○荒井広幸君 荒井でございます。
参考人の皆さんの御
意見も伺いながら、それらの皆さんの体験、実績というものを引用させていただきながら
意見を申し上げ、
質問をさせていただきたいというふうに思います。
どうやら、
保護と
捕獲、
保護と
捕獲というのは対峙するものではないと、保全という意味でそれは一つの行為であると。例えば、
希少種の手厚い
保護、増え過ぎた
動物の
捕獲、
外来生物の駆逐、そして生息
環境の再生など、先ほどのお話にも出ておりますけれ
ども、これらすべては
生物多様性という意味合いの理解の上で保全をしていくと同じ行為なんであるというようなことを非常に勉強になって学んだところでございます。
そういったことでいうと、イギリスが地方選挙で保守党、これが躍進をいたしました。ブルーからグリーンへ非常に保守党としては大決断だったようです。支持者離れもあれば新たな支持者も獲得できると。
環境にべらぼうに力を入れたと。その
環境というものに対する理解が非常に増えたんであろうと。もちろん、労働党のブレアさんのいろんな
問題点もあったにせよ、非常に私はそういう意味でこれからの私たちに大きな示唆をイギリスの地方選挙も与えているというふうに思いますが、それは
生物多様性というものをもっとお互いに
認識しようではないかと。私の言葉で言えばグリーンの政策、あるいは昨日の
参考人も言っていらっしゃいましたけれ
ども、予算の
見直し、枠組みの
見直しなどをしながら、そうしたグリーンの政策という理念を持ちながら、
生物多様性というものを理解しながら緑の公共事業というものが重要になってきたなというふうに思います。緑の公共事業、こういったことを感じるわけです。
そこで、数、行動、
環境、これはともに深いかかわりがあるんだということを学ばさせていただきました。こんな例を引かれていたわけです。
幾ら
野生生物の
個体数を減らしても、人なれした
動物が近くに居着けば深刻な
被害が出るし、逆に幾ら防除しても
個体数が多いと侵入する
動物も増える。生息
環境が悪いと野生
動物の数が減るし、里に出て
被害を出すようになる。野生
動物が減れば
被害はなくなるが、他の
生態系機能も減るし、衰えていく。生息
環境が良いと、それを食べて野生
動物の
個体数は増える。増えれば
被害も増える。幾ら山に野生
動物の食べ物が多くても、防護をしていない畑があれば、野生
動物は取りやすくて栄養価の高い畑のものを食べる。人里で栄養価の高いものを食べると
繁殖率も上がり
個体数が増える。野生
動物の
個体数が増え過ぎると山の食べ物は減り、山での生息条件は悪くなる。
生態系には自然の変動があり、生息
環境や
動物の出生・死亡率も変化する。それに合わせて
動物の数も行動も変わっていくんだと。こうした
個体数の
管理、
被害管理、生息地
管理、ワイルドライフマネジメントと言うんだそうでございますけれ
ども、こういったものが本当に密接に絡み合っているということでございます。
場所が違えば、また時期が違えば、これらの要因、三つの要素も変わってくる。こういったことで、現場で起こっている
被害にこれらの要素、それらをしっかり分析して、いかにかみ合っているのか、絡み合っているのか、どのようにそれらが
影響し合っているのか、そして
被害につながっているのかということを見ていかなければ効果が上がらないというようなことを学ばさしていただいたわけでございます。ですから、
狩猟や駆除に限らず、これも有効なところがありますけれ
ども、総合的に
被害というものを見た場合には、これらの三つのワイルドライフマネジメント的な発想から、手法からいわゆる組合せしたり工夫していく必要があるなと、このように考えておるわけでございます。
被害ということで、結局そういうバランスを崩してしまった、人間と野生のミスマッチのような気がします、この
被害というのは。そういうバランスを崩してしまって
被害が起きてきたというようなことではないかというふうに思いますと、先ほど来から、中山間地帯に、
大臣もおっしゃっておりましたし皆さんが指摘しておりましたけど、過疎の問題も絡む、そういうような問題の中でどういうふうになってきたかというその
被害の実態だけ、農林省の
調査では、十六年で
被害総面積は十三・九万ヘクタール、そして
被害金額は十六年度で約二百六億円。そのうち獣類が六割で鳥類は四割。獣類のイノシシ、シカ、猿の
被害が九割を占めて、中山間地帯に非常に深刻化している。一方で、森林
被害も非常にある。十六年度では七・四千ヘクタールで、シカによるものが六割である。水産
