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2006-04-06 第164回国会 参議院 経済産業委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任         主濱  了君     岩本  司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加納 時男君     理 事                北川イッセイ君                 佐藤 昭郎君                 松山 政司君                 若林 秀樹君                 渡辺 秀央君     委 員                 倉田 寛之君                 小林  温君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 松村 祥史君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 藤末 健三君                 山根 隆治君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        文部科学大臣官        房審議官     藤田 明博君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        経済産業大臣官        房審議官     大辻 義弘君        経済産業省製造        産業局長     石毛 博行君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       高原 一郎君        特許庁長官    中嶋  誠君        特許庁総務部長  野澤 隆寛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○意匠法等の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、主濱了君が委員を辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。     ─────────────
  3. 加納時男

  4. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 加納時男

    委員長加納時男君) 意匠法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 松村祥史

    松村祥史君 おはようございます。自由民主党の松村祥史でございます。  本日は、参議院先議ということで、意匠法の一部を改正する法律案についてトップバッターとして御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず最初に、模倣品海賊版拡散防止条約について、サミット以来の経過はいかがなものかとお尋ねをしたいと思っておりますが、我が国はこれまで高度な生産技術と高い競争力を持って世界で戦ってきたものと、こう理解しております。しかしながら、近年、アジア諸国の急速な追い上げに遭いまして、我が国国益も随分と損失をしているんじゃないかなと、こう考えております。とりわけ、知的財産侵害は深刻でございまして、模倣品を減らして世界レベルで公正な貿易の発展を図ることは大変重要なことであると考えております。  ちなみに、模倣品年間取引額は全世界で六十五兆円であり、我が国が今後とも発展し続けるためには、意匠商標特許等知的財産戦略的な創造や権利保護は大変必要不可欠であると、こうも考えております。より一層の産業財産権権利保護強化模倣品対策強化というのは、これはもう必要であると認識をしております。  こうした中、政府におかれても、知的財産戦略本部を設置され、知的財産推進計画二〇〇五をまとめられ、強化をされていると認識をしております。小泉総理におかれても、昨年の七月、G8グレンイーグルズ・サミットで、模倣品海賊版拡散防止条約を提唱されました。また、十一月にはAPEC釜山閣僚会議APECモデルガイドラインが合意され、我が国においてはその先導役として果たしている役割というものは大変大きなものがあると認識をしております。  そこで、その後の模倣品海賊版拡散防止条約構想についてのいろいろな経過背景、今後の指針辺りにつきまして御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  7. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) おはようございます。  松村先生の御指摘のとおり、小泉総理が昨年のG8サミットで、正に条約構想、提唱いたしました。このG8諸国間におけるこの合意の形成というものが何よりも重要なわけでございます。そこで、G8の知的財産権専門家会合というものを昨年十月以降に開きました。もう一つは、G8各国首脳を代行する次官級局長級会合などにおいて議論を深めてきているところでございます。  去る三月末にモスクワにおきましてG8の知的財産権専門家会合が開催されまして、これ、実は十月に一回、次が二回目でございました。我が国から提示をした条約骨子案について議論が行われたところでございます。その結果、全般的に見ますと多数の国々から前向きな評価を得ることができました。  他方、検討すべき技術的事項も残っておりまして、これはどういうことかといいますと、やはり中国などが一番その模倣品海賊版が多いわけでございますから、我が国中国ども入れるべきではないかということも申しましたし、また経由地、これらも本来は入れるべきではないかと、こういうことも申しております。  そういうことで、今後引き続き議論を継続していくこととなっております。
  8. 松村祥史

    松村祥史君 ありがとうございました。  そこで、その中国についてでございますが、冒頭、近年、模倣品による被害深刻化をしていると申し上げましたが、特許庁模倣被害調査報告書二〇〇四によれば、二〇〇三年度に被害を受けた我が国企業の割合は二七・四%に上っていると。また、この被害を受けた企業のうち、模倣品製造された国として、何と五二・三%が中国であるとの回答が出ております。ちなみに、台湾が二二・九%、韓国が一九・七%と続いております。また、これを金額ベースに換算しますと、中国模倣品によって我が国企業被害がおおよそ九・三兆円のあるべき売上げが失われているという推計が出ております。  そこで、二階大臣におかれましても、このことは十二分に御理解をされておられますでしょうし、その上でのいろんな行動を取られてこられたものと理解をしております。先般の訪中においても、薄熙来商務部長との会談もなさいましたし、その席でもいろんなお話をされたものと思っております。  是非、これについてのいろんな大臣の御所見、それから、今後、世界における日本役割立場、この知的財産戦略、それぞれにあると思います。是非大臣の御決意をお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  9. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま議員指摘のとおり、私は、二月の二十二日でございますが、北京におきまして薄熙来商務部長との会談におきまして七つぐらいのテーマで話合いをいたしました。二時間半、あらゆる分野の話をしましたが、御指摘知的財産権強化につきまして強く申入れをしたところであります。  中国自身も、知的財産権保護中国としての大きな課題であると認識しておるのは当然のことであります。現に薄部長からは、中国知的財産権保護分野に今日までも特に力を入れてきました、これは単に外国企業権利保護するためにだけではなくて、中国産業企業発明活動を奨励するためにも極めて重要なことであると認識している、また、今年のうちに、主要都市、まああちらは広いですから、五十か所の地域知的財産権取締り本部摘発センター、これを設置して徹底的に対処する用意があるという具体的な御意見がありました。中国における、中国自身も、ある地域特産品ができたと、あるいはすばらしいデザインの何かができたといったときに、今度、別の地域人たちがそれをまねてやってしまいますと、この最初に開発、発明した人たち立場はないわけでありますから、そういう具体的な面でもう既に問題が各地に起こっておるということで、我々は自分自身の問題としてこのことに対応するつもりだというお話がありました。  今度、五月の末でございますが、薄部長一行参りまして、あらゆるテーマでまた会談の機会を持ちたいと思いますが、ただいま松村議員から御指摘のような点につきまして、私の方からも重ねて要請をするつもりであります。
  10. 松村祥史

    松村祥史君 大臣、ありがとうございました。  中国国内においても大変な被害を受けているということは私も理解をしておりましたけれども大臣からも強い要望をしていただいてそういったものが進められるというのは大変重要なことであると、こう考えておりますので、是非引き続きよろしくお願いしたいと思っております。  また、ある意味、外交という面でも、諸外国のことに細々と口を出すことは大変厳しい実情があると、こう思っております。そういう意味でも、我が国内においてそのことの、知的財産という、何といいましょうか、しっかりとした確立を図っていくことがまず先決であると、そういう意味で今日のこの法案であると思っております。そのことをやっぱり、世界の先頭を走る中でしっかりと確立していくべきであると、こう思っておりますので、是非、今後も引き続き御尽力賜りますようにお願いをしたいと思っております。  そこで、法案の細かな部分に入っていきたいと思っておりますけれども意匠権存続延長について御質問をさせていただきたいと、こう思っております。  今法案では、存続期間現行の十五年から二十年に延長するとのことが提案されております。この二十年というのが果たして、十五年から五年延びたから二十年でいいじゃないかという議論なのか、諸外国には二十五年、特にヨーロッパEU諸国辺りは二十五年の期間をもって存続を認めているところもございます。  私の友人に、ヨーロッパのアンティークの家具を輸入してまいりまして、それを販売している業者さんがおります。ヨーロッパ文化というのは代々、食器であるとか家具であるとか、家系で引き継ぐと、こういうふうに聞いております。そのことに伴いまして、まあ大工とは申しませんけれども技術伝承後継者づくり、こういったものも芽生えていると。そういう意味では、やはり今、この日本資源の不足、人口減少、環境問題、こういったものを含めると、そろそろ使い捨て文化から伝承文化、今回物づくりについてもいろんな制度設計をやってしっかりと図っていこうという転換期に来てるんじゃないかなと、こう考えております。  そういう意味では、この二十年という根拠をまずお尋ねをしたいと。また、この存続期間延長することにより我が国産業発展にどのような効果が期待できるのか、お尋ねをしたいと思いますので、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 意匠権存続期間についてのお尋ねでございますけれども、実は意匠権につきましては国際的に統一された存続期間というものがございません。その国の実情とか権利意識の在り方といったようなものに応じて、各国ごとに設定されているのが実情でございます。  御指摘ございましたように、例えばアメリカですと登録から十四年間、それから欧州の主要国においては最初出願から五年間といたしまして、その後四回更新により最長二十五年まで可能でございます。それから、WTOでその知的財産制度について規定をしておりますTRIPsという協定がございますけれども、そこでは少なくとも十年間といったように決められております。  日本におきましては、これまで登録から十五年間となっておりますけれども、魅力あるデザイン商品価値の長期的な維持に重要であるというふうに認識されている昨今の状況の中で、最近ですと、調査をいたしますと、意匠権がその権利存続期間満了の年まで、つまり十五年間存続する比率が約一六%と比較的高くなってきております。こうした実態、あるいはその産業界要望を踏まえまして、今回、デザイン保護強化観点から意匠権存続期間延長することとしたところでございます。  他方で、この存続期間につきましては必ずしも長ければ長いほどいいというものでもございません。意匠法では、美感を起こさせるものであれば、機械器具などの物品の機能や技術に関する形状、形態でございますね、等も対象となっておりまして、特許権存続期間、これは出願日から二十年でございますけれども、これと大きく乖離することは適切ではないのではないかというふうにも考えられます。  また、実際、御議論いただきました審議会では、改正前の出願とそれから改正の後の出願とで存続期間が大幅に異なってしまうということは必ずしも適当ではないんではないかという御指摘や、あるいは権利者以外の第三者に与える影響も考慮する必要があるだろうということで、結論として、新たな存続期間としては二十年間が適切ではないかという結論をいただきました。  一方、同時に、特許庁意匠権延長について国内主要企業対象にしてアンケート調査を行いました。五百八十社から回答がございまして、存続期間延長が必要とする企業のうちの六八%が二十年間が適切であるというふうに回答されておりまして、二十五年が適切であるという回答は一三%にとどまっております。  こういったことを総合的に検討した結果、審議会で得られた結論に従いまして、存続期間延長の幅につきましては、現行の十五年から五年延ばして二十年間ということとしたものでございます。
  12. 松村祥史

    松村祥史君 議論経過についてはよく理解ができました。しかしながら、冒頭申し上げたように、持続的な技術革新、こういったもののやっぱり政策転換を図っていく意味では、四半世紀というのは、ヨーロッパも二十五年でございますから、交渉をする上でも大事な観点ではないかと、このように考えておりますので、是非そういったものも御理解いただきますようにお願いをしておきたいと思います。  次に、模倣品対策強化についてお伺いをしたいと思いますけれども意匠権刑事罰の引上げについてでございます。  本法律案では、意匠権特許権商標権等侵害した場合の刑事罰について、懲役刑上限を十年、罰金刑上限を一千万円に引き上げるとされております。このことについて、刑事罰を引き上げる理由は何なのかと。また、刑事罰上限懲役十年、罰金一千万円に引き上げる根拠は何なのか。懲役上限十年の刑は、刑法窃盗罪詐欺罪等の同水準の、刑事罰と同等でありますけれども、これらの刑法刑事罰とのバランスについてはどのようにお考えなのかなと。  私は、こういった模倣品というものが出回る背景の中に、アンダーグラウンド世界の中で取引をされる方が大変多いと、罪の問題だけではなくて、やはり犯してはならないというような印象を与えられるのかどうかということを危惧しております。是非その点について御見解を伺いたいと思います。
  13. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今回、刑事罰上限につきましても全般的に見直しを行ったわけでございますけれども観点としては、その犯罪行為に対する抑制効果観点はもちろんのこと、行為悪質性とか被害額の大小とか、他の財産犯に対する法定刑との均衡といったようなこと、様々な視点を踏まえて検討を行いました。  その結果でございますけれども、最近、産業財産権侵害事犯においても被害額が随分増大してきている、裏返して言うと産業財産権価値が向上してきている、あるいは侵害行為抑止の、抑制といったような必要性が高まっているといったような状況を踏まえまして、模倣品被害刑事罰観点からも抑制するという視点で全体的に強化をしたわけでございます。  具体的に申しますと、意匠権特許権商標権等侵害した場合の刑事罰について、懲役刑上限を十年、罰金刑上限を一千万円に引き上げるとともに、懲役刑罰金刑の併科を可能とすると。さらに、法人に対する罰金刑上限も併せて引き上げることとしております。  もちろん、産業財産権侵害につきましては、民事上の差止め請求とか損害賠償という手段もあるわけでございますけれども、やはり二十一世紀、知的財産立国を標榜いたします日本としては、産業財産権財産的価値を、従来の窃盗罪と同等あるいは若しくはそれ以上に重要なものとして考えるという見方を示す意味でも、今回、世界的に見ても最も高いレベルの罰則になっているというふうに認識しております。これによりまして、産業財産権にかかわる侵害行為に対しまして、その刑事罰観点からも十分な抑止効果を発揮することが期待されるというふうに考えております。
  14. 松村祥史

    松村祥史君 大変重い、世界トップレベルだという刑事罰だということでございましたけれども、そういったものの是非意識付けをやっぱりやらなければならないと、このように考えております。  また、追加しましてですが、ちょっとこれは申し上げておりませんでしたけれども刑事罰強化の、模倣品被害の、この刑事罰を上げることで、減少にどのような、どの程度、どの程度効果があると見込んでいらっしゃいますでしょうか。
  15. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この改正によって具体的にどの程度、定量的な効果というのはなかなか推測することが難しいんでございますけれども、実は今回、例えばいわゆる懲役刑とか罰金という観点のみならず、侵害行為として、輸出する行為であるとかあるいはその譲渡目的所持もその侵害行為として加えるとか、様々な形で取締り実効が上がるように工夫をしております。  したがいまして、そういう点と併せまして、現在でも捜査当局から年間数百件のいろいろなお問い合わせについてお答えをしているわけでございますけれども、今後更にそういった協力関係を強めることによりまして侵害事犯に対する取締り実効が高まっていくというふうに考えております。
  16. 松村祥史

    松村祥史君 今、御答弁の中で、輸出譲渡目的等所持意匠権商標権特許権侵害であるということを今度付け加えられました。そのことについても少々お尋ねをしたいんですが、これを併せて追加する理由、また背景についてはちょっと御答弁をいただけませんでしょうか。
  17. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  まず、輸出につきましては、現行産業財産権におきましては侵害行為とされておりません。また、その譲渡等目的とした所持という行為につきましても、商標法におきましては既に手当て済みなんですが、それ以外の産業財産権法では侵害行為とされておりません。したがいまして、輸出につきましては、国境を越えた模倣品取引が行われる際に、その前段階として国内で行われる製造譲渡といった行為を捕捉できない場合には、水際における輸出段階で発見されても差止めを行うことが困難な場合があるということが指摘をされております。  今回の改正案では、その模倣品輸出という行為侵害行為と規定することによりまして、輸出段階差止めを行うことを可能とするということでございます。この点につきましては、別途関税法等改正も今度の国会で御審議をいただきまして、税関当局とも連係プレーを行っていくということでございます。  それから、さらに、その譲渡等目的とした所持でございますけれども、これも今回の改正案侵害行為として追加をいたしまして、模倣品が市場で販売される前の所持段階差止め取締りの措置を講ずることが可能となる結果、模倣品拡散を事前に防止するということを通じまして模倣品対策強化に資するものと考えております。
  18. 松村祥史

    松村祥史君 分かりました。  是非、このことは模倣品対策強化という意味では重要なことでございますので、昨年のこの委員会でも商標法について議論をいたしましたけれども水際取締りというのは私も質問をさせていただいて、是非強化をしてくださいというお願いもいたしました。是非これも併せてしっかりとやっていただきたいと、このように思いますので、よろしくお願いいたします。  今、模倣品対策強化についての質問をさせていただきましたけれども模倣品については、これは内閣府の調査によれば、模倣品を買っても仕方ないと答えた人が国民の約五割あるそうです。この中にもいらっしゃいませんでしょうね。国益がこれだけ損なわれているという中においては、模倣品購入を容認するような意見が約半数あるというのは大変大きなことであるなと。模倣品問題に関する国民のこれは権利の問題ですから、恐らく購入される方々は、ブランドであるとか海賊版であるとかそういったものを意識されずに、あのバッグであれば、この値段でこの商品だったらいいんじゃないかと、自分で使う分だからというような感性ではないのかなと、こう思います。しかしながら、先ほどからずっと数字も並べておりますように大変な被害を被っております。イコール日本国益が失われていると、こういったものでございます。  ですから、こういったことをやはり広く国民皆さん方に、皆さん方模倣品海賊版権利の主張をされることは国益を損している、損なっているといったことを広く訴えていく必要があると考えますが、このことについてどのようにお考えか、またどのように対策を打たれるおつもりなのか、見解をお伺いしたいと思います。
  19. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答えを申し上げます。  今、先生指摘のとおり、内閣府で実施した調査の中で、もうちょっと敷衍して申しますと、偽物購入するのは仕方がない、偽物購入してもよいという回答が四六・九%あって、それで購入すべきではないと思うという回答が三九・六%という形で、そういう何といいますか、模倣品海賊版購入に対して寛容な側面というのは国民意識としてあるのかなという感じがいたします。  そういうことですから、私どもとして、知的財産推進計画二〇〇五というのがございますけれども、その中でも国民への啓発活動を進めるということにしております。これを受けて、私どもの省でも模倣品海賊版撲滅キャンペーンというものを実施をしております。そういうことで国民意識向上に努めているところでございます。  それから、つい数日前ですが、四月の二日に、日中の税関当局の間で相互支援協定というものが署名をされております。これの中で、迅速な通関ということの目的もあるわけですけれども知的財産権侵害物品の効果的な水際取締りと、そういうものも実施するということを目的としております。  私どもとしましては、こういう国民の意識の改革、それから水際での取締り国内での取締り、そういう総合的な対策強化するということで臨んでいきたいというふうに思っております。
  20. 松村祥史

    松村祥史君 よく分かりました。  しかしながら、意識が、やはり国民の半数の皆さん方が仕方がないと、こう思っていらっしゃいますので、より強力なキャンペーンを張っていただいて、我が国が損をしているんだよということを広く広めていただきたいと、このように思いますので、よろしくお願いいたします。  また、私もインターネットをやりますけれども、最近、インターネットでの購入もそこそこにやるようになりました。しかし、決して模倣品を買ってはおりません。そんな中で、これからインターネットの普及、またインターネットを使ったこういった模倣品の販売等もあり得ると、これからますます広がっていく可能性が大であると、このように考えておりますが、このことについての対策等についてはどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。
  21. 小林温

    大臣政務官小林温君) おはようございます。  御指摘のように、インターネットを利用した模倣品海賊版の販売による被害は重要課題となっておりまして、例えば、平成十六年八月から昨年の末までに窓口に寄せられた模倣品海賊版に関する相談百四十件のうちの約七六%がこのインターネット取引に関するものという数字もあるわけでございます。  そこで、経済産業省といたしましては、まず知的財産権侵害の可能性があるインターネット取引等に関する事例集を策定をさせていただいて、これを公表をさせていただいております。そして、次にインターネットのオークション事業者、これ今、大手は実は三社、この事業者としてあるわけでございますが、この方々に自主規制ルールの整備や自主的取組の強化を要請をさせていただいております。そしてさらに、オークションの出品者、この方々が特定商取引法上の販売業者として表示義務を負う場合の、その際の判断基準を明確にさせていただきました。  こうした取組を通じて、今委員に御指摘をいただきましたようなインターネット上での取引、これからますます増えていくというふうに思いますが、模倣品海賊版対策に更に努力をしていきたいというふうに考えております。
  22. 松村祥史

