減されないどころか増えるんじゃないですか、非公務員化で、その職員の経費に関して言えば。
  81. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 今、全体として非公務員化によることで運営費交付金の算定ルールに直接影響を及ぼすものでありませんから変わらないということでございますが、個々のもちろん経費を見ると、例えば保険料が必要になるからその部分が必要になるとか、そういった個々のものでは入り繰りはもちろんございます。  しかし、全体として見れば、今ほど申し上げましたように、非公務員化自身で直接のものはないというふうに思いますが、全体として中期目標に沿って計画的に縮減を図っていくということで考えているところでございます。
  82. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ちょっと待ってください。非公務員化によっての経費削減のメリットはない、むしろ様々な保険料等、改めて必要なので経費はむしろ高くなると、人件費ということに関して言えばということでよろしいんですよね。何か、メリットが一体何なのかよく分からなくなってきましたけど、よろしいんですね。それでいいかどうかだけ言ってください。
  83. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 非公務員化のメリットは、先ほども答弁がありましたように、人事交流が非常に活発に特に研究機関ではできるようになりますのでしやすくなるということで、研究の質を高めたりあるいは研究の幅が広がったりということで、研究所の本来の目的である研究をよくするということで非常に効果があるというふうに思っています。  ただ、経費の節減ということで考えますと、運営費交付金の算定ルールには影響を与えませんし、今委員もおっしゃったように、個別のものではむしろ増えるものもあるということでございます。
  84. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今回の非公務員化によって何かさも経費等が削減されるかのような錯覚を抱かせているのではないかと思いまして、今ほどの質問をさせていただきました。  今ほど非公務員化のメリットについていろいろお述べになりましたけれども、それを確実に発揮できるよう、厚生労働大臣が定める中期目標において人事交流について明記をすべきと考えますが、いかがでしょうか。また、今後の各独法における民間との人事交流の具体的な見通しも併せてお願いいたします。
  85. 青木豊

    政府参考人青木豊君) この三法人のうち、まず国立健康・栄養研究所の次の中期目標において、国内外の産業界を含む健康栄養食品関係機関との共同研究の拡充などを目的として、研究所研究員の派遣及び他機関等の研究員の受入れをより積極的に行う、あるいは大学及び民間企業等との連携協力により研究者の交流を進め、人材の養成と資質の向上を図る旨、定める予定でございます。  また、労働安全衛生総合研究所については、その次期中期目標において、非公務員化のメリットを生かし、大学、企業等との共同研究を一層促進するとともに、国内外の労働安全衛生関係研究機関との研究協力のための研究所研究員の派遣及び他機関研究員の受入れの推進に努める旨、定める予定でございます。
  86. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 非公務員化によってもたらされるメリットというのはなかなか実感できないんですけれども、非公務員化ということは文字どおり公務員でなくなるということでありますし、新たに発足する労働安全衛生総合研究所重大災害調査を行うこととされておりますけれども、今回の法案では、労災現場への立入調査研究所に認めることとなっております。立入調査は公権力の行使でありますが、公務員でなくても公権力の行使ができるのであれば、現在国の機関である感染症研究所などについても独立行政法人へ移行させることが可能なのではないか、ましてや社会保障・人口問題研究所や保健医療科学院などは独立行政法人への移行に何の支障もないと考えますが、行政のスリム化の観点からは、これら国の機関独立行政法人とし、非公務員化を更に進めるべきではないでしょうか。
  87. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 今回の法案では、議員御指摘のように、労働安全衛生総合研究所に立入調査の権限を付与しておりますが、災害調査実施は、今後とも国の職員である労働基準監督官や産業安全専門官等が行うのが基本であることに変わりはないわけであります。研究所は、高度な知見が必要な場合等に大臣の指示により国の職員とともに調査を行うものであります。  一方で、国立の試験研究機関等が行う業務は、厚生労働行政に密接に関連し、直接国の責任において実施すること等が必要なものであることでございますので、独立行政法人化というよりも国でやっていきたいというように考えておるわけでございます。
  88. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 何を国がやり、そして何を公務員がやらなければいけないのか、その根本的な問題をもう一度私は我々が検討すべきじゃないかという問題があるというふうに思っております。  今回の法案で統合される二法人については、統合による効果として十八年度の運営交付金が減額するのでしょうか。十七年度の両法人の合計額に比べてどの程度減るのか、そしてまた、その減額の要因は何でしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  89. 青木豊

    政府参考人青木豊君) この産業安全研究所産業医学研究所統合いたしまして、運営費交付金についてのその予算でございますが、これは新しい中期目標において、一般管理費について一五%、事業費について五%を上回る額を節減するよう指示することを今検討しております。そういう意味で、十八年度予算につきましては、この計画的な減額に加えまして役員の減少に伴う減額、そういったものがございます。  その結果、労働安全衛生総合研究所の予算は、平成十七年度の産業安全研究所産業医学総合研究所の合算額に比べまして、人件費について約二千三百万円の減額、業務経費について約三千二百万円の減額を行うことを予定しております。さらに、両研究所統合に伴いまして、会計監査人への監査報酬として約一千五百万円が新たに必要となりますので、一般管理費については約五百万円の増額ということでございます。  以上によりまして、平成十八年度運営費交付金予算額については、平成十七年度分に比して差引き約五千万円削減するということにいたしております。
  90. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 これまでこのような法人の運営というものが言わば、今までずっといろいろ検証してまいりましたけれども、御説明になっているように、私は、効率的、そして本当に経営責任が問われて、要は、目的国民の皆さんから納めていただいている税金が本当に必要なところに必要な額だけ使われているのかどうかということにならなければいけないと思っているんですが、漫然と使われるその最大の理由が特別会計があるということでもあると思うんですけれども。  質問でちょっと聞こうと思ったんですが、時間がないので、労働安全衛生総合研究所に交付される運営交付金は、一般会計とそれから労働保険特別会計の労災勘定からも仕分をして支出されるということですね。これはどのように仕分をされるのかお聞きをしようと思ったんですけれども、ちょっと時間がありませんので、関連して、今申し上げました特別会計ということが今非常に注目されているわけですが、今この労働保険特別会計の労災勘定に巨額の積立金があると思うんですけれども、今現在幾らでしょうか。
  91. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 労災保険の積立金の御質問でございます。  この労災保険の積立金、これは今現在、業務上の事由あるいは通勤による負傷、疾病によりまして重度障害が残った労働者とかあるいは死亡した労働者の遺族等に障害補償年金あるいは遺族補償年金等の年金給付を支給いたしております。この年金給付を支給するための財源として積み立てている積立金でございますが、これ現在、平成十六年度末で約七兆七千億円となっております。
  92. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、この七兆七千億円ですか、すごい金額だと思うんですけれども、大臣、この積立金の規模は適正とお考えでしょうか。私は多額の積立金の存在は安易な支出を誘発しかねないと思いますけれども、いかがでしょうか。大臣大臣です、これは。
  93. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 労災保険、御承知のように企業側の負担で成り立っております。したがって、常に審議会で御議論をいただきながら、我々側の主張、また企業側の主張、そして国全体の運営というものを照らし合わせながらやっているというふうに理解いたしております。特に、今回アスベストという問題が出ました。こうした問題に国としても踏み込んだ措置が、まあ環境問題でまだまだ残っておるとは思いますけれども、労災問題として踏み込んだことができましたのも、運営資金というものがある程度皆さん方の理解の下で蓄えられたということがあるからであろうと思っております。  そういった意味では、どのぐらいの規模にすべきかということは、常に支払者である企業、それからもちろん国民にも関係することでありますから、多くの皆さん方の意見を聞きながらやっていきたいと。しかしながら、かつかつの運営をしてしっかりとした労災というものができないということになれば、これは我々の責任であろうと、このように考えております。
  94. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、やっぱりこの七兆円という、七兆七千億円というこの積立金の額は適正ではないのではないかというふうに思っておりますが、この財源を安易に頼ることなく、今回の統合される労働安全衛生総合研究所について言えば、交付される運営費交付金の額について、この巨額の財源を安易に頼ることなく、一般会計と同様に厳正に算定される体制となっているかどうか、このことについてお聞きをしたいと思いますが、いかがですか。
  95. 青木豊

