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亀井(久)
委員 国民新党の
亀井久興でございます。
今から十三年前、
平成五年でございますが、
小泉総理は宮沢
内閣の郵政
大臣をお務めでございました。そのときに私は、院におけるカウンター
パートとしての、衆議院の逓信
委員会の
委員長を務めておりました。いろいろな思い出がございます。当時、小泉郵政
大臣の発言に対して、与党、野党を問わず逓信
委員会が反発をして、混乱をした。郵政省提出の法案は一本たりとも通さない。そういう中で、小泉郵政
大臣とも、私、
委員長として御相談をしながら、何とか
委員会を打開したいということで苦労したことを思い出しております。
昨年、郵政民営化法をめぐって大変な議論があり、私どもにとっては残念なことでありますが、民営化法は成立をいたしました。そのことを
一つのきっかけとして、私は、長く政治活動を続けてまいりました自由民主党を離れて、今、野党の立場でこうして
総理に
質問をするということを、何か不思議な因縁というか回り合わせというか、そういうものを感じております。
総理は、昭和四十七年の初当選でございます。私は、院は違いますけれども、その二年後の昭和四十九年に参議院に議席を得ました。お生まれは、
総理は昭和十七年、私は三つ先輩で昭和十四年でございます。いずれにしても、私は
総理には同世代の
政治家としての親しみを抱いてまいりました。ただ、基本理念や基本
政策は大分異なっておりますので、きょうも少し失礼なことを申し上げるかもしれませんけれども、腹を立てないで御答弁をいただきたいと思います。
さて、いろいろな
委員が取り上げておられますライブドアの問題、先ほども岡田
委員の発言、やりとりを聞いておりました。昨年、確かに小泉劇場という言葉が流行語になった。昨年の選挙をめぐっていろいろな動きがありましたけれども、まあ、おもしろい見せ物を見せるからいらっしゃい、いらっしゃいといって小泉劇場に呼び込んで、堀江さんにもその中の役回りを演じてもらったということで、先ほど岡田
委員は、小泉自民党と堀江氏とのいわば持ちつ持たれつ、相互に利用し合ったというような、そういうことを言われましたけれども、私はもう
一つ、やはりマスメディアの責任というものも大きかったというように思っております。
メディアというのは、私、実は個人情報
保護法という法律をつくるときの与党のプロジェクトチームの座長をやりまして、当時マスコミと物すごくやり合ったわけでございます。メディアの
方々は、自分
たちは国民の知る権利にこたえる公益性を持っているんだ、そうして、我々はいわば聖域であって、いかなる干渉も受けるべきではないということを当時言われたわけでございます。ですから、個人情報
保護法の義務規定からも適用除外しろ、そういうことを非常に強く言われた。
総理が当時それをのみ込まれたわけでございますけれども。
確かに、NHKは公共放送でございますから、まさに公益性というものを踏んまえている。しかし、ほかの民放、ラジオ、テレビ
会社、そしてまた大新聞、いずれも営利事業ですね、収益を目的とした事業である。公益性は持っているけれども、一方において収益性というものも追求をしているわけでございますから、
小泉内閣総理大臣が物すごい高い支持率を持っているということになると、それを批判するということは、みずからの収益に影響を与えることは当然でございます。ですから、どうしても権力批判というものを控えてしまうというところがあります。堀江氏も非常に高い人気がある、竹中
大臣も非常に高い人気がある、
小泉総理も高い人気があるということになれば、やはりそれをうまく持ち上げていくことによってみずからの
一つの収益に結びつけていこう、そういう
考え方は、私は確かにあるんだろうと思います。
ですから、この小泉劇場についても、私は、堀江氏と小泉・武部自民党との合作だけではなくて、そこにもう一枚メディアもかんでいたのではないかな、だからメディア側にも私は大いに反省をしていただかなくてはいけないな、このライブドア事件に関してはそう思っております。
