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2006-05-15 第164回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任         仁比 聡平君     小林美恵子君  五月十一日     辞任         補欠選任         前川 清成君     簗瀬  進君  五月十二日     辞任         補欠選任         尾立 源幸君     松下 新平君  五月十五日     辞任         補欠選任         小林美恵子君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 武見 敬三君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 荒井 正吾君                 坂本由紀子君                 田浦  直君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 西銘順志郎君                 野村 哲郎君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 那谷屋正義君                 藤末 健三君                 松下 新平君                 簗瀬  進君                 和田ひろ子君                 高野 博師君                 西田 実仁君                 大門実紀史君                 又市 征治君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        環境大臣     小池百合子君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        経済産業大臣政        務官       小林  温君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        内閣産業再生        機構担当室長   広瀬 哲樹君        金融庁総務企画        局審議官     畑中龍太郎君        農林水産大臣官        房長       白須 敏朗君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君        水産庁長官    小林 芳雄君        経済産業大臣官        房総括審議官   松永 和夫君        経済産業大臣官        房審議官     大辻 義弘君        経済産業省製造        産業局長     石毛 博行君        経済産業省商務        情報政策局消費        経済部長     谷 みどり君        資源エネルギー        庁長官      小平 信因君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君        原子力安全・保        安院長      広瀬 研吉君        特許庁長官    中嶋  誠君        中小企業庁長官  望月 晴文君        環境大臣官房長  西尾 哲茂君        環境省総合環境        政策局長     田村 義雄君        環境省地球環境        局長       小林  光君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   千坂 正志君        会計検査院事務        総局第四局長   帆刈 信一君        会計検査院事務        総局第五局長   増田 峯明君    参考人        農林漁業金融公        庫理事      市村 信之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六  年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十六年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (農林水産省経済産業省環境省農林漁業  金融公庫中小企業金融公庫及び中小企業総合  事業団信用保険部門の部)     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十日、仁比聡平君が委員辞任され、その補欠として小林美恵子君が選任されました。  また、去る十一日、前川清成君が委員辞任され、その補欠として簗瀬進君が選任されました。  また、去る十二日、尾立源幸君が委員辞任され、その補欠として松下新平君が選任されました。  また、本日、小林美恵子君が委員辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 平成十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省経済産業省環境省農林漁業金融公庫中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団信用保険部門決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野村哲郎

    野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  省庁別決算審査もいよいよ本日をもって終了するわけでありますが、最後になりましてトップバッターとして御質問を、中心的には農林省を中心に御質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、全農不祥事についての御質問を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、全国農業協同組合連合会通称全農と言われておりますが、平成十三年から昨年まで食品の偽装表示やあるいは米の架空取引など度重なる不祥事を起こしてまいりました。私も農協出身の一人として大変残念な思いをいたしましたし、これは生産者、そしてまた消費者の気持ちを踏みにじる行為でありまして、これは断じて許せないことであります。このため、決算委員会におきましても、事の重大性にかんがみまして、措置要求決議までなされたことは御承知のとおりであります。  そこで、措置要求が行われました全農事業の抜本的な見直し全農向け補助金見直し、米の取引ルール検証取引結果の透明性の向上、そして不正行為に対する監視強化、この四点につきまして、その後の取組なり、あるいは成果が出たものもあるでしょう、進捗状況等につきまして、まず初めにお聞かせをいただきたいと存じます。
  5. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 全農不祥事関係でございますが、全農に対しましては、平成十七年十月に、農業協同組合法に基づきまして業務改善命令を発出しまして、組合員のために最大の奉仕をするという観点からの事業検証見直しでありますとか、法例遵守体制確立を含む内部管理体制強化などに関する改善計画を策定いたしまして、直ちに実行するように命じたところでございます。これを受けまして全農では、同年十二月に、組織スリム化担い手中心事業システムへの転換、あるいは子会社の抜本的な整理合理化などを柱とする改善計画提出をいたしまして、その実行に着手しております。  また、農林水産省といたしましても、全農四半期ごと改善計画進捗状況を報告させまして、計画が着実に実行されるよう、現在厳しく指導しておるところでございます。
  6. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 後段の二点の部分でございますけれども、一つは米の流通補助金についてでございます。  これにつきましては、当然のことながら、不正に受給された補助金額を返還させるということとともに、その受給方式に関しまして、補助金交付に先立って行う助成対象米穀数量確認につきまして、これまでの書類確認に加えまして、国の地方農政事務所が在庫の現物確認事業実施主体に事前に通知せずに抜き打ちで実施するということによりまして、対象数量不正申告を防ぐ措置を講じたところでございます。  それから、最後の四点目でございます。コメ価格センター取引ルールにつきましてですけれども、一点は、特定買手落札数量落札価格が一定の基準に照らして不自然な場合、取引監視委員会が調査し、必要に応じて取引保留、無効などの措置を実施するなど、不正行為監視機能強化したところでございます。それから、全農県本部などの本部長、副本部長及び米穀担当役職員がいわゆる子会社パールライス役員を兼職する場合には、センターにおける当事者間の取引を禁止するということ。それから三点目に、取引監視委員会による審査の結果を踏まえ、保留のあった銘柄のほか、入札無効があった銘柄などを公表する、そういった措置を行ったところでございます。  以上によりまして、補助金に関する不正受給再発防止並びにコメ価格センターにおける中立公正な取引及び価格形成のための対策を講じたところでございます。
  7. 野村哲郎

    野村哲郎君 全農も、ちょうど当時の経営管理委員会の会長あるいはまた理事長、そして専務等役員皆さん辞任されまして、体制も一新して、今一生懸命、役職員一体となった取組をしている、そのことは私も現実的に目の当たりに見ているところであります。そういう意味におきましても、今後、協同組織としての本来の目的を果たすべく取り組んでいるというふうに思いますので、どうか役所の皆さん方も温かくそして厳しく監視をしていただきたい、指導していただきたい、このことをお願いを申し上げたいと存じます。  今御答弁のありました米の取引ルールについてお伺いをいたしたいと思います。  確かに今答弁いただきましたように、米のルールが変わりました。今まで一月に一回でありました取引を毎週実施するなど、入札による基本的な取引見直しに加えまして、買手希望価格産地品種銘柄などを提示しまして一か月から三か月先の取引売手の応札によって決めるいわゆる先渡し取引方式、それと、売手が三か月の上場計画なりあるいは希望価格を提示しまして買手がこれに応ずる形で取引するスポット取引、こういったことを導入しまして取引回数の増加なりあるいは取引機会の拡大が図られる、そういうふうに思います。  これによりまして非常にタイムリーな市場原理が働きまして適正な価格が形成されていく、そういう意味では恣意的な価格は、あるいはまた取引を排除する仕組みになったのではないか、こういうふうに評価する次第でありますし、また先ほど答弁ありましたように、売手が複数の子会社を所有している場合はその子会社との取引はこれは禁じる、こういうことでございますので、また価格についても開示されることになりましたので、そういう意味透明性というのも確保できるだろう、こういうふうに思います。  しかし、この仕組みはでき上がりましたが、私は一つだけ懸念をいたしていることが実はございます。それは何かといいますと、先ほど申し上げましたように、仕組みとしては公平性なり透明性は確保できましたけれども、ただ、米の取引活性化が図られるのか、この辺が一つ懸念されることであります。  といいますのも、ここ最近、特に三月、四月の取引を見ておりますと、三〇%台でございます。大変低迷をしている状況であります。そのような中で、いよいよ出来秋からこの新たな取引に移行していくわけでありますけれども、この方式をつくって、仕組みをつくっただけではなかなかこの活性化というところはつながっていかないのではないのかな、こういう実は懸念をいたしておりますが、そういう意味で積極的な参加を促す具体的な対策、そういうものが必要ではないかというふうに思いますが、このことについてどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 今委員指摘のとおり、正にセンター仕組みについて変更していこうと。  その背景といたしましては、先ほど平均落札率が大体三〇%程度ということでございますけれども、銘柄ごとに見ますと、平成十七年の米センター取引におきまして、現行まだ月一回の入札ですけれども、極めて落札率の高いものと低いもの、かなりのばらつきがあるというのも現実だと思います。いわゆる値ごろ感やブランドとして力のある一部の銘柄が非常に活発に取引されている。一方で、多くの銘柄が多量の不落札を出しておるということでございまして、平均としては三〇%程度と。そうした中で、正に売手買手、それに学識経験者方々も入っていただいて、先ほど委員から紹介のありましたように、センター取引について頻度を高めるでございますとか、売手買手にとってそれぞれ使い勝手のいい取引の場を設ける、そういった改革をすることとしたところでございます。  活性化につきましては、正にその売手買手方々がどういうふうにして使っていただけるか、そういった観点から売手買手方々が要望される、こうやれば使い勝手がいいんではないかということで正に制度設計したところでございまして、御指摘のように我々としても活性化していただきたいと思っておりますし、売手買手とともに考えていきたいと思いますが、まずは売手買手が主体的に活発に活用する場としてセンター育成してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  9. 野村哲郎

    野村哲郎君 今答弁をいただきましたように、確かに売手買手、その方々のニーズを踏まえながらの制度設計をした、こういうことでありますが、この仕組みによりまして確かに透明性なり公平性、これは確保できる、私はそのことは確信いたしておりますが、是非この活性化の問題につきましても今後なお一層の取組を強く要望をいたしたいと思います。  そこで、次に、米にかかわります地域団体商標に関してお伺いをいたしたいと思います。  四月一日施行の改正商標法によって地域団体商標が導入されたのは、これはもう御承知のとおりであります。この地域団体商標登録出願において、先般、全農からの出願に対する報道がなされたところであります。  この報道によりますと、四月十日現在で、出願された三百二十四件のうちの三十七件について全農出願主体となっていること、その内容地域ブランド米や系統、伝統的な野菜が中心になっている、こういう報道がなされました。ブランド米につきましては、これまで各産地が売れる米作り、おいしい米作り、このことにつきまして、これは生産者だけでなくて行政もそして団体も一緒になりまして品種改良なり肥培管理にこれは取り組んできた結果だと、そういうふうに思いますし、さらに市場開拓なり、あるいはまたそれに見合ういろんな販売促進対策もやってきたところでありまして、その結果、消費者皆さんやあるいはまた流通業界にも各地ブランド米が評価を受けてきたところであります。  このような地域特産物として、このブランド米商標登録地方農協組織県域を想定していると聞いておりますが、法人格を持っている県域連合会のない県、つまり経済連と全農が統合した県におきましては、これは全農申請主体にならざるを得ない、こういう実態であります。法人格をそれぞれもう統合されておりますので持っていない。その結果、先ほど述べましたような全農からの出願数になっている。  これに対しまして、新聞の論調では、地域活性化のための制度であるのに全国組織権利を取るのは趣旨に反する、あるいは特定団体ブランドを独占するのはおかしい、こういったような批判も実は出ております。これは内容を全く御存じない方々の主張であろうと思いますが、この件についての事実関係をお伺いいたしたいと思います。
  10. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今御指摘ございましたように、地域団体商標制度、今年の四月一日から施行されまして、先週金曜日、十二日の時点で、全国各地事業協同組合あるいは農業協同組合等から約四百近い出願がございます。大変高い関心が示されたところでございます。  そのうちの、農業協同組合関係では約百二十件ほど受理をいたしておりますけれども、その出願人の内訳は、単位農協単独あるいは共同のものが最も多いわけでございますけれども、場合によりましては県の連合会単独の場合もございます。  さらに、御指摘全農による出願につきましては、全農単独のものが三十二件、それから全農と他の組合との共同のものが十一件でございます。こうしました全農によります出願につきましては、他の地域団体商標出願と同様に、これから特許庁におきまして商標法に規定する登録要件を備えているか審査を行った上で登録の可否を判断することになります。  具体的に申し上げますと、まず全農管理の下で、その構成員である単位農協農家使用している商標であるかどうか、あるいは、こうした使用の結果、その商標需要者に広く認識されているか否か等々について、実態に基づいて判断することになります。  このため、仮に県単位農協組織全農に統合される前から育成していた地域ブランドであって、それが全農県本部に引き継がれ、管理されているという実態があるなど、商標上の登録要件を満たす場合には登録を受けられる可能性があるものと考えております。一方で、単位農協等育成した地域ブランドについて、全農が単に代替して出願しているような場合には登録要件を満たさない可能性がありますが、こうした場合であっても、単位農協等が連名で共同出願を行うことが可能であると考えております。  念のためでございますけど、法人格のない県本部による出願という形でございますと、商標法では、財産権である商標権を付与することから、権利を取得するためには権利能力を有すること、すなわち法人格を有することが必要であります。このため、地域団体商標についても法人格を有する組合であることを要件としておりますので、法人格を有しない県本部による出願は認めることはできないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、全農によります地域団体商標出願につきましては、今後、特許庁において関係省庁の御協力を得ながら、商品の生産、出荷の状況、あるいは商標使用状況などについて単位農協や個々の農家との関係も含めて調査をして、慎重に審査をしていきたいと思っております。
  11. 野村哲郎

    野村哲郎君 今、特許庁の方から御答弁をいただいたわけでありますが、やはり現場で一番不安感を持っておりますのは、今まで地域で作ってきたブランド、それを登録していくというのがこの法の趣旨だというふうに思います。ただ、組織が変わっていった、統合した、そのことによって、ただ全農ブランドだから駄目だとか、そういうような整理を是非ともしないでいただきたい。  これは、県でやっぱり、新潟県のコシヒカリ、これは名前言っては余り良くないんでしょうけれども、新潟のやはりコシヒカリというのは新潟県全体で作られたやっぱりブランド米だ、私はそう思うんです。ただ、それを、主体的に法人格を持たない新潟県のその支店が、いわゆる県本部申請はできない、だから全農が代わってやっていると。その実態はきちっとやっぱり見ていただきながらの判断をしていただきたい、そういうふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  それから、米につきましての最後の御質問をさせていただきたいと思いますが、米の農産物検査民営化についてお伺いをいたしたいと思います。  これはもう御承知のとおり、十二年の農産物検査法の改定によりまして五か年が過ぎました。そして、いよいよ本年の四月一日よりこの検査実施業務完全民営化されることになったわけであります。法改正の際に、衆議院それから参議院の両院におきまして、検査機関技術水準の確保や登録検査機関に対する国の適確指導監督等について、これは附帯決議が行われておることも御承知おきのとおりであります。  この検査民営化といいますと、対象は異なりますけど、やはり国民皆さん方のイメージというのは、先般の耐震強度の偽装問題、やはりこれがどうしても思い起こしてしまうのではないかと、こういうふうに思います。  特に、米を中心とする農産物検査につきましては、主食であります米であります。そういう意味におきましては、国民皆さん方の特に食への安心への関心が高まっておりますので、民営化されましてもやはり信頼できる検査体制確立ということは、これは生産者も当然ながら消費者も望んでおる、そういうふうに思います。したがいまして、民営化されましても私は国の責務はなくならない、こういうふうに思います。  そこで、平成十八年四月からの民営化となっておりますが、ただ、現場ではいろんな不安の声が実はあります。具体的に申し上げますと、一つは、民営化に伴いまして農水省現場から手を引くんじゃないのか、したがって今後の指導をもうしなくなるのではないのかというのが一つございます。それから二つ目は、検査には確かに専門的な知識なり技能が必要でありますが、それらに対する育成指導者育成に対する、検査員指導に対するそういう取組がやっぱり弱まっていくのではないのか、もう民間任せになってしまうのではないのか、そういう不安がございます。  それから、当然検査はこれは目視でありまして、やはり検査員皆さんの話を聞きますと、可能な限り精度の高い検査機器、これがどうしても必要だと、そのことによってやはり科学的に検査ができるのではないのか、やはり目視というのはどうも不安だと、こういったお話もございます。したがいまして、こういったことも今後取り組んでくれるのかと、こういう現場での声がございます。  これらの事項につきましては、先ほど来申し上げましたように、衆議院参議院での附帯決議もなされております。したがいまして、検査現場の不安を解消するためにも、完全民営化後の農産物検査に対する農水省取組内容について、是非ともお聞かせをいただきたいと存じます。
  12. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 今委員からありましたように、農産物検査につきましては本年四月から完全民営化に移行したところでございます。  そうした中で、農林水産省としては、正に農産物検査法に基づき農産物検査信頼性を確保し、農産物の公正かつ円滑な取引に資するように、一つ指導一つ指導者育成等々ですね。具体的には、まず検査規格検査方法の設定、改廃など基本ルールを策定する、これは農林水産省がやるということとともに、登録検査機関に対し適切な業務運営を確保するための監査でございます検査現場巡回点検でございますとか、あるいは農産物検査員の技能確認などを行っているところでございます。  それとともに、いわゆる目視、肉眼鑑定の技術的負担を軽減するということから、農産物検査関連機器の開発につきましては、より効率的、客観的な検査を実施する観点からも重要であるというふうに考えております。これまでも平成十一年度から十五年度までに、米の整粒割合の判定などを行う穀粒判別機の開発事業を実施し、検査補助機器として平成十五年度から実用化されているところでございます。ただ、この穀粒判別機につきましては、一定の精度を確保しているものの、まだ米の販売業者など関係者の理解を得るには至ってないことから、農産物検査に係る正式な計測機器になっていないという実態でございますけれども、また関係者とよく相談しながら、委員指摘の点も踏まえてやってまいりたいというふうに考えております。
  13. 野村哲郎

    野村哲郎君 今御答弁をいただきまして若干安心はいたしておりますが、なかなかやっぱり、今まで食糧事務所がやっていたような検査を完全にこれが民営化される、そのことに対するやっぱり不安感というのは、民間でありますのでどうしてもその不安というのはぬぐい去れません。これらが完全に軌道に乗るまで、やはりきちっとした御指導を是非ともお願いを申し上げたいと思います。  次に、変わりまして、農業経営基盤強化措置特別会計について御質問を申し上げたいと存じます。  この基盤特会につきましては、会計検査院も今日お見えでございますが、再三指摘をされておるわけでございます。これは農地保有合理化措置なり、あるいは農業改良資金と就農支援資金の貸付けに対する特別会計でありますけれども、何を指摘されているかというと、毎年の多額の剰余金が発生している、こういった内容になっておるわけであります。これはほかの特別会計も同じでありますが、そういった意味での指摘を会計検査の方でされております。十六年度に限って見ましても、歳入額一千二百四十億円に対しまして歳出額は四百三十三億、決算剰余が八百七億円、こういうふうになっておりますが、このような状況といいますのは、毎年大体一千億程度の剰余金が発生する状態となっております。  このような状態になった、事態になった原因は、農家戸数の減少や、あるいは高齢化に伴います規模拡大意欲の低迷、また低金利による融資の有利性が薄れている等々の背景もある、こういうふうに思います。  しかしながら、私はもっと根本的な原因があるのではないかというふうに思います。それは、こういった農地保有合理化措置にしましても、改良資金にしましても、支援資金にしましても、これだけ需要がないということは、今の制度、この資金なりあるいは仕組みが本当に現場のニーズにこたえているのかどうか、そういうふうに気がしてならないわけです。確かに農家戸数も減少しておりますし、高齢化も進んでおります。しかし、農業を営む農家は現実におりますし、若い担い手もおります。その人たちが、規模拡大や経営改善に取り組もう、そのためには国のこの制度を活用しよう、こういう意欲が出てくる環境が非常に少ないのではないのか、こういうふうに思います。  農水省におかれましても、この基盤特会の剰余金については何とか改善しようと制度要件見直しをなさっております。これまでも何回も改正をされておりますが、その効果は私は十分だと、こういうふうには思いません。やはり、この経営基盤の強化のためには抜本的な打開策が必要ではないか、そういうふうに思うところであります。  基盤特会は毎年多額の剰余金が出てけしからぬ、あるいは一般会計へ入れろと、こういったような声が非常に出ておりますけれども、私は、しかし、農業の経営基盤が脆弱であるということはこれはもう皆さん方も異論はない、これからも経営基盤は強化しなけりゃならない、そのために自給率を向上するにはこの経営基盤を強化しなけりゃならない、そういう思いは皆さん私は御一緒だろうと、こういうふうに思います。したがいまして、これをすべて一般会計に入れる、こういったようなことは私は基盤特会の設置目的を放棄することになるのではないのか、あるいは自己否定してしまうのではないのか。むしろ反省すべきは、本来の目的を達成するための努力が足りなかった。そのことを是非とも、これは会計検査院の指摘をまつまでもなく、抜本的な対策を長期に講じなかったことではないかと、その反省の上に立って是非ともこれを改善をしていただきたい、そういうふうに思うわけであります。  特に、昨年決定されました食料・農業・農村基本計画におきましては、二十七年度の自給率目標を四五%というふうにしまして、いよいよ十九年度から担い手なり、あるいはまた集落営農、農地の利用集積等々、経営基盤の強化がこれは喫緊の課題であります。したがいまして、本国会においてもこの関連法案の審議がなされることになっておるわけでありますが、是非とも、このような背景を踏まえまして、この基盤特会を有効に機能させることが私は我が国農政の新たな目標とも合致をしている、そういうふうに思います。  したがって、この農業経営基盤強化措置特別会計の貴重な財政資金をどのように活用するおつもりなのか、そしてまた生産現場でどう活用するような仕組みをつくっているのか、その辺につきまして是非ともお伺いをしたいと思います。
  14. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 今委員指摘のとおり、農業経営基盤強化特別会計につきましては、農業改良資金の資金需要の低下など幾つかの要因によりまして、連年いわゆる剰余金が発生しているという状況にございます。  今回は、剰余金が発生した場合につきましては、法におきまして必要な額以外は一般会計に繰り入れることができるということが規定されております。国会でも早急に一般会計に戻すべきだという御議論もございました。また一方では、この財政資金の有効活用をしっかり図るべきだという財政審や会計検査院からの御指摘もいただいております。このため、十八年度予算におきましては、この事業の資金需要を厳しく精査をいたしまして、今後活用が見込まれる資金はしっかり確保した上で、活用が見込まれない部分につきましては一般会計に繰り入れるということで二百九十五億円の繰入れをいたしております。  委員指摘のとおり、食料・農業・農村基本計画の改定をいたしまして、現在、農政においては、担い手への施策の集中化、重点化を図っていくということをしっかりと打ち出しております。農地の流動化という点につきましては、この担い手の育成確保のための大変重要な政策の相当部分を占めておるわけでございまして、今後とも、こういった財政資金の有効活用に向け、また担い手への農地の利用集積が効果的に実施されるように、ただいま検討中の十九年度予算におきましてもしっかりとした取組をしていきたいと考えております。
  15. 野村哲郎

    野村哲郎君 今の特会に関連しまして、中身について若干御質問を申し上げたいと存じます。  まず、この特会の中の農業改良資金についてお伺いしたいと思いますが、十六年度は予算額百四十億に対しまして融資額はわずか一億九千万、一・四%のこれは執行率であります。既にこの農業改良資金については制度の目的というのがもう失われているのではないのかなと、こういう気がしてならないわけであります。したがって、ほかにもいろいろ国からの直接融資あるいはまた利子補給制度等々あります。こういったようなものにつきましては、もう民間の資金を原資として利子補給事業に変えたらどうなのかと、そのためにこの百四十億、予算措置している財政資金、改良資金のためのこの百四十億がまだまだ有効活用できるのではないのかな、こういうことも実は考えるわけであります。したがって、より効率的な運用になるのではないかというふうに考えますが、これは私の個人的な考えであります。これは制度的にできないのかできるのか分かりませんが、やはりこの利子補給制度に変えていったらどうなのかと、そうすると百四十億が有効活用できるのではないかと、こういうふうに思っております。  それから、これは引き続き質問をさしていただきます。時間がございません。  もう一つ申し上げたいのは、社団法人の全国農地保有合理化協会に関してであります。この協会におきましても、財政資金の運用について会計検査院の指摘を受けておるわけでありますが。  この協会、七つの会計区分を有しておりますが、その中の二つをちょっと、特徴的なのをお話をさしていただきますと、一つは、この全体の協会の基金残高は七百七十一億でありますが、このうち農地保有合理化事業の貸付原資になる基金残高は九十三億、そして貸付金の残高は九億、一〇・二%でありまして、この状況は一過性のものでありませんで、十二年度から十五年度までの四年間を見ましても、やはり一〇%以下であります。また、もう一つは、農地売買円滑化事業会計がございますが、これは都道府県公社の農地の売買差額の一部を助成する、そういうことでの目的でこの基金が五十億造成されておりますけれども、こちらもここ四年間でわずか百五十万の助成額の支出があったのみでありまして、このような基金が本当に必要なのかと言われても私は仕方がないのではないかと、こういうふうに思います。  このように、全国協会における基金というのは、七百七十一億のうちに四百九十四億、六〇%以上が預金や債券で保有されているではないかと、もう少しこれは有効活用しなさいというのが会計検査院の指摘だと認識いたしておりますが、その方策をどうしても検討していただかなきゃならないと思いますけれども、この会計検査院からの指摘に対して、どのように検討されているのか、お伺いをいたしたいと存じます。
  16. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) まず農業改良資金でございますが、こちらの方は、制度仕組みといたしまして、いわゆる無利子の資金の貸付けを行う制度でございます。近年、低金利状態が続いておりまして、この無利子資金の優位性が低下してきていると、全体の資金需要が減少してきているということで、この貸付実績が非常に低い水準になってきております。  ただ、改良資金の場合には、例えば初めて農業に参入される方とか、そういう非常に財政基盤が弱い、担保を余り持っていないというような方の農業参入を助長するという大きな目的を持っておりまして、これについて例えば利子補給方式にいたしますと、世の中にお金がじゃぶじゃぶあるときはどなたも貸していただけるわけですが、いったん金融情勢が変化いたしますと、その原資を提供してくださる金融機関がいわゆる貸し渋りというようなことも起こる可能性がございまして、従来からその貸付原資を一体的に供給するというシステムで行っているところでございます。  しかしながら、こういった貸付実績が低水準にとどまっていることもございまして、十八年度予算では貸付規模を八十億から十億に縮小すると、また一方、農政の重要課題であります担い手の育成という観点で、新たに集落営農組織を貸付対象者に追加するというようなこともいたしまして、この剰余金の発生回避、あるいは農政の大目的に合致するような形で制度の改善をするということで頑張ってきておるところでございます。  また、農地保有合理化協会でございますが、こちらにつきましては、会計検査院の報告におきまして、資金規模の縮小を含めまして、資金の効率的活用を図るための方策を検討せよとの御指摘をいただきました。  委員からもお話がございましたように、この合理化協会の資金につきましては、担い手へ農地集積を図るいわゆる農地保有合理化事業の資金を継続的にかつ安定的に供給するものでございまして、今後とも農業経営の規模拡大等の施策を推進していく上では必須のものでございます。  ただ、こういった資金需要を踏まえまして、この資金規模が適正であるのかどうかということにつきましては、それをしっかり精査をさせていただきまして、今般、平成十七、十八両年度において七十七億円を農業経営基盤強化措置特別会計に返還をする、また十七年度におきましては六十四億円の執行を見合わせるというようなことで、適正な資金運営のための見直しを行ったところでございます。  また、委員から御指摘のありました二つの資金、特に前段で御指摘のございました農地保有合理化事業貸付原資資金、資金総額九十三億で貸付残高が九億円にしか満たないというやつでございますが、これについては事業を廃止することといたしております。  後段の農地売買円滑化事業資金につきましては、これは平成十三年から十六年にかけて造成したばかりでございまして、この資金を活用して五年間、十年間、農地を貸し付けた後に売渡しをいたしますので、実際に売渡しが始まるのが平成二十年とか二十三年からであるということで、この事業については継続して実施をしていきたいと考えております。
  17. 野村哲郎

    野村哲郎君 今局長の方から詳しい御答弁をいただきまして、内容的には私も大まかには理解できるところがありますが、やはりこういう基盤特会を通じてそしてまた協会へ出していく、なかなかこの辺の不透明さといいますか、その辺のところが国民の目から見てもどうなんだというやっぱり指摘があるんだろうというふうに思いますので、是非ともそこは主務官庁としてきちっと管理監督をしていただきたいというふうに思います。  次に、やはりこの基盤特会の中でもう一つ気になりますのが実は国有農地の問題でありまして、これは十六年度の管理面積が農地で六百七十三、そして開拓財産が四千三百五十三、こういうふうに承知をいたしております。これは基盤特会の中で管理されている国の財産でありますが、これはやはり自作農を育成するための制度の遺産ではないのかなと、このことをやっぱり感ずるわけであります。  そして、毎年、農林水産省におきましてもいろんな、インターネットなりあるいはまた一般競争入札等々で売る努力をされている、そのことは私も認めますが、しかし、やはりこの入札落札率というのは五七、八%しかない、こういう現状であります。  それからもう一つは、国有財産を管理するために、毎年管理コストが、事務取扱ということで、これは国は事務取扱交付金を都道府県に交付しているわけですが、この十九億のうちの八五%程度、いわゆる十六億が国有財産、国有農地あるいは開拓財産に管理費として出ていると、これが私は、貴重な財産、資源が無益に消費されているのではないのかなと。これは言い過ぎかもしれません。農地は毎年売れておるようでありますが、特にこの開拓財産なるものが、これは私の憶測、まさしく偏見であろうかと思いますが、もう山になっていたり道路になっていたり、本当に十六億も管理するような金を出さなきゃならないような状況なのかどうか。非常にここが、先ほど申し上げました財政資源が無益に使われてしまっているのではないのかと。  むしろ、この国有農地等々、あるいは開拓財産につきましても、これはもう地方自治体への払下げなり、何か法的にはその地権者に戻さなきゃいけないとかそういう話も伺っておるわけですが、何かの方法を使わないことには毎年この十六億が使ってしまう。むしろ何らか、この早期の処分はなかなか難しいとは思いますけれども、いろいろ知恵を出していただく方法がいいんじゃないかなと、こういうふうに思うわけですが、この件についての御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  18. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 国有農地あるいは開拓財産の管理処分に係る問題でございますが、この国有農地等の管理処分につきましては、平成十六年度におきまして、委員指摘のとおり十六億円余りの経費が掛かっております。  この経費につきましては、その対象であります国有農地などが、現状、農地でありますものもございますが、道路、水路、採草放牧地等様々の形態になっておりまして、その管理形態も、既に貸し付けられているものもございますが、未貸付けのままのものもございます。さらに、これが全国的に点在し、面積的には五千ヘクタールもあるということでございまして、これらを適切に管理処分するための境界の画定測量でありますとか売払いのときの対価徴収などに相当のやはりコストが掛かるということでございます。  これについては、管理人設置に掛かります経費などを見直すとかコスト削減に努力をしまして、最近五年間で約一五%の縮減が行われてまいりました。もちろん、今後ともこの経費の縮減については知恵を絞りまして努力をしていきたいと思っているところでございます。  ただ、市町村等へ移譲するという場合につきましても、もちろん農業上の利用にちゃんと供していただく道路、水路であれば市町村に移譲することは可能でございますが、これも委員がお話しあったとおり、基本的には旧所有者に返還すべきものということでございまして、この旧所有者を探索するのに相当な日時と経費を掛けているというのが実態でございます。  私どもも十六億円無駄に捨てていいとは思っておりませんので、このコスト縮減と、それからどうやって迅速に売り払うかということについても知恵を絞ってまいりたいと思っております。
  19. 野村哲郎

    野村哲郎君 今日は、中川大臣にもお忙しい中御出席いただいております。  今いろいろ局長とやり取りをさせていただきましたけれども、この基盤特会について、今までの私とあるいは局長とのいろんな意見あるいはまた答弁で大臣がお感じになりましたことがありましたらお答えいただければ有り難いと思います。
  20. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 今、野村委員のいろいろな御質問や御見解を伺っておりまして、改めてスリム化すべきところはまだまだ一杯あるなと率直に思っております。  基盤特会につきましては、十八年度におきまして三百億近いお金を一般会計の方に戻すというふうにしているわけでございます。まだまだ、先ほどの国営農地にいたしましても基盤特会にいたしましても、スリム化できるところはスリム化していく、国全体の財政が大変厳しいわけでございますから。  他方、我々農政を進める上では、農地あるいは担い手の育成等々でレベルアップをしていかなければならない。これは、農業者の経営の面だけではなくて農業の果たす多面的役割、あるいは国民に対する食料供給責任、あるいは国際競争といった中で、担い手あるいは集落営農、いい経営をやっている農家あるいは集落についての支援を更に進めていかなければなりませんので、本来の、今我々が求められているやるべき農政をきちっとやっていくことはもちろん大事でございますし、他方、そのこととスリム化をすべきは大いにスリム化をしていくということも同じように別の意味で大事でございますので、両方を積極的に思い切ってやっていきたいというふうに考えております。
  21. 野村哲郎

    野村哲郎君 大臣から大変心強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。  今日、ほかにも農林漁業金融公庫の理事の市村さんにも御出席をいただいておりましたが、私の持ち時間終わってしまいましたので、大変恐縮に存じますけれども、質問を取り下げさしていただきたいと存じます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  22. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 自由民主党の山内俊夫であります。  私は、経済産業省、今日のエネルギーに関してのところを少し絞り込んだ形で質問をさしていただきたいと思います。  私も何か十分ばかり時間を短縮しなきゃいけないというようなこともありまして、多少はしょった形になるかと思いますけれども、御容赦をいただきたい。そして、今日は幸いに環境省も入ってこられるということになっておりますので、後ほど後半の方で関連したところを環境省にも質問をさしていただけたらと思っております。  大臣には、今日、質問、冒頭でありますが、今日のオイルの値上がりですね、そして過去のオイルショック以来の危機と。私は、今回の七十ドルという突破をした、一バレル七十ドルの世界というものは、私はなかなかこれ値段は下がらないんじゃないかなと思っております。  過去の歴史を少しひもといてみますと、一九九九年、これバレル十二ドル、これ底値を付けました。それ以降、二〇〇一年ぐらいにテロがありまして一気に三十ドルというような数値になったわけでありますけれども、二〇〇四年、これバレル五十ドル、これかなり人々を、世界じゅうを驚かしたんですが、いや一時的じゃないかと思っておりましたら、またそれから徐々に値上がりしてまいりまして、最大、二〇〇五年の八月、例の大型ハリケーン、これアメリカに多少大きな影響を与えたんですが、このときは七十ドルを瞬間突破をしたと。ところが、それから少し下がってきたんですけれども、いろいろ要因があろうかと思いますけれども、今現在七十ドルをやはり恒常的に突破をしてきているんじゃないかと。大変なエネルギー枯渇、若しくはエネルギーの奪い合いというような流れになってきております。  現在の日本のエネルギー全体の少し特性を分析してみますと、私は四つばかり言えるのかなと。一つには、この日本のエネルギーはもう既に生活必需品であるということですね。これは、もうどうしてもこれがなければ我々文化的な生活はまずできない。二番目に、日本のエネルギーのこれは最大の特性でありますが、自給率が大変低い。最近、食料も随分自給率が四〇%を切っておりますけれども、それどころじゃない。三番目には、資源は有限であるということ。それと、この化石燃料、特に石油の場合は地球上の中で偏在をしておりますね。これは世界に分布しているわけじゃない、中東にほとんど七五%ぐらいが集中しておる、こういった特性もある。そして、最近はもう世界的にこれ争奪戦が始まった、もう既にかなりの激しい争奪戦が今始まっております。  そういったことも兼ね合わせて、このオイルに対する、エネルギーに対する日本の将来、どう考えておられるか、大臣からコメントをいただきたいと思います。
  23. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) ただいま山内議員から、今日までの石油、エネルギー情勢につきまして大変的確な御判断に基づいて御説明をいただいたわけでありますが、私も思いを同じくいたしております。  世界のエネルギー情勢は、御承知のとおり、中国、インド等の急速な経済成長による需要の急増が大きな要因を成しておるわけでありますが、我々は、こうした需給の逼迫などの厳しい状況の下で、今後、中長期的にこれらの状況の中でいかにエネルギー政策を展開していくかというのが大きな課題であります。  我が国はこれまでも、御承知のとおり、第一次石油ショック以来、エネルギーの制約の克服のためにお互いに努力を積み重ね、エネルギー需給逼迫の改革や世界最先端の省エネルギー国家を実現してまいりました。こうした我が国の力を生かして、将来のエネルギーの安定供給確保に向け、力強くまた柔軟に需給構造の構築に全力を挙げて取り組まなくてはなりません。  そのために、今後とも一層の省エネの推進、そして安全確保を大前提とした原子力のエネルギーの開発推進に向けての努力をしなくてはなりません。対外戦略の強化による資源確保なども、ただいま御指摘のようなことで重要な課題と考えております。  そして、次世代、将来にわたって、新エネルギーというものについて国民的なやはり御理解とバックアップがなくてはならないという意味で、私は今、地域に次世代のエネルギーパーク、エネルギーの新しい提案が各地でなされておりますが、そうしたことを広く国民皆さんに御理解をいただくというために、そうしたエネルギーパークのようなことの整備についても検討を加えておるところでありますが、国民の皆様にじかに目に触れていただいて、これがこれからの時代のエネルギーだということを理解していただく、そうした中で対応を図っていきたい。  先般、また、カタールで世界の国際エネルギーフォーラムが開催されました。私もそれに出席しまして、原油価格が高ければ高いほどいいと、これは産油国の側、消費国の側からは安ければ安い方がいいと。これは、一面的にお互いにそう考えがちなんですが、それでいいのかということを思うときに、第一次オイルショックの後に、そうした産油国、消費国ともに値段の乱高下というものがお互いにそれぞれの経済、その国の経済に与えた影響、打撃というものは、消費国は大変なことはもう事実でありますが、やっぱり産油国においてもそのことは、厳しい状況に直面することはもう経験則としてお互いに理解し合っているわけであります。  したがって、ここは安定的な価格で推移していくために世界のむしろすべての国が協力し合わなくてはならない、そういうふうな状況でございますので、日本はその場合に大いに働くべきチャンスが与えられておるわけでありますから、この状況を的確に把握して、今後懸命に努力をしてまいりたいと思っております。
  24. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 今大臣、くしくも、日本の資源のない国だからということで、世界一の省エネ社会を実現したと、これは確かにデータとして出ております。これは、私も後ほど環境省のところの絡みでもお話しさせていただこうかなと思ったんですが、日本のGDP一ポイントを稼ぐのに中国なんかは大体八倍掛かっているんですよね、日本の。だから、それだけエネルギーの消費も非常に高い。その原因はいろいろあろうかと思いますけれども、それは後ほどそのことについては話をさせていただきます。  今、新エネルギーという話もありましたが、この新エネルギーというのは、私もいろいろ検討してみたんですけど、太陽光とか風力、バイオマス、太陽熱、廃棄物、いろんなものが新エネルギーと言われておりますが、これ、今、日本が大体一・六というような枠なんですね。一生懸命、これ二〇一〇年から一五年にかけて頑張って、一生懸命やってもせいぜい三%が限界じゃないかと言われておりますから、なかなか新エネルギーが代替エネルギーになるということはもう不可能であろうけれども努力はしていかなきゃいけない、私はそう思っております。  ところで、先ほど私、二番目に申し上げましたエネルギーの自給率というのは、これは日本は大変低いということを言いました。今、大体四%でありますね。原子力を例えば純エネルギーとして、総エネルギーに換算してでもせいぜい自給率は一七%でしかない。やはり八三%は依存をしておる。これが実態であります。  例えばフランスなんかは大変、まあ自国民の利益は自国で守るという、これは大きな大義名分をやはり掲げておりまして、できるだけ自前でやっていこうじゃないかという大きな掛け声を掛けておりますし、またアメリカも、大体今じゃぶじゃぶ使っておりますアメリカ社会が七三%、ほぼ自給率をキープしておる、これはもう現状であります。包括エネルギー法案とか大変アメリカ社会は行政立法としてはこのエネルギー問題を中心に据えた戦略を立てておる、そういったことも考えておかなきゃいけない。また、スイスとかドイツ、これヨーロッパ関係ですが、これは国境を接しておりますからいろんな相互依存、お互いが助け合うということも可能であります。ですから、ドイツとかスイス辺りはお互いがやっていこうとしておりますけれども、やはりエネルギーは安全保障の一環であるという認識は非常に強いんですね。  そういったことも併せて、このエネルギーの自給率についてのやはり現況辺りを少し政府の方からお答えをいただけたらと思うんですが。
  25. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今御指摘の自給率でございます。原油についてまず申し上げますと、原油は北海道の勇払とか新潟の岩船沖といったところで、国内生産もわずかでございますけれども、ございます。九十二万キロリッターでございますが、輸入量が二億四千八百万キロリッターでございますので、原油の自給率という点で申し上げますと昨年の実績で〇・四%という状況でございます。また、天然ガスの方は石油よりはもう少し出るのでございますが、例えば新潟の南長岡、北海道の勇払といったところでガスも出るわけでございますが、それにいたしましても天然ガスの国内生産量は三十一億七千万立方メーター、これに対しまして輸入量は八百二十三億七千万立方メーターということでございますので、天然ガスについても自給率はわずか三・六%でございます。石炭ももう一つだけ申し上げますと、国内生産、北海道の釧路などで百十一万トンの生産がございます。これに対しまして、輸入が一億八千七十二万トンでございますので、自給率は〇・六%と、このように低い水準になっているところでございます。
  26. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 そういうことで、非常に微々たるものでありますけれども、日本もそれなりに確保は、産出はしているんですけれども、これはもう日本社会からいうと大変少ない、先ほど言いました四%という世界であります。  さて、この石油が今どうしてもエネルギーの中心になっておりますけれども、この石油とか石炭とか天然ガス等々、この埋蔵量というのは、今は世界の埋蔵量、実は埋蔵量は、私も三十年前の記憶なんですけれども、今のまま使っておりますと石油はせいぜい三十五年とか四十年とか、そんな言い方されておりました。その当時の使用量から今既に三倍ぐらいになっておりますけれども、まあ結構伸びている。これは多分、探査、そして埋蔵量、発見と、そして生産できる体制に世界じゅうが動いておりますし、特にアフリカ関係も最近非常に油も出ております。そういったことで伸びておりますけれども、これもいつまででも無尽蔵に伸びていくわけじゃないだろうと私は思っております。  そういった意味から、世界の埋蔵量、現時点でどの程度あるのか、量が非常に、我々ちょっと素人の場合は単純に言われても分かりにくいので、可採年、採れる年数ですね、それか若しくは量、何億トンとか、そういった形でちょっと御説明いただけたらと思いますが。
  27. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答え申し上げます。  今先生の御指摘のように、石油の埋蔵量、これは二〇〇四年末の原油の確認可採埋蔵量というところで申し上げたいと思います。これはBP統計というBPの統計がございまして、これが世界的な代表的な統計でございますので、これによって御説明を申し上げたいと思います。  確認可採埋蔵量が約一兆二千億バレルと言われております。それを現在の石油の消費量が二百九十三億バレル、ですから約三百億バレルでございますので、一兆二千億を三百億で割りますと大体四十年ということになるわけでございます。御指摘のように、この可採年数というのは大体四十年ということで最近余り動いておらないわけでございます。もちろん、原油の採掘の技術の進歩とか原油の回収率の向上、新たな油田の探鉱開発ということで、確認の可採埋蔵量の追加があるからでございます。ただ、このデータも、一九六〇年代、一九七〇年代には生産量以上に埋蔵量の、埋蔵石油の発見があったわけでございます。ところが、最近では、一九八〇年代以降は生産量を下回る程度の埋蔵石油しか発見されておらないということでございますので、今後はだんだん厳しくなってくるわけでございます。  今後どのぐらいの確認可採埋蔵量が増えていくかということについては、これはなかなか予想することが難しゅうございますし、諸説あるわけでございます。その中で、この問題につきまして一応権威があると言われておりますアメリカの地質研究所で取った数字を少し申し上げますと、究極的な可採埋蔵量は、一九九六年時点、約十年前でございますが、十年前の時点で二兆六千億バレルぐらいだろうというように言われておるわけでございます。今申し上げましたように、一年間の消費量が約三百億バレルでございますので、非常にざっくりと計算をいたしましても、十年たっておりますからもう三千億バレル使っているということですから、アメリカの地質研究所の現時点での残りの確認可採埋蔵量は最終的に二兆三千億ぐらいではないかと、このようなオーダーではないかと言われておるところでございます。
  28. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 それにしてもせいぜい二十一世紀中に枯渇してしまうというようなことにも言われるわけですね。それと、最近特に天然ガスというのは大変埋蔵量増えてきております。そういった同じようなデータで私も見てみますと、大体、天然ガスで六十年から七十年というサイクルなんですね、せいぜい今のところは。石炭が百六十年から百七十年。このようなことでも、それでもたかだか百年ぐらいには、もうほとんどこの地球上のエネルギーは枯渇してしまうんじゃないかという心配があります。  そういったこともあって、この埋蔵量、探査も必要ですけれども、やはり省エネ、使う方も余り湯水のごとく使うわけにはいかない、これを世界的なやはり流れにしていかなきゃいけない。小池大臣も今日来ていただいておりますけれども、環境という観点からもまた後ほど質問させていただきますけれども、是非御協力をお願いしたいなと思っております。  さて、先ほども私申し上げました石油の偏在性というところですね。どうしても偏っておる、特に中東に七五%ぐらい依存しておるという状況であります。そして、油ですから当然その輸送という体系があります。輸送体系は、どうしてもパイプで運んだり、あとはタンカーで運んだりします。日本の場合、ほとんど海を経由して来なきゃなりませんから、現時点においては、例えばホルムズ海峡とかマラッカ海峡、そういったところは常に政情不安というところもあると思いますし、またテロもあります。そして、海賊も出没しているという、そういった大変危険なところをタンカーが通過してきているということであります。  そして、例えばイラン、最近特に核開発やるということで大変世界からも、ちょっと待てというようなことになっておりますけれども、このイランも大変な石油を持っております。そこに今中国が手を掛けて、イランをサポートしようというような動きがあります。これ、当然イランの油もねらっているわけであります。これは後ほどの質問の中に入れさせていただきますけれども、そういった偏在性に対する認識というものをどのようにお考えになっておるか、御答弁いただけますか。
  29. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今御指摘の偏在性の点について、事実関係をまず御報告申し上げたいと思います。  原油の埋蔵量でございますが、これは非常に偏在をしておりまして、例えば世界の中で、上の方から少し例を申し上げますと、サウジアラビアが世界の大体四分の一、二二%から二五%ぐらい持っております。その後に、イラン、イラク、クウェート、UAEというところが一〇%前後ということで、この中東の五か国だけで六割を超えるような原油を持っているわけでございます。先生御指摘のとおりでございまして、あと、ヨーロッパ、それからロシアの辺り、これに約一〇%、アフリカに一〇%、中南米に一〇%ということではございますけれども、どうしてもこの中東の依存度が非常に大きいわけでございます。また、今御指摘のホルムズ海峡の毎日の通航量も千五百万BDということで、非常にそこに依存をしているという事実があるわけでございます。  天然ガスになりますともう少し状況は良うございまして、それでもやはり偏ってはおるんですけれども、中東の依存度は約四割と、四〇%ということでございますし、石炭になりますと、もう少し、アジア太平洋地域が三分の一、それから欧州、ユーラシアがやはり三分の一、北米が三分の一ちょっと欠けるぐらいということで、だんだんに石炭の方が本当は、石油、石炭、天然ガスで申し上げますと、やはり石油のところが一番埋蔵がある意味偏っているというような状況であろうかというように理解をしておるところでございます。
  30. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 そういう偏在性がある、そして政情的な不安もある。なおさら、エネルギー、ただでさえ少なくなってきたエネルギーをやはりそれぞれの国が奪い合いという形に今私は世界が入っている。もう既に五、六年前から入ってきていると。その顕著な例として、例えばインド、中国の消費の拡大、大変多くなってきております。そういったことで、特に私は、この中国の需要拡大というものは大変な数値になりつつあると認識をいたしております。  その影響だろうと思うんですが、石油価格先ほど言いましたように七十ドルを突破してきた。この原因というものをいろいろ分析、専門家もやっております。私もそれなりの情報を取っておりますけれども、四つか五つぐらい条件があるんですが、その中で、中国はもう既にその消費量、二〇〇三年に日本の消費量を追い抜いております。そして、世界の石油需要の増加分ですね、増加分の三分の一が、もう既に中国がその三分の一を占めておる、増加分。数字的に言いますと、一日当たりの油の消費量、これ今、世界、地球上で大体一日当たりで八千二百万バレルと言われておりますけれども、その八千二百万バレルのほぼ八%、これが中国が消費しておる。  なおかつ、モータリゼーション、大変最近中国も高速道路の延伸、そして道路整備、インフラが進んできたということで、年間大体二百万台、車が増加しております。二百万台ってすごい数なんですね。それが年々増加して、それやはりオイルを消費していく。  それと、家電製品の普及ですね。これ、今、例えば日本の冷蔵庫、先ほど世界一の省エネと大臣言われましたけれども、冷蔵庫の消費効率というのは、これ一九九一年、大体年間消費電力というのは二・二八キロワットアワーだったんですね。それが今、最近の冷蔵庫は〇・五三キロワット。約四倍改善されております。冷蔵庫の大きさもそれでも大きくなっております。ところが、中国辺りの省エネ意識がないということもありますし、機械が非常に悪い。そういったこともあってかなり、洗濯機もそうです、家電の伸びがエネルギーを、消費を加速度的に伸ばしてきていると。  話は少し余談になりますけれども、例えば、最近、中国の富裕層、彼らのステータスは何かと言われましたら、実は日本のTOTOのウォシュレットの最高級品が自分のマンションに入っている。これが自分たちの中で、何百万の絵を応接間に掛けるよりも、日本のウォシュレット、TOTOのウォシュレットがおれのところは入っているんだと、これが何か自慢の一つらしいんです。  そのぐらいやはり家電製品、そして一昨年ですかね、中国は大体都市で四十階前後のビルが年間に千五百本建っております。日本が大体百五十本。ですからほとんど十倍建っておりますが、それはほとんどエレベーターですよね。それだけやはり民生需要というのはもうどんどん伸びている。そういうことも兼ね合わせて、やはり中国の消費の伸び、そしてアメリカが、もう御承知のとおり消費量はもう年々拡大して、じゃぶじゃぶ使っております。こういった辺りのやはり意識革命はやってもらわなきゃいけない。  そして、最近では石油の先物取引というのが金融商品化してきた。それもやはり石油の高騰につながっている。  そして、もう一つは、産油国とかメジャーの新規開発が今止まっているんですね。というのは、彼らもどんどんどんどん開発しても本当に需要があるんだろうかとやっぱり疑心暗鬼なんですね。ですから、あんまり投資し過ぎて、投資しても、やはり産出してくるにはやっぱり六年から八年ぐらい年数が掛かる。その先までは読めない。そうなってくると、ひょっとしたら大暴落があるんじゃないかという懸念があって、メジャーも非常に設備投資を今控えております。  そういういろんな要素の重なり合いが争奪戦を加速度的に、高くなってきている。  そういうこともありますので、中国若しくはインド等の需要拡大というのは日本政府はどのように見ておられるか、それをお答えいただけますでしょうか。
  31. 小林温

