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2006-02-22 第164回国会 参議院 憲法調査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十八年二月二十二日(水曜日) 午後一時開会 ─────────────
委員氏名
会 長
関谷
勝嗣君
幹 事
荒井
正吾
君 幹 事
武見
敬三
君 幹 事
若林
正俊
君 幹 事
高嶋
良充君 幹 事
ツルネン
マルテイ
君 幹 事
簗瀬
進君
秋元
司君
浅野
勝人
君
魚住
汎英
君
岡田
直樹
君 柏村
武昭
君
河合
常則君
北川イッセイ
君 国井 正幸君
佐藤
泰三
君
櫻井
新君
中川
義雄
君
中曽根弘文
君
福島啓史郎
君
藤井
基之
君
藤野
公孝
君
森元
恒雄
君
山本
順三
君
犬塚
直史
君
江田
五月君
佐藤
道夫
君
鈴木
寛君
内藤
正光君
広田
一君
福山
哲郎
君 藤末
健三
君
藤本
祐司
君
前川
清成
君
松岡
徹君
水岡
俊一
君
山本
孝史
君
魚住裕一郎
君
木庭健太郎
君 白浜 一良君
浜田
昌良
君
山口那津男
君
仁比
聡平君
吉川
春子
君
近藤
正道
君 ─────────────
委員
の
異動
一月二十日
辞任
補欠選任
木庭健太郎
君
山下
栄一
君
浜田
昌良
君
田村
秀昭
君 二月二十一日
辞任
補欠選任
藤井
基之
君
舛添
要一
君
江田
五月君
浅尾慶一郎
君
山本
孝史
君
喜納
昌吉
君
山下
栄一
君
福本
潤一
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
関谷
勝嗣君
幹 事
荒井
正吾
君
武見
敬三
君
藤野
公孝
君
若林
正俊
君
高嶋
良充君
ツルネン
マルテイ
君
簗瀬
進君
山口那津男
君 委 員
秋元
司君
浅野
勝人
君 柏村
武昭
君
河合
常則君
佐藤
泰三
君
櫻井
新君
中川
義雄
君
中曽根弘文
君
福島啓史郎
君
舛添
要一
君
森元
恒雄
君
山本
順三
君
浅尾慶一郎
君
犬塚
直史
君
喜納
昌吉
君
佐藤
道夫
君
鈴木
寛君
内藤
正光君
広田
一君
福山
哲郎
君 藤末
健三
君
藤本
祐司
君
前川
清成
君
松岡
徹君
水岡
俊一
君
魚住裕一郎
君
福本
潤一
君
吉川
春子
君
近藤
正道
君
田村
秀昭
君
事務局側
憲法調査会事務
局長 小林 秀行君 ───────────── 本日の
会議
に付した
案件
○
幹事補欠選任
の件 ○
日本国憲法
に関する
調査
─────────────
関谷勝嗣
1
○
会長
(
関谷勝嗣君
) ただいまから
憲法調査会
を開会いたします。
幹事
の
補欠選任
についてお諮りをいたします。 まず、去る
平成
十七年九月二十九日の本
調査会
におきまして、一名の
幹事
につきましては、後日、
会長
が
指名
することとなっておりましたので、本日、
幹事
に
岡田直樹
君を
指名
をいたします。 また、
委員
の
異動
に伴い現在
幹事
が二名欠員となっておりますので、その
補欠選任
を行いたいと存じます。
幹事
の
選任
につきましては、
会長
の
指名
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
関谷勝嗣
2
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
幹事
に
藤野公孝
君及び
山口那津男
君を
指名
いたします。 ─────────────
関谷勝嗣
3
○会長(
関谷勝嗣君
)
日本国憲法
に関する
調査
を議題といたします。 先般、本院から、
スイス連邦
及び
フランス共和国
における
憲法事情
並びに
欧州連合
における
欧州憲法条約
への
対応等
の
調査
のため、
海外派遣
が行われました。 この際、本
調査会
において、
海外派遣議員
から報告を聴取することといたします。 それでは、まず私から総括的な報告をさせていただきます。 着席のままで失礼をいたします。 自由民主党の
関谷勝嗣
でございます。 昨年十一月十二日から二十一日にかけて行われました
重要事項調査
第四班、
憲法調査
の概要を御報告いたします。 本班の
調査目的
は、
スイス連邦
及び
フランス共和国
の
憲法事情
、特に
国民投票制度
に関する
実情調査
をし、併せて、
政治経済事情等
を視察すること、並びに
欧州連合
の動向及び
欧州憲法条約
の
批准状況等
を
実情調査
することであります。本
憲法調査会
の
国民投票制度
に関する
調査
に資する観点から、御報告させていただきます。 具体的な
調査項目
といたしまして、 一、
スイス連邦
では、
スイス
の
国民投票制度
及びその
運用状況
、最近の
スイス憲法
の
改正状況
、
スイス
の
二院制
の意義・特徴、
スイス
の
連邦制
・
地方分権等
について、 二、
欧州連合
(
EU
)では、
欧州憲法条約
の
制定経緯
及び内容、
フランス
、
オランダ
における同
条約批准
の
国民投票
での否決とそれに対する
考え方
・今後の
対応等
について、 三、
フランス共和国
では、
フランス
の
国民投票制度
及びその
運用状況
、最近の
フランス憲法
の
改正状況
、
フランス
の
二院制
の意義・特徴、
フランス
の
地方分権
、
憲法院
の機能、特に
国民投票手続
との
関係等
について、それぞれ
調査
いたしました。 以下、
調査内容
につきまして、その概要を
調査日程
に従って御報告いたします。
スイス連邦
は、十九世紀以降、
永世中立国
として、平和的かつ安定した
民主主義国家体制
を築いてまいりました。特に、州・
地方自治体レベル
においてはもちろん、
連邦レベル
においても、
レファレンダム
(
国民投票制度
)及び
イニシアティブ
(
国民発案制度
)の両
制度
を取り入れて運用し、世界でも直接
民主制
を最も高い
レベル
で実現している国家として知られております。
レファレンダム
には、
連邦憲法
の改正と
集団安全保障
のための組織又は超
国家的共同体
への加盟など義務的に行うべきものと任意に行うもの、すなわち、
有権者
五万人の署名又は八つの州から
国民投票
の要求があった
連邦法律
や
条約等
との二種類が
憲法
で定められています。また、
イニシアティブ
については、
有権者
十万人以上の署名があれば、
連邦憲法改正
の提案を行うことができると定められております。なお、
連邦法律
の提案は含まれていません。 十一月十四日午前、まず、
首都ベルン
にある
スイス連邦国民議会
を訪問し、
政治制度委員会
の
ヴァイエネス委員長
らと会談しました。
スイス議会
の特徴としては、議員は他に本職を持ちながら国への奉仕として
議員活動
が行われていること(ミニッツ・システム)、また、コンセンサスが重視され、主な政党は政権に入り、そのため政権の交代は余り起こらないことが挙げられます。
国民投票制度
については、これは
スイス
での
立法過程
の重要な一部を成しており、同時に、
スイス市民
にとって非常に重要な権利とされています。そのため、
国民
に受け入れられないような法案だと
議会
は通っても
国民投票
で否決されかねないので、
政府
と
議会
が緊密に協力する傾向があるとのことでした。
国民投票
は、
連邦レベル
で原則的に年間四回のスケジュールで行われ、他に州や
地方自治体レベル
のものがあり、
スイス国民
は一年間に二十から三十回もの
投票
を行っていることになります。
二院制
を取っていることも相まって、一つの
法律
を通すのに時間が掛かることは確かでありますが、
国民
が自ら合意したという点で
納得性
が得られやすいし、民意の裏付けがあるという点では
正当性
が高いというのが
国民投票制度
のメリットとのことでした。 その後、
連邦内閣
府の
ヴィル政治的権利担当課長
と会談をいたしました。 まず、
スイス
の
立法過程
について、国会を通過した後に
国民投票
が控えているため、常に
国民投票
で多数を取れるかを念頭に置いて
法律案
の協議が行われ、行
政府
もこれを念頭に置いて
法律案
を作らなければならないという特徴があること、また、
スイス
では、主要四政党すべてが政権入りしており、
閣僚ポスト
を二対二対二対一の比率で割り当てる「魔法の公式」と呼ばれる慣行が続いてきたが、それは
国民投票
があるがゆえであるとの説明がありました。
国民投票案件
の内容は、
国民
によく理解してもらう必要があります。
国民
への
国民投票
に関する
情報提供
については、
有権者
には、何が
国民投票
の議題になっているかを
国民
に知らせるための小冊子が配布され、それには、議案や
政府
の見解だけでなく、
政府見解
に反対する意見や政治的に中立な立場から記述した解説も掲載されるとのことでした。なお、
反対意見
は、
政府
が書くのではなく、「
委員会
」がつくられ、その「
委員会
」が文言を作成し、それがそのまま掲載されるとのことです。
国民投票運動
について、個人又は政党を含む団体が自ら行う運動には、他の
法律
に反しない限り
国民投票運動
であるという理由での特別の規制はないが、マス
メディア
を通して行う
啓蒙活動等
に対しては、新聞や
週刊誌
といった
紙媒体
の
メディア
を使う場合は、
国民投票
であるという理由での特別の規制はないものの、
テレビ
、
ラジオ
を通じた広告は全面的に禁止されており、一切認められていないとのことです。これは、
スイス
では、ごく小規模の例外的な
民間放送局
はあるものの、ほぼ完全に
国営放送
が独占的な
支配権
を持っているためで、基本的にすべて民間によって運営されている紙の媒体とは異なるという考えによるものであります。
投票方法
について、
スイス
では、
投票用紙
にマル・バツや
チェック
といった記号ではなく、賛成か反対かを書くようになっています。また、
投票
全体のうち、
郵便投票
の占める割合は八〇%にも達しますが、
投票
の秘密を守る厳重な工夫がなされているということです。 なお、
