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2006-04-19 第164回国会 参議院 経済・産業・雇用に関する調査会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十九日(水曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任      広野ただし君     大久保 勉君  四月十八日     辞任         補欠選任      池口 修次君     島田智哉子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         広中和歌子君     理 事                 北岡 秀二君                 南野知惠子君                 松村 祥史君                 谷  博之君                 和田ひろ子君                 浜田 昌良君     委 員                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 大久保 勉君                 島田智哉子君                 津田弥太郎君                 峰崎 直樹君                 井上 哲士君                 渕上 貞雄君    事務局側        第二特別調査室        長        富山 哲雄君    参考人        株式会社イー・        ウーマン代表取        締役社長        株式会社ユニカ        ルインターナシ        ョナル代表取締        役社長     佐々木かをり君        昭和女子大学副        学長理事    坂東眞理子君        学習院大学経済        学部教授     脇坂  明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○経済産業雇用に関する調査  (「成熟社会における経済活性化と多様化する  雇用への対応」のうち、女性雇用をめぐる課題  について)     ─────────────
  2. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ただいまから経済産業雇用に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、広野ただしさん及び池口修次さんが委員辞任され、その補欠として大久保勉さん及び島田智哉子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 経済産業雇用に関する調査を議題とし、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、女性雇用をめぐる課題について参考人からの意見聴取を行います。  本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、株式会社イー・ウーマン代表取締役社長株式会社ユニカルインターナショナル代表取締役社長佐々木かをりさん、昭和女子大学学長理事坂東眞理子さん及び学習院大学経済学部教授脇坂明さんに御出席いただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  御多用のところ本調査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、本調査会が現在調査を進めております「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、女性雇用をめぐる課題について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず佐々木参考人坂東参考人脇坂参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、午後四時ごろまで各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、佐々木参考人、お願いいたします。
  4. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) こんにちは。このような機会をいただきまして、大変光栄に存じます。イー・ウーマン及びユニカルインターナショナル代表をしております佐々木と申します。よろしくお願いいたします。  二十分ということで、私は女性雇用専門家ではございませんので、現場の体験、見てきたこと、聞いてきたこと、感じていることということを後に御質問いただくために、種まきのような形でばらばらといろいろとお話をさせていただき、できましたら、その中から皆様方が疑問に思うこと、もっと知りたいことなどを御質問していただけたらば大変幸いかと存じます。  私、一九八七年に一つ目会社ユニカルインターナショナルを二十代の半ばで設立いたしました。当時、起業という言葉もまだなかったときで、取材の方が独身の二十代の女の子が会社をつくるということが大変珍しかったようで、いろいろと新聞や雑誌の方がいらしたんですけれども、記事に書いていただくときには必ず独身女社長というのが肩書に付くような時代でした。  それから二、三年もたちますと、起業家という言葉が出てきたり、ベンチャーという言葉メディアを飾るようになりましたが、私はそのときに、自分が女社長とよく呼ばれていたのに、起業家という人とは何が違うんだろうとか、ベンチャーというのはどういう会社でうちはそういうのに属するんだろうかなんということをスタッフと話したことも覚えておりますが、大変、そういう意味では今年二十年目を迎える会社ですので、女性会社をつくるという意味では早い方だったかもしれません。  私は、そう言いながら、このユニカルインターナショナルという会社は、今でも七十言語を、多様な言語を扱う通訳や翻訳などを中心にしている会社でございますので、女だとか女性云々と言われることに特に二十代は大変抵抗を持っておりまして、なぜ一々その女という冠を付けられなくちゃいけないんだろうということを非常に感じていたわけですが、私自身が二十代の後半から三十になるにつれて、やっと仕事をまじめに取り組む、まあ会社をつくってからじゃ遅いんですけれども、そういうことを考え始めたときに、横を見てみると、実際にM字曲線と言われるように、すっぽりと三十前後の女性社会から消えていることに初めて気が付きました。  私、十五のときからアルバイトをしながら自分で学費を稼いで働いてきたという経歴なものですから、世の中の一般とは少し違うような、フリーで働いたり会社をつくったりというふうにして自活してきましたが、二十九、三十になって大学の同級生に連絡を取ってみると、一流大学を出た女性たち全員一流企業から退職をしていた。その理由結婚退職か第一子の出産でした。当然、今から十何年も前のことですから、少し状況が違うわけですが、当時は社則男性女性が同じ会社の中で結婚をすると女性退職しなければならないということを決められている会社もあり、みんな辞めておりました。そんな中で多くのメディア取材を、私にその女性女性という冠を付けて取材をしてきていることとその現実が相まって、私の中で女性が働くということを考え始めたわけです。  ニュースステーションという番組のリポーターも同時に六年間やっておりましたので、そういった立場を活用して、当時アメリカ女性起業家実態とか女性ネットワーク実態どもリポートをしに行くなどして、アメリカ現実と日本の現実を比較するという機会も持ちました。そして、八九年に、プロ意識のある女性ネットワークというノンプロフィットのものをつくり、九六年からは、後でちょっとお写真も見ていただきたいと思いますし、お手元に少し写真もお配りしているんですが、国際女性ビジネス会議という、やはりノンプロフィット女性が集まるビジネス会議をやろうということで九六年からやっておりまして、去年で十回目、千人を超える申込み、千人の着席会議を行いました。そして、二〇〇〇年にイー・ウーマンという名前で、男性もウエルカムなんですが、多くの女性が学び成長するという場を今インターネットに持っているという背景でございます。  今日、レジュメのような形で少し書かせていただいたものがお手元にあるかと存じますが、この女性雇用に関してはもう山ほど課題があるかと思うんですが、大きく分けて、制度の面、意識の面、情報の面というのがあるかなと、ちょっとこの分け方が正しいかどうか分かりませんが、ちょっとざっくりとこういう分け方をしてみました。(資料映写)  一つ制度の面という意味では、この十五年、二十年、私が会社を設立してからも随分良くなってきていると思いますし、実際この十年、二十年で女性雇用や活躍の度合いは増してきたと思っております。  ただ、例えば国の持っている制度の中の育児休暇に関しましても、これは取らなければならないわけではなくて、取りやすくあるべきであるというまず視点に立たなくてはならないと思います。以前、私がこういったことで、育児仕事のようなことで講演の御依頼をお受けしたことがありますが、講演一か月前ぐらいにキャンセルというお電話がありました。そのときの、厚生省でしょうか、何か、その省庁から御連絡があって、何でキャンセルですかと言ったら、よく調べたら、佐々木さんは育児休暇を取っていなかったので、不適切なのでキャンセルさせてくれという御依頼がありました。私は、そういうキャンセル電話を受けて初めて若干この法律背景に疑問を持ったりもしました。つまり、取ってもよくて取らなくてもよくて、取ることだけを目的にしなくてもいいんじゃないかなとちょっとそのときは思った次第ですが。  それはさておき、今、お手元の紙に書かせていただいたのは、男性も同時にというふうに書きましたが、今の法律では、男性女性が別々に取らなくてはならないということになっております。しかし、現実問題、子育ての面白さや家族の形成、今、家族が崩壊して、学校まで、教育まで悪くなっていると言われますが、家族の一番スタート子供を交えての家族の一番スタートの初めのところで、実は男性女性が、父親と母親が同時に子供の成長を見守るというのは大変重要ではないかと思っておりまして、当然賃金どうする云々という形があるんですが、考え方として、今のような男性女性かどっちかが取ると、仮に男性が取るといったときには女性は働き続けなければならないので、逆転してくるだけの話なので、ここが男性女性、せめて一か月でも二か月でも同時に取れるというふうになっていくべきではないかなと思っています。同時に、専業主婦が、奥様が専業主婦だと取れない、男性は取れないということになっていますが、これも家庭の中でお母様が様々小さなおうちの中で苦しんでいる様子を考えますと、ここでやはり男性会社を休めるという制度に変えていく必要があるだろうと思っております。  企業ができることの中には、私はこの親業休暇進学休暇ライフバランス休暇と書いたのは、イー・ウーマン社則の一部でございます。イー・ウーマンにはユニークな制度が幾つかあります。私がイー・ウーマンでもユニカルでも一番先に子供を産んだということがあり、私の経験が社則にどんどん反映されていくと、この辺が小さなオーナーベンチャー企業の良さではあるかと思うんですが。  親業休暇というのは、子供の異変を感じたとき、つまりいじめに遭っているとか、ちょっと勉強で落ち込んでいるとか、何かそばにいてあげる時間がもっとあったらいいのにと思ったときに、親が追加で休める休暇です。  進学休暇というのは、小学校に入学するとか中学校に入学する、高校に入学する、大学に入学するなどの、学校一つ上のステップに行く前後の二年間で追加休暇が取れるというシステムです。これは、私の、今、下の子が今年小学校一年生になりましたが、やはり保育園卒園から小学校一年というのは学校に行く機会も非常に多いですし、こういったものが必要だろうということです。  ワークライフバランス休暇に関しても似たようなもので、これは時間外の労働に関して、もちろん時間外手当を付けるわけですが、それだけでなく、もしも疲れたときにはそれに見合って自分休暇を時間単位で取っていけるというものでございます。そんなものは企業でいろいろとできるのかなと思っています。  学童のボランティアというのは、これも企業でできるのではないかと思っているんですが、企業がやはり男性地域に、教育現場に行かせるということをしていく必要があるだろうと思っておりまして、こういった意味で、例えば学童保育企業が全社員を、子供があるなしにかかわらず、例えば一年間に三時間でいいので、地元の学童保育現場で三時間ボランティアする。多分これは企業にとってはそんなに大きなデメリットがないと思いますが、独身も含めて、地域でどうなっているのか、子供って今どんなふうに過ごしているのかが見れる、そして同時に学童人手不足も解消するというようなことかと思います。  制度の面ではもう一つ企業側はやはり今雇用するということでは平等と言い始めましたが、昇進に関してはまだ不平等が多く残っておりますので、研修の充実。これがまだ、女性には研修があてがわれていないとか、回数が少ないとか、女性もいいと言い始めましたと言いますが、行ってみると男性百人に女性一人とか、そういったものがたくさんございます。昇進とか研修制度をきちっと導入していただきたいということ。  ベビーシッター割引券というのは、ちょっとここに皮算用しているんですが、これが従業員のみに対象になっております。今女性は、まあ個人事業主はこれ大丈夫そうなんですが、私のように、あるいは私どものように、小さな会社を設立し、女同士でみんなが、あなたが社長、あなたが役員なんてやっていますと、実はこれが自立かと思ったらば、保育園に入りにくいわ、こういったベビーシッター手当は一切受けられなくなります。従業員だけがメリットを受けられて、自分たち雇用主になった途端に全く受けられない。つまり、私は本来だったらば多分三百六十万円掛ける二人分の七百二十万円もらえてもよかったお金がもらえなかったということになりますが、そういう意味ではこういう制度も別に従業員に限らなくてもよいのではないかと。女性起業家が増えていくかもしれないということも考えると、それがまた一つの働き方と考えると、制度面での改革というのが、弱い女という立場だけでなく、様々な面でカバーされるのがよいと思っております。  二つ目が、意識の面でございます。  意識という意味では、男性意識改革の場合と、それから女性やる気を起こすという意識改革と、これ両方があると思います。企業経営側立場に立つと、私もそうですが、女性をたくさん採用したいという気持ちもありますし、どんな年齢でも、今まで主婦で全然働いてないといっても、私ども会社は書類の審査で切るということはなく、皆さんに試験を受けていただいたり面接の機会を与えておりますが、残念ながらビジネスとして私たちがチームメートに迎え入れられるかというと、迎え入れられないという人たちが多いわけです。中には技術が高そうだけれども、全く会話が進まないとか、あるいはもう何を言ってもはい、はい、はいしか言わなくて、テストの点がこんなにいいのにこの人は一体社会に出てからどんな環境で今まで仕事をしてきたんだろうという具合な人がいらっしゃいます。こういったことを考えますと、意識を上げていく、女性男性もということが大変重要だろうと思っています。  女性の場合は先輩がいないということが考えられます。今ちょっと画面をここにうっすらと映させていただいたのは、国際女性ビジネス会議という、九六年からノンプロフィットで私がやらせていただいているビジネス会議です。これお手元資料にもございますけれども、千人以上の方が毎年お申込みになります。着席なので私どもが指定して、去年は千人というふうにやって、千人で切るわけですが、お手元資料の中にも参加申込み理由を聞いているところがございますが、向上心のある人に会ってネットワークをしたいとか、女性ビジネス会議興味があるという回答が断トツでございまして、約半数以上の方々参加理由向上心のある人に会いたい、ネットワークをしたい、女性ビジネス会議興味があるというふうにお答えになっています。これどういうことかと申しますと、女性がまだ、パイは大きくなってきているものの、なかなかメンターと言われるような向上心の強いいい先輩事例に会えないということで、こういう会議やる気のある人たち全国から集まってきて、互いに刺激を与え合います。  この会議先着順で、男性も参加できます。毎年やっているんですが、あっという間に席が埋まるわけですけれども、十年間全く組織化せずに受け入れていて、九八%の満足度を十回獲得している大変高度なものですが、この会議に参加している方のやはりアンケートで、これだけ年収もあり、年収が大体六百五十万くらいの平均収入です、の中で、みんな向上心があり、全国から自費で飛行機に乗って参加するのにもかかわらず部下がいないという人が五一・三%です。企業の中でこの人たちがどういう地位に就いているのかということを計り知ることができるかと思います。  イー・ウーマンのサイトはきっとごらんになったことがないんじゃないかと思うんですが、是非見ていただきたいと思うんですが、このイー・ウーマンはアイ・ステートメントで語るということを主体にしてサーベイをやってきております。六ジャンル、政治から経済から教育から六ジャンルを毎日展開しておりますが、ここに自分、私という主語で物を語って投稿をしていただくということをしてきております。  全国から毎日たくさんの投稿があり、専門家方々毎日インターネット上でディスカッションをしていくという、千九百テーマが検索できる非常にいい知恵のデータベースになっているかと思いますが、これも、女性意識を向上するあるいは男性意識を向上する一つのポイントだと思っております。つまり、うわさ話をしたりするのではなく、自分主語にしてきちっと物を語るということができるということです。  ちょっと短いので意味がよく分からないということかもしれませんが、ちょっとはしょりながらお話しします。  そして、意識の面ではもう一つ経営側意識改革がございます。  今、女性雇用というときに、例えば、団塊の世代が退職するぞ、労働者がいなくなっているぞというときに、女の獲得をしようと、女性という頭数雇用という意味を考えていらっしゃる方が多いんですが、もう逆に言うとそれでは遅過ぎて、経営に、あるいはブレーンとして女性を活用するという時代になってきているのであって、頭数として女の人をカウントしていると企業がこれからは成長し切れないのではないかと思っているということです。  最後に、三つ目情報の面というところからで、ネガティブからポジティブへということを書かせていただきました。  これは、今多くの、この女性の活用とか子育て仕事とかというテーマですと、情報が大変ネガティブなものが多いというのが私の感想です。つまり、保育園が足りないとか、お母さん、こんなに大変とかですね。私も子供を産みますと、多くの方にどうやって両立しているんですか、大変ですねと言われます。うらやましいわとかすてきねと言われるよりも、大変ですね、両立はどうやっているんですかと聞かれることが多い。私はこれは洗脳だと思っておりまして、百回も大変ですねと言われると大変な気がしてくる、両立はどうしているんですかと言われていると両立していないような気がしてくるということです。私は両立という言葉自分の辞書から消したとよく講演させてもらうんですが、ポジティブな情報を流すと。  つまり、今週のイー・ウーマンでもちょうどワーク・ライフバランスについてディスカッションがなされていて、大変いいディスカッションが行われています、各企業事例がどんどん挙がってきておりますが。良い会社を紹介するとか、活躍している女性を紹介するとか、保育の楽しさ、子育ての楽しさを紹介するとか、そういった情報が余りに少ないと思います。  お手元資料の中にイー・ウーマン調査の中で、子供を持つことがあなたの仕事影響を与えましたかという質問をしているものがあります、これ去年の十二月に聞いたものですが。  子供がいない人は、イー・ウーマンで千人以上回答してくれたこれは実際の調査ですが、個人情報までちゃんと分かっている調査ですが、子供を産みたいですかというと七割の方がイエスと言います。今子供がいない人で働いている女性です。七割が子供を産みたいと答えました。  パートナーは、三百万円の年収子育てに熱心な人と一千万円の年収子育てには非協力的な人とどちらがいいですかと聞くと、六二%が三百万円の年収でいいから子育てに関心のある男性結婚したいと言っております。  そして、その女性たちに、子供のいない人たちに、でも、子供が欲しいと言っているけれども仕事にはどんな影響があると思いますかというと、彼らは、プラス影響といった人は三八%、マイナス影響といった人が五五%になります。しかし、実際に子供のいるワーキングマザーに聞いてみると、そのデータを取ってみると、子育て仕事にまでプラス影響をしたのだと言っている人が五六・二%もいます。つまり、実際に育てている人はプラスの効果を感じているのに、メディアに流れてくる情報は非常にマイナスが多いということです。  こういったことから、私はもう少しポジティブな情報が出てもいいのではないかなと思っているということです。  最後に、大学の総代は今女性が占めていると、大学ではみんな女性が優秀だというふうに聞いておりますが、やはり社会に出るとどうしても男性優位になる。やはりここは、少し考えてみると、研修や育て方、環境がうまくいってないということのあかしではないかと思いますが、私は常々、男女平等という観点ではないアプローチをした方がいいだろうと思っておりまして、私は違う役回りをしています。  それは、つまり、男女平等と言われて抵抗を持つ男性方あるいは企業に、女性をただ雇え雇えと言われても抵抗のある企業方々に、女の人を雇った方がもうかりますよとか、女の人を上手に企業経営に参画させた方がいい商品が誕生しますよとか、そういった彼らの言語で、彼らが分かりやすいようにアプローチするのが重要だと思っております。  アメリカで一九九〇年ごろ私が様々な会議に出たときに、アメリカでは一九九〇年に、十年後の二〇〇〇年には女性起業家の数が、中小企業女性社長の数が中小企業の五〇%を超えるという発表をいたしました。十年後ということで、九〇年に発表しました。そのときに何が起きたかというと、金融界が動きました。銀行が今まで女性起業家にはローンを出さないと言っていたんですが、十年後にお客の半分以上が女になってしまうんだったら出さなくては商売成り立たないということで、九〇年以降、女性起業家の集まるシンポジウムにたくさんの銀行がスポンサーとして名を連ねるようになりました。これも非常に大きな変化だったと思います。実際に、アメリカでは今八百万人以上の女性経営者がいて、中小企業の半分以上が女性経営者になりました。  こういったデータも含めて、ただ平等という面ではなく、経済活性化という側面から促していけたらば雇用がもっと増えていくのではないかなというふうに思っております。  二十分です。以上です。  ありがとうございました。
  5. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  それでは、次に坂東参考人、お願いいたします。
  6. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) 坂東でございます。  今まで政府で働いておりましたので、政府参考人として発言させていただく機会は多かったんですけれども、今回初めて参考人としてこの女性雇用をめぐる課題について話をする機会を与えていただいて、心から御礼申し上げます。  今年は雇用機会均等法が施行されてから二十年、実は、人材派遣法からも二十年なんですけれども、そうした法律の変化、あるいは経済の高度化、国際化、情報化等々によりまして、各分野に女性が進出しております。  二十年前と比べれば、あるいは一世代前と比べれば、現在の日本の女性たちは大変いろいろな分野で、経済の分野でも特に力を発揮しているなということははっきりしているんですが、日本の過去と比較しますとそれなりに進歩してきているなと思うんですけれども、他の国々、他の社会等と比較してみますと、まだ日本は十分に女性たちは能力を発揮していないなというのが総合的な評価であろうと思いますし、そのために今どういう課題があるのか、そして今回は、例えば女性自身の意識改革が必要であるとか男性パートナーの協力が必要であるとかという個人のレベルの問題、あるいは企業のレベルで、企業がそれぞれの社内で女性の登用に努めなければならない、あるいは女性たち仕事子育て両立できるような取組をしてほしいということは当然ですが、特にこういう、参議院で機会を与えていただきましたので、特に政策的にどうした取組をしていただきたいかということを中心に話をさせていただきたいと思います。  まず、現在の女性雇用をめぐる課題ですが、私のレジュメの最初のところに書いてございますように、また、先ほど佐々木参考人が強調されましたように、いまだに日本の女性雇用を考えるときには、M字型雇用女性仕事子育て、まあ結婚はもう最近大変少なくなったんですけれども子育てのために辞めるという状況は残っております。  これに対しましては育児休業法、これは、九一年に制定されましてから、二回の改正を経まして大変充実強化されているにもかかわらず、その育児休業を取ることができている女性雇用者はまだ七〇・六%、そして、法律では男女ともに取れることになっているんですけれども男性でこの育児休業を取得している人は〇・五六%という状況です。しかもこれは、雇用を続けている人、働いている人で、それ以前に、もう妊娠の段階で、あるいは出産の段階で仕事を辞めているという人もたくさんおりまして、第一子が生まれる際に約三分の二の女性雇用者が仕事を辞めているというのが実情です。  ですから、今、お手元資料二のところに書いてありますように、一番末の子供が三歳未満の場合は女性の七二%が無業であるという状況です。そして、それが三歳から六歳になりますと五六%、六歳から八歳で四五%というふうに、子供が成長するに従ってだんだんまた労働市場に戻ってくるわけですけれども、依然として子育てのための休業というのは大きな課題になっておりまして、特に日本の場合課題なのは、今大変日本型雇用が変わり始めてきておりますけれども、多くの日本の企業においては終身雇用、年功的な処遇を基本として、そして長く勤めてくれる正社員の人に対しては教育訓練を行う、人材として育てるけれども、一時的に働く人たちに対しては十分な人材投資をしない、人材としてみなさない、教育投資をしないということで、企業の中で十分に育っていくことができないという大きな日本的な特色があります。ですから、それが結果としましては課題に、管理職、経営者の少なさということにつながっております。  今、この管理職、経営者も大変増えてはいるんですけれども資料三にございますように、係長レベルですとやっと二けた、一一%にまで伸びてきております。それも、佐々木参考人がおっしゃったように、部下のいない係長ですとか部下のいない課長レベルというのも含めての数字ですけれども、係長レベルで一一%、課長レベルで五%、部長レベルで二・七%です。  さらに、一部、二部、上場会社の取締役で女性の占める割合というのは〇・七%です。しかも、そのうちの約三分の一は創業者、オーナーのファミリー、そして三分の一は社外取締役、中から本当にプロパーで取締役になっていらっしゃる方というのはその三分の一という状況で、管理職、経営者になっていらっしゃる方は本当にまだまだ少ないなというのが現実です。  これは、それこそ、先ほど申しましたように、日本におきましては、例えば昔は、九四年には係長さんさえ六・四%だったのに比べて、おお、二倍になっているという世界なんですが、外国と比較してみますと、アメリカは大体四五・九%、まあかなり多いんですけれども、ヨーロッパの国々は大体三分の一、三〇%から三六%ほどの間に散らばっております。  私が内閣府で男女共同参画局長をさせていただいておりましたときに、二〇二〇年までにあらゆる分野の指導的な地位に占める女性の割合を三〇%という数値目標を出して、それはちょっと余りにも高過ぎるんではないかとおしかりを受けたんですけれども、三〇%、三割程度いろいろな分野で活躍する女性がいるというのは、少なくともヨーロッパでは常識、アメリカでは半分近くになってきている。  しかし、日本の場合は、まず勤続が難しいということの中で十分な人材養成が行われていないということ等々で、大変管理職、経営者が少なくなっております。これに対しては、最近特に企業業績が回復して雇用がタイトになってきたということも追い風になっておりますし、均等法二十年の影響もあると思いますが、先進的な企業ではポジティブアクションあるいはアファーマティブアクション、社内の女性を活用しなければ損だという気分が高まってきまして、IBM等々の外資系の企業だけではなしに、日本の製造業の企業でも女性の登用に取り組むことが始まっております。  ですから、これは企業の方たちの努力、女性たちに特別な研修教育機会を与えるとか、あるいは先輩がメンターとして相談に乗るとか社内の女性同士のネットワークをつくるとか、いろいろな対応があり得るだろうと思いますが、そうした光の面に対しまして、女性雇用で見逃してはならないのは、課題Ⅲ、非正社員が大変な勢いで増えているということです。失われた十年、十五年の間、日本企業は大変苦しんで、特に過剰と言われた雇用量の削減に取り組んだわけですけれども、そのしわ寄せが非正社員の増加という形で入っております。  ですから、資料五のところにございますように、今正規の雇用者、女性の中で正規の雇用者になれたのは四五%、そしてパート、アルバイトが四一%、嘱託五%、派遣社員四%というふうに、合わせていきますと、過半数の女性雇用者は非正社員でございます。派遣、契約、パート、アルバイト、そうした大変労働条件の悪い働き方をしております。この結果、日本の企業は業績を回復したと言っても過言ではないだろうと思いますが、男性の正社員は残しておいて、その人たちには、週六十時間以上ですとかあるいはサービス残業ですとか、いろいろな形で働いてもらい、そして周辺的な業務については女性をできるだけ安く働いてもらうという形が急激に進んでおります。  これは、対応策、ちょっと後でまた述べさせていただきたいと思いますが、特にパートの時間給が、今雇用が回復してきましたので九百円台に乗った、一時間当たりの時間給が九百円台に乗ったというふうに言われておりますけれども、派遣の方たちも千五百円から二千円なんですが、この、先ほど申しましたが、二十年間たつわけですが、人材派遣業法が制定されてから二十年たつわけですけれども、業種はどんどん拡大してきておりますが、その中で、実際に働いている人たちのいわゆる手取りと、その雇っている、現在その仕事をしてもらっている派遣先の企業が払っている金額のギャップ、格差、これは大変大きなものがあります。ところが、実はその間のコストの格差についての情報が開示されておりません。  ですから、どの程度その人材派遣業の会社が必要な投資をしていらっしゃるのか、それともかなり間で収益を上げていらっしゃるかということについての対応を是非国会でも真剣に御検討いただければと思っております。  課題Ⅳは、だんだん時間が過ぎていきますが、課題Ⅳでございますが、女性たちの場合は、いわゆる管理職が少ないことのほかに、高度の専門職が、それこそ増えたとはいうものの、まだ十分ではありません。  資料六にありますが、まあ弁護士さん辺りはもう一二、三%、医師も一三%を超えるというような状況で、特に医師、弁護士等々には若い方たちが今どんどん進出してきておりますので、かなり文化系の高度専門職の方は今後女性が増えていくのではないかと予測されますけれども、いまだに理工系、科学系については女性たちの進出が十分ではないと。女性でも苦手意識を持つ人というのは若いうちでも多いわけですけれども、是非、数は少ないにしろ、ギフティド、才能のある女性たちがもっと意欲を持って技術系、理科系に進出できるように奨励をするということが今後更に大事になってくるのではないかと。  日本の女性教育水準は大変高くて、四八%以上の人が短大、大学部に進出し、八%以上の女性大学院に進出するというふうに、全体の水準は高いんですけれども、専攻分野がいまだに人文系、教養系ということに偏っていて、十分に社会で職業に就くために役に立つような分野が少ないというのが大きな課題になっております。  さらに、課題Ⅴは、先ほどの非正社員、パートの方たちの問題に直接結び付くんですが、配偶者特別控除、あるいは社会保険の、厚生年金の三号被保険者の問題、あるいは企業が出しております家族手当あるいは住宅手当、そういったようなものが大体この百三万円の配偶者特別控除に横並びになっているというふうなことが影響して、パートで働いている人たちの収入のほとんどは百万円以下、九十万円から百万円の間に集中しております。  そしてまた、先ほど派遣が大変伸びていると申しましたけれども、派遣で働いている方たち年収は約二百万円前後。お手元資料十の下のグラフを見ていただければと思うんですけれども女性の六五%、三分の二が年収三百万円以下です。ベストセラーで年収三百万円の暮らしなどというのがありましたけれども男性年収三百万円以下という方は一八・七%、これは民間企業で働いている方たちです、であって、七百万円以上取っている女性年収です、年収を七百万円以上取っていらっしゃる方は三・三%にすぎないというような状況を見ますと、両立ができない、管理職、経営者が少ない、高度の専門職が少ない、そして非正社員が大変多いということが大きな賃金格差、所得格差を生んでいると言わざるを得ないと思います。  ちなみに、女性の正規社員と男性の正規社員を比べますと、だんだんその差は縮まってきて六七%、約三分の二ですが、女性の正社員と女性のパートタイマーを比較しますとまた三分の二ということになりますので、男性の一般正社員と女性のパートタイマーを比較しますと九分の四、四五%というのが実情でございます。  ですから、こうした課題に是非対応策を講じていただきたいと心からお願いをするわけですが、対応策一、二、三で挙げましたのは、子育てとの両立育児休業だけではなしに、育児時間の普及が大変重要であろうと。女性が妊娠、出産のときに三分の二辞めると申しましたが、その後、育休明け、それから小学校入学のときにも辞めるというふうに言われております。そうした時期に対応するような御配慮を是非お願いをしたいということです。  保育所の充実に関しては、待機児童ゼロ作戦等々で今二百万人に定員が増え、大変こちらの方は充実が進んでおりますが、この待機児童がむしろ目立ち始めておりますのが放課後健全児童育成、いわゆる学童保育ですけれども、これが子供をねらった犯罪の増加等々によりまして大変ニーズが増えているにもかかわらず、この分野については厚生省と文部科学省の施策のすき間ということもこれあり、更なる対策が必要とされております。  また、四、五、六、七につきましては、職場でより弾力的な働き方が可能になるようなサポートが大変必要であろうと。ワーク・ライフバランスですとか、あるいはファミリーフレンドリーとかというふうなことが掛け声としては大変いろいろなところで叫ばれておりますが、現実には正社員の数を減らしてパートの人たち仕事をしてもらう、そして残った正社員に対しては、特に子供を持つ年齢の父親たちが週六十時間以上の就業ですとかあるいはサービス残業とかというようなことが一般に行われている。これは事後規制が非常に甘いのではないか。労働基準局が十分にそうした実態についてチェックするだけの体制が取られていない。  そのためには、働いている人たち自身がそこらに対する問題意識を持つという御意見もおありでしょうけれども、この事後チェック体制も含めて、企業のコンプライアンス、法律遵守という体制はまだ十分ではないのではないかなと思いますし、パートの方たちの中でも、週三十五時間以下という短時間労働だけではなしに、長時間労働をしている人たちも大変増えている中で、処遇だけはパート並み、身分によって大変低いまま放置されているという部分を何とかしなければならないのではないかなというふうに考えております。  時間が来ておりますので、少ししり切れトンボになりますが、家事・育児サービスの充実ですとか、あるいは技術革新等々で負担を少なくするというふうに、経済に期待される分野も大変大きゅうございます。新しい需要、新しい産業がこの分野から生まれてくるだろうとは思いますけれども、やっぱりそのためにも法律制度としてしっかりとした枠組みを対応していただくということが大変重要ではないかなと思っております。  どうもありがとうございました。
  7. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  それでは、次に脇坂参考人、お願いいたします。
  8. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 学習院大学脇坂でございます。  私は、アカデミックに女性雇用女性労働に関してだけ三十年間研究してきた人間でありますが、当時、三十年前ぐらいで男性で、女性問題は大体女性研究者がやるんですが、当時は非常に珍しい存在でした。最近は男性でも女性雇用をするんですが。それで、時々によってテーマはいろんなことをやってきたんですが。  パワーポイントを使って説明させていただきます。(資料映写)  現在、私が考えております重要な四つのポイントは、ここに、パワーポイントに挙げた四つだと思っています。  お二人の参考人からもよく出てきましたように、ワーク・ライフバランス仕事とあと生活の両立ということで、いろんな企業でそういう施策をやっている、それが一番目。二番目は、女性の再就職、M字型、ここでの再雇用といった問題。それからパート能力開発。ちょっと女性に関係ないようですけれども、僕は間接的に大きく関係あると思っているんですけれども、職業能力評価制度。それぞれ私なりの考えがあるんですが、ちょっと時間の関係もありまして、焦点を絞るために一番目のワーク・ライフバランス、特にそのワーク・ライフバランスがなぜ、これ企業戦略と考えられますから、ワーク・ライフバランス施策と企業の生産性とか業績とか、こういった関連の、これはよく企業の人事の方とか、あるいは労働組合の幹部の方とか、その関係はどうなっているのか、よく聞かれますし、それから海外の研究もこういったテーマが爆発的に増えてきました。ということで、今日はそういうデータが手に入りましたので、それのちょっと研究の一環をここで紹介してみたいというふうに思います。  それで、ファミリーフレンドリー企業といった、ファミリーフレンドリー企業というのはどういうものかというと、単に従業員のニーズだけでなくて、そういう育児休業とか育児短時間勤務を入れることが人材確保につながったり能力発揮につながって、簡単に言うと、先ほどの佐々木参考人もおっしゃいましたように、もうかる、企業がもうかる、長期的にはもうかるという戦略であります。それは、男性だけで、専業主婦のいる男性だけで従業員が成り立つよりも、いろんなタイプのキャリアを持っていた人がいた方が企業にとって生産性が上がると。ここもダイバーシティー、多様性、ダイバーシティーマネジメントと言うんですが、そういったものとも大きく関連します。  用語の説明を何にもやってないんですが、これも研究者によって違うんですが、ダイバーシティーというのが僕は一番広い概念だと思ってまして、いろんな人種を雇う、いろんなキャリアの人を雇う、その中にワーク・ライフバランスがあって、ワーク・ライフバランスの中に、これからちょっと中心になりますファミリーフレンドリー、これが、ファミフレ、ファミフレと略しているんですが、そのファミフレと、独身者にとって生活とのバランス、こういったものが入るというふうに思います。  それで、なぜそういうファミリーフレンドリー施策が重要かというと、先ほど坂東参考人からもお話がありましたけれども子供を産んだ後、継続して就業する人の割合というのは増えてないんですね、むしろ減りぎみといいますか、二〇%から二五%であるというのがこのデータから分かると思います。増えてはないんです、決して。  ただ、育児休業利用者は非常に増えていまして、だから、二割から二五%のうちの育児休業を利用する人が増えたというにすぎないわけでありますね。今まで育児休業を取らずに頑張っていた女性の代わりに、雇用保険から四〇%はお金が出るとかいうことで増えてきたと。そうすると、大半の、八割とか七五%の女性、出産を契機に辞めてしまう。でも、その人たちのアンケートを取ってみると、職場がもっと働きやすい、出産しても続けることが可能であれば働き続けたかったというのがやっぱり圧倒的に多いわけです。そうすると、先ほど言いました、ファミリーフレンドリー、ワーク・ライフバランスの職場に変わっていけばまだまだその可能性はあるということであります。  問題は、そういった女性が出産して子供を持って働き続ける職場、そういうふうなキャリアを持った女性を多く抱えたときに、企業は本当にもうかるかと、生産性が上がるかと、落ちるんじゃないかと、業績が下がるんじゃないかと、こういうことであります。これが非常に、人事の人も労働組合の人も研究者も非常に興味のあるところであります。  それでちょっと行きますけれども、そのとき、こういう図をよく僕使うんですけれども企業の戦略ですから、均等度、男女の均等が進むということとファミリーフレンドリーの度合いが進むということとは私は違うというふうに思っていまして、こういうマトリックス、四つの象限が作れると。均等度は高いけれどもファミフレ度が低いとか、女性男性並みに働いているような第四象限にある企業、あるいは男女全然別々なんだけれども女性育児休業を取って働き続けることができる第二象限とか、また第一象限、第三象限、どっちも高い、どっちも低い。こういったそれぞれの企業のタイプが実を言うとあります。  この観点で見ていく必要があるということを前から思っていまして、ここに書かれているのは僕の予想だったんですけれども、こういったことのデータがやっと手に入りました。それは、ここに、二〇〇五年にニッセイ基礎研究所がやったデータでありまして、これも僕が研究会の委員になって、有効回答四百四十六社しかないんですが、初めて企業の業績、財務諸表からの業績とか、それと雇用管理、いろんな雇用管理制度があるかどうか、育児休業を取っている、育児休業制度があるかどうかとか、いろんな制度を設けてですが、それから男女の均等、本当に女性管理職は何人いるかとか、そういうデータを作りました。  このデータによって、そこに書いています均等度、ちょっと専門的になっちゃいますけれども、均等度はこの八項目から作り、それからファミフレ度は女性既婚者比率とか、出産しても何人ぐらいの人が継続するかとか、それぞれのいろんなファミリーフレンドリーの制度があるかないかというデータで均等度とファミフレ度を作りました。  それで、業績です。業績もいろんな業績を取りました。主観的、その会社の人がどう思っているかという、同業他社に比べた生産性が高いかどうかとかいう主観的な業績と、それと実際の財務データを取って、アンケートした会社の財務諸表を調べて、十数年のデータを取って業績と。先ほど言いました、つまり女性活用とかファミリーフレンドリーの関係と会社の業績はどうなっているのかということ、これを調べてみました。  結果が、これは均等度、ファミフレ度のものは、これは平均値で第一象限、第二象限、第三象限、第四象限分けたんですけれども、大体その予想どおりの形になって、問題は業績です。業績がこれ、この辺の主観的な業績が必ずしもそんなに四つの象限で差が出なかったということです。しかしながら、このデータは、ここの財務データ、均等度もファミフレ度も高いところは売上げはそんなに変わらないんです。むしろ均等度もファミフレ度も低い企業が売上げが高いんですが、企業にとって一番重要な指標としている経常利益、一人当たり経常利益は断然、均等度もファミフレ度も高い結果が表れて、その他の三つの象限よりも低いという、非常にこの結果が出たときはうれしかったんですけれども、論理的には二つあるわけですね。  均等度、ファミフレ度を高めると、なおさら企業にとってコストになって業績が落ちる、生産性が落ちるという考え方と、でも、いいいろんなキャリアを持った女性も、有能な女性従業員に抱えて業績が上がるという両方の考え方があるわけですけれども、少なくとも経常利益に関して言うと、非常に何といいますか、均等もファミフレも高い企業ほど経常利益は高い。それで、それ以外の、これ、売上げ増加率はやっぱり駄目なんですけれども、むしろ均等度、ファミフレ度高い、売上げ増加率は駄目なんですけれども、経常利益変化率はこれ非常に高い、第一象限が高い。均等度もファミフレ度も伸びている。均等度もファミフレ度も高い企業ほど伸びているということがこのデータから分かりました。  それから、これも一人当たりの経常利益変化額、絶対値なんですが、これでも高い。非常にとにかく、経常利益という企業にとって一番重要な利益の指標が、現在でもそうですし、過去の変化でも均等度、ファミフレ度の高い企業ほど伸びているということが分かりました。  それで、一応個別に、いつそういうファミリーフレンドリーの制度を導入したかも聞いていますので、あるいは均等施策導入したか聞いていますので、仮説は、古く入れた方が業績指標が高いという仮説をしたんですが、これはなかなかうまく出ませんでした。ちょっと推計の方法にも問題があったんですけれども、必ずしもここはうまく出ませんでした。  あと、労働組合の効果なんですが、これは僕、過去もこういう研究をやっているんですが、大体すべて、今回の研究結果もそうだった。労働組合はファミフレ度を高めるんです。労働組合のある企業労働組合のない企業にとっていろんなファミリーフレンドリーな制度、ところが均等度は低めるんですね。普通にやっちゃうと均等度は低めると。労働組合のある企業ほど均等じゃないという。  あと、しかしながら、さっきちょっと言いました第一象限、均等度もファミフレ度も高い企業は大体労働組合がありまして、それは非常にやっぱり効果を持っているということが分かりました。  これまでの研究結果を、このワーク・ライフバランス研究が海外でも非常に増加、日本でも少しずつ増えているんですが、データによる限界というのがありまして、だから、ファミリーフレンドリー施策とかワーク・ライフバランスを充実させたから業績が上がったのか、業績の良い会社だからワーク・ライフバランス施策を充実できるか、この因果関係がやっぱりはっきりしないわけです。  ところが、我々が先ほど使ったニッセイデータでは、十数年分のデータ、いわゆるパネルデータ、ある企業をずっと追っていくというデータですので、それが一応因果関係が分かるわけです。これは日本でもある意味では初めての研究で、その同じ研究会のメンバーの阿部、黒澤という研究者の研究結果によると、育児休業制度とか育児短時間勤務制度を入れた企業は、短期的には売上げを始めちょっとパフォーマンスが下がるんです。でも、長期的に経常利益とか雇用とか売上げが上がっていると、そういう研究結果が分かっております。ですから、今度我々がやった研究では、ワーク・ライフバランスを充実させると長期的に業績が上がるということが示せたということに一応なっております。  こういう話と政策との関係であります。もし、こういうふうに長期的に均等にしてファミリーフレンドリーの施策をどんどん企業が入れればもうかるのであれば、政策的に別に何にも介入しなくてもいいわけです。それは一生懸命企業に啓蒙、啓蒙といいますか、啓発して、もうかりますよと言う。ところが、なかなかそれは実際うまくいかないわけでありまして、やっぱり二つの問題がありまして、企業のトップが幾ら思っていても、むしろトップの意向というのは非常に重要なんですが、やっぱりやり方が、職場レベルで実際に何か均等に、均等施策をやっていく、女性の部長とか課長を三人から五人つくっていくとか、あるいは既婚の女性子供のいる女性を重要なポストに就けていくと、これやり方がはっきり分かっていないということがあります。  それともう一つは、僕のこれまでのいろんな職場での調査から見ますと、やっぱり法律とかそういうものがあった方が、いろいろやっぱり職場で何か変えようというときに、職場が非常にやっぱりもめるといいますか、もめるんですね。でも、これ法律で決まっているとか、こういう政府の補助金、こういうことをやったらいいというものがあったらやっぱり非常に動きやすいというふうに、よくまじめにやっている、そういう均等施策、ファミリーフレンドリー施策をやっている企業はそういうふうに言われます。そういう意味では、法律の効果あるいは政府の公共部門の介入の効果はあると思います。でも、余りに規制すると企業の持ち味というのはやっぱり、企業がフレキシブルに対応するということを損なわないようにしなければならない。  最初言いました具体的な、具体的な職場でどうすれば本当に均等施策、ファミフレ施策というのが有効に根付いていくのかと、それをやっぱり言わないと駄目だなというふうに思っていまして、私は、基本的にはポイントは、少なくとも、このファミリーフレンドリー施策の中心である育児休業の利用者がいても十分対応できるということと、育児短時間勤務を始めとして、別に育児、介護によらず、短時間勤務の人が、従業員が増えてきても十分対応できる道筋をやっぱり研究しないといけないということでそういう研究もずっとやっていまして、これ最近の内閣府の調査で、管理職に対する調査で、部下に育児休業の利用者がいたとき、その人の休業の仕事、休業した人の仕事はだれがやったかという、これ代替要員問題というんですけれども、これはやっぱり非常に重要なんです。  いろんな調査見ても、育児休業がなかなか普及しない理由として、男性でも六割ぐらいの人が育児休業取りたいと言っているんです。でも、やっぱりその取れない理由は、自分が抜けた後職場どうするんだという、これ代替要員問題というのは非常に重要なんで、これ管理職の調査で見て、じゃ仕事をだれが引き継いでいるかを見ると、新卒とかパートとか派遣はそんなに多くないんですね。圧倒的に多いのは職場の複数の正社員、職場の複数の正社員というのがやっぱり多いわけです。  簡単に言いますと、その人の仕事、休業を取った人の仕事を分割して、ある部分はだれかに、ある部分はだれかに、こういうふうに僕が実際に、まあ数少ないですけれども、十ぐらいの例で職場調査をしましたけれども、大体そういうふうにやっています。この部分の仕事はこの人この人と。それは、非常にうまくやっているところは、その人の能力開発だけでなくてそこの職場の生産性が、一瞬は短期的には低下するんですが、なるべく低下しないような形で人を動かしていくということで、それで、私はこの代替要員のやり方で名前を付けていまして、分担方式と順送り方式という形で名付けていまして、こういう実際の職場の調査から、分担方式というのは、一人が休んだ後だれも埋めなくて周りの九人でカバーするというのが分担方式で、順送り方式というのは、ある人が休業を取った後は順番に、その能力は下なんだけれども、その下の人から埋めていくと。  実際は、こういうふうに僕、分担方式と順送り方式というふうに名付けてみましたけれども、先ほど言いましたように、実際はこの分担方式と順送り方式の組合せなんです。だから、ある部分の仕事はそこにいる仲間の同じようなレベルの人がやって、ある部分の仕事はこういうふうに上がっていくと、そうしたらこの人の能力開発にもつながると、こうすると職場の生産性の低下が最小限に抑えることができる、この人が、有能な人が休業明けで復帰すればまたその仕事をきちっとやってもらうという形、こういう形が私は、積み重ねていけば、非常に小さな細かな話のように見えますけれども、これが割と重要なんです。  これが、基本的にはもうブルーカラーの職場にしろホワイトカラーの職場にしろ、この積み重ねが、これがだから短期的にでも生産性が、育児休業の人がいる、あるいは育児短時間勤務の人がいる、そういう人が一人でもいると非常に職場が、それの生産性が落ちてしまうというふうに思ってしまうと、取りづらい雰囲気に持っていく、駄目だよねという話になってしまうわけです。それは、休業は取れっこないよとか、短時間の仕事はできっこないよという話になってしまう。こういう工夫を積み重ねていくことが、あるいはそういう積み重ねてきた企業が、先ほど言いましたように、長期的には少なくとも経常利益という利益の上昇につながっているんじゃないかというふうに思っています。こういうことを、啓蒙啓発だけではなくて、先ほど言いました何らかの公共部門、法律とか規制とかという形でやっていけば日本の競争力はまだまだ大丈夫だというふうに思っております。  以上でございます。
  9. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださいますようお願い申し上げます。  なお、午後四時ごろに質疑を終了する予定となっておりますので、一回当たりの質問時間は三分以内でお願いいたします。また、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう質疑、答弁とも簡潔に行っていただきますよう、皆様方の御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方の挙手を願います。  小池正勝さん。
  10. 小池正勝

