○渡辺周君 民主党・無所属クラブの渡辺周でございます。
民主党・無所属クラブを代表して、松本政調会長に引き続き、
政府提出の
行政改革推進法案の各論について、その問題点を指摘し、質問させていただきます。(
拍手)
まず、
政策金融改革について伺います。
民間金融
機関が巨額の不良債権を抱え、貸し渋りや貸しはがしに走るという事態を受け、
政府系金融
機関は、セーフティーネットとして
一定の
役割を果たしてきました。政策金融については、官と民の
役割分担を明確にし、官にしかできない
業務のみを、効率化を前提に存続すべきと考えております。
本
法案第四条では、
平成二十年度において、
現行政策金融機関を新たに
設立する一の政策金融
機関に
統合するとしておりますが、その
目的、理由は明らかにされておりません。どのような現状認識、いかなる理由で
現行政策金融機関を
統合するのか、総理の答弁を求めます。あわせて、
中小企業や零細
事業者に対して
民間企業が提供しない融資をどう担保するのか、お尋ねします。
また、
民間並みの企業会計原則を適用する用意があるかについても答弁を求めます。
第五条で、新政策金融
機関の経営責任者は、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されないよう十分に配慮するとしています。そもそも、重要な
機能を担う新政策金融
機関の経営責任者に、経営に携わったことのない官僚出身者が登用されること自体あってはなりませんが、この
規定は、特定の省庁から続けて選任されないようにするという意味なのか、それとも、官僚出身の経営責任者の後任は
民間人にするという意味なのか、明快な答弁を求めます。
次に、総
人件費改革について質問いたします。
政府は、本
法案で示した総
人件費改革を行い、
国家公務員を五年間で五%以上純減するとしています。五年五%の中身を
説明できない状態で本
法案を
提出し、審議に付そうとしている
政府の姿勢そのものを、まずもって問題にしなければなりません。
といいますのは、昨年十二月に閣議決定された
行政改革の
重要方針によれば、五年五%の具体的な中身は
平成十八年六月までに決めるとなっています。しかし、六月では通常国会は終わっております。その中身を明らかにしないで審議するというのでは、有意義な議論になりません。国会審議の活性化のためにも、数字の根拠を衆議院での審議中に示すべきと考えますが、総理の所見を伺います。
本
法案では、今後十年間で総
人件費の対GDP比を、十七年度対比二分の一にできる限り近づけることを長期的な目安とするという文言が織り込まれています。できる限り近づける、目安というあいまいな表現が羅列されているだけでも、
政府の自信のなさが伝わってくるようですが、この目安の中に
公務員型の
独立行政法人の非
公務員化や郵政公社の民営化が含まれているのですから、これでは、何のための
目標数値かと首をかしげざるを得ません。
総
人件費改革というからには、
政府支出、
国民の血税が使われることを一円でも抑えることを意味しています。しかし、郵政公社は、現在独立採算で
運営されており、
政府からの
財政支出が基本的にないことは周知の事実であります。また、
公務員型
独立行政法人の
役職員を非
公務員化へと看板をかけかえても、税金である
運営費等交付金が削減されぬ限り、国の
財政支出削減にはなりません。
そこで、お尋ねをいたします。
GDP比十年で半減という目安になぜ郵政民営化や特定独法の非
公務員化を含めたのか、そのわけ、また、国から
独立行政法人に対して
平成十七年度で約一兆六千億円の
運営費交付金がつぎ込まれていますが、この交付金に削減
目標を掲げる意思があるのか、総理に重ねて質問いたします。
次に、
政府の
法案が、
地方公共団体に対して今後五年間で
公務員を四・六%以上純減することを要請している点についてお尋ねします。
地方分権の観点からすれば、要請の形であっても、国が地方に数値
目標を示すのは不可解な話であります。それに加え、地方
制度調査会が道州制も含めた分権型
社会像を提言しているように、時代の大きな流れを無視したものと言わざるを得ません。
地方
公務員の数は、地方
政府の担うべき
事務量によって大きく左右されますが、その際、地方分権の進展に伴って国から地方へと権限と財源を大幅に移譲し、人的資源を再配分することを念頭に入れておく必要があります。
法案第四十七条にも、「地方支分部局の
統合、
廃止及び
合理化を
推進するものとする。」とし、同条の第一項、第二項で
地方公共団体への権限移譲を書いておりますが、その結果も待たず、四・六%以上と数字が設定されていることに矛盾を感じます。国から地方へどの程度の
事務権限が移譲されることを前提にした数字なのでしょうか、お答えください。
政府の総
人件費改革案が小粒のものにとどまっていることは、小泉政権の地方分権政策、三位一体
改革が挫折したことと大いに関係があります。中央省庁は、国の補助金負担率を引き下げるという手法を多用し、補助金そのものの
廃止に猛烈に抵抗しました。その結果、多くの補助金そのものが維持されたため、関連する
事務も人員も大幅に削減するという話になっておりません。
私たち民主党は、地方分権
推進こそが
行政改革の本丸であると考え、国と地方の
事務と権限をゼロベースで洗い直し、国の仕事を大幅に地方に移す抜本的
行政改革に取り組めば、さらなる国家のスリム化が図れると考えます。
政府の総
人件費改革には、地方分権の視点で、ダイナミックに
行政組織を変革し
国家公務員を減らしていくというビジョンが見られません。大胆な地方分権のビジョンに基づく、
行政改革を超える国家
改革を打ち出すつもりはありませんか。また、三十三万人の一般職
国家公務員のうち二十一万人いる地方の出先
機関、地方支分部局には二重
行政との指摘もありますが、総理並びに、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会という私的懇談会を設置されている
竹中総務大臣、どのような認識を持っているか、答弁を求めます。
