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2006-03-22 第164回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十二日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十六日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     櫻井  充君  三月十七日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         舛添 要一君     理 事                 浅野 勝人君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 金田 勝年君                 川口 順子君                 小泉 昭男君                 櫻井  新君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 佐藤 道夫君                 白  眞勲君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  遠山 清彦君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        外務大臣官房参        事官       佐渡島志郎君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   中根  猛君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省領事局長  谷崎 泰明君        文部科学省国際        統括官      井上 正幸君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働大臣官        房審議官     宮島 俊彦君        厚生労働省職業        安定局次長    高橋  満君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十八年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十八年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣府所管防衛本庁防衛施設庁)及び外  務省所管) ○日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊の地位に関する協  定第二十四条についての新たな特別の措置に関  する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締  結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  この際、外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。遠山外務大臣政務官
  3. 遠山清彦

    大臣政務官遠山清彦君) 昨年十一月より外務大臣政務官を務めております遠山清彦でございます。  舛添委員長を始め本委員会委員各位皆様一言あいさつを申し上げます。  我が国及び我が国民の安全と平和、繁栄確保することが外交の最優先課題と認識をしております。麻生外務大臣の御指導の下、特にアジアの近隣諸国との関係強化といった諸課題に全力で取り組ませていただきまして、政務官としての職責を全うする決意でございます。三人の政務官の中では私が特に本委員会を担当いたします。  舛添委員長を始め本委員会皆様の御指導と御協力を賜りますことを心からお願いを申し上げて、私のごあいさつに代えさせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  4. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち防衛本庁及び防衛施設庁並び外務省所管についての審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として防衛庁長官官房長西川徹矢君外十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 去る三月十六日、予算委員会から、三月二十二日の一日間、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち防衛本庁及び防衛施設庁並び外務省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題とし、順次予算説明を聴取いたします。  まず、外務省所管予算について説明を聴取いたします。麻生外務大臣
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成十八年度外務省所管予算案について概要を御説明をさせていただきます。  平成十八年度一般会計におきまして、外務省は対前年比二・二%減の六千九百十二億四千百万円を計上いたしております。また、我が国の極めて重要な外交手段でありますODA予算は、外務省所管分として、対前年比三・〇%減の四千七百三十二億九千百万円を計上いたしております。  外交の目的は、紛争、テロ、貧困等様々な課題を抱える国際社会の中で、我が国の安全と繁栄確保していくことだと考えております。このような考え方に基づき、平成十八年度におきましては、国民とともにある外交、自由で豊かな世界を目指す外交世界に発信する機動的外交という三つの柱の下、予算案を作成させていただきました。  第一の柱であります国民とともにある外交に関しましては、我が国の安全と繁栄確保のための予算を計上させていただいております。  まず、国民の安全と安心確保のため、一昨年に起きましたスマトラ沖大地震及びインド洋津波被害の経験を教訓とした大規模緊急事態対応のための予算や、本年三月から導入を予定いたしておりますIC旅券に関する経費を計上しております。  次に、我が国国民繁栄の増進のため、海外における日本企業活動支援するための予算や、我が国国際競争力強化するために経済連携協定、EPAの交渉を推進するための経費を計上いたしております。  第二の柱である自由で豊かな世界を目指す外交に関しましては、国際社会全体の平和と繁栄の実現に向けた我が国国際協力国際貢献のための予算を計上させていただいております。  まず、我が国外交のかなめであるODAに関する予算であります。ODAにつきましては、昨年、様々な国際会議の場において小泉総理大臣から我が国決意を表明したことも踏まえ、より効果的かつ効率的なODA実施に向け、コミュニティー開発支援無償を始めとする新たな協力の枠組みを導入するとともに、ODA事後評価やNGOとの協力強化といったODA改革を着実に行うために必要な経費を計上いたしております。  次に、国際的なテロ対策への支援に必要な経費です。テロ対策等治安無償導入などにより、引き続き国際的なテロ対策協力していきたいと考えております。  第三の柱である世界に発信する機動的外交に関しましては、我が国が効果的に外交政策を推進していくために、我が国に対する理解を促進し、外交実施体制強化していくための予算を計上いたしております。  この下で、国内外での戦略的広報と幅広い人々に働き掛けるパブリック・ディプロマシーの強化に必要な経費情報収集分析体制強化在外公館体制、機構・定員を含む外交実施体制強化のために必要な経費を計上いたしております。  定員につきましては、総人件費削減の流れを受けて、外務省としても昨年以上の業務合理化による削減努力を行っております。一方、国際社会において我が国が取り組むべき課題が増大し続けている中、我が国外務省定員主要国と比べて極めて脆弱であることから、平成十八年度につきましては新規定員五名を含む十九名の増員を図る予定です。  以上が平成十八年度外務省所管予算案概要であります。よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  8. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 次に、内閣府所管のうち防衛本庁及び防衛施設庁予算について説明を聴取いたします。額賀防衛庁長官
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 平成十八年度防衛庁予算について、その概要を御説明させていただきます。  平成十八年度防衛関係予算につきましては、中期防衛力整備計画平成十七年度から平成二十一年度の二年度目として、厳しい財政事情を勘案し、一層の効率化合理化を図り、経費を抑制することに努めつつ、新たな脅威や多様な事態への対応国際平和協力活動への取組等を重視し、国民安心、安全の確保、国際的な安全保障環境の一層の安定化に努めるとの考え方の下、編成しているところであります。  まず、防衛本庁について申し上げます。  平成十八年度の防衛本庁歳出予算額は、四兆二千六百四十五億五千八百万円で、前年度の当初予算額に比べますと三百億六千四百万円の減となっております。  新たな継続費総額は、平成十八年度甲Ⅲ型警備艦建造費及び平成十八年度潜水艦建造費で一千五百三十七億四千四百万円となっており、また、国庫債務負担行為限度額は、武器購入航空機購入弾薬購入及び装備品等整備等で一兆五千五百六十三億二千百万円となっております。  この予算内容について申し上げます。  平成十八年度防衛本庁予算において、特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。  第一に、新たな安全保障環境下における政策課題に適切に対応すべく所要の組織改編を行います。まず、防衛庁長官補佐体制及び国民保護に係る体制充実強化を図るため、防衛参事官制度を実効的に機能させるとともに、内部部局地方組織等改編を行います。また、装備品のライフサイクルを見据えた取得実施し得る体制への改革を推進するため、装備本部を新設いたします。さらに、質の高い医官確保育成等の観点から、衛生関連組織改編等実施することとしております。  第二に、弾道ミサイル攻撃対応し得る能力確保に係る事業を引き続き推進するとともに、将来的な能力向上のための開発事業に着手いたします。また、ゲリラや特殊部隊による攻撃等への対応周辺海域における潜水艦及び武装工作船への対応、大規模特殊災害等への対応など新たな脅威や多様な事態に実効的に対応し得る防衛力を、本格的な侵略事態への備えにも留意しつつ、効率的に整備することとしております。  第三に、我が国を含む国際社会の平和と安全のための取組として、国際平和協力活動を継続的かつ効率的に実施し得るよう、教育訓練体制等充実を図るとともに、諸外国との安全保障対話防衛交流共同訓練等を推進することとしております。  第四に、統合運用態勢については、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応し得るよう、統合訓練通信基盤整備などにより、充実を図ることとしております。  第五に、情報体制及び情報通信態勢については、各種事態の兆候を早期に察知し、迅速的確な情報収集分析共有等を行うため、情報部門体制充実を図ります。また、統合運用国際平和協力活動の円滑な遂行等に資するよう、高度な指揮通信システム情報通信ネットワーク整備することとしております。  第六に、軍事科学技術動向等を踏まえ、重点的な資源配分を行いつつ、効果的かつ効率的な研究開発実施に努めることとしております。  第七に、統合運用強化自衛隊の任務の多様化国際化装備品高度化等対応し得るよう、人事教育訓練施策を幅広く推進するとともに、高い士気及び厳正な規律を保持した質の高い要員及び部隊等確保・育成するための各種施策を推進することとしております。  第八に、装備品などの総合取得改革を推進するとともに、自衛隊駐屯地等における環境対策徹底等及び航空機安全対策の推進を図ることとしております。  次に、防衛施設庁について申し上げます。  平成十八年度の防衛施設庁歳出予算額は、SACO関係経費を除き五千二百五十七億二千二百万円で、前年度の当初予算額に比べますと九十三億六千三百万円の減となっております。  また、国庫債務負担行為限度額は八百四十五億四千七百万円となっております。  この予算内容について申し上げます。  平成十八年度予算は、防衛施設とその周辺地域との一層の調和を図るため、引き続き基地周辺対策を推進するとともに、次期特別措置協定につき日米政府が合意に至ったことも踏まえ、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進することに特に重点を置くこととしております。  以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算安全保障会議予算三億四千百万円を加えた平成十八年度防衛関係費総額は、四兆七千九百六億二千万円となり、前年度の当初予算額に比べ三百九十四億三千八百万円の減となっております。なお、これにSACO関係経費を加えますと四兆八千百三十九億一千八百万円となり、前年度の当初予算額に比べ四百二十四億三千九百万円の減となっております。  また、平成十八年度防衛関係費に関連し、施設行政に係る総合的な企画立案機能強化装備本部の新設、地方連絡部地方協力本部への改編中央即応集団の新編、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更、内部部局の職員の勤務実態に即した給与制度整備を行うことについては、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を提出し、別途御審議お願い申し上げております。  最後に、米軍再編につきましては、現在、米国側と精力的に協議を続けております。今後、最終的な取りまとめが行われた段階で、地元の要望なども踏まえつつ政府としての方針を検討し、適切に対応してまいりたいと考えておりますので、この機会に併せて御報告をさせていただきます。  以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁予算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。ありがとうございました。
  10. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 以上で説明の聴取は終わりました。  この際、お諮りいたします。  外務省及び防衛庁関係予算大要説明につきましては、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  両大臣質問をさせていただきたいと思います。  私、国会議員にならせていただいて五年が経過をいたしました。この間、同僚の、政党は違うんですが、尊敬している同年代の同期当選の国会議員愛知先生遠山先生与党でございますから早くも政務官になられました。私が五年たちましてちょうだいした責務がこの外交防衛筆頭理事という野党としての立場でございます。私が外交防衛筆頭理事にならせていただいた際、隣にいる柳田先輩から一言注意を受けました。それは、この場所に座ったらへらへら笑うなということであります。恐らく先生は、緊張感を持ってこの仕事をしっかりやりなさいという私に対する指導と激励であったというふうに思います。  今回、一連の防衛庁に関しての情報流出がございました。野党がたるむと与党もたるみます。この政治全体にある緊張感のなさは、恐らく熱伝導して、省庁やそして現場の制服組の皆さんにもこのたるみが熱伝導したのではないかと。私自身も、国会議員の一人として、いかに政治緊張感を持ってこの国務に当たっていくかと、そのことを考えますと、私たちにもこの問題に対しては大きな責任があるというふうに思えてなりません。この問題は大事な問題でございますので、予算委員会に引き続きまして、冒頭、防衛庁にこの問題をお伺いしたいと思います。  まず、さきの予算委員会長官検討会をつくってこの問題に対処していきたいと。これ検討会が、大変長いわけでございますが、秘密電算機情報流出等防止に係る抜本的対策に関する検討会ということなんですが、具体的にこの検討会ではどういったことをどういうふうに調査若しくは検討されるんでしょうか。
  13. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは座ったままでよろしいですか。
  14. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 結構です。
  15. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まず、榛葉委員安全保障に対するあるいは日本の防衛問題に対する熱意、情熱というものを、今、政治家としての緊張感を堅持しながら対応しなければならないという御指摘については共有をさせていただきたいというふうに思います。  御指摘秘密電子計算機情報流出等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会というものは、高木政務官委員長、事務次官を副委員長とし、長官官房長、各局長関係防衛参事官のほか、防衛大学校長防衛医科大学校長防衛研究所長陸海空幕僚長統合幕僚会議議長情報本部長技術研究本部長契約本部長防衛施設庁長官といった各機関の長が委員となっております。また情報セキュリティー専門とする部外者の有識者も参加をしていただきまして、折に触れて意見を賜っているところであります。本検討会においては、防衛庁全体としての再発防止に関する抜本的対策について検討しているわけでございます。  この前も申し上げましたけれども、緊急対策として、私有パソコンから情報秘情報については削除するとか、当面の応急措置を講じたところでありますが、個々の分野においては、検討会においては、現段階において秘密保全情報セキュリティー及び人事上の処分基準の三分野について検討をさせているところであります。  秘密保全については、所持品検査を含む保全検査強化秘密指定の見直しによる秘密文書等スリム化。あるいは情報セキュリティーについては、業務データ秘匿化による流出防止策等を考えること。処分基準については、漏えい事案に係る人事上の処分基準、言ってみれば懲戒処分のことでございますけれども、これを明確にして抑止力を働かせていきたい。そういうことについてこの検討会で議論をさせていただいているということでございます。  この再発防止に関する抜本的な対策については、四月下旬を目途に結論を得ることにしておりますけれども、その前に中間的な結論を出してきちっと体制に反映をさせていきたいというふうに思っております。
  16. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 具体的な質問に入りますが、何件かの情報流出がございました。報道では四件という数字があったわけでございますが、具体的にはこの情報流出件数は、現在防衛庁が把握されているだけで何件あるんでしょうか。
  17. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) お答え申し上げます。  今、防衛庁としましては、海上自衛隊護衛艦の「あさゆき」でございますが、この情報流出事案を含めまして陸海空自衛隊情報が流出している事例という形でこれまで、ちょっとあれですが、報道されましたのは全部で九件ございます。九件ございまして、これは最初が十四年の十一月でございますので、それで今年の二月までの間という格好で、このほかにも残念ながら何件かもう我々も確認しております。  ただ、これは先般も御答弁させていただいたんですが、ちょっとここで事例すべての件数を明らかにいたしますと、それをまたさらに、その明らかにしたことが資料検索等を誘発しまして情報漏えい範囲をまた拡大させるという状況出ますので、ここはそういう可能性がございますので、数の方はちょっと御容赦いただきたいと、こういうふうに思います。  先般も、ちょっと報道とかそれを見ておりますと、新聞に出た瞬間に、それまで一けたないし二けた、まあ十件程度のやつが一度に千件近くに行ってあったりする。そういう動きをいたしますので、これはそういうことで御理解賜りたいと思います。
  18. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 平成十四年までさかのぼると九件ということですが、まあ全体では恐らく九件以上あるんだろうと思います。  今回の情報流出で四件という数字新聞報道であったわけではございますが、今官房長おっしゃったように、その報道だけで2ちゃんねる等では相当また情報が飛び交うというようなことで、確かに今長官官房長がおっしゃることには一理あると思いますが、きっちりとこの数字を常に把握をしておいていただきたいと思います。それがダメージコントロールの第一歩になるというふうに考えております。  仮に、今長官がおっしゃった九という数字基準にしますと、それぞれ、漏れた時期、この事件が発生した時期というのは把握されているんでしょうか。
  19. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 今うちの方で把握しておる分につきましては、時期的に、一部まだ最近分かったやつについては分析中でございまして、どこまでさかのぼれるかということは、まだやっている部分もございますが、発覚した段階でそれぞれきちっと資料として積んでおりますので、一番初めは十四年の十一月、このころウィニーが出だしてしばらくたってからだと、こういうふうに我々は思っております。
  20. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私が聞いているのは、仮に今回の「あさゆき」の話等々に限定いたしますと、防衛庁がそれを発見した時間ではなくて、その隊員が漏れてしまった、漏らしてしまった時間、日にちというものはこれ特定できるんでしょうか。
  21. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) まあログとかそういうものはうまく残っておって発見できる場合もございますが、逆にまだ沈んでいると申しますか、我々で発見し切れないものもございますので、今ははっきり申しまして分かる範囲でという格好になります。拾えないものはどうしても分からないということでございますので。
  22. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ということは、いつ情報が流出して、どれくらいの間、今までに、そのネット上に流れているかということもよく分からないということでいいんですね。
  23. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 全数はまだ、申し訳ございませんが、私ども分かり切らないところはもう、全数ですね、すべての数字は分からないということでございますが、相当数については我々としては押さえているつもりではございますが、全数は分からないというのは先生おっしゃるとおりです。
  24. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、私の言っているのは数ではなくて時期の問題です。いつ出たのか。
  25. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 時期につきましても、発見のその中に明確にそれが分かるやつと分からないやつがあるやに私自身聞いておりますので、申し訳ございませんが、分かるやつについてはきちっと押さえているということでございます。分からない部分があるというのが真実でございます。
  26. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 分かるものは、分からないけれども、分からないものは分からない、正直な答えだと思いますが、ということは余り分かっていないということだと思うんですが、それでは、この平成十五年一月十日の事務次官通達でいわゆる保全責任者の許可を条件でパソコンを持ち込んでいいというような通達があったんですが、この「あさゆき」の保全責任者は海曹長という答弁でした。これ具体的に、この保全責任者である海曹長に防衛庁自衛隊として一体どういう指導をしていたんですか、どういうことをしなさいという指導をされていたんですか。
  27. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 「あさゆき」の場合の保全責任者につきましては、船務長でございます。幹部でございまして、海曹ということではございません。
  28. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ですから、ごめんなさい、船務長ですね、船務長、この船務長に、私の質問は、どういう指導をしていたんですかというのが私の質問でございます。しっかり質問を聞いていただきたいと思います。
  29. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 船務長に対する指導は、一般に艦長である管理者がやることになってございます。  今回の事案につきましては、あと適宜いろいろ保全責任者に対する教育の機会もあったわけでございますが、そこが十分徹底されなかったということだと認識しております。
  30. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、ですから、徹底されていなかったのはいいんですが、どういうことをこの船務長に、保全責任者としてこういうことをしなさいと、どういう指導をされていたんですかというのが私の質問です。具体的にお答えください。
  31. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 保全責任者の役割として、秘密文書等の簿冊への登録、保管、破棄等がございます。だから、こういう点について日々ちゃんと保全責任者が職務を果たしているかどうかを艦長の管理者がチェックする必要があったということでございます。
  32. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私、昨日、丁寧に全部の質問、全部出しているんですよ。今日はそういう抽象的なやり取りじゃなくて、大古さん、私しっかり建設的な議論をしたいからこそ、すべて箇条書にして昨日出しているんですよ。この答弁、あんまりですよ、もう。具体的にどういうことをして、何もやっていなかったんですね、じゃ。
  33. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 更に具体的に申しますと、今回は職員が秘文書を可搬記憶媒体にコピーしてそれを自宅に持ち帰ったということでございますけれども、そういう点についてチェックする必要があったということがあったかと思います。  これについては先般もお答えしましたように、この海曹が夜、パソコンなりで作業することがございまして、保全責任者も含めてその点についてはチェックができなかったという事実があったわけでございます。
  34. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁全体として、保全責任者は何をやるべきなんですか。
  35. 舛添要一

    委員長舛添要一君) この際、政府に申し上げます。答弁は質疑者の趣旨を体して簡潔かつ明瞭に行うよう御注意申し上げたいと思います。
  36. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 保全責任者につきましては、秘密文書の簿冊への登録、保管、破棄、それから秘密が訓令の規定にのっとり処理されていることにつきまして職員の助言又は指導を行う、それから秘密が漏えいし、探知されないための措置をとることがあります。
  37. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 「あさゆき」は結構です。保全責任者全体にも当然そういう指導をされていると思うんですが、恐らくすべての保全責任者がこの「あさゆき」の保全責任者である船務長同様の認識でこの保全責任者という職務を考えているんじゃないでしょうか。
  38. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 今回の事案につきましては、抜本的な再発防止ということでいろいろ全庁的に調査をいたしまして、再発防止策を講じたいと思っております。  そういう中で、今回の「あさゆき」の事例につきましては秘密の管理体制がしっかりしていなかったということが今までの調べで分かっておるわけでございますが、他の組織についてどうかについては的確に調査して抜本的な再発防止を講じていきたいと、こう考えておるところでございます。
  39. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 長官、さきの予算委員会長官は保全責任者を明確にするというふうな答弁をなさいました。これもう保全責任者は明確になっているわけで、この長官のおっしゃった保全責任者を明確にすると、これもう少し具体的に御説明いただけないでしょうか。
  40. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、榛葉委員がおっしゃるように、予算委員会榛葉委員の御質問に対しまして保全責任者を明確にするという話をいたしました。つまり、いろんな訓令だとか規範でいろんな内規があるわけだけれども、そういうものだけではきちっと守られていなくて情報が流出したことは、これは今後対応策を考えていく場合に、その保全者、管理者の責任体制あるいはまたシステムのチェック体制をきちっとしなければいけないという意味で申し上げたわけでございます。その意味で、秘密の管理者や保全責任者の職責上、訓令上、明確にしていく必要があるという思いでございます。  具体的に言いますと、例えば、先ほど来議論になっておりますが、今般の「あさゆき」事案については同艦の船務長が保全責任であり、規則上は一応部下職員が秘密情報を持ち出していないかを確認しなければならない、あるいは秘密データの現状を常に把握をして適切に管理するなどの任務を与えられていたわけだけれども、今度の事件を見ると、そういうことがきちっと保全責任者として部下のチェックや実態把握が不十分であったということをあからさまにしたわけでございます。  したがって、私は、その保全責任者を指導監督すべき管理者も問題があるというふうに思うわけであります。今度の「あさゆき」の場合は、管理者というのは艦長でありますけれども、艦長についても同様に管理者としての指導監督が不十分であったというふうに自分は思っております。  だから、以上のように、規則上は守らなければならない任務が定められていても、実態的にはそれが管理責任について実質が伴っていなかったということでありますから、私としては今後抜本的な対策を考えていく上で幾つか考えたいというふうに思っております。  一つは、保全責任者や管理者については、現行の規則上、秘密の管理や部下に対する助言、指導等の行うべき任務が規定されているけれども、これに加えて、管理者、保全責任者には、部下職員に保全規則を遵守させる義務、また教育、監督の義務があることを訓令で明記したいと。そして、その上で職務上の責任があることをはっきりと自覚させることが大事であると。その上で、これに違反した場合は懲戒処分基準も考えていきたいと。例えば、よく一般的には、交通事故なんかの場合は、無免許で酔っ払い運転をすればこれは免職だねとかいうことが決められるわけだけれども、そういったものを明確にしていって抑止力を働かしていきたいということ。  もう一つは、秘密データ等の持ち出しを現実に防止するためには、立入禁止区域等への出入りに際して抜き打ち的に検査を行って、その所持品検査だとか、そういうことを充実してチェック体制をしいていくと。そんなことをこの抜本的な対策の中に織り込んでこういうことの再発防止策を考えていきたいというふうに思っております。
  41. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 先日の予算委員会西川官房長が、私物のメール付携帯であるとか録音機であるとかモバイル等々は持ち込めないようになっているという答弁がございました。それに間違いないですね。
  42. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) そういうふうに答弁しております。
  43. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、実際はどうだったんでしょうか。こういったものは持ち込まれていたんじゃないんですか。
  44. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 艦艇の今回は電信室で海曹長がコピーしたわけですけれども、この電信室につきましては、秘密の管理者である艦長によりいわゆる訓令上の立入禁止場所とされております。携帯動画等についてはこの立入禁止場所には原則として持ち込めないような海幕の制度になっておるという状況でございました。  そういう状況で、今回は私物のフロッピーディスク等々にコピーしていることでございますんで、この規則が守られていなかったという状況でございました。
  45. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 局長、それはもう分かっているんです。私が聞いたのは、フロッピーを持ち込んだのは分かっているんだ、だって情報漏れているんですから。そうじゃなくて、これ本当時間がもったいないんでしっかり答弁してほしいんですが、カメラ付携帯だとかその他のものは実際は持ち込まれていたんじゃないんですかということを聞いているんです。そのフロッピー以外に私物が入っていたんじゃないんですかということを聞いているんです。
  46. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) そこは制度上チェックすることになっていますんで、ほかの事案について、まあそういうのも、制度が守れてなかったという状況は把握しておりません。  ただ、いずれにしても、今回はそういう事案が生じましたんで、今後更に徹底していきたいと、こう思っております。
  47. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その現場での、この「あさゆき」に限定しましょう、このチェックはどうなっていたんですか。入口で所持品を置くコーナーがあるだとか、所持品検査をするコーナーがあるだとか、具体的にどうなっていたんですか。任意で、任せていたんですか。
  48. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 現行の制度はいわゆる性善説みたいになっていますんで、そういう意味では、そういうものを持ち込むのについては、一定の保管場所に置くようにという制度になってございます。そういう意味では、こういう事案が生じましたんで、今後は、例えば荷物チェックとか、そういうことについて真剣に考える必要があると、こう思っているところでございます。
  49. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 西川官房長はさきの予算委員会で、私が、うがった見方をすれば、この海曹長は情報を他人に渡していた若しくは売っていたんではないかという私の問い掛けに、それはないとおっしゃいましたが、そう断言できる理由はどこにあるんでしょうか。
  50. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 先般、防衛局長の方からお話がございました。我々として、まず彼本人の供述がどうだったということで、そういうことは、それ、本人の供述が一つです。  もう一つ、なぜそうしておまえはこういうことしたんだということを聞いた。中身は、詳細なことは申せませんが、そのときに、経緯としては、不便は感じたとか、そういうふうな中身を言っておりまして、その説明の中身、供述の中身に非常に一貫性があるということから我々としては判断したと、こういうところでございます。
  51. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私が新聞報道でのかぎ括弧を用いて、趣味で情報収集をするようになったと言いましたら、西川官房長はそういうことはないとおっしゃいましたが、この防衛庁の出されている情報流出事案についてという説明書を見ましても、可能な限り多くの資料を収集したいという欲求を感じたということなんですね。これはまあいろんなとらえ方があるんでしょう。技術向上をしたいから情報収集したと、本人は言うでしょうが、これやっぱり他人が見れば、そういう欲求で情報を持って帰ったというのは、これ私、そういう報道をされても仕方ないんじゃないかなと思うんですね。──まだ私の質問中でございます。というふうに言われてもしようがないと思うんですが、まあどうぞ。
  52. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 済みません、少し言葉足りませんで。  確かにそういうふうな報道がございました部分もよく承知しております。ちょっと言葉足らなくて恐縮です。  もう少し補足さしていただきますと、当該隊員がこれをなぜ自宅に持ち帰ったのかというその動機の関係でございますが、一つは、電信室、彼が働いておりました電信室で使用しておりましたパソコン、これ官給品でございますが、これがハードディスクに不具合が生じてきておりましてバックアップを取る必要を、彼自身がですね、ぽっとそこ壊れちゃうと自分のデータ消えちゃいますんで、まあそういうことを感じておったと。  それから二つ目として、このいわゆる先任海曹でございますが、この先任海曹室においてちょっとパソコンの数は少ないということ、多数で一台のパソコンを、官給品を共用しておったという状況があって、まあ本人によれば、もう少し自分のやりたい、非常にやりたいということでちょっと不便を感じておったということ。  それから、本人は、先ほど先生おっしゃいましたように、できる限り広くというのは、職務上のいろいろなこと、まあ自分としては知識を高めたいという気持ちでやったと、これも一貫してそういう格好を申しております。  今も更に本人からはその辺りよく聞いておりますけれども、そこはずっと供述としては崩れてきていないということでございますんで。
  53. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今の説明で私は少し納得しました、正直。  というのは、なぜ私がこういう質問をしたかというと、技術の向上や勉強のためにとは考えられないような余計なものも彼、持ち帰っているんですね。なぜこんなものを持ち帰らなきゃいけないんだろうかということを考えますと、だからこそ私は、本当に自分のスキルアップのために情報を持ち帰りたいんだったら、こんなものは普通要らないだろうというものもあったから私あえて聞いているわけで、今の、バックアップを取った、若しくはパソコン足りないんで共有していたという説明は、私はまあ筋が通るというか、なるほどなという気持ちはいたしますけれども、万々が一そういうことがあってはならないわけでございまして、というのは情報が他人に渡っているということがあってはならないわけで、その辺は厳しくきちっと追及をしていただきたいと思います。
  54. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 先生の御指摘、十分に御理解いたしております。  これにつきましては、聞くのも本人だけじゃなくして、周辺の人間からも、常日ごろどういう行動をしているか、まあこれ余り詳しくは申しませんが、も含めまして情報を収集しておりますので、その辺りは、先生おっしゃったとおりに、そういう事態がないかどうかということをきちっと調査は続けていきたいと思っております。
  55. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁長官にお伺いしますが、防衛庁長官がこの問題は、具体的に詳しく報告若しくは説明を受けたのはいつごろなんでしょうか、今回の「あさゆき」を始めとする情報流出ですね。
  56. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の榛葉委員の御質問については、二月の二十一日の夜、海上自衛隊の保全監査隊がインターネット上に業務資料が流出しているというのを確認したということで、私は報告を受けたのは二月の二十二日、海上幕僚長から報告を受けたというのが実際です。
  57. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 インターネット上の掲示板に業務用データが掲載されていたのを確認したのは私十六日だと思うんですが、二十一ですか。
  58. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 先生指摘のとおり、インターネット上の掲示板でそういう情報があるという、そういう情報を知ったのが十六日でございます。それから捜して、二十一日の八時に、午後八時にその漏れている状況が発見できたと、こういうことでございます。
  59. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そして、長官が二十二日に報告を受けたということなんですね。  ところが、長官、この二十四日の防衛庁長官の記者会見で、私は恐らく、この会見注目していたんです、恐らく、まあ談合事件も大事ですが、これは談合事件とは種類の違う、またある意味大変重要な問題ですから、談合問題は国内の税金に関する話、そしてこれは国の情報がどうなっているかという正に危機管理の話ですから、私、次元が全然違うと思っておりまして、二十四日の会見で、長官、どのような発表をどのような仕方でするのかなと注目しておりました。ところが、この問題、長官一切お触れになっておられません。そして、記者の質問があって初めて長官がこの問題に言及をされるわけでございますが、その中でこう言ってるんですね。  冒頭、幾つか話がありまして、どういう情報が漏れたかとかいうことを言ってるんですが、その後、私も余り詳しいことは分からないのだけれども、ハードディスクに一度入れても、後ですぐ消したり、今残っているものはこうだけれどもどうなっているのとか、よく分からないところがあるので、こういうところをきちんと点検しているというところであります。それが安全保障上に影響があるかどうか。  本当に二十二日にきちっとした説明を受けておられるならば、これが安全保障上影響があるかどうかも含めて今後ちょっと調べたいっておっしゃるような発言は、私は若干、現実の認識と余りにも乖離してるんじゃないかな。これ、大問題なんですね。安全保障上影響があるに決まってるんですね。よく分からないところがあるというふうに長官がおっしゃってる。私、本当に事務方がきちっと二十二日に長官おっしゃるように説明をされているのかなと、疑問でしようがないんです。長官は非常に聡明な方ですから、きちっと説明を受ければこんな記者に対する質問でこのような答弁するわけないと思うんですよ。  長官御自身が、これがどれだけ重大な問題かということを、この記者に対する質問を聞くだけでも、二十四日の段階でお分かりになっていないんじゃないかと思わざるを得ないんですが、これは長官でも事務方でも結構ですが、どうなんでしょうか。
  60. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 二十四日は、御案内のとおり、総理のところに行かれまして、談合関係の話の重要なポイントの公表をされまして、実は二十四日の日のその後で大臣がまた直接部隊に対して述べておられますんで、我々もその重大性についてはその段階で非常に厳重に認識しております。  それからもう一つ、これは先ほど大臣から話が出ました、これ海幕長から、海上幕僚長、その責任者の方から詳細にわたって報告されておりました。というふうに、我々としてはそこは、ただ発表の場合にどこまで出すかというのは、これまたいろいろ検討する必要があると。  それからもう一つ、影響でございますが、これは二十一日で分かったのは、これ全部が初めから分かったわけじゃございません、出たというのが分かった段階でございますので、それからさらに、現在もなお、その後のものがどういうものが出ているかということをフォローもしておりましたけれども、時間的な関係で、その段階では更にもっと出てきたらどれだけ影響あるかいうことをもっと測る必要がございますんで、そういう言い方、言いぶりを大臣の方からしていただいたんだと、こういうふうに感じております。
  61. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私がなぜこのような長官の言葉をつかまえて聞くかというと、やはりこれ、政治主導である程度きっちりやらないと駄目だと思うんですね。事務方だけに任せておくとまた談合のように繰り返される可能性がある、だからあえてこういう質問をさせていただいたわけでございます。  次に、具体的な質問ですが、約十二万台のパソコンが私有パソコンとして使われていた、そのうち八十台が自己申告でウィニーが入っていたという報道があったというふうにありました。これ、いつからチェックして、ところが、これ自己申告ですからよく分からないんですよね。これ、いつまでにきちっとチェックして内容を確認するんでしょうか。
  62. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 「あさゆき」のこの事案についてでございますが、これは先生おっしゃいました十二万台というのは、これ発覚してすぐにいわゆる臨時の対策緊急対策という格好で書きまして、それで調べた十二の数字でございます。初めに七万という数字出ましたが、これは去年の十一月に調べたものでございます。そして、これにつきましては自己申告で当初やっておりますが、その後できるだけフォローするいう格好で、併せて情報システム担当者、それぞれの幕等の機関の長から情報システム担当者に対していわゆる確認作業を行えという、そういう指示を出しておりまして、それをやっております。現在のところで約八割の十万台についてはその情報担当者が行ってもうチェックしております。あと二割でございます。これはおおむね一週間で片を付けてしまうと、もうとにかく数が多いんで、そういう格好対応しております。
  63. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 また、この情報私有パソコンに入れていた方々は、許可を得て入れていた場合と無許可で、ルール違反をして入れている場合があると思うんですが、この把握はいつまでにどのようにされるんですか。
  64. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 今先生の御指摘の、この業務用のデータを外部、そういうパソコンの、私有のそういう補助記憶装置等に入れる場合にはちゃんと許可を取ってという話でございますが、これにつきまして、実はまだ、この間の緊急の場合にまず流出を防止するという形で対応いたしましたので、ちょっと、当然そういう許可を取っているという、申し訳ございません、そういう前提で話を、まず抑えることが大事と。それをいたしますと恐れてしゃべらない人がいますんで、そういうことがないよう、とにかく出せという格好で出しました。そして、今そのための、先生の御指摘もございますが、この許可の有無については今フォローをしておりまして、これも一週間前後でそこのところを担当者通じてきちっと確認をしたい、許可の有無を確認していきたいと、こういう認識でございます。
  65. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この許可若しくは無許可で情報を自分のパソコンに入れていた台数は私九千四百台って聞いたんですが、この数字で間違いないですか。
  66. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 正しい数字でございます。九千四百台でございます。
  67. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 このうち業務用データを既に削除したものは何台ですか。
  68. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 約七千三百台でございます。