    ○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。ありがとうございます。  私は、三人の先生方に御質問をさせていただきます。  まず佐々木先生ですが、佐々木先生の会社育児休暇親業休暇進学休暇、ワーク・ライフバランス休暇と、非常に先進的なお取り組みをしておられまして、敬意を表したいと思っているんですが、その際に、先ほど脇坂先生のお話にもあったんですが、イー・ウーマンは小規模企業だとおっしゃいました。小規模企業でこれだけの休暇をお取りになったときに代替要員どうするんだろうか、正に余剰を抱えておられるんだろうか。先ほど生産性のお話もありましたけれども、正に小規模企業ということでございますので、具体的にその余剰人員という話、あるのかないのか、その辺のところをお聞かせ願いたい。逆に言うと、もしそれがタイトであるならば取りにくいという話になっていくんでしょうし、その辺のところの実態を教えてもらいたいと思っています。  もう一つ佐々木先生にお伺いしたいのは、一番最後情報面というところで、ネガティブな情報ばっかりでポジティブな情報がないよというお話がありました。未婚の女性子育て仕事マイナス影響があるというのが五八%であって、しかし、実際に子育てをした女性の方はプラス影響があるという人の方が多いんだというお話があった。正にこれは女性に対する教育が、意識改革ができていないんじゃないかという御指摘だと思うんですが、正に教育としてこういったことをもっともっとやっていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。  それから、坂東先生にお伺いしたいのは、坂東先生が課題のⅠからⅤまでを御指摘になっておられました。その中で課題のⅣとして、女性は高度専門職が少ない、職種、職域に偏りがあるということを御指摘になられました。その理由は、女性が人文系とか教養系に行っているからそういうふうにならないんだと、こういうお話でした。  しかしこれは、その女性が望んで、そこへ行きたいから行っているんですね。強制しているわけでも何でもない。学歴が高くなってきている、これはいいことだと思うんですが、しかし、それを望んで行っているのにそれと違う結果になっている。逆に言うと、これも女性意識改革教育ということをもう少しやるべきではないかということではないかと思うんですが、いかがでしょうか。  それから、脇坂先生にお伺いしたいのは、ファミフレ度と均等度というのを、どっちも高い方が逆に一人当たりの経常利益はいいんだというお話がありました。本当に小規模企業でもそうなんでしょうか。大企業はよく分かるんです。日本の企業の九十何%は中小企業です。中小企業でもそうなのか、もしデータがあればお教え願いたいと思います。  以上です。
  11. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  では、まず佐々木参考人から、よろしくお願いします。
  12. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) 御質問ありがとうございます。  私ども会社の余剰人員というのは、小さな規模でございますが、特にそのために何かを用意することではなく、有給なり無給なり休暇を取るということに関しましては、残りのスタッフが対応に当たるというような形でみんなで助け合っています。男性の社員もおりますし、六十代の社員もおりますけれども、様々な形でみんなが助け合いながら仕事をしているというのが現実でございますが、一年間例えば育児休暇を取るとか、それも専門職でかなり専門度の高いものということであれば、そこは、私どもは外部から一年間人を、これもフルタイムでなかったり、二、三人でその仕事を専門の方々に入っていただいてチームを組んでサポートをするというようなことをしております。  ワーク・ライフバランスについては独身の人も取りますので、この辺りはみんなお互いさまといいますか、昨日夜遅くだったからって、これ事前申請になっておりますので、みんな理解して部門の人たちが了解した上でみんな交代で取っていくという形でうまくできているかと思います。  あとは、ITの活用も非常に重要で、ちょっとここのところを今中途半端に申し上げると理解が難しいかもしれないんですが、以前は自宅でもITで会社のメールを見てもよいということにしておりましたので、例えば育児休暇人たちは自宅にいながら会社の社内のメーリングリストには入っていて、会社の様子が子育てしながらも分かったり、何かあるとちょっと答えてくれるというようなことでかなりお互いにサポートシステムができました。しかし、最近、個人情報の流出ですとかいろんなことで、家庭で会社のメールを受けるのはどうかとか会社情報が家庭のパソコンに残るのはどうかということで、逆にちょっとここのところはそれを中止していて、会社からパソコンを貸し出して長期の休暇に入る人にはあてがっているというようなことをしております。  情報がネガティブなものが流れるというのは、私も報道に少し身を置いた者ですから、報道が弱者の立場に立って問題を伝えるという使命から、どうしても問題点を伝えるという意味で雑誌も新聞もテレビも保育子育て女性労働の難しさを伝えるということが主になってしまっているというのが現実だと思います。  ですから、ここは、教育というのもそうなんですが、女性はいい話を求めているので、やはり良い事例発表、ただこれが事務的な事例発表だと余り興味をそそらないので、様々な、私どもは例えば会社を挙げて今、女性を活用していただきたいと思うような企業様や個人にアプローチをしながら、実はメンター制度をプログラム化して、インターネットを使って良い事例と出会っていただくような場を持てないかとか、あるいは国際女性ビジネス会議も、これもノンプロフィットですけれども、そういう良い事例に出会う場をつくれないかということを、私なりにはできることをしてきておりますが、ここは教育と言ってしまうと、女性に対してというよりも、男性にも含めてだろうと思います。  ちょっと踏み込んで申し上げれば、ワーク・ライフバランスのときに、女性に優しい会社というのを先ほどの脇坂先生のデータも含めてよく言われます。先生のデータは大変すばらしいデータだと思うんですけれども、できれば私は企業に、男性に優しいというか、男性が家庭や教育に携わるというふうに一歩進んでいくというところが一番企業に対しては教育で重要で、女性が優しい会社というのは今どうなってしまうかというと、女性子育てもしなさいと、会社でも働きなさいと、これだけ女の人が両方できるように準備してあげたでしょうというところで今会社は止まりつつあります。そうではなくて、男性も早く帰れる、男性学校ですと言って家に帰れるというふうにしていかないと、つまりは女性に優しいというカモフラージュされた言葉企業が成長していくと、女性がマルチタスクをやはり女性だけが担っていかなきゃならないという、ここに落とし穴があると思っているので、教育という面ではちょっとそちらの方も進めていってほしいと思っております。
  13. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  では、坂東参考人
  14. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) 高度専門職に女性が少ないのは女性たちが望んでそうした分野に行くのではないかというお尋ねですが、確かにそういった傾向もあるだろうと思いますが、それ以前に、例えば中学生ですとか高校生の段階から、将来、例えばどういう分野を専攻すればどういう職業、どういうキャリアがあり得るのかといった情報が余りにも少ないのではないか。大学へ入ってからではなしに、進学する以前、できれば小学生の段階からできるだけ広い情報子供たちに与えるということが重要で、例えばこれは外資系のIBMですけれども、高校生の女の子たちにコンピューターって面白いんだよということを経験させるためのサマーキャンプをするといったようなことをしています。人材のプールを大きくするためには、できるだけ才能を持った人たちには全部それを使おうという意欲を持ってもらうことが社会全体としても次の成長のためには必要なのではないかということです。  ただ、あともう一つは、社会科学系、例えば司法試験あるいは国家公務員のⅠ種試験、これは本当に受験者が増えております。例えば、司法試験の合格者ももう既に二四・五%女性が占めるようになっておりますが、これもやはり一世代前までは、たとえ試験に合格しても処遇されないのではないか、検事にはなかなかなれないんじゃないかとか、上の方へ行くと難しいんじゃないかというふうなその将来のキャリアパスが見えないとなかなか受けようと、頑張ろうという意欲を持ちにくいんですけれども、今大変そういった点では各省、中央省庁の方でも女性を登用する、三〇%は女性ですというふうなことをアナウンスすることによって受験者が増えるという効果もありますし、ここのところは今変わり始めたところだなと思います。是非民間の企業でもそういったようなアナウンスをしてくだされば、大分職業選択、進路選択は変わるだろうと思います。
  15. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  では、脇坂参考人
  16. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 中小企業の問題でして、この研究会をするときも、中小企業の問題がやっぱり重要、研究会のメンバーでは議論しまして、二千人以上は、一万人とか非常に有名な企業は外してあります、実を言うと。まあ、そこはあんまり問題ない、問題ないと言うのも変ですけど。  それで、なぜ三百一人以上にしたかといいますと、アンケートでいろんな雇用管理の制度とか聞くわけですね。財務諸表に関してのデータというのは、アンケートでやりますと非常に回収率が低くなるんです。それは今までの経験から分かっていまして、どうしたかというと、だから、会社とこちらの方で、その上場、未上場の企業で分かるその他のデータソースからいろんな先ほどのデータをくっ付けたわけです。そうすると、それをくっ付けるときに、三百人未満の、三百人以下の中小企業でそういうものが分かる外部のデータは物すごく減ってるわけです、非常に減ってきます。ですから、もう今後もこれなかなか期待できない。前、非常に小さな企業調査をやったことがあるんですけど、それも、全くこれじゃない別個の調査なんですけど、やっぱりそこの部分だけが、特に財務のデータ、特に未上場のところのデータ企業は非常に少なくなって、なかなかそこが、学問的には何となくこういろんなことが言えてても、推測はできても、本当のところがよく分かんない。  ただ、しかしながら、それだからデータは、企業業績に関するデータは取れないんですが、先ほどちょっとお示ししました、この辞める率ですね、出産後辞める率、平均。続ける率が、出産してもその会社で続ける率というのが全体で、規模計でこの二一%とか二四%いました。  これ、規模別に見るとすごく面白い結果が表れていまして、ちょっと今データ探していたのがないので、少し数字的には正確ではないけど、一千人以上の企業ですと、子供を、第一子を産んでも続ける人は一四%ぐらいです。非常に規模が大きいほど少ないんです。十人以下の企業だと約四〇%でした。だから、現象だけを取ると、規模の小さい企業の方ほどファミリーフレンドリーになっていると。制度があるかどうかは、制度はないんですが、実際上、既婚で、子供を産んで働き続ける人が多いということだけは分かっております。  しかしながら、先ほどおっしゃったような業績のデータではなかなか取りにくい、この研究に限らず非常に取りにくいということで、今後も恐らくそこはなかなか難しいんじゃないかというふうに思っています。
  17. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  それでは、津田弥太郎さん。
  18. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎でございます。今日は大変ありがとうございます。  まず、佐々木参考人にお聞きをしたいと思います。  女性雇用をめぐる課題ということで、多様な観点から解決が図られていくというふうに理解をしているんですが、中でも、立法措置によって状況が好転したり、問題の解決が図られていくという側面も当然ながら多く存在をするだろうというふうに思うわけであります。佐々木参考人会社では親業休暇とか進学休暇とか、立法にはない制度まで導入をされておられるというふうに聞きましたけれども。  そこでお聞きしたいんですが、昨今の社会の急激な変化を踏まえるならば、例えば育児休業法とか男女雇用機会均等法、これらの法律女性雇用に関連する法律になるわけでございますが、これ当然、何年かに一回というサイクルで制度の充実とか見直しというのが図られるようになっているわけでございますが、こういう非常に激しい社会の中でどのくらいの期間で見直しや制度の充実を図るための見直しが図られればいいか、まあ十年だとか五年だとか三年だとかいろんな見方があるんですが、実際に経営をやられておってどんなふうな見解をお持ちか、お聞きをしたいというふうに思います。  それから、坂東参考人にお聞きをしたいというふうに思います。  ワーク・ライフバランスのことについて様々な観点でお話がございました。今後の我が国の女性雇用の在り方を考えたときに大変重要なキーワードになるわけでございます。雇用の場における男女平等あるいは男女の均等処遇を求めていくということは大変大切なことなんですが、女性の働き方を単に男性並みに過酷で熾烈なものにしていった結果として男女の平等が実現するということでは、我が国の未来はあり得ないというふうに考えます。したがって、仕事のみに打ち込むようなこれまでの男性の働き方を前提するのではなく、男性女性も職業生活とそれ以外の活動、育児、介護あるいは趣味、ボランティア、地域活動、これらとの調和が図られていくことが求められているというふうに考えるんですが、そういうことについての坂東参考人の御見解をお伺いしたいのと、レジュメで対応策で一番から十二番まで掲げていらっしゃいまして、七番までは一応お話があったんですが、九番に間接差別の禁止という項目を挙げられております。  今御案内のように、男女雇用機会均等法の改正案が参議院に出ておりまして、この間接差別の禁止について限定列挙がいいのか例示列挙がいいのかということで議論が始まろうとしておるわけでございますが、当然坂東参考人はこれらについて十分御承知だと思うんですが、役人ではなくて大学の教授の立場で率直な御意見をお聞きをしたいというふうに思います。  それから、脇坂参考人にお聞きをしたいんですが、ファミリーフレンドリー度あるいは均等度が高まれば高まるほど経常利益が上がるというお話で、その辺の卵が先か鶏が先かという話はなかなか難しいというお話だったんですが、私はもう一点、賃金の問題をお聞きをしたいんですね。これ、経常利益の問題は確かにそうかもしれませんが、果たして同じように、一番労働者にとって直接分かりやすい、賃金はどんな変化をしているんだろうかというのが気になるんですが、もしその辺について調査等で情報がありましたらお教えをいただきたいなというふうに思います。  以上です。
  19. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  それでは、佐々木参考人からお答えいただきます。
  20. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) 御質問ありがとうございます。  立法によって好転すること、たくさんあると思いますが、見直しに関しましては、私は育児休業法に関しましては、まず、もう本当に今すぐまずは見直しに入ってほしいと思っておりまして、そして、そのものにもよりますけれども、定期的にチェックをしていく、これがまあ三年なのか五年なのか、十年ということはないように思います。  例えば、育児休業法で私が見直していただきたいと思うのは、先ほど申し上げた男性女性が同時に取れるという仕組みでございます、一つには。先ほどから、例えば男性育児休業を使う率が〇・二六%というようなお話がありましたが、つまり男性が使っているということは女性は働いているということで、例えば私と夫が二人とも働いているからこそ育児休業は取れる、どちらかが取れる。要するに、女性専業主婦だと取れないわけですから、男性が取っているということはその妻は働かされているということになりますので。そうすると、夫婦間で、何かの勉強のためにあなた取りなさいよとか、あるいはそういうことであれば短い期間男性は取れるんだと思いますが、例えば私も子育てしたいのだと女が思ったときに今だと両方取れないという、ここがありますので、男性育児休業を取るというのを上げるためには男女がやはり取れなければなかなか難しいのではないかなと私は一応思っております。  もう一つ改正していただきたいと思うのは、やはり今、一年か三年かなんていう論議も出ておりましたけれども育児休業を私は十八年の中で取れるというふうに大きく延ばしていただきたいというのが一つの提案です。  それは先ほど、私ども会社では親業休暇だとか進学休暇という名前を付けてある程度限定をしたりした理由の中で取るようにしておりますが、結局、今子育ては乳幼児だけだというふうにとらわれているわけですが、私も子供が今二人おりまして、一人が今年の四月から六年生、一人が小学校一年生ですが、やはり保育園に今は入ったところで終わりではなくて、むしろ保育園に入ってしまったときの始めの四年間ぐらいはとても楽でして調子が出てくるわけですが、じゃ小学校へ行くぞとなると、今都会ですと、じゃお受験をするのかどうかから始まり、何をするのか、じゃ一年生になると学童保育はどうするのか放課後どうするのかと、もうこれなかなか大変です。六年生ぐらいになると、また中学校をどうするのかから始まり、お友達がどうしたとか、女の子だと体の変化もあり、様々なことに親が必要になります。  ですから、育児小学校入ったら終わりでしょという風潮は終わりにしていかないといけないだろうという意味では、実は十八年くらいの長い間の中に育児休暇が、それが年の制限が、日数があるのか全体での制限を取るのか分かりませんが、改正していくというふうにちょっと考えております。  もう一つ法律で、雇用均等法は多分、坂東先生がお話しになると思うんですけれども労働基準法が、これ随分古い法律で、やはり私ども仕事をしていて一番ネックなのは労働基準法でございます。労働基準法は、簡単に言えば昔、悪なる企業が弱い労働者を働かせていたということの前提で作られているようなもので、どうしても雇用契約という考え方もございませんので、何か時間だけで人が働かされるという考え方に基づいていて、生産性とか貢献度というのが全く反映されないものなんですね。  ですから、例えば女性、例えばですけれども、もしも週に三日間働きたいと、三日間は実はもう十時間ずつ働いてほかの日を休ませてくれるなら私は子育てしながらできるんだという人がいたときに、八時間以上を超えれば当然一二五%を払わなくちゃいけないので、その人が五日間働くよりも会社は多くのお金を払わなければならなかったりしますよね。  ですから、自由な契約が両者の合意の下で、もしこの契約も一方的にされてしまうことを恐れるのであれば、例えば第三者の弁護士を必ずかませなければいけないということを付ければよいわけで、そういうふうに雇用の形態が企業労働者である意味自由に同意の下でできるようになると、多くの雇用形態、これがワーク・ライフバランスにも実は進んでいくと思うんですけれども、短い時間あるいは長い時間、短い日数、いろんな時間帯で様々な労働ができるようになるんではないかなというふうに思っております。  あとは三つ目、パブリックコメントがいつも気になっておりまして、やはりどうしても、私も委員会などにいろいろと委員として出させていただくと最終的にパブリックコメントというのでやるわけですけれども、パブリックコメントの実態が、どうしても時間に余裕のある社会で今活躍していない人がサイトを見てコメントをするか、利害のある人が積極的にコメントをするかどちらかになっていて、実際に職場で活躍して、活躍というか仕事をしているような、実際に声を聞きたいという人たちは全然政府のページでパブリックコメントに寄せてこないという話をよく聞きます。  イー・ウーマンなどの場合は、だからこそ働いている人たち意見集めをいつもやっているんですけれども、ちょっとこういうこと、まあイー・ウーマンを活用していただくかどうかは別として、様々な、もう少し現場で働いている人たちの声をきちっと吸い上げながらパブリックコメントというのも形だけでなくやっていかないと、法律というのが、どうしてもやはり作るのに時間掛かりますから、できてからもちょっとずれているということが多いのではないかなと感じております。
  21. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  坂東参考人、お願いします。
  22. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) 要するに、女性男性並みに働くことになっては困るのではないかという御意見だったと思いますけれども、ワーク・ライフバランス、あるいはファミリーフレンドリーというのは、まさしく女性雇用者に対してだけではなしに男性雇用者に対してこそ今大変必要とされているのではないかなというふうに思いますので、女性だけではなしに男性も人間的に働ける、馬車馬のように働くのではない、子育てにきちんとかかわる。例えば、江戸時代の武士たちは、教育はむしろ父親が責任を持ってやるといったような状況だったのを見ましても、今の日本のサラリーマンがいささか異常なのではないかなと思います。  その際に、例えば本当に、サービス残業というのはもちろん犯罪行為なんですが、そういうふうな認識もとてもまだ少ないですし、法令を守る範囲内で、守って働くということが重要なんだという認識を社会全体で共有しなければ、私自身は、ここのところで最後に書きましたように、今の日本の経済の仕組みというのが自然資源、エネルギー資源を食いつぶしているだけではなしに、人的資源においても、過去に蓄積されたもの、過去に教育されたもの、過去に生み育てられた人的資源を枯渇させる方向に行っているのではないかと大変心配をしております。  それから、均衡処遇については、今法律を検討されている中では、やっぱり外郭をきちんと、定義をはっきりしなければならないということで、まず最初の第一歩については、ある程度の範囲を限定するということはやむを得ないかなと私は現実的には考えておりますけれども、例えば将来的にいいますと、先ほどお配りしました資料でも、例えば資料五ですが、パートタイマーに占める女性の割合が七七%であると。パートタイマーの女性が七七%で、パートタイマーの人たちの賃金は一般男性労働者の四五%であると。こういうのは、同じ仕事をしていても身分が違うことによってそれだけ賃金水準が違うということは、やはり間接的な差別、間接差別に定義が当てはまるというのがEU辺りでは一般的になっています。  日本ではまだまだそれは絶対不可能だろうとは思いますけれども、同じ仕事をしているんだけれどもその立場の違い、採用区分の違いによって処遇がある程度違うのはやむを得ないと私も認識しておりますけれども、現在のように余りにも大き過ぎるのはフェアではないと考えております。
  23. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  脇坂参考人、お願いいたします。
  24. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 均等、ファミフレと賃金との関係なんですけれども、賃金といいましてもちょっと専門的になっちゃうんですが、三つのタイプの賃金にかかわる問題があります。一つは、ここで一番簡潔なのは男女の賃金格差、その企業で、賃金格差が大きい企業かどうか。もう一つは、その企業の賃金が絶対的に高いか低いか、高い企業なのか低い企業か。あるいは個別でなくてもっとマクロ、業界といいますか、その業界がたまたまいい産業賃金体制にある。  その三つのレベルの話があるんですが、まず最初の男女の賃金格差についていいますと、実を言うとそういう設問も一応聞いたんですね、均等度に入れようとして。ところが、例えば設問するときに、初任給を聞いても最近はほとんど差がないんです。一般的な男性の賃金、女性の賃金聞いても、学歴によって違うという話になったのをどういうふうに設問聞いたかといいますと、大卒で三十五歳の賃金は幾らですかというふうに聞いたら、三割ぐらいがやっぱり無回答になってしまうんですね。そういう女性がいたりとか、そういうなかなか。それで、この均等度にはちょっとサンプル数が減るので入れませんでした。  でも、これは非常に重要なテーマなので、今もう一つ同じような研究プロジェクトをやっているんですけれども、そっちの方は男女の賃金格差に絞ってちょっと分析してみたいというふうに思っております。  それから、二番目の個別の企業が高いか低いかというのは、これは非常にいろんな要素が入ってきますので、学問的にはまだそういうきっちりそれを見る手法はまだ確立はされておりません。  それから、三番目のマクロ全体、業界全体というのは、先ほどちょっと言いましたように時系列的に追っていますから、産業ダミーとかそういうものを入れれば、一応それはコントロールされているということになります。ですから、さっき、僕の研究でないですが、同じ研究会のメンバーで、ある二人がやったデータで、分析ではパネルデータで追っていますから、一応因果関係もはっきりしていて、こういう育児休業制度とかを、短時間勤務を早く入れた企業は最初は売上げとか落ちるんだけれども、長期的には経常利益とかいろんなパフォーマンスは良くなる、一応因果関係は証明されたことになっています。  以上です。
  25. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  それでは、次、浜田昌良さん。
  26. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、三人の参考人の先生方、貴重なお話ありがとうございました。それでは、お一人ずつ聞かせていただきます。  最初に佐々木参考人でありますが、事前に配っていただきました「これからの女性の働き方」という資料をいただきました。この中で、「これからの十年は、特に男性の価値観やライフ・ワークスタイルが変化するといい。」とありまして、育児休業の例が、今日もお話ございましたように、専業主婦の場合でも取れるとか、またカップルで取れるとか、そういうことがあったわけですが、この育児休業の例以外でも、男性が変わるべき点、特にこの十年間ですね、こういう点は変えてほしいという点がございましたらちょっと事例をお聞かせ願いたいというのが質問でございます。  次に、坂東参考人にお聞かせ願いたいと思いますが、御説明の中で、正に均等法ができて二十年、人材派遣法も二十年でありますが、そのお話の中で、この人材派遣法も対象業種も拡大いたしまして規模も拡大してきたわけですが、お話の中で、働く方がいただいている賃金と企業が支払っている金額の間の関係がはっきりしない面があると、その辺の情報開示が十分にされていないという話があったんですが、御存じの範囲で結構なんですけど、これは大きな問題と思っているんですが、どのようにそういう金額が使われているというのが考えられているのか、実態はどういう感じになっているのか、御存じの範囲でお教え願えればと思います。  そして、最後脇坂参考人にお聞きしたいと思いますが、データでファミリーフレンドリー度、また均等度、この二つの高い企業が一人当たり経常利益が高かったり業績が長期的に伸びるという、非常に面白いデータだと思ったんですが、それでは、このファミリーフレンドリーといってもいろんな要因が多分あるわけですね、要因、要素が、どの要因が一番その業績に効くのかと。その要素を要因分解されたもしデータがありましたら、で、その要因からあるシナリオ、こういうメカニズムが働いて業績が上がるというようなことがありましたら少しお話をしていただければと思います。
  27. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  それでは、まず佐々木参考人、よろしくお願いします。
  28. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) ありがとうございます。  これからの十年間、男性がどんなふうに意識を変えていったらよいのかという御質問でございますが、一つは、子供がいるいないにかかわらず、教育現場子供のいる場に実際に行って体験する時間を持つということによっての意識変化が必要ではないかと思っています。  良い例かどうか分かりませんが、アメリカにはスクールタックスというものがあって、学校税が税金の一つとしてあります。これは、子供がいるいないにかかわらず地域学校に対して使われる税金を取られるわけですが、そうすると、学校理事会なり学校のいろいろなイベントやデシジョンをするときに、決定をするときに住民に公開をするわけです。つまり、税金を払っているからです。そして、学校が良くなって、教育水準も高くなり、生徒も良くなってくると、不動産価値が、周りの土地が上がるというすごく分かりやすいメリットがあって、地域丸ごとが学校の向上にかかわるというふうなシステムができています。これはきっと良い点も悪い点もあるのかとは思うんですけれども、私はある意味、頭のいいやり方だなと思っていて、今子供がいる家庭の男性だけ、あるいは女性だけが深くその問題を知っていてかかわっているというのが、なかなかこの問題解決に行かない理由だと思います。  介護に関しては、老人が増えていき、介護する人が増えていく、明日は我が身と思う人も多いという意味で非常に話題にのるわけですが、保育あるいは幼稚園、小学校などは、もうたくさんの問題がある中で、どんどん子供も成長していくと、当該である人たちがどんどん移っていって、長く一つの問題にかかわる人がいなくなりますので、そういう意味では男性がやはり地元の保育園でボランティアをする、学童でボランティアをするということも含めて、教育現場保育現場に実際に足を運ぶということによって見る、感じるということが大変重要だろうと思っています。  そして、それは企業にとってみると、例えばこれから伸びるのは中国市場だといって中国に視察に行ったり出張に行くのと同じ感覚を持てば、地元の何とか町内会の会議に出るとか、学校の何とか委員会に出るというのも、もしかするとそこに市場があってニーズがあるのだというぐらいに思って、マルチ思考になるためという形で企業も率先して男性を出していったらいいだろうと思います。  もう一つ男性にやってほしいと思うことは、多様な女性に会っていただきたいということなんですね。多くの男性が余り実は女性と接してないんではないかと思っております。例えば、飲食の場で出会う女性たち、それから自分の妻を、子供を周りとした女性たちぐらいにしか余り会っていない。経営に携わっていれば従業員とは会うけれども、そこでは上下関係がはっきりある。となると、働いている女性というのに対等な立場で、あるいは必ずしもいろんな事例に触れているとは実は言えないと思います。  私はイー・ウーマンという名前を付けておりますが、サイトには男性もウエルカムでどんどん投稿をして意見ディスカッションしましょうと言っておりますし、先ほどの国際女性ビジネス会議も是非もう今日この会場にいらっしゃる方々も御出席いただきたいと思いますが、男性にもたくさん来ていただいて、前向きな女性たちの中に身を置いたときに、女性が例えば社会に出たとき、私などは過去二十年仕事をしてきて、百人の中で私一人なんということはしょっちゅうだったわけで、だんだん慣れてきてしまいますが、男性は千人の会議に五十人いると大変居心地が悪いとおっしゃいますが、その体験も実は日々女性社会で味わっているものだというふうに考えれば、それも一つ意識改革で、やはりこれは机上で数字を見てああじゃないかこうじゃないかというよりも、より多くの、特に決定権をお持ちの皆様のような方々が多くの女性とたくさん知り合って、会話をして、場面に身を置いていただくということを私は強く望んでおります。
  29. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  坂東参考人
  30. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) 人材派遣業についてですが、先ほど申しましたように、それぞれの企業が派遣元からどれだけの対価を得て、実際にはどれだけ働いている派遣社員に支払っているかということについての統計、正確な統計というのはございません。そのため、大変ケーススタディー的といいますか、口コミ的なものですけれども、例えば一般事務、東京の場合は派遣先は二千六百五十円ぐらい払えば、それはもちろん差がありますけれども、実際の手取りは千六百円程度であると。  それから、もちろん企業によってその差は違うわけですが、例えばより高度な技術、パソコン等々を操るような仕事の場合は四千五百円派遣を受けているところは払っているけれども、実際に従業者の人たちが得るのは二千二百円程度というようなことで、その間の費用はまず事務所を維持する、情報を集める、紹介するための手数料、それから教育訓練のための費用、広告宣伝のための費用、そういったようなことが言われておりますけれども、実際はどの程度かは分かりませんが、結果的に大変ここ十年の間に人材派遣を経営しておられる会社が急成長をしている、収益を大変上げておられるということは事実です。  ですから、そういった点ではかなりの新しい、それがエンタープルヌールシップで活用していらっしゃるということだろうと思いますけれども、働く人たちとの間でのギャップはかなり大きくなっていると思います。
  31. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  脇坂参考人
  32. 脇坂明

