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2006-05-23 第164回国会 参議院 環境委員会 第14号 公式Web版

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  1. 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改 (会議録情報)

    平成十八年五月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 関口 昌一君                 橋本 聖子君                 岡崎トミ子君                 鰐淵 洋子君     委 員                 大野つや子君                 狩野  安君                 西田 吉宏君                 真鍋 賢二君                 大石 正光君                 小林  元君                 谷  博之君                 加藤 修一君                 草川 昭三君                 市田 忠義君                 荒井 広幸君                 田村 秀昭君    事務局側        常任委員会専門        員        渋川 文隆君    参考人        日本カーボンフ        ァイナンス株式        会社代表取締役        社長       田中  弘君        東北大学東北ア        ジア研究センタ        ー教授      明日香壽川君        NPO法人地球        環境大気汚染        を考える全国市        民会議(CAS        A)専務理事   早川 光俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から意見を聴取いたします。  本日は、本案審査のため、参考人として日本カーボンファイナンス株式会社代表取締役社長田中弘君、東北大学東北アジア研究センター教授明日香壽川君及びNPO法人地球環境大気汚染を考える全国市民会議(CASA)専務理事早川光俊君の三名に御出席いただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査参考にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日の会議の進め方でございますが、まず、田中参考人明日香参考人早川参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は、意見質疑及び答弁ともに着席のままで結構でございます。  それでは、まず田中参考人から御意見をお述べいただきます。田中参考人
  3. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) 田中でございます。本日は、このような席で発言機会をいただきまして、誠に光栄に存じます。  まず、今回の法律案によりまして割当数量口座簿制度が定められまして、いわゆる排出権の取引に関します制度的なインフラ整備が一段と進展いたしますことは、この分野実務に携わっております者といたしまして歓迎するところでございます。  と申しますのは、御承知のように、昨年二月の京都議定書発効機会排出権というものがいよいよ現実のものとなりまして、排出権契約が飛躍的に増加いたしました。議定書ルールに従いまして手続も進展してまいりまして、その結果、排出権として成立いたしますいわゆる認証排出削減量、これが本年から発効される運びとなりました。私どもの方も、早ければ本年、遅くとも来年には同様の認証排出削減量獲得するという段階になったわけでございます。したがいまして、割当数量口座簿制度整備は喫緊の課題となっているものでございます。  さて、お手元に用意いたしました資料を御参照いただきながら私ども業務状況について御説明し、御審議の参考に供したいというふうに思います。  まず、資料一にございます私ども会社の概要でございますが、二〇〇四年の十二月に日本温暖化ガス削減基金というものが我が国の民間企業及び政府金融機関、計三十三社の参加によりまして、資金規模約一億四千万ドルをもって設立されました。この資金は、今後排出権が具体的に実現いたしまして実際に購入する段階で、その必要の都度このコミット額の中で資金拠出していただくというものでございます。排出権購入のためにこのような基金が設立されましたのは日本では初めての試みでございましたし、アジア地域でも初めてというものでございました。  私ども日本カーボンファイナンスという会社は、この基金と同時期に設立されまして、この基金のために、実際に海外で排出権対象となるプロジェクトを発掘いたしまして交渉し、排出権購入契約を締結いたし、実際に排出権として実現する段階までの管理業務を行います。そうしまして獲得いたしました排出権基金に渡しまして、出資参加者に配分するということになるわけでございます。  このような基金を設立いたしました背景でございますけれども、一部の企業では既に経験はあるものの、大部分は排出権購入のための実務面でのノウハウはまだ十分でない状況の下に参加各社のネットワーク、ノウハウを結集しまして、これを有効に活用して、それによって、その信用力交渉力をもって対象プロジェクトを発掘し、効率的に排出権獲得するということを意図したものでございます。  現在は、私どもは主としてCDMあるいはJIと言われるプロジェクトから生じます排出権獲得に注力しております。国によりましては、政府レベルでも制度が確立しておりまして実際のこの事業の当事者も排出権理解がかなり進んでいるという国もありますれば、政府の方もまだ制度が整っていない、実績がいまだない、事業者レベルでもまだ十分に理解が進んでいないというところもございまして、対象プロジェクトの発掘の前に、まず啓蒙活動、いわゆるキャパシティービルディング活動から始めなければいけないということも多々ございました。こうして、私ども活動、設立以来一年半活動してまいりましたが、中南米、アジア、アフリカ、各方面にわたりまして埋立てメタンとか風力発電とか省エネの関係プロジェクト契約を順次進めてまいっております。  次に、排出権プロジェクトに関しまして私どもが特に留意しております点について御説明いたしたいと思います。  まず第一点でございますが、対象プロジェクト計画されましてから最終的に排出権を生み出しますまでにいろいろなリスクがございます。そのようなリスクは大きく分けまして二つに分けることができると思います。  一つは、プロジェクト実施に当たりまして通常持っている、通常内包しているリスクでございます。プロジェクトを実施する際には通常、信頼の置けるコンサルタントによるFS、いわゆる実行可能性調査というものを実施いたしますが、その後のホスト国での許認可の取得や事業者財務能力技術力も含めました事業遂行能力、あるいは予定どおり建設が進み予定の時期に完工するかどうか、あるいは予定どおり操業が行われるかどうか、また、これらに影響を与えますカントリーリスクの問題も当然ございます。プロジェクト予定どおりのタイミングに予定どおり操業実績を上げないと、当初期待いたします量の排出権獲得できないということになるわけでございます。  これに加えまして、二つ目リスクは、まさしく京都メカニズム対象としてのプロジェクト、そのように進める場合の制度面から来るリスクでございます。すなわち、京都メカニズム対象として認められるために特別の手続が求められているということは既に御承知のとおりでございます。いわゆる方法論、すなわちどのような考え方温暖化ガス削減量を把握するか等の考え方につきまして当該プロジェクトについて認められるのかどうかという問題。それから、ホスト国がこれをCDM対象として承認するかどうか。あるいは、CDM理事会登録手続予定どおり進むかどうか。操業を開始いたしましても、モニタリングをやりまして問題なく排出削減量が認証されるのかどうか。さらに、ホスト国自身京都メカニズムルールを継続的に守ってくれるかどうかというようなことがございます。これらの手続に時間が掛かったり、思わぬ問題が生じたりいたしますと、それだけプロジェクト建設操業影響を与えるということになるわけでございます。  このように多くのリスクがございますので、私どもも非常に慎重に契約する段階では十分なチェックを行うわけでございますが、契約しました後も十分なフォローアップを行いまして適切に対応していくということが求められるところでございます。  留意点の第二でございますが、私どもCDM手続初期段階から直接事業者との協力を深めてプロジェクトを育てるという方針で臨んでおります。事業者は必ずしもこの分野に熟知しているわけではございませんし、資金的にも十分であるというわけではございません。必要な場合にはいろいろな手続に伴います費用を一部我々で負担いたしましたり、事業を進める場合のアドバイスを行うなどサポートいたしまして、排出権獲得まで、実現するまでサポートを続けていくというようなことを行っております。プロジェクト建設資金の確保に際しては、場合によりましては国際協力銀行の融資なども大きな支援になるケースがございます。このように、初期段階から協力をしていくということを私ども一つビジネスモデルというふうに考えております。  第三の点でございますが、日本企業にとりまして排出権獲得するというのは当然我々に与えられた責務でございますが、いわゆるホスト国持続的発展に資する、こういうプロジェクトを選んでいくということも大事な点であろうと心得ております。私どもは、ホスト国の対話を心掛け、その国にとってプライオリティーの高い、その国の方針に沿ったプロジェクトを選ぶように留意をしている次第でございます。  資料二つ目でございますけれども、最近契約いたしましたスリランカのプロジェクトについて御紹介して御参考に供したいと思います。  コロンボから北へ車で一時間ぐらい行きましたところに、ココナツ廃棄物であります殻ですね、ココナツの殻を焼きまして活性炭を作る工場がございます。この工程は、まず前段階ココナツの殻を蒸し焼きにいたしましてチャコールという炭のようなものを作るわけです。そして、そのチャコールから最終的に活性炭を作るという二段階製造工程がございます。  前段階チャコールを作る製造工程は、現在は、この地域周辺におきまして小さな穴をたくさん掘りましてそこで蒸し焼きにするわけですが、空気が入り過ぎないように、蒸し焼きでございますので余り空気が入ると困るわけですが、人が見ておりまして、ちょっとすき間ができますとわらをどんどん詰めまして、ちょうどいい加減の蒸し焼きのものを作るというような作業をやっております。このため、メタンガス大気中に大量に放出されます。また、地下水への影響も懸念されております。そして、これに従事する人々の健康の問題も懸念されているところでございます。現在の作業状況の写真が資料にございますので、ごらんいただければと思います。  このプロジェクトでは、活性炭を作る工場に隣接いたしまして新たなキルンを建設いたします。その中で蒸し焼きにするという建設計画でございます。この設備の中で蒸し焼きにいたしますと、そこから発生いたしますメタンガスを回収いたしまして、それを発電に利用するということが可能になるわけでございます。このプロジェクトから得られます排出権メタンガスの回収及び発電に利用するということから、二〇一二年までにCO2換算約二十五万トンの排出権獲得するという計画でございます。数字的にはさほど大きくないプロジェクトでございますが、我々が取り扱っておりますCDM案件の多くは、現在のところ、このように現地で、非常にローカルな地域で行われる事業で、地道に案件を探し、適切にアドバイスをしながら開発していくというようなことが非常に多い状況でございます。大きなプロジェクトもございますが、案件の多くはこのような地道な案件開拓の積み重ねというものがたくさんございます。  京都議定書の第一約束期間の開始であります二〇〇八年はすぐ目の前に迫っておりまして、今後、排出権事業は更に加速することが予想されます。京都メカニズムは、地球温暖化問題という大きな課題に対しまして市場メカニズムを利用するユニークな取組でございます。事業として健全に育っていくためには、その基礎となります制度安定性継続性あるいは信頼性というものが必要であろうというふうに思っております。また、このビジネスはまだ十分に完成している、あるいは育っているという状況ではございませんで、考えながら進めていくという状況でございます。  今後遭遇いたします諸問題につきましても、いろいろな問題があり得るかもしれません。事業推進をめぐりまして、その環境整備に当たりまして引き続き御配慮いただきますれば幸いでございます。このお願いを申し上げまして、私の御説明を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  4. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) ありがとうございました。  次に、明日香参考人にお願いいたします。明日香参考人
