○小宮山泰子君
民主党の小宮山泰子でございます。
私は、ただいま
議題となりました
中心市街地活性化法の一部改正案並びに
都市計画法等の一部改正案に対しまして、
民主党・
無所属クラブを代表して質問をいたします。(
拍手)
我が国は、二十世紀の後半、半世紀の間に、高度成長期を挟んで実に五千万人の人口増加を経験しました。百万人の巨大
都市を毎年一つずつつくり続けてきた計算です。
これから半世紀の間に、三千万人以上の人口が減ることになるでしょう。今度は、六十から七十万人の巨大
都市が確実に毎年一つずつ姿を消していくのです。私たちは、ちょうどそのターニングポイントに立っています。
今後、どのように
我が国の
まちづくりを
推進していくのか。長期的な展望を持ち、
社会変化にたえることのできる
まちづくりの理念が今必要だと私は考えております。今回の
法案の
提案に関連して、
政府サイドからでさえ、現行の
まちづくり三法には理念がなかったという言葉を聞きました。では、これからの
まちづくりの理念とは何なのでしょうか。
法案を見ながら、大変疑問に思います。
現行の
まちづくり三法を審議した
平成十年当時は、アメリカ
政府から要請のあった大店立地法で規制緩和などを行いました。この結果、大型店舗はもとより、生活に欠かせない病院や
学校、
市町村役場まで郊外へと流失してしまい、
中心市街地の
空洞化をもたらしました。
アメリカの拡散型から、今度は、ヨーロッパのまとまりのあるコンパクトシティーを参考に、予算も投入して、
市街地を
活性化しようとの
提案であります。七年前はアメリカ、今度はヨーロッパに学んでということでしょうか。今回の
提案は、私には、どうしても場当たり的な政策転換としか見えません。このような対応に
まちづくりの理念は見出せません。
都市計画というより、
都市計画の不在を証明しているようなものではないでしょうか。
日本の歴史や風土、産業
経済、
国民性などに着目した日本独自の、しかも、時代の流れにたえることのできる理念が必要であると考えます。個別
地域によりその
特性や事情は異なり、
全国一律に
中心市街地の機能集約は当てはめられない面もあります。
国土交通大臣、
経済産業大臣の
まちづくりに対しての基本的な理念について、御見解をまずお伺いいたします。
たった七年で改正案が提出されたことから、明らかに
法案に不備があったと考えるのが一般的ではないでしょうか。
政府が新たな
提案を行うに当たっては、これまでの行政において、どの点に誤りがあったのか、失敗だったか、きちんとした評価が不可欠であります。
国交省の
法案説明資料には、シャッター通りとなった商店街と、人ごとのように写真が添えられていました。閉店に追い込まれた経営者の痛みがおわかりになっているんでしょうか。
まちづくり三法は
中心市街地の
活性化を目指していたはずです。
平成十年の衆議院本
会議で、我が
党議員が、中小小売業は五店に一店が閉鎖していると指摘していましたが、その後の、シャッター通りに象徴されている現状について認識を述べていただき、また、
まちづくり三法の実施に当たっての評価、反省点について、国土交通大臣、
経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。
政府としても、所管の経産省も国交省も、今回
提案の二
法案で
中心市街地の活力を取り戻せるとお考えの上での
提案でしょうが、果たして首尾よくいくかは疑問であります。
まず、御
提案の基礎となっている認識についてお伺いいたします。
政府は、現状を客観的に分析し、今回の
法案を提出されたのでしょうか。
中心市街地における大規模店舗の撤退並びに進出
状況、また、郊外における大規模店舗の進出
状況及び撤退の原因は何であるとお考えでしょうか。
経済産業大臣にお伺いいたします。
また、
中心市街地の
活性化と郊外における大規模店舗の立地規制の相関関係をどのように理解されているのでしょうか。郊外の大店舗立地と
中心市街地が衰退したことに因果関係は認められるのでしょうか。そして、その
根拠は何なのか、重ねてお伺いいたします。
私は、
人口減少・高齢化時代の
まちづくりのあり方は、従来のような場当たり的な拡大志向の町ではなく、
環境負荷の少ない美しい町を目指すべきであると考えますが、国土交通大臣の御認識を伺います。
そのためには、まだ続けられている
都市外縁部の土地区画
整理については、速やかにやめるべきものもあるのではないでしょうか。
中心市街地活性化の補助金をつぎ込む一方で、町の外縁部では土地区画
整理を続け、保留地は大型店舗に売り払うという矛盾する政策を続けることは許されないと考えますが、国土交通大臣の御認識を伺います。
また、大型店舗や公共
施設が集中または散在し、町を結ぶ主要な道路沿いに立地するために、交通渋滞は激しくなり、交通事故は多発、公害も発生してきました。このような
まちづくりが持続可能性を持っているのか、特に環境問題という観点から環境大臣にお伺いいたします。
環境負荷の少ない持続可能な町とはどういう町なのかについて、環境大臣の御所見をお伺いいたします。
今回の
都市計画法における大店舗の規制は、一万平米以上としていますが、なぜ一万平米以上を対象としたのか、その
根拠について国土交通大臣にお伺いいたします。郊外のバイパス沿いには一万平米未満の店舗が何軒も立地しており、そのことが
中心市街地衰退の原因になっていないのかについては、
経済産業大臣の御認識を伺います。
非線引き
都市計画区域の白地
区域について、大規模
商業施設は
用途地域を指定または
地区計画を策定することにより立地可能としておりますが、なぜ大規模
商業施設だけこうなるのでしょうか。その他の
施設、例えば、今回、
市街化調整区域では規制強化となる病院、福祉
施設、
学校などは現行のままなのかについて、国土交通大臣の御認識を伺います。
また、
