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2006-05-30 第164回国会 参議院 環境委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 関口 昌一君                 橋本 聖子君                 岡崎トミ子君                 鰐淵 洋子君     委 員                 大野つや子君                 狩野  安君                 西田 吉宏君                 真鍋 賢二君                 大石 正光君                 小林  元君                 谷  博之君                 広野ただし君                 加藤 修一君                 草川 昭三君                 市田 忠義君                 荒井 広幸君                 田村 秀昭君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    江田 康幸君    大臣政務官        総務大臣政務官  桜井 郁三君        経済産業大臣政        務官       片山さつき君        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        渋川 文隆君    政府参考人        金融庁総務企画        局審議官     細溝 清史君        金融庁総務企画        局参事官     山崎 穰一君        外務大臣官房参        事官       深田 博史君        農林水産大臣官        房審議官     吉田 岳志君        農林水産省生産        局畜産部長    町田 勝弘君        林野庁森林整備        部長       島田 泰助君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君        国土交通大臣官        房審議官     和泉 洋人君        環境省総合環境        政策局長     田村 義雄君        環境省地球環境        局長       小林  光君        環境省自然環境        局長       南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施  の確保等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総務企画局審議官細溝清史君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 谷博之

    谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。  実は、私は今月環境委員会に移ってまいりましてまだ新参者でございますので、是非御指導をいただきたいと思っております。久しぶりでございますので要領を得ないかもしれませんが、御丁寧なというか、前向きの御答弁をいただきたいと思っております。  まず、質問の冒頭ですが、つい先日、五月の二十五日ですか、二〇〇四年度の温室効果ガス排出量、これについての確報値というんでしょうか、これが発表になりました。それで、十三億五千五百万トンということで、基準年一九九〇年と比べて八・〇%の増加、こういうことが報道されております。これは、昨年十月に環境省が公表した速報値、これと比べますと二千六百万トン、〇・六%の増加ということです。つまり、これで更に、一三・四%ではなくて一四%の削減、こういうことでまたハードルが高くなったわけですけれども。  そこで、このことについてのこの数値をどう見るか、どのように深刻にそれを受け止めているか、大臣のお言葉をいただきたいと思います。
  6. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 新参者どころか、ずっとこの環境に対して力を尽くしてくださっている先生の御質問でございます。真剣に答えたいと思います。ほかの方にも真剣にも答えておりますが。  ただいまの御質問基準年に比べまして、基準年九〇年に比べまして、前年度に比べれば〇・二%の減少はございますけれども、八・〇%の超過という結果でございます。御指摘のように、総排出量は十三億五千五百万トン。当然のことながら、六%のマイナス約束からいたしますと一四%のギャップがあるということでございますが、京都議定書のこの約束を達成するためにも、現在、各関係省庁とも協力をして、目標達成計画に定めました対策施策がどれぐらいうまく進捗しているのかという点検の作業を進めているところでございます。御承知のように、PDCAサイクル、いつもチェックをして、そして施策強化したり加えたりをしたりということでございますので、この点検の結果は早急にまとめたいと考えております。  それから、今年二〇〇六年でございますけれども、来年度はしたがって二〇〇七年、二〇〇八年から始まります第一約束期間はもう目の前でございます。よって、来年度二〇〇七年度に行います目標達成計画の定量的な評価、見直しということにつきましては、これまでにない重要な意味を持ったプロセスとなるわけでございます。そのためには、排出量の見通しと対策施策進捗状況をより厳格に評価いたしまして、そして必要に応じた対策施策の追加をしてまいりたいと考えております。  一言で言うならば、この八%という数字、大変重いものであると、このように認識をしているところでございます。
  7. 谷博之

    谷博之君 現時点ではそういうお答えになるのかなというふうに思いますが、もう本当に二〇〇八年が目の前ですし、そういう意味ではこの京都議定書目標が、これは先に取り組む話を先取りするような形の予測で恐縮なんですが、もしこれ達成できなかったら、だれがどういう形でこれ責任取るんだろうなと、こんなことがちらちらと頭に浮かぶような、そういう期間に入ってきたわけですが、この点については、先の話ですが、どうお考えですか。
  8. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 目標達成計画におきまして、このCO2温室効果ガス排出というのは各部門から発生しているわけでございまして、そして、だからこそ各それぞれの部門、各主体で責務、役割というのを目標達成計画において定めたところでございまして、それぞれの部門ごと目標が定められ、それぞれの部門でこれを達成すべく最大限の努力をしていただくという、その総合集大成をしたものが最大目標であります六%マイナスということかと存じます。よって、目標達成計画で各主体取組の義務付け、支援をしたりする国の役割、具体的な政策施策も明らかにしているところでございまして、国を含め各主体がそれぞれの役割に応じて目標達成責任を負っているということでございます。  いずれにしても、国全体の地球温暖化対策の司令塔となります政府、そして排出量の大きな部分を占めます産業界など、すべての主体がその役割を自覚する、そして十分な取組を進めて、かつ取組点検を常に行っていくことによってまた必要に応じた対策施策強化を図っていくということでございまして、それが現時点では最も重要なことなのではないか。だれかの責任、だれかが責任取るだろうということでは、これは全く無責任、逆に無責任になってくる。今は総力を挙げて取り組んでいくというのが最大責任ではないかと考えております。
  9. 谷博之

    谷博之君 今の小泉政権が九月で一応終わるということで、その次の政権がそれ以降できるわけですが、そういう中で、私は、次期政権にとってもこの問題は正に内閣の一番大きな課題一つだと、こういうふうに思っておりまして、どなたがなるか分かりませんけれども、その方々にはやっぱりまず政府最大施策の一番最初に来るのがこの問題だというぐらいの真剣な考え方で取組をしていただかないと、正に、この達成期間に達成できなかったから、じゃそれをまたその先に先送りするんだということはこれは許されませんので、そういうふうなことを考えると、これはもう、今の大臣答弁、それはそのとおりなんですけれども、本当にこれは国を挙げての最大課題ということで取組をしていただく、このようなことをあえて強く要望をさせていただきたいと思っております。  ここで改めて、今日がこの法案法改正の最後の総括質疑になっておりますから、今まで質問されてきたこと、それからまだ触れられていないところ、こういうところを確認を含めてちょっとお伺いしたいと思っております。答弁はできるだけ簡潔にひとついただきたいと思っております。  まず一つは、今度のこの法改正のいわゆる京都メカニズム活用について、何がどのようにこの法改正で変わろうとしているのか、まず簡単にお答えください。
  10. 小林光

    政府参考人小林光君) 今回の法案審議のそもそも論ということでございます。  今回の法案で変えたいと、新たに導入をしてくること、これは二点、大きく分けてございます。  一つは、京都議定書目標達成計画の中でこの京都メカニズムをどう使うかという方針をきちっと決めて、そして閣議決定するということが一つでございます。  それから、二点目に、京都メカニズム活用の土台を確立するために認証削減量といったような、クレジットとよく言われておりますけれども、これを取得、保持する、あるいは移転をする、こういう口座整備をするということで取引の安全を期する、そのことによりまして実際にこの京都メカニズム活用できる基盤をつくるということがねらいでございます。  これが実際の変更点でございます。
  11. 谷博之

    谷博之君 そういうことになりますと、詰まるところ、条約事務局が中心となって各国がそのネットワークをつないでクレジットのやり取りをすると、こういうふうなことになっていくわけですが、このクレジット財産性を、一つ財産といいますか、財産性といいますか、それを持つことになってくるというふうに思うんです。そうなりますと、偽造防止とかハッキング対策とかそういうものがやっぱり、いわゆるセキュリティー確保というのが重要になってくるんじゃないかと、このように思うんですが、この点については国際的、国内的にどのようなセキュリティー確保しようとしているのか、そこのところについてもお答えください。
  12. 小林光

    政府参考人小林光君) クレジットと横文字使って大変恐縮でございますが、法案算定割当量と、こう言ってございますけれども、これが、その取引をするときの安全確保どうなっているかということでございます。  国際的な側面、そして国内的な側面ございます。  まず国際的なことでございますが、この算定割当量といった削減量でございますが、これ全くの電子情報、証書ではございません。そういうことでございますので、電子的なデータベースによりましてこれが位置付けられ、そして取引が行われると、こういうことでございます。  そのために国際的にはどうするかと、こういうことでございまして、まず京都議定書に基づきますこの割当量口座簿に係ります国際的な決定というのがございますが、このために個々の算定割当量というのは偽造防止ができないようにシリアル番号が打ってあるということでございまして、一単位ごとに異なる識別番号が置かれております。そして、実際の取引が国際間で行われるたびに、そこを通過いたしますところの条約事務局電子システム、これが、例えばその当該識別番号を振られた削減量というものが元々例えばA国ならA国にあったものなのか、そういうようなことがきちっとチェックをされるという仕組みにまずなってございます。  また、ハッキング対策ということで、条約事務局はこの情報をインターネット上で暗号化するということでありまして、すべて暗号に基づく取引を行うということになってございます。  それに加えまして、法案の盛られたところとややダブりますけれども、いろんな手続を法案で定めておりますけれども、このことに加えまして、国内的に実務上は、例えば我が国の割当量口座簿についていいますと、口座を開設した法人には個別に識別番号ID番号とパスワードを与えるということで、まず個別口座に関する情報取得する、保護するという予定にしてございます。  また、実際に口座簿を動かします政府側の役人ということでございますが、これは指紋認証を受けた担当者のみが算定割当量取得移転を行うというようなことで、政府の外におきますところの記録の改ざんというものを防止するといったような予定で考えてございます。
  13. 谷博之

    谷博之君 大変詳しく説明していただきましたが、いずれにしても、そういうセキュリティーといいますか、そういうものの確保というのがこれから非常に重要になってくるんじゃないかというふうに思っております。  続いてちょっとお伺いしたいんですが、部門別排出量というのをちょっと見てみますと、やっぱり依然としてオフィスビルなどのそういう業務とか家庭部門増加というのが目立っているというふうに思ってます。これ数字がありますが、二〇〇四年度の家庭部門からのCO2排出量は一億六千八百万トン、一九九〇年比で比較しますと約三割増加していると、こういうことですね。  その主な要因は何かということで、これお答えいただくことになってましたが、最大排出電力だというふうに私は考えておりまして、そうなりますとこの電気消費量をどうやって抑えるかということになるわけですが、最近の省エネ家庭電気製品などが随分普及していますけれども、しかし、そういう中でもどうしても電気消費量増加する。これは、いわゆる機器の問題なのかあるいはその使い方の問題なのかということは非常に疑問に思うんですが、今日は片山政務官にお見えいただいておりますから、お答えください。
  14. 片山さつき

    大臣政務官片山さつき君) 御指摘のように家庭部門エネルギー消費、なかなか減らない。電気の問題でございまして、これは、世帯ごとエネルギー消費量というのはそんなに増えてないんですが、世帯数も増えておりますし、それからライフスタイルが変わっているということがあるというふうに考えております。  例えば、近年、DVDですとかパソコンですとか、新たにライフスタイルに入ってきて電力を食うものもございます。また、エアコンですとか冷蔵庫などは毎年エネルギー効率が確実に上がって出荷されておりますが、買換えまでに十年ぐらい掛かりますので、モデルチェンジが行われるほど簡単に家庭全体では減らないというようなことがございます。  いずれにしても、この家庭部門エネルギー消費を下げることが今回の枠組みの中で非常に重要でございますので、私ども、省エネ法に基づく機器の単体の対策を更に強化をすることを行ってまいりたいと思っておりますし、それから使用方法の改善による省エネ普及啓発にも努めてまいるという所存でございます。
  15. 谷博之

    谷博之君 そういう努力をされながら一番問題なのは、住宅そのものの問題もまたあると思うんですね。  最近は欧米型の断熱性能の非常に高い住宅環境に優しいということで普及してきておりますけれども、そういう意味では小林局長の御自宅の正に先進的なそういう状況などもお聞きしたいなと思ってはいたんですが、時間の関係でそれはまた割愛さしていただきまして、要は、そういういわゆる断熱性能の高い住宅というのは要するに一定程度冷暖房効果ありきということで考えれば非常に電気消費量の抑制につながると、こういうことなのかもしれません。  ただ、古来日本住宅というのはもう通気換気、非常に風通しのいい住宅というのが昔からあったわけでありまして、そういうふうな自然の住宅といいますか、自然に生かしたようなそういう住宅というものが今改めて私は見直されてきているんじゃないかと思うんです。  今、私の手元に社団法人日本建築家協会というところから「エコビルディングエコハウス普及を目指して」という、こういう資料が発表されております。これを見てみますと、ちゃんとしたデータが、調査がありまして、こういういわゆる通気性とか換気を絶えずしているようなそういう住宅というのは冷房エネルギーで三〇%削減、それから換気エネルギーでは六〇%削減されていると、こういうふうな効果の結果も出ておりますので、そういう点では私は、いわゆるこの自然の通気換気活用できるような住宅、そういうものもやっぱりもう一度見直すべきときに来ていると、したがってそういう住宅設計を奨励すべき時期にあるんじゃないかというふうに思うんですが、この点についてはどのように考えておられますか。
  16. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) 御指摘のとおり、古来日本在来工法住宅は、夏の高温多湿気候に合わせまして風通しのいい住まいにすることを基本としてきたわけでございます。近年、冷暖房普及しまして、その結果としてすき間を防ぐとか断熱を上げると、こういったことが求められているわけでございますが、依然としてそういった御指摘のような通気確保というのは極めて重要だと思っています。  したがって、現行省エネ法に基づく省エネ基準でも、断熱気密性を求める一方、気候風土季節に応じて、暖冷房を使用しない場合には開口部を開放して外気を室内に取り込むことが有効であることから、通風の確保等にかかわる基準も示しているところでございます。このように現行省エネ基準では、在来工法についても、季節に応じて住宅断熱性気密性を高めて住宅を閉じることと、日本の伝統的な住宅の良さを継承しまして住宅風通しを良くしてあげること等を上手に取り込んでいるところでございます。  今後とも、こういった観点からの設計技法等について普及をしまして、日本気候風土に根差した、適応した住宅普及に努めてまいりたいと、こう考えております。
  17. 谷博之

    谷博之君 私のこれは経験ですが、小さいときは非常に貧しい生活してましたものですから、うちに入ると一部屋しかなくて、そのもうすぐ裏側が庭というようなところで非常に通気が良かったなということを今ごろになって考えておりますが、そういうのは比較的昔は当たり前のような生活だったんじゃないかなと思うんですね。  それは極端な話ですが、そういう点でどうやってこういうエネルギー削減するか、エネルギーといいますか、温暖化対策をするかということになると、やっぱりそういう住宅のちょっとそういう非常に細かい部分まで考えていくような取組というのは必要なんじゃないかなと、このように思っております。  もう一点、ちょっと住宅関係してお伺いしますが、東京都が非常に先進的な取組をしております。これは、昨年十月から、延べ床面積が一万平方メートル以上のマンションについて、この物件広告を出す際に併せて環境性能表示もするようにこれ義務付けられたということですね。これ、簡単に言っちゃうと、建物断熱性とか設備の省エネ性とか建物長寿命化、緑の四項目についてそれぞれ三段階の星印表示となっておりまして、満点は十二個の星印が付くと、こういうことですね。こういうふうな住宅に対して、金融機関からもこの星印の多いマンションについて住宅ローン金利優遇をするとか、あるいはまたディベロッパーはこの満点星印が得られるようなマンションしか造らない、こんなような取組もされてきているということです。  そこで、この東京都の制度、これをどのように評価し、どのようにこれを導入をしようとしているかということと、それからもう一つは、こういうことを、東京都は環境部局の方でこういう活動を取り組んでおります。国の方を見てみますと、これらはすべて国土交通省に、言葉は悪いですが、丸投げしている形になっています。もっともっとやっぱり環境省がイニシアを取ってこういうことをしなきゃいけないんだろうと思うんですが、この二点、簡単にお答えください。
  18. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) 御指摘のような非常に前向きな取組が進められております。  国の制度としましても、委員御案内のように住宅性能表示制度というのがございまして、その中で耐久性能、あるいは省エネ性能等について客観的な表示を行うと、こういった制度普及を図っているところでございます。  加えて、こういった省エネ性能の高い、あるいは耐久性能の高い住宅については、例えば住宅金融公庫が割増し融資をするとか、あるいは民間住宅ローン長期固定住宅ローンを支援する、いわゆるフラット35と、こう言っていますが、その中で、そういう性能住宅については当初五年間金利を引き下げると、こういった試みもしておりまして、そういった消費者に対する的確な情報の提供と、より性能の高い住宅に対する誘導措置、こういったものについては引き続き充実を図ってまいりたいと思っております。  加えて、環境省の方とも絶えず緊密に連携しておりまして、現場がたまたま国土交通省住宅部局になることがありましょうし、また環境部局になることもございますが、いずれにしましても、そういった総合的な観点から十分連携を取って、施策推進に努めてまいりたいと、こう考えております。
  19. 小林光

    政府参考人小林光君) 環境省取組ということでございます。  まず、今回の地方公共団体取組評価ということでいいますと、私ども大変効果的、先進的な事例だというふうに考えてございまして、こういった事例につきましては、ほかの地方公共団体にも広く情報提供していきたいというふうに考えてございます。  また、環境省自身国土交通省連携を取って、そしてこういった環境性能のいい住宅普及といったことに力を尽くすべきではないかという御示唆だと思います。この件につきましては、もうそのとおりというふうに考えてございます。京都議定書目標達成計画におきましても、住宅建築物総合環境性能評価システムCASBEEと言われておりますが、この開発、普及というのが具体的な施策として盛り込まれておりますけれども、更に進みまして、住宅環境性能評価をすべての新築住宅改築住宅について行うというようなことになりますと大変理想的なことだというふうに考えてございますので、環境省環境対策の在り方については広く建議をする、意見を言うという立場がございます。  そういうことでございますので、関係省庁連携を取り、また地方公共団体とも連携を取りまして、地球温暖化対策観点から、住宅環境性能評価の向上、手法について勉強をして、そして発言をしてまいりたいというふうに考えてございます。
  20. 谷博之

    谷博之君 今、小林局長からCASBEEの話が出ましたけれども、これは二千平米以上の建築物で、戸建て住宅は除いているわけですよね。そういう意味からすると、やっぱり最終的には一戸一戸の建物にまでこういうことがやっぱり及んでいかなければいけないだろうというように思うんですね。  また、一方では、民間の中で、民間でいろんな複数の基準があるようですけれども、非常にあいまいな性能に関する宣伝が多いということがあって、おしなべてこの業界団体、大手企業の有利なものになっていると、こういう批判が前からあるわけですよね。  したがって、そうした中で、これ一つの例ですけれども、ドイツなんかの場合は、いわゆるドイツとか北欧では、十年以上も前に国が法律基準を作って公費で一般住宅やアパートやビルや学校、病院の外断熱化などを進めていると、こんな話も聞いておりまして、これは国土交通省にお聞きした方がいいのかと思うんですが、今後は、この一戸建ても含めた住宅の統一的な環境性能表示制度、これを国として整備して、住宅金融との連動など、実効性のある普及のための取組、これが必要なんじゃないかなというふうに思っておりますが、ちょっと通告していなかったんですが、その点について。
  21. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) 現行で、いわゆる評価項目はCASBEEほど広範じゃございませんが、住宅の品質確保の促進に関する法律、これに基づく住宅性能表示制度がございます。現在、先ほど御答弁申し上げましたとおり、住宅金融等を通じてインセンティブを与えてございますので、これは引き続きやっていきたいと、こう思っております。  先生御指摘CASBEEについては、非住宅からスタートして、それがCASBEEリージョンとかCASBEEライフサイクルと、こう広がってまいりまして、その先には戸建てがあります。その段階で住宅性能表示制度の中に取り込むことが可能な客観的な評価項目が出てくれば、住宅性能表示制度基準を変更して、そういうCASBEEの研究成果を戸建て住宅の分野においても引き受けると、こういった構えで現在検討しているところでございます。
  22. 谷博之

    谷博之君 それでは、もう一つちょっとお聞きしておきたいんですが、いわゆる環境に配慮したということでは、いわゆる太陽光発電などのような再生エネルギーといいますか、そういうものを活用するということで、非常にそれぞれの住宅でも今そういう取組が進んでおります。  この太陽光発電など、住宅にそういう機器を設置すると住宅評価価値が上がるということで固定資産税が重課されてしまう例があるように聞いております。これは、本来、本末転倒の話じゃないかなというふうに思っておりまして、そういうふうな配慮をしているにもかかわらず税金が重くなるということになれば、これは非常に話がおかしくなっちゃうと思うんですね。これは、実態として、実際どのような評価を行っているのかということと、仮に評価額が上がるのであれば、少なくともその部分については固定資産税を減免するような措置が必要なんじゃないかというふうに思うんです。  そこで、税制改正要望を出すべき立場の国土交通省と、それから地方税を所管する総務省について、それぞれこの辺はどのように考えておられるか、御報告いただきたいと思うんです。
  23. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) なかなか厳しい御質問でございますが、まず、固定資産税の家屋評価につきましては、後ほど総務省から御答弁があると思いますが、一般的には家屋と構造上一体となっているものについては家屋に含めて評価することとされていると聞いております。したがって、例えば家屋と構造上一体となって施工されるソーラーパネルについては家屋の評価に含まれて、御指摘のとおり、一般的には通常の家屋より高く評価することになると聞いております。  一方で、太陽光発電設備の設置の促進は、住宅省エネ化の推進観点から極めて重要なテーマでございます。私どもとしましては、地域における住宅政策を総合的に推進するための助成制度でございますところの地域住宅交付金制度、これは平成十七年度から創設されております。こういったものを活用しまして、地方公共団体が独自の取組をする中で、太陽光発電設備の設置等についてこの交付金制度を使って支援をしているところでございます。例えば、熱心な公共団体としては、栃木県などの宇都宮市や鹿沼市においてこの交付金を使って、一件当たり十万円前後の補助をしていると、こういう例もございますんで、こういった措置を引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。  その上で、こういったいわゆる助成策の効果も十分見極めながら、後ほど御答弁があるかと思いますが、固定資産税の持つ性格等も十分吟味して、こういった助成策の施策効果で不十分であれば、それを踏まえて総合的な対策についてなお研究してまいりたいと、こう考えております。
  24. 桜井郁三

    大臣政務官(桜井郁三君) 今、国土交通省が御答弁いたしましたように、固定資産税の家屋評価においては、家屋と構造上一体となっているものというふうに理解をしております。  エコ住宅に関する固定資産税の軽減処置でございますが、税制面からの優遇措置については、先ほどもお話ありますように、国や財団法人地方公共団体等による融資や補助金等、歳出面において様々な処置が講じられていることでございます。一方、固定資産税は、保有する資産の評価に応じて公平な税負担を求められているものでありますので、税制上の特別措置は公平中立、簡素という基本原則に対する例外処置であり、整理合理化の指摘等もなされているところであります。これらを踏まえまして、慎重に検討すべきものと考えております。
  25. 谷博之