    政府参考人青木豊君) まず、労災の積立金でございますけれども、七兆円ほどありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、労災補償として年金給付をすると。年金はずっと将来にわたって支給をされていくものでございますので、その財源として要るものでございます。  年金に要する、年金の支給に要する費用について、これは労災でございますので、その労働災害に伴う補償責任として行っているわけでありますが、これは事故が発生した時点における事業主団体が負うべきという考え方で、その全額を積立金として積み立てて保有するという考え方でいるものでございます。言わば、いわゆる責任準備金というような性格のものでございます。  したがって、これ、現在、そういった考え方で計算をいたしますと、十六年度末の年金受給者二十二万人、将来給付に必要な額、推計いたしますと七兆九千七億円ということでございますので、積立金額は約九七%ということでございます。  そういう意味では、積立金が非常に潤沢にあって、何といいますか、余剰金のような形であるということではございません。私どもは、こういった性格のものでございますし、額もそのようなものでございますので、委員が御懸念になっているようなことのないよう、これはきちんと、将来の年金給付財源としてきちんと持っておかなければいけないというふうに思っております。  そういう意味では、これがあるからといって、あるいはもちろんこれがなくてもきちんと、研究のために必要な経費というものはきちんと効率良く使ってもらうという観点から、支出をする際にも厳正に査定、査定といいますか、厳正に精査をしていきたいというふうに思います。
  96. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、もちろんそうであれば何もここでこんなことを言う必要はないわけですけれども、この特別会計の問題については様々な問題があって、こういう巨額なお金があること自体がそういう誤った使い方を導くということで質問させていただいたわけでございます。  ほかにもたくさん質問したいことがあるんですけれども、私、この間、産業安全研究所に伺いまして、非常にすごい広大な敷地、まあ学校が五つ、六つ入りそうなぐらいな広大な敷地に大きな研究棟が八つほどあって、すばらしい施設だなと思う一方、果たしてこれが本当に必要なのかどうかなというそもそも素朴な疑問に当たりました。そして、お邪魔したときに、その産業安全研究所の敷地内にある中央労働災害防止協会が運営している何か研修センターというのがあったんですね。で、同じ敷地じゃない、見えない境界線があるんだというふうに課長から説明いただいたんですけれども、何か釈然としない。で、例えばその入口にある、入口の守衛さんの人件費はどうなっているんだろうかとかね、両方が多分使っていると思いますし、それからその敷地の管理はどちらが経費を持っているんだろうかとか、まあ一般の企業であればそういう意識が働くと思うんですね。  で、この中央労働災害防止協会、ホームページで見ましたら、事業規模はむしろこの産業安全研究所よりも大きい、そして利益が出ている。そこの中に国庫補助金もかなり入っているということで、この協会の目的事業実施内容、そして国からの補助金の関係について、時間の許す限りで伺いたい。  そして、これだけ収入がある団体ですから、もう国からの補助金は要らないんじゃないでしょうか。そして、その補助金が、さっきも独立行政法人の方に大臣の方から自分の命令がどこまで及ぶかという懸念が示されたわけですよね。国の機関であれば国の機関としてきちっとしたチェック体制が取られる。しかし、今までの審議で明らかになったと思うんですけれども、独立行政法人になったらそれよりも何か緩くなっていると、管理が。税金の使われ方、さっきの入札状況を見ても分かるとおりですね、むしろ税金の使い方、非常に何か不透明になっているんじゃないかというふうに思います。  で、そこから更に進みますといわゆる認可法人、公益法人ということで、この中央労働災害防止協会も多額の国からの補助金を受けておりますけれども、この補助金が適正に使用されたかどうか、それはきちんとチェックされているんでしょうか、伺いたいと思います。
  97. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 中央労働災害防止協会につきましては、これは、その業務の運営に当たっては、法律の規定に基づきまして業務の運営に参与する参与の制度が設けられております。この参与として労働組合の関係者でありますとか大学教授などが参加しておりまして、外部の方々に参画をしていただいていると、こうした制度の活用によりまして適切な運営がなされているものと認識しております。  なお、中央労働災害防止協会の経理処理につきましては、監事による監査を定期的に実施するほか、国からの補助金もありますので会計検査院の検査も受検しているところでございます。  さらに、平成十七年度からは、さらに外部の監査法人による監査も実施することとしたところでございまして、これらによりまして適正な執行が担保されるものというふうに考えております。
  98. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 時間になりましたので質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、るる述べましたこの独立行政法人の在り方、そもそもこれでいいのかという問題がございます。今回の改正法案に関しては様々な問題を指摘させていただきましたけれども、改めて私としてはこういう根本的な問題がチェックされないままであるということを反対の理由として述べさせていただきまして、質問を終わります。
  99. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  100. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、家西悟君が委員を辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。     ─────────────
  101. 山下英利

    委員長山下英利君) 休憩前に引き続き、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  102. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保でございます。  今回のこの法案で独立行政法人産業安全研究所、また産業医学総合研究所、国立健康・栄養研究所ですか、この三つが、二つ統合され、そして三つとも非公務員化をするという改革だというふうに理解しております。  最初に、平成十三年から五年間だったわけでありますので、この間の、この独立行政法人化をしたことに対して、どのような効果成果が上がったのかということに関して、まず全般的で結構ですから、赤松副大臣にお答えいただきたいと思います。
  103. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 午前中の質疑の中で大臣の方から概括的な成果として、時代ニーズに応じた研究ということで成果を見ることができたというお話がまずございました。さらに、それを受けまして、若干、山本委員からのお尋ねにつきまして全般的な評価について申し述べさせていただきたいと思います。  まず、各研究所におきましては三つほどの大きな取組をやりました。一つは、一定の研究実績のある者の公募をいたしまして、採用時期についても四月一日にこだわらないで柔軟に行う。また、若手研究員については原則として任期付採用とする。また二つは、独立行政法人以前から導入されていたフレックスタイム制の定着による研究員の研究活動の効率的な実施をする。また三つ目としては、省エネルギー活動の徹底や競争入札の導入、ペーパーレス化の促進等による経費の節減、こういったふうな形を、それぞれ取組実施しました。  この結果、それぞれ成果を見たわけでございますが、ちょっと具体的に旧厚生省関連でいいますと、独立行政法人国立健康・栄養研究所に関しましてちょっと立ち入って成果を申し上げますと、元々大臣からのこの中期目標の中で、業務運営の効率化に伴う経費節減という分野では、最低限、運営費交付金の二%に相当する額を節減しようという、こういう計画を立てたわけですけれども、最終的に、先ほど申し上げたような節減の結果、五%ほどの節減結果を出すことができた。  あるいはまた、研究成果としての論文の発表、あるいは学会における様々な研究成果の発表ということでございますが、学会における研究成果の発表はそれぞれ三百回以上、また、いわゆる関連の学術誌への掲載というのは二百本以上、こういうふうな目標を立てたわけでありますけれども、最終的に五か年で学会の発表は千六十三回、それから雑誌等への論文の発表は四百八十二、こういうふうな格好で、いずれも中期目標設定したものを上回るといったふうな、そういう形の成果を出すことができました。  厚生労働省独立行政法人評価委員会におきましても、今申し上げたような取組を踏まえて、各研究所とも中期目標全般についておおむね適正に業務実施してきた、こんなふうな評価をいたしているところでございます。
  104. 山本保

    ○山本保君 今数字をお聞きしましてちょっと驚いたわけです。こういう国立、いわゆる国立の研究所といいますのは、今日午前中にもお話ありましたように、特に最先端の各企業が手を出すようないわゆるもうかる研究をするということはございませんし、また各業界に関係する、今回ですと産業界に関係するいろんな標準化というような、どこの会社も余り手を付けないようなところについて研究を、調査を行われるというのがたしか多いと、私も以前厚生省におりましたのでそんな気がするわけです。  ですから、一般に研究成果といいますと、論文の数とか学会の発表数というふうに言われますが、私は、そういうものはこの種類の研究所というのは余り期待できないのではないかなというか、それよりは行政的な効果ということが大きいのかと思っておりましたんですが、今お聞きしまして、いわゆるその客観的な業績評価についても効果が出てきたということに関しては大変良かったなと思っておりますし、もっと早くやればよかったなという気もするわけでございます。  では、続きまして、今ちょっと申し上げたように、正にこの研究所、主に行政が役に立つような、又は新しい施策の中の基準、標準化というようなものをつくっていただくということが大きな仕事になるわけでありますけれども、若しくは国内又は国外の関連するいろんなデータのセンター機能といいますか、こういうものが一番重要かなと思うんですけれども、何かこの三つ研究所の中でこの間、行政施策に役立ったというような代表的な研究例がございましたら御紹介をしていただきたいと思います。
  105. 青木豊

    政府参考人青木豊君) まず、産業安全研究所について申し上げます。  産業安全研究所、これは工学面からの労働災害の防止について調査研究を行うという研究所でございます。これまでフェールセーフ技術等、機械設備の安全化の研究をしたり、あるいは建設工事における溝の掘削作業の安全化の研究をしたり、あるいはそういったもろもろの研究を行って研究実績を上げてきております。これらの研究成果で、機械の包括的な安全基準に関する指針というものを行政的に定めましたし、土止め先行工法に関するガイドライン等の行政通達も発出いたしまして行政施策に活用をしているところでございます。  それから、産業医学総合研究所でございますが、これは労働衛生面から労働者の健康の保持、増進あるいは職業性疾病に関する調査研究を行う研究所でございます。それで、これまで労働者の心身の健康度指標でありますとか、石綿の測定方法についての研究など研究実績を上げてきておりまして、この研究成果については、それぞれ労働者疲労蓄積度自己診断チェックリストの公表をいたしまして、これも先ほど、午前中ちょっと申し上げましたけれども、平成十五年にホームページで公表した折にはアクセス数が集中いたしまして、半日間で約六十万件ぐらいのアクセスがありましてダウンをしてしまったというぐらいに非常に国民ニーズに合ったものだったわけでありますけれども、そういったものになりましたし、あるいは石綿の障害予防規則の規定に基づく事前調査の際の建材中の石綿含有率の分析方法についての行政通達を発出するなど、行政施策に生かされております。
  106. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 国立健康・栄養研究所研究成果行政施策への活用例でございますけれども、国立健康・栄養研究所は健康や食品分野における研究を行っておりまして、エネルギー代謝に関する研究実施して、ヒューマンカロリーメーターや二重標識水法を用いた日本人の性別、年齢階級別等のエネルギー消費量の測定、国民健康・栄養調査集計解析システム等の研究実施いたしまして、国民健康・栄養調査コンピューター処理システムの開発、調査結果のデータを活用するためのデータベースの構築、食品成分の有効性評価健康影響評価に関する研究実施して、食品成分の生理的有効性の評価食品成分の健康影響評価方法の確立、健康食品等の安全性情報ネットワークの構築といった研究成果を上げております。これらは日本人の食事摂取基準の策定や健康日本21の中間評価に向けた調査データの提供等の支援、特定保健用食品制度や栄養機能食品制度の見直しといった行政施策に生かされているところでございます。
  107. 山本保