    松村祥史君 このことは、遅かれ早かれ、恐らく法の整備をしっかりとやらなければならないような実情が発生すると思っております。ですから、是非準備を進めていただいて、模倣品のはんらんにつながらないように御尽力いただければと、このように思います。  続いて、ブランドの保護についてお尋ねをしたいと思います。  本法案では、小売業者等が使用する商標について、事業者の利便性向上や国際的制度調和のため、役務商標として保護する制度を導入されております。このことによりどのような効果があるのか、まずはお尋ねをしたいと思います。
  23. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  現行商標法におきましては、商標商品に使用される商品商標というものと役務に使用される役務商標という二つに区分されております。小売業者や卸売業者が使用する社名あるいはロゴ等の商標商品商標としてのみ保護されているのが現状でございます。商品商標は個々の商品ごとに、商品区分ごとに登録する必要があるものでございますから、多種類の商品を取り扱う小売業者等は多くの区分にわたる商品を指定して商標登録をする必要がございます。また、小売業者等が商標を使用する場面は非常に多岐にわたっておりまして、例えばデパートなどの紙袋、あるいはショッピングカート、それから従業員の制服などに表示された商標は、具体的な商品についての使用というふうには言えないため、商品商標に係る商標権によっては必ずしも十分な保護が受けられないといった不便な面もございます。  このため、今回の改正では、小売サービスや卸売サービスに使用される商標を役務商標として保護することによりまして、商標管理の効率化とともに小売業者等の実態に即した商標保護が可能となるというふうに考えております。  なお、国際的に見ましても、欧米等が小売業者等の使用する商標を役務商標として保護しているほか、最近、商標登録の際の商品及びサービスの国際分類に関するニース協定というものにおきましても、小売サービスや卸売サービスを役務商標対象として扱うように国際分類の改定を決定したことがございますので、今回の改正はこうした国際的な制度調和を促進する効果もあるものというふうに考えております。
  24. 松村祥史

    松村祥史君 ちょっと私の理解度が足りないのか、大体分かったつもりでおるんですけれども、まあ結構でございます。  昨年、この委員会で、商標法地域ブランドについて審議をいたしました。ここにございますのが四月の一日、そのことが施行されまして、静岡県で、駿河湾のサクラエビ、それから由比町のサクラエビということで早速登録をされまして、地域の活性化に努めようということで既に御利用をいただいていると、このように思っております。たまたまニュースを見ておりましたら、同じ方が登録の申請をされておるんですね。一つは由比町という町での登録、それからもう一つが三つの団体の商業協同組合の登録と。まあ同じ商品でございますから。  こういった観点からすると、商標法登録のときに、商標法地域ブランドは物と地名の組合せだと。今回の法律案の中では、団体商標の主体を見直し、広く社団も主体となることを認めるとなっておりますが、具体的には、業界団体や同好会等の中間法人、商工会議所、商工会、NPO等が新たに対象に加わる見込みであると、このように理解しております。  団体商標の主体を拡大することによってどのような効果が期待されるのか、お伺いをしたいと思います。
  25. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 団体商標についてのお尋ねでございますけれども、団体商標の制度は、その登録を行いますと、その団体は構成員に対しまして個別に使用許諾ということを一々行わなくてもその商標を構成員に共通して使用させることができると。したがって、その団体の構成員が生産あるいは販売する商品や役務の品質を統一的に管理することが可能となるといった便利な点がございます。したがいまして、団体商標は、団体が主導的な役割を担いながら、個別の構成員の個々の事業も含めて魅力あるブランドを構築するために有効な手段であるというふうに考えられます。  今回御審議いただいている改正案では、これまでは社団法人や事業協同組合などの団体に限られていた団体商標の主体を、広く商工会議所あるいは商工会あるいはNPO法人等の法人格を有する社団に広く広げることにしております。  こうしたそれぞれの主体がこの団体商標という制度を活用して魅力あるブランドをつくっていく、結果としてこれらの団体の活動あるいはその構成員の活動が一層活性化するということが期待されると思っております。
  26. 松村祥史

    松村祥史君 分かりました。  この団体商標については、昨年、地域ブランドの際に、是非こういったものは広げていただきたいというお願いをしておりましたが、そのことが早速議論になりましたことは大変有り難いことだなと、こう思っております。  また、そのときにお願いをいたしましたが、この登録については、商標法については、地域ブランドについては弁理士さんがこの代行もできるということでございました。商工会や商工会議所なんというのはおよそ地域に密着をした団体でございます。是非こういったところにも拡大をして地域の推進役をやらせていただきたいと、そういったことが地域での経済の活性化につながっていくものと、こう思っております。  あのときに私、こういった議論をさせていただきました。例えば私の熊本であれば、弁理士さんが六か所の登録があると。しかしながら、実態は一人しかいらっしゃらないんだと。その中で登録をやって進めなさいと言われても、なかなか登録業務にお金が掛かったりというので進まないんじゃないかと。ですから、こういったものはどんどんどんどんハードルを低くしていろんなことをやっていくべきだろうと。  意匠法については商標法とはちょっと手続業務が違いますので、その点はいろいろと考えるところがございますけれども是非、格差が広がる中で地域の経済活性化を担う団体にこういったものを、どんどん民間にできることは民間にやらせていくべきだろうと、このように考えておりますので、そのことも是非御検討を今後いただきますように。  何か御見解がありますか。じゃ、お願いいたします。
  27. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 先ほど委員お尋ねの点でちょっと私の説明が必ずしも十分じゃなかったかもしれませんので、補足の説明をさせていただいてもよろしゅうございましょうか。
  28. 松村祥史

    松村祥史君 はい。
  29. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 先ほど私が御答弁申し上げたのは、今回の法律で団体商標という制度につきまして、これは従来からある制度でございますけれども、その主体が拡大をするという御説明を申し上げたわけでございます。  今、先生の方から更にいろいろ御指摘あったのは、地域団体商標という、これは昨年の国会で改正をしていただいて新たに導入された制度でございまして、今月、四月一日からスタートをしたものでございます。  この地域団体商標というものにつきましては、一般的に言いますと、特定の地名を特定の人に独占的に使用させるような商標というのは、原則として商標法上は適当じゃないということで認められてないわけであります。ただ、その例外として、特別な制度として地域名と商品名を組み合わせた商標登録できるようにしようと。したがいまして、その主体になる団体の適格要件といいますか、それはやはりそれにふさわしいものにする必要があるだろうということで、昨年の国会で御議論いただいたときに、いわゆる事業協同組合とか農業協同組合とか漁業協同組合とか、要するに特別な法律に基づいて設立された組合であって、それがその地域と非常に密接な事業活動を行うときに、そういったその地域団体商標という新しい制度を利用できるようにしようということでございます。  したがって、従来からあります通常の団体商標、これはその地域性とは何ら関係のない一般的な団体商標というものと、それから、今月から導入されます地域団体商標という非常に地域に密着した、地名を入れたような商標制度と二つの制度がございます。ちょっとややこしくて申し訳ないんでございますけども、今回の法律案で御審議をいただいているのは、その通常の団体商標について、今までその主体が民法上の社団法人とか限定があったものを、一般の商工会とか商工会議所とか、あるいはNPOとか、そういったものにも広げていくということでございます。要するに、これを御利用いただく方がそれぞれのお立場で利用しやすい方の制度をそれぞれお使いになることによりまして、その団体とか構成員の事業活動が活発化していくということを期待しているわけでございます。
  30. 松村祥史

    松村祥史君 分かりました。どうぞよろしくお願いをいたします。  ただ、このことを実際使っていただく方々にどのように周知していくのか、このことについてどのような御見解をお持ちか、是非お願いいたします。
  31. 小林温

    大臣政務官小林温君) 法改正等の周知が大変大事だということは昨今のいろんな議論を聞いても明らかなところでございまして、特に産業財産権制度の改正というものは、これはその国民権利関係に重大な影響を及ぼすことになります。そういう意味で、この委員会を通じて中身の濃い議論を行っていただいているわけでございます。  このため、我々としましては、この法案が成立をさせていただいた暁には、その改正の内容について広く関係者に周知の徹底を図ることが重要と考えておりますし、特に影響を受けやすい中小企業についてはあらゆる機会を活用してきめ細かい説明を行っていく必要があるというふうに考えております。  そこで、具体的にはまず、改正が行われた後には、その法改正の全体像を御把握をいただくという意味で早急にホームページに掲載をさせていただきたいというふうに思っております。それから、総計で約三十万部のパンフレットを作成し、全国の商工会議所、商工会等に配付をする、こういうことも考えております。また、テレビ、全国紙あるいは他の刊行物等を利用して政府広報で積極的にPRを行うことも予定をしております。また、法律の改正説明会、これも全国約二十か所で予定をしておりますし、審査等の制度運用についての説明会、これは全国で約六十か所で開催をするという予定でおります。特に、その模倣品対策については、これは弊省だけではなくて関係省庁とも協力しつつ、事態の深刻さ、今まで議論いただきましたけれども、このことについて、あるいはその制度改正の内容について一般の国民の皆さんにも幅広く周知を図るために可能な限りの方策を講じていくと。  また、具体的な出願等に係る相談については、先日御審議をいただきました独立行政法人工業所有権情報・研修館のほか、日本弁理士会、地方公共団体が運営する知的所有権センターの協力を得まして、適切に対処することとしたいというふうに思います。また、発明協会が全国都道府県に支部を持ってございます。こういった発明協会の皆さんの活動も通じて、地域の事業者や団体の方々からの相談にもきめ細かく対応していくということにしたいと思っております。  さらに、今回の法改正を踏まえますと、模倣品対策に最大限の努力を傾ける我が国の積極的な姿勢を、これは近隣の諸国政府あるいはそこで活動する我が国企業にも説明することが重要と考えておりまして、この点については政府レベルで積極的に働き掛けると同時に、ジェトロなどの協力も得ていきたいというふうに考えております。  いずれにしても、こういった各種の施策を組み合わせて有機的な周知の方策を練っていくと同時に、お役所的だと言われないように実効性のあるものにしていきたいというふうに思っております。  以上です。
  32. 松村祥史

    松村祥史君 小林務官の力強く、またきめ細やかな御答弁、ありがとうございました。是非、法の施行後、具体的な施策を打っていただきたいと、このように思います。  ちょっと時間もございませんけれども、用意しました質問は終わりましたので、最後に、冒頭に申し上げましたとおり、模倣品被害なんというのが全世界で六十五兆円もあるなんというのは思ってもみませんでした。ましてや、我が国被害推計が九兆円近い額、それも、戦後の日本が頑張ってきて、なおかつこのアジア圏の中で近隣諸国に押されている、こんな実情考えますと、知的財産立国として我が国が確立をしていく、これは非常に大事なことであると、このように考えます。二階大臣もそのことを十二分に力を入れて御推進されることと理解をしておりますけれども是非今後も強力に、まず我が国の確立を図っていただいて、掲げておられます東アジア経済圏の確立、この中で日本がトップリーダーとしてリーダーシップを発揮できるように、是非このことから推進をしていただければと強くお願いを申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  33. 加納時男