国民
を二分した
国民投票
の例として、一九三六年の
統制経済実施
に関する
国民投票
(結果は否決)、一九九二年の
欧州経済共同市場参加
に関する
国民投票
(僅差で否決)、二〇〇二年の
国連加盟
に関する
国民投票
(僅差で可決)などが挙げられるとのことでした。 翌十五日は、
スイス
における
連邦制
及び
地方分権
の実態を
調査
するため、
バーゼル都市
州
議会
を訪問し、
マツォッティ議長
、ブルクハルト副議長らと会談しました。
バーゼル都市
州は、
スイス北部ライン
川沿いに位置し、
独仏国境
と接していることもあって、古くから交通の要衝として栄えてきた地域であります。 州と
連邦
との関係について、
連邦
、二十六の州、そして約三千の
地方自治体
の三者は、予算もそれぞれ約三分の一ずつを担っており、行政の内容として、
連邦
は
安全保障
、コミュニケーション、交通、教育、
インフラ
を、州は保健、教育、文化、治安、
連邦
からの
委託業務
を、自治体は
インフラ
、州からの
委託等
を担っている、また、州と
連邦
が摩擦を起こす
可能性
は常にあるが、
連邦法
は州法に優越するので
連邦法
に合わないところがないように注意しているとのことでした。
国民投票制度
については、最後は
有権者
が決めることが
スイス
の長い伝統である、ただし、このシステムの欠点として、決定に時間が掛かり、ダイナミズムに欠ける点が挙げられるとのことでした。 その午後、
欧州連合
(
EU
)本部のあるブリュッセルに移動いたしました。
欧州連合
(
EU
)には現在二十五か国が加盟しており、更なる拡大も見込まれています。
欧州憲法条約
は、
EU
のこのような拡大に伴い、より効率的、機能的にすることが必要との認識から生まれ、
ローマ条約
以降の
EU
諸
条約
を集大成させるとともに、
閣僚理事会
の表決において
人口比
を反映させ(
特定多数決
の場合)、さらに
欧州理事会
(
EU首脳会議
)
常任議長
及び
EU外務大臣ポスト
の新設、
欧州委員会委員
の削減などを内容としています。同
条約
については、ドイツ、
イタリア等
十三か国が既に批准しましたが、
フランス
、
オランダ
では
政府
の意に反して
国民投票
で批准が否決されました。その波紋は大きく、デンマーク、
イギリス等
五か国も相次いで
国民投票
の延期を決めたため、昨年六月の
欧州理事会
で二〇〇六年十一月までの
批准期間
を当分の間延期することを決定いたしました。
フランス
、
オランダ
での否決は、
議会
では圧倒的な多数で採択されたのに
国民投票
では否決されるという意味で、
代議制
の危機も象徴していると言われております。 十六日午前は、まず、
欧州委員会事務総局
を訪問し、
スタンカネリ欧州憲法条約担当法律顧問
と会談しました。
欧州憲法条約
を考えるとき、
EU
は、国家でも
連邦
でもなく、また国連のような
国際機関
でもない、
国際条約
によって
加盟国
との関係が規律され権限を付与された、政策などを促す組織という位置付けを確認することが必要であり、そして、
欧州憲法条約制定
の背景には、一、
EU
の
政策効果
を高めること、二、
EU
の
民主主義次元
での機能を強化すること、三、既存の複雑な
条約
を簡明にすることの三つの理由があるとのことです。また、同
条約
は、
フランス
、
オランダ
における
国民投票
の否決によって事実上中断しており、今後の対応のため、
EU市民社会
を巻き込んで議論を推進した後、
報告書
をまとめることになったが、否決の背景として、一、
フランス政府
への不信、二、経済・雇用の不安、三、
市民レベル
で
EU
への理解が足りないという三つの要因があったと指摘されました。 続いて、昼食を挟み、
EU関係
のシンクタンクである
欧州政策センター
、
デュラン政治アナリスト
と懇談をいたしました。
欧州憲法条約
は、
ニース条約
後、今後の
EU
の様々な危機に対応していくには
制度
的に不十分という意識が
EU指導部
に生じたことから構想されたものであり、これまでも
EU
と市民の
ギャップ
をどう埋めるかが最大の問題であったため、同
条約
は
EU
と市民とを近づけることを目指したのであるが、それが
フランス
、
オランダ
の
国民投票
で否決された結果になったことは皮肉であると述べられ、さらに、この
ギャップ
は、
EU
の機能が十分理解されず、また
EU
が市民のパートナーと考えられていないことから生じており、その原因について、
EU
、
各国政府
、
メディア
それぞれに責任があるが、特に、
欧州
を統合したいという強いリーダーシップが
各国首脳
に欠如していたと指摘されました。 なお、
欧州
の
地理的範囲
及びその妥当な規模について、
グローバル化
に対応するにはある程度の大きさが必要となるが、三十五か国まで拡大するのが妥当かは問題であり、このまま拡大を続けていけば
EU
の目的や求心力が薄まるおそれがある、特にトルコの加盟には、「
欧州
」という
アイデンティティそのもの
が問われると指摘されました。 同日午後、
欧州委員会対外総局
を訪問し、E・
ランダブル対外総局長
と会談をいたしました。
欧州憲法条約
は、様々な
主権国家
を
EU
の下に効率的に調整する仕組みをつくろうとするものであり、現在の案は、長い議論を経てできた最良の
妥協案
と言えるものであるが、
フランス
、
オランダ
での否決により、今後は
代替案
も考えていく必要があること、それには、一、
EU
の価値と原則、二、
EU
の機関と分権の仕組み、三、
EU
の政策の三つから構成されている
欧州憲法条約
から、反対が集中している三を切り離すことが妥当であること、また、新しい提案を出すタイミングは二〇〇七年の
フランス大統領選
後がよいとの考えを示しました。 翌十七日の午前、パリに移動しました。
フランス
の
現行憲法
(第五
共和制憲法
、一九五八年制定)は、国の主権は人民に属し、人民はその
代表者
を通じて及び
国民投票
(
レファレンダム
)により、主権を行使する(第三条第一項)と定め、単に
代表者
を選挙するだけでなく、問題によっては直接に
国民
が意思を表明して主権を行使できることを定めています。このような
制度
は、「半直接
民主制
」と呼ばれていますが、歴史的にも
フランス
はその
代表国的存在
であり、また、
イタリア
、
スペイン等現代憲法
の多くが採用している
制度
でもあります。昨年五月の
フランス
での
欧州憲法条約批准
に関する
国民投票
は、
国民
の
代表
である
政府
・
議会
と
国民
の意思が乖離する場合があることを如実に示すとともに、否決により同
条約
が凍結される結果になるなど、
国民投票
の有する
影響力
の大きさを示す例と言えます。 同日午後は、
フランス上院
を訪れ、
イエスト法務委員長
と会談いたしました。 今日の
二院制
には、第一院は
国民
の代表、第二院は地域の
代表
であるとの
考え方
があるが、
フランス議会
もこのような例であり、上院は
間接選挙制
を採用し、地方(県や市町村)の
代表
として選出され、また、このような
選出方法
から、議員は政党から自立し、実際、政党より
人物本位
で選ばれることが多いと述べた上で、上院の役割は「賢人」の役割を果たすことであり、
危機的状況
にあって下院が過熱して一気に法案を通そうとする場合でも、上院は距離を置いて冷静に見ることができる点に価値があるとの考えを示しました。 また、
フランス
の
地方分権
について、多くの小規模な
地方自治体
(
コミューン
)が存在するのは、中世以来、教会の教区を基に存在してきたという
歴史的伝統
によるものであり、現在、全国に約三万五千の
コミューン
がある、そしてこれら小さな
コミューン
にも
議会
があり、
地方議員
の数は合わせて約五十万人おり、これだけ多くの人々が草の根から
民主主義
を支えていると言えると述べました。 翌十八日午前、
フランス
の
憲法裁判所
である
憲法院
を訪問し、
プザン委員
(裁判官)と会談いたしました。
憲法裁判
について、
フランス
では伝統的に、
法律
は人民の
代表
が作るものであり、これを審査する必要はないと考えられていたため、
裁判所
が
合憲性
あるいは
違憲性
について審査するという伝統はなかったが、第五
共和制憲法
(一九五八年)で、
憲法院
が設置され
憲法適合性
の審査が始まり、
憲法
の変化に応じて発展してきた、審査は
事前審査
という形を取り、
法律
が
議会
で採択された後、
大統領
によって公布される前に行われると説明しました。
国民投票
と
憲法院
との関係について、そのルールは
法律
ではなく
政府
から出される
デクレ
(政令)が定めるが、
憲法院
はこの
チェック
を行うとともに、
国民投票
が
デクレ
に従い公正さが確保されて行われるように監視を行い、また、もし手続の瑕疵があるならば、
投票
の無効を判断できる権限も有するとのことでした。 引き続いて午後は、
フランス内務省
を訪問し、
国民投票担当課
のリツク氏及びレルネル氏と会談をいたしました。
国民投票
には、一、公権力の組織に関する法案、経済・
社会政策
に関する法案、重要な
条約
の批准を
国民投票
にかける
憲法
第十一条の場合と、二、
憲法改正
に関する
憲法
第八十九条の場合との二種類があるが、どちらの場合でも
国民投票
の準備は変わらない、
投票方法
として、
投票用紙
には賛成又は反対の欄に
チェック
を付けるようになっており、このように非常に単純明快な形式で
国民
に問う形になっている、なお、
郵便投票
は、不正が余りにも多かったため七〇年代に廃止されたが、入院中の人や
身体障害者
などについては
代理人投票
が可能であるとのことでした。
国民投票
に関する
国民
への
情報提供
及び
投票運動
については、
欧州憲法条約
の場合、
政府
は、
憲法院
の同意を得て、
有権者
に対して
欧州憲法条約条文
を掲載したリーフレットとそれに対する
政府
の立場を説明した
説明書
を送付したが、なぜ
政府
