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2006-03-30 第164回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     二之湯 智君      白  眞勲君     喜納 昌吉君  三月三十日     辞任         補欠選任      二之湯 智君     岡田 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         舛添 要一君     理 事                 浅野 勝人君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 金田 勝年君                 川口 順子君                 小泉 昭男君                 櫻井  新君                 福島啓史郎君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  遠山 清彦君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣府政策統括        官        東  良信君        内閣国際平和        協力本部事務局        長        樽井 澄夫君        防衛庁防衛参事        官        佐々木達郎君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        外務大臣官房審        議官       鶴岡 公二君        外務大臣官房参        事官       佐渡島志郎君        外務大臣官房広        報文化交流部長  岡田 眞樹君        外務省欧州局長  原田 親仁君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        外務省国際情報        統括官      中村  滋君        財務省主計局次        長        松元  崇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (在日米軍再編問題に関する件)  (国連安保理改革に関する件)  (国連平和維持活動に関する件)  (防衛装備品技術開発に関する件)  (沖縄米軍基地問題に関する件) ○所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課  税の回避及び脱税防止のための日本国とグレ  ートブリテン及び北アイルランド連合王国との  間の条約締結について承認を求めるの件(内  閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税防止のための日本国政府インド共和国  政府との間の条約を改正する議定書締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出)     ─────────────
  2. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、白眞勲君が委員辞任され、その補欠として喜納昌吉君が選任されました。     ─────────────
  3. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官東良信君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党福島啓史郎であります。  今日は、外交防衛上の主要問題につきまして質問いたしたいと思います。  まず第一に、米軍再編についてでございます。  三月末までを期限といたしまして2プラス2を終えるという予定でありましたけれども審議官クラス協議も来週に延びると。また、2プラス2の閣僚レベルの会合もまだ設定されていないという状況でございますが、今後の見通しについて、防衛庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  7. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々、昨年秋の日米合意に基づいて、中間報告の後、今年の三月末をめどに最終合意を得るということで精力的に日米間の協議を行うと同時に、国内の各基地のある地域自治体皆さん方の御理解を得る努力を続けてまいったのでございます。  日米間においてもこの三十日、三十一日、最終的な詰め協議をすることになっておったのでありますけれどもアメリカ側事情で来週に延ばしてほしいということでございますので、これは致し方のないことでございますから、来月四、五、六、三日間、ワシントンで行うということに相なったわけでございます。  したがって、三月末の最終合意を目指すということが事実上できなくなったわけでございますけれども、我々は来週の日米協議を舞台にして大詰め協議をし、できるだけ早く最終合意を得られるように最大限努力をしてまいりたい。それから、各自治体皆さん方の御協力も得るように誠意を持って今後も説明をし、納得できるような形をつくっていきたいというふうに思っているところでございます。
  8. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その点で、今言われた自治体との調整であります。  先日、岩国市の井原市長が行いました市民投票につきまして、こういう安全保障上の問題について、そういうシングルイシューのみで負担を、負担に合意するか否かというシングルイシュー市民投票という形で問うのは私は問題があるというふうに思います。  そのためにも、移設後の、沖合移設後の騒音の状況をよく説明し、また市民が非常に強く望んでおりますこの沖合移設後、と同時に、この民間空港の再開を求めている。これについて誠実に対応し、移設遅滞なく、できれば同時に民間航空を再開すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まず、住民投票についてでございますけれども住民投票の結果が出たことはよく承知をしておるわけでございます。しかし、福島委員指摘のように、私の立場といたしましては、日本国全体の安全保障防衛問題、あるいはまた地域の、日米同盟の在り方という大局的な視点に立って、これは地域皆さん方の御理解を得ていかなければならないという思いでございます。したがって、今後も地域皆さん方と真剣に真摯に向き合って説得をし、御理解を得る努力をしていきたいというふうに思っているところであります。  また、沖合に埋立てをして滑走路移転することによって、委員指摘のように従来とは違った、その負担最小限にすることができるものというふうに思っているところでございます。仮に艦載機移転があったとしても、その被害を受ける地域、あるいはまた防音工事をしなければならないような対象戸数というものは少なくなっていくというふうに確信を持っておりますので、全体的に言えば被害は少なくなっていくというふうに考えておるところであります。  また、地元皆さん方の御要望に応じまして、きっちりと軍民共用化が対応できるようにしていきたいというふうに思っているところでございます。
  10. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 特に、軍民共用化につきましては、沖合移設完了と同時、遅滞なく再開できるように、これは防衛施設庁長官、どうですか、進捗状況は。
  11. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 御答弁申し上げます。  ただいま先生から御質問いただきましたこの件につきましては、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたが、私ども、山口県等の計画を十分踏まえまして、そして精力的にアメリカ協議を行いまして、滑走路移設事業完了後速やかな開港が可能となりますよう最大限努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  12. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 先ほど防衛庁長官、御答弁ありましたけれども、こうしたこの安全保障あるいは国と国との約束の履行、これにつきましては、もちろん関係自治体誠意を持って理解協力を求めることはもちろん重要でございます。しかし、最終的には国が決断すべき問題であるというふうに考えますけれども、これについてはいかがでしょうか。
  13. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 国の立場としては、譲れないこと、なさなければならないことがあるという認識に基づいて地元とよく話合いをし、協力を得ることにしていきたいというふうに思っているところでございます。
  14. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 また、この関連で、グアムへの海兵隊沖縄海兵隊移設費用負担につきまして、新聞報道等によれば、アメリカは百億ドルを要求し、日本は三十億ドル、これを更に増額するというような記事が出ております。この考え方、またこれは直接負担を伴うのか、あるいは貸付けに限るのか、さらにはその法的根拠についてお伺いしたいと思います。
  15. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、我々は、沖縄海兵隊移転については、米国側沖縄全体の基地の縮小、再編、整理ということの中で考えてきたわけでございます。  御承知のとおり、沖縄には米軍基地の七五%が集中している。これは、この基地を縮小していくことは沖縄県民の悲願であり、また同時に我々もこれは中心的に考えていかなければならない。そういう中で、米国側沖縄海兵隊八千人をグアム移転する考え方を示していただいたわけでございますので、これについては沖縄県民のそういう願いを実施していくために、我々も相応負担をしてスピーディーにその海兵隊移転ができる環境づくりをしなければならない。そのために、今、日米間で最後調整を行っているということでございます。  アメリカ側に任せておけば、これが十年、二十年も掛かるということでは、せっかく海兵隊移転沖縄県民負担軽減にはなりませんので、これをできるだけスピーディーに行っていくためには相応負担が必要であると。相応負担をしていくためには国民納得を得る形をつくっていかなければならない。そこで今いろんな知恵を絞っているわけでございます。  どういうことを対象にしていくべきなのか、どういう形で資金提供をしていくことにするのか、融資等を含めて今、最後詰めを行っているところでございます。  また、どのくらい負担をしていくのかということについても、これは我々はできるだけ国民負担を少なくする形でこの実現を図っていかなければならない。そういう中で、アメリカと真摯に誠意を持って話し合っていくことが大事であるということで、今、最後詰めをしているところであるということが現実でございますので、具体的にこういうふうにする、こうしたいということについては、ちょっとまだ言える段階ではないということでございます。
  16. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、こういう他国の軍隊の再編成について資金的な、いろんな事情はもちろん、今大臣言われた、防衛庁長官が言われたような事情はあるにしても、異例なことだと思います。したがって、そこは今の厳しい財政事情にかんがみれば、国民納得を得られる形で必要最小限のものにとどめるように、またその形にしましても、貸付けでもって対応するような考え方で臨んでいただきたいというふうに思います。  次に、外務大臣国連改革について御質問いたしたいと思います。  今般、国連改革、なかんずく重要な安保理改革につきまして日本案提案しなかったということ、提案しないという決断をしたわけでございますけれども、その理由をまずただしたいと思います。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず最初に、福島委員におかれましては、外務大臣政務官としてこの国連安保理改革等々、大変御尽力をいただき、かつまたいただき続けておりますことに関して、この場をかりまして感謝を申し上げます。  その上で、今御指摘のありましたように、この国連安保理常任理事国の話でございますが、報道にありますような感じで日本として決議案提出を断念するというような決定を行ったことは全くありません。引き続きこれを継続してやらしていただいております。  昨年、御存じのように、例のG4というののほぼ同じ案を全く今回も再提出されるというので、昨年否決された案をまた一緒になって出してまた採決のときに否決されるというのは、これは余り私どもとしては芸がなさ過ぎるのではないかということで、私ども個別に各、ドイツ、ブラジル、インド、それぞれ担当官を派遣し、私自身も一月、インドで話をさせ、ドイツ外務大臣も、日本に来たときにその場では話をし、私どもとしてはこれはしゃにむにやらねばならぬと、国連の総会のところまで上がった話なんだから、私どもとしては是非通る案をやる。  その上では、これはアメリカも反対しましたんで、このG4案原案には。日本としてはアメリカものめるような案を私どもとしては考えたいということで、今、正直なところ、いろいろな形でアメリカとも交渉いたしておりますし、総理からも、これに関して日本のプライオリティーは極めて高いというようなことを直接向こうに言い、私どもも、去る三月のシドニーでの日米外相会議のときに、これ日本外務省の話ではなくてこれ日本政府としてこの意識が極めて高いということを言って、是非、我々の提案というものはそっちにもう渡っているはずだから、その提案を検討してくれという話を強く申し込んでおりますので、引き続き努力をいたしております。
  18. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私も、この安保理改革、各国回ったわけでございますけれどもアメリカボルトン国連大使は消極的だということが言われております。私は戦略的に少し考えていかなきゃいけないと思うわけでございますけれども、そのためには、日本安保理常任理事国入りを実現するためには、私は三つのことを考えなきゃいけないと思うんですね。  一つは、ODAを戦略的に実施するということ。それから二番目には、私は今世界の各国が望んでおりますのはPKOだと思うんですね。これは自衛隊又は民間人も含めてでございますけれどもPKOへの貢献、特に自衛隊治安維持なりあるいは治安部隊訓練なりに積極的に貢献できるような、また民間人を積極的にPKOに派遣できるような、そういう仕組みをつくるべきだというふうに考えるわけでございます。それから三番目には、私は国際交流が重要だというふうに思っております。文化あるいは人、教育等国際交流を進めることが重要だと思うわけでございます。  その三つにつきましてそれぞれ、これからの強化対応策について考え方をお聞きしたいと思うわけでございます。  まず、PKOについて防衛庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  19. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本自衛隊の活用の仕方というのは、一つは、我が国の防衛自衛権に基づくもの、もう一つは、やっぱり今先生がおっしゃるように国際平和協力活動をどういうふうに拡大していくかということであるというふうに思っております。  現在のところは、そのPKO活動、そしてまた国会の場で御審議をいただいてイラクに人道復興支援活動をしている、それからアフガンでテロ防止活動をしている。そうした国際平和協力活動を更に広めていくためにどうしたらいいかということについて国会の場できちっと議論をしていただいて、やっぱりシビリアンコントロールの下で自衛隊国際平和協力活動あるいは国際的な地域の安定のためにどういうふうに活用できるかということについてしっかりと御議論をいただいてそういう道を開いていっていただきたいというふうに思っておりますし、我々も政府の内部で今そういう議論をしておるところでございますので、政府国会の場でうまく、そっ啄の機じゃないけれども、呼応してそういう活動が開かれることを期待したいというふうに思っております。
  20. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、この問題は、国際平和協力に関するいわゆるそれぞれの個別法ではなくて、基本法恒久法を作るべきだと思っております。その際には、軍事力行使につきまして、これは治安維持、侵略のためではありませんから、治安維持なりあるいは治安部隊訓練は当然現在の憲法下でもできるというふうに考えておりますんで、これは国会での議論も深めていくべき問題でもあるというふうに考えております。  次に、国際交流強化でございますけれどもアメリカは一九六一年に教育文化交流法というのを作りまして文化国際交流を進めておるわけでございます。これは、やっぱり冷戦下の下でアメリカの価値あるいはアメリカ影響力を拡大していく、維持拡大していくという目的を持った法律だと思うわけでございますけれども、これに倣って国際交流強化するための基本法を制定すべきだというふうに考えるわけでございますが、外務大臣の御見解はいかがでしょうか。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘がありましたように、この国際文化交流というものは、これはもう外交政策上極めて大きな要素を持っておると、私自身もそう思っておりまして、これは不可欠な要素一つだと思っております。  文化交流というのは外交政策一つの柱として位置付けられておると思いますし、日本文化というものは、今我々の知っている文化以外のサブカルチャーの部分でも随分といろいろやっておりまして、そういったことにつきましては、このたび、海外交流にもっとどうやって日本文化というものを発信していくべきかということで、新たに海外交流審議会を発足をさせて今審議をスタートさせて、どういう発信の仕方があるのかという点につきまして私ども諮問をしたところでもあります。  ただ、今言われたように法律を作るかというお話でありますけれども、今この種の法律を持っておりますのは、確かにアメリカは持っておりますけれども、米以外は、英仏独伊いずれもまだその種の法律を確としたものは持っているわけではございませんので、私どもとしては、関連強化、この種の文化交流関連強化も引き続き強化をするのは当然のこととして、今の段階では法律までというところまで考えているわけではございません。
  22. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 これは議員立法というようなことも考えられるわけでございますので、外務省としても検討をお願いしたいというふうに思います。  ちょっと時間の関係で、申し訳ありませんが日中関係にいきたいと思います。  日中関係についてでございますけれども、靖国神社だけが今の日中関係で問題であるかのごとく言われておりますけれども、私はそうではないと思うんですね。その背景にあるのは、中国日本、それぞれにとって、この日中を、どういう形で将来日中関係を構築すべきであるかという点についてお互いにまだ分からない。特に、中国が毎年一〇%の軍事費を拡大している、今現在では四兆円弱、そのほかに国防費として計上されていない分野があるというふうに言われております。そういう中で、特に安全保障問題、軍事力の問題を含めた日中間関係東アジア、日中を含めた東アジア全体の関係をどういうふうに構築するかというところが明らかでないといいますか、お互いに異なるイメージを持っていることが私は問題だというふうに思うわけでございます。  中国は、特に東アジアにおきまして卓越した軍事パワーと、また影響力を維持したいというふうに思っておりますし、他方日本は、経済パワーは一流でございますけれども防衛については日米同盟という防衛的な関係だと、軍事力につきましては。そういう中で、将来この日中関係を解決する大きな枠組みを考える上で必要なこととしましては、特に今の中国は第一次大戦前のドイツあるいは日本のような状況ではないかと、そういう面があると思います。
  23. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が参っておりますので質問をおまとめください。
  24. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 はい。  したがいまして、日韓米、それに中印を含めた安全保障上の機構を検討する必要があるというふうに思いますが、これについていかがでしょうか。
  25. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 麻生外務大臣、簡潔な答弁をお願いいたします。
  26. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 極めて簡潔にお答えしにくい問題がざあっと言われておりますんで、はしょるようで恐縮ですけれども。  日中間、今、年間四百十七万人行き来しております。雇用しております、日本の企業が雇用しております中国人九百二十万人、そして納めております納税約六十億等々を見ましても、それは巨大な人的交流というのはもう現実そうなっておりますんで、私どもとしてはこういった現実問題、経済的、人的な交流というものを含めて、これは私どもとしては非常に大きな現実として知らねばならぬ。  傍ら、目下経済力、今こっちは四兆ドル、向こうは約二兆ちょっとだと思いますが、そういった意味では、今ちょうどざあっと上ってきているところだと思いますんで、同じ地域経済力の大きなのは我々としてそういうのが全然なかったわけですから、今出てきて、上ってきておられるというのはこれは誠に結構なことなんであって、ただ私ども、それを好機ととらえてきちんと対応すべきなんだという点が一点。  防衛力の点につきましては、やっぱり二けたの国防力の増強が十八年間続きますと、四兆が一〇%で十八年行きゃ二十兆ですから、それは巨大な額になるということになりますんで、それが不透明というところが問題ということで、やっぱりそこらの透明性含めてきちんとした対話が今後ともなされていくべきと存じます。
  27. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 終わります。
  28. 犬塚直史