    参考人脇坂明君) ファミリーフレンドリー制度のうちのどれがパフォーマンス、特に経常利益その他に利いているかという御質問だと思うんですが、この制度、ここに書いたような制度がいつ導入したかも一応聞いておりまして、これ以外に、例えば出産後も働き続ける女性の割合が五割を超えたとか、女性育児休業取得者が初めて出たとか、男性育児休業取得者が初めて出た時期とかを聞いて、先ほどちょっと紹介しました推計式、これ、それぞれ、だから個別のファミフレの導入時期で、それを入れたときに入れてない企業よりも経常利益その他のパフォーマンスにどれが利いたかを計測しました。    〔会長退席、理事和田ひろ子着席〕  いい結果が出てくれることを期待したんですが、何といいますか、一応統計的に有意な変数もたくさんあるんですが、何かこれぞという、この施策がどの業績指標にも利いているというようなものはなかなかないんです。経常利益の場合でも、何年から何年への変化率には利くんだけれども、こっちは利かないとかいうことで、僕の研究では、個別の、なかなかこのファミフレの制度が一番利いているということは出ませんでした。  そうすると、あと二つの可能性が学問的にはありまして、この推計方法、一番単純な推計、最小自乗法というんですが、もう少し洗練された手法を使うといい結果が出るケースと、もう一つは、理論的に個別の効果じゃなくて、よくそういう議論がアメリカであるんですが、個別の効果は余りないけれども、バンドルといいますか、束として、政策の束として企業が入れると効果があるという研究結果もあるんですね。  そういう分析方法をちょっとやってみて、本当にその仮説が合うのかというのを少し、本当におっしゃる質問を僕もやりたくて今やっているんですが、今のところはいい結果は出ていないということです。
  33. 和田ひろ子

