○武正公一君 民主党の武正公一です。
民主党・無所属クラブを代表して、在
沖縄米海兵隊
グアム移転に関する等
政府説明に対する質問を行います。(
拍手)
民主党は、
日米同盟関係を我が国
安全保障の基軸と位置づけております。
地域の安定のかなめとして、
日米同盟を有効に活用していくことが重要だと
認識しています。同時に、過剰となっている
日本側の
基地負担を軽減することは、
同盟関係を持続可能なものとするために政治が果たさなければならない重要な責務です。特に、
在日米軍基地専用
施設面積の七五%が集中している
沖縄については、県民に過度の
負担を強いている現状を重く受けとめ、一刻も早く
負担軽減策を講じるべきです。
かねてより、民主党は、在
沖縄米軍基地の整理、統合、縮小、
地元負担の軽減を求めて、二度にわたる、
沖縄振興策を柱とする
沖縄ビジョンを取りまとめ、発表してまいりました。また、
政府・与党が運用改善でよいと主張し続ける
日米地位協定の
見直し、改定案を累次まとめ、発表してまいりました。
このたびの在沖
米軍の
グアム移転は、
米国が独自の軍事戦略に基づいて進めている
世界戦略の一環であり、このことは、昨年五月の国防総省の非公開資料でも明らかになっています。ゆえに、
日本側が
基地負担軽減のために
米側に要請したものでは必ずしもないと
認識しています。本来は米本土に戻るのに、
日本を守るために
グアムに移るなどというへ理屈を追認するべきではないのです。
そもそも、
政府は、
米軍再編の全体像を把握していますか。また、
在日米軍基地の
再編に対し、
日本の主体的な
安全保障のあり方についての独自の基本
計画がありますか。
米軍再編と絡む問題として、
米側から期限を切って迫られたために、何のビジョンも持たないまま、
米側の言いなりに巨額の
負担を受け入れたのが実情ではないでしょうか。(
拍手)
たった八千人の海兵隊員が
沖縄から
移転することを
基地負担の軽減と殊さらに強調し、
米側が法外な費用
負担を求めてきたことは大変遺憾です。さらに、
日本に
米軍基地を置くことの地政学的、経済技術的な有用性や政治的安定性などの特質を十分にアピールすることもなく、厳しい財政
状況の中で巨額の経費
負担を押しつけられ、
合意してきた
政府の対応には、怒りすら覚えます。なぜ、
日本がこのたびの
移転費用を
負担しなければいけないのか、明確な答弁を求めます。
さらに、今回の
米軍再編に伴って、他国においても
米軍の国外
移転がなされると承知していますが、
日本のように
移転費用を
負担する国の例があればお示しください。一万二千五百名を削減する韓国を含め、具体的に総理に伺います。
そして、この六十・九億ドルの
負担をどういう法的枠組みで対応しようと総理はお考えですか。国民への
説明責任から、国会に対する法案提出や協定
承認の必要があると考えますが、総理のお考えを伺います。
財務大臣には、財政法と
国際協力銀行法の観点から、同様に考えを伺います。特に、SPC、特定
目的会社への出資、融資を今後安易に多用しないように、歯どめが必要ではないでしょうか。
外務大臣には、
条約制定や取り決め
締結の
必要性について、同様にその考えを伺います。
また、今回の2
プラス2に先立って、四月二十五日、ローレス国防副次官の、
日本側の総額
負担は二百六十億ドル、約三兆円だろうとの
発言には、極めて唖然といたしました。まず、この金額が、
日本政府からではなく、唐突に米高官
発言として報道で我が国に伝わってくる事実に大きな問題があります。特に、この日曜日のテレビのインタビューでは、
日本側パートナーから得た数字と語っています。
政府は、ローレス国防副次官の
発言内容を事前に承知していたのですか。三兆円という規模の数字について、
両国間で
合意がなされているのですか。この
発言の後、
日本の閣僚からは、実は三兆円もかからないなど、てんでばらばらの
発言が相次いでおります。こうした
発言のもととなる
協議を進めてきたのかどうか。実際に、
在日米軍の
再編に伴ってどのぐらいの費用
負担が発生するのか、積算根拠を明確にお示しください。
以上、総理に伺います。
財務大臣には、八日の
参議院行政改革
特別委員会で、中期防にそのまま上乗せすることではいけないと述べていますが、その真意を御
説明ください。中期防
見直しの際、
ミサイル防衛構想導入に伴い、
陸上自衛隊隊員削減に財務省が走り、大騒ぎの轍がかいま見えるからでございます。
既に、国防総省ローレス副次官に先立ち、防衛事務次官は二十四日の講演で、
グアム移転経費を除き二兆円との
発言を行っています。二兆、三兆と、豆腐を数えているのではありません。本省庁発注五百万円以上の全契約の七〇%から八〇%が随意契約であるような、見せかけにしろ、数合わせにしろ、小泉内閣五年間のやったふりの行政改革といいながら、さらに、
政府提出、医療
制度改革
関連法案では二千五百億円の高齢者の
負担増を課す一方、外交、防衛では、とりわけ
米国政府との
交渉では、この大盤振る舞いであります。
この間、国会には十分な
説明がされず、最終
報告を迎えました。担当大臣は、
協議中ですの一点張り。これで、
政府は
説明責任を果たしてきたと言えるのでしょうか。国
会議員は報道でその
交渉過程を知るという大変情けない事実がございます。国会の関与、すなわちシビリアンコントロールは果たせてきたとは言えません。
在日米軍基地の移設について、受け入れ先である
地元自治体、住民、はたまた国民の代表である国会の頭越しに行われたことは、全く許しがたいことです。