    犬塚直史君 おはようございます。民主党犬塚です。  今、世界的な米軍再編行われているという中にありまして、ますます日本アメリカとの統合的な運用といいますか、協力関係が深まっていくという中にあって、今日の質問は、日本は常に武力行使正当性を持つべきではないかと。どんな事態にあっても、やっぱり国際社会に認められるようなしっかりした理念といいますか、戦略というか、武力行使を行うに当たっての正当性というのがますます問われるんじゃないかという視点から今日は質問をさせていただきます。  今朝なんですけれども、今朝の会議で実は沖縄方々に、これは民主党会議なんですけどね、沖縄方々にお会いをしまして、今再編の中で基地負担の問題、そして同時に抑止力を維持していくと、この二点について全く沖縄方々納得をしておられないというお話を今日は伺ってきました。その二つが必要であるということはもう大前提で当然御理解されていると。  しかし、例えば、今日面白い話があったんですが、負担軽減についてはこんなことをおっしゃったんです。どうして日本政府が独自に調査団を派遣して、グアムに行ってその費用の精査をしてこないんだと、そういう疑問を呈しておられたんですけど、これに対して両大臣、どういうふうに答えられますか。
  29. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、犬塚委員、これまでに日米協議をしている過程で、実務者レベルは米国の実務者レベルと一緒にグアムに行って現地を見て、そしてその米軍の今海空の整備をどういうふうにしていくかという考え方、それから日本海兵隊移転をしていく場合、どういうところに移っていくのか、そういうことについて現地で話を聞き、現場を見て協議をしております。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 精査の定義が難しいところだと思いますが、平米当たり幾らまでを精査と言われるのというように聞いておられるわけではないと思いますんで、全体的なところでいきますと、今、額賀長官からお答えされたのが答弁だと存じますが。
  31. 犬塚直史