被害も、カワウの
生息域が拡大して、えさをどんどん食べてしまいます。アユ、フナ類、こういったものに
漁業被害が深刻化である。ウグイ類もそういったことでございます。
こういったことで、本当に、今どのように共生していくかということですが、この
被害については対策をしなければならない、私もそのとおりだと、このように思います。その
被害対策について、
わなの例が非常にいい例として先ほど来から岡崎先生始め皆さんから具体的に
質問があったと、このように思います。
その中で、もう一つ、これはもう皆様方とほぼ共通のことでございますけれ
ども、
個体数管理としては、まず、
わなとかそういうものに頼る前に、これは生息数の
モニタリングというのをしっかりやっていかなくちゃいけないが、これがどうやら不十分である。それから、
被害の
管理ということでありますけれ
ども、徹底的な駆除ということ、防護、追い払う、誘引物の除去、こういうやり方もあるだろうと。そして、地域の目標や対策に投入できる予算がほとんどないんじゃないか、
人材育成も含めて予算がないんじゃないか、足りないよというのがすべての
参考人の
意見だったわけです。そして、長期的には、
被害管理の場合、コストパフォーマンスの高い防除計画というのも必要なんだろうと。農林省を中心に一生懸命やっていただいておりますが、こんな
課題もあると。そして、生息地
管理でございますけれど、適切な野生
動物の生息
環境の保全、野生
動物が出没しにくい集落と集落周辺の
環境づくり、こういったことが必要ではないか。こういったことを言われて、先ほど来から重複になりましたので
質問をいたしませんが、そういった
個体数管理、
被害管理、生息地
管理、そういったものの
調査、データ化、その分析というものについての予算が十分に取られてないんじゃないか。
その結果、先ほど私、
参考人の方の分析のものを読みましたけれ
ども、そんなものがもう絡み合って、数とか行動とか
環境、深く絡み合って
被害というものが出ているんだという
認識をもう一回持たないといけないと思うんです。そういう分析をしていかないところに無用な例えばお金を掛けてみたり、無用な殺生をするということにもなりかねない。あるいは、せっかく駆除しなくちゃいけないんだけれ
ども、その効果が上がってないんだと、上がってないんだと、ここをやっぱり見るべきところあるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
そこで、こんなことをどういうふうに言うんだと言ったら、
参考人の方々が、アダプティブマネジメント、そうした
モニタリング、実態
調査、
個体数・
被害管理、生息地
管理、そういったものを、よく
生態系やら科学的なものを入れながらも分析したり
情報を
とらえながら、経験則もいただきながら科学的
管理をしていくということが大切だと、これに対して予算化が十分じゃないと、これ異口同音の
意見だったように思います。ここについて先生方から御指摘再三ありましたので、ここはしっかりやっていただきたいと、こういう要望を申し上げる以外、現
段階ございません。この法案では、その点不十分であると言わざるを得ません。
結果は効果が上がらないと、
被害対策の効果はなかなか上がりづらいんではないかという危惧を持つわけでございます。
野生生物保護法制定を目指すネットワークの四十七都道府県のアンケートを、昨年暮れのを拝見させていただきましても、共通してそのようなところが読み取れますし、同時に、後ほど申し上げますけれ
ども、
人材育成、専門官の新設、そういったところが不可欠なんではないかと、そこがすっぽり抜けているのが今回の
改正案だというふうに思います。
今回の
改正案に対して、私は一歩前進ということで
改正に賛成する
認識もございます。例えば、現場に合わせたきめ細かい施策が可能になったんだと。例えば、
捕獲数制限のための入猟者承認
制度を入れたり、休猟区における
捕獲の特例
制度を、これを導入すると。
鳥獣保護区における保全事業な
どもやると。
こういうことでありますが、一つ抜けているとすれば、私も実感としてはちょっとわかないんです、まだまだこの分野に浅いものですから。竹下政務官からも、その実態で、
わなを買う人というのは実はこういう人なんだと、本当は作るんだよと、こういうようなお話もあって、私自身、不勉強、まだまだその領域にあるんで分からないんですけれ
ども、しかし、どうやら単一種、単一地域で、特定