    委員長加納時男君) 松村祥史君の質問は終わりました。
  34. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林秀樹でございます。私の方からも質問をさせていただきたいと思います。  知的財産権保護強化というのは、我が国競争力強化のある意味じゃ生命線と言っても過言ではないと思います。その意味において、民主党では、二階大臣是非認識をいただきたいんですけれど、結党以来、この知的財産権保護強化についてはずっと取り組んでまいりました。とりわけ、九八年だったと思いますけれど、「はばたけ 知的冒険者たち」ということで知的財産権についての二十一世紀戦略をまとめたところであります。その意味においては、憲法でまず知的財産権をきっちり規定せよというところから、知財庁の設置あるいは知財基本法の制定、これについてはその後実現したというふうに思いますし、また、首相直轄の知的戦略会議を設置せよというところも御提言申し上げました。そういう意味じゃ、総合的にまとめさしていただいたのは民主党は初めてじゃないかなと思いますが、もう十年近く前からそういうことを申し上げてきたところでありますんで、今回御提案いただいている意匠法等の一部改正につきましては基本的にはもう賛成でございますし、むしろ補強する立場から幾つか御質問させていただきたいなというふうに思っているところでございます。  まず、直接この知財に関する質問の前に、今回のその提案の中身には模倣品対策中国との関係が非常にクローズアップされております。その意味においても、まず、まあ日中関係にかかわることではありますけれど、最近の日中のそれぞれのリーダーの発言がいろんな問題を引き起こしているところであります。例えば、胡錦濤国家主席が日本の指導者が靖国参拝しなければ首脳会談を開くとの発言内容が、ポスト小泉候補のある意味じゃ全員が反発する反応を示しているわけですが、何かお互いに引くに引けない立場に追い込むような発言をやりながら今日の状況に至っているんではないかなというふうに思いますし、ああいう言い方をされると、まあ日本としてもやっぱり反発せざるを得ないというのも、気持ちは分からないわけでもありませんが、この辺について二階大臣としては少し冷静に、角度の違った認識をお持ちではないかなというふうに思いますんで、まず冒頭、そのことについてお伺いしたいと思います。
  35. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) まず最初に、知的財産権の問題につきまして、民主党が早い時期からこれに積極的に取り組んでいただいていることに対しまして、敬意を表したいと思います。  ただいまのお尋ねでありますが、私は私なりの考えを持っておりますが、何か言いますとすぐ閣内不一致などということで、随分貴重なお時間を、そのために御質問をいただいたり答弁を申したりしなきゃならぬことがありますから、私はできるだけこの面の発言は控えておるところであります。しかし、いずれにしましても、胡錦濤主席がどう言われた、あるいは小泉総理の方針がどうであるとかということは、これは一閣僚として論評すべきことではございませんので、それはもっと高いレベルでこうした問題が、こういう委員会でもこのことに多くの、それこそ多くの時間を割くことのないような時期が到来することを私は心から期待をいたしております。  日中間は、向かい合って対立の中で物事を考えるのではなくて、同じラインでこの世界の平和のために、またアジアのリーダー国としてのそれぞれの役割があるはずでありまして、そのためには日中間が協力しなくてはならない。あるいは経済面におきましても、議員も御承知のとおり、日中間のこのお互いの貿易、あるいは日本中国だけではなくて、既に中国とアメリカとの関係、中国とEUとの関係を考えてみましても、私たちはこのままじっとしておっていいのかということはだれでもが承知しておるところでありますし、特に経済界の皆さんはそのことを憂慮しておられると思います。  我々はそうした面を、経済産業省としては一日もこのことを看過するわけにはいかない、そうした立場から、私たちは私たちなりに、私の所掌範囲において、例えば省エネあるいは環境、こうした問題で日中間のフォーラムを開催して、しかもそれはただ一回きりのものではなくて、最初は私が提案したことでありますから日本でやらせていただく、次回は中国でおやりいただくということをこれから繰り返してやっていこうではないかと。そして、それは役所、役人だけの討議や、あるいは閣僚同士の発言だけではなくて、お互いにそれぞれの産業界も巻き込んで一緒になって、国民レベルにおいても日中間がどうあるべきかということを議論をしていくということが大事ではないかと考えております。  幸いにして、このフォーラムは五月の末に東京で開催することが本決まりとなりました。今日は帰国されるようでありますが、薄熙来商務部長の下の事務次官が来日しまして経済産業省と細かい決めの協議を行ったところでありますが、また関西にも出向いていろいろ御調査をいただいたようでありますが、我々、どの場所でフォーラムを開催するか、どうしたところに見学に行っていただくとか、細かい打合せを今しているところであります。こうしたことは中国政府首脳部も承知をしておることであります。  印象的でありましたのは、私は中国からたびたび、中国に出向いてこの協議をする機会を持ってはどうかという御提案もいただいたし、私も伺いたいということは思っておりましたが、何せ国会の開会中でありますから、国会の御了解を得なければ私は海外に出ることはできないという話をしましたら、薄熙来部長も、大臣がそうであると同じように私自身も自分で海外出張を決める立場にはない、したがって上層部の了解が必要だと、こういうお話でありましたから、私は温家宝総理にお目に掛かりましたときには、是非このフォーラムを我々は成功に持っていくためには担当大臣出席させてもらいたいという話をしましたら、その場でこの温家宝総理から薄部長に対して、それに参加すること、そしてこの開催に同意するというお話がありましたので、今具体化が進んでいるところであります。  ただいまの御質問には直接のお答えにはなっていないかもしれませんが、冒頭申し上げましたように、私は、それぞれの閣僚が閣僚の見識でいろいろお述べになることはこれはこれで自由でありますが、しかし私は、そこにはおのずからやはり、相手の国のこの最高指導者の発言に対してやはり出向いていってでも話をするとか、あるいは書簡を差し上げるとか、いろんな形でお話のしようがあろうと思いますが、ラリーの応酬のような形で両国で非難をし合うということは、私はできるだけ差し控える方が賢明だと思っております。
  36. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 率直な御意見ありがとうございます。  私もこういう質問を余りしたくないんですけれど、二階大臣としてはやっぱりちょっと違った視点をお持ちではないかな、そういうことを逆にお伺いしたいと思いますし、経済面で二階大臣が本当に御尽力いただいているということに対しては非常に敬意を表したいというふうに思います。それでもやっぱりすっきりしない部分が恐らく大臣にもあって、いろんな面でやっぱり影響が出ているんではないかなというふうに思います。  確かに数字的には日本中国への投資等は進んでおりますけれど、現地で働いている、現地企業で働いている日本人の人もやはり心配なんですよね。我々の気持ちを本当分かってくれているのかなという率直な気持ちは私はあると思いますが、例えば、影響を及ぼしているということでは、二階大臣の方からも、東シナ海のガス田開発については日中協議が早ければ三月末に開催されるんだというふうにおっしゃっていましたよね。結果的には今日までその日程調整が付かないような状況でありますんで、そこもやっぱり私は影響しているんではないかなというふうに思いますんで、せっかく経済面で協力してやりながらもこういうところでやっぱりつまずいているというのは、私はやっぱり日中ともに国益に合わない面があるんではないかなというふうに思いますが、もしこの東シナ海のガス田開発に何か展望がありましたらお答えいただきたいと思います。
  37. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ガス田開発の問題につきましては、外務省のアジア大洋州局長と我が方の資源エネルギー庁長官がこのトップになりまして、専門家の中国への派遣、非公式の協議を一回、そして先般、第四回目の公式協議を行ったところでありますが、この協議の内容についてはお互いに表に出さないというお話合いをされたようであります。  私は、それは国際的な交渉、特にこういうふうに緊張して向かい合っておる協議におきまして、一々交渉の内容を公表しておったのでは話が付くわけがないわけであります。つまり、中国側を満足させ日本側を同時に満足させるような交渉のやり方があればそれはそれでいいわけですが、やはり交渉の途中経過というものは、これはこれで我々の代表として送り込んでおるわけでありますから、全権を委任して交渉させる以外にないと私は思っておりますので、手取り足取りこれに対して意見を私は申し付けるつもりはありません。  しかし、私の先般、中国訪中の際のいわゆる薄熙来商務部長との会談、あるいはまた唐家セン国務委員との会談、あるいは温家宝総理との会談にも、外務省の希望により外務省の高官を同行さしていただきたいということでありましたから、大いに結構だということで、この外務省の幹部も同行をさしておるわけでありますから、これは十分日本政府として協議をし、それは、ガス田の問題での交渉におきましても温家宝総理が何と言われたかということをつぶさに外務省の幹部が聞いておるわけでありますし、私どもの方の資源エネルギー庁長官もこれからのガス田の協議に備えて先般の会合に同行さしておるわけでありますから、そうした流れを受けて積極的な交渉を進めていくものと思っております。  特に、温家宝総理からは、争いは棚上げにして、具体的にこの問題の平和的解決にお互いに努力をしようというお話でありますから、我々の方もそれには異論はないということで、次の交渉の時期を今外交ルートを通じて交渉さしておるわけでありますが、先方の方のこの高官の政治、行政の日程もありますから、まだ日程の細かい決着が付いたというふうには聞いておりませんが、しかし、その間も交渉は続いておるというふうに私は認識をいたしております。  交渉は、何月何日何時、どこどこのテーブルに着くということを公表する場合の交渉もあれば、アンダーテーブルでの交渉もあってしかるべきで、外交交渉はそういうことは今まで常に行ってきたわけでありますから、今回のことも、日中間それぞれの期待があるわけですから、早期に決着することを私自身も願っておりますし、そのための交渉を積極的に行うように、私も昨日も外務当局にそのことを申入れをした次第であります。
  38. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  一日も早い日中協議の開催を望みたいものだというふうに思いますし、まあそれぞれの閣僚の発言も、やっぱり慎重に、誠意を持って、発言するんであれば、書簡を出すとか、直接会ってからということもやっぱり必要じゃないかなというふうに、非常に私も同感でございます。  その上で、本題に入っていきたいというふうに思いますが、意匠権権利期間延長でありまして、先ほど松村委員からも二十年、二十五年、長くてもいいんではないかというお話もありまして、私も全く同感であります。  意匠権というのは、まあ特許に合わせるという考えもありますけど、一方、ある期間を終えたら経済活動として特許を開放して還元するということの観点では私は必ずしもないんではないか。  今、何で商品買うかといったら、やっぱりデザインなんですよね。機能、電気製品なんかはそんなには変わらないだろうという、まあそれぞれみんな質の高いものをつくっている。何で決めて買うといったらやっぱりデザインでありますんで、それだけ意匠権の位置付けがやっぱり高まっているんではないかということを考えますと、むしろそこは二十年と言わずEU並みの二十五年にすべきではないかなというふうに思いますけれど、改めてそういう御決断はできないんだろうかと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  39. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  意匠権存続期間の点でございますけれども、最近におけるまず実態がどうなっているかという点につきましては、先ほども申しましたけれども、満了期間、現在の満了期間十五年間存続比率が、まあ大体最近一定しているんでございますけれども、約一六%程度ということで、その点に着目をして更に延長することが適当であろうということがまず第一点目でございます。  それから、具体的に、じゃどのぐらい延長するかという点につきましては、手短に申しますと、実際のこの制度を使っているユーザーの方々のアンケート調査の結果でございますとか、あるいは委員指摘になりましたように特許権との関係とか、あるいは今回改正をした場合の前後のユーザー間のバランスの問題とか、あるいは最終的には意匠分野におきましても、一方ではその先行者といいますか、先にそれを開発した人のある意味で独占的な利益を確保すると同時に、一方ではそれ以外の人の意匠の開発の活動も更に刺激をして活発にしていく必要があると。意匠権というのは同一若しくは類似の範囲でその意匠権が独占的に保護されるものですから、それを余り長過ぎて保護してもかえって社会経済全体のデザインの活動の活性化という観点からはいかがであろうかとか、いろんな点から考えてみたわけでございます。  もちろん、国際的に言いますと、最低限度の要求というのは、WTOで決められております少なくとも十年ということでございまして、実際、中国などは十年間なわけでございますけれども、アメリカは歴史的沿革もあるようでございまして十四年間と、欧州の方は二十五年間ということでございますので、総合勘案して今回は十五年から二十年ということが現時点で妥当であろうというふうに判断したわけでございます。  もちろん、引き続き、国際的な情勢も見ながら将来に向かって様々な角度から引き続き研究してまいりたいとは思っております。
  40. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今、現存率ですかね、一六%とありましたけれども、それをずっと引いていけば二十五年ぐらいでちょうどゼロになるんではないかなというふうに思いますし、一方、もう特許は十五年で四%ぐらいですよね。現存率はもう低いんですよね。ほとんどもう、逆に十五年も要らないという感じになりますんで、是非、少なくとも延長で二十五年ぐらいにすべき議論もあってしかるべきだと思いますんで、引き続きそういう視点での、意匠権をやっぱり大事にするんだということの中から二十五年というのも引き出していただきたいなというふうに思っております。  続きまして、今回初めて出てきたのは、画面デザイン保護の拡充ということがございます。情報家電等の操作画面のデザイン保護しようということで、皆様方も携帯あるいはデジカメですかね、デジカメの操作方法でどんどんデザインが出てくるとか、あるいはビデオなんかをテレビにつなぐとテレビの方から操作画面でいろいろなデザインが出てくると、そういうものを保護しようということを今回に入っているというふうに思いますが、これまでこの保護がなかったことによってどういう問題が起きていたのか、この保護によりどんなことが、効果が期待できるのかということについて、まずお伺いしたいと思います。
  41. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 画面表示のデザインの点でございますけれども、特に日本はこの情報家電といったような分野が大変得意分野でございます。近年のそういった分野におきますいろんな情報技術の進展によりまして、操作も、昔は物理的につまみをいじってやっていたわけでございますけど、今はもう大部分が画面デザインで操作をするといったようになってきております。したがいまして、企業におきましても、製品を差別化するためにはこの画面デザインの創作に大変力を入れている実態でございます。  他方で、今の意匠法の規定によりますと、ある意味では、その画面デザインもその当の製品の一部分であるというふうに考えられる場合も当然あるわけでございます。したがいまして、最初に表示される画面については、現在でも運用で保護されることがあるということになっておりますけれども、それでは、例えば最近ですと、何も表示の画面というのは一枚目だけではなくて、二枚目、三枚目、次々と出てくる場合も当然あるわけでございますし、あるいは操作はするんだけど表示はその機器とは別の、例えばDVDのプレーヤーを操作するけども表示はそれに接続している別の方のパソコンとかテレビに表示されるとか、様々な場合があるわけでございます。そういった点につきましてどう考えるのかというのが、現行法の規定ですと法律上明文の規定がないということも指摘をされておりまして、産業界から画面デザインの模倣から保護するという観点対象を拡大するということの必要性指摘をされておりました。  今回の改正で画面デザイン保護するということがより明確に条文上も規定されますので、結果的に、企業が模倣を排除したり、あるいは画面デザインへの創作のための投資を積極的に行うということが可能になると思います。結果として、日本の情報家電を含めて、こういった製品分野におきまして日本産業競争力強化につながるというふうに考えております。
  42. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  そういう意味で、具体的に何か被害があって模倣されてどんどん使われていったということではなくて、これまで明文化されてなかったんで、これからのビジネスの可能性を考えれば保護することをきちっと整備しておいた方がいいんだろうというお答えだったんではないかなというふうに思いますんで、それでよろしければ別に答弁はいいですけれど、その画面デザインの範囲が、私、極めてあいまいではないかなというふうに思います。  この法律には、物品の機能を発揮できる状態にするために表示されるものというふうに書いてありますんで、物品の機能を発揮できる何かその明示がないと逆に保護されない。つまり、そのデザインだけであれば、別に発揮できる状態にするための表示がなくても一体として私はデザインというのは当然あるべきだと思いますが、その表示だけを取って、これ、デザイン保護するというのも私はちょっとどうなのかなという感じはしますし、極めて範囲があいまいではないかなというふうに思いますが、じゃ具体的にどのように新たに保護をしていくかということも含めて、今の私の質問にちょっとお答えいただきたいと思います。
  43. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  今回の改正におきまして、物品に固有な機能を発揮できる状態にするための操作に使用される画像というものを、その物品の部分として保護されるということを明示するわけでございます。  例えば、じゃ物品に固有な機能というのは、例示を挙げますれば、例えばDVDの再生・録画の機械でございましたら、当然その再生機能であるとかあるいは録画機能ということになりますし、いわゆるデジタルカメラの場合は、当然、撮影をするという機能になってくるわけでございます。  それで、実際出願された画面デザインがこの保護対象に該当するものであるかどうかということは、審査において、その出願の願書に記載されている物品名、それから意匠に関する説明、あるいはその出願書に添付されている画面に基づきまして、そのそれぞれの物品の機能とか、あるいはその機能を発揮するための操作とか、あるいはその操作に使用される画像といったものを特定することにより判断をすることにいたしております。  したがって、結果的に、典型的な例示を申し上げれば、今申し上げたようなDVDの再生・録画機における機能、あるいはデジタルカメラにおける機能といったようなものについて、それぞれ主に情報家電などの操作画面が今回の保護対象になると考えております。  逆の言い方をいたしますと、一方でインターネットなどを通じて表示される画像、例えば様々なゲームであるとか映画であるとかいろんな画像自体は、それは当然インターネットなどを通じて表示されるわけでありますけれども、そういったものは別にそれぞれの製品の物品自体に固有の機能を発揮するための画像ではございませんから、そういったものは今回別に保護対象とするものではないんだという趣旨でございます。  実務上は、今申し上げたような要素、つまり物品の機能とか操作とか、そのために使用される画像といったようなものにつきまして、この法律が施行されるまでの間に特許庁の審査基準などにおきまして具体化、明確化を図った上で、十分事前に関係者の方々に周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
  44. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ、聞いていてなかなか分かりにくい御答弁だったんではないかなというふうに思いますけれど、そういうニーズがあるということで、特許庁もそういう形での法案修正になったんではないかなというふうに思いますが、できる限り具体的にどのようなものが保護されるかということを明示的にしていくことはやっぱり必要ではないかなというふうに思います。  私も、何が保護されるべきなのか、どういうデザイン登録されているのか、素人にはなかなか、インターネットをやってもそこまで到達しないんですよね。様々な情報があって、それを事前にやって、きちっとやっぱり情報を整備しておかないとなかなかそこにも到達できないというのも非常に難しいなということを改めて思ったところであります。  素人目に今回の法律の中でややちょっと唐突感があったのは、意匠法の第二十四条でありまして、意匠の類似判断をするために需要者、つまり(消費者、取引業者)の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとするとあるんですね、それだけは独立して。  なぜこの条文が追加されたのか、なぜここで規定しなきゃいけなかったのか、なぜデザイナーの視点というのを省いたのか、その背景をちょっとまずお伺いしたいと思います。
  45. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  意匠法第二十四条第二項で、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて判断をするんだという点でございますけれども現行意匠法で二つの意匠が類似しているかどうかという判断は、もちろん最終的に特許庁の審査官が判断するわけでございますけれども、非常に重要な点になるわけでございます。  実際、様々な判例を見てまいりますと、意匠の類似につきまして最高裁判所の判例におきまして、一般の需要者の視点から見た美感の類否で判断をするんだというふうに解釈をされております。  他方で、実務の世界で一部におきまして、意匠の類似についてはデザイナーなどの専門家の判断、よく言葉遣いとしてデザイナー等の当業者と、当事者の当に業務の業の、当業者の視点から評価を行うんではないかという解釈をされる方がございます。したがって、意匠の類似の判断が必ずしも法律の明文上は明確になってない嫌いがあるんではないかという指摘もございました。  したがって、今回、意匠法についていろいろの点の改正をしていただく機会に、現在確立しておりますその最高裁判所の判例を参考にして、意匠の類似の判断は需要者の美感、この需要者というのは、要するに当の品物を使う最終消費者であるとか、あるいはそれを取り次ぐ取次ぎの業者の方とか、そういった方々の美感に基づいてなされるという趣旨を法律の明文上も明確化をしまして、これによって統一性を持った判断の根拠を与えると、それからその類否判断の明確化に資するというふうに考えております。  なお、若干補足させていただきますと、実際の意匠の審査におきましては、もちろんそれぞれの物品ごとに、今ここに申し上げました需要者を想定して審査を行うわけであります。したがって、その審査の資料といたしましては、そういったもの、物品が記載されております内外のカタログとか雑誌とかインターネットのウェブサイトとかいったようなところから最新のデザインを収集したり、あるいは審査官が実際に展示会などに足を運んで、そういった物品の流通、販売の実際の取引状況でございますとかデザインについて日ごろから勉強しておくというわけでございます。そういうことを様々日ごろから知見を積んだ上で、最終的にはその需要者、その人の、物品をお使いになるその需要者の注意を引き付ける点、部分が、どういったところが重要なのかということを考慮して意匠のその類似を判断すると、そういう趣旨でございます。
  46. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 余り細かいんで、こういう委員会質問になじまないのかもしれないけれど、何か私、ちょっと引っ掛かって、審査官だって別に需要者じゃないわけですよね。なぜ需要者の視点でそれが分かるのか、審査官が。デザイナーだって、デザイナーはやっぱり作る人ですから、そこでの視点というのは当然やっぱり考慮をされるべきだと思いませんか。これは、最高裁の判断はそうかもしれないですけれど、じゃ逆に聞き方を変えれば、世界的にどうなんですか。もうこれ需要者、もうただ消費者の観点だけで判断すべきものなのか、デザイナーとか様々な関係者等の判断を入れるべきなのか、そこら辺はどうでしょうか。
  47. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 欧米の実際の制度あるいは運用の実務を見ましても、具体的な類否の判断を需要者の視点で行うということは共通になっております。もちろん、先ほど申しましたように、日本でも最高裁の判例もそうなっておりますし、基本的にはそれがもう実務として定着をしておるわけでございますけれども、時々、デザイナーの、専門家の目からすると、非常に細かい部分について、これはもう、ちょっとまねしているんではないかとか、非常にまあ言わば微に入り細に入りといいますか、そういったような議論が出てくる場合もございます。  ただ、基本が、やはり先ほどから申し上げているように、もちろんそれぞれの物品の使用の状況、これは、先ほど申し上げたように、日ごろから特許庁の審査官がそのカタログを集めたりいろんな展示会に行ったり様々な雑誌とかいろんなところを通じて知見を集めておくわけでございますけれども、そういった物品について、最終的なそれを使う方、消費者とか、あるいはそれを扱っている業者の方がどういう点を着目をして見ているのかということに基づいて判断をされるべきであろうということでありまして、この点は先進国共通の実務に従って今回明示的に手当てをさせていただきたいという趣旨でございます。
  48. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 はっきりしたところはちょっと今の答弁でも分からないところありますんで、やっぱりデザイナーなり作った人が申請するわけで、それを判断するのは審査官ですよね。審査官も別に需要者じゃないわけですから、その提出されたデザインをどうやってそれを判断するかということを、審査官がやるのに、ここで需要者の視覚を通じてということを明示して、それで本当にできるのかどうかというのはちょっと私には、ちょっと素人目には分かりにくいんで、何のための規定なのかということ自体が、それは最高裁の判断あったかもしれませんが、ここで法律で規定することの意味合いが余り、ちょっとよく分かりにくいなというふうに思います。  分かりました。じゃ、続いて次の質問に変えさせて、質問させていただきたいと思います。特許の出願公開制度であります。  私もこの法案を読みながらいろいろ勉強させていただいているところでありますが、出願から一年半後に全情報が公開されるということであります。ですから、どういうものが今、日本から特許の申請が出ているか、それが全世界に向けてぱっと発信されるわけですね。一方、それをどういう情報があるのかということで世界各国からやっぱり注目して、特に中国とか韓国がインターネットを通じてアクセスしていると、そのことが結果として技術の流出につながっているんではないかという指摘がありますけれど、この問題についてはどういうふうに今特許庁として考えているか、お伺いしたいと思います。
  49. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 御指摘のように、出願公開制度というのは、これは特許制度の根幹といいますか、の点でございます。ただ、こういうことによって、ある意味では韓国とか中国などに技術流出をしているんではないかという指摘があることも事実でございます。  出願公開制度それ自体は、これは世界主要国で皆採用されている制度でございまして、出願の内容を公表することによりまして、後から来る人といいますか、重複研究による無駄な投資や、あるいは重複出願自体を抑制するということによりまして、公表された技術を基に更により優れた技術の開発を促進していこうという趣旨でございます。つまり、特許を取った場合には、その人に先行者としての独占的、排他的な利益を保障する代わりに、その内容を公開して、ほかの人たちが重複した無駄な研究開発をしないようにというのが特許制度の根幹でございますので、これ自体は合理性のあるものと思っております。  他方で、国際的な競争が激しくなる中で、企業が開発した技術を今のような公開が前提となる特許権取得の対象にするのがいいのか、あるいはノウハウ、法律上の言葉ですと営業秘密というような言葉になりますけれども、として対外的に秘匿する方がいいのか、そういった選択を考えることが必要になってまいりますし、それから、特許権を取得した場合でありましても、日本国内日本特許権だけを取得するんではなくて、海外でも権利化していく。もちろん、すべての場合に国際出願が必要とは思いませんけれども、国際的な競争をする分野でございましたら、やはりできるだけ海外でも権利化しておいた方がいいんではないかと思います。要するに、そういう様々な観点から知的財産戦略としてポートフォリオを考えていくといいますか、そういった取組を行っていくことが必要だと思っております。  仮にノウハウとして秘匿をすることが適当だといった場合でございましても、その後でほかの人がその特許権出願する、あるいは取得してしまったといった場合でありましても、先にノウハウとして使っていた人が無償の通常の実施権が得られる制度、いわゆる先使用権制度というのがこれも主要国でございます。こういった形で、ノウハウとして管理をしながら、同時に先使用権といったような形で企業が継続的にその事業実施をしていくといったような仕組みもあるわけでございます。したがいまして、特許庁といたしましては、企業によります戦略的な出願の管理、あるいは先使用権の円滑な利用といったような形でその技術流出の防止を図っていくということが必要かと思っております。  なお、関連して補足をいたしますと、ここ数年、我が国国内、あるいは中国、韓国等の近隣諸国を中心に、いわゆる検索ロボットというものを使いまして、特許電子図書館の情報にアクセスをしまして一気に大量の情報を得ようとするような者が現れておりますけれども、こういったアクセスに対しましては、特許電子図書館の利用を制限するシステム上の対抗措置を既に様々な形で実施をしております。その結果、現に近隣諸国からのこの特許電子図書館へのアクセスは最近大幅に減少してきております。  こういった形で、産業界におきます戦略的な知的財産の管理ということと、それから私どもも特許電子図書館の運用については十分に注意をしていきたいというふうに思っております。
  50. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 趣旨は何となく分かりました。  単純に思うのは、外からアクセスして、労せずしてその情報を取って、逆にどこかへ売ってそこで特許を取っちゃえば、国際出願してなければそれは権利として成り立つわけですよね。ですから、企業が気が付かないところで特許権が、どんどん自分たちの情報を外にさらして、それによって特許権がほかで設定されるというのはやや、ちょっと腑に落ちない。それはその企業の責任だと言われればそれまでかもしれませんけど、一方、どういう情報でアクセスしてそれをどこに売るかというのも、ネットワークで様々なものがつながってますんで、そういうこともやっぱりきちっと注視してやっていくことも必要じゃないかなと思いますんで、ある部分、やはり様々な選択によってそういう秘匿できることも、制度をつくることも必要ではないかなというふうに思いますが、後ほどフランスのソロー封筒制度というんですかね、それについても時間があればお伺いしたいというふうに思います。  続きまして、防御出願についてちょっとお伺いしたいというふうに思います。  我が国は、ややほかの国と比べて特徴的だと思うんですが、防御出願をして大量に申請をするというケースが非常に多いというふうに伺っております。私もいろいろ技術者に聞くと、本丸の技術を防御するために周辺も併せて申請してしまうということがよくあるそうでありまして、結果、それは企業側にとってはこれはニーズがあるからそういうことをやっているわけなんですけれど、一方、行政側に来ると、大量の申請が出ることによって遅滞する原因にもなっているという話も伺っております。  例えば、二〇〇四年に四十二万件の特許出願があったということで、審査請求があったのはそのうち三十二万件ということで、その差約十万件が防御出願でそのままに放置されているんではないかという話があります。最終的に、四十二万件が登録されるのは十二万件ということですから、約四分の一が実際に特許として登録されるということになっておりますが、こういう防御出願も見方によれば技術流出を招いていることにやっぱりつながっているんでないか。これはさっきの、前の質問とのかかわり合いがあるんですけれど、やっぱりそういう意味からもこの出願構造の改革というのは必要ではないか。どういう認識なのか、まず伺いたいと思います。
  51. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  日本は確かに世界一の出願大国と言われておりまして、決してそれ自体悪いことではないんですけれども、その内容については様々な問題点が指摘をされております。  実際、年間四十万件強の出願がされましても、審査請求に回ってくるのは、現在の制度ですと出願から三年以内に審査請求するかどうかを決めるということになっておりますけれども、審査請求に回りますのはそのうち半分ぐらい、通常の年ですと約二十万件ぐらいになりまして、さらに実際に特許の成立が認められるのは十万件程度になります。したがって、最初からすれば四分の一。実際に審査をしたものの中でも、言わば特許査定率といいますか、歩留りの率が五割をちょっと切っていると、四九・五%ぐらいだというのが実態でございます。ちなみに、これがアメリカですと六一%ぐらいで、欧州特許庁ですと五五%ぐらいということでございますので、委員が御指摘されましたように、出願の数が多い割には歩留りは必ずしも良くないということでございます。  これが正に、単に審査の手数料が無駄になっているとか、あるいは私ども特許庁のロードが多くなっているというようなことだけでございませんで、むしろ結果として意図せざる技術情報の流出になったり、それから、先ほど年間約十万件というふうに申しましたけれども国内で十万件ぐらい特許が取得されても、その中で更に海外でも特許取得まで至っているのは三、四万件というふうに見られております。したがって、ある意味では非常に危うい面もあるということでございます。したがって、やはりそれぞれの業種業態あるいは企業の選択によって様々な取組方があると思いますけれども外国での特許権取得についても更に努力していくことが必要だろうというふうに思います。  いろんな点から、経済産業省におきまして、昨年十二月に二階大臣を本部長といたします特許審査迅速化・効率化推進本部というものを設置いたしまして、本年の一月に同本部で、企業における特許出願や審査請求の構造改革を含めて、もちろん私ども特許庁自身が審査能力をパワーアップしていくのは当然でございますけれども、同時に、今御指摘があったような民間サイドの出願の構造を改革していくというための行動計画を策定したところでございます。  具体的に言いますと、産業界の方で先行技術調査を十分充実させることによって、結果として特許にならないような出願を減らすことができますし、あるいは海外への出願の割合を高めるとか、あるいは、いずれにしても企業として知的財産戦略を一元的に考えられるような社内体制の整備といったようなことが必要かと思います。  現在、そういった視点を含めまして、出願の数の多い上位の企業やあるいは主要産業界を中心に、特許庁とそれぞれの関係者との間で今意見交換をしているところでございます。結果として、産業界からの出願審査請求の構造が見直されることによって、真に必要な特許が広く強い形で取得をされることによりまして企業競争力強化される、同時に私どもの特許審査の迅速化も達成されるということで、全体として日本産業の国際競争力の向上に資するようにということで努力してまいりたいと思っております。
  52. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  実質十万件の登録と、それで海外には三、四万件ということで、まあ言葉の問題もいろいろあるんだろうと思いますけれど、日本で一杯出願しておいて意外と海外でやっぱり少ないという現実もあるんではないか。その一つには、技術者にはとにかくやっぱり特許を申請しろということを奨励している企業も結構あって、取りあえずやることで自分の成果になるから、それを取りあえず登録をしておくということで件数が膨れ上がっている部分もあるんじゃないかなというふうに思いますが、じゃ実際にそれが企業の利益になるかというとまた全然別問題でありますんで、それはもちろん企業側の問題もありますし、一方、特許庁側もそういう問題の中から解決策を是非見いだしていただきたいなというふうに思っております。  やはり、今の話の続きなんですけれど、海外での特許取得の必要性というのは、これはますます高まっているということで、企業もそれなりに努力しているとは思うんですけれど、やっぱり最終的には特許の国際調和というんでしょうか、世界的なやっぱり特許システムの統一というものが、やっぱり目指すべきはそこに来るんではないかなという感じはしております。  確かに、相手国の審査レベルとか技術力のレベルにやっぱりばらつきがあって、なかなか、口では言うのは簡単ですけれど、それはじゃ特許システムを全員統一して同じ技術でちゃんと審査して登録できるかというと、まだまだいろいろあるんじゃないかなというふうに思いますが、私はやっぱり日本という、これからの企業の在り方として、政府が特許システムの、何というんですか、統一というものをやっぱり努力していく必要があろうかというふうに思います。  例えばEPA、今盛んにやっておりますけど、例えばEPAをやっている国であれば、自国で特許を取得すれば相手国の取得とみなされて、その権利が成れば、例えば極端に言えば、中国とそれを、EPAをやって、それも特許システム同じにしちゃえばもう自動的にそれ権利になるわけですよね。例えばそういうことは、一挙に行かないまでも、そういう努力もやっぱりする必要があるんじゃないか、それはやっぱりEPAという本来の経済連携の一つの要素としては私はあってしかるべきだというふうに思いますけれど、この辺についての見解大臣にお伺いしたいと思います。
  53. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 冒頭も申し上げましたように、民主党の皆さんがこの特許の問題につきましても大変御研究を進められておられるようでありますが、ただいまの御指摘は一つの考え方であろうと思っております。  そこで、私どもは、今日グローバル化が急速に進展している中で、今御指摘のような簡便かつ迅速な、世界じゅうで通用するような特許権が取得できるような新たな特許システムの統一を図るということが重要であるということでは思いを同じくしておると思っております。そのために、制度の国際調和と各国で行われております調査や審査の重複の排除ということが大事だと思っております。  我が国は、企業が自国での特許に基づいて他国において早期審査を受けられるようにするいわゆる特許審査ハイウェイ構想というものを今推進をしておるところであります。先月の末にもグティエレス、アメリカの商務長官がおいでになりまして会談をした際に、特許制度が話合いの主なテーマでありました。特許制度の国際調和に向けた協力、そして特許審査ハイウェイ構想の推進についてお互いに意見が一致をいたしましたので、今後両国で協力しながら、両国が中心となって、国際社会におきましてもこの方向で知的財産権の問題が、お互いの国の利益のみならず、このことに賛同するそれぞれの国々の利益にもつながるようにということで、まずは日米の協力をしようということで共同声明を発した次第であります。  経済産業省としましては、これらの取組を通じて、今後とも世界的な特許システムの統一の実現に向けて一層努力をしてまいりたいと考えております。各党の皆様の積極的な御協力を特にお願いを申し上げるものであります。  また、私はこの前、中国との特許問題に対しての話合いにつきましては先ほども答弁申し上げたとおりでありますが、ちょうど中国から帰ってまいりました翌日、フランスのラガルド貿易担当大臣とお目に掛かる機会もございました。大臣がいきなりの御質問には、中国においでになったようでありますが、知的財産権の問題についての話合いはいかがでございましたかと、こういうことでありましたので、私は、先ほども申し上げましたように、中国中国自身で、特許問題、知的財産権の問題はこれから極めて重要な課題であり、我が国においては中国に五十か所の摘発本部を設けて対応するということを言われておったということを紹介をしましたところ、フランスの貿易大臣は大変喜ばれて、中国がそう言われたということは大変な進歩、前進だ、お互いに協力してやっていきましょうと、こういうことでありました。  また、WTOの少数国閣僚会議におきましても、アメリカのポートマン通商代表が私に、この会議の最中に少しの時間でもいいから二人で話し合いたいと、こういうことでありました。別室で二人で話合いの機会を持ちましたところ、やはり中国、特に、とりわけ知的財産権の問題に対しての中国の態度について私に幾つかの質問をなさいました。先ほど、フランスの貿易大臣お答えしたと同じようなことで中国考え方を伝えたところ、それは大変いいことだと、しかし、これからも日米協力、協調の上で知的財産権の問題に対して国際的にお互いに貢献していこうと、こういうことでありましたので、だんだんと、一歩一歩進めていくということになろうと思いますが、お互いの考え方は国際的な場においても理解をされつつある。私は、この線に沿って今後我が国が絶え間ない努力を続けていくことが大事。  そして、先ほど松村議員からの御質問にもありました、またその中でも度々御発言をされておりましたことは、国内でやはりこのことに対する重要性を理解していただき、国民の皆様にこれを徹底するということが大事だと。我々はこのことを肝に銘じて、経済産業省挙げて取り組んでいきたい。これから、ポスターとかいろいろなことなど方法を考えて、国民の皆さんに特許権というものはいかなるものであるか、このことが日本経済の国際的な場でのこれからの活躍の上に極めて重要な要素を持っておるということを御理解いただくように努力をしてまいりたいと思っております。
  54. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 力強い取組の御発言、ありがとうございました。  やはり日本世界においてこの世界特許という流れのリーダーシップを発揮すべき立場にあるというふうに思っておりますので、引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。  その関連になりますけれど、模倣品対策、先ほど松村委員も聞いておりましたけれど、改めて年間六十五兆円も被害があるという額にはびっくりしたわけであります。とりわけ中国模倣品被害、売上げベースで九・三兆円もまたこれはすごい額だなと思うわけでありますので、やはりこの模倣品対策というのもしっかり強化していくべきではないかなというふうに思います。  かつて日本もそうだったと思うんですけれど、途上国、経済発展しているときにはやっぱり追い付け追い越せですから、ある程度、やっぱり先行しているものをどれだけまねるかというのは、これは仕方ないことだと思うんですよね。そこにやっぱり相対的な有利な、労賃コストが安いとか、様々な優位的な条件をやってやっぱり早く追い付いて、ただ、模倣はちょっと別問題ですから。同じような技術をできる限り近づいてやるというんですけれど、今起きているのは、もう完全にデザインから商標からもうまねて、できる限り売ろうという魂胆ですから、私はやっぱりここは途上国においても厳しくやらざるを得ないだろうというふうに思っておりますので、是非しっかりやっていただきたいと思います。  その意味で、ちょっと、じゃどれだけその取締りができるかということは、さっき、今おっしゃられましたように、中国でもどんどん、五十か所ですか、摘発本部をつくるとか何かお話もありましたけれど、一方、我が国はやっぱり早く見付けて早くそれを日本政府なり中国政府に通報していくという体制も一方で必要ではないかなというふうに思いますが、ジェトロではそういう知財官ですかね、知財専門官が常駐しているということですけれど、中国も含めて全世界でたった十四名しかいないということなんですけど、例えばこういう知財専門官というのをもう少しやっぱり増やして早く見付けて、モグラたたきじゃないですけど、雨後のタケノコのように、いろいろ終わったらまたこっちへこっちへ出てきますので、そういうものをいち早く見付けるという体制も私は必要じゃないかなというふうに思いますが、必要なところには人を張り付けるという意味においては、模倣品のさっきの被害額を見れば私はそれなりに価値があるんではないかなと思いますが、この辺の認識について、ジェトロというのは今、独法ですよね、経産省がじゃそれ増やせと言うわけにはいかないことは分かっていながらも、どういうことが考えられるのか、お伺いしたいと思います。
  55. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 今後のジェトロにつきましてお答えする前に、現状をもう少しお話をさせていただければというふうに思います。  今、委員指摘のとおり、ジェトロの知財専門官、十四名であるというお話でございましたけれども、これにつきましては、数年前までは世界で九名でございましたのを増やしております。中国につきましては現在九名でございますけれども、これを、従来は四名だったものをそういうふうに増やしてきております。  具体的にどういうことをしているかということでございますけれども、北京での例を申し上げますと、現地進出の日系企業の相談事業というのをまず行っております。これは二〇〇五年の四月から十二月で、累計で二千四十八件の件数の相談があります。これ、月平均にしますと二百二十八件という非常に大きな数でございます。これは知財に関するいろいろな相談でございます。  それから、模倣対策のマニュアルの作成、提供ということを行っております。正に委員指摘のとおり、早く対応することが重要だということでそういうことをしているわけでありますけれども産業財産権に関する救済制度、司法制度、そういうものがどうなっているのかということも含めまして、四百七十ページにわたるそういうマニュアルを作成をしております。  それから、判例事例集というものを作成をしております。主な事例ごとに中国でどういう司法判断がなされてきているのか、そういうようなことをまとめたものでございまして、これは企業にとって非常に有益な情報になっております。  それからもう一つは、これは中国の側でやはり取締り当局がそういう知識が十分ないというケースがございます。とりわけ税関におきましてそういう能力が高まるような、そういう支援を行っております。これが本当に本物なのか偽物なのか、そういう見分けをするための知識を高める、そういうことで支援をしているところでございます。
  56. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。大臣、もし何か御見解があればお伺いしたいと思いますが。  模倣品対策中国政府はWTO加盟ということで徐々に、しっかりとやっておりますけれど、一方、地方政府の場合にはややそこに温度差があるんではないかなというふうに勝手に推察するわけでありまして、やはり、より、住んでいる人の、住民に近い状況でやっぱり政府としても判断するという意味では、ある分、生きていく上では仕方ないんだという気持ちも政府側にもまああるのかなという感じはしておりますけれど、全体ではやっぱりしっかりと模倣品対策に対して取り組んでいただきたいなというふうに思います。  そのところでちょっと私も疑問に思っているのは香港の対応でありまして、確かに一国二制度ということでは、香港ではより企業名を登録しやすいということが、同じ企業名を簡単に登記しやすいという現象が今でも起きていて、結局、日本企業と同じ企業名をそこで大量に登録しておいて、そのブランド名、企業名を使って中国本土で同じものをその名前で作って、模倣品を作るというような動きがあろうかというふうに思いますが、私はやっぱりこれを、確かに一国二制度といえども中国全体における知的財産保護という観点からいえば、やっぱりこの一国二制度でも、二制度をしなきゃいけないものかどうかという判断でいえば、私は必ずしもこれは二制度で守るべき制度ではないんではないかなという感じはしますけれど、これは、香港は香港で独自にWTOに加盟しながら、中国がそれを、じゃ、変更させて統一させるという義務が生じているわけではないですけれど、私はやっぱり、日本中国政府に働き掛け、あるいは香港に働き掛け、こういう問題についても徐々に国際的な調和が必要ではないかなというふうに思いますので、その辺の認識なりこれからの対応について、もし御見解があれば伺いたいと思います。
  57. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 正に先生のおっしゃるとおりの事例が行われているわけでございます。中国知的財産権保護分野に特に力を入れていくとはおっしゃっておられます。いろいろ先ほども大臣からの薄熙来部長お話もあったようでございますが、実際では、香港では我が国電機メーカーの著名な商標が無断で第三者の商号の一部として登記がされまして、これら不正な商号を抹消、変更できないという法制度上の問題があると。これは松下電器だけじゃないんですけれども、有名なところでは松下電器。裁判に勝ったんですけど、実際に抹消できないんですね。こういう摩訶不思議なことが起こっているわけでございまして、また香港で登記をして中国で売っているという、こういう状況があります。この問題につきましては、政府としても実態調査を行いまして、昨年十一月から香港特別行政区政府との協議、開始をいたしております。会社法の改正などを求めているわけでございます。  我が国政府といたしましては、このような不正使用に係る問題が適切に処置をされますように、引き続き、まあそろそろ見直しをしてもらいたいという、口約束だけではないという、こういうことで引き続き香港特別行政区政府と協議をしてまいる所存でございます。
  58. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その向こうの政府の反応はいかがですか。口約束で、今お話ありましたけど、前向きにどういう約束をしているのか、どういう対応をこれからしようとしているのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
  59. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 昨年の十一月から協議をしているわけでございますけれども、香港特別行政区の政府は、今年の半ばから商号登記制度を含めまして会社法の見直しの作業を開始をするというふうに言っております。したがいまして、私どもは、その過程において、今まで協議した内容がきちっと実現できるように、引き続き注意をしながらフォローをしていきたいというふうに思っております。
  60. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。引き続きしっかりとフォローをしていただきたいというふうに思います。  続きまして、直接この法案とは関係ありませんけれど、PSE法と改正省エネ法について少し伺いたいというふうに思います。  私も実際のところ分からないんですけれど、これは日経の記事でありますが、改正省エネ法が周知不足とあいまい基準で業者困惑ということで、四月施行間際に大混乱って、こうやって記事が出ておりまして、PSE報道と同じ構図ではないかというふうに書いてあります。  これについては、私も詳細分かりませんけれど、輸送業者あるいは荷主もどれだけその輸送によってCO2、エネルギーを使っているのかということをきっちり把握しなさい、その法律が四月一日から施行されて、その基準が出たのが三月の十三日だという、確かにその日付は、もう三月十三日見ているんですが、ただ、誤解もあるっていうのも、これ多分そうだと思うんですね。実際にデータを取得して登録しなきゃいけないのは来年でいいんですけれど、ただ実際に現場ではもう今からやらなきゃいけないっていうこともあるんで、何でこんなことが現場で混乱をするのかということが、もし事実と違ったらまた教えていただきたいんですけれど、最近の経産省の対応として、やや、法律の施行という部分において、対応がちょっと、やや緩いんじゃないかなということをちょっと指摘させていただきたいんで、是非これについての御見解なり、事実と違っているんであれば、答弁願いたいと思いますが。
  61. 小林温