都市計画区域外に大型店舗が出店することを規制できないわけですが、今回の改正で知事が準
都市計画区域に指定することができるようになったとはいえ、指定しなければ全く自由のままでよいのかについて、国土交通大臣にあわせて御見解をお伺いいたします。
私の住んでおります川越市周辺は、
都市と農業が共存している
地域でもあり、まさに地産地消に適した条件がそろっている
地域でもあります。昨年、私も地元のいるま野農協のシンポジウムにおきましてパネリストとして参加いたしましたけれども、
都市近郊農業には大変な関心を持っております。
法案に関連して、農林水産大臣にお伺いいたします。
まちづくり三法のもとで、農地に大型店舗や病院がオープンするなど、
都市近郊農業に多大な影響を与えたと考えております。大臣の御認識を伺います。
そして、今回、
都市計画法の改正により、ゾーニング、土地利用規制についても変更が行われますが、農業は土地利用規制の論議の外に置かれているのではないでしょうか。非線引き
都市計画区域の四百十九万ヘクタールのうち、百十万ヘクタールが農地面積となっています。安全な食物をつくる農地と人間が生活をする
都市は密接にかかわっておりますので、農林水産業の発展にとって健全な国土利用を考えると、論議の外にいるわけにはいかないはずです。
法案に対して、どのような理念のもと、そして対応していかれるのか、農林水産大臣に御所見をお伺いいたします。(
拍手)
今回の改正で、広域調整の手続が設けられました。しかし、広域調整は十分に機能するのでしょうか。
都道府県知事が
市町村の
都市計画決定に対する
協議同意を行う際に、
関係市町村から
意見を聴取することができるということになりましたが、知事が必要な協力を求めることができるとなってはおりますが、実際の手続やどのような場合に協力を求めるのか、はっきりしません。
政府はどのような場合に知事が
関係市町村の協力を求めることを想定しているのかについて、国土交通大臣の答弁を求めます。
また、協力を求めないまま知事が
都市計画変更の判断をすることが許されるかについても、あわせて御答弁願います。調整は、あくまでも
都市計画の変更の場合であって、実際の出店の際の調整ではありません。ゾーニングを変更する際に予想もしなかったことが起こり得ると考えるべきではないのでしょうか。
大規模店舗に限らず、道路渋滞などの影響が予想される
施設を建設する場合、
都市計画の中で一定のアセスメントを義務づけることも検討すべきと考えます。国土交通大臣に、この点に関しましても御答弁を求めます。
経済性だけを優先し、もうかるところには参入し、もうからなくなれば素早く撤退するやり方は、焼き畑
商業と呼ばれています。
商業立地を市場に任せればうまくいくというような楽観的な考え方は、個別の
地域では通用しません。瞬時に新規参入が行われることは、まずあり得ない。
高齢者が日々の買い物もできない状態を、市場の結果として放置することは許されないと考えます。
商業立地について、市場原理に任せればうまくいくという考え方について、どのように考えているのか、
経済産業大臣、国土交通大臣の御認識を伺います。
政府は、これまでの、景気対策といえば公共
事業と容積率の緩和のようなやり方を率直に反省し、町全体との調和を考えないでも建設ができる現行の
建築確認制度、
建築自由の原則を改めるべきであるとの考えがあります。拡大基調の
都市計画と私権先行の
建築自由の原則が、
我が国の無秩序な
市街地の外延化、拡大、拡散と
中心市街地の
空洞化を生んだのではないでしょうか。
欧米諸国では、土地利用や
建築は計画に基づくことが前提の原則が確立し、歴史ある美しい町並みを保全しています。一方、
我が国は、
用途地域に応じた集団規制が
建築基準法で
規定されているために、
建築確認のみあればよく、町の景観を破壊する
建築物が野放しになっています。町全体の利益を考えた
まちづくりの制度を構築するために、現在の
建築基準法、
都市計画法のあり方を根本的に見直すべきであります。
民主党は、
建築の自由の原則を改め、
建築基準法は耐震性能などの単体規制に特化するとともに、建物のデザインや大きさなどは
都市計画の中でコントロールするなど、
地域主権・分権型
社会における
まちづくりの根本的な
改革を
提案しておりますが、このような
提案に対してどのようなお考えをお持ちか、国土交通大臣にお伺いいたします。
町をつくるとは、
一体何なのでしょうか。必要にして十分なものこそ美しい。要不要を見きわめる判断力と思い切った決断が
まちづくりの要諦であり、今こそそれが必要とされています。どんな美しい町も、それにそぐわない一つの建物が建つだけで、もろくも損なわれてしまう、そんな事例は枚挙にいとまがありません。
町の美しさは、建物のデザインそのものより、土地の利用、位置、規模など、より基本的な要素が決定的であります。そして、町に住む人々や町を利用する人々と、その土地の自然環境などに対応しながら時間をかけてつくり上げられる独自の歴史風土も大きな要素となっています。
そのことを十分に理解しているヨーロッパの国々では、土地利用において、町の景観、美しさを共有することを優先させる
法律を
整備し、国と
地方自治体が責任を持って
都市計画を
推進しています。それが美しい町をつくる基本になっています。
一方、日本の
都市計画は、規制緩和の繰り返しの歴史でした。今回の
都市計画法の改正で、ようやく規制緩和から規制強化へとかじを切ったことは一定の評価はいたします。しかし、まだまだ不十分であります。
民主党は、
地域の
住民が、
住民参加の透明な手続にのっとり、伝統や
文化を大切にする美しい町を復活させることができるような
都市計画法と
建築基準法の抜本的な見直しについて、さらに具体的な
提案をすることをお伝えしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣北側一雄君
登壇〕