鳥獣保護計画というものだけでどんなものなんだろうと。やっぱり広域圏で複数種という観点から見た総合的
管理、地域
管理、広域
管理みたいなものも非常に効果があるんではないだろうかと、そのような印象を受けた次第です。そういった意味においては、法案としてはそこらのところについては弱いなと、こういうことで昨日も
参考人に
質問をしたところでございます。
そして、問題の残ったところは、いわゆる特定猟具の禁止や
規制の区域指定であります。これ一歩前進はしているんですけれ
ども、
とらばさみ、くくり
わなについてのこの禁止ということについてはちょっとほど遠いと。ですから、これを仮に、過渡期という言葉だれも使いませんでしたけれ
ども、過渡期としてこれを、今
被害が出てるから効果があるという島根県の
報告もありましたですけど、そういうものをやっぱりやっていかなくちゃいけないんだけれ
ども、さっきの三つの要素のきちんと科学的、そしていろんな意味でのデータを集めて、その中のいろいろな工夫、組合せによる対策によって、こういったものは効果発揮しないんだろうかと、私、素朴に思うんです。ですから、これはいずれ禁止の方向に行って、組合せによる成果というものを上げていくべきでないかと、こういったことを思うわけでございます。
もう一つ抜けているところが、そうなってまいりますと、現場での
対応というのは、行政側も、そして集落の方も、営農をやっている方も、そして今は町にも出てきてますから住民の皆さんにも的確な
情報の提供、そしてそれに対する
対応、どうするかという判断能力が必要だ、あるいはそういう方々に対して説明するというそういうリーダーシップも必要だと、昨日、
参考人の皆さんが言っておられて、ああなるほどなというふうに思いました。
私のところにも市民団体の皆さんからメールをいただいたのがありますけれ
ども、中山間地における野生
鳥獣の
被害問題は、追い払う、畑を囲う、作物の取り残しをしない、え付けしない、果樹は残らず取るといった対策のほかに、地域の人々が
相談できる場所があったり、苦情の受皿があることが重要なんだと。
被害対策の技術を普及啓発する、またそういう場をつくる、こういうコーディネーターがいる地域では大きな成果が上がっているんですよと、こういう御指摘もいただいているわけです。
そうなりますと、
人材育成、専門職のみならず、地域のそうした
考え方、こういったものを求めていく、あるいはそういうものを訴えていく、そういう機運になるように、またそれに的確にこたえられるようなサポートシステム、そういった地域の力、地域ぐるみって言ってもいいんでしょうけれ
ども、そういう地域ぐるみの力というのが必要だと思うんです。これを公、
委員会で何遍か言わしていただきましたけど、公だと思うんです。官とか、あるいは民間とかというだけでなくて、みんながその力を合わせていくというところが抜けているがために、こうした
被害というものが拡大する傾向にあるのではないかという印象を持っている次第でございます。
そこで、
大臣にお聞かせいただければ幸いなんですが、どうやら、こうやって考えてまいりますと、自分でいろんなことを考えておるんですが、
鳥獣被害問題は多くの場合、高齢化する、
大臣は人口減少と先ほどお答えになっております、中山間地帯に発生しているものが多いわけです。過疎の進行とともに増大する傾向があると言ってもいいわけです。ある意味で、そういう
被害を、防波堤として役割を担っていたのもまた農村集落なんです。
ですから、無用な殺生をする必要ありませんが、市街地を守っていたという意味で、中山間地帯とかその集落という役割というのは、営農、自然
環境を守るいろいろな意味含めて、やっぱりこういう
鳥獣被害においても非常に大きかったということです。農村集落が小さくなれば、
被害は農村から、防波堤の役割は果たしませんから市街地に、えさもあるわけですから、体験学習したものが下りていくわけですよ、
鳥獣が。どんどん市街地へと進出する可能性が高くなる。そうなれば、市街地での生活
環境の害があったり、ふんの問題があったり、また最近は、
橋本先生が昨日も
質問で言っていらっしゃいましたけれ
ども、この連休中にも一杯の事故がある。
こういう問題になっていくという根本的な意識からこうした
鳥獣の
被害というものは考えていかないと直っていかないんじゃないか、抑えられないんじゃないかと、このように思うんですが、
大臣のこうした
基本的な
鳥獣被害などに対するお考え、また私のこうした考えについて感想などあればお聞かせをいただきたいと思います。