  5. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) 東北大学明日香壽川です。このような機会をいただき、光栄に感じております。  今日は、時間が短いのですが、六つ、そこに書いてありますことについて簡単にお話しさしていただきたいと思います。最初温暖化被害現状。二番目にCDMとは何か。三番目がいわゆるクレジットの質の問題、皆さんも御関心あるところかと思います。四番目はポートフォリオをどのように打ち立てるか。五番目は京都議定書の第二約束期間、二〇一三年以降とのかかわりについて。最後に三つの提言としてまとめさしていただきます。  まず、温暖化被害現状に関して、簡単に新しい情報を御紹介さしていただきたいと思います。  これはまず、生態系サンゴ礁の話は一週間ほど前のアメリカの学術雑誌に載ったものです。サンゴ礁最初被害者というふうによく言われているんですが、実際にセイシェル諸島でのフィールド調査によると、九割が白化、いわゆる死滅していると。なので、多分ほかのところでもこのようなことが既に起きているということは言えると思います。バヌアツでは、そこに書きましたように、国連が公式に移民を援助した最初の難民が発生しています。今までは温暖化被害というのはどちらかというと先の話というようなイメージがあったとは思うんですが、現実に既に起きていることということは頭に入れるべきだと思います。  二番目に、CDMの本質と現状の確認です。  何でも建前本音誤解があると思うんですが、CDMに関しても幾つかそのようなものがあると思います。  建前としましては、途上国の持続可能な発展貢献、経済合理的に先進国数値目標達成を実現とあるんですが、やはり本音のところでは、途上国にとっては収入源になりますし、先進国にとっては簡単な削減の手段というようなことはあると思います。  誤解幾つかあると思います。よくCDMをやればやるほど地球温暖化対策排出削減につながるというようなお話がメディア等に載るんですが、それはうそでして、途上国で減った分、先進国が増やすことになります。なのでプラスマイナスはゼロです。なので、CDMが悪いということではないんですが、数が多ければいいということではないというのは、これも承知した方がいいと思っております。  いろいろ問題はあるんですが、そうはいっても途上国が国際的な排出削減の枠組みに参加できる唯一のものでして、先進国にとっても途上国にとっても非常に期待がある、そういう意味では二〇一三年以降も残すべきだというのはほぼ国際的な合意ができていると私は感じております。なので、これをいかにうまく育てるかというのがこれからの課題だと思います。  需要と供給についてもお話しさしていただきます。  京都議定書日本京都議定書目標、大丈夫かというような話があると思うんですが、私は比較的悲観的な方です。そこに書きましたように、CDM需給バランスはカナダの動向に依存するものの、CDMだけでは日本京都数値目標遵守に必要な供給が足りないことは明らかです。これはモデルの計算なりマーケット関係者予想なり、いろんなものはほぼこのような結論になっていると思います。このままでは日本はロシアからの、いいか悪いかは別にしまして、高値でのホットエア購入が不可避な状況になると私は見ております。  次のページの棒グラフなんですが、これはポイントカーボンという情報機関が出した数字でして、京都議定書目標とどれだけギャップがありそうか、二〇一〇年での予想を出したものです。これだと、日本は二〇%削減しなきゃいけないという数字市場関係者が見ていると。イコール、達成計画はほとんどうまく動かないんじゃないかというような予想をしているということ。もちろんこの情報が正しいかどうかは分からないのですが、少なくとも市場関係者の中の一部はそのように見ているということは現実として、事実として認識した方がいいかと思います。  三番目に、クレジットの質の問題についてお話しさしていただきます。  どんな商品でもそうなんですが、リスクが異なる商品がその市場を構成しているのであれば、長期的には格付が、機関による格付制度が、格付をする人たちが現れます。これは、いろんなほかの市場を見ていただければ分かると思います。ある意味では、市場が成熟しているかどうかというのは格付が成熟してあるかどうかのメルクマールになると言っても過言ではないと思います。  現時点CDMからのクレジットに対してそのようなプレミアム市場があるかというと、非常に小さいのが現状です。多分一%、〇・一%も行かないかなと思います。皆さん御存じの方もいらっしゃると思いますが、WWFのゴールドスタンダードというものが唯一と言っても過言ではないと思います。ワールドカップでFIFAがこのクレジットを買うということで話題にもなりましたが、FIFAぐらいしか現時点では買手はいないというのが現状だと思います。そのためには何らかのサポートが必要だというのは大体皆さん分かるんですが、じゃ実際どうするかというと、やはりそう簡単でもないと個人的には考えます。  今問題になっているのは、日本政府が買取り制度においてどのようなクレジットを買うか。例えば、途上国の持続可能な発展への貢献度を重視する、貢献度が高いクレジットを高く買うというようなオプションはあると思いますし、そのような態度を示すことは良いことだとは私も思います。ですが、じゃ、その指標作りをだれがやって、どのようなコンセンサスを取ってというのはなかなか難しいと思います。指標作りに関しては、たくさんの研究者なりたくさんの政府も、途上国先進国含めて試みてはいたんですが、国際的なスタンダード、標準になっているものは、まあゴールドスタンダードが頑張っていると言えば言えるんですが、余りないというのが現状だと思います。  というのは、やはり途上国にとっては、先進国がそのような指標作り指標を押し付けるのはまず嫌だというのがありますし、途上国それぞれ優先順位が違うというのが現状だと思います。なので、そこに書きましたように、もし日本政府が税金を用いた買取り制度プレミアム商品を考慮するのであれば、別に小さなファンドを作るのが現実的かなと私は思っています。世銀のカーボンファンド幾つか種類を分けていて、内容によって対象を、クレジットを分けています。なので、日本の場合も分けて小さなファンドを作るというのが、取りあえず現実的な、かつ日本イメージをアップさせるという意味でもいいのかなと私は思います。  三番目にクレジットの質の問題で、今ちょっとここら辺はややこしくなるんですが、CDMという制度がなくても実現するような案件クレジットを付与すること、追加性の問題なんですが、それは偽札を印刷することと同じです。なので、いかにこの追加性ツールを厳しくするか、甘くしないかというのが大きな課題です。そういう意味では、持続可能な発展に資するCDMを増やすというのももちろんいいんですが、いかに追加的ではないクレジットの発生を止めるかというのが、私は短期的にも長期的にもより重要かなと考えております。  次のページで、ODAの問題について簡単に触れたいと思います。  私は、ODA流用問題に関しては前からいろいろ言っている方なんですが、単純に言えば、ODA流用を認めれば先進国だけが、日本だけが得をして途上国が損をするのは明らかです。単純に、例え話なんですけど、両親から、お父さんお母さんからお年玉をもらっていた子供が、おじいちゃん、おばあちゃんからもらっていた、二つそのチャンネルがあったのが、一つになるなり、お父さんお母さんおじいちゃん、おばあちゃんお年玉流用して子供に上げるということは子供にとっては当然受け入れ難いことであって、途上国ODA流用に対してはずっとずっと批判していたと思います。  日本が、日本だけではないんですが、日本が強く主張していたのがありまして、それはODAの減額なりいろいろ背景はあるんですが、やはり国際的なコンセンサス日本国内でのコンセンサスが違うという意味では、私は鯨問題に似ているのかなと思っております。実際、自分勝手という意味では、外交イメージとして得るものよりも失ったもの、失うものの方が大きいかなと懸念しております。  四番目に、ではポートフォリオについてお話しさせていただきます。  現時点では、やはり皆さん御指摘のように、日本国内排出量上限、キャップを受ける、企業が受けるような制度が存在しないので、企業が買うインセンティブはないです。今、日本企業がたくさん買っているというふうにあるんですが、ほぼ商社でして、転売目的に、すべてではないんですが、転売目的にする商社が多いというのが現状だと思います。達成計画もそういうところはあるかと思うんですが、日本政府日本企業日本国民の間で責任の押し付け合いをしているような感じを私は受けます。将来的には日本政府日本企業とが競合する可能性もある。先ほどの商社日本政府に売るかオランダ政府に売るかはその商社の勝手だとは言えますし、売ってしまったら日本政府としては困るという状況も出る可能性はあると思います。  次に、じゃ、どのように、幾らで買うかという話です。質を重視する場合、高めである程度買うということも考えられるんですが、実際今起きていることは、とにかく政府なり商社なり企業に話が持ち掛けられて、幾らで買うんだ、ほかはこういうふうに言っているけどどうだというような、早く返事をしろというようなビジネスが行われているのが現状なんですね。なので、そういう状況で言えることは、市場価格で、あるいはほかより高く買うから話に乗ってくれというようなことでしか対応ができないのが、少なくとも政府の買取り制度でもそれが現実かなとは思います。  あと、政府幾らで買ったかというのを公表するかどうかというのも実は大きな問題でして、今のところ政府の姿勢というのは競争力の問題なり商売の問題でもあるので数字は言わないということになっていますが、私は、ちょっと遅れてもいいですので数字を公表した方が、やはり国民に対する説明責任なり、やはり税金を使うものですので、そのようなことは検討すべきかなと考えております。  国内でやるか国外でやるかという問題ですが、私は両方必要だというのを強調したいと思います。国内にも安価な排出削減は存在しますし、国内で実施すれば日本国内資金が投入され、技術の研究、開発、導入の促進、雇用の確保、生産性の向上、体質強化などにつながります。なので、ただ外から買えば外にお金が行くだけなんですが、国内でそのお金を使えば、国内でより日本の、長期的には日本の体質強化につながるというふうに考えております。  次も同じような話なんですが、その国内対策の強化拡充はロシアに対して価格交渉力を持つためにも重要だと思います。やはり、どれだけ多くのこまを持っているかというのがロシアとの交渉においては非常に重要ですので、CDMだけではなくて国内対策も必要だと、そういうことで強調できると思いますし、ここにありますように、すべての国内、国外対策の強化拡充が必要不可欠であって、同時並行的に進めるべきだということを強調したいと思います。  最後に、CDM、最後ではないですね、二番目なんですが、CDMと第二約束期間のコミットメント、二〇一三年以降についてお話しさせていただきたいと思います。  現状ではまだ不確定なところが、不確実性がありますし、市場はそれを反映して二〇一三年以降のクレジットに関してはほとんど値段が付いていない状況です。そこにありますように、二〇一三年以降の枠組みが京都議定書型、いわゆるキャップ・アンド・トレードを基本とすることがある程度見えないと、あと一年、二年でCDMは消滅すると考えられます。消滅というのは言葉は悪いかもしれませんけれど、非常に少なくなることは確実だと思います。  そのためには、日本政府が、今どちらかというとまだはっきり態度を示していないと思うんですが、京都議定書型の継続に対して態度を明確にするべきだと思います。明確にしないのは、環境立国のイメージを損なっているだけではなく、CDMクレジットを、CDMというのはかなりリードタイムが掛かりますので、今から始めて三、四年後に入れると。結局、延びることは、かつ将来の不安があればCDMプロジェクトは実現されない、やる人がいなくなると。それはクレジット供給を抑制するので、日本の遵守目標又は交渉力維持という意味で自分の寿命、自分の首を絞めているというふうに言えなくもないと思います。  最後に、三つの提言です。  繰り返しになりますが、国内対策とCDM、JI、GISの同時並行的な強化拡充が必要だと思います。二〇一三年以降の枠組みで京都型継続の明確化、例えば政府による二〇一三年以降に発生するクレジットの価値補償。これは、取引制度が二〇一三年以降も日本参加するなり検討するという一言だけでもいいと思います。最後に、押し付け的な傾向がある日本の国内計画をもうちょっと責任の所在の明確化、もし京都議定書が遵守できなかったらだれが責任取るのかというのをはっきりさせるとともに、一番欠けています、これも欠けています政策の経済性評価を実施するべきだと思います。  以上です。