    大臣政務官小林温君) 御指摘のあった改正省エネ法でございますが、これは本年の四月一日より施行になったというのは、まず事実でございます。  それから、今委員指摘がありましたように、報告を行うのは来年の四月以降というのもまた一つありまして、今御指摘いただいた日経の記事も私も読ませていただきましたが、少し、その辺のところの認識が若干違っている部分もあるかなというふうに受け止めさせていただきました。  それで、この対象になる事業者は、一つには、その輸送事業者に関しては輸送能力の大きな輸送事業者、これはトラックが二百台以上、バス二百台以上を持っているなどの輸送能力の大きい事業者でございまして、これは大体、約五百五十事業者ぐらいになる見込みだそうでございます。国土交通省の試算によりますと。それから一方で、貨物輸送の総量が大きな荷主も対象になりまして、これが総数で約二千事業者になるという見込みだそうでございます。  それで、法の施行に向けて、弊省としても国土交通省とともに説明会、パンフレットの配布、個別企業の相談などを通じてこれまで周知に努めてまいりましたし、その報告の方法や基準については昨年の十一月に関係業界の代表も参加された審議会で検討を重ねた結果を公表をさせていただきました。  ですから、まだ、来年の四月に報告をいただく中身について、例えばどれだけのキロ数をどういうものを積んで運んだと、それに応じてどれだけの省エネ措置が必要かというようなことについては、今、各その対象の事業者の方々の中でその具体的なデータの収集方法やそれの報告方法についても、今実際に当たっていただいているところでございます。  それで、日経の記事を読みますと、対象となる荷主の皆さんが委託をする、どちらかというとこれは、この法律の対象とならない中小のいわゆる運輸事業者の方々のところには、実際、その荷主の方々からしっかりとしたそのデータの提出方法や計算方法について周知ができてなかったというのがこの記事の中にも書かれておりまして、その点については是非、これは対象事業者ではないわけでございますが、実際のガイドライン等も含めてこうした皆さんにも御理解をいただいて、来年いただく、十九年四月からいただくことになる報告の中に反映をしていただくような形で引き続き進めさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
  62. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今の答弁聞きますと、ああ、混乱しているのかなと思ってしまうような答弁じゃないかなというふうに感じます。  実際、運輸・輸送部門でCO2の削減が進んでいないというのは分かるんですけれど、一方、この内容を見ますと、かなりきめ細かな方法でCO2の削減、エネルギーの消費量を掌握しなきゃいけないということは、これはすごい大変だなという感じはします。  ですから、荷主も、頼むのは中小ですと、中小はその輸送業者としては関係ないわけですから、そこでやっぱり現場で混乱は起こっているんですけれど、じゃ、これをだれがきちっと把握をして取り締まるのかといったら、本当に経産省これ、できるんでしょうかと。私は逆に、ああ大変だなというふうには思ってしまうわけですから、これPSE法もそうなんですけれど、法をつくってみたものの、本当にそれを取り締まれる能力があるのか、本当にその法の趣旨にのっとって法を施行できるのかどうかというところも含めて、私は検証できていないんではないかという、これ、最後の質問にもあるんですけれど、私はそこに少し疑問を感じるところが、このPSE法とこの省エネ改正法を見ても感じるわけでありますんで、そこまで含めて私はしっかりとした検証が必要じゃないかなというふうに思います。  まあPSE法については、今経産省がしっかりと取り組んでいただいているというふうには思いますけれど、私は最後、ややざる法になったんではないかなというふうに思います。レンタル期間、とりあえずレンタルしてPSE法マークは要らないと、その後、無償で譲渡して、結果的にはしなくて済んでしまうんじゃないかというところもありますが、この辺はいかがなんでしょうか。
  63. 小林温

