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2006-02-15 第164回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年二月十五日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  一月二十五日     辞任         補欠選任         松下 新平君     尾立 源幸君      浮島とも子君     高野 博師君  一月二十六日     辞任         補欠選任         喜納 昌吉君     藤末 健三君  二月一日     辞任         補欠選任         加藤 敏幸君     若林 秀樹君      小林美恵子君     紙  智子君  二月二日     辞任         補欠選任         那谷屋正義君     下田 敦子君      若林 秀樹君     加藤 敏幸君      西田 実仁君     鰐淵 洋子君      紙  智子君     小林美恵子君  二月三日     辞任         補欠選任         下田 敦子君     那谷屋正義君      鰐淵 洋子君     西田 実仁君  二月十四日     辞任         補欠選任         和田ひろ子君     藤本 祐司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 武見 敬三君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 荒井 正吾君                 坂本由紀子君                 田浦  直君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 西銘順志郎君                 野村 哲郎君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 那谷屋正義君                 藤末 健三君                 藤本 祐司君                 簗瀬  進君                 西田 実仁君                 小林美恵子君                 又市 征治君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君        検査官      伏屋 和彦君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    参考人        中央大学法学部        教授       富田 俊基君        新潟大学経済学        部・大学院経済        学研究科助教授  桜内 文城君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六  年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十六年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、松下新平君、浮島とも子君、喜納昌吉君及び和田ひろ子君が委員辞任され、補欠として尾立源幸君、高野博師君、藤末健三君及び藤本祐司君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十六年度決算外二件の審査のため、本日の委員会中央大学法学部教授富田俊基君及び新潟大学経済学部大学院経済学研究科助教授桜内文城君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 平成十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、特別会計現状課題について参考人から御意見を聴取することといたしております。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ、本委員会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  参考人皆様方から忌憚のない御意見を承りまして、審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  本日の議事の進め方でございますが、富田参考人桜内参考人の順にお一人二十分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁のいずれも着席のままで結構でございます。  それでは、まず富田参考人からお願いいたします。
  6. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 参考人の御指名をいただきました中央大学富田俊基と申します。  特別会計現状課題について意見を申し述べさしていただきます。お手元に一枚の資料がございますが、これも御参照ください。  首相大蔵大臣も、一年間の政府支出について調査することも正確な推計をすることもできない、これは一七八〇年二月十一日にエドモンド・バーク議会独立性の一層完全な保障とシビルリストその他の経済改革のための計画を下院に提出するに際してと題して行った有名な演説の一節です。  バークは、各省に各部局ごと予算責任者が置かれ、各部局があたかも独立した帝国のように振る舞っており、大蔵大臣国庫全体を統括できないことが巨額財政赤字官僚腐敗原因であると指摘し、歳入歳出の全体についての管理監督権限大蔵省保障することが財政改革の要諦であると提案したのです。  当時のイギリス海軍予算は、膨大な規模であったにもかかわらず、全体がただ一つ予算項目として議決され、各部局ごと予算議会統制から外されていました。このため、海軍の中に剰余金を積み上げた部局巨額赤字を発生さした部局とが併存し、赤字部局巨額海軍証券食糧証券を発行していたのです。また、陸軍予算についても、フォックスという陸軍支払総監が、手元に積み上がった公金で七年戦争中に発行された国債を購入したり東インド会社の株価を操作したことが今日に伝えられています。  こうした部局優先予算制度改革を主導したのがエドモンド・バークです。バーク改革具体化に向けて、すべての歳出入議会統制の下に置くための法律を成立させました。それは、海軍陸軍会計担当者手元に置かれている資金をイングランド銀行に預託すること、現金の出入りを毎月大蔵省に報告すること、歳出議会が定めた規則に従って大蔵省統制に置くことを内容としていました。  そして、ウィリアム・ピット首相が、政府のすべての歳入がそこに入り、すべての歳出がそこから支払われる一つの基金をつくることがあらゆる業務合理化につながるとして、一七八七年に統合国庫資金を創設しました。すべての特定財源一つ会計にまとめられたのです。こうして、アメリカ独立戦争で悪化した財政健全化を進めました。  以上は二百年以上も前のイギリスの話ですが、私には何やら今日の我が国での特別会計特定財源の問題に似ているところがあるように思えてなりません。  夜警国家と言われる十八世紀とは異なり、政府活動は当時にはなかった社会保険制度など多くの分野に広がり、複雑になってきました。このため、様々な事業一つ会計にまとめられると、逆に政府活動が不透明になり、それを国民が適切に評価することが困難となる場合が生じます。  第二次世界大戦後の我が国特別会計設置について振り返ってみますと、緊要とされた国の事業を推進するために、それにかかわる国民受益負担を明確にし、適正な資源配分を行おうということで多くの特別会計が設けられてきました。それによって所管省庁にも歳出削減努力を促すことができるのではないかという期待もありました。また、弾力的、効果的に運営するために多くの特別会計借入れ剰余金の繰入れなどの例外的な規定が設けられてきました。  これらの特別会計設置されて以降、社会経済には極めて大きな変化が生じています。それにもかかわらず、特別会計制度が維持されたために、設置当初の目的とは逆に、過大でしかも硬直的な予算配分をもたらす原因となっています。一般会計に比べて特別会計では歳出合理化が進捗していないと言わざるを得ないのです。国民から、固有の財源をもって不要不急事業が自己増殖的に行われているという批判を受けるのはこのためと思われます。  また、一般会計から特別会計への繰入れや特別会計による借入れが行われてきたことによって、その事業受益負担関係が不明確になってきました。このため、事業からの受益者による適切な負担と、所管大臣による歳出削減努力がおろそかになりがちとなりました。さらに、特別会計の中には多額不用剰余金が放置されているものも見られます。また、一部には予算執行との乖離という問題も指摘されてきました。  夜警国家時代から二十一世紀へと時代は大きく変わったのですが、当時も現在も、大蔵大臣財務大臣国庫全体を統括しにくいという仕組み財政赤字官僚腐敗原因であることに変わりはないように思います。特別会計がそれを所管する省庁既得権益の温床となってきたわけですから、特別会計によって、そして特定財源によって財政民主主義によるガバナンスが弛緩していると言わねばなりません。  そこで、国会統制特別会計に有効に機能するように特別会計改革を進めねばなりません。国会による予算統制を強化し、同時に、政府国民に十分な説明責任を果たすことによって特別会計をめぐる国民不信感を払拭しなければなりません。  特別会計に対する国会統制が緩んでいるといっても、財政支出の拡大と巨額財政赤字のすべての原因特別会計仕組みにあるということではありません。十七年度の三十一の特別会計歳出を単純に合計いたしますと四百十二兆円ですが、特別会計間の繰入れなどの重複計上等を除きますと二百五兆円です。この二百五兆円のうち、国債償還のための支出が八十九兆円です。これはこれまでの国債発行のツケで、削減することはできません。削減すれば、日本国債がデフォルトすることになります。  社会保障関係特別会計支出巨額に達していますが、このうち四十九兆円は直接に国民に給付されているものです。保険事業が行ってきた施設整備費事務費などを除いたこれらの社会保障給付在り方は、特別会計改革としてではなく、社会保障制度改革として取り組むべき問題です。  また、財政融資資金への繰入れが三十一兆円に達していますが、これは、これまでの郵貯と公的年金から運用部に預託されてきた資金の返済と、新規の財政融資計画を賄うためのものです。この改革も、特別会計の問題としてではなく、政府金融改革融資を行っている独立行政法人改革として議論される筋合いのものです。  また、地方交付税特別会計歳出が十九兆円もあり地方財政モラルハザードを生んでいるという問題が指摘されていますが、これも地方財政改革として削減されるべき問題です。  このように、国債償還国民への社会保障給付財投交付税四つ支出の膨張は、特別会計改革によって是正されるべき問題というよりも、それぞれの改革論議の中で削減すべき問題であります。  特別会計という仕組みによって国会財政統制が利きにくい支出は、十七年度二百五兆円からこれら四つを除いた十七兆二千億円と言えます。このうち四兆四千億円は厚生年金国民年金による財投繰上償還という十七年度特殊要因によるもので、特別会計改革の対象とすべき歳出規模は十七年度予算で十二兆八千億円となります。これらの経費は三十一の特別会計のすべてによって支出されています。  特別会計改革を具体的に進めるには、以下の四つ視点から三十一すべての特別会計について、それぞれの事務事業についての具体的な検討が必要です。  まず第一は、特別会計で経理されている事業不要不急のものはないかを検討することです。そして、事業の存続が認められる場合であっても、今後とも国が直接に事業を行う必要があるのかを精査することです。国として直接に事業を行う必要性がない場合には、独立行政法人化民営化を検討すべきです。市場メカニズムを通さなくても明確に効率化程度が把握でき、具体的な効率化目標設定が可能な業務は、国会の直接の統制が働きにくくなる一方、所管省庁権限が強化される独立行政法人化という方法が考えられます。また、すべての業務について、民間企業には十分な採算が見込めない特別会計であっても、その一部を可能な限り民営化やアウトソーシングを進めることも考えられます。  第二に、国が引き続き実施すべき事業については、それぞれの特別会計法制定趣旨目的が現在も有効かどうかを精査した上で、今後も特別会計として経理する必要があるか否かを検討し、必要のない場合には一般会計で経理を行うべきです。歳入に占める一般会計からの繰入れが多い特別会計は、政策目的関連性を検討して一般会計統合することを原則とすべきです。また、類似する事業を行う特別会計については事業目的執行に強い関係があり、縦割り行政弊害解消によって効率化につながる場合には統合を行うべきです。  第三は、特定財源点検です。特定財源特別会計は別個の概念ですが、特定歳出に優先的に安定的な財源を確保するという観点から設置された特別会計が数多くあるので、特別会計改革において特定財源点検は極めて重要な意味を持っています。  特定財源と言われるものには、大きく次の四種類があります。  第一は、電源開発促進税など税法使途が限定されている目的税、第二は、自動車重量税の三分の一など譲与税法使途特定され交付税特別会計に直入されているもの、第三は、揮発油税航空機燃料税など特別会計法や個別の法律使途特定されているもの、第四は、自動車重量税です。国の一般財源ですが、これまでの経緯で道路財源に充てられてきました。  これらの使途が限定された特定財源が硬直的な予算配分をもたらしています。一般会計歳出合理化が進展してきたことによって、特定財源の持つ弊害がより目立ってきました。特に、特定財源が直接に特別会計に直入されている電源開発促進税などは、歳出必要性、つまり毎年の国会で行われる予算統制とは無関係歳入が入るために多額不用額余剰金を発生さしています。  目的税は、税収の特別会計への直入をやめ、一般会計を経由して真に必要な額だけを特別会計に繰り入れるようにすべきです。これらの特定財源は、改革によって国の財政悪化を招かないように、そしてプライマリーバランスの改善に資するように、納税者の理解を得て使途制限を外し一般財源とすることが必要です。  特別会計改革に際しての第四の視点は、特別会計剰余金積立金に明確な根拠があるかどうかです。明確な目的必要性がない剰余金積立金については、一般会計への繰入れ、国債償還に充当することが必要です。  十六年度決算によると、全特別会計剰余金は一兆四千億円、十六年度末の積立金資金残高は二百七兆円でした。これらの多くは、将来の年金支払に備え積立金を積み立ててきた年金保険や、災害等保険支払に備えて歳出を計上する再保険特別会計で発生しております。しかし、支払準備など明確な目的があっても、毎年多額剰余金が発生し、それを積み上げてきた特別会計については、これらが合理的で説明可能な範囲内のものかどうかを精査しなければなりません。  財政融資資金特別会計には、長期金利の低下が進展したことによって十六年度末で二十二兆四千億円もの積立金が積み上がっていました。これは将来の金利上昇に備えるための金利変動準備金ですが、財投改革によって融資残高が減少したことに伴って必要な準備金も減少いたしました。十八年度予算でこの積立金から十二兆円を国債償還に充当したことは、財投改革の成果として、そして特別会計改革として高く評価できます。  また、十八年度予算で、毎年巨額剰余金を発生さしている電源開発促進対策特別会計から約六百億円が一般会計に一時的に繰り入れられることも国債発行の抑制につながっております。  特別会計改革に関連して、政府資産の三分の二が特別会計資産であるとして、その規模削減に向けて特別会計改革に取り組むべきであるという議論があります。  さきに述べましたように、明確な必要性のない剰余金積立金国債償還に充てるべきです。そして、未利用国有地など売却可能な政府資産は徹底して売却を促進するべきです。しかし、特別会計規模が四百兆円を超えているという議論と同様に、巨額特別会計資産売却巨額財源が捻出できるという甘い期待国民が抱くことになってしまいますと、かえって財政再建を先送りすることになる危険がないとは言えません。  特別会計改革についてマスコミの関心は、その数が幾つになるか、幾つに減るのかに集中してきました。しかし、改革目的特別会計数合わせにあるのではなく、国会による予算統制がより有効に機能することにあり、数はその結果であるということを強調しておきたいと思います。そして、国会において各特別会計の性格や実態が個別具体的に検討されることによって特別会計の問題が広く国民に認識され、活発な議論が行われることを期待いたしまして、意見陳述を終えたいと思います。  御清聴ありがとうございました。
  7. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ありがとうございました。  次に、桜内参考人にお願いいたします。桜内参考人
  8. 桜内文城