  6. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) ありがとうございました。  次に、早川参考人にお願いいたします。早川参考人
  7. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) どうも今日は本当にこういう機会を与えていただき、ありがとうございます。CASAという団体の早川と申します。(資料映写)  CASAの説明は一枚目のパワーポイントに書いてありますけれども、一九八八年に設立しました。カサブランカという町がありますけれども、あれは白い家という意味だそうです。カーサというのは家という意味で、地球は私たちの家であるということで、この英語略称を使って、今は特に主として地球温暖化問題に取り組んでいます。何をしているかはお読みいただけたらというふうに思います。  今回の法改正への意見ですけれども京都メカニズムの活用に関する事項を定めて、割当量口座簿を法制化することが必要であると考えています。そういう意味では、改正に賛成です。  しかし、幾つか御意見を申し上げたいんですけれども一つは、京都メカニズムに安易に頼るのでなくて、国内対策で削減することを最優先すべきであるというのが一つ目です。それからもう一つは、京都メカニズムを利用するにしても、その基本的な考え方、買い取るクレジットの適格性、質の問題というふうに明日香さんはおっしゃいましたけれども、そういう問題についてのきちっとした議論がなされるべきだというふうに考えます。  京都メカニズムは、御承知のとおり、排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムという三つの制度があるわけですけれども、これは、京都メカニズムという言い方はCOP4以降こういうふうに呼ぶようになりました。それまでは柔軟性措置という名前で呼ばれ議論されていたわけですね。要するに、国内対策で削減義務が達成できない場合に、海外でプロジェクトをしてその削減部分をカウントしたり、海外の排出枠を買ってきたりということとして議論をされてきた。私たち環境NGOは、こういったものは運用次第で抜け穴になりかねないとして、その導入に反対していました。現在でもそのおそれはなくなったとは思っていません。  そういった議論の経過もあって、実際に京都議定書が作られたときに、共同実施、排出量取引については補足性、補完性とも言いますけれども、補足性というものが規定された。クリーン開発メカニズムについても、約束の一部の遵守に資するためという規定が入ったわけですね。この補足性について、数値的にこれを、補足性を表現するかどうかということが随分議論になって、結果的には質的な、定性的な表現にとどまったわけですけれども、こういった議論があったことを私たちは忘れてはならないんだろうというふうにまず考えます。  そして、京都で京都議定書が合意されて、それから四年間にわたる運用ルールの議論があったわけですけれども、この運用ルールをめぐる議論の中心は、この京都メカニズムの抜け穴、いわゆる実質的な削減にならない制度にしないためのルールづくりであったこともやはり御留意いただけたらというふうに思います。  私たちは、現時点京都メカニズムについては、もう決まったことでもありますし、これをきちっと活用していくべきだと考えています。四年にわたる議論の結果合意された運用ルールというのは、抜け穴が基本的に排除できるものになったというふうに考えています。もちろん、心配がなくなったわけではありません。そしてまた、クリーン開発メカニズムについては、途上国への資金、技術移転につながり、途上国が脱化石燃料社会、要するに石炭、石油を使わない社会を形成する準備が可能になるというふうに考えています。ただ、それも使い方次第であるというふうに思います。  そしてまた、京都メカニズム活用は、産業界などの温暖化対策や技術革新のインセンティブを高めるという効果もあると思います。その意味では、明日香さんもおっしゃったように、第二約束期間以降、この制度がきちっと継続することを国際社会も日本政府もきちっと表明すべきでしょうし、そのことによって温暖化対策も、またこういったメカニズムの活用も可能になるんだと思います。  もう一つ私たちが考えているのは、アメリカの議定書交渉への復帰を促す可能性です。実は、排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムはすべてアメリカが持ち込んだ考え方です。共同実施については気候変動枠組条約が議論されているときから随分問題になりましたけれども、これを強力に主張していたのはアメリカです。排出量取引も、いきなりどんというふうにCOP2でアメリカがペーパーに書いてびっくりしたんですけれども、これもアメリカが持ち込んだ制度です。クリーン開発メカニズムも、COP3の最終段階でクリーン開発ファンドというアイデアをこういうものに変えたのはアメリカが中心です。  そういう意味では、こういう制度についてやはりアメリカ政府自身も、それとアメリカの産業界自身もメリットを感じている。運用することに積極的な側面を持っているんだと思いますね。こういう制度がきちっと動き出すこと、京都議定書がきちっと動き出したときに、アメリカの産業界にしてもやはり横で見ているわけにいかない状況が来るんではないか。そのためにも、こういう制度をきちっと動かすことが必要なんだろうというふうに考えています。  国内対策優先という話をさせていただきましたけれども、なぜそう言うのかという一つ目の理由ですけれども、二度が限度と書きました。温暖化を、どこまで進むのか、どこまでで抑えるべきなのかという議論はなかなか科学的にも難しい面がありますけれども、今、世界のNGOが主張しているのがこの二度という数字です。  これは、EUが一九九六年、COP3の前からポジションにしていた数字なんですけれども、気温上昇幅を工業化以前、要するに一八五〇年ごろから二度未満に抑えなければ、地球規模の回復不可能な環境破壊によって生存の基盤が脅かされる可能性がある。今IPCCは、このまま進めば百年後、二一〇〇年には五・八度上昇する可能性を示しています。恐らく今のまま対策が取られなければ、五・八度に限りない近い気温上昇が起こるのかもしれません。それではとてもじゃないけれども生態系はもたないということであります。  そして、これは中央環境審議会が昨年五月に出された報告書の中で、二度を議論の出発にして、もし二度に気温上昇幅を抑えるとするならば、世界全体の温室効果ガスの排出量を、二〇二〇年に一九九〇年比で一〇%、二〇五〇年に五〇%、二一〇〇年に七五%削減すべきことが必要になるというふうに言っています。これは世界全体です。日本とかアメリカとかそういった先進工業国は特別の責任を負っていますから、途上国の伸び代を考えれば、これ以上の削減は求められることになります。  そういうことを前提に考えますと、国内対策を優先していかないと後で非常にしんどい思いをする、苦しい思いをするんだろうと思います。カーブを曲がるのに、やはり手前からカーブを曲がる準備をしていればスムースに曲がれますけれども、カーブに入ってからハンドルを切ったんでは非常に危険なことになる、不安定なことになるというようなことだろうと思っています。  一度、二度までがどういう影響なのか、二度を超えるとどういう影響なのか、少しちっちゃな字で申し訳ありませんけれども表にまとめておきました。後でごらんになっていただけたらと思います。  概略的に言いますと、二度までならば途上国に一定の影響が出てくる、経済的な影響が出てくる、一定といってもかなり深刻なんですけれども。それが二度を超えると世界規模になってきます。経済力のある国でも、やはり地球温暖化の影響を回避できなくなる、対処できなくなるということであります。  国内対策優先第二の理由というのは、第一約束期間、現在の日本の六%、ヨーロッパの八%、全体で五・二%の数字では地球温暖化を防げないということがまず念頭に置かれるべきだと考えています。先ほども申しましたけれども日本で一定の削減をしようとすれば、大幅な社会経済システムの改革が必要です。そのためにはできる限り早く行動を起こさないと間に合わないということであります。ここで対策を怠ることは将来の世代に大きなツケを残すということを私たちは考えなければいけないと思います。  六%削減、今、京都議定書目標達成計画が閣議決定されているわけですけれども、これは私は不達成計画だと思っています。明らかにこれはできないと思っています。そうすると何が起こるかというと、できなかった分京都メカニズムに頼ることになる。あの計画は、要するに京都メカニズムの利用は青天井です。最後に残った部分を京都メカニズムというふうに私は読みますし、多分そうだろうと思います。先ほどホットエアを買わざるを得なくなるだろうというふうに明日香さんはおっしゃいましたけれども、私もそういうふうに思います。  私たちの試算では、ちゃんとした対策を進めれば二〇一〇年までに一九九九年比で一一%削減可能だという数字になっています。詳しく説明する時間がありませんので、数字だけを提示するにとどめます。  京都メカニズム活用の基本的考え方ですけれども、一・六%を限度にしていただきたいと思います。国内対策をきちっと優先すること、京都メカニズム一・六%を超えて活用しないということを明言することによって逆に国内対策が進むんだろうと思います。国内対策をゆるゆるにして京都メカニズムでどこかで数字合わせすればいいやということになると、逆に国内対策が進まないことになるというふうに考えます。  それから、どのようなものを買ってくるかということですけれども、やはり環境的にも経済的にも持続可能な開発に役立つようなプロジェクトからのクレジットを優先してほしい。そしてまた、今CDMにしてもほとんどアフリカにプロジェクトがありません。ああいう不安定な地域では投資をためらうということもあるでしょうけれども現実的にアフリカではほとんどプロジェクト計画されていません。そういったものも是正する形での活用を日本政府としては考えていただきたいと思っています。これはCDMの実施予定地域です。サブサハラ・アフリカは一つしかない。  私たちが懸念しているプロジェクト幾つかあります。  一つは先ほどから出ているホットエアです。御承知のように、ロシア、ウクライナは一九九〇年に比べて半分近い排出枠を持っています。経済が破綻したために排出量が減って、そして半分近い排出量をそのまま持っているわけですね。ただで持っている。これをお金にして売れるわけですね。これを買ってきたんでは実質的な削減にならないことは明らかです。恐らくホットエアを買うことは考えておられないと思いますけれども、明日香さんもおっしゃったように、ここに踏み込まないことをやはり希望しますし、是非ホットエアなど買わないでほしいと思います。  もう一つは吸収源プロジェクトです。吸収源についてはいろんな議論があっていろんな枠組みが、歯止めもできましたけれども、やはり非常に不安定なものです。せっかく植林しても山火事でなくなってしまうこともある。永続性が問題になりますし、そしてそもそも吸収源というのは温暖化対策として見た場合、長期的に見た場合プラスマイナスはゼロです。そういったものに頼るべきではないというふうに思います。  もう一つ具体的に問題になっているのはHFC23の破壊事業です。このHFC23の破壊事業というのは、これは現在計画されている種別の表ですけれども、フロン事業とメタンが異様に大きいことがお分かりいただけます。その中で最も心配されているのがHFC23の破壊CDM事業でして、これはHCFC22をつくる過程で副生物としてできる非常に温室効果が高いガスですね。それで、この非常に温室効果が高くて、高いがゆえにこれを破壊するのは非常に安くできます。削減コストも極めて安いために、このクレジットの販売利益がHCFC22の生産、販売する利益を上回る。そうすると、このCDM事業目的にこのHCFC22の工場を新たに造っていくということが起こりかねないわけですね。これについては、先進国についてはもう廃止の方向が決まっていますけれども途上国についてはまだ、廃止の方向は二〇四〇年と決まってはいるんですけれども、まだ数字が決まっていません。二〇一五年までは生産はどんどん増やしてもいいことになっているという事情があります。こういうものに頼ると、これは持続可能な発展に役立たないと考えるわけであります。  最後に、急速に進む温暖化という話だけをさしていただきたいと思います。  御承知のように、一九九〇年は過去千年の中で最も高温の十年だと言われています。観測史上、大体百四十年間の観測データがありますけれども、平均気温の高いベストファイブは一九九八年以降に集中しています。昨年二〇〇五年は、統計によっては史上最高ないしは二番目に平均気温が高かったと言われております。一番が一九九八年、二番が二〇〇五年、三番が二〇〇二年、二〇〇三年、二〇〇四年という順番であります。  地球温暖化は私たちが思っている以上に急速に進んでいるように思われます。恐らく二度未満に抑えようとすれば、私は、二〇四〇年ころまでに削減方向に向けて、大気中のCO2濃度が下がる方向に向けて動き出さないと間に合わないんだろうと思います。今後十年、二十年の取組が決定的に重要だと思います。温暖化というものは、私たちの孫とか将来の世代ではなくて、私にとってみれば、私の子供が私の年齢になったときに、既に回復不能な環境になっているかどうかの問題としてとらえるべきだと思います。そういう観点から、是非この京都メカニズムの活用についても考えていただけたらと思います。  発言を終わります。ありがとうございました。
  8. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) ありがとうございました。  以上で参考人の皆様からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  各参考人の皆様にお願い申し上げます。  御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔な御答弁をお願い申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 関口昌一君(関口昌一)

    ○関口昌一君 自由民主党の関口昌一です。  今日は、三人の参考人皆さん、本当にお忙しいところ、また貴重な御意見を聞かしていただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。  いろいろお話を聞かしていただきましたけど、まず田中参考人の方に伺いたいと思います。  京都議定書目標達成のためにということで一・六%分、これは一億トン分ということでございますが、クレジットで調達するということであります。このクレジットが世界でどれだけ需要が見込まれるのか、ちょっと御意見を聞かしていただければと思います。
  10. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) 今後のクレジットの需要動向ということでございますが、なかなかとらえ難いというところが正直なところでございます。  と申しますのは、各企業にとりましては、まず、自分のところで削減するということをまず最優先でやるということでございますので、その足りない部分をクレジットで調達して埋めるといいますか、そういうことでございますので、最初からこれだけの量が必要だということはなかなか各企業も発表いたしませんし、公表された資料というものをなかなか我々見付けることができません。  しかしながら、いろいろな情報を収集いたしまして、これ、ちょっと古いんですけれども、二〇〇四年の世銀が発表いたしました統計で、CDMとして需要が二〇一二年までに恐らく十二億五千万トンぐらいあるんじゃないかというデータが出ております。私どもの現場感覚といたしまして、なかなか世界全体のものをとらえるなんということは難しいんですけれども、今のところはこのようなデータが一応出ているということでございます。
  11. 関口昌一君(関口昌一)

    ○関口昌一君 これは大変需要と供給のバランスという非常に難しい問題があるかと思います。  先ほど、早川参考人ですね、まず国内対策をしっかり取る、そしてその不足部分をクレジットで賄うという形の中で、ここをしっかり取らないと、この一・六%よりももっとクレジットで賄うというようなことが起きてくると。私も全くそのとおりであるかと思っております。  今世界でどれだけの需要が見込まれるかという質問もさしていただいたんですが、またこれを逆に我が国として、全体としてどれだけの需要が見込まれるか、田中参考人、どのようにお考えでしょうか。
  12. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) 我が国の需要というお問い合わせでございますが、これも先ほど申し上げましたように公表されたものはございませんで、現在、政府の方は約一億トンぐらいということで発表されておりますけれども民間企業のところはまとまったデータというものはございません。現在、経団連の自主行動計画の中で、毎年検討を進めながら、見直ししながらどれだけ必要かということを検討しておられると思いますが、二〇〇八年も近づいておりますので、その精度は、これから次第に精度が高まっていくんじゃないかというふうに思っていまして、我々もそれを注目しているというところでございます。
  13. 関口昌一君(関口昌一)

    ○関口昌一君 今、世界、また我が国のどれだけ需要が見込まれるかというふうな質問をさせていただきました。そして、これ昨日ですか、昨日の毎日新聞の一面に出ていたんですが、温室効果ガスの排出権政府が近く購入開始、一億トン、高値の懸念、早期にということであります。このクレジットの今後の動向についてであります。  これは、ここ、新聞を読みますと、排出権の平均価格は現在一トン当たり五から六ドル辺り、今後はこの二倍から五倍ぐらいになるとの予測もあるということでありますが、今現在どのくらいの価格が推移しているか、今後のクレジットの価格の動向についてどのようにお考えか、田中参考人にお伺いいたします。
  14. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) これも私どもの現場感覚で、これまで一年半やっておりますと、一年前に比べますと相当上がってきたというふうに思っております。つい先般、世銀が発表しましたレポートによりますと、二〇〇五年でのCDMから出ます排出権の平均価格が七・〇四ドルという数字が出ております。その前年が五・一五ドルでございましたので、二〇〇四年に比べまして二〇〇五年は四割近く上がっているということでございます。  それから、同じレポートで本年の第一・四半期、一月から三月まででございますが、この平均が十一・五六ドルというふうに出ております。十一ドルはかなり高いレベルだと思いますが、七ドルという水準は私ども活動の中でもそう違和感のないレベルかなと思っておりますが、御承知のように、先般EUの市場で価格が急落いたしました。これはヨーロッパで行われております制度の中でのものでございますので、制度は別でございますが、しかしこれまでEUの価格が相当上がっていたということが心理的に非常に大きな影響ありまして、私ども活動にも大きな影響あったわけですが、急落いたしました関係で、現在のところ、やや、我々の交渉相手、それから我々もそうですが、今後どういうふうに推移するかをちょっといましばらく様子を見ないと分からないかなというような状況に今現在なっております。
  15. 関口昌一君(関口昌一)

    ○関口昌一君 非常に難しい問題が多いかと思います。この需要の問題、そしてこの価格の問題、またクレジットの質の問題もあるかと思います。いろいろ厳しい環境の中での取組だと思いますが、しっかりと対応していただきたいと思っております。  限られた時間ですので、私は、京都議定書、最大の温室効果ガスの排出国であるアメリカが不参加ということであります。私は、これは今後二〇一三年以降の枠組みについて、アメリカを含む、また中国、こうした国々が参加をして世界各国で共通の課題としてこの温暖化対策に取り組まなければいけないと思っておりますが、こうしたアメリカに対する対応、また中国に対する対応について日本はどのように取り組んでいったらいいか、明日香参考人早川参考人にそれぞれお伺いいたします。
  16. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) まず、アメリカに対してですが、個人的に申し上げますと、何らかの強い働き掛けが必要であって、今まで働き掛けが利かなかったという現状では、何らかの国際社会におけるサンクションというんでしょうか、そういうものが考えられると、個人的には必要じゃないかと私は常々申し上げております。  それは、具体的には国境税調整のようなものも考えられますし、そのようなコンフリクトをなるべく小さい、かつアメリカに対して何らかのプレッシャーとなるようなものを具体的に考えないと駄目だと思います。ですが、アメリカも政権が替わるとどうなるかちょっと見えないところがありますし、たしか今ゴアが今度映画を作っていまして、今カンヌにいるそうですけれども、そのような動きを期待したいと思います。  中国に対してですけど、アメリカと中国は全然違う国ですし、違うようなアプローチが必要だと思います。御存じのように、中国では例えば二千七百万人の人が電気を使っていない生活をしています。その人たち、中国に対して排出削減を強要することは、みんなに義務付けることは、その人たちはもう一生電気を使うなと、もう発展するなということと同じなんですね。なので、私が考えるのは、一人当たり排出量というのを基準にしまして、公平なルールで世界の国を分けると、その中で中国はどういうポジションになって日本はどういうポジションになると、そのように、いわゆるマルチステージという言葉を使うんですが、そのようなものでそのような枠組みに入るよう中国を説得するべきだとは思います。  以上です。
  17. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) アメリカに対する意見ですけれども一つの是非私が申し上げたいことは、アメリカに合わせるために京都議定書を緩めてはならないということです。そういう意見が一方でありますけれども、これだけ時間掛けて作ってきた枠組みをやはり維持しながら、アメリカにこれに参加するようやはり働き掛けるべきだろうと思っています。  そこが第一点で、そして私自身は非常にそこは前から楽観的なんですけれども、今アメリカの中でいろいろな動きが起こってきていまして、例えば全米市長会、シアトル市長が呼び掛けて、全米市長会、京都議定書支持の決議を上げていますけれども、百五十市を超えています。東部の州では排出権取引の制度が動き始めていますし、株主訴訟の中でも温暖化対策をちゃんと取っているかというような訴訟が起こってきています。恐らく、カリフォルニアを始めとして、自然エネルギー、再生可能エネルギーについては非常に高い、日本なんかとは比べられないぐらい高い目標を持って動き出していますから、そういった動きが加速すれば、アメリカ自身もやはりいつか戻らざるを得なくなるんではないかと。そして、そのためにも今日議論になっている京都メカニズムをちゃんと動かすこと、しっかりとして二〇一三年以降も継続することを国際社会にはっきりさせることかなと思っています。  中国、インドなどのことについては、私は先進国、要するに今の附属書B国、A国、附属書Ⅰ国でもいいんですけれども、とは違う目標でいいと思っています。やはり基本的には、明日香さんもおっしゃったように、一人当たり排出量を一つの基準として考えていくべきだと思っていますから、途上国発展の権利というのはやはり残しておくべきで、そのためにも私たち先進国がきちっと対策を取ると同時に、例えば中国辺りは原単位目標とか、総量削減ではなくて原単位目標とか様々ないろんな方策が考えられていいんだろうと思うんです。そういう形でできる範囲でのことをやる、そしてまたそのできることを例えばCDMを通じてサポートしていく、そういう形を取っていくべきだというふうに思っています。  以上です。
  18. 関口昌一君(関口昌一)

    ○関口昌一君 もう時間が参りましたので、質問をもう最後で終わらせていただきますが、本当に三人の参考人の方々、限られた時間でしたので隅々まで質問できなかったんですが、いろいろ参考意見を聞かしていただいて、誠にありがとうございました。国内対策をしっかり取って、本来であると、その目標達成、クレジット調達しなくて済むような形での対策が取れればいいんでありますが、これも含めて安定的なクレジットが調達できるように、また財政的な面も含めていろいろ政府に対して所要の処置をしっかりととっていくように私どもも要望もしてまいりたいと思う次第であります。  今日は本当にお忙しいところ、いろいろ御意見を聞かしていただきまして、誠にありがとうございました。
  19. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 三人の参考人の皆様に大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。  まず最初に、田中参考人にお伺いしたいと思いますが、日本カーボンファイナンス株式会社、一年半、三十三社が参加されて、アジア地域では初めてということでございました。CDMにつきましては、確実に温室効果ガス削減につながって、しかも持続可能な開発に貢献すべきであるというふうに考えているわけですけれども、そうした観点から見ました質の問題、事業者としてどのようにお考えか、また事業選択の優先順位と判断基準についてもお聞かせいただきたいと思います。
  20. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) 御質問ありがとうございました。  クレジットの質という点については、これは、私どものこの事業がスタートするときに出資者、皆様から大変強い要請がございました。つまり、こういう形で始めますのが初めての試みでございますので、ある意味では模範を示さなきゃいけないんじゃないかなという気持ちで、使命感を持ってやっております。  御質問でございますが、まず、プロジェクトの種類とかどういう分野ということにつきましては、これは京都議定書ルールにのっとって手続、かなり厳格な手続でございますので、これがルールをクリアして最終的にでき上がってくるプロジェクトから出ます排出権は、これはすべて同じ価値のある排出権でございますので、特にこの分野を注力しこの分野はやらないということはございません。  しかしながら、先ほど委員も御指摘になりましたように、持続可能なプロジェクトということで、そのホスト国にとってどういう効果があるかという別の観点がございますので、これは私ども、できるだけその現地の政府との意思疎通を図るようにいたします。これについては、政府の御支援もいただいて政府との交流も図らしていただいておりますが、御意見もいただき、その中でプライオリティーの高いものを選んでいくと。これは国によっていろいろ違います。ある国におきましては非常に新しい技術を導入するプロジェクトを優先したいとか、あるいは再生可能エネルギーの方を重点を置きたいとか、いろいろその国によって違います。そういうのを意を体しながらやっているというのが状況でございます。  そういうその国にとってプライオリティーの高いプロジェクトであれば、その国の政府の支援も大きいと思いますので、確実に排出権の実現に結び付くことができるんじゃないかという期待を持ってやっております。
  21. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  明日香参考人にお伺いしたいと思います。  今のところは第一約束期間が終わります二〇一二年までの話をしているわけなんですが、二〇一三年以降についてなんですが、これはどのようにお考えか、特に途上国の役割についてどうお考えかをお聞かせいただきたいと思います。また、日本政府CDMについて、ODAの活用、これを進めたいというお考えのようなんですが、このことについて先ほど大変厳しい御指摘でもございました。この点についてもお考えを伺いたいと思います。
  22. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) 二〇一三年以降の枠組みに関してですが、先ほども申し上げたように、一人当たりの排出量なり一人当たりの所得というものを基準にして、公平な制度を、今の先進国途上国という枠組みではなくて、例えば三つに、四つに分ける、そのような枠組みが必要になってくるかと思います。  中国、インドが排出削減義務がないのはけしからぬという言葉をよく聞くんですが、私はそれはかなり誤解があると思っております。少なくとも中国、インドの方々は、そういうことを言われると非常に頭にくるというんでしょうか、そういうところはあると思います。私が参考資料として配付させていただいたんですが、私が書いたペーパーの三番目に簡単なイラストがありますので見ていただければと思います。  CO2の問題は単純には分配の問題です。例えば二度Cに温度上昇をキープするということですと、人類全体で何トンCO2を出していいかということは決まります。それを世界で、この人類で分けるという話になります。正にそのときにどういう基準で分けるか。一人当たりの排出量で分けるか、各国同じ量で分けるか、いろいろ考え方があります。最も公平なのが私は一人当たりの排出量。例えば二人家族と十人家族で同じような食料を配給するということでは多分通らないと思います。もちろんそんな、言うのは簡単で、やるのは実際そのような国際的な合意をつくるのは難しいんですが、少なくとも途上国はそのような原理原則で主張してきますし、先進国もそれを理解する必要があると思います。  ODAに関しまして、正にこれとも関連するんですが、温暖化問題の場合、途上国はCO2は自分たちは出していないのにその被害を自分たちは受けると。正に、何というんでしょうか、先進国の責任を自分たちがかぶっていると、被害を受けているというような認識を持っています。そういう状況で、まあそういう状況だけでもないんですが、国際社会は途上国に対してODAを増やそうという今流れになるんですが、ある意味では日本ODAに関しても逆行していると。  さらに、そのCDMODAODACDM流用しようという議論は、正に、何というんでしょうか、現時点では国際的な流れとは全然別の流れに、かつ、日本国内では何となく通じるんですが、国際社会では非常に身勝手な国として映っているのではないかと私は懸念をしています。
  23. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 CDM理事会のことについてなんですけれども、この承認プロセスですよね。改革を進めなきゃいけないという声もありますので、その点についてどういう点に留意すればよろしいでしょうか。
  24. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) いろんな提案がなされています。一番皆さん共通に感じていることは、まずキャパシティーが足りない、時間が掛かる、書類の書き方がよく分からないとか、いろいろあります。そこら辺はかなり改善してきていると思います。方法論もかなりたくさん出ていますので、そういうテクニカルな意味では、かなり障害はなくなっていると認識しています。  ですが、私のペーパーにも書きましたように、CDMがなくても実現されたようなプロジェクトに対してクレジットを与えるか与えないかということに関してはまだ議論があるところです。当然、甘くすれば甘くするほど大量のクレジットが出まして、買う方としては良いんですが、売る方なり又は地球環境全体という観点ではマイナスになります。そこら辺のバランスをいかに考え、いかに最低限追加的でないプロジェクトに対してはクレジットを与えないという方向をコンセンサスとしてつくっていくことが大事だと思います。
  25. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 先ほど田中参考人の方からもCDM事業をなさっているその立場から、持続可能なそういう貢献という観点から質という問題についてお話を伺ったわけなんですけれども、この質にこだわるべきだというふうに思うわけなんですね。特に環境影響や社会影響、そういう場合には、問題のあるべき事業については手を出すべきではないというふうに私は考えますけれども、この点についての御意見を伺っておきたいと思います。
  26. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) 環境影響は、どんなプロジェクトでも、途上国においても最近は非常にプロジェクトを実施するときには政府なり地方政府がチェックしていると思います。なので、正直な話、私はそれほど、何というんですか、今のシステムで環境に悪いような、環境影響がダメージのあるようなプロジェクトはそれほど出ないかなと思います。  これは、たまたまオランダでの新聞、高級経済紙なんですけれど、これはオランダ政府がかかわったCDMを批判するような新聞記事ですね。やはり何らかのことをやると、こういうふうにすぐ批判される世の中ですので、このような、メディアを通すなり、まあNGOも存在しますので、チェックがある程度働けば、それほど難しい、悪い、悪いというか、問題のあるプロジェクトはそれほど進まないかなと思います。  一言、質に関して申し上げれば、私も質は大事だとは思っているんですが、多分今の日本政府の方も含めて、買手にとっては質よりも量というんでしょうか、背に腹は代えられないと考えていらっしゃる方が大部分であり、そのためにもいろんな国内対策も進めなければいけませんし、クレジットもたくさん買わなきゃいけない状況だと認識しております。
  27. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。  早川参考人に伺います。  温暖化、どこまでその温度というものを抑えるべきなのかということで、二度Cが限度ということについて御説明をいただきました。確かに、必要なことは何かを明らかにして、そこからさかのぼって対策を決めるというアプローチは不可欠だというふうに思いますが、二度Cという温度に焦点を当てられた趣旨について、それから必要な対策についてもう少し詳しくお伺いしておきたいというふうに思います。  それから、その目標を確実に達成するために、国内対策ですけれども、着実に実行するためにも中長期の計画を早急に策定すべきだというふうに思いますが、この点についてもお伺いしておきたいと思います。
  28. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) ありがとうございます。  二度ということを、根拠はこの表に、四ページ目の表に掲げたことがすべてなんですけれども、私たちはまず考えておかなきゃいかぬのは、二度ということの重みだと思うんですね。氷河期が一万八千年前にあって、そこから五度しか平均気温変わっていないわけですね。数千年掛けて五度という気温変化起きたのを、たかだか百年という短い単位で二度という温度、気温の変化を起こそうとしているということの重みをやはり私たち自身が考えなきゃいかぬということですね。  そして、それが生態系に与える影響というものを、やはり科学的知見をきちっと把握して分析して考えなきゃいかぬ。既に〇・七度上がっています。一度以上の気温上昇は避けられません。そうすると、残っている幅というのは非常に少ないわけですね。そのことをまず私たちは考えなきゃいかぬというふうに思います。  マラリアが三億人増えるとここに書きましたけれども、マラリアという病気は今でも三億人が毎年かかって二、三百人の人が死んでいます。それに全く同じ数の人たちがまたマラリアにかかる可能性が起こってくる。日本でいえば、西日本一帯がマラリアの発生地域になり得るというのがIPCCの警告ですから、そういったことをやはり私たちは考える必要があるというふうに思うんです。  そして、御指摘のように、長期にどこまでで抑えるのかと決めたのを先にして、そこからさかのぼって今の対策を考える。EUなんかも非常に高い目標、二〇五〇年持っているわけですけれども、じゃ今どういう政策でそれを達成するのかという政策を持っていないわけですね。しかし、少なくとも環境的にここまでしか許されない、ここが限度だということを定めて、さかのぼってバックキャスティングで今の政策を定める手法を取らないと、典型的な日本目標達成計画でして、できることを積み重ねていくと、どうしても控え目というか、消極的な数字にしかならないというふうに思います。  そういう意味では、脱化石燃料社会をつくるためにやはりやれることはすべてやらないといけない。例えば、今RPSについての議論が始まっていますけれども、やはり日本ではあの法律を導入してから太陽光も風力発電も普及が落ちちゃっているんですね。明らかにRPS法という法律を入れたために自然エネルギーの普及は停滞してしまった。諸外国の例を見れば、固定価格買取り制度を導入すれば飛躍的に普及が進むことははっきりしているわけですから、そういったこと一つ一つを、やはりやれることをやっていく努力をしなきゃいかぬのだろうというふうに思います。
  29. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 もう時間も少なくなりましたけれども現時点での京都メカニズムの運用ルールに関して抜け穴は基本的には排除できるものになったということなんですが、これからも抜け穴について、そういうふうにしないためにはどんな点に注意したらよろしいでしょうか。
  30. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) 懸念が払拭されたわけじゃありません。例えば、先ほど申し上げたHCFCの事業なんかもそうなんですけれども、やはりきちっと一つ一つ事業について、それは環境的にちゃんと役立つものなのか、持続可能な開発に役立つものなのかということをチェックするシステムが必要です。  明日香さんもおっしゃいましたけれどもゴールドスタンダードというWWFのプランがありまして、私ども参加しているんですけれども、そういった監視機能、モニタリング機能をきちっとしていくこと、そしてまたこういった国会でも一つ一つそういった議論を積み重ねていただくこと、チェックしていただくことがやはりこれから必要だと思うんです、ルール自身は一定のものができたというふうに思いますので。