    大臣政務官小林温君) このレンタルの件についてもいろいろお尋ねをいただいているわけでございますが、まあ元々その電気用品安全法では、製造、輸入、販売に関する規制はこれは対象としておりますけれども、レンタルはその規制の対象としてはおりません。  まあ実際のところ、法令上、この電気用品に限らず、販売規制がなされていてもレンタルについては規制していないというのは、実は他の法令でも一般に見られるところでありまして、まあ医療機器のようなものについては実はレンタルについても規制が存在するわけでございますが、一般にこのレンタルというものは民法上の賃貸借契約ということで、現実的にはその業者間、あるいはその業者と消費者の皆様の間で契約が結ばれているということでございます。  そこで、今回の整理としては、そのレンタルの場合は、実質的にその賃貸借契約に基づいてその期間中も事業者が所有権を引き続き保有しておると、そして不都合があった場合の修繕費用などの負担でありますとか、あるいはその借主はその商品の返却が可能であるという点において、その安全管理については、責任がなくなるその販売とは違うというふうに今回の法改正の中でも我々は理解させていただいているところでございます。
  64. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その民法上の違いは分かるんですけれど、これは消費者の安全確保ですから、事実上レンタルも販売も変わんないわけですよね。で、なぜレンタルがPSE法マークなくて、なぜ販売だと必要なのかという、その合理的な説明には私はなっていないというふうに思います。  で、現実問題として、じゃレンタルしましたと、家の中にもう入っちゃいましたと、ラックの中に例えばレコーダーが入りましたと。入った中で、じゃ今度販売しますんでPSEをじゃ実質検査しますと。そんなことができるんでしょうか。私はもうできないと思いますよ。それは現実問題として、そのいわゆるラックに入ったそのビデオレコーダーを、検査機器持ってそこで一千ボルトを投入して本当にこれが大丈夫なのかということを、私はやっぱり事実上そういうことを許しちゃいけないと思うんですね。やっぱり、事実上もうできないということであれば、そこは踏ん張って、そこはやるなということを逆に言わなきゃいけないのが、私は、経産省の立場ですけれども。結局、言ったがゆえに、ああ、これで実質、何もできずに販売できるんだということをみんな業者は思ったわけですよ。  だから、私は、ここは踏み越えてはならない一線を経産省が越えたというふうに思いますんで、私はやっぱり、自分もこの経産の部門を預かる民主党としての立場と言えば、私はやっぱりそこは踏み込むべきではなかったというふうに思いますが、もしそれでも何か見解があるんだったらおっしゃってください。
  65. 小林温

    大臣政務官小林温君) 実は、このレンタルの方式が注目された経緯と申しますのは、実際にその周知が徹底しなかったという事実も受けて、ある大手の中古電気用品を販売されている業者の方が、体制が整うまでの間、レンタルという方式を取って、その検査機器も含めて体制が整った暁にはもう一度そのPSEマークを貼付すべく検査をさせていただくが、そのことについて経産省側はどう判断されるかというお問い合わせをいただいた際に、先ほどのお答えの中でも申し上げたように、そのPSE法と今のレンタルにかかわるその法の環境の違いの中で、それは可能でございますというお答えをさせていただいたということでございまして、経産省の側から、決して、そのレンタル方式を、この検査の準備が済むまでの間、採用してくださいというふうにお願いしたわけではないということについて御理解いただきたいと思います。
  66. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ、それを許したということでありますんで、私は結果としては一緒だなというふうに思います。  経産省は一生懸命、その法の執行ですから、もう通った以上それ執行するのは当然ですから、それで一生懸命やられているというのは理解できますけれど、そもそも論でいくと、何で、その販売事業者が製造事業者に申請して認められれば、それを中古品として検査して売って、それができるのかという、そもそも論で言うと私はちょっと違うんじゃないかなという感じがします。  やっぱり製造責任は製造物を造ったところが本来負うべきであって、それをおいといて、中古を売るためにそれで製造事業者へ登録して責任を負うなんということを、本来、私はやっぱりやるべきではないんではないかという感じもしているわけでありまして、本当に、じゃその検査によって、検査が不十分だったから漏電して火災を起こしたのか、構造上問題だったから火災を起こしたのかという、これ非常にあいまいなところになりますんで、やっぱりそこに対して、過程であっても、いわゆる経過措置の期間であっても、こういう措置というのは私はどうなのかなという感じがしますんで、そのことを指摘しまして、最後御答弁があれば、もう時間になりましたんで結構ですけれど、問題提起をさしていただきたいと思います。  以上です。
  67. 加納時男

    委員長加納時男君) 若林秀樹君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  68. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、意匠法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  69. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  今回の意匠法等改正、本当に、午前中に我が党の若林委員からも話がございましたけど、本当に前向きにどんどん進んでいるなという感じがしております。今日は、私自身、三つのポイントについてお話ししたいと思います。  一つは、やはり特許、今回これだけ制度を拡充していただいて、実際の運用がどうなるかという問題があると思います。特許の審査の迅速化、それについて今後どう考えておられるか。そして次にございますのは、やはり午前中も松村委員、そして若林委員からもお話ございましたが、国際的な特許制度の展開、特に中国の問題についてお話ししたいと思います。そして三つ目に、今回、この知財立国ということを進めるインフラ、制度をつくっていただいたわけでございますけれど、最も知的財産を生み出している大学、その大学がどうなるのかということを是非話をさせていただきたいと思います。  まず、私、特許審査の迅速化についてお話を、御質問させていただきたいと思います。  昨年の十二月に特許審査迅速化・効率化推進本部というものが設置されまして、そして本年の一月、三か月前に特許審査迅速化・効率化のための行動計画が策定されましたが、なかなかこれがまだ普及していないと。是非この場で、この行動計画、具体的に何を行うかということを小林務官お話しいただければと思います。
  70. 小林温

    大臣政務官小林温君) 午後もよろしくお願いいたします。  藤末議員指摘のように、特許の迅速な権利化、これは我が国の国際競争力強化のために極めて重要だというふうに認識をさせていただいております。このため、二階大臣を本部長とする特許審査迅速化・効率化推進本部を設置をさせていただきまして、一月の十七日に同本部におきまして、官民挙げて取り組むべき特許審査迅速化・効率化のための行動計画を決定をさせていただきました。  同計画におきましては、まず経済産業省の取組として、審査能力の拡充のために審査官の増員、先行技術調査の外注の拡大、外国特許庁との協力などを掲げさせていただいております。また、産業界に対してお願いすることとして、これも午前中にも議論がございましたが、国内出願の偏重から、世界的規模での出願戦略を持っていただきたい。あるいは、出願件数が四十二万件に対して審査請求が二十二万件、特許に至るのは十一万件という数字も見まして、この出願内容についてしっかりと企業の中で事前チェックをしていただく。あるいは、企業の中でも事業所ごとや出願者によっては同じ内容について出願をされたりということもございますので、こういう一元的な知的財産の管理を企業内で推進をしていただく。こういうことを掲げさせていただいております。またさらに、中小企業にとってこれは重要だと思いますが、知財の活用を図る中小企業に対しては料金の軽減措置の拡充あるいは相談会の拡充などを掲げておりまして、こうしたものを着実に推進していく。そのためにこの行動計画の達成に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
  71. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非強力に進めていただきたいと思っております。  特に私は、今まさしく議論されているさなかだと思うんですけれど、特に今の行革などの議論で、やはり民間の力をどんどん利用しようということが必要となってくると思います。例えば、今は特許庁の審査では先行技術調査などを民間の力を使ってなされていますが、そういう民間の力の活用をもっと特許の分野で進めるべきだと思いますが、その点につきましていかがでしょうか。
  72. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今先生指摘のとおり、日本特許庁の特徴といたしまして、先行技術の文献検索、いわゆるサーチでございますけれども、それを民間に外注しております。民でできるものは民ということで、特許審査の迅速化のために非常に重要な資産だと思っております。実際、一昨年に法律改正をいたしまして、それまでは指定機関制度になっておったんですが、それを登録制にいたしまして、従来は公益法人に限っておったものを株式会社についても参入を認めるということに拡大をいたしました。  結果といたしまして、今、一つの財団法人、一つの社団法人、それから一つの株式会社と、三つの外注先がこの先行サーチ業務をやっております。さらに、民間企業一社がこの業務への参入準備をしておりまして、本年中にも参入することが期待をされております。また、ほかにも数社の民間企業がこの業務に関心をお持ちでございまして、私どもはこれからもこういった民間企業がこの業務分野に参入できるように積極的に支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  73. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、民間の力の活用を進めていただきたいと思います。  これは質問ではございませんけど、私、昨年、特許特会などの見直しみたいな議論を民主党内で勉強させていただきました。その中で、民間にいろいろ仕事を流し、委託は是非進めていただきたいんですけど、やはりそのときにきちんと、社団とか財団とか外部の組織の間の資金の流れを明確にやっていただきたいというのをここでお願いさせていただきたいと思います。これは質問じゃございません。是非すっきりさせていただきたいと思います。  次にございますのは、特許の審査の迅速化でございますが、今議論されていますのは、非常に、特許庁内でいろいろな業務プロセス、やり方を変えていこうとか、そういう工夫をされているんですが、私が一番危惧しますのは、こういう特許、知財権に関する人材がまだまだ少ないんじゃないかと。正直申し上げて圧倒的に少ないと思いますよ、私は、世間が望んでいるレベルに比べますと。  で、今、司法制度の改革という議論がございますけれど、やはり特許制度、知財制度は法的な制度の枠組みでございますので、そういう司法制度改革の中からこういう知財の人材をどう育てるかという観点で法務省さんに伺いたいんですが、いかがお考えでしょうか。お願いします。
  74. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 委員指摘のとおり、司法制度改革の大きな柱が二十一世紀の新しい司法を支える人的基盤を充実させるということであります。  今考えておりますのは、社会人としての経験を積んだ方や経済学、理数系、医学系など様々な勉強をした方、そういった多様なバックグラウンドを持った人材を多数法曹に受け入れる必要があるということでございまして、現に法科大学院では、入学者の選抜に当たっては、多様な知識又は経験を有する者を入学させるよう努めるものとされておりまして、入学者の中で法学部以外の勉強をした人、あるいは実務等の経験を有する人、これが三割以上いなければならない、三割以上となるよう努めるものとされております。カリキュラムにつきましても、平成十七年度までに開設されたすべての法科大学院において、知的財産法に関する授業科目が設けられております。  それから、今年の五月、いよいよ新しい司法試験、始まります。その論文式試験におきましても、知的財産法が選択科目の一つとされておりまして、実際に知的財産法を選択科目として出願している者も非常に多いところでありまして、今後とも法務省といたしましても知的財産等に強い法曹人材が育成されることを期待しているところでございます。
  75. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は本当に法務省の活動は高く評価申し上げています。今、知的財産がこれだけ重要だと言われている中に、法務省さんがいろいろ努力されているという実態は本当に感じております。例えば、昨年でございますが、知的財産高等裁判所を設置していただき、もう既に活動されていると。実際にデータいただきますと、もう非常に機能しているのがよく分かります。  ただ、二つお願いしたいことがございまして、これは質問じゃありません、お願いでございます。  一つは、今、知財裁判所を置いている国が六か国ございます、調べますと。そのうち四か国は法曹資格を持たない技術判事という制度をつくっています。実際に知財裁判所の設置のときの議論を見ていると、技術判事を置くべきじゃないかという議論があったものの実現できていないんですよ。ですから、私は、もう是非技術判事という、法曹資格はないけれども技術に非常に深い知見を持った人材、そういう方が働く場をちょっと整備いただきたいと思うんですよ。やはり働く場所があれば、そこを目指して人が動き出すと思いますので、是非御検討ください、これは。  それと、もう一つございますのは、実際に知財高等裁判所の議論と、もう一つ、特許庁が実際に審判活動を行うわけでございますけど、まだ数は少ないとは思うんですけど、その審判のずれが出てきていると思うんですよ、知財裁判所と特許庁が行う審判の、判決のずれ、あります、実際。そういうところがないように、もう特許法上は知財裁判所と連携を取るように規定されていますので、是非運用をうまくやっていただきたいというのをお願いさせていただきたいと思います。  ここでやっぱりずれが出ると、どっち信用したらいいのかということで相当業界の方は困ると思うんですよ。それを是非法務省にお願いして、特許庁にも是非お願いしたいと思いますので、人材という面、これから幾ら制度を整備しても、人がやっぱり生まれてこないと知財立国はできないと思いますので、是非とも連携を取って進めていただきたいと思います。  どう思うか、ちょっとお答えください。
  76. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 技術判事の御指摘、確かに議論されたところでございます。実は、この点につきましては、司法制度改革推進本部の知的財産訴訟検討会、それから知的財産戦略本部、御承知と思いますが、そこの専門調査会、この両方において検討されました。  その結果、結論としては、知的財産関係訴訟における最終的な判断というのはやはり法律家が行うべきであって、むしろ技術的素養を持つ裁判官を、先ほど私申し上げましたが、法科大学院において養成することに期待するということで意見が一致したという経緯がございまして、法務省としては、したがって、今のところ技術判事の導入というのは相当ではないというふうに考えているところでございます。  それから、先ほど審判と訴訟、あれは審判と侵害訴訟との矛盾ということだと思いますが、実は知財高裁等を設置する法律等、司法制度改革の一連の立法をいたしましたあの中で、審判と侵害訴訟が矛盾するということで、そこを矛盾をできるだけ少なくするために、侵害訴訟においても、その前提問題となる特許の有効無効の判断を一応した上で判断できるというふうな手当てをいたしまして、それから侵害訴訟で審査されている訴訟資料、これを審判所の方に要求があればお送りするというような手当てもしたところでございまして、もちろんその運用がうまくいくかというのはこれから裁判所の方も気を付けていると思いますし、我々も注視してまいりたいと思っております。
  77. 藤末健三

    ○藤末健三君 私の問題意識は何かと申しますと、法曹だけ深い方、特許の方は技術だけ深い方という、ある程度のアンバランスが生じていると思うんですよ。ですから、やっぱり真ん中をブリッジする、つなげる人をやはり育てていただきたいというのが私のお願いですし、これがなければ恐らく、先ほど申し上げましたように、特許侵害の無効判断、裁判所における無効判断と例えば特許庁の審判が違いますよということが起きたときには両方の信頼が失われるはずなんですよ。  ですから、制度的にはやっぱり特許庁さんと知財裁判所の連携を、これ特許法の百六十八条にも書いていますからね、きちんと運用していただきたいということと、やはりもう一つお願いは、繰り返しになりますけれど、やっぱり技術に深い知見がある法曹の人、ですから技術から法曹に入れるような仕組みをちょっとつくっていただきたいと私は思っておりますので、是非御検討ください。これはもう考えております、いろいろ私自身も。  そして最後に、特許審査の迅速化につきまして、これは多分余り表に出ていないとは思うんですけど、特許審査の迅速化の目標というのは非常に高うございます。二〇〇八年に大体二十九か月に審査順番待ちを持っていき、そして二〇一三年には何と十一か月にすると、一年以内にできるようにするという目標を立てております。  これは午前中に若林委員からも御質問ありましたけど、先使用権の制度をやはりうまく使わなきゃいけないんじゃないかという話がございまして、今回、本当にこの法案すばらしいと思いますのは、先使用権制度利用ガイドラインを作られるということを書いております。ただ、私自身思っていますのは、この先使用権制度利用ガイドラインを作られても、もっと審査のやり方を変えなきゃいけないんじゃないかと。今やっぱり過去の審査のやり方をずっと引きずってこられていますので、もう一度ゼロベースから考え直していただくことが必要じゃないかと思うんですが、そういうことを是非ともこの迅速化・効率化推進本部でやっていただきたいと思うんですけど、いかがでございましょうか。
  78. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  知的財産推進計画での元々の審査の順番待ちの期間の短縮、今おっしゃったように、二〇一三年には最終的に十一か月まで短くしたいというのがございます。そのために、私ども省を挙げて今行動計画を策定して実施をしているわけでございますが、大きく言うと二つでございます。  一つは、当然ながら、特許庁自らが審査能力を最大限パワーアップするということでございまして、これにつきましては、人員的な面では、公務員全体の削減をするという傾向の中ではございますけれども特許庁につきましては、任期付きの審査官という知恵を出しまして、現在、年百名程度、五年間で五百名程度増員中でございます。それから、やはり民でできるものは民ということで、先ほど御指摘がありましたその民間の機関でのサーチをしていただいている方、これがほぼ特許庁の審査官と同数の今もう千三百人ぐらいございます。こういうところもより増やしていきたいと。  それから、従来とは違って、今委員が御指摘になったように、審査のやり方それ自体も見直せということからいたしますと、例えば外国特許庁と相互に審査結果を提供し合ってそれを利用し合うということも大事かと思います。国際出願が増える中で、そういった協力関係によりましてお互いのロードを軽減して、ひいては待ち時間短縮、それからコストも引き下げるということでございまして、これはまず日米からスタートをいたします。それから他方で、産業界の皆様方にも自らのサーチの努力を充実していただく、あるいは国際出願を高めていただく、あるいは今お話ございましたように、必ずしも特許ではなくてノウハウの保護とかいうことが妥当な場合もあるということで、出願審査の請求構造自体も見直していただくという形だと思います。  したがって、特許庁の側も民間の側も、もう一度、本当に日本の今の段階で必要な知的財産戦略知的財産のポートフォリオはどういうものかということを念頭に置きながら努力を協力してやることによりまして、結果として二〇一三年の十一か月という目標が達成できるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  79. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非やっていただきたいと思います。  ただ、一点ございますのは、私がよく特許庁の方にお話をしていますと、人を増やして迅速化しましょうと、あと仕事を民間にお願いして迅速化しましょうというのがやっぱり先行しているような気がするんですよ。ではなく、やはり特許の審査のプロセス自体を見直さなければ、これ極端な話言うとあと七年ぐらいで三分の一じゃないですか、ほとんど、審査期間を。そこまで持っていくことは非常に大変だと思いますので、是非、特許審査迅速化・効率化推進本部長である二階大臣に、びしっとこの特許審査のプロセスの見直しも含めてちょっとやっていただきたいと思っております。  続きまして、二番目にございますのは、私自身、元々大学の先生もしていましたので、この知的財産を生む根本はどこにあるかと申しますと、やはり大学ではないかということでございます。  大学につきましては三点ございまして、一つは、今の大学、特許のデータベース、非常に使いにくい状況にございます。ですから、大学で研究してどういう特許があるかということを調べるためにはやっぱり図書館まで行かなきゃいけない。是非、この特許なんかのデータベースを大学の先生が使いやすいようにしてほしいなというのが一つございます。  あと、これは、二つ目は質問でございますが、今のTLO、テクノロジー・ライセンシング・オーガニゼーションという、TLO法という法律でできた基本的に民間の法人である組織があります。大学の特許を外部に受渡しする組織があります。TLOという組織があります。一方で、国立大学法人内に知的財産本部という大学の組織としてできているものがある。TLOは全国で四十一、知的財産本部は全国で四十三ございますが、この二つの関係をどう考えているかということにつきまして文部科学省にお話ししていただければと思います。お願いします。
  80. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 御説明申し上げます。  最初に特許の情報に関してでございますけれども、特許情報につきましては、委員御承知かと思いますけれども特許庁が特許電子図書館で情報提供に取り組んでいるということでございますが、それに加えまして、文部科学省におきましては、科学技術振興機構、JSTにおきまして、大学等の研究成果を企業等へ技術移転することを促進をするということを目指しまして、大学や公的研究機関などで保有をしております公開特許、それからまた出願から一年半未満のいわゆる未公開特許情報、これを含めまして、現在、インターネットで提供をしているところでございます。今後とも特許情報、研究者の方たちがアクセスしやすくなるように努力をさせていただきたいと思っております。  それから、TLOと知的財産本部の関係でございますが、これも委員よく御承知のとおりでございまして、科学技術立国を目指す日本といたしましては、知的財産以外に財産がないということでございますので、独自の研究成果を生み出し、そしてそれをイノベーションにつなげていくということが重要でございますので、大学が生み出す知的財産をきちんと保護、管理をするとともに、これを有効に活用していくということが重要であると考えてございます。  それで、文部科学省におきましては、経産省、経済産業省とも連携を図りながら、まず第一に、大学所有の知的財産を適切に権利化、管理をするというために大学知的財産本部を設置をする。ただいま委員御紹介ございましたが、四十三の大学等に対しては文部科学省が支援をしてございますし、それ以外にも独自に大学、国公私の大学におきまして全部で百四十二の大学に知的財産本部が設けられているところでございます。そして、そういった管理がされております知的財産につきまして、TLO等を通じて研究成果を民間の方に技術移転を図っていくというふうな役割を果たしているところでございます。  そういった形で明確化を図るとともに、今後、この三月末に第三期の科学技術基本計画が策定をされましたが、その中におきましては、大学の知的財産本部とTLOの連携強化ども指摘がされているところでございますので、それに向けまして努力をさせていただきたいと思っております。
  81. 藤末健三