    参考人桜内文城君) 新潟大学の桜内でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。  お手元に、A4横の資料といたしまして、「特別会計現状課題」というものを御用意させていただいております。基本的にこれに従って意見を述べさせていただきます。  まず、一つめくっていただきまして、本日は特別会計現状課題についてお話しさせていただくわけでございますが、これまでも、特に政府側におきまして、昨年の十二月二十四日に閣議決定がございました行政改革重要方針と題されるもので、こちらでも特別会計改革については非常に詳しく扱われております。また、今、政府部内におきましては、行政改革推進法の法案の作成作業が行われているところでもあります。そちらでの議論等をもちろん踏まえつつ、今日はもうちょっと具体的にお話をさせていただきたいと考えております。  特に、私は公会計というものを専門としております。会計観点からしますと、従来の財政学歳入歳出というふうなフロー観点というよりも、むしろ資産負債というストックの観点を踏まえて特別会計改革がどうあるべきかという点について申し上げたいと思っております。  大きく分けまして、本日これからお話しいたしますのは、特別会計設置要件部分と、それから特別会計財務情報の開示の在り方について、現状とその課題についてお話ししていきたいと思います。  では、早速入っていきますけれども、特別会計設置要件について最初お話しさせていただきます。  この特別会計設置要件は、現行財政法十三条二項に規定されております。こちらに三つ、要件と申しますか、特別会計種類というか、設置要件を挙げておるわけですけれども、まず一つ目事業特別会計。これは法律上の用語ではありませんけれども、講学上の用語です。法律上は、「国が特定事業を行う場合、」というふうな文言となっております。基本的には、この下の②、③以外の大半の特別会計がここに属するというふうに分類されております。  その目的といたしましては、独自財源によって特定事業を行うことにより、特定事業に係る受益負担関係明確化することにあるというふうに言われております。逆に言いますと、独自財源による独立採算が成り立たない事業、すなわち受益負担関係が不明確な事業特別会計設置する意味に乏しいという意味で、その財政法趣旨にやや反するのでないかということでございます。  次に、②といたしまして、これも資金運用特別会計、これは講学上の用語ですけれども、法律上は、「特定資金を保有してその運用を行う場合」というふうな文言がございます。例といたしましては、財政融資資金あるいは外国為替資金、これらの特別会計が属するというふうに言われております。  ここの目的でございますが、やや上の①と違っておりまして、特に「特別の資金」、これは財政法上、四十四条というところにあるわけですけれども、この運用管理すると。で、現行制度上は、一般会計は基本的に歳入歳出という現金収支、これをフローというふうに申しますけれども、この管理に言わば特化しているというふうな言い方できるわけですけれども、特に金融資産、この財政融資資金ですとか外国為替資金の場合には、金銭債権ですとかあるいは外貨建て債権というものを多額に保有しておりますので、その金融資産負債管理を行うというふうなところにその主目的があるというふうに考えられております。  それから、③といたしまして、これはややバスケット条項的なものですけれども、整理区分特別会計というふうな講学上の言い方がございまして、法律上は、「その他特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」というふうに規定されております。例といたしましては、こちらに四つほど挙げておりますけれども、実際には①に属する事業特別会計と結構重なる部分も多いのではないかというふうな指摘もなされております。  目的といたしましては、特定行政目的のために収支を他と区分して整理することというふうにされておりますけれども、ごらんのとおり、やや設置要件としては包括的に過ぎるのではないかというふうな指摘もなされているところであります。  先ほど若干述べました平成十七年十二月二十四日の閣議決定行政改革重要方針においても指摘されておりますけれども、この設置要件をより厳格化する必要があるのではないかと。その設置要件厳格化して既存の特別会計必要性なりを精査して、もちろん数を減らしますし、あるいは真に必要なもののみを特別会計として設置していくというふうな考え方が示されているところであります。  これをより具体的に見ていきたいと思います。次のページをお開きください。  設置要件明確化厳格化ということですけれども、これは、会計学、特に公会計観点からいうとこういうふうな厳格化の方向が考えられるのではないかということをこちらで書いております。  まず一つ目といたしまして、複数年度にわたる継続的事業であって、独自財源による独立採算が成り立つ場合ということを挙げております。現行制度上は、先ほども申しましたけれども、単年度歳入歳出、これはフローですけれども、この管理一般会計で十分可能でありますし、むしろ一般会計はそのような目的設置されているわけですけれども、複数年度にわたる継続的事業につきましては、必然的に資産負債、これは正にストックでございますけれども、この管理を必要とすることになります。ただし、独自財源による独立採算が成り立たないような事業につきましては、受益負担関係が不明確ということに当然なりますので、これは一般会計と区分して整理する必要性に乏しいということで、特別会計としては設置すべきではないというふうな結論に至ろうかと思います。  次に、二つ目の設置要件の考えられる場合といたしまして、特定資産及び負債管理を行う場合というものが挙げられるかと思います。現行財政法及び一般会計というのは、これも繰り返しになりますけれども、歳入歳出という現金収支フロー管理に特化しておるわけですけれども、財政活動の現代的変容、これは何を意味しているかといいますと、フローの金額に対してストックの金額が相対的に非常に大きくなってきていると。これはよく言われるところでございまして、一般会計が、これはもちろんフローですけれども、歳入歳出規模が八十兆円前後に対しまして、国の資産の金額が言われておるところでは七百兆円弱ございます。もちろん負債はそれよりも多いということですので、こういったフローの金額に対してストックが非常に大きく積み上がってきている場合にストックの管理をどういうふうに行っていくのか、特にこの資産負債というものをどう管理していくのかというのが財政運営上非常に重要になってきているということであります。  例えば、比喩が適切かどうかはありますけれども、生命保険会社と同様に、巨額年金資産と責任準備金、これは負債でございますが、これを抱える公的年金財政ですとか、あるいは多額金銭債権を保有する財政融資資金、あるいは外貨建て資産多額に保有いたします外国為替資金などがこれに該当するのではないかというふうに考えられております。  逆に、上の①、②の要件を満たさない特別会計が現在存在するというふうに考えられるわけですけれども、原則としましては、やはり一般会計への統合、あるいは独立行政法人化、さらには民営化等も検討すべき段階に来ているのではないかというふうに考えております。  なお、一般会計への統合の場合といいますか、統合をするということを検討する場合に、新たに一般会計に区分勘定を設置してというふうな御意見も見られるところでありますけれども、一覧性、総覧性、要は特別会計というものが一般会計とともに一覧することができないという問題点が現在あるというふうに指摘されておりますけれども、その点に関する解決策にはもちろんなり得るわけですけれども、一方で、一般会計というのは歳入歳出を総額として管理すると。歳入歳出特定の費目に結び付けないという意味で、一般会計の主要機能といたしまして総体補償機能というような申し方をするわけですけれども、これを阻害することになるリスクも逆に存在するという点には留意が必要だと考えております。  では、次に参りまして、次は、特別会計に関します財務情報の開示について若干意見を述べさせていただきます。  一つ目といたしましては、国会での議決を要する予算の範囲ですね。それから、国会提出資料の範囲を拡大すべきではないかということでございます。  ちょっと、現行法上の財政法十六条と二十八条の規定の一部を抜き書きしておりますけれども、財政法上、国会での議決を要する予算というものはこういうふうに定義されております。予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為。基本的には、先ほど申しましたように、これは歳入歳出を中心としておりまして、フロー資金フローをターゲットとしているということでございますが、また、二十八条の国会提出資料につきましてもやはりフローが、歳入歳出というフローがメーンになっております。  そういう意味で、下にポツが付けてございますけれども、特別会計の主たる機能が資産負債管理にあるというふうに考えるとすれば、国会での議決を要する予算の範囲については、例えば予定貸借対照表あるいは予定財産目録ということでございますが、これらを含めまして、フロー及びストックに関する会計情報を両方とも含む通常の財務諸表にまで拡大すべきではないかと考えております。その場合、もちろん財務諸表の作成、開示に関する一律の会計基準というものが必要になってまいります。  なおといたしまして、次のポツですけれども、決算情報といたしましては、財務省・財政制度等審議会等の御努力もありまして、現在では省庁別財務書類あるいは国の財務書類というものが公表されております。しかしながら、国会における予算審議に提出される資料といたしましては、その作成、開示に関する会計基準はいまだ存在しておりません。したがいまして、特別会計ごとにあります個別の設置法に従いましてばらばらに情報が開示されている状況にとどまっているということが言えようかと思います。  また、現在のところ、決算情報といたしましても、もちろんまた予算情報といたしましても、財務情報が適正であるかどうかという点に関しましてきちんとした監査というものが物理的にも不可能であるというような状態にあるということは指摘できようかと思っております。  その次の点でございますが、ではそういった組織の在り方をどうするかという点に関係してまいります。  ただし、私は元々役人をやっておりました。したがいまして、組織の在り方についてどうこう申し上げるつもりはございません。役人というものは与えられた組織と目的の範囲内でそのパフォーマンスを最大化すべき存在であって、自らの組織の在り方について口を出すべきではないと考えるからです。役所の組織の在り方政府のガバナンスそのものに直結するというふうに言えますので、その責任を負うべき立場にある政治がお決めになることだと考えております。  したがって、ここでは先進各国の例を簡単に御紹介するにとどめますが、財政運営のプレーヤー、各省庁と、アンパイア、基準設定及び監査権限を有する主体の権限と責任を分離独立させている点には留意が必要だというふうに考えております。  では、次に参ります。  次に、一覧性、総覧性を備えた政府全体の財務情報の作成、開示という点でございます。  これは特別会計に限らない部分も含みますけれども、特別会計改革におきましても、主権者たる国民に対する政府の責任の明確化、これ会計用語ではアカウンタビリティーというふうに申しますけれども、このやはり重要性ということを強調しておきたいと考えております。  一つ目のポツですけれども、決算情報のみならず予算情報としても一般会計及び特別会計を連結、合算及び内部取引の相殺消去をいたしまして、一覧性、総覧性を備えた政府全体の財務情報を作成、開示すべきだというふうな意見を持っております。  もちろん、特別会計というのは会計学上は一つ会計主体というふうには考えられておりません。むしろ、国という一つの法人格を持ったものの中に存在する勘定区分にすぎないというふうに考えておりますので、この一般会計特別会計を無理に分けて考える必要はないと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、政府全体の財務情報というものが一覧性、総覧性を持って、正に決算情報のみならず予算統制上もきちんと開示されていくことが必要であるということでございます。  最後に、これも一つ意見でございますが、政府財政政策におきまして、従来重視されてきました歳入歳出というフロー管理に加えまして、資産負債というストックの管理を同時均衡的に行う公会計の手法を導入すべきではないかというふうに考えております。  現在、政府の方でも歳入歳出一体改革に向けまして検討が進められているところでございますけれども、資産負債というストックの管理というものが、先ほど申し上げました財政運営の現代的変容の中でやはり重要性が増してきております。  下にちょっと小さく書いておりますけれども、資産とは現役世代のみならず将来世代も利用可能な資源を意味します。その一方で、負債というものは将来世代に先送りされた負担意味します。したがいまして、政府が自ら保有する資産負債管理するということは、現役世代と将来世代との間で時間軸上の資源配分を行うことというふうに言い換えることができます。  公会というものは、言わば将来世代の声なき声を客観的な数値で示すことによって、現在及び将来の国民の間での受益負担の公平を図るための会計の技術であるというふうに考えております。  以上をもちまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
  9. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ありがとうございました。  以上で参考人意見の陳述は終わりました。  これより、まず各会派一巡で十分ずつ質疑を行い、その後、正午までを目途に自由質疑を行いたいと存じます。  なお、各参考人にお願いを申し上げます。御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いを申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 小池正勝