  69. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私が約一週間前に聞いて七千三百台でした。一週間たってこの数字変わってないんですか。
  70. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 変わっておりません。これは、差がいわゆる二千百台でございますが、この二千百台につきましては、これ実は必要なデータということでございます。先般消したのは秘密のデータないしは必要でないデータを消しておりまして、これ残念ながらまだパソコン、買うとは言っていますけども、まだ入ってませんので、官品がですね、どうしても使わざるを得ない部分がございまして、そこのところは一応保全対策もきちっとした上で、流出ということが二度とないような格好のきちっとした手を打ちながら、なお一部でそのデータは消さないで持っておるところでございます。
  71. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これはやはり現状として大問題だと思うんですね。というのは、この数字、いや、やり方が大問題じゃなくて、私物パソコンでありながら二千百台も、私物パソコンは今防衛庁が保全してるんですよね、それがないと任務できないんですから。隊員の私物パソコンに頼らなければ、これだけ問題があってパソコン問題が大問題になっていながら、いまだに二千百台は私物に頼らなければ防衛庁が機能しないという現状は、これ大問題だと思うんですよ。  そこまでやはりパソコンが足りなかったのに、いろんなものが予算要求されていると思うんですが、この二千百台もいまだに個人のパソコンを悪いけれども貸しといてくれと言っているわけでしょう。それをまた持って帰ることは多分許してないでしょうから、当然。この状況というのは改めて私はひどいなと言わざるを得ないと思いますけど。
  72. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 御指摘のところはもっともかと思います。我々としても、官品をそういう意味で大臣から厳しくすぐに入れろと、こういうふうに言われております。調達の制度等もございますし、それからまた実際に使っている人たちの中でも、場所的な状況とかいろいろございまして、これも大分必要最小限に切って今やっております。できるだけ早く官品が入れば何らかの手をどんどん打っていきたいと、こういうつもりでおります。
  73. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ウィニーを私物パソコンから削除するように当然通達は出していると思うんですが、これはすべて完了したんでしょうか。また、それをどうやって確認しているんですか。
  74. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) ウィニーの、先般も御指摘ございました八十台のことについては、これはシステム担当者が全部、本人の申告のみならず、各機関の長の命を受けて情報システム担当者が一々操作して、そのファイルがないということを八十台については確認しております。
  75. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 八十台以上ある可能性がある、それを今十万台まで一応チェックしたということですから、残りの二万台もしっかりやって、このウィニーは、随時、本当は何台インストールしてたんだというのを分かると思うんですが、その最終的に判明した数字というのは、これは教えてもらえますね。
  76. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) また分かった段階でですね。ただ、これ、もう既に、初め自己申告してくるやつはそこを押さえてますけれども、既に消せといっているやつは、これは分かりませんが、また自衛官の人は非常にまじめですので結構その辺りは言ってくると思いますけれども、一応やらしていただきます。
  77. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 また防衛庁長官にお伺いしますが、さきの予算委員会の答弁で、秘密指定を見直して、また情報文書をスリム化していくと、先ほども答弁されましたが、これ具体的にどういう意味か、もう少し詳しく説明願えますでしょうか。
  78. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) おっしゃるように、榛葉委員の御質問に答えまして、秘密指定の見直しと秘密文書のスリム化等という対策を講じていきたいという話をいたしました。  一つは、秘密保全制度を見直すに当たっては、秘密に指定された情報が今回のように流出していくことが再び起こらないように情報の管理を厳格にしていくということがその前提になるわけでございますけれども、具体的に申しますと、例えば現行制度だと秘密の指定基準というのがありますね。その場合に、どういうふうに書いてあるかというと、その漏えいが、その秘密情報の漏えいが国の安全又は利益に損害を与えるおそれがあるものというような、非常に抽象的に書かれているわけでございます。そうすると、その秘密指定をする指定者、例えば課長でも秘情報は指定できます。それから、極秘、機密は官房長以上の人たちがやるわけでございますけれども、指定者の裁量でこれは秘密情報だとかそういうふうに安易に指定されるおそれがなきにしもあらずだったということがまああるんではないかと思っておりまして、それで過剰な秘密指定が起こる、起こっているという指摘もあるわけでございます。  そこで、私は、この抜本的見直しをする際の考え方として、秘密文書等を全体的に見直して、全体量を削減をしてきっちりと保全体制をしていくことが大事なんではないかと思っているわけであります。  例えばどういうふうにしていくかというと、秘密として保護すべき事項について、例えば防衛用に使用する暗号とか、あるいは装備品の性能だとか、そういったふうに具体的に類型化していく、そして明確化していく、そういう中で秘密指定の量を減らしていく、そして守る体制をきっちりとしていくというふうにしたいということ。そしてまた、秘密指定時において、なぜ秘密に指定するのか、その理由を具体的に明確にしていくということ。先ほどのように、国の安全又は利益に損害を与えるおそれのあるものみたいな抽象的なことではないと、もうちょっと具体的な意味、意義付けをしていく必要があるということを考えたい。また、秘密指定された後も、秘密として保護していく必要性について定期的な見直しを行っていく必要がある、それをまた義務付けていく。  そういったことを考えながら秘密文書等スリム化を図っていきたいと、それから秘密指定の見直しを行っていきたいということでございます。
  79. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 海図ソフトの「トリスタン」も出ました。これは米軍とは関係ありませんか。
  80. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 「トリスタン」につきましては、公開情報を使いまして、例えば海底の立体化を図るとか、そういうふうなものでございまして、秘密の内容は含まれておりません。また、米国との関係もございません。
  81. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 基地の警備体制や非常呼集の連絡網であるとか、緊急呼集表なんかのいわゆる部隊に関する情報も出たんですが、これらの情報は全部直さなきゃならないと思うんですね。この情報訂正や体制の再構築、これに掛かるコストというのはどれぐらいなんでしょうか。
  82. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 今般の一連の事案において流出した情報につきましては、可能な限りその内容は変更を図ることとしております。で、運用の変更で対応可能なものが多いので、このようなところで特段の経費は生じておりません。
  83. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 個人情報も出ています。これ、個人の隊員は自分のメールアドレスだとか電話番号、これ、名前や住所は変えられないと思うんで、変えると思うんですが、これに掛かるコストは自己負担なんですか。
  84. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 今のところはそういう格好では予算等は考えておりません。  なお、これ先生も先般御指摘ございましたが、被害等にかからないようにどういうふうに指導しているのかということでございますが、これは隊員の方には、それは発覚した場合、それから流れている可能性があるということが分かった場合に、その行為をした、漏らした人間の部隊から各相手方のところへ対して、個々人に対して、分かる人については個々人に対してそういうふうなものが流れてるおそれがあるということを知らせまして、その上で何かあれば連絡くれと。注意喚起をしながら連絡をいただきたい、そしてできるだけのことをやるという格好の連絡を取っておりますが、今言ったような予算的な措置にまで行っておりません。
  85. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 相当プライベートな情報が出てるんですよ。ここでは言えないような個人情報や写真なんかが実は出てるんですね。私、瞬時に思ったのが、いわゆる上海領事館の外交官が中国から圧力を受けて自殺をされたという事件がありました。委員会でも議論になりました。近い問題が起こりかねない。というのは、この情報を漏らすぞと、言葉は悪いけどばらすぞと、それが嫌だったら情報持ってこい、何々してこいという脅迫をされる可能性がなきにしもあらずだと思います。そういったものに対する隊員の指導であるとか、このカウンターというものはしっかり打っているんですか。
  86. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 今の先生の御質問に対しましては、やはり個々人のところは、いわゆる向こうの、相手方の、今の場合、ほとんどの場合が中の隊員でございますので、隊員及び隊員の家族でございます。それで、まず上司にもそういう旨をちゃんと話をしながら、そして個人にも言っているということでございまして、できるだけそういう話が来た段階で、そういう兆候があった段階で来てくれと、組織として手を打とうと、こういうことを考えております。できるだけそういうことの注意喚起も併せて、本人が不当に悩まないような格好のそういうことはやっぱり考えてやる必要があると思っております。
  87. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この問題はたくさんあるんですが、また後日議論をしたいと思います。  防衛庁長官、もしよければ、私の方はもう防衛庁長官に対してはこれで質問はありませんので、御自由にしていただいて結構でございます。  外務大臣にお伺いをしたいと思います。  予算委員会でも大臣に通告をしておきながら時間がなくなって質問をすることができませんでした。大変申し訳ございませんでした。また、日米豪の外相級戦略対話、週末、短期間において出張されたということは、大変お疲れさまでございました。五年前に他界した私の父の数少ない自慢の一つが麻生大臣の大学の一個先輩だったということで、今日は大変光栄ですが、しかし大臣に厳しく質問をさせていただきたいと思います。  まず、アメリカとインドの原子力技術協力、これ予算委員会でお伺いする予定だったんですが、ニュースが駆け巡りました。  その質問に入る前に、まず外務大臣の基本的なエネルギー政策に対する基本姿勢、とりわけ原子力政策について、これ与党の中でもいろんな考え方があるようでございまして、外務大臣として若しくは政治家麻生太郎先生としてどのようなエネルギー政策に対する基本理念を持っていらっしゃるか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  88. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本の場合は、エネルギーのいわゆる資源というもののほとんど一〇〇%を海外に依存というのが日本の条件になっております。したがいまして、このエネルギーというものを安全に確保し続けるというのは日本の国益上最も肝心な話だろうと存じております。したがって、これが海外から輸入せざるを得ない、またそれを輸送せざるを得ないという状況に考えれば、これは当然のこととして、外交政策上安定供給をまず第一番に確保。二つ目は、これはどう考えても今石油という化石燃料に多量に傾斜しております部分は、いろんな形でのエネルギーの多様化に関する努力。そして、これは安全に輸送、輸入を確保するためには、これは国際対話の強化等々は、この三つは大前提だと思っています。  今お尋ねの原子力のエネルギーにつきましては、これは世界的なエネルギーの需要、これはインドに限らず中国でもエネルギー需要の急激な増加というのは非常に大きな影響を与えております。したがいまして、このエネルギーの急激な増加に伴って、当然のこととして地球の温暖化というものに、CO2だ、SOxだ、いろんなものが出てまいりますんで、このエネルギーの中で原子力エネルギーの利用というものが再評価されつつあるというのが、多分ヨーロッパ等々、今、一回はやめると言ってた国々でもこれの再評価をせざるを得ないということになってきていると認識をしております。  したがって、日本といたしましても、これ大変大事な基幹電源と言うかな、基幹となります電源にもなろうと思いますんで、私どもとしては原子力基本法というのに基づいて、これ平和目的に限って、平和利用を促進してきた日本というのはこれは技術的にはかなり進んだものになったと思っておりますんで、この再利用の部分、核物質の再利用の部分等々、これは管理等々はきちんとやった上で更にこういったものは有効に利用していく、更に研究開発はもちろんのことですけれども、そういったのが基本的な考え方だと思っております。
  89. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  ブッシュ大統領がインドのシン首相と三月の二日ですか、ニューデリーで会談をしまして、いわゆるインドの原子力エネルギー開発に米国が具体的に協力することで合意という報道があったわけですが、これ若干報道が先に行ってまして、正式に言うと、この核施設の軍民分離、これに対して計画で合意したということなんで、若干報道が大きくなっているんですが、現実にはそういうことだと思っています。しかし、その先には当然米印の原子力協力というのが未来にはあるわけでございまして、これはクリントン以来六年ぶりにブッシュさんが、アメリカの大統領がインドに行った、そしてこのテーマが核、原子力に対する協力であったということで、相当近隣諸国が警戒をしているのもまたこれ事実でございます。  アメリカがインドの核を許容したのが一九七四年にインドが核開発に走ってから実は今回三十二年ぶりのことでございまして、これいわゆるアメリカの今までのこの地域、とりわけ南アジアでの原子力政策の基本というものは、この地域に高まっている核の緊張感を抑えていこうという基本理念だったんですが、この協定、この協力の方向性というのはある種大きな大転換になると思うんですが、大臣はこの問題、どのように御認識でしょうか。
  90. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、榛葉議員から御指摘のありましたように、三月二日にこの米印協定というのが、まあアナウンスというか、正式に発表されております。詳細がまだちょっと正直分かっておりませんので、わあっとアジテーションっぽく先に出たものがありますんで、内容をよく読ませていただかぬと何ともならないところなんですが、少なくとも、今御指摘がありましたように、民生用と軍事用と分ける点は、これは物すごく大事なところだと思っております。  従来、これ、IAEA、いわゆるウオッチドッグ、査察が入っていて見られる部分というのは四基だったと思いますが、今回は十四基までそれが増えるというのはいいことです。間違いなくその部分だけ査察が入るというのはいいことなんですが、インドはたしか計画中のものを含めて二十二基あると思いますので、残り八つどうしたという話になろうかと存じます。少なくとも、核不拡散体制というのを我々はNPTの下に、いわゆるノン・プロリフェレーション・トリーティーのあのNPTによりましてこれを推進している立場上からいたしますと、このNPTに加入をインドはしておりませんから、その加入していないインドに対して原子力の平和利用に関する技術がアメリカから一方的に流れるのか等々、これはいろいろ今後アメリカの議会でも話題になるであろうと思いますし、世界じゅういろいろこの点は話題になる、議論にされるところだと思います。  日本といたしましても、この話は不拡散という体制が一歩進んだという点においては私ども評価しないわけではありませんけれども、これまでNPTに是非、非核保有国として加入をしろと言ってきた日本の立場からいきますと、この問題に関しましてはちょっと簡単にはもろ手を上げて、ああ、ええこっちゃ、ええこっちゃというわけにはとてもいかない、議論をいろいろしていかねばならぬ大事なところだと思っております。
  91. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 包括的な答弁、ありがとうございました。  これインドというのは十一億の人口があるわけで、いわゆるレバノン、パレスチナ、イスラエル、シリアから始まって、朝鮮半島までの、私余り好きな表現じゃないんですが、不安定の弧というものがよく使われるんですが、そこの中間に位置して世界最大の民主主義国家、このインドの存在というのが非常に大きいわけでございまして、今外務大臣がおっしゃったように、これプラスとマイナス、プロとコンがあると思うんですね。私も大臣とこの原子力政策に対する考え方は余り違っていないんだなというふうに思いますが、エネルギー自給率が四%のこの国で、私はやはりポイントは持続可能、安定供給、そしてCO2を出さないというようなもろもろの問題をこの国はクリアしていかなければいけない。  私は、エネルギーで自立できない国は真の独立国だとは思わないというのが私の考えの一つなんですが、他方、私、日本は原子力に対して非常に敏感、これは私はいいことだと思っています。過去二回の原爆を経験し、この経験をきちっと世界にアピールし、核の平和利用という問題を訴えていかなければならないと思うんですが、ちょっと調べると、この日本の原子力政策の原点というのは、何と戦後たった九年後の一九五四年に、当時のお金で二億三千五百万円の予算で、被爆からたった九年後に原子力政策を国の政策として推進していこうということを、何と政府ではなくて立法府の国会がこの方向性を決めているんですね。非常に勇気ある私決断だと思うんですが、恐らく、さきの大戦の原因の一つが日本の不安定なエネルギー事情にあったということで、当時の私たちの大先輩の国会議員先生方が様々な議論をされてこの予算を付けたんだと思います。  私は、やはり日本がこの原子力を正しく使いながら、かつこの原子力政策の言わば番人のような形で世界に対して存在感を出していかなければならないと思うんですが、先ほど大臣がおっしゃったように、このインドとアメリカとの原子力においての協力というものはプラスとマイナスがあると思っています。中国の存在もあります。ロシアの存在もあります。そして、東南アジアの問題もあります。様々な問題があると思うんですが、まあプラスの部分は、今長官がおっしゃったように、IAEAの査察が入るであるとか、このやはりサイクル事業を含めましてアメリカがいわゆるプルサーマルに一歩踏み込んだ決定をつい先日いたしました。今後この分野がどのように、極めてこれ研究者、科学者、技術者、専門家が育ちにくい環境にありまして、このFBR進めていくというのは日本の原子力政策を補完するだけではなくて、ある種そのいわゆる放射線レベルを下げていく、いわゆるマイナーアクチノイドであるとか、こういった研究は更に世界レベルで私やっていかないと、各国ベースでは追い付かない問題があると思っています。  加えて、大臣がおっしゃったように、化石燃料というのはもう年数が限られていまして、LNGでも六十年、石油はあと四十年しかもたない。ウランでさえ六十年しかもたない。まあ石炭はあと二百四十年ぐらいもつと言われていますが、これは先ほど大臣おっしゃったようにCO2の問題がありますから、いわゆるそのベストミックスでどのように考えていくかという議論がやはり政治ベースでも私は必要なんだろうなと思っています。  そのプラス部分はそれでいいんですが、やはり政治的なマイナス部分もどうしても考えざるを得ないと思います。  先ほど大臣おっしゃったように、NPTの問題もありましたが、その点についてもう少し詳しくお伺いしたいんですが、現在インドは、パキスタン同様に、この核兵器不拡散条約、いわゆるNPTに入っていないということでございます。このNPTの基本理念というのは、米、ロ、英、仏、中の五か国をいわゆる核兵器国と定めて、それ以外の核兵器の拡散を防いでいこうというのが基本理念、いわゆる核の不拡散であります。それから核軍縮、そして原子力の平和利用。そして、このNPTの第六条には核軍縮の義務というものがうたっているんですが、このアメリカがNPT非加盟国のインドにこれだけ原子力協力するというのは、このNPTの形骸化に私はつながるんじゃないかという懸念があるんですが、その問題をもう少し大臣にお伺いしたいと思います。