    理事和田ひろ子君) ありがとうございます。  それでは、井上哲士さん。
  34. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。  最初に、佐々木参考人にお聞きをいたします。  男性にも優しい企業でなくてはいけない、男性のやっぱり働き方を変えないと駄目だということは大変共感を持って聞きましたし、先ほどありましたように、本当に今の男性のいろんな法律案も含めた働き方に女性を合わせるということは駄目なんだろうということを思います。  そこでお聞きするんですが、先ほど育児休暇を取りやすくする上で代替要員の問題が出ておりまして、イー・ウーマンにおける在り方というようなお話がありました。外国の例なども随分知られているようですし、事前にいただいた資料ではアメリカ女性経営者法という法律のことも紹介をされているんですが、そういう実際に育児休業制度などを活用していく上で、男性も含めた働き方も含めて、制度、働き方でどういう差があり、何が改善が必要とお考えか、それをお聞きしたいと思います。  それから、坂東参考人にお聞きをいたします。  先ほどの最初の説明の中で、資料二で末子の年齢と妻の就業状況の表がありまして、これ見ますと、末子が十五歳から十七歳ぐらいのときが一番妻の無業者が多いという結果になっております。これも先ほどから佐々木参考人が何度も言われておるんですけれども保育の充実などが重要だけれども、それだけじゃなくて、中学校なんかに子供が上がっているときも大変大事なんだというお話がありまして、これに符合するのかなという気もするんですが、このやはり九歳から十七歳ぐらいのところに相当落ち込んでいる状況と、ここに対する施策としてはどういうことが必要とお考えかというのが一点です。  それからもう一点は、これも先ほどありましたけれども、今日はちょうどやはり雇用機会均等法の改正案の質疑が始まりましたので、これについてお聞きしたいんですが、私たちも、先ほどありました間接差別の、条件を付けない間接差別の禁止の問題なども修正提案もしましたし、野党としてもいいものにしようということで今取り組んでいるところですが、レジュメにもありましたポジティブアクションについてお聞きをしたいと思います。  で、今度の改正案では、企業が取組を開示するときに国がホームページに掲載するという程度の支援にとどまっているわけですが、私たちは、まあ一定以上の企業に対しては目標や計画の作成及びその実施と報告の義務付けぐらいまで踏み込むことが必要ではないかと考えているんですけども、この点いかがお考えか。かつての政府のお立場から離れて、研究者としてお聞きをしたいと思います。  それから最後に、脇坂参考人にお聞きをいたしますけども、先ほどの代替要員の問題で、佐々木参考人と同じ質問になるんですけれども、外国などと比較した場合に、同じ問題が起きるとは思うんですけども、どういう制度的な違いがあるのか、その辺で優れた例などがあれば御紹介もいただきたいというのが一点です。  それからもう一つ、これちょっと先ほどの報告で少し理解できなかったんですが、労働組合の効果の話で、場合によっては、かえって労働組合の効果がマイナスになるというお話があったんですが……
  35. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 均等度、均等度。
  36. 井上哲士