    ○山本保君 今お聞きしますと、確かにこの行政的なところで、まあすぐにどういう手を打つのかというときに大変に役に立っていると思います。  できましたら、私の経験からいきますと、こういういわゆる国立の研究所といいますのは人事面が滞留することが多くて、余り失礼な言い方はしてはいけませんけれども、やはり大学ですと学生さんとかいろんな方との関係がある。また、企業であれば、当然これは売上げとかいろんな産業開発というものがあるわけですけれども、どうしても行政同士の、まあ、なれ合いと言っちゃおかしいですが、そういうこともあり、なかなか業績を上げた方が例えば大学などへ出ていかれるとか、また逆に、新しい若手の研究者の登竜門というような形で、本来ここで何年間か頑張っていただくというような形で国内外に出ていっていただくというようなことがいいと思うわけですけれども。  まあ、これはちょっとお聞きしてませんでしたが、大臣、先ほどもうお答えになったことですけれども、そういう人事面などについても、これからもお願いしたいと思っておりますし、大臣には、それに加えまして、今回この改正をするわけでございます。その非公務員化ということで、これは全部並びであるとも言えるんですけれども、特にこの三つ研究所に関しまして、非公務員化することによって、どのようなメリットが出てくるのか。また、産業安全研究所と医学総合研究所統合ということについてはどのような効果考えられるのか、お答えいただきたいと思います。
  108. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今るる御質問をいただき、また御答弁させていただきましたように、独法されて以来、研究分野については、ある程度評価をいただける研究成果は出ておると思っております。一方で、費用の面についても、二%の目標に対して五%削減という形で、これもそれなりの効果は上げていると。しかしながら、組織というものは不断の見直しが必要でございますので、合併というものを前提にしながら何ができるかと、また合併をしたら費用面でどう効率性を担保できるかと、こういう二つの視点から今回の合併を考えさせていただきました。  従来、労働災害の予防に関する研究労働者の健康保持、職業性疾病の予防等に関する研究、これは今申し上げた別の機関研究がされてまいりました。それが労働者の安全と衛生に関する研究を総合的に行うということで一本化いたすことになりました。具体的には、安全面からの重大災害防止のための工学的研究とヒューマンエラーの防止について心理学、生理学的研究、すなわち衛生面、これを一体的に実施をする。化学物質について、爆発の危険性、これは安全面、中毒、発がん危険性、衛生面、こうしたものを一体的な研究をしていくと。すなわち合併をしたことによって、新たな目標が生まれて、新たな研究が生まれるということでなければならないと思います。  私自身、厚生労働省というものは、そういう形の中から、厚生省労働省、合併をして、今度新しい役所として何をやるんだと、こういう切り口でいろんな、例えば少子化問題とか男女雇用均等法をめぐって様々な対応とか、こんなことを求められていると。そういう意味では、合併による一つ効果目標というものを明確にしながら進ませていただきたいと、こう思っております。経費的な面は、先ほどからのとおり、特に、事務部門を合理化をしていこうということになろうと思います。  それから、非公務員化になりまして、国家公務員法の適用を受けなくなる。これまでよりも柔軟な雇用管理が可能となり、研究所民間研究機関や大学との人事交流、今御指摘ありました人事交流、場合によっては、海外とのことも考えられるようになるだろうと思っております。そうした共同研究をやったり、海外へ行ったり、また民間の人材を受けたりと、こういうものの出入りがかなり自由になってまいるだろうと。一人の理事者、トップによって決断がされる中で、決して大きな組織ではございませんけれども、常に組織の在り方を見直しながら進めさせていただくことによって、より良い研究、結果として行政課題を解決する上での大きな指針となるんではなかろうかと、このように思っております。
  109. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  それで、ちょっとそれに関連しまして、青木局長、ちょっと、これは通告してなかったんですが、余分なことかもしれませんが、確認のために。  たしか、五年前にこの法律、こういう法律を作りますときに、大変いわゆる反対される方が多かったなという気がいたします。特に、去年の郵政もそうでございましたけれども、いわゆる身分ということについて大変御心配があったんじゃないかなと思うわけですが、今回非公務員化ということになるわけですけれども、この辺については、いわゆる混乱でありますとか心配というようなものは払拭されているというふうに考えてよろしいでしょうか。
  110. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 非公務員化につきましては、先ほど来るるお話がありますように、これをもってむしろ研究の質を高めるために役立つと、こういう認識でございます。これは多くの関係者、そういうふうに思っているところだと思います。そういう面では御懸念のようなことはないというふうに思っております。
  111. 山本保

    ○山本保君 分かりました。  それで、もう一つこの法案についてお聞きしたいのは、実は午前中にもお話がありましたように、今日も私としては行政面の成果ということを少し強調して残していきたいなと思ってお聞きしたわけですけれども、評価というのはなかなか難しいところがあります。私も、実は役所におりましたときに研究面を担当しておりましたので、毎年自分のやった若しくはやっていただいた委託研究の結果を出さなくちゃいけないと。まあ、今はそんなことないと思うんですが、当時私も、お恥ずかしいんですが、作文をしまして、するというようなことも仲間うちであったということで、あったかなという気も、反省しておるわけですが。  各省、当然、にも評価委員会というのがあられるでしょうし、また、今日先ほど午前中にもありました、総務省の中にもこの行政評価の部門があるわけですけれども、私は、やはりこれは、身内の公務員若しくは役所の中で評価して、信用しないわけではありませんが、やはり外部評価といいますか、専門家にきちんと入っていただいて、その研究目的目標、そしてその結果について評価していただくと。もちろん、先ほどから申し上げていますように、一般のいわゆる研究、大学などとは違いますので、そういう点でやはり役所関係者、行政関係者も当然その中に意見を言うことが必要だと思いますけれども、基本的に外部の方の評価制度というものをきちんとつくっていく必要があるのではないかなと思うんですが、今日まだそのお話は出ておりませんけれども、この辺についてどんな今状況なのか、また今後どうされるつもりなのか、お聞きしたいと思います。
  112. 青木豊