  92. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今のおっしゃられた点に関しましては、私どももその懸念を共有しております。少なくとも米、ロ、英、仏、中というのは、一九六四年にこれができました段階で既に核実験若しくは核爆発を経験をした国のみで五か国でありますから、それ以後持ったであろうと言われております国々というのは、うわさだけでいけばいろいろあるんですけれども、そういった国はいずれも、核は、核爆弾は保有していないという前提で話をいたしております。したがって、インドであろうとパキスタンであろうと、NPTに加盟を我々は求めていますけれども、そのときは非核保有国として求めているということです。しかし、御自分たちは持っておると言っておられますんで、何でおまえ捨てにゃいかぬのかという話になっておりますし、核実験も既にしておりますから、そういった意味では、このNPTの方の状況、条件を変えない限りは、これは非核保有国として核を捨てて入ってくるか、若しくは今の現状で入ってくるかというところが分かれてきているところだと思っております。済みません、六四年じゃなく六七年、ごめんなさい。  そういったことになっておりますんで、私どもとしては、これは今、今後形骸化するんじゃないかというところに対しましては私ども最も懸念するところでありますんで、国連の総会の場とか、これは多分いろんなところで今から議論がなされてくるところだと思いますけれども、私どもは少なくとも核が拡散しないというのが最大の目的でありますんで、そういった意味では、この平和利用は大いに利用してもらうのはしてもらった方がお互い様、エネルギーの問題から見ても環境の問題から見てもよろしいのではないかと思っております。  したがって、この爆弾等々の非平和利用の方の部分が拡散することを最も恐れているのであって、そういった意味では、この部分をどのような形で監視をしていくのか、非軍事利用若しくは民生用の部分のところをどのように管理していくのか等々が、私どもの具体的な現実論としてはより多く議論をされていかねばならぬ大事なところであろうと思っております。
  93. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私もこの問題、一つの大きな問題だなと思ったのは、先ほど大臣が冒頭おっしゃってくださったインドの二十二のうち十四IAEAがチェックしますよと。これインドの核施設、私もちょっと勉強したんですが、これ軍事用と民生用と区分けするのは非常に難しい施設なんですね、これ。これが極めてあいまいになっている。というと、私は、いわゆるカットオフ条約なんかの交渉にも相当影響を与えるでしょうし、もっと政治的に言うと、今までインドというのは歴史的にいわゆる非同盟国の雄、リーダーでしたから、これ途上国やイランなんかとも極めて深いいわゆる関係を築いてきて微妙な関係に実はあるわけで、これアメリカが、インドは特別扱いするけれどもイランや北朝鮮の核は駄目よと言うと、これ若干説得力がなくなってくるのかなと。  これ我が国に対しても他人事じゃないんで、これ北朝鮮の核というものは正に六か国協議でも議論しているように大事な問題ですから、この辺の我が国の交渉力、説得力も、これをされると弱まっちゃうんじゃないかというふうに政治的に直観的に感じるんですが、それは大臣どうでしょうか。
  94. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今のダブルスタンダードという話を多分されたい、されたいというか、その懸念はないかということなんだと思っておりまして、これは正直申し上げて、これはアメリカが今から議会の中におきましても、アメリカ議会の中におきましても、また国際世論に対しても、一番この点は現実論だけで対処できるかというと、一応の大義、理屈、筋書というものに関しまして、北朝鮮、我々にとりましては北朝鮮の問題とか、また世界で関心のありますイランの問題に対して否定的な影響を及ぼさないように配慮するというところは、これは物すごく榛葉先生、大事な観点だと思っておりますんで、私どももこの点は、一昨日のライス長官との話にも、それは日本にも賛成してくれと言われても、そんな簡単にはいかないですよと、この点は。その点はダブルスタンダードということ、二重基準ということは必ず言われますよという点に関しての問題点は、私ども指摘したところでもあります。
  95. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  日本はNSG、いわゆる原子力供給国グループに入っておりまして、私は報道ベースでしか分からないんですが、アメリカも、今正に大臣おっしゃったように、日本に対してこれ協力してよというようなメッセージを出しているというふうに聞いていますが、これ恐らく今回のような重大緩和という問題は、同じパキスタンもしてくる可能性があるわけで、極めてここが、今大臣おっしゃったように、慎重に我が国とすると対応せざるを得ないんじゃないだろうかなと思っていますし、これまたインドというのは、東南アジア、中国に接していて、また中東や中央アジアの正に玄関口、地政学的に非常に重要な、また歴史的にも経済的にも人口的にも恐ろしいほどのインパクトを持っている国でございまして、米国のやはり戦略上トリプルAの国だと思っているんですが。  このインドが原子力の協力をアメリカとする、実はこの会談はそれだけじゃなくて、武器の、いわゆる従来はミグを旧ソ連からのミグなんかを中心にインドは兵力維持していたんですが、今後F16やF18を、戦闘機をアメリカから買ってくる約束も実はしているわけでございまして、これ相当中国、ロシアに対する牽制球としてはちょっと剛速球過ぎるかなという感じもするんですが、この流れが、いわゆる今までは核は世界全体で国際機関で包括的にコントロールしていこうという流れが、アメリカはインドに、そして今ロシアが急激にイランに近づいています。そして、パキスタンが中国に、中国がパキスタンにお互いにラブコールを送っている。こういう大国が特定の国と原子力の協力をしていくという流れは私正直好ましくないんじゃないかなと思っているんですが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  96. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘の懸念というのは、多分皆外交当局は、それぞれの国においていろいろな自国の国益を考える立場からいって、当然今のような懸念を持っているというのは、もう私どもも同じように思っております。  今、インド、パキスタン若しくはイランの話が出ておりましたが、イランに関しまして、ロシアは少なくともこのIAEAから安保理事会に上がってきた段階におきまして、少なくともイランの問題に関しまして、イラクのときのようにかなり分かれているかというと、少なくともそこはそうではないんで、五大国いずれも皆一致してイランに関しては反対、核の保有に関しては反対ということは明確にいたしております。  ただ、言われましたように、濃縮の過程においてそれをロシア領内で実験をさせてやるから、少なくともその中については拡散は駄目よというロシア提案というのは出されております。先月でしたか、モッタキというイランの外務大臣日本に呼んでその話をしたときも、ソ連からその提案が出されていることは確認を取れております。また、ラブロフという人に話をしても同じようなことを言っていることは間違いないんですが、それから内容がどこまできちんと詰められているかというと、これはなかなか今御指摘のようによく見えないところでして、それが他の四か国がいずれも、米、仏、英というところはいずれもちょっと首をかしげているというのが今の状況と思います。  インドに関しましても、少なくともこういうのは、アメリカの場合はこれ秘密じゃなくて表に出てきますんで、私どもとしては批判もしやすいし、分かりやすいこともあるのですが、しかし、ほかの国々と比べて同じような問題点、ほかの国々というのはイランとかパキスタンと同様な問題を抱えていることも確かですから、そういった意味では、この問題に関しましては、一か国にバイで当たっていくというのは何となく、うまくいけば確かにうまくいくんでしょうけれども、ロシアとの場合、いろんな、いろんな形での感じが、一か国同士バイでやっていくことによって、今度はその後ろに付いているロシアとアメリカが、若しくは中国とロシアが、中国とアメリカ側の関係がまた更に複雑になりますんで、それは私どもとしては、大国間同士の疑心暗鬼というのは不慮の事故というか、不慮の事柄に発展し得る可能性というのを常に持っておりますんで、私どもとしては、好ましいかといえば余り好ましい状況にないということは確かだと存じます。
  97. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  次に、日本、オーストラリア、日豪関係についてお伺いしたいんですが、我が国は様々な他国にお世話になって生活できているわけですが、最も感謝をしなければならない国の一つが私はオーストラリアだと思っております。イラクでお世話になっているということだけではなくて、東チモール等々を見ても極めて関係が深かった。また、食料、エネルギー、相当数オーストラリアの世話になっている。同じく海洋国家でもある。そして、政治的、経済的共通性、結び付きは極めて高いというわけで、そのオーストラリアが、昔はオセアニアという表現をよく使いましたが、現在は積極的にアジアの一員に、アジアの一員だというメッセージを私たちに発してきてくれていて、これ私大変中国のバランサーとしても意味の深いことだと思っております。  また、今年は日豪交流年でございまして、日豪友好協力基本条約の署名から今年三十年の節目ということでございますが、その中での大臣日米豪外相級戦略対話の参加だったということでございます。  この話の中身を具体的に大臣にお伺いしたいんですが、これ中国、特に軍事力の強化について、報道ではいろいろあるんですが、実際には大臣、どんな話がこの中国の軍事力強化について言及されたんでしょうか。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日米豪閣僚級の戦略対話というのは、これは初めての、日米豪三極の間で行われた最初の閣僚級会議なんですが、少なくとも、基本的価値観は一致しておるという榛葉先生の御指摘、いわゆる民主主義とか自由主義とかいろいろなことあろうと思いますが、そういった日米豪という太平洋の環、環太平洋に所属している国々が、少なくとも共通の関心を持っているプログラムというものを、いろいろグローバルな問題もありますけれども、アジア太平洋地域の安全保障という課題について意見を交換し合うのを目的としてこれ開かれております。  で、中国との関係の御質問がありましたけれども、この点に関しましては、東アジアの将来というものは、やっぱり中国というものの台頭というものを切り離して考えることはできない。そこで、中国経済の拡大とか成長というのは、国際社会にとってはすごく大きなチャンス、機会ではあると。しかし、軍事費の問題等々につきましては、これは、御存じのように、約四兆数千億の金が今後とも二けたで伸びますと、十年で十兆、十八年で二十兆ということになりますんで、それずうっと永久的にいくとはとても思えませんけれども、そういった意味では内容が不透明と。その中で装備に幾らお金が回っているのかなんか全然外から分かりませんので、是非そういった意味では、この点に関しては中国が責任ある建設的な努力を行ってもらうことが重要という点で認識が一致をいたしております。  そして、中国との関係に絞って御質問でしたけれども、私どもとしては、少なくとも、東アジアの国際環境と、中国を含めて東アジアの国際環境というものを安定したものにしていくということが必要なんだということで、このためには少なくとも普遍的な価値観を共有している日米豪等々が、特に東アジアでいったら日と豪ということになろうと思いますけれども、こういったのが役割を果たしていくのが大変大事なんであって、どうやって協力をしていくかについては定期的に協議をしていきたいという話で合意をいたしております。
  99. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私たちは、北朝鮮問題を語るときに、実はモンゴルに注目していまして、モンゴルには北朝鮮からの出稼ぎ者がたくさんおりまして、相当数北朝鮮の方々が働いていらっしゃって、情報収集等にも重要な国だと思うんですが、それと同じように、実はオーストラリアは北朝鮮と国交を持っている数少ない国の一つであります。  この共同ステートメントを見ても、簡単に言うと、早く第四回の六者会談やってよということが載っているんですが、日本とすると、このオーストラリアに北朝鮮問題においてどういったことを期待できるんでしょうか。
  100. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今直ちに、オーストラリアに対していろんな言い方をしようといって、今回の会議の中で、特にオーストラリアに北朝鮮六者協議に合意促進に要求を直接したという事実はありません。  ただ、私どもは、アメリカとの間において、三者のときにこの六者会談の話をしておりますんで、六者会談の内容等々について、これが進まない限りはとにかくどうにもなりませんよという話で、更に日本としては圧力を強めていかざるを得ないことになりますんで、その点に関しましてという話をしておるところには、そこに在籍しておりますんで、そのときに、その席に在籍しておりましたので、オーストラリアとしても実情はかなり具合が、かなり対話、圧力が、緊張感が上がってきているなという感じは持ったと思いますんで、今この段階でオーストラリアに直接六者会合の促進についての支援というものを直接求めたわけではありませんが、今御指摘のありましたように、大きな影響力を持ち得る国の一つという点は我々も認識をいたしております。
  101. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私たちは新聞報道でしか分からないんですが、委員会の場所で再度確認をしておきたいと思うんですが、イラクからの自衛隊撤退時期について、オーストラリアのダウナー外相が、自衛隊がいる限り私たちは撤退しないと新聞報道でありました。実際にこういう会話があったんでしょうか。
  102. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 自衛隊の撤退につきましては、今御存じのように、昨年の選挙をした、しかし国会は開かれない、やっと三月の十六日の日に開催をしましたが、三十分で閉会をしております。そして、その後、組閣等々の話が行われているんだかいないんだか、行われていると、私とジバリという、電話、この外務大臣はジバリと言うんですけれども、これと二度ほど電話をしたりしていますんで、十九日から十六日に前倒しになりましたんで、まあ三日とはいえ前倒しになったのは進歩かなと思わないでもありませんけれども、少なくともここが組閣ができない間、日本としては、これはアメリカに言われたからここに、イラクに兵隊というか自衛隊を送ったわけではありません。日本の場合は、イラクの人道復興支援のために、国連の、基づいて自衛隊を派遣をしておるわけですから、少なくともそこに当たっては、イラクが新しい政治状況、すなわち政権移譲が行われて、一応憲法もできて、まともな選挙が行われて、しかるべき人が選ばれる、国会も開かれるところまでは来たわけです。そこまでは来たけれども、その後の、立法府はともかく、行政府の方の組織はまだ全然見えてきませんので、そこのところの形ができないと、少なくとも権限の移譲が行われるとか、我々の方から見れば治安に対するものがきちんと対応できているとかいうようなことができませんと、撤退する、交渉する相手が全く見えておりませんので、私どもとしてはこれ何ともできぬということに関しましては、三者、アメリカ、豪州、日本、三者ともその点に関して、この政治プロセスがちょっといま一つ見えないというところで、撤退の話はそこは見えるまでは何ともならぬということに関しましては三者の意見は一致しております。  また、オーストラリアからその件に、今ほど御質問のあったことに対して、日本と一緒に行動を共にするという話はあっております。
  103. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これは参考人でも結構ですが、今、日本とオーストラリアの貿易というのは相当密になってきていまして、日本からオーストラリアの輸出でも一兆一千五百億、オーストラリアから日本へは一兆七千四百億、これエネルギーや食糧、こっちは、日本からは自動車であるとか様々な部品、相当交流が出てきているんですが、これ現在、FTA交渉若しくはEPA交渉という問題はこれどこまで来ているんでしょうか。
  104. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  昨年の四月、首脳会談におきまして、日豪の首脳会談におきまして、EPA又はFTAのメリット、デメリット、予断を持たずにそのいずれについても共同で研究をしましょうという合意をいたしております。両国の経済関係強化のための方策を検討する政府間の共同研究ということを開始をしております。  で、研究は二年以内に原則答えを出しましょうということになっております。こうした首脳間の合意に従いまして、これまで研究会の会合、二回行っております。今年も少なくとも月末あるいは夏にかけて最低二回視野に入ってきております、研究会のですね。  EPA又はFTAに関しましては、中身としては、物品貿易、サービス貿易、投資、資源、エネルギー、政府調達等の分野で両国が得られるだろうと考えられるメリットや両国に対する影響というのを、まだ研究が行われている最中でございます。十八日の日豪の外相会談におきましては、二国間の経済パートナーシップを戦略的関係の一部として本件共同研究等を通じて発展させ深化させるということは重要だということを確認していただいたところでございます。  政府といたしましては、この確認に従いまして、今後とも研究を着実に進めていきたいと考えております。
  105. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 冒頭言いました、今年は日本、オーストラリア友好年でございまして、地味かもしれませんが、私、大事な一年だと思っています。日本、オーストラリアの今後の友好関係というものは、反対側の大陸にいましても非常に重要な国になってくる。ですから、今年、外務省として様々なイベントを恐らく両国間で考えていらっしゃると思うんです。これを、ただ日本とオーストラリアだけの友好関係の一年ということだけではなくて、ここから様々なものをアジア全体に情報発信をしていく、是非攻めの、この日本、オーストラリア関係については今年攻めの是非一年にしていただきたい。現場では相当努力されていますから、これ是非よろしくお願いしたいと思います。
  106. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、榛葉先生おっしゃいましたように、これは経済関係の方がどうしても目が行く大きな理由は、それは石炭の五三%ぐらい、これはコークス含め鉄鋼炉の鉱石、コークスを含めてですよ、いわゆる強粘結炭五三%を含めて。それから、鉄鉱石も五六%ぐらいここから輸入していますから、それは正に一番の、一次資源の核というものもありますし、先ほど話題になりましたウランでも二二%ぐらい入ってきていると思いますんで、それはもう非常に大きな大きな相手国であることはもうはっきりしています、これ。また、オーストラリアにとりましても、日本は最大の輸出国になっているはずです。  そういった意味では、私どもとしては、経済関係は確かなんですけれども、その他の面はどうかといいますと、これはなかなか、御存じのように今までのところは、何となくオーストラリアの文化と言われて何か思い付かれるかと言われると、ううんといってちょっとなかなか皆出てこないところなんで、そういった意味では、私どもとしては積極的に今交流年で、開会式のとき日本側の方は私が出、たしかオーストラリアの方は環境大臣が行かれたんだと記憶しますが、そういったものを始め、向こうが来たりこっちが行ったりというのは、今年はいろいろ外務省としても積極的にいろいろな支援、応援、共催、開催等々の支援をさせていただいて、何となく、人口も何となく二千数百万ですから、ちょっとこっちの一億二千数百万と人口的に数が合わなかったり、こっちはこんなことやるのに向こうはたったそれだけとかいう、なかなか話が合わないんですけれども、私どもとしてはこれはすごく積極的に進めていくべきものだと思っております。
  107. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十七分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  108. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち防衛本庁及び防衛施設庁並び外務省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 川口順子

