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2006-04-27 第164回国会 参議院 環境委員会 第9号 公式Web版

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  1. 政府参考人の出席要求に関する件 ○参考人の出席要求に関する件 ○鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一 (会議録情報)

    平成十八年四月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 関口 昌一君                 橋本 聖子君                 岡崎トミ子君                 鰐淵 洋子君     委 員                 大野つや子君                 狩野  安君                 西田 吉宏君                 真鍋 賢二君                 足立 信也君                 大石 正光君                 小林  元君                 広野ただし君                 加藤 修一君                 草川 昭三君                 市田 忠義君                 荒井 広幸君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    江田 康幸君    大臣政務官        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        渋川 文隆君    政府参考人        農林水産大臣官        房審議官     吉田 岳志君        農林水産大臣官        房審議官     宮坂  亘君        農林水産大臣官        房参事官     伊地知俊一君        林野庁国有林野        部長       梶谷 辰哉君        水産庁増殖推進        部長       井貫 晴介君        国土交通省国土        計画局長     小神 正志君        環境大臣官房審        議官       坪香  伸君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       滝澤秀次郎君        環境省自然環境        局長       南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○鳥獣保護及び狩猟適正化に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りします。  鳥獣保護及び狩猟適正化に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産大臣官房審議官吉田岳志君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  鳥獣保護及び狩猟適正化に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る五月八日午後一時に、島根県中山間地域研究センター鳥獣対策グループ科長金森弘樹君、江戸川大学社会学部教授吉田正人君、兵庫県立大学自然・環境科学研究所生態研究部門助教授坂田宏志君及び株式会社野生動物保護管理事務所代表取締役社長羽澄俊裕君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) 鳥獣保護及び狩猟適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 おはようございます。自民党の橋本聖子でございます。  この鳥獣法について、質問に立たせていただきます。  昨今、日本各地では、ツキノワグマイノシシ、またニホンザルなど野生動物人里出没をいたしまして本当に問題になっているところですけれども、私の地元、生まれ故郷であります特に北海道道東地区阿寒湖周辺などは、エゾシカと車や列車が衝突をいたしまして大変な被害が出ている、事故が多いわけなんですね。そしてさらに、食害によって再生に取り組む原生の森の樹木が大きな被害を受けているということで、ただこれは北海道に限らず、シカ食害というのは尾瀬などでも生態系に深刻な影響を与えているというふうに聞いておりますが、市街地を走り回るニホンザル住宅街ニホンザルが走り回りまして子供たちに対してけがといいますか、影響を与えたり、本当に安心、安全の、今この世の中の状況を考えましたときに、ニホンザル子供たち被害を与えるような、そういうようなことが報道をされて、大変、一昨年辺りから広く多くの皆さんに関心があったわけですけれども、これは、この問題というのは今急に起きたわけではないというふうに思います。  ちょっとだけ私自身の小さいころの話をさせていただければというふうに思うんですけれども、私の生まれたところは北海道勇払郡というところで、大変自然環境豊かな、いわゆる、言葉は大自然というんですけど、よく多くの皆さんからはへき地と呼ばれておりました。今でこそ本当に、何というんでしょうか、交通の便がいい地域といいますか、千歳空港から降りまして信号のない道を二十分走るものですから距離はかなりあるんですけれども千歳空港から二十分のところに私の実家がありまして、酪農、農業、今も牧場、農家を経営している父が元気で頑張っていてくれるんですけれども、私はそこで育ちました。  昔は動物との共生というと、それが当たり前だったといいますか、私の小さいころなんかは、今日はあそこでクマが出た、シカが出たというような情報学校に来るんですね。ですので、時期的に春先、そしてまた冬眠に入る直前など、クマが出やすいような時期はそれぞれ子供たちが笛を持たされて登下校したりですとか、また親が迎えに来るのを待ったりというような、そんなような状況でありました。  ただ、へき地ですので、その学校ももうなくなりましたけれども全校生徒が十一人という小学校に私は通っておりまして、本当に家族的な雰囲気の中で動物生態系を教えてくれたりですとか、例えば学校の周りに動物クマシカ足跡がありますね、その足跡を見て、大体どのぐらい前にここを動物が通ったのかというか、そういうようなことまで教えてくれる。自然との共生というものをしっかりと体感をさせてくれるような、そんなところで育ちました。  特に昔は、祖父母の話を聞いたりですとか、私の小さいころもそうなんですけども、本当に自然との背中合わせで生活をしているものですから、クマが近くに通るのを見るなんということは結構あったんです。でも、被害は与えられなかったんですよ。というのは、なぜかといいますと、すごく森の中には、大自然の中には動物にとっての、クマの食材がしっかりとあったものですから、たまたま迷って通り道に民家があったぐらいの多分雰囲気だと思うんですね。でも、今は自然環境が破壊され、動物たちが生きる道というものを探りながら、結局は畑に被害を与えるだとかそういうようなことがあるんだというふうに思うんですけれども、こういう問題はやはり自然環境の破壊ですとか全体的なことを考えていかなければいけないなということをつくづく思います。  そこで、ツキノワグマについてなんですけれども、全国的な生息数調査というのは、今本当に被害を与えるということに対しては大変な深刻な問題なんですけど、一方では危機的な動物でもありますので、そういった保護もしていく地域も出てきております。この保護管理のための情報交換ですとかノウハウ共有、こういうものは今どのようになっているのかをちょっと最初にお聞きをしたいというふうに思います。
  8. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) お答えいたします。  ツキノワグマでございますけれども平成十年度、その際に全国的な生息数に関しまして生息実態調査を行っております。また、十三年度には自然環境保全基礎調査の中で動物分布調査を行っておりますが、そこにおいて生息分布域、区域の調査を行っているところでございます。そういったことでその情報把握をしております。  また、私ども環境省では、専門的な知識の普及を目指しまして、都道府県など地方公共団体担当職員を主に対象にいたしまして、特定計画制度、あるいは野生鳥獣調査手法、そういった技術を普及するために野生鳥獣管理技術者育成研修というものを行っております。これは平成十年から行っておりますけれども、単に教室の勉強だけではなくって、実際にフィールドでの研修といったこともそこに含めて行っているところでございまして、その中でツキノワグマにつきましてもこれまで五回実施をして、保護管理のための情報交換を行っているところでございます。  また、都道府県におきます特定計画の策定を目的として、ツキノワグマなどの鳥獣についてそのマニュアルを作成しまして、保護管理のためのノウハウ共有というものを図っているところでございます。
  9. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 ありがとうございます。  やはりツキノワグマやヒグマが人里出没をいたしまして深刻な人身被害につながることがあったりということで、そういうことは当然早急な対応が必要であるわけですけれども、しかし、今クマというのは、今お話にもありましたとおり、世界的に絶滅の危機に陥る地域も多い動物ですので、是非この保護管理、そしてまた、共生ということでは難しいですけど、共存というような取組各地で行われていますので、是非そのバックアップというものを、また指導というものをしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  人身被害経済的被害ということではすぐに対応策が講じられるものですけれども、減り過ぎた動物鳥獣の問題というのは結構放置されやすい問題でもあるというふうに思いますので、狩猟鳥獣生息数ですとかまた保護管理、そういったための迅速なやはり情報公開など、対応というものをしっかりと実施をしていただきたいというふうに思います。そして、何よりもそれを常にフィードバックというんでしょうか、そういうことも忘れずにやっていっていただければというふうに思いますので、是非よろしくお願いをいたします。  また、続いてまた北海道お話なんですけれども有害駆除したエゾシカの方ですけれども有効利用することによってビジネスと結び付けていこうということで、特に地方は大変厳しい財政であります。どうにかしていろいろなアイデアの中で新しいビジネスやまた産業を生み出していこうという試みは、これはどこでもされているわけでありますけれども、特に北海道は、有害駆除したシカの肉を、安定供給が難しいということで一定期間牧場で飼育する工夫をいたしまして、そして専用の食肉処理場も造り、商品化をしています。  こうした努力に対する支援も大変必要なことではないかなというふうに思いますけれども、副大臣、これについていかがでしょうか。
  10. 副大臣(江田康幸君)(江田康幸)

    ○副大臣江田康幸君) 野生鳥獣を適切に保護管理する中におきましては、捕獲された個体資源として有効に活用するということは、地域活性化観点からも、また必要な捕獲を促進するというインセンティブを高める観点からも大変有益なことと考えております。このため、捕獲鳥獣の具体的な活用方法につきましては、各都道府県鳥獣担当部局及び関係行政機関等が連携協力して検討していくことが重要であると考えております。  先生が今御指摘なされました北海道における取組につきましては、幅広い関係者が連携することによりまして、エゾシカ捕獲、一時的な飼育、製品化、流通、地域振興等を一連の流れとして推進する総合的なシステムを構築する先進的なものであるととらえております。環境省としましては、この取組の今後の成果に注目をさせていただきまして、野生鳥獣の適切な保護管理観点からいかなる支援があり得るのか検討してまいりたいと思います。
  11. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 是非、そういった研究、また検討をしていただきたいというふうに思います。  ただ、これは農林水産省はもちろんでありますけれども有効利用の問題というのはやはり各省庁をまたがって連携を取ってやっていかなければまた十分な対応もできないというふうに思いますので、各地域のそういったアイデアというものに対して国としてしっかりとした支援対策というものもやっていただきたいというふうに思いますので、是非よろしくお願いいたします。  また、有害駆除したその動物有効利用ということでもう一点お伺いをしたいというふうに思うんですけれども平成十二年の十二月に、有害駆除したニホンザル実験用に密売をされているかのごとく報道されたことがありました。これは関係者にとって大変迷惑なことでありました。それ以来、有害駆除したニホンザル実験動物として使用することが事実上できなくなってしまったという報告を受けているんですけれども資源利用捕獲目的となることはやはり問題ですけれども有効利用についてはやはり柔軟な取組をすべきだというふうに思います。この点につきまして竹下政務官の方にお伺いをしたいというふうに思います。
  12. 大臣政務官(竹下亘君)(竹下亘)

    大臣政務官竹下亘君) 御指摘ありましたように、平成十二年に、有害鳥獣でありますニホンザルについて、捕獲目的を偽って捕獲をして実験動物として研究施設に販売していたことが問題になったという事例が確かに存在をいたしました。  このため、環境省といたしましては、捕獲後の処置について制限はしていないものの、平成十五年から捕獲許可申請の際に捕獲後の処置について申請書に記載させるということにいたしておりまして、目的を偽った捕獲防止に努めているところでございます。  なお、国内の大学等研究施設では、現在野生の猿は実験動物として利用されていないと承知をいたしております。何か野生のものは個体差が大きくて実験に適さないというような事情もあるようでございます。実際には、そういったこともございまして、有効利用できる可能性は低いのではないかなと、こう考えておるところでございます。
  13. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 分かりました。  ただ、研究内容によっては、遺伝的に管理されていなくても十分なものも多くあるというふうに思うんですけれどもコストの面から見ても、有害駆除した個体有効利用することがいいものもやはりこれはあるというふうに思うんです。そういうことを考えますと、命あるものでありますので、そういったことについては、これからのいろいろな生態系も含め、そしてまたいろいろな研究のためには有効利用について柔軟な対応も必要ではないかというふうに思いますので、是非そういった対応お願いをしたいというふうに思います。  続いて、猟期についてお伺いしたいというふうに思うんですけれどもシカイノシシはこれまでハンターによって捕獲をされてきましたけれども猟期狩猟猟期外有害駆除ということになって、狩猟は趣味であるのでハンター税金を払って行い、また逆に、有害駆除行政への協力なので税金からお金をもらって行うということであります。  これはまた政務官にお尋ねをしたいというふうに思うんですけれどもイノシシシカについて、狩猟有害駆除割合というのが、二十年前とそしてまた十年前と現在、どのように変化をしているのかということ、財政的に有害駆除の費用というものはどのように変化をしているのか、調査結果も含めてお伺いしたいと思います。
  14. 大臣政務官(竹下亘君)(竹下亘)

    大臣政務官竹下亘君) おっしゃいましたように、狩猟というのは一定期間内に狩猟免許所有者狩猟鳥獣捕獲することでございまして、有害鳥獣捕獲というのは、農林水産業等にかかわる被害防止目的といたしまして、都道府県等捕獲許可を得て、時期を問わず狩猟鳥獣以外の鳥獣対象捕獲するものでございます。  御質問にございましたように、その割合イノシシシカについて見てみますと、イノシシにつきましては、二十年前は狩猟が九割、有害鳥獣捕獲は一割でございましたが、十年前はこれが狩猟は八割、有害鳥獣捕獲が約二割、現在では狩猟が約六割、有害鳥獣捕獲が約四割となっておりまして、狩猟割合低下傾向にございます。  シカについても傾向としては同じような状況でございますが、二十年前、狩猟九割、有害鳥獣捕獲約一割、十年前はこれが狩猟七割、有害鳥獣捕獲が約三割、現在では狩猟が約六割、有害鳥獣捕獲は約四割となってきております。  そういいましても、量も相当増えてきております。例えばイノシシを見てみますと、二十年前五万五千頭余り捕っておりました、狩猟捕獲合わせてですが、これが今二十六万六千頭を超える捕獲狩猟有害鳥獣捕獲で行っております。シカについても、二万四千頭余りであったものが、現在十七万三千頭近くになってきております。  いずれにいたしましても、捕ってくれるのは狩猟者でございますので、この狩猟者というのは、狩猟技術捕獲技術あるいは鳥獣生態等に詳しい人たちでございますし、有害捕獲の担い手としても重要な位置をこの人たちは占めております。狩猟有害捕獲とを組み合わせて効果的な野生鳥獣保護管理を推進することが必要であると、こう考えておる次第でございます。  それからもう一方の質問でございますが、都道府県における有害鳥獣捕獲費につきましては、都道府県からの報告によりますと、二十年前はおよそ二億四千万円、十年前はこれがおよそ四億円に増え、現在においては約七億九千万円となっておりまして、二十年前に比べますとほぼ三倍の水準になってきております。  以上でございます。
  15. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 分かりました。詳しい数字も提示をしていただいて、本当に二十年前、十年前、そして現在と、そのような変化があるということを改めて実感をしているんですけれども。  狩猟有害駆除のどちらがいいということではありませんけれども、現在はやはり有害駆除割合の方が多くなってきているわけであります。狩猟人口も大変減りつつあるというふうに聞いておりますので、やはり狩猟有害駆除の適切な、何というんでしょうか、バランス、そういった組合せがやはり大切ではないかと思いますので、是非ともそういった配慮についても引き続いて御指導を賜りたいというふうに思います。  続きまして、ちょっと足早で失礼なんですけれどもわなについてお伺いをしたいというふうに思います。  網猟免許わな猟免許の分離についてお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、今後、農林関係者わなを用いた鳥獣捕獲を試みる際に、安価に購入できるとらばさみやくくりわな使用が増大することが予想をされているわけですけれども、特に銃を使わずにイノシシ捕獲するにはくくりわなに期待をする声もあります。ただ、これは、猟具は錯誤捕獲があった際の放獣等に支障があって、この点についてはどうなんだろうかというようなそういった心配の声も含めてあるんですけれども、この点についてどのような見解でしょうか。
  16. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、わなの件でございます。  まず、今回の法改正で申しますと、従来の狩猟に加えまして、許可を受けて捕獲する場合につきましても、わなを用いて捕獲する場合は必ず氏名などを表示した標識を付けていただくということを義務付けることとしたいと考えております。したがいまして、錯誤捕獲があった場合であっても、発見次第、直ちに設置者に連絡を行って解放ができるというふうにしたいと思います。  それから、個々のわなの扱いでございます。  今、橋本委員からはとらばさみ、くくりわなについてお話がございましたけれども、まず、これ両方ともでございますけれども、今後の作業でございますが、私どもとしては構造の改良ということを是非考えたいと思っております。  特にお話ございましたくくりわなで申しますと、例えば、掛かったとしても食い込んでアキレス腱が切れたりしないような形で、線の径といいますか、線径を太くするとか、あるいはストッパーであるところ以上は食い込まないとか、そういった構造規制ということを是非考えたいというふうに思います。  それから、とらばさみでございますけれどもとらばさみにつきましては現在は内径が十二センチ以上のとらばさみは使えないとか、のこぎりの歯の形をしたものは使えないとしておりますけれども、当然ながらその構造についても考えていきたいと、そんなふうに考えております。
  17. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 分かりました。  囲いわな、また、はこわなというんですか、そういったものは大変コストが掛かり、それと違ってとらばさみやくくりわなというのはやはり、すぐにでもといいますか、取り付けやすいというようなことから、そういう被害も増えているわけなんですけれども捕獲された鳥獣自然界で生きていけないほど傷を付けられてしまう形が多いようですので、特にこのとらばさみについてはその使用を各都道府県の知事の判断に任せるのではなくて、今後もやはり国としてしっかりとその利用状況問題把握に取り組んでいただいて、管理等もしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  次に、この改正案では、わな設置者の明示の義務化、そして違法に設置されたわな司法警察員による積極的な撤去について規定をしており、この点は高く評価をしたいというふうに思うんですけれどもわなというのは当然分からないように仕掛けるものでありますので、こういったものがちょっと山に入ったペットですとか又は遊んでいる子供たち被害というのも大変な問題になっているんですけれども、このような心配の声についてはどのような取組をされていますか。
  18. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 先ほど、済みません、私、ちょっと若干答弁不足してしまいましたが、特にとらばさみでございますけれども、もちろんとらばさみ、くくりわな通じて錯誤捕獲があった場合には、その後自然界で生きていけないようにはしたくないものですから、そういう意味構造規制というものを考えてまいりますし、特にそのうちのとらばさみにつきましては、登録狩猟における使用禁止ということも是非考えていきたいと、そんなふうに考えております。それから、もちろんこれについては都道府県任せでなくて、私ども実態調査実態把握どもきちんとやってまいります。  それから、今お話ございました、見えないように隠して設置するわけであって、子供たちがけがするんじゃないかということでございますが、これにつきましては、私ども今回の改正捕獲許可を受けてわな使用する場合についても氏名表示等を行ってもらうということを義務付けたいと思っておりますけれども、この場合、そうしますと、狩猟であれ捕獲許可であれきちんとした標識を付けていただくと。これにつきましては、まずわな自身は分からないようにやるにしましても、標識自身は分かりやすい場所表示を義務付けようと思っております。  そうして、その標識でございますけれども、原則としてその一つの文字が一センチ角以上ということで考えておりますので、そうしますとかなり大きな標識ということ、全体としまして一文字が一センチ角以上ですからかなり大きな標識になると思います。十五文字とか二十文字とか入りますのでかなり大きくなりますので、そういう意味では見やすい標識ということで、それをよく見える場所に掲示してもらうということでかなり対応ができるというふうに考えておるところでございます。もちろん、この場合も違法に名札を隠してやる人がいることもございますし、名札を付けない場合もあると思います。それにつきましては、各警察とも連絡を取りましてそういったことのないような対応をしていきたいと考えております。
  19. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 是非そういったこともしっかりと現状を把握していただいて、取組をしていただきたいというふうに思います。  農業被害への対応についてお伺いをしたいんですけれども、農業関係者わなを用いた鳥獣捕獲を適切にできるように、改正案におきまして網・わな猟免許網猟免許及びわな猟免許に区分することとしておりますけれども、免許を区分することで取得しやすくなるという趣旨であれば、網猟免許わな猟免許の取得の際に支払う税金を、半々にするわけですからこれを二分の一ずつにしてもいいんではないかなというふうに思いますが、その点についていかがお考えですか。
  20. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 今回の区分を分けるということに従いまして、私ども当然ながら現在地方税でございます狩猟税の扱いについても検討をしたいと思います。  ただ、これ自身都道府県における鳥獣保護及び狩猟適正化についての財源確保を目的とした地方税でございます。私ども当然ながら是非下げたいと思っておりますけれども、いずれにしてもこれ税制改正要望になりますので、それに向けてこれからしっかりと検討していきたいと思います。
  21. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 税制改正ということでありますけれども、先ほどから狩猟者の人口が減っているというようなこともあり、そういうようなことも考えると、やはりこれは二つの免許に分かれたわけでありますので、税制、財政的な面というようなことから難しい問題もあるのかもしれませんけれども、これは是非、我々政治家の方も一生懸命に取り組んでいきたいというふうに思いますので、是非そういった税制面についてはしっかりと前向きに取り組んでいただければというふうに思いますので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。  これまで鳥獣害が発生すると、その駆除を狩猟者に依頼することで対応してきました。確かに現状では、高齢者が多くなった山間部などでは、繰り返しクマが出てきてしまうような場合、駆除しなければ害が防げないということでありますけれども、森林の荒廃又は農業や林業への被害の防除、そのような補助など、鳥獣保護管理という意味においては、本当にこの管理を徹底する根本的な政策の改善、それが必要でありますし、何よりもそういったことに携わる人材の育成というのが早急にやっていただかなければいけないものだというふうに思いますけれども、これから、今後その鳥獣保護員の充実に向けて、全体的な国の取組というんですね、そういうようなことは大臣はどのようにこれから取り組んでいかれるんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  22. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) 今御指摘がございました鳥獣保護員でございますけれども鳥獣保護員は、密猟の取締りのほか鳥獣保護区の管理であるとか鳥獣に関する調査などの業務に従事するということで、都道府県の非常勤職員となっているわけでございます。  この鳥獣保護員については、農業関係者や自治体などに対して、地域における、地域それぞれもう生態系も違っておりますし問題も違っているということから、鳥獣保護管理に関する助言をその地域地域で行うということでございまして、今後更に高度な専門的な知見を要する業務も求められているということだと思います。  ですから、今回、この制度改正をさせていただきますけれども鳥獣保護員の選任それから配置の在り方、例えばこれまで一市町村一人ということですが、市町村合併などもあって、その辺の人員の確保が大丈夫なのかということなども配置の在り方を見直しというところに含まれるわけでございますが、いずれにせよ、これを国の基本指針に位置付けることといたしております。  この新たな基本指針に基づいて、鳥獣保護員制度というのがこれまで以上に機能するように、都道府県等に対して国として助言を行ってまいりたいと、このように考えております。
  23. 橋本聖子君(橋本聖子)

