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参考人(
鈴木満君) 私は、自治労連現業
評議会清掃委員会の
委員長をしています
鈴木満といいます。
清掃
委員会というのは、
全国の
自治体に働く清掃の職員が集まって組織した
委員会でありまして、そこの
委員長をしています。出身は所沢市職員労働
組合です。
始めに、このような席に発言をさせていただける
機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
私は、昭和五十三年、所沢市役所に採用されまして、以来、焼却炉の運転に二十五年、
平成十四年の十二月にダイオキシン
対策特別
措置法が施行されまして、そのときに合わせて新しいクリーンセンターができました。
平成十五年の四月からはそこの計量担当ということで、日々住民と接するようなポジションで三年間やってきました。そして、今年四月、休職をし、
組合の専従等をしております。合計二十八年、清掃現場に携わった
経験と
全国の清掃の現場の実態を併せまして、現場の苦労なども併せてお話をさせていただきます。よろしくお願いします。
初めに、
容器包装リサイクル法にかかわる問題で、住民と現場の
ごみの
分別のお話をさせていただきます。
お手元に、所沢市の
ごみの分け方・出し方というチラシがございます。まず、所沢市の
ごみの
分別ですけれども、燃やせる
ごみ、燃やさない
ごみ、粗大
ごみ、
プラスチック、
ペットボトル、瓶・缶、新聞・雑誌・段ボールと、それから有害
ごみという八種類の
ごみ分別になっています。これは一般的な
ごみの分け方だというふうに思っています。
自治体によっては、燃やせる
ごみのうちの生
ごみを別に
収集したり、あるいは新聞・雑誌・段ボールを
個々に集めたり、粗大
ごみをもっと細かく分けたりということで、二十種
分別とかあるいは二十四種
分別とか、そういう呼び方をしている
自治体もあります。
容器包装リサイクル法の関係でいいますと、
プラスチックそれから
ペットボトル、瓶・缶・スプレー缶、それから新聞・雑誌・段ボールの段ボールですね、この四品目です。そのほかに紙パックとかありますけれども、これは出張所とか公民館とかそういうところにかごを置いて、拠点
回収というやり方をやっております。この
容器包装リサイクル法の中でも、実際に容リ協会を通して出しているのは、逆有償になる
部分で
プラスチックと茶のカレットです。ほかの瓶、缶とかあるいは白カレット、それからあと
ペットボトル、まだそれについては一応売却という形で、容リ協会を通しておりません。
プラスチックの
分別収集というのは、
平成十年の四月からダイオキシン問題が始まった時点で
分別収集という形に始まりましたけれども、現在は
容器包装の
プラスチックという限定をしております。
今日、その
分別で現場でどう判断していいのか悩んでいるのがありますので、実際、現物を持ってきました。(資料提示)ざっと分けまして、こっちからこっち側は
プラスチックごみです。こっちからこっちが燃やさない
ごみに入ります。
自治体によってちょっと分け方は違うと思いますけれども。
まず、燃やさない
ごみの中に歯ブラシあるいはハンガー、それからこういう入れ物ですね、あるいはこういうカセットテープ、どう見たって
プラスチックなんですけれども、これは
法律の
対象外だということで燃やさない
ごみという扱いをしております。
それから、アルミ、これは袋はアルミですけれども、これですと
容器包装の
プラスチックに入りますけれども、アルミが何で
プラスチックだと言われますけれども、アルミホイルは燃やさない
ごみなんですね。非常にその判断が迷っています。なぜこれが
プラスチックなんだという。
それから、これは一見
ペットボトル風ですけれども、よく見ますと
プラスチックなんですね。現場でこれを一々確認して
収集しているわけではないです。これもプラボトルです。プラボトルですけれども、
プラスチックの方に入っています。
ペットボトルという勘違いをされている方もいらっしゃいます。
それから、こういう
容器。これだけですと、これだけ売っていますから、これは
プラスチック包装の
対象外の
プラスチックですね。しかし、この
容器、この
容器は中に漬物みたいなものが入っていました。ですから、これは
容器包装の
容器です。同じ
容器でもこっちは燃やさない
ごみ、こっちは
容器包装。中にはバケツ、バケツは
容器だろうと言われる
市民の方もいらっしゃいます。確かに
容器なんですけれども、
対象外ですね。それから、こういう紙パック。これはどうやって普通の紙パックとして出していいんでしょうかと。ちょっと中にアルミが入っていたり、あるいは口に
プラスチックが、これ全部取るんですかと言われます。
こうやって、我々現場の職員も非常に迷う
ごみがたくさんあります。ですから、これを住民の方に理解しろと言うのは非常に困難なものがあります。
収集の
段階でこういうのが見付かると、張り紙をして置いていきます。置いていきますけれども、住民の方も納得できないわけですね。そこで結構トラブルというものが発生をしています。こういう難しいという点を分かっていただければというふうに思います。
それから、
容器包装リサイクル法の現場はどう変わったかということをお話ししたいというふうに思います。
容器包装リサイクル法、長いので
容リ法と呼ばせてもらいますけれども、ちょっと座らせていただきます。第一に、
容リ法で
ごみが減ったかという問題です。
容リ法が施行されると同時に
ペットボトルが物すごく増えました。それとともに、それまで使われていたビール瓶など、生き瓶がなくなっちゃっております。
自治体の現場でもビール瓶とかあるいは一升瓶、酢の瓶とかウイスキーの瓶とかジュースの瓶とか、施設の中である
程度回収をしていたものがほとんど入ってこないために、もう少量のためにルートがもうなくなっちゃったということで、生き瓶として
回収していたものがカレットという形に
回収になりました。
当然、瓶商さんというのも廃業ということになってしまっています。その分すべて
自治体の
処理施設に
ペットボトルや缶、紙パックとして流れ込んでいます。当然
ごみの総量というのは増えています。所沢でいえば瓶、缶、スプレー缶というラインがこれありますけれども、選別ラインがありますけれども、そこに流れてくるのはほとんど缶です。瓶というのはコーヒーの瓶あるいは調味料の瓶、ワインの瓶、そういうたぐいです。これは、結果的にはこの
法律によって
企業責任がいつの間にか
自治体の
責任に転嫁されてしまったのじゃないかというふうに思っております。
容リ法で
埋立て量が減ったということを言われますけれども、現場からはそういう実感が全くありません。
ごみの増加の中で、瓶や缶の
資源回収は有償、逆有償という問題ありましたけれども、法の成立以前でも多くの
自治体で瓶、缶の
資源回収というのはやっていたわけです。ですから、その分がこの
法律の
効果だという形になっているのかどうかということは分かりませんけれども、
埋立て量も減ったという実感というのはありません。
第二に、
自治体の
財政負担の問題です。
収集では、品目が増えれば必ず車両と人員が増やさなければいけません。そして、
収集したものをそのまま
容リ法協会の方に出荷するわけにいきませんから、選別施設を造って
対象品以外のものも、中身の入っているもの、あるいは汚れているものも取り除かなくちゃいけません。多くの
自治体で民間委託が進んでしまっていますけれども、そうした経費というのもばかになりません。今まで以上に品質を上げるというのは、本当に
自治体にとっては一層の経費の
負担が求められるということになります。この経費の
負担も既に多くの方が指摘されておりますので、あえてそれ以上は申しませんけれども。
第三に、
消費者の
リサイクル意識が後退したのではないかという問題です。
以前は酒屋さんに一升瓶やビール瓶を持っていけば引き取ってくれました。ですから、ある
程度きれいにして返そうという
意識が働きました。しかし、
ペットボトルや缶になると
自治体の
ごみ収集に出すという、
意識後退していますから、中にたばこが入っていたり、あるいは飲み掛けがそのまま出たりということで、非常に品質が悪くなっています。このことは店頭
回収をしている
ペットボトルとか紙パック、そういったものをちょっと見ていただけるとその差が歴然としているというのが分かります。
法の
改正で現在よりももっと品質を上げるということは見通しが非常に厳しいものと思われます。高齢化世帯あるいは
ワンルームマンション、共稼ぎなど、ほとんどゆとりのない家庭が増えてきています。こうした社会環境が、
ごみの
分別まで考えるゆとりがなくなってきているということであります。
これまでも
自治体はその都度、個別指導とかあるいは張り紙とか啓発、啓蒙に
努力してきましたけれども、更にこれを強化されるということは、非常に
効果の方は不透明であります。ですから、財政的にも精神的にも
自治体を苦しめることになるというふうに私は思っています。
こうした問題を踏まえてきますと、どうしても今回の
改正というのは、
自治体や国民に
責任を求めていくものではなくて、製造の
段階に踏み込んで、
容器の統一化を図ったり、あるいは塩ビなど素材の用途規制、デポジット制を見据えた
容器構造の
見直しなど、
発生抑制という視点に
方向性を変えるものでなくてはならないというふうに思っております。そうした点からは、
改正の趣旨である
排出抑制という限定は、
自治体と住民に
責任を転嫁し、法の
効果を骨抜きにするものじゃないかというふうに危惧をしているところであります。
最初に申し上げましたけれども、私は二十八年間、
ごみ処理の現場に従事してきました。昭和五十年代後半から地球
規模での環境問題が盛んに取り上げられるようになりました。酸性雨の問題、それから熱帯雨林や森林の減少、砂漠化などの問題。当時、私の現場でも新聞や雑誌の束あるいは事業系の紙
ごみがたくさん焼却されました。私たちは
ごみを燃やしているんじゃなくて紙を燃やしているんだというふうに実感しています。そして、
ごみピットも冬になると時々火災がありました。
ごみを燃やしたときに出る煙が酸っぱいんですね。初めて煙が酸っぱいということが分かって、酸性という実感も
経験してきました。私のところは九十トンの焼却炉が二基あります。所沢には二つの焼却施設がありまして、約四百トン近い
焼却能力がありました。それが一か月も二か月も昼夜、のべつ幕なく燃やしているわけです。非常に環境問題を考えると鳥肌が立つような状態でありました。このときから、
ごみ問題は環境問題であるという視点で考えてきました。現在もこうした焼却炉が
全国に千五百余りあって
ごみを焼却しています。エネルギー
回収という名の下にこのまま
ごみ焼却を進めるというのは、地球環境の将来を危惧するものであります。
どうか、環境問題や
ごみ問題を先送りにしないでいただきたい。せめて、
容器包装リサイクル法の
改正は、循環型社会形成
推進基本法が示している
優先順位に即して、
発生抑制を基本とした内容に
改正していただきたい。そして、いろんな分野の人から、いろんな人が
改正の最大の
ポイントである
拡大生産者責任を求める声が出されていますけれども、残念ながら提案には
拡大生産者責任の視点から逆行しています。是非この
ポイントを明記していただきたい。
終わります。