    ○小池正勝君 おはようございます。自由民主党の小池正勝です。  両先生、今日は御苦労さまでございます。  私の方から、時間がございませんので端的に御質問申し上げます。  先ほど富田先生のお話にもございましたけれども、特別会計不要不急事業がある、無駄な事業をやっているじゃないか、これよくマスコミにも登場する議論です。そして、例としてグリーンピアなんてことがよく言われるわけです。これは確かにけしからぬと私どもも思います。  さらには、先ほど先生、一覧性というふうにおっしゃいましたけれども、確かに一覧性からすると特別会計というのは分かりにくいということから、これも一般会計化した方がいいんじゃないか、これも分かる話です。さらには、先ほどの先生のお話の中で、官僚の既得権化、専横化といったらいいんでしょうか、の温床になっておるというお話もありました。これも許せない。いずれも、こんなことは断じて許してはいけないことだと私も思います。  一方で、ですから、そのお話からくると、特別会計というのは悪だと、一般会計善だと、こういう話になるんだと思うんですが、しかし、よく考えてみると、受益負担関係を区分して区分経理する、明確化するということはこれ当然必要な話なんじゃないかとも思うんですね。あるいはまた、これは桜内先生のお話にもありましたが、長期的な複数年度負担がわたるような厚生年金みたいなやつですね、こういったものは長期間にわたって積み立てて長期間にわたって支払っていくわけだから、これは予算一般会計みたいな単年度主義でいいのかということもあると思いますから、決して一般会計が善で特別会計が悪だという話ではないんだろうと思うんですね。  要は、先ほど富田先生おっしゃったように国会統制が十分特別会計には行われてこなかったと、ここに大きな問題があると、正にそこに尽きるんだろうと思います。正に国会統制を厳しくやっていく。新聞なんかの論調では、そもそも一般会計というのはこの国会審議の対象だけど特別会計国会審議の対象じゃないみたいに書いてあるところもあるわけで、そんなことあり得ないわけだけども、しかしそんなこと書いている新聞もあるわけですよね。むしろ、特別会計であれ一般会計であれ国会統制を厳しくすると。これは先ほど富田先生の文章の中にも、「国会による予算統制を強化」ということで4の1)のところで書いてあるわけですから、正にそのとおりだろうと思うんです。これを具体的に進めていくというのが我々決算委員の役目だろうと思うんですけども。  そこで、そのためにどうしたらいいかという話になるんですが、この富田先生のお話の中では、4の3)の①、②、③、④ということで、こういう具体的な検討をしなさいよというアドバイスをいただいているわけです。こういった検討を正にして、こういう四点にわたる検討を正にして政府の十二月の方針が示されたんだろうと思うんですね。例の三十一ある特別会計を三分の一にへずりますよということになったんだろうと思うんです。そういうことからして、正に先生のおっしゃることとこの政府の方針というのは一致すると思うんですが、富田先生は十二月の政府の考え、あの三十一を三分の一にへずるという案について先生はどのように評価をしておるか、政府案をどのように評価しておられるかということをお伺いしたい。  そして、先生の①、②、③、④の具体的な御指摘の中で、例えば④を見ると、「政府資産売却促進」と、こう書いてあるんですけれども、確かに未利用国有地売却促進、これはよく分かる話なんですが、しかし特別会計が持っている資産というのは売却できないものがたくさんあるんじゃないだろうかと。例えば、ダム、空港、こういったものは、売却促進とおっしゃるけれども、どのようにお考えになるのか。それはむしろできないんだということになるとすれば、じゃ、線引きはどうお考えになっているのかということを富田先生にお伺いしたいと思います。  次に、桜内先生の方に御質問をさせていただこうと思うんですが、桜内先生、先ほどの御説明の中で、特に五ページのところで公会計を導入する、公会計導入したらどうかと。先生のエコノミストの文章も読ましてもらいました。国ナビとおっしゃるんですか、国ナビとか自治ナビとかということを先生御提案になっておられまして、非常に画期的な御提案だろうと思うんです。  その中で、正にトップダウン型の編成ができるよということを盛んにおっしゃっておられまして、具体的にこのエコノミストの文章を読ませてもらうと、総理がまず国ナビのワークシート上に入力をして、将来世代への負担の先送り金額だとか公債の発行金額の上限値などの目標値を設定していく、そして、まず総枠を決めて、今度はボトムアップ型の予算編成をやっていくと、こういうことが国ナビということで先生おっしゃっておられる内容だと、このエコノミストで読ましてもらったんですが。  これは、従来の予算編成から見て、正に結局ボトムアップ型をやるわけですから、具体的な予算編成としてどのように違ってくるのか。直ちに財政健全化につながるというふうに先生お書きになっているんですが、その直ちに財政健全化につながるというのは、どういう理由でそうなるのか、そこを具体的に教えていただきたいのと、先生のその文章の中で読ませていただくと、この国ナビというやつは発生主義ということを盛んにおっしゃっておられるわけですね。しかし、発生主義というのは、今は現金主義なわけですけれども、現金主義を発生主義に変えた場合に、発生主義というのはこの実際の支出予算額というのは極めて不明確になりますから、逆に国会政府に対する予算統制、これは弱くなるんじゃないか。言葉は悪いですけれども、国会軽視につながっていくんじゃないだろうかという気がしてならないし、もしそうであれば決して許すわけにはいかないと思うんですが、この二点、桜内先生にはお願いしたいと思います。  以上でございます。
  11. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 小池先生から御下問のございましたこの十二月の政府の行革方針、行政改革重要方針についてどう考えるかということでございますけれども、私は現実可能性といったことから考えて、一つの現在においてやっぱり選択すべき方向を示したものだろうと思います。  ただ、その中で、小池先生も御指摘になられましたように、政府資産売却についてのことは、やはり売却できるかどうかというのは、その資産が将来にわたってキャッシュフローを、利用料をもたらしてくれる資産かどうかということをやはり見極めないと、売却可能ではないということになってしまいます。  その場合、これは桜内先生が重要性を御指摘になられております公会計での考え方で各特別会計資産負債について表示されているわけですけれども、その資産の額が果たして将来にわたってどれだけの収入をもたらすかということの現在価値を示すものかどうかということがこうした検討に際して重要になってくると思います。つまり、一見資産超過に見えても、例えば国有林を企業会計準拠の原則に従って計上されておりますその資産額と同じように市場に売ることができるかということなどもやはり精査しませんと、いや、会計で見たらこれだけ資産超過だから売れると言っても、どうなんだろうと。つまり、先ほど小池先生も御指摘になられましたけれども、政府資産が持っている公益的な機能と申しますか、そういったことも勘案する必要もあろうかというふうに存じます。  そういう意味で、線引きをどこにするかというのは非常に大事な問題なんですけれども、やはりその線引きを行います場合に、各特別会計資産が表示されている金額と同じような価値を持っているかどうかと、つまり市場で売買できるのかどうかということをやはり更に精査する必要があろうかというふうに存じます。
  12. 桜内文城