    ○井上哲士君 均等度ですね。
  37. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 均等度を低める。
  38. 井上哲士

    ○井上哲士君 ええ、そこがちょっと理解できなかったんで、もう少し詳しく、どういうことなのかお話しいただきたいと思います。  以上です。
  39. 和田ひろ子

    理事和田ひろ子君) それでは、佐々木参考人の方からお答え、お願いします。
  40. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) 男性にも優しい企業であるためのその、つまりは休みを取りやすくしたり、様々な制度を活用したりするための代替要員というお話なんですけれども、基本的に、ちょっと私データを何か持っているわけではないですが、様々な寄せられてくるメッセージや事例に触れる中では、やはりチーム内でサポートをし合っているという事例が一番多く、またうまくいっているように思います。  つまり、事務的に、大変長い休みの場合は別ですが、短く、例えば今日は運動会だから休むとか、あるいは子供が風邪を引いているので一週間休むとか、あるいは何か、まあ入院したとか、そういう様々な、子供がいることによっての、に対応するというのは、突発的なことも多いということが原因ではありますが、やはりチームの中で、その部署内だったりチームの中で上手にサポートをし合っている例というのがつまりはうまくいっている例というふうにどうしてもなっているかと思います。  私は、ですから、法的に言えば、先ほども申し上げたそのやっぱり労働基準法の見直しの中で、雇用契約が本当ならもう少しきちっとできるようになるということがやはり重要ではないかなと思うんです。働く人によってニーズが違うので、会社対応していけるような雇用契約が結べればよいのですが、どんなに今、雇用契約を、仮にリクエストがあって、こたえてあげたくても、労働基準法の方が優位に立つわけなので、経営者として考えると、例えばいろいろな人事関係のケーススタディーなどや弁護士などにもお話を聞くと、過去十年間さかのぼれるんですよと言われると、例えば非常にハッピーに働き、ハッピーに退職していったはずの人が、十年後に、まあ九年後に、いきなり労働基準法を盾に取って、あなたと私の契約したのでは合っていたけど、労働基準法的に言うとこれが請求できるので幾ら払えとか、これが不当だったということを裁判を起こすことができ、その人たちの方が勝つ可能性が高く、今企業側は大変それで困っているわけです。  ですから、雇用契約というのと労働基準法の見直しというのがしっかりできてくることにより、多様な働き方、自由に、これはもう当然労働者雇用者がきちっと話合いができる立場であるというような力関係が当然必要なんですけれども、その中で、そういういい企業がやっぱり多いわけですからその中で自由にできるようになってくると、代替要員のことも、あるいは休みたい人の権利も随分守られてくると思っております。  それから、どうしてもやはりデータが出てくるものが、先ほどの脇坂先生のお話にもありましたように、大きな企業や公開企業の場合が多くなってくるんですが、実際には中小企業も多く、その中には優良な働きやすい会社も多いわけですが、こういった情報がどうしても出にくいということがありますので、例えば、企業は小さかろうが大きかろうが規模に関係なく、労働者の数だとか男女の割合だとか役職がどういうふうに分布になっているかはホームページに、業績とは別に人数に関しては発表しなければならないということを例えば義務付けるとか、そういうことをすると、小さな会社で無名な会社で良い企業は、本当は、そういう環境を求めている有能な女性が集まってくることで急成長ができるかもしれないというチャンスがあるのにもかかわらず、欲しい情報が伝えたい相手に伝わらないということになりますので、こういった義務付けというのはあるのではないかと思います。  あとは、よくヨーロッパの事例などやアメリカ事例が出るわけですが、やはり全体的な背景が違った中でデータだけ引っ張ってくると、ちょっとそこのところが不都合がある場合もあるのではないかなと個人的には思いながら勉強をしているという状況でございます。
  41. 和田ひろ子