が賛成するのかという解説に対しては
中立性
を欠くとの批判が多かったこと、また、通常の
選挙キャンペーン
としてはポスター、
テレビ
、
ラジオ
、チラシなどがあるが、今回、インターネットや
携帯電話
の
ショートメッセージ
、自費による
テレビ
でのコメントなどの新たな手法が登場したこと、国から認定された政党には八十万ユーロ(約一億千二百万円)を上限として
国民投票運動
のための
助成金
が出されたことを述べ、どのように
政府
の
公正性
を確保するか、また、
有権者
に対する
情報提供
をどのように行うかという二つの大きな課題が残ったことを指摘しました。 今回の
調査
においては、数多くの要職にある方々と親しく意見を交換することができました。多忙の中、快く会談に応じていただいた方々、また仲介の労をお取りいただいた
在外公館等
の
関係者
の方々に改めて感謝の意を表します。
報告書
は既に
議院運営委員会会議録
に掲載されていますが、このほかに、インタビューの詳細を記しました冊子を作成配付しましたので、併せてごらんください。 以上、御報告申し上げます。どうもありがとうございました。 引き続き、他の
派遣議員
の方々からも御発言をいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままでお願いいたします。
舛添要一
君。
舛添要一
4
○
舛添要一
君 今、日本で
憲法改正
の
議論
、それから
国民投票法案
をどうするかという
議論
がございますんで、そういうことを
念頭
に置きながら、ヨーロッパでの
調査
について御
報告
申し上げたいと思います。 大きく分けて
二つ
の点を申し上げます。
一つ
は
憲法裁判所
の設置をするか否かということ、第二は
国民投票法案
をどうまとめるかという点であります。
フランス
は、
憲法院
、コンセーユコンスティチューショネルという名前で
憲法裁判所
を呼んでおります。我が国の
最高裁判所
は具体的な
規範統制
のみを行っていますけれども、
フランス
の場合は当然
法律
の
合憲性審査
ということで
抽象的規範統制
を行っております。 我が自民党の新
憲法草案
は
憲法裁判所
を設けないことになっていますが、私は個人的には
憲法裁判所
に
賛成
の
立場
を取ってきました。
憲法裁判所
を設置しないという多数
意見
が我が自民党の中で有力となったのは、立法権を持つ我々の
権利
を、例えば内閣法制局の
憲法
解釈によって大きく傷付けられているんではないかと、内閣法制局ですらそこまで立法権を阻害するのであれば、それよりもっと大きな権力を持った
憲法裁判所
を設ければ更なる
規制
があるんじゃないかという、むしろ立法府の懸念というか、長い間政治経験を重ねられた自民党の国会
議員
の先生方の
意見
が強かったわけでありますけれども、
フランス
の場合は、そういうことが起こらないために、
一つ
は、
憲法院
は九名のメンバーで構成しているんですけれども、そのうちの三分の一を
大統領
が
指名
する、残りの三分の一を
上院
議長
が
指名
する、更に残りの三分の一は下院
議長
が
指名
しますから、要するに、行
政権
が任命するのは三分の一で、立法、つまり国会が任命するのが三分の二となっております。 ちなみに、
大統領
経験者は自動的にメンバーに加わりますから、今はジスカールデスタン元
大統領
が入っていますから十名です。 そういうことであるとともに、実を言うと、
フランス
の場合、非常に私は
憲法裁判所
が画期的だったと思うのは、二〇〇四年十月にローマにおいて
欧州憲法条約
案を作ったときに、それまでの
フランス
の第五
共和制憲法
ですとこれは違憲になってしまうんですね。つまり、超
国家
的なシステムを想定していなかった。そこで、
フランス憲法
院は、これは違憲であるという解釈を下す。それを受けて
憲法改正
が必要との判断が出ましたのでその
憲法改正
手続
を取りまして、これは
国民投票
ではなくて両院の合同協
議会
、コングレと呼びますけれども、ここで採択されて
改正
案が二〇〇五年三月一日の
法律
となりました。そして、そこから先は昨年、この
EU
憲法
を、
条約
案を
国民投票
にかけたら、これは
国民投票
で
否決
をされたわけですけど。 いずれにしても、新しい時代に新しい判断を下すことによって
憲法改正
を推し進めるという実績があったという意味において
フランス
の
憲法院
というのは大きな評価をしていいと思いますんで、もし私たちが
憲法裁判所
を作るとするならば、範に取るのは、韓国ではなくて
フランス
の
憲法院
であろうというふうに思います。 それで、今
国民投票
について申し上げましたけど、これも時間限られているので幾つかのポイントだけ申し上げますと、
フランス
は、今
会長
の御
説明
にもありましたように、
国民投票
は
法案
というのを作りません。
国民投票
をやるごとに
デクレ
という、
デクレ
って、まあ省令と言ってもいいですが、その規則を作る。で、それは何で恒常的な法を作らないのかというと、時代がどんどん変わっている、インターネットが入ってきた、じゃそれに合った
法律
、ルールを作った方がいい。それから、毎回作るたびに
デクレ
が違ってきますから、
国民投票
の
投票
時間をその状況に応じて長くしたり遅くしたりしている。だから、フレキシビリティーを担保するという意味ではこういう形でやる方法もあるということを御紹介申し上げておきたいと思います。 それから、これは民主党の
簗瀬
先生なんかは常におっしゃっていることですが、
国民投票
の対象を
憲法改正
ではなくて大きな一般的
政策
についてもやれということで、これは
フランス
はそういうことをやっているんですけれども、しかしながら、これはある意味でもろ刃の剣で、一九六九年にドゴールが
上院
の改革ということを
国民投票
にかけたんで、
上院
改革というよりこれはドゴールに対するウイかノンかと、イエスかノーかということだったんで、結局ノーという答えが出てしまったんで、政治指導者にとってはもろ刃の剣になるよということを申し上げておきたいと思います。 それからもう
一つ
、細かい
投票
ルールについてはもう時間がありませんので申し上げませんけど、
一つ
だけ私は
賛成
なのは、
政党
助成金
を出しているということであります。やはり、これはみんなが自由に
国民投票
の
運動
をやればいいんですけど、私は
政党
政治というのは今日の現代
民主主義
の基本だと思いますんで、ちょうど公職選挙法で同じように
助成金
を出す、それから
政党
助成金
も出していますけど、それと同じように、
フランス
の場合上限が八十万ユーロですから大体一億円ぐらいになりましょうか、それぐらいのは
民主主義
のコストとして出して基本的に
政党
を中心の
運動
をやった方がいいのかなと、そういう感想を抱きました。 また、後ほど御質問があれば
議論
をいたしたいと思います。 以上です。ありがとうございました。
関谷勝嗣
5
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 次に、
浅尾慶一郎
君。
浅尾慶一郎
6
○
浅尾慶一郎
君 私の方からは、今回の
調査
に参らせていただきまして私自身が持ちました印象について幾つか述べさせていただきたいと思いますが、まず第一にポイントとして申し上げたいのは、
国民投票
というのはすべからくその国の
制度
の中に組み込まれているものであるので、他国の例をそのまま持ってきてもそのとおりにはいかないだろうというのが一番のポイントで申し上げたいところであります。 具体的に申し上げますと、
会長
の
報告
にもございましたけれども、例えば、
スイス
の場合はほぼすべてのことが
国民投票
にかかると、重要なことはすべてかかると、あるいは
地方
の自治体においても重要なことはその
地域
の住民
投票
にかかるということでありますので、そういう国における
国民投票
あるいは
投票
と、日本の今の
制度
でいえば、
制度
で規定されておりますのは
憲法改正
のときの
国民投票
でありますけれども、その
国民投票
とではおのずと違いがあるんではなかろうか。 もう少し具体的に言いますと、
スイス
の場合は
国民投票
の告知ということにそれなりに力を入れているわけでありますが、こういう
発言
をすると若干語弊があるかもしれませんが、めったにない
憲法改正
ということであれば、その告知そのものに力を入れるほどのことを日本の場合は場合によってはやる必要がないんではないかなと。これは、まあもう少し検討が、必要があるでしょうけれども、ただ私の率直な感想で申し上げれば、恐らくマスコミもかなり大きくそのことは取り上げるでしょうから、告知ということについて力を入れる必要性があるいはないのかもしれないというふうに思います。 逆に、今のケースを
欧州
条約
の件でとらえて
考え
てみますと、
欧州
条約
はもちろん、ここの
報告
にもありますように
条約
でありますから、その
批准
は何も
国民投票
にかける必要性はないわけでありますけれども、
欧州
憲法
といってもこれは
条約
の集大成ということでありますから、
国民投票
にかける必要性自体はなかったんだと思いますが、それぞれ
フランス
あるいは
オランダ
において、それを
国民投票
にかけるという決意をその時の
政府
が示し、そして
国民投票
にかけたということでありますが、それは、常にかけるものではないものを
国民投票
にかけた結果、これは訪問先でヒアリングをした結果私なりに理解をしたことでありますが、例えば
フランス
で
否決
されたのは、それまでの
条約
の集大成、
条約
そのものに対して
反対
しているというよりかは、そのときの政治風土が
反対
に表れたということでありまして、したがって、日本に翻って、ここは日本の
憲法調査会
ですから
考え
てみますと、
憲法改正
の
国民投票
において参考になるとするならば、それは
憲法改正
の条文そのものを問うていくような
国民投票
にしないと、そのときそのときの政治状況によって、あるいは場合によってはというふうに表現した方がいいかもしれませんが、その問われていること自体以外のものが日本においても