    大臣政務官小林温君) お答えをさせていただきます。  私も、政務官着任以来、リビアやスーダンといった北アフリカ、あるいはサウジ、クウェート、UAE、カタールといった中東の資源国を訪問させていただいて、エネルギーの担当の大臣や産業関係の大臣などとも意見交換をさせていただきました。  その中で、今御指摘のような中国、インドを始めとする諸国の資源外交がすさまじいということを肌身で感じてきたわけでございます。特に、中国はどこに行っても非常に大きなプレゼンスがあるわけですが、これは国営の石油会社がその資源獲得に直接乗り出している。先般も国家主席が中東を訪問されましたが、こうしたトップ外交も使う。そして、経済協力でいろんなインフラやあるいは建物もアフリカ諸国などにプレゼントする、また、あるいは下流への投資も積極的に行うと。なりふり構わずというよりも、かなり戦略的で緻密にこの資源獲得外交を行っているということが世界じゅうで行われているんだろうというふうに思います。  こうした争奪戦の中で、果たして日本がどういう方向を取るべきかということでございますが、我が国にとってもこれは非常に喫緊の、そして不可欠の課題でありますので、まず政府及び関係機関が一体となると。それから、資源金融、経済協力、この辺は今いろんな見直しの議論も行われているわけでございますが、戦略性というものをしっかりと議論をして、この資源開発企業に対する支援を講じていかなければいけないというふうに思います。  また、各国を訪問させていただいたときに強く感じますのは、石油あるいはガスだけに限らず総合的な対象国との関係の構築を行っていくということが極めて大事だということでございまして、これは先ほどの大臣の答弁にもありましたが、例えば省エネルギーの分野でありますとかあるいは環境の分野、中にはITのプラットホームを日本の技術力をもって提供してほしいというような国もございまして、こうした関係構築を強化していくことによって資源の供給を安定化させていくということが大変大事だろうというふうに思います。  弊省でも、新・国家エネルギー戦略において今その必要な対策をまとめておるところでございまして、またそれを順次具体化をさせていただきたいと思います。
  32. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 政務官、大変丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。  特に消費量は、私が先ほど言いましたように、アメリカが大体石油換算で二十二・八億トンぐらい消費していますね。そして、これ二番目に中国が入ってまいりまして、今現在七・六億トン。ちなみに、日本の場合は大体五億トンぐらいですね。そういったこともあって、この中国の伸びというのはかなり大きな私は今後のテーマになろうと思っております。  特に、中国が最近、エネルギー戦略、これは江沢民下当時から大変なエネルギー戦略を組んできておりまして、今、胡錦濤体制もかなりエネルギーに対しての言わば最重要課題というような位置付けをしておりまして、近年の中国の資源保有国との要人往来、少し調べてみましたら、一九九九年、これは江沢民のサウジアラビア訪問というのがありまして、これは経済協力が既に合意されたというようなことがその時点ではあります。そして、その翌年、これは二〇〇〇年でありますが、イラン、これは当時のハタミ大統領も中国を訪問されておりまして、このときは、開発と輸入の合意ということがそのときになされております。そして、二〇〇五年、これは胡錦濤体制になってからロシアを訪問しておりまして、中国向けのパイプラインのプロジェクトのてこ入れということになっております。  このパイプラインに対しては今、中国、大変な力の入れようであります。それと、この中国の力の入れようは割かし空回りもあるんですね。例えば、経済の合理性を無視したようなやり方をやる、それだけダイナミックに動くわけなんですけれども。  例えば、新疆ウイグル自治区の天然ガスの輸送を上海までもう既にパイプが引けたと聞いております。ただ、その経済的な効果はどうか、頭を、ちょっと首をかしげるわけでありますけれども。大体、四千二百キロメートル、これパイプラインを施設しております。二兆円のプロジェクトなんですけれどもね。これ、輸送費は大体一立米当たり一元弱掛かっております。だから、十二、三円ぐらい掛かっているんじゃないかなと思う。これはもう既に実験済みであります。それと、採掘現場に対する引渡価格というのは、これは〇・五元なんですね。ですから、輸送料と原価というのは大変な金額になるんですね、これ中国からいきますと。それでも思い切ってやってしまおうと、こういう戦略を組んでおります。  それと、これはアメリカの石油大手、これ、ユノカルというメジャーがありまして、これ買収騒動がありました、つい最近。これはもうアメリカ議会もこのエネルギー政策、これはアメリカのメジャーが中国の石油会社に買い取られたら大変なことだと。それも、そのユノカルが持っている権益というのは大体東南アジアなんですね。例えばインドネシア、それとかタイ、この辺りのエネルギー、これがユノカルが持っている非常に権利なんです。そのユノカルを買収しようとした動きがありました。  最近では、日本がイランとの中でアザデガン石油の開発プロジェクト組んでおります。これは約一期、二期、二回に分けておりますけれども、大体初年度が、第一段階が六年半ぐらいでやろうとしておりますね。第二段階がやっぱり六年。この最初の六年半の間にかなりの日本も投資をして、油が出るように頑張って、設備投資やります。  そうしたら、四年掛けてようやく日量十五万バレルしか出てこない。ところが、大体六年ぐらいしますとその油が安定的に出始めますから、その第二段階をもう既に中国はイランと話合いが水面下でやられていると、こういう情報もあります。  ということは、おいしくなって実が熟してくると取りに掛かろうという考え方なんですね。これが大変、二十五万バレルというのは日量出る予定であります。そういったこともあって、大変な争奪戦が今後予想されると。  一番我々日本の近海であります東シナ海問題、これはもう今、最近春暁とかいろんなところの油田開発をやっておりますけれども、大変な国際問題の中に今突入しておりますけれども、私、個人的にいろいろ専門家に聞いてみますと、これ東シナ海のこのガス油田は経済的に大したことない、だからそんなに投資してもうまみはない。だからといって、どうぞ中国さんやってくださいというわけにいきません。それをやっておりますと国のやはり権益が侵される、経済的排他水域、平気で土足で足を踏み込んできてストローで吸うごとく持っていってしまう。経済的な観念じゃなくて外交的なエネルギー安全保障という観念から絶対これだけは許しちゃならない。ただし、経済的には余りうまみはないというようには聞いております。  そういったことで、このいろんな中国のエネルギー戦略に対して我が国の認識、今後の対応、これを是非お聞かせいただけたらと思います。
  33. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 東シナ海の資源開発問題でありますが、東シナ海の問題は、ただいま委員からも御指摘のありましたように、結果がどういうことになるであろうかということに対してはこれから進めてみなければ分かりませんが、今、中国におきましても、もちろん我が国におきましても重要な課題ということで両国で話し合ってきておるところであります。ちょうどたまたま明日、交渉の日時等を双方で発表しようという段階になっておりますが、もう間もなく第五回目の協議に入ろうとしておるわけであります。  私は、この五回目の協議でどういう結果になるであろうか、今からこの交渉の担当者に対しても自信と責任を持って交渉する上において、私の立場からそのことに対して予測を申し上げることは控えておきたいと思いますが、しかし、今後できるだけこの協議を早く詰めていくということについて、両国で努力をし合っていきたいと思っております。今後、東シナ海、お互いに協力し合うということで対応していきたいと思っております。  また、中国のエネルギー政策でありますが、これは我が国から中国のエネルギー政策についてとやかく申し上げる立場にはありませんが、しかし、中国も省エネルギーの問題、環境の問題に中国がどんな立場に現状立っておるかということを私どもももう薄々承知をいたしております。  そういう観点から、エネルギー及びこの商務関係の担当大臣とも再三、このWTOやAPEC等でお目に掛かった際に、私は必ずバイの会談を続けてまいりましたが、そうした中で、省エネの問題、そして環境の問題、この大きなテーマで両国が話し合おうではないかということで、ようやく話合いのテーブルに相手方を引き付けることができるようになってまいりました。  しかし先方も、日本の経済産業大臣が勝手に海外に国会開会中に出るわけにいかないということを言われたが、私の方も自分の判断で日本との協議にさっさと出ていくというわけにはいかないということを言われましたので、私はその大臣のおられる前で、先般、私は中国の首相に対して、是非日本のフォーラムには担当大臣をよこしてもらいたいということを申し上げましたら、それは同意いたしますということで、今度、薄熙来商務部長がお見えになりまして、私どもの方は私は責任者でございますが、お隣の小池環境大臣にも御協力を願って、我が国としての対応等についてフォーラムの席でお互いに話し合ってまいりたいと思っておりますが、中国側も相当力を入れて、経済界の代表等百五十人ぐらいの代表団が日本においでになるわけでございまして、私どもも三百名ぐらいの日本の経済界の代表と御一緒に、東京で、関西で、それぞれフォーラム、またもう少し詰めた協議会等を持って話合いをしてまいりたい。  私は、今度日本でやろうということで、最初の提案でありますから日本で開催しますが、来年は恐らく中国で開催するというふうにして、毎年協力し合っていきたいと思っております。  なお、先ほど委員から新エネルギーの問題等につきまして御意見がありましたが、私も新エネルギーがどれほどの熱量を確保することができるか、今日現在はどんなものであるかぐらいのことは承知をいたしておりますが、それでもどんなに小さくともあらゆる種類の新エネルギーに対して日本がチャレンジをしていく。そのことによって省エネもやる、そして環境問題も頑張る、そして新エネルギーも開発する。そして、先ほどから委員が何回もお述べをいただきましたように、この対中東との戦略的な交渉、またアフリカとどういう対応をしていくかなど、複合的に対応していかなくてはならない。  何にしましても、やはり私たちは広く多くの国民皆さんに省エネの問題等についても、家庭の主婦の皆さんにも最も協力をしていただいて、昔はどこのうちでも電気をつけっ放しにしておいたら消して歩く人が必ずその一軒のうちにおられたわけでありますが、今もうそんなことを言うのもはばかるといいますか、そうしたことを言うと時代後れか笑われるんではないかというふうな、そういう風潮がいっときはあったんです。今ようやく省エネということは大事だということが分かってきた。  そのときに、この新しいエネルギーの方策によってこれだけのエネルギーしかできないんだと、それなら省エネをやった方がいいとかいうことを国民皆さんにしっかり御理解をいただくために私は対応しようと思っておるんです。もとより、それで新エネルギーで取って代わろうというふうなことを今から考えているわけではありません。しかし、その開発の中に私は新しいものもやがて出てくるであろうということも考えておるわけであります。
  34. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  大臣の力強い言葉をいただきまして、私も全くそのとおりであります。そういう省エネ思想というものも大事だし、また新しいエネルギーをみんなの知恵で探していく、それも大事であります。それと、やはり消費をどれだけ抑えていくかという大きな観点からも私は必要じゃないかと思っております。  ところで、戦略的なことでありますが、中東に依存している、偏在している、中東に油を依存しているということが大変我が国のエネルギー安全保障からいえば大変な問題でありますから、私は、実はサハリン、例えばシベリア、極東シベリアのエネルギー、これをやはり多面的に活用していく、また日本のエネルギー政策上大変私は必要じゃないかと思っております。一時サハリンからのパイプライン構想がありました。これはどうもここのところ進んでいない。以前には随分予算も組んで調査もやっていたし、外交上の交渉もやっておりましたけれども、どうもパイプラインの話がここのところとんざしておる、そう思えてなりません。  このパイプラインの供給計画、現在どうなっているか、そしてどういうところに問題点があるのか、その辺りもお聞かせいただけますでしょうか。
  35. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今先生御指摘のとおり、サハリンは我が国の近隣に位置をするわけでございまして、しかも相当な量の石油、天然ガスというものの埋蔵が確認されているわけでございます。そういう意味で、このサハリンのプロジェクトというのは、我が国に向けましたエネルギーの安定供給の観点から戦略的な重要性を有するものと、こういうように理解をしておるところでございます。  少し数字を申し上げますと、サハリンの1のプロジェクトでございますけれども、二十三億バレルの石油と、十七兆立方フィートの天然ガスの埋蔵量というものが確認をされているわけでございます。石油につきましては、昨年の十月から既に生産が開始されておりまして、ピーク時の生産は日量で二十五万バレルに達するわけでございます。二十五万バレルというのは、我が国の総輸入量で見ますと大体六%ぐらいということで、相当大きな量でございます。そういう意味でも、我が国との地理的な近接性、それから日本企業が主要なパートナーであるということにかんがみますと非常に重要なプロジェクトであると、このように考えているわけでございます。  今御指摘の点について、天然ガスについてもう少しだけ御説明をいたしますと、既に、元々九百七十億立方フィートの天然ガスにつきましてロシア本土向けに供給するということが見込まれておりますし、需要家との交渉が並行して継続して行われているわけでございます。  具体的に申し上げますと、日本向けの供給につきましては、事業者がパイプラインのフィージビリティースタディーを行って、それを踏まえながら、このプロジェクトのオペレーターでございますエクソン・モービル社と日本の需要家との間で話合いが行われているわけでございます。同時に、エクソン・モービル社は中国の需要家とも交渉をしているというように承知をしておるわけでございます。ただ、このガス、サハリン1のガスがどういう形でどのユーザーに供給されるかということにつきましては、基本的には民間事業者同士の交渉ということになろうかと思っておるところでございます。  長くなりますので、もう一言だけ申し上げますが、サハリン2の方は石油も我が国に参りますし、また天然ガスの方はLNGの形で日本に持ってくると、こういうことで今話ができ上がってきておるところでございます。
  36. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 特に、先ほども私冒頭申し上げました中東からの依存度、これは八八%ぐらいありますからね。これが、シベリアからのガス、石油が入ってきますと、大体六八%ぐらいになるんですね。二〇%改善される。これはもう是非、ちゅうちょなく私は予算を組んででもやっていただきたい、このように考えております。  特に、北海道経済、大変落ち込んでおります。そういった動き、北から入ってきますからね。私は、北海道、三百六十五日農業生産やれるというのは、このエネルギーが確保できればハウス栽培でもやれると、そうしますと食料の自給率も上がってくると、そう思っておりますんで、是非、大きく期待をいたしておりますんで、お願いをしたいと思います。  ところで、エネルギー確保に対しての政府の民間支援策、これは余り具体的に言いますと一杯ありますから、基本的な考え方だけお聞かせいただけたらと思うんですが。  例えば、アンゴラは私も二〇〇〇年に行ってまいりました。ドス・サントス大統領にも会いましたし、石油公団の総裁ともお会いさしていただきました。そのときにかなり開発鉱区持っておりました。そのときの、アフリカ第二課長も一緒に行っていただいたんですけれども、アンゴラ大統領は是非協力をしたいとおっしゃっていただいたんですが、日本というのは、どうしても民間のリスキーさをカバーできるだけの政府は腰入れができない、そういった法律にもなっております。民間がやることに対して、じゃリスクを半分持ってやるから頑張れと、こういうことは言えないんですね。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  ところが、中国とか他の国は、国が全部見てやるから行けと、こういうような非常にダイナミックな動きをいたしております。その辺り、今後、方向として日本政府が、そういう民間がやることに対してしっかりと支援をしていけるかどうか、その辺りも総括的で結構でございます、方向性だけでも聞かしていただけたらと思います。
  37. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今の御指摘の産油国、天然ガス産ガス国、こういった国との関係を十分強化した上で、我が国に石油、天然ガスをしっかり持ってくるという安定供給の確保というのはもう御指摘のとおり非常に重要な問題でございます。私ども、そのためには自主開発の推進、それから今、先ほど務官から御答弁を申し上げました産油・産ガス国との関係強化といったことについて様々な努力をしているわけでございます。  具体的にどういう支援ができるかという御指摘でございますので、ポイントだけ絞って三点申し上げたいと思います。  まず一点目は、独立行政法人の石油天然ガス・鉱物資源機構、JOGMECと略しておりますけれども、このJOGMECによります出資、債務保証というものを通じました我が国開発企業に対する支援を行います。また、二番目に、産油・産ガス国との関係強化のために、人材育成とか相互投資の促進、さらにはODAを通じたインフラの整備、さらにはFTA、自由貿易協定を締結するための協議といったことを通じて対策を講じていく。さらには、供給源の多様化のためにサハリン・プロジェクト、今御指摘のあったものでございますとか、ロシアの太平洋パイプラインプロジェクトと、こういったものを通じて、供給源の多様化を図るということで、政府と独立行政法人もこれに加えまして、さらにはJBICの融資機能といったようなものも加えましてしっかりと対応していきたいと、このように考えておるところでございます。
  38. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 私の持ち時間、実は十四時五十一分までのメモをもらっていたんですが、どうも時間が来ているよという今コメントが流れてきたので、私、小池大臣に今からたっぷり十五分ぐらいやらしていただこうと思っておりました。時間がなくなりましたので、是非、私、環境省、この経済産業との非常に絡みがあるんです。先ほど言いましたように、もう京都議定書の話、十二日の本会議でも京都議定書の話出ましたね。お答えも私も聞きました。もう二年後からスタートするということで、日本も六%削減の枠をしっかり計画を立てておるということも聞いております。  数点質問項目を作っておりましたけれども、あいにくと今回できません。申し訳ありません。一つだけ、これだけはどうしてもお答えいただきたいというのは、例えば中国の先ほどの省エネに対するやはりまだまだ後れている部分、それとか、もう一つ、私、最近エタノールというのが随分見直されてきております。例えば、アメリカが作っているコーンをすべてエタノールに変えますと、アメリカの消費量の一〇%カバーできるというような話もあります。  そういった意味から、私はエタノールというのはCO2削減に物すごく寄与すると思っております。化石燃料は、地下から取り出して燃やしますから、当然CO2が大気中に出てまいりますけれども、エタノールの場合はそれはプラスにカウントされませんので、これ是非、エタノール政策進めていただきたい。そして、中国等々にも技術を是非供与していただいて、大体、中国は技術盗むばっかりだということで大変いろんなところで不評を買っておりますけれども、これは地球環境でありますから、少々盗まれてもいいと、いいものはいいということで、是非大臣、その辺り、一言いただいて、大変申し訳ありませんが、私の質問を終わらしていただきます。
  39. 小池百合子

    ○国務大臣(小池百合子君) 昨今の石油価格の値上がり、上昇というのは、ある意味では新エネルギー再生、新たな再生可能なエネルギーに対して競争力を持たせるという効果もございます。また、京都議定書、二〇〇八年から、間もなくカウントダウンが始まるわけでございまして、マイナス六%を目指すところが一方で現実には七%以上増えておりますので、ギャップを足しますと一四%近くをクリアしていかなければならない。  であるならば、今御指摘のように、エタノールなどの再生可能なエネルギーを開発すると同時に、そういった省エネ技術というのを日本のみならず海外にまで波及できるような、特に先生御指摘のように、対中国でございますけれども、二階経済産業大臣とともに対中国の省エネということにつきまして、ともに進めてまいりたいと思っております。  地球温暖化をいたしましても、これは人類共通の課題でございますので、どのようにしてこれをクリアしていくのか、大きな問題、大きな課題としてとらえて、そして我が国として強い部分を伸ばし、そしてそれを海外にも普及できるような、そういった体制を取っていきたいと思っております。  よろしゅうございますでしょうか。
  40. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 どうもありがとうございました。
  41. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。今日は会計検査院にまず御質問をしたいというふうに思います。  毎年こんなにすばらしい検査をしていただいて、私たちの予算執行のまずさに歯止めを掛けていただいていることに大変感謝を申し上げます。  それで、感謝と同時に、会計検査の基本方針ということで、検査の結果、予算の編成、執行や事業運営等に的確に反映され、実効あるものとなるよう、その後の対応状況等を適時適切に検査するなどしてフォローアップを行うというふうに言われております。実効あるものとしてフォローアップをする、どういうところをされておられるのか、ちょっとお尋ねをいたします。
  42. 国井正幸

    ○理事(国井正幸君) 帆刈第四局長、指名を受けてからお答えください。
  43. 帆刈信一

    説明員(帆刈信一君) お答えをいたします。  会計検査院におきましては、検査対象機関におきまして、検査の結果を踏まえまして、不適切な事態が是正されましたり、また再発防止のための改善の措置がとられたり、それから予算への反映がなされたりすることは極めて重要なことと考えております。  したがいまして、検査報告に掲記いたしました事項につきましてそのフォローアップを行いまして、適切に対処し是正されているか、あるいは再発防止のためにどのような対策が講じられているかなどを調査、把握いたしますとともに、掲記後の事態の推移を注視する必要があるものにつきましては、現状の調査、把握をまた行うこととしておりまして、検査成果の実効性の確保に努めております。  農林水産省に係ります検査結果の場合で申し上げますと、例えば平成十六年度決算検査報告に掲記されている事項につきましては、委託費や補助金が過大に交付されている事態については過大に交付された額が国庫に返納されたり、設計や施工が適切でない工事につきましては手直し工事が行われたり……
  44. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 後で質問しますので。
  45. 帆刈信一

    説明員(帆刈信一君) よろしゅうございますか。
  46. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 はい。  丁寧にお答えをいただきました。順次聞いていきたいことでありますので。  フォローアップ、本当にそういうふうにされているのか。毎年毎年、例えば私、平成十四年の決算とか十五年の決算、十六年の決算、不当である、不当である、不当である。決算をいただいたのは大半の二〇%余りであるというふうにお聞きをこの間いたしましたが、それなのにもかかわらず、いつもいつも不当な指摘をされておられるわけですけれども、その指摘に対して、今農林水産省は返すものは返してもらうとか、そういうことを言っていただいたんですが、例えば農林水産省に限らず、この不当である不当であると毎年毎年言っている皆さんのお気持ちを私はもう本当に、もう何言ってんのよという気持ちはないんですかというね。本当に、指摘をされて、まあ指摘をされたことに対してはいろんなフォローアップはされているけれども、指摘された以外の、例えば八〇%以上ものところが、本当に次の年に、予算執行のときに、あそこでああいうことを指摘をされたので、今度はこの省は、気を付けなくちゃいけないよねという感じが感じられますか。なかなか感じるということ、感じないとは言えないと思うんですけれども、本当じくじたる思いがないのかどうか、ちょっとお尋ねをします。
  47. 国井正幸

    ○理事(国井正幸君) どなたに質問ですか。
  48. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 会計検査院です。
  49. 帆刈信一

    説明員(帆刈信一君) なかなかお答えしにくい質問でございますけれども、私どもも、検査上やはり必要な事項につきましては、毎年同じような指摘になる場合もございますけれども、必要なものについては必要な検査を行う、あるいは同じような、同じ例えば工事等の検査でございましても視点を変えて検査を行って新たな注意を促す。それにつきまして、各省におきましても例えば経理担当者あるいは契約担当者に我々の検査の結果を周知をする、また私どもも契約事務担当者あるいは工事の担当者等を集めまして研修も行っておりまして、不適切な事態がいささかでも減るように努力はしておるわけでございますが、残念ながら毎年指摘事項というものはあるというのが私どもの実感でございます。
  50. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 お答えにくい質問をして申し訳ないです。  本当に、きっと会計検査院の皆さんは、毎年毎年、こういうふうに、不当である、安全性に欠けている、書きたくないと思うんですよね。  例えば、農林省、お尋ねをします。今年もまたいろんな御指摘をされておられますが、百八十五から二百二十五まで、全部いろんな指摘がされていますが、ああ、またされちゃったよという感じなんですか、それとも本当に、笑い事じゃないんですよね、本当。毎年同じ指摘をされていながら、また今年も指摘されたということを恥ずかしくないんですか。是非、お答えください。
  51. 国井正幸