    理事和田ひろ子君) ありがとうございます。  次、坂東参考人、お願いします。
  42. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) お尋ねの末の子供の年齢別の就業状態ですが、この資料二のところでごらんいただきますと、実は末の子供の年齢が上がるごとに大体就業率は上がっていくんですが、十八歳以上で再び無業者が増えるのは、これはちょっと統計の限界でして、十八歳以上二十四歳、二十五歳ともっと細かく取ればいいんですが、十八歳以上でまとめておりますので、例えば六十歳以上、母親がもう既に働く勤労年齢を過ぎてしまっている人までカウントしてしまって無業者の割合が高くなるという統計の限界がございます。そのため、特にこのデータで見る限りにおいては、子供小学校あるいは中学校で母親の就業が減るということは少ないですが、一番大きな課題は、女性たちが、子供の手が離れたときに再就職というのは非常に重要だと思うんですけれども、その再就職をする場合に、年齢が四十歳等々になりますともうパートしかない、非正社員しかほとんどないというのが一番大きなネックになっているかなと思います。    〔理事和田ひろ子君退席、会長着席〕  もし、例えば、今均等法で女性だけの募集あるいは男女別の募集が禁止されたことによって大変大きなインパクトがあったわけですが、例えば、女性事務員三十五歳以下だとか三十歳未満とかというふうに再就職に対して年齢制限がいまだに広く行われておりますので、そういった分野について御配慮いただければと思っております。  それから、ポジティブアクションですが、おっしゃいますとおり、ポジティブアクションについては十分企業の側の理解が進んでおりませんで、クオータと混同されているところがあります。クオータというのは、三〇%なり一〇%なり女性を登用しなければならないという数値目標を上げるということをポジティブアクションと誤解して、そういうことを強制されては困るというふうに考えていらっしゃる企業が多いんですけれども、そうではなしに、例えば今、佐々木さんがおっしゃったような、情報を開示する、うちの会社には女性が何割いて管理職にこういう人がいますというふうな情報を開示するとか、あるいはいろいろな制度を持っているということを示す、あるいは自分たち女性たちの能力アップのために研修を行うといったような行動をすべてポジティブアクションというふうに名付けておりますので、何らかの形でポジティブアクションを行うということを企業への努力義務としてもそれほど大きな企業の活動に対する負担にはならないのではないかなというふうに私は考えております。
  43. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  では、脇坂参考人、お願いいたします。
  44. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 代替要員の対処の外国の事例なんですが、これは私、かなり十五年前ぐらいからいろいろ調べています。自分でそういう調査があるか、あるいは向こうのケーススタディーがあるかとか、外国の研究者にも尋ねておりますが、ほとんどちゃんとした研究は実を言うとありません。  多分、問題の関心がないのかなという、ただ外国といいましても、先進国の中でもアメリカ、イギリスは、アメリカなんかはまだ十二週間の産休、育休しか取れないわけですね。会社によってはもうちょっと取れるところもありますけれども、非常に短いわけです。イギリスは最近非常に長くなったわけです。  それと、大陸ヨーロッパの国は元々長いわけで、非常に長い国、まあ二年とか三年、かなり意味合いが違うんですけれども。むしろ、研究が少しあるのはアメリカでして、それでも日本のような一年とか一年半のような企業はほとんどないんですけれども、その一つの研究によると、代替要員、どうやっているかというのは、それをやったのも向こうの研究者じゃなくて、日本人の研究者が向こうに調べに行って分かったんですが、先ほど僕が言った順送り方式でやっていました。それはドミノ方式と向こうで呼んでいるんですが、課長がもし育児休業取ったら、課長の下の人が順番に上がっていくと。ですから、何か案外国際的に共通性があるのかなというふうに思っております。  イギリスも最近急に長くなったものですから、イギリスの研究者も非常に関心持っておるんですが、それを、何といいますか、ケーススタディーでもそんな一杯調べたわけでもないですし、それを大量に調べたアンケート調査というのもほとんどありません。  それから、大陸ヨーロッパの方も全く同じなんですが、どうもとにかく分かんないです。本当に聞いても、それは当たり前じゃないかと、職務が決まっているんだから、この人が休業取ればだれかが入るんだと。じゃ、それをどうするんですかと聞いても皆知らないんですね。研究者、企業の人よりもやっぱり現場を調べない限りは非常に難しくて、僕、英語しかできないものですから、ドイツ語とかフランス語ができる人であれば、その現場の人に、何といいますか、その人が休んだらどうするんですかというふうに聞けるんですが、上の方の人は知らないです、基本的には。だから、なかなか実態がまだ分かんないということがあります。一年、二年はそうなんですが、短い三か月とか四か月ですと、私の感触ですけれども、大陸ヨーロッパは代替要員は置かないというような感じですね。つまり、担当者がいませんからというのがよくあるんですね、大陸ヨーロッパ。また何か月後に来てくださいとか、こんなのは全然僕はだから参考にならないというふうに考えています。  それと、組合の効果なんですが、こういうことです。これまでも、このデータもそうだったんですが、労働組合があるかないかでいいますと、組合がある企業の方がファミリーフレンドリー度、いろんな制度とかは非常に上がるんですが、均等度、男女の比率であるとか管理職比率であるとかはむしろ低めるということ、組合がある方が低めるということが分かっています。  二つの解釈がありまして、労働組合のリーダーというのが依然、どこの労働組合も圧倒的に男性がリーダーです。どうしても男性の有利な施策をやるという、こういう話を組合の幹部の前でも何回も話しているんですが、そのとおりだという説と、いや全然違うというふうにも言われたりするんですが。そういう仮説と、もう一つは別の研究で、組合のあるところが男女の賃金格差を縮めるということが分かっています、組合がない企業よりも組合がある企業の方が男女の賃金格差が。そうすると、相対的に女性の賃金が高いですから、どうしても女性を採用する率を減らして、結局全体としての均等度が低まっていくと、こういうシナリオがありまして、ただよく分かっていないところです、これも。  でも、これで三つぐらいのデータソースで組合効果を僕やってみたんですけれども、全部同じような結果に出るので、何か理由。もう一つだけ言っておきますと、組合でも女性の専従、女性の執行役員がいる組合とそうでない組合、同じ組合ありでも、そうすると圧倒的にやっぱり女性執行役員のいる組合の方が均等もファミフレもいいです。それは当然かもしれません。そういう結果が出ています。
  45. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  それでは、渕上貞雄さんお願いします。
  46. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうも参考人の方、お疲れさまでございます。  社民党の渕上でございます。  まず、佐々木参考人にお伺いをいたしますが、女性雇用の問題の場合で問題になってくるところは、やっぱり結婚、出産、育児というのが働き続けていく場合に大変大きな一つの問題になっているところでございますが、言われましたように、結婚退職並びに第一子誕生で退職が大変多い、こういうふうに言われましたが、参考人のところではこういう事例というのはあったんでしょうか。こういう手厚いいろんな保護がされているにもかかわらず、やっぱりそういう状況が生まれてきているのかどうかというところがちょっと分かればお教え願いたいと思います。  それから、私は少し認識を新たにさせていただきまして、目からうろこが落ちるような感じですが、まあ私の年のせいもあると思いますけれども育児が非常に問題だろうと思っていてお話を聞いておりまして、子育てが終わるまではやっぱり女性としては非常に問題、大変なんだというようなお話でございました。そこで私は、育児問題が、出産、育児のところが解決すれば比較的解決するのかなと、こういうふうに思っていたものですから、その点は本当に参考になり、ありがとうございました。  そこで、育児子育てということを考えていく場合、企業の中だけで物を考えることも大事だけれども企業地域社会との関係の中で、やっぱり地域子育て育児を考えるような環境というものをつくっていくことは私は最も大事なことではないかと思うんですが、その点、佐々木参考人はどのようにお考えなんでしょうか。最も私は地域社会における子育てのところが我が国は後れているんじゃないかというふうに思っているものですから、そこのところをお願いをしたいと思います。  それから、坂東参考人にお伺いをいたしますけれども、やはり今、子育てのところに政策的な光が当たっていないのではないか、このように私は思います。したがって、保育サービスという問題について、どこら辺りが不足して、どこを充実していけばもうちょっと女性は働きやすい環境になっていくのかということがあればお教え願いたいし、どこを充実していかなければならないかということをお教えいただきたいと思います。  それから第二に、女性の場合、結婚したり子育てが終わった段階で改めて働きに出ていくという人は大変多いわけですが、その場合に非常に賃金が安いですね。ここがやはり一つの大きな問題ではないかというふうに思います。安ければ教育もしないし、社内教育もやらないだろうし、賃金は安い、働く時間は長い。逆に言うと、女性の働くところを非常に困難にしているし、働きにくくしているんじゃないかというふうに思っているんですが、そこら辺りの改善はどのようにお考えになっているのかお教え願いたいと思います。  次に、脇坂参考人にお伺いいたしますけれども、先生が提唱されております短時間正規労働者雇用というものを考えてみたときに、やはり男女ともに雇用していく場合に、女性が働き続けるような環境をつくっていくためには代替要員が必要なことは当然なことですね。そうすると、その代替要員のところでこの短期正社員労働者、これを今の我が国の企業側は、経営者というんでしょうか、そこは採用しようと考えているでしょうかね。もし、やはりそういうことを採用することによって、一人採用するにはちょっと負担がある、しかし必要は〇・五ぐらいあると、だから一人雇わなきゃならないというようなことをやらなくて済むのではないか。働く側もこの短期正社員というのは望んでいるじゃないかという傾向も私はあると思うんですね。  そこら辺り、なぜそういう制度を入れようとしないのか、なぜ入れにくいのかというようなことが分かれば、私は臨時、パートを雇うよりも企業のイメージというのは上がっていくのではないかと、このように思うんですが、先生はいかがお考えでしょうか。  以上でございます。
  47. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それではまず、佐々木参考人からお願いいたします。
  48. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) まず、私ども会社社則がいろいろある中で子供を持つ親たち退職したりしていっているかということですが、していってはおりません。先ほど私が結婚と第一子と言ったのは十五年ぐらい前で、今は逆に結婚坂東先生の話にもありましたけれども結婚で辞める人は多分どの企業もかなり少なくなり、第一子ももしかすると少なくなり、第二子、三子の場合に多くなっているという現実かなと思うのですが、あるいは小学校、中学校になってから辞めてしまうということだと思います。  それが、先ほどから言っている育児だけでないということだと思うんですが、私ども会社は逆に、前の会社に勤めていたときには不妊治療中で、そういうことは別に面接のときに言うわけではないので私たちは知らなかったわけですが、私どもの、入社してから一年後ぐらいに妊娠をしたという社員がおりまして、その人が喜びを報告してくるときに、実は私はこれこれしかじかだったんですと。で、私ども会社に入ったら先輩ワーキングマザーたちが生き生きと第一線で、つまり子供がいるから時間がとても短いとか安いとか後ろの仕事をさせられるということでなく、社長、副社長、みんな子供を、ちっちゃい子がいながら働いているという姿を見て、あっ、ここなら産めると思ったら不妊治療していたのが妊娠しましたという話をいただいて、私たち大変うれしく思い、子宝会社といっておさい銭箱でも設け、出していこうかとふざけたぐらいですが。  つまり、私は、ちょっとこの例を、一例だけですけれども、考えれば、よく不妊の場合、本当に体的に不妊の方もいらっしゃいますが、体とは別に、妊娠可能なのにもかかわらずなかなか妊娠しない女性がいたり流産してしまう女性がいる中で、肉体的なことを除いて精神的なブロックもあるのではないかとそのとき思った次第です。つまり、幾らいいと言われていても、やっぱり産んでは育てられないのではないか、働き続けられないのではないかという恐怖心が何かを止めてしまうという可能性が、まあ医者ではありませんが、あるのではないかと感じたわけで、それが私が言う、良い事例に触れたり、いい先輩に出会ったりする機会が多ければ多いほど、自分にもできるのではないかというものになるのではないかなと思っており、私ども会社では、結婚や出産で退職するどころか、子供を産みたい人は産んでいくというふうになっております。  それから、子育て地域の関係ですが、この地域というのは、今のは大変難しい御質問で、住んでいる場所、地域性ですとか、その方々のやっぱり年齢によって地域の見えるものが違ってくると思います。私も、独身で例えば公団のアパートに住んでいた時期がありますが、そうすると、夜中に家に帰ってくると、お祭りの後の何か散らかったちょうちんの跡とかがあって、ああ、今日お祭りだったんだと思いながら帰ってきたのを覚えておりますが、自分子供が生まれると、何日がお祭りかしらといってカレンダーに丸を付けて、その土曜、日曜は仕事を入れないなんということを率先してする。これはやはり制度や何というよりも、やはり関心事やライフステージによって様々人がいるということではないかと思いますが、私が住んでいるエリアは世田谷区と目黒区の間ぐらいなんですけれども、町内会では子供たち向けの一杯、お祭りがあったり、おもちつき大会があったり、バザーがあったりして、町を挙げて子供が楽しめる場所が、イベントが一杯あり、非常に地域一緒になって子育てしてくださっている感じがいたしますし、周りの近所の方とも会話が多いです。でも、これも子供がいたから会話ができたのであって、子供がいない大人になかなかそんなに誘ってくれたり声掛けてはくれないという意味はあるかと思いますが、これが、じゃ、団地になって独身者が多いとどうなのかとか、そこが多分、地域という意味では問題で、私が先ほどから申し上げた独身の人も含めて学校などに入っていく、何かそういうシステムがあったらいいのになと。要するに、子育てというのが、子供がいる人だけではなく、独身時代から、あるいは子供を育ててない人もかかわれるような何か仕組みがあったらいいのになというふうにはやはり思っております。  あと、子供は物じゃないということだと思うんです。多分後で、保育サービスで坂東先生がお話しになるのかと思いますが、私も自分子供を産む前まで、つまり妊娠していて、もう陣痛が起きて子供の顔を見る寸前までは、例えば夜中のベビーシッティングがあればいいなとか、駅の上の保育システムはいいななんて、なかなかいいと思いましたが、よく考えてみると、別にお荷物じゃないものですから、自分の愛する子供が生まれると、夜中にそんなところ預けたくないなとか駅のがたがたいう駅ビルの保育室は嫌だなとか、やはりいろいろと考え方が変わってくるんですね。  ですから、制度としては、必要な人のための機関としては必要なんですが、やっぱり子供が物でなく、犯罪を少なくするためにも、教育を良くするためにも、零歳からの、まあ十歳、十五歳という年齢の育児子育てをやはり人を育てているという意味で考えていかないと、何となく、何人見てりゃいいだろうとかここに場所があればいいだろうということではないということを実感しております。  以上です。
  49. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  では、坂東参考人
  50. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) それでは、子育て政策で今後何が必要かということについてお尋ねにお答えをいたします。  子育てについては、特に少子化の中で大変今関心が持たれ始めてきたところだと思いますが、平成十三年に待機児童ゼロ作戦というのを含みます仕事子育て両立支援策というのを閣議決定をしていただきました。そのときも、まずは一番必要なのは量的な供給であると。待機児童が大変多い、今も二万三千人で、実は毎年五万人ずつ定員を増やしているにもかかわらず、供給を増やすと需要が増えるということで、なかなか待機児童は減らないんですけれども、まずは必要な人たちが利用できるだけの量がまだまだ必要な段階ですけれども、今や質についてもっと考えなければならなくなってきているのではないかなというふうに思います。  質というのは、中でも特に保育士さんたちがどういう労働条件で働いているのか、あるいは保育士さんたちがどういう教育訓練を持っていらっしゃるかということをもっともっと配慮しなければならなくなってきているんじゃないか。学校の教員の方たちですと大変手厚い資格制度あるいは処遇制度がありますけれども保育士さんたちはその部分についてはまだ十分ではない。特に今、公立の保育所が行政経費の削減の中でどんどん民営化が行われております。その保育士さんたちの賃金は、まあ初任給としてはそれほど大きな差はないんですけれども、公立で働いていらっしゃる場合は十年、二十年勤続することによって待遇は良くなっていくんですけれども、民間の場合はなかなかそこまで経営的なゆとりがない。  実は、私は今NPO法人チャイルド・アンド・ファミリーセンターの理事長もしておりまして、東京都の認証保育所とそれから子育て広場を運営しております。その認証保育所というのは、朝早くから夜遅くまで、そして人数は小さくてもいい、いろいろな条件がかぶさっている保育所で、昨年の十一月から始めたばかりなんですけれども、やはりそういうところで需要は大変、特にゼロ歳児、一歳児、一歳児ですね、育児休業明けの方たちの需要は大変大きいんですけれども、そこで働いてくださる保育士さんたちにどれだけの対価を、報酬を上げることができるのかというのを見ますと、やはり正直とても申し訳ないような賃金を払っているというような状況です。是非そういった部分については底上げが必要だと思います。  それから、子育て広場というのは、これはワーキングマザーではなしに地域で専業で二十四時間母親をやっている方たちが、子供を連れてきて、まあちょっと一時息抜きをする、子供を遊ばせるというような場を提供しているんですけれども、昭和女子大のすぐそばのビルの一室を借りてやっているんですが、このほかにも世田谷区はそうしたような場を運営していらっしゃる民間の地域の方、子育てを終わった中年の女性なんかもいらして、少しずつそうした対応が進み始めていますが。  そこで、非常に、まあ私も統計からはよく知っていたんですけれども、専業で子育てをしておられる母親の方たちのその閉塞感といいますか、負担感といいますか、大変大きいので、そういった分野についても十分なサポートを配慮していかなければならないのではないかなというふうに思っております。  ですから、単なる、そうした時間的なワーキングマザー育児を支援するだけではなしに、コンサルタント機能というのでしょうか、子育てをしていらっしゃる方たち全体に対して、いろいろなモラルサポートも含めて支えていかなければならないのではないかなというふうな気がしております。  このほか、例えば小学生くらいのお子さんと親が日曜日にスポーツを一緒にやりましょうというようなウキウキクラブ活動なんかもそのNPOで今、四月から始めたばっかりなんですけれども、一番大きな課題は、夏休み、子供たち小学校の低学年の間に家で一人いるという状況が大変やはり働くお母さんたちにとっても心配ですので、アメリカなんかの場合は、サマーキャンプ等々で働くお母さんの子供たちが三週間、二週間と預かってもらえるというような活動もありますが、何らかの形で、そうした学童に対するケアというのは今大変足りない部分ではないかな、是非そうしたところにその地域の大人の人たち、直接、それこそ血縁の血縁じゃなくても地域の地縁のある方たちがかかわってくださればいいなというふうに思っております。  そのほかにも、例えば先ほどから、子育てを支援する場合には、そうした施設あるいはサービスを充実するだけではなしに、職場の体制がやはり一番大事で、病児保育をやるよりは、病気になったら母親が気兼ねなく休めるようにするということの方がずっと重要ではないかと思いますが、代替要員の話がございましたが、アメリカでは、先ほどのドミノということと、もう一つは、育児休業は少ないんですが、一回休業した後再就職が、機会、日本と比べますと労働流動性が高いので可能です。正社員としてまた再就職するということは一般に行われておりますが、日本の場合は再就職イコール非正社員と先ほども申したような状況があるわけで、それがやはり一回辞めて子育てに家庭に入っているお母さんたちの閉塞感、負担感、ああ、この子のために私は仕事を辞めざるを得なかったんだというようなことにもつながっておりますし、是非再就職しやすい環境をつくる。そして、再就職がまともな、まともな処遇が受けられるような体制をつくる。その一つとして、年齢制限を課す、四十歳以下じゃないといけない、三十五歳以下じゃなければいけないというふうな年齢制限を課した募集を強力に禁止していただくということが考えられるかなというふうに思っております。
  51. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  では、脇坂参考人
  52. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 育児休業の代替要員を短時間正社員その他でできないかということなんですが、これ、先ほど御紹介しましたように、現実に行われている育児休業の代替要員、だれがやっているかということで、ここでパートとか派遣というのは、そういう職場もあるんですがやっぱり少ない。  その理由は、やっぱり育児休業を取る人は、大半が女性なんですけれども、第一子出産するころはもう三十前後なので、管理職まで行ってませんけど、その一歩手前のリーダーとか主任とかなんですね。かなり高度な仕事なので、ここを、幾ら短時間勤務でも、パートとか派遣は非正社員なので、こういう人たちではやっぱりできないんですね。だから、どうしても正社員になってしまう、複数の正社員。  問題は、複数の正社員といってもこれはフルタイムの正社員なんですね、当然。フルタイムなんです。だから問題は、ここの代替要員が短時間、短時間でなおかつ処遇は正社員でより高度な仕事ができる、いわゆる短時間正社員というものの人たちができれば一番望ましいわけであります。だから、より高度な、非正社員のパートでない、より高度な仕事が短時間勤務の人ができるかどうかが焦点になってきます。  そういうことを前から思ってまして、それで育児短時間勤務というのが、今のところ育児短時間勤務というのが短時間正社員に近い。つまり、本当、最終的な目標は育児、介護、理由を問わず短時間で正社員並みの処遇ができればいいんですが、今、現実からいうと育児短時間勤務なんですね、短時間正社員に近いのは。  と思いまして、四、五年前に育児短時間勤務制度の、これちょっと見にくいですけども、利用者へ調査しました。百貨店と電機業界が育児短時間勤務利用者が多いので、その短時間勤務の取ったときの上司とか同僚とかその人とか、かなり詳しく調べました。  で、分かったのは、結論から言いますと、要はその会社とか職場のやる気なんです。これで仕事は切れないか、これ短時間でできるかどうか、そういう話合いの場を持つかどうかなんです。幾ら学者が何を言っても、上が何を言っても駄目なんで、一番職場のことを分かっているのはやっぱり現場人たちですから、そういう仕組みをつくる。こういう短時間勤務を、非正社員の短時間でなくて、そういう人たちでうまく仕事をどういうふうにすればいいのかを話し合ってもらう場をつくるということが一番重要だと思いました。  今現在もこの百貨店、電機以外でも調べているんですが、やっぱり皆さん苦労されています。すごく苦労されてますけども、要は話合いの場を持って絶対やるんだというふうになってきますと、ほとんどの職種はできると思います。できないのも、だって、今ちょっと営業のこと若干調べているんですが、営業でさえ可能だと思っています。営業でも短日数短時間勤務でうまく分担できると思ってますから、何も全部、フルタイムの正社員でしかできないような仕事がどれだけあるのかということだというふうに僕は思っています。
  53. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございます。  どうぞ、佐々木参考人
  54. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) 済みません。ちょっと付け足しで申し訳ございません。  地域でというところのサービスの一つに家事のサービスがあると思っておりまして、これ育児休業とか育児支援の中で、今例えば出産をすると何とか金がもらえるとか、いろいろとお金で、キャッシュで出るケースが多いわけですけれども、実際子供を育てている中で精神的にも肉体的にも詰まってくるというか、ストレスが多いのは、家の中に子供自分だけになってしまうという母親が多いケースが多いわけですけど、になったときのやっぱり解放されにくいというところがありまして、キャッシュをもらうよりか、例えばお手伝いさんが三時間、一か月に一遍でも二回でも例えば何区から来ると。  これは、来ていただくと、話し相手でもいいし、夕食一緒に作ってくれてもいいし、洗濯物をこっちが洗っているときに向こうが干してくれてもいいし、お母さんの話し相手にも若干なりながら、あるいはお母さんがいないケースでもいいのかもしれないんですけれども、ちょっと家に来てくれるという人がいると、これは余計なことかもしれませんけれども、家庭の中の虐待や様々なものも見えてくる可能性もありますし、そもそも、非常に子供を育てている中では、お金を何千円、何万円ってもらうよりかは、よほど継続的に家に人が来てくれる方がうれしいと思います。  私、出産を一人目にしたときに福祉事務所の方が、長女だったので、初めての出産だと福祉員のような方が家に来て、子供を抱いてくれたり、いろいろと話し相手になってくれたのが大変心の支えになりました。  これが十歳、十二、小学校を卒業するくらいまでの間、まあ頻度が少なくなっていってもいいんですが、多分地域のサポート、まあ身の回り、近くにいる方々でアベイラブルな方がどこかに登録をしておいて、区などの自治体がキャッシュを出す代わりに人を送ってくれるということが本当に二、三時間でも月に一回でも二回でもあると、大変助かるんではないかと思っています。  ということと、ちょっと、多分別の機会があればと思うんですが、私は、正社員と非正社員という考え方の論議がそもそも私にはちょっと分からない部分がありまして、つまり、先ほどから言っている雇用の契約が直接できることになれば、正社員も非正社員も対等な立場仕事ができる可能性が高く、まあ私たち会社も別にそこの違いは何もないわけで、むしろその正社員という言葉にこだわるよりも、きちっとやっぱり労働の内容と、賃金と仕事の内容というのが個別で契約できるようになるといいなというふうに思っております。
  55. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どうもありがとうございました。  では、野村哲郎さん。
  56. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  三人の先生方、本当に長時間御苦労さまでございますし、また大変貴重なお話をお伺いできました。  三人の参考人に同じ御質問をさしていただきたいと思いますが、実は脇坂参考人のこの資料の八ページにございます出産前後の妻の就業状況を見まして、私、大変驚いているというか、といいますのが、均等法ができましてもう二十年たつ、そしてその間いろいろ法的な整備もされまして、そして女性方々の働く環境というのは、いろいろ先ほど課題も出されておりましたが、ある程度整いつつあるまだ過程だろうと思います。  その中で、継続就業というのが何でこんなに減ってきているんだろうかと。特に、出産退職というのは増えてきている。これは、先ほど来、各参考人がお話がありました法律なりあるいは制度なり仕組みなりという、そういうものの未整備でやはりこういった結果が出ているのかどうか。そうしますと、先ほど来それぞれ三人がお話がございましたような仕組みなり制度を整えていくと、この出産退職というのは非常に急激になくなっていくのかどうか。  私はむしろ、これはまあ私が古い人間なのかもしれませんけれども、この日本人特有の価値観というか考え方、やはり女性子供、出産を機に退職をされ、そして家庭を守っていくという、そういう意識というのが根強く残って、やはりそのことが、男性意識改革も言われておりますけれども、あるいは女性意識改革も進めなきゃならないということで、佐々木参考人もおっしゃっているんですが、そういう意識を変えることがいいのかどうか。日本的なそういった考え方、価値観というのをやはり私はこの数字というのが表しているのかなというふうに思うんですが、お三人の先生方に是非そのところを教えていただきたいというふうに思います。
  57. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、まず脇坂参考人、よろしくお願いします。
  58. 脇坂明