政府は、
米側との
交渉を優先し、実際に
基地を負っている
地元自治体との話し合いをおろそかにしたまま、
合意内容を押しつけようとしています。そのツケが、先般行われた岩国市の住民投票、岩国市や
沖縄市の市長選において如実にあらわれたのではないでしょうか。
政府が最初から、
米側との
交渉内容について
地元に
説明しないまま進めてきたために、全く理解が得られないのだと考えますが、
地元への
説明責任について、総理の
認識をお伺いいたします。
また、
負担軽減と言いますが、二国間の
安全保障、
防衛協力の
強化、改善を昨年二月の2
プラス2
共同発表以降、
同盟の
能力向上を昨年十月の2
プラス2以降、今回もうたい、将来の
共同訓練、演習のための
自衛隊施設の使用拡大、
共同使用の
条件が合同
委員会合意で定められている
自衛隊施設については
共同訓練回数の
制限の撤廃を決めるなど、その
負担はかえって拡散、拡大しているのではないでしょうか。
さらに、「
同盟関係における
協力は新たな段階に入るもの」との「新たな段階」とは何を指すのか。
以上、総理に伺います。
そこで、防衛庁長官に伺います。
三月末、総額九十八億ドルの
グアム移転経費には、三億ドルの
自衛隊隊舎もしくは宿舎の建設費が含まれていると報道されていました。
協議では俎上に上がっていたのでしょうか。そうした
計画があるのでしょうか。
グアムでの戦闘機による
共同訓練を行うのでしょうか。KC130
飛行隊は、岩国を
拠点としながら、定期的ローテーションで鹿屋、
グアム基地に展開するとのことですが、これは面的な拡大を意味するのではないでしょうか。
米軍の
パトリオットPAC3は、既存の
米軍施設・区域の何カ所に展開するのでしょうか。お答えください。
総理、
ミサイル防衛では、
Xバンドレーダーでのデータを
日本国政府と共有するとされております。バッジシステムの情報も共有するのでしょうか。
自衛隊と
米軍の
相互運用性の向上をうたっていますが、
日本の
安全保障の主体性は情報面で確保できるのでしょうか。
在日
米陸軍司令部能力の改善について伺います。
キャンプ座間の
米陸軍司令部の
改編は、米陸軍第一軍団司令部の一部
移転を含んだユニット化であり、そのための
施設整備の提供は、地位協定二十四条二項ののりを越えているものと考えるべきではないでしょうか。
また、
グアムへの
移転に伴い、
平成十八年度で二千三百二十五億円とされるいわゆる思いやり予算の削減をどう見積もっているのでしょうか。
以上、防衛庁長官に伺います。
思いやり予算では、この三月、期限を迎えた協定を二年延長する
承認を国会も行いましたが、当初、二十四条一項から、光熱水料費、
平成十八年度二百四十八億円の
負担は見直すとの報道がありながら、見送られた経緯は、これからの
米側の削減カードとしてとっておくためという指摘がありますが、
外務大臣はこの指摘をどう受けとめますか。
日米地位協定の改定について伺います。
渉外知事県からの要望にもあった同協定の改定が最終
合意に盛り込めなかったのは、極めて遺憾であります。一昨年八月十三日、
沖縄国際大学
米軍ヘリ墜落後、ちょうど十六日夕方、現場に着いた私の目の前で、後部ローターと胴体を結ぶ機体の撤去が
米軍により行われていました。
沖縄県警は遠巻きにして見るしかありません。地位協定十七条三項により、第一次裁判管轄権が
米側にあるとされているからです。このときも、
米側から
日本側への事故通報がおくれました。九六年のSACO最終
合意では、事故通報の適時確保努力、これを運用改善するとされていますが、結局、このありさまであります。
改正ボン協定では、例えば、
日米地位協定にはない低空飛行禁止が盛り込まれています。
同盟関係における
協力が新たな段階に入り、全国の
米軍基地、
自衛隊基地での
米軍の展開の拡大が
合意された今、
負担軽減は地位協定改定がなければ画竜点睛を欠き、このことは
沖縄のみならず全国共通と考えますが、総理の御所見を伺います。(
拍手)
また、
米軍再編に伴う
日本側の
負担経費に係る財源をどこから出すのかなど、問題は多々あります。これだけの大事を国内で議論することなく
米側と
合意してきた
政府のやり方について、改めて強く抗議をし、猛省を促したいと思います。その上で、今後、国会において、十分な審議時間を確保し、納税者の視点とシビリアンコントロールを徹底する見地から、予算
委員会、外務、安保、財務金融
委員会による連合
審査、担当
常任委員会などでの徹底した同時並行の審議を行い、
合意内容を厳しく精査し、つぶさに検証することが当然と考えますが、どうお考えでしょうか。
政府としての
説明責任をそうした丁寧な対応で果たすという決意を、以上、総理に伺います。
北東アジアの軍拡競争は避けなければなりません。拉致事件、竹島領有権、東シナ海海洋権益、北方領土
返還など、国民の生命財産を守り、領土、領海を守る主張を当然行うための外交チャネルを多角的に活用できたかどうか、小泉内閣五年の総括として今問われなければなりません。それがないために緊張関係が高まり、いたずらに
安全保障コストがふえてはなりません。将来の批判にたえ得る外交、
安全保障を行うためにも、
政府の
説明責任を
回避させないためにも、外交文書の三十年公開ルールを履行することを強く求めます。
民主党は、主体的に
日本の外交、
安全保障政策に向き合って取り組んでいくことを国民の皆様に述べて、質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇〕