○
国務大臣(
竹中平蔵君)
山本委員から大変重要な問題について
答弁の
機会をいただきましたことをむしろ感謝を申し上げます。
新聞の
報道は存じております。
新聞はセンセーショナルに報じたというふうにおっしゃいましたが、報じたのは一紙だけです。本当に私がそういうことを言っていたら全紙報じたと思いますけれ
ども、一紙だけ非常に局部的な
数字を取り上げて、そのようなストーリーを報じたのだというふうに思っております。
大変良い
機会でございますので、
地方交付税に対する
考え方と、それと、先般、
諮問会議に提出した資料の
中身について
是非もう一度申し上げさせていただきたいと思うんですが、御
指摘のように
諮問会議においては、ともすれば
交付税を減らせという、今日は
財務省政務官いらっしゃいますけれ
ども、
財務省的な意見というのは非常に強うございます。これは、
民間議員の中でもなかなか
交付税の
仕組みをちゃんと御理解いただかない上で、この金額が大きいから、
社会保障とこれが大きいからこれを減らせというような
議論が横行しているというのは事実でございます。
それに対して、私は
総務大臣として常に申し上げてきたのは、
交付税というのは中間的な
支出である、
地方には
地方の
最終支出がございます。それは
社会保障であり、
公共事業であり、
人件費であり、その他の
支出、この
最終支出は国と同じです。
地方の場合には、その最終的な
最終支出と
地方税等々の
歳入の差額を補てんするものとしての
交付税があるわけですから、これは
最終支出ではありません。したがって、例えば国の
財政を論じるときに、
社会保障と
地方交付税というのを別のテーマとして
議論すること自体がそもそも適切ではない、そのことを常に申し上げているわけでございます。したがって、それに対して
目標値を設けるということもこれはやはり不適切である。国も
地方も今のような
状況下でできるだけ
最終支出を減らさなきゃいけない、その
努力をしなきゃいけないというのはそのとおりだと思います。そして、
努力をした結果、
地方の
税収も上がって、結果的に
交付税が減ってくるのであれば、それはそれで結構なことであるというふうに思います。
私がそういう認識の下で
諮問会議でまず申し上げたのは、三点申し上げているんです。そのうちの
一つがその
新聞が取り上げたことなんですが、三点申し上げたうちの
一つは、まず重要な点として、二〇〇二年から二〇〇六
年度までの四年間で、国と
地方の
プライマリーバランスは何と二十八兆円の
赤字から十四兆円の
赤字に、別に
消費税を引き上げたわけではありません、しかし、半分になっているわけですね。その半分の、そのなっている
要因は一体どこにあるのかと、
税収なのか
歳出削減なのか、国なのか
地方なのかと。その実績をちゃんと
議論しないと、全くそういうことが
議論できないではないかと。残念ながら
内閣府等々はそういうことをやってくれなかったわけでありますので、私自身が
問題提起をして、それを踏まえなくば
歳出歳入一体改革の
議論などできないではないかというふうに申し上げたわけでございます。
結果から言いますと、国と
地方、大体半分ずつの
貢献です。二十八兆の
マイナスから十四兆の
マイナスに十四兆円改善しているうちの、国と
地方が半々ぐらい。国は、主として
国税が増えたという
税収増によってその半分の
貢献、七兆円の
貢献を実現をしております。
地方は、主として
歳出削減によってそれを実現しております。
地方の
プライマリーバランスの
貢献が七兆円ぐらいあったわけでありますけれ
ども、実はそのうちの半分くらいを、約半分を
地方交付税の
削減という形で国に戻す
貢献をしているわけなんです。したがって、
地方の
プライマリーバランス改善幅がどのぐらいかということを
議論をすることは、私は重要だろうというふうに思います。
そこで、まず一番目がそういう
要因がどうであったかということを踏まえて、二番目に、じゃ今後機械的な
試算として、これまでと同じような
歳出削減を続ける場合、
名目で
歳出を
横ばいにする場合、実質で
歳出を
横ばいにする場合、つまり
物価上昇分ぐらいはまあ見ましょう、それと極端な
ケースですけれ
ども、
名目成長率と同じぐらい
歳出を増やす場合、その四つの
ケースについて各それぞれまた
成長率が三%
名目成長と四%
名目成長と、
八つの場合につきまして国と
地方の
収支改善幅が機械的な
試算でどのぐらいになるかということをお示ししたわけです。私は
八つ、そういう場合で示している。
そのうちの
一つを恣意的に取り上げてある
新聞が、これだけ減らす、減らせると、改善するんだからその分
交付税を減らせるというふうな
報道の仕方をしたわけでございます。私は、
交付税をどのようにするかというのは、これは全く別の、どれだけ
収支が改善するかということと
交付税をどうするかということは別の次元の
政策論議であるということを明記して申し上げているわけでありますけれ
ども、そのような
報道をしたところが一紙あったということでございます。
ついでに申し上げますと、私はもう一点実は
議論させていただいております。それは、やはり不
交付団体の数が余りに今のところ少のうございます。例えば、
日本で一番元気な市と言われる名古屋市ですら
交付金を受けるような
状況になっている。これはやっぱり
仕組みの在り方として考えていかなければならないのではないだろうか。
そういう観点で、例えばですけれ
ども、人口二十万以上の
都市、やはりそれなりに自立していただかなきゃいけない、その二十万
都市のうちの半分が不
交付団体になれるようにするためには、もちろんこれはいろんな
仕組みも変えていくわけですが、とどのつまりはやはり
交付税ではなくて
地方税で賄うわけですから、
地方税への
税源移譲というのは不可避でございます。その
地方税への
税源移譲のためにどのぐらいの
税源移譲が必要かというのを、ラフな形で二・五兆円から五兆円ぐらいということで
数字をお示しをしております。私は、どっちかというとそれが
新聞でちょっと騒がれるかなというふうに思ったんですけれ
ども、
財務省は余りそういう
数字はお好きじゃないと思いますので、いずれにしても、そういう三点についてのめどといいますか、
イメージについての
議論をさせていただいております。
いずれにしましても、
交付税の本質というのは先ほど御
答弁申し上げたとおりでございます。中間的な
支出です。国も
地方も
歳出をスリム化しなければいけません。その結果として、
税収も増えて
交付税が
削減できるんなら、それはそれで結構なことでございますが、そのことを
目標として何か
数値目標を
数字で言うのは、これは
政策論として私は不適切であるというふうに思っております。
長くなって恐縮でございますが、その
中身については今申し上げたとおりでございます。