    谷博之君 今の桜井政務官からも御丁寧な御答弁ありましたけれども、いわゆる再生可能エネルギーというのは、この太陽光もそうですし風力もそうですよね、地熱もそうです。いろんなそういう再生可能なエネルギーというのはこれから我々の生活の中にも取り入れていく、そういう時代になってきているんじゃないかなというふうに思うんですね。  そのときに、やっぱりこういう大きな施策の転換を図っていくときには、特に何かえさで物を釣るということではありませんけれども、やっぱり何か魅力あるそういう施策を出していかないとなかなかそれは広がっていかない。今、国土交通省から御説明ありましたけれども、私も栃木県の宇都宮市に住んでおりまして、ほかと比べてみると何となくソーラーの太陽光発電の数が多いような気がします。そういうふうな地方自治体の取組なんかも含めて、やっぱり国が半歩も一歩ももう少し前へ出るというふうな取組をしていかないと、なかなかこれは広がりが見えてこないんじゃないかなというふうに思います。  そういう点で、固定資産税の話を持ち出しましたけれども、こういう意味では非常にこれは将来検討する課題としては私は大事な部分があるんじゃないかなと、画一的に物の価値が上がったからそれだけ税金を上げると、こういうことではこういうふうな一つの大きな国策的な政策というのはなかなか実行に移すことが難しいんじゃないかと、こんな思いをしておりますので、今後更に御検討いただきたいというふうに思っております。  それから、続きまして、今度は産業部門対策をちょっとお聞きしておきたいと思いますが、いろいろあるわけですが、一点だけちょっとお伺いします。  それは、本会議で私も先日質問をいたしましたけれども、環境税の問題ですね。これはもう御案内のとおり、その質問に対する経済産業大臣からも次のような答弁いただいております。経済産業省と環境省は向かい合って議論しているだけではなくて、ともに共通の課題として国民の期待にこたえていかなければならない、そして今後一層協力し合ってまいりたい、こういう答弁大臣自らありました。  この環境税の検討について、私は相当前向きに進めてくることができるんじゃないか、経済産業、環境省、両省のやはりそういう前向きの姿勢というのはより距離が縮まったと、このように思っておりますけれども、具体的に今後両省でどのようにこれ協力していこうとしているのか、その内容をお話しいただきたいと思います。
  26. 片山さつき

    大臣政務官片山さつき君) 委員指摘のとおりに、先日、私どもの二階経済産業大臣の方から、経産省と環境省は国民の御期待にこたえるべく一層協力してまいりたいというふうに御答弁を差し上げておりまして、小泉内閣の大方針でございますが、環境と経済の両立という原則の下に、近く両方の役所の方で担当局長クラスによるエネルギー政策環境政策連携会議というものを開催するということで調整しております。早ければ六月の上旬にもということで調整しておりまして、このような形も通じまして協力を更に深めていきたいと考えておりまして、当然今回の法案、それからフロン回収・破壊法改正法案と、いろいろと共同で提出させていただいております。今までもいろいろな施策の実施を手に手を取ってやっておるところでございますが、京都議定書目標達成計画におきましても、環境税や国内排出量取引制度などにつきまして総合的に一緒に検討を行うということになっておりまして、私ども経済産業省といたしましては、環境と経済の両立という原則の下に、どういう対策がいいのか、どういう施策がいいのか、この最適な在り方、最適なポリシーミックスにつきまして、環境省を始めとする関係省庁と手を取り合って総合的に頑張ってまいりたいと思っております。
  27. 谷博之

    谷博之君 是非、今の答弁を実行に移して、できるだけ早く結論が出るように御努力をいただきたいというふうに思っております。  いわゆる産業界の問題について、これは当然聞いておくべきことなのかもしれませんが、いわゆる経団連の自主行動計画、これが果たして国内対策では目標が達成できない懸念が出てきているとか、こういうことが一方ではあります。だからこそという言い方は大変恐縮なんですが、やはり環境税という一つの大きな、何といいましょうか、税制を創設することによって、そしてすべての産業界も含めて環境対策を取り組むという姿勢をやっぱり示す意味からも、この環境税というのは、もうむしろ後ろ向きではおられないと、こんな状況に来ているというふうに私は思っておりまして、なお一層のひとつ取組をいただきたいというふうに思っております。  続きまして、次の質問に移りたいと思いますが、ODAの活用とCDMの社会環境配慮についてということであります。  実はJICAがラオスの北部で小さな水力発電計画というものを二〇〇四年から二〇〇五年に行ってまいりました、調査をしてまいりました。この問題が排出源のCDM事業の可能性がある事業なのかどうなのかということで一つは議論をされております。その最終報告書の中にこういうふうな記述がありまして、日本政府はODA資金をCDM事業に適用した場合でも、得られたクレジットをODA資金とは別財源で買い取ることでODA資金の流用には当たらない、こういう見解がこの報告書の中に出ております。  また、一方で、これは私もいろいろ関係さしてもらいましたが、JICAの環境社会配慮ガイドライン、これの実は第一回の審査会がこの四月の十日に行われました。その中で、JICAの小島誠二理事が、CDMについてはODAカウントを認めることになっていて、ただカウントの仕方についてはまだ議論している段階ですと、こういう発言をしています。  何が聞きたいかというと、このCDMとODAの関係なんですね。具体的にどのような国際的な場で議論がされていて、その議論の中身はどのようになっているのか、これが一つ。それからもう一つは、先ほど申し上げましたラオス北部のこの小水力発電計画というのがCDM事業の可能性があるのかないのか、この点をお伺いしたいと思います。
  28. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) 外務省でございます。お答えいたします。  まず、御指摘のODA資金のCDM事業への使用に関する国際的な議論はどうなっておるのかと、こういうことでございますが、我が国はこれまで気候変動交渉の場において、いわゆる京都メカニズムを積極的に活用するという観点から、一貫してCDM、クリーン開発メカニズムへのODAの活用と、こういうことを主張してきたわけでございますが、これについてはこの交渉の過程でいろいろな国から反対の立場が表明されていることも事実でございます。特に多くの途上国がこのODAによるCDM事業実施に反対しました主な理由といたしましては、このODA資金がCDM案件、いわゆる環境分野の案件にシフトしてしまって、その他の従来の例えばベーシックヒューマンニーズとか言われる、こういった分野に対するODAが減ずるんではないかという懸念が挙げられました。  また、先進国の国からも、こういうODAによってそのドナーが排出クレジットを得るということに疑問が投げ掛けられたり、あるいは民間企業によるCDM事業を圧迫しかねないと、こういったような議論があって、結局、交渉の結果、二〇〇一年の気候変動枠組条約締約国会合において、CDM事業に対する公的資金供与がODAの流用となってはならないと、こういう決定が下され、これは二〇〇五年十二月の第一回の京都議定書締約国会合においても同じ内容の決定がなされたと、こういうことであるわけですが、ただ、この決定は、ODAの流用を生じない限り、公的資金、この中にはODAも含むわけですが、これをCDMに活用できると、こういうように当然解されるわけで、ただ、今現在、このODAの流用というのを何をもってODAの流用とみなすのか、どこで線を引くのかと、こういったようなところがまだ議論が実は尽くされていないということで、国際的な定義にまでは至っていないと、これから議論をされていくと、こういうことでございます。  我が国としては、いずれにしても、特定のODAプロジェクトにCDM事業として登録するには被援助国の同意あるいはCDM理事会、これはCDMを審査するために設けられた理事会ですが、承認が必要だということで、今後こういった場での議論を我が国としては見守っていくと、また個々のプロジェクトについて検討していくと、こういうことでございます。  それから、ラオスの御指摘の小規模水力発電計画につきましては、これはJICAが調査を実施しまして昨年末に報告書は出ておりますが、現時点ではCDMプロジェクトの対象にはなっていないと、こういうことでございます。その理由は、CDMの申請手続などに非常に費用が掛かる、これ数千万円ほど掛かるということで、なかなかこうした小規模の事業に対してこのCDMを適用するのは非常に厳しいんじゃないかと、こういったようなことも検討されておると、こういうことでございます。
  29. 谷博之

    谷博之君 答弁はちょっと簡潔にお願いしますね。  それで、ODAにしろCDMにしろ、率直のところ、後でこの参考資料を皆さん見ていただきたいと思いますが、同じ発展途上国における事業ということで、異なる環境社会配慮の基準であってはならぬわけですね、CDMにしろODAにしろ。そういう意味で、私は、この環境配慮、社会配慮、こういうことについてちょっと比較をさせていただきたいんですが、このCDMの基準、それからJBICのガイドライン、それからJICAのガイドライン、これは比較してみますと非常に中身が違うんです。例えば、JBICの環境社会配慮ガイドラインというのは本文だけで二十二ページあります。そして、JICAのそれは三十八ページあるんですよ。このCDMについてはたった一枚、A4版のぺら一枚であります。こういうふうなガイドラインで果たしていいのかということを私は言いたいんです。  全くそういう意味では非常に、今も御説明ありましたように、結局、結論からいうと、環境配慮についても、CDMは単に、環境影響評価を添付する、あるいは環境への影響が深刻な場合には情報を提供する、こういうふうなことしか書いていない。それから社会配慮についても、CDM理事会による認証などの手続保障で担保する、基本的に指定機関によって審査をする、こういうことしか書いていない。全くこれは、私は、同じところの地域にCDMにしろODAにしろやろうとしているのに、片一方は物すごくそういうガイドラインを決めておきながら、片一方では全くこういうふうな、機関で結論を出すんだというこういうやり方は私、非常に問題がある。これは国際的な問題でもあるわけですが。  せめて、途上国の主権任せ、そしてCDM理事会の審査任せ、こういうんじゃなくて、やっぱり我が国としてこのCDMにも環境社会配慮ガイドラインあるいはそれに準ずるものが必要ではないか、このことは何回もこの委員会でも質問が出されておりますが、この点について私非常に強調したいと思うんです。これは何かコメントありますか。
  30. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) 御指摘のJICA及びJBICによるプロジェクト実施の際の環境社会配慮ガイドライン、これについては相当程度の期間を掛けて専門家の知見を結集して作成されたものでございますが、御指摘のCDMの部分についてまだ更なる精査が必要な部分もあろうかと思いますので、引き続き研究をするように私どもの方からも指示してまいりたい、かように思っております。
  31. 小林光

    政府参考人小林光君) 実際の、今回排出の認定削減量等々を取得することになりますNEDOでございますが、こちらに対する指導の中で、今外務省の方からもお話ございましたが、こういった社会経済配慮あるいは環境配慮といったようなことを求めていきたいというふうに考えてございます。  ただ、CDMの場合には実は国際ルールがいろいろ定まっておりまして、A4一枚ではないかと、こういうことではございますけれども、その手続が実は四重ぐらいになってございます。例えば、途上国が期待をするところのやり方でもって環境影響評価を行わなければいけないとか、あるいは現地の利害関係者がコメントができるとか、あるいは全くの第三者がそれに対して更にコメントができるとか、あるいは最終的にホスト国の政府の承認も要るといったようなことで、国際的なガイドライン、方法論にのっとるだけでなく四重のスクリーニングがあるということでございまして、そういう意味で、今御指摘のJBICのように受入れ国と援助国だけしかない仕組みとはやや違うのかなというふうに私ども承知しておりますが、いずれにいたしましても、今外務省からも答弁がございましたが、そういった社会経済配慮、徹底してまいりたいというふうに考えております。
  32. 谷博之

    谷博之君 是非ひとつそういうことで前向きにお取り組みいただきたい、このように思っております。  それで、続いて、委員の皆さんにお手元に資料としてお配りさせていただきましたが、「日本政府承認CDM/JIプロジェクト一覧」というのがあります。これは前回、岡崎委員質問していただいて、小林局長が持続可能な開発に資するCDMを中心に置くべきと、こういう答弁がいただいているわけですが、この実はそれがプロジェクト一覧ですね。「日本政府承認CDM/JIプロジェクト一覧」ということです。  これの中を見ていただきますと、例えば三十番の中国山東省のHFC23の回収・破壊事業、それから右側に行きまして七番、インドの同様の事業、四番、韓国の同様の事業、こういうふうなこのHFC23の回収、あるいはまたメタンガス回収ということでは十六番、十二番、十一番、こういうところはメタンガスの回収ということになっておりますが、こういうところは、右側から三列目のところを見ていただきますと、いわゆる排出削減量予測というところで非常に量の大きいところです、これ。これです、そうですね、数字見ていただくと分かります。例えば三十番は、これは一千十一万トンですか、ということになっていますね。  こういうふうな事業、このHFC23という物質は、これは強力な温室効果ガスでありまして、フロンの製造工場で発生してしまういわゆる副産物と、こういうことになっているんです。これは、御案内のとおりフロンというのはオゾン層を破壊するということで、モントリオール議定書でいろんな約束事が決められまして、先進国は二〇二〇年までに製造を中止する、発展途上国も二〇四〇年までにはこの製造を中止すると、こういうことなんですが、そういうふうなHFCの23の回収、ここに相当量の部分が懸かっているわけです。これは、ある意味では、このようなCDMを実施することによってかえってフロン製造をできるだけ長く続けさせる、こういう逆のインセンティブが働くんじゃないかと、こういうふうに私は言わざるを得ません。  したがって、現在これについてはボンの特別会合でも引き続き検討されておりますけれども、このようなリストを見て、先ほど、岡崎委員に御答弁小林局長しましたけれども、持続可能な開発に資するCDMを中心に置くべきと、こういうふうなものとこれは私は整合性があるのかなということをちょっと疑問に思います。この点、どう思われますか。
  33. 小林光

    政府参考人小林光君) 答弁をさせていただいたところでございますし、また参考人質疑におきましてもこの問題論じられてございます。また、市田委員の方からも御質問をちょうだいしたところでございます。  大臣の方からも基本的な方針については答弁をさせていただきましたが、オゾン層破壊の防止と、そして温暖化の防止、この二つながらの目的をかなえるような案件ということにしていかなければいけないという考え方を持ってございます。  そうした目で見てみますと、このプロジェクトどうだろうかということでございます。そのCFCを全廃して代替物質としてHCFCを使う、これはオゾン層の観点からも、あるいは温暖化係数がHCFCは低いということから見ましても、このこと自体については大変結構なことでございまして、モントリオール議定書の下に設置されました将来予測に関する科学評価パネルの結果を見ましても、おかげさまでオゾン層は今世紀中ごろには回復してくるんではないかということに予測をされているわけでございます。しかし、このときに、HCFC22に転換をしていくという際にHFCの23が出てくる、これは使えないものでございます。これが従来大気中に放出されてきた、これを破壊することは追加的な温暖化防止になるじゃないかと、これが基本的なセンスでございます。  しかし、今委員指摘の点は、それではそのHFC23の破壊に伴う国際的なファイナンスが非常に行き届いて、逆にHCFC22の製造を増やしてしまうんじゃないかと、そういう御懸念に立つ御意見だと思います。  そうした御意見は、前回も少し答弁が舌足らずだったのかもしれませんけれども、国際的にもあるわけでございまして、国際的な、今ボンでも議論をされておりますが、既に合意をされておるところ、これは京都議定書の締約国会合のこの間のCOPMOP1のMOPでございますが、決議の八ということで、既存の設備が既に生産をしているような量、その範囲で生じるHFC23の破壊についてはCDMプロジェクトにしましょうと、しかし、それ以上の増産といったことについてはCDMにするのはやめましょうというのが一応合意をされているところでございます。  ただ、そうはいっても、いやいや、やっぱりHFC23が余分に出るやつを削減すべきではないかと、こういう議論もなお残されているので議論は続いてはおりますけれども、いずれにいたしましても、そういった余分のHFCやHCFC22をつくるようなインセンティブになることはもうやめようというのが国際的な流れでございまして、そういったことにかなった日本の動向ということにしていきたいというふうに考えてございます。
  34. 谷博之

    谷博之君 結局のところ、CDMというのは、削減約束のない途上国で削減した分とか、そして途上国で削減した分を先進国で排出が許されることになるので、最大限うまくいってもプラス・マイナス・ゼロということになるわけですね。ところが、追加性がないとやっぱり排出増大にこれ結び付いてしまいます。そういうことからすると、きちんとやっぱり追加性があって、削減量を保証する。前回からずっと出ておりますけれども、WWFのゴールドスタンダード、これやっぱり大変重要な問題になってくるんだというふうに私は思うんです。  前回の委員会で小池大臣もFIFAのサッカーのワールドカップのお話も出ておりましたけれども、それはそれとして、私はいわゆる日本がこのCDM/JIプロジェクトにかかわるとするならば、今申し上げましたように、追加性がきちんとあって、プロジェクトタイプも省エネルギーか再生可能エネルギーに特化して地域の持続可能な発展に寄与することを保証するゴールドスタンダードでやるべきだというふうに私は思っておりますが、この辺の答弁は、私の方でそういう要望をしておくということにさせていただきたいと思います。  あと、続いて、この問題に関係することとして、これは我々民主党の中でも環境を重視する多くの議員の皆さんと一緒にいろんなNGOの方々といわゆるダムの問題について今まで運動取り組んでまいりました。例えばラオスのナムトゥン2ダム、それからインドネシアのコトパンジャン・ダム、フィリピンのサンロケ・ダム、こういうふうなアジアの大規模な水力発電建設事業、そしてロシア、サハリンのいわゆる石油・天然ガス開発のサハリン2、こういうふうな事業、これについてはODAとか国際金融機関がかかわって事業としてやっております。  環境社会配慮の面から注目してそれぞれ問題があるということを私たちは指摘しているわけですけれども、こういうふうなことについて、こういう事業は追加性の観点からCDMにはなり得ないのかどうか、そしてまた、環境社会配慮の観点からCDMとして望ましいものなのかどうか、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  35. 小林光

    政府参考人小林光君) ラオスのナムトゥン2ダムあるいはフィリピンのダム等々の御指摘でございます。  こういった具体的な事業は既にこの京都メカニズムにかかわりなく進んでいるものでございますから、今委員指摘のとおり追加性という観点から見てCDM事業にはならない、それはそのとおりだと思います。むしろ、しかしこういったような種類の事業がまたあったときにそれがCDMとして望ましいのかと、こういう御質問かというふうに承った次第でございます。  これにつきましては、実はこの大きなダム、それぞれ住民移転もたくさんある、訴訟も起こっているというようなことも承知をしてございますけれども、そういった大きな開発事業のようなものにつきましては実はこのCDM理事会の中でも線引きをしてございまして、大規模な発電所といったようなことについてはより慎重な手続の下でその可否を論ずるということになっているわけでございます。  そういう意味で、結論から申し上げますと、慎重に対処していかなければいけないというふうに思ってございますが、先ほど来申し上げましたように四重のスクリーニングの中で初めてクレジットが生まれてくるということでございますから、私どもそこのところの見極めがないと、せっかく先駆け役をしても実際にはクレジット取得できないと、こういうことになるわけでございますので、先ほど来申し上げてございますように、実行機関になりますところのNEDOにおきましてクレジットの将来的な取得の契約を結ぶ際に、そういったCDM事業者がきちっと環境配慮を見ているということを確認するような仕組みということにしていきたいというふうに考えてございます。
  36. 谷博之

    谷博之君 いろいろ質問、この課題についてはさせていただきましたが、まだまだたくさんの課題が残っておりますが、時間の関係で次に移りたいと思います。  時間があとわずかですから、通告全部は触れられませんので、最後に一点だけ、バイオマスの活用と地域循環システムの形成、この問題についてお伺いしたいと思いますが、私どもの県の栃木県で、これは酪農県、北海道に次ぐ規模の全国第二位というふうに言われておりますが、そこで、実は乳牛から出る排せつ物を発酵して得られるメタンガスで発電するシステムの調査研究を今年度から開始したと。予算的には今年は七百五十万というわずかな金額ですが、再来年には八十頭から百頭の乳牛の一プラントで一日に百八十立方メートルのメタンを生産すると、電力として三百二十キロワット時の発電を目指すと、こういうふうなことが言われております。  こういうバイオガスの活用について、国はどのようにとらえてこれを推進しようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  37. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) お答え申し上げます。  乳牛を始めといたします家畜排せつ物の利活用を促進していくということは、我が国の畜産業の安定的な発展もちろんでございますが、資源循環型社会の構築を図る上からも大変重要であるというふうに考えております。このため、従来から、資源としての家畜排せつの基本としては堆肥化をしてそれを農地に還元を推進するということに取り組んでおりまして、各種支援を行っているところでございます。  今御指摘いただきましたように、特に酪農、また大規模になってまいりますと、発生するふんと尿が分離をせずスラリー状に出てくるということで、堆肥化も難しいということがございますので、メタン発酵による発電を行えるエネルギー利用等を推進しているところでございます。また、その施設整備等につきましても支援を行っているところでございまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  38. 谷博之

    谷博之君 いわゆる堆肥化してそれで土壌に還元をするという、そういうのがほとんど主流だと思います。全体の九割ぐらいでしょうかね。そういうふうなものの中で、こういう活用というものがこれから非常に注目されてくると。既に今北海道では今も申し上げましたように実用化されてきているということでありまして、これは我々、申し上げましたように、私どもの県でも遅まきながらその取組スタートしたということだと思うんです。  農水省の方ではもう既に研究を進めておられるということだと思いますけれども、これは環境という面からしても非常に環境に優しいというか、環境に配慮した、そういうふうな動きだというふうに思っておりますので、是非引き続いて国としても積極的な取組をしていただきたいというふうに思っております。  時間が参りましたので、以上で私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  39. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  私は、何回か取り上げてきておりますが、昨年の初めごろも取り上げてまいりました二〇五〇年問題と上昇温度を何とか二度Cに抑え込もうということで、その辺の関係について質問をさせていただきたいと思います。  今日、私、手元に「気候変動」って書いてあって、「プラス二度C」というこの赤い本、これ東大の山本先生が編者になってやっているわけですけれども、「まえがき」に二度Cについて書いてありまして、二度Cは今世界中が注目している数字だ。地球の平均気温が工業化以前と比較して二度Cを超えて上昇すると、気候変動が手に負えなくなり、社会や生態系が壊滅的な影響を被ると予測されている。既にヨーロッパ諸国はこうしたリスクを回避するために気温上昇を二度C以下にすることを政策の長期目標気候ターゲットに定めているくらいである。二度Cは人類が越えてはならない一線を具体的に示した数字として意味がある。こういうふうに書いてありまして、非常に重要な意味を持つ数字だと思います、二度Cというのは。  ある専門家によりますと、二〇五〇年に気温が二度C上昇した場合は、気候リスクにさらされる人口は、水不足人口二十七億人、マラリア二・三億人、洪水が〇・三億人、飢餓が〇・一億人、計二十九・七億人になると、そういう予測がありまして、もう既に皆さん御承知のように、これ二〇〇〇年には既に〇・六度上昇しているわけでありますので、しかもWHO、世界保健機構が最近出したレポートでは、二〇〇五年には毎年十五万人が地球温暖化の影響で死亡している、五百五十一万人が病気にかかっていると、そういうふうにレポートしているわけなんですけれども。  それで、私は、前も取り上げておりますが、国土形成法等の絡みなんですけれども、これは極めて重要だというふうに私は理解しておりまして、これは環境省国土交通省と相まって、この中身について将来の国土形成の計画をどういうふうに作り上げていくかということなわけでありますけれども、相まってという中身は私は相当変えていくべきではないかと。つまり、国土政策とかあるいは都市政策関係で、CO2削減を含めてどういうふうに作り上げていくことが望ましい国土の形成の在り方になるかという、そういった意味では、この相まっての中は従来は自然環境に対してだけというふうに私は理解しておりますが、環境省が様々な点で相当力を入れてやってきているというのは。ただ、それに限らず、やはり国土政策、都市政策、いわゆる交通政策ですね、そういった面についてはもっともっと私は国土交通省に注文を付けるといいますか、詰めると、そういったことが非常に私は環境省の立場としても重要である。  ですから、緩和政策並びに、さらに適応政策が両面からしっかりとやっていただきたいなと。そうするのがこれからの環境省の大きな責務の一つではないかと、こんなふうに考えておりますが、副大臣、どのような見解をお持ちでしょうか。
  40. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) 先生御指摘の二〇五〇年問題、気候システムに危険な人為的干渉を及ぼさない水準に安定化するというのが気候変動枠組条約の究極の目的でもございます。そういう意味において、二度C以下に抑えていくと、CO2の濃度をですね、ということは、言わば九〇年比五〇%以下にCO2削減をしていくという試算も出ているわけでございますので、大変に中長期的なCO2削減の計画が重要であるわけでございます。先生の御指摘のバックキャスティングの手法ということで、目指すべき社会像を描いて、そしてそこから逆算して今取り組むべき課題を抽出していくという、加藤先生がいつも御指摘なされているバックキャスティングの手法によって長期的な視点から地球温暖化問題に対応することが大変重要でございます。  一方、温室効果ガス排出量というのは、都市地域の構造や交通システムなど国土の形成と深いかかわりを確かに持っておりまして、国土形成の在り方を見直すことで長期的に大きな排出削減の可能性を持っているものでございます。したがって、国土形成計画におきましては、現在、国土審議会において策定のための審議が進められておりますが、省CO2型の国土形成を目指すという長期的視点を持つものとなるように国土交通省と十分に相談をしてまいりたいと思います。  先生が御心配の、御懸念の、環境保全に対する対応が主たる目的でなければならないという御指摘でございますが、国土形成計画法にも全国計画は環境の保全に関する国の基本的な計画との調和が保たれなければならないとありますように、それはやはり環境の保全をしっかりと見据えて計画の策定がなされるものと、我々もそのように考えておりますので、今後とも十分に長期的視点を持った国土形成を進めていけるように関係省庁連携を取ってまいります。
  41. 加藤修一

    ○加藤修一君 国土審議会の方の中身の議論を私は十分把握しているわけじゃありませんが、ただ、二〇五〇年を展望して、今副大臣から話がありましたように、バックキャスティングアプローチを取っているかどうかということについてはこれからの議論だと思うんですね。ですから私は、環境省はこの辺については非常に知見をお持ちなわけですから、十分国土審議会の方に反映できるように最大限の努力をしていただきたいと、そのように思います。  それで、国土交通省が出している「新たな国土ビジョンづくりに向けて」ということで、国土形成計画制度の解説の中に地球温暖化の関係については余り触れていないわけですね。パンフレットでは大体十六分の一ぐらいでしょうか。ただ我が国の食料、木材、エネルギーなどの資源消費は国内の面積と比較して八・五倍の土地に支えられているというふうに書いておりまして、そういった意味で非常に持続可能な国土形成をしていこうというのはこの文面に若干表れているかなというふうに思いますけれども。  いずれにいたしましても、もう一つは、ラムサール条約登録湿地を増やす議員の会で国土形成計画の中身について説明をいただいたわけですけれども、これは最後のページに半ページほど少し地球温暖化の関係が書いてある程度で、そういった意味では国土審議会における主要な意見には余りなり得ていない部分があるのかなという懸念は持っておりますので、是非環境省の方からこういった面についてしっかりと意見を強めていっていただきたいと、そのように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、バイオマス・ニッポン総合戦略の関係で、木質バイオマス、先ほど再生可能エネルギーの話が谷委員からも出てまいりましたが、これ二〇〇六年の三月に、政府は二〇三〇年ごろを見据えて新たなバイオマス・ニッポン総合戦略、これを閣議決定したと。二〇〇二年の十二月にも閣議決定しているわけでありますけれども、これは非常に内容は私も喜ぶべきすばらしいものだと思っています。  ただ、実際は、どう具体的に展開できるかということについてはまだまだこれからという段階でありますが、今回の閣議決定におきましては、バイオマス輸送用の燃料の利用を促進すること、あるいは未利用バイオマスの活用などによるバイオマスタウン、その構築を加速化することが見直しのポイントになっているわけでありまして、そういった意味では間伐材、それを含む林地残材の利活用あるいは森林の荒廃を防止し元気な森を再生する、そういった国土の保全に寄与するという内容になっているわけでありまして、バイオマスタウンは二〇一〇年を目指して三百か所程度を目標にしているわけでありますが、二〇〇六年の五月現在で四十八か所の段階であり、更にやはり私は強化拡充していかなければいけない、度々そういった意味ではそういう要望を出さしていただいているわけなんですけれども。  そこで、農林水産省にお聞きいたしますけれども、このバイオマスタウンの構築の加速化、これはやはり図っていかなければいけない、やはり自治体を含めた形で国民の理解を深めるための施策推進していくべきであると。そういった意味では、アドバイスをする人とかあるいはコーディネートする人材の育成というのが極めて必要ではないかな。さらに、インセンティブが働くことも十分対応策として意味のあるところでありますので、そういった意味では経済的、税制的な支援が必要ではないかな、そんなふうに考えております。  また、長期的には森林のバイオマス、木質バイオマスあるいは廃材等がやはりバイオエタノール化ができるような技術の展開等が十分期待できるわけでありますので、それに対しての技術開発等を含めて真剣に進めていくべきだと、こう考えておりまして、以上、農林水産省、どのように今後を考えていらっしゃいますか。
  42. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) バイオマスタウン構想の加速化ということについてのお尋ねでございます。  先生今御指摘のように、バイオマスタウン構想については目標を平成二十二年までに三百地区程度というふうに置いてございますが、この四月末現在で四十七市町村でございます、が公表したところでございまして、加速化を図る必要があるということで、この三月に閣議決定されました新たなバイオマス・ニッポン総合戦略におきまして、農作物の非食用部あるいは林地残材といった未利用バイオマスの活用モデルを構築する、あるいは地域のバイオマスの利活用取組をコーディネートする人材を育成をする、あるいはバイオガスの利用などによりまして低コスト、効率的なバイオマス熱利用システムを導入をする、さらにはバイオマスプラスチックなどのバイオマス製品の需要増進を図る、こういうことを推進していこうということを決めたところでございまして、具体的な支援策でございますが、これまでもバイオマスの環づくり交付金におきましてこの構想の策定あるいは利活用施設の整備などを支援してきたところでございますが、十八年度におきましてはこの利活用取組を率先していく人材の育成を図る事業、それから利用の進んでいない未利用バイオマスなどの利活用のモデルプランを作成をする事業、こういうことを実施しようということを予定をしてございます。  また、税制の方でございますが、十八年度から木質バイオマス発電装置ですとか、バイオマスエタノール製造設備等の利活用設備を導入する場合には税額控除や特別控除ができるよう税制面においても措置をしたところでございまして、これらの施策を有効に活用しながらバイオマスタウン構想の加速化を図ってまいりたい、このように考えております。
  43. 加藤修一

    ○加藤修一君 昨日発表されました経済産業省の新・国家エネルギー戦略、これは三つの柱から成り立っているというふうに新聞記事には書いてございます。原子力発電の推進、省エネルギー策の強化、バイオエタノールなど代替新エネルギー普及の三つ、これ実現のかぎであるということで、数値目標も立てながら将来に向けて工程表も作っていくという話になっているわけなんですけれども。  バイオマスの関係資源エネルギー庁と林野庁にお聞きしたいわけでありますけれども、いろいろな先ほど話いたしましたように、残材等々使われていないものが相当数あると。製材工場の関係も含めて、あるいは流域全体で川上から川下まで、そういった中でぐるぐる回るように、持続可能な経営といいますか、そういった面含めて、難しい問題が非常に多くあると思っておりますが、やはり非常にこの部分は、木質バイオマスは別の言い方をすれば原油がそこにあるというふうに考えたっていいわけでありますので、資源がなかなかない国日本にとっては将来的には大きな戦略的な視点から考えると大事である、あるいは外交的なカードもなり得るという話も考えていくことができると思うんですね。  NEDOの事業としてバイオマスエネルギー地域システム化実験事業、この事業目的と、様々な形で課題があると思いますけれども、そういった点、それから川上から川下までぐるぐるうまく回るような形でやっていくということを考えれば、やはりこれは林野庁の非常に大きな課題でもあるというふうに私は理解しておりますので、それぞれの省からよろしくお願いしたいと思います。
  44. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今先生御指摘のとおり、木質のバイオマスを始めといたしますバイオマスエネルギーは、京都議定書上も二酸化炭素を排出しないものということで扱われておるわけでございまして、地球温暖化対策に非常に有効なものだというように理解をしております。また、石油依存度の低減にも資するということでございまして、この導入は積極的に推進すべきものと考えているところでございます。  ただ、御指摘のとおりいろいろ難しい点もございまして、例えば間伐材等の原料の収集の運搬システムが確立をされていない、それからコストが高いといった課題があるわけでございます。したがいまして、この開発、導入を上流から下流まで連携強化を含めまして積極的に進めていかなければいけないと、このように考えているわけでございます。  経済産業省では、今先生から御指摘がございましたとおり、NEDOを通じまして岡山県の真庭市で行っているプロジェクトでございますけれども、地域内で未利用となっている製材所から排出される木くず、山林に放置されたままの材木といったものを低コストで収集、加工をいたしまして、発電用のボイラー燃料などとして利用する実験事業を支援をしているところでございます。それから、建物の解体などに伴いまして排出される木材などの木質バイオマス燃料、木質バイオマスを燃料として発電や熱利用を行う民間企業や地方公共団体によるバイオマスエネルギー導入というものに対する支援も強力に推進をしているところでございます。  今後とも上流から下流まで一体となった取組が必要だと考えておりまして、今御指摘のバイオマス・ニッポン総合戦略等を通じまして関係府省と連絡を密に取りながら、木質バイオマス利用の利用促進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  45. 島田泰助

    政府参考人(島田泰助君) 木質バイオマスの利用につきましては、地球温暖化の防止ですとか循環型社会の形成、地域の未利用資源を活用した産業の育成に資するものと考えているところでございまして、極めて重要と考えているところでございます。  間伐材などの木質バイオマスの利用を推進するためには、森林整備に伴い発生する林地残材等を効率的に収集、運搬することとともに、新商品の開発など木材の利用拡大を図ることも重要な課題であるというふうにして考えております。そのためには、川上と川下が連携をいたしまして、品質、性能が確かな木材製品を安定的に供給できる体制を整備していくといったことも重要であるというふうにして考えているところでございます。  このため、平成十六年度から、これまで利用が低位であった曲がり材ですとか間伐材を取りまとめて、集成材や合板として低コストかつ大ロットで安定的に供給する広域的な流通・加工システムをモデル的に整備し、端材を木材乾燥用のボイラー燃料として利用することなどにも取り組んでいるところでございます。また、平成十八年度予算においては、川上と川下が連携いたしまして、一般材を原料として、品質、性能の確かな乾燥材等を低コストで安定的に供給する新生産システムというものを構築いたしました。こうしたものを通じまして、端材をバイオマスエネルギーとして利用することにも取り組んでいるところでございます。  今後とも、バイオマス・ニッポン総合戦略等を踏まえ、各関係府省とも連携を図りつつ、川上から川下まで一体となった取組により、木質バイオマスの利用を積極的に進めてまいりたいというふうにして考えているところでございます。
  46. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非、より一層積極的に進めていただきたいと思います。  木質バイオマスの発電の関係でありますけれども、エネルギー効率は二〇%程度だと聞いておりますが、残り八〇%、これは廃熱、熱を捨てているということになりまして、その熱をうまく利用すればかなり効率を上げることができると、物によっては八〇%近くまで上げれるかもしれないと、そういうふうに言われているわけなんですけれども。いわゆる木質バイオマス発電と熱利用、これは吸収式の冷凍機等を併用すれば冷房も可能であるというふうに、それで、その関係で広く普及が見込まれているわけでありますけれども、そういうエネルギー変換効率の高い変換技術の開発が今後とも課題としてありますので、是非こういった面についても積極的な展開をしていただきたいと思います。強くこの辺については要望しておきたいと思います。  それで、時間がございませんので、環境と金融の在り方について、環境金融というふうに最近言われ始めておりますが、やはり環境と経済の好循環、これを進めていくためには金融の在り方も極めて重要であるというふうに理解しておりまして、小池環境大臣も積極的にこの辺については進めているというふうに私も認識しております。  昔は、お金には人格がないと、お金には色がないというふうに、今も色がないというのはそうかもしれませんが、私は人格があると。やはり環境に負担を掛けるようなお金の使い方は良くないと、融資とか投資ですね。ですから、そこは十分配慮して、環境に配慮したお金の使い方、金融の在り方というのが当然のことながら求められていると思います。  環境省は四月に環境と金融に関する懇談会を立ち上げたと聞いておりまして、その趣旨あるいは議論の方向性について改めてお聞きしたいと思います。あと一問残っておりますので、簡便によろしくお願いしたいと思います。
  47. 田村義雄

    政府参考人田村義雄君) 環境省におきましては、環境保全を進めていく上での金融分野の重要性、幅広い観点から議論、検討を行うということを目的といたしまして、今お話ございましたように、大臣の下に四月に環境と金融に関する懇談会を設置したところでございます。  この懇談会におきましては、千五百兆円を超えます個人金融資産、これを、より有効な活用という視点も踏まえまして、いわゆる社会的責任投資、SRI、あるいは環境配慮事業等に対する低利融資などの推進方策について、御専門の方々を中心に今真摯な議論をいただいているところでございます。まだ議論は半ばではございますけれども、今後の取りまとめを受けまして、環境省としても、金融面から環境などに配慮したお金の流れを少しでも広げていく、支援していく、そういう取組として、具体的な支援策について、例えば諸外国の事例等も参考にしながら、幅広い観点から検討してまいりたいと、そのように考えております。
  48. 加藤修一

    ○加藤修一君 金融庁に御答弁をお願いしたいわけでありますけれども、UNEP・FIという形で、もう随分と、環境計画、国連の環境計画が熱心にやってきております。一九九〇年代初期からやってきておりますし、あるいは、先ほどJBICの話が出ました。JBICとかADBあるいはワールドバンク等々も、やはり融資、投資の関係については環境を相当配慮しながら金融政策を進めていっているというふうに私は理解しておりまして、また、オランダの民間金融機関でありますけれども、やはり、グリーンファンドスキームだったでしょうか、そういった中で、例えばペイオフの対象外にしないとか、あるいは優遇税制含めてかなり積極的にそういう展開をしているというふうにも聞いておりますので、金融庁としては環境に配慮した金融の在り方というのはやはりこれから大きなテーマとして考えていくべきだと思っておりますが、その辺についてお聞きしたいと思います。
  49. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) 金融業におきます環境配慮行動の意義についてでございますが、まず、金融機関自らが事業による環境負荷低減を行う以外に、今御指摘がありましたように、投融資の対象や被保険者となる企業や個人の環境配慮行動を促進する点にあるというふうに指摘されてございます。  こうした金融機関による環境配慮行動といたしましては、例えば環境配慮に優れた取組を行っている企業に対する金利優遇や、そうした企業を中心に投資を行うファンドの形成、金融機関自身によるエネルギー使用量、廃棄物の削減目標の設定などの取組が行われております。また、世界の環境問題に配慮する国際的な取組でございますUNEP・FIや赤道原則に我が国金融機関も参加しているものというふうに承知してございます。  金融機関環境配慮の取組は、まずもって個々の金融機関が自己責任原則にのっとった経営判断に基づき行う性格のものではありますが、金融庁といたしましても、本年一月末に、環境への取組を含む各金融機関のCSRの具体的取組についてのアンケートを実施し、その結果を金融機関のCSR事例集として取りまとめ、三月末に公表したところであり、また環境省環境と金融に関する懇談会にもオブザーバーとして参加しているところでございます。  今後とも、環境と金融の関係といった観点から、これらの取組を引き続き適切にフォローアップしてまいりたいと考えてございます。
  50. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いいたします。  以上です。
  51. 市田忠義

    ○市田忠義君 前回の質疑で補足性の原則が規定されている京都メカニズム問題についてお聞きしましたが、今日は削減目標達成の中核とも言うべき国内対策のうち、電力事業のCO2削減対策についてお聞きしたいと思います。  まず数字の確認ですが、一九九八年度以降の電力事業におけるCO2排出量の変化がどうなっているか、お聞きします。
  52. 小林光

    政府参考人小林光君) 電力事業ということで、電気事業連合会が発表されていらっしゃいます数字がございます。発電に伴う二酸化炭素の排出量ということで、九八年度以降ということでございますが、九八年度が二億八千五百万トン、そして、それ以降漸増しておりまして、直近の二〇〇四年度で三億六千四百万トンということになってございます。
  53. 市田忠義

    ○市田忠義君 二・八五億トンから三・六四億トンに増加していると。  次に、また数字の確認ですが、じゃ、九八年度以降の電力事業におけるCO2排出原単位の変化はどうなっているでしょうか。
  54. 小林光

    政府参考人小林光君) これも出典につきましては電気事業連合会の自主行動計画のフォローアップということでございまして、一般電力事業者を中心とした電力でございますが、それによりますと、電気の使用端、消費者側の方の部分で計算をいたしました、これが通例でございます、二酸化炭素の排出係数、一九九〇年度、出発点では〇・四二一キログラムCO2パー・キロワット・アワーという数字でございました。それから、先ほど御指摘の九八年、これが排出原単位としては一番いい数字で、小さい数字ということになりますが、〇・三五六という数字でございます。そこに、改善しました後、御案内の原発不祥事等ございまして、二〇〇四年度で〇・四二一ということで振出しに戻った状況にございます。
  55. 市田忠義

    ○市田忠義君 今御説明がありましたように、電力は、二〇%削減目標を掲げながら、九八年度の〇・三五六キログラムをピークにどんどん高くなって、二〇〇四年度が〇・四二一キログラムと。これは達成計画の中でも十分な対策が必要だということを言われている点であります。  じゃ、一九九〇年度以降の発電用の石炭の使用量の変化はどうでしょうか。
  56. 小林光

    政府参考人小林光君) 一九九〇年、出発点で申し上げますと、ここでございますけれども、二千七百二十四万トンということでございましたけれども、九八年、先ほどの御指摘の一番排出係数の低い段階、これが四千六百十三万トンということになってございます。そして、その後ずっと増加をしてございまして、二〇〇四年には七千七百八十八万トンというような数字になってございます。石炭でございます。
  57. 市田忠義

    ○市田忠義君 これも九〇年の二千七百万トンから七千数百万トンに増えていると。この増加分のCO2排出量は約九千百五十万トンと言われております。今の数字から明確なように、電力事業のCO2削減対策は極めて不十分だというのはもうこの数字からも明らかだというふうに思います。  そこでお聞きしますが、目標達成計画決定以降に環境アセス手続に入っていた東芝とオリックスとの共同出資会社、ここが山口県の宇部市に計画していた石炭火力発電所、シグマパワー山口ですけれども、この環境アセス準備書の手続が取り下げられました。この特定規模電気事業、いわゆるPPSですが、による事業計画では、年間約五百八十二万トンのCO2の発生が見込まれて、電力会社が目指す削減総量、約一千七百万トンの三分の一に相当したと。  そこでお聞きしますが、この新たな排出量に対してこの会社は何らかの具体的な削減対策があったんでしょうか。
  58. 小林光

    政府参考人小林光君) シグマパワーの御計画につきましては自主的に引き下げたということでございまして、最終的な姿はつまびらかにしてございませんが、私どもで事前の事務的ないろいろな質問させていただきましたところで承知しておりますところでございますと、なるべくきれいな石炭を使う、あるいは発電効率の良い石炭発電装置にする、こういったことが主要な政策というふうに聞いておりました。
  59. 市田忠義

    ○市田忠義君 ここは排出量取引活用はあったけれども、具体的な削減量は盛り込まれていなかったと。だから、環境省は恐らく経産省に、政府CO2削減目標との整合性が取れないということを主張されたはずだと思うんです。  こういうシグマパワー山口の事業計画のように電気電力会社を通さずに工業団地の事業者に直接販売する特定規模電気事業者は、電力業界のCO2削減の自主行動計画の枠内に含まれるんでしょうか。
  60. 小林光

    政府参考人小林光君) お答えから申し上げますと、その枠内には入ってございません。  先ほど申し上げました電気事業連合会が自主行動計画をしていると、こういうことでございますが、この範囲は一般電気事業者、そして、あと個別の会社になりますけれども、電源開発、日本原電、共同火力、それからIPPからの卸電力というものでございまして、いわゆるPPSは入ってございません。
  61. 市田忠義

    ○市田忠義君 含まれないということを今明言されました。  こういう、このPPS、特定規模電気事業による石炭火力発電所というのは、ほかにも福島県いわき市に出力四十万キロワットの小名浜火力発電所が控えています。今環境アセスの方法書の手続中ですが、こういうPPSでの発電所計画は、いわゆる目標達成計画では具体的な削減策が示されているんでしょうか。
  62. 小林光

    政府参考人小林光君) 今御指摘の点でございますけれども、PPSについては具体的な削減目標というのは示されておりません。
  63. 市田忠義

    ○市田忠義君 これも特段示されていないということが明らかになりました。ところが、地方自治体の条例では、このPPSに対して具体的な削減対策を求めておるところが幾つかあります。  ちょっとお聞きしたいんですが、東京都や大阪府の条例では、このPPSについてCO2排出係数を改善する取組について条例を出しているわけですが、そのポイントですね、時間がありませんので、ごくかいつまんで、なかなか長い条例ですから説明しにくいとは思いますが、ごく簡潔にポイントだけ説明していただけますか。
  64. 小林光

    政府参考人小林光君) 東京都が典型的でございますけれども、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例という条例でございますが、この中で、ずばり電気のことだけ申し上げますと、都内に電気を供給する一般電気事業者、それに加えまして特定規模電気事業者、PPSを対象に排出係数の削減あるいは再生可能エネルギー導入、そういった対策に関する計画の報告、公表を求める、そういうエネルギー環境計画書制度というのを導入をしてございます。  なお、大阪については私ども承知してございませんが、京都府と長野県で類似の制度があるというふうに承知をしております。
  65. 市田忠義

    ○市田忠義君 自治体ではそういう形で条例でPPSについてもきちんとした削減対策を組んでいると。  そこで、私、大臣にお聞きしたいんですけれども、先ほど小林さんに確認したように、達成計画でも具体的な削減策が示されずに、電力業界の自主行動計画の枠にも入っていない。幸いシグマパワー山口の事業計画は環境アセス準備書の手続を取り下げたわけですけれども、依然として排出量を抑える枠組みはつくられていないわけですね。  そこで、〇七年の対策見直しに当たっては、一般電気事業者以外の事業者に対しても、単なる自主的な取組に任せるんじゃなくて、ガイドラインなどを設定して、燃焼施設の高効率、高い効率の施設の導入や燃料転換などの削減対策を求めるべきだと思うんですが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  66. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 幾つかの例で御質問がございました。  私どもが出した結果というのは正にインセンティブというか、将来あるべき姿ということをその私どもの結論そのものが示しているのではないかと、このように思うところでございます。  そして、発電に伴います二酸化炭素の排出量というのは我が国の総排出量の約三割を占めているわけでございますので、このような算定・報告・公表制度を使うことによってその削減取組を促していくということは、そもそも極めて重要かつ効果的であると考えているわけでございます。  また、係数の設定に当たりましては、供給者間で電気の省CO2化の競争を促すということで、本来は事業者別の係数を用いることは望ましい方向でありますけれども、当面は電源構成を明らかにする用意がまだそれぞれ整っておりません。で、個別に排出係数を公表できない中小の供給者などから購入するものを対象として、一律の排出係数を使うということにいたしているわけでございます。  また一方で、供給電力に占める割合で九割程度に相当する電気事業者がいるわけでございますが、この一律の排出係数を下回る電気を供給していることとなるわけでございまして、今回の制度では一律の係数を定めるのと併せて、この値を下回ることが確認できる事業者については、個別の係数を公表して、これを使って算定できる仕組みとさせていただいているわけで、だんだんこれによって、うちはやってますというところはむしろ積極的に公表していくと、こういう一つの流れをこういう形でつくっていくことができるのではないか。電力の単なる量ではなくて、質の点がこれでだんだんと明確にできてくるのではないかと、このように考えております。
  67. 市田忠義

    ○市田忠義君 排出係数のことは後でお聞きしようと思っていたのに先に答えられて、後の質問がやりにくいんですけれども。  言いたかったのは、一般電気事業者以外の事業者に対してもきちんとした削減対策を求めるべきではないかと、自主性に任せるだけではなくてですね。局長はどうですか。
  68. 小林光

    政府参考人小林光君) まさしく今大臣から答弁さしていただきましたように、自主行動の枠組みに入っていない、そうした独立系の事業者さんにどうやって環境対策を促していくか。これは政策の大きな課題でございまして、今大臣申し上げましたように、一つは、そうした排出係数を明らかにする、これが前回の温暖化対策推進法の改正事項でございますが、みんなが情報を公開する、そして消費者パワーで、あるいは、もちろん供給側の努力もそうでございますが、世の中を変えていく、こういうのが一つの方法でございます。  それから、先ほどシグマパワーのことについての御質問がございました。これも大臣を先頭にいろいろ私どもとしても考えたわけでございますが、こういったアセスメントの中でも二酸化炭素の排出をできる限り低減をするということで、いろんな審査を行っているわけでございます。そういう意味で、この京都議定書目標達成計画に照らして、この京都議定書目標達成計画ができた以降のアセス案件につきましては、目標達成計画との整合性といったようなことについても審査をしていきたいということで、いろんなルートでこの今御指摘の石炭火力というものについても取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  69. 市田忠義

    ○市田忠義君 排出係数の話はさっき出ましたので、そこへ飛びたいと思いますが、たしか今年の四月から、各電力事業者が発電時に排出するCO2量を公表するという制度が始まりました。  それで、たしか、これまでは電力会社と契約している場合は〇・三九一、PPSの場合は〇・五五八という一律の係数設定していたものをたしか〇・五五五に統一された。これは間違いありませんですね。
  70. 小林光

    政府参考人小林光君) そのとおりでございます。  今御指摘の点は、電源構成等が分からない電気をちょうだいしているその排出者、消費者の側でございますが、その方が自分の排出量を計算する際に使う一般的な係数のことについてのお問い合わせでございますが、そのとおりでございます。
  71. 市田忠義

    ○市田忠義君 この〇・五五キログラムという排出係数は、電力事業の排出原単位の〇・四二一キログラムの一・三二倍に当たるわけですけれども、排出量の少ない係数に一本化するんじゃなくて排出量の多い係数に一本化するということは、排出係数の高いPPSの石炭火力を事実上容認することにつながるんじゃないかと。この何というか懸念ですね、これについては環境省、いかがですか。
  72. 小林光

    政府参考人小林光君) 従前の電源構成が分からないケース、これは小規模なPPS等々についてのお問い合わせだと思いますが、これについては、同じ数字を使ってございましたので、今回の制度で余計優遇が進むということではございません。  他方、排出係数の少ない事業者につきましては、それを私ども調べまして公表をし、そして排出事業者の排出量の計算にそういった比較的きれいな電気を使っている方々についてはその計算に使える、こういう形になりますので、より排出係数の低い事業者にとっては有利な制度、そういった排出削減競争が行われることになるのではないかというふうに考えてございます。
  73. 市田忠義

    ○市田忠義君 〇四年度の政府の事業や事務に伴い排出された温室効果ガス、これは前年度比で四・五%増えたわけですけれども、その主な原因は何ですか。
  74. 小林光

    政府参考人小林光君) 主な原因、二通りございます。  実は、普通の燃料の消費といったものは減ってございますので、分けてみますと、電気の使用量の増加ということがまず一つ大きな理由でございますが、その中身といたしまして、例えば、環境省のことを申し上げて恐縮でございますけれども、地方部局ができるというようなことで、床面積が増えるとどうしてもその部分に応じて比例的に排出量が増えてしまったというのが一つでございます。  それからもう一つは、先ほど御指摘がありました幾つかの省庁で入札というのを行っておりまして、安い電力を購入はしてございますけれども、それに伴う排出係数が悪化をするということで増加した部分もあると、こういったことが現状でございます。
  75. 市田忠義

    ○市田忠義君 今二つ目に理由を挙げられた入札制度ですね。結局、電力事業の規制緩和で新規参入が非常に増えると。そういう中で、当然価格の安い方が落札するわけですから、入札制度の中で、価格は安いがCO2排出量が多いという石炭火力発電、この利用量が増えたということが政府の事業や事務に排出される温室効果ガスが増えた原因の大きな理由になっています。電気使用に伴う排出が〇一年度比で六・三%増加した、これが大きく影響したことは私、間違いないと思うんです。このうち一・七%分は、先ほど言った電力自由化に伴う競争入札の実施で新規事業者の価格の安い石炭火力発電所などからの購入が増えた結果であります。  そこで、最後に、もう時間がありませんので一問だけ大臣にお聞きしたいんですけれども、政府は、価格は高くても排出量の少ない電力の調達ができる入札方法に見直すというふうに今されています。これは私、賛成なんです。これは、排出係数が小さいほど総合評価が高いわけですから、このことから考えても、排出係数を高いところで一本化するというのは逆行しているんじゃないかと。先ほど、二つの係数の高い方に事実上合わせたということは、せっかく、少々値段が高くても排出量の少ない、その方が総合評価が高いというなら、ここからその排出係数を高いところで一本化するというのは逆行していると、やっぱり排出係数の再検討を行うべきではないかというふうに思うんですが、大臣の見解を最後にお聞きしたい。
  76. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 政府の調達にはいろいろな手続そしてルールがございます。このルールの中にそういったCO2削減をする、電気の質を高めるという観点を盛り込むということは重要なことだと思っております。  現時点におきましては、入札の個々のときにそれらをチェックをするということですけれども、願わくばこれはルールとすべきであると考えております。
  77. 市田忠義

    ○市田忠義君 終わります。
  78. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 国民新党・新党日本の会の荒井でございます。  今日一日お話を聞いていまして、我々一人一人の意識あるいは価値観の改革をしながら、物の消費による豊かさから新たな豊かさへの転換をしていかなければならないし、また技術革新や構造転換や人材育成などをしてCO2を出さないエネルギー供給システムの導入、またエネルギー依存の少ない経済活動の推進など、本当に幅広い観点をポリシーミックスでやっていかないとできないんだなと、このように思っております。さらに、質問にもございましたが、税制や投資、融資、こういった分野の充実というのも見逃せませんし、また国際協調もこれもまた不可欠であると、このように印象を持っております。  そこで、今日一つだけ先ほどに質問が出ておりましたが、ちょっと具体的にお尋ねをいたします。  先週までドイツのボンで行われていました気候変動枠組条約に基づく国際会議の成果、これを端的にお願いしたいと思います。
  79. 小林光

    政府参考人小林光君) 先週末までボンで行われておりました気候変動枠組条約に基づきます国際会議の成果と、こういうことでございます。  この会議、一連の会議でございまして、三つの部分から成ってございます。一つは、米国、中国、インドなどの途上国を含めてすべての国が参加する気候変動に対応するための長期的な協力の行動に関する対話、これは条約に基づくものということになろうかと思いますが、これが一つ。そして二つ目といたしましては、京都議定書の締約国を対象とします附属書Ⅰ国の更なる約束に関するアドホックワーキンググループ、この議論。そして三番目といたしまして、やや実務的になりますけれども、気候変動枠組条約及び京都議定書の実施に関しますところの補助機関会合、実務的な会合でございます。この三つでございました。  特に報道等でもございましたのは、長期的協力の行動に関する対話ということでございます。二〇一三年以降、全条約締結国がどういうふうに取り組んでいくかと、こういうことでございますが、初めての会合ということでございますので、結論から申し上げますと、それぞれのこれまでの主張を繰り返して出てきたということで、主張が出そろったというふうに言うことができるかと思いますし、またそれぞれの立場に対する相互の理解も深まったと思います。  一例を挙げますと、我が国、EU等は条約の究極目的の達成に向けた連帯した取組が必要だといったようなことを訴えたと、こういうことでございますし、途上国におきましては、将来の削減義務等への幅広い参加の検討には今の段階で応じられないといったような主張の繰り返しがあったというふうに承知しております。  それから、二番目に申し上げました附属書Ⅰ国、これは先進国の更なる約束の検討ということが行われてございまして、これも時間の関係で少しはしょった説明になろうかと思いますが、今後の作業の計画といったものが合意をされました。そういうことでアウトプットが出ております。  また、補助機関会合ということでございまして、これは実務的なことをいろいろするわけでございますが、例えば途上国への技術移転、あるいは途上国で特に心配されております適応策に関する議論、こういったことについての進展があったというふうに承知をしてございます。
  80. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これからいよいよ本格的に取り組むと、こういったことだろうと思いますが、今の報告にもありましたように、京都議定書、非常に大きな位置付けであると、これは当然そのとおりであったわけです。  そこで、具体的に今回の法案についてお話をさせていただくわけですが、まず、先ほど来からもお話がありましたけれども、そうした今回のボンでの会議あるいはこの京都議定書、こういったものを考える場合に、気温の上昇を何度までに抑えて、世界全体でどの程度の排出削減を進めて、その中で我が国はどのような責任を果たすのか、これを改めて我々は確認しておく必要があると思うんです。改めてその点についてお尋ねします。
  81. 小林光

    政府参考人小林光君) 私どもが長期的協力の行動に関する対話という中で、将来的な目標といったようなことについてもきちっと議論をし、定めていく必要があるというようなことを提案をしてございます。  例えば、具体的に申し上げますと、気温の上昇幅、これにつきましては、私ども中央環境審議会でいろんな検討をしていただいてございますけれども、温暖化による悪影響を未然防止するという観点からいいますと、将来にわたります温度上昇を工業化前に比べまして二度以内に抑えるということは長期目標の検討の現段階での出発点となるというような提案をいただいておりますし、その結果、世界の排出量を少なくとも現状の半分以下にしていく必要があるというような指摘も受けているところでございます。  こうしたことを背景にして、先ほど申し上げましたボンの会合におきましても、我が国は条約の究極目的を達成するために、やはり長期目標を設けること、そしてその達成のための道筋についても合意をするべきではないか、こういったことを訴え掛けております。その訴え掛けだけでなく、国内的にもいろんな研究をしていると。こういうことで、こういった今委員指摘の点踏まえまして対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  82. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 二〇五〇年問題とも言われるところの話でもあり、バックキャスティングによる方法論なども提案がされて、先生方からもあったわけですが、そうしますと五〇%以上の削減ということになって、日本はそれ以上じゃないかと、こういうような意見もあるわけです。  そこで、局長にまたお尋ねいたしますけど、今回の法案に関連しますが、企業や国の温室効果ガス削減目標、これを定めているわけですけど、どのようなやり方で、手続で達成するのか、改めてお尋ねをしたいと思います。どのように温室効果ガス削減目標を立てて、どのようにそれを達成するのか、その手続を改めてお聞かせください。
  83. 小林光

    政府参考人小林光君) 今回お諮りしております京都メカニズム法案もその一部になってございますが、全体を束ねておりますのは目標達成計画でございます。目標達成計画の作り方ということでございますが、部門ごと目標ということを作っております。そうでないと、総計量だけ持っていても目標にならないということでございます。なるべくブレークダウンした目標を作るということでございます。  具体的に申し上げますと、今後の排出量見通しを前提にいたしまして、それぞれの部門最大限の努力をするということだと排出量がどうなるかということで計算をするわけでございます。分野ごとの担当省庁が、政策によりますところの効果も含めまして個々の削減対策でどこまでその削減量を増やせるか、こういうことを推計いたしまして削減可能量を見積り、それを部門ごとに集計をいたしまして、二〇一〇年におきますところの部門ごとの目安となる目標排出量ということを定めております。これが作り方でございます。  ちなみに、部門ごと排出量、このままほっておきますと、大綱のベースということでございますが、二〇一〇年には九〇年比六%増になるということでございますが、それから削り込んでいこうということでございまして、目標達成計画では、例えば一例でございますが、産業部門については一千五百万トン更に削ろうとか、そういったようなことが決まっているわけでございます。  そして、それをどう、じゃ実行するのかというのが二点目のお尋ねでございます。  まず、こうした削減、個々に積み上がっているものでございますから、その積み上がっているとおりにそれぞれの部門最大限の努力をしていただくということになるわけでありますが、さらにそういった努力を後押しをする仕組み、これを私ども施策といっておりますが、これを定めております。具体的に申し上げますと、規制を実施する、あるいは補助金を設ける、それから税制優遇措置を設けるといったような誘導施策等々をそれぞれの所管官庁で逐次具体化をして後押しをしていくということでございます。  それから最後に、そういったばらばらの取組ではございませんで、やはり計画全体としての取組が必要でございます。内閣府に置かれた地球温暖化対策推進本部におきまして点検というのを行いまして、必要に応じてその結果で施策強化をすると。特に、来年度は計画自体の見直しを行うというふうにしてございますので、計画作りっぱなし、個別に実行するというのではございませんで、PDCAサイクル政府全体で回してその修正をし、より良い取組をしていきたいと、こういうふうに考えてございます。
  84. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 いわゆる後押しの話もされました。  じゃ、一方で、あくまでも自主行動計画というものを、例えば産業部門では経団連を中心に、また経団連に入らない方々も同時にそうした自主計画というのを、行動計画を策定しているわけですね。しかし、あくまでも自主的といいますが、非常にこの持つ意味というのはすごく重いわけですね。この地球環境の悪化という意味で非常に重い。  先ほど大臣も、そうしたことには今とにかくみんなが意識を持って取り組むことが先決だというお話があったんですけれども、罰則、この罰則というもの、企業や国がその目標を達成できなかった場合の罰則などは今回定められているんでしょうか。
  85. 小林光