    ○川口順子君 今まで何千回と国会答弁はやらせていただいたんですが、実は質問は生まれて初めてでございます。よろしくお願いをいたします。  額賀大臣にはどうぞ、質問はございませんので、これは御退席というのはないんですか。
  110. 舛添要一

    委員長舛添要一君) それは委員長が決めますので。
  111. 川口順子

    ○川口順子君 ああ、そうですか、はい。ございません。
  112. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御退席いただいて結構でございます。どうぞ。
  113. 川口順子

    ○川口順子君 まず最初に、昨日は日本人にとって大変にうれしい日だったと思います。それは、単に野球に勝ったということだけではなくて、非常に苦しい、厳しい状況から立ち上がって世界一になったということがあるからで、私の親しくしているある同僚議員の言によりますと、王ジャパンはキューバをしのいだというふうに言っておりますが、野球にも大変にお詳しくていらっしゃる麻生大臣に御感想を一言お伺いをしたいと思います。
  114. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはちょっと一様にみんなぐっと来るものがあったんじゃないでしょうか、見られてた方どれぐらいいらっしゃるか知りませんけど。  私、昨日、アメリカのシーファーという大使と一緒にこれ見てたんですけれども、最初のところは四対一だったかな、それから次に見たのは六対五で、おい、やばいなというところから次は見始めたんですけれども、それが開いていって、あの最後の場面のところには、そこに見ていたおじさんは多分私ぐらいの年齢、大体六十以上の人が皆ざっと見ていたと思いますが、いい年したおじさんがみんな食い入るように見て、うおっと手を叩いたりするというのは最近じゃなかなかない場面だったんだと思います。  加えて、ここに来るまで、やっぱり韓国に二回負けて三回目で勝って決勝リーグに上がったというところやら、今、川口先生おっしゃるように、きちんと、一回落っこっちゃまたというところが、もう駄目というところからはい上がってきているところがなかなかいいところだったし、やっぱり、鈴木一朗という人の発言でしたけれども、三たて食うわけにはいかないからとか、同じチームに三回は負けられないとか、ああいったところは、私も選手生活長かったものですから、あそこらのところは、同じやつに三回負けるのは許されぬというのはどうしても私らも意識がありましたんで、あれはちょっと正直、選挙も三回負けるとちょっと具合悪いんで、やっぱり二回ぐらいまででないと、というようないろんな意味含めて、あれは最近の試合、すべてのスポーツの中でちょっと最近のじゃ、非常に長く時間掛かったせいもありましょうけれども、非常に感動を覚えさせる意味で僕はすごく良かったと思いました。
  115. 川口順子

    ○川口順子君 ありがとうございました。  今、正に大臣がおっしゃられたイチロー選手を始めとして、あそこの試合に出ていた中にはアメリカのメジャーリーグで活躍をしている選手が韓国の選手も含め非常に多かったと思います。アメリカという国は、野球もそういうことですが、ほかに例えばベトナムの難民でアメリカに入った人たちがウエストポイントで優等生になるというような、外国人で才能がある人を受け入れて、それを社会の活性化に生かしていくといったことができる国であると思います。日本も少しずつそういうふうに、お相撲の例を見てもそうですが、なってきているというふうに思いますけれども。  二〇三〇年には今よりも一千万労働力が不足をするという推定もありますが、そういった中で、外国人を日本の活力のために生かしていく、そしてその外国人の持っている知恵、それを日本にもらい、あるいは日本にその滞在の結果としていい感情を持ってもらって親日家になってもらう。そういったことは外交が、麻生大臣を始め外務省皆様が苦労してやっていらっしゃる外交が目指すところと同じことを、日本にいる外国人を柔軟に受け入れる国に日本をすることによって同じ目的を果たせるということではないかというふうに思っております。その観点からいきますと、日本にいる外国人たちを孤立させず、疎外せず、そして寛容に包容していくという社会に日本がなることが大事ではないかというふうに考えております。  麻生大臣には、昔といってはそれほど昔ではありませんが、九三年のころでしょうか、技能実習生を日本導入したころに党の中でかなり御活躍をこの面でいただいたというふうにも私聞いておりまして、そういった外国人を生かすことによって、あるいは世界各国に親日家を増やすことによって、その人たちが帰った暁に、増やすことによって、日本世界の中でもいい国だ、こういう国だというふうに理解されるようになるということは非常に重要だと思いますが、その在日外国人の果たしている役割ですとか、あるいはその現状についてどう考えていらっしゃるか、御感想で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
  116. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 川口先生、今ちょうど森喜朗政調会長のころに、私、そこで外国人問題特別委員会というのの事務局長を一年やらされました。当時は良くない話ばかりが主に巷間うわさされる時代でしたので、新宿歌舞伎町に、時の警察から来ていた、後の警視総監になった人と一緒にごそっと見学に行って、租界地みたいになっているところやら何やら含めまして、新大久保か何からずらりあの辺、何回か行きましたし、また、群馬県太田に行きますと、そこにいるいわゆる労働者の十何%が既に外国人、比率からいくと極めて多いんで、しかも英語の通じないところの人たちのために、そこの役所としては、町の広報を出すたびにペルシャ語とポルトガル語と英語と三か国語に直して出す通訳代がとてもたまらぬから自治省で補助金出してくれ等々、これは結構深刻な話として現実問題としてはなっております、既に。  そういう状況の中にありますんで、私どもとしては、いろいろこの問題に関しては一省庁でとてもやれないのが現実なんです。法務省の問題もあれば当然外務省もありますが、子供の病気なら厚生省ということになりますし、通勤の途中で事故になりゃいわゆる労働省になりますけれども、そうじゃなければとか、保険はどうしたとか、とにかく全省庁ほぼ引っ掛かりますんで、その意味では、これはとてもじゃないけれども一省庁に任せられぬということになってあのとき振られたんだと思いますが、全省庁を集めて毎週二回ずつやらさせていただきましたけれども、一応の形はできましたけれども、当時はとにかくノーという話の方が多かったように思います。  しかし、現実問題、今の言われたような流れからいきますと、私は、うまく一緒にいくことはこれは現実問題として考えねばならぬ。しかし、失礼ですけれども、川口先生も私も、外国人と一緒に同じ屋根の下で生活した経験を、私はアフリカでも何年間か、アメリカでも何年間か、イギリスでも何年間かやっていましたから、同じ部屋に住んで、同じ屋根の下で住んでいましたんで、そこそこのその人たちと一緒に生活することの難しさというのは知っていますけれども。  大体、日本では隣の家に人が、外国人が住むところぐらいまでで、同じ屋根の下、同じ部屋の中で生活した経験者は国会議員の中でもほとんどいらっしゃらぬように、私の見た感じでは。そういった方々の言われる話というのは建前論みたいな話が多くされますけれども、現実問題として、そこで生活していくのはどういう問題があるかというのを知った上で言っていただかぬと話が込み入る。  しかし、うまくいったときは極めてうまくいっているという例として、私は例を埼玉県川口でも見れますし、群馬県太田や桐生でも見れますし、また組織的に一番大きいのは多分、JETプログラムが多分一番大きいと思いますが、今、日本にアメリカ人とか外国人の英語の学校の先生が大量に来ていますけれども、この人たちは自国に戻ると。日本に赴任していたときの、国、二年間、そこで教えていたときの地域はすべて人口の小さな町にするようにしております。したがって、そこに行きますと、たった一人の青い目とか、たった一人の金髪とかいうと、大体、市長さんやら町長さんがお出迎えしちゃったりなんかするような感じで出迎えてくれますもので、迎えられた方は、東京にぽいとか大阪へぽっと置かれるのと違って物すごく印象が良くなるわけです。その人たちは帰って、ウィスコンシンとかダコタとか、かなりそちらの方も田舎なんですけれども、そういったところに戻っていい国だったと言ってくれる最大のグラスルーツになっているのはかつてのGI、今のはJETプログラムが一番だ、これはジェラルド・カーチスがこの間私に報告していましたけれども。  そういった形になっておりますんで、確実にそういったようなものは今、この数年間、随分意識は変わりつつあるなとは思いますけれども、まだアメリカ人みたいに優秀なやつはアメリカ人にしちゃおうなんという発想まではなかなかいってないように思いますんで……
  117. 舛添要一

    委員長舛添要一君) お答えは簡潔に願います。
  118. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 済みません。
  119. 川口順子

    ○川口順子君 ありがとうございました。  今、麻生大臣が現実的にこの問題を考えなければいけないとおっしゃられた、全くそのとおりだと思うんですけれども、今日は、先ほど幾つかの問題を挙げられましたけれども、在日外国人の雇用ですとか居住ですとか、あるいは子弟の教育の問題ですとか、そういった状況について少し質問をさせていただきたいと思いまして、関係の各省庁の方によろしくお願いをいたします。  それで、まず大事なことは、第一歩は、何人ぐらいの外国人が日本に住んでいるかということを把握することであるというふうに思います。そして、どこに住んでいるか、どういう生活状況をしているかということについて把握をすることであると思いますが、残念ながら、これらについて十分に把握ができているとは言えないというのが現状だというふうに私は思います。  まず、法制面で非常に任意的な規制が多いというふうに思います。したがって、その現状がはっきりとらえられない以上、それに基づいてどのような対策を取ったらいいかという対策が打ち立てられないというのが今の状況ではないかと思います。例えば、入ってきたときに登録を、外国人登録をするわけですけれども、そこからどこか別なところに移るということを言ったときに、もうその後は、そこは罰則のない規定になっているためにうやむやになってしまって、いったん入ったらばどこに移っているか、どこに住んでいるか全く分からない状況が非常に多いということではないかと思います。  そこで、まず法務省についてですけれども、どなたかいらしてますですね、外国人の居住状況について、今申し上げたような現在の外国人登録制度では、いったん届けるとその後転出があっても変更届を提出する、しなければならないということが罰則を持つ強制規定になっていないということで実効性に乏しいというふうに思います。現に、群馬県の大泉町長にお話を伺いましたところ、所在確認に行ってもそこにいないということであったそうでして、地方自治体の方々、先ほど麻生大臣からもお話もありましたけれども、そういった労力、コスト、大変なものがあると思います。したがって、これを私は届出、義務規定、引っ越しをした後も、移った後もきちんと届けなければいけないというもっと強制的なものにすべきだと思いますが、この点についてどう思われるか、お話をいただきたいと思います。
  120. 三浦正晴

    政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘でございました外国人登録制度でございますが、これは、我が国に入国しました外国人が九十日以上我が国に在留する場合には、必ず住居地の……
  121. 川口順子

    ○川口順子君 済みません。制度そのものは分かっていますので、質問の答えだけで結構です。
  122. 三浦正晴

    政府参考人(三浦正晴君) よろしゅうございますか。はい、分かりました。済みません。  今御質問のありました転居ですね、外国人が転居をした場合の届出の関係でございますが、これは外国人登録法の中に、新たに住居を構えた市区町村長に対しまして転居をしたという届出をしなければならないという規定が外国人登録法にございます。これは義務とされておりまして、これに違反した場合には罰金刑が科されるという、こういう制度になってございます。
  123. 川口順子

    ○川口順子君 今の点についてですけれども、罰金が科されるとか、実際に実効性がこれ非常にないと思うんですね。現にいなくなってしまっているということがあるわけでして、その点についてどうお考えですかと、何かの手が打てるんじゃないでしょうかと、そういうことです。
  124. 三浦正晴

    政府参考人(三浦正晴君) 委員指摘ございましたように、特に外国の方がなかなかその届出を怠るというようなケースも多いという御指摘は常々私も聞いております。  現在、我々といたしましても、在留外国人の実態把握についてどのようにしたらより実態を把握できるのかという問題意識を持ってございまして、実は、昨年の十二月二十一日付けで規制改革・民間開放の推進に関する第二次答申が出されましたが、この中におきましても在留外国人の入国後におけるチェック体制強化をすべきであるという御指摘をいただいております。  政府といたしましても、これを受けまして、外国人の在留情報を正確に把握しまして、適切な在留管理を継続的に行うことが極めて重要であるという認識の下に、犯罪対策閣僚会議の下に設置されました外国人の在留管理に関するワーキングチームで現在議論を重ねているところでございまして、法務省もこれに参加して検討を行っているところでございます。
  125. 川口順子

    ○川口順子君 いつごろ結論が出ますか。
  126. 三浦正晴

    政府参考人(三浦正晴君) 本年内をめどに今鋭意検討を続けておるところでございます。
  127. 川口順子

    ○川口順子君 よろしく御検討いただきたいと思います。  それからもう一つ、雇用時の外国人の在留資格の確認についてですけれども、これも任意規定になっているというのがその現状ですけれども、これでは在日外国人の雇用の実態や社会保険の未加入の状況についての確認が的確にできるかどうかというのは心もとないと思いますけれども、これは法務省として運用面でどういう御指導をなさっていらっしゃいますか。
  128. 三浦正晴

    政府参考人(三浦正晴君) 御指摘のございました件につきましては、法務省といたしまして、毎年六月に外国人労働者問題啓発月間というものを設けてございまして、この中で実施しております不法就労外国人対策キャンペーンなどにおきまして、外国人の在留資格の説明でございますとか上陸許可証印や外国人登録証明書の見方を記載したリーフレットを作成しまして、関係機関との協力の下で、外国人を雇用する際に在留資格を確認願うように周知に努めているところでございます。  また、各地方の入国管理局におきましては事業主などを対象とした講演会などがございます。ここに職員を講師として派遣いたしまして、外国人の在留手続、不法就労防止について講演を行うなどしているところでございます。
  129. 川口順子

    ○川口順子君 次に、厚労省にお伺いをしたいんですけれども、今の外国人の雇用状況の把握について、厚労省もいろいろ御苦労をなさって、外国人雇用状況報告制度というものをつくられて調査をしていらっしゃるわけですけれども、その情報は、まず五十人以上の規模事業所のみを対象としているということで、事業主の協力の下で実施をしていると伺っておりますけれども、基本的に労働力の需給、供給の調整ということが目的であって、その労働者の個人の情報、本当に保険についてどうなっているのかとか、それから年金どうなっているのかとか教育がどうなっているかとか、そういったことについての把握はできない。単に人数だけなんですね。  ですから、これについていろいろ御苦労なさっていることとは認識していますけれども、これをどのように、更に個人の情報を含むように改善しないと十分な把握ができないのではないかというふうに思いますけれども、いかがお考えでしょうか。調査の説明については結構ですから。
  130. 高橋満

    政府参考人(高橋満君) 外国人雇用状況報告制度でございますが、今委員指摘のとおりでございまして、ここで把握いたしておりますのは、外国人労働者の総数、また職種・出身地域別、それから在留資格別の数だけを把握をいたしております。  今委員が御指摘のように、個人個人のその在留資格の状況でありますとか、個人に着目した把握ということが必要ではないかという点でございますが、確かにこの点については、先ほど法務省からもお答えがございましたが、昨年の十二月二十二日の規制改革・民間開放推進に関する第二次答申でもそうした旨の指摘がございまして、これについて、雇用状況報告制度の内容の拡充でありますとか義務化につきまして提言をされてございますので、これにつきまして関係省庁とも連携をして検討をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  131. 川口順子