    ○理事(国井正幸君) どなたにですか、質問
  52. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 大臣。
  53. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 予算の執行は、国民からいただいた貴重な税金を使わせていただいて、そして農林水産省も、これが国家全体、あるいはまたそのためにいろんな立場で経済活動その他をされている人々や事業体、地域に対してお役に立てるようにさせていただきたいという気持ちで一生懸命やっているつもりでございます。  そういう中で、プラン・ドゥー・チェック・アクションという四つのサイクルの中で、プランをして、そしてドゥーをやって、その後チェックをきちっとやらなければいけないと。これが、省内でもチェックをしておりますけれども、会計検査院がきちっとしたお立場でやられているわけであります。  その御指摘に対しましては、我々も深く受け止めまして適切な対応をしていかなければならない、言うまでもないことでございます。そして、同じような指摘をまた次の年、あるいは何回も受けるということは、これは決していいことじゃありませんし、こういう言葉が適切かどうか分かりませんが、余り格好いいことでもないわけでございますので、名実ともにそういうことのないように、これからも一生懸命努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  54. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 本当に国民の大切な税金でありますので、それと同時に、事業というのは、例えば私が今日質問するところの前には、橋梁の設計に当たって不適切で安全度が不十分と書いてあります。橋梁の設計がなされて、それが不適切で不十分だということは、橋梁は危ないということなんですよね。何か地震でもあれば、何かないからこのままいるけれども、これは大変な国民の安全性にかかわることだというふうに思います。  今日の質問は、検査結果の百九十五というところで、コンクリート擁壁の設計が不適切で安全度が不十分ということを指摘されたことを質問をしたいと思いますが、まず、今年のこのあらましの中に触れている徳島県の麻植郡川島町、現在は吉野川市というふうになっていますが、こちらでは、農林省所管の農村振興総合整備統合補助事業の一環として行われた集落の道の新設に伴うコンクリート擁壁工事について、会計検査院から不当事項として指摘をされております。  このコンクリート擁壁の設計の図面を作成する段階で、擁壁の前に沿っている排水路を築造する必要が生じた。これは設計が変わっていって、その変わっていったときに、その際に本来検討すべき安定計算をしないで工事を行ってしまって、その後、安定計算をしてみると、この擁壁は転倒に対する安定並びに滑動に対する安定についてと、ちょっと面倒なんですけれども、何しろ安全性に欠けているということを指摘されたわけです。  まず、この問題から明らかになった経緯、お伺いしたいと思いますが、こういうことを最初に発見したというか把握したのは農水省なんですか、県なんですか、それとも会計検査院なんですか。
  55. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) ただいまお尋ねがありました吉野川市の農村振興総合整備統合補助事業の経緯は今お話があったとおりですが、この件につきましては、工事自体、平成十六年度に工事が完成をいたしましたが、十七年二月に会計検査、会計実地検査が行われまして、会計検査院から指摘がありまして、農林水産省として承知することとなったところであります。  また、直接指導いたします徳島県においても同様に、会計検査院からの指摘によって承知することとなったと聞いております。
  56. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 設計変更のときには、安定計算の検討というのはこれは必ずしなくちゃいけないことだというふうに思うんですけれども、工事の着工のときにはこういうことは考えなかったのかなという感じがします。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  また、例えば住宅を建てる場合は確認検査のようなことがあるんですが、工事の途中でチェックをする仕組みというのはないんですか。
  57. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) これは先生御案内のとおり、補助事業一般でございますが、工事の発注、施工、あるいは成果品がどうであるか、完成品として適当かどうか、検査、確認を行うのは補助事業の実施主体が行うことになっております。  本件につきましても、事業実施主体であります吉野川市において適切に検査なり確認をすべきであったと、会計検査院の指摘にもそう書いてありますが、そういうことであると考えております。
  58. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 不当であると指摘されたんですよね。それは四百十三万円が国庫補助金として不当であるということなんですけれども、擁壁なんというのは直接住民の安全にかかわることだとすれば、当然、安全を伴う改修工事が速やかに行われているんだと思いますが、そのときの工事費というのはどういうところに入ってくるんですか。
  59. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) 先生がお話しになりましたとおり、吉野川市では平成十七年二月の会計検査院の指摘を受けまして、これの手直し工事をする必要があるということで、要するに不安定な状態であるものを安定化させるということで、平成十七年八月に当該擁壁の手直し工事を実施しまして安全度を確保いたしております。そのために要しました工事費は三百九万八千円となっております。
  60. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 それはどこの会計の中に入るんですか。
  61. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) ただいま申し上げました吉野川市が手直し工事を三百九万円余りで実施をしたわけですが、これにつきましては、先ほど言いましたように事業の実施の責任は事業実施主体がありますので、その吉野川市において全額負担をしたということでございます。
  62. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今、マンションとかホテル、さっきの質問にもございましたけれども、耐震設計の偽造なんというのが国会でもすごい問題になりました。そういう、あっマンションの偽装だななんて思っていたら実は自分たちの橋とかそういう擁壁や何かがこういう状況にあるということは、国民は本当に全然知らないところでこういうことがされて、今全部、この十四年、十五年、十六年見てみますと、全部安全度が不当である、国庫補助金が不当に使われたというふうに書いてありますが、国民はこういうこと全然知らないんですけれども、こういうことに対して、どういうふうな責任を取ったり、どういうふうに国民にお知らせをしたり、そういうことはなされているんでしょうか。
  63. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) 先ほど申しましたけれども、補助事業につきましては事業実施主体が責任を持ってその完成品の検査なりを行うということになっております。農林水産省といたしましては、事業実施主体が適切に事業を実施するようにふだんより指導してきております。  具体的に申し上げますと、工種ごとの設計や施工管理検査に関する基準等、まず農林水産省で決めるということをいたしておりますし、それを踏まえながら、御指摘のあったような吉野川市のような事例が生じないように担当者会議等を通じて事業実施主体指導するということで対応しているところでございます。
  64. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 何かとてもくどいようなお尋ねをしたいんですけれども、申し訳ないんですが、こういうのはだれの責任になるんでしょうね。そして、例えば、農林省はこういうことをやっちゃいけないよと何回も何回も言ったというけれども、もしこういうことが行われている工事の業者とか、そういう人たちに何か責任とか、そういうものの波及はあるんですか。
  65. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) こういったものにつきましては、補助金適正化法、御案内の補助金適正化法がございまして、先ほど言いましたように、事業実施主体が基本的に法令を遵守し、善良な管理者の注意をもって施工するという規定がございます。仮にこれに違反をしておりますと、補助金適正化法に基づきまして改善を命ずるとか、あるいは交付の取消しをするとか、あるいは返還をするとかいう、会計検査で行われているようなことで処理がなされるということでございます。
  66. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 公共工事というのは、その目的がきちんと達成されていかないと、工事の途中で検査をしないとこの工事は完成しないわけですから、途中のチェックというのはとても大切だというふうに思いますので、是非そのチェックをしていただきたいなというふうに思います。  このコンクリート擁壁が造られた徳島県の麻植郡というのは、昭和四十三年から山林を切り開いてミカンを中心に梅とかハッサクなどをしてフルーツの大産地をつくるという目的で、今は国営開拓パイロットなんていうふうには言わないそうなんですが、そういう事業が行われました。  関連する事業というわけではないんですが、この国営開発パイロット事業について、これは私の地元の会津にもありますのでちょっとお尋ねをしておきたいんですが、この麻植の事業は、地元紙の報道によりますと、当初はミカンの大産地をつくる目的で、もう本当にかね太鼓で事業が始まったそうですが、数年後にはミカン生産は過剰になって価格が低迷して、さらに、開発用地がすごい急斜面のところに行われたために山崩れがすごく発生して難工事難工事だったそうです。そして、その工事は長期化し、また、いったん造成されたせっかく造られた園地も、北向きの斜面が多くて高質のミカンが取れなかったために次々に廃園になったというふうに聞いています。そのような状況で開発事業は昭和五十八年度まで行われて、参加農家は大幅に減っていったにもかかわらず総工事費は大幅に膨れ上がって、参加農家の負担金額が増大したというふうに聞いています。  徳島県が平成九年に調べたところでは、植栽可能な百八十二ヘクタールのうちに、廃園されて、全体の五四%に当たる九十九ヘクタールは、木はあるもののほとんど手入れはされていないとか、そういう場所がすごく多くなっているということなんですけれども、地域によっては七割から八割の農家が農地を捨てていったというふうに言われています。  何だか無駄な公共事業費が使われているなというふうに私は考えるんですけれども、農林省としてはどういうふうにこの結果というか状況をとらえておられますか。
  67. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) ただいまお話がありました徳島県麻植地区の開拓パイロット事業でございます。  先生からお話がありましたように、昭和四十三年度から四十八年度にかけて百八十二ヘクタールの農地を造成をいたしました。当該地区の営農計画、当初は、先生お話がありましたが、かんきつ類を中心として生産をしていこうということでございましたが、その後のかんきつ類の輸入自由化の影響などを大きく受けたところでございます。具体的にいいますと、グレープフルーツ、昭和四十六年ですとか、あるいはオレンジの輸入自由化、平成三年ですか、といった自由化の影響を受けまして、先生からお話がありました九十九ヘクタールのミカン園が廃園ということになっております。  現在、地域では梅や茶を中心として六十四ヘクタールの農地で営農が営まれております。受益農家において例えば梅の加工組合を結成して梅干しやジャムなどの製品化を行うなど、高付加価値化を進めているという動きも見られます。  農林水産省としては、そういう状況の変化はあったものの、整備された農地が活用されるようにこうした動きについても支援をしていきたいというふうに考えております。
  68. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 例えば、私の地元には喜多方市とか北塩原村とか塩川町の三市町村にまたがる、今ちょっと町村合併しておりますが、国営雄国山ろく開発建設事業、一般に雄国山ろく開パというふうに言われています。今、開パというふうには言わないと何回も言われたんですが、こちらは昭和四十五年から二十二年間、二百三十億円掛けて農地が開拓されました。しかし、事業竣工後も石ころが次から次へ出て、約二〇%の方が耕作できない状況になっています。そうこうしているうちに農地の償還期が来て、作物ができずに困っているにもかかわらず償還しなければならないという、そういう状況になっています。  この問題について我が党の佐藤議員も質問をされていて、その当時は武部農林水産大臣だったんですが、大臣は、しっかりとした耕作可能な農地として受け渡すことがなぜできなかったかという感じが素直にありますというふうに答えていらっしゃいます。こういう償還期に入った畑でも、これにプラスして緑肥を入れるとか、新たな事業をそこに起こして完全なものにする、そういう緑肥を入れるとか表土をきちっとするとかいうことについては市町村が中心にならなければならないのでしょうけれども、そういうことについてはきちっと助成策を講じた方が資源を守っていく上で、それをつくり上げていく上で必要ではないか、そのことが一つの方策ではないかというふうにもおっしゃっています。  そもそもこの雄国山ろく開パでは、計画段階で、地質調査段階での物すごい石なんですけれども、畑にするのは絶対に無理なところですね。何回も見て分かりますけれども、見ていらっしゃるかどうか分かりませんが、農林省は当初から事業計画そのものに無理があるというのを承知事業を進めていたことも報道指摘をされています。佐藤議員もそのことを指摘しているんですが、訪ねていって、何か植えているのかなと思ったら、夫婦で石ころを拾っていたというふうに言われます。  衆議院で神風さんも、農地として渡すのは、どこまでが農地、その石ころがあるのは農地と言わないんじゃないかという質問もされているんですけれども、その武部大臣が示された考えについて、その後の御回答というか、その後の対策はどういうふうになされたのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  69. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) 雄国山ろくのパイロット事業の件ですが、その前に、ちょっと先ほど麻植地区の事業実施の期間を四十三年度から四十八年度と申し上げたかもしれませんが、五十八年度でございますので、もし誤っておりましたら訂正させていただきたいと思います。  今お話がありました雄国山ろくの開発パイロット事業についてでございます。これ、当時、武部大臣のお答えにつきましても言及されてお話がありました。  元々、その当時、新聞で担当の農林省関係の者がこれはなかなか石が多くて農地にならないんじゃないかというような話もあったということもございました。それについて、当時調べてみましたけれども、そういうことを発言をしたというようなことはちょっと見当たらなかったんですが、それは別といたしまして、この地域についてのことについてちょっとお話をいたしますが、この地域については、実際にその調査段階で土の中に石がかなりあると、存在しているということは調査段階で確認をされておりました。しかしながら、土地の傾斜度あるいは土の中に石がどのくらい含まれているかという含有状況につきまして調査をいたしまして、当時、石の除去を行うことによりまして農地の造成は可能であるということで、関係者の意向も踏まえまして事業計画を策定したということでございます。  それから、その石の除去につきましても、農地を造成する段階、それから一次利用の指定をして実際に農家が使われるような段階、さらに換地処分の前の段階、それぞれ必要な調査をするなり農家の方の意向を聞いて必要な場合には石を除去するなりということで、農家の了解を得た上で対応してきたということでございます。
  70. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私の時間が十一分までなのでちょっとあれなんですが、ちょっとその雄国の開パのところにこの間私たち民主党として行ってきたんですが、建設業者の方がそこに農地を造成されていました。それは五年間掛かってやっと何か植えられるようになった、余り石ころが多くて、そういう状況です。  そして、その人が農政のお金を借りようとすると建設業者だから駄目だと、建設から借りると農業をするならお金は貸せない、そういうことなんですが、私が聞いたところによりますと、認定農家になればいいとか何かいろいろな方法はあるんですけれども、そういうことをせっかく借りに行ったそういう業者の人に農林省又は出先の皆さんは温かい気持ちで、そんなところにもやっていただけるというそういう気持ちで、もし借りに行ったなら、こういうふうにしたら借りられますよとか、そういう温かい対応がなければ、せっかくやった業者さん、建設関係に行っても駄目だ、農水関係に行っても駄目だと、本当に困りますというふうに言っておられたんですけれども、そのくらいの気持ちがなければ、これからそういうところに、今担い手なんというのがいろいろ出てくるんですけれども、優しい心を持たないと農業なんというのはやっていけないなという思いでありますので、どうぞよろしくお願いします。そういうところでそういう優しい言葉を掛けていけるということをお答えいただきたいと思います。
  71. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 他産業から農業に参入される企業などに対しましては、農林水産省のホームページでも法人参入支援のページというのを作っておりまして、そこで、金融支援だけでなくて、機械施設の整備ですとか参入準備段階の支援なども一覧にして情報提供をいたしております。  今百五十六法人ありまして、十四法人が認定農業者になっておられますが、この百五十六法人も我が省として五年で五百まで増やしたいという意向も持っておりますので、このホームページも更に分かりやすいようにするなり、今委員指摘のように融資の面についても様々な御相談に積極的に応じていきたいと思っております。
  72. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 もう終わるんですけれども、農林省側はそういうふうに思っておられる、そういうお気持ちが十分にあったらちゃんと下達していただきたい。下達、下ではないんですけれども、言っていただかないとみんなは分からないんですから、言っていただくようにお願いをいたします。  終わります。
  73. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。  本日は、経済産業省中心にいろいろ御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、中小企業高度化事業の不良債権問題についてお伺いしたいと思います。  この中小企業高度化事業の不良債権問題に関しましては昨年も取り上げさせていただきました。今回、会計検査院の方で十八都道府県について厳密な調査を実行されて、その結果が報告書に詳細に記載されております。ここを中心に御質問申し上げたいと思います。  まず、中小企業高度化事業に関する全体的な問題点として、一、延滞債権の管理期間が長期化し、その保全も不十分である。二、都道府県の債権管理体制が不十分である。三、中小企業基盤整備機構と都道府県の連携が不十分である、こういった点が指摘をされました。十八都道府県で不良債権となっている債権残高は、報告によりますと一千二百八十六億円となっていることが明らかにされています。この十八都道府県における融資残高は三千六百六十一億六千八百五万円ということでありますので、計算すれば実に一九%が不良債権と、こういう計算になると思います。  不況が長期化したとはいえ、この検査結果はやはり不良債権比率が高いという意味で異常としか言いようがないと私は思います。この融資資金に国としても出資金として多大な金額を拠出しているわけであり、不良債権額が大きくなっている事態は深刻に受け止めるべきだと考えます。元々融資につきましてはリスクがある、そういう事業であるということではありますけれども、それであるなら、そのリスクを最小限にする仕組み事業の主体となる都道府県の努力の在り方、そういうふうなことをきっちり枠組みを決めておくことが必要であったと、こういうことであります。  経済産業省としては、この不良債権が膨らんでいった原因を含め、この検査結果をどのように受け止められておられるのか、お伺いをしたいと思います。長官にお願いしたいと思います。
  74. 望月晴文

    政府参考人(望月晴文君) お答えいたします。  独立行政法人の中小企業基盤整備機構の高度化事業につきましては、先ほど先生の御指摘の十八都道府県分の会計検査院の調査と実態的には同じでございますけれども、独立行政法人を監督する立場から私どもが持っております、把握しております調査結果を申し上げますと、平成十六年度末の貸付残高、トータル総額六千八百六十二億円のうち、貸倒れ懸念債権と破綻更生債権を合わせたいわゆる不良債権額は、独立行政法人の会計基準というものを適用いたしますと、二千二百五十四億円であると承知いたしております。  不良債権の増加の背景といたしましては、マクロ経済環境の変化というのはもちろんあるわけでございますけれども、それ以外にも幾つかの要因が複合的に影響をしていると考えられますが、その中で高度化事業の特性と関係するものとして以下の二点をちょっと申し上げておきたいと存じます。  すなわち、そもそもこの高度化事業は、直接的には基盤整備機構が都道府県に貸し出し、都道府県が同額ほぼ用意いたしまして中小企業組合に貸している仕組みになっているわけでございます。したがいまして、中小企業組合との直接の貸手でございます都道府県が回収見込みがないということを証明した場合に限って不良債権の処理を行うということでございまして、都道府県自身の御判断としては、そもそもが中小企業の支援を最大の目的とした制度であることから、軽々にその償却処分をするということができずに、償却処分をしないで保有したまんまある部分が、額があるということで、長年にわたってまだそういう処理がされずに積み上がっている額があるということが第一点でございます。  第二点は、融資先の多くが組合でございます。この場合、一部の組合員の返済が滞った場合でも当該組合に対する貸付債権全体が貸倒れ懸念債権に区分される、つまり一部以外のその他の組合員方々計画どおり返済をしていても、それらを含めた全体をもって貸倒れ懸念債権というふうに区分されるというのが、制度の性格上どうしてもそうなっているようでございます。  したがって、この二点から、不良債権額が、民間の金融機関がとらえておりますいろいろな不良債権に比べて実態上、あるいは形式上と申し上げた方がよろしいのかもしれませんが、過大に計上されている可能性があるというのも事実でございます。しかしながら、こういった制度固有の要因も考えられますけれども、いずれにいたしましても大変大きな金額であることも事実でございまして、かかる事態を厳粛に受け止めて、不良債権の発生の抑制には努めなければならないということで私どもとしては努力している最中でございます。  具体的には、現在この中小機構において、不良債権の発生の抑制のために、現在の貸付先について経営状況をより頻繁にかつ定期的に把握をし、専門家の派遣などを通じて経営状況に即した経営指導を行う、それから延滞先などからの回収を促進をするため都道府県に対する債権管理アドバイザーを派遣するなど債権管理強化に努めているところでございます。  今後とも、引き続き、都道府県との緊密な連携ということも、御批判されることのないよう、図りながら適正な債権管理に努めてまいりたいと考えている所存でございます。
  75. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ただいま御答弁をいただきました中で数字がございましたけれども、二千二百五十四億円というのは、これは四十七都道府県全体で発生している金額でしょうか。
  76. 望月晴文

    政府参考人(望月晴文君) 全体、すべてでございます。
  77. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 先ほど答弁の中で、組合対象に貸付けをしておるわけでありますけれども、組合員の一部が返済を滞ったという場合には全体金額がいわゆる対象の不良債権というジャンルに入ると、こういうふうなことでしたんですけれども、その、じゃ具体的に、二千二百五十四億円のうち、そういうふうな言わば見掛け上膨らんでいる不良債権というのはどの程度、どの規模あるのか把握されているんでしょうか。
  78. 望月晴文

    政府参考人(望月晴文君) これは、一つ一つの債権について、実際は、一部その債権が滞っているやつについての中身を本当は詳細に見ないと、たまたまその分少なかったのか、あるいは元々もう駄目なのかというところが判断が非常に困難なのでございますが、二千二百五十四億円のうち、どう考えても破綻更生債権というか不良債権として処理しなければいけないものというのは実は八百六十一億円でございます。その差額がそういった意味での無理して破綻更生債権としなくてもいいようなものではないかと推測されるのでございますけれども、ただ、その差額は正常債権の部分でございますときちっと申し上げるには、一本一本の組合員の返済についての調査を詳細にしないと申し上げられませんものですから、胸を張ってその他は大丈夫でございますと言うにはいささかいかがかと思います。ただ、そういった要素があるということだけをお含みおきいただければというふうに思っているところでございます。
  79. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 まあ含みおきますけれども。  先ほど、長官の方で、じゃそれらについてどういう対処策を取っているかと、お話がございましたけれども、その内容は、実は「平成十五年度決算審査措置要求決議について講じた措置」ということで、三十番、中小企業高度化資金の運用状況という中に、「債権管理については、同機構が貸付先の経営状況を定期的に把握し、専門家の派遣等を通じて経営状況にあった指導を行うとともに、都道府県に対し、債権管理に関する研究会を開催する」「等により、適正な債権管理が図られるよう努めているところである。」と、こういうふうな、参議院、私どもに対して答弁をいただいたということで、ただいまの長官の御答弁は、この措置に対する答弁内容、同じ内容であると、このように思っているわけであります。  さて、先ほど二千二百五十四億円というものが言わばてんぷら状態、膨らんでいるんだと。実質中身、身の部分は八百六十一億円で、これは随分てんぷらの衣の部分の方が多いんじゃないかと。ただし、そのことについては長官自ら、いやいや、大きな声でこれですと大見えを切るというわけにはまだどうもはっきりしないなというところもあってということを言われたというふうに思います。  今日は、そこはそことして、ただ措置についての答弁の中でるる今方向を言われたのが、「同機構が貸付先の経営状況を定期的に把握し、」ということからいえば、今言った八百六十一が本当に身の部分なのか、衣がどのぐらいなのか、あるいは、それも民間が今マニュアルでやっているように第一段階、第二段階、まあ分類をしていくとか、そういう具体的措置も私はあってしかるべきではないかと。そして、既にこの不良債権というジャンルに入っているものは、もう随分長い期間このジャンルに入って、言わばフリーズしているというんでしょうか凍結状態になっている部分も間々あると、こういうふうな報告の内容でもあるわけですから、その辺のところは、私はやはりもう少し細かなデータ、実態把握というものを行うべきではないのかということと同時に、いや、間に都道府県が入っているからねと、こういうふうな御答弁もございましたけれども、そこが私は言い訳にはなかなかならないというふうに思います。都道府県が入っておるからしようがないんだというようなことは、私は、これは言うべき状況ではないというのは長官も重々御承知おきいただいているというふうに思います。そこで、この点についても後ほど御答弁をいただきたいというふうに思います。  あわせて、中小企業高度化事業というのは、先ほどもありましたように、現在の中小企業基盤整備機構の前身であった中小企業振興事業団の設立を機に昭和四十二年に設けられました。その後も中小企業振興に関して様々な公的融資制度がつくられてきましたが、長い歴史を持つ中小企業高度化事業への融資制度は、どちらかといえばよく生き長らえている融資制度と言ってもいいと思います。今年度の貸付金利は〇・九五%でありますが、これから長期金利が上昇していくこと、あるいは製造業の国内立地が増加傾向にあることを考えれば、中小企業にとっては、この低金利融資は経営革新策の一助になるということでもありましょうし、組合をつくるというような具体的方策の中で中小企業等の今後の新しい発展を私は展望できる、そういうプラスの面も随分あるというふうに思います。  しかし、この融資制度が本当に政策の目的にかなう支援策となっているのかという現実を、私は政策評価という視点からもやっぱりそろそろやる必要があるのではないかと。つまり、現実にお金の、使っていくという、執行したことの是非、議論と同時に、融資制度そのものですね、政策目的に合致しているのかという、そういうふうな二つの視点で今、再度検討が必要ではないかというふうに思います。  簡単に言わせていただきますと、経済産業省のこれまでの中小企業の振興策というのは、事業組合、協同組合を基盤にした組織への融資制度に軸足を置き過ぎたのではないか。近年、融資の条件に関しても様々な改善がされてきておりますけれども、中小企業への支援融資に関する施策についてはきっちりとした個々具体的なレベルで政策評価を行い、また政策手段全体のブラッシュアップを図っていくべきではないかと、こういうふうな私は曲がり角に来ていると、こういうふうな思いもあるわけであります。  したがいまして、前半の質問に関しましてはまず中小企業庁長官答弁をいただき、その後、大臣の所見もお伺いしたいと思います。
  80. 望月晴文

