○鈴木克昌君 私は、
民主党・
無所属クラブを代表いたしまして、ただいま
議題となりました
国会議員互助年金法を廃止する
法律案に関し、
民主党提出法案に
賛成、自民党、公明党
提出法案、いわば羊頭狗肉、竜頭蛇尾の法案に
反対の
立場から
討論をいたします。(
拍手)
議員年金の
改革が本格的に俎上に上がったのは、一昨年、
通常国会の年金法改正のときからであります。
政府提出の改正法が、
制度の抜本的な
改革を置き去りにしたまま、十四年連続で保険料を引き上げ、年金額を一五%カットするなど、
国民に厳しい内容でありました。しかし、一方、
国会議員には高額でしかも国庫
負担率七〇%を超えるという極めて有利な年金があることに対し、
国会議員の特権、
国民に痛みを求めるならまず
政治家がみずからを律するべきという強い批判が
国民から寄せられました。
民主党は、
政府改正法案に合わせて、
国民年金を含めたすべての年金の一元化を内容とする法案を
国会に
提出いたしましたが、その時点で既に、議員年金を廃止して、
国会議員も一元化された公的年金
制度に
国民の皆さんと同様に加入することを主張いたしました。残念ながら、年金
制度の一元化への道筋はいまだ見えていませんが、この議員年金
改革に対する基本的な思想、すなわち、
国会議員も
国民と同じ年金を受給する、隗より始めよは微動だに揺るいではいません。
議員年金
改革については、その後紆余曲折を経ました。一昨年の総選挙後、
議長のもとに調査会が設置され、昨年の一月には答申が
提出されました。本来ならこの答申を尊重することは当然でありますが、私
たちから見て、その内容はとても
国民の納得を得られるようなものではありませんでした。当事者ではない調査会が余り大胆な
改革案を答申できないことは、やむを得なかったかもしれません。
民主党としては、やはりこれはみずからを切る決断をし、大胆な
改革案をまとめなければならないと考え、法案作成に着手いたしました。
一方、
与党も私
たちの提案に応じる形で昨年の総選挙後から
取り組みましたが、その後の過程では混乱をきわめました。
与党は、一たん議員年金廃止としながら、廃止期間を明記せず、当面の間、現行
制度を微修正した年金
制度を継続する案をまとめました。しかし、この案は
小泉総理の、このままでは
国民の理解は得られないというツルの一声で、
与党は慌てて本年四月に議員年金を廃止する方針へと転換しました。さらに、十二月七日には、新方針に基づく
与党案に対して
小泉総理が、
与党案では廃止にならないと再度の指示を出されたわけであります。これに慌てた
与党は、急ぎ
総理を説得に走り、今度は
総理が説得されて、翌八日には
総理が了承するという
事態になったわけであります。
小泉総理の朝令暮改でようやく決着したというてんまつとなったわけであります。
このような
事態を招いた最大の原因は、自民党、公明党ともに、議員年金の
改革を何のために行うのかという根本が欠落していることにあります。そうでなければ、わずか一日で全く異なる内容の案を両党がまとめられるわけがありません。
国民の批判が強いから、何でもいいからまとめよう、
民主党がやるというから、仕方がないからやっておこうという理念のなさが混乱をもたらしたのであります。
そして、この過程が内容にそのまま反映しています。
与党案の最大の
問題点は、現職議員が将来の年金受給を選択できることにあります。繰り返しますが、この
改革のスタートは、
国民と同じ目線に立つ、議員みずからが率先してみずからの痛みを伴う
改革を断行するということにあります。しかし、
与党案では、既に年金受給資格を得ている現職議員には痛みがほとんどありません。年金受給を選択すれば、恐らく多くの議員が、これまで納付してきた納付金より多額の年金を受給できます。これ以上年金受給額は上がりませんが、それは
負担がなくなるからですから、当たり前のことであります。
また、
与党案では、今後四十年、五十年にわたって現行
制度に基づく年金給付が継続する可能性が高く、その財源はすべて
国民の血税で賄われることになります。結果として、巨額の国庫
負担が必要となるわけであります。そもそも、
民主党が年金廃止案をまとめたときに、納付金がなくなれば
国民負担がふえると
民主党案を極めて厳しい口調で批判したのは
与党ではなかったでしょうか。
しかし、結果的に、現職議員に対し将来の年金受給もある
与党案は、現職議員の将来の年金受給のない
民主党案に比べて、極めて巨額の国庫
負担が必要となります。なぜ
与党は、あれだけ激しく国庫
負担の増加に
反対したにもかかわらず、
民主党案以上に国庫
負担の大きい
与党案を取りまとめたのか、明確な
説明が必要であると考えます。
これに対して、
民主党案は、基本的な思想にのっとり、その内容はすっきりしています。現職議員はすべて将来の年金受給を放棄します。OB議員に対しては、その
生活の
維持に配慮しつつ、給付額を三割カットとさせていただきます。
与党は、
民主党案に対して、
財産権を規定する憲法二十九条に違反すると主張します。しかし、現職議員については、みずからの
財産について、みずからが放棄するのでありますから、これを憲法違反だとは考えません。何より、この国の
財政を考え、また、隗より始めよとみずからが痛みを感じる
改革が必要だと考えている以上、この程度は当然だと考えています。
また、
与党案でOB議員に対する給付についても最大一〇%カットとしており、我が党案が
財産権を規定する憲法二十九条に違反するというのであれば、同じことではないでしょうか。
なお、付言すれば、
与党案では、年金給付額は現職議員で一五%カットとしており、調査会答申よりもカット率が後退しています。何より
国会は、さきの年金法改正で
国民の年金を一五%もカットしたのです。にもかかわらず、結果的に
国民よりはるかに高い年金を受給する。これは、まさに議員の特権の濫用以外の何物でもないのではないでしょうか。このような内容で、本当に
国民の理解を得られるとお考えでしょうか。私は、決して
国民の理解は得られないと思います。
この間、
与党の中で最も議員年金廃止にこだわってきたのは
小泉総理です。しかし、結果として
与党案は、実質的な現行
制度の延長に終わりました。
総理は、本当にこの
与党案でよいとお考えになっておるのでしょうか。この案は、まさに羊頭狗肉、竜頭蛇尾であると思います。
総理自身も強い不満をお持ちだと思います。そうであるならば、ぜひとも
与党案に
反対し、
民主党案に
賛成を表明していただきたいわけであります。(
拍手)
議場の議員各位にお願い申し上げます。
今まで申し上げてきたように、
与党案は議員としての尊厳を
国民に示すことができません。これでは、
国民の
政治に対する
不信感を払拭することはできません。私は、
国会議員が議員年金目当てで議席を得たとは全く考えておりません。そうであるならば、みずからの身を切り、
国会議員として堂々と
国民の前に立つために……