    ○川口順子君 私が、ある集住都市、具体的には浜松ですけれども、参議院の調査会の出張で参りましていろいろこの点について話を聞いた範囲では、保険への加入率が非常に低いということでありまして、それから病院に行ったときに、お医者様は、駆け込んでくれば診なければいけない、ですから診ますけれども、例えば、後はお金を払うことができない。一つの調査では、自費治療が約四割ぐらいになっているという数字も見ましたけれども、そういった健康保険への加入問題、未加入問題が地方自治体にも大変に大きな影響を与えている、財政にも大きな影響を与えているということであるかと思います。  そういった点について、なかなかいろいろな障害があってうまく入るということができないでいる。例えば、年金に入っても仕方がない、これは社会保障協定を結んでいくということをやっていけばいずれ解消すること、年金についてはするかもしれませんけれども、健康保険についても、事業主がもうお金が掛かることはやりたくない、それから事業主が本来社会保険に入るべきところを国保に入れと言うというような問題があって、様々な問題があると思います。  時間がないので質問にはいたしませんけれども、そういった点についてもまたどこかでお伺いしたいと思いますし、是非、この外国人の人たちが病気になるような状況ということになりますと、やっぱり地域全体にも悪い影響を及ぼすということですので、是非御検討をいただきたいと思っています。  それからもう一つの問題点である教育の問題について、文科省にお伺いをいたしたいと思います。  浜松で私が聞いたところですと、日系ブラジル人の子弟の二、三割が不登校になっているということも聞きました。それから、各種学校の扱いすら受けない無認可のブラジル人の私塾のようなところに結局、教育を受けているというようなこともありました。  文科省が公立学校の門戸を開いて、無償で教育を受けたい義務教育年齢のその子弟に対して教育をしているということについては評価をしたいと思いますけれども、こういった無認可の私塾といったようなことについて、これも財政的に、あるいはボランティアがやっているというような現状があると思います。この点についてどのような改善策をお考えか、お聞きしたいと思います。  文科省は、実態把握についても調査を始められているということで、この動きも評価をしたいと思いますが、やはり子供が教育を受けられないような現状があるということについてどう対応なさるおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
  132. 井上正幸

    政府参考人(井上正幸君) お答え申し上げます。  文部科学省として、我が国に在住する外国人及びその子弟が我が国の生活に適応できるような支援充実、これが非常に大事だと思っております。その中でも子供さんの教育ということが非常に大事なわけでございますけれども、現在我が国の公立学校に在籍している外国人児童生徒、平成十六年度現在で七万人おりまして、このうち日本指導が必要な外国人児童は約二万人ということで、ここ数年増加傾向にあるところでございます。  文部科学省としては、これまで地域における教育の国際化の推進を図る国際化推進地域事業を行っているほか、学校の余裕教室などを活用した親子参加型の日本語教室の開設事業実施しているところでございます。また、十八年度予算の新規事業といたしまして、外国人児童生徒の地域における日本指導や、適応指導充実を図る支援体制モデル事業のほか、外国人に日本語を教える地域のボランティアを対象とした研修の実施、あるいは地域ボランティアが設置運営する日本語教室の支援などを行う地域日本語教育支援事業を計上しているところでございます。  先ほどもおっしゃいましたように、今後とも地方の取組と相まって、我が国に在住する外国人及びその子弟が我が国の生活に適応できるような支援充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
  133. 川口順子

    ○川口順子君 もう一つ文科省にお伺いをしたいんですけれども、日本では、片親が日本人であれば日本の公立の学校、まあ公立の学校でなくてもいいんですが、学校教育法における一条校ですか、そこに行かせなければいけない義務が親にはあるわけですね。それで、ところが在日のニューカマーと言われるブラジル人とか、それからペルー人とかフィリピン人とか中国人とか、そういう人たちは元々日本に長くいるつもりもないかもしれない。両方の教育を受けなければいけないということであるかと思います。ですから、そういった日本の学校に行った場合に、ブラジルの母語あるいはスペイン語、ペルー人の場合には、といったものを学ぶためには、どうしても、要するにボランティア等に学校の外で、建物的には学校の中であったとしても、やらなければいけないということになっていまして、教育の在り方として、やっぱりそういう日本にいる、住んでいる外国人に対して、日本の教育としてもう少し文化的な多様性を持たせるような教育を考えてもいいんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  134. 井上正幸

    政府参考人(井上正幸君) お答え申し上げます。  日本の学校に入っていただいたときには、これはまあ一条校、学校教育法第一条に基づく日本の正規の学校ということで、これは学習指導要領あるいは日本の教科書を使って教育を受けていただきたいということでございますけれども、もちろん、その学校において多様な文化を知るということは大変大事なことでございまして、例えば、課外においてこういった日本の教育あるいはその当該国の教育、学習をするということは非常に大事なことだと思っております。  また、先ほども申し上げましたように、いろんなボランティアの方々も活用をしながら、御助力もいただきながら、こういった文化の多様性について学習するということ、これは大変大事なことだというふうに思っております。
  135. 川口順子

    ○川口順子君 今は学校に行っている学齢期の子供の話をしましたけれども、そういった特に集住都市に住んでいるような外国人に対しては、大人に対しても教育をし、日本社会に統合されるような取組をする必要があるというふうに思います。これについても予算で多少計上があると伺っておりますけれども、まだまだ十分ではないというふうに思います。  ドイツでは、一定期間ドイツに住む外国人に対しては六百時間に及ぶドイツ語の教育を義務付けている、それと例えば在留資格の延長とを絡ませているというような制度も取っているわけでございまして、日本もイギリスやフランスで起こったようなことを日本で起こさないようにするためには、やはりもっと抜本的な取組が必要なのではないかというふうに思っております。  それで、先ほどのその在留資格についての話、どこにいるか分からない、実態が分からないと、教育を受けさしているか、保険に入っているかということが全く分からないということにつきましても、日本として、制度として、在留資格の延長時期にそういったことを聞いて、それと絡ませて実態把握をし、そして健康保険その他についての日本人同様のベネフィットを受けられるような、あるいは受けなければいられないような、そういう仕組みにしていくということが重要ではないかと思います。  時間がないのでこの点については答弁は求めませんが、最後に麻生大臣に。今後とも先ほどおっしゃったように政府全体としての取組が必要であるというふうに、しかも早急に、具体的に取り組む必要があると思います。これについての取組の心構えなり意気込みをお話しいただければと思います。
  136. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 川口先生指摘のことに関しましては、これは海外交審議会からも御指摘の受けているところでもありました。今、内閣官房に外国人の在留管理に関するワーキングチームというのが設置をされておりまして、今、外国人にとって日本に居住することの利便性の向上ということを考えにゃいかぬという話で、今総合的な管理の仕組みを検討しているところであります。  私ども、考えにゃいかぬのは、貧しい方がこの国に移ってきて、その人の子供が生まれてという話ばかりの問題になりますけど、豊かな人たちが退役をしてこっちへ移ってくる人の話も考えにゃいかぬという、両方考えておかねばならぬ大事なところだと思っております。
  137. 川口順子

    ○川口順子君 質問を終わります。
  138. 高野博師

    ○高野博師君 同僚議員からも質問がありましたが、日米豪の戦略対話についてまずお伺いしたいと思います。  まず、この三か国の対話の目的は何かということ、なぜ日米豪の三か国なのかということをお伺いいたします。共同ステートメントの中では、アジア太平洋地域の平和と安定の促進へ共通の戦略的利益を守るために共同で取り組む決意を示すものだと、こううたわれておりますが、共通の戦略的利益を守るというのが目的かと思うんですが、どういうふうに、どういう目的であるのか、なぜかということをお伺いいたします。
  139. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回の日米豪三閣僚級会議体というものは、基本的価値観というものを、それと基本的価値観と戦略的な関心を共有する日米豪という国が、いわゆる共通の関心を有しておりますグローバルな課題であります例えばアジア太平洋地域の安全保障の問題等々につき意見を交換しようということが目的でそもそも設立をされ、開催されることになっております。  で、中国との建設的な協力関係もつくらにゃいかぬ等々いろいろあっておりますけれども、いわゆる中東地域の課題とか、今話題になっておりますテロ対策等々、極めて多岐にわたる問題につきまして意見交換を行い、先ほど言われた共同ステートメントということになったというのが経緯であって、初めての試みでありますんで、一歩を踏み出したというような感じが正直な実感です。
  140. 高野博師

    ○高野博師君 もう少し戦略的な発想というか、考えがあるのかなと思っているんですが。  基本的には、アジア太平洋の中の中国、北朝鮮というのが、いろんな懸念材料があると思うんですが、特に中国の軍拡、これがもう第一義的に共通の戦略的なこの利益を守るということにつながるのかと思うんですが、もうこれも御承知のとおり、二〇〇六年の国防予算が前年度比で一四・七%増と、十八年間連続で二けたの伸びを示していると。こういう中国の軍拡に対して軍備の透明化を求めているというんですが、透明化といっても当然限界があると思うんですが、これ正に共通の懸念、脅威という表現をしておりませんが、共通の懸念だと。  東アジア共同体構想の中でも日本の主張と中国の主張が違って、日本側はオーストラリア、ニュージーランド、インドを入れろと、こういうやり取りがあったと、そういうこと。あるいは、中国は米豪の同盟関係をつぶしたいと、したがって、そしてオーストラリアを取り込みたいというようなことを戦略としているという、そういう情報もあります。  日中の対立は、これもう御承知のとおりだと思いますが、アジア太平洋の平和と安定ということを言うんであれば、これは日米ガイドラインあるいは日米安保の再定義の中で極東からアジア太平洋に拡大をしたわけで、安保の再定義をしたわけですが、オーストラリアを加えたと。なぜかと。それだけ国際環境、アジア太平洋のいろんな情勢が大きく変化してきたということかと思うんですが、これは世界の中の日米同盟、これはもう川口大臣のときに言い出したことでありますが、世界の中の日米同盟の一つの拡大というか、具体的な例として日米豪のこの戦略対話というのはとらえることができるんでしょうか。
  141. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、アメリカと豪州も米豪同盟というか条約を持っておりますんで、そういった意味では日本とアメリカ、アメリカと豪州というような感じで、私どもは、まあ大きな民主主義国家でもありますし、また御存じのように資源という面からもいきますと、私どもとの関係は、多分豪州にとって最大の資源輸出国は日本と思いますし、私ども、鉄鉱石、また鉄鋼に使いますコークス等々は五〇%、五五、六%輸入しておりますんで、そういった意味では大きな関係もある国でもあろうと存じますんで、私どもとしてはこういう国ときちんとした関係を持ち続けておくというのはすごく大事なことだと思っております。  東アジアのお話も触れられましたけれども、東アジアの中でも、私どもはこの会、この東アジア共同体にインドと豪州、ニュージーランドを入れるというのに非常にこだわりましたのは、やっぱり共通の価値観というものを持っている国、しかも同じ太平洋、パンパシフィックというか太平洋の地域というか、まあアジアの地域の中にあって、昔は私どもの役所の中でもあれは大洋州としていわゆる全然別にしておりましたけれども、今はアジアの中にあそこを含んで今いろんな形でやっておりますんで、私どもとしてはこの豪州とアメリカと日本という関係をきちんとしておくというのは今後の日本にとりましても大変大事なところであろうと思って、今回のこのような形に踏み切らせていただいたというのが背景です。
  142. 高野博師

    ○高野博師君 日米豪にイギリスを加えて海洋同盟だと、そういう指摘もあるようでありますが、実は去年の四月に私、ニューヨークに行きまして、三月だったかな、オーストラリアの環境大臣と会談をしまして、環境問題が主だったんですが、その機会に、日本とオーストラリアは正に自由とか民主主義とかと価値観を共有している、そしてオーストラリアも、インドネシアにあのスマトラ沖のときに一番援助したのはオーストラリアでありますが、ASEANとの関係を強化したいというような意図もあるし、これは日豪の戦略的パートナーシップというのをこれ強化できるんではないかという話をしたんですが、何か余り通じなくて話は深まらなかったんですが。  価値観を共有するとかということであれば、この三か国にインドを加えるというようなことも十分あり得るのかなと思っておりますが、その方がより安定した関係というのをつくれるのかなと、しかも同じような戦略的利益というのがあるんではないかと、中国との関係なんかも考えれば、と思いますが、これは質問通告してないので、答えられたらお答えいただきたいと思いますが。
  143. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、日米豪プラス印という話だと思いますけれども、今回、まずこの日米豪でそれやっと今スタートしたばっかりでございますんで、ちょっとここのところをきちんとした上でということになろうかと存じますけれども、今言われた点は考慮に値する考え方だと存じます。
  144. 高野博師

    ○高野博師君 日米豪の関係が強化されると、今度はロシアと中国の関係も強化されて、こういう対抗的なものにならなければいいなという若干の心配はありますが、この点についてはまた別な機会にお話をお伺いしたいと思いますが、今日はアメリカの新国家安全保障戦略について外務大臣防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  これは、去る十六日に公表されたのでありますが、これをどのようにとらえておられるでしょうか。簡単で結構であります。
  145. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 高野委員指摘の、ただいまの三月十六日に発表されましたアメリカの国家安全保障戦略は、アメリカとして国際社会のほかのメンバーと協調しながら国際社会における民主主義あるいはグッドガバナンス、良い統治を促進しまして、テロや大量破壊兵器といいました諸問題の解決や世界経済の発展、そして開発支援といった、こうしたことに引き続いて取り組むという考えを改めて明らかにしたものであるというふうに理解いたしております。  したがいまして、御質問の民主主義の確立の重要性、あるいは先制行動といったような今般の国家安全保障戦略というものは、二〇〇二年の同戦略、その戦略を基本的に引用しながら踏襲したものということで理解をいたしております。
  146. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の金田大臣からお話がありましたように、私も今度の米国の国家安全保障戦略については、基本的には前回と一緒で、民主主義、自由主義の拡大、それからテロや大量破壊兵器の移転、拡散に対処すること、世界経済の発展、開発支援等を行うというものは基本的に流れていると。  前回と違うのは、一つは、まあ部数も三十一ページと、今度は四十九ページというふうになっていますが、前は具体的な国名は挙げておりませんけれども、今回は北朝鮮、イラン、シリア、キューバ、ベラルーシ、ビルマ、ジンバブエを名指しして圧制国家というふうに言っております。その中で、特にイラン、北朝鮮に対しては、具体的な脅威、これにどう対処するかという話をしているわけでございます。  それからもう一つは、前回は、国際的な様々な問題に対してアメリカが単独で行動することも必要であるというふうに言っておりますけれども、今回はやっぱり主要国との協調の必要性が強調されているというところが特徴だろうと。それから、エイズとか鳥インフルエンザとか感染症、麻薬だとか、そういったことについて言及をしているということ。それから、中国に対して、前は健全なる関係をつくろうじゃないかと、だけど今度は、お互いの利害関係者として行動を共にしようじゃないかと言っていることだと思います。  いずれにしても、アメリカがアジアを始め世界について関与していくことがしっかりとなされていることは評価していいと、我々も同盟関係を結んでいる以上、そういうことが、基軸がなされていくことがアジア、世界の平和、安定につながっていくというふうに思っております。
  147. 高野博師