    政府参考人(望月晴文君) 中小企業の高度化事業というものは、先生御指摘のとおり、全国各地における工場団地を始めといたしました様々な事業に対して、制度創設以来約四十年間で三兆二千億円の貸付実績を有しまして、中小企業者だけではなく地域経済の発展に大変大きく寄与してまいったと思っております。  現在、その組合制度信頼性を高めてより使いやすいものとするための中小企業組合法の改正法案を御審議いただいているところでございますけれども、中小企業が組合をつくって相互に経営資源を補完しながら連携を強めていくということは、今後とも小さい中小企業のためには必要ではないかというふうに思っていることでございます。中小企業の抱える様々な課題に対応するために組合を通じて支援する高度化事業というものは、引き続き相当のニーズが存在するものとは考えております。また、必ずしも組合を組成しなくても、中小企業の新連携事業のように、任意のグループに対してもこの高度化事業が適用できるように措置をしているところでございます。  今後、高度化事業の中で大きなニーズといたしましては、まちづくり三法の見直しに対応した中心市街地の再建などの場合の組合の活動、あるいはアスベスト問題やCO2の削減対応などの環境対策面での取組、あるいは不測の災害対応など、必ずしも直接の投資が採算に結び付かない、利益を生まない投資というものがやはり数多くあると思います。そういうときに、個々の中小企業の固有の対応ではなくて組合でそういうものを対応し、かつ政策的にこういうもので支援をするという余地は引き続き多いんではないかと思っておるところでございまして、御指摘いただきましたようなこの制度の抱える課題というものについては常に新しく見直しをしながら、私どもとしては現在抱えている課題の対応にも取り組んでいかなければいけないというふうには思っているところでございますけれども、引き続き御指導を賜りたいと思っておるところでございます。
  81. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 今から約四十年ぐらい前から中小企業高度化事業というものは全国各地で様々な工場団地等を形成し、制度創設以来それなりの実績を上げてまいりました。かなりの歳月が経過しておりますから、多少マンネリになるといいますか、創意工夫の面におきまして一段の努力が必要ではないかと思われる点も我々もよく理解するところでありますが、これから議員の御指摘等を踏まえて、今後、この中小企業高度化事業の目指す理想的な方向に向けて中小企業関係者の皆さんの一層の奮起を促しながら、中小企業庁としてもしっかりした対応を進めてまいりたいと考えております。
  82. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 これまた、引き続き私としては見詰めていきたいと、このように思います。  さて、そういうふうな制度を使って中小企業組合が団地を造り、日本の、我が国の物づくり、製造業の発展を図ってきたわけでありますけれども、そういうふうな努力、一生懸命やってきたノウハウ、これが実に海外における模倣品、海賊版と、こういうふうなものでスチール、盗用されているという現実があるわけでございます。朝から晩まで汗水を流してやったその成果が、言わば模倣という形で海外に流出をしているということによって我が国の製造業が受ける被害はこれは甚大だと、こういうことでございます。  そういう視点で、まず第一に模倣品や海賊版による我が国の被害について、これは様々な試算がございますけれども、まず経済産業省としてどのように見積もっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  83. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) ただいまの加藤委員の御指摘のとおり、製造業がせっかくいい製品を作り、開発しても、それが模倣をされるということで被害を受けるということでは非常に問題があると思っているわけでございますけれども、私ども幾つかの調査を行っておりますけれども、まず、特許庁が日本企業八千社に対して実施したアンケート調査というのがございます。  これ二〇〇三年度に行っておりますけれども、それによりますと、模倣被害のあった企業の割合というのは、回答した企業全体の二七・四%ございました。その二七・四%の中で、中国で模倣被害があったと回答した企業が五五・七%というふうになっておりまして、特に中国における被害が深刻であるなというふうに認識をしております。  そういう模倣品、海賊版についての被害額でございますけれども、日本企業の被害が比較的多い、今言いました中国、台湾、韓国、タイ、そういう四か国を対象特許庁が試算を行ったわけでございますけれども、約十八兆円の被害があると。中国だけ見ても約九兆円という試算結果になっております。  ただ、もう一つのケースとしましては、これは中国の国務院がデータを出しているわけでございますが、その中では約三兆円中国において被害が出ていると、そういうようなデータもございます。
  84. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 言わばそういう被害があると、こういうことでございます。  では、そういうふうな被害があるという状況の中で、私は、これは先進国を含めまして国際的にいろいろと対策が取られておるわけでありますけれども、経済産業省として、ここ数年における取組経過なり、あるいは各国との交渉、あるいは啓発活動、情報収集対策など、大体どのぐらい捜査費というんですか、お金を使っているんですかと、熱意はある程度予算に表れるんじゃないかという人もいるんですけれども、この辺どうですか。
  85. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) ここで具体的に一件一件の調査の内容をまず申し上げた方がよろしゅうございますか。申し上げた上で金額を申し上げます。
  86. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 簡単に。
  87. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) はい。  まず中国との関係でございますけれども、先ほど申しましたような被害の実態がございますので、近年、二国間協議だとか、それから中国への官民の合同ミッションの派遣だとか、それからWTOの場での情報提供の要請だとか、そういうことで中国政府に対して模倣品、海賊版の取締りあるいは罰則の強化ということを働き掛けをしております。それから、それに加えまして、中国の関係機関が適切に模倣品の取締りができるように、私ども知的財産権保護を中国政府が執行する上での強化のための支援を行っております。  それから、今、中国だけ申しましたけれども、今、経済連携協定ということでアジアの国々と、一部にはもう発効しているものもございますし、そういうものは進めているわけでございますが、そういう経済連携協定の中で、そういう模倣品、海賊版対策についての実効あるエンフォースメントといいますか、執行についてそういう規定を盛り込んでいるケースもございます、これはマレーシアのケースでございますけれども。  そういうことで、私ども、そういう啓発活動だとかあるいは情報収集だとか、そういうことで模倣品、海賊版の対策のための予算といたしまして、平成十六年度のケースで言いますと十四億九千万円、そういう予算を確保して実施をしてきているということでございます。
  88. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 約十五億円のお金を使っているということでございます。  私は、この問題というのは、政府としては私は毅然たる態度でやっぱり対応する必要があるというふうに思っております。開発途上国がやっぱりこういう特許が欲しいとかやり方を教えてほしいとか、そういうことについては私はいろんな形で、ODAも使ってやりようがあると。ただ、黙って盗むのはいかぬと。ガス油田にしたって何にしたって、やっぱりそこは国家間のきちっとした私は約束、法律に基づいて対応するという態度をやっぱり明確にしなければ、やっぱり製造業の皆さん方が非常に苦しんでつらい思いしながらここ数年間耐えてきた、その思いを私は受け止めるならば、別にけんかを売るわけじゃないんですけれども、やっぱりそれがこれから発展する国々にとっても大切なことではないかと、このように思いますし、一番うるさいアメリカはブッシュ政権になってから、二〇〇四年十月に組織的著作権侵害防止戦略、STOP、ストップと、こういうふうに言われるような方式も取って強い決意と適切な予算措置で対応していると、このようなことも伺っております。  我が国政府としても国家戦略として位置付けるべきだと、このように考えますので、決意などあれば簡単にお話を聞かせていただきたいと思います。
  89. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) 今、加藤委員が御指摘になりましたように、アメリカがSTOPイニシアチブということで、そういう対策を国全体で取っているというのを私どもも承知をしております。我が国政府も、昨年六月に知的財産戦略本部の中で決定をいたしました知的財産推進計画二〇〇五というものの中で、こういう模倣品、海賊版対策をその主要な柱と位置付けまして対策強化をしてきているところでございます。  具体的な点については先ほど述べましたようなことを累次行っているわけでございますけれども、一点付け加えて申し上げますと、先ほどは十六年度の予算を申し上げたわけですが、平成十八年度の予算におきましてはこれを更に増額をいたしまして十八億三千万円という金額を計上して、そういう調査あるいは交渉、さらには、前回加藤委員から別の委員会でも御質問いただきました協議申立て制度、そういうものを適切に実施するための予算をしっかり確保して進めてきているところでございます。  今後も、今まで以上に、そういう国内での産業界との連携強化、あるいはこういう問題について同じような問題意識を持っております欧米との連携強化、そういうものも念頭に置きながら、模倣品、海賊版対策をしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
  90. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 それでは次に、原子力発電所の耐震問題について二、三お伺いをしたいというふうに思います。  本日は経済産業省省庁別審査ということで、大きく言えば我が国の総発電電力量の三〇%から四〇%は原子力でやっていこうという原子力政策大綱というふうなものがございますし、これはこれとして現状況においては必要な方策であると、そういうふうな前提に立つ、かつ、原子力発電推進政策というのはやはり安全性の確保と、と同時に国民皆さん方に安心感を与えると、これがなければなかなかうまくいかないというふうなことで、我が国は二重、三重の安全対策、つまり多重防護という考え方で今までやってきたわけであります。  しかし、三月二十四日、金沢地裁において、北陸電力志賀原発二号機の耐震設計にかかわり運転差止めという衝撃的な判決が出たわけでありまして、原子力安全委員会は内閣府の所管でございまして、ガス、原子力発電政策の推進は主として資源エネルギー庁、また安全に関しては原子力安全・保安院であるというふうなことで、本日ここで質問をしたいと思います。  原子力安全・保安院はこの判決に対して少し考え方が違っておると、こういうふうな意見を出されておりましたけれども、現時点では、経済産業省として、あるいは原子力安全・保安院としてこの判決をどのように受け止められておるのか、見解をお伺いしたいと思います。
  91. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) 三月二十四日に、金沢地方裁判所での判決の主な理由といたしまして、志賀原子力発電所二号機の耐震設計において直下地震マグニチュード六・五の設定の妥当性など最新の知見が考慮されていないことが挙げられております。  しかしながら、原子力安全・保安院では、原子力発電所の耐震設計に係る安全審査に当たりましては、耐震設計審査指針への適合性はもとより、最新の知見を踏まえて安全審査を行っておりまして、運転開始後も適宜その時点で得られた最新の知見を踏まえた安全確認を行っているところでございます。したがって、原子力安全・保安院といたしましては、志賀二号機を含め、稼働中の原子力発電所の耐震安全性は確保されていると考えております。今後とも、最新の知見を踏まえ、厳格に耐震安全性の確保に取り組んでまいります。  なお、原子力安全・保安院では、事業者に対し、各原子力発電所の耐震安全性の確保について地元住民等に分かりやすい説明をより一層積極的に行うよう求めております。原子力安全・保安院としても、耐震安全性の確保の状況について地元を始めとする国民の皆様に十分に説明するなどにより、積極的に広報活動を進めてまいります。
  92. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ただいまいただきました答弁答弁として、間違っているところは一つもないと、こういうことでございます。  ただ、今回の判決を見て考えなければならないのは、耐震設計審査指針の見直し作業がもう随分と遅れているんじゃないかと、ここにも私は一つ大きな問題点があると。国としては、一九九五年の阪神・淡路大震災、そして二〇〇〇年の鳥取西部地震など直下地震の経験を踏まえて、正式には二〇〇一年から原子力安全委員会の耐震指針検討分科会が見直し作業を始められましたけれども、これが、なかなか難しいとは思いますけれども、進まない。さらに、昨年八月に宮城県沖地震で女川原発が三基とも自動停止するという事態になったと。こういうことを受け止めて、そしてあの判決を見て、いろいろな立場の人がおられますけれども、素朴に国民は、安心できるんかなと、こういうふうなやっぱり気持ちを持っておると。  そして、大事なことは、原子力発電というのは国民の信頼感が、安心感が損なわれた段階から、これは本当に三〇%から四〇%、我が国の発電総量を賄い得るという供給責任を果たしていけるのと、これを止めなきゃならぬというような状況になったときには、国民生活はもとより産業も含めて甚大なる打撃を与えるという意味で、私は、地元住民の理解を得られるということを今言われましたけれども、やはり最悪の事態を想定したクライシスマネジメントということと同時に、地震というものと原子力発電所及びその施設との関係をもっともっと、言葉で言えばクリアにやっぱり国民の間に理解をしていただくような私は対応策というふうなことをやっぱり今後十分取っていく必要があるし、また経済産業省として新しい基準に基づき安全確保のための施策をこれはしっかりと講じていく必要があると、そういうふうなことだというふうに思いますけれども、御見解はいかがですか。
  93. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) 先生御指摘のように、耐震設計審査指針の改訂につきましては、原子力安全委員会の耐震指針検討分科会におきまして平成十三年から検討が行われ、本年の四月二十八日に改訂原案が取りまとめられたところでございます。原子力安全・保安院としては、この間、同分科会において、地震学や地震工学などを専門とする各委員により慎重な議論が行われたものと考えております。  新たに策定されます原子力安全委員会の耐震設計審査指針への対応のために、本年四月一日に原子力安全・保安院の中に耐震安全審査室を新設し、体制強化をしております。新指針を踏まえた基準類の整備等を積極的に進めるなどによりまして、新指針が策定された場合の円滑な運用を図り、国民の理解を得てまいる所存でございます。
  94. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ただいま保安院としての安全対策についてお述べいただきましたけれども、原発、我が国にとっても大変大切だし、世界にとっても大切なエネルギー源であるこの原発を取り巻く問題というのは、廃棄物の処理、原子力施設の高経年化対策、それからバックエンドの問題など、いろいろな大きな課題が今メジロ押しであると。この耐震問題も私はその一つであるというふうに思っております。  経済産業省として、また資源エネルギー庁としても、原子力発電における安全への国民の信頼をしっかりと得るためにも、今後、各電力会社と連携して十分な対策を講じてほしいと、こういう思いで、今日の質問はこの程度にとどめますけれども、やっぱりこれからの努力をお願いをしたいと思います。  最後に、簡単ではございますけれども、産業再生機構の運営と今後の課題についてお伺いをしたいと思います。  今日は、これは内閣府ということでお呼びをしておりますので、産業再生機構担当室長さんにおいでをいただきました。いろいろ申しません。産業再生機構、昨年の三月末に支援企業の債権買取りを終えて、現在、再生事業を推進しておられると、このように聞いておりますので、現状と今後の課題について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  95. 広瀬哲樹

    政府参考人広瀬哲樹君) 産業再生機構の現状と課題という御質問がございました。  産業再生機構は、表裏一体の関係にあります産業再生と金融再生を同時的かつスピード感を持って進めるために、期限を限って公正中立的な立場から事業再生を支援する組織として設立された経緯がございます。  再生機構は、平成十五年五月の事業開始以来、市場原理を尊重いたしまして、また民間の専門家の能力を最大限活用する形で、精緻な査定に基づきます抜本的なリストラクチャリングを行いまして、民間だけでは難しい案件にも取り組むなど、本格的な事業再生に取り組んでまいりました。  平成十七年三月末の債権買取り申込期限までに四十一件の支援決定を行っておりますが、現時点までに三十三件につきましては既に支援を終了しております。今後八件残っておりますけれども、一部上場企業もまだ残っておるような状況でございます。  今後とも、事業再生を進める過程で、日本にこういった事業再生のメカニズムを定着させていくこと、それからこういう事業再生を担う人材を育成していくこと、そのようなことをマーケットに広めていくという役割を果たしながら、日本の産業再生に幾ばくかでも貢献できればと考えております。
  96. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 まあ四十一件、三十三件は処理が終わって残り八件と、こういう状況でありました。思い起こせば、この産業再生機構を設立する当時の議論は本当に鳴り物入りの大きな議論でありましたし、十兆円という資金をたしか用意をされて、なおかつ民間を含めまして大変優秀な人材を結集されたと、こういうことであったわけでありますけれども、結果としては大きなトラックに小さな荷物と、こんなふうな感想も否めません。  私ども決算委員会ですから、いろいろと問題、イシューを討議すると同時に、こういうふうな大掛かりでつくったものが結果としてこういうことになったと、そこを、揚げ足を取るわけじゃないんですけれども、本当にそういうふうなシステムを用意する必要があったのかという点については、これから政策を真剣に考えるときの一つの事例として、私はやっぱりしっかりと分析をし評価をしていくと、そういうふうなことが必要だと考えておりますけれども、もし室長の方でそうじゃないということなら、それも含めまして私は御感想があればいただき、それをもって質問を終えたいと思います。
  97. 広瀬哲樹

    政府参考人広瀬哲樹君) 事業再生を中心にいたしまして産業再生を行うということが大きな目的でございました。同時に、金融システムの安定ということを図るという大きな目標もございました。そういったことをスピード感を持って進めるということを考えますと、本来、事業再生は基本的には民間で行うべきものでございますけれども、当時の日本を思い起こしていただきますと、デフレスパイラルに陥るのではないかとかいった経済状況もございました。金融機関におきましても、金融機関の間の、債権者間の調整が困難な状況もございました。  振り返ってみますと、そういった三年あるいは四年前といったような状況では事業再生、事業にかかわります市場を担う担い手、それから法律あるいは公認会計士といった方々も、こういったマーケットで窮境に陥ったような企業を立て直すということができない状況でございました。  そういった観点から、今、加藤委員が御指摘のように規模としてどうだったかということを考えます前に、産業再生機構が果たした日本の経済の再生、あるいは活性化といったものに対する影響あるいは効果といったことを併せて御検討いただければバランスが取れるのではないかと思います。  機構が支援しました中には、先ほど申しましたような一部上場企業もございますけれども、地方の温泉旅館もございます。そういった中で、家族経営であったものを近代的な企業経営に移管する、目的意識を持って企業経営に参加する、そういったことを通じまして今こういった温泉旅館も四月末をもって支援が終了するといったような成果も上げております。  そういった意味で、産業再生機構は五年に限った時限立法をもって設立された機構でございますので、終了した段階で改めて御議論いただければと思っております。
  98. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 終わります。
  99. 谷博之

    ○谷博之君 私、民主党・新緑風会の谷博之でございます。  今日は、三省の大臣がおそろいでございますから、関連する問題について幾つか質問したいと思っておりますが、まず最初に環境省の、今政府はいろいろと随意契約の見直しを進めておりますが、特にホームページの管理運営業務の随意契約について絞ってお伺いしたいと思っております。  御案内のとおり、これは四月の上旬にNHKのテレビでも放映されましたので、ごらんになった方もおられるかも分かりません。お手元に資料をお配りしましたのでごらんをいただきたいと思っておりますが、これはホームページ関連業務を実際にどのように各省庁で取り扱っているかということであります。  環境省の網をかぶったところを見ていただきますと、平成十三年から十六年までこの四年間、財団法人の環境情報普及センター、ここに四千九百二十万円と全く同じ契約額で、しかもOBが二名天下りしているこの組織に随意契約で発注がされております。平成十七年はそれが更に金額が七千八十七万五千円ということで上がっているわけです。  この理由を、実は私は環境省の大臣官房の会計課の方に問い合わせをいたしました。そうしましたら、ホームページの更新業務には環境分野の専門的知識が必要であること、サーバーの保守管理など毎年変動しない業務が含まれていることなどがその理由だと、こういうふうなお答えをいただいたわけです。これがその資料ですね。そういうことですから、そのほかの各省庁の内容についても私の方で調べた結果がこういうものであります。  回答をいただいたその一府十省三庁のうち、経済産業省など八省庁が専門家の天下りのない株式会社にホームページ業務を委託しております。これは下の枠に入っているところですね。また、毎年同じ額で随意契約しているケースは、ごらんのとおりほとんどありません。企画競争をしたり、更新ページごとの出来高払制や、あるいは一般競争入札を採用しているというふうな状況であります。そしてまた一方では、この上の枠を見ていただきますと、農水省環境省のように六省庁がOBが天下っている公益法人等と随意契約をしていることが明らかになりました。  今日は経産大臣がおられますから、経済産業省をちょっと一つ例に取ってみますと、この下の枠の一番下にありますように、株式会社ユーティックスなど複数の民間企業と毎年一般競争入札で発注しております。専門性を理由に天下り団体を使うとか、随意契約で毎年同じところに発注するということもしておりませんし、また、この資料には出ておりませんが、経産省のホームページのサーバー保守管理も一般競争入札で毎年異なる金額で扱っております。  また、農水大臣も出席ですから、農水省の方、上の枠を見ていただきますと、ホームページ関連業務で三つのここは天下り法人と契約をしておりますけれども、毎年同じ額ではありません。まあ若干似通った額もありますが。また、右側の備考に書いてありますように、十三件中の八件が一般競争入札で契約をしております。  こういうことを見てみますと、このホームページの運用業務に省庁間の専門性は私は特に必要はないというふうに思っておりますし、サーバーの保守管理業務のいわゆる契約額が毎年同じ額であるという必然性も私はないというふうに考えておるんですが、これらの点についての環境省はどのような見解を持っておられるか、お答えいただきたいと思います。
  100. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) お答え申し上げます。  ホームページの関連業務あるいはそのホームページの作り方というのにつきまして、恐らくそれぞれの省庁でシステムの部分あるいはハードの部分、それからコンテンツの部分、どういうところまで含ませてどこでどう作るか、それぞれちょっと違っているんだと思います。そういう面ではちょっと一概には比較できないのだと思っていまして、環境省の経過を申し上げますと、環境省のホームページは、その草創期、作りましたときの平成八年のときには、環境庁時代でございましたけれども、このときには環境情報普及センターのデータベースがありましたので、それを利用する形でシステムをつくり、それを改善して発展してきたと、こういう形になっています。したがいまして、コンテンツやそういうハードのリース料のほかに常時の改良を含むようなシステム運営管理全体を同センターに外注してきたと、こうなっています。  したがいまして、普通の年は予定価格調書の積み上げをきちんとした上で、言わば一括をして通常の改良、改善みたいなことも込みでやっております。それから、十七年が大きいのは、これはセキュリティーなどの大改造を行ったというようなことであるわけでございます。  このような経過から、システムの改良、運営込みの一括方式を取ってきたということでございますので、それを前提にしてきちんとしたことをしようとすれば、唯一このセンターに外注するほかはない、こういう経過をたどってきたものだと認識しています。  ただしながら、透明性、効率性の観点から見直しをするといった場合におきましては、こういう方式のもっと元へ戻って、そもそもの仕事の仕方も含めて見直しをしていくのが正しいんだろうと思っておりまして、目下その見直しをしているところでございます。
  101. 谷博之

    ○谷博之君 答弁は短く簡潔にしてください。  それで、今の説明、御答弁をいただきましたが、それは全く答弁になってません。それが言うところの専門性ということであれば、そういういわゆる専門性を有する機関というのは私はほかにも一杯あると思うんですよ。現実にほかの省庁を見ていただけば分かるじゃないですか、これ。  そういう意味で、しかも平成十七年度のこの契約額、これ合計、この三つの財団を合わせますと一億二百七十八万一千六百五円なんですよ。大変なこれ金額が随意契約、全部、これでやられているということ。しかも、こういう俗に言う天下りの公益法人に全部これを随意契約として契約を結んでやっている。これはどう見てもおかしいと思うんですね。  大臣、実は、大臣は入院をされたときにその入院先から、随意契約を半減にするんだということで、これは各省庁同じような横並びかもしれませんが、そういう改善の指示を出されたというふうに私は聞いているわけですけれども、こういうふうなホームページの関連業務の契約先及び契約方法について、これ他省庁と比べても余りにも私はちょっと飛び抜けておかしいという気がするんです。この辺の見直しについてはどのように考えておられますか。
  102. 小池百合子

    ○国務大臣(小池百合子君) 契約の見直しにつきましては、このホームページのみならず、すべての随意契約、これまでの流れなどを精査いたしまして、どうあるべきか、それを踏まえまして今積極的に見直しを行っているところでございます。  今後、一定の経過期間をもって競争入札へ移行するということは当然でございますけれども、この機会に環境省のホームページ、今ホームページのことについて御質問あるわけでございますけれども、それを国民に一層分かりやすくなるものとするように十分検討、工夫も重ねてまいりたいと思っております。  つまり、随意契約の問題につきましては、この際いま一度全体的に洗い出してみようと、そういう構えでございます。
  103. 谷博之

    ○谷博之君 先ほど冒頭申し上げましたけれども、今政府はいわゆる随意契約の見直しを徹底してやろうと言っています。その中で、会計法に基づいて例外規定というものを設けていて、そして随意契約についてのいわゆる例外規定というものがあるはずです。先ほどお答えいただいた答弁は、私はもう正に例外規定に入ってない。そして、新聞報道などを見ておると、六月には各省庁の随意契約についての報告を求めて政府としてどうするかということを相当やっぱり詰めた議論をするという、そういうふうに報道されています。したがって、もう今五月の中旬ですから、そう私は時間は余裕はないと思うんです。  ですから、今の大臣の答弁は、それは、基本的にはそれはそういう方向で見直しをしているということかもしれませんけれども、それでは私はこの委員会で十分な答えにはなっていないと思うんです。もうそういう意味では、一か月後のそういうふうな政府全体のそういう随意契約の見直しの中で、特に環境省のこの問題は必ず私指摘されると思うんですよ。そういうものに対してもっとやっぱり危機感を持って真剣に見直しをするということを、考えをやっぱりきちっと検討してもらわないと、非常に私はこれは大きな問題になるというふうに言わざるを得ません。  ということで、その六月に向けての具体的ないわゆる見直し計画内容、これについて具体的にどのように考えているか、現時点で答えられるものがあったら答えていただきたいと思うんです。
  104. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 現在、政府におきまして、公益法人等に対する随意契約というものにつきましてすべて洗い出して、それにつきましては六月までに見直し計画を作るということでございます。  私どもは、いろいろと随契の問題が取り上げられていることもございますので、すべての契約、直接契約を行っておりますような業務につきましてすべて見直していこうということでございますので、それを今鋭意見直しているところでございます。  特に、今、ホームページにつきましては、大臣がお答え申し上げましたように、一定の経過期間を置いて競争入札にする、それだけじゃなくて内容も良いものにしていく、そういうことで見直しをするということでございまして、それも含めたきちんとした見直しを行いたいと思っております。
  105. 谷博之