国民投票
において問われるようになるんではないかという印象を持ちました。別の言い方をするとするならば、
国民
からすれば、
憲法改正
という、まあめったにない、そのことによる
国民投票
ということではありますけれども、そのことと、そのときの政治状況によってもたらされる印象、イメージによって
投票
行動が変わる
可能性
があるんではないかなというふうに思います。 そのことの是非は何とも述べられませんが、率直に言えば、その
国民投票
で求められるのは、正に条文、
憲法
の
改正
ということであれば、条文そのものに対する
改正
についての認識ということになってくるんではないかなというふうに思いますんで、先ほど
国民投票
のあることの周知徹底はあるいは他国と比べてさほど必要ないということを申し上げましたが、その中身についての客観的な徹底は日本においても必要なんではないかなというふうに
考え
ております。 そして、最後に、
フランス
のケースから参考になることを申し上げさせていただいて
発言
を終えたいというふうに思いますが、今、
舛添
委員
の方からもお話がございましたように、
フランス
においては、
国民投票
にかけるかかけないかというところについてやや柔軟なところもあるということでございました。 我が国においては、これはもう、かけるべきものというのは当然かけていかなければいけないということだと思いますが、そこで逆に柔軟にすればするほど、これは
欧州憲法条約
についても同じだと思いますが、
欧州
憲法
についても同じだと思いますけれども、そのときの政治状況によって
有権者
の判断が変わってくる
可能性
もあるんではないかと、そういう率直な印象を受けましたので、そのことを申し上げさせていただきまして、時間になりましたので
発言
を終えたいと思います。
関谷勝嗣
7
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 次に、
喜納
昌吉
君。
喜納昌吉
8
○
喜納
昌吉
君 昨年十一月の
欧州
視察に参加し、大変勉強になりました。
フランス
では、自動車焼き打ち事件などが相次いで社会情勢が不穏でしたが、その現場を見る時間はありませんでした。一連の事件は
欧州
視察の臨場感を醸す材料になったと思います。
スイス
の下院では、
政治制度委員会
の
ヴァイエネス委員長
に、
スイス
の
制度
は初期の米国の
憲法
の理想に近いと指摘したところ、
委員
長らはそれを認めました。
日本国憲法
も、米国からの押し付けだけではなく、米国の先住民族から発した知恵が人類の知恵となって世界に広がっていったことに私は改めて感銘を受けました。
スイス
での別の会合で、
国家
と州との
関係
について質問しました。
スイス
内閣府の課長は、中国の中央集権
制度
とOSCE、
欧州
安全保障
協力機構の全
加盟国
同意
制度
を挙げて、その中間にあるのが
スイス
だという
説明
をしました。非常に興味深かった感想だと思います。この課長は、私が州の既得権と多様性との
関係
を尋ねたところ、
スイス
で使用されている言語の多様性と言語による不平等という問題を絡ませて
説明
しました。 そして、
スイス
の
バーゼル都市
評
議会
との会合では、
マツォッティ議長
に
スイス
が
EU
、
欧州連合
に
加盟
するのかどうか聞きました。
議長
は、
加盟
の
可能性
は遠のいていると答えながらも、
スイス
は
EU
と付かず離れずの
関係
を維持していくという趣旨の
説明
を付け加えました。
EU
の
民間
シンクタンクである
欧州政策センター
、EPCとの会合では、政治アナリストのデュラン氏に白人
国家
に対する中国など、あるいは中東など非白人側の不満の存在について尋ねまして、デュラン氏は、
欧州
統合は世界統合の最初のステップという言葉でかわしましたが、彼ら
欧州
人の抱く遠大な理想だけはよく分かりました。私たちアジア人も、世界に向けてのスケールの大きな理想を打ち出していくべきときだと改めて実感しました。
欧州委員会対外総局
のランダブル総局長との質疑応答では、
EU
の
国家
化について質問すると、
EU
は
グローバル化
の負の部分を解決する契機になるという答えがすぐに返ってきました。このほかの
説明
からも、
EU
の進展が重要なことがうかがわれ、今も冷戦構造を極東
地域
に残しながら、分裂・対立状況にある私たちアジアは早く何とかしなければならないという気にますますなりました。
フランス憲法
院では、裁判官の
プザン委員
に対し、平和強化の観点から日本の
憲法改正
は人類のために貢献できるものでなければならないと指摘しました。音楽家としてもアジアと
欧州
の対話に貢献したい旨を伝えました。
フランス内務省
では、
投票
前の広報活動について、ホームレスへの
対応
や、情宣手段として音楽などのパフォーマンスの利用が可能かどうかを聞きました。 以上、私がかかわった部分を中心にかいつまんでお話ししましたが、ほかにも数え切れないほどの興味深い話やエピソードがあります。
一つ
の感想を付け加えれば、日本でも
憲法改正
に伴う
国民投票
だけじゃなく、靖国問題と新たな追悼施設建設問題、日米安保
条約
、米軍再編に伴う米軍と自衛隊の一体化、社会保険
制度
、天下りや談合など官僚の不正防止、天皇制などの重要問題については必要に応じて
国民投票
をするのが時代の要請ではないかという気がしています。もちろん、私たち国会
議員
が担っている
代表
制
民主制
度と
国民投票
との相互
関係
を十分に吟味した上でのことです。 実り多い視察であり、参加できたことに感謝しております。どうもありがとう。
関谷勝嗣
9
○
会長
(
関谷勝嗣君
)
吉川
春子
君。
吉川春子
10
○
吉川
春子
君 私は、今回の
国民投票
制の
調査
で、
スイス
と
フランス
にはそれぞれ
国民投票
制が
国民
の間に定着していて、
民主主義
を支える
制度
として
機能
していることを実感しました。これは、立憲
制度
の
立場
からも大変必要な
制度
であり、同時に日本とは比較できない長い歴史と
地方
自治の上に存立していることを感じました。 日本では、
憲法
を改定するため、とりわけ九条二項の戦争放棄規定を廃止するという
目的
を持って、あるいはその一段階として
国民投票
法が
提案
されようとしていることは、この
制度
を論じるには今は適当な時期なのか、本来この
制度
の持つ意味がゆがめられるのではないか、私は大きな懸念を持っています。 第一に、両国には長い歴史があり、
スイス
の立法は
議会
の議決のみでなく
国民投票
が必要ですが、一年間に二十回から三十回もの
国民投票
が行われています。この直接
民主制
は、既に十九世紀前半には近代的な形で整えられています。 過去に行われた
国民投票
のうちで国論を二分するようなテーマがあったかとの質問に対し、最も適切な例の
一つ
として、一九三六年の
国民投票
で、ヨーロッパに戦争が迫ってくる中で
経済
を統制
経済
にしなければこの
危機
を乗り越えられないのではないかという趣旨から提起された
国民投票
で
否決
されたという例が挙げられました。一九三六年の日本がどんな状況であったかを
考え
ると、既にこの時期に
スイス
が
国民
の
意思
を問うて政治を進めようとしていたことは驚くべきことです。 第二に、両国とも
地方
自治がしっかりと根付いていると感じました。
スイス
は人口七百三十九万で、日本の十五分の一ですが、二十六の州、三千の
地方自治体
があります。
フランス
は人口六千百六十八万人で、三万五千の
コミューン
があり、五十万人の
地方議員
がいます。
フランス
も
スイス
も、
議員
は他の職業を持っているということを計算に入れても、
人口比
でこれだけの
地方議員
が多いということは、政治を身近に感じることができるのではないかと思います。 日本では町村合併が行われ、三千三百あった自治体がこの数年間で千八百を切るようなすごさですが、私の視察に行った中の自治体には、住民
投票
も意向
調査
すらもせずに、
議会
や長の判断で合併に踏み切ったところも少なくありません。
反対
されるからとの
理由
で住民
投票
を行わなかったところも幾つかありました。合併で住民自治が崩れようとする危険をはらんでいる日本のことを思いました。 第三に、社会のありようというか、
国民
の
価値
も日本とはかなり違っていると感じました。 私たちがパリに入ったとき、折しも
マル
セイユでは労働者のストライキが四十日目でしたが、
国民
の支持がある程度ないとこんなには長く続かないと思いました。 パリから五十キロ離れた田舎、フォンテーヌブロー、今回私たちもこの町を通りましたが、ここに住んでいる日本人作家の池澤夏樹さんは、町で会ったバカロレア
制度
に
反対
する高校生五百人程度のデモが、陽気で楽しそうでにぎやかだ、路上でデモを見る人の反応が良かったと書いています。そして、僕は東京の惨めなデモのことを
考え
ざるを得ない、まるで日本社会には良識ある
国民
はデモなどをしてはいけないという了解があるがごとくだと書かれていますけれども、本当にその感覚の違いというものを感じました。 それで、
国民投票
の
手続
ですけれども、
スイス
では活字による広報は認められていても、
テレビ
、
ラジオ
での宣伝が禁止されています。
国営放送
に近い
メディア
しかないということがその
理由
のようです。
フランス
では、
テレビ
等の宣伝は
政府
がお金を出しているという違いがあります。どうすれば
国民
の
意思
が公平に正確に反映できるか、実践の結果、そうした結論に至ったのではないかと思います。 当
委員会
でも参考人から指摘されていたことですが、
フランス
ではナポレオン三世、ドゴール
大統領
の時代など、人気
投票
に利用されたという苦い経験を教訓に生かそうとしているように見えます。 それとの
関係
で、今度の
EU
憲法
を
国民投票
にあえて付したシラク
大統領
の思惑についてもいろいろな
意見
を伺うことができました。
政府