    犬塚直史君 まあ、その辺のことについて地元の方たちが納得されてないと。日本政府として日本立場に立って、相手側の立場理解する上で、大体ここに幾ら掛かるんだと、向こうはこう言っているけれども、それはちょっと多過ぎじゃないかとか、そういうちょうちょうはっしの議論というものが全く感じられないということを今日は指摘されましたんで、ちょっとお伝えしておきます。  もう一つ抑止力という点でもう一つ今日言われましたのは、駐留なき日本防衛、駐留なき安全保障に向けての現実的な構想とか理念とか、あるいは各ステップというものが全く見えてこないので、要するに、将来は米軍が日本に駐留しなくてもいいんだと、基地がなくても日本はやっていくんだというような構想力というか現実的なビジョンが見えてこないので今の我慢ができないと。大ざっぱに言うとそんなことも言われたんですけれども、これに対しては両大臣、どういうふうに答えますか。
  32. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まず、前段のグアム移転のことについては、よく沖縄を始め国民皆さん方説明ができるような事態になれば丁寧に説明をして、理解を得る努力をしたいというふうに思っております。  それから、抑止力と将来の日米同盟の構想でございますけれども現実的に私どもは、今日あしたの安全保障を時々刻々、国民の安全と地域の安定のために責任を負っているわけでございます。この地域においては、御存じのとおり、北朝鮮の不安定さもある、あるいはこの地域が今後どういうふうになっているかについてきちっと十年先、二十年先が見通せる段階ではない、従来の脅威パターンが存在していることは紛れもない事実である。そういうことから、やっぱり自らの国の安全と同盟関係をきっちりと堅持していく、強めていくことによって安全を図っていくことが我々の立場であるというふうに思っております。  委員がおっしゃるとおり、将来、安全を確保していくためにどうしたらいいかということについては様々な努力をしていかなければならない。北朝鮮が、六か国協議を開いているわけでありますが、そういう仲間に入ってきっちりとお互いのその共通の認識が持てるようになる、あるいはまた様々な意見交換ができるようになる、認識を共有にしていくようになる、あるいはまた、そういう六か国協議の場がさらに、北朝鮮問題だけではなくて様々な安全保障、軍事問題について意見交換ができるようになるのかどうか、さらにはアジア全体がそういう広がりを持ってくるのかどうか、そういうことを見ながら着実に考えていくのが私の立場であるというふうに思っております。
  33. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、後半のところですけれども、まず二〇〇四年の十二月の防衛大綱というのできちんとした大綱が示されておるというのはもう御存じのとおりです。その中で日本としては、少なくとも日本に対して、直接的な脅威というものに対して、それを防止すること、排除すること、これがまず一つ。  もう一つは、そのようないわゆる国際的な安全保障という環境というものを改善して、日本に脅威というものが及ばないようにするようなためにどうするかという二つなんだと思いますが、そのために、具体的なこととしては、日本自身というものの努力ということは自主防衛ということになろうと思いますが、米軍の比率を下げればその分だけ、脅威は変わらないという前提に立った場合、国際的な脅威は変わらないという前提に立った場合は、米軍のあれが減った分だけ日本は自主防衛でやらねばならぬというところになろうと思います。したがって、その努力。そして、米国との関係というものを、同盟関係というのを一国でというのをやるのはなかなか難しい現況を考えました場合には、やはり米国との関係は、減らしつつも維持、良好さを維持するというのも大事なところ、これが二番目だと存じます。  そして、あとは国際社会との協力関係というようなことなんだと思いますが、いずれにしても、今の状況で申し上げておりますんで、これが十年したらどうなるかというのは、犬塚先生、これは正直言って分かりません。七九年、ソ連のアフガニスタン侵攻が起きたときに、十年後ソ連がなくなるということを予想した人は世界じゅうおりませんから、そういった意味では、私ども、なかなか先は見通せないものだということを前提にした上で、今できる状況ではということを申し上げれば、防衛大綱に示されておるような形が基本的な当面日本の行うべき防衛の意識、防衛のやり方という具合に理解をいたしております。
  34. 犬塚直史

    犬塚直史君 今、両大臣の御答弁を聞いていて、駐留なき日本安全保障ということは全くビジョンには入っていないというふうに理解をさせていただきました。  十年先、二十年先は、当然、これは分からないのは当り前であります。しかし、世界の中の日米同盟と言う以上は、やっぱりパートナーシップを持って、少なくとも自国に他国の軍隊が駐留しなくてもパートナーシップでやっていけるという立場に立たなければ、私は同盟関係とは言えないと思うんですね。それはもう結構です。  その点を今日も随分指摘をされたわけでありまして、私は、まず自国を守ると、専守防衛でやると、それプラス、今どうやって国外に出ていって武力行使をするかというときに、やっぱりこの武力行使正当性というのが絶対問われるんだろうなという趣旨で質問をこれからいたしますが、ちょっと本題に入る前に一つ確認をさせていただきたいんですが、前回の本会議の私の質問に対しまして麻生大臣が答えられた部分で、ICCの国際刑事裁判所を早期に日本から締結すべきだという質問をしたときに、大臣答えまして、我が国は当初よりも非常に積極的にこれには取り組んでおる、二つ問題があると、一つは国内法の整備、もう一つは予算の問題だという御答弁をされたんですが、まず確認させてください。これでよろしいでしょうか。
  35. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この国際刑事裁判所の設立というのは、これはローマの議会以来、一九九八年以来からだと思いますが、日本政府は一貫して支持していることは間違いございません。  そうして、これが関係省庁で今ずっと作業をさせてきていただいているんだと思いますが、私どもとしては、これを可能な限り早く締結できるよう作業を着実に進めていきたいと考えておりますが、関係省庁いろいろ御意見のあるところというのは申し上げたとおりです。  予算の手当てが容易ではないということでありまして、この点に関しましては、これは取り組んでいかないかぬところで、予算の事情というのは極めて厳しいという点を申し上げて、どれぐらい掛かるのかたしかあのとき御質問があったと思いますので、二十五から三十億ぐらいは毎年確実に掛かるかなという、たしかそんな答弁をさせていただいたと記憶しています。
  36. 犬塚直史

    犬塚直史君 今日は財務省の方に来ていただいたので、どうしてこの予算が厳しいのかということをちょっと御説明いただけますか。
  37. 松元崇

    政府参考人(松元崇君) お答えいたします。  御指摘の国際刑事裁判所規程に関しましては、現在、我が国政府といたしましては、必要な国内法整備の形式や内容等について、関係当局間で協議検討中の段階にあるというふうに承知いたしております。  したがいまして、現状におきましては、関係当局からの予算要求も行われておらないということでございまして、財政当局としては何とも申し上げられないところでございます。
  38. 犬塚直史

    犬塚直史君 もちろん、その予算要求は行われていないんでしょうけれども外務大臣、これ本気で真摯に取り組んでいるという答弁を私はいつもちょうだいしているんですけれども、少なくともその根回しといいますか、提出する前に、二十か三十億ぐらいの毎年の義務的な分担金ということになるわけですから、少しこれはちょっと大臣の方から根回しをしていただいて、一刻も早く提出するように財務省の方にもお話をしていただきたいんです。  この場でやりましょうという御答弁はいただけますかね。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 財務省に提出する前に関係省庁との話が付かない限りは予算の計上のしようがありませんので、二点と申し上げましたけれども、その第一点の方の、いわゆる法務省等々いろいろ関係省庁のところがなかなか、国内法の話となかなか一致しないところ。向こう、指揮権がどっちにある、いろいろ難しい話が御存じのように一杯ありますんで、そこらのところがずっと手間取っておるというのは、これはほかの法律にも関係しますけれども、何もこのICCだけの話に限った話ではありませんけれども関係省庁との間の詰めがよくできないとなかなか難しいんで、これは外務省がといってもなかなか簡単にはいかないところだとは存じますけれども、これは効果のある話、効果のある組織だとは私どもも思いますんで、こういったところは金目の話より前に省庁間のあれがなかなか付かないところがやっぱり難しいところだというのが率直なところで、今財務省の方から答弁があっておりましたけれども、まだ出てくる前のところで引っ掛かっておるというのが率直なところです。
  40. 犬塚直史

    犬塚直史君 この件については川口外務大臣のころから私は質問させていただいていまして、外務省の御担当の方が大変一生懸命、各省庁間との連絡を取りながら国内法の整備に向けてやっておられるのはよく承知しております。それをできましたらばサポートをする形で財務省の方にも働き掛けをもう今からやっていただくと大変有り難いと思います。  さて、本題に戻りますけれども、今年の二月に出てまいりましたこのQDR、四期ごとの米軍の世界規模の見直しのレポートですけれども、これ、両大臣、お読みになりましたでしょうか。
  41. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 全部、最初の一ページから最終ページまで読んだわけではありませんが、要点については目を通しました。
  42. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 結構厚いので、英文と日本文と両方出ていましたけれども、英文の方が何かえらい長いような気がしましたけれども日本文の方を含めて、全部が全部読んだわけではありませんけれども、かなり主要点にマーカーが付けてありましたんで、参考にさせていただきました。
  43. 犬塚直史