    ○谷博之君 ちょっと時間が今日ないものですから、更にお聞きできないことが残念なんですが、是非、透明性の確保に努めて、無駄遣いの排除に、あるいは無駄遣いの温床と言われるようなそういう状況をやっぱり自らそれを改革していくという、そういう姿勢が今問われてきているわけですから、これを見ても、この数字を見ても、四年間も同額のものが続くというのはおかしいじゃないですか。そういうだれが見てもおかしいことを、それがおかしくないといって言い張っているところに私は今の基本的な姿勢があると思うんですよ。ですから、そういう点は私はまた委員会でこの話は聞きたいと思いますが、そのことを極めて厳しく指摘をしておきたいと思っています。  それから次に、実は話はまた別の問題になるわけですけれども、いわゆる輸出用の木材のこん包材ですね、いろんな機械類を海外に輸出する、そういうときにこん包する、そういう木材、この問題について、これは大変今薫蒸について問題が起きております。  御案内のとおり、薫蒸については二つの方法があります。熱処理とそれから臭化メチルという化学物質を使ってやる方法、その二つあります。臭化メチルにつきましては、二〇〇五年にモントリオール議定書で生産と消費についてはこれは全廃になりました。ただし、これは検疫とそれから出荷前の処理については例外扱いにされた。  この問題について、しかし我が国としては極力、この臭化メチルというのがオゾン層を破壊する極めて重要な化学物質であるということから、オゾン層保護法に基づいて、経済産業大臣とか環境大臣による検疫における排出抑制・使用合理化指針というものを作って代替法の導入を進めてまいったわけです。  実際、我が国から中国に向けての輸出されているそういういろんな輸出品についても熱処理によってこれを輸出していた。時には、既にこん包しているそういうものについても、一回それをばらして、そしてその木枠を熱処理をして、もう一度それを機械を入れて輸出する、こういう大変手間の掛かる、そういうふうな薫蒸をやっていたわけです。木材にはいろんな昆虫が入ったりしています。そういうものを完全に駆除するために、やっぱりこういうことでやらざるを得ない。  ところが、今年に入って、正月から二月の初めのころまで中国向けで臭化メチル薫蒸が行われている。昨年までは中国向けは熱処理で全部やっていたわけです。ところが、中国の政府が方針を変えて、今年から臭化メチルによる薫蒸方式でも輸出品を受け取ると、こういう話になってまいりまして、結果として、日本のそういう輸出業者、特にこん包材の生産者、処理業者が、したがってその臭化メチルによる薫蒸方式を取り入れた。  ところが、ここに問題があるわけでありまして、一つはこの臭化メチルの使用についての国際基準というのがありまして、中国はその国際基準を超えるハイレベルの実は基準を作ったんです。こういうことになりますと、国際基準であれば二国間の協定というのは必要ないわけでありますが、国際基準のルールに従ってそのハイレベルの基準を作った場合には、日本と中国との間で二国間協定というものを結ばない限りこれはできないことになっているんです。ところが、この正月から二月の上旬にかけて、農水省に問い合わせたところ、既に四十一件の臭化メチルを使ってそういうものが輸出されているわけです。  これはいろんな問題があるわけですけれども、まずお手元に、資料を見ていただきたいと思いますが、資料二と三があります。  先ほど申し上げましたように、政府は極力熱処理やるんだと言っていますから、その政府の実は輸出用木材こん包消毒実施要領というのを作っておりまして、この中に非常に細かいことが書いてあります。そして、少なくとも農水省が消毒のいわゆる認証機関というものをつくって、その消毒の認証機関が、実は登録こん包材生産者とか認定消毒実施者、こういうものの登録を受けて、実際その認証機関がチェックをして、そしてその輸出を認めていると。  ところが、この実施要領の中には、今申し上げたように中国との関係についての全くその記述がなくて、そして今言ったように、この実施要領を逸脱した、あるいはそれに反したような形で、無断で四十一件の臭化メチルの薫蒸による輸出品が中国に行ったと、こういうことなんですね。ちょっと話がややこしいと思うんですが。  そういう中で、まずお伺いしたいわけなんですけれども、いわゆる認証機関であるところの全国植物検疫協会というのがあります、全植検協と略しておりますけれども。ここが実はその認証機関になって、今言ったように、木材の輸出についてのその実際の薫蒸の結果についてチェックをして、そしてオーケーが出たやつについてそれを承認のスタンプなりそういうものを押すと、こういう形になっているわけですけれども、残念ながら、その一か月ちょっとの間に四十一件のこの事実があったということについて農水省は後になってこれ気が付いたんですね。実は、その業者の中で私どもの方にそういう話があって、おかしいじゃないですかということになって調べてみた結果、実は無断でこういうふうな臭化メチルを使った薫蒸をしていたと、こういうふうなことになっているわけです。  それで、まずお聞きしたいんですが、この全植検協、今申し上げたような全国植物検疫協会、これは社団法人でありますけれども、このいわゆる協会、そしてこの検疫所、これには何人のOBが天下っていて、臭化メチル薫蒸業者から何人の出向者が勤務しているか、お教えいただきたい。
  106. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今お尋ねの社団法人全国植物検疫協会の役職員のうち農水省からのOBの占める数というお尋ねでございますけれども、常勤役員一名それから職員二名、合わせまして三名が農林水産省植物防疫所の元職員でございます。
  107. 谷博之

    ○谷博之君 その後、この一月から、中国が今申し上げましたように熱処理の薫蒸から臭化メチルを使う薫蒸に変わったと。その中国のいわゆる基準が国際基準よりもハイレベルだと。その中国のハイレベルの基準がこの四月から、国際会議でそれが実は国際基準に今度はなったんです。つまり、それだけ基準がハイレベルに上がったわけですね。  その結果、今後、農水省は、国内にそういう臭化メチルを使って薫蒸できるような施設を持ったそういう業者、そういうふうな人たち、そういう設備がない限りこれはできません。今までは、例えば倉庫薫蒸とかあるいはビニールハウスなどの中で薫蒸していたわけですけれども、これは極めて臭化メチルが大気に出ていきますので、こういう不完全な形じゃ駄目だ、実施可能な設備がなきゃ駄目だと。そういうものが確認され次第この実施要領の改定に踏み切らざるを得ない、こういうふうになっているわけですけれども、その分、今年の初めまでの二国間の協定というのは不要になって、我が国第二の輸出相手国の中国へ臭化メチル薫蒸による輸出が始まることになります。  そこで、農水省にお尋ねをしますけれども、この臭化メチル薫蒸は熱処理と比べて時間やコストの面で手軽であると、こういうふうに指摘されておりますが、例えば五十立方メートルの素材を中国基準に準じた国際基準に沿って薫蒸する場合、時間やコスト面で熱処理とどのくらいの違いがあるのか、お教えいただきたいと思います。
  108. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 熱処理と臭化メチル薫蒸とを比較した場合というお尋ねでございますけれども、まず熱処理でございますが、この場合はこん包材のみを集めて処理するものでございまして、時間的には八時間程度ということでありますし、またコストとしましては素材一立米当たりで四千円から一万円と、これかなり業者によっても差がございます、そういう状況でございます。  他方、臭化メチル薫蒸につきましては、こん包材のみの場合とそれから貨物を包装した状態で薫蒸する両方の形態がありますが、時間的には先ほどの熱処理が八時間に対しましてこちらは二十四時間程度掛かります。他方、料金につきましては、一立米当たり二千円から二万円程度ということでございます。これは一立米単位にいたしますとかなり差がございまして、一概にどちらがどうということはなかなか申し上げにくい状況でございます。
  109. 谷博之

    ○谷博之君 先ほど申し上げましたように、今年に入って四十一件のそういうふうな、我々にとっては不祥事とこれ言わざるを得ないと思うんですが、そういう出来事がありました。  そもそも、農水省所管の先ほど申し上げた社団法人の全国植物検疫協会の内規というのがありまして、これは、国の定める輸出貨物木材こん包材消毒実施要領、これに違反するというか適用されていない、別の言い方をすれば別表に中国向けがまだ記載されていない、そういう内容であったことを実は農林水産省は見逃していたというふうに私は言わざるを得ないわけであります。  それで、こういういわゆる要領にない不正な臭化メチル使用を放置して実際にそういう出来事が起きていたということ、これについての農水省の責任、これは私は免れないと思うんですが、これは大臣、どう考えますか。
  110. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 谷委員が御発言のあった事実関係、そのとおりだというふうに私も認識をしております。  二月になりまして、四十一件の違反があった後、急遽これに対しての是正措置ということで全国植物検疫協会に是正を指導いたしまして、こん包材生産者及び消毒実施者に対しましてこの内規の改正に基づく措置をとるようにさせたところでございますけれども、いずれにいたしましても御指摘のとおりでありまして、地球温暖化という観点からも、モントリオールの決め事、あるいはまた農林水産省の決定したこと、そして内規にきちっと沿うように今後ともやっていかなければならないと、再発をすることを防止したいというふうに考えております。
  111. 谷博之

    ○谷博之君 重ねてお伺いしますけれども、農水省は、二月の時点で私が問い合わせしましたときに、環境配慮の観点から熱処理の方が望ましいんだと、検疫の目的に照らしても熱処理は完璧であるということを言われています。  ただ、そういう意味では、今後あくまで熱処理がメーンになるが、熱処理の業者が将来これから不安を感じる程度に臭化メチル薫蒸が熱処理に代わって代替していく状況になるのではないかと。こういうことに対して、そうはならないというふうに実は回答しているわけなんですけれども、これは大臣、今後どういうふうに見通しておられますですかね。
  112. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 農林水産省といたしましては、地球温暖化対策等も含めまして、熱処理が原則であるという方向で考えておるわけでございますので、特殊な場合においてのみ、さっき谷委員指摘のような場合においてのみ臭化メチルによる薫蒸ということでございますから、当然これは熱処理がメーンでございまして、例外的に臭化メチル処理ということでございますので、これはもう御指摘のとおりでございます。
  113. 谷博之

    ○谷博之君 今日は経産大臣、環境大臣、おそろいでございますから、両大臣からもお伺いしたいわけですが、環境先進国と我々は自負しているわけですけれども、そういう環境先進国としての輸出側の自主的努力として、いかなる国向けのこん包材であろうとも、原則は、今農水大臣がお答えになったように熱処理を推奨する、どうしても熱処理では対応できないケースに限って臭化メチル薫蒸を認める、こういうことを国の方針とするように今後農水省とよく協議していただきたいと思いますが、一言ずつお答えいただきたいと思うんですが。
  114. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 谷委員から先ほど来詳しい御指摘がございました。中川大臣からもお答えになりましたように、全くそのとおりだと思っております。  そこで、オゾン層を保護するというこれは重大な観点から臭化メチルの使用を抑制するということは、これは申すまでもなく重要な課題であります。  オゾン層保護法に基づく特定物質の排出抑制・使用合理化に関する指針では、検疫の際の消毒について臭化メチルを使用しない方法の導入を進めることとしております。経済産業省としましては、この指針に基づいて、引き続き熱処理や代替物質の使用の推進により臭化メチルの使用削減が図られるよう、環境省農林水産省と協議しながら積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  115. 小池百合子

    ○国務大臣(小池百合子君) 同じく、オゾン層の保護という観点から、臭化メチルの大気への放出を極力抑制していくということは重要なことであります。そのため、環境省といたしまして、オゾン層保護法に基づく特定物質の排出抑制・使用合理化に関する指針で決めてありますように、検疫薫蒸に使用されます臭化メチルについて代替物質の導入などを進めると、このようになっているわけでございまして、この指針に基づいて、臭化メチルの代替物質の導入が促進されるように、引き続きガス薫蒸業者等に対しまして指導を行うという農水の、農林水産省でございますけれども、こちらの方ともよく協議をしてまいりたいと考えております。
  116. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先ほど私、温暖化防止と申し上げましたが、今両大臣がお答えのようにオゾン層破壊防止という観点でございますので、訂正させていただきます。
  117. 谷博之

    ○谷博之君 もう時間が来ましたが、最後に一言申し上げたいと思うんですが、実は私は栃木から出ております。国井理事も栃木で、栃木県というのはもう言うまでもなく大変農業の盛んなところです。特に全国的にもイチゴが、大変有名なとちおとめという品種があります。そういうイチゴ栽培農家が大変苦労して土壌薫蒸剤、臭化メチルを使っていたのを、これを完全に全廃したんです。そして、物すごい努力をしながら、そういう意味では犠牲を払って、環境のために、オゾン層を少しでもやっぱり守るためにということでやっているわけです。一方ではそういう一つの決まり事があって輸出材として使われている。しかし、それは極力、今も答弁があったように、それは抑えて使うべきだというふうに思います。これが一点。  それからもう一点は、今農水省先ほど四十一件の話について調査をしているということで実は私どもの方にもお答えいただいているんですが、できましたら、その調査の結果を私は是非この委員会に報告していただきたいなというふうに思っているんですが、これは後ほど委員長にお取り計らいをいただきたいと思います。  それからもう一点は、先ほど申し上げましたように、これは建築の問題と同じなんですね。いわゆる認証機関、消毒認証機関というのをつくっているわけです。そして、その消毒認証機関を農水省管理監督しているということなんですが、この認証機関に登録するだけでこういうふうな木材こん包のそういう関係者はある程度権限を受けてこういう仕事と携わっているということですから、これは例えば具体的にどうチェックするかということについては、極めてこれは建築問題と似通った部分が私はあるような気がするんですね。ですから、こういうシステムについても私はこれからいろいろ検討し直すということも必要なんじゃないかなということを、結論めいて恐縮ですが、考えております。  以上、そういう意味から、是非この点についても環境省農水省よく協議して、そして検討し、基本的には地球環境保全の立場から是非ひとつ慎重なお取組をいただきたいということで私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  118. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 一言農水省に申し上げます。  今、谷委員からの質問提出については、ひとつこれを当委員会に報告するようお願いをいたします。
  119. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。  今、お手元に資料を配らさせていただいておりますが、是非ごらんになってください。  私、中川農水大臣に一応お話をしたいと思っておりまして、まず冒頭に、今回、この資料を作るに当たりまして農水省方々が本当に迅速に対応していただいたことを本当に感謝申し上げたいと思います。私が今まで担当した役所ですと、資料が来るのに十日ぐらい掛かるところがありました。ところが、今回は遅くても二、三日以内にすべて資料をいただきましたので、非常にやりやすく資料を作ることができました。感謝を申し上げます。  ただ、一つ申し上げたいのは、この資料にございますように、農林水産省平成十六年度の契約、随意契約率を見ますと、九百五十契約のうち二百十四件、全体の二三%と低うございます。しかし、それぞれの契約を精査しますと、この表にありますように、天下りが、天下りと申しますか、農水省のOBの方が行かれている財団法人、社団法人などに非常に多額の随意契約が行われているという状況でございます。そしてまた、それぞれの契約を精査しますと、中には単価の作り方がおかしいんじゃないかというところとか、また契約自体も少しちょっと間違っているんではないかなというようなこともございまして、是非、中川大臣におかれましては、こういうOBが行かれているような社団法人、財団法人に対する随意契約を全面的に見直していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  120. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) まず、藤末委員からスピードを持って対応したということでお褒めをいただきまして大変うれしく思っておりますが、ある意味では当たり前だと、やればできるんだということだろうと思いますので、これからも緊張感を持って対応させていただきたいと思います。  御指摘の、いただきました資料の中で、随意契約は極力なくす方向でというのが小泉内閣の方針でございます。とりわけ、天下り企業あるいはまた関連の公益法人に対しては、しかも単価が高いとかいろんな弊害があるわけでございますので、緊急性があるとか秘密保持を要するとか言っておりますけれども、民間だって緊急性あるいは機密保持をしなければ次からの仕事が取れないわけでございますので、藤末委員の御指摘を踏まえまして、特にこういうものに対しての随契は廃止するという方向で、できるだけ早く結論を出したいというふうに思っております。
  121. 藤末健三

    ○藤末健三君 明快な答弁、ありがとうございました。是非やっていただきたいと思います。  それで、特に、皆様、資料をちょっとごらんになってください。この一枚目に、一番頭にワードプロセッサー、コピーの随意契約というのがございます。財団法人農林弘済会というのがございます。職員の方々が三十八名おられるうち、これだけのOB数と申しますか、十三人、うち役員数は四名というような状況で、コピーや、あとワープロの入力を随意契約しているという状況です。  次のページ、二ページ目をごらんになってください。私、単価表を実はいただきました、そこの。単価表を一般の民間各社と比較しますと、このようになっております。約一・五倍から二倍です。こういう状況です。  次、三枚目をごらんください。これが随意契約の理由、どういう理由で随意契約しているか。ちょうど真ん中にございますけれど、この財団法人農林弘済会、何と農水省の本省にあります。本省の中にあり、その本省にあって迅速に対応できるから随意契約しますよというのが理由なんですよ。迅速にというのは当然ですよね、本省内にありますんで。  実際、なぜこの本省内にあるかということをお聞きしますと、そこはきちんと一般公開入札されたんですかということをお聞きしましたら、何と随意契約されていたと、それも。随意契約で農林水産省本省内に来て、そしてまたそれを理由に随意契約で市場単価の一・五倍から二倍の契約をされている。ちょっとこの二枚目の計算は細かい基準が合っていませんので単純には比較できません、申し添えますと。単純に比較はできないけれど、まずこういう状況にあるということでございますが、このコピー、ワープロ、今電話を掛ければもう出張して取りに来てくれます。  そういう状況の中、是非この財団法人農林弘済会における随意契約をなるべく早く見直していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。
  122. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 農林弘済会が農林省の省内にあるから迅速に対応できるという理由というのは私には全く理解のできないところでございまして、この農林弘済会は今年度中のできるだけ早い時期にお引き取り願うというふうに考えております。  それから、この農林弘済会との印刷業務の随意契約につきましては、今年度からは発注は行わないという方向で今作業を進めております。
  123. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、本当に是非やってください。  我々、決算委員会は本当に真剣に契約まで中身詰めてやっていますので、その本当に意見を聞いていただき、そして政府を変えていく先陣を切っていただきたいと思いますので、是非お願いいたします。  以上で質問を終わります。
  124. 山下栄一

    ○山下栄一君 二階大臣、また中川大臣、御苦労さまでございます。私は、会計検査院の両省に対する指摘中心質問をさせていただきたいと思います。予定させていただいた質問、全部できるかどうかちょっと不安なんですけれども、一生懸命やりたいと思います。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  まず最初に、十六年度決算検査報告にございます農水省に対する特定検査項目、牛肉等に係る関税収入を特定財源とする肉用子牛対策の実施状況についてと、こういう指摘があるわけでございますけれども、今、国民の牛肉に対する関心、アメリカ産牛肉の安全性に係る問題から始まりまして非常に関心が高まって、国民の不信感もいまだにいえていないという状況でございます。  この牛肉の輸入自由化、これが昭和の終わりごろに決まりまして、そのために国内産牛肉の生産者支援せないかぬと、また対抗するためにも、生産、流通の合理化に関する事業、こういうことを国として対応するために特別措置法、国産牛肉の生産体制の整備や食肉全般に係る畜産の健全な発展を図るための特別措置法、昭和六十三年制定されたわけでございます。  以来、二十年近くたちました。この二十年間、約二兆円のお金が投入されてきたわけでございます。実際、これはどれだけの政策効果があったのかという、このことを会計検査院が指摘しておるわけでございます。これは財源は特定財源、牛肉の関税にかかわる、牛関収入というんですか、これが基本でございます。それで、これは安く輸入牛肉が入ってくると、もちろん関税は掛けるわけですけれども、価格面で対抗できるような状況をつくらないかぬということだったわけでございます。  ところが、二十年近くたちましてどうなっているかと。結果的には輸入牛肉との格差が広がっていると。輸入牛肉の方は少し安くなってきておるわけですけど、国産の方はどちらかといったら、特に国産ロース肉を例に挙げても上がっておるわけでございます。格差が広がっている状況があると。  こういう状況であるわけで、特に生産者中心に対して手厚く支援してきたというふうに思うわけですけれども、こういう状況の中で、農水大臣は二十年近く経過したこの対策、どのように総括されておるのかということをお聞きしたいと思います。
  125. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 山下委員指摘のように、二十年ほど前に、まあ長い何十年かの日米の交渉の後、牛肉、それからかんきつを自由化をしたわけでございます。  現在、三八・五%の通常時の関税が掛けられているわけでございまして、私の記憶が間違っていなければ、自由化前は国産が六割、輸入が四割程度だったと思いますが、現在ではそれが逆転をしている状況でございます。大半がアメリカ、豪州、少しニュージー等がございましたけれども、今はアメリカはこういう状況でございますので、豪州が輸入の九割ぐらいを占めているという現状でございます。  他方、国産の畜産振興ということも極めて大事でございますので、そのためのいろいろな対策を取っているわけであります。財源を投入することを始めとしていろんな対策を取っておりますが、当初は生産サイドを中心とした対策でございましたが、最近は生産者だけではなくて消費サイドに対しても、知識の普及でありますとか、生産と消費の交流でありますとか、あるいはまた生産、あるいは加工、あるいは食品としてのレベルアップのためのいろいろな開発のための支援等も含めまして、消費者あっての畜産、消費者あっての国内畜産業という観点から、消費サイドにも十分配慮をしながら、日本の基幹農畜産業、そしてまた日本の基幹的な食物としての国産の畜産の振興というものをこれからも図っていきたいというふうに考えております。
  126. 山下栄一

    ○山下栄一君 今もちょっと大臣からも言われましたけれども、検査院にお伺いいたします。  今回、具体的に検査院、三点指摘しているわけですけど、第一点目、今も少し話がございましたけれども、金額的には生産サイドに対する支援が中心で流通、消費に対する経費の割合が極めて低いと、こういう問題を指摘されておるわけでございますけど、この指摘された問題意識、検査院にお伺いしたいと思います。もうちょっと具体的なことも含めてお願いします。
  127. 帆刈信一

    説明員(帆刈信一君) お答えをいたします。  平成十二年度から五年間の肉用子牛等対策費を事業対象別に見ますと、生産が六四・五%、流通が一六・七%、消費が三・一%、その他一五・五%となっておりまして、流通、消費の割合が低くなっておる状況でございます。  国産牛肉は価格面では輸入牛肉に対抗できる状況にはまだなってございませんので、安全、安心の確保などによりまして国産牛肉の付加価値を高めまして、輸入牛肉との差別化を図るためには、流通、消費を含めた各段階が連携いたしました総合的な施策を展開する必要が認められると考えているものでございます。
  128. 山下栄一

    ○山下栄一君 現場の、例えば北海道の畜産を営む生産者に大体お聞きしましたところ、国が一定金額を下回っても差額を補てんしてくれると、これは生産者への補給金制度であるわけですけど、高く売ろうという努力は必要なくなったと、こういうふうにおっしゃっておられました。  また、平成十六年に農水省が主催しました乳用種に係る肉用子牛生産者補給金制度の運用に関する研究会、この報告書の中で、補給金制度によって一定の水準までの収入が確保されることから、肥育経営の要望にこたえるために当然なされるべきである子牛の品質向上努力が阻害されている面も懸念されると、こういうことが指摘されておるわけでございます。  生産者のために行った対策事業が実は生産者の意欲を阻害しているのではないかと、こういう指摘があるわけですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  129. 西川孝一

    政府参考人(西川孝一君) 今、乳用種の肉生産ということについてのお尋ねでございますけれども、私どもとしては、この価格制度のというか子牛の補給金制度の運用に当たりましては、乳用種と和種とあるいは交雑種といったような格好に品種区分をいたしまして、それぞれ適正な保証基準価格ということをこれまでも決めてまいっておりますし、特に平成十七年度におきましては、乳用種につきまして、規模拡大の進展による生産コストの低減等の実態を踏まえまして算定方式見直して保証基準価格を大幅に引き下げているというところでございます。  そういった面で、今委員指摘ございましたけれども、それぞれの生産者の努力を引き出す方向でこれまでも見直しをしておりますし、これからもその点については留意をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  130. 山下栄一