今、実際に中心人物が逮捕されて、捜査当局の手によって取り調べが進められている。いずれ全容が解明されてくるんだと思います。しかし、これは単なる証券取引法違反とかそういう話ではなくて、いろいろ出てくる情報を見ておりますと、大きな詐欺事件に発展をする可能性があるんじゃないか、そういうようにも思えるわけでございます。
時間外取引でたくさんの株式を取得するとか、あるいはまた、投資事業組合をつくって買収をするとか、あるいはまた、さまざまな株価操作に近いようなことをやって時価総額をつり上げていって買収を繰り返していく、そういうやり方。そして、本体の
財務内容まで粉飾をするというようなことになりますと、これは私は、羊頭を掲げて狗肉を売るという、まさに看板に偽りあり、まさにだましに近いということでございます。
そういう堀江氏、先ほど
総理の
お話を伺っておりますと、あのときはわからなかった、みずからの不明を批判されるのなら甘んじて受けるということをおっしゃいましたけれども、私はやはり、あの時点で、選挙に至るまでの時点で既に、堀江氏がどういうことをやっているのか、どういう人物なのかということは、ある程度想像がついたと思います。ですから、私はそのことを
総理にもぜひ申し上げたいわけでございますが、みずからの不明を恥じるという
意味のことをおっしゃいましたけれども、やはり私は、それなりの
総理の責任というものもあるのではないかというように思っております。
実は、堀江氏が書いた書物、去年の三月に出版をされました「僕は死なない」という書物があります。この中にこういうことが書いてあるんですね。「ちょっと頭のいい人は、やっぱり
政治家なんか、やりたくないでしょう。損だから。面倒くさいし。少なくとも僕は絶対やらないな。だって
政治家になるインセンティブがないじゃない。本当は
政治家になった方がいいっていう人は絶対にならなくて、
政治家にしかなれない人がなってる。二世とか三世とか。 だからいつまでたっても役人に舐められちゃうわけ。
政治家って役人より知識が少ない、
平均的に。上に立つ人が自分より能力が低いと思ったら、役人でなくったって誰だって、自分が好きなようにやりますよ。そういう構造ですよね。」これを聞かれて、ばかにしていると思われませんか。恐らく私は、
小泉総理を初め閣僚の皆様方も、政治をばかにするな、
政治家をばかにするんじゃないよ、そういう気持ちがおありになるだろうと思います。
それから、その後のくだりで、「小泉さんも人気はあるけど、やっぱちょっと郵政に拘泥しすぎですよね。本当はFTAとか
教育とか、介護の問題とかが重要なんだけど。郵政
大臣のときに相当煮え湯を飲まされたらしい。そのリベンジなんだろうけど、それが今の日本でプライオリティ・ナンバーワンかといったら、そうじゃないと思うんですけどね。」こういうことを言っているわけですね。
これは去年の三月に出版された書物の中で言っていることで、政権政党である自由民主党の調査網からすれば、こういうことは当然もうおわかりになっていたはずだと思います。
そして、選挙中、九月の六日に外国特派員協会で堀江氏が講演をしておりますけれども、その中身を私、テープを聞いてみましたけれども、本当にひどい内容ですね。政治をばかにしている、
政治家をばかにしている、ひいては国民をばかにしているんではないか、そういう感じも持ちましたし、天皇制を否定するようなこととか、あるいは大統領制がいいとか、あるいは公的年金は縮小して、むしろ廃止をした方がいいとか、自由民主党の
政策とも全く反対のことを言っている。
そういう人を
支援された。竹中
大臣も、映像で最近何回も何回も繰り返されておりますから今さら申し上げないけれども、そういうことをされた。武部幹事長に至っては、弟だとか息子だとか、そういうことも言われたわけですから、そういうことに対して、みずからの不明を恥じるということではなくて、やはり
政治家としての、政治に対する信頼に何か傷がついたんではないかという、その責任の一端を
総理も感じていただきたいと私は思うんですが、いかがでしょうか。