    政府参考人小林光君) これは、先ほど大臣からの答弁もございましたところでございますが、目標達成計画全体の目標でございます、つまり京都議定書目標でございますが、この六%削減約束というのは多くの主体の御努力が組み合わさった結果として達成されるものでございますので、その不達成があったからといって個々の主体が直ちに罰せられると、こういう構造にはなってございません。しかし、先ほど申し上げました後押しの施策というお話ございましたが、その施策の中には罰則で担保されるものがあるということでございます。  一例を申し上げますと、温暖化対策推進法に基づきまして排出量の算定、報告を行わなかったような場合、あるいは、省エネ法に基づく取組は行わなかった場合、あるいは今度御審議を賜りますが、フロンの回収、破壊を行わず空気中にみだりにフロンを投棄した場合等々については個別の行為として罰則があると、こういうことでございます。
  86. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私はそこを評価するんです。後押しをしながら合意をして、その中で、個別のものの中で罰則があると。最初から目標達成しなかったらこれ駄目よと、さあ罰則だというよりも、まず第一段階としてはこれは有効であろうと、そういうふうに思います。それを冒頭申し上げましたけれども、意識改革や価値の改革、こういったものの意識がそれぞれにないとできないことだからでもあるわけなんです。  しかし、なかなか実効性どうなのかなというところで、この京都メカニズムクレジットということにも一方でなっているわけで、その懸念が何遍も質疑でされているわけなんです。  そこで、改めてなんですが、もうすべての分野で、最終的には国が目標達成できなかったら国際公約果たせないわけですけれど、どのように責任を取るのか、企業と国の場合でちょっと話をしてください。我が国として最終的にどう責任を取るか、政務官
  87. 竹下亘

    大臣政務官(竹下亘君) 六%の削減約束の達成に向けまして、温暖化対策推進法及び目標達成計画において各主体の責務、役割というものを定めてきております。そのような役割を踏まえて部門ごと目標が定められておりまして、それぞれの部門でこれを達成すべく最大限の努力をすることが必要になるわけでございます。  目標達成計画におきましては、そうした各主体取組を義務付けたり支援したりする国の役割、具体的な施策というものも打ち出しているところでございます。こうしたことから、目標達成責任は、国も含めまして各主体がそれぞれの役割に応じて負っているものというふうに考えております。どこか一か所に責任があるというものではないと。  いずれにいたしましても、国全体の地球温暖化対策の司令塔となる政府、そして排出量の大きな部分を占める産業界など、すべての主体がその役割を自覚して十分な取組を進め、かつ取組点検を常に行い、必要に応じて対策施策強化を図ることが対策に邁進する現時点としては最も重要であるというふうに考えておるところでございます。
  88. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そういう取組でみんなで成果を上げていきたいと、このように思うわけです。  そうしても、二〇一三年以降が問題になります。そのようにしても問題になってくる。二〇一三年以降の国際枠組み、これを積極的に提案を日本からしていくことに価値があるし、また提案をしなければならない。特に京都メカニズムについては、参考人からもお話がありましたけど、やっぱり担保していくという意味でもこれを引き続き促進していく。途上国やプロジェクト実施者の取組を促進するためにも、早くやりますよと、引き続きやりますよと、これを言うか言わないかで随分違うんだと、こういう御指摘もあったわけです。この点について、考えをお尋ねします。
  89. 小林光

    政府参考人小林光君) 次期枠組みに対する国際合意の取付けということは、大変すぐれて政治的なリーダーシップの必要なことでございます。そのことについては恐らく大臣から御答弁あろうかと思いますが、私ども、この途上国への支援、そして適応対策、こういったことをしっかりやっていく。これはもう枠組み条約上のもう根本的な義務でございますので、こういった姿勢でずっと臨みまして国際的な合意形成ということに尽くしてまいりたいというふうに考えてございます。
  90. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 締めくくりになりますが、大臣にお尋ねします。  こうした観点に立ちまして、二〇一三年以降の国際枠組みについてどう我が国として対応するか。そしてまた、総理が六月にブッシュ大統領に会われると、こういうことでございますが、京都議定書の復帰と、また次の枠組みについての参加と、これは非常に我が国が堂々と申し上げて協力してもらうようにアメリカに働き掛けるものと思いますが、この二点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  91. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まず、次期枠組みでありますけれども、非常に重要な課題でございます。そして、その枠組みにつきましては、地球温暖化問題、人類共通の問題であるということから、すべての国が参加する、そして実効ある枠組みとすることが何よりも重要でございます。  その意味では、アメリカが京都議定書に復帰をするということは極めて重要なことでありまして、アメリカの代表団と事あるごとに、私、大臣、そして副大臣、政務官、それからあと局長級、それぞれの立場で、そしてそれぞれのミーティングでアメリカ側にその旨を、そして日本の考え方について伝えてきたところでございます。  そういった中で、昨年のカナダ・モントリオールのCOP11におきましても、アメリカ代表団ドブリアンスキー国務次官補に対しましても、再三ではございますけれども私の方から呼び掛けをさせていただいた。その結果としても、その会議で、アメリカを含むすべての国が参加する長期的な行動に関する対話というのがボンで行われたわけですけれども、そのときに、まずアメリカがそこの枠組みから降りなかったというのは実はむちゃくちゃ重要なことであって、それについては、アメリカは降りることはありませんよということを最初に日本に対して表明したということであります。  アメリカの復帰ということは極めて重要でございますし、またこれまでのことを考えてみますと、例えばイギリスの当時のベケット環境大臣とかなり連携しながらその辺のところ、対米の呼び掛けなどもしてきたわけでございます。今回ベケットさんが外務大臣になられてしまって、今度の新しいカウンターパートとの出会いはまだしておりませんけれども、我が国から、それから各国、批准している国々からアメリカに対しての呼び掛けをするというようなことで、いろんなチャネルを通じて、事あるごとにこれからもアメリカへの説得ということは続けてまいりたいと考えております。
  92. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 最後の恐らく日米、総理の会談になると思います。参考人からもありましたけど、アメリカの属国でないかどうかが問われるのがこの京都議定書であったというような意見もあるぐらいです。どうぞ、和して同ぜず、日本の立場、そして喫緊の世界的重要課題です。今取り組まないと駄目だという観点で、大臣からも総理に、日程を組んだ中にこれを、復帰を盛り込むように働き掛けていただくことを望みまして、終わります。
  93. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  94. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  岡崎君から発言を求められておりますので、これを許します。岡崎トミ子君。
  95. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、ただいま可決されました地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、京都議定書削減約束の達成に向けては、国内における温室効果ガス排出削減が基本であり、京都メカニズムは国内対策に対して補足的に活用されるべきものであることを改めて確認し、京都議定書目標達成計画における京都メカニズム活用目標「一・六%」をできるだけ上回ることのないよう、国内対策最大限の努力を行うこと。  二、気候変動枠組条約の究極の目標達成に向けては、温室効果ガスの大幅な排出削減が必要とされていることを踏まえ、国内における温室効果ガスの更なる長期的・継続的な排出削減に向けた対策の目安となる中長期目標を早期に定めること。  三、本法第八条第二項第八号に基づき、京都議定書目標達成計画京都メカニズム活用のために必要な措置に関する基本的事項を定めるに当たっては、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)及びグリーン投資スキーム(GIS)のプロジェクトによるクレジット取得最大努力すること。  四、CDM等の活用に関し、クレジット取得のためのプロジェクトの実施並びにクレジット取得に当たっては、当該プロジェクトの実施地における自然環境、地域住民等への配慮を徹底することとし、広くその結果を公表すること。  五、政府クレジット取得するに際し、その透明性、公正性の確保が図られ、リスクの低減に資するよう、情報を適切に公表することとし、割当量口座簿、特に国及びクレジット取得実施機関の管理口座に係る情報は、原則として公開とすること。  六、CDMへの政府開発援助(ODA)の活用に当たっては、京都議定書に基づく国際的な決定により禁止されているODAの流用との疑念を招くことのないよう、基本的な考え方を明確に示し、適切な運用を徹底すること。  七、京都議定書目標達成計画で検討課題とされた環境税及び国内排出量取引制度については、温室効果ガス排出状況及び平成二十年には京都議定書の第一約束期間が始まることを踏まえ、関係府省の参加の下、そのあるべき姿について総合的に検討を進めること。  八、米国などの大量排出国で批准していない政府に対し、引き続き京都議定書への参加を強く働きかけていくこと。また、二〇一三年以降の枠組みについては、京都議定書などのこれまでの共通基盤と経験を踏まえ、すべての先進国と途上国がその差異を認めつつ排出責任を共有できるものとなるよう、積極的に国際的なリーダーシップを発揮すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  96. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいま岡崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 全会一致と認めます。よって、岡崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小池環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小池環境大臣
  98. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力する所存でございます。
  99. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  101. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。小池環境大臣
  102. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいま議題となりました特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  フロン類の大気中への放出を抑制することは、人類共通の課題であるオゾン層保護及び地球温暖化防止を進める上で極めて重要な取組です。このため、平成十三年六月、業務用冷凍空調機器等からのフロン類の回収・破壊を義務付ける特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律が制定され、以降、フロン類の回収及び破壊が進められています。しかし、これらの機器の廃棄時におけるフロン類の回収率が三割程度で推移していることから、その向上を目指し、法制度を見直すことが必要となっています。また、昨年四月に閣議決定された京都議定書目標達成計画においても、制度の見直しによって、業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収率を向上させることが目標として掲げられたところであります。京都議定書目標達成期間を間近に控え、早急な対応が必要となっています。  このような状況を踏まえ、業務用冷凍空調機器が廃棄又は整備される際におけるフロン類の回収がより確実に行われるよう制度整備する必要があることから、本法律案を提案した次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、業務用冷凍空調機器を廃棄する場合に加え、当該機器中の部品等の再利用を目的として他の者に譲渡する場合についても、廃棄時と同様に、フロン類の引渡し等の義務が掛かることとします。  第二に、建築物等の解体工事の元請業者に対し、フロン類が入ったままの業務用冷凍空調機器建築物等の中に設置されていないかを確認し、その結果を工事発注者に説明する義務を課すこととします。  第三に、廃棄される業務用冷凍空調機器に充てんされているフロン類フロン類回収業者まで引き渡す行程を、廃棄者等が書面によって把握、管理できるようにする制度導入することとします。  第四に、業務用冷凍空調機器整備する際のフロン類回収につきましては、従来、回収と運搬の技術的基準のみが定められておりましたが、新たに、回収が必要となった場合の回収業者への委託義務、回収業者による整備時回収量の報告義務等を導入することとします。  第五に、フロン類回収業者に加え、業務用冷凍空調機器の廃棄者等に対しても、都道府県知事が指導、助言等の措置を講じられることとします。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要です。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  103. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会