    ○藤末健三君 連携強化のみならず、一本化も含めて検討してください。外から見ていると、大学に、内部にある知的財産本部、そして外にあるTLOって区別付かないですよ、はっきり申し上げて。連携強化じゃなくて、一本化を含めて検討してください、経済産業省さんと、お願いします。  もう一つ、こちらの方が肝でございますけれど、文部科学省さんにお聞きしたいんですが、その前にちょっとクレームを申し上げたいのは、私が、大学の知的財産から得られるライセンス収入、知的財産を外部に出してお金をいただくわけです、対価で、その収入がどう扱われているかということを教えてくださいと。  今、どうなっているかと申しますと、文部科学省から運営交付金という形でお金をもらいます、大学が。そのときの計算式があるんですよ。計算式を見せてくださいと、運営交付金、国から、政府から大学に、国立大学法人に渡る交付金の計算ルールを教えてくださいということを申し上げましたら、何とこういう紙一枚です、計算式を教えてくれと言ったら。私は次に何を申し上げたかと申しますと、東大、東工大、京都大学の計算式を見せてくださいと言ったら、この二枚の紙しか来ていない。私自身、決算委員会で同じような質問をして、前にいただいているんですよね、東大、東工大、京大の計算式の現物を。  なぜ今回、前、渡していただいたことは分かっているじゃないですか。なぜ今回こういう手抜きの回答をされるか、まず伺いたいですけど、いかがですか。
  82. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 御説明申し上げます。  委員からの資料の御要請につきまして、どうも受けました担当者の方が十分に委員の希望されております資料についての認識について欠けている部分があったかと思います。ここでおわびを申し上げる次第でございます。
  83. 藤末健三

    ○藤末健三君 おわびすればいいというものじゃないですよ。私が昨日突然申し上げたというのも申し訳ないと思うんですけど、私は前にもう既に資料をいただいたことがあるんですよ。多分記録が残っているはずですよ。それと同じものを下さいというお願いをしたんですよ、ちゃんと大学名まで挙げて。で、この有様。今後、こういうこと絶対起こさないでくださいよ。じゃないとこの国会での審議ができないですよ、はっきり申し上げて。絶対やめてくださいね、お願い、もう本当にこれは。非常に困りました、私。  で、あえてこのいただいた二枚紙でちょっと質問申し上げます。  今、私の認識ですと、例えば大学が知財権を外部の民間企業に売って収入があると、ライセンス収入と申しますけど、収入があった場合に、知財権の収入があった場合に、運営交付金、政府から出るお金は減る、その分だけ削られるというふうに認識していました。この認識は正しかったかどうかというのを答えてください、平成十六年度、十七年度も含めましてですね、お願いします。
  84. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) まず最初に、今後、先ほど委員指摘のようなことのないように十分注意を払ってやらせていただきたいと思っております。  それから、特許料収入と運営費交付金との関係についてでございますけれども、国立大学法人の運営費交付金につきましては、学生数などの指標に基づいて数値を算定をするとともに、各大学の教育研究の状況等に応じまして必要な額を算出をするということになっておる次第でございます。  一方、大学が保有をしております特許についての生じましたライセンス収入などにつきましては運営費交付金には影響させないというふうな考え方で、その国立大学の努力がそのまま報われるような仕組みと、法人化の際にしたところでございます。  このような仕組みであることにつきましては、政府が定めました知的財産推進計画二〇〇四という中におきましても、大学等に対する運営費交付金の算定において特許収入等分を別枠扱いにするなど、知的財産関連活動へのインセンティブを減じないよう配慮する措置が講じられたところであり、二〇〇四年度中にこれを積極的に周知するというふうに明記をしているところでございまして、私ども、この計画に従いまして、基づきまして各国立大学に対してその旨周知をしているところでございます。
  85. 藤末健三

    ○藤末健三君 じゃ、イエスかノーかで答えてください。今までの東大、東工大、京大の運営交付金の計算の中でライセンス収入を差し引いているかどうか、イエスかノーで答えてください、今までですよ。
  86. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 東大、京大等を法人化をしました後については、運営費交付金を特許料収入が上がったからといって差し引いているということはないというふうに承知をいたしております。
  87. 藤末健三

    ○藤末健三君 では、来週で結構ですから、資料を持ってきてください、私のところに、チェックしますんで。  もう一つ申し上げます。先ほど知的財産推進計画二〇〇四というその知的財産本部が作っているレポートのことをおっしゃいましたけど、二〇〇四でライセンス収入、大学の交付金引かないということが提言され、それを実施しているとおっしゃったじゃないですか。ここに今、知的財産推進計画二〇〇六、来年度向けの資料の検討資料あります、検討資料あります。その中の二月十七日に出たもので、「知的創造サイクルに関する重点課題の推進方策」という資料でございまして、今年の二月十七日に知的財産戦略本部が作った資料。その資料の六ページ目の一番下に、ここに書いてございますのが、公的研究機関等における運営交付金の予算の算定方法を見直すと書いてございます。ここにある程度もう、公的研究機関、これは一部の大学も含むと思うんです、私、のそのライセンス収入を増額させるとその分だけ国からもらうお金が減りますよと、ライセンス収入を増やしても国からもらうお金が減っちゃいますよというようなことを改めましょうということが書いてあるんですけど、これは私の誤解なんですかね。これは公的研究機関だけであって、大学はもう終わっているという認識なんですか。
  88. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 御説明を申し上げます。  ここの公的研究機関と申しますのは大学は含まれてございません。研究開発型の独立行政法人、特殊法人のことを指しているということでございます。
  89. 藤末健三

    ○藤末健三君 あともう一つ、じゃ確認をさせてください、ここで。  この交付金算定ルールがございますね、昨日いただいた二枚の紙。その中において、交付金の計算式の中で、マイナス要因として、交付金の基本額から引く要因として入学料収入、授業料収入、その他の収入とございますけれど、このその他の収入の中には、雑収入とございます、雑収入とか検定料といった、この中にはもうライセンスフィーは過去から含まれていないという認識でよろしいですか。
  90. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 御説明を申し上げます。  雑収入につきましては、財産処分収入でございますとか職員宿舎の貸付料収入であるとか、学校財産を賃貸した場合の貸付料収入等でございまして、特許料収入等は含まれてございません。
  91. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、これは後でまた確認させていただきますので、ライセンス収入が増えれば逆に交付金が増えるような仕組みをつくってください、逆に。知的財産をこの日本の社会、我が国の社会のためにつくった大学には交付金が、その分、増えるぐらいの仕組みをつくっていただかなければ、大学の知的財産の生産、インセンティブはわかないと思いますので、是非そこまで踏み込んだ改革をお願いしたいと思います。是非やってください。  次におきまして、知的財産制度の国際的な展開について御質問をしたいと思います。  午前中にもいろいろ御質問がございましたが、世界特許システムの構築などが行われておられるわけでございますが、このスケジュールをまずお聞きしたいと思います。いつまでに国際特許システムを構築するかということをお聞きしたいと思いますし、また今、三極で、午前中の御回答ですと三極、日米欧を中心にやっているということでございますが、韓国などアジアも是非入れていただきたいと思っています。これは質問に答えいただかなくてもいいので、世界特許システムの構築について是非お話ししてください。お願いします。
  92. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 世界特許システムが実現されるということがユーザーにとっては一番いいことだと思います。そのために、二つのやり方がございます。一つは、各国の特許制度自体を国際的に調和すると、これが理想でございますが、もう一つは、現に各国の特許庁で行われているサーチとか審査の重複を省くという意味で、その調査あるいは審査の結果を相互利用するという二つのアプローチがございます。  それで、制度の国際調和自体につきましては、元々はいわゆるWIPOの場で実体特許法条約の策定作業というのが進められておりまして、日本でもこれをリードすべく、つい三月の下旬にも東京で先進国メンバー二十五か国から二つの国際機関を集めた会議を主催をいたしました。一定の合意を見たところでございます。残る論点についても、今年の九月の会合に合意を目指しております。  ただ、率直に申しまして、こういう大勢の国での議論には相当の時間が掛かると見込まれております。したがいまして、まず、できるところから直ちにやろうということで、お互いの審査結果を利用し合って相互に活用するといういわゆる特許審査ハイウェイ構想、これをまず今年の七月から日米間で試行していくと。それから、さらに、今委員指摘ございましたけれども、韓国とは実は来年から日韓でやろうとしております。  こういうことを積み重ねることによりまして、結果として日米欧あるいはその他のアジアの国々との間でもこういう仕組みが広がっていくことが期待されております。同時に、先ほど申し上げた世界全体の制度の調和という議論も併せて引っ張っていきたいというふうに思っております。
  93. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、審査時点の統合化のみならず、例えば申請書の国際標準みたいなのを作っていただきたいんですよ。  なぜかと申しますと、今、日本企業の海外特許出願率は一八%なんです、五分の一ぐらい。ところが、欧州とかアメリカ、ヨーロッパ、アメリカの企業を見ますと、特許出願の半分が海外でなされている状況でございます。全然、海外出願が後れておりますので、なぜ後れているかという理由の一つに、日本で特許出願したものがフォーマット、申請内容が少し海外の申請内容と違うということもございまして、そういう申請フォーマットや、あと申請書の内容の統合やデータフォーマットの統合を図っていただきたいと思っております。是非、グローバル出願三割というのを目指していただきたいと思います。  あと、中国模倣品対策について是非お話ししたいと思います。  午前中にもいろいろ議論ございましたけれど、私は実は二週間前に中国に行ってまいりました。現地の方とちょうどこの知財権の話をしていましたら、中国も模倣したくて模倣しているんじゃないということでございます。かつ、法制度は日本の特許制度に似たような制度をつくらさせてもらいましたと。  なぜ問題が起きるかというと、やはりそういう取締りが進まないということや、もう一つ大きいのは裁判官がいないというんですよね、裁判官も弁護士もいないと、インフラがありませんと。ですから、制度はできても運用できないということがございまして、是非とも我が国から中国の制度に対していろいろ、例えば知財裁判所みたいなものをつくれとか、あと、今中国ですと特許部門と商標の担当部門が違うようになっているとか、あと中国の話聞いていると部分意匠がない。今回部分意匠強化されましたけど、部分意匠がないというような話がございます。ですから、是非とも我が国から中国、知財制度の運用について強く訴えていただきたいと思います。  例えば、アメリカと中国の例をちょっと御紹介しますと、米中間におきましては、二〇〇四年五月にこれは中国が発表したものでございますが、IPR、知財、知的財産侵害を大幅に減少させるアクションプランというのを米中合同商業貿易委員会というところで議論しているんですよ。ですから、日本でもできるんではないかなと思います。  私、二階大臣にここは是非お願いしたいのは、今、午前中、若林委員そして松村委員からも話ございましたけれど、ガス田の問題とかいろいろあると思うんですよ、環境問題、エネルギー問題等。今何が起きているかというと、その一つ一つの問題を個別になされているというふうに私は思います。  是非とも大臣のイニシアチブでやっていただきたいのは、知的財産の制度の問題、環境対策の問題、エネルギーの問題、ガス田を含むエネルギーの問題、そして技術革新の問題、あとFTAの交渉もあります、若林委員がおっしゃったように。そういうものを包括的に中国と交渉するということを是非大臣に担っていただきたいと思うんですが、是非意見お願いいたします。
  94. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私も先般、中国に参りまして、薄熙来商務部長との会談は、お互いにこの立場に就任して以来三回目の会談でありました。過去二回の会談を踏まえて、今回は正味二時間半、食事の時間、食事をしながらの会談が一時間、三時間半という時間を掛けて薄部長と各般にわたる問題点を話し合いました。一つは省エネであり、環境問題であり、このWTOの問題、知的財産の問題等、また当然、歴史問題に対するお互いの考え方等を述べ合ったわけでありますが、公式に中国の商務部長日本経済産業大臣、かつては通産大臣と呼んでおりましたが、この会談は九年ぶりだということを聞きまして私も大変驚きました。それでは、これから九年間分の話合いをしようじゃないかということで、随分突っ込んだ意見交換をしました。  その中で、中国の側から、年間百名程度の高級官吏といいますか、役人の皆さんに日本に来ていただいて、そして経済産業省と一緒に勉強しましょうということで、三年間このことをやろうと、トータルで三百名。中国側もこのことに大賛成で、同時にまた、やがて日本からも中国においでをいただきたいということでありますから、私ども是非お願いをしたいということで、これから商務部及び国家発展改革委員会との間でそういうことを進めていきたいと思っておりますが、同時に次官級の事務レベル協議というのも引き続いてやっていきたいと思いますが、先般、四月三日に商務部と経済産業省の事務次官級と定期協議を東京で行ったところであります。  今、議員指摘のように、幅広くいろんな分野で話合いをしていくということは大事であります。靖国神社の問題も大事といえば大事な話でありますが、しかし、ガス田の問題一つとらえてガス田だけがすべてかといったらそうでもなく、省エネの問題、環境の問題、WTO、知的財産、すべての問題で包括的に日中の関係を更に構築していかなくてはならないと考えておりますので、議員が御指摘いただいたことは全くそのとおりでございます。  なお、この際、一言お礼を申し上げておきたいと思いますが、先般私は藤末議員から「FTAが創る日本とアジアの未来」という大変な力作をちょうだいいたしまして、拝読いたしました。日本の経済、アジアの平和ということを目指すためにはFTAが不可欠だという御主張でございますが、私も全くそのとおりだと思っておりますので、我が国のFTA戦略の参考にさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。
  95. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。もうお褒めいただけて光栄でございます。  あと、最後に一つ申し上げます。  知財の観点でいいますと、中国、もう既に理工系のドクターの数、博士の数、日本超えているんですよ。将来は中国の知財どう使うかという観点もあると思いますが、是非とも、大臣お願いします。  以上をもって質問を終わらせていただきます。
  96. 加納時男

    委員長加納時男君) 藤末健三君の質疑は終わりました。
  97. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  今回の意匠法等一部を改正する法律案改正目的は、一つは権利保護強化と、もう一点は模倣品対策強化が挙げられているわけでありますが、ともに我が国産業が高度化していく上で重要な課題であります。特に、我が国中小企業が今後アジアとの競争を勝ち抜いていくためには重要な課題だと思っております。  そこで、最初経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、今般の改正によりまして、特許法や意匠法などの産業財産法の保護強化権利の取得の容易化が、例えば中小企業なんかにとってみてもどのように容易化が進むのか、お話をいただきたいと思います。
  98. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生おっしゃるとおり、今回の法改正は、我が国産業の国際競争力強化、また産業財産権保護強化やあるいは権利取得の容易化を図るものでございます。  具体的には、まず権利保護強化につきましては、午前中から出ておりますように、意匠権存続期間を十五年から二十年にすると、あるいは画面デザイン保護の拡充、あるいはデザイン保護強化いたします。また、小売業等の商標を役務商標として保護することによりまして、小売業者等のブランドを効果的に保護いたします。先ほど午前中に、どういうことか、例えばデパートの紙袋の話がちょっと出たと思いますけれども、これは何と、例えば紙袋に三越なら三越と書いてあります。そうすると、今までは、この三越の袋にはありとあらゆるものが入るわけです、お洋服から靴からアクセサリーから、あるいは日用品からすべて、食べ物、食品から、そうすると個別に全部その商標権を取らなきゃいけなかったんですね。物すごく莫大なお金も掛かったわけでございまして、これが役務商標として一本で一回で済む、つまり管理コストを非常に削減できるということであります。これが一つと。  それから、権利取得の容易化につきましては、バリエーションを付けた一群のデザインあるいは製品を構成する部分デザインについて、その出願期間延長することといたしております。  さらに、特許につきましても、多様な発明を幅広く保護するために一つの出願を分割する制度の拡充などを行うことにしております。今までは、出願して審査が終わったら分割ができなかった。今度からは、審査が終わっても三十日以内であれば分割をした特許申請ができるんですね。これ非常に大きなことで、今までやはりこういうことができなかったということで、非常に皆様からいろんな御意見もいただきまして、これもさせていただきます。  これらの改正によりまして、付加価値の高い商品やサービスが生み出され、提供される環境が整備されまして、我が国産業の国際競争力が一層強化をされると思っております。
  99. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 より使いやすくなったこの知的財産法をベースにして競争力を高めていきたいと思いますが。  次に、今次改正のもう一つの目的であります模倣品対策についてであります。具体的には、この規制の対象輸出を加えるという点があるわけでありますが、世界での模倣品取引は、午前中でも議論がございましたように、何と六十五兆円というすごい金額でございます。  そこで、経済産業省に質問したいと思いますが、今般、その製造、輸入、使用等に加えて、輸出についても産業財産権法四法の権利侵害行為として追加することとしたということでありますが、模倣品輸出入の実態からすれば、我が国は輸入が輸出を上回る入超でありますが、その実態はどうなっているでしょうか。
  100. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答えいたします。  一昨日、財務省が公表したデータによりますと、昨年の税関における知的財産侵害物品の輸入差止め件数は一万三千四百六十七件となっておりまして、前年と比較して四七%増加をしております。中でも、中国からの貨物の輸入差止め件数ですけれども、前年比で約一・九倍に増加をしております。輸入差止め件数全体に占める割合でも、二〇〇四年の三六・七%から二〇〇五年には四六・六%と増加をしております。  一方、知的財産侵害物品の輸出についてでございますけれども、これにつきましては統計データはないわけですが、日本を経由して模倣品が第三国に流通していると、そういう実態、すなわち模倣品日本から輸出されていると、そういう実態があるという報告がございます。  具体的に申し上げますと、特許庁が行った調査でございますけれども、二〇〇〇年から二〇〇三年までの間でそういう模倣品被害に遭ったと回答している企業のうちの約四分の一の会社が、日本を経由した模倣品の流通、すなわち日本から輸出の実態があると、そういう回答をしております。
  101. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。数字としてはすごい数字が入超として入っているわけでありますが、一方で第三国へ回っているというものも、実態もありますんで、両面を見ていくというのが重要だと思っております。  こういう実態を踏まえますと、日本からの輸出だけじゃなくて、アジア近隣諸国からの輸出についても全般にわたって輸出品規制の調和を図っていくということが重要と考えます。  具体的に見れば、日本中国、韓国等の産業財産法制での輸出の扱いは不統一の実態のままであります。そこで、この二国間での模倣品取締りの要請が重要であると考えますが、二〇〇三年度の世界での模倣品製造地域を見ると、中国が五二・三%、台湾、韓国が続いていると聞いています。  そこで、政務官にお聞きしたいと思いますが、この模倣品被害の撲滅に向けて、中国などのアジア諸国との二国間交渉はどのような形で進められているでしょうか。
  102. 小林温