    参考人桜内文城君) では、お答えいたします。  まず、一つ目の御質問ですけれども、予算編成のプロセス改革といいますか、トップダウン型の意思決定というものをボトムアップ型の編成の前に置くということでございますけれども、これが直ちに財政健全化につながるのかという趣旨の御質問だったと考えます。私は、これは十分つながるというふうに考えております。  といいますのは、今日の先ほどの富田先生の御指摘にもあったように、今現在、国全体の財政状況はどうなっているのかということをきちんと把握できている人がどれだけいるのかと。恐らく、総理であれあるいは財務大臣であれ、完全には把握できていないのではないかというふうなことが指摘されているわけであります。これをまずトップダウン型の編成といいますか意思決定によりまして、どこにどれだけの資源を配分するのか、あるいはその資源の配分のために一体どこからどれだけの資源を調達してくるのか、これらをすべてまず把握した上で、政治的なトップダウンの意思決定をしていただくということをボトムアップ型の要求、査定というふうな現在行われているプロセスの前に置くということでございます。  ですので、現在は要求、査定を繰り返している間に最終的なでき上がりの姿というものがだれも予想の付かない状況が二、三か月ずっと続いた上で、ようやく十二月の終わりになって予算の全体像が見えてくるというふうな現状でございますけれども、これを、むしろ日本の場合でいえば八月の段階で予算の仕上がりの姿ということを大枠で示していくということでございます。ですので、この段階で、無駄なものは削り、あるいは真に必要なものはきちんと資源配分していくというふうな意思決定が可能になると考えております。  それから二つ目の御質問でございますけれども、発生主義ということについて御質問がありました。  発生主義あるいは現金主義という言葉はやや、こういった場ですべて細かく説明するというのはなかなか難しゅうございますけれども、実を言いますと、企業会計で言われておりますところの発生主義といいますか勘定体系と、それから公会計で必要とされております発生主義というものは必ずしも一致しておりません。  それは、富田先生も御指摘のとおり、例えば資産の定義一つ取ってみても企業会計公会計では異なっております。例えば企業会計における資産の定義といたしましては、もちろん、キャッシュを幾ら生み出すのかという点を非常に重視いたします。もちろんそれが要件になってくるわけですけれども、公会計の場合には、そのキャッシュを生み出すものはもちろんそうですけれども、それ以外にも国民に対してサービスを提供する能力が潜在的にあるというものを資産というふうに定義付けてきております。  ですので、ここにつきましては、必ずしも発生主義というのを利益を計算するために必要な取引のみを会計処理していくという企業会計でやられているものを指すわけではありませんで、むしろ公会計におきましては、政府のすべての取引、意思決定というものを会計的に処理していくための勘定体系を拡張してまいります。そういうふうにやりますことによって国会での統制というものをむしろ強化していくということが考えられております。ですので、先生がおっしゃいました、発生主義にすると不明確な部分が増えて予算統制が弱まるという御指摘は私はむしろ当たらないというふうに考えております。  それからもう一つ公会計という点で重要な点は、先ほどの富田先生の御指摘にもありますけれども、資産の評価、評価といいますか資産査定、デューデリジェンスというものをどれだけきちんとやっていくのかということに懸かっている部分が非常に多いのかなというふうに考えております。  これは、富田先生御指摘のとおり、売れる資産売れない資産、もちろんございます。で、これはキャッシュを生む資産なのか、あるいはそうじゃないのかという区別にもつながるわけですけれども、こういったものをきちんと性質によって勘定科目を分類していくことによりまして、売れる資産は幾らあります、あるいは売れない資産というものは幾らですというものをもってきちんと資産査定やっていくということが必要でございます。  これは、むしろこの委員会でも正に話題となっております国の財政運営における無駄をいかに排除していくかという点から申しましても、むしろこういった政府が今現在どういうふうに資産を活用しているのか、それが無駄がないのかということも含めてきちんと再評価していく、これが正にデューデリジェンスだと思いますので、これも公会計の重要な要素だと考えております。
  13. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  お二人の先生、今日は本当にお忙しい中ありがとうございます。  私の方から簡単にお二人に質問をさしていただきたいと思いますが、まず富田先生にお伺いしたいんですが、先ほども、先般閣議決定されました政府の方針、三十一の特別会計についてもそれぞれ対応を打ち出しているわけですが、これについて御所見がございましたが、私一点お伺いしたいのは、特にこの中で具体的に民営化をするという方向が打ち出されたものがないんじゃないかというふうに思うのでありますが、三十一の特別会計の中には、必ずしも国がやらなければいけないものばかりではなくて、むしろ今の時代状況を考えると民間に委託をした方がいいのではないかというふうに思われるものがあるんですが、この点について御所見をいただければというふうに思います。  それからもう一点は、さっきお話の中でもちょっとお触れになったんですが、独立行政法人、独法化を検討するということがたくさん入っているんですが、実はさっき、国会の関与が余りない、必要でない、むしろ省庁がその権限にゆだねる部分は独法というふうな言い方をされたと思うんですが、むしろ今その独立行政法人を見ますと、独法化したためにその状況がよく分からないといいますか、あるいはいわゆる天下りの問題等も含めて国会から見えなくなっている、国民から見えなくなっているという面があると思うんですが、これらについてもう少し詳しい御所見を伺えればというふうに思います。ちょっと、私がちょうだいしました先生のこの投稿記事読ましていただいても、特別会計を離れですき焼きと、こういう例えがあったんですが、先生の投稿の中には地下室でビフテキになっていると、こういうくだりもありまして、ここら辺は御所見をお伺いしたいということでございます。  それから、桜内先生にお伺いしたいのは、ちょうだいしました資料のこれは二枚目でございますが、いわゆる事業特会について独立採算が成り立たないものは基本的に意味がないと、こういう御指摘でございます。  それで、そういう目で見ますと、今の特会の中でほとんど、いわゆる一般会計からの交付金等を投入している会計がたくさんありますので、ほとんど特会として意味がないんじゃないかと。まあ多少、さっきお話にあった年金等は若干そういう意味はあるのかもしれませんが、例えば年金受益負担ということで厳密に見ていきますと、今必ずしも日本の年金制度受益負担が直接つながっているわけではなくて、修正積立方式、修正賦課方式でしたかねというような方法で改めてそこで所得再分配されているというのが実態でありまして、そういうことも考えますと、場合によっては年金資金もむしろこのいわゆる一つの特会として独立させることを必ずしも考えなくてもいいんではないかというふうにも思うんでありますが、この点についての御所見をお伺いしたいということと、それからもう一つは、今の事業的に独立採算が成り立つということであればむしろ民間にゆだねるというのが大きな選択肢として出てくるんではないかというふうに思うんでありますが、この点をお伺いしたいということでございます。  以上でございます。
  14. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 直嶋先生御指摘の第一の点、民営化についてなんでございますが、民営化するということは、この政治の統制国会統制ではなしに市場メカニズムにゆだねた方がより効率的になるという前提からのお話であろうというふうに存じます。  そういう業務があるかどうかということをやはり検討することが必要でございますけれども、それを踏まえまして、そういう観点から、実は財政制度議会におきまして、特別会計委員会で三年間いろいろ各特別会計の個別の事業を検討してまいったんですけれども、単純に民営化してより効率的になるというものはなかなか業務としては見当たらず、特別会計全体として民営化するようなものはなかなか見当たらず、やはり特別会計の行っている業務を分解していって、その中で民間にアウトソースできる、あるいは部分的に民営化できるものがあればそういうことを進めるべきだろうというふうに思います。  そうした観点から、政府閣議決定した重要方針を見ますと、貿易再保険特別会計につきましては、民間の参入が可能と見られる先進国向け短期保険分野については民間参入の促進を図るというふうなこと、あるいは特許特別会計についても先行技術文献の検索を外注するとか、そういったところは政府部内で行うよりも民間企業にゆだねた方が効率的であろうという結論でございます。  二番目の先生御指摘独立行政法人の問題でございます。  これは、政府業務の中で極めて明確に効率を図ることができる、そして明確な事後的な評価に堪え得る具体的な目標を設定することができる業務につきましては、政府部内で行うよりも独立行政法人にゆだねた方が効率的な場合がございます。その際、そういう限定がありませんと、国会におきましては、独立行政法人向けの運営費交付金という予算項目一本でしかこの国会での審議がなされません。あとは事後評価にゆだねられるわけでして、もちろん事後評価としてできるだけ客観的な指標を用いて鋭意評価をするわけでございますけれども、やはり極めて具体的な目標設定が可能なところに限定いたしませんと、評価というのは非常にある意味難しいものでございます。そういう意味で、独法化というものについても、より効率化期待できる分野について積極的に推進すべきであろうというふうに考えます。  以上でございます。
  15. 桜内文城