  31. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  32. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 三人の参考人皆さん、今日は大変にありがとうございます。  先ほど来の質疑応答の中で二〇五〇年の話が出てきておりますが、私は、この二〇五〇年、これを二〇五〇年問題というふうに私は言っていることが多いんですけれども、やはり二〇五〇年時点に、地球の平均的温度、これを二度Cを超えさせないようにする、抑制させると、そういう気候の安定化を図るということは極めて重要だと思っております。そういった意味では、イギリス、ドイツ、フランス、日本もそうですけれども、先ほど早川参考人から説明がありましたように、中環審等で議論しているということであります。  既に地球の温度は〇・七度C上がっていて、二〇五〇年を考えると残されている期間は約四十五年間ということで、実は昨年、国土形成法という法律ができて、その法律をどう具体的に展開するかという時期になっていて、審議している最中だと思うんですね。国土計画は大体十五年、長期的なスパンで考えた場合は十五年間、つまり十五年間掛ける三年間でイコール四十五年間ということですから、十五年間で、先ほどの話のように、すなわちバックキャスティングアプローチをどう取るかというのは極めて重要で、そういった意味では、都市政策とかエネルギー政策、交通政策、こういった面について、参考人の言葉をかりますと大幅な社会の構造改革が必要であるという話がありまして、正に私はそういうふうにしっかりと考え方を持たなければいけない。  ですから、今後十五年間をどういうふうに、二〇五〇年目指してつくり上げていかなければいけない、さらに第二期の十五年、第三期の十五年と、そういうとらえ方はますます必要になってくると私は思っておりまして、国土形成法に基づく国土計画というのは極めて重要な局面に入ってきているなというふうに思っております。  それで、やはり私はまず国内対策をどういうふうに行うかが極めて重要だと思っていますので、先ほど来再生可能エネルギーの話が出てきておりますが、環境省の資料によれば、日本全体のエネルギー消費量の八十八倍、これ太陽エネルギーが注いでいるという意味でありますけれども、利用効率が二〇%であれば国土の約五・七%に設置することによって日本の全エネルギー消費を賄えると、太陽光とか太陽熱の関係でありますけれども。それは、屋根だけでなくて、壁とか窓とか自動車、そういったところも可能でありますし、風力とか、あるいは木材も太陽エネルギーの一形態でありますので、そういう画期的というか、積極的なやり方をしていくべきだというふうに基本的に思っておりまして。  そこで、このCDMの話に移るわけでありますけれども、三人の皆さんにまずお答えをお願いしたいなと思っておりますのは、英国で始まった気候変動税と排出権取引、これを組み合わせた体系としてキャップ・アンド・トレード方式があるわけでありますけれども、昨年からもうこれはEU全域に拡大されたと。これは政府企業との政策協定による減免措置があるわけでありますけれども、CO2削減に向けての非常に効果的な方法のシステムであるというふうに私は考えておりまして、日本はまだこの面については自主的な取組の段階であるなと。  私は、積極的にこういった排出権取引の関係についても国内におけるものも含めましてやっていくべきで、もちろん一・六%、そのCDM関係について、京都メカニズム関係についてはそうでありますから、それはアッパーリミットと考えてやっていくべきでありますけれども、やはり私は、キャップを掛けるべきだと、こういうふうに思っておりまして、この辺について三人の参考人皆さんはどのような見解をお持ちでありますですか、よろしくお願いいたします。
  33. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) 国内での排出権の取引制度に関する御質問だと思いますが、私ども現在行っておりますのは海外でのCDMから出ます排出権を購入してくるということでございますので、国内でのこの問題につきましては、目標達成計画にもございますように、いろんな産業政策等も総合的に御検討されることだと了解しております。  しかし、私どもの仕事を通じまして感じております点を申し上げますと、もし国内でそういう制度が確立するということになりますと恐らくいろいろな取引が活発になる。これにCDMともリンクされれば、海外でのCDMプロジェクトの促進にもつながるかもしれないということでございます。そして、私どもが実際取引をやっております際に、価格を始め条件交渉が非常に難しいんですけれども、そういう何か取引の市場のようなものが形成されてきまして、よりどころになるような指標ができ上がってくる可能性というものはあるかもしれません。  しかし一方、EUで、先ほどお話し申し上げましたように、先般価格が急落いたしました。EUの制度と全く同じものが国内で導入されることになるかは分かりませんが、これが、私どものいろんな条件交渉をします場合にEUの動向というのはかなり影響を与えておりました。ところが、これが乱高下するということになりますとなかなか健全に、我々のステディーな安定的なビジネスの展開には必ずしも指標として適当かどうかというようなこともございます。  これは、翻って言えばEUにおける制度設計が適切であったかどうかというようなことも検討してみる必要があるんじゃないかな、そういう実例がございますので、これらも総合勘案されて御検討されることを期待いたします。
  34. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) 先ほども申し上げましたように、少なくとも現状のままでは京都目標を達成、国内だけというのは無理だと私は思いますし、ほかのマーケット関係者もそのように見ている方が大部分だと思います。なので、炭素税がいいのか排出量取引がいいのか、その組合せをどうするかという問題ありますが、いずれそのようなものが入らない限り、まず目標遵守は難しいというのが私の現状認識です。  あと、もう一つ申し上げたいのは、結局企業が払うのか政府が払うか、結局どっちがやるかということなんですね。結局、今の状況ですと、最後は政府が国のお金を使って、税金を使って外から買ってくるという選択肢しか残らない状況になって、正に自分で袋小路に入っているような状況になっていると思います。  なので、繰り返しますように、国外でも国内でも両方の対策を強化拡充することが必要ですし、その意味では排出量取引、炭素税、その組合せを国内でやることは必要不可欠でありますし、それを入れたとしても遵守は簡単ではないというのが現状認識です、私の。  以上です。
  35. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) 御意見には賛成でして、私は環境税、炭素税も、それから排出量取引も、両方入れるべきだと思っています。  環境税の一つの欠点はどのくらい減るかがきちっと読めないことだと思っていまして、逆に排出量取引についてはキャップを掛けないとこれ自身が意味をなさないようになる、いろんなアイデアがあることは承知していますけれども、そう思っております。  現在の目標達成計画に対する認識は明日香さんと一緒でして、恐らくそういったものを総動員してもなかなか難しいというのが現状でしょうし、そういったものをやっぱり入れることによって、すべてを入れることによって、やはり日本という国は京都議定書を作った国ですから、ホスト国ですから、やはりその責任を果たすことが今後にとって非常に重要だと思います。  私は大気汚染の公害裁判をずっと担当してきたんですけれども大気汚染の規制というのはキャップなんですよね。いろんな形のキャップはありましたけれども、K値規制とかありましたけれども、基本的にはキャップを掛けてきたことでして、そのことについて日本の産業界というのはきちっと対応してこられる実績もあるし、できると思います。  だから、そういう意味では、キャップを掛けることにいろんな意見はありますけれども、私はキャップを掛けたからといって産業界がそれで衰退するとか、負担になるとかということは余り心配しなくていいんじゃないかな、もうちょっと日本の産業界って賢くて強いんじゃないかというふうに個人的には思っているんですけれども。  以上です。
  36. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 早川参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども目標達成計画では、政府のですね、六%削減はできないと、できないと断定したわけなんですけれども、何が最もその断定の根拠になっているのかが一点と、もう一つは、森林の吸収源で長期的にはプラス・マイナス・ゼロだと、ここが非常に大切なとらえ方だと思うんですけれども、もう少しこの辺について詳しく説明していただければと思いますが。
  37. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) 六%削減ができないという断定した理由の非常に大きなところは吸収源です。三・九%という吸収源を今見込んでいますけれども、林野庁が出した報告書で二・六から三・一という数字があったと思います。お金を出してもらっても三・一ですよ、出してもらわなければ二・六ですよという数値を私は読んだことがあります。  要するに、三・九というのは少し背伸びし過ぎた数字でして、これは、これが三・一になると、そこだけで〇・八の数字合わせができなくなりますので、恐らくこれはかなり議定書交渉にかかわってきた者としては公知の事実に近いことだと思っています。だから、そこが一番心配ですね。  それからもう一つは、やはり今般でも原子力が動かなかったために排出量が増えたという話がありますけれども、そういった不確定要素が常にありますから、そういったエネルギーの排出量のところでの不確定要素を考えるならば、今の計画で目一杯、目一杯ですから、とてもじゃないけれどもできないのかなというふうに思っています。  もう一つ、森林の話ですけれども、これ単純に考えてもらったらいいんですけれども、森林というのは成長していく間は炭素を固定するわけですけれども、年取ってくると成長が止まります。そして、最終的には朽ちて、また二酸化炭素に戻るわけですね。木の一生を考えれば、プラス・マイナス・ゼロになります。だから、カーボンニュートラルというふうに言われるわけですけれども。そういう意味では、長期的に考えた場合に、森林が二酸化炭素を吸収も排出もしてくれない、要するに吸収、排出してもプラス・マイナス・ゼロだということはこれは科学的な真実ですね。  ただ、短期的に考えた場合に、木が成長していく間は、確かに日本の森林が成長していく間は吸収量を見込めますけれども、恐らく日本の森林はもう二〇一〇年を超えて早い段階で吸収から排出に変わるというふうに計算されていますから、吸収源に頼るだけの政策自身はやはり持続可能では全くないんではないかというふうに思っております。
  38. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 気候帯の移動に対応して生態系がどれだけ変化できるか、森林がどう変化できるかというのは、そういったものは非常に大きな問題かなと思います。  それでは、田中参考人に、これ最後の質問になると思いますけれどもCDM事業の展開に当たりまして、いわゆるCDM理事会関係になりますけれども日本は省エネルギー技術に対しては非常に大きな力を持っているわけなんですけれども、どうもそれがCDM理事会の方で素早く認証ということができない、ある意味では滞っているような状態でありますけれども、その辺のところをもっと日本はイニシアティブを取って、省エネルギーに限らないわけでありますけれども、そういった面についてどういう見通しをお考えでしょうか。
  39. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) 省エネ関係の技術につきましては日本が大変大きな長い間の経験、蓄積したものがあるということで、私どもも実際我々の仕事の中で日本の技術を生かせるプロジェクトを是非拾っていきたいということで取り組んでおります。  御指摘のように、CDM理事会の検討状況につきましては、まだいろいろなケースでの省エネプロジェクトについて、非常に進んでいるという状況ではございませんが、少しずつ実例が出てきておりますので、これの進捗を期待したいと思います。特に政府の方ではこの分野に力を入れられまして国際的合意に持っていくべく努力しておられますので、これをもう少しスピードアップして実現できるようになればと思っています。  ただ、私どもが仕事をやっておりまして一つ感じますことは、省エネ技術をこういう形でCDMを利用して海外に普及していくということは非常によく分かることでありますが、省エネ技術を持っておられる日本の各企業の方々といろいろ話しますと、CDMプロジェクトの一般的な知識は皆さんお持ちですけれども、じゃ、その技術を持っておられます末端のところまでCDMというスキームを使ってプロジェクトをどうやって構成していったらいいかというところまでなかなかまだ理解が進んでいないんじゃないかなという気がいたします。  私が最初申し上げました、途上国の方の啓蒙活動が必要だというふうに申し上げましたけれども、この分野につきましては、日本のそういう技術を持っておられる方々にももっとCDMを利用する仕組みを御理解いただいて、日本側からもプロジェクト推進できるような力をもう少し出していくべきじゃないかなというふうなことを実務を通じて感じております。