    大臣政務官小林温君) 浜田委員指摘のように、模倣品海賊版による被害製造国別に見ますと、中国、台湾、韓国の順に多いわけでございまして、それぞれの国と二国間の交渉を行っているところでございます。  まず、中国につきましては、先ほど二階大臣からもお話がありましたように、二月の訪中の際に薄商務部長会談を行い、知的財産権保護強化を申し入れたところでございます。これに対しまして薄商務部長からも、知的財産権保護中国自身の課題と認識をされている旨の御発言もございました。また、主要都市に五十くらいの知的財産権関係の摘発センターをつくりたい、本年中に、という具体的な対応についても言及があったということでございます。また、中国の商務部との次官級定期協議あるいは日中の特許庁長官会合、官民の合同ミッションというものも、これを数次既に派遣をさせていただいておりますが、こうしたあらゆる機会をとらえて取締り強化のための支援や法制度、運用面での改善要請を中国に対して行っているところでございます。  続いて、韓国につきましては、日韓の特許庁長官会合において模倣品拡散防止に向けた取組の強化を働き掛けております。昨年の十一月には、この会合で韓国から日本模倣品が流入する実態の改善を要請をさせていただいております。  そして、台湾については、台湾との窓口機関である財団法人の交流協会が実施する日台貿易経済会議において、模倣品海賊版の規制導入や取締り強化を働き掛けております。昨年の十一月のこの第三十回目の会議におきましても、模倣品海賊版取締り強化を求めたほか、形態模倣規制の導入も希望しております。  引き続き、当省としては、この二国間協議を通じて模倣品対策に取り組んでまいりたいと思います。
  103. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま、中国、韓国、台湾と、二国間の取組の話もございました。是非、引き続きお願いしたいと思います。  次いで、この二国間協議だけではなくて、いわゆる世界レベルで、模倣品海賊版拡散防止条約の話が午前中もございました。準備が進んでいるという話もございました。非常に重要な条約だと思っております。  そこで、二階大臣にお聞きしたいと思いますが、我が国が昨年サミットで提案しましたこの条約について、まず、例えば御提案されています東アジア共同体からでも結構ですし、このサミットの実現の決意についてお話をいただきたいと思います。
  104. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 私からお答えをさせていただきます。  午前中も松村先生の御質問お答えしたところでございますけれども先生指摘のように、昨年のサミットにおきまして、小泉総理がG8諸国間にこうした条約構想の合意形成が重要であるということを訴えさせていただいたわけでございます。  そうした認識に立って、昨年十月以降にG8の知的財産権専門家会合、またG8各国首脳を代行する次官級局長級会合などにおいて議論を深めているところでおります。昨年十月が一回目、そして本年の三月末にはモスクワにおいて二回目のG8の知的財産権専門家会合が開催されまして、我が国から提示をした条約骨子案について議論が行われたところでございます。  その結果、全般的に見ると、多数の国々から前向きな評価を得ることができたというふうに思っておりますし、また他方、検討すべき技術的事項、これも申し上げましたように中国が入っていない、これを中国もやはり入ってもらうべきではないか、あるいは、いろんなところを経由してこれは来るということで、経由地もあるいは入ってもらう方がいいのではないか等々という、こういうことでございますけれども、こういったこともテーマにいたしておりまして、引き続きしっかりと議論を継続していく所存でございます。
  105. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。是非その準備を続けていただいて、実現に向けてよろしくお願いしたいと思います。  それで、今度、改正項目の中身についてお話ししたいと思いますが、まず今回の改正項目の中で刑事罰強化があるわけです。産業財産権法四法及び不正競争防止法の中で、今まで三年以下三百万円とか、罰金刑懲役刑の併科ができないものがあったところを、今回は最高十年、一千万まで引き上げ、かつすべて併科とする、また法人重課についても一億から三億円に引き上げようとするものであります。  しかし、今までの検挙状況をちょっと見てみると、平成十五年までの過去五年間で著作権法は千百六十三件、商標法は二千三百二十一件とかなりの検挙件数があるわけでありますが、意匠法については九件、五年間で九件ですね、特許法は八件、実用新案法に至っては三件しか検挙されていません。刑事罰強化が必要な状況にあるのか、これでは疑問が残るわけでありますが、そこで経済産業省に質問したいと思います。  意匠法、特許法、実用新案法に関する侵害事犯の検挙件数が商標法や著作権法に比べて大きく下回っているのはどういう理由なのか、どのような体制でこれらの違反の検挙を行っているのかについて御説明いただきたいと思います。
  106. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) お答え申し上げます。  今、浜田委員指摘ございましたように、確かに産業財産権の中で商標権の検挙件数が一番多うございますし、それと同時に著作権の侵害事犯が非常に多いのに比べて、従来、意匠、特許、実用新案については相対的に検挙件数が少なかったということでございます。  その理由でございますけれども、一つには、商標権とか著作権の侵害事犯の場合には、その権利がそれぞれの権利者の信用と非常に密接に結び付いているため、一たび大量の模倣品が市場に流通しますと権利者の信用が金銭的に回復不可能なまでに毀損されるということで、必ずしも民事訴訟だけでは十分対応できずに刑事告訴に至る事案が相対的に多いということに比べますと、意匠権とかあるいは特許権などの侵害事案については、これまでのところ民事訴訟を中心とした救済手段、つまり差止めとか損害賠償でございますけれども、そういうものを権利者の側で選択する場合が多かったということも、そういった事情も一つの要因ではあろうかと思っております。  しかしながら、昨今の意匠権とか特許権侵害事犯の実態を見ますと、権利者の被る損害が大変高額化しておりまして、特に特許の場合などは数十億円とかかなりの高額に達しております。そういう意味で、商標権とか著作権の侵害事犯と同様に刑事的措置が必要な事案が増加しつつある実態ではないかというふうに認識をしております。  従来から、経済産業省におきまして、捜査当局からの侵害疑義物品などについての照会がある場合、これは年間数百件あるんでございますけれども、迅速かつ適切な対応ということに心掛けておりましたけれども、今後こういった刑事的措置が必要な事案も増加すると予想されることから、従来にも増して捜査当局とも一層緊密に連携していきたいというふうに考えております。
  107. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 私自身はこの罰則の引上げ自体は妥当であると思っておりますので、是非併せて検挙率の、関係当局と連携していただいて、この向上策に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、経済産業省に併せて質問したいんですが、今回の改正譲渡などを目的とした所持などの規制が強化されますが、今までにこの規制がないがゆえに検挙できなかった事例はどの程度あるのか、また今般改正による権利保護実効性確保としてその期待される効果はどういうものでしょうか。
  108. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今御指摘がございましたように、現行意匠、特許、実用新案の法律におきましては譲渡等目的とした所持自体が侵害行為とされておりません。このことによって実際に検挙が困難になった事例の件数ということについては私どもとしては把握をしておりませんけれども、今回の改正によりまして、模倣品が実際に市場に流通する前段階所持段階でそれを捜査当局が取り締まることが可能となり、結果としてその権利保護実効性が一層高まるというふうに考えております。  ちなみに、経済産業省が製造業を中心に行いました知的財産に関するアンケート調査の結果を見ますと、意匠法等について、この譲渡等目的とした所持侵害行為とする必要があるというふうに回答された企業はおよそ七割でございます。したがいまして、推測されるのは、多分、譲渡目的所持段階でいろいろ迅速に取り締まった方がいいと思える事象がかなり見られるのではないかというふうに思われます。  したがいまして、経済産業省といたしましても、今後、捜査当局と一層密接に連携してまいりたいというふうに思っております。
  109. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、一層連携をしていただいて、よろしくお願いしたいと思います。  次に、意匠権に関する改正部分、画面デザインへの保護対象の拡大についてお尋ねしたいと思います。  本法律案においては、情報家電等画面デザイン意匠権の範囲を、これまでの初期画面から操作画面まで拡大することが提案されております。そこで質問しますが、今般、画面デザイン保護対象を拡大する効果はいかがなものでしょうか。また、各種デザイン保護は著作権でもできると思うんですよね、この意匠権ではなくてですね。著作権でやらなくてなぜこの意匠法によりやるのか、その長所は何なのかについてお答え願います。
  110. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 最近、特に情報技術の進展などによりまして、情報家電の分野で操作を画面で行うという製品がもう圧倒的でございます。企業におきましても、こうした画面デザインに工夫を凝らすということが自社の製品を差別化する重要なポイントになっているわけでございます。  このため、今回の改正におきまして、この画面デザイン保護対象を拡大するということを御提案申しているわけでございますけれども、結果的に企業がその模倣品を的確に排除したり、あるいはこういった画面デザインの創作への投資を積極的にやっていくということによりまして、より一層、企業のそういった技術開発、あるいは製品開発のインセンティブ、モチベーションを高めるということになると思っております。  確かに、画面デザイン自体は、見方によりますと、思想又は感情を創作的に表現したものである、つまり文芸とか学術とか美術又は音楽の範囲内に属するものである場合には著作権によっても保護される場合があるというふうに私どもも承知しております。  じゃ、今般の改正におきまして、工業上利用できる新規で創作性を有する意匠保護するという目的でございますこの意匠法によって画面デザイン保護を拡充するのがどういう意味があるかということかと思います。  一つには、この意匠法保護の特色といたしまして、意匠権保護範囲が登録意匠と同一及び類似の範囲まで及ぶということが一つの意匠権保護の特徴でございます。  それから二番目にございますのは、意匠権というのは、意匠登録を知らずに別の第三者が創作されたものであっても、先にその意匠権を取得した方の権利が及ぶわけでございまして、権利者がその意匠権の行使を行う際に、相手方が自分登録意匠を知っていてまねしたということを、事実を証明する必要がないという意味で非常に強い権利になっているわけでございます。  さらに、その登録意匠それ自体は意匠公報によって公示されますので、画面デザイン分野につきましてもどのような意匠権が発生しているのか第三者にとっても分かりやすいものになっておりまして、その業界の関係者の方々全体の円滑な事業活動にも資するというふうに考えております。  したがいまして、その保護の強さとかあるいは保護の在り方といったような面におきまして、意匠法による保護強化するということによりまして、独創的な画面デザインについてより一層的確な保護ができるというふうに考えております。
  111. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいまの御答弁で、意匠法でやった方がより適切であるということであったと思いますが、今般提案されている我が国の画面デザイン保護は、有体物としての物品を前提として、物品と意匠の一体性という従来の考え方に沿って、部分意匠として拡大されるということであります。一方、欧州共同体の方はどうかというと、意匠規則によりますと、物品との一体性を離れて製品として保護対象になっているので、少し規定の仕方が異なっています。  そこで、質問いたしますが、我が国においても欧州のようにグラフィック・ユーザー・インターフェースやアイコンなどから構成される画面デザインそのものまで保護されると考えてよいのか、国際的な整合性についてはどのように考えればよろしいんでしょうか。
  112. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今、浜田委員指摘されましたように、欧州におきましては、二〇〇一年に成立した欧州共同体意匠規則によりまして、画面に表示されるグラフィック・ユーザー・インターフェースあるいはアイコン、つまり操作のための指示画面や記号を含む画面デザイン、そういったものがそれ自体として幅広く意匠の一類型として保護されております。実際、世界的に見ましても、特許の世界とやや異なりまして、意匠制度につきましては国によっていろんなバリエーションがございます。  その中で、今回、我が国のこの改正案でございますけれども我が国におきましても、情報家電とか携帯電話といった物品を操作するために必要となるグラフィック・ユーザー・インターフェースとかあるいはアイコンをそれらの物品の一部として、物品性に注目しながらその物品の一部として保護対象とするというものでございます。そういう意味で、欧州とはその保護の在り方が多少異なるところがございますけれども、画面デザイン保護の拡充という点におきましては国際的な流れに沿ったものであるというふうに考えております。  それからまた、今回の意匠法による画面デザインの拡充につきましては、必ずしも国際的にすべてが統一されたものになってないという状況の中で、産業構造審議会意匠制度小委員会において、諸外国の制度や産業界における保護必要性などを踏まえて十分御議論をいただいたものでございまして、現段階我が国の実態に応じた適切な保護の内容になっているというふうに考えております。
  113. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいまの御答弁で、画面デザイン保護の拡充という点では逆に国際的な整合性を増すものであるということでありましたので、まず第一歩かなということで考えております。  次に、今般の改正で、部分意匠、関連意匠やまた秘密意匠の請求の手続が緩和されました。これらの出願が容易化されることになったわけですが、そこで経済産業省に質問したいと思うんですけども産業界要望によりこのような部分意匠、関連意匠や秘密意匠の請求手続が緩和されるとのことですが、これらの措置による潜在的な権利侵害に対する防止効果はいかがなものでしょうか。
  114. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 現行法上は、完成品の意匠の特徴的な部品を取り出して保護する部分意匠制度、あるいは同一のデザインコンセプトから創作されたバリエーションを保護する関連意匠制度が、どちらもあるんでございますけれども、それぞれその出願する日の限定がございまして、本体の出願と同日にすべて出願することを要求しております。また、製品の広告とかあるいはその販売戦略に応じて登録意匠の公開時期を選択できる秘密意匠制度というのもあるんでございますけれども、これにつきましても、元々の出願と同時にその秘密意匠としての出願を行うようにということが必要とされております。  ところが、産業界の方からは、実態といたしまして、デザイン開発の実際の実務あるいはその手続負担ということからしますと、部分意匠や関連意匠出願がこれでは間に合わないといった場合、あるいは逆に完成品の意匠出願を遅らせざるを得ない場合があるといったような指摘もなされております。さらに、この秘密意匠制度というのにつきましても、せっかく制度はあるんだけれども、新製品の公開時期を柔軟に設定できない場合があるといったような御指摘もいただいております。  したがいまして、今回の改正案におきまして、この部分意匠や関連意匠につきまして出願できる時期を緩和することによりまして、デザイン創作の実態に合わせた、網羅的な柔軟な意匠権の取得をすることを容易にするということをねらっております。こうした改正によりまして、このデザインの特徴的な一部分のみを模倣したり、あるいはその派生品タイプのものについての模倣といったような巧妙な手口による侵害の防止ということも容易となろうと思っております。また、これらの権利内容は意匠公報に掲載されると同時に、インターネットを通じて広く公開されますので、部品や派生品を含めた広い範囲での侵害抑制にもつながるというふうに思っております。  なお、秘密意匠請求の手続につきましても、登録料の納付と同時に行ってもいいというふうに時期的に余裕を持たせましたので、これによって、登録された意匠の公報への掲載時期を製品の広告とか販売戦略に合わせて柔軟に設定することができる、結果として公報掲載を見て行う悪質な模倣を防止することが可能となると。この秘密意匠制度の本来の趣旨がより生かされる運用ができるんではないかというふうに思っております。
  115. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 午前中、意匠権についてはその権利期間を十五年から二十年にするという話がありました。そういう背景として長寿命製品というのが出てきているというわけでありますが、一方では商品の短サイクル化というのも進んでおりまして、商品寿命の短い製品もございます。そういうものについては意匠デザインの審査の早期化の要請があるとも聞いています。現行では七か月の審査で実施されているものの、欧州とか中国、韓国では無審査で登録する制度や、審査制度と無審査制度のダブルトラック化がなされていると、こう聞いております。  そこで、経済産業省に質問いたしますが、商品寿命の短いものがあることを考えれば、我が国においても韓国や欧州のように意匠の無審査制度やそれとのダブルトラック化を考えるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  116. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 浜田委員指摘なさいましたように、実は世界の中で、この意匠制度につきまして審査方式を取る国、あるいは無審査方式の国という形で異なっております。日本とかアメリカは審査方式でございますが、欧州の中にもばらつきがございます。  欧州共同体ベースになりますと、EUとしては出願人が選択をできるというような形になっております。中国では基本的に無審査登録であるし、韓国では基本は審査登録としながらも、一部衣類や紙製品については無審査登録といったようなばらつきがございます。  したがいまして、今回の改正に当たりましても、産業構造審議会意匠制度小委員会において無審査登録制度の導入の可否についても十分検討をしていただきました。つまり、出願があれば審査をして登録是非を判断するという現行の審査登録制度がいいのか、あるいは審査することなく簡便に登録できる無審査登録制度と併存させるダブルトラック化といったような点についても御議論をいただきました。その過程で、確かに迅速な登録という観点からは無審査登録制度の導入によるダブルトラック化を評価する意見も一部にはございました。しかし、結論からいえば、無審査登録制度の導入には慎重な意見が大勢でございました。  と申しますのは、まず、かつては二年ほど掛かり遅いと言われておりました意匠の審査が、最近では出願から約七か月という形でかなり短くなっております。それから、模倣品被害が発生した場合には一か月以内に結論を出すという早期審査制度が有効に機能しているところでございます。加えまして、特に多くの産業界の代表の方からは、審査による権利関係の安定を求める声が非常に強うございまして、無審査登録制度の下では事後的に無効とされる可能性が小さくない意匠によりまして、ほかのものへの差止め請求など権利行使の濫用が懸念されるんではないかという指摘がございました。  したがいまして、総合勘案すると、結論的には、我が国実情を踏まえますと、今回直ちに無審査登録制度を導入する環境にはないと判断したところでございまして、今後更に実態を見極めながら様々な角度から検討していくことが適当であるというふうに考えております。
  117. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 議論の経緯は分かりました。  次に、商標制度について質問したいと思います。  今般、先ほど松副大臣からも例に挙げていただきましたが、小売業者などが使用する商標については、利便性向上や国際的制度調和のために、物ではなくて役務に商標を認め保護する制度を導入するとのことでありまして、これによりまして、今まで物ごとに商標出願してきた百貨店などの小売業界のメリットが大きいと考えられます。ただし、その導入に当たっては、施行後三か月間になされた出願は同一にみなし、営業実績があるものを優先するとの先願主義の例外、これを行うわけであります。  これは、幅広い役務商標が全く関係のない第三者に取られて先願されてはしようがないと、そういうことを考えるわけでありますが、そこで経済産業省に質問したいと思いますが、この経過措置、調整規定の趣旨、これを徹底するためにどのような体制で普及広報をこの三か月間されるのか、お聞きしたいと思います。
  118. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この改正法の円滑な施行のためには、施行の前からの取引秩序あるいはその商標の使用の実績、実態に配慮することが不可欠だと考えております。そこで、今回の改正に当たりましては、この改正法の施行の前から、不正競争の目的ではなくて、小売業の商標を使用しているような場合には商標を続けて使用できるようにするという手当てをしております。  それから、例えば改正法の施行後三か月間になされた小売業の商標に係る出願につきましては、すべて同日に出願されたものとみなすことによりまして、施行日に出願が集中するといった混乱を防止することとしております。加えて、今申しました、その施行後三か月になされた小売業の商標に係る出願が競合した場合につきましては、施行前からの商標の使用実績に配慮し、既に使用されている商標を未使用の商標に優先して登録することとしております。  このような様々な経過措置の規定がございまして、それによりまして、中小の小売店を始めとした小売業者などの皆様に対してきめ細かく周知徹底を図ることが重要だと思っております。特に、政府広報や特許庁のホームページの活用は当然でございますけれども、全国各地での説明会やパンフレットの配布などを十分に行いまして、制度の普及、周知のために万全を期してまいりたいというふうに思っております。
  119. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 三か月間という短い期間でありますので、その普及広報を是非しっかりお願いしたいと思います。これ間違えばその商標が使えなくなってしまうというわけでありますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、特許法の改正部分についてでありますが、今回の一括法の改正目的の一つは権利保護強化であります。この観点から、特許出願内容に複数の発明が含まれている場合の分割出願ができると、この期間を審査結果確定までから審査終了後三十日までに延長したと、そうなっております。それはこの改正目的から理解できるところでありますが、しかし一方で、現在特許庁では特許審査迅速化、効率化と、この実現に向けて各般の施策に取り組んでおられるところであります。  そこで質問しますが、今般の改正による特許の分割制度の拡充によって特許の審査の迅速化、効率化が阻害されることはないのか、その実施体制はどうなっているでしょうか。
  120. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 特許出願の分割制度でございますけれども、これは特許出願に複数の発明が含まれている場合にその一部を抜き出して新たな別の出願とする制度でございますが、これによりまして、出願人はほかの実施形態や関連技術についても権利化を目指すというような形で、発明の多面的なかつ網羅的な保護を図ることが可能となるという効果がございます。しかし、現行の特許法では、審査がいったん終了した後は出願の分割が許容されていません。それに対しまして、今回の改正によりまして、審査終了後三十日以内であれば出願の分割を可能とすることによって発明の保護をよりやりやすくするという趣旨でございます。  他方で、分割出願制度の見直しと特許審査迅速化との関係でございますけれども、審査終了後も分割可能な機会が増えるということで、この機会を利用した分割出願は増加すると予想されます。他方で、事後の分割の機会が新たにしっかり確保されるということでございますので、出願人が念のために事前に出願を分割しておくといった、言わば予防的な分割出願減少するというふうに考えられます。  また、重要な点は、今回、この分割出願制度の濫用を抑止するために、同じ発明を繰り返し分割する出願に対しましては補正の制限を課するという手当てをしておりますので、こういった形でこのような分割出願の濫用も抑制できる、あるいは減少するというふうに考えられます。  こういうことを総合勘案いたしますと、今回の改正によりまして、全体として出願数が大幅に増加することはなく、特許審査の迅速化にはほとんど影響がないものというふうに考えております。もちろん、私どもとして、特許審査全体の迅速化のために審査能力の充実に努めていくことは当然でございます。
  121. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいまの答弁で、予防的な分割出願が減ったりするということで、全体としては特許の迅速化について問題はないという御答弁なので一応安心をいたしました。  時間もなくなりましたので、最後に大臣の決意をお聞きしたいと思うんですが、革新的技術デザイン、ブランド、こういう非常に重要な分野だと思っています。知的財産立国とも言われておりますけれども我が国のこういうものをベースにした物づくり強化に向けての大臣の御決意をお聞きして、私の質問を終えたいと思います。
  122. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほど来、議員の御専門の立場から随分この的を得た御質問をいただきまして、本法案に対するこの質疑も大変充実したと考えております。  我が国物づくりを支える製造業は、GDPの約二割、輸出や研究開発の約九割を占める重要な基礎産業であると考えております。現在の経済の回復も、いわゆる物つくりによって生み出された薄型のテレビやハイブリッド自動車等の革新的技術に基づいた製品によるところが大きいわけであります。アジアの追い上げも急ではありますが、他国に追い付かれる以上に、やはりその先を行くということが重要であります。  このために、革新的な技術やあるいは独創的なデザインの創造を促すために今回のこの法律は大変重要な意味合いを持っておるわけでありまして、その成果を知的財産として適切に保護していくことも極めて重要であると考えております。  経済産業省では、御承知のとおり、現在の人口減少下であっても、国富の増大をもたらす新しい成長を実現するために新経済成長戦略の策定に取り組んでおるわけでありますが、本年三月末に中間取りまとめを行ったところでありますが、中でも、自動車用の電池あるいはロボット、また航空機等の新産業に加えて、ファッション産業等も含めた幅広い分野の物つくりに対する支援を重点に掲げておるわけであります。  特に、航空機等につきましては、夢のある産業、夢のある製品ということで各方面から大変、この評価といいますか、激励をちょうだいしておるわけであります。デザイン等におきましては、先般もお越しになりました外国の有力な航空機産業のトップリーダーの方々も、このデザインは私たちの会社の飛行機よりもずっとすばらしいと、こういう評価を受けたところでありますが、これも、日はまた昇る、いわゆる日本経済が再生していくシンボルとしてこうしたものにも力を尽くしてまいりたいと思っておりますが、いずれにしましても、五月に最終の取りまとめに向けて、今、全力を尽くしておるところであります。  また、ファッションのことを申し上げましたが、日本のファッション・ウィーク等は東京から世界に向けて逆にファッションを送り出すということに今力を注いでおるわけでありますが、また、この足下といいますか、地元を考えますと、先般、私は東大阪における内閣府が主催しておりますタウンミーティングというのに行ってまいりました。そのときに一緒にパネラーを務めました兵庫県の西脇の繊維業者の方がメールをよこしてまいりまして、今日から、というのは昨日からのことでありますが、経済産業省の地下で、地下というか、地下に商店街があるわけでありますが、そこでワイシャツの、何といいますか、すばらしいデザインの生地をたくさん持ち込んで、そこで即売会をやっておるので是非立ち寄ってくれと、こういうメールでありました。  私も昨日、時間をつくりましてこの地下へ初めて伺ったわけでございますが、ファッションといいますか、そうしたことを西脇の地域で作っているのを東京の経済産業省の地下へ持ってきて、そして少しでもみんなにアピールしようという、私はその努力はけなげといいますか、立派なものでありますので、こんなところでしょんぼりやってないで、もっとポスターでも張って派手にやれと。それから、私も今日は自分のグループの議員には、みんな行って一枚でも二枚でも買って、そして激励してきていただきたいということを申し上げたわけでありますが。  これは、中小企業の物つくりというふうなことに対して、みんな掛け声はいいわけですが、やっぱりこういうことに対してお互いにみんなで手を差し伸べるということが大事ではないかと思っておりますが、先ほど来議員の御指摘の数々は私ども肝に銘じて、この法律の制定と同時に、今後におきまして努力をしてまいりますことをお約束しておきたいと思います。
  123. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  124. 加納時男