    橋本聖子君 大変ありがとうございます。  やはりこの自然破壊というものがこのような状況になってきているんだと思います。動物の気持ちは全く変わらないと思うんですね、有害にされるのか、重宝されるのかということで。そういったことについては、やはり自然環境というものが正に大切なんだということを改めて今感じるわけでありますので、是非そういった人材育成に努めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。  質問を終わります。
  24. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 大石正光でございます。  小池環境大臣が病気から治られて、こうして元気でお姿を拝見するわけで、大変うれしく思っているわけでありますが、私は、まずその前に、是非環境省に対して一言申し上げたいと思います。  大臣が一か月間休まれたわけでありますから、あらゆる法律がなかなか動かない、そういう意味において、一体秘書課は、大臣の健康管理を何をやっていたんでしょうか。一般から見て私は、役所の責任というものはまずそこが第一だと思うんですね。そして、今、副大臣政務官お話しされましたけれども、副大臣政務官の役割って何なんでしょうか。ひとつ是非、副大臣からお答えいただきたい。突然で申し訳ありませんが。
  25. 副大臣(江田康幸君)(江田康幸)

    ○副大臣江田康幸君) 先生から副大臣の役割ということで御質問を受けましたが、先日の国環研法の採決の審議におきましても、大臣の急病等において、その大臣の代行を行うという職務を、職命を持っているわけでございますので、そのように全責任を持って回答をし、また審議も進ませていただいたところでございます。  私としては、大臣の命を受けて大臣の代行を常にする覚悟でございます。
  26. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 副大臣、そういうお話であればごく一般論だと私は思うわけであります。  私も沖北の特別委員会の筆頭理事をしておりますから、小池大臣も担当大臣で、よく二つの委員会でお会いをいたします。私は昔、政務次官をしておりました。しかし、当時は大臣に一人か二人しか政務次官付かなかった。今は副大臣政務官が更にいるわけですね。そして、特に二つの大臣を掛け持ちされている大臣でありますから、当然忙しいことは分かっていらっしゃる。  しかし、副大臣が今おっしゃった言葉の中で、いろいろおやりになるけれども、その前に原点が何かあるんじゃないですか。副大臣政務官大臣の補佐をするということが前提じゃありませんか。その補佐をするのは、まず大臣の健康管理をきちっとさせる、そのことがまず原点と私は思うんです。そのことをきちっとしなければ、いかに副大臣が能力があったって、大臣がいなければしょせんは仕事は中途半端で少なくなってしまう。その原点を忘れずに、是非大臣の健康を考えながら仕事をやっていただきたい。そのことを、役所と含めて御要望をさせていただきたいと思います。  鳥獣保護法の改正案について御質問するわけでありますが、岡崎理事がいろいろ御質問するのと橋本理事がお話ししたのとかなりダブっているわけであります。しかし、私は、平成十四年、衆議院の環境委員長をしておりまして、この鳥獣保護法の改正案を私は携わった者の一人であります。ですから、そのことを踏まえて、ダブっての御質問になるかもしれませんけれどもお話をさせていただきたいと思います。  その当時、平成十四年でありました。当時は川口環境大臣でたしかあったと思います。南川さんも、局長も当時いらっしゃったわけで、今の役職ではなかったわけでありますが、そのときにも、一九九九年ですか、数年前の改正案に対して、それをするんだということで法律が出されました。一体、その前々回に改正された法律が前回に見直しをするといったときに一体どういう目的でやられたんでしょうか、当時。
  27. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 前々回、これ十一年でございました。そして前回が十四年でございましたが、まず中身だけ申しますと、十四年改正におきましては、十一年の改正時の附帯決議ございました、それを受けまして、水辺域における指定猟法禁止区域制度の導入による鉛製の散弾銃の使用の制限、あるいは山野への捕獲した鳥獣の放置の禁止、さらに目的規定に生物多様性の確保を入れるということを行いましたが、国会審議、これは衆参問わずでございますが、その中で、いかにしても当時の鳥獣保護法というのは片仮名法で読みづらいという指摘ございました。それで、大石当時の委員長からも是非読みやすくしろということもあったように記憶しております。私、当時は官房総務課長をしておりましたけれども、そういうこともございまして平仮名法にするという、ある意味では私どもとしてはかなりの手間の掛かる作業も伴って改正をしたというふうに記憶をしております。
  28. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 確かに、片仮名を平仮名に直すということや、散弾銃の鉛を、鳥の被害と、さらにその鳥を食べる人間が被害をするということで、鉛の弾を改正して見直しをするということは確かにやりました。  その次に、二〇〇二年に改正をしたときに、当然附帯決議が付いてまいりました。例えば、くくりわなとか、さらに、ここに法律がありますけれどもとらばさみ等に対する法定器具を除外することについて検討することとか、猟友会のいろんな免許とかその在り方、様々のものがあったわけでありますけれども、この附帯決議が今回の改正までの間に一体具体的にどれまで実施されたり今回の法律に織り込まれたんでしょうか。その辺をちょっとお答えいただきたいと思います。
  29. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 私ども、まず十四年の改正の附帯決議を深刻に受け止めております。  そして、例えばその中で、有害鳥獣目的と偽った申請によって捕獲したものを例えば実験動物として譲渡したときの対応ということもございまして、捕獲申請の際には捕獲後の処置について記述をするように申請の形を改正しております。  さらに、移入種、外来種についての強い御指摘ございました。これを受けて、平成十七年には特定外来生物の対策法というものを定めております。  そのほか、当然ながら、御指摘のとおり、わなの問題についても指摘ございました。私ども、今徐々に検討はいたしております。今回の法改正を検討する際にも併せて検討いたしておりまして、その中で、構造規制の強化を含めて今後行っていきたいということで考えております。  ただ、全体として申しますと、国会の議論の中で三年置きの、どういうわけか三年置きに見直すということになっておりまして、二回それが続いております。三年といいますのは非常につらいところもございまして、やっぱりデータが必要でございますけれども、施行して一年して、それから県、市町村から情報を集めて整理するのに更に一年掛かりますので、その情報が一年分だけでも入るのに二年掛かってしまうと。また、その数少ない情報で次の法改正をにらんで検討するというのもかなりつらいものがございます。ただ、その中であえてできることは少しでも忠実にやろうということでやっておりますし、また今回の法改正も、前回のそういう附帯決議、それからその附則による見直し規定というものも受けて、私どもとしてはできる範囲で一生懸命取り組んでおるところでございます。
  30. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 今局長お話で、三年というのは大変短過ぎるというお話をされました。私もずっと議員活動をしてまいりましたけれども、各委員会でいろんな法律改正や様々なことをやったときに、役所は必ず三年という区切りを付けます。もっともっと、四年、五年やればいいじゃないかと言うけれども、いや、三年やってみて見直しをします、検討しますというのが、これが今まで聞いてきた中で全部その話でありました。今局長の話が、三年では短いという話を聞いたときに、初めてでありまして、是非、今度は三年という区切りじゃなくて、四年、五年の中できちっと政策が実現できるようにやってもらえれば有り難いなと、そんな感じがしているわけです。  実は、ここに一九九九年に附帯決議があった内容、さらにここには二〇〇二年に附帯決議があった内容、こういう資料を実は読ませていただきました。一体附帯決議というのは何なんでしょうか。法律改正できなくてその見直しがなかなかできないときに、その次の見直しまでにこういうことをやりたいといって附帯決議を付けて、そして全会一致で必ずやってくるのが大体の今までの慣例でありました。しかし、その附帯決議がどうなったかという質問を多くの議員がしていたことを余り聞いたことないんですね。  私は、附帯決議というのは簡単にまとめればいいということではなくて、それを実際に次の法律の中に織り込むために私やるのが附帯決議だと思う。それがなおざりになって、ただ附帯決議をすればそれでいいという形になっているような気がしてならないわけでありまして、そういう意味においては、この三年後の見直しの一九九九年とさらに二〇〇二年、さらにこの二〇〇六年の見直しの中で、私はただ形だけのおざなりの附帯決議になっているということ自体、私は当然見直していくべきであると、私はそう思うわけでありますね。  特に、この大きなわなとらばさみやくくりわな、そういう課題の問題で、動物の結局被害、さらに多くの、世界じゅうから非難浴びることが一杯あります。特に、人間がペットとして愛玩動物を盛んに飼って、愛玩にすること自体おかしいではないかという世界的な世論も一杯あるわけでありますね。そして、人的な被害がある場合に、私は、何回もこの附帯決議、とらばさみを禁止するべきだと、そして道具に対してそれをきちっとはっきり表示するべきだという話が何回も出ながら、相変わらずいつまでも同じ繰り返しをやっている。私は、こういうことがやっぱりきちっと見直していく、それがやっぱり役所の立場であり、実際に前進する大きな原因だと思うわけでありますけれども是非、そういう意味において、大臣、この辺は附帯決議というものの考え方をもう少し一歩踏み込んで前向きにやるべきではないかと思いますが、大臣はいかにお考えでございますか。
  31. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) 附帯決議は、それぞれ委員会において、委員の皆様がその法律案に関してこういった部分について今後法律改正した後も努力してほしいというような希望などを盛り込まれるものと考えます。時には法律そのものよりも附帯決議の方が長くなったりするようなときもございますけれども、いろんな思いが込められて附帯決議というものが決まるわけでございます。  今局長の方から御報告もさせていただきましたけれども、それぞれのこの関係、今回のこの法律案改正に当たりまして、附帯決議、これまでの附帯決議でありました項目についてはそれぞれ達成できるように努力もしてまいったところでございますし、またそのほか、附帯決議の内容について、そのほかの指摘事項についても基本指針の見直しなどについては可能な範囲でも対応してまいりたいと、このように考えているところでございます。  附帯決議の意味は、それは委員のお考えのとおり大きい意味を成すものだと考えております。
  32. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 今回の鳥獣法の二〇〇六年の改正案の中で、ちょっとある論文を実は読ませていただきました。この論文には、このように最初書いてあります。  野生鳥獣は、自然環境を構成する重要な要素の一つであり、自然環境を豊かにしていると同時に、国民の生活環境を良好にする上で掛け替えのない存在であると。そして、それが、地域的に鳥獣が減少するということは、人と鳥獣のかかわり方が大きく課題として残っているんだという話を実はされているのがありました。  そして、今回の法律改正の中には大きな課題がありますけれども、しかし、前回の二〇〇二年の法律改正したときにありました、狩猟免許に係る障害者の欠格条項の見直しが主眼だったとなっておるわけでありますが、今回の法律改正の中では、これらの課題をきちっと踏まえた中で是非とも前向きで是非やっていただきたいと同時に、さらには今回、一番大事なことは、鳥獣法の抜本的見直しを含め残された課題が多いと思うけれども、NGOと十分な連携の下に適切に実際に見直しをしていくということが原点であると、実はこの論文に書かれているわけであります。  私は、皆様方が役所としてやる範囲というのは非常に限られている。しかし、それにはさらにNGOやNPOや、さらに多くの猟友会の人たちの手助けがあってそれぞれ成るわけでありまして、先ほど橋本議員がおっしゃったクマの課題、これはやはり人間とクマとのかかわりや人間と鳥や動物のかかわりの問題が大きく変わってきているということに、もう一回見直しをしていかなきゃならないと私は思うわけであります。  特に、数年前に西日本でクマが出て、老人がいろいろ被害があったり、子供が被害があった。そして、一体なぜ西日本にそんなに多いんだろうか、我々が住んでいる東日本にはそんなに大きく起きないのに、何でそうなっているのかといって、実はクマの専門家に話を聞きに行ったことがありました。  そのときに、実は東日本と西日本の違いが大きくあると。それは、人間が自然の山の中にどんどんと、西日本は動物の聖域の中に踏み込んでどんどん開発をし過ぎている、そのためにクマと人間との間の緩衝地帯が非常に少なくなって、結局は遭遇する機会が非常に多いんだという話でありました。一方、東日本は、やはりクマ動物が生息する地域と人間の地域の緩衝地帯が非常に広いから、そういう意味においては意外と接触する機会が少ないんでそういう部分がなくなるんだという話がされたわけであります。そう考えたときに、これからの鳥獣法の中での、やはり人間とのかかわりを考えて、やはりそういう大きな分野の中で私は基本的な見直しをしていっていただきたいと、そのように考えているわけであります。  そういう意味において、野生鳥獣の生息地である森林や里山等の維持、保全を進めるという前回の採択をされた決議案があるわけでありますけれども、この辺は一体どのように見直しをされたんでしょうか。
  33. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 前回、大石委員御指摘のとおり、そういった採択がございました。私どもそれを踏まえまして、一つには、やはり鳥獣保護区というものを増やしたいということで努めてまいりまして、国の指定の鳥獣保護区で四万三千ヘクタール、都道府県の指定鳥獣保護区で二万七千ヘクタール、それぞれを増加させまして、鳥獣の生息地の保全を進めております。  それから、特に里山ということに着目いたしまして、私ども平成十六年からでございますけれども、NPO、住民あるいは専門家と連携しまして、鳥獣を始め多くの野生生物がはぐくまれております里地里山というものの保全事業を一部で、モデルでございますけれども、始めております。是非こうした鳥獣を守る、また保護する、またその生息地域である里地里山の保全、再生を図るといったことを総合的に進めていきたいと考えております。
  34. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 いろいろ法律の問題に関しては岡崎理事がこれから御質問されると思いますので、岡崎理事に是非やっていただきたいと思いまして、実は別な話題を出したいと思います。  皆様のお手元に写真が三枚実はあるわけであります。これは、先日、軽井沢の猿騒動という問題がNHKのテレビに出て、私は現地に行って、実際に役場とそれから猟友会の皆さんの話を聞いてまいりました。そして、その中で、実は具体的にどうなのかということを実は伺ってまいったわけであります。  皆さんのお手元に、こういう写真、大臣のところにもあるわけでありますが、三枚の写真があります。これは、二月とこの四月にそれぞれNPOの皆さんが撮った写真であります。この写真は、実は歩道橋を渡っている猿であります。すなわち、皆さん軽井沢に行かれて分かっていると思いますけれども、旧軽井沢から中軽井沢に行くとき、新幹線の横に道路が、国道十七号線が走っております。それを真ん中辺から結局、南の軽井沢地域、要するに新幹線を飛び越えて南の中軽井沢の方に行くというか、南軽井沢に行く道路に歩道橋があるわけであります。その歩道橋を猿が渡って南の地域に移動しようとしている写真であります。  もう一つの二つは、実は軽井沢銀座の中で猿が電線で遊んだり結局銀座通りを渡っている写真であり、これは猿が家にたむろして、この辺にいろんな、昼寝をしたり、さらにはここでふんをしたり、そういう被害をしている写真でありまして、その辺をちょっと実は皆さんに見ていただきたいと思ったわけであります。これはNPOの皆さんが撮ってきた写真でありまして、そういう面で実はあるわけであります。  役場に聞いていろいろと話をしてまいりました。この猿がグループで山から下りてきたのが約二年ほど前であるそうであります。しかし、猿の被害は十年前からずっと起きてきたというのが役場の話でありました。そして、その担当者が言うには、九十八頭の猿がそれぞれ集中的に一つの家にいてふん公害や様々な問題の被害を及ぼしているんで、住民から、大変な被害があるということでありました。  じゃ、なぜそういう原因があるんだろうかという話を聞いたわけでありますが、それは人間が持っている食べ物、えさとかそういうものや、ごみからそれをあさって食べるんだという話で、住民の皆様方にいろんなパンフレットを配って、是非とも喚起を呼び起こして、ごみはちゃんと捨ててください、そしてさらに、そういう動物が食べないように、こういうようなパンフレットをそれぞれ住民に配ったり、さらには、別荘地の皆様方に、大体六月になると一年に一回、別荘地を所有されている住民の皆様の自宅に直接送って喚起を呼び起こしているというんですね。なるほどそういうことですかといってお話を聞きました。そして、猟友会の皆さん方に猿の監視を毎日していただいていると。さらには、脅かして猿を一生懸命来ないように、適当な猿を年間十頭ぐらい殺しをしてもらっているという話でありました。そして、三頭の猿に発信器を付けて猿を追っ掛けていくということで実は話を聞いたわけであります。  さらに、クマイノシシが出てくるんで、この被害も、当然ごみ箱をきちっと、そういうものが壊されないような鉄のごみ箱や、そういうことにして努力をしているという話で、実は、なるほどそのとおりかなと思って話を聞いておりました。  その後、実はこの野生動物監視隊というNPOの皆さん、一、二年間毎日猿を追っ掛けて、その猿があっちこっち行かないように監視をする隊の責任者である寺山さんという方にお会いをして、実際猿がどう動いているのか、現場を実際に行って見ました。ちょうど軽井沢から中軽井沢に入る地域の別荘地でありまして、一生懸命に人たちが猿を追い掛けているんですね。この追い掛けているのを一体何日やっているんですか。毎日三百六十五日、一年間、そして今二年目だというんです。大変ですね。そうですね。ちっちゃな空気銃みたいな鉄砲を持ってだだだっと脅かしている。  私も、実際にその猿のそばに行って写真を撮ったりしました。猿は全然平然として、すぐその目の前を僕らが行っても動こうとしない。そして、平然とえさを食べたり昼寝をしているんですね。猿が一体何の被害を、これだけやってるのかなと、正直言って疑問を感じた。  そして、寺山さんに聞いたときには、特定の人の声だけはびっくりして逃げるというんです。そして、石を持ったり棒を持ってこうやると、脅かすと猿は一瞬こうぱっと構えて、二、三歩さっと逃げてまたそこにいる。そういう皆、猿でありまして、猿は一体本当にどうなのかという感じがしたわけであります。人間と猿の知恵比べみたいなものでありまして、一体猿知恵がいいのか人間がいいのか分からないくらいでありました。  実は、私は、ごみをあさっている猿だろうから、ごみを一生懸命管理をして、このようなパンフレットを一生懸命やればいいんですかねと言ったら、いえ、そうじゃありませんと言うんですね、寺山さんは。ツキノワグマイノシシは一生懸命NPOに頼んでごみを捨てないようにする。しかし、今ここに来ている猿はごみをあさらない猿だというんです。猿でもいろんな種類があるんだそうであります。  そして、その猿はじゃどうやったらやるんですかと言ったら、親分がいて中ボスがいて小ボスがいて、それぞれ親ボスを殺すと中ボスがみんな群れが分散するから親ボスを殺せない。そして、小ボスを殺すんですかと、いや、それも分かりませんというのが役場の話であります。実は、親ボスがどれですかと聞いたら、親ボスいないというんです。えっ、何でいないんですかと言ったら、親ボスがいるのはえさを与えた動物の猿だけなんです、一般の猿は親ボスも小ボスもいない。  そして、もっとおもしろいことは、猿はお互いに合議制で移動するんだそうであります。一頭だけで、親分がこっち行けと言うと、だだだっと一緒に付いていくんではないと。例えば、小さな集団で話をして合意をすると、合議の下に猿が移動していくという話だそうでありまして、我々が一般的に考えた猿の行動とこの軽井沢の九十八頭の猿の行動は違うのかなと、正直言って疑問を感じております。  そして、話を聞けばなるほどなと思ったわけであります。この寺山さん中心の人たちは、三百六十五日毎日二年間やっている。ところが、二年前に要請されたときに、役場からしてくださいといっても何をしてくださいと言われなかった。ただ追い掛けて、結局追い出してくださいと言うだけでありまして、具体的な政策や方針が何もないというんですね。  だから、我々は猿の行動が分からずに毎日毎日追っ掛けていた。ところが、追っ掛けて一年近くたつと猿の行動や考え方が分かってきた。すなわち、ここの猿は決してえさを取らないで草を食べたり、もちろん、例えば銀座通りにある果物屋で、ミカンが大好きだそうでありまして、ミカンを取ったりする。そして、家にかぎが掛かっていないと、自分で手で開けて家の中に入って、いろんな引き出しを開けてかんきつ類や食べ物を食べて、そして帰るんだそうであります。しかし、ごみは食べない。私行ったときは草を一生懸命ついばんでました。  何でここに来るんでしょうかと話を聞いた。猿は、要するにえさだけを求めて来るわけです。ところが、我々は、そのえさを求めて来る猿を追い出せばいいんだけれども、それを見ている人間は右往左往して、猿を守れと言う人たちと、猿を殺せと言う人たちと、私ども猿怖いからこの辺から追い出してと、人間がまちまちで、人間を説得する方が大変で、猿を説得する方が簡単だという話でありました。何か笑い話のような気持ちで実は話を聞いてきたんですね。  とすると、一体猿の実態って何なんだろうか、そのことをもう一回考えなきゃならないと同時に、私はその寺山さんの行動に対して非常に感心をした。実は、旧軽井沢から中軽井沢の線路の山側に猿が生息をしています。しかし、その猿が線路を越えて南の方の南軽井沢に行ってしまったら範囲が広くて抑え切れない。ですから、我々は南軽井沢に行かないように、できるだけ線路から山側に一生懸命抑えている。そして、山側もできるだけ中軽井沢から旧軽井沢に押しやって、そして将来はそれを山に押し返すというんですね。  そして、まだこの猿はえさを取るということしか学習をしていない。すなわち、猿が果物屋からミカンや何かを盗むのはわずか二、三頭で、それ以外はしてないというんです。そして、彼らがごみをあさることをしないように、学習しないようにできるだけやっていきたい、そしてそれを送り返す。  そして、役場の話では、毎年十頭ぐらい殺しているという。ところが、彼らも殺しているけど、特定の猿を殺しているんじゃないというんですね。不特定多数の猿を殺しているから、その猿が悪いことをしたか悪いことをしないか分からない。だけれども十頭ぐらい殺すというんですね。しかし、それと同時に、大体十五、六頭毎年子供が生まれるけれども、大体十頭ぐらい自動車事故で死んでいるんだそうであります。ですから、個体数は大きくならないというのが話であります。  そう考えたときに、我々人間が、猿の行動や、そして役場がそういう猟友会に要請するときに、一体我々は何の勉強をしてきたんだろうかということを考えて、やはりそういう猿の行動や、そういう専門家や、そういう人たちをもっともっと増やさなきゃならないと、そのように実は感じたんですけれども局長、今の話を聞いてちょっと感じられたことをお話をいただきたいと思います。
  35. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 済みません、最初に役所の建前でお話しさせていただきますと、ニホンザルなどの六種類の鳥獣につきまして、専門家に依頼しまして、ニホンザルの生息分布、被害、あるいは生息環境特性についての情報を収集、分析いたしまして、ニホンザル保護管理被害対策について整理をした上で、私ども特定計画のマニュアルを作っております。  ただ、先ほど御指摘ございましたように、猿というのも地域によって随分違います。特に軽井沢のような猿だと上等なものしか食わないとか、随分違うようでございますし、ごみについても御指摘のとおり、ごみをあさるのはイノシシとかクマが多くて、猿はもうごみはあさらないと。私もお会いした方が、せめて冷蔵庫から持っていくんだったら金を払ってほしいとかなんか言ってましたけれども、かなり違うようでございます。そういう状況でございまして、なかなか一つにくくれないというところが大変猿の場合多いようでございます。  私ども、去年からでございますけれども、猿については特に、随分場所によっても違いますので、その被害状況とか生態に関する知見を深めたいということで、特に専門家の方に勉強会の機会を設けさしていただいて、私どもも三回ほど勉強をしております。また、それ以外に、現場の保護管理に携わる実務者の方にも対象として、専門家をお呼びして講演会をやるということで、そこで意見交換もしていただくということで、特に猿についてはきめ細かな知見の集積、知識の普及というものに努めたいと思っております。