  40. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 利用のインセンティブが弱いということかもしれませんです。  大変にありがとうございました。
  41. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  今日は、三人の参考人皆さん、貴重な御意見ありがとうございました。  まず、田中参考人にお伺いいたします。  事前にいただいた資料で、二〇〇五年北東アジア経済会議での報告で、排出権獲得する立場から、やはり質のいいプロジェクトを求めていくということが大事だということをおっしゃっています。実際、ジャパンカーボンファイナンスはインドでアンモニア製造プラント改良による蒸気消費量削減プロジェクトというのを行って、年間二十六万トンの排出削減量予定しておられます。しかし、一方で、日本温暖化削減基金とジャパンカーボンファイナンスの出資者である住友商事、ここが同じインドでHFC23熱破壊プロジェクトで年間三百三十八万トンの排出削減量予定していると。このプロジェクトというのは、二〇一六年の生産凍結までの間、途上国でのHCFC22の大量生産に伴って成立するものなんですけれども。  そこでお聞きしたいんですけれども途上国持続的発展貢献するCDM事業を活用し、優良なプロジェクトを健全に育てていきながら排出権獲得していくと、そういう田中参考人のお立場からお考えになって、限られた期間内にジャパンカーボンファイナンスの十三倍もの排出権獲得できるフロン破壊事業をどのようにごらんになっているか、御意見があればお聞かせ願います。
  42. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) フロンの関連のプロジェクトについてでございますが、この点についてまず一つ押さえなきゃいけないのは、HFC23、これをほうっておくんじゃなくて、これを破壊するということ自体は、これは温室効果ガスを減らすということの目的でこれ自体は必要なこと。  それから、二つ目は、少なくとも京都議定書ルールに従ってすべての手続を終えて最終的に排出権として出てくるということでございますので、これは厳格な手続を取ってできておりますので、これはこれで排出権として、つまり購入可能な排出権であるというふうに考えております。  しかし、御指摘は、恐らくこういう形で、先ほど早川参考人のお話ございましたように、新規にフロンの工場ができていくということの御懸念もおありかと思いますが、これはCDM理事会関係の合意で新規に設備を造ったものから出てくるフロンというものは対象にしないと、HFCというものは対象にしないというふうに私了解しております。  私ども会社の方は、御指摘のような観点から、プロジェクト初期段階からサポートしながら進めていくという点から考えますと、このフロンの関係プロジェクトは一応ルールを確立しておりまして、私どもが直接そこに入っていってサポートしてあげるような、まだ未知の世界とかそういう要素はございませんので、私どもの方は扱っておりません。
  43. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 明日香参考人にお伺いしますが、政府が承認したCDMプロジェクト、これは早川参考人もおっしゃいましたが、種類がフロン破壊やメタン回収処理などに大変偏っているということと、地域的にもラテンアメリカ、アジア太平洋に偏っているわけですが、途上国の持続可能な発展貢献して地域格差をなくすクレジットの選択取得の重要性についてどのようにお考えか、御意見お聞かせ願えればと思います。
  44. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) 御期待に沿えるような答えではないのかもしれませんが、いわゆる京都メカニズム市場メカニズムとも言われています。市場というのは、最初市場の原理で安いものから──得をする、利益をする、高いものから取っていくと。フロン、メタンも、それから、でもフロンは十年前にはだれも考え付かなかったんですが、ある人が始めて、それでもうどんどんうまみがあるということで始めてしまったと。少なくとも市場メカニズムである限り、それを否定することは難しいというのが現状だと思います。メタンも全く同じでして、CO2の案件よりも安く早くできると。そういうものが最初に出てくるというのはしようがないと私は考えております。  ですが、ある意味ではだんだん出終わって、これから多分省エネ案件なり、CO2絡みの案件はたくさん出てくると期待しております。なので、ある意味では、今のフロンの問題というのは現時点の一過性の問題と言えなくもないと思います。  地域に関しても、これも、CDMというのは単純に言えば、海外直接投資に毛が生えたようなものでして、やはりいろんな意味でのカントリーリスク、投資リスクがあるところには行きづらいんですね。私は、お金を出す方なり、税金として出していると思うんですけれども国民のお金を使ってプロジェクトをやるときに、やはりそういうリスクがあるところ又は高いものを買うというのは実は多分議論があるところだとは思います。そこはなるべく安く買って、その分ODAを増やせばいいんじゃないかというような議論を私聞いたことがありますし、それに対してそう簡単に反論は難しいかなと。  ですが、やはり現時点ではアフリカに対しては非常にCDMが少ないのが現状ですので、アフリカに対しては特別の枠組み、別の枠、CDMとは違う枠組みで支援なり、そのようなものをつくる、支援の枠組みをつくるべきだと思います。少なくともCDM市場メカニズムにある限り、CDMで全部を面倒を見るというのは難しいのが現状かと思います。
  45. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 早川参考人にお伺いしますが、今日のお話の中で、安易に京都メカニズムに頼ることは将来世代に大きなツケを残すことになるということをおっしゃいました。もう少し詳しく、具体的にはどういうことかと。それからもう一点、環境的にも経済的にも持続可能な開発に役立つようなプロジェクトということをおっしゃいましたが、これはどのようなプロジェクトをいうのか、その二点について。
  46. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) ありがとうございます。  将来世代にツケを残すという話をさせていただきましたけれども、要するに、二一〇〇年レベルで考えた場合、脱炭素社会をつくらなきゃいかぬということだと思うんですね。化石燃料に頼った社会を持続することはできないということが温暖化防止の僕は結論だと思っています。  となると、その脱炭素社会をつくるために何ができるのかという発想になるわけですけれども日本などの場合はCO2の九〇%がエネルギー源ですね。そうすると、そのエネルギー源をやはり変えていく社会経済システム、それから技術を育てるしかないというふうに思います。当面、一番やはり私たち考えているのは、先ほど申し上げましたけれども、再生可能エネルギーの導入です。  私、CASAも含めて自然エネルギー市民の会というのを一昨年立ち上げて、今年、太陽光発電十キロワットのやつを保育所の屋根に付けて、今五十キロワットの計画をして、また風力発電も造ろうと思っているんですけれども、市民はそういうものにお金を投資する意向、意思を持っていますね。日本において太陽光発電が、去年までですけれども、世界一だったのは、市民が損しながらもそういったことにお金を使ったからですね。そういった市民のそういった意欲、お金を使うシステムをきちっとつくっていく、そしてやはりそういったエネルギーを自然エネルギーに変えれば、それはずっとそれでいけるわけですから、短期的なものではなくて、そういったインフラをつくっていくことがやはり重要だろうと。  例えば、燃料電池にしても、燃料電池の水素をバイオマスから取るのか、植物から取るのか、化石燃料から取るのかという大きな選択があるわけですけれども、アメリカ、日本は化石燃料から取ろうとしているわけですね。ヨーロッパはこれをバイオマスから取ろうとしています、カーボンニュートラルですね。そういった大きな方向性と選択というものをやはり今していかないと間に合わないのかなというのが一つ。  それから、環境的、経済的にも見合うCDMというお話ですけれども、それもやはり僕は再生可能エネルギーが主になると思います。そういったものを途上国供給していく。ヨハネスブルクの会議があって私も参加したんですけれども、やはり大きな問題はエネルギーの供給の不公平です。二十億を超える人たちがきちっとしたエネルギーの供給を受けていない。それを解決しなきゃいかぬという問題は、貧困の撲滅との関係ではやはり非常に重要ですよね。そのときに何を選んでいくのかということですね。  今、日本の風力は中国に負けました。インドには、四倍ぐらいインドは風力発電を持っていますよね。途上国もそれなりに努力しているわけでして、そういったものをやはり日本でも援助していく、もちろん日本において導入して援助していくことが必要かなと。そういった持続的に活用できるものをつくっていくというのが僕は必要だと思っています。  以上です。
  47. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 先日のこの委員会で私、CDMによるフロン破壊事業の問題を取り上げました。その際に、政府が承認している四十数件のプロジェクトの中で、たった五件のプロジェクトの五年間の排出権量は一億五千万トンで、全体の五六・三%を占めていると、フロン破壊事業だけで。しかも、約十億円程度の建設費用で約三百三十億円の莫大な利益を上げる。さらに、途上国で温室効果ガスのHFCを破壊することはオゾン層破壊物質のHCFCの大量生産に伴う、そういう制度的な矛盾を指摘したわけですが。  最後に、早川参考人にお聞きしたいんですが、ホスト国地域の持続可能な発展を確保するためにも事業の適格性、追加性の検討が不可欠だと、そういうNPOの立場からお考えになって、こういうふうなやり方についてどのような御意見をお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) フロンの破壊事業については非常に心配していまして、先ほどコストの問題出てきましたけれども、今、一トン五ドルぐらいで動いている。フロンの破壊事業は〇・二ドルから〇・五ドル、トン当たりですね。それで、これは確かに明日香さんおっしゃいました経済原理からすると、導入、そこに流れるのを防げないかもしれませんけれども、少なくともやはり新規工場を建ててやることについては阻止しないと、僕はCDM制度自身が崩壊してしまうような気がします。こんな安いものが入ってきたら、本当に持続可能な、もうちょっと金の掛かるものはもたないですよね。吸収源もそうですけれども、やはりCDMを育てようとするならば、やはりこういったものについては何らかの措置をしていかなきゃいかぬ、少なくとも新規工場については規制をしないとCDM事業自身が僕は危うくなると思っています。  以上です。
  49. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 時間がありませんが、もう一問だけ、明日香参考人に。  日本経済新聞の紙上で、途上国やアメリカの不参加や国際競争力への影響を理由に日本目標達成の手綱を緩めたり、将来の枠組みにおける自らの削減義務の軽減を主張したりしない、そういう行動が大事だということをおっしゃっています。今の米国に引きずられて温暖化対策を後退させてしまったら、ブッシュ政権の現在の不十分な温暖化政策の正当性を国際社会が認めてしまうことになるんじゃないかと。  そういう点で、まず日本が二〇一二年までの目標を確実に達成して、二〇一三年以降の枠組みも京都議定書の仕組みで条約の究極的な目標の実現に努力することが大事だと思うんですが、その点について簡潔に一言。
  50. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) まず、私が懸念しているのは、今、先延ばしになり責任の押し付け合いが始まっているように思えます。具体的に言えば、アメリカがやらないから日本もやらなくていいんじゃないか、中国がやらないから日本もやらなくていいんじゃないか、どうせみんなやらないから後で考えようというような流れが一番問題になると思います。  その意味で、新聞に書かさせていただいたのは、まず日本がやって、それで初めて他国に物が言えると思いますので、そのためにもその六%の遵守は必要でしょうし、それなりの国際的な枠組みを積極的にイニシアチブを取っていくべきだということです。それが日本経済にも長期的にはプラスに働くというふうに私は考えています。