さて、
政府の総
人件費改革には、全く触れられていない部分があります。それは、非常勤
国家公務員の
人件費についてであります。
昨年七月一日時点の総務省の調査で十三万四千人いるとされる非常勤
国家公務員について、私たちは、現在、洗い出しを行っております。
人数は総務省で把握しているものの、その
人件費はベールに包まれておりました。なぜなら、約二万一千人の
事務補助職員、いわゆるアルバイト職員のほか、およそ二万人もいる審議会委員や顧問、参与等の職員、技術補助職員、技能職員などは定員外であり、部局ごとに採用され、非常勤職員手当や委員手当のみならず、
事務機器など備品と同様に庁費などの名目から支出しているからであります。本省全体でも実体をつかんでいなかったのであります。
非常勤
公務員への支出の一例を挙げますと、厚生労働省でおよそ四百五十億円、国土交通省で約百五十億円に上ります。
業務の詳細を見ると、
国家公務員でなくとも、地方自治体や
民間、地域住民に任せられる仕事もあります。
国民の税金から支出されている以上、非常勤
公務員の
業務内容と賃金実態を徹底的に明らかにし、必要のない部分は大胆に削減すべきでありますけれども、総理並びに行革担当大臣の見解を伺います。
なお、本
法案で……(発言する者あり)目をつぶって寝ていたじゃないか。目をつぶって寝ていた方が悪いのでありまして、質問を続行させていただきます。なお……(発言する者あり)大事な
法案の審議であります。続けさせていただきます。
なお、本
法案で人事院勧告の基礎となる
給与の官民比較の
あり方を見直すとしていますが、これは、民主党が昨年の百六十三回特別国会において
提出した
国家公務員法の一部改正案を後追いしたものであります。これまで人事院が官民比較の対象としてきたのは、企業規模百人以上かつ
事業所規模五十人以上の比較的大きな企業であり、必ずしも
民間の
給与実態を的確に反映しているとは言えません。民主党案は、
民間賃金の実態を的確に把握するため、人事院の
給与勧告等の基礎となる
民間給与調査を幅広く行うようにする
内容でした。先鞭をつけた民主党案の
提出者として事実を指摘しておきます。
次に、
公務員制度改革について伺います。
本
法案では、
公務員制度改革についてわずか一条の
規定にすぎません。その中身は、あいまいきわまりなく、
政府が
改革に取り組む意欲がみじんも感じられません。参議院予算
委員会で行革担当大臣は、
公務員制度改革に関する
法案を今国会に
提出したいと答弁していますが、自民党には、二〇〇三年の総選挙の際に、
公務員制度改革法案を二〇〇四年の国会に
提出するとしながら、ほごにしたいきさつがあります。
小泉総理と行革担当大臣に伺います。
公務員制度改革に関する
法案を今国会に
提出するのか、
提出するのならば何を柱とするのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
さて、
公務員も労働者であり、
民間の労働者同様、基本的には労働基本権が保障されるべきだと考えます。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど多くの国では
国家公務員に
団体交渉権が原則として保障されており、
我が国は国際労働
機関からILO条約の
規定に違反していると是正勧告を受けており、労働基本権の回復は国際的にも重要な課題であります。
にもかかわらず、
公務員の労働基本権について、本
法案では単に
検討事項としているにすぎません。先般の連合との政労協議で、基本権を付与する
公務員の範囲について
検討の場を設けるとのことですが、基本権の
あり方について、中馬行革担当大臣、川崎厚生労働大臣の答弁を求めます。
このほど、防衛施設庁では早期勧奨退職を自粛するとの報道がありました。これは一連の官製談合事件を受けての
措置であり、早期勧奨退職という慣習が天下り、談合とセットになっていることをみずから認めた証拠であります。
他の省庁も含めた公共
事業を対象にしたある調査では、OBを受け入れた業者の受注額は二〇〇〇年から二〇〇四年の五年間平均でおよそ二百五億円、受け入れていない業者の平均は五十一億円。受け入れ企業の受注額は四倍に当たり、その優遇は明らかです。繰り返し申しますが、早期勧奨退職と天下り、官製談合はセットであり、公正な
社会のためには、まず勧奨退職
制度を是正するしかありません。
この防衛施設庁の問題が明るみに出た後も、国土交通省地方
整備局が天下り
社団法人に四千件以上、約七百五十億円の
業務すべてを特命随意契約で発注しており、中には専門性のない新聞スクラップやコピーとり、清掃
業務などに百十六億円支出していたと報じられました。また、同じく地方
整備局と北海道
開発局は、OBが
事務局長を務める任意
団体から七万七千冊の本を七千百万円もの公費で購入していたことも報じられました。これら個々の問題については特別
委員会の場で議論しますが、天下り・談合による高コスト、癒着・なれ合いによる公費の無駄遣いは挙げれば切りがありません。
総理、あなたも知らない公金のやみにメスを入れ、この高コスト、無駄をなくすことこそ納税者の求める真の
改革であります。早期勧奨退職
制度の禁止とあわせて、総理の決意を伺います。
これまで当たり前のように行われていた官業をなるべく
民間開放するという、
民間委託の前提となっている市場化テストについて伺います。
この市場化テスト、どこまでが官の行うべき
業務で、どこからが民が手がけることが妥当なのか。サービスを受ける住民側にとって、今までどおり利便性は確保できるのか。
国民にとって最も大切な安全が損なわれるおそれはないのか。多くの
国民が当然抱く不安について、
民間でできることは
民間にというワンフレーズでなく、丁寧に
説明いただきたいと存じます。
あわせて、厚生労働大臣に伺います。
市場化テストの対象には、
国民年金の収納
業務が盛り込まれています。
国民年金の未納が深刻な
社会問題となっている中で、収納率の向上にどうつながるのか、考え方を伺います。