    政府参考人青木豊君) その研究上の評価、とりわけ外部評価ということでございます。  それぞれ産業安全研究所産業医学総合研究所におきましては、まず、研究課題評価については研究所内に規程を設けまして、その規程に基づいて評価を所内できちんと行っているということでございます。  具体的には、まずその内部の話でありますが、研究所の役員でありますとか各担当部長で構成されるその内部評価会議、ここでは研究内容や進捗状況の把握でありますとか、研究成果とその価値についての評価を行うということをいたし、また、御質問のその外部評価でございますが、これについては、労働安全衛生に造詣の深い研究者、それから社会的に活躍している有識者等で構成される外部評価会議が行われておりまして、そこで研究を効率的に推進するために、研究課題について、そういった研究実施前の事前評価でありますとか、研究期間中の中間評価、あるいは研究終了後の事後評価を適宜行っております。こういった外部の専門家による第三者評価の結果につきましては、ホームページでも公表しているところでございます。  とりわけ、安全研究所について申し上げれば、大学の先生はもちろんでございますけれども、それだけではなくて、企業の研究所でありますとか、あるいは実際に安全を中心に研究しているところでありますとか、そういったところからも入っていただいて、実際に世の中でどういうふうに役立っているかというのをきちんと評価していただこうということでやっております。新しい中期目標においても、研究評価実施及び評価結果の公表の事項において、外部の専門家による第三者評価実施について指示することといたしております。
  113. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございました。  お聞きしておりまして、大変これからもそういう面では厳しくチェックをしながら進めていただく、今日は前半は、午前中は財政面のことが多かったわけですけれども、私は特に研究、業績面についてきちんとやっていただきたいなということを申し上げます。  これで終わってもよろしいんですが、ちょっと時間がありますので、ひとつ委員長のお許しを得まして、法案審査ではございませんが、せっかくの機会なので一問質問させていただきたいと思います。  それは、昨年から施行されております発達障害に関連しまして、私も地元でいろいろ研究者またその会の方たちとも勉強会をずっとやっております。その中で、一つだけせっかくの機会なのでお聞きしたいと思っているんですけれども、この発達障害という新しい概念をつくったわけですが、これはいわゆる今までの障害とはちょっと違うところがありまして、言わば施設を造ってそこに入っていただくとかそういうことよりは、正に一般人といいますか普通の人間の方がその方たちをいかに理解するのか。  その行動パターンとか反応パターンというか、ちょっとこだわりを持った方たちであって、普通の目で見ますとびっくりするような、最近東京の地下鉄なんかへも寄りますと、よく時々大きな声で次の駅の名前を言って歩いている若い方なんかがみえるわけですけれども、彼は、本人は非常に気持ち良く、また皆さんに親切なことをやっているというつもりでやられていると思うんですが、相手の方がどう考えているかについてはちょっとまだ行っていないと。水を触る方とか、そういうのが好きでトイレに入りっ放しで痴漢と間違えられるとか、そんなこともあるようでございます。  また、一部新聞などで、もし事件を起こしたりしますと大きく取り上げられまして、ああという感じがあるんですが、これは実態面いろいろお聞きしますと、事件の当事者といいますか、犯行を犯すよりは被害になる方がもう圧倒的に多くて、非常に素直な方たちですので、詐欺の被害になったりとか、又は、いろいろいじめられてもそれに耐えられないというか、黙っているというようなことが多いようであります。  そこで、今、厚生労働省としましては、全国に発達障害支援センターというものを造られて、これはいわゆる入所型というよりは、また通所でということもありますが、相談とか特にそのほかの関連する分野との連携、そして学校教育や就労・雇用対策との連携、そして一般の方への周知といいますか理解を深めていただくと、こういうことをするものだと思っておりますけれども、まだなかなか進んでいないんではないかということも聞いております。  実は名古屋でも今突貫工事で、工事といいますか、別に建物がどうということじゃありませんけれども、この秋にもということで動いて一生懸命民間の方がやっているようであります。いろいろお聞きしますと、どうも中心でやっておられる方がやはり公務員の方が多いようであると、もっと民間の方やNPOなどもどんどんメンバーにしていただけないであろうかとか、それから、県に一か所というよりは、幾つかやはり大きな町やまたそのことで一生懸命やっておられるところにもそのセンターを造ってほしいというような声も聞くわけであります。  現在、この支援センターの現状と、今後どんなねらいを持っておられるのか、それについてお聞きして終わりたいと思います。お願いします。
  114. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  ただいま御質問がありました発達障害者支援センターでございますが、委員から御説明あったとおりでございまして、発達障害者支援法におきまして規定されておりまして、発達障害者やその家族の方に対する専門的な支援、医療、保健、福祉、教育、雇用など、複数の分野にわたる総合的な支援を行うための中核的な機関として位置付けられているところでございます。今年度までに三十七か所整備されております。  国といたしましては、全都道府県、指定都市にまずは一か所整備すると、十九年度までに整備するということで、トータルいたしますと六十一か所になりますが、その整備に向けて努力しているところでございます。  委員からは、その中で一つは、県に一か所、指定都市一か所でよいのかというお話もございました。  国の計画としては、子ども・子育て応援プランに基づきまして、ただいま申し上げましたように六十一か所といたしておりますが、例えば北海道では、函館にセンターが、国が言っております意味でのセンターが設置されておりますが、道としては、このほか旭川、帯広、そして札幌、三か所にそれぞれ道北、道央等の名前を付したセンターを配置していて、四か所で全道をカバーするような構想をお持ちになり、実際に動き出しておられるということでございますので、今お話ございましたように、地域によりましては、県に一か所、指定都市に一か所ということではなく、そこの地域の実情に応じましてブロックごとのセンターなど配置するというような構想もあるのではないかと、こういうふうに考えております。  なお、現在置かれておりますセンターは、ただいまの北海道の例で申し上げましたけれども、既に三十七か所置かれているセンターでは、かなり、実際に活動されております社会福祉法人等に委託している例が半分以上でございますので、必ずしも、委員から御指摘がございました官なり公務員が中心になっているということではないかと思いますが、それぞれの地域の事情もあるのではないかと思いますが、私どもは基本的にはよく活動されておられる民間団体に委託するということを否定するものではないというか、実際問題としてはそのケースの方が多いということをお答えさせていただきたいと思います。
  115. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございました。終わります。
  116. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  最初に一言、昨日、盛岡地裁で学生無年金の判決が下されまして、不支給請求処分取消しを認めるという結果出ました。これ統合失調症の診断が付いたのが二十歳以後だったんだけれども、それ以前に発症したという認定をしたわけですね。  この種の判決については、昨年福岡地裁でも判決が出て、当時尾辻大臣はこれ控訴しないという態度を取ってくださいました。私は、これは法律そのものを変えるという話じゃなくて正に運用の話でありまして、やっぱりこの学生無年金というのはとにかく救済するという立場で臨んでいくと、救うべき者は救うという対応が必要だと思っていますし、そういう意味では、こういう形で初診日の認定をするというのはやはり一つの救済の方法として当然あり得べき姿だと。議員立法でも支給金つくりましたが、その運用に当たっても厚労省としてはできるだけ柔軟にということもやっていただいているというふうに思うので、是非この問題も、福岡地裁のときと同じように控訴しないという態度で臨んでいただきたいということを冒頭申し上げておきたいと思います。  その上で法案ですが、三つ研究所を非公務員化するということなんですけれども、これはそもそもスタートしたときには公務員型だったわけです。〇一年四月ですね。それから、直近の〇四年八月の独立行政法人評価委員会第十三回調査研究部会、ここでも厚労省としては公務員でなければならないと主張されていたわけですが、当時のその理由を簡単に御説明ください。
  117. 青木豊

    政府参考人青木豊君) この三つ研究所は、今お話のありましたように平成十三年に国の施設等機関から独立行政法人化に移行するということでありまして、そのときには公共性が高い事務事業を万全に遂行するため円滑な移行が求められましたので、公務員型の独立行政法人としてスタートしたものでございます。  この平成十六年夏に見直しの議論が開始されたときにおいては、まずは産業安全研究所産業医学総合研究所につきましては、国内外の労働安全あるいは職業疾病に関する基準策定に参画しているということ、あるいは災害調査における事業場への立入りを行う必要があるということから、また、国立健康・栄養研究所につきましては、特別用途食品の収去試験等、公権力の行使の前提となる試験などの業務実施しているということから、いずれも高い客観性と信頼性を確保する必要があり、その時点では、お触れになりました夏の時点では、引き続き公務員型を維持すべきというふうに考えていたところでございます。
  118. 小池晃

    ○小池晃君 私はその当時の判断、その御説明は非常に納得できるわけです。  ところが、それから一年半で、わずか一年半ですね、主張が百八十度変わって今回非公務員型だというわけですね。しかも、独立行政法人としての中期目標、五年であります。その期間待たずに、一年前倒しで評価もしているようなんですね。  大臣にお聞きしたいんですが、こういうふうに一貫性を欠く行政の在り方、厚生労働行政に対する国民の不信を高めることになりはしないかと私、大変心配するんですが、いかがですか。
  119. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 独法というものをつくるときにも様々な議論がございました。特に、自民党の中も、私自身もそうだったかもしれない、本当に独法というやつはうまくいくのかと、こんな思いの中で独立行政法人というものがスタートをした。そして、その後の動き、特に国立大学の独法化、非公務員化、そしてその成果というものを見ながら、私どもも様々な議論をし、そして切り口としては、先ほど申し上げましたように、独法での間の研究、それなりの成果は上げていただいていることは今委員会の答弁でも各局長からさせていただきました。  しかし、一方で、もう少し踏み込んで、統合してやっていった方がいいんじゃなかろうか、統合した結果、より良い研究ができるんではないだろうかと、こういう一つの切り口。それからもう一つは、非公務員化することによって、民間との交流、先ほど申し上げました大学等の研究交流が行われるようになる、また場合によっては海外との交流も行われるようになると。そういうプラスの面を考えましたときに、ここで見直した方がよかろうと、こういうことで結論に至ったと、そして今回御提案をさせていただいていると。  そういう意味では、当時の決断と今日、社会情勢の変化の中、また他の機関が現実にやられておる姿を見ながら今日の御提案になったと、こういう形でございます。
  120. 小池晃

    ○小池晃君 情勢変わったといっても、十年二十年たってそういう議論だったら分かるんですけれども、わずか一年半でこれ変わるわけですから、これはやっぱりおかしいなというふうに思わざるを得ないんですよ。  私は、研究所ですから、こういうふうにくるくる方針が上に右に左にって変わるのは、やっぱり研究者の皆さんだって本当に落ち着いて研究できないだろうというのを大変心配します。こういうやり方でいいんだろうかというふうに疑問を持ちます。  ちょっと具体的に役割をお聞きしたいんですが、産業医学研究所についてなんですが、この今問題になっているアスベストの問題では、このアスベストの繊維の数を調べることができる研究所というのは日本じゅうでどこにあるんでしょうか。
  121. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 労災認定に関して、石綿繊維まで測定が必要となる場合には、独立行政法人産業医学総合研究所に対して測定を依頼してきたところでございます。  この産業医学総合研究所以外にこの石綿繊維の測定を行える機関としては、現時点で承知しているものとしては名古屋大学医学部がございます。
  122. 小池晃

    ○小池晃君 全国で二か所ということで、非常に重要な役割を持っているわけですね。労災認定基準の改定に当たって出された報告書を見ますと、こういうふうに書いてある。「電子顕微鏡による石綿繊維数の測定は、高度な技術を要するため、測定者によって測定結果にバラツキがあることが多い。」と。非常に高度な技術なんだと。  私、この産業医学研究所を非公務員化して、こういう日本で二か所しかない、しかも非常に高度な技術、きちっとこう継承されていく担保があるということなんでしょうか。
  123. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 肺中の、肺の中の石綿繊維の測定については、従来、その産業医学総合研究所において、その中期目標で定めておりますところのより精度の高い化学物質等の測定方法の開発と、これは基盤的研究一つでありますが、その一環として実施されてきたものでございます。で、新研究所中期目標におきましても、化学物質等職場の有害要因による健康影響に関する研究基盤的研究として実施するよう定める考えでございます。この研究の一環として引き続き肺中の石綿繊維の測定は実施されるところだと思っております。
  124. 小池晃

    ○小池晃君 実施されるのは当然だと思うんですが、私は、やはりこれだけ今大問題になっている、しかも日本で二か所しかないというような場所をやっぱり国がしっかり責任を持ってやっていくことにこそ意味が、公務員としてやっていくということにこそ意味があるのではないかなというふうに思います。非常にそういう意味では、こうした、まあ言わば採算取れない非常に大事な仕事がきちっと維持されるのかということについて非常に懸念を持つわけであります。  で、ちょっと関連して、そのアスベスト疾患の労災認定基準の改正の問題、これも産業医学総合研究所がかかわっているようですのでお聞きをしたいんですが、その肺がんの認定基準について、職業暴露歴が十年に満たない場合は、これまでは個別判断ということで事実上ほとんど認定されないという事態になっていた。これが新しい基準では石綿小体、先ほど議論した石綿繊維量が一定以上認められたものは認定されるということになったわけですね。  一見前進したようなんですが、これ実態はどうかというと、この石綿の繊維量を量るには生検が必要になってくる。これ、苦痛を伴う侵襲性の高いものなんです。ですから、十年未満に緩和したからといってこれで緩和と言えるんだろうかと。こういう検査要求するんじゃなくて、非常に苦痛、病気そのもので非常に苦痛を抱えていらっしゃるんであるから、画像上アスベストによる疾病であるというふうに認定できれば、しかも一定期間建設作業などに従事していたことが確認できればこれ労災認定すべきだと思うんですが、わざわざ何でこんな厳しい過酷な検査を条件にしたんでしょうか。
  125. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 肺がんの認定におきましては、そのエックス線写真あるいはCT画像から石綿肺あるいは胸膜プラークといった医学的所見を確認することを基本といたしております。必ずしも石綿小体、石綿繊維の存在を認定要件としているものではございません。しかしながら、もうこれらの、こういったその基本的な所見が得られないような場合には、その石綿小体でありますとか石綿繊維の存在を認定要件とすることによって石綿暴露による被災者を広く救済できるようにしているものでございます。
  126. 小池晃

    ○小池晃君 いや、今のは違うと思うんですね。これ、十年未満の暴露歴であれば、これは石綿小体、石綿繊維の数を要件としてこれ条件付けたわけですよ。だから、そういう意味では、これは決して緩和とは言えないわけであります。そうじゃないですか、そこのところ、はっきりさしてください。
  127. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 石綿暴露作業への従事期間が十年に満たない事案でございましても、医学的所見、一定の医学的所見が得られているものにつきましては本省に個別協議をして認定をしていこうと、そういう考え方でございます。
  128. 小池晃

    ○小池晃君 だとすれば、これは前と変わらないわけで、全く緩和になっていないわけですよね。そういったものを認められるということであれば、それはそれできちっと一つずつ救っていくべきだと思いますが、私が言っているのは、あえてこういう侵襲性の強い検査を条件にする必要全くなかったはずなんです。これは、画像的に判断できれば救済するということをすべきだったんだということであります。  重ねて、びまん性の胸膜肥厚の問題についても、これは今までは本省協議で、かなりその結論がいつまでたっても出ないというケースがあったわけですが、今回、具体的な判断基準が設けられた。  しかし、中身見ますと、例えばそのエックス線写真で肥厚の厚さが五ミリ以上、片肺で二分の一、両肺で四分の一、著しい肺機能障害がある、こんな中身、しかも三年以上の暴露歴と。実際にはここまで至らなくても在宅酸素療法で就労困難な人たくさんいる。仕事できないのに労災補償がされないというのは、何のための労災補償なのかということになっちゃうと思うんですが、これも生活実態に沿った判断基準にすべきじゃなかったんですか。
  129. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 今度の石綿による疾病の認定基準の中で、びまん性胸膜肥厚についてのお触れになった点は、基準はそういうように定めているわけでありますけれども、まあこれは石綿による健康被害についての医学的判断に関する検討会においてその検討結果としてまとめられた報告書に基づいて策定いたしました。海外の知見等によれば、この認定基準に示す程度に進展したびまん性胸膜肥厚であって、著しい肺機能障害を来すものは療養が必要とされる程度の疾病と認められるというものでございます。しかし、国内におけるびまん性胸膜肥厚の症例報告は極めて少ないので、今後ともこういった知見の収集には努めてまいりたいというふうに思っております。
  130. 小池晃

    ○小池晃君 今の海外というのはイギリスのことだと思うんですが、イギリスは確かに画像的にはそういう条件をつくってますけども、著しい肺機能障害とか暴露歴三年以上って規定ないんですから、学ぶんであればきちっと正確に学んでいただきたい。  それから、昨日施行されたアスベスト新法についても一問聞きたいんですが、これによって労災時効になった方の権利が一定救済されることになったわけですけども、問題があります。救済される死亡労働者の期間が、二〇〇一年三月二十六日までになっている。それ以降の死亡者については、五年の時効はそのままなんですね。時効を過ぎたら労災受けられずに、低い水準になってしまう。  例えば、五年前の今日、つまり二〇〇一年の三月二十八日に死亡した遺族が、あした、三月二十九日にこれ申請しても五年の時効となって、労災保険法に基づく補償を受けられないということになる。なぜこんなことになるかというと、新法の救済対象を二〇〇一年三月二十六日までという非常に固い縛りをつくってしまったからなわけです。新たな時効が生まれるという矛盾が出てきている。新法制定されてから二か月にも満たないわけで、まだ周知徹底してないわけですから、時効になった人を救済するというんであれば、救われない人が新たに生まれるようなことを決してすべきではない。  経過措置なり一定の柔軟な対応がここで必要なんではないかというふうに思いますが、その点いかがですか。
  131. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 今度の新規立法は、石綿による健康被害について、既にそれまでに石綿暴露と発症との関連が十分周知をされていなかったり、あるいは医療関係者においてもなかなかそういったところに気が付かないということもあったりいたしまして、気が付かないままに時効になっていたというような方について救済をしようというものでございます。もちろん、本来の、時効にならなければ労災による給付というものはなされるわけでございます。  石綿による健康被害者につきましては、現行の労災保険法に基づき救済できるようになっているにかかわらず、その周知が十分でなかったということで、昨年の七月以来、アスベスト問題に関する関係閣僚による会合を通じて、石綿による健康障害が本来の労災の対象となることを明らかにするとともに、適切な労災請求が行われるよう、労働者を始め使用者あるいは医療関係者に対しまして広範な周知を図ってきたところでございます。  これは、相当な相談件数も急増いたしまして、この間、例えば監督署や労働局においては二万四千件の相談件数になっております。ということで、あるいはまた、リーフレットとかチェックリストなども作成しまして周知を図ってきたところでございます。その結果、まだ集計はできておりませんが、労働局の担当者から聞いているところでは、今年度の石綿による健康被害に係る本来の労災請求件数は、昨年度の六、七倍程度になる勢いで増加しているというふうに聞いております。  現行労災保険法に基づく給付の支給が的確に行われるように対処していきたいというふうに思っております。
  132. 小池晃

    ○小池晃君 今一生懸命やっていると幾ら説明しても、私は、この法案に穴があるんじゃないかと、ここのところは矛盾なんじゃないかと言っているのは一切答えられないわけですから、これはやっぱりきちっと対応すべきだというふうに私は思いますね。  最後に、独立行政法人の問題で新たに浮上している問題を聞きたいんですが、行革推進法案の中で、国立病院のナショナルセンター、がんセンターや国際医療センターなどを非公務員型の独立行政法人にするという議論が出てきて、これまた最初に議論した今回の独法と同じように、今までの説明と百八十度違うんですよ。  私、何度もこの問題国会で取り上げて、例えば九九年の中央省庁再編のときは、宮下創平当時厚生大臣は、高度のナショナルセンター的なものはこれはそのまま国立の機関として残すと明確に答弁した。それから、二〇〇二年の国立病院機構法案のときも、坂口大臣は、ナショナルセンターは研究機能高いから、がんセンターのように基礎的な研究も行っている、高度先進医療も行っている、そうしたところはナショナルセンターとして国の方に残すと明確に答弁している。それが非公務員型の独立行政法人だということで今回出てきている。  しかも、独法の国立病院機構、これ、私どもは国立病院の独法化そのものは反対でしたけれども、五年間の中期目標というのはあったはずなんです。それに基づいて評価なり検討なりが行われて、それでナショナルセンターまで独法を拡大するという議論であるならば、これは当然そういう検証をなされて当然だと思うんですが、そういったものは一切しない。五年もたっていないのに今度はナショナルセンターだと。  やっぱり、余りにこのやり方は、全く百八十度変わったという点も、それから中期目標の検証すらしていないという点も、これは非常に無責任ではないかと思いますが、医政局長、いかがですか。
  133. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) ナショナルセンターでございますけれども、六つございますけれども、これらは主として高度先駆的医療の研究を担っているということから、さきの中央省庁等改革におきまして国の機関とされたところでございます。  今般の行革推進法で、簡素で効率的な政府を実現することが喫緊の課題とされているわけでございますけれども、ナショナルセンターにつきましては、これをきっかけとして見直しをいたしまして、がん対策の強化といった必要性、それから少子高齢化の一層の進行等の事情を踏まえた、ナショナルセンターの、国民の健康に重大な影響を与えるがんや心臓病といった疾患についての高度先駆的医療の研究開発といった、その本来の機能を更に充実強化するということが必要であるという認識に立ちまして、この充実強化のためには、センターにおける臨床応用研究とそれから大学それから民間企業等における基礎実用研究との融合、交流といったものが必要である。これらの機関との積極的な人材の相互交流、あるいは研究の融合といったようなことも必要であるということから、これを可能とするような組織に改編をするということもナショナルセンターの本来の機能を進める上で重要なことであるというふうに考えておるわけでございます。これらのことから、ナショナルセンターの充実強化を図るための有力な手法として非公務員独立行政法人化を検討しているわけでございます。  また、御指摘のとおり、主として高度先駆的医療の研究開発を行うただいま申し上げましたナショナルセンターは、国立病院機構とはその役割を異にするところでございまして、必ずしも国立病院機構の中期目標の期間が終了しなければその組織の在り方について検討できないというものではないと考えておりますけれども、国立病院機構の在り方等を踏まえながら、今後ナショナルセンターの在り方についても更に考えていきたいというふうに考えております。
  134. 小池晃

    ○小池晃君 職場がどういう状況にあるかのお話も聞きました。大臣、ある看護師さんこう言っているんです、がんセンターの看護師さん。  ナショナルセンターの独法化を聞かされた一年目の看護師さんが、国は政策医療まで捨てるのかとつぶやいたと、この気持ちが私たちの気持ちを、この言葉が私たちの気持ちを一番表していると。私たちは政策医療を担うと言われて頑張ってきたと。重症の患者が多い病棟で、少なくとも三人夜勤にしようと努力してきたけれども、まだまだ深夜は二人夜勤がほとんどだ。看護師酷書を出して訴えたけれども、これ〇四年六月のことですが、この当時と今は余り変わっていない。ナショナルセンターの看護師として、がんという病を抱えた患者さんに安心を与えたいと思っているけれども、医療の安全を守るのが精一杯の状態だと。この独立行政法人化でナショナルセンターにふさわしい医療水準が保てるのか、さっきナショナルセンターだからって逆の話しましたけど、逆の説明していたわけですよ、以前は。やっぱりナショナルセンターだから国立で、国の機関として残すんだということを何度も答弁していた。  こういう医療の水準やあるいは労働条件が本当に悪化してしまうのではないかという不安の声に、大臣はどうお答えになりますか。
  135. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 医療制度改革をめぐる議論の中で、公明党さん、民主党さんから、今のがん医療の姿というのはこのままでいいか、こういう御質問も賜り、また法案の御提案もいただくと聞いております。私ども、そういった意味では、がん治療の在り方全体を含めて見直すべきときが来ているんだろうと、こういう認識の中でどうあるべきか。その中で、地域がん診療拠点病院、こうしたものをしっかりつくりながら、その頂点としてがんセンター、医療技術もまた患者の方々に対する治療も、一方で、情報を発信し情報を収集するという仕事もしてもらわなければならない。より高い山を目指さなければならないところに来ただろうと、こう思っております。  一方で、今の政治の流れ、これは自民党からも民主党さんからも公務員の数は減らせと、こういう厳しい御批判をいただいていると。こういった中でどうあるべきか、様々な議論をしてまいりました。そして、一つの結論として、がんセンターの機能をより充実をさせる、その手法を取るという中で、今回の一つの決断をいたしたところでございます。そういった意味では、独法化をいたしましても人数は増えますと申し上げております、予算も増えますと申し上げております。減らすための手段として独法を用いるわけではない、そうした定義の中でやらせていただきたい。  これからよく現場の皆さん方にも御理解いただき、より日本の頂点たるがんセンターになるように私ども頑張ってまいりたいし、職員の皆さん方も頑張ってほしいと、こんな気持ちで一杯でございます。
  136. 小池晃

    ○小池晃君 頂点を目指すというのであれば、国が責任を持つべきなんですよ。ナショナルセンターがナショナルじゃなくなるなんていうのは大変な矛盾ですよ。こんなことは絶対許されないということを申し上げたいというふうに思います。  最後、一言ちょっと、健康局長来ていただいていますけれども、風疹、麻疹の予防接種の問題で先週ちょっと報道がなされたので、これ私、質問主意書も出して、これ単独接種も法定接種にせよという質問主意書も出した関係あるので、この単抗原ワクチンの接種を受けられるように予防接種法の政省令を改正するという、この報道についてはそういう方向で検討しているのかどうか、お聞かせいただきたい。
  137. 山下英利

    委員長山下英利君) 厚生労働省中島健康局長
  138. 小池晃

    ○小池晃君 大臣大臣が手を挙げたんですよ。
  139. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私が答えましょう。
  140. 山下英利

  141. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私が衆議院の厚生労働委員会で御質問をいただきまして、局長は医学者でございます。また質問された方もお医者様でございます。両方の意見聞いていてよく分からぬ、自分ももう一度勉強してみようと、しっかり勉強し直せということで下ろしまして、いろいろ今議論してもらっております。そして、結論として、単抗原ワクチンの使用が可能となる方向で今準備を進めております。
  142. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、今回の独立行政法人によって、例えば基礎研究がおろそかになり、成果主義に走る危険はないのかという点を質問いたします。  平成十三年三月三十日閣議決定の科学技術基本計画というものがあります。これについては、例えば次のようなものがあります。「基礎研究について、一定の資源を確保して進める。」、あるいは「国家的・社会的課題に対応した研究開発は、官民が協力して推進すべきものであるが、以下では特に官の果たすべき役割を中心に示す。」と。研究開発成果を実用化する臨床医学・医療技術、それから食品安全保障や豊かな食生活の確保に貢献するバイオテクノロジーや持続的な生産技術等の食料科学・技術。  これらが、官が特に果たすべき役割、官民協力して推進すべきだけれども、特に官が国家的、社会的課題に対応した研究開発をすべきだということが科学技術基本計画、平成十三年三月三十日閣議決定がされております。  今回、産業安全研究所産業医学総合研究所、国立健康・栄養研究所、これらの独立行政法人化によってやはり基礎研究が大変おろそかになってしまうのではないか。あと、成果主義になると、どうしても短期で成果を出さなくちゃいけない。十分時間を掛けてやる地道な基礎研究の部分がおろそかになるのではないか。これは、かつての科学技術基本計画、閣議決定に反するのではないでしょうか。
  143. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私も民間出身ですから申し上げるんですけれども、営業で新しい分野をやっていこう、すなわち開発という仕事なんです。ラインの課長は月商で十億円ほど得る。新しい仕事をされる人たちは、なかなか実は一千万の売上げも上がらないんですね。それをどうやって売っていこうかって努力する仕事を与える課長も当然民間でもあります。そこをどうやって担保するかというのは、正に上で見ている人なんですね。上で見ている人が、社長なり部長がしっかり評価をしてやっていかなきゃならないと。これは公務員だろうが民間だろうが、ある意味では一緒なんです。ただ、民間の方が利益主義に走りやすいことは、福島委員が言われているとおりなんです。ですから、独法という形で担保をしながらやっていこうと、運営費についても国が出しますということでやっていこうと。  しかし、一方で、民営化したことによるメリットはありますよねと。柔軟な人事ができるようになると。また、特に国立大学も今独法化をされ、職員は大学の教授も民間人になった。そことの交流も十分やれるようになる、場合によっては海外との交流もやれるようになると。そういう意味では、予想されるデメリット部分というものをしっかり払拭をしながら、メリット部分を生かしながらやっていこうという今度の選択に私はなるんだろうと思います。  そういう意味では、先ほどからの議論にありましたように、非公務員化されたら給与の方は削減になるんですかと。いや、それは一切変わりませんという御答弁を先ほど局長がいたしましたように、そういう部分はきちっと担保されているということは是非御理解を賜りたいと思います。
  144. 福島みずほ

    福島みずほ君 確かに、民が基礎研究やらないというわけではありませんけれども、民というのはやはり利潤追求、で、公というものももちろんコスト意識は十分必要です。  ただ、やはり民の場合ですと、やっぱり成果主義、これはどうしても要求されるし、採算が取れない部門は切捨てがちになるのではないかと、その点を大変危惧をしております。  特に、今回問題になっている三つの団体はやはりとても地道な仕事をやっているところで、しかも例えば国立健康・栄養研究所は、国民の非常に関心事である健康食品についての仕事をやっている。そして、産業安全研究所産業医学総合研究所は、それぞれ労災や労働の問題、労働の多様化、今の厳しい状況の中で労災や現実に立ち入ってやらなければならない。そういう地道なことを本当にやれるのかという危惧があるのですが、いかがでしょうか。
  145. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 労働安全衛生総合研究所については、中期目標において、将来生じ得る課題にも迅速かつ的確に対応できるよう、基盤的な研究能力を継続的に充実向上させるため、国内外における労働災害、職業性疾病、産業活動等の動向を踏まえ、基盤的な研究を戦略的に実施することを指示することといたしております。また、国立健康・栄養研究所についても、中期目標において、科学技術基本計画に沿って研究機関として独自性の高い基礎的、応用的研究を行うことを指示することといたしております。委員が御指摘になっておりますように、こういった必要な基盤的な研究というものはやっぱりやっていかなければいけないと思っております。  そういう意味で、中期目標において各研究所に対して、戦略的に基盤的な研究実施するということを指示することといたしておりますので、御懸念のようなことにはならないようにしたいというふうに思っております。
  146. 福島みずほ

    福島みずほ君 独立行政法人有識者会議や独立行政法人評価委員会の中で、国の機関として残す必要があるとする意見は全く出なかったのでしょうか。
  147. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 平成十六年の八月に、厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会におきまして、厚生労働省から御説明をいたしましたこの三法人、三研究所についてその中期目標期間の終了時における組織・業務全般の見直し素案というものを説明いたしました。それに対しまして御意見をいただきました。その素案は、三つ研究所について公務員型で現状のまま維持するというものでございました。  で、産業安全研究所産業医学総合研究所統合すべきという意見や、それぞれが別々に専門領域を持って研究していることに意義があるという意見も出されましたけれども、最終的には、現段階においてはこれを了承するということで、その当時の考え方が了解をされました。その際、厚生労働省としての見直しを進めていく中で、政府全体の見直しの今後の動向を踏まえながら、整理合理化の様々な視点について論理構成をした上で検討していくことが必要であるというふうにもされたところでございます。
  148. 福島みずほ