が
国民投票
に付した際に、数千万部作成して
国民
に配布した資料をいただいてきました。これですが、A4版で百九十一ページに及んでいます。活字は九ポイントか八ポイント程度なので相当文字数は詰め込まれています。これをウイ・オア・ノン、
投票
することは本当に冒険で、短期間に
国民
がこれを読む時間的余裕があるのかという印象を持ちました。 私は、今回のヨーロッパ視察では、日本の
憲法
改定を
目的
として
国民投票
制を短期間で国会に付して結論を得るということは大変危険であるということを今回の
調査
で強く感じたことを申し上げて、
発言
を終わりたいと思います。
関谷勝嗣
11
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 次に、
近藤
正道
君。
近藤正道
12
○
近藤
正道
君 社民党・護憲連合の
近藤
正道
でございます。
国民投票制度
の
議論
が始まった中、
国民投票制度
を中心としたヨーロッパの
実情調査
に参加することができて、貴重な勉強の機会を与えていただきました。感謝を申し上げます。団長の
報告
に付加をいたしまして、私の感想を申し上げさせていただきたいと思います。 まず、全体の印象、感想でございますが、我が国では幾つかの自治体における住民
投票
の経験はあるものの、
国民投票制度
について経験を持っておりません。 そういう中で、
スイス
では年四回、あらかじめ
国民投票
の日が
制定
されておりまして、一年に平均二、三十回の、つまり各
レベル
の
国民投票
を合計いたしますと年二、三十回の
国民投票
が行われておると。正に日常的に
国民投票
が行われております。 そして、
フランス
でありますけれども、ここでもしばしば
国民投票
が実施され、国会における圧倒的多数の
賛成
にもかかわらず、
国民投票
の結果、これに反する結果を導き出してほかの
EU
の
加盟国
に甚大な影響を与えておきながら、
政権
交代にもならず、
政党
トップの責任問題も起こらず、淡々と
国民投票
の結果を受け止める
フランス
。 この
二つ
の国を見てきたわけでありますが、いずれの国もこの直接
民主主義
、
国民投票
が
国民
の政治の中に、
立法過程
の中にかなりの歴史を持ってしっかりと根付いて定着をしている。正に
民主主義
の成熟と受け止め、大変感銘を受けました。 今回の
調査
で、私は、
憲法改正
国民投票
の際の
国民
運動
と
メディア
の
規制
、
投票
方式の在り方、方法の在り方、これが今この国でも大きな
議論
になっているわけでございますが、これらの点についてかの国ではどういうふうな
対応
をしているのか、このことに関心がありました。
国民
運動
と
メディア
の
規制
でございますが、
スイス
、
フランス
ともインターネットとかあるいは携帯など、新しい
媒体
利用も含め原則自由という形で行われているというふうに私は見ました。今、
運動
、
メディア
とも自由であって、自由に表現活動と
情報提供
活動を行っておって規則は原則的にないと、こういうふうに私は見ました。ただし、
国民
の
メディア
の活用の在り方、
政府
の
情報提供
と支援の在り方、かかわり方については、それぞれ
二つ
の国とも大変苦労をしているなというふうに思いました。
政府
の
情報提供
と支援の在り方、かかわり方について大変苦労しているというふうに思いました。 そして、
国民投票
の実施に当たり、
政府
の
公正性
を担保するためにどうするか。先ほど
政党
助成金
の話もありましたけれども、公平に
政府
が賛否両方の
意見
に機会を保障する、そのためにはどうしたらいいか、本当にたくさんの
議論
すべき問題があるということがよく分かりました。
投票方法
でありますけれども、
フランス
では
EU
憲法
条約
について十五の
条約
を四百四十八か条の
条約
にまとめ、これを一括して
国民
に問う方式を取りました。先ほど
吉川
委員
が言ったところでありますが、果たして
国民
に正しい情報が伝わったのか、
国民
は十分に
内容
を理解できたのか、正しい情報に基づき
国民
の正確な
意思
表示が行われたのか、たくさんの課題や問題点が指摘されております。当時の政治状況が大きな影響を与えているということもまた事実でございます。こういうことを十分に整理をし、分析をしていくことが必要だというふうに思っています。 また、我が国では
投票方法
について、条文ごとに行うのか、あるいは一括
投票
で行うのかという
議論
もあります。今回の
フランス
の
EU
憲法
条約
のこの問題が
一つ
の大きな参考になるというふうに思っています。この国の
憲法
の理念に照らしてどちらがいいのか、十分に
議論
すべき問題だというふうに改めて思いました。 さらに、そもそも
国民投票
としてあらかじめ一般法を定める方法がいいのか、あるいはその都度ルールを定める
フランス
の
デクレ
のような方式がいいのか、こういう
議論
もあると思いました。そしてまた、
憲法改正
の限界についての論議も、どこでどのように論議をするのかということも含めて、これもやっぱり論議に値する、こういう問題があるということも分かりました。 いずれにいたしましても、たくさんの論点があるわけでございますので、これを論点整理をしながら、これから
一つ
一つ
十分な時間を掛けながら、
国民
の見ている前でしっかりと論議をしていくという当たり前のことでありますが、そのことを改めて痛感をした、これが私の率直な印象でございます。 以上でございます。
関谷勝嗣
13
○
会長
(
関谷勝嗣君
) ありがとうございました。 以上で
海外派遣議員
の
報告
は終了いたしました。 これより、ただいまの
海外派遣議員
の
報告
を踏まえ、一時間程度、
委員
相互間の
意見
交換を行いたいと存じます。 まず、各会派を一巡してそれぞれ五分程度御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 それでは、御
意見
のある方は順次御
発言
願います。
森元
恒雄
君。
森元恒雄
14
○
森元
恒雄
君 ただいまの
スイス
、
フランス
、
EU
の
派遣議員
の先生方の
報告
をお聞きしまして、私なりの感想を申し上げたいと思います。 まず、
一つ
非常に印象を受けたのは、
フランス
のその
憲法院
の存在、あるいは
国民投票
のルールを
法律
ではなくて
デクレ
で決めるということについてですね。これは、
憲法改正
を様々な諸情勢の変化に、時代の変化に応じて円滑、スムーズに
対応
していくという方法として優れた
一つ
の手法かなという印象を受けました。 特に、我が国の場合には
最高裁判所
が
憲法
判断を回避してきたということが、この五、六十年の長い間にわたって
憲法改正
が一回も行われずに来たということに多少なりとも影響があったところではないのかなという感じを持っておりますけれども、そういうことからして、
条約
の締結あるいは
法律
の
制定
等々に当たって違憲判断を適時適切に行っていくということが
憲法
の在り方そのものにも影響を及ぼしているんだということを改めて認識した次第でございます。 反面、
法律
の、この
国民投票
については
スイス
あるいは
フランス
も定着をしておるというふうに伺ったわけでありますけれども、これはむしろその
制度
改正
を、時代のスピーディーな変化に
対応
するのを難しくしている、ブレーキを掛ける方向で働いておるような気がいたしました。 特に、
スイス
の場合には、国会が
制定
した
法律
を
国民投票
でむしろ拒否するか否かを問われるという仕掛けでございますので、殊更そういう印象を受けました。この辺は、国の成り立ち等の違いあるいは
制度
の定着の違い等を
考え
た場合に、我が国でこの両国のような
国民投票制度
を導入することは私はむしろ消極的に解する次第でございます。 それから、あと一点、両国とも
地方
自治が大変進んでいるといいますか、定着している国でございます。私も二年ほど前、
フランス
の内務省を訪れまして、三万五千の市町村についてこれを合併推進するというような
考え
がないのかというようなことを聞きましたけれども、日本とやっぱり
フランス
なんかの場合には、市町村の
地域
における意味、あるいは市町村長の
役割
、ポジションというものがかなり違っているような気がいたしました。それからまた、市町村にどのような仕事を期待するのか、担ってもらうのかというようなこの位置付けも違うところが多分にあるんじゃないかなと。 ただ、日本の場合にも、合併を進めても、やはり住民自治というものをもっと充実していく手法としてどういうものがあるかと。合併特例区とか自治区とかいう
制度
が設けられておりますけれども、そういうものをどう活用していくかということがあるんじゃないかなという感じがしております。 以上でございます。
関谷勝嗣
15
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 藤末
健三
君。
藤末健三
16
○藤末
健三
君 民主党・新緑風会の藤末でございます。
調査
団の皆様、本当に御苦労さまでございました。非常に貴重な情報をいただき、ありがとうございます。 私、実は自分なりにヨーロッパの
国民投票制度
をちょっと勉強しておりまして、
三つ
の点についてお話をしたいと思います。
一つ
は、
舛添
先生、また浅尾先生等からお話がありました
国民投票
法の在り方について、そして
二つ
目に、
近藤
先生、
喜納
先生、
吉川
先生からもお話がありました
運動
の
規制
について、そして三点目に、ほとんどの
議員
からお話がありました
投票
の方式について、三点お話ししたいと思います。 まずは
国民投票
法の在り方につきましては、
舛添
先生から
フランス
の
デクレ
型の臨機応変なシステムがあるということをおっしゃっていただいたんですが、一方で、勉強してみますと、スウェーデンなどは
国民投票
法の一般法があり、そして各事項ごとに特別法を作ってやっているという方式もございます。ですから、何が一概にいいかというのはまた言えないとは思うんですけど、いろんな方式があるんではないかということをまず