  36. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 是非ひとつそういう方向で努力をしていただきたいと思うわけでありますが、もう少しこのお話をちょっとさしていただければと思います。  実は、寺山さんと一緒に猿が毎日朝行動している行動の道どおりにずっと歩いて実はたどってまいりました。なるほど、猿がこういうふうにやれば渡りやすいだろうな、我々人間から見て、例えば駐車場とか広い空き地のところはできるだけ避けて、例えば木とか屋根とかに伝わって道路を渡っていく、電線を伝わって、できるだけ危険があるような地上に降りないというのがその話でありました。  一つの例として、四月十六日、朝六時から九時四十分、旧軽井沢郵政省宿舎前から始まって、銀座のロータリー、八百屋に十頭、旧軽井沢倶楽部へ、南の人家侵入六頭以上、ふん尿、ミカン、こんなようなことを毎日毎日書いておりまして、ロータリー南からさらにはパウロ教会、一本松に行ったとか、旧軽井沢公民館から万平通りに渡っていった。毎日毎日こうやって、一日、毎日こういう日計を取って彼らは監視をしている。それも朝夕、朝五時から大体九時ごろまでと夕方だそうでありまして、昼間は猿が昼寝をするということでありますね。そして、私はその話の中で、彼が一生懸命言っているように、できるだけ猿を脅かすと、脅かしてここにいることが怖いということを分からして山に送り返すというんですね。  何で一体動物がこういうところに来るんだろうか、えさが欲しくて来るんだろうかというときに、彼はこういう話をしたんです。  実は、動物が山の中でえさを食べているけれども、えさを食べるとき絶えず周りを気にして、危険であるからえさを食べることも大変難しい。ところが、軽井沢のような別荘地に下りてくると敵がいない。安全だから、その安全な場所でえさをたくさん食べる方がより彼らにとっていいんだというんですね。だから、軽井沢の旧地域がえさを食べるときに危険であるということを彼らに教え付ければ、猿は来なくなる。だから、彼らを脅かして、特定な人たちが何人かで、ここはおまえたち来たら危険なんだぞ、えさを食べに来たらおまえたち殺されるんだぞということを学習させて送り返せれば、必ず猿は来なくなるだろう。そうやって人間と猿との共存を図っていくんじゃないかという話をされたときに、猿の政策と言っていいか分かりませんけども、考え方、行政の在り方ももっともっと研究して、やっぱり猿に負けないようなひとつことをしなきゃならないんじゃないかな。正直言って何となく笑い話になるような感じでありますけども、本当にそういう話を実は感じたわけであります。  ツキノワグマは当然えさをあさりに来るということでありますが、またイノシシが盛んに来ている。ところが、イノシシの話を聞いていると、なるほどなと。イノシシはどこに出るかといったら、旧軽井沢の高級別荘地に現れるというんですね。何でそこに現れるんですかと言ったら、高級別荘地は庭がこけで覆われている方が多い。それぞれ別荘を持っている方は、こけを一生懸命生やして自然形態の庭を造っている。ところが、こけの下にミミズが一杯いるんだそうであります。イノシシはミミズを食べに追っ掛けてくる。モグラがミミズを食べるんじゃなくて、イノシシが食べて、鼻で掘っくり返して、ブルドーザーで土が山のようになるくらいあちこちにできているというんですね。  そしてさらに、そういう話を聞いたとき、一体人間と動物のかかわり、人間は結局動物の圏域をどんどん侵して広げていっているわけでありますから、やっぱりそういう意味において、環境省も人間が守るべきルールというものを動物に対してやっぱり作っていくべきだ。この鳥獣保護法であるように、やっぱり動物には動物の世界があり、人間には人間の世界がある。お互いに共生していくためには、やはり一つの線をきちっと我々も引いて、我々も我慢することを我慢するというものを考えていかなければ、私はますます、そういう意味において、希少動物が多くなったり、さらには多くの被害が生まれてくる。そういう問題をもう一回見直しを言ってこそ、初めて鳥獣保護法というものがあって、人間と動物のかかわりが共存できるということに私はなるんじゃないかと思うんですね。  そして、さらに猟友会の話を聞きました。各県ごとに猟友会があって、それぞれ各県ごとに猟友会が一生懸命縄張りをつくって、そして環境省や役場から頼まれて、それぞれ動物の数を減らしたり個体を減らすような、一生懸命やっている。ところが、よく話を聞いてみると、猟友会の人たちが例えば市町村や県から要請されて、その県の中にある猟友会に要望された。彼らは、お金を五十万か六十万、その要望のために、殺してくれという、数多く。ところが、彼らはその金を使ってやってないっていうんですね。彼らはその金は飲み食いに使って、書類だけ出して、実際にこうやりましたと書類を出して、あと何もしていない。  要するに、猟友会の人たちは、親分たちはただ命令をするだけで、報告書を出しているにすぎないというんですよ。ですから、猟友会の在り方も、各県ごとにみんな分かれているけれども、その猟友会の許可制、さらにそういう在り方も当然やっぱり見直しをするべきだという話を実はされたわけであります。  そしてさらに、動物というのはなるほどなと思ったことがもう一つありました。直接にこの鳥獣保護法に関することではないけれども、実は、東北の方はよく分かっていると思いますが、阿武隈川という川があって、福島県と宮城県を境にしている大きな川があります。ところが、その川を境に動物が阿武隈川を渡って北上できないというんですね。イノシシが今北上しようと思っても、結局は阿武隈川の急流を渡ることができずに、今まではイノシシは宮城県に入ることができなかったそうであります。ところが、最近入っているんですね。なぜ入っているかって聞いたら、道路に橋が架かっています。道路に架かっている橋の歩道を、夜にイノシシが橋を渡って宮城県に入っていっている。猿が歩道橋を渡って新幹線を越えたように、人間が利用している部分を動物も利用して、どんどんどんどん移動に利用しているというんです。ですから、追い掛ければ追い掛けるほどそっちの方に逃げていって農業被害が多くなっている。ですから、そういうことを考えて、やっぱりそういう動物に対する様々な課題も是非これからも考えてやっていただきたいなと、そのように思うわけであります。  大分いろんな道にそれてしまいましたけれども、実はこの猿被害、軽井沢だけじゃないんですね。かなり前に日光でも猿被害が出て、実はマスコミで騒がれて、たちまち脚光を浴びてみんな見に行ったそうであります。軽井沢も同じように、今年の連休に実はマスコミが毎日押し掛けてきて、猿はどうなりました、どうなりました。要するに、テレビの舞台に、取材をしたくて役場に毎日あらゆるテレビ局や報道関係から来る。要するに軽井沢銀座に人が一杯来たときに猿はどういう行動をするんだろうかということが一番の話題だそうであります。すなわち、猿を利用して話題としてつくっているのか、それとも一体になっているのか、逆に報道の被害の方がひどいということが実は役所の話でありました。  しかし、この可能性がある大型連休のときに、猿対策を一体環境省はどういうふうに考えるんでしょうか。例えば、役所に対して要望したこと、役所が言ったことと現場のいろんな監視の人たちの意見とかなりの食い違いあります。役場は猿のえさを、ごみを捨てないでおけばその被害が少なくなるという物の考え方であるけど、一方、その駆除をする担当者の皆さんは決してそうじゃないと。結局、ごみじゃなくてその環境の問題で、ごみだけをやれば解決できる問題じゃないと。そういう意見の食い違いがあるわけでありまして、そういう意見の食い違いをよく環境省として、細かいことでありますけれども、意見を聴取して、是非具体的な政策を出して役場や県に指導していただきたいと思うんですが、どうかひとつその辺、局長、いかがでございますか。
  37. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のとおり、特に猿対策に限りませんけれども、この鳥獣対策ということは総合的な対策をよく考える必要があると思います。単に捕獲だけでは全く問題は解決しませんで、猿がえさを食べれるような場所づくりとか、いろんなことを考えて組み合わせるということでございます。したがって、かなり地域によってそこは差が出てくるんだと思います。  私ども、原則的なことは国で方針を示しますし、また新しい知見についても極力多くの方が知るように幅広い広報をしてまいりますけれども、やはりその最後のところでは各地域ごとにしっかりやっていただくと、地域独特の特性を踏まえてやっていただくような連携を図っていきたいと思います。もちろん、広域に移動するものもございます。そういったものについては広域の全体の管理指針を作る、そういった中で各自治体とも国が一緒になって対応していくということで考えております。
  38. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 是非そういう面で環境省としてもきめ細かいやっぱり配慮と、やっぱり動物と人間とのかかわり、そしてまたそれぞれが共生していく、共存していくようなやり方をもう少し具体的な形で、逆に動物はえさを食べるための目的、生きるための目的でありますからそれ以外のことは余り考えないけれども、しかし人間はそれを利用したり愛玩動物にしたり様々なことをやっている。例えば、輸入禁止動物を入れたり、さらにはそういうクマノイを取って売ったり、様々な、人間は利益を上げるためのことばっかり考えているわけですね。是非そういう点でひとつやりたいと同時に、もう一つだけ実はお願いがあります。  今、環境省でやっている、例えば山から出てきたクマや猿や様々な問題、おりで押さえます。おりで押さえて、懲らしめて山に帰してやるという話をよくテレビで見ます。ところが、寺山さんの話は逆なんですね。彼らは人を襲ったりけがさせたり、野菜やそういう畑を荒らしたり果物を取ったりする、そういう動物は既にそういう体験をして、いい体験をしたんですね、彼らに言わせれば。おいしいことを味わったり、怖いけれどもおいしいことなんです。彼らはその学習をした。その学習したものを山に追い返したら、また仲間を連れて出てくることになる。学習した猿やクマが周りの山の奥のクマに対して、猿に対して、おれはこういうことをやっておいしかったぞ、おまえらも行ってみないかと、逆に宣伝広報に使われることになる。ということは、環境省がやっていることは、その悪いことをみんな全国に広めていっているということになっているということなんです。だから、悪いことをしたやつはそこで殺す、絶対ほかの群れに入れさせない、ほかの仲間に学習させないということが大事だというのが現場の声なんです。なるほどなと。  人間も学習したことをみんな友達に教えたり先生になって言っていると同じように、そういう動物も先生になって指導者になっていくということを考えたときに、やっぱり今のそういう在り方をもう一回見直す。それなりに専門家の実際に調べたりなんかする必要はあるでしょうけれども、そういう点をもう少し具体的に考えながら是非ともこれからの政策に利用して、活用して、これからの共存の在り方、そしてそういう被害が出ない方向で是非とも局長には検討いただきたいと思う次第であります。  ちょっと話が同じことになりましたんで、前から言っております動物と人間のかかわりの中で、実は環境省にもいろいろ聞いていただくことがあるわけでありますが、実は一つの実例がアメリカでありました。  それは、かつてアメリカオオカミが家畜、牛や様々の動物を殺すといって、人間が一生懸命鉄砲で撃って殺していきました。そして、結果的には一九四〇年代にはアメリカオオカミはほとんどアメリカにいなくなって、結局なくなりました。ところが、エルクとか更に大きな動物がどんどんどんどん増えてくることによって、その被害が増えてきた。そうなったときにアメリカは、もう一回生態系を見直す意味で、絶滅種がなくなった場合に全体での生態系のバランスを壊すことになる、だから生態系のバランスをもう一回取り戻して、そしてアメリカオオカミも当然入れていくべきじゃないかという話の実験がなったわけであります。そして、実際にアメリカのオオカミの再導入に対してはアメリカ全体で大きな話題になり、様々な議論がされて、最終的にそれを実験的に入れることになった。そして、絶滅種の中でカナダまで行ってアメリカオオカミの血統に近い種を持ってきて、それをわざわざ育成して、そしてそのえさにはエルクとかそういう死んだ動物のえさを食べさせながら、そういうものの学習をさせて実際に放したという話があるわけであります。  このことに対して、アメリカはもう既にそういう猟銃による動物の殺しは一切しなくなったということで、そういうバランスを取っている。その代わり、またオオカミが家畜類を襲う被害が多少は出るだろうということはある。しかし、それはNPOが中心になって被害の賠償をするということで行われているという話を聞いて、いつか資料をいただいたわけでありますけれども、このことを前からもう南川局長お話をしたことがあったと思いますが、委員会でこういう御質問をするのは初めてであります。  この点、環境省はどのように見られてて、そういうことを検討する前向きな考えがあるんでしょうか、ないんでしょうか。その辺、日本の実情も分かりませんから、その辺をちょっと御意見をいただきたいと思います。
  39. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、イエローストーンでございます。  私、実はイエローストーンは行ったことないんですが、まず全体としまして非常に大きな、日本でいうと山梨県が三つぐらい入る大国立公園でございまして、これが、一八七二年でございますから南北戦争の直後でございます、そのときに恐らく世界最初だと思いますけれども、世界初の国立公園ということになったわけでございます。  委員御指摘のとおり、九五年から九六年にかけましてカナダから三十一頭のオオカミを再導入をしておりまして、現在私ども把握している限りでは百七十頭前後に増加をしておるということで承知をしております。また、この生態系を元の自然に任せるということでは徹底しておりまして、その国立公園内で自然発生した山火事については消火活動も行わないということで、あくまで公園を原生自然に最も近い状態で回復させるということを徹底されております。  私ども、非常に見習う点多いと思います。自然再生法でも、やはり自然というのは人が力でもって変えた部分については極力戻していこうということでございます。広さからいきまして、なかなかイエローストーンのようなことはすぐできませんけれども、少しでも自然に近い状態に復元できるところはしていきたいということで、少しずつではございますけれども、自然再生法の活用も含めて、こういった手法を勉強しながら日本でも導入していきたい、導入を検討したいと考えております。
  40. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 実際に、資料の中でいろいろ読んでおりますと、大体今局長がおっしゃったような頭数が増えてきたということでありまして、実際にほかの公園にも広がっているようでありますけれども、NGOのいろんな話によりますと、実際に基金を募って決めて、補償額は二百九十三の牧場で三十五万七千ドル、三千九百万円。牛が三百九十七頭、羊が千一頭ほどの補償を行っているということでありました。  実は、この話をテレビで見て、環境省にもこういう資料がないかというお話をしたと同時に、日本でもこういう問題の絶滅種をもう一回起こしていったらどうだろうかと。特に、尾瀬にもシカが出てきてみたり、様々な面で、猟銃駆除でシカを殺したり、様々な問題で、結局猟友会に依存しなければ生態の保存やバランスが取れないということを考えたときに、やっぱりこういう実験もやってみるべきことがあるんじゃないか。特に、何人かの方に伺うと、日本でも何か所か実験できる環境場所があるという話を聞いたわけでありますけれども局長はそういう話を聞いたことはありませんでしょうか。
  41. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) オオカミにつきましては、残念ながら私自身は耳にしたことはございません。  ただし、生態系を元に戻すのは非常に関心を持っておりまして、例えばトキについては、近い将来にまた自然に放すということも是非したいと思っておりまして、全体として、もちろん人とのあつれきございます。特にオオカミですと人が襲われるというようなこともございまして、大変な議論があると思いますので、今オオカミについて特に考えてはおりませんけれども、トキを始めとして、できるだけ自然に戻すということについては努力をしていきたいと思います。  申し訳ございませんが、オオカミについての情報については余り詳しいものはございません。
  42. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 ニホンオオカミもやはり絶滅危惧種だと言われておりまして、実際にはまだ残っているのかどうかよく分かりませんけれども、アメリカがやったような一つの実験ではありますけれども生態系のバランスを取る意味で、やっぱり一部でもやってみる価値はあるんではないかと私は思うわけでありまして、それを今ここでどうこうされてもお答えようがないと思いますので、是非そういう点を含めて、トキとかそういう鳥だけじゃなくて、やっぱり動物に対してもそういう面で前向きでひとつ検討して、一つの実験をやってみる必要があると思いますので、その辺は是非検討していただきたいなと、そのように思うわけであります。  この鳥獣保護法の様々な問題の中で、鳥獣保護法以外でも、まだまだカバーできない部分の様々な法律が一杯あるようであります。そして、この鳥獣保護法の中で一つの枠外かもしれませんが、ラムサール指定湿地に対する鳥獣保護対応というものもかなりあるようであります。  この辺も、それぞれの附帯決議の中でも多少な形で課題として残っているわけでありますけれども、そのことに対して是非とも御検討いただきたいと同時に、これからの水の保全に対しても前向きで考えていただきたいということでありますが、是非その辺について、先日も局長お話を申し上げましたけれども、伊豆沼の様々な水の排水の問題、そしてそれに対する被害の問題、そのことをもう一度私は質問したいと思います。  前回局長は、温泉の水を流したら、その被害が現実に分からないから実際に被害が出てから検討したいという考え方だと私はこの間伺いました。しかし、環境庁ができたときに、最初にできたのは、被害のおそれがある、可能性があるからそれを守るんだというのが私は環境庁の姿勢だと、初めからそう、もう固定観念で持っておりました。ところが、局長はそうではない、まるっきり逆の反対側の立場で発言をされたわけでありますけれども、その発言に対して今でも同じような考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
  43. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 私自身の意図したところを正確に発言できなかったかもしれませんけれども、私自身はあくまで未然防止というのが原則だと考えております。  ただ、伊豆沼自身は残念ながらかなり水質が悪くなっておると。これ、今の温泉云々の問題を別にして、現実にかなり悪くなってきております。今のところ、それによって特に鳥が影響を受けているということはないんでございますけれども、やはりラムサール条約の最初の日本の指定湿地でございますし、是非その水質、それから周辺環境含めて守っていきたいという気持ちに全く変わりはございません。
  44. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 実は、この温泉の問題でラムサール議連の皆さんお話をしたときに、こういう話をされた。いや、そういう規制をすることによって、これからラムサール指定地がもっともっと多く指定することが難しくなるんじゃないかという話をある方がされました。私はそうじゃないと思うんですね。  この間も、国土交通省のいろんな勉強会の中で話を聞いて、環境を守って自然を増していくという自然再生推進法のやったような形で、国土交通省、前向きで非常に進んでいる。その中で、その自然の保全とさらに開発という問題のかかわりの中で、私は、開発をすればするほど手を抜くことができなくなる、だから開発というのはある範囲で止めるべきだと。そして、ヨーロッパやアメリカがやっている、自然は自然のままに残していくという、そういう物の考え方を取り入れて、その最低限我々が守らなきゃならない一線を整備をして、それ以外は我々はそこに入らずにそれを自然に守るべきだと。そして、自然のままであって、その自然を我々が見ることによってより自然を楽しむということが私はこれから必要だと言って国土交通省の役人にお話をしたら、その方向で我々はいろんな勉強会や審議会をやっているというんですね。  ところが、環境省の姿勢は逆なような感じがしてならないわけであります。確かに伊豆沼のように、汚染、水が汚れているからそれを何とか考えなきゃならない。鳥がふんや尿が一杯出てヘドロでどろどろになっているからそれをしゅんせつしなきゃならないのかどうなのか。昔の環境庁は、自然は自然のままで、沼がどんどんどんどん浅くなっていってもそのまま自然のままでいくというのが私は環境庁だと昔思っていた。しかし、周りの人たちは、しゅんせつをしてやはりその水質を戻すべきだという考え方もある。それは両方があってしかるべきだと思うけれども、しかし、そのうち、環境省は基本的にこうですよという基本的な考えがあって初めて、その周りがじゃそれに対してどうするかということが私は決まると思う。その基本が環境省がどういうことなのか、それがいつもあいまいで基本がぶれているからこそ、結局マスコミや国民に振り回されて環境省が右往左往することも私は多いと思うんです。  ですから、環境省が一体どういう方針でこれから行政をやっていくのか。例えば、ラムサール指定地の部分は最低これは守らなきゃならないこと、そして動物保護にはこれを基本的にしなきゃならないこと、どんな分野でも必ずある。その基本方針をきちっと国民に提示をして、国民はこれは守ってください、これ以外は各県や市町村の、それだけで調整をしてそれを変えていいですよ、しかしこれは変えられませんというものがあって私はしかるべきだと思う。それがないことが、環境省がいつも振り回されている最大の原因だと私はいつも常々言ってきたんですね。そして、今いろいろこういう話をした中で、様々な各方面から、各問題からを提案をしてまいりました。そのことに対して後で大臣にお伺いをしますけれども局長、その考え方、どういうふうに思いますか。
  45. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 若干私見に入る部分もありますけれども、お許しいただきたいと思いますけれども。  やはり、ラムサール条約に指定するような重要な湿地でございます。国際的にも、その環境を守って鳥獣がすみやすいようにするんだということで約束をした上で登録をするわけでございます。そういう意味では極めて重く受け止めております。  後の考え方でございますけれども、非常に長い時間で見ればだんだん環境は変わってまいりますし、特に湿地の環境というのは移り変わるわけでございますけれども、やはり現状で見ますと、どちらかというと、非常に長い期間を掛けて自然の中で自然生態系が変わっていくということよりも、やはり人の活動なりそういったことによっての影響の方が大きいというような印象を受けておりまして、やはりそうであれば、当然ながらその影響を除くような形で、一部の地域についてしゅんせつをすることも含めて、やはり言ってみればそういった工事なども必要だと思います。  言ってみますれば、人の開発行為がなければどうであるかということを一つ念頭に置きながら自然を守っていくと、鳥獣の生息環境を守っていくということが大事なのかなと思っております。
  46. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 確かに、伊豆沼と今回指定された蕪栗沼というのは全然環境が違いますね。  局長にも前にお話をしたように、蕪栗沼は元々遊水地として使われてた沼で、それが結局は、渡り鳥条約の中で、その周辺のえさをついばむ場所、農地も含めた感じでラムサールの指定地ができると法が改正されたために蕪栗沼が指定されました。蕪栗沼は半分は陸地化して砂がたまっています。ですから、その目的を考えた場合には、それをしゅんせつをして沼地を広げてやる、そして遊水地として活用してやるということが必要だということが前提であったわけであります。それが地元を説得する最大のポイントでありました。それは局長にもお話しし、大臣にもお話をし、それが具体的になりました。  それはいいけれども、しかし、私は、今さっき局長が言った中で、やっぱり自然は自然のままで残す、外部からの環境は変わってもそのまま残していくという姿勢を是非貫いていただきたい。そして、外部からの様々な生活排水や外部の排水をその沼に入れない、閉塞地域の沼には全部、その周辺に下水を使って全部外に流すような仕組みをやりたい、私はそのことを実は考えて、ラムサール議連に皆さんお願いをして、議員立法でそういうことをやろうと今法制局に頼んで資料を作ってもらっております。それができたら、超党派で是非皆さんお願いをしてやりたいと思っているわけであります。是非そのことはいずれまたそういう具体的になったらお願いするとして。  大臣、今までいろいろ鳥獣保護や様々な環境の問題の話をしました。大臣は、これらの課題の中で、さきに私がお話しした基本方針、環境省がこうあるべきであるという、それぞれの分野に基本方針をしっかり立てて、是非とも環境省こうあるんだよと国民に示していただきたいと思うんですが、それを含めて、総括でお声をいただきたいと思います。
  47. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) ありとあらゆることをお話しになられましたので一言でお答えできるかどうか分かりませんが、やはり環境省といたしまして、生態系の保全、そしてそれは、例えば外来生物の対策なども練ってまいりました。そして、今のラムサール条約に関しての水質の保全、これは、この環境委員会で水質汚濁の問題について前回も法改正をしていただきました。  大きな環境保全というその目標、そのツリーの中で、まず環境保全をしていくということが究極の目的、それに必要な個々の法律につきましてこの環境委員会の皆様とともに審議を重ねて、そして環境行政を進めているわけでございます。  今後とも、環境行政を進めるに当たりまして、皆様方の御協力も得ながらしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  48. 大石正光君(大石正光)