    犬塚直史君 じゃ、麻生大臣に伺いますけれども、この分厚いレポートの中でジャパンと、日本という言葉は何回出てきました。
  44. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に二回だったかな。一回でしたかね。
  45. 犬塚直史

    犬塚直史君 よく御存じで。一回しか出てこないんですね。しかも、その出し方が、アジア太平洋地域という文脈の中で日本とオーストラリアと韓国と、こう並べて非常に軽く出てくるんですね。こういう出し方というものを見たときに、抑止力といってもやっぱり米軍の世界規模の中の米本土を守るための抑止であって、日本抑止力、一体どこまでここに頼ってしまっていいのかなと私は素朴に疑問を感じてしまったんです、たった一回しか出てきませんので。  そこで、この委員会でもお話に出ていましたけれども、例えば領海侵犯、不審船が来る、あるいは潜水艦が来るということに対して、一体この米軍の持っている抑止力というのがどこまで働いているんだろうなと。何かあったときには米軍がいるから、あるいは核の抑止があるからちょっと日本は怖いよということだと思うんですけれども、一体こういう国境もはっきり言って余り守られていないという事態は、この抑止力というものについてもう一回再考させられるようなことだと思うんですけれども、米軍の持っている抑止力日本の国境は守れないと今事実的にそうなっているんですが、この抑止力、一体じゃ何のための抑止力なんでしょうか。防衛庁長官、お願いします。
  46. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それでは、逆に日本が、委員がおっしゃるように駐留なき安保、自らの力で自分の国、あるいは自分の国益を守る、守り抜く、そういう体制をつくり上げていくことが一番ベストな選択なのかということを考えたときに、我々の先人は、やっぱり同盟関係を結んで自らの国の安全と地域の安定を確保することがよりベターな選択であるというふうにやってきたわけでございまして、私はその選択は間違っていなかったんではないかと思っております。  この前もお話を申し上げましたけれども、我が国を取り巻く大国と言われる国々、中国にしてもロシアにしても、あるいはまた太平洋を離れたアメリカにしても、それはもう核を持ち、核弾頭を持ち、そして膨大な軍事力を持っている、そういう国々と対等に我々が張り合って自らの国の安全を保っていくことが一番いいのかというと、やはり米国との同盟関係を結ぶ中で自らの安全と地域の安定を図っていくことが賢明な選択であったし、これからも我々の国の方針としてはそれがベターであろうというふうに思っております。  それは、従来型の日本防衛構想の中で、自らの国は自らの力で守ると、しかし相手に対しての抑止力として、同盟関係の米国が打撃力をもって相手国を攻撃をする、報復をする、そういうことの抑止力によって日本の安全を維持してきたということのこの戦後六十年の実態がその抑止力を示していることになるものと思っておりますし、これからもまた、この地域のバランスを考えていく上に当たって、この日米同盟が強まっていくことが一つ抑止力を維持していくことになっていくものと思っております。
  47. 犬塚直史

    犬塚直史君 今長官おっしゃった先人のつくってきたこのやり方、一九五一年サンフランシスコ平和条約日米安保条約、そして地位協定、これで日本は独立したわけですから、その当時の御苦労は大変なことだったと思います。全く占領下にあって、軍事的には空白で、しかも冷戦の始まりという中で大変な御苦労だったと思うんですが、それから六十年もたった今、やっぱり基地なしで安全保障をつくるんだっていう一つのビジョン、これはやっぱり私は持つべきだと思うんですね。それが今すぐということではないけれども、十年、二十年先分からないからということではなくて、やっぱり基地がない状態での日本の当然の自衛力を持ち、そして国際貢献もする、それをどうやって現実的にやっていくかというビジョンを持つべきだと思うんですけれども麻生大臣、どうですか。
  48. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 自国で今自主防衛ということだけを考えたときに、費用対効果というのはやっぱり考えにゃいかぬところだと思いますけれどもね。どれぐらい掛かるでしょうか、自分だけでやると。今の抑止力日本一国で持とうといって、他国にして、日本の抑止というものの力をアメリカなしで自国だけでやるということになったときの掛かる経費と費用対効果から考えますと、私はとても今の防衛費じゃとてもじゃないという話になるのはもうはっきりしておりますから、それに対して国民納得が得られるか。また隣国の納得もある程度得とかにゃいかぬというようなことを考えましたときに、私はそういったようなものというものを世界じゅうどこでも皆何らかの形で、一国で防衛なし、同盟なしでやっている国というのは余り知りませんので、私としては、NATOに限らずいろんな形でそれぞれ皆同盟関係を結んで相互補完をし合っておられるということだと思いますんで、私としては、今軍事技術が更に進歩すれば基地というものの意味が随分変わってくる可能性というのは技術面からは十分にあり得るという感じはしないわけでもありませんけれども、それでも最前線等々はどうなるであろうか等々、ちょっと軍事技術の方はそんな詳しいわけじゃありませんから、ですけれども、基本的には私としては今言われた点、自国の中に米軍基地がないと、私全然反対じゃありません。ただ、それに掛かる金は幾ら掛かるんです、そしてそのときの抑止力は十分ですという点に関しますと、一国の安全を考える立場に立ちますとなかなか答えは見付けにくいところであって、今のところの、今あります状況というのがベストとは申し上げるつもりは更々ありませんけれども、少なくとも今の状況としては、費用対効果という一点だけを見ましても私としてはそれなりの効果のあるものだと思っております。
  49. 犬塚直史

    犬塚直史君 今、日本防衛予算、昨年度のミリタリーバランスでは世界第三位と、御存じだと思うんですけど、そういう中で、私は費用の問題ではないと。やっぱりこれは日本の政策といいますか戦略といいますか、今大臣もそれは基地がない方がいいとおっしゃったんで、じゃ、それをどういうふうにやっていくのか。同盟関係なしでいいと言っているわけではないんですね。  私は、今日何言いたいかといいますと、武力行使を海外でするときには絶対これ正当性を持たなきゃいけないよということを今日は言いたいんです。配付資料をごらんになってください。これ、平和強制型のPKO、これが上の二つなんですね、その下が多国籍軍、そして下から二番目が人道的介入、一番下が国連軍というふうに一応分けた資料なんですけど、まず、ここに全くPKO出ていませんので、事務方の方で結構なんですが、この配付資料に載っていない、PKOというのは全部で幾つあるんでしょうか。
  50. 樽井澄夫

    政府参考人(樽井澄夫君) お答えいたします。  現在、これまでPKOと言われますものは六十ございました。その中で、九〇年、冷戦以降には四十二件がございます。現在は、現在の国連PKOでございますけれども、全部で十六ということでございます。
  51. 犬塚直史

    犬塚直史君 このPKOという名前なんですけれども国連の平和維持活動と、これがこういうふうに呼ばれるに至った経緯、もし、これ通告していませんので、じゃ、私が言いますね。いいですか。そうですか、言いますね。  これ、元々このPKOという名前じゃなかったんですね。いろいろな言い方がされていまして、例えば国連平和軍、国連警察軍、国連平和監視軍、国連介在軍、同意型の軍隊と、こういろいろいろいろ言われていたんですけれども、最終的に国連の平和維持活動に落ち着いたと。何でこんなことを言っているかといいますと、やっぱりこういう言葉それぞれに、国際社会納得する中立性だとかあるいは武力行使を目的としない介入だということが表れていると思うんですね。  PKO局の方、もう一回、PKOの定義を教えてもらえますか。
  52. 樽井澄夫

    政府参考人(樽井澄夫君) お答えいたします。  御承知のとおり、伝統的なPKO、それから現在の複合型のPKO、大きく分けますと二つほどございます。  伝統的なPKOにつきましては、紛争当事者の停戦合意を担保するために、基本的には停戦監視要員及び平和維持部隊、いずれも軍でございますけれども、を派遣してその停戦合意を担保するという形でございます。典型的な例が、我が国が今派遣しておりますあのUNDOFが一つございます。  それからもう一つ、複合型のPKOでございますが、これ、冷戦が終わりまして国内内戦型の紛争が極めて増えたという事情もございますけれども、従来型の停戦合意の遵守に加えまして、人道支援、それから選挙管理、それから行政支援、復旧支援等々、非常に多岐にわたるものを含めましてPKOということで呼んでおります。
  53. 犬塚直史

    犬塚直史君 今おっしゃっていただいたように、非常に多岐にわたる定義、その定義自体そもそも国連憲章には書いていないという中でですね、最も受け入れられているのは、やはり地域紛争や事態を平和的に収拾することを目的とした国連活動というところでよろしいですかね。
  54. 樽井澄夫

    政府参考人(樽井澄夫君) お答えします。  委員承知のとおりでございまして、基本的には、国連安保理で決議いたします多国籍軍、武力行使を行う多国籍軍とPKOは明確に違うというのが国際社会のコンセンサスでございますし、それから国連内部におけるコンセンサスであるというふうに承知しております。
  55. 犬塚直史

    犬塚直史君 まず第一弾として、ここの表に出なかったPKOについては、一応今おっしゃったように、国際社会武力行使必要なときにはコンセンサスがあると、正当性があるということだと思うんですが、今世界全体でPKOの要員というのは何人ぐらい働いているんですか。これも言っていなかったので、もしよかったら。
  56. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) PKO要員の人数でございますが、約五万七千名のPKO要員が世界に展開していると承知しております。
  57. 犬塚直史