一つ
問題提起をさせていただきたい。 そして、二番目にございますのが
運動
の
規制
でございます。今回、
フランス
にも行っていただきましたけれど、
運動
の
規制
につきましては、例えば
フランス
ですと、
国民投票
の方式を規定する
デクレ
だけではなく、選挙法典などにおいて、日本でいうと選挙法においても
運動
の仕方を定義していると。
イタリア
も同様に、選挙
運動
の情報アクセスに関する
法律
という
法律
を作りまして、
国民
運動
のやり方を規定しているということでございますので、ここも深い
議論
が要るんではないかと思います。 そしてまた、三点目に
投票
の方式でございますが、
吉川
先生や
近藤
先生から御指摘ありますように、本当にイエスとノーという
議論
だけでいいのかという話があると思います。実際には、調べてみますと、
フランス
、
イタリア
、スウェーデン、あとデンマークも、私が知っている範囲ではすべて
マル
・ペケなんですよ、
投票
の方式は。ですから、我が国においてどういう
投票
方式を取るかということを我々深く
議論
する必要があるんではないかというふうに
考え
ております。 それで、もし皆様の、
調査
団の中で御存じの方がおられたら伺いたいことが一点ございまして、この
国民投票
法、各国で
民主主義
の
一つ
の基盤として働いているわけでございますが、どういう
議論
の過程で生まれてきたのか、そしてまた、その
制度
をつくるときにどれだけの期間を掛けたなどかを御存じの方がおられたら是非御示唆いただきたいと思います。 以上でございます。
関谷勝嗣
17
○
会長
(
関谷勝嗣君
)
山口那津男
君。
山口那津男
18
○
山口那津男
君 公明党の
山口那津男
でございます。 公明党からは、このたびの派遣には参加者がおりませんでした。ただいま団長の御
報告
及び
派遣議員
の
発言
等をお聞きいたしまして、何点か感想を述べたいと思います。 まず、歴史と
伝統
ある
民主主義
国家
の経験、また
EU
のような新しい試みに学ぶところは非常に多いと思います。とりわけ、それらの
制度
の
背景
や盛り込まれた
価値
観、あるいは具体的な運用の状況、これらを比較対照することによって我が国においての在り方について具体的な論点を明確にしながら今後
議論
していくことが必要だろうと思っております。 そして、幾つかの論点について述べたいと思います。 まず、
国民投票制度
の
機能
とか対象、これが主要な論点になろうかと思います。特に
国民
主権
とこの
国民投票制度
との
関係
ということについては、これをどう見るかによってその対象の選択にも掛かってくるのではないかと思うわけであります。 また、この
憲法
に関する
国民投票制度
というのは、その投入資源、人や手間や時間といったものは最大の
投票
制度
になる
可能性
もあるわけでありまして、それをどう使うかというのは非常に難しい問題だろうと思っております。
スイス
も
フランス
も、
憲法改正
以外もその対象にするものを特定して行うという仕組みを取っているようでありますが、我が国もその
可能性
は排除されていないと思います。 一方で、国政選挙との
機能
の違いというものも明確にする必要があると思います。昨年行われたいわゆる郵政解散と言われるものは、単独の問題が主たる争点になった珍しい例でもありまして、非常にこの国政選挙というのは多様な
機能
を担っているだろうと思います。 それから、
案件
の
情報提供
についても
スイス
と
フランス
ではやり方が異なると。ここで問われているのは、発議者あるいは情報を提供する側の公正さというのがいかに担保されるべきかということと自由な情報の交換というものをどう確保するかということが非常に
二つ
大きな
価値
だろうと思っております。
EU
の
憲法
条約
の実例を見たときには
加盟国
の
政府
の努力というものが少し足りなかったのではないかと、重要な反省点だろうと思います。 次に、
運動
、
メディア
の
役割
といったものも
スイス
と
フランス
ではそれぞれその基盤的な
制度
との
関係
で違いが出ているわけでありますけれども、これについてはなるべく広い情報の交流の機会を保障するということが大切でありまして、その意味では発議から
投票
に至るまでの期間をどう
考え
るかと。これは
スイス
、
フランス
の比較はなされておりませんけれども、この点も重要な論点になろうかと思っております。 それから、
投票方法
につきまして、
スイス
は賛否の
意思
を明確にさせるというところに重点が置かれておりまして、
マル
・バツ方式とは違う点があるわけでありまして、その点、その
意思
の明確性をどう確保するか、それがひいては結果の
正当性
にどうつながってくるかというところをどう
考え
るかということだろうと思います。 それから、今回の
報告
にはありませんが、その他にも重要な論点がありまして、
投票
権を持つ人をどの範囲で設定するか。これはこれまでも二十歳あるいは十八歳といろんな
考え方
が出されておりますけれども、ここは
憲法
と国政選挙の
投票
権とは違うと私は基本的に
考え
ます。
憲法
についてはやはり、人を選ぶあるいは
政党
を選ぶということではなくて、自分自身の人権やあるいは自らの担う
政府
、統治機構をどうするかということでありまして、この点については国政選挙よりもより広い
投票
権を認めるべき余地があるだろうと思います。 これら具体的な
制度
をつくるに当たって、技術的な面よりも一般的な論点、これを明らかにしてこれからもっと
調査
の
内容
を深めるべきであると、こう
考え
ております。 以上であります。
関谷勝嗣
19
○
会長
(
関谷勝嗣君
)
吉川
春子
君。
吉川春子
20
○
吉川
春子
君 先ほど
報告
させていただきましたが、四点について質問をさせていただきます。 まず、
フランス
の
デクレ
についてなんですけれども、
舛添
先生の方から時代に即したルールが作れるという良さがあるという御指摘がありましたけれども、逆に言うと、その時々の
政府
の思惑によって
デクレ
の
内容
が変わってくるという、国会、
議会
を通さない政令として作られますので、そういう危険性があるのではないかというふうに思いました。
フランス
においては
憲法院
というものがかなり厳しくこれをコントロールしているということと、何よりも全体として何か歴史的な
民主主義
のルールみたいものがあって、その時々の
政府
の恣意的な
内容
に流れないようにしているという配慮を伺いましたけれども、そういう点をどうお
考え
になるのかという点が第一点です。 それから、先ほど私は触れましたけれども、
地方自治体
の数がもう決定的に日本の十倍とか二十倍とか、
議員
の数も五十万人とか、こういう人たちが政治を支えていて、
国民
が日常的に自分の
意思
表示をして、それが政治に反映させるというふうに、まあ理想的にいっているという意味じゃないんですけれども、そういうことが行われようとしているときに、今の日本では町村合併というところで、広大な範囲を
一つ
の自治体にして、今まで四つとか、佐渡では十あった自治体を
一つ
にして、そういう政治が行われている。
地方
自治が非常に私は
危機
に瀕しているというふうに思うんですけれども。そういう土壌の中で、やっぱり
国民投票
制というものが
民主主義
を強化する方法として
機能
できないのではないかという懸念がありますが、この点についてはどなたでも結構なんですけれども、質問したいと思います。 それから、
投票
方式、
投票方法
なんですけれども、やっぱりかなり自由が保障されているということを実感いたしました。それと、この
EU
憲法
、
投票
に付された
内容
が物すごい膨大なんですけれども、今、日本でいろいろな
国民投票法案
の案が報道されております中には一括というようなものもあるわけですけれども、これは大変危険だなと思います。例えば、
スイス
などは、空港にエスカレーター、エレベーターを設置するのがいいかどうか、こういう単純なことも
国民投票
に付されると、住民
投票
に付されるというふうになっておりますので、それはそれで
機能
しているわけですけれども、こういう大部なものが一括して
投票
に付されてしまうということについて大変危惧を感じました。 そして、以上ひっくるめて、私は、やっぱり日本で今非常に大慌てで
国民投票法案
を作成するという、そういうことはやっぱりこの
制度
を
議論
する環境としてはふさわしくないと思うのですが、特に自民党とか民主党の方からのお
考え
を伺えればと思います。 以上です。
関谷勝嗣
21
○
会長
(
関谷勝嗣君
)
近藤
正道
君。
近藤正道
22
○
近藤
正道
君
近藤
ですが、先ほどの話の続きという意味で、そしてまた今ほど
吉川
委員
の方から質問といいましょうか問題提起等もありましたんで、これと絡めて私の補足
意見
を申し上げさせていただきたいと思います。 まず、この
国民投票制度
を今すぐやるかどうかという問題について申し上げたいと思いますが、
スイス
、
フランス
へ行きまして、
憲法改正
がよく行われていると、こういう話を聞きました。しかし、
スイス
では税率まで
憲法
で定める国でありますし、
フランス
でも、この間の
改正
内容
を見ますと、統治機構を動かすと、これが中心でありまして、
フランス
の人権宣言、
フランス
革命の直後に作られた
フランス
の人権宣言は今も
フランス
の
憲法
の中に取り込まれ、今も健在であるということでございます。 つまり、基本的なところ、
国家
と
国民
の基本的な
関係
、基本的人権の根本のところは百年あるいは二百年変わっていないということが大勢ではないか、こんなふうに私は思っておりまして、日本で今
議論
されている
憲法改正
の問題は九条など正に根本のところを変えようという、そういう問題でありますので、
国民
の
意見
はこの点については分かれている、九条につきましてはこの本
調査会
でも
意見