    参考人脇坂明君) こういう、何といいますか、女性の出産前後の経歴を追っていく調査というのはある時期までほとんどなかったんですね。この全国家庭動向調査を始め幾つか最近パネルで追っていけるデータがあって、この全国家庭動向調査だけがちょっと時系列的に見ることができるんですが、ほかの調査はこんなに減ってはないんです。だから、これは、減っていると、これちょっとデータの制約があってむしろ変わらないと、継続就業をしている女性の割合は変わらないというふうに見た方が結構だと思います。  それで、今おっしゃったのは、だからこれだけ均等法ができて、育児休業法ができて、雇用保険で四割も出ると。なぜ変わらないんだという質問だというふうに思うんですけれども、そのおっしゃるような解釈ももちろんあり得るんですけれども、出産で辞めた人に対するアンケート調査というのも一杯、たくさん研究がありまして、それは家庭の方がいいというのはやっぱり少ないんです。せいぜい多くても四割ぐらいなんです。大半は、もし自分の働いていた職場が子供を産んでも続けられる職場であれば働き続けたかったというのが多いんです。だから、僕が職場に興味をすごく持っているのは、その職場が子供を産んでもいわゆるファミリーフレンドリーな職場であれば働き続けるであろうと、大半の調査がそういうふうになっております。
  59. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございます。  じゃ、坂東参考人
  60. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) 私も全くそのとおりで、例えば自分で家庭に入って子育てをしたいと思う方が、そのとおりそういう生き方を選択なさるというのは大変いいことだと思うんですけれども、できれば続けたいと思っている、あるいはしばらくの期間は子育てをしてもまた復帰したいと願っている人たち、実はそれがマジョリティーなんですけれども、そういう方たちが事志と違って、ちゃんとした仕事がないからあきらめざるを得ない、あるいは職場で子育てをしていると周りに迷惑を掛けるから肩身が狭い、よく言われることですけれども、今まで比較的学校で成績が良くて職場でも嘱望されていたようないわゆるエリートと言われるような女性の方が、周りに迷惑を掛けてまで仕事を続けていくのはつらいとか、そういったいろいろな理由で辞めざるを得ないという状況は何とか支えてあげたいなというふうに思います。  それから、特に、御存じのように、今は日本の女性の平均寿命八十五・六歳です。その中で子育てに、ただ三年間の育児休業というのは努力義務でなかなか三年間は取れないんですけれども、せめてその八十五年のうち三年ないし五、六年取っても、それが一生本人の生き方に大変な不利を与える、経済的にも社会的にも、自分の生きがいの面でも不利益を与えることがないような環境を整える必要はあるのではないかなと。余りにも一回子育てのために家庭に入ると失うものが多過ぎるというのが現実なんではないかなと思います。  それは、先ほど申しましたように、子育て広場のお母さんたち子供がかわいくて本当に一生懸命自分は二十四時間頑張っているんだけれども、なかなかそれを認めてもらえない。私はもう辞めてしまったら、もう今度職場に復帰できないんじゃないかというふうなあきらめ、悔しさ、そういったような気持ちを持っていらっしゃる方も大変多いですし、そういったことがないようにとにかく心安らかに子育てを選択する、十分エンジョイした後は、また復帰するときに不利にならないようにいろいろなメニューを整える必要があるのではないかなと思っております。
  61. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) では、佐々木参考人
  62. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) お手元資料の中で、イー・ウーマン調査の少子化・晩婚化に関する調査というものの中のグラフの五に、子供がいる方に出産のときに仕事を続けたんでしょうかという質問をしましたところ、五六・三%の人が育児休暇の取得を含み仕事を続けたと回答していて、四三・七%の人が一度退職したと答えているんですね。一方で、再就職の機会が十分にあるのならば、一度辞めて一年から三年くらい育児に専念したいですかというふうに聞くと、はい、専念したいですというふうに言った人が五九・六。  つまり、一度退職した人が四三・七ということからすると、再就職がきちっとあるならば、もしかすると一度会社を辞めたかもしれないというふうに言ったとも読めるかと思います。一方で、育児に専念する時間をなるべく短くして職を辞めずに働き続けたいと言った人も三〇%いるというデータがあります。  私は、先ほどちょっと非正社員と正社員と、これは深い問題なので短く語りにくいですけれども、そもそもやはり正社員という私言葉に大変実は抵抗がありまして、正社員という考え方が存在する限り、そうでない人が非常に不当なあるいは劣等なイメージを受けると思うんですが、実はもうそもそも正社員という概念をもしやめてしまったならば、雇用というものが非常に自由に、例えば一週間に三日間働く人も、一日四時間働く人も八時間働く人もみんな正社員というか、それは正式に雇用契約がなされた方だというふうになっていくというのではないか。そうしないと、仕事を続けるとか辞めるとかということに関して、職を失う、再雇用ということに関してもちょっと問題がいろいろ出てくるのではないかなと思っているんです。  私の周りには小さな子供がいるので辞めたという人もいますが、一方で外資系の役員まで、世界ナンバーワンのある企業で日本の副社長までやっていたような人が、子供が四年生になったときにやはりちょっと子供のことで近くにいたいと言ってぽんと第一線から退いて、私なんか同じ年の子供がいるのでどきっとしたんですけれども。ですから、その方の場合は能力があるからきっといつでも戻れると思ってぽんと辞められると思うんですけれども、そういったやはり働き方というのももう少し自由にあると継続ということができるのかなと思っています。  あと、辞めてしまう人の中に、夫の母親からのプレッシャーというのも非常に多くて、これは職責というか地位や給料にもよるのだとは思うんですけれども、よく洗食機、皿洗い機が普及しなかったのは、おばあちゃんからあなたは仕事もしているけど皿まで洗わないのかというプレッシャーを浴びて皿洗い機を導入できないという家庭が多くて、結局皿洗い機を売っているメーカーは、これは節水になる、賢い選択なんだと、お水を使わなくて水道代安いんだという宣伝に変えたら売上げが上がったというふうに聞いたことがありますが、やはりそのアプローチの違いをいろいろ考えていかないと、ちょっとその辺りは家庭や地域によってはプレッシャーを与えられるのかなと思います。  私自身、いろいろな企業研修にも行きますが、モチベーションさせてくれと言われて行きますと全員が二十五歳以下の女性で、ほかにいないと。話を聞いてみると、この会社で二十五歳以上で働いている人はいなくて、佐々木さん、よくそんなに働いていますねなんていうふうに、逆に呼ばれておきながら言われるということもありますので、やはり出産とか仕事の継続というのはかなり環境影響すると思うので、情報が流通していき、考え方の多様性が認められていくことにより解決することもあると思っております。
  63. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  それでは、島田智哉子さん、お願いいたします。
  64. 島田智哉子

    島田智哉子君 民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。本日はありがとうございます。  先月、厚生労働省から、「働く女性の実情」平成十七年度版が発表されました。今回の特徴は、M字の右肩の部分に焦点が当てられておりまして、中高年の中で就業を希望している人については男性女性もそれほど変わらない、求職活動についても積極的であると、そうした分析結果の報告がありました。少子高齢化社会の中で、男女問わず、こうした方々の力は今後ますます重要になってくることは間違いないんだろうと思うんですが、とりわけ四十五歳以上の中高年の女性の再就職、あるいは再就職援助の在り方についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。  そしてまた、学歴が高い女性ほど結婚、出産した後に再就職しないでいる方の方が相対的に多いと言われております。先ほど佐々木参考人もお触れになったことだと思いますけれども。その背景として、やはりそうした方々の場合、高度な仕事を求める方が多いということもあって企業のニーズと合わない、そういう点があるんだろうと思いますが、この点について何かお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。  以上でございます。
  65. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) どなたに。すべて。
  66. 島田智哉子