    福島みずほ君 独法化しても余り変わらないのだという答弁が続いていますが、労働災害はこれからもっともっと難しくなるのではないか。例えば請負という、偽装請負のような働き方も増えていたり、働き方も現場も多様化し、労働条件も悪いところも増えております。その意味で、労働災害の防止についてのこういう形での非公務員化は大丈夫なんでしょうか。
  149. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 労働災害防止、今お触れになりましたように、様々な面で必要なことだと、アプローチが必要だというふうに思っております。それぞれ安全の面、衛生の面においてそういった労働災害の予防という観点から十分なる研究をするということが使命でありますので、引き続きそういう目標を持ってもちろん研究を進めていくことになると思います。  ただ、重大災害が発生した場合などの問題でございますが、これは災害調査産業安全研究所産業医学総合研究所平成十三年度から平成十六年度までの実績を見ますと、産業安全研究所では三十六件、産業医学総合研究所で四件ということになっております。これらについて、その夏の段階でも私ども懸念も表明をしていたわけでありますが、これについては、労働災害原因調査の際に、厚生労働大臣が必要あると認めるときに研究所に対し指示をすることにより行うということとしました。  また、その任に当たる職員には秘密保持義務が課されると、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する者とみなされるということで、その中立性、公正性、公平性が確保されるようにいたしておりますし、また労働災害原因調査についても、厚生労働大臣の指示による立入検査を拒んだ場合には労働安全衛生法の罰則が適用されるということになっておりまして、災害調査実施にも支障が生じないよう措置しているところでございます。
  150. 福島みずほ

    福島みずほ君 重大災害発生などに伴う立入検査のことで、厚生労働大臣が指示をして立入調査を行えるので公正性、中立性に問題がないという答弁なんですが、従来は厚生労働大臣が指示しなくても立入調査ができたわけですよね。それを厚生労働大臣調査というふうに変えてしまうわけで、問題はないんでしょうか。
  151. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 元々、現在におきましても、災害調査、監督署が参ります。そして、極めて専門的で研究所の助けが要るというものについては、先ほどちょっと実績を申し上げましたけれども、一緒調査に行くというやり方をいたしております。そういったことが実質担保できるようにということで今回、先ほどのような法的な措置をお願いいたしまして、今回御提案しているということでございます。
  152. 福島みずほ

    福島みずほ君 工夫はされていると思うんですが、懸念するのは、その立入調査って、やはり公権力が立入調査をするから割と人は、まあ聞くといったら変ですが、公権力をバックにして立入調査をするからこそ権限が強いわけですね。で、今回は一緒に行くとしても、でも厚生労働大臣の指示がないとできないとすれば、現場は機敏に現場の判断で動けるんですか。
  153. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 今現在でも、先ほど申し上げましたように、非常に重大な災害の発生というような、先ほど申し上げたように、それに伴う調査の依頼といいますか、一緒調査をしたという実績が安研で三十六件、十三年度から十六年度まで三十六件、産医研で四件ということでありまして、そういう実績でございます。そういう中で個々具体的に重大なときに指示をするということでありますので、私どもとしては、今後これによってそういった機能が低下するというふうには考えておりません。
  154. 福島みずほ

    福島みずほ君 公権力のバックのない立入調査っていうのがどうもイメージできないので、ちょっとしつこく聞いて済みませんが、従来は別に厚生労働大臣が指示しなくても立入調査行政、労働基準監督官ですからできるわけですよね。問題があると思えばできるわけですよね。ところが、独立行政法人になれば公権力のバックがないわけですよね。しかし、立入調査は認める。そのときの仕組みとして厚生労働大臣の指示という、技術的に入れたわけですけれども、でも、まあ厚生労働大臣の指示を速やかに仰ぐということはあるかもしれませんが、やっぱり労働基準監督官が調査ができる、立入調査ができるっていうのが重要な権能だったと思うんですね。その点はいかがでしょうか。
  155. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 今事故が起きた場合には、いろんなことでその事故が発生したことを認識をするわけでありますけれども、大体監督署がまず第一に分かることが多いわけでありますが、そういたしますと、監督署が監督官を、今委員お触れになりましたように監督官が権限を持って調査をしに行くわけであります。で、その際に大変重大な災害で非常に難しいということであると、研究所に応援を頼むというやり方をいたしているところでございます。  今後におきましても厚生労働大臣の指示により調査をするということでありますが、それはもちろん、労働基準監督署における監督官がまず事故調査に行くと。で、その際、今までと同じように、非常に重大な事故で非常に原因等も分かりにくいだろうというようなものについては研究所に指示をするという形で、実質的にその遺漏がないようにしたいということでございます。
  156. 福島みずほ

    福島みずほ君 国からの運営交付金について、現状と非公務員化することによる変遷はどのようなものになるかと。これ、事前に資料をいただきましたけれど、結局変更が余りないということでよろしいでしょうか。
  157. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 平成十七年度における運営費交付金はそれぞれ国立健康・栄養研究所八億円、産安研については十一億五千万円、産医研、これが十三億八千万ということになっております。  これ、今端的に御質問がありましたように、独立行政法人の役職員の非公務員化というのは、大学や民間研究機関などとの共同研究人事交流を促進すると、で、より一層質の高い研究成果を上げることを目指すものでございます。したがって、その非公務員化はこの経費の節減自体目的とするものではありません。で、運営費交付金額に直接影響を及ぼすというものではございません。  しかし、統合によります効果を生かして業務効率化を図ったり、あるいは運営費交付金についても節約をして、一般管理費について一五%、事業費について五%を上回る額を節減するよう指示をしているところでございます。
  158. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回の独立行政法人にすることのメリットというのはよく分からないんですね。一つは、かつて厚生労働省御自身が主張されていたように、このように中立性公平性が必要な仕事、基礎研究も十分必要な仕事は、むしろ非公務員化ではなくきちっと公が責任を持って地道な、お金もうけのないところもやるべきだというのも一つ考え方、社民党はそういう考え方に立ちます。かといって、非公務員化して非常にコストダウンになるんであれば、それはメリットかもしれないという考え方は社会の中にあり得るかもしれない。しかし、コストダウンにはならないんですよね。  唯一、この委員会で出てきたのは、人事交流ができる、人事が柔軟になるということなんですよ。でも、そんなことは独立行政法人にしなくったって十分できるじゃないですか。だって今、霞が関だってどこだって、人事交流どんどんどんどんやってる、裁判所だって人事交流をやっています。官と民、独立行政法人をこんなにやる意味というのは、公務員の数が減ったということを言う数合わせのためだけ、減ったって言うために言うだけ、お金は変わらない。  二つ目は、そこで言われている口実、口実と言ったら気の毒ですが、人事交流や柔軟な人事は、別に独立行政法人にしなくても、今だってやっているじゃないですか。それのみが理由だというのは違うと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 人事交流等につきましては、公務員であれば法令上の制約があるということでございます。その制約の中でやれる人事交流をやっていることだというふうに思っております。  今般、非公務員化をすることによりまして、それがより柔軟に行うことができる、機動的、柔軟に行うことができるということで、一層共同研究もできるようになりますでしょうし、質の高い研究成果期待することができるというふうに考えているところでございます。
  160. 福島みずほ

    福島みずほ君 今後、人事交流などはお進めになられるんじゃないですか。
  161. 青木豊

    政府参考人青木豊君) もちろん人事交流をすることによって研究の質が高まり、その研究目標を達成するために効果的であるというように思われますので、そういうことはできるだけ推進、促進をしていきたいというふうに思っております。
  162. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、人事交流に関する法案が出されるやにも聞いておりまして、私は、人事交流ということについて言えば、その可否はともあれ、人事交流を妨げるものはない、要するに仕組みを作ったり制度を作れば十分人事交流はできると。つまり、今回の独立行政法人のこの法案は極めて不可解なわけです。  非公務員化をする、しかし、先ほどお示ししましたように、国からの運営交付金などは払われる、ですからより不透明になる。一見公務員の数が減って物すごいコスト削減になるかのような外見を取りながら、実は運営交付金は変わらないし、独立行政法人ということで実は極めて不透明になる。  メリットは何かって言ったら人事交流だと言うけど、そんなのこれから人事交流できるという法案を作るわけですから、そんなメリットなんて飛んでしまうというふうに思うんですね。メリットが何かよく分からない。
  163. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 先ほど申し上げましたように、人事交流そのものはいろんな局面で行われることだろうとは思いますけれども、しかし公務員型であれば国家公務員ということでございますので、それをするにも法令上の手続、人事院が関与いたしましたりして、あるいは派遣期間もたしか三年であったと思いますが、に制約されるとか、そういった問題があったかと思います。  それに対しまして、非公務員化になればそういった制約が解けますので、理事長の判断で研究に必要だと、より質を高めるんだということであれば、随時機動的に派遣期間の制限も受けずにできるということになるわけでございまして、そういう意味で、より一層人事交流が進むというふうに思っております。
  164. 福島みずほ

    福島みずほ君 このように独立行政法人化して、で、悪くすれば基礎研究ががたがたになり、労働災害などについても極めて不十分になるかもしれない。働いている人たちにしてみれば、一体どうなるのかという中での基礎研究や、あるいは労働災害の立入調査やそういうふうになると。それだけ犠牲を払いながらメリットは人事交流って言われると、はあっという感じ、それは何なんだという感じで思います。  ところで、独立行政法人の行っている随意契約の現状についてお聞きをいたします。  資料をお配りいたしましたが、産業安全研究所随意契約による研究機器の一覧というものがあります。随意契約が非常に多いのですが、これはどうしてなんでしょうか。
  165. 青木豊