    ○大石正光君 ありがとうございました。  これで終わります。
  49. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 続いて、よろしいでしょうか、岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  大変に実際現場の声を聞きながらの大石議員の質問でございました。本当に野生生物と直接向き合って生きておられる方が大勢いらっしゃるわけですけれども、今回の改正は、本当に人と鳥獣とがうまく付き合える、そういう良い関係ができる、そういう改正になっているのかどうなのかというのが大変重要だというふうに思っております。  この鳥獣保護法の前に参考人にもなってくださいました日本獣医畜産大学の羽山助教授が、いろいろなところに書かれておりますけれども、再び野生生物と向き合う世紀になったんだということで、こんな文章を書いていらっしゃいます。  我が国の先人たちは、数千年にわたって野生動物たちと向き合いながら田畑を耕し森を利用してきた。人々の暮らしの視点から考えると、我が国の歴史は獣との闘いの歴史と言っても過言ではなかったはずだ。しかし、十九世紀に至るまで、オオカミを始めとした大型野生生物をただの一頭も滅ぼすことがなかった。この事実は工業先進国にあって希有なことである。それが、明治の開国から二十世紀にかけて、乱獲などによって多くの野生動物を滅ぼしてしまった。さらに、二十世紀後半には未曾有の国土開発が行われて、野生生物たちの生息数が大きく改変された。これは、結果的に二十世紀を野生生物たちと向き合うことのない、言わば幸福な世紀に変えた。しかし、これまで述べてきたように、既にそれは終わりを告げている。今世紀は再び闘いの世紀になろうとしている。ところが、今を生きる私たちの世代は、先人たちが培ってきた野生動物と向き合うための知恵を失ってしまった。  というようなことでありまして、本当に私たちが鳥獣と人とのより良い関係をつくることができるかということで、鳥獣保護法の課題と今回の改正の位置付けについて質問をしていきたいと思います。  七年前、私は環境委員会に所属をしておりまして、この鳥獣保護法の改正にかかわりました。百四十五の国会でございましたが、ここで大変大きな改正が行われました。その際、審議が途中一か月間中断されまして、そしてその後に修正が出され、附則に検討条項が加えられてやっと成立しました。初め、廃案になるのかなというふうに私思ったくらいだったんですけれども、この改正案が、三年を目途として施行条項を検討して必要な措置を講じるという修正を経てやっと成立したわけなんですが、そのとき実は民主党も反対だったんですね。共産党さんも二院クラブも自由連合も反対をしたわけなんです。  三年後に当然これは抜本改正をする、そういうふうに私たちは受け取っておりましたんですが、その三年後の百五十四国会のときには、そのときの改正、そのときはこの七年前の附則に付けられたものに基づく改正ではなかったわけなんです。そこで、私はこの改正というものが附則の検討条項に基づくものでなかったと実は思っているんですけれども、先ほど、大石正光さんの質問に対して、見直し規定を受けてできるだけやってきたという答弁をなさっていらっしゃいました。  そこで、できるだけで実は十分できなかったというのは一体何か、この附則事項に基づいてできたのかどうかについて、もう一度お伺いしておきたいと思います。
  50. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 私ども平成十一年の改正でございます。このときは真鍋大臣の御指導を受けながらその作業を行ったわけでございます。大変な議論があったことは私も承知をしております。それで、途中いろいろございましたけれども制定をさせていただいて、その際に、施行後三年を目途に見直すということが入ったというふうに承知をしております。当然ながら、環境省全体といたしまして、この経緯を今重く受け止めております。  その中で幾つか、附帯決議、さらに国会の議論の中での宿題がございましたが、一つ重かったのは、やはり文語体では分からないということが何回も言われました。これ自身は、私も当時一部関係しておりましてその作業も一緒にやりましたけれども、まずは片仮名書きを、文語体を直すのは大変な作業でございまして、これだけで数人の職員がもう実は一年近く掛かってしまいました。  まず内容として何も足さない何も引かないというのが前提にあって、まず文語体から口語体に直すんですけれども、それも単に直すだけじゃなくて、今の行政法なりの体系下でその順番を入れ替えるとかいうことも作業をいたしまして、それで実は一年近い時間を相当の職員が食ったということはまず事実でございます。ただ、おかげさまで非常に鳥獣保護法の議論がしやすくなったということは評価されております。  もちろんその際に、できる範囲で附帯決議などを受けて見直したいということで、幾つかの、先ほども申しましたけれども、水鳥の鉛中毒対応とか、捕って捕獲した後のシカなどの投棄を行わないとか、そういったことは可能な範囲で行ったつもりでございます。  もちろん、まだ、例えばわなの問題等、幾つか宿題がございます。これについては、この法改正が通していただければその後に、くくりわななりとらばさみなりも含めた対策を取っていきたいと、そんなふうに考えておりまして、やれる範囲ではやっておりますけれども、調整も含めて時間が掛かるものについては着実に対応していきたいと、誠実に対応したいと考えております。
  51. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 あのときの修正案なんですけれども趣旨説明の中で提案者は見直しの内容としてこういうふうに説明しているんですね。生態系の維持回復、また自然と人間との共生の確保、こういう観点から、審議を踏まえた上での必要なあらゆる措置、必要なことはやっていくということだ、こうおっしゃって、具体的には計画策定の指針、それからマニュアルの変更の技術的なこと、法令の改正の検討、予算措置の充実、組織、人員等の体制整備等を含む。正に、この三年後に抜本改正を行うから今回は賛成してください、こういうふうな趣旨だったというふうに思うんです。  そして、七年たって今回の改正ということになるんですけれども、やっぱり私は全般見て、それに見合うものではなかったというふうに大変疑問に思っているわけなんです。国会が求めた改正環境省が思っている改正の考え方においては大変な隔たりがあるというふうに思います。  例えば、百四十五国会のときのは、これは国土・環境委員会と言っていましたが、附帯決議で、「野生鳥獣保護を一層明確にした法制度、鳥獣による農林業者の被害救済措置、公的機関が主導する捕獲体制の強化、野生鳥獣保護管理のための国と地方の責務の一層の明確化」、こういう問題について「早急に検討を行うこと。」、これが百四十五です。百五十四国会では、「生物多様性の確保に向けての担保措置の整備充実を図るとともに、野生生物保護の法体系の見直しについて検討を行う」という、こういう附帯決議が付けられておりますけれども、この中の、附帯決議の「野生鳥獣保護を一層明確にした法制度」、百四十五ですね、それから百五十四の「野生生物保護の法体系の見直し」、これは大変重要なところなので、ここの部分についての検討状況がどうなっているのか。それから、予算措置の充実と、組織、人員の整備、体制についてはどうなっているのか。この二つ、お聞かせいただきたいと思います。
  52. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、法体系の問題でございます。  私ども、実は、これは野生生物全体を対象とした法体系を整備すべきだということについては、もう相当以前から私もいろんな方から是非考えろという御指摘受けております。これは、岡崎委員から御指摘ございましたように、十一年、十四年、続けて附帯決議でも御指摘受けておりますし、私どもも大変重く受け止めております。  ただ、私どもとしての全体の考え方でございますけれども、いろんな制度がございます。そもそも三十年前は鳥獣保護法しかなかったわけでございますけれども、その後、種の保全法を作ったりとか、それからまた遺伝子絡みのカルタヘナ関係の条約を受けた法律を作ると、それから特定外来生物関係の対策の法律を作るということで、いろんな体系で野生生物を幅広く保護できるようにということで、いろんな問題が起きないような形でできるだけ幅広い体系の法整備の努力はしてまいったつもりでございます。  問題は、その上で、じゃそれを一回全部チャラにして野生生物法みたいなものでやるのがいいかどうかについてはかなりいろんな議論があると思います。やはり日本の場合ですと、法体系を作るときにまず既にあるものが優先をしますので、それを全部チャラにしたときに、じゃ果たして思ったとおり十全の、非常に万全の生態系保護制度ができるかどうかとか含めて、かなり事前に広範な検討をしませんとなかなかそこに、いきなりそこに立ち上がるのは難しいと思います。  したがいまして、私どもとしましては、いろいろ御指摘を受けて、野生生物全般に保護制度の漏れがないような形で対応していくということで、悪く言えば必要な部分を継ぎはぎ継ぎはぎかもしれませんけれども覆っていって、全体的に野生生物の保護をカバーしているというふうにしていきたいというふうに今は考えておるところでございます。
  53. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 それでは、もちろん人材、組織、予算、こういうものについては余り十分じゃないということでしょうか。
  54. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) ちょっと済みません、失念してしまい申し訳ございません。  まず、人の問題でございますけれども、おかげさまで、十七年でございますけれども、やっと地方支分部局できました。そこで、鳥獣保護関係を含めた自然保護関係の職員をかなり配置することができました。そして、現場における国指定鳥獣保護区の管理、あるいは希少鳥獣保護という、特に国の事務について、しっかり対応できるように今しております。  また、アクティブ・レンジャーということで、職員だけでは手が足りないところございますので、それにつきまして、それらを全国に配置しまして、利用者指導とか調査研究ども行っておるところでございます。  それから、予算につきましても、平成十四年の改正以降でございますけれども、少しずつ拡充をしておりまして、全体的には、今平成十八年度の予算としまして二十億一千百万ということで、全体が非常に厳しい中で、少しずつでございますけれども充実をしてきているというのが現状でございます。
  55. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 まず、法整備でありますけれども、大体その程度の考え方なんだなということで大変がっかりしたわけなんですけれども、でも南川局長自然環境局長でいらして、おっしゃっていることは大変重いものだというふうに思うんですね。  実は、前の二〇〇二年、二〇〇四年のときの自然環境局長が検討会を作りまして、これは二十一世紀の鳥獣保護の制度、これを見据えた画期的な第一歩となる、そういう検討会を作りましたけれども、この検討会はどのように位置付けられているのかということについてお聞きしたいと思います。同じような位置の方の、二〇〇二年から二〇〇四年のですね、大変重要な指摘があって、そして見るべきものがたくさんあって、私たちも大変期待をいたしました。この検討会の結果というのは、今回の改正案にはどのように反映されているのかお聞きしておきたいと思います。
  56. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 岡崎委員御指摘のとおり、野生鳥獣保護管理検討会、大変メンバーも充実をしておりますし、各界から参加いただいております。大変その意見重うございます。私ども、これにつきましては平成十一年の改正時の附則を念頭に置いて、自然環境局長の下に、十四年一月からでございますけれども、設置をいたしました。そこで制度全体の課題と対応の方向について検討をいただいております。そして、おおむね三年検討いただきました。そして、平成十六年十二月に報告書をまとめております。  今回の改正案のベースになりました中央環境審議会の答申の取りまとめにつきましても、この検討会の報告書の内容というものが相当な重みを持って、踏まえて議論が行われております。もちろん、その報告書で指摘を受けた中で今回の中環審の議論の中でもまとまり切らなかった部分ございます。これについては、特に部会長メモということで、こういう部分についてまだまだ宿題が残っておるということは特に私どもも注意喚起をいただいたところでございまして、御存じのとおり、私どもの努力不足かもしれませんけれども、まだ宿題が残っておるということは深く認識をしております。
  57. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 この検討会の中で大変必要性が強調されたのが専門家の育成だったんですが、先ほどのことにちょっと戻りますけれども地方事務所においては鳥獣担当者というのは増えたのかということについてちょっとお聞きしたいのと、この専門家の育成ということについてはどのように進めていかれるんでしょうか。
  58. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、地方事務所でございますけれども地方事務所の正職員の中で自然保護関係に携わる者は二百四十六名、今おります。鳥獣についても私どもとしては増やしておると、増やしているという認識を持っておるところでございます。  それから、人の育成の問題でございますが、これは環境省、それから地方公共団体、さらに民間と、いろいろございます。当然ながら、私どもが一生懸命いろんな方を招いて勉強するのは当然でございます。例えば、先ほど岡崎委員から御指摘ございました羽山先生でございますけれども、これは大石先生の御指摘にございました猿の勉強会ということで羽山先生に来ていただきまして、二時間ほどいろいろなお話伺いました。大変興味深いお話を伺って勉強になっておりますけれども、こういった方にも来ていただきまして、地方公共団体の職員、私どもも含めて勉強する機会、よく持っております。それから、当然地方公共団体とは研修の機会を多々持っておりまして、現場での研修も含めて頻繁に研修会を行っておるところでございます。平成の十年辺りからやっております。  それから民間でございますけれども、相当この分野でのいろんな民間団体増えてまいりました。例えば軽井沢で活動していますピッキオとか、あるいは川崎にある何とか、ちょっと私、名前ど忘れしましたけれども鳥獣の関係の専門家の事務所とか出てまいりました。もちろん彼らは、ある意味では私どもよりも深い知見を持っている方が多うございます。そういった方については、育成というよりもむしろ我々がいろいろそのお話を伺うというようなことで全体的な底上げを図っていきたいというふうに考えております。
  59. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 局長のおっしゃられたことが私は重要でないとは思っておりませんが、私がお聞きしたいことを全部外してお答えになっていらっしゃるんですね。  というのは、この検討の報告、どういうふうになっているかといいますと、この専門家の育成に関しまして、人材育成については、資格制度をきちんとしなさいと、鳥獣保護管理の知識や技術を有する者であることを証明できる仕組みをつくるんだということですね。それから、行政機関における配置については、行政の担当部局において科学的・計画的保護管理についての専門的な知識を有する者が望ましい点について明らかにしていくということで、これはもう本当に資格制度をきちっとつくってというので、ちょっとこれ外されたんですけれども、この点についてはいかがなんでしょうか。
  60. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 資格の問題とか、それから特定のそういう管理をできるような団体を法定化するというような御指摘がございました。ございましたけれども、今私ども法律を考えるときに、一つは、なかなか国で資格をつくるということが大変ハードルが高うございます。それから、国でまた特定の団体を指定して、その団体が全体の管理をするようなことを認定するということも、実はかなり今全体として難しい問題がございます。  私どもとしては、例えば民間資格の問題とか含めて考えたいと思っておりまして、今、岡崎委員の御指摘については当然宿題として残っておるというふうには認識をしますし、近い将来解決をしなきゃいけない問題だという気持ちは持っております。
  61. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 前向きの御答弁というふうに受け取りましたので、是非これは推し進めていただきたいと要望をしておきたいと思います。  百五十四国会の改正では、第一条の目的改正されました。生物多様性の確保という文言が盛り込まれたわけなんですが、当時の、福山委員長、ちょうど委員でいらっしゃいまして、質問をされておりました。それに対しての自然環境局長が、法律目的に生物多様性の確保をきちっと位置付けたということですが、まだ古い体制の制度を引きずっているため、いろんな改正点はあろうかと思う、生物多様性確保に向けた施策と法制度の見直し、両方ですね、こういうことも今後考えていく必要があろうかと思っているというふうな答弁をされているんですが、この生物多様性の確保が加えられたことに伴う法改正、整備、施策、それはどのようになっておりますか。
  62. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、生物多様性でございますが、世界的に非常に今言葉として普及しておると思いますし、施策としても着実に世界規模で進んでいると思います。  ちょっと私、コメントを、申し訳ないんですけれども、三月の終わりに生物多様性条約の世界会議がございまして、私、参加してまいりましたけれども、どの国も二〇一〇年の生物多様性確保の目的に向けて非常に活発に取り組んでおられます。私、たまたま一緒になったチャドとかシエラレオネとか、地図を後で見ないと分からなかったような国もたくさんお会いしましたけれども、どの国も本当に食うか食わずかの生活をしている方が多い中で、例えば自分の国では国立公園をこんなにつくったとか、守ろうとしているとかいうことを随分聞きまして、随分勇気付けられた気持ちになりました。それだけ、その生物多様性という言葉が世界的にも内容として重きを成してきていると思います。  そういう中で、幸いに十四年の改正で、目的の中で、生物多様性の確保ということが加わったわけでございます。私ども、国内的にも、当然ながら鳥獣保護区の拡充とかそういうこともございますし、また積極的にラムサール条約の指定湿地を進めていくということもございます。また、制度としましても、遺伝子組換えの生物等の使用の規制による生物の多様性の確保に関する法律とか、あるいは外来生物法、そういったものも作ってまいりました。それらによって少しずつではございますけれども、多様性の確保に向けた努力をしております。  また、今回の改正でございますけれども、今回の改正の中で、鳥獣保護区の保全事業といったことも是非進めたいと考えております。私どもはポンチ絵によく使いますけれども、千葉県の習志野では、せっかくつくった谷津干潟、守るようにした谷津干潟が、結局のところ水が汚くなって従前に比べてシギ、チドリの数が半減してしまったというようなことで、ラムサール条約に指定して特別保護地域に指定したにもかかわらず非常に逆に環境が悪くなってしまっているというようなところでは、藻を取り除くとか、そういう地道なことでございますけれども、そういう保全事業もしたいと思っておりますし、それもやはり根っこにあるのは生物多様性の確保だということでございます。  いろんな事業それから制度、それからそれ以外のことも、普及啓蒙ございますけれども、いろんな制度、システムを相互に補完させて何とか生物の多様性について日本もきちんと動いていると、世界のリーダーシップ、リーダーと言えるほどの動きをしているというふうに是非していきたいと考えております。
  63. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 是非、その観点で進めていただきたいというふうに思っております。  次に、今回の特徴であります特定鳥獣保護管理計画について、この策定状況について簡単にお知らせいただきたいと思います。
  64. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 現在、特定計画でございますが、全国で七十九の計画が作られております。
  65. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 策定状況の中で、具体的にイノシシ、ニホンジカ、ニホンザル、ニホンカモシカについてすべて数が著しく増加しているということで策定されたものですし、ツキノワグマにつきましては数が著しく減少しているとして策定されたものだということなんですが、これでよろしいか、一つですね。  それから、四国でツキノワグマについて特定鳥獣保護管理計画が作成されていないというのはなぜかということですね。そして、このツキノワグマについて保全のための早急な取組が必要だというふうに思いますけれども、これはどのように認識して取り組んでいらっしゃいますでしょうか。
  66. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、特定計画でございますけれども、委員御指摘のとおり、シカイノシシなどのように地域的に著しく増えたということについても対象にしておりますし、反面、ツキノワグマのように地域的に減少しているという鳥獣対象にしております。御指摘のとおり、西日本あるいは東北を中心に、これは西中国ですね、西中国とか東北を中心にツキノワグマで十の計画があるわけでございます。  それから、もう一つの御指摘の四国でございます。四国においては確かにツキノワグマ対象とした計画は行われておりません。この辺り、押し付けるわけにもいかないわけでございますけれども、私どもが今把握している状況としましては、四国のツキノワグマ自身生息数が十数頭から数十頭ということで、レッドデータブックでも絶滅のおそれのある地域個体群というふうに位置付けられるわけでございます。ツキノワグマの生息につきましては、現在、鳥獣保護区などによって保護をいたしておるところでございます。関係県におきましては、ざっくばらんに申しますと、取りあえずそういった保護施策によって生息地が確保されているということでその特定計画を策定していないのではないかと、そんなふうに今は考えております。
  67. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 ちょっと昨日夜お電話いただいたときには、このツキノワグマについては緑の回廊と鳥獣保護区があるからそれでいいんだというようなことだったんですが、すぐに資料を取り寄せました。そうしましたところ、これはもう緑の回廊、これ、外に出せないというか、渡せないものなんですね。というのは、ここで行動しているというので余り皆さんにお知らせできないものなんですけれども、結局、緑の回廊と鳥獣保護区と外れたところで行動しています。ですから、もっと本当に広く物事を考えなきゃいけないし、広葉樹林をつくっていかなきゃいけないし、そういう観点で実はこの四国のツキノワグマについては考えなきゃいけないというものなんですね。  今それについて全然触れていらっしゃいませんでしたけれども、考え方がちょっと違っていますね。えさ場となるところは本当に広葉樹を増やしていかなきゃいけないという感じですし、なぜか外したところに緑の回廊と鳥獣保護区をつくっているという感じですよ。御存じでしたか。
  68. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 残念ながら承知をしておりません。是非情報を集めて勉強したいと思います。
  69. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 この主要な生息範囲について広さが必要だという観点で取り組んでいただきたいというふうに思っております。  ちょっと戻りますけれども、少なくとも鳥獣保護管理計画、これを策定した鳥獣については、市町村による有害駆除としてではなくて、都道府県による特定鳥獣保護管理計画に基づいて捕獲すべきだというふうに思いますし、この制度が導入される過程で環境省がNGOにそのようにするというふうに説明していたというふうに聞いているんですが、このクマの管理計画の策定した県、あるいは市町村によって駆除された鳥獣の合計数が実はこの計画の目標を上回ってしまったというケースがあるというふうに聞いておりますが、事実ですか。事実であれば、これはどのようにしようとしていらっしゃいますか。
  70. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、御指摘のとおり、都道府県において特定計画を作っていただきます。その上で、都道府県捕獲許可数をコントロールするということでやっておるわけでございます。  ただ、御指摘のとおり、多くが地方自治法に基づきまして知事さんから市町村に対して許可が下りているという現状がございます。その中で、有害鳥獣捕獲許可ということで捕獲許可を出し過ぎているんじゃないかというような御指摘だと思います。  これにつきまして、私どもも今把握に努めたいと思っておりますけれども、まず建前から申しますと、当然ながらでございますけれども特定計画に定められた範囲内で捕獲数を管理していただくということが原則だと思います。そして、私どもでは、その特定計画の着実な実施ということで、それを守るようにということの通知をいたしておるところでございます。法律にも、第九条でございますけれども特定計画に基づく鳥獣の数の調整をするんだということでございますので、それを守る範囲内で、原則として農作物に対する許可も出していただくというのが原則だと思います。  そういう意味で、それを、詳細を今承知しておりませんけれども、そういう原則については是非きちんとこれから徹底していきたいというふうに考えておりますし、幾つか問題があり得るというところにつきましては、例えば狩猟者への狩猟自粛の呼び掛けとか、あるいは翌年度の捕獲上限数の削減とか、極端な場合には法律に基づく捕獲の禁止、制限、そういったことも含めて対応していく必要があるというふうに考えております。
  71. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 二〇〇五年十月から十二月にかけて、野生生物保護法制定をめざす全国ネットワークでアンケート調査を行ったんですが、それによりますと、カモシカ、猿に関して具体的な数値目標を示している県はほとんどなかったということですし、シカイノシシについては実は目標上限超えて一四〇%であったというようなことがございます。是非、この特定計画実施状況としての個体数の調整という問題ではしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。  それから、ここは大変重要な箇所だというふうに私たちも思っておりますけれども、この鳥獣捕獲権限を市町村に丸投げをする、その見返りとして特定計画を作れば特定鳥獣に限って都道府県が計画的に捕獲数を定める権限を持つというのが当初の方針だったわけなんですね。しかし、過去七年間でほとんどこれは有名無実になってしまいました。  せめてこの特定計画がある場合には、この計画に基づいて捕獲をするということについては一本化するか、少なくとも市町村による有害駆除特定計画に連動させるべきだというふうに考えますけれども、この点についてはいかがですか。
  72. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) やはり原則としましては、特定計画ということでそれに重きを置いて、それをその範囲内でやっていただくということを徹底していただきたいと思っております。
  73. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 私どもの手にある九五年の閣議決定、この中でこういうふうにちょっと触れておりますので。生物多様性国家戦略というのを、このときに鳥獣の中で位置付けているわけですね。鳥獣自然環境を構成する重要な要素の一つであって、自然環境を豊かにするものであると同時に、国民生活、生活環境の保全、改善上欠くことのできないものであり、広く国民がその恵みを享受するとともに、長く後世に伝えていくべき国民の共有財産であると、ここが重要だと思うんですけれども共有財産だというふうに言っているわけですね。  それで、ここで、そのためにはたくさんの被害を受けている農家、この被害を見過ごしてよいわけではなく、きちんとした対応が必要になっていくわけなんですけれども、なかなか共存というのでは、先ほどの羽山先生も共存は難しいと言っているわけですね。本当に、人間は人里のところだけれども、山は本当に、鳥獣は山の方にいるので、そのすみ分けというのをきちんとやっていかなきゃならない、共存しなくちゃいけないというふうに一方で言いながら、大変難しいと。  被害を受けたときの農家のコストなんですけれども、これは農家だけに押し付けてはならないというふうに思っているわけなんですが、そこでお聞きしていきたいと思いますけれども、この被害の対策について、駆除の目的をしたものにこの計画はちょっと隔たりがあるんじゃないかというふうに思うんですけれども被害対策のための駆除の目的、これについてちょっとお伺いしておきたいのと、個体数管理促進のための制度という認識が都道府県にあるようですけれども、これは現状についてはどういうふうに評価していらっしゃいますでしょうか。
  74. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のとおり、私どもとしては、あくまで特定計画をしっかり作っていただく、その過程で科学的な調査もしていただきますし、また、住民、NGOも含めた、学者も含めた意見を聞いた上でしっかりしたものにしていただくということで、それで個体数管理をきちんとしていく、保護も図っていくということが原則だと思います。  ただ、一部の地域で農作物被害が著しいという中で、やはり緊急的に、避難的にその許可を出さざるを得ないということもあるようでございます。これにつきましては、非常に残念なことでございますけれども、やはり結果的にそういうことがある場合には狩猟の自粛を呼び掛けるとか、翌年度の捕獲を減らすとか、様々なことで対応していきたいということでございまして、若干のすき間ができるということについては現状では残念ながらあると。それをいかに埋めていくかということを努力したいと思っております。
  75. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 今回のこの特定計画の中の重要な三本柱が生息地の管理と個体数管理と被害対策という、これがバランスよく有効に機能することが大変理想的だというふうに言っておりますけれども、この生息地管理や被害対策が主となる特定計画があってもいいのではないかと考えますが、これについてはどうでしょうか。  それから、数が著しく減っているという鳥獣についてはこの特定計画がもっと策定されるべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  76. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、特定計画の作る目的でございます。  おっしゃるとおり、確かに今はイノシシとかシカについて増え過ぎて困っていると、それを何とか減らしたいということが多うございます。それから、まあちょっとクマは逆でございますけれども、逆に減少を防ぎたいということでございますけれども、いずれにしても数にかなり議論が集中して計画が作られているということは事実でございます。  私ども当然ながら、生息地管理、それから被害防除対策、とても重要だと思っております。個体数管理と同様に重要だと思っておりまして、これからまた今回の法改正も含めまして地方公共団体と様々な議論交換してまいりますけれども、その中で、生息地管理あるいは被害防除対策ということに重きを置いた計画ということもあり得るんだということを十分に話をしていきたいと考えておるところでございます。  それから、済みません、ちょっと失念をしてしまいましたが、済みません、もう一点、ちょっと済みません、失念をしてしまいました。
  77. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 数が著しく減少しているものについてもその特定計画というのをやっていかなければいけないんじゃないかということです。
  78. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 全く御指摘のとおりだと思います。そういった特定計画も作るようにしたいと思います。
  79. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 それをやるためには生息状況のモニタリングというのはもうしっかりとやっていかなきゃいけないんですが、まずこの生息状況をきちんと的確に把握しているのかどうか。それから、科学的な保護管理のためにはモニタリングというのが適切に行われなければならないわけですが、この状況についてはいかがですか。
  80. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) モニタリング、極めて重要でございます。これは、政策立案する上でも、またその行っていることをフォローする上でもとても重要だと思います。  私ども、まず特定計画の中でございますけれども一定の範囲内のその地域の中で、ふん、ふんの塊でございますけれども、そういった数とか、あるいは目撃数といったデータを基に生息頭数や生息密度を推計をしております。これは、特定計画を作るとき、あるいは改正のとき、当然ながらそれが必要でございますので、是非そういう調査が全国的に普及するようにしていきたいと考えております。
  81. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 今、余りにも簡単にすっと行ってしまったんですけれども、現地の大学機関ですとかNGOの皆さんですとか、いろいろな人たちからの情報、きちんと連携ができていなきゃいけない。さっき三本柱のときには言うのを忘れてしまいましたけれども、分権という形になりまして、本当に地域の力を生かすという、各省庁の縦割りでないというところと、それから本当に地域の中の連携ということが物すごく大事なのと、そこで集められたものについてのモニタリングの結果、それをやっぱりフォローアップしてフィードバックしていかなきゃいけないんですが、そこのフィードバックしていく場所、きちんと検討会のところにもう一回戻される、第三者の目のところに戻されるというのが大変重要になってくるわけですけれども、それ、そのようになっていきますか。
  82. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、全体の連携の問題でございます。これは、従来は都道府県地方公共団体でも都道府県が主だったわけでございますが、随分市町村合併等ございまして、市町村が今は実態的にはこの問題取り組むようになっております。そういう意味では、私ども更にウイングを伸ばしまして市町村の情報をいかに集めるかと、また彼らの話をいかに聞くかということが非常に大事になってきております。  それから、モニタリングでございます。モニタリングも、現在で申しますとどうしても特定計画絡みの情報がほとんどでございまして、あとはそれに何倍かを掛けるとかいうようなことをやっているのが現状でございます。  ただ、それ以外にもいろんな研究者の報告もございまして、是非それをまとめる形にしたいと思っております。まとめてそれを第三者機関といいますか多くの方に見れるような、例えばホームページに掲載するとか、そういったことでだれもが情報共有できるようにしていきたいと思っております。
  83. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 この特定計画のマニュアルが今改定中というふうに伺いましたが、どのような観点から見直しを進めていくんでしょうか。  それから、その作業の状況についての中に、前の検討会の報告書の要点の中に、事業者、これは総合保護管理団体、それから市民、NGOの役割が整理されているんですが、実はここのところが一切抜けている。殊にNGO、このところが小委員会の素案では一切触れられていないようになってしまったんですけれども、やはりNGOの参画というのが大変重要だと思いますが、参画は得てやっていこうとされますか。
  84. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のマニュアルでございます。現在、私ども、中央環境審議会の小委員会及び野生鳥獣保護管理検討会の中で評価をしながら見直しを進めたいと思っておるところでございます。  具体的な観点でございますけれども、年次別あるいは地域別の下位計画と申しますか、県一本でなくて個々の市町村なり、そういった野生生物の生態を見た上でのよりきめ細かな計画を作っていく必要があると思っております。それから、調査モニタリング手法もより改善したいと思っておりますし、さらに広域に移動する鳥獣への対応ということについても大変な課題でございます。こういった観点からマニュアルの見直しを進めたいというふうに考えているところでございます。  当然ながら、これにつきましては専門的な知見が要るわけでございますので、それ自身は学識経験者の方々を中心に作業を進めますけれども、私ども、その関係の学会あるいは行政機関、NGO、住民の方、そういった方の意見も十分聞いていきたいというふうに考えております。
  85. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 ヒアリングと参画は違いますので。今のは、局長お話は聞いていくということ、いろんな団体からお話を聞くという段階ですが、参画はそれより一歩前に進むことなんですが、参画はいかがですか、NGOの。
  86. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 私ども、例えば鳥獣のこの関係の小委員会でございますけれども、この中にも、委員会はあくまで学識経験者というくくりでお願いをしておりますが、実際にはそういう野鳥関係のNGOの活動をしておられる方も入っておりまして、肩書がNGOということでなくって学識経験者ということでございますので、そこに何か差別を付けてNGOを外すというようなことは考えておりません。ただ、あくまでこういう審議会をお願いするときは学識経験者ということでお願いをしているということでございます。
  87. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 広い問題で議論し、検討し、そして変えていくということが大事だと思いますので、要望しておきたいと思います。  八十条の在り方なんですが、これ生物多様性の確保という目的がございますが、これ削除を含めた見直しを検討すべきではないかと考えておりますが、この点についていかがでしょうか。
  88. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) この鳥獣保護法の八十条でございます。これは、委員御指摘のとおり、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす鳥獣とかあるいは他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣については本法の対象としないという適用除外の法律でございます。その中で、もちろん全部じゃございませんが、一部ジュゴン等については、数年前でございますけれども、その鳥獣保護対象というふうになったわけでございます。  御指摘のとおり、海生哺乳類の問題についての御意見だというふうに思います。これについては、他の法令に基づいて捕獲の規制などの保護管理が行われているかどうか、そこを十分注意した上で関係機関との連携が必要だと思っております。私ども、別の法律で既に保護管理が行われているものにつきましても、それが環境上必要な場合については調査を行っておりまして、それについて不十分な保護管理上の問題があればきちんと申入れはしていって、環境保全上で支障のないようにしたいと思っております。  ただ、率直に申しますと、どうしても先に制度があってそこで対応している以上は、後から来る制度がなかなか、それを全部整う形にして対応するということはなかなか私ども仕事の流れの中で困難が多うございます。私どもとしては、今できるのは、環境の保全の問題あるものについては一生懸命調査をして、問題が生じないような形の申入れ等を行っていくと、そしてウオッチングもきちんとしていくということかと思います。
  89. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 これの議論しますと多分オーバーしてしまいますので、これは次回に移したいというふうに思っております。  とにかく、環境省のリーダーシップがいかに大事か、それから、分権というふうにいいましても地域の中の連携がいかに大事か、あるいは他の省庁との連携がいかに大事か、縦割りではないという意味で、しっかりとその点取り組んでいただきたいと思いますので、大臣に最後にその決意をお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
  90. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) 今回の法改正というのをかんがみますと、かつてトキが絶滅してしまうということで、今中国との間で協力をいただき、そしてようやく、そのトキの第三世代になるのかな、が今またひなとしてかえってきて、かつては害鳥としてとらえられていたニッポニア・ニッポン、トキでございますけれども、それを今そうやってまた増やしていかなければならない状況がある。そして、また一方では、農産物の被害、直接そこの地域の人々にとっては危険を感じるような、そういったイノシシシカ、そして猿でございますけれども、が町に下りてきて、そしていろんな危害を加える。この両方をどうやってバランスをしていくのかということが一番大きなポイントであろうかと思っております。  また、よくCOP10、COP11というふうについつい地球温暖化の方ばかりの会議が注目されがちではございますけれども、こちらの方の生物多様性ということのCOPも二年置きではございますけれども開かれていて、そして今回、局長出席をしてきたという、ブラジルで出席をしてきたということでございます。  生物多様性ということについては国家戦略として政府一丸となって取り組むものでございますし、今回の鳥獣法改正によりまして、それぞれの地域でそれぞれの地域に合った形で駆除、防除という形で進めていただく、と同時に生態系の保持ということでも進めていく、この辺は非常に微妙なバランス感覚が求められてくるのではないかと思っております。  委員の皆様方の御意見なども今後とも参考にしながら進めてまいりたいと思っておりますし、また午後の審議の方もよろしくお願いしたいと思っております。  以上です。
  91. 岡崎トミ子君(岡崎トミ子)

    岡崎トミ子君 縦割りではなく連携をというふうに申し上げて、実は農林水産省が環境省と一生懸命連携を取りながら、協力し合いながらやっていて、その救済と補償の問題についてお伺いする予定でございましたが、おいでいただきましたのに質問できなかったのを大変申し訳なく思っております。  終わります。
  92. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後三時三十分開会
  93. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、鳥獣保護及び狩猟適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  午前中には橋本、大石、岡崎、三委員の方が、シカクマイノシシ等、猿をも含めまして動物食害について質疑をされたわけでありますけれども、私はその動物から離れて別の動物、カワウの関係、これのいわゆる被害の拡大と、その被害の撲滅に向けてどういう対応が考えられるかということについて、まず環境省お願いでありますけれども、カワウの生息数は一九七〇年代におきましては全国で総数三千羽以下まで減少したと、こういうふうに見られておりまして、レッドデータブックの絶滅危惧に相当すると推定される段階まで落ち込んだと。近年、推定生息数は、各地のコロニーにおける推定数の合計から考えて恐らく五万羽、六万羽、又はそれより多いと言われているわけでありますけれども、全国的な実数、個体数の調査をしたわけでありませんので不明であるわけでありますけれども、この一九七〇年代当時は何ゆえ三千羽以下まで減少したのか、その原因についてはどういうふうにとらえているのか、あるいは現在何ゆえこのように増えてしまったか、その原因、あるいはさらに、適正な個体数をどの程度と考えたらいいのかと、これは極めて難しい話かもしれませんが、どのように見解をお持ちでしょうか。
  95. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) お答えいたします。  御指摘のとおり、七〇年ごろには全国で三千羽以下まで減少したというふうに言われております。関東地方の幾つかの例を調べたわけでございますけれども、やはり開発あるいは公害ということで内湾が埋め立てられた、さらに水質汚濁が進んだ、その結果、主な採食、えさを捕る場所というものがなくなってきたということが大きな原因だというふうに考えておるところでございます。  その後の増加でございますけれども、一つは、何といっても魚を食べるわけでございます。そのためには水質を改善する、川がきれいになるということが重要でございまして、そういった水質改善策が相当取られてきたということが効いております。またもう一つは、全体的に国も地方もこのカワウを守ろうという機運が盛り上がりまして、例えば愛知県の美浜町では鵜の山繁殖地というものを指定しまして、集団営巣地の管理を行ってきたと、こういう例が幾つかございます。こういった様々な努力によりまして増えてきたということでございまして、現状では、正確な数字はございませんけれども、加藤委員から御指摘ございましたように、五万から六万ということで、場合によればこれ以上いるというふうに言われているところでございます。  どの程度がいいのかなかなか正確な数は言い難いわけでございますけれども、全体としまして、漁場あるいはため池における内水面漁業の被害をいかに減らしていくかという観点から個体数管理を行っていくということで考えておりまして、例えばねぐらとか集団営巣地の所在地を分析し、また個体数の時期的変化、あるいは被害場所というものを明らかにしまして、その中で、さっき申しましたような被害をいかに減らすかという観点からの管理をしていくと。その後に全体の数というものが出てくるんではないかというふうに考えております。
  96. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 内水面漁業の話が出ましたけれども、アユのいわゆる食害が非常に深刻であるという話なんですけれども、内水面漁業の漁獲量は、一九七八年には十三万八千百八十五トンと最も多かった。二〇〇〇年には七万七百五十五トンということで五一%まで激減しているという話でありまして、日本野鳥の会の調査によりますと、やはりこの被害に遭う魚種としてはアユが最も多かったと。そして、どういう動物がそういう食害ということになっているかというと、今も取り上げておりますようにカワウの話でありますけれども環境省と水産庁に質問なんですけれども、こういうカワウの被害に対してどのように取り組んでいるのか、あるいは予算措置を含めてどういう対応策を今後とも考えていかれるのか、この辺についてお願いをいたします。
  97. 副大臣(江田康幸君)(江田康幸)

    ○副大臣江田康幸君) 加藤先生がカワウ対策に大変熱心に取り組んでおられることは有り難いことでございます。  カワウが特に内水面漁業に深刻な被害を及ぼしておりまして、各地の漁協等が対策に苦慮していることは十分承知しておるところでございます。  環境省としまして、これまでもカワウの適切な管理のために、被害防除対策、個体数管理、生息環境管理等に関する技術マニュアルの作成や都道府県担当者の研修実施してまいりました。また、カワウは広域的に移動することから、環境省では現在、関東地域で漁協や自然保護団体も加わった十都県から成る広域協議会を昨年度設立しまして、広域的な保護管理のための指針を策定し、これに基づき一斉追い払いを実施しているところでございます。また、中部、近畿でも広域協議会の設立に向けて準備を進めているところです。さらに、このような協議会におきまして策定しました広域的な保護管理の指針を、今回の改正を受けまして、今後、鳥獣法第三条に基づく国の基本指針に位置付けたいと考えておりまして、これにより、より適切な保護管理が図られるものと考えております。  これらの施策を推進するため、本年度に約七千六百万円の予算を計上しております。もちろんこれはカワウのみではございません。この内数となります。今後ともこれらの施策を通じまして、内水面漁業被害への対策に資するカワウの適切な保護管理に努めてまいりたいと思います。
  98. 政府参考人(井貫晴介君)(井貫晴介)

    政府参考人井貫晴介君) 水産庁からお答えいたします。  カワウによりまして、内水面におきましては、アユなどの水産資源食害各地で深刻化してきております。こういうことから、水産庁といたしましても、カワウに捕食されにくい、食べられにくいアユの放流手法の開発など漁業被害防止のための調査研究を行うとともに、漁業団体等が行いますカワウの追い払いなどの防除対策、捕獲、駆除等に対して助成をしているところであります。  ちなみに、本年度交付予定が四千六百万円ほどになってございます。
  99. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 環境省から今広域的な対応を含めての話がありましたけれども、カワウのねぐら、コロニーからの追い出しに当たりましては、浜離宮がやっているようなそういう、いわゆる問題となった場所から完全に追い出して新たなねぐらや営巣場所を作らせる、そういったケースの場合と、あるいは行徳鳥獣保護区の場合のように、カワウの生息を許容しつつも問題が起こらないように、あるいは大きくならないようにねぐらや営巣場所の制限などを行うケース、そういった二つ大きく言えば言えるんではないかなと思いますけれども。  浜離宮のケースの場合は営巣地が分散したとのことでありますが、カワウの一日の行動は長距離にわたる場合は五十キロメーター程度離れたところまで食を探し求めていくというふうに言われているわけでありまして、さらに、衛星による追跡によりますと、数日間で数百キロ離れた霞ケ浦から浜名湖まで往復したという、そういう報告もあるわけでありまして、地域限定的に、あるいは広域的に取り扱うという話なんですけれども、その辺がなかなか私は思ったほど効果があるのかなと前々から非常に心配している、懸念しているところでありまして、本当にそういったことから内水面の漁業の食害を防ぐことができるのかどうなのか、こういった心配を強くしておりますので、この辺についての御見解をよろしくお願いしたいと思います。
  100. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) コロニー自体をどう扱うか、大変難しい問題でございます。  コロニーからの追い払いというのは、うまく実施しませんとかえってコロニーが分散するということで、分散したところでまたカワウが増えるということになります。したがいまして、現在私ども考えておりますのは、コロニーからの追い払いといいますよりは、むしろ内水面漁業への食害をいかに防ぐかということで考えております。  例えば、これ十四年度の調査でございますけれども、関東地域五十か所のねぐらについて調べますと、各々の個体の数が夏は沿岸部に多い、冬は内陸部に多いということでございまして、最も食害の多い春に内陸部から沿岸部に移るわけでございます。したがって、これをある程度早くしてやれば被害がぐっと減るだろうというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、私ども保護管理指針に基づきまして一斉追い払いというものをやっております。これは具体的には、今年は四月の十九日から四月二十八日まで、あしたまででございますけれども、関東地方で一斉追い払いをやっておりまして、ロケット花火とか空砲とか石を投げたりとか、そういったことを含めて、非常に原始的な方法も含めて今追い払いをやっております。追い払いをやっておりまして、これで何とか春における内陸部から沿岸部への移動を十日でも二週間でも早めれば、それでちょうどアユの稚魚を放流する時期を避けられるということで考えておりまして、是非その成果を得たいと思っております。もちろんこれは効果の検証が必要でございまして、連休が終わりましたら効果の検証に取り掛かりたいと思っております。
  101. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 大変な努力しているということはよく分かりますけれども、追い払ってもまた戻ってくるんではないかなと、そういう心配も一つしております。是非食害が拡大しないように最大限の努力をしていただきたいと思います。  次に、環境省に同じく質問ですけれども、青森県あるいは埼玉県、千葉県、大阪府、大分県などの県作成のレッドデータブック、それには、先ほど相当激減したということで絶滅危惧に相当するという話を申し上げたわけでありますけれども、今言った県においてはカワウが希少鳥類として登録されていると。  現状を考えますと、何でもどんどん殺鳥処分せいということを私は言っているわけじゃありませんが、環境省が考えている、こういった何とか食害が拡大しないように考えていることと若干ずれがあるんでないかなという、そんなふうにとらえているわけでありますけれども、この辺についてはどのようにお考えですか。
  102. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず環境省でございますが、当然ながら、全国各地情報を収集して、科学データを基に専門家に御意見をお伺いしてレッドデータブックを作っております。したがいまして、カワウについては載っておりません。ただ、都道府県におかれましては独自の評価基準あるいは独自のデータで作成しております関係から、一部の県でカワウが希少鳥獣になっております。  これでございますが、都道府県、いろいろな判断でやられると思います。自主的に行動されることについて、それ自身とやかく言うべきではないと思いますけれども、それがきちっとした知見がやや不足した形で行われるのであればいろいろ問題を生じがちだと、生じる可能性があると考えておりまして、私どもとしては、カワウだけではございませんけれども、カワウなど話題になっている鳥獣につきましてはその生息状況の正確なデータをできるだけ早く都道府県や市町村にもお伝えをして、そしてそれを踏まえた上でその都道府県がどう判断するかサジェスチョンをしていきたいというふうに考えております。
  103. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 効果的なサジェスチョンを是非よろしくお願いしたいと思います。  私はカワウの食害について今質問しているわけなんですけれども、こういう問題と同時に、別の観点からも実は大事な問題が私はあるように思っておりまして、もちろんこれは生物を保護していくという視点からのことで、一方では保護ではなくて何とか適正処理ということで、適正な規模を求めているという私の話になるわけでありますけれども、多少そこは非常に私も判断の中で難しいなと思ってございます。  そこで、国土交通省にちょっとお願いでありますけれども、いわゆる量的拡大、開発基調のそういういわゆる全国総合開発計画から、いわゆる成熟社会にふさわしい質的な向上を図るという意味で国土計画を転換すると、そういった意味では、昨年の通常国会だったでしょうか、国土形成計画法というのを成立したということになるわけでありますけれども、その中で全国計画を策定に向けて今一生懸命やっているというふうに聞いております。  それで、計画の策定に当たりましては、やはり湿地生態系の消失と生物多様性の喪失、これは日本に生息する野生動植物の二千六百六十三種が絶滅のおそれがあるという、そういう認識を持っているというふうに伺っているわけでありますが、それもまた重要課題として取り上げていると。  私、ラムサール条約湿地の維持、保存についてどのように位置付けるか、この全国計画の中にですね、それは非常に大事なことではないかととらえておりますけれども、この辺についての見解を示していただきたいと思います。
  104. 政府参考人(小神正志君)(小神正志)

    政府参考人(小神正志君) お答え申し上げます。  今、加藤委員からお話ございましたように、私ども、現在は国土形成計画の策定作業を国土審議会においてテーマごとに専門委員会をつくっていただきまして議論を進めているところでございます。  今、ラムサール条約に関連して湿地の維持、保存についてどういうふうにこの全国計画に位置付けていくのかというお尋ねでございますけれども、この計画の策定作業でございますけれども、今申し上げましたように審議会の専門委員会で今議論しておりまして、今年の秋ごろに中間的な取りまとめをいただいた上で、来年の中ごろを目標に作業を進めているところでございます。  したがいまして、湿地の維持、保存について具体的に全国計画にどう位置付けるかという点につきましては、現段階では明確にはお答えできませんけれども、私どもといたしましても、自然環境と人間の活動の調和、あるいは自然との共生、こういった事柄を進めることが持続可能な国土の形成をしていく上で極めて重要な課題、必須の課題だという認識は持っておりますので、そういった視点に立って今後十分検討してまいりたいと考えております。
  105. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 これの前の段階の全国総合開発計画の中でもラムサール条約について触れているわけでありまして、今の言った検討ということは、そういったことをも踏まえながらそういう方向性で積極的にやっていくという、そういう理解をしましたけれども、それでよろしいですか。
  106. 政府参考人(小神正志君)(小神正志)

    政府参考人(小神正志君) 今御指摘ございましたように、現在の全総計画、二十一世紀の国土のグランドデザインという計画がございます。この中にラムサール条約についての記述もございます。  もちろん、今ここで直ちにそういう判断をすることが難しいんですけれども、少なくとも、私ども今の取組の意欲としては、現在の全総計画より後退するということは全く考えてなくて、より進むという理解をしていただければと考えております。
  107. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 積極的な答弁、ありがとうございます。  それでは次に、環境省お願いでありますけれども法律上、我が国において生物多様性を盛り込んだのは生物多様性条約を受けた環境基本法、この第十四条で触れているわけでありますけれども、その後二〇〇二年の七月に、いわゆる鳥獣保護法の改正で第一条のいわゆる目的条項の中に生物の多様性の確保が加わったわけでありますが、言うまでもなく、生物多様性というのは我々人類の生存基盤としても重要でありますし、多くの生物や生息環境が健全な状態で保存されること、あるいは遺伝子、種、生態系の各レベルで多様性が確保されていることが必要であるとされているわけでありますけれども、この国土形成計画の策定の上で生物多様性をどのように確保しようと考えているのか、お伺いしたいと思います。お願いします。
  108. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) 国土形成計画については、先ほど来から国交省の方からの御答弁もあったかと思いますが、現在、国土審議会で策定のための審議が進められているところでございます。そして、この国土形成計画でありますけれども環境基本計画と調和が保たれたものでなければならないと、このようなこととされておりまして、環境省と国交省と連携して検討を行っているところであります。  環境基本計画ですが、今後の環境政策の展開方向として重視すべきことの一つに、環境保全上の観点から、持続可能な国土、自然の形成ということを掲げているわけでございまして、今、加藤前、前々になっちゃうんですかね、元副大臣からも御指摘ありましたけれども、生物多様性保全のために生息・生育空間のつながり、そして適切な配置が確保された生態系ネットワークを構築するような視点を持った国土づくりの重要性をここで述べているものでございます。  いずれにしましても、国土形成計画の策定に当たっては、こうした視点がしっかりと生かされるように、国交省と環境省、しっかりと連携を取って進めてまいりたいと考えております。
  109. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 それでは、林野庁にお尋ねしますけれども、林業の衰退とともに森林の荒廃が叫ばれて久しいわけでありますけれども、森にすみづらくなった小動物、それが里山にすみ着くようになったというふうに一部では言われているわけでありますけれども、そういった観点からも、いわゆる生物多様性の関係も含めまして赤谷プロジェクトというのが始まっているわけでありますけれども、その中では、生物多様性の復元と持続的な地域社会づくりを目指して、いわゆる関東森林管理局と赤谷プロジェクト地域協議会、あるいはさらに日本自然保護協会が協働して取り組んでいるわけでありますけれども、いわゆる国有林に、赤谷の森の十キロメーター四方を対象にして様々な先進的なプロジェクトをやっていると。そういった意味では非常に全国的にも例を見ないようなプロジェクトの中身ではないかなと、そんなふうにとらえております。  それで、人工林から天然林への取組や生物多様性の保全に向けた人工林施業など、幾つかの取組が挙げられているわけでありますけれども、いわゆる間伐などの地道な森林施業への取組によって、やはり一ヘクタールの森を元気にすることが第一歩であるというふうに私は考えているわけでありますけれども、やはり事業の継続に当たっては、森林の活性化と経営環境の整備、地域協議会との強力な連携という、そういうふれあいセンターのリーダーシップこそが非常に息の長い事業継続をやっていく上でポイントになるんではないかなと、そう思いますけれども、こういった面について、林野庁のこれからの更なる拡大といいますか、積極的な姿勢について、その辺について決意を含めてお願いしたいと思います。
  110. 政府参考人(梶谷辰哉君)(梶谷辰哉)

    政府参考人(梶谷辰哉君) 赤谷プロジェクトにつきましては、先生御指摘のとおり、国有林野の管理、経営に当たりまして、生物多様性の保全と持続可能な地域社会づくりを目指して、関東森林管理局、地域住民による赤谷プロジェクト地域協議会、日本自然保護協会とが協力関係を築いて取り組んでいるものであります。  具体的には、森林施業を通じて人工林から天然林への誘導、動植物のモニタリング調査、小中学生を対象とする森林環境教育などを行っているところでありまして、林野庁といたしましては、今後ともこのプロジェクトが円滑にしっかり推進されるように積極的に取り組んでまいる考えであります。
  111. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 それでは、環境省に。  二〇〇五年の十一月に尾瀬はいわゆる国際的に重要な湿地であるとしてラムサール条約に新規登録されたわけでありますけれども、私も近辺まで、尾瀬の近辺まで行ってまいりましたが、日本の国立公園のモデルケースとしては非常に関心が持たれているわけでありまして、行政や民間の多くの関係者の努力もありまして、ごみ持ち帰り運動やマイカー規制の関係、あるいは植生保護、復元事業など、先進的な取組が行われてきている。そういった意味では数ある国立公園の中でも特筆すべきものではないかなととらえておりますけれども。  また、標高が一千六百六十メートルの尾瀬沼や、あるいは一千四百メートルの尾瀬ケ原は本州最大の高層湿原でありますし、国立公園の中でも多様で美しい自然と希少な生態系を有しておりまして、そういった意味では動植物が生育する環境としては極めて整っているわけでありますし、さらに学術価値の高い自然の宝庫であることは周知の事実でありますけれども、こういったある意味ではユニークな特異な湿原でありまして、日本の自然保護の原点となっている尾瀬というふうにも実は言われておりますけれども、やはり尾瀬の名前を前面に押し出すということも極めて重要であると。  環境省もこの辺について相当の見識、見解をお持ちだと考えておりますけれども、独立公園化を目指してほかの公園とは別に尾瀬国立公園と位置付けるべきであると、こういうふうにとらえておりますけれども、この辺についての御見解を更に明確に示していただきたいと思います。
  112. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 現在は日光国立公園の一部でございます尾瀬地域でございますが、この尾瀬ケ原を中心とする湿原の景観、あるいは至仏、燧などの山岳景観を有する極めて自然度の高い地域でございます。また、自然保護運動という意味でも常に先進的な取組がなされておる地域だというふうに認識をいたしております。  私ども、今年度でございますけれども、尾瀬地域保護と利用の在り方を検討しようということで、有識者、地元関係者から成る検討会を設置しまして、四月の二十五日からこの議論を開始したところでございます。検討会では、現在の国立公園区域のみならずその周辺も含める方向で御検討いただきまして、一年を目途に方針を取りまとめたいというふうに考えているところでございます。  検討会の結論を踏まえまして、尾瀬地域が適正に保護され利用されるための尾瀬を中心とした国立公園の将来の姿というものを描いていきたいと考えております。
  113. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 先ほど国土形成法の話、そして全国計画について取り上げたわけでありますけれども、これは十年とか十五年の長期スパンで国土の形成を考えていかねばいけないという内容になっていると思うんですね。  それで、実は皆さん御承知のように、二〇五〇年には何とか地球の平均的な温度というのを二度以上上げないようにしていくというのが一つの大きな流れとして出始めてきているわけなんですけれども、これは二〇五〇年から逆の方に現在まで引き寄せて、いわゆる逆算のアプローチを考えていく必要があるだろうと。それは国土形成にも当然つながってくる話だと思うんですね。  既に百年間に〇・六度上がっていると。二度ということは、あと残り一・四度しかないという言い方もおかしな話なんですけれども、あと四十五年間に仮に一・五度とすると、〇・五度、十五年間。それは形成計画の関係でその時間を区切って言っているわけでありますけれども、そういった意味では、十五年という計画の中でバックキャスティングアプローチしたと、逆算のアプローチをしたと、そういうことが明確に見えるような形で国土形成を図っていくべきでないかなと、このように考えているわけでありまして、そういった意味ではなかなかそこの部分が明確に表し切っていないように私はとらえておりまして、その辺については国土交通省としてはどういうふうに今後展開をされる予定でしょうか。
  114. 政府参考人(小神正志君)(小神正志)

    政府参考人(小神正志君) ただいま御指摘いただきました地球温暖化の関係で、CO2を始めとします温室効果ガスの排出の抑制あるいは吸収源の対策、こういったことが極めて重要であると、国土計画を考える上でも重要な課題であるという認識は持っておりまして、現在、審議会でもそういった観点からいろいろな議論をいただいているところでございます。  国土形成計画の基本理念、これは、法律の中におきましても地球環境の保全にも寄与する豊かな環境の基盤となる国土を形成するんだということが基本理念でございますので、今委員から御指摘いただきましたこのCO2の問題につきましてもこれから十分議論を深めていきたいと思っております。  ただ、委員から御指摘いただきましたバックキャスティングの方式という事柄につきましては、率直に申し上げましてまだ審議会の中で十分議論が進んでおりませんので、そういった御意見も踏まえながら、これからまた審議会でもそういった方向でどういった対応が可能になるのか、あるいはどういった具体的なことが記述できるのかということも検討してみたいと思っております。
  115. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 是非、議題の一つとして取り上げてやっていただきたいと思います。  それで、日本の気候帯が一年間に移動する距離、これはいろいろなとらえ方があると思いますけれども、四から六キロメーターであると。急激に気候が変わると植物はもちろん動物も付いていけない。いわゆる地球温暖化によって生態系が激変する可能性が十分、当然の話でありますけれどもあり得る。樹木が種子を飛ばして分布を広げる速さというのは、一年間である研究によりますと四十メーター、最高でも約二キロメーターと、そういうふうに言われているわけでありますので、気候帯が一年間に約四キロから六キロメートルも移動してしまいますと樹木も追い付いていけないと。あるいは、その樹木等、植物等を含めて、あるいはさらに動物も含めての生態系というのはなかなか大変な厳しい状況になってしまうという話になるわけですけれども、こういった面も含めまして、林野庁はどのようなこれ認識持っているでしょうか。
  116. 政府参考人(梶谷辰哉君)(梶谷辰哉)

    政府参考人(梶谷辰哉君) 御指摘のとおり、地球温暖化が急速に進行いたしますと、森林生態系にも多大な影響を及ぼす可能性があるというふうに認識しているところであります。そういう意味で、地球温暖化対策を適切に講じていくということは、森林生態系の維持の観点から非常に重要な意義を有しているんではないかというふうに考えております。  一方、御案内のとおり、森林は大気中の二酸化炭素を吸収、貯蔵する機能を有しておりまして、森林を整備保全していくということは地球温暖化対策にも大きく貢献するというふうに考えております。こういうことから、京都議定書において義務付けられております我が国の温室効果ガス削減目標達成のために、平成十四年に地球温暖化防止森林吸収源十か年対策というものを策定いたしまして、健全な森林の整備保全等を推進しているところであります。  林野庁といたしましては、今後とも本対策の着実な推進を図るためには、一般財源はもとより安定的な財源の確保が必要というふうに考えておりまして、森林吸収源対策の意義について国民各層の御理解をいただくよう努めるとともに、関係省庁とも連携を図りながら、引き続き必要な対策について検討していく考えであります。
  117. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 私は今この保護法の関係で質問しているわけでありまして、関係があるんでこの部分も質問しているんですけれども、これ環境省においてもやはり生物の多様性の確保という観点は非常に言うまでもなく大事な話でありまして、環境省は緩和政策といわゆる適応政策を考えているわけで、特にこの適応政策の観点からこの森林及び生態系の、あるいは生物多様性の確保という点についてはどういう対策が想定し得るか、どういうことを今後考えていかなければいけないか、その辺についてどうでしょうか。
  118. 副大臣(江田康幸君)(江田康幸)