    ○高野博師君 正にそのとおりだと思うんですが、一つはやっぱり先制攻撃というこの選択肢を依然として保つと、ここのところは、要するに差し迫った脅威、差し迫っていない脅威へのこの予防措置として拡大される危険性はないのかどうか、こういう指摘もされております。  イランを米国の最大の脅威だというとらえ方もしている、あるいは中国をステークホルダーとして行動するように要求している、いろいろあると思いますが、一つは世界の民主化という点で、すべての国に民主化を求める、それを支援するのがアメリカの使命だと、あるいは政策だと、そして、圧制政治、専制政治をこの世界からなくしていくと、これが究極の目標だと。その理想と理念は正にそのとおりで、これは恐らくアメリカにしかできないことだろうとは思うんですが、もしアメリカが孤立主義とか保護主義とかということに陥った場合には、今の現在の国際社会、このテロがある中で相当混乱するんではないか。そういう意味では、アメリカの考え方については評価しなくてはいけないと思うんですが、一つは私は思うのは、方法論の問題があるんではないかと。その方法論については、慎重であるべきではないかと。  今回の新しい安保戦略の中でも、外交努力を強調しているわけでありますが、武力による、あるいは武力を背景として民主化を押し付けるというようなことがあるとこれはなかなか難しくなるのではないか。各国にはそれぞれ長い歴史があり、そういう制度を持っているわけですが、それを性急かつ急激に変革するというのはなかなか難しいんではないか。正に漸進的な変革、改革というのが必要ではないか。したがって、前回も述べましたように、ソフトパワーとかそういうものによってソフトランディングをしていくというようなことが必要なんではないかな。  イラクに関しては次の質問にしたいと思いますが、アメリカは基本的には、安保政策の場合、安保政策については国益を優先するということになっている。その国益を守るためには単独でも武力行使は辞さないと、武力の行使も辞さないと、これはもう安保政策の基本にあるわけですが、その国益の中でも特にバイタルな、死活的な国益については、これはもう単独でも行動すると。例えば、自国の領土が侵略された、あるいは同盟国が攻撃された場合も、これはバイタルな国益だということで武力も使うと、こういうことになっているわけです。  したがって、私は、この二〇〇二年のときの安保戦略も今回の戦略も余り驚きはないんであります。元々アメリカが持っている考え方だと思うんですが、アメリカの場合は国益とは何かというのが明確にこれは明示されているんですね。そこは日本はあいまいなんです。何回か私、国益について質問したことあるんですが、その時々によって違うみたいな話で、明確にないんです。これは、その国益とは何かということについてきちんと詰めておかないと、国の戦略、国家戦略と、正に何度も議論しているんですが、それは立てられないんではないか。正に国家戦略というのは国益を第一義とすべきでありますから、その国益は何かということを明確にした上で国の戦略というのがあるんではないかと思います。  大臣に御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
  148. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に日本の、この国益という言葉も、これは高野先生、本当最近ですよね、こういう言葉を国会で使うようになったのは。昔は国益と言っただけで右翼みたいなこと言われたりしたこともありましたんで、随分時代が変わったのかなと思っていないわけじゃありませんけれども。  日本の、はっきりしておりますことは、外交の目標としても、日本という国の、国民の安全と繁栄というものを確保するということはこれは外交というものの目標でもありますので、この目標の実現のためにいろいろ外交をやってみたり、いろいろ中長期的な観点に立った理念とか戦略というものを置いて外交を展開していくんだと思いますけれども、やっぱりこの国は、属国にならず、植民地にならず、この国の自主独立を長いこと保つというのに先人が多くの努力をしてこられたことなんであって、自主独立している、加えてその国家が繁栄しているというのが非常に大きなところなんであって、繁栄しているけど独立してないとか、独立しているけれども繁栄してないとか、いろいろ例は世界じゅうありますけれども、私どもとしては、独立というものをきちんと持ちながら、そしてその上できちんと経済的にも文化的にもいろんな意味で繁栄しているというのは、この国の、そのためにどうするかというのが一番根本に置いておかないといかぬところ、ほかのところは一杯ありますけど、一番基本的なところはそこを押さえておかないといかぬのではないか、率直にそう思います。
  149. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、中東問題、イラクの問題についてお伺いいたします。  イラクの今の現状をどういうふうにとらえているのか、簡潔にお願いいたします。
  150. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいまの御質問でございますが、イラクでは二月二十二日にサーマッラーでシーア派の聖廟が爆破された後に、宗派対立が背景にあると見られる事件が幾つかの地域で発生をいたしておりました。  ブッシュ大統領は、三月に入ってから累次演説を行いまして、イラクの人々がそうした危機に遭って敵を利するような行動を取らないように自制したということ、それから政治指導者が事件によって挙国一致内閣へと向かう危機意識を高めたこと、またイラク治安部隊の成長ぶりを聞き状況を楽観視していることといったことをブッシュ大統領は累次演説で三月に入ってから述べております。  一方、イラクでは、二月十日に国民議会選挙の最終結果が発表されまして、現在、新政権発足に向けて調整が行われておるわけであります。三月十六日には国民議会初会合が開催されましたが、これは新政府発足に向けた前向きの動きとして歓迎されるものであります。  我が国としては、今後このような動きが加速されることを期待しているわけであります。  以上、簡単に申し上げました。
  151. 高野博師

    ○高野博師君 イラクの現状はやっぱり三つぐらいにとらえることができるんではないかと思うんですね、三つ。  一つは、やっぱりイラク人同士の戦い、対立、武力衝突、これが非常に拡大していると。それからもう一つは、これはもうシーア派の勢力が台頭しているということもあって、イスラム勢力、これが大きくなりつつある。もう一つは、イランの影響といいますか、イランとイラクの接近という、あるいはイランの介入というか、これが今のイラクの現状ではないかと思うんですね。したがって、これほど社会が分断してしまった、しかもだれ一人として安全を感じることができないような状況になっている。これはいずれもアメリカが当初予想していなかった事態だろうと思います。  ということになると、イラクの戦争を含めて、このイラクという問題は一体何だったのかと。その民主化とは何なのかと。アメリカはもう二千三百人以上のアメリカ兵の死者を出していると、膨大な戦費を使っている、多国籍軍あるいは有志連合も参加して。これは、しかもイラク国民も、何十万か何万か知りませんが、正確には知りませんが、相当の犠牲者を毎日出している。しかし、今一番得しているのはだれかというと、ある意味でイランになっているんではないか、そういう見方もあるんですね。これはまた、アメリカが最も望んでいなかった事態ではないかということで。  しかし、今アメリカが、米軍がイラクから撤退すればイラクはもう破局的な状況になるんではないかという意味では、アメリカは引くことはできない。テロリストも相当ばっこするでしょうし、非常に中東全体が不安定になるという意味では撤退は難しい。しかし今、民主的な手続、民主的な選挙によって今のような状況が生まれているわけですから。正にこれは、もう前から言われたようにパンドラの箱を開けたとも言われてるわけですが、これはアメリカの相当の誤算が、あるいは甘さが、おごりがあったのかなという気もいたしますが。  そういう状況の中で、米軍は今十三万何千行っていると、アーカンソー州の州兵まで今駆り出して行っているというような状況の中で、日本というのはこういう状況の中で自衛隊が撤退ということができるのかどうか。  その前に、これは防衛庁長官に、自衛隊の派遣というのをどう評価されているのか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  152. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 国会の了承も得まして、イラクに自衛隊が派遣されてから二年余りたつわけでありますけれども、この間に学校の建設とか道路の建設とか、それから浄水、きれいな水を供給するとか、様々の人道復興支援策を講じてきました。もちろん、これは外務省ODAと連携をしながらの仕事でありまして、特に評価が高いのは、私も実際に昨年の十二月初めに行ってまいりましたけれども、学校建設などでは、子供たちがあるいは家族の皆さん方が新しい教室で勉強ができるということで希望に輝いております。それはもう日本、イラクの関係について将来ともども貢献をするだろう。それから、乳幼児の死亡率が高かったんだけれども、水の供給によってもう三分の一にその死亡率が減っている。そういうことで、非常に高い評価がなされていることは間違いがない。  だから、最近、日本の国内の共同通信の世論調査とか、イラクにおける世論調査でも、日本のその復興支援の行動は今後も続けてほしい、そういうことが非常に高めで出ているわけであります。そういう意味で私は評価をしてよろしいのではないか。イラク政府の人たちもそういう評価をしておるわけであります。
  153. 高野博師

    ○高野博師君 イラクの地元の住民あるいはイラクの政府自衛隊の人道復興支援に対しては、感謝をし、評価をしているということはそのとおりだと思います。  日本国内での世論調査によれば、高く評価する日本国民は一〇・五%、評価するというのは四六%、合わせて五六・五%は評価していると。その理由は、復興に役立っている、六六%、もう一つは日米同盟維持が国益になると、これが二〇%、こういう評価なんでありますが、イラク、そして我が国、しかし中東全体の中ではどうかと、アラブ世界の中で。世論調査やったわけではありませんが、自衛隊派遣の評価というのは分かれているかなという感じがいたします。日本はやるべきではなかったんではないかという意見もかなりあるということも言われております。ちなみに、イギリスは、この参戦によって中東諸国のイギリスに対する信頼感が弱まった、あるいは中東に対する影響力が弱まったというようなことが言われております。  それはそれとして、私は基本的にはきちんと評価はしたいなと思っておりますが、しかしその撤収のタイミングは物すごい難しいと。で、イギリスとオーストラリア軍が撤退したときに一緒にということが言われていますが、その英豪軍の撤収もまだ見通しが立っているわけではない。一番最悪のケースは、万一自衛隊に何かあったときに、これは逃げるようにして撤収すると、あるいはそれができないということになると余計これは泥沼に入ってしまうということもありまして、日本のきちんとした理由付けがあって撤収するということをもう相当慎重に、しかし早急に探るべきではないかなと思っておりまして、私は、個人的には、新しい本格政権が発足したときに、五十億ドルのODAというのは表明しているわけですから、日本ODAを通じての援助に切り替えたというきちんとしたこの大義名分を持って撤収ということを主張していかないとタイミングを逸するんではないかという懸念を持っておりますが、長官はどうお考えでしょうか。
  154. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、防衛庁長官としての責任者としては、石破長官時代に送り出したわけでありますけれども、一般論的に言えば、送り出す時点でこの自衛隊をどういう時点で撤収してくるのかということは当然考えておかなければならないことであります。そういう一般論としては、そういうことはいつでも対応を考えていると。それは、その状況状況、これまでのPKO等の経験、様々なことを想定しながらいろんなことを考えているということが当然のことだというふうに思っております。  タイミングについては、おっしゃるように、きちっとまず第一次走者の自衛隊がこれだけ高い評価を受けているわけでありますから、次にバトンタッチするときは、イラク政府がきちっとして、自らの力でイラクの再建行動ができるという形が望ましい。それによって、民間だとかNGOだとか、そういう形でバトンタッチされていくのが一番いいというふうに思っております。もちろん、安全の中で考えていかなければなりませんから、米国、英国、豪州と緊密な連携を取りながらこれは考えていく必要があるということであります。  したがって、状況によってはどういうふうになるか分からないのが、我々がいつでも注意深くこの状況をにらみながら判断しなければならないということにあるということだと思っております。
  155. 高野博師

    ○高野博師君 時間ですので最後に、イスラム世界の動向と我が国対応といいますか、それについて外務大臣にお伺いしたいと思います。  対中東石油の依存度というのが九〇%、これはますます高まっているというのは、日本安全保障上これは対応する必要があると思うんですが、こういう問題、中東の平和と安定というのは日本にとっては死活的な重要性を持っていると。それから、先般、ムハンマドの風刺漫画でイスラム世界の怒りを買い、暴動等いろいろな問題がありました。表現の自由と尊厳との難しい問題も当然あると思いますが。  イスラム世界はかつては世界の文明の中心でもあったと。十八世紀は明とムガール帝国とオスマントルコだけで世界の八〇%これはGDPを出していたというようなこともあり、また古代ギリシャ、ローマの文明はイスラム世界がこれを保存しヨーロッパに伝えたということも言われていると。  しかし、この近代化の中で、西欧中心の歴史観というものがイスラム世界に対する偏見とかあるいは差別を生んできたんではないかなと思いますが、今回のこの風刺漫画の動きというのは、イスラム世界が主体性を持って取り戻してきた、あるいは自信を取り戻してきた、あるいは新たな反植民地主義の表れだと、そういう見方もあると思うんですが。  イスラム世界といっても、例えばインドネシアは世界最大のイスラム国家でありますし、パキスタンも一億五千万人もいる、インドにも一億人いる、中国にも二千万人のイスラム系の人々がいると。日本は中東ではどちらかというと手は汚していない、信頼感が非常に高いと……
  156. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が参っていますので簡潔にお願いいたします。
  157. 高野博師