    委員長加納時男君) 浜田昌良君の質疑は終わりました。
  125. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 鈴木陽悦でございます。ありがとうございます。  私は、意匠法とともに大きく改正されます商標法につきまして集中して質問させていただきたいと思います。  まず商標法のうち、団体商標の主体の追加でございますが、従来の社団法人のほかに業界団体、中間法人、商工会議所、NPOなどの構成員を有する法人などが可能とされております。かなり、これ、門戸が広がるわけですよね。  しかし、商工会議所の例を見ますと、これまで、文言をちょっと申し上げますと、構成員が同業者によって構成されているわけではないことから、団体の構成員が扱う商品又は役務についての共通的性質を表示するために商標の使用をするという団体商標の特質にはなじまないとしておりますけれども、今回の改正案ではこの主体に追加をされているわけでありますね。  そこで、これまでの制度にどんな問題点があったのかどうか、また今回の追加によりますメリット、それから、考えられる、これはちょっと多分お答えにくいと思うんですが、デメリットをもしありましたら挙げていただきたいと思います。
  126. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今御質問ございました団体商標制度でございますけれども、従来、社団法人とかあるいは事業協同組合等の団体がその構成員に共通して使用させる商標ということで、これ、平成八年の商標法改正により導入された制度でございます。十七年度末、先月末で約三百十五件ほどございます。  もちろん、これについてもそれなりに活用がされていると思っておるんでございます。特に、団体商標登録を行った場合には、その団体として構成員に個別に使用許諾をしなくても、その商標を構成員に共通して使用させながら、この構成員が使うことができるといったようなメリットがあるわけでございます。  ただ、今般、いろんな民法の、公益法人なども全般的に見直しがされるとか、あるいは最近ですとNPO法人とか、様々な形で世の中の法人格を有する団体の活動が活発化しておりますので、そういう意味で、今般、この商標法の見直しの際に、この団体商標制度の主体をより広げることによって団体が、様々な団体が主導的な役割を担いながらそれぞれの魅力あるブランドをつくっていくと。あわせて、団体それ自体あるいは構成員の方の事業活動を活発にしていくメリットがあるのではないかということでございます。そういう意味におきまして、従来、主体が社団法人とか事業協同組合等に限られていたやつを今回広く見直したという趣旨でございます。
  127. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 今の長官のお答えですと、時代のニーズに弾力的な対応をしたということにとらえてよろしゅうございますね。はい、ありがとうございました。  次に、この商標法地域づくり、町づくりの観点から伺ってまいりたいと思います。  最近では町づくりのキーワードとして、去年審議して今年の四月、つい先日から施行となりましたいわゆる地域ブランドが挙げられます。一般的にブランド化は、競争力を持った地場産品がほかの地区との差別化につながって地域全体がブランド化する、その高まりが観光客や特産品の増加となって地域の魅力を更に高めて、ひいてはUターンとかIターンにまで結び付くんではないかと大いに期待をしているところでございます。この地域団体商標地域ブランドは、こうした様々な視点からも地域づくりに有効に活用されなければいけないと思います。  そこで、新年度がスタートしたばかりでまだ六日目でございますが、この地域ブランドの申請はかなり好調だと聞いております。最新の出願状況と反応、それから、何回も申し上げますが、その地域の活性化ですので、その地域の特徴的な動きなんかあったら教えていただきたいと思います。
  128. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 地域団体商標につきましては、この四月一日の施行の前に全国各地で精力的に制度説明会などを開催いたしまして、大変、各地域で関心の高さを実感しておりましたけれども、実際、四月一日の出願受付初日、これは土曜日であったにもかかわらず二百五十八件の出願を受付をいたしました。その後、手元の数字が昨日、四月五日の午後六時まででございますけれども、受け付けた出願総数が累計で三百四件でございます。新制度のスタートとしては順調な滑り出しではないかというふうに思っております。  それから、地域別の傾向を見ますと、北海道五件、東北九件、関東十一件、甲信越十七件、北陸二十七件、東海三十件、近畿百五十件、中国九件、四国五件、九州十五件、沖縄二十五件といった形で、かなりこれ全国的な展開を見ているわけでございます。  内容的には、どちらかというと、現段階では農産物などの食品関係が多い傾向がございまして、今後その制度が浸透するとともに、工業品とかあるいは役務、サービスにおける出願が更に増えてくるということを期待しております。
  129. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  近畿がもうずば抜けて多いということで、昨日まで三百四件。昨日、地元の新聞の記事が届きまして、実は、秋田の比内地鶏、これも地域ブランドを確立、申請したということだったんで、いろんな意味で活発になってくれればいいなと思っております。  今の三百四件というこの件数で、地域のその意気込みというのは伝わってくるわけでありますけれども、そこで、地域づくりの観点から、今回の改正団体商標法地域ブランドにはどんな違いがあるのか、両者の線引きは明確なのかどうか、そして利用する側から見ると判断が難しい面もあると思うんですが、周知徹底をこれどのように図っていかれるのか、その辺を聞かしてください。
  130. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 通常の団体商標とそれから地域団体商標という二つの制度が商標法上認められることになるわけでございます。  通常の団体商標の主体の拡大については、先ほど御説明申し上げました。それで、四月一日からのこの地域団体商標でございますが、これは地域のブランドの保護という観点が主眼でございまして、一般的には、地域名と商品名から成るその商標登録というのは原則受け付けていないわけでございますけれども、特に限定的な場合にそれを認めると。したがいまして、その主体については、それぞれの地域の中で特定の商品とか役務について生産、販売などを行っているといったような事業者を構成員といたします、例えば事業協同組合、あるいは農業協同組合、あるいは漁業協同組合といったような特定の組合であることを要件にしているわけでございます。  こういう形で、二つの制度があり、かつ今回の改正においてこの通常の団体商標の主体が商工会とか商工会議所、NPO法人などに広く拡大されます。したがいまして、この法案が成立した後、施行までの間に、十分この二つの制度の趣旨それから内容について周知徹底をいたしまして、この二つの制度につきまして混同することがないようにということを十分徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
  131. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 この周知徹底が今日午前中から審議されていまして、今回の地域ブランドに関しては新年度からスタートしましたが、そのスタートした後もいろいろとマスコミ報道取り上げられました。それから、スタートする前も取り上げられました。しかし一方では、PSEのように、もうすぐ始まるというときにあの大きな騒ぎになった。だから、この周知徹底というのは非常にいろんな意味で大きな要素を持っていると思いますので、この二つの新しい商標制度の周知徹底を本当に徹底してお願いしたいと思います。  次の質問ですが、地域づくりを考えた場合、地域ブランドの指定を受けるのが先か、それとも地域全体の売り込みをイメージ作戦として展開して、その後で地域ブランドを申請するのか、また逆のケースもあると思います。ここに、今お話しいただきましたように、法案が今回通りますと、一年後には改正された団体商標法が加わります。そうすると、現場の混乱というのは、今お話しいただきましたけれども、かなりあるのかなと。その辺の交通整理をちょっと伺いたいと思います。  例えば、ある地域がナマズの里として地域のイメージアップ作戦を展開していて、ナマズのクッキーだとかキーホルダーとかいろいろなグッズを作ります。これが団体商標になります、なるとします。これに今度は地域ブランドとして、どこそこの、○○のナマズというのが地域ブランドになりますと、相乗効果地域に大きな効果が生んで弾みが付くと思うんですが、この辺の審査の対応、どのような目線で行うのか、審査官の対応が非常に複雑になってくると思いますが、私は地域活性化の目線で是非審査官の皆さんには対応してほしいと思うんですが、その辺の体制確保、いかがでしょうか。
  132. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 地域団体商標につきましては、特に各地域の皆様方が、地名とその商品名の組合せということで様々な知恵を出されるんだと思います。  ポイントは二つありまして、一つは、先ほど申し上げました主体として、その事業協同組合とか農協とか漁業協同組合のような組合の事業としてと、しかもその組合について脱退、加入が自由であるといったような点でございますけれども、同時に、それがある程度の既に周知している実績があると。これは、もちろん全国的に周知している必要は全くなくて、逆に、むしろローカルではあるけれども近隣の都道府県ぐらいまでには周知をしているという実績があることが必要でございます。ですから、多分現実には、既に従来相当なもう御努力をされてそれなりに周知になっているという実績を踏まえて申請がされるんだと思います。  私どもも、実は昨年からいろいろ外部の機関にもお願いをしまして地域のブランドについての実態調査をやっておりまして、そういう日ごろから私どもの審査官も知見を増しながら、それから実際の申請された内容を拝見して、地域ブランドの振興といいますか保護という目線に立って、この制度が十分本来意図した効果が発揮できるように、それから的確な運用がなされるようにという形で審査をしてまいりたいというふうに思っております。
  133. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 一つだけ確認をさしていただきたいと思いますが、現在、地域ブランド関係は百四十数人の審査官の皆さん。で、一年後この法が、団体商標改正されますと、審査官の皆さんは同じメンバーでございますか。それ、ちょっと確認だけして。
  134. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 基本的には今おります人数で対応してまいりますけれども、あらかじめ四月一日を予想いたしまして、昨年からいろんな、私ども内部で様々な地域ブランドの実態調査をして、その審査に当たっての知見を蓄積しているというような実態でございます。
  135. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  地域ブランドといいますと、実は農水省にも地域食品ブランドという認定制度がございまして、沖縄黒糖、黒砂糖ですね、それから草加せんべいなどが認定されております。これは地域としてとらえた場合、大変有効なブランド品なんですけれども経済産業省の地域ブランドと重なる可能性もあるわけでございます。  やはり、使い勝手とか消費者の理解度などを考えますと、変な話、一つの生産品に何種類ものシールとか表示があるのはちょっと紛らわしいんじゃないかなと思うわけでございますが、少々心配ですが、地域の元気づくりのため、いろいろと今後大臣には御活躍いただきたいと思いますし、手腕を発揮していただきたいと思います。  今、例えを出したんです。地域がこんな元気になるためのいろんな要素が国の方で、いろいろと政府の方で用意しているということで、これは大いに有効に活用していただきたい。地域には本当に元気になってほしいと思います。  経済産業省としても様々な支援策を講じている、この実態もよく分かりました。しかしながら、今言ったように、農水省があって経産省があって、特許庁絡んでいるのがありますが、地域活性化のためには、是非、縦割り行政ではなくて、連携を軸とした地域への取組をしていただきたいと存じます。  こうした点を踏まえて、大臣から御所見を伺いたいと思います。
  136. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 全くお説のとおりでありまして、今後、地域ブランドの育成におきまして、ただいま議員指摘のような点を十分踏まえて対応してまいりたいと思っております。  経済産業省でも、平成十六年度から、地域の中小企業対象としたJAPANブランド育成支援事業というのを行っておることは御承知のとおりであります。  ただいま議員が御質問いただきましたように、農林水産省におきましても、地域性のある農林水産物のブランド化に努力をしているものと承知をしております。また、国税庁でも、地域名の付いた酒類のブランド保護のために取組を行っていただいておると聞いております。  また、地域の団体商標は、この地域ブランドの振興を権利面から支援するものであります。当然、これらの関係省庁が密接に連携協力を図るべきものであります。  そこで、昨年の十月でありますが、地域団体商標制度導入に伴う関係省庁連絡協議会というのを発足させております。農林水産省では総合食料局の食品産業企画課長、財務省では国税庁の酒税課長、公取では取引課長、経済産業省では製造局の参事官あるいは地域経済産業グループの地域経済産業政策課長、特許庁の総務課長、特許庁の同じく商標課長等がこのメンバーになっております。  役所というのは、えてして、こういう協議会をつくるのは上手でありますが、実態的にその活動が活発に行われておるかということを点検してみる必要があると思いますので、本法律案成立の後に改めて関係閣僚にこのことを申し出て御協力をいただき、地域ブランドの振興を図るということを重要な柱に協議をしてまいりたいと思っております。  しかし、この地域ブランドというのは本当に大事だなと思っておりましたのは、この間、飛行機に乗っておりまして機内誌を読んでおりますと、沖縄の離島に、沖縄としての地域ブランドのラム酒を造って大変活発に活動していると。それは、廃校になったところか役場の跡地か何かを活用して活発にやっております。私は今、あと二、三日かもしれませんが沖縄担当大臣でございまして、これはすぐ注文をして一遍激励をせにゃいかぬなということをこの雑誌を見ながら思っておったんですが、今日改めて議員からこういう熱心な御指摘をいただきましたことをよく心得て、今後、地域ブランドの一層の推進に努力を傾けてまいりたいと思います。
  137. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 大臣、ありがとうございました。  時間が限られておりますので細々した点については伺えませんでしたけれども、時代のニーズをしっかりととらえて今回の改正案が提案されたと思います。地域全体をしっかりと視野に入れて、一歩も二歩も踏み込んだ地域づくりにつなげる改正になってほしいと思います。そのためには、省はもちろんですが、審査官を含めて、法案の応用範囲を広げた、生きた法案にしなくてはいけないと思っております。  是非地域の活力につながるようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  138. 加納時男

    委員長加納時男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  意匠法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  139. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、若林秀樹君から発言を求められております。これを認めます。若林秀樹君。
  140. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私は、ただいま可決されました意匠法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派並びに各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     意匠法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国産業の国際競争力強化するには、知的財産権の適切な保護が重要であることにかんがみ、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 中小企業を始め我が国産業が甚大な被害を被っている国内外における商標意匠等の侵害行為を防止するため、経済産業省は主導的に関係省庁間の連携体制を強化し、取締りのための協力に一層努めるほか、国際的な連携を図り侵害事犯発生国等に対する働きかけを更に強化すること。  二 近年、個人輸入、インターネットオークションによる模倣品流通の拡大が深刻な問題となっていることにかんがみ、これらへの対策の在り方について早急に具体的検討を行うこと。  三 本改正による権利保護強化産業活動の一層の活性化に資するよう、また、グローバルな産業活動を円滑化するため、例えば世界特許の実現を目指すなど、国際的な制度調和を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  141. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいま若林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  142. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、若林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、二階経済産業大臣から発言を求められております。これを認めます。二階経済産業大臣
  143. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいります。
  144. 加納時男

    委員長加納時男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会