    ○山下栄一君 もちろんそのつもりでやっておられるんでしょうけど、実は現場ではそのようになっておらないという指摘で私はあろうかというふうに思うわけでございます。  今も触れられましたけど、補給金制度につきましても問題点を検査院は指摘しておるわけでございます。  この肉用の種類、五種類ほどあるわけですけれども、特に黒毛和種と乳用種と、これは牛肉としての位置付けや経営形態が著しく違うと。黒毛和種の方は、補給金がなくても、ほとんど補給金のお世話にならなくても、差別化によって生産者は自主的に努力しきちっと消費者に受け入れられていると。乳用種の方は、これがまた非常にその効果がなかなか上がらない、補給金を投入してもなかなか効果が上がらないという状況があると。  これについて、補給金の交付の在り方について会計検査院の指摘を確認したいと思います。
  131. 帆刈信一

    説明員(帆刈信一君) お答えをいたします。  肉用子牛生産者補給金制度につきましては、畜産農家の経営安定を図るための重要な制度でございますが、黒毛和種につきましては補給金の交付に充てられたことがほとんどございませんで、平成十五年度末で残高が百五十三億円と多額に上っておる生産者積立金の積立額を見直すなどの運用方法を検討すること、また、乳用種につきましては、恒常的に補給金が交付されている事態がコスト低減とか品質向上努力を低下させる要因にもなり得るということでございますので、保証基準価格の算定方法を適時適切に見直すことなどが必要であるとしているものでございます。
  132. 山下栄一

    ○山下栄一君 この補給金制度も少し見直すべきではないかというふうに思うわけです。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  特に黒毛和種については、今もお話ございましたけど、補給金も交付はわずかであると、生産者積立金の交付は一回もないと、こういう状況があるわけで、生産者の積立金については減額すべきだと、特に黒毛和種の生産者に対してですね。乳用種につきましては、今も少しお話ございましたし、これは具体的に改善されたようでございますけど、保証基準価格を下げるということの努力もあるわけですけれども、これ同じ制度でやるということについての問題はないのかと。また、具体的な対策も、今私申し上げましたけど、黒毛和種について、また乳用種についてですね、やっぱり手を打つべきではないかと思うわけですけれども、農水省のお考えをお聞きしたいと思います。
  133. 西川孝一

    政府参考人(西川孝一君) 先ほども申し上げたんでございますけれども、この制度対象となる肉用子牛、黒毛和種、乳用品種など、品種間で価格に差がございます。現在、五品種に区分をして、区分ごとに保証基準価格平均売買価格等を算定しておりまして、品種間の品質格差を適正に反映する仕組みにしているところでございます。  繰り返しになりますけれども、乳用種につきましては、生産コストの低減等の実態を踏まえまして平成十七年度に算定方式見直しまして、保証基準価格を十二万九千円から十一万円と大幅に引き下げたところでございます。  さらに、今お話がございました生産者積立金でございますけれども、これにつきましては五年ごとに見直しを行っているところでございまして、直近の見直しである平成十七年度には、交雑種とその他専用種について積立額の引下げも行っているというところでございます。実際払われなかったものはお返しをすると、五年ごとに見直しをするということにしているところでございます。  輸入牛肉が我が国の肉用牛生産に及ぼす影響を緩和して、消費者への国産牛肉の安定供給を図るというのがこの制度趣旨でございますので、今後ともしっかりとこの運用に努めてまいりたいと考えております。
  134. 山下栄一

    ○山下栄一君 運用の、だから改善の打つ手が私はちょっと鈍いのではないかというふうに思っております。  特に、これは報告書も指摘しておるわけでございますけど、生産者への努力の動機付けですね、この補給金の支給がかえって意欲をなくしてしまうということが指摘されておるわけで、そのためにも保証基準価格を下げるということがあったんだと思いますけれども、この辺のお取組もやっぱり的確にやらないと、税金でやっておるわけでございますし、その効果はやっぱり厳格に査定していく必要があるのではないかというふうに思います。  特定財源についてでございます。  これは、冒頭申し上げましたように、牛肉関税収入によってこの肉用子牛等の対策がされておるわけでございますけれども、この特定財源が関税収入によって行われていますけれども、これ特別会計でされておりません。使用されない額についても、翌年度に回したり、ちょっとよく、不透明な部分があるというふうに私は思います、国民から見てですね。  この特定財源としての牛関収入、それから肉用子牛対策に、先ほども大臣にもお答えいただきましたけれども、生産者寄りではないかと。実際、消費者にどれだけ還元されておるのかということも、この情報開示も非常に分かりにくい。ホームページも見ましたけれども、見ても一番肝心な、国民に対するどんなメリットがあって使われておるのかというようなことが非常に分かりにくい、生産者の方は分かるのかも分かりませんけど。そういうような状況になっておるわけでございます。  消費者の視点に立った牛関税収の金額、肉用子牛等対策等の事業内容について、もう少し国民の側に立った積極的な情報開示、工夫、こういうことがもう抜本的に必要であるというふうに感じますけれども、この点についてのお考えをお聞きをしたいと思います。
  135. 西川孝一

    政府参考人(西川孝一君) 情報開示についての御指摘でございます。肉用子牛等対策を始めとした補助事業の実施に当たりましては、消費者の視点に立ちまして情報開示を積極的に行う、適正かつ透明性の高い事業運営の確保を図る、これは重要であるというふうに考えているところでございます。  このため、国、あるいはこの事業、独立行政法人農畜産業振興機構で行っているわけでございます、子牛等の対策につきましてですね。それぞれにおきまして、消費者委員に含めた第三者委員会によります補助事業の実施に関する審査、評価の実施とその結果のホームページにおける公表、あるいは事業の実施団体地域名、金額等のホームページにおける公表、あるいは新たな施策を実施するに当たりまして消費者との意見交換会の開催なども行う中でその努力をしているところでございますけれども、今後とも分かりやすい情報提供に努めるとともに、肉用子牛等対策の適正な実施の確保に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  136. 山下栄一

    ○山下栄一君 局長、自分でホームページをクリックして見ていただいたらいいと思うんですけれどもね。分かりませんわ、これ。  要するに、BSE対策も含めて、この関税収入を中心としてこの肉用子牛等対策は立てられていると。毎年一千億超える場合もありますし、今は関税収入がアメリカ産がストップしていますから入らない分もあるんでしょうけれども、ちょっと少なくなっておりますが、この関税収入がそのままダイレクトに調整資金の中でどのように使われておるのかということが分からないと。消費者生産者も含めて、こういう様々な対策が関税収入の特定財源で行われているようなこと自身も国民は知りませんし、それが具体的にどのような事業に使われておるのかと、使用されない場合も残ったお金はどんなふうになっているんだというようなことも、ホームページ見ても分かりません、さっぱり。  これは、私は、関税収入というのは結果的に転嫁されて国民が払うわけですから、肉買うときに。消費者観点に立ったそのような情報開示という感覚が僕はほとんどないホームページになっておると。これは、農水省のホームページもそうですし、振興機構の方のホームページもそうです。見ていただいたら分かりますわ、これ。  だから、そういう一番肝心の国民観点に立たないようなそんな畜産行政をやっていて、どうして、安心、安全も含めてだと思いますけど、BSEの対策もここでは使われておるわけでしょう。そういうふうに考えましたときに、余りにも生産者寄りだと。金額そのものも七割になって、金額自身もそういう生産者、流通、消費の観点は非常に少なくなっている。特に消費の観点はわずか二、三%という状況だと。  このように考えましたときに、形式的にはもちろん努力はやっているんでしょうけど、私は、もう二十年近くたって、毎年一千億も投入して、非常に国民関心が高まっておるその対策費に、こういう特定財源でやりながらその使われ方が非常に分かりにくいということを基本的に考え直していただいて、消費者に軸足を置いた行政とか、生産者のやる気を後押しする行政という観点から、食料・農業・農村基本計画も作られておる。言葉は躍っておるけども実態はそうなっておらないという、そういう状況があるというふうに私は思うわけでございまして、この会計検査院の指摘を契機に、畜産行政の在り方のほとんどがこの関税収入で行われておるということもかんがみましたときに、やっぱりもうちょっと国民の側に立ったそういう対策といいますか行政が求められておるということを感じます。  農水大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  137. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 畜産振興というのは、もちろん生産者に対する支援もありますけれども、私はよく申し上げるんですが、生産しても売れなければこれはもう生産サイドにとってもダメージになるわけですから、消費者が買い、そして食べるというところまできちっとしておかないと本当の意味の日本の畜産振興あるいは農業振興にならないわけでございます。  そういう意味で、質の良い安全な肉を生産サイドでつくって、それを消費者がきちっと情報を得て、そして食べていただくということによって生産サイドも消費サイドもともにハッピーになると、そういう施策を実行していかなければならない。とりわけ最近は、内外の問題もございますし安全性の問題もございますから、私の立場といたしましてもそちらの方がより一層重要になってきているというふうに思います。  したがって、生産サイドにおける振興のための支援もございますけれども、消費サイドの方での安全性、あるいはまたいろいろな、肉についても健康に良いわけでございますから、そういったような正しい知識等も深めながら消費者の御理解をいただくということが必要であります。そのために、我々としても予算措置等々を通じて今後も努力をしていく必要があるというふうに考えております。
  138. 山下栄一

    ○山下栄一君 特に、消費者に対する情報開示の工夫を具体的に早急に改善していただきたいということを要望しておきたいと思います。  経産大臣にお伺いしたいと思いますけれども、これも十六年度決算検査報告からの指摘でございます。中堅事業者に係る破綻金融機関等関連特別保険等の低調な利用状況についてと、これは今回特に掲記を要すると認めた事項の中に指摘されておるわけでございます。  これは、金融危機のときに、平成十年十二月、議員立法によりまして破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法という法律が制定されました。中堅事業者に対する事業資金の融通を円滑にするための破綻金融機関等関連特別保険等の制度が設けられたわけでございます。  政府は、中小公庫に対して七百二十億円出資し、全国保証協会連合会、社団法人、公益法人に補助金八十億、これがほとんど使用されておらないという指摘がされておるわけでございます。結果的には、今日、残高が公庫の方は七百二十億円のうち七百十七億円弱残っていると。全国信用保証協会連合会においては八十億が今はもう八十一億を超えていると。これは運用収入等があったからだというふうには思うわけでございますけれども、ほとんど使われておらないという状況になっていると、その背景があるというふうに思うわけですけれども、何でこんなことになっておるのかということの認識を経産省にお伺いしたいと思います。
  139. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 本制度につきまして、山下委員もお述べになりましたように、金融システムが不安定化し、いわゆる貸し渋り等が横行する中で信用収縮が懸念され、平成十年のあのころを思い起こしますと、大変緊迫した状況が続いたわけであります。  その際、中堅企業向けのいわゆるセーフティーネット、緊急時の緊急支援措置を講じたものであることは御承知のとおりであります。本制度を構築していくために中小企業金融公庫に御指摘にありましたとおり七百二十億円の新規出資を行う、同時に全国信用保証協会には八十億円の補助金を交付しております。拠出金の積算に当たっては、対象となり得る中堅企業の数や当時の金融をめぐる状況など、そうした要因をすべて勘案して決定したいきさつがあるようであります。  制度の導入後、大手金融機関の破綻が相次ぐ中で、本制度はやはり実際に中堅企業に利用されてまいりました。経済産業省としては、本制度は当時の、金融危機の当時に緊急時の救援、救済支援としての一定の役割を果たしたものと認識しておる次第であります。
  140. 山下栄一

    ○山下栄一君 それは全く役に立たないことはなかったんでしょうけれども、その後の状況によって、これほとんどもう使われなくなってしまう背景があるというふうに認識しておるわけでございます。  これは特に対象企業ですね、中堅企業というのは、これは法律改正もございまして、翌年ですね、これ平成十一年の十二月に中小企業信用保険法、今は中小公庫になっているようですけれども、この法改正によりまして中堅事業者の範囲がえらい縮小されたということもあると思いますし、また平成十六年六月には金融機能強化法が制定されまして、新たな公的資金制度、その前には金融再生プログラムも的確に打たれて、こういう中堅企業に対する救済策というのは余り必要なくなっている背景があるのではないかというふうに思うわけです。  大臣もおっしゃいましたように、平成十年の状況はもう大変な状況であったわけですけれども、この中堅事業者に対する、特化したこの議員立法が余りもう機能を果たさなくなっておるという状況があると、この見直しが適切に行われたのかということでございます。これは議員立法であったわけで、三年後の見直しと、平成十三年見直しが行われておるわけですが、アンケート調査もされたようで、確かに該当企業の方も、まだちょっとしばらくやってくれというようなアンケート結果だったというふうに思うわけですけど、今も申し上げましたように、その後、金融再生プログラム、また金融機能強化法という法律もできたわけで、その後の見直しは行われておらないのではないかと。この臨時措置法はもう私は使命終わったのではないかというふうに考えておるわけですけれども、見直しが適切に行われておらないというふうに私は思いますけど、この点についていかがでしょう。
  141. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 本制度は、御指摘のとおり、附則におきまして、平成十三年度末までに見直しを行うこととされておりました。平成十三年度には、約二百社の企業を対象にアンケート調査を実施し、企業側の実際のニーズの把握に努めたところであります。この結果、平成十三年三月末に、廃止しても構わないと回答した企業は全体の一五%であり、本制度の存続を希望するという企業は約七〇%に達しておりました。  このような企業側の本制度に対する期待、ニーズを確認し、さらにはまだ金融機関の破綻が相次いで続いておった、そのような当時の状況を踏まえて本制度を継続するということにしたものであります。
  142. 山下栄一

    ○山下栄一君 十三年のときはそういうことだったと思うんですけど、その後、またこの金融機能を強化するための公的資金投入の仕組みも新たにできておるわけでございますし、一応三千社を想定したようですけど、実際はもうその一割にも満たないような、必要とするような企業の数についても状況になっておるというふうなことを考えましたときに、十三年には、十年の法律ですから三年後に見直したと、それはそれでいいんですけど、十三年以後状況がどんどん変わり、そして新たな対応も、別の仕組みもできて、こういう中堅企業者に対する臨時措置法という法律がほとんどもう、先ほどの繰り返しになりますけど、そういう役割を果たしてない状況に今もなっていると思うんですね。三年後の見直しだったら、この十六年になぜ見直さなかったのかと、一回しかなぜ見直さないんだと、それ以後様々手を打っているのに、別の仕組みもできているのに。きちっと見直しをしておらないままに今日に至っているのではないかというふうに考えておるわけです。  同じ質問になってしまうんですけれども、今行革推進法、審議中でございます。中小公庫、政府系金融機関の在り方についても、非常に様々な観点から厳格に見直しをされる法律が今審議されておるわけでございます。二十年から新しい金融機関に統合するということもあるわけですけど。この機会に、この中小企業金融公庫の破綻金融機関等関連特別保険、これ、扱いはやっぱり前倒しをして廃止の方向で考えたらどうかというふうに思いますし、全国信用保証協会連合会、これは社団法人で、これは別の意味で政策金融、類似の業務をやっておるわけですけど、これもほとんどもう申請がないという、そんな状況の中で、これについても八十億が八十一億に増えておるような状況、運用益等でですね。廃止を前提にこれは検討すべきだというふうに、ちょうどそういう法律の審議もされておりますので、ということを御提案したいと思います。  それが一つ質問ですけど、その前に、十三年以降の三年後の見直しですね。それで、十三年で見直したと、それ以後見直しをほとんどタッチしてないんじゃないかと、様々な、政府を挙げて手を打っているのに。この法律の、議員立法でもありましたが、この法律についての、臨時措置法の見直しは十六年なり十七年なりやるべきであったのを怠ったのではないかという、この二点についての御説明を求めたいと思います。
  143. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) まず、本制度の取扱いにつきましては、今後、経済の情勢や地域金融機関の動向、また政策的な支援の必要性等を十分勘案して総合的に判断をしてまいりたいと思っております。両基金の縮小等も含め、その在り方を検討し、議員の御指摘も十分に踏まえて必要な対応を図ってまいりたいと思っております。  この制度が誕生したいきさつは、大変な金融危機になった際に、特に中小・中堅企業の倒産を防止するという意味でセーフティーネットを張ったものでありますが、そのことが一定の成果を上げ、今日その必要性がもうないのではないかと今議員からも御指摘をいただくようなこういう状況に相なったということは、私はある意味で大変結構なことであったと思います。したがいまして、その不必要な部分は新たな積極的な政策の転換にまた対応していくということも大事でありますから、御指摘のことを十分理解して対応したいと思います。  しかし、この当時、このことが出発した当時は、この制度をつくったということで与野党ともに積極的に協力し合った、そして金融破綻の状況を救ったという大きな実績があることも事実であります。
  144. 山下栄一

    ○山下栄一君 非常事態の中で議員立法で臨時措置法が、もう臨時措置法なわけですけれども、できて、状況がもう変わってしまっておる面があるし、また別の仕組みもちゃんとでき上がっているという状況で、今大臣おっしゃったとおりだというふうに、私も、もうこの法律そのものの、全会一致でやったことでございますし、なんですけれども、やはり行政として、十三年の見直しもアンケートを一回、二回やったんですかね、そういう状況で終わってしまっているということ自身については、行政側としてもきちっとやはりしかるべきこの反省をすべきではないかというふうに思うわけでございまして、そのことを指摘したかったわけでございます。  時間があともう少ししかございませんが、私は今日は、実はこの公益法人等の資金について、これは公益法人だけじゃないんで独法もそうなんですけど、基金をつくって国のお金を投入して融資、政策金融類似の業務を行っておる、そういうことが現実にありまして、これも行革推進法で改善の、改革の対象にはなっておるわけですけど。  去年、決算委員会が国会法百五条要請で行った会計検査院に対する検査要求、これに基づいて、国が公益法人等に補助金等を交付して造成させている資金等に関する会計検査と、これがあるわけでございまして、この観点から公益法人等の資金を見てみましたときに、監督省庁の取組が余りにも鈍いのではないかという実態指摘されておるわけでございます。  今日はもう時間の都合で一つだけ申し上げますが、特に今日審査対象になっております農林水産省経済産業省、これが、この会計検査院が指摘しました百十六資金の調べた中で、農水関連六十一、経産関連二十八という、非常に突出して八割弱、一位、二位を占めておるという、非常に政策金融類似の業務がある公益法人等をたくさん抱えておるわけですが。そして、十六年度において事業実績が全くないにもかかわらず、人件費、これは前回も指摘したんですけれども、人件費等に運用益を使っているという、そういう資金が十一資金あると、そのうち農水省が四資金で経産省七資金だと、これ両省で全部、こういう状況になっておるということがあるわけでございます。  これは非常に重たい指摘だというふうに思うわけでございますが、実績が全くなくて、基金の運用益で人件費なんかに使われたら、これは何のための資金なのかという、そういう、特にこの経産、農水に集中しておるという、このことについて一つ一つチェックする今時期を迎えていると思うんですけどね、この行革推進法との関連で、十四条ですか、見直しになっているので。これはやっぱり、ちょっとこれ公益法人改革も今別の意味でされておるわけで、この公益性があるのかということ自身が本当に認定されるのかということもあるとは思いますけれども、こういうことに、大変な問題だと思いますが、どのように御認識されておるかということを両省にお聞きしたいと思います。
  145. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 御指摘のように基金が使われていない、無駄ではないかという御指摘はある意味では自然だろうと思います。  ただ、農林水産省の場合には、天変地異とかいろいろなことが、不測の事態というものも十分に念頭を入れる等々の理屈もあるわけでございます。そういう目的に添って必要なものということでございますけれども、しかし他方、今後の行政改革方針というものが閣議決定されておりますので、いわゆる廃止、時代の変化、あるいはまたその基金の目的からして、もうこういうものはなくした方がいいというものについては当然なくしていかなければいけないわけでございますので、今後そういうことも含めまして鋭意検討していかなければいけないというふうに考えております。
  146. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 御指摘経済産業省十三資金につきまして、昨年十一月の会計検査院の指摘を踏まえて、これを真剣に見直しを進めているところであります。  具体的には、事業実績が少ないなどの七資金については昨年末に廃止、縮小、統合を決定し、約七十億円を今年度には国庫に返納することとしております。そしてまた、平成十六年十二月に閣議決定されました今後の行政改革の方針において、このような公益法人の資金のすべてについて今年度末までに見直すこととされております。これに従い、経済産業省も引き続き残る資金について、その必要性も含めてしっかりと見直しの作業を進めていきたいと思っております。
  147. 山下栄一

    ○山下栄一君 時間参りましたので、ちょっと予定していた質問できなかった分もございまして、また次回に譲りたいと思いますけれども、両大臣、本当にありがとうございました。  以上で終わります。
  148. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。よろしくお願いいたします。  私、この間、サラ金の高金利、グレーゾーンの問題を予算委員会や当該委員会で取り上げてまいりましたけれども、この問題は消費者金融だけではございませんで、信販会社、クレジット会社もかかわる問題でございます。クレジット、信販会社は経済産業省の所管ということで、今日はその問題を取り上げさせていただきたいと思います。  クレジットに関する苦情もかなり増えておりまして、全国消費者生活センターの寄せられた苦情でいきましても、九八年は十一万五千件あったのが今もう十七、八万件というふうにクレジットに関する被害も、苦情も増えているというところでございます。この間もいろんな悪質商法といいますか、悪徳商法が取り上げられておりますけれども、大抵お年寄り、おじいちゃん、おばあちゃんをねらう事例が多いわけでございます。かつては豊田商事の問題がありましたけれども、最近ではおれおれ詐欺ですか、そういうものもそうでございますけれども、このクレジット絡みでいきますと、次々販売というのがございます。  二階大臣、この次々販売というのを御存じでしょうか。
  149. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 次々販売は、次々に消費者に対しまして訪問販売その他でいろいろな物を売り付けるという商法でございます。例えばリフォームのケースでも、次々に様々なリフォームが売り付けられた例がございます。
  150. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういうことでございますけれども、大臣が御存じかどうかちょっとお聞きしたかったんですが。  今焦点になっておりますんで、今裁判になっている事例で分かりやすい事例で言いますと、やっぱり高齢者がねらわれているわけでございまして、今裁判になっているやつでいきますと、おじいちゃん、おばあちゃん、おばあちゃんの方は糖尿病で足と目が悪い方です。おじいちゃんの方は認知症の方なんですけれども、この御夫婦に例のあの住宅リフォームで次々契約さした上に、住宅リフォームだけじゃなくって、高級布団とか家庭用温浴器ですか、そういうものを買わして、クレジット契約一千万超して、年金収入が十七万なのに支払が十万を超えて、貯金も底をついて支払不能になって、この後、信販会社が自宅を競売に掛けるという事態で、今裁判になっている例がございます。  高齢者とか知的障害者は特に自宅を持っているところにねらいを定めて、あと呉服だとか布団だとか健康食品とか今言った悪質リフォームというところで追い込んでいってという事例がもういろいろ出ているわけですけれども、氷山の一角にしかすぎないわけですね、今出ている事例は。  お年寄りとか知的障害者ねらうというのは大変もう極めて悪質なやり方でございますけれども、今申し上げたとおり、これはクレジットの存在なしには次々に買わせるということはできないわけですね、現金だけですとね。そういう点で、信販会社の今責任も問われているところでございますけれども、これは大臣にお聞きしたいわけですけれども、こういう次々販売の被害について経済産業省としてどういうふうに取り組んでいかれるか、あるいは被害者救済どう考えておられるか、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  151. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 先ほどから議員が御指摘のように、お年寄りのおじいちゃんやおばあちゃん、そして体の御不自由な人たちを対象にしてこういう卑劣な行為を行うということ自体、これはお互いに社会正義の上からも許されないことでありますが、経済産業省はそうした面について改めて責任感を感ずるとともに、正義感を持ってこうした問題を一日も早く少しでも縮小していけるように努力をしてまいりたいと思っております。  悪質な住宅リフォームの訪問販売の相談件数は多少最近は減少しております。したがいまして、一部において改善の動きがありますが、引き続き悪質商法による消費者被害を減らすための取組を今後とも一層強力に進めていく必要があるというふうに考えております。
  152. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  ちょっと具体的な話で聞きたいんですけれども、そもそも何でこういう悪質業者をクレジット会社が簡単に加盟店にしてしまうのかと、そこに疑問があるわけですけれども、そういう加盟店をちゃんと管理するようにという通達は経済産業省がもう過去六回、プラス悪質リフォームで一回出されております。悪質リフォームはあれだけ社会問題になりましたので改善もされたようですけれども、それまで六回出していて、ほとんど次から次にこう事件が起きると。つまり、事件が起きるとそういう会社はもう解散しちゃって、また新しく会社をつくりますし、商品も次々手を替え品を替えやってくるわけですね。  そういう点では、今までの経済産業省取組というのは、言ってしまえば、何といいますか、イタチごっこといいますか、後手後手で来たんじゃないかと私心配しているところでございますけれども、もうそろそろそういう信販会社にも、そういう悪質業者が何か起きたときには、ちゃんとふだん管理しないといざというとき責任があるよというふうなスキームも私これから必要になると思うんですが、いかがでしょうか。
  153. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) クレジット会社は、販売業者などの加盟店と契約に基づく継続的な取引関係が存在いたします。このことから、経済産業省といたしましては、販売業者の不正販売行為等による消費者トラブルの未然防止や拡大防止の観点から、クレジット会社に対しまして累次にわたる通達をもって加盟店管理強化徹底を促してきたところでございます。  こうした背景の下、さらに昨年の悪質訪問販売リフォーム問題を契機といたしまして、経済産業省といたしましても、リフォーム事業者などに対する総点検を要請いたしました。これを受けまして、クレジット業界では、加盟店管理の実効性を確保すべく、業界として高齢者に対する与信の判断基準などの自主ルールを策定したところでございます。この結果、本年三月までに、悪質リフォーム関連販売業者を中心に、約七百店舗との取引停止と五百店舗に対する改善指導が行われました。  経済産業省といたしましては、このような業界の取組を評価し、その実効性を確保するための後押しをすべく、引き続き適切な措置を講じていく所存でございます。
  154. 大門実紀史