    参考人桜内文城君) では、お答えさせていただきます。  まず一つ目の御質問ですけれども、独立採算をきちんと達成しているようなそういった特別会計はほとんどないのではないかという御指摘でございます。  それは確かに当たっておりまして、独立採算できないからこそ政府の方でやるという事業だということももちろん言えます。そこはいろいろ濃淡がございまして、公共事業のところですと、道路整備特別会計とかですと道路特定財源というものがございますし、あるいは空港につきましても航空機燃料税というものがございます。あるいは、いわゆる電発といいますか、こちらですけれども、電源開発促進対策特別会計等ですけれども、これは電源開発促進税というふうな特定財源というものが付いております。ですから、これですべて事足りているのかあるいは足りていないのかというのは結構濃淡のある概念ですけれども、そこはむしろ先生おっしゃるとおり、受益負担というものがどこまで結び付いているのかいないのかという点で考えていくほかはないかと考えております。  御指摘の特に年金に関しましては、おっしゃるとおり、受益負担というものがやや不明確になってきているのではないかということはおっしゃるとおりだと思います。ただし、これはむしろもう一つ要件といたしまして、設置要件といいますか、資産負債管理というものが非常に重要な分野でございますので、これはむしろ受益負担を一致させるというよりも、資産負債をきちんとコントロールしていくという観点で独立させて、一般会計とは区分して経理する特別会計設置する意義がそれなりにあるのではないかというふうに考えてございます。  二つ目の点でございますが、独立採算が完全に可能なものは民間にゆだねるべきではないかという御指摘だったかと思います。  これは正におっしゃるとおりでございまして、完全に独立採算可能であるというような事業を行っている特別会計についてはもちろん民営化すべき、民営化しても十分やっていけるだろうということで民にゆだねるというのは一つの重要な方向性だというふうに考えております。  そうなりますと、じゃ民営化する、民営化として切り出す事業をどう選ぶのかということになってまいりますけれども、先ほど富田先生もお答えになったとおり、なかなかこれを、一つ特別会計丸ごと切り出してというのはなかなか難しい場合もございますけれども、特別会計の中でやっている事業を分解いたしまして、そのキャッシュフローというのをちゃんと見ていって、特に、例えば諸外国の例ですけれども、空港ですとかは民営化可能な資産ではないかというふうにも指摘されております。もちろん我が国におきましても、成田ですとか中部あるいは関空等々、株式会社の形態でやっておるところもございますので、地方空港を含む空整特会がどこまで民営化になじむかという問題も確かにございますけれども、ある程度事業を細かく分解していくことによってそれを精査してキャッシュフローがどれだけ上がるのかという観点で、先ほど言いましたデューデリジェンスというものをきちんと行うことによってその切り出し方というのも決めていくことができるのではないかなというふうに考えております。  以上です。
  16. 西田実仁

    西田仁君 公明党の西田実仁でございます。  本日は、富田先生また桜内先生、大変にありがとうございます。  私の方からまず富田先生にお聞きしたい点は、特別会計財政処理手続に関する弾力条項ということについてお聞きしたいと思います。  簡単に言えば、歳入予算額を超える収入があった場合、それをそのまま直ちに歳出支出に充てることができるという弾力条項が認められておりますが、普通に考えれば、やっぱり例えばいろんな特別会計の中で収入を、当初の予算のその収入を上回る収入があった場合に、それをそのまま歳出に充てられるということになりますと、これは合理化とかあるいは生産性の向上という視点でいきますと、そういう機能が働かない、そういうメカニズムが働かないというふうに考えざるを得ないわけでございますが、これは法律の解釈で、財政法の解釈によってこうした弾力条項が多くの特会において認められており、また実際にそのようになされていると思いますが、こうしたことについて、無駄を省いていくという観点からしてどう考えたらいいのかということについて富田先生にお聞きしたいと思っております。  それから、桜内先生につきましては、ここでもちょっと述べていただいておりますが、今回の行政改革重要方針にも盛り込まれております十分な説明責任ということについて、やはりこうした政府の無駄を省くとか財投改革とかということは個々の国民の判断にきちっとゆだねられるような政治方式を採用しなきゃいけないと私は思っていますが、そのためにも、国民に対する情報提供の在り方というのは、やはりもっと工夫し分かりやすくしなきゃいけないと。先ほどもおっしゃったように、総理も財務大臣も全部は掌握していないんじゃないかという御指摘もあったように、この情報開示の在り方ということについて、ちょっと先ほど御指摘いただきましたが、貸借対照表あるいは決算書、予算書の在り方、これにつきましてもう少し詳しくお聞かせいただきたいのが一つ。  もう一つは、先ほどもちょっとお触れになったこの事後評価のシステムにつきまして、現在ももちろんあるわけですが、足りないところはどこなのか、付け加えるとしたらどのような事後評価の在り方が求められるのか、これについて桜内先生にお聞きしたいと思います。
  17. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 西田先生のお尋ねの第一点の、各特別会計法で弾力条項なり借入れ等が設けられることについての評価いかんということでございますけれども、まず第一に、個々の事業のやはり特性といったことも勘案する必要があるということは第一でございますが、やはり基本原則といたしましては、一般会計で真に必要なものだけをその特別会計に繰り入れていく、もしその特別会計の存続が必要な場合には一般会計から繰り入れるということが先生御指摘の様々な無駄とかそういうことを排除できる仕組みであろうと。言い換えますと、特別会計へ直入されている税金につきましては、やはり一度一般会計に受け入れてからそれを特別会計に繰り入れるということによって、やはりより国会統制を強化していくということが考えられるというふうに思います。  以上です。
  18. 桜内文城

    参考人桜内文城君) お答えさせていただきます。  まず一点目でございますけれども、十分な説明責任を果たすために情報開示がどうあるべきかという点について尋ねられたと考えております。  これに関しましては、先生御指摘のとおり、分かりやすくいろんな工夫をしていくということがもちろん必要でございます。もちろんこれは、一般国民あるいは特に国会に提出する資料を分かりやすくという点も含みますけれども、そうなりますと、単に見せ方を工夫するだけでいいのかという議論にもつながってまいります。  皆さんもちろん御承知のとおりだとは思うんですけれども、単に見せ方を工夫するだけでは本当は余り意味がないことでございまして、むしろ国会における予算統制の実際の役に立つというような情報開示の在り方が必要ではないかというふうに考えております。  その観点からいたしますと、今現在の、特に特別会計でございますが、特に大きな資産負債を抱えている特別会計、多数ございますけれども、そういった資産負債に関するコントロールがどういうふうに行われているのかというふうなことが特に予算審議の上で提出される資料におきましてどこまで確保されているのかという点でやや疑問なしとしないという立場でございます。  富田先生の重要な御指摘でもありますけれども、国会における予算統制をどう強めていくのか。その前提として制度的なインフラが必要でございます。これが私は会計情報としてのきちんとした情報開示の制度になるのではないかというふうに考えております。  二つ目の御質問でございますが、事業評価が確かに現在も行われているわけでございますけれども、足りないところあるいは付け加えるべきところはどういった点かという御質問だったかと思います。  こちらですけれども、事業評価、いろいろと各役所も工夫されておりまして、特に国土交通省辺りでは、公共事業を行うに当たりまして費用便益分析等々非常に細かく、事細かに客観的な数字を出そうと工夫されてきております。  ただし、私が会計的に見てもう少し必要ではないかなと思う点は、やはり先ほどのデューデリジェンスということにも関係してまいりますけれども、今現在役所がどういうふうにそれを活用しているのかということだけではなくして、むしろこれを、仮に民間にこの資産をゆだねたならばどういう有効活用の仕方があるのかという点との比較の観点がやや足りないのではないかというふうに考えております。  例えば、土地、建物にいたしましても、土地の大きさの価値というものが結局は建物の容積率で幾らまで有効利用するかということにかかわってきたりすることがございますけれども、この利用容積率と申しますか、こちらが十分に使われていない場合が多数ございます。こちらに対しまして、もちろん現在の使われている、政府の使っている使い方によれば確かに正しい評価価値というのは当然開示されてきたりしているわけですけれども、それを超えて、仮に更に有効に、民間も含めて、民間が使うとしたらどこまで有効利用可能なのかといった点も含めて資産評価というのをきちんと行っていく必要があろうと。これは資産の言わば市場化テストと申しますか、マーケットと比較してきちんとどういうふうに評価可能なのかという点も含めて今後は行っていく必要があるのではないかなというふうに考えております。  ちょっと申し訳ないんですけれども、先ほど一点目の質問に関しまして一つ言い忘れたことがございまして、予算書、決算書の在り方をどう考えるかという点につきましてここで言っておきます。  今現在の予算書、決算書は、長年の慣例と申しますか、いろんな目的があって、あるいは経緯があって現在の形になってきておると承知しておりますけれども、一番使いづらいなと、特に会計上の会計処理を行っていく上で使いづらいなと考える点は、一つ一つ歳入歳出の科目と申しますか、予算項目決算項目というものが毎年毎年予算要求のたびに内容が固定していないといいますか、例えば昨今の例で申しますと、予算の項目の名称といたしまして何とか構造改革何とか費というふうに付けますと比較的予算が付きやすかったのか知りませんけれども、いきなりそういうのが現れまして、その中に人件費ですとかその他、性質の違うお金が入ってきてしまうということが生じたりしております。ですので、会計処理可能なきちんとしたコード番号というものが今のところまだないと。  もちろん、予算書には、今現在、社会会計といいますか、SNAの観点等からそれなりのコード番号を付けていただいてはいるわけですけれども、これが会計処理になかなかふさわしくないコード番号の付け方にとどまっておりまして、更に言えば、一般会計予算書とそれから特別会計予算書とでコード番号が違うんですね。体系が全然違う。一部の特別会計についてはコード番号すら付いていないということもございます。ですので、全体をきちんと会計処理して一覧性の高い財務情報を作成するという点でまだまだ改善の余地はあろうかなというふうに、やや技術的な点ですけれども、感じております。
  19. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  両参考人、今日は本当に貴重な御意見ありがとうございます。  まず、私、特別会計全体の問題でお聞きしたいと思いますけれども、一昨年の朝日新聞に富田先生が「特別会計の見直し」という記事を載せておられたと思うんですけれども、それを拝見いたしますと、二〇〇四年度特別会計の総額が三百八十七兆円で、会計間の相互の出入りを差し引いた額が二百七兆円。国の一般会計は八十二兆円。その中に特別会計への繰入額四十七兆円が含まれていて、これを差し引いた一般会計歳出額は三十五兆円に比べ特別会計規模が極めて大きいというふうに指摘をされておられました。それゆえに、私は国民の皆さんへのこの特別会計というものの説明が本当に重要だというふうに思います。  そこでお聞きしたいんですけど、特別会計一般会計というのは繰入れがあったりしまして相互にかなり密接な関係があって、双方を見ないと全体が見えないという部分もあると思うんですけれども、一般に分かりやすく説明するための方策というのは皆さんはどのようにお考えかというのを両参考人にお聞きしたいと思います。
  20. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 今、小林先生から、非常に複雑な一般会計特別会計の全体像を分かりやすくということの、どうしたらいいかというお尋ねあったんですけれども、正にこれが一番大きな問題でして、私は今回の特別会計改革ということも、やっぱり分かりやすさということを、やっぱり国民の目に十分届く、だから、市場経済で評価できない、配分ができないものについてどう民主主義のプロセスで資源を配分するかということをこれ一番分かりやすくする方法は何かということが先生のお尋ねの点だと存じます。  それは、一般会計特別会計に分けていることが分かりにくくする面と、また分けないと分かりにくくなる面と両方ありまして、それぞれ税金なのか、あるいは利用料金なのか、財源も違っております。また、様々な違いがあって、一つにまとめた方がいいものもあれば、特別会計でやった方がいいというのもございます。そういうものをそれぞれに判断しながらこれまで一つ仕組みとしてできてきたんですけれども、それじゃ分かりにくいということで今般の改革に至ったと。  その中で、それでもまだまだ完璧なものではないと思われます。したがって、補助的に一覧性を、どう特別会計一般会計で一覧性を持たせるかということについての補助的な情報が必要になってくると思うんです。  補助的と申しますのは、それは国会統制の対象ということよりも、いろんな観点から見た場合にどうなんだろうと。例えば、経済活動という面で見れば国民経済計算という体系も一つの方法ですし、それから桜内先生が御指摘公会計という観点から見たらどうだろうと、それも、企業会計準拠の公会計一般会計特別会計統合してみたらどうだろうと。それは、例えば企業会計で用います業務費用という概念から見たらどうだろうとか、あるいは人件費という概念から見たらどうだろうというふうに、いろんな角度より一般会計特別会計全体を見れる方法がある方がより効果的になろうかと思います。  ただ、重要な点は、この一般会計そして個別の特別会計という形によって国会がそれぞれの予算をコントロールしているということが重要であり、その方法がより効果的になるということを模索してのこうした委員会の開催であろうというふうに存じます。  私からは以上です。
  21. 小林美恵子