はまとまっていないと、こういう意味ではまとまっていないのが現実でありますし、
国民
の間では少なくとも九条については全く
意見
は分かれている。そういう中で、
国民投票
の必要性を今直ちにという条件が果たしてあるのかどうか、私自身は基本的に疑問に思っているところでございます。 そういう
立場
に立って、先ほど申し上げましたけれども、
フランス
、
スイス
へ行きまして本当に
国民投票
の論点が多岐にわたっている、山ほどあると、こういう印象を強く持ちましたんで、時間を掛けてオープンの場で十分な慎重審議が必要であると、こういうふうに申し上げたわけでございます。 そして、もう
一つ
、
国民投票
のルールの問題でありますが、一般法がいいか
デクレ
的な方法がいいのかという話を、私、先ほどいたしましたけれども、私が言った
デクレ
的な方法は、
フランス
のような行
政府
が作るということではなくて、いずれも国会が作るということが大前提でありまして、あらかじめ一般法として作っておいた方がいいのか、
改正
案がある程度できた段階でそれをにらみながら
国民投票
のルールを定めた方がいいのか、どちらがいいのかということについては十分検討に値すると、そういうふうに申し上げたわけでありまして、行
政府
が、幾らその
憲法院
等が監視をするからといって、そこが、行
政府
が作るということは全く想定外であるということはやっぱり申し上げておきたいというふうに思っています。
投票
方式の問題でありますが、私は、改めてこの今回の
フランス
の
EU
憲法
条約
の
国民投票
を見まして、やっぱり論点を絞り込み、条文ごとに丁寧に
国民
の
意思
を問う、そういう方式でないと
憲法
の理念に合致しない、そして
国民
もしっかりと
憲法
制定
権の行使ができないということを改めて痛感をしたということを申し上げておきたいというふうに思います。 以上です。
関谷勝嗣
23
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 各会派を一巡して御
発言
をいただきましたが、他に御
意見
のある方は挙手をお願いいたします。 なお、一回の
発言
時間は五分程度でお願いいたします。 それでは、まず
福島啓史郎
君。
福島啓史郎
24
○
福島啓史郎
君 私、今日、
議題
になっております
報告
につきまして、私の
意見
を述べたいと思います。 まず、
国民投票制度
でございます。
報告
にありました、
スイス
、
フランス
の例が御
報告
ありました。私は、この
国民投票制度
といいますのは、それぞれの国の
民主主義
の在り方と密接不可分の
関係
にあると思います。言い換えれば、
スイス
は直接
民主制
であり、
フランス
は半直接
民主制
であると。これに対しまして、私の
考え
るところによれば、日本は
代議制
だろうと思います。これは要するに明治のですね、要するに、この国会開設
運動
などから見ましても、やっぱり
代議制
を日本の
民主主義
の原点にしているだろうと思うわけでございます。したがって、
代議制
を通じた
民主主義
というのが私は日本の
民主主義
の基本ではないかと思うわけでございまして、そういう意味でこの
国民投票制度
を
考え
なければならない。 そうしますと、私、日本における
国民投票制度
といいますのは、
一つ
は
憲法改正
でございますね。これはもう
憲法
にも書いてあるところでございます。それ以外の事項につきまして
国民投票制度
を設けるか設けないかにつきましては、私はそれは解散によって民意を問うべきものではないかというふうに思います。 どういう場合に解散を行うべきかということにつきましては、例えばこの
報告書
の二ページにあります、
スイス
の場合の
集団安全保障
のための
組織
又は超
国家的共同体
への
加盟
などの義務的に行う場合の例、それから
フランス
の、八ページにあります公権力の
組織
に関する
法案
、
経済
・
社会政策
に関する
法案
、重要な
条約
の
批准
を
国民投票
にかけるという規定があるわけでございますけれども、そういった重要な事項につきまして解散によって民意を問うということを日本の
民主主義
の慣行として運用をしていくということを検討すべきではないかというのが私の
国民投票制度
に対する
意見
でございます。 二番目に、
憲法裁判所
でございますけれども、私は、日本において、自民党の
憲法草案
にはないわけでございますけれども、検討に値する課題だというふうに
考え
ております。その場合には、
憲法裁判所
は
フランス
のように、
フランス
のこの
役割
は、私、一種の賢人
会議
だろうと思います。その一院、
二院
の上に更に賢人
会議
として、国の重要な事柄につきまして、国の
政策
を過ちなきよう賢人として
チェック
をするという、そういう
役割
を
憲法裁判所
を設けて担わせるのも、私、十分検討に値することではないかというふうに
考え
ております。 三番目に、
EU
憲法
条約
についてでございますけれども、私、
フランス
で
否決
されたときにヨーロッパにいたわけでございますけれども、デンマークにしましても
フランス
にしましても、
EU
が将来
拡大
をしていって、そのときに、国とこの
拡大
されていったあるいは統合されていった
EU
との
関係
につきまして
国民
が不安に思っている、この先どういうふうになっていくんだろうかというその不安が、私、
否決
に導いただろうと思いますし、そのことについて
EU
は将来像をむしろ示さなければ、この
憲法
条約
はなかなか
賛成
を得るのは難しいんじゃないかという印象を受けました。これは
意見
でございます。 以上でございます。
関谷勝嗣
25
○
会長
(
関谷勝嗣君
) ここで、先ほど、藤末
健三
君と
吉川
春子
君からの質問に対して、
舛添要一
君が答弁をしたいそうでございますので、
発言
を許します。どうぞ、
舛添
君。
舛添要一
26
○
舛添要一
君 私は、藤末
委員
がおっしゃったように、スウェーデンのようなやり方が一番いいだろうと。基本的な恒久法を決めて、そして時代に応じてその細かい細則について変えていく、それは
近藤
委員
がおっしゃったように、全部国会で決めてもいいと思うんです。 ただ、実を言うと、今、
国民投票法案
ということでそれに焦点が当たっていますが、これは単なる
手続
法です。したがって、
内容
は例えば
憲法
九条であり、
憲法改正
の
内容
が実は最大の問題であるわけです。
フランス
の場合、もし仮に
デクレ
じゃなくて
法律
で
国民投票法案
を決めていたら、ここまで
国民
からノンを言われなかったんじゃないかと。つまり、もろ刃のやいばだというのは、何だ、
政府
が勝手にルール決めたじゃないかと。例えば、先ほど
吉川
委員
から御紹介あった
憲法
条約
のこんな分厚いやつ、これ見てくださいと。それだけで分かんないもんですから、
政府
がこの
EU
憲法
はこういうことですよと
解説
文を付しているんです。
解説
文は
賛成
の
立場
からやりますから、
政府
の金使って、賛否両論入れるんじゃなくて
賛成
の方の
解説
文しか出してないじゃないかと、そんな
政府
の言いなりになってたまるかといってノンを入れて、シラク
政権
に対する不満の表明をそこでやっちゃったんです。 だから逆に、そのルール設定段階で国会がきちんと関与していれば、これは国会で決めたことですからそのとおりやりましたということだったんですけれども、
政府
の
デクレ
だったがゆえにむしろ
反対
、反発を呼んだという面もあるんで、私は、
国民投票法案
が重要でないとは申し上げませんけれども、
憲法改正
の中身の方が大事であって、たかが
手続
法だということも
考え
ていいと思います。 というのは、
投票
時間を八時までにするか七時に終わるか、それはその時々で、十八にするか二十歳にするか、果たしてそれが野党に有利なのか与党に有利なのかというのはそう簡単に判別付かないから、それはどっちであったって
改正
の
内容
が良ければ勝つんですよと、そういうコンセンサスが得られることが必要だろうと思っています。 以上です。
関谷勝嗣
27
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 次に、
犬塚
直史
君。
犬塚直史
28
○
犬塚
直史
君 民主党の
犬塚
です。 先ほど
吉川
委員
お持ちになったA四判の例の百九十ページというやつですね。あれも私も手に取ってみたんですが、非常に薄い紙でもうびっしりと書いてあると。その
立場
を
説明
した
説明書
も見たんですけれども、多分あれをちゃんと読んだ人はいないだろうと。
国民
性からいって訳の分かんないものは取りあえずノンだという
国民
性は私、あると思うんですね。 それに対して、非常に良くできているなと思ったのは、あのころやっていた
テレビ
番組で、シラク
大統領
が出て、その周りを若者が二百人ぐらい囲んでもうあらゆる角度からいろんな質問をして、それに対してシラクさんが答えていくというような番組があったのを御存じだと思うんですけれども、ああいうものが果たす
役割
というのは非常に大きかっただろうなと。しかし、
一つ
一つ
条文ごとに中身を精査していくような
内容
にはもちろんなり得るべくもなく、やっぱり理解の
レベル
が非常に低い人もいれば高い人もいるので、全般としてはちょっと物足りないような番組になってしまったなというのが印象なんですけれども。 やっぱり同じようなことを
考え
て日本でこういうことをやるとしたら、やっぱりこれはどう見ても条文ごとに十分な情報量を皆さんに提供するという
役割
を持つのは、
一つ
にはお茶の間にどんと座っている
テレビ
じゃないかなと。やっぱりここで
国営放送
が、例えば一か月、二か月前からもう常に条文ごとにいろんな情報を流していると、あるいはもうけんけんがくがくの
議論
をいつもやっているというぐらいの状況になければ、
フランス
と同じように、訳分かんないから
フランス
ではノンと言ったけれども、日本の場合は、訳分かんないときは信頼している人の言うとおりになってしまうから、ちょっとそれは分かんないんですけれどもね。 いずれにしても、そういう
投票
になってしまわないように、条文ごとにしっかりとした
情報提供
を行うという、まずその
手続
の方をしっかり担保するということが中身よりもむしろ私はまず重要に
考え
るべきじゃないかと。拙速は絶対いかぬよということを申し上げておきたいと思います。 以上でした。
関谷勝嗣
29
○
会長
(
関谷勝嗣君
)
鈴木
寛君。
鈴木寛
30
○
鈴木
寛君 ありがとうございます。 今日は大変すばらしい
報告
を聞かしていただきまして、誠にありがとうございました。
国民投票
をやる上でのいろいろな留意点については、今日御
報告
があったこと、あるいは更にここで引き続き
議論
があることを踏まえて更に詰めていけばいいということについて私は全く異論はないんですけれども、少し、与党の一部の先生方から、やっぱり
国民投票
に対する必ずしも積極的でない御
意見
がございましたので、少し我々の、与野党の先生方から、御
意見
を申し上げたいと思うんですが、我々、やっぱり
憲法調査会
で
議論
をしている原点は何かというと、やっぱりこの国の
民主主義
とか法治
国家
というものをこれを機会にきちっと再建をするといいますか、立て直すというやっぱり論点というのは必要だろうというふうに思っております。 そういう観点から見たときに、日本の
有権者
、とりわけ若者の政治的無関心というものに
憲法
を
議論
するということがどれだけこたえ得るのかということ、それからさらに、やっぱり昨今の日本の政治といいますか、この戦後政治を総括したときに、官僚政治の弊害あるいは限界と、それに対する
主権
在民というものの強化ということをやはりこの
憲法
議論
の中で深めていくということ、それによる正に官に対する政治家の優位、
政党
政治の優位ということも確立をされると思います。 やはりこのいわゆる
主権
者の関心あるいは参加、参画の低調というのは、やっぱり本当にこの
民主主義
の
正当性
、さらには昨今やっぱり法治
国家
が揺らいでいるというのも、要は自分たちが参加してこのルールを作っているという実感がないということと私は裏腹の
関係
にあるというふうに思います。 そういう意味で、今日の
報告
で私は非常に注目をさせていただいたのは、やはり
スイス
、もちろんやや過剰であるということはあるにしても、
国民投票
ということがこの統治構造あるいはルールの徹底という中にビルトインされていて、そして立法者が、
スイス国民
への
説明
ということが極めて重要な立法あるいは
政策
の決定のプロセスの正に根幹にあるという御
報告
は、私は大変重要な御
報告
だと思っております。 我々もやっぱりそういう意味で
国民投票
の持つ
主権
在民の強化という観点を注目せざるを得ないわけでありまして、とりわけ通常の選挙というのは最終的には人を選ぶわけですね。候補者を選ぶ選挙であります。したがいまして、どうしてもやはりその先には権力の奪取ということが最終的な争点にならざるを得ない。もちろん、最近はマニフェスト選挙ということによってそれを是正、深化をしようという方向は、これは多としたいと思いますが。 一方、
国民投票
というのは、これの最終的な選択の対象、判断の対象というのは、これは立
法案
であります。
政策
案であります。そのことはやっぱり極めて重要であって、正に
国民
の皆様方が立法とかあるいは
政策
ということについて関心あるいは参加、参画を促進すると。そのことによって
国民
の皆さんのこの
法律
、このルールの実現というもの、さらには法治
国家
の実現というものにコミットメントを高めるというやっぱり
国民投票
の持つ
意義
というものは、私はこの
憲法調査会
で確認をすべきだと思います。 それで、
舛添
議員
が
国民投票
の対象を限定的にという御趣旨のお話があったかと思います。確かに、そういうことを留意をして
制度
設計をすべきだという御主張だと思いますので、その限りにおいては私も分かるわけでありますが、やや
議論
を正確にするためにあえて申し上げますと、私は、今申し上げたような
国民投票
の持つ性格あるいは効果ということから
考え
ると、
日本国憲法
の
憲法
典に限定をするということはやっぱり控えるべきであろうと。私も、
簗瀬
議員
が従来から主張されていらっしゃるように、やっぱり重要事項は
国民投票
の対象にすべきだというふうに思います。 その
理由
は、今申し上げたことと、加えて、いわゆる
国民投票
の対象は、やっぱりコンスティチューションプラスアルファのところは
国民投票
の対象にすべきだということは恐らく
舛添
議員
にも御理解をいただけると思いますが、コンスティチューションというのは単に
日本国憲法
典のみによって構成されているわけではなくて、正に
日本国憲法
典とともに統治構造の根幹を規定する立法あるいは
憲法
附属法というものはこれはあるわけで、何が
憲法
附属法で、何がその根幹を規定する
法律
なのか、これは最終的に国会が決めればいい話なんですが、少なくともそうしたものについてはやはり
国民投票
のターゲットに私はすべきだろうと。 そういう意味で、やはり重要事項、
憲法
典プラス重要事項という枠組みというのは残しておくといいますか、そういうことで臨むべきではないかと。その重要事項の決め方、その淵源、範囲等についてはこれから御
議論
を深めていっていただければいいと思いますが、今の二点の観点から、
簗瀬
先生始め我々民主党が主張している重要事項も対象にすべきであるということについて私から
意見
を述べさせていただきました。 以上でございます。
関谷勝嗣
31
○
会長
(
関谷勝嗣君
) ありがとうございました。
吉川
春子
君から
発言
の申出がありますけれども、三度目でございますので、二分でお願いいたします。
吉川春子
32
○
吉川
春子
君 分かりました。 先ほど民主党の藤末
議員
の方からどれぐらいの期間が
法案
の検討に要されたかという趣旨の御質問があったんですけれども、
スイス
は、この議運の議事録の末尾に掲載されていますように、この
報告
がですね、一八一五年のウィーン
会議
で
永世中立国
として承認されて
民主主義
国家
として発展してきたという非常に古い歴史がありまして、百二十五年続いた一八七四年の
憲法
を一九九九年に全面改定したと。
スイス
の場合は
国民投票
制と
二院制
と
二つ
のものがあるので非常に
意思
決定としては時間が掛かると。しかし、それは
国民
の納得の下、じっくりと
政策
に対する
国民
の
意思
決定を得ていくんだという、こういう
報告
がありまして、私もその辺大変感銘を受けました。 ですから、慌てていろんなものを早くスケジュール的に決めてしまう、早く
国民投票
法を作り上げて
憲法改正
を何とか早くしようというような、そういう焦り方はしない方がいいなと、そのことは今度の教訓であると私は受け止めております。 以上です。
関谷勝嗣
33
○
会長
(
関谷勝嗣君
) 藤末
健三
君から再度御
意見
をいただきます。
藤末健三
34
○藤末
健三
君 私も
意見
と申しますか、
舛添
先生と
鈴木
先生、そして
犬塚
先生がおっしゃっていることについてなんですが、やはり
運動
をどうするかと、
国民
運動
をどうするかというのは非常に重要なことだと思います。 一番初めの、前の
発言
で申し上げたんですけれども、やはり
運動
の仕方については、各国、
国民投票
法だけではなく、選挙
制度
、また
イタリア
においては選挙
運動
期間及び
国民投票運動
期間の情報
機関
への平等なアクセス並びに政治的
情報提供
に関する
法律
という何か長い
法律
がありまして、その中で、やはり放送事業者は情報を発信しちゃいけないとか、世論
調査
は公表しちゃいけないとか、あと行政
機関
は
情報提供
しちゃいけないと決まっているんです、
イタリア
は。 ですから、やはり我々もきちんと若い人たちに政治に関心を持っていただくこと、そして細かい
内容
を理解して
投票
していただくことということを真剣に
考え
て
議論
をして
制度
をつくっていくべきではないかと思っておりますので、是非
議論
をしていきたいと思います。 お願いします。
関谷勝嗣
35
○
会長
(
関谷勝嗣君
)
喜納
昌吉
君。
喜納昌吉
36
○
喜納
昌吉
君 私も、
憲法調査会
にいて少し
憲法
のことを勉強しながら感じたんですけれども、西洋の
憲法
よりも日本の
憲法
の方が進んでいるのではないかということを感じるんですね、どこかで。特に進んでいる部分は
憲法
九条と前文。しかし、そこら辺になぜか
改正
の流れがあるように感じて、非常に残念だなと思っているんですね。 そこで、今の
憲法
全体を見ると、
主権
在民と天皇制と、特に
条約
の力
関係
が、力
関係
の位置が今の
憲法
では、大体、何というのかな、どちらに主体があるのかあいまいであるという。だから、この辺を、あいまいな部分をもっともっと、何というんですか、
国民投票
ではっきりさせていくような、
国民投票
に力を与えていく、
権利
を与えていく。多種にわたってもっと
国民投票
に、住民
投票
もそうなんですけれども、
市民
投票
もそうなんですけれども、そこに与えるという方向に
憲法
を
改正
していった方がいいんではないかと私は思っているんですね。 なぜならば、
憲法
はやっぱり
国民
の精神を拘束して未来へ運ぶという
役割
を持っていますから、今の日米同盟だけでは私は非常に危険な方向に行くんではないかという感じがします。 もっともっと、西洋から繰り広げられてくるグローバルも問題でありますから、日本側から、何ていうんですかね、西洋と東洋を看破していくというんですかね、新しい
考え方
を出していくような堂々とした
憲法
を作った方がいいんではないかと思っています。言わば地球丸ごとという感じでね。そう思っています。
関谷勝嗣
37
○
会長
(
関谷勝嗣君
) ありがとうございました。 それでは、本日の
意見
交換はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十分散会