  51. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 終わります。
  52. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 大変深いものがあるんだなと、改めてお聞かせいただきながら感じているところです。  大変お三方の深いそうした取組と御見識に、こんな話をしたらおしかりいただくのかもしれませんが、サラリーマン川柳にこんなのがあって入選したそうです、サラリーマン川柳です。「ウォームビズふところ常にクールビズ」ということで、暖かくしているつもりが懐は冷たいんだと。  生活していると、どうしてもそうした、収入、経済活動というんでしょうか、暮らしが優先しているので、環境は大切だなと思いながら深い認識はなく、大切だと漠然と思ったり、あるいは後回しにしてしまう。そういうところがあって、そういったものがずっと循環して、ともに共生することの必要性というものを今改めて教えていただいたような気がいたしますし、同時に、世界との共生、これをしないと目標を達成できないと、こういう御指摘もあったわけです。  そこで、ちょっと角度が違うかもしれませんが、しかしそれが絡んでくるんじゃないかと思うんですが、それぞれのお三方のお立場で、常任理事国ですね、日本が、常任理事国を拡大しなさいと、国連改革を含めて、そして手を挙げているわけです。しかし、支持が本当に少なかったんですね。びっくりするぐらい少なかった。  お三方の取り組んでいらっしゃるお立場から、どのようにこれをごらんになりますか。
  53. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) 大変大きなレベルでの御質問で、私は、何といいますか、一企業家、一国民としてお答えできる度を越えているようなレベルでございますが、私ども、実際仕事をやっております中で、例えば常任理事国入りを反対している国とのビジネスがやりにくいかというと、必ずしもそうではございませんで、我々、こういう、何といいますか、地球温暖化に対応するという大きな課題の中での一部分を担っているわけでございますので、そういう点ではそれぞれの国とも課題は共通でございますので、こういう共通な課題の中で働かせていただいております中では、日常そういう大きな問題を身に感じているということはございません。  しかし、一国民として考えます場合には、こういう地道な仕事を一つ一つ積み重ねて、具体的にこういう貢献、こういう効果が出ているということが現実に現れてくれば、我々の一つ一つの汗が何かそういう政治の、外交のレベルに何らかの、一滴の貢献でもできればうれしいなと思って仕事をやっている次第でございます。
  54. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) 三十分ぐらい話をしたいんですが、二つ、ちょっとこれも政府なり批判になるのかもしれないんですが、日本環境立国というのを打ち立てていると思いますが、少なくとも世界はそう見ていない、少なくともそう見られていない場面もあると思います。  例えば、温暖化の交渉に関して、私、学術的な英語のペーパーを読んだんですが、日本は、ギャング・オブ・フォー、アメリカ、オーストラリア、カナダ、日本と、その四つのうちの一人だというような認識している研究者のペーパーを読んだことがあります。なので、外から見られている日本と中で期待している日本というのは違うのが現状かなと思います。  もちろん日本でも頑張っているところはあるんですが、ODACDM流用問題もマイナスだったと思いますし、どちらかというとアメリカ寄りというふうに思われている、温暖化問題でもそういうふうに思われているのが現状かと思います。  ですが、先ほどおっしゃったようにお金が掛かると。ですが、お金の掛からないやり方もたくさんあるはずだと思います。例えば、クールビズですか、六月から始めるのはおかしくて、今でも私は暑くて脱ぎたいんですけれど、脱いじゃいけないのかなと思っていまして脱いでないです。  なので、そういう意識改革というんでしょうか、それは必要だと思いますし、ちょっと話を変えて、ODAという意味でいえば、日本ODAというのはたくさん払っていると思っている方も多いんですが、国際社会の中ではGDP当たりなり、一人当たりでは下から数えた方が早い状況です。それもかなり誤解があると思いますので、そういう誤解をまず解くことが研究者なり教師の仕事でもあるんですが、そういう誤解を解く作業をしながら、何が日本にとっての国際貢献なのか、何が必要なのかというのをみんなで考えるしかないのかなと思います。
  55. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) 私は第二回締約国会合からこの交渉にかかわりましたけれども一つの強烈な思い出があるんですね。第六回会合でルールの合意が決裂した後、ブッシュ大統領が離脱した。そして、再開会合がボンで開かれたんですけれども、そのときにある国の大使が記者会見でこういうふうに言われました。このCOP6再開会合は、日本政府のアメリカ政府からの政治的独立性がテストされている。日本政府はアメリカ政府から、アメリカから政治的に独立していないんじゃないかと。本当に独立しているかどうかがここでテストされているという発言をされました。もう正直言って、そういうふうに見られているのかというふうに思いました。  それで、私自身は、この温暖化交渉では、日本はやはり必ずしもそうではなかったというふうに今思っていますけれども、全般的に言えば日本という国はアメリカにずっと付いていく、自分の意見を言わない国だと思われているということを私は強烈にそのとき自覚させられました。だから、そういう意味では、世界の国はアメリカのまた賛成票が一票増えるというふうに思ったんだなというふうに個人的には思っていますね。  だから、やはり私は、日本という国がもうちょっときちっと環境でも貢献できるところで貢献して、認められる国になってほしいと一国民としてやっぱり強烈に思います。そこを是非私たちも努力しなきゃいかぬでしょうし、先生方も努力していただいてと思います。答えになっているかどうか分かりませんが。
  56. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 大変ありがとうございます。  そうしますと、まずは自国の企業も我々生活する方も政府も、もうこの議定書は、京都、我々の精神が入っているわけですから、これを達成する一義的には努力しなくちゃいけない。しかし、どうしても、一・六ですか、これ出てくるんだろうと。それがもっと出てくるおそれがあるない別として、きっちりこれを我々はまず自助努力を国内ですると、こういうことですが、CDMのところは重要ですよね、今、お三方のお話を聞いても。これは本当に今後の日本の、人に人生があるように、日本という国に人生があるとすれば、非常に大きな過渡期の中の第一歩だと思うんです。  ですから、そういったところで、最後に一言ずつで結構なんですけれど、プロジェクト開発、質というところに行き着くと思うんです。さっきの各国に理解をいただいたり、日本が尊敬されたり、ああパートナーとしていい国だと、協力してお互いにやっていこうというふうに言われるにもこの環境がすごく重要で、CDMとか大切だと思うんですが、プロジェクトをどう開発するか。どのような視点が企業の場合、もちろん政府の場合、最終的には判断していきますが、企業やNPOやNGO、どういう姿勢で、総体的に政府ということにもなりますが、どういう姿勢でこれを臨んだらいいか。幾つかお話は既に出ているかと思いますが、違った角度でお尋ねをさしていただいた次第です。どのようにプロジェクト開発をしていったらいいか。いかがでございましょうか。
  57. 参考人(田中弘君)(田中弘)

    参考人田中弘君) これまで幾つかお話しいたしましたので重複は避けまして、私、CDMのこの事業に託す思いといいますか、そういう観点から申し上げますと、これは、京都メカニズムというのは大変よく考えられたスキームじゃないかなというふうに思って、自分の仕事をこういう言い方してはあれかもしれませんが。  途上国に経済協力をするという場合に、日本が単に資金を供与する、そしてそれを途上国は自分の、もちろんインフラ開発とかいろんなところに使うわけですが、やや一方通行的なところもこれまでいろいろあったり、いろんな御批判もあったと思うんですけれども、この京都メカニズムというのは、日本にとっても必要であるし、かつ途上国にとっても必要であると。そして、そこにこういう形でプロジェクトが形成される、そのプロジェクトがその途上国にとって必要なプロジェクトであり、そこに我々が排出権を買うという形で資金も投下し、そしてそこに、先ほど来出ております省エネの技術とかそういうものが、日本の蓄積したそういう技術も有効に使われる、そしてそれがその途上国にとっての持続的発展にもつながると。こういうそれぞれにとっての意義を集約できるようなプロジェクトを今探しているつもりなんですけれども、是非探していきたい。  それが、最近よく言われますようなウイン・ウインの関係といいますか、そういう形で、せっかくつくられたスキームを意義ある形に使っていくと、こういうことで、御指摘の質のいいプロジェクトの開発にもこういう観点で臨めばつながっていくんじゃないかというふうに考えて、今後もそういう観点を持ってやっていきたいというふうに思っております。
  58. 参考人(明日香壽川君)(明日香壽川)

    参考人明日香壽川君) 私もほぼ同意見なんですが、同じことを言ってもしょうがないのでちょっと別の観点から申し上げます。  今、実はユニラテラルCDMというものがプロジェクトの中では多くなっています。どういうものかというと、途上国が自らプロジェクトをつくって、先進国の技術というよりも、途上国のある技術を使ってカーボンの部分だけを先進国に売るというものです。そういう意味では技術移転は余りないんですが、少なくとも、途上国CDMという資金がなかったら、クレジット売却益というのがなかったらそれは途上国では実現できなかったというロジックでCDMとして認められていって、それが多分これから過半数を占めることになるかと思います。  なので、CDMに余り期待し過ぎるのもよくなくて、技術移転、もちろん日本の技術も非常にすばらしいものはあるんですが、ドイツも同じようなもの持っていますし、中国も実は持っていると。なので、それが、そういうのが一つ現実の側面かなと。  繰り返しになりますけれども、私は今正に本当に日本政府がやってほしいことは、二〇一三年以降の枠組みを早く具体的な見える形で市場にシグナルを与えることなんですね。そうしないと、CDM制度自体がなくなると思います。はっきり申し上げまして、二〇〇八年ぐらいはもう仕事を替わると言っているマーケット関係者は何人かいるのを知っています。そこまでとにかく稼げるだけ稼ぐという方が多いのが現実ですので、そのためにも、二〇一三年以降、京都型のキャップ・アンド・トレードで日本も何らかの排出量取引制度なり排出権というものを、価値が持つような、そういう需要が持つ、イコール排出削減を国としてキャップを持つような枠組みを目指すと、それで国際合意をつくっていくと、そういうようなイニシアチブを取っていただくことが今一番重要かと思います。
  59. 参考人(早川光俊君)(早川光俊)

    参考人早川光俊君) 私は、その地域途上国なら途上国地域、そこの人たちに喜ばれるプロジェクトであるという視点もやはり重要だと思うんですね。  一つの例なんですけれども、インドに行ったうちの自然エネルギー市民の会の代表がこんな話を聞いてきました。太陽光発電で蓄電して街灯を付けた。そして、ある青年が手を挙げて、私はこれのおかげで高校に行けた。要するに、電気がないから夜勉強ができないんですね。子供たちがその下で勉強している。御婦人がまた手を挙げて発言して、私はこれができたおかげでトラに襲われなくなった。朝暗いうちから水がくみに行けるようになった。  一つの例かもしれませんけれども、そういった、やはりその地域人たちに受け入れられる事業、そういうものを進めていくことが、先ほど御質問にあったように日本のやはり貢献の評価にもつながるし、やはり持続可能な発展にもつながるんだろうと思いますから、そういった視点も是非考えていただく。経済効率性だけで考えていくと余りうまくいかない。それで、この制度を続けることがやはり、明日香さんもおっしゃったように、私は京都議定書を永続させる一つの手段になってきていると思いますので、そういう御議論をお願いしたいと思います。  以上です。
  60. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 郵政民営化やっている暇はなかったなと、このように思いまして、感謝を申し上げて、終わります。
  61. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時一分散会