    小林美恵子君 済みません、桜内先生にはもう一度質問しますので。  時間が切迫してきましたので、聞きたいことを二点続けて申し上げたいと思うんです。  私は、この特別会計の見直しについて二点にかかわって質問したいと思うんですけれども、その一点目は桜内先生にもお答えいただきたいと思いますけれども、先ほども不要不急のものをやっぱり見直すという観点のお話がございました。それはすごく大事なことだと私も思います。  それでいきますと、例えば道路や港湾、空港の公共事業関連の予算一般会計特別会計との間では本当に相互に入り交じっていて、入口と出口を双方が役割を演じているという複雑な体系になっていると私は思います。  それで、例えば空港整備特別会計でいきますと、一般会計からの繰入れが二〇〇二年度で千四百六十四億円、二〇〇三年度で七十二億円増の千五百三十六億円に膨らんでいます。こうした繰入れが本当に予算配分として妥当なのかどうかという点はやっぱりチェックが必要だと思うんですけれども、その点、一般会計とか特別会計の区別ではなく、その事業ごとについてどういう理由でどの規模予算計上されているのかという点で透明にしてチェックが必要だと思うんですけど、この点、一つお聞きしたいと思います。  二点目にお聞きしたいと思うんですけれども、事業の整理合理化特別会計の見直しとの関係について、これは富田先生にお聞きしたいと思います。  年金特別会計でグリーンピアなどの箱物を造って本来の目的から外れたとの指摘は両参考人もされていると思うんです。それは私も大変同感なことです。そのことも契機になって、福祉施設の年金の基金などは使わないということでなっておりますけれども、一方でそうした施設の整理合理化が今随分図られています。その中に、地域医療のセンター的役割や高度医療の役割を果たす厚生年金病院があったり、その併設施設である保養ホームも合理化の対象とされています。また、労働保険特別会計財源とする雇用促進住宅もございますけれども、全国千五百三十一か所十四万戸余り、約三十五万人が入居されておりますけれども、これも譲渡の、廃止の方向が決定しています。  私は、年金病院は患者さんにとって、雇用促進住宅は住民にとって、やっぱり生きていく上での必要なものだと思うんですね。で、関係者からは存続が強く求められています。  そこで、富田先生にお聞きしたいと思いますけれども、国民必要性の問題とこういう特別会計の見直しという点をどのように考えておられるのか、この点をお聞きします。  以上です。
  22. 桜内文城

    参考人桜内文城君) では、一つ目の御質問にお答えさせていただきます。  不要不急のものを見直す際に、一般会計特別会計等々、事業が結構入り交じっているのが多いのではないかという御指摘だと思いますが、正に御指摘のとおりでございまして、これをいかに全体を把握していくのかという点は、言わばお金の流れのトレーサビリティーと申しますか、よく農産物につきまして、どこで育てられたその畜産物がどういうふうに消費者の手元に渡っていくのかということを特にITの力でもって追っていくというような技術が開発されておりますけれども、財政の面におきましても同じような仕組みが必要ではないかと考えております。  そのためには、今現在、特に予算書、決算書、一般会計特別会計、別冊になっておりまして、どの事業が同じ事業をお金を混ぜ合わせて行っているのかというのが、今の予算書、決算書を見るだけでは、これなかなか分かりづらいという点がございます。これは先ほどもちょっと御指摘いたしましたが、非常に技術的にも見えるんですけれども、きちんとしたコード番号を個々の事業、それからその内容に応じて振っていくというまず基礎的な作業から始めていく必要があるのではないかと考えております。その番号をきちんと振っておけば、特別会計一般会計合わせてどういったお金の使われ方がしているのかですとか、というのが分かってこようかと思います。  もう一つ言いますと、特に企業会計公会計が異なる点でございますけれども、特に公会計の場合、移転の支出ないし収入というのが非常に多いんですね。これは補助金ですとかあるいは交付金という形で会計間を移転するお金が非常に多いわけですけれども、これにつきましてもきちんと勘定科目を設定して、どこからどこに対してお金が移ったのか、最終的にはだれがどういうふうに使うことになったのかというところまできれいに把握していく必要があろうかと思います。これは会計上は技術的には可能だと考えております。  以上です。
  23. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 小林先生御指摘事業の整理と特別会計改革ということでございます。  やはりその事業が必要かどうかということが民主主義によって決定されねばならない、それがまず第一に行われるべきことだと思います。ところが、国民に真に必要な事業、あるいは逆に不要不急事業というのはそれぞれ人によって異なります。異なるものをどう一つのものに仕上げていくかというのが正に民主主義そのものであるというふうに私は思います。  市場は、マーケットはそういう難しいことはいたしませんでして、もうだれが見てもこれは必要、価値のあるもの価値のないものというふうに決めてしまいます。ですけれども、それでは判断できないものをやはり政治が判断すると。真に必要といっても、それはそれぞれいろんな人によって違うわけですから、その意見を、合意を形成していくということが非常に大事なことだと、それが事業の整理ということ、先生御指摘事業の整理だというふうに存じます。
  24. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございました。
  25. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市征治でございます。  両先生には、本当にお忙しい中、御出席いただいてありがとうございます。  富田先生、桜内先生、順にお聞きをしたいと思いますが、富田先生には前回もこの場で御高説を開陳いただきまして、私も大変意を強くして今日まで国民視点から特別会計改革に力を注いでまいりまして、今日は二つお伺いをしたいと思います。  一つは、ずっと特別会計委員会委員長をお務めいただいて三回の提言をまとめられたわけですけれども、昨年十一月の提言が一段と政府に厳しく、制度の全面的見直しを求め、同時に国民視点からということを数か所で強調しておられますね。うがった見方をすれば、過去二回の提言がかなり軽視をされてきたというか、委員の皆さん方も快く思っておられない、それで強い文言にまとめられたんではないかというふうに私は憶測をいたしますけれども、このことの真偽はともあれ、今回の提言で、前回あるいは前々回と違って力を入れられた点はどういうところかということをまずお聞かせいただければと、こう思います。  二つ目は、具体論になりますけれども、前回、先生が公共事業特別会計を例に挙げられて、巨額の、例えば二五%にも達している繰越しであるとか、不用額は臨時軍事費並みでおかしいと、英国やオーストラリアのように一定限度を超えた分は一般会計に返納すべきだというふうに書かれておりますね。  今回、政府は国土交通省関係の五つの特別会計統合で済まそうとしておりますけれども、この財政審の挙げられた尺度、つまり、五つの特別会計事業の性格であるとか一般財源からの繰入れが約七割という状況などからすれば、私は一般会計統合すべきだというふうにこれは主張してきたんですけれども、この委員会委員の方々もおおむね一般会計への統合を求めておいでになると、こういうふうに読んでよろしいのかどうか、これが二つ目であります。  次に、桜内先生にお伺いをいたしますが、先生は総理大臣のトップダウンで改革をと強調されております。お書きになっているとおり、各省庁の思惑で無駄な特別会計が乱立しているという状況があるわけですから、私も当面総理が得意な数値目標を示してこれ縮減をすべきだと、こういうことを主張し、そのリーダーシップを求めてまいりましたけれども、こうした省庁の縄張、既得権にとらわれず、より上位から横断的な目標設定によって突破せよと、こういう御趣旨なんだろうと思います。  ただ、私自身は、先ほど申し上げましたように、当面はと、こう言っておりまして、総理のトップダウンという手法は必ずしもいいことだとは思っておりません。むしろ、先ほど来から両先生お話しのとおり、国会による予算統制を強めるべきだという立場からいえば、むしろ我々の側が立法によって新たな規制をしていく、例えば財政法の十三条あるいは四十四条、四十五条の改正その他、だれもが分かる形でこの統制を強めていくということが官僚による恣意的な運用を許さない歯止めになっていくんではないか、そのことが必要ではないか、こんなふうに私は思っております。  この点では、桜内先生も根拠法の要件が非常に緩やかなことが弊害だ、こんなふうにお書きになっておられるので、この立法化の問題についても、もう少し御発言がございましたらお伺いしたい。  またその際、具体論では、私も、財政審もそうですし、また一般世論も同じ指摘をしているわけですけれども、多額剰余金、繰越金あるいは積立金資金、こういったものの一般会計からの繰入れの削減、そして不用額の繰戻し、一般会計への統合といった改善を法で明示すべきではないかというふうに私は思うんですけれども、この点についてお伺いをしておきたいと思うんです。  もう一つは、政府は今度の特別会計改革の工程表でも独立行政法人幾つか挙げてそれに移そうということも言っているんですが、これ一般的には私は独立行政法人は各省庁の自由裁量になる可能性が非常に高い、大変問題が今までもあるんではないか。そういう意味で、国会統制が弱まっていくんではないかという危惧をいたしているわけでありまして、その点について桜内先生、いかがお考えか、これを最後にお伺いしておきたいと思います。
  26. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 又市先生の御指摘の第一の点でございます。  財政制度等審議会におきましては、過去三年間この特別会計の問題を検討してまいりました。私が絶えず念頭に置きました基本的な視点は、主要な事務事業についての見直しであります。  確かに、特別会計の器をどうするという議論は、そうした議論を二年間積み上げてきた結果でもございます。器を変えて実態が変わるかどうかということもございまして、やはり重要なことは、各特別会計の行っている主要な事務事業について国民の目線から検討をしてきたということでございます。それによって、一般会計からの繰入れとか、あるいは不用額ですとか、そういうことについての検討を続けてまいりました。で、やはり繰入れが減少するといったことも各特別会計において成果が上がってきているように思います。そして、三年目には、意思決定の仕組みが変わることによって、より削減が進展、効率化が進展するだろうという観点よりまとめてございます。  又市先生の二番目の御指摘で、公共事業特別会計ということでございます。  これは、やはり特別会計一般会計に分かれておりますのは、その財源的な違い、特別会計におきましては地方負担ですとか、あるいは民間負担といったものも入っております。そういう観点から、直ちに一般会計統合するという意見特別会計委員会の中におきましてはそれほど大きなものではございませんでした。また、公共事業関係特別会計統合するというのは、事業の政策的な目的、そして事業関連性といったことを考えて、統合した方が事業の政策評価においてもより政策評価にかなっているということからも、合理的な意味がある場合に統合するという観点より公共事業特別会計についての統合ということを提言いたしました。  以上でございます。
  27. 桜内文城