    島田智哉子君 はい。恐れ入ります。
  67. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) 分かりました。  じゃ、佐々木参考人から、いかがですか。
  68. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) シニア、シニアとは言わないですね、四十五歳以上の女性の再就職の援助なんですが、私ども会社にも四十五歳以上で、あるいはそういった年齢で、子育てをしてブランクがありましたと言って応募される方がいろいろいらっしゃいます。私たちはすべてにフェアなので試験をしたり面接をしたりさせていただきますが、やはり女性の場合、結局社会に出てからの、過去のその人の職歴も含めて、かなり社会人としての研修なり場を踏んできていないということが、実際私が今度雇う側になって人を見たときに感じるわけですね。  ですから、雇ってあげたいのはやまやまなんだけれども、やはり、例えばもう考え方や仕事のスピードなりそういった技術が追い付いていないという人がいることも確かに現実で、そうでありながら夢は大きいので、賃金は高く欲しいというふうになってくると、やはりこれはどうしても、こちら側も、実はやはりここはすごく、先ほどの正社員、非正社員もそうなんですけれども、雇う側からすると、端的に言えば会社に貢献してくれる人であれば、その人が何歳であろうが、子供がいようがいなかろうが雇いたいし、いいチームメンバーを迎えたいわけですが、その貢献度と希望とかがマッチしていないというケースが多いのではないかなと感じていて、それは本人が問題というよりも、やはりその人が過去に歩いてきた環境の中でチャンスを与えられないがために、学歴は高く、会社歴も会社の名前だけ見るといいんだけれども仕事歴がないということで、ブランク明けに非常に難しいと感じる場合があると思っております。  ですから、じゃどういうサポートが必要かというと、やはりマインドを高めていくとか技術を上げていくというような研修なりなんなりの、やっぱりウオーミングアップというか導入の部分が必要だろうなというふうに思いますのと、実際に長期戦ではございますけれども、そういった人を輩出しないように、やはり今新卒で社会に出てくる人から含めて、女性研修なり仕事の場がきちっと平等に与えられてチャンスがあるということが大変必要だと思っております。  学歴が高い人ほど仕事をしていないということに関しましては、確かに企業のニーズと合わないと今おっしゃられたんですけれども、私はそれはちょっと違うと思っておりまして、どの辺りの学歴とどのポジションに応募しているかということだと思いますが、やはり企業は、今それこそ女性を社外役員やいろいろなところにも迎え入れたいと思っている企業も多くなってきておりますから、ニーズに合っている仕事ができるならば雇うと思うんです。今、人は、実はどの企業人手不足でございますので、仕事ができる人は欲しいんだけれども、やはり若干その辺りは、データで見ると学歴が高かったりなんかするんだけれども会ってみると仕事はできないという人もいるというこの現場の感覚というんでしょうか、その辺りが雇用とミスマッチなのではないかなと。あと、本人のプライドもあると思うんですね。私は今までこういう大企業、有名企業に新卒のときは勤めていたんだ、私はこんな大学を出たのだと。これは男性女性も同じで、そのプライドと実態とのミスマッチに本人が気が付かないと社会が不当だというふうな発想になっていくわけですが、実際、私は、意外と企業はその辺りはよく見ていて、ちゃんと働ける人は雇っているんじゃないかなと現場としては思っております。
  69. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  坂東参考人
  70. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) 日本では、データでは、本当に高学歴の女性の就業率が余り高くない、特に低いわけでもないんですが、ほとんど学歴による差がないというのは、ほかの先進国では高学歴の女性が再就職した場合は収入の多い仕事に就ける、だから仕事に就かないための機会費用が高学歴の女性ほど高い、もったいないから働くということが多いわけですけれども、日本の場合は高学歴の女性に能力を発揮するような機会が、大企業を中心として雇用機会というのは非常に少ないと。  そこで、本当に能力があるならば、本当に能力があるならば自分起業するとか、あるいはよその自己契約社員、フリーランスとして頑張るとかいろいろあり得るんだとは思いますけれども、残念ながら今の日本の女性たちの場合、特に五年未満で、新卒で働いても五年未満で辞めた人の場合は、男性もそうだと思うんですけれども、ほとんど職場で仕事をする能力というのは身に付いていないと。だから、もし本当に起業しようとするんだったら十年、十五年くらいのキャリアを積んで、自分の人脈、自分のコアコンピタンスを持って起業しなければいけないんですが、そこに至る前に辞めてしまっている人が多いのでなかなか労働市場に戻れないんだろうと思います。そして、安い労働力としてならば非常に需要は大きいと。  ですから、逆に、埼玉県でも学校コンサルタント、心理的なサポートをする専門の方を、スクールカウンセラーを募集したらもう大変な応募者がいるというように、高度の学歴、専門的な能力を必要とするような仕事が提供されると非常にたくさんの人たちがそれに応募するというのが一般的になっておりますので、私は経営者の方たちには四十五歳以上の女性はもう本当に宝の山ですよと、そちらにターゲットを当てて求人されると本当にいい人が一杯集まってきますよと言うんですけれども現実にはなかなか、そうかとおっしゃる方は少ないし、特にサラリーマン社長、大企業ではそういうことはなかなか難しいので、是非、先ほどから申しておりますように、年齢制限をしないで募集をしてほしいというのを是非法制的にも対応していただきたいなと思います。  また、個人の側としましては、例えば子供が生まれた後、十年間家庭にいる。毎日決まった時間に出勤する、職場でどういったような行動を取るというふうな習慣がさび付いてしまっておりますので、もう一度世の中へ出ていくための教育訓練の期間が必要なのではないか、三か月なり半年なり一年なり。とはいえ、今大学に身を置いております立場としましては、これから、今までの日本の大学というのは、十八歳人口、若い人たちを対象として一般的な教育をすることが中心でしたけれども、是非これからはマチュアスチューデントといいますか、社会的な経験を持った方、あるいはもう子育てが終わったような方たちがもう一度社会へ出ていくための教育をする、あるいは資格を与えるといった機能を持たなければならないのではないかなと思いますが、それも今のところは、幾ら大学へ戻って高い授業料を払って勉強して資格を取ったとしても、それを生かす場は企業の側からはなかなか提供されないというのが現実です。ですから、何とかそこのところを、スムーズな橋渡しをするための制度等を考えていただければ大変有り難いなと思います。
  71. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) では、脇坂参考人、お願いいたします。
  72. 脇坂明

    参考人脇坂明君) 今の質問にぴったりのことが、前もってお配りしている参考人関連資料の六十三ページ、六十四ページに少し書いてありますけれども。  ずっと気になっていまして、これは講演要旨みたいなものですから、大卒女性の再就職が余りしないということを、今、日本にある需要側と供給側の一番いいデータで分析したんですけれども、なかなかいい結果が、これぞという理由が分からないんですね。その論文では、坂東参考人も言ったように、年齢制限、求人の年齢制限が問題じゃないかというふうなことを強調して書いたんですが、でもそれは学歴に関係なくあるはずなんですね、大卒も高卒も。だから、なかなかもうひとつそのところが、分かりにくいところが実を言うとあります。まだずっと気になっていて、いろいろデータを作ったりやっているんですが。  今のところ、私が思っているのは、大卒だけではないんですけれども、先ほど、一番最初に言いましたように、女性の再就職の一番問題は、家事、育児で中断期間があるということなんです。男性も中途採用でどんどん動く人もいるんですが、その人たちは切れ目なく経験を持っているからそれなりにその部分の評価はしてもらえるんですね。問題なのは、だから家事、育児で幾ら能力を発揮しても企業は全く評価していないということなんですね。  僕は、そうじゃないんじゃないかというふうに最近思うようになってきまして、家事能力、育児をきちんとできる人は職場に入っても何かできるんじゃないかというような気が前からしていたんですけれども、最近特にそう思うようになりまして、それを生かそうとすれば、政策的にいいますと、家事能力、育児能力と職業能力との関連とか、場合によっては家事、育児能力の検定試験を作るとか、あなたは家事何級とか育児と。それが企業、本当にそれが企業が高い能力と見るかどうかは別なんですけれども。  そういう、何か案外、家事能力、育児能力は職業能力と全く違うものというふうに決め付けるのも危険なんじゃないかなというふうに最近思っていまして、そういう研究も実を言うと少しずつ増えてきています。まだでも決定版はないです。  以上です。
  73. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  ちょっとまだ時間がございますので、よろしいですか。  和田ひろ子さん。
  74. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 皆さんにしかられそうなんですが、にらんでいる人もいて。いいでしょうか。  佐々木参考人のお話、本当に、目からうろこという話もさっきありましたけれども、すばらしい起業家でいらっしゃるなという感じがしました。  私たち女性が反省すること一杯本当はあるんですね。お若い働き手を私たちおばあちゃんたちが結構きつい目で見ていたりするものですから、本当に女性の反省する点もたくさんあったりもするというふうに思います。  大体、日本で週休二日に子供たちがなったときに、何にも受皿もない地域子供をぱっと放してしまったことに私すごい問題があるなという思いがして、地域でいろいろ企業が活躍されたりしておられることに感謝をしたいというふうにまず思って、今日は、そのことは感謝だけで、女性国際ビジネス会議で、いろんな皆さんのお話を聞きたいとかといういろんなアンケートがありますが、これが本当に、何かどんなお役に立っているか、どんなものなのか、教えていただきたいというふうに思います。  それで、坂東さんには、今、何か男女共同参画社会というのがちょっとバックラッシュしていたりして、もうやっぱり女性子供を育てるとか三つ子の魂は百までとかということがあるんですが、実は、子供女性が、お母さんが見るということは、一日だらだらテレビを見て見るよりは、本当に、例えばお仕事から帰ってぎゅうっと一時間しっかり子供を見ることの方が子供を見ることになるんじゃないかななんという話もたくさんありますから、例えば、そういう働く女性を本当に私は支援したいというふうに思っています。  そして、さっきは保育士さんの過酷な、給料の面とか労働の面とかおっしゃっていただきました。三つ子の魂は保育士さんでもきちんと見ていただけるものだというふうに私は思っていますので、そういう面をちょっとお話ししていただきたいなということ。  そして、脇坂さんの資料の十、先進国の違い、ワーク・ライフバランス、このことを、今日、私は実は本会議でいろんな、皆さん今出たことを全部質問にしたものですから、是非このことをちょっと教えていただきたいなというふうに思います。  よろしくお願いします。
  75. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) それでは、三人の方、短めによろしくお願いいたします。  佐々木参考人
  76. 佐々木かをり

    参考人佐々木かをり君) 女性同士が若い女性たちに手を差し伸べるということは大変重要だと思っておりまして、私も、一九九〇年ごろ、二十代の後半でアメリカ会議にいろいろ出たときに、大変有名な企業社長さんや偉い方が、私が日本人一人、二千人の会場で日本人一人で乗り込んでいきましていろいろ話し掛けると、何をあなたのためにしてあげましょうか、だれをつないであげましょうかと、見知らぬ私に多くの有名な起業家女性たちが声を掛けてくださいました。  私、今、最近はフォーチュンがやっている女性のサミットなどにも出ておりますが、そういうところでも同じような傾向が見られると思いますが、日本では、私もパーティーなどでいろいろな女性の有名な社長さんのところに近づいていったりして名刺を渡すんですが、やっとこの一年ぐらい、時々振り向いていただくんですが、私でさえというと、この年齢になってという意味ですが、過去十年、十五年、名刺交換もしてもらえないということが多く、なかなか冷たいなと思っておりまして、これが私が会議を始めた理由でもありまして、やはり自分も、それから横の人も上の人も下の人も、前を向いて歩いているならば仲間と思おうと。これは、女ならばというふうに、私は余り男女平等ということを特に言いたくなくやっておりますので、前を向いている人が気持ちよく出会えるということが非常に重要だろうと思っておりまして、イー・ウーマンでも、ですから、最近お問い合わせが大変多いので、女性のメンターを集めた、メンター制度などをプログラム化していって企業や個人に提供したいと考えています。  国際女性ビジネス会議は、今年は第十一回目、七月十五日なので、もし皆様、本当に、よろしければいらしていただいて見ていただきたいと思いますが、過去十年間、先着順で、何の私たちが制限も、組織にも何にも声を掛けないでやってまいりました。六五%の参加者がお一人で全国から飛行機に乗り新幹線に乗り夜行バスに乗りやっていらっしゃいます。そして、満足度が十回連続九八%を超えております。これは驚異的な国際会議だと出席者に言っていただいています。  なぜなら、例えば会議の内容がいいとか、講演者の、ああ、すばらしかったとかということだと多分五、六〇%がいいところだと思うんですが、九八というのは何かというと、会場に入ったときより出ていったときの方が元気になっている、やる気になっている、生き生きしている自分を感じるということで、何かというと、例えば講師の話も良かったがあそこで手を挙げて質問したあの人の質問が良かったとか、御飯を一緒に食べたテーブルの人と会話をしたらみんなすてきな人だったとか、女子トイレに並んでいたら前の人と話したらすてきな人だったとか、多分一日の様々な出会いが満足度高くないと九八行かないということです。これはうれしいことでもあり、逆を言えば彼女たちが職場で、日常生活でそれだけの出会いを受けていないということになります。  ですから、私はこの会議をやめることが目的でやっておりますが、本当は十回でやめたかったんですが、まだニーズがありあともう少し続けますが、いつの日かこの会議の逆に満足度が落ちていって、日常生活でこのぐらいの出会いはあるわ、刺激はあるわ、前向きの人と出会えるわという社会にやっぱりなっていっていただかなきゃならないと思っております。  という意味で、やはり先輩と後輩、同僚などが年を超えて、年齢を超えて、役職を超えて支え合い励まし合うというのは、別に何ら難しいことではなく、前を向いている人と出会う数が多ければ励まされるというふうに思っております。
  77. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  坂東参考人、お願いします。
  78. 坂東眞理子

    参考人坂東眞理子君) 私も先ほどの佐々木参考人に少し補いますと、アメリカでは女性たちが本当に四五%も管理職にいる中で、もう既にそういう女性同士だからという助け合いは必要ないように思うんですけれども、いろいろな形のネットワークがあります。例えば、コミッティー200ですとかグローバルサミット、今実はここに参考資料でお付けしましたのもそこで発表された資料一つなんですが、いろいろな形のネットワークがあって、もう女性が管理職の半分だから今更ネットワークもないでしょうと思うんですけれども、それでもなおかつやはりいろいろな問題がそれぞれ抱えている、お互いに励まし合うこと、助け合うことが必要だというのはいつまでもあるんだなというのを私も痛感しております。  それからお尋ねの、特にワーキングマザー、働く母親の子育ての関係ですけれども、私も二人の子供を育てまして、もう二人とも大人になりましたけれども子供が小さいとき、特に三歳未満のときに、子供自分で育てないでほったらかしていると後でツケが回ってくるよと、今はまあ普通に育っているかもしれないけど後が怖いわよって随分と言われましたけれども、いろんな人たちに助けられて、私の場合は母親が大変サポートしてくれたのは有り難かったんですけれども、例えば保育所の保母さん、上の子供がゼロ歳児のときからお世話になった保育士さんには結婚式にも出席していただきましたけれども、一対一の、母親が一〇〇%完全ではなくてもいろいろな人たちの愛情を受けて育つというのも一つ子供の条件なんだ、母親は一〇〇%完全無欠な環境子供のためにつくってやることはできないけれども、その与えられた条件の中でベストを尽くしていくんだというふうに思っておりますし、またそういうときには助ける神が必ず出てくるというふうに信じております。  ですから、これから女性たちがいろいろな分野で働く、活躍をするというのはもう不可避です。今そこのパワーポイントにも出しておりますけれども経済がいろいろな形で成熟してはおりますけれども、それだけにこれからの高齢社会をみんなで支え合わなければとてもこの社会は維持できませんから、子育てが終わった後も女性たちが十分にその能力を社会のために貢献するような環境をつくっていかなければならない。子供のため、自分子供だけに集中していればそれでほかは何もしなくてもいいんですよという社会は、人生がまだ三十年か四十年だったころには意味があったかもしれませんが、九十年の時期にはもう通用しないのではないかなと思っております。
  79. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  脇坂参考人
  80. 脇坂明

    参考人脇坂明君) このパワーポイントの説明なんですけども、よく女性雇用するときに、海外、先進国の例で、こちらのタイプとこちらのタイプがありまして、全く違うんですね。だから、よくどっちの方向を目指すんだと。で、大体言うのは、いいとこだけつまみ食いをする。でも、それは無理なんで、システムですから。  それで、全く変化なかったんですが、やっぱりイギリスの変化が非常に大きくて、これはEU加盟はずっと前なんですが、特にブレア政権になってから、かなり国家が介入をするようになったんですね。育児休業も、例えば産後の休暇が二十九週ぐらいしかなかったのが一年とか、今度一年半とかいうふうに、かなり国家の介入もするんですけれども、基本的にはスタンスはこっちなんですね。だから、ワーク・ライフバランスとかファミリーフレンドリーでも、権利というよりも先ほど言いました企業戦略、そうした方が、それを導入していった方がもうかるんですよと、そういう言い方をイギリスの首相もしますし、研究者もするんですね。  そうすると、イギリスがEUに加盟して、まあ今現在ではEUもいまだにまだドイツが主導権を握っていますけども、イギリスがかなりいろんな分野に、この問題だけじゃなくって、そういう影響力が出てきまして、EUの大陸ヨーロッパの国もワーク・ライフバランスとかファミリーフレンドリーとか言い出すようになってきました。だから、かなりイギリスの動きに収れんするような方向に多くなる、これは僕の仮説です。  ただ、アメリカは全然変わりません。アメリカはいまだにこのままで、もう連邦政府の規定は十二週間しかないという形で、最小限の介入、政府の介入ということですから。でも、アメリカがもし変われば、超大国のアメリカがこちらの方向へ変われば、元々日本が中間だったので、それほど今の日本の進んでいる方向性は大丈夫じゃないかというふうに私は見ています。
  81. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ありがとうございました。済みません。
  82. 広中和歌子

    会長広中和歌子君) ありがとうございました。  予定の時間が参りましたので、本日の参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  佐々木参考人坂東参考人及び脇坂参考人におかれましては、御多用の中、本調査会に御出席いただき、誠にありがとうございました。  本日お述べいただきました御意見は今後の調査参考にさせていただきたいと思います。本調査会代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  次回は来る五月十日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会