    犬塚直史君 そのうち、日本人は何名ぐらい参加しているんでしょうか。
  58. 樽井澄夫

    政府参考人(樽井澄夫君) 当件の統計上は三十名、UNDOFでございます。
  59. 犬塚直史

    犬塚直史君 このPKOにかかわる国連の経費というのは今幾らぐらいになっているんですか。
  60. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  61. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を起こしてください。
  62. 犬塚直史

    犬塚直史君 失礼しました。これ、私の手元にある、これ新聞記事しかないんですが、PKOの経費が既に五十億ドル超えていると、まあ約六千億円ですね。通常の国連の予算が約二千億円ですので、まあ三倍ぐらいの経費がPKOに掛かっていると。日本はその中の一九・五%ですか、負担をしていて、しかし人数としては三十名しか派遣をしていないという事実があるんですけど、これPKO、やっぱりそれ相応日本が出て行くというような体制を整えるべきだと思うんですが、麻生大臣、いかがでしょうか。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国連PKO、最初が多分カンボジアだったかがスタートだったと思いますけれども、モザンビーク等々幾つかやらせてきていただいたんだと。どれがPKOで、ちょっと正確な記憶がないんですけれども。  私どもとしては、これ今後、随分あのころに比べれば世論も変わったという感じは率直にいたしておりますし、国際情勢もまた変わったと思っております。そういった意味では、今までとは少し条件が違って、PKO参加の五原則というのを御存じのように、いわゆる停戦の合意とか、まあ当事国というかその政府の同意が要るというか、受入れ合意というものが要るとか、中立的立場として、まあずうっと五つぐらいあったと思うんですけれども、そういった中にあって、私どもとしてはいろんな形でこのアジアというのを特に主に目を向けたと思いますけれども日本としてPKOを出せるときの条件として、一応、少なくとも国連PKOを展開するとか、国とか地域とかいう紛争がどのように国際的に位置付けられているのかという点は、やっぱり日本との関係とか外交的な観点からこれはちょっと十分考慮していかないといかぬところなんだと思うんですね。  そういった意味で、私どもについてこれは協力できる意義とか可能性というのを判断するというときには、これはいろいろな調査や情報をちょっと分析しておかないと、何となく入れたわ、全然具合悪くなったわ、引き揚げるわというのでは余り意味がないということなんだと思います。  そういった意味で、まあ国際平和協力法というのができて、いわゆる協力を行う意義というものについては認められるという判断をされたときについては、私どもとしては、この国際平和協力法の諸要件にのっとって、可能な限りこれ私ども協力していくべきなんだと、私自身はそう思っております。少なくとも、今、中近東、いろいろですけれども、少なくともあの地域のいわゆる不安定もしくは無秩序というものは、これはあの地域から日本の化石燃料というかエネルギー、石油エネルギーの約九割というものを輸入しております日本のいわゆる国家というものの存立にかかわるほどの大きな話ですので、そういった地域の安定というものに資するというんであれば、いろんな形でのPKOというものはもっと積極的に考えられてしかるべき点というのも多々あろうかと存じます。
  64. 犬塚直史

    犬塚直史君 これ、先ほどの武力行使、海外で行うときの正当性という話に戻るんですけど、例えばルワンダで半年間で八十万人とか百万人とかが虐殺されたと。無辜の人間が目の前でなぶり殺しにされるときに、それを黙って見てていいのかという非常に重い問題に対して、どう対応していくかということだと思うんですね。  御存じのように、当時、PKOの人が増兵というか増援の依頼をしても国際社会はこたえなかったと。日本協力部隊の人たちも、PKO五原則、日本の五原則があると。停戦合意があったにしても受入れの合意がないというような状況の中で入っていけなかったというようなことがあると思うんですね。  私は、これは個人の意見なんですが、日本PKO五原則はやっぱり変えるべきだろうと。やっぱり国連PKO五原則に合わせてこれからは積極的に行っていくべきだということを今日は強く主張したいと思います。  PKOについては国際社会に認められた同意原則に基づいてやっているんですけれども、この表をもう一度見ていただきたいんですが、これについてはケース・バイ・ケースだよと、ちょっと怪しいものもかなりありますよと。特に、イラク戦争後のイラク多国籍軍、これは米国による通称なんですけれどもね。これは、一番初めは安保理の直接的な決議がなかったというような事態がまた今後とも起こらないとは限らないと。こういうものに日本がまた対峙したときに一体どういう形で判断をしていくのか。日本の開かれた国益にこれが資すると判断する、判断しないということを、もう今からやっぱりこれ議論しておく必要があると思うんですけどね。  大臣、どうでしょうか。日本なりの原則を持って、PKOも多国籍軍も、あるいは人道的介入も、これはいいよと、これはいかぬよというような日本なりの原則というのは、今何かお持ちでしょうか。
  65. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の基準というのは、御存じのようにPKOいわゆる五原則というのが一番の問題でして、その中でいわゆる停戦の合意とか、それから受入れの同意とか中立的立場の遵守といったものの三つの条件の一つでも満たされなかった場合はいわゆる業務の中断及び派遣の終了というようなことを決めておりますんですが。  今申し上げたような状況というのは、犬塚先生おっしゃったように、これはコソボのときも似たようなもんでしたし、いろんな状況というのは、もう非常に複雑な話というのは、とても私どもじかに分かるわけじゃありませんので、国連がという形になって、かなりその国連の判断に負っているところはあるんですが、少なくとも今のPKO参加原則というものは、今の現行の憲法下におきまして、日本のいわゆる国連平和維持というものに関してそういった行為に参加する国連平和維持隊みたいな形で、少なくとも憲法で禁じられた武力の行使というものをするという評価を受けることがないようにするという前提で、これが担保されてない限りは今言われたような形を満たさないわけですので、そこのところは物すごく大事なところなんだと思うんですね。その一方で、これは当該、今申し上げた五原則については、これは犬塚先生に限らず、これはあの当時からいろいろ議論が多々ありましたことは、もうこれまた確かです。  そういった意味で、この国際平和協力の在り方というものにつきましては、この五原則を含めて、たしか内閣官房を中心に、これはいろいろ幅広く検討というのはあの当時からいろいろ、まあ状況も大分変わりましたし、インド洋の話とかイラクの話とかあの後の話ですので、そういったことを含めまして幅広く検討中でありますというのは知っておりますけど、具体的に今こういう具合に変えようと思っているというような具体的な答えを今この段階で答弁できるような段階にはございません。
  66. 犬塚直史

    犬塚直史君 これ、一つ面白い例があるんですけれども、一九五六年の、スエズ運河、シナイ半島、ガザ、ここに第一次国連緊急隊というのを送った、一九五六年です。このときのPKOがちょっと特殊だったんですけどね。  これは何が特殊かというと、安保理の決議なしに行ったんですよ。安保理の決議ではなくて、総会の決議でこの第一次国連緊急隊が行ったわけですね。これは非常に後ほど議論になりまして、安保理の決議ないのにどういう正当性を持ってそういうことができるんだという、当然の議論になるわけですね。そのときに、納得性があった答えというのがやっぱりこれは同意原則、要するにこれは強制活動ではないんだと、当該紛争当事者の同意があって、来てくださいと、国連の平和維持部隊来てくださいという同意の下に派遣されたのであるからこれは正当性があるという判断なされたんですね。  先ほどの話に戻るんですけれども、これからのPKOに限らず、多国籍軍等々に日本が参加をする、しないと決めるときに、私はこの同意原則というのは非常に大事だと思うんですけど。例えば、これから米軍が主体になった多国籍軍が編成されたと、で、日本がそれに対して自衛隊を一緒に送る、あるいは後方支援をするというときに、周辺事態法とかあるいは特措法はちょっと抜きにして、日本の原則としてこの同意原則というのをしっかりと当てはめていくというスタンスもありじゃないかと思うんですけど、両大臣、いかがですか。防衛庁長官、まずいかがですか。
  67. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まず、犬塚委員、我々はPKO活動とかイラクの派遣だとかアフガンの派遣しておりますけれども、これは自衛隊法の附帯的な業務として仕事をしてますね。だから、そういう意味では、まず国会皆さん方にお願いしたいことは、自衛隊員の皆さん方が誇りを持って国際平和協力活動ができるように、まずこれは自衛隊の本来任務としてきちっと位置付けてあげてくれたらいいなというふうに思っておりますので、そういう認識を是非持っていただきたい。その上で、一般的な国際平和協力活動ができる展開をしていくことがいいと思います。  その中で、じゃ、どういう場合にその自衛隊員を使うのかという原則を作り上げていかなければなりません。その原則の一つとして、委員提案議論に値することであるというふうに思っております。
  68. 舛添要一