    政府参考人青木豊君) この三研究所につきましてはこれは研究所ということで、研究に要する機器等については、特別な機能を備えたものであることが多くて納入できる業者が限られるということから、随意契約が多くならざるを得なくなっているところでございます。  しかし、それ以外の契約につきましては、研究所であっても独立行政法人化されて以降、一般競争入札の拡大に取り組んでまいりました。具体的には、平成十六年度においては、安研では建物の清掃管理の業務でありますとか、産医研では建物の清掃管理の業務のほか、外国の雑誌購入でありますとか、あるいは国立健康・栄養研究所では医療廃棄物焼却処理業務でありますとか自動車管理業務、運転業務、こういったことを新たに一般競争入札としたところでございます。さらに、可能な限り一般競争入札による調達を拡大していくよう指示していきたいというふうに思っております。
  166. 福島みずほ

    福島みずほ君 最後に大臣にお聞きをいたします。  独立行政法人は、大学などのときの議論もありましたけれど、国民の立場から言うと二つ一つは、国民にとって必要な公共サービスとは根本的に何なのかという議論が不十分なままなされるのは問題。それから、独立行政法人という形になって実はより不透明になってしまう、国民にとって。運営金は出ていても、運営交付金が出ているにもかかわらず、より不透明になってしまう、これは国民にとってどうかという問題が付きまといます。それから、働いている人たちにとっては非常に不安定というか、公務員から非公務員になることにおける不安とか、労働条件がどうなるかという不安があります。  本日この委員会で、いや、これは人事交流に資するからいいのだという意見が出ましたけれど、そのために、それが立法趣旨かというと、正直首をかしげます。ただ、この点について国民の立場、それから働いている人の立場、大臣が両方見て、これはきちっとこういうことをやっていくということを決意として話してください。
  167. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 二つの御質問だったのかなと思いますけど。  国鉄、それから電電公社、それから郵政、それから国立大学。当時、私が初当選をしたころの議論、国の公共サービスでやるべきであると、公務員が責任を持つべきだと、こういう話でございました。しかし、今もう電話サービスを国家公務員がやるべきだという人はいなくなったんじゃないかなと思います。  そういう意味では、NTTにして、また他の競争会社が来て料金が安くなり、かつサービスは落ちてきてないということから、だんだん世の中が、必ずしもこれを国家公務員が、公務員がやらなくてもいいんではないかという評価の中で昨年の選挙になったのかなと、こういう理解をいたしております。  そういう意味では、公務員考え方が変わったというより我々政治家の方の考え方が変わったという中で、実は世の中が変わってきたという認識をいたしております。そういう意味では、ちょっと責められてかわいそうだなという形で聞かしていただいておりました。そういう意味では、政治家がしっかり説明をしていく責任を負うなと、これは第一に考えています。  もう一つは、かといって独立行政法人として国の正に運営金をもらってやるわけですから、公的な部分の色彩が濃いことだけは事実だと。したがって、こういう調達に関しましては厚生労働省本省と同じ基準でやってもらいたいと。実はこの間、予算委員会で、先ほども御答弁申し上げましたけども、御質問いただいて大臣が命令しろと言うから、今の独法の仕組みからいうと私から命令というのはできないんでしょうと、しかしながら運営金を確かに厚生労働省が出しているわけですから、我々の考え方、そしてお示しをして理事者に理解をしてもらおうということで、先日、国立病院機構の理事長に来ていただいて、国の基準に合わせるということで了解をもらいました。したがって、約束は、国会での約束は果たせると思っております。それに準じて他の機関もしっかりしていかなきゃならぬ。そういう意味では、やっぱり公的なお金が出ている、また公的な目標に沿ってやっていくのが独法でございますので、しっかり仕事をするような体制はつくっていかなきゃならないし、国民の理解を得られる独法でなければならないと、このように思っております。
  168. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  169. 山下英利

    委員長山下英利君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  170. 山下英利

    委員長山下英利君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、阿部正俊君が委員を辞任され、その補欠として松村祥史君が選任されました。     ─────────────
  171. 山下英利

    委員長山下英利君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  172. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。  イギリスのエージェンシー制度をモデルとし、独法制度がスタートをして五年が経過をした現在、その制度改革は喫緊の課題であるにもかかわらず、今回政府が打ち出した対策国民期待を大きく裏切るものと言わざるを得ません。  第一に、独法を利権から遮断するための制度的な担保が何らなされておりません。多くの国民は、独法を官の規律にも服さず民の規律にも服さない極めてあいまいな存在として受け止めています。職員の身分を非公務員化しながら、依然として組織名称に国立の二文字を冠することなどは正に独法のぬえ的性格を如実に物語っています。独法職員の天下りを制限しないままに非公務員化を行えば、かえって独法が天下り規制の抜け穴となり、官製談合の温床となるとの強い疑念を否定することはできません。  加えて、一般競争入札の義務化や、イギリスでは常態となっている長の公募など、抜本的な独法改革の道筋も委員会審議の過程で明らかにされませんでした。  第二に、事業の妥当性、効率性の検証が甚だ不十分であります。  今回の両研究所統合は、重大な災害防止のための工学的研究労働者の心理学的、生理学的研究の一体化という趣旨に一定の理屈はあるものの、現実問題として、清瀬と川崎に分かれた両研究所の移動には往復で四時間を必要とし、かえって事業効率の低下が危惧されます。  また、国立健康・栄養研究所についても、実施している研究調査試験許可業務民間委託の可能性など、更なる精査をすべきです。  情報公開や第三者による評価も徹底されず、独法が行うべき事業を抜本的に整理しないままに場当たり的に制度の手直しを図っても、改革の実が上がるべくもありません。  第三に、今回の法改正は、わずか一年半前に厚生労働省自身が相当専門性が異なり統合は難しいと判断していた両研究所を急ぎ統合したように、余りにお粗末な経緯をたどっており、小さな政府を見せ掛け上進める手段と断ぜざるを得ません。  このように様々な問題を抱えている本法案に対し、反対の意思を表明し、私の討論を終わります。
  173. 小池晃

    ○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備に関する法律案に対し、反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、非公務員化国民の安全や健康に対する国の責任放棄につながるからです。  産業安全研究所産業医学総合研究所は、司法警察権を持つ労働基準監督官に協力し、労働災害原因調査を行います。国立健康・栄養研究所は、特別用途表示食品大臣認可及び認可取消しの根拠となる試験を行うなど、いずれの研究所も公権力の行使を伴う業務を行っています。  これらの業務には高い公平性中立性が求められます。だからこそ、厚生労働省も一年半前までは公務員でなければならないと主張していたのです。技術の蓄積、継承が困難になるばかりか、企業からの独立性の形骸化につながる非公務員化には反対です。  第二の理由は、非公務員化研究環境を一層不安定にし、基礎的研究の後退を招くおそれがあるからです。  各研究機関は、長年にわたって基礎的データを積み上げ、貴重な研究を行っています。こうした研究成果は、労働災害を防止するための法令改正に生かされるなど、国民の安全や健康にとって重要な役割を果たしてきました。非公務員化されれば、成績主義の人事評価制度と相まって、短期間で成果が出る効率のいい研究が優先をされ、基礎的データの積み上げが困難になりかねません。基礎的研究の軽視につながる非公務員化は容認できません。  今、重大な労働災害の多発や過労死の問題が深刻化しています。また、食品安全性を揺るがす事件が続き、国民の関心や不安はかつてなく高まっています。このような中で、研究機関の専門性、公共性を一層高めて行政に反映させることこそ求められているのであり、非公務員化統合はこうした願いに逆行するものであります。  以上述べて、反対討論を終わります。
  174. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備に関する法律案に対し、反対の討論を行います。  第一に、非公務員化だけを進めるものであり、国民にとって必要な公共サービスとは何かという議論が欠落をしているからです。非公務員化によって失われるものがあるのではないでしょうか。  産業安全研究所産業医学総合研究所は、司法警察権を持つ労働基準監督官に協力し、労働災害原因調査を行っています。また、国立健康・栄養研究所は、特別用途表示食品大臣認可及び認可取消しの根拠となる試験を行っています。いずれも地道な必要な業務であり、公平性中立性、企業からの独立性が必要とされるものです。非公務員化は、これらの仕事を壊してしまう危険性があります。  勤労者の労働形態の変化、非正規労働者の拡大、偽装請負という形での就労の拡大、労働条件の悪化、さらには、それによる労働災害の多様化にどう対応し、また今後の労働安全衛生をどう実現していくのかということが極めて重要です。しかし、今回の非公務員化でこれらの業務がどうなっていくでしょうか。さらに、多発する労働事故に関して立入調査を非公務員に行わせることをするなど論外です。勤労者の安全、安心確保の後退となります。  国民健康・栄養研究所も、健康食品などによる健康被害への対応について今後の担保はありません。国民の立場から見て後退となるのではないでしょうか。  第二に、非公務員化研究環境を不安定にし、基礎的研究の後退を招きます。採算性の重視や成果主義の人事評価のみになれば、基礎的研究がおろそかになってしまいます。  第三に、非公務員化によるメリットも見えていません。単に数合わせとして行われているのではないでしょうか。メリットとして挙げられている人事交流も、独立行政法人にしなくても行うことができるものであり、説得力がありません。  以上が反対の理由です。
  175. 山下英利

    委員長山下英利君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 山下英利

    委員長山下英利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十分散会