    参考人桜内文城君) では、いただいた御質問、三点かと思うんですが、お答えさせていただきます。  まず一点目でございますが、総理のトップダウンによる目標の設定とそのリーダーシップと、それから国会統制との関係でございますが、私は、総理がトップダウンで何かしら目標を設定するといたしましても、その背後には必ず国会の信任というものが必要だと考えております。逆に申しますと、総理がトップダウンで仕事をするためには、むしろきちんとした国会統制というのがないと、むしろ総理の方もきちんとした仕事ができないというふうに考えております。ですから、車の両輪と申しますか、両方とも非常に重要であると。これがこれまでの財政運営においてはやや両方とも欠けてきたのではないかという認識を抱いております。  特に、国会の方でやっていただきたい統制の具体的な手法ですけれども、やはりきちんとしたルールを設定する。これは、財政法をどうあるべきか考えるかということも関係してくると思うんですけれども、正に政府財政運営上の意思決定のガバナンスの仕組みを正にきちんとつくっていただきたいと、立法府につくっていただきたい。その下で、内閣及び行政府は、行政各部の方は仕事をやっていくと。そういうふうな制度的なインフラづくりを立法府で実際やっていただきたいというふうに考えております。それが、先生御指摘のとおり、国会統制を強めるという非常に重要なことではないかと考えております。  二つ目につきまして、積立金ですとかあるいは繰戻し等々、繰入れ、繰戻し等々、何かそういうものをきちんと明示すべきじゃないかという御指摘でございました。  実を申しますと、昨年の十二月二十四日の閣議決定されました行政改革重要方針におきまして、特別会計のところではないんですけれども、別のところで、「政府資産・債務改革」というところで、実は財政運営上の原則を明示するということが明記されております。これが今法案化されているやに聞いておりますけれども、四つ原則が挙げられておりまして、「将来の国民負担を極力抑制すること」、「金利変動など財政運営に関するリスクを適切に管理すること」、「債務残高を抑制すること」、それから「剰余金積立金については合理的な範囲にとどめること」、これら、きちんと特別会計にも当てはめて財政運営をやっていくと。で、これをきちんと原則を明示した上で、そのために必要な財務情報を開示することを徹底するというふうな文言がございます。  これは、私としましてもこの閣議決定の中でも非常に評価しておる部分でございまして、恐らくは、特にニュージーランドですとかアングロサクソン諸国での財政責任法と申しますか、憲法のない国ですので憲法の財政の章の一部のようなものだと考えておりますけれども、こういった原則を明示した上できちんと情報開示をさせていく、それによって国会による統制を強めていくというふうな考え方に立っているものだと考えております。ですので、きちんとこういう制度設計というものを立法府でやっていただきたいなというふうに願っております。  最後に、三つ目でございますが、独法化の問題点ということでございますが、確かに、まだ制度が走り出したばかりということもございまして、先生御指摘のとおり国会統制というものがやや及びにくくなっているのではないかと御懸念と、まあ実際にそういうふうに指摘される部分がございます。  とはいえ、私自身は独法についてはもうちょっと評価してやってもいいんではないかと考えておるところもございまして、これは毎年、まあ一応ではございますけれども、きちんと評価する制度というのがありまして、パフォーマンスが良かったのか悪かったのか、それから中期計画の期間が終わる際には存廃を含めて検討し直すというサンセット条項も入っておりますので、むしろ個々の業務運営については、これは執行については一任すると。しかし、その企画立案と存廃等も含めたガバナンスの在り方については、正に主要株主といいますか、その組織の所有者として国会で御判断いただくという仕組み自体は確保されておりますので、むしろそういった点で国会の関与を強めていただければ、むしろより良い制度になっていくのではないかなというふうに考えております。  以上です。
  28. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 以上で各会派の質疑が一巡いたしましたので、これより正午までを目途に自由質疑を行います。  質疑のある方は挙手の上、指名を受けてから御発言願います。荒井正吾君。
  29. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 お先に失礼いたします。  自由民主党の荒井正吾と申します。各先生に一問ずつ御質問させていただきたいと思います。  富田先生には、今日お示しいただきました特別会計改革についての鋭い考え方、具体的な方向というものが、今日の特会というテーマじゃありませんが、国、地方の財政を連結して見た場合の改革に資するふうにするにはどのようにすればいいのかという点について御示唆を願えればと思います。  一般会計特別会計関係は、塩川大臣が一般会計はおかゆすすっているのに特会はすき焼きを食べているという、実は、地方は、国が借金でおかゆをして、地方は何食べているのかな、御飯食べているのかアワなのかすき焼きなのかという点が若干見えない。で、地方交付税財源保障制度がありますので、まあ神学論争ですが、交付税は地方固有の財源だという論に立つと、地方は固有の財源で御飯を食べるのが当然で国の財政は関知しないというと、その連結性ができない。  例えば、資産取得を地方がする場合は、国のBSには負債として計上されて地方は資産として計上される。だから、見掛けのBSがとても地方は良くなって国が悪くなる。あるいは経常収支では、国の借金で経常収支払うと、国の負債だけ残って地方はBS残らないというようなことが会計上あるわけでございますが、ところが地方は独立した主体でありますので、地方財政に対する決算国会統制が可能かどうかという点が御意見伺いたい。  なかなか難しい。しかし、国民の目と、財政再建には地方財政も含めた可視性を高めにゃいかぬと。そのためのいろんな会計をどうすればいいのかというようなことでございますが、参考資料いただきました中で、地方の決算を調べることによって比較分析で財務諸表をもっと利用すればいいとかというようなこと、あるいは地方の税の滞納の状況ということを官庁に調べたんですが、すぐに出てこないような状況なので、決算の書類とそれの国会の監視、国会の可視性というのが若干どのように考えればいいのかというようなことで、国、地方を通じた財政再建で地方の決算に対する可視性を高めるというのは重要じゃないか。  参議院の決算委員会も、国会法百五条の会計検査院の検査要請で地方財政の状況というのを検査要請出しまして、この秋に出てまいります。会計検査院は、地方財政決算検査をする権限はあったんですが、過去一度もしたことないんですが、今年初めてすることになって、どのようなものが出てくるか注視しているんですが、その点について富田先生の御意見を賜れば。  それと、桜内先生には、今日いただいた資料の中で世代間の声なき声を客観的な数値で示すというふうに述べられておりますが、世代間の連結決算あるいはその財務諸表を通じたバランスというのがどのように可能かどうかお伺いしたいと思いますが、年金、医療のような支出は、税の負担年金の基礎部分など、あるいは医療の国庫負担国民負担になった場合、それは国民負担が借金でするとすれば、それは現在の支出が後世に負担を残すわけですが、それはどの程度残っているかどうかということが国会で見通しが利かない今財務処理の状況になっていると思うんですが、そのような点についてどのような手法でその世代間の負担の公平かどうかということを見通しができるというふうにお考えなのか。  これも、国会百五条の検査要請で、会計検査院への検査要請で社会保障支出現状についてというのをこの秋に出してもらうことになっておりますので関連するかと思います。またさらに、百五条の要請で特別会計の状況、この秋に会計検査院の報告が出てきますので、今日の議論、これからの議論参考にさせていただきたいと思います。  その二点、ちょっと大きいのですが、また後刻でも結構でございますが、時間の範囲で御示唆がいただければ幸いでございます。  以上でございます。
  30. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 荒井先生より国と地方との関係ということで御下問がございました。  交付税特別会計に加えまして、各特別会計からも地方公共団体に対して補助金が交付されているということからも、この特別会計との関係ということが問題となります。  私は、現在の日本の国と地方との関係は、言葉としての地方自治ということとその実態とが極めて大きく遊離しているところにいろんな議論の混乱が起きている原因があるというふうに思います。つまり、理念と実態とが大きく乖離してしまっているということでございます。私は、その理念と実態が乖離しているということの最大の原因は、この地方交付税仕組みにあるというふうに思います。  地方交付税は、よく言われますのは、各地域ごとに財源の格差があるんで、それを均衡化するためだということなんです。しかし、結果としてそれが各地方公共団体の歳出財源を国が保障することになってしまっているということが問題として指摘できます。つまり、申し上げたいのは、財源保障地方交付税が持っている財源保障機能が問題であると。その一方で、財政調整というふうに、一人当たりの地方税が大きく異なる場合にはそれを是正していくという役割は引き続き必要かというふうに思います。  いずれにしても、国税の非常に大きな部分が地方に配分されていると。国会で決まったお金の、交付税も補助金もそうですけれども、使われていると。場合によっては地方税も国で議論されて決まっているというのが実態なわけでして、そういう中においては、国会においてもより地方財政の実態ということが議論されるべきだろうというふうに思います。そういう意味で、可視性を高めるといったこと、会計検査院の検査報告が必要といったことも、私はそのように考えます。  また、荒井先生御指摘になられましたように、国と地方というものを公会計の考え方で連結して考えますと、国の財政規模は非常に今よりももっと小さなものに連結すればなります。一方で、地方は、恐らくすべての公共団体は資産超過の状態にあるだろうと。これはこれまでの補助金が資産化されているといったことで資産超過になっているだろうと。ですから、地方財政は、現在プライマリー黒字であり、そして大幅な資産超過というのが実態ではないか。また、地方公務員の給与についていろいろ指摘はあるわけですけれども、それぞれの地方公共団体で住民は直接高い住民税を取られて高いお給料を払っているわけではないんで、批判といっても、その住民の批判はやっかみ程度でしかない。ちょっと変な表現ですけれども。  そういう意味で、なかなか地方自治とその現状というのには大きな遊離がある、だから根本からこの問題を考えるべきだろうというふうに存じます。  私からは以上です。
  31. 桜内文城