  69. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、外務大臣
  70. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 犬塚先生、この同意原則というのはこれはもう最も大事です、これは。私どもとして、一番大事なのはこれだと申し上げてもいいぐらい、これは最初から同意もないのに行っちゃったら侵入若しくは侵略ということになりかねませんから、同意原則は最も大事だと私どもも基本的に、外務省といたしましても、これはPKOが始まる最初のときからこの同意原則というのはずっと大事にしてきており、多分優先順位としては最も高いものと言えるぐらい大事にしてきておる考え方一つです。
  71. 犬塚直史

    犬塚直史君 そうしますと、例えば、いや、これは引っ掛けたわけじゃないんですけど、イラクの米軍の攻撃が始まったとき、随分国際的にもいろんな議論になったわけですけれども、こういった事態がこれから起こってくると、そのときにやっぱり一つこの同意原則ということをしっかりと判断基準、日本の判断基準としてやっていただきたい、是非これを判断基準にしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  最後になりますが、このPKO活動だけではなくて、今国連の平和構築委員会というのができました。あれ、まだ私は、形はあるけど魂入ってないと、具体的にはまだ何も動いてないに近い状態ではないかと思うんですけどね。ODAの戦略的な活用、そして多国籍軍に対する参加、これすべて考えてみればPKOのこの定義にもあるんですけども、こういったことをすべてやっぱり平和構築という一つのくくりで、やっぱり戦略的に日本が主体性を持ってやっていくべきだと思うんですけど、今日、ODAの方も来ていただいているので、その辺の連携、ODAの戦略的な活用とPKO関係といったらちょっとややこしいですけど、じゃこの国連の平和構築委員会に対して日本がどういう貢献ができるか、現場から何かそういう意見ありましたらお願いしたいんですが。
  72. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) お答えをいたします。  正に今国連の方では平和構築委員会ということでもって、正にこのいろいろな国際的な紛争、平和構築に対応する体制というものを整えようとしているわけでございますが、我が国のODAの中でも、これは二〇〇三年に改定をいたしましたODA大綱の中でも、私どものODAの中での言わば重点目標、重点を置いて対応すべき分野ということで、平和構築ということを一つ大きな柱として掲げておりまして、これは当然ながらいろいろな各地での紛争の防止、それから発生をした後の緊急人道支援から復興支援といったものに至る過程において我が国のODAをできるだけ活用をしていこうということでございます。  当然ながら、こういった活動に当たりましては、国際社会との連携あるいは国連との連携ということがこれは重要な要素になるわけでございまして、これまでも各地でのいろいろな紛争、発生、その収拾段階において、ODAの活用に当たっては、国連あるいはいろいろな国際機関と連携を取りながらODAを十分に活用していくということを考えてきたわけでございまして、これからまた国連の中でそうした平和構築委員会の体制というものができ上がってくる、それに言わば連動する形で私どものODAについても有効な活用を図っていきたいというふうに考えております。
  73. 犬塚直史

    犬塚直史君 最後外務大臣に伺います。  外務省では、よく人間の安全保障という言葉を今使われておられるんですね。はっきりした定義があるわけではない、これも発展途上といいますか、これからしっかりと中身をつくっていく言葉だと思うんですけども日本版の人間の安全保障という中身をつくっていくに当たって、大臣の御所見をお伺いします。
  74. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、平和構築委員会の中にも関係するところでもありますし、これは人権の問題のところにも関係してくるところなんだと思いますので、これ非常に幅広い定義だとは思いますけれども。  今、具体的な例だけ一つ申し上げさせていただければ、何となく私どもとしてはPKOとかこの種の話、紛争になりますとドンパチのところ、部分ばっかり、戦争とか紛争の部分ばっかり目が行って、それが一応紛争が終わったらそれ以上何もしておらぬということになっておりますけれども現実問題は、そこから復興しないでじっと貧困が続きますとまた起きるという可能性だってありますし、私どもとしては、そういった意味では、その国の人たちの生活水準が向上するために、基本的にまず、行政組織がめちゃめちゃになってなくなってますから、まず行政官はつくらにゃいかぬ。同じ国でも、例えば東ヨーロッパの国々、中近東の国々で、地方税、地方議会、地方分権、全く通じない単語で、それを今、総務省がいろいろな人を今自治大学校で教えていたりしているといった例というのは幾つもありますけれども。  そういうような意味で、私どもとしては、幅広く日本のできる部分というのは、この軍事的以外の部分で平和を構築していくときにおいて、私どもは、貢献していける部分というのは多々あろう。その中に私どもは、今言われたような問題もこの中に広く含まれていく問題だと思って、日本としてのできる部分というのは今通常言われているよりもっと幅広いものがあるのではないか、そのように考えております。
  75. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 鶴岡外務審議官、先ほどの犬塚君の質問に対する答弁、お願いいたします。
  76. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) 先ほどのPKOに掛かっております総額でございますが、現時点におきましては五十億ドルを超える額がPKO予算として、通年の一年間の予算として計上されているというような状況でございます。  一点、先ほど申し上げました総人数でございますけれども、七万三千人というのが現状でございます。おわびして訂正を申し上げます。
  77. 犬塚直史

    犬塚直史君 全世界のPKOに世界じゅうから七万人が参加して予算が六千億円と。イージス艦四隻ぐらいの金額ですかね。イージス艦あるいはミサイル防衛、こういうお金、もちろんいいんですけれども、やっぱり武力行使するんだったら正当性を持ってやっていく方向、それなりの日本の基準、あるいは、今大臣がおっしゃった文民警察あるいは社会構築支援といったところに是非目を向けてお金と人と資源を使っていただきたいということを強くお願いして、私の質問を終わります。
  78. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 防衛庁は、先週二十四日、今回の談合事件を受けて、再発防止策の基本方向を公表し、全庁挙げて必要な取組を行うことを明らかにいたしました。今回の事件を通じて何より求められているのは、腐敗の温床となっております天下りなどの官、業の癒着のシステムに文字どおり全庁挙げて徹底的にメスを入れることだと思います。今日は、この問題を別の角度から取り上げたいと思います。  防衛庁は、二〇〇四年十二月、陸上自衛隊が保有する八八式地対艦ミサイルの改良型の開発をめぐって、防衛装備品の研究開発を一元的に行っている同庁の技術研究本部で重大なミスが判明したとして、関係者と受注企業を処分いたしました。どんな処分内容だったのか、簡潔に述べていただきたいと思います。
  79. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。  本件に関します職員に対する処分についてでございますが、これは、先生指摘の八八式のシステムの試作に関し、一つは、平成十五年に実施しました三回の技術審査、ここにおきまして、機体構造の専門家を審査員としないまま技術審査を実施し、機体構造強度に係る不備事項を発見できなかったこと、もう一点は、その後、十六年五月でございますが、当該不備事項等の情報を得たにもかかわらず技術速報を速やかに提出しないなど、上司に対する報告を……
  80. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 簡潔でいいですよ。
  81. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) ええ。適切に行わなかったということで、これは職務上の注意義務に違反したという形で技本の研究開発に対する国民の信頼を損ねたということで、七名に対して訓戒等の処分を十二月二十七日に行っております。
  82. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 八八式地対艦ミサイルは、日本侵攻のために沿岸に接近してきた艦船を内陸部から攻撃する誘導ミサイルなわけですけれども、その配備の目的は旧ソ連の侵攻に備えたものとされてきました。しかし、ソ連が崩壊した下でその配備の必要性は失われた。そういう兵器の改良、開発に防衛庁はこれまで二百億円を超える血税を投じてきた、正にこれは無駄遣いの典型だと思います。  要は、この誘導ミサイルの開発をめぐって技術研究本部と三菱重工との間でミスの隠ぺい行為が行われていたというのが要するに処分の理由だと思います。問題は、このなれ合いの背景に何があるのかということだと思います。  具体的に聞きますけれども、技術研究本部では労務借り上げの名目で軍需産業の側から職員を受け入れていると思いますけれども、八八式地対艦ミサイルの改良、開発に当たっては、これまで三菱重工からどれだけの職員を受け入れているんですか。
  83. 佐々木達郎

    政府参考人佐々木達郎君) お答えいたします。  先生指摘の八八式地対艦誘導弾システム改の開発のその一、その二に係ります試験における三菱重工株式会社からの労務借り上げにつきましては、平成十五年度から平成十六年度の間に十二件の契約をしておりまして、この労務借り上げの延べ人日は合計で九百十一名の人日になってございます。
  84. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 労務借り上げをめぐっては、私がたしか九八年の決算委員会で初めてその実態を取り上げて以降、国会でも度々問題になってきたところです。天下りに加えて、軍需産業をめぐる官、業の癒着の温床だと指摘されました。しかし今でも続いている、そういうことが明らかになりました。  防衛庁では、一体いつごろから軍需産業の職員の受入れを行うようになったんですか。
  85. 佐々木達郎