    ○高野博師君 はい。  そういう中で、このイスラム世界とどういうふうに向き合っていくのかということは日本にとっては非常に重要になると思うんですが、時間の関係もありますので簡潔にお答え願いたいと思います。
  158. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のように、十から十三億人と言われておりますんですが、今まで我々の間に余り縁がなかった、事実だと存じます。  二〇〇二年のときに、たしかイスラム世界との文明対話セミナーというのを開始をされて、今年一月、チュニスで第四回目の会合を開いております。また、日本・アラブ対話フォーラムも立ち上げて、現在三回目を開催をしておりますし、また対中東文化交流・対話ミッションと、これも三回出させていただいておるんですが、過日も小泉総理は、十月でしたか、四十四か国の在京イスラム大使、イスラム外交団を体して、例のイフタール、ラマダン明けの、断食明けの食事を初めて主催させていただいたりしていますので、そういった努力をしております。  また、今ムハンマドの、ムハンマドって例の風刺画の話が出ましたけれども、これに対して外務省として報道官を通じて談話を発表しておりますけれども、在京アラブ、イスラム外交団から麻生外務大臣に対し、日本政府対応を高く評価するという表明がなされておりますけれども、それぞれ努力をさせていただいておりますが、おっしゃるように今まで余り縁がなかった、事実だと思いますので、更なる努力は必要だろうと存じます。
  159. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  160. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 米軍再編問題について質問いたします。  2プラス2合意文書は、日本が米軍に行う輸送協力として、高速輸送艦の能力によるものを含めた海上輸送を拡大しともに実施すると明記しております。  そこでお伺いしますけれども、高速輸送艦、HSV、それはどのような能力、機能を持っているんでしょうか。
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、緒方委員指摘の高速輸送艦、HSVは、アメリカが今試験運用していると思っておりますが、高速海上輸送能力として、例えばこの前の津波救援活動等において人員輸送等に活用しているというふうに聞いておりますが、その能力というか、概要ですか、概要は、私どもが知っている限りにおいては、これは総トン数八千四百トン、全長百一メートル、全幅二十六・六五メートル、ディーゼル四基、ウオータージェット四基、速力四十ノット、航続距離一千百マイル・三十五ノット、輸送能力、人員九百七十名、貨物五百五十トンというふうに聞いております。
  162. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そのとおりですね。正に非常に大きな部隊を高速で、ノットで言っても分かりにくいかもしれませんが、時速八十キロで海上を走るというそういうもので、大変なものだと思います。ですから、これはアメリカ側の発表ですけれども、航空輸送機でこれまでやろうとすれば一週間掛かる、そして非常にコストが高い、それを二十四時間以内に非常に低コストで行うことができるという、そういうものだと思います。  そうすると、この高速輸送艦は兵力を離れたところに素早く移動させるものだと解することできるわけですけれども、外へ出ていくためのものですよね、これは。そうするとこれは、その機能というのは日本の防衛に必要なのでしょうか。
  163. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本でこの高速艦艇をまだ具体的にどういうふうにするかということを決めているわけではありません。ただ、2プラス2においてそういう高速輸送体系について検討をしていこうということにはなっているわけでありますが、具体的に対応措置を決めているわけではありません。
  164. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そこで思うんですが、二〇〇四年十二月に決定されました中期防にはこのHSVは明記されてなかったと思います。今こういう議論が行われていると。日本ではどうするかというのはこれから決められるということだと思いますけれども、そのことは、中期防では予期していなかったことが最近になって議論になっているという、そういう解釈でよろしいですか。
  165. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例えば、日本の沖縄における海兵隊を米軍再編の中で負担を軽減するためにグアムに移転するということについて今協議をしておりますね。そういうときに、日本の安全にとって非常に重要な問題が起こるようなときはやっぱり日米同盟関係で迅速な対応ができるようにするとか、あるいはまた災害だとかあるいは国際協力活動だとか、そういうときに敏速に対応して被害を最小限にするとか、様々のことで考えていくことは当然のことではないか、議論をしているのは間違いではない。
  166. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本がHSVを導入すれば、これはアメリカのために活用することになりますか。
  167. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本日本の安全と周辺の安定のためにやることであります。
  168. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 周辺事態の際の協力、それの活用というのはどう考えられていますか。
  169. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そのときになってみなければ、状況によってどういうふうに対応するかということが生まれてくるわけでありまして、机上の上で今答えることが適切であるかどうかは、私は、実際の場面において判断する材料を持っていることは大事だけれども、今の時点でその是非を論ずるのはいかがなものかというふうに思います。
  170. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかし、議論が実際に行われていて、そしてこれから先のことをかなり予測しながらアメリカと協議しているという中で生まれている構想なわけですから、ですから、それについてどう考えるのかということは非常に大事な問題だと思うんですね。  そこでお伺いしますけれども、それでは国際平和協力活動などではどういうことになるんでしょうか。
  171. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ですから、国際平和協力活動というのは様々なケースがありますね、この前のスマトラ地震もそうだし。そういうときに敏速に人員、物資を輸送する態勢はどうするのか、そういうことからいろんなことの対応措置を考えていく、議論をしていく。そして、ケースワン、ケースツー、いろんなケースを想定しながら、どういうのがよりベターであるかということを考えるのは我々政治家の務めであると思います。
  172. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その際、その合意文書にある、日本実施する輸送協力という、そういう問題で、その活動範囲についての限定とか、そういったものはあるんでしょうか。
  173. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは国際平和協力活動ですから、自衛隊が動く場合は、平和協力活動であれば、それはもう災害活動だとかあるいは人命救助だとか、いろんなことでその活動ができるというふうに思っております。いろんなところで活動ができると思っております。
  174. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 米海兵隊のマイケル・ヘイギー総司令官が、昨年十一月にナショナル・プレスクラブで講演しておりまして、その中で、アジア太平洋地域でのテロ戦争の目的について、イスラム地域の過激な原理主義と戦うことを挙げております。  そしてその中で、引用いたしますけれども、我々は特にごく数年内に実現を見ることになる能力をもって不測の事態に対処し、安全保障協力を行うために軍を適切に配置している、実際、一定の能力が既に存在する、そう述べて、高速輸送艦がそれに当たるんだということを述べております。日本の輸送協力は、こういうテロ戦争での海兵隊の展開能力に、これを補完するという、そういう意味を持つことはないんでしょうか。
  175. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々は、自らの安全と地域の安定のために、あるいはまた日米同盟関係において自衛権の行使及び後方支援のために使う以外はありません。
  176. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 アメリカは、今述べたヘイギー総司令官は、結論として、HSVは米海兵隊が対テロ戦争でアジアに広範囲に展開するための重要な能力だ、そういう位置付けを行っております。そういう中で、実際、米海兵隊はイラクに行ってそこで戦争をする、アメリカの言うところのテロとの戦いを進める、そういう中で掃討作戦に参加する、その前線の主要な部隊になっているのが今の海兵隊。そして、かなりの殺傷が行われているということも報道されているわけです。こういうアメリカの軍事戦略の下に、先制的な攻撃を含めた、イラクにも行くと、あるいはそのほかの地域にも行くということを想定した、そういう部隊として海兵隊があると思います。その足になるのがこの輸送協力だと私は思うんですね。  そこで、じゃ、このグアム移転は何かと、グアム移転は何かということを考えますと、政府はグアム移転による負担軽減ということを強調されますけれども、問題は、強化される輸送能力によって基地がどう運用されるか、そこにあると思います。ヘイギー総司令官は、我々が駐留する場所に注目するとき、HSVで海兵隊をあちこちに移動させる、ムーブ・アラウンド、その機会に注目すると述べて、グアム移転を大変理にかなったものだと説明しております。  グアムへ移転させたとして、アメリカ、米軍が、運用上の必要から、また海兵隊部隊が一時的にでもグアムやほかの基地から沖縄に戻ってくる、そして基地を使用する、そうしたことはないんでしょうか。
  177. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、日本の安全と日本の防衛と周辺事態の安定のために日米同盟が機能することはあります。そういうときにそういうものが働くことになるものと思います。
  178. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに排除されないということだと思います。まあそういうことになります、アメリカの戦略からいえば。  海兵隊にとっては、あちらにもこちらにも使えるようにしていこうということは、これは非常に大事な彼らの考えだと思うんですね。そうすると、沖縄の負担軽減が目的というよりは、米軍の運用上の必要から、正に米軍が、アメリカの海兵隊が柔軟かつ機動的に機能を強化するという、そこに今回のグアム移転、あるいはグアムに司令部を移すという、そういう目的があるということになるんじゃありませんか。
  179. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それはもう、沖縄に行かれれば、沖縄のもう住民、県民の皆さん方は、基地の負担をもう何とか減らしてもらいたいと、特に海兵隊の数は減らしてくれということはもう悲願のように言ってきたんですね。だから我々はそういうことをずっと主張してきておって、今度米軍が初めて減らすことができるということになったわけでありますから、しかもこれも二十年も三十年も掛けてやるというんでは非常に困るわけでございますので、できるだけ敏速にやってもらうために、それは幾らかその負担はしましょうと。そして、早く沖縄から海兵隊が移転してもらうことが、沖縄県民にとってもプラスだし、日本全体の国民の皆さん方にとっても負担の軽少につながっていくということでやっているわけでございます。
  180. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 沖縄から海兵隊出ていくというのは、本当に沖縄県民の悲願だ、そう思います。それは私もよく聞いております。  海兵隊による沖縄への負担を軽減する、そう言われるならば、普天間飛行場だってもう非常に大きな負担なわけですから、グアム移転を本当に沖縄負担軽減という目的で進めるというならば、これも含めて海兵隊を丸ごとグアムに移す、アメリカのどこかに移す、そういうことが良いのではないですか。なぜそれができないんですか。
  181. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々は、もう時々刻々、毎日毎日、そのアジアの情勢、世界の情勢がいかなる変化が起こっても日本国民の安全とこの地域の安定を図っていかなければなりません。机上の上の議論をしているわけではない。責任を持つ我々は、しっかりと現状の動きを把握しながら、そしてにらみながら適切に対応していく。そのためには、この日米同盟が必要であるし、沖縄に一定の米軍のプレゼンスがあることが地域の安定につながっている、日本の安全にもプラスであるというふうに思っております。
  182. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣日本の安全ということをおっしゃられますけれども、結局、米軍の軍事的な合理性や運用上の必要からこれが生まれてきているということは非常にはっきりしているのではないかと思うんですね。  アメリカ太平洋海兵隊のグッドマン司令官は、その構想を明確に話しております。昨年十一月、グアム選出の下院議員に対して行った説明の中で、海兵隊が複数の場所から太平洋の紛争地域へ対処する能力においてグアムがその中心的な要素になると。つまり、グアムを中心ハブにして、沖縄、ハワイ、そのほかの地域と結ぶ、そういうことを想定している。で、沖縄から天候上出撃ができなくてもグアムからできる、ほかからできる、あるいはグアムからできなくとも沖縄からできると、そういう正に戦略的柔軟性と機能性の発揮をさせる、そこに目的があるということを述べているわけです。  正に、そういう機能の強化ということに、そのグアムへの司令部の移転、その目的があるということになるんじゃありませんか。
  183. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本にとっては、やっぱりアジアの海、太平洋、インド洋、アラビア、そういうところが平穏でなければシーレーンも確保できないし、そういう全体的なことを考えながら同盟関係を維持しているわけでして、一面的な視点だけで我々が対応しているわけではない。もうちょっとそこは全体的な日本の安定が、あるいはまたシーレーンの確保が必要である。そういうことを想定しながら我々は同盟関係の維持をしているということが基本であるというふうに思います。
  184. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後です。  やはり私は、アメリカが何を考え、どういう戦略の変更、あるいは重点の移動を行っているかということを、やはり国民に対してはっきりと、また国会に対してもはっきりと示しながら議論していくということは非常に大事だと思います。  その点で、そのグアムの移転というのは明確にアメリカの軍の運用上の必要から生まれてきている。そして、もちろんそれに伴うことはあるかもしれないけれども、それにしても、また同時に、大臣も否定されなかったように、グアムに行った海兵隊が沖縄へ戻ってくる、そういうことだってあるわけですから、そのことを私は要望して、質問を終わります。
  185. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  今朝の各新聞は、政府は名護市側と協議し、普天間移設先のキャンプ・シュワブ沿岸案を微調整する方向で今週中に一定の結論を出すことで合意したと報じております。これは事実でしょうか。事実とすれば、シュワブ沿岸案をどのように微調整なさるのか御説明ください。そして、これが今月末と言われている米側との最終合意に間に合うかどうかについてもお願いいたします。
  186. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 米軍再編に伴う日本の基地の問題の再編、縮小、整理の問題について協議をしているわけでございます。これについては、日米間では今月末までに最終ゴールを目指すということでやっておるわけでありまして、それに伴い、各基地の所在する地域の皆さんとも知事さんや市町村長さんと継続的に協議をしているわけでございます。  そして、普天間、沖縄の問題につきましては、昨日、小泉首相としまして、沖縄県民それから名護市民の皆さん方に対しましては、従来からの政府原案を原則にしながら地元の皆さん方と市長さんや県知事さんと協議をする、しかし一センチたりとも譲らないわけではない、しかし実行可能でなければならない、そういうことを総理と確認をいたしまして、実際に名護市の市長さんとか市の幹部の皆さん方と今協議をしている最中でございます。
  187. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 名護市長や稲嶺県知事が、沿岸案に極めて強い態度で反対しているその理由は何だとお考えですか。
  188. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、名護市長さんと話合いをしているときでございますので、お互いに自らの、我々は国民を思う立場、市長さんは市民を思う立場、それぞれ大義を持って話をし、しかもなおかつこの問題について建設的な話合いをしていこうということでやっているわけでございますから、これは具体的なことについては、今私が申し上げることが適当かどうかと考えると、協議中でございますから、発言は慎まさせていただきたいというふうに思います。
  189. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 まあこれからの調整はあると思いますけれども、これまで長官は何回か沖縄にいらして、じかに市長さんや県知事とお話しされているわけですから、一般の人たちは、国民はなぜ反対しているかというのがよく分からないように思われるんですよ。ですから、これまでの話合いを通して長官がお感じになった反対の理由というのはどういうことですか。
  190. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、全国的に言っても沖縄においてもそうでありますけれども、日米同盟、安全保障の問題については理解できると、しかし負担はできるだけ最小限にしてほしい、これは率直な姿であると思っております。だから、お互いに今話合いをしているということでございます。
  191. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっと長官の御答弁は私の質問に答えておられないように思われます。  私が申し上げているのは、名護市長や県知事が沿岸案という特定の政府から提起された案に反対している理由は何ですかと伺っているわけです。
  192. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、それぞれの市長さんが言ってきたこと、それから我々が言ってきたこと、その両者が同じテーブルの上に座って協議をしているわけですから、新しい段階、新しい次元に来ておりますので、従来のことがそのままストレートにつながっているとは思いません。
  193. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これまで普天間飛行場の移転先の名護市辺野古沖の海上案に基づいて海底調査等の関連事業が進められてきましたが、去る三月十六日、那覇防衛施設局は、これらの事業の委託業者に対し契約解除を通知したと報じられております。  政府は海上案を事実上断念したと理解してよろしゅうございますか。
  194. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それはもう普天間の代替移設建設については、昨年秋の日米の中間報告の中でキャンプ・シュワブの沿岸案ということで地元調整をするということになっておりますので、従来の沖合二・三キロメートルの中で埋立てをして代替施設を造るということについては、閣議の上ではまだ残っておりますけれども、事実上変更をしているということでございます。
  195. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛施設庁長官にお伺いいたします。  一九九六年十二月のSACOの最終報告で普天間飛行場の返還が合意されて以来、翌年からボーリング調査や環境現況調査などで業務委託契約を結んだ事業の数と受注した企業の数、また、これまで支出した事業費は幾らになるのか、教えてください。
  196. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 私どもといたしましては、これまで普天間飛行場の移設・返還を一日も早く実現するということで取り組んでまいりました。  それで、この代替施設に関連いたします業務につきましては、平成九年度から実施をいたしておりまして、平成十七年度までに契約をいたしました業務につきましては、トータルで七十七件、会社の数では三十四社、契約額で申しますと約四十四億五千万円となっております。
  197. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いま一つ長官お願いいたします。  今回、那覇防衛施設局が契約解除を通知した業者のうち、海上案に係る関連事業でボーリング調査などを担当した受注業者は既に合計二十八億円余りを支出していると報じられています。たしか当初の契約は八億円余りだったと思うんですが、事業などの遅れでこのように膨らんだと報じられておりますが、これに対して、政府はその支払をどういう形でなさるおつもりでしょうか。
  198. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 今先生指摘の点でございますが、私ども、三月十六日に那覇防衛施設局がこの普天間代替施設に係ります先生指摘の地質調査などの契約を解除をいたしております。  それで、現在、私どもの那覇防衛施設局とそれから受託者、いわゆる業者との間で既に履行された部分の委託料につきまして協議を今行っている最中でございますので、今日、この現時点におきましては、支払額またその取扱い等についてお答えすることは差し控えさしていただきたいと、そのように思います。
  199. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官お願いいたします。  一九六六年ごろ、アメリカの海軍省がこのキャンプ・シュワブ地域に、沖縄の那覇軍港を始めキャンプ・キンザーとか、今問題になっておりますいわゆる嘉手納中部、南部のその基地をシュワブ地域に集約するという計画を立てたという機密文書が解禁になって手に入っているわけなんですが、その点について何か御承知でしょうか。
  200. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私、承知しておりません。
  201. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 復帰を前にして、復帰前には沖縄には日米安保条約が適用されていませんでしたので、米軍は、復帰した場合には自由自在に沖縄基地をこれまでどおりに使うことができないだろうということを予想して、那覇軍港などを始め、あるいはキャンプ・キンザーといった都市地域の基地をキャンプ・シュワブ地域に全部集約しようという計画を立てたわけです。ところが、当時は安保条約が適用されていなかったので、すべて自前で移設費から建設費を払わなくちゃならなかったわけです。それで、折しもドルの下落があってそれを断念したわけなんですね。  ところが今回、日米安保条約はもう既に適用されていて、移設の費用も新たな建設の費用もすべて日本政府が持つことになっておりまして、そういう状況の中で、一九六〇年代の計画が政府がそのとおり実現するとすれば全部かなうということになって、アメリカにとってはこんないいことはないと思われるわけですよね。  ですから、そういう点で私たちが非常に、沖縄の方が非常に心配しているのは、実はSACOの最終合意が出たときに、普天間の移設先として予定されていた空港の問題についてアメリカの会計検査院が非常に詳細に解説を付けている報告書を出しているわけなんですが、その報告書の中には運用年数四十年、耐用年数二百年になる基地をつくるということがはっきり書かれているわけなんですね。ですから、今キャンプ・シュワブの方に海兵隊の基地が集約されるような格好になってしまうと、前にも申し上げたように、普天間基地は既に老朽化が進んでいて、建物なんかはもうこれから何年も使えないような状態ですが、新たに建設するとなると基地の恒久化に結び付くんじゃないかという、そこを非常に懸念するわけですが、その点について、一体沖縄はいつまで軍事基地としてあり続ける、つまり抑止という名において沖縄はいつまで犠牲を被らなくちゃならないかという、その点はどうお考えでしょうか。
  202. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 元々そういう六〇年代の構想があったかどうかということも私承知しておりませんが、今回の米軍再編に伴う沖縄の問題については、やっぱり南部のいろんな土地の返還とか、それから普天間の全面返還とか、そういうことに伴って、普天間の場合は特に当初から嘉手納統合案とかキャンプ・シュワブ案だとか海上案だとか、それはもう大田先生がみんなよく御存じのとおり、現実的にどういうふうに負担を解消するかという中で考えられてきたことであると。で、一定の合意を今、日米間でやって、地元との調整が行われているところであると。  やっぱり私は、この沖縄の基地というものは日本の安全にとって非常に重要なポイントであることはこれは共有していると思うんでありますけれども、それはこの北東アジアの状況とか、そういったことをにらみながらこれが展開されていくことであるし、外交努力等々によってこの地域を安定することによって、日本の安全の保障というものが形を変えて、基地が、米軍と日米同盟関係の姿も変わっていくだろうというふうに遠い将来は予測されます。  しかし、人間の能力というのは十年も二十年も先が見えるほど優秀だとも思っておりませんから、取りあえずここ四、五年、十年の間きっちりと日米同盟関係を維持していくことが日本の、先ほど来の言葉で言えば、国益にかなうというふうに思って行動したいということです。
  203. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 前回も委員会で二度ほどお尋ねして恐縮ですけれども、私が、一番手っ取り早くて現実的な解決案は、この今の基地移設問題についてはグアムへ移すことだということを申し上げたわけなんですが、長官抑止力が大事で、今の普天間飛行場の三千人足らずの海兵隊員を八千人の中になぜ含めないんですかと私が伺いましたら、抑止力の関係でという趣旨の御答弁がございましたが、具体的にどういう抑止力を持っているとお考えですか。
  204. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは普天間基地の機能をどういうふうに移転をしていくかということを考えたときに、やっぱりヘリの訓練基地というのは海兵隊と連動させていく中でその能力を維持していかなければならないということが一つの抑止力能力向上につながっていくということで、沖縄に、我々はキャンプ・シュワブにその代替移設を造ろうとしているわけで、そういう中でその抑止力を維持していこうということを言っているわけであります。海兵隊の、だから、司令部はグアムに持っていくけれども、現役の兵隊さんはここに置いておくということになるわけでございます。
  205. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が過ぎておりますので、お答えを簡潔にお願いします。
  206. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  207. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 以上をもちまして、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち防衛本庁及び防衛施設庁並び外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  209. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。麻生外務大臣
  210. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、日本国合衆国軍隊を維持することに伴う経費日本側による負担を図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動確保するためこの協定を締結することにつき、平成十七年二月以来アメリカ合衆国政府協議しつつ、検討を行ってきました。その結果、最終的合意に達しましたので、平成十八年一月二十三日に東京で、先方ゼーリック国務副長官との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。  この協定は、日本国が、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等の支払に要する経費を負担すること、並びに日本国政府の要請に基づき、アメリカ合衆国合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域を使用するよう変更する場合に、その変更に伴って追加的に必要となる経費を負担することを規定するとともに、アメリカ合衆国がこれらの経費の節約に努めること等を規定いたしております。この協定は、二〇〇八年三月三十一日まで効力を有するものとされております。また、この協定は、現行の協定が本年三月三十一日まで効力を有することとなっておりますので、本年四月一日に発効する必要があります。  この協定の締結は、日米安保条約の目的達成のため日本国に維持されている合衆国軍隊の効果的な活動に資するものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられます。  よって、ここに、この協定の締結につき御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようよろしくお願いを申し上げます。
  211. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十八分散会