    参考人桜内文城君) では、次の質問についてお答えさせていただきます。  世代間のバランスについてお尋ねいただいたと承知しております。  これについては、会計上は、会計上といいますか経済学上も含めて大きく二つ測定の方法があろうかと考えております。一つは、九〇年代から比較的使われておりますが、世代会計というものでございまして、こちらは会計と名が付いておりますけれども、個々の人間を何年生まれということで、あるいは男女別ですとかその学歴別等々で区切りまして、これは一つの集団、コーホートという言い方するわけですけれども、総計して幾ら国から受益があるのか、それから負担をしなくちゃいけないのかということを世代ごとに区切っていって測定していくものでございます。これは内閣府の方でも相当実際の分析とかされておりまして、特に年金財政でございますけれども、将来世代の方が負担が非常に多いと、むしろ受益が少ないという結果が公表されてきておるところでございます。確かにこれは非常に分かりやすいやり方でございまして、今後ともそれを精緻にやっていくという努力は必要かと思っております。  もう一つのやり方としましては、これは通常の公会計の手法といいますか、会計学の手法でやるやり方でございますが、やはりストック、特に資産負債というものをきちんと資産査定をした上で、その負債がどのぐらいあるのか。で、その負債の中身でございますね、が一体どういうふうな資源というものが使われて負債となっているのか。基本的に負債というのは、もちろん将来償還しなくちゃいけないものでございますけれども、あと資本の部に属するものの中にも、既に将来の税金というものを当てにして、何かしらインフラ資産ですとかそういうものを形成した場合には資本の部に一応組み込まれるんですけれども、既に財源としては拘束されてしまっていると、将来の財源が拘束されている部分というのも含まれております。ですから、その辺をきちんと会計処理した上で差っ引いて、実際に今現在正味で、本当の意味での正味で幾ら拘束されていない資源が政府にあるのかという点を測定していくやり方というのがございます。  これをもちまして、将来利用可能な資源が幾らあるのか、それに対して将来既に拘束された資源が幾らなのか、さらには現役世代というものが実際どのくらい受益しているのかというものをすべて会計上の数値でもって表示していくことが可能ですので、これらをコントロールのターゲットといたしまして財政運営やっていくという手法も考えられるかと考えております。  以上です。
  32. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 藤末健三君。
  33. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  本日は、富田先生、桜内先生、本当に貴重なお話をありがとうございます。  時間がないので、桜内先生に御質問申し上げたいと思います。  私、桜内先生のちょっと御著書を読まさせていただきまして一つ思いましたのは、本日、小池委員からも時価会計主義そして発生主義の議論が出ましたが、今OECDや、あとIMFなどにおきまして公会計議論がございますですよね。その中で、時価主義そして発生主義の議論がどのように進められているかということを教えていただけませんでしょうか。お願いいたします。
  34. 桜内文城

    参考人桜内文城君) 今御指摘のとおり、OECDですとかIMFにおきまして、まあ基本的にはこちらはSNAと申しますか社会会計の分野でございますけれども、それと、近年公会計議論も大分進展してきてまいりましたので、その考え方といいますか勘定体系等をなるべく統合していこうという議論が国際的に行われているところであります。  やはりそこは、先生御指摘のこの時価主義あるいは発生主義というものをどこまで公会計の分野においてもあるいは統計の分野においても導入していくかというのはなかなか難しい議論がございますけれども、一つ言えますのは、既に恐らく固まった結論ではないかなという点は、発生主義という点については国際的な合意が既にほぼ形成されているのではないかというふうに、私、議論に参加して認識しておるところでございます。  やはり発生主義の体系を採用しておりませんと、きちんとバランスシートを作るですとか、そういった基本的なことがなかなかできないというのがございます。もちろん、発生主義を今度採用した場合に、先生も御指摘のとおり、小池先生も御指摘になったように、じゃ時価というものをどういうふうに織り込んでいくのかという点はこれまた次の問題として発生してまいりまして、じゃ時価をどこまで取り込んだ財務諸表を作成するのかというのは、正に今議論の真っ最中というふうな状況じゃないかというふうに認識しております。  時価の考え方なんですけれども、理論的に申しますと、企業会計では相当程度時価会計というものも入ってきておるわけですけれども、その元々の背景と申しますのは、今回のライブドア事件を引き合いに出すのも不適切かもしれないんですけれども、やはりマーケットを通じて資本市場と申しますか証券取引というものが行われる上において、やはり時価というものを投資家の目から見て非常にやっぱり重視していかなくてはいけないという考え方がございます。  逆に、じゃ公共部門のパフォーマンスを評価する上において時価という情報がどこまで参考に本当になり得るのかと。マーケットを通じて我々は政府を見ているわけでは基本的にございませんので、もちろん国債は別ですけれども。そういう点からしますと、必ずしも企業会計で時価主義を採用しているからといって公会計においても時価主義をそのまま採用するというわけではないと。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、政府の今の利用方法であれば幾ら幾らの評価価値になりますというデューデリジェンス、もちろん必要ですし、あるいは、もしこれをマーケットテストに付したとして、民間企業がよりいろんな、役所の庁舎ですとかへ民間も入居させるなり、いろんな使い方というのを最高度に民間部門で知恵を絞ってやるとしたら一体幾らの価値になるのかと。こういったマーケットテストというものは、時価主義とはちょっと別の観点で必要になってくるのではないかというふうに考えております。  以上です。
  35. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございました。
  36. 中島眞人

  37. 尾立源幸

    尾立源幸君 民主党の尾立源幸でございます。  両先生方、本当にありがとうございます。  一つ海外の事情を教えていただきたいんですが、我が国には、御承知のとおり三十一特別会計六十三勘定、ある意味では六十三個のお財布があるわけでございますけれども、欧米のイギリスやアメリカ、制度は違いますけれども、どのような特別会計を持って、またその歳出額といいますか規模感はどのぐらいなのか、ちょっと御存じでしたらどちらの先生でも結構ですので教えていただきたいと思います。
  38. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 尾立先生お尋ねの点ですけれども、イギリスは、最初に一七八〇年からのお話をさせていただいたんですけれども、基本的に国庫統合資金というものが中心になっておりまして、そのほか、我が国でいう特別会計に相当する経理区分を行っていますのはナショナルローンファンズと申しまして、これは財投です。だから、財投特別会計があり、そこは同時に国債発行も行っていると。それから二つ目は、厚生保険とか国民年金、労働保険なんかを一つ特別会計といいますか、国民保険資金というので行っております。それから、外為市場への介入は、これも第一次世界大戦の後にできたんですけれども、為替平衡勘定というところがやっております。それから、我が国の郵便貯金特別会計というのがかつてあったんですけれども、それに相当するものが国民貯蓄銀行資金としてあります。ですから、制度はいろいろ違うんですけれども、統合資金が中心で、あと四つあるという感じです。  アメリカも、ユニファイドバジェットという形なんですけれども、やはりそれぞれいろんな会計があります。これも、例えば郵便事業特別会計的なものとか印刷局だとか、いろいろとアメリカでは分かれております。  ドイツにつきましても、一般会計特別会計というふうな経理区分はなくて、すべて連邦予算として成立しておりますけれども、特別勘定といたしまして、例えば年金積立金だとかドイツ統一資金と言われるものとか、そういうものも存在します。社会保険についても一応は連邦予算管理しているということのようでございます。  そういう意味じゃ、国ごとそれぞれ違って、議会全体の在り方とか省庁の編成とか、そういうものとも密接にかかわっているように思います。
  39. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 予定の時間が参りましたので、これをもちまして参考人に対する質疑を終了いたします。  両参考人に一言お礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日の審査はこの程度にとどめます。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  40. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  41. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十六年度決算外二件の審査のため、来る二十二日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  44. 中島眞人

    委員長中島眞人君) この際、会計検査院長大塚宗春君及び検査官伏屋和彦君からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。会計検査院長大塚宗春君。
  45. 大塚宗春

    会計検査院長(大塚宗春君) 一月二十七日付けで会計検査院長を拝命いたしました大塚宗春でございます。  国の財政事情が厳しい折、国の財政監督機関であります会計検査院に対する国民期待も大きくなっていると思います。そうした国民期待にこたえるよう、微力でございますけれども、全力を尽くして職務を全うする覚悟でございますので、よろしく御指導、御鞭撻のほどお願いいたします。
  46. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 次に、検査官伏屋和彦君。
  47. 伏屋和彦

    ○検査官(伏屋和彦君) 一月二十三日付けをもちまして検査官を拝命いたしました伏屋和彦でございます。  微力ではございますが、誠心誠意検査官の職責を果たしてまいりたいと考えております。御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
  48. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会