    政府参考人佐々木達郎君) 今先生指摘の労務借り上げという観点につきましては、私ども防衛庁技術研究本部が発足の昭和三十年代から行っていたと推測しております。  その理由でございますが、防衛庁技術研究本部は、不定期に実施されます試作品の試験等におきまして、技術研究本部の職員のみでそれらの試験等すべてに対応するためには、そういった体制になっておりませんので、したがいまして、不定期に実施されます試験において技術者が不足する、そういった場合には、効率性の観点から、その都度、防衛技術に関する専門的な知識、経験を有する人材を有している企業等から契約をし、試験の計測等の補助者として従事してもらってきています。
  86. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 昭和三十年というと、五十年続いていることになります。  技術研究本部では軍需産業の側からどれだけの規模の職員を受け入れてきたのかということですけれども、二〇〇四年度の受入れ、上位五位の企業名ごとの人数を述べてほしいと思います。
  87. 佐々木達郎

    政府参考人佐々木達郎君) お答えいたします。  平成十六年度、技術研究本部の労務借り上げの契約において契約金額の多い上位五社について申し上げますと、三菱重工株式会社に対して延べ一万一千七百五十八人日、三菱電機株式会社、延べ三千八百七十六人日、新明和工業株式会社、延べ五千百二十六人日、川崎重工株式会社、延べ三千八百五十三人日、石川島播磨重工株式会社、延べ三千二十七人日になっております。
  88. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 五社だけでちょっとざっと計算すると、延べでおよそ二万八千人ぐらいですか、職員を受け入れていることになります。  防衛庁の資料によると、これらの職員は、先ほど指摘した八八式地対艦ミサイルの改良を始め次期固定翼哨戒機、新戦車など、多くの装備品の研究開発を行っているわけですね。日米共同研究で進められている弾道ミサイル防衛にも多くの職員がかかわっているという、そういうことを聞いております。しかも、これらの職員はこうした装備品の研究開発を無償で行っているわけじゃないわけですよね。  防衛庁は、先ほどの上位五社の職員を受け入れるに当たって、この五社に二〇〇四年度で総額幾らの日当を支払っているんですか。
  89. 佐々木達郎

    政府参考人佐々木達郎君) お答えいたします。  ただいま申し上げました五社に対する契約金額の合計は約二十九億円になります。
  90. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 五社に対して二十九億円の日当と。これは、先ほどおっしゃられた延べ二万八千人、これで割ると、一人一日八時間労働ということであるでしょうけれども、平均すると大体十万円を超える、そういう日当を払っているという計算になるわけです。そういうことですよね。
  91. 佐々木達郎

    政府参考人佐々木達郎君) 平均的に見ますとそのような金額になります。
  92. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これは正に大変な額だと思うわけですね。企業側の職員を受け入れるために一人について一日平均十万円を超える日当を払っている、これは実に驚くべきことであって、国民感情からすると、何でこんなことが今ごろ起こるのかということになると思うんですね。到底私は理解されないと思います。  防衛庁の資料を基に、防衛庁との契約高上位企業の状況を調べてみました。その結果ですけれども、二〇〇〇年度から二〇〇四年度までの五年間に、先ほどの上位五社のほか、日本電気、東芝、富士重工など計十九社から延べ十七万人もの職員をほとんど競争入札なしの随意契約で受け入れております。  この延べ十七万人というのは間違いありませんよね。
  93. 佐々木達郎

    政府参考人佐々木達郎君) 恐縮です。今ちょっと手元にありませんので。
  94. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 皆さんからいただいた資料を計算してそうなっております。ちゃんとそのように調べてくださいね。  しかも、これらの職員の受入れのために支払われた日当の総額は実に百九十三億円に上る。これも皆さんの資料で調べた結果です。一方、天下りを見ますと、これらの企業に対して、五年間に防衛庁の幹部OBが三菱重工に四十三人、川崎重工二十三人、三菱電機七十三人など計三百十一人が天下っております。計十九社がこの五年間に防衛庁と結んだ契約額総額というのは四兆円を超えている、そういう実態です。  技術研究本部が行う開発は、公式方針でも、先ほどもお答えがありましたけれども、民間の企業に大きく依存している、それが実態です。そのために企業の側も職員の派遣に期待している。なぜならば、開発されたプロジェクトが量産段階に移行すれば、そのときには研究開発を担当した企業が選ばれる、そういうことになるからです。したがって、開発されたシステムが第三者によって何度もテストされるということもない。初めに指摘したミサイル開発の隠ぺい行為も正にこうした中で起こるべくして起こった、そういう問題だと思うわけです。  そこで、大臣にお伺いいたします。  発注者である防衛庁からは毎年多くの幹部OBが天下る。その一方で、それを受け入れた企業側からは、一日平均十万円を超える日当を払って競争入札なしの随意契約で大量の職員を雇い入れてやる。その上、量産段階では莫大な利益をもたらしてあげる。企業にとってこんなおいしいシステムはない、私はそう思うんですね。こんなやり方はやはり到底国民理解は得られないと思います。  そこで、やはりこうした労務借り上げの実態についてメスを入れて必要な見直しをすべきではありませんか。
  95. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今防衛庁は、この前の施設庁の事件を契機に、防衛庁についての公益法人についていろいろと洗い直しをしているところであります。随意契約についても点検をしているところでございます。したがって、今度の技術研究本部においての、これは何協会といったんだっけ、防衛技術協会……
  96. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 公益法人のことを伺ったんじゃありません。労務借り上げについても、労務借り上げの実態について必要な見直しをすべきではないかということをお伺いしているんです。
  97. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 借り上げについても、労務借り上げについても企業側についてよく実態を調べて、できるだけ、恐らく技術的なものでこれに頼るしかないということもあると思いますけれども、そういう状況をよく確かめた上で実態を調べて、これも検討してまいりたいというふうに思います。
  98. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 さらに、もう一つ看過できない問題、それは今大臣がおっしゃられた公益法人の問題なんですね。  防衛庁の資料を見ますと、職員の受入れは軍需産業だけじゃなくて、財団法人防衛技術協会という団体からも受け入れているわけです。これまで同財団から受け入れた職員数は過去五年間に延べ二万八千人を超え、支払った日当額も十億円を超えているわけです。  技術本部では、なぜこのような団体から入札なしの随意契約で職員を受け入れる必要があるんですか。一言で言ってください。
  99. 佐々木達郎

    政府参考人佐々木達郎君) お答えします。  防衛技術協会との労務借り上げの契約に関しましては、防衛庁技術研究本部が行います試験等における不足する技術者を補助者として借り上げるということで、試験の実施あるいは試験のデータ整理の補助として優れた経験を有する者にお願いしております。
  100. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この団体が設立されたのは、お聞きしますと、一九八〇年とのことでした。歴代会長ポストは技術研究本部本部長経験者の指定席となっている、そのほかの役員の多くも技術研究本部の幹部OB、現在も顧問を含めた役員十九名のうち十四名が防衛庁OBが占めております。たった一人、民間から非常勤理事で就いている者がおりますけれども、この人物も経団連の防衛生産委員会の事務局長とのことです。職員も、百七十六名と聞きましたけれども、調べてみるとその八割が防衛庁OBということです。  このように、防衛技術協会という団体は言わば技術研究本部直轄の天下り先であると同時に、技術研究本部の行う開発業務の受皿として、OB職員の派遣を通じて五年間に十億円もの利益を得ている。そればかりか、そのほかの委託業務などの名目で十五億円もの発注を受けている実態もあります。しかもそのすべてを随意でやっている。さらに、同団体が防衛庁提出した二〇〇四年度の収支計算書を見ますと、技術研究本部への提供技術や調査委託事業で得た事業収入約五億円のうち八割を同年度に支出しておりまして、請け負った事業の大半をいわゆるほかに丸投げしているという、そういう疑いさえも指摘されているところです。  長官にお伺いいたしますけれども、所管の公益法人の在り方を見直すという、そうおっしゃるならば、やはりこの財団の実態、労務借り上げ、財団がやっているわけですから、あるいは丸投げの疑惑、こうしたことについてもしっかりと解明、調査、これが必要じゃありませんか。
  101. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん、だから今実態をよく調べているところでございます。
  102. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この問題は、やはり防衛庁の今この間ずっと問題になってきた根深い問題、その中の非常に大きな問題だと思います。それはいわゆる、施設庁、これも重大ですけれども、いわゆるトンカチとハイテクと、額も全く違う、そういう中で起きている問題だと思いますので……
  103. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が参っております。
  104. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今答弁いただきましたけれども、その点しっかり調査し必要な見直しをしてもらうということを答弁いただきましたので、しっかりやっていただくことを要望して、質問を終わります。
  105. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 内閣府にお願いいたします。  防衛施設庁の説明によりますと、沖縄が一九七二年に復帰して以来二〇〇五年の十二月末までの三十三年間に、全面的に返還された基地施設が四十七施設、約九平方キロメートル、一部返還が二百六十三施設、約三十五平方キロメートルとのことであります。  返還された約四十五平方キロメートルのうち、利活用されている土地及び未利用地の数及び面積について簡潔に教えてください。
  106. 東良信

    政府参考人(東良信君) お尋ねの一九七二年からの返還された跡地の問題でございますけれども、利活用という部分について、どういう形になっているのかというのがはっきりしておりません。そういう意味で、私どもとしては承知をしていないということでございます。
  107. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは大変なことですよ。国が、やれ日米安保条約のために沖縄の土地が必要だということを言って土地を強制的に利用しながら、用が済むとあとは知らぬという形でほうり投げるというような格好、こんなことでどうして地元地域協力が得られるんですか。三十三年間たってどれだけの基地が返され、そしてそれがどう使われているかというのも分からないということは、ちょっと信じられないことなんですがね。いかがですか、その点は。
  108. 東良信