    ○副大臣江田康幸君) 先生今お述べになりましたが、生態系というのは確かに大気や水などの環境要素とともに、多くの種が相互に複雑に関係し合う中で成り立っているものだと思います。このために、地球温暖化による影響などの因果関係を解明することは容易なことではないと思いますが、しかし今先生が専門的な見地から、気候変動が生態系に及ぼす影響というのは大きいとも考えられるわけでございます。  そのような中で、環境省では国立環境研究所等による温暖化影響の現状や将来予測に関する調査を行ったり、また自然環境保全基礎調査等による、いわゆる緑の国勢調査でございますが、それによる植生や動物種に関するデータの蓄積などを通じまして、地球温暖化による生態系への影響に関する調査研究実施してきたところでございます。  これらの調査研究につきましては今後も実施していきたいと考えておりますが、まずは温暖化を防止するための対策の充実が大変重要であるかと思われます。その上で、将来我が国における鳥獣への具体的な影響が懸念されることとなりますれば、関係省庁とも連携協力して必要な対応策を検討してまいらなければならないと、そのように思います。
  119. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 別の機会にそれについてはまた質問したいと思いますけれども。  鳥獣保護ということで、二〇〇一年以降の話でありますけれども、タンチョウ、ツルですね、これが農薬の散布によって急性中毒死したのではなかろうかと。国の特別天然記念物のタンチョウでありますが、検査の結果、肝臓や胃の内容物から高濃度のフェンチオンが検出された。これは有機燐系の農薬でございますが、このタンチョウヅルの急性中毒死に対して環境省はどういうふうに取り組んできているのか、あるいは鳥獣に関して急性中毒や慢性中毒、こういった点に対しての認識、その研究はどの程度なされているか、ちょっとお願いいたします。
  120. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、タンチョウヅルの問題でございます。  平成十六年の一月でございますけれども、フェンチオンによる急性中毒の可能性が高いタンチョウ二羽が確認されました。これはかつて女満別と呼ばれたところでございます。また、その後でございますけれども平成十六年から十七年にかけまして、私ども死亡したタンチョウ十一体を検査いたしましたら、その中で一羽、これは標茶というところでございますけれども、そこでフェンチオンによる急性中毒の可能性が高い事例を確認いたしております。そういったことで、私ども、至急対応を取らなければというふうに考えた次第でございます。  使用方法によりましてはタンチョウを始め野生鳥類への影響が懸念されるということで、平成十七年七月でございますけれども、厚生労働省に対しまして、フェンチオン製品の使用に際しては野生鳥類への影響があることを留意されるように周知してほしい、また協力してほしいということで依頼をしたわけでございます。  また、単なる依頼だけではございませんで、私ども、十六年、十七年にかけまして様々な調査をいたしました。特に道東地域におけるフェンチオンの使用実態調査したわけでございます。調べてみますと、農薬あるいはくみ取り槽、水産加工場、農家の堆肥場と、そういうところで使われていることが分かったわけでございます。このうち特に問題になりましたのが農家の堆肥場でございまして、タンチョウがえさ、具体的にはミミズとかウジ虫とかそういったものを食べておるわけでございます。その中にそのフェンチオンが含まれておるという疑いがあるわけでございますので、今後農家に対しては、害虫防除のためにフェンチオンを使わないようにということで、関係機関を通じて要請をいたしたいというふうに考えておるところでございます。  当然ながら、現在、内外の研究機関で、フェンチオンの鳥類に対する影響、これは急性中毒影響、それから長期的、慢性的な影響を懸念されて情報がございます。情報を早期に集めて必要な対応を行いたいと考えております。
  121. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 是非よろしくお願いしたいと思います。  時間の関係でちょっと質問飛ばしますけれども、今有機燐系のフェンチオンの話をしたわけでありますけれども、これは特に鳥類に対しては非常に毒性が高いという話でありますけれども、この有機燐系の農薬は、単に鳥類だけに限らず、もっと広い形で影響を及ぼすということが考えられまして、今日皆さんのお手元に有機燐系の化学物質による酵素阻害ということで配付をさせていただきました。①はそういう急性中毒と慢性中毒があるということでありますが、②は有機燐系化学物質の使用分野ということで、日常生活の非常に広範な部分に使われているという話でございます。  それで、農水省にお聞きしたいわけでありますけれども、いろいろな分野があるわけでありますけれども、例えば有機燐系の農薬の散布ですね、都市近郊のいわゆる児童も、通学路を含めてのそういった部分になりますけれども、散布によっていわゆる精神障害が起こると。  例えば、これはある事例でありますけれども、農薬空中散布しているところ、その近辺に住んでいる六十九歳と七十二歳の女性、空散後、空中散布でありますけれども、急性の痴呆を発症して病院でアルツハイマーの疑いと診断された。そういうふうにしか診断されないという話なんですよ。アルツハイマーとかそういうことじゃなくて、そういう分かりづらい診断をされやすいという話であるんですね。あるいは、有機燐系の慢性中毒に対応した治療で五けたの数字を逆から言えるほど回復したと。それは治療をやったから、正確な治療をやったからそういうことで回復したという話なんです。ですから、アルツハイマーでなかったという、当然の話なんですけどね。そういうこととか、あるいは、これは愛知県の岡崎でありますけれども、有機燐系の農薬の暴露によりパーキンソン氏病様の症状を発症した例があると。こういうふうに様々な報告がなされている。  それから、有機燐系農薬への暴露による精神症状については、アメリカの疾病予防センター、CDCでありますけれども、そこでも明確に、単に急性中毒、これは相当の知見が蓄積されているわけでありますけれども、①の配付資料に示してありますように、慢性中毒におけますこのBとかCとかDの関係、こういった面における阻害作用についての知見というのはなかなか整っていなかったと。しかし、最近はこういった面における知見も相当蓄積され始めておりまして、こういった面についてもやはり十分私は対応する必要があるんではないかなと思います。  ある論文によりますと、有機燐系の農薬の場合は生体内で、オキソン体というふうに言っているようでありますけれども、生体内で有機燐農薬はP450酵素、それによりオキソン体になるという話なんですけれども、生体内でオキソン体へ変化すると、有機農薬の場合はですね、毒性が数千倍高くなることが報告されていると。そういったことで、農薬の毒性の評価にはオキソン体で行うべきであるという指摘がなされているわけでありますけれども。  そういった様々な形で、この有機燐系については極めて問題であるというふうに指摘されている。これはもう国際会議においても、国際社会においてもこれはほぼ常識的なレベルに来ているわけでありまして、こういった面について農水省はどのようにこの辺についての見解をお持ちか。あるいは、今後これに対する対応をどのように考えているか。農薬についても、欧米諸国についてはやはり代替製品を開発する等々を含めて、有機燐系についてはやはり削減の方向あるいは生産をしないという、そういった措置も考えようとしているわけでありますので、明確な対応策を私は示すべきではないかなと、そのように考えておりますが、どうでしょうか。
  122. 政府参考人(伊地知俊一君)(伊地知俊一)

    政府参考人伊地知俊一君) お答えいたします。  先生御指摘のように、有機燐化合物が様々な慢性の障害を引き起こすということについては農林水産省としても承知をいたしております。農林水産省といたしましては、農薬の登録に当たっては反復経口投与毒性試験、それから発がん性の試験等の慢性毒性試験が義務付けられております。これらの試験成績に基づいて、人が一生涯摂取しても影響のない量としてのADIを定め、リスク管理を実施しているところであります。  さらに、有機燐系農薬につきましては、平成十二年に慢性毒性のリスク評価項目として反復経口投与神経毒性等を追加をしたところであります。新規の登録、また三年ごとの更新登録の際にこれらの項目についてのデータを提出をしてもらい、ADIの見直しの必要性等の安全性の確認を行っております。  農林水産省としても、有機燐系農薬の毒性等についての新たな知見の集積や情報の収集に努めまして、リスク評価項目の検証を含めましてリスク管理の観点から適切に対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  123. 加藤修一君(加藤修一)

    ○加藤修一君 今ADIの話が出てきましたですけど、それは一つの物質についてのADIの話ですよね、当然の話。この物質というのは世の中に一つあるわけじゃなくて、これはもう複数あるわけで、物すごい量がある。それぞれADIを求めているわけですよね。  我々が暮らしている世界というか生活空間というのは、そういったものが複数存在するところで生活しているわけでありまして、ADIだけで判断して、それで安全だという話には私はならないと思うんですね。それはやはり複合的な汚染というのを考えなければいけない。多要因に我々健康体に対して健康被害が生じるような形で悪影響を及ぼしている可能性は否定できないわけなんですね。  そういった意味では、リスク評価という、分析という話もありましたが、私は、それは多数のいわゆる媒体を得た場合のリスク評価も必要であり、かつまた、多数の化学物質に対する総合的な、統合的なリスク評価ということについても私は必要であると思います。そういった意味では、その辺についての技術というのは今開発の段階でありますから。  ただ、私は言いたいのは、予防的取組方法というのは当然あるわけでありまして、そういう複合汚染にかかわる予防的な取組方法についてもどう考えて今後やるかということも私は非常に重要な時期に入っていると、そんなふうに考えておりますので、是非そういった面についても含めて検討を十分やっていただきたいと、このように要求して、質問を終わりたいと思います。
  124. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。  最近ますます深刻になっている鳥獣による農林水産業被害防止するということは大変重要になっています。そのためには、個体数の適切な維持と同時に、被害の防除のための施策を講ずる、さらに、より根本的には鳥獣が山の中の豊かな自然環境の下で野生動物として生息できるようにする、それが解決の道だと。中環審の答申の中にも、鳥獣というのは自然環境を構成する重要な要素の一つであり国民共有の財産だと、そういう指摘もあります。  その農林水産物の鳥獣による被害を防ぐという問題と、だからといってむやみやたらと鳥獣捕獲し殺傷してはならない。いわゆる人と鳥獣との共生といいますか共存といいますか、なかなか難しい問題ですが、この人と鳥獣共生について小池大臣の基本的な認識と、その大臣の認識が今度の法改正にはどのように反映されているのかという問題について、最初お伺いしたいと思います。
  125. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) 今回の鳥獣法改正でございますけれども、先ほど来シカイノシシ、猿、そして先ほどはカワウと、生息数が近年著しく増加、若しくは人の前に出てくる、町に出てくるということで農林業それから自然植生への被害が依然として深刻な状況に陥っているということにまず一つあります。一方で、シギであるとかチドリ類など、生息数地域的には逆に著しく減少しているという部分で、被害の部分は増えて、そして貴重な動植物などの減少が、マイナスが続いているということでございます。  ですから、今回、今も先生御質問の中にもあったかと思うんですけれども、どうやってうまく人間様と生態系、そのバランスを取っていくかということを盛り込んだ今回の改正案になったかと思います。狩猟規制の見直しを行う一方で、鳥獣保護区における保全事業をつくるということで、保護施策の強化もしていくということでございます。被害防止観点保護施策の強化と、これこそ正に人と鳥獣とのより良い関係をこの微妙なバランスの中でどうやって進めていくかということを盛り込ませて、改正案とさせていただいているところでございます。
  126. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 哲学、理念から今度ちょっと具体的な問題に入りますけれども、午前中他の委員からも指摘がありましたが、二〇〇二年の法改正の際の附帯決議で、とらばさみ及びくくりわなについては錯誤捕獲のおそれや殺傷の危険性が高いと、したがって法定猟具から除外することについて検討するということが求められていましたが、今回の改正では、わなと網の免許区分をしただけで除外はされませんでした。  最近、静岡県で経験年数四十七年の人が設置したわなに山林を歩いていた一般人が掛かって負傷したという事件がありましたし、香川では、経験年数六年の人が、仕掛けたわなイノシシが掛かったわけですが、足をちぎり、わなから外れた約百キロのイノシシに襲われて負傷したと、こういう事故といいますか事件もありました。  わな猟について、免許区分を変えて免許を取りやすくする、そういう規制緩和によって多くの農家がこのわな猟に参加するということになるわけですけれども、こういう事故がこれまで以上に増えるということにならないかと、その心配、対策について環境省はどういうふうにお考えでしょう。
  127. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、わなそのものの構造の問題、さらに、そのわな使用の問題、両方ございます。  私ども、市田委員から御指摘のとおり、附帯決議、受け止めております。その中で、くくりわなとらばさみについては、錯誤捕獲も生じているということも承知をした上で検討をしておるところでございます。  まず、危険な構造のくくりわなとらばさみでございますけれども、これについては、構造の中での規制はいたしております。例えば、のこぎり形の歯のとらばさみは使用禁止だとか、幾つかの規制は決めておりますけれども、これについてはまだまだ不十分だという御指摘も受けております。  まず、私どもとしては、とらばさみ、くくりわな、共通してでございますけれども構造の改善ということは一つはしなくてはいけないというふうに考えております。例えばくくりわなですと、足に食い込まないように線径を四ミリ以上にするとか、あるいはストッパーを付けてある程度以上締まらないようにする、そういったことを是非近い将来考えたいと思っておりますし、また、とらばさみですと、その当たる部分をゴムにして傷付かないようにする、そういったことが必要だと思っております。  またさらに、そのうちのとらばさみについては大変各方面から強い指摘ございますので、これにつきましては狩猟においての使用というのは禁止をできないだろうかということで考えたいと思っております。それが法定猟具から外すことなのかどうか、それも含めて、どうすれば一番とらばさみの狩猟における使用の禁止が効率的にできるかということは、これから専門家と相談をしていきたいというふうに考えているところでございます。  それからもう一つは、そもそもそれ以外の対策でございますけれどもわな自身は当然はこわなもあるわけでございまして、それにつきましては使用ができないような場所の設定ということも含めて考えておるところでございます。
  128. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 もう果たしてそれで安全だろうかというふうに思うんですけれども。例えば、仕掛けたわなを少なくとも一日一巡してチェックしなければならないわけですけれども、そうすると、おのずと設置可能なわなの個数にも限度があるはずだと思うんですけれども、例えば、有害駆除の場合も規則に明記して徹底するという考えはありませんか。
  129. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 現在、わなの数につきましては、狩猟については数の制限をしております。有害鳥獣につきましては、今条件ということでの設定はできますので、今後その方策を考えたいと思います。
  130. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 とらばさみなどの危険なわなが現在ホームセンターや通信販売でだれでも簡単に入手できるようになっているわけですけれども、何らかの販売規制を行う必要があると思うんですが、その点についてはいかがでしょう。
  131. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 現在、販売規制ということまでは考えておりません。一部の網については行っておりますが、とらばさみ等につきましては、まだまだ有害鳥獣駆除についても必要な場合もあるということを想定しておりますので、現状では販売規制までは考えておりません。
  132. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 ハンターが高齢化して減少しているという下で、結局わな猟で農民自身が自ら自衛せよと、結局そういう考えなんですね。もちろんそれだけではないと思うけれども、そういう考えですか、環境省は。
  133. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) やはり民で対応していただくということ、要は、農民の方がわなの免許を取っていただいて適切に対応していただくということを中心に考えております。
  134. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 鳥獣による被害から農作物を守るためには、自ら自衛してでも対処しなければならないと、そう考えている農民の方が多いことは我々も承知しています。  ただ、本来の仕事である農業をやりながら、それだけでも大変なのに、鳥獣の追い払いだとか捕獲などのためにわなを仕掛ける、毎日見回りもしなければならない、大変な労力であるわけで、これだけに頼ることがあってはならないということを指摘しておきたいと思います。  次に、農林水産物被害の問題についてお聞きします。  奥多摩のワサビ栽培組合のアンケート調査というのを私読みました。こういう記述があります。山林の荒廃によりえさ場を失った野生動物たちは、山林内の杉、ヒノキの苗を食べ始め、人里に下りてきては畑の野菜類や町の特産品であるワサビなどを食べるようになりました。このことは、町の農業経営の根幹を揺るがすまでに拡大し、地場産業の中心的役割を担い、農業生産量の七二%を占めるワサビ産業に大打撃を与えており、住民の日常生活にも大変な支障を来しておりますと、こういうアンケート調査がありました。これは、別に奥多摩だけじゃなくて、全国各地の中山間地で起こっている事態だと思うんですけれども。  そこで、農水省にお聞きしたいんですが、こういう農林業被害に対する防止対策事業と有害鳥獣対策予算がどうなっているか、簡潔にお答えください。
  135. 政府参考人(吉田岳志君)(吉田岳志)

    政府参考人吉田岳志君) 野生鳥獣による農林業被害の現状及びその対策というお尋ねでございますが、平成十六年度の野生鳥獣によりますまず農作物の被害状況でございますが、全国の被害面積で約十四万ヘクタール、金額にいたしまして約二百六億円というふうになってございます。このうち、イノシシシカ、猿などの哺乳類によります被害金額が約百二十八億円と、被害全体の約六割を占めておるところでございます。一方、シカクマなどによります森林被害面積、これは平成十六年度で約七千四百ヘクタールというふうになってございます。  こうした農林業被害防止するための対策につきまして、農林水産省といたしましては、これまで効果的な被害防止のための技術開発、これを行いますとともに、強い農業づくり交付金や森林づくり交付金などの各種補助金を使いまして、各地域で取り組まれています侵入防止さくの設置あるいは追い払い等自衛体制の整備、必要な知識の普及啓発、こういうものに対して支援を行ってきているところでございます。  一方、また今、山林荒廃の話が出ましたけれども地域におけます被害防止対策を強化するために、十八年度から新たにNPO等によります里山等での広葉樹の植栽などの活動を支援いたしますとともに、環境省との連携の下、県域をまたがります広域地点、これを拠点といたしまして、地域参加型の鳥獣情報マップの作成、そしてこれを活用しました総合的防除技術体系の確立を推進する事業を実施することとしております。  さらに、各地域におけます被害防止取組を円滑に進めるという観点から、全国的に被害が大きいイノシシシカ、猿、クマの生態特性と被害特性をまとめましたマニュアルを今年三月に配付し、作成したところでございますし、さらに、大学、独立行政法人等の専門家をアドバイザーとして登録しまして、被害地域の要請に基づいて紹介する制度を六月にスタートさせたいというふうに考えております。  今後とも、関係省庁と連携を密にして取り組んでまいりたいと考えております。
  136. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 農水省の有害鳥獣対策関係予算、いただいた資料によりますと、例えば林野庁の森林環境保全整備事業、これ〇五年は、もちろん内数ですけれども、五百四億七千九百万円、〇六年三百九十七億六千五百万円、減っているわけですね。それから、強い林業・木材産業づくり交付金、先ほどお話しになりましたが、〇五年七十八億九百万円、〇六年が六十九億九千万円で、これまた減っておる。それから、森林づくり交付金、〇五年が四十四億三千百万円、〇六年が三十六億九千五百万円、軒並みに削減されておると。  それで、私、野生鳥獣による農作物被害実態と対策という関東農政局統計情報部が出された資料を読みました。これはアンケート結果の集計なんですけれども、これを見ますと、鳥獣の農産物被害に対してどういう措置を講じているかということと、国や地方自治体から補助があったかなかったかという、これは関東農政局の統計結果ですけれども、関東農政局管内で、国、地方自治体から補助があったと答えた人は一三・八%です。なかったというのは八六・二%。栃木では九一・七%が国や地方自治体からの補助はなかったと。埼玉、九一・七、静岡は九〇・二%という資料であります。  私、防護さくの設置だとかテープ巻だとかトタン巻の実施などの被害防止施策の整備事業、この事業費を被害の深刻さに合わせて増額する必要があるんではないかと。農水省、その辺はどう考えておられますか。もう今で十分だと、もっとこれは増額する必要があるというふうにお考えか。
  137. 政府参考人(吉田岳志君)(吉田岳志)

    政府参考人吉田岳志君) お答えいたします。  先ほど委員の方から、それぞれの予算について減額しているではないかという御質問でございますが、これはいずれもいわゆる交付金等でございまして、メニュー事業でございまして、その予算の中で鳥獣被害対策について取り組もうと思えば、その予算の範囲内で十分取り組めるようになってございます。今活用が、助成を十分使っていないというようなアンケートがあったかに聞き及びましたけれども、やはりそれはその事業の仕組みなり、そういうものの啓蒙について更に十分行うことによってこの事業の活用を現場で図っていただけるように、その辺を更に強化していきたいなというふうには考えています。
  138. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 予算は十分なんだけれども制度を知らないから使っていないという、そういう認識ですか。ですから啓蒙をやるということですか。
  139. 政府参考人(吉田岳志君)(吉田岳志)

    政府参考人吉田岳志君) 一層現場に知らしめていきたい、そのように考えております。
  140. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 なぜこういう国や地方自治体からの補助がなかったと答えているかというアンケートの背景にあるものを、単に制度を知らないからそうなっているのか、実際に別の理由があるのか、それはやっぱりきちんと調べて、金額は十分なんだと、それを使わないだけだと、申請がないからだと。それは何か証拠あるんですか、そういうのは。
  141. 政府参考人(吉田岳志君)(吉田岳志)

    政府参考人吉田岳志君) 今委員が示されました調査資料といいますか、アンケートの背景については更に精査をしてまいりたいと、そのように思います。
  142. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 必ず分析していただいて、その背景に何があるか、どういうことが必要かということを是非やっていただきたいというふうに思います。  次に、野生鳥獣による農作物被害に対する補償についてお聞きしたいと思います。  これも農水省の資料によりますと、二〇〇四年の被害額は二百五億六千六百万円で、そのうち猿が十五億九千万、イノシシが五十五億九千二百万、シカが三十九億一千二百万と。  そこで、こういう野生鳥獣による農作物被害に対する農業共済による補償、これはどのように、どんな仕組みでどの程度やられているのか教えていただけますか。
  143. 政府参考人(宮坂亘君)(宮坂亘)

    政府参考人(宮坂亘君) お答え申し上げます。  農業共済の関係でございますが、農業共済と申しますのは台風とか冷害とか、そういう自然災害によります損失を補てんするものでありまして、共済の対象と申しますか、目的物、すなわち例えば米とか麦であれば農作物共済、それからミカンとかリンゴであれば果樹共済ということ、幾つかに区分をして事業を実施しているところでございます。  これらの共済事業につきましては、イノシシとかシカとか猿等によります鳥獣害につきましても、従来から、先ほど申しましたいろんな区分して事業を行っております。すべての共済事業におきまして、共済金の支払等の対象となります共済事故と、そうされておりまして、鳥獣害による損失にも対応してきているところでございます。  なお、鳥獣害に対する農業共済金の支払額についてのお尋ねもございました。これにつきましては、平成十六年度でございますが、これは前年度より約一億七千万円増加をいたしまして、約十億三千万円となっております。  以上であります。
  144. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 時間がないので、もう一問聞きたかったんですが、是非そういう、市町村が助成したり国が共済掛金の一部を負担しているわけですから、国の支援策を更に改善するなり農業者の負担の軽減のための努力を一層図るように検討していただきたい。  最後に、大臣に一問お聞きしたいんですけれども、これも関東農政局統計情報部の統計の結果なんですけれども、農林業の被害が増えた原因は何かと、これは複数回答ですけれども、鳥や獣のすんでいる場所の開発と答えた方が三六・八%、山林の管理放棄三五・六%、高いところでは茨城が四二・四です。あるいは耕作放棄地の増大、これ四一・八、神奈川では何と六六・九%、これは国の農業政策ともかかわっていると思うんですけれども。  冒頭のところで私は、いろんな対症療法だけじゃなくて、肝心の野生鳥獣の生息地環境の保全のための対策、ここが一番大事じゃないかということを言いましたが、その生息地環境保全について、大臣の認識を最後にお聞きして終わります。
  145. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) 環境省、そしてまた関係省庁で今の生息状態についての様々な調査があろうかと思いますが、ざっくり申し上げると、やはりいろいろな開発等々の、開発の時代はもう過ぎつつあって、むしろ今度は過疎というか、その地域が捨てられていくというような事態が今後更に増えていくであろうと。人口減少などということも今後は考えなくてはなりません。いずれにいたしましても、生態系というのは総合的に考えて、そしてどうやってバランスよく進めていくのかということが一番肝心なところであろうかと思います。  いずれにいたしましても、今回の鳥獣法改正ではございますけれども、この生態系という点にとっては、特に関係省庁の連携が密でなければならないということを痛感しているところでございます。
  146. 市田忠義君(市田忠義)

    ○市田忠義君 終わります。
  147. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 荒井でございます。  私の番になりますと、大臣始め、また委員長皆さんお疲れの番で、大変申し訳ないような気持ちもあって、質問をさせていただきたいと思います。  先ほど来からの質問をお聞かせいただきまして、大変、私自身は非常に関心、認識が薄い、そうしたテーマでありましたので、改めて重要だなと、そのような気持ちを持ちながらなので、再来週ですか、参考人、そしてまた総括、そして採決と、こういったところに向けて自分の認識を高めて、そしてまた間違いのないような対応をさせていただきたいと、このような自戒を込めながらの質問でございますので、再度になってしまったり、あるいは改めて初歩的なことをお聞かせいただくことをお許しをいただきながら進めさせていただきたいと思います。  まず、先ほどから国立公園の件についてお話がございました。私も大変同感でございまして、言ってみれば、国立公園の中で尾瀬の位置付けでございますが、国立尾瀬共生参加公園、あるいは名称で言えば国立尾瀬共生モデル参加公園、こんなイメージなのかなというようなイメージで先ほどのやり取りを聞かせていただいておりました。  四月二十五日からスタートをして議論が始まっているということでございますけれども、いろいろな方々からのお話ども聞きますと、こんな言葉を使っておられます。尾瀬は悠久の時を掛けてつくり上げられた掛け替えのない自然の芸術だと。昨年十一月には国際的にも重要な湿地としてラムサール条約にも登録された。多くの人たちが、開発の波の中で地元を中心にした関係者によって、ごみ持ち帰り運動、マイカー等の交通規制及び植生復元など、保護と適正な利用に向けた取組が行われてきたこと。こういったことからも、自然保護の我が国の原点と言えると。尾瀬の保護に対する住民の意識、のみならず尾瀬の保全の必要性、精神というものが広く国民に伝えるものは計り知れないものがある。よって、我が国のそうした自然と人間の共生自然環境保全の意識啓蒙を図る多大な効果があると。こんなことですから、是非、日光という一部でありました尾瀬をひとつ独立させていただけないかと、こういうようなことで、全く私も同感なんです。  それで、この件についてちょっと突っ込んでお話をさせていただきたいというふうに思いますけれども、その議論の中で、一年程度を目標にこれを方針を立てると、こういうことでございますが、今のエリア、更に広げたエリア、尾瀬のエリアですね、更にそのエリアを広げる必要性が今現在出てきていると思いますが、この辺いかがでしょうか。
  148. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 尾瀬につきましては、尾瀬を中心とした国立公園化ということを視野におきまして検討が進められたところでございます。  まず、この尾瀬の問題でございますが、地元でも、群馬県、福島県、新潟県から大変な要望を受けておりますし、またその検討の中で、区域をどうするか、さらに環境教育を含めた適正な利用をどう進めるかということで、地元にも喜んでもらい、多くの自然保護を愛する人にも喜んでもらう、そういった二十一世紀の新しい国立公園の皮切りということで尾瀬を考えているということでございます。  その中で、地域でございますけれども、まずその保護保護地域をどうするかという問題がございます。これにつきましては、尾瀬を中心として見たときに、どこまでが一体的に公園として保護をしていく必要があるかということの点検を一つはお願いをしております。また、当然ながら、環境教育を含めた利用、絶好のそういう勉強の場所でございますので、そういった視点から、地元の協力も得ながら、また地元に関係の深い企業の協力も得ながら、どうやって適正な利用を進めていくかということも考えなければいけないと思っております。  これにつきましては地元から大変要望をいただいていまして、先日も地元の首長さん始め、要望をいただきました。その中では、期成同盟会ということで有力な国会の先生の名前も載っておりまして、たしか福田康夫先生や渡部恒三先生とともに荒井先生の名前も載っていたというふうに記憶しております。この問題、一生懸命やりたいと思っております。
  149. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 そうしますと、四月二十五日スタートした、もうしたわけですけれども、大方の委員の皆さんとしては、正に新たな国立公園の第一歩、そういう認識や取組を含めた、地域ぐるみを含めたものとして考えているということと理解してよろしいわけですか。
  150. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) はい、そのように考えております。
  151. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 大臣、これからいろいろとまとまって、また大臣の御見識いただいて御判断をいただくところだと思いますが、イメージとしては、国立尾瀬共生参加公園とか、私はそんなイメージ、局長お話を聞きながらも持った次第です。大臣のまた時期を見ての御決断をお願いして、また、そうした方向に進むということでございましたから、本当にみんなが、国民みんなの啓蒙につながることを期待してやまないわけです。そうした議論が進むことを期待申し上げます。  さて、大臣、二度、三度になって恐縮でございますが、今回の改正法案のポイントとそして意義と、こういったところについて改めてお話をいただきたいと思います。
  152. 国務大臣(小池百合子君)(小池百合子)

    ○国務大臣小池百合子君) お答え申し上げます。  我が国におきましては、生息数が著しく増加いたしましたシカイノシシなどによります農林業そして自然植生の被害が依然として深刻な状況が続いている一方で、シギ・チドリ類などの生息数地域的に著しく減少している鳥獣も存在をしているという、こういった状況を踏まえまして、今回、改正案を御提出させていただいているところでございます。  その中身として、狩猟制度の見直しを行う一方で、保護施策の強化を図ろうというものでございます。強化の部分と、それから、まあどちらも強化ということになりますかね。そして具体的には、休猟区におけます狩猟の特例措置を導入する点、それから網・わな猟の免許を分離をするという点、それから鳥獣保護区におけます保全事業を創設いたします。そして、輸入鳥、鳥への識別措置の義務付けということなどを盛り込ませていただきました。  これらの内容を適正に実施することで、人と鳥獣のより良い関係、先ほど来尾瀬で共生という言葉をお使いになったかと思いますけれども、その共生を構築していきたい。なかなか生態系というのは微妙なものがございますので、言うはやすしという、その共生という言葉ではございますけれども、今回の鳥獣法改正によりまして一歩でも近づけていきたいと考えております。
  153. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 私も、言うはやすしということを痛感をして聞いておるわけでございます。そういう中で、調査室にいろいろと資料を提供してもらったり参考意見をいただくんですが、今回も環境委員会調査室の参考資料、大変参考になっているわけです。こうしたものを見て、ああこういうこともあるのかなというふうに見てまいりますと、わなというものはどういうものなのかというと、ここにも資料が載っているわけです。また、いろんな多くの自然保護団体の皆さんからも現状などをいただきまして、悲惨なところもあれば、やむを得ないところがあると。こういったものを、本当に言うはやすしということを非常に思っておりますので、今日はその辺のわなの辺りの話と、それからどのように人材育成をしていくかと、このようなところについて、私にとっては三十四分ということで、少数政党には夢のような時間をいただいておりますので、何か十五分で体が決まってますので、何か体内時計では十五分で終わっちゃいそうでございますが、認識が少ないところがありますので、お許しいただきながらお聞かせいただきたいと思っているんです。  人と野生鳥獣とのあつれきが当然あっての話でございます。テレビ、ワイドショーを見ても、猿が出たなんていうふうなことからもう始まって、いろいろあるわけです。それを、先ほどの先生方のお話でも、自然の動物の生態をよく分かった上でやればいいのに、それにけんかを売るからけんかを売られるんだと、命まで落とすことあるんだと、こういうお話もあって、なるほどなと聞いておりましたけれども、そうした科学的なといいましょうか、あるいは生態的にといいましょうか、そういった観点からの保護、そしてあるいは管理ということを盛り込んでいかなくちゃいけないんだと、このように思うんです。  その議論が先ほどから続いているんですが、そういう制度設計に当然なっているということなんですか。自信はないけれども、今のところはここなんだということなんですか。難しい問題ですが、その辺どうですか。
  154. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) とにかく今考えられることは一生懸命考えて入れたというつもりでございます。  具体的中身でございますが、例えば、今回でございますと、休猟区においてシカイノシシ捕獲も可能といたしました。しかし、これはもちろん農林業被害防止したいということがございます。といいますのは、実際現地へ行ってみますと、要するに、ある時期になると、要は鉄砲が撃たれない区域に鳥獣が、イノシシシカが逃げていくと、ここに来れば鉄砲が撃たれないということが分かっているというふうなことを言われておりました。  そういったこともございまして、休猟区が何か逃げ場所になっているということから、捕獲を可能にしたいと思っておりますけれども、逆にこれは休猟区の設定が今非常に減っております。これはやはりそういったことから、なかなか地元の理解を得られないことで減っておりますので、むしろ今回の措置によって休猟区自身是非増やしていきたいというふうに考えているところでございます。  もう一点でございますけれども一定の区域に入猟する狩猟者の数を調整するということをできるようにしたわけでございます。これによって農林業被害を対策をするために必要な数だけ狩猟ができるということで、不必要に捕らないようにするということから、そういった意味で、全体として科学的、計画的な管理ができるような、今私ども考える範囲では努力をしておるつもりでございます。
  155. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 そうしますと、例えば、そのモデルケースというのを見せてもらうと非常に私たち分かりやすいんですが、農作物被害というのが今非常に念頭にある話でもあります、一方では。そうしますと、農作物被害対策などで、集落や地域ぐるみで取り組んでうまく成果を上げている、こういったケースというのは、集落というんですか、地区名というんですか、そういったことは具体名でなくても随分あるわけですか。この辺どうですか。先ほどのような問題点があって、今回十分配慮したけれども、同時にそういうようなことをもう既にやっているというんでしょうかね。線引きは自らも考えながらやってきて、うまくいっていると、そういう具体例というのはかなりあるわけですか。
  156. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) この問題、いろんな地域で様々な取組がされております。  例えば、長野のそれこそ猿とか出やすいところですと、今度は犬を飼って、訓練した犬をある一定時間放すということによって猿が来ないように、近づかないようにしているという例もございます。それから、できるだけ大事な農作物の地域には網を張って、その網がなおかつシカの歯によって切られないような丈夫な網にしているということで対応しているところがございます。  なかなかうまくいっていると言うほど自信の言える事例は私どもも今把握しておりませんけれども、いろんなトライアルがされておりますので、それをよく整理をして、全体的にどうすれば対応が取れるのか、また制度上、どこをいじれば、どこを修正すればより対策がまた取りやすくなるのか考えたいと思っております。  なお、難しいと思いますのは、神奈川県で実際にその現場を見に行きました。当然ながらその対策に、さくを作るのに費用掛かりますので、シカが跳び越えれないような網を張ってあるわけですけれども、だんだん人と同様にシカも学習をしているようでございまして、一頭のシカが乗っかって上から網を押さえ付けて、その上を別のシカが跳び越えていくという例もあるようでございまして、どうしてもなかなか難しい面が次から次へと出てくるというのが残念ながら現状のようでございます。
  157. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 そうしますと、これもう午前中、午後にわたって先生方の御見識でいろいろな角度から御意見やら質疑があったわけですけど、そうした生態に詳しい専門的方々の参加とか登用とか、現場でのアドバイス含めて、また具体的に、その地域の人が専門家になってもいいわけですよね、そういうものをどのように考えていかれますか。
  158. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 今の荒井先生の御指摘のとおり、いわゆる研修ということではなかなか済まない部分が多いと思います。もちろん研修は、座学もそれから現場も含めて私どもきちっとやっていきたいと思いますけれども、それだけではなかなか進まないということで、どうしても専門的な人材の登用を考える必要があると思います。  例えば、国におきましては、専門的知見を有する人材を登録して活用する制度の構築といったことを検討していきたいと思いますし、また特定計画実施に資する民間団体の育成も必要だと思います。これは実際に軽井沢のピッキオとかあるいは川崎のWMOとか幾つか出てきておりますけれども、そういった団体がもっと育つような形の対応が必要だろうというふうに考えておりまして、研究機関、大学とも連携しながら、これからの人材育成策を検討していきたいと考えております。
  159. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 子供の学校教育から始まる話だというふうにも思うんです。そういうことで、登録制度化、これはやっぱり民間ボランティア団体、NPO、いろんな方々の参加というのはすごく有効じゃないかなといろいろと聞いていて考えておりました。  一方、鳥獣捕獲する、そういう具体的に捕獲するというような人材、もうどんどん年を取ってきているという話もあります。先ほど先生方から、六年ぐらいの経歴の方がわなを仕掛けて、人がそこにはまって亡くなったとか、いろんなそういう残念なことも不幸なこともあるわけですけれども、そうした人材の育成体制というのを改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  160. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) なかなか人材育成、時間も掛かると思いますけれども、私どもとしては、実際に狩猟者が減っています、高齢化も進んでいます、そういう中で、まずは今回、網免許とわな免許を分けたいと思っておりまして、その中でわな免許の人の数を増やしたいと思っております。  ただ、単に免許を取っていただければいいことではなくて、事前にも十分な勉強をしていただき、また免許を取った後も、免許が適正に行使されて事故などが起きないように、そういった研修といったこともきちっとやっていく必要があるというふうに考えているところでございます。  この免許につきましては、例えばその免許が取りやすいように試験とか講習、更新時の講習の回数を増やすとか、あるいは休日に実施するとか、そういったことも呼び掛けてまいりたいと思います。  それから、もちろん保護という観点から、総合的な保護管理団体による鳥獣保護管理の推進ということも非常に大事なことでございまして、この必要な団体の育成、それから具体的な運営をどうやって進めていくか、そういったことをこれから充実をしていきたいと考えております。
  161. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 かなりこれからというところがありますから、みんなで協力をしていくということが必要だというふうに思いますが。  先ほど来の全般にかかわりますが、広域的にいわゆる対応するということが重要なものもあるんじゃないかと。あるエリアに生息する野生鳥獣については、私が聞いた、教えていただいたのでは、広島とか山口とか島根県が共同して保護管理計画を立ててやっていく、そういうことが非常に有効だと。もちろん今回、市町村にゆだねるところがあるんですが、そういう全体計画、広域計画というのがないと、実は間違った捕獲をしたり、あるいは先ほど大臣からもありましたけれども、減少を防ぐということに効果がなかったり、いろいろと農作物の対策についても効果が出ないんじゃないかと、こういうようなことを言っていますが、この辺りは今回どのように位置付けられていますか、広域的なところをお願いします。
  162. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 荒井委員御指摘のとおり、広域的な対応が必要な場合が多うございます。これは数が増えている場合も減っている場合も鳥獣、相当広域に移動する場合が多うございますので、これからの課題だと思います。  御指摘ございましたように、広島、山口、島根、いわゆる西中国でございますけれども、非常に実は連携がいいと思います。理由はよく分かりませんけれども、この三県が共同していろいろ作業しているという結果として、例えばツキノワグマについて、こういったところが特定計画をよく相談しながら作るということでクマ保護管理というものをしっかりやっていただいておるところでございます。  今回特に法律には書きませんでしたが、私どもとしては、基本方針、基本指針の中で、これは国が作る全体の鳥獣行政の在り方を示すものでございますが、その中で広域な保護管理指針というものを明確に位置付けたいと思っておりまして、それを踏まえて、これはもちろんそれを踏まえて各都道府県特定計画作りなどをしていただこうというふうに考えております。  もちろん、これは作る際には、国が中心になりますけれども都道府県、あるいは必要なら市町村、専門家に入っていただいて、そこで広域の保護管理をどうするかということを場合によれば個々の鳥獣ごとに考えていくということになろうかと思います。
  163. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 参考人で島根県からお越しになりますから、その辺りのことを聞いてみたいというふうに思っております。  それで、先ほどのわなの件ですね、捕獲の件でございます。  これ、やめたらどうですかと。特に、とらばさみ、くくりわな。私もいろいろと現状を見せていただいてそういう印象を非常に強く持っているんですが、先ほど来からのをお聞かせをいただきましても、とらばさみは禁止したらどうでしょうか。  先ほどのお話では、構造使用という考え方があると。ですから、構造の中に、先ほどのとらばさみの話であるとゴムを入れてみたり、また、くくりわなであると、何といいますか、直径というのか、そういうものに工夫してみたり、こういうことなんですが、もう人も、そしてクマも犠牲になっているという例が散見されるんですね。  エリアを、環境省からのものにもありますが、学校にある、地域やら、ここは危ないよというそういう、学校の方にも子供たちにも地域にも知らせるということをやるとは言っていますが、間違いがないとは限らないんですよね。ぎりぎりの接点ですからね、生活の場と自然の。そこにまた越境して来るわけですから。そうなったときに大変危険だなというやっぱり不安といいますか危惧はぬぐえないんです。  違うやり方もあるっていうんですよ。そういうところが生態系であったり先人の知恵であったり、もちろん今はもうぜいたくな、先ほど来からのお話で、ぜいたくなものを食べに行ったり、いろいろな学習効果が働くような動物もいるから一概には言えないんですけれどもとらばさみは禁止の方向で具体的に検討されてはどうですか。くくりわなも、いわゆる構造上も工夫するということですが、使用の方で禁止するということは、何か不都合、そういったものがあるんでしょうか。
  164. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) まず、とらばさみでございますが、狩猟につきましてはこれから制度設計いたしますけれどもとらばさみは狩猟については使わないという方向に是非持っていきたいと考えております。  ただ、一部、今、鳥獣捕獲でどうしても必要な場合ございます。これ、私も現場行きましたけれども、はこわなが置いてあってもなかなか、その横を、かつては人が歩いたあぜ道を、今は獣道になっておりまして、イノシシシカが通り抜けていくというところをたくさん見ました。それで農家も工夫しまして、かつてイノシシシカが山の中で食っておったような木とか実を植えても、要は、人が作った芋とかそういったものを食べようとして、なかなか昔から食っていたものは食べようともしない、見向きもしないで通り抜けていくということを見ております。  したがいまして、そういったところに、農作物被害の場合にやはりそういったわなを使うことまで禁じることについてはやや現状では問題があるんじゃないかというふうに思っております。  ただ、狩猟についてはとらばさみは使用しないような形をしたいと思っております。  それから、くくりわなも同様でございますけれども、先ほどの繰り返しで恐縮ですけれども、やはり構造をしっかり規制して、それによって致命傷は負わないような形に是非していきたいと、その方途をこれから考えたいと思っております。
  165. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 これはやはり、先ほど来からも指摘されていますけれども、十四年の附帯決議に挙がっていることなんですね、「法定猟具から除外することについて」ということですから、ちょっと遅い気しますよ、今十八年ですし。  今のお話の中にも検討課題はあるようですけれど、問題もあるようですけれども、販売の禁止を含めて考えるというのも一つだなと、今、今日の段階で私、結論申し上げませんが、そんな感想を持ちます。  それから、例えばそうしたわなを仕掛けて、違法だと今度は分かるわけですよね。違法だって分かったらだれがそれ回収するんですか。自分で回収するんですか。掛けた人は違法というふうになるんですかね。自分で回収しますかね、そういう人が。だれが回収するんです。チェックするんですか。
  166. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) これは、鳥獣保護関係の職員あるいは実際に狩猟関係者含めて、例えばその名札も付けていないような、これは明らかに違法だということがあればそれを通知いただいて、公の市町村で撤去もできますし、あるいは、当然ながら違法でございますから、その方に除去いただくなりも可能でございます。原則的には、市町村に御連絡いただいて、市町村がそれを取り除くということになろうかと思います。
  167. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 そうしますと、どこにどんなわなが仕掛けてあるかということは、わな仕掛けのマップ、地図というものが確認できるように登録するということですか、まとめておくということですか。
  168. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 私ども現場でいろいろ聞いてみましたけれども、やはりどの辺りが比較的イノシシにしてもシカにしても通るかということについては地域によって知見があるようでございます。それをマップ化されているかどうか分かりませんけれども、おのずからそういうところにわなを仕掛けるということで、それについてはかなりその地元の市町村なりあるいは狩猟団体については知見があるようでございますので、そういうところを集中、中心的に取り締まっていただこうと思っております。
  169. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 そうすると、やっぱり少なくとも人間的にも間違いがないように、自然の中でいやされるし、森林浴含め、また自然の中に遊びに行くということもありますから、何かそういうところをひとつ工夫が欲しいような印象を持って今日は聞いておりました。また後日にそれはさしていただきます。  また、いろいろな事故についても、自損の場合もありましたけれども、猟犬にかまれるとか、猟犬による被害というのがあるというのも目立ってきたそうです。インターネットで調べさしていただいたりしても、民間が随分調べているのもあります。  猟犬の管理については今回はどのような位置付けなんでしょうか。そういうものを位置付けているとか位置付けていない、どんなことでしょうか。
  170. 政府参考人(南川秀樹君)(南川秀樹)

    政府参考人南川秀樹君) 今回は猟犬について特に位置付けておりません。  ただ、猟犬の問題は、主に狩猟でございますので、狩猟については、その狩猟の際には幾つか条件を付すことができます。そういった中で猟犬の扱いについてもどういう扱いが必要か、よく考えていきたいと思っております。
  171. 荒井広幸君(荒井広幸)

    ○荒井広幸君 次回の参考人質問にいたします。
  172. 委員長(福山哲郎君)(福山哲郎)

    委員長福山哲郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五分散会