    大門実紀史君 今日は時間が少ないので議論いたしませんけれども、もうその段階では事件が防げないと。ですから、今、懇談会、産業構造審議会ですか、議論されていると思いますが、法的な明文化、先ほど申し上げたような点が必要になってくるんじゃないかということを指摘だけしておきたいと思います。  高金利、グレーゾーンの問題でございますけれども、お手元に資料を配付いたしましたけれども、「多重債務の主な要因について」ということで、いろんな誤解もあるようですので、ちょっと白黒で見にくいんですが、要するに平成元年の時点はこういう多重債務に陥る人というのは何が原因だったかというと、四〇・〇%になっていますけれども、ぜいたく品を買おうとしたと、それが平成元年の時点では一番多い理由でございましたけれども、今は随分時代が変わりまして、生活費が足りないから、あるいは、二番目になっていますけど、収入が減少したからサラ金とかクレジットカードに手を出して、高金利に耐えられず、だんだんだんだん多重債務に陥っていくという、そういう事態になっているのをまず御認識いただいた上でですけれども、そういう中から二百万人と言われる多重債務者が生まれているわけでございます。  これ、サラ金だけではなく、クレジット会社の個人向けキャッシングも今いわゆるグレーゾーンの金利になっているということでございますけれども、この間、高金利を引き下げてほしいという世論が高まっております。この点では、金融庁では一定頑張っていただいておりますが、二階大臣、この高金利引下げという点について、大臣、いかがお考えでしょうか。
  155. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 貸金業におけるグレーゾーン金利の問題が、我が国の貸金市場において消費者、貸金業者のいずれにも影響を及ぼす重要な問題だと認識をいたしております。  この問題には多岐にわたる論点や多様な意見があり、幅広い検討が求められているわけでありますが、先般、金融庁の貸金業制度等に関する懇談会で座長中間整理がまとめられましたが、今後は、与野党などの御検討も踏まえながら金融庁においても更に検討を深めていかれるものと認識をいたしておりますが、私としては、ただいま委員指摘のとおり、この金利の問題、この貸金業の問題において生じております社会的な問題を、できるだけこれを抑えていくということで、政府を挙げてやはりしっかりとした取組をしていかなくてはならないと考えておりますので、当省としましてもできる範囲において努力をしてまいりたいと思っております。
  156. 大門実紀史

    大門実紀史君 どうもありがとうございます。  今日、後藤田政務官にお忙しい中わざわざ来ていただきました。今、野党から一番人気のある政務官というふうに引っ張りだこのようでございますけれども、野上さんも頑張っておられますけれども、分かっておりますけれども。  私は予算委員会で小泉総理に質問したら、もう超党派で高金利の引下げは取り組むべきだというようなお答えもいただいているところでございます。後藤田さんが金融庁の懇談会で一生懸命引下げの方向をリードするために頑張られたことに、私も心から敬意を表したいと思います。  先ほど、総理が言われたように、これはもう国会の責務として引下げの方向でみんな頑張るべきだと思いますけれども、政務官というよりも政治家として、今こういう状況に立って、金融庁のまとめも含めて、引下げの方向に今基本方向はそうなりつつあるというのは、私、画期的なことでもあると思います。その辺を政治家としてどう評価されているか、お聞かせいただければと思います。
  157. 後藤田正純

    大臣政務官後藤田正純君) ありがとうございます。  私、そもそも政務官になる前の四年前ぐらいから、党の方での勉強会等、部会等でこの問題を関心を持っておりました関係で、たまたまこの金融庁という、政務官という立場で勉強させていただいた次第でございます。  その中で、先ほども大門委員おっしゃるように、総理大臣も、そして我が大臣、与謝野大臣の強烈なリーダーシップと、消費者保護、多重債務問題について政治家が当然考えなくてはいけないことをしっかりやっているにすぎないと私はそう思っておりまして、同時に、懇談会につきましても、委員方々が、本当に良識ある委員方々を人選をした中で、その方々の御意見を忠実に反映をさせていただいたにすぎません。若干、そのオブザーバーという立場で、オブザーバーが全員業界の方ということも、これ一つ皆さんがどうお考えになるかということも、これは意見があるかと思いますけれども、しかし、その方はその方の意見として、大臣がしっかりオブザーバーとしての意見ということで分けろと、これもやはり与謝野大臣の大変すばらしい識見だということだと思っております。  そんな中で、立法府の方々ももう当然御認識だと思いますが、平成十六年に消費者基本法というものが三十年ぶりぐらいに改正されましたですね。その後に、平成十七年に、四月八日に閣議決定されているんです、消費者基本計画というのがございます。これも先生方は当然御認識だと思います。その中に、「信用分野における消費者信用全体からみた幅広い検討」と閣議決定されているんですね。その中に、正に貸金業につきましては、来年の一月に将来的な在り方をまた変えると、考え方を見直すということでございますが、同時に、今日は経済産業大臣お越しでございますが、金融庁だけではなくて、割賦販売は、信販は経済産業省であり、利息制限法、出資法は法務省でございますので、そういう意味では、省にまたがってしっかりと統一信用法制をやっていかなくてはいけないということも閣議決定でしっかりと書かれているわけでございまして、私は、もちろん先般来、これから参議院御審議いただく投資サービス法、これは投資家保護という観点でございますが、お金を持ってない方々をどう守るかということも大変重要だと思っておりますので、そういう意味で、消費者信用という問題について、これからも、金融庁はただいま貸金についてしっかり行政としてある一定の有識者の御意見を得て方向性を今模索しているところでございますので、司法は御承知のとおり、任意性という問題について最近すべての判決で消費者保護を打ち出しております。あとは、立法府の良識をこれから待つのみということでございますので、今後ともの御指導をいただきたいと思います。
  158. 大門実紀史

    大門実紀史君 いろんな問題の中に過剰与信という問題がございます。今日は決算委員会で、経済産業、金融庁の後藤田さん、両方で来ていただいていますけれども、私、金銭の貸付けは貸金業法、物品といいますかクレジットは割賦販売法というふうになっているわけですが、先ほど言いました多重債務を考えるときには両方一緒に考えなきゃいけないというふうになっていると思います。そういう点では、正に今、後藤田政務官おっしゃったようにいろんな法律がありますけれども、多重債務なくす個人にとっては全部一つの問題ですから、総合的に見ていく必要があるというふうに私も思うところでございます。  最後にお聞きしたいんですが、今、後藤田政務官おっしゃったように立法府の責任として頑張らなきゃいけないところですが、心配するのは、そうはいっても、過去、最後の方になると与党の中の貸金業界と関係ある方々がいろいろ働き掛けをして、金利を引き下げる方向にブレーキを掛けてきたというふうに私はいろいろ事実関係からも把握しておりますけれども、今回はそういうことがないようにあってほしいなと思うわけでございますけれども。  ただ、具体的には与党の議員立法の世界にこれから入っていくということですが、自民党の中で合同部会が開かれて小委員会ができるというふうな話、さらには、私、予算委員会で指摘をしたような議員の方々が若干グループをつくり始めているということもお聞きいたしました。そういう点が非常に心配をしているわけですけれども、後藤田政務官はそういう流れと違うところで頑張ってこられたというふうに把握しておりますし、与謝野大臣もそうだと思っております。率直に言って、そういう動きに対して後藤田政務官はいかがお考えでしょうか。
  159. 後藤田正純

    大臣政務官後藤田正純君) 懇談会の考え方も、金利以外についてはしっかりと規制強化するということは、もうこれは全会一致といいますか、そういうことでございましたし、今のところ聞き及ぶに、与党内でもそれは当然すべきだと。  残るその金利、グレーゾーンの問題、この問題については、やはり短期小口でのやはり資金需要というものに対してはしっかりと対応していかなくてはいけないということだとか、金利を下げるとやみ金融に行くだとか、そういう理屈をおっしゃる方々、それもまあある程度しっかりこれから、与党だけじゃなくて野党も、民主党さんの方や、また共産党さん、社民党さんその他政党の方でもその点をしっかりと、ファクトといいますか事実関係を、計量経済だとか、また行動経済学とか、そういうところからしっかり御審議をいただければ、おのずと方向性は見いだせるんではないかと思っております。
  160. 大門実紀史

    大門実紀史君 時間になりました。一緒に頑張っていきたいというふうに申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  161. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  初めに、漁業権について農水省にお伺いをしておきたいと思います。  漁業法では、漁業権漁業、許可漁業、自由漁業その他を分類をしているわけですね。一般論で結構ですが、それぞれの業態内容と補償の関係はどうなるのか、簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  162. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今御指摘がございました漁業権漁業ほか三つのものでございますが、漁業権につきましては、都道府県知事の免許を受けまして、特定の水面において特定の漁業を独占排他的に営む権利ということでございます。  御案内のように、古くから沿岸地先で漁場利用関係ございましたけれども、それを近代法制化して戦後の漁業制度改革に再編成されたところでございまして、こういった漁業権による漁業を漁業権漁業と称しております。それから許可漁業でございますが、こちら、独占排他的に営む権利ではございませんが、漁業調整あるいは水産資源の保護の観点から、農林水産大臣あるいは都道府県知事の許可などを受けた者でなければこれを営むことができない、そういった漁業でございます。それから、最後に自由漁業でございます。こちらの今の漁業権漁業あるいは許可漁業に該当しない、言わばだれもが自由に着漁することが許されている漁業ということでございまして、こういった漁業が今、日本沿岸で行われております。  また、いろいろな影響等が出た場合の補償等でございますが、これは基本的にはその具体的な事情によりましていろいろな形で補償交渉等が行われて対応しているという状況でございます。
  163. 又市征治

    ○又市征治君 要約して言うと、補償が問題になる場合は許可漁業及び自由漁業の場合は簡単なわけであって、漁業を営む者イコール補償の対象者となる、こんなふうに考えてよろしいですね。
  164. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 漁業補償のことでございますが、一般的に申し上げますと、正に漁業権漁業に限らずに、許可漁業あるいは自由漁業、すべての漁業を営む者、こういった者が補償対象者に含まれ得るというふうに承知しております。
  165. 又市征治

    ○又市征治君 つまり、漁業を営む個々人は、補償を直接受けるか又は漁協に権利を委任しない限りは、漁協と第三者との補償契約がなされた場合でも、これが個々人の漁業権まで縛るものではないので、この人たちが補償を断って漁業を続けるという権利は当然にあるということですね。  そこで、去る三月二十三日の山口地裁岩国支部の判決というのが正にそのことを確認したもの、こんなふうに理解をいたします。  山口県の上関町に原発を造ろうとする中国電力の計画は、この山口地裁岩国支部における祝島漁民の漁業権が消滅していないという判決によって大きく見直しを迫られることになったわけです。  ところが、中国電力は、当初、意外な判決だったと、こう落胆していたようですけれども、一か月後の四月下旬から、この判決を無視して、大型ボーリング台船の新たな設置であるとか大型重機などを搬入するための仮桟橋の設置を強行しようとの動きを強めて、祝島の漁民を始め、瀬戸内海を原発汚染から守ろうとする人たちと連日緊迫した事態が今日続いている、こういう状況にあります。  そこで、二階経済産業大臣に伺うわけですが、一体このような中国電力の対応というのは、祝島漁民の漁業権を認めたこの判決を厳正に、厳粛に受け止めて、これを尊重する姿勢があると言えるのかどうか。私は、全くない、こう言わざるを得ないと思うんです。少なくとも、自ら控訴して高裁の判決を中国電力側は待つとしているわけですから、であるならば、地裁判決、すなわち祝島漁民の漁業権を踏みにじって調査を強行するなどという行動は当然に慎むべきだろうと思うんですね。それが公益事業を行う企業の最低の社会的な責任、こんなふうに言われて当たり前だと思います。  そこで、大臣、中国電力に対して、判決を遵守をして、こうした調査の強行、住民とのトラブルを引き起こす、こんなことのないように指示をするように求めたいと思いますが、御答弁を願います。
  166. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。  まず、一般論として申し上げますと、原子力発電所の建設にかかわります調査の停止を含めまして、漁業法上の権利に関します事項は、原則として電気事業者と関係漁業者の間で解決されるべき問題であるというふうに考えております。  ただいま議員から御指摘のございました上関原子力発電所にかかわります漁業補償契約に関しましては、今回の山口地裁岩国支部第一審判決におきましては、中国電力と上関漁協、四代漁協等との間で結ばれました漁業補償契約は有効であり、建設工事及び運転の差止め請求は認められない旨判示されたものというふうに承知をいたしております。
  167. 又市征治

    ○又市征治君 じゃ、なぜ中国電力側は控訴したんですか。全く説明が付かないじゃありませんか。個々人の漁業権は、ましてこの漁民の皆さんは、自らこのことについて管理委員会、これを認めないと言って、そういう点では自分たちで拒否しているわけでしょう。中電が何で、じゃ一体全体、控訴するんですか。  問題は、私は、何か都合が悪くなると、一方で原発を推進をする側であなた方やっておきながら、それは企業の側と住民との関係の問題で関係ありませんと、こういう答えをすぐなさる。もう少し本当にその政策に責任を持とうというならば、現地の状況なりこの判決の今持っている意味、こんなことを含めて適切に対処すべきじゃありませんか。  現場でどんなことが起こっているか。四月二十七日夜には、中電の台船を曳航してきた引き船が、抗議する船舶の間に強力なサーチライトで目くらましをしながら、転覆させても構わぬ、そういう勢いで突っ込んできて、大型のいかり二個とコンクリートブロック三個の据付けを強行していることが伝えられています。極めて危険極まる暴挙です。また、先週十一日の深夜にも、中電側が突っ込んできて、夜じゅう反対派ともみ合った末、仕方なく引き揚げたそうですけれども。しかも、この詳細調査なるものは、中国電力自身が公約していた工法に違反したボーリング調査で、汚水を垂れ流す環境破壊が発覚をして、山口県と住民の怒りを買って中断を余儀なくされてきたいわく付きのものでしょう。  そもそも、調査をするまでもなく、環境汚染に弱い閉鎖性水域である瀬戸内海にあって、万葉の時代から人々の豊かな漁場であり、また海上交通の銀座通りであったこの地域に原発を造ることの危険性というのは十分に推定できたことですよ。  それだけじゃありません。三月二十四日、金沢地裁は石川県の志賀原発二号機について、今日もちょっと出ましたけれども、さきに、巨大地震による原発事故災害の可能性を認めて差止め判決をしたわけですね。上関でも、原発予定地直近で、明治三十六年にマグニチュード六・二、昭和十二年にマグニチュード五・九、昭和五十四年にマグニチュード六・一の地震があって、今年の三月三十一日には原発予定地から四キロしか離れていない場所を震源とした地震が発生をしています。  以上申し上げたことは大臣も十分御承知でありますし、私も石川県の志賀原発の問題につきましては大臣に直接申入れに行きました。それでも、これはもう我々は関係しないので中電と住民の問題だと、こういうふうにおっしゃるのか、大臣の見解をお伺いしたい。
  168. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 原子力発電の立地の問題につきましては、ただいま資源エネルギー庁長官から答弁を申し上げたことが我が省の基本的な考え方でありますが、ただいま議員御指摘の件につきまして、今後、安全性が厳正に守られるということが重要でありますから、よく地元の実情等を伺った上で改めてまた御相談をしたいと思っております。
  169. 又市征治

    ○又市征治君 今年は、原発事故史上大変な事故であったチェルノブイリ事故から二十年ですね。被害はウクライナ国内はもとより周辺諸国に及んで、多数の死亡者を出しただけではなくて、多くの子供の甲状腺がんなど、後遺症に苦しむ人々が今日まだ続いています。世界的に肥沃なヨーロッパの穀倉地帯と言われたこのウクライナが、以後、農業や牧畜のできない不毛の大地と化したわけでありますね。  日本でもこの原発に絡む事故が次々と起こっておる。「もんじゅ」の事故であるとか東海村のウラン臨界事故の犠牲がまだ記憶に新しい中、今年の四月十一日には青森県の六ケ所村の核燃料再処理工場で放射性物質を含む水四十リットルの漏えい事故がありました。  瀬戸内海ということを考えたときに、極めて閉鎖性の水域であります。そしてまた、先ほども申し上げたような地震の危険を含めた環境汚染というのは極めて大きな広がりを持ち得る、こういうところでもあります。沿岸住民の安全であるとか豊かな漁場、あるいは経済生活への打撃の問題を考慮すれば、上関への原発立地そのものを白紙に戻すべきところではないか、こんなふうに思います。中電自身も、むしろ上関は過剰投資になりそうだから単独開発は無理だというふうに言われているんじゃありませんか。むしろエネ庁の方が一生懸命しりたたいているんじゃないですか。  四月二十六日の現地の集会が開かれて、多くの人がお集まりになったようですけれども、風力発電であるとか太陽光発電であるとか、瀬戸内のこうした環境も生かしながら、できるならばそういう自然エネルギーへの切替えというものも提案を住民の側からもされているわけ、再検討を求めているわけですね。  今大臣の方から、いろいろとそういう状況については把握をした上でというお話でありました。私は、二階大臣は、本当にそうした住民と行政との摩擦、トラブルの問題は、非常に大事に、自ら先頭に立って中に入ってでも解決を図っていく、そういう姿勢をこれまでも様々な行政の分野で取ってこられた方だ、そういう意味では尊敬し得る政治家の一人、こんなふうに思い、せんだっても申入れに行きました。  そういう意味では、大臣、こうした転換案も含めながら、まして中電自身が単独でやっていくにはちょっと無理があるのではないのか、こういうことまで言われているときに、こうした現地の状況なども含め、住民の皆さんがこうした様々な提案をなさっている、こういう問題も含めてやはり再検討する、そんなことについて是非御検討を更に続けていただきたいと思いますが、大臣の見解をお伺いしたい。
  170. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) まず、上関原子力発電所の立地でございますけれども、これにつきましては、中国電力が地形でございますとか地質構造などを踏まえて総合的に判断したものであるというふうに認識しておりまして、現在、中国電力により行われております海上、陸上調査の結果を踏まえまして、原子炉の設置許可申請がなされた後に、国として、耐震の安全性を含めまして、安全性が厳正に判断されるものというふうに考えております。  また、電力需要のお話、新エネルギーのお話がございましたけれども、原子力発電は供給の安定性、それからCO2を排出しないということで、大変地球環境上もメリットがあるわけでございますが、中国電力におきましては、こうした地球環境問題への対応、それから、設備の老朽化によりまして火力発電所等の休廃止が見込まれております。他方、この上関発電所は平成二十七年度に運転開始という予定でございますので、そうした長期の電源の確保ということを踏まえて、中国電力として取り組んでいるものであるというふうに承知をいたしております。
  171. 又市征治

    ○又市征治君 地球環境とか、あなた方いつも言うけれども、前に聞いたときに、あなた方は、じゃ将来のこの核廃棄物などの処理にどのぐらい掛かるんですか、そういう問題などということも含めながら言うと、何か答えがろくに返ってこない。そういう意味で、少なくとも、今五十五基原発あるんでしょう。そうしたものが将来的にどんどん廃棄をされていった廃棄物の処理の問題にどれだけ金が掛かっていくのか、そういうことも含めて考えるべきで、平成二十七年がどうとか、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。だから転換問題ということを言っているんです。  時間がありませんから最後にしたいと思いますが、政府は、そういう意味で、原発を推進をして、そのために原発への抵抗を減らすために様々なばらまきを繰り返してきました。昨年十月に総務省が出した行政評価・監視結果では、経済産業省が財団法人電源地域振興センター、悪名高きこの振興センターを経由して企業に配った二〇〇三年度の三十六億円余りが改善勧告を受けていますね。同センターといえば、刈羽村のラピカで会計検査院に名指しをされていた悪名高いトンネル団体ですよ。この決算委員会でも度々問題にされてきた。私もこの問題を取り上げさせていただいた。  今回の中身は、原発立地の見返りで一般企業の建物や設備にまで補助金を出しているわけで、その条件が雇用創出ということなんだけれども、総務省によると、その実態は、一として、雇用創出とは関係のないグラウンドフェンスや研修所のプロジェクターについて支出をしている。二として、単に従来からあった建物に補助をしている。三として、二十一の企業が補助金だけもらって従業員をむしろ削減している。中には、工場そのものが撤退したものにまで補助金を出したのがあって、こういうのが四企業ある。まるで詐欺じゃありませんか、これ。こういう格好でばらまきがされている。原発推進のためにこういうでたらめなばらまき、無駄遣いというのは、正にエネルギー行政の腐敗と呼ぶほかありませんよ。  これは大臣、この問題はこの決算委員会で大変に大きな問題にされてきている問題ですから、この問題について正に経済産業大臣としての反省の弁をお聞きをしたいと思います。
  172. 中島眞人

  173. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) まず、お答えを申し上げます。  今先生御指摘の総務省の指摘等につきましては、私どもといたしましても精査をいたしまして、基本的に要綱には反していないということではありますけれども、そうした点も踏まえまして、電源特会、様々な指摘をされておりますので……(「小平さん、おかしいよ。委員長が指名してから答えるべきだよ」と呼ぶ者あり)あっ、失礼しました。
  174. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 小平長官。
  175. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 失礼いたしました。  まず、今の先生の総務省からの指摘でございますけれども、これにつきましては、私どもといたしましても内容を精査をいたしまして、補助金の交付要綱には反していない、しかしこの中からこの交付金の内容、交付の仕方等について、効果的でない予算あるいはもっと効率的に支出をすべきであると様々ほかでも指摘をされておりますので、事業の必要性全体として厳しく見直しをいたしまして、平成十八年度の歳出も大幅に削減をしたところでございます。  また、平成十九年度には電源特会の制度改正を行うことといたしておりまして、これによりまして財政規律も更に向上するものと考えております。  今後とも、事業を厳しく精査し、電源特会の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。
  176. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 基本的にはこの原子力発電は、議員も御承知のとおり、供給の安定性に優れているとともに、地球温暖化対策等にも大いに役立つものであります。  そこで、私どもは、あらゆる新しい新エネルギーも含めて多面的に新たなエネルギーを開発しようということで苦心をいたしておるところでありますが、原子力はやはり我が国の基幹電源として極めて重要な位置付けをいたしております。しかし、その上においては、安全性という問題について二重三重にもこのことに対する配慮をしていかなくてはならないことは論をまたないところでありますし、先ほど来又市議員から御指摘の点につきましても、我々十分念頭に入れて対応していきたいと思っております。  ただいまこの部分での御質問では電源特会についてのことでありましたが、今、大宗は資源エネルギー庁長官から御答弁を申し上げたとおりでありますが、今後、歳出を大幅に削減するなど対応して、事業を厳しく精査した上で電源特会の適切な運営を図ると同時に、その上で私どもは国のエネルギー政策の根幹であります電源立地の振興についてしっかりと取り組んでいきたいと思っております。  ただし、先ほど来御指摘にありましたとおり、また私もお約束しましたとおり、関係者を一度お招きして、現在の状況、今後の取組等について御相談をしてみたいというふうに思っております。
  177. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 又市征治君、時間が来ています。
  178. 又市征治

    ○又市征治君 時間が参りましたから終わりますが、是非、今大臣が最後におっしゃった、そうした裁判が継続されておる、こういう状況ですから、そのときにそういう強行して住民といたずらにトラブルを起こしていくということはかえって信頼を損なうという問題でもありますから、是非その点は善処いただきたい。  ただ、このエネルギー問題について私たち社民党は、日本のエネルギー政策としてやっぱり脱原発だ、少なくとも風力、水力あるいは太陽光、燃料電池、バイオといった自然エネルギーの活用というものが大事だと。引き続き、こうした政策転換が図られるようにいろんな場面でこの点は主張し、政策転換が図られるように求めていくことを申し上げて、今日の質問は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  179. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御発言もないようですから、農林水産省経済産業省環境省農林漁業金融公庫中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団信用保険部門決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会