    政府参考人(東良信君) 跡地利用につきましては、どうしても地元方々、地権者の御意向を十分に把握したり、その方々考え方、それが中心だというふうに思うわけでございます。  私どもといたしましては、跡地利用の推進ということで、沖縄の均衡ある発展等々からも重要だという認識はしているところでございます。したがいまして、これまでも政府地元との調整機関、いわゆる、御案内のとおりだと思いますけれども、跡地対策協議会とか県とか市がいろんなこういう地元の地権者の方々の要請、どういう形でやるかとかという意向調査だとか、そういうことについての調査をやるとか、それからそういう会合を開くとか、そういうことについては財政的な支援もしているし、アドバイザーも送っているということで、今先生がおっしゃいましたように、野放しにしているとかそういうことではないというふうに考えておるところでございます。
  109. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 返還跡地の利用事業には一体どういうものがあるのか、主なもので結構ですから教えてください。それから、返還から事業認可及び事業完了まで平均してどれくらいの年数が掛かっているか、お示しください。
  110. 東良信

    政府参考人(東良信君) ただいま申し上げましたけれども、我々の政策といたしましては、一つは、沖縄振興特別措置法におきます駐留軍用地跡地の利用促進及び円滑化のための特別措置ということでの法制上のいろいろな手続をつくってございます。それとともに、先ほど申し上げましたけれども、跡地利用に向けて取り組む市町村に対してアドバイザーだとか情報提供等々の予算を提供し、財政的な支援をさせていただいているということでございます。それとともに、沖縄県とか関係市町村がいわゆる跡地利用計画を策定したり、いろいろいたします。そういう際に、地権者の合意等々も必要でございます。そういうことをするためのいろいろな活動に対しての補助ということでやっているというところでございます。  それから、もう一つ申し上げますと、どのくらい期間掛かるかということでございます。そのことにつきましては、どういう形で、いつ、どんな状況で返ってくるかということが掛かってくるわけでございまして、個々の状況ということと、それから非常に件数的に少ないということもございますので、一概には言えないということでございます。  ただ、例を申し上げ……
  111. 舛添要一

    委員長舛添要一君) お答えを簡潔に願います。
  112. 東良信

    政府参考人(東良信君) はい。  例を申し上げれば、例えば六十二年に返還されたものにつきましては平成四年にできているとか、例えばもう一つの近い例でいいますと、それは平成十五年に返還されたものについては十六年に事業の認可をしているとかと、そういう期間のものでございます。  以上でございます。
  113. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 沖縄振興法に、跡地利用について国の責任をどういうふうに規定していますか。
  114. 東良信

    政府参考人(東良信君) 国の責任については、市町村と共同してこれについては取り組むようにという規定をしているというふうに承知しております。
  115. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 一九九五年の十一月に返還された米海軍旧恩納通信所の跡地利用の問題について以前お伺いしましたら、同跡地六十三・一ヘクタールのうち、利用されているのはわずか四・一ヘクタールということでした。その後、跡地利用はどうなっていますか。
  116. 東良信

    政府参考人(東良信君) 私たちが承知している限りにおきましては、今のところ、今の先生がおっしゃったとおりのことだと思います。  ただ、平成十七年度におきましても、恩納村におきまして大規模駐留軍用地跡地利用推進費を活用いたしまして、地権者の合意形成とか、それから跡地利用についてどんなことをしたらいいのかとかという、そういう意見交換をしているということをしております。これについては、当然我々の財政的な支援はさせていただいているということでございます。
  117. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 二〇〇四年二月に、恩納村と当該地主によって恩納通信所跡地計画検討委員会が設置されました。恩納村企画課によりますと、この間、同検討委員会を十三回開催し、去る三月十日には同村において跡地利用を考える会も開いたけれども、なかなか利用法の妙案が出てこないということであります。  この跡地がなぜ利活用できないのか、内閣府としてはどのような認識をお持ちですか。
  118. 東良信

    政府参考人(東良信君) 先生も御案内だと思いますけれども、ここの跡地については、例えばPCBみたいなものが出てきたり、そういう経過は事実上あったと思います。それとともに、地権者の方々が四百名以上ということで大変多くて、合意形成がなかなかできていないということも事実だというふうに理解をしております。  ただ、村当局、県も含めて、これについては一生懸命に努力をしているというところでございます。
  119. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この跡地利用に関連して、内閣府として二〇〇五年度に大規模駐留軍用地跡地等利用推進費を活用した調査を行っているとのことですが、どんな調査をなされたんですか。そして、その調査の根拠法はどうなっているんですか。
  120. 東良信

    政府参考人(東良信君) どういう調査を行ったかということでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、いわゆる跡地の利用をどういう形でやるかという検討会みたいなものと、それから素案作り、粗い案でございますけれども、そういう案作りをやっているということでございます。経費といたしましては、大体一千万を投入させていただいているというふうに考えております。  以上です。
  121. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 恩納通信所の跡地が利活用されないのは、返還後跡地でPCB等の有害物質が発見され、その除去に手間取って、進出を予定していた企業が撤退するなどして利活用が進んでいないということが言われているわけなんですが、もう少し政府は責任を持ってその跡地を利用してほしいわけなんですが、例えば恩納村に建設される沖縄科学技術大学院大学の関連施設を誘致するなどして抜本的に解決する計画はないですか。
  122. 東良信

    政府参考人(東良信君) ただいまのところ、そういう案もあろうかとは思いますけれども、今地元の方で、村等々も含めて、そういう大学院大学につきましてもグランドデザイン的なことをやっている最中でございます。そういうものを見守りながらやっていきたいというふうに思いますし、今の申し上げた推進費等々ではそういうことを検討することについては全然問題はないというふうに考えております。  以上でございます。
  123. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いしますけれども、今お聞きのように、実は返された跡地というのがほとんど利活用されていないということが沖縄の経済にいかに打撃を与えているか、それから地主の不満を買っているかということを是非御理解いただきたいと思います。  例えば、よく利用されますハンビータウンというところがありますけど、北谷町のですね。そこが、軍用地のときと返された後の経済の波及効果を学者が調べていますけれども、その波及効果は、返された後、利用されたら八十一倍に増えているんですよ。それから、北谷の桑江の方を例挙げますと、桑江地区を例挙げますと、十七倍経済効果が増えていると。そして、例えば税収の問題、その税収の面で固定資産税なんかを見ますと、北谷のハンビータウンのところは八十倍税収が増えていると、利活用されて。それから、桑江地区の場合は五十六倍増えているという計算になっているわけです。  こういうふうに、政府沖縄に七五%の基地があるということをよくおっしゃるわけなんですが、そういう跡地利用が進まないと結局はそういう不満が積み重なって、政府は言うことを全然守っていただけないと。沖縄振興法の法律にちゃんと政府の責任がうたわれているわけですよね。ですから、その辺を是非真剣にお考えいただいて、その面の御配慮も是非いただきたいと。  それから、外務大臣にも是非お願いしたいのは、よく真摯に地域住民と話し合うということをおっしゃるわけなんですが、地域住民がどういう、基地問題についてどういう難問を抱えているかということについても御配慮いただいて、その面からもよく御説明いただけると協力も得やすいと思うんですが、今のまま、これだけの土地、施設が返されていながら放置されたままになっていると、やはりその辺が不満を生んで、協力したくても協力できないという形を生む懸念がありますので、是非その辺は両大臣ともお考えいただきたいと思います。  以上で終わります。
  124. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  125. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国政府インド共和国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。麻生外務大臣
  126. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま議題となりました所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明させていただきます。  政府は、昭和四十五年に締結され、昭和五十五年に一部改正されたグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の現行の租税条約に代わる新たな租税条約締結するため、平成十六年以来交渉を行ってまいりました。その結果、本年二月二日にロンドンにおいて、我が方野上特命全権大使と先方プリマローロ会計監との間でこの条約の署名が行われた次第であります。  この条約の現行条約と比較した特色は、投資所得に対する源泉地国における税率の上限が全体的に引き下げられ、一定の親子関係にある会社間の配当、一定の金融機関が受け取る利子及び使用料については免税となり、また、条約の特典の濫用を防止するための規定等が盛り込まれることが挙げられます。この条約締結により、我が国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間での課税権の調整が更に図られることとなり、両国間の経済的交流人的交流等が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国政府インド共和国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明させていただきます。  政府は、平成元年に締結されたインド共和国との間の現行の租税条約を改正する議定書締結するため、昨年二月以来交渉を行ってまいりました。その結果、本年二月二十四日に東京において、先方トリパティ駐日大使との間でこの議定書に署名を行った次第であります。  この議定書による改正の内容は、配当等に対する限度税率を引き下げること及びみなし外国税額控除規定を削ることであります。この議定書締結により、我が国とインドとの間での課税権の調整が更に図られることとなり、両国間の経済的交流人